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唯「くうふく!」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/09(金) 01:39:22.96 ID:pHFpm8FHO [1/53]
唯「んん…もうお昼かぁ。お腹空いたよぉ」グュリュュュゥ

ガチャリ

唯「ういー、ごはん頂戴ー!ういー」

シーーン……

唯「う…ういー…?」キョロキョロ


梓「どうしたの憂?折角の修学旅行なんだらもっと楽しそうにしたら」

憂「うん…でもお姉ちゃんが心配で」

梓「唯先輩?もう大学生なんだからさすがに大丈夫でしょ」

憂「だったら良いんだけど…」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 01:54:01.45 ID:pHFpm8FHO
唯「と、とにかく何か食べ物が欲しいよぉ…」ガチャリ

唯「…福神漬けと味噌しか入って無い…。ういー、ういー!」グゥキュルルールルルル

ピンポーーン

唯「…ん、お客さんだ…。でもパジャマだしなぁ、居留守つかっちゃお」ギュリュルルルル

ピンポーーン、ピンポーーンピンポーーンピンポーーンピンポーーン

唯「うーんしつこいなぁ、どなたですかぁ」ズリズリ

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 01:59:49.64 ID:pHFpm8FHO
律「おっせーぞ!何居留守使ってんだよ」ガチャリ

唯「あれ?律っちゃん。良く居留守って分かったね」グギュルルルール

律「そんだけギュウギュウ腹の音鳴らしてりゃ分かるっつーの。んじゃお邪魔しまーす」

唯「丁度良かったよ律っちゃん!私大変だったんだよ!」

律「そりゃ奇遇だな。私もケッコーヤバイ状態だったんだよ」

唯・律「なんか食わして!」グゥキュルルールルルルル

唯「………え?」

律「………え?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 02:11:48.00 ID:pHFpm8FHO
唯「律っちゃんもごはん食べてないんだ……」グゥキュルルール

律「あぁ…、今月もう残金60円しかねー。もう体力も気力もねー」グゥキュルルールルル

唯「もうちょっと計画的にお金使おうよぉ…その歳にもなって」

律「うるせー、その歳にもなってお小遣い制のお前に言われたくねぇよ」

グゥキュルルル…

唯「駄目だ…大きい声だしたら余計お腹が空いてくるね…」

律「仕方ないこうなったらカップ麺で我慢するか」

唯「んー…もうカップ麺も買い置きが無くなってたよ」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 02:19:37.60 ID:pHFpm8FHO
律「なんだよそりゃ!じゃあパンでも何でもいいから食えるもんくれよ」

唯「冷蔵庫の福神漬けと味噌ならあるけど…」

律「そんなもんで腹一杯にならねーよ!憂ちゃんは?憂ちゃんならメシ食わしてくれるだろ」

唯「あずにゃん達と修学旅行だって言ってたよ…、ずっこいよね憂達だけ!」

律「いや、お前も去年行ってただろ…。八ツ橋とか旨かったよなぁ…」

唯「旅館のご飯も美味しかったよねぇ…」

グゥキュルルルルールルル

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 02:26:31.75 ID:pHFpm8FHO
律「あぁ、なんか腹減り過ぎて幻覚が見えてきそうだぜ…」

唯「いいなぁ律っちゃん…私も白米の幻覚がみたいよぉ」

律「なんか高校ん時、部室に置いてあった水槽が見えてきたぜ…」

唯「それ幻覚じゃないよ…、私が卒業ん時に引き取ったじゃない」

律「あぁ、そだっけ?覚えてねーや…」

唯「……ねぇ律っちゃん」

律「なんだよ…?」

唯「カメって、食べられるのかな…?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 02:39:37.52 ID:pHFpm8FHO
梓「そういえば最近トンちゃんの調子はどう?」

憂「別にいつも通りだよ、窮屈そうだけど元気に泳いでるかな」

梓「そう?だったらいいんだけど」



唯「律っちゃん!ほんとに食べても大丈夫なんだね?」

律「あぁ、スッポン料理とかある位なんだから食えるに決まってんだろ!」

唯「それじゃ、取り敢えず煮てみよっか!」

律「うし、んじゃ鍋に水をはって沸騰させるぞ!」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 02:57:14.22 ID:pHFpm8FHO
律「よーし、大分煮えて来たな。そろそろ放り込んでもいいんじゃね」

唯「よーし、んじゃいっけぇぇ!」バッシャァァン

グツグツグツグツ…

ピンポーン!

律「ん…?誰か来たみたいだぞ」

唯「誰だろ…?律っちゃんお鍋の火加減ちゃんと見ててね」

律「おうよ、任しとけって!」

スタスタ

唯「はいー、どなたですかー。って澪ちゃん!」

澪「ちょっと近くまで寄ったからな。大丈夫かな?」

唯「勿論だよ!上がって上がって、いまカメ料理作ってるんだ」

澪「カメ料理…?スッポンでも買ったのか」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 03:05:26.19 ID:pHFpm8FHO
唯「そんなの買ってないよぉ。ウチの水槽で飼ってたヤツだよ!」

澪「唯ん家の水槽で…?」

グツグツグツグツ

律「よぉーお前もメシたかりに来たのか?でもコイツはやらねぇぞ!」

グツグツ

澪「……………」

唯「ん…?どしたの澪ちゃん」

澪「ウァァワァァアァァァアァァァアッ!!?」ガッ!

バッシャァァァァァァアン!

律・唯「あ゛!?あ゛っづーぅぅぅぅうぅぅッ!!」ゴロゴロ!

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 03:15:12.04 ID:pHFpm8FHO
律「な、何すんだよ澪!?私達を殺す気か!」

澪「それはこっちのセリフだよ!お前らトンちゃんに何しようとしてたんだ!」

律「トンちゃん……?」

唯「何言ってるの、それはカメって言って爬虫類の一種で」

澪「いや、知ってるよ!そうじゃなくて、コイツは私達が高校生の時に飼ってたカメのトンちゃんだろうが!」

律「トンちゃん……。あーそういやそんな事もあったような」

唯「んー…あったような、無かったような気がするね」

澪「律はともかく、唯は飼ってたんだから普通覚えてるだろ!」

唯「えへへー、そういうの憂に全部任してからねぇ。あずにゃんもよく家に来て面倒みてたような…」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 03:28:02.22 ID:pHFpm8FHO
澪「とにかく私が来て良かったよ…、もう少しで……」

律「ん…?どした澪、なんか気にな……」

トンちゃん「…………………」

唯「……甲羅が粉砕して、悲惨な事になってる…」

澪「ど、どーするんだよお前らッ!トンちゃんが!!」ワナワナ

律「そんなデケー声出すなよ。別にたかだか、カメの一匹や二匹…」

澪「たかだかじゃない!忘れたのかよ」

唯「忘れるって…何がかな?」

澪「梓に、私達軽音部が離れ離れになっても、トンちゃんを通じてあの時の気持ちを忘れない様にしようって言ってたじゃないか!」

唯「……だから、あずにゃんはあんなにトンちゃんの世話を」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 03:38:36.90 ID:pHFpm8FHO
律「おぃぃぃぃッ!?澪、お前どうしてくれんだよ!私達、軽音部の絆を粉々に」ビッ

澪「いや、今の今まで完全に忘れてただろう!?私のせいにするなよ!」

律「うるせぇぇ!大学生なら何とか出来んだろ!こんな時の為の大学だろ!」

澪「どんな時だよ!大学をなんだと思ってるんだお前!」

唯「止めて、二人ともッ!」バンッ!

律「ゆ、唯……」

唯「今はそんな事で争っている場合じゃないんだよ!」

澪「そ、そうだな…唯の言う通りだ。まずは…」

唯「まずは何かご飯を食べさせて下さい!!」グゥキュルルルルール

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 04:00:30.11 ID:pHFpm8FHO
スッポンモドキ科らしいけど食えるのだろうか。


―ファミレス―

律「あぁーヤバイなぁ…、マジでヤバイわ…」ガツガツ

澪「全く、ようやく気付いたのか?事の重大さに」

律「空腹限界で食べるメシは、マジでヤバイぞ!」ガツガツ

澪「そっちかよ!?少しは危機感を持てよ!」

唯「ねぇ澪ちゃん、いいかな…?」

澪「ん、どうした唯?何かいいアイディアでも浮かんだのか」

唯「ううん、デザートも頼んでいいかな?って!」

澪「……あぁ、いいよ。何でも好きなの頼んでいいから危機感持って…」


純「わぁ!清水の舞台って目茶苦茶高いんだね」

梓「ほら、写真取るよ。憂も並んで並んで」

憂「え、あ…うん。分かったよ!(お姉ちゃん大丈夫かなぁ)」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 04:17:52.71 ID:pHFpm8FHO
律「そだなぁ、またあのホームセンターで同じヤツを買うってのはどうだ?」

澪「うーん、確かにそれが一番現実的な方法かな。それにあたってまずは…」

唯「お小遣い制でっす!」バッ

律「今月残り60円でっす!」バッ

澪「いや、…まだ何も言ってないけど?お前らの言いたい事は分かったけど…」

律「さすが澪だ!伊達に大学通ってねぇぜ!」

澪「いや…、だから大学関係無いってば」

唯「ほんほはね!だへにだいはふかよっへなひよへ!」モグモグ

澪「お前も大学生だろうが…。いいから黙って食べろ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 04:33:15.13 ID:pHFpm8FHO
律「おぉこの通り懐かしいなぁ、高校生活がまるで昨日の様に思い出してくるぜ!」

澪「トンちゃんを調理しても、何一つ思い出せなかった癖に良く言うよ…」

唯「そんな事ないよぉ。あの瞬間ムギちゃんのトロンボーン捌きとかしかと思い出したよ!」

澪「いやムギやってないからね、そんな楽器…」

唯「あれ、そだっけ…?あー……、そだムギちゃんはギターだったよね!」

澪「ギターはお前だろ!どんだけ記憶飛んでるんだよお前の頭は!?」

律「昔から一つ覚えると一つ忘れるヤツだったからなぁ、唯は」

唯「ブーブー、律っちゃんも人の事言えないじゃんか!」

澪「やれやれ…。ほら、この先を曲がったら見えてくるぞ」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 15:48:06.36 ID:pHFpm8FHO
澪「ほら、見えてきたぞ。相変わらずおっきいホーム……あれ」キョロキョロ

唯「ほんとだおっきいジャスコだね!一日で回れるかな」

律「見ろよ、唯!中にしまむらも入ってんぞ。見て見ようぜ」

唯「えー、律っちゃんファッションセンターしまむら使ってるの?フリーターなんだからもうちょっと良い所にしようよ」

律「フリーターじゃねぇよ!浪人中の傍らバイトしてるだけって言ってるだろ!!」クワッ

唯「うーん…そんなの、どっちでも一緒じゃないの?」

律「ちげーよ!…とにかく、しまむらを如何に上手く着こなすかが大人の嗜みなんだって。なぁ澪」

澪「いや、知らないからそんな事…。どうするんだよ、まさか潰れてたなんて…」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 15:57:15.33 ID:pHFpm8FHO
律「とにかく中に入って見ようぜ。もしかしたら中にペットショップが入ってるかも知れないし」

澪「そう上手い事いくかな…、時間も無いし何か他の手を考えた方が」

唯「大丈夫だよ澪ちゃん。私に心当たりがあるよ!」バッ

澪「な、何?それは、本当か唯!」

律「さすが唯だな!やるときはやるじゃねぇか」

唯「いゃあ、そんなに褒められたら照れちゃうよぉ」

澪「よし、早く案内してくれ!トンちゃんと同じ種類を扱ってれば良いけど…」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 16:10:49.52 ID:pHFpm8FHO
唯「どうかなー律っちゃんー?この位の位置かな」

律「うーん…、もうちょっと奥?いや手前だな!」グイグイ

唯「ちょっとぉ、それじゃ分かんないよ!ちゃんとナビしてくれないと」

律「んな事言われても、ガラス越しじゃ分かりにくいんだよ!」

唯「ねぇ澪ちゃん、どうかな?私的には重心があるから、もうちょっと左に寄った方が良いと思うんだけど」

澪「……私的には、激しくどっちでも良いと思うんだが。何をやってるんだ…唯」

唯「このカメのヌイグルミなら憂も喜ぶしさ、一石二鳥とはまさにこの事だよ!!」

澪「この事ってどの事だよッ!?そんか布と綿で出来た物体なんかすぐバレるだろ!」

唯「えー!?でもこう見えても私得意なんだよ、UFOキャッチャー」エッヘン!

澪「それってお前がUFOキャッチャーで遊びたいだけなんじゃないのか!?」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 16:23:59.26 ID:pHFpm8FHO
律「おい澪、落ち着けってば。こういう時こそ、急がば回れっていうだろ?」

唯「そうだよ!思えば私達、軽音部はいつも回り道しながらも前に進んでたじゃない!」

澪「…これは完全に道から外れてるよね?向かいのパーキングエリアでティータイムしちゃってるよね…?」

唯「もぅ、澪ちゃんあんまり細かい事気にしてると禿げちゃうよ」

澪「お前達が気にしなさすぎなんだよ!どうするんだ、八方塞がりじゃないか」

律「いや…そうでも無いぜ。まだ策はあったじゃないか。お前らのお陰で思い出せたぜ!」

唯「私達のお陰!?それは一体どういう事なの!」

律「軽音楽…ティータイム…、このキーワードから誰かを忘れてないか!」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 16:34:14.11 ID:pHFpm8FHO
澪「そ、そういえば……。ムギなら、ムギならきっと何とかしてくれるかも!」

唯「そうだよね、もしかしてトンちゃんと同じカメを飼ってるかもしれないよ!」ワクワク

律「よし、そうと決まれば早速ムギん家乗り込もうぜ!」

澪「…でも、お前ムギの家がどこにあるか知ってるのか?」

律「え゛…?澪、お前知らねーの」

澪「私はそんなの、微塵も知らないぞ…。唯はどうなんだ」

唯「わ…私も、律っちゃんの大学の合格率くらい知らないよ…」

律「どういう例えだよ、それ!ぶっ飛ばされたいのこの子!?…つーか何で三年間一緒の部活で誰も知らねーんだよ」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 16:46:28.67 ID:pHFpm8FHO
唯「あー…、そいえば高校ん時に、ムギちゃんってさわ子先生に、お家まで送ってもらわなかったっけ?」

澪「そ、そういえば…。そういうくだらない事はシッカリ覚えるんだな、お前は」

唯「えへへー、だからそんなに褒められたら照れちゃうってぇ」

律「褒めてねーと思うけどな…。よし誰かさわちゃんの番号知ってたら掛けてみてくれ!」

澪「…いや、仕事中かも知れないしメールの方が良いんじゃないか?」

唯「それもそうだね、んじゃメールでっと…。『さわちゃんへるぷみー』」カタカタカタ…

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 16:59:23.66 ID:pHFpm8FHO
ピロロッ♪パッパッパー♪

唯「あ、さわちゃんから返事が来たみたいだよ!……ん、写真が付いてる」カタカタカタ

澪「金閣寺をバックに撮ってるのか?隣りに梓達もいるんだな」

唯「えーっと…『軽音部の皆も元気にしてるかしら?』って書いてあるよ!」

律「ふふっ、卒業してもちゃんと覚えててくれるって、嬉しいモンだな…」

澪「…そうだ。私達の写真も撮って、さわ子先生に送ってあげようか?」

唯「それ良いね!きっとさわちゃんも喜ぶと思うよ」

律「うし、んじゃ並べ並べ!私達の元気な姿を見せつけてやろうぜ!」グイグイ

唯「それじゃーいくよ!笑って、笑ってー」パシャ!

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 17:12:34.93 ID:pHFpm8FHO
ピロロッ♪パッパッパー♪

唯「あ、また返事が来たよ!…えっと、どれどれ」カタカタカタ

律「おい、何て書いてあるんだ!早く見せろよ」グイグイ

唯「そんなに押さないでよぉ。それじゃ、読み上げるねー」カタカタ

『唯ちゃんも相変わらずみたいで安心したわ。またお茶とか飲みに行きましょうね』

律「なんだ?お前さわちゃんとそんな事してたのかよ。意外と仲いいんだな」


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 17:21:21.05 ID:pHFpm8FHO
唯「えーっと…次は澪ちゃんの事だね。どれどれ」カタカタ

『暫く見ない間にまた背が伸びたんじゃない?ますます美人になって先生ビックリしたわよ』

澪「そ、そ、そんな事無いって…!?照れるじゃないか!」アセアセ

律「おーおー、中身は相変わらずって事もちゃんと教えてやらねーとな!」

澪「う、うるさいな!律は黙ってろ!」

律「おい唯、私は!私はなんて書いてあんだ?」

唯「えーっとちょっと待ってね…律っちゃんはっと…」カタカタ



『田井中(フリーター)律っちゃん』

律「って、カッコの中はなんだァァアァッ!?つか、なんでコイツがそんな事知ってんだッ!!テメェは、ネット通販で買った商品を期限ギリギリでクーリングオフして永遠にスリルを楽しんでろッ!!」ガッシャァアァァアァァァン!!!

唯「あぁぁぁあ!?私のケータイ!律っちゃん何するの!」

律「これだから公務員は信用できねぇ!唯、先生に頼るのは無しだ!自力で探しだすぞ」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 17:41:11.35 ID:pHFpm8FHO
―喫茶店―

律「…ったく。ムギの電話番号は知ってるんだから、最初からこうやって呼び出せば良かったんだよ…」モグモグ

唯「もー、律っちゃんが思いっきり地面に叩き付けたからケータイにキズがついちゃったじゃない!」プンプン

律「だから何度も謝ってるだろー。ほれオカワリ好きなの頼んでいいから機嫌治せって」

唯「ほんと!?やたー、このジャンボストロベリーパフェがいい!」バッ

澪「コラ!残金60円のヤツが言うセリフじゃないだろ」

唯「ん…、あ!向こうから歩いてくるのってムギちゃんじゃないかな」モグモグ

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 17:50:39.88 ID:pHFpm8FHO
律「おーい!ムギ、こっちだ!こっち!」ブンブン

紬「…………?」キョロキョロ

澪「おい、ムギのヤツ気付いて無いみたいだぞ。もっと声をはれよ」

律「あれ?おっかしーな。思いっきり目もあってたんだけど」

唯「むーぎぃちゃぁん!!こぉっちだよぉぉ!!」ブォンブォン

澪「!?ばっか!お前は大き過ぎだ。周りのお客さんの迷惑になるだろ!」

紬「……あぁ、そういう事ね」トコトコ

律「お、でもやっとこっちに気付いたみたいだぞ!」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 18:04:24.18 ID:pHFpm8FHO
紬「どうもこんにちは、紬だからムギです」ペコリ

澪「ん、なんだよその挨拶…?でも、ムギもあんまり変わって無いみたいで安心したよ」

唯「そだねぇ、私もムギちゃんに会いたかったよ!」

紬「わ、私もですよ…、えーっと……平沢さん!」キョロキョロ

律「何にしてもこれでまた軽音部のメンバーが揃ったな。四人揃えば文殊の知恵だぜ!」

澪「…………ん?」

唯「んー、どしたの澪ちゃん?ハトがマシンガン食らったような顔して」

澪「なんだかムギのヤツ、おかしくないか?」

唯「へ…?おかしいってどこが。別に寝癖も立ってないしいつものムギちゃんじゃないかな」モグモグ

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 18:15:14.74 ID:pHFpm8FHO
唯「敢えて言うなら…、このストロベリーパフェ…。イチゴが凍り過ぎて歯が全く通らない事くらいかな!」シャクシャク

澪「…それは敢え無くていいから…、全くどうでもいいから」

律「ほらほら、ムギも遠慮せずに何でも頼んでいいぞー!」

紬「そ、そうですか?有り難うございます!」ペコリ

澪「だから、所持金60円のお前が言うセリフじゃないだろ!」

紬「あははっ、お二人とも仲が良いんですね!。…あ、すいません私ちょっとお手洗い行ってきますね」

唯「うん、行ってらっしゃいームギちゃん!何か適当に頼んどいてあげるね」

トタトタ

澪「おかしい……。やっぱり何かがおかしい…」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 18:22:30.04 ID:pHFpm8FHO
律「なんだよお前は、さっきから。一人でエンドレスなエイトでも体験してんのか?」モグモグ

唯「そうだよ、気になるから私達にも話してくれないかな?」パクパク

澪「こういう悲しくなるような事はあんまり言いたく無いんだけど……」

律「な、なんだよ澪…。脅かすんじゃねぇよ…!」

唯「そうだよ澪ちゃん!実はムギちゃんは私達だけの想像上の人物であって、あのムギちゃんは私達の記憶とは、全くの別人だとでも言うの!?」

澪「いや、なんだよそれッ!悲しい話じゃなくて怖い話だろソレ!!」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 18:35:43.52 ID:pHFpm8FHO
紬「ごめんなさい…、お手洗いが少し混んでいて…」スッ

澪「丁度良かったムギ。どうせだからこの際ハッキリしようじゃないか…!」

紬「え…?一体なんの事ですか、えっと……秋山さん」キョロキョロ

澪「その呼び方、そしてしゃべり方…。ムギ、お前高校の時の記憶、殆ど忘れてるんじゃないか!」ビッ!

律「な、なんだって!?」

紬「えッ…!?いえ、そんな事は……」ビクッ

唯「そっかー!だから律っちゃんが最初に『ムギちゃん』って言ったのが自分だって気付かなかったんだね!」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 18:44:13.26 ID:pHFpm8FHO
紬「ご、ゴメンなさい…、なんだか悪い様な気がして言い出せ無かったんです……」ペコリ

澪「水臭いぞムギ。私達は例え卒業したって、軽音部。放課後ティータイムはいつまでも心の中で生き続けるんじゃなかったのか!」

紬「あ、秋山さん……」グスッ

澪「違うだろ?澪…だよ。後敬語も止める事!」ニコッ

唯「そうだ!私のケータイに高校の時の写真入ってるから一緒に思い出そ!」バッ

紬「ゆ、唯ちゃん…、有り難うね!」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 18:59:54.58 ID:pHFpm8FHO
澪「しかし、本当に気付かなかったのか?ムギの様子に」

律「いんや。あの眉毛見れば誰だって変わって無いと思うだろ。細マユになってればまだしも」

澪「眉毛でしかムギを判別してないのか、お前達は……」

唯「澪ちゃんー、律っちゃんー!ムギちゃん大体思い出したって」

紬「ごめんなさい皆…、大学の方が忙しくて…」

律「それは仕方ねーって、気にするな。唯なんかもっと酷いんだからな」

唯「ブーブー、私だってちゃんと覚えてる所は覚えてるもん!」


83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 19:11:07.29 ID:pHFpm8FHO
紬「あははっ、こうしていると本当に高校時代に戻ったみたいね…。また演奏してみたいな」

澪「そうだな…、ムギ。まさかキーボードの弾き方とか忘れて無いよな?」

紬「ふふっ。それは大丈夫よ。大学に進んでもキーボードの練習は続けてたから」

澪「そっか、なら安心だな。唯に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいよ」

紬「澪ちゃんの方こそ錆付いてない?トロンボーンの腕」

澪「……いや!?それはお前の楽器だろッ!正確には違うけど…、って唯ぃぃぃッ!」

唯「ほぇ…?なんか違ったっけ」

律「お前、それ思い出させてるんじゃ無くて洗脳してるんだろうが!」グイッ!

唯「ぎぷぎぷ!?りっちゃんくるひぃよ!」バタバタ

紬「そうよ、フリー田井中ちゃん!唯ちゃんに酷い事するのは止めてあげて!」

律「お前かッ!?お前がさわちゃんにもチクッたんだな!!唯ぃぃ」グイッグイッ


梓「どうしたの憂?ご飯余ってるよ」モグモグ

憂「うん……なんだか食欲が無くって…」

純「ご飯の前にお菓子食べ過ぎるからじゃん」モグモグ

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 19:41:25.92 ID:pHFpm8FHO
律「ほら、もっかい復唱してみる!」

唯「田井中律っちゃんは浪人生ですぅ!……ねぇもう良いかな?土下座し過ぎて額が律っちゃんみたいになるよ」

律「あぁ後、三十セット追加な…」

唯「さ、さんじゅっせっと!?」

澪「……と、言う訳なんだ。ムギお前の家に余ってないかな?」

紬「うーん…、カメなら沢山余ってるんだけど。トンちゃんタイプは無かったわね…、ごめんなさい」

澪「そうか…、こうなったら虱潰にペットショップをあたって見るしかないかな」

紬「そうねぇ…。ペットショップ…かぁ」

澪「ん?どうしたんだムギ」

紬「あ、いえ。何でもないのよ!気にしないで」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 19:50:57.63 ID:pHFpm8FHO
純「ふーん、本当に京都は碁盤目に家が建ってるんだ。凄いね」

憂「うん…、そうだね。凄いよねぇ」

純「何、まだお姉ちゃんの事気になってるの?本当心配性なんだねぇ憂は。梓も何とか言ってあげてよ!」

梓「う、うん………」

純「もしかしてアンタまで心配になってるの?勘弁してよ」

梓「あ、いやそういう訳じゃなくてさ…。私達が修学旅行の間って、唯先輩がトンちゃんの世話するんだよね?」

憂「え、それは勿論そうだけど。それがどうかしたの?」

純「あー、そういう事か、梓の方が心配性だったって訳ね。大丈夫だって、あの憂のお姉ちゃんだよ。万に一つも無いってば」

梓「うーん、私もそうだとは思うんだけど」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 20:09:20.49 ID:pHFpm8FHO
唯「ふぅーお疲れ様ぁ。澪ちゃん、そっちの方はどうだったかな?」

澪「ダメだな、全滅だよ…。スッポンモドキは飼育が難しいらしくて、余り入荷しないらしいんだ」

唯「ふむん…。こんな事なら部室で飼うのはネコちゃんとかワンちゃんにしとけば良かったよねぇ」

澪「それだったら、この前のお前ん家がもっと大惨事になってただろ…」

唯「そっか?じゃあ、牛や豚とか畜産しやすいヤツが良かったかな」

紬「でも、それだと校庭の花壇をだけだと食料が足りないかもしれないわね」

唯「そっかー、やっぱり今考えたらトンちゃんがベストだったのかな」

ガチャリ!

律「ただいまー、ふぃー疲れたぜ!」フラフラ

唯「あ、律っちゃんおかえりー!」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 20:23:59.20 ID:pHFpm8FHO
澪「ここもダメっと…、もうこの付近のペットショップは全部回った事になるな」カキカキ

紬「そうだ、最近だとネットショッピングって言うのでも買えるんじゃないのかしら?」

澪「ネットショップ!?そうかその手があったな。なんで今まで気付かなかったんだ」ガバッ

律「でもよ、そういうのって唯ん家に届くまで結構時間が掛かるんじゃねーのか?」

澪「そうだな…。そういえば憂ちゃんっていつ修学旅行から帰ってくるんだ?」

唯「え…?あれ、そういえばいつだったかな…。確か私と律っちゃんが空腹に喘いでたのが一昨日だから…」

ガチャリン!

「たっだっいまーお姉ちゃぁん!」ドタドタ

唯「はふぅぅぅうぅぅぅんっ!?」ビクッ

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 20:37:55.31 ID:pHFpm8FHO
唯「どどどど、どうじよう皆ぁぁ!?」カタカタ

紬「ゆ、唯ちゃん落ち着いて!ほら、こういう時の為に律っちゃんと土下座の練習をしてたじゃない!」

律「全く…、大学生様が揃いも揃って情けねーなぁ。みっともないぞ」

澪「な、なんだよ律、お前やけに落ち着いてるじゃないか」

律「元部長たるもの、動かぬ事山の如しだぜ!いいか良く聞けよ。バレたら不味いのは梓であって憂ちゃんじゃない」

紬「そ、それはそうだけども…、きっと憂ちゃんだって悲しむわ」

律「それはまー、唯が何とか籠絡するんだよ!んで梓には黙っててもらうんだ」

澪「憂ちゃんをこっち側に引き入れる作戦か…。ずいぶん思い切った事を考えたな」

律「ふんっ!伊達に部長として幾度も死線を潜り抜けてねぇよ」

紬「律っちゃん…とっても頼もしいわ!」グッ

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 21:03:53.80 ID:pHFpm8FHO
『お姉ちゃーん!?居ないのー?あれ、…おっかしいなぁ』

唯「はぁ、安心したらなんだか、くうふくになって来たよ…。ういー、お腹空いたよぉ。ういー!」トタト…

『お姉ちゃん多分その内帰ってくると思うから、梓ちゃん達は上がって待っててね』

唯「…!?」ビクッ!

律「おぃぃぃぃッ!?澪、お前どうしてくれんだよ!!私達、軽音部の絆を粉々に」クワッ!

澪「いや、それ一昨日聞いたよ!私のせいにするな律、動かざる事山の如しはどうしたんだよ!?」

律「うるせぇぇぇ!信玄はもう持病で死んでんだよ!いつまでそんなスローガン引きずってんだ」

澪「引きずってるのはお前だろうが!そこまでして責任逃れたいのか、元部長のプライドは無いのかよ!」

紬「や、止めて二人ともッ!私達軽音部はそんな争いをする為に集まったんじゃないのよ!」バンッ

澪「ム、ムギ…」

唯「そうだよ…、ムギちゃんの言う通りだよ!二人共目を覚まして!」

律「そ、そうだな…唯達の言う通りだ。まずは…」

唯「まずは何か憂にご飯を作ってもらおう!!」グゥキュルルルルルール

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 21:16:38.12 ID:pHFpm8FHO
憂「何度呼んでも返事しないから、留守かと思っちゃったよ。皆さんもお久し振りです!」ペコリ

律「私はちょくちょくメシ食わして貰ってるからそうでもねーけどな」

紬「本当懐かしいわね、憂ちゃんも梓ちゃんも元気そうで良かったわ」

澪「どうだ梓…?部活の方は順調か」

梓「そうですね、軽音部と違って練習が厳しいけど、その分やり甲斐がありますし」

律「そ、そっかー、そりゃ良かったな!軽音部で鍛えた根性が役に立ってるな!」

純「あの…、立ち話も何なんで中で話しません?梓達お土産買ってきたみたいですし」

唯「え…えーっと、あのね!いま部屋の中凄い散らかってて、だからあのねぇ」ビクビク

梓「どうせそんな事だろうと思いましたよ…。ほら、どいて下さい、掃除手伝ってあげますから」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 21:27:30.00 ID:pHFpm8FHO
唯「あ、嘘!違うのあずにゃん!えっとね…あのね」ガッ

梓「な、なんですか…?離して下さいよ」グイグイ

律「そ、…そうだ!実は散らかってるんじゃ無くて、あれだよ。家ん中で七輪囲んでたから、硫黄酸化物が充満してんだよ!」

梓「余計ダメじゃないですか!?ちょっと、憂、純、早く換気するよッ!」ベキィ

唯「はふぅん!」ペタン

澪「おい律!何やってるんだよ、逆効果じゃないか!」

紬「……やっぱり、ダメね。やっぱり悪い事は最後まで隠し通せないのよ」

唯「む…ムギちゃん…」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 21:39:11.36 ID:pHFpm8FHO
律「待てよ、まだ終わって無いぜ!何とかして同じスッポンモドキを…」

紬「ううん…、いくら同じスッポンモドキを持ってきても、それは同じスッポンモドキであってトンちゃんじゃないもの」

澪「でもそんな綺麗ごとで梓の気持ちを傷付ける事になったら…!」

唯「ううん…、ムギちゃんの言う通りだよ」

律「なんだよ、お前まで諦めるってのかよッ!」

唯「うーん、諦めるとはちょっと違うかな?」

澪「どういう事だよ…?」

唯「例えばさ、もし私が死んじゃったとして……。その後、憂が私の変りになると思う?」

律「んな訳無いだろ!唯は唯だろ、代わりなんて……。あ」

唯「そう、そういう事なんだよ。最初からトンちゃんの代わりなんか無かった…。ただそれだけの事だよ」


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 21:49:58.87 ID:pHFpm8FHO
『ちょッ!ちょっと、憂、梓!大変だよ、あのカメ飼ってた水槽が!』

『どうしたの、純ちゃん!?』


律「…さぁって、行くか!お前達、土下座の準備はいいか?」グッ

澪「ふふっ、誰に言ってるんだ?お前に軽音部に引き込まれた時から、こんな事は日常茶飯になったよ」

紬「さぁ、久々の土下座ね。大学じゃこんな事出来ないもの…やっぱり私は軽音部に入って良かったわ」

唯「行こう、皆。私達のやった事は許されないかもしれない…、憂やあずにゃんを深く傷付けるかもしれない…。でも、私達は私達のやれる事を精一杯やるだけだよ!」

律「うっしゃ行くぞ!私達の放課後ティータイム、今ここに再結成だぜッ!」ダッ

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 22:08:00.47 ID:pHFpm8FHO
HTT「ほんっとーにすいませんでしたッ!!」ズサァー!

純「はは…。くうふくでカメを食べちゃうなんて…、さすが憂のお姉ちゃんだね」

憂「確かにお姉ちゃんらしいけど…、純ちゃんも人の事言えないよ」

梓「………………」

唯「ういー、あずにゃーん!ごめんなさい、なんて謝ったらいいか」

律「元はと言えば私がワリィんだ!トンちゃんを食べようって言い出したのは私だ!」

澪「そうやって一人で背負い込むなよ…、トンちゃんを手に掛けたのは私なんだ。私だって責任はある」

紬「いえ…、高校時代に、唯ちゃんと律っちゃんに十分な一般常識を躾られなかった私が……」

梓「ふぅ……、修学旅行から帰って来て疲れてるんですよ。さっさと頭を上げて下さい」

唯「あ、あずにゃん…でも!」

梓「だから言ってるでしょ。修学旅行で疲れてるのにまだ土下座までさせるつもりですか?」

律「な…、何でお前が土下座すんだよ?ワリィのは私達で…」

梓「何でって、当たり前じゃないですか。私も放課後ティータイムの一員なんですよ。忘れたんですか?」

唯「あ…、あずにゃん…!」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 22:23:58.89 ID:pHFpm8FHO
梓「…って言う事だから、良いよね憂?」チラッ

憂「え…?良いも何もトンちゃんは純ちゃんが…」

純「わーわーッ!ういー、ちょっと待った!?」ガバーッ

澪「すまないな…梓。軽音部を廃部させてしまったり、お前にはいつも貧乏クジを引かせてしまって…」

梓「澪先輩、いつか言ってくれましたよね…。私軽音部は卒業して、バラバラになってしまうけど、トンちゃんを通じて私達は繋がってる…って」

澪「ん…?あぁ、ちゃんと覚えてたんだな」

梓「でも、そんな必要はありませんよ。トンちゃんが居なくても、軽音部が廃部になろうとも、こうして先輩達はあの時と変らない笑顔でバカ騒ぎしてくれるんだから」

律「あ、梓…お前言う様になったじゃねぇかよ」

紬「ふふっ、見た目は余り変わって無いのに随分大人になったのね」

唯「あーずにゃぁぁんッ!有り難うねぇぇぇ」ガバッ

梓「第一、あのトンちゃん二代目でしたから」


唯・澪・紬・律「………………えッ?」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 22:32:01.50 ID:pHFpm8FHO
純『あぁ…、今月もう30円しかないー。もう体力も気力もないー」グゥキュルルールルル

憂『もうちょっと計画的にお金使おうよぉ…高三にもなって』

純『うるさーぃ、その歳で家計の財布握ってるアンタが異常なの』

グゥキュルルル…

純『仕方ないこうなったらカップ麺で我慢するか』

憂『んー…もうカップ麺買い置き切れちゃってるよ』


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 22:37:17.61 ID:pHFpm8FHO
純『あぁ、なんかお腹減り過ぎて幻覚が見えてきそうだよ…』

憂『いいなぁ純ちゃん、私もお姉ちゃんの幻覚がみたいなぁ』

純『なんか高校ん時、梓の部室に置いてあった水槽が見えてきた…』

憂『それ幻覚じゃないよ、お姉ちゃんが卒業の時に引き取ったじゃない』

純『そんなの知るわけないじゃない…。ねぇ憂』

憂『ん、なぁに?』

純『カメって、食べられるのかな…?』

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 22:42:48.69 ID:pHFpm8FHO
純『よーし、大分煮えて来た。そろそろ放り込んでもいいんじゃない』

憂『よーし、んじゃいっけぇぇ!』バッシャァァン

グツグツグツグツ…

ピンポーン!

純『ん…?誰か来たみたいだよ』

憂『誰だろ…?純ちゃんお鍋の火加減ちゃんと見ててね』

純『うん、任しといてよっ!』

スタスタ

憂『はいー、どなたですかー。あ、梓ちゃんいらっしゃい!』

梓『ゴメンね、ちょっと遅れちゃって』

憂『気にしないで!上がって上がって、いまカメ料理作ってるんだ』

梓『カメ料理…?スッポンでも買ったの』

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 22:49:23.69 ID:pHFpm8FHO
憂『そんなの買ってないよ。ウチの水槽で飼ってたヤツだよ!』

梓『憂ん家の水槽で…?』

グツグツグツグツ

純『梓ーやっと来たの?でもこのスッポン鍋は分けてあげないからね!』

グツグツ

梓『……………』

憂『ん…?どしたの梓ちゃん』

梓『ウァァワァァアァァァアァァァアッ!!?』ガッ!

バッシャァァァァァァアン!

純『あ゛!?あ゛っづーぅぅぅぅうぅぅッ!!』ゴロゴロ!

憂『…!?』ビクッ!

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 23:01:43.89 ID:pHFpm8FHO
純『な、何すんの梓!?私を殺す気!』

梓『それはこっちのセリフよ!あなた達トンちゃんに何しようとしてたの!』

純『トンちゃん……?』

憂『何言ってるの、それはカメって言って爬虫類の一種で』

梓『いや、知ってるよ!そうじゃなくて、コレは唯先輩達が高校生の時に飼ってたカメのト………』

純『ん……どしたの梓。憂のお姉ちゃんがどうかした?』

憂『もしかして食べちゃダメだったのかな…お姉ちゃんスッポンって言ってたから、てっきり食用かと』

梓『そ、そうなんだけど…、食べたら水槽だけ残っちゃうじゃん!だから、カメは必要だと思うの!』

憂『ふん、それもそうだね。今のスッポンは甲羅が粉砕して悲惨な事になってるし代えのカメを用意しないと。今度は何でもいいよね』

梓『いや、ダメ!スッポンモドキ科のスッポンモドキが絶対!』バッ

憂『…え、どうしてなの?』

梓『どうしても!後唯先輩にこの事は絶対ナイショね!』

純『ま、まさか……』ガタガタ

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 23:13:44.64 ID:pHFpm8FHO
純「……と、言う訳で半年程前に刷り変わっちゃってましたぁ。…テヘッ!」

唯「そうなんだー、刷り変わっちゃってたんだぁー」

律「テヘッ!…じゃねぇよ!?お前らズル賢い方にしか成長してねぇじゃねぇかッ!!」

憂「そっかー、それで梓ちゃん、お姉ちゃんがトンちゃん二号の世話をするのを心配してたんだね」

梓「もっともこんな事になってるなんて予想外でしたけど…。流石唯先輩と言うか」

唯「いゃあ、そんなに褒められたら照れちゃうよぉ」

澪「褒められてないッ!全く持って褒められてない!」

紬「あはは…、私達の土下座って何だったのかしら…」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 23:36:50.56 ID:pHFpm8FHO
梓「ふふっ、どうやら先輩達、軽音部より私達ジャズ研の方が一枚上手だったみたいですね」

律「うっせーよッ!!今度はお前らが土下座する番だァァ!おい唯ッ、お前も何か言…」

唯「憂、あずにゃん、純ちゃん…」

憂「な、何かなお姉ちゃん…?」

唯「皆でお墓作ってあげよ。トンちゃんと、トン二号のお墓」ニコッ

澪「そうだな…、よし!作ってあげようそれが今私達がトンちゃん達にしてあげられる事なんだから」

梓「そうですね、私もずっとモヤモヤしてたんですよ」

律「トンちゃん、殺害を隠蔽してたヤツがなーに言ってんだよ」

梓「その言葉、全部先輩に返ってきてますよ」

律「ぐっ…コイツ!いつかそのツインテール引っこ抜いてやるからな!」

梓「臨む所ですよ!その前にそのカチューシャの命はありませんよ」


憂「ふふ、いつの間にか丸く収めちゃうんだもん。流石は私のお姉ちゃんだよ」

唯「いゃあ、そんなに褒められたら照れちゃうよぉーういー」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/09(金) 23:57:10.18 ID:pHFpm8FHO
純「ふぅ、結構本格的なお墓になっちゃったね」ザクザク

憂「お姉ちゃん凝りだすと止まらなくなっちゃうからね」ザクザク

梓「半年も放置してたんだからね、これくらいしないとバチがあたっちゃうって」ザクザク

純「それもそっかー…仕方ない」ザクザク

和「あら、こんな所にいたのね。一体、どうしたの凄い大人数ね」スタスタ

憂「あ、和さんこんにちわ。トンちゃんのお墓作ってたんですよ」

和「トンちゃん…?あぁ、唯達が飼ってたカメね。でも何で二つ?」

梓「それには色々と深い訳がありまして…」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/10(土) 00:05:09.68 ID:zO3pT6yFO [1/3]
唯「あれー、和ちゃんだ!どうしたの?」クルッ

和「ちょっとバイトの先輩に沢山お裾分け頂いちゃって…、食べきれないから唯の所に持ってきたのよ」

律「バイト…!?和、お前もバイトやってんのか!もしかして浪に…」

和「大学に通う合間に、ファッションセンターしまむらでね。それがどうかしたの?」

律「チクショォォッ!!大学もジャスコも全部滅んじまえばいいんだよ!」

和「な…なによいきなり物騒な事言わないでよ」

澪「気にするな和。コイツ、ちょっと浪人生活でナイーブになってるだけだから」

和「あらそう、大変なのね…」

紬「律っちゃん大丈夫よッ!私のお父さん、しまむらにも知り合いがいるから!」

律「私が入りたいのはしまむらの方じゃねぇよッ!!」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/10(土) 00:18:47.80 ID:zO3pT6yFO [2/3]
唯「ねぇ、ねぇ和ちゃん。何を貰ってきたの!」

和「スッポンの切り身よ。鍋にしてお昼に皆で頂きましょうか」

純「……………げ」

唯「やったー!私お腹ペコペコだったんだよ!」グゥキュルルールルールール

和「そう?それは良かったわ」

梓「よく、さっきの今で食べる気になれますね……」

憂「ふふっ、それは仕方ないよ。だってお姉ちゃん今は…」

唯「くうふく!だもん」

=おしまい=


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/10(土) 00:23:11.88 ID:zO3pT6yFO [3/3]
保守、支援有り難うございました!
どうにか終わって良かった
そいではまた!


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