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唯憂「好き好き大好き!」
未完
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:06:59.46 ID:7NVUhBbO0 [1/33]
姉(YUI)から名前(UI)を分け与えられた存在、それが私平沢憂だった
アダムの肋骨から作られたイブのように
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:06:59.46 ID:7NVUhBbO0 [1/33]
姉(YUI)から名前(UI)を分け与えられた存在、それが私平沢憂だった
アダムの肋骨から作られたイブのように
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:09:26.27 ID:7NVUhBbO0 [2/33]
幼いころから私は姉に溺愛されていた。
私が欲しいと言えば姉は私のために全力を尽くしてくれたし、私が泣けば泣きやむまで私をあやしてくれた。
そんな姉を私は愛していたし、「この人のために一生尽くそう」と幼いころから考えていた。
小学校高学年あたりから私はなんでもできるようにと努力した。姉が私のために何かをしてくれるのはとてもうれしいことだったが、それと同時に姉の人生を私のために削らせることへの罪悪感もあった。
次第に私と姉は立場が逆転していき、どちらかというと私が姉の面倒をみるような形となっていった。
もちろん私はそれで幸せだったし、それのためにした努力も苦にはならなかった。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:12:15.04 ID:7NVUhBbO0
「ういはほんとうにガンバリ屋さんだね、私も鼻が高いよ」
「ういはなんでもできてすごいよ!」
「ういー!この前の運動会すごかったね!私なんてびりだったよぉ。」
ことあるごとに姉は私を褒めてくれた、過剰とも言えるほどに。
もちろん私は姉に褒めてもらうことがこの上ない喜びだったし、そのたびに姉に甘えた
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:15:37.73 ID:7NVUhBbO0
中学に入学してからは私の頭の中はより一層おねえちゃんで埋め尽くされていた。
学校では男子が女子を意識しだし、中には男女交際を行う者もいた。
私も男子に告白されたこともあったが、全て断った。
別に男子が嫌いというわけではない。が、やはり付き合うなんてことは考えられなかった。
どんなに可愛い猫がいたって、どんなに美しい鳥がいたって私は人間。彼らと愛し合うなんて考えることは到底無理だ。
この楽園に存在する人間は私とおねえちゃんだけなのだから。
おねえちゃんにとって私はイブなのかな…
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:25:14.09 ID:7NVUhBbO0
私が中学3年の頃、ある日姉が友達の家に泊まりに行ったことがあった。
親は父母ともに仕事で出張、したがって家には私一人、こんなことは今までも何回か経験したがこの日の孤独感は今までのそれを遥かに上回っていた。
私はまだ日も落ちぬ時間からベッドに寝転んでいた、普段おねえちゃんと私が愛用しているベッドに。
おねえちゃんの私を魅了する要素の一つに体臭がある。家族の匂いだから安心するのか、平沢唯の匂いだから私が好きなのか、とにかく姉の匂いは私を安心させた。そして興奮させた…
「おねえちゃん……」
口に出してみると余計体が熱くなるのがわかる
「おねえちゃん……おねえちゃん……」
おねえちゃんの枕、一番おねえちゃんの匂いを感じさせるそれを抱きしめながら一心不乱にベッドで身を悶えさせる。
「おねえちゃん……好き……」
おねえちゃんの匂いに包まれながら私は眠りに落ちた。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:30:22.48 ID:7NVUhBbO0
朝目が覚めた時の自己嫌悪といったらなかった。自分は初めての自慰行為を姉でしてしまったのだ……
純真で汚れなんて無縁のおねえちゃん、その存在を汚してしまったようで後悔の波が次々に押し寄せる。
「もう二度とこんなことはしないようにしないと……」
そう決意した私は自分の意思がいかに弱いか思い知ることになる。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:35:58.96 ID:7NVUhBbO0
_____
___
__
「ただいまーうい~」
「おかえりえねえちゃん!」
「お風呂沸いてるよ~、ご飯の前に入る?」
「いや~先にご飯食べるよぉ」
しかしおねいちゃんはご飯を食べた後に泥のように眠りこんでしまった。
姉の天使のような寝顔にうっとりしながらも一応確認を取っておく。
「おねえちゃん、お風呂いいの?」
「ん~……今日はもう動けないから……明日の朝入るよぉ……」
「おねえちゃん……?」
「ん~……うい~……おやす…み……」
私もおねえちゃんにならってそうそうに寝てしまった。夜中まで起きて疲れているおねえちゃんの眠りを邪魔してしまうわけにもいけない。
おねえちゃんの脇に滑り込むようにベッドに潜る。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:38:33.21 ID:7NVUhBbO0
「はぁ……」
ベッドに入り昨日の行為を思い出し自責の念に駆られる。
あんなことはもうしたら駄目、駄目なんだけど…
目の前の無防備なおねえちゃんを見てると自分の中で欲望がむくむくと膨らんでいく。
「おねえちゃんの匂い……すごい……」
昨日あんなことをしてしまった自分の心境の変化のせいか、就寝前に風呂に入らなかったおねえちゃんが理由なのか、今日のおねえちゃんの匂いは普段より一層私を興奮させた
むせかえるような甘いとろけるような匂い。
頭がクラクラしていまう程に私の鼻孔をくすぐるおねえちゃんの匂い。
甘い蜜に吸い寄せられる蝶のように自然におねえちゃんの体に引き寄せられてしまう。
「ちょっとだけならいいよね……?」
もう私の頭にはひとかけらの理性も残されていなかった。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:44:07.29 ID:7NVUhBbO0
後ろからおねいちゃんのうなじをチロチロと舌で味わう。
「これが……おねえちゃんの味……」
「うーん……」
モゾモゾと反応はするがおねえちゃんは起きる様子が無い。調子に乗った私は行為をやめなかった。
もっと……もっとおねえちゃんを感じたい!
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:47:54.38 ID:7NVUhBbO0
「はぁ……はぁ…」
自然と息が荒くなってしまう。ただおねいちゃんを貪ることだけに頭が働く。
「ん……うい……」
「!!」
愛するおねいちゃんに自分の名を呼ばれて一気に現実に引き戻される。
体温がサッと下がり、一気に高揚していた気分が正反対の方向に向かう。
私は……とんでもないことを…
幸い今の行為で姉が起きたわけではないがそんなことは些細なことだった。
「おねえちゃん……」
涙が止まらなかった。自分の情けなさに、愚かさに。
「おねえちゃん、こんな妹でごめんなさい……」
_____
___
__
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:50:28.98 ID:7NVUhBbO0
***
「ふあぁぁ」
今日は珍しく自分で起きることができた、しかもかなり早い時間に。
昨日早めに寝たからだろうか。あ、そうだ!学校行く前にお風呂入らなきゃ!
「うい~あさだよぉ~……う~い~……?あれ?」
ありゃ?憂がいない
「うい……?」
ご飯でも作ってるのかな?でもこんな時間に?
しかしそんな私の予想は外れ、憂はリビングのソファーで寝ていた。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:54:29.63 ID:7NVUhBbO0
「!!」
目の周りを真っ赤に腫らした憂に気が動転しまう
「うい?!大丈夫?どうしたの?」
「ん…あ、おねいちゃんおはよう~」
そう言った後、はっとしたしたようにして憂は顔をそらしてしまった。
「うい~目の周り真っ赤だよ?大丈夫?」
「……うん大丈夫。私ご飯作らなきゃいけないから……」
そういって憂はそそくさと台所に消えてしまった。
こんな憂の反応を見るのは初めてだった、どうしたんだろ…
それから食事、通学中までずっと私たちの間には気まずい雰囲気が立ちこめていた。
そんなことがあったからなのか、まったく学校の授業は身に入らなかった。いやそれはいつも通りか
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:59:48.70 ID:7NVUhBbO0
「どうしたの?唯ちゃん。今日はずっとぼーっとしてるけど……」
「え? あはははなんでもないよ、ムギちゃん。ちょっとお菓子の事考えてただけだよぉ」
「ほんとうに唯は食い物の事ばっかだなぁ」
「えへへ」
「ほんとうに大丈夫なの?唯ちゃん」
「うん大丈夫だよ」
「そう……?ならいいけど……」
大丈夫、そう思ってたのは嘘ではなかったけど、心の底では違ったのかもしれない。
(うい…どうかしたんだろう)
頭の中で一日中憂の事を考えていたのは紛れもない事実だった。
_____
___
__
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:04:37.89 ID:7NVUhBbO0
小さい頃から私について回るういは本当に愛くるしかった。
妹は私が大好きだったんだと思うし、そんな妹を私はこよなく愛していた。
親は仕事で帰りが遅かったり、家を空けることは多々あったので私は自分がういの母代りをしなきゃいけない、そう思っていたのかもしれない。
親のいない私が普段感じる不安や孤独感。そんなものをういには感じさせたくはなかったから、惜しみ無く私はういに愛を注いだ。
小さい頃はそれぞれ同い年の友達より、姉妹二人で過ごすことがほとんどだったし、二人ともそれが幸せだった。 と私は思う
けどそんなういも少しずつ自立していった。家事はできるだけ自分でやるようになったし学校でも友達をたくさん作った。
家事は私もしなきゃいけないんだけど……私が気を回す前にういがほとんどやってしまうのだ。
「私がやりたくてやってるだけだから!」
こう言われてしまうとついつい甘えてしまうのだ。もちろんういは本当にやりたくてやっているようだし、苦にも感じていなそうだった。
もちろんういは辛くても口に出さないと思うけど…それでもういの本当に嫌なことや、やりたいことくらい理解できてるつもりだ。
仲のいい姉妹、そんな関係をこれからも続けていくはずだったのに……
_____
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24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:15:57.38 ID:7NVUhBbO0
「うい……家に帰ったらいつも通りだよね……?」
いつもより玄関の扉が重く感じられる。
「ういーただいま~……あ!」
玄関に置かれた普段は見慣れない靴。そうだ忘れてた!今日はお母さんたちが帰ってくる日だ!!
「お母さ……」
リビングに飛び込もうとした私の耳に話声が飛び込んでくる。
「だから……うん……」
「…けど……」
「……なら……あるけど……」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:19:59.27 ID:7NVUhBbO0
何を話してるんだろ?ドアに近寄って耳をそばだてる
「だからいいでしょ?」
「もう憂もそんな年か」
「寂しくはないの?」
「うん大丈夫」
「よし、じゃあ明日の休日使って移動すませるか!」
「ふふ、それにしても唯にべったりだった憂が一人部屋が欲しいだなんてねぇ」
「……」
(え……?一人部屋……?)
思わずドアを開けてなかに駆け込んでしまった
「うい!どういうこと?!」
「おねいちゃん……」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:28:08.02 ID:7NVUhBbO0
久しぶりに家族で囲む楽しい食事。だったはずなのにご飯の味もほとんどわかなかった。
(憂に嫌われちゃった……?)
(どうして?)
(なんで?)
頭の中に次々と疑問が浮かび上がる。
食欲がないからと先に食卓を抜けた私は部屋で一人嗚咽を漏らし続けた。
涙があふれてくる、胸に熱いものがつっかえているようで苦しい。
あまりのストレスに胃のものを戻してしまいそうになる。
「ういっ……ういっ……」
泣き疲れてしまい、妹と夜を過ごす最後の一日、それなのに私は憂を待たず一人で眠りに落ちてしまった。
_____
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32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:35:12.82 ID:7NVUhBbO0
それからというもの私の日々は色あせてしまった。
何を見ても灰色にしか見えない…楽しかった部活さえそれは同じだった。
私が駄目なおねいちゃんだったから…ういに嫌われちゃったんだ…
「うい……今までごめんね……」
今更許してもらおうなんて思わない、でも…このままじゃ……
せめてこれ以上ういに迷惑をかけないように家事は私がやろう。
そうだ……こんなことが無ければこれから受験が控えてる妹に私は家事を負担をさせようとしていたのだ。
なんてことを……
<ういの本当に嫌なことや、やりたいことくらい理解できてるつもり>
自重気味に唇がひきつってしまう。私はういのことは少しも理解できていなかったんだ……
今日は部活を休んで早く帰り食事の用意をしよう。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:40:56.73 ID:7NVUhBbO0
家に帰るとまだ憂は帰宅していないようだった。
「食事くらい姉の私が作ってういの負担減らさないと!」
「そしたらういも少しは見直してくれるかな……」
着替えをすませた私がそんなことを考えながらリビングに向かうと廊下に何か紙が落ちてるのが目に入った。
「なんだろ……?ういの学校のだ……進路調査?」
そこに書かれていた見慣れない進路希望高校を見て絶句した。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:43:10.62 ID:7NVUhBbO0
(桜が丘高校に行くんじゃないの?!)
見慣れない学校名を調べてみるとそれは遠く離れた県の高校だった。もしかしてういは一人暮らしするつもりなの…?
私たちの亀裂が既に取り返しのつかない深さになっていたことを知った私は立ち上がることすらできなかった。
ういと別々にくらすことになるかもしれない、いや、かもしれないじゃなくてそうなるんだ。ういにやろうとして出来ないことなんてないんだから。
(ういと一緒に暮らせなくなる……?)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:48:44.67 ID:7NVUhBbO0
「あ…ああ…うっ……うぁあ……」
考えただけで頭がおかしくなりそうだった。ういのいない日常、そんなこと考えたこともなかった、いや考えることができない。
「おねえちゃん」 「おはようおねえちゃん」 「おねえちゃーん」 「起きて!おねえちゃん」 「おねえちゃん?」 「お帰りおねえちゃん」
「大好き!おねえちゃん」 「ごはんできたよおねえちゃん」 「おねえちゃん!?」 「おねえちゃん一緒にねよっ」 「おねえちゃん」
「おねえ……ちゃん」 「待ってよおねえちゃん」 「おねえちゃん可愛い!」 「おねえちゃんありがとう!」
今までのういとの思い出が頭を流れていく。
「うい……また昔みたいに……仲良くしたいよ…うう」
泣き枯らしていた筈の涙が再び溢れ出す。情けないことにこんな時にさえ私は妹の名を呼びながら泣くことしかできなかった……
_____
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39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:56:18.52 ID:7NVUhBbO0
***
「はぁ、進路の紙無くしちゃうなんて私も駄目だなぁ。」
最近ミスをすることが増えたし、何をやるにも無気力になってしまったような気がする。
原因ははっきりしてる。
「おねえちゃん……」
最近おねえちゃんとの会話が減ったしまった、原因は私にあるのだけど……
でもこれでいいんだ。私とおねえちゃんがこれからの人生で姉妹という関係を続けるにはこうするしかない。
これからの生活の中で私はおねえちゃんに再び手を出さない自信が無かった。
我慢すればいい、口に出すのは簡単だけどそれを簡単に実行できるほどおねえちゃんに対する欲情は弱いものではなかった。
毎日毎日、同じようなことを考えながら学校から家に向かう。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:03:11.17 ID:7NVUhBbO0
「ただいまー。あれ?鍵空いてる?」
誰もいない筈の家の鍵が開いている。もしかして泥棒?!
一瞬身構えてしまったがおねいちゃんの靴を確認して胸をなでおろす。
(今日は部活、無かったのかな…?)
そんな疑問とは別に家に漂う異様な空気に気づく。
張り詰めたような空気、そして普段なら出迎えてくれるはずの姉の挨拶もない。
そんな状況にもかかわらずリビングからはおいしそうな匂いが漂ってきた。
「おねえちゃん…?」
リビングに入るとそこにはおねちゃんが作ったと思わしき料理とイスに佇むおねいちゃん。
そして机には無くしたと思っていた進路調査紙があった
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:07:49.83 ID:7NVUhBbO0
おねえちゃんの目は赤く腫れあがっていた。一体どうして?
たまらずおねいちゃんに駆け寄って事情を聴いてみる。
「ごめんねうい」
「ごめんね駄目なおねいちゃんで」
「おねえちゃんどうしたの?」
ただならぬおねえちゃんの様子に私まで混乱してしまう。しかし私までパニックになってしまっては仕方ないので努めて冷静におねえちゃんに話しかける。
だけどおねえちゃんは涙と嗚咽を漏らしながらただ私に謝罪を繰り返すだけだった。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:19:39.01 ID:7NVUhBbO0
_____
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背中をさすりながらなだめ続けて1時間程度、ようやく落ち着いたおねえちゃんは説明してくれた。
「私が何もしない駄目な姉だからういに嫌われちゃったんだよね?」
「……」
私は何もいえなかった
彼女は無言を肯定と受け取ったのか俯きながら話を続ける。
「今日初めて自分一人で食事用意しようとして思い知ったよ。こんなに大変なことを…ういは毎日やってたんだね」
おねえちゃんの瞳が再び潤い始める。おねえちゃんの言葉は止まらない。
「高校はういと一緒に!ってずっと思ってたんだけどこんな姉じゃ嫌だよね」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:22:13.45 ID:7NVUhBbO0
違う!!!と否定したかったけどなかなか言い出せない。
距離を取っていたのは私の愚かさのせいだ。だけど理由を告白するには躊躇してしまう。
姉は嫌悪感を感じるかもしれない、いやそれだけならまだましだ。一生口を聞いてもらえないかもしれない。
こんなことを考えている自分に嫌気がさしてしまう。たとえ姉がこんなに悩んでいるのに私は保身のことを考えていたのだ。
だけど…
このまま距離を取り続ければおねえちゃんは永遠に私に罪悪感を感じながら生きていくのかもしれない。
もうよそう、あんな過ちを一度でもしてしまった私がまともな姉妹関係を少しでも求めてしまったのがそもそもの間違いなのだ。
一生蔑まれながら、嫌悪されながら生きよう。おねえちゃんが私に感じる誤解が解ければそれで十分なのだから。
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:25:36.67 ID:7NVUhBbO0
「違うんだよ、おねえちゃん」
それから私はすべてを説明した。
おねえちゃんに対して私が嫌うことなんて絶対ない事。
おねえちゃんは私に迷惑なんてかけたことはないこと。
そして私が姉に姉妹以上の感情を抱いてしまってること。
そしてある夜に犯した過ちのこと……
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:30:05.10 ID:7NVUhBbO0
「ごめんなさいおねえちゃん。こんな妹…っ気持ち悪いよね?」
涙が溢れてくる、おかしいな。本当に泣きたいのはおねえちゃんのはずなのに。
「でもね、これだけは最後に言わせて。大好きだよ…おねえちゃん。」
そして心の中で呟く
好きでいてごめんなさい
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:34:30.78 ID:7NVUhBbO0
もうこれで本当にお終いだ。姉と会話をすることもないだろう。
そう考えただけでもめまいがしてくる。
実際この先何数十年とそんな状態で、私は心を保っていられるのだろうか?
この先自分は生きてくことができるのだろうか?
立ちくらみがして崩れそうになるが必至でからだを支え姉を残し部屋に向かう。
こんなところで泣き崩れてはけない、被害者は私ではなくおねえちゃんだ。
もし私が泣き崩れでもしたら天使のようなおねえちゃんは屑のような私に同情してしまうだろう。
そんなことは絶対に許されない。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:42:34.06 ID:7NVUhBbO0
だけど、リビングを去ろうとしたその瞬間、急に背中に温かい感触を感じる。
「ごめんね、うい」
「……っ」
久しぶりに感じる姉の温もり、やさしい姉の匂い。
うしろから抱きついてきた姉を払おうとするけど上手く力が入らない。駄目だ、また涙があふれてくる……
「今までこんな辛い思いをういにさせてきたんだね」
「やっぱりおねえちゃん失格だね、私」
耳元で囁く姉の言葉が心臓を締めあげる
違う!!私が悪いだけなのに……
「おねいちゃんは悪くな…」
振り返りそう言おうとした私の唇を姉の唇が塞いだ
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:47:26.23 ID:7NVUhBbO0
互いの唇を離すといつもの柔らかいおねえちゃんの笑顔がそこにあった。
その瞬間すべてが弾けた。
私は崩れるように床にへたり込んでしまい、あふれ出る感情を抑えきれずにただおねえちゃんと叫びながらビービーと泣くことしかできなかった。
そんな私を姉は何一つ云わず包み込んでくれた。
おねえちゃん…温かい……
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___
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64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:52:55.47 ID:7NVUhBbO0 [32/33]
申し訳ない、後日立て直す
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:58:39.04 ID:7NVUhBbO0 [33/33]
途中から書きため尽きてチマチマ書いてくつもりだったんだけどどうにも…まだ3割くらいしか終わってないんだ
後日ちゃんと完成させてから投下するんでこのスレ落として欲しい
すまない
幼いころから私は姉に溺愛されていた。
私が欲しいと言えば姉は私のために全力を尽くしてくれたし、私が泣けば泣きやむまで私をあやしてくれた。
そんな姉を私は愛していたし、「この人のために一生尽くそう」と幼いころから考えていた。
小学校高学年あたりから私はなんでもできるようにと努力した。姉が私のために何かをしてくれるのはとてもうれしいことだったが、それと同時に姉の人生を私のために削らせることへの罪悪感もあった。
次第に私と姉は立場が逆転していき、どちらかというと私が姉の面倒をみるような形となっていった。
もちろん私はそれで幸せだったし、それのためにした努力も苦にはならなかった。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:12:15.04 ID:7NVUhBbO0
「ういはほんとうにガンバリ屋さんだね、私も鼻が高いよ」
「ういはなんでもできてすごいよ!」
「ういー!この前の運動会すごかったね!私なんてびりだったよぉ。」
ことあるごとに姉は私を褒めてくれた、過剰とも言えるほどに。
もちろん私は姉に褒めてもらうことがこの上ない喜びだったし、そのたびに姉に甘えた
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:15:37.73 ID:7NVUhBbO0
中学に入学してからは私の頭の中はより一層おねえちゃんで埋め尽くされていた。
学校では男子が女子を意識しだし、中には男女交際を行う者もいた。
私も男子に告白されたこともあったが、全て断った。
別に男子が嫌いというわけではない。が、やはり付き合うなんてことは考えられなかった。
どんなに可愛い猫がいたって、どんなに美しい鳥がいたって私は人間。彼らと愛し合うなんて考えることは到底無理だ。
この楽園に存在する人間は私とおねえちゃんだけなのだから。
おねえちゃんにとって私はイブなのかな…
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:25:14.09 ID:7NVUhBbO0
私が中学3年の頃、ある日姉が友達の家に泊まりに行ったことがあった。
親は父母ともに仕事で出張、したがって家には私一人、こんなことは今までも何回か経験したがこの日の孤独感は今までのそれを遥かに上回っていた。
私はまだ日も落ちぬ時間からベッドに寝転んでいた、普段おねえちゃんと私が愛用しているベッドに。
おねえちゃんの私を魅了する要素の一つに体臭がある。家族の匂いだから安心するのか、平沢唯の匂いだから私が好きなのか、とにかく姉の匂いは私を安心させた。そして興奮させた…
「おねえちゃん……」
口に出してみると余計体が熱くなるのがわかる
「おねえちゃん……おねえちゃん……」
おねえちゃんの枕、一番おねえちゃんの匂いを感じさせるそれを抱きしめながら一心不乱にベッドで身を悶えさせる。
「おねえちゃん……好き……」
おねえちゃんの匂いに包まれながら私は眠りに落ちた。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:30:22.48 ID:7NVUhBbO0
朝目が覚めた時の自己嫌悪といったらなかった。自分は初めての自慰行為を姉でしてしまったのだ……
純真で汚れなんて無縁のおねえちゃん、その存在を汚してしまったようで後悔の波が次々に押し寄せる。
「もう二度とこんなことはしないようにしないと……」
そう決意した私は自分の意思がいかに弱いか思い知ることになる。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:35:58.96 ID:7NVUhBbO0
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「ただいまーうい~」
「おかえりえねえちゃん!」
「お風呂沸いてるよ~、ご飯の前に入る?」
「いや~先にご飯食べるよぉ」
しかしおねいちゃんはご飯を食べた後に泥のように眠りこんでしまった。
姉の天使のような寝顔にうっとりしながらも一応確認を取っておく。
「おねえちゃん、お風呂いいの?」
「ん~……今日はもう動けないから……明日の朝入るよぉ……」
「おねえちゃん……?」
「ん~……うい~……おやす…み……」
私もおねえちゃんにならってそうそうに寝てしまった。夜中まで起きて疲れているおねえちゃんの眠りを邪魔してしまうわけにもいけない。
おねえちゃんの脇に滑り込むようにベッドに潜る。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:38:33.21 ID:7NVUhBbO0
「はぁ……」
ベッドに入り昨日の行為を思い出し自責の念に駆られる。
あんなことはもうしたら駄目、駄目なんだけど…
目の前の無防備なおねえちゃんを見てると自分の中で欲望がむくむくと膨らんでいく。
「おねえちゃんの匂い……すごい……」
昨日あんなことをしてしまった自分の心境の変化のせいか、就寝前に風呂に入らなかったおねえちゃんが理由なのか、今日のおねえちゃんの匂いは普段より一層私を興奮させた
むせかえるような甘いとろけるような匂い。
頭がクラクラしていまう程に私の鼻孔をくすぐるおねえちゃんの匂い。
甘い蜜に吸い寄せられる蝶のように自然におねえちゃんの体に引き寄せられてしまう。
「ちょっとだけならいいよね……?」
もう私の頭にはひとかけらの理性も残されていなかった。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:44:07.29 ID:7NVUhBbO0
後ろからおねいちゃんのうなじをチロチロと舌で味わう。
「これが……おねえちゃんの味……」
「うーん……」
モゾモゾと反応はするがおねえちゃんは起きる様子が無い。調子に乗った私は行為をやめなかった。
もっと……もっとおねえちゃんを感じたい!
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:47:54.38 ID:7NVUhBbO0
「はぁ……はぁ…」
自然と息が荒くなってしまう。ただおねいちゃんを貪ることだけに頭が働く。
「ん……うい……」
「!!」
愛するおねいちゃんに自分の名を呼ばれて一気に現実に引き戻される。
体温がサッと下がり、一気に高揚していた気分が正反対の方向に向かう。
私は……とんでもないことを…
幸い今の行為で姉が起きたわけではないがそんなことは些細なことだった。
「おねえちゃん……」
涙が止まらなかった。自分の情けなさに、愚かさに。
「おねえちゃん、こんな妹でごめんなさい……」
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17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:50:28.98 ID:7NVUhBbO0
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「ふあぁぁ」
今日は珍しく自分で起きることができた、しかもかなり早い時間に。
昨日早めに寝たからだろうか。あ、そうだ!学校行く前にお風呂入らなきゃ!
「うい~あさだよぉ~……う~い~……?あれ?」
ありゃ?憂がいない
「うい……?」
ご飯でも作ってるのかな?でもこんな時間に?
しかしそんな私の予想は外れ、憂はリビングのソファーで寝ていた。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:54:29.63 ID:7NVUhBbO0
「!!」
目の周りを真っ赤に腫らした憂に気が動転しまう
「うい?!大丈夫?どうしたの?」
「ん…あ、おねいちゃんおはよう~」
そう言った後、はっとしたしたようにして憂は顔をそらしてしまった。
「うい~目の周り真っ赤だよ?大丈夫?」
「……うん大丈夫。私ご飯作らなきゃいけないから……」
そういって憂はそそくさと台所に消えてしまった。
こんな憂の反応を見るのは初めてだった、どうしたんだろ…
それから食事、通学中までずっと私たちの間には気まずい雰囲気が立ちこめていた。
そんなことがあったからなのか、まったく学校の授業は身に入らなかった。いやそれはいつも通りか
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 21:59:48.70 ID:7NVUhBbO0
「どうしたの?唯ちゃん。今日はずっとぼーっとしてるけど……」
「え? あはははなんでもないよ、ムギちゃん。ちょっとお菓子の事考えてただけだよぉ」
「ほんとうに唯は食い物の事ばっかだなぁ」
「えへへ」
「ほんとうに大丈夫なの?唯ちゃん」
「うん大丈夫だよ」
「そう……?ならいいけど……」
大丈夫、そう思ってたのは嘘ではなかったけど、心の底では違ったのかもしれない。
(うい…どうかしたんだろう)
頭の中で一日中憂の事を考えていたのは紛れもない事実だった。
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23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:04:37.89 ID:7NVUhBbO0
小さい頃から私について回るういは本当に愛くるしかった。
妹は私が大好きだったんだと思うし、そんな妹を私はこよなく愛していた。
親は仕事で帰りが遅かったり、家を空けることは多々あったので私は自分がういの母代りをしなきゃいけない、そう思っていたのかもしれない。
親のいない私が普段感じる不安や孤独感。そんなものをういには感じさせたくはなかったから、惜しみ無く私はういに愛を注いだ。
小さい頃はそれぞれ同い年の友達より、姉妹二人で過ごすことがほとんどだったし、二人ともそれが幸せだった。 と私は思う
けどそんなういも少しずつ自立していった。家事はできるだけ自分でやるようになったし学校でも友達をたくさん作った。
家事は私もしなきゃいけないんだけど……私が気を回す前にういがほとんどやってしまうのだ。
「私がやりたくてやってるだけだから!」
こう言われてしまうとついつい甘えてしまうのだ。もちろんういは本当にやりたくてやっているようだし、苦にも感じていなそうだった。
もちろんういは辛くても口に出さないと思うけど…それでもういの本当に嫌なことや、やりたいことくらい理解できてるつもりだ。
仲のいい姉妹、そんな関係をこれからも続けていくはずだったのに……
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24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:15:57.38 ID:7NVUhBbO0
「うい……家に帰ったらいつも通りだよね……?」
いつもより玄関の扉が重く感じられる。
「ういーただいま~……あ!」
玄関に置かれた普段は見慣れない靴。そうだ忘れてた!今日はお母さんたちが帰ってくる日だ!!
「お母さ……」
リビングに飛び込もうとした私の耳に話声が飛び込んでくる。
「だから……うん……」
「…けど……」
「……なら……あるけど……」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:19:59.27 ID:7NVUhBbO0
何を話してるんだろ?ドアに近寄って耳をそばだてる
「だからいいでしょ?」
「もう憂もそんな年か」
「寂しくはないの?」
「うん大丈夫」
「よし、じゃあ明日の休日使って移動すませるか!」
「ふふ、それにしても唯にべったりだった憂が一人部屋が欲しいだなんてねぇ」
「……」
(え……?一人部屋……?)
思わずドアを開けてなかに駆け込んでしまった
「うい!どういうこと?!」
「おねいちゃん……」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:28:08.02 ID:7NVUhBbO0
久しぶりに家族で囲む楽しい食事。だったはずなのにご飯の味もほとんどわかなかった。
(憂に嫌われちゃった……?)
(どうして?)
(なんで?)
頭の中に次々と疑問が浮かび上がる。
食欲がないからと先に食卓を抜けた私は部屋で一人嗚咽を漏らし続けた。
涙があふれてくる、胸に熱いものがつっかえているようで苦しい。
あまりのストレスに胃のものを戻してしまいそうになる。
「ういっ……ういっ……」
泣き疲れてしまい、妹と夜を過ごす最後の一日、それなのに私は憂を待たず一人で眠りに落ちてしまった。
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32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:35:12.82 ID:7NVUhBbO0
それからというもの私の日々は色あせてしまった。
何を見ても灰色にしか見えない…楽しかった部活さえそれは同じだった。
私が駄目なおねいちゃんだったから…ういに嫌われちゃったんだ…
「うい……今までごめんね……」
今更許してもらおうなんて思わない、でも…このままじゃ……
せめてこれ以上ういに迷惑をかけないように家事は私がやろう。
そうだ……こんなことが無ければこれから受験が控えてる妹に私は家事を負担をさせようとしていたのだ。
なんてことを……
<ういの本当に嫌なことや、やりたいことくらい理解できてるつもり>
自重気味に唇がひきつってしまう。私はういのことは少しも理解できていなかったんだ……
今日は部活を休んで早く帰り食事の用意をしよう。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:40:56.73 ID:7NVUhBbO0
家に帰るとまだ憂は帰宅していないようだった。
「食事くらい姉の私が作ってういの負担減らさないと!」
「そしたらういも少しは見直してくれるかな……」
着替えをすませた私がそんなことを考えながらリビングに向かうと廊下に何か紙が落ちてるのが目に入った。
「なんだろ……?ういの学校のだ……進路調査?」
そこに書かれていた見慣れない進路希望高校を見て絶句した。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:43:10.62 ID:7NVUhBbO0
(桜が丘高校に行くんじゃないの?!)
見慣れない学校名を調べてみるとそれは遠く離れた県の高校だった。もしかしてういは一人暮らしするつもりなの…?
私たちの亀裂が既に取り返しのつかない深さになっていたことを知った私は立ち上がることすらできなかった。
ういと別々にくらすことになるかもしれない、いや、かもしれないじゃなくてそうなるんだ。ういにやろうとして出来ないことなんてないんだから。
(ういと一緒に暮らせなくなる……?)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:48:44.67 ID:7NVUhBbO0
「あ…ああ…うっ……うぁあ……」
考えただけで頭がおかしくなりそうだった。ういのいない日常、そんなこと考えたこともなかった、いや考えることができない。
「おねえちゃん」 「おはようおねえちゃん」 「おねえちゃーん」 「起きて!おねえちゃん」 「おねえちゃん?」 「お帰りおねえちゃん」
「大好き!おねえちゃん」 「ごはんできたよおねえちゃん」 「おねえちゃん!?」 「おねえちゃん一緒にねよっ」 「おねえちゃん」
「おねえ……ちゃん」 「待ってよおねえちゃん」 「おねえちゃん可愛い!」 「おねえちゃんありがとう!」
今までのういとの思い出が頭を流れていく。
「うい……また昔みたいに……仲良くしたいよ…うう」
泣き枯らしていた筈の涙が再び溢れ出す。情けないことにこんな時にさえ私は妹の名を呼びながら泣くことしかできなかった……
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39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 22:56:18.52 ID:7NVUhBbO0
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「はぁ、進路の紙無くしちゃうなんて私も駄目だなぁ。」
最近ミスをすることが増えたし、何をやるにも無気力になってしまったような気がする。
原因ははっきりしてる。
「おねえちゃん……」
最近おねえちゃんとの会話が減ったしまった、原因は私にあるのだけど……
でもこれでいいんだ。私とおねえちゃんがこれからの人生で姉妹という関係を続けるにはこうするしかない。
これからの生活の中で私はおねえちゃんに再び手を出さない自信が無かった。
我慢すればいい、口に出すのは簡単だけどそれを簡単に実行できるほどおねえちゃんに対する欲情は弱いものではなかった。
毎日毎日、同じようなことを考えながら学校から家に向かう。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:03:11.17 ID:7NVUhBbO0
「ただいまー。あれ?鍵空いてる?」
誰もいない筈の家の鍵が開いている。もしかして泥棒?!
一瞬身構えてしまったがおねいちゃんの靴を確認して胸をなでおろす。
(今日は部活、無かったのかな…?)
そんな疑問とは別に家に漂う異様な空気に気づく。
張り詰めたような空気、そして普段なら出迎えてくれるはずの姉の挨拶もない。
そんな状況にもかかわらずリビングからはおいしそうな匂いが漂ってきた。
「おねえちゃん…?」
リビングに入るとそこにはおねちゃんが作ったと思わしき料理とイスに佇むおねいちゃん。
そして机には無くしたと思っていた進路調査紙があった
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:07:49.83 ID:7NVUhBbO0
おねえちゃんの目は赤く腫れあがっていた。一体どうして?
たまらずおねいちゃんに駆け寄って事情を聴いてみる。
「ごめんねうい」
「ごめんね駄目なおねいちゃんで」
「おねえちゃんどうしたの?」
ただならぬおねえちゃんの様子に私まで混乱してしまう。しかし私までパニックになってしまっては仕方ないので努めて冷静におねえちゃんに話しかける。
だけどおねえちゃんは涙と嗚咽を漏らしながらただ私に謝罪を繰り返すだけだった。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:19:39.01 ID:7NVUhBbO0
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背中をさすりながらなだめ続けて1時間程度、ようやく落ち着いたおねえちゃんは説明してくれた。
「私が何もしない駄目な姉だからういに嫌われちゃったんだよね?」
「……」
私は何もいえなかった
彼女は無言を肯定と受け取ったのか俯きながら話を続ける。
「今日初めて自分一人で食事用意しようとして思い知ったよ。こんなに大変なことを…ういは毎日やってたんだね」
おねえちゃんの瞳が再び潤い始める。おねえちゃんの言葉は止まらない。
「高校はういと一緒に!ってずっと思ってたんだけどこんな姉じゃ嫌だよね」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:22:13.45 ID:7NVUhBbO0
違う!!!と否定したかったけどなかなか言い出せない。
距離を取っていたのは私の愚かさのせいだ。だけど理由を告白するには躊躇してしまう。
姉は嫌悪感を感じるかもしれない、いやそれだけならまだましだ。一生口を聞いてもらえないかもしれない。
こんなことを考えている自分に嫌気がさしてしまう。たとえ姉がこんなに悩んでいるのに私は保身のことを考えていたのだ。
だけど…
このまま距離を取り続ければおねえちゃんは永遠に私に罪悪感を感じながら生きていくのかもしれない。
もうよそう、あんな過ちを一度でもしてしまった私がまともな姉妹関係を少しでも求めてしまったのがそもそもの間違いなのだ。
一生蔑まれながら、嫌悪されながら生きよう。おねえちゃんが私に感じる誤解が解ければそれで十分なのだから。
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:25:36.67 ID:7NVUhBbO0
「違うんだよ、おねえちゃん」
それから私はすべてを説明した。
おねえちゃんに対して私が嫌うことなんて絶対ない事。
おねえちゃんは私に迷惑なんてかけたことはないこと。
そして私が姉に姉妹以上の感情を抱いてしまってること。
そしてある夜に犯した過ちのこと……
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:30:05.10 ID:7NVUhBbO0
「ごめんなさいおねえちゃん。こんな妹…っ気持ち悪いよね?」
涙が溢れてくる、おかしいな。本当に泣きたいのはおねえちゃんのはずなのに。
「でもね、これだけは最後に言わせて。大好きだよ…おねえちゃん。」
そして心の中で呟く
好きでいてごめんなさい
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:34:30.78 ID:7NVUhBbO0
もうこれで本当にお終いだ。姉と会話をすることもないだろう。
そう考えただけでもめまいがしてくる。
実際この先何数十年とそんな状態で、私は心を保っていられるのだろうか?
この先自分は生きてくことができるのだろうか?
立ちくらみがして崩れそうになるが必至でからだを支え姉を残し部屋に向かう。
こんなところで泣き崩れてはけない、被害者は私ではなくおねえちゃんだ。
もし私が泣き崩れでもしたら天使のようなおねえちゃんは屑のような私に同情してしまうだろう。
そんなことは絶対に許されない。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:42:34.06 ID:7NVUhBbO0
だけど、リビングを去ろうとしたその瞬間、急に背中に温かい感触を感じる。
「ごめんね、うい」
「……っ」
久しぶりに感じる姉の温もり、やさしい姉の匂い。
うしろから抱きついてきた姉を払おうとするけど上手く力が入らない。駄目だ、また涙があふれてくる……
「今までこんな辛い思いをういにさせてきたんだね」
「やっぱりおねえちゃん失格だね、私」
耳元で囁く姉の言葉が心臓を締めあげる
違う!!私が悪いだけなのに……
「おねいちゃんは悪くな…」
振り返りそう言おうとした私の唇を姉の唇が塞いだ
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:47:26.23 ID:7NVUhBbO0
互いの唇を離すといつもの柔らかいおねえちゃんの笑顔がそこにあった。
その瞬間すべてが弾けた。
私は崩れるように床にへたり込んでしまい、あふれ出る感情を抑えきれずにただおねえちゃんと叫びながらビービーと泣くことしかできなかった。
そんな私を姉は何一つ云わず包み込んでくれた。
おねえちゃん…温かい……
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64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:52:55.47 ID:7NVUhBbO0 [32/33]
申し訳ない、後日立て直す
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/05(月) 23:58:39.04 ID:7NVUhBbO0 [33/33]
途中から書きため尽きてチマチマ書いてくつもりだったんだけどどうにも…まだ3割くらいしか終わってないんだ
後日ちゃんと完成させてから投下するんでこのスレ落として欲しい
すまない
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