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ブルー・レイン・ブルー
817 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/14(水) 17:40:05.95 ID:SN4EKYk0 [1/4]
一方さんと打ち止めで3レスくらいお借りしますねー
一方さんと打ち止めで3レスくらいお借りしますねー
818 名前:ブルー・レイン・ブルー 1/3[saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:41:00.45 ID:SN4EKYk0 [2/4]
憂鬱だ、と一方通行はソファに座り、雨音を聞きながら思った。
彼自身は雨なんて好きでもないし嫌いでもない。そもそも好悪の感情を向ける対象にすらならない。
しかし、彼の足元でぐったりと横たわっている少女にとっては『憂鬱』なのだ。子どもは総じて外で遊ぶのが好きだ。
それは打ち止めも例外ではなく、むしろ積極性のあるこの子どもは、雨の日をとても嫌がる。何もできないからつまらないのだと言う。
(……まァ、何もできねェけどよ)
実際、打ち止めが晴れの日によく外で遊んでいるのを一方通行は知っている。
彼女くらいの年齢の子どもにとっては、『外』というだけで立派な遊び場だ。
マンションから一歩外へ出るだけでいい。打ち止めは何通りもの遊び方を見出し、楽しむことができる。
だからこそ、外に出られない雨の日、打ち止めは退屈そうに一方通行にまとわりついてばかりだった。
彼女がまとわりついてくる点に関しては、うざったいと思うこともなくなった。人間の順応能力の高さには驚くばかりである。
しかし、普段は元気溌剌である子どもがこうもやる気を失っていると、見ているこちらにまで憂鬱が伝染する。
もともとテンションの高くない一方通行は、見事に打ち止めのローテンションをそっくりそのまま受け継いでしまった。
口を開くことさえ億劫で、だりィと小さく呟いた声は雨音にかき消される。
むう、と一方通行が何かを言ったことだけはわかったらしい打ち止めが、横になっていた体をむくりと起こした。
癖毛が上だけではなくサイドにも出来上がっているが、もちろん彼女は気づかない。そして、一方通行も指摘しない。面倒くさいのである。
「なんか言った? ってミサカはミサカは眠そうなあなたに訊ねてみるんだけど」
「……、……」
返事も、だるい。ふるふると首を横に振って、一方通行は打ち止めの髪をがしがしと掻きまわす。
癖毛はもはや目立たずに、彼女の髪はライオンの鬣によく似た寝起きモードに変化した。
「やめてやめてやめてーってミサカはミサカは無反応なあなたに逆ギレ寸前!」
「……、……っく」
「あ! いま笑った! あなたがやったことなのに笑ったあ! ってミサカはミサカはあなたの所行を心底恨んで――」
ぐっと足にしがみつかれたと思った次の瞬間には打ち止めの手が一方通行の髪に伸びていた。
少女がいきなり膝に乗ったために、ごり、と一方通行の太ももあたりから妙な音が聞こえ、もっと肉を食うべきだろうかと彼が一瞬考えてしまったことは秘密である。
しかしながら言っておくと、元から彼は骨太ではない。また、彼の好物は肉であり、これ以上肉を食べたところで一方通行が太ることはないだろう。
そんなくだらないことを考えている間にも、打ち止めの手ががっしりと一方通行の白髪を引っ掴み、同時に打ち止めはにこりと笑う。
愛らしい笑顔とは裏腹に、彼女はわしゃわしゃわしゃと一方通行の髪で遊びはじめた。
819 名前:ブルー・レイン・ブルー 2/3[saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:41:55.20 ID:SN4EKYk0 [3/4]
「ちょ、まっ、オマ、エ」
「目には目を、歯には歯をっ! 頭わしゃわしゃには頭わしゃわしゃをってミサカはミサカはわしゃわしゃわしゃー!」
さらさらの直毛をここぞとばかりに掻き乱して遊ぶ子どもと、そんな彼女が膝の上から落ちないようにさりげなく姿勢を変える少年。
誰が見ても、微笑ましいと思うだろう。雨脚は次第に弱まり、ざあざあと聞こえていた音は、いつしかしとしとと穏やかな音色に変わっていく。
「だァから――イイ加減に、や、め、ろ!」
「まだまだいじり足りないーってミサカはミサカは実はあなたの髪でみつあみとかもしてみたいって告白してみる!」
「誰が許すかァ! テメェの髪でやれ、テメェの髪で!」
ミサカは自分の髪だとうまくできないの、と打ち止めは憤慨しているが、一方通行はわざとらしく眉間に皺を寄せシカトを決め込んだ。
そして、少女の腋に手を差し込むと、そのまま抱きかかえて自分の膝から下ろし、テレビのチャンネルを操作する。
あからさまに『もう相手はしてやらない』という雰囲気を醸し出し始めた一方通行に焦る打ち止めはぱたぱたと彼の膝を叩いた。効かない。
「むう、こうなったらとことん邪魔してやるんだからってミサカはミサカはあなたのテレビ視聴の妨害を宣言してみたり!」
「上等だァ……やってみ、」
はた、と一方通行が動きを止める。そんな彼に首をかしげた打ち止めは、ひょいひょいと手招きをする彼に渋々近寄った。
前向け、と一方通行は普段と変わらぬ尊大な態度で告げるが、手はそっと少女の髪を一束持ち上げている。繊細な指先だった。
「え、何しようとしてるの? ってミサカはミサカはあなたの行動がいまいち読めない……」
「イイから、黙って前見てろ。テレビでもつけとけ」
ほらよ、とリモコンを手渡した一方通行は、それっきり無言で打ち止めの髪をいじりだす。
何をされているのか気になる打ち止めだが、一方通行を信頼しているのか深く追及することはなく、黙ってテレビを観始めた。
テレビから流れる音声と、雨音だけが部屋に響く。息を吐き出すことさえ躊躇われるほどの沈黙だというのに、騒ぎたい盛りの打ち止めは大人しい。
時折髪をくいっと引っ張られるような感覚があるが、それは決して不愉快ではないのだ。むしろ、程よい刺激というべきか。
「……ン。できた」
一方通行が、何かを成し遂げたときの達成感を滲ませた口調で沈黙を打ち破る。お、と打ち止めは自分自身の違和感に気づいた。
右側の髪が、普段とはなんだか違う気がする。触ってみると、どうやら髪を編みこまれているらしい。
ぱあっと顔を輝かせて自分を見つめてくる子どもをいなし、鏡でも見てこいと一方通行はその背を押した。
うん、と少女は洗面台のほうへ駆けて行く。
その後ろを気だるげに、しかし満足そうに歩く少年は、少女が鏡に映る自分を見て上げた歓喜の声に口元を緩める。
「みつあみじゃなくて編みこみだねってミサカはミサカはあなたの器用さに驚いてみる!」
「そりゃどォも」
820 名前:ブルー・レイン・ブルー 3/3[saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:42:56.14 ID:SN4EKYk0 [4/4]
雨音が止んだ。見様見真似だ、と断っておいて、一方通行は少女の髪に髪飾りをつけてやる。
いつだったか珍しく外出した芳川が買ってきた花のついた髪飾りは、打ち止めによく似合っていた。
「ねえねえ、今のミサカはいつものミサカより可愛いと思うんだけどってミサカはミサカはあなたに感想を求めてみたり!」
「あァはいはい、可愛い可愛い」
「うっわあ、案の定やっぱりこの人は女心をわかってなーい! ってミサカはミサカはそれでも自分のビフォーアフターに大満足っ」
実のところ、一方通行自身もはじめてやったにしてはなかなかうまくできた編みこみに満足している。
ヘアスタイリングも案外面白いものだ、これからもたまにいじってみようかという思いを抱く程度には。
ばたばたとリビングに戻って窓から外を確認した打ち止めは、雨が上がりすっかり晴れ模様になっていることに喜んだ。
これで、外へ出ることができる。元気な子どもの――打ち止めの、本領発揮だ。
「せっかくだからお出かけしようってミサカはミサカは雨上がりを満喫したい意志をあなたにしっかりアピールしてみる」
「……、はァ」
髪を少しいじるだけでおめかしをした気分にでもなったのだろう。普段の数倍、打ち止めはいきいきとしている。
一方通行は子どもの考えることは単純だと思いながらも、一旦ソファに沈めた身を起こして立ち上がった。
「前みてェに水溜りを突っ走って泥まみれで帰ってこられても困っからなァ、監視してやるよ」
「一緒にお出かけするって言えないの? ってミサカはミサカはあなたの口の悪さを窘めつつ、新しく買ってもらったレインブーツを準備してくるね!」
打ち止めはばたばたと玄関に走る。
そんなに急ぐことはないと思うのだが、雨が上がってテンションも高くなったのかもしれない。というかそれしか考えられない。
一方通行はゆっくりと玄関に向かう。
きっと、どこかで虹が見られるだろう。虹という現象そのものは好きでも嫌いでもないが、虹を見てはしゃぐ打ち止めを見てみたいと思う。
(きっと、うぜェくらいに騒ぐンだろォな)
見て見て! と飛び跳ねる子どもが容易に想像できて、一方通行は僅かに口端をあげる。それは、笑みと呼ぶにはあまりにも拙い表情だった。
おわり!!!!!
兄妹みたいなふたりが好きすぎて! あと雨がうざすぎて!!
それでは失礼しましたー
憂鬱だ、と一方通行はソファに座り、雨音を聞きながら思った。
彼自身は雨なんて好きでもないし嫌いでもない。そもそも好悪の感情を向ける対象にすらならない。
しかし、彼の足元でぐったりと横たわっている少女にとっては『憂鬱』なのだ。子どもは総じて外で遊ぶのが好きだ。
それは打ち止めも例外ではなく、むしろ積極性のあるこの子どもは、雨の日をとても嫌がる。何もできないからつまらないのだと言う。
(……まァ、何もできねェけどよ)
実際、打ち止めが晴れの日によく外で遊んでいるのを一方通行は知っている。
彼女くらいの年齢の子どもにとっては、『外』というだけで立派な遊び場だ。
マンションから一歩外へ出るだけでいい。打ち止めは何通りもの遊び方を見出し、楽しむことができる。
だからこそ、外に出られない雨の日、打ち止めは退屈そうに一方通行にまとわりついてばかりだった。
彼女がまとわりついてくる点に関しては、うざったいと思うこともなくなった。人間の順応能力の高さには驚くばかりである。
しかし、普段は元気溌剌である子どもがこうもやる気を失っていると、見ているこちらにまで憂鬱が伝染する。
もともとテンションの高くない一方通行は、見事に打ち止めのローテンションをそっくりそのまま受け継いでしまった。
口を開くことさえ億劫で、だりィと小さく呟いた声は雨音にかき消される。
むう、と一方通行が何かを言ったことだけはわかったらしい打ち止めが、横になっていた体をむくりと起こした。
癖毛が上だけではなくサイドにも出来上がっているが、もちろん彼女は気づかない。そして、一方通行も指摘しない。面倒くさいのである。
「なんか言った? ってミサカはミサカは眠そうなあなたに訊ねてみるんだけど」
「……、……」
返事も、だるい。ふるふると首を横に振って、一方通行は打ち止めの髪をがしがしと掻きまわす。
癖毛はもはや目立たずに、彼女の髪はライオンの鬣によく似た寝起きモードに変化した。
「やめてやめてやめてーってミサカはミサカは無反応なあなたに逆ギレ寸前!」
「……、……っく」
「あ! いま笑った! あなたがやったことなのに笑ったあ! ってミサカはミサカはあなたの所行を心底恨んで――」
ぐっと足にしがみつかれたと思った次の瞬間には打ち止めの手が一方通行の髪に伸びていた。
少女がいきなり膝に乗ったために、ごり、と一方通行の太ももあたりから妙な音が聞こえ、もっと肉を食うべきだろうかと彼が一瞬考えてしまったことは秘密である。
しかしながら言っておくと、元から彼は骨太ではない。また、彼の好物は肉であり、これ以上肉を食べたところで一方通行が太ることはないだろう。
そんなくだらないことを考えている間にも、打ち止めの手ががっしりと一方通行の白髪を引っ掴み、同時に打ち止めはにこりと笑う。
愛らしい笑顔とは裏腹に、彼女はわしゃわしゃわしゃと一方通行の髪で遊びはじめた。
819 名前:ブルー・レイン・ブルー 2/3[saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:41:55.20 ID:SN4EKYk0 [3/4]
「ちょ、まっ、オマ、エ」
「目には目を、歯には歯をっ! 頭わしゃわしゃには頭わしゃわしゃをってミサカはミサカはわしゃわしゃわしゃー!」
さらさらの直毛をここぞとばかりに掻き乱して遊ぶ子どもと、そんな彼女が膝の上から落ちないようにさりげなく姿勢を変える少年。
誰が見ても、微笑ましいと思うだろう。雨脚は次第に弱まり、ざあざあと聞こえていた音は、いつしかしとしとと穏やかな音色に変わっていく。
「だァから――イイ加減に、や、め、ろ!」
「まだまだいじり足りないーってミサカはミサカは実はあなたの髪でみつあみとかもしてみたいって告白してみる!」
「誰が許すかァ! テメェの髪でやれ、テメェの髪で!」
ミサカは自分の髪だとうまくできないの、と打ち止めは憤慨しているが、一方通行はわざとらしく眉間に皺を寄せシカトを決め込んだ。
そして、少女の腋に手を差し込むと、そのまま抱きかかえて自分の膝から下ろし、テレビのチャンネルを操作する。
あからさまに『もう相手はしてやらない』という雰囲気を醸し出し始めた一方通行に焦る打ち止めはぱたぱたと彼の膝を叩いた。効かない。
「むう、こうなったらとことん邪魔してやるんだからってミサカはミサカはあなたのテレビ視聴の妨害を宣言してみたり!」
「上等だァ……やってみ、」
はた、と一方通行が動きを止める。そんな彼に首をかしげた打ち止めは、ひょいひょいと手招きをする彼に渋々近寄った。
前向け、と一方通行は普段と変わらぬ尊大な態度で告げるが、手はそっと少女の髪を一束持ち上げている。繊細な指先だった。
「え、何しようとしてるの? ってミサカはミサカはあなたの行動がいまいち読めない……」
「イイから、黙って前見てろ。テレビでもつけとけ」
ほらよ、とリモコンを手渡した一方通行は、それっきり無言で打ち止めの髪をいじりだす。
何をされているのか気になる打ち止めだが、一方通行を信頼しているのか深く追及することはなく、黙ってテレビを観始めた。
テレビから流れる音声と、雨音だけが部屋に響く。息を吐き出すことさえ躊躇われるほどの沈黙だというのに、騒ぎたい盛りの打ち止めは大人しい。
時折髪をくいっと引っ張られるような感覚があるが、それは決して不愉快ではないのだ。むしろ、程よい刺激というべきか。
「……ン。できた」
一方通行が、何かを成し遂げたときの達成感を滲ませた口調で沈黙を打ち破る。お、と打ち止めは自分自身の違和感に気づいた。
右側の髪が、普段とはなんだか違う気がする。触ってみると、どうやら髪を編みこまれているらしい。
ぱあっと顔を輝かせて自分を見つめてくる子どもをいなし、鏡でも見てこいと一方通行はその背を押した。
うん、と少女は洗面台のほうへ駆けて行く。
その後ろを気だるげに、しかし満足そうに歩く少年は、少女が鏡に映る自分を見て上げた歓喜の声に口元を緩める。
「みつあみじゃなくて編みこみだねってミサカはミサカはあなたの器用さに驚いてみる!」
「そりゃどォも」
820 名前:ブルー・レイン・ブルー 3/3[saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:42:56.14 ID:SN4EKYk0 [4/4]
雨音が止んだ。見様見真似だ、と断っておいて、一方通行は少女の髪に髪飾りをつけてやる。
いつだったか珍しく外出した芳川が買ってきた花のついた髪飾りは、打ち止めによく似合っていた。
「ねえねえ、今のミサカはいつものミサカより可愛いと思うんだけどってミサカはミサカはあなたに感想を求めてみたり!」
「あァはいはい、可愛い可愛い」
「うっわあ、案の定やっぱりこの人は女心をわかってなーい! ってミサカはミサカはそれでも自分のビフォーアフターに大満足っ」
実のところ、一方通行自身もはじめてやったにしてはなかなかうまくできた編みこみに満足している。
ヘアスタイリングも案外面白いものだ、これからもたまにいじってみようかという思いを抱く程度には。
ばたばたとリビングに戻って窓から外を確認した打ち止めは、雨が上がりすっかり晴れ模様になっていることに喜んだ。
これで、外へ出ることができる。元気な子どもの――打ち止めの、本領発揮だ。
「せっかくだからお出かけしようってミサカはミサカは雨上がりを満喫したい意志をあなたにしっかりアピールしてみる」
「……、はァ」
髪を少しいじるだけでおめかしをした気分にでもなったのだろう。普段の数倍、打ち止めはいきいきとしている。
一方通行は子どもの考えることは単純だと思いながらも、一旦ソファに沈めた身を起こして立ち上がった。
「前みてェに水溜りを突っ走って泥まみれで帰ってこられても困っからなァ、監視してやるよ」
「一緒にお出かけするって言えないの? ってミサカはミサカはあなたの口の悪さを窘めつつ、新しく買ってもらったレインブーツを準備してくるね!」
打ち止めはばたばたと玄関に走る。
そんなに急ぐことはないと思うのだが、雨が上がってテンションも高くなったのかもしれない。というかそれしか考えられない。
一方通行はゆっくりと玄関に向かう。
きっと、どこかで虹が見られるだろう。虹という現象そのものは好きでも嫌いでもないが、虹を見てはしゃぐ打ち止めを見てみたいと思う。
(きっと、うぜェくらいに騒ぐンだろォな)
見て見て! と飛び跳ねる子どもが容易に想像できて、一方通行は僅かに口端をあげる。それは、笑みと呼ぶにはあまりにも拙い表情だった。
おわり!!!!!
兄妹みたいなふたりが好きすぎて! あと雨がうざすぎて!!
それでは失礼しましたー
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