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京介「黒猫じゃなく、名前で呼んでもいいか?」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:13:18.35 ID:7gETv3M/0 [1/35]
黒猫「……何ですって?」
京介「いや、だから名前で呼んでいいかって聞いてるんだが」
黒猫「急に何を言い出すかと思えば……くだらない」
京介「くだらなくはねえと思うぞ」
黒猫「黒猫とう名こそが私の“真名”よ」
黒猫「……何ですって?」
京介「いや、だから名前で呼んでいいかって聞いてるんだが」
黒猫「急に何を言い出すかと思えば……くだらない」
京介「くだらなくはねえと思うぞ」
黒猫「黒猫とう名こそが私の“真名”よ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:15:50.70 ID:7gETv3M/0 [2/35]
京介「……それに関しちゃ理解はしてるつもりなんだがなぁ」
黒猫「そう。なら、今まで通り黒猫と呼んで頂戴」
京介「いやな? 例えば、学校であった時だ」
黒猫「それがどうしたというの」
京介「いや……一般の方々の前で“黒猫”って呼ぶのはさすがに、なぁ」
黒猫「……」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:18:55.85 ID:7gETv3M/0
黒猫「……っふ、何を言い出すかと思えば」
京介「なっ、良いだろ?」
黒猫「他人が私の事をどう思おうと、私は気にならないわね」
京介「別にお前のことだけを言ってるんじゃねえっての」
京介「あのな、後輩のことを“黒猫”って呼ぶ先輩ってどう思われる?」
黒猫「間違いなく、痛い人間だと思われるでしょうね」
京介「わかってんのかよ!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:21:52.94 ID:7gETv3M/0
黒猫「あら、その程度の事象は“眼”を使わなくても簡単に予測出来るわ」
京介「だったら良いだろ? 頼む!」
黒猫「フッ、そこまでお願いされたら仕方無いわね」
京介「! よし、これで一安心d」
黒猫「断固拒否するわ。絶対に厭」
京介「……くっ! こいつ、面白がってやがるな……!?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:25:43.96 ID:7gETv3M/0
黒猫「先輩、人に物を頼む時にはどうすれば良いのかしらね?」
京介「……交換条件、ってわけか」
黒猫「ええ。夜の眷属に願い事をするのには、代償が必要なのよ」
京介「……チッ、しゃあねえな。その条件ってのは何なんだ?」
黒猫「そうね……まずは、跪いて足を舐めて貰おうかしら」
京介「名前で呼ぶだけでそんな屈辱的な真似をしなきゃならんのか!?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:30:12.67 ID:7gETv3M/0
黒猫「クックッ、冗談に決まってるじゃない」
京介「俺にはマジに聞こえたよ」
黒猫「そうね……それじゃあ――」
京介「……」
黒猫「……っか、帰り道は私を“守護”してもらおうかしら」
京介「ん? 一緒に帰ろう、ってことか?」
黒猫「……」
黒猫「ば、莫迦ね。勘違いしないで頂戴」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:34:10.61 ID:7gETv3M/0
京介「勘違いも何も……」
黒猫「黙りなさい。そして、聞きなさい」
京介「……」
黒猫「近頃、堕ちた魂の気配が濃密に感じられるようになってきたの」
京介「はぁ、そうすか」
黒猫「これは戦斗の兆し。それに備えるため、私は“力”を蓄えておかなければならないわ」
京介「……なあ、その話長くなりそうか?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:37:20.56 ID:7gETv3M/0
黒猫「そのためには、日常に割いている“能力”も制限しておく必要がある」
京介「……だから、俺に一緒に帰れと?」
黒猫「先輩にしては察しがいいわね」
京介「なんだかバカにされた気がするが……まあ、そんくらいなら良いぞ」
黒猫「ほ、本当に……? 偽りだったら、地獄の業火が……」
京介「こんなことで嘘ついてどうするよ」
黒猫「……そ、そう。なら、良いのだけど」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:41:15.89 ID:7gETv3M/0
京介「部活が終わってからじゃ日も落ちてるしな」
黒猫「ええ。その時間帯こそ、妖が活動的になるわね」
京介「妖云々は知らんが、変質者が出ないとも限らないしな」
黒猫「……そ、そんな輩を恐れる私ではないわ」
京介「そうかい。ま、可愛い後輩の頼みとあっちゃ仕方無い」
黒猫「何を言っているの。頼みごとをしてきたのは先輩でしょう?」
京介「へーへー、そうでしたね」
黒猫「……」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:44:30.18 ID:7gETv3M/0
京介「そんじゃ、もう名前で呼んでも良いんだな?」
黒猫「何を言っているの」
京介「はい?」
黒猫「私は条件が一つだとは言ってないわ」
京介「んなっ!? それ、ズルくねえか!?」
黒猫「フッ、それが“私と取引する”ということよ、人間」
京介「いや、お前も人間だから」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:47:29.32 ID:7gETv3M/0
京介「……で、もう一つの条件ってのは?」
黒猫「そうね……何がいいかしら?」
京介「俺に聞くな。っつうか、出来るだけ簡単なのにしてくれよな」
黒猫「あら、どうして?」
京介「どうしても何も、無茶苦茶言われてもどうしようもねーからだよ」
黒猫「そうね。なら――」
京介「あとな、さすがに条件は二つにしてくれよ」
黒猫「……ふん。人間にしては随分と知恵が回るじゃない」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:51:28.14 ID:7gETv3M/0
黒猫「さっきの、私を“守護”するという条件は、
ベルフェゴールに妨害される恐れがあるから……」
京介「お前、自然に麻奈美のことをベルフェゴールって呼ぶなよ」
黒猫「――決めたわ」
京介「……もう一つの条件ってのは?」
黒猫「……」
京介「? なんで顔が赤くなるんだ?」
黒猫「……き、気のせいよ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:55:45.89 ID:7gETv3M/0
京介「まあ、いいから条件ってのを言ってくれ」
黒猫「え、ええ」
黒猫「……スーッ……ハーッ……」
京介「……深呼吸しなきゃ言えないような条件って何だよ」
黒猫「――先輩」
京介「――おう」
黒猫「私の頭を――撫でなさい」
京介「……おう?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:02:49.25 ID:7gETv3M/0
京介「頭を撫でろって、お前……」
黒猫「勘違いしないで頂戴」
黒猫「夜の眷属は、獣としての姿をとらなければならないの」
黒猫「その姿を晒さないようにするには、かなりの闇の力を必要とするわ」
黒猫「だから、人の姿を維持しつつ力を蓄えるには他者から得るしかない」
黒猫「本当なら色々と手順が必要だけど、私の“力”で先輩の手から吸収するわ」
京介「えっと……つまり、頭を撫でろってことだよな?」
黒猫「……そ、そうよ。悪い?」
京介「……」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:05:54.02 ID:7gETv3M/0
京介「……あー」
黒猫「……フッ、やはり人間風情には荷が重すぎたかs」
京介「まー、その位ならいいぜ」
黒猫「っ!? そ、そう……なら、良いのよ」
京介「それじゃ、撫でるぞ」
黒猫「っ……!」
京介「なんで固まるんだ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:10:22.78 ID:7gETv3M/0
黒猫「……じゅ、術式を展開しているだけよ」
京介「そ、そんなに緊張されるとこっちも緊張するんだが」
黒猫「き、緊張? 誰に対してものを言っているのかしら」
京介「ま、まあいいや」
黒猫「そっ、そうね」
京介「それじゃ……撫でるからな?」
黒猫「そっ、そうね」
京介「……」
ナデナデ…
黒猫「くっ……!///」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:14:40.26 ID:7gETv3M/0
なでなで…
黒猫「……///」
京介「……黒猫っつうか、借りてきた猫みたいに大人しいな」
なでなで…
黒猫「む、無駄口を叩かないで頂戴……!」
京介「わかったよ」
なでなで…
黒猫「……」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:16:37.83 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……」
京介「……あー、もういいか?」
なでなで…
黒猫「……」
京介「……まだか」
なでなで…
黒猫「……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:18:54.31 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……」
京介「……」
京介(……しっかし、コイツ本当に猫みたいだな)
京介(さっきまで緊張してたってのに、
頭を撫でられてるだけでリラックスして目を細めてるし)
京介(信じられるか? “あの”黒猫がだぜ?)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:21:07.76 ID:7gETv3M/0
なでなで…
黒猫「……」
京介「……」
京介(ここまで猫っぽいと、色々やってみたくなるな)
京介(例えば――喉をごろごろしたりとかは……どうだ?)
さわっ
黒猫「っ!?」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:23:40.77 ID:7gETv3M/0
京介(驚いたみたいだが、まだ目はつぶったままか)
黒猫「……!」
京介「……」
京介(コレ、いけるんじゃね?)
京介「……」
さわさわっ
黒猫「んっ……ふふっ……」
京介「……」
京介(――ヤバい。超かわいいんですケド、こいつ)
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:26:04.02 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「ん……」
京介「……」
さわさわっ
黒猫「……ん~っ……」
京介「……」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:30:53.68 ID:7gETv3M/0
京介(……っつーか、今の状況ってどうなんだ)
京介(――桐乃が帰ってくるまで黒猫は俺の部屋で待つって言った)
京介(――だから当然、桐乃はいない)
京介(――それに、親父もお袋も出かけてていねえ)
京介(……――つまり、二人っきりってこった)
京介(二人っきりで、ベッドの上で頭を撫でたり喉をごろごろしたり?)
京介(ああ、チクショウ! エロゲにはこんなトリッキーなイベント無かったぞ!)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:34:17.57 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……ん」
京介(こいつって、やっぱりかなり可愛いよな)
京介(色は白いし、睫毛も長いし、年下なのに美人って感じだ)
京介「……」
京介(……って、何を考えてんだ俺は!)
京介(ここで何か変な事したら、からかわれるのがオチじゃねーか!)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:37:57.23 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……ん~っ」フニャッ
京介(ああ、駄目だ。この表情は反則的なもんがある)
京介(これ以上は……やめといたほうがいいな)
京介「……なあ、そろそろいいだろ?」
なでなで……
黒猫「ん~?……んふふ……」
京介「……答えになってねえ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:41:27.71 ID:7gETv3M/0
京介「も、もうやめるからな!?」
黒猫「……あっ」ショボン
京介「っぐっ……!」
…なでなで…
黒猫「ん~っ」
京介「……」
京介「……俺、なんかもう駄目かもしんねぇ」
―トタトタトタッ
京介・黒猫「!?」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:45:13.83 ID:7gETv3M/0
京介「きっ、桐乃が帰ってきたぞ!」ヒソヒソッ
黒猫「あ……わ……!?」
京介「パニくりすぎだろ!」ヒソヒソッ
黒猫「ど、どうすれば……!?」
京介「何もしなきゃいいだけだろ!」ヒソヒソッ
ガチャッ!
黒猫「ひいっ!?」
京介「うわバカ、押すな――」
…ドシンッ!
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:50:17.06 ID:7gETv3M/0
京介「……いつつつつ……!」
黒猫「……あぅ」
桐乃「……あ、ああ、アンタら……何やって……!?」
京介「お、おぉ。お前が帰ってくるまで――って……」
黒猫「――っ!?」
京介「と、とりあえずどいてくれないか?」
黒猫「む、無理……! 腰……抜け……!」
京介「驚きすぎだろ!」
桐乃「……」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:55:14.67 ID:7gETv3M/0
桐乃「腰が抜けるようなことを……!?」
京介「いや、それは今お前が驚かせたからであってだな!?」
黒猫「そ、そうよ……!」ワタワタ
京介「おいコラ! 変なトコ触らな……ひょうっ!?」ビクンッ!
黒猫「ご、誤解よ……!」ワタワタ
京介「おほうっ!?」ビクンッ!
黒猫「~~~っ!?」
桐乃「こ、この……」
桐乃「変態共があああアアアアアアアアアアァァァッ!」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:00:01.60 ID:7gETv3M/0
・ ・ ・
京介「――というわけで、何もなかったんだって」
桐乃「ホントにぃ? チョーあやしいんだケド……」
黒猫「本当よ。私と、こんないやらしいオスがどうにかなるわけがないわ」
桐乃「散々人をビッチよばわりしておいてさぁ、押し倒すとかありえなくな~い?」
黒猫「……っふ、私を怒らせたら大変なことになるわよ?」
桐乃「邪気眼乙」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:06:28.97 ID:7gETv3M/0
桐乃「……まあいいや。とにかく、あたしの部屋行くわよ」
黒猫「そうね」
京介「――あっ、ちょっと待ってくれ」
桐乃「何? まさかとは思うけど、一緒に来るつもり? キモいからやめてよね」
京介「ちげえっつの。なぁ」
黒猫「? 何かしら」
京介「桐乃達の前じゃ、“瑠璃”じゃなく“黒猫”って呼んだ方が良いのか?」
黒猫「っ!? 莫迦、それじゃまるで――」
桐乃「――あんた達、やっぱりエロい事してたんでしょ!?」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:12:08.56 ID:7gETv3M/0
京介「あ、いや、これはだな……」
桐乃「る、ルリルリって呼ぶぅ……!?」
京介「ルリルリじゃねえって! 瑠璃だ、瑠璃!」
黒猫「人を少し前の萌キャラクターのように呼ばないで頂戴!」
京介「とにかくだな、何もなかったっつーの!」
桐乃「……」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:15:20.94 ID:7gETv3M/0
桐乃「……フン!」
…バタンッ!
京介・黒猫「……」
京介「……と、とりあえず……どう呼べば良い?」
黒猫「……好きにしなさい。こうなってしまっては、どちらでも変わらないわ」
京介「……そうだな」
京介・黒猫「……」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:21:05.50 ID:7gETv3M/0
黒猫「……今日はもう帰るわ」
京介「そう、だな。あの様子じゃ遊ぶどころじゃねーだろうし」
黒猫「……明日、なのだけど」
京介「一緒に帰るってやつだろ? わかってるって――瑠璃」
黒猫「っ!……///」
黒猫「……フッ、頭を撫でるのも忘れないで頂戴」
京介「ああ、勿論だ」
京介「……」
京介「――って、頭を撫でるのも続けなきゃいけねえのか!?」
黒猫「……それが契約という名の“呪い”よ……///」
おわり
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/12(木) 23:24:44.01 ID:7gETv3M/0 [35/35]
こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう
おやすみ
>>17
メテオインパクトで消し炭にすんぞ、こら
京介「……それに関しちゃ理解はしてるつもりなんだがなぁ」
黒猫「そう。なら、今まで通り黒猫と呼んで頂戴」
京介「いやな? 例えば、学校であった時だ」
黒猫「それがどうしたというの」
京介「いや……一般の方々の前で“黒猫”って呼ぶのはさすがに、なぁ」
黒猫「……」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:18:55.85 ID:7gETv3M/0
黒猫「……っふ、何を言い出すかと思えば」
京介「なっ、良いだろ?」
黒猫「他人が私の事をどう思おうと、私は気にならないわね」
京介「別にお前のことだけを言ってるんじゃねえっての」
京介「あのな、後輩のことを“黒猫”って呼ぶ先輩ってどう思われる?」
黒猫「間違いなく、痛い人間だと思われるでしょうね」
京介「わかってんのかよ!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:21:52.94 ID:7gETv3M/0
黒猫「あら、その程度の事象は“眼”を使わなくても簡単に予測出来るわ」
京介「だったら良いだろ? 頼む!」
黒猫「フッ、そこまでお願いされたら仕方無いわね」
京介「! よし、これで一安心d」
黒猫「断固拒否するわ。絶対に厭」
京介「……くっ! こいつ、面白がってやがるな……!?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:25:43.96 ID:7gETv3M/0
黒猫「先輩、人に物を頼む時にはどうすれば良いのかしらね?」
京介「……交換条件、ってわけか」
黒猫「ええ。夜の眷属に願い事をするのには、代償が必要なのよ」
京介「……チッ、しゃあねえな。その条件ってのは何なんだ?」
黒猫「そうね……まずは、跪いて足を舐めて貰おうかしら」
京介「名前で呼ぶだけでそんな屈辱的な真似をしなきゃならんのか!?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:30:12.67 ID:7gETv3M/0
黒猫「クックッ、冗談に決まってるじゃない」
京介「俺にはマジに聞こえたよ」
黒猫「そうね……それじゃあ――」
京介「……」
黒猫「……っか、帰り道は私を“守護”してもらおうかしら」
京介「ん? 一緒に帰ろう、ってことか?」
黒猫「……」
黒猫「ば、莫迦ね。勘違いしないで頂戴」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:34:10.61 ID:7gETv3M/0
京介「勘違いも何も……」
黒猫「黙りなさい。そして、聞きなさい」
京介「……」
黒猫「近頃、堕ちた魂の気配が濃密に感じられるようになってきたの」
京介「はぁ、そうすか」
黒猫「これは戦斗の兆し。それに備えるため、私は“力”を蓄えておかなければならないわ」
京介「……なあ、その話長くなりそうか?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:37:20.56 ID:7gETv3M/0
黒猫「そのためには、日常に割いている“能力”も制限しておく必要がある」
京介「……だから、俺に一緒に帰れと?」
黒猫「先輩にしては察しがいいわね」
京介「なんだかバカにされた気がするが……まあ、そんくらいなら良いぞ」
黒猫「ほ、本当に……? 偽りだったら、地獄の業火が……」
京介「こんなことで嘘ついてどうするよ」
黒猫「……そ、そう。なら、良いのだけど」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:41:15.89 ID:7gETv3M/0
京介「部活が終わってからじゃ日も落ちてるしな」
黒猫「ええ。その時間帯こそ、妖が活動的になるわね」
京介「妖云々は知らんが、変質者が出ないとも限らないしな」
黒猫「……そ、そんな輩を恐れる私ではないわ」
京介「そうかい。ま、可愛い後輩の頼みとあっちゃ仕方無い」
黒猫「何を言っているの。頼みごとをしてきたのは先輩でしょう?」
京介「へーへー、そうでしたね」
黒猫「……」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:44:30.18 ID:7gETv3M/0
京介「そんじゃ、もう名前で呼んでも良いんだな?」
黒猫「何を言っているの」
京介「はい?」
黒猫「私は条件が一つだとは言ってないわ」
京介「んなっ!? それ、ズルくねえか!?」
黒猫「フッ、それが“私と取引する”ということよ、人間」
京介「いや、お前も人間だから」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:47:29.32 ID:7gETv3M/0
京介「……で、もう一つの条件ってのは?」
黒猫「そうね……何がいいかしら?」
京介「俺に聞くな。っつうか、出来るだけ簡単なのにしてくれよな」
黒猫「あら、どうして?」
京介「どうしても何も、無茶苦茶言われてもどうしようもねーからだよ」
黒猫「そうね。なら――」
京介「あとな、さすがに条件は二つにしてくれよ」
黒猫「……ふん。人間にしては随分と知恵が回るじゃない」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:51:28.14 ID:7gETv3M/0
黒猫「さっきの、私を“守護”するという条件は、
ベルフェゴールに妨害される恐れがあるから……」
京介「お前、自然に麻奈美のことをベルフェゴールって呼ぶなよ」
黒猫「――決めたわ」
京介「……もう一つの条件ってのは?」
黒猫「……」
京介「? なんで顔が赤くなるんだ?」
黒猫「……き、気のせいよ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 21:55:45.89 ID:7gETv3M/0
京介「まあ、いいから条件ってのを言ってくれ」
黒猫「え、ええ」
黒猫「……スーッ……ハーッ……」
京介「……深呼吸しなきゃ言えないような条件って何だよ」
黒猫「――先輩」
京介「――おう」
黒猫「私の頭を――撫でなさい」
京介「……おう?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:02:49.25 ID:7gETv3M/0
京介「頭を撫でろって、お前……」
黒猫「勘違いしないで頂戴」
黒猫「夜の眷属は、獣としての姿をとらなければならないの」
黒猫「その姿を晒さないようにするには、かなりの闇の力を必要とするわ」
黒猫「だから、人の姿を維持しつつ力を蓄えるには他者から得るしかない」
黒猫「本当なら色々と手順が必要だけど、私の“力”で先輩の手から吸収するわ」
京介「えっと……つまり、頭を撫でろってことだよな?」
黒猫「……そ、そうよ。悪い?」
京介「……」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:05:54.02 ID:7gETv3M/0
京介「……あー」
黒猫「……フッ、やはり人間風情には荷が重すぎたかs」
京介「まー、その位ならいいぜ」
黒猫「っ!? そ、そう……なら、良いのよ」
京介「それじゃ、撫でるぞ」
黒猫「っ……!」
京介「なんで固まるんだ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:10:22.78 ID:7gETv3M/0
黒猫「……じゅ、術式を展開しているだけよ」
京介「そ、そんなに緊張されるとこっちも緊張するんだが」
黒猫「き、緊張? 誰に対してものを言っているのかしら」
京介「ま、まあいいや」
黒猫「そっ、そうね」
京介「それじゃ……撫でるからな?」
黒猫「そっ、そうね」
京介「……」
ナデナデ…
黒猫「くっ……!///」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:14:40.26 ID:7gETv3M/0
なでなで…
黒猫「……///」
京介「……黒猫っつうか、借りてきた猫みたいに大人しいな」
なでなで…
黒猫「む、無駄口を叩かないで頂戴……!」
京介「わかったよ」
なでなで…
黒猫「……」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:16:37.83 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……」
京介「……あー、もういいか?」
なでなで…
黒猫「……」
京介「……まだか」
なでなで…
黒猫「……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:18:54.31 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……」
京介「……」
京介(……しっかし、コイツ本当に猫みたいだな)
京介(さっきまで緊張してたってのに、
頭を撫でられてるだけでリラックスして目を細めてるし)
京介(信じられるか? “あの”黒猫がだぜ?)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:21:07.76 ID:7gETv3M/0
なでなで…
黒猫「……」
京介「……」
京介(ここまで猫っぽいと、色々やってみたくなるな)
京介(例えば――喉をごろごろしたりとかは……どうだ?)
さわっ
黒猫「っ!?」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:23:40.77 ID:7gETv3M/0
京介(驚いたみたいだが、まだ目はつぶったままか)
黒猫「……!」
京介「……」
京介(コレ、いけるんじゃね?)
京介「……」
さわさわっ
黒猫「んっ……ふふっ……」
京介「……」
京介(――ヤバい。超かわいいんですケド、こいつ)
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:26:04.02 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「ん……」
京介「……」
さわさわっ
黒猫「……ん~っ……」
京介「……」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:30:53.68 ID:7gETv3M/0
京介(……っつーか、今の状況ってどうなんだ)
京介(――桐乃が帰ってくるまで黒猫は俺の部屋で待つって言った)
京介(――だから当然、桐乃はいない)
京介(――それに、親父もお袋も出かけてていねえ)
京介(……――つまり、二人っきりってこった)
京介(二人っきりで、ベッドの上で頭を撫でたり喉をごろごろしたり?)
京介(ああ、チクショウ! エロゲにはこんなトリッキーなイベント無かったぞ!)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:34:17.57 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……ん」
京介(こいつって、やっぱりかなり可愛いよな)
京介(色は白いし、睫毛も長いし、年下なのに美人って感じだ)
京介「……」
京介(……って、何を考えてんだ俺は!)
京介(ここで何か変な事したら、からかわれるのがオチじゃねーか!)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:37:57.23 ID:7gETv3M/0
京介「……」
なでなで…
黒猫「……ん~っ」フニャッ
京介(ああ、駄目だ。この表情は反則的なもんがある)
京介(これ以上は……やめといたほうがいいな)
京介「……なあ、そろそろいいだろ?」
なでなで……
黒猫「ん~?……んふふ……」
京介「……答えになってねえ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:41:27.71 ID:7gETv3M/0
京介「も、もうやめるからな!?」
黒猫「……あっ」ショボン
京介「っぐっ……!」
…なでなで…
黒猫「ん~っ」
京介「……」
京介「……俺、なんかもう駄目かもしんねぇ」
―トタトタトタッ
京介・黒猫「!?」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:45:13.83 ID:7gETv3M/0
京介「きっ、桐乃が帰ってきたぞ!」ヒソヒソッ
黒猫「あ……わ……!?」
京介「パニくりすぎだろ!」ヒソヒソッ
黒猫「ど、どうすれば……!?」
京介「何もしなきゃいいだけだろ!」ヒソヒソッ
ガチャッ!
黒猫「ひいっ!?」
京介「うわバカ、押すな――」
…ドシンッ!
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:50:17.06 ID:7gETv3M/0
京介「……いつつつつ……!」
黒猫「……あぅ」
桐乃「……あ、ああ、アンタら……何やって……!?」
京介「お、おぉ。お前が帰ってくるまで――って……」
黒猫「――っ!?」
京介「と、とりあえずどいてくれないか?」
黒猫「む、無理……! 腰……抜け……!」
京介「驚きすぎだろ!」
桐乃「……」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 22:55:14.67 ID:7gETv3M/0
桐乃「腰が抜けるようなことを……!?」
京介「いや、それは今お前が驚かせたからであってだな!?」
黒猫「そ、そうよ……!」ワタワタ
京介「おいコラ! 変なトコ触らな……ひょうっ!?」ビクンッ!
黒猫「ご、誤解よ……!」ワタワタ
京介「おほうっ!?」ビクンッ!
黒猫「~~~っ!?」
桐乃「こ、この……」
桐乃「変態共があああアアアアアアアアアアァァァッ!」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:00:01.60 ID:7gETv3M/0
・ ・ ・
京介「――というわけで、何もなかったんだって」
桐乃「ホントにぃ? チョーあやしいんだケド……」
黒猫「本当よ。私と、こんないやらしいオスがどうにかなるわけがないわ」
桐乃「散々人をビッチよばわりしておいてさぁ、押し倒すとかありえなくな~い?」
黒猫「……っふ、私を怒らせたら大変なことになるわよ?」
桐乃「邪気眼乙」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:06:28.97 ID:7gETv3M/0
桐乃「……まあいいや。とにかく、あたしの部屋行くわよ」
黒猫「そうね」
京介「――あっ、ちょっと待ってくれ」
桐乃「何? まさかとは思うけど、一緒に来るつもり? キモいからやめてよね」
京介「ちげえっつの。なぁ」
黒猫「? 何かしら」
京介「桐乃達の前じゃ、“瑠璃”じゃなく“黒猫”って呼んだ方が良いのか?」
黒猫「っ!? 莫迦、それじゃまるで――」
桐乃「――あんた達、やっぱりエロい事してたんでしょ!?」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:12:08.56 ID:7gETv3M/0
京介「あ、いや、これはだな……」
桐乃「る、ルリルリって呼ぶぅ……!?」
京介「ルリルリじゃねえって! 瑠璃だ、瑠璃!」
黒猫「人を少し前の萌キャラクターのように呼ばないで頂戴!」
京介「とにかくだな、何もなかったっつーの!」
桐乃「……」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:15:20.94 ID:7gETv3M/0
桐乃「……フン!」
…バタンッ!
京介・黒猫「……」
京介「……と、とりあえず……どう呼べば良い?」
黒猫「……好きにしなさい。こうなってしまっては、どちらでも変わらないわ」
京介「……そうだな」
京介・黒猫「……」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/12(木) 23:21:05.50 ID:7gETv3M/0
黒猫「……今日はもう帰るわ」
京介「そう、だな。あの様子じゃ遊ぶどころじゃねーだろうし」
黒猫「……明日、なのだけど」
京介「一緒に帰るってやつだろ? わかってるって――瑠璃」
黒猫「っ!……///」
黒猫「……フッ、頭を撫でるのも忘れないで頂戴」
京介「ああ、勿論だ」
京介「……」
京介「――って、頭を撫でるのも続けなきゃいけねえのか!?」
黒猫「……それが契約という名の“呪い”よ……///」
おわり
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/12(木) 23:24:44.01 ID:7gETv3M/0 [35/35]
こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう
おやすみ
>>17
メテオインパクトで消し炭にすんぞ、こら
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