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唯「ヤンキーちゃんとメガネちゃん」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 13:59:44.95 ID:HncYTn3j0 [1/44]
授業中。
唯「あ、教科書忘れちった。和ちゃん教科書見して~」
和「前後の席で見せ合うって無理あるでしょ」
唯「そっか。
じゃあ立花さん見せて!」
姫子「え……いいけど」
唯「わーい」
授業中。
唯「あ、教科書忘れちった。和ちゃん教科書見して~」
和「前後の席で見せ合うって無理あるでしょ」
唯「そっか。
じゃあ立花さん見せて!」
姫子「え……いいけど」
唯「わーい」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:03:32.29 ID:HncYTn3j0
机を寄せ合う二人。
姫子「はい」
唯「ありがとー」
姫子「……」
唯「……」
姫子「……」
唯「英語の授業って退屈だよね~」
姫子「そうね」
唯「この先生の話聞いてると眠くなるよね~」
姫子「うん」
唯「世界が嫉妬する髪へ」
姫子「へぇ」
唯「もー、立花さん反応薄い~」
和「……」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:08:17.17 ID:HncYTn3j0
姫子「ていうかいま授業中なんだけど。話しかけないでよ」
唯「えっ、立花さんってけっこう真面目なタイプ?」
姫子「そうじゃないけど……
目ぇ付けられて起こられたら嫌でしょ」
先生「こら、平沢、立花。さっきからうるさいぞー」
姫子「……ほら、怒られた」
唯「あうぅ」
姫子「静かにしててよ」
唯「はーい(小声)」
姫子「……」
唯「……」
姫子「……」カチカチ
唯「あっ立花さん携帯いじってる」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:13:25.16 ID:HncYTn3j0
姫子「いいでしょ別に」
唯「あー、さっきは私に
『授業中だから静かにしろ』って怒ってたくせに」
姫子「携帯いじってても静かでしょ。
ていうかさっきからうるさい。黙ってて」
唯「逆に怒られた」
姫子「ったく……」カチカチ
唯「……」
姫子「……」カチカチ
唯「……」
姫子「……」カチカチ
先生「えー、で、だからつまりここがこうなる。
では次に演習問題をやってもらおうかな……
じゃあ、立花」
姫子「えっ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:18:46.46 ID:HncYTn3j0
先生「どうした、立花。
ちゃんと授業を聞いてれば答えられるはずだぞ? ん?」
姫子「えー……と」
唯「答えは3番だよ、立花さん!」ヒソヒソ
姫子「え、あ、3番です」
先生「うん、正解だ。
少し難しい問題だったが良くできたな」
姫子「あ、ありがとう平沢さん」
唯「えへへー、ここのページは
昨日みんなで予習したからねっ」
姫子「みんなって、軽音部の?」
唯「うん、そうだよー。
立花さんもちゃんと予習しなきゃだめだよー」
姫子「分かってるわよ。
答え教えてくれて、ありがとう」
唯「えへへー」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 14:25:37.01 ID:HncYTn3j0
昼休み。
唯「和ちゃーん、お昼ごはん食べよ」
和「ええ、いいわよ。
今日は偶然にも澪と律とムギが休みだから、
久々にふたりだけの食事ね」
唯「何その説明口調」
和「気にしないで」
唯「和ちゃんのお弁当、今日も美味しそうだね」
和「そうかしら。
憂の作ったお弁当のほうが美味しそうじゃない?」
唯「隣りの芝は青いんだよ和ちゃん」
和「あ、そう」
姫子「……」がたっ
唯「あ、立花さーん。
立花さんも一緒にお昼ごはん食べようよ~」
姫子「えっ」
和「……」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:34:45.46 ID:HncYTn3j0
姫子「あー……私、購買行くから」
唯「じゃあ戻ってくるまで待ってるよ!」
姫子「いやいいよ、時間かかるし」
唯「大丈夫だよ、待つよ~。
ね、和ちゃん」
和「……唯、無理に誘うのは良くないわ。
立花さんもああ言ってるし」
唯「えー、でもー」
姫子「ごめんね、じゃ」たたっ
唯「あ、立花さーん……いっちゃった」
和「じゃ、食べましょうか」
唯「うん……」
和「……唯、立花さんと仲良かったの?」
唯「? ううん、さっきの英語の時間に初めて話したよ。
でももっといっぱいお話したいな~って思って」
和「……そう」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:42:54.42 ID:HncYTn3j0
放課後。
さわ子「はい、じゃあHRはこれで終わり。
みなさん、さようなら」
生徒「さよならー」
生徒「さよーならー」
生徒「あーやっと終わったー」
生徒「つかれた帰ろー」
ざわざわ
唯「立花さん! 一緒に帰ろ!」
姫子「えっ?」
唯「ダメかな?」
姫子「いや、ダメ……じゃないけど。
部活はいいの?」
唯「今日は澪ちゃんたち欠席だから中止だよ~」
姫子「あ、そう……」
和「……」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:47:55.02 ID:HncYTn3j0
唯「ねー、一緒に帰ろうよ」
姫子「別にいいけど……」
唯「わーい、やったー!
和ちゃんも一緒に帰ろ~!」
和「あ、私は生徒会あるから」
唯「そっかー、残念。
じゃあ二人で帰ろっか、立花さん」
姫子「え、うん……」
唯「じゃあねー、和ちゃん」
和「うん、また明日…………
……………………」
音楽室。
梓「誰も来ない……」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:53:09.89 ID:HncYTn3j0
帰り道。
唯「立花さんっていえどこなの?」
姫子「あー……中村橋を越えたとこ」
唯「へー、けっこう遠いんだね」
姫子「まあね」
唯「私はけっこう近いよ~」
姫子「へえ……
ところで平沢さん」
唯「なに?」
姫子「なんで私のこと誘ったの?」
唯「え、だめだったかな?
もっといっぱいお話したいなって、思ったんだけど」
姫子「ああ、いや別にダメってわけじゃないけど……ちょっと気になって。
今まで全然話したことなんてなかったし」
唯「そういえばそうだねー、
せっかく隣の席だったのに」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:00:00.09 ID:HncYTn3j0
姫子「まあ、席が隣だってだけであんまり接点ないし」
唯「接点か~。
立花さんはギター好き?」
姫子「あんまり音楽は興味ない」
唯「そっかー、うーん……
放課後はいっつも何やってるの?」
姫子「バイトしてる」
唯「えっ、すごいねー、どこで?」
姫子「近所のファミレス」
唯「へー、すごーい……
バイトしてるなんて大人だね~」
姫子「そんなことないでしょ……
バイトくらいみんなやってる」
唯「いやー、でもすごいよー。
立花さん大人っぽいと思ってたけど、
バイトしてたからだったんだね~」
姫子「バイトのせいじゃないと思う…………ただ1コ上なだけだし」
唯「え?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:05:22.07 ID:HncYTn3j0
姫子「……」
唯「え? 1コ上って? 何が?」
姫子「あ、知らないんだ……
私が留年してるってこと」
唯「え、留年してたの? 全然知らなかったよ!」
姫子「うん、留年してるの」
唯「でもなんで留年したの?
成績悪かったの? 病気で入院してたとか?」
姫子「……」
唯「え、あ、ご、ごめんね。
だめだよね、こんなプライヴァスィーのことに踏み込んじゃ……えへへ」
姫子「いや、別にいいよ。
ただタバコやって何回か停学くらってただけ。あとバイク。
うちの学校バイク禁止だから」
唯「ふーん、そうなんだ……
ごめんね、変なこと聞いちゃって」
姫子「いいよ、別に気にしなくても……」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:11:51.98 ID:HncYTn3j0
唯「……」
姫子「……」
唯「……」
姫子(空気が……死んだ)
唯「……」
姫子「あー……なんかごめん……
同じ学年とはいえ、年上と一緒にいるのってアレだよね。
私、こっちから帰るから」
唯「あっ、違うの、そういうのじゃなくて。
ただ変なこと聞いて申し訳ないなって思って……」
姫子「それは気にしなくていいってば」
唯「分かった、もう気にしない。
だから立花さんも私に気つかわないで!」
姫子「へっ」
唯「立花さん年上でも、私気にしないから!
同じ教室で隣同士のクラスメイトだもん!
大事なお友達だもんね」
姫子「と、友達……」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:17:36.10 ID:HncYTn3j0
唯「あ、ダメ……? 友達……」
姫子「えっ、ううん、そんなことないよ……
まさかそんなこと言われるなんて思ってなかったから……その」
唯「あっ、立花さん顔赤いよ!」
姫子「こっ、これは……違」
唯「えへへー、立花さんってカッコイイ系だと思ってたけど、
けっこう可愛いよねっ」
姫子「もう、からかわないで」
唯「へへ、ごめんごめん。
そうだ、あのさ」
姫子「何?」
唯「下の名前で呼んでもいい……?」
姫子「うん、いいよ」
唯「わーい、姫子ちゃんっ」
姫子「唯」
唯「えっへへー」
姫子「ふふっ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:24:20.31 ID:HncYTn3j0
翌日、教室。
ガラッ
和「おはよう、ゆ……い」
唯「あ、おはよー和ちゃーん」ぎゅーっ
姫子「ま、真鍋さん……おはよう」
和「何やってるの、唯」
唯「何って、姫子ちゃんに抱きついてる」
和(姫子……ちゃん……!?)
姫子「あはは……」
和「唯、離れなさい。
立花さんが迷惑してるでしょ」
姫子「あ、私は大丈夫だから」
唯「そーだよー。
私たち友達だもんね~姫子ちゃん!」
姫子「うん、そうだね」
和「……………………」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:30:45.49 ID:HncYTn3j0
…………
さわ子「じゃあ朝のHRはこれで終わり。
今日も一日頑張ってね~!」
わいわいがやがや
姫子「じゃね、唯」
唯「あれ、移動教室?」
姫子「うん、私化学とってるから」
唯「そっかー、じゃあまた後でね~」
姫子「うん」
唯「私たちは生物だね、和ちゃん」
和「え、うん、そうね……」
唯「どしたの?」
和「あー、なんていうか……
唯、立花さんと仲いいの?」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:39:48.65 ID:HncYTn3j0
唯「うん、そうなんだー。
昨日一緒に帰って仲良くなったんだよ~!」
和「ふーん……
言いにくいんだけどさ、唯……」
唯「なに?」
和「立花さんと仲良くするのはやめておきなさい」
唯「えっ……な、なんで!?」
和「なんで、って……知ってるでしょ。
あの人、留年してるのよ」
唯「それは昨日姫子ちゃんから聞いたけど……
なんで留年してたら仲良くしちゃいけないの?」
和「私生徒会だからよく知ってるんだけど、
立花さん去年タバコで何度も謹慎処分くらってたのよ。
それにバイクの免許もとったりしてて、
授業も出席日数ギリギリしか出てなかったのよ。
あとちょっとで退学になるところだったらしいわ」
唯「……姫子ちゃんがそういう悪い子だから、
仲良くするなってこと?」
和「ええ、そうよ。
友達は選ばなきゃダメよ、唯。
あんたの世間体にも関わってくるんだから」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:51:39.19 ID:HncYTn3j0
唯「せ、世間体って……
私、そんな考えで友達作りたくないよ。
ただ姫子ちゃんと仲良くしたいから仲良くしてるの!」
和「私は唯のためを思って言ってるのよ。
あんな不良と友達になるのは、唯にとって良くないわ」
唯「私にとって良いか悪いかなんて、
和ちゃんが決めることじゃないよ!」
和「あんたが不良と付き合ってるって知ったら、憂だって悲しむわよ」
唯「憂は関係ないじゃん!」
和「関係あるわよ。いいから立花さんと仲良くするのはやめなさい!
あんな不良と友達になるんじゃありません!」
唯「やだ! 姫子ちゃん良い子だもん!
私は姫子ちゃんと仲良くしたいのっ!」
和「唯っ!」
唯「和ちゃんの馬鹿! あんぽんたん! ババア声! 高校デビュー!
もういいよ! 和ちゃんなんて大っきらい!!! ふん!!!」
和「唯っ……」
キーンコーンカーンコーン
先生「はーい授業始めるぞー」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:57:45.34 ID:HncYTn3j0
昼休み。
唯「ふはー、やっとお昼だー」
和「唯、お昼ご飯……」
唯「姫子ちゃん!! 一緒に購買行こう!!」
姫子「えっ!? でも唯はお弁当……」
唯「お弁当も一緒に持っていくから!!
今日も偶然澪ちゃんたち休みだから大丈夫!!」
和「ちょっと唯! 待ちなさい!」
姫子「真鍋さんが呼んで……」
唯「あんなのほっといていいから!
ほら早く行くよ、姫子ちゃん!!」だだっ
姫子「ちょ、ちょっと待って唯……」
和「……」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:04:14.31 ID:HncYTn3j0
食堂。
唯「いただきまーす」
姫子「いただきます」
唯「姫子ちゃん良かったね~、
ゴールデンチョコパン買えて」
姫子「ああ、うん……
珍しかったからつい買っちゃった」
唯「良かったね~」
姫子「うん」
唯「良かったね~……」
姫子「……一口食べる?」
唯「えっ!? いいの!?」
姫子「うん、一口だけね」
唯「わーい、ありがとー」ぱくっ
姫子「どう?」
唯「おいしー!」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:09:21.29 ID:HncYTn3j0
姫子「そういえばさっき、真鍋さんなんか呼んでたみたいだけど」
唯「いいのいいの、
和ちゃんのことなんか気にしなくて」
姫子「ふうん……?」
唯「私もお弁当食べよ~」ぱかっ
姫子「わっ、美味しそうだね。唯のお弁当」
唯「えへ、そうかなー」
姫子「お母さんお料理上手なんだね」
唯「あ、これ作ったの妹なんだ~。
うちお母さんいないから」
姫子「え、あ、そ、そうなんだ……
なんかごめん」
唯「お父さんといっつも海外行っててさー。
全然家にいないんだよね~」
姫子「あ、そういうこと……」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:18:47.08 ID:HncYTn3j0
唯「姫子ちゃんのお母さんは? どんな人?」
姫子「ろくでなしだよ。
私が10歳のときに不倫して離婚した」
唯「へえー」
姫子「そのときお母さんのほうに付いてったのが間違いだったな。
新しいお父さんもろくでなしでさー、酒飲んでばっか」
唯「ふーん……」
姫子「まあそれで色々嫌になって、
中学の頃から悪いことばっかしてたな~」
唯「タバコとか?」
姫子「タバコは高校入ってからだよ。
中学の時は授業サボってゲーセン行ったりとか……
はは、こんなこと人に話すの初めてだ」
唯「そーなんだ。
もっと聞きたいな、姫子ちゃんの話!」
姫子「別に話してもいいけど……
もう昼休み終わっちゃいそうだよ」
唯「うわ、急いで食べなきゃ……」もぐもぐ
姫子「ふふ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:23:29.59 ID:HncYTn3j0
放課後。
さわ子「はい、じゃあHRはこれで終わり。
みなさん、さようなら」
生徒「さよならー」
生徒「さよーならー」
生徒「あーやっと終わったー」
生徒「つかれた帰ろー」
ざわざわ
唯「姫子ちゃん! 一緒に帰ろ!」
姫子「えっ?」
和「ちょ、ちょっと待ちなさい、唯!!」
唯「うるさいな、和ちゃんは早く生徒会行けばいいでしょ!!
私のことはほっといて!!」
和「ほっとかないわよ、待ちなさい!」
唯「やだよ!!」
姫子「な、なに喧嘩してるの?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:29:31.79 ID:HncYTn3j0
唯「ほら姫子ちゃん、早く帰ろ!!」
姫子「え、あ、でも真鍋さんが」
唯「ほっといっていいから、帰ろ!!」
和「待ちなさい、唯!」
唯「いーっだ!!
和ちゃんなんてシイタケになれ!」
姫子「意味がわからない」
唯「早く行こう、姫子ちゃん!」だだだっ
姫子「え、ちょ、ちょっと待ってよ」
和「唯…………」
音楽室。
梓「今日もひとり……」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:37:42.97 ID:HncYTn3j0
帰り道。
唯「まったくもう、和ちゃんは……」ぷんすか
姫子「ねえ、唯」
唯「何?」
姫子「真鍋さんと喧嘩でもしたの?」
唯「なんで分かったの!?」
姫子「見てたら分かるよ……
なんで喧嘩してるの? いっつも仲良かったのに」
唯「えー、だって和ちゃんったら、
唯は姫子ちゃんと仲良くするな、なんて言うんだよ?
姫子ちゃんが留年してるからって」
姫子「あ、そ、そうなんだ……私のせいで」
唯「あ、いや別に姫子ちゃんが悪いわけじゃないよ!
分からず屋であんぽんたんの和ちゃんが悪いんだから!」
姫子「いや、でも真鍋さんの言うことも尤もだよ。
大事な友達が、こんな不良と仲良くしてるなんて分かったら、
不安にもなるよね」
唯「姫子ちゃん……」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:49:21.84 ID:HncYTn3j0
姫子「私たち、仲良くならない方が良かったかも知れないね」
唯「そ、そんなことないよ!
仲良くならない方が良いなんてこと、絶対ない!
友達がいっぱいいたほうが楽しいもん!」
姫子「でも……私と仲良くしてたら、
ずっと真鍋さんと喧嘩したままになるよ?
それでもいいの?」
唯「そ……それは」
姫子「唯にとっては、私より真鍋さんの方が大事でしょ」
唯「どっちが大事かなんて決められないよ。
和ちゃんは親友だし、姫子ちゃんとももっと仲良くなりたいよ……」
姫子「唯の気持ちは嬉しいけど……」
唯「……」
姫子「ごめんね、やっぱり私が退くよ。
私が唯と絶交すれば、それで解決するもんね」
唯「だ、だめだよそんなの」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:58:48.50 ID:HncYTn3j0
姫子「唯……」
唯「せっかく友達になったのにお別れなんて嫌!
もっと姫子ちゃんと遊んだり喋ったりしたいよ!」
姫子「でも、真鍋さんが……」
唯「う……和ちゃんとも仲直りしたいけど……
だけど……」
姫子「……」
唯「わ、私どうしたらいいんだろ……
姫子ちゃんか和ちゃん、どっちか選ばなきゃいけないのかな……
そんなのやだよ……
両方と友達でいたいよ」
姫子「……」
唯「どうしたらいいのか分かんないよ……
姫子ちゃん、どうしよう……ぐすっ」
姫子「私は、私と唯が絶好すれば良いと思うけど……
唯はそれじゃ嫌なんだよね」
唯「絶対いや!」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:09:18.25 ID:HncYTn3j0
姫子「そっか……」
唯「そもそも和ちゃんが悪いんだよ……
姫子ちゃんのことあんなふうに言って……」
姫子「真鍋さんのこと、そんなふうに言っちゃだめだよ。
きっと真鍋さんは真鍋さんなりに
唯のこと心配してくれてるんだから」
唯「……姫子ちゃんはやっぱり大人だね」
姫子「1コ上だからね」
唯「私は全然そんなふうになれないや……
なんかあったらすぐ人のせいにしちゃうし、
悩みごとがあっても頭の中こんがらがっちゃって
一人で解決なんてできないし……
今だってそう」
姫子「ふうん……じゃあ、バイク乗せてあげようか」
唯「え、バイク? 姫子ちゃんの?」
姫子「うん。後ろに乗せてあげる。
ガーっとすっ飛ばしたら、頭すっきりするよ。
私もなんか悩みがある時はよく乗るんだ」
唯「へー、なんか楽しそう。
じゃあ乗せて、姫子ちゃん!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:16:42.68 ID:HncYTn3j0
一方その頃、和は。
和「はー、今日も生徒会疲れた……
早く帰ろう」
梓「あっ、和先輩」
和「あら、梓ちゃん。奇遇ね、何してたの?」
梓「音楽室にいました」
和「え、でも今日は部活ないんじゃないの?
偶然にも澪たちがみんな休んでるから」
梓「あっ、そうだったんですか?
良かったー、2日続けて誰も来ないから、
私だけハブられてるのかと思いましたよ」
和「ハハッワロス」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:24:08.10 ID:HncYTn3j0
帰り道。
梓「そういえば唯先輩も休んでるんですか?」
和「いや、唯は他の友達と帰ったわ」
梓「へえ、唯先輩って軽音部以外に友達いたんですね」
和「梓ちゃんはいないの?」
梓「いますよ!!!!」
和「そんなに力強く否定しなくても……」
梓「その友達ってどんな人なんですか?」
和「ああ、不良なのよ、不良」
梓「不良!?」
和「うん、タバコとバイクでなんども謹慎喰らって、
2回目の3年生をやってる人なの。
見た目も派手だし、制服の着方もだらしないし」
梓「へえー、唯先輩がそんな人と仲良くしてるなんて、
あんまりイメージ出来ませんね」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:32:48.10 ID:HncYTn3j0
和「そうなのよ、だから心配でね。
唯に、そんな人と付き合うのはやめなさい、
って言ったんだけど、全然聞いてくれなくて」
梓「そ、そんなこと言ったんですか」
和「言ったけど……何?」
梓「流石にそれはだめですよ。
友達と絶交しろなんて言われたら、
誰だって怒りますって」
和「だって心配なのよ。
唯が不良に染められて、
タバコとかバイクとかやったらと思うと……」
梓「大丈夫だと思いますよ、唯先輩なら」
和「でも」
梓「唯先輩は誰とでも仲良くなれちゃうタイプですけど、
相手に染められるとか、そういうのはないと思います。
むしろ相手を自分のペースに巻き込んじゃう人ですよ、唯先輩は」
和「……」
梓「その不良さんがどんな人かはよく知りませんけど、
唯先輩にとってはいい友達になるんじゃないですか」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:42:31.45 ID:HncYTn3j0
和「でもねえ……」
梓「そんなに不安がらなくても。
唯先輩がタバコ吸ったりバイク乗ったりするように見えますか?」
和「……見えないわ」
梓「そうでしょう。
だいたい和先輩は唯先輩の幼馴染なんでしょう?
唯先輩のことは、和先輩がいちばんよく分かってるはずです」
和「……」
梓「和先輩が唯先輩のことを
理解しようとしてあげなくてどうするんですか。
親友なら、ちゃんと友達のことを信じて、
やりたいようにやらせてあげるべきです」
和「うーん、そうねえ……
梓ちゃんの言うとおりかも知れないわね。
私、唯のことを分かってなかったかもしれないわ」
梓「分かっていただけて何よりです」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:53:52.27 ID:HncYTn3j0
和「そうよね、私が唯のことを
ちゃんと信頼してあげなきゃいけないのよね。
ありがとう、梓ちゃん。
私、今から唯の家に謝りに行ってくるわ」
梓「はい、頑張ってください。
じゃ私、こっちの道なんで」
和「ええ、またね……」
和(うん、私が間違ってた)
和(不良なんかと付き合っても、
唯が不良になったりするわけないんだ。
立花さんと仲良くしたいって言うんなら、
唯のことを信じてそうさせてあげるべきよね)
和(そして唯が選んだ立花さんのことも信じてあげなきゃ……
唯が仲良くなりたいっていうんだもん、
きっと良い人に決まってるわ)
和(そうよ、立花さんが非行に走って謹慎になったのは去年の話、
今年に入ってからは何も問題を起こしてないんだもの。
唯が彼女に影響されてタバコやバイクなんて、ありえない……)
とその時、
和の横を姫子と唯の乗ったバイクが通り過ぎていった。
和「ヘイタクシー!! 今すぐあのバイク追ってください!!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:57:34.46 ID:HncYTn3j0
すみませんちょっと中断します
7~8時くらいに再開するので
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 18:56:25.16 ID:HncYTn3j0
再開するでござる
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 18:59:19.50 ID:HncYTn3j0
一方その頃、唯と姫子は。
唯「わー、速い速ーい!」
姫子「どう、気持ちイイでしょ」
唯「うん、すごいよ!」
姫子「ホントは自分で運転するのが最高なんだけどねっ」
唯「私、卒業したらバイクの免許とるよ!」
姫子「うん、そうしなよ」
唯「でも今バイク乗ってるのが誰かに見つかったら、
やばいんじゃないの?」
姫子「大丈夫だよ、制服じゃないから
動物並の動体視力なきゃ誰が乗ってるかなんてわかんないって」
唯「そっかー、じゃあ大丈夫だね」
姫子「よし、もっとスピード出すよ!
しっかり掴まってて」
唯「うん!」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:05:59.01 ID:HncYTn3j0
――
――――
――――――
キッ
姫子「着いたよ、唯」
唯「ここどこ?」
姫子「私のお気に入りの場所……かな。
ほら、見て」
唯「わー、すごい……街中見渡せるよ」
姫子「悩みがある時とか、落ち込んだ時とか、
よくここに来るんだ。
一人でこうやって街を眺めてると、
小さいことなんか気にならなくなってくるんだ」
唯「へえー……」
姫子「唯は、どう?」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:15:02.51 ID:HncYTn3j0
唯「へ?」
姫子「唯の悩みに、決着はつきそう?」
唯「あー……
バイクに乗ってる間、ずっと考えてたんだけどね」
姫子「うん」
唯「やっぱり姫子ちゃんとは友達でいたい!」
姫子「えっ、でもそれじゃあ……
真鍋さんが」
唯「うん、和ちゃんとも仲直りしたい。
だから私、和ちゃんに信じてもらえるように頑張るよ!
姫子ちゃんは悪い子なんかじゃないって」
姫子「唯……」
唯「和ちゃんは分からず屋の石頭だけど、
ちゃんと分かってもらえるまで話してみる。
私に任せて、姫子ちゃん!」
姫子「うん……」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 19:22:59.93 ID:HncYTn3j0
和「唯っ!!」
唯「の、和ちゃん!?
なななななんでここに……」
和「馬鹿、バイクの二人乗りなんかして、危ないでしょ!!
それに学校の人に見つかったら謹慎よ!?」
唯「ご、ごめんなさい……」
姫子「わっ、私が誘ったの! 唯は何も悪くないわ。
怒るんなら私を……」
唯「ち、違うの、姫子ちゃんは悪くないの。
私が悩んでるの知って、
姫子ちゃんが頭すっきりするからって
バイク乗せてくれて……
私のためにしてくれたことだから、
だから姫子ちゃんは……」
和「悩んでるって、何を」
唯「和ちゃんと、喧嘩したこと……」
和「唯……」
運ちゃん「お、お客さん、タクシー代……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:32:04.51 ID:HncYTn3j0
和「バカね、そんなこと気にしなくていいのよ。
それこそ全部私が悪いんだから」
唯「和ちゃん……」
和「ごめんね、唯。私、唯のことを信じてあげられなくて。
どんな不良と付き合おうと、唯は唯なのにね……
それを私は分かってなかったわ」
唯「ううん、私も悪いよ。
和ちゃんは私のこと心配してくれてたのに、
つい怒っちゃって……ごめんなさい、和ちゃん」
和「こっちこそごめんなさい、唯」
唯「仲直り、してくれる?
これからも姫子ちゃんと友達でいていい?」
和「当たり前じゃない……
唯が選んだ友達なら、きっといい人だものね」
唯「へへ、それは和ちゃんもだよっ」
和「唯……」
唯「和ちゃん……」
紬「うんうん」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:38:24.91 ID:HncYTn3j0
翌日、教室。
ガラッ
和「おはよう、ゆ……い」
唯「あ、おはよー和ちゃーん」ぎゅーっ
姫子「ま、真鍋さん……おはよう」
和「なに、また抱きついてるの?」
唯「えへへー、姫子ちゃんあったかいんだよ」ぎゅーっ
姫子「あはは……」
和「もー、離れなさい。
立花さん迷惑してるでしょ」
唯「あっ、和ちゃん」
和「何?」
唯「その『立花さん』っていうのをやめよう」
和「は?」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:43:42.41 ID:HncYTn3j0
唯「姫子ちゃんも!
『真鍋さん』っていうの禁止!」
姫子「えっ? な、なんで?」
唯「せっかくだから二人にも仲良くなって欲しい!
だから苗字で呼び合うなんて他人行儀なことはやめて、
下の名前で呼び合おう!」ふんす
和「いや唯、いきなりそれは……」
姫子「はは……」
唯「えーっ、いいじゃん!
ほら、和ちゃんは『姫子ちゃん』、
姫子ちゃんは『和ちゃん』って!
さんはい!」
和「……」
姫子「……い、良い?」
和「う、うん」
姫子「の……和」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:49:07.69 ID:HncYTn3j0
唯「ほら和ちゃんも!」
和「う……ひ、姫子」
姫子「あはは……なんか照れるな」
唯「恥ずかしいのは最初のうちだけだよ。
これでもう二人は完璧に友達だねっ」
和「まだ名前を呼び合っただけなんだけど」
唯「そこまでいったらもう完璧に友達だよ!
ほら、記念に写真とろう、友達になった記念に!」
和「え~」
唯「ほら二人とも、もっと寄って寄って! もっとがしっと!」ぐいぐい
和「ちょっと唯、分かったから押さないで」
姫子「ふふっ……和も大変だね」
和「あ、分かってくれる?」
唯「じゃあいくよ、はいチーズ!」カシャッ
この後も色々あって和と姫子は友情を深めていくのだが、
それはまた別の話である。
お わ り
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:51:07.31 ID:HncYTn3j0 [44/44]
これでおしまい
姫子ちゃんSSを全然見かけないので書いた
反省はしない
机を寄せ合う二人。
姫子「はい」
唯「ありがとー」
姫子「……」
唯「……」
姫子「……」
唯「英語の授業って退屈だよね~」
姫子「そうね」
唯「この先生の話聞いてると眠くなるよね~」
姫子「うん」
唯「世界が嫉妬する髪へ」
姫子「へぇ」
唯「もー、立花さん反応薄い~」
和「……」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:08:17.17 ID:HncYTn3j0
姫子「ていうかいま授業中なんだけど。話しかけないでよ」
唯「えっ、立花さんってけっこう真面目なタイプ?」
姫子「そうじゃないけど……
目ぇ付けられて起こられたら嫌でしょ」
先生「こら、平沢、立花。さっきからうるさいぞー」
姫子「……ほら、怒られた」
唯「あうぅ」
姫子「静かにしててよ」
唯「はーい(小声)」
姫子「……」
唯「……」
姫子「……」カチカチ
唯「あっ立花さん携帯いじってる」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:13:25.16 ID:HncYTn3j0
姫子「いいでしょ別に」
唯「あー、さっきは私に
『授業中だから静かにしろ』って怒ってたくせに」
姫子「携帯いじってても静かでしょ。
ていうかさっきからうるさい。黙ってて」
唯「逆に怒られた」
姫子「ったく……」カチカチ
唯「……」
姫子「……」カチカチ
唯「……」
姫子「……」カチカチ
先生「えー、で、だからつまりここがこうなる。
では次に演習問題をやってもらおうかな……
じゃあ、立花」
姫子「えっ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:18:46.46 ID:HncYTn3j0
先生「どうした、立花。
ちゃんと授業を聞いてれば答えられるはずだぞ? ん?」
姫子「えー……と」
唯「答えは3番だよ、立花さん!」ヒソヒソ
姫子「え、あ、3番です」
先生「うん、正解だ。
少し難しい問題だったが良くできたな」
姫子「あ、ありがとう平沢さん」
唯「えへへー、ここのページは
昨日みんなで予習したからねっ」
姫子「みんなって、軽音部の?」
唯「うん、そうだよー。
立花さんもちゃんと予習しなきゃだめだよー」
姫子「分かってるわよ。
答え教えてくれて、ありがとう」
唯「えへへー」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 14:25:37.01 ID:HncYTn3j0
昼休み。
唯「和ちゃーん、お昼ごはん食べよ」
和「ええ、いいわよ。
今日は偶然にも澪と律とムギが休みだから、
久々にふたりだけの食事ね」
唯「何その説明口調」
和「気にしないで」
唯「和ちゃんのお弁当、今日も美味しそうだね」
和「そうかしら。
憂の作ったお弁当のほうが美味しそうじゃない?」
唯「隣りの芝は青いんだよ和ちゃん」
和「あ、そう」
姫子「……」がたっ
唯「あ、立花さーん。
立花さんも一緒にお昼ごはん食べようよ~」
姫子「えっ」
和「……」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:34:45.46 ID:HncYTn3j0
姫子「あー……私、購買行くから」
唯「じゃあ戻ってくるまで待ってるよ!」
姫子「いやいいよ、時間かかるし」
唯「大丈夫だよ、待つよ~。
ね、和ちゃん」
和「……唯、無理に誘うのは良くないわ。
立花さんもああ言ってるし」
唯「えー、でもー」
姫子「ごめんね、じゃ」たたっ
唯「あ、立花さーん……いっちゃった」
和「じゃ、食べましょうか」
唯「うん……」
和「……唯、立花さんと仲良かったの?」
唯「? ううん、さっきの英語の時間に初めて話したよ。
でももっといっぱいお話したいな~って思って」
和「……そう」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:42:54.42 ID:HncYTn3j0
放課後。
さわ子「はい、じゃあHRはこれで終わり。
みなさん、さようなら」
生徒「さよならー」
生徒「さよーならー」
生徒「あーやっと終わったー」
生徒「つかれた帰ろー」
ざわざわ
唯「立花さん! 一緒に帰ろ!」
姫子「えっ?」
唯「ダメかな?」
姫子「いや、ダメ……じゃないけど。
部活はいいの?」
唯「今日は澪ちゃんたち欠席だから中止だよ~」
姫子「あ、そう……」
和「……」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:47:55.02 ID:HncYTn3j0
唯「ねー、一緒に帰ろうよ」
姫子「別にいいけど……」
唯「わーい、やったー!
和ちゃんも一緒に帰ろ~!」
和「あ、私は生徒会あるから」
唯「そっかー、残念。
じゃあ二人で帰ろっか、立花さん」
姫子「え、うん……」
唯「じゃあねー、和ちゃん」
和「うん、また明日…………
……………………」
音楽室。
梓「誰も来ない……」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 14:53:09.89 ID:HncYTn3j0
帰り道。
唯「立花さんっていえどこなの?」
姫子「あー……中村橋を越えたとこ」
唯「へー、けっこう遠いんだね」
姫子「まあね」
唯「私はけっこう近いよ~」
姫子「へえ……
ところで平沢さん」
唯「なに?」
姫子「なんで私のこと誘ったの?」
唯「え、だめだったかな?
もっといっぱいお話したいなって、思ったんだけど」
姫子「ああ、いや別にダメってわけじゃないけど……ちょっと気になって。
今まで全然話したことなんてなかったし」
唯「そういえばそうだねー、
せっかく隣の席だったのに」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:00:00.09 ID:HncYTn3j0
姫子「まあ、席が隣だってだけであんまり接点ないし」
唯「接点か~。
立花さんはギター好き?」
姫子「あんまり音楽は興味ない」
唯「そっかー、うーん……
放課後はいっつも何やってるの?」
姫子「バイトしてる」
唯「えっ、すごいねー、どこで?」
姫子「近所のファミレス」
唯「へー、すごーい……
バイトしてるなんて大人だね~」
姫子「そんなことないでしょ……
バイトくらいみんなやってる」
唯「いやー、でもすごいよー。
立花さん大人っぽいと思ってたけど、
バイトしてたからだったんだね~」
姫子「バイトのせいじゃないと思う…………ただ1コ上なだけだし」
唯「え?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:05:22.07 ID:HncYTn3j0
姫子「……」
唯「え? 1コ上って? 何が?」
姫子「あ、知らないんだ……
私が留年してるってこと」
唯「え、留年してたの? 全然知らなかったよ!」
姫子「うん、留年してるの」
唯「でもなんで留年したの?
成績悪かったの? 病気で入院してたとか?」
姫子「……」
唯「え、あ、ご、ごめんね。
だめだよね、こんなプライヴァスィーのことに踏み込んじゃ……えへへ」
姫子「いや、別にいいよ。
ただタバコやって何回か停学くらってただけ。あとバイク。
うちの学校バイク禁止だから」
唯「ふーん、そうなんだ……
ごめんね、変なこと聞いちゃって」
姫子「いいよ、別に気にしなくても……」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:11:51.98 ID:HncYTn3j0
唯「……」
姫子「……」
唯「……」
姫子(空気が……死んだ)
唯「……」
姫子「あー……なんかごめん……
同じ学年とはいえ、年上と一緒にいるのってアレだよね。
私、こっちから帰るから」
唯「あっ、違うの、そういうのじゃなくて。
ただ変なこと聞いて申し訳ないなって思って……」
姫子「それは気にしなくていいってば」
唯「分かった、もう気にしない。
だから立花さんも私に気つかわないで!」
姫子「へっ」
唯「立花さん年上でも、私気にしないから!
同じ教室で隣同士のクラスメイトだもん!
大事なお友達だもんね」
姫子「と、友達……」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:17:36.10 ID:HncYTn3j0
唯「あ、ダメ……? 友達……」
姫子「えっ、ううん、そんなことないよ……
まさかそんなこと言われるなんて思ってなかったから……その」
唯「あっ、立花さん顔赤いよ!」
姫子「こっ、これは……違」
唯「えへへー、立花さんってカッコイイ系だと思ってたけど、
けっこう可愛いよねっ」
姫子「もう、からかわないで」
唯「へへ、ごめんごめん。
そうだ、あのさ」
姫子「何?」
唯「下の名前で呼んでもいい……?」
姫子「うん、いいよ」
唯「わーい、姫子ちゃんっ」
姫子「唯」
唯「えっへへー」
姫子「ふふっ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:24:20.31 ID:HncYTn3j0
翌日、教室。
ガラッ
和「おはよう、ゆ……い」
唯「あ、おはよー和ちゃーん」ぎゅーっ
姫子「ま、真鍋さん……おはよう」
和「何やってるの、唯」
唯「何って、姫子ちゃんに抱きついてる」
和(姫子……ちゃん……!?)
姫子「あはは……」
和「唯、離れなさい。
立花さんが迷惑してるでしょ」
姫子「あ、私は大丈夫だから」
唯「そーだよー。
私たち友達だもんね~姫子ちゃん!」
姫子「うん、そうだね」
和「……………………」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:30:45.49 ID:HncYTn3j0
…………
さわ子「じゃあ朝のHRはこれで終わり。
今日も一日頑張ってね~!」
わいわいがやがや
姫子「じゃね、唯」
唯「あれ、移動教室?」
姫子「うん、私化学とってるから」
唯「そっかー、じゃあまた後でね~」
姫子「うん」
唯「私たちは生物だね、和ちゃん」
和「え、うん、そうね……」
唯「どしたの?」
和「あー、なんていうか……
唯、立花さんと仲いいの?」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:39:48.65 ID:HncYTn3j0
唯「うん、そうなんだー。
昨日一緒に帰って仲良くなったんだよ~!」
和「ふーん……
言いにくいんだけどさ、唯……」
唯「なに?」
和「立花さんと仲良くするのはやめておきなさい」
唯「えっ……な、なんで!?」
和「なんで、って……知ってるでしょ。
あの人、留年してるのよ」
唯「それは昨日姫子ちゃんから聞いたけど……
なんで留年してたら仲良くしちゃいけないの?」
和「私生徒会だからよく知ってるんだけど、
立花さん去年タバコで何度も謹慎処分くらってたのよ。
それにバイクの免許もとったりしてて、
授業も出席日数ギリギリしか出てなかったのよ。
あとちょっとで退学になるところだったらしいわ」
唯「……姫子ちゃんがそういう悪い子だから、
仲良くするなってこと?」
和「ええ、そうよ。
友達は選ばなきゃダメよ、唯。
あんたの世間体にも関わってくるんだから」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:51:39.19 ID:HncYTn3j0
唯「せ、世間体って……
私、そんな考えで友達作りたくないよ。
ただ姫子ちゃんと仲良くしたいから仲良くしてるの!」
和「私は唯のためを思って言ってるのよ。
あんな不良と友達になるのは、唯にとって良くないわ」
唯「私にとって良いか悪いかなんて、
和ちゃんが決めることじゃないよ!」
和「あんたが不良と付き合ってるって知ったら、憂だって悲しむわよ」
唯「憂は関係ないじゃん!」
和「関係あるわよ。いいから立花さんと仲良くするのはやめなさい!
あんな不良と友達になるんじゃありません!」
唯「やだ! 姫子ちゃん良い子だもん!
私は姫子ちゃんと仲良くしたいのっ!」
和「唯っ!」
唯「和ちゃんの馬鹿! あんぽんたん! ババア声! 高校デビュー!
もういいよ! 和ちゃんなんて大っきらい!!! ふん!!!」
和「唯っ……」
キーンコーンカーンコーン
先生「はーい授業始めるぞー」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 15:57:45.34 ID:HncYTn3j0
昼休み。
唯「ふはー、やっとお昼だー」
和「唯、お昼ご飯……」
唯「姫子ちゃん!! 一緒に購買行こう!!」
姫子「えっ!? でも唯はお弁当……」
唯「お弁当も一緒に持っていくから!!
今日も偶然澪ちゃんたち休みだから大丈夫!!」
和「ちょっと唯! 待ちなさい!」
姫子「真鍋さんが呼んで……」
唯「あんなのほっといていいから!
ほら早く行くよ、姫子ちゃん!!」だだっ
姫子「ちょ、ちょっと待って唯……」
和「……」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:04:14.31 ID:HncYTn3j0
食堂。
唯「いただきまーす」
姫子「いただきます」
唯「姫子ちゃん良かったね~、
ゴールデンチョコパン買えて」
姫子「ああ、うん……
珍しかったからつい買っちゃった」
唯「良かったね~」
姫子「うん」
唯「良かったね~……」
姫子「……一口食べる?」
唯「えっ!? いいの!?」
姫子「うん、一口だけね」
唯「わーい、ありがとー」ぱくっ
姫子「どう?」
唯「おいしー!」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:09:21.29 ID:HncYTn3j0
姫子「そういえばさっき、真鍋さんなんか呼んでたみたいだけど」
唯「いいのいいの、
和ちゃんのことなんか気にしなくて」
姫子「ふうん……?」
唯「私もお弁当食べよ~」ぱかっ
姫子「わっ、美味しそうだね。唯のお弁当」
唯「えへ、そうかなー」
姫子「お母さんお料理上手なんだね」
唯「あ、これ作ったの妹なんだ~。
うちお母さんいないから」
姫子「え、あ、そ、そうなんだ……
なんかごめん」
唯「お父さんといっつも海外行っててさー。
全然家にいないんだよね~」
姫子「あ、そういうこと……」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:18:47.08 ID:HncYTn3j0
唯「姫子ちゃんのお母さんは? どんな人?」
姫子「ろくでなしだよ。
私が10歳のときに不倫して離婚した」
唯「へえー」
姫子「そのときお母さんのほうに付いてったのが間違いだったな。
新しいお父さんもろくでなしでさー、酒飲んでばっか」
唯「ふーん……」
姫子「まあそれで色々嫌になって、
中学の頃から悪いことばっかしてたな~」
唯「タバコとか?」
姫子「タバコは高校入ってからだよ。
中学の時は授業サボってゲーセン行ったりとか……
はは、こんなこと人に話すの初めてだ」
唯「そーなんだ。
もっと聞きたいな、姫子ちゃんの話!」
姫子「別に話してもいいけど……
もう昼休み終わっちゃいそうだよ」
唯「うわ、急いで食べなきゃ……」もぐもぐ
姫子「ふふ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:23:29.59 ID:HncYTn3j0
放課後。
さわ子「はい、じゃあHRはこれで終わり。
みなさん、さようなら」
生徒「さよならー」
生徒「さよーならー」
生徒「あーやっと終わったー」
生徒「つかれた帰ろー」
ざわざわ
唯「姫子ちゃん! 一緒に帰ろ!」
姫子「えっ?」
和「ちょ、ちょっと待ちなさい、唯!!」
唯「うるさいな、和ちゃんは早く生徒会行けばいいでしょ!!
私のことはほっといて!!」
和「ほっとかないわよ、待ちなさい!」
唯「やだよ!!」
姫子「な、なに喧嘩してるの?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:29:31.79 ID:HncYTn3j0
唯「ほら姫子ちゃん、早く帰ろ!!」
姫子「え、あ、でも真鍋さんが」
唯「ほっといっていいから、帰ろ!!」
和「待ちなさい、唯!」
唯「いーっだ!!
和ちゃんなんてシイタケになれ!」
姫子「意味がわからない」
唯「早く行こう、姫子ちゃん!」だだだっ
姫子「え、ちょ、ちょっと待ってよ」
和「唯…………」
音楽室。
梓「今日もひとり……」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:37:42.97 ID:HncYTn3j0
帰り道。
唯「まったくもう、和ちゃんは……」ぷんすか
姫子「ねえ、唯」
唯「何?」
姫子「真鍋さんと喧嘩でもしたの?」
唯「なんで分かったの!?」
姫子「見てたら分かるよ……
なんで喧嘩してるの? いっつも仲良かったのに」
唯「えー、だって和ちゃんったら、
唯は姫子ちゃんと仲良くするな、なんて言うんだよ?
姫子ちゃんが留年してるからって」
姫子「あ、そ、そうなんだ……私のせいで」
唯「あ、いや別に姫子ちゃんが悪いわけじゃないよ!
分からず屋であんぽんたんの和ちゃんが悪いんだから!」
姫子「いや、でも真鍋さんの言うことも尤もだよ。
大事な友達が、こんな不良と仲良くしてるなんて分かったら、
不安にもなるよね」
唯「姫子ちゃん……」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:49:21.84 ID:HncYTn3j0
姫子「私たち、仲良くならない方が良かったかも知れないね」
唯「そ、そんなことないよ!
仲良くならない方が良いなんてこと、絶対ない!
友達がいっぱいいたほうが楽しいもん!」
姫子「でも……私と仲良くしてたら、
ずっと真鍋さんと喧嘩したままになるよ?
それでもいいの?」
唯「そ……それは」
姫子「唯にとっては、私より真鍋さんの方が大事でしょ」
唯「どっちが大事かなんて決められないよ。
和ちゃんは親友だし、姫子ちゃんとももっと仲良くなりたいよ……」
姫子「唯の気持ちは嬉しいけど……」
唯「……」
姫子「ごめんね、やっぱり私が退くよ。
私が唯と絶交すれば、それで解決するもんね」
唯「だ、だめだよそんなの」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 16:58:48.50 ID:HncYTn3j0
姫子「唯……」
唯「せっかく友達になったのにお別れなんて嫌!
もっと姫子ちゃんと遊んだり喋ったりしたいよ!」
姫子「でも、真鍋さんが……」
唯「う……和ちゃんとも仲直りしたいけど……
だけど……」
姫子「……」
唯「わ、私どうしたらいいんだろ……
姫子ちゃんか和ちゃん、どっちか選ばなきゃいけないのかな……
そんなのやだよ……
両方と友達でいたいよ」
姫子「……」
唯「どうしたらいいのか分かんないよ……
姫子ちゃん、どうしよう……ぐすっ」
姫子「私は、私と唯が絶好すれば良いと思うけど……
唯はそれじゃ嫌なんだよね」
唯「絶対いや!」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:09:18.25 ID:HncYTn3j0
姫子「そっか……」
唯「そもそも和ちゃんが悪いんだよ……
姫子ちゃんのことあんなふうに言って……」
姫子「真鍋さんのこと、そんなふうに言っちゃだめだよ。
きっと真鍋さんは真鍋さんなりに
唯のこと心配してくれてるんだから」
唯「……姫子ちゃんはやっぱり大人だね」
姫子「1コ上だからね」
唯「私は全然そんなふうになれないや……
なんかあったらすぐ人のせいにしちゃうし、
悩みごとがあっても頭の中こんがらがっちゃって
一人で解決なんてできないし……
今だってそう」
姫子「ふうん……じゃあ、バイク乗せてあげようか」
唯「え、バイク? 姫子ちゃんの?」
姫子「うん。後ろに乗せてあげる。
ガーっとすっ飛ばしたら、頭すっきりするよ。
私もなんか悩みがある時はよく乗るんだ」
唯「へー、なんか楽しそう。
じゃあ乗せて、姫子ちゃん!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:16:42.68 ID:HncYTn3j0
一方その頃、和は。
和「はー、今日も生徒会疲れた……
早く帰ろう」
梓「あっ、和先輩」
和「あら、梓ちゃん。奇遇ね、何してたの?」
梓「音楽室にいました」
和「え、でも今日は部活ないんじゃないの?
偶然にも澪たちがみんな休んでるから」
梓「あっ、そうだったんですか?
良かったー、2日続けて誰も来ないから、
私だけハブられてるのかと思いましたよ」
和「ハハッワロス」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:24:08.10 ID:HncYTn3j0
帰り道。
梓「そういえば唯先輩も休んでるんですか?」
和「いや、唯は他の友達と帰ったわ」
梓「へえ、唯先輩って軽音部以外に友達いたんですね」
和「梓ちゃんはいないの?」
梓「いますよ!!!!」
和「そんなに力強く否定しなくても……」
梓「その友達ってどんな人なんですか?」
和「ああ、不良なのよ、不良」
梓「不良!?」
和「うん、タバコとバイクでなんども謹慎喰らって、
2回目の3年生をやってる人なの。
見た目も派手だし、制服の着方もだらしないし」
梓「へえー、唯先輩がそんな人と仲良くしてるなんて、
あんまりイメージ出来ませんね」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:32:48.10 ID:HncYTn3j0
和「そうなのよ、だから心配でね。
唯に、そんな人と付き合うのはやめなさい、
って言ったんだけど、全然聞いてくれなくて」
梓「そ、そんなこと言ったんですか」
和「言ったけど……何?」
梓「流石にそれはだめですよ。
友達と絶交しろなんて言われたら、
誰だって怒りますって」
和「だって心配なのよ。
唯が不良に染められて、
タバコとかバイクとかやったらと思うと……」
梓「大丈夫だと思いますよ、唯先輩なら」
和「でも」
梓「唯先輩は誰とでも仲良くなれちゃうタイプですけど、
相手に染められるとか、そういうのはないと思います。
むしろ相手を自分のペースに巻き込んじゃう人ですよ、唯先輩は」
和「……」
梓「その不良さんがどんな人かはよく知りませんけど、
唯先輩にとってはいい友達になるんじゃないですか」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:42:31.45 ID:HncYTn3j0
和「でもねえ……」
梓「そんなに不安がらなくても。
唯先輩がタバコ吸ったりバイク乗ったりするように見えますか?」
和「……見えないわ」
梓「そうでしょう。
だいたい和先輩は唯先輩の幼馴染なんでしょう?
唯先輩のことは、和先輩がいちばんよく分かってるはずです」
和「……」
梓「和先輩が唯先輩のことを
理解しようとしてあげなくてどうするんですか。
親友なら、ちゃんと友達のことを信じて、
やりたいようにやらせてあげるべきです」
和「うーん、そうねえ……
梓ちゃんの言うとおりかも知れないわね。
私、唯のことを分かってなかったかもしれないわ」
梓「分かっていただけて何よりです」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:53:52.27 ID:HncYTn3j0
和「そうよね、私が唯のことを
ちゃんと信頼してあげなきゃいけないのよね。
ありがとう、梓ちゃん。
私、今から唯の家に謝りに行ってくるわ」
梓「はい、頑張ってください。
じゃ私、こっちの道なんで」
和「ええ、またね……」
和(うん、私が間違ってた)
和(不良なんかと付き合っても、
唯が不良になったりするわけないんだ。
立花さんと仲良くしたいって言うんなら、
唯のことを信じてそうさせてあげるべきよね)
和(そして唯が選んだ立花さんのことも信じてあげなきゃ……
唯が仲良くなりたいっていうんだもん、
きっと良い人に決まってるわ)
和(そうよ、立花さんが非行に走って謹慎になったのは去年の話、
今年に入ってからは何も問題を起こしてないんだもの。
唯が彼女に影響されてタバコやバイクなんて、ありえない……)
とその時、
和の横を姫子と唯の乗ったバイクが通り過ぎていった。
和「ヘイタクシー!! 今すぐあのバイク追ってください!!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 17:57:34.46 ID:HncYTn3j0
すみませんちょっと中断します
7~8時くらいに再開するので
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 18:56:25.16 ID:HncYTn3j0
再開するでござる
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 18:59:19.50 ID:HncYTn3j0
一方その頃、唯と姫子は。
唯「わー、速い速ーい!」
姫子「どう、気持ちイイでしょ」
唯「うん、すごいよ!」
姫子「ホントは自分で運転するのが最高なんだけどねっ」
唯「私、卒業したらバイクの免許とるよ!」
姫子「うん、そうしなよ」
唯「でも今バイク乗ってるのが誰かに見つかったら、
やばいんじゃないの?」
姫子「大丈夫だよ、制服じゃないから
動物並の動体視力なきゃ誰が乗ってるかなんてわかんないって」
唯「そっかー、じゃあ大丈夫だね」
姫子「よし、もっとスピード出すよ!
しっかり掴まってて」
唯「うん!」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:05:59.01 ID:HncYTn3j0
――
――――
――――――
キッ
姫子「着いたよ、唯」
唯「ここどこ?」
姫子「私のお気に入りの場所……かな。
ほら、見て」
唯「わー、すごい……街中見渡せるよ」
姫子「悩みがある時とか、落ち込んだ時とか、
よくここに来るんだ。
一人でこうやって街を眺めてると、
小さいことなんか気にならなくなってくるんだ」
唯「へえー……」
姫子「唯は、どう?」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:15:02.51 ID:HncYTn3j0
唯「へ?」
姫子「唯の悩みに、決着はつきそう?」
唯「あー……
バイクに乗ってる間、ずっと考えてたんだけどね」
姫子「うん」
唯「やっぱり姫子ちゃんとは友達でいたい!」
姫子「えっ、でもそれじゃあ……
真鍋さんが」
唯「うん、和ちゃんとも仲直りしたい。
だから私、和ちゃんに信じてもらえるように頑張るよ!
姫子ちゃんは悪い子なんかじゃないって」
姫子「唯……」
唯「和ちゃんは分からず屋の石頭だけど、
ちゃんと分かってもらえるまで話してみる。
私に任せて、姫子ちゃん!」
姫子「うん……」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 19:22:59.93 ID:HncYTn3j0
和「唯っ!!」
唯「の、和ちゃん!?
なななななんでここに……」
和「馬鹿、バイクの二人乗りなんかして、危ないでしょ!!
それに学校の人に見つかったら謹慎よ!?」
唯「ご、ごめんなさい……」
姫子「わっ、私が誘ったの! 唯は何も悪くないわ。
怒るんなら私を……」
唯「ち、違うの、姫子ちゃんは悪くないの。
私が悩んでるの知って、
姫子ちゃんが頭すっきりするからって
バイク乗せてくれて……
私のためにしてくれたことだから、
だから姫子ちゃんは……」
和「悩んでるって、何を」
唯「和ちゃんと、喧嘩したこと……」
和「唯……」
運ちゃん「お、お客さん、タクシー代……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:32:04.51 ID:HncYTn3j0
和「バカね、そんなこと気にしなくていいのよ。
それこそ全部私が悪いんだから」
唯「和ちゃん……」
和「ごめんね、唯。私、唯のことを信じてあげられなくて。
どんな不良と付き合おうと、唯は唯なのにね……
それを私は分かってなかったわ」
唯「ううん、私も悪いよ。
和ちゃんは私のこと心配してくれてたのに、
つい怒っちゃって……ごめんなさい、和ちゃん」
和「こっちこそごめんなさい、唯」
唯「仲直り、してくれる?
これからも姫子ちゃんと友達でいていい?」
和「当たり前じゃない……
唯が選んだ友達なら、きっといい人だものね」
唯「へへ、それは和ちゃんもだよっ」
和「唯……」
唯「和ちゃん……」
紬「うんうん」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:38:24.91 ID:HncYTn3j0
翌日、教室。
ガラッ
和「おはよう、ゆ……い」
唯「あ、おはよー和ちゃーん」ぎゅーっ
姫子「ま、真鍋さん……おはよう」
和「なに、また抱きついてるの?」
唯「えへへー、姫子ちゃんあったかいんだよ」ぎゅーっ
姫子「あはは……」
和「もー、離れなさい。
立花さん迷惑してるでしょ」
唯「あっ、和ちゃん」
和「何?」
唯「その『立花さん』っていうのをやめよう」
和「は?」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:43:42.41 ID:HncYTn3j0
唯「姫子ちゃんも!
『真鍋さん』っていうの禁止!」
姫子「えっ? な、なんで?」
唯「せっかくだから二人にも仲良くなって欲しい!
だから苗字で呼び合うなんて他人行儀なことはやめて、
下の名前で呼び合おう!」ふんす
和「いや唯、いきなりそれは……」
姫子「はは……」
唯「えーっ、いいじゃん!
ほら、和ちゃんは『姫子ちゃん』、
姫子ちゃんは『和ちゃん』って!
さんはい!」
和「……」
姫子「……い、良い?」
和「う、うん」
姫子「の……和」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:49:07.69 ID:HncYTn3j0
唯「ほら和ちゃんも!」
和「う……ひ、姫子」
姫子「あはは……なんか照れるな」
唯「恥ずかしいのは最初のうちだけだよ。
これでもう二人は完璧に友達だねっ」
和「まだ名前を呼び合っただけなんだけど」
唯「そこまでいったらもう完璧に友達だよ!
ほら、記念に写真とろう、友達になった記念に!」
和「え~」
唯「ほら二人とも、もっと寄って寄って! もっとがしっと!」ぐいぐい
和「ちょっと唯、分かったから押さないで」
姫子「ふふっ……和も大変だね」
和「あ、分かってくれる?」
唯「じゃあいくよ、はいチーズ!」カシャッ
この後も色々あって和と姫子は友情を深めていくのだが、
それはまた別の話である。
お わ り
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/09(水) 19:51:07.31 ID:HncYTn3j0 [44/44]
これでおしまい
姫子ちゃんSSを全然見かけないので書いた
反省はしない
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コメント
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姫ちゃんダブりだったのか…
No title
それならあの色気も理解できるなw
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