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ハルヒ「んぐっ!?んんんんん!???……かっ……!っか……!!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:54:54.29 ID:V22ipNO+0
キョン「おいどうしたハルヒ!!」
ハルヒ「かっ……!っ……!!」
キョン「ハルヒ!?」
古泉「もしかしてこのお餅がのどに詰まったんじゃないでしょうか」
キョン「そうなのか?ハルヒ」
ハルヒ「っ………!!っ……!!」コクコク
キョン「おい!そうなのかハルヒ?モチが喉に詰まったのか!?」
ハルヒ「んくっ……かっ……!!」コクコク
キョン「くそっ、全然わかんねえ!!」
キョン「おいどうしたハルヒ!!」
ハルヒ「かっ……!っ……!!」
キョン「ハルヒ!?」
古泉「もしかしてこのお餅がのどに詰まったんじゃないでしょうか」
キョン「そうなのか?ハルヒ」
ハルヒ「っ………!!っ……!!」コクコク
キョン「おい!そうなのかハルヒ?モチが喉に詰まったのか!?」
ハルヒ「んくっ……かっ……!!」コクコク
キョン「くそっ、全然わかんねえ!!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:57:04.58 ID:V22ipNO+0
古泉「ひょっとするとですが……もしかしたら凉宮さんはモチを喉に詰まらせたのでは…」
キョン「なにっ!そうなのかハルヒ!!」
ハルヒ「けひっ……!!けひっ……!!」コクコク
キョン「全然わからんな……朝比奈さんなにかわかりませんか?」
みくる「ふぇえ……私にはちょっと……ごめんなさい><」
キョン「そうですか……まいったな。おいハルヒ大丈夫か?」
ハルヒ「っ……っ!!!」ジタバタ
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:58:32.34 ID:V22ipNO+0
古泉「これは推測ですが……凉宮さんはモチを喉に詰まらせてしまったのではないでしょうか?」
キョン「ななななにぃいい~~!!だとしたら大変だぞ!!どうなんだハルヒ!!?」
ハルヒ「ひっ……!!ひっ……!!」コクコク
キョン「くそっ!!さっぱりわからん!! 長門!ハルヒに何が起こったんだ!?」
長門「………」
キョン「だんまりかよ!!」
ハルヒ「けっ……っ…けっ!……けへぇーっっ!!!」ガタッ!!
キョン「うおっ!!どうしたハルヒ!!」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:00:08.21 ID:V22ipNO+0
ハルヒ「けへぇーーっ!!へひぃーーーっっ!!!!」
キョン「おおお!?ハルヒが暴れ出したぞ!!みんな押さえつけろ!!!」
古泉「了解です!」
みくる「凉宮さん、暴れちゃだめです~~!!」
ハルヒ「ひっ!!………へひっ!!」バタバタ!!
キョン「うおおおすげえ力だ!ドアのほうへ這ってるぞ!!なんだなんだ!?」
ハルヒ「ひぬっ………み……みふっ…!!」
キョン「みふ!?なんだ一体それは? 三船美香かなんかか!?」
古泉「これはひょっとしたら……ひょっとするかもしれませんね」
キョン「どういうことだ古泉!!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:01:40.77 ID:V22ipNO+0
古泉「これはあくまで僕の憶測ですが……今現在、凉宮さんは喉に何かを詰まらせている可能性があります」
キョン「なんだって!!?」
古泉「呼吸困難に陥った凉宮さんはパニック症状を起こし、暴れ出した。」
古泉「そして先ほどの発言『みふ』ですが、もしかしたら凉宮さんは『みず』と言いたかったのかもしれません」
キョン「おい、そうなのかハルヒ!?」
ハルヒ「はひっ……!!はひっ……!!」コクコクコクコク
キョン「……………………………………………ぬう、これは……」
キョン「…よくわからんが、どうやら違うっぽいぞ!?」
古泉「おやおや……ふふふ……これは失敬失敬」
キョン「ええい使えんやつめ!!しっかりしろハルヒ!!」
ハルヒ「か……っ……………」パタン
キョン「………ハルヒ?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:03:06.81 ID:V22ipNO+0
キョン「こ、こいつ……息をしてない……」
古泉「なんですって!!」
みくる「ひぇええ~~!!す、凉宮さ~ん」
キョン「大変だ!! おいハルヒ!しっかりしろ!!息をするのを忘れているぞ!!」
古泉「凉宮さんの口の中をのぞいてみてください!! もしかすると何か詰まっているのかもしれません!!」
キョン「お、おう!! く、臭っ!? いや、これは……モチだ!!モチが詰まってる!!」
古泉「なんと……そのようなことが…!!」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:05:08.95 ID:V22ipNO+0
みくる「凉宮さん、しっかりしてくださいいい><」
キョン「おい、こういうときどうすればいいんだ!?」
古泉「掃除機で吸い出すと良いと聞いたことがあります!」
キョン「それは最終手段だろ!? その前になんかあった気がするぞ!」
古泉「そうですね……そうです!!水を飲ませるんです! 今すぐ水を用意しましょう!!」
キョン「よし、そうだな!水を飲ませるにはコップが必要だ。朝比奈さん、部室にコップなんてありましたっけ?」
みくる「ティーカップならあります~~><」
キョン「ティーカップじゃなくて、コップはないんですか?」
みくる「コップはないです~~><」
キョン「くそっ!! 今から家庭科室に行って、コップを借りてきます!!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:07:19.14 ID:V22ipNO+0
古泉「だめです!!それじゃあ凉宮さんが手遅れになってしまいます!」
キョン「じゃあどうしろってんだよ!!このままハルヒを見殺しにしろって言うのか!!」
古泉「違います!現実的じゃないと言っているんです! 少し落ち着いてください。ほらお茶を飲んで」
みくる「お茶です~><」
キョン「ああ……すまん。俺としたことが……ごくっごくっ……はっ!!!」
古泉「どうしました!?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:10:25.18 ID:V22ipNO+0
キョン「…手だ」
古泉「はい?」
キョン「手だ!コップがなけりゃあ、手ですくって水を飲ませればいい!!」
古泉「手で!?けどそれでは……いやしかし、うむむ…」
キョン「迷ってる暇はないぞ!幸い水飲み場は部室を出てすぐそこにある!」
古泉「……そうですね。現状ではそれが最善の策と言えるでしょう」
キョン「そうと決まったら! 行きましょう朝比奈さん!急いで水飲み場へ!!」
みくる「は、はい!!」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:13:27.09 ID:V22ipNO+0
―――水飲み場
キョン「なんとか手で水をすくうことができたな」
みくる「急いで凉宮さんのところへ戻りましょう!」
キョン「そうですね。おい、いくぞ古泉!」
古泉「待ってください。両手がふさがってて蛇口が絞めれないんですよ」
キョン「なんでだよ! そんなのこうやって……あれ?なんだこれ!?両手がふさがってて蛇口が絞めれねえ!!」
みくる「ふええ、私も絞めれませ~~ん><」
キョン「まてよ、こうやって指を使えば……いやだめだ!今度は指の隙間から水がこぼれる!!」
みくる「水がもったいないです~~><」
キョン「うおおおどうすりゃいいんだ!! 古泉!自動蛇口絞め機持って来い!!」
古泉「そんなものありませんよ!! ……いやまてよ、自動……水…?………そ、そうだ!!思いつきましたよ妙案が!!」
キョン「なんだと!早く言え古泉!!」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:17:58.09 ID:V22ipNO+0
―――トイレ
キョン「おい古泉。本当にやるのか」
古泉「仕方ないでしょう。自動で水が流れるといったら水洗トイレくらいしかないですよ。他に方法がありません」
キョン「しかし便器に手を突っ込むなんて……」
みくる「きちゃないです~~><」
キョン「そもそも便器の水をハルヒに飲ませるのか?」
古泉「では蛇口を絞めずに部室に戻る覚悟がおありですか」
キョン「ちくしょう、覚悟を決めるか……」
古泉「ではいきますよ……はい!流しました!!流しましたよ!!」
キョン「うおおおおおおおお!!!!突っ込めえええええええええええええええ!!!!!!!!!!」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:20:27.28 ID:V22ipNO+0
みくる「ひんひん……穢れちゃいました…汚れちゃいましたあ……」
キョン「く……とにかくハルヒのところに戻ろう。予想外に時間を食いすぎだ」
古泉「はい。決して走ってはいけませんよ。水をこぼさないように早足で戻りましょう」
キョン「指と指の間をぴっちりしめてけよ。絶対こぼすなよ。こぼしたら死刑だから」
古泉「おまかせください」
―――部室前
キョン「ふう、ようやくたどりついたな。しかしあれだな。いくら注意してても水はこぼれてしまうな。1/3は床に撒き散らしてしまったぞ」
古泉「僕は元の半分も残ってないですね」
みくる「全然残ってないです~~><」
キョン「とりあえず残ってる水だけでもハルヒに飲ませよう。すいません朝比奈さん、ドアを開けてくれませんか」
みくる「両手がふさがっててあけれませ~~ん><」
古泉「僕も無理です」
キョン「じゃあ俺が………ん? あっ!俺も無理だ!!」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:24:00.48 ID:V22ipNO+0
キョン「くそっ!どうすりゃいいんだ!!」
古泉「とにかく落ち着きましょう……なにか…なにか策があるはずです」
キョン「そんなこといったって……早くしないとハルヒが……くそっ!」
キョン(なんてことだ……ここまできて…ハルヒのもとにはあと一歩ってとこで……)
キョン(だめ…なのか……?)
キョン(ここまで水を持って……せっかくここまで運んで来たっていうのに……)
キョン(試行錯誤して……汚い便器に手を突っ込んでまで水を手にしたっていうのに……)
キョン(自分の水がこぼれたのを気にして…古泉の水もこぼれるよう執拗にボディコンタクトしながらここまで戻ってきたっていうのに……)
キョン(本当に……もうだめなのか?)
キョン(今までの努力もなにもかも、無駄になってしまうのか?)
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:27:52.51 ID:V22ipNO+0
キョン(………)
キョン(……いや…よくやったよ、俺たちは)
キョン(普通ここまでできねーって。便器に手を突っ込だり……他には……あれ、あんましとらん……)
キョン(ていうかなんだよモチで喉詰まるって。ばかじゃねーの!ばーかばーか!バカハルヒ!バルヒ!)
キョン「………」
キョン「なあ、もう……」
みくる「わたし……わたし水を捨てます!!」
キョン「!?」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:31:54.69 ID:V22ipNO+0
みくる「わたしの水が一番少ないです!だからわたしが水を捨てます!そしてドアを開けます!!」
キョン「いやしかし、それでは朝比奈さんがいままでやってきたことは………」
みくる「無駄になってもいいです!!」
ばちゃっ
キョン「ああっ!水を!なんてことを!」
みくる「これが一番最善の方法なんです!みなさんにとって一番必要なことです!」
みくる「今大切なことは、一刻も早くドアを開けて、凉宮さんを助けてあげることです!そのためには、誰かが水を捨てなければいけません。……誰かが諦めなければなりません」
みくる「諦めることは、今までやってきたことが無駄になってしまうことかもしれません。でもこれから先へ進むためには、そうするしかないんです。必要なことなんです!」
みくる「無駄になってしまう事と、必要ではなかった事は違います!」
みくる「今までやってきたこと全部、必要なことでした。そしてこれからわたしがやることも、全部必要なことなんです!」
みくる「だから、わたしがドアを開けるんです~~~~><!!!!!!」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:36:34.43 ID:V22ipNO+0
キョン「朝比奈さん……わかりました。そこまで言うなら止めません。長門、一旦ドアを閉めてくれ」
長門「………」
みくる「あれ?……なんで長門さん……」
古泉「ん……?長門さん?………ドア…ドア………はっ!……待ってください長門さん!!ドアは閉める必要ありません!!」
キョン「なにっ!?ドアは閉める必要ない!? あっ!そうだ!! ドアは閉めなくていいぞ長門!!」
みくる「どどど、どうしてここに長門さんが!?」
キョン「いやその前に、どうしてドアが開いているんだ!?」
長門「外で声がしたから」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:41:02.45 ID:V22ipNO+0
キョン「また俺には理解できんことを……古泉、どういう意味かわかるか?」
古泉「ええ、これはきっと、部室の中にいた長門さんが僕たちの声を聞いて、ドアを開けてくれたんです」
キョン「なるほど……いや待て、そもそもどうして長門はここにいる?」
古泉「それは簡単なことです。長門さんが部室から僕たちの声を聞き、ドアを開けて来てくれたからですよ」
キョン「……よくわからんが、つまり俺たちはハルヒに水を飲ませられるってことだな!?」
古泉「そういうことです!よかった!水を無駄にしなくて済みますよ!!」
みくる「」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:45:28.89 ID:V22ipNO+0
キョン「ほれ、飲めバルヒ!水だぞ。きれいなみずだぞ」
古泉「だめです。喉にモチがびちびちに詰まってて、水を飲ませることが出来ません」
キョン「ええい、なら水を飲ませるにはどうすればいいんだ」
古泉「モチを掃除機で吸い取りましょう。掃除機なら部室のロッカーにあります」
キョン「すまんが長門、掃除機を使ってモチを吸い出してくれんか」
長門「………」こくっ
長門「………」ゴオーーッ ズキュッ ボボボボボボ キュキュキューッ!!!
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:50:58.96 ID:V22ipNO+0
古泉「よし、モチが取れました!!水を流し込みましょう!!」
キョン「飲めほら飲め!!」
ハルヒ「えおっ!!!!! えおっ!!!!!!!!! え゙え゙え゙え゙え゙え゙えええええっ!!!!!!!!!!!!!!」
キョン「バルヒ!! よかったな!!」
古泉「ふう、これで苦労が報われましたね」
キョン「よかったですね!朝比奈さん! ……ん?うおっ!なんじゃこりゃ!!朝比奈さんが白目向いて倒れてる!!」
古泉「なんですって!? 泡まで吹いて!!これはどうしたことですか!!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:54:20.23 ID:V22ipNO+0
古泉「大丈夫ですか朝比奈さん!しっかり!!」
キョン「朝比奈さん!?おい古泉、これは一体…」
古泉「わかりません。ですが、これはもしかすると、なにかとてもショックなことがあって失神したのではないでしょうか」
キョン「なんだとおおお~~!!??よくわからんが、とにかく保健室へ連れて行ったほうがいいよな!?」
古泉「そうですね。では僕は朝比奈さんの両手を持ちます」
キョン「よし、じゃあ俺は両足を持つぞ。すまんが長門、ハルヒのことはよろしく頼む!」
長門「………」
キョン「急ぐぞ古泉!朝比奈さんに何かあったら大変だ!」
古泉「ええ、せーので持ち上げますよ! せーのっ!!」
キョン「よいしょおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:58:26.51 ID:V22ipNO+0
―――廊下
キョン「ところで古泉、保健室はどこにあるんだ?」
古泉「ここは文化棟ですから、本館まで移動しなければ保健室はありませんね」
キョン「くそっ!走るぞ古泉!遅れるなよ!!」
古泉「わかりました。行きますよ!」
キョン「うわっ!ちょちょちょちょ!!まてまてタンマ!!俺後ろ走りかよ!」
古泉「まあ二人で持ってますのでそうなりますね」
キョン「横だろ横!サイドステップが常識だろ!行くぞ古泉!しっかりついてこいよ!!」
古泉「わかりました。行きますよ!」
キョン「うお速っ!!?」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:01:23.78 ID:V22ipNO+0
キョン「ふう……人を持ちながら階段を下るのって結構疲れるな…」
古泉「そうですね……もっと簡単に降りられる方法はないでしょうか」
キョン「そうだ、良いこと思いついたぞ。一度朝比奈さんを高く投げ上げて、その間に一気に階段を下り、下でキャッチするというのはどうだ?」
古泉「すばらしい名案です。それでいきましょう」
キョン「よし、いっせーのでいくぞ。できるだけ高くな。朝比奈さんの滞空時間が短すぎるとうまくキャッチできんぞ」
古泉「ドキドキもんですね」
キョン「じゃあいくぞ。いっせー…」
古泉「のっ!!!」
ぽーーーーーーん
キョン「かけ降りろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:03:19.65 ID:V22ipNO+0
ゴンッッッ!!!!!!
キョン「ふんぬっ!!?セ、セーフ!!今のセーフだよな!? 危ねえギリギリセーフ!!」
古泉「そうですね。キャッチ寸前少し頭が床に接触したみたいですが、ワンバンでキャッチしたのでセーフでしょう」
キョン「ひゅーっ。冷や冷やしたぜ。しかしあれだな。キャッチするとき予想以上の負荷が腰にかかったぞ」
古泉「普通に降りたほうが疲れませんね」
キョン「だな。あと一回くらいでやめるか」
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:06:47.73 ID:V22ipNO+0
―――本館廊下
キョン「ぜえぜえ……なんとか本館まで来れたな…それで保健室はどこにあるんだ?」
古泉「はい、保健室はすぐそこですよ……なっ、これは!?」
キョン「どうした古泉!?」
古泉「……どうやら保健室の先生は外出中みたいです」
キョン「なにぃいいいいい!!ここまで来て先生が外出中だとおおお!!」
古泉「参りましたね……先生がいないと保健室に入れません」
キョン「まいったな……せめてドアさえ開けられたら…」
古泉「いえ鍵は開いています」
キョン「そうか、なら入るとしよう。古泉、悪いがドアを開けてくれ。朝比奈さんを持っててドアを開けられん」
古泉「あいにく僕も両手がふさがっていまして…」
キョン「あっ、ほんとだ!なんかこんなんばっかだなおいっ! くそっ……ここまで来たというのに、いよいよ万事休すか……」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:10:16.38 ID:V22ipNO+0
古泉「そうです!一度朝比奈さんを置ける場所を探してきましょう!そのあともう一度ここに戻ってきて、ドアを開ければいいんです!」
キョン「お…お前天才か!?よし、じゃあとりあえず2階に行って空き教室を探すぞ!」
古泉「了解です!それではいきましょう!」
古泉「……また階段ですね」
キョン「……だな」
古泉「しかも今度は上りです」
キョン「ハイアー・ザン・ザ・サンだ」
古泉「了解です。思いっきりいきますよ」
キョン「よし。それじゃあ準備はいいな? いっせー…」
古泉「!?……っ…待ってください!ストップ!ストップです!!」
キョン「うおっ!あぶねっ!どうした!?」
古泉「保健室のほうを見てください!先生が戻ってきたようです!」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:14:17.76 ID:V22ipNO+0
キョン「ほんとだ。保健室に入ろうとしてるな」
古泉「チャンスです!今なら先生がドアを開けている隙に保健室に入ることができます!」
キョン「!! そうか!先生がドアを閉める前に保健室にたどり着けば、保健室に入れるということだな!?」
古泉「そういうことです!!急ぎましょう!ほら走って!!」
キョン「うおおおお!!!くそっ!だ、だめだ……ここまでくるときの疲れで足が……」
キョン「もう無理だ……これ以上のサイドステップは危険だ……もつれて転んでしまう……」
古泉「何を言ってるんです! ここまできて諦めるんですか! 走って!ほら走るんです!!」
キョン「ちくしょうっ……!」
古泉「先生がドアを開けました!!」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:17:07.82 ID:V22ipNO+0
古泉「もっとペースを上げて走ってください!! このままじゃ間に合いません!!」
キョン「走ってんよぉおおおお!!」
古泉「がんばってください!先生が保健室に入っていきます!! もう時間はありません!!」
キョン「くそっ……間に合えっ!間に合ええええ!!」
古泉「ああっ!ドアが……っ!!」
古泉(ドアが……)
古泉(閉ま…)
キョン(閉ま…る……)
キョン(まにあわ……ねえ……)
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:21:21.75 ID:V22ipNO+0
キョン(だめ…なのか……?)
キョン(ここまで朝比奈さんを持って……せっかくここまで来たっていうのに……)
キョン(文化棟から本館まで……廊下をサイドステップして、たまにクロスステップも混ぜたりして……)
キョン(朝比奈さんを持ったまま階段を降りたり、投げ飛ばしてから降りたりしたのに…2回目はフォローできないくらい失敗しても何事もなかったように階段を降りたのに……)
キョン(本当に……もうだめなのか?)
キョン(今までの努力もなにもかも、無駄になってしまうのか?)
キョン(…………)
キョン(そういえば……前もこんなことあったな……)
キョン(あの時俺はどうしたっけ……)
キョン(あの時何が起きたっけ……)
キョン(あの時、誰が俺の代わりに諦めてくれたっけ……)
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:25:54.06 ID:V22ipNO+0
キョン(……そうだ)
キョン(あのとき彼女は、俺の代わりに諦めてくれた)
キョン(そして同時に、それは彼女にとって必要なことでもあったんだ)
キョン(彼女が教えてくれたこと―――今必要なことは何か)
キョン(彼女の言葉は、間違ってない。あのとき彼女に必要だったのは、諦めることだった……)
キョン(けど今の俺に必要なことは……諦めないことだ)
キョン(諦めたらだめだ。諦めたくもない。今までやってきたこと、全部無駄にしたくない)
キョン(あのときの彼女の言葉が、行動が、間違っていたと思いたくない)
キョン(俺と古泉と……朝比奈さんの今までの全てを、無駄にしないためにも……)
キョン(証明してみせる。彼女は間違っていなかったと言えるために)
キョン(走れ。このまま走るんだ。このまま……)
キョン(このまま―――!!)
キョン「うおおおおおおおおお!!!!!!!!突っ込めえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:30:09.25 ID:V22ipNO+0
ドゴオオオオオオ!!!!バキバキメキャメキャ!!!!!!
先生「ひぃっ!? ちょっ!ちょっ、なに!?なんなのあんたら!?」
キョン「う、う……は、はは…間に合った……」
古泉「……っ、ふふ……間に合いましたね」
先生「ちょっと!? 何あんたらドアぶち破って入ってきてんの!!」
キョン「先生……そんなことより、朝比奈さんを診てください。ここまで来るときに、ひどい怪我をしてしまったんです」
古泉「お願いします。そのために僕たちは、ここまで来たんです」
先生「なんなの一体………朝比奈さんって、この子? ひどい怪我ね。色んなところにアザがあるわ。一体なにがあったの?」
キョン「わかりません。急に失神してしまって、そのあとは色々ありすぎて、もう思い出せない……」
先生「特に頭の打撲がひどいわ。すごいコブよ。急いで救急車を呼ばないと」
先生「とにかくあなたたちこの子を助けに来たのよね? 連れてきてくれてありがとうね。もしかしたら手遅れになってた怪我かもしれないから」
キョン「そうですか……よかった。よかった、間にあって。よかった、諦めないで」
古泉「………」
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:33:47.57 ID:V22ipNO+0
キョン「それでは先生、僕たちはこれで」
先生「あなたたちも大丈夫? さっきのでどこか怪我をしなかった?」
キョン「僕たちは大丈夫です。おい、立てるか古泉」
古泉「はい。それでは先生、失礼します」
―――廊下
キョン「おい、お前大丈夫かよ」
古泉「いえ実は、肩を痛めてしまったんですが……そういうあなたこそ大丈夫なんですか?」
キョン「ああ、俺はドアをぶち破るとき、朝比奈さんを前にして突っ込んだからな。大丈夫だ」
古泉「やれやれ、朝比奈さんに助けられましたね……」
キョン「……ああ、いろいろ、助けられちまった。……大切なことも教えてもらったよ」
古泉「はい?」
キョン「いや、こっちの話だ」
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:37:54.96 ID:V22ipNO+0
古泉「ふふ……」
キョン「? おい、なに一人で笑ってんだ。気持ち悪い」
古泉「いえ、保健室に特攻するときのあなたの顔を思い出しまして…」
キョン「はあ?」
古泉「すごい顔してましたよ。それでいて、なにやら決意を固めた表情でした。……とても、かっこよかったですよ」
キョン「ばっ、ばっかやろうっ! なに言ってやがる!!」
古泉「ふふふ……」
キョン「けっ…笑ってんじゃねえよ……」
その日俺は、すこしだけ大人になれた気がした――― ~Fin~
古泉「ひょっとするとですが……もしかしたら凉宮さんはモチを喉に詰まらせたのでは…」
キョン「なにっ!そうなのかハルヒ!!」
ハルヒ「けひっ……!!けひっ……!!」コクコク
キョン「全然わからんな……朝比奈さんなにかわかりませんか?」
みくる「ふぇえ……私にはちょっと……ごめんなさい><」
キョン「そうですか……まいったな。おいハルヒ大丈夫か?」
ハルヒ「っ……っ!!!」ジタバタ
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 20:58:32.34 ID:V22ipNO+0
古泉「これは推測ですが……凉宮さんはモチを喉に詰まらせてしまったのではないでしょうか?」
キョン「ななななにぃいい~~!!だとしたら大変だぞ!!どうなんだハルヒ!!?」
ハルヒ「ひっ……!!ひっ……!!」コクコク
キョン「くそっ!!さっぱりわからん!! 長門!ハルヒに何が起こったんだ!?」
長門「………」
キョン「だんまりかよ!!」
ハルヒ「けっ……っ…けっ!……けへぇーっっ!!!」ガタッ!!
キョン「うおっ!!どうしたハルヒ!!」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:00:08.21 ID:V22ipNO+0
ハルヒ「けへぇーーっ!!へひぃーーーっっ!!!!」
キョン「おおお!?ハルヒが暴れ出したぞ!!みんな押さえつけろ!!!」
古泉「了解です!」
みくる「凉宮さん、暴れちゃだめです~~!!」
ハルヒ「ひっ!!………へひっ!!」バタバタ!!
キョン「うおおおすげえ力だ!ドアのほうへ這ってるぞ!!なんだなんだ!?」
ハルヒ「ひぬっ………み……みふっ…!!」
キョン「みふ!?なんだ一体それは? 三船美香かなんかか!?」
古泉「これはひょっとしたら……ひょっとするかもしれませんね」
キョン「どういうことだ古泉!!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:01:40.77 ID:V22ipNO+0
古泉「これはあくまで僕の憶測ですが……今現在、凉宮さんは喉に何かを詰まらせている可能性があります」
キョン「なんだって!!?」
古泉「呼吸困難に陥った凉宮さんはパニック症状を起こし、暴れ出した。」
古泉「そして先ほどの発言『みふ』ですが、もしかしたら凉宮さんは『みず』と言いたかったのかもしれません」
キョン「おい、そうなのかハルヒ!?」
ハルヒ「はひっ……!!はひっ……!!」コクコクコクコク
キョン「……………………………………………ぬう、これは……」
キョン「…よくわからんが、どうやら違うっぽいぞ!?」
古泉「おやおや……ふふふ……これは失敬失敬」
キョン「ええい使えんやつめ!!しっかりしろハルヒ!!」
ハルヒ「か……っ……………」パタン
キョン「………ハルヒ?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:03:06.81 ID:V22ipNO+0
キョン「こ、こいつ……息をしてない……」
古泉「なんですって!!」
みくる「ひぇええ~~!!す、凉宮さ~ん」
キョン「大変だ!! おいハルヒ!しっかりしろ!!息をするのを忘れているぞ!!」
古泉「凉宮さんの口の中をのぞいてみてください!! もしかすると何か詰まっているのかもしれません!!」
キョン「お、おう!! く、臭っ!? いや、これは……モチだ!!モチが詰まってる!!」
古泉「なんと……そのようなことが…!!」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:05:08.95 ID:V22ipNO+0
みくる「凉宮さん、しっかりしてくださいいい><」
キョン「おい、こういうときどうすればいいんだ!?」
古泉「掃除機で吸い出すと良いと聞いたことがあります!」
キョン「それは最終手段だろ!? その前になんかあった気がするぞ!」
古泉「そうですね……そうです!!水を飲ませるんです! 今すぐ水を用意しましょう!!」
キョン「よし、そうだな!水を飲ませるにはコップが必要だ。朝比奈さん、部室にコップなんてありましたっけ?」
みくる「ティーカップならあります~~><」
キョン「ティーカップじゃなくて、コップはないんですか?」
みくる「コップはないです~~><」
キョン「くそっ!! 今から家庭科室に行って、コップを借りてきます!!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:07:19.14 ID:V22ipNO+0
古泉「だめです!!それじゃあ凉宮さんが手遅れになってしまいます!」
キョン「じゃあどうしろってんだよ!!このままハルヒを見殺しにしろって言うのか!!」
古泉「違います!現実的じゃないと言っているんです! 少し落ち着いてください。ほらお茶を飲んで」
みくる「お茶です~><」
キョン「ああ……すまん。俺としたことが……ごくっごくっ……はっ!!!」
古泉「どうしました!?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:10:25.18 ID:V22ipNO+0
キョン「…手だ」
古泉「はい?」
キョン「手だ!コップがなけりゃあ、手ですくって水を飲ませればいい!!」
古泉「手で!?けどそれでは……いやしかし、うむむ…」
キョン「迷ってる暇はないぞ!幸い水飲み場は部室を出てすぐそこにある!」
古泉「……そうですね。現状ではそれが最善の策と言えるでしょう」
キョン「そうと決まったら! 行きましょう朝比奈さん!急いで水飲み場へ!!」
みくる「は、はい!!」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:13:27.09 ID:V22ipNO+0
―――水飲み場
キョン「なんとか手で水をすくうことができたな」
みくる「急いで凉宮さんのところへ戻りましょう!」
キョン「そうですね。おい、いくぞ古泉!」
古泉「待ってください。両手がふさがってて蛇口が絞めれないんですよ」
キョン「なんでだよ! そんなのこうやって……あれ?なんだこれ!?両手がふさがってて蛇口が絞めれねえ!!」
みくる「ふええ、私も絞めれませ~~ん><」
キョン「まてよ、こうやって指を使えば……いやだめだ!今度は指の隙間から水がこぼれる!!」
みくる「水がもったいないです~~><」
キョン「うおおおどうすりゃいいんだ!! 古泉!自動蛇口絞め機持って来い!!」
古泉「そんなものありませんよ!! ……いやまてよ、自動……水…?………そ、そうだ!!思いつきましたよ妙案が!!」
キョン「なんだと!早く言え古泉!!」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:17:58.09 ID:V22ipNO+0
―――トイレ
キョン「おい古泉。本当にやるのか」
古泉「仕方ないでしょう。自動で水が流れるといったら水洗トイレくらいしかないですよ。他に方法がありません」
キョン「しかし便器に手を突っ込むなんて……」
みくる「きちゃないです~~><」
キョン「そもそも便器の水をハルヒに飲ませるのか?」
古泉「では蛇口を絞めずに部室に戻る覚悟がおありですか」
キョン「ちくしょう、覚悟を決めるか……」
古泉「ではいきますよ……はい!流しました!!流しましたよ!!」
キョン「うおおおおおおおお!!!!突っ込めえええええええええええええええ!!!!!!!!!!」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:20:27.28 ID:V22ipNO+0
みくる「ひんひん……穢れちゃいました…汚れちゃいましたあ……」
キョン「く……とにかくハルヒのところに戻ろう。予想外に時間を食いすぎだ」
古泉「はい。決して走ってはいけませんよ。水をこぼさないように早足で戻りましょう」
キョン「指と指の間をぴっちりしめてけよ。絶対こぼすなよ。こぼしたら死刑だから」
古泉「おまかせください」
―――部室前
キョン「ふう、ようやくたどりついたな。しかしあれだな。いくら注意してても水はこぼれてしまうな。1/3は床に撒き散らしてしまったぞ」
古泉「僕は元の半分も残ってないですね」
みくる「全然残ってないです~~><」
キョン「とりあえず残ってる水だけでもハルヒに飲ませよう。すいません朝比奈さん、ドアを開けてくれませんか」
みくる「両手がふさがっててあけれませ~~ん><」
古泉「僕も無理です」
キョン「じゃあ俺が………ん? あっ!俺も無理だ!!」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:24:00.48 ID:V22ipNO+0
キョン「くそっ!どうすりゃいいんだ!!」
古泉「とにかく落ち着きましょう……なにか…なにか策があるはずです」
キョン「そんなこといったって……早くしないとハルヒが……くそっ!」
キョン(なんてことだ……ここまできて…ハルヒのもとにはあと一歩ってとこで……)
キョン(だめ…なのか……?)
キョン(ここまで水を持って……せっかくここまで運んで来たっていうのに……)
キョン(試行錯誤して……汚い便器に手を突っ込んでまで水を手にしたっていうのに……)
キョン(自分の水がこぼれたのを気にして…古泉の水もこぼれるよう執拗にボディコンタクトしながらここまで戻ってきたっていうのに……)
キョン(本当に……もうだめなのか?)
キョン(今までの努力もなにもかも、無駄になってしまうのか?)
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:27:52.51 ID:V22ipNO+0
キョン(………)
キョン(……いや…よくやったよ、俺たちは)
キョン(普通ここまでできねーって。便器に手を突っ込だり……他には……あれ、あんましとらん……)
キョン(ていうかなんだよモチで喉詰まるって。ばかじゃねーの!ばーかばーか!バカハルヒ!バルヒ!)
キョン「………」
キョン「なあ、もう……」
みくる「わたし……わたし水を捨てます!!」
キョン「!?」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:31:54.69 ID:V22ipNO+0
みくる「わたしの水が一番少ないです!だからわたしが水を捨てます!そしてドアを開けます!!」
キョン「いやしかし、それでは朝比奈さんがいままでやってきたことは………」
みくる「無駄になってもいいです!!」
ばちゃっ
キョン「ああっ!水を!なんてことを!」
みくる「これが一番最善の方法なんです!みなさんにとって一番必要なことです!」
みくる「今大切なことは、一刻も早くドアを開けて、凉宮さんを助けてあげることです!そのためには、誰かが水を捨てなければいけません。……誰かが諦めなければなりません」
みくる「諦めることは、今までやってきたことが無駄になってしまうことかもしれません。でもこれから先へ進むためには、そうするしかないんです。必要なことなんです!」
みくる「無駄になってしまう事と、必要ではなかった事は違います!」
みくる「今までやってきたこと全部、必要なことでした。そしてこれからわたしがやることも、全部必要なことなんです!」
みくる「だから、わたしがドアを開けるんです~~~~><!!!!!!」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:36:34.43 ID:V22ipNO+0
キョン「朝比奈さん……わかりました。そこまで言うなら止めません。長門、一旦ドアを閉めてくれ」
長門「………」
みくる「あれ?……なんで長門さん……」
古泉「ん……?長門さん?………ドア…ドア………はっ!……待ってください長門さん!!ドアは閉める必要ありません!!」
キョン「なにっ!?ドアは閉める必要ない!? あっ!そうだ!! ドアは閉めなくていいぞ長門!!」
みくる「どどど、どうしてここに長門さんが!?」
キョン「いやその前に、どうしてドアが開いているんだ!?」
長門「外で声がしたから」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:41:02.45 ID:V22ipNO+0
キョン「また俺には理解できんことを……古泉、どういう意味かわかるか?」
古泉「ええ、これはきっと、部室の中にいた長門さんが僕たちの声を聞いて、ドアを開けてくれたんです」
キョン「なるほど……いや待て、そもそもどうして長門はここにいる?」
古泉「それは簡単なことです。長門さんが部室から僕たちの声を聞き、ドアを開けて来てくれたからですよ」
キョン「……よくわからんが、つまり俺たちはハルヒに水を飲ませられるってことだな!?」
古泉「そういうことです!よかった!水を無駄にしなくて済みますよ!!」
みくる「」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:45:28.89 ID:V22ipNO+0
キョン「ほれ、飲めバルヒ!水だぞ。きれいなみずだぞ」
古泉「だめです。喉にモチがびちびちに詰まってて、水を飲ませることが出来ません」
キョン「ええい、なら水を飲ませるにはどうすればいいんだ」
古泉「モチを掃除機で吸い取りましょう。掃除機なら部室のロッカーにあります」
キョン「すまんが長門、掃除機を使ってモチを吸い出してくれんか」
長門「………」こくっ
長門「………」ゴオーーッ ズキュッ ボボボボボボ キュキュキューッ!!!
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:50:58.96 ID:V22ipNO+0
古泉「よし、モチが取れました!!水を流し込みましょう!!」
キョン「飲めほら飲め!!」
ハルヒ「えおっ!!!!! えおっ!!!!!!!!! え゙え゙え゙え゙え゙え゙えええええっ!!!!!!!!!!!!!!」
キョン「バルヒ!! よかったな!!」
古泉「ふう、これで苦労が報われましたね」
キョン「よかったですね!朝比奈さん! ……ん?うおっ!なんじゃこりゃ!!朝比奈さんが白目向いて倒れてる!!」
古泉「なんですって!? 泡まで吹いて!!これはどうしたことですか!!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:54:20.23 ID:V22ipNO+0
古泉「大丈夫ですか朝比奈さん!しっかり!!」
キョン「朝比奈さん!?おい古泉、これは一体…」
古泉「わかりません。ですが、これはもしかすると、なにかとてもショックなことがあって失神したのではないでしょうか」
キョン「なんだとおおお~~!!??よくわからんが、とにかく保健室へ連れて行ったほうがいいよな!?」
古泉「そうですね。では僕は朝比奈さんの両手を持ちます」
キョン「よし、じゃあ俺は両足を持つぞ。すまんが長門、ハルヒのことはよろしく頼む!」
長門「………」
キョン「急ぐぞ古泉!朝比奈さんに何かあったら大変だ!」
古泉「ええ、せーので持ち上げますよ! せーのっ!!」
キョン「よいしょおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 21:58:26.51 ID:V22ipNO+0
―――廊下
キョン「ところで古泉、保健室はどこにあるんだ?」
古泉「ここは文化棟ですから、本館まで移動しなければ保健室はありませんね」
キョン「くそっ!走るぞ古泉!遅れるなよ!!」
古泉「わかりました。行きますよ!」
キョン「うわっ!ちょちょちょちょ!!まてまてタンマ!!俺後ろ走りかよ!」
古泉「まあ二人で持ってますのでそうなりますね」
キョン「横だろ横!サイドステップが常識だろ!行くぞ古泉!しっかりついてこいよ!!」
古泉「わかりました。行きますよ!」
キョン「うお速っ!!?」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:01:23.78 ID:V22ipNO+0
キョン「ふう……人を持ちながら階段を下るのって結構疲れるな…」
古泉「そうですね……もっと簡単に降りられる方法はないでしょうか」
キョン「そうだ、良いこと思いついたぞ。一度朝比奈さんを高く投げ上げて、その間に一気に階段を下り、下でキャッチするというのはどうだ?」
古泉「すばらしい名案です。それでいきましょう」
キョン「よし、いっせーのでいくぞ。できるだけ高くな。朝比奈さんの滞空時間が短すぎるとうまくキャッチできんぞ」
古泉「ドキドキもんですね」
キョン「じゃあいくぞ。いっせー…」
古泉「のっ!!!」
ぽーーーーーーん
キョン「かけ降りろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:03:19.65 ID:V22ipNO+0
ゴンッッッ!!!!!!
キョン「ふんぬっ!!?セ、セーフ!!今のセーフだよな!? 危ねえギリギリセーフ!!」
古泉「そうですね。キャッチ寸前少し頭が床に接触したみたいですが、ワンバンでキャッチしたのでセーフでしょう」
キョン「ひゅーっ。冷や冷やしたぜ。しかしあれだな。キャッチするとき予想以上の負荷が腰にかかったぞ」
古泉「普通に降りたほうが疲れませんね」
キョン「だな。あと一回くらいでやめるか」
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:06:47.73 ID:V22ipNO+0
―――本館廊下
キョン「ぜえぜえ……なんとか本館まで来れたな…それで保健室はどこにあるんだ?」
古泉「はい、保健室はすぐそこですよ……なっ、これは!?」
キョン「どうした古泉!?」
古泉「……どうやら保健室の先生は外出中みたいです」
キョン「なにぃいいいいい!!ここまで来て先生が外出中だとおおお!!」
古泉「参りましたね……先生がいないと保健室に入れません」
キョン「まいったな……せめてドアさえ開けられたら…」
古泉「いえ鍵は開いています」
キョン「そうか、なら入るとしよう。古泉、悪いがドアを開けてくれ。朝比奈さんを持っててドアを開けられん」
古泉「あいにく僕も両手がふさがっていまして…」
キョン「あっ、ほんとだ!なんかこんなんばっかだなおいっ! くそっ……ここまで来たというのに、いよいよ万事休すか……」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:10:16.38 ID:V22ipNO+0
古泉「そうです!一度朝比奈さんを置ける場所を探してきましょう!そのあともう一度ここに戻ってきて、ドアを開ければいいんです!」
キョン「お…お前天才か!?よし、じゃあとりあえず2階に行って空き教室を探すぞ!」
古泉「了解です!それではいきましょう!」
古泉「……また階段ですね」
キョン「……だな」
古泉「しかも今度は上りです」
キョン「ハイアー・ザン・ザ・サンだ」
古泉「了解です。思いっきりいきますよ」
キョン「よし。それじゃあ準備はいいな? いっせー…」
古泉「!?……っ…待ってください!ストップ!ストップです!!」
キョン「うおっ!あぶねっ!どうした!?」
古泉「保健室のほうを見てください!先生が戻ってきたようです!」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:14:17.76 ID:V22ipNO+0
キョン「ほんとだ。保健室に入ろうとしてるな」
古泉「チャンスです!今なら先生がドアを開けている隙に保健室に入ることができます!」
キョン「!! そうか!先生がドアを閉める前に保健室にたどり着けば、保健室に入れるということだな!?」
古泉「そういうことです!!急ぎましょう!ほら走って!!」
キョン「うおおおお!!!くそっ!だ、だめだ……ここまでくるときの疲れで足が……」
キョン「もう無理だ……これ以上のサイドステップは危険だ……もつれて転んでしまう……」
古泉「何を言ってるんです! ここまできて諦めるんですか! 走って!ほら走るんです!!」
キョン「ちくしょうっ……!」
古泉「先生がドアを開けました!!」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:17:07.82 ID:V22ipNO+0
古泉「もっとペースを上げて走ってください!! このままじゃ間に合いません!!」
キョン「走ってんよぉおおおお!!」
古泉「がんばってください!先生が保健室に入っていきます!! もう時間はありません!!」
キョン「くそっ……間に合えっ!間に合ええええ!!」
古泉「ああっ!ドアが……っ!!」
古泉(ドアが……)
古泉(閉ま…)
キョン(閉ま…る……)
キョン(まにあわ……ねえ……)
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:21:21.75 ID:V22ipNO+0
キョン(だめ…なのか……?)
キョン(ここまで朝比奈さんを持って……せっかくここまで来たっていうのに……)
キョン(文化棟から本館まで……廊下をサイドステップして、たまにクロスステップも混ぜたりして……)
キョン(朝比奈さんを持ったまま階段を降りたり、投げ飛ばしてから降りたりしたのに…2回目はフォローできないくらい失敗しても何事もなかったように階段を降りたのに……)
キョン(本当に……もうだめなのか?)
キョン(今までの努力もなにもかも、無駄になってしまうのか?)
キョン(…………)
キョン(そういえば……前もこんなことあったな……)
キョン(あの時俺はどうしたっけ……)
キョン(あの時何が起きたっけ……)
キョン(あの時、誰が俺の代わりに諦めてくれたっけ……)
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:25:54.06 ID:V22ipNO+0
キョン(……そうだ)
キョン(あのとき彼女は、俺の代わりに諦めてくれた)
キョン(そして同時に、それは彼女にとって必要なことでもあったんだ)
キョン(彼女が教えてくれたこと―――今必要なことは何か)
キョン(彼女の言葉は、間違ってない。あのとき彼女に必要だったのは、諦めることだった……)
キョン(けど今の俺に必要なことは……諦めないことだ)
キョン(諦めたらだめだ。諦めたくもない。今までやってきたこと、全部無駄にしたくない)
キョン(あのときの彼女の言葉が、行動が、間違っていたと思いたくない)
キョン(俺と古泉と……朝比奈さんの今までの全てを、無駄にしないためにも……)
キョン(証明してみせる。彼女は間違っていなかったと言えるために)
キョン(走れ。このまま走るんだ。このまま……)
キョン(このまま―――!!)
キョン「うおおおおおおおおお!!!!!!!!突っ込めえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:30:09.25 ID:V22ipNO+0
ドゴオオオオオオ!!!!バキバキメキャメキャ!!!!!!
先生「ひぃっ!? ちょっ!ちょっ、なに!?なんなのあんたら!?」
キョン「う、う……は、はは…間に合った……」
古泉「……っ、ふふ……間に合いましたね」
先生「ちょっと!? 何あんたらドアぶち破って入ってきてんの!!」
キョン「先生……そんなことより、朝比奈さんを診てください。ここまで来るときに、ひどい怪我をしてしまったんです」
古泉「お願いします。そのために僕たちは、ここまで来たんです」
先生「なんなの一体………朝比奈さんって、この子? ひどい怪我ね。色んなところにアザがあるわ。一体なにがあったの?」
キョン「わかりません。急に失神してしまって、そのあとは色々ありすぎて、もう思い出せない……」
先生「特に頭の打撲がひどいわ。すごいコブよ。急いで救急車を呼ばないと」
先生「とにかくあなたたちこの子を助けに来たのよね? 連れてきてくれてありがとうね。もしかしたら手遅れになってた怪我かもしれないから」
キョン「そうですか……よかった。よかった、間にあって。よかった、諦めないで」
古泉「………」
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:33:47.57 ID:V22ipNO+0
キョン「それでは先生、僕たちはこれで」
先生「あなたたちも大丈夫? さっきのでどこか怪我をしなかった?」
キョン「僕たちは大丈夫です。おい、立てるか古泉」
古泉「はい。それでは先生、失礼します」
―――廊下
キョン「おい、お前大丈夫かよ」
古泉「いえ実は、肩を痛めてしまったんですが……そういうあなたこそ大丈夫なんですか?」
キョン「ああ、俺はドアをぶち破るとき、朝比奈さんを前にして突っ込んだからな。大丈夫だ」
古泉「やれやれ、朝比奈さんに助けられましたね……」
キョン「……ああ、いろいろ、助けられちまった。……大切なことも教えてもらったよ」
古泉「はい?」
キョン「いや、こっちの話だ」
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/19(金) 22:37:54.96 ID:V22ipNO+0
古泉「ふふ……」
キョン「? おい、なに一人で笑ってんだ。気持ち悪い」
古泉「いえ、保健室に特攻するときのあなたの顔を思い出しまして…」
キョン「はあ?」
古泉「すごい顔してましたよ。それでいて、なにやら決意を固めた表情でした。……とても、かっこよかったですよ」
キョン「ばっ、ばっかやろうっ! なに言ってやがる!!」
古泉「ふふふ……」
キョン「けっ…笑ってんじゃねえよ……」
その日俺は、すこしだけ大人になれた気がした――― ~Fin~
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