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律 「これ…どうしよう…」2
341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 07:26:28.64 ID:Ij4htSA60 [7/29]
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. /::: ∧:.:.ヽ ∧:|'^´___ `^レく. | ::|>>93で唯梓で約束しましたので
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'::::::':、 「/∨_ノ| ヽ, ∨} V: /
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`く⌒`ト、 ∧しヘ{ u ';
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323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:07:17.28 ID:Ij4htSA60 [1/29]
梓「…ごくり…」
今、私の目の前には『レジャープール招待券』と『温泉型大浴場優待券』の二枚があった…。
選べるのはどちらか一枚だけっ!
そして、私がどちらかを選ぶのを辛抱強く待ってくれているお米屋さんの宅配の人…。
宅配員「あの…、早くしてくれるとありがたいんですけど…」
少し困った顔でそう急かすものの、数十分間も悩み抜いている超真剣なその姿にそれ以上の発言は避けた。
梓(…唯先輩と二人っきりでデート…二人っきりでデート…)
はっきり言ってどちらも欲しかった。
唯先輩とはあの日以来進展は無いが(元からそう言う約束だったけど)やはり好きな人とはもっと思い出を共有したいものである。
梓(う~~~、どっちがいいのよ~…)
333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 06:25:21.19 ID:Ij4htSA60 [3/29]
梓「ならば!」
徐に私は目を閉じる。選べないのなら心の目で選ぶべし!
宅配員も半ば諦めたのか、素直に私の前でチケット二枚を分けて広げてくれる。
梓「…これですっ!」
結果、私が引き当てたチケットは…。
梓「温泉型大浴場…!やった!」
まぁどちらでも良かったのだが、私のその喜び様に宅配員の人が。
宅配員「良かったねぇ、彼氏とか誘うのかい?」
と、少し疲れた顔で言ってくれた…。
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 06:42:19.90 ID:Ij4htSA60 [4/29]
梓「え…?いや、まぁ…。そんなところかな…?」
本当は付き合ってもいない上に『彼女』ですけど…。
疲れた顔の宅配員が帰った後、私はどうやって唯先輩を誘うかを考え始める。正直に真正面から誘う…?だけど理由は?
梓「う~ん…、約束ではあの日の事は無かった事になってるんだし…、その関係を理由には誘えない…よね?」
もしそうすれば嫌われちゃうだろうし。
梓「一番ベストな理由が思いつかない!どうしよう!」
337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 07:02:10.59 ID:Ij4htSA60 [5/29]
梓「部室だと何だか邪魔が入りそうですし、とりあえずメールで唯先輩を呼び出して…っと」
場所は何時ものハンバーガーショップを指定。やがて返信が来て会う約束に成功。
梓「よしっ!」
思わずガッツポーズを取ってしまった。
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 07:20:15.09 ID:Ij4htSA60 [6/29]
一時間後…。
唯「お風呂…?」
梓「はい!二名一組のチケットを貰っちゃって」
笑顔でそのチケットを見せた私に、唯先輩は苦笑交じりに答えた。
唯「う~ん、誘ってくれるのは嬉しいけど~、でも家族とかじゃなくて私?」
梓「はい、都合が悪いようで…。やっぱり、駄目…ですか?」
そこで私は少し寂しそうな演技をする。唯先輩の優しさを利用するような気がして心苦しいけど…。
梓「…ぅ~…」
唯「うはぁ…っ!あずにゃんその表情は反則だよぉ~!」
結果、明日一緒に大浴場へ行く約束に成功した…。
342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 07:40:51.95 ID:Ij4htSA60 [8/29]
翌日の朝…。私はその施設方面へと向かうバスの乗り場で『三十分も早く来て』唯先輩を待つ。
忘れ物は無し、全部バッグに入ってる。昨日の夜に何度もチェックした。
梓(うん、唯先輩と二人っきりで旅行に行くみたい)
日帰りだけど、思わずそんな妄想をしながら待つ事二十分…。
唯「あずにゃん、おまたせ~、待った~?」
梓「唯先輩!いえ私も今来た所です!」
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 08:06:57.68 ID:Ij4htSA60 [9/29]
時刻通りにバスがやって来たので二人で乗り込む。乗客は自分達二人だけであった。
唯「誰も乗ってないね~」
梓「学生以外は平日ですからね。広々としていいじゃないですか」
ゆったりとした座席で二人並んで座る。貸し切り状態だ。
唯「で、その大浴場ってどこにあるのあずにゃん?」
梓「えっと、このバスの終点…。郊外の結構な山の中ですね」
本格的な温泉風を目指したのか、その施設はそんな少し不便とも言える場所に作られていた。
梓「まぁ、今は車で向かう人が殆どなので問題は無いんでしょうね」
唯「山かぁ~、楽しみだなぁ」
鞄からお菓子を取り出しながら嬉しそうに話す唯先輩。そしてポッキーを一本手に取ると…。
唯「あずにゃんも食べる?」
梓「はい、いただきます」
唯「ほら、あ~ん」
私は唯先輩に差し出されたポッキーをそのまま齧った。
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 10:14:32.25 ID:Ij4htSA60 [10/29]
そしてバスに揺られる事約1時間。真夏の緑茂る山の中にその施設が見えてきた。
唯「ここかぁ~、広々としていい所だね」
時間帯もあってか駐車場にも殆ど車もなく、静かにお湯に浸かれる雰囲気。
梓「休日とかだとそれなりに人も来るみたいですけどね」
入り口の大きく『ゆ』と書かれた暖簾をくぐり、カウンターでチケットを渡して脱衣場へ…。
唯「ねーねーあずにゃん!露天風呂あるかな?」
隣で服を脱ぎながら聞いてくる唯先輩に、私はチケットと引き換えに渡された案内書を見る。
梓「あ、はい…。奥の方にあるみたいですね?」
355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 10:51:08.98 ID:Ij4htSA60 [11/29]
唯「露天風呂なんて一年の時に行ったムギちゃんの別荘以来だよ~」
梓「そうなんですか?あ、唯先輩!」
言うが早いか、唯はタオル一枚で浴場に向けて先に行ってしまう。
梓「待ってくださいよ先輩ー!」
私も唯先輩を追いかける為に身体にタオルを巻いて駆け出した。
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 12:38:14.48 ID:Ij4htSA60 [12/29]
唯先輩の後を追い、脱衣所から僅かに人の居る室内浴場を通り過ぎて外に出ると…。
唯「おぉぉぉ~」
梓「これは…、結構凄いですね…」
人の居ない露天風呂…。山間の柔らかい夏の日差しを浴びて湯気が煌いていた。
唯「凄いよあずにゃん!日本庭園だよ!」
唯先輩の言った通り、そこには日本庭園風の大きな露天風呂。
梓「これは…、予想外の作りですね…」
てっきり岩風呂に+αしたような露天風呂を想像していたけど、まさかここまでとは…。設計したオーナーの拘りが見て取れる。
唯「早く入ろうよあずにゃん!」
それを前にはしゃぐ唯先輩。だけど…。
梓「駄目です!まずは身体を洗うのがマナーですよ唯先輩」
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:25:29.34 ID:Ij4htSA60 [13/29]
唯先輩の隣で談笑しながら私も身体を洗い始める。話の内容は軽音部の皆の事だったり、それぞれの家族の事だったり…。
だけど、私は話をしながらも頭の中では別の事を考えていた。勿論、あの時の夢のような体験である。
梓(…はぁ…)
唯先輩には最初で最後と言われて、その時は私も納得したけれど…。やはり心のもやもやは募るばかり。
梓(もっと、思い出は欲しいよねやっぱり)
しつこい女と思うなら思え。
梓(だけど、やっぱりしつこいのは唯先輩に嫌われるよね~)
とんでもないジレンマであった…。
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:31:43.03 ID:Ij4htSA60 [14/29]
唯「どうしたのあずにゃん?手が止まってるよ?」
そんな私の悩みなど関係ないように、唯先輩が私の顔を覗きこむ。
唯「なにか悩みでもある?」
梓「い…!いいいい、いえ!何でもありませんっ!」
目の前にアップで現れた唯先輩に私は顔を真っ赤にしながら目を逸らした。そして凄い勢いで身体を洗い始める。
そんな私の姿を見て、唯先輩は更に私を混乱させる一言を放つ。
唯「あずにゃん、背中洗ったげるよ~」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:37:26.61 ID:Ij4htSA60 [15/29]
言うが早いか、唯先輩は私の背中側に回るとタオルに石鹸をつけて擦り始めた。
梓「わひゃあ!ゆ、ゆゆゆ、唯先輩っ!?」
思わずあの時の事が鮮明に思い浮かぶ。
梓(いやいやいや!待て私!ここは公共の場!公共の場!素数とか数えて…)
…とても無理だった。一気に頭に血が上る。沸騰寸前とはこの事だ。
唯先輩は鼻歌で放課後ティータイムを歌いながら私の背中を洗い続ける。ここは天国ですか?
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:58:12.94 ID:Ij4htSA60 [16/29]
もう、公共の場とか頭から消えそうです…。そう思い始めた途端、不意にお湯で背中を流された。
梓「…え?あれ?」
唯「ほい、終わりだよ~♪次はあずにゃんが私の背中洗ってくれる?」
そう言って私に背中を向ける唯先輩…。その無防備な背中に思わず鼻血が出そうです。
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 14:21:22.29 ID:Ij4htSA60 [17/29]
梓「そ、それでは行かせてもらいます…」
緊張で震える手で泡を立て、そっと唯先輩の背中に触れてみる。
梓(うわぁ…、スベスベお肌だ…)
前は触られるだけだったが今回は私が触れる番だった。思えば唯先輩の肌に私から触れるのって初めてじゃない?
唯「遠慮しないでどーんとしっかり洗ってね、あずにゃん?」
振り向いてニッコリ笑う。や、やってやるです!
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 14:35:14.69 ID:Ij4htSA60 [18/29]
ゆっくりと唯先輩の背中を洗い始める。タオル生地の石鹸の泡が唯先輩の肌の上で更に泡立った。
梓(うわー!うわー!)
タオルを上下に動かして丁寧に擦る。抵抗無く滑るタオルと泡の隙間から覗く唯先輩の素肌。
唯「あずにゃん上手いねー、気持ちいいよー♪」
ああっ!もう可愛いなっ!このまま唯先輩の全身を洗いたくなってきた!そしてゆっくりとその手を背中以外に伸ばそうとしたその時。
唯「…あずにゃん、背中だけでいいんだよ?」
梓「!?」
静かに釘を刺された…。
371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 16:37:05.01 ID:Ij4htSA60 [19/29]
やがて互いに身体も洗い終わり、露天風呂の湯船に浸かり始める。
唯「はぁ~、気持ちいいね~あずにゃん♪」
梓「そうですね、これなら長く浸かってられそうです」
流石は『温泉風』と言うだけあって熱過ぎでも無く、冷たくも無く…。気温に合わせて温度管理はされているようだ。
唯「私達以外、誰もこの露天風呂に入ってないし…泳げそうだよね~?」
梓「ちょ!恥ずかしいですからそれだけは止めて下さい唯先輩!」
今にも泳ぎだしそうな唯先輩の手を掴んで引き止める私。全くもって油断出来ない人である。
唯「あはは、流石に冗談だよあずにゃ~ん」
いい笑顔で笑う唯先輩。
梓「いえ、本気で冗談に聞えませんでしたよ…」
この手を放したら絶対に泳ぎだしそうである。
372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 16:42:12.55 ID:Ij4htSA60 [20/29]
梓(…あ)
理由はどうあれ、唯先輩と手を繋げているのに今気付いた。
唯「あずにゃ~ん、泳がないから手を放して~?」
うずうずした様子で解放を要求する唯先輩に私は…。
374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 17:04:16.17 ID:Ij4htSA60 [21/29]
う~ん、嫌な予感がするものの、ここは唯先輩が大人だと信じて…。
唯「うはっ!ありがとあずにゃん」
手を放した途端、唯先輩は『ニカッ』と、悪戯っぽく笑うと…。
唯「とりゃ~~~っ!」
速攻で湯に潜ると、岩を蹴って向こう岸まで泳ぎきった。
唯「ほらー!あずにゃんもこっちにおいでよ~」
湯をバシャバシャと波立たせながら笑う。
梓「な…!やっぱり手を放すんじゃなかったー!」
私は思いっきり後悔した…。
376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 17:47:16.83 ID:Ij4htSA60 [22/29]
唯「あずにゃーん、もうしないから~」
梓「駄目です!放しません!」
湯船の中で、私は唯先輩の手をずっと握っている事にする。
梓「放したらまた泳ぐでしょ?」
少し怒った私に、唯先輩は照れたように笑うだけであった…。
唯「まぁ、いっか…。あずにゃんに手を握って貰ってるのって嬉しいし」
梓「~~~!!!」
唯「あずにゃん、顔真っ赤だ~」
…まったく、照れくさい事を平気で言ってくれるから余計に困るんですよ…。
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 18:54:31.80 ID:Ij4htSA60 [23/29]
唯「ねー、あずにゃん」
手を繋ぎながら、唯先輩は遠くの景色を眺めつつ言った。
唯「ひょっとして、まだあの時の事を忘れていないの?」
梓「…」
先輩の手を握っている自分の手に少しだけ力が入った。肯定したも同然の反応。否定はしないけど。
唯「…言ったよね?あれは夢だって…」
私は唯先輩の手を握ったまま下を向く。湯船の中で揺れる自分の足が視界に入った。
唯「どうして…、あずにゃんは私が好きなの?」
梓「!?」
383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:01:23.52 ID:Ij4htSA60 [24/29]
意地悪な質問…。どうして私は唯先輩の事が好きなのか…。
数秒考えた。そして…。
梓「…好きになるのに、理由が必要ですか?」
俯いたまま、何とかそれだけを答えた。
唯「ううん、意地悪な質問だったよね…。ごめんね」
そして。
唯「私も、あずにゃんの事が凄く好きだよ?」
梓「え…?」
そこで私は顔を上げ、唯先輩の方を見る。
384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:10:49.98 ID:Ij4htSA60 [25/29]
梓「… … …」
唯先輩は、私の方を向いてはいなかった。
ただ、晴れやかな笑顔で真っ直ぐ遠くを見つめたままだった。
梓「… … … …」
そうだ…。唯先輩は、私と見たあの時の夢からとっくに覚めているんだ。
なのに、私はまだ夢から覚めないままで…。そしてまだ夢を見ている私に付き合ってくれたんだ…。
梓「…優しいんですね…、いつだって唯先輩は…」
夢を見たままだと、先に進めない。
梓「…優しすぎますよ…」
385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:17:02.04 ID:Ij4htSA60 [26/29]
唯「えへへ…、あずにゃんに褒められちゃった?」
何時もの笑顔を浮かべて私の方を見る。
そしておもむろに私の背後に回ると、ギュッと私を抱きしめてくれた。
唯「さ、あずにゃん!何時もの台詞!」
梓「…え?何時もの…って?」
私は混乱する。
唯「ほら、私が抱きついた時にあずにゃんが何時も言ってる台詞だよ~」
そう言われて、私はその台詞を思い出した。
387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:19:47.34 ID:Ij4htSA60 [27/29]
だけど、改めて言うとなると結構照れくさいものである。しかしこれは夢から覚める為の必要な台詞なのだ。
梓「う~、離れて下さい唯先輩!」
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:24:56.27 ID:Ij4htSA60 [28/29]
私がそう言った瞬間、唯先輩の動きは止まる…。
そして。
唯「おはよう、あずにゃん」
最後に、ほんの一瞬だけ抱きしめられてから唯先輩は私から離れた。
唯「さて、そろそろ出よっかあずにゃん!あんまり浸かってるとまたのぼせちゃう」
湯船から上がって私に手を差し伸べる。
梓「…はい!」
そして、私はその手を掴んだ…。
389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:35:05.97 ID:Ij4htSA60 [29/29]
お風呂上り…。
お約束のように私は牛乳を買って飲み、将来を少しでも確かな物とする努力を怠らない。時計を見ると時刻は既に昼となっており、私達は施設にある食事処で昼食を食べてから帰路についた。
そして、帰りのバスの中…。
唯「ぐぅ…」
唯先輩は私の肩に頭を預けて熟睡中。
梓「…もぅ…」
ちっとも嫌じゃない重さを感じながら、私は前とは違う新たな夢を見ようと思った…。
EXエンド
梓「…ごくり…」
今、私の目の前には『レジャープール招待券』と『温泉型大浴場優待券』の二枚があった…。
選べるのはどちらか一枚だけっ!
そして、私がどちらかを選ぶのを辛抱強く待ってくれているお米屋さんの宅配の人…。
宅配員「あの…、早くしてくれるとありがたいんですけど…」
少し困った顔でそう急かすものの、数十分間も悩み抜いている超真剣なその姿にそれ以上の発言は避けた。
梓(…唯先輩と二人っきりでデート…二人っきりでデート…)
はっきり言ってどちらも欲しかった。
唯先輩とはあの日以来進展は無いが(元からそう言う約束だったけど)やはり好きな人とはもっと思い出を共有したいものである。
梓(う~~~、どっちがいいのよ~…)
333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 06:25:21.19 ID:Ij4htSA60 [3/29]
梓「ならば!」
徐に私は目を閉じる。選べないのなら心の目で選ぶべし!
宅配員も半ば諦めたのか、素直に私の前でチケット二枚を分けて広げてくれる。
梓「…これですっ!」
結果、私が引き当てたチケットは…。
梓「温泉型大浴場…!やった!」
まぁどちらでも良かったのだが、私のその喜び様に宅配員の人が。
宅配員「良かったねぇ、彼氏とか誘うのかい?」
と、少し疲れた顔で言ってくれた…。
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 06:42:19.90 ID:Ij4htSA60 [4/29]
梓「え…?いや、まぁ…。そんなところかな…?」
本当は付き合ってもいない上に『彼女』ですけど…。
疲れた顔の宅配員が帰った後、私はどうやって唯先輩を誘うかを考え始める。正直に真正面から誘う…?だけど理由は?
梓「う~ん…、約束ではあの日の事は無かった事になってるんだし…、その関係を理由には誘えない…よね?」
もしそうすれば嫌われちゃうだろうし。
梓「一番ベストな理由が思いつかない!どうしよう!」
337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 07:02:10.59 ID:Ij4htSA60 [5/29]
梓「部室だと何だか邪魔が入りそうですし、とりあえずメールで唯先輩を呼び出して…っと」
場所は何時ものハンバーガーショップを指定。やがて返信が来て会う約束に成功。
梓「よしっ!」
思わずガッツポーズを取ってしまった。
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 07:20:15.09 ID:Ij4htSA60 [6/29]
一時間後…。
唯「お風呂…?」
梓「はい!二名一組のチケットを貰っちゃって」
笑顔でそのチケットを見せた私に、唯先輩は苦笑交じりに答えた。
唯「う~ん、誘ってくれるのは嬉しいけど~、でも家族とかじゃなくて私?」
梓「はい、都合が悪いようで…。やっぱり、駄目…ですか?」
そこで私は少し寂しそうな演技をする。唯先輩の優しさを利用するような気がして心苦しいけど…。
梓「…ぅ~…」
唯「うはぁ…っ!あずにゃんその表情は反則だよぉ~!」
結果、明日一緒に大浴場へ行く約束に成功した…。
342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 07:40:51.95 ID:Ij4htSA60 [8/29]
翌日の朝…。私はその施設方面へと向かうバスの乗り場で『三十分も早く来て』唯先輩を待つ。
忘れ物は無し、全部バッグに入ってる。昨日の夜に何度もチェックした。
梓(うん、唯先輩と二人っきりで旅行に行くみたい)
日帰りだけど、思わずそんな妄想をしながら待つ事二十分…。
唯「あずにゃん、おまたせ~、待った~?」
梓「唯先輩!いえ私も今来た所です!」
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 08:06:57.68 ID:Ij4htSA60 [9/29]
時刻通りにバスがやって来たので二人で乗り込む。乗客は自分達二人だけであった。
唯「誰も乗ってないね~」
梓「学生以外は平日ですからね。広々としていいじゃないですか」
ゆったりとした座席で二人並んで座る。貸し切り状態だ。
唯「で、その大浴場ってどこにあるのあずにゃん?」
梓「えっと、このバスの終点…。郊外の結構な山の中ですね」
本格的な温泉風を目指したのか、その施設はそんな少し不便とも言える場所に作られていた。
梓「まぁ、今は車で向かう人が殆どなので問題は無いんでしょうね」
唯「山かぁ~、楽しみだなぁ」
鞄からお菓子を取り出しながら嬉しそうに話す唯先輩。そしてポッキーを一本手に取ると…。
唯「あずにゃんも食べる?」
梓「はい、いただきます」
唯「ほら、あ~ん」
私は唯先輩に差し出されたポッキーをそのまま齧った。
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 10:14:32.25 ID:Ij4htSA60 [10/29]
そしてバスに揺られる事約1時間。真夏の緑茂る山の中にその施設が見えてきた。
唯「ここかぁ~、広々としていい所だね」
時間帯もあってか駐車場にも殆ど車もなく、静かにお湯に浸かれる雰囲気。
梓「休日とかだとそれなりに人も来るみたいですけどね」
入り口の大きく『ゆ』と書かれた暖簾をくぐり、カウンターでチケットを渡して脱衣場へ…。
唯「ねーねーあずにゃん!露天風呂あるかな?」
隣で服を脱ぎながら聞いてくる唯先輩に、私はチケットと引き換えに渡された案内書を見る。
梓「あ、はい…。奥の方にあるみたいですね?」
355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 10:51:08.98 ID:Ij4htSA60 [11/29]
唯「露天風呂なんて一年の時に行ったムギちゃんの別荘以来だよ~」
梓「そうなんですか?あ、唯先輩!」
言うが早いか、唯はタオル一枚で浴場に向けて先に行ってしまう。
梓「待ってくださいよ先輩ー!」
私も唯先輩を追いかける為に身体にタオルを巻いて駆け出した。
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 12:38:14.48 ID:Ij4htSA60 [12/29]
唯先輩の後を追い、脱衣所から僅かに人の居る室内浴場を通り過ぎて外に出ると…。
唯「おぉぉぉ~」
梓「これは…、結構凄いですね…」
人の居ない露天風呂…。山間の柔らかい夏の日差しを浴びて湯気が煌いていた。
唯「凄いよあずにゃん!日本庭園だよ!」
唯先輩の言った通り、そこには日本庭園風の大きな露天風呂。
梓「これは…、予想外の作りですね…」
てっきり岩風呂に+αしたような露天風呂を想像していたけど、まさかここまでとは…。設計したオーナーの拘りが見て取れる。
唯「早く入ろうよあずにゃん!」
それを前にはしゃぐ唯先輩。だけど…。
梓「駄目です!まずは身体を洗うのがマナーですよ唯先輩」
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:25:29.34 ID:Ij4htSA60 [13/29]
唯先輩の隣で談笑しながら私も身体を洗い始める。話の内容は軽音部の皆の事だったり、それぞれの家族の事だったり…。
だけど、私は話をしながらも頭の中では別の事を考えていた。勿論、あの時の夢のような体験である。
梓(…はぁ…)
唯先輩には最初で最後と言われて、その時は私も納得したけれど…。やはり心のもやもやは募るばかり。
梓(もっと、思い出は欲しいよねやっぱり)
しつこい女と思うなら思え。
梓(だけど、やっぱりしつこいのは唯先輩に嫌われるよね~)
とんでもないジレンマであった…。
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:31:43.03 ID:Ij4htSA60 [14/29]
唯「どうしたのあずにゃん?手が止まってるよ?」
そんな私の悩みなど関係ないように、唯先輩が私の顔を覗きこむ。
唯「なにか悩みでもある?」
梓「い…!いいいい、いえ!何でもありませんっ!」
目の前にアップで現れた唯先輩に私は顔を真っ赤にしながら目を逸らした。そして凄い勢いで身体を洗い始める。
そんな私の姿を見て、唯先輩は更に私を混乱させる一言を放つ。
唯「あずにゃん、背中洗ったげるよ~」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:37:26.61 ID:Ij4htSA60 [15/29]
言うが早いか、唯先輩は私の背中側に回るとタオルに石鹸をつけて擦り始めた。
梓「わひゃあ!ゆ、ゆゆゆ、唯先輩っ!?」
思わずあの時の事が鮮明に思い浮かぶ。
梓(いやいやいや!待て私!ここは公共の場!公共の場!素数とか数えて…)
…とても無理だった。一気に頭に血が上る。沸騰寸前とはこの事だ。
唯先輩は鼻歌で放課後ティータイムを歌いながら私の背中を洗い続ける。ここは天国ですか?
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 13:58:12.94 ID:Ij4htSA60 [16/29]
もう、公共の場とか頭から消えそうです…。そう思い始めた途端、不意にお湯で背中を流された。
梓「…え?あれ?」
唯「ほい、終わりだよ~♪次はあずにゃんが私の背中洗ってくれる?」
そう言って私に背中を向ける唯先輩…。その無防備な背中に思わず鼻血が出そうです。
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 14:21:22.29 ID:Ij4htSA60 [17/29]
梓「そ、それでは行かせてもらいます…」
緊張で震える手で泡を立て、そっと唯先輩の背中に触れてみる。
梓(うわぁ…、スベスベお肌だ…)
前は触られるだけだったが今回は私が触れる番だった。思えば唯先輩の肌に私から触れるのって初めてじゃない?
唯「遠慮しないでどーんとしっかり洗ってね、あずにゃん?」
振り向いてニッコリ笑う。や、やってやるです!
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 14:35:14.69 ID:Ij4htSA60 [18/29]
ゆっくりと唯先輩の背中を洗い始める。タオル生地の石鹸の泡が唯先輩の肌の上で更に泡立った。
梓(うわー!うわー!)
タオルを上下に動かして丁寧に擦る。抵抗無く滑るタオルと泡の隙間から覗く唯先輩の素肌。
唯「あずにゃん上手いねー、気持ちいいよー♪」
ああっ!もう可愛いなっ!このまま唯先輩の全身を洗いたくなってきた!そしてゆっくりとその手を背中以外に伸ばそうとしたその時。
唯「…あずにゃん、背中だけでいいんだよ?」
梓「!?」
静かに釘を刺された…。
371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 16:37:05.01 ID:Ij4htSA60 [19/29]
やがて互いに身体も洗い終わり、露天風呂の湯船に浸かり始める。
唯「はぁ~、気持ちいいね~あずにゃん♪」
梓「そうですね、これなら長く浸かってられそうです」
流石は『温泉風』と言うだけあって熱過ぎでも無く、冷たくも無く…。気温に合わせて温度管理はされているようだ。
唯「私達以外、誰もこの露天風呂に入ってないし…泳げそうだよね~?」
梓「ちょ!恥ずかしいですからそれだけは止めて下さい唯先輩!」
今にも泳ぎだしそうな唯先輩の手を掴んで引き止める私。全くもって油断出来ない人である。
唯「あはは、流石に冗談だよあずにゃ~ん」
いい笑顔で笑う唯先輩。
梓「いえ、本気で冗談に聞えませんでしたよ…」
この手を放したら絶対に泳ぎだしそうである。
372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 16:42:12.55 ID:Ij4htSA60 [20/29]
梓(…あ)
理由はどうあれ、唯先輩と手を繋げているのに今気付いた。
唯「あずにゃ~ん、泳がないから手を放して~?」
うずうずした様子で解放を要求する唯先輩に私は…。
374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 17:04:16.17 ID:Ij4htSA60 [21/29]
う~ん、嫌な予感がするものの、ここは唯先輩が大人だと信じて…。
唯「うはっ!ありがとあずにゃん」
手を放した途端、唯先輩は『ニカッ』と、悪戯っぽく笑うと…。
唯「とりゃ~~~っ!」
速攻で湯に潜ると、岩を蹴って向こう岸まで泳ぎきった。
唯「ほらー!あずにゃんもこっちにおいでよ~」
湯をバシャバシャと波立たせながら笑う。
梓「な…!やっぱり手を放すんじゃなかったー!」
私は思いっきり後悔した…。
376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 17:47:16.83 ID:Ij4htSA60 [22/29]
唯「あずにゃーん、もうしないから~」
梓「駄目です!放しません!」
湯船の中で、私は唯先輩の手をずっと握っている事にする。
梓「放したらまた泳ぐでしょ?」
少し怒った私に、唯先輩は照れたように笑うだけであった…。
唯「まぁ、いっか…。あずにゃんに手を握って貰ってるのって嬉しいし」
梓「~~~!!!」
唯「あずにゃん、顔真っ赤だ~」
…まったく、照れくさい事を平気で言ってくれるから余計に困るんですよ…。
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 18:54:31.80 ID:Ij4htSA60 [23/29]
唯「ねー、あずにゃん」
手を繋ぎながら、唯先輩は遠くの景色を眺めつつ言った。
唯「ひょっとして、まだあの時の事を忘れていないの?」
梓「…」
先輩の手を握っている自分の手に少しだけ力が入った。肯定したも同然の反応。否定はしないけど。
唯「…言ったよね?あれは夢だって…」
私は唯先輩の手を握ったまま下を向く。湯船の中で揺れる自分の足が視界に入った。
唯「どうして…、あずにゃんは私が好きなの?」
梓「!?」
383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:01:23.52 ID:Ij4htSA60 [24/29]
意地悪な質問…。どうして私は唯先輩の事が好きなのか…。
数秒考えた。そして…。
梓「…好きになるのに、理由が必要ですか?」
俯いたまま、何とかそれだけを答えた。
唯「ううん、意地悪な質問だったよね…。ごめんね」
そして。
唯「私も、あずにゃんの事が凄く好きだよ?」
梓「え…?」
そこで私は顔を上げ、唯先輩の方を見る。
384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:10:49.98 ID:Ij4htSA60 [25/29]
梓「… … …」
唯先輩は、私の方を向いてはいなかった。
ただ、晴れやかな笑顔で真っ直ぐ遠くを見つめたままだった。
梓「… … … …」
そうだ…。唯先輩は、私と見たあの時の夢からとっくに覚めているんだ。
なのに、私はまだ夢から覚めないままで…。そしてまだ夢を見ている私に付き合ってくれたんだ…。
梓「…優しいんですね…、いつだって唯先輩は…」
夢を見たままだと、先に進めない。
梓「…優しすぎますよ…」
385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:17:02.04 ID:Ij4htSA60 [26/29]
唯「えへへ…、あずにゃんに褒められちゃった?」
何時もの笑顔を浮かべて私の方を見る。
そしておもむろに私の背後に回ると、ギュッと私を抱きしめてくれた。
唯「さ、あずにゃん!何時もの台詞!」
梓「…え?何時もの…って?」
私は混乱する。
唯「ほら、私が抱きついた時にあずにゃんが何時も言ってる台詞だよ~」
そう言われて、私はその台詞を思い出した。
387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:19:47.34 ID:Ij4htSA60 [27/29]
だけど、改めて言うとなると結構照れくさいものである。しかしこれは夢から覚める為の必要な台詞なのだ。
梓「う~、離れて下さい唯先輩!」
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:24:56.27 ID:Ij4htSA60 [28/29]
私がそう言った瞬間、唯先輩の動きは止まる…。
そして。
唯「おはよう、あずにゃん」
最後に、ほんの一瞬だけ抱きしめられてから唯先輩は私から離れた。
唯「さて、そろそろ出よっかあずにゃん!あんまり浸かってるとまたのぼせちゃう」
湯船から上がって私に手を差し伸べる。
梓「…はい!」
そして、私はその手を掴んだ…。
389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 19:35:05.97 ID:Ij4htSA60 [29/29]
お風呂上り…。
お約束のように私は牛乳を買って飲み、将来を少しでも確かな物とする努力を怠らない。時計を見ると時刻は既に昼となっており、私達は施設にある食事処で昼食を食べてから帰路についた。
そして、帰りのバスの中…。
唯「ぐぅ…」
唯先輩は私の肩に頭を預けて熟睡中。
梓「…もぅ…」
ちっとも嫌じゃない重さを感じながら、私は前とは違う新たな夢を見ようと思った…。
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