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美琴黒子佐天初春「貴方たちを全力で倒す!」 vs 上条一方通行「……やってみろ」2-1

12 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 17:55:30.42 ID:Xt4V1.M0 [1/2]
上条さんや一方通行に関することも近々明かされる予定ですが、一応ヒントだけ
言っておくと、2人は意外にも不器用なのかもしれません。
ちょっと早いですが、今から数レスほど投下させて頂きます。

13 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 18:01:02.02 ID:Xt4V1.M0 [2/2]
とある部屋――。

狭く、窓も無い部屋の下、上条と一方通行は紙束の資料を読む作業に追われていた。
傍らでは、無言の御坂妹が行儀よく椅子に腰を掛けたまま、2人の様子を眺めている。

一方通行「大事の前の再確認だからしょうがねェが、目の疲れが半端ねェな」

上条「そう言うなよ。もうあと数日で全てが始まるんだから」

一方通行「にしても、アイツはあのまま放っておいていいのかねェ?」

上条「あいつって? 御坂たちのことか?」

上条は顔を資料に向けたまま、視線だけチラッと一方通行に寄せる。

一方通行「“22匹目の養殖魚”のことだよ」

上条「ああ……」

一方通行「何でもアイツ、外の週刊誌の記者と接触してペラペラ話してるそうじゃねェか。こっちは楽園だの、もう心配する必要も無いだの……。危機感というもンがまるでねェ。恩を仇で返すとはこのことだろ」

上条「別に匿名で取材受けてんなら大丈夫だろ。あの連中だってそっちに構ってるだけの余裕は無い。それにあいつはもう海にいるから“養殖魚”じゃないぞ」

一方通行「ンなこたァ、どうでもいい。アイツのせいでこっちの活動に支障きたされても困るンじゃねェか?」

上条「その活動にしたって、もうほぼ終わってる。後は本番の大事が控えてるだけ……。本番が失敗すりゃ、当初の予定通り、御坂たちをターゲットにするだけ。ま、今のところその可能性が高いけどな……」

至極簡単に、上条は言う。

一方通行「フー…まァ、オマエが気にしてないなら、別にいいンだけどよ……」

上条「で、他に心配事は?」

一方通行「あァ? いや、特にこれといったことはな…。懸念材料も、もうねェだろうし……」

御坂妹「そのことについですが……」

ずっと2人の会話を聞いていた御坂妹が、呟くような声で小さく手を上げた。

上条「ん?」

一方通行「あン?」

上条と一方通行は姿勢はそのままに、視線だけ御坂妹の方へ向ける。

御坂妹「お姉さまたちのことはもう放っておいてよいのですか? とミサカは訊ねてみます」

14 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 18:08:23.95 ID:15FDBqU0
一方通行「なンだ、またそのことかよ」

御坂妹「そうなのですが……一方通行、貴方だってお姉さまたちの存在を危険視してませんでしたか? とミサカは確認します」

一方通行「はァ!? いつ俺が超電磁砲どもを危険視したよ? 俺は、足元をうろつくネズミがいれば目障りだから、潰しておいたほうが気が楽でいいンじゃねェか、って言っただけだ。そもそも何で実質上、学園都市最強の俺が中学生のガキどもを危険視しなくちゃならねェ?」

御坂妹「そうなのですか?」

一方通行「あったりめェだろ。つーか、最近はアイツらの動きが全くねェから忘れてたぐらいだぜ」
一方通行「どうせもう嫌になったンだろ? そりゃあよく考えれば分かるわな。俺たちに1度叩き潰されてンだから。だから、いっそのこと引き上げたンだよ。『戦略的撤退』ってヤツだ。無駄なことに力を消耗するのは割りに合わない、って判断したンだろ。そこら辺は、さすがに超電磁砲と言ったところか」

御坂妹「しかし、お姉さまがそう易々と引き下がるでしょうか。あの4人は半端な気持ちでやっているとは思えませんが、とミサカは疑問を提示してみます」

一方通行「あァ? なンだ? やけにアイツらの身を持つなァ。以前は俺と同じく、オマエもアイツの動きを目障りだとしか見てなかったくせに。超電磁砲どもに負けて感化されちまったのかァ?」

御坂妹「そ、そんなことはありません。ミサカはただ……」

2人の応酬を、上条はただ視線を移し変えるだけで眺めている。

御坂妹「貴方はどう思いますか? とミサカは矛先を変えてみます」

再び資料に目を戻そうとしていた上条に、御坂妹が質した。

上条「ん? 俺か? 俺は前に言った通りだよ。俺は、あいつらが諦めるとは思えない。何せ、御坂がリーダーなんだからな。だが、大した脅威にもならないと思ってる。それだけだ」

御坂妹「そうですか……」

答えることだけ答えると、上条と一方通行は再び資料に目を戻した。

御坂妹「………………」

御坂妹は簡単に話を済ませられたことに多少、不満を覚える。

一方通行「くだらねェこと言ってないで、オマエもやることやれ」

資料から視線を外さずに一方通行は告げる。

上条「…………………」

御坂妹は上条を見る。彼は既に今の話は意識の外のようだった。

御坂妹「…………………」

これ以上発言できる空気ではないと感じ取った御坂妹は部屋を出て行った。
そんな彼女の行動を気にすることもなく、上条と一方通行は資料を読み続けていた。

15 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 18:15:22.54 ID:sISNFik0 [1/3]
3日後・夜――。

美琴「午後10時30分……そろそろね」

美琴は腕時計を覗き、言った。

美琴「ご飯も食べたし、用意は全て整ったわ」

黒板のようにマジックペンで塗り潰されたホワイトボードの前に立ち、美琴は親友であり戦友たちの顔を窺う。
みな、恐怖の色は無い。ただ、覚悟を決めた勇気ある表情をしていた。

美琴「いいわね? 奴らと戦闘に入ったら、今まで練習したシミュレーションを思い出して。それだけでなく、実際に現場のシチュエーションもリアルタイムに考慮して臨機応変に動くの」

黒子と佐天と初春が頷く。

美琴「一方通行を倒す秘策は簡単と言えば簡単だけど、本番1回きりのチャンスしかない上、その状況を作り出すまでが厄介よ。だけど、貴女たちなら出来ると私は心の底から信じてる」

次いで美琴は、優しい目で3人を見据えた。

美琴「それから最後に言っておくけど、絶対に簡単に死のうとはしないで。これだけはお願い。全員、生き延びるために努力して」

黒子佐天初春「はい!!」

その元気の良い返事に、今度は美琴が頷くと彼女は自身の右手を見つめた。

美琴「(私の電撃が……役に立つものだって、レベル5の超能力者としての誇りなんだってことを、自らの手で証明してみせる!!!)」

1度、目を瞑った美琴は顔を上げ、3人を見る。

16 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 18:21:17.45 ID:sISNFik0 [2/3]
美琴「私たちは4人で1つの“超電磁砲(レールガン)組”。一心同体よ。私たちが力を合せれば、1+1+1+1も、100×100×100×100になる」

黒子佐天初春「はい!」

美琴は腕を前に突き出す。
3人もそれに従い、細く、白く、小さく、華奢な4本の腕が十字をつくる。

美琴「私たち4人が組めば、どんな敵も恐くない。例えそれが、上条当麻と一方通行だったとしても。……だから、全身全霊で頑張りましょう」



美琴「超電磁砲(レールガン)組、ファイトオオオオオッ!!!」





美琴黒子佐天初春「ファイトオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!」





力強い声と共に4つの腕が虚空へ振り上げられる。彼女たちは今、再び戦場へ出陣する。
グラビトン事件、木山春生(AIMバースト)、スキルアウト(ビッグスパイダー)、テレスティーナ=木原=ライフラインと、数々の強敵と対峙し撃破してきた彼女たちの次なる相手は、最強の楯と最強の矛を持つ最大の宿敵・上条当麻と一方通行――。

28 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:14:54.22 ID:n63cw3.0 [2/13]
第7学区・郊外――。

午前2時過ぎ。
人気の無い暗闇を、とある3人は駆け抜けていた。
月が出ていない上、空は曇に覆われてるせいか、ほんの数m先は漆黒に包まれており、まるで得体の知れない怪物が大きな口を開けて餌を待っているような威圧感があった。

上条「…………………」

一方通行「…………………」

しかし、そんな状況に恐怖どころか不安も覚えず、2人の少年は目的地へ向けて走っていた。
1人は、あらゆる攻撃を反射し様々なベクトルを操る、学園都市最強の超能力者(レベル5)・一方通行(アクセラレータ)。
そしてもう1人は、あらゆる異能の力を打ち消す『幻想殺し(イマジンブレイカー)』を右手に備えた無能力者(レベル0)・上条当麻。

打ち止め「…………………」

そんな百戦錬磨の2人に並ぶように、1人の幼女がトコトコとついて走る。
上条たちが走る速度を落としているためか、それとも彼女が全速で走っているためか、置いていかれる様子はない。
彼女の名前は『打ち止め(ラストオーダー)』。学園都市第3位の超能力者・御坂美琴の軍用量産モデル『妹達(シスターズ)』の司令塔的存在だった。

一方通行「しっかしよォ上条」

上条「あん?」

走りながら、一方通行が上条に声を掛けた。

一方通行「こうして見ると学園都市も平和に見えるもンだねェ」

上条「まあ今は深夜だからな。テログループとかもお眠りしてるんだろ」

一方通行「なるほどなァ。ま、こンな夜中にこンな寂しいところ走り回ってるのは俺たちみたいな物好きだけってことかァ」ニヤニヤ

打ち止め「こーら、2人とも無駄口叩いてないで走る走る! ってミサカはミサカは体育の先生気分」

一方通行「あァ? いつからオマエは教師になったンだ?」

打ち止め「えへへーたった今……」

一方通行「ちょっと待て」ピタ

ふと、その言葉と共に一方通行が突然立ち止まった。
不審に思った上条と打ち止めも1歩遅れて立ち止まる。

29 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:21:28.08 ID:n63cw3.0 [3/13]
打ち止め「何どうしたの? ってミサカはミサカは疑問を感じてみたり」

上条「おい急ごうぜ。こんなところで油売ってる場合じゃねぇんだ」

上条と打ち止めが一方通行を促す。

一方通行「黙れ」

2人の意見を遮るように一方通行は一言言い放つ。

上条「………………」

打ち止め「………………」

仕方なく2人も口を閉ざす。

打ち止め「…………………」

一方通行「…………………」

上条「…………………」

しばらくの間、静寂がその場を包み込んだ。辺りは、不気味なほど静かで真っ暗だ。
と、その時だった――。





ズオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!







31 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:27:57.42 ID:n63cw3.0 [4/13]
1つの轟音と共に、闇夜を真っ昼間に変えるような青紫色の光が周囲にほとばしった。

上条「!!!!!!」

一方通行「!!!!!!」

打ち止め「!!!!!!」

その光の先端が、立ち止まっていた上条たちの足元を貫く。が、咄嗟に彼らはずば抜けた反射神経でそれを回避した。
打ち止めの服の裾を掴みながら一方通行は右方向に飛び、上条は右手を前に突き出すように左方向へ飛んだ。

上条「……………っ」

地面に着地する3人。

打ち止め「うわ、一体何が起こったの!?」

一方通行「誰かの気配がしたと思ったらこれだァ。全く、危なっかしいったらありゃしねェ刺客さンだなァ」

片膝を地面につきながら、一方通行は打ち止めを庇うようにして警戒の視線を流す。
光と地面の激突で舞い上がった砂煙が晴れていく。

一方通行「さァて……どンなお客さンだァ?」

ニヤニヤと笑いながら、一方通行は前方を見据える。

打ち止め「誰かいるの?」

上条「…………………」

32 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:33:16.87 ID:n63cw3.0 [5/13]






「ちょろっと~、そう簡単に避けられると自信無くしちゃうじゃなぁい」








33 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:38:17.27 ID:n63cw3.0 [6/13]
唐突に、暗闇の中から1つの高い声が聞こえてきた。女――それも子供の声だ。

一方通行「………なるほどなァ。オマエだったってか」ニヤリ

その正体に気付いた一方通行が、同じレベルを持つ超能力者として、その2つ名を呼ぶ。

一方通行「『超電磁砲(レールガン)』……」

次いで、上条も口中に呟き、その人物の名を確かめた。

上条「御坂……」ボソッ

美琴「あら? 男2人に名前を覚えられてるなんて嬉しいわね。あんたらのことだから忘れてると思ってたわ」

砂煙の中から歩いてきた1人の少女。
身体中に紫電を纏った彼女の正体は、常盤台中学のエースにして、最強の『電撃使い(エレクトロマスター)』・御坂美琴。学園都市第3位の実力を誇るレベル5の超能力者だ――。

打ち止め「お姉さま!? どうしてここに……!?」

その姿を見た打ち止めが驚きの声を上げる。

一方通行「で、今更オマエ1人でこンなところに来て何になるってンだァ?」

大して驚くこともせず、一方通行は楽しむように問い掛ける。
しかし………




黒子「あら、誰がいつ1人だって仰いました?」






34 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:44:26.26 ID:n63cw3.0 [7/13]
不意に、美琴の後ろから声が1つ増えた。

一方通行「テレポーター……」

上条「白井…」

黒子「ご機嫌麗しゅう殿方のお二方。そしてお姉さまの妹さま」

打ち止め「お姉さまだけでなく、ツインテのお姉ちゃんまで……?」

一方通行「ほォ……」

上条「…………………」

3人の予想を裏切るように、更に声は増える。

佐天「2人ってわけでもないですよ」

そしてもう1つ。

初春「もしかしたら4人かもしれませんね」

暗闇から発せられた3つの声の主は、正面で堂々と立つ美琴の側に順に歩み寄る。

一方通行「黒髪の無能力者に……」

打ち止め「お花のお姉ちゃんまで!?」

上条「…………………」

目の前に現れた4人の少女。彼女たちは上条と一方通行に挑むような視線を向け、力溢れるオーラを放っていた。

一方通行「超電磁砲(レールガン)、オマエまだ懲りてなかったのか」

美琴「“超電磁砲(レールガン)”じゃないわ。“超電磁砲(レールガン)組”よ。見て分からない?」

一方通行「あァ?」

美琴「あんた、まさか私だけが戦闘要員で、この子たちは見物人とでも思ってないでしょうね?」

腰に手を当て、美琴は一方通行に語りかける。

35 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:50:42.36 ID:n63cw3.0 [8/13]
一方通行「はァ? おいおい冗談よせよな。2週間前のこと忘れたとでも言うのかァ?」

美琴「忘れてるわけないでしょ。あんたたちに完膚無きまでに倒されたんだから」

一方通行「それでまた無謀にも残りのガキどもも連れて来たってのかァ? 学習能力あンのかオマエ」

黒子「残念。学園都市第1位の頭脳もそこまですか」

美琴と一方通行の会話を遮るように、黒子が横から割って入った。

一方通行「何!?」

佐天「学習能力無いのは貴方なんじゃないですか? ねぇ初春?」

初春「そうですねー。もしかして脳みその機能も反射しちゃってるんじゃないですか? フフ……」

一方通行という強敵を前にして、彼女たちは余裕の表情を作っている。それが気に入らないのか、一方通行は多少苛立ちを覚えた。

一方通行「そうかい……そうかいそうかい………。そうかいそうかいそうかい………そうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかいそうかい!!!!!!!!」

片膝を地面についていた一方通行がズアッと立ち上がる。




一方通行「いいね! いいねェ!!! 最っ高だねェ!!!!!」




満面の笑みを浮かべ、一方通行は楽しげに叫ぶ。

36 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 22:56:23.54 ID:n63cw3.0 [9/13]
打ち止め「一方通行?」

一方通行「打ち止め、オマエ、離れた所にいろ」

打ち止め「え?」

一方通行「どうやらコイツらは相当のドMらしいぜェ。あれだけやられてもまた懲りずにやって来てるンだからなァ!!!」

美琴「………………」

やる気を見せた一方通行を前にしても、美琴たちは微動だしにない。

一方通行「上条」

上条「ん?」

一方通行は傍らにいた上条に呟く。

一方通行「文句ねェよな!?」

上条「…………………」

無言で返す上条。彼は今、美琴の顔を見据えている。

美琴「…………………」

美琴もまた、上条を睨み返す。
2人の間に流れる独特の鋭い空気。上条はそれを感じ取り、言葉にならない威圧を美琴に向けていた。
しかし、美琴は何も応えない。まるでそれが、何の意味も無いと言うように。

上条「御坂………」

美琴「上条当麻………」

互いの宿敵の名を呼び合う上条と美琴。
彼らの脳裏に、因縁の相手との記憶が蘇る。一晩掛けて追いかけ、追いかけ回されていた日々のことを。
妹達(シスターズ)を助けるために鉄橋で言い争い、本気で電撃を浴びせ浴びせられた8月21日のことを。
そして、初めて本当の宿敵として戦った2週間前のことを――。

37 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 23:02:36.76 ID:n63cw3.0 [10/13]
一方通行「こンなところでイチャついてンじゃねェぞオマエら。上条、『返事が無い』って言うのは『了承』と捉えるぜェ!!!」

上条「その前に1つだけ聞いておく」

一方通行「あン?」

一方通行の言を無視し、上条は数m先に立つ4人の少女を捉える。

上条「お前ら、本当に俺たちとやる気か? 今ならまだ見逃してやってもいいんだぞ」

侮蔑とも取れる言葉を美琴は軽く受け流す。

美琴「冗談言わないでよ。私たちはこの2週間、あんたたちを倒すために努力して来たのよ。2週間前の私たちと同じだとは思わないことね」

一方通行「おーこわいこわい」ピュ~

一方通行が小さく口笛を吹く。

一方通行「死ンでも構わねェんだな?」

ドスの効いた脅しをかける一方通行。しかし、4人の少女たちは簡単には怯えない。

美琴「再び巡ってきたこのチャンス。今回を逃したら次はいつになるのか分からない。なのに、本気を出さないと思う? 嘘偽りなく、私たちは貴女たちを殺す覚悟も出来てるし、自分たちが死ぬ覚悟も出来てるわ」

上条「御坂、言うのと実際にやるのとは違うんだぞ」

美琴の言葉を聞いた上条が彼女に忠告する。
しかし、美琴はそれでも取り合わない。

美琴「ほざきなさい。今夜、あんたたちに見せてやるわ。女の子の底力ってやつを」

上条「…………………」

39 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 23:09:24.23 ID:n63cw3.0 [11/13]
美琴「なに『納得出来ない』って顔してんの? そんなにおかしい? 寧ろ私たちのほうが納得出来ないわよ。黄泉川先生や寮監までもあんたたちの仲間だったんだからね」

上条一方通行「………………」

打ち止め「どうしてそれを……?」

打ち止めは素直に驚いたが、上条と一方通行は僅かに目を細めるだけだった。

美琴「そういうわけで、黄泉川先生と寮監のメールを盗み見させてもらったわ。『3日後午前2時、我々3人は第7学区のこのルートを使ってアジトへ戻る』って内容のね! お陰でここで待ち伏せすることに成功したわ」

上条一方通行「………………」

美琴「それともう1つ。私たち、死ぬ覚悟は出来てるけど、死ぬつもりはないから。ただ、生き残りあんたたちを倒すためだけに全身全霊を込めて戦わせてもらうわ!!」

上条と一方通行という最強の敵を前に、キッパリと言い切った美琴。
彼女のその姿は、まさに学園都市第3位の超能力者(レベル5)として凛としたものだった。

一方通行「なンだそりゃあ。結局死ぬのが怖いンじゃねェか?」ケラケラ

上条「無理するなら、帰ったほうがいいぞ」

それでも上条と一方通行は、まるで美琴たちを心配するような、それでいてある意味、見下し侮蔑するような言葉をかける。

黒子「それは貴方がたの物差しでしょう」

不意に、黒子が口を開いた。

佐天「あたしたちがどんな思いでこの2週間やって来たか、その成果を見せてあげますよ」

初春「後で後悔しないで下さいね」

佐天と初春も後に続く。

41 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/06/30(水) 23:17:28.94 ID:n63cw3.0 [12/13]
美琴「そう、だから…上条当麻、一方通行……」

そして、彼女たちは口を揃えて宣言する――。







美琴黒子佐天初春「貴方たちを全力で倒す!!!!!!」







まるで静かな闇夜を切り裂くような、迷いの無い、ハッキリとした言葉だった。
少女たちの宣戦布告を正面から受け取り、2人の男は僅かに眉を顰めこう返した。







上条一方通行「………やってみろ」







その返答を合図に、戦闘は開始された――。

61 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 21:33:27.94 ID:eQ1Xhtw0 [2/9]



美琴「うらああああああっ!!!!!!!」



バチバチバチッ!!!!!

男のような猛々しい声と共に、美琴は地面に向けて電撃を発した。
その強力な雷光が上条と一方通行の視界を覆い、2人は反射的に回避行動を取らざるを得なかった。
再び辺り一面は砂煙に覆われ、上条と一方通行は知らず知らずのうちに互いの距離を大きく開けていく。

一方通行「まさか俺の方が初めに回避運動取らされるとはなァ」

と言いつつ、余裕綽々の表情で周囲を見回す一方通行。
そこは、鉄骨や木材などが広場の隅に並べられている資材置き場だった。状況としては2週間前と似ている。

一方通行「月が出てねェのか。真っ暗闇なのは不便だが、所詮は不便なだけだ」

空を見上げそう呟く一方通行。
デフォルトで反射を設定している彼にしてみれば、闇討ちなんてものは何の脅威にもならない。

一方通行「ン?」

ポケットに両手を突っ込みながら前を向く一方通行。
誰かが2人、進路上に立っている。

一方通行「さァて超電磁砲(レールガン)、まずは敗者復活戦ってところかァ?」

ニタニタ笑う一方通行だったが、1秒後、目の前に立つ人物を確かめて彼の表情に変化が訪れる。

一方通行「はァ!!??」

62 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 21:39:21.97 ID:eQ1Xhtw0 [3/9]
頓狂な声が思わず漏れ出る。無理も無かった。彼の目の前には、同じレベル5の美琴ではなく、黒子と佐天が立っていたのだから。

一方通行「おいちょっと待て。超電磁砲はどうした?」

黒子「何か、お姉さまでなくては不都合なのでしょうか?」

下げた両手の指の間に金属矢を挟み、黒子は言う。
その金属矢は以前と違い、手作り感があったがそれでも得物としては十分に効果を発揮出来そうなものだった。

一方通行「いやいやいや、オマエら俺が誰だか分かってンですか? もしかして、戦闘開始1分でボロ雑巾確定ルートをお望みなンですかァ?」

佐天「御坂さんなら、あっちにいますよ」

佐天は右手に持ったバットの先端を一方通行の後ろの方に向ける。つられて彼が振り返ると、確かに少し離れた所に上条に向かい合うようにして立つ美琴の背中が見えた。

一方通行「なンだそりゃァ? オマエら、戦いのセオリー無視してンだろ? どう考えてもオマエらに勝機なンてねェぞ? だってオマエら、たかがレベル4のテレポーターと、レベル0の無能力者だろ? 万に一つでも勝つつもりなら、超電磁砲が俺と勝負すべきだろ?」

一方通行は本当に疑問を感じているように唱える。

佐天「そんなの貴方の偏見でしょう? たまに言われません? 頑固だって。あたし、頑固な男って嫌いです」

一方通行「あァ?」

黒子「それに私たち、今日はとっておきの“秘策”を持って来てますの。ゆめゆめ、中学生が相手だからと油断してレベル4とレベル0のコンビに負けないことですわね」

一方通行「…………………」

佐天「………………」

黒子「………………」

一方通行「………………アハハ」

黒子佐天「?」

歪んだ笑みを刻む一方通行。

一方通行「……………アヒャハハハ」

失笑がその歪んだ口から漏れ出る。

一方通行「アヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!」

黒子佐天「…………………」

一方通行「おもしれェよオマエら!!!! マジおもしれェ!!!! いいぜ、そのおもしろさに免じて遊ンでやるよ!!!!!!」

一方通行の両手が大きく広げられる。

63 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 21:46:21.33 ID:eQ1Xhtw0 [4/9]
美琴「そりゃあああああ!!!!!!」

バチバチバチッ!!!!!

上条「無駄だ」

バギィィィン!!!!!

一方通行が黒子と佐天と対峙していた頃、美琴と上条の戦闘もまた、既に始まっていた。

美琴「もう1発!!!!!」

バチバチバチッ!!!!!

上条「無駄だって言ってんだろ」

バギィィィン!!!!!

雷撃の槍を放つ美琴。そしてそれを右手の幻想殺し(イマジンブレイカー)で打ち消す上条。

美琴「ホント、ムカつくほど反則な右手持ってるわよねあんた。改めて思い知らされるわ」

上条「俺のことより、白井たちはいいのか?」

美琴「ん?」

上条「相手は一方通行だぞ。白井たちには荷が重すぎると思うんだが。お前が行かなくていいのか?」

至って平静に問い掛ける上条。今、彼と美琴との距離は10mも開いていない。

美琴「ちょっと、私の後輩侮辱してない? あの子たち、あれでもやるのよ」

上条「それは街の不良1人や2人が相手の場合だろう。今の相手は一方通行だぞ。スキルアウトならまだしも、無謀にもほどがあると思うけどな」

美琴「優しいのね。でも心配しなくても大丈夫よ。私たちにはとっておきの“秘策”があるから」

64 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 21:52:27.75 ID:eQ1Xhtw0 [5/9]
上条「秘策?」

ピクと眉を動かす上条。

美琴「教えてあ~げな~~~~い!!!!」

軽い言葉を放ちながらも、美琴はいつの間にか手にした砂鉄剣を上条狙って薙ぐ。

美琴「余所見してんじゃないわよ馬鹿!!!!」

上条「フン」

バギィィィン!!!!!

当然、上条の右手は砂鉄剣すらも打ち消してしまう。
隙ができた美琴に逆にカウンターを食らわそうとする上条だったが、その拳にはどこか力が篭っていない。そのためもあってか、美琴は簡単に後ろに飛んで回避できた。

美琴「何あんた? 今、私を小突こうとしただけでしょ? 本気でやりなさいよ。死ぬわよ」

上条「言ってろよ」

美琴「あんたがね」

上条は、相変わらず身体中から放電している美琴を見据える。

上条「(全身全霊の攻撃と言っておきながら、簡単に右手で防げる攻撃だ。相手が俺だから無意識のうちに手加減でもしてるんだろうな。なら、話は簡単だな)」

美琴「ジロジロ見ないでよ気持ち悪いわね」

上条「ちょっと本気を出させてもらうぞ」

上条は右手を握り、一気に駆ける。突然の行動と、男子高校生の歩幅を予測していなかったのか美琴は慌てたように後ろへ下がった。

美琴「チッ」

電撃を放つ美琴。右手を突き出す上条。
因縁の対決は更にヒートアップする。

65 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 21:58:32.19 ID:eQ1Xhtw0 [6/9]
佐天「フッ!」

軽く息を吐き、佐天は地面に落ちていた小石をバットで飛ばす。狙いは、前方の一方通行。

ガッキイイイン!!!!

一方通行「ふぁ~~あ」

もちろん小石は跳ね返され、佐天の下に戻っていく。
戻ってきた小石を咄嗟にバットで防ぐ佐天。心地良い音を響かせると、小石はあらぬ方向へ飛んでいった。

佐天「………………っ」

ヒュヒュヒュヒュン!!!!

一方通行「ン?」

唐突に、一方通行の頭上に現れる複数の金属矢。それらは重力に従って一方通行の脳天に向かって落ちていく。

カンカカカカン!!!!

黒子「…………!!」

当然、跳ね返された金属矢は、雨粒が地面に落下するように四方八方に飛び散る。

一方通行「蚊でも止まったかァ?」

66 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:04:26.78 ID:eQ1Xhtw0 [7/9]
軽口を叩く一方通行。そんな彼の目の前にはいつの間にか8cmぐらいの硬球が迫っていた。

一方通行「お?」

佐天が用意していたボールを飛ばしてきたのだ。

一方通行「動かないのもつまンねェ」

一方通行は目の前に迫った硬球を右手で払う。
払われたボールは信じられないほどの速さで虚空を切り裂き、やがて100m先のプレハブ小屋の壁をドスンという音を立てて突き抜けた。

一方通行「やれやれェ…」

目を瞑る一方通行。
しかし容赦なく、金属矢が背後から襲い掛かる。同時に、地面をバウンドしイレギュラーな軌道で2個目の硬球が一方通行に向かう。

一方通行「………………」

正面と背後から同時に攻撃が来たのにも関わらず、一方通行は回避運動を取ろうともしない。
思った通り、金属矢と硬球は簡単に跳ね返されてしまった。

一方通行「(2週間前みたいに、がむしゃらに突っ込ンで来ねェな。寧ろ連携した攻撃を放って来やがる。ま、それがどうした、って感じなンだが……)」

佐天「………………」

黒子「………………」ブンッ

正面の佐天の側に、黒子がテレポートで戻ってくる。
無言の2人を見て、一方通行は指で耳の中を掻きながら退屈そうに訊ねた。

一方通行「で」
一方通行「“秘策”ってまだァ?」

67 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:11:08.55 ID:eQ1Xhtw0 [8/9]
同時に行われる2つの戦闘。打ち止めはその展開を少し離れた所から眺めていた。

打ち止め「……お姉さまの相手が上条さんで、あのツインテお姉ちゃんと黒髪ロングお姉ちゃんが一方通行の相手?」

首を傾げる打ち止め。

打ち止め「…普通、逆じゃないかなぁ? 一方通行なら同じレベル5のお姉さまが相手したほうが良いだろうし、上条さん相手なら、あのツインテお姉ちゃんと黒髪ロングお姉ちゃんのコンビの方が有利な気がするけど……」

打ち止めは推理をするように顎に手を添える。

打ち止め「むー……なんか前回戦った時の組み合わせの方が良かったと思うんだけど、ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」
打ち止め「でも……」

チラッと打ち止めは2つの戦闘を見る。

打ち止め「お姉さまたち、前回に比べて動きが洗練されてるような……」

と、そこで打ち止めはあることに気付いた。

打ち止め「あれ? お花のお姉ちゃんがいない?」

キョロキョロと周囲を探してみる打ち止め。
前回のように、いつの間にか人質に取られていたなどという事態に陥って一方通行たちに迷惑は掛けたくなかった。

打ち止め「あ、いた。あんな所に……」

見ると、随分向こうの方で初春が木材に腰を掛けている姿が見えた。
ここからはよく見えないが、足の上にノートパソコンを乗せているようだ。
暗闇の中、ボウッとパソコンの光が浮かび上がっている。

打ち止め「何やってるんだろ? ってミサカはミサカは新たな疑問に首を傾げてみる」

68 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:16:17.41 ID:eQ1Xhtw0 [9/9]
一方通行「つまンねェからこっちから仕掛けさせてもらうぞ」

黒子佐天「!!!!!!!!」

片方の戦闘に大きな動きがあった。一方通行が攻撃に回ったのだ。

一方通行「シッ!!!」

地面を蹴り、通常の人間では信じられないほどの速度で低空を飛行する一方通行。
彼が伸ばした手が佐天の身体へ伸ばされる。

佐天「!!!!!」

ドッ!!!

と、予想を反し、一方通行は佐天の足元の地面へ拳を叩き入れる。同時に、佐天に向かって放たれる石つぶて。
しかし………

一方通行「何?」

一方通行が顔を上げると、佐天はいつの間にか2mほど後ろに離れており、石つぶての雨から逃れていた。

一方通行「(フェイントで思考能力をストップさせ、その隙に地面から石つぶてを浴びせようと思ったが……何でコイツは素早く俺の攻撃から逃れられた?)」

考えても仕方が無い。今、一方通行の背後近くには黒子の気配がある。
一方通行は悟られないよう足首をグルリと回転させ、今度は黒子の足元へ拳を叩き込もうと………

黒子「…………!!」

……したところで、黒子は一方通行の動きを1秒前に読んでいたかのようにテレポートして消えた。

一方通行「(コイツら……っ! 僅かだが反応が早い……。どういうことだ!?)」

立ち上がる一方通行。数m先に並ぶ黒子と佐天。

一方通行「ン?」

暗くて分かりにくいが、黒子と佐天の左耳付近に注意を向けてみると、何か異物のようなものが見て取れた。

一方通行「(なンだありゃ?)」

更に目を細めてみるとその正体が分かった。

69 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:23:26.82 ID:bNssrMY0 [1/5]
一方通行「(ヘッドセットか…!?)」

縦長に細い、通信用のヘッドセットが、黒子と佐天の長い髪に隠れるように左耳に装着されている。

一方通行「(誰かから指示でも受けてンのか? 超電磁砲か? いや……)」

一方通行は振り返ってみるが、美琴は今、上条との戦闘に集中していて指示を飛ばせるような状況ではない。

一方通行「(待てよ……)」

一方通行は周囲に視線を走らせてみる。

一方通行「(あの頭お花畑がいねェぞ)」

ふと、彼の視線がある一点で止まった。そこだけ光が浮かび上がっていたので暗闇の中でもすぐに分かった。
随分離れた所だが、頭に花飾りをつけた少女が木材に腰掛け、何やら手元のパソコンらしきものを操作している。

一方通行「(あンな所に……。もしかして指示出してンのはアイツかァ?)」
一方通行「(だが、こンな月も無い暗闇の下でどうやって状況を把握して指示を出してやがる? ほンの数m離れただけでほとンど見えなくなるンだぞ)」

黒子「余所見ですか?」

一方通行「あァ?」

唐突に、声が掛けられた。

黒子「余所見をして大丈夫なのですか?」

一方通行「まさかとは思うけどさァ……オマエらの“秘策”って、ヘッドセットのことじゃねェよなァ?」

僅かに黒子と佐天の顔が動く。

一方通行「そンなの期待外れどころじゃねェぞ。あァ、心配するな。あのお花畑は大して脅威にもならないだろうから、別に手出ししたりはしねェよ」

黒子佐天「…………………」

余裕たっぷりげに告げる一方通行。しかし、彼は知らない。初春がわざわざ戦闘から離れた所で暗闇の中、何故パソコンを操作しているかを。

一方通行「おっと、1つ言い忘れてたことがあったぜェ」

黒子佐天「?」

一方通行「俺たちが誘拐してぶっ殺した常盤台の高飛車な生徒さァ……」

黒子佐天「!!!!!!」

一方通行「それまでは偉そうな口きいてた癖に、死ぬ間際になってビビって震えてやがンの。で、こう懇願するンだよ…『死にたくない…助けて』ってなァ! あの顔は最高だったなァ!! オマエらにも見せてやりたっかたぜェ」

黒子佐天「………………っ!!」

70 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:30:12.65 ID:bNssrMY0 [2/5]
心の底から楽しむように一方通行は語る。
その態度に1度は怒りを露にした黒子と佐天だったが、すぐに彼女たちの顔は静かになった。

黒子佐天「…………………」

一方通行「(なンだ? 挑発に乗らねェ)」
一方通行「なンだよなンだよなンなンですかァ? つまンねェなァおい」

そんな一方通行を見て、黒子と佐天は頷き合う。

一方通行「おっと、第2ラウンド開始か?」

ふと、その瞬間、黒子と佐天が消えた。
無論、そのからくりは分かっている。黒子が空間移動(テレポート)を使ったのだ。

一方通行「どういう攻撃が来るのか楽しみ……」

一方通行は途中で言葉を止めた。いつの間にか、佐天の顔が目の前にあったからだ。
不意をつかれ、少し驚く一方通行。

一方通行「はァ?」

抜けたような声を出す一方通行を前に、佐天は眼前に何かを素早く持ち上げた。

71 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:35:12.01 ID:bNssrMY0 [3/5]
それが何であるかを気付くより早く………




バシャッ!!!!!!!




唐突に、莫大な光量が一方通行を襲った。

一方通行「ぐあぁっ!!!!」

両目を覆う一方通行。

一方通行「目が!! クソッ!! ヤロウ!!!」

苦しむ一方通行に追い討ちをかけるように、今度はテレポートした黒子が彼の耳に何かを近付けた。




パアアンッ!!!!!!!




今度は、一方通行の耳の側で大音量の爆音が発せられた。

一方通行「うがぁぁぁっ!!!!!」

左手で左耳を抑える一方通行。
一方通行「チクショウ!!! 耳まで……っ!!」

75 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:41:18.94 ID:bNssrMY0 [4/5]
黒子と佐天がとった方法は簡単だった。

大量の光と音で一方通行の目と耳を一時的に封じたのだ。
彼女たちが手にしているもの。それは、ストロボカメラとデジタルピストルだった。

一方通行「ぐおおおおお」

2人はそれらによって即席で特殊閃光音響手榴弾(フラッシュグレネード)の効果を生み出したのだった。
まずは手の内がバレないように、黒子がテレポートで佐天を一方通行の眼前まで一瞬で飛ばし、間髪入れずストロボで視界を奪い、次いで視覚が奪われている間に、追撃でデジタルピストルを耳元で撃ち、聴覚までも奪ったのだ。

一方通行「うおおおおお」

月も出てないこんな真っ暗闇だからこそ、一方通行が光量を反射していないと捉えるのが普通だ。音にしても、戦闘を行うには最低限必要だからこし反射していないはず。だったら簡単だ。後はその隙をつけばいいだけだった。

一方通行「うがああああ」

黒子と佐天の顔に歓喜の表情が浮かぶ。

佐天「やった!!」

黒子「効きましたわ!!」

79 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:46:50.46 ID:bNssrMY0 [5/5]




一方通行「なァンてな!!!!!」ギャン!!




黒子佐天「!!!!!!!!!」

突如、一方通行が自分の目を覆っていた両手を離し、不気味な笑顔を露にした。

一方通行「確かに、俺の隙をついたいい策だったなァ?」

体勢を戻しながら、一方通行は語る。

一方通行「でもよォ、この策には欠点があるンだわ」

腰を大きく屈め、一方通行が攻撃の姿勢をとる。

一方通行「俺の反射は、許容量を超えたものも自動で反射するンだよ」

そして、最後に彼は1つだけ訊ねた。

一方通行「で、まさか今のが“秘策”ってヤツゥ?」

黒子「!!!!!」

佐天「!!!!!」

ドッと地面を蹴り、一方通行が2人に襲い掛かる。

一方通行「そンな陳腐な秘策で倒せる最強じゃねェぞォ!!!!!」

バガッと一方通行は、目にも止まらぬ速さで黒子の手に握られていたデジタルピストルを破壊した。

黒子「きゃぁ!!」

次いで、一方通行は間髪与えずに佐天のストロボも破壊しようとする。
それに気付いた佐天はバットを構え直そうとするが……

一方通行「遅せェぞ!!!」

それより早く一方通行がストロボカメラを破壊し、彼は佐天の身体にその腕を伸ばそうとした。

80 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 22:53:27.89 ID:R6khucU0
黒子「佐天さん!」

佐天「!?」

ブンッ!!

テレポートした黒子が一瞬佐天の側に現れ彼女と共に消えた。
一方通行の手が虚空を掴み取る。

一方通行「おっと……」

彼は頭上を仰ぎ見る。どうやら黒子と佐天の2人は空中へ逃げたようだった。

一方通行「なるほど」

ドッ!!

空中数十m上から地面へ向けて落下中の2人に向かって、一方通行は一直線に飛んでいった。

一方通行「鬼ごっこの始まりだァ」ニヤァ

花火のように飛んできた一方通行が黒子と佐天を捕まえようとする。
しかし……

ブンッ!!

一方通行「!?」

不意に、彼の目の前から2人が消えた。

一方通行「今度は下だなァ」

ベクトルのエネルギーがゼロになると、彼は落下すると共に、今度は地上にテレポートした2人に向かっていった。

一方通行「オラオラ逃げやがれェ!!!」

黒子「くっ!!」

佐天「!!!」

ブンッ!!

一方通行が地面に落下したと同時、またも黒子と佐天がテレポートで消える。

81 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:00:23.46 ID:DtQhIO60 [1/8]
一方通行「で、また上かァ?」

バガッ!!!

彼は地面を割り、大小様々な破片を作ると、それらを蹴り上げ、空中高くへ向けて飛ばしていった。

一方通行「よっと!」

次いで彼は空中へテレポートした2人の元に向かう。

ボシュウウウウウ

一方通行「あ?」

ふと、黒子の手元から何やら白いモヤのようなものが噴き出してきた。
そして彼女たちはモヤだけを残し、今度は別の空中の場所へテレポートする。

一方通行「どこまで逃げたって同じだぞ」

ベクトルの勢いが無くなり落下してきた、先程蹴り上げた破片のうちの1つに足をトンと乗せ、彼は空中で方向転換し、黒子と佐天を追う。

一方通行「またか」

見ると、また黒子の手元からモヤのようなものが噴き出していた。

一方通行「捕まえたァ!!」

空中の黒子と佐天に向けて腕を伸ばそうとする一方通行。しかし、またしても彼女たちはモヤだけを残してテレポートしてしまう。
当然、一方通行はそれだけで諦めることなく、再び頭上から落下してきた破片に足を乗せ方向転換し、2人を追う。

一方通行「せいぜい逃げるこったな」

そうして、黒子と佐天と一方通行は三次元的に鬼ごっこを繰り返していった。
ある時は地上に、またある時は空中へと、様々な場所にテレポートする黒子と佐天。そして、自身のベクトルと落下する破片を用いて彼女たちを追う一方通行。
その間にも、黒子は手元からモヤを出し続け、気付くと周囲は真っ白な煙で覆われていた。

82 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:06:13.31 ID:DtQhIO60 [2/8]
一方通行「どうやらあのテレポーターが持ってたのは煙幕弾のようだな……。辺りを煙で覆おうとしたことで俺の視界でも奪うつもりだったかァ?」

言いつつ、一方通行はまるで鬼ごっこを楽しむように、テレポートで逃げる2人を追う。

一方通行「だが…この暗闇の中では、逆にオマエたちの位置を露呈させてるもンだぜ? ありがたいこった」

ドン!!!!!

一方通行は更にスピードを増し、テレポートで逃げる黒子と佐天を追いかけていく。
地上から空中へ一直線に、空中から空中へ斜めへ、空中から地上へ斜めに、空中から地上へ一直線に、彼は狭い箱の中で兆弾しまくるスーパーボールのように、猛スピードで2人を追い続ける。

黒子「しつこいですわね……!!」

佐天「しつこい男は嫌いです…!!」

一方通行「ふはははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!」

高笑いを挙げる一方通行。
と、その時だった。

一方通行「!!!!????」




グラリ




一瞬、視界が揺らいだ気がした。

83 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:12:18.64 ID:DtQhIO60 [3/8]
一方通行「…………っ」

同時に、脳がクラクラと回った気がした。

一方通行「なん………だ?」

黒子「………………」

一方通行「くっ!」

気にせず、一方通行は黒子たちを追い続ける。
しかし………

一方通行「!!!!????」

また、グラリと揺れた。

一方通行「チッ……何だ……」

視界が揺れに揺れ、脳が回りまくる。
空中を飛行していた彼は、何とか体勢を立て直そうと試みた。
しかし………



一方通行「(……ちょっと待て………どっちが上でどっちが下だった……?)」



何とか周囲の状況を確かめようとするが、上と下の区別がつかない。
今、どこを飛んでいるのかも分からない。
おまけに視界は揺れるし、頭が回る。
全周が暗闇に覆われ、白い煙幕だけが漂っている。

一方通行「(あ、こっちが上か……)」

一方通行がそう判断を下した次の瞬間………




ドオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!




彼は地面に激突し、十何mも地面を滑り、やがて資材の束に突っ込んでいった。

84 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:19:19.08 ID:DtQhIO60 [4/8]
黒子佐天「…………………」

しばらくすると、黒子と佐天がテレポートで一方通行の側まで降りてきた。

ガラガラ…ガラン

一方通行「…………………」

頭を抑えながら、一方通行が資材を押しのけて這い出てくる。
常人ならここで死んでいるところだが、無論、彼は落下の衝撃による傷すら1つも負っていない。
しかし、黒子と佐天の狙いは別にあった。

黒子「ご機嫌いかが?」

佐天「急に1人で落っこちて自爆しちゃいましたけど、大丈夫ですかぁ?」

一方通行「………………」

2人を一瞬睨むと、彼は立ち上がろうとした。

一方通行「!!??」

しかし、一方通行の身体はフラフラと揺れ、1秒後には地面に四つん這いになっていた。

黒子「おやおや、学園都市最強の四つん這いの姿が見られるなんて、滅多に無いですわね」

佐天「ストロボカメラが残ってたら、写真撮ってるところなんですけどねー」

黒子と佐天は、四つん這いになった一方通行を見下すようにして話す。

黒子「何が起こったか教えて欲しいですか?」

一方通行「…………………」

一方通行は何も答えない。ただ、地面に伏せたまま頭を抱えている。

85 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:26:39.62 ID:DtQhIO60 [5/8]
黒子「“空間識失調”ってご存知ですか?」

一方通行「!」

佐天「戦闘機のパイロットがたまに陥る症状らしいです」

黒子「何でも、周りが空や海で囲まれてたり、暗闇だったりする場所で飛び続けたら上下の方向が判断つかなくなるらしいです」

佐天「貴方、あたしたちを追いかけるために猛スピードで上行ったり下行ったりしてましたよね。しかも、こんな月も出ていない真っ暗闇の中、煙幕に覆われた状況で」

一方通行「………………」

黒子「もう分かりましたよね? 貴方の身に何が起こったのか」

冷静に、黒子と佐天は説明を続ける。

佐天「貴方は、外からの攻撃を一切受け付けません。物理的攻撃であっても能力であっても、全て跳ね返してしまう。だったら………」


黒子「  内  部  か  ら  攻  撃  す  れ  ば  ど  う  で  し  ょ  う  ?  」


一方通行「………っ」

佐天「テレポートでわざと貴方を誘い込み、上下左右色んな場所に逃げ続け、煙幕で視界を狭める。そうすることで貴方の視界は暗闇と白い煙だけに覆われ、上下の向きもどっちの方向に飛んでいるのかも分からなくなり、一時的に空間識失調に陥ったんです」

黒子「先程私たちが何故、ストロボとデジタルピストルで貴方の目と耳を封じようとしたのか分かりますか?」

佐天「平衡感覚を奪うためですよ。気付きませんでしたか? さっきは上手くいきませんでしたけど、今はその状態に陥ってるはずです」

一方通行「………………」

黒子「如何です? 種も仕掛けもない、実に簡単な方法でしょう?  さ  い  き  ょ  う  さ  ん  ♪  」

2人の説明を聞き終え、一方通行はただ一言言い放った。

一方通行「ガキどもがっ……!」

89 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:33:26.09 ID:DtQhIO60 [6/8]
その光景は打ち止めにとって信じられなかった。
それもそのはずで、まさか学園都市最強の超能力者が、レベル4とレベル0のコンビに不覚をとり、あまつさえ地面に四つん這いにされていたからだ。

打ち止め「そんな……一方通行……!!」

打ち止めの顔が蒼ざめていく。
あの一方通行が、あの最強の一方通行が、2人の少女を前に足を地面につくなんて有り得ないはずなのだ。
しかも相手は同じレベル5の超能力者でもない。歴戦の強敵を撃破してきた一方通行が、女子中学生に負ける。あってはならないことだった。
我慢出来ず、打ち止めは叫んでいた。

打ち止め「一方通行!!!!!」

91 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:38:53.16 ID:DtQhIO60 [7/8]
上条「一方通行……!!」

愕然とした。
今まで共に肩を並べて戦ってきた、学園都市最強の男が四つん這いになってる姿なんて今までに1度も見たことがなかったからだ。

上条「そんなことが……」

美琴との戦闘中、不意に、向こうの方で何かがぶつかる音が聞こえたかと思ったら、数秒後そこには地面に伏せている一方通行の姿があった。
上条は知っている。一方通行の強さを。一度、敵対し殺し合った仲だからこそ、その限界を知らない強さを知っている。
しかし今、一方通行は2人の女子中学生を相手に頭を垂れるような形でうなだれている。

美琴「………………」

美琴は、絶望ともとれる表情を浮かべた上条に気付くと、横目で後ろを窺った。
どうやら、彼女たちは上手くいったようである。僅かに笑みを浮かべると、美琴は顔を正面に戻した。
そこにはまだ、呆然としている上条の姿がある。

ブオンッ!!!!!

上条「!!!!!」

そんな上条に向けて、美琴は再び砂鉄剣を振るう。間一髪、屈み込むことでそれを避ける上条。

上条「(こいつっ……!!)」

美琴「なに? お友達が心配? それは大変ね」

更に美琴は砂鉄剣で袈裟斬りを試みるが、上条はずば抜けた反射神経でそれを回避する。切られた上条の前髪が数cmほど空中を舞った。

美琴「甘いわね」

バチバチッ!!

バギィィィン!!!!

体勢を崩した上条に、美琴は左手で電撃を発する。慌てたように上条はそれを右手で打ち消す。

美琴「そろそろクライマックスでもいっとく?」

ブンブンと美琴は砂鉄剣を振るう。

上条「(この野郎……マジで俺を殺しにきやがった……)」

92 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:45:24.16 ID:DtQhIO60 [8/8]
上条は美琴を睨み据える。

美琴「しつこい男は嫌われるわよ?」

ニヤリと美琴が笑った。

上条「!!!!!?????」

目にも止まらぬスピードで砂鉄剣が上条に向かって伸びてきた。

上条「くっ!!!(そういや伸びることも出来るんだったか!!)」

バギィン!!!

間一髪、上条は砂鉄剣を右手で打ち消す。

上条「!!!!!!!」

しかし、たった今消したはずの砂鉄剣がもう1本、上条の右側面の死角から迫ってきていた。

上条「なっ……」

咄嗟に彼はそれを避けるように地面に転がった。
伸びた砂鉄剣がそのまま頭上を通り過ぎていく。

上条「剣が…分かれてるのか!」

見ると、美琴の手元から伸びた砂鉄剣が途中で分岐していた。

美琴「驚いた?」

上条「チッ」

上条が体勢を立て直すより早く、頭上を通り過ぎたはずの砂鉄剣の切っ先が、蛇のような軌道を描き彼の元へ戻ってくる。

上条「(1本だけなら、まだ対処出来る)」

そう思い、上条は右手を前に突き出す。

美琴「あら? いいの? 後ろには対処しなくて」

上条「!!!!!!!!」

93 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:52:46.42 ID:GCDwvSc0 [1/2]
美琴が発した言葉に、上条は背後に悪寒を感じた。
彼の視界に、目の前から向かいくる砂鉄剣の切っ先と、そして先程打ち消したはずのもう1つの切っ先が分岐点の根元から再生され、上条の背後に回り込むのが映った。

上条「………っ」

前と後ろから、二又に分かれ伸びた砂鉄剣の切っ先が彼を襲いかかる。

上条「うおおおおおおお!!!!!!」

バギィィン!!!!

上条は振り向くこともせず、右手だけを裏拳の要領で後ろに薙ぎ払い、背後から迫っていた砂鉄剣の切っ先を打ち消す。
同時に、その勢いで右半身を後方に、左半身を前方に逸らし僅かに身体を右側に向ける。

ビュン!!!

上条の服の左肩部分を切り裂くように、砂鉄剣が通り過ぎていった。

バギィィン!!!

当然、上条は通り過ぎたその砂鉄剣を見逃さず、瞬時に打ち消す。

美琴「やるわね……」ボソッ

振り返る上条。
そんな彼に休む間を与えることなく、再び砂鉄剣が襲ってきた。

94 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/01(木) 23:57:18.14 ID:GCDwvSc0 [2/2]
上条「くっ!!」

根元から伸びた2つの砂鉄剣がそれぞれ右側面と左側面から上条に向かっていく。

美琴「同じように避けられるかしら!?」

2つの砂鉄剣の切っ先が挟み撃ちの要領で上条の身体に突き刺さる。

美琴「!!??」

と、その瞬間だった。
上条はずば抜けた反射神経で咄嗟に頭を屈み込み、砂鉄剣の攻撃から逃れた。

美琴「なっ!?」

目標を失った2つの砂鉄剣は上条の頭上で衝突する。
そこへ、上条が右拳が叩き込む。

バギィィン!!!!

衝突したことで1本になっていた砂鉄剣は上条の幻想殺しによってバラバラと姿を崩していく。

98 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 00:02:50.10 ID:q1UM.y.0
上条「ハァ……ゼェ……」

上条は美琴を見据え、立ち上がる。

美琴「チィッ……!! なら…これならどうよ!!」

今度は、3つに分岐し伸びた砂鉄剣が、連携して上条を狙ってきた。
全てを打ち消す余裕は無いと考えたのか、上条はバックステップでそれらをかわす。

ドッ!!

ドッ!!

ドッ!!

かわされた砂鉄剣の切っ先が次々と地面に突き刺さっては、再び上条に攻撃を仕掛けていく。

美琴「防戦一方じゃない?」

上条「……………っ」

美琴「じゃあもっと大サービス♪」

バチバチバチッ!!!

上条「!!!???」

上条を狙っていた3つの砂鉄剣が青白い光を纏い始めた。
それはまるで、全身に電気を纏った三頭の蛇のようだった。

上条「(こいつ……っ!)」

美琴「更に大サービス♪」

その言葉と同時、電気を纏った砂鉄剣は更に分岐し、やがて切っ先が8本に分かれ伸びた砂鉄剣が出来上がった。


美琴「私の新技『紫電八岐之大蛇(エレクトロ・パイソン)』食らいなさい!!!!!」


上条「!!!!!!!!」

101 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 00:09:26.48 ID:9yI8YGg0 [1/5]
まるで主人の命令に従うように、電気を帯びた8つの砂鉄剣は上条に向かっていった。

上条「………っ」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!


全方向から上条に向かって砂鉄剣が振り下ろされた。
その衝撃で辺りに砂煙が舞い、視界が遮られる。

美琴「……ハァ……ゼェ……」

常人なら大怪我だけでは済まないはずだ。
美琴は砂煙で覆われた前方を見つめる。

美琴「ハァ……ゼェ……」

と、その時だった。

美琴「!!!!!!!」

砂煙の中から、突如上条が飛び出してきた。

美琴「な、何で!?」

上条「自分で考えろ!!」

美琴の眼前まで迫る上条。

美琴「ひっ」

バギィィィン!!!!

しかし彼は美琴の顔面を狙うことなく、代わりに彼女の手元の砂鉄剣の根元に右拳を叩き込んだ。

104 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 00:15:25.27 ID:9yI8YGg0 [2/5]
バシュウウウウウウ

砂鉄剣が姿を崩していく。

美琴「はっ!」

横目で上条に見られた美琴は、攻撃を警戒しそのまま大きく後ろへ下がり、上条に備えた。

美琴「?」

が、上条は美琴を見つめたまま動かない。

美琴「な、何よ…」

上条「別に。随分見ない間に進化したもんだなと思って」

そっけなく上条は言う。

美琴「そ、そうだったわ! どうやってあんた、私の新技から逃れられたのよ」

上条「簡単なことだ。砂鉄剣はさっき俺の周囲360度から襲ってきたが…前方の砂鉄剣だけ右手で打ち消してその隙間を通ってここまで来ただけだ」

美琴「………っ」

上条「満足したか?」

美琴「ホンッとうに、ムカつくほど戦い慣れてるわね、あんたって……」

美琴は上条を睨む。

105 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 00:20:34.42 ID:9yI8YGg0 [3/5]
黒子「さて、降参いたしましたか?」

佐天「あたしたち優しいから、そのままの姿勢で謝ったら許してあげないこともないですよ?」

一方通行「………………」

黒子と佐天の2人は一方通行を見下し言う。

一方通行「フー………」

黒子佐天「!!!!!?????」

だが、そんな2人の言葉を無視するように一方通行は立ち上がった。

黒子「そんな……何故?」

佐天「まともな人間ならしばらく立ち上がれないはずなのに……」

一方通行「まともな人間ならな?」

黒子佐天「!!!!!」

顔を片手で覆っているため、一方通行がどんな表情をしているのか分からないが、間違いなく彼は元気そうだった。

一方通行「俺を誰だと思ってる?」ギロリ

黒子佐天「ひっ」

一方通行の獰猛な目が黒子と佐天に向けられた。

106 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 00:26:40.69 ID:9yI8YGg0 [4/5]
一方通行「俺は既に地上にいるんだぜ? いつまでもペチャクチャと話してりゃあ、平衡感覚も戻るわな」

黒子佐天「そんな……」

2人は言葉を失くす。
確かに、一方通行は普通の人間ではない。もしかしたら、彼女たちが話している間に脳内のベクトルを操って自身の状態を元に戻したのかもしれない。
実際、一方通行が体内のベクトルまで操れるのかどうかは分からなかったが、彼の姿を見ているとあながちあってもおかしくないことに思えてしまう。

一方通行「早くトドメを刺しときゃ良かったのに……要領悪いなァ。ま、外側から攻撃出来ないからあンな方法取ったンだろうがな」

黒子と佐天が慄いて後ずさる。

一方通行「さァて、こっちもお礼をしてやらねェとなァ」

一方通行は肩をコキコキ鳴らすと、顔を2人に見据えた。

黒子佐天「!!!!!」

一方通行「ちょっと本気出させてもらうぜ?」

黒子と佐天の顔が蒼くなる。

一方通行「最終ラウンド……反撃タイムの始まりだァ」ニヤァ

黒子佐天「!!!!!!」

1秒後、一方通行は2人に向かって突進していった。


ドッ!!!!!!


人智を越えた容赦の知らない怖ろしい魔手が彼女たちに襲い掛かった。

131 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 21:25:03.58 ID:fdfJNg60 [2/2]
一方通行「ちょっと本気出させてもらうぜ?」

立ち上がり、一方通行は言った。
それは、つい先程まで平衡感覚を失っていたとは思えない姿だった。

黒子「…………っ」

佐天「あ……あ……」

相手はあの、学園都市最強の超能力者だ。
たかがレベル4とレベル0のコンビが、ちょっとした小細工程度で倒そうとすることが、土台無理な話だったのかもしれない。

一方通行「最終ラウンド……反撃タイムの始まりだァ」


ドッ!!!!!!


一方通行が地面を蹴り、一瞬で佐天との距離を詰めてきた。

佐天「!!!!!」

一方通行「加減してやるから、我慢しろよォ!!」

ニヤリと笑って、一方通行はその手を佐天の身体に触れようとする。

佐天「やっ……」

両手で防御体勢を取ろうとする佐天。

一方通行「おしおきの時間だァ!!!!!」




ドゴオオオオッ!!!!!




と、突然、地面から大音量が響いた。

134 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 21:32:18.88 ID:Kx/c/4U0
一方通行「何!?」

佐天「えっ……」

佐天の身体を掴もうとした一方通行の手が虚空を切る。
空中で持て余した手を伸ばしたまま、彼は佐天の姿が視界から下方へと流れていくのを見た。

一方通行「なンだ?」

一瞬、佐天が地面にめり込んだのかと思った。
しかし、実は違った。佐天と共に周囲の風景も下へ流れている。いや、そうではなく、一方通行の視界が勝手に上の方へと流れていっているのだ。

一方通行「!!!??」

不安定な足場に違和感を覚え、足元を見る一方通行――自分の身体が空中3m付近で浮いていた。

一方通行「は?」

否、正しくは3mも競り上がった地面の中心に彼は立っていたのだ。
眼下を窺うと、こちらを見上げている佐天と、少し離れた所で木材の束に手を伸ばしている黒子の姿が………

一方通行「アイツ!!」

彼は今、5mほどの距離を開いてそれぞれ両隅の地中から垂直に突き出し縦に重ねられた2つの木材―合計4本の木材によって3mも盛り上げられた地面の真ん中に立っていたのだ。
一方通行の視点からは見えなかったが、その図は『┏┓』のような、まるでテーブルを横から捉えた形をしており、その中心部で立つ彼はようやく自分の身に何が起こったのか理解したところだった。

一方通行「(一部の地面の両隅から、地中にテレポートした木材を突き出させて、そのまま俺が中心部に立っていた地表部分を押し上げたのかっ!)」

木材の束の前で、振り返るように一方通行を睨む黒子。僅かに彼女の顔からは汗が流れ、息も荒くなっている。

黒子「いくら貴方が何でも反射出来ても、実際に反射を行ってるのは身体の周りにある膜のようなもの。貴方の下にある地面……しかも、貴方が立っている所とは別の場所の地面が反射しているわけではありませんものね……」

だから一方通行は一部の地面ごと空中へ押し上げられた。まるで、リフトや昇降機、エレーベーターが自動的に人間を上階まで運ぶように。
不安定に揺れる4本の木材。その根元には、黄土色の土や粘土が耕されたように剥き出している。

一方通行「………………くかか」

佐天「?」

黒子「?」

一方通行「くかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかっかかかかかかかかか」

135 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 21:39:32.37 ID:xzYWGV60 [1/12]
目元を暗くし、一方通行は笑う。
やがて彼は叫んだ。

一方通行「で、もしかしてこれが“秘策”ゥ?」

ドッ!!!

一方通行が競り上がった地面の上から飛び降りた。彼の身体はミサイルのように佐天の下へと高速で向かっていく。

ズガッ、と一方通行が佐天を掴もうとした時、再び彼の手が虚空を切った。

一方通行「!!??」

目の前で、4mほどの間隔を開け地中から出てきた2本の木材が両隅部分にそれぞれ縦に重ねられていく。
見上げると、今度は佐天の方が5mは競り上がった地面の上に立っていた。

佐天「わっ!」

一方通行「………っ!!」

改めて黒子の方を振り返る一方通行。

黒子「ハァ……ハァ……」

睨む黒子の手元から、木材が全て消えていた。

一方通行「このっ……ヤロォ…っ!!」ギリィッ

歯を噛み、青筋を立て一方通行は叫ぶ。

一方通行「うおりゃァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

ドゴッ!!!!

目の前に立つ木材に一方通行が拳を叩き込む。
当然、バランスを崩された木材は揺れ、上にいた佐天の足元も揺れた。

佐天「きゃああああ!!!」

ガラガラと両隅2本の木材が倒れ落ち、1テンポ遅れて競り上がった地面も落ちてきた。
しかし、佐天が一緒に落下してくる気配は無い。まるで危ない場所から逃げるため一瞬で消えたように。

一方通行「!!!!」

崩れ落ちる地面や木材の隙間から前方に見えたのは、黒子に寄り添うようにくっつく佐天の姿だった。

一方通行「……ガァキ……どォ…も…がァ……っ!!」ギリギリギリ

136 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 21:46:24.56 ID:xzYWGV60 [2/12]
上条「クソッ」

その頃、上条と美琴の戦闘も更に激しさを増しつつあった。

美琴「ラァッ!!!」

迫り来る電撃を右手で打ち消す上条。彼は時折、視線をある方向へチラチラと向けている。

美琴「そんなにお友達が気になるの? でも、それが命取りよ!!」

先程までは、伸びた砂鉄剣による中距離戦闘が行われていたが、現時点では互いの身体を目の前に視認出来る近接戦闘に移行していた。
美琴が右手に持つ砂鉄剣が、上条から向かって左斜め下方から迫り来る。

上条「チッ!」

厳しい体勢を維持しながらも、上条は何とかそちらに右手を伸ばそうとする。が、

美琴「そっちばっかりに気を使ってていいの?」

上条の視界の右端に青紫色の筋が見えた。

上条「(まずい!!)」

このまま砂鉄剣を右手で受ければ、反対方向から襲い来る電撃の直撃を受けることになる。逆に、電撃を右手で防いだとなると、砂鉄剣の斬り上げを食らうことになる。無論、両方とも打ち消す余裕は無い。

美琴「もらった!!」

上条「………っ!!」

バギィィィン!!!

美琴「!?」

上条が咄嗟にとった行動。それは、左下から迫りくる砂鉄剣を右手で打ち消しながら、そのまま左斜め前方奥へ転がり込むものだった。

137 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 21:52:23.05 ID:xzYWGV60 [3/12]
前回り受身を取った勢いで、振り返る上条。
地面に片膝をつけた体勢で次の一手に備えようとするが、予断を与える間も無く彼の眼前に電気に纏われた美琴の左手が迫っていた。
それが上条の顔を襲う。

上条「くっ!!」

上体を後ろへと反らし何とかかわす上条。美琴の腕が虚空を薙ぐ。
が、そこで左脇腹に鈍い衝撃が走った。

美琴「チェイサーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」

ドゴッ!!!!!

上条「ぐ…お……っ」

美琴の蹴りが決まったのだ。
上条は地面に盛大に転がる。

上条「ぐっ……」
上条「!!!!!」

目を開けた上条の眼前に、いつの間にか再び出現していた砂鉄剣の切っ先が迫っていた。それを紙一重で避けると、砂鉄剣は顔の数cm先の地面に突き刺さった。

ドスッ!!

ホッとしたのも束の間、砂鉄剣はもう1度振り上げられ、またもや上条の顔面を狙う。

バギィィン!!!

だが今度は少し余裕が出来たため、上条は右手で砂鉄剣を打ち消した。隙を突きそのまま美琴の足を払う。

美琴「あっ」ガクッ

美琴がバランスを崩した一瞬を見計らい、上条は1度、横に転がると素早く立ち上がった。

138 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 21:58:39.01 ID:xzYWGV60 [4/12]
再び対峙する美琴と上条。

上条「ゼェ……ハァ……」

美琴「ハァ……ゼェ……」

互いの手の内を知り尽くしているからこそ、繰り広げられる互角の戦い。
因縁の相手との、いまだかつてない本気の死合に彼女たちの流す汗は尋常ではない。

上条「……なるほどな。これがレベル5の本気の本気ってやつかよ…ハァ……ゼェ」

美琴「……あんたこそ、その本気の本気についてくるなんて化け物じみてるわね…ゼェ……ハァ」

上条「これでも半端な気持ちで数々の修羅場を潜ってないんでね」

2人は、互いの実力を認め合うように笑みを浮かべる。

上条「だが分からねぇ……。何で2週間前にこの実力を出さなかった?」

美琴「はん! そんなことも分からないの?」

上条「お前だけじゃねぇ。一方通行と戦ってる白井と佐天もだ。2週間前とはまるで別人……。お前はお前で動きが以前より洗練されてる気がするし、あの2人は連携が取れている。一体何で……」

美琴「簡単よ」

美琴は、みたび手にした砂鉄剣を右肩に担ぐ。

上条「?」

美琴「あんたたちに勝つため」

上条「………………」

美琴「そのためだけに、みんな自分の分野を磨き、努力し、力を高め、時には切磋琢磨し……。それ以外の理由が必要なの?」

汗で濡れた額にシャンパンゴールドの髪の毛をひっつけながら、美琴は不適に笑う。

上条「それで2週間でここまで来たってのか? お前ら本当に女子中学生かよ」

美琴「最近の女子中学生は成長が早いのよ」

上条「フン、早すぎだろ…」

美琴「そんなことはどうでもいいわ。私たちが知りたいのは1つ」

上条「あん?」

美琴「何で私たちの友達を誘拐して殺したの?」

139 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:05:19.80 ID:xzYWGV60 [5/12]
美琴は上条を睨むようにして訪ねる。

上条「………………」

しかし、上条は何も答えない。

美琴「何よ? 答えられない理由でもあるわけ?」

上条「………………」

美琴「言いなさいよ!!!」

不意に、美琴の声に怒号が混じる。よく見ると、彼女の目元が潤んでいた。

上条「………………」

そんな彼女から1度目を逸らすと、上条は答えた。

上条「俺たちに勝ったら教えてやるよ………」

美琴「……っ」

挑発じみていない、どこか優しさが篭ったような、それでいて何か覚悟を決めたような、上条の返答はそんな印象だった。
そんな上条を見て美琴は一瞬躊躇う。

上条「もう1つ、分からないことがある」

話を変えるように上条が言った。

美琴「?」

上条「いくらお前らがこの2週間で進化したとはいえ、あまりにも動きが的確すぎる。まるで、誰かに操られているような……いや、誰かの指示をリアルタイムで受けてるのか……?」

美琴「ふふん、いいところに気付いたわね」

美琴がどや顔を浮かべた。

上条「?」

美琴「そりゃ、バックアップ要員ぐらい必要でしょ?」

上条「バックアップ要員……?」

要領を得ない上条は一瞬、キョトンとした表情を浮かべたが、数秒後、その表情は驚愕のものに変わった。

上条「まさか…っ!!」

140 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:12:30.77 ID:xzYWGV60 [6/12]
視界の端にチラッと映る、1つの光。
その光は、少し離れた場所から発せられたものだが、その光源は1人の少女が手に抱える物体で………

上条「あの花飾りの子か!?」

美琴「ご名答」

ニヤリと美琴が笑った。

美琴「あの子、体力はまるで駄目でね。腹筋も1回すら出来ないのよ。だけど彼女、あれでも黒子のパートナーとしてジャッジメントやってるのよね。何でか分かる?」

上条「??」

美琴「あの子…初春さんはパソコンのスキルだけでジャッジメントに入ったほどなの。それほど彼女の情報処理能力は並外れているのよ」

チラッと初春の方を窺う上条。
彼女はただ、戦闘にも加わらず暗闇にその幼い顔をパソコンの光で浮かび上がらせている。

美琴「黄泉川先生があんたたちの仲間だって気付いたのも、元はあの子がアンチスキル本部のサーバーに侵入したのが切っ掛け。あんたたちが今日、この場所を通るって分かったのも、あの子が黄泉川先生と寮監のパソコンをハッキングしてくれたから」

上条は呆然と美琴の言葉を聞いている。

美琴「それと、ここに来るまでわざわざ監視カメラを操作したのも彼女よ」

上条「何だと?」

美琴「私たち、今追われの身でしょ? 街中に出たらそれだけで監視カメラに映ってしまう。でも私たちは現にこの資材置き場まで余裕で辿り着いている。何をしたか分かる?」

上条「?」

美琴「簡単よ。監視カメラの視界に出る直前に物陰からカメラを細工したの。つまりは、監視カメラのセンターに侵入して、あらかじめ盗んでおいた録画映像を数分間だけその上から再生させたってわけ。そうしたら、実際は私たちが通りを横断していても、センターは何でもない無人の映像が映されている。どう、初春さんすごいでしょ?」

上条「………………」

美琴「今この時も、このヘッドセットを通して私たちに逐一この場所のリアルタイムの状況を教え、指示してくれてるのも彼女」

そう言って美琴は左耳に装着されたヘッドセットをコンコンと叩く。

上条「!!!!!」

上条は驚いたが、すぐさま頭に浮かんだ疑問を口にした。

上条「……いや待て……馬鹿を言うな。こんな月明かりも無い真っ暗な夜中に、あんな離れた場所から戦闘の状況を把握出来る訳が無いだろ。ほんの数m離れただけでほとんど何も見えなくなるんだぞ」

美琴「いつ私が、初春さんが肉眼でこの状況を把握してるって言った?」

上条「何?」

141 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:19:14.62 ID:xzYWGV60 [7/12]
美琴「彼女は大した能力も持たないレベル1よ。そんな特別なことが出来るわけないでしょう」

上条「…じゃあ何で?」

美琴「さぁ? “ずぅっとずぅっとずぅぅぅっとお空の上”から監視でもしてるんじゃないの?」

歳相応のイタズラじみた表情を浮かべ、美琴はケラケラ笑う。まるで子供が手品の種を明かすように。

上条「空の……上……?」

上条は反射的に頭上を仰ぐ。
そこには、星も見えずただ真っ黒に染まった空が雲に覆われていて……

上条「まさか……」

サアッと上条の身体中から血の気が引いていく気がした。



上条「  人  工  衛  星  ……?」



上条は、たった今自分が吐き出したはずの単語に、現実感を覚えられなかった。

上条「監視衛星を………ハッキングしたのか!!??」

クスクスと美琴は小悪魔な顔を見せて言う。

美琴「何でか知らないけどねー……学園都市の監視衛生を管理するセンターのセキュリティが脆くなってたのよ。だから初春さんに頼んで……」




美琴「  ハ  ッ  ク  し  て  も  ら  っ  ち  ゃ  っ  た  ♪  」




上条「!!!!????」

142 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:26:18.26 ID:xzYWGV60 [8/12]
美琴「最初は、本当にただ試してみるだけだったのよ。衛星で私たちの行動が把握されていないか確かめるためにね。でもあら不思議。蓋を開けてみれば衛星のセキュリティは何と、かなりの低レベルまでグレードダウンしてました。それでも普通の人だったらハッキングなんて無理だったんだけど、あの子はやってのけたわ」

上条「………………」

開いた口が閉まらなかった。

美琴「最初は何かの罠かとも思ったけど、どうやらそんな気配は無いし。だから、本番の今日も使わせてもらいました♪」
美琴「ちなみに、彼女のパソコンには今も衛星から捉えたここの状況がリアルタイムで映ってると思うけど、何と初春さん特製ソフトウェアによる、暗視モードつき♪」

上条「!!??」

美琴「更には、あのノートパソコンに初めから取り付けられてたカメラ機能も同様に暗視モードで使われてます!」

上条「(馬鹿な………)」

絶句、とはまさにこのことかもしれない。
上条には美琴が今言ったことが信じられなかった。あんな話を聞かされれば無理も無い。
だが、美琴や黒子、佐天は上条や一方通行の攻撃に対し、その場その場に合わせた臨機応変な反応を示している。
美琴の話が全て嘘と考えられることも出来たが、ここでハッタリを掛ける場面でもないだろう。

上条「……………っ」

となると、今、この資材置き場は、頭上からは衛星によって監視され、側面からは初春のノートパソコンのカメラ機能で監視されていることになる。それもリアルタイムで、暗視モードというアドバンテージまで付加されて。
恐らく、初春の手元にあるパソコンの画面には、緑色に染められた両方の映像が並んで今も流れているはず。初春はそれを元に美琴や黒子、佐天に指示を出しているのだ。

美琴「ねー初春さん?」

振り返り、初春の方に顔を向ける美琴。
ヘッドセットを通して会話を聞いていたのか、初春がこっちを向き手を振った。

146 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:33:35.75 ID:xzYWGV60 [9/12]
上条「お前ら……」

美琴「逆に言うと、ここまでしないと、あんたたちを倒せないでしょうね……」
美琴「前回は死ぬ思いをした初春さんだったけど、諦めかけてた私たちを諭してくれたのはあの子だし、今回一番貢献してくれたのも彼女。どう? 強い子でしょ?」

上条「………………」

美琴「でも、初春さんもすごいけど、黒子も佐天さんも、あんたたちを倒すためだけに自分の限界を突破したわ」

顔だけは初春の方に向けながら、美琴は横目で上条を見やる。
彼女の声は先程までとは違って、静かで真剣そのものだった。

美琴「もちろん私もね……」

上条「ふっ……上等じゃねぇか。ならもう1度、お前らを打ち負かしてやるよ。2度と立ち向かってこれないようにな!」

上条は右手を握る。

上条「俺たちに勝てるって妄想を抱いてるなら、まずはそのふざけた幻想を………」


ビュオッ!!!


と言う音と共に一筋の青白い光線が上条の耳元を音速で通過した。



ズッドオオオオ………ンンンッ!!!!



直後、数十m背後で爆発が起こった。

上条「……………っ!!」

美琴「……私たちに勝てるって妄想を抱いてるなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!」

ニヤッと笑う美琴。
前方に突き出された彼女の右手は、直前まで握られていた物体が飛んでいったためか、親指だけが上条を向いていた。
決着は近い――。

149 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:39:45.77 ID:xzYWGV60 [10/12]
一方通行「(超電磁砲だと? まさかアイツも苦戦してやがるのか?)」

背後を振り返り、一方通行は口中に舌打ちした。

黒子「お分かり頂けましたか?」

一方通行「あン?」

黒子「私たちの覚悟が」

一方通行「覚悟ねェ……確かにそれは分かった。レベル4とレベル0のコンビでここまで俺を翻弄したのはお前らが初めてだ」

黒子佐天「…………………」

一方通行「それは褒めてやるぜ。だがなァ……肝心の俺に傷1つついてねェのも事実だよなァ?」

余裕を見せる一方通行。そんな彼を、黒子と佐天は黙って睨む。
今も、一方通行の背後10数m先で戦う上条の顔と美琴の背中が、美琴が身体から発する電撃の光によって垣間見えた。

黒子佐天「…………………」

一方通行「“秘策”とやらも全部尽きたようだし。そろそろここで終わりにしとくかァ」

両手を広げる一方通行。

黒子佐天「!!!!!」

黒子「す、少しお待ちになって下さいまし!」

一方通行「あァ?」

水を差されたように一方通行の表情が歪む。

黒子「貴方にお聞きしたいことがあります」

一方通行「聞きたいこと?」

黒子「そうですわ! それを聞いてからじゃないと貴方を倒しても溜飲が下がりません」

佐天「それぐらいわがまま聞いてもらってもいいと思いますけど」

一方通行「…………………」

ジッと一方通行は怪訝な表情で2人を見つめる。

黒子佐天「…………………」ゴクリ

一方通行「まァいいか。なンだよ? 冥土の土産でも欲しいのかァ?」

153 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:47:05.96 ID:xzYWGV60 [11/12]
一方通行は広げていた両腕を腰にあてた。

黒子「言ってなさい。私たちが聞きたいのは、何故、私たちの友達を誘拐しあまつさえ殺害したのか、ですわ」

佐天「固法先輩に泡浮さん、湾内さん、婚后さん。それに学園都市の学生たち。何で彼女たちが殺されなきゃならないんですか!?」

一方通行「ンだ。そンなことかよ」

黒子「そんなことですって?」

一方通行「知りたいか? 知りたいよなァ? じゃあまず俺個人の理由を教えておこうか」
一方通行「アイツらの死に際の顔を見てると興奮するからだよ!!!」

黒子佐天「…………っ」ギリッ

歯を噛み締める2人。
今も美琴と上条は一方通行の背後10mほど先で戦闘を繰り広げている。




ズオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

放たれる超電磁砲(レールガン)。

バギィィィン!!!!!

それを打ち消す幻想殺し(イマジンブレイカー)。

上条「ハァ……ハァ……何度やっても……」

ズオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!

バギィィィィン!!!!!!

上条「これで3連続……!! 超電磁砲の連発とか何考えてやがんだ!!!」

美琴「………………」

身体中から放電しながら、美琴は軽いバックステップを踏みつつ上条の追撃を食い止める。
彼女は出し惜しみもせずに、超電磁砲を連続で上条に向けて撃ち続けていた。

上条「そうかよ……お前、本気の本気で俺を殺す気だな?…ハァ…ゼェ…」

美琴「今頃気付いたの? 馬鹿?」バチバチッ

美琴が発する電撃によって、暗闇の中、彼女の顔が点滅するように浮かび上がる。

154 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 22:53:41.76 ID:xzYWGV60 [12/12]
上条「っ!!」
上条「いいぜ御坂……それなら、俺も出し惜しみはしない。お前の頬を思いっきりぶん殴って気絶させてでもお前を止めてやる!!」

ダッと上条は本気で駆ける。彼の右手の拳はこれまでにないほど強く握り締められている。

美琴「今更フェミニストぶるとか笑っちゃうわね!」

ズオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!

バギィィィン!!!!!!

再び、放たれる超電磁砲とそれを打ち消す幻想殺し。

上条「歯ァ食いしばれよ!!!」

上条の拳が美琴を狙う。



黒子「そんな理由で、固法先輩たちを殺したのですか?」

佐天「信じらんない」

一方通行「オマエらの信じられないことなンてこの学園都市には幾らでもあるンだよ」

黒子「それでも…許されませんわ」

佐天「そうですよ」

俯く黒子と佐天。それを見て一方通行は溜息を吐く。

一方通行「さてと、そンじゃまあ……」

黒子「あ、貴方には良心の呵責というものが無いのですか!?」

一方通行「あン?」

話を終えようとしていた一方通行だったが、黒子がそれを許さなかった。

佐天「そ、そうですよ! 無いんですか!?」

一方通行「(なンだコイツら?)」

黒子「ご両親や先生から人を殺すことは駄目と教わらなかったのですか!?」

佐天「それですそれ! 教わらなかったとかおかしくありませんか?」

一方通行「いや、俺に今更そンなこと言ってもなァ」

159 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 23:00:24.44 ID:U1vB5ko0 [1/8]
一方通行はそう言って顔を少し左の方に向けた。

黒子佐天「!!」ビクッ

一方通行「(…ン? なンだ? ただ顔を動かしただけなのにビクつきやがって……)」

彼は後ろに何かあるのかと振り返ろうとしたが……

黒子「やはり貴方の道徳心は間違ってますわ!」

佐天「そうです! 間違ってます!!」

2人分の声に引き止められた。

一方通行「俺に道徳とか馬鹿らしいにも程があるだろ」

いちいち大声で突っかかる黒子。それに倣う佐天。明らかに2人の様子がおかしい。

一方通行「(なンだ? 時間稼ぎでもしてンのか? つっても、こんなところで時間稼ぎしても意味ねェしなァ)」
一方通行「何度も言わせンな。俺は人を殺すのに戸惑いもしない人間。良心の呵責だの道徳だの知ったこっちゃねェンだよ!」

黒子「酷い…」

佐天「可哀想な人……」

一方通行「は? 酷い? 可哀想?」

一方通行はその言葉にキョトンとする。

一方通行「あひゃはははははははははははは!!!!! 笑わせるぜ!!!! 酷いですかァ? 可哀想ですかァ? オマエら分かってねェよ!! やっぱり俺のこと何にも分かっちゃいねェ!!!」

意外にもツボに嵌ったのか、一方通行は数秒前に感じていた疑問も忘れて爆笑を始めた。

黒子佐天「………………」

一方通行「そンな陳腐な言葉で俺が殺しを止めるとでも思いまちたかァ? 世間知らずなお嬢ちゃァァン?」

黒子佐天「………っ」

一方通行の言葉に怒りを露にする黒子と佐天。今も一方通行の背後数m先では上条と美琴が戦闘を繰り広げている。


上条「クソ! ちょこまかと…っ!!」

相変わらずバックステップで逃げる美琴。それを追う上条。

美琴「………………」

バリバリバリッ!!!!

161 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 23:06:38.82 ID:U1vB5ko0 [2/8]
雷撃の槍が上条を襲う。

上条「無駄だ!!」

バギィィィン!!!

幻想殺しがそれを打ち消す。

美琴「ふっ!!」

息を吐き、美琴は間髪入れず砂鉄剣を上条に叩き込む。

バギィィィン!!!!

当然、それも打ち消されてしまう。

次いで、電撃を飛ばしてみるが、上条はいとも簡単にそれも打ち消す。
これ以上やっても無駄だと思ったのか、美琴は身体から電気を発するのを止め、逃げに徹することにした。

上条「どうやっても、お前の負けだ御坂!!!」

美琴「…………っ」

上条と美琴の距離は1mほどまで接近している。
辺りは真っ暗闇で、おまけに美琴も電気を発するのを止めたため、明かりといったものは完全にその場から途絶えていた。そのせいか視界は極端に狭くなり、至近距離にいる彼女の顔以外は何も見えなかったが、上条は諦めなかった。むしろ、美琴を殴り倒そうとすることだけに意識を向けていたと言える。

美琴「くっ!!」

上条は、隙さえあれば、彼女の頬にその拳を叩き込もうと本気で踏み込む。

上条「終わりだ!!!」

追い詰められた美琴。
上条は絶好の機会を得、右拳を限界まで後ろに引き付ける。遠心力をも考慮した本気の拳が美琴の頬に照準を定める。
決着の時が訪れた――。

一方通行「所詮は、お前も! お前も! あの花飾りも! そして超電磁砲も!! 世間を知らないただのガキなンだよ!!!!」

声高々に、笑い続ける一方通行。
彼は今、自分が唱える演説に酔っているためか、ほぼ自分の世界に入り込んでいる。その姿は既に黒子と佐天のことなど知ったこっちゃない、と言うように意識が軽く飛んでいた。

黒子「………………」

佐天「………………」

もはや反論する素振りを見せず、黒子と佐天は冷めた目で見つめていた。

一方通行「だから俺に何を言っても……」

167 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 23:12:35.95 ID:U1vB5ko0 [3/8]
黒子「お待たせしましたわ」

一方通行「あ?」

黒子が唐突に声をかけた。
興を削がれたような顔で、苛立ちを見せた一方通行は黒子と佐天を見た。

佐天「待たせちゃいましたね」

一方通行「何言ってンだオマエら?」

怪訝な表情を浮かべる一方通行。



黒子「これが本当の“秘策”ですわ」



一方通行「は?」

美琴「待たせたわね」

上条「なに!?」

美琴「これが本当の“秘策”よ」

ニヤリと口元を緩め、地面から10㎝ほど跳ねる美琴。一瞬、上条はその笑みに呆気に取られたが、すぐに我に返った。
そして、上条は美琴の頬へと強烈な右ストレートを叩き込む!!!




初春「今ですみなさん!!!!!!」




その時、どこからか久しぶりに聞いた声が轟いた。

172 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 23:17:29.58 ID:U1vB5ko0 [4/8]
その声に合わせるように美琴は大声で叫んでいた。




美琴「アクセラレェェェェェェェタァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」




一方通行「あン?」

その一瞬は、まるで長い時のように感じられた――。

振り返る一方通行。

空を切る上条の右拳。

その拳が頬に触れるか触れないかの刹那で思い切り屈み込む美琴。

遠心力を残したまま勢いの減じない上条の右拳。

そして、その右拳の先には振り返った一方通行の顔が―――。


一方通行「は?」


上条「しまっ……!!!!」







ドゴオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!







一方通行「!!!!!!!!??????????」

182 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 23:23:24.51 ID:U1vB5ko0 [5/8]
上条「――――――――――――!!!!」

打ち止め「――――――――――!!!!」

美琴「…………………」



ドシャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!



上条の拳によって一方通行の身体が何mも吹き飛ばされ、固い地面を転がっていく。
この世で唯一、反射を受け付けない右手によって殴られた彼の身体は、何度かバウンドした後、摩擦音を立ててようやく止まった。

打ち止め「………………」

上条「…………………」

言葉を失くす上条と打ち止め。無理も無い。
一方通行は同じ仲間であるはずの上条によって吹き飛ばされたのだから。

一方通行「――――――――」

ピクリとも動かない一方通行の身体。

上条「アクセラレ…………」




初春「佐天さん!!!!」




その声に応じるように、いつの間にか上条の右側面近くまで接近していた佐天がバットを強く握り締める。

196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 23:30:27.35 ID:U1vB5ko0 [6/8]
佐天「でやああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

腰を極限まで屈めた佐天は、上条の左足の脛を狙って思いっ切りバットを振り切った。


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!


上条「!!!!!!????????」

鐘が鳴ったような音が響き、上条は何が起こったのか理解する間も無いまま、うつ伏せに地面に倒れ込んだ。

上条「ぐがっ!!!」

黒子「シッ!!」

と、そこへ追い討ちをかけるように黒子が金属矢をテレポートする。
1度空中で消えた金属矢は1秒後、再び空中に現れ、やがてうつ伏せに倒れる上条を張り付けるように彼の服やズボンの裾を地面と繋ぎとめた。

上条「!!??」

上条は自分が動けない状態であることに気付いたが、時既に遅い。
顔をグググと限界まで上げた上条が横目で窺うと、そこには2人の少女と、もう1人の少女――右手に紫電を発生させている御坂美琴の姿が見えた。

上条「…!!」

咄嗟に右手を構えようとする上条。が、当然ながら金属矢によって裾と地面が繋がれているため右手は動かない。

美琴「……どう? 思い知った?」

美琴は笑みを浮かべる。


美琴「これが私たちの全力よ!!!!!!!」


ビリビリバチバチバチッ!!!!!!!!

美琴の右手から電撃が放たれた。




上条「ぐあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!」






203 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/02(金) 23:37:04.17 ID:U1vB5ko0 [7/8]
上条の身体中を駆け巡る雷のような衝撃。そのあまりのパワーに、上条はガクガクと全身を揺らす。

黒子佐天初春「………………」

美琴「………………」

美琴たちの顔を、青白い光が照らし出す。彼女たちの眼前で、上条は悶え続ける。



上条「が……………」



やがて、電撃は止み、それと共に上条はその場に崩れ落ちた。

黒子「…………………」

佐天「…………………」

初春「…………………」

先程の喧騒が嘘のように、辺りが静寂に包まれた。唯一、聞こえてくるのは、4人分の今にも掻き消えそうな小さな吐息だけだった。

美琴「…………………」

美琴たち4人はその場にしっかりと立ち、上条と一方通行は地面の上で倒れ気絶していた。
その状況を把握し、1つ大きな溜息を吐くと、美琴は一言呟いた。






美琴「私たちの……勝ちよ」






314 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 02:18:35.55 ID:OIGz7FY0 [2/7]
初めは何が起こったのか理解出来なかった。いや、その状況を信じたくなかったのかもしれない。
忠告通り、離れた場所から目の前で繰り広げられる2つの戦闘を眺めていた。絶対にあの2人――上条当麻と一方通行が負けるはずがないと信じて。だが、現実は違う様相を見せた。

打ち止め「一方通行………」

呆然と、その名を口にする。レベル4とレベル0の女子中学生のコンビによって悪戦を強いられ、同じ仲間であるはずの上条に殴られた末、地面の上で気絶した最強の超能力者の名を。

打ち止め「一方通行!!!!!」

倒れた一方通行を見て、耐え切れなかったのか、打ち止めは走り出していた。その顔に不安だらけの表情を浮かべながら。

黒子「お姉さま」

美琴「ん?」

地面にうつ伏せに倒れた上条のすぐ側に立っていた美琴、黒子、佐天、初春の4人。
彼女たちは突然発せられた子供の声を聞き、そちらに注意を向けた。打ち止めが必死の形相で走ってくるのが見えた。

美琴「まだ終わってないわ。黒子、お願い」

黒子「了解」

そう言って、黒子は美琴の側から消える。

打ち止め「え?」

数秒後、黒子は打ち止めを連れて美琴の元に戻ってきていた。

打ち止め「お、お姉さま?」

後ろから黒子に両肩を掴まれるように立つ打ち止め。彼女は目の前に倒れている上条を見て、そして後ろを振り返った。

美琴「どうしたの打ち止め? そんなに信じられない? この状況が?」

不適な笑みを浮かべる美琴。

目の前にはうつ伏せで倒れた上条の姿。顔を右に向けると、数m先には仰向けで気絶した一方通行の姿が見える。
百戦錬磨のはずだった彼らは敗れた。4人の女子中学生によって。

打ち止め「あ……う……」

この場に残ったのは打ち止め1人。逃げようにも、背後には美琴たち4人が立っている。
打ち止めは頭の中で考える。

打ち止め「(ツインテのお姉ちゃんと黒髪ロングのお姉ちゃんが、時間稼ぎで一方通行の足を止め気を引いている隙に、お姉さまは上条さんを誘い込むようにバックステップで一方通行に近付いた……)」

美琴「初春さんの指示で上手く一方通行の背後に近付けたものね」

打ち止め「!」ビクッ

316 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 02:24:16.66 ID:OIGz7FY0 [3/7]
初春「いえいえー褒められると照れます」

佐天「でも初春の指示が無ければ、あたしたちもあそこまで上手く動けなかったよ」

黒子「一世一代の大芝居を打った甲斐があるということですわ」

美琴「敢えて、上条当麻に超電磁砲(レールガン)を連発することで私が本気であることを見せ付けた。そうでもしないと、あいつは本気で私に殴りかかってこなかったでしょうね。まんまとノってくれて良かったわ」

打ち止め「(何てこと……お姉さまは上条さんに本気を出させて、周囲に気を配る余裕も無い状況に追い込み、自身は誘うように一方通行に近付いた。そして追い詰められた振りをして、上条さんが本気の拳を振るった時に……)」



   ――「アクセラレェェェェェェェタァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」――



……大声を出して背後にいる一方通行を振り向かせた。と同時に自身は素早く屈み込み、上条は勢いを残したまま、その右拳を吸い込まれるように一方通行の左頬に叩き込んだのだ。
   
打ち止め「………っ」ゾクッ
打ち止め「(そんな……僅かでもタイミングがずれたら簡単に失敗するのに……)」

もう1度、打ち止めは振り返り美琴の顔を見る。

美琴「1回限りの“大秘策”。上手くいったようね」

打ち止め「(これが……ミサカのお姉さま……)」

感心したように、あるいは恐怖を覚えるように打ち止めは美琴の顔を見つめた。

打ち止め「……………っ」

レベル5第3位の超能力者・美琴が主導していたとは言え、実際に黒子や佐天、初春の協力が無ければ最強の楯と最強の矛を持つ上条と一方通行は倒せなかったはずだ。
そう、彼女たちは宣言通り勝ってみせたのだ。この2週間で高めた己の力と、互いのサポートや連携でハンデを埋めることによって。

打ち止め「…………………」

と、その時だった――。





「やって……ハァ……くれたなァ……ゴホッ」







317 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 02:30:38.87 ID:OIGz7FY0 [4/7]
離れた場所から、声が聞こえた。殺気にも似た強大な威圧感を覚え、美琴たちは咄嗟にそちらを振り返った。

一方通行「……まさか……ハッ…上条の拳を……ゲホッ……使うとは……」

気絶していたはずの一方通行が、フラフラと揺れる身体を立ち上がらせようとしていたのだ。その顔には、怒りのようなあるいは享楽のような表情が浮かんでいる。

美琴黒子佐天初春「一方通行!!??」

打ち止め「ア……一方通行!!」

一方通行「……だが…それで…終わりだと……思った…かァ?」

大ダメージを食らってるにも関わらず、立ち上がろうとする一方通行。まさにその姿は怪物だった。

美琴「………………」

呆然とその様子を見つめていた美琴。我に返った彼女だったが、その顔に焦りは浮かんでいない。

美琴「はん! さすがは第1位、と言ったところかしら? でもその状態で動けるの? しかも……」
美琴「  打  ち  止  め  を  人  質  に  と  ら  れ  た  状  況  で  」

一方通行「あァ?」

打ち止め「あっ!!」

打ち止めの両肩を後ろから強く握り、黒子がその様子を一方通行に見せつける。

一方通行「人質だと?」

美琴「まさかあんたを倒したことで私たちが油断してると思った? もしもの時の予備プランぐらい考えてるに決まってるでしょ?」

一方通行「ふン……別にそのガキがどうなろうが……知ったこっちゃ……ねェが……」

打ち止め「!」

一方通行「ソイツに……手を出した瞬間……オマエらの……有利な状況は……覆るぜェ……」

美琴「よく言うわ。本当は心配で心配でたまらないくせに」

一方通行「ほざけ……俺が心配だと? どの道、オマエが……そのガキに手を出せるはずねェよ……」

息を切らしながらも、一方通行は確信めいた笑みを浮かべる。

美琴「私はね」

一方通行「何?」

美琴「でも、この場でこの子に何かをしなくても、違う場所でならどうかしら?」

318 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 02:36:34.79 ID:OIGz7FY0 [5/7]
一方通行「……まさか!」

一方通行は打ち止めの肩に両手を置く黒子を見る。それに気付いたかのように、佐天と初春が黒子の両端から彼女の腕を掴んだ。

黒子「その通り。貴方が少しでもその場所から動けば、私はこの子を連れてここから空間移動(テレポート)します」

打ち止め「えっ!?」

一方通行「…………そういうことかよ」

だが、と一方通行は笑みを浮かべて……

一方通行「……オマエが1度にテレポート出来るのは、自分を含めて3人まで。打ち止めと誰かもう1人を連れてテレポートするにしても、最低でも2人は残っちまうよなァ?」
一方通行「どうせ、1人は超電磁砲が残るンだろうが……あと1人はどうする? レベル1の低能力者かレベル0の無能力者がここに残ったって、俺に瞬殺されるだけだぜェ?」

佐天「………………」

初春「………………」

一方通行は脅迫めいた言葉を告げるが、佐天と初春は特に反応しなかった。

黒子「いつの話をしていらっしゃいますの?」

一方通行「あ?」

美琴「あんた、さんざん言ったのに覚えてないの? 私たちはこの2週間、あんたたちを倒すために努力した、ってね」

美琴は一方通行を見据えながら、親指を隣にいる黒子に向ける。

美琴「この子、この2週間で自分を含めた最高4人までなら一緒にテレポート出来るようになったわよ」

一方通行「なンだと?」

黒子「とは言え、テレポートの1度の飛距離は1mも伸びていない程度。まだまだレベル5には程遠いですがね」

そう言う黒子の両腕をそれぞれ佐天と初春が掴んでいる。
今の黒子は、1度に4人をテレポート出来る。見た限り、その言葉は嘘では無いようだ。

一方通行「…………………」

美琴「あんたがそこから1cmでも動いたら、すぐさま黒子がこの子たちを連れてここから逃げる手筈になってるわ」

一方通行「簡単に言うが……例えテレポーターどもがここから逃げられたとしても、そのクソガキをどうにか出来るとでも思ってンのか?」

美琴「あら? また忘れたの?」

一方通行「あァ?」

美琴「戦う前に言ったじゃない。『私たちはあんたちを殺す覚悟は出来てる』ってね」

320 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 02:42:33.56 ID:OIGz7FY0 [6/7]
打ち止め「!!!!!」

一方通行「………………」

美琴「私はともかく、この子たちには『何も喋らないようなら、あんたらの好きな方法で吐かせてもいいわよ』って言ってあるわ」

打ち止め「えっ!?」

打ち止めの肩がビクッと震えた。しかし、それを見ても一方通行は顔を崩さずに言う。

一方通行「いつまでも逃げれると思ってンのか? 俺が全力を出せば、3日もあればこの学園都市から逃げたオマエらを探し出すことぐらい可能だ。その先に待ってる結末は、ずばり鮮血エンドってところかァ?」

その言葉に、僅かに黒子と佐天と初春が強張る気配が伝わった。
が、実際は、美琴も打ち止めに手を出すつもりは無く、一方通行も今の言葉は脅しに使っただけだった。
2人のハッタリ合戦は尚も続く。

美琴「3日、ねぇ……。3日もあれば、何でも出来ると思うけど? 打ち止めの消息が3日も掴めない、って言う状況はあんたに耐えられるのかしら?」

一方通行「ほざけェ。そのクソガキがどうなろうが俺には関係ねェ。笑わせンなよ」

美琴「そう、じゃあやってみる?」

一方通行「やってやろうか?」

ジリと、一方通行の足が動く。
それに答えるように、美琴が身体中から電気を発する。

黒子佐天初春「………………」ゴクリ

打ち止め「お姉さま……一方通行……」

佐天と初春が黒子の両腕を握る手に力を込める。黒子もより強く打ち止めの両肩を掴む。
状況は一瞬で変化する。
風が凪ぐ。
無言の静寂が暗闇を包み込み、張り裂けそうな緊張感が周囲を漂う。
しかし、その瞬間だった。





「それまでだ……」







321 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 02:49:03.08 ID:OIGz7FY0 [7/7]
しかし、変化は起こらなかった。1つの声が、強制的にその状況に幕を下ろした。

美琴「あんた!!」

一方通行「オマエ……」

打ち止め「あっ!!」

黒子佐天初春「!!!!!」



上条「2人とも、やめろ……」



地面に倒れていた上条が僅かに動いた。彼はまだ痺れが抜け切らない身体を何とか動かそうとする。

上条「もう、いい………」

一方通行「あァ?」

上条「もう、十分だ………」

喋ることさえ辛そうに必死に身体を動かそうとする上条を、美琴は呆然と見つめる。

美琴「……何が『もういい』よ……。何が『もう十分だ』よ………ふざけないでよ!!!!」

美琴の身体を纏う電気が強みを増す。
2人の会話を、黒子たちは無言で眺めている。

上条「全部話す」

美琴「え?」

黒子佐天初春「!!??」

上条「お前らに黙ってたこと、全てを話す」

322 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 02:55:28.34 ID:SnU0rx60 [1/3]
そう言って、上条は金属矢で地面に繋ぎ止められた服の裾をビリビリと破らせながら上体をゆっくりと起こした。

黒子「あ……」

美琴「待って」

再び金属矢を構えようとした黒子を、美琴は制止する。

上条「見ての通り、俺たちの負けだ……約束通り、全て教えてやる」

打ち止め「……上条さん……」

上条「いいな? 打ち止め、一方通行」

打ち止め「………うん」

上条の問いに、静かに答える打ち止め。
一方通行は、しばらく黙っていたが、やがて顔を横に向けて「チッ」と舌打ちしただけだった。
それを確認すると、ボロボロに痛む身体を無理矢理動かしながら上条は美琴たちに顔を向けた。

美琴黒子佐天初春「!?」

美琴「な、何よ……。何が今更『約束通り、全て教えてやる』よ……」

勝手なことを言うな、とばかりに美琴は抗議の声を上げる。

黒子「そうですわ! 貴方がたはご自分のやったことが理解出来ていまして?」

佐天「たった一言謝ったところで許されると思わないでよね!」

初春「失った人は戻って来ないんですよ!」

目に涙を溜めながら、彼女たちは震えた声で主張する。

上条「…………確かに、どちらにしろ俺は許されないかもな」

フッと上条は自分を皮肉るような笑みを浮かべた気がした。

美琴「?」

上条「御坂」

不意に、上条は真剣な表情で美琴の顔を見据えた。

美琴「な、何よ!? 早く教えなさいよ!!」

323 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/04(日) 03:01:33.00 ID:SnU0rx60 [2/3]
2人はしばらくの間、お互いの顔を見つめ合っていた。

美琴「…………………」

上条「…………………」

そして、次の瞬間、上条は信じられないことを言い放った。

上条「お前らの友達は生きている」

美琴「え………?」

思わず口から出てきた言葉はそれだけだった。
目を丸くし、キョトンとした顔で唖然とする美琴たちを見、上条はもう1度、確認するように言った。






上条「お前らの友達は全員、生きている」






凪いでいた風が止まった――。

コメント

No title

戦闘中に馬鹿みたいにべらべらべらべら喋り過ぎでイライラする

No title

超電磁砲組が勝ったことのほうがイライラする

No title

超電磁砲組が勝ったことのほうがイライラする

No title

1-3までと比べてキャラがいきなり全員馬鹿になった気がする。

No title

矢吹丈かwwwwwwwwww
喋りすぎだろwwwwwwwwwwwwww

No title

ぶっちゃけ佐天さんいらねえ

No title

頻繁に言葉の間に空白入れて強調する所みてるとイラっとくる
美琴の喋りもややウザい

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No title

殺し合いしてるんじゃなかったのか?
何この縁側でお茶飲みながら将棋でもしてるくらいのほのぼのバトルは

本来の1%の力しか出てない相手に勝って解決するところが禁書っぽいw

No title

ってゆ~か友達が生きててもねえ?人殺しはやっちゃってるし?初春はおもらしさせられてるし、他の三人もかなり屈辱的なことされてるし、黒春になって一方通行の前で打ち止めの指一本づつ折っていくぐらいしてもいいんじゃね?

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