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唯「ギー太、出番だよ!」
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 11:57:33.27 ID:g+lKe15v0
わりと最近、あるところに、平沢唯という可愛い女の子がいました。
唯は高校生で軽音部に所属していました。
夏休みのある日、寝坊をしてしまった唯は小走りで学校に向かっていました。
唯「今日はみんなで練習する日だったんだ!」
唯「ほっほっほっ」
わりと最近、あるところに、平沢唯という可愛い女の子がいました。
唯は高校生で軽音部に所属していました。
夏休みのある日、寝坊をしてしまった唯は小走りで学校に向かっていました。
唯「今日はみんなで練習する日だったんだ!」
唯「ほっほっほっ」
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:01:41.46 ID:g+lKe15v0
唯が学校に向かって走っていたその時。
スッテーン!
唯「いて……」
ボチャン!
唯「あっギー太が……」
なんということでしょう。
唯が背負っていたギターは、唯が転んだ拍子に鮮やかな弧を描いて川に落ちてしまいました。
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:04:26.53 ID:g+lKe15v0
唯「ギー太ぁ……うぅ…」
唯はショックのあまりその場に座り込んで泣いてしまいました。
するとその時。
ポワポワポワ…
女神「あなたが落としたのは、このかっこいいギターですか?それとも普通のギターですか?」
唯「!」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:06:36.32 ID:g+lKe15v0
全身から神々しい光を放った女神が、かっこいいギターと普通のギターを持ち川から現れました。
唯「私が落としたのは、その普通のギー太です…」
女神「あなたはとても素直ですね。そんなあなたには、このかっこいいギターも差し上げましょう」
唯「えっ両方くれるの!?」
女神「ええ♪」
唯「ありがとう……でも2つ持つのは重いかも…」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:11:28.67 ID:g+lKe15v0
唯が素直に答えると、女神はかっこいいギターと普通のギー太を唯に渡しました。
女神「これからも全てのものを大切にしなさい」
そう言うと、女神は消えてしまいました。
唯「ギー太が戻って来たのはよかったけど、完璧に遅刻だよね……ぐす」
唯は2つのギターを背負いつつ、小走りで学校に向かいました。
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:13:35.17 ID:g+lKe15v0
律「遅いぞー!」
梓「30分遅刻です!」
澪「何かあったのか?」
唯「ごめんね~…寝坊しちゃって」
部室に入ると唯はみんなから責められましたが、
素直に理由を話して謝るとみんなは許してくれました。
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:17:24.24 ID:g+lKe15v0
梓「ところで唯先輩、唯先輩のギー太の他にギター持ってたんですか?」
唯「ううん、実はね……」
唯は道中で起こった出来事をみんなに話しました。
律「なんだそれ……」
澪「そ、それでどんなギターなんだ?」ドキドキ
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:21:06.06 ID:g+lKe15v0
唯「私もよく見てないんだ~」
パサ
カバーをとると、外見はギー太にそっくりだけど、何故かかっこいいギターが姿を現しました。
梓「すごい…」
唯「おぉ!これはギー太2号と名付けよう!」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:26:16.51 ID:g+lKe15v0
唯「ギー太、今日はゆっくりしててね」
唯はギー太2号を使って練習を始めました。
唯「じゃーん」
梓「…」
紬「…」
なんということでしょう。
ギー太2号は聞く人をみな黙らせてしまうような、
とても魅力的な音色を奏でるのです。
唯「ふおおおおおお!!」
感動した唯は夢中で練習をし続けました。
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:31:57.95 ID:g+lKe15v0
数年後、唯は天才ギタリスト、作詞家として、
世間から脚光を浴びるミュージシャンとなっていました。
梓「唯先輩…」
そんな唯を憧れの眼差しで見つめながらも多少の嫉妬を感じていた、
かわいい女の子がいました。梓です。
梓「唯先輩に出来るなら、きっと私にだって…」
梓は昔、唯から聞いた話を思い出しました。
梓「あの川にむったんを落とせば…」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:35:22.66 ID:g+lKe15v0
梓は川に行き、自分のギターを川に放り込みました。
ボチャン!
梓「…」
川に落としたむったんは沈んでいきます。
しかし何も起きません。
梓「そんな……」
その時でした。
ポワポワポワ…
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:40:51.90 ID:g+lKe15v0
女神「あなたが落としたのは、このとてもかっこいいギターですか?
それともちょっと汚れてる普通のギターですか?」
とてもかっこいいギターを目にした梓は思わず答えました。
梓「そっちです!かっこいいむったんです!」
女神は言いました。
女神「あなたは嘘つきですね。そんなあなたに渡すものは何もありません」
梓「うそ…」
梓はわずか一瞬の功利心で大切なギターを失ってしまいました。
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:45:00.40 ID:g+lKe15v0
一方、その頃の唯は周囲から持て囃されすっかり有頂天になっていました。
憂「お姉ちゃん、今度の日曜日一緒にご飯食べにいかない?」
唯「えー!そんな暇あるなら寝てるよ~」
憂「お姉ちゃん…」
唯「そもそも お姉ちゃん とかもうやめてくれる?
仮にも憂は私のプロデューサーでもあるんだからさ」
憂「ごめんなさい…」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:48:27.34 ID:g+lKe15v0
そんな唯は、ある大切なライブの日に寝坊をしてしまいました。
唯「憂!?車は!?」
憂「ごめんなさい……ちょっと体調悪くて動けなくて……ごほごほ」
唯「全く……肝心なときに使えないんだから」
憂「代わりの人に頼んであるから」
唯「いいよもう!走って行くよ!」
憂「待ってお姉ちゃん…」
何を思ったのか、唯は会場まで走って行くことにしたのです。
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:51:55.90 ID:g+lKe15v0
唯「ほっほっほっ」
唯がギー太2号を背負って小走りで会場へ向かっていたその時でした。
スッテーン!
唯「いて……」
ボチャン!
唯「あっ2号が……」
なんということでしょう。
唯が背負っていたギターは、唯が転んだ拍子に鮮やかな弧を描いて川に落ちてしまいました。
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:55:30.82 ID:g+lKe15v0
唯「ああもう!ついてない!」
唯は再び会場へ向かって走り出しました。
唯「あっちで借りればいいや」
ポワポワポワ…
女神「あなたの落としたギターは……」
女神「…って、いないし」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:00:14.01 ID:g+lKe15v0
唯はなんとか時間内に会場入りしました。
マ「遅かったじゃないですか!唯さん」
唯「ごめんごめん、そうだ、代わりのギターある?」
マ「今日は大切なライブなのに…ご自分のはどうされたんですか!?」
唯「落としちゃったの!で、代わりは無いの!?」
マ「落としたって……」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:04:08.77 ID:g+lKe15v0
ライブが始まりました。
唯(弘法は筆を選ばずっていうし、私ならどんなギターでもへっちゃらだよね!)
唯はいつも通りの演奏をしましたが、
観客の様子はいつも通りではないのです。
「本物をだせー!」
「偽物ひっこめー!」
唯(あれ……?)
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:06:06.36 ID:g+lKe15v0
ライブは散々な結果に終わりました。
唯(こうなったのも全部憂のせい……だし、
今回は走ってきたしいつもの調子じゃなかったんだよ)
それからというもの、唯は幾度となくライブを開きましたが
回を重ねる度に観客は減っていきました。
唯(どうして……みんなどうしちゃったの─)ぐす
『prrrr』
唯(電話だ、誰からだろう)
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:09:58.92 ID:g+lKe15v0
『平沢唯さんですね、憂さんですが……』
唯は掛かってきた電話で、妹の憂の危篤を知りました。
すっかり仕事も少なくなり、暇を持て余していた唯は急いで憂の元へ向かいました。
唯「憂っ!!」
憂「唯さん……ごめんなさい」
唯「お姉ちゃんだよっ!憂っ!」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:13:10.96 ID:g+lKe15v0
憂の体は過労で限界に来ていました。
皮肉にも、唯の仕事が無くなってから堰をきったように症状は悪化していたのでした。
憂「もうだめかも…」
唯「やだぁっ!憂!1人にしないで!」
仕事が無くなり、すっかり過去の人となった唯のそばにいるのは妹の憂だけだったのです。
調子に乗った言動でもなお、周りに人がいたのは実力があったからこそ。
実力を失った唯に残ったものは、惨めで孤独な負け犬という様相の他にありませんでした。
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:17:25.46 ID:g+lKe15v0
唯は調子に乗っていた自分を省み、迷惑をかけた人へ謝罪にまわりました。
多くの場合唯は全く相手にされませんでしたが、
高校の時代の部活の友人達は快く受け入れてくれました。
そしてなによりも、唯は一生懸命憂の看病をしました。
唯「うい、早くよくなってね」
憂「ありがとう、お姉ちゃん」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:21:52.06 ID:g+lKe15v0
TV『今日のゲストは、今話題の天才ギタリスト、中野梓さんです!』
唯「あずにゃんすごいなぁ」
憂「お姉ちゃんもまだまだいけるよ!」
唯「私はもう無理だよ……」
憂「無理じゃないよお姉ちゃん」
TV『梓「良い意味でも悪い意味でも、私のお手本であった人がいます─」』
唯「…」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:33:19.29 ID:g+lKe15v0
妹の憂の看病をしながらも唯はバイトをしていました。
店長「そうじゃないって」
唯「ごめんなさいごめんなさい…」
すっかり忘れ去られているのか、唯があの有名なギタリストであったということを
知っている人はいませんでした。いや、知っていても興味が無かったのかもしれません。
唯(明日もみんな来てくれるかなぁ)
高校時代の軽音部の友人達とお茶する時間、それが唯の唯一の楽しみになっていました。
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:43:41.92 ID:g+lKe15v0
みんなでお茶をする時間は唯が提案したのです。
高校時代に戻れるような──唯はこの時間が大好きでした。
しかし、どうしても避けられない現実が唯には立ちはだかっています。
澪「唯、これからどうするんだ?」
唯「う~ん……」
唯「もう一回だけ……」
律「……いいけど、心配かけんなよ?」
紬「私がなんとかするよ?」
唯「ううん、自分でどうにかする!ありがと、りっちゃん、ムギちゃん」
唯はもう一回だけ、周りの友人達とは違う、
先の見えない道へ挑戦することにしました。
唯(待ってて、あずにゃん)
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:46:36.66 ID:g+lKe15v0
唯の看病のかいもあって、憂が快復してしばらくしたある日
唯と憂は小汚くてちんけなライブハウスにいました。
観客はかつて全盛期の頃のライブからは想像できないような少なさ。
唯「憂、ありがとう!」
憂「うんっ、お姉ちゃん頑張って!」
唯「おぉー!」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:53:52.44 ID:g+lKe15v0
見覚えのあるギターを持って、唯は舞台へ向かいます。
かつての栄光からは全く想像できないようなみすぼらしいステージ。
僅か数人の聴衆。
けれども、いつか見たような 本物 の唯がそこにはいました。
小さいのに何故か頼もしく見えるその背中にはありがとうの文字。
唯の最初の曲が、今、始まろうとしています。
おわり
唯が学校に向かって走っていたその時。
スッテーン!
唯「いて……」
ボチャン!
唯「あっギー太が……」
なんということでしょう。
唯が背負っていたギターは、唯が転んだ拍子に鮮やかな弧を描いて川に落ちてしまいました。
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:04:26.53 ID:g+lKe15v0
唯「ギー太ぁ……うぅ…」
唯はショックのあまりその場に座り込んで泣いてしまいました。
するとその時。
ポワポワポワ…
女神「あなたが落としたのは、このかっこいいギターですか?それとも普通のギターですか?」
唯「!」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:06:36.32 ID:g+lKe15v0
全身から神々しい光を放った女神が、かっこいいギターと普通のギターを持ち川から現れました。
唯「私が落としたのは、その普通のギー太です…」
女神「あなたはとても素直ですね。そんなあなたには、このかっこいいギターも差し上げましょう」
唯「えっ両方くれるの!?」
女神「ええ♪」
唯「ありがとう……でも2つ持つのは重いかも…」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:11:28.67 ID:g+lKe15v0
唯が素直に答えると、女神はかっこいいギターと普通のギー太を唯に渡しました。
女神「これからも全てのものを大切にしなさい」
そう言うと、女神は消えてしまいました。
唯「ギー太が戻って来たのはよかったけど、完璧に遅刻だよね……ぐす」
唯は2つのギターを背負いつつ、小走りで学校に向かいました。
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:13:35.17 ID:g+lKe15v0
律「遅いぞー!」
梓「30分遅刻です!」
澪「何かあったのか?」
唯「ごめんね~…寝坊しちゃって」
部室に入ると唯はみんなから責められましたが、
素直に理由を話して謝るとみんなは許してくれました。
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:17:24.24 ID:g+lKe15v0
梓「ところで唯先輩、唯先輩のギー太の他にギター持ってたんですか?」
唯「ううん、実はね……」
唯は道中で起こった出来事をみんなに話しました。
律「なんだそれ……」
澪「そ、それでどんなギターなんだ?」ドキドキ
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:21:06.06 ID:g+lKe15v0
唯「私もよく見てないんだ~」
パサ
カバーをとると、外見はギー太にそっくりだけど、何故かかっこいいギターが姿を現しました。
梓「すごい…」
唯「おぉ!これはギー太2号と名付けよう!」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:26:16.51 ID:g+lKe15v0
唯「ギー太、今日はゆっくりしててね」
唯はギー太2号を使って練習を始めました。
唯「じゃーん」
梓「…」
紬「…」
なんということでしょう。
ギー太2号は聞く人をみな黙らせてしまうような、
とても魅力的な音色を奏でるのです。
唯「ふおおおおおお!!」
感動した唯は夢中で練習をし続けました。
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:31:57.95 ID:g+lKe15v0
数年後、唯は天才ギタリスト、作詞家として、
世間から脚光を浴びるミュージシャンとなっていました。
梓「唯先輩…」
そんな唯を憧れの眼差しで見つめながらも多少の嫉妬を感じていた、
かわいい女の子がいました。梓です。
梓「唯先輩に出来るなら、きっと私にだって…」
梓は昔、唯から聞いた話を思い出しました。
梓「あの川にむったんを落とせば…」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:35:22.66 ID:g+lKe15v0
梓は川に行き、自分のギターを川に放り込みました。
ボチャン!
梓「…」
川に落としたむったんは沈んでいきます。
しかし何も起きません。
梓「そんな……」
その時でした。
ポワポワポワ…
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:40:51.90 ID:g+lKe15v0
女神「あなたが落としたのは、このとてもかっこいいギターですか?
それともちょっと汚れてる普通のギターですか?」
とてもかっこいいギターを目にした梓は思わず答えました。
梓「そっちです!かっこいいむったんです!」
女神は言いました。
女神「あなたは嘘つきですね。そんなあなたに渡すものは何もありません」
梓「うそ…」
梓はわずか一瞬の功利心で大切なギターを失ってしまいました。
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:45:00.40 ID:g+lKe15v0
一方、その頃の唯は周囲から持て囃されすっかり有頂天になっていました。
憂「お姉ちゃん、今度の日曜日一緒にご飯食べにいかない?」
唯「えー!そんな暇あるなら寝てるよ~」
憂「お姉ちゃん…」
唯「そもそも お姉ちゃん とかもうやめてくれる?
仮にも憂は私のプロデューサーでもあるんだからさ」
憂「ごめんなさい…」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:48:27.34 ID:g+lKe15v0
そんな唯は、ある大切なライブの日に寝坊をしてしまいました。
唯「憂!?車は!?」
憂「ごめんなさい……ちょっと体調悪くて動けなくて……ごほごほ」
唯「全く……肝心なときに使えないんだから」
憂「代わりの人に頼んであるから」
唯「いいよもう!走って行くよ!」
憂「待ってお姉ちゃん…」
何を思ったのか、唯は会場まで走って行くことにしたのです。
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:51:55.90 ID:g+lKe15v0
唯「ほっほっほっ」
唯がギー太2号を背負って小走りで会場へ向かっていたその時でした。
スッテーン!
唯「いて……」
ボチャン!
唯「あっ2号が……」
なんということでしょう。
唯が背負っていたギターは、唯が転んだ拍子に鮮やかな弧を描いて川に落ちてしまいました。
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 12:55:30.82 ID:g+lKe15v0
唯「ああもう!ついてない!」
唯は再び会場へ向かって走り出しました。
唯「あっちで借りればいいや」
ポワポワポワ…
女神「あなたの落としたギターは……」
女神「…って、いないし」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:00:14.01 ID:g+lKe15v0
唯はなんとか時間内に会場入りしました。
マ「遅かったじゃないですか!唯さん」
唯「ごめんごめん、そうだ、代わりのギターある?」
マ「今日は大切なライブなのに…ご自分のはどうされたんですか!?」
唯「落としちゃったの!で、代わりは無いの!?」
マ「落としたって……」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:04:08.77 ID:g+lKe15v0
ライブが始まりました。
唯(弘法は筆を選ばずっていうし、私ならどんなギターでもへっちゃらだよね!)
唯はいつも通りの演奏をしましたが、
観客の様子はいつも通りではないのです。
「本物をだせー!」
「偽物ひっこめー!」
唯(あれ……?)
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:06:06.36 ID:g+lKe15v0
ライブは散々な結果に終わりました。
唯(こうなったのも全部憂のせい……だし、
今回は走ってきたしいつもの調子じゃなかったんだよ)
それからというもの、唯は幾度となくライブを開きましたが
回を重ねる度に観客は減っていきました。
唯(どうして……みんなどうしちゃったの─)ぐす
『prrrr』
唯(電話だ、誰からだろう)
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:09:58.92 ID:g+lKe15v0
『平沢唯さんですね、憂さんですが……』
唯は掛かってきた電話で、妹の憂の危篤を知りました。
すっかり仕事も少なくなり、暇を持て余していた唯は急いで憂の元へ向かいました。
唯「憂っ!!」
憂「唯さん……ごめんなさい」
唯「お姉ちゃんだよっ!憂っ!」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:13:10.96 ID:g+lKe15v0
憂の体は過労で限界に来ていました。
皮肉にも、唯の仕事が無くなってから堰をきったように症状は悪化していたのでした。
憂「もうだめかも…」
唯「やだぁっ!憂!1人にしないで!」
仕事が無くなり、すっかり過去の人となった唯のそばにいるのは妹の憂だけだったのです。
調子に乗った言動でもなお、周りに人がいたのは実力があったからこそ。
実力を失った唯に残ったものは、惨めで孤独な負け犬という様相の他にありませんでした。
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:17:25.46 ID:g+lKe15v0
唯は調子に乗っていた自分を省み、迷惑をかけた人へ謝罪にまわりました。
多くの場合唯は全く相手にされませんでしたが、
高校の時代の部活の友人達は快く受け入れてくれました。
そしてなによりも、唯は一生懸命憂の看病をしました。
唯「うい、早くよくなってね」
憂「ありがとう、お姉ちゃん」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:21:52.06 ID:g+lKe15v0
TV『今日のゲストは、今話題の天才ギタリスト、中野梓さんです!』
唯「あずにゃんすごいなぁ」
憂「お姉ちゃんもまだまだいけるよ!」
唯「私はもう無理だよ……」
憂「無理じゃないよお姉ちゃん」
TV『梓「良い意味でも悪い意味でも、私のお手本であった人がいます─」』
唯「…」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:33:19.29 ID:g+lKe15v0
妹の憂の看病をしながらも唯はバイトをしていました。
店長「そうじゃないって」
唯「ごめんなさいごめんなさい…」
すっかり忘れ去られているのか、唯があの有名なギタリストであったということを
知っている人はいませんでした。いや、知っていても興味が無かったのかもしれません。
唯(明日もみんな来てくれるかなぁ)
高校時代の軽音部の友人達とお茶する時間、それが唯の唯一の楽しみになっていました。
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:43:41.92 ID:g+lKe15v0
みんなでお茶をする時間は唯が提案したのです。
高校時代に戻れるような──唯はこの時間が大好きでした。
しかし、どうしても避けられない現実が唯には立ちはだかっています。
澪「唯、これからどうするんだ?」
唯「う~ん……」
唯「もう一回だけ……」
律「……いいけど、心配かけんなよ?」
紬「私がなんとかするよ?」
唯「ううん、自分でどうにかする!ありがと、りっちゃん、ムギちゃん」
唯はもう一回だけ、周りの友人達とは違う、
先の見えない道へ挑戦することにしました。
唯(待ってて、あずにゃん)
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:46:36.66 ID:g+lKe15v0
唯の看病のかいもあって、憂が快復してしばらくしたある日
唯と憂は小汚くてちんけなライブハウスにいました。
観客はかつて全盛期の頃のライブからは想像できないような少なさ。
唯「憂、ありがとう!」
憂「うんっ、お姉ちゃん頑張って!」
唯「おぉー!」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/31(火) 13:53:52.44 ID:g+lKe15v0
見覚えのあるギターを持って、唯は舞台へ向かいます。
かつての栄光からは全く想像できないようなみすぼらしいステージ。
僅か数人の聴衆。
けれども、いつか見たような 本物 の唯がそこにはいました。
小さいのに何故か頼もしく見えるその背中にはありがとうの文字。
唯の最初の曲が、今、始まろうとしています。
おわり
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