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>>692-700

692 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 05:33:46.21 ID:tjR12wDO [3/11]
小ネタスレに書き込んだ浜面と麦野を書いてきた。7レスほど貰う。タイトル未定。時系列、誤字脱字はいつも通り脳内補完でお願いします

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自らの狂気で頭がパーンした麦野。記憶を無くし原子崩しとしての力を失った麦野は学園都市から棄てられる。能力が使えなくなり、左腕と右目を完全に失いさ迷う麦野に浜面が駆けつける

693 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:34:06.72 ID:tjR12wDO [4/11]
浜面「これは俺がしたことなんだ……」

滝壺「どうしても行くの?」

浜面「あぁ。麦野のしたことは許せねぇ。だけどな、麦野をあんなにしたのは俺なんだよ」

滝壺「はまづら……」

浜面「分かってくれ滝壺。俺に、学園都市に振り回されたあいつを見捨てるなんて俺には出来ない」

滝壺「私は、むぎのが怖い。でも、はまづらの言うことも分かる」

浜面「滝壺……」

滝壺「だから、私に手を差し伸べたように、むぎのにも手を差し伸べてあげて?」

浜面「分かってる」

滝壺「むぎのは根は優しい子。はまづらのことをきっと分かってくれるはず」

浜面「だと……いいな」

滝壺「大丈夫。私、そんなはまづらを応援してる」

浜面「ありがとうな滝壺。それじゃ行ってくる」

滝壺「またね、はまづら」

浜面「またな、滝壺」

694 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:34:58.13 ID:tjR12wDO [5/11]
麦野「……」

麦野(ここはどこなんだろう? 前に白衣の人達にお前はもう用済みだと言われた)

麦野(なにが用済みなんだろう? 左腕がないから? 右目がぐしゃぐしゃだから?)

麦野(あの人達は医者じゃないの? 分からない。ここが学園都市じゃないなのは分かる。私が麦野沈利だというのも分かる。でも分からない)

麦野(私の身体はどうしてこうなってるの? 私の左腕は、右目はどこにいったの? 事故? 故意? 分からない)

麦野(私になにがあった? 思い出せない。ううん、違う。思い出せないというよりそこの記憶が壊されてる感じ)

麦野(私はどうやって生きてきたんだろう? 学園都市に居たのは覚えてるからきっと能力者だったんだと思う)

麦野(どんな能力者だったんだろう? よく分からない人達に用済みだって言われたし、こんな身体だし、きっとクズな能力者だったんだろうな)

麦野(こんなことを考えるのは一体何回目だろう? 考えても考えても、思い出したくても思い出したくても、結局答えは出ない)

麦野(あ、でも一つ分かってることがあったな。正確には分かってないけど……。私がこの山道を歩いている理由)

麦野(星が綺麗なんだ。山頂まで行ったらきっと、もっと綺麗な星が見えるはず)

麦野「ううっ」

麦野(体の重心がおかしいのかあちこちが痛い。頭も痛い。山頂まで行ったら帰って来れるかな? そうだった、帰る場所なんて無いんだ)

麦野(けど、山頂まで行って星を見るんだ。きっとそこまでは頑張れる。でも……)

麦野「お腹空いたなぁ……」

695 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:36:28.46 ID:tjR12wDO [6/11]
浜面「絹旗、麦野の居場所が分かったって本当か!?」

絹旗「焦らないで下さい。超がっつき過ぎです」

浜面「す、すまねぇ」

絹旗「全く、滝壺さんを見捨ててまで暗部に探りを入れるなんて超無茶をしますね。私が手助けしなかったら超死んでましたよ?」

浜面「……反省してる。つか、滝壺は別に見捨ててなんかいない。ただ……お互いの歩く道が別々になっただけだ」

絹旗「超アホですね」

浜面「なんとでも言え。それで場所はどこなんだよ?」

絹旗「残念ながら詳しい居場所までは超掴めませんでした。と言うより思ったより情報が超少なかったのです」

浜面「どういうことだ?」

絹旗「麦野に関する超データがどれも過去のものばかりで、最近のがほとんどありませんでした」

浜面「ということは、俺と滝壺を襲った後に学園都市となにかあったってことか」

絹旗「恐らくそうでしょう。私の超見つけた資料にも『廃棄』と書かれていました」

浜面「は、廃棄だと? 学園都市が? でもなんでまた……」

696 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:37:23.51 ID:tjR12wDO [7/11]
絹旗「理由は分かりません。廃棄という学園都市からの追放。――県境に超移送されたらしいですね」

浜面「その他には?」

絹旗「らしい情報は超これだけしかありませんでした」

浜面「そうか……。手間かけさせたな」

絹旗「全くです。それと超聞きたいことがあります」

浜面「なんだ?」

絹旗「麦野を助けて超どうするんです?」

浜面「それは……」

絹旗「浜面の言い分も、それを受け入れた滝壺さんの気持ちも分かります。ですが、助けて超どうするんです? 自らの自己満足の罪滅ぼしですか?」

浜面「……」

絹旗「滝壺さんを見捨てて麦野に超乗り換える気ですか? 浜面は超ドMなんですか? ……それとも英雄<ヒーロー>を気取りたいんですか?」

浜面「違う! 全部違う! 俺はそんなつもりじゃ……!」

絹旗「……すいません調子に乗りました。私は麦野ともアイテムとも超決別しました。そんな私が余計な口を出すのは変ですね」

絹旗「ですがこれだけは超覚悟して下さい。浜面は自分の人生だけじゃなく、麦野の人生も背負わなくちゃいけません。もちろんそれだけじゃなく、浜面自身の罪、麦野の罪、フレンダの命と罪、それに滝壺さんの罪も」

浜面「絹旗……」

絹旗「暗部に生きた人間がハッピーエンドを向かえることは不可能なんです。それらを受け入れる覚悟が浜面には超ありますか?」

浜面「ある。最後まで成し遂げられるかは分からない。でも大丈夫だ」

絹旗「それを聞いて超安心しました。……麦野をお願いしますね」

浜面「あぁ、任せとけ」

697 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:37:53.98 ID:tjR12wDO [8/11]
麦野「いたっ!」

麦野(あーぁ、また転んじゃった。これで何回目だろう? 私って意外とドジっ娘だったのかな?)

麦野「よい、しょいたっ!」

麦野(はは、さっきの転び方がちょっとまずかったみたい。右腕痛くしちゃった。どうしよう、どうやって立とう?)

麦野「う、ううっ……」

麦野(ダメだ。やっぱり足も痛い。このまま芋虫みたいに這って行くしかないのかな? 嫌だよ、夜が明けちゃうよ)

麦野「うぅ、ひっく……」

麦野(これは涙? なに泣いてるんだろう私は。分からない。あ、やっぱり右目からは涙出ないんだ)

麦野(私、ここで終わりなのかな。記憶がなくなってよく分からない人生だったけど、多分私は終わってしまっていい女なんだと思う。頭は覚えてなくても心が覚えてる。そんな感じ)

麦野(心が覚えてる……あ、鮭弁! 最後に食べたかったな。それに、男の人。名前はなんて言ったかな? 確か……うん、きっとあれだ。あれしか浮かんで来ないし)

麦野「はーまづらぁ」

浜面「よっ、久しぶりだな麦野。なに泣いてんだよ?」

麦野「べ、別に泣いてなんか……」

698 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:38:27.11 ID:tjR12wDO [9/11]
麦野「って浜面!? どうしてここに!? でじゃなくて、あなたが浜面なの……?」

浜面「どうしたんだよ麦野、俺のイケメンな顔を忘れたのか?」

麦野「イケメン? 自分で呼んでおいてなんだけど、ごめん分からないの……」

浜面(やっぱりあの時記憶も一緒に……)

浜面「大丈夫だ、俺が浜面だ。浜面仕上だ。お前は麦野、麦野沈利だろ?」

麦野「うん……」

浜面「俺はお前を迎えに来たんだ」

麦野「迎えに?」

浜面「そうだ。ちぃぃぃぃぃぃっとばかし遅れたけどな」

麦野「私は……私は、多分浜面と一緒に行けない」

浜面「どうしてだ?」

麦野「浜面には凄く悪いことをした気がする。浜面だけじゃなくて他にも……」

浜面「……俺もだよ麦野。俺も、同じなんだ。麦野」

麦野「浜面、も?」

浜面「そうだ。詳しいことは落ち着いてゆっくり時間をかけて話そう。だからさ、こんな所で寝てないでさっさと行こうぜ。夜が明けちまう」

麦野「うん……。あ、待って!」

浜面「どうした麦野?」

699 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:39:10.86 ID:tjR12wDO [10/11]
麦野「星が見たいの」

浜面「星? あー、確かに今日はよく見えてるな」

麦野「もっと近くで、山頂で見たいの」

浜面(そうか……だからこんな傷だらけの体に……)

浜面「ははは、さすが麦野だな。俺みたいな下っ端には到底思い浮かばないよ」

麦野「下っ端? 浜面は下っ端なの?」

浜面「まぁ、そんな所だ。山頂に行きたいなら急いだ方が良いな。車あるだろ? あれ、俺の車だからさ、それで山頂まで連れてってやるよ」

麦野「うん、ありがと」

浜面「!?」

麦野「浜面?」

浜面「い、いやなんでもねぇ」

浜面(どこまでこいつを歪ませたんだ学園都市は……俺は……)

浜面「……麦野」

麦野「ん?」

浜面「俺と一緒に行こうな。どこまでもさ」

麦野「うん。地獄でもなんでも一緒行こう」

700 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/15(火) 05:40:37.03 ID:tjR12wDO [11/11]
終わり。バッドエンドっぽい終わり方も難しいもんだね


Tag : とあるSS総合スレ

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