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唯「姫子ボイン」姫子「唯、ヒゲとボインでしょ」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:37:10.76 ID:YCheZjgs0 [1/11]
――文化祭終了二日後の部室。

唯「こないだ姫子ちゃんとキスしちゃった」

と、こともなげに言い放つ。

一同「え?」

一同「えええええええええええええええ?」

紬「いつなの?こないだっていつなの唯ちゃん?」ハァハァ

興奮して前のめりになるムギ。

唯「んとねー劇が終わった後、みんなで喜び合ってたでしょ?」

澪「……キス、あわわわわ」

慌てふためく澪、その顔は真っ赤だった。

唯「んで、そのときに抱き合って、そのままちゅーって」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:40:30.72 ID:YCheZjgs0

律「ちょっと触れただけとかじゃないのか?」

梓「そうですよ! 律先輩の言うとおりですよ」

唯「そんなことないもん!たっぷり5秒はしてたもん」

紬「で、どうだったの?感触はどうだったの?」

唯「やわらかくて気持ちよかったよ~マシュマロみたいだった」デヘヘ

そのときのことを思い出したのか、唯はいつも以上に破顔した。

澪「だ、だめだぞ。キキキ、キスなんて」プシュー

途中までしかしゃべれず、澪は煙を吹いてシャットダウンしてしまった。

再起動には、しばし時間がかかりそうだ。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:42:25.35 ID:YCheZjgs0
紬「それでそれで、2人は付き合ってるの?」

ムギの興奮が冷めるにはもっと時間がかかりそうだ。

梓「ムギ先輩は少し落ち着いてください」

唯「ほえ? 別に付き合ってないよ?」

驚いた顔をして唯が言う。まるでどうしてそんなことを聞くの、とでも言いたげだ。

だが、驚いているのは唯だけでなくその場にいた全員だ。

唯「キスは一回だけで、それから何もないよ」


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:45:53.23 ID:YCheZjgs0
そこまで言うと、唯の表情が変わった。

唯「唯は部活の後輩のほうがいいんでしょ?なんて言われちゃったんだ」

梓「え?」

梓が言われたことを理解できずに目を回している。

梓「あ、あの!」

声を張って右手を上へと真っすぐ伸ばす。

唯「なあに?あずにゃん?」

梓「アリアハンへはどうやって行ったらいいんでしょうか?」

梓は混乱している

律「梓、正気に、もどれ」

ポカリと律のこぶしが梓の頭をはたく。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:47:55.81 ID:YCheZjgs0
――劇「ロミオとジュリエット」終了後舞台袖

澪「お、終わったー」

澪は膝を折り、その場に崩れ落ちた。

「秋山さーん、すごいよかったよ」

和「澪、お疲れ様」

澪の周りが労いと称賛の言葉が飛び交っている。

律「ふー。暑かったー」

紬「りっちゃん、すごいかわいかったわ」

ムギは澪から少し離れたところでスポーツドリンクを律に手渡した。

唯「ね、ねえ~誰か~助けて~」

一方唯は木の衣装が引っ掛かってしまっているが、誰も気づかなかった。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:50:34.34 ID:YCheZjgs0

姫子「唯、お疲れ」

そう言って唯の衣装を外す姫子。

唯「ぷはー。ありがと~姫子ちゃん」

唯は笑顔で浮かべ、姫子に抱きついた。

姫子「ゆ、唯」

姫子は困惑した表情を浮かべる。

唯「劇、成功してよかったね」

演技の興奮冷めやらぬ唯は、頬を上気させ、汗を浮かべて姫子を見つめる。

姫子「そうだね」

周囲が喧騒に包まれている中、2人は無言で見つめあう。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:52:39.57 ID:YCheZjgs0
姫子は腕を唯の腰にまわし、口は唯のそれをふさいだ。

唯「んっ……んっ……はぁ」

姫子「ん~……んっ……はぁ」

どちらともなく口づけを終えると二人から色っぽい吐息が漏れる。

姫子「じゃあ、あたしバイト行くから。唯も部室行くんでしょ」

ありもしないバイトの話を持ち出して、無理やり姫子はその場を去った。

その場に残された唯は顔に疑問符を浮かべ、その場で呆けていた。

ただし、その頬は風邪をひいたかのような色に染まっていた。

唯「ほげー」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:55:55.00 ID:YCheZjgs0

――学園祭終了翌日の放課後

唯が帰ろうとしている姫子の後をつける。

律「唯、部室行こうぜ~」

唯「しー。りっちゃん隊員、私には使命があるんだよ」

律「は?」

唯「だから、ここは私に任せて先に行って」

律「まさか、唯隊員、死ぬ気なのか?」

唯「ううん、必ず、必ず生きて帰るよ。約束する」

律「絶対だぞ。生きて帰ってこなかったら、許さないからな」

澪「芝居はもういい」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/28(土) 23:58:08.75 ID:YCheZjgs0
しびれを切らした澪の突っ込み。

こうかはばつぐんだ

澪「じゃあ唯先に行くけど、すぐに来いよ」

唯「うん。じゃあとでね澪ちゃん、ムギちゃん」

バイバーイと手を振り再び尾行を再開する。

しかし振り向いた先にすでに姫子はいなかった。

唯「し、しまった」

姫子「何がしまったの、唯?」

背後から唐突に声がかかる

唯「おおう、おぬしやるのう」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:01:24.61 ID:YCheZjgs0
姫子「はいはい、子芝居はいいから」

唯の演技を軽く流す。

唯「ぶーぶー、姫子ちゃんのイケず~」

姫子「で、どうしたの?」

唯「ほえ?」

姫子「何か私に用があるからあとをつけてたんじゃなかったの?」

あきれた口調で聞く。

唯「はっ!そうだった。姫子ちゃん、文化祭のときのことで聞きたいことがあるんだ」

姫子「……ここじゃなんだからちょっと場所変えようか」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:07:29.06 ID:YCheZjgs0
――校舎裏

姫子「で、聞きたいことって?」

唯「だから文化祭のことで、そのー……」

姫子「唯、はっきり言って」

口調は穏やかだが、その視線は鋭く唯を刺す。

唯「う、うん」

戸惑いながらも「あのとき」の真意を聞きだすために意を決して尋ねた。

唯「あのね、姫子ちゃん、なんで、なんでキスをしたのかなって?」

姫子「……………………」

唯「……………………」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:11:36.10 ID:+Okcntzt0 [1/48]
まるで時が止まったかのように、長い沈黙が場を支配する。

姫子「別に、なんとなくよ。唯が軽音部の後輩の子にしてるのと大して変わらないよ」

そこまで早口でまくしたてると、まるでそれ以上の質問を許さないかのように、

姫子は足早にその場を立ち去った。

が、

唯「ま、待って」

少々強引に後ろから抱き締めて無理やりに引きとめた。

唯「私、自分がよくわかんないけど。だけど。嫌じゃなかったよ」

姫子「唯は……唯は後輩の小さい子のほうがいいんでしょ」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:15:32.13 ID:+Okcntzt0 [2/48]
唯「え?」

その言葉に唯は力が抜け、姫子の体を解放してしまった。

姫子「だって、あの子には普段から抱きついてるもんね。だからあの子のほうがいいんでしょ?」

唯は何かを言わなければいけない気がしたが、何を言えばよいのか、

自分の本当の気持ちはどうなっているのか、考えがまとまらなかった。

それゆえに、去っていく姫子をただ見つめることしかできなかった。

夕日に照らされ、草がところどころ光を反射していることにも気付かずに。

この日、体調不良を建前として、唯は初めて部活をさぼった。

文化祭で燃え尽きたこともあって、何もする気が起きなかったのである。

普段の倍以上の時間かかった帰り道でも、家に着いても、無気力状態は続いた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:17:55.08 ID:+Okcntzt0 [3/48]
――平沢家

憂「お姉ちゃんおかえりー。早かったね」

唯「う~い~ただいま~」

唯は憂にだけは心配をかけまいと、努めて平静を保とうとしたが、

憂に通じるはずもなかった。

憂「お姉ちゃん?どうしたの?」

唯「ほえ?どうもしないよ~私は元気です」ふんす!

憂「そう、ならいいんだけど……」

憂はまったくもって「いい」という顔はしていなかったが、


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:20:22.56 ID:+Okcntzt0 [4/48]
姉がそう言うのであれば、心配ではあるが、

引きさがるほかはなかった。

憂「アイス買ってあるからあとで一緒に食べよ。お姉ちゃん。

  奮発していつもより高いの買ったから」

唯「う~ん。今日はいいや。着替えてくるね」

察してはいたが、かなり深刻な事態だと憂は認識した。

憂「お姉ちゃんがアイスを食べないなんて……」

憂の顔から血の気が引いていた。

憂「そうだ、和ちゃんなら何か知ってるかも」

憂は和にメールを送った。

憂『お姉ちゃんがおかしいんです。何か知りませんか?』



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:23:37.57 ID:+Okcntzt0 [5/48]
それに対する返信がこれ。

和ちゃん『唯がおかしいのはいつものことじゃない』

憂は激怒した。必ずこの心配を幼馴染である和にも理解させようと決意した。

憂『そうだけど、今日はお姉ちゃんがアイスいらないって……それも高いやつのを』

この一言に和も状況を把握したようだ。

和ちゃん『おなか壊したとかそういう可能性はないの?』

憂『ううん顔色は悪くなってなかったから、体調は平気だと思う』

和ちゃん『それもそうね、お昼も普通に食べてたし』

憂『朝ごはんも普通に食べてたよ』

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:26:59.01 ID:+Okcntzt0 [6/48]
和ちゃん『じゃあ精神的な問題なのかしら。文化祭が終わったことの影響かしら?』

憂『今朝はそんなそぶり見せてなかったよ』

和ちゃん『学校でもいつもどおりだったわよ』

憂『う~ん何か分かったらまた教えて。夕飯の用意しないといけないから』

和ちゃん『わかったわじゃあ私、予備校行くね』

結局、何も分からずじまいだった。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:30:25.59 ID:+Okcntzt0 [7/48]
――唯の自室

「こうぼう」と書かれたシャツを着て、ベッドの上で横になっていた。

ボーっとしていた唯は、蚊が止まってもまるで砂のように無反応だった。

今日のことを混乱した頭で考えるのに集中していたためだ。


唯(姫子ちゃんは怒ってたのかな……あずにゃんはかわいいいけど……)


唯(どうしてキスをしたんだろう……姫子ちゃんバイト忙しいのかな……)


唯(姫子ちゃんはかわいい……って言うよりかっこいいだね……)


唯(姫子ちゃんの唇……やわらかかったな……)


唯(女の子同士だとファーストキスじゃないんだっけ……)


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:31:30.40 ID:+Okcntzt0 [8/48]
……
……
……


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:33:07.15 ID:+Okcntzt0 [9/48]
いつまでたっても考えがまとまらないので、

―そのうち唯は考えるのをやめた。

憂「おねえちゃーんご飯できたよー」

唯「ほーい」

……わけではなくおなかがすいていては、まとまるものもまとまらないのだ。

と、結論付けたのだ。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:37:13.52 ID:+Okcntzt0 [10/48]
――食後のダイニング

唯「ねえ憂」

憂「なあに、お姉ちゃん?」

唯「キスするってどういう意味なんだろう?」

憂「おおおおおおお姉ちゃん?」

憂(ま、まさか去年のこと覚えてたの~?)

説明しよう、憂は去年の学園祭直前に唯が風邪をひいた際、風邪を自らにうつすために、

寝ていた姉を本当に襲っていたのだ。

唯「好きだってことなのかな?」

憂「あ、あのね、お姉ちゃん」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:40:58.55 ID:+Okcntzt0 [11/48]
言い淀む憂。

憂「そ、それしか方法がなかったから」

頬に手を当て恥ずかしそうにしている。

唯「そうかなあ。それ以外にも(好きだって伝える)方法はあると思うんだけどなあ」

憂「緊急事態だったし」

唯「そんなに緊急じゃなかったよ」

憂「もうすぐライブだったし」

唯「別にライブの後でもよかったんじゃない?」

憂「ライブの後じゃ遅いでしょ!」

瞬間、憂は怒鳴った。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:48:45.06 ID:+Okcntzt0 [12/48]
>>28
ほんとセリフだけで書ける方は尊敬してます



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:49:48.09 ID:+Okcntzt0 [13/48]
唯「ふぇ!?ご、ごめん」

憂「大体お姉ちゃんはかわいいんだから、隙だらけでいちゃだめだよ」

憂はキスしたのを唯のせいにした。

唯「だって(木の衣装が引っ掛かって)抜けなかったんだもん」

憂「ヌけないだなんて、誘ってたの?」

唯「誘ってないよ!?自然とそうなっちゃんたんだよ~」

唯がちょっと涙目になってきた。

憂「お姉ちゃんの天然ジゴロー」

そう捨て台詞を残し、洗い物をしにいった。

唯「ええ~」

妹のことがちょっとわからなくなった。

そんな夜だった。


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:54:04.24 ID:+Okcntzt0 [14/48]
唯「う~い~ア~イ~ス~」

唯が言うと、スプーンが刺さったダッツが、綺麗な回転がかかり、

唯の前に着地する。よもや投げてくるとは思わなかった唯は、

もうちょっと、妹のことがわからなくなった。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 00:58:35.83 ID:+Okcntzt0 [15/48]
――再び唯の自室

唯(やっぱり好きじゃないとキスしないよね)

唯(けど、好きってどういう好きなんだろ?)

唯(あずにゃんにキスしようとしたことはあるけど……)

唯(あの時は冗談交じりだし、実際にはしてないし)

唯(けど、姫子ちゃんが冗談でやったんだとしたら?)

唯(冗談じゃないよね?冗談だったらなんかやだな)

唯(けど冗談を本気にしちゃいけないし……)

思考の壁……無限にループする、回答のない思考の壁……

姫子が唯に本気だったのか……しかもこの壁の向うには、

まだよくわからない未来がある……これまで唯は、

恋愛は自分の向こう側にだけ立ちはだかっているものだと思っていた……

しかし、いまはちがう……恋愛の向こうに自分が立ちはだかっていたのだ……


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:04:20.76 ID:+Okcntzt0 [16/48]






――そして夜が明けた









36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:05:54.97 ID:+Okcntzt0 [17/48]
憂「お姉ちゃ~ん。朝、朝だよ~。朝ごはん食べて~学校行くよ~」

唯はむくりと起きあがり、あくびをする。

唯「ふあ~」

眠い目をこすりながら階下へ降りると、書置きがあった。

唯「あれ?憂?」

おねえちゃんへ

なんだか顔を合わせるのが恥ずかしいので先に行きます。

テーブルの上にパンがあるのでそれを食べてください。

唯「へ?じゃあさっきの声は?え?えぇ?」



謎多き妹、その名は平沢憂。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:09:06.26 ID:+Okcntzt0 [18/48]
――始業前の教室

唯「和ちゃんおはよ~」

和「あら、憂どうしたの?唯の真似なんかして」

唯「何言ってるの和ちゃん?」

和「あれ、もしかして唯なの?」

唯「当たり前でしょ!まったく、どうして憂が私の真似するのさ。ぷんぷん」

和「ごめん、唯が来るには早かったからつい……」

唯「私だって早起きすることもあるもん」

和「そういえば唯、昨日憂が心配してたわよ。アイス食べないって」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:13:55.75 ID:+Okcntzt0 [19/48]
唯「ふぇ?昨日もアイス食べたよ」

和「あら、そうなの?でも憂が昨日メールで」

そこまで言いかけて、教室に律澪あるいは澪律(お好みでどうぞ)が入ってきた。

律「おーす唯、和」

澪「おはよう、唯、和」

唯と和も返事をする。

律「てゆーか唯。もう大丈夫なのか?」

唯「ふぇ?何が?」

澪「昨日体調悪いって言って帰ったのはおまえだろ」

唯「あ、そうだった。私、体調悪かったんだ」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:18:38.03 ID:+Okcntzt0 [20/48]
和「ちょっと、やっぱり具合悪かったんじゃない。熱はないの?」

おでこをぽんと、唯のおでこに触れされる。

澪「和はお母さんみたいだな」

律「お母さん?」

澪「マ、ママ!」

強い口調で言い直してしまった。

和「落ち着きなさい澪、間違えてないから」

澪「し、しまった~」

律「澪ちゅわ~んは甘えん坊さんなんだから」

語尾を上げて、楽しそうにしている律。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:21:26.99 ID:+Okcntzt0 [21/48]
唯「澪ちゃんはママって呼んでるだ~かわいいね~」

澪「く~律。おでこ出しなさい」

律のおでこには、「中」と書かれた。

唯「ラーメンマンだ~」

唯は唾を飛ばすほど笑った。

和「ちょっと顔にかかったじゃない」

唯「あ、ごめん和ちゃん」

澪「いや、ていうか、いつまでくっつけてるんだよ、おでこ」

律「私はラーメンマンではない、モンゴルマンだ!」

澪「モンゴルマンのマスクには中なんて書いてないだろ!」

律はおもむろに上着を脱いだ。

唯「げっ、肉襦袢!?」

澪「ただのブレザーだろ!」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:25:15.83 ID:+Okcntzt0 [22/48]
ここでようやく紬が教室に入ってきた。

紬「コーホー」

澪「ムギはなんで登校するなりウォーズマンなんだよ!」

紬「アイムユアーファーザー」

澪「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

ここでチャイムが鳴った。

さわ子「はーいHR始めるわよ~席について~」

唯「昨日の話は放課後にするね」

一同はそれぞれ自分の席に戻っていった。

ただ、唯の隣は、空席であった。

信代「せんせー、姫子は休みですかー?」

さわ子「ええ、立花さんは風邪で欠席するそうよ」

唯の顔はさえない。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:27:38.37 ID:+Okcntzt0 [23/48]
――再び文化祭終了二日後の部室

梓「ベホマラ~」

律「まだ治ってなかったのか!?」

梓「いえ、律先輩にたたかれた体力を回復しようと思いまして」

律「だったらホイミで充分だろ!」

澪「そういう問題か?」

梓「あ、律先輩は回復してないですよ。敵ですから」

紬「今さりげなくスカラを使って守備力を上げたわね」

澪「ムギまで……」

唯「りっちゃんって経験値低そうだね」

律「おい」

澪「ゴールドも持ってなさそうだな」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:32:03.30 ID:+Okcntzt0 [24/48]
律「澪までボケたら誰が止めるんだよ!というかいい加減にしろ~!」

律の目には若干涙が浮かんでいた。

さわ子「あんたたちは学園祭終わっても相変わらずね」

と、ここで顧問登場。

唯「あ、ラスボスだ」

一同は笑い転げるのを我慢している。

さわ子「?」

澪「唯、変なことを言うなよ」

一番先に回復した澪がたしなめる。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:35:41.98 ID:+Okcntzt0 [25/48]
しかし澪は今夜思い出し笑いをして、眠れなくなることを

今はまだ知る由もなかった。

さわ子「で、何の話をしてたの?あ、私ミルクティー頂戴」

ムギ「は~い」

唯「実はね……」


……
………

さわ子「早くしゃべってよ!」

唯「え?今ので全部話したけど」

さわ子「あ、そうなのね、読み間違えちゃったわ」てへぺろ(・ω<)

澪「先生がやってもかわいくないですよ」

律「いや、お前が言うな。いろんな意味で」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:39:21.30 ID:+Okcntzt0 [26/48]
さわ子「唯ちゃんもいろいろ経験してるのね」

唯「まだ経験はキスだけだよ?」

梓「いや、そういう意味じゃありませんよ、唯先輩」

澪「も、ってどういうことですか。」

さわ子「私の高校時代は女の子からも、モテたのよ」

紬「その話、ぜひゆっくりじっくり聞かせてください!」

律「え~さわちゃんの昔話なんか聞いてもしょうがねーじゃん」

さわ子「あ~んなんか言ったかぁべんぱつ女ぁ」

律「ひっ」

澪「まだ引っ張るんだ朝のネタ」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:40:51.66 ID:+Okcntzt0 [27/48]
紬「でこっぱちのいうことは無視して話を聞かせてください」

梓「じゃあ、澪先輩がア太郎ですかね」

律澪「ひどい……」

唯「お二人さん息ぴったりだね~」

紬「いやいや~」

梓「いやいや~」

さわ子「あの~話してもいいかしら?」

唯「あ、ごめんごめん、さわちゃん私も聞きたいデス!」

さわ子「そう、じゃあどこから話そうかしら?あれは……」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:42:58.81 ID:+Okcntzt0 [28/48]



さわちゃんは、私たちだけに秘密を話してくれました。

遠い遠い昔にいた、好きな人のことを。

でもそれをここに書くわけにはいきません。

ごめんね。




49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:48:40.64 ID:+Okcntzt0 [29/48]
さわ子「ってあたしの話はカットなの~」

唯「だって、本当かどうかわかんないし」

さわ子「さっきまで聞きたがってたじゃない!」

律「いやあ古すぎてあてにならないし」

さわ子「りっちゃんが遠い遠い昔なんて言ったのね」

さわ子はメガネをはずし、律をにらむ。

紬「私はもう一回聞きたいです。先生!」

さわ子「あらそう?じゃあもう一回最初から。あれは……」

澪「最初からかよ」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:52:14.17 ID:+Okcntzt0 [30/48]
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

さわ子「というわけなの。って誰よ?スタンド能力を使ったのは?」

梓「すでに終えているです」

唯「あずにゃんがボスだったんだね」

澪「いや、そんな世界観はないから」

さわ子「まったくもう、もう一回最初からね」

「今度邪魔したらただじゃおかねえぞゴラア」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 01:57:06.15 ID:+Okcntzt0 [31/48]
梓「タイムリープ。

それは、対象の行動を切り取られた別の時間で

行わせる時術である。

つまりこの術を受けたさわ子は、すでに話した気分になっているのである」

律「梓はトキノくんだったのか」

紬「フロンティア精神満載ね」

梓「それはツッコミではなくボケです、ムギ先輩」

澪「おーい、そろそろ現実に戻ってきてくれ」

さわ子「と、いうわけなの。だから唯ちゃん見てると昔の私を見てるみたいなの」

唯「え~」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:01:27.43 ID:+Okcntzt0 [32/48]
さわ子「なによ、不満」

さわ子はブーイングをした。

さわ子「あんまり恋にうつつを抜かしてると私みたいになれないわよ」

と、どや顔。

唯「さわちゃんは相手にされなくなっただけでしょ」

「それに私のは恋かどうかわからないよ」

「わからないんだもーん」

唯はそこまで口にすると泣き出してしまった。

さわ子「え?ちょっと泣きたいのはこっちなのに。もう」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:05:05.14 ID:+Okcntzt0 [33/48]
驚きながらも、泣いている唯をなんとか抱きとめる。

梓「私だって新入部員が来年もいなかったらと考えたら泣きたいです」

梓は抱き着いた。

さわ子「抱き着くのをやめなさい」

律「あたしだって部長としての責務が果たせてなかったらと考えたら泣きたいやい」

律は抱き着いた。

「抱き着くのを…やめろ」

紬「私こんな風にみんなで先生に抱き着くのが夢だったの~」

紬は抱き着いた。

さわ子「だ、だきつくのをやめろ!」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:08:14.03 ID:+Okcntzt0 [34/48]
澪「なにこれ」

澪は抱き着かなかった。

さわ子「いくらなんでも重いんじゃー」

さわ子からの攻撃の正体がつかめない!

さわ子「唯ちゃん全員一度には無理だから、あなただけ、一人だけなら相談に乗るわよ」
「皆がいるとなかなか話を進められないからもう今日は解散ね」

その言葉に素直に従い、唯とさわ子を残し残りの面々は帰宅した。


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:11:05.51 ID:+Okcntzt0 [35/48]
さわ子「で、唯ちゃんはどうだったの?」

唯「え?」

さわ子「キスされていやだったの?」

唯「ううんそんなことないよ」

さわ子「じゃあ嬉しかった?」

唯「……」

さわ子「じゃあ想像してご覧なさい。立花さんがほかの人とキスしてる姿を」

唯「う~ん」

唯は眼を閉じ、腕を組んで考えた。

唯「嫌な気持になっちゃった」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:17:54.04 ID:+Okcntzt0 [36/48]
さわ子「ほかの子にとられたくないんでしょ?じゃあ自分のものにするしかないじゃない」

唯「ものだなんて、さわちゃん過激だよ」

唯は頬を染め、恥じらいの表情を作った。

さわ子「表現をおとなしくしたってやることは一緒よ。そうやって人は大人になっていくの」

唯「大人って、なんだかずるいな」

さわ子「どうしてよ?」

唯「こんなに悩まずに恋ができるなんて、うらやましくてずるいよ」

さわ子「あはははは。だからさっき言ったじゃない。経験して、それで大人になっていくのよ」

唯「その説教じみたの長くなるの?あんまり長くなると人気がなくなるからほどほどにしとこうよ~」

さわ子「いいえ、ニレスほどやります」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:20:50.95 ID:+Okcntzt0 [37/48]
さわ子「大人になるのは大変よ。高校卒業してすぐ大人になる人もいれば、

いつまでたっても、社会に出ても大人になりきれない人だっているの。

そもそも大人になるってすごいあいまいなことなの。

二十歳を過ぎれば法律上は成人するけど、その成人式で

とても大人とは言えないような人たちがテレビに映っちゃってるでしょ。

ああいった子たちはまだ大人とは呼ばれないわ。

大人になるには困難にぶつかったときにそれを投げ出さないことも大切よ。

自分の気に入らないこと、上手くいかないこと誰かのせいにして、

そして自分のイライラまで誰かを傷つけて解消しようとする。

それじゃあ大人にはなれないわ。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:22:38.65 ID:+Okcntzt0 [38/48]
『われに七難八苦をあたえたまえ』と、月に祈った人しってる?

山中鹿之助というお侍さんよ。

自分をうんとつらい目に合わせてください祈ったの。

『憂きことの なおこの上に つもれかし 限りある身の 力ためさん』

という歌を知ってる?

悩み事よやってこい。自分の力には限りがあるが、精いっぱい頑張るぞ!

っていう意味なの。昔の人たちはこうして強くたくましい自分を育て上げたの。

そうやって努力を重ねていたら、いつの間にか大人になっているものなのよ。

唯ちゃんも自分の気持ちに素直になって、

ドンとぶつかっていきなさい!!」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:24:49.11 ID:+Okcntzt0 [39/48]
唯「ほんとに2レスもやるなんて……」
「でも、私、さわちゃんの言葉で目が覚めたような気がするよ」

さわ子「立花さん家の住所教えてあげるからいってらっしゃい」

唯「うん、私いってくる!さわちゃんありがと!」

唯は頭を下げると鞄をひっつかみ、ギータを背負い、駆け出した。

さわ子「先に連絡しとくのよ~」

唯「うん。わかってる~」

振り向かずに答え、そのままの勢いで階段を二段飛ばしで降りて行った。

が、お約束というものは起きそうな時に起きるもので、

唯が途中でしりもちをつきそうになってこらえたのは、

言うまでもない。


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:26:54.67 ID:+Okcntzt0 [40/48]
――立花家

唯「ハァハァぽちっとなハァハァ」

息を整えながら、唯がチャイムを鳴らす。

すでに道中にメールを送っておいた。返信はなかったが、

姫子を信じて、こうして家までやってきてしまった。

ドアがガチャリと開く。

姫子「唯ったらほんとに来たのね」

唯「うんハァハァ。姫子ちゃんに会いたかったからハァハァ」

姫子「ふふ、唯らしいね」

唯「えへへ~ハァハァあがってもいい?ハァハァ」

姫子「うん、いいよ。ただし、そのハァハァが治まったらね」

唯「ハァハァえ?ハァハァ」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:27:50.64 ID:+Okcntzt0 [41/48]
――姫子の部屋

姫子「しかしいったいどれだけ焦ったらこんなメール送れるの?」

笑みをたたえながら尋ねる。

唯「そんな変なの送ってないよ~」

姫子「これは十分変でしょ」

姫子は笑いをこらえることができそうもない。

唯「どんなの送ったっけ?」

唯は自分の携帯で確認する。

『今からいくね。家にいてね。いなきゃだめだよ。
いもそろそろ使えなくなるよ。
今のうちにいっぱい使っておいた方がいいんでないかい?
今15回くらい使ったかな?』

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:28:46.17 ID:+Okcntzt0 [42/48]
唯「こっこれは予測変換に入ってたんだよ!」

姫子「普段どんなメール打ってるのよ」

唯「えへへ~」

姫子「もう、そのかわいい笑顔見せられちゃったら何も言えなくなっちゃうよ」

唯「姫子ちゃんのほうがかわいいよ~」

姫子「な、何言ってるの。急に……」

唯「姫子ちゃん」

姫子「な、なに?」

唯「目をそらさないで。こっちをみて」

姫子の顔を両手ではさみ、正面を向ける。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:29:43.26 ID:+Okcntzt0 [43/48]
姫子「えっ」

唯「ちょっと遠回りして、遅くなっちゃって、それも謝りたいんだけど。

それよりも、何よりも、

だれよりも姫子ちゃんが一番好きです。

姫子ちゃんは私のこと嫌い?」

姫子「そんなことないわよ。私も唯が一番好き」

唯「姫子ちゃん……」

姫子「唯……」

唯「んっ……チュパ……クチュ……グチュ」

姫子「??チュ……クチュ……チュパ」

二人は二度目の口づけを交わした。

だた、一度目と決定的に違うのは、

二人の合意のもとに行われてるということと、

心と体だけでなく、

舌も絡み合っているということだっただった。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:30:43.33 ID:+Okcntzt0 [44/48]
――翌日の部室

唯「……ということで、ハッピーエンドです」

律「って、ここからが大事なとこじゃないのかよ!」

紬「この後いったいどんな衝撃な出来事が!!」

唯「え~だって姫子ちゃんがそこまで話すのは恥ずかしいって言ってるし~」

姫子「はい、唯あ~ん」

唯「あ~ん。もぐもぐ。ん~なんだかいつもよりおいしいよ~。
はい、姫子ちゃんも、あ~ん」

姫子「あ~ん。もぐもぐ。唯の味もしておいし~」

澪「クールなキャラだったはずなのにどうしてこうなった」

これで終わりじゃないということはないぞ。
もうちびっとだけ続くわけじゃない

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/29(日) 02:32:56.20 ID:+Okcntzt0 [45/48]
ごめんなさい。
当初の予定だとここからイチャイチャさせようとしたんですけど
力量的に無理でした。
姫子あんまり出てなくてごめんなさい。
短くてごめんなさい。
読みにくくてごめんなさい。

コメント

No title

唯姫いいね……もっと増えて欲しい!
管理人さんいつも乙です。

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