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唯「和ちゃん!!」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 18:38:00.32 ID:MUGmsF7eP [2/28]
唯「おはよー!」
私はいつものように元気よく教室に入った
2学期が始まってもう1週間
本格的に授業も始まっている
勝負の夏休みも乗り切ったしいよいよ受験に向けてスパートをかけなきゃ
いつも通り遅刻ギリギリで宿題もやってないけど、澪ちゃんに見せてもらおう
…………あれ?
いつもならあるみんなからの返事がない
みんなどうしたのかな
さては、みんなも宿題してないな
唯「おはよー!」
私はいつものように元気よく教室に入った
2学期が始まってもう1週間
本格的に授業も始まっている
勝負の夏休みも乗り切ったしいよいよ受験に向けてスパートをかけなきゃ
いつも通り遅刻ギリギリで宿題もやってないけど、澪ちゃんに見せてもらおう
…………あれ?
いつもならあるみんなからの返事がない
みんなどうしたのかな
さては、みんなも宿題してないな
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 18:39:36.19 ID:MUGmsF7eP
唯「澪ちゃんおはよー!英語の和訳やった?私まだ終わってなくて」
澪「……」
彼女の机には英語のノートが置いてある
見してくれたっていいよね
唯「みーおーちゃん?」
唯「ノート借りるよ!」
伸ばした手が弾かれる。
そして彼女は姫子ちゃんのグループに入っていった
澪ちゃんって姫子ちゃんと仲良しだっけ?
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:41:42.01 ID:MUGmsF7eP
唯「ムーギーちゃん!」
唯「なんで澪ちゃん怒ってるのかな?」
紬「……」
まるでムギちゃんは私など存在しないかのように、りっちゃんの所へ駆けていった
違和感を感じた私はクラスを見渡す
目が合いそうになった子たちはすっと目をそらす
シューティングゲームみたいに。
あいにく、その状況を楽しむ余裕は今の私にはない
足が震える、視界がぼやける
私は全てを理解した
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:48:57.28 ID:MUGmsF7eP
目の前が真っ暗になる
なんで私が?
頭の中でもう一人の私が答える
別に理由なんてないんだよ
みんな受験勉強も大変で、いつまでも能天気に見えるおまえがなんとなく狙われただけ
分かってるよ・・・分かってるけど……
律「お前さ、今日からハブだから。」
そこに薄ら笑いを浮かべたりっちゃん。いや律がやってくる
律「みんなー。裏切ったりしたらどうなるか分かってるよねー」
まわりなんて見なくてもわかる。裏切って私を助けるような子はいないだろう
私だってそうだった。仕方ないのだ。自分がハブられない為には人をハブるしかない
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:50:56.70 ID:MUGmsF7eP
泣きたかった。なんで私なの?
って言いたかった。でも私だってプライドがある
授業までの時間、私は座って何をするでもなく黒板を眺め続けた
次の授業から私への嫌がらせ、いや「イタズラ」は始まった
嫌がらせって言うと私が嫌がっているという感じがする
これは私に対してふざけているだけ。イラズラなのだ
私は嫌がってなどいない
私はこいつらに負けない
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:53:18.41 ID:MUGmsF7eP
先生が板書している時を狙って消しカスや、丸めた紙が飛んでくる
先生「おい!田井中!琴吹!さっきからなにしてる!さっきも注意しただろう!」
先生はこういう事には察しがいい。既に三回目の注意だ
律「平沢さんから先にやってきましたー!注意するなら平沢さんにしてくださーい!」
先「そうなのか。平沢」
私に拒否権はない。頷くしかなかった
先「平沢!後で職員室に来なさい!」
そう言われている私の背中にクラス中の薄ら笑いが張り付く
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:57:02.48 ID:MUGmsF7eP
休み時間
先生の説教からようやく解放された私が教室にもどると机がなくなっている
必死で探すと校舎裏のゴミ集積所に置いてあった
よくここまで運ぶよ
まったく
やっとの思いで教室に帰ると次はカバンとギー太がない
必死で探す私をみんなが笑っているのがわかる
わかるけど気づかないフリをする
カバンの中身はトイレにぶちまけてあった
ギー太は掃除用具入れにホコリだらけになって入っていた
ケースから出してイタズラされなかったのが唯一の救いだ
見てる人いる?
投下は続けるけど不安になってきた
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:58:29.01 ID:MUGmsF7eP
次の英語の授業では、和訳を書いてなかったのは私だけだった
朝に写そうと思ったのに「大きな誤算」が生じてしまったのだ。しかたがない
こういう時は申し合わせたのか全員やってきている
先「このクラスでやってきてないのはお前だけだぞ。第一自分が受験生という………」
説教を受ける私を見てみんな楽しくて仕方ないのだろう
ガキっぽくて私が笑っちゃうよ
昼休みに弁当を食べようと弁当箱を開けるとチョークの粉が振りかけられていた
別に怒る気力も湧かない。その弁当は食べずに捨てた
憂に悪い気持ちでいっぱいだった
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:59:24.17 ID:MUGmsF7eP
放課後はもちろん音楽室なんかに行かずに帰る
あずにゃんは知っているだろうか
音楽室の椅子は一つ減ってたりするのだろうか
そんな事よりも
憂にバレたくない
憂を心配させたくない
憐憫の目なんて向けられたくない
どのくらいの長さで区切っていいかわからない
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:00:56.84 ID:MUGmsF7eP
そんな私は暇をつぶせる店を探して町をぶらつく
空は今の私と正反対の晴れきった晩夏の空だった
このハンバーガー店はムギちゃんがバイトしていて……
この小物のお店でクリスマス会のプレゼント、考えたな……
たしかこのお店で合宿の水着を買って……
この楽器屋さんでみんなで寄り道して……
喉に何か詰まっている感覚がする
トボトボと家に帰る途中、晴れ渡っていたはずの空は夏の終わりを知らせる夕立を降らせていた
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:02:07.13 ID:MUGmsF7eP
びしょ濡れになって家に帰ると憂がお風呂を沸かせて待っていてくれた
もしかするとあずにゃ…いや、梓から部活を休んだという類の連絡があったかもしれない。と不安だったけど杞憂に終わったようだ
憂「練習どうだった?」
唯「学祭近いし頑張ってるよ!」
とっさに口からウソが出る
憂「ギー太拭かなくちゃね」
ケースの中にまで入った雨で濡れたギー太を見て不意に梅雨の時期の会話を思い出す
たしか、りっちゃんがベースにカビが生えるとか脅かして、澪ちゃんが……
憂「お姉ちゃんどうしたの?早くお風呂入らないと風邪引いちゃうよ?」
お風呂に入ったとたん、今までこらえていた喉に詰まった何かが溶けて、涙となった
泣いたらだめ
憂が心配しちゃうよ……
私はダラダラして、学校でも家でも明るくて、そんなお姉ちゃんなんだ
こらえようとした涙はしばらく止まらなかった
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:04:18.51 ID:MUGmsF7eP
ある日は教科書やノートが全部便器に投げ入れられていた
まぁ既に落書きだらけで使い物にならなかったし
プリントというプリントは破られてたり、足跡がつけられてたり
今までと違って授業を真面目に受けてるし成績あがるかも
でもノートも教科書もなくなってるし無理か
机の上に花と色紙が置かれてあった
「早く死んでください」「気持ち悪いです」「消えろカス」
この人たちはお金をかけて、こんな人並みのことしかできないのかな
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:05:06.86 ID:MUGmsF7eP
ニ週間もたって鏡を見ると驚いた
少し頬が削げて、目が大きく見える
声を殺して泣いているせいか声も少し変わった気がする
最近はあまり、というか全然ご飯が喉を通らない
憂に夏バテ気味と言うと
憂「もうそんな季節でもないと思うけどな…。」
と訝しがりながらも夏バテ対策のメニューを作ってくれる
そのお弁当やご飯も大半は、トイレで吐いてしまう
放課後はもっぱらネットカフェや漫画喫茶で過ごす事が多くなった
おかげ様でお小遣いはピンチだ
いつ部活に行ってない事が憂にバレるか不安で不安で堪らない
まだ梓は憂に言ってないようだ
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:07:13.43 ID:MUGmsF7eP
それが始まって一カ月後いや、一カ月半後位の事だったかな
憂「お姉ちゃん部活行ってる?」
家に帰ると憂が憤るように震えながら聞いてきた
バレた
私は直感的に思った
唯「学祭近いしね。もちろん行ってるよ」
大丈夫、自然に、明るく、今まで通りに言えている……ハズだ
憂「この手紙がポストに入ってたの」
やべえ短い
そろそろ終わりそう
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:08:48.85 ID:MUGmsF7eP
そこには、この1ヶ月くらいに起きたことが事細かに印刷されてあった
涙を貯めながら憂が言う
憂「お姉ちゃん。転校しよう。別に無理することないよ。お母さんにも連絡したし、すぐ帰ってきてくれるって」
唯「ただの悪ふざけだよ……。多分ムギちゃんが……」
憂「お姉ちゃん!!」
唯「ほっていてくれないかな?」
そう言って階段を駆け上り部屋に入る
妹に同情され心配されるのが嫌だった
私に相談せず親に連絡したのも腹が立った
こんな手紙を書いたのは誰だろう
こんなことをするぐらいなら最初から参加しなければいいのに
この手紙を書いた奴を絶対に許さない
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:11:43.42 ID:MUGmsF7eP
憂「お姉ちゃん。ご飯だよ。」
憂が扉の向こうから声をかけてたけど、赤くなった目を見られたくない、頬の涙の跡を見られたくない
泣いているうちにいつの間にか寝てしまって気づいたら朝になっていた
憂が朝食を作っている
顔を合わせたくない
別に怒ってるわけじゃないよ
情けないお姉ちゃんを見せたくないだけ
こんなお姉ちゃんでごめんね
心の中で謝りながら、憂にバレないようにドアを開けて出て行った
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:13:45.32 ID:MUGmsF7eP
その日の終礼
終礼の時に律を含む何人かが呼び出された
その手紙はさわちゃんの机にも置いてあったようだ
律たちが帰ってくると案の定みんな群がる。ヒーローのような扱いだ
反吐がでる
モブ「どうだった?やっぱり例のこと?」
律「そうなんだよー。あのクズ、先公にチクったみたいなんだよねー」
モ「まじかよーwww」
律「そんな腐った根性だからハブられるって分からないのかな」
そう言いながら律は私のカバンを蹴る
随分久しぶりに話しかけられたらかと思ったらこれかよ
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:15:12.72 ID:MUGmsF7eP
髪を掴まれる
律「私らも受験近くてさ、推薦貰おうとしてる人もいんの。お前みたいなクズのせいで停学になって人生狂わされたらどうすんだよ!!」
そう言いながら頭を揺する
髪が抜けるブチブチという音が聞こえる
律「さっきの手紙。お前が出したんだよな?」
唯「違う!!」
気づいたら私は立ち上がって叫んでいた
随分久しぶりに大声をだした
律「この中に裏切り者はいないよなー」
誰一人として首を縦に振る子はいない
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:16:21.10 ID:MUGmsF7eP
>>35
ありがとう
参考にします
そこで律がニヤッと笑った
律「じゃあお前の妹か?今までなにもしなかったけど明日からはどーだろーねー」
唯「憂には……憂には何もしないで」
律「じゃあどうなんだよ?誰がこの手紙を書いたんだ?」
一瞬ためらった
私は先生に助けて貰おうなんて思ってない
心配されて同情されるなんてまっぴらごめんだ
でも憂を助けるために…
唯「私が……」
?「いい加減にしなさいよ!ガキっぽい」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:17:34.07 ID:MUGmsF7eP
誰かがそう言って立ち上がった
律「の、和…!お前裏切ったら……」
和「あー結構よ。あんたたちみたいなガキ共とつき合ってる暇はないわ。私の親友に手を出さないでくれる?」
そう言って和ちゃんは私に近寄ってこう言った
和「唯。一緒に帰ろ」
唯「あのー。和ちゃん?」
和「ん?」
ここはアイス屋さん。
随分久しぶりに寄った
今日は久しぶりの事が多すぎる
大声をだしたり、誰かと一緒に帰ったり、普通に会話したり
やべえ
投下する区切りミスった
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:19:05.14 ID:MUGmsF7eP
唯「本当にいいの?」
和「なにが?」
唯「明日からは和ちゃんが……」
人前では見せないって決めたのに、涙が止まらない
和「いいのよ唯。でも、一つだけ願いを聞いてほしいの」
唯「なに?」
和「明日からも毎日一緒に帰る。それだけよ」
和「さっきからなに泣いてるのよ。私がなんかしたみたいじゃない。」
和ちゃんが少し乱暴にだけど涙を拭ってくれる
唯「これは涙じゃないよ。目から汗が止まらないだけだよ」
和ちゃんが笑う。私もつられて笑う
空が高くなりだした秋の空の下、私は随分久しぶりに笑った
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:20:44.73 ID:MUGmsF7eP
次の日から案の定、和ちゃんがハブになった
朝、いつものように遅刻ギリギリで登校すると紬と律と澪が私に話しかけてきた
律「今までごめんなー。なんか唯のこと誤解してたみたい」
紬「そうなのよ。知らないかもしれないけど、真鍋さんは唯ちゃんの悪口、ずっと言ってたのよ」
澪「今日は部活、来るんだよな?」
唯「………」
私は3人を黙殺して和ちゃんの所へ向かう
こいつらと「ともだちごっこ」するのはもう御免だ
その日のうちにさわ子に退部届を出した
さわ子はその事を知ってたのか知らなかったのか「受験勉強、大変だものね」
っと言った
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:22:38.86 ID:MUGmsF7eP
4月
K大学入学式
和「ゆーいー。遅いわよ!」
唯「ごめんね。和ちゃん」
私と和ちゃんは猛勉強をしてK大学に入った
私はコツを掴むとなんでも上手にできるタイプのようだ
和ちゃんに家庭教師をしてもらいながら勉強をした
その結果、K大学に二人で合格することができたのだ
唯「和ちゃん。」
和「唯、急がないと式始まっちゃうわよ」
唯「その…ありがとう!」
〈完〉
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 20:50:35.41 ID:MUGmsF7eP
後日談
ぶしつ!!
澪「おい律」
律「なに?」
澪「体育館の使用申請書出したか?」
律「へ?」
澪「だから、使用申請書。それがないと学園祭出れないだろう」
律「え・・・・・」ガサゴソ
律「その・・・。澪・・・・・。昨日までだった」
澪「律!!」ゲンコツ
澪「今すぐ和に頼んで来い」
律「でも・・・・和は・・・」
澪「いいから早く!!」
律「分かるだろ!!そんな和に頭下げるなんて今さら・・・」
澪「いいから早く出しに行くぞ」ズルズル
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 20:52:40.14 ID:MUGmsF7eP
生徒会室
和「それで、私に頼みに来たと」
澪「頼むよ。この通り!」
澪「ほら律も頭下げろ」
律「やだね」
澪「軽音部のためだ!おまえ部長だろう」
律「・・・・分かったよ」
律「和!頼む!!」
和「いくら頭を下げたって無駄だよ。規則は規則」ビリビリ
澪「そんなぁ・・・」
<完>
唯「澪ちゃんおはよー!英語の和訳やった?私まだ終わってなくて」
澪「……」
彼女の机には英語のノートが置いてある
見してくれたっていいよね
唯「みーおーちゃん?」
唯「ノート借りるよ!」
伸ばした手が弾かれる。
そして彼女は姫子ちゃんのグループに入っていった
澪ちゃんって姫子ちゃんと仲良しだっけ?
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:41:42.01 ID:MUGmsF7eP
唯「ムーギーちゃん!」
唯「なんで澪ちゃん怒ってるのかな?」
紬「……」
まるでムギちゃんは私など存在しないかのように、りっちゃんの所へ駆けていった
違和感を感じた私はクラスを見渡す
目が合いそうになった子たちはすっと目をそらす
シューティングゲームみたいに。
あいにく、その状況を楽しむ余裕は今の私にはない
足が震える、視界がぼやける
私は全てを理解した
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:48:57.28 ID:MUGmsF7eP
目の前が真っ暗になる
なんで私が?
頭の中でもう一人の私が答える
別に理由なんてないんだよ
みんな受験勉強も大変で、いつまでも能天気に見えるおまえがなんとなく狙われただけ
分かってるよ・・・分かってるけど……
律「お前さ、今日からハブだから。」
そこに薄ら笑いを浮かべたりっちゃん。いや律がやってくる
律「みんなー。裏切ったりしたらどうなるか分かってるよねー」
まわりなんて見なくてもわかる。裏切って私を助けるような子はいないだろう
私だってそうだった。仕方ないのだ。自分がハブられない為には人をハブるしかない
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:50:56.70 ID:MUGmsF7eP
泣きたかった。なんで私なの?
って言いたかった。でも私だってプライドがある
授業までの時間、私は座って何をするでもなく黒板を眺め続けた
次の授業から私への嫌がらせ、いや「イタズラ」は始まった
嫌がらせって言うと私が嫌がっているという感じがする
これは私に対してふざけているだけ。イラズラなのだ
私は嫌がってなどいない
私はこいつらに負けない
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:53:18.41 ID:MUGmsF7eP
先生が板書している時を狙って消しカスや、丸めた紙が飛んでくる
先生「おい!田井中!琴吹!さっきからなにしてる!さっきも注意しただろう!」
先生はこういう事には察しがいい。既に三回目の注意だ
律「平沢さんから先にやってきましたー!注意するなら平沢さんにしてくださーい!」
先「そうなのか。平沢」
私に拒否権はない。頷くしかなかった
先「平沢!後で職員室に来なさい!」
そう言われている私の背中にクラス中の薄ら笑いが張り付く
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:57:02.48 ID:MUGmsF7eP
休み時間
先生の説教からようやく解放された私が教室にもどると机がなくなっている
必死で探すと校舎裏のゴミ集積所に置いてあった
よくここまで運ぶよ
まったく
やっとの思いで教室に帰ると次はカバンとギー太がない
必死で探す私をみんなが笑っているのがわかる
わかるけど気づかないフリをする
カバンの中身はトイレにぶちまけてあった
ギー太は掃除用具入れにホコリだらけになって入っていた
ケースから出してイタズラされなかったのが唯一の救いだ
見てる人いる?
投下は続けるけど不安になってきた
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:58:29.01 ID:MUGmsF7eP
次の英語の授業では、和訳を書いてなかったのは私だけだった
朝に写そうと思ったのに「大きな誤算」が生じてしまったのだ。しかたがない
こういう時は申し合わせたのか全員やってきている
先「このクラスでやってきてないのはお前だけだぞ。第一自分が受験生という………」
説教を受ける私を見てみんな楽しくて仕方ないのだろう
ガキっぽくて私が笑っちゃうよ
昼休みに弁当を食べようと弁当箱を開けるとチョークの粉が振りかけられていた
別に怒る気力も湧かない。その弁当は食べずに捨てた
憂に悪い気持ちでいっぱいだった
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 18:59:24.17 ID:MUGmsF7eP
放課後はもちろん音楽室なんかに行かずに帰る
あずにゃんは知っているだろうか
音楽室の椅子は一つ減ってたりするのだろうか
そんな事よりも
憂にバレたくない
憂を心配させたくない
憐憫の目なんて向けられたくない
どのくらいの長さで区切っていいかわからない
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:00:56.84 ID:MUGmsF7eP
そんな私は暇をつぶせる店を探して町をぶらつく
空は今の私と正反対の晴れきった晩夏の空だった
このハンバーガー店はムギちゃんがバイトしていて……
この小物のお店でクリスマス会のプレゼント、考えたな……
たしかこのお店で合宿の水着を買って……
この楽器屋さんでみんなで寄り道して……
喉に何か詰まっている感覚がする
トボトボと家に帰る途中、晴れ渡っていたはずの空は夏の終わりを知らせる夕立を降らせていた
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:02:07.13 ID:MUGmsF7eP
びしょ濡れになって家に帰ると憂がお風呂を沸かせて待っていてくれた
もしかするとあずにゃ…いや、梓から部活を休んだという類の連絡があったかもしれない。と不安だったけど杞憂に終わったようだ
憂「練習どうだった?」
唯「学祭近いし頑張ってるよ!」
とっさに口からウソが出る
憂「ギー太拭かなくちゃね」
ケースの中にまで入った雨で濡れたギー太を見て不意に梅雨の時期の会話を思い出す
たしか、りっちゃんがベースにカビが生えるとか脅かして、澪ちゃんが……
憂「お姉ちゃんどうしたの?早くお風呂入らないと風邪引いちゃうよ?」
お風呂に入ったとたん、今までこらえていた喉に詰まった何かが溶けて、涙となった
泣いたらだめ
憂が心配しちゃうよ……
私はダラダラして、学校でも家でも明るくて、そんなお姉ちゃんなんだ
こらえようとした涙はしばらく止まらなかった
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:04:18.51 ID:MUGmsF7eP
ある日は教科書やノートが全部便器に投げ入れられていた
まぁ既に落書きだらけで使い物にならなかったし
プリントというプリントは破られてたり、足跡がつけられてたり
今までと違って授業を真面目に受けてるし成績あがるかも
でもノートも教科書もなくなってるし無理か
机の上に花と色紙が置かれてあった
「早く死んでください」「気持ち悪いです」「消えろカス」
この人たちはお金をかけて、こんな人並みのことしかできないのかな
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:05:06.86 ID:MUGmsF7eP
ニ週間もたって鏡を見ると驚いた
少し頬が削げて、目が大きく見える
声を殺して泣いているせいか声も少し変わった気がする
最近はあまり、というか全然ご飯が喉を通らない
憂に夏バテ気味と言うと
憂「もうそんな季節でもないと思うけどな…。」
と訝しがりながらも夏バテ対策のメニューを作ってくれる
そのお弁当やご飯も大半は、トイレで吐いてしまう
放課後はもっぱらネットカフェや漫画喫茶で過ごす事が多くなった
おかげ様でお小遣いはピンチだ
いつ部活に行ってない事が憂にバレるか不安で不安で堪らない
まだ梓は憂に言ってないようだ
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:07:13.43 ID:MUGmsF7eP
それが始まって一カ月後いや、一カ月半後位の事だったかな
憂「お姉ちゃん部活行ってる?」
家に帰ると憂が憤るように震えながら聞いてきた
バレた
私は直感的に思った
唯「学祭近いしね。もちろん行ってるよ」
大丈夫、自然に、明るく、今まで通りに言えている……ハズだ
憂「この手紙がポストに入ってたの」
やべえ短い
そろそろ終わりそう
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:08:48.85 ID:MUGmsF7eP
そこには、この1ヶ月くらいに起きたことが事細かに印刷されてあった
涙を貯めながら憂が言う
憂「お姉ちゃん。転校しよう。別に無理することないよ。お母さんにも連絡したし、すぐ帰ってきてくれるって」
唯「ただの悪ふざけだよ……。多分ムギちゃんが……」
憂「お姉ちゃん!!」
唯「ほっていてくれないかな?」
そう言って階段を駆け上り部屋に入る
妹に同情され心配されるのが嫌だった
私に相談せず親に連絡したのも腹が立った
こんな手紙を書いたのは誰だろう
こんなことをするぐらいなら最初から参加しなければいいのに
この手紙を書いた奴を絶対に許さない
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:11:43.42 ID:MUGmsF7eP
憂「お姉ちゃん。ご飯だよ。」
憂が扉の向こうから声をかけてたけど、赤くなった目を見られたくない、頬の涙の跡を見られたくない
泣いているうちにいつの間にか寝てしまって気づいたら朝になっていた
憂が朝食を作っている
顔を合わせたくない
別に怒ってるわけじゃないよ
情けないお姉ちゃんを見せたくないだけ
こんなお姉ちゃんでごめんね
心の中で謝りながら、憂にバレないようにドアを開けて出て行った
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:13:45.32 ID:MUGmsF7eP
その日の終礼
終礼の時に律を含む何人かが呼び出された
その手紙はさわちゃんの机にも置いてあったようだ
律たちが帰ってくると案の定みんな群がる。ヒーローのような扱いだ
反吐がでる
モブ「どうだった?やっぱり例のこと?」
律「そうなんだよー。あのクズ、先公にチクったみたいなんだよねー」
モ「まじかよーwww」
律「そんな腐った根性だからハブられるって分からないのかな」
そう言いながら律は私のカバンを蹴る
随分久しぶりに話しかけられたらかと思ったらこれかよ
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:15:12.72 ID:MUGmsF7eP
髪を掴まれる
律「私らも受験近くてさ、推薦貰おうとしてる人もいんの。お前みたいなクズのせいで停学になって人生狂わされたらどうすんだよ!!」
そう言いながら頭を揺する
髪が抜けるブチブチという音が聞こえる
律「さっきの手紙。お前が出したんだよな?」
唯「違う!!」
気づいたら私は立ち上がって叫んでいた
随分久しぶりに大声をだした
律「この中に裏切り者はいないよなー」
誰一人として首を縦に振る子はいない
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:16:21.10 ID:MUGmsF7eP
>>35
ありがとう
参考にします
そこで律がニヤッと笑った
律「じゃあお前の妹か?今までなにもしなかったけど明日からはどーだろーねー」
唯「憂には……憂には何もしないで」
律「じゃあどうなんだよ?誰がこの手紙を書いたんだ?」
一瞬ためらった
私は先生に助けて貰おうなんて思ってない
心配されて同情されるなんてまっぴらごめんだ
でも憂を助けるために…
唯「私が……」
?「いい加減にしなさいよ!ガキっぽい」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:17:34.07 ID:MUGmsF7eP
誰かがそう言って立ち上がった
律「の、和…!お前裏切ったら……」
和「あー結構よ。あんたたちみたいなガキ共とつき合ってる暇はないわ。私の親友に手を出さないでくれる?」
そう言って和ちゃんは私に近寄ってこう言った
和「唯。一緒に帰ろ」
唯「あのー。和ちゃん?」
和「ん?」
ここはアイス屋さん。
随分久しぶりに寄った
今日は久しぶりの事が多すぎる
大声をだしたり、誰かと一緒に帰ったり、普通に会話したり
やべえ
投下する区切りミスった
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:19:05.14 ID:MUGmsF7eP
唯「本当にいいの?」
和「なにが?」
唯「明日からは和ちゃんが……」
人前では見せないって決めたのに、涙が止まらない
和「いいのよ唯。でも、一つだけ願いを聞いてほしいの」
唯「なに?」
和「明日からも毎日一緒に帰る。それだけよ」
和「さっきからなに泣いてるのよ。私がなんかしたみたいじゃない。」
和ちゃんが少し乱暴にだけど涙を拭ってくれる
唯「これは涙じゃないよ。目から汗が止まらないだけだよ」
和ちゃんが笑う。私もつられて笑う
空が高くなりだした秋の空の下、私は随分久しぶりに笑った
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:20:44.73 ID:MUGmsF7eP
次の日から案の定、和ちゃんがハブになった
朝、いつものように遅刻ギリギリで登校すると紬と律と澪が私に話しかけてきた
律「今までごめんなー。なんか唯のこと誤解してたみたい」
紬「そうなのよ。知らないかもしれないけど、真鍋さんは唯ちゃんの悪口、ずっと言ってたのよ」
澪「今日は部活、来るんだよな?」
唯「………」
私は3人を黙殺して和ちゃんの所へ向かう
こいつらと「ともだちごっこ」するのはもう御免だ
その日のうちにさわ子に退部届を出した
さわ子はその事を知ってたのか知らなかったのか「受験勉強、大変だものね」
っと言った
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 19:22:38.86 ID:MUGmsF7eP
4月
K大学入学式
和「ゆーいー。遅いわよ!」
唯「ごめんね。和ちゃん」
私と和ちゃんは猛勉強をしてK大学に入った
私はコツを掴むとなんでも上手にできるタイプのようだ
和ちゃんに家庭教師をしてもらいながら勉強をした
その結果、K大学に二人で合格することができたのだ
唯「和ちゃん。」
和「唯、急がないと式始まっちゃうわよ」
唯「その…ありがとう!」
〈完〉
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 20:50:35.41 ID:MUGmsF7eP
後日談
ぶしつ!!
澪「おい律」
律「なに?」
澪「体育館の使用申請書出したか?」
律「へ?」
澪「だから、使用申請書。それがないと学園祭出れないだろう」
律「え・・・・・」ガサゴソ
律「その・・・。澪・・・・・。昨日までだった」
澪「律!!」ゲンコツ
澪「今すぐ和に頼んで来い」
律「でも・・・・和は・・・」
澪「いいから早く!!」
律「分かるだろ!!そんな和に頭下げるなんて今さら・・・」
澪「いいから早く出しに行くぞ」ズルズル
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/26(月) 20:52:40.14 ID:MUGmsF7eP
生徒会室
和「それで、私に頼みに来たと」
澪「頼むよ。この通り!」
澪「ほら律も頭下げろ」
律「やだね」
澪「軽音部のためだ!おまえ部長だろう」
律「・・・・分かったよ」
律「和!頼む!!」
和「いくら頭を下げたって無駄だよ。規則は規則」ビリビリ
澪「そんなぁ・・・」
<完>
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