スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
白井「デートしましょう」上条「……はい?」 浜絹
578 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 00:39:38.69 ID:/SxWzk.o [4/33]
絹旗「浜面浜面、今日暇ですか」
浜面「暇じゃねえよ」
絹旗「そうですか超暇ですかそれは何よりです」
浜面「だから暇じゃねえって……」
絹旗「暇だって言えよ」
浜面「ひぃっ!? 絹旗サンいつもの無条件な敬語と超はどうされましたでしょうかっ!?」
絹旗「細かい事はいいんです。ちょっと付き合ってください」
浜面「どこに」
絹旗「そんなの超決まってるじゃないですか――デートしましょう」
浜面「……はい?」
絹旗「浜面浜面、今日暇ですか」
浜面「暇じゃねえよ」
絹旗「そうですか超暇ですかそれは何よりです」
浜面「だから暇じゃねえって……」
絹旗「暇だって言えよ」
浜面「ひぃっ!? 絹旗サンいつもの無条件な敬語と超はどうされましたでしょうかっ!?」
絹旗「細かい事はいいんです。ちょっと付き合ってください」
浜面「どこに」
絹旗「そんなの超決まってるじゃないですか――デートしましょう」
浜面「……はい?」
583 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:11:00.22 ID:/SxWzk.o [6/33]
絹旗「大学生二枚」
浜面「」
絹旗「どうしたんですか浜面。顔が超凄いですよ」
浜面「その言い方だと俺の顔が超イケメンになったか超月面になったか微妙なところだけどどっちかって言うと後者ですよね!」
絹旗「浜面って超イケメンですよね」
浜面「心にもない事をありがとう!」
絹旗「んっふふー」
浜面「……なあ、ところでさ」
絹旗「何ですか」
浜面「これって、普通の恋愛映画だよな」
絹旗「そうですよー。超普通の超甘酸っぱい超学園物のですよ」
浜面「ああ、俺オマエこういう普通のも観るんだって思ったよ」
絹旗「B級C級の方が超好きですけどアカデミー賞やゴールデングローブ賞を取るようなのもちゃんと観ますよ」
浜面「ああ、ついさっきまでそう思ってたんだけどさ……」
浜面「どうして超普通の超甘酸っぱい超学園物の超恋愛映画がR-18なんだよ!?」
584 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:20:48.31 ID:/SxWzk.o [7/33]
絹旗「何のために浜面を誘ったと思ってるんですか」
浜面「ああそうだな俺ってそれくらいしか役に立たないもんな!」
絹旗「まあいいじゃないですか。前評判は中々だったから浜面でも普通に超楽しめると思いますよ」
浜面「前評判が良かったからといってオマエは男と一緒に十八禁映画を観に来るのか!?」
絹旗「浜面って超細かいですね。女の子にモテないでしょう」
浜面「超うるせえよ!」
絹旗「置いてきますよー」
浜面「くそ……分かったよチクショウ付き合ってやるよ!」
585 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:30:18.80 ID:/SxWzk.o [8/33]
絹旗「……はふぅ」
浜面「……」
絹旗「まさか……まさかここまでの超最高の作品だったとは! いやっほおおぅ!」
浜面「……」
絹旗「特にラストの夕日を背に船の上で二人きりになるシーンは超悶えました! 何ですかアレは! 監督出てこい!」
浜面「……ああ、確かに悶えたな……別の意味で」
絹旗「……はれ?」
浜面「最初におかしいと思ったのは恋愛物なのにR-18だった事だよ。次におかしいと思ったのは普通の前評判中々の映画にしては客席がガラガラだった事だよ」
絹旗「浜面ー……?」
浜面「最後に! おかしいと思ったのは! どうして普通の恋愛学園物なのにドロドロぐちゃぐちゃネチョネチョしてて挙句の果てには準ヒロインがが主人公殺してさらにそいつをヒロインが殺す事だよ!?」
588 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:41:08.14 ID:/SxWzk.o [9/33]
絹旗「浜面、日本語が超おかしいですよー」
浜面「ダメだ……俺はアレにはついていけん……」
絹旗「……」
浜面「あー、マジ疲れた……すまん、ちょっとどっかで休憩させてくれ……」
絹旗「……すみません」
浜面「あ?」
絹旗「これなら浜面も普通に超楽しめると思ったんですが……」
浜面「……」
絹旗「浜面には悪い方向で超予想外だったみたいですね。すみません」
浜面「……ありがとな」
絹旗「はえ?」
浜面「んじゃ、ちょっと腹も減ったしマック……はちょっと騒がしすぎるからミスドでいいか?」
絹旗「……はい」
590 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:46:19.67 ID:/SxWzk.o [11/33]
あ、あともしかしたらだけど
エロくなるかも。注意
595 名前:15巻分(1シーン)しか知らんけど頑張る[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 02:27:19.39 ID:/SxWzk.o [13/33]
フレンダ「あれー。珍しい組み合わせ」
浜面「よぉ……」
フレンダ「何々? デート? 結局アンタたち、どういう仲な訳?」
絹旗「でっ……!? そそそんなんじゃないですよ! 何で私が浜面みたいな超ムッツリ野郎と……」
フレンダ「結局その慌て方が怪しいんだけど……浜面?」
浜面「ムッツリでいいですー……どーせ俺はそういう役回りなんですよー……」
フレンダ「うわ、重症。結局、何があった訳?」
絹旗「えええーとこれには超深い事情がですね……!」
フレンダ「……何この結局ラブコメっぽいノリは」
597 名前:鯖缶こわいよ鯖缶[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 02:42:53.29 ID:/SxWzk.o [14/33]
フレンダ「ふーん。で、結局こうなったったって訳」
絹旗「はい……」
浜面「ああ……オールドファッションの素朴な味わいが俺を癒してくれる……」
フレンダ「浜面、これでも食べて元気だしなさい」
浜面「サバ缶は……サバ缶はいらん……」
フレンダ「人の好意に何それ!?」
浜面「サバ缶怖いと上の方から聞こえてくるんだ……」
フレンダ「……結局さ、浜面ってもうダメなんじゃない?」
絹旗「何か心に超重症を負ったみたいです……」
浜面「ううう……」
フレンダ「……」
絹旗「どうかしましたか?」
フレンダ「ちょっとこっち来なさい」
絹旗「わひゃ、セーター引っ張らないで下さいー! 超伸びるー!」
598 名前:セーターって書いちゃったけどあれはだぼだぼセーターを着ているようにしか見えない[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 02:55:05.90 ID:/SxWzk.o [15/33]
絹旗「な、何ですか超いきなり」
フレンダ「単刀直入に聞くけどさ、結局浜面の事好きだったりする訳?」
絹旗「――!?!? なな、何を超いきなり妙な事を口走ってるんですか!」
フレンダ「その反応だけで丸分かりなんだけど……」
絹旗「う、うー……」
フレンダ「ふーん……浜面、ねえ……」
絹旗「な、何か文句ありますか」
フレンダ「んーん、別にー」
絹旗「何ですかその超達観した感じ」
フレンダ「いやー、結局さ、浜面はどっちとくっつくかなーって思ってたのよ」
絹旗「う……もしかして滝壺さんの事ですか」
フレンダ「それ以外に誰かいる? 結局、うちのリーダーは浜面なんか眼中にないし」
絹旗「あの人が恋愛してる姿が思い浮かばないんですが……」
フレンダ「よし、ここは一つお姉さんに任せなさい」
絹旗「……はい?」
フレンダ「結局はこの私が恋のキューピットを買って出るしかない訳ね!」
絹旗「」
609 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 03:42:07.16 ID:/SxWzk.o [19/33]
フレンダ「はっまっづらー」
浜面「んあー……?」
フレンダ「デートしよ」
浜面「……はい?」
フレンダ「いやー、結局災難だったわねー。って訳で、口直しに遊びに行こうー」
浜面「……デート?」
フレンダ「何よー、結局私じゃ不満だってのー?」
浜面「そんなんじゃねえけど……」
フレンダ「今なら絹旗も付いてくるわよー」
絹旗「ちょ、ちょっとフレンダさん!?」
浜面「……ま、いいけど」
フレンダ「うしっ」
浜面「で、どこ行くんだ?」
フレンダ「絹旗は結局どこがいい?」
絹旗「わ、私はどこでも……」
フレンダ「(何よこんな時に。結局はもっと自己主張しなきゃダメでしょ。ちゃんとアピールしないと結局他の女に取られちゃうわよ)」
絹旗「(だだだって、私映画館くらいしか行きませんし……!)」
フレンダ「(この映画オタめ。結局私が引っ張らないとダメダメって訳ね)」
絹旗「(あうあう)」
611 名前:そのうち出すかな?[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 03:58:22.41 ID:/SxWzk.o [20/33]
フレンダ「って訳で、結局ゲーセンに来てみましたー」
浜面「あー、結構テンション戻ってきたかも」
絹旗「……」
フレンダ「絹旗ー」
絹旗「ひゃいっ!?」
フレンダ「なにぼけーっとしてんのよ。結局アンタ最初はどっから攻めてきたい?」
絹旗「わ、私……ゲーセンとか来た事ないので……」
フレンダ「結局マジで映画オタかこの子……浜面はゲーセンとか来る派?」
浜面「まあたまには」
フレンダ「じゃあ絹旗頼んだ」
浜面「はぁ!?」
フレンダ「私はさー、結局あっちの対ゲーコーナーの住人だったりする訳でー」
浜面「オマエ結局自分が来たかっただけだろ!?」
フレンダ「ま、ちょちょっと三下狩ってきたら結局戻ってくるからさ。んじゃよろしくー」
浜面「……俺未だにアイツの事よく分からん」
絹旗「あうう……」
613 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 04:15:50.05 ID:/SxWzk.o [21/33]
浜面「……」
絹旗「……」
浜面「なあ」
絹旗「なな何ですか!?」
浜面「ガンシューと音ゲーとメダルゲーとクイズゲーとプライズとどれがいい?」
絹旗「……はい? 何ですかその超長い呪文みたいなのは」
浜面「一応、初心者にも手を出しやすいヤツをチョイスしてみたつもりだけど……」
絹旗「……」
浜面「あー、でもメダルゲーは攻略法とかあるしなぁ……」
絹旗「……浜面って」
浜面「ん?」
絹旗「実は超ゲーマーですか」
浜面「これくらい普通だろ」
絹旗「いいえ。これはゲーマーと言うより超ゲーオタですね」
浜面「そこまでディープでコアな連中と一緒にしないでくれ!?」
絹旗「浜面の超お勧めはどれなんです?」
浜面「……クイズゲーでいいか。分かりやすいし」
絹旗「じゃあそれにしましょう」
浜面「おう」
絹旗「私、よく分かりませんから……浜面が超手伝ってくださいね」
浜面「……おう」
616 名前:無論こうなるけどね[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 04:21:23.30 ID:/SxWzk.o [23/33]
絹旗「浜面ってアレですよね。超使えねー」
浜面「げふぅ……」
621 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 17:31:39.33 ID:/SxWzk.o [24/33]
絹旗「何でこんなにお菓子超とっちゃうんですか」
浜面「いやー、ジャックポッドがちょうどいい具合に狙えたから思わず」
絹旗「はぁ……これ全部食べ切れませんよ」
浜面「アイテムのみんなで食えばいいじゃん」
絹旗「それはそうですけど……あ、フレンダさん、チロル超食べます?」
フレンダ「うー、ちょうだいー……」
浜面「おい、どうしたんだよその顔は……」
フレンダ「言わないで……」
浜面「もしかしてフルボッコ? されちゃった?」
フレンダ「言うなって言ってんのに結局聞かないでよ!」
浜面「よーし、んじゃ俺が敵を討ってきてやるよ。どれだ?」
フレンダ「結局、浜面が私より強いと思えないけど、あっちのやつ」
浜面「うーし、んじゃちょろっと行ってくるかー。オマエはそこでチョコむさぼってろ」
フレンダ「あむー……コーヒーヌガーうまー……」
絹旗「フレンダさんが浜面に超一方的に……どれだけ深い傷を負わされたんですか……!?」
622 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 17:48:47.91 ID:/SxWzk.o [25/33]
フレンダ「結局私の言ったとおりになったじゃん」
浜面「フルボッコにされた……花瓶みたいな女子中学生に……」
絹旗「何ですかその超面白そうな映画のタイトルみたいなキャラは……!」
浜面「どこをどうしたらC級映画になるんだよ」
絹旗「サイコサスペンス風味の愛憎劇とか超繰り広げてくれそうでたまりません」
フレンダ「結局チロルはさー、やっぱ偉大なのよねー。や、うまい棒も捨てがたいんだけど」
浜面「って増えてる!?」
フレンダ「ほら浜面ー、アンタも食いなさい」
浜面「しかも全部チョコじゃねえか! うわあ見てるだけで胸焼けしてくる……」
絹旗「浜面はもしかして超チョコ嫌いですか」
浜面「普通に食うけどさ……でもいいのか?」
絹旗「何がですか」
浜面「こういうのばっか食ってると、にきびとかできねえ?」
絹旗「――!?」
フレンダ「――!?!?」
浜面「あ、あれ……?」
絹旗「……浜面ぁ」
浜面「な、何だよそんな上目遣いに服掴んで……ぎゅおっ!?」
絹旗「ふ、ふふ、ふふふふふふ。女の子に言っていい事と悪い事があるってのを超理解してませんねこの駄犬は」
浜面「やめて万力プレイやめて圧迫骨折は嫌だあああ!」
フレンダ「結局アンタってちょっとうるさいからお口にテープでも貼ろっかー」
浜面「ちょっとフレンダさんそれ例の爆破テープですよねえええ!?」
初春「やっぱりこのガチャガチャした喧騒が癒されますーうふふー至福ー」
佐天「初春がここまでどっぷりのゲーマーだった事に驚愕を隠せません……」
625 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 19:17:00.89 ID:/SxWzk.o [26/33]
絹旗「……あ」
浜面「ん?」
絹旗「い、いえ、何でもないです」
フレンダ「何々? どーしたの?」
絹旗「だから超何でもないですから」
浜面「何か欲しいのでもあったのか?」
絹旗「あ、う……」
フレンダ「……浜面ー」
浜面「何だよ」
フレンダ「結局ここでいいとこ見せないと男が廃るわよー」
浜面「……っふ、いいだろう。プライズ荒らしの浜面と言われた俺の実力見せてやろうじゃねえか!」
フレンダ「結局あんまり自慢にならない二つ名ね、それ」
浜面「うるせえよ! んで絹旗、どれが欲しいんだ?」
絹旗「いつの間にか超勝手に私が意思無視されてますよね」
浜面「違うのか?」
絹旗「……その、端っこの」
浜面「このウサギのぬいぐるみか? っげ、デッドスポットじゃねえか……いや、これは……」
フレンダ「結局取れそうなの? 自称プライズ荒らしの浜面」
浜面「……やってやろうじゃねえか」
チャリン
626 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 19:46:32.63 ID:/SxWzk.o [27/33]
フレンダ「結局さ、アンタいくらつぎ込んだ訳?」
浜面「うるせえよ! 構造的にメチャクチャ取りにくいんだよあそこは!」
フレンダ「はいはい、結局負け犬の遠吠えにしか聞こえないわよー」
絹旗「……浜面」
浜面「んぁ?」
絹旗「……ありがとうございます」
浜面「はは、いいっていいって」
絹旗「超大事にしますから」
浜面「何だよこれくらいで大げさな」
絹旗「……」
浜面「そろそろ腹減ったなー。メシ食いに行こうぜ」
フレンダ「さんせー」
絹旗「……」
ぎゅ
641 名前:640同意 PCは規制解除されました[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 22:05:59.73 ID:/SxWzk.o [31/33]
フレンダ「ただいまー」
麦野「おかえりー」
フレンダ「あれ? 滝壺は?」
麦野「そこ」
絹旗「うわ、超アニメ見入ってます……」
滝壺「かなみん……」
浜面「あ、麦野。これおみやげ」
麦野「んー?」
ざらざらざらざらざらざら
浜面「チョコ」
麦野「」
642 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 22:25:23.48 ID:/SxWzk.o [32/33]
麦野「……はーまづらぁ」
浜面「……あれ?」
麦野「よくやった! アンタさいこー!」
浜面「」
麦野「ちょうどチョコ食べたかったのよねー」
浜面「はぁ……まあそんなに喜んでくれたならいいんだけど」
麦野「よーしよし、いい子いい子ー」
浜面「よしよしじゃねえよ! ガキか俺は」
麦野「んー……どっちかって言うとさー」
浜面「言うと?」
麦野「ペット? アンタってバカ犬っぽいし」
浜面「」
絹旗「」
フレンダ「結局どうしてこうなった」
滝壺「ぱわーどかなみん……」
648 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 23:49:29.35 ID:/SxWzk.o [33/33]
麦野「浜面ー、アンタってやればできる子だったのねー、よーしよしよし」
浜面「なあこれ何の罰ゲームなんだ?」
麦野「失礼ねー、ごほーびよー」
浜面「麦野がいつになく機嫌がいい……これはまさか天変地異の前触れか……!」
絹旗「窒素きーっく」
浜面「ごふあっ!?」
絹旗「何をニヤニヤしてますか。超きもいです」
浜面「レベル0に……能力使用は……」
絹旗「超うるさいです! 浜面は精々サンドバッグが超お似合いです!」
麦野「(ははーん、面白い事になってんじゃない……?)」
フレンダ「(結局絹旗にフラグ立てやがりましたあのチンピラ)」
麦野「(いいじゃない色恋沙汰。学生はこうじゃないと。んじゃ私も一肌脱いであげようかなっと)」
フレンダ「(……はい?)」
649 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 00:06:51.68 ID:fDtwS42o [1/19]
麦野「フレンダー、ちょっと出かけるわよー」
フレンダ「……なるほど。うぃー了解ー」
麦野「滝壺も来なさい」
滝壺「ん」
絹旗「どこに行くんですか?」
麦野「野暮用片付けてくるわ。アンタたちはお留守番」
絹旗「はい?」
麦野「多分明日まで帰らないから適当に寝なさい」
絹旗「……はい?」
麦野「んじゃねー」
バタン
絹旗「………………はい?」
650 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 00:22:31.61 ID:fDtwS42o [2/19]
滝壺「どこ行くの?」
麦野「ここもちょっと長く居座りすぎたしねー。他の隠れ家探そうと思って。今日はそっちに泊り」
フレンダ「結局でっちあげよね……」
麦野「文句ある?」
フレンダ「いいえー麦野さまー」
滝壺「きぬはたとはまづらは?」
麦野「留守番だって」
滝壺「仲間外れは可哀想」
麦野「……アンタはいい子ねー、ちょっと馬鹿っぽいけど」
滝壺「いい子なのは認めるけど、馬鹿じゃないよ?」
麦野「はいはい、チョコ食べる?」
滝壺「食べる食べる」
フレンダ「それにしても、結局珍しいのね。絹旗はともかく浜面に手を貸すような事して」
麦野「まあね、たまにはそんな日もあるでしょ」
フレンダ「そんな日ねえ……」
麦野「それにさ」
フレンダ「?」
麦野「私も少しは善人ぶりたいのよ」
フレンダ「……結局、そういう事なのね」
麦野「う、うるさいわね!」
滝壺「――麦野」
麦野「なぁに?」
滝壺「麦野も、いい子」
麦野「……そ。ありがと」
665 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 03:36:11.92 ID:fDtwS42o [9/19]
「……」
「……」
……非常に沈黙が気まずい。
表面上は平静を取り繕って雑誌を捲ったりしてはいるものの、正直なところ予想だにしていなかった麦野の行動で絹旗の思考はオーバーヒート直前だった。
何ですかこのエロ漫画的な超ご都合主義の展開は。作者出て来い超出て来い!
とあらぬ方向に視線と思考を向けて現実逃避をしているのだが、ソファの後ろでコーヒーを飲む浜面の気配やら足音やら一挙手一投足の衣擦れの音やらが脳のレジストリを削り取ってゆく。
「……」
絹旗の眼中には紙面は写っていない。
物音から想像される浜面の仕草や表情が脳内で勝手に再生されていた。
もしや遠見系の能力にでも超目覚めてしまったのでしょうか、と絹旗は頭を抱える。
「……」
今まで浜面と二人きりになる事はたびたびあった。
ただそれは大抵人の入っていない映画館の中であって、そこでは絹旗は映画に没頭できるので意識していなかったが、
(やば、これマジで超やばいです……!)
静寂に響く小さな音を耳が勝手に拾い上げる。
ほんの些細な物音にさえ過敏に反応してしまう。
そしてその物音は、浜面仕上が立てたものだ。
耐え切れなくなり目をぎゅっと瞑るが、逆効果だという事にその後で気付いた。
視覚を遮断され、余計に聴覚が鋭敏になる。浜面の心臓の音まで聞き取れてしまうのではないかと錯覚する。
目を開こうとしても、怖くてできない。
開いた瞬間目の前に浜面が立っているのではないかと想像してしまった。
その時どういう顔をしてしまうだろうか。浜面はどういう顔をしているだろうか。
絹旗は自分と浜面の他に誰もいない広い部屋の中、身動きが取れないでいた。
666 名前:こんな感じですがどないでしょう[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 03:56:20.96 ID:fDtwS42o [10/19]
コツ、というマグカップを置く音に、絹旗はびくりと身動ぎをする程度の反応で済んだ事に安堵する。
その拍子に柔らかな感触が手に触れた。
破裂しそうなほどに鳴り響いていた心臓が、少し静かになった気がした。
ゆっくりと手繰り寄せ、抱きしめる。
安っぽいけれどそれなりに大きな布の塊。
顔を埋めると柔らかな香草の匂いがした。
は、と自分の吐息が耳に響く。
優しく、けれど強く、絹旗はぬいぐるみを抱きしめる。
(はま……づら……)
何故だか涙が出そうになってきた。
閉じたまぶたを押さえるようにぬいぐるみに力を入れようとして、止まる。
「――」
かすかに開いた口から漏れる吐息が触れた部分が熱くなる。
布地をついばむように唇でかすかに甘噛みした。
668 名前:こんな感じですがどないでしょう[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 04:20:44.19 ID:fDtwS42o [11/19]
「――絹旗」
不意の声に叫びそうになったが、ぬいぐるみにしがみつくようにしてそれを堪えた。
「起きてるか?」
「――は、はい、超起きてまひゅ!」
……噛んだ。恥ずかしい。
ぬいぐるみの影から目だけ覗かせ振り向くと、浜面がこちらを見下ろしていた。
予想以上に近い距離に絹旗は面食らうが、浜面は不思議そうな顔をして、
「それ、そんなに気に入ったのか?」
平然と、そんな事を言った。
そんな浜面に絹旗は、自分だけうろたえて馬鹿らしいと思う反面こちらの気を知りもしないいつも通りの態度に憤りを感じる。
「ちょうどよかったのでクッション代わりにしていただけです」
などと口が勝手にでっち上げる。
まさか誰かを物言わぬぬいぐるみに投影していたなどと言えるはずもない。
「そか。眠いならちゃんとベッドで寝ろよー。そこは座るための場所で、寝るための場所じゃないからな」
もっともベッドのない(というかベッドルームの立ち入り許可がない)浜面はこのソファで寝ているのだが。
そんな些細な事を思い出して、絹旗はまた少し思考を削り取られる。
「超余計なお世話です。そんな事を言う暇があったら浜面は私にコーヒーでも淹れてください」
「ん? 飲むか?」
「……何で飲みかけを出すんですか」
半眼でそんな事を言えば、浜面はへいへいと適当な返事をして戸棚から絹旗のマグカップを取り出しサーバーからコーヒーを注ぐ。
「ほい、ご注文の品。寝る前なんだからカフェインはほどほどにしとけよ」
「人の事超言えないでしょう、浜面」
指が触れぬように、けれど触れてしまうかもしれないぎりぎりの距離を意識してマグカップを受け取る。
「ふぁ……」
木石はそんな絹旗の機微に気付くはずもなく、あくびをした。
669 名前:こんな感じですがどないでしょう[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 04:33:28.49 ID:fDtwS42o [12/19]
「あー……シャワー浴びてくるわ」
残ったコーヒーを一気にあおると、浜面は浴室の方へと消えた。
「……」
絹旗は暖かいコーヒーを両手で抱えるようにして持ち、少し躊躇ってから口をつけた。
「……超苦いです」
ブラックなのだから仕方がない。
テーブルの上にぶちまけられたチョコを一つ取り、口に放り込んだ。
「…………甘い」
果たしてどちらが近いだろうか、と少し考え、一体それは何についてなのかようやく思考した瞬間に絹旗はソファに倒れこんだ。
「~~~」
親の敵と言わんばかりにぬいぐるみを締め上げる。
今の自分の表情が一体どんな物なのか、絹旗は自分でも分からなかった。
ひとしきりソファの上でくねくねと悶えた後、ぴたりと動きを止め、そしてゆっくりと体を起こした。
視線を向ける。
「…………、……」
ソファに無造作に置かれたデフォルメされたウサギが絹旗を見上げていた。
684 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 16:46:23.25 ID:fDtwS42o [15/19]
「……浜面」
浴室の戸を叩いて小さい声で絹旗は呼んだ。
『ん? 絹旗?』
「……」
きゅ、と音がしてシャワーの水音が止む。
浴室ドアの曇りの向こうに見えるシルエットを視界に入れないように絹旗は俯いた。
「……浜面、今日は超ありがとうございました」
『はは、何だそれ』
狭い浴室に反響してエコーのかかった浜面の声が絹旗の脳を焼く。
不意に、何故だか泣いてしまいそうになった。
その理由は絹旗自身分からなかったが。
『オマエがそんな殊勝な事を言うのもだけど、何でわざわざここまで言いに来るんだよ』
「……」
絹旗は少し湿度の高い空気を吸い込み、
「面と向かっては超言いにくいので」
『……』
「変な映画に付き合ってもらってすみません。ゲーセンでも色々教えてくれてありがとうございました。ぬいぐるみ、取ってくれて嬉しかったです」
『……』
声が震えそうになる。喉が痙攣しそうになる。
けれど絹旗はそれを堪えて、喘ぐように空気を貪り、
「凄く……超楽しかったです」
搾り出すように、言葉を紡いだ。
687 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 17:28:25.30 ID:fDtwS42o [16/19]
『……そっか』
「はい。それだけです」
『……』
「超お邪魔しました」
そう言って踵を返した瞬間、扉越しに声がかけられた。
『絹旗!』
「……何ですか」
息が上手く吸えない。まるで喉に何かが詰まったような感覚。思わず咳き込みそうになる。
そんな絹旗の背に、浜面の言葉が降ってきた。
『また行こうな』
「――はい」
688 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 18:29:13.34 ID:fDtwS42o [17/19]
再びシャワーの水音が響き、絹旗はその場に脱力したようにへたり込んだ。
は、と重い物を吐き出すように息を吐くと、絹旗はワンピースの胸元をぎゅっと握り締めた。
(浜面……)
心臓が恐ろしい速さで脈打っているのが分かる。
ともすれば弾けてしまうのではないかと思うそれを、絹旗は鬱陶しく思う反面、紛れもない真実だとも思う。
ふと顔を上げると、脱衣所の大きな姿見に情けなく座り込む矮躯の少女が映っていた。
恨めしそうにこちらを見る少女に絹旗は嘆息する。
絹旗最愛は、一応年齢的には中学生なのだがよく小学生に間違えられる。単純に、背格好故に。
他の二人はともかくとして、対照的なスタイルの麦野には嫉妬すら覚える。
年齢差もあるのだろうが、少なくとも今鏡の向こうにいる少女は背も低く胸も薄い、貧相な体躯だった。
(浜面は……やっぱりもっとメリハリのある超女の子っぽい女の子の方が好みでしょうか)
半ば恨みのこもった視線を扉の向こうのシャワーを浴びているであろう相手に向けようとして――止まる。
「……」
無造作に脱ぎ捨てられた浜面の服にかすかに指先が触れていた。
「……」
恐る恐る触れる。まだ熱が残っているように錯覚した。
「……」
一番近くにあったシャツを手繰り寄せ――いや視界の端っこに限りなく浜面のものであろう男物の下着が見えたのだがそっちだと色々な意味で超やばいので仕方なくなどでは決してなく――
「浜面……」
絹旗は躊躇いがちに、けれど強く、それを抱き締めた。
691 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 20:37:52.81 ID:fDtwS42o [18/19]
ぬいぐるみに比べればはるかに頼りなく手応えもないそれは、かすかに汗の臭いがした。
「浜面……」
不思議と不快ではない匂いに、絹旗はつい夢想してしまう。
「浜面……」
彼に抱き締められたら、こんな匂いがするのだろうかと。
「浜面ぁ……」
そんな絹旗の思いやら行動やらをまったく知る由もなく、浜面は「ふいー、さっぱりしたー」などとやけにさっぱりした顔で上機嫌に浴室ドアを開いた。
「……」
ぎぎぃ、と油の切れた機械のような動きで絹旗は振り返る。
この時絹旗の思考は明らかに停止し、条件反射のような行動だったのは明白だった。
絹旗は浜面のシャツを胸に抱きしめ、
浜面は服を着てシャワーを浴びる趣味もなく、
そして絹旗は座り込んでいた。
「……絹旗……さん?」
眼前に、浜面がいた。
浜面がいた。
浜面。
超見慣れないというか見慣れていたらそれはそれで超嫌なんですけどとにかく普段なら超見る機会も見る期待もなく超見たくもない超眼前にあったりして超アレでナニなソレが超超超
「――――――きゅぅ」
「絹旗ぁあああ!?」
超ギリギリのラインにあった意識は止めの一撃には大きすぎるそれによって思いっきりオーバーキルされ、次の瞬間絹旗はひっくり返った。
696 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 00:03:28.69 ID:Pt.ba/oo [1/16]
「絹旗ー、大丈夫かー」
「う、うう……象さんが……超象さんが……」
「ベタな返答に申し訳ないんだけど超を付けられると少し嬉しくなってしまう俺が恥ずかしいです!」
ようやく意識を取り戻した絹旗が真っ赤になったり浜面が言い訳しようとして墓穴を掘ったり窒素パンチで吹き飛んだりとどうでもいいやり取りの後、
絹旗は浜面に背を向けていた。と言うのも。
(顔が超見れません……!)
先刻のショッキングな映像が網膜に焼きつけられた件もあるが、それ以前に絹旗の取っていた行動を浜面に見られた。
一歩間違えば犯罪というか、見方を変えればもろストーカーという事実を抜きにしても、あまりにも恥ずかしい。
表面上は不機嫌を装って浜面のせいにしているが、内心戦々恐々としていた。
「……なあ絹旗」
「な、何ですか浜面の癖にっ」
「いや、それ意味分かんねえし」
あー、うー、と少し唸ってから、浜面はばつの悪そうに視線を絹旗から逸らし、
「悪い」
「な、何がですか!」
「いやその……さっきの事。まさかオマエがまだいるとは思わなくて」
「いると思って出てきたんなら超潰してますよ!」
「ひぃ!?」
698 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 00:41:04.78 ID:Pt.ba/oo [2/16]
「……」
「……すまん」
絹旗は少し思案し、はぁとため息を吐いた。
「……別に怒ってないです。ただ、超びっくりしただけで」
心臓が超止まるかと思いましたけど、と心の中で付け加える。
「う、その……すまん、マジで。この通り」
「だから……!」
浜面の卑屈な態度に思わず言い返そうとして、思い直す。
少しだけ沈黙した後、
「…………浜面」
絹旗は、呟くように言う。
「浜面は私の事、どう思ってるんですか」
699 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 01:01:53.27 ID:Pt.ba/oo [3/16]
「………………は?」
「私だけ超意識しちゃって、馬鹿らしいです」
はぁ、と絹旗はもう一度嘆息して、
「浜面は私の事どう思ってるんですか」
もう一度、そう言った。
「どう思って、って……」
「超そのままの意味ですよ。浜面の中で私はどういう位置にいるんですか」
「……」
「答えてくれませんか」
「……何でそんな事聞くんだよ」
「決まってるじゃないですか」
絹旗は浜面に背を向けたまま言う。
「知りたいからですよ。私がどう思われてるのか」
「……」
「答えて、くれませんか」
702 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 01:30:18.90 ID:Pt.ba/oo [4/16]
「……絹旗」
「何ですか」
「怒らないか?」
「言ってみないと分かりません」
「う……そりゃそうか……」
「……言ってみてください」
「……」
少しの間浜面が、あー、うー、と唸っているのが聞こえた。
しかし絹旗は妙に冷静になって待っていた。
たとえ期待外れの答えが返ってきたとしてもいい、という諦観さえ持っていた。
何故だろう。
熱くなったり急に冷めたり。
自分の心が制御できない。
「俺は……」
そんな事を思っていても、びくりと絹旗の肩が震えた。
「絹旗の事を……」
ぎゅ、とウサギのぬいぐるみを抱く手に力が入った。
「………………妹みたいだと思ってる」
「……」
「こんなクソみたいな仕事だけどさ、オマエってそんなの関係ないみたいに絡んでくるじゃん。今日にしても、妙な映画見に行くって言って引っ張ってったりさ」
「……」
「正直凄くオマエに助けられてる。いや、他の連中がそうじゃないって訳じゃないんだけど……オマエ、何か遠慮っていうか、壁がない感じなんだよ」
「……」
「だから妙な隙ができちまうのかな。すまん」
703 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 01:43:13.43 ID:Pt.ba/oo [5/16]
「……そうですか」
絹旗はふ、と息を吐き、ゆらりと立ち上がった。
「浜面」
ぬいぐるみの耳を掴み引きずるようにして持ったまま、絹旗は浜面のすぐそばまで近付く。
「――――、――」
絹旗の唇が動き、消え入りそうな声を吐く。
「……何だって……?」
聞き取れず、思わず少し腰を落とした浜面に絹旗はもう一度言う。
「先に超謝っておきますね、すみません」
「え――」
パン! と小気味いい音が静かだった部屋に響いた。
「……寝ます。おやすみなさい」
呆然と頬を押さえる浜面を尻目に、絹旗はベッドルームへと消えた。
704 名前:会話メインになってくると逆に情景描写が薄くなる罠[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:07:51.88 ID:Pt.ba/oo [6/16]
「――絹旗!」
一瞬遅れて閉じてしまった扉に駆け寄るが、内側から鍵がかけられていた。
「絹旗! おい絹旗!」
ダンダン! と戸が叩かれる音を戸にもたれるように蹲っていた絹旗は背中に聞いていた。
「……超うるさいです。安眠妨害で訴えますよ」
「っ――」
ぴたり、と騒がしい音が止む。
「……」
「……」
少しの沈黙の後、浜面は絞るように扉の向こうに話しかける。
「……絹旗」
「何ですか」
不機嫌さを露にして返事をするものの、期待している自分が堪らなく嫌だった。
浅ましい、と絹旗は心中で毒づき、ぬいぐるみを抱き締めた。
「すまん、俺馬鹿だ」
「それは知ってますよ。浜面が超馬鹿なのはむしろ知らないと馬鹿にされるレベルです」
口が勝手に毒を吐く。
馬鹿なのは自分だ。
そんな物よりもっと他に言うべきことがあるだろう、と思うがそんな思考とは裏腹に口は勝手に動き続ける。
「浜面は人類史上超まれに見る馬鹿です。いえ、人類史上最高の馬鹿です。むしろ超誇っていいですよそれ」
「誇れるかよ、こんな馬鹿……」
「じゃあ超自責の念に駆られてますか? それならそろそろ首でも吊った方がいいですね。酸素が無駄です」
「ああ、そうだな……」
浜面も、そんな自分が堪らなく嫌だった。
けれど、
その前に言うべき事がある。
706 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:31:49.35 ID:Pt.ba/oo [7/16]
「どうしようもなく馬鹿でクソッタレのチキン野郎だよ、俺は」
「そうですね。そろそろ寝ていいですか」
「絹旗、すまん、少しだけ待ってくれ」
「……何ですか。超手短に済ませてください」
その返事に少しだけ安堵して、浜面は扉に触れる手に力をこめる。
「……俺、どうしようもなくチキンだから」
「そうですね。……で?」
「言い訳したんだよ。オマエと、自分に」
「……」
「オマエいっつも俺の事からかうじゃん。だから、今日もそうじゃないのかって」
それは私も同じです、と絹旗は小さく呟いた。
自分に言い訳してギリギリのところをふらふらとしていた。
篝火に集る羽虫のように。
飛び込むのは怖い。臆病にゆらゆらと、けれど逃げられなくて。
そんな絹旗の心中に答えるかのように、浜面は言った。
「逃げたら、ダメだよな。逃げるなんて最低だな」
ぐさりと突き刺さる。
ぬいぐるみを抱いた手に力が込められ――気付く。
とたん腕に込められた力が抜けた。
ぬいぐるみを抱き直し、絹旗は呼びかける。
「……浜面」
「何だ」
飛び込むのは怖い。焼けてしまうのが分かっているから。
けれど、もしも。
炎が優しく抱いてくれたなら。
「逃げないで、くれますか」
「――ああ」
絹旗は優しくぬいぐるみを抱きしめた。
708 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:46:31.29 ID:Pt.ba/oo [8/16]
「俺は、絹旗の事凄い可愛い女の子だと思ってる」
ああ、何てことはない。
炎は羽を焼く事もなく、ただ暖かいだけだった。
「……」
絹旗はぬいぐるみに顔を埋める。
優しい香りがした。
「……悪い、それだけ……おやすみ」
扉の向こうから気配が遠ざかる。
「……」
心臓は早鐘のように鳴り響いている。
けれど思考は不気味なほど澄んでいた。
「……」
余りの鼓動の大きさに、身動ぎした拍子に弾けてしまうのではないかと錯覚する。
そんな事を思った後で、頭を振って否定する。
怖くはない。
たった今、そう教えられた。
709 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:59:43.69 ID:Pt.ba/oo [9/16]
カチャ、という音が聞こえた気がした。
浜面はソファに座り俯いて目を瞑ったまま、ゆっくりと息を吸う。
フローリングの床がわずかに軋む音がする。
細く、長く、息を吐いた。
人の気配に目を開けると、細い足が見えた。
ゆっくりと顔を上げる。
絹旗最愛がいた。
ウサギのぬいぐるみを大事そうに抱き締め、顔を少しそれに隠して。
絹旗はウサギみたいに真っ赤な目で浜面を見ていた。
711 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 03:10:13.68 ID:Pt.ba/oo [10/16]
「……もう一度、聞いていいですか」
ああ、と浜面は目を細め。
「浜面は、私の事どう思ってますか」
頬を染めて泣き出しそうな目で見つめる少女に。
小さく震える声で、けれどはっきりと尋ねた少女に。
「好きだ」
そう答えた。
713 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 03:29:31.65 ID:Pt.ba/oo [11/16]
「俺も聞いていいか?」
浜面は訊き返す。
「絹旗は、俺の事どう思ってる?」
「そ、そんな事言わせ――」
「聞かせてくれよ」
浜面の言葉に絹旗は少し逡巡するが、小さく頷いた。
「私は――」
ぎっ、とソファが軋む音を出す。
「浜面の事――」
囁くように近付けられた頬に軽く触れると、目を閉じ、抱いたぬいぐるみを少しだけ下げた。
「――超好きです」
そんな事を言う少女にキスした。
715 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 03:55:59.63 ID:Pt.ba/oo [12/16]
「――何だよそれ」
「何がですか」
、 、
「私はって。超って」
「私の方が浜面の事超好きって意味ですよ」
「っ――このっ」
「ひゃわ――」
抱き締められ、キスされた。
(――あ)
体が密着し、気付いた。
浜面の心臓も、恐ろしいほどに大きく鳴り響いていた。
(もしかして……私に超ドキドキしてくれてるんですか)
もっと、もっと近くに。
このまま燃え尽きてしまっても構わなかった。
(浜面――)
ぬいぐるみが潰れるのも構わず、絹旗は肩に力を込めた。
719 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 04:20:44.92 ID:Pt.ba/oo [13/16]
ゆっくりと唇を離し、目を開き、ほう、と息を吐いた。
目の前には浜面の顔がある。
薄暗い照明の中、けれどはっきりと分かるほど赤くなっていた。
そんな彼を絹旗は可愛いと思ってしまう。
「――浜面」
絹旗は悪戯っぽく笑み、
「もしかして興奮しちゃってます?」
「ばっ……!」
言い返そうとした浜面だったが、言葉を呑み、別の言葉で返した。
「……悪いかよ。好きな娘とキスしたんだ。興奮するなって方が無理だろ」
目を逸らす浜面の言葉を、素直に嬉しいと感じてしまうのは何故だろうか。
浜面の言葉が、仕草が、全て愛おしい。そう思ってしまう。
その一方で絹旗は絶望を感じていた。
一度飛び込んでしまった炎は暖かく、熱く、優しく羽を焦がし、
逃げられない――
ごくり、と唾を飲み込んだのはどちらだろうか。
720 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 04:25:13.00 ID:Pt.ba/oo [14/16]
「――それじゃあ浜面」
浜面の肩を押し、絹旗は体を離す。
ぬいぐるみがぼて、と絨毯の上に落ちた。
「こんな事したら――」
ワンピースのウール地を小さく抓む。
「――もしかして超興奮しちゃいますか」
ゆっくりと、スカートを端を持ち上げてみせた。
721 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 04:38:22.29 ID:Pt.ba/oo [15/16]
____
/=======ァ^ト┐
ト=======扣z<ヽ
人二二二二式 |:.:', / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/:/:{/-|/}/}/-ヾ :l|.:.:| | よいこの皆さんこんばんはお久し振りです
|イ:i:代ナ 弋ナ Ⅶ .:| < お待たせしました我らがアイドル
/}}} Nリ __ rjノ :| | 管理人ことミサカ18413号ですよー
f爪n |jノif} }ゝ.└─┘イ:i.:|:i.:.| | と、ミサカはここぞとばかりに登場します
-={ j.{=|' ノ /イ:.i:|`r斤ー'>、:|:|八 \__________
ヽ ノ三 | jィT∨ヘ/} /\{ \
-= ヘ王│ _/V,' {」/ / {/ハ
',-ヘ! |∠、 V | |/ 〈†〉 }ノ '、
ヽ 乂 } │ {│ │ イ 〉
\__,xくl /} | | | /
∨/ ,' | └rー|
}./ | l'| │
/{」=ー -|=彡〈.| │
{>,、-==ニ 了 `| │
/((゚v゚)) | 〈| |
〈r┬== 〒===r≧| |
/::::|::::::::::: i|::::::::::: |i:::::| |
残念ながらこっから先はチンピラと超ロリのいちゃぬちゃルートなので
よいこは見ちゃダメですよ、とミサカは形ばかりの警告をします
ぶっちゃけ>>1はぴらりんーが書きたかっただけなのでオマケなんですが
ファンサービスとかおこがましい事言ってますよ
読者様に向かって超頭が高い、とミサカは頭を足蹴にします
あとオマエ私服じゃねーのかよとか細かいツッコミはなしで、とミサカは肩をすくめます
739 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 00:17:15.80 ID:FKj4Jbco [1/9]
「……絹旗」
「ど、どうかしましたか」
「それ、やってて恥ずかしくねえ?」
浜面が宙を舞った。
「こ、このタイミングで言うとか超最低ですふざけんなバカヤロー!」
「ぐ、ご、死ぬ、超死ぬ」
「死ねっ! 超死んでしまえ!」
ソファに手を付きよろよろと体を起こした浜面は、けれど立ち上がらずに絹旗の顔をじっと見たままだった。
「……なんですか」
「……」
絹旗の問いに浜面は答えず顔をそらす。
そのまま頬を掻きながらあー、うー、と唸った後、
「その……なんだ。その顔が……」
「私の顔がどうかしましたか」
「……恥ずかしがってる顔が、めちゃくちゃ可愛い」
ぼっ、と火が点いたように赤くなり、なな何を超言ってやがりますか、と言い返しそうになるが、ぎゅっとワンピースの裾を握ったまま固まった。
「絹旗」
浜面は絹旗に右手を伸ばし、
「もっと、近くで見せてくれ」
「……」
恐る恐る近付いてきた絹旗の手を取り、浜面は優しく引き寄せそのまま抱き締める。
「……キス、するぞ」
返事を待たずにそのまま口付けた。
743 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 00:56:33.07 ID:FKj4Jbco [2/9]
先ほどまでの優しく重ねるだけのものとは違い、今度は唇を啄ばまれ、軽く舌で舐められた。
絹旗はぎゅっと目を閉じ浜面の服を握り締める。
浜面の荒い鼻息が頬をくすぐる。顔が物凄く熱かった。
「ふ――」
お返しに浜面の唇を軽く食むと、頬にキスされた。
嬉しかったらしい。もう一度唇を挟むと、今度は頭の後ろに回された手に力が入った。
(もっと――やって欲しいんですか)
もう一度甘噛みしようとして軽く唇を開くと、ぞろりと舌を入れられた。
「ん――!」
驚いて目を開くと、浜面の顔がすぐそばにあった。
「――」
自分からしてきたというのに、浜面はどこか泣きそうな目をしていた。
抱き締める腕の力も心なしか弱くなっている気がした。
「――」
絹旗は目を閉じる。
体を数ミリ浜面の方に押し出す。
それから少しだけ躊躇って、舌で浜面に軽く触れた。
ぴくりと浜面の体が震える。
ゆっくりと両手に力が込められ、ちゅ、と口の中で音がした。
徐々に浜面の舌の動きが荒くなっていく。
貪るようなキスに絹旗は舌を絡めて応えた。
まるで、洋画のワンシーンのようだと思う。
決してロマンチックなものではない。粗野で乱暴なものだ。けれど。
そんな必死になって自分を求めてくる浜面が、絹旗には愛おしくて仕方がなかった。
だから絹旗は応える。舌を吸い、臼歯を舐め上げ、唇を噛んだ。キスが堪らなく心地よかった。
お互いの口の周りはきっとべとべとだろう。けれどそんな事はどうでもいい。
絹旗はただ、夢中になって浜面にキスをした。
746 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 01:31:28.14 ID:FKj4Jbco [3/9]
どれだけキスしていただろうか。
ようやく後ろに回されていた手から力が抜け、唇を離すと絹旗は自然にほうと息を吐いた。
「……浜面、超エロいです……これはもう超犯罪です」
「お、オマエだって……」
「私だって、なんですか」
浜面は絹旗を――力が抜けたのか腰を落とし真っ赤になって上目遣いに浜面を見上げる絹旗を見て。
「……犯罪級に可愛いだろうが」
その答えに絹旗はびくうっ! と肩を震わせ、「かかかっかかわかわわわ」などとうろたえるが、浜面に抱き寄せられ大人しくなった。
「あーダメ。マジ俺ダメだわ。死ぬ。絹旗が可愛すぎて死ぬ」
「……」
「絹旗、悪い。嫌だったらぶん殴ってぶっ飛ばしてくれ――止まらねえ」
最後の良心か絹旗の肩を押して体を離そうとするが、
「……浜面」
絹旗は浜面の手を軽く退ける。
そのまま自分から抱きつき、浜面の頬にキスをすると、小さく耳元で囁いた。
「――超可愛がってください」
またキスされた。
748 名前:行数稼ぎ[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 02:00:52.85 ID:FKj4Jbco [4/9]
口付けしたまま、背中に回された手が背中を優しく撫でる。
絹旗はそれに耐えるように半ば必死に浜面の舌を舐めた。
ゆっくりと背を撫でていた手がすっと脇に回される。
ぴくりと体が震えるが、絹旗は無言でキスし続けた。
恐る恐る胸に触れらた手に絹旗は、ああ、心臓の音が超ばれちゃいます、などと若干的外れな事を考える。
少し体を離し腰を浮かせる。
まるで簡単に壊れてしまう超高級なガラス細工を扱うかのような指先を絹旗はもどかしく思う。
ニットの上から撫でる浜面に絹旗は手を重ね、唇を離す。
「……すみません」
「な、何が」
うろたえる浜面には絹旗が次に言うセリフが分かっているだろう。
「……超揉みしだけるほどなくて」
自分でも言っていて悲しくなってくる。
他のアイテムの二人はともかく、少なくとも麦野ほどスタイルはよくない。
今ほど自分の体を恨めしく思った事はなかった。
「……絹旗」
「なんですか。気休めなら超いらな――」
浜面は、小さい方がいいだとか、絹旗のがいいだとか、そんな事は言わずただ。
「可愛い」
そう言って覆い被さるようにしてキスをされ、絹旗の背はソファに押し付けられた。
749 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 02:26:27.40 ID:FKj4Jbco [5/9]
「んっ――」
思わず跳ね上がった右手は浜面の左手に止められ、そのまま握られた。
「はま――ふぁ、浜面――ちょっと」
やわやわと左胸を揉む手を握り、むりやり止めると浜面はようやく唇を離した。
「……浜面」
「な、なんでしょうか」
超ビビリ顔の浜面を絹旗は半眼で睨めつけ、
「背中、超痛いです」
「あ、う、……悪い」
「浜面って優しいんだか乱暴なんだか分かりません。女の子は超優しく扱うものだって先生に習いませんでしたか?
まあ浜面は超見た目通りのおサルさんですから? これくらい超教養のある私が大目に見てあげないといけないんでしょうけど」
だあああああこんな時に何言ってやがりますか私はー! と勝手に毒を吐いてしまう口に心の中で悶えてたりするのだが。
そんな絹旗を浜面はひょいと抱き上げる。
「ひゃわ!?」
そのまま場所を入れ替えるように体を回転させ、絹旗を横抱きに浜面はソファに倒れこんだ。
「これなら痛くないか?」
「……はい」
俯くように頷いた頬にキスされた。
「……続けるぞ」
さすがに今度は答えられなかった。
750 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 02:53:00.49 ID:FKj4Jbco [6/9]
くすぐるように触れる指がもどかしくて仕方ない。
いや、優しくと言ったのは絹旗自身なのだが、これはもう半ば嫌がらせだ。
ん、と身悶えして絹旗は浜面の顔を見る。
「……もう少し強くしても超大丈夫ですよ」
その言葉のどこに反応したのか浜面はびしいっ、と硬直し、次の瞬間絹旗の腰を抱き寄せて背中から抱くと胸に触れる手に力を入れた。
だからなんでそんな超両極端なんですか! と心の中でツッコミを入れるも、首筋にかかる浜面の息を感じ――凪いだ。
多分、浜面は物凄く真剣な表情でいるだろう。
余裕なんてこれっぽっちもなく、ただただ必死に。
絹旗の胸を揉んでいる。
……超ばっかじゃねーの、と絹旗は心中で毒付き、やり場のない両手は宙を掻いた。
766 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/13(火) 00:36:06.73 ID:Xgkhooso [3/5]
「浜面」
「な、なんでせうか」
「……楽しいですか」
「うん」
至極真面目な声で返された。
強くしてもいいと言ったのに、それでもまだおっかなびっくりといった風に胸を弄られる。
絹旗は快感よりももっと別の――浜面の名誉のために補足するが、不本意なのか本位なのかはさておき多少は感じているけれど――得体の知れない喜びを感じていた。
少しだけ思案して、絹旗は思い当たる。
必死になって自分を求めてくる、少しでも気持ちよくさせようと躍起になる浜面が、絹旗には嬉しくて仕方がなかった。
「浜面――」
少し無理をして後ろを向き、キスした。
769 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/13(火) 05:42:05.90 ID:Xgkhooso [5/5]
「は、まづら」
びくり、と絹旗は身を捩じらせる。
「それ、超くすぐったいです」
右手は相変わらず胸にご執心のようだが、そろそろと動いた左手がへその上あたりを円を描くように撫でた。
「嫌か?」
卑怯だ、と絹旗は思う。
そう訊かれれば首を縦に振れるはずがない。
「……ぴぃ!?」
横に振るのも癪なので黙っていると、首筋にキスされて驚いた絹旗は悲鳴を上げた。
浜面は何度か首にキスしてから服の首周りに顔を割り入れ、鎖骨のそばに吸い付いた。
ぴりぴりと痺れるような痛みを感じる。
文句を言おうとして息を吸い、ようやく気付く。
――やられた。
「はま、浜面!?」
真っ赤になっているのが自分でも分かる。もしかしたら少し涙目になっていたかもしれない。
けれど浜面も、どこか不安そうな顔で再び尋ねる。
「……嫌か?」
「それ、超卑怯です」
ぷい、とそっぽを向いた直後、耳を噛まれた。
また悲鳴を上げそうになるが済んでのところで堪え、出口を失った声が喉の奥でくつ、と鳴いた
785 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/16(金) 22:26:38.31 ID:WPYZRuAo [4/6]
「浜面って、超エロいですね」
「うるせえ」
脇の下から伸ばされた手が胸から離れ、絹旗の顎を軽く撫でた。
その意図を察し、目を瞑り横を向く。口を塞がれ舌を入れられた。
舌の裏を舐められる慣れない感覚に背筋がぞくぞくする。体中の産毛が立った気がした。
湿った音が静かな部屋に響く中、浜面の左手がゆっくりと伸ばされ――腿を撫でた。
……あれ? と、絹旗は酔ったように靄のかかった思考の中で疑問を感じる。
そのまま手がスカートの中に入れられ足の付け根あたりに触れた時になってようやく絹旗はびくぅっ、と体を震わせる。
(展開超早すぎてついていけませんっ!?)
これでも限界まで逸る気持ちを抑えているのだが、その辺の事情は絹旗には分からない。
抗議の代わりに浜面の舌を軽く噛んだが、前歯の裏を舐められた。ずるい。
下着の上から撫でられ、絹旗はその感覚よりも羞恥に眉をひそめる。
(うーわーあー)
触られて自覚する。きっとそれは浜面も同じだろう。
下着越しにも分かるくらいに、そこは結構いい感じに湿っていた。
788 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/16(金) 23:01:13.36 ID:WPYZRuAo [5/6]
(ぎゃあああああ!?)
軽く擦るように撫でていた指に力が入れられ、思わず「んっ」、と身を捩る。
口を塞がれたまま、鼻から荒い息と共に声にならない声が漏れる。
(これ超恥ずかしいです……!?)
浜面の無自覚な羞恥プレイに辟易しながらも、体は着実に準備をする。
それがなおさら羞恥心を煽ってもはや泥沼状態になっていた。
下着の間から滑り込み直接触れた指に体を強張らせるが、ゆっくりと、自覚して力を抜いた。
少し力の入れられた指が軽く割り入れられる。その感触にまた声が漏れそうになった。
ゆっくりと、臆病なほど優しく触れる指に若干のもどかしさを感じながらも反応してしまう。
指がそこを掠める度に小さく震えるのはきっとばれているだろう。
その手に両手が添えられてようやく唇が離れる。
「ぁ――ちょっと、待って、下さい」
熱くなった息が漏れてしまうのを堪えきれずに一息吐いたあと。
「――――脱ぎます、から」
一言伝えるだけで猛烈に恥ずかしかった。
789 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/16(金) 23:31:15.25 ID:WPYZRuAo [6/6]
服脱がなきゃできないんですよね、と今さらながら思い当たる。
こちらだけ脱ぐのは不公平だと言い捨てて、絹旗は背を向けてワンピースを脱ぐ。
ってかワンピースって脱ぐ時超かっこ悪いですよね、などと思いながら。限りなく自分のせいなのだが。
キャミソールの肩紐に手をかけようとした時、冷たい指に触れられた。
「ぅひゃあっ!?」
思わず声を上げる。振り返ると浜面が物凄いビビリ顔でこちらを見ていた。
「その……手が、超冷たかったもので」
言ってから気付く。
(う……ゎ……、……)
思わず息を呑み真っ赤になるが、それはきっと向こうも同じだろう。
意を決して一歩近付くと、肩を抱かれ、キスされた。
啄ばむような、軽く唇を食むような口付け。
なぜかそれだけで落ち着いた。
「浜面って、超キス魔ですね」
うるせーよ、と言われ、またキスされた。
790 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 00:50:47.78 ID:.WYI6IMo [1/15]
ここでいいのかと尋ねられ、ここでいいですと答えた。
「ベッド使ったら超怒られそうですし」
そう苦笑するが、本当は、最初からここがよかった。
初めてキスしたのもソファの上だったし、それに。
(……ここは浜面のベッドですから)
などとは口が裂けても言えない。
キャミソールを落とし、少し逡巡したがショーツも脱いだ。
不思議とあまり恥ずかしくなかった。慣れたのだろうか、とも思うが、
(違います……)
何というか、上手く表現できないが――覚悟――のようなものができたのだろう。
自分でもよく分からないままに。
けれどきっと頭ではなく、体がそうなっている。という事はきっと。
(私は、この人に抱かれたいんですね)
超認めたくないですけど体は超正直ですね、とか思いつつ。
791 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 01:40:51.20 ID:.WYI6IMo [2/15]
ソファの上に膝立ちになりながらも、ぎゅうと首に抱きつく。
ぬ、と指が肉の間に潜り込む感覚に顔をしかめた。
内側を擦る指の動きに、次第に足の筋肉に力が入らなくなっていく。
ふーっ、ふーっ、と荒くなった息が嫌に響く。
その上なんだか、湿った音が聞こえてきた。
喉が鳴るのを抑えきれず、しがみついた背に爪を立ててしまった。
しまったと思うが、けれどおあいこだろうと思い直す。
その矢先首筋を吸われ、ずるい、と肩に少し強く噛み付いてやる。
仕返しと言わんばかりに指の動きが大きくなる。墓穴を掘ったかもしれない。
小憎たらしいと思いつつ、それでもなお、圧倒的な愛おしさを感じる。
……多分、だけれど。
「――浜面」
なんだ、と問い返してきた口を塞ぎ、絹旗はどうしようもなく苦笑する。
「たぶんもう、超大丈夫ですから」
本当に、自分の体が嫌になる。
792 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 01:56:34.27 ID:.WYI6IMo [3/15]
知識だけで具体的な事は何一つ知らないけれど、体はどこをどうすればいいのか分かっていた。
力の入れ方なんてものは誰も教えてくれないし、教わる事もできない。
ゆっくりと、腰を下ろす。一度、二度と失敗するが三度目は大丈夫だった。
本当に入るのだろうかと不安にもなるが、なんて事はない、以外にもすんなりと入った。
まあ当然のように予想通り以上の痛みがあるのだけれど、どこか他人事のようにそれを感じていた。
そんなものよりも圧倒的な感情が支配していた。
「……大丈夫か」
顔をしかめる絹旗に、不安そうに尋ねる。
けれど。
「浜面」
目尻に浮いた涙の理由はいくつもあったが、精一杯の笑顔を浮かべた。
「これ、超やばいです」
「え、あ、やっぱり――」
「そうじゃなくてですね」
絹旗は、額に口付けする。
「ダメですね――私、超幸せすぎてどうにかなっちゃいそうです」
795 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 02:12:17.06 ID:.WYI6IMo [4/15]
「だからそんな顔しないでください」
直後、顔が見えなくなった。
体を優しく締め付ける腕の暖かさが心地よい。
「超難しく考えないでいいんですよ。そんな事ができるほど器用でもないでしょう?」
なんて事を言いつつも絹旗の心中は今まで感じた事がないほどの感情の嵐がぐちゃぐちゃになって吹き荒れているのだが、
その中心部は何故だか綺麗に凪いでいた。
「浜面が私の事を好きだって言うなら」
絹旗は、耳に小さく囁く。
「浜面は浜面なりに、超愛してください」
こういうのを殺し文句というのだろうか、と思う。
同時に、これじゃまるで超自殺するようなものですね、と思った。
797 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 02:45:46.89 ID:.WYI6IMo [5/15]
とは言うものの、結構痛いのだけど。
堪えるように肩にしがみつく。ずぐずぐとした痛みが苛んだ。
何せ内臓に直接触れられているのだ。だのに不思議なもので、体は着実に慣れつつあった。
(なんか、超悔しいです)
そう思ったからなのか、痛みとそれ以外の何かとに耐えるように、無自覚に肩に噛み付いていた。
ぷつ、という感触と共に舌先にぴりりと鉄の味がする。
(あ――)
一瞬浜面の体が震えるが、しかし彼は何も言わず、突き上げた。
ぐぬ、と一番奥に触れられて息が詰まる。
「――は」
ぐちぐちと、なんだか妙に生々しい水音と妙に空々しい肉の音が重なる。
「浜面――」
赤いものが滲むそこに舌を伸ばし、舐める。
「浜面――」
辛い錆の味を舌の上で転がし、嚥下した。
798 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 03:10:32.72 ID:.WYI6IMo [6/15]
耳元でごうごうと荒い息が聞こえる。
気になった。一体どういう顔をしているのだろう。
少しだけ力を入れて体を起こしてみた。
「――」
ああ、なんて事はない。
目を瞑り、荒い息を吐く顔は、必死だった。
本当に他の事は考えていないのだろう。
まっすぐ
脇目も振らず、ただ愚直に。
「――、――」
何故だろうかと自問しても答えは出ないけれど。
……うん、分かる。分かってしまう。
「――」
力の入らないはずの足は、言う事を聞いてくれた。
799 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 03:13:58.98 ID:.WYI6IMo [7/15]
「ん――」
タイミングを合わせる。
「ふ――」
まるで最初からそうだったように。
「く――」
かちりと、歯車が噛みあった気がした。
「っ――」
もう、考えるのは止めた。
「好き――」
半ば機械的に、けれど衝動的に。
「好き――」
叫ぶように。
「浜面――」
吼えるように。
「好き――!」
動く。
800 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 03:31:32.26 ID:.WYI6IMo [8/15]
他の余分な部分はいらない。
苦痛とか葛藤とか躊躇とか羞恥とか、何もかも全部どうでもいいとかなぐり捨てた。
貪るように口を吸う。
このまま溶けてしまいたいとさえ思う。
ぐちゃぐちゃになって混ざってしまいたいとさえ思ってしまう。
肉と心がどうしようもなく気持ちよかった。
けれど肺が苦しくなって、ようやく口を離す。
喘ぐように、喘ぎながら息を吸う。
名前を呼んだ。
名前を呼ばれた。
たったそれだけなのにどうしようもなく震えてしまって、このまま死んでしまうのではとさえ思う。
たとえそうだとしても構わない。
背に回した手で抱き締める。
他に何もない、絹旗最愛という非力な少女の全身全霊を込めて。
力を込めすぎて、自分の体が内から爆ぜてしまうかと思った。
801 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 04:11:02.61 ID:.WYI6IMo [9/15]
「――――浜面」
首筋に抱きついたまま、熱い息を飲み込む。
それから精一杯の虚勢を込めて、顔を見ずに絹旗は言った。
「本っっっ当に何も考えずに超中で出しましたね」
背を撫でていた手がびしぃっ! と固まった。
「………………絹旗サン?」
「そんなに超慌てなくても大丈夫ですよ……多分」
本当はよく知らないけれど、なんとなくそう思った。
まったくコイツ、本当に超馬鹿ですねと心中で呟き、溜め息を吐く。
「ほんと、なんであなたみたいな考えなしを好きになっちゃったんでしょうね。超意味不明です」
そう言ってもう一度嘆息した。
「……なあ絹旗」
そんな絹旗に浜面は。
「俺、オマエのどこが好きか分からねえけど、それに理由とか要らない気がするんだ」
なんて事を妙に真面目な顔で言いやがった。
その言葉に絹旗は呆気に取られたような顔をして、それからばーかと吐き捨てた。
「本当に浜面は馬鹿ですね。人類に分類されるのかすら危ういほどの超馬鹿です。同じ霊長類として超恥ずかしいです」
ぐ、と顔をしかめる浜面に、しかし絹旗は続ける。
「でもその馬鹿なところ、超嫌いじゃないです」
そう薄く微笑んで、口付けした。
802 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 04:36:20.81 ID:.WYI6IMo [10/15]
「ただいま――」
「おーい絹旗ー、帰ったわよ――」
「むぎの」
「何よ」
「しー……」
「……あらまあ」
「何よコイツら。結局上手くいっちゃったの?」
「面白くない?」
「んーん、べっつにー。結局、もう少し娯楽を提供してくれてもいいと思った訳」
「あーあ、仲良さそうに手繋いじゃってさー」
「なかよしが一番」
「無防備にも程があるわよ。ウチらの本業忘れてんじゃないの?」
「しっかし、結局二人とも馬鹿な寝顔並べちゃって」
「別に、いいと思う」
「へえ?」
「おにあい」
803 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 04:38:11.32 ID:.WYI6IMo [11/15]
"Cowardly Heart to Your Offensively Arms"is over.
811 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 21:07:39.01 ID:.WYI6IMo [13/15]
「……浜面。ひとつ聞いていいですか」
「なんでせう」
「超珍しく浜面からデートに誘ってくれたので、私恥ずかしながら超テンション上がってたんですよ」
「はひ」
「デートコースもおバカな浜面にしてはよくできましたと褒めてあげます。ディナーまで取ってるのは超意外でしたけど」
「た、たまには俺もやればできるんですよ」
「でもその時に気付くべきでしたね……しっかり身分証明書準備しておいてワインとか超注文したあたりで」
「き、絹旗さん……」
「その後なんで私気付いたら超ナチュラルにラブホ連れ込まれてるんですか!?」
815 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 23:24:45.85 ID:.WYI6IMo [14/15]
「これ未成年者略取ですよ! 超犯罪ですよ!?」
「犯罪とか今さら俺らが言っても仕方ないと思うんだが……」
「超うるせーです! それとこれとは話が別です!!」
「絹旗」
「なんですか、言い訳は――」
「」
「――駄目か?」
「……こんな不意打ちみたいな事しなくても普通に言えばいいんですよ」
「悪い――いいか?」
「ダメです。すとーっぷ」
「う」
「……」
「な、なんでございましょ」
「その……ですね」
「はひ」
「も……もう一度キスしてくれたらいいですよ」
「……絹旗」
「なんですかその顔はー!?」
「超可愛い」
「何をそんな超分かりきった事を――」
「」
816 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 23:36:28.77 ID:.WYI6IMo [15/15]
____
/=======ァ^ト┐
ト=======扣z<ヽ
人二二二二式 |:.:', / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/:/:{/-|/}/}/-ヾ :l|.:.:| | 皆様大変お待たせしました
|イ:i:代ナ 弋ナ Ⅶ .:| < ここで再び歌って踊れる電脳アイドル
/}}} Nリ __ rjノ :| | ドラゴンちゃんことミサカ18413号ですよー
f爪n |jノif} }ゝ.└─┘イ:i.:|:i.:.| | と、ミサカは出番を見つけては何度も登場します
-={ j.{=|' ノ /イ:.i:|`r斤ー'>、:|:|八 \__________
ヽ ノ三 | jィT∨ヘ/} /\{ \
-= ヘ王│ _/V,' {」/ / {/ハ
',-ヘ! |∠、 V | |/ 〈†〉 }ノ '、
ヽ 乂 } │ {│ │ イ 〉
\__,xくl /} | | | /
∨/ ,' | └rー|
}./ | l'| │
/{」=ー -|=彡〈.| │
{>,、-==ニ 了 `| │
/((゚v゚)) | 〈| |
〈r┬== 〒===r≧| |
/::::|::::::::::: i|::::::::::: |i:::::| |
やっぱりまたR-18のよい子はみちゃだめよーなルートなので注意勧告ついでに。
本編に移る前に>>1から伝言を与っております、とミサカは超めんどくせーのですが原稿を読み上げます。
「正直すまんかった。エロ分多めにするから簡便な。エロくなくてもごめんな」
以上です。ちょっと反省しているようなので大目に見てあげてください、とミサカは辟易しつつも与えられた仕事をこなします。
本気出すとか言ってますけど所詮駄文書きなのであんまり期待しないでください。
らぶらぶえっちな方向で行くんでソフトSMとか鬼畜ルートとか期待した人は残念でした。
でも>>1が言葉攻めとか超ツボとか言ってるんで多分恐らく限りなくそんな感じになるかと、とミサカは予測を立てます。
地の文多すぎると疲れるからセリフ多めでお送りします。
それではどうぞー、とミサカは袖に引っ込みます。
ところでミサカと白兎のいちゃぬちゃはまだですか、といそいそと服を脱ぎだします。
817 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 00:11:29.57 ID:DoJcuigo [1/11]
「……」
シャワーの音が止んでから随分と経つのに、一向に絹旗が姿を見せない。
お預けを食らった浜面はベッドに一人腰掛け、バスルームの方を凝視していた。
(……一緒に入るとかいう展開はなしですか)
正直ちょっぴり期待してはいたのだけれど、絹旗が真っ赤になって全力で拒否したので引き下がらざるを得なかった。
強引についていけばあるいは、とも思うが例の窒素パンチで吹っ飛ばされるのとよくて五分五分。
ラブホテルから病院送りになるのだけはさすがに勘弁願いたい。
「……」
しかし絹旗は未だ姿を現さない。
もしかして風呂場で上せてたりするんじゃないか、とか悪い予感がよぎるものの、がさごそと微妙に物音がするのでその線はなさそうだ。
「っつーかラブホで普通に風呂入るかって」
思わずセルフツッコミを入れる。
猛烈な虚しさに襲われた。死にたい。
818 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 00:21:21.78 ID:DoJcuigo [2/11]
重苦しい無音に耐え切れず布団の上でごろごろと悶えていると、いつの間にかベッドの脇に絹旗が座り込んでいた。
「何やってるんですか浜面。超キショいですよ。小さい子が見たらホラー映画張りに超泣き叫んで一生PTSDに超苛まれるレベルで」
かく言う絹旗も実用性重視の特大サイズベッドの端からちょこんと顔を覗かせている姿は浜面の視線からは首だけが突き出しているようにも見えるのだが、
浜面にはそこには触れず――そこに触れる余裕もなく顔をびしぃっ!と硬直させた。
「き、絹旗さん」
「……なんですか」
「なんか凄く面白おかしいものが頭についてるんですがそれは一体どういう秘密兵器でしょうか」
その言葉に絹旗は若干顔を引きつらせるが、思いなおし半眼で流し目を作る。
「決まってるでしょう――浜面を超悩殺するための秘密兵器ですよ」
などと言ってはみるが、絹旗自身もわりと、結構、かなり恥ずかしかったりする諸刃の剣なのだが。
意を決して立ち上がる。
「…………絹旗」
「こ、こんなん出ましたけどー……」
いつかのゲーセンで取ったぬいぐるみをひょこひょこと動かして、
「今晩のご指名はどっちのバニーちゃんですか……?」
鼻血が出そうになるのを何とか気合いで堪えた。
819 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 01:01:33.77 ID:DoJcuigo [3/11]
「カミサマありがとう、本当にありがとう……生きててよかったあああ!!」
「その喜び方に超ドン引きなんですが」
まあ想定はしてたけど、と絹旗ははぁ、と溜め息を吐く。
「遊びに行くってのにやけに大きな荷物だと思ったら……そんなもん入れてたのか」
「そんなもんとはなんですか」
顔をしかめる絹旗に、浜面はふと浮かんだ疑問を投げかける。
「あれ……? って事は最初からこのつもりだったのか……?」
直後、べごおっ!とベッドが立ててはいけない音で悲鳴を上げた。
「絹旗、毎度毎度思うんだが照れ隠しにしてもそれ軽く致命傷を飛び越えて即死クラスだから! 頼むから彼女に殺されるとか嫌な感じの人生の幕引きはさせないでくれよ!?」
「だったら言動に気を使ったらどうですかっ! 浜面のは挑発してるようにしか超聞こえません!」
真っ赤になって叫ぶ絹旗に浜面は首を傾げ、
「じゃあどんな事を言って欲しいんだ?」
なんて事をニヤニヤしながら言ってきやがった。
「……浜面、あまり調子に乗らないでくださいよ。それくらい自分で超考えてください」
ぷい、と顔を背けるが、直後に抱き寄せられて顔を覗きこまれる。
すっと近付けられる顔にどきりとするが、目を瞑った。
けれど、期待していた感覚はない。
もしかして超フェイントですか、と思った矢先、耳に熱い息が掛かった。
「――可愛い」
そう囁かれて、絹旗はどうしようもなくなってしまう。
820 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 01:28:38.58 ID:DoJcuigo [4/11]
「浜面って超おっぱい星人ですよね……もしかしてロリコンだったりしますか?」
伸縮性のいい合成繊維の上から触れる野暮ったい指がやわやわと刺激する。
微妙にコンプレックスだったりするささやかな膨らみを浜面は飽きもせず揉んでいた。
「男ってのは総じておっぱい星人なんです。つかおっぱい嫌いな男なんていねー」
そんな事をいいながら、きゅ、と摘み上げる。
ん、と思わず声が漏れた。
「気持ちいい?」
「…………ちみっと」
我ながらいい感じに開発されつつあるなー、と絹旗は思う。
体は確実に『女』として変化しているし、こういう問いにも恥ずかしがりつつも正直に答える。
(……あれ?)
少し違うかもしれない。
浜面は絹旗を気持ちよくしようとして、絹旗の体がそれに応えようとしている。
それはつまり。
(うーわーあー)
羞恥心が頂天に達するが、そこから一気に静かになる。
……要は素直に感じればいいのだ、と今さらながら当然の事に思い当たる。
「浜面」
頬に軽くキスする。
「もっと、超気持ちよくしてください」
自殺行為かもしれないと思いつつ、けれどそれはそれでいいかと思い直した。
822 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 02:04:02.15 ID:DoJcuigo [5/11]
耳を澄ます時、目を瞑る。視覚というのは思う以上に脳に負担をかけている。
人の五感の中で最も占める割合が大きいのが視覚だ。
それを意図的にシャットアウトしてやれば、自然と他の感覚の領域は増す。
つまりどういう事かと言うと。
(うわ、うわー……うわー!)
目を瞑った瞬間、自分がいかに凄い事になっているか気付く。
ぐにぐにと布地の上から弄られるが、なにやら既に超やらしい音を立てているし。
触覚も鋭敏になり、まるで体中が性感帯になったようだった。
触れられている部分はもちろん、吐息どころか動いた時にかすかに起きる空気の流れにすら敏感に反応する。
ぐちゅぐちゅと粘液質な音を立てる口内からは自分のものとは違う、かすかに甘いようなものを感じる。
そして何より、今までまったく自覚していなかったが――浜面の汗の臭いと、それとは別のどうにも生臭いものに嗅覚が反応する。
(や、ば……)
瞬間、一杯になった体の奥からどろりと何かが溢れた。
「――――っ」
なんか明らかに粘っこい音が下の方から聞こえてきた。
ふつふつと荒い鼻息をしているのが嫌が応にも分かってしまう。
「――っは、じゅく、んむ」
口内の粘膜を擦られて、それだけで達してしまいそうになる。
もっと、とねだるように舌を吸ったところで、絹旗は今までと違う感覚に違和感を感じる。
ぷつ、と何かが切れるような――
そう思った瞬間、半ば強引に服と肌の間に滑り込んだ指が、ぬるりと入ってきた。
823 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 02:33:52.84 ID:DoJcuigo [6/11]
ぬちぬちと、妙に響く水音が聞こえる。
指の動きに体は素直に反応してしまう。腰と足とが自分の意思とは関係なく悶える。
ぷは、と水面から顔を出したように息継ぎして、絹旗は声を上げた。
「超破りやがりましたねコイツは!? タイツって結構高いんですよ!?」
その言葉に浜面は普段なら気圧されるはずだったが、今日は違った。
「――絹旗」
「なんですか」
「脱がせるなんて、とんでもないッ!」
断言された。
「あえてバニーだけに限定しないが……コスプレえっちする時に脱がすとかありえねえ! なんのためのコスプレだよ!」
「は、浜面……?」
「最低でも半脱ぎ! タイツを破らずにヤれるかあああっ!!」
熱弁するが、絹旗はドン引きだった。
でもまあ持ちかけたのは自分なのだし、まあいっかと思ってしまう。
胸の部分もずり下ろされ、そこにキスされた。
「あ――やっ――!」
先端を舌で転がされ、甘く歯を立てられた。
喉がきゅうっと高い音を立て鳴る。堪らず浜面の頭に両手が伸びる。くしゃりと硬い髪が音を立てた。
「ん、はふ……っくぅ……」
分かりやすいところを二箇所同時に攻められ肺が言う事を聞かなくなった。
必死に留めようとするがどうしても口の端から吐息と共に声が漏れてしまう。
浜面の立てる音と、絹旗の立てる音が混ざり合ってもはやどちらのものなのか分からなくなってしまう。
そこでようやく、思い出したように親指にぐり、と抉られた。
「ゃ、ゎ、――――ぅ!」
歯を食いしばって、びくんと体が一度大きく跳ねるだけに押し留めた。
828 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 17:14:03.43 ID:DoJcuigo [8/11]
「……絹旗」
恨みの篭った視線を向けられ浜面は少し驚く。
「もしかして……イっちゃった?」
ぺし、と頭に軽くチョップを入れられた。聞くなという事らしい。
指を引き抜かれ絹旗はまたぴくりと身悶える。
キスしようとする浜面の顔を押し止めて、絹旗はぽつりと零した。
「……私だけされて超ずるいです」
はい? と聞き返そうとした浜面は思い切り突き飛ばされてひっくり返った。
「……」
馬乗りになられ浜面は慌てるが――若干の期待は隠せないでいた。
く、と体を捻って絹旗は背を向ける。
「ちょちょ、絹旗さん?」
かちゃかちゃと金具の擦れる音がする。
「……超特別ですからね」
何が、と言い返そうとするが浜面は、期待通りの感覚に思わず息を呑んだ。
830 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 18:49:47.72 ID:DoJcuigo [9/11]
改めて、よくもまあこんなものが体の中に入るものだと絹旗は思う。
元からそういう風にできているとはいえ、人体の神秘恐るべし。
ちゅ、と口付ける。
(えと……こんな感じでいいんですかね……)
口の中に唾を溜め、舌を充分に濡らしてから這わせる。
ぴちゃぴちゃと猫がミルクを舐めるような音が響く。
「ん……ちゅ、れる……」
「き、ぬはた」
呼ばれたが黙殺した。
ぺろ、と濡らし舌だけでなく唇も絡める。動きだけはなんとなく分かっていた。
(……超複雑ですけど)
気持ちよくなれる口の動きは散々してきた。ただそれをする対象が変わっただけだ。
「くちゅ、じゅ、んふ……あむ……」
グロテスクとは思うが、素直にぴくりと跳ねるそれを少し可愛らしくも思う。
その反応が嬉しくて夢中になっていた。
少し大きく息をすると、吐息に驚いたのか大きく痙攣した。
「……浜面」
「な、んでしょう」
「気持ちいいですか?」
熱に浮かされたように、何故こんな事を聞いているのかすらも考えもせずに絹旗は尋ねる。
「……ああ」
「ふふ、超素直でいいですよ……ごほーびにもっと気持ちよくしてあげますから」
「え――」
返事を待たず、ずる、と咥えた。
839 名前:若干直接的な表現が増えてくる。ってか書き込もうとしたら消えやがった……orz[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 23:15:23.07 ID:DoJcuigo [10/11]
歯を当てないように気をつけながら、舌で舐めた。
「ん、ぐ……んむ、じゅる……くちゅ、ぷ……」
口で気持ちよくさせるやり方はいやと言うほど分かっている。ただ、今回はその相手が違うだけで。
絡めるように舌をぐりぐりと動かしながら絹旗は音が立つのも構わずに吸い上げた。
ふーっ、ふーっ、と荒くなった鼻息と、ぐちゅぐちゅと口の中で生々しい音が響くがもはや絹旗の耳には入っていない。
「絹旗、それ、やばい」
などと少し間抜けな声で言われ、思わず嬉しくなってしまう。
ちゅぽ、と軽い音を立てて口から引き抜くと、唾液でぬめったそこを両手で握る。
「えへへ……浜面、超気持ちよさそうです……」
多分、浜面も同じような感じだったのだろう。少しの征服感と、相手に喜んでもらえた事による満足感。
ぬちぬちと嫌らしい音を立てている先端に軽くキスして、もう一度咥え込む。
喉の奥まで飲み込んでしまい咳き込みそうになるが、なんとか堪えた。
「ぐじゅ……ずぞ、ぞ……」
吸い上げるようにして飲み込み、そのままゆっくりと首の力だけで引き抜いていく。
ぎりぎりまで抜いて、また沈める。
「じゅちゅ、ぐ、ちゅぶ……ぷ、はぶ……ん、ふぁ」
頭の片隅で警告が鳴っている気がする。
ぐぽぐぽと下品な音がするが、それを理解するだけの余裕がなかった。
どうにかして神経がおかしな感じで繋がってしまっているような気さえする。
唇と舌と、それから頬を使って刮ぐように擦る。
ともすれば息をするのを忘れそうになるほどに絹旗は一心に舐め上げていた。
だからだろうか。浜面の声に反応できなかったのは。
「絹旗……っ、やば、い……」
けれど、声には反応しなかったが浜面が思わず動かした手が脇腹を掠めるように撫で、思わずびくんと身動ぎした。
それが引き金になったのか。びくりと浜面が一度大きく跳ね、絹旗の口の中に熱いものが吐き出された。
840 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 23:51:43.38 ID:DoJcuigo [11/11]
「んぐ、っ――!?」
「す、すまん絹旗!」
急に正体を取り戻して絹旗は慌てるが、それ以上に慌てる浜面を見てなんだかなあ、と醒めてしまった。
「え、えと、ティッシュ! ティッシュに吐き出して……ってねえし!? 普通枕元にあるもんじゃねえの!? どこだどこだあああ!!」
どたんばたんと騒々しい浜面を見て絹旗は、ふ、と嘆息して――鼻の奥から入ってきた臭いに咽そうになった。
「お、おい、大丈夫か……?」
恐る恐る尋ねる浜面を無視して、少しだけ気合いを入れて、嚥下した。
「――うぇ、やっぱコレ超噂通りの味です」
「何も飲まなくたって……」
「浜面がどたばたしてるから超仕方なくですよ」
適当に理由を付けたけれど、本当のところは何故そうしようとしたのか絹旗にも分からない。
あえて言うのなら――何か、もったいない気がしたというか――
「ぶ、げほっ、!?」
平気でそんな事を思いつく自分の思考回路に思わず咳き込んだ。
「そんなに不味いのか……」
「あえて表現するなら超苦じょっぱい卵白ですかね? あと超臭い上に喉に引っかかるので息したくなくなります」
若干的外れな問いかけに、少しだけ誇張して脅かしてやる。別にそこまで酷いとは思わなかったけれど。
まだ口の中に味がする。唾液で濡らした舌で歯の裏と、ついでにべとべとになった手を舐めていると。
「……浜面」
絹旗は眉をひそめた
「本当に超節操なしですね」
「う、すみません」
と口で言うものの、それだけ自分に興奮してくれているという事でもあるので――
「はーまづらぁ」
ニヤリと猫のように笑う絹旗に浜面はびくっと怯えるように体を震わせた。
841 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 01:16:55.16 ID:WkzCiqEo [1/15]
「ふふ、ふふふふふ、超単純な力勝負で無能力者の浜面が私に勝てるわけないでしょう」
「これすっげえ屈辱的なんですけど! でもなんか新しい感覚に目覚めそう! 不思議!」
腹を能力で適当に押さえつけて馬乗りになった絹旗はそんな事を言う浜面に少し嫌そうな顔をした。
「脱がない方がいいんでしたっけ……?」
タイツの穴を広げ、結構凄い事になっている布地を横にずらし――うわー、なんか超音が聞こえた気がします。
ぬるぬるとそこを擦り付けると、浜面が震えた。
「もしかして浜面、超興奮してます? やっぱり浜面って超変態ですね」
「変態で結構! だって絹旗可愛いし!」
末期だなあ、と絹旗は目を逸らす。浜面も、自分も。
「素直だから特別に超サービスしてあげます……」
手を添えて、ゆっくりと腰を落とす。
「ん……く、ふぅ……」
ずるずると異物の挿入される感覚。最初のこれだけはいつまで経っても慣れない。
「……は、ぁ」
肺から押し出されるように息を吐いた後、く、と腰を引いた。
分かりやすい快感と、けれどどこか喪失感が苛む。
それを埋めようとするかのようにまた腰を落とした。
「絹旗……っ」
「駄目、ですよ……んっ、浜面は超大人しくしててください」
少しずつこなれてきたそこに意識して力を入れる。
「ぐ……」
小さく呻く浜面の顔がなんだか妙に可愛らしくて、絹旗はどうしようもなくなる。
ばづ、ぱつん、という肉が肉を叩く音が部屋に響く。
842 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 02:03:45.58 ID:WkzCiqEo [2/15]
必要以上に利くベッドのスプリングを利用して体を跳ねさせる。
ぐじゃぐじゃと激しい音を立てる粘液はその動きに泡まで立てていた。
けれどそれに対して絹旗は何か思考する余裕すらなかった。
「あ、ふ、……くっ、ん、きゅぁ、っは……」
もう自分の喉から漏れているのが息なのか嬌声なのかすら認識できない。
絹旗には、体の感覚と今自分が圧し掛かっている浜面の顔しか見えていなかった。
それが何を示すかと言えば。
無論、そんな状態で能力を維持できるはずもなく。
ずぐん、と下から突き上げられて絹旗は息を詰まらせる。
「っ――か、は――」
「絹旗……あんまり俺をナメてんじゃねえぞ」
ぱくぱくと丘に打ち上げられた魚のように口を開閉させる絹旗に浜面は続ける。
「いくら大能力者っつったって演算できなきゃ同じだろうが! むしろ素の筋力では俺の方が上っ、オマエに負けるはずがねえ!」
「な、浜面のクセに、超生意気でづぁっ」
ぎしっ、とベッドを軋ませ、また腰を打ちつけられる。
「わた、私が、浜面を、んくっ、気持ちよく、させてあげ、ひゃふっ」
「さすがにヤられっぱなしってのも男の沽券に関わるんだよっ! それにっ!」
ごり、と裏側を擦られて思わず腰が震えた。
「絹旗の弱点は熟知しているっ!!」
「ひ、卑怯ですんはぁっ!?」
と虚勢を張るが、なぜか猛烈に嬉しかった。
じゅ、と自分でも分かるほど、何かが溢れる感覚がある。
少したじろいだところを容赦なく攻められ、絹旗はバランスを崩した。
845 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 02:33:40.16 ID:WkzCiqEo [3/15]
倒れなかったのが一瞬何故か分からなかった。
(あ――)
絹旗が体を支えようと思わず前に突き出した手が、握られていた。
(――暖かい)
何の打ち合わせもしていないのに、二人は自然に指を絡ませる。
それを支えにして絹旗は体を浮かせた。
「は、まづら、浜面、浜面ぁっ……!」
他に何も考えられず、絹旗はぎしぎしとベッドを軋ませる。
もしかしたら泣いているかもしれない。みっともなく涙を流しているかもしれない。
けれどそんな事は、どうだっていい。
何か心の中の大事な部分が壊れた気がした。
「浜面――!」
他に感情を型取る言葉が見つからなくて、それでも絹旗は迷わず叫ぶようにして言う。
「好き、浜面、大好き、です、っふ、あぐ、ん、好き、好きぃ……っ!」
熱に浮かされたように、うわ言のように、他に形容する言葉が分からずにひたすらに。
陳腐なと思うけれど、他の言葉が分からなかった。
「っは、ぅやっ、は、はま、えふっ、好き、大好き、超好きです――!」
もしかすると言う度に達しているのかもしれない。少なくとも心は何度も何度も飽きることなく跳ね続けている。
「あ、あああ、す、き、っあ、ふううっ!」
びくんびくんと体が意思とは関係なく跳ねる。
そこに、何を思ったのか、浜面は強引に体を起こし、腕を引き寄せ――
手の甲にキスをした。
それと同時に、ごり、となんだか嫌な感じに抉られて、
「ぁ、ゎ、あああ、っくあああああ――!」
絹旗の目の前が真っ白になった。
847 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 02:53:38.06 ID:WkzCiqEo [4/15]
さすがにコスプレしたまま寝る趣味はないので脱ぎましたが。
「き……絹旗さん……?」
浜面は恐る恐る尋ね――いや、ぶっすー、と不機嫌さを隠そうともせず寝転がって枕を抱える絹旗にご機嫌を窺う必要などないのは明白なのだが。
「いくら超念願のバニーさんだからって容赦なさすぎです。浜面がああまで超鬼畜だとは思いませんでした」
「あ、あれはオマエが能力まで使うから……!」
「うるせーです。浜面はもちょっとそこで超猛省してなさい」
にべもなく切って捨て、絹旗は枕に顔を埋める。
……実際のところ、真っ赤になっているであろう顔を見せるのが超恥ずかしいだけなのだが。
さすがに自分があそこまでぶっ飛んでしまうとは思っていなかったのだが、まあたまにはありかなーとか思ってみたりもする。
そこまで考えて、また浜面の都合のいいように考えさせられているのだろうかと顔を赤くする。
「絹旗」
露になっている背を吸われ、絹旗は肩をぴくりと震わせる。マーキングされているようで腹も立つが、それはそれで少し嬉しくもある。
「ごめんな、可愛かった」
そう優しく覆い被さられ、絹旗はまた卑怯だと思う。そんな事をされたら是が非でも許さざるを得ないではないか。
「……浜面」
体を捩り、絹旗は胸元に仕返ししてやった。
「ぎゅってしててくださいね――寂しいと超死んじゃいますから」
多分これ、比喩じゃないだろうなあなどと心の中で一人ごちながら、絹旗は目を閉じた。
絹旗「大学生二枚」
浜面「」
絹旗「どうしたんですか浜面。顔が超凄いですよ」
浜面「その言い方だと俺の顔が超イケメンになったか超月面になったか微妙なところだけどどっちかって言うと後者ですよね!」
絹旗「浜面って超イケメンですよね」
浜面「心にもない事をありがとう!」
絹旗「んっふふー」
浜面「……なあ、ところでさ」
絹旗「何ですか」
浜面「これって、普通の恋愛映画だよな」
絹旗「そうですよー。超普通の超甘酸っぱい超学園物のですよ」
浜面「ああ、俺オマエこういう普通のも観るんだって思ったよ」
絹旗「B級C級の方が超好きですけどアカデミー賞やゴールデングローブ賞を取るようなのもちゃんと観ますよ」
浜面「ああ、ついさっきまでそう思ってたんだけどさ……」
浜面「どうして超普通の超甘酸っぱい超学園物の超恋愛映画がR-18なんだよ!?」
584 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:20:48.31 ID:/SxWzk.o [7/33]
絹旗「何のために浜面を誘ったと思ってるんですか」
浜面「ああそうだな俺ってそれくらいしか役に立たないもんな!」
絹旗「まあいいじゃないですか。前評判は中々だったから浜面でも普通に超楽しめると思いますよ」
浜面「前評判が良かったからといってオマエは男と一緒に十八禁映画を観に来るのか!?」
絹旗「浜面って超細かいですね。女の子にモテないでしょう」
浜面「超うるせえよ!」
絹旗「置いてきますよー」
浜面「くそ……分かったよチクショウ付き合ってやるよ!」
585 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:30:18.80 ID:/SxWzk.o [8/33]
絹旗「……はふぅ」
浜面「……」
絹旗「まさか……まさかここまでの超最高の作品だったとは! いやっほおおぅ!」
浜面「……」
絹旗「特にラストの夕日を背に船の上で二人きりになるシーンは超悶えました! 何ですかアレは! 監督出てこい!」
浜面「……ああ、確かに悶えたな……別の意味で」
絹旗「……はれ?」
浜面「最初におかしいと思ったのは恋愛物なのにR-18だった事だよ。次におかしいと思ったのは普通の前評判中々の映画にしては客席がガラガラだった事だよ」
絹旗「浜面ー……?」
浜面「最後に! おかしいと思ったのは! どうして普通の恋愛学園物なのにドロドロぐちゃぐちゃネチョネチョしてて挙句の果てには準ヒロインがが主人公殺してさらにそいつをヒロインが殺す事だよ!?」
588 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:41:08.14 ID:/SxWzk.o [9/33]
絹旗「浜面、日本語が超おかしいですよー」
浜面「ダメだ……俺はアレにはついていけん……」
絹旗「……」
浜面「あー、マジ疲れた……すまん、ちょっとどっかで休憩させてくれ……」
絹旗「……すみません」
浜面「あ?」
絹旗「これなら浜面も普通に超楽しめると思ったんですが……」
浜面「……」
絹旗「浜面には悪い方向で超予想外だったみたいですね。すみません」
浜面「……ありがとな」
絹旗「はえ?」
浜面「んじゃ、ちょっと腹も減ったしマック……はちょっと騒がしすぎるからミスドでいいか?」
絹旗「……はい」
590 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 01:46:19.67 ID:/SxWzk.o [11/33]
あ、あともしかしたらだけど
エロくなるかも。注意
595 名前:15巻分(1シーン)しか知らんけど頑張る[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 02:27:19.39 ID:/SxWzk.o [13/33]
フレンダ「あれー。珍しい組み合わせ」
浜面「よぉ……」
フレンダ「何々? デート? 結局アンタたち、どういう仲な訳?」
絹旗「でっ……!? そそそんなんじゃないですよ! 何で私が浜面みたいな超ムッツリ野郎と……」
フレンダ「結局その慌て方が怪しいんだけど……浜面?」
浜面「ムッツリでいいですー……どーせ俺はそういう役回りなんですよー……」
フレンダ「うわ、重症。結局、何があった訳?」
絹旗「えええーとこれには超深い事情がですね……!」
フレンダ「……何この結局ラブコメっぽいノリは」
597 名前:鯖缶こわいよ鯖缶[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 02:42:53.29 ID:/SxWzk.o [14/33]
フレンダ「ふーん。で、結局こうなったったって訳」
絹旗「はい……」
浜面「ああ……オールドファッションの素朴な味わいが俺を癒してくれる……」
フレンダ「浜面、これでも食べて元気だしなさい」
浜面「サバ缶は……サバ缶はいらん……」
フレンダ「人の好意に何それ!?」
浜面「サバ缶怖いと上の方から聞こえてくるんだ……」
フレンダ「……結局さ、浜面ってもうダメなんじゃない?」
絹旗「何か心に超重症を負ったみたいです……」
浜面「ううう……」
フレンダ「……」
絹旗「どうかしましたか?」
フレンダ「ちょっとこっち来なさい」
絹旗「わひゃ、セーター引っ張らないで下さいー! 超伸びるー!」
598 名前:セーターって書いちゃったけどあれはだぼだぼセーターを着ているようにしか見えない[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 02:55:05.90 ID:/SxWzk.o [15/33]
絹旗「な、何ですか超いきなり」
フレンダ「単刀直入に聞くけどさ、結局浜面の事好きだったりする訳?」
絹旗「――!?!? なな、何を超いきなり妙な事を口走ってるんですか!」
フレンダ「その反応だけで丸分かりなんだけど……」
絹旗「う、うー……」
フレンダ「ふーん……浜面、ねえ……」
絹旗「な、何か文句ありますか」
フレンダ「んーん、別にー」
絹旗「何ですかその超達観した感じ」
フレンダ「いやー、結局さ、浜面はどっちとくっつくかなーって思ってたのよ」
絹旗「う……もしかして滝壺さんの事ですか」
フレンダ「それ以外に誰かいる? 結局、うちのリーダーは浜面なんか眼中にないし」
絹旗「あの人が恋愛してる姿が思い浮かばないんですが……」
フレンダ「よし、ここは一つお姉さんに任せなさい」
絹旗「……はい?」
フレンダ「結局はこの私が恋のキューピットを買って出るしかない訳ね!」
絹旗「」
609 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 03:42:07.16 ID:/SxWzk.o [19/33]
フレンダ「はっまっづらー」
浜面「んあー……?」
フレンダ「デートしよ」
浜面「……はい?」
フレンダ「いやー、結局災難だったわねー。って訳で、口直しに遊びに行こうー」
浜面「……デート?」
フレンダ「何よー、結局私じゃ不満だってのー?」
浜面「そんなんじゃねえけど……」
フレンダ「今なら絹旗も付いてくるわよー」
絹旗「ちょ、ちょっとフレンダさん!?」
浜面「……ま、いいけど」
フレンダ「うしっ」
浜面「で、どこ行くんだ?」
フレンダ「絹旗は結局どこがいい?」
絹旗「わ、私はどこでも……」
フレンダ「(何よこんな時に。結局はもっと自己主張しなきゃダメでしょ。ちゃんとアピールしないと結局他の女に取られちゃうわよ)」
絹旗「(だだだって、私映画館くらいしか行きませんし……!)」
フレンダ「(この映画オタめ。結局私が引っ張らないとダメダメって訳ね)」
絹旗「(あうあう)」
611 名前:そのうち出すかな?[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 03:58:22.41 ID:/SxWzk.o [20/33]
フレンダ「って訳で、結局ゲーセンに来てみましたー」
浜面「あー、結構テンション戻ってきたかも」
絹旗「……」
フレンダ「絹旗ー」
絹旗「ひゃいっ!?」
フレンダ「なにぼけーっとしてんのよ。結局アンタ最初はどっから攻めてきたい?」
絹旗「わ、私……ゲーセンとか来た事ないので……」
フレンダ「結局マジで映画オタかこの子……浜面はゲーセンとか来る派?」
浜面「まあたまには」
フレンダ「じゃあ絹旗頼んだ」
浜面「はぁ!?」
フレンダ「私はさー、結局あっちの対ゲーコーナーの住人だったりする訳でー」
浜面「オマエ結局自分が来たかっただけだろ!?」
フレンダ「ま、ちょちょっと三下狩ってきたら結局戻ってくるからさ。んじゃよろしくー」
浜面「……俺未だにアイツの事よく分からん」
絹旗「あうう……」
613 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 04:15:50.05 ID:/SxWzk.o [21/33]
浜面「……」
絹旗「……」
浜面「なあ」
絹旗「なな何ですか!?」
浜面「ガンシューと音ゲーとメダルゲーとクイズゲーとプライズとどれがいい?」
絹旗「……はい? 何ですかその超長い呪文みたいなのは」
浜面「一応、初心者にも手を出しやすいヤツをチョイスしてみたつもりだけど……」
絹旗「……」
浜面「あー、でもメダルゲーは攻略法とかあるしなぁ……」
絹旗「……浜面って」
浜面「ん?」
絹旗「実は超ゲーマーですか」
浜面「これくらい普通だろ」
絹旗「いいえ。これはゲーマーと言うより超ゲーオタですね」
浜面「そこまでディープでコアな連中と一緒にしないでくれ!?」
絹旗「浜面の超お勧めはどれなんです?」
浜面「……クイズゲーでいいか。分かりやすいし」
絹旗「じゃあそれにしましょう」
浜面「おう」
絹旗「私、よく分かりませんから……浜面が超手伝ってくださいね」
浜面「……おう」
616 名前:無論こうなるけどね[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 04:21:23.30 ID:/SxWzk.o [23/33]
絹旗「浜面ってアレですよね。超使えねー」
浜面「げふぅ……」
621 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 17:31:39.33 ID:/SxWzk.o [24/33]
絹旗「何でこんなにお菓子超とっちゃうんですか」
浜面「いやー、ジャックポッドがちょうどいい具合に狙えたから思わず」
絹旗「はぁ……これ全部食べ切れませんよ」
浜面「アイテムのみんなで食えばいいじゃん」
絹旗「それはそうですけど……あ、フレンダさん、チロル超食べます?」
フレンダ「うー、ちょうだいー……」
浜面「おい、どうしたんだよその顔は……」
フレンダ「言わないで……」
浜面「もしかしてフルボッコ? されちゃった?」
フレンダ「言うなって言ってんのに結局聞かないでよ!」
浜面「よーし、んじゃ俺が敵を討ってきてやるよ。どれだ?」
フレンダ「結局、浜面が私より強いと思えないけど、あっちのやつ」
浜面「うーし、んじゃちょろっと行ってくるかー。オマエはそこでチョコむさぼってろ」
フレンダ「あむー……コーヒーヌガーうまー……」
絹旗「フレンダさんが浜面に超一方的に……どれだけ深い傷を負わされたんですか……!?」
622 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 17:48:47.91 ID:/SxWzk.o [25/33]
フレンダ「結局私の言ったとおりになったじゃん」
浜面「フルボッコにされた……花瓶みたいな女子中学生に……」
絹旗「何ですかその超面白そうな映画のタイトルみたいなキャラは……!」
浜面「どこをどうしたらC級映画になるんだよ」
絹旗「サイコサスペンス風味の愛憎劇とか超繰り広げてくれそうでたまりません」
フレンダ「結局チロルはさー、やっぱ偉大なのよねー。や、うまい棒も捨てがたいんだけど」
浜面「って増えてる!?」
フレンダ「ほら浜面ー、アンタも食いなさい」
浜面「しかも全部チョコじゃねえか! うわあ見てるだけで胸焼けしてくる……」
絹旗「浜面はもしかして超チョコ嫌いですか」
浜面「普通に食うけどさ……でもいいのか?」
絹旗「何がですか」
浜面「こういうのばっか食ってると、にきびとかできねえ?」
絹旗「――!?」
フレンダ「――!?!?」
浜面「あ、あれ……?」
絹旗「……浜面ぁ」
浜面「な、何だよそんな上目遣いに服掴んで……ぎゅおっ!?」
絹旗「ふ、ふふ、ふふふふふふ。女の子に言っていい事と悪い事があるってのを超理解してませんねこの駄犬は」
浜面「やめて万力プレイやめて圧迫骨折は嫌だあああ!」
フレンダ「結局アンタってちょっとうるさいからお口にテープでも貼ろっかー」
浜面「ちょっとフレンダさんそれ例の爆破テープですよねえええ!?」
初春「やっぱりこのガチャガチャした喧騒が癒されますーうふふー至福ー」
佐天「初春がここまでどっぷりのゲーマーだった事に驚愕を隠せません……」
625 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 19:17:00.89 ID:/SxWzk.o [26/33]
絹旗「……あ」
浜面「ん?」
絹旗「い、いえ、何でもないです」
フレンダ「何々? どーしたの?」
絹旗「だから超何でもないですから」
浜面「何か欲しいのでもあったのか?」
絹旗「あ、う……」
フレンダ「……浜面ー」
浜面「何だよ」
フレンダ「結局ここでいいとこ見せないと男が廃るわよー」
浜面「……っふ、いいだろう。プライズ荒らしの浜面と言われた俺の実力見せてやろうじゃねえか!」
フレンダ「結局あんまり自慢にならない二つ名ね、それ」
浜面「うるせえよ! んで絹旗、どれが欲しいんだ?」
絹旗「いつの間にか超勝手に私が意思無視されてますよね」
浜面「違うのか?」
絹旗「……その、端っこの」
浜面「このウサギのぬいぐるみか? っげ、デッドスポットじゃねえか……いや、これは……」
フレンダ「結局取れそうなの? 自称プライズ荒らしの浜面」
浜面「……やってやろうじゃねえか」
チャリン
626 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 19:46:32.63 ID:/SxWzk.o [27/33]
フレンダ「結局さ、アンタいくらつぎ込んだ訳?」
浜面「うるせえよ! 構造的にメチャクチャ取りにくいんだよあそこは!」
フレンダ「はいはい、結局負け犬の遠吠えにしか聞こえないわよー」
絹旗「……浜面」
浜面「んぁ?」
絹旗「……ありがとうございます」
浜面「はは、いいっていいって」
絹旗「超大事にしますから」
浜面「何だよこれくらいで大げさな」
絹旗「……」
浜面「そろそろ腹減ったなー。メシ食いに行こうぜ」
フレンダ「さんせー」
絹旗「……」
ぎゅ
641 名前:640同意 PCは規制解除されました[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 22:05:59.73 ID:/SxWzk.o [31/33]
フレンダ「ただいまー」
麦野「おかえりー」
フレンダ「あれ? 滝壺は?」
麦野「そこ」
絹旗「うわ、超アニメ見入ってます……」
滝壺「かなみん……」
浜面「あ、麦野。これおみやげ」
麦野「んー?」
ざらざらざらざらざらざら
浜面「チョコ」
麦野「」
642 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 22:25:23.48 ID:/SxWzk.o [32/33]
麦野「……はーまづらぁ」
浜面「……あれ?」
麦野「よくやった! アンタさいこー!」
浜面「」
麦野「ちょうどチョコ食べたかったのよねー」
浜面「はぁ……まあそんなに喜んでくれたならいいんだけど」
麦野「よーしよし、いい子いい子ー」
浜面「よしよしじゃねえよ! ガキか俺は」
麦野「んー……どっちかって言うとさー」
浜面「言うと?」
麦野「ペット? アンタってバカ犬っぽいし」
浜面「」
絹旗「」
フレンダ「結局どうしてこうなった」
滝壺「ぱわーどかなみん……」
648 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/09(金) 23:49:29.35 ID:/SxWzk.o [33/33]
麦野「浜面ー、アンタってやればできる子だったのねー、よーしよしよし」
浜面「なあこれ何の罰ゲームなんだ?」
麦野「失礼ねー、ごほーびよー」
浜面「麦野がいつになく機嫌がいい……これはまさか天変地異の前触れか……!」
絹旗「窒素きーっく」
浜面「ごふあっ!?」
絹旗「何をニヤニヤしてますか。超きもいです」
浜面「レベル0に……能力使用は……」
絹旗「超うるさいです! 浜面は精々サンドバッグが超お似合いです!」
麦野「(ははーん、面白い事になってんじゃない……?)」
フレンダ「(結局絹旗にフラグ立てやがりましたあのチンピラ)」
麦野「(いいじゃない色恋沙汰。学生はこうじゃないと。んじゃ私も一肌脱いであげようかなっと)」
フレンダ「(……はい?)」
649 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 00:06:51.68 ID:fDtwS42o [1/19]
麦野「フレンダー、ちょっと出かけるわよー」
フレンダ「……なるほど。うぃー了解ー」
麦野「滝壺も来なさい」
滝壺「ん」
絹旗「どこに行くんですか?」
麦野「野暮用片付けてくるわ。アンタたちはお留守番」
絹旗「はい?」
麦野「多分明日まで帰らないから適当に寝なさい」
絹旗「……はい?」
麦野「んじゃねー」
バタン
絹旗「………………はい?」
650 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 00:22:31.61 ID:fDtwS42o [2/19]
滝壺「どこ行くの?」
麦野「ここもちょっと長く居座りすぎたしねー。他の隠れ家探そうと思って。今日はそっちに泊り」
フレンダ「結局でっちあげよね……」
麦野「文句ある?」
フレンダ「いいえー麦野さまー」
滝壺「きぬはたとはまづらは?」
麦野「留守番だって」
滝壺「仲間外れは可哀想」
麦野「……アンタはいい子ねー、ちょっと馬鹿っぽいけど」
滝壺「いい子なのは認めるけど、馬鹿じゃないよ?」
麦野「はいはい、チョコ食べる?」
滝壺「食べる食べる」
フレンダ「それにしても、結局珍しいのね。絹旗はともかく浜面に手を貸すような事して」
麦野「まあね、たまにはそんな日もあるでしょ」
フレンダ「そんな日ねえ……」
麦野「それにさ」
フレンダ「?」
麦野「私も少しは善人ぶりたいのよ」
フレンダ「……結局、そういう事なのね」
麦野「う、うるさいわね!」
滝壺「――麦野」
麦野「なぁに?」
滝壺「麦野も、いい子」
麦野「……そ。ありがと」
665 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 03:36:11.92 ID:fDtwS42o [9/19]
「……」
「……」
……非常に沈黙が気まずい。
表面上は平静を取り繕って雑誌を捲ったりしてはいるものの、正直なところ予想だにしていなかった麦野の行動で絹旗の思考はオーバーヒート直前だった。
何ですかこのエロ漫画的な超ご都合主義の展開は。作者出て来い超出て来い!
とあらぬ方向に視線と思考を向けて現実逃避をしているのだが、ソファの後ろでコーヒーを飲む浜面の気配やら足音やら一挙手一投足の衣擦れの音やらが脳のレジストリを削り取ってゆく。
「……」
絹旗の眼中には紙面は写っていない。
物音から想像される浜面の仕草や表情が脳内で勝手に再生されていた。
もしや遠見系の能力にでも超目覚めてしまったのでしょうか、と絹旗は頭を抱える。
「……」
今まで浜面と二人きりになる事はたびたびあった。
ただそれは大抵人の入っていない映画館の中であって、そこでは絹旗は映画に没頭できるので意識していなかったが、
(やば、これマジで超やばいです……!)
静寂に響く小さな音を耳が勝手に拾い上げる。
ほんの些細な物音にさえ過敏に反応してしまう。
そしてその物音は、浜面仕上が立てたものだ。
耐え切れなくなり目をぎゅっと瞑るが、逆効果だという事にその後で気付いた。
視覚を遮断され、余計に聴覚が鋭敏になる。浜面の心臓の音まで聞き取れてしまうのではないかと錯覚する。
目を開こうとしても、怖くてできない。
開いた瞬間目の前に浜面が立っているのではないかと想像してしまった。
その時どういう顔をしてしまうだろうか。浜面はどういう顔をしているだろうか。
絹旗は自分と浜面の他に誰もいない広い部屋の中、身動きが取れないでいた。
666 名前:こんな感じですがどないでしょう[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 03:56:20.96 ID:fDtwS42o [10/19]
コツ、というマグカップを置く音に、絹旗はびくりと身動ぎをする程度の反応で済んだ事に安堵する。
その拍子に柔らかな感触が手に触れた。
破裂しそうなほどに鳴り響いていた心臓が、少し静かになった気がした。
ゆっくりと手繰り寄せ、抱きしめる。
安っぽいけれどそれなりに大きな布の塊。
顔を埋めると柔らかな香草の匂いがした。
は、と自分の吐息が耳に響く。
優しく、けれど強く、絹旗はぬいぐるみを抱きしめる。
(はま……づら……)
何故だか涙が出そうになってきた。
閉じたまぶたを押さえるようにぬいぐるみに力を入れようとして、止まる。
「――」
かすかに開いた口から漏れる吐息が触れた部分が熱くなる。
布地をついばむように唇でかすかに甘噛みした。
668 名前:こんな感じですがどないでしょう[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 04:20:44.19 ID:fDtwS42o [11/19]
「――絹旗」
不意の声に叫びそうになったが、ぬいぐるみにしがみつくようにしてそれを堪えた。
「起きてるか?」
「――は、はい、超起きてまひゅ!」
……噛んだ。恥ずかしい。
ぬいぐるみの影から目だけ覗かせ振り向くと、浜面がこちらを見下ろしていた。
予想以上に近い距離に絹旗は面食らうが、浜面は不思議そうな顔をして、
「それ、そんなに気に入ったのか?」
平然と、そんな事を言った。
そんな浜面に絹旗は、自分だけうろたえて馬鹿らしいと思う反面こちらの気を知りもしないいつも通りの態度に憤りを感じる。
「ちょうどよかったのでクッション代わりにしていただけです」
などと口が勝手にでっち上げる。
まさか誰かを物言わぬぬいぐるみに投影していたなどと言えるはずもない。
「そか。眠いならちゃんとベッドで寝ろよー。そこは座るための場所で、寝るための場所じゃないからな」
もっともベッドのない(というかベッドルームの立ち入り許可がない)浜面はこのソファで寝ているのだが。
そんな些細な事を思い出して、絹旗はまた少し思考を削り取られる。
「超余計なお世話です。そんな事を言う暇があったら浜面は私にコーヒーでも淹れてください」
「ん? 飲むか?」
「……何で飲みかけを出すんですか」
半眼でそんな事を言えば、浜面はへいへいと適当な返事をして戸棚から絹旗のマグカップを取り出しサーバーからコーヒーを注ぐ。
「ほい、ご注文の品。寝る前なんだからカフェインはほどほどにしとけよ」
「人の事超言えないでしょう、浜面」
指が触れぬように、けれど触れてしまうかもしれないぎりぎりの距離を意識してマグカップを受け取る。
「ふぁ……」
木石はそんな絹旗の機微に気付くはずもなく、あくびをした。
669 名前:こんな感じですがどないでしょう[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 04:33:28.49 ID:fDtwS42o [12/19]
「あー……シャワー浴びてくるわ」
残ったコーヒーを一気にあおると、浜面は浴室の方へと消えた。
「……」
絹旗は暖かいコーヒーを両手で抱えるようにして持ち、少し躊躇ってから口をつけた。
「……超苦いです」
ブラックなのだから仕方がない。
テーブルの上にぶちまけられたチョコを一つ取り、口に放り込んだ。
「…………甘い」
果たしてどちらが近いだろうか、と少し考え、一体それは何についてなのかようやく思考した瞬間に絹旗はソファに倒れこんだ。
「~~~」
親の敵と言わんばかりにぬいぐるみを締め上げる。
今の自分の表情が一体どんな物なのか、絹旗は自分でも分からなかった。
ひとしきりソファの上でくねくねと悶えた後、ぴたりと動きを止め、そしてゆっくりと体を起こした。
視線を向ける。
「…………、……」
ソファに無造作に置かれたデフォルメされたウサギが絹旗を見上げていた。
684 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 16:46:23.25 ID:fDtwS42o [15/19]
「……浜面」
浴室の戸を叩いて小さい声で絹旗は呼んだ。
『ん? 絹旗?』
「……」
きゅ、と音がしてシャワーの水音が止む。
浴室ドアの曇りの向こうに見えるシルエットを視界に入れないように絹旗は俯いた。
「……浜面、今日は超ありがとうございました」
『はは、何だそれ』
狭い浴室に反響してエコーのかかった浜面の声が絹旗の脳を焼く。
不意に、何故だか泣いてしまいそうになった。
その理由は絹旗自身分からなかったが。
『オマエがそんな殊勝な事を言うのもだけど、何でわざわざここまで言いに来るんだよ』
「……」
絹旗は少し湿度の高い空気を吸い込み、
「面と向かっては超言いにくいので」
『……』
「変な映画に付き合ってもらってすみません。ゲーセンでも色々教えてくれてありがとうございました。ぬいぐるみ、取ってくれて嬉しかったです」
『……』
声が震えそうになる。喉が痙攣しそうになる。
けれど絹旗はそれを堪えて、喘ぐように空気を貪り、
「凄く……超楽しかったです」
搾り出すように、言葉を紡いだ。
687 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 17:28:25.30 ID:fDtwS42o [16/19]
『……そっか』
「はい。それだけです」
『……』
「超お邪魔しました」
そう言って踵を返した瞬間、扉越しに声がかけられた。
『絹旗!』
「……何ですか」
息が上手く吸えない。まるで喉に何かが詰まったような感覚。思わず咳き込みそうになる。
そんな絹旗の背に、浜面の言葉が降ってきた。
『また行こうな』
「――はい」
688 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 18:29:13.34 ID:fDtwS42o [17/19]
再びシャワーの水音が響き、絹旗はその場に脱力したようにへたり込んだ。
は、と重い物を吐き出すように息を吐くと、絹旗はワンピースの胸元をぎゅっと握り締めた。
(浜面……)
心臓が恐ろしい速さで脈打っているのが分かる。
ともすれば弾けてしまうのではないかと思うそれを、絹旗は鬱陶しく思う反面、紛れもない真実だとも思う。
ふと顔を上げると、脱衣所の大きな姿見に情けなく座り込む矮躯の少女が映っていた。
恨めしそうにこちらを見る少女に絹旗は嘆息する。
絹旗最愛は、一応年齢的には中学生なのだがよく小学生に間違えられる。単純に、背格好故に。
他の二人はともかくとして、対照的なスタイルの麦野には嫉妬すら覚える。
年齢差もあるのだろうが、少なくとも今鏡の向こうにいる少女は背も低く胸も薄い、貧相な体躯だった。
(浜面は……やっぱりもっとメリハリのある超女の子っぽい女の子の方が好みでしょうか)
半ば恨みのこもった視線を扉の向こうのシャワーを浴びているであろう相手に向けようとして――止まる。
「……」
無造作に脱ぎ捨てられた浜面の服にかすかに指先が触れていた。
「……」
恐る恐る触れる。まだ熱が残っているように錯覚した。
「……」
一番近くにあったシャツを手繰り寄せ――いや視界の端っこに限りなく浜面のものであろう男物の下着が見えたのだがそっちだと色々な意味で超やばいので仕方なくなどでは決してなく――
「浜面……」
絹旗は躊躇いがちに、けれど強く、それを抱き締めた。
691 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/10(土) 20:37:52.81 ID:fDtwS42o [18/19]
ぬいぐるみに比べればはるかに頼りなく手応えもないそれは、かすかに汗の臭いがした。
「浜面……」
不思議と不快ではない匂いに、絹旗はつい夢想してしまう。
「浜面……」
彼に抱き締められたら、こんな匂いがするのだろうかと。
「浜面ぁ……」
そんな絹旗の思いやら行動やらをまったく知る由もなく、浜面は「ふいー、さっぱりしたー」などとやけにさっぱりした顔で上機嫌に浴室ドアを開いた。
「……」
ぎぎぃ、と油の切れた機械のような動きで絹旗は振り返る。
この時絹旗の思考は明らかに停止し、条件反射のような行動だったのは明白だった。
絹旗は浜面のシャツを胸に抱きしめ、
浜面は服を着てシャワーを浴びる趣味もなく、
そして絹旗は座り込んでいた。
「……絹旗……さん?」
眼前に、浜面がいた。
浜面がいた。
浜面。
超見慣れないというか見慣れていたらそれはそれで超嫌なんですけどとにかく普段なら超見る機会も見る期待もなく超見たくもない超眼前にあったりして超アレでナニなソレが超超超
「――――――きゅぅ」
「絹旗ぁあああ!?」
超ギリギリのラインにあった意識は止めの一撃には大きすぎるそれによって思いっきりオーバーキルされ、次の瞬間絹旗はひっくり返った。
696 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 00:03:28.69 ID:Pt.ba/oo [1/16]
「絹旗ー、大丈夫かー」
「う、うう……象さんが……超象さんが……」
「ベタな返答に申し訳ないんだけど超を付けられると少し嬉しくなってしまう俺が恥ずかしいです!」
ようやく意識を取り戻した絹旗が真っ赤になったり浜面が言い訳しようとして墓穴を掘ったり窒素パンチで吹き飛んだりとどうでもいいやり取りの後、
絹旗は浜面に背を向けていた。と言うのも。
(顔が超見れません……!)
先刻のショッキングな映像が網膜に焼きつけられた件もあるが、それ以前に絹旗の取っていた行動を浜面に見られた。
一歩間違えば犯罪というか、見方を変えればもろストーカーという事実を抜きにしても、あまりにも恥ずかしい。
表面上は不機嫌を装って浜面のせいにしているが、内心戦々恐々としていた。
「……なあ絹旗」
「な、何ですか浜面の癖にっ」
「いや、それ意味分かんねえし」
あー、うー、と少し唸ってから、浜面はばつの悪そうに視線を絹旗から逸らし、
「悪い」
「な、何がですか!」
「いやその……さっきの事。まさかオマエがまだいるとは思わなくて」
「いると思って出てきたんなら超潰してますよ!」
「ひぃ!?」
698 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 00:41:04.78 ID:Pt.ba/oo [2/16]
「……」
「……すまん」
絹旗は少し思案し、はぁとため息を吐いた。
「……別に怒ってないです。ただ、超びっくりしただけで」
心臓が超止まるかと思いましたけど、と心の中で付け加える。
「う、その……すまん、マジで。この通り」
「だから……!」
浜面の卑屈な態度に思わず言い返そうとして、思い直す。
少しだけ沈黙した後、
「…………浜面」
絹旗は、呟くように言う。
「浜面は私の事、どう思ってるんですか」
699 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 01:01:53.27 ID:Pt.ba/oo [3/16]
「………………は?」
「私だけ超意識しちゃって、馬鹿らしいです」
はぁ、と絹旗はもう一度嘆息して、
「浜面は私の事どう思ってるんですか」
もう一度、そう言った。
「どう思って、って……」
「超そのままの意味ですよ。浜面の中で私はどういう位置にいるんですか」
「……」
「答えてくれませんか」
「……何でそんな事聞くんだよ」
「決まってるじゃないですか」
絹旗は浜面に背を向けたまま言う。
「知りたいからですよ。私がどう思われてるのか」
「……」
「答えて、くれませんか」
702 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 01:30:18.90 ID:Pt.ba/oo [4/16]
「……絹旗」
「何ですか」
「怒らないか?」
「言ってみないと分かりません」
「う……そりゃそうか……」
「……言ってみてください」
「……」
少しの間浜面が、あー、うー、と唸っているのが聞こえた。
しかし絹旗は妙に冷静になって待っていた。
たとえ期待外れの答えが返ってきたとしてもいい、という諦観さえ持っていた。
何故だろう。
熱くなったり急に冷めたり。
自分の心が制御できない。
「俺は……」
そんな事を思っていても、びくりと絹旗の肩が震えた。
「絹旗の事を……」
ぎゅ、とウサギのぬいぐるみを抱く手に力が入った。
「………………妹みたいだと思ってる」
「……」
「こんなクソみたいな仕事だけどさ、オマエってそんなの関係ないみたいに絡んでくるじゃん。今日にしても、妙な映画見に行くって言って引っ張ってったりさ」
「……」
「正直凄くオマエに助けられてる。いや、他の連中がそうじゃないって訳じゃないんだけど……オマエ、何か遠慮っていうか、壁がない感じなんだよ」
「……」
「だから妙な隙ができちまうのかな。すまん」
703 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 01:43:13.43 ID:Pt.ba/oo [5/16]
「……そうですか」
絹旗はふ、と息を吐き、ゆらりと立ち上がった。
「浜面」
ぬいぐるみの耳を掴み引きずるようにして持ったまま、絹旗は浜面のすぐそばまで近付く。
「――――、――」
絹旗の唇が動き、消え入りそうな声を吐く。
「……何だって……?」
聞き取れず、思わず少し腰を落とした浜面に絹旗はもう一度言う。
「先に超謝っておきますね、すみません」
「え――」
パン! と小気味いい音が静かだった部屋に響いた。
「……寝ます。おやすみなさい」
呆然と頬を押さえる浜面を尻目に、絹旗はベッドルームへと消えた。
704 名前:会話メインになってくると逆に情景描写が薄くなる罠[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:07:51.88 ID:Pt.ba/oo [6/16]
「――絹旗!」
一瞬遅れて閉じてしまった扉に駆け寄るが、内側から鍵がかけられていた。
「絹旗! おい絹旗!」
ダンダン! と戸が叩かれる音を戸にもたれるように蹲っていた絹旗は背中に聞いていた。
「……超うるさいです。安眠妨害で訴えますよ」
「っ――」
ぴたり、と騒がしい音が止む。
「……」
「……」
少しの沈黙の後、浜面は絞るように扉の向こうに話しかける。
「……絹旗」
「何ですか」
不機嫌さを露にして返事をするものの、期待している自分が堪らなく嫌だった。
浅ましい、と絹旗は心中で毒づき、ぬいぐるみを抱き締めた。
「すまん、俺馬鹿だ」
「それは知ってますよ。浜面が超馬鹿なのはむしろ知らないと馬鹿にされるレベルです」
口が勝手に毒を吐く。
馬鹿なのは自分だ。
そんな物よりもっと他に言うべきことがあるだろう、と思うがそんな思考とは裏腹に口は勝手に動き続ける。
「浜面は人類史上超まれに見る馬鹿です。いえ、人類史上最高の馬鹿です。むしろ超誇っていいですよそれ」
「誇れるかよ、こんな馬鹿……」
「じゃあ超自責の念に駆られてますか? それならそろそろ首でも吊った方がいいですね。酸素が無駄です」
「ああ、そうだな……」
浜面も、そんな自分が堪らなく嫌だった。
けれど、
その前に言うべき事がある。
706 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:31:49.35 ID:Pt.ba/oo [7/16]
「どうしようもなく馬鹿でクソッタレのチキン野郎だよ、俺は」
「そうですね。そろそろ寝ていいですか」
「絹旗、すまん、少しだけ待ってくれ」
「……何ですか。超手短に済ませてください」
その返事に少しだけ安堵して、浜面は扉に触れる手に力をこめる。
「……俺、どうしようもなくチキンだから」
「そうですね。……で?」
「言い訳したんだよ。オマエと、自分に」
「……」
「オマエいっつも俺の事からかうじゃん。だから、今日もそうじゃないのかって」
それは私も同じです、と絹旗は小さく呟いた。
自分に言い訳してギリギリのところをふらふらとしていた。
篝火に集る羽虫のように。
飛び込むのは怖い。臆病にゆらゆらと、けれど逃げられなくて。
そんな絹旗の心中に答えるかのように、浜面は言った。
「逃げたら、ダメだよな。逃げるなんて最低だな」
ぐさりと突き刺さる。
ぬいぐるみを抱いた手に力が込められ――気付く。
とたん腕に込められた力が抜けた。
ぬいぐるみを抱き直し、絹旗は呼びかける。
「……浜面」
「何だ」
飛び込むのは怖い。焼けてしまうのが分かっているから。
けれど、もしも。
炎が優しく抱いてくれたなら。
「逃げないで、くれますか」
「――ああ」
絹旗は優しくぬいぐるみを抱きしめた。
708 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:46:31.29 ID:Pt.ba/oo [8/16]
「俺は、絹旗の事凄い可愛い女の子だと思ってる」
ああ、何てことはない。
炎は羽を焼く事もなく、ただ暖かいだけだった。
「……」
絹旗はぬいぐるみに顔を埋める。
優しい香りがした。
「……悪い、それだけ……おやすみ」
扉の向こうから気配が遠ざかる。
「……」
心臓は早鐘のように鳴り響いている。
けれど思考は不気味なほど澄んでいた。
「……」
余りの鼓動の大きさに、身動ぎした拍子に弾けてしまうのではないかと錯覚する。
そんな事を思った後で、頭を振って否定する。
怖くはない。
たった今、そう教えられた。
709 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 02:59:43.69 ID:Pt.ba/oo [9/16]
カチャ、という音が聞こえた気がした。
浜面はソファに座り俯いて目を瞑ったまま、ゆっくりと息を吸う。
フローリングの床がわずかに軋む音がする。
細く、長く、息を吐いた。
人の気配に目を開けると、細い足が見えた。
ゆっくりと顔を上げる。
絹旗最愛がいた。
ウサギのぬいぐるみを大事そうに抱き締め、顔を少しそれに隠して。
絹旗はウサギみたいに真っ赤な目で浜面を見ていた。
711 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 03:10:13.68 ID:Pt.ba/oo [10/16]
「……もう一度、聞いていいですか」
ああ、と浜面は目を細め。
「浜面は、私の事どう思ってますか」
頬を染めて泣き出しそうな目で見つめる少女に。
小さく震える声で、けれどはっきりと尋ねた少女に。
「好きだ」
そう答えた。
713 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 03:29:31.65 ID:Pt.ba/oo [11/16]
「俺も聞いていいか?」
浜面は訊き返す。
「絹旗は、俺の事どう思ってる?」
「そ、そんな事言わせ――」
「聞かせてくれよ」
浜面の言葉に絹旗は少し逡巡するが、小さく頷いた。
「私は――」
ぎっ、とソファが軋む音を出す。
「浜面の事――」
囁くように近付けられた頬に軽く触れると、目を閉じ、抱いたぬいぐるみを少しだけ下げた。
「――超好きです」
そんな事を言う少女にキスした。
715 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 03:55:59.63 ID:Pt.ba/oo [12/16]
「――何だよそれ」
「何がですか」
、 、
「私はって。超って」
「私の方が浜面の事超好きって意味ですよ」
「っ――このっ」
「ひゃわ――」
抱き締められ、キスされた。
(――あ)
体が密着し、気付いた。
浜面の心臓も、恐ろしいほどに大きく鳴り響いていた。
(もしかして……私に超ドキドキしてくれてるんですか)
もっと、もっと近くに。
このまま燃え尽きてしまっても構わなかった。
(浜面――)
ぬいぐるみが潰れるのも構わず、絹旗は肩に力を込めた。
719 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 04:20:44.92 ID:Pt.ba/oo [13/16]
ゆっくりと唇を離し、目を開き、ほう、と息を吐いた。
目の前には浜面の顔がある。
薄暗い照明の中、けれどはっきりと分かるほど赤くなっていた。
そんな彼を絹旗は可愛いと思ってしまう。
「――浜面」
絹旗は悪戯っぽく笑み、
「もしかして興奮しちゃってます?」
「ばっ……!」
言い返そうとした浜面だったが、言葉を呑み、別の言葉で返した。
「……悪いかよ。好きな娘とキスしたんだ。興奮するなって方が無理だろ」
目を逸らす浜面の言葉を、素直に嬉しいと感じてしまうのは何故だろうか。
浜面の言葉が、仕草が、全て愛おしい。そう思ってしまう。
その一方で絹旗は絶望を感じていた。
一度飛び込んでしまった炎は暖かく、熱く、優しく羽を焦がし、
逃げられない――
ごくり、と唾を飲み込んだのはどちらだろうか。
720 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 04:25:13.00 ID:Pt.ba/oo [14/16]
「――それじゃあ浜面」
浜面の肩を押し、絹旗は体を離す。
ぬいぐるみがぼて、と絨毯の上に落ちた。
「こんな事したら――」
ワンピースのウール地を小さく抓む。
「――もしかして超興奮しちゃいますか」
ゆっくりと、スカートを端を持ち上げてみせた。
721 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/11(日) 04:38:22.29 ID:Pt.ba/oo [15/16]
____
/=======ァ^ト┐
ト=======扣z<ヽ
人二二二二式 |:.:', / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/:/:{/-|/}/}/-ヾ :l|.:.:| | よいこの皆さんこんばんはお久し振りです
|イ:i:代ナ 弋ナ Ⅶ .:| < お待たせしました我らがアイドル
/}}} Nリ __ rjノ :| | 管理人ことミサカ18413号ですよー
f爪n |jノif} }ゝ.└─┘イ:i.:|:i.:.| | と、ミサカはここぞとばかりに登場します
-={ j.{=|' ノ /イ:.i:|`r斤ー'>、:|:|八 \__________
ヽ ノ三 | jィT∨ヘ/} /\{ \
-= ヘ王│ _/V,' {」/ / {/ハ
',-ヘ! |∠、 V | |/ 〈†〉 }ノ '、
ヽ 乂 } │ {│ │ イ 〉
\__,xくl /} | | | /
∨/ ,' | └rー|
}./ | l'| │
/{」=ー -|=彡〈.| │
{>,、-==ニ 了 `| │
/((゚v゚)) | 〈| |
〈r┬== 〒===r≧| |
/::::|::::::::::: i|::::::::::: |i:::::| |
残念ながらこっから先はチンピラと超ロリのいちゃぬちゃルートなので
よいこは見ちゃダメですよ、とミサカは形ばかりの警告をします
ぶっちゃけ>>1はぴらりんーが書きたかっただけなのでオマケなんですが
ファンサービスとかおこがましい事言ってますよ
読者様に向かって超頭が高い、とミサカは頭を足蹴にします
あとオマエ私服じゃねーのかよとか細かいツッコミはなしで、とミサカは肩をすくめます
739 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 00:17:15.80 ID:FKj4Jbco [1/9]
「……絹旗」
「ど、どうかしましたか」
「それ、やってて恥ずかしくねえ?」
浜面が宙を舞った。
「こ、このタイミングで言うとか超最低ですふざけんなバカヤロー!」
「ぐ、ご、死ぬ、超死ぬ」
「死ねっ! 超死んでしまえ!」
ソファに手を付きよろよろと体を起こした浜面は、けれど立ち上がらずに絹旗の顔をじっと見たままだった。
「……なんですか」
「……」
絹旗の問いに浜面は答えず顔をそらす。
そのまま頬を掻きながらあー、うー、と唸った後、
「その……なんだ。その顔が……」
「私の顔がどうかしましたか」
「……恥ずかしがってる顔が、めちゃくちゃ可愛い」
ぼっ、と火が点いたように赤くなり、なな何を超言ってやがりますか、と言い返しそうになるが、ぎゅっとワンピースの裾を握ったまま固まった。
「絹旗」
浜面は絹旗に右手を伸ばし、
「もっと、近くで見せてくれ」
「……」
恐る恐る近付いてきた絹旗の手を取り、浜面は優しく引き寄せそのまま抱き締める。
「……キス、するぞ」
返事を待たずにそのまま口付けた。
743 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 00:56:33.07 ID:FKj4Jbco [2/9]
先ほどまでの優しく重ねるだけのものとは違い、今度は唇を啄ばまれ、軽く舌で舐められた。
絹旗はぎゅっと目を閉じ浜面の服を握り締める。
浜面の荒い鼻息が頬をくすぐる。顔が物凄く熱かった。
「ふ――」
お返しに浜面の唇を軽く食むと、頬にキスされた。
嬉しかったらしい。もう一度唇を挟むと、今度は頭の後ろに回された手に力が入った。
(もっと――やって欲しいんですか)
もう一度甘噛みしようとして軽く唇を開くと、ぞろりと舌を入れられた。
「ん――!」
驚いて目を開くと、浜面の顔がすぐそばにあった。
「――」
自分からしてきたというのに、浜面はどこか泣きそうな目をしていた。
抱き締める腕の力も心なしか弱くなっている気がした。
「――」
絹旗は目を閉じる。
体を数ミリ浜面の方に押し出す。
それから少しだけ躊躇って、舌で浜面に軽く触れた。
ぴくりと浜面の体が震える。
ゆっくりと両手に力が込められ、ちゅ、と口の中で音がした。
徐々に浜面の舌の動きが荒くなっていく。
貪るようなキスに絹旗は舌を絡めて応えた。
まるで、洋画のワンシーンのようだと思う。
決してロマンチックなものではない。粗野で乱暴なものだ。けれど。
そんな必死になって自分を求めてくる浜面が、絹旗には愛おしくて仕方がなかった。
だから絹旗は応える。舌を吸い、臼歯を舐め上げ、唇を噛んだ。キスが堪らなく心地よかった。
お互いの口の周りはきっとべとべとだろう。けれどそんな事はどうでもいい。
絹旗はただ、夢中になって浜面にキスをした。
746 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 01:31:28.14 ID:FKj4Jbco [3/9]
どれだけキスしていただろうか。
ようやく後ろに回されていた手から力が抜け、唇を離すと絹旗は自然にほうと息を吐いた。
「……浜面、超エロいです……これはもう超犯罪です」
「お、オマエだって……」
「私だって、なんですか」
浜面は絹旗を――力が抜けたのか腰を落とし真っ赤になって上目遣いに浜面を見上げる絹旗を見て。
「……犯罪級に可愛いだろうが」
その答えに絹旗はびくうっ! と肩を震わせ、「かかかっかかわかわわわ」などとうろたえるが、浜面に抱き寄せられ大人しくなった。
「あーダメ。マジ俺ダメだわ。死ぬ。絹旗が可愛すぎて死ぬ」
「……」
「絹旗、悪い。嫌だったらぶん殴ってぶっ飛ばしてくれ――止まらねえ」
最後の良心か絹旗の肩を押して体を離そうとするが、
「……浜面」
絹旗は浜面の手を軽く退ける。
そのまま自分から抱きつき、浜面の頬にキスをすると、小さく耳元で囁いた。
「――超可愛がってください」
またキスされた。
748 名前:行数稼ぎ[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 02:00:52.85 ID:FKj4Jbco [4/9]
口付けしたまま、背中に回された手が背中を優しく撫でる。
絹旗はそれに耐えるように半ば必死に浜面の舌を舐めた。
ゆっくりと背を撫でていた手がすっと脇に回される。
ぴくりと体が震えるが、絹旗は無言でキスし続けた。
恐る恐る胸に触れらた手に絹旗は、ああ、心臓の音が超ばれちゃいます、などと若干的外れな事を考える。
少し体を離し腰を浮かせる。
まるで簡単に壊れてしまう超高級なガラス細工を扱うかのような指先を絹旗はもどかしく思う。
ニットの上から撫でる浜面に絹旗は手を重ね、唇を離す。
「……すみません」
「な、何が」
うろたえる浜面には絹旗が次に言うセリフが分かっているだろう。
「……超揉みしだけるほどなくて」
自分でも言っていて悲しくなってくる。
他のアイテムの二人はともかく、少なくとも麦野ほどスタイルはよくない。
今ほど自分の体を恨めしく思った事はなかった。
「……絹旗」
「なんですか。気休めなら超いらな――」
浜面は、小さい方がいいだとか、絹旗のがいいだとか、そんな事は言わずただ。
「可愛い」
そう言って覆い被さるようにしてキスをされ、絹旗の背はソファに押し付けられた。
749 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 02:26:27.40 ID:FKj4Jbco [5/9]
「んっ――」
思わず跳ね上がった右手は浜面の左手に止められ、そのまま握られた。
「はま――ふぁ、浜面――ちょっと」
やわやわと左胸を揉む手を握り、むりやり止めると浜面はようやく唇を離した。
「……浜面」
「な、なんでしょうか」
超ビビリ顔の浜面を絹旗は半眼で睨めつけ、
「背中、超痛いです」
「あ、う、……悪い」
「浜面って優しいんだか乱暴なんだか分かりません。女の子は超優しく扱うものだって先生に習いませんでしたか?
まあ浜面は超見た目通りのおサルさんですから? これくらい超教養のある私が大目に見てあげないといけないんでしょうけど」
だあああああこんな時に何言ってやがりますか私はー! と勝手に毒を吐いてしまう口に心の中で悶えてたりするのだが。
そんな絹旗を浜面はひょいと抱き上げる。
「ひゃわ!?」
そのまま場所を入れ替えるように体を回転させ、絹旗を横抱きに浜面はソファに倒れこんだ。
「これなら痛くないか?」
「……はい」
俯くように頷いた頬にキスされた。
「……続けるぞ」
さすがに今度は答えられなかった。
750 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/12(月) 02:53:00.49 ID:FKj4Jbco [6/9]
くすぐるように触れる指がもどかしくて仕方ない。
いや、優しくと言ったのは絹旗自身なのだが、これはもう半ば嫌がらせだ。
ん、と身悶えして絹旗は浜面の顔を見る。
「……もう少し強くしても超大丈夫ですよ」
その言葉のどこに反応したのか浜面はびしいっ、と硬直し、次の瞬間絹旗の腰を抱き寄せて背中から抱くと胸に触れる手に力を入れた。
だからなんでそんな超両極端なんですか! と心の中でツッコミを入れるも、首筋にかかる浜面の息を感じ――凪いだ。
多分、浜面は物凄く真剣な表情でいるだろう。
余裕なんてこれっぽっちもなく、ただただ必死に。
絹旗の胸を揉んでいる。
……超ばっかじゃねーの、と絹旗は心中で毒付き、やり場のない両手は宙を掻いた。
766 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/13(火) 00:36:06.73 ID:Xgkhooso [3/5]
「浜面」
「な、なんでせうか」
「……楽しいですか」
「うん」
至極真面目な声で返された。
強くしてもいいと言ったのに、それでもまだおっかなびっくりといった風に胸を弄られる。
絹旗は快感よりももっと別の――浜面の名誉のために補足するが、不本意なのか本位なのかはさておき多少は感じているけれど――得体の知れない喜びを感じていた。
少しだけ思案して、絹旗は思い当たる。
必死になって自分を求めてくる、少しでも気持ちよくさせようと躍起になる浜面が、絹旗には嬉しくて仕方がなかった。
「浜面――」
少し無理をして後ろを向き、キスした。
769 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/13(火) 05:42:05.90 ID:Xgkhooso [5/5]
「は、まづら」
びくり、と絹旗は身を捩じらせる。
「それ、超くすぐったいです」
右手は相変わらず胸にご執心のようだが、そろそろと動いた左手がへその上あたりを円を描くように撫でた。
「嫌か?」
卑怯だ、と絹旗は思う。
そう訊かれれば首を縦に振れるはずがない。
「……ぴぃ!?」
横に振るのも癪なので黙っていると、首筋にキスされて驚いた絹旗は悲鳴を上げた。
浜面は何度か首にキスしてから服の首周りに顔を割り入れ、鎖骨のそばに吸い付いた。
ぴりぴりと痺れるような痛みを感じる。
文句を言おうとして息を吸い、ようやく気付く。
――やられた。
「はま、浜面!?」
真っ赤になっているのが自分でも分かる。もしかしたら少し涙目になっていたかもしれない。
けれど浜面も、どこか不安そうな顔で再び尋ねる。
「……嫌か?」
「それ、超卑怯です」
ぷい、とそっぽを向いた直後、耳を噛まれた。
また悲鳴を上げそうになるが済んでのところで堪え、出口を失った声が喉の奥でくつ、と鳴いた
785 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/16(金) 22:26:38.31 ID:WPYZRuAo [4/6]
「浜面って、超エロいですね」
「うるせえ」
脇の下から伸ばされた手が胸から離れ、絹旗の顎を軽く撫でた。
その意図を察し、目を瞑り横を向く。口を塞がれ舌を入れられた。
舌の裏を舐められる慣れない感覚に背筋がぞくぞくする。体中の産毛が立った気がした。
湿った音が静かな部屋に響く中、浜面の左手がゆっくりと伸ばされ――腿を撫でた。
……あれ? と、絹旗は酔ったように靄のかかった思考の中で疑問を感じる。
そのまま手がスカートの中に入れられ足の付け根あたりに触れた時になってようやく絹旗はびくぅっ、と体を震わせる。
(展開超早すぎてついていけませんっ!?)
これでも限界まで逸る気持ちを抑えているのだが、その辺の事情は絹旗には分からない。
抗議の代わりに浜面の舌を軽く噛んだが、前歯の裏を舐められた。ずるい。
下着の上から撫でられ、絹旗はその感覚よりも羞恥に眉をひそめる。
(うーわーあー)
触られて自覚する。きっとそれは浜面も同じだろう。
下着越しにも分かるくらいに、そこは結構いい感じに湿っていた。
788 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/16(金) 23:01:13.36 ID:WPYZRuAo [5/6]
(ぎゃあああああ!?)
軽く擦るように撫でていた指に力が入れられ、思わず「んっ」、と身を捩る。
口を塞がれたまま、鼻から荒い息と共に声にならない声が漏れる。
(これ超恥ずかしいです……!?)
浜面の無自覚な羞恥プレイに辟易しながらも、体は着実に準備をする。
それがなおさら羞恥心を煽ってもはや泥沼状態になっていた。
下着の間から滑り込み直接触れた指に体を強張らせるが、ゆっくりと、自覚して力を抜いた。
少し力の入れられた指が軽く割り入れられる。その感触にまた声が漏れそうになった。
ゆっくりと、臆病なほど優しく触れる指に若干のもどかしさを感じながらも反応してしまう。
指がそこを掠める度に小さく震えるのはきっとばれているだろう。
その手に両手が添えられてようやく唇が離れる。
「ぁ――ちょっと、待って、下さい」
熱くなった息が漏れてしまうのを堪えきれずに一息吐いたあと。
「――――脱ぎます、から」
一言伝えるだけで猛烈に恥ずかしかった。
789 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/16(金) 23:31:15.25 ID:WPYZRuAo [6/6]
服脱がなきゃできないんですよね、と今さらながら思い当たる。
こちらだけ脱ぐのは不公平だと言い捨てて、絹旗は背を向けてワンピースを脱ぐ。
ってかワンピースって脱ぐ時超かっこ悪いですよね、などと思いながら。限りなく自分のせいなのだが。
キャミソールの肩紐に手をかけようとした時、冷たい指に触れられた。
「ぅひゃあっ!?」
思わず声を上げる。振り返ると浜面が物凄いビビリ顔でこちらを見ていた。
「その……手が、超冷たかったもので」
言ってから気付く。
(う……ゎ……、……)
思わず息を呑み真っ赤になるが、それはきっと向こうも同じだろう。
意を決して一歩近付くと、肩を抱かれ、キスされた。
啄ばむような、軽く唇を食むような口付け。
なぜかそれだけで落ち着いた。
「浜面って、超キス魔ですね」
うるせーよ、と言われ、またキスされた。
790 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 00:50:47.78 ID:.WYI6IMo [1/15]
ここでいいのかと尋ねられ、ここでいいですと答えた。
「ベッド使ったら超怒られそうですし」
そう苦笑するが、本当は、最初からここがよかった。
初めてキスしたのもソファの上だったし、それに。
(……ここは浜面のベッドですから)
などとは口が裂けても言えない。
キャミソールを落とし、少し逡巡したがショーツも脱いだ。
不思議とあまり恥ずかしくなかった。慣れたのだろうか、とも思うが、
(違います……)
何というか、上手く表現できないが――覚悟――のようなものができたのだろう。
自分でもよく分からないままに。
けれどきっと頭ではなく、体がそうなっている。という事はきっと。
(私は、この人に抱かれたいんですね)
超認めたくないですけど体は超正直ですね、とか思いつつ。
791 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 01:40:51.20 ID:.WYI6IMo [2/15]
ソファの上に膝立ちになりながらも、ぎゅうと首に抱きつく。
ぬ、と指が肉の間に潜り込む感覚に顔をしかめた。
内側を擦る指の動きに、次第に足の筋肉に力が入らなくなっていく。
ふーっ、ふーっ、と荒くなった息が嫌に響く。
その上なんだか、湿った音が聞こえてきた。
喉が鳴るのを抑えきれず、しがみついた背に爪を立ててしまった。
しまったと思うが、けれどおあいこだろうと思い直す。
その矢先首筋を吸われ、ずるい、と肩に少し強く噛み付いてやる。
仕返しと言わんばかりに指の動きが大きくなる。墓穴を掘ったかもしれない。
小憎たらしいと思いつつ、それでもなお、圧倒的な愛おしさを感じる。
……多分、だけれど。
「――浜面」
なんだ、と問い返してきた口を塞ぎ、絹旗はどうしようもなく苦笑する。
「たぶんもう、超大丈夫ですから」
本当に、自分の体が嫌になる。
792 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 01:56:34.27 ID:.WYI6IMo [3/15]
知識だけで具体的な事は何一つ知らないけれど、体はどこをどうすればいいのか分かっていた。
力の入れ方なんてものは誰も教えてくれないし、教わる事もできない。
ゆっくりと、腰を下ろす。一度、二度と失敗するが三度目は大丈夫だった。
本当に入るのだろうかと不安にもなるが、なんて事はない、以外にもすんなりと入った。
まあ当然のように予想通り以上の痛みがあるのだけれど、どこか他人事のようにそれを感じていた。
そんなものよりも圧倒的な感情が支配していた。
「……大丈夫か」
顔をしかめる絹旗に、不安そうに尋ねる。
けれど。
「浜面」
目尻に浮いた涙の理由はいくつもあったが、精一杯の笑顔を浮かべた。
「これ、超やばいです」
「え、あ、やっぱり――」
「そうじゃなくてですね」
絹旗は、額に口付けする。
「ダメですね――私、超幸せすぎてどうにかなっちゃいそうです」
795 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 02:12:17.06 ID:.WYI6IMo [4/15]
「だからそんな顔しないでください」
直後、顔が見えなくなった。
体を優しく締め付ける腕の暖かさが心地よい。
「超難しく考えないでいいんですよ。そんな事ができるほど器用でもないでしょう?」
なんて事を言いつつも絹旗の心中は今まで感じた事がないほどの感情の嵐がぐちゃぐちゃになって吹き荒れているのだが、
その中心部は何故だか綺麗に凪いでいた。
「浜面が私の事を好きだって言うなら」
絹旗は、耳に小さく囁く。
「浜面は浜面なりに、超愛してください」
こういうのを殺し文句というのだろうか、と思う。
同時に、これじゃまるで超自殺するようなものですね、と思った。
797 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 02:45:46.89 ID:.WYI6IMo [5/15]
とは言うものの、結構痛いのだけど。
堪えるように肩にしがみつく。ずぐずぐとした痛みが苛んだ。
何せ内臓に直接触れられているのだ。だのに不思議なもので、体は着実に慣れつつあった。
(なんか、超悔しいです)
そう思ったからなのか、痛みとそれ以外の何かとに耐えるように、無自覚に肩に噛み付いていた。
ぷつ、という感触と共に舌先にぴりりと鉄の味がする。
(あ――)
一瞬浜面の体が震えるが、しかし彼は何も言わず、突き上げた。
ぐぬ、と一番奥に触れられて息が詰まる。
「――は」
ぐちぐちと、なんだか妙に生々しい水音と妙に空々しい肉の音が重なる。
「浜面――」
赤いものが滲むそこに舌を伸ばし、舐める。
「浜面――」
辛い錆の味を舌の上で転がし、嚥下した。
798 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 03:10:32.72 ID:.WYI6IMo [6/15]
耳元でごうごうと荒い息が聞こえる。
気になった。一体どういう顔をしているのだろう。
少しだけ力を入れて体を起こしてみた。
「――」
ああ、なんて事はない。
目を瞑り、荒い息を吐く顔は、必死だった。
本当に他の事は考えていないのだろう。
まっすぐ
脇目も振らず、ただ愚直に。
「――、――」
何故だろうかと自問しても答えは出ないけれど。
……うん、分かる。分かってしまう。
「――」
力の入らないはずの足は、言う事を聞いてくれた。
799 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 03:13:58.98 ID:.WYI6IMo [7/15]
「ん――」
タイミングを合わせる。
「ふ――」
まるで最初からそうだったように。
「く――」
かちりと、歯車が噛みあった気がした。
「っ――」
もう、考えるのは止めた。
「好き――」
半ば機械的に、けれど衝動的に。
「好き――」
叫ぶように。
「浜面――」
吼えるように。
「好き――!」
動く。
800 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 03:31:32.26 ID:.WYI6IMo [8/15]
他の余分な部分はいらない。
苦痛とか葛藤とか躊躇とか羞恥とか、何もかも全部どうでもいいとかなぐり捨てた。
貪るように口を吸う。
このまま溶けてしまいたいとさえ思う。
ぐちゃぐちゃになって混ざってしまいたいとさえ思ってしまう。
肉と心がどうしようもなく気持ちよかった。
けれど肺が苦しくなって、ようやく口を離す。
喘ぐように、喘ぎながら息を吸う。
名前を呼んだ。
名前を呼ばれた。
たったそれだけなのにどうしようもなく震えてしまって、このまま死んでしまうのではとさえ思う。
たとえそうだとしても構わない。
背に回した手で抱き締める。
他に何もない、絹旗最愛という非力な少女の全身全霊を込めて。
力を込めすぎて、自分の体が内から爆ぜてしまうかと思った。
801 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 04:11:02.61 ID:.WYI6IMo [9/15]
「――――浜面」
首筋に抱きついたまま、熱い息を飲み込む。
それから精一杯の虚勢を込めて、顔を見ずに絹旗は言った。
「本っっっ当に何も考えずに超中で出しましたね」
背を撫でていた手がびしぃっ! と固まった。
「………………絹旗サン?」
「そんなに超慌てなくても大丈夫ですよ……多分」
本当はよく知らないけれど、なんとなくそう思った。
まったくコイツ、本当に超馬鹿ですねと心中で呟き、溜め息を吐く。
「ほんと、なんであなたみたいな考えなしを好きになっちゃったんでしょうね。超意味不明です」
そう言ってもう一度嘆息した。
「……なあ絹旗」
そんな絹旗に浜面は。
「俺、オマエのどこが好きか分からねえけど、それに理由とか要らない気がするんだ」
なんて事を妙に真面目な顔で言いやがった。
その言葉に絹旗は呆気に取られたような顔をして、それからばーかと吐き捨てた。
「本当に浜面は馬鹿ですね。人類に分類されるのかすら危ういほどの超馬鹿です。同じ霊長類として超恥ずかしいです」
ぐ、と顔をしかめる浜面に、しかし絹旗は続ける。
「でもその馬鹿なところ、超嫌いじゃないです」
そう薄く微笑んで、口付けした。
802 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 04:36:20.81 ID:.WYI6IMo [10/15]
「ただいま――」
「おーい絹旗ー、帰ったわよ――」
「むぎの」
「何よ」
「しー……」
「……あらまあ」
「何よコイツら。結局上手くいっちゃったの?」
「面白くない?」
「んーん、べっつにー。結局、もう少し娯楽を提供してくれてもいいと思った訳」
「あーあ、仲良さそうに手繋いじゃってさー」
「なかよしが一番」
「無防備にも程があるわよ。ウチらの本業忘れてんじゃないの?」
「しっかし、結局二人とも馬鹿な寝顔並べちゃって」
「別に、いいと思う」
「へえ?」
「おにあい」
803 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 04:38:11.32 ID:.WYI6IMo [11/15]
"Cowardly Heart to Your Offensively Arms"is over.
811 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 21:07:39.01 ID:.WYI6IMo [13/15]
「……浜面。ひとつ聞いていいですか」
「なんでせう」
「超珍しく浜面からデートに誘ってくれたので、私恥ずかしながら超テンション上がってたんですよ」
「はひ」
「デートコースもおバカな浜面にしてはよくできましたと褒めてあげます。ディナーまで取ってるのは超意外でしたけど」
「た、たまには俺もやればできるんですよ」
「でもその時に気付くべきでしたね……しっかり身分証明書準備しておいてワインとか超注文したあたりで」
「き、絹旗さん……」
「その後なんで私気付いたら超ナチュラルにラブホ連れ込まれてるんですか!?」
815 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 23:24:45.85 ID:.WYI6IMo [14/15]
「これ未成年者略取ですよ! 超犯罪ですよ!?」
「犯罪とか今さら俺らが言っても仕方ないと思うんだが……」
「超うるせーです! それとこれとは話が別です!!」
「絹旗」
「なんですか、言い訳は――」
「」
「――駄目か?」
「……こんな不意打ちみたいな事しなくても普通に言えばいいんですよ」
「悪い――いいか?」
「ダメです。すとーっぷ」
「う」
「……」
「な、なんでございましょ」
「その……ですね」
「はひ」
「も……もう一度キスしてくれたらいいですよ」
「……絹旗」
「なんですかその顔はー!?」
「超可愛い」
「何をそんな超分かりきった事を――」
「」
816 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/17(土) 23:36:28.77 ID:.WYI6IMo [15/15]
____
/=======ァ^ト┐
ト=======扣z<ヽ
人二二二二式 |:.:', / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/:/:{/-|/}/}/-ヾ :l|.:.:| | 皆様大変お待たせしました
|イ:i:代ナ 弋ナ Ⅶ .:| < ここで再び歌って踊れる電脳アイドル
/}}} Nリ __ rjノ :| | ドラゴンちゃんことミサカ18413号ですよー
f爪n |jノif} }ゝ.└─┘イ:i.:|:i.:.| | と、ミサカは出番を見つけては何度も登場します
-={ j.{=|' ノ /イ:.i:|`r斤ー'>、:|:|八 \__________
ヽ ノ三 | jィT∨ヘ/} /\{ \
-= ヘ王│ _/V,' {」/ / {/ハ
',-ヘ! |∠、 V | |/ 〈†〉 }ノ '、
ヽ 乂 } │ {│ │ イ 〉
\__,xくl /} | | | /
∨/ ,' | └rー|
}./ | l'| │
/{」=ー -|=彡〈.| │
{>,、-==ニ 了 `| │
/((゚v゚)) | 〈| |
〈r┬== 〒===r≧| |
/::::|::::::::::: i|::::::::::: |i:::::| |
やっぱりまたR-18のよい子はみちゃだめよーなルートなので注意勧告ついでに。
本編に移る前に>>1から伝言を与っております、とミサカは超めんどくせーのですが原稿を読み上げます。
「正直すまんかった。エロ分多めにするから簡便な。エロくなくてもごめんな」
以上です。ちょっと反省しているようなので大目に見てあげてください、とミサカは辟易しつつも与えられた仕事をこなします。
本気出すとか言ってますけど所詮駄文書きなのであんまり期待しないでください。
らぶらぶえっちな方向で行くんでソフトSMとか鬼畜ルートとか期待した人は残念でした。
でも>>1が言葉攻めとか超ツボとか言ってるんで多分恐らく限りなくそんな感じになるかと、とミサカは予測を立てます。
地の文多すぎると疲れるからセリフ多めでお送りします。
それではどうぞー、とミサカは袖に引っ込みます。
ところでミサカと白兎のいちゃぬちゃはまだですか、といそいそと服を脱ぎだします。
817 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 00:11:29.57 ID:DoJcuigo [1/11]
「……」
シャワーの音が止んでから随分と経つのに、一向に絹旗が姿を見せない。
お預けを食らった浜面はベッドに一人腰掛け、バスルームの方を凝視していた。
(……一緒に入るとかいう展開はなしですか)
正直ちょっぴり期待してはいたのだけれど、絹旗が真っ赤になって全力で拒否したので引き下がらざるを得なかった。
強引についていけばあるいは、とも思うが例の窒素パンチで吹っ飛ばされるのとよくて五分五分。
ラブホテルから病院送りになるのだけはさすがに勘弁願いたい。
「……」
しかし絹旗は未だ姿を現さない。
もしかして風呂場で上せてたりするんじゃないか、とか悪い予感がよぎるものの、がさごそと微妙に物音がするのでその線はなさそうだ。
「っつーかラブホで普通に風呂入るかって」
思わずセルフツッコミを入れる。
猛烈な虚しさに襲われた。死にたい。
818 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 00:21:21.78 ID:DoJcuigo [2/11]
重苦しい無音に耐え切れず布団の上でごろごろと悶えていると、いつの間にかベッドの脇に絹旗が座り込んでいた。
「何やってるんですか浜面。超キショいですよ。小さい子が見たらホラー映画張りに超泣き叫んで一生PTSDに超苛まれるレベルで」
かく言う絹旗も実用性重視の特大サイズベッドの端からちょこんと顔を覗かせている姿は浜面の視線からは首だけが突き出しているようにも見えるのだが、
浜面にはそこには触れず――そこに触れる余裕もなく顔をびしぃっ!と硬直させた。
「き、絹旗さん」
「……なんですか」
「なんか凄く面白おかしいものが頭についてるんですがそれは一体どういう秘密兵器でしょうか」
その言葉に絹旗は若干顔を引きつらせるが、思いなおし半眼で流し目を作る。
「決まってるでしょう――浜面を超悩殺するための秘密兵器ですよ」
などと言ってはみるが、絹旗自身もわりと、結構、かなり恥ずかしかったりする諸刃の剣なのだが。
意を決して立ち上がる。
「…………絹旗」
「こ、こんなん出ましたけどー……」
いつかのゲーセンで取ったぬいぐるみをひょこひょこと動かして、
「今晩のご指名はどっちのバニーちゃんですか……?」
鼻血が出そうになるのを何とか気合いで堪えた。
819 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 01:01:33.77 ID:DoJcuigo [3/11]
「カミサマありがとう、本当にありがとう……生きててよかったあああ!!」
「その喜び方に超ドン引きなんですが」
まあ想定はしてたけど、と絹旗ははぁ、と溜め息を吐く。
「遊びに行くってのにやけに大きな荷物だと思ったら……そんなもん入れてたのか」
「そんなもんとはなんですか」
顔をしかめる絹旗に、浜面はふと浮かんだ疑問を投げかける。
「あれ……? って事は最初からこのつもりだったのか……?」
直後、べごおっ!とベッドが立ててはいけない音で悲鳴を上げた。
「絹旗、毎度毎度思うんだが照れ隠しにしてもそれ軽く致命傷を飛び越えて即死クラスだから! 頼むから彼女に殺されるとか嫌な感じの人生の幕引きはさせないでくれよ!?」
「だったら言動に気を使ったらどうですかっ! 浜面のは挑発してるようにしか超聞こえません!」
真っ赤になって叫ぶ絹旗に浜面は首を傾げ、
「じゃあどんな事を言って欲しいんだ?」
なんて事をニヤニヤしながら言ってきやがった。
「……浜面、あまり調子に乗らないでくださいよ。それくらい自分で超考えてください」
ぷい、と顔を背けるが、直後に抱き寄せられて顔を覗きこまれる。
すっと近付けられる顔にどきりとするが、目を瞑った。
けれど、期待していた感覚はない。
もしかして超フェイントですか、と思った矢先、耳に熱い息が掛かった。
「――可愛い」
そう囁かれて、絹旗はどうしようもなくなってしまう。
820 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 01:28:38.58 ID:DoJcuigo [4/11]
「浜面って超おっぱい星人ですよね……もしかしてロリコンだったりしますか?」
伸縮性のいい合成繊維の上から触れる野暮ったい指がやわやわと刺激する。
微妙にコンプレックスだったりするささやかな膨らみを浜面は飽きもせず揉んでいた。
「男ってのは総じておっぱい星人なんです。つかおっぱい嫌いな男なんていねー」
そんな事をいいながら、きゅ、と摘み上げる。
ん、と思わず声が漏れた。
「気持ちいい?」
「…………ちみっと」
我ながらいい感じに開発されつつあるなー、と絹旗は思う。
体は確実に『女』として変化しているし、こういう問いにも恥ずかしがりつつも正直に答える。
(……あれ?)
少し違うかもしれない。
浜面は絹旗を気持ちよくしようとして、絹旗の体がそれに応えようとしている。
それはつまり。
(うーわーあー)
羞恥心が頂天に達するが、そこから一気に静かになる。
……要は素直に感じればいいのだ、と今さらながら当然の事に思い当たる。
「浜面」
頬に軽くキスする。
「もっと、超気持ちよくしてください」
自殺行為かもしれないと思いつつ、けれどそれはそれでいいかと思い直した。
822 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 02:04:02.15 ID:DoJcuigo [5/11]
耳を澄ます時、目を瞑る。視覚というのは思う以上に脳に負担をかけている。
人の五感の中で最も占める割合が大きいのが視覚だ。
それを意図的にシャットアウトしてやれば、自然と他の感覚の領域は増す。
つまりどういう事かと言うと。
(うわ、うわー……うわー!)
目を瞑った瞬間、自分がいかに凄い事になっているか気付く。
ぐにぐにと布地の上から弄られるが、なにやら既に超やらしい音を立てているし。
触覚も鋭敏になり、まるで体中が性感帯になったようだった。
触れられている部分はもちろん、吐息どころか動いた時にかすかに起きる空気の流れにすら敏感に反応する。
ぐちゅぐちゅと粘液質な音を立てる口内からは自分のものとは違う、かすかに甘いようなものを感じる。
そして何より、今までまったく自覚していなかったが――浜面の汗の臭いと、それとは別のどうにも生臭いものに嗅覚が反応する。
(や、ば……)
瞬間、一杯になった体の奥からどろりと何かが溢れた。
「――――っ」
なんか明らかに粘っこい音が下の方から聞こえてきた。
ふつふつと荒い鼻息をしているのが嫌が応にも分かってしまう。
「――っは、じゅく、んむ」
口内の粘膜を擦られて、それだけで達してしまいそうになる。
もっと、とねだるように舌を吸ったところで、絹旗は今までと違う感覚に違和感を感じる。
ぷつ、と何かが切れるような――
そう思った瞬間、半ば強引に服と肌の間に滑り込んだ指が、ぬるりと入ってきた。
823 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 02:33:52.84 ID:DoJcuigo [6/11]
ぬちぬちと、妙に響く水音が聞こえる。
指の動きに体は素直に反応してしまう。腰と足とが自分の意思とは関係なく悶える。
ぷは、と水面から顔を出したように息継ぎして、絹旗は声を上げた。
「超破りやがりましたねコイツは!? タイツって結構高いんですよ!?」
その言葉に浜面は普段なら気圧されるはずだったが、今日は違った。
「――絹旗」
「なんですか」
「脱がせるなんて、とんでもないッ!」
断言された。
「あえてバニーだけに限定しないが……コスプレえっちする時に脱がすとかありえねえ! なんのためのコスプレだよ!」
「は、浜面……?」
「最低でも半脱ぎ! タイツを破らずにヤれるかあああっ!!」
熱弁するが、絹旗はドン引きだった。
でもまあ持ちかけたのは自分なのだし、まあいっかと思ってしまう。
胸の部分もずり下ろされ、そこにキスされた。
「あ――やっ――!」
先端を舌で転がされ、甘く歯を立てられた。
喉がきゅうっと高い音を立て鳴る。堪らず浜面の頭に両手が伸びる。くしゃりと硬い髪が音を立てた。
「ん、はふ……っくぅ……」
分かりやすいところを二箇所同時に攻められ肺が言う事を聞かなくなった。
必死に留めようとするがどうしても口の端から吐息と共に声が漏れてしまう。
浜面の立てる音と、絹旗の立てる音が混ざり合ってもはやどちらのものなのか分からなくなってしまう。
そこでようやく、思い出したように親指にぐり、と抉られた。
「ゃ、ゎ、――――ぅ!」
歯を食いしばって、びくんと体が一度大きく跳ねるだけに押し留めた。
828 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 17:14:03.43 ID:DoJcuigo [8/11]
「……絹旗」
恨みの篭った視線を向けられ浜面は少し驚く。
「もしかして……イっちゃった?」
ぺし、と頭に軽くチョップを入れられた。聞くなという事らしい。
指を引き抜かれ絹旗はまたぴくりと身悶える。
キスしようとする浜面の顔を押し止めて、絹旗はぽつりと零した。
「……私だけされて超ずるいです」
はい? と聞き返そうとした浜面は思い切り突き飛ばされてひっくり返った。
「……」
馬乗りになられ浜面は慌てるが――若干の期待は隠せないでいた。
く、と体を捻って絹旗は背を向ける。
「ちょちょ、絹旗さん?」
かちゃかちゃと金具の擦れる音がする。
「……超特別ですからね」
何が、と言い返そうとするが浜面は、期待通りの感覚に思わず息を呑んだ。
830 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 18:49:47.72 ID:DoJcuigo [9/11]
改めて、よくもまあこんなものが体の中に入るものだと絹旗は思う。
元からそういう風にできているとはいえ、人体の神秘恐るべし。
ちゅ、と口付ける。
(えと……こんな感じでいいんですかね……)
口の中に唾を溜め、舌を充分に濡らしてから這わせる。
ぴちゃぴちゃと猫がミルクを舐めるような音が響く。
「ん……ちゅ、れる……」
「き、ぬはた」
呼ばれたが黙殺した。
ぺろ、と濡らし舌だけでなく唇も絡める。動きだけはなんとなく分かっていた。
(……超複雑ですけど)
気持ちよくなれる口の動きは散々してきた。ただそれをする対象が変わっただけだ。
「くちゅ、じゅ、んふ……あむ……」
グロテスクとは思うが、素直にぴくりと跳ねるそれを少し可愛らしくも思う。
その反応が嬉しくて夢中になっていた。
少し大きく息をすると、吐息に驚いたのか大きく痙攣した。
「……浜面」
「な、んでしょう」
「気持ちいいですか?」
熱に浮かされたように、何故こんな事を聞いているのかすらも考えもせずに絹旗は尋ねる。
「……ああ」
「ふふ、超素直でいいですよ……ごほーびにもっと気持ちよくしてあげますから」
「え――」
返事を待たず、ずる、と咥えた。
839 名前:若干直接的な表現が増えてくる。ってか書き込もうとしたら消えやがった……orz[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 23:15:23.07 ID:DoJcuigo [10/11]
歯を当てないように気をつけながら、舌で舐めた。
「ん、ぐ……んむ、じゅる……くちゅ、ぷ……」
口で気持ちよくさせるやり方はいやと言うほど分かっている。ただ、今回はその相手が違うだけで。
絡めるように舌をぐりぐりと動かしながら絹旗は音が立つのも構わずに吸い上げた。
ふーっ、ふーっ、と荒くなった鼻息と、ぐちゅぐちゅと口の中で生々しい音が響くがもはや絹旗の耳には入っていない。
「絹旗、それ、やばい」
などと少し間抜けな声で言われ、思わず嬉しくなってしまう。
ちゅぽ、と軽い音を立てて口から引き抜くと、唾液でぬめったそこを両手で握る。
「えへへ……浜面、超気持ちよさそうです……」
多分、浜面も同じような感じだったのだろう。少しの征服感と、相手に喜んでもらえた事による満足感。
ぬちぬちと嫌らしい音を立てている先端に軽くキスして、もう一度咥え込む。
喉の奥まで飲み込んでしまい咳き込みそうになるが、なんとか堪えた。
「ぐじゅ……ずぞ、ぞ……」
吸い上げるようにして飲み込み、そのままゆっくりと首の力だけで引き抜いていく。
ぎりぎりまで抜いて、また沈める。
「じゅちゅ、ぐ、ちゅぶ……ぷ、はぶ……ん、ふぁ」
頭の片隅で警告が鳴っている気がする。
ぐぽぐぽと下品な音がするが、それを理解するだけの余裕がなかった。
どうにかして神経がおかしな感じで繋がってしまっているような気さえする。
唇と舌と、それから頬を使って刮ぐように擦る。
ともすれば息をするのを忘れそうになるほどに絹旗は一心に舐め上げていた。
だからだろうか。浜面の声に反応できなかったのは。
「絹旗……っ、やば、い……」
けれど、声には反応しなかったが浜面が思わず動かした手が脇腹を掠めるように撫で、思わずびくんと身動ぎした。
それが引き金になったのか。びくりと浜面が一度大きく跳ね、絹旗の口の中に熱いものが吐き出された。
840 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/18(日) 23:51:43.38 ID:DoJcuigo [11/11]
「んぐ、っ――!?」
「す、すまん絹旗!」
急に正体を取り戻して絹旗は慌てるが、それ以上に慌てる浜面を見てなんだかなあ、と醒めてしまった。
「え、えと、ティッシュ! ティッシュに吐き出して……ってねえし!? 普通枕元にあるもんじゃねえの!? どこだどこだあああ!!」
どたんばたんと騒々しい浜面を見て絹旗は、ふ、と嘆息して――鼻の奥から入ってきた臭いに咽そうになった。
「お、おい、大丈夫か……?」
恐る恐る尋ねる浜面を無視して、少しだけ気合いを入れて、嚥下した。
「――うぇ、やっぱコレ超噂通りの味です」
「何も飲まなくたって……」
「浜面がどたばたしてるから超仕方なくですよ」
適当に理由を付けたけれど、本当のところは何故そうしようとしたのか絹旗にも分からない。
あえて言うのなら――何か、もったいない気がしたというか――
「ぶ、げほっ、!?」
平気でそんな事を思いつく自分の思考回路に思わず咳き込んだ。
「そんなに不味いのか……」
「あえて表現するなら超苦じょっぱい卵白ですかね? あと超臭い上に喉に引っかかるので息したくなくなります」
若干的外れな問いかけに、少しだけ誇張して脅かしてやる。別にそこまで酷いとは思わなかったけれど。
まだ口の中に味がする。唾液で濡らした舌で歯の裏と、ついでにべとべとになった手を舐めていると。
「……浜面」
絹旗は眉をひそめた
「本当に超節操なしですね」
「う、すみません」
と口で言うものの、それだけ自分に興奮してくれているという事でもあるので――
「はーまづらぁ」
ニヤリと猫のように笑う絹旗に浜面はびくっと怯えるように体を震わせた。
841 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 01:16:55.16 ID:WkzCiqEo [1/15]
「ふふ、ふふふふふ、超単純な力勝負で無能力者の浜面が私に勝てるわけないでしょう」
「これすっげえ屈辱的なんですけど! でもなんか新しい感覚に目覚めそう! 不思議!」
腹を能力で適当に押さえつけて馬乗りになった絹旗はそんな事を言う浜面に少し嫌そうな顔をした。
「脱がない方がいいんでしたっけ……?」
タイツの穴を広げ、結構凄い事になっている布地を横にずらし――うわー、なんか超音が聞こえた気がします。
ぬるぬるとそこを擦り付けると、浜面が震えた。
「もしかして浜面、超興奮してます? やっぱり浜面って超変態ですね」
「変態で結構! だって絹旗可愛いし!」
末期だなあ、と絹旗は目を逸らす。浜面も、自分も。
「素直だから特別に超サービスしてあげます……」
手を添えて、ゆっくりと腰を落とす。
「ん……く、ふぅ……」
ずるずると異物の挿入される感覚。最初のこれだけはいつまで経っても慣れない。
「……は、ぁ」
肺から押し出されるように息を吐いた後、く、と腰を引いた。
分かりやすい快感と、けれどどこか喪失感が苛む。
それを埋めようとするかのようにまた腰を落とした。
「絹旗……っ」
「駄目、ですよ……んっ、浜面は超大人しくしててください」
少しずつこなれてきたそこに意識して力を入れる。
「ぐ……」
小さく呻く浜面の顔がなんだか妙に可愛らしくて、絹旗はどうしようもなくなる。
ばづ、ぱつん、という肉が肉を叩く音が部屋に響く。
842 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 02:03:45.58 ID:WkzCiqEo [2/15]
必要以上に利くベッドのスプリングを利用して体を跳ねさせる。
ぐじゃぐじゃと激しい音を立てる粘液はその動きに泡まで立てていた。
けれどそれに対して絹旗は何か思考する余裕すらなかった。
「あ、ふ、……くっ、ん、きゅぁ、っは……」
もう自分の喉から漏れているのが息なのか嬌声なのかすら認識できない。
絹旗には、体の感覚と今自分が圧し掛かっている浜面の顔しか見えていなかった。
それが何を示すかと言えば。
無論、そんな状態で能力を維持できるはずもなく。
ずぐん、と下から突き上げられて絹旗は息を詰まらせる。
「っ――か、は――」
「絹旗……あんまり俺をナメてんじゃねえぞ」
ぱくぱくと丘に打ち上げられた魚のように口を開閉させる絹旗に浜面は続ける。
「いくら大能力者っつったって演算できなきゃ同じだろうが! むしろ素の筋力では俺の方が上っ、オマエに負けるはずがねえ!」
「な、浜面のクセに、超生意気でづぁっ」
ぎしっ、とベッドを軋ませ、また腰を打ちつけられる。
「わた、私が、浜面を、んくっ、気持ちよく、させてあげ、ひゃふっ」
「さすがにヤられっぱなしってのも男の沽券に関わるんだよっ! それにっ!」
ごり、と裏側を擦られて思わず腰が震えた。
「絹旗の弱点は熟知しているっ!!」
「ひ、卑怯ですんはぁっ!?」
と虚勢を張るが、なぜか猛烈に嬉しかった。
じゅ、と自分でも分かるほど、何かが溢れる感覚がある。
少したじろいだところを容赦なく攻められ、絹旗はバランスを崩した。
845 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 02:33:40.16 ID:WkzCiqEo [3/15]
倒れなかったのが一瞬何故か分からなかった。
(あ――)
絹旗が体を支えようと思わず前に突き出した手が、握られていた。
(――暖かい)
何の打ち合わせもしていないのに、二人は自然に指を絡ませる。
それを支えにして絹旗は体を浮かせた。
「は、まづら、浜面、浜面ぁっ……!」
他に何も考えられず、絹旗はぎしぎしとベッドを軋ませる。
もしかしたら泣いているかもしれない。みっともなく涙を流しているかもしれない。
けれどそんな事は、どうだっていい。
何か心の中の大事な部分が壊れた気がした。
「浜面――!」
他に感情を型取る言葉が見つからなくて、それでも絹旗は迷わず叫ぶようにして言う。
「好き、浜面、大好き、です、っふ、あぐ、ん、好き、好きぃ……っ!」
熱に浮かされたように、うわ言のように、他に形容する言葉が分からずにひたすらに。
陳腐なと思うけれど、他の言葉が分からなかった。
「っは、ぅやっ、は、はま、えふっ、好き、大好き、超好きです――!」
もしかすると言う度に達しているのかもしれない。少なくとも心は何度も何度も飽きることなく跳ね続けている。
「あ、あああ、す、き、っあ、ふううっ!」
びくんびくんと体が意思とは関係なく跳ねる。
そこに、何を思ったのか、浜面は強引に体を起こし、腕を引き寄せ――
手の甲にキスをした。
それと同時に、ごり、となんだか嫌な感じに抉られて、
「ぁ、ゎ、あああ、っくあああああ――!」
絹旗の目の前が真っ白になった。
847 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/04/19(月) 02:53:38.06 ID:WkzCiqEo [4/15]
さすがにコスプレしたまま寝る趣味はないので脱ぎましたが。
「き……絹旗さん……?」
浜面は恐る恐る尋ね――いや、ぶっすー、と不機嫌さを隠そうともせず寝転がって枕を抱える絹旗にご機嫌を窺う必要などないのは明白なのだが。
「いくら超念願のバニーさんだからって容赦なさすぎです。浜面がああまで超鬼畜だとは思いませんでした」
「あ、あれはオマエが能力まで使うから……!」
「うるせーです。浜面はもちょっとそこで超猛省してなさい」
にべもなく切って捨て、絹旗は枕に顔を埋める。
……実際のところ、真っ赤になっているであろう顔を見せるのが超恥ずかしいだけなのだが。
さすがに自分があそこまでぶっ飛んでしまうとは思っていなかったのだが、まあたまにはありかなーとか思ってみたりもする。
そこまで考えて、また浜面の都合のいいように考えさせられているのだろうかと顔を赤くする。
「絹旗」
露になっている背を吸われ、絹旗は肩をぴくりと震わせる。マーキングされているようで腹も立つが、それはそれで少し嬉しくもある。
「ごめんな、可愛かった」
そう優しく覆い被さられ、絹旗はまた卑怯だと思う。そんな事をされたら是が非でも許さざるを得ないではないか。
「……浜面」
体を捩り、絹旗は胸元に仕返ししてやった。
「ぎゅってしててくださいね――寂しいと超死んじゃいますから」
多分これ、比喩じゃないだろうなあなどと心の中で一人ごちながら、絹旗は目を閉じた。
<<一方通行「どうかしてるぜェ!!」 | ホーム | レヴィ「へいロリータ!」 紬「へっ?」>>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |