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唯「ねえ、憂。いつもありがとうね」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:28:46.29 ID:tAp5k5GQ0 [1/80]
夜。
唯は静かに言った。
憂「え? いきなりどうしたの」
唯「何となく、言いたくなったんだ」
唯「毎日毎日、私のためにご飯作ってくれてさ」
唯「お弁当も、日常の世話も、全部やってくれる」
唯「本当に―――ありがとう」
憂「……お姉ちゃんらしくないよ。そんなこと言うなんて」
夜。
唯は静かに言った。
憂「え? いきなりどうしたの」
唯「何となく、言いたくなったんだ」
唯「毎日毎日、私のためにご飯作ってくれてさ」
唯「お弁当も、日常の世話も、全部やってくれる」
唯「本当に―――ありがとう」
憂「……お姉ちゃんらしくないよ。そんなこと言うなんて」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:29:38.20 ID:tAp5k5GQ0
憂「何かあったの?」
唯「ううん」
唯「何も無いよ」
翌日。学校。
律「おいーっす、唯! おはよー」
唯「あ、りっちゃんおはよー」
紬「あ、律ちゃんおはよう~」
律「おう、ムギ」
澪「なんだ、律。今日は遅かったな」
律「ああ、ちょっと聡と喧嘩してな」
澪「聡となんかあったのか?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:30:12.63 ID:tAp5k5GQ0
律「あいつの進路のことだよ」
澪「ああ、中三だもんな」
律「ああ」
紬「大変ね~」
唯「だ、大丈夫なの?」
律「ん? 何がだ?」
唯「聡君と仲直りできるの?」
律「さあ? いつかできるんじゃないかな?」
唯「い、いつかじゃだめだよ! 今のうちにやっといたほうがいいよ!」
律「あ、ああ。そうだな……って、唯、なんかいつもと違うな? どうした?」
唯「私はこれが普通だよー」
律「そ、そうか」
ガラッ
和「あら、みんなもう来てたの」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:31:06.78 ID:tAp5k5GQ0
律「おう! 和おはよー!」
和「ええ、おはよう」
紬「おはよ~和ちゃん」
澪「おはよう。和」
唯「…………」
和「唯?」
唯「……へっ、あ、和ちゃん!」
和「どうしたの? 元気ないみたいに見えるわよ」
律「なーんか、朝からキャラ違ったな。何かあったんじゃないのか?」
唯「ううん。ちょっと考え事してただけだよ」
和「………そう」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:32:09.04 ID:tAp5k5GQ0
昼休み
律「お、和の弁当うまそうだな。玉子焼きもーらいっ」ヒョイパク
澪「おい、律。手で食うなんてはしたないぞ」
律「いいじゃんいいじゃん」
紬「律ちゃん、私のも食べてみる~?」
律「お、いいのか!?」
紬「ええ」
律「じゃあ、お言葉に甘えて」ヒョイヒョイパクパク
唯「………………………………」ムグムグムグムグ
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:32:58.78 ID:tAp5k5GQ0
和「…………?」
和「唯、調子悪いの?」
唯「え、そんなことないよ」
和「隠さないでね」
唯「隠してなんか無いよ」
和「…………、そう」
放課後
梓「唯先輩、今日こそは練習しましょう!」
唯「そうしよっか」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:33:53.68 ID:tAp5k5GQ0
梓「ふぇ?」
唯「どうしたの? あずにゃん」
梓「い、いや、例のごとく後でいいよとか言いそうだったんで」
唯「勘違いしすぎだよ」
梓「あ、そうですよね……すいません」
律「なー? 唯変だよな」
澪「言われて見れば……でも、別に困らないからいいんじゃないか」
律「まあ、そうなんだけどさ」
紬「え、じゃあお茶は?」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:35:11.77 ID:tAp5k5GQ0
唯「今日くらいはいいよー」
唯「それより、練習を始めようよ」
唯「ね、あずにゃん」
梓「え、はい…」
梓(なんか変だな……)
律「しゃーない。はじめるぞ!」
唯「よし、準備OKだよ、りっちゃん!」
律「よし! 1,2,1,2,3,4!」
ジャーンジャジャジャ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:36:06.56 ID:tAp5k5GQ0
時間半後
律「あー、疲れた!」
紬「いつもにましてハードだったわね」
澪「まあ、こういう日もいいかもな」
唯「やりがいがあるねぇ、あずにゃん」
梓「はいです!」
律「もう6時だし、帰るとするか!」
紬「ええ、いいわね」
梓「そうしましょうか」
律「よし、部活しゅーりょー!」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:37:04.47 ID:tAp5k5GQ0
唯宅
唯「ただいまー憂」
憂「あ、お帰りおねえちゃん」トテチテタテトテ
唯「晩御飯できてる?」
憂「ごめん。私もさっき帰ったばっかなんだ」
唯「ううん。いいよ、たまには私が作るから」
憂「え、ええ!?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:38:08.07 ID:tAp5k5GQ0
唯「何驚いてるの?」
憂「お、お姉ちゃん、出来る?」
唯「女の子は、それくらい出来なきゃね」
憂「うーん、じゃあ、任せるよ」
唯「ありがとう」
憂(大丈夫かな……、心配だなあ)
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:40:10.78 ID:tAp5k5GQ0
数十分後
唯「ういー、出来たよ、豚肉の洋風うま煮」
憂「え! これ作ったの?」
唯「うん。練習したんだ」
憂「ふーん」パクッ
憂「お、美味しい!」ムグムグ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:41:50.76 ID:tAp5k5GQ0
唯「当たり前でしょ!」フンス!
唯「あ、そうだ。お風呂入れてくるね」
憂「お姉ちゃん食べないの?」
唯「お腹へって無いんだ」
憂「……そっか」
憂(どこか、調子悪いのかな)
憂「お姉ちゃん、大丈夫?」
唯「? 大丈夫、だよ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:42:52.01 ID:tAp5k5GQ0
唯、自室
唯の指が弦を弾いた。
柔らかなメロディが、虚空に消えた。
唯「ギー太……」
唯はギターに頬擦りする。
気が重い。
唯「おやすみ」
唯はギターにささやいた。
唯はそっとギターを、ケースの中に入れた。
唯「早く言わないとな………」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:43:40.04 ID:tAp5k5GQ0
翌日
唯「おはよー」ガラッ
和「あら、唯。早いわね」
唯「そう?」
和「ええ」
唯「そっか……」
和「……、唯、なんかあったの?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:44:43.23 ID:tAp5k5GQ0
唯「昨日も言ったよね、ないって」
和「嘘おっしゃい。律たちにはわからなくても、私にはわかるわよ」
唯「…………何が?」
和「唯に何かあったってことが」
唯「しつこいなぁ。ないよ」
和「…………、本当のことを言って」
唯「和ちゃんこそおかしいよ。いつもより、疑り深い」
和「私は元来、こういう性格なのよ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:46:05.74 ID:tAp5k5GQ0
唯「それこそ嘘だね」
和「…………放課後、会えるかしら」
唯「部活終わったあとなら」
和「生徒会室で待ってるわ。来て」
唯「……わかったよ、和ちゃん」
律「ういーっす」ガララッ
澪「おはよ、唯、和」
唯「うん、おはよー」
和「おはよう」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:47:23.68 ID:tAp5k5GQ0
放課後、生徒会室。
唯「こんばんわー」ガラガラ
和「唯」
唯「呼ばれたとおり、来たよ」
和「生徒会役員は早めに上がらせたわ」
唯「ふーん」
和「ここでなら、隠し事をせずに何でもいえるわよ」
和「私と唯しかいないもの」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:48:19.29 ID:tAp5k5GQ0
唯「またそれ?」
和「ええ」
唯「強情だなあ」
唯「だから、私には何も無いよ」
和「正直に言ってよ」
唯「だーかーらー 和「私たち、親友でしょ」
唯「…………、そう言えば、何かを言うほど、私の口は軽くないよ」
和「でも、親友でしょう」
唯「幼馴染ってだけだよ」フン
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:50:05.88 ID:tAp5k5GQ0
和「そうかしら」
唯「そうだよ。思い過ごしだね」
和「…………まあ、いいわ」
和はカバンから、二、三枚の写真を取出した。
和「これを見て頂戴」
唯「何こ、―――何で、この写真を」
和「唯のお父さんとお母さん。それと唯が写ってるわね」
和「ちなみに、一昨日デジカメで撮影した奴よ」
唯「…………、ストーカーみたいな真似を…………」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:51:21.25 ID:tAp5k5GQ0
和「ちなみに、これが音声」
和が手にするレコーダーから、音声が流れた。
唯父『じゃあ、憂はこちらがひきとるから』
唯母『わかったわ』
唯『や、やだよ! 憂と離れ離れになるなんて』
唯父『仕方ないだろう。合意の上だ』
唯母『我慢なさい。お姉ちゃんでしょう』
唯『卑怯だよ……、お父さんたちは、』
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:52:16.96 ID:tAp5k5GQ0
唯『私の口から、お父さんたちの離婚のこといわせるなんて』
唯『自分たちから言えばいいのに』
唯『卑怯者!』
唯父『親より、姉の口から言われたほうが、楽だろう』
唯『何だそのとってつけたような理由は!』
唯『言いたくないだけだろう! 汚れ役をしたくないだけだろ!?』
唯『―――――この、卑怯者!!』
そこまでで、和は停止のボタンを押した。
和「はい、終わり」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:53:13.28 ID:tAp5k5GQ0
唯「何で、何で何で何で!」
和「ストーキングは謝るわ」
唯「何で、こんなことを……………っ」
和「一昨日からね、挙動不審になったのは」
和「不審に思ってついていったら、この会話を聞いたのよ」
唯「…………憂には言った?」
和「言ってないわよ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:54:45.85 ID:tAp5k5GQ0
唯「…………そう」
和「言ったほうが良かった?」
唯「まさか。…………誰にも言わないでよ」
和「わかったわ」
唯「あと、絶交だね。見損なったよ、和ちゃん」
和「待ちなさい、唯」
唯「…………まだ何かあるの? 和ちゃん」
和「憂にはいつ言うの?」
唯「直前」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:55:53.64 ID:tAp5k5GQ0
和「それまでは、いつもの唯を演じてるつもり?」
唯は歯噛みする。
唯「何か?」
和「いつ、転校するの?」
和「この、高三の時期に」
和「それとも、憂ちゃんが転校するのか、あるいは住居が変わるだけか」
唯「和ちゃん、人にはね、踏み入れられたくないところがあるんだよ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:57:42.45 ID:tAp5k5GQ0
和「………そう」
唯「…………もう、話しかけてこないでね」
和「……………………」
唯「最悪。ほんとーーーーーーに、見損なったよ」
唯「ストーカーまがいのことするなんて」
和「…………ごm」
和が何か言うより早く、唯は静かに、生徒会室を出て行ってしまった。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:58:32.98 ID:tAp5k5GQ0
翌日。
唯「おっはよー!」
和「……………………」
律「おう唯! おはよう」
澪「何か元気だな」
紬「何かいいコトあったの?」
唯「何も無いよ~」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:00:07.39 ID:tAp5k5GQ0
和「……………………」
唯「あ、今日宿題忘れちゃったんだ! 見せて澪ちゃん!」
澪「ったく。しょうがないな」
放課後、軽音楽部室。
唯「あずにゃん! 今日も練習頑張ろうね!」
梓「は、はい!」
律「なーんか、唯変わったなー」
澪「高三なんだし、いろいろあるんだろ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:00:57.25 ID:tAp5k5GQ0
律「うーん、そんなもんか」
澪「そんなもんだろ」
律「何かさびしいって言うかー」
紬「…………紅茶用意したのに……」
律「ムギなんて、もうここ最近落ち込みっぱなしだし」
唯「早く! 始めようよ!」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:02:44.77 ID:tAp5k5GQ0
唯(今しかないんだから)
律「よし、じゃあやるか!」
唯「おー!」
紬「…………」ハァ
律「ほら、澪も早く!」
澪「ああ!」
澪(なんだか、すこし落ち着かないな)
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:03:53.79 ID:tAp5k5GQ0
平沢家
憂「あ、お姉ちゃんお帰り」
唯「ただいま。憂」
憂「ご飯できてるよ」
唯「ありがとう」
憂「ううん。お礼なんか要らないよ。お姉ちゃんのためにしたくてやってるんだもん」
唯「ほんと~?」
憂「ほんとだよー」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:05:11.92 ID:tAp5k5GQ0
唯「………憂はいい子だね」
憂「えへへ、そうかな」
唯「いいお嫁さんになれるよ」
憂「ありがとう。そういってもらえるとうれしいよ」
唯「うん」
憂「でも、私お嫁さんなんかより、お姉ちゃんの……」ゴニョゴニョ
唯「え? 何?」
憂「う、ううん! なんでもない!」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:06:10.70 ID:tAp5k5GQ0
唯自室
唯「…………早く、言わないとなぁ」
唯「もう時間もないし」
唯「ずっと黙ってるのも、かわいそうだし」
唯「心の準備ってのも大切だろうし」
唯「……………………はあ」
唯「お姉ちゃんになんか、生まれてきたくなかったなぁ」ハーア
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:06:57.64 ID:tAp5k5GQ0
憂「お姉ちゃん、入るよ」コンコン
唯「なーにー? 憂」
憂「お風呂沸いちゃったから、入ってね」
唯「うん」
憂「…………お姉ちゃん、泣いてるの?」
唯「え? 涙でてる?」
憂「ううん。でも、目赤いよ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:09:41.45 ID:tAp5k5GQ0
唯「うーん、寝不足かな」コシコシ
憂「あ、目、掻いちゃ駄目だよ!」
唯「ごめんごめん」
憂「もう、健康には気をつけてね」
唯「わかってるよ」
唯(本当に、いいこだなあ)
唯(こんなにいい女の子なんだから、幸せになってほしいな)
唯は目を擦った。
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:10:19.33 ID:tAp5k5GQ0
翌日、学校
紬「おはよ~、和ちゃん」
和「おはよう、紬」
紬「唯ちゃんたちは?」
和「まだ来てないみたい」
紬「ふーん」
和「…………そうだ、聞いてほしいことがあるんだけどね」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:10:54.35 ID:tAp5k5GQ0
紬「え? 私に?」
和「うん」
紬「何?」
和「あ、誰にも言わないでね」
紬「うんうん!」
和「実はね、唯、転校しちゃうかもしれないの」
紬「転校!!?」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:12:11.15 ID:tAp5k5GQ0
和「しーっ!」
紬「あ、ごめん…………」
紬(だから、あんなに張り切ってたのかしら……)
和「理由は、…………離婚、なんだけどね」
紬「…………」
和「で、そこでお願いがあるんだけど」
紬「なぁに?」
和「うん、それはね―――」
和は紬の耳元に、口を近づけた。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:12:54.01 ID:tAp5k5GQ0
同日、放課後
唯「ねえ、あずにゃん」
梓「何ですか?」
唯「憂にどこか、変わったところはなかった?」
梓「え、ないと思いますけど」
唯「そっかー」
唯(和ちゃんは憂に言ってないんだね、多分)
唯(言ってくれたほうが、楽かもしれないなぁ)
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:14:44.65 ID:tAp5k5GQ0
梓「どうかしたんですか?」
唯「ううん、なんでもないよ」
梓「…………」じーっ
唯「ないない! 何もないよ!」
梓「はあ…………」
唯(今日こそ、言おう。離婚のこと、憂に)
唯(…………憂、お姉ちゃん何も出来なくて、ごめんね)
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:15:55.10 ID:tAp5k5GQ0
平沢家
唯は、憂を自室に呼び出した。
唯「憂に言わなくちゃいけないことになります」
憂(な、何だろ!? 告白!?)
唯「私も受け入れるまで、時間がかかりました」
憂(恋に? 私への恋に!?)キャー///
唯「お父さんとお母さんが、離婚します」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:17:10.92 ID:tAp5k5GQ0
憂(………………………………へ?)
唯「私たちは、別々に暮らすことになります」
憂「な、何言ってるの?」
唯「言うことはそれだけです」
憂「ちょ、ちょっと待ってよ!」
唯「ん?」
憂「な、何で、どうして?」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:18:31.87 ID:tAp5k5GQ0
唯「どうして? 考え方を変えてみて、どうするかに」
唯「どうして離婚したかではなく、離婚したからどうするか、に」
憂「何? 誰かの台詞?」
唯「私の大好きな本の一節。テルミーって本だよ、あれは名作」
憂「そ、それを言いたいだけ、だよね? 離婚とか、嘘だよね?」
唯「………………………………」
憂「嘘だよね!?!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:19:56.87 ID:tAp5k5GQ0
唯「……………………ううん」
唯「本当だよ」
唯は憂から目をそらした。
唯「あと数日で、私たちは別れることになるので」
唯「あ、二人とも別の学校に行くことになるから。桜高とは二人ともお別れ」
唯「頑張って」
唯「私も、頑張るからさ」
唯は力なく笑った。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:20:39.77 ID:tAp5k5GQ0
憂「……………………勝手すぎる」
唯「私もそう思うよ」
憂「…………………………………………」
憂「…………いやだ」
憂「ふざけるな! いやだ! お姉ちゃんと離れるなんて!」
唯「私もだよ」
唯「とても辛い」
憂「なら、一緒にいようよ! ずっと、ずっと! お姉ちゃん! ねえ!」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:21:47.87 ID:tAp5k5GQ0
唯「…………ごめんね」
唯「私にはどうにもできないんだ」
唯「二人で暮らすにも、お金が必要だし」
憂「いやだ!! 私はお姉ちゃんといっしょにいる!! 一緒にいたい!!!」
憂「お姉ちゃん!! 一緒にいよ!?」
唯「わがままは見苦しいよ。高校生でしょう?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:24:05.60 ID:tAp5k5GQ0
憂「私は! お姉ちゃんがいなくちゃ! 生きてけないの!」
唯「……………………」
憂「お姉ちゃん! 逃げようよ!! 私はあんな親、親とも思ってないからさぁ!!!」
唯「親と思ってなくても、お金は必要なんだよ」
唯「私たちだけじゃあ、食っていけない」
唯「世の中は、そんなに優しくない
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:25:09.80 ID:tAp5k5GQ0
憂「じゃ、じゃあさ!」
憂「二人で一緒に暮らそう!! ね!! いざとなったら、体売ればいいよ!!」
憂は笑う。
唯「私はやだよ」
唯「絶対、いや」
唯「第一、そんなことでいつまでも暮らしていけないの。だから――――」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:28:03.17 ID:tAp5k5GQ0
憂「………………………………なんで?」
唯「なんでって……」
憂「やだやだやだやだやだやだ! ぜぇーーーーーーったい、嫌だああ!!!」
憂「お姉ちゃんとはなれるなんて! 死んでも嫌だあああああああああああ!!!!!!!!」
憂「体売ればいいんだよ! お金たくさんもらえるよ! 援助交際して暮らせば!!」
唯「駄目だよ、人間として」
憂「私たち処女でしょ!? 高く売れるよ!!!」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:29:13.31 ID:tAp5k5GQ0
憂「お姉ちゃん可愛いから、何十万は貰えるよ!」
憂「だから、二人で生きよ!」
唯「憂…………」
唯「わかってよ…………」
唯「それに、憂の初めては、憧れの人にささげるべきだよ」
唯「憂には、いいお嫁さんになってほしいんだよ」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:30:10.15 ID:tAp5k5GQ0
憂「ああああ!! とにかく逃げようよ! 二人で暮らそ? ね!?」
憂「離婚したからお姉ちゃんと逃げる! 愛の逃避行!」
憂「ほらお姉ちゃん、準備して! 逃げようよ! これからもけいおん、やりたいでしょ!」
唯「ううん。あきらめたんだ」
憂「あは、何言ってるの!? 私のことよりもギターに熱中してたじゃん!」
憂「大切でしょ!? 梓ちゃんとか、律先輩とか! 別れたくないでしょ!?」
憂「そうでしょ!? お姉ちゃん!」
憂「ねえ!!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:31:06.01 ID:tAp5k5GQ0
唯「…………もう、覚悟は出来てるんだ」
唯「だから…………」
憂「ふざけるなああああああ!!!!! 私はお姉ちゃんと一緒にいるんだあああああああああああ!!!!!」
憂「お姉ちゃんのお嫁さんになるの! 昔からの夢なの! お姉ちゃん!」
憂「私はお姉ちゃんのためだけに生まれたの!」
唯「憂……………………」
唯「そんなこと、言ってないで…………」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:32:25.20 ID:tAp5k5GQ0
憂「――――お姉ちゃん、私のこと嫌いなんだね!! わかったよ!!!」
唯「!」
憂「もういい! もうわかった! 私だけでも逃げる! お姉ちゃんと一緒に居れないなら! 次点で梓ちゃん!」
唯「憂、気を確かに」
憂「うるさい! 黙れ! 私を捨てたくせにいいいいいいいいいい!!!!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:33:52.56 ID:tAp5k5GQ0
唯「捨ててなんか、ない…………」
憂「裏切り者! お姉ちゃんは私を捨てたんだあああああああああああああ!!!!」
憂「お姉ちゃんなんか、ああぁあああぁああぁぁああああっっ!!!!」
憂は部屋から出て行った。そのまま、家からも出ていった。
唯「憂……………」
一人残された唯の呟きは、誰にも聞こえなかった。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:34:40.48 ID:tAp5k5GQ0
*
憂(お姉ちゃん、おかしいよ!?)
憂(もういい! 梓ちゃんのところで暮らす!)
憂(梓ちゃんの、ところで…………)
憂は気が付くと、中野家の前に来ていた。
憂「梓ちゃん…………」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:35:54.11 ID:tAp5k5GQ0
憂(梓ちゃんで、いいのかな)
憂(私、お姉ちゃん好きなのに)
憂(それに、いきなり行っても、迷惑だろうな)
憂(無一文だし、服もないし)
憂(どうしよう…………)
ふと、もう一つの行き場所が浮かんだ。
*
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:36:59.34 ID:tAp5k5GQ0
和「憂……………、なんでここに」
和の家の玄関の前には、憂がいた。
憂「よく考えたら、梓ちゃんのことあまり好きじゃなかったんです」
よくわからない理由で、憂は和宅に入り込んだ。
憂「和ちゃん、泊めてくれない?」
和「今日は両親がいないからいいけど……どうしたの?」
憂「お姉ちゃんが、離婚するとか言うんですよ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:38:03.13 ID:tAp5k5GQ0
和「あら、聞いたの」
憂「…………本当なんですか」
和「ええ」
憂「…………そっか」
憂「さっきはどうかしてたみたいです」
憂「気がついたら、家を飛び出してました」
憂「お姉ちゃんに、謝らないとなぁ」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:39:56.80 ID:tAp5k5GQ0
和「…………そう」
和「落ち着いた?」
憂「はい。……いきなりあがりこんで、ごめんなさい」
和「いいわよ、暇だったし」
憂「はい。それにしても、転校かぁ」
和「寂しくなるわ」
憂「はい」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:40:48.31 ID:tAp5k5GQ0
和「唯、軽音楽部の皆には、言ってないみたいだしね」
憂「和ちゃんにだけ言ったんですか?」
和「まあ、そういう解釈で」
和は気まずそうに頬を掻いた。
憂「意外だなぁ、まず、律先輩とかに言いそうなのに」
和「…………、梓ちゃんに、知られちゃうからでしょうね」
憂「梓ちゃんに?」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:41:55.27 ID:tAp5k5GQ0
和「ええ。梓ちゃんに知られたら、憂の耳にも届くでしょ」
憂「…………多分」
和「ええ。唯、憂には自分の口で告げたかったのよ、きっと」
憂「…………そうかも、しれませんね」
和「ええ」
憂「……お姉ちゃん、そこまで考えて……」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:43:53.44 ID:tAp5k5GQ0
和「おなかすいてるでしょ」
憂「いえ」
その時、憂の腹がぐうううと音を立てた。
和「ふふ、無理しなくていいのよ」
和「お茶漬け、食べる?」
憂「…………はい、ありがとうございます」
和「じゃあ、ちょっと待っててね」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:44:33.98 ID:tAp5k5GQ0
数分後
和「出来たわ。はい」
憂「いただきます」
和「はい、召し上がれ」
ズズズ……
憂「美味しいですね」
和「そう?」
憂「はい」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:45:53.15 ID:tAp5k5GQ0
和「一つ、聞くわよ」
憂「何ですか」
和「ねえ、いつ転校するの?」
憂「…………、五日後、らしいです」
和「転校したい?」
憂「まさか、そんなことありません!」
和「よかった」
憂「…………」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:46:54.83 ID:tAp5k5GQ0
実はね、と和は続ける。
和「紬にだけ、言ったのよ」
和「唯には言うなって言われてたんだけどね」
憂「転校のこと、ですか?」
和「ええ」
憂「…………っ」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:47:36.37 ID:tAp5k5GQ0
和「大丈夫よ、あの子、口堅いし」
憂「…………はあ」
和「紬に頼んでみたの」
憂「何を、ですか」
和「紬の家に、泊めてやってくれないかって」
憂「私たちをですか」
和「ええ。そうしたら、ずっと転校しないですむでしょう」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:48:25.01 ID:tAp5k5GQ0
憂「…………名案ですね」
和「そう? そしたらね、OKされたわ」
和「お部屋、貸してくれるそうよ」
憂「……………………」
和「どう? いまなら、断れるわ」
憂「……………………」
和「断る?」
憂「断ると、思いますか?」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:49:25.43 ID:tAp5k5GQ0
和「いいえ」
和「思いたくないわね」
憂「…………本当に、いいんでしょうか」
和「紬、いい子だから。大丈夫よ」
憂「…………かも、しれませんね」
和「ええ」
憂「ありがとう、ございます」
和「どういたしまして」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:51:05.16 ID:tAp5k5GQ0
憂「帰ったら、お姉ちゃんにあやまろうっと」
和「そんなひどいこといったの?」
憂「…………はい」
和「私も一緒に行ってあげましょうか」
憂「いいの?」
和「ええ、その時、紬のこと言えばいいしね」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:51:54.32 ID:tAp5k5GQ0
憂「…………ありがとう」
和「そんなのに、お礼言われるまでもないわね」
だって、と和は語を継ぐ。
和「私たち、親友でしょう」
憂は、和のその台詞に、はっとしたように目を見開いた。
憂「……はい、親友です、ね」
憂はお茶漬けを食べ終えた。
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:53:07.33 ID:tAp5k5GQ0
平沢家
唯「…………憂、和ちゃんまで…………」
和「久しぶりね」
唯「何しに来たの?」
和「怖い顔しなくても」
唯「私を笑いに来たの?」
憂「お姉ちゃん! そんなこと言っちゃ駄目だよ!」
和「いいのよ、別に」
和「それより、一ついい情報があるんだけどね――――」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:54:09.69 ID:tAp5k5GQ0
数日後
憂「お姉ちゃん、起きてよ!」
唯「ういー、もう少し」
憂「何言ってるの? 人様の家だよ!? 早く起きないと、白い目で見られるよ!」
憂(ああ、いつものお姉ちゃんだ)
憂(……和むなあ)
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:54:56.28 ID:tAp5k5GQ0
紬「唯ちゃーん。朝ごはん出来たわよ~」
唯「え、ムギちゃん!?」
憂「私たち、琴吹家にすんでるんだから当たり前でしょ!」
唯「そ、そうだった!」
憂「もう、朝ごはん食べに行くよ!」
唯「ういー、まってよー」
タッタッター トテチトタテトテ
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:56:11.75 ID:tAp5k5GQ0
紬「唯ちゃん、おはよ~」
唯「ムギちゃんお早うー」
憂「あ、あらためて、お、お世話になります、ムギ先輩」
紬「かしこまらなくていいのよ~」
唯「そうだよ憂! ムギちゃんは優しいんだから!」
紬「唯ちゃんったら///」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:57:37.25 ID:tAp5k5GQ0
唯「朝ごはんは何ー?」
紬「フレンチトーストよ」
紬「足りなかったら言ってね」
唯「ううん、充分だよ!」
唯「いただきまーす!」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:58:34.18 ID:tAp5k5GQ0
学校
唯「おはよ~」
律「お、ムギと一緒か! 珍しいな。おはよー」
澪「本当だ、ムギと登校してる唯なんて始めてみた気がする」
唯「へへー」
紬「みんな、おはよう~」
律「うーっす! ムギー」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:01:08.53 ID:tAp5k5GQ0
唯「ねえ、和ちゃん」
和「ん?」
唯「ありがとうね」
和「なんのことかわからないわね」
唯「またまた~、尽力してくれたの和ちゃんでしょ」
和「話しかけるなって言ったの誰だっけ?」
唯「忘れてよ~、それに、この前は和ちゃんから、話しかけてきたでしょー」
和「それこそ忘れたわ」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:02:35.65 ID:tAp5k5GQ0
唯「あ、言わなきゃいけないことがあったんだ」
和「? 何?」
唯「おはよ、和ちゃん」
和「……え」
唯「だーかーら、おはよう、和ちゃん」
和「……おはよう、唯」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:04:30.45 ID:tAp5k5GQ0
唯「私たち、親友だね! この前言ったことなんか、水に流せるくらいに!」
和「そう」
唯「あれ、嬉しくないの?」
和「嬉しいけど、ここ教室よ。回りに大聞こえで、恥ずかしいわ」
唯「あ」
律「唯、和と何があったんだ? いや、ナニがあったのか?」
澪「エロ親父か、律」
律「な、なんだよ! 私の父さん知ってるのか!」
澪「ピンクのパンツはいてる父さんか」
律「忘れろ!」
唯「…………気にすること無いじゃん」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:06:13.66 ID:tAp5k5GQ0
和「…………そうね」
唯「まったく。親友じゃないって言われるかと思ったよー」
和「そんなこというわけないじゃない。あ、それと」
唯「? 何?」
和「これからもよろしく、唯」
そういいながら、和は手を差し出してくる。
唯「……え?」
和「親友なんでしょ。これからも」
唯「―――うん!」
唯は満面の笑みを浮かべた。そして、何の躊躇もなく、その手を握り返した。
終わり
憂「何かあったの?」
唯「ううん」
唯「何も無いよ」
翌日。学校。
律「おいーっす、唯! おはよー」
唯「あ、りっちゃんおはよー」
紬「あ、律ちゃんおはよう~」
律「おう、ムギ」
澪「なんだ、律。今日は遅かったな」
律「ああ、ちょっと聡と喧嘩してな」
澪「聡となんかあったのか?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:30:12.63 ID:tAp5k5GQ0
律「あいつの進路のことだよ」
澪「ああ、中三だもんな」
律「ああ」
紬「大変ね~」
唯「だ、大丈夫なの?」
律「ん? 何がだ?」
唯「聡君と仲直りできるの?」
律「さあ? いつかできるんじゃないかな?」
唯「い、いつかじゃだめだよ! 今のうちにやっといたほうがいいよ!」
律「あ、ああ。そうだな……って、唯、なんかいつもと違うな? どうした?」
唯「私はこれが普通だよー」
律「そ、そうか」
ガラッ
和「あら、みんなもう来てたの」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:31:06.78 ID:tAp5k5GQ0
律「おう! 和おはよー!」
和「ええ、おはよう」
紬「おはよ~和ちゃん」
澪「おはよう。和」
唯「…………」
和「唯?」
唯「……へっ、あ、和ちゃん!」
和「どうしたの? 元気ないみたいに見えるわよ」
律「なーんか、朝からキャラ違ったな。何かあったんじゃないのか?」
唯「ううん。ちょっと考え事してただけだよ」
和「………そう」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:32:09.04 ID:tAp5k5GQ0
昼休み
律「お、和の弁当うまそうだな。玉子焼きもーらいっ」ヒョイパク
澪「おい、律。手で食うなんてはしたないぞ」
律「いいじゃんいいじゃん」
紬「律ちゃん、私のも食べてみる~?」
律「お、いいのか!?」
紬「ええ」
律「じゃあ、お言葉に甘えて」ヒョイヒョイパクパク
唯「………………………………」ムグムグムグムグ
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:32:58.78 ID:tAp5k5GQ0
和「…………?」
和「唯、調子悪いの?」
唯「え、そんなことないよ」
和「隠さないでね」
唯「隠してなんか無いよ」
和「…………、そう」
放課後
梓「唯先輩、今日こそは練習しましょう!」
唯「そうしよっか」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:33:53.68 ID:tAp5k5GQ0
梓「ふぇ?」
唯「どうしたの? あずにゃん」
梓「い、いや、例のごとく後でいいよとか言いそうだったんで」
唯「勘違いしすぎだよ」
梓「あ、そうですよね……すいません」
律「なー? 唯変だよな」
澪「言われて見れば……でも、別に困らないからいいんじゃないか」
律「まあ、そうなんだけどさ」
紬「え、じゃあお茶は?」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:35:11.77 ID:tAp5k5GQ0
唯「今日くらいはいいよー」
唯「それより、練習を始めようよ」
唯「ね、あずにゃん」
梓「え、はい…」
梓(なんか変だな……)
律「しゃーない。はじめるぞ!」
唯「よし、準備OKだよ、りっちゃん!」
律「よし! 1,2,1,2,3,4!」
ジャーンジャジャジャ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:36:06.56 ID:tAp5k5GQ0
時間半後
律「あー、疲れた!」
紬「いつもにましてハードだったわね」
澪「まあ、こういう日もいいかもな」
唯「やりがいがあるねぇ、あずにゃん」
梓「はいです!」
律「もう6時だし、帰るとするか!」
紬「ええ、いいわね」
梓「そうしましょうか」
律「よし、部活しゅーりょー!」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:37:04.47 ID:tAp5k5GQ0
唯宅
唯「ただいまー憂」
憂「あ、お帰りおねえちゃん」トテチテタテトテ
唯「晩御飯できてる?」
憂「ごめん。私もさっき帰ったばっかなんだ」
唯「ううん。いいよ、たまには私が作るから」
憂「え、ええ!?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:38:08.07 ID:tAp5k5GQ0
唯「何驚いてるの?」
憂「お、お姉ちゃん、出来る?」
唯「女の子は、それくらい出来なきゃね」
憂「うーん、じゃあ、任せるよ」
唯「ありがとう」
憂(大丈夫かな……、心配だなあ)
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:40:10.78 ID:tAp5k5GQ0
数十分後
唯「ういー、出来たよ、豚肉の洋風うま煮」
憂「え! これ作ったの?」
唯「うん。練習したんだ」
憂「ふーん」パクッ
憂「お、美味しい!」ムグムグ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:41:50.76 ID:tAp5k5GQ0
唯「当たり前でしょ!」フンス!
唯「あ、そうだ。お風呂入れてくるね」
憂「お姉ちゃん食べないの?」
唯「お腹へって無いんだ」
憂「……そっか」
憂(どこか、調子悪いのかな)
憂「お姉ちゃん、大丈夫?」
唯「? 大丈夫、だよ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:42:52.01 ID:tAp5k5GQ0
唯、自室
唯の指が弦を弾いた。
柔らかなメロディが、虚空に消えた。
唯「ギー太……」
唯はギターに頬擦りする。
気が重い。
唯「おやすみ」
唯はギターにささやいた。
唯はそっとギターを、ケースの中に入れた。
唯「早く言わないとな………」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:43:40.04 ID:tAp5k5GQ0
翌日
唯「おはよー」ガラッ
和「あら、唯。早いわね」
唯「そう?」
和「ええ」
唯「そっか……」
和「……、唯、なんかあったの?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:44:43.23 ID:tAp5k5GQ0
唯「昨日も言ったよね、ないって」
和「嘘おっしゃい。律たちにはわからなくても、私にはわかるわよ」
唯「…………何が?」
和「唯に何かあったってことが」
唯「しつこいなぁ。ないよ」
和「…………、本当のことを言って」
唯「和ちゃんこそおかしいよ。いつもより、疑り深い」
和「私は元来、こういう性格なのよ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:46:05.74 ID:tAp5k5GQ0
唯「それこそ嘘だね」
和「…………放課後、会えるかしら」
唯「部活終わったあとなら」
和「生徒会室で待ってるわ。来て」
唯「……わかったよ、和ちゃん」
律「ういーっす」ガララッ
澪「おはよ、唯、和」
唯「うん、おはよー」
和「おはよう」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:47:23.68 ID:tAp5k5GQ0
放課後、生徒会室。
唯「こんばんわー」ガラガラ
和「唯」
唯「呼ばれたとおり、来たよ」
和「生徒会役員は早めに上がらせたわ」
唯「ふーん」
和「ここでなら、隠し事をせずに何でもいえるわよ」
和「私と唯しかいないもの」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:48:19.29 ID:tAp5k5GQ0
唯「またそれ?」
和「ええ」
唯「強情だなあ」
唯「だから、私には何も無いよ」
和「正直に言ってよ」
唯「だーかーらー 和「私たち、親友でしょ」
唯「…………、そう言えば、何かを言うほど、私の口は軽くないよ」
和「でも、親友でしょう」
唯「幼馴染ってだけだよ」フン
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:50:05.88 ID:tAp5k5GQ0
和「そうかしら」
唯「そうだよ。思い過ごしだね」
和「…………まあ、いいわ」
和はカバンから、二、三枚の写真を取出した。
和「これを見て頂戴」
唯「何こ、―――何で、この写真を」
和「唯のお父さんとお母さん。それと唯が写ってるわね」
和「ちなみに、一昨日デジカメで撮影した奴よ」
唯「…………、ストーカーみたいな真似を…………」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:51:21.25 ID:tAp5k5GQ0
和「ちなみに、これが音声」
和が手にするレコーダーから、音声が流れた。
唯父『じゃあ、憂はこちらがひきとるから』
唯母『わかったわ』
唯『や、やだよ! 憂と離れ離れになるなんて』
唯父『仕方ないだろう。合意の上だ』
唯母『我慢なさい。お姉ちゃんでしょう』
唯『卑怯だよ……、お父さんたちは、』
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:52:16.96 ID:tAp5k5GQ0
唯『私の口から、お父さんたちの離婚のこといわせるなんて』
唯『自分たちから言えばいいのに』
唯『卑怯者!』
唯父『親より、姉の口から言われたほうが、楽だろう』
唯『何だそのとってつけたような理由は!』
唯『言いたくないだけだろう! 汚れ役をしたくないだけだろ!?』
唯『―――――この、卑怯者!!』
そこまでで、和は停止のボタンを押した。
和「はい、終わり」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:53:13.28 ID:tAp5k5GQ0
唯「何で、何で何で何で!」
和「ストーキングは謝るわ」
唯「何で、こんなことを……………っ」
和「一昨日からね、挙動不審になったのは」
和「不審に思ってついていったら、この会話を聞いたのよ」
唯「…………憂には言った?」
和「言ってないわよ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:54:45.85 ID:tAp5k5GQ0
唯「…………そう」
和「言ったほうが良かった?」
唯「まさか。…………誰にも言わないでよ」
和「わかったわ」
唯「あと、絶交だね。見損なったよ、和ちゃん」
和「待ちなさい、唯」
唯「…………まだ何かあるの? 和ちゃん」
和「憂にはいつ言うの?」
唯「直前」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:55:53.64 ID:tAp5k5GQ0
和「それまでは、いつもの唯を演じてるつもり?」
唯は歯噛みする。
唯「何か?」
和「いつ、転校するの?」
和「この、高三の時期に」
和「それとも、憂ちゃんが転校するのか、あるいは住居が変わるだけか」
唯「和ちゃん、人にはね、踏み入れられたくないところがあるんだよ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:57:42.45 ID:tAp5k5GQ0
和「………そう」
唯「…………もう、話しかけてこないでね」
和「……………………」
唯「最悪。ほんとーーーーーーに、見損なったよ」
唯「ストーカーまがいのことするなんて」
和「…………ごm」
和が何か言うより早く、唯は静かに、生徒会室を出て行ってしまった。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 20:58:32.98 ID:tAp5k5GQ0
翌日。
唯「おっはよー!」
和「……………………」
律「おう唯! おはよう」
澪「何か元気だな」
紬「何かいいコトあったの?」
唯「何も無いよ~」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:00:07.39 ID:tAp5k5GQ0
和「……………………」
唯「あ、今日宿題忘れちゃったんだ! 見せて澪ちゃん!」
澪「ったく。しょうがないな」
放課後、軽音楽部室。
唯「あずにゃん! 今日も練習頑張ろうね!」
梓「は、はい!」
律「なーんか、唯変わったなー」
澪「高三なんだし、いろいろあるんだろ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:00:57.25 ID:tAp5k5GQ0
律「うーん、そんなもんか」
澪「そんなもんだろ」
律「何かさびしいって言うかー」
紬「…………紅茶用意したのに……」
律「ムギなんて、もうここ最近落ち込みっぱなしだし」
唯「早く! 始めようよ!」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:02:44.77 ID:tAp5k5GQ0
唯(今しかないんだから)
律「よし、じゃあやるか!」
唯「おー!」
紬「…………」ハァ
律「ほら、澪も早く!」
澪「ああ!」
澪(なんだか、すこし落ち着かないな)
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:03:53.79 ID:tAp5k5GQ0
平沢家
憂「あ、お姉ちゃんお帰り」
唯「ただいま。憂」
憂「ご飯できてるよ」
唯「ありがとう」
憂「ううん。お礼なんか要らないよ。お姉ちゃんのためにしたくてやってるんだもん」
唯「ほんと~?」
憂「ほんとだよー」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:05:11.92 ID:tAp5k5GQ0
唯「………憂はいい子だね」
憂「えへへ、そうかな」
唯「いいお嫁さんになれるよ」
憂「ありがとう。そういってもらえるとうれしいよ」
唯「うん」
憂「でも、私お嫁さんなんかより、お姉ちゃんの……」ゴニョゴニョ
唯「え? 何?」
憂「う、ううん! なんでもない!」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:06:10.70 ID:tAp5k5GQ0
唯自室
唯「…………早く、言わないとなぁ」
唯「もう時間もないし」
唯「ずっと黙ってるのも、かわいそうだし」
唯「心の準備ってのも大切だろうし」
唯「……………………はあ」
唯「お姉ちゃんになんか、生まれてきたくなかったなぁ」ハーア
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:06:57.64 ID:tAp5k5GQ0
憂「お姉ちゃん、入るよ」コンコン
唯「なーにー? 憂」
憂「お風呂沸いちゃったから、入ってね」
唯「うん」
憂「…………お姉ちゃん、泣いてるの?」
唯「え? 涙でてる?」
憂「ううん。でも、目赤いよ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:09:41.45 ID:tAp5k5GQ0
唯「うーん、寝不足かな」コシコシ
憂「あ、目、掻いちゃ駄目だよ!」
唯「ごめんごめん」
憂「もう、健康には気をつけてね」
唯「わかってるよ」
唯(本当に、いいこだなあ)
唯(こんなにいい女の子なんだから、幸せになってほしいな)
唯は目を擦った。
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:10:19.33 ID:tAp5k5GQ0
翌日、学校
紬「おはよ~、和ちゃん」
和「おはよう、紬」
紬「唯ちゃんたちは?」
和「まだ来てないみたい」
紬「ふーん」
和「…………そうだ、聞いてほしいことがあるんだけどね」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:10:54.35 ID:tAp5k5GQ0
紬「え? 私に?」
和「うん」
紬「何?」
和「あ、誰にも言わないでね」
紬「うんうん!」
和「実はね、唯、転校しちゃうかもしれないの」
紬「転校!!?」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:12:11.15 ID:tAp5k5GQ0
和「しーっ!」
紬「あ、ごめん…………」
紬(だから、あんなに張り切ってたのかしら……)
和「理由は、…………離婚、なんだけどね」
紬「…………」
和「で、そこでお願いがあるんだけど」
紬「なぁに?」
和「うん、それはね―――」
和は紬の耳元に、口を近づけた。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:12:54.01 ID:tAp5k5GQ0
同日、放課後
唯「ねえ、あずにゃん」
梓「何ですか?」
唯「憂にどこか、変わったところはなかった?」
梓「え、ないと思いますけど」
唯「そっかー」
唯(和ちゃんは憂に言ってないんだね、多分)
唯(言ってくれたほうが、楽かもしれないなぁ)
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:14:44.65 ID:tAp5k5GQ0
梓「どうかしたんですか?」
唯「ううん、なんでもないよ」
梓「…………」じーっ
唯「ないない! 何もないよ!」
梓「はあ…………」
唯(今日こそ、言おう。離婚のこと、憂に)
唯(…………憂、お姉ちゃん何も出来なくて、ごめんね)
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:15:55.10 ID:tAp5k5GQ0
平沢家
唯は、憂を自室に呼び出した。
唯「憂に言わなくちゃいけないことになります」
憂(な、何だろ!? 告白!?)
唯「私も受け入れるまで、時間がかかりました」
憂(恋に? 私への恋に!?)キャー///
唯「お父さんとお母さんが、離婚します」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:17:10.92 ID:tAp5k5GQ0
憂(………………………………へ?)
唯「私たちは、別々に暮らすことになります」
憂「な、何言ってるの?」
唯「言うことはそれだけです」
憂「ちょ、ちょっと待ってよ!」
唯「ん?」
憂「な、何で、どうして?」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:18:31.87 ID:tAp5k5GQ0
唯「どうして? 考え方を変えてみて、どうするかに」
唯「どうして離婚したかではなく、離婚したからどうするか、に」
憂「何? 誰かの台詞?」
唯「私の大好きな本の一節。テルミーって本だよ、あれは名作」
憂「そ、それを言いたいだけ、だよね? 離婚とか、嘘だよね?」
唯「………………………………」
憂「嘘だよね!?!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:19:56.87 ID:tAp5k5GQ0
唯「……………………ううん」
唯「本当だよ」
唯は憂から目をそらした。
唯「あと数日で、私たちは別れることになるので」
唯「あ、二人とも別の学校に行くことになるから。桜高とは二人ともお別れ」
唯「頑張って」
唯「私も、頑張るからさ」
唯は力なく笑った。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:20:39.77 ID:tAp5k5GQ0
憂「……………………勝手すぎる」
唯「私もそう思うよ」
憂「…………………………………………」
憂「…………いやだ」
憂「ふざけるな! いやだ! お姉ちゃんと離れるなんて!」
唯「私もだよ」
唯「とても辛い」
憂「なら、一緒にいようよ! ずっと、ずっと! お姉ちゃん! ねえ!」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:21:47.87 ID:tAp5k5GQ0
唯「…………ごめんね」
唯「私にはどうにもできないんだ」
唯「二人で暮らすにも、お金が必要だし」
憂「いやだ!! 私はお姉ちゃんといっしょにいる!! 一緒にいたい!!!」
憂「お姉ちゃん!! 一緒にいよ!?」
唯「わがままは見苦しいよ。高校生でしょう?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:24:05.60 ID:tAp5k5GQ0
憂「私は! お姉ちゃんがいなくちゃ! 生きてけないの!」
唯「……………………」
憂「お姉ちゃん! 逃げようよ!! 私はあんな親、親とも思ってないからさぁ!!!」
唯「親と思ってなくても、お金は必要なんだよ」
唯「私たちだけじゃあ、食っていけない」
唯「世の中は、そんなに優しくない
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:25:09.80 ID:tAp5k5GQ0
憂「じゃ、じゃあさ!」
憂「二人で一緒に暮らそう!! ね!! いざとなったら、体売ればいいよ!!」
憂は笑う。
唯「私はやだよ」
唯「絶対、いや」
唯「第一、そんなことでいつまでも暮らしていけないの。だから――――」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:28:03.17 ID:tAp5k5GQ0
憂「………………………………なんで?」
唯「なんでって……」
憂「やだやだやだやだやだやだ! ぜぇーーーーーーったい、嫌だああ!!!」
憂「お姉ちゃんとはなれるなんて! 死んでも嫌だあああああああああああ!!!!!!!!」
憂「体売ればいいんだよ! お金たくさんもらえるよ! 援助交際して暮らせば!!」
唯「駄目だよ、人間として」
憂「私たち処女でしょ!? 高く売れるよ!!!」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:29:13.31 ID:tAp5k5GQ0
憂「お姉ちゃん可愛いから、何十万は貰えるよ!」
憂「だから、二人で生きよ!」
唯「憂…………」
唯「わかってよ…………」
唯「それに、憂の初めては、憧れの人にささげるべきだよ」
唯「憂には、いいお嫁さんになってほしいんだよ」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:30:10.15 ID:tAp5k5GQ0
憂「ああああ!! とにかく逃げようよ! 二人で暮らそ? ね!?」
憂「離婚したからお姉ちゃんと逃げる! 愛の逃避行!」
憂「ほらお姉ちゃん、準備して! 逃げようよ! これからもけいおん、やりたいでしょ!」
唯「ううん。あきらめたんだ」
憂「あは、何言ってるの!? 私のことよりもギターに熱中してたじゃん!」
憂「大切でしょ!? 梓ちゃんとか、律先輩とか! 別れたくないでしょ!?」
憂「そうでしょ!? お姉ちゃん!」
憂「ねえ!!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:31:06.01 ID:tAp5k5GQ0
唯「…………もう、覚悟は出来てるんだ」
唯「だから…………」
憂「ふざけるなああああああ!!!!! 私はお姉ちゃんと一緒にいるんだあああああああああああ!!!!!」
憂「お姉ちゃんのお嫁さんになるの! 昔からの夢なの! お姉ちゃん!」
憂「私はお姉ちゃんのためだけに生まれたの!」
唯「憂……………………」
唯「そんなこと、言ってないで…………」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:32:25.20 ID:tAp5k5GQ0
憂「――――お姉ちゃん、私のこと嫌いなんだね!! わかったよ!!!」
唯「!」
憂「もういい! もうわかった! 私だけでも逃げる! お姉ちゃんと一緒に居れないなら! 次点で梓ちゃん!」
唯「憂、気を確かに」
憂「うるさい! 黙れ! 私を捨てたくせにいいいいいいいいいい!!!!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:33:52.56 ID:tAp5k5GQ0
唯「捨ててなんか、ない…………」
憂「裏切り者! お姉ちゃんは私を捨てたんだあああああああああああああ!!!!」
憂「お姉ちゃんなんか、ああぁあああぁああぁぁああああっっ!!!!」
憂は部屋から出て行った。そのまま、家からも出ていった。
唯「憂……………」
一人残された唯の呟きは、誰にも聞こえなかった。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:34:40.48 ID:tAp5k5GQ0
*
憂(お姉ちゃん、おかしいよ!?)
憂(もういい! 梓ちゃんのところで暮らす!)
憂(梓ちゃんの、ところで…………)
憂は気が付くと、中野家の前に来ていた。
憂「梓ちゃん…………」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:35:54.11 ID:tAp5k5GQ0
憂(梓ちゃんで、いいのかな)
憂(私、お姉ちゃん好きなのに)
憂(それに、いきなり行っても、迷惑だろうな)
憂(無一文だし、服もないし)
憂(どうしよう…………)
ふと、もう一つの行き場所が浮かんだ。
*
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:36:59.34 ID:tAp5k5GQ0
和「憂……………、なんでここに」
和の家の玄関の前には、憂がいた。
憂「よく考えたら、梓ちゃんのことあまり好きじゃなかったんです」
よくわからない理由で、憂は和宅に入り込んだ。
憂「和ちゃん、泊めてくれない?」
和「今日は両親がいないからいいけど……どうしたの?」
憂「お姉ちゃんが、離婚するとか言うんですよ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:38:03.13 ID:tAp5k5GQ0
和「あら、聞いたの」
憂「…………本当なんですか」
和「ええ」
憂「…………そっか」
憂「さっきはどうかしてたみたいです」
憂「気がついたら、家を飛び出してました」
憂「お姉ちゃんに、謝らないとなぁ」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:39:56.80 ID:tAp5k5GQ0
和「…………そう」
和「落ち着いた?」
憂「はい。……いきなりあがりこんで、ごめんなさい」
和「いいわよ、暇だったし」
憂「はい。それにしても、転校かぁ」
和「寂しくなるわ」
憂「はい」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:40:48.31 ID:tAp5k5GQ0
和「唯、軽音楽部の皆には、言ってないみたいだしね」
憂「和ちゃんにだけ言ったんですか?」
和「まあ、そういう解釈で」
和は気まずそうに頬を掻いた。
憂「意外だなぁ、まず、律先輩とかに言いそうなのに」
和「…………、梓ちゃんに、知られちゃうからでしょうね」
憂「梓ちゃんに?」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:41:55.27 ID:tAp5k5GQ0
和「ええ。梓ちゃんに知られたら、憂の耳にも届くでしょ」
憂「…………多分」
和「ええ。唯、憂には自分の口で告げたかったのよ、きっと」
憂「…………そうかも、しれませんね」
和「ええ」
憂「……お姉ちゃん、そこまで考えて……」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:43:53.44 ID:tAp5k5GQ0
和「おなかすいてるでしょ」
憂「いえ」
その時、憂の腹がぐうううと音を立てた。
和「ふふ、無理しなくていいのよ」
和「お茶漬け、食べる?」
憂「…………はい、ありがとうございます」
和「じゃあ、ちょっと待っててね」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:44:33.98 ID:tAp5k5GQ0
数分後
和「出来たわ。はい」
憂「いただきます」
和「はい、召し上がれ」
ズズズ……
憂「美味しいですね」
和「そう?」
憂「はい」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:45:53.15 ID:tAp5k5GQ0
和「一つ、聞くわよ」
憂「何ですか」
和「ねえ、いつ転校するの?」
憂「…………、五日後、らしいです」
和「転校したい?」
憂「まさか、そんなことありません!」
和「よかった」
憂「…………」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:46:54.83 ID:tAp5k5GQ0
実はね、と和は続ける。
和「紬にだけ、言ったのよ」
和「唯には言うなって言われてたんだけどね」
憂「転校のこと、ですか?」
和「ええ」
憂「…………っ」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:47:36.37 ID:tAp5k5GQ0
和「大丈夫よ、あの子、口堅いし」
憂「…………はあ」
和「紬に頼んでみたの」
憂「何を、ですか」
和「紬の家に、泊めてやってくれないかって」
憂「私たちをですか」
和「ええ。そうしたら、ずっと転校しないですむでしょう」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:48:25.01 ID:tAp5k5GQ0
憂「…………名案ですね」
和「そう? そしたらね、OKされたわ」
和「お部屋、貸してくれるそうよ」
憂「……………………」
和「どう? いまなら、断れるわ」
憂「……………………」
和「断る?」
憂「断ると、思いますか?」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:49:25.43 ID:tAp5k5GQ0
和「いいえ」
和「思いたくないわね」
憂「…………本当に、いいんでしょうか」
和「紬、いい子だから。大丈夫よ」
憂「…………かも、しれませんね」
和「ええ」
憂「ありがとう、ございます」
和「どういたしまして」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:51:05.16 ID:tAp5k5GQ0
憂「帰ったら、お姉ちゃんにあやまろうっと」
和「そんなひどいこといったの?」
憂「…………はい」
和「私も一緒に行ってあげましょうか」
憂「いいの?」
和「ええ、その時、紬のこと言えばいいしね」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:51:54.32 ID:tAp5k5GQ0
憂「…………ありがとう」
和「そんなのに、お礼言われるまでもないわね」
だって、と和は語を継ぐ。
和「私たち、親友でしょう」
憂は、和のその台詞に、はっとしたように目を見開いた。
憂「……はい、親友です、ね」
憂はお茶漬けを食べ終えた。
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:53:07.33 ID:tAp5k5GQ0
平沢家
唯「…………憂、和ちゃんまで…………」
和「久しぶりね」
唯「何しに来たの?」
和「怖い顔しなくても」
唯「私を笑いに来たの?」
憂「お姉ちゃん! そんなこと言っちゃ駄目だよ!」
和「いいのよ、別に」
和「それより、一ついい情報があるんだけどね――――」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:54:09.69 ID:tAp5k5GQ0
数日後
憂「お姉ちゃん、起きてよ!」
唯「ういー、もう少し」
憂「何言ってるの? 人様の家だよ!? 早く起きないと、白い目で見られるよ!」
憂(ああ、いつものお姉ちゃんだ)
憂(……和むなあ)
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:54:56.28 ID:tAp5k5GQ0
紬「唯ちゃーん。朝ごはん出来たわよ~」
唯「え、ムギちゃん!?」
憂「私たち、琴吹家にすんでるんだから当たり前でしょ!」
唯「そ、そうだった!」
憂「もう、朝ごはん食べに行くよ!」
唯「ういー、まってよー」
タッタッター トテチトタテトテ
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:56:11.75 ID:tAp5k5GQ0
紬「唯ちゃん、おはよ~」
唯「ムギちゃんお早うー」
憂「あ、あらためて、お、お世話になります、ムギ先輩」
紬「かしこまらなくていいのよ~」
唯「そうだよ憂! ムギちゃんは優しいんだから!」
紬「唯ちゃんったら///」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:57:37.25 ID:tAp5k5GQ0
唯「朝ごはんは何ー?」
紬「フレンチトーストよ」
紬「足りなかったら言ってね」
唯「ううん、充分だよ!」
唯「いただきまーす!」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 21:58:34.18 ID:tAp5k5GQ0
学校
唯「おはよ~」
律「お、ムギと一緒か! 珍しいな。おはよー」
澪「本当だ、ムギと登校してる唯なんて始めてみた気がする」
唯「へへー」
紬「みんな、おはよう~」
律「うーっす! ムギー」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:01:08.53 ID:tAp5k5GQ0
唯「ねえ、和ちゃん」
和「ん?」
唯「ありがとうね」
和「なんのことかわからないわね」
唯「またまた~、尽力してくれたの和ちゃんでしょ」
和「話しかけるなって言ったの誰だっけ?」
唯「忘れてよ~、それに、この前は和ちゃんから、話しかけてきたでしょー」
和「それこそ忘れたわ」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:02:35.65 ID:tAp5k5GQ0
唯「あ、言わなきゃいけないことがあったんだ」
和「? 何?」
唯「おはよ、和ちゃん」
和「……え」
唯「だーかーら、おはよう、和ちゃん」
和「……おはよう、唯」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:04:30.45 ID:tAp5k5GQ0
唯「私たち、親友だね! この前言ったことなんか、水に流せるくらいに!」
和「そう」
唯「あれ、嬉しくないの?」
和「嬉しいけど、ここ教室よ。回りに大聞こえで、恥ずかしいわ」
唯「あ」
律「唯、和と何があったんだ? いや、ナニがあったのか?」
澪「エロ親父か、律」
律「な、なんだよ! 私の父さん知ってるのか!」
澪「ピンクのパンツはいてる父さんか」
律「忘れろ!」
唯「…………気にすること無いじゃん」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 22:06:13.66 ID:tAp5k5GQ0
和「…………そうね」
唯「まったく。親友じゃないって言われるかと思ったよー」
和「そんなこというわけないじゃない。あ、それと」
唯「? 何?」
和「これからもよろしく、唯」
そういいながら、和は手を差し出してくる。
唯「……え?」
和「親友なんでしょ。これからも」
唯「―――うん!」
唯は満面の笑みを浮かべた。そして、何の躊躇もなく、その手を握り返した。
終わり
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コメント
何だか胸の中に気持ち悪いものが残るSSだったような
No title
子供作ってから離婚する人間は例外なく全てカス
No title
和がキモすぎる
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