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唯「あずにゃん・・・私ね、アイドルにスカウトされたの」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:09:18.83 ID:cTXoW7VdO [2/44]
先生「はい、それでは夏休みの間は体調を崩さずに過ごしてくださいね。」
先生の号令と共に、教室は喧騒に包まれた。
梓「はぁ・・・」
高校生活最後の夏休み。特に予定も無い私は、どうも浮かれることが出来なかった。
梓「先輩たちが卒業して、もう三ヶ月くらいかぁ・・・」
けいおん部は結局部員が集まらず廃部になってしまった。
昔は飽きるほどギターを触っていたのに、今では時々暇なときにいじるくらいだ。
一緒に演奏できる人がいないと、こうもモチベーションが違うものか。
梓「久しぶりに先輩たちに会いたいなぁ・・・」
先生「はい、それでは夏休みの間は体調を崩さずに過ごしてくださいね。」
先生の号令と共に、教室は喧騒に包まれた。
梓「はぁ・・・」
高校生活最後の夏休み。特に予定も無い私は、どうも浮かれることが出来なかった。
梓「先輩たちが卒業して、もう三ヶ月くらいかぁ・・・」
けいおん部は結局部員が集まらず廃部になってしまった。
昔は飽きるほどギターを触っていたのに、今では時々暇なときにいじるくらいだ。
一緒に演奏できる人がいないと、こうもモチベーションが違うものか。
梓「久しぶりに先輩たちに会いたいなぁ・・・」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:11:55.08 ID:cTXoW7VdO
先輩たちはそれぞれ大学に進学した。
私は卒業して以来、先輩たちとは一度も会っていない。
大学生はいろいろ忙しいだろうし、メールでもやり取りは出来るから。
憂「梓ちゃん、帰ろっ」
梓「うん、そうだね」
それに、唯先輩の話はいつも憂がしてくれる。
だから、最近まで、寂しいと思ったことはあまりなかった。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:15:48.70 ID:cTXoW7VdO
憂「それでね、その時お姉ちゃんがね――ー」
憂が唯先輩の話をしているときは本当に生き生きしている。
唯先輩のパワーを分けてもらっているみたいだ。
憂「あ、そうだ。最近お姉ちゃん、何か隠し事してるみたいなの」
梓「隠し事?」
憂「そう。何だかそわそわして、こっそり誰かに電話してたり、考え事してたりするの」
梓「もしかして・・・彼氏とか?」
憂「えーっ!お姉ちゃんに彼氏ぃー!?」
唯先輩に彼氏・・・。もし本当だったら面白い。
でも、唯先輩は可愛いし、本当に彼氏なのかも・・・。
そんなことを考えつつ、憂とお喋りをしながら帰った。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:18:45.20 ID:cTXoW7VdO
家に帰って何気なく携帯を見ると、メールが来ていた。
律先輩からだ。
メールを開くと、次のように書いてあった。
『久しぶりに皆で集まらないか?』
なんというタイミングだ。
私はメールを返すことすらじれったく感じ、電話帳から直接律先輩に電話した。
・・・、・・・
律「おー、梓ー。久しぶりだなー。元気してたかー?」
梓「お久しぶりです。律先輩」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:21:30.98 ID:cTXoW7VdO
先輩は早速、皆で会う話を切り出した。
律「まぁ卒業してしばらく経ったしさ、一度皆で集まりたいかなーって思ってさぁ」
梓「私もちょうど先輩たちと久々に会いたいと思ってたところです」
律「お?なになに?梓ちゃんは寂しかったのかなぁ~?」
梓「ち、違いますっ!ただ、久々に顔を合わせたいと思っただけで・・・」
律「ははは。まぁ、実は唯のことでちょっとあってさ、みんなに相談したくてさ」
梓「唯先輩のこと・・・?」
律先輩までなんだろう。やっぱり唯先輩に彼氏ができたのかな・・・。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:25:33.17 ID:cTXoW7VdO
数日後
紬「皆さんお久しぶりね。変わってないようで何よりです」
律「このメンバーで集まるのも久しぶりだなー」
澪「私と律は同じ大学だからしょっちゅう顔を合わせてるけどな」
唯「あずにゃ~ん、久しぶり~」
梓「わっ、いきなりくっつかないで下さいよ」
皆相変わらずだ。
先輩たちはまだ楽器を続けているのだろうか。
まだ、あの、去年の学園祭の盛り上がりを覚えているのだろうか。
何も変わらない先輩たちを見て、私は少し胸が痛んだ。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:28:37.29 ID:cTXoW7VdO
喫茶店で一息ついたところで、律先輩が切り出した。
律「まぁ、改めてになるけど、実は唯のことで相談があるんだ」
律「とは言っても澪とムギにはもう伝えてあるし、知らないのは梓だけか」
梓「私だけ・・・ですか?」
唯「いいよ、りっちゃん。私が言うから」
いつになく真面目な口調で、唯先輩が口を開いた。
唯「あずにゃん・・・私ね、アイドルにスカウトされたの」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:32:42.56 ID:cTXoW7VdO
梓「えっ・・・」
私は何も言えなかった。
だって、唯先輩に彼氏が出来たとか、そういう話が来ることばかり考えてたのに。
梓「・・・スカウトって、音楽でってわけではないんですか・・・?」
唯「うん。道を歩いてたら突然声をかけられたんだよ」
梓「それってすごく怪しいような・・・」
律「それが、声をかけたのが琴吹プロダクションの人だったんだよ。本当に偶然だったみたいだけど」
紬「私も確認したから間違いないわ。唯ちゃんを一目見てスカウトを決めたんだって」
澪「唯を一目見てって・・・にわかには信じがたいな・・・」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:36:04.54 ID:cTXoW7VdO
梓「それで、何て返事したんですか?」
唯「それがね、まだ、迷ってるの」
唯先輩が真剣に悩んでる。
将来のこととなると、さすがに唯先輩でも悩むんだなぁ。
律「まぁアイドルでやってけるかどうかもわからんしな。それでみんなの意見が聞きたくてさ」
紬「私は大賛成よ。唯ちゃんなら可愛いからきっと成功すると思うわ♪」
澪「私は反対だな。唯がテレビに出るなんて、何を言い出すかわからないしな」
律「私も一応反対派かな。わざわざアイドルなんてバクチに出る必要もないだろ」
唯「・・・あずにゃんはどう思う?」
梓「・・・・・・・・・私は・・・」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:38:47.44 ID:cTXoW7VdO
梓「・・・私は・・・アイドルの唯先輩を、見てみたいです」
唯「あずにゃん・・・」
何言ってるんだろう私。
私が本当に見たいのは、あの学園祭で一番輝いていた―――
唯「あずにゃんがそういうなら・・・私、頑張ってみるよ!」
律「ま、唯がそういうなら、仕方ないな」
紬「頑張ってね、唯ちゃん」
澪「何かあったら、すぐ私たちに連絡しろよ」
唯「うん、ありがとう!みんな!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:42:08.97 ID:cTXoW7VdO
その後、喫茶店で他愛もない話をして、解散となった。
先輩たちに、まだ楽器をやっているのかを聞こうとしたけれど、
唯先輩のアイドル話で盛り上がったので、水を差すのは悪いと思いやめた。
梓「唯先輩、大丈夫かな・・・」
せっかく先輩たち皆と会ったのに、頭の中は唯先輩のことでいっぱいだった。
アイドルってどんなことをするんだろう。
水着になったりするのかな。歌も歌ったりするのかな。
ギターを弾いたりは・・・・・・するのかな。
そんなことを考えながら、私は眠りについた。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:46:39.26 ID:cTXoW7VdO
数ヵ月後
『今日のゲストは平沢唯さんでーす』
唯先輩がデビューしてから三ヶ月が経った。
今や唯先輩は売れっ子アイドルだ。
ちょっと天然だけど、お茶の間に元気をくれると評判である。
梓「すごいなぁ・・・・・・」
たった数ヶ月でテレビに引っ張りだこ、ポスターや雑誌の表紙も飾るほどだった。
梓「やっぱり唯先輩はすごい・・・」
今もテレビで唯先輩の特集をやっている。
司会『唯ちゃんの特技は・・・ギターということですが、弾けるの?』
梓「・・・!!」
思わず私は身を乗り出した。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:49:50.88 ID:cTXoW7VdO
唯『はい~、え~っと、高校のときはバンドも組んでたんですよ~』
司会『へぇ~、じゃあ今日はギターを持ってきたので、弾いてもらいましょう』
唯『えっ!?ここでですかっ?恥ずかしいなぁ~』
うわ・・・唯先輩ギター触るの久しぶりじゃ・・・?
しかもこれ、生放送だし・・・。
司会『それでは軽く演奏してもらいましょう』
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:52:38.72 ID:cTXoW7VdO
・・・・・・
・・・・
・・
司会『ほぉ~、素晴らしい腕前ですなぁ』
唯『えへへぇ~、どうもぉ~』
私は唖然とした。
唯先輩は間違いなく今もギターの練習をしている。
むしろ高校時代より上手くなってるかもしれない。
唯先輩が頑張ってるのに、私は一人で現状を不満に思って・・・。
私は、何もしてない自分に対し憤りを感じた。
それと同時に、唯先輩のことを、羨ましくも思った・・・。
梓「私も、唯先輩みたいになりたい・・・」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:56:31.80 ID:cTXoW7VdO
数週間後
先生「中野さん、本当にそれでいいの?」
梓「はい。もう決めたことです」
卒業後の進路相談で、私は先生に音楽の道を歩むことを伝えた。
もちろん反対されたが、私の決意は固かった。
先生「そう・・・なら山中先生にも話しておきなさい。軽音部の時お世話になったでしょう」
梓「分かりました。ありがとうございます」
私が本気で音楽を続ければ、きっと先輩たちと、また一緒に・・・。
これからどんな辛いことがあっても、私は、唯先輩に追いつくまで、諦めない。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:04:53.09 ID:cTXoW7VdO
数年後
唯先輩がデビューしてから数年。
唯先輩はギターの腕や歌唱力も買われ、歌えて演奏できるトップアイドルになっていた。
私はというと、未だに路上でギターを鳴らす日々を送っていた。
ジャジャーン
梓「ありがとうございましたー」
この数年いろんなことをした。
トレーニングも欠かさずに行った。歌も上手くなったと思う。
インディーズでCDも出した。レコード会社を回ったりもした。
それでも、プロへの道は果てしなく険しいものだった。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:08:43.36 ID:cTXoW7VdO
梓「唯先輩は・・・もう私のこと忘れてるかな・・・」
唯先輩がアイドルになったあの日から、私は先輩たちとは一度も会ってない。
次に会うのは、私がもっと一人前になってからだ。
今の私は情けなさすぎて、先輩たちにあわす顔も無い。
憂には今の私の状況を黙ってもらっている。
私が唯先輩に憧れて、この道を選んだことがばれてしまったら
唯先輩に負担をかけてしまうかもしれない。
それだけは避けたかった。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:11:54.16 ID:cTXoW7VdO
梓「はぁ・・・やっぱりあそこに行くしかないのかな・・・」
実は一度私にファンがついた時があった。
秋葉原で路上演奏をしていた時だ。
でも、あそこに集まった人たちは、私の演奏は聴いてなかった気がした。
なんとなくだけど、アイドルの気持ちが分かったような気分になった。
唯先輩もこんな気持ちだったのかな。
アイドルって、楽しいのかな・・・。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:14:25.48 ID:cTXoW7VdO
梓「片付けよっと・・・・・・」
いつも以上にアンニュイな気分になってしまったので
私はわざとらしく独り言をつぶやき、撤収作業に入った。
今日もいつもどおり収穫ゼロ。
足踏みしたままの一日が、今日も終わろうとしていた。
ギターアンプを持ち上げようとしたその時、突如懐かしい声が耳に響いた。
「梓・・・だろ?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:17:15.74 ID:cTXoW7VdO
梓「っ!?・・・・・・」
振り返ると、そこには、律先輩が立っていた。
数年前より少し雰囲気が変わっただろうか。大人っぽい感じがする。
トレードマークのカチューシャも付けておらず、それだけで月日の流れを実感できた。
律「久しぶり・・・だな。何年ぶりだ?」
梓「えっ・・・あ・・・・・あの・・・・」
数年ぶりに見る律先輩を前にして、私は何も言えなかった。
混乱してどうしていいか分からない私に対し、律先輩は静かに口を開いた。
律「・・・とりあえずそこの喫茶店行こうぜ。時間あるだろ?」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:21:23.59 ID:cTXoW7VdO
コーヒーを飲み、私が少し落ち着くまで、律先輩は黙ったままだった。
梓「・・・・・・・・・・あの、律先輩」
律「ん?」
梓「偶然、私を見つけたんですか・・・?」
律「まぁ半分偶然半分狙ったかなぁ」
梓「・・・どういうことです?」
律「お前がどういう状況だったかは前に憂ちゃんから聞いてたんだよ。だから、路上で歌ってる奴らの顔をチェックするのは癖になってたしなぁ」
なんだ、憂がとっくに言っちゃってたんだ。なら、もう唯先輩にも・・・。
律「・・・なぁ梓、お前、一体いつになったら帰ってくるんだ?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:24:44.02 ID:cTXoW7VdO
梓「えっ・・・?」
律「お前、私達が卒業してからさ、どっか行っちまったよ。・・・私達の、何がいけなかったんだよ」
違う。
私はどこにも行っていない。先へ行ったのは先輩達のほうだ。
私はどこにも行けず、ただ思い出に縛られているだけ。
もう学校も卒業したのに、私はけいおん部を卒業できてない。
私の中で、放課後ティータイムは、まだ放課後なんだ・・・。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:28:48.07 ID:cTXoW7VdO
梓「・・・・・・唯先輩がアイドルとして活躍し始めた頃・・・」
梓「私は、テレビに映る唯先輩を見て、正直憧れました」
梓「あの、学園祭の時の唯先輩みたいな輝きを、感じたんです」
梓「それで私も唯先輩みたいになりたいと思い、音楽の道を歩むことを決めたんです」
梓「私はアイドルにはなれないけど、音楽を極めれば、唯先輩に追いつけるって思ったんです」
梓「遠くに行ってしまった唯先輩に追いつければ、また皆さんと演奏ができると思って・・・」
梓「でも、私は・・・・・・それを言い訳にして、現実から逃げてるだけなんです・・・」
梓「もう、放課後ティータイムは、終わってしまったのに・・・」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:32:24.27 ID:cTXoW7VdO
律「・・・梓、今の唯、楽しそうに見えるか?」
梓「・・・」
律「さすがに今じゃ唯と会う機会はめっきり減っちまったよ。それでも、テレビ越しに見て、唯が心の底から笑ってるの、見たことあるか?」
梓「・・・唯先輩・・・」
律「・・・何で唯が未だにアイドルを続けてるかわかるか?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:37:12.04 ID:cTXoW7VdO
律「・・・お前が、アイドルの唯を見たいって言ったからだよ」
梓「・・・」
律「唯がアイドルを始めてしばらくして、お前は私達と連絡しなくなった。憂ちゃんから無事ってことだけは聞かされてたが、それでも唯は相当ショックを受けてたんだぜ」
律「アイツはなんだかんだ責任感が強いからな。『あずにゃんが元気出すまで頑張るー』とか言っちゃってさ」
律「もう、終わりにしようぜ、梓。・・・・・・・・・頼む・・・」
ああ、私ってとことん自己中だ。
知らない間に、こんなにも多くの人を傷つけてしまっていた。
私の頭の中は、後悔しかなかった。
梓「・・・うっ・・・うっ・・・・・・律せんぱぁい・・・・・・・・う・・・うわぁぁぁああああーん!!!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:41:29.44 ID:cTXoW7VdO
梓「ううっ、律先輩、ごめんなさいっ 私っ 私っ・・・」
律「おいおい、謝るなら先に唯だろうがよ。私に謝っても何も出ないぞ」
梓「唯先輩・・・すみませんでした・・・ひっく」
律「だから私に言ってもしょうがないだろー。よし、明日皆集めるぞ」
梓「え・・・明日・・・ですか・・・?」
律「なーに、『中野梓完全復活!』とでもメール回せばすぐに集まるって」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:45:47.33 ID:cTXoW7VdO
翌日
本当に次の日に皆が集まることになった。
待ち合わせ場所には、律先輩、ムギ先輩、澪先輩の三人がいた。
澪「梓、久しぶりだな。少し身長伸びたか?」
紬「梓ちゃん久しぶり~♪」
梓「皆さん本当にご迷惑をおかけしました!!」
私は開口一番頭を下げ、誠心誠意謝罪した。
澪「お・・・おいおい、こんな街中でいきなり頭下げるなよ・・・」
紬「梓ちゃん、私達全然怒ってなんかないわよ」
梓「でも・・・やっぱり謝っても謝りきれないですっ」
律「はいはーい、謝罪タイムは一旦しゅーりょー。まず肝心の唯がまだ来てないしね」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:48:42.21 ID:cTXoW7VdO
律「さすがに昨日の今日じゃ、唯は時間通りは無理だったかー。ま、先にテキトーにお茶でも飲んでよーぜぃ」
澪「律、なんだか今日はご機嫌だな」
紬「うふふ♪」
唯先輩に会ったら、何て言おう。
その前に、まず、何て言われるだろう。私は、唯先輩の人生を狂わせてしまったから。
考えれば考えるほど自己嫌悪に陥るのに、悪いことを考えずにはいられなかった。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:52:01.44 ID:cTXoW7VdO
数時間後
カランカラーン
唯「お、お待たせ、しましたぁ!平沢唯、ただいま、参りましたっ!」
律「おー!唯ー!やっと来たかー!久しぶりー!」
唯先輩は走ってきたみたいで、息を切らして店にやってきた。
梓「あっ・・・」
唯先輩と目が合う。
唯「・・・あ・・・・・・あぁ・・・・・・」
唯「あーーーーーーーずにゃーーーーーーーん!!」
梓「うわっ!!」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:55:11.61 ID:cTXoW7VdO
私が何かを言う前に、唯先輩は私に抱きついてきた。
ただでさえ目立つのに、さっき自分の名前をフルネームで叫んだもんだから、周囲の視線が・・・。
唯「あずにゃぁぁぁん!寂しかったよぉぉぉぉ!!」
律「あのー、感動の再会のところ申し訳ないんですが、ギャラリーが少々騒がしく・・・」
唯「ほぇ!?あ、ど、どうもぉ~」
気づくと周りのお客さんが携帯で写真を撮ったりしている。
あの「平沢唯」が叫びながら店で暴れればそりゃそうか・・・。
澪「場所・・・変えるか」
紬「ええ・・・」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:58:44.29 ID:cTXoW7VdO
店を変え、落ち着いたところで、私は唯先輩に頭を下げた。
梓「唯先輩!本当に、本当にすみませんでした!」
梓「私・・・唯先輩に心配かけて・・・無理までさせちゃって・・・!」
唯「あずにゃん・・・」
梓「私、学園祭の唯先輩に、憧れてたんです。あんな風に輝きたいなって」
梓「皆さんが卒業して、けいおん部が廃部になったあとも、ずっとそのことばかり考えてて、いつの間にか憧れが未練になって・・・」
梓「でも、唯先輩がテレビで輝いてるのを見て、私も唯先輩みたいになりたいって思ったんです。アイドルが無理でも、せめて音楽ならって・・・」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:03:06.90 ID:cTXoW7VdO
梓「でも、独りでギターを弾いても、何も楽しくなかった。やっぱり私は、ただ、先輩たちと音楽が出来なくなってしまったことが、受け入れられなかっただけで・・・」
ああ、また私は自分のことばかりだ。
唯先輩に謝ってるはずなのに、気づいたら自分の愚痴を言ってる。
唯先輩は、私の何倍も苦しかっただろうに。
唯「あずにゃん・・・」
一呼吸置いて、唯先輩はこう言った。
唯「あずにゃん・・・私、もうアイドルやめるよ」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:05:58.84 ID:cTXoW7VdO
梓「唯・・・先輩・・・」
唯「あずにゃんが本当の気持ちを言ってくれたから、もう私がアイドルやる理由もないしね。それに・・・」
唯「・・・私ね、本気で音楽やってみたいの」
唯「アイドルってことでギターを弾かせてもらったり、歌わせてもらってたけど、やっぱり寂しいよ」
唯「あずにゃんの言うとおり、独りでやっても、面白くない。・・・仲間と、演奏したいよ」
梓「・・・」
唯「あずにゃん、一緒に・・・コンビ組まない?」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:08:53.11 ID:cTXoW7VdO
梓「・・・私なんかで・・・いいんですか?」
唯「あずにゃんとじゃないと、楽しくできないよ。あずにゃんとがいい」
梓「・・・唯先輩っ」
私は泣きながら唯先輩に抱きついた。
やっぱり唯先輩は優しくて強くて―――すごい人だ。
澪「なんだかいつもと逆だな」
紬「お二人ともラブラブね~♪」
律「ようやくこれで、一件落着かな」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:11:45.08 ID:cTXoW7VdO
・・・・・・
・・・・
・・
澪「しかし本気で音楽やるって、具体的にはどうするんだ?」
唯「えっとね、まずは音楽の専門学校に入ろうと思うの。ギターのコードとか全然わかんないし・・・」
律「うぉーい!高校の知識のままプロ活動やってたのかい!」
紬「唯ちゃん昔から全部感覚でやってたもんねぇ」
唯「えへへぇ、どういたしまして」
梓「褒めてないですよ、唯先輩」
ようやくいつものやり取りができるようになってきた。
もし私が、数年間このやり取りを台無しにしていたのなら、また謝らなくちゃいけないな。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:14:42.49 ID:cTXoW7VdO
唯「だからね、あずにゃん。誘ったところ悪いけど、もう二年くらい待っててくれない?それまでにあずにゃんの足を引っ張らないように勉強するから」
梓「・・・私も入学しますよ。どうせ学校行ってないですし」
唯「えぇっ!そうなの!?」
なんだ、このことは憂は言ってなかったのか。
唯「じゃあ一緒の学校だね。よろしくあずにゃん♪」
学費はどうしよう・・・。また親に迷惑かけちゃうかな。
出来るだけバイトするようにしよう。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:17:58.17 ID:cTXoW7VdO
数週間後
マスコミが平沢唯の電撃引退を報じ、ほとぼりが冷めてきた頃、私達はまた集まっていた。
澪「よしっ、これで全員だな」
紬「今日はみんな時間通り集まれたわね」
唯「平沢唯、無職です!えへへ」
律「一番の金持ちが何言ってんだ」
梓「一番お金持ちはムギ先輩ですよ」
律「ぐぁ、そうだった」
私たちは、くだらないお喋りをしながら目的地へと向かった。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:20:34.83 ID:cTXoW7VdO
律「おー久しぶりだなーこの感じ」
澪「前にここに来たとき、お茶飲んでたら時間来ちゃったときあったよな」
唯「あれはムギちゃんのお茶が美味しかったからだよ~」
紬「あらあら、それは光栄ね」
私たちは貸しスタジオにやってきた。
言いだしっぺは私。
目的は――――放課後ティータイムの解散ライブだ。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:23:03.82 ID:cTXoW7VdO
それぞれがセッティングを終えたところで、律先輩が口を開いた。
律「えー、それでは、放課後ティータイムの解散ライブを始めまーす」
もちろんお客さんなんていない。
でも、これで、HTTは終わりだ。
律「・・・と言いたいところですが」
律「放課後ティータイムは、解散なんてしません!」
梓「えっ・・・?」
律「何故なら、放課後ティータイムは・・・いつまでも、放課後だからです!」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:25:47.51 ID:cTXoW7VdO
梓「ちょっ・・・律先輩・・・?何言って・・・」
律「じゃあ今日は何のためのライブでしょう・・・それは!」
律「中野梓ちゅわんの卒業ライブだぁぁぁぁああ!!!」
梓「えっ?えっ・・・?」
どういうこと?私の卒業ライブ?
唯「あずにゃんおめでと~!」
紬「梓ちゃん、おめでとう♪」
澪「梓、卒業おめでとう!」
なんだ、最初から仕組まれてたのか・・・
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:28:39.17 ID:cTXoW7VdO
梓「皆さん・・・ありがとうございます!」
私は深々と頭を下げた。ここんとこ頭を下げてばっかだ。
律「はいはい、時間ないからさっさといくよー。梓は何演奏したい?」
梓「えっと・・・何でもいいんですか・・・?」
律「今日のためにみんな必死で練習してきたんだぜ。あたしのドラムは埃かぶってて大変だったけどなー。あはー」
梓「・・・・・・じゃあ・・・・・・ごはんはおかずで」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:31:37.19 ID:cTXoW7VdO
律「よりによって何でそれを・・・」
梓「あの学園祭で、最初にやった曲だからです」
律「む、なるほど・・・それじゃみんな準備はいーい?」
これで、卒業か。
紬「いつでも大丈夫よ♪」
私は、最高の先輩達とバンドが組めたんだな。
澪「久しぶりで緊張するな・・・」
律先輩、ムギ先輩、澪先輩・・・
唯「いっくよ~あずにゃん!」
そして、唯先輩、本当に・・・ありがとうございます!
律「ワン、ツー、スリー、フォー!!」
終わり。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:50:58.95 ID:cTXoW7VdO [44/44]
もしもしからの投稿で時間がかかってしまって申し訳ないです。
けいおんはアニメから入った新参なんで、細かい設定ミスがあっても勘弁。
やっぱSSは難しいス
先輩たちはそれぞれ大学に進学した。
私は卒業して以来、先輩たちとは一度も会っていない。
大学生はいろいろ忙しいだろうし、メールでもやり取りは出来るから。
憂「梓ちゃん、帰ろっ」
梓「うん、そうだね」
それに、唯先輩の話はいつも憂がしてくれる。
だから、最近まで、寂しいと思ったことはあまりなかった。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:15:48.70 ID:cTXoW7VdO
憂「それでね、その時お姉ちゃんがね――ー」
憂が唯先輩の話をしているときは本当に生き生きしている。
唯先輩のパワーを分けてもらっているみたいだ。
憂「あ、そうだ。最近お姉ちゃん、何か隠し事してるみたいなの」
梓「隠し事?」
憂「そう。何だかそわそわして、こっそり誰かに電話してたり、考え事してたりするの」
梓「もしかして・・・彼氏とか?」
憂「えーっ!お姉ちゃんに彼氏ぃー!?」
唯先輩に彼氏・・・。もし本当だったら面白い。
でも、唯先輩は可愛いし、本当に彼氏なのかも・・・。
そんなことを考えつつ、憂とお喋りをしながら帰った。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:18:45.20 ID:cTXoW7VdO
家に帰って何気なく携帯を見ると、メールが来ていた。
律先輩からだ。
メールを開くと、次のように書いてあった。
『久しぶりに皆で集まらないか?』
なんというタイミングだ。
私はメールを返すことすらじれったく感じ、電話帳から直接律先輩に電話した。
・・・、・・・
律「おー、梓ー。久しぶりだなー。元気してたかー?」
梓「お久しぶりです。律先輩」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:21:30.98 ID:cTXoW7VdO
先輩は早速、皆で会う話を切り出した。
律「まぁ卒業してしばらく経ったしさ、一度皆で集まりたいかなーって思ってさぁ」
梓「私もちょうど先輩たちと久々に会いたいと思ってたところです」
律「お?なになに?梓ちゃんは寂しかったのかなぁ~?」
梓「ち、違いますっ!ただ、久々に顔を合わせたいと思っただけで・・・」
律「ははは。まぁ、実は唯のことでちょっとあってさ、みんなに相談したくてさ」
梓「唯先輩のこと・・・?」
律先輩までなんだろう。やっぱり唯先輩に彼氏ができたのかな・・・。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:25:33.17 ID:cTXoW7VdO
数日後
紬「皆さんお久しぶりね。変わってないようで何よりです」
律「このメンバーで集まるのも久しぶりだなー」
澪「私と律は同じ大学だからしょっちゅう顔を合わせてるけどな」
唯「あずにゃ~ん、久しぶり~」
梓「わっ、いきなりくっつかないで下さいよ」
皆相変わらずだ。
先輩たちはまだ楽器を続けているのだろうか。
まだ、あの、去年の学園祭の盛り上がりを覚えているのだろうか。
何も変わらない先輩たちを見て、私は少し胸が痛んだ。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:28:37.29 ID:cTXoW7VdO
喫茶店で一息ついたところで、律先輩が切り出した。
律「まぁ、改めてになるけど、実は唯のことで相談があるんだ」
律「とは言っても澪とムギにはもう伝えてあるし、知らないのは梓だけか」
梓「私だけ・・・ですか?」
唯「いいよ、りっちゃん。私が言うから」
いつになく真面目な口調で、唯先輩が口を開いた。
唯「あずにゃん・・・私ね、アイドルにスカウトされたの」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:32:42.56 ID:cTXoW7VdO
梓「えっ・・・」
私は何も言えなかった。
だって、唯先輩に彼氏が出来たとか、そういう話が来ることばかり考えてたのに。
梓「・・・スカウトって、音楽でってわけではないんですか・・・?」
唯「うん。道を歩いてたら突然声をかけられたんだよ」
梓「それってすごく怪しいような・・・」
律「それが、声をかけたのが琴吹プロダクションの人だったんだよ。本当に偶然だったみたいだけど」
紬「私も確認したから間違いないわ。唯ちゃんを一目見てスカウトを決めたんだって」
澪「唯を一目見てって・・・にわかには信じがたいな・・・」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:36:04.54 ID:cTXoW7VdO
梓「それで、何て返事したんですか?」
唯「それがね、まだ、迷ってるの」
唯先輩が真剣に悩んでる。
将来のこととなると、さすがに唯先輩でも悩むんだなぁ。
律「まぁアイドルでやってけるかどうかもわからんしな。それでみんなの意見が聞きたくてさ」
紬「私は大賛成よ。唯ちゃんなら可愛いからきっと成功すると思うわ♪」
澪「私は反対だな。唯がテレビに出るなんて、何を言い出すかわからないしな」
律「私も一応反対派かな。わざわざアイドルなんてバクチに出る必要もないだろ」
唯「・・・あずにゃんはどう思う?」
梓「・・・・・・・・・私は・・・」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:38:47.44 ID:cTXoW7VdO
梓「・・・私は・・・アイドルの唯先輩を、見てみたいです」
唯「あずにゃん・・・」
何言ってるんだろう私。
私が本当に見たいのは、あの学園祭で一番輝いていた―――
唯「あずにゃんがそういうなら・・・私、頑張ってみるよ!」
律「ま、唯がそういうなら、仕方ないな」
紬「頑張ってね、唯ちゃん」
澪「何かあったら、すぐ私たちに連絡しろよ」
唯「うん、ありがとう!みんな!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:42:08.97 ID:cTXoW7VdO
その後、喫茶店で他愛もない話をして、解散となった。
先輩たちに、まだ楽器をやっているのかを聞こうとしたけれど、
唯先輩のアイドル話で盛り上がったので、水を差すのは悪いと思いやめた。
梓「唯先輩、大丈夫かな・・・」
せっかく先輩たち皆と会ったのに、頭の中は唯先輩のことでいっぱいだった。
アイドルってどんなことをするんだろう。
水着になったりするのかな。歌も歌ったりするのかな。
ギターを弾いたりは・・・・・・するのかな。
そんなことを考えながら、私は眠りについた。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:46:39.26 ID:cTXoW7VdO
数ヵ月後
『今日のゲストは平沢唯さんでーす』
唯先輩がデビューしてから三ヶ月が経った。
今や唯先輩は売れっ子アイドルだ。
ちょっと天然だけど、お茶の間に元気をくれると評判である。
梓「すごいなぁ・・・・・・」
たった数ヶ月でテレビに引っ張りだこ、ポスターや雑誌の表紙も飾るほどだった。
梓「やっぱり唯先輩はすごい・・・」
今もテレビで唯先輩の特集をやっている。
司会『唯ちゃんの特技は・・・ギターということですが、弾けるの?』
梓「・・・!!」
思わず私は身を乗り出した。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:49:50.88 ID:cTXoW7VdO
唯『はい~、え~っと、高校のときはバンドも組んでたんですよ~』
司会『へぇ~、じゃあ今日はギターを持ってきたので、弾いてもらいましょう』
唯『えっ!?ここでですかっ?恥ずかしいなぁ~』
うわ・・・唯先輩ギター触るの久しぶりじゃ・・・?
しかもこれ、生放送だし・・・。
司会『それでは軽く演奏してもらいましょう』
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:52:38.72 ID:cTXoW7VdO
・・・・・・
・・・・
・・
司会『ほぉ~、素晴らしい腕前ですなぁ』
唯『えへへぇ~、どうもぉ~』
私は唖然とした。
唯先輩は間違いなく今もギターの練習をしている。
むしろ高校時代より上手くなってるかもしれない。
唯先輩が頑張ってるのに、私は一人で現状を不満に思って・・・。
私は、何もしてない自分に対し憤りを感じた。
それと同時に、唯先輩のことを、羨ましくも思った・・・。
梓「私も、唯先輩みたいになりたい・・・」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:56:31.80 ID:cTXoW7VdO
数週間後
先生「中野さん、本当にそれでいいの?」
梓「はい。もう決めたことです」
卒業後の進路相談で、私は先生に音楽の道を歩むことを伝えた。
もちろん反対されたが、私の決意は固かった。
先生「そう・・・なら山中先生にも話しておきなさい。軽音部の時お世話になったでしょう」
梓「分かりました。ありがとうございます」
私が本気で音楽を続ければ、きっと先輩たちと、また一緒に・・・。
これからどんな辛いことがあっても、私は、唯先輩に追いつくまで、諦めない。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:04:53.09 ID:cTXoW7VdO
数年後
唯先輩がデビューしてから数年。
唯先輩はギターの腕や歌唱力も買われ、歌えて演奏できるトップアイドルになっていた。
私はというと、未だに路上でギターを鳴らす日々を送っていた。
ジャジャーン
梓「ありがとうございましたー」
この数年いろんなことをした。
トレーニングも欠かさずに行った。歌も上手くなったと思う。
インディーズでCDも出した。レコード会社を回ったりもした。
それでも、プロへの道は果てしなく険しいものだった。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:08:43.36 ID:cTXoW7VdO
梓「唯先輩は・・・もう私のこと忘れてるかな・・・」
唯先輩がアイドルになったあの日から、私は先輩たちとは一度も会ってない。
次に会うのは、私がもっと一人前になってからだ。
今の私は情けなさすぎて、先輩たちにあわす顔も無い。
憂には今の私の状況を黙ってもらっている。
私が唯先輩に憧れて、この道を選んだことがばれてしまったら
唯先輩に負担をかけてしまうかもしれない。
それだけは避けたかった。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:11:54.16 ID:cTXoW7VdO
梓「はぁ・・・やっぱりあそこに行くしかないのかな・・・」
実は一度私にファンがついた時があった。
秋葉原で路上演奏をしていた時だ。
でも、あそこに集まった人たちは、私の演奏は聴いてなかった気がした。
なんとなくだけど、アイドルの気持ちが分かったような気分になった。
唯先輩もこんな気持ちだったのかな。
アイドルって、楽しいのかな・・・。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:14:25.48 ID:cTXoW7VdO
梓「片付けよっと・・・・・・」
いつも以上にアンニュイな気分になってしまったので
私はわざとらしく独り言をつぶやき、撤収作業に入った。
今日もいつもどおり収穫ゼロ。
足踏みしたままの一日が、今日も終わろうとしていた。
ギターアンプを持ち上げようとしたその時、突如懐かしい声が耳に響いた。
「梓・・・だろ?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:17:15.74 ID:cTXoW7VdO
梓「っ!?・・・・・・」
振り返ると、そこには、律先輩が立っていた。
数年前より少し雰囲気が変わっただろうか。大人っぽい感じがする。
トレードマークのカチューシャも付けておらず、それだけで月日の流れを実感できた。
律「久しぶり・・・だな。何年ぶりだ?」
梓「えっ・・・あ・・・・・あの・・・・」
数年ぶりに見る律先輩を前にして、私は何も言えなかった。
混乱してどうしていいか分からない私に対し、律先輩は静かに口を開いた。
律「・・・とりあえずそこの喫茶店行こうぜ。時間あるだろ?」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:21:23.59 ID:cTXoW7VdO
コーヒーを飲み、私が少し落ち着くまで、律先輩は黙ったままだった。
梓「・・・・・・・・・・あの、律先輩」
律「ん?」
梓「偶然、私を見つけたんですか・・・?」
律「まぁ半分偶然半分狙ったかなぁ」
梓「・・・どういうことです?」
律「お前がどういう状況だったかは前に憂ちゃんから聞いてたんだよ。だから、路上で歌ってる奴らの顔をチェックするのは癖になってたしなぁ」
なんだ、憂がとっくに言っちゃってたんだ。なら、もう唯先輩にも・・・。
律「・・・なぁ梓、お前、一体いつになったら帰ってくるんだ?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:24:44.02 ID:cTXoW7VdO
梓「えっ・・・?」
律「お前、私達が卒業してからさ、どっか行っちまったよ。・・・私達の、何がいけなかったんだよ」
違う。
私はどこにも行っていない。先へ行ったのは先輩達のほうだ。
私はどこにも行けず、ただ思い出に縛られているだけ。
もう学校も卒業したのに、私はけいおん部を卒業できてない。
私の中で、放課後ティータイムは、まだ放課後なんだ・・・。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:28:48.07 ID:cTXoW7VdO
梓「・・・・・・唯先輩がアイドルとして活躍し始めた頃・・・」
梓「私は、テレビに映る唯先輩を見て、正直憧れました」
梓「あの、学園祭の時の唯先輩みたいな輝きを、感じたんです」
梓「それで私も唯先輩みたいになりたいと思い、音楽の道を歩むことを決めたんです」
梓「私はアイドルにはなれないけど、音楽を極めれば、唯先輩に追いつけるって思ったんです」
梓「遠くに行ってしまった唯先輩に追いつければ、また皆さんと演奏ができると思って・・・」
梓「でも、私は・・・・・・それを言い訳にして、現実から逃げてるだけなんです・・・」
梓「もう、放課後ティータイムは、終わってしまったのに・・・」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:32:24.27 ID:cTXoW7VdO
律「・・・梓、今の唯、楽しそうに見えるか?」
梓「・・・」
律「さすがに今じゃ唯と会う機会はめっきり減っちまったよ。それでも、テレビ越しに見て、唯が心の底から笑ってるの、見たことあるか?」
梓「・・・唯先輩・・・」
律「・・・何で唯が未だにアイドルを続けてるかわかるか?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:37:12.04 ID:cTXoW7VdO
律「・・・お前が、アイドルの唯を見たいって言ったからだよ」
梓「・・・」
律「唯がアイドルを始めてしばらくして、お前は私達と連絡しなくなった。憂ちゃんから無事ってことだけは聞かされてたが、それでも唯は相当ショックを受けてたんだぜ」
律「アイツはなんだかんだ責任感が強いからな。『あずにゃんが元気出すまで頑張るー』とか言っちゃってさ」
律「もう、終わりにしようぜ、梓。・・・・・・・・・頼む・・・」
ああ、私ってとことん自己中だ。
知らない間に、こんなにも多くの人を傷つけてしまっていた。
私の頭の中は、後悔しかなかった。
梓「・・・うっ・・・うっ・・・・・・律せんぱぁい・・・・・・・・う・・・うわぁぁぁああああーん!!!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:41:29.44 ID:cTXoW7VdO
梓「ううっ、律先輩、ごめんなさいっ 私っ 私っ・・・」
律「おいおい、謝るなら先に唯だろうがよ。私に謝っても何も出ないぞ」
梓「唯先輩・・・すみませんでした・・・ひっく」
律「だから私に言ってもしょうがないだろー。よし、明日皆集めるぞ」
梓「え・・・明日・・・ですか・・・?」
律「なーに、『中野梓完全復活!』とでもメール回せばすぐに集まるって」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:45:47.33 ID:cTXoW7VdO
翌日
本当に次の日に皆が集まることになった。
待ち合わせ場所には、律先輩、ムギ先輩、澪先輩の三人がいた。
澪「梓、久しぶりだな。少し身長伸びたか?」
紬「梓ちゃん久しぶり~♪」
梓「皆さん本当にご迷惑をおかけしました!!」
私は開口一番頭を下げ、誠心誠意謝罪した。
澪「お・・・おいおい、こんな街中でいきなり頭下げるなよ・・・」
紬「梓ちゃん、私達全然怒ってなんかないわよ」
梓「でも・・・やっぱり謝っても謝りきれないですっ」
律「はいはーい、謝罪タイムは一旦しゅーりょー。まず肝心の唯がまだ来てないしね」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:48:42.21 ID:cTXoW7VdO
律「さすがに昨日の今日じゃ、唯は時間通りは無理だったかー。ま、先にテキトーにお茶でも飲んでよーぜぃ」
澪「律、なんだか今日はご機嫌だな」
紬「うふふ♪」
唯先輩に会ったら、何て言おう。
その前に、まず、何て言われるだろう。私は、唯先輩の人生を狂わせてしまったから。
考えれば考えるほど自己嫌悪に陥るのに、悪いことを考えずにはいられなかった。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:52:01.44 ID:cTXoW7VdO
数時間後
カランカラーン
唯「お、お待たせ、しましたぁ!平沢唯、ただいま、参りましたっ!」
律「おー!唯ー!やっと来たかー!久しぶりー!」
唯先輩は走ってきたみたいで、息を切らして店にやってきた。
梓「あっ・・・」
唯先輩と目が合う。
唯「・・・あ・・・・・・あぁ・・・・・・」
唯「あーーーーーーーずにゃーーーーーーーん!!」
梓「うわっ!!」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:55:11.61 ID:cTXoW7VdO
私が何かを言う前に、唯先輩は私に抱きついてきた。
ただでさえ目立つのに、さっき自分の名前をフルネームで叫んだもんだから、周囲の視線が・・・。
唯「あずにゃぁぁぁん!寂しかったよぉぉぉぉ!!」
律「あのー、感動の再会のところ申し訳ないんですが、ギャラリーが少々騒がしく・・・」
唯「ほぇ!?あ、ど、どうもぉ~」
気づくと周りのお客さんが携帯で写真を撮ったりしている。
あの「平沢唯」が叫びながら店で暴れればそりゃそうか・・・。
澪「場所・・・変えるか」
紬「ええ・・・」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:58:44.29 ID:cTXoW7VdO
店を変え、落ち着いたところで、私は唯先輩に頭を下げた。
梓「唯先輩!本当に、本当にすみませんでした!」
梓「私・・・唯先輩に心配かけて・・・無理までさせちゃって・・・!」
唯「あずにゃん・・・」
梓「私、学園祭の唯先輩に、憧れてたんです。あんな風に輝きたいなって」
梓「皆さんが卒業して、けいおん部が廃部になったあとも、ずっとそのことばかり考えてて、いつの間にか憧れが未練になって・・・」
梓「でも、唯先輩がテレビで輝いてるのを見て、私も唯先輩みたいになりたいって思ったんです。アイドルが無理でも、せめて音楽ならって・・・」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:03:06.90 ID:cTXoW7VdO
梓「でも、独りでギターを弾いても、何も楽しくなかった。やっぱり私は、ただ、先輩たちと音楽が出来なくなってしまったことが、受け入れられなかっただけで・・・」
ああ、また私は自分のことばかりだ。
唯先輩に謝ってるはずなのに、気づいたら自分の愚痴を言ってる。
唯先輩は、私の何倍も苦しかっただろうに。
唯「あずにゃん・・・」
一呼吸置いて、唯先輩はこう言った。
唯「あずにゃん・・・私、もうアイドルやめるよ」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:05:58.84 ID:cTXoW7VdO
梓「唯・・・先輩・・・」
唯「あずにゃんが本当の気持ちを言ってくれたから、もう私がアイドルやる理由もないしね。それに・・・」
唯「・・・私ね、本気で音楽やってみたいの」
唯「アイドルってことでギターを弾かせてもらったり、歌わせてもらってたけど、やっぱり寂しいよ」
唯「あずにゃんの言うとおり、独りでやっても、面白くない。・・・仲間と、演奏したいよ」
梓「・・・」
唯「あずにゃん、一緒に・・・コンビ組まない?」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:08:53.11 ID:cTXoW7VdO
梓「・・・私なんかで・・・いいんですか?」
唯「あずにゃんとじゃないと、楽しくできないよ。あずにゃんとがいい」
梓「・・・唯先輩っ」
私は泣きながら唯先輩に抱きついた。
やっぱり唯先輩は優しくて強くて―――すごい人だ。
澪「なんだかいつもと逆だな」
紬「お二人ともラブラブね~♪」
律「ようやくこれで、一件落着かな」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:11:45.08 ID:cTXoW7VdO
・・・・・・
・・・・
・・
澪「しかし本気で音楽やるって、具体的にはどうするんだ?」
唯「えっとね、まずは音楽の専門学校に入ろうと思うの。ギターのコードとか全然わかんないし・・・」
律「うぉーい!高校の知識のままプロ活動やってたのかい!」
紬「唯ちゃん昔から全部感覚でやってたもんねぇ」
唯「えへへぇ、どういたしまして」
梓「褒めてないですよ、唯先輩」
ようやくいつものやり取りができるようになってきた。
もし私が、数年間このやり取りを台無しにしていたのなら、また謝らなくちゃいけないな。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:14:42.49 ID:cTXoW7VdO
唯「だからね、あずにゃん。誘ったところ悪いけど、もう二年くらい待っててくれない?それまでにあずにゃんの足を引っ張らないように勉強するから」
梓「・・・私も入学しますよ。どうせ学校行ってないですし」
唯「えぇっ!そうなの!?」
なんだ、このことは憂は言ってなかったのか。
唯「じゃあ一緒の学校だね。よろしくあずにゃん♪」
学費はどうしよう・・・。また親に迷惑かけちゃうかな。
出来るだけバイトするようにしよう。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:17:58.17 ID:cTXoW7VdO
数週間後
マスコミが平沢唯の電撃引退を報じ、ほとぼりが冷めてきた頃、私達はまた集まっていた。
澪「よしっ、これで全員だな」
紬「今日はみんな時間通り集まれたわね」
唯「平沢唯、無職です!えへへ」
律「一番の金持ちが何言ってんだ」
梓「一番お金持ちはムギ先輩ですよ」
律「ぐぁ、そうだった」
私たちは、くだらないお喋りをしながら目的地へと向かった。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:20:34.83 ID:cTXoW7VdO
律「おー久しぶりだなーこの感じ」
澪「前にここに来たとき、お茶飲んでたら時間来ちゃったときあったよな」
唯「あれはムギちゃんのお茶が美味しかったからだよ~」
紬「あらあら、それは光栄ね」
私たちは貸しスタジオにやってきた。
言いだしっぺは私。
目的は――――放課後ティータイムの解散ライブだ。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:23:03.82 ID:cTXoW7VdO
それぞれがセッティングを終えたところで、律先輩が口を開いた。
律「えー、それでは、放課後ティータイムの解散ライブを始めまーす」
もちろんお客さんなんていない。
でも、これで、HTTは終わりだ。
律「・・・と言いたいところですが」
律「放課後ティータイムは、解散なんてしません!」
梓「えっ・・・?」
律「何故なら、放課後ティータイムは・・・いつまでも、放課後だからです!」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:25:47.51 ID:cTXoW7VdO
梓「ちょっ・・・律先輩・・・?何言って・・・」
律「じゃあ今日は何のためのライブでしょう・・・それは!」
律「中野梓ちゅわんの卒業ライブだぁぁぁぁああ!!!」
梓「えっ?えっ・・・?」
どういうこと?私の卒業ライブ?
唯「あずにゃんおめでと~!」
紬「梓ちゃん、おめでとう♪」
澪「梓、卒業おめでとう!」
なんだ、最初から仕組まれてたのか・・・
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:28:39.17 ID:cTXoW7VdO
梓「皆さん・・・ありがとうございます!」
私は深々と頭を下げた。ここんとこ頭を下げてばっかだ。
律「はいはい、時間ないからさっさといくよー。梓は何演奏したい?」
梓「えっと・・・何でもいいんですか・・・?」
律「今日のためにみんな必死で練習してきたんだぜ。あたしのドラムは埃かぶってて大変だったけどなー。あはー」
梓「・・・・・・じゃあ・・・・・・ごはんはおかずで」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:31:37.19 ID:cTXoW7VdO
律「よりによって何でそれを・・・」
梓「あの学園祭で、最初にやった曲だからです」
律「む、なるほど・・・それじゃみんな準備はいーい?」
これで、卒業か。
紬「いつでも大丈夫よ♪」
私は、最高の先輩達とバンドが組めたんだな。
澪「久しぶりで緊張するな・・・」
律先輩、ムギ先輩、澪先輩・・・
唯「いっくよ~あずにゃん!」
そして、唯先輩、本当に・・・ありがとうございます!
律「ワン、ツー、スリー、フォー!!」
終わり。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 03:50:58.95 ID:cTXoW7VdO [44/44]
もしもしからの投稿で時間がかかってしまって申し訳ないです。
けいおんはアニメから入った新参なんで、細かい設定ミスがあっても勘弁。
やっぱSSは難しいス
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