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九曜「――いい――香りね――」キョン「俺の髪の臭いを嗅ぐな」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:12:00.72 ID:+6UKtyGc0 [1/34]
周防「――――――」
キョン「……今度は何を始めるのかと思ったら……髪がどうかしたか?」
周防「―――――――――――」
キョン「……」
周防「―――――――――――――――――――」
キョン「いや、なんか言えよ」
周防「――昨―――――日の――――晩ご――飯は――――」
キョン「確かになんか言えって言ったがこの状況で言うべきことは本当にそれでいいのか。
周防家の昨晩の食卓事情が俺の髪の臭いをかぐことに繋がるっていうんならそれはそれで問題だが」
周防「―――お――味―――――噌汁―――」
キョン「……関係ないな」
周防「―出汁――は―――――昆―――――布――――――」
キョン「……先に言っておくが俺は昆布なんか持ってないぞ」
周防「――――――――」 ムー
キョン「むくれても無いものはない……って思いっきり頭を掴むな!! 痛い痛い痛い!!」
周防「――――――」
キョン「……今度は何を始めるのかと思ったら……髪がどうかしたか?」
周防「―――――――――――」
キョン「……」
周防「―――――――――――――――――――」
キョン「いや、なんか言えよ」
周防「――昨―――――日の――――晩ご――飯は――――」
キョン「確かになんか言えって言ったがこの状況で言うべきことは本当にそれでいいのか。
周防家の昨晩の食卓事情が俺の髪の臭いをかぐことに繋がるっていうんならそれはそれで問題だが」
周防「―――お――味―――――噌汁―――」
キョン「……関係ないな」
周防「―出汁――は―――――昆―――――布――――――」
キョン「……先に言っておくが俺は昆布なんか持ってないぞ」
周防「――――――――」 ムー
キョン「むくれても無いものはない……って思いっきり頭を掴むな!! 痛い痛い痛い!!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:18:04.01 ID:+6UKtyGc0
キョン「ったく……なんで俺がこんな目に……」
周防「――――――昆布―――」 キラキラ
キョン「ったく、それ食ったら帰れよ」
周防「―――――――――――――」 ジー
キョン「……なんだよ」
周防「――――髪―――」
キョン「髪? 何かついてるか?」
周防「――――懐――かしい―――――匂い――――――」
キョン「意外だな。生まれたての宇宙人にも『懐かしい』って感情があるのか」
周防「―――――――?――」
キョン「……言葉の意味、分かって使ってるか?」
周防「――――――――――――――――――――……」
周防「――――?――」
キョン「分かってないな、この反応は」
周防「――――――――――」 ジー
キョン「……なんだその何かを必死で訴えかけようとしてるような目は」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:25:53.33 ID:+6UKtyGc0
キョン「で、だ」
周防「――――――――」
キョン「どうしてまた俺の髪の臭いを嗅ぐ作業に戻るんだ?」
周防「―――――い―――い―――匂い―――」
キョン「降りなさい」
周防「―――――――――――――――――――――――――」 ムー
キョン「そんな顔してもダメだ。ほら、はやく」
周防「――――――」 シュン
キョン「どうしても髪の臭いが嗅ぎたいんなら妹に頼め。アイツの髪なら二時間でも三時間でも嗅いでていいから」
周防「――――――――――」 コクリ
ガチャ バタン
キョン(……危なかった)
キョン(周防の奴、背中から頭を押さえつける形で髪を嗅ごうとするから必然的に胸の中央に俺の頭部パーツがドッキング……
周防の奴は気にしてなかったみたいだけど健全な男子高校生にとっちゃオーバーヒートしてもおかしくない刺激だぞ今のは)
キョン「よく頑張った、俺の鉄の理性」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:33:23.07 ID:+6UKtyGc0
ガチャ
妹「キョンくん髪の毛におわせてー!」
周防「―――――――」
キョン「……えっと、周防さん? 一応聞いておくがどうしてこうなった」
周防「――――匂――――い――――――――」
周防「――違―――――――――っ――た―――――――」
キョン「……あのなぁ、周防。俺が言いたかったのは」
妹「それキョンくんに突撃ぃー!」
キョン「ちょ、バカ!! まだ話の途中なのが分からないのかお前は」
妹「んー……キョンくんの匂いー」 ゴシゴシゴシゴシ
キョン「鼻を思いっきりこすりつけるの止めなさい! お前は犬か!!」
周防「―――――――」 ジー
ガシィッ
キョン「す、周防、ちょっ」
ゴシゴシゴシゴシ!
キョン「い、痛い!! 削れる!!削れる!!!」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:42:02.28 ID:+6UKtyGc0
キョン「ったく、酷い目に遭った」
妹「えへへー、ごめんなさーい!」
周防「―――――謝る―――」
キョン「どうせ口先だけだろうがお前ら二人は」
妹「違うよ! ちゃんと悪いって思ってるもん!」
周防「―――――――――――――――――――――」 コクリ
キョン「じゃあ金輪際あんな事はするんじゃないぞ」
妹「それとこれとは」
周防「――――別問―――題」
キョン「…………ていうか、なんでそこまで俺の髪の臭いを嗅ぎたがるんだ?」
妹「んー、なんかね。こう、上手く言えないけどいい匂いなの!」
周防「――――懐かし―――――い――――匂い―」
キョン「……理解できないな、お前らの考えている事は。俺には到底」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:50:28.30 ID:+6UKtyGc0
妹「えっとね、こうふぁーって感じの匂いでね! 嗅いでるとうにゃーって感じでね!」
キョン「ふぁーとかにゃーとか言われてもなにがなにやら」
周防「――――――――――あ―――ったかい―――」
キョン「あったかい匂いってなんだ。干された布団の匂い的なアレか?」
妹「ちがうよくーちゃん! こう、ふぁーってさ」
周防「―――――――?―――」
妹「んー、キョンくんわかる?」
キョン「わからん」
妹「じゃあ嗅いでみると分かるよ! ほらくーちゃん!!」
キョン「お前俺がさっきまで言ってた事聞いてたか?」
妹「んゆ?」
周防「――――――――――」 クンクン
キョン「周防も当たり前のように嗅ぎ始めない!!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:57:48.17 ID:+6UKtyGc0
周防「―――――――」 シュン
キョン「もっとマシな事をしなさい」
妹「ええー、ぶーぶー!」
キョン「ブーブー言わない。ほら、あっちに行きなさい。俺はここでテレビ見てるから」
妹「ちぇー。行こう、くーちゃん」
周防「―――――――――――――」 コクリ
ドタドタ
バタン
キョン「やれやれ、なんであいつ等はああも変な所で行動力があるんだ」
―――
キョン「……で」
周防「――――――」
妹「すぴー……すぴー……」
キョン「なんでこいつらは人のベッドで寝てるんだ」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:11:45.04 ID:+6UKtyGc0
キョン「それで、聞きたいことは色々あるわけだが」
妹「……んー……まだ眠い」
キョン「あんまり寝すぎると夜眠れなくなるぞ」
周防「―――――――――」 スースー
キョン「そこ、聞きたい事があるって言ってる奴の前で寝ない!」
周防「――――――」 ムー
キョン「いや、そんな顔されても困るのは俺の方なんだが。……それで、なにか言いたい事はあるか?」
周防「――――――匂い――――」
キョン「また『匂い』か。今度はなんだ、俺の部屋で俺の髪の毛探しでもしてたのか?」
妹「んーん。ベッドのお布団のキョンくんの匂い嗅いでたらね、いつの間にか寝ちゃってたの!」
周防「―――――――――――――」 コクリ
キョン「……なんじゃそりゃ」
妹「だからね、こうふぁーっとしたのでうにゃーって」
キョン「お前が男のベッドで寝るなんて十年はやい。周防、お前もいい年なんだからその辺を弁えてだな……」
妹「フトンダイバー!」 ゴソゴソ
キョン(聞いちゃいねぇ……)
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:16:49.71 ID:+6UKtyGc0
キョン「……」
ガシッ!
妹「わー! 出口が塞がれたぁー!!」 ゴソゴソ
キョン「周防、ついてこい」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「よし、行くぞ」
妹「浮いてる
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:21:08.98 ID:+6UKtyGc0
妹「これでキョンくんからは見つからない! あとはくーちゃんをどう助けるかだけど……」
キョン「……フン!」
ガシッ!
妹「わー! 出口が塞がれたぁー!!」 ゴソゴソ
キョン「周防、ついてこい」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「よし、行くぞ」
妹「浮いてるー! すごーい!!」
キョン「ええい暴れるな!!」
周防「―――――――――――――――」 ジー
周防「――――――――――」 ゴソゴソ
周防「―――――――――」 クイクイ
キョン「ああ? どうした周防」
周防「――――――――これ――――――」 キラキラ
キョン「……あー、周防。なんだその期待に充ち溢れた眼と身にまとった毛布は」
周防「――――――――」 キラキラ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:57:13.87 ID:+6UKtyGc0
キョン「到着。 ほら、布団から出ろ」
妹「にゃー」 ゴロゴロ
周防「――――――――」 シュン
キョン「お前は自分の年を考えろ」
妹「やってくれたなキョンくんめ! こうなったらあれを使う時がやってきたみたいだね……」
キョン「なに言っとんだお前は」
妹「くーちゃん、こっちきて」
周防「――――――――――――――?―――」
妹「ふっふっふ、くーちゃんの命が惜しければ私たちと遊べぇー!」
キョン「なんじゃそりゃ」
周防「――――――――」 ゴソゴソ
妹「あー、くーちゃん勝手に動いちゃダメ!! くーちゃん今人質なんだから!」
周防「――――――人――――――質―――――」
キョン「打ち合わせくらいしとけ。じゃあな」
妹「わわわ、キョンくんくーちゃんの事見捨てるの!?」
キョン「周防には悪いが俺は宿題をしなきゃあならないんでな」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:02:26.31 ID:+6UKtyGc0
周防「―――――――作戦失敗―――」
妹「まだまだ! 次の作戦だよ!」
―――
作戦1
ガチャ
キョン「ん?」
毛布「……くーちゃん大佐! 侵入に成功した! 支持を!」 ゴソゴソ
キョン「……」
毛布「―――――突撃――――」 ゴソゴソ
毛布「……了解!」 ゴソゴソ
ガバッ!
キョン「……」
周防「――ばれ――――た―――――」 ヒソヒソ
妹「……やっぱり段ボールじゃないと駄目なんだよ!」 ヒソヒソ
キョン「ステルス迷彩手に入れて出直して来い」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:09:42.74 ID:+6UKtyGc0
作戦2
ガチャ!
キョン「……マント?」
周防「―――――――」 ムフー
妹「説明しよう! くーちゃんは昆布を食べる事によってくーちゃんマンに変身できるのだぁ~!」
周防「――――――だぁ――――――」
妹「さぁ、キョンくん。くーちゃんマンは主に妹や友達と遊ばないキョンくんを許さない! 覚悟!!」
キョン「だぁ~、じゃない。しかもマンじゃなくてウーマンだろ。つーかなんだその私情にまみれた正義感は」
妹「馬?」
周防「―――――w―――o――ma――――n―――」
キョン「どうでもいいから出て行ってくれ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:12:54.63 ID:+6UKtyGc0
作戦8
妹「実家のお母さんが泣いてるよー」
周防「―――――にゃあ―――」
キョン「そっちの泣くじゃないだろ」
作戦17
妹「くーちゃんのセクシーポーズ!」
周防「―――――――――――――――」 ムフン
キョン「ドア越しには見えないから関係ないな」
作戦25
妹「宅配便でーす! ハンコお願いしまーす!」
キョン「はいはーい! って自室に宅配便が来るか!!」
妹「あ、そっか」
シャミ「にゃあ」
周防「――――にゃあ―」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:23:53.57 ID:+6UKtyGc0
―――
キョン「やれやれ、お前と妹のせいでろくに勉強できなかったぞ」
周防「――――――――」 ジー
キョン「ん、どうした?」
周防「―――――――」 フルフル
キョン「なんだ、何も無いのか」
周防「―――――――――――――――――」 コクリ
キョン「……やっぱりお前もよく分からんな。よし」
周防「――?―――――――――」
キョン「ん? なんだその顔」
周防「―――――――自転―――車――――――?」
キョン「さすがにこんな薄暗い中一人で帰すわけにもいかないからな。カカッと送ってやるよ」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「おし、行くぞ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:35:32.67 ID:+6UKtyGc0
キョン「……」
周防「―――――――」 クンクン
キョン「……」
周防「―――――――――――」 スー
キョン「……なあ、周防」
周防「―――――――何――?―――」
キョン「この際髪の匂いを嗅いでる事にはもう何も言うまい」
周防「――――い――――い匂い――――」 スー
キョン「そいつはよかった。それよりもだな、さっきから、その、うなじの辺りに息が当たってだな」
周防「―――――――」 クンクン
キョン「く、くすぐったくいから、やめてくれ」
周防「―――――――――――」
周防「――――――――――――――――――――」 フー
キョン「おいばかやめろ!!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:51:44.70 ID:+6UKtyGc0
キョン「という事があってだな」
佐々木「懐かしい匂い、か。うーん、僕にも分かるかな、そういうの」
キョン「そうか? 俺からは近所のスーパーで安売りされてたシャンプーの匂いくらいしかしないと思うんだが」
佐々木「そういう事じゃなくてね……なんて言ったらいいんだろう……
ホラ、花の匂いを嗅ぐと心が安らぐとか、料理の匂いを嗅ぐとお腹が減るとか、そういうのと同じさ」
キョン「つまり俺は花や料理と同レベルってか」
佐々木「さぁね。くつくつ。それは本人に聞いた方が早いんじゃないかな?」
キョン「本人に聞いて答えてくれないからこうやってお前に聞きに来たんだがな」
佐々木「くつくつ。しかしキョンもつくづく貧乏くじを引きやすい体質だよね。
その怪我だろう? 自転車が横転した時に周防さんを庇ってできたっていうロマンチックな怪我は」
キョン「まったく、冗談じゃないぞ。アイツ、くすぐったいって言うのに何度もうなじに息吹きかけやがって」
佐々木「まぁ、そんな事言えば試したくなるのが人間ってもんじゃないか」
キョン「まぁ宇宙人なんだけどな」
佐々木「しかしそうか、キョンはうなじが弱いのか」
キョン「弱いんじゃない。くすぐったいだけだ」
佐々木「くつくつ。分かった、そういう事にしておくよ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:01:59.98 ID:+6UKtyGc0
周防「――――――」 ジー
キョン「どうした?」
周防「―――――怪我―」
キョン「ああ、心配するほどじゃないよ。見ての通り動かすのにも支障はない」
周防「―――――――――良――かっ―――た―――――」
キョン「そもそもちょっとすりむいただけだっていうのに処置が大げさなんだよ。
妹の奴……怪我してるって見せたらどっからか松葉杖持ってきてたし……」
周防「――――――――」 クイクイ
キョン「ん、今度はなんだ?」
周防「―――自―――転―車―――――――――」
キョン「また乗せろとでも言いたそうだな」
周防「――――――」 コクリ
キョン「……気が向いたらな」
周防「―――――分かっ―――た――――――」
キョン「ただし、首筋に息を吹きかけるのはやめろよ。危ないから」
周防「――――――――――――」 ムスー
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:15:45.89 ID:+6UKtyGc0
橘「それでは! 第三回SSK団定例会をはじめまーす!!」
周防「――――?―」
佐々木「……定例、なの?」
キョン「どうもそうらしいな」
藤原「それより、SSK団ってなんだ。僕は何も聞いてないぞ」
橘「んっふっふー、SSK団っていうのはですね!!」
佐々木「ズバリ、S(佐々木)S(周防)K(首筋の弱いキョン)D(大体このメンバー+藤原君で)A(あんまり面白くない世の中を)N(塗り替える団)だよ」
橘「あう……また仲間はずれにされてる……でもでも! 今日の京子は一味違うのです!!」
藤原「……弱いのか? 首筋が」
キョン「突っ込む所はそこか」
佐々木「弱いんだよね?」
キョン「弱くない」
周防「――――――――――――」 フー
キョン「ちょ、おま!!」
橘「な、仲間外れにしないで下さい!! 私も、私も!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:28:29.04 ID:+6UKtyGc0
橘「今日の議題は『キョンさんの髪から漂う懐かしい匂い』についてです!」
藤原「……そんな匂いするか?」
周防「――――――」 コクリ
佐々木「まあ匂いで感じる感覚は人それぞれだからね」
橘「まぁ、それは集まるための建前で、実際は親睦会を開きたかっただけなんですけどね。えへへ」
藤原「くだらんな」
橘「まあまあ、そう言わずに! みなさん何食べます?」
キョン「俺はBLTサンドとアイスコーヒー。橘の奢りで」
橘「ふぇ?」
佐々木「じゃあ僕は紅茶とチーズケーキ。橘さんのおごりで」
藤原「アイスコーヒーとサラダセット。金はそっち持ちで頼む」
周防「――――昆布―――」
橘「な、なんで私が奢る事が決定事項みたいな事になってるんですか!?
て いうか昆布単品なんて絶対ありませんって!」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:45:48.18 ID:+6UKtyGc0
藤原「しかし匂いか……またあやふやな物を持ちだしてきたな」
佐々木「確かに。さっき言ったように匂いは人によって感じ方が違うしね」
藤原「僕にはなんだか安っぽいシャンプーの匂いにしか思えないが……懐かしいのか?」
キョン「悪かったな。安っぽくて」
周防「―――――いい匂い―――」
藤原「君の好みは分からないな」
橘「異性の好みなんて他人には得てして分かりづらいものなんですよ。
あと佐々木さん! そのケーキ一口ください!!」
藤原「別に頼めばいいだろう。今日は君の奢りなんだから」
橘「今月お小遣いが厳しいんです!! 少しでも切り詰めないと干からびちゃうんです!」
キョン「だったら無理に奢ろうとしなくてもいいのに」
藤原「そうだな、これはあくまで仮定でしかないが周防九曜は君から何か他人とは違うものを感じているんじゃないか?
君は知っているだろうが彼女には保護者が居ないから、それに近いものを君から感じているのかもしれない」
キョン「そんなもんか」
佐々木「そんなもんだろうね」
周防「―――――――」 ウトウト
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 19:30:23.69 ID:+6UKtyGc0
橘「あ、そうだ。匂いについて私も思う所があるんですが」
藤原「ふん、どうせくだらないことだろう」
キョン「まあまあ、そう言ってやるなよ藤原。で、どうした橘。何を思ったんだ?」
橘「キョンさんはホレ薬の作り方って知ってますか?」
キョン「よし、お前はもう何も思うな。しかし藤原の言う通りだと」
橘「ちょちょちょ、ちゃんと話を聞いて下さいよぉ~!!」
キョン「……あのなぁ橘。言っとくがこの辺にマンドラゴラは生えてないぞ」
橘「そんなオカルティックな作り方じゃありません! もっと科学的な作り方で……」
佐々木「科学的って……ホレ薬なんて非科学的な物が科学で作れるわけないじゃないか」
キョン「佐々木の言うとおりだな」
橘「ふっふっふー、それがですね、今の科学技術でも作る事の出来るホレ薬が存在するんですよ!!」
・ ・ ・ ・ ・ ・
橘「あ、あれ? 反応薄い……」
藤原「さて、さっきの話の続きだが」
橘「んんっもうっ!! キチンと話を聞いて下さい!!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 19:45:04.56 ID:+6UKtyGc0
佐々木「それで、ホレ薬がどうしたんだい?」
橘「そうです、ホレ薬です! 作る事が出来るんですよ!!」
周防「――――――――――?―」
藤原「いつもの妄言だ。聞き流しておいていいだろう」
橘「なんとですね、最近の技術では『人間の汗』を使ってホレ薬に非常に近い薬品を作る事に成功してるんです!」
キョン「汗って……どうやって」
橘「えっとですね、キョンさんはへろもんって言うものを知ってますか?」
キョン「フェロモンは知ってるがヘロモンは知らないな」
橘「それです! そのへろもんです!! そのへろもんの応用をしたものがそのホレ薬なんですよ!!」
周防「――――――へ―――ろもん――」
藤原「フェロモンか……それなら匂いともつながるな」
佐々木「成程。発情期に体内で発生しているフェロモンを身体の匂いにのせて周りにアピールする動物も居るしね」
橘「……えっと」
キョン「……言われたい事を全部言われたのか」
橘「うう……め、めげないもん!」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 19:58:13.13 ID:+6UKtyGc0
佐々木「さて、SSK団定例会。今回の話し合いで分かった事は『キョンが発情期の獣』って事で」
キョン「ちょっと待て、なんだその誤解を招くことこの上ない要約は」
藤原「その匂いにつられて周防九曜が寄ってきていると」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「はいそこテキトーな事言わない! そしてそこ頷かない!!」
佐々木「じゃあ今回はそういうことでお開きでいいかい?」
藤原「ああ」
キョン「待て、俺は絶対に納得しないぞ!!」
佐々木「それじゃあ藤原君は橘さんの見送り、キョンは周防さんの見送りをよろしく」
周防「――――――貴――――女は―――――?―」
佐々木「僕かい? くつくつ、僕の事なら気にしなくても大丈夫だよ。誰も好き好んで僕を襲おうとなんてしないさ」
周防「――――――――」 ジー
藤原「それじゃあとっとと会計を済ませて表に出るぞ。店も混んできたしな」
キョン「そうだな。じゃあ会計は……」
橘「ワリカンですからね? 奢ったりしませんからね!?」
藤原「言われなくても分かっているよ、それくらい」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 20:20:07.32 ID:+6UKtyGc0
キョン「よし、それじゃあ佐々木に周防、俺達も変えるぞ」
周防「―――――――」 コクリ
佐々木「おや、僕も送っていってくれるのかい?」
キョン「まあどうせ周防の家の方に行くからな。ついでだ、ついで」
―――
周防「――――――――――」 ジー
キョン「ほら、余所見してないでさっさと行くぞ」
周防「――――――――――――――――」 コクリ
佐々木「ふーん」
キョン「……なんだ佐々木、しまりのない顔して」
佐々木「いや、キョンも発情期を迎えて大胆になったと思ってね。躊躇せずに女の子の手を握るなんて昔の君からは考えられない進歩だよ」
キョン「こいつを放っておくといつまでたっても家に帰れないからな。
それに俺にとっては周防はもう妹と同レベルだから緊張も何もないんだよ」
佐々木「くつくつ、酷い言いようじゃないか」
キョン「あと、さっきそれとなく『発情期を迎えて』とか言ってたが、そろそろ人を節操のない動物みたいに言うのはやめてくれ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 20:36:32.62 ID:+6UKtyGc0
佐々木「それじゃあ、試してみようか」
キョン「うん?」
佐々木「オスはメスの匂いで発情するっていうしね。少し嗅いでみるかい?」
キョン「……何を」
佐々木「僕か周防さんの髪を。もしそれで何か行動を起こせば発情期のキョンって呼ばせてもらうよ」
周防「――?――――――――――」
キョン「……」
佐々木「ふふ、なんてね」
キョン「……」
佐々木「……なんだい、その顔は。僕がせっかく冗談を言ったのに無反応って言うのは酷いんじゃないかな?」
キョン(……コイツは本当にどこまで本気か分からんな)
周防「―――――――」 ジー
周防「――――――――――――」 クイクイ
キョン「どうした?」
周防「――――匂――――う―――――?――」
キョン「いや、いい」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 20:49:39.01 ID:+6UKtyGc0
キョン「しかしお前、恋愛感情は全面否定するのに発情とかその辺は何も言わないんだな」
佐々木「そりゃあ、発情なんてのは生理的欲求の高まった先にある物だからね。人間が生物であるならそれも当然の反応だろう?」
キョン「そんなもんか」
佐々木「そういうものさ。それじゃあ僕はこの辺で」
周防「―――――バ――――イ―――バイ―――」
キョン「気を付けて帰れよ」
佐々木「ああ、そうだ。キョン、ちょっといいかい?」
キョン「ん? 今度はなんだ」
佐々木「ちょっと目をつむって」
キョン「うん?」
キョン(……なんか、甘い匂いが……)
佐々木「興奮するかい?」
キョン「ッ!? お、お前、いきなりな、なんて距離、いや、いきなり何を耳元で、お前は!!」
佐々木「くつくつ、やっぱりキョンは発情期みたいだね。 それじゃあね」
キョン「帰れ!!」
佐々木「はいはい、言われなくてもすぐに帰るよ。くつくつ」
周防「―――――――――――――――」 ジー
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 21:04:09.78 ID:+6UKtyGc0
周防「――――――」
周防「―――――――――」 クイクイ
キョン「ん、どうした」
周防「―――――髪――――――――」
キョン「髪って言うのは俺の髪か? それともお前の髪か?」
周防「――――私―――――の―髪―――――」
キョン「……まさか、匂えっていうのか?」
周防「――――――――」 コクリ
キョン「…………」
周防「―――――――――嫌――――?」
キョン「いや、嫌ってわけじゃないが……どうして?」
周防「――――――――――――――言語化不可能――」
キョン「なんだそりゃ」
周防「―――――お返し――――――」
キョン「言語化できてるじゃないか」
周防「――――――」 コクリ
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:23:42.33 ID:tPYHLOT20 [3/23]
キョン「ほら、着いたぞ」
周防「―――――――――」 ジー
キョン「…………なんだ」
周防「――――髪――――――――」
キョン「……なんでそんなに匂わせたがるんだよ」
周防「―――――――――――――」
キョン「……やれやれ。匂えばいいのか?」
周防「―――――――――――――――――――」 フルフル
キョン「ん、なんだ。違うのか?」
周防「――――今――――度―――――――――」
キョン「今度、って……今度匂えって事か」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「……じゃあ、今度。匂わせたくなったら言ってくれ」
周防「――――――――――――――――」 コクリ
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:32:52.82 ID:tPYHLOT20 [4/23]
――― side KYON
キョン「最近の周防はなんで髪の毛を匂いたがったり匂わせたがったりするんだ……」
キョン「別段俺から変な匂いがするわけでもないしな」
キョン「俺は匂いフェチなんて特殊な趣味を持っているわけでもないし」
キョン「……」
キョン「いや、あれは事故だ。佐々木の奴が不意打ちをかますから驚いて顔が赤くなっただけだそうに違いない」
――― side SUOU
周防「――――――」 ジー
周防「――――――――――」 クンクン
周防「―――匂――――い――――――」
周防「―――――――――――――汗?」
周防「――――――――」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:37:35.88 ID:tPYHLOT20 [5/23]
キョン「えー、おはようございます」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「今日は日曜日。今は朝の八時半ですね」
周防「―――――――そうで――すね―――」
キョン「そんな無駄なノリ見せる前に説明してもらいたい事が山ほどあるんだが」
周防「―――――?――――」
キョン「それじゃあそうだな、まずは一番気になることから聞こう。
なんでお前は俺の顔に自分の髪の毛を巻こうとしてるんだ」
周防「――――――――匂い―――――――」
キョン「匂わせるにしてもやり方ってもんがあんでしょうが! もう少しで窒息するとこだったぞ!
ていうかこんな時間に何処からどうやってこの部屋に入ってきたんだ!!」
周防「――――――――――――――」 ジー
周防「―――――――――――――――――」 クルクル
キョン「黙って髪を巻こうとするな!!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:59:22.91 ID:tPYHLOT20 [6/23]
周防「―――――――」 ジー
キョン「狙うな」
周防「――――――――――――」 ピクッ
キョン「ったく、匂いをかがせたいだけなら寝込みを襲わなくてもやり方くらいいくらでもあるだろうが」
周防「―――――――――」 フルフル
キョン「なんだ、なにか理由でもあるのか?」
周防「――――――――――寝――――――顔―――」
周防「――――見たか―――――った―――――」
キョン「……」
周防「―――――――――見―――――たかった―――――」
キョン「だからって俺の顔に覆面のごとく髪の毛を巻いていいわけじゃないんだぞ」
周防「―――――――――」 コクリ
キョン「今度からは気を付けるように」
周防「―――――――――――――――」 コクリ
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 19:06:53.93 ID:tPYHLOT20 [7/23]
妹「キョンくん朝ー!」
ガチャ!
キョン「ちゃんとノックしなさいっていつも言ってるでしょうが!」
妹「あれ、くーちゃん?」
周防「――――――――――――」 コクリ
妹「なんでキョンくんの部屋にくーちゃんが居るの?」
周防「――――――秘密―――――」
妹「そっかー、秘密かー」
周防「――――大――――人に―――なれば――――分――かる―――」
キョン「何を吹きこんでんだお前は」
妹「んー、よくわかんないや。そうだ! ご飯だよキョンくん!」
キョン「おう、すぐ行く」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 21:30:10.22 ID:tPYHLOT20 [11/23]
妹「くーちゃんあそぼー!」
周防「―――――――――――」 ジー
キョン「狙わんでいいから遊んでこい」
周防「―――――――――――――――」 コクリ
―――
キョン「はぁ、ようやく解放されたか」
キョン「さて、俺はどうするかな……
今日は不思議探索もないし、谷口や国木田との約束もない……」
キョン「宿題も金曜の時点で終わらせてるし……」
キョン「……しゃーない。ゲームでもするか」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 21:36:04.17 ID:tPYHLOT20 [12/23]
キョン「……これ無理ゲーだろ。ポルナレフでどうやって波状のガオン避けろと」
ガチャ
キョン「ん?」
てとてと
ぽすっ
周防「―――――――」 ジー
キョン「……あのー、周防さん?」
周防「――――何―――――?――」
キョン「なんでいきなり俺の脚の上に座られるんですかね?」
周防「―――――後―――ろ―――から――嗅――ぐと怒ら―――――れた――」
キョン「だから俺の脚の上に座って前から嗅ごう、と」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「……そういう問題じゃないんだがな……まぁ、うなじに集中砲火されない分マシか」
周防「―――こ――れ―何――?―――」
キョン「ああ、格ゲーだよ。お前もやってみるか?」
周防「――――――――――――――――――――」 フルフル
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:00:32.27 ID:tPYHLOT20 [13/23]
キョン(……しかしこのポジションも……)
周防「――――――――」
キョン(……頑張れ俺の鉄の理性)
―――
キョン「……うん?」
周防「――――――――――」 スヤスヤ
キョン「嫌に静かだと思ったら、寝てるのか。やれやれ、助かったな」
キョン「……しかし」
周防「―――――――」
キョン「長くて手入れとか大変そうだが、結構綺麗な髪してるよな……」
キョン「……いかんいかん、今の発言だけ取ったら髪を見て発情するヤバイ人みたいじゃないか」
キョン「俺は匂いフェチってわけでもないし、髪フェチってわけでもないんだからな。うん」
キョン「……」
周防「―――――――」 スー
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:18:45.89 ID:tPYHLOT20 [14/23]
周防「―――い――――い―――――匂い―――」 スー
キョン「周防、起きたか」
周防「―――――――――」 コクリ
キョン「足がしびれてきたから移動してもらえると助かる」
周防「――――――――――――」 ジー
キョン「なんだ、こっちをじっと見つめて」
周防「―――――――――いい―――匂い―――」
キョン「なんだ、寝ぼけてるのか?」
周防「――――――――――――」 フルフル
周防「――い―――い匂―――――い―――――」
キョン「俺の身体が?」
周防「―――――――――」 コクリ
キョン(……なんだかんだで佐々木と藤原の仮説があってるような気がしてきた)
周防「―――落―――ち着く――」 スー
キョン「気がすんだら余所に行ってくれよ」
周防「――――――――――――――」 コクリ
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:24:49.98 ID:tPYHLOT20 [15/23]
ここまで書いて俺には匂いフェチネタは無理だと悟った
ここからは別のネタで書かせてくれ
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:34:03.93 ID:tPYHLOT20 [16/23]
キョン「なあ周防、お前髪は切らないのか?」
周防「―――――――――?」
キョン「さすがに夏にそれじゃあ暑くないか?」
周防「――――――暑――いと感じ―――――た事―――は――ない―――」
キョン「そうか。意外と便利なのかも知れんな、宇宙人って奴も。
ただ、俺は見ているだけで汗が滝のように流れてくるわけだが」
周防「―――そう―――――――」
キョン「……」
周防「―――――――」
キョン「やっぱり宇宙人相手に遠まわしに言っても理解してもらえないか。
よし、分かりやすく言う。周防、暑苦しいから膝の上からのいてくれ」
周防「―――――断る――――――」
キョン「断るってお前……あー、もうなんとかならんもんか……」
キョン「こういう時は同類に聞くのが一番だろうな」
周防「――――――?―」
キョン「えーっと……アイツの番号は……」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:44:51.02 ID:tPYHLOT20 [17/23]
朝倉「電話を受けて駆けつけたけど……これは……」
周防「―――――――」
朝倉「見てるだけでかき氷が食べたくなるわね」
キョン「なんとかならないもんかね」
朝倉「んー、つまりこういうことね。
周防さんはキョンくんから離れたくなくて、キョンくんは周防さんの見た目が涼やかになれば傍にいてあげてもいい」
朝倉「だったら簡単じゃない。髪を切ればいいのよ」
キョン「宇宙人ってのは勝手に髪を切ったりしても大丈夫なのか?
ホラ、映画とかでよくあるだろ。実は本体は髪の毛に潜んでましたとか、心臓は別の星でしたとか」
朝倉「まぁそういう宇宙人も居るんでしょうけど、私たちは宇宙人って言っても『有機生命体との接触』を目的につくられたインターフェイスだからね。
より円滑な接触が図れるように『有機生命体』に近い身体として作ってあるのよ」
キョン「よくわからんな」
朝倉「つまり、肉体だけなら私たちはキョンくんたちとまったく変わらないって事」
キョン「ほー、つまり周防の髪を切っても周防がスーパー天蓋領域人になって暴れ出すみたいな事はないわけだな」
朝倉「それはさすがに漫画の読みすぎよ」
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:53:41.21 ID:tPYHLOT20 [18/23]
朝倉「それじゃあサクッとやっちゃいましょうか」
チャキッ!
キョン「ってちょっと待てえええええ!!! なんだそのサバイバルナイフは!!
っていうか今それ何処から出した!!」
朝倉「何処からって……いやん、キョンくんのH♪」
周防「―――――卑猥――――――」
キョン「いや、そんな反応求めてないから。っていうかそのサバイバルナイフで何をする気だ!」
朝倉「なにって、こう、サクッと」
キョン「それをちらつかせながら『サクッと』とか言われると嫌な予感しかしないんだよ」
朝倉「その予感を的中させるってのもおもしろいかもね」
キョン「……」
周防「―――――――」 クイクイ
朝倉「あら、どうかした? 周防さん」
周防「――――駄目――――――――」
朝倉「ふふ、大丈夫。ちょっとしたジョークよ」
キョン「俺にはとてもそうは聞こえなかったんだが」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:29:36.03 ID:tPYHLOT20 [19/23]
朝倉「でも私、これ以外はあんまり得意じゃないし」
キョン「えらく特殊な不器用さだな」
朝倉「しかたないじゃない。私三歳児だし」
キョン「……」
―――
キョン「というわけで、美容室に行くぞ」
周防「――――――美容――――室―――――」
キョン「妹くらいの長さなら俺でも切れん事は無いんだが、さすがにここまでの長さになると本職さんに頼んだ方が楽だろう。
失敗したら目も当てられんしな」
周防「――――――――美――容室」
キョン「なんだ、美容室は初めてか?」
周防「――――――――」 コクリ
キョン「まぁ、何事も経験だ。一回行ってみるといい」
周防「――――――――――」 コクリ
キョン(しかし困ったな。俺はまだ美容院なんてこじゃれた所にいった事はないし……この近所に、この長さの髪を切ってくれる美容室があるのか……)
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:39:21.73 ID:tPYHLOT20 [20/23]
店員「エアロスミスー↑」
キョン(……なんだこの感覚は……もの凄い既視感を感じる……)
周防「――――――」 キョロキョロ
キョン「あ、連れの散髪を頼みたいんですが」
店員「アィィ カシコマイアシター!」
キョン「よし、行って来い」
周防「―――――――」 ジー
周防「――――――――――――――」 ギュ
キョン「一人で行って来い」
周防「―――――」 ムー
キョン「散髪なんだから二人で行くと邪魔になるだろ。ほら、一人で行く」
周防「―――――――寂―――しい―――」
キョン「そんな事言ってもダメだ」
周防「―――――――――――――――」 ムムム
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:52:19.17 ID:tPYHLOT20 [22/23]
美容師「オキャクサンカミナゲッスネー!」
周防「―――――――」
美容師「ナンネンクライノバシテンスカー!」
周防「―――――――――――――」
美容師「ハハハ ムクチデスネー」
周防「――――――――――――――――――――――」
美容師「ハ ハハハ……」
周防「―――――――――――――――――――――――――――」
キョン(心の中で代わりに謝っておこう)
キョン(コミュニケーションが取れない奴で本当に申し訳ない)
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:57:59.63 ID:tPYHLOT20 [23/23]
美容師「……」
周防「――――――」
美容師「……」
周防「―――――――――」
美容師「カミアライマスネー」
周防「―――――――――――――」 コクリ
キョン「暇だ」
―――
周防「―――――――起―――きて―――――」
キョン「……ん……おお、終わったか」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「……あれだけの時間切ってたのに対して見た目が変わってないのはどういうトリックなんだ?」
周防「――――髪――――――が軽――い」
キョン「そうか、そいつは良かった」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/12(土) 00:15:37.29 ID:XHY7FODK0 [1/2]
周防「――――――――」 クイクイ
キョン「……ん?」
周防「――――――い―――い匂い――――――」
周防「――――――匂っ―――て――――――」
キョン「匂って、って……髪をか?」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「どれどれ……ああ、シャンプーか」
周防「―――いい匂――――い―――――」
キョン「気にいったか?」
周防「――――――――――――」
周防「――――――――――――――――」 フルフル
キョン「なんだ、気にいらなかったのか」
周防「――――――貴―――方の―――――方が―――――いい―――匂――――い――――」
キョン「……」
周防「―――――貴方――」
キョン「聞こえてるから二回も言わんでいい! ったく、恥ずかしくないのかお前は」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/12(土) 01:26:22.45 ID:XHY7FODK0 [2/2]
今日は閉店です
キョン「ったく……なんで俺がこんな目に……」
周防「――――――昆布―――」 キラキラ
キョン「ったく、それ食ったら帰れよ」
周防「―――――――――――――」 ジー
キョン「……なんだよ」
周防「――――髪―――」
キョン「髪? 何かついてるか?」
周防「――――懐――かしい―――――匂い――――――」
キョン「意外だな。生まれたての宇宙人にも『懐かしい』って感情があるのか」
周防「―――――――?――」
キョン「……言葉の意味、分かって使ってるか?」
周防「――――――――――――――――――――……」
周防「――――?――」
キョン「分かってないな、この反応は」
周防「――――――――――」 ジー
キョン「……なんだその何かを必死で訴えかけようとしてるような目は」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:25:53.33 ID:+6UKtyGc0
キョン「で、だ」
周防「――――――――」
キョン「どうしてまた俺の髪の臭いを嗅ぐ作業に戻るんだ?」
周防「―――――い―――い―――匂い―――」
キョン「降りなさい」
周防「―――――――――――――――――――――――――」 ムー
キョン「そんな顔してもダメだ。ほら、はやく」
周防「――――――」 シュン
キョン「どうしても髪の臭いが嗅ぎたいんなら妹に頼め。アイツの髪なら二時間でも三時間でも嗅いでていいから」
周防「――――――――――」 コクリ
ガチャ バタン
キョン(……危なかった)
キョン(周防の奴、背中から頭を押さえつける形で髪を嗅ごうとするから必然的に胸の中央に俺の頭部パーツがドッキング……
周防の奴は気にしてなかったみたいだけど健全な男子高校生にとっちゃオーバーヒートしてもおかしくない刺激だぞ今のは)
キョン「よく頑張った、俺の鉄の理性」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:33:23.07 ID:+6UKtyGc0
ガチャ
妹「キョンくん髪の毛におわせてー!」
周防「―――――――」
キョン「……えっと、周防さん? 一応聞いておくがどうしてこうなった」
周防「――――匂――――い――――――――」
周防「――違―――――――――っ――た―――――――」
キョン「……あのなぁ、周防。俺が言いたかったのは」
妹「それキョンくんに突撃ぃー!」
キョン「ちょ、バカ!! まだ話の途中なのが分からないのかお前は」
妹「んー……キョンくんの匂いー」 ゴシゴシゴシゴシ
キョン「鼻を思いっきりこすりつけるの止めなさい! お前は犬か!!」
周防「―――――――」 ジー
ガシィッ
キョン「す、周防、ちょっ」
ゴシゴシゴシゴシ!
キョン「い、痛い!! 削れる!!削れる!!!」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:42:02.28 ID:+6UKtyGc0
キョン「ったく、酷い目に遭った」
妹「えへへー、ごめんなさーい!」
周防「―――――謝る―――」
キョン「どうせ口先だけだろうがお前ら二人は」
妹「違うよ! ちゃんと悪いって思ってるもん!」
周防「―――――――――――――――――――――」 コクリ
キョン「じゃあ金輪際あんな事はするんじゃないぞ」
妹「それとこれとは」
周防「――――別問―――題」
キョン「…………ていうか、なんでそこまで俺の髪の臭いを嗅ぎたがるんだ?」
妹「んー、なんかね。こう、上手く言えないけどいい匂いなの!」
周防「――――懐かし―――――い――――匂い―」
キョン「……理解できないな、お前らの考えている事は。俺には到底」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:50:28.30 ID:+6UKtyGc0
妹「えっとね、こうふぁーって感じの匂いでね! 嗅いでるとうにゃーって感じでね!」
キョン「ふぁーとかにゃーとか言われてもなにがなにやら」
周防「――――――――――あ―――ったかい―――」
キョン「あったかい匂いってなんだ。干された布団の匂い的なアレか?」
妹「ちがうよくーちゃん! こう、ふぁーってさ」
周防「―――――――?―――」
妹「んー、キョンくんわかる?」
キョン「わからん」
妹「じゃあ嗅いでみると分かるよ! ほらくーちゃん!!」
キョン「お前俺がさっきまで言ってた事聞いてたか?」
妹「んゆ?」
周防「――――――――――」 クンクン
キョン「周防も当たり前のように嗅ぎ始めない!!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 00:57:48.17 ID:+6UKtyGc0
周防「―――――――」 シュン
キョン「もっとマシな事をしなさい」
妹「ええー、ぶーぶー!」
キョン「ブーブー言わない。ほら、あっちに行きなさい。俺はここでテレビ見てるから」
妹「ちぇー。行こう、くーちゃん」
周防「―――――――――――――」 コクリ
ドタドタ
バタン
キョン「やれやれ、なんであいつ等はああも変な所で行動力があるんだ」
―――
キョン「……で」
周防「――――――」
妹「すぴー……すぴー……」
キョン「なんでこいつらは人のベッドで寝てるんだ」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:11:45.04 ID:+6UKtyGc0
キョン「それで、聞きたいことは色々あるわけだが」
妹「……んー……まだ眠い」
キョン「あんまり寝すぎると夜眠れなくなるぞ」
周防「―――――――――」 スースー
キョン「そこ、聞きたい事があるって言ってる奴の前で寝ない!」
周防「――――――」 ムー
キョン「いや、そんな顔されても困るのは俺の方なんだが。……それで、なにか言いたい事はあるか?」
周防「――――――匂い――――」
キョン「また『匂い』か。今度はなんだ、俺の部屋で俺の髪の毛探しでもしてたのか?」
妹「んーん。ベッドのお布団のキョンくんの匂い嗅いでたらね、いつの間にか寝ちゃってたの!」
周防「―――――――――――――」 コクリ
キョン「……なんじゃそりゃ」
妹「だからね、こうふぁーっとしたのでうにゃーって」
キョン「お前が男のベッドで寝るなんて十年はやい。周防、お前もいい年なんだからその辺を弁えてだな……」
妹「フトンダイバー!」 ゴソゴソ
キョン(聞いちゃいねぇ……)
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:16:49.71 ID:+6UKtyGc0
キョン「……」
ガシッ!
妹「わー! 出口が塞がれたぁー!!」 ゴソゴソ
キョン「周防、ついてこい」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「よし、行くぞ」
妹「浮いてる
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:21:08.98 ID:+6UKtyGc0
妹「これでキョンくんからは見つからない! あとはくーちゃんをどう助けるかだけど……」
キョン「……フン!」
ガシッ!
妹「わー! 出口が塞がれたぁー!!」 ゴソゴソ
キョン「周防、ついてこい」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「よし、行くぞ」
妹「浮いてるー! すごーい!!」
キョン「ええい暴れるな!!」
周防「―――――――――――――――」 ジー
周防「――――――――――」 ゴソゴソ
周防「―――――――――」 クイクイ
キョン「ああ? どうした周防」
周防「――――――――これ――――――」 キラキラ
キョン「……あー、周防。なんだその期待に充ち溢れた眼と身にまとった毛布は」
周防「――――――――」 キラキラ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 01:57:13.87 ID:+6UKtyGc0
キョン「到着。 ほら、布団から出ろ」
妹「にゃー」 ゴロゴロ
周防「――――――――」 シュン
キョン「お前は自分の年を考えろ」
妹「やってくれたなキョンくんめ! こうなったらあれを使う時がやってきたみたいだね……」
キョン「なに言っとんだお前は」
妹「くーちゃん、こっちきて」
周防「――――――――――――――?―――」
妹「ふっふっふ、くーちゃんの命が惜しければ私たちと遊べぇー!」
キョン「なんじゃそりゃ」
周防「――――――――」 ゴソゴソ
妹「あー、くーちゃん勝手に動いちゃダメ!! くーちゃん今人質なんだから!」
周防「――――――人――――――質―――――」
キョン「打ち合わせくらいしとけ。じゃあな」
妹「わわわ、キョンくんくーちゃんの事見捨てるの!?」
キョン「周防には悪いが俺は宿題をしなきゃあならないんでな」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:02:26.31 ID:+6UKtyGc0
周防「―――――――作戦失敗―――」
妹「まだまだ! 次の作戦だよ!」
―――
作戦1
ガチャ
キョン「ん?」
毛布「……くーちゃん大佐! 侵入に成功した! 支持を!」 ゴソゴソ
キョン「……」
毛布「―――――突撃――――」 ゴソゴソ
毛布「……了解!」 ゴソゴソ
ガバッ!
キョン「……」
周防「――ばれ――――た―――――」 ヒソヒソ
妹「……やっぱり段ボールじゃないと駄目なんだよ!」 ヒソヒソ
キョン「ステルス迷彩手に入れて出直して来い」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:09:42.74 ID:+6UKtyGc0
作戦2
ガチャ!
キョン「……マント?」
周防「―――――――」 ムフー
妹「説明しよう! くーちゃんは昆布を食べる事によってくーちゃんマンに変身できるのだぁ~!」
周防「――――――だぁ――――――」
妹「さぁ、キョンくん。くーちゃんマンは主に妹や友達と遊ばないキョンくんを許さない! 覚悟!!」
キョン「だぁ~、じゃない。しかもマンじゃなくてウーマンだろ。つーかなんだその私情にまみれた正義感は」
妹「馬?」
周防「―――――w―――o――ma――――n―――」
キョン「どうでもいいから出て行ってくれ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:12:54.63 ID:+6UKtyGc0
作戦8
妹「実家のお母さんが泣いてるよー」
周防「―――――にゃあ―――」
キョン「そっちの泣くじゃないだろ」
作戦17
妹「くーちゃんのセクシーポーズ!」
周防「―――――――――――――――」 ムフン
キョン「ドア越しには見えないから関係ないな」
作戦25
妹「宅配便でーす! ハンコお願いしまーす!」
キョン「はいはーい! って自室に宅配便が来るか!!」
妹「あ、そっか」
シャミ「にゃあ」
周防「――――にゃあ―」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:23:53.57 ID:+6UKtyGc0
―――
キョン「やれやれ、お前と妹のせいでろくに勉強できなかったぞ」
周防「――――――――」 ジー
キョン「ん、どうした?」
周防「―――――――」 フルフル
キョン「なんだ、何も無いのか」
周防「―――――――――――――――――」 コクリ
キョン「……やっぱりお前もよく分からんな。よし」
周防「――?―――――――――」
キョン「ん? なんだその顔」
周防「―――――――自転―――車――――――?」
キョン「さすがにこんな薄暗い中一人で帰すわけにもいかないからな。カカッと送ってやるよ」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「おし、行くぞ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:35:32.67 ID:+6UKtyGc0
キョン「……」
周防「―――――――」 クンクン
キョン「……」
周防「―――――――――――」 スー
キョン「……なあ、周防」
周防「―――――――何――?―――」
キョン「この際髪の匂いを嗅いでる事にはもう何も言うまい」
周防「――――い――――い匂い――――」 スー
キョン「そいつはよかった。それよりもだな、さっきから、その、うなじの辺りに息が当たってだな」
周防「―――――――」 クンクン
キョン「く、くすぐったくいから、やめてくれ」
周防「―――――――――――」
周防「――――――――――――――――――――」 フー
キョン「おいばかやめろ!!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 02:51:44.70 ID:+6UKtyGc0
キョン「という事があってだな」
佐々木「懐かしい匂い、か。うーん、僕にも分かるかな、そういうの」
キョン「そうか? 俺からは近所のスーパーで安売りされてたシャンプーの匂いくらいしかしないと思うんだが」
佐々木「そういう事じゃなくてね……なんて言ったらいいんだろう……
ホラ、花の匂いを嗅ぐと心が安らぐとか、料理の匂いを嗅ぐとお腹が減るとか、そういうのと同じさ」
キョン「つまり俺は花や料理と同レベルってか」
佐々木「さぁね。くつくつ。それは本人に聞いた方が早いんじゃないかな?」
キョン「本人に聞いて答えてくれないからこうやってお前に聞きに来たんだがな」
佐々木「くつくつ。しかしキョンもつくづく貧乏くじを引きやすい体質だよね。
その怪我だろう? 自転車が横転した時に周防さんを庇ってできたっていうロマンチックな怪我は」
キョン「まったく、冗談じゃないぞ。アイツ、くすぐったいって言うのに何度もうなじに息吹きかけやがって」
佐々木「まぁ、そんな事言えば試したくなるのが人間ってもんじゃないか」
キョン「まぁ宇宙人なんだけどな」
佐々木「しかしそうか、キョンはうなじが弱いのか」
キョン「弱いんじゃない。くすぐったいだけだ」
佐々木「くつくつ。分かった、そういう事にしておくよ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:01:59.98 ID:+6UKtyGc0
周防「――――――」 ジー
キョン「どうした?」
周防「―――――怪我―」
キョン「ああ、心配するほどじゃないよ。見ての通り動かすのにも支障はない」
周防「―――――――――良――かっ―――た―――――」
キョン「そもそもちょっとすりむいただけだっていうのに処置が大げさなんだよ。
妹の奴……怪我してるって見せたらどっからか松葉杖持ってきてたし……」
周防「――――――――」 クイクイ
キョン「ん、今度はなんだ?」
周防「―――自―――転―車―――――――――」
キョン「また乗せろとでも言いたそうだな」
周防「――――――」 コクリ
キョン「……気が向いたらな」
周防「―――――分かっ―――た――――――」
キョン「ただし、首筋に息を吹きかけるのはやめろよ。危ないから」
周防「――――――――――――」 ムスー
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:15:45.89 ID:+6UKtyGc0
橘「それでは! 第三回SSK団定例会をはじめまーす!!」
周防「――――?―」
佐々木「……定例、なの?」
キョン「どうもそうらしいな」
藤原「それより、SSK団ってなんだ。僕は何も聞いてないぞ」
橘「んっふっふー、SSK団っていうのはですね!!」
佐々木「ズバリ、S(佐々木)S(周防)K(首筋の弱いキョン)D(大体このメンバー+藤原君で)A(あんまり面白くない世の中を)N(塗り替える団)だよ」
橘「あう……また仲間はずれにされてる……でもでも! 今日の京子は一味違うのです!!」
藤原「……弱いのか? 首筋が」
キョン「突っ込む所はそこか」
佐々木「弱いんだよね?」
キョン「弱くない」
周防「――――――――――――」 フー
キョン「ちょ、おま!!」
橘「な、仲間外れにしないで下さい!! 私も、私も!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:28:29.04 ID:+6UKtyGc0
橘「今日の議題は『キョンさんの髪から漂う懐かしい匂い』についてです!」
藤原「……そんな匂いするか?」
周防「――――――」 コクリ
佐々木「まあ匂いで感じる感覚は人それぞれだからね」
橘「まぁ、それは集まるための建前で、実際は親睦会を開きたかっただけなんですけどね。えへへ」
藤原「くだらんな」
橘「まあまあ、そう言わずに! みなさん何食べます?」
キョン「俺はBLTサンドとアイスコーヒー。橘の奢りで」
橘「ふぇ?」
佐々木「じゃあ僕は紅茶とチーズケーキ。橘さんのおごりで」
藤原「アイスコーヒーとサラダセット。金はそっち持ちで頼む」
周防「――――昆布―――」
橘「な、なんで私が奢る事が決定事項みたいな事になってるんですか!?
て いうか昆布単品なんて絶対ありませんって!」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 03:45:48.18 ID:+6UKtyGc0
藤原「しかし匂いか……またあやふやな物を持ちだしてきたな」
佐々木「確かに。さっき言ったように匂いは人によって感じ方が違うしね」
藤原「僕にはなんだか安っぽいシャンプーの匂いにしか思えないが……懐かしいのか?」
キョン「悪かったな。安っぽくて」
周防「―――――いい匂い―――」
藤原「君の好みは分からないな」
橘「異性の好みなんて他人には得てして分かりづらいものなんですよ。
あと佐々木さん! そのケーキ一口ください!!」
藤原「別に頼めばいいだろう。今日は君の奢りなんだから」
橘「今月お小遣いが厳しいんです!! 少しでも切り詰めないと干からびちゃうんです!」
キョン「だったら無理に奢ろうとしなくてもいいのに」
藤原「そうだな、これはあくまで仮定でしかないが周防九曜は君から何か他人とは違うものを感じているんじゃないか?
君は知っているだろうが彼女には保護者が居ないから、それに近いものを君から感じているのかもしれない」
キョン「そんなもんか」
佐々木「そんなもんだろうね」
周防「―――――――」 ウトウト
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 19:30:23.69 ID:+6UKtyGc0
橘「あ、そうだ。匂いについて私も思う所があるんですが」
藤原「ふん、どうせくだらないことだろう」
キョン「まあまあ、そう言ってやるなよ藤原。で、どうした橘。何を思ったんだ?」
橘「キョンさんはホレ薬の作り方って知ってますか?」
キョン「よし、お前はもう何も思うな。しかし藤原の言う通りだと」
橘「ちょちょちょ、ちゃんと話を聞いて下さいよぉ~!!」
キョン「……あのなぁ橘。言っとくがこの辺にマンドラゴラは生えてないぞ」
橘「そんなオカルティックな作り方じゃありません! もっと科学的な作り方で……」
佐々木「科学的って……ホレ薬なんて非科学的な物が科学で作れるわけないじゃないか」
キョン「佐々木の言うとおりだな」
橘「ふっふっふー、それがですね、今の科学技術でも作る事の出来るホレ薬が存在するんですよ!!」
・ ・ ・ ・ ・ ・
橘「あ、あれ? 反応薄い……」
藤原「さて、さっきの話の続きだが」
橘「んんっもうっ!! キチンと話を聞いて下さい!!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 19:45:04.56 ID:+6UKtyGc0
佐々木「それで、ホレ薬がどうしたんだい?」
橘「そうです、ホレ薬です! 作る事が出来るんですよ!!」
周防「――――――――――?―」
藤原「いつもの妄言だ。聞き流しておいていいだろう」
橘「なんとですね、最近の技術では『人間の汗』を使ってホレ薬に非常に近い薬品を作る事に成功してるんです!」
キョン「汗って……どうやって」
橘「えっとですね、キョンさんはへろもんって言うものを知ってますか?」
キョン「フェロモンは知ってるがヘロモンは知らないな」
橘「それです! そのへろもんです!! そのへろもんの応用をしたものがそのホレ薬なんですよ!!」
周防「――――――へ―――ろもん――」
藤原「フェロモンか……それなら匂いともつながるな」
佐々木「成程。発情期に体内で発生しているフェロモンを身体の匂いにのせて周りにアピールする動物も居るしね」
橘「……えっと」
キョン「……言われたい事を全部言われたのか」
橘「うう……め、めげないもん!」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 19:58:13.13 ID:+6UKtyGc0
佐々木「さて、SSK団定例会。今回の話し合いで分かった事は『キョンが発情期の獣』って事で」
キョン「ちょっと待て、なんだその誤解を招くことこの上ない要約は」
藤原「その匂いにつられて周防九曜が寄ってきていると」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「はいそこテキトーな事言わない! そしてそこ頷かない!!」
佐々木「じゃあ今回はそういうことでお開きでいいかい?」
藤原「ああ」
キョン「待て、俺は絶対に納得しないぞ!!」
佐々木「それじゃあ藤原君は橘さんの見送り、キョンは周防さんの見送りをよろしく」
周防「――――――貴――――女は―――――?―」
佐々木「僕かい? くつくつ、僕の事なら気にしなくても大丈夫だよ。誰も好き好んで僕を襲おうとなんてしないさ」
周防「――――――――」 ジー
藤原「それじゃあとっとと会計を済ませて表に出るぞ。店も混んできたしな」
キョン「そうだな。じゃあ会計は……」
橘「ワリカンですからね? 奢ったりしませんからね!?」
藤原「言われなくても分かっているよ、それくらい」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 20:20:07.32 ID:+6UKtyGc0
キョン「よし、それじゃあ佐々木に周防、俺達も変えるぞ」
周防「―――――――」 コクリ
佐々木「おや、僕も送っていってくれるのかい?」
キョン「まあどうせ周防の家の方に行くからな。ついでだ、ついで」
―――
周防「――――――――――」 ジー
キョン「ほら、余所見してないでさっさと行くぞ」
周防「――――――――――――――――」 コクリ
佐々木「ふーん」
キョン「……なんだ佐々木、しまりのない顔して」
佐々木「いや、キョンも発情期を迎えて大胆になったと思ってね。躊躇せずに女の子の手を握るなんて昔の君からは考えられない進歩だよ」
キョン「こいつを放っておくといつまでたっても家に帰れないからな。
それに俺にとっては周防はもう妹と同レベルだから緊張も何もないんだよ」
佐々木「くつくつ、酷い言いようじゃないか」
キョン「あと、さっきそれとなく『発情期を迎えて』とか言ってたが、そろそろ人を節操のない動物みたいに言うのはやめてくれ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 20:36:32.62 ID:+6UKtyGc0
佐々木「それじゃあ、試してみようか」
キョン「うん?」
佐々木「オスはメスの匂いで発情するっていうしね。少し嗅いでみるかい?」
キョン「……何を」
佐々木「僕か周防さんの髪を。もしそれで何か行動を起こせば発情期のキョンって呼ばせてもらうよ」
周防「――?――――――――――」
キョン「……」
佐々木「ふふ、なんてね」
キョン「……」
佐々木「……なんだい、その顔は。僕がせっかく冗談を言ったのに無反応って言うのは酷いんじゃないかな?」
キョン(……コイツは本当にどこまで本気か分からんな)
周防「―――――――」 ジー
周防「――――――――――――」 クイクイ
キョン「どうした?」
周防「――――匂――――う―――――?――」
キョン「いや、いい」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 20:49:39.01 ID:+6UKtyGc0
キョン「しかしお前、恋愛感情は全面否定するのに発情とかその辺は何も言わないんだな」
佐々木「そりゃあ、発情なんてのは生理的欲求の高まった先にある物だからね。人間が生物であるならそれも当然の反応だろう?」
キョン「そんなもんか」
佐々木「そういうものさ。それじゃあ僕はこの辺で」
周防「―――――バ――――イ―――バイ―――」
キョン「気を付けて帰れよ」
佐々木「ああ、そうだ。キョン、ちょっといいかい?」
キョン「ん? 今度はなんだ」
佐々木「ちょっと目をつむって」
キョン「うん?」
キョン(……なんか、甘い匂いが……)
佐々木「興奮するかい?」
キョン「ッ!? お、お前、いきなりな、なんて距離、いや、いきなり何を耳元で、お前は!!」
佐々木「くつくつ、やっぱりキョンは発情期みたいだね。 それじゃあね」
キョン「帰れ!!」
佐々木「はいはい、言われなくてもすぐに帰るよ。くつくつ」
周防「―――――――――――――――」 ジー
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/10(木) 21:04:09.78 ID:+6UKtyGc0
周防「――――――」
周防「―――――――――」 クイクイ
キョン「ん、どうした」
周防「―――――髪――――――――」
キョン「髪って言うのは俺の髪か? それともお前の髪か?」
周防「――――私―――――の―髪―――――」
キョン「……まさか、匂えっていうのか?」
周防「――――――――」 コクリ
キョン「…………」
周防「―――――――――嫌――――?」
キョン「いや、嫌ってわけじゃないが……どうして?」
周防「――――――――――――――言語化不可能――」
キョン「なんだそりゃ」
周防「―――――お返し――――――」
キョン「言語化できてるじゃないか」
周防「――――――」 コクリ
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:23:42.33 ID:tPYHLOT20 [3/23]
キョン「ほら、着いたぞ」
周防「―――――――――」 ジー
キョン「…………なんだ」
周防「――――髪――――――――」
キョン「……なんでそんなに匂わせたがるんだよ」
周防「―――――――――――――」
キョン「……やれやれ。匂えばいいのか?」
周防「―――――――――――――――――――」 フルフル
キョン「ん、なんだ。違うのか?」
周防「――――今――――度―――――――――」
キョン「今度、って……今度匂えって事か」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「……じゃあ、今度。匂わせたくなったら言ってくれ」
周防「――――――――――――――――」 コクリ
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:32:52.82 ID:tPYHLOT20 [4/23]
――― side KYON
キョン「最近の周防はなんで髪の毛を匂いたがったり匂わせたがったりするんだ……」
キョン「別段俺から変な匂いがするわけでもないしな」
キョン「俺は匂いフェチなんて特殊な趣味を持っているわけでもないし」
キョン「……」
キョン「いや、あれは事故だ。佐々木の奴が不意打ちをかますから驚いて顔が赤くなっただけだそうに違いない」
――― side SUOU
周防「――――――」 ジー
周防「――――――――――」 クンクン
周防「―――匂――――い――――――」
周防「―――――――――――――汗?」
周防「――――――――」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:37:35.88 ID:tPYHLOT20 [5/23]
キョン「えー、おはようございます」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「今日は日曜日。今は朝の八時半ですね」
周防「―――――――そうで――すね―――」
キョン「そんな無駄なノリ見せる前に説明してもらいたい事が山ほどあるんだが」
周防「―――――?――――」
キョン「それじゃあそうだな、まずは一番気になることから聞こう。
なんでお前は俺の顔に自分の髪の毛を巻こうとしてるんだ」
周防「――――――――匂い―――――――」
キョン「匂わせるにしてもやり方ってもんがあんでしょうが! もう少しで窒息するとこだったぞ!
ていうかこんな時間に何処からどうやってこの部屋に入ってきたんだ!!」
周防「――――――――――――――」 ジー
周防「―――――――――――――――――」 クルクル
キョン「黙って髪を巻こうとするな!!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 18:59:22.91 ID:tPYHLOT20 [6/23]
周防「―――――――」 ジー
キョン「狙うな」
周防「――――――――――――」 ピクッ
キョン「ったく、匂いをかがせたいだけなら寝込みを襲わなくてもやり方くらいいくらでもあるだろうが」
周防「―――――――――」 フルフル
キョン「なんだ、なにか理由でもあるのか?」
周防「――――――――――寝――――――顔―――」
周防「――――見たか―――――った―――――」
キョン「……」
周防「―――――――――見―――――たかった―――――」
キョン「だからって俺の顔に覆面のごとく髪の毛を巻いていいわけじゃないんだぞ」
周防「―――――――――」 コクリ
キョン「今度からは気を付けるように」
周防「―――――――――――――――」 コクリ
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 19:06:53.93 ID:tPYHLOT20 [7/23]
妹「キョンくん朝ー!」
ガチャ!
キョン「ちゃんとノックしなさいっていつも言ってるでしょうが!」
妹「あれ、くーちゃん?」
周防「――――――――――――」 コクリ
妹「なんでキョンくんの部屋にくーちゃんが居るの?」
周防「――――――秘密―――――」
妹「そっかー、秘密かー」
周防「――――大――――人に―――なれば――――分――かる―――」
キョン「何を吹きこんでんだお前は」
妹「んー、よくわかんないや。そうだ! ご飯だよキョンくん!」
キョン「おう、すぐ行く」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 21:30:10.22 ID:tPYHLOT20 [11/23]
妹「くーちゃんあそぼー!」
周防「―――――――――――」 ジー
キョン「狙わんでいいから遊んでこい」
周防「―――――――――――――――」 コクリ
―――
キョン「はぁ、ようやく解放されたか」
キョン「さて、俺はどうするかな……
今日は不思議探索もないし、谷口や国木田との約束もない……」
キョン「宿題も金曜の時点で終わらせてるし……」
キョン「……しゃーない。ゲームでもするか」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 21:36:04.17 ID:tPYHLOT20 [12/23]
キョン「……これ無理ゲーだろ。ポルナレフでどうやって波状のガオン避けろと」
ガチャ
キョン「ん?」
てとてと
ぽすっ
周防「―――――――」 ジー
キョン「……あのー、周防さん?」
周防「――――何―――――?――」
キョン「なんでいきなり俺の脚の上に座られるんですかね?」
周防「―――――後―――ろ―――から――嗅――ぐと怒ら―――――れた――」
キョン「だから俺の脚の上に座って前から嗅ごう、と」
周防「―――――――」 コクリ
キョン「……そういう問題じゃないんだがな……まぁ、うなじに集中砲火されない分マシか」
周防「―――こ――れ―何――?―――」
キョン「ああ、格ゲーだよ。お前もやってみるか?」
周防「――――――――――――――――――――」 フルフル
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:00:32.27 ID:tPYHLOT20 [13/23]
キョン(……しかしこのポジションも……)
周防「――――――――」
キョン(……頑張れ俺の鉄の理性)
―――
キョン「……うん?」
周防「――――――――――」 スヤスヤ
キョン「嫌に静かだと思ったら、寝てるのか。やれやれ、助かったな」
キョン「……しかし」
周防「―――――――」
キョン「長くて手入れとか大変そうだが、結構綺麗な髪してるよな……」
キョン「……いかんいかん、今の発言だけ取ったら髪を見て発情するヤバイ人みたいじゃないか」
キョン「俺は匂いフェチってわけでもないし、髪フェチってわけでもないんだからな。うん」
キョン「……」
周防「―――――――」 スー
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:18:45.89 ID:tPYHLOT20 [14/23]
周防「―――い――――い―――――匂い―――」 スー
キョン「周防、起きたか」
周防「―――――――――」 コクリ
キョン「足がしびれてきたから移動してもらえると助かる」
周防「――――――――――――」 ジー
キョン「なんだ、こっちをじっと見つめて」
周防「―――――――――いい―――匂い―――」
キョン「なんだ、寝ぼけてるのか?」
周防「――――――――――――」 フルフル
周防「――い―――い匂―――――い―――――」
キョン「俺の身体が?」
周防「―――――――――」 コクリ
キョン(……なんだかんだで佐々木と藤原の仮説があってるような気がしてきた)
周防「―――落―――ち着く――」 スー
キョン「気がすんだら余所に行ってくれよ」
周防「――――――――――――――」 コクリ
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:24:49.98 ID:tPYHLOT20 [15/23]
ここまで書いて俺には匂いフェチネタは無理だと悟った
ここからは別のネタで書かせてくれ
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:34:03.93 ID:tPYHLOT20 [16/23]
キョン「なあ周防、お前髪は切らないのか?」
周防「―――――――――?」
キョン「さすがに夏にそれじゃあ暑くないか?」
周防「――――――暑――いと感じ―――――た事―――は――ない―――」
キョン「そうか。意外と便利なのかも知れんな、宇宙人って奴も。
ただ、俺は見ているだけで汗が滝のように流れてくるわけだが」
周防「―――そう―――――――」
キョン「……」
周防「―――――――」
キョン「やっぱり宇宙人相手に遠まわしに言っても理解してもらえないか。
よし、分かりやすく言う。周防、暑苦しいから膝の上からのいてくれ」
周防「―――――断る――――――」
キョン「断るってお前……あー、もうなんとかならんもんか……」
キョン「こういう時は同類に聞くのが一番だろうな」
周防「――――――?―」
キョン「えーっと……アイツの番号は……」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:44:51.02 ID:tPYHLOT20 [17/23]
朝倉「電話を受けて駆けつけたけど……これは……」
周防「―――――――」
朝倉「見てるだけでかき氷が食べたくなるわね」
キョン「なんとかならないもんかね」
朝倉「んー、つまりこういうことね。
周防さんはキョンくんから離れたくなくて、キョンくんは周防さんの見た目が涼やかになれば傍にいてあげてもいい」
朝倉「だったら簡単じゃない。髪を切ればいいのよ」
キョン「宇宙人ってのは勝手に髪を切ったりしても大丈夫なのか?
ホラ、映画とかでよくあるだろ。実は本体は髪の毛に潜んでましたとか、心臓は別の星でしたとか」
朝倉「まぁそういう宇宙人も居るんでしょうけど、私たちは宇宙人って言っても『有機生命体との接触』を目的につくられたインターフェイスだからね。
より円滑な接触が図れるように『有機生命体』に近い身体として作ってあるのよ」
キョン「よくわからんな」
朝倉「つまり、肉体だけなら私たちはキョンくんたちとまったく変わらないって事」
キョン「ほー、つまり周防の髪を切っても周防がスーパー天蓋領域人になって暴れ出すみたいな事はないわけだな」
朝倉「それはさすがに漫画の読みすぎよ」
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 22:53:41.21 ID:tPYHLOT20 [18/23]
朝倉「それじゃあサクッとやっちゃいましょうか」
チャキッ!
キョン「ってちょっと待てえええええ!!! なんだそのサバイバルナイフは!!
っていうか今それ何処から出した!!」
朝倉「何処からって……いやん、キョンくんのH♪」
周防「―――――卑猥――――――」
キョン「いや、そんな反応求めてないから。っていうかそのサバイバルナイフで何をする気だ!」
朝倉「なにって、こう、サクッと」
キョン「それをちらつかせながら『サクッと』とか言われると嫌な予感しかしないんだよ」
朝倉「その予感を的中させるってのもおもしろいかもね」
キョン「……」
周防「―――――――」 クイクイ
朝倉「あら、どうかした? 周防さん」
周防「――――駄目――――――――」
朝倉「ふふ、大丈夫。ちょっとしたジョークよ」
キョン「俺にはとてもそうは聞こえなかったんだが」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:29:36.03 ID:tPYHLOT20 [19/23]
朝倉「でも私、これ以外はあんまり得意じゃないし」
キョン「えらく特殊な不器用さだな」
朝倉「しかたないじゃない。私三歳児だし」
キョン「……」
―――
キョン「というわけで、美容室に行くぞ」
周防「――――――美容――――室―――――」
キョン「妹くらいの長さなら俺でも切れん事は無いんだが、さすがにここまでの長さになると本職さんに頼んだ方が楽だろう。
失敗したら目も当てられんしな」
周防「――――――――美――容室」
キョン「なんだ、美容室は初めてか?」
周防「――――――――」 コクリ
キョン「まぁ、何事も経験だ。一回行ってみるといい」
周防「――――――――――」 コクリ
キョン(しかし困ったな。俺はまだ美容院なんてこじゃれた所にいった事はないし……この近所に、この長さの髪を切ってくれる美容室があるのか……)
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:39:21.73 ID:tPYHLOT20 [20/23]
店員「エアロスミスー↑」
キョン(……なんだこの感覚は……もの凄い既視感を感じる……)
周防「――――――」 キョロキョロ
キョン「あ、連れの散髪を頼みたいんですが」
店員「アィィ カシコマイアシター!」
キョン「よし、行って来い」
周防「―――――――」 ジー
周防「――――――――――――――」 ギュ
キョン「一人で行って来い」
周防「―――――」 ムー
キョン「散髪なんだから二人で行くと邪魔になるだろ。ほら、一人で行く」
周防「―――――――寂―――しい―――」
キョン「そんな事言ってもダメだ」
周防「―――――――――――――――」 ムムム
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:52:19.17 ID:tPYHLOT20 [22/23]
美容師「オキャクサンカミナゲッスネー!」
周防「―――――――」
美容師「ナンネンクライノバシテンスカー!」
周防「―――――――――――――」
美容師「ハハハ ムクチデスネー」
周防「――――――――――――――――――――――」
美容師「ハ ハハハ……」
周防「―――――――――――――――――――――――――――」
キョン(心の中で代わりに謝っておこう)
キョン(コミュニケーションが取れない奴で本当に申し訳ない)
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/11(金) 23:57:59.63 ID:tPYHLOT20 [23/23]
美容師「……」
周防「――――――」
美容師「……」
周防「―――――――――」
美容師「カミアライマスネー」
周防「―――――――――――――」 コクリ
キョン「暇だ」
―――
周防「―――――――起―――きて―――――」
キョン「……ん……おお、終わったか」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「……あれだけの時間切ってたのに対して見た目が変わってないのはどういうトリックなんだ?」
周防「――――髪――――――が軽――い」
キョン「そうか、そいつは良かった」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/12(土) 00:15:37.29 ID:XHY7FODK0 [1/2]
周防「――――――――」 クイクイ
キョン「……ん?」
周防「――――――い―――い匂い――――――」
周防「――――――匂っ―――て――――――」
キョン「匂って、って……髪をか?」
周防「――――――――――――」 コクリ
キョン「どれどれ……ああ、シャンプーか」
周防「―――いい匂――――い―――――」
キョン「気にいったか?」
周防「――――――――――――」
周防「――――――――――――――――」 フルフル
キョン「なんだ、気にいらなかったのか」
周防「――――――貴―――方の―――――方が―――――いい―――匂――――い――――」
キョン「……」
周防「―――――貴方――」
キョン「聞こえてるから二回も言わんでいい! ったく、恥ずかしくないのかお前は」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/12(土) 01:26:22.45 ID:XHY7FODK0 [2/2]
今日は閉店です
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コメント
No title
くーたんかわゆすなあ
No title
くーたんマジくーたん
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