スポンサーサイト
新しい記事を書く事で広告が消せます。
北斗「貴様ら、けいおん、という漫画を知っているか」 神山「え?」2
林田「合宿に行きたい」
神山「え?」
林田「いや、部活には夏の強化合宿が付き物だと思ってな。けいおん部で何か合宿ができればいいな、と」
北斗「ふうむ……確かに」
前田「でもよ、そのためにはちゃんと計画を立てないと意義のある合宿にはならねえんじゃねえか?」
神山「それならみんなで考えればいいじゃないか。僕たちは青春クロマティーなんだから」
ゴリラ「ンゴ」
フレディ「……」
北斗「よし、では今日の放課後は合宿について話し合う事にしよう」
神山「えー、では何か意見のある人」
子分「やっぱりけいおんみたく、別荘を借りて練習したいと思うんだけどよ」
前田「別荘か……」
林田「待て待て。とりあえず山に行くか海に行くかを決めようぜ?」
子分「いや、なんで山か海なんだよ」
林田「夏の合宿やキャンプと言えばどっちかだろ。まあ、今行き先が決まれば随分場所を絞れると思うんだがな」
北斗「うむ。俺たちには別荘を提供してくれる金持ちのお嬢様などいないからな」
神山「……」
神山「あの、金持ちで思い出したんですけど」
北斗「む?」
神山「確か北斗君の家ってお金持ちだった気がするんだけれども」
377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 03:25:39.52 ID:IqhLp+7oO [3/43]
林田「……そういや、何度か北斗の家には行ったが結構豪華だったな。執事までいたし」
神山「それくらいの家なら、別荘の一つや二つは持っているんじゃないかい?」
北斗「確かに、俺は貴様らの家庭よりは数倍、いや数十倍の資産があるだろう」
北斗「もちろん別荘もいくつか持ってはいるが……音楽の練習には使えない」
林田「ん? どうしてだよ」
北斗「周りに他の別荘が密集しているのだ。この時期なら、避暑地にある別荘は大体埋まる」
北斗「いくら開放的とは言え、日中の騒音は許してくれまい」
林田「そんなに人がいるのかよ?」
北斗「まあ、音楽をやる別荘で無いと言うのは確かだな」
神山「……」
神山「あの、ちょっといいですか?」
378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 03:31:12.75 ID:IqhLp+7oO [4/43]
北斗「む?」
神山「確かに音楽も大事ですけど、僕たちは何のために合宿に行くんでしょうか」
前田「いや、だから楽器の練習のためだろ」
神山「いえ、僕はここにいるみんな……青春クロマティーで同じ時間を過ごす事に価値があると思うんです」
林田「……」
神山「楽器が使えない? それでも、音楽について友と語る事はできます。むしろ練習なんて、放課後いつでも学校でできるじゃないですか」
北斗「……」
神山「大事なのは、やはりみんなで思い出を残せる事にあると思うんですが」
北斗「……ちょっと待っていろ」ピッ
北斗『あ、うむ。北斗だが……あの別荘を……うむ』
ピッ
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 03:32:20.95 ID:IqhLp+7oO [5/43]
>>376
イガちゃん以外がキャラゴッチャになってて書けない。
今手元に本ないから、書くとしたら明日
380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 03:38:38.39 ID:IqhLp+7oO [6/43]
神山「北斗君?」
北斗「……合宿の場所が決まった。俺の別荘を使ってくれて構わない」
林田「お前……」
北斗「うむ。思い出を残せれば……確かに、楽器だけにこだわるのは良くないかもしれんな」
前田「……」
北斗「けいおん、で音楽をやっているシーンが少ないのは、こういう意味も込めての事かもしれんな」
林田「へへっ、お前らがいればいいってか。ちょっと恥ずかしいセリフだけど……それが青春クロマティーだもんな」
北斗「そういう事だ。では、合宿の日には遅刻するな……以上で今日は解散だ!」
全員「おおー!」
ベンチ
前田「こだわらないでどうすんだよ……」
旅行って計画立ててる時が一番楽しいよね。
382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 03:43:12.13 ID:IqhLp+7oO [7/43]
バス停
北斗「よし、ここからは歩きだ」
林田「ふう、楽器を背負いながら移動するのは辛いな」
神山「一応けいおん部だからね。とりあえずは持っていないと」
子分「でも森林に囲まれているから空気は最高だぜ!」
ゴリラ「ンゴ! ンゴ」
神山「ははっ、ゴリラも合宿だからはしゃいでるんだな」ポンッ
フレディ「……」
北斗「別荘までは、ここから20分も歩けば着くはずだ」
前田「……なあ、別荘までの道のりは?」
北斗「ん。ここを真っ直ぐいけばいいだけだが?」
前田「そう、か」
384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 03:51:03.91 ID:IqhLp+7oO [8/43]
ザッ ザッ
前田(いつぞやの時は森で迷子になって遭難した事もあったが……)
前田(さすがに一本道ならいくら俺たちでも迷う事はないだろう)
前田(とりあえず、着いたらゆっくりしてえ……どうせこいつらは練習する気なんか無いだろうからな)
……。
20分後。
林田「なあ、なんか道がデコボコで進みづらいぞ。木だって多くてよく前が見えねえし」
北斗「……ここは一体どこだ」
前田(……)
前田(普通に迷っている……)
神山「この辺りに別荘があるのかい?」
北斗「……いや、こんな場所は知らん」
林田「ああ? また俺たち遭難したのかよ!」
北斗「ええい、騒ぐな。所詮は別荘地周辺の森だ。来た道を戻ればそれらしい家や道が見えてくるはずだ!」
前田(……)
386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 03:56:51.43 ID:IqhLp+7oO [9/43]
更に20分後。
北斗「……迷った」
林田「やっぱりかよ! 畜生、また俺たち遭難しちまったじゃねえか!」
神山「林田君、落ち着いて」ポンッ
林田「神山……」
神山「確かに僕たちは一度遭難している。だけど言い返せば経験がある……」
林田「……そうだな、確かに。俺たちのサバイバルテクがあれば、今だって大丈夫なはずだよな」
前田(いや、遭難の経験値なんて欲しくねえだろ……)
北斗「うむ、みんなで協力すればこんな森など怖くあるまい」
ゴリラ「ンゴ」
フレディ「……」
子分「でも北斗さん。もう大分森は暗くなってきてますけど……」
387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 04:05:23.07 ID:IqhLp+7oO [10/43]
北斗「むう、こう足場が悪くては歩き回っても危険か。よし、今日はここで野宿だ」
林田「まあ、野宿でも、一晩くらいなら余裕だよな」
北斗「うむ。では完全に暗くなる前に火をおこす準備と寝床の確保、そして最後に持ち物の確認だ」
全員「おー!」
……。
北斗「さて、火はおこした。寝床も作った。最後に全員の持ち物を確認していく」
林田「まあ、サバイバルでは常識だよな」
北斗「うむ、ではまず前田からだ」
前田「お、俺? 俺はこのリュックに……チョコとビスケットだけだ。正直、荷物はほとんどねえよ」
北斗「うむ。食料があるのはありがたい。では次に神山だ」
神山「僕は、このギターとアンプです」ドンッ
北斗「……で?」
神山「以上です」
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 04:10:40.35 ID:IqhLp+7oO [11/43]
北斗「他の荷物はどうした?」
神山「僕はけいおん部です。これがあれば他には何もいりません」
北斗「言ってる事は立派だが……まあいい、次は林田だ」
林田「俺はこのアンプだ」ドンッ
北斗「……」
北斗「他は?」
林田「これだけだ」
北斗「なっ、貴様……!」
林田「俺も神山と同じ考えだ。この楽器がありゃあ、俺は他に何もいらねえ……これは音楽の合宿なんだからよ」
子分「だから、アンプは楽器じゃねえって言ってんだろ!」
北斗「そういう貴様はけいおんのブルーレイディスクしか持ってきていないではないか……」
林田「肝心の北斗はどうなんだよ?」
北斗「俺の荷物は宅急便で別荘に送ってあるので、何も無い」
神山「残るはフレディとゴリラか……」
389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 04:15:06.88 ID:IqhLp+7oO [12/43]
フレディ「……」スッ
神山「ん、これは……タクアンかい?」
フレディ「……」コクッ
北斗「よし、これで食料が増えたな」
前田「いや、タクアンのみってのもおかしいだろ……」
北斗「では最後にゴリラだ。貴様は何か食料を……」
ゴリラ「……」ドッチャリ
林田「リュック一杯のバナナと……おい、缶詰めやお菓子もあるぜ」
ゴリラ「ンゴ」
前田「これだけあれば三日は何とかなりそうだぜ」
フレディ「……」コクッ
391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 04:19:10.81 ID:IqhLp+7oO [13/43]
北斗「でかしたぞゴリ。この件が落ち着いたら貴様は我が青春クロマティーの副部長にしてやろう」
ゴリラ「ンゴ」
神山「おめでとうゴリ」パチパチ
林田「おめでとう」パチパチ
前田「もう、ツッコム気も起きん……」
392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 04:23:08.68 ID:IqhLp+7oO [14/43]
北斗「よし! ではこの食料を大事に……」
ゴリラ「……」ツン ツン
神山「えっ、まだ荷物があるのかい?」
ゴリラ「……」コクッ
北斗「さすがは副部長になっただけの男だ。そこまで準備がいいとは……やるな」
ゴリラ「……」ガサゴソ
ゴリラ「ンゴ」スイッ
唯『唯のギターだよっ♪』
北斗 神山 林田「……」
森の外れ
北斗「等身大ポップはいらねえだろ……」
林田「どうやって持ってきたんだアレ……」
唯(等身大ポップ)樹海デビュー!
394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 04:30:53.97 ID:IqhLp+7oO [15/43]
北斗「……まあ、とにかく。これでやる事は終わったわけだ」
林田「状況は最悪だがよ、こうして火を囲みながらの野宿もなんだか……ちょっといいかもな」
神山「そうだね。なんだか青春って感じがするよね」
子分「へへっ、少し恥ずかしいけどな」
フレディ「……」コクッ
ゴリラ「ンゴ」
唯『唯のギターだよっ♪』
北斗「……ではついでた。今夜はここでミーティング、けいおん談義といかないか」
子分「さんせい~! じゃあテーマは唯の可愛さについて話しましょうよ!」
北斗「いや、記念すべき第一回目のテーマには紬こそが相応しいだろう」
前田「いや、やっぱりリーダーの律がだな……」
神山「もっと広いテーマで話すのがいいんじゃないですか?」
北斗「む、どういう事だ神山」
397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 04:39:06.12 ID:IqhLp+7oO [16/43]
神山「例えばそう、憂ちゃんがあんなに姉を甘やかしている理由とかを議論するのはどうでしょう」
林田「議論っつてもよ。そんな事話してなんか意味あるのかよ?」
子分「それによ、そういう情報は本編で小出しに語られるからいいんだろ!」
神山「……与えられた情報だけで満足なんですか?」
子分「うっ……」
神山「なにも僕は、そこまで本格的に討論をするつもりはありません」
神山「ただ、あんな事があったからかな、とか……唯と憂の生い立ちをちょっと想像して話に華を咲かせたいだけです」
全員「……」
林田「……確かに、そういうのも面白いのかもしれねえな」
子分「まあ、語るだけならタダだしな」
北斗「うむ、では今夜のテーマは主に、唯と憂の性格について話し合いをしよう」
400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:17:31.26 ID:IqhLp+7oO [17/43]
子分「はいはい! 唯ちゃんと憂ちゃんはもう昔からずっと仲が良くて、そのまま現在に至ってると思うんだ!」
神山「昔から?」
子分「だってよ、あんなに仲がいいんだ。ありゃあ筋金入りだろ」
神山「つまり、君は彼女たちは一切喧嘩もせず、ここまで育ったと言いたいのかい?」
子分「いや、そこまでは言わないけどよ……でもあれだけ仲が良いんだ。よほど順風満帆な姉妹関係を……」
林田「ふっ、人間ってのはそんなに甘いもんじゃねえ。幼い頃に紆余曲折したからこそ、今の彼女たちがあるんだと思うぜ?」
北斗「俺もそう思う」
子分「紆余曲折?」
林田「例えば、唯が憂ちゃんのオヤツを横取りしたり、お姉ちゃん風を吹かせてオカズをたくさんもらったり……機会はいくらでもあったはずだ」
神山「小さい頃は、やはり姉としての力が強いんだろうね」
401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:22:46.66 ID:IqhLp+7oO [18/43]
林田「そう、最初は憂ちゃんは姉のワガママにそうとう腹をたてたはずだ。しかし、唯だって年齢的にはそう変わらない、いきなり出来たお姉ちゃんにはなれやしない」
北斗「うむ。いまだになれてはいないしな」
林田「ある日、憂ちゃんは気付くんだ。私がしっかりしないとダメなんだ……ってな」
前田「……」
林田「つまり、姉は結果的に生きる上での厳しさを教えてくれた、ってわけよ」
神山「なるほど、いつまでも甘えてばかりはいられない、と感じたんだろうね」
子分「でもよ~、だったら性格があまり変わっていないであろう、唯ちゃんの方はどうなんだよ」
林田「少なくとも、高校生の間はあのままだろうな。受験で少しは変わるかもしれないが……まだ妹に頼る部分も大きいはずだ」
403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:30:23.27 ID:IqhLp+7oO [19/43]
前田「……まあ、キャラの過去なんてどうでもいいよな。所詮漫画なんだしよ」
神山「前田君、それは違うと思うよ。いくらほのぼの漫画だからって、キャラがいる以上は多少の設定……もとい歴史は必要だと思うんだ」
神山「例えば。君はりっちゃんがカチューシャをしたキッカケを知ってるかい」
前田「……澪が笑顔になってくれたから……ハッ」
神山「そういう事だよ。それによって律と澪の絆が時間の流れとアイテムを使う事によって表現されている」
前田「そうか……確かに、キャラである以上いらない設定なんていうのは無いのかもしれねえな」
404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:36:32.37 ID:IqhLp+7oO [20/43]
前田「そうだな、昔色々あって今そこにいる。その昔を全部知りたいのは、確かにファンの心理かもしれねえ」
前田「たとえそれが漫画であっても……いや、漫画だからこそ、そういう情報は大事なんだろうな。改めてそれがわかった気がするよ」
神山「前田君……」
北斗「うむ。それがわかっただけでも今夜の収穫だ。これで青春クロマティーの絆はまた深まったわけだ」
前田「ああ、そんな気がするよ」
406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:40:55.73 ID:IqhLp+7oO [21/43]
子分「昔に何があっても、今が可愛けりゃそれでいいんだ!」
林田「おうよ、そこにいる理由や生い立ちなんて関係ねえ!」
北斗「本日の議論の結果は『そこにいる理由など関係ない』だや」
林田「へへっ、まとまったな」
子分「唯ちゃんもちょっと笑顔になっている気がするぜ」
唯『唯のギターだよっ♪』
北斗「よし、では本日は就寝だ!」
全員「おおー!」
フレディ「……」
ゴリラ「……」
森の外れ
フレディ「……」
ゴリラ「……」
過去は関係無いってさ!
409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:47:21.57 ID:IqhLp+7oO [22/43]
就寝
……。
ガサガサ……ワオーン!
北斗「む、今の遠吠えは……まさか野犬か?」
子分「け、結構近くから聞こえましたよ!」
林田「こういう時のために、さっきまでのたき火の火種は残してあるぜ」
北斗「よし、小さな枝と風で火を大きくしろ。野犬が近付けないようにするんだ」
林田「……あれ? おかしいな、あまり火が大きくならないぞ」
神山「少し枝が湿っているみたいだね。もう少し燃えやすい物から、くべてみてくれないかい?」
林田「わ、わかった。この辺の葉っぱならどうだ!」
ワオーン!
410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:52:08.58 ID:IqhLp+7oO [23/43]
北斗「おい、さっきより声が近いぞ! 早く火を強くしろ!」
林田「んな事言ってもよ……なかなか明るくならねえから作業もしづらくて……」
ガサガサ ガサガサ
子分「な、なんか動いてるぜ!」
神山「林田君!」
林田「くっ……よし、これならどうだっ!」カサッ シュッ
ボウッ!
北斗「おおっ、一気に炎が広がったぞ」
前田「真っ昼間みてえに明るくなったな」
メラメラ
411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 05:56:55.14 ID:IqhLp+7oO [24/43]
シーン。
子分「物音もしなくなったし、これで一安心だな!」
メラメラ
神山「ふぅ、それにしてもよく燃えてるね。何を入れたんだい?」
林田「夢中で手を伸ばしてよ、適当にその辺の物を入れたんだが……いやあ、よく燃えてくれてるな」
神山「そうなんだ」
北斗「しかし、よくやったな、林田よ」
林田「へへっ、照れるぜ」
413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:03:11.09 ID:IqhLp+7oO [25/43]
メラメラ メラメラ
前田「……しかし、この燃え方は異常じゃねえか? なんか火柱が人の身長くらいあるし」
子分「ははっ、怖い事言うなよ。人間が燃えてるわけじゃあるまいしよ」
ゴリラ「……」
子分「……あれ、そう言えばここにあった唯ちゃんのポップは?」
メラメラ メラメラ
ゴリラ「……」
神山「どうしたんだいゴリ。さっきからそんなに炎ばっかり見つめて……あっ」
林田「ん。どうしたか、かみや……あっ」
唯『……の……ギ……よ♪』メラメラ メラメラ
全員「……」
森の外れ
林田「すまん、ゴリ……」
ゴリラ「……」
唯ちゃん(等身大ポップ)夏のおもいで!
415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:08:29.31 ID:IqhLp+7oO [26/43]
翌朝
唯『』
神山「これは、完全にもうゴミ……いや、灰だね」
林田「うう、すまんゴリ……」
ゴリラ「……」サッ サッ
北斗「灰など集めてどうする気だ、ゴリラよ」
ゴリラ「……」ザック ザック
神山「そうか、ここにちゃんと埋葬してあげるんだね」
ゴリラ「……」コクッ
北斗「……終わったら、出発だ。今日こそ人のいる所に出るぞ」
416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:13:03.24 ID:IqhLp+7oO [27/43]
別荘
北斗「……というわけで、なんとかたどり着けたな」
神山「いやあ、険しい道のりだったね」
ゴリラ「……」
前田「まだ落ち込んでんのか?」
林田「くっ……すまん、俺のせいで……」
ゴリラ「……」ポン ポン
林田「ゴリ?」
神山「もう、ゴリラは君の事を許しているみたいだよ。気にするな、って」
ゴリラ「……」コクッ
林田「……ありがとう、ゴリ」
ゴリラ「ンゴ」
北斗「よし、一休みしたら早速練習だ。荷物を置いて全員居間に集合だからな」
全員「おおー!」
ゴリラ「……」
417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:18:18.82 ID:IqhLp+7oO [28/43]
一時間後。
林田「いやーこのお茶はうめえな」
北斗「まずはお茶会をせねばこの部活は始まるまいな」
前田(結局、練習なんかしやしねえ……)
フレディ「……」ズズッ
子分「……あれ、フレディ。そう言えばゴリラは?」
フレディ「……」フル フル
神山「そう言えば、いつの間にか見ないね」
前田「……あ、玄関のドアがいつの間にか空いてる」
子分「も、もしかしてアイツ、傷心のあまり出ていったのか?」
林田「……楽しんでいる俺たちの姿を見るのが辛かったのかな」
神山「林田君……」
林田「俺、ちょっと探して来るよ」ダダダッ
北斗「……行ったか」
419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:23:41.98 ID:IqhLp+7oO [29/43]
神山「……遅いね、もう一時間だよ」
北斗「まさかまた迷ってるのではないだろうな」
ガチャッ
北斗「む……」
前田「は、林田」
林田「……まだゴリは戻ってないのか」
神山「そうみたいだね」
林田「バス停まで戻って町の辺りを探してみたが……それらしい奴はいなかったぜ」
前田「まあ、いたらいたで騒ぎになってるだろうしな」
子分「と言うことは、やっぱり森に?」
神山「……もしかしたら、唯ちゃんと心中する気なのかもしれないね」
林田「な……!」
神山「だって、合宿にまで彼女を連れて来ていたんだよ。そんな彼女がいなくなって、相当傷付いたに違いないよ」
北斗「彼女と共に、この森で死ぬつもりか……」
420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:28:30.18 ID:IqhLp+7oO [30/43]
林田「くっ……!」
神山「ダメだよ林田君。もう夜になる、また遭難しちゃうよ」
林田「は、離せ! 俺は、ゴリを……ゴリを!」
北斗「ええい、落ち着け林田!」
林田「ぐっ……」
北斗「奴も本当に死ぬつもりなら、迷惑にならないよう何か残していくだろう。だが、何も無いと言う事は、まだ死ぬと決まったわけじゃない」
林田「で、でもよ……」
神山「もしかしたら、一人になりたいだけかもしれないよ。あるいは唯ちゃんのお墓にもう一度行ったとか」
北斗「……何にしろ、もう少し待とう。ゴリラの事だ、森には強いはずだからな」
林田「北斗……わかったよ」
北斗「うむ」
422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:32:11.08 ID:IqhLp+7oO [31/43]
……。
林田「もうすぐ日付が変わる……くっ!」
神山「ダメだってば。森は危険だよ」
林田「は、離せ!」
子分「あっ、ま、待て。窓の外を見ろ」
北斗「……む」
ゴリラ「……」
林田「ゴ、ゴリ。よかった……」
神山「よかったね林田君」
北斗「フッ、ずいぶん堂々とした姿で歩いて来てるものだな」
424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:35:45.51 ID:IqhLp+7oO [32/43]
神山「きっと、彼女にちゃんとお別れが言えたんだよ」
林田「ああ、ああ……」
前田「泣くなよ、ほら、ティッシュ」
林田「すまねえ前田」
ガチャッ
ゴリラ「……」
林田「おかえりゴリ!」
ゴリラ「……」コクッ
北斗「ふふっ、これでめでたしめでたしだな」
426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:42:58.03 ID:IqhLp+7oO [33/43]
子分「じゃあ、深夜はけいおんブルーレイパーティーといこうぜ!」
林田「へ、へへっ、お前もたまにはいい事言うじゃねえか」
神山「彼女もきっとこの森から僕たちを見守ってくれているはずさ」
フレディ「……」コクッ
北斗「よし、では今から帰って来たゴリと、俺たちを助けてくれた唯ために宴会だ!」
全員「おおー!」
林田「さあ、ゴリラもそんなとこ突っ立ってないでこっちに……」
ゴリラ「……」スッ
梓『私とセッションしましょう!』
全員「……」
ソファー
北斗「また等身大ポップか……」
神山「ていうかドコからあんな物を……」
林田「俺の涙は一体……」
ゴリラ、とっかえひっかえ。
430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 06:55:13.44 ID:IqhLp+7oO [34/43]
帰りのバス
神山「合宿も終わっちゃったね」
林田「遭難なえなけりゃあもっとゆったりとした気分になってたのによ」
北斗「ははっ、それも含めていい思い出になったではないか」
子分「結局、楽器は全く弾きませんけしたけどね」
北斗「まあ、絆が深まったと思えばいいではないか。新しい仲間も増えたしな」
梓『私とセッションしましょう!』
フレディ「……」コクッ
433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 07:04:13.10 ID:IqhLp+7oO [35/43]
前田(……まったく、元気な奴らだ。ゴリの一件なんてもう忘れてやがる)
ゴリラ「……」
前田(あれ、こいつ。なんで手ぶらなんだ?)
前田「なあ、ゴリラよ、お前荷物は一体どうしたんだ。ギターやらリュックやらよ」
ゴリラ「……」プイッ
前田「……話したくなかったら、深くは聞かねえよ。悪かったな」
434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 07:09:11.16 ID:IqhLp+7oO [36/43]
ゴリラ「……」
前田(ま、俺にとってはどうでもいい事か)
ゴリラ「……」
バスはどんどん森から離れ、みんなを元いた街まで運んで行く。
その、忘れられたように小さくなった森のある場所に、彼女は眠っている。
同じけいおん部の仲間を助けてくれた、平沢唯。
そんな彼女の傍には、大好物なお菓子がたくさん入ったリュック。
さらに『いい笑顔』で写っているゴリラと彼女の写真が一枚。
そして……彼女がずっとギー太と一緒にいられるようにと、アンプに繋がれたままのレスポールが一本。
そのお墓の場所は、写真に写っている二人しか知らない、秘密の場所。
その場所で、今日も彼女はギターを弾きながらお菓子を食べて……ずっと変わらない笑顔で、彼と笑っている。
青春クロマティー、合宿編 完
481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 23:05:22.26 ID:IqhLp+7oO [40/43]
ちょっとだけ、課長バカ一代。
八神「社長、お話というのは?」
松平「うむ。君はこの漫画をしっているかね」
けいおん1巻。
八神「……いえ、こんな子知り合いにはおりませんが」
松平「いや、だから漫画だって。……まあいい、実は今回、我が会社がこのキャラクターをモチーフに商品を開発する事になったのだよ」
八神「この女の子をモチーフに? そんなに人気なんですか、この子は」
松平「ああ、運よくキャラクターの使用権を我が社が競り落とせた。この企画には相当な額の資金が動いている」
八神「うむ……侮りがたいですね」
482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 23:11:00.52 ID:IqhLp+7oO [41/43]
八神「で、私は何をすればいいんでしょうか?」
松平「このキャラをモチーフに、何かアイデアを考えてきてほしい。誰も彼も匙を投げてな……頼れるのは(バカの)君しかいないのだ」
八神「なるほど……わかりました、引き受けましょう」
松平「おお、頼んだよ。イメージを沸かせるために、この漫画は君にあげよう。利用したまえ」
八神「はい」
松平「頼んだよ」
483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 23:17:12.02 ID:IqhLp+7oO [42/43]
……。
八神「なるほど、高校生が楽器を使ってほのぼのする漫画か」
八神「ううむ、ここから製品を作るとなると……」
八神「……」
八神「難しいな」
八神「高校生、ほのぼの、夢」
八神「……よし、これでいってみよう」
489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/04(土) 23:43:27.73 ID:IqhLp+7oO [43/43]
……。
松平「ほう、もうアイデアがまとまった、と」
八神「はいまずはイメージをハッキリさせるためポスターを作成しました」
八神「ご覧ください」ピラッ
松平「……」
松平「なるほど、確かにメインの5人はしっかりと写っているようだが」
唯『目指せこうしえん!』
松平「なんでみんな野球帽を被ってバットを持っているんだね」
八神「高校生の夢と言えば、甲子園球場でしょう」
松平「いや、楽器だって言ってるだろうが……」
493 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 00:20:55.71 ID:NvatqRAQO [1/66]
八神「一体何が不満なんですか?」
松平「いや、不満も何も……キャラクターのイメージと言うものがね」
八神「イメージ……」
八神「ではキャラを立たせるにりっちゃんに葉っぱをくわえさせましょうか」
松平「いや、彼女はむしろキャラ立ちしている方だろうが……」
八神「あ、ぐわははは、ってりっちゃんが笑うのは」
松平「だから! それじゃあキャラが変わっちゃうだろうが!」
495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 00:31:38.73 ID:NvatqRAQO [2/66]
松平「……まあ、まだ試作の段階でよかった。こんなポスターが採用されていたら、損害もいい所だ」
八神「え?」ゴッチャリ
松平「……そのポスターの束は?」
八神「とりあえず、試作として500枚程」
松平「君の仕事は野球のポスターを印刷する事だったのかね?」
八神「……ハッ」
松平「ようやっと気付いたのかね……」
八神「……すいません、私とした事が」
松平「うむ、わかってくれればいいんだ。早速このポスターを手直しして……」
八神「はい、みんなの口元に葉っぱを印刷して作り直します」
松平「……だから、岩鬼から離れろよ」
507 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 04:15:42.00 ID:NvatqRAQO [3/66]
すまぬ。付き合いでご飯行ってた
松平「……で、肝心の商品は何を作るのかね。ちゃんと彼女たちをイメージしてあるんだろうね?」
八神「はい。こちらが試作品になります」スッ
電気ポット。
松平「……」
八神「これでどんなティータイムでもバッチリです」
松平「……君ねぇ、ちょっとそのポスターを見てみたまえ」
509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 04:25:07.55 ID:NvatqRAQO [4/66]
八神「……」
唯『目指せこうしえん!』
松平「で、これは?」
電気ポット
八神「……?」
松平「まったく、野球もイメージも関係ない。これじゃあただの……」
八神「えっ、お茶を飲んで夢を叶える漫画じゃないんですか?」
松平「いや、だからね……甲子園がそもそも間違いなんだってば」
584 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 20:50:39.21 ID:NvatqRAQO [35/66]
>>509の続きから
松平「……ふぅ」
松平「やはり、八神君とは言え今回の立件は難しかったか」
ガチャリ
八神「そんな事はありません」
松平「む……どうした、今頃になって。もうアイディアも資金もあるまい。ポスター500枚も刷りやがって」
八神「確かに、それは私のミスでした。しかし、あれから私なりに考えをまとめ……こうして再び参上しました」
松平「ほう、聞かせてもらおうか。君の考えとやらを」
586 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 20:56:23.72 ID:NvatqRAQO [36/66]
八神「はい」
八神「まず、私自身の反省する部分……それは姿勢が中途半端だという事でした」
松平「ほう」
八神「我が社の製品の出来。そして、借りているキャラクターを活かした販売戦略……この二つが合わさらなければ今回の企画は成功とは言えません」
松平「……うむ」
八神「しかし、そこに野球を掛け合わせた私の販売戦略は見事に的を外していた、と考えざるを得ません」
松平「まあ、女子高生だから……しかも葉っぱまで」
八神「そう、そこです。彼女たちは女子高生……故に、最初から野球を持ってきた私のミス……今回はこれに尽きます」
松平「……」
588 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:02:59.25 ID:NvatqRAQO [37/66]
松平(なんだか、今日の彼はバカに見えないな……)
松平「……それで、君はそのミスをどう補う事にしたのかね」
八神「はい、まずは根本的な部分に戻り考えてみました。彼女たちはまず楽器をやっています」
松平「一番大事な部分だな」
八神「そして我が社はけいおんをモチーフにした製品を作る事を目標にしていました」
松平「うむ」
八神「……そこに、私が個人的な理由から野球を勝手に混ぜてしまいました」
松平「……」
八神「そんなミスは二度と起こさぬよう、今度はちゃんと『ドカベン』の使用権利を獲得しましたので、ご安心下さい」
八神「以上が私のプランになります」
松平「……いや、だから野球じゃなくてけいおんがだね……」
課長バカ一代編 完
510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 04:35:33.40 ID:NvatqRAQO [5/66]
会議室
イガちゃん「えー、では早速今日も会議を始める」
トミー「今日のテーマは?」
イガちゃん「ふむ。実は俺が最近ハマっている漫画があるんだが……それについて話そうと思う」
タミー「漫画?」
ユリー「……」
能智「ま、待ってくれよ。どうして議題が漫画の事になるんだよリーダー」
イガちゃん「うむ、それはだな。この漫画が俺たち四天王のテーマ……ロックとワルの融合にマッチするからだ」
タミー「ロックとワルの融合……」
512 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 04:43:09.26 ID:NvatqRAQO [6/66]
イガちゃん「ああ。まずはこの漫画を見てほし……」ガサガサ
イガちゃん「ん……」
トミー「どうしたんだリーダー?」
イガちゃん「……すまん、肝心の漫画を忘れてしまったようだ」
能智「え。なんだよ、俺ちょっとワクワクしていたのに」
イガちゃん「ああ、明日には必ず持ってくるから、すまん」
トミー「……とりあえず、どんな漫画なのか、大雑把に教えてくれないか」
イガちゃん「うむ。まず、主人公は女子高生だ」
能智「女子高生?」
513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 04:49:19.28 ID:NvatqRAQO [7/66]
タミー「……その女子高生がすっごいワルとか?」
イガちゃん「いや、どちらかと言えば良い子達だ」
トミー「おいおい、それの何処がロックとワルの融合な漫画なんだよ」
イガちゃん「……すまん、少し嘘をついた。別にワルと言う訳ではないんだ」
能智「?」
イガちゃん「だが、見てもらえれば分かる。俺がその漫画を薦める理由が……お前たちにも分かるはずだ」
タミー「そんなに面白い漫画なのか?」
イガちゃん「ああ、俺が保証しよう!」
トミー「そんなに力強く言われちゃあ……な」
514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 04:56:47.05 ID:NvatqRAQO [8/66]
イガちゃん「と言うわけで、今日は解散だ。明日の会議でまた会おう」ガチャ
タミー「ま、待てよ。せめて漫画のタイトルだけで……」
バタン
能智「……行っちまった」
トミー「俺たちも……帰るか」
帰り道
ユリー「……」
タミー「なあ、さっきのリーダーの話、気にならないか」
能智「え、やっぱり? 俺もチョー胸がモヤモヤしているんだけど」
トミー「あんな中途半端に宣伝されたら、誰だって気になるよな」
タミー「……明日まで待てねえよな」
能智「ああ……」
トミー「なあ、今からちょっと本屋に行ってみねえか?」
ユリー「……」コクッ
タミー「よし……行くか」
515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:04:42.25 ID:NvatqRAQO [9/66]
本屋
タミー「……でよ、どんな漫画だっけ?」
能智「タイトルはわからねえけど、確か……」
ユリー「女子高生がどうとか、言っていたな」
タミー「女子高生か……まあ、人気がある本なら特設コーナーとかもあるだろうしな」
トミー「……でもよ、女子高生が主役の漫画なんていくらでもあるぜ。せめてジャンルでもわからねえと……」
能智「うーん……」
タミー「仕方ねえ。手分けしてそれらしい本を探すしかないな」
トミー「ああ。それらしい本を見つけたら買って確かめてみようぜ」
タミー「そうだな……よし、じゃあ行動開始だ」
518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:11:37.27 ID:NvatqRAQO [10/66]
公園
タミー「全員揃ったな。では、品定めと行こうか」
トミー「ああ」
ユリー「おう」
能智「じゃあまず俺から……」スッ
『らき☆すた』
タミー「……これが女子高生が活躍する本なのか?」
能智「ああ、アニメになったり何やらと……そこそこ大きく取り上げられていたぜ」
能智「中身もまあ、ほのぼのしている内容だから、良い子達ではある」
トミー「とりあえず、リーダーの言った条件はクリアしているみたいだな」
タミー「これが俺たちに影響を与える漫画とは、あまり思えないがな」
能智「まあ、いいじゃねえか。次は誰だ?」
519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:17:43.27 ID:NvatqRAQO [11/66]
トミー「俺は、この本じゃねえかと思うんだ」スッ
『ひだまりスケッチ』
タミー「これが?」
トミー「ああ……女の子がメインの四コマ漫画だ。これも、リーダーの言った条件はクリアしている」
ユリー「……なんか、さっきのらきすたと雰囲気が似てるな」
タミー「四コマってだけじゃねえか。まあ、そういう俺も結局は四コマ漫画だったんだがな」
能智「ん、タミーもか」
タミー「おう、俺の場合はこれだったがよ」スッ
『けいおん!』
トミー「へえ……女子高生が主人公の漫画って結構あるもんだな」
520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:26:06.86 ID:NvatqRAQO [12/66]
トミー「俺の場合は店員に聞いたからな。まあ、ちょっと恥ずかしかったが……」
タミー「あ、その手があったか」
能智「……でもよ、本当にこの中にリーダーの言ってた本があるのかな」
全員「……」
トミー「ん、そう言えばユリー。お前の本がまだだったな」
ユリー「お、俺のは多分違うからいいよ」
521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:29:20.13 ID:NvatqRAQO [13/66]
タミー「おいおい、一応見せてみろよ。そんな隠され方したら気になるじゃねえか」
能智「そうだそうだ、せっかく買ったなら見せてみろよ」
ユリー「じ、じゃあ……」スッ
トミー「ま、女子高生が主役ならよ、それだけで正解している可能性があるんだから……」
『侵略!イカ娘』
トミー「いや、多分女子高生ではないんだ……」
全員「……」
ベンチ
能智「イカかあ……」
イカが主人公でいいじゃなイカ!
524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:36:31.90 ID:NvatqRAQO [14/66]
次の日
ガチャリ
イガちゃん「む。もうみんな集まっていたのか」
タミー「ああ……早速だかよリーダー。机の上を見てくれ」
イガちゃん「ん……この漫画はどうしたんだ?」
トミー「いや、昨日のリーダーの話が気になってよ。俺たちが独自に漫画を推理してこれを買ってきたんだよ」
ユリー「で、この中にリーダーの言っていた、すげー俺たちのタメになる漫画があるのか……教えてほしいんだ」
イガちゃん「ほう」
能智「まあ、イカの漫画以外は女子高生が主役なんだ。そして良い子ばかり……この中にきっとあるんじゃないか、と思ってな」
525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:41:45.19 ID:NvatqRAQO [15/66]
イガちゃん「……」
トミー「個人的にはよ、このけいおんか、ひだまりスケッチが当たりだと思うんだが」
タミー「まあ、待てよ。慌てなくてもすぐわかるんだ」
能智「そうだ。リーダーが薦めるすげー漫画……それがもうすぐわかるんだ」
ユリー「昨日はモヤモヤして眠れなかった……ゲソ」
タミー「……なんか移ってるぞユリー」
イガちゃん「……」
全員「……」ゴクリ
526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 05:47:01.84 ID:NvatqRAQO [16/66]
イガちゃん「残念ながら、俺のおすすめする漫画、それはこの中には無い」
全員「な、なにぃ!」
トミー「くそっ、自信あったのによ……少しショックだぜ」
タミー「じ、じゃあ何なんだよ! 正解の漫画はよ!」
ユリー「……」
イガちゃん「うむ、それはな……」ガサガサ
全員「……」ゴクリ
イガちゃん「これだ」
『あずまんが大王』
全員「……」
ベンチ
タミー「……うん、少ないヒントだったけどさあ……」
トミー「昨日とは違う、このモヤモヤは何なんだろうな……」
ユリー「……ゲソ」
テッテテ、テッテテ、テテ、テッテッテ♪ あ
532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:01:49.57 ID:NvatqRAQO [17/66]
イガちゃん「えー、本日の議題は……」
トミー「ち、ちょっと待ってくれよリーダー」
イガちゃん「ん、どうしたトミー。何か提案があるのか?」
トミー「いや、提案もなにもよ……俺たちメンバーは前回の結果に納得いって無いんだけどよ」
イガちゃん「前回?」
タミー「……どうしてあの漫画をリーダーがオススメしたか……その、正直ちょっとわからなくてな」
イガちゃん「なんだと?」
ユリー「いや、確かに内容は面白かったよ、でも……ただ女子高生が話しているギャグ漫画ってだけで……」
イガちゃん「お前ら……何が言いたい?」
タミー「だから、あの漫画からリーダーが何を感じて俺たちに何を伝えたかったか……聞きたくてな」
533 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:08:57.28 ID:NvatqRAQO [18/66]
イガちゃん「……」
イガちゃん「話は変わるが、昨日の本の中にあったけいおんを読んでみたんだ」
タミー「いや、話題変えるんじゃねえよ!」
トミー「そうだぜリーダー、ちゃんとあずまんがの良さを説明してくれよ」
イガちゃん「ああ、あのデスデビルのさわちゃんには俺たちに近い物……まさにロックとワルを感じた」
能智「……ダメだ、完全に話をすり潰す気だ」
タミー「……まあ、確かにけいおんは面白かったけどよ」
トミー「ああ、女の子だから、なんてちょっとバカにしていたが……伝わってくる物はあったよな」
536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:14:04.79 ID:NvatqRAQO [19/66]
イガちゃん「そうだ、俺はただ漫画を紹介したかっただけじゃない。いいか……けいおんのメンバーを考えてみろ」
能智「メンバー?」
トミー「ハッ、俺たちと同じ人数……全部で五人だ」
イガちゃん「そうだ、最初はあずにゃんがいなくて四人……まさに四天王状態だったが、気が付けば五人」
イガちゃん「……これに俺は運命を感じた
トミー「……いや、別に向こうは四天王にこだわっていた訳じゃなくて」
能智「というか運命って何だよ?」
イガちゃん「うむ、実はな……俺たち四天王でやりたい事が出来たのだ」
能智「やりたい事?」
イガちゃん「ああ……」
538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:19:38.41 ID:NvatqRAQO [20/66]
ユリー「ま、まさかリーダー……」
イガちゃん「うむ。実は最近メンバー同士の交流が少なくなった気がしてな……きっかけは漫画で恥ずかしいのだけれども……」
タミー「俺は、賛成だ」
イガちゃん「タミー……」
タミー「リーダーがやる、と言ったら俺たちはそれに従う。それが四天王だからよ……」
トミー「……ああ、あの漫画には俺たちを動かすだけの、パワーがあった。協力するぜ」
イガちゃん「い、いいのか……だが、初心者が上達するにはかなり長い時間を要すると聞く。誘っておいてなんだが……」
能智「いいんじゃねえか。俺たち五人が協力すれば……頂点を極めるなんてあっという間だぜ、きっとよ」
イガちゃん「お前ら……」
539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:23:55.11 ID:NvatqRAQO [21/66]
イガちゃん「し、しかし金もかかるのだぞ?」
タミー「……さすがに何十万は出せないがよ、まあ、安物で数万の物もあるだろうよ」
能智「そうだな。実は俺、ちょっと憧れていたんだよな」
トミー「こんなメイクしているから、余計にな……へへっ」
イガちゃん「しかし、いいのか。始めるきっかけは、漫画と……俺のワガママなんだぞ」
ユリー「水くさいぜリーダー」
タミー「ああ、リーダーの決定には従う……俺たち四天王で天下取ってやろうぜ」
トミー「何でも、リーダーに力を貸すぜ」
リーダー「……すまん、みんな」
541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:29:13.37 ID:NvatqRAQO [22/66]
リーダー「よし、ではみんなの力を貸してもらうぞ!」
トミー「おう!」
タミー「腕がなるぜ!」
ユリー「よし、じゃあまずは担当から決めようぜ」
イガちゃん「いや、まずはその前に道具を揃えるんだ。ちなみに俺のはだな……」ゴソゴソ
542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:36:44.97 ID:NvatqRAQO [23/66]
タミー「な、リーダーはもう楽器を持っているのか……」
トミー「すげー熱の入れようだ……」
イガちゃん「昨日特売で買ったノートパソコンだ。大容量でサクサク動くと言われたから、これにした」
全員「……」
タミー「なあ、リーダー、ちょっといいか?」
イガちゃん「ん」
タミー「なんでノートパソコンなんだよ?」
イガちゃん「パソコンを使わなければ達成できない目的だからだ。当たり前だろ?」
トミー「リ……ーダーのやりたい事って一体何なんだよ。バンドを組んで楽器をやる事じゃないのか?」
リーダー「楽器だと? 俺はただ『レバ剣』という物が欲しいだけだ」らきすたであった
全員「……」
ベンチ
トミー「あー、すげーモヤモヤする……」
タミー「いつから話がすり変わったんだろうな……」
多分、運命の件の後からかな。
544 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:45:35.41 ID:NvatqRAQO [24/66]
イガちゃん『えー、では今日の会議を始める。何か提案のある者は挙手をしてくれ』カタカタ
タミー『リーダー』カタカタ
イガちゃん『……』
タミー『なあ、リーダー』カタカタ
イガちゃん『……』
タミー「……」スッ
イガちゃん『どうした、タミー』カタカタ
タミー『こうやって、ゲームのチャット上だけで話すのは止めにしないか?』カタカタ
イガちゃん『ゲームと言うのは止めろと言ったはずだ。俺はこの世界では戦士なんだぞ』カタカタ
トミー『でもよ、同じ部屋にいるのにパソコン内だけで会話っていうのもよ……』カタカタ
イガちゃん『その方が雰囲気がでるだらう』カタカタ
イガちゃん『すまん、誤字』カタカタ
546 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:52:28.91 ID:NvatqRAQO [25/66]
イガちゃん『とにかく……いいか。レバ剣を一刻も早く見つけるために、作戦会議だ。何か意見は無いのか!』
トミー『まあ、俺たち全員レベル1なんだが……まずどうすればいいんだ?』
イガちゃん『提案がある時は手を上げろ!』
トミー「……」スッ
イガちゃん『はい、トミー』カタカタ
トミー(……やりづらい)
……。
イガちゃん『……とにかく、レバ剣は超レアなアイテムらしい。生半可な覚悟では手に入れられまい』カタカタ
イガちゃん『だか、俺たち四天王が力を合わせればすぐに見つかるだろう、みんなの活躍を期待する』カタカタ
ユリー『あ、リーダー! 狼に襲われてるよ!』カタカタ
イガちゃん『あrkuさenらhなxx』カタカタ カタカタ!
タミー(キーボードうるせえ……)
トミー(リアルで無言なのが余計不気味だ……)
547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 06:58:48.77 ID:NvatqRAQO [26/66]
イガちゃん『おい、誰か復活の薬は持ってないのか!』カタカタ
トミー『俺たちまだそんな物持ってないよ』カタカタ
タミー『薬が随分高額だしなあ。かといって復活の魔法も無いし』カタカタ
イガちゃん『くっ……このままではレバ剣どころではない! なんとかしろ!』カタカタ
トミー「……」
トミー「なあ、リーダ……」
イガちゃん『手を挙げてから喋れ!』カタカタ
トミー「……」スッ
イガちゃん『はい、トミー』カタカタ
トミー(だんだん、殺意が沸いてきた……)
イガちゃん(戦士、レベル1)は死んでいる。
549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 07:04:16.02 ID:NvatqRAQO [27/66]
タミー『……俺たちだけじゃあ冒険はまだ厳しいよ』カタカタ
ユリー『そうだよ。レバ剣はとりあえず後回しにして、地道にレベルを上げようよ』カタカタ
イガちゃん『ちまちまとレベルなんか上げてられるか。敵が強いエリアにレアアイテムがあるのは当然……早く探せお前ら!』カタカタ
トミー『俺たちのレベルじゃあ、この辺りの敵には勝てないよ』カタカタ
タミー『一回街まで戻ろうよ、ね?』
イガちゃん『むう……もう貴様らなど知らん。勝手にどこへでも行け!』カタカタ
イガちゃん「……」
全員「……」
タミー(いや、本体がいる時点で気まずいんだって……)
能智(こんな空気の中ゲームしても楽しくない……)
551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 07:11:25.37 ID:NvatqRAQO [28/66]
ユリー『あ……ま、待て。俺たち囲まれているぞ』カタカタ
狼の群れ『ウゥゥ!』
トミー『こ、この数はヤバいよ』カタカタ
能智『で、でも逃げ場所も無いぜ!』カタカタ
イガちゃん『俺には関係の無い事だ』カタカタ
トミー(死んでるからって呑気な……)
狼の群れ『ガウッ!』
タミー『き、来た! もう終わりだ!』カタカタ
ユリー『だ、誰か……助けてくれえ!』カタカタ
スッ
全員(あ……だ、誰かが!)
ズワァァアア!
タミー『ぜ、全体魔法……すげえ……』カタカタ
552 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 07:14:15.61 ID:NvatqRAQO [29/66]
トミー『すげえ、一瞬で狼が灰になった』カタカタ
イレブンPM『……大丈夫ですか、危ない所でしたね』
ユリー『あ、あなたは……?』カタカタ
イレブンPM『名乗る程の者ではありません……って、名前が出ちゃってますね(笑)』
タミー『た、助けてくれてありがとうございます』カタカタ
イレブンPM『いえいえ。あ、そちらの方は死亡していますね、えい☆』
イガちゃん『む……』カタカタ
イレブンPM『全回復と、強化の魔法をかけておきました。これでしばらくは安全なはずですよ!』
553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 07:19:50.08 ID:NvatqRAQO [30/66]
藤本宅
藤本「……たく、レベル1の素人がなんでこんな危険なエリアに」
藤本「まあ、レベルMAXな俺のキャラならばこんな場所の敵は雑魚以下だが……」
付き人「……」
藤本「初心者がこんな所にいてはまた死体が増える。それとなく注意してやるか」
藤本「ええ、この辺りは低レベルの方には危険なエリアです。街までテレポートで送りますので、もっと簡単なエリアでレベルをあげましょう、と」カタカタ
藤本「……フフッ、上級者面をするつもりは無いが、こうやってビギナーに指導する瞬間は何より気持ちいい」
藤本「こいつら、泣いて喜ぶに違いない」
付き人「……」
554 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 07:24:41.23 ID:NvatqRAQO [31/66]
トミー『おい、いい人だぜ』
タミー『あ、ありがとうございます!』
藤本「フフッ、そうだろうそうだろう、もっと感謝するがいい」
イガちゃん『……おい、イレブンPMとやら。この辺りで一番レアなアイテムが落ちているのは何処だ!』
藤本「む、なんだこいつぁ……まるで言葉遣い、ネチケットがなっちゃいねえ。仕方ないな」
イレブンPM『イガちゃんさん。もしかしたら、キャラ作りのためにそんな口調なのかもしれませんが……初心者さんは基本敬語の方がいいですよ!』
藤本「まあ、こんなもんだろう。キャラを作るあまり言葉が乱暴になる……初心者にはよくあるミスだ」
イガちゃん『うるさい、俺はリーダーだぞ。さっさとレアアイテムの場所を教えろ』
藤本「こ、こいつ……」ギリッ
付き人「……」
555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 07:29:13.09 ID:NvatqRAQO [32/66]
会議室
タミー『リ、リーダー。そんな乱暴な言葉は悪いよ』カタカタ
ユリー『そうだよ、せっかく助けてくれたのに』カタカタ
トミー『イレブンPMさん、すいません』カタカタ
イレブンPM『……いえ、いいんです。僕はいらなかったみたいですね。皆さんの前から立ち去ります』
イガちゃん『おい待て。それならせめてレアアイテムの場所を吐いてから去れ』カタカタ
イレブンPM『……』
イレブンPM『一番レアなアイテムは「闇魔王の城」エリアに落ちています。まあ、皆さんが辿り着くにはレベルが足りなすぎますが……』
イガちゃん『ふん、それだけわかればよい。行くぞお前ら! ご苦労だったな、貴様』カタカタ
イレブンPM『……』
556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 07:34:19.46 ID:NvatqRAQO [33/66]
イガちゃん『よし、目指すは魔王の城だ!』カタカタ
イレブンPM『待って下さい。最期にとっておきの魔法をかけてあげますよ☆』
タミー『わあ、やっぱりいい人だ』カタカタ
ユリー『ありがとうございます』
イレブンPM『はい、皆さん頑張って魔王城まで辿り着いて……とでも言うと思ったか! バカ野郎が!』
ザシュッ
タミー『あ、リーダーが斬られた』カタカタ
能智『生き返してくれたり、殺したり、わからない人だな……』カタカタ
イガちゃん『……』
トイレ
イガちゃん「やっぱり楽器の方にしておけばよかったかな……」
一応、選択肢にはあったんだ。
589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:09:20.82 ID:NvatqRAQO [38/66]
会議室
イガちゃん『みんなログインしているな。よし、今日も早速冒険だ』
タミー『わかったぜリーダー』
トミー『早くレバ剣を手に入れないとな』
イガちゃん『……待てトミー。お前だけなんでレベルが20になっているんだ』
能智『本当だ。俺たちみんな横並びだったのによ』
トミー『いやあ、実は攻略サイトを見て効率のいいレベル上げ方法を試してみたんだよ』
ユリー『今日、一人早めに来ていたのはそのためかー』
トミー『ああ、アイテム情報や豆知識も仕入れたし……ちょっと成長した感じだぜ』
イガちゃん『……』
591 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:15:23.45 ID:NvatqRAQO [39/66]
タミー『ところでよ、何でリーダーだけレベルが一桁なんだ?』カタカタ
トミー『ああ、前にPKされたからレベルが下がったんだな』カタカタ
能智『PK?』カタカタ
トミー『プレイヤーキルって言って、ゲームに参加している者同士で殺せるシステムだ』カタカタ
トミー『主に対戦なんかに使われるが……このゲームのPKはプレイヤー狩りをして、装備品を奪えるシステムだから注意がいるな』カタカタ
ユリー『なるほど、それでリーダーのレベルが下がったんだ』カタカタ
トミー『ああ、ペナルティで経験値が下がるシステムらしい。だから死にそうになったら無理はしない事だな』カタカタ
593 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:21:21.26 ID:NvatqRAQO [40/66]
タミー『まあ、前のイレブン何とかは一撃でリーダーを倒してたからな』カタカタ
能智『注意のしようがないよな、ハハッ』カタカタ
イガちゃん『……』
ユリー『でもトミーは物知りになったよな』カタカタ
タミー『本当だぜ、頼れる存在って感じだよな。なんかリーダーっぽいぜ!』カタカタ
トミー『そ、そんな事はないぜ、ヘヘッ』カタカタ
イガちゃん『フッ、貴様はいつもそうだ』カタカタ
トミー『え?』
イガちゃん『攻略情報を見てゲームを極めたつもりか? お前は手のひらの上で踊らされているようなものだぞ?』カタカタ
イガちゃん『大体、そんな知識など冒険している間に自然と身に付くんだ。その方が……本当の経験値となる』
トミー『経験値……』
594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:26:25.05 ID:NvatqRAQO [41/66]
イガちゃん『俺はあのイレブン野郎に殺されたからわかる。PKの恐ろしさや緊張感……それが攻略情報に書いてあったか、トミーよ』
トミー『い、いや。ただ……情報だけが淡々と書かれていただけだ』
イガちゃん『そうだろう、文字を読むだけでは伝わらない……実戦の恐ろしさ。俺の背中にはその傷痕が残っている』
全員『……』
イガちゃん『みんなにもう一度問う。そんなに攻略情報は必要で、そこまでしてこの世界で生きたいのか?』
ユリー『……リーダーはレバ剣欲しくないの?』
イガちゃん『ユリー、最初に言っただろう。俺はこの四天王としてやりたい事がある、と』
イガちゃん『レバ剣を拾う時は、お前らと一緒だ』
タミー『リーダー……』
595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:32:06.81 ID:NvatqRAQO [42/66]
トミー『リーダー、俺が間違っていたよ』
イガちゃん『む……』
トミー『なまじ、攻略情報なんか見ちゃうとさ、全員で冒険していても……なんだか俺だけズルしているみたいになるよな』
タミー『トミー……』
トミー『リーダーに早くレバ剣を見つけて欲しかったんだけどよ、ちょっとお節介だったかな、ハハッ』
イガちゃん『……』
イガちゃん『トミー、他には何か豆知識や攻略情報は無いのか』
トミー『えっ、だって……』
イガちゃん『早く教えろ。俺がレバ剣を見つけるためにはどうすればいいのか……お前なら分かるだろう』
タミー『リーダー……』
能智『トミーの気持ちを汲んで……ヘヘッ、少し感動したぜ』
597 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:37:50.68 ID:NvatqRAQO [43/66]
トミー『そうだな、レアな武器だから……まずは戦力を強化しないと。レベルも上げないとな』
イガちゃん『うむ』
トミー『で、一番のレアアイテムは闇魔王の城にあるって言ってたから……とにかくそこまで辿り着けるくらいにならないと』
イガちゃん『……よし。今後の目標が見えたな』
ユリー『リーダー……』
イガちゃん『俺たちは闇魔王の城を目指しつつレベルをあげるぞ! みんな俺についてこい!』
全員『おおー!』
599 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:47:25.66 ID:NvatqRAQO [44/66]
一ヶ月後
イガちゃん『……ついにレベルMAXか』
タミー『長かったな、ここまで』
能智『寝る間も惜しんでキャラを育てた甲斐があったってもんだぜ』
イガちゃん『違う、キャラではない。俺たち自身がこの世界を通して成長したんだ……』
イガちゃん『今画面に映っているこのキャラは俺たちの心そのものの姿だ……』
タミー『ヘヘッ』
トミー『おう』
イガちゃん『よし、いよいよ魔王のいる城に突入だ。準備はいいか!』
全員『おおー!』
イガちゃん『いよいよレバ剣が手に入る時が来たのか……』
600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 21:54:30.40 ID:NvatqRAQO [45/66]
藤本宅
藤本「ふぅ……もう闇魔王の城も一人で大丈夫なくらい強くなったな。ここまで長かったぜ……」
藤本「この空間をソロで生き残る事が出来るのは、世界に五人といまい。それくらいの難関エリアなんだからな」
付き人「……」
プルルルル プルルルル
藤本「ん、こんな時に電話か……もしもし?」
アイツ「お、おう藤本か。今から他校の番長をシメに行くんだがよ……俺たち、何人で行った方がいいかな?」
藤本「あ? どういう意味だよ」
アイツ「いや、その番長がメチャクチャ強くてよ……タイマンだと藤本以外だと勝てる奴がいねえんだよ!」
藤本「……俺は今日は行けないと言っていたはずだが」
602 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:00:37.38 ID:NvatqRAQO [46/66]
アイツ「そ、それはわかってるさ。でもよ、タイマンで負けるくらいならいっそ……卑怯でもいいから多人数でボコしちまってもいいかなって思って……」
藤本「それを俺に相談しているわけか」
アイツ「あ、ああ……ちょっと悩んじまってよ」
藤本「……」
藤本「あのなあ、喧嘩にルールなんてねえんだよ……卑怯? 最高の褒め言葉じゃねえか」
アイツ「ふ、藤本……」
藤本「マニエル高校の意地をみせてやれや」
アイツ「わ、わかったぜ! ありがとよ、藤本!」
ガチャッ
プー プー
藤本「……さて、と。続けて城に潜るか」
603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:05:05.99 ID:NvatqRAQO [47/66]
会議室
ユリー『ここが魔王の城か』
タミー『なんか不気味な雰囲気だぜ……』
トミー『ん、ま、待て。既に先客がいるみたいだぞ』
イガちゃん『む、あれは……』
イレブンPM『とう! やあ!』
イガちゃん『イレブン野郎!』
能智『ひ、ひいっ!』
タミー『ま、また斬られちまうよ!』
トミー『待て。俺たちは全員レベルMAXだ。昔とは違う……』
イガちゃん『うむ。この体力とメンバーならそう簡単には死ぬまい……』
イガちゃん『……む』
全員『ん……』
イガちゃん『よし、お前らリーダー命令だ』
604 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:09:49.11 ID:NvatqRAQO [48/66]
藤本宅
藤本「よし、そろそろ魔力も無くなるし帰るか」
ゾロゾロ
藤本「む……なんだこの集団は」
イガちゃん『……』
藤本「待てよ、こいつは……もしかして一ヶ月前につい殺してしまった態度の悪かった奴か?」
イガちゃん『ここで会ったが百年目だ』
藤本「レベルMAXか……昔の奴とは違うみてえだな」
イレブンPM『何かご用ですか?』
イガちゃん『……』
ザシュ
藤本「うお! いきなり攻撃してきやがったな。全体魔法で反撃だ!」
能智『……』
藤本「チッ、僧侶のバリアか。これじゃあ魔法はあまり効かないぞ……」
606 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:19:56.88 ID:NvatqRAQO [49/66]
藤本「……っていうか、いくら俺でもレベルMAXが五人相手で勝てるわけがねえだろ!」
イレブンPM『ぎゃああああ』
イガちゃん『見たか、これが俺たち四天王の絆の力だ』
藤本「何が絆だ……ただのタコ殴りじゃねえか……」
藤本「しかも四天王なのに五人いるし……」
607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:22:05.91 ID:NvatqRAQO [50/66]
藤本「や、やられた、俺の最強キャラが……くっ、卑怯者め!」
イガちゃん『フフッ、悔しいか。画面の向こうで卑怯などと言ってみろ……それは最高の褒め言葉なのだからな』
藤本「……クソがぁああ!」
プルルルル プルルルル
藤本「誰だこんな時に!」
決闘場所
アイツ「あ、見てくれよ藤本! 五対一だけどよ、俺たちの手で番長をぶちのめしたぜ、ヘヘッ!」
アイツ「最初は罪悪感あったが喧嘩だからよ、勝った方が偉いんだよな」
アイツ「番長の野郎、倒れてから卑怯なんて叫んでいたけどよ……全く最高の褒め言葉だぜ!」
藤本「多人数で一人を襲うなんて卑怯なマネすんじゃねえ!」ガスッ
生徒「いや、藤本が言った事だろ……」
生徒「相変わらずぶれるよなあ……」
イレブンPMのレベルが5、下がった。
608 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:28:09.53 ID:NvatqRAQO [51/66]
藤本宅
藤本「……よし、やっとレベルがMAXに戻ったか」
藤本「今日は闇魔王の城にも奴らはいないみたいだし、落ち着いて狩りができるな」
付き人「……」
藤本「……しかし、これだけ城に潜っても未だに巡り会えない最高のレアアイテム」
藤本「一体どんなアイテムなんだろうな……」
プルルルル プルルルル
藤本「……また電話か」
ピッ
アイツ「あ、もしもし。藤本か、ちょっと聞いて欲しい事があるんだがよ」
藤本「やっぱりお前か……で、なんの用だ」
アイツ「いや、今から他校の奴と喧嘩するんだけどよ……でもよ、以前そいつらと戦って俺たち負けてるんだよ」
藤本「……それで?」
610 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:34:08.38 ID:NvatqRAQO [52/66]
アイツ「でよ、戦利品として俺たちの財布やボンタンを全部持っていかれたんだ」
藤本「ああ、そんな事もあったな……」
アイツ「だからよ、今日買ったら俺たちが奴らの持ち物を全部ひっぺがしてやろうと思ってるんだけどよ……藤本、そういうのは嫌いかなと思って……つい相談をよ」
藤本「……」
藤本「いいんじゃねえの。奪っちまえよ」
アイツ「ふ、藤本……」
藤本「喧嘩に負けた相手はは根こそぎ全てを奪われて当然だ。身ぐるみはもちろん、誇りもな……」
アイツ「誇り……」
藤本「ああ、マニエル高の誇りをかけて戦ってこいや」
アイツ「あ、ありがとう藤本! よーし、やる気が出てきたぜ!」
ガチャッ
藤本「……」
612 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:40:57.61 ID:NvatqRAQO [53/66]
藤本「……ん」
イガちゃん『何かアイテムを拾ったぞ』
タミー『なんかキラキラした剣だな』
トミー『リーダー運がいいなあ』
藤本「ん……ま、待てよ! あの剣は……」
イレブンPM『あの、すいません』
イガちゃん『む、イレブン。また貴様か、さてはこの剣を横取りに来たのか』
スワッシュ!
藤本「ま、間違いない……その効果音と画面効果は……」
イレブンPM『……いえ、今日は対戦をしに来たわけではありません。あの、その剣の事なんですが……』
イガちゃん『む、この剣がどうかしたのだ?』
スワッシュ!
イレブンPM『……それこそ幻のレアアイテム。この世界に数本しかない最強の剣ですよ』
ユリー『えっ』
能智『この剣が……』
613 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:45:18.21 ID:NvatqRAQO [54/66]
イガちゃん『これが……俺の探していた最強の剣』
イレブンPM『それを一体どこで?』
タミー『……地面を掘るコマンドをしたら、偶然見つけたんだ』
藤本「埋まっていたのか……チッ、ボスがドロップする物とばかり思ってたぜ」
イガちゃん『……フフッ、これが……』
藤本「こいつを斬ったのがもう数ヶ月前……まさか、先を越されてゲーム最高のレアアイテムを見つけられるとはな」
イレブンPM『……負けましたよ』
イガちゃん『む? どうしたのだイレブンよ、いきなり』
615 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:52:06.50 ID:NvatqRAQO [55/66]
イレブンPM『最初に会った時は、まさか貴方がここまで成長するとは思ってませんでした』
イレブンPM『事実、今の貴方の手の中で、ゲーム内で最高のレアアイテムが輝いている。すごい人だ』
イガちゃん『……』
イガちゃん『違う、俺がすごいのでは無い』
イレブンPM『?』
イガちゃん『ここまで来られたのは、俺を支えてくれた四天王の皆のお陰だ……』
イガちゃん『確かに、俺は最強の剣が欲しかっただけだ。最初は仲間に当たり散らした事もあったさ』
トミー『リーダー……』
イガちゃん『だがな、今は違う。こうして仲間と共にこの世界を歩く事ができる……それだけで俺は満足なんだ』
617 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 22:57:08.74 ID:NvatqRAQO [56/66]
タミー『リーダー……』
能智『泣かせるじゃねえか……』
イレブンPM『なるほど、貴方がその剣を入手できた理由が何となくわかりましたよ。いや……もしかしたら、剣が貴方を選んだんでしょう』
イガちゃん『イレブンよ……貴様もまた、俺の強敵(とも)だった……』
イレブンPM『……はい!』
イガちゃん『よし、お前も今日から四天王の一人にしてやる。どうだ嬉しいか!』
イレブンPM『それも楽しそうですね! ではよろしくお願いします!』
イガちゃん『うむ……』
618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:03:44.25 ID:NvatqRAQO [57/66]
トミー『なあリーダー。一回、名乗りを上げてシメにしないか?』
イガちゃん『名乗りだと?』
トミー『ああ、騎士が高らかに剣を振り上げて……って奴さ。まあ、雰囲気だがよ』
イレブンPM『いいですね。僕も協力しますよ!』
イガちゃん『……よし。では俺がずっと欲しかったこの剣を名乗りとしよう』
能智『いいアイデアだな』
イレブンPM『はい! 僭越ながら僕も叫ばせてもらいます!』
イガちゃん『では……行くぞ! 俺はこの剣に誓う!』
イガちゃん『ここにいる四天王で……この世界をより良い世界に導くと!』
イレブンPM『おう!』
イガちゃん『この……レバ剣で!』
イレブンPM『その……聖剣フェニックスで!』
全員『……え?』
619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:07:42.81 ID:NvatqRAQO [58/66]
イガちゃん『おい貴様。名前を間違えているぞ、これはレバ剣という最強の武器のはずだ?』
イレブンPM『あの……レバ剣てなんですか?』
イガちゃん『む?』
イレブンPM『このゲームで最強のレアアイテムは、聖剣フェニックスという武器になります。七色に輝くその剣が……ほら』
イガちゃん『……おい、レバ剣は一体どこにあるんだ』
イレブンPM『いえ、ですから……このゲームにレバ剣というアイテムは無いんですってば』
イガちゃん『なにぃ?』
イレブンPM『無いんですってば』
全員『……』
620 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:12:16.75 ID:NvatqRAQO [59/66]
藤本「バ、バカだこいつら。感動して名乗りをあげてしまった自分が恥ずかしい……」
イガちゃん『レバ剣以外には興味ない。こんな物はいらん』
スワッシュ!
藤本「ま、まて。そんなに密着して剣を振るな!」
タミー『おおっ、イレブンの体力が点滅している』
トミー『一撃でこんなに減るのか……すごいな』
能智『さすが最強の剣だな』
イガちゃん『こんな物いらん!』
スワッシュ
イレブンPM『ぎゃああああ』
藤本「し、死んじまった! またレベル下がってるじゃねえかチクショウ!」
622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:17:15.36 ID:NvatqRAQO [60/66]
チャリン
チャリン
チャリン
藤本「……くっ、俺の装備と金が全部ばら蒔かれちまった! まあ、ここは過疎地だ、誰かにアイテムを拾われるなんて事は……」
イガちゃん『む、金だ金だ』
タミー『おっ、この装備……俺のよりつええぜ!』
藤本「バカ野郎! それは買える物の中で一番レアな奴だ。気安く触る……」
623 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:24:54.86 ID:NvatqRAQO [61/66]
トミー『この魔法、レベルMAXだぜ!』
能智『このアクセサリーだって、付加能力がヤバいくらいだぜ!』
藤本「おい! なんで仲間の俺から出た装備をパクってるんだ! おい!」
イガちゃん『……あ、俺たちはそろそろ帰るから。さらばだ、イレブンよ』
……。
藤本「……全員ログアウトしやがった」
藤本「俺があの装備を揃えるのにどれだけ時間をかけたと思ってるんだ……あんな奴らと関わったばかりに……」
624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:26:41.13 ID:NvatqRAQO [62/66]
藤本「……丸裸だ」
藤本「これからどうするか……もう、俺には何も無い……くそっ!」
プルルルル
藤本「誰だ! こんな時に!」
決闘場所
アイツ「おう、見てくれよ藤本! 財布にボンタンや短ラン……根こそぎ奪ってやったぜ!」
藤本「……!」ブチブチブチッ
アイツ「……あ、そういやこんな剣を持ってる奴がいたんだけどよ」
スワッシュ!
藤本「無闇やたらに所持品を奪うんじゃねえ!」ドガシッ!
生徒「もう、何も信じられねえな……」
生徒「いや、剣て何だよ……」
藤本はこのネトゲを辞めました。
627 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:32:49.40 ID:NvatqRAQO [63/66]
相撲部
部長「よし、かかってこい!」
副部長「どすこい!」
ペタッ
パタン
部長「……よし、もういっちょうだ!」
副部長「どすこい!」
ペタッ
パタン
部長「……」
……。
629 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:37:30.81 ID:NvatqRAQO [64/66]
部長「よし、今日の稽古はこれまでだ」
副部長「ごっつぁんでした!」
部長「……なあ」
副部長「はい?」
部長「どうしてまたいつも通り部員が二人になっているんだろうな」
副部長「あいつら、最近相撲部に全く顔を出さないんですよね」
部長「……奴らの心が相撲から離れてしまったか」
副部長「そ、そんな悲しい事言わないで下さいよ!」
部長「だが、奴らはもうここには来ていない。それが何よりの証拠じゃないのか?」
副部長「部長……」
630 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:45:24.37 ID:NvatqRAQO [65/66]
次の日
副部長「部長はああ言ったが、俺はもう一度奴らと話し合ってみるぞ」
副部長「一度は土俵にあがった仲間だ……同じちゃんこを食った友人だ、俺の言葉が届かないとは思わん」
副部長「……ここが奴らのいる教室か。なんだか中が騒がしいな」
ワイワイ ガヤガヤ
副部長(くっ、この教室はこんなに盛り上がっていると言うのに……それに引き換え我が相撲部は……)
副部長(ええいっ、ままよ!)
ガラガラッ!
副部長「おい、神山! 林田!いるか!」
梓『私とセッションしましょう!』
副部長「……」
ピシャッ
631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/05(日) 23:54:14.57 ID:NvatqRAQO [66/66]
副部長「なんだ今のは……」
副部長「ここ、学校の中だよな。あの変な置物は……」
副部長「……」
ガラガラッ。
梓『私とセッションしましょう!』
副部長「……」
ピシャッ
副部長「奴が門番かのように立ちふさがっているため、教室に入れない……」
副部長「いや、薄そうな生地だったし、手で押し退ければ簡単に倒れるような代物なんだろうが……」
副部長「この、なんだろう。手を出せないもどかしさ……」
副部長「この、胸のドキドキは一体なんだ……?」
633 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 00:00:48.36 ID:drOZ7Km1O [1/12]
副部長「落ち着け……あれは所詮、絵とか紙とか段ボールかそんな物だ」
副部長「そうだっ! なにを勝手にときめいているんだ俺は!」
副部長「……しかし、彼女に手をあげる事はできん。それは俺の本能が否定している」
副部長「……スーハー、スーハー」
副部長「よし、優しくそっと彼女にツッパリしよう」
634 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 00:05:21.99 ID:drOZ7Km1O [2/12]
副部長「うん、それがいい。それなら彼女も怖がるまい」
副部長「……たかが絵にそんな優しさを抱くとは、俺も十分変わり者だ。神山達を笑えないな」
副部長「……よし!」
ガラガラッ!
副部長「す、すまないがここを通してもらえな……」
紬『ふふっ、お茶の時間にしましょう?』
副部長「う、うわあああぁぁぁああ!」バキッ
神山「……あ、副部長がムギちゃんの首を折ってるぞ」
林田「せっかくゴリラがまた集めてきたのによお」
ゴリラ「んゴ」
副部長「……」
ベンチ
副部長「弁償だって……」
そんなにビビることねえだろ。
635 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 00:09:58.07 ID:drOZ7Km1O [3/12]
神山「……で、僕たちに何の用ですか、副部長」
副部長「神山、お前ら最近相撲に顔を出してないようだか、何かあったのか?」
神山「ああ、今は僕たちけいおん部として活動しているんですよ」
副部長「けいおん部だと。あの紙人形もけいおん部とやらに関係があるのか?」
紬『ふふっ
お
茶
の
時
林田「可愛そうに、あんなに首が垂れ下がっちゃって」
副部長「ええい、弁償すると言っているだろうが! そもそもけいおん部とは何なんだ!」
神山「はい、それはですね……」
639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 00:17:20.37 ID:drOZ7Km1O [4/12]
副部長「……ほう、そんな漫画があるのか」
神山「ええ、大人気御礼。今や社会現象の一つと言っても過言では無いくらいです」
副部長「な、なに! おい、可愛い子が楽器を弾くだけでそんなに人気が出るのか」
神山「まあ、大まかに言えばそうでしょうね」
副部長「……」
副部長「なあ神山。もし可愛い子が相撲をやったら……相撲部の人気が出たり、もっと相撲界が盛り上がるとは思わないか?」
神山「……いえ、僕はそうは思いません。そもそも土俵は女性が立つ場所ではない、と聞きましたが」
副部長「う……まあ、女性力士も全くいないわけではないが……」
神山「でも人気のある作品が世に出るかは別でしょう。相撲人気が復活するとも限りませんし」
640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 00:22:03.43 ID:drOZ7Km1O [5/12]
副部長「……結局、相撲が人気になるのとけいおんがブームになるのは違うか」
神山「……」
副部長「そうだよな……可愛い女の子が相撲をやる理由なんてないもんな」
神山「……いえ、そうとも限りませんよ」
副部長「む?」
神山「僕にいい提案があります。後は部長さんと少し考えてみて下さい」
副部長「ん……」
相撲部
紬『ふふっ、お茶の時間にしましょう』ブラン ブラン
部長「……で、この首の折れたポップを貰って来たわけか」
副部長「はい……」
部長「不気味だ……」
副部長「今にも首が取れそうですものね」
部長「こいつを一体どうしようと言うんだ」
副部長「う~ん……」
641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 00:26:55.06 ID:drOZ7Km1O [6/12]
部長「とりあえず、首を補修しよう。ブラブラして見ていられない」
副部長「は、はい。でも、ここにはテープや板なんて何も……」
部長「……」
ガラガラッ
林田「邪魔するぜ」
副部長「ん……林田か。珍しいな」
林田「いえ、ちょっとムギちゃんについて神山から伝言を預かってな」
部長「伝言?」
神山『彼女たちが相撲をすれば、ブームは必ず来る』
林田「……とね」
副部長「彼女? この……けいおんメンバーがか?」
副部長「……」
642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 00:32:39.67 ID:drOZ7Km1O [7/12]
副部長「この首の折れたポップが……ねえ」
部長「相撲、相撲……相撲といえば……マワシか?」
副部長「マワシ? あっ、もしかしたら」シュル シュル
副部長「……ほら、マワシを首に巻いたら、首がガッチリくっつきましたよ!」
部長「ほー、やるな」
副部長「彼女たちが相撲をとったら……何となくわかる気がしますね! きっと相撲ブームが復活して相撲人口増える事間違い無しだ!」
部長「……」
部長「まあ、細かい事は聞かないけどよ」
副部長「はい?」
部長「この……首の折れたポップは一体どう活かせばいいんだ? 相撲とはあまり関係無いし」
副部長「……」
部長「彼女たちがやってるのは楽器なんだろ?」
副部長「楽器、けいおん、相撲……」
副部長「……そうだ」
653 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 04:46:07.11 ID:drOZ7Km1O [8/12]
次の日
部長「よし、今日も稽古を始めるぞ」
副部長「……」
副部長「あの、すいません。その前にちょっとお話が」
部長「ん?」
……。
部長「トントン相撲?」
副部長「ええ、あの台の上で紙の人形を使ってやる……あのトントン相撲です」
部長「それがどうかしたのか?」
副部長「この、彼女の等身大ポップを使ってそれをするんですよ!」
部長「……」
副部長「……」
654 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 04:50:25.10 ID:drOZ7Km1O [9/12]
部長「なあ、お前のその何とか相撲を人気にしたいっていう気持ちはわかる。けど……彼女たちは楽器をやりたいから楽器をやってるんだろ?」
副部長「え……」
部長「それをよ、いきなり明日から楽器をやめて相撲をやってくれなんて……いくら漫画のキャラとは言え、なんか違う気がしないか?」
副部長「部長……」
部長「お前、明日から音楽をやれって言われて、ハイわかりました、ってできるか?」
副部長「あまり興味は無いですね」
部長「だろ。俺たちは相撲しかできないんだよ……けいおんなんて、無縁の存在だったんだ」
副部長「部長……」
655 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 04:56:31.47 ID:drOZ7Km1O [10/12]
部長「……まあ、この紬ちゃんだっけ? これを返すついでに……今日は神山たちの部活具合でも見学しないか?」
副部長「あいつらのけいおん部をですか?」
部長「ああ、離れているとはいえ部員だ。近況も気になるしな」
副部長「……はい」
教室
ガラガラッ
副部長「よう、お前たち。紬ちゃんを返しにきたついでに、お前らの様子を……」
神山「どすこい。どすこい」
前田「おっ、やるなフレディ」パチン パチン
ゴリラ「ンゴ」がっぷり
子分「うおっ! 押し出し負けだ!」
部長「……」
林田「……お、部長たちじゃねえか。いやあ、なんか急に体を動かしたくなってよ。今日の部活内容は相撲の練習をしている所なんだ」
副部長「もう、けいおんも何も関係ねえじゃねえか!」
……ごもっとも。
656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/06(月) 05:08:12.53 ID:drOZ7Km1O [11/12]
のなー「ネタがない」
担当「はい」
おわり
<<北斗「貴様ら、けいおん、という漫画を知っているか」 神山「え?」3 | ホーム | 北斗「貴様ら、けいおん、という漫画を知っているか」 神山「え?」>>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |