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部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 15:19:28.30 ID:CPQLyo8GO [1/83]
中川「えっ、けいおんですか?」
大原「知っているのか中川」
中川「はい。今巷で話題の高校生バンドグループですよ」
麗子「雑誌でも紹介されているわよね。ほら、このページの……」ペラッ
大原「ふむ。この女の子達が、けいおんというグループなのか?」
中川「けいおんは部活の略称ですよ。グループ名は、こっちに書いてある放課後ティータイムの方ですね」
中川「えっ、けいおんですか?」
大原「知っているのか中川」
中川「はい。今巷で話題の高校生バンドグループですよ」
麗子「雑誌でも紹介されているわよね。ほら、このページの……」ペラッ
大原「ふむ。この女の子達が、けいおんというグループなのか?」
中川「けいおんは部活の略称ですよ。グループ名は、こっちに書いてある放課後ティータイムの方ですね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 15:30:27.88 ID:CPQLyo8GO [2/83]
キキーッ
両津「両津勘吉、ただいまパトロールから戻りました」
大原「うむ、ご苦労」
麗子「お疲れ様。今お茶を持ってくるわね」
両津「ん、何見てるんだ中川?」
中川「音楽雑誌に載っているバンドグループの話を部長としていたんですよ。ほら、この……」
両津「ああ、けいおんで噂の放課後ティータイムか」
中川「あれ、先輩も知ってるんですか?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 15:40:42.22 ID:CPQLyo8GO
両津「左近寺が最近ハマっているんだよ。毎日毎日、けいおんけいおん……」
中川「……確かキーボードを買ったとか言ってましたね」
両津「サンドバッグにダンベル、そしてキーボードだぞ。部屋の雰囲気に合わなさすぎる」
中川「確かに、あの部屋の中にあるのは想像できませんね……」
大原「どうしてキーボードなんだ?」
両津「メンバーの真似をして自分も楽器を買うんですよ」
中川「同じギターやヘッドホンを買ったり……ファンは熱心ですからね」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 15:51:30.26 ID:CPQLyo8GO
中川「左近寺さんは紬ちゃんが好きなんですね」
大原「紬?」
中川「ここに写っている、ほら。この子ですよ」
大原「ほう、この子が……」
麗子「彼女のピアノを聞く機会があったんだけどすごく上手なのよ」カタッ
両津「おっ、サンキュー」
中川「僕も彼女のグループが主催するパーティーに参加しました。かなり大きなグループですよ」
大原「なるほど、お嬢様というわけか」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:03:33.35 ID:CPQLyo8GO
両津「知り合いか?」
中川「何度か話した事はありますが……」
麗子「礼儀正しくて、とても可愛らしい子よ」
両津「ふぅ~ん……」
大原「まあ、大体わかったよ。ありがとう中川」
中川「いえ。また何かあれば」
大原「うむ。では署に戻るか。サボるんじゃないぞ両津」
両津「わかってますよ」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:11:55.63 ID:CPQLyo8GO
ニコニコ寮
両津「さあて、今日のカップ麺ちゃんはと……」
左近寺『ムギゅぅぅぅぅぅ!!』ピロリラ ピロリラ
両津「……また左近寺か」
両津「おい左近寺。夜中に楽器は控えろとあれほど……」ガチャッ
左近寺「む、ムギゅぅぅぅぅぅぅ! ムギゅぅぅぅぁ!」
両津「駄目だ聞いてない……格闘技と、どきメモ一筋だった男がこんなになるなんて……」
両津「ん……」
中川『何度か話した事はありますが……』
左近寺「ム、ム……ムギゅぅぅぅぅぅ!」
両津(これは使えるかもしれん……)ニヤリ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:19:24.83 ID:CPQLyo8GO
次の日
中川「ええっ、紬ちゃんに会いたいんですか?」
両津「頼むよ中川くぅ~ん。お金持ち同士の仲でさぁ~、ちょこっと」
中川「ど、どうしたんですかいきなり?」
両津「いやぁ音楽の素晴らしさに目覚めてしまってね。生の音楽に触れてみたいのだよ」
中川「何もけいおん部じゃなくても……」
両津「頼むよ中川! この通りだ!」ガバッ
中川「わ、わかりましたよ。しかし彼女も忙しいですからね……次の休みが空いていれば……」
両津「バカもの! 今から行くんだ今から!」
中川「ええっ! 勤務中ですよ!」
両津「学校に行けばいいだけの話だ。車を出せ中川」
中川「ダ、ダメですよそんなの……」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:26:54.27 ID:CPQLyo8GO
両津(くそっ、約束している手前後には引けん……)
……
左近寺「えっ、ムギちゃんに会える!」
両津「ああ、わしに任せろ。会いたいなら会わせてやるぞ」
左近寺「た、頼む両津! ムギちゃんの事を考えると夜も眠れないんだ……こんな気持ち、沙織と出会って以来なんだ……」
両津「ほう……」
左近寺「最近は食欲も減って、沢庵しか喉を通らないんだ……」ポリポリ
両津「大丈夫だわしが口を聞けばすぐに会える」
左近寺「た、頼む両津!」
両津「だがしかぁし!」ドン
両津「タダで会えるとは思ってないよな左近寺君?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:30:54.52 ID:CPQLyo8GO
左近寺「か、金を払うのか?」
両津「相手は忙しいお嬢様だぞ! わざわざ時間を割いて会ってもらうんだ。紹介料だよ紹介料」
左近寺「い、いくらだ?」
両津「そうだなとりあえず……指五本かな」
左近寺「ご、五千円?」
両津「バカもの! 五万だ五万!」
左近寺「た……高すぎるぞ両津!」
両津「ん~? 五万円払えば愛しのムギちゃんに会えるんだぞ? 安いとは思わんかね、ん?」
左近寺「……」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:35:23.72 ID:CPQLyo8GO
左近寺「本当に会えるんだろうな?」
両津「ムギちゃんとは昔からの知り合いでな。以前はよくキーボードとピアニカでセッションしたもんだ」
左近寺「何だか違和感のある組み合わせだな……」
両津「とにかく、会いたいなら前金で五万だ。ビタ一文負けんぞ」
左近寺「う、うう……よし! 払う。払うぞ両津!」
両津「ヒッヒッヒッ、毎度どーも。明日中川の車で迎えに来るからな」
左近寺「おう! ああ、ムギ……ムギゅぅぅぅぅぅ……」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:40:50.75 ID:CPQLyo8GO
……
両津「な? な?」
中川「うぅ~ん……」
キーッ
ボルボ「両津。来週のサバイバルゲームの打ち合わせだが……」
両津「お、ボルボか!」
両津(この際ボルボでも……)
ボルボ「両津?」
両津「ボルボ、車を出してくれ」
ボルボ「えっ? お、おいちょっと待て。サバイバルゲームの……」
両津「そんなのは後回しだ。ほら、早くしろボルボ」
中川「ち、ちょっと先輩!」
両津「部長にはパトロールと言って誤魔化しといてくれ」ブォオオ
中川「行っちゃった……」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:43:24.81 ID:CPQLyo8GO
ボルボ「抜けてきて良かったのか?」
両津「なあに、いつもの事だよ」
ボルボ「それで何処に向かうんだ?」
両津「まずは寮に寄ってくれ。左近寺を拾ってからだ」
ボルボ「左近寺? またゲームの話か?」
両津「いや、今回はけいおん……音楽の事だ」
ボルボ「ほう?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:50:01.29 ID:CPQLyo8GO
左近寺「……というのが放課後ティータイムだ」
ボルボ「女子高生バンドか」
両津「まあ、追っかけみたいなもんだな」
左近寺「ムギちゃんに会えるなら……何でもいい」
ボルボ「で、その桜ヶ丘高校に向かえばいいんだな?」
両津「住所はこの雑誌にある通りだ。頼んだぞボルボ」
ボルボ「ああ、任せておけ」
両津(会えても会えなくても関係無いがな)
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:57:41.73 ID:CPQLyo8GO
桜ヶ丘高等学校
ボルボ「さ、着いたぞ」
左近寺「しゃ、写真で見た通りだ……」
両津「さあて」スタスタ
ボルボ「そう言えば両津。俺たちが来るためのアポはとってあるのか?」
両津「そんなものは無い」
左近寺「だ、大丈夫なのか両津?」
両津「なあに、ムギちゃんの知り合いなんだからいいんだよ。それにわしらは警察官だ。何の問題も無い」
ボルボ「すごい考え方だ……」
左近寺「頭の中がふわふわ時間みたいなものだからな……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:03:47.05 ID:CPQLyo8GO
校舎内
両津「さあて目的のムギちゃんは……」
ボルボ「いいのか両津。職員室に行かなくて」
両津「ちょっと会うだけだからいいんだよ」
左近寺「こ、この校舎、この階段……一緒! 一緒だ!」
ボルボ「……」
両津「ただの建物にいちいち感動するんじゃない。ほら、行くぞ左近寺」
左近寺「ム、ムギゅぅぅぅぅぅ……」
ボルボ「やれやれ……」
唯「…………」ジーッ
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:11:23.90 ID:CPQLyo8GO
部室
律「おっそいなー。唯のやつ」
梓「すぐに帰ってきますよ」
バタバタバタバタ
ガチャッ!
澪「噂をすれば、だな」
唯「た、大変大変だよ!」
紬「どうしたの唯ちゃん。そんなに慌てて」
唯「さ、さっき学校の中に……」
澪「学校の中に?」
唯「ゴ……ゴリラとプロレスラーがいたんだよ!」
澪「ゴ、ゴリラぁ?」
律「ははっ、そのプロレスラーがマスク被っていたり馬が校庭を走ってたりしてたのか?」
唯「ま、漫画の話じゃないよ! 本当にいたんだよ!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:18:49.48 ID:CPQLyo8GO
律「いいかあ~唯。今日日学校にそんなのがいたらな、通報されてあっという間に警察行きに……」
澪「そ、そうだよ。それにゴリラって……」
梓「なんだかちょっと怖いです……」
唯「あずにゃんは信じてくれるの!?」
梓「そ、そんなのいたら嫌だなぁって……」
唯「私も思わず二度見しちゃったんだよ……」
澪「ほ、本当に見たの?」
律「おっ、泣き虫澪ちゃん。怖いのかい?」
澪「だって……」
唯「あ、でも……普通に話してたからゴリラではないのかなぁ……」
律「喋るゴリラなんて逆に会ってみたいわ」ビシッ
唯「あいたっ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:27:41.28 ID:CPQLyo8GO
唯「でも私、聞いちゃったんだよ。そのプロレスラーの人が……ムギゅぅぅぅぅぅ、って言っているの……」
梓「それってムギ先輩の事ですか?」
唯「わからないけど、この学校の事知ってるみたいだったよぅ~……」
律「んー。ムギを狙ったストーカーか?」
梓「一応先生に相談してみますか?」
唯「そうだねそうだね~」
律「さわちゃんもそろそろ来ると思うしな。よし、それまでお茶して待ってようぜ」
澪「結局それかよ!」
律「えへへ~」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:38:44.02 ID:CPQLyo8GO
両津「随分広い学校だな」
ボルボ「闇雲に探しても時間の無駄だ。やっぱり職員室で誰かに……」
さわ子「あら?」
左近寺「お、おい両津」
両津「丁度いい。あー、ちょっと聞きたいんだが。けいおん部の部室は……」
さわ子「ゴ……ゴ……」
両津「ん、あんたどっかで見た事が……」
ボルボ「この雑誌に載っているな。けいおん部の顧問として、ほら……」
両津「おお。わしらけいおん部に行きたくてな。連れていって欲しいんだが……」
さわ子「ゴゴゴゴゴ……」
左近寺「様子が変だぞ?」
さわ子「ゴ……ゴリラァァァァァ!」ピューッ
両津「あ、おい。待てっ!」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:46:17.69 ID:CPQLyo8GO
部室
バタバタ バタバタ
ガチャッ!
律「おっ、やっぱり噂をすれば…」
さわ子「た、大変よみんな! 学校の中にゴリラがいてね……!」
律「うわぁ、唯とおんなじ事言ってるよ」
唯「ほら、やっぱりいたんだよ!」
梓「本当みたいですね……」
律「いや~わからんよ? 二人で相談してイタズラしてるだけかも」
さわ子「本当にいたんだってば! 話しかけられただけで捕まって食べられちゃいそうだったのよ!」
澪「なんか、唯の時より話がでかいな……」
さわ子「それに、この部室を探しているみたいだったし……」
律「やっぱりストーカーか!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:58:10.51 ID:CPQLyo8GO
唯「どうしようさわちゃん~……」
さわ子「……戦うしかないわね」
律「いやいや。警察に連絡すればいいじゃん」
さわ子「奴等はすぐそこまで来てるのよ! そんな暇無いわ!」
紬(ちょっと面白いかも……)キラキラ
唯「武器はどうするのかな? 音楽戦士らしく楽器かな?」
律「いや、楽器で戦えるのはゲームの中だけだから……」
澪「ギターで戦うなら、せめて戦闘機に乗ってないとな」
唯「えっ?」
律「えっ?」
澪「……な、何でもない……」
さわ子「ほらあなたたちも、この消火器持って。使い方わかるわね?」
律「おお、いつの間に」
唯「うわぁ、避難訓練みたいだよ~」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:02:32.70 ID:CPQLyo8GO
紬「一応、こんなのもありましたけど」
【ゴキジェット】
さわ子「いいわよムギちゃん。武器になりそうな物は何でも利用する。その意気や良し」
紬「はいっ、頑張ります!」ワクワク
律「……二人は燃えてるな」
梓「わ、私はちょっと……」プルプル
唯「怖がるあずにゃんもかあいいなぁ~」ナデナデ
律「全く……おい、澪も何か言ってや……」
澪「……」
律「澪?」
澪「何か来る……」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:12:03.24 ID:CPQLyo8GO
両津「確かこっちの方に」
ボルボ「この階段か?」
左近寺「おお、見た事があるぞ。確かにこの上に……」
両津「あの部室か?」
左近寺「そうだ!」
両津「ふう。やっと着いたか」
ボルボ「だから早く誰かに聞けば良かったものを」
両津「お陰で喉がカラカラだ」
左近寺「運がよければお茶をご馳走してくれるかもしれないぞ。ムギちゃんの優しい味……か、考えただけで……」クラクラ
両津「確かに、そんな事も書いてあったな。よし、まずはわしが挨拶にだな……」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:16:44.98 ID:CPQLyo8GO
左近寺「抜け駆けはずるいぞ両津!」
両津「こういうのは最初の挨拶が肝心なんだよ。わしが話を通してやるから、お前らは後ろからゆっくり付いてくればいい」
ボルボ「顔見知りは両津だけだからな。仕方あるまい」
左近寺「うう……早くムギちゃんに会いたいのにぃ……」
両津「焦るな焦るな。じゃあ……行くぞ」
左近寺「おう!」
……
ガチャッ
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:20:04.16 ID:CPQLyo8GO
ギシッ ギシッ ギシッ
澪「三人分の足音……」
『……確か、こっちに……』
澪「野太い話声……」
律「ま、まさか……」
さわ子「みんな、準備はいい?」
紬「……」コクッ
唯「えっと、安全ピンを外して、と……」
梓「……」ブルブル
律「……」ゴクリ
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:23:21.66 ID:CPQLyo8GO
『よし、わしが……行くぞ』
全員(来る!)
ガチャッ
両津「はぁ~いみなさん。両津勘吉どぇ~す」スチャッ(五所川原の車を止めたポーズで)
さわ子「うわああぁぁぁぁ!」ブンッ
両津「え?」
ゴシュッ!
澪「顔面殴打!」
律「消火器ってそう使うんかい!」
さわ子「こういう使い方もあるのよ!」ゴシュッ ゴツッ
両津「い、いてて……お、おいやめろ!」
さわ子「唯ちゃん。噴出!」
唯「え、エイっ!」シュゴワァァー
両津「ぺっ、ぺっ……消火剤か……ま、まて……」
さわ子「しぶといわね」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:28:23.38 ID:CPQLyo8GO
紬「えいっ。えいっ」プシュー プシュー
律「人間にゴキジェットって効くのかなぁ?」
澪「体に良い事はないと思うけど……」
梓「……」プルプル
両津「……」ピクピク
紬「やったかしら?」
さわ子「もう少し。ダメ押しで」ボカッ
唯「ほいさっ」ブシャァァァ
紬「うふふっ」プシュー プシュー
澪「地獄絵図だ……」
律「ちょっとした事件だな……」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:40:02.37 ID:CPQLyo8GO
翌日
両津「ふざけるなよ! あいつら!」ガシャン
グワッシャーン
ボルボ「不法侵入した俺たちが悪い」
左近寺「俺もそう思うぞ。謝って来たんだからいいじゃないか。誤解も解けたし」
両津「わし以外の人間だったら死んでるぞ!!」
ボルボ「死ななかったからいいじゃないか」
両津「さらっと言うんじゃない!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:43:13.75 ID:CPQLyo8GO
両津「お前らは被害を受けてないからそんな事が言えるんだ!」
左近寺「お、俺は生のムギちゃんに会えたから何でも良い……」
ボルボ「い、いやあ。音楽もなかなかいいものだな。俺もちょっとギターを初めてみようかな、なんてな!」
左近寺「お、バンドでも組むか!」
ボルボ「いいねぇ! じゃあ早速メンバーの募集から……」
両津(こ、こいつらはダメだ……)
両津(だが仕返しをしなければわしの腹の虫がおさまらん……)
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:50:56.54 ID:CPQLyo8GO
部室
澪「昨日はすごかったな」
さわ子「昨日のことはもう忘れてぇ……」フニャッ
律「普通に考えて警察沙汰だもんな。しかも当の警察をボカスカ殴っていたんだから、そりゃあもう……」
さわ子「やめてぇぇぇぇぇ!」ジタバタ
梓「あ、あんまりいじめちゃ可哀想ですよ」
律「へへっ、冗談冗談」
唯「でも逮捕されなくてよかったね~」
紬「本当ね。変わりにサインが欲しいだなんて……ふふっ、変なの」
律「あー、あの筋肉さんすごいムギの事好きそうだったからなー」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:57:06.99 ID:CPQLyo8GO
律「唯はあの軍人さんがお気に入りだっけか? よく話していたし」
唯「え~、だってあの筋肉すごいカッチカチだったんだよ~」
澪「触った瞬間大量の鼻血を出したのには驚いたけどな……」
唯「へへ~。触ると噴水みたいに出るからつい面白くて」
律「生きた人間ポンプだったな」
澪「それ、意味違うぞ多分」
梓「で、でもあのゴリラさんはずっと不機嫌な顔してましたよ?」
律「あんな後でご機嫌になる人間なんていないってば……」
梓「それはそうですけど……」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:06:54.91 ID:CPQLyo8GO
ピンポンパンポーン
『さわ子先生さわ子先生。来客の方が見えております、職員室までお願いします……』
ピンポンパンポーン
律「さわちゃん呼び出しだ」
唯「まさか昨日の事が学校にバレて……ていしょく!」
律「いやあ辞職もあるぜ~? 消火器で顔面ジャストミートなんて普通に考えたら、ねえ?」
さわ子「へ、へへ、変な事言わないでよ!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:07:42.90 ID:CPQLyo8GO
紬「先生。就職先に困ったら言って下さいね? 私が全力でお世話しますからっ!」
さわ子「ムギちゃんが言うと冗談に聞こえないからやめて……」スタスタ
唯「いってらっしゃ~い」
澪「大丈夫かな? 来客って……」
律「本当にあのゴリラだったりしてな」
澪「もう、律ってば……」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:12:39.26 ID:CPQLyo8GO
さわ子「教職を失う……」
さわ子「ううん……そんなに後ろ向きにばっか考える事も無いわよね」
さわ子「そうよさわちゃん。昨日の事は綺麗サッパリ許してくれたじゃない。多分だけど……」
さわ子「それに、職員室にあの原始人がいるなんてそんなまさか……」
ガラッ
両津「お」
さわ子「ひいっ……ご、ごめんなさい! 本っっ当に申し訳ぇぇ……」
中川「この人が昨日先輩が話していた人ですね?」
さわ子「え、あ……」
さわ子(カ、カッコいい……)
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:19:17.95 ID:CPQLyo8GO
中川「初めまして。中川と言います」
さわ子「な、中川さん……?」
中川「ええ、今日は先輩が昨日のお詫びをしたいからと。そのお付き合いです」
さわ子「ゴ、ゴリさんが?」
両津「わしは両津だ。昨日騒がせちまった分を謝りたくてな」
さわ子「あ、謝るだなんてそんな! 悪いのは私の方でして……」
両津「部員の子にも是非挨拶させて欲しくてな。こうして赴いたわけだ」
さわ子「そ、そういう事なら……」
さわ子(意外と良い人なのかも? 私ったら誤解していたのかな?)
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:25:18.73 ID:CPQLyo8GO
さわ子「で、ではこちらに。部室まで案内します」
両津「おう頼むぜ」
中川「いやあ先輩から謝りに行きたいなんて聞いた時はびっくりしましたよ」
両津「ははっ、わしは女性には優しいんだ。こうして手土産も持ってだな」
中川「前の時みたいに中身がゴキブリ、なんて事は無いですよね?」
さわ子「ゴ、ゴキ!」
両津「バカ変な事を言うな。せっかく来たのに誤解されるだろうが」
中川「ははっ、すいません」
さわ子(や、やっぱりまだちょっと怖いかも)
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:31:27.09 ID:CPQLyo8GO
ガチャッ
さわ子「……」
唯「あ、おかえりさわちゃん」
律「どうだった? 休職? 辞職?」
唯「え、さわちゃん給食係になるの?」
澪「いやそういうの要らないから」
唯「じゃあ定食?」
澪「もういい」ビシッ
唯「あたっ」
さわ子「あはは~……あのね、昨日の警官さんがね」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:35:25.99 ID:CPQLyo8GO
両津「うおっす」ニュッ
唯「あ、ゴリさんだ」
律「うわ~本当にいるよ」
さわ子「昨日の事を謝りたいって……」
梓「へ?」
紬「謝りたい、ですか? 悪いのは私達の方で……」
中川「先輩も思う所があるみたいですよ」
律「わお。イケメンじゃん!」
紬「あら? もしかして……圭一様ですか?」
中川「久しぶりだね紬ちゃん」
紬「やっぱり圭一様。お久しぶりです」
さわ子「あ、あれ? 知り合い?」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:42:37.28 ID:CPQLyo8GO
紬「父の会社がお世話になっているんです。圭一様とも立食パーティーで何度かお会いして……」
律「なあ澪。普通のパーティーとは違うもんなのかな?」
澪「お金持ちばっかのパーティーなら違うんだろうな」
中川「そんなわけで彼女とは親交があるんですよ」
さわ子「そ、そうだったの? ム、ムギちゃんちょっとちょっと……」
紬「はい?」
さわ子「あとで中川さんの事教えてね?」ヒソヒソ
紬「ふふっ、はい」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:47:33.48 ID:CPQLyo8GO
両津「中川。挨拶はその辺でだな」
中川「あ、すいません先輩」
梓「先輩って事は……中川さんも警察官なんですか?」
両津「中川はわしの部下だ。もちろんわしの方が位だって上だ」
唯「ええ~、本当?」
律「凶悪犯の護送中にしか見えないよな」
両津「っ……!」プルプル
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:51:31.72 ID:CPQLyo8GO
中川「先輩は本当に頼れる上司だよ。犯人検挙率だって100パーセントなんだから」
唯「それってすごいの?」
澪「100パーセントって事は全ての犯人を捕まえてるって事だから……多分」
両津「わっはっはっ。君はなかなか見る目があるね」
律「でもその割にはニュースで見る凶悪犯罪の量、減ってねーけどな」
両津「」ピクッ
律「大方、食い逃げとか万引きとかそんなのばっかだろ?」
両津「」ピクピクッ
澪「ち、ちょっと律……」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:57:35.01 ID:CPQLyo8GO
律「もっと大きな事件の犯人捕まえてから威張れよなー」
両津「」スチャッ
中川「せ、先輩! 銃はダメですって、銃は!」
両津「うるせえ中川! こんな事言われて黙ってられるかぁ!」カチッ
中川「本気で撃鉄起こさないで下さいぃ!」
律「あ、もしかして怒っちった?」
両津「当たり前だバカ野郎! そこ動くんじゃねえぞデコスケ野郎!」
中川「ダ、ダメですってば!!」ガシッ
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:05:07.25 ID:CPQLyo8GO
律「その気力を犯人逮捕に使えればなぁ……」
両津「わし一人で捕まえられるか! 事件は北海道から沖縄、色んなで四六時中起きてるんだぞ!」
紬「確か圭一様のお父上は72時間働ける方でしたよね?」
中川「父は常に世界を飛び回ってるからね。立派な父親だよ」
律「なんだちゃんと出来てる人もいるんじゃん。ゴリもそれくらいさ~」
両津「できるかぁ!」スチャッ
中川「だぁぁっ! 女子高生相手に本気になっちゃダメですよ!」
梓「……」ガタガタブルブル
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:13:40.26 ID:CPQLyo8GO
両津「ふんっ。大体凶悪犯なんざ他の警察が捕まえてくれるんだよ」
律「あっ、開き直りやがったなこいつ」
両津「古くは、はぐれ刑事。太陽に吠えろ……ジーパンにだな……」
さわ子「なんじゃこりゃぁぁぁあ!」
澪「この状況がなんじゃこりゃあだよ……」
両津「更に時代を遡って銭形平次捕物控にだな……」
ポカーン
中川「先輩。年代がズレすぎてますからその辺で……」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:19:14.67 ID:CPQLyo8GO
律「っていうかそれ全部ドラマや作り物の話だろー?」
澪「それくらいはわかるよな」
唯「ねえねえ、そういうカッコいい刑事さんっていないの? お呼びとあらば即参上! って感じの」
梓「それこそドラマじゃないんですから、そんな刑事さんが実際にいるわけ……」
中川「そ、そうだよ。そんな刑事なんているわけが無いよ」
両津「いや……いるぞ!」ニヤッ
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:27:10.72 ID:CPQLyo8GO
律「ええ、どっちだよ全く~」
さわ子「中川さんがいないって言うならいないんじゃない?」
澪「そうですよね」
律「ま、所詮はゴリラの戯れ言だよな」
梓「変な事言っちゃってごめんなさい~」
唯「もう~あずにゃんたら」
梓「えへへ~」
両津「もう~あずにゃんたら~」
両津「えへへ~」
……
両津「ふざけんなてめえら!!」スチャッ
澪「ぎゃああぁぁぁああ!」
中川「先輩! きっと彼女達の冗談ですよ冗談っ!」
両津「冗談だけで会話されて堪るか!!」カチッ
中川「ま、待って下さいよ先輩!」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:32:28.04 ID:CPQLyo8GO
中川「こんな所で特集課の話はできませんよ!」ヒソヒソ
両津「なぜだ! 現代にもこんな素晴らしい刑事がいるとだな……」
中川「本当に現れちゃったらどうするんですか! トラウマどころじゃ済みませんよ!」
両津「だから呼ぶんだよ。会いたいって言ってるんだから仕方ないだろ!」
中川「よ、呼ぶってまさか……」
両津「奴らは来る。必ずな」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:38:02.78 ID:CPQLyo8GO
>>79
特集課×
特殊課○
律「なに話してるんだよ~、原始人」
両津「ふふっ、お前ら刑事さんな会いたいか?」
唯「やっぱり会えるの!」キラキラ
紬「会えるなら私も興味があるわぁ」キラキラ
澪「い、いるんですか?」
両津「ああ、いるとも。もう一度聞くぞ、会いたいか?」
唯「あいたい!」
律「もったいぶらずに早く呼べよな~」
両津「ふふっ、見ていろ……」スッ
澪「ホラ貝?」
両津「スッ……」
ブオオゥオゥオオオー
……
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:42:17.59 ID:CPQLyo8GO
律「何も起こんないぞ?」
唯「あれ~?」
両津「ふふふ。まあ待ちなさい」
梓「あ、あんなので誰か来るんですかね、澪先輩」
澪「……」
梓「澪先輩?」
ドドドドド
澪「来る……足音がする」
律「え? え?」
澪「もう、すぐそこにいる……」
ドドドドド ドドドドド
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:47:24.33 ID:CPQLyo8GO
両津「来たか」
梓「な、なんか怖いです」
さわ子「何が来るっていうのよ?」
澪「もう……いる」
全員「え?」
……
ピンポンパンポーン
『えー、テステス。テステス』
律「……なんだよただの放送かよ。びっくりさせやがって」
さわ子「あら? でも今日は放送室開いてないはずよ?」
梓「へっ?」
さわ子「鍵は私が管理してるから……誰も入る事なんて……」
『あー、あー。よし』
律「じゃあこれは一体誰なんだよ!」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:52:50.54 ID:CPQLyo8GO
『では改めて……ミュージックスタートだ』
チャララ~チャ~チャチャ~♪(あの音楽)
律「うおっ! なんか流れてきた!」
紬「あ、私この音楽好きかも」
澪「マジでかっ!」
『桜ヶ丘高等学校の諸君。私は特殊刑事課の一人……汚野だ』
唯「け、刑事? 刑事さんだよ! 本当にいたんだね!」
中川「いつもの自己紹介はどうしたんですかね?」
両津「今は前座だな、気合いが入っている証拠だ」
中川「はぁ……」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:58:09.92 ID:CPQLyo8GO
汚野『ただ今から、けいおん部の部室にて汚野たけしスーパーイリュージョンショーを行う。興味のある方は是非……』
律「いや、あんな刑事だろ……」
唯「きっとマジシャンで刑事さんなんだよ! 怪盗キッドみたいなあんな感じでさ!」
澪「イリュージョンショーかー」
梓「ちょっと興味はありますね」
汚野『では今から部室へ向かう……待っていろ両津! ふははピンポンパンポーン』
さわ子「放送切るタイミング間違えたわね……」
澪「かっこわる!」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:02:14.25 ID:CPQLyo8GO
唯「でもすっごくイイ声してたよ~」
律「確かにあのハスキーボイスは素晴らしかったかもな」
紬「一体どんな人なのかしら~?」
さわ子(刑事さん、いい男だったらもしかして……)グッ
……
チャララ~チャ~チャチャ~♪
唯「今度は部室のアンプから音楽!」
律「どんな仕組みだよ……」
澪「ま、まさかもう……」ドキドキ
ガチャッ
全員(き、来た~!)
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:11:00.26 ID:CPQLyo8GO
スイッ
澪(……生ふともも? )
律(うわあ、嫌な予感しかしねえ)
汚野『股間のもっこり伊達じゃない』
さわ子(……)
梓「ひぇ……あ……あっ……」
汚野『陸に事件が起きた時、海パン一つで全て解決』
澪「……」バッタリ
紬「まあ……」ポッ
律「えっ、何で赤面!?」
汚野『特殊刑事課、三羽ガラスの一人。海パン刑事ただいま参上!』
全員「…………」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:20:22.48 ID:CPQLyo8GO
両津「いやあ~よく来てくれたね、うん」
汚野「久しぶりに呼ばれたからな。私もつい気合いが入ってしまったよ、ハッハッハッ」
全員「……」
中川「悪夢だ……」
両津「みんな。こちらにおわすお方こそ現代に生きる特殊刑事の汚野たけしこと海パン刑事と……」
律「嘘言ってんじゃねえ!」シュッ
両津「」ゴシュッ
両津「なにしやがる! けいおん部がスティック投げていいと思ってんのか!」
律「それは捨てるヤツだからいいんだよっ! なんだよその変態は!」
汚野「変態ではない、汚野だ」
律「変態じゃねえか!」
紬「まあまありっちゃん」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:25:03.10 ID:CPQLyo8GO
汚野「私が刑事だと信じていないようだな」
律「あったり前だ!」
汚野「ならば……」モゾモゾ
澪「ひいっ!」
梓「か、海パンの中に手突っ込んでる……」
汚野「警察手帳に名刺だ。どうぞお嬢さん方」スッ
澪「ば、ばばっちい……」
律「触れるかこんなの!」
中川「正常な反応ですね」
両津「う~む、呼んでおいてアレだが異常な光景だ」
中川「今さら気付いたんですか、もう……」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:30:03.84 ID:CPQLyo8GO
ピピピピピ
さわ子「あら、誰かの携帯?」
律「私じゃない~」
澪「私も」
唯「ゴリさんの?」
両津「わしじゃない」
汚野「私だ」スッ ピッ
汚野『ああ、私だ。うむ……うむ……』
唯「い、今あんな所から電話が出てきたよ!」
澪「いや、そうじゃなくてな……うん……」
ピッ
汚野「失礼した。部下からの定時連絡だったものでな」
律「もしかして、本当に偉い?」
中川「汚野刑事も、犯人検挙率は100パーセントですからね。出世するのは当然です」
唯「うわあまた100パーセントだ~」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:36:03.70 ID:CPQLyo8GO
汚野「先日都内で起きた誘拐事件、立て籠り事件……更には殺人事件の犯人まで全て私が検挙している」
唯「おおっ、すごい本格的!」
律「同じ100パーセントでも随分中身が違うみたいだなん?」チラッ
両津「」スチャッ
汚野「よすんだ両津。事件に重いも軽いも無い。大事なのは正義を貫く心だ」
澪「い、言ってる事はすごくしっかりしている……!」
さわ子「やっぱり本物の刑事さんってすごいのね?」
汚野「……ん、失礼。栄養補給の時間だ」スッ
梓「股間からバナナを……」
汚野「うむ、うまい」モグモグ
律「いや、うん。やっぱりダメだよこれは」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:40:51.27 ID:CPQLyo8GO
汚野「腹も膨れた所でそろそろ私のショーを始めようか」
さわ子「そんな事言ってたわね?」
汚野「ギャラリーも集まっているようだし」
ワイワイ ガヤガヤ
律「うお! いつの間にか生徒達が!」
唯「たくさんだね~」
澪「今までのやり取り見られてたのかな?」
梓「そ、そんな……新入部員の問題だってあるのに、あんな人がいたら……」
汚野「心配はいらないよお嬢さん」ヌッ
梓「ひいっ!」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:45:25.26 ID:CPQLyo8GO
汚野「私がけいおん部をPRしてあげよう。そうすれば部員が入る事間違い無しだ」
梓「ほ、本当ですか?」
汚野「私を信じなさい」
梓「は、はい……」
律「股間からバナナ出す人間信じるなよ……」
汚野「……コホン。お集まりの皆さん、ようこそスーパーイリュージョンショーへ。本日は私の……」
律「なんだか手慣れてる感じだな」
澪「うん。意外といける……かも?」
汚野「ではまずは小手調べ。超低位置リンボーダンスから……」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:51:19.30 ID:CPQLyo8GO
ズンドコズンドコ
汚野「ほっ、ほっ……ほうっ!」
律「おー、すげーすげー」
さわ子「結構やるわね!」
澪「あの股のアングルだけはどうにかならないかな……」
汚野「ふぅ……はいやっ!」
ワーワー パチパチ
澪「結構ウケてるぞ!」
律「うん。やるじゃん海パン」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:57:32.42 ID:CPQLyo8GO
汚野「では続いて……この海パンから何でも好きな物を取り出してみよう。そこの君、何かリクエストはあるかな?」
生徒「じゃあステーキ肉!」
律「おいおい、いきなり難問だなあ。パンツから肉が出たら苦労しないってのに」
汚野「ふっ……はっ!」テローン
\おー! すげー本当に出た!/
紬「なんで! ねえ! どうしてかなぁ!」ワクワク
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:04:09.36 ID:CPQLyo8GO
律「うん。手品だと思って割りきろうね……うん」
汚野「ん……失礼。ちょっと焼き方が足りなかった。これではレアだ」スッ ジュゥゥゥ
汚野「……ウェルダンだ」ニヤリ
律「海パンの中でステーキ焼く手品なんてねーよ!」
紬「わ、私はミディアムレアが好きなの~!」
律「焼き方の好みなんてどうでもいいんだよ!」
汚野「ふむ。焼き具合を戻さなければな……」スッ シュゥゥゥゥ
澪「ま、まさか……」
汚野「これがミディアムレアだ……」ニヤリ
紬「きゃああああ♪」キラキラ
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:08:51.11 ID:CPQLyo8GO
>>104
つい。素で忘れてました
汚野「さあ、召し上がれ」スッ
紬「い、いただきます」パクッ
律「食べるんかい!」
汚野「お味の方は?」
紬「……」
澪「ムギはグルメだからもし生半可な味だったら……」ゴクリ
ざわ……ざわ……
紬「……」
紬「星……三つです!」
汚野「ふふっ! みなさま、盛大な拍手をお願いします!」
パチパチ! パチパチ!
パチパチ! パチパチ!
汚野「さあ、次のイリュージョンは……」
律「まだやるのかよ!」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:16:05.49 ID:CPQLyo8GO
澪「ま、まあまあ律。内容はともかくさ……」
汚野「はいっ!」スッ
唯「すごいね~。何でも出てくるよ!」
澪「みんな楽しんでいるみたいだから?」
律「……そうだな。確かにちょっと品は無いかもしれないけど、体を張って頑張っているんだよな?」
汚野「鳩が出ま~す!」
澪「ああ。あの人の事ちょっとだけ誤解していたみたいだな」
律「……な。あとで謝らないとな」
梓「えへへっ、それが一番ですよ」
汚野「では、次が最後のリクエストだ」
え~、もう~?
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:22:39.10 ID:CPQLyo8GO
汚野「ありがとうみんな。最後のリクエストだ、何でも応えよう。ではそこの……君」
憂「わ、私ですか?」
唯「あれ、憂? 来てたんだね」
憂「けいおん部って言ってたから、ちょっと気になって……」
汚野「では君のリクエストは何かな? 叶えてあげよう」
憂「え、えっと……この手品の仕組みが知りたいなあ、なんて」テヘッ
汚野「……」
澪「さすがにネタバラシなんて出来ないわよね?」
律「逆にネタがあったら知りたいもんだ」
汚野「……いいだろう」
律「え?」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:28:43.10 ID:CPQLyo8GO
律「まさか本当に仕込みネタがあるのか?」
さわ子「で、でもいいんですか? 大事な手品のネタを私達に……」
汚野「私は逃げも隠しもしない。そして嘘もつかない海パン刑事だ」
律「途中ちょっと変だった気がするけど……」
紬「……」ポッ
律「だから赤面はおかしいって!」
汚野「では、このイリュージョンのタネを見せるとしよう」
……
ダダダダダダダ♪(あの音楽)
律「お、ちょっと盛り上がってきたな」
汚野「この手品には……」
……ゴクリ
汚野「とうっ」スッ
ファサッ
律「……え」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:34:04.18 ID:CPQLyo8GO
汚野「はーっはっはっ。ご覧の通りこの海パンの中にはタネも仕掛けもない」ブラブラ
澪「」
律「」
梓「」
紬「」
憂「」
さわ子「」
生徒達「」
汚野「ふふっ。あまりに見事なイリュージョンにみんな声も出ないようだな。以上、海パン刑事によるスーパーイリュー…… 」
両津「女子高生の前でフルチンになるやつがあるか!!」ボカッ
汚野「……フルチンになったのでは無い。タネ明かしをしただけだ」ブラブラ
両津「脱ぐ必要ねえだろバカ!!」
汚野「私は隠し事はしない主義だ」ブラブラ
両津「早く隠さないとお前の存在がイリュージョンになるんだぞ!!」
汚野「うるさい男だなまったく」ブランブラン
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:40:58.37 ID:CPQLyo8GO
汚野「私はリクエスト通りに仕掛けをだな……」
両津「当たり前のように裸になるんじゃない!!」
中川「せ、先輩。先輩……もう誰もいませんよ……」
汚野「なんだ、みんな帰る時は早足だな。残念な事だ」ブランブラン
さわ子「あ、あ……」
汚野「お。どうでしたか、今日のイリュージョンショーは。また是非お招き……」ブラブラ
さわ子「こ、来ないでぇぅぇぇうえ!」ダダダッ
汚野「ん……しまった」ブラブラ
汚野「ネクタイが曲がっていた。これでは逃げられて当たり前か」キュッ
両津「あれだけの生徒の前で脱いだのに全く動じていない所がすごい……」
中川「……まさに地獄でしたね」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:47:42.67 ID:CPQLyo8GO
ピピピピピ
汚野『ん、私だ……わかった、では例の場所で』
ピッ
汚野「仕事だ。困った時があったらまたいつでも呼んでくれたまえ」
中川「おそらくこの学校ではもう呼ばれないと思いますよ……」
汚野「では、さらばだ」
ダダダダダダッ
両津「よし、わしらも帰るか」
中川「ええっ、謝る話はどうなしたんですか!」
両津「そんなのいいんだよわしの目的は達した」
中川「目的って……汚野刑事を使ってイヤガラセさせる事だったんですか?」
両津「海パン刑事はただの時間稼ぎだ。わしの目的は別にある」
中川「やっぱり謝りに来たわけではなかったんですね……」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:53:28.23 ID:CPQLyo8GO
次の日
さわ子「朝から気が重い……」ドヨンド
さわ子「今度こそ本当に辞職になるかも……ハァ……」
さわ子「あんな生徒の前でフル、フル……ああああ!」
さわ子「もう、あんな事になるなんてついてないなあ」
ざわ ざわ
さわ子「ん……玄関に人だかりが……何かしら?」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:01:20.21 ID:CPQLyo8GO
「えー、誰よこれ?」
「なんか怖いわよね?」
「本当にこんな人がいるのかなぁ?」
さわ子「……ち、ちょっとごめんね。みんな通して?」
「あ、おはようございます」
さわ子「一体どうしたのよ。何の騒ぎ?」
「今朝学校に来たら、玄関前にこんな写真が……」
さわ子「写真?」ピラッ
さわ子「こ、これは……!」
【DEATH DEVIL】
【殺】【KILL】
さわ子(な、なななななんで私の昔の写真ががが……こんなに!)
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:05:21.64 ID:CPQLyo8GO
【地獄からの死者 S.Y参上!】
さわ子(何で私のイニシャルなのよ……!)
「怖い話ですよね。何となく不気味で……って先生?」
バリバリ バリバリ
さわ子「こ、こんなの誰かのイタズラよ! ままま、まったくけしからないわね、ね!」
さわ子「ほら、早く教室に入った入った!」
ゾロゾロ ゾロゾロ
さわ子「……ほっ」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:11:19.07 ID:CPQLyo8GO
さわ子「とりあえず私だとはバレなかったみたいだけど……誰よこんな事したの!」グシャグシャ
さわ子「……考えても仕方ないか」
さわ子「ハァ……学校入ろ……」
……
さわ子「って……」
【DEAD OR ALIVE】 【FU○K】 【Yes we can.】
さわ子「なんで廊下までビッシリ貼ってあるのよぉ~!」
さわ子「ああ、もう、もう、もう!」グシャグシャ ビリビリ
ピンポンパンポン~
『さわ子先生、お電話が入っております。さわ子先生お電話が入っております、至急職員室まで……』
さわ子「なんでこんな時にぃ……」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:17:02.95 ID:CPQLyo8GO
ガシャン
さわ子『もしもし! 誰ですか? 今私忙しいんですけど!』
『あ、あの。もしもし? いや、もしもしは……ゴニョゴニョ』
さわ子『? 誰ですか!』
『ああ、えっと……写真』
さわ子『……! 写真がどうしたの? え?』
『あ~、誠意を見せて欲しい』
さわ子『せ、誠意?』
さわ子(さっきから何よ……言葉もチグハグだし文章になってないし……)
『東京銀行』
さわ子『銀行?』
『3367……428……』
さわ子(え、何? 銀行……口座の番号?)
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:23:08.89 ID:CPQLyo8GO
さわ子『ま、待って……メモ、メモ』カキカキ
『……』ガシャン
さわ子『ちょ、ちょっと……?』
ツー ツー
さわ子「……」
さわ子「何なのよ! もう」
さわ子(とりあえず数字のメモはできたけど……銀行……誠意……)
さわ子(……お金? これ口座番号かしら?)
さわ子(お金振り込んだら写真を……?)
さわ子(あれ、でもこれって……よくある手口だった気が?)
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:28:49.90 ID:CPQLyo8GO
放課後
澪「オレオレ詐欺?」
梓「学校でですか?」
さわ子「本当なのよ! お金を振り込まないと写真をまたバラまくって……うぅ……」
律「確かに、校舎に貼られてたさわちゃんに最初はビックリだったけどさ……」
唯「誰にもさわちゃんの正体は言ってないから大丈夫だよ」
さわ子「ううっ、ありがとうみんなぁ~……」
律「よしよし」ナデナデ
紬「……先生、ちょっといいですか?」キリッ
澪(ム、ムギが何だか……シャキーンとしてる?)
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:33:46.91 ID:CPQLyo8GO
紬「その電話の人……どんな声をしてましたか?」
さわ子「えっ? そうね……男の人だったけど、ちょっと初老が入ったみたいな枯れた感じの声だったかな?」
紬「ボイスチェンジャーとか使っていたりしませんでしたか?」
澪「ボ、ボイスチェンジャー?」
さわ子「普通の声だったわね~」
紬「ふむ……」
律「どうしたんだよムギ。いきなり探偵ごっこかあ?」
紬「……みんなには、話しておいた方がいいみたいね」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:39:46.41 ID:CPQLyo8GO
……
さわ子「……あの原始人が?」
紬「ええ。私も昨日圭一様から電話で聞いたんですけれど……」
梓「過去にそんな悪どい事をしていたんですね……」
律「パトカー壊す、寮や署を爆発させたり……」
澪「すごい経歴の持ち主だな……」
紬「何より彼は……お金のためなら何でもするのよ」
さわ子「お金……! そ、それなら今回の事件も?」
律「私もそう思うな」
唯「ん~、悪いゴリラさんには見えなかったけどな~」
澪「話だけだと信じがたいよな」
梓「でも! 中川さんが言ってたんですよねムギ先輩?」
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:45:23.49 ID:CPQLyo8GO
紬「身の回りで何か起こったら、まず間違い無い、と……」
さわ子「よ、よし。それならさっさと捕まえて……」
紬「いえ。今問い詰めても証拠がありません」
律「この口座番号じゃあダメなのか?」
紬「多分、全然関係ない人の口座でしょうね。お金を振り込ませるためだけの……ね」
律「本当に警察官かよ……あの原始人」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:50:59.62 ID:CPQLyo8GO
律「昨日のフルチン刑事だって原始人の仕業かよちくしょー!」
澪「律、名前が違って……」
律「あんな変態もうたくさんだ!」
唯「あははっ、憂もあれから寝込んじゃったんだよね……」シュン
律「あー。リクエスト者に見せつけるようなポーズだったからねー」
澪「トラウマどころのダメージじゃないだろうな……」
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:54:03.12 ID:CPQLyo8GO
紬「圭一様にこの口座の事は調べてもらいます。念のため……先生と学校にも警備の者をつけましょう」
さわ子「あ、ありがとうムギちゃ~ん!」ギュッ
紬「みんなも十分に気をつけて。特に……唯ちゃん」
唯「なんで私~?」
紬「数日前に消火剤かけたでしょ? 多分あれよ、あれ」
唯「そ、そうなのかな?」
紬「とにかく宅急便とか、郵便とか……外部からの警戒は怠らないで。もしかしたら大量の……が……」
唯「い、いやだよいやだよ!」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:58:09.59 ID:CPQLyo8GO
紬「まあ、言ってる私も危ないんだけどね~」ニパァ
澪「あ、ちょっと戻った」
紬「何かあったらすぐに言ってね? 唯ちゃんの家にもすぐにSPを送るから」
唯「あ、ありがとうムギちゃ~ん!」
紬「あらあら、うふふ」
律「今日のムギは何だか頼りになるな」
梓「あの眉毛がいつもよりキリッとして見えました」
澪「ふふっ。三つ目がとおるみたいだよな」
律「?」
梓「?」
澪「な、何でもない……」
……
両津『そうか、眉毛か……フフフッ』
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:04:42.12 ID:dewxfyM5O [1/104]
深夜
両津「ここが眉毛の家か。贅沢な家に住みやがって」
両津「まあいい……よし、作戦開始だ」
両津「最初の目的地は……中庭か……スタートだ!」
……
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:08:38.31 ID:dewxfyM5O [2/104]
同日お昼前
両津「よう、ボルボ」
ジャーン ギュイーン
ボルボ『育ち盛りの欲張り恋心ー!!』
左近時「イェイ」
ボルボ『大好き! コトコト煮込んだカレー……』
ジャーン ジャーン
両津「……」
ボルボ「……ん、なんだ両津じゃないか。メンバー募集の張り紙を見て来たのか?」
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:13:14.88 ID:dewxfyM5O [3/104]
左近寺「とうとう両津も目覚めたか」
両津「違う、わしは音楽をしに来たんじゃない! 大体何で道場でバンドやってるんだよ!」
ボルボ「場所が無くてな。左近寺がこの道場なら使ってもいいと」
左近寺「ああ。明日からは新メンバーも入るからな。歓迎会のためにこうして練習をな」
両津「……まあいい。ボルボ、ちょっと頼みたい事があるんだ」
ボルボ「……仕事か?」キリッ
両津「そうだ」
両津(よし、ボルボの目はまだ死んでいない)
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:21:05.55 ID:dewxfyM5O [4/104]
両津(それに引きかえ……)
左近寺「ああっ、ムギュゥゥゥゥゥ!」
ボルボ「……用件を聞こう」フゥーッ
両津「これを見てくれ」ペラッ
ボルボ「屋敷の見取り図か?」
両津「時間が無かったからな。外観の分しか資料が無いが……」
ボルボ「……」
両津「ズバリ、この屋敷に……潜入したい」
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:25:44.14 ID:dewxfyM5O [5/104]
ボルボ「条件は?」
両津「夜から深夜に掛けてだが、短ければ短い方がいい」
ボルボ「任務内容は?」
両津「寝室への侵入だ」
ボルボ「しかし外観だけでは部屋の造りまでは……」
両津「中の探索はわしが一人で行う。ボルボは外……侵入ルートだけ考えてくれればいい」
ボルボ「なるほど、今回の仕事はアドバイザーか」
両津「ああ、頼む」
ボルボ「……この屋敷の立地条件は?」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:31:12.77 ID:dewxfyM5O [6/104]
両津「まず屋敷の周りには森と平地が広がっている……大きさは皇居と同じくらいだ。その中心に屋敷がある」
ボルボ「なかなか広いな。当然、四方の壁には監視カメラや電気鉄線……警備の者がいるだろうな」
両津「上空からパラシュートを使って庭に降下する作戦はどうだ?」
ボルボ「おそらく何処かのエリアは地雷元になっているはず。庭に降りるのは危険だ」
両津「庭に闇雲に降りるのはバツ、と……」
両津「じゃあ思いきって屋根の上に降りるのはどうだ?」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:36:41.54 ID:dewxfyM5O [7/104]
ボルボ「おそらく屋根にセンサーがついているだろう。着地した瞬間に警報が鳴るはずだ」
両津「空からは無理か……やはり地上か?」
ボルボ「軍事施設なら偽のIDを発効したり荷物に紛れる事はできるが」
両津「そういう施設じゃない。パスだ」
ボルボ「警備員に成り済ます方法はどうだ?」
両津「ダメだ。今回は準備の時間が無い」
ボルボ「それならば……ん?」
ボルボ「庭の中に……こんな大きな池があるのか?」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:39:45.56 ID:dewxfyM5O [8/104]
ボルボ「そして近くに流れる川……」
両津「ボルボ?」
ボルボ「よし両津。潜入ルートが決まったぞ」
両津「なんだと? 一体どこから?」
ボルボ「いいか、まずはこの川の上流から……」
両津「ふむふむ……」
ボルボ「おそらくこの辺りに水路があって……」
両津「……」
ボルボ「そして、ここがスタート地点になるわけだ」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:42:32.77 ID:dewxfyM5O [9/104]
両津「なるほど。川から池の中に潜入するわけか」
ボルボ「これだけしっかりした庭なら、水をちゃんと外に流すための水路はあるはずだ。そこからなら……」
両津「サンキューボルボ」
両津(へへっ、後は夜を待って忍び込むだけだ……待っててね眉毛ちゃん、と)
……
……
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:53:16.14 ID:dewxfyM5O [10/104]
屋敷内
両津「へへっ。あっさり潜入できたぜ」
タタタッ
両津「しかし……あまりに広いとは言え妙に静かだ。家具だって王様みたいで何だか落ち着かんな」
両津「……ん?」
キラッ
両津「こんな所に……金のフォークが……」
両津「な、なんだ……何かの罠か?」キョロキョロ
両津「でも」
キラキラ
両津「……」ゴクリ
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:57:07.25 ID:dewxfyM5O [11/104]
両津「この金のフォークとか、持って帰っちゃおっかな~」
……
「……モニターに映します」
ピッ
両津『持って帰っちゃうもんね~』スッ
両津『へへへっ。驚かせやがって……何も起こらないじゃねえか。おっ!』
両津『今度は宝石が落ちているぞ!』
両津『小判! 金塊! うひょひょひょひょ!』
斎藤「紬様の仰られた通り……なんたる不届き者……」
両津『いやあ、金持ち万歳! お金最高!』
「すっかり有頂天ですよ……」
斎藤「放っておきなさい。そろそろあの部屋の中に着くはずですから、ね」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:01:09.77 ID:dewxfyM5O [12/104]
両津「いやあ、ここはいいお家だなあ……」キラキラ
両津「……って違う! こんな物のためにここまで来たんじゃない!」ブンッ
グッ
両津「くっ、手が宝石を離してくれない……!」
両津「くそっ! 早く眉毛の寝室を見つけな……ん?」
【札束の間】
両津「さ、札束の間だと!」
両津「……い、いや。いかん。早く寝室を探さねば……」
【札束の間】
両津「……」ゴクリ
両津「ち、ちょっとだけなら……ソーッと、ね」
ガチャリ
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:07:28.34 ID:dewxfyM5O [13/104]
両津「う……うひょぉぉぉ!」
両津「部屋一杯の……札! 札! 札!」
両津「こ、これ全部……ゆ、諭吉だ……」
両津「い、い、いやっほぁぉぁぉああ! これで一生遊んで暮らせるぞ!」
モニター室
斎藤「……」
紬「……」
両津『いやっふぉぉぉ! わしの金だぁぁぁぁぁ!』
両津『ひゅひょあー! うぇーい!!』
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:12:54.45 ID:dewxfyM5O [14/104]
斎藤「……いかがなさいますか?」
紬「そうねえ……眠ってもらって屋敷の外に追い出しましょうか~?」
両津『うっひょぉぉぉ! 眉毛ちゃん最高! ムギュゥゥゥゥゥ!!』
両津『眉毛最高ぅぅ! 沢庵和尚ありがとうぅぅぅ!』
紬「うん。やっぱり地下に落としてあげて?」
斎藤「かしこまりました」ポチッ
両津『ん、何だか腰が浮く感じがして……ん?』
ズドドドドッ
両津『ぎ……ぎょぇぇぇええ!!』
紬「……」
斎藤「終わりました」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:21:11.43 ID:dewxfyM5O [15/104]
バラバラ バラバラ
両津「ちくしょー! 騙しやがったなあの眉毛!」
ヒュー
両津「札束ごと落とすなんて人間じゃねえぞ!」
ヒュー
両津「ったく、これだからお嬢様ってやつは……って……」
ヒュー
両津「一体どこまで落ちるんだ、わし……」
ヒュー ドボン!
両津(ぶふぁ……み、水? またどこかの地下水路か?)
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:24:32.25 ID:dewxfyM5O [16/104]
……ギラリ
両津(ん、今何か水中で光ったような……)
クロコダイル「……」ギラッ
両津「ぎ……ぎょえぼぼぼっ! ワ、ワニだワニ!」
クロコダイル「グバァ!」ギラッ
両津「……なんで獰猛なクロコダイルがこんな所にいるんだよ!!」
クロコダイル「……」ギラッ
クロコダイル「……」ギラッ
両津「ここまでやる事ないだろうがあぁ!」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:28:18.50 ID:dewxfyM5O [17/104]
紬「地下の様子はどうだったかしら?」
斎藤「ご指示通り、ペットのワニには昨日から餌を与えておりません」
紬(うん……それならもう安心ね)
斎藤「紬様、そろそろお休みになられては……」
紬「そうね。今日はもう疲れたわ……おやすみ斎藤」
斎藤「おやすみなさいませ」スッ
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:33:36.13 ID:dewxfyM5O [18/104]
次の日 放課後
さわ子「ほ、本当に? 本当にもう写真は貼られないの?」
律「それにもう唯も狙われないって……」
澪「あ、もしかして昨日の口座であっさり犯人逮捕とか?」
紬「ううん。口座はやっぱり違ったのよ……」
ガチャリ
中川「それについては僕の方から説明します」
さわ子「な、中川さん……!」
紬「今回の事件のためにわざわざ来てもらったのよ」
中川「事件とは別に、ちょっと気になる事もあったからね」
澪「そ、それで……口座は結局誰の?」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:42:32.86 ID:dewxfyM5O [19/104]
中川「詐欺でよく使われるのと全く同じ……他人名義の口座だよ」
律「どうやって作ったんだろうな?」
中川「違法なサイトにアクセスして一日で作ったらしいよ。先輩はそういうの得意だから……」
澪「警察のやる事じゃないな……」
中川「次に電話の正体だけれど……」
さわ子「だ、誰だったんですか? やっぱりその……」
中川「先輩じゃあありません。先輩の馴染みの、プラモ屋のご主人だったんですよ」
梓「プ、プラモですか?」
唯「え~? じゃあ共犯って事?」
紬「はたして共犯と言えるかどうか……」フゥ
中川「……話によるとね」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:48:09.89 ID:dewxfyM5O [20/104]
数日前
両津「うおっすプラモ屋」
尾崎「な、なんだい両さんかい。朝から元気だね」
両津「そういうプラモ屋は元気無いじゃないか?」
尾崎「不景気だよ不景気。近ごろ商品がメッキリ売れやしない……誰かさんがキッチリ借金返してくれりゃあ、首も回るんだけどね」チラッ
両津「実はな、今日はその話をしに来たんだ」
尾崎「ハァ……もうツケは無理だよ。五百円でもいいから、借金払ってくれってんだ……」
両津「だから違う! ほれ!」スッ
尾崎「こ、これは……五万円も……」
両津「ふっふっふっ」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:52:35.51 ID:dewxfyM5O [21/104]
尾崎「え……明日の朝に?」
両津「そうだ。この電話番号にかけて……上から順にこの単語を読むだけでいいんだ」
尾崎「なになに……先生の山中さんをお願いします……?」
尾崎「写真……銀行……なんだいこりゃ? まともなのは最初の文だけじゃないか」
両津「いいんだよそれで。山中という女教師が出たら下の単語を読み始めればいい」
尾崎「……こんなんで借金返してくれんのかい?」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:57:45.44 ID:dewxfyM5O [22/104]
両津「その証拠にこの五万円を渡すんだ! いわばこれは誠意の金だ!」
尾崎「まあ、両さんが競馬で買った時意外に金を払うなんて珍しい事だけどさ……んー……」
両津「どうした! 何を迷う事があるプラモ屋!」
尾崎「でもこれって、その……オレオレ詐欺みたいなもんじゃないのか?」
両津「」ドキッ
尾崎「この誠意とか銀行口座とかさ……両さん、この銀行の口座持ってたっけ?」
両津「そ、それは……」
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:02:25.60 ID:dewxfyM5O [23/104]
>>168
買った×
勝った○
尾崎「悪いけど、悪事には手は貸せないんでね。説明ができないんじゃあ……」
両津「うっ、ううっ……」ポタポタ
尾崎「り、両さん? もしかして、泣いているのかい……?」
両津「す、すまん……情けない所を見せちまった……」
尾崎「いいんだよそんなの気にしないで。俺と両さんの仲だろ?」
両津「プ、プラモ屋……」グスッ
尾崎「さ、涙を拭いて。何があったか話しちゃくれねえかい?」
両津「ああっ、話すとも……話すとも!」
両津「……あれは忘れもしない去年の暮れ……」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:10:56.30 ID:dewxfyM5O [24/104]
両津「実家に帰省していたわしは、家族三人で鍋をつついていた……今年最後の食事だったんだ」
両津「雪が降りだしそうなくらい寒かった大晦日……覚えているだろプラモ屋!」
尾崎「あの日は夜風が身にしみたねぇ……」
両津「そんな中親父が突然言い出したんだ……オデンが食べたい、と」
尾崎「気の強い親父さんだからねぇ」
両津「でもお袋は……嫌な顔一つせずに買い出しに向かう準備をし始めたんだ……」
尾崎「いいお袋さんじゃないか。十何年一緒にいると、流石に人間ができてるねえ」
両津「……」グスッ
尾崎「そ、それで?」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:14:58.77 ID:dewxfyM5O [25/104]
両津「しかしわしらが、その日オデンを食べる事は無かったんだ……」
尾崎「年末じゃあお店もやってないだろうし……」
両津「違う! 店はやっていた! ちゃんとオデンの具だって買っていたんだ!」
尾崎「それじゃあ……ま、まさか」
両津「そうだ。帰りに車にはねられて……お袋はその日家に帰って来なかった」
尾崎「まさか、もう生きてないんじゃ……」
両津「いや、幸い一命は取りとめた。しばらくは寝たきりだったが……ううっ」グスッ
尾崎「大変だったんだな、両さんも」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:19:12.26 ID:dewxfyM5O [26/104]
両津「お見舞いに行って愕然としたよ。痩せこけた頬に痛々しい包帯……わしゃ見てられんかった!」
尾崎「っ……ぅ」グスッ
両津「枕元にはボロボロになった買い物かご……ふと中を見てみると、大量の……大量の……うっ……」
両津「ち、ちくしょう。思い出しただけで涙が……」
尾崎「い、いいんだ両さん! もうわかったから! 言わないでも俺には全部わかったから!」
両津「わしのために泣いてくれるのか、プラモ屋!」
尾崎「ああ、ああ……もちろんだ!」
両津「プラモ屋……」
尾崎「両さん……」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:23:24.88 ID:dewxfyM5O [27/104]
……
中川「……という話が」
律「ポカーン」
澪「……」
唯「ううっ、両さん可愛そう……」グスッ
律「せんせー、一名本気で泣いとります」
澪「……」ウルッ
律「いやお前もかよ!」
澪「だ、だってそんな過去があるなんて……」
梓「なんだかちょっとだけ……同情しちゃいますね」
紬「うふふっ。でもこれで終わったわけじゃないのよ?」
さわ子「?」
中川「ええ。この話の後にですね……」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:28:09.32 ID:dewxfyM5O [28/104]
尾崎「……で、その話がこの紙とどんな関係が?」
両津「そこに書いてある山中という名前だ! そいつが……そいつがわしのお袋を車ではねた張本人なんだ」
尾崎「こ、この人がかい?」
両津「わしはあれから懸命に捜査をした。雨の日も風の日も……現場に通い詰めて千回現場を調べた」
両津「そして、ある一台の車がリストに挙がった! それこそがこの……」
尾崎「山中という人物の車か……」
両津「その通り!」
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:33:29.88 ID:dewxfyM5O [29/104]
尾崎「しかしそこまでわかってるなら、こんな回りくどい事しないでもいいんじゃないかい?」
両津「その山中はトンデモナイ奴でな。自分がひいたにも関わらず治療費は払わない、病院にも顔は見せず……」
尾崎「おいおい、本当かい?」
両津「冗談だったらどんなにいいか! 日に日に痩せていくお袋。手術の金も無く……病院を追い出されるわで……」
尾崎「そ、そんなに……」
両津「だからこそ! その電話が必要なんだ! 金は払ってもらわなくても伝えたいんだ。苦しんでいるお袋がいる事を……」
尾崎「り、両さん……!」
両津「これを聞いてまだわしが悪だと言うのなら、わしは去る」スッ
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:37:27.48 ID:dewxfyM5O [30/104]
両津「あばよプラモ屋」
尾崎「ま、待ってくれ。この五万円はどうするんだ!」
両津「手切れ金だ、取っておいてくれ。今までありがとうよ……」
尾崎「両さん……」
両津「じゃあな……」
尾崎「……」
尾崎「なあ両さん。明日の何時に電話すればよかったんだっけな?」
両津「……プラモ屋?」
尾崎「あーあ。実は昨日ちょっとした団体さんが来てな。金には困ってないんだよ」スッ
尾崎「この五万円は、お袋さんに何か美味いもんでも食べさせてやんなよ」
両津「プラモ屋……うっ……ううっ……」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:40:20.05 ID:dewxfyM5O [31/104]
尾崎「泣くなよ。俺がこんな電話くらいかけてやるから、な?」
両津「う、うおおお! ありがとうプラモ屋! わしはいい友人を持ったなあ……」
尾崎「よ、よせやい。そんな事言われたら……照れるぜ」
両津「プラモ屋!」
尾崎「両さん!」
ガシッ(握手)
……
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:44:46.96 ID:dewxfyM5O [32/104]
中川「以上です」
さわ子「わ、わわ私事故なんて起こしてないわよ?」
唯「え? そうなの?」
さわ子「あったり前よ」
中川「念のため、先輩の実家に連絡してみましたが事故の事実は無いそうです。先輩のお母さんもピンピンしてました」
律「大嘘すぎんだろ! さわちゃん犯罪者にして母親までダシに使うなんて!」
中川「先輩だから……」
澪「その言葉だけで納得でき始めてるのが悲しいな」
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:50:39.12 ID:dewxfyM5O [33/104]
唯「プラモ屋さんもやっぱり共犯になっちゃうのかな?」
中川「先輩に騙されての犯行だからね。注意という形だけで終わると思うよ」
紬「義理人情のあるいい人よね、プラモ屋さんて」
梓「ひどいのはやっぱり両さんですね」
律「あ、でもこれだけ証言があるなら捕まえちゃえばいいんでない? そのプラモ屋が持ってたメモとか証拠にさ~」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:56:50.32 ID:dewxfyM5O [34/104]
中川「メモはあったけど、逮捕はできないだろうね。言い逃れもするだろうし」
律「あ、どんな言い逃れするかみんなで考えてみようぜ?」
澪「……プラモ屋が勝手にやった事だ?」
梓「し、証拠はあるのか証拠は?」
律「そこに書いてあるのはただの単語だ!」
紬「わしが恐喝などするはずないだろ~」
さわ子「死ね、バーカバーカ」
律「発言と考え方が全部子供すぎる……」
澪「小学生以下かもね」
梓「綺麗な心がある分、小学生の方が偉いと思いますよ……」
律「ちげえねえや」
さわ子「も、もう話は終わりですか?」
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:02:38.67 ID:dewxfyM5O [35/104]
中川「僕の用事はあと……これを」カチャッ
唯「何この機械?」
澪「パッと見エフェクターに見えるが……」
中川「これは盗聴機を探知できる機械だよ。この部室に盗聴機が無いか……ね」
梓「と、盗聴!」
中川「海パン刑事が来てた時、先輩が色々やってたみたいだからさ……一応」
律「あの原始人、そんな事まで!」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:05:14.47 ID:dewxfyM5O [36/104]
中川「もし機械があったら音が鳴るけど……さすがにそんな事は無いと信じてるよ」
律「中川さんは……信頼してるんですね?」
中川「僕は先輩を信じるよ。いくら先輩でも女子高の部室を盗聴なんて、ね」ピッ
ピーッ ピーッ ピーッ
ビーッ ビーッ ビーッ
ピピピピ ピピピピ
唯「うわ~めっちゃ鳴ってるよ~」
中川「……」
律「信頼する相手、変えたら?」
中川「……考えておくよ」
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:12:30.27 ID:dewxfyM5O [37/104]
……
中川「これで全部かな」
澪「やれやれ」
律「よくあるよあの原始人も」
さわ子「ま、また襲って来ないかな?」ブルブル
紬「その心配は無いですよ」
梓「ム、ムギ先輩?」
中川「実は昨日から先輩の姿が見えないんだ」
澪「え?」
紬「私の家に侵入しようとしたみたいなんだけど……セキュリティに引っ掛かったみたいなの」
律「ムギん家に忍び込むなんて……金か! 金なのか!」
紬「私の眉毛を全部抜き取るってお友達に売り付けるつもりだったみたいよ?」
律「そんなの買うやつがいんのかよ……」
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:18:00.68 ID:dewxfyM5O [38/104]
紬「SPに捕まって、外に追い出したんだけど……帰っていないみたい」クスッ
律「またどこかで下らない計画たててるんじゃね?」
中川「全く連絡がとれないから不安なんだ。以前、車のトランクの中に3週間ほど入っていた事があって……」
律「どんな状態、それ!」
紬「石膏でガチガチに体が固まって、増えるワカメに囲まれながらも生きていたそうよ」クスッ
律「いや、だからね……」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:22:05.30 ID:dewxfyM5O [39/104]
中川「とにかく何かあったらここに連絡を」スッ
さわ子「え……あ! 名刺ゲットー!」
中川「はい、みんなにも」
梓「ど、どうも」
澪「なあなあ、なんかキラキラしているぞ?」
中川「ははっ、ただ純金が散りばめられているだけだよ」
唯「じゅんきんかあ~! キラキラ綺麗だね」
律「一枚いくらだよこれ……」
中川「じゃあ、僕は勤務に戻るから、また」
ガチャッ
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:25:14.08 ID:dewxfyM5O [40/104]
紬(……)
紬(人食いワニに囲まれて生きているわけないわよね?)
紬(うん、きっとそうよ。ちょっとやり過ぎたかもしれないけど……両津さんですもね)
紬(今ごろはお金と一緒に食べられちゃってるわよ……ね)
唯「安心したらお腹すいたぁ~。ムギちゃんお菓子~」
紬「はいはい。今お茶いれるからね」クスッ
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:29:30.56 ID:dewxfyM5O [41/104]
ガシャン ガシャン
……
ガシャンッ!
両津「ぷは! やった地上に出られた!」
クロコダイル「クゥ~ン」
クロコダイル「クゥ~ン」
両津「お前たちはここまでだ。ありがとよ」
クロコダイル「……」バシャッ バシャッ
両津「……」
両津「これで終わったと思うなよ! わしは……地獄の底から帰って来た!」
両津「絶対に……仕返ししてやるからな……!」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:32:02.64 ID:dewxfyM5O [42/104]
ちょっと休憩。
後半はもう少し簡潔にまとめたい。
書いてると自然に間延びしちゃう感じに……すんません
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:13:21.11 ID:dewxfyM5O [43/104]
数日後
ジャーン ジャーン
ボルボ「ふわっふわタ~イム!」
左近寺 本田「ふわっふわタ~イム!!」
ジャーン ジャーン
ボルボ「センキュウ!!」
左近寺「……よし、休憩だ」
本田「だいぶ形になってきましたね~」
ボルボ「うむ。あとはドラムが入ってくれれば完璧なんだかな……」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:17:18.57 ID:dewxfyM5O [44/104]
両津「相変わらずだ元気にやってるな」
左近寺「ん?」
本田「せ、せんぱ~い?」
ボルボ「両津か、あれから連絡が取れなくて心配したぞ」
両津「……ああ、実はその事で話があるんだ」
ボルボ「また何処かに忍び込むのか?」
両津「そんな事はせん。実はわしも……音楽をやりたくなってな」
左近寺「ほ、本当か両津!」
ボルボ「歓迎するぞ」
両津「だがわしがやるのは……こんな軟弱な音楽じゃない」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:22:32.73 ID:dewxfyM5O [45/104]
左近寺「な、軟弱だと!」
ボルボ「いくら両津でもHTTをバカにするのは許さんぞ!」
本田「そ、そうですよせんぱ~い……」
両津「わしがいってるのはそういう事じゃない。軟弱なのはお前らの事だ!」
左近寺「お、俺たちが軟弱だと?」
両津「そうだ! 楽器にも歌にも罪は無い……お前達自体が軟弱なんだ!」
ボルボ「俺たちは、これでも一生懸命やってるんだ!」
本田「そうですよ~。確かにまだバンドとしてはダメダメレベルかもしれないっすけど~……」
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:26:40.40 ID:dewxfyM5O [46/104]
両津「本田、そういう事を言ってるんじゃない……わしらは今まで何をやってきた?」
本田「え~?」
両津「ギターを弾く前だ! わしらは何を叩いていた!」
本田「わ、和太鼓ですか?」
両津「そうだ! 太鼓に赤ふん! これがわしらのスタイルだっただろ!」
ボルボ「今はこのスタイルだ」ジャーン
左近寺「俺も」ポーン
両津「……あああ、可愛そうに。紬ちゃんに嫌われちゃうな~っと。おっといけない。一人言一人言」
左近寺「な、何ッ! どういう意味だ!」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:30:54.93 ID:dewxfyM5O [47/104]
両津「実は僕ちん紬ちゃんのお家に遊びにいったんだよね~」
左近寺「なんだと!!」
両津「その時彼女が言ってた言葉がね~……」
紬『私、男らしい太鼓を見るのがずっと夢だったの~』
……
左近寺「ほ、本当に彼女がそう言ったのか! え!」ギュッ ギュッ
両津「く、苦しい……ほ、本当だ!」
左近寺「……」スッ
両津「ゲホッゲホッ……どうだ左近寺? お前の中の男を彼女に見せたくないのか? ん?」
左近寺「お、俺は……」
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:35:11.12 ID:dewxfyM5O [48/104]
左近寺「俺は……キーボードを卒業するぞ! ムギゅぅぅぅうう!」バッ
両津(まずは一人)
ボルボ「ふん……今は和太鼓よりレスポールだ。この重量感がたまらん」
両津「レスポールと言えば……唯ちゃんがね~……」
ボルボ「な、なんだ! 何か言ってたのか?」
両津「いやあ、最初に会った時にさ、よくボルボに触ってたじゃない?」
ボルボ「あれには正直参ったが、悪い気はしなかったな」
両津「でね、みんなが帰った後にちょっとお話する機会があって……そしたら唯ちゃんがね」
ボルボ「……」ゴクッ
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:39:22.70 ID:dewxfyM5O [49/104]
唯『うんたん♪きんにく♪』
唯『きんにく♪きんにく♪』
……
両津「ありゃあ相当な筋肉マニアですぜ旦那」
ボルボ「お……お……」
両津「まあ、いくらギターが上手くても筋肉が見えないんじゃあ彼女が振り向く事なんて……」
ビリッ ビリッ
ボルボ「ふ、ふふっ……きんにく♪ きんにく♪」
両津(よし、こいつらが味方につけば……!)
両津「ふっふっふっ……まずは第一歩だ!」
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:43:39.66 ID:dewxfyM5O [50/104]
桜ヶ丘高校
唯「お茶おいし~」
澪「もうすぐ発表会があるんだから……いいかげん練習するぞ?」
唯「まだ先なんだから平気だよ~」
律「いやあ町のお偉いさんも来るからなあ……ここは真面目に練習しとこうぜ?」
梓「り、律先輩が珍しくやる気です!」
律「へへ~。コンクールで一等になったら10万円分の商品券だぜ? 気合いも入るってもんさ」
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:49:15.21 ID:dewxfyM5O [51/104]
紬「でも、音楽だけじゃなくて文化的な発表なら何でもオーケーだから……ハードルは高いかもね?」
唯「文化的って?」
澪「演劇とかダンスとか……そんな感じかな?」
梓「参加する人も多いみたいですね……私達が一等なんて……」
律「やる前から諦めない! ふて腐れる暇があったら練習練習!」
澪「ほ、本当にやる気だ……」
梓「ですね……よしっ! 私も頑張らないと!」
紬「あらあら」ウフフ
唯「あ~ん」パクッ
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:55:39.95 ID:dewxfyM5O [52/104]
ドンドドンドドン
左近寺「うりゃ!」
ドンドドンドドン
ボルボ「よっ!」
ドンドドンドドン
本田「なんで僕まで~!」
両津「文句を言う暇があったらもっと力を入れろ!」
本田「太鼓なんて僕には無理ですよ~!」
両津「仕方ないな、ほれ」ポイッ
本田「な、なんですか~このバチは?」
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:00:09.66 ID:dewxfyM5O [53/104]
両津「特別に作って貰ったバイクハンドル型のバチだ。ブレーキのリアルな作りが特徴だぞ」
本田「ハァ……こんなので太鼓なんか叩けるわけ……」グッ
本田「お、お、お……!」
ドンドドンドドン!
本田「テメェら!! 気合い入れて叩きやがれぇ! おら、どうしたどうしたぁ!!」
左近寺「おうっ!」
ボルボ「おうっ!」
ドンドドンドドン
両津「これだけ騒いでくれれば大混乱だな……ククッ」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:03:25.35 ID:dewxfyM5O [54/104]
発表会当日
澪「い、いよいよだな……」
紬「コンクールの前ってやっぱり緊張するわね~」
律「ここまで来たんだ。頑張ろうぜ!」
梓「はいっ!」
憂「頑張ってね、お姉ちゃん! 私も客席から応援してるからね」
唯「ありがとう憂~」
憂「うん!」
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:08:49.26 ID:dewxfyM5O [55/104]
左近寺「い、いよいよだな」
ボルボ「発表の前は緊張するな」
本田「ほ、ほんとですね~」
ボルボ「しかし……本当に大丈夫なのか両津。演奏中に乱入なんて」
両津「HTTとは既に打ち合わせ済みだ。曲が盛り上がった所で更にわしらが出て盛り上げる……これぞ祭りだ!」
左近寺「しかし乱入などやはり、な」
両津「今日のためにわざわざ神輿まで借りてきたんだ! 今さら中止になんてできるか! お前らの男を見せつけてやるんだろ!」
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:16:08.39 ID:dewxfyM5O [56/104]
左近寺「そ、そうだ。俺は今日ムギに男を見せるんだ」
ボルボ「俺も唯ちゃんに……」
本田「ぼ、僕はやっぱり澪ちゃんかな~」
両津「そうだ! 脱いで叩いて見せ付ける! これが俺たち男気薔薇時間のモットーだ!」
全員「おう!」
両津「よし。じゃあこの神輿を入り口まで運んでおいてくれ。わしはサプライズのための用意だ」
本田「サプライズですか~?」
両津「客席からバァーンと現れるアレだよ。神輿が入ってきたら登場だ」
ボルボ「なるほど」
両津「よし、行くぞ野郎共!!」
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:21:15.59 ID:dewxfyM5O [57/104]
文化ホール外
憂「ふぅ……戻らないと。あんなにおトイレ混んでるんだもんなぁ」タタタタッ
両津「ヘッヘッヘッ。ついにこの日がやって来たぜ。奴等の舞台を台無しにして……」タタタタッ
ガツン
憂「きゃっ!」
両津「うおっ……と。悪いな大丈夫か?」
憂「……は、はい。大丈夫で……あ」
両津「ん? あんたどっかで……」
憂(こ、この人……前に学校に来ていた……あ、あ……)ガタガタ
両津「……思い出した。確か海パン刑事を丸裸にした子か」
憂「な、なんて覚えかたしてるんですか?」
両津「はははっ、冗談だよ冗談」
213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:26:06.07 ID:dewxfyM5O [58/104]
憂(なんだか優しい感じ……聞いていた程悪い人じゃないみたい)
両津(ゲヘヘッ。あの眉毛ちゃんの困る顔が見られると思うと今からご機嫌だぜ)
憂(そ、そうだよ。本当はきっと優しい人なんだ。初対面でゴキジェットさえかけられなければ、みんなともきっと仲良く……)
両津「じゃあ、またなお嬢ちゃん」
憂「あ、あの! 待って下さい」
両津「ん~? わしは急いでるんだがな」
憂「ご、ごめんなさい……でも、どうしても謝りたくてつい……」
両津「謝る? わしに?」
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:30:17.67 ID:dewxfyM5O [59/104]
憂「初日にお姉ちゃんが……大変失礼をしたみたいで、ごめんなさい」ペコッ
両津「あー、いいのいいの。もう気にしてないから」
両津(今からそのお姉ちゃんの所に行くんだから)
憂「よくありません! 話を聞いてると、お姉ちゃんしっかり謝ってないみたいですし……」
両津「いやあ謝りなんていらないんだよ、うん」
憂「ダメです! お姉ちゃん言ってました。もう一度両さんと会ってお話してみたい、って」
両津「なんだって……?」
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:35:53.04 ID:dewxfyM5O [60/104]
お見舞い
唯「……だって楽しいじゃん。あの刑事さんも面白かったし~」
憂「さ、最後の以外はまだ楽しめたけどさ……」フラフラ
唯「大丈夫~?」
憂「う、うん。まだクラクラするけど……平気だよお姉ちゃん」
澪「まあ、元気そうでよかったよ」
梓「寝込んでるって聞いてビックリしたよ」
律「まったく……今度あのゴリに会ったらガツンと言わなきゃな!」
唯「また会いたいな~。両さんだっけ?」
憂「まだ……あまりお話もしてないんでしょ?」
唯「うん。いつか一緒にお茶会したいな~。りっちゃんとも仲良いみたいだし」
憂「そうなの?」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:40:20.16 ID:dewxfyM5O [61/104]
律「おいおいよしてくれよ。あんなのと仲良しだなんてさ」
唯「でも両さんと一番話してたの多分りっちゃんだよ?」
律「う、そ、それはだな……そう! ただのツッコミ役としてだな!」
澪「ただの割には楽しそうだったな」
紬「あの拳銃を取り出す感じとか、りっちゃんにはお見通しって雰囲気だったわね」
律「いやあ、あんなの絶対撃ってこないからさ。適当だよ適当」
澪「……よかったな、死ななくて」
律「ふぇ?」
憂「と、とにかく! 次会ったらちゃんと話し合うんだよ、お姉ちゃん?」
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:45:01.41 ID:dewxfyM5O [62/104]
唯「うん……私ちゃんと謝りたいな」
澪「私も、少し話してみたくなったよ」
紬「そうね。よく考えたら殺虫剤とワニはやり過ぎだったかも……」ショボン
律(ワ、ワニ?)
唯「りっちゃんは~?」
律「わ、私は……」
梓「先輩……」
律「……わかってるよ梓。まあ、お詫びの印にお茶の一杯でもご馳走してやるか。ゴリラに味がわかるかは知らないけどな」
澪「律……!」
紬「私、最高のお茶を用意しておくわね。あと、両さん専用ティーカップも!」
憂「み、みなさん……!」
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:50:31.20 ID:dewxfyM5O [63/104]
律「じゃあ今度……両さんが遊びに来たら何か一曲歌ってやるか!」
唯「よ~し。何歌う? 何歌う?」
澪「やっぱり私たちらしさを伝えられる曲がいいんじゃないか?」
梓「らしさ?」
紬「ふふっ。だったらもう二、三曲増えてもいいんじゃないかしら?」
律「それは気合い入れすぎだな~。所詮相手はゴリラだぜゴリラ」
澪「お、両さんからゴリラに格下げか?」
律「あ、あれ? 私両さんなんて呼んだっけ?」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:53:28.77 ID:dewxfyM5O [64/104]
唯「さっき両さんって言ってたよ~?」
澪「……」ニヤニヤ
律「ま、ゴリラでも原始人でも……両さんは両さんだけどな!」
澪「あっ、開き直ったなこいつ!」
紬「まあまあ。楽しければいいじゃない」
律「そう、それだ! 楽しいゴリラなら何でもいいんだ!」
唯「それは何だか変だよ~……」
律「変な事あるかよ。大体あいつが勝手に学校に入ってきたのがだな……」
憂(……よかった。みんな元気みたい)
憂(何だかんだで笑顔をくれた両津さん……ありがとう)
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:58:21.81 ID:dewxfyM5O [65/104]
……
両津「……」
憂「だからみんな謝りたくて……でも両さんが全然来てくれないから、発表会で忙しくなっちゃって……」
両津「わ、わし……本当は……」
憂「り、両さん?」
両津「わしだって本当は……寂しかったんだよぉ……うっ、うっ……」
憂「……」
両津「わしだって……仲良くお茶飲んだり、ノンビリと楽器の演奏を聴きたかった、それだけなのに」
両津「あ、あんな仕打ちなんてあんまりだったんだぁ~……うっ……」
憂「両さん……」
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:01:46.45 ID:dewxfyM5O [66/104]
憂「今からでも……遅くなんてありません!」
両津「ひっ……ひっく……」
憂「行きましょう! みんなが待っています!」グッ
両津「う、憂ちゃん……!」
憂「もう時間がありません! さ、早く!」
両津「う、うぉおおおおおお!!」ダダダッ
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:09:04.88 ID:dewxfyM5O [67/104]
『本番3分前です。用意してください』
律「よし……いくぜみんな!」
全員「お~!」
ダダダッ
憂「ま、待って……!!」
唯「あれ、憂? と……」
律「げ、原人! 何しに来やがった!」
両津「わ、わしはな……」
憂「両さんはみんなに謝りたくてここに来たんだよ」
澪「ほ、本当に?」
律「ま~たいつぞやのパターンだろ? 謝ると思わせて実は嘘でした、って」
憂「そんな事はありません! 両さんは……両さんは……ううっ……」
唯「う、憂? 泣いてるの?」オロオロ
229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:13:59.37 ID:dewxfyM5O [68/104]
両津「ごめんな憂ちゃん。やっぱりわしは邪魔者みたいだ」
梓「あ、あれ……?」
澪「なんだか覇気が無いな。まさか本当に……」
律「ど、どうせ泣き落としだろ! そんな手にはな!」
憂「違いますっ! 両さんは……ただみなさんとお茶を飲みたかっただけなんですよ……演奏を聴きたかっただけなんですよ……」ポロ ポロ
唯「憂……」
両津「もういいんだよ憂ちゃん。わしにはお茶よりも消火剤の方が似合っていた……それだけだ」
澪「両さん……」
両津「こんなんなら、ワニの餌になっていた方が幸せだったかもなあ」
紬「両さん……」
230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:20:56.33 ID:dewxfyM5O [69/104]
両津「最後に挨拶くらいはさせてくれ。律……」
律「な、なんだよ! いきなり名前で呼ぶなよ!」
両津「一度でいいからりっちゃんのドラムが聴きたかった。それだけだ」
律「っ……!!」
両津「じゃあ、あばよみんな。演奏頑張れよ。ふわふわ時間……楽しみにしてるからな」
澪(今日の曲はふわふわ時間じゃないけどな……)
梓(でも、何だか可愛そう)
紬(哀愁……)
唯(両さん……)
憂(このまま、帰っちゃうんですか……?)
律「ま、ま……」
全員(りっちゃん……?)
律「待てよ両さん!」
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:25:40.91 ID:dewxfyM5O [70/104]
律「そ、そんなに私のドラムが聴きたいなら……き、き、聴いてけよ?」
両津「しかしわしは……」
紬「部長が許したんだから、もういいんですよ」
両津「ム、ムギ……」
律「おう! 憂ちゃんと一緒に客席でドーンと聴いとけ!」
紬「これが終わったらみんなでお茶会にしましょうね?」
唯「やった~。じゃあ私頑張っちゃうよ」
律「よし澪。今日の曲はふわふわ時間に変更だー!」
澪「えっ! だ、だって今日の歌は……」
律「両さんのリクエストなんだから仕方ないだろ!」
澪「そ、そんなぁ~……」
234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:30:55.45 ID:dewxfyM5O [71/104]
『それでは最後に登場するのはHTTの皆さんです』
憂「じゃあ、私達は客席に行くから! 行こう両さん!」
両津「おう! 頑張れよみんな!」
タタタッ
澪「……ま、いいか」
梓「やっと聴かせてあげられますね」
律「ふふん。今日の私はプロにだって負ける気がしないぜ!」
紬「ふふっ。もしかしてりっちゃん自身がふわふわ時間なのかしら?」
律「へ、へっ?」
澪「そうなのか? じゃあ余計に気合い入れて演奏しないとな!」
律「な、何が? 何がなのムギ?」
紬「ふふっ、私なんにもしらな~い」クスッ
梓「先輩達。そろそろ……」
唯「ほんばん!!」
235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:41:38.77 ID:dewxfyM5O [72/104]
憂「……そうなんだ。ワニに追いかけられる夢ばっか見るんだね」ナデナデ
両津「ううっ、怖かったんだよぅ!」ヒイッ
……
唯『あ、あ、テステス。こんにちは、私たちHTTと言います』
両津「……お、始まったか」
唯『歌う前に一つだけお話があります。いつもならボーカルの私がこうして前に立って歌うんですけど……』
唯『今日はちょっと変則的に、横に広がりながらのままで歌いたいと思います』
律(え? そ、それだとドラムが……あ、客席が見える)チラッ
唯『ある人に、ドラムを演奏している彼女の姿を見せるため……今日はこのままで歌います!』
澪(うわあ、やったな唯の奴)
律(後で覚えてろよ……)
236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:47:16.01 ID:dewxfyM5O [73/104]
唯『それでは聴いて下さい。私達HTTが歌う……ふわふわ時間!』
~~♪
両津「おお、おお。このイントロだ!」
律(やってやるよ、この!)ダンダン シャンシャン
澪(やっぱり気合い入ってるな律)
唯『きみを見てるといつもハートDOKIDOKI~♪』
両津「うんうん」
唯『揺れる想いはマシュマロみたいにふわふわ~♪』
憂「ふふっ……」
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:51:43.35 ID:dewxfyM5O [74/104]
唯『ふわっふわタ~イム♪』
唯『ふわっふわタ~イム♪』
両津「いやあ、やっぱりいいなあ……」
憂「楽しんでもらえてよかったです! これで皆さん仲良くなれますよね!」
両津「ははっ、もちろん!」
両津「……しかし、何か忘れている気がする。そもそも今日わしがここに来たのは……」
ドンドドン ドンドドン
ドンドドンドドン!
憂「……?」
唯(……?)
律(何の音だよ何の!)
梓(こ、これは……)
澪(和太鼓、か?)
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:58:42.06 ID:dewxfyM5O [75/104]
両津「……げえっ! しまった! あいつらの事をすっかり忘れてた!」
ドンドドンドドン
律(お、音が近付いてくる!)
唯(もう伴奏聞こえないよ~)
澪(く、来る……!)
ガラガラガラッ!
ドンドドンドドン
ボルボ「はっ!!」
ドンドドンドドン
左近寺「よいしょ!」
ドンドドンドドン
本田「バリバリいくぜぇ!」
澪「……な、なんだよあれ……」
律「ふんどしに神輿って何考えてんだよ!!」
梓「……多分何も考えてないんだと思いますよ」
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:03:49.52 ID:dewxfyM5O [76/104]
三人「男気薔薇時間! ただいま参上!!」
ドンッ
律「いやドンッじゃねえよ!! 微妙にこっちを意識した名前止めろよ!!」
左近寺「ハアアァァァ!」
ボルボ「ホゥアアアア!」
本田「オラオラ! バリバリだぜ」
ドンドドンドドン ドンドドンドドン
憂「な、何よあれ……」
両津「ま、まずい……早くここから逃げ出さないと……」
ボルボ「……両津!」
左近寺「両津!」
本田「両津のダンナァ! 出番だぜこの野郎!!」
両津「バ、バカ! そんな大きな声で呼ぶな!」
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:10:58.24 ID:dewxfyM5O [77/104]
澪「両津?」
梓「今確かに……」
律「両津って言ったのか?」
両津「ち、違うぞ! これはアイツらが勝手にやっている事だ! わしは知らん!」
律「……本当に子供と同じ言い訳してんじゃねえ!」シュッ
ゴシュッ
両津「ぐええぇぇぇ!」
澪「い、今のスティック投げは本気だ……」ゴクリ
唯「りっちゃんがギターの担当じゃなくてよかったね~」
澪「そんな事呑気に言っている場合か!」
245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:15:45.85 ID:dewxfyM5O [78/104]
三人「両津! 両津! 両津! 両津!」
憂「り、両さん」フルフル
両津「ち、違うんだ憂ちゃんこれはだな……」
憂「私……信じてたのに」ポロポロ
両津「う……」
両津「くっ……ち、違うんだ……頼む! 誰か……誰でもいい! わしを助けてくれぇ!」
……
チャララ~チャ~チャチャ~♪(あの音楽)
両津「こ、この音楽は……」
紬「こ、これはもしかして!」キラキラ
律「こんな時だけ反応すんな!」
汚野『……股間のもっこり伊達じゃない』
梓「ま、またあの人ですか?」
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:21:58.92 ID:dewxfyM5O [79/104]
汚野『海パン刑事ただいま参上!』
両津「お、おお海パン刑事」
汚野「呼ばれた気がしたからな。助けに来た」
澪「や、やっぱり正義感は強いみたいだな」
憂「んん~……」バッタリ
汚野「ん、いつぞやのリクエスト少女か。今日はタネ明かしをする前に気絶してしまった」
律「さらっとひどい事言ってんな~」
三人「両津! 両津! 両津!」
両津「そ、それより海パン刑事。この状況をなんとかしてくれ!」
汚野「ふむ、任せろ。こういう時はこれだ」ムンズ
紬「何が出るかな♪ 何が出るかな♪」
律「ステーキより驚がない自信だけはあるわ」
250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:29:20.23 ID:dewxfyM5O [80/104]
両津「ば……爆竹だと?」
汚野「祭りを盛り上げるにはまず音だ。これから手軽に大盛り上がりだ」
両津「誰が盛り上げて欲しいと頼んだんだ!」
汚野「違うのか? しかしもう火は着つけてしまったぞ」ポイッ
シュゥゥゥ
両津「バ、バカ! そっちにはドラムが!」
律「え? え?」
紬「りっちゃん!」
澪「あ、危ない律!」
梓「先輩!」
律「い、いやぁああああ!」
ババババババ!
ババババババ!
律「……あ、あれ? 熱くない? ドラムも……傷付いてない?」
両津「ぐっ……うっ!」
律「り、両さん!」
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:33:54.18 ID:dewxfyM5O [81/104]
両津「よかった。傷は無いみたいだな……ぐうっ!」
律「あ、足が! 待ってろ、今タオルを冷やして……」
両津「バカ野郎! わしの事はどうでもいい……」
律「で、でも……」
両津「ドラムはわしが死んでも守る。これが傷付いたら律が悲しむからな。ぐっ!」ズキッ
律「バ、バカはどっちだよ! ドラムはまた買えばいいけど……両さんが……両さんが怪我したら私……」
両津「律……」
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:39:36.97 ID:dewxfyM5O [82/104]
汚野「ほうれもう一丁だ!」
ババババババ!
律「きゃあっ!」
両津「は、早く逃げるんだ。ここは危険すぎる」
律「両さん……」
両津「大丈夫だ。絶対にドラムは守る……約束だ」
律「う、うん!」
両津「さあ、早く行くんだ!」
律「ありがとう……勘吉!」ダダダッ
両津「へっ……まったく」
両津「海パン刑事! 聞いての通りだ! このドラムに向けて爆竹を投げる事はわしが許さん!」
汚野「両津……わかった。今回は私の負けだ」
両津「海パン刑事……」
汚野「ドラムに向けて投げては行けないなら……反対方向に投げるまでた」
両津「……え?」
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:44:31.56 ID:dewxfyM5O [83/104]
ドンドドンドドン!
ボルボ「わっしょい! わっしょい! わっしょい!」
……ババババババ!
ババババババ!
ボルボ「ひっ! て、敵だ! マシンガンの一斉掃射だ!」
汚野「こちらにはドラムなどなぁい」スッ
バババババ!
ババババババ!
ババババババッ!
ボルボ「う……うおおおお!」
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:46:56.25 ID:dewxfyM5O [84/104]
両津「落ち着けボルボ! 音だけだ! ただの爆竹だ!」
ボルボ「く、来るな……来るなああぁぁぁ!」シュッ
ポイッ ポイッ
コロン
コロン
両津「なんでフンドシの中に手榴弾なんか入れているんだよ……!」
ボルボ「うおあああああああ!!」ポイッ ポイッ ポイッ
両津「こ、この……!」
両津「大馬鹿者~!」
……カッ……
ドーン
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:52:12.69 ID:dewxfyM5O [85/104]
両津「……ケホッ、ケホッ」ガラガラ
両津「ひ、酷い目にあった……」
律「……おい」
澪「た、建物が跡形も無くなってる……」
唯「なんで? ねえなんで?」
梓「何で……この人生き埋めになってたのに……」
律「そのまま瓦礫に潰されれば良かったのにな」
両津「いや~、手厳しいねりっちゃんは全くもう!」
律「気安く呼ぶんじゃねえ! 無能ゴリラ!」
両津「なんだとテメエ!」
律「何がドラムは命懸けで守るだよ! ペッチャンコじゃねえか!」
ペターン
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:57:29.97 ID:dewxfyM5O [86/104]
両津「ま、待て。これを見ろ!」ジャン
澪「これは……シンバルの部分かな?」
律「これが何か?」
両津「ほ、ほら。この二枚を持って手を前にして」
律「ふむふむ……」
両津「はいっ。お猿のオモチャ! いやあ、これでりっちゃんも明日からプロのシンバル使いだよ! やったね」
律「ふざけんなバカ野郎!」ジャーン! ジャーン
両津「うご……目、目が……そんなので挟むなんて……」
律「はあ、もういいよ。行こうぜみんな」
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:06:19.86 ID:dewxfyM5O [87/104]
澪「そうだな」
唯「なんか幻滅~」
梓「もう用事もありませんしね」
律「じゃ、あばよ原始人」
両津「ま、待ってくれ!」
紬「……」
両津「お、ムギちゃんだけはわかってくれるのか……そうだよな、お茶会をする約束だったもんな……」
紬「ええ。とっておきのイベントにご招待致します」クスッ
両津「お、おお……まさに女神だ……後光がわしには見える」
紬「うふふふっ」キラキラ
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:14:39.73 ID:dewxfyM5O [88/104]
大原「ん、両津は今日も休みか?」
中川「何でも、世界一週しながら行われる音楽フェスを見てくるとかで……」
麗子「まあ、うらやましい」
中川「それがそうでも無いんだ……」
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:18:54.10 ID:dewxfyM5O [89/104]
ピッ ピッ
紬『そちらの気温はどうですか? どうぞ』
両津『』カチン
紬『あれ、凍っちゃってますか? どうぞ』
両津『』コチン
紬『なかなか前衛的なイベントでしょ? そんな山頂で音楽イベントをやるなんて。どうぞ』
両津『さ……む……い……』
紬『海パン一つでエベレストは辛かったですか? どうぞ』カチン
両津『し……しんじゃう……』
紬『あーあー。電波が悪いみたいで聞こえません。また明日連絡します。どうぞ』
両津『』
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:25:23.10 ID:dewxfyM5O [90/104]
中川「スポンサーが税金対策のために開催している偽のフェスなんだ」
麗子「ええっ?」
中川「会場は滅茶苦茶。出演グループだって全部架空のグループ……」
麗子「悲惨……」
中川「フェスが終わるのは三年後の日程だった気がするよ」
麗子「何が両ちゃんをそんなにさせたのかしら……」
中川「僕は何となく知っているような気がするよ……」
紬「ふふっ……」
終
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:27:47.74 ID:dewxfyM5O [91/104]
部長が絡めなかったから、前半はこんな落ち。
雰囲気を楽しんで頂ければ。
文の感じが変になるのは頭が麻痺しはじめるからです。
りっちゃんの扱いやすさは異常。
元気回復したら後半も。
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:44:21.47 ID:dewxfyM5O [92/104]
>>265
あと数時間でお仕事なもんで
>>267
なんか、こち亀キャラと絡ませると黒くなっちゃう
>>268
けいおんもこち亀も初めてです
272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:08:10.78 ID:dewxfyM5O [93/104]
ありがとう。
両津「うおっす」ガチャッ
さわ子「げっ……」
律「何勝手に入ってきてんだよ!」
両津「けっ、暇潰しで来たと思ったらこれだ」
梓「た、確かに以前遊びに来て欲しいとは言いましたけど……」
さわ子「アポ無しはちょっとね~」バタバタ
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:12:06.16 ID:dewxfyM5O [94/104]
中川「……先輩、やっぱり無断で来るのはマズイですよ」スッ
さわ子「あら! 中川さんだったら連絡なんていらないわよ。もう、バンバン遊びに来て!」
紬「圭一様。お口に合いますかどうか……」スッ
唯「ねえねえ! 今度あの赤くてシャキーンて開く車に乗せて乗せて!」
梓「ず、ずるいですよ唯先輩! 私だって乗りたいのに!」
律「いやあ、中川さんが来ると部室も賑やかになるねぇ」
澪「本当だな」
両津「生徒はまだしも教師が差別していいのかよ……」グッ
274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:20:42.06 ID:dewxfyM5O [95/104]
ワイワイ ガヤガヤ
両津「……」
両津「こいつら、けいおん部のくせに全く練習をしていないんだな……」
両津「ふむ……」
唯「あ、あの赤い車っていくらするんですか?」
中川「僕のフェラーリF50かい? 確かカスタム仕様で8000万くらいだったかな?」
澪「は、はは……!」
中川「車は週に一度程買うから値段はあまり気にしないんだ」
紬「ふふっ」
律「ムギはやっぱり余裕でいられるんだな……」
さわ子「私なんてそんなお金想像もつかないわ~」
両津「えー、ゴホン。君たちぃ?」
275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:27:01.89 ID:dewxfyM5O [96/104]
澪「車って週に一回買う物じゃないよな?」
律「ま……一般人はな」
両津「あの~。もしもし?」
唯「も、もしかして楽器とかも沢山持ってますか?」
中川「ジャズの楽器が中心だけどね。種類はそれなりに持っているつもりだけれども……」
さわ子「い、一度見てみたいわね?」
中川「今度の休みに招待しますよ。みなさんで遊びに来て下さい」
両津「あのね……のね……」プルプル
澪「ほ、本当にいいんですか?」
中川「遠慮しないで大丈夫だよ」
律「いよっしゃー、テンション上がってきた!」
276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:33:44.12 ID:dewxfyM5O [97/104]
さわ子「じゃあ、次の休みは中川さんのお宅にお邪魔しちゃいましょう!」
全員「お~!」
両津「おー……じゃねえ! 人の話を聞け! 徹底的に無視しやがって!」ズキュン ズキュン
中川「せ、先輩! 発砲はマズイですって!」
律「あちゃ~。壁に穴があいちゃってたよ」
両津「ふん。音響効果が高まっていいだろうが」
さわ子「後で弁償して貰いますからね」キリッ
紬「もう、梓ちゃんが怖がってますよ」
梓「……」ブルブル
唯「両さんいけないんだ~」
両津「なんで攻められる時だけ注目してくるんだよ……くそっ」
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:38:29.61 ID:dewxfyM5O [98/104]
律「で、何か話があったんじゃないのか?」
両津「ある!」
律「ハァ……聞いてやるから終わったら黙れよ?」
両津「わしだけ除け者扱いかよ!」
律「……本題は?」
両津「……ズバリ! けいおん部の存在意義についてだ!」
律「はい、お疲れ様でした~」
澪「帰り、どっか寄ってく?」
梓「私お腹すいちゃいました~」
紬「あら、お菓子だけじゃ足りなかったかしら」クスッ
唯「あたしもお腹すいた~」グゥ~
律「本当に食いしん坊だな、唯と梓は」
梓「わ、私もですか?」
唯「わ~い。あずにゃんと一緒一緒~」ギュッ
278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:45:29.27 ID:dewxfyM5O [99/104]
両津「いい加減しろよテメーら!!」ズギューン ズギューン
ガシャーン
バリーン
律「なんだよ。聞くだけ聞いてやっただろ」
さわ子「ガラスが二枚……これも弁償ね」
唯「早くご飯食べに行こうよ~」
両津「ええいうるさい! お前らはいつもそうだ。食って寝て食って寝て……音楽なんかちっとも練習しとらん」
律「うっ」ガーン
澪「でも今に言われ始めた事じゃないよな?」
梓「お叱りと言うかツッコミはよく受けますよね」
紬「この雰囲気がけいおん部って感じよね~」
律「そ、そーだそーだ。私達はこのスタイルでやってるからいいんだよ!」
澪「決して威張って言える事じゃないがな……」
279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:52:11.20 ID:dewxfyM5O [100/104]
律「大体そんな事言ったらそっちだってそうだろ?」
両津「ん、何がだ?」
律「なんで警官が女子高の部室で油売ってるんだよ。仕事しろよ仕事!」
両津「うっ」ガーン
澪「そう言えば勤務はどうしてるんだ?」
両津「わ、わしは巡査長だからな。偉いから働く時間が短くていいんだ」
唯「本当に~?」
紬「長って言っても、一般の巡査よりちょろっと偉いくらいらしいわよ?」
律「なんだ、やっぱり大したことないんだ~」
両津「ううっ……」
中川「実際、僕たちパトロールだと言って派出所を抜け出してますからね」
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:58:58.69 ID:dewxfyM5O [101/104]
さわ子「あら、中川さんは抜け出して来ても全然問題ないですわ」キラキラ
両津「いい加減顔で差別するのん止めんか……」
律「ま、うちらは授業が終わった後。放課後の自由な時間を使ってるんだ。文句を言われる筋合いは無いね」
両津「わしの時間の使い方だって文句を言われる筋合いはねえ!」
律「じゃあ言ってみろよ。昨日一日で何をしてたかさ」
両津「昨日は非番だったからな。まず朝八時に起床だ」
紬「あら、意外としっかりしてるんですね」
澪「全くだ」
律「ふ~ん。それから?」
281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 10:02:39.71 ID:dewxfyM5O [102/104]
両津「十時にパチンコ屋に入店」
律「待て待て。八時からの空白の二時間はどうしたんだ?」
両津「店の前で並んでいたに決まっているだろ。新台の整理券を受けとるためにだな……」
澪「ギ、ギャンブルの事はよくわからないけど……」
梓「朝から数時間パチンコに費やしているのだけはわかりますね」
律「そ、それからどうしたんだよ?」
327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:16:29.41 ID:Eq5A+u6iO [2/32]
>>281の続き
両津「午後から元気なお馬ちゃんを追いかけていたかな」
紬「まあ、乗馬が趣味なんですか?」
澪「絶対に違うと思う……」
中川「また競馬でしょう?」
両津「わははは、大穴当てちゃってね。三十万の臨時収入だったよ」
さわ子「三十万なんてうらやましいわね~」
梓「今のところギャンブルしかしてませんよ……」
律「聞くのも馬鹿らしいけど、夜はどうしてたんだよ?」
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:26:15.10 ID:Eq5A+u6iO [3/32]
両津「その後は確か、さっきの金で朝まで呑んでいたな」
澪「ギャンブル、ギャンブル、酒……」
紬「そのせいかしら。さっきから異臭がするのは?」
中川「今朝も生ゴミの上で寝ていたからね、多分……」
唯「ば、ばっちいよそんなの~」
両津「わははは! わしは一ヶ月風呂に入らなくても大丈夫な体だからな! 」
律「そんなの威張って言うんじゃねえ!!」ゴッ
両津「スティックで殴るのは止めろ! わしはお前のドラムじゃねえ!」
律「そう言うセリフはドラムみたいに偉くなってから言え!」
両津「わしゃドラム以下の存在か!」
331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:33:03.68 ID:Eq5A+u6iO [4/32]
澪「お、落ち着けよ律」
中川「先輩もすぐに怒鳴るのはよくないですよ」
律 両津『悪いのはこいつだ!』
さわ子「仲がいいのは結構だけど一応学校だからね~。俗っぽすぎる人に入り浸られても困るのよね~」
律 両津『誰がこんな奴と!』
両津「真似すんなこのブス!」
律「繋がり眉毛に言われたくないっての!」
澪「……」
さわ子「一応学校だから、賑やかすぎても……ねえ?」
紬「りっちゃん楽しそう」キラキラ
332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:38:33.43 ID:Eq5A+u6iO [5/32]
中川「確かに、ここに来るならギャンブルはともかくお酒は控えた方がいいですかね」
両津「デコ! ハゲ!」
律「短足! バーカ!」
さわ子「はいはい。その辺で止めときなさい」
律「む~……なあ繋がり眉毛」
両津「なんだデコッパチ」
律「お前は明日から部室に入るの禁止だ!」ビシッ
梓「り、律先輩!」
唯「おお、りっちゃん部長さんみたい」
律「ふふん」
334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:45:21.60 ID:Eq5A+u6iO [6/32]
両津「何でそうなるんだよ!」
律「その俗な性格を少しでも直したら許してやる」
両津「ぐぬぬっ……」
律「アンタなんか居ようが居まい困らないけど~。りっちゃん優しいから待っててあげるよ、みたいな?」キラッ
澪「完全に小馬鹿にしているな」
梓「ですね」
中川(先輩の事だから、大好きなお酒や夜遊びを断ってまで約束するなんて事は……)
両津「わ、わかった」
中川「え?」
両津「しばらく酒は辞める。それでいいんだな!」
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:49:57.95 ID:Eq5A+u6iO [7/32]
律「お、おう?」
律(こんなにあっさり認めるもんなのか?)
両津「いつまでだ?」
律「えっ?」
両津「いつまで酒を我慢すれば許してくれるんだ。一年か、二年か!」
律「いっ、いや……さすがにそんなに……ねえ?」
澪「あまり縛りすぎる事もできないよな?」
唯「じゃあ部室に来る前の日にはお酒を呑んじゃだめって事にすれば~」
律「ふむ……それくらいが妥当かな?」
澪「まあ一種の形としてはいいんじゃないか?」
律「よし! じゃあ今後部室に遊びに来る前はお酒呑むの禁止だからな!」
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:56:24.89 ID:Eq5A+u6iO [8/32]
帰り道
中川「いやあ感動しましたよ先輩。お酒を我慢してまで、部室に遊びに行く道を選ぶなんて」
両津「あそこは部長に知られていない隠れ家だからな。手放すには惜しい」
中川「ふふっ。そういう事にしておきますよ」
両津「おっ、待て中川。ここでいい。今日は呑んでいく」
中川「えっじゃあ明日はけいおん部に顔を出さないんですか?」
両津「明日も行くに決まってるだろ。なあに、ちょっとだけならバレはせんよ」
中川「し、しかし……」
両津「明日になったら酒も抜けてるさ。じゃあまたな」カラン カラン
中川「……行ってしまった。全くもう」
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:06:22.69 ID:Eq5A+u6iO [9/32]
次の日
中川「こんにちは、みんな」ガチャッ
梓「あ、中川さんこんにちは」ペコッ
両津「うおっす」ガチャッ
律「お前は出入り禁止だバカ野郎!」ブンッ
両津「おっと!」パシッ
律「な……受け止められた?」
両津「ふふふっ。わしに同じ技は二度と通じない!」
律「結構ボコボコ当たってたじゃんかよ。そんな事より! 昨日酒呑んだだろ?」
両津「ええ~。僕ちゃん呑んでまちぇ~ん」クネクネ
律「いちいち気持ち悪い動きをするな! さわちゃんが昨日店に入る所を見てんだぞ!」
両津「な、なんだと!」
340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:11:28.28 ID:Eq5A+u6iO [10/32]
さわ子「偶然飲み屋に入っていく所を見ちゃったのよね……」
律「言い訳があるなら聞こうか?」
両津「それはわしじゃない! わしに似た誰かだ!」
さわ子「警官の制服着て飲み屋に入る人なんていないわよ~」
両津「う……」
澪「まあ、約束だからな」
唯「今日は両さん禁止か~。つまんないの~」
律「さあ、帰った帰った」
両津「ち、ちくしょ~!」
341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:18:35.94 ID:Eq5A+u6iO [11/32]
中川「せ、先輩! ……行っちゃった」
梓「泣きながら走って行っちゃいましたよ?」
律「ま、前の時みたいに嘘泣きに決まってるさ!」
澪「あのさ……ちょっと気になったんだけど。部室に遊びに来たいだけであんな約束するかな普通?」
律「ん?」
澪「だってここ、ただの部室だぞ? 好きなお酒を我慢してまで来る価値があるのかな?」
紬「価値が無かったら我慢なんてしないわよね~」
律「う……」
律「た、確かに条件を簡単にのんだ時は私もビックリしたけどさ……」
中川「何だかんだで、先輩はこの部室に来たかったんだと思うよ」
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:26:24.64 ID:Eq5A+u6iO [12/32]
さわ子「ん~。よく考えたら私達に危害があったわけでも無いしね。お酒で暴力とかあったわけじゃないし……」
梓(……シラフで拳銃撃ってるのはどうなんですか!)
澪「ちょっと振り回しすぎたかもな」
唯「大人なんだからお酒呑んでもいいと思うよ~」
紬「りっちゃんはどう思う?」ニコニコ
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:29:08.33 ID:Eq5A+u6iO [13/32]
律「……」
律「ねえさわちゃん。この辺で居酒屋さんがある通りってどの辺りだっけ?」
中川「律ちゃん……!」
律「みんなで行けば、多分許してくれるよな?」
梓「先輩、素敵です!」
律「よし行くぞみんな!」
唯「むかえざけ!」
澪「いや、それは意味が違うと思うぞ……」
345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:34:22.42 ID:Eq5A+u6iO [14/32]
……
両津「……」
両津「くそっ! せっかくタダで食い物にありつける場所を見つけたってのに!」
両津「酒呑んだくらいで追い出されるなんて! 頼まれたってもう行ってやるもんか!」
両津「へへッ。これからも変わらずに酒を……」グウ~ッ
両津「……ああ、腹減ったな」
両津「赤提灯に照らされ、薄汚れたようにも見える粋な造りの一軒に……酒」
両津「昨日で金を使いすぎてしまったからな……」グググッ
両津「入るか、入るまいか……!」
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:40:45.33 ID:Eq5A+u6iO [15/32]
中川「あ、いましたよ、先輩だ!」
両津「……」
さわ子「あら。またお店に入るのね」
澪「やけ酒かな?」
律「いや……よく見てみろ!」
両津「……」グググッ
梓「お店の前で握りこぶしなんか作って……地団駄踏んでますね」
中川「きっと先輩は、本当にお酒を我慢しようとしてるんだよ。だからあんな風に必死になって……」
中川「約束を守ろうと頑張っているんですよ」
律「……」
澪「もう許してあげれば、律?」
律「わ、私は許すつもりだったさ! あんな姿まで見せられちゃあ余計……」
348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:45:22.69 ID:Eq5A+u6iO [16/32]
両津「……決めた。やはり店に入るぞわしは」
両津「江戸っ子は宵越しの銭は持たねえもんだ。ここはバァンと……」
両津「へへっ、どうせ自由の身だ。もう誰にも縛られん。というわけで両ちゃんいっきま~……」
『お、おい! 喧嘩だ喧嘩だ』
『キャアアアア!』
両津「……む?」
349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:49:47.17 ID:Eq5A+u6iO [17/32]
澪「じゃあ、律が両さんを呼んできなよ」
律「わ、私が?」
澪「部長だろ。約束を提示したのも律だし」
唯「りっちゃんファイト~」
梓「期待してますよ!」
紬「ふふっ、いってらっしゃい」
律「わ、わかったよ……よし!」
酔っぱらい「……おんやあ。可愛いお嬢さん達だねえ?」
さわ子「げっ……」
唯「な、何か変なのきた~……」
350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:54:22.56 ID:Eq5A+u6iO [18/32]
中川「君、待ちなさい。僕は警官だ。大人しく向こうへ行きなさい」
酔っぱらい「あ~ん? そんなチャラチャラした警官がいるかよ~」
酔っぱらい「へへっ、お姉ちゃん達コスプレ好きなのかな? ウチのお店で働かな~い?」
梓「ひ、ひぃぃぃい!」
中川「やめなさい!」グッ
酔っぱらい「気安く触るんじゃねえ!」ビュッ
中川「はっ!」ガシッ
澪「う、受け止めた!」
律「さすがは警察官……」
さわ子「か、感心してないで早く逃げるわよ!」
仲間「そうは行かないな~」
澪「!」
352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:00:22.92 ID:Eq5A+u6iO [19/32]
仲間1「一緒に遊ぼうよ~」
仲間2「楽しい夜にしてあげるからさ」
仲間3「ふ、ふふっ。ふふっ」
酔「女の子は傷つけるなよ~。 やるのはこの兄ちゃんだけだあ」
唯「ど、どど……どうしよう!」
律「さ、さわちゃん眼鏡外して! た、戦って!」
さわ子「やや、や、嫌に決まってるじゃない……」
梓「ひっ……ぐすっ……」ブルブル
紬「き、救助の連絡を……!」ピッ ピッ
酔「させるかよぁ~」ビュッ
紬「キャッ!」
酔「うえっへっへっ」
中川「さすがに僕一人では……くっ……」
353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:07:03.62 ID:Eq5A+u6iO [20/32]
律「……」ギロッ
仲間「おっ、君可愛いねえ……どう。いい仕事紹介するけど……」
律「お、お断りだ!」ゲシッ
仲間2「気が強いね~。足震えてるけど」
律「う、う……」ガクガク
仲間3「ふ、ふふふふ」
仲間「ま、この兄ちゃんを倒す前にちょっとだけ……遊んでやるぜぇ?」
律「き……」
仲間「おらぁ!」ビュッ
律「きゃあああああ!」
両津「うおおおおぉ!」
ゲシッ!
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:14:06.59 ID:Eq5A+u6iO [21/32]
律「ぁ……」
仲間「な……なんだてめ……グフッ」バタッ
中川「先輩!」
さわ子「両さん!」
両津「生徒を守るのはあんたに任せる! いいな!」
さわ子「は、はい……!」
両津「中川。こんな奴等一気にやっちまうぞ!」
中川「先輩……! 了解です!」
仲間2「調子のってんじゃねえ!」
両津「どっせえい!」ダンッ
仲間2「ぐうっ!」
中川「たぁーっ!」ゴスッ
仲間3「ひ……ひあっ!」
両津「後はテメーだけだ酔っぱらい!」
酔「ひ、ひっ……!」
357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:18:47.57 ID:Eq5A+u6iO [22/32]
酔「す、すいませんでした! こ、この通り! この通り!」ペコペコ
酔「お金を……お金を払いますので許して下さい!」
両津「」ピクッ
澪「お、お金?」
梓「そんなのを引き合いにだされたら両さん……」
紬「……」ジッ
さわ子「……ううん」
中川「今の先輩にはきっと無駄だよ」
律「えっ……?」
酔「お、お願いします! お店でもサービスします! お金も払います……だから許して~!」
両津「ふざけんじゃねえ!」ドカッ
酔「げ……ふ……」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:24:12.82 ID:Eq5A+u6iO [23/32]
両津「金で解決……いつものわしならそれに便乗していたかもしれん」
酔「じ……じゃあ……」
両津「女子供に手を出したとなれば別だ! わしはそういう卑怯な奴が大っ嫌いだ!」ゴンッ
酔「ふ……ぶ……」
両津「このっ! このっ! あいつらが怪我でもしたらどうするんだ! まさに一生ものの傷になるんだぞ!」
澪「……」
梓「……」
律「……」
中川「せ、先輩! ちょっとやりすぎですよ!」
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:29:00.05 ID:Eq5A+u6iO [24/32]
両津「うるせえ!」ガッ
中川「うわっ!」
両津「てめえらもだ! まだ終わったと思うなよ!」ボグッ
仲間「ひ、ひえっ!」
仲間2「か、かんべん……」
両津「自分より弱い者しか相手にできんのか! おらぁ!」ゴシュ!
仲間「ひ、ひぃぃぃぃぃ!」
律「……」
ピーポー ピーポー
さわ子「遠くからサイレンが!」
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:31:26.91 ID:Eq5A+u6iO [25/32]
中川「ここは僕たちに任せて。みんなは早く別の場所へ」
澪「で、でも……」
中川「さあ早く!」
紬「そうですね、行きましょうみんな」
梓「そ、それがいいみたいですね」
律「……」ボーッ
紬「ほら、りっちゃんも!」
律「え、あ……うん」
タタタタッ
両津「おらぁ!」
仲間「ぎゃあああああ……!」
…………
……
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:39:04.32 ID:Eq5A+u6iO [26/32]
澪「昨日は大変だったな」
律「ほんとほんと」
梓「夜の居酒屋通りは危険ですね……」
紬「女の子で制服はやっぱり目立つわよね~」
……
唯「両さん強かったね~」
澪「今回ばかりは感謝しても足りないな、律」
律「ま、まあ部室の入室許可くらいは出してやるかな!」
紬「うふふっ」
バンッ!
さわ子「みんな~。これ見てこれ!」
唯「な~にさわちゃん。そんなに慌てて」
さわ子「これよこれ! 地元の新聞。ここの所にね……」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:46:01.17 ID:Eq5A+u6iO [27/32]
律「なになに。正義の警察官……両津勘吉!」
澪「喧嘩の仲裁に入った両津氏が、逆に相手をボコボコに……」
紬「だがこれは女子高生グループを助けた行為であり、彼なりの戒め方なのではないのだろうか……」
さわ子「だって」
梓「誉めてるんですかね?」
唯「だって正義の警察官だよ~」
さわ子「あの辺りでもなかなか悪どいグループだったらしくてね。結構この記事を支持している声も高いみたいよ?」
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:49:22.00 ID:Eq5A+u6iO [28/32]
澪「何にしても、めでたしめでたし」
紬「あ、今日はね。お礼に特別高級なケーキを持ってきたのよ」
唯「わ~い! 早く食べよ食べよ!」
紬「お礼言う相手が来てからね?」ニッコリ
唯「えへへ~わかってるよ」
澪「ふう。今日はちょっと遅いみたいだな……って、律?」
律「ん?」ジョキジョキ
澪「何してるんだ。新聞の切り抜きなんかして」
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:56:56.07 ID:Eq5A+u6iO [29/32]
律「私達に関する新聞記事だからさ。記念に飾っておこうと思ってねん」ペタペタ
澪「メインは私達じゃないだろ?」
梓「そういうのも素敵だと思いますよ」
唯「部屋に貼るといつでも両さんがいるみたいだね~」
律「そ、そんなんじゃないからな! ただ私達が新聞になった……その……」
澪「はいはい」クスッ
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:57:36.31 ID:Eq5A+u6iO [30/32]
ガチャッ
紬「あら」
梓「来たみたいですね」
さわ子「いらっしゃい」
澪「ふふっ」
唯「両さん両さん~」
律「……ふん」
両津「うおっす!」
終
356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/30(金) 03:18:29.73 ID:soWzL1bmP
中川も躊躇なく拳銃使うようなヤツだったのに・・・
368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 04:05:16.95 ID:Eq5A+u6iO [31/32]
以上白い話でした。
やっぱり無茶させる方が書いていて楽しいかも
ちょっとアイデア考えてきます
>>356
その中川もいいよね。
370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 05:09:14.74 ID:Eq5A+u6iO [32/32]
断片的にネタはあるけど、面白い話を作れるかは別なのでここまでで。
心理状態とか突っ込んで書くと黒かったり重くなるんだなあ、と反省。
正直、りっちゃんよりもムギや唯のが好きなんですが自然とこんな扱いになりました。
次はもっとゲストメンバーを出したり部長絡みの話を書きたいな、と。
憂ちゃんと特殊刑事課はきっとセットです。
読んでくれた人、保守してくれた人ありがとうございました。
こち亀の雰囲気を感じていただけたなら幸いです。
キキーッ
両津「両津勘吉、ただいまパトロールから戻りました」
大原「うむ、ご苦労」
麗子「お疲れ様。今お茶を持ってくるわね」
両津「ん、何見てるんだ中川?」
中川「音楽雑誌に載っているバンドグループの話を部長としていたんですよ。ほら、この……」
両津「ああ、けいおんで噂の放課後ティータイムか」
中川「あれ、先輩も知ってるんですか?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 15:40:42.22 ID:CPQLyo8GO
両津「左近寺が最近ハマっているんだよ。毎日毎日、けいおんけいおん……」
中川「……確かキーボードを買ったとか言ってましたね」
両津「サンドバッグにダンベル、そしてキーボードだぞ。部屋の雰囲気に合わなさすぎる」
中川「確かに、あの部屋の中にあるのは想像できませんね……」
大原「どうしてキーボードなんだ?」
両津「メンバーの真似をして自分も楽器を買うんですよ」
中川「同じギターやヘッドホンを買ったり……ファンは熱心ですからね」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 15:51:30.26 ID:CPQLyo8GO
中川「左近寺さんは紬ちゃんが好きなんですね」
大原「紬?」
中川「ここに写っている、ほら。この子ですよ」
大原「ほう、この子が……」
麗子「彼女のピアノを聞く機会があったんだけどすごく上手なのよ」カタッ
両津「おっ、サンキュー」
中川「僕も彼女のグループが主催するパーティーに参加しました。かなり大きなグループですよ」
大原「なるほど、お嬢様というわけか」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:03:33.35 ID:CPQLyo8GO
両津「知り合いか?」
中川「何度か話した事はありますが……」
麗子「礼儀正しくて、とても可愛らしい子よ」
両津「ふぅ~ん……」
大原「まあ、大体わかったよ。ありがとう中川」
中川「いえ。また何かあれば」
大原「うむ。では署に戻るか。サボるんじゃないぞ両津」
両津「わかってますよ」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:11:55.63 ID:CPQLyo8GO
ニコニコ寮
両津「さあて、今日のカップ麺ちゃんはと……」
左近寺『ムギゅぅぅぅぅぅ!!』ピロリラ ピロリラ
両津「……また左近寺か」
両津「おい左近寺。夜中に楽器は控えろとあれほど……」ガチャッ
左近寺「む、ムギゅぅぅぅぅぅぅ! ムギゅぅぅぅぁ!」
両津「駄目だ聞いてない……格闘技と、どきメモ一筋だった男がこんなになるなんて……」
両津「ん……」
中川『何度か話した事はありますが……』
左近寺「ム、ム……ムギゅぅぅぅぅぅ!」
両津(これは使えるかもしれん……)ニヤリ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:19:24.83 ID:CPQLyo8GO
次の日
中川「ええっ、紬ちゃんに会いたいんですか?」
両津「頼むよ中川くぅ~ん。お金持ち同士の仲でさぁ~、ちょこっと」
中川「ど、どうしたんですかいきなり?」
両津「いやぁ音楽の素晴らしさに目覚めてしまってね。生の音楽に触れてみたいのだよ」
中川「何もけいおん部じゃなくても……」
両津「頼むよ中川! この通りだ!」ガバッ
中川「わ、わかりましたよ。しかし彼女も忙しいですからね……次の休みが空いていれば……」
両津「バカもの! 今から行くんだ今から!」
中川「ええっ! 勤務中ですよ!」
両津「学校に行けばいいだけの話だ。車を出せ中川」
中川「ダ、ダメですよそんなの……」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:26:54.27 ID:CPQLyo8GO
両津(くそっ、約束している手前後には引けん……)
……
左近寺「えっ、ムギちゃんに会える!」
両津「ああ、わしに任せろ。会いたいなら会わせてやるぞ」
左近寺「た、頼む両津! ムギちゃんの事を考えると夜も眠れないんだ……こんな気持ち、沙織と出会って以来なんだ……」
両津「ほう……」
左近寺「最近は食欲も減って、沢庵しか喉を通らないんだ……」ポリポリ
両津「大丈夫だわしが口を聞けばすぐに会える」
左近寺「た、頼む両津!」
両津「だがしかぁし!」ドン
両津「タダで会えるとは思ってないよな左近寺君?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:30:54.52 ID:CPQLyo8GO
左近寺「か、金を払うのか?」
両津「相手は忙しいお嬢様だぞ! わざわざ時間を割いて会ってもらうんだ。紹介料だよ紹介料」
左近寺「い、いくらだ?」
両津「そうだなとりあえず……指五本かな」
左近寺「ご、五千円?」
両津「バカもの! 五万だ五万!」
左近寺「た……高すぎるぞ両津!」
両津「ん~? 五万円払えば愛しのムギちゃんに会えるんだぞ? 安いとは思わんかね、ん?」
左近寺「……」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:35:23.72 ID:CPQLyo8GO
左近寺「本当に会えるんだろうな?」
両津「ムギちゃんとは昔からの知り合いでな。以前はよくキーボードとピアニカでセッションしたもんだ」
左近寺「何だか違和感のある組み合わせだな……」
両津「とにかく、会いたいなら前金で五万だ。ビタ一文負けんぞ」
左近寺「う、うう……よし! 払う。払うぞ両津!」
両津「ヒッヒッヒッ、毎度どーも。明日中川の車で迎えに来るからな」
左近寺「おう! ああ、ムギ……ムギゅぅぅぅぅぅ……」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:40:50.75 ID:CPQLyo8GO
……
両津「な? な?」
中川「うぅ~ん……」
キーッ
ボルボ「両津。来週のサバイバルゲームの打ち合わせだが……」
両津「お、ボルボか!」
両津(この際ボルボでも……)
ボルボ「両津?」
両津「ボルボ、車を出してくれ」
ボルボ「えっ? お、おいちょっと待て。サバイバルゲームの……」
両津「そんなのは後回しだ。ほら、早くしろボルボ」
中川「ち、ちょっと先輩!」
両津「部長にはパトロールと言って誤魔化しといてくれ」ブォオオ
中川「行っちゃった……」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:43:24.81 ID:CPQLyo8GO
ボルボ「抜けてきて良かったのか?」
両津「なあに、いつもの事だよ」
ボルボ「それで何処に向かうんだ?」
両津「まずは寮に寄ってくれ。左近寺を拾ってからだ」
ボルボ「左近寺? またゲームの話か?」
両津「いや、今回はけいおん……音楽の事だ」
ボルボ「ほう?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:50:01.29 ID:CPQLyo8GO
左近寺「……というのが放課後ティータイムだ」
ボルボ「女子高生バンドか」
両津「まあ、追っかけみたいなもんだな」
左近寺「ムギちゃんに会えるなら……何でもいい」
ボルボ「で、その桜ヶ丘高校に向かえばいいんだな?」
両津「住所はこの雑誌にある通りだ。頼んだぞボルボ」
ボルボ「ああ、任せておけ」
両津(会えても会えなくても関係無いがな)
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 16:57:41.73 ID:CPQLyo8GO
桜ヶ丘高等学校
ボルボ「さ、着いたぞ」
左近寺「しゃ、写真で見た通りだ……」
両津「さあて」スタスタ
ボルボ「そう言えば両津。俺たちが来るためのアポはとってあるのか?」
両津「そんなものは無い」
左近寺「だ、大丈夫なのか両津?」
両津「なあに、ムギちゃんの知り合いなんだからいいんだよ。それにわしらは警察官だ。何の問題も無い」
ボルボ「すごい考え方だ……」
左近寺「頭の中がふわふわ時間みたいなものだからな……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:03:47.05 ID:CPQLyo8GO
校舎内
両津「さあて目的のムギちゃんは……」
ボルボ「いいのか両津。職員室に行かなくて」
両津「ちょっと会うだけだからいいんだよ」
左近寺「こ、この校舎、この階段……一緒! 一緒だ!」
ボルボ「……」
両津「ただの建物にいちいち感動するんじゃない。ほら、行くぞ左近寺」
左近寺「ム、ムギゅぅぅぅぅぅ……」
ボルボ「やれやれ……」
唯「…………」ジーッ
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:11:23.90 ID:CPQLyo8GO
部室
律「おっそいなー。唯のやつ」
梓「すぐに帰ってきますよ」
バタバタバタバタ
ガチャッ!
澪「噂をすれば、だな」
唯「た、大変大変だよ!」
紬「どうしたの唯ちゃん。そんなに慌てて」
唯「さ、さっき学校の中に……」
澪「学校の中に?」
唯「ゴ……ゴリラとプロレスラーがいたんだよ!」
澪「ゴ、ゴリラぁ?」
律「ははっ、そのプロレスラーがマスク被っていたり馬が校庭を走ってたりしてたのか?」
唯「ま、漫画の話じゃないよ! 本当にいたんだよ!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:18:49.48 ID:CPQLyo8GO
律「いいかあ~唯。今日日学校にそんなのがいたらな、通報されてあっという間に警察行きに……」
澪「そ、そうだよ。それにゴリラって……」
梓「なんだかちょっと怖いです……」
唯「あずにゃんは信じてくれるの!?」
梓「そ、そんなのいたら嫌だなぁって……」
唯「私も思わず二度見しちゃったんだよ……」
澪「ほ、本当に見たの?」
律「おっ、泣き虫澪ちゃん。怖いのかい?」
澪「だって……」
唯「あ、でも……普通に話してたからゴリラではないのかなぁ……」
律「喋るゴリラなんて逆に会ってみたいわ」ビシッ
唯「あいたっ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:27:41.28 ID:CPQLyo8GO
唯「でも私、聞いちゃったんだよ。そのプロレスラーの人が……ムギゅぅぅぅぅぅ、って言っているの……」
梓「それってムギ先輩の事ですか?」
唯「わからないけど、この学校の事知ってるみたいだったよぅ~……」
律「んー。ムギを狙ったストーカーか?」
梓「一応先生に相談してみますか?」
唯「そうだねそうだね~」
律「さわちゃんもそろそろ来ると思うしな。よし、それまでお茶して待ってようぜ」
澪「結局それかよ!」
律「えへへ~」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:38:44.02 ID:CPQLyo8GO
両津「随分広い学校だな」
ボルボ「闇雲に探しても時間の無駄だ。やっぱり職員室で誰かに……」
さわ子「あら?」
左近寺「お、おい両津」
両津「丁度いい。あー、ちょっと聞きたいんだが。けいおん部の部室は……」
さわ子「ゴ……ゴ……」
両津「ん、あんたどっかで見た事が……」
ボルボ「この雑誌に載っているな。けいおん部の顧問として、ほら……」
両津「おお。わしらけいおん部に行きたくてな。連れていって欲しいんだが……」
さわ子「ゴゴゴゴゴ……」
左近寺「様子が変だぞ?」
さわ子「ゴ……ゴリラァァァァァ!」ピューッ
両津「あ、おい。待てっ!」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:46:17.69 ID:CPQLyo8GO
部室
バタバタ バタバタ
ガチャッ!
律「おっ、やっぱり噂をすれば…」
さわ子「た、大変よみんな! 学校の中にゴリラがいてね……!」
律「うわぁ、唯とおんなじ事言ってるよ」
唯「ほら、やっぱりいたんだよ!」
梓「本当みたいですね……」
律「いや~わからんよ? 二人で相談してイタズラしてるだけかも」
さわ子「本当にいたんだってば! 話しかけられただけで捕まって食べられちゃいそうだったのよ!」
澪「なんか、唯の時より話がでかいな……」
さわ子「それに、この部室を探しているみたいだったし……」
律「やっぱりストーカーか!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 17:58:10.51 ID:CPQLyo8GO
唯「どうしようさわちゃん~……」
さわ子「……戦うしかないわね」
律「いやいや。警察に連絡すればいいじゃん」
さわ子「奴等はすぐそこまで来てるのよ! そんな暇無いわ!」
紬(ちょっと面白いかも……)キラキラ
唯「武器はどうするのかな? 音楽戦士らしく楽器かな?」
律「いや、楽器で戦えるのはゲームの中だけだから……」
澪「ギターで戦うなら、せめて戦闘機に乗ってないとな」
唯「えっ?」
律「えっ?」
澪「……な、何でもない……」
さわ子「ほらあなたたちも、この消火器持って。使い方わかるわね?」
律「おお、いつの間に」
唯「うわぁ、避難訓練みたいだよ~」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:02:32.70 ID:CPQLyo8GO
紬「一応、こんなのもありましたけど」
【ゴキジェット】
さわ子「いいわよムギちゃん。武器になりそうな物は何でも利用する。その意気や良し」
紬「はいっ、頑張ります!」ワクワク
律「……二人は燃えてるな」
梓「わ、私はちょっと……」プルプル
唯「怖がるあずにゃんもかあいいなぁ~」ナデナデ
律「全く……おい、澪も何か言ってや……」
澪「……」
律「澪?」
澪「何か来る……」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:12:03.24 ID:CPQLyo8GO
両津「確かこっちの方に」
ボルボ「この階段か?」
左近寺「おお、見た事があるぞ。確かにこの上に……」
両津「あの部室か?」
左近寺「そうだ!」
両津「ふう。やっと着いたか」
ボルボ「だから早く誰かに聞けば良かったものを」
両津「お陰で喉がカラカラだ」
左近寺「運がよければお茶をご馳走してくれるかもしれないぞ。ムギちゃんの優しい味……か、考えただけで……」クラクラ
両津「確かに、そんな事も書いてあったな。よし、まずはわしが挨拶にだな……」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:16:44.98 ID:CPQLyo8GO
左近寺「抜け駆けはずるいぞ両津!」
両津「こういうのは最初の挨拶が肝心なんだよ。わしが話を通してやるから、お前らは後ろからゆっくり付いてくればいい」
ボルボ「顔見知りは両津だけだからな。仕方あるまい」
左近寺「うう……早くムギちゃんに会いたいのにぃ……」
両津「焦るな焦るな。じゃあ……行くぞ」
左近寺「おう!」
……
ガチャッ
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:20:04.16 ID:CPQLyo8GO
ギシッ ギシッ ギシッ
澪「三人分の足音……」
『……確か、こっちに……』
澪「野太い話声……」
律「ま、まさか……」
さわ子「みんな、準備はいい?」
紬「……」コクッ
唯「えっと、安全ピンを外して、と……」
梓「……」ブルブル
律「……」ゴクリ
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:23:21.66 ID:CPQLyo8GO
『よし、わしが……行くぞ』
全員(来る!)
ガチャッ
両津「はぁ~いみなさん。両津勘吉どぇ~す」スチャッ(五所川原の車を止めたポーズで)
さわ子「うわああぁぁぁぁ!」ブンッ
両津「え?」
ゴシュッ!
澪「顔面殴打!」
律「消火器ってそう使うんかい!」
さわ子「こういう使い方もあるのよ!」ゴシュッ ゴツッ
両津「い、いてて……お、おいやめろ!」
さわ子「唯ちゃん。噴出!」
唯「え、エイっ!」シュゴワァァー
両津「ぺっ、ぺっ……消火剤か……ま、まて……」
さわ子「しぶといわね」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:28:23.38 ID:CPQLyo8GO
紬「えいっ。えいっ」プシュー プシュー
律「人間にゴキジェットって効くのかなぁ?」
澪「体に良い事はないと思うけど……」
梓「……」プルプル
両津「……」ピクピク
紬「やったかしら?」
さわ子「もう少し。ダメ押しで」ボカッ
唯「ほいさっ」ブシャァァァ
紬「うふふっ」プシュー プシュー
澪「地獄絵図だ……」
律「ちょっとした事件だな……」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:40:02.37 ID:CPQLyo8GO
翌日
両津「ふざけるなよ! あいつら!」ガシャン
グワッシャーン
ボルボ「不法侵入した俺たちが悪い」
左近寺「俺もそう思うぞ。謝って来たんだからいいじゃないか。誤解も解けたし」
両津「わし以外の人間だったら死んでるぞ!!」
ボルボ「死ななかったからいいじゃないか」
両津「さらっと言うんじゃない!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:43:13.75 ID:CPQLyo8GO
両津「お前らは被害を受けてないからそんな事が言えるんだ!」
左近寺「お、俺は生のムギちゃんに会えたから何でも良い……」
ボルボ「い、いやあ。音楽もなかなかいいものだな。俺もちょっとギターを初めてみようかな、なんてな!」
左近寺「お、バンドでも組むか!」
ボルボ「いいねぇ! じゃあ早速メンバーの募集から……」
両津(こ、こいつらはダメだ……)
両津(だが仕返しをしなければわしの腹の虫がおさまらん……)
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:50:56.54 ID:CPQLyo8GO
部室
澪「昨日はすごかったな」
さわ子「昨日のことはもう忘れてぇ……」フニャッ
律「普通に考えて警察沙汰だもんな。しかも当の警察をボカスカ殴っていたんだから、そりゃあもう……」
さわ子「やめてぇぇぇぇぇ!」ジタバタ
梓「あ、あんまりいじめちゃ可哀想ですよ」
律「へへっ、冗談冗談」
唯「でも逮捕されなくてよかったね~」
紬「本当ね。変わりにサインが欲しいだなんて……ふふっ、変なの」
律「あー、あの筋肉さんすごいムギの事好きそうだったからなー」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 18:57:06.99 ID:CPQLyo8GO
律「唯はあの軍人さんがお気に入りだっけか? よく話していたし」
唯「え~、だってあの筋肉すごいカッチカチだったんだよ~」
澪「触った瞬間大量の鼻血を出したのには驚いたけどな……」
唯「へへ~。触ると噴水みたいに出るからつい面白くて」
律「生きた人間ポンプだったな」
澪「それ、意味違うぞ多分」
梓「で、でもあのゴリラさんはずっと不機嫌な顔してましたよ?」
律「あんな後でご機嫌になる人間なんていないってば……」
梓「それはそうですけど……」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:06:54.91 ID:CPQLyo8GO
ピンポンパンポーン
『さわ子先生さわ子先生。来客の方が見えております、職員室までお願いします……』
ピンポンパンポーン
律「さわちゃん呼び出しだ」
唯「まさか昨日の事が学校にバレて……ていしょく!」
律「いやあ辞職もあるぜ~? 消火器で顔面ジャストミートなんて普通に考えたら、ねえ?」
さわ子「へ、へへ、変な事言わないでよ!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:07:42.90 ID:CPQLyo8GO
紬「先生。就職先に困ったら言って下さいね? 私が全力でお世話しますからっ!」
さわ子「ムギちゃんが言うと冗談に聞こえないからやめて……」スタスタ
唯「いってらっしゃ~い」
澪「大丈夫かな? 来客って……」
律「本当にあのゴリラだったりしてな」
澪「もう、律ってば……」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:12:39.26 ID:CPQLyo8GO
さわ子「教職を失う……」
さわ子「ううん……そんなに後ろ向きにばっか考える事も無いわよね」
さわ子「そうよさわちゃん。昨日の事は綺麗サッパリ許してくれたじゃない。多分だけど……」
さわ子「それに、職員室にあの原始人がいるなんてそんなまさか……」
ガラッ
両津「お」
さわ子「ひいっ……ご、ごめんなさい! 本っっ当に申し訳ぇぇ……」
中川「この人が昨日先輩が話していた人ですね?」
さわ子「え、あ……」
さわ子(カ、カッコいい……)
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:19:17.95 ID:CPQLyo8GO
中川「初めまして。中川と言います」
さわ子「な、中川さん……?」
中川「ええ、今日は先輩が昨日のお詫びをしたいからと。そのお付き合いです」
さわ子「ゴ、ゴリさんが?」
両津「わしは両津だ。昨日騒がせちまった分を謝りたくてな」
さわ子「あ、謝るだなんてそんな! 悪いのは私の方でして……」
両津「部員の子にも是非挨拶させて欲しくてな。こうして赴いたわけだ」
さわ子「そ、そういう事なら……」
さわ子(意外と良い人なのかも? 私ったら誤解していたのかな?)
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:25:18.73 ID:CPQLyo8GO
さわ子「で、ではこちらに。部室まで案内します」
両津「おう頼むぜ」
中川「いやあ先輩から謝りに行きたいなんて聞いた時はびっくりしましたよ」
両津「ははっ、わしは女性には優しいんだ。こうして手土産も持ってだな」
中川「前の時みたいに中身がゴキブリ、なんて事は無いですよね?」
さわ子「ゴ、ゴキ!」
両津「バカ変な事を言うな。せっかく来たのに誤解されるだろうが」
中川「ははっ、すいません」
さわ子(や、やっぱりまだちょっと怖いかも)
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:31:27.09 ID:CPQLyo8GO
ガチャッ
さわ子「……」
唯「あ、おかえりさわちゃん」
律「どうだった? 休職? 辞職?」
唯「え、さわちゃん給食係になるの?」
澪「いやそういうの要らないから」
唯「じゃあ定食?」
澪「もういい」ビシッ
唯「あたっ」
さわ子「あはは~……あのね、昨日の警官さんがね」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:35:25.99 ID:CPQLyo8GO
両津「うおっす」ニュッ
唯「あ、ゴリさんだ」
律「うわ~本当にいるよ」
さわ子「昨日の事を謝りたいって……」
梓「へ?」
紬「謝りたい、ですか? 悪いのは私達の方で……」
中川「先輩も思う所があるみたいですよ」
律「わお。イケメンじゃん!」
紬「あら? もしかして……圭一様ですか?」
中川「久しぶりだね紬ちゃん」
紬「やっぱり圭一様。お久しぶりです」
さわ子「あ、あれ? 知り合い?」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:42:37.28 ID:CPQLyo8GO
紬「父の会社がお世話になっているんです。圭一様とも立食パーティーで何度かお会いして……」
律「なあ澪。普通のパーティーとは違うもんなのかな?」
澪「お金持ちばっかのパーティーなら違うんだろうな」
中川「そんなわけで彼女とは親交があるんですよ」
さわ子「そ、そうだったの? ム、ムギちゃんちょっとちょっと……」
紬「はい?」
さわ子「あとで中川さんの事教えてね?」ヒソヒソ
紬「ふふっ、はい」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:47:33.48 ID:CPQLyo8GO
両津「中川。挨拶はその辺でだな」
中川「あ、すいません先輩」
梓「先輩って事は……中川さんも警察官なんですか?」
両津「中川はわしの部下だ。もちろんわしの方が位だって上だ」
唯「ええ~、本当?」
律「凶悪犯の護送中にしか見えないよな」
両津「っ……!」プルプル
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:51:31.72 ID:CPQLyo8GO
中川「先輩は本当に頼れる上司だよ。犯人検挙率だって100パーセントなんだから」
唯「それってすごいの?」
澪「100パーセントって事は全ての犯人を捕まえてるって事だから……多分」
両津「わっはっはっ。君はなかなか見る目があるね」
律「でもその割にはニュースで見る凶悪犯罪の量、減ってねーけどな」
両津「」ピクッ
律「大方、食い逃げとか万引きとかそんなのばっかだろ?」
両津「」ピクピクッ
澪「ち、ちょっと律……」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 19:57:35.01 ID:CPQLyo8GO
律「もっと大きな事件の犯人捕まえてから威張れよなー」
両津「」スチャッ
中川「せ、先輩! 銃はダメですって、銃は!」
両津「うるせえ中川! こんな事言われて黙ってられるかぁ!」カチッ
中川「本気で撃鉄起こさないで下さいぃ!」
律「あ、もしかして怒っちった?」
両津「当たり前だバカ野郎! そこ動くんじゃねえぞデコスケ野郎!」
中川「ダ、ダメですってば!!」ガシッ
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:05:07.25 ID:CPQLyo8GO
律「その気力を犯人逮捕に使えればなぁ……」
両津「わし一人で捕まえられるか! 事件は北海道から沖縄、色んなで四六時中起きてるんだぞ!」
紬「確か圭一様のお父上は72時間働ける方でしたよね?」
中川「父は常に世界を飛び回ってるからね。立派な父親だよ」
律「なんだちゃんと出来てる人もいるんじゃん。ゴリもそれくらいさ~」
両津「できるかぁ!」スチャッ
中川「だぁぁっ! 女子高生相手に本気になっちゃダメですよ!」
梓「……」ガタガタブルブル
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:13:40.26 ID:CPQLyo8GO
両津「ふんっ。大体凶悪犯なんざ他の警察が捕まえてくれるんだよ」
律「あっ、開き直りやがったなこいつ」
両津「古くは、はぐれ刑事。太陽に吠えろ……ジーパンにだな……」
さわ子「なんじゃこりゃぁぁぁあ!」
澪「この状況がなんじゃこりゃあだよ……」
両津「更に時代を遡って銭形平次捕物控にだな……」
ポカーン
中川「先輩。年代がズレすぎてますからその辺で……」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:19:14.67 ID:CPQLyo8GO
律「っていうかそれ全部ドラマや作り物の話だろー?」
澪「それくらいはわかるよな」
唯「ねえねえ、そういうカッコいい刑事さんっていないの? お呼びとあらば即参上! って感じの」
梓「それこそドラマじゃないんですから、そんな刑事さんが実際にいるわけ……」
中川「そ、そうだよ。そんな刑事なんているわけが無いよ」
両津「いや……いるぞ!」ニヤッ
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:27:10.72 ID:CPQLyo8GO
律「ええ、どっちだよ全く~」
さわ子「中川さんがいないって言うならいないんじゃない?」
澪「そうですよね」
律「ま、所詮はゴリラの戯れ言だよな」
梓「変な事言っちゃってごめんなさい~」
唯「もう~あずにゃんたら」
梓「えへへ~」
両津「もう~あずにゃんたら~」
両津「えへへ~」
……
両津「ふざけんなてめえら!!」スチャッ
澪「ぎゃああぁぁぁああ!」
中川「先輩! きっと彼女達の冗談ですよ冗談っ!」
両津「冗談だけで会話されて堪るか!!」カチッ
中川「ま、待って下さいよ先輩!」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:32:28.04 ID:CPQLyo8GO
中川「こんな所で特集課の話はできませんよ!」ヒソヒソ
両津「なぜだ! 現代にもこんな素晴らしい刑事がいるとだな……」
中川「本当に現れちゃったらどうするんですか! トラウマどころじゃ済みませんよ!」
両津「だから呼ぶんだよ。会いたいって言ってるんだから仕方ないだろ!」
中川「よ、呼ぶってまさか……」
両津「奴らは来る。必ずな」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:38:02.78 ID:CPQLyo8GO
>>79
特集課×
特殊課○
律「なに話してるんだよ~、原始人」
両津「ふふっ、お前ら刑事さんな会いたいか?」
唯「やっぱり会えるの!」キラキラ
紬「会えるなら私も興味があるわぁ」キラキラ
澪「い、いるんですか?」
両津「ああ、いるとも。もう一度聞くぞ、会いたいか?」
唯「あいたい!」
律「もったいぶらずに早く呼べよな~」
両津「ふふっ、見ていろ……」スッ
澪「ホラ貝?」
両津「スッ……」
ブオオゥオゥオオオー
……
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:42:17.59 ID:CPQLyo8GO
律「何も起こんないぞ?」
唯「あれ~?」
両津「ふふふ。まあ待ちなさい」
梓「あ、あんなので誰か来るんですかね、澪先輩」
澪「……」
梓「澪先輩?」
ドドドドド
澪「来る……足音がする」
律「え? え?」
澪「もう、すぐそこにいる……」
ドドドドド ドドドドド
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:47:24.33 ID:CPQLyo8GO
両津「来たか」
梓「な、なんか怖いです」
さわ子「何が来るっていうのよ?」
澪「もう……いる」
全員「え?」
……
ピンポンパンポーン
『えー、テステス。テステス』
律「……なんだよただの放送かよ。びっくりさせやがって」
さわ子「あら? でも今日は放送室開いてないはずよ?」
梓「へっ?」
さわ子「鍵は私が管理してるから……誰も入る事なんて……」
『あー、あー。よし』
律「じゃあこれは一体誰なんだよ!」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:52:50.54 ID:CPQLyo8GO
『では改めて……ミュージックスタートだ』
チャララ~チャ~チャチャ~♪(あの音楽)
律「うおっ! なんか流れてきた!」
紬「あ、私この音楽好きかも」
澪「マジでかっ!」
『桜ヶ丘高等学校の諸君。私は特殊刑事課の一人……汚野だ』
唯「け、刑事? 刑事さんだよ! 本当にいたんだね!」
中川「いつもの自己紹介はどうしたんですかね?」
両津「今は前座だな、気合いが入っている証拠だ」
中川「はぁ……」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 20:58:09.92 ID:CPQLyo8GO
汚野『ただ今から、けいおん部の部室にて汚野たけしスーパーイリュージョンショーを行う。興味のある方は是非……』
律「いや、あんな刑事だろ……」
唯「きっとマジシャンで刑事さんなんだよ! 怪盗キッドみたいなあんな感じでさ!」
澪「イリュージョンショーかー」
梓「ちょっと興味はありますね」
汚野『では今から部室へ向かう……待っていろ両津! ふははピンポンパンポーン』
さわ子「放送切るタイミング間違えたわね……」
澪「かっこわる!」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:02:14.25 ID:CPQLyo8GO
唯「でもすっごくイイ声してたよ~」
律「確かにあのハスキーボイスは素晴らしかったかもな」
紬「一体どんな人なのかしら~?」
さわ子(刑事さん、いい男だったらもしかして……)グッ
……
チャララ~チャ~チャチャ~♪
唯「今度は部室のアンプから音楽!」
律「どんな仕組みだよ……」
澪「ま、まさかもう……」ドキドキ
ガチャッ
全員(き、来た~!)
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:11:00.26 ID:CPQLyo8GO
スイッ
澪(……生ふともも? )
律(うわあ、嫌な予感しかしねえ)
汚野『股間のもっこり伊達じゃない』
さわ子(……)
梓「ひぇ……あ……あっ……」
汚野『陸に事件が起きた時、海パン一つで全て解決』
澪「……」バッタリ
紬「まあ……」ポッ
律「えっ、何で赤面!?」
汚野『特殊刑事課、三羽ガラスの一人。海パン刑事ただいま参上!』
全員「…………」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:20:22.48 ID:CPQLyo8GO
両津「いやあ~よく来てくれたね、うん」
汚野「久しぶりに呼ばれたからな。私もつい気合いが入ってしまったよ、ハッハッハッ」
全員「……」
中川「悪夢だ……」
両津「みんな。こちらにおわすお方こそ現代に生きる特殊刑事の汚野たけしこと海パン刑事と……」
律「嘘言ってんじゃねえ!」シュッ
両津「」ゴシュッ
両津「なにしやがる! けいおん部がスティック投げていいと思ってんのか!」
律「それは捨てるヤツだからいいんだよっ! なんだよその変態は!」
汚野「変態ではない、汚野だ」
律「変態じゃねえか!」
紬「まあまありっちゃん」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:25:03.10 ID:CPQLyo8GO
汚野「私が刑事だと信じていないようだな」
律「あったり前だ!」
汚野「ならば……」モゾモゾ
澪「ひいっ!」
梓「か、海パンの中に手突っ込んでる……」
汚野「警察手帳に名刺だ。どうぞお嬢さん方」スッ
澪「ば、ばばっちい……」
律「触れるかこんなの!」
中川「正常な反応ですね」
両津「う~む、呼んでおいてアレだが異常な光景だ」
中川「今さら気付いたんですか、もう……」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:30:03.84 ID:CPQLyo8GO
ピピピピピ
さわ子「あら、誰かの携帯?」
律「私じゃない~」
澪「私も」
唯「ゴリさんの?」
両津「わしじゃない」
汚野「私だ」スッ ピッ
汚野『ああ、私だ。うむ……うむ……』
唯「い、今あんな所から電話が出てきたよ!」
澪「いや、そうじゃなくてな……うん……」
ピッ
汚野「失礼した。部下からの定時連絡だったものでな」
律「もしかして、本当に偉い?」
中川「汚野刑事も、犯人検挙率は100パーセントですからね。出世するのは当然です」
唯「うわあまた100パーセントだ~」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:36:03.70 ID:CPQLyo8GO
汚野「先日都内で起きた誘拐事件、立て籠り事件……更には殺人事件の犯人まで全て私が検挙している」
唯「おおっ、すごい本格的!」
律「同じ100パーセントでも随分中身が違うみたいだなん?」チラッ
両津「」スチャッ
汚野「よすんだ両津。事件に重いも軽いも無い。大事なのは正義を貫く心だ」
澪「い、言ってる事はすごくしっかりしている……!」
さわ子「やっぱり本物の刑事さんってすごいのね?」
汚野「……ん、失礼。栄養補給の時間だ」スッ
梓「股間からバナナを……」
汚野「うむ、うまい」モグモグ
律「いや、うん。やっぱりダメだよこれは」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:40:51.27 ID:CPQLyo8GO
汚野「腹も膨れた所でそろそろ私のショーを始めようか」
さわ子「そんな事言ってたわね?」
汚野「ギャラリーも集まっているようだし」
ワイワイ ガヤガヤ
律「うお! いつの間にか生徒達が!」
唯「たくさんだね~」
澪「今までのやり取り見られてたのかな?」
梓「そ、そんな……新入部員の問題だってあるのに、あんな人がいたら……」
汚野「心配はいらないよお嬢さん」ヌッ
梓「ひいっ!」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:45:25.26 ID:CPQLyo8GO
汚野「私がけいおん部をPRしてあげよう。そうすれば部員が入る事間違い無しだ」
梓「ほ、本当ですか?」
汚野「私を信じなさい」
梓「は、はい……」
律「股間からバナナ出す人間信じるなよ……」
汚野「……コホン。お集まりの皆さん、ようこそスーパーイリュージョンショーへ。本日は私の……」
律「なんだか手慣れてる感じだな」
澪「うん。意外といける……かも?」
汚野「ではまずは小手調べ。超低位置リンボーダンスから……」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:51:19.30 ID:CPQLyo8GO
ズンドコズンドコ
汚野「ほっ、ほっ……ほうっ!」
律「おー、すげーすげー」
さわ子「結構やるわね!」
澪「あの股のアングルだけはどうにかならないかな……」
汚野「ふぅ……はいやっ!」
ワーワー パチパチ
澪「結構ウケてるぞ!」
律「うん。やるじゃん海パン」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 21:57:32.42 ID:CPQLyo8GO
汚野「では続いて……この海パンから何でも好きな物を取り出してみよう。そこの君、何かリクエストはあるかな?」
生徒「じゃあステーキ肉!」
律「おいおい、いきなり難問だなあ。パンツから肉が出たら苦労しないってのに」
汚野「ふっ……はっ!」テローン
\おー! すげー本当に出た!/
紬「なんで! ねえ! どうしてかなぁ!」ワクワク
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:04:09.36 ID:CPQLyo8GO
律「うん。手品だと思って割りきろうね……うん」
汚野「ん……失礼。ちょっと焼き方が足りなかった。これではレアだ」スッ ジュゥゥゥ
汚野「……ウェルダンだ」ニヤリ
律「海パンの中でステーキ焼く手品なんてねーよ!」
紬「わ、私はミディアムレアが好きなの~!」
律「焼き方の好みなんてどうでもいいんだよ!」
汚野「ふむ。焼き具合を戻さなければな……」スッ シュゥゥゥゥ
澪「ま、まさか……」
汚野「これがミディアムレアだ……」ニヤリ
紬「きゃああああ♪」キラキラ
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:08:51.11 ID:CPQLyo8GO
>>104
つい。素で忘れてました
汚野「さあ、召し上がれ」スッ
紬「い、いただきます」パクッ
律「食べるんかい!」
汚野「お味の方は?」
紬「……」
澪「ムギはグルメだからもし生半可な味だったら……」ゴクリ
ざわ……ざわ……
紬「……」
紬「星……三つです!」
汚野「ふふっ! みなさま、盛大な拍手をお願いします!」
パチパチ! パチパチ!
パチパチ! パチパチ!
汚野「さあ、次のイリュージョンは……」
律「まだやるのかよ!」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:16:05.49 ID:CPQLyo8GO
澪「ま、まあまあ律。内容はともかくさ……」
汚野「はいっ!」スッ
唯「すごいね~。何でも出てくるよ!」
澪「みんな楽しんでいるみたいだから?」
律「……そうだな。確かにちょっと品は無いかもしれないけど、体を張って頑張っているんだよな?」
汚野「鳩が出ま~す!」
澪「ああ。あの人の事ちょっとだけ誤解していたみたいだな」
律「……な。あとで謝らないとな」
梓「えへへっ、それが一番ですよ」
汚野「では、次が最後のリクエストだ」
え~、もう~?
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:22:39.10 ID:CPQLyo8GO
汚野「ありがとうみんな。最後のリクエストだ、何でも応えよう。ではそこの……君」
憂「わ、私ですか?」
唯「あれ、憂? 来てたんだね」
憂「けいおん部って言ってたから、ちょっと気になって……」
汚野「では君のリクエストは何かな? 叶えてあげよう」
憂「え、えっと……この手品の仕組みが知りたいなあ、なんて」テヘッ
汚野「……」
澪「さすがにネタバラシなんて出来ないわよね?」
律「逆にネタがあったら知りたいもんだ」
汚野「……いいだろう」
律「え?」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:28:43.10 ID:CPQLyo8GO
律「まさか本当に仕込みネタがあるのか?」
さわ子「で、でもいいんですか? 大事な手品のネタを私達に……」
汚野「私は逃げも隠しもしない。そして嘘もつかない海パン刑事だ」
律「途中ちょっと変だった気がするけど……」
紬「……」ポッ
律「だから赤面はおかしいって!」
汚野「では、このイリュージョンのタネを見せるとしよう」
……
ダダダダダダダ♪(あの音楽)
律「お、ちょっと盛り上がってきたな」
汚野「この手品には……」
……ゴクリ
汚野「とうっ」スッ
ファサッ
律「……え」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:34:04.18 ID:CPQLyo8GO
汚野「はーっはっはっ。ご覧の通りこの海パンの中にはタネも仕掛けもない」ブラブラ
澪「」
律「」
梓「」
紬「」
憂「」
さわ子「」
生徒達「」
汚野「ふふっ。あまりに見事なイリュージョンにみんな声も出ないようだな。以上、海パン刑事によるスーパーイリュー…… 」
両津「女子高生の前でフルチンになるやつがあるか!!」ボカッ
汚野「……フルチンになったのでは無い。タネ明かしをしただけだ」ブラブラ
両津「脱ぐ必要ねえだろバカ!!」
汚野「私は隠し事はしない主義だ」ブラブラ
両津「早く隠さないとお前の存在がイリュージョンになるんだぞ!!」
汚野「うるさい男だなまったく」ブランブラン
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:40:58.37 ID:CPQLyo8GO
汚野「私はリクエスト通りに仕掛けをだな……」
両津「当たり前のように裸になるんじゃない!!」
中川「せ、先輩。先輩……もう誰もいませんよ……」
汚野「なんだ、みんな帰る時は早足だな。残念な事だ」ブランブラン
さわ子「あ、あ……」
汚野「お。どうでしたか、今日のイリュージョンショーは。また是非お招き……」ブラブラ
さわ子「こ、来ないでぇぅぇぇうえ!」ダダダッ
汚野「ん……しまった」ブラブラ
汚野「ネクタイが曲がっていた。これでは逃げられて当たり前か」キュッ
両津「あれだけの生徒の前で脱いだのに全く動じていない所がすごい……」
中川「……まさに地獄でしたね」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:47:42.67 ID:CPQLyo8GO
ピピピピピ
汚野『ん、私だ……わかった、では例の場所で』
ピッ
汚野「仕事だ。困った時があったらまたいつでも呼んでくれたまえ」
中川「おそらくこの学校ではもう呼ばれないと思いますよ……」
汚野「では、さらばだ」
ダダダダダダッ
両津「よし、わしらも帰るか」
中川「ええっ、謝る話はどうなしたんですか!」
両津「そんなのいいんだよわしの目的は達した」
中川「目的って……汚野刑事を使ってイヤガラセさせる事だったんですか?」
両津「海パン刑事はただの時間稼ぎだ。わしの目的は別にある」
中川「やっぱり謝りに来たわけではなかったんですね……」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 22:53:28.23 ID:CPQLyo8GO
次の日
さわ子「朝から気が重い……」ドヨンド
さわ子「今度こそ本当に辞職になるかも……ハァ……」
さわ子「あんな生徒の前でフル、フル……ああああ!」
さわ子「もう、あんな事になるなんてついてないなあ」
ざわ ざわ
さわ子「ん……玄関に人だかりが……何かしら?」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:01:20.21 ID:CPQLyo8GO
「えー、誰よこれ?」
「なんか怖いわよね?」
「本当にこんな人がいるのかなぁ?」
さわ子「……ち、ちょっとごめんね。みんな通して?」
「あ、おはようございます」
さわ子「一体どうしたのよ。何の騒ぎ?」
「今朝学校に来たら、玄関前にこんな写真が……」
さわ子「写真?」ピラッ
さわ子「こ、これは……!」
【DEATH DEVIL】
【殺】【KILL】
さわ子(な、なななななんで私の昔の写真ががが……こんなに!)
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:05:21.64 ID:CPQLyo8GO
【地獄からの死者 S.Y参上!】
さわ子(何で私のイニシャルなのよ……!)
「怖い話ですよね。何となく不気味で……って先生?」
バリバリ バリバリ
さわ子「こ、こんなの誰かのイタズラよ! ままま、まったくけしからないわね、ね!」
さわ子「ほら、早く教室に入った入った!」
ゾロゾロ ゾロゾロ
さわ子「……ほっ」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:11:19.07 ID:CPQLyo8GO
さわ子「とりあえず私だとはバレなかったみたいだけど……誰よこんな事したの!」グシャグシャ
さわ子「……考えても仕方ないか」
さわ子「ハァ……学校入ろ……」
……
さわ子「って……」
【DEAD OR ALIVE】 【FU○K】 【Yes we can.】
さわ子「なんで廊下までビッシリ貼ってあるのよぉ~!」
さわ子「ああ、もう、もう、もう!」グシャグシャ ビリビリ
ピンポンパンポン~
『さわ子先生、お電話が入っております。さわ子先生お電話が入っております、至急職員室まで……』
さわ子「なんでこんな時にぃ……」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:17:02.95 ID:CPQLyo8GO
ガシャン
さわ子『もしもし! 誰ですか? 今私忙しいんですけど!』
『あ、あの。もしもし? いや、もしもしは……ゴニョゴニョ』
さわ子『? 誰ですか!』
『ああ、えっと……写真』
さわ子『……! 写真がどうしたの? え?』
『あ~、誠意を見せて欲しい』
さわ子『せ、誠意?』
さわ子(さっきから何よ……言葉もチグハグだし文章になってないし……)
『東京銀行』
さわ子『銀行?』
『3367……428……』
さわ子(え、何? 銀行……口座の番号?)
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:23:08.89 ID:CPQLyo8GO
さわ子『ま、待って……メモ、メモ』カキカキ
『……』ガシャン
さわ子『ちょ、ちょっと……?』
ツー ツー
さわ子「……」
さわ子「何なのよ! もう」
さわ子(とりあえず数字のメモはできたけど……銀行……誠意……)
さわ子(……お金? これ口座番号かしら?)
さわ子(お金振り込んだら写真を……?)
さわ子(あれ、でもこれって……よくある手口だった気が?)
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:28:49.90 ID:CPQLyo8GO
放課後
澪「オレオレ詐欺?」
梓「学校でですか?」
さわ子「本当なのよ! お金を振り込まないと写真をまたバラまくって……うぅ……」
律「確かに、校舎に貼られてたさわちゃんに最初はビックリだったけどさ……」
唯「誰にもさわちゃんの正体は言ってないから大丈夫だよ」
さわ子「ううっ、ありがとうみんなぁ~……」
律「よしよし」ナデナデ
紬「……先生、ちょっといいですか?」キリッ
澪(ム、ムギが何だか……シャキーンとしてる?)
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:33:46.91 ID:CPQLyo8GO
紬「その電話の人……どんな声をしてましたか?」
さわ子「えっ? そうね……男の人だったけど、ちょっと初老が入ったみたいな枯れた感じの声だったかな?」
紬「ボイスチェンジャーとか使っていたりしませんでしたか?」
澪「ボ、ボイスチェンジャー?」
さわ子「普通の声だったわね~」
紬「ふむ……」
律「どうしたんだよムギ。いきなり探偵ごっこかあ?」
紬「……みんなには、話しておいた方がいいみたいね」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:39:46.41 ID:CPQLyo8GO
……
さわ子「……あの原始人が?」
紬「ええ。私も昨日圭一様から電話で聞いたんですけれど……」
梓「過去にそんな悪どい事をしていたんですね……」
律「パトカー壊す、寮や署を爆発させたり……」
澪「すごい経歴の持ち主だな……」
紬「何より彼は……お金のためなら何でもするのよ」
さわ子「お金……! そ、それなら今回の事件も?」
律「私もそう思うな」
唯「ん~、悪いゴリラさんには見えなかったけどな~」
澪「話だけだと信じがたいよな」
梓「でも! 中川さんが言ってたんですよねムギ先輩?」
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:45:23.49 ID:CPQLyo8GO
紬「身の回りで何か起こったら、まず間違い無い、と……」
さわ子「よ、よし。それならさっさと捕まえて……」
紬「いえ。今問い詰めても証拠がありません」
律「この口座番号じゃあダメなのか?」
紬「多分、全然関係ない人の口座でしょうね。お金を振り込ませるためだけの……ね」
律「本当に警察官かよ……あの原始人」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:50:59.62 ID:CPQLyo8GO
律「昨日のフルチン刑事だって原始人の仕業かよちくしょー!」
澪「律、名前が違って……」
律「あんな変態もうたくさんだ!」
唯「あははっ、憂もあれから寝込んじゃったんだよね……」シュン
律「あー。リクエスト者に見せつけるようなポーズだったからねー」
澪「トラウマどころのダメージじゃないだろうな……」
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:54:03.12 ID:CPQLyo8GO
紬「圭一様にこの口座の事は調べてもらいます。念のため……先生と学校にも警備の者をつけましょう」
さわ子「あ、ありがとうムギちゃ~ん!」ギュッ
紬「みんなも十分に気をつけて。特に……唯ちゃん」
唯「なんで私~?」
紬「数日前に消火剤かけたでしょ? 多分あれよ、あれ」
唯「そ、そうなのかな?」
紬「とにかく宅急便とか、郵便とか……外部からの警戒は怠らないで。もしかしたら大量の……が……」
唯「い、いやだよいやだよ!」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/28(水) 23:58:09.59 ID:CPQLyo8GO
紬「まあ、言ってる私も危ないんだけどね~」ニパァ
澪「あ、ちょっと戻った」
紬「何かあったらすぐに言ってね? 唯ちゃんの家にもすぐにSPを送るから」
唯「あ、ありがとうムギちゃ~ん!」
紬「あらあら、うふふ」
律「今日のムギは何だか頼りになるな」
梓「あの眉毛がいつもよりキリッとして見えました」
澪「ふふっ。三つ目がとおるみたいだよな」
律「?」
梓「?」
澪「な、何でもない……」
……
両津『そうか、眉毛か……フフフッ』
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:04:42.12 ID:dewxfyM5O [1/104]
深夜
両津「ここが眉毛の家か。贅沢な家に住みやがって」
両津「まあいい……よし、作戦開始だ」
両津「最初の目的地は……中庭か……スタートだ!」
……
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:08:38.31 ID:dewxfyM5O [2/104]
同日お昼前
両津「よう、ボルボ」
ジャーン ギュイーン
ボルボ『育ち盛りの欲張り恋心ー!!』
左近時「イェイ」
ボルボ『大好き! コトコト煮込んだカレー……』
ジャーン ジャーン
両津「……」
ボルボ「……ん、なんだ両津じゃないか。メンバー募集の張り紙を見て来たのか?」
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:13:14.88 ID:dewxfyM5O [3/104]
左近寺「とうとう両津も目覚めたか」
両津「違う、わしは音楽をしに来たんじゃない! 大体何で道場でバンドやってるんだよ!」
ボルボ「場所が無くてな。左近寺がこの道場なら使ってもいいと」
左近寺「ああ。明日からは新メンバーも入るからな。歓迎会のためにこうして練習をな」
両津「……まあいい。ボルボ、ちょっと頼みたい事があるんだ」
ボルボ「……仕事か?」キリッ
両津「そうだ」
両津(よし、ボルボの目はまだ死んでいない)
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:21:05.55 ID:dewxfyM5O [4/104]
両津(それに引きかえ……)
左近寺「ああっ、ムギュゥゥゥゥゥ!」
ボルボ「……用件を聞こう」フゥーッ
両津「これを見てくれ」ペラッ
ボルボ「屋敷の見取り図か?」
両津「時間が無かったからな。外観の分しか資料が無いが……」
ボルボ「……」
両津「ズバリ、この屋敷に……潜入したい」
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:25:44.14 ID:dewxfyM5O [5/104]
ボルボ「条件は?」
両津「夜から深夜に掛けてだが、短ければ短い方がいい」
ボルボ「任務内容は?」
両津「寝室への侵入だ」
ボルボ「しかし外観だけでは部屋の造りまでは……」
両津「中の探索はわしが一人で行う。ボルボは外……侵入ルートだけ考えてくれればいい」
ボルボ「なるほど、今回の仕事はアドバイザーか」
両津「ああ、頼む」
ボルボ「……この屋敷の立地条件は?」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:31:12.77 ID:dewxfyM5O [6/104]
両津「まず屋敷の周りには森と平地が広がっている……大きさは皇居と同じくらいだ。その中心に屋敷がある」
ボルボ「なかなか広いな。当然、四方の壁には監視カメラや電気鉄線……警備の者がいるだろうな」
両津「上空からパラシュートを使って庭に降下する作戦はどうだ?」
ボルボ「おそらく何処かのエリアは地雷元になっているはず。庭に降りるのは危険だ」
両津「庭に闇雲に降りるのはバツ、と……」
両津「じゃあ思いきって屋根の上に降りるのはどうだ?」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:36:41.54 ID:dewxfyM5O [7/104]
ボルボ「おそらく屋根にセンサーがついているだろう。着地した瞬間に警報が鳴るはずだ」
両津「空からは無理か……やはり地上か?」
ボルボ「軍事施設なら偽のIDを発効したり荷物に紛れる事はできるが」
両津「そういう施設じゃない。パスだ」
ボルボ「警備員に成り済ます方法はどうだ?」
両津「ダメだ。今回は準備の時間が無い」
ボルボ「それならば……ん?」
ボルボ「庭の中に……こんな大きな池があるのか?」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:39:45.56 ID:dewxfyM5O [8/104]
ボルボ「そして近くに流れる川……」
両津「ボルボ?」
ボルボ「よし両津。潜入ルートが決まったぞ」
両津「なんだと? 一体どこから?」
ボルボ「いいか、まずはこの川の上流から……」
両津「ふむふむ……」
ボルボ「おそらくこの辺りに水路があって……」
両津「……」
ボルボ「そして、ここがスタート地点になるわけだ」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:42:32.77 ID:dewxfyM5O [9/104]
両津「なるほど。川から池の中に潜入するわけか」
ボルボ「これだけしっかりした庭なら、水をちゃんと外に流すための水路はあるはずだ。そこからなら……」
両津「サンキューボルボ」
両津(へへっ、後は夜を待って忍び込むだけだ……待っててね眉毛ちゃん、と)
……
……
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:53:16.14 ID:dewxfyM5O [10/104]
屋敷内
両津「へへっ。あっさり潜入できたぜ」
タタタッ
両津「しかし……あまりに広いとは言え妙に静かだ。家具だって王様みたいで何だか落ち着かんな」
両津「……ん?」
キラッ
両津「こんな所に……金のフォークが……」
両津「な、なんだ……何かの罠か?」キョロキョロ
両津「でも」
キラキラ
両津「……」ゴクリ
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 00:57:07.25 ID:dewxfyM5O [11/104]
両津「この金のフォークとか、持って帰っちゃおっかな~」
……
「……モニターに映します」
ピッ
両津『持って帰っちゃうもんね~』スッ
両津『へへへっ。驚かせやがって……何も起こらないじゃねえか。おっ!』
両津『今度は宝石が落ちているぞ!』
両津『小判! 金塊! うひょひょひょひょ!』
斎藤「紬様の仰られた通り……なんたる不届き者……」
両津『いやあ、金持ち万歳! お金最高!』
「すっかり有頂天ですよ……」
斎藤「放っておきなさい。そろそろあの部屋の中に着くはずですから、ね」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:01:09.77 ID:dewxfyM5O [12/104]
両津「いやあ、ここはいいお家だなあ……」キラキラ
両津「……って違う! こんな物のためにここまで来たんじゃない!」ブンッ
グッ
両津「くっ、手が宝石を離してくれない……!」
両津「くそっ! 早く眉毛の寝室を見つけな……ん?」
【札束の間】
両津「さ、札束の間だと!」
両津「……い、いや。いかん。早く寝室を探さねば……」
【札束の間】
両津「……」ゴクリ
両津「ち、ちょっとだけなら……ソーッと、ね」
ガチャリ
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:07:28.34 ID:dewxfyM5O [13/104]
両津「う……うひょぉぉぉ!」
両津「部屋一杯の……札! 札! 札!」
両津「こ、これ全部……ゆ、諭吉だ……」
両津「い、い、いやっほぁぉぁぉああ! これで一生遊んで暮らせるぞ!」
モニター室
斎藤「……」
紬「……」
両津『いやっふぉぉぉ! わしの金だぁぁぁぁぁ!』
両津『ひゅひょあー! うぇーい!!』
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:12:54.45 ID:dewxfyM5O [14/104]
斎藤「……いかがなさいますか?」
紬「そうねえ……眠ってもらって屋敷の外に追い出しましょうか~?」
両津『うっひょぉぉぉ! 眉毛ちゃん最高! ムギュゥゥゥゥゥ!!』
両津『眉毛最高ぅぅ! 沢庵和尚ありがとうぅぅぅ!』
紬「うん。やっぱり地下に落としてあげて?」
斎藤「かしこまりました」ポチッ
両津『ん、何だか腰が浮く感じがして……ん?』
ズドドドドッ
両津『ぎ……ぎょぇぇぇええ!!』
紬「……」
斎藤「終わりました」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:21:11.43 ID:dewxfyM5O [15/104]
バラバラ バラバラ
両津「ちくしょー! 騙しやがったなあの眉毛!」
ヒュー
両津「札束ごと落とすなんて人間じゃねえぞ!」
ヒュー
両津「ったく、これだからお嬢様ってやつは……って……」
ヒュー
両津「一体どこまで落ちるんだ、わし……」
ヒュー ドボン!
両津(ぶふぁ……み、水? またどこかの地下水路か?)
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:24:32.25 ID:dewxfyM5O [16/104]
……ギラリ
両津(ん、今何か水中で光ったような……)
クロコダイル「……」ギラッ
両津「ぎ……ぎょえぼぼぼっ! ワ、ワニだワニ!」
クロコダイル「グバァ!」ギラッ
両津「……なんで獰猛なクロコダイルがこんな所にいるんだよ!!」
クロコダイル「……」ギラッ
クロコダイル「……」ギラッ
両津「ここまでやる事ないだろうがあぁ!」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:28:18.50 ID:dewxfyM5O [17/104]
紬「地下の様子はどうだったかしら?」
斎藤「ご指示通り、ペットのワニには昨日から餌を与えておりません」
紬(うん……それならもう安心ね)
斎藤「紬様、そろそろお休みになられては……」
紬「そうね。今日はもう疲れたわ……おやすみ斎藤」
斎藤「おやすみなさいませ」スッ
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:33:36.13 ID:dewxfyM5O [18/104]
次の日 放課後
さわ子「ほ、本当に? 本当にもう写真は貼られないの?」
律「それにもう唯も狙われないって……」
澪「あ、もしかして昨日の口座であっさり犯人逮捕とか?」
紬「ううん。口座はやっぱり違ったのよ……」
ガチャリ
中川「それについては僕の方から説明します」
さわ子「な、中川さん……!」
紬「今回の事件のためにわざわざ来てもらったのよ」
中川「事件とは別に、ちょっと気になる事もあったからね」
澪「そ、それで……口座は結局誰の?」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:42:32.86 ID:dewxfyM5O [19/104]
中川「詐欺でよく使われるのと全く同じ……他人名義の口座だよ」
律「どうやって作ったんだろうな?」
中川「違法なサイトにアクセスして一日で作ったらしいよ。先輩はそういうの得意だから……」
澪「警察のやる事じゃないな……」
中川「次に電話の正体だけれど……」
さわ子「だ、誰だったんですか? やっぱりその……」
中川「先輩じゃあありません。先輩の馴染みの、プラモ屋のご主人だったんですよ」
梓「プ、プラモですか?」
唯「え~? じゃあ共犯って事?」
紬「はたして共犯と言えるかどうか……」フゥ
中川「……話によるとね」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:48:09.89 ID:dewxfyM5O [20/104]
数日前
両津「うおっすプラモ屋」
尾崎「な、なんだい両さんかい。朝から元気だね」
両津「そういうプラモ屋は元気無いじゃないか?」
尾崎「不景気だよ不景気。近ごろ商品がメッキリ売れやしない……誰かさんがキッチリ借金返してくれりゃあ、首も回るんだけどね」チラッ
両津「実はな、今日はその話をしに来たんだ」
尾崎「ハァ……もうツケは無理だよ。五百円でもいいから、借金払ってくれってんだ……」
両津「だから違う! ほれ!」スッ
尾崎「こ、これは……五万円も……」
両津「ふっふっふっ」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:52:35.51 ID:dewxfyM5O [21/104]
尾崎「え……明日の朝に?」
両津「そうだ。この電話番号にかけて……上から順にこの単語を読むだけでいいんだ」
尾崎「なになに……先生の山中さんをお願いします……?」
尾崎「写真……銀行……なんだいこりゃ? まともなのは最初の文だけじゃないか」
両津「いいんだよそれで。山中という女教師が出たら下の単語を読み始めればいい」
尾崎「……こんなんで借金返してくれんのかい?」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 01:57:45.44 ID:dewxfyM5O [22/104]
両津「その証拠にこの五万円を渡すんだ! いわばこれは誠意の金だ!」
尾崎「まあ、両さんが競馬で買った時意外に金を払うなんて珍しい事だけどさ……んー……」
両津「どうした! 何を迷う事があるプラモ屋!」
尾崎「でもこれって、その……オレオレ詐欺みたいなもんじゃないのか?」
両津「」ドキッ
尾崎「この誠意とか銀行口座とかさ……両さん、この銀行の口座持ってたっけ?」
両津「そ、それは……」
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:02:25.60 ID:dewxfyM5O [23/104]
>>168
買った×
勝った○
尾崎「悪いけど、悪事には手は貸せないんでね。説明ができないんじゃあ……」
両津「うっ、ううっ……」ポタポタ
尾崎「り、両さん? もしかして、泣いているのかい……?」
両津「す、すまん……情けない所を見せちまった……」
尾崎「いいんだよそんなの気にしないで。俺と両さんの仲だろ?」
両津「プ、プラモ屋……」グスッ
尾崎「さ、涙を拭いて。何があったか話しちゃくれねえかい?」
両津「ああっ、話すとも……話すとも!」
両津「……あれは忘れもしない去年の暮れ……」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:10:56.30 ID:dewxfyM5O [24/104]
両津「実家に帰省していたわしは、家族三人で鍋をつついていた……今年最後の食事だったんだ」
両津「雪が降りだしそうなくらい寒かった大晦日……覚えているだろプラモ屋!」
尾崎「あの日は夜風が身にしみたねぇ……」
両津「そんな中親父が突然言い出したんだ……オデンが食べたい、と」
尾崎「気の強い親父さんだからねぇ」
両津「でもお袋は……嫌な顔一つせずに買い出しに向かう準備をし始めたんだ……」
尾崎「いいお袋さんじゃないか。十何年一緒にいると、流石に人間ができてるねえ」
両津「……」グスッ
尾崎「そ、それで?」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:14:58.77 ID:dewxfyM5O [25/104]
両津「しかしわしらが、その日オデンを食べる事は無かったんだ……」
尾崎「年末じゃあお店もやってないだろうし……」
両津「違う! 店はやっていた! ちゃんとオデンの具だって買っていたんだ!」
尾崎「それじゃあ……ま、まさか」
両津「そうだ。帰りに車にはねられて……お袋はその日家に帰って来なかった」
尾崎「まさか、もう生きてないんじゃ……」
両津「いや、幸い一命は取りとめた。しばらくは寝たきりだったが……ううっ」グスッ
尾崎「大変だったんだな、両さんも」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:19:12.26 ID:dewxfyM5O [26/104]
両津「お見舞いに行って愕然としたよ。痩せこけた頬に痛々しい包帯……わしゃ見てられんかった!」
尾崎「っ……ぅ」グスッ
両津「枕元にはボロボロになった買い物かご……ふと中を見てみると、大量の……大量の……うっ……」
両津「ち、ちくしょう。思い出しただけで涙が……」
尾崎「い、いいんだ両さん! もうわかったから! 言わないでも俺には全部わかったから!」
両津「わしのために泣いてくれるのか、プラモ屋!」
尾崎「ああ、ああ……もちろんだ!」
両津「プラモ屋……」
尾崎「両さん……」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:23:24.88 ID:dewxfyM5O [27/104]
……
中川「……という話が」
律「ポカーン」
澪「……」
唯「ううっ、両さん可愛そう……」グスッ
律「せんせー、一名本気で泣いとります」
澪「……」ウルッ
律「いやお前もかよ!」
澪「だ、だってそんな過去があるなんて……」
梓「なんだかちょっとだけ……同情しちゃいますね」
紬「うふふっ。でもこれで終わったわけじゃないのよ?」
さわ子「?」
中川「ええ。この話の後にですね……」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:28:09.32 ID:dewxfyM5O [28/104]
尾崎「……で、その話がこの紙とどんな関係が?」
両津「そこに書いてある山中という名前だ! そいつが……そいつがわしのお袋を車ではねた張本人なんだ」
尾崎「こ、この人がかい?」
両津「わしはあれから懸命に捜査をした。雨の日も風の日も……現場に通い詰めて千回現場を調べた」
両津「そして、ある一台の車がリストに挙がった! それこそがこの……」
尾崎「山中という人物の車か……」
両津「その通り!」
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:33:29.88 ID:dewxfyM5O [29/104]
尾崎「しかしそこまでわかってるなら、こんな回りくどい事しないでもいいんじゃないかい?」
両津「その山中はトンデモナイ奴でな。自分がひいたにも関わらず治療費は払わない、病院にも顔は見せず……」
尾崎「おいおい、本当かい?」
両津「冗談だったらどんなにいいか! 日に日に痩せていくお袋。手術の金も無く……病院を追い出されるわで……」
尾崎「そ、そんなに……」
両津「だからこそ! その電話が必要なんだ! 金は払ってもらわなくても伝えたいんだ。苦しんでいるお袋がいる事を……」
尾崎「り、両さん……!」
両津「これを聞いてまだわしが悪だと言うのなら、わしは去る」スッ
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:37:27.48 ID:dewxfyM5O [30/104]
両津「あばよプラモ屋」
尾崎「ま、待ってくれ。この五万円はどうするんだ!」
両津「手切れ金だ、取っておいてくれ。今までありがとうよ……」
尾崎「両さん……」
両津「じゃあな……」
尾崎「……」
尾崎「なあ両さん。明日の何時に電話すればよかったんだっけな?」
両津「……プラモ屋?」
尾崎「あーあ。実は昨日ちょっとした団体さんが来てな。金には困ってないんだよ」スッ
尾崎「この五万円は、お袋さんに何か美味いもんでも食べさせてやんなよ」
両津「プラモ屋……うっ……ううっ……」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:40:20.05 ID:dewxfyM5O [31/104]
尾崎「泣くなよ。俺がこんな電話くらいかけてやるから、な?」
両津「う、うおおお! ありがとうプラモ屋! わしはいい友人を持ったなあ……」
尾崎「よ、よせやい。そんな事言われたら……照れるぜ」
両津「プラモ屋!」
尾崎「両さん!」
ガシッ(握手)
……
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:44:46.96 ID:dewxfyM5O [32/104]
中川「以上です」
さわ子「わ、わわ私事故なんて起こしてないわよ?」
唯「え? そうなの?」
さわ子「あったり前よ」
中川「念のため、先輩の実家に連絡してみましたが事故の事実は無いそうです。先輩のお母さんもピンピンしてました」
律「大嘘すぎんだろ! さわちゃん犯罪者にして母親までダシに使うなんて!」
中川「先輩だから……」
澪「その言葉だけで納得でき始めてるのが悲しいな」
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:50:39.12 ID:dewxfyM5O [33/104]
唯「プラモ屋さんもやっぱり共犯になっちゃうのかな?」
中川「先輩に騙されての犯行だからね。注意という形だけで終わると思うよ」
紬「義理人情のあるいい人よね、プラモ屋さんて」
梓「ひどいのはやっぱり両さんですね」
律「あ、でもこれだけ証言があるなら捕まえちゃえばいいんでない? そのプラモ屋が持ってたメモとか証拠にさ~」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 02:56:50.32 ID:dewxfyM5O [34/104]
中川「メモはあったけど、逮捕はできないだろうね。言い逃れもするだろうし」
律「あ、どんな言い逃れするかみんなで考えてみようぜ?」
澪「……プラモ屋が勝手にやった事だ?」
梓「し、証拠はあるのか証拠は?」
律「そこに書いてあるのはただの単語だ!」
紬「わしが恐喝などするはずないだろ~」
さわ子「死ね、バーカバーカ」
律「発言と考え方が全部子供すぎる……」
澪「小学生以下かもね」
梓「綺麗な心がある分、小学生の方が偉いと思いますよ……」
律「ちげえねえや」
さわ子「も、もう話は終わりですか?」
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:02:38.67 ID:dewxfyM5O [35/104]
中川「僕の用事はあと……これを」カチャッ
唯「何この機械?」
澪「パッと見エフェクターに見えるが……」
中川「これは盗聴機を探知できる機械だよ。この部室に盗聴機が無いか……ね」
梓「と、盗聴!」
中川「海パン刑事が来てた時、先輩が色々やってたみたいだからさ……一応」
律「あの原始人、そんな事まで!」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:05:14.47 ID:dewxfyM5O [36/104]
中川「もし機械があったら音が鳴るけど……さすがにそんな事は無いと信じてるよ」
律「中川さんは……信頼してるんですね?」
中川「僕は先輩を信じるよ。いくら先輩でも女子高の部室を盗聴なんて、ね」ピッ
ピーッ ピーッ ピーッ
ビーッ ビーッ ビーッ
ピピピピ ピピピピ
唯「うわ~めっちゃ鳴ってるよ~」
中川「……」
律「信頼する相手、変えたら?」
中川「……考えておくよ」
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:12:30.27 ID:dewxfyM5O [37/104]
……
中川「これで全部かな」
澪「やれやれ」
律「よくあるよあの原始人も」
さわ子「ま、また襲って来ないかな?」ブルブル
紬「その心配は無いですよ」
梓「ム、ムギ先輩?」
中川「実は昨日から先輩の姿が見えないんだ」
澪「え?」
紬「私の家に侵入しようとしたみたいなんだけど……セキュリティに引っ掛かったみたいなの」
律「ムギん家に忍び込むなんて……金か! 金なのか!」
紬「私の眉毛を全部抜き取るってお友達に売り付けるつもりだったみたいよ?」
律「そんなの買うやつがいんのかよ……」
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:18:00.68 ID:dewxfyM5O [38/104]
紬「SPに捕まって、外に追い出したんだけど……帰っていないみたい」クスッ
律「またどこかで下らない計画たててるんじゃね?」
中川「全く連絡がとれないから不安なんだ。以前、車のトランクの中に3週間ほど入っていた事があって……」
律「どんな状態、それ!」
紬「石膏でガチガチに体が固まって、増えるワカメに囲まれながらも生きていたそうよ」クスッ
律「いや、だからね……」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:22:05.30 ID:dewxfyM5O [39/104]
中川「とにかく何かあったらここに連絡を」スッ
さわ子「え……あ! 名刺ゲットー!」
中川「はい、みんなにも」
梓「ど、どうも」
澪「なあなあ、なんかキラキラしているぞ?」
中川「ははっ、ただ純金が散りばめられているだけだよ」
唯「じゅんきんかあ~! キラキラ綺麗だね」
律「一枚いくらだよこれ……」
中川「じゃあ、僕は勤務に戻るから、また」
ガチャッ
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:25:14.08 ID:dewxfyM5O [40/104]
紬(……)
紬(人食いワニに囲まれて生きているわけないわよね?)
紬(うん、きっとそうよ。ちょっとやり過ぎたかもしれないけど……両津さんですもね)
紬(今ごろはお金と一緒に食べられちゃってるわよ……ね)
唯「安心したらお腹すいたぁ~。ムギちゃんお菓子~」
紬「はいはい。今お茶いれるからね」クスッ
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:29:30.56 ID:dewxfyM5O [41/104]
ガシャン ガシャン
……
ガシャンッ!
両津「ぷは! やった地上に出られた!」
クロコダイル「クゥ~ン」
クロコダイル「クゥ~ン」
両津「お前たちはここまでだ。ありがとよ」
クロコダイル「……」バシャッ バシャッ
両津「……」
両津「これで終わったと思うなよ! わしは……地獄の底から帰って来た!」
両津「絶対に……仕返ししてやるからな……!」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 03:32:02.64 ID:dewxfyM5O [42/104]
ちょっと休憩。
後半はもう少し簡潔にまとめたい。
書いてると自然に間延びしちゃう感じに……すんません
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:13:21.11 ID:dewxfyM5O [43/104]
数日後
ジャーン ジャーン
ボルボ「ふわっふわタ~イム!」
左近寺 本田「ふわっふわタ~イム!!」
ジャーン ジャーン
ボルボ「センキュウ!!」
左近寺「……よし、休憩だ」
本田「だいぶ形になってきましたね~」
ボルボ「うむ。あとはドラムが入ってくれれば完璧なんだかな……」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:17:18.57 ID:dewxfyM5O [44/104]
両津「相変わらずだ元気にやってるな」
左近寺「ん?」
本田「せ、せんぱ~い?」
ボルボ「両津か、あれから連絡が取れなくて心配したぞ」
両津「……ああ、実はその事で話があるんだ」
ボルボ「また何処かに忍び込むのか?」
両津「そんな事はせん。実はわしも……音楽をやりたくなってな」
左近寺「ほ、本当か両津!」
ボルボ「歓迎するぞ」
両津「だがわしがやるのは……こんな軟弱な音楽じゃない」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:22:32.73 ID:dewxfyM5O [45/104]
左近寺「な、軟弱だと!」
ボルボ「いくら両津でもHTTをバカにするのは許さんぞ!」
本田「そ、そうですよせんぱ~い……」
両津「わしがいってるのはそういう事じゃない。軟弱なのはお前らの事だ!」
左近寺「お、俺たちが軟弱だと?」
両津「そうだ! 楽器にも歌にも罪は無い……お前達自体が軟弱なんだ!」
ボルボ「俺たちは、これでも一生懸命やってるんだ!」
本田「そうですよ~。確かにまだバンドとしてはダメダメレベルかもしれないっすけど~……」
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:26:40.40 ID:dewxfyM5O [46/104]
両津「本田、そういう事を言ってるんじゃない……わしらは今まで何をやってきた?」
本田「え~?」
両津「ギターを弾く前だ! わしらは何を叩いていた!」
本田「わ、和太鼓ですか?」
両津「そうだ! 太鼓に赤ふん! これがわしらのスタイルだっただろ!」
ボルボ「今はこのスタイルだ」ジャーン
左近寺「俺も」ポーン
両津「……あああ、可愛そうに。紬ちゃんに嫌われちゃうな~っと。おっといけない。一人言一人言」
左近寺「な、何ッ! どういう意味だ!」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:30:54.93 ID:dewxfyM5O [47/104]
両津「実は僕ちん紬ちゃんのお家に遊びにいったんだよね~」
左近寺「なんだと!!」
両津「その時彼女が言ってた言葉がね~……」
紬『私、男らしい太鼓を見るのがずっと夢だったの~』
……
左近寺「ほ、本当に彼女がそう言ったのか! え!」ギュッ ギュッ
両津「く、苦しい……ほ、本当だ!」
左近寺「……」スッ
両津「ゲホッゲホッ……どうだ左近寺? お前の中の男を彼女に見せたくないのか? ん?」
左近寺「お、俺は……」
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:35:11.12 ID:dewxfyM5O [48/104]
左近寺「俺は……キーボードを卒業するぞ! ムギゅぅぅぅうう!」バッ
両津(まずは一人)
ボルボ「ふん……今は和太鼓よりレスポールだ。この重量感がたまらん」
両津「レスポールと言えば……唯ちゃんがね~……」
ボルボ「な、なんだ! 何か言ってたのか?」
両津「いやあ、最初に会った時にさ、よくボルボに触ってたじゃない?」
ボルボ「あれには正直参ったが、悪い気はしなかったな」
両津「でね、みんなが帰った後にちょっとお話する機会があって……そしたら唯ちゃんがね」
ボルボ「……」ゴクッ
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:39:22.70 ID:dewxfyM5O [49/104]
唯『うんたん♪きんにく♪』
唯『きんにく♪きんにく♪』
……
両津「ありゃあ相当な筋肉マニアですぜ旦那」
ボルボ「お……お……」
両津「まあ、いくらギターが上手くても筋肉が見えないんじゃあ彼女が振り向く事なんて……」
ビリッ ビリッ
ボルボ「ふ、ふふっ……きんにく♪ きんにく♪」
両津(よし、こいつらが味方につけば……!)
両津「ふっふっふっ……まずは第一歩だ!」
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:43:39.66 ID:dewxfyM5O [50/104]
桜ヶ丘高校
唯「お茶おいし~」
澪「もうすぐ発表会があるんだから……いいかげん練習するぞ?」
唯「まだ先なんだから平気だよ~」
律「いやあ町のお偉いさんも来るからなあ……ここは真面目に練習しとこうぜ?」
梓「り、律先輩が珍しくやる気です!」
律「へへ~。コンクールで一等になったら10万円分の商品券だぜ? 気合いも入るってもんさ」
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:49:15.21 ID:dewxfyM5O [51/104]
紬「でも、音楽だけじゃなくて文化的な発表なら何でもオーケーだから……ハードルは高いかもね?」
唯「文化的って?」
澪「演劇とかダンスとか……そんな感じかな?」
梓「参加する人も多いみたいですね……私達が一等なんて……」
律「やる前から諦めない! ふて腐れる暇があったら練習練習!」
澪「ほ、本当にやる気だ……」
梓「ですね……よしっ! 私も頑張らないと!」
紬「あらあら」ウフフ
唯「あ~ん」パクッ
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 04:55:39.95 ID:dewxfyM5O [52/104]
ドンドドンドドン
左近寺「うりゃ!」
ドンドドンドドン
ボルボ「よっ!」
ドンドドンドドン
本田「なんで僕まで~!」
両津「文句を言う暇があったらもっと力を入れろ!」
本田「太鼓なんて僕には無理ですよ~!」
両津「仕方ないな、ほれ」ポイッ
本田「な、なんですか~このバチは?」
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:00:09.66 ID:dewxfyM5O [53/104]
両津「特別に作って貰ったバイクハンドル型のバチだ。ブレーキのリアルな作りが特徴だぞ」
本田「ハァ……こんなので太鼓なんか叩けるわけ……」グッ
本田「お、お、お……!」
ドンドドンドドン!
本田「テメェら!! 気合い入れて叩きやがれぇ! おら、どうしたどうしたぁ!!」
左近寺「おうっ!」
ボルボ「おうっ!」
ドンドドンドドン
両津「これだけ騒いでくれれば大混乱だな……ククッ」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:03:25.35 ID:dewxfyM5O [54/104]
発表会当日
澪「い、いよいよだな……」
紬「コンクールの前ってやっぱり緊張するわね~」
律「ここまで来たんだ。頑張ろうぜ!」
梓「はいっ!」
憂「頑張ってね、お姉ちゃん! 私も客席から応援してるからね」
唯「ありがとう憂~」
憂「うん!」
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:08:49.26 ID:dewxfyM5O [55/104]
左近寺「い、いよいよだな」
ボルボ「発表の前は緊張するな」
本田「ほ、ほんとですね~」
ボルボ「しかし……本当に大丈夫なのか両津。演奏中に乱入なんて」
両津「HTTとは既に打ち合わせ済みだ。曲が盛り上がった所で更にわしらが出て盛り上げる……これぞ祭りだ!」
左近寺「しかし乱入などやはり、な」
両津「今日のためにわざわざ神輿まで借りてきたんだ! 今さら中止になんてできるか! お前らの男を見せつけてやるんだろ!」
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:16:08.39 ID:dewxfyM5O [56/104]
左近寺「そ、そうだ。俺は今日ムギに男を見せるんだ」
ボルボ「俺も唯ちゃんに……」
本田「ぼ、僕はやっぱり澪ちゃんかな~」
両津「そうだ! 脱いで叩いて見せ付ける! これが俺たち男気薔薇時間のモットーだ!」
全員「おう!」
両津「よし。じゃあこの神輿を入り口まで運んでおいてくれ。わしはサプライズのための用意だ」
本田「サプライズですか~?」
両津「客席からバァーンと現れるアレだよ。神輿が入ってきたら登場だ」
ボルボ「なるほど」
両津「よし、行くぞ野郎共!!」
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:21:15.59 ID:dewxfyM5O [57/104]
文化ホール外
憂「ふぅ……戻らないと。あんなにおトイレ混んでるんだもんなぁ」タタタタッ
両津「ヘッヘッヘッ。ついにこの日がやって来たぜ。奴等の舞台を台無しにして……」タタタタッ
ガツン
憂「きゃっ!」
両津「うおっ……と。悪いな大丈夫か?」
憂「……は、はい。大丈夫で……あ」
両津「ん? あんたどっかで……」
憂(こ、この人……前に学校に来ていた……あ、あ……)ガタガタ
両津「……思い出した。確か海パン刑事を丸裸にした子か」
憂「な、なんて覚えかたしてるんですか?」
両津「はははっ、冗談だよ冗談」
213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:26:06.07 ID:dewxfyM5O [58/104]
憂(なんだか優しい感じ……聞いていた程悪い人じゃないみたい)
両津(ゲヘヘッ。あの眉毛ちゃんの困る顔が見られると思うと今からご機嫌だぜ)
憂(そ、そうだよ。本当はきっと優しい人なんだ。初対面でゴキジェットさえかけられなければ、みんなともきっと仲良く……)
両津「じゃあ、またなお嬢ちゃん」
憂「あ、あの! 待って下さい」
両津「ん~? わしは急いでるんだがな」
憂「ご、ごめんなさい……でも、どうしても謝りたくてつい……」
両津「謝る? わしに?」
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:30:17.67 ID:dewxfyM5O [59/104]
憂「初日にお姉ちゃんが……大変失礼をしたみたいで、ごめんなさい」ペコッ
両津「あー、いいのいいの。もう気にしてないから」
両津(今からそのお姉ちゃんの所に行くんだから)
憂「よくありません! 話を聞いてると、お姉ちゃんしっかり謝ってないみたいですし……」
両津「いやあ謝りなんていらないんだよ、うん」
憂「ダメです! お姉ちゃん言ってました。もう一度両さんと会ってお話してみたい、って」
両津「なんだって……?」
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:35:53.04 ID:dewxfyM5O [60/104]
お見舞い
唯「……だって楽しいじゃん。あの刑事さんも面白かったし~」
憂「さ、最後の以外はまだ楽しめたけどさ……」フラフラ
唯「大丈夫~?」
憂「う、うん。まだクラクラするけど……平気だよお姉ちゃん」
澪「まあ、元気そうでよかったよ」
梓「寝込んでるって聞いてビックリしたよ」
律「まったく……今度あのゴリに会ったらガツンと言わなきゃな!」
唯「また会いたいな~。両さんだっけ?」
憂「まだ……あまりお話もしてないんでしょ?」
唯「うん。いつか一緒にお茶会したいな~。りっちゃんとも仲良いみたいだし」
憂「そうなの?」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:40:20.16 ID:dewxfyM5O [61/104]
律「おいおいよしてくれよ。あんなのと仲良しだなんてさ」
唯「でも両さんと一番話してたの多分りっちゃんだよ?」
律「う、そ、それはだな……そう! ただのツッコミ役としてだな!」
澪「ただの割には楽しそうだったな」
紬「あの拳銃を取り出す感じとか、りっちゃんにはお見通しって雰囲気だったわね」
律「いやあ、あんなの絶対撃ってこないからさ。適当だよ適当」
澪「……よかったな、死ななくて」
律「ふぇ?」
憂「と、とにかく! 次会ったらちゃんと話し合うんだよ、お姉ちゃん?」
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:45:01.41 ID:dewxfyM5O [62/104]
唯「うん……私ちゃんと謝りたいな」
澪「私も、少し話してみたくなったよ」
紬「そうね。よく考えたら殺虫剤とワニはやり過ぎだったかも……」ショボン
律(ワ、ワニ?)
唯「りっちゃんは~?」
律「わ、私は……」
梓「先輩……」
律「……わかってるよ梓。まあ、お詫びの印にお茶の一杯でもご馳走してやるか。ゴリラに味がわかるかは知らないけどな」
澪「律……!」
紬「私、最高のお茶を用意しておくわね。あと、両さん専用ティーカップも!」
憂「み、みなさん……!」
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:50:31.20 ID:dewxfyM5O [63/104]
律「じゃあ今度……両さんが遊びに来たら何か一曲歌ってやるか!」
唯「よ~し。何歌う? 何歌う?」
澪「やっぱり私たちらしさを伝えられる曲がいいんじゃないか?」
梓「らしさ?」
紬「ふふっ。だったらもう二、三曲増えてもいいんじゃないかしら?」
律「それは気合い入れすぎだな~。所詮相手はゴリラだぜゴリラ」
澪「お、両さんからゴリラに格下げか?」
律「あ、あれ? 私両さんなんて呼んだっけ?」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:53:28.77 ID:dewxfyM5O [64/104]
唯「さっき両さんって言ってたよ~?」
澪「……」ニヤニヤ
律「ま、ゴリラでも原始人でも……両さんは両さんだけどな!」
澪「あっ、開き直ったなこいつ!」
紬「まあまあ。楽しければいいじゃない」
律「そう、それだ! 楽しいゴリラなら何でもいいんだ!」
唯「それは何だか変だよ~……」
律「変な事あるかよ。大体あいつが勝手に学校に入ってきたのがだな……」
憂(……よかった。みんな元気みたい)
憂(何だかんだで笑顔をくれた両津さん……ありがとう)
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 05:58:21.81 ID:dewxfyM5O [65/104]
……
両津「……」
憂「だからみんな謝りたくて……でも両さんが全然来てくれないから、発表会で忙しくなっちゃって……」
両津「わ、わし……本当は……」
憂「り、両さん?」
両津「わしだって本当は……寂しかったんだよぉ……うっ、うっ……」
憂「……」
両津「わしだって……仲良くお茶飲んだり、ノンビリと楽器の演奏を聴きたかった、それだけなのに」
両津「あ、あんな仕打ちなんてあんまりだったんだぁ~……うっ……」
憂「両さん……」
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:01:46.45 ID:dewxfyM5O [66/104]
憂「今からでも……遅くなんてありません!」
両津「ひっ……ひっく……」
憂「行きましょう! みんなが待っています!」グッ
両津「う、憂ちゃん……!」
憂「もう時間がありません! さ、早く!」
両津「う、うぉおおおおおお!!」ダダダッ
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:09:04.88 ID:dewxfyM5O [67/104]
『本番3分前です。用意してください』
律「よし……いくぜみんな!」
全員「お~!」
ダダダッ
憂「ま、待って……!!」
唯「あれ、憂? と……」
律「げ、原人! 何しに来やがった!」
両津「わ、わしはな……」
憂「両さんはみんなに謝りたくてここに来たんだよ」
澪「ほ、本当に?」
律「ま~たいつぞやのパターンだろ? 謝ると思わせて実は嘘でした、って」
憂「そんな事はありません! 両さんは……両さんは……ううっ……」
唯「う、憂? 泣いてるの?」オロオロ
229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:13:59.37 ID:dewxfyM5O [68/104]
両津「ごめんな憂ちゃん。やっぱりわしは邪魔者みたいだ」
梓「あ、あれ……?」
澪「なんだか覇気が無いな。まさか本当に……」
律「ど、どうせ泣き落としだろ! そんな手にはな!」
憂「違いますっ! 両さんは……ただみなさんとお茶を飲みたかっただけなんですよ……演奏を聴きたかっただけなんですよ……」ポロ ポロ
唯「憂……」
両津「もういいんだよ憂ちゃん。わしにはお茶よりも消火剤の方が似合っていた……それだけだ」
澪「両さん……」
両津「こんなんなら、ワニの餌になっていた方が幸せだったかもなあ」
紬「両さん……」
230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:20:56.33 ID:dewxfyM5O [69/104]
両津「最後に挨拶くらいはさせてくれ。律……」
律「な、なんだよ! いきなり名前で呼ぶなよ!」
両津「一度でいいからりっちゃんのドラムが聴きたかった。それだけだ」
律「っ……!!」
両津「じゃあ、あばよみんな。演奏頑張れよ。ふわふわ時間……楽しみにしてるからな」
澪(今日の曲はふわふわ時間じゃないけどな……)
梓(でも、何だか可愛そう)
紬(哀愁……)
唯(両さん……)
憂(このまま、帰っちゃうんですか……?)
律「ま、ま……」
全員(りっちゃん……?)
律「待てよ両さん!」
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:25:40.91 ID:dewxfyM5O [70/104]
律「そ、そんなに私のドラムが聴きたいなら……き、き、聴いてけよ?」
両津「しかしわしは……」
紬「部長が許したんだから、もういいんですよ」
両津「ム、ムギ……」
律「おう! 憂ちゃんと一緒に客席でドーンと聴いとけ!」
紬「これが終わったらみんなでお茶会にしましょうね?」
唯「やった~。じゃあ私頑張っちゃうよ」
律「よし澪。今日の曲はふわふわ時間に変更だー!」
澪「えっ! だ、だって今日の歌は……」
律「両さんのリクエストなんだから仕方ないだろ!」
澪「そ、そんなぁ~……」
234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:30:55.45 ID:dewxfyM5O [71/104]
『それでは最後に登場するのはHTTの皆さんです』
憂「じゃあ、私達は客席に行くから! 行こう両さん!」
両津「おう! 頑張れよみんな!」
タタタッ
澪「……ま、いいか」
梓「やっと聴かせてあげられますね」
律「ふふん。今日の私はプロにだって負ける気がしないぜ!」
紬「ふふっ。もしかしてりっちゃん自身がふわふわ時間なのかしら?」
律「へ、へっ?」
澪「そうなのか? じゃあ余計に気合い入れて演奏しないとな!」
律「な、何が? 何がなのムギ?」
紬「ふふっ、私なんにもしらな~い」クスッ
梓「先輩達。そろそろ……」
唯「ほんばん!!」
235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:41:38.77 ID:dewxfyM5O [72/104]
憂「……そうなんだ。ワニに追いかけられる夢ばっか見るんだね」ナデナデ
両津「ううっ、怖かったんだよぅ!」ヒイッ
……
唯『あ、あ、テステス。こんにちは、私たちHTTと言います』
両津「……お、始まったか」
唯『歌う前に一つだけお話があります。いつもならボーカルの私がこうして前に立って歌うんですけど……』
唯『今日はちょっと変則的に、横に広がりながらのままで歌いたいと思います』
律(え? そ、それだとドラムが……あ、客席が見える)チラッ
唯『ある人に、ドラムを演奏している彼女の姿を見せるため……今日はこのままで歌います!』
澪(うわあ、やったな唯の奴)
律(後で覚えてろよ……)
236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:47:16.01 ID:dewxfyM5O [73/104]
唯『それでは聴いて下さい。私達HTTが歌う……ふわふわ時間!』
~~♪
両津「おお、おお。このイントロだ!」
律(やってやるよ、この!)ダンダン シャンシャン
澪(やっぱり気合い入ってるな律)
唯『きみを見てるといつもハートDOKIDOKI~♪』
両津「うんうん」
唯『揺れる想いはマシュマロみたいにふわふわ~♪』
憂「ふふっ……」
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:51:43.35 ID:dewxfyM5O [74/104]
唯『ふわっふわタ~イム♪』
唯『ふわっふわタ~イム♪』
両津「いやあ、やっぱりいいなあ……」
憂「楽しんでもらえてよかったです! これで皆さん仲良くなれますよね!」
両津「ははっ、もちろん!」
両津「……しかし、何か忘れている気がする。そもそも今日わしがここに来たのは……」
ドンドドン ドンドドン
ドンドドンドドン!
憂「……?」
唯(……?)
律(何の音だよ何の!)
梓(こ、これは……)
澪(和太鼓、か?)
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 06:58:42.06 ID:dewxfyM5O [75/104]
両津「……げえっ! しまった! あいつらの事をすっかり忘れてた!」
ドンドドンドドン
律(お、音が近付いてくる!)
唯(もう伴奏聞こえないよ~)
澪(く、来る……!)
ガラガラガラッ!
ドンドドンドドン
ボルボ「はっ!!」
ドンドドンドドン
左近寺「よいしょ!」
ドンドドンドドン
本田「バリバリいくぜぇ!」
澪「……な、なんだよあれ……」
律「ふんどしに神輿って何考えてんだよ!!」
梓「……多分何も考えてないんだと思いますよ」
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:03:49.52 ID:dewxfyM5O [76/104]
三人「男気薔薇時間! ただいま参上!!」
ドンッ
律「いやドンッじゃねえよ!! 微妙にこっちを意識した名前止めろよ!!」
左近寺「ハアアァァァ!」
ボルボ「ホゥアアアア!」
本田「オラオラ! バリバリだぜ」
ドンドドンドドン ドンドドンドドン
憂「な、何よあれ……」
両津「ま、まずい……早くここから逃げ出さないと……」
ボルボ「……両津!」
左近寺「両津!」
本田「両津のダンナァ! 出番だぜこの野郎!!」
両津「バ、バカ! そんな大きな声で呼ぶな!」
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:10:58.24 ID:dewxfyM5O [77/104]
澪「両津?」
梓「今確かに……」
律「両津って言ったのか?」
両津「ち、違うぞ! これはアイツらが勝手にやっている事だ! わしは知らん!」
律「……本当に子供と同じ言い訳してんじゃねえ!」シュッ
ゴシュッ
両津「ぐええぇぇぇ!」
澪「い、今のスティック投げは本気だ……」ゴクリ
唯「りっちゃんがギターの担当じゃなくてよかったね~」
澪「そんな事呑気に言っている場合か!」
245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:15:45.85 ID:dewxfyM5O [78/104]
三人「両津! 両津! 両津! 両津!」
憂「り、両さん」フルフル
両津「ち、違うんだ憂ちゃんこれはだな……」
憂「私……信じてたのに」ポロポロ
両津「う……」
両津「くっ……ち、違うんだ……頼む! 誰か……誰でもいい! わしを助けてくれぇ!」
……
チャララ~チャ~チャチャ~♪(あの音楽)
両津「こ、この音楽は……」
紬「こ、これはもしかして!」キラキラ
律「こんな時だけ反応すんな!」
汚野『……股間のもっこり伊達じゃない』
梓「ま、またあの人ですか?」
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:21:58.92 ID:dewxfyM5O [79/104]
汚野『海パン刑事ただいま参上!』
両津「お、おお海パン刑事」
汚野「呼ばれた気がしたからな。助けに来た」
澪「や、やっぱり正義感は強いみたいだな」
憂「んん~……」バッタリ
汚野「ん、いつぞやのリクエスト少女か。今日はタネ明かしをする前に気絶してしまった」
律「さらっとひどい事言ってんな~」
三人「両津! 両津! 両津!」
両津「そ、それより海パン刑事。この状況をなんとかしてくれ!」
汚野「ふむ、任せろ。こういう時はこれだ」ムンズ
紬「何が出るかな♪ 何が出るかな♪」
律「ステーキより驚がない自信だけはあるわ」
250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:29:20.23 ID:dewxfyM5O [80/104]
両津「ば……爆竹だと?」
汚野「祭りを盛り上げるにはまず音だ。これから手軽に大盛り上がりだ」
両津「誰が盛り上げて欲しいと頼んだんだ!」
汚野「違うのか? しかしもう火は着つけてしまったぞ」ポイッ
シュゥゥゥ
両津「バ、バカ! そっちにはドラムが!」
律「え? え?」
紬「りっちゃん!」
澪「あ、危ない律!」
梓「先輩!」
律「い、いやぁああああ!」
ババババババ!
ババババババ!
律「……あ、あれ? 熱くない? ドラムも……傷付いてない?」
両津「ぐっ……うっ!」
律「り、両さん!」
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:33:54.18 ID:dewxfyM5O [81/104]
両津「よかった。傷は無いみたいだな……ぐうっ!」
律「あ、足が! 待ってろ、今タオルを冷やして……」
両津「バカ野郎! わしの事はどうでもいい……」
律「で、でも……」
両津「ドラムはわしが死んでも守る。これが傷付いたら律が悲しむからな。ぐっ!」ズキッ
律「バ、バカはどっちだよ! ドラムはまた買えばいいけど……両さんが……両さんが怪我したら私……」
両津「律……」
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:39:36.97 ID:dewxfyM5O [82/104]
汚野「ほうれもう一丁だ!」
ババババババ!
律「きゃあっ!」
両津「は、早く逃げるんだ。ここは危険すぎる」
律「両さん……」
両津「大丈夫だ。絶対にドラムは守る……約束だ」
律「う、うん!」
両津「さあ、早く行くんだ!」
律「ありがとう……勘吉!」ダダダッ
両津「へっ……まったく」
両津「海パン刑事! 聞いての通りだ! このドラムに向けて爆竹を投げる事はわしが許さん!」
汚野「両津……わかった。今回は私の負けだ」
両津「海パン刑事……」
汚野「ドラムに向けて投げては行けないなら……反対方向に投げるまでた」
両津「……え?」
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:44:31.56 ID:dewxfyM5O [83/104]
ドンドドンドドン!
ボルボ「わっしょい! わっしょい! わっしょい!」
……ババババババ!
ババババババ!
ボルボ「ひっ! て、敵だ! マシンガンの一斉掃射だ!」
汚野「こちらにはドラムなどなぁい」スッ
バババババ!
ババババババ!
ババババババッ!
ボルボ「う……うおおおお!」
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:46:56.25 ID:dewxfyM5O [84/104]
両津「落ち着けボルボ! 音だけだ! ただの爆竹だ!」
ボルボ「く、来るな……来るなああぁぁぁ!」シュッ
ポイッ ポイッ
コロン
コロン
両津「なんでフンドシの中に手榴弾なんか入れているんだよ……!」
ボルボ「うおあああああああ!!」ポイッ ポイッ ポイッ
両津「こ、この……!」
両津「大馬鹿者~!」
……カッ……
ドーン
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:52:12.69 ID:dewxfyM5O [85/104]
両津「……ケホッ、ケホッ」ガラガラ
両津「ひ、酷い目にあった……」
律「……おい」
澪「た、建物が跡形も無くなってる……」
唯「なんで? ねえなんで?」
梓「何で……この人生き埋めになってたのに……」
律「そのまま瓦礫に潰されれば良かったのにな」
両津「いや~、手厳しいねりっちゃんは全くもう!」
律「気安く呼ぶんじゃねえ! 無能ゴリラ!」
両津「なんだとテメエ!」
律「何がドラムは命懸けで守るだよ! ペッチャンコじゃねえか!」
ペターン
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 07:57:29.97 ID:dewxfyM5O [86/104]
両津「ま、待て。これを見ろ!」ジャン
澪「これは……シンバルの部分かな?」
律「これが何か?」
両津「ほ、ほら。この二枚を持って手を前にして」
律「ふむふむ……」
両津「はいっ。お猿のオモチャ! いやあ、これでりっちゃんも明日からプロのシンバル使いだよ! やったね」
律「ふざけんなバカ野郎!」ジャーン! ジャーン
両津「うご……目、目が……そんなので挟むなんて……」
律「はあ、もういいよ。行こうぜみんな」
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:06:19.86 ID:dewxfyM5O [87/104]
澪「そうだな」
唯「なんか幻滅~」
梓「もう用事もありませんしね」
律「じゃ、あばよ原始人」
両津「ま、待ってくれ!」
紬「……」
両津「お、ムギちゃんだけはわかってくれるのか……そうだよな、お茶会をする約束だったもんな……」
紬「ええ。とっておきのイベントにご招待致します」クスッ
両津「お、おお……まさに女神だ……後光がわしには見える」
紬「うふふふっ」キラキラ
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:14:39.73 ID:dewxfyM5O [88/104]
大原「ん、両津は今日も休みか?」
中川「何でも、世界一週しながら行われる音楽フェスを見てくるとかで……」
麗子「まあ、うらやましい」
中川「それがそうでも無いんだ……」
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:18:54.10 ID:dewxfyM5O [89/104]
ピッ ピッ
紬『そちらの気温はどうですか? どうぞ』
両津『』カチン
紬『あれ、凍っちゃってますか? どうぞ』
両津『』コチン
紬『なかなか前衛的なイベントでしょ? そんな山頂で音楽イベントをやるなんて。どうぞ』
両津『さ……む……い……』
紬『海パン一つでエベレストは辛かったですか? どうぞ』カチン
両津『し……しんじゃう……』
紬『あーあー。電波が悪いみたいで聞こえません。また明日連絡します。どうぞ』
両津『』
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:25:23.10 ID:dewxfyM5O [90/104]
中川「スポンサーが税金対策のために開催している偽のフェスなんだ」
麗子「ええっ?」
中川「会場は滅茶苦茶。出演グループだって全部架空のグループ……」
麗子「悲惨……」
中川「フェスが終わるのは三年後の日程だった気がするよ」
麗子「何が両ちゃんをそんなにさせたのかしら……」
中川「僕は何となく知っているような気がするよ……」
紬「ふふっ……」
終
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:27:47.74 ID:dewxfyM5O [91/104]
部長が絡めなかったから、前半はこんな落ち。
雰囲気を楽しんで頂ければ。
文の感じが変になるのは頭が麻痺しはじめるからです。
りっちゃんの扱いやすさは異常。
元気回復したら後半も。
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 08:44:21.47 ID:dewxfyM5O [92/104]
>>265
あと数時間でお仕事なもんで
>>267
なんか、こち亀キャラと絡ませると黒くなっちゃう
>>268
けいおんもこち亀も初めてです
272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:08:10.78 ID:dewxfyM5O [93/104]
ありがとう。
両津「うおっす」ガチャッ
さわ子「げっ……」
律「何勝手に入ってきてんだよ!」
両津「けっ、暇潰しで来たと思ったらこれだ」
梓「た、確かに以前遊びに来て欲しいとは言いましたけど……」
さわ子「アポ無しはちょっとね~」バタバタ
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:12:06.16 ID:dewxfyM5O [94/104]
中川「……先輩、やっぱり無断で来るのはマズイですよ」スッ
さわ子「あら! 中川さんだったら連絡なんていらないわよ。もう、バンバン遊びに来て!」
紬「圭一様。お口に合いますかどうか……」スッ
唯「ねえねえ! 今度あの赤くてシャキーンて開く車に乗せて乗せて!」
梓「ず、ずるいですよ唯先輩! 私だって乗りたいのに!」
律「いやあ、中川さんが来ると部室も賑やかになるねぇ」
澪「本当だな」
両津「生徒はまだしも教師が差別していいのかよ……」グッ
274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:20:42.06 ID:dewxfyM5O [95/104]
ワイワイ ガヤガヤ
両津「……」
両津「こいつら、けいおん部のくせに全く練習をしていないんだな……」
両津「ふむ……」
唯「あ、あの赤い車っていくらするんですか?」
中川「僕のフェラーリF50かい? 確かカスタム仕様で8000万くらいだったかな?」
澪「は、はは……!」
中川「車は週に一度程買うから値段はあまり気にしないんだ」
紬「ふふっ」
律「ムギはやっぱり余裕でいられるんだな……」
さわ子「私なんてそんなお金想像もつかないわ~」
両津「えー、ゴホン。君たちぃ?」
275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:27:01.89 ID:dewxfyM5O [96/104]
澪「車って週に一回買う物じゃないよな?」
律「ま……一般人はな」
両津「あの~。もしもし?」
唯「も、もしかして楽器とかも沢山持ってますか?」
中川「ジャズの楽器が中心だけどね。種類はそれなりに持っているつもりだけれども……」
さわ子「い、一度見てみたいわね?」
中川「今度の休みに招待しますよ。みなさんで遊びに来て下さい」
両津「あのね……のね……」プルプル
澪「ほ、本当にいいんですか?」
中川「遠慮しないで大丈夫だよ」
律「いよっしゃー、テンション上がってきた!」
276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:33:44.12 ID:dewxfyM5O [97/104]
さわ子「じゃあ、次の休みは中川さんのお宅にお邪魔しちゃいましょう!」
全員「お~!」
両津「おー……じゃねえ! 人の話を聞け! 徹底的に無視しやがって!」ズキュン ズキュン
中川「せ、先輩! 発砲はマズイですって!」
律「あちゃ~。壁に穴があいちゃってたよ」
両津「ふん。音響効果が高まっていいだろうが」
さわ子「後で弁償して貰いますからね」キリッ
紬「もう、梓ちゃんが怖がってますよ」
梓「……」ブルブル
唯「両さんいけないんだ~」
両津「なんで攻められる時だけ注目してくるんだよ……くそっ」
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:38:29.61 ID:dewxfyM5O [98/104]
律「で、何か話があったんじゃないのか?」
両津「ある!」
律「ハァ……聞いてやるから終わったら黙れよ?」
両津「わしだけ除け者扱いかよ!」
律「……本題は?」
両津「……ズバリ! けいおん部の存在意義についてだ!」
律「はい、お疲れ様でした~」
澪「帰り、どっか寄ってく?」
梓「私お腹すいちゃいました~」
紬「あら、お菓子だけじゃ足りなかったかしら」クスッ
唯「あたしもお腹すいた~」グゥ~
律「本当に食いしん坊だな、唯と梓は」
梓「わ、私もですか?」
唯「わ~い。あずにゃんと一緒一緒~」ギュッ
278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:45:29.27 ID:dewxfyM5O [99/104]
両津「いい加減しろよテメーら!!」ズギューン ズギューン
ガシャーン
バリーン
律「なんだよ。聞くだけ聞いてやっただろ」
さわ子「ガラスが二枚……これも弁償ね」
唯「早くご飯食べに行こうよ~」
両津「ええいうるさい! お前らはいつもそうだ。食って寝て食って寝て……音楽なんかちっとも練習しとらん」
律「うっ」ガーン
澪「でも今に言われ始めた事じゃないよな?」
梓「お叱りと言うかツッコミはよく受けますよね」
紬「この雰囲気がけいおん部って感じよね~」
律「そ、そーだそーだ。私達はこのスタイルでやってるからいいんだよ!」
澪「決して威張って言える事じゃないがな……」
279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:52:11.20 ID:dewxfyM5O [100/104]
律「大体そんな事言ったらそっちだってそうだろ?」
両津「ん、何がだ?」
律「なんで警官が女子高の部室で油売ってるんだよ。仕事しろよ仕事!」
両津「うっ」ガーン
澪「そう言えば勤務はどうしてるんだ?」
両津「わ、わしは巡査長だからな。偉いから働く時間が短くていいんだ」
唯「本当に~?」
紬「長って言っても、一般の巡査よりちょろっと偉いくらいらしいわよ?」
律「なんだ、やっぱり大したことないんだ~」
両津「ううっ……」
中川「実際、僕たちパトロールだと言って派出所を抜け出してますからね」
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 09:58:58.69 ID:dewxfyM5O [101/104]
さわ子「あら、中川さんは抜け出して来ても全然問題ないですわ」キラキラ
両津「いい加減顔で差別するのん止めんか……」
律「ま、うちらは授業が終わった後。放課後の自由な時間を使ってるんだ。文句を言われる筋合いは無いね」
両津「わしの時間の使い方だって文句を言われる筋合いはねえ!」
律「じゃあ言ってみろよ。昨日一日で何をしてたかさ」
両津「昨日は非番だったからな。まず朝八時に起床だ」
紬「あら、意外としっかりしてるんですね」
澪「全くだ」
律「ふ~ん。それから?」
281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 10:02:39.71 ID:dewxfyM5O [102/104]
両津「十時にパチンコ屋に入店」
律「待て待て。八時からの空白の二時間はどうしたんだ?」
両津「店の前で並んでいたに決まっているだろ。新台の整理券を受けとるためにだな……」
澪「ギ、ギャンブルの事はよくわからないけど……」
梓「朝から数時間パチンコに費やしているのだけはわかりますね」
律「そ、それからどうしたんだよ?」
327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:16:29.41 ID:Eq5A+u6iO [2/32]
>>281の続き
両津「午後から元気なお馬ちゃんを追いかけていたかな」
紬「まあ、乗馬が趣味なんですか?」
澪「絶対に違うと思う……」
中川「また競馬でしょう?」
両津「わははは、大穴当てちゃってね。三十万の臨時収入だったよ」
さわ子「三十万なんてうらやましいわね~」
梓「今のところギャンブルしかしてませんよ……」
律「聞くのも馬鹿らしいけど、夜はどうしてたんだよ?」
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:26:15.10 ID:Eq5A+u6iO [3/32]
両津「その後は確か、さっきの金で朝まで呑んでいたな」
澪「ギャンブル、ギャンブル、酒……」
紬「そのせいかしら。さっきから異臭がするのは?」
中川「今朝も生ゴミの上で寝ていたからね、多分……」
唯「ば、ばっちいよそんなの~」
両津「わははは! わしは一ヶ月風呂に入らなくても大丈夫な体だからな! 」
律「そんなの威張って言うんじゃねえ!!」ゴッ
両津「スティックで殴るのは止めろ! わしはお前のドラムじゃねえ!」
律「そう言うセリフはドラムみたいに偉くなってから言え!」
両津「わしゃドラム以下の存在か!」
331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:33:03.68 ID:Eq5A+u6iO [4/32]
澪「お、落ち着けよ律」
中川「先輩もすぐに怒鳴るのはよくないですよ」
律 両津『悪いのはこいつだ!』
さわ子「仲がいいのは結構だけど一応学校だからね~。俗っぽすぎる人に入り浸られても困るのよね~」
律 両津『誰がこんな奴と!』
両津「真似すんなこのブス!」
律「繋がり眉毛に言われたくないっての!」
澪「……」
さわ子「一応学校だから、賑やかすぎても……ねえ?」
紬「りっちゃん楽しそう」キラキラ
332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:38:33.43 ID:Eq5A+u6iO [5/32]
中川「確かに、ここに来るならギャンブルはともかくお酒は控えた方がいいですかね」
両津「デコ! ハゲ!」
律「短足! バーカ!」
さわ子「はいはい。その辺で止めときなさい」
律「む~……なあ繋がり眉毛」
両津「なんだデコッパチ」
律「お前は明日から部室に入るの禁止だ!」ビシッ
梓「り、律先輩!」
唯「おお、りっちゃん部長さんみたい」
律「ふふん」
334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:45:21.60 ID:Eq5A+u6iO [6/32]
両津「何でそうなるんだよ!」
律「その俗な性格を少しでも直したら許してやる」
両津「ぐぬぬっ……」
律「アンタなんか居ようが居まい困らないけど~。りっちゃん優しいから待っててあげるよ、みたいな?」キラッ
澪「完全に小馬鹿にしているな」
梓「ですね」
中川(先輩の事だから、大好きなお酒や夜遊びを断ってまで約束するなんて事は……)
両津「わ、わかった」
中川「え?」
両津「しばらく酒は辞める。それでいいんだな!」
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:49:57.95 ID:Eq5A+u6iO [7/32]
律「お、おう?」
律(こんなにあっさり認めるもんなのか?)
両津「いつまでだ?」
律「えっ?」
両津「いつまで酒を我慢すれば許してくれるんだ。一年か、二年か!」
律「いっ、いや……さすがにそんなに……ねえ?」
澪「あまり縛りすぎる事もできないよな?」
唯「じゃあ部室に来る前の日にはお酒を呑んじゃだめって事にすれば~」
律「ふむ……それくらいが妥当かな?」
澪「まあ一種の形としてはいいんじゃないか?」
律「よし! じゃあ今後部室に遊びに来る前はお酒呑むの禁止だからな!」
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 01:56:24.89 ID:Eq5A+u6iO [8/32]
帰り道
中川「いやあ感動しましたよ先輩。お酒を我慢してまで、部室に遊びに行く道を選ぶなんて」
両津「あそこは部長に知られていない隠れ家だからな。手放すには惜しい」
中川「ふふっ。そういう事にしておきますよ」
両津「おっ、待て中川。ここでいい。今日は呑んでいく」
中川「えっじゃあ明日はけいおん部に顔を出さないんですか?」
両津「明日も行くに決まってるだろ。なあに、ちょっとだけならバレはせんよ」
中川「し、しかし……」
両津「明日になったら酒も抜けてるさ。じゃあまたな」カラン カラン
中川「……行ってしまった。全くもう」
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:06:22.69 ID:Eq5A+u6iO [9/32]
次の日
中川「こんにちは、みんな」ガチャッ
梓「あ、中川さんこんにちは」ペコッ
両津「うおっす」ガチャッ
律「お前は出入り禁止だバカ野郎!」ブンッ
両津「おっと!」パシッ
律「な……受け止められた?」
両津「ふふふっ。わしに同じ技は二度と通じない!」
律「結構ボコボコ当たってたじゃんかよ。そんな事より! 昨日酒呑んだだろ?」
両津「ええ~。僕ちゃん呑んでまちぇ~ん」クネクネ
律「いちいち気持ち悪い動きをするな! さわちゃんが昨日店に入る所を見てんだぞ!」
両津「な、なんだと!」
340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:11:28.28 ID:Eq5A+u6iO [10/32]
さわ子「偶然飲み屋に入っていく所を見ちゃったのよね……」
律「言い訳があるなら聞こうか?」
両津「それはわしじゃない! わしに似た誰かだ!」
さわ子「警官の制服着て飲み屋に入る人なんていないわよ~」
両津「う……」
澪「まあ、約束だからな」
唯「今日は両さん禁止か~。つまんないの~」
律「さあ、帰った帰った」
両津「ち、ちくしょ~!」
341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:18:35.94 ID:Eq5A+u6iO [11/32]
中川「せ、先輩! ……行っちゃった」
梓「泣きながら走って行っちゃいましたよ?」
律「ま、前の時みたいに嘘泣きに決まってるさ!」
澪「あのさ……ちょっと気になったんだけど。部室に遊びに来たいだけであんな約束するかな普通?」
律「ん?」
澪「だってここ、ただの部室だぞ? 好きなお酒を我慢してまで来る価値があるのかな?」
紬「価値が無かったら我慢なんてしないわよね~」
律「う……」
律「た、確かに条件を簡単にのんだ時は私もビックリしたけどさ……」
中川「何だかんだで、先輩はこの部室に来たかったんだと思うよ」
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:26:24.64 ID:Eq5A+u6iO [12/32]
さわ子「ん~。よく考えたら私達に危害があったわけでも無いしね。お酒で暴力とかあったわけじゃないし……」
梓(……シラフで拳銃撃ってるのはどうなんですか!)
澪「ちょっと振り回しすぎたかもな」
唯「大人なんだからお酒呑んでもいいと思うよ~」
紬「りっちゃんはどう思う?」ニコニコ
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:29:08.33 ID:Eq5A+u6iO [13/32]
律「……」
律「ねえさわちゃん。この辺で居酒屋さんがある通りってどの辺りだっけ?」
中川「律ちゃん……!」
律「みんなで行けば、多分許してくれるよな?」
梓「先輩、素敵です!」
律「よし行くぞみんな!」
唯「むかえざけ!」
澪「いや、それは意味が違うと思うぞ……」
345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:34:22.42 ID:Eq5A+u6iO [14/32]
……
両津「……」
両津「くそっ! せっかくタダで食い物にありつける場所を見つけたってのに!」
両津「酒呑んだくらいで追い出されるなんて! 頼まれたってもう行ってやるもんか!」
両津「へへッ。これからも変わらずに酒を……」グウ~ッ
両津「……ああ、腹減ったな」
両津「赤提灯に照らされ、薄汚れたようにも見える粋な造りの一軒に……酒」
両津「昨日で金を使いすぎてしまったからな……」グググッ
両津「入るか、入るまいか……!」
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:40:45.33 ID:Eq5A+u6iO [15/32]
中川「あ、いましたよ、先輩だ!」
両津「……」
さわ子「あら。またお店に入るのね」
澪「やけ酒かな?」
律「いや……よく見てみろ!」
両津「……」グググッ
梓「お店の前で握りこぶしなんか作って……地団駄踏んでますね」
中川「きっと先輩は、本当にお酒を我慢しようとしてるんだよ。だからあんな風に必死になって……」
中川「約束を守ろうと頑張っているんですよ」
律「……」
澪「もう許してあげれば、律?」
律「わ、私は許すつもりだったさ! あんな姿まで見せられちゃあ余計……」
348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:45:22.69 ID:Eq5A+u6iO [16/32]
両津「……決めた。やはり店に入るぞわしは」
両津「江戸っ子は宵越しの銭は持たねえもんだ。ここはバァンと……」
両津「へへっ、どうせ自由の身だ。もう誰にも縛られん。というわけで両ちゃんいっきま~……」
『お、おい! 喧嘩だ喧嘩だ』
『キャアアアア!』
両津「……む?」
349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:49:47.17 ID:Eq5A+u6iO [17/32]
澪「じゃあ、律が両さんを呼んできなよ」
律「わ、私が?」
澪「部長だろ。約束を提示したのも律だし」
唯「りっちゃんファイト~」
梓「期待してますよ!」
紬「ふふっ、いってらっしゃい」
律「わ、わかったよ……よし!」
酔っぱらい「……おんやあ。可愛いお嬢さん達だねえ?」
さわ子「げっ……」
唯「な、何か変なのきた~……」
350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 02:54:22.56 ID:Eq5A+u6iO [18/32]
中川「君、待ちなさい。僕は警官だ。大人しく向こうへ行きなさい」
酔っぱらい「あ~ん? そんなチャラチャラした警官がいるかよ~」
酔っぱらい「へへっ、お姉ちゃん達コスプレ好きなのかな? ウチのお店で働かな~い?」
梓「ひ、ひぃぃぃい!」
中川「やめなさい!」グッ
酔っぱらい「気安く触るんじゃねえ!」ビュッ
中川「はっ!」ガシッ
澪「う、受け止めた!」
律「さすがは警察官……」
さわ子「か、感心してないで早く逃げるわよ!」
仲間「そうは行かないな~」
澪「!」
352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:00:22.92 ID:Eq5A+u6iO [19/32]
仲間1「一緒に遊ぼうよ~」
仲間2「楽しい夜にしてあげるからさ」
仲間3「ふ、ふふっ。ふふっ」
酔「女の子は傷つけるなよ~。 やるのはこの兄ちゃんだけだあ」
唯「ど、どど……どうしよう!」
律「さ、さわちゃん眼鏡外して! た、戦って!」
さわ子「やや、や、嫌に決まってるじゃない……」
梓「ひっ……ぐすっ……」ブルブル
紬「き、救助の連絡を……!」ピッ ピッ
酔「させるかよぁ~」ビュッ
紬「キャッ!」
酔「うえっへっへっ」
中川「さすがに僕一人では……くっ……」
353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:07:03.62 ID:Eq5A+u6iO [20/32]
律「……」ギロッ
仲間「おっ、君可愛いねえ……どう。いい仕事紹介するけど……」
律「お、お断りだ!」ゲシッ
仲間2「気が強いね~。足震えてるけど」
律「う、う……」ガクガク
仲間3「ふ、ふふふふ」
仲間「ま、この兄ちゃんを倒す前にちょっとだけ……遊んでやるぜぇ?」
律「き……」
仲間「おらぁ!」ビュッ
律「きゃあああああ!」
両津「うおおおおぉ!」
ゲシッ!
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:14:06.59 ID:Eq5A+u6iO [21/32]
律「ぁ……」
仲間「な……なんだてめ……グフッ」バタッ
中川「先輩!」
さわ子「両さん!」
両津「生徒を守るのはあんたに任せる! いいな!」
さわ子「は、はい……!」
両津「中川。こんな奴等一気にやっちまうぞ!」
中川「先輩……! 了解です!」
仲間2「調子のってんじゃねえ!」
両津「どっせえい!」ダンッ
仲間2「ぐうっ!」
中川「たぁーっ!」ゴスッ
仲間3「ひ……ひあっ!」
両津「後はテメーだけだ酔っぱらい!」
酔「ひ、ひっ……!」
357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:18:47.57 ID:Eq5A+u6iO [22/32]
酔「す、すいませんでした! こ、この通り! この通り!」ペコペコ
酔「お金を……お金を払いますので許して下さい!」
両津「」ピクッ
澪「お、お金?」
梓「そんなのを引き合いにだされたら両さん……」
紬「……」ジッ
さわ子「……ううん」
中川「今の先輩にはきっと無駄だよ」
律「えっ……?」
酔「お、お願いします! お店でもサービスします! お金も払います……だから許して~!」
両津「ふざけんじゃねえ!」ドカッ
酔「げ……ふ……」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:24:12.82 ID:Eq5A+u6iO [23/32]
両津「金で解決……いつものわしならそれに便乗していたかもしれん」
酔「じ……じゃあ……」
両津「女子供に手を出したとなれば別だ! わしはそういう卑怯な奴が大っ嫌いだ!」ゴンッ
酔「ふ……ぶ……」
両津「このっ! このっ! あいつらが怪我でもしたらどうするんだ! まさに一生ものの傷になるんだぞ!」
澪「……」
梓「……」
律「……」
中川「せ、先輩! ちょっとやりすぎですよ!」
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:29:00.05 ID:Eq5A+u6iO [24/32]
両津「うるせえ!」ガッ
中川「うわっ!」
両津「てめえらもだ! まだ終わったと思うなよ!」ボグッ
仲間「ひ、ひえっ!」
仲間2「か、かんべん……」
両津「自分より弱い者しか相手にできんのか! おらぁ!」ゴシュ!
仲間「ひ、ひぃぃぃぃぃ!」
律「……」
ピーポー ピーポー
さわ子「遠くからサイレンが!」
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:31:26.91 ID:Eq5A+u6iO [25/32]
中川「ここは僕たちに任せて。みんなは早く別の場所へ」
澪「で、でも……」
中川「さあ早く!」
紬「そうですね、行きましょうみんな」
梓「そ、それがいいみたいですね」
律「……」ボーッ
紬「ほら、りっちゃんも!」
律「え、あ……うん」
タタタタッ
両津「おらぁ!」
仲間「ぎゃあああああ……!」
…………
……
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:39:04.32 ID:Eq5A+u6iO [26/32]
澪「昨日は大変だったな」
律「ほんとほんと」
梓「夜の居酒屋通りは危険ですね……」
紬「女の子で制服はやっぱり目立つわよね~」
……
唯「両さん強かったね~」
澪「今回ばかりは感謝しても足りないな、律」
律「ま、まあ部室の入室許可くらいは出してやるかな!」
紬「うふふっ」
バンッ!
さわ子「みんな~。これ見てこれ!」
唯「な~にさわちゃん。そんなに慌てて」
さわ子「これよこれ! 地元の新聞。ここの所にね……」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:46:01.17 ID:Eq5A+u6iO [27/32]
律「なになに。正義の警察官……両津勘吉!」
澪「喧嘩の仲裁に入った両津氏が、逆に相手をボコボコに……」
紬「だがこれは女子高生グループを助けた行為であり、彼なりの戒め方なのではないのだろうか……」
さわ子「だって」
梓「誉めてるんですかね?」
唯「だって正義の警察官だよ~」
さわ子「あの辺りでもなかなか悪どいグループだったらしくてね。結構この記事を支持している声も高いみたいよ?」
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:49:22.00 ID:Eq5A+u6iO [28/32]
澪「何にしても、めでたしめでたし」
紬「あ、今日はね。お礼に特別高級なケーキを持ってきたのよ」
唯「わ~い! 早く食べよ食べよ!」
紬「お礼言う相手が来てからね?」ニッコリ
唯「えへへ~わかってるよ」
澪「ふう。今日はちょっと遅いみたいだな……って、律?」
律「ん?」ジョキジョキ
澪「何してるんだ。新聞の切り抜きなんかして」
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:56:56.07 ID:Eq5A+u6iO [29/32]
律「私達に関する新聞記事だからさ。記念に飾っておこうと思ってねん」ペタペタ
澪「メインは私達じゃないだろ?」
梓「そういうのも素敵だと思いますよ」
唯「部屋に貼るといつでも両さんがいるみたいだね~」
律「そ、そんなんじゃないからな! ただ私達が新聞になった……その……」
澪「はいはい」クスッ
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 03:57:36.31 ID:Eq5A+u6iO [30/32]
ガチャッ
紬「あら」
梓「来たみたいですね」
さわ子「いらっしゃい」
澪「ふふっ」
唯「両さん両さん~」
律「……ふん」
両津「うおっす!」
終
356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/30(金) 03:18:29.73 ID:soWzL1bmP
中川も躊躇なく拳銃使うようなヤツだったのに・・・
368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 04:05:16.95 ID:Eq5A+u6iO [31/32]
以上白い話でした。
やっぱり無茶させる方が書いていて楽しいかも
ちょっとアイデア考えてきます
>>356
その中川もいいよね。
370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/30(金) 05:09:14.74 ID:Eq5A+u6iO [32/32]
断片的にネタはあるけど、面白い話を作れるかは別なのでここまでで。
心理状態とか突っ込んで書くと黒かったり重くなるんだなあ、と反省。
正直、りっちゃんよりもムギや唯のが好きなんですが自然とこんな扱いになりました。
次はもっとゲストメンバーを出したり部長絡みの話を書きたいな、と。
憂ちゃんと特殊刑事課はきっとセットです。
読んでくれた人、保守してくれた人ありがとうございました。
こち亀の雰囲気を感じていただけたなら幸いです。
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