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梓「BLACKBOX」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 15:54:13.93 ID:c7JiTiaSO [1/58]
自殺の名所と知られているA山の樹海の奥深くに私が作ったBLACKBOXはある。
BLACKBOXがある所まで、私は雨で濡れた落ち葉を踏みにじるようにただ歩く。
時刻は夜の11時30分。
良い子はもう寝ていて幸せな夢を見ている時間だ。
懐中電灯で真っ暗な闇を照らす。
目印の黄色いテープを大量に巻き付けた大木が見えた。
もうすぐ辿り着くだろう私が5年の月日を費やし作ったBLACKBOXが。

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 15:56:41.01 ID:c7JiTiaSO [2/58]
目印の青色のテープを大量に巻き付けた木が見えた。
BLACKBOXは確かここらへんにあったはず。
私は懐中電灯で辺りを照らす。
「見付けた」
懐中電灯の光りはBLACKBOXを照らす。
ポケットの中から鍵を取り出す。
それを鍵穴に差しクルリと回す。
BLACKBOXの鍵は開いた。
さて、扉を開け彼女の様子を見ないと。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 15:58:15.98 ID:c7JiTiaSO [3/58]
扉を開く。
すぐに異臭が私の鼻を刺激した。
私の機嫌が不機嫌になる。
彼女は無限に糞を搾りだす。
BLACKBOXの中は真っ暗闇だ。
私は懐中電灯で中を照らす。
彼女の糞以外は何もない。
「あ……うぅ……」
彼女のうめき声が聞こえた。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:00:24.88 ID:c7JiTiaSO
「排泄物はちゃんと掃除しないとダメでしょ」
私は彼女に言った。
だが、まるで耳が聞こえない人のように私の言葉に反応しない。
BLACKBOXの扉を閉める。
懐中電灯の光だけではこの部屋全体を光で照らすのは無理だ。
バックから蝋燭をいくつか取り出しそれを部屋に置く。
そして火を点けると彼女の姿が見えた。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:04:43.39 ID:c7JiTiaSO
「あ…ひぃぃぃ」
彼女は私の姿を見て小さな悲鳴挙げ、体を硬直させた。
まるで蛇に睨まれたカエル。
しかし、彼女が私を見る目は何とも素晴らしい物がある。
全世界のありとあらゆる絶望を体験したかのような目。
「久しぶり」
私は彼女にわざと低い声を出して言った。
彼女は頭を抱えうずくまる。
「アハハハハハ」
何と滑稽な姿なんだろう。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:09:06.13 ID:c7JiTiaSO
「ほら、エサ」
バックから取り出したコンビニの弁当を10個、彼女に投げ渡す。
彼女は弁当を一つだけ手にとると蓋を開け食べ始めた。
「うぅ……ううぅ…」
彼女が弁当を食べる姿はまるで豚。
毎回、この食べ方にはビックリする。
豚にピッグリ何て駄洒落が頭の中に浮かぶ。
「美味しい豚さん?」
彼女は涙を流しながらコクリと頷く。
私は弁当の中に入っているエビフライに唾を吐いた。
だが彼女は気にする事も無く食べる。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:10:50.66 ID:c7JiTiaSO
彼女に水が入ったペットボトルを勢いよく投げる。
「あうっ!」
私が投げたペットボトルは、彼女の太腿にジャストミート。
人呼吸置いて彼女はペットボトルを拾い飲み始めた。
「………………」
水を飲む音が聞こえる。
「はぁはぁはぁはぁ」
よっぽど喉が渇いていたのか1リットルの水が入っていたペットボトルはすぐに空になった。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:13:58.57 ID:c7JiTiaSO
「お腹いっぱいになった?」
彼女はコクリと頷く。
「そっか」
ポケットからタバコを取り出し火を点ける。
「すー…ふぅー……」
煙りを彼女の顔面に吐く。
「ごほっ……けほっ」
彼女は咳込み目を両手で拭う。
どうやら煙りが目に入ったみたいだ。
彼女はタバコの煙りはダメらしい。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:17:13.26 ID:c7JiTiaSO
「たい……いたい…」
未だに彼女は目を擦っている。
私はタバコを彼女の腹に押し付けて消す。
「あぢ……っ!」
彼女は右手で目を擦り左手で腹を摩る。
「アハハハハハ、悪いごめんごめん」
笑いながら謝る。
当然、悪いだ何て思ってない。
「アハハハハハ」
彼女が痛がる姿は笑える、きっとどんなコメディ映画より遥かに面白い。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:22:40.01 ID:c7JiTiaSO
「あ……ず…ち…めて」
彼女はボソボソと何かを言っている。
私は耳をすまして彼女の言葉を聞き取る。
「あずさちゃん……もうやめて」
はぁ?彼女の言葉が私をイラつかせる。
力を入れて何度も何度も彼女を蹴る。
「いた!あぐっ…や、やめっやめ!お゛ぁっ」
私はやめないわアナタを殺したいもの。
だけど、私は直接彼女を殺さない。
アナタはこのBLACKBOXの中で一生を終えろ。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:28:02.48 ID:c7JiTiaSO
「ふぅ……疲れた」
彼女を何度も蹴るうちに怒りも納まってきた。
「二度そんな事言わないで次は蹴りなんかじゃ済まないから」
彼女はコクリと頷くと倒れた。
足で彼女を突いて見る。
失神しているみたいだ。
「憂、起きて」
背中を蹴ると憂はすぐに目を覚ました。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:30:05.21 ID:c7JiTiaSO
「…たい!痛い……よ」
彼女は潤んだ瞳で私を見る。
今にも泣きそうな表情。
泣きたいなら泣けばいい。
私は最抵の感謝を込めて彼女の頬に平手打ちした。
「うぅ……うっ…」
彼女は泣き始めた。
透明な涙が彼女の頬を伝い落ちる。
「声を出して泣かないでね。アナタの泣き声を聞くぐらいだったら、まだ蝿が飛んでる音を聞いてた方がマシだから」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:33:06.27 ID:c7JiTiaSO
彼女は声を押し殺して泣いている。
私はそんな彼女を憐れんだ目でみる。
毎週こうやってお仕置きをしないと。
またポケットからタバコを取り出し火を点ける。
白い煙りを吐き彼女をジッと見る。
数秒後、彼女はゲロを吐いた。
「汚いな……」
それに、せっかく私が弁当を与えてやったのに勿体ない。
リサイクル、リユーズ、偉い人も言っている無駄使いはダメだ。
「今、吐き出した奴もう一回胃に戻さないとね」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:36:42.15 ID:c7JiTiaSO
「…………え?」
困惑の表情。
私はもう一度大きな声で憎しみを込めて言った。
「今、吐いた奴をもう一度胃に戻せ!」
彼女は首を左右に降る。
「む、無理だよ……汚いよ」
私は彼女の頭をそっと撫でる。
「それがアナタの言い分?じゃあ次は私の言い分を言う番ね」
耳元で優しく言う。
「さっさとこれを胃に戻して」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:38:59.30 ID:c7JiTiaSO
「む…無理だってば…………」
彼女の頬を摘む。
「ひぃはぁいよ!」
何て言っているか良く分からない。
「せっかくいい物を挙げようと思ったのにな」
バックから唯先輩の写真を取り出し彼女に見せる。
「お、お姉ちゃん……」
写真に写る唯先輩は笑っている。
なんて、可愛いんだろう。
「ゲロを全て舐めとったらコレ挙げる」
彼女はすぐにゲロを舐め始めた。
なんて食に貪欲なの?昔の姿から想像が出来ない彼女の姿にショックを受けた。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:41:28.59 ID:c7JiTiaSO
彼女は床に這い舐める舐める。
私はそれを眺める眺める。
キモち悪い姿だね憂。
まるでゴキブリあぁ…気持ち悪い。
ここまでゴキブリを連想させてくれる姿を見せてくれる彼女は凄いね。
才能に道溢れている。
来世はゴキブリかな?それとも前世がゴキブリ?
いいや、生まれた時からゴキブリだったか
「終わった……」
おっと、早いね。
お腹減ってたんだもん仕方ないよね。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:46:50.79 ID:c7JiTiaSO
「そうだね、終わったね」
アレをやるのは何年振りになるんだろう?
「お姉ちゃんの写真…………」
私は写真を右手に持ち大きく掲げた。
「はい、上げました」
彼女はキョトンとした表情で私を見る。
どうやら意味が分かっていないようだ。
「じゃあ写真上げたからね」
写真をバックの中へ入れる。
「…………え?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:54:51.26 ID:c7JiTiaSO
「そっか……最初から私に写真をやらないつもりだったんだ」
ようやく意味が分かったみたい。
お前なんかに唯先輩の大事な写真を渡す馬鹿はいないよ。
「当たり前じゃん」
彼女は肩を落とし両手で頭を抱える。
「お姉ちゃんに会いたいよ……」
彼女を睨む。
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
イラついたんで顔にパンチをお見舞いしてやった。 ざまぁみろ。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 16:56:09.60 ID:c7JiTiaSO
「いだっ!痛い……痛い痛い」
顔面にパンチを喰らえば誰だって痛いよ。
「鼻血でてるよ」
彼女の鼻から血が流れてる。
涙を流しゲロを吐きそして今度は鼻血?
体の中の水分を無駄にしすぎる。
そう言えば……私が作ったBLACKBOXが汚い。
彼女に糞を掃除させなきゃ。
「アナタが捻り出した糞を胃に戻さなくちゃね」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:06:55.79 ID:c7JiTiaSO
「……………え?」
信じられないなコイツと言った表情をで私を見る。
「ほら、そこの糞を食って見せて」
私は憂のすぐそこにある糞に指を指して言った。
「む、無理だよ……」
また涙を流す。
勘弁してって表情だ。
でも私のBLACKBOXを汚した憂が悪い、弁償して貰わないとね。
そして勉強して貰いたいね。
私のBLACKBOXを汚すとどうなるかのを。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:10:13.51 ID:c7JiTiaSO
「無理ですよ……か、片付けますから!片付けますから……」
う~んどうしよう……流石に糞を食わせるって酷いよね非道だよね。
「しょうがないね、でも片付けてよ」
ビニール袋を彼女に渡す。
彼女はすぐにお片付けをし始めた。
素手で糞を掴みビニール袋に入れる。
「綺麗にするんだよ」
「は……はい」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:11:38.91 ID:c7JiTiaSO
一通り掃除し終わった彼女は、どうやら疲れた見たいでその場に座る。
そしてまた泣き始める。
Cry暗いBLACKBOXに彼女の泣き声がただ響く。
「また泣いてるの」
彼女は私の問いに答えない。
まぁ…彼女が泣いてる事なんかどうでもいいか。
今日はもう帰ろう。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:17:35.99 ID:c7JiTiaSO
「じゃあ今日は帰るね」
バックから取り出した水を数本彼女に投げ渡す。
BLACKBOXの扉を開け外に出ると私の頭に何か降って来た。
上を見ると顔に水が落ちて来る次から次へ落ちて来る。
うわ、雨だ。
罰が悪いな私が帰る時に雨が降ってくるだなんて。
BLACKBOXで雨宿りしなきゃ濡れちゃう。
中に入って雨が上がるのを待とう。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:21:10.19 ID:c7JiTiaSO
もう一度BLACKBOXの中に入る。
「外、雨が降ってるからまだいるね」
早く帰って欲しい、彼女がそう思っているのは手に取るように分かるが、そんな事知った事じゃない。
私に早く帰って欲しいなら、早く雨が上がるように神にでも祈ってるんだね。
まぁ、私も早く雨が上がるように神に祈るけどね。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:24:28.93 ID:c7JiTiaSO
冬に聞く雨音は聞いてて心地良い物があるが、夏に聞く雨音はただの雑音だ。
私はこの雑音が聞こえ無くなるまでコイツと一緒に居なくちゃならないのか。
思わずため息が出る。
「はぁ……チッ」
私の舌打ちにビビッたようで彼女は体をビクつかせる。
人間がため息の後に舌打ちをした時はイライラしてる証拠だ。
まぁ、今は彼女に構う予定何て無いけどね。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:26:51.03 ID:c7JiTiaSO
そう言えば憂をBLACKBOXに監禁してからもう一年になる。
何故、監禁をしているか?その原因は唯先輩だ。
私は見た唯先輩の体を憂が汚していくのを。
彼女は甘い言葉で唯先輩を誘惑して音楽室でよろしくやっていた。
姉妹と言う壁を乗り越えてね。
私は憂が許せなかった。
唯先輩を汚す憂が憎かった。
だからBLACKBOXを作り彼女を監禁した。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:31:06.42 ID:c7JiTiaSO
唯先輩は私の物きっと唯先輩も私の事が好きだ。
だって、毎日のように私に抱き着いてスリスリ。
憂はそんな私達の気持ちを知らず私から唯先輩をスリスリ。
憂にはお仕置きが必要だったんだ。
もう卒業をしてしまったのだけれど私の唯先輩への気持ちは変わらない。
私のLove&SOULを唯先輩に毎日のように捧げている。
あぁ…唯先輩、私は唯先輩の愛が欲しいです。
他の誰ともシェアして欲しくないです。
唯先輩……可愛い可愛い唯先輩。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:35:20.92 ID:c7JiTiaSO
唯先輩の可愛いらしいお尻。
素晴らしい曲線の太腿、そして足。
ふっくらしたお腹に大きくはないけど形のいい胸。
私の小さな体をその体で包み込んで。
神様は全ての可愛い要素を彼女に捧げたに違いない。
その彼女と体の関係を持った憂は許せない。
BLACKBOXで終身刑だ。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:41:48.25 ID:c7JiTiaSO
憂はBLACKBOXの隅っこで体育座りをして寝ている。
私は彼女に聞こえないように呟く。
「アナタより私の方が唯先輩を愛してる」
もし、憂が起きていてこの言葉を聞いたならこう思うだろう。
私の方がお姉ちゃんを愛してる。
そんな分けが無い私の方が愛してる。
まだ、付き合ってもいないけど私は唯先輩を愛してる。
きっと唯先輩も同じ気持ちだ。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:45:52.29 ID:c7JiTiaSO
「まだ、雨やまないのかな?」
いや、さっきよりも雨音が激しくなっている。
もうこのまま濡れて帰ろうか。
でも、コイツの為に濡れて帰るだなんて何かシャクだな。
唯先輩の為なら空からマグマが降っていても平気なんだけどね。
「お姉ちゃん……大好き」
彼女の寝言が聞こえた。
幸せな夢でも見ているのだろうか?
じゃあ起こそう。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:51:19.58 ID:c7JiTiaSO
…っとその前にケータイで時間を見ようかな。
夜中の2時28分。
ヤバイな早く帰らなきゃダメだ。
でも、電波って凄いねこんな所にまで届いてるなんて。
ケータイの待受画面の電波を表示するアイコンの棒が一本立ってるよ。
「おい、幸せそうな夢を見ているね」
彼女を蹴る。
すぐに目を覚ました。
彼女は少しイラッと来たようで私を睨む。
私の怒りも目を覚ました。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:56:44.53 ID:c7JiTiaSO
「何……その目?」
憂はすぐに私から目線を逸らした。
平手で彼女の頬を何度も何度も叩く。
「いたっ゛!や、やめ…ごめんなさいごめんなさい!」
息を切らし叩くのを辞め彼女を睨む。
「次、私を睨んだらアナタの髪を全部引っこ抜くから」
彼女の髪を鷲掴みにしグイグイ引っ張る。
「はい……はい……」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:02:05.50 ID:c7JiTiaSO
BLACKBOXの部屋中にケータイの着信音が響く。
「誰からだろう?」
私は憂から少し離れケータイを開く。
そして暗証番号を6桁入力する。
ピップッペッポッピッパッ。
唯先輩からメールが来ていた。
「憂ー唯先輩からメールが来たよー」
彼女は覇気が無い目でケータイの画面を見る。
「お……ねぇちゃん」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:10:51.04 ID:c7JiTiaSO
「明日、あずにゃんと一緒に遊びたい!だって~」
唯先輩が送って来たメールも可愛いなぁ…。
「お姉ちゃん……」
ケータイをポケットに仕舞う。
憂は両手で顔を多い隠してまた泣く。
泣き過ぎでしょう。
……ん?さっきまで五月蝿いぐらいに聞こえていた雨音が聞こえなくなっている。
どうやら雨は止んだみたいだ。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:17:59.74 ID:c7JiTiaSO
「雨も止んだみたいだし帰るね~」
足取り軽やかスキップでBLACKBOXの扉の前に行く。 「ちょっと待ってよ!」
憂の突然の大声に私はストップ彼女を見る。
「お姉ちゃんに合わせてよ……合わせてよ合わせてよ合わせてよ!」
憂は私に向かって走り出す。
急な事で驚いた私は何も出来なかった。
憂に頬を殴られ倒れる。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:23:56.62 ID:c7JiTiaSO
「お姉ちゃんに……」
彼女は倒れた私の上に乗りひたすら私を殴る。
「痛っ…!ちょっ止め…止めろよ!」
長い間、彼女をろくにご飯も食べてない。
軽くなった彼女の体を押し退けるのは簡単だった。
「な、何すんのよ!」
怒り狂った私は彼女をひたすら蹴る。
顔や体、足をひたすらに蹴る蹴る蹴る。
「馬鹿憂!死ね死ね死ね」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:30:26.06 ID:c7JiTiaSO
私はただ彼女を蹴り続ける。
反抗した罰は重い。
このまま彼女を殺してしまおうかと思ったがやめた。
「はぁはぁはぁ」
彼女はただ海老の様に体をくねらせ痛みに耐える。
「次はあんな事……したら殺すから」
「うぅ……うぅぅぅ」
馬鹿だね、私に反抗をしなきゃこんな事にならなかったかも知れないのに。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:39:20.17 ID:c7JiTiaSO
「さて…と帰ろうかな」
大声で泣いている憂を尻目に私はBLACKBOXを出た。
そして鍵を閉める。
「まったく……」
憂に殴られた頬が痛い。
でも、どうして急に私に反抗したんだろう?
唯先輩に会いたいって気持ちが大きくなったのかな?
私が見せたメールを見て。
懐中電灯で辺りを照らす。
さて、帰るか。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:45:29.91 ID:c7JiTiaSO
しばらく歩いているとお腹が鳴りだす。
そう言えば今日は夜ご飯あまり食べなかったなー。
帰りにセブンにでも寄っておにぎりでも買おう。
シャケと明太子がいいな。
家に着くのは何時頃になるんだろう?
ポケットからケータイをケータイを…ああああああああああ。
無い無いケータイが無いひいいいいいい。
あの…あの野郎……私からケータイを抜き取りやがった。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:52:55.20 ID:c7JiTiaSO
ちくしょお!ちくしょう!あの…あの野郎めがあああああ!
どうしよう……私からケータイを奪ってけ、けけけけ警察に警察に通報してたら。
早く早くBLACKBOXに行かなきゃ。
あああああイライライライライライラ。
なんなの!私から唯先輩を奪って今度はケータイ?
全身から汗が出る。
暑いからじゃない走っているからじゃない。
警察に通報されたら唯先輩に会えなくなる!
それだけは避けなければ。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 18:59:24.39 ID:c7JiTiaSO
「はぁはぁはぁはぁ」
ようやくたどり着いたBLACKBOX。
私の頭は真っ白だ。
あらぬ考えが私の頭の中をグルグル。
鍵を開け扉を開く。
憂がBLACKBOXの中央で私のケータイを扱っていた。
「お前……よくもよくも!」
バックを彼女に投げる。
「ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「許さないから絶対に」
憂からケータイを取りあげ画面を見る。
「アハハハハハハ」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 19:05:51.36 ID:c7JiTiaSO
そうだ……そうだった。
「今、どんな気分?ねぇどんな気分?」
憂は黙ったまま顔を上げない。
私のケータイには暗証番号を設定していたんだった。
しかも6桁…すっかり忘れてたよ。
「どんな気分?苦労して盗んだ私のケータイに暗証番号が設定されていたのを見たのはどんな気分だった?」
憂はただ黙っている。
そんな彼女の顔を勢いよく蹴った。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 19:15:21.82 ID:c7JiTiaSO
私は長い時間、彼女にお仕置きをした。
顔はもう変形して前歯が折れ彼女は折れた前歯を必死で探している。
折れた前歯を見付けても何にもならないでしょ。
とにかく、今度こそ帰ろう。
彼女ももうこれで懲りただろう。
それに、明日は唯先輩と一緒に遊ぶ日だ。
早く家に帰って寝なきゃダメ。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 19:40:30.21 ID:c7JiTiaSO
2時間後。
ようやく私は自宅へとたどり着いた。
家に入り真っ先にお風呂場に行く。
汚れきった服を脱いで洗濯機の中へ突っ込む。
「さてお風呂に入ろうかな」
汗で体がビショビショだ。
早く自分の体を綺麗にしたい。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 19:46:58.44 ID:c7JiTiaSO
シャワーを浴びる。
「ふぅー気持ち良い」
温いお湯が私の体を伝い流れ落ちる。
今日はBLACKBOXに長くいたな。
あの汚い憂とも長く居すぎた。
アイツの汚れが私の体に大量に付着している。
何時も以上に体を綺麗に洗わないと。
憂の汚れが着いたままでは唯先輩に会えない。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 20:05:46.96 ID:c7JiTiaSO
体を綺麗にした私はブラジャーとパンティーという何ともはしたない格好でベットに横になる。
ベットに置いていたケータイを手に取り開く。
唯先輩から電話が一件。
しまった……折角唯先輩から電話を貰ったのにお風呂に入っていたから気付かなかった。
ロックを解除しすぐに唯先輩に電話を掛ける。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 20:16:18.24 ID:c7JiTiaSO
ワンコールツーコール……。
『あ、もしもしあずにゃん?』
何度聞いても可愛い声だなぁ。
「はい、電話出れなくてすみません」
『大丈夫だよぉ~あ、それよりあずにゃん?』
「何ですか?」
『今から私の家に……来て』
思わず小さくガッツポーズをする。
やった唯先輩からお呼びだ。
「は、はい!大丈夫ですすぐに行きます」
『ありがとー待ってるからすぐに来てね~バイバイ』
唯は最後にそう言うと電話を切った。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 20:25:02.24 ID:c7JiTiaSO
「やったぁぁぁぁ!」
両手を高く高く掲げ私は歓喜の声を挙げる。
すぐに着替えなきゃ。
クローゼットを開け洋服を漁る。
これがいいかな?こっちのほうがいいかな?
あーもう!唯先輩に会いに行く為に着る服が分からない。
無難に……無難にコレにしよう。
あんまり着飾って行っても場違いかも知れない。
よーしさっさと着替えて、マタタビを目の前に差し出した猫が如くササッと唯先輩の所に行くぞー!

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 20:43:11.50 ID:c7JiTiaSO
唯先輩の家へと着いた。
インターホンを押し彼女が出て来るのを待つ。
「あ!あずにゃん」
扉が開き私の唯先輩が姿を見せる。
「唯先輩!」
「えへへー入って入ってー」
私は頷き中へ入る。
いい匂いだ……唯先輩もこの家もいい匂い。
「急に呼び出してゴメンね」
私は首を左右に降る。
「全然、大丈夫です」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 20:50:18.70 ID:c7JiTiaSO
「じゃあ一緒に話そっか!」
「はい!」
私は唯先輩と一緒にリビングへ向かいソファーに座る。
「あ、あのね!私あずにゃんの為にクッキー焼いたんだ!取ってくるね」
「分かりました!」
唯先輩は台所へ向かう。
ここからじゃ唯先輩が私の為に焼いてくれたクッキーを持って来てくれる姿は見えないのが残念。
それにしても唯先輩が作ってくれたクッキー。
さぞかし美味しいんだろうなぁー。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 20:56:47.39 ID:c7JiTiaSO
早く食べたいな唯先輩が作ってくれたクッキー。
唯先輩がコネコネした生地にはきっと唯先輩の垢が混じっているんだろうな。
早く食べたい。
「あの人です!捕まえて下さい!」
扉が開き勢いよく閉まる音が聞こえた。
私が後ろを振り返ると男が三人、私の後ろに立っていた。
「中野梓ちょっと署まで来て貰う」
三人の男は私を乱暴に押さえ付けた。
「え……え?」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 21:06:20.73 ID:c7JiTiaSO
意味が分からないまま男三人に取り押さえられた私を唯先輩はジッと見る。
「あずにゃんが憂をさらったんだね」
……………は?
いや、まさか……まさかまさかあのクソアマ。
私のケータイで唯先輩に監禁されている事を言った?
いや、でも暗証番号が……じゃあどうして?
「憂から電話があったんだあずにゃんの事」
やはり、電話したんだ唯先輩に。
にわかに信じられない事だが6桁の暗証番号を憂は自力で……ちくしょう。
「クソ……憂の馬鹿ああああああ」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 21:13:22.57 ID:c7JiTiaSO
憂は考えていた。
このBLACKBOXから何とか脱出する方法を。
梓の暴力から逃れる方法を。
そして、とうとう彼女はチャンスを掴んだ。
「今頃…梓ちゃんは警察に……」
蝋燭の炎が揺らぎ憂の影も揺らぐ。
梓ちゃんはボロを出した。
私の前でケータイを出し暗証番号を入力した。
私はチャンスを見逃さなかった。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 21:28:16.78 ID:c7JiTiaSO
私が梓ちゃんに殴りかかったあの時。
私は梓ちゃんのポケットからケータイを盗んだ。
それに気付かずBLACKBOXを出た梓ちゃん。
すぐにケータイを開くが暗証番号が設定されている。
だが、私は慌てない。
ピップッペッポッピッパッ。
ケータイの機種にもよるがボタン確認音がそれぞれ違う音階となっているケータイがある。
梓ちゃんのケータイはまさにそれだった。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 21:38:14.04 ID:c7JiTiaSO
ピップッペッポッピッパッ。
ファドソレファシ。
415247。
暗証番号は415247だ。
私は暗証番号を入力しケータイのロックを解く。
そして、お姉ちゃんに電話。
警察ではダメだ私が監禁されている事を信じて貰うのに時間がかかる。
もし色々説明している内に梓ちゃんがケータイが無い事に気付き帰って来たら。
私の苦労は水の泡だ。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 21:42:54.10 ID:c7JiTiaSO
私はお姉ちゃんに電話しお姉ちゃんはすぐに信じてくれた。
そして、警察にも電話すると言ってくれた。
全てが一か八かだった。
電波がここに届くのかも梓ちゃんがケータイが無い事に気付く時間も暗証番号が本当にあっているのかも……全てが一か八かだった。
「やっと……お姉ちゃんに会える」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 21:49:27.67 ID:c7JiTiaSO [57/58]
それから二日後。
警察は憂が掛けたケータイの電波の痕跡を頼りに憂を探し……見付けた。
久しぶりの外。
緑溢れる景色、大きく深呼吸をする。
警察から聞いた話しだと梓ちゃんはいま留置所にいるらしい。
今度は梓ちゃんアナタが閉じ込められる番だよ。
憂は少し微笑み歩き出した。
「お姉ちゃん……すぐ会いに行くからね」



END

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 22:10:20.70 ID:c7JiTiaSO [58/58]
終わりですありがとう

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