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一方通行「北欧のオーロラに常識は通用しねェ」垣根「それ俺の台詞!」
・ねじの緩みきった一方さんと愉快な仲間達最終章
(「焼き肉パーリィだァ?」:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269524911/)
(「……ちょっと、三重行ってくる」:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1270291115/)
(「……ハッ、松坂牛!」:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1270909732/)
(「……北欧行く。行くったら行くンですゥ!」:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272268690/)
(「……サァァァンタさァァァァァァァァン!!」:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272778658/)
・ミサカ18264号=自称北欧出身の毒舌
・一応かくれンぼ→ジンギスカンパーリィ→(缶蹴り→)焼き肉パーリィ→三重旅行編→北欧編
常識が通用しなくてもわかるあらすじ
最終信号――じゃねえ、打ち止めに頼まれてかくれんぼを始めることになった一方通行は、その過程で上条当麻、御坂美琴、妹達、白井黒子、インデックスと親睦を深めたらしい。
なんだかんだでかくれんぼを「アクセラオーダーハイドアンドシーク」と命名しノリノリで挑んだ一方通行だが、
その後もなぜかジンギスカンパーリィをしたり缶蹴りをしたり焼き肉パーリィにもつれこんだりしたという。
ちなみに羊を捌く経験もしたとか女装もしたとか聞いたぜ。だっせ。てかきっめえ。
さて、そこで焼き肉パーリィの際に松阪牛を用意できなかったムカつく第一位は代償として、
三重サカと名乗るミサカ13874号を三重に送るついでに松阪牛の提供を申し出たんだそうだ。
そしてなんやかんやで学園都市から出るときに『アイテム』の軽トラを借りて三重に行き、
まあそこで温泉入ったり枕投げしたり卓球しそうになったりのぼせたり電脳空間彷徨ったり上条と尾行していた海原が禁断のエリアに突入したりした訳で、
海原といえば三重旅行には『グループ』がついてきていたことも後で発覚したとかしてないとか知らねえよ俺に聞くなよ説明させんなよ行ってねえよムカつくな。
……んで、現在一方通行達は北欧に行っていてなんだかんだで俺も北欧に来たが一方通行を倒すために来たのであって決してオーロラを見たい訳じゃねえ。
訳じゃねえっつってんだろそこで笑ってんなよ『グループ』全員死ね。
そう、俺こと垣根帝督がスレタイからも察することができるように北欧旅行の裏主人公なんだが、
一方通行は俺のダウン真似するし俺のガイドブック盗むしあいつもう俺に主人公の座を譲るべきだろ常識的に考えて。
「え? アンタ常識通用しないんじゃなかった? 前言撤回かにゃーん」
はぁあ? 一般常識くらい兼ね備えてますぅ麦野死ね。
どこまで話したか忘れたが、あー、えっとつまり今北欧にいるのは俺とそこのお嬢さんふたり20000号と14510号、
あと麦野とか『グループ』の連中とか……そういえば超音速旅客機の中に誰だかわかんねえサンタコスしたおっさんがいたな。
ありゃ誰だ? ていうか一方通行って何のために北欧行ってんだあいつ。
「あいつは北欧出身の18264号を北欧に送り届けるつもりでこっちに来てるんだが」
オーロラ? オーロラな訳? 俺より先に見るとかマジねーわ、許さねえぞ第一位ぃぃぃいいいいい!!!!!!!
「ああ、これ話全然聞いてないですね。まったく聞いてないです」
一方通行「なンか今すげェ殺気感じた」
打ち止め「ここは北欧だよ? ってミサカはミサカはあなたの心配が杞憂であることを指摘してみる」
一方通行「……白タイツきめェ。脱ぎてェ」
18264「あらあら似合ってますよー? とミサカは珍しいにやつきっぷりでしかとその姿を目に焼き付けます」
一方通行「オマエ明らかに20000号乗り移ってンだろ。そォなンだろ!?」
インデックス「あくせられーた、叫ぶのはいいけどここはサンタの家から数百メートルしか離れていない空き地だから叫び声は響いちゃうんだよ」
8 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 23:01:56.47 ID:IF1u9Cc0
サンタの家
木原「すいませーん、誰かいますかぁー」
シーン
木原「ま、いなくてもとっとと制圧しちゃうぜぇ?」
ギィー
スタスタスタ
木原「にしても、せっめぇ家だなここ。どうせサンタの家ってのは客寄せ――、!」
??「そこにいるのは誰ですか!」
シュンッ
木原(んだぁ、これ……長刀、か?)
??「侵入目的を名乗り出てください、できれば魔法名は名乗りたくないので……え?」
木原「……、姉ちゃんよぉ。アンタ、サンタクロースか?」
??「なっ、い、いえこれは決して上条当麻がここにくると聞いたからサンタコスをしているわけではなく、インデックスがくると聞いたのでこうしているだけです!」
木原「いや誰だか知らねえし興味もねえけど、とりあえずお前がサンタだってんなら今すぐサンタの家を俺に明け渡せ」
??「私がサンタなわけありません! たしかに聖人ですが、私は神崎火織という必要悪の教会の人間で」
木原「ネセサ……? まあ、どうでもいいわ。いいからよー、さっさとここ、譲ってくれねぇと俺も困っちゃうわけよ」
神裂「そうはい神裂……私はここでインデックスに会うためにわざわざ派遣されたのですから」
木原「(そうはいかんざき?)あいにくこっちも派遣なんだがな。あー、めんどくせぇ。金ならやるからとっとと失せろ」
神裂「魔術師が金で動くとでも? 並みの魔術師ならともかく、私は」
木原「だいったいよぉ、姉ちゃんのその巨乳でサンタコスってどうよ? 子どもの教育によろしくねぇよなぁ」
神裂「!? す、好きでこんなに大きいわけじゃありません!」
木原「いやー、あのクソガキが小せぇ頃にアンタみたいな巨乳がサンタコスしてるの見たらどんな反応してたかわかったもんじゃねぇな」
神裂「……、……」プルプル
木原「ほらほら、金ならやるっつってるうちに去ったほうが懸命だぜぇ? 小切手書いてやるから、小切手」
【支払人:アレイスター=クロウリー】
12 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/22(土) 23:17:19.66 ID:IF1u9Cc0
神裂「……、あなたの名前はアレイスターですか」
木原「あ? ちげぇよ、それは俺の上司だ。めんどくせぇしそいつに払わせるからどんな金額でも書きやがれ、8兆円とか」
神裂(は、8兆!? それだけあればもっと家電製品を増やせますが、いえでも今のままで十分……いっそあの子に何か買ってあげるというのは……)モンモン
木原「それが嫌なら実力行使――悪いなぁ、まぁちっとも心は痛まねーけど死んでもらうぜサンタコスの巨乳姉ちゃんよぉ」
神裂「! 無用の争いは避けるべきですね……しかし、この家を乗っ取ってどうするのですか」
木原「あ? 決まってんだろ、クソガキに俺がサンタって思い込ませるだけだ」
神裂「!? み、見た目にそぐわずなかなか子ども思いなのですね。子どもの夢を壊さぬように率先してサンタになろうとするとは」
木原「? あー、いや、壊すつもり……まぁいいわ。で、譲ってくれんのかぁ?」
神裂「あい。どうやら悪事に使うつもりはない様子、でしたらどうぞ、小切手も結構です。もともと私もここの管理を任されて一日しか経っていませんから」
木原「そりゃまた新入りもいいとこだなおい」
神裂「本当はインデックスに会いたかったのですが……いざとなればまたすぐに会えるでしょう。では、よろしく頼みますね」
木原「ああ。ていうかなぁ、最初から言いたかったことなんだけどよぉ」
神裂「?」
木原「その、サンタの衣装がデニム素材で出来ていてわざわざ赤く染めている理由ってなんなんですかぁ?」
神裂「……手渡されただけです! 決してデニム好きだから無理を言ってこうしてもらったとかそういうことは一切ありません!」
バタバタバタ
ギギギィ ザンッ バタン
木原「……、……っておい。あの姉ちゃん、ドアを開ける手間を省くために長刀でドア斬っていきやがったぞ」
木原「まぁ、どうでもいいか。なんだこの封筒の山」
チクタクチクタク ポーン ボーン
木原「サンタさんへの手紙? ああ、そういやフィンランドのサンタは返事書くんだっけか。子どもをいつまで騙すんだ、サンタってのは……いや、俺も人のことは言えねぇな」
一方通行『木原くンさァ、年いくつゥ?』
木原『ピッチピチの17、永遠のセブンティーンだぜぇ?』
一方通行『へェ、じゃあ俺と少ししか違わねェンだなァ』
16 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/22(土) 23:35:01.87 ID:IF1u9Cc0
木原『ああ、そうだな。だから殴ろうとすんな』
一方通行『年が近ェなら殴ってもオアソビで済むじゃねェか。俺専用のサンドバックになってくンね?』
木原『ふざけんなよ一方通行、テメェ昨日は俺が大人でむかつくからって殴ろうとしただろうが』
一方通行『うン』
木原『そこで素直に頷くなクッソガキ』
一方通行『だって木原くンむかつくしィ、見ててイライラするしィ、殴りてェ』
木原『なんだお前、構われたい盛りか? 実験でよけりゃたっぷり可愛がってやらぁ』
一方通行『でも、他の研究員よりはマシだわ。木原くンも俺のことビビってンだろォけど、それ以上にうぜェくらい話しかけてくるもンなァ』
木原『そりゃ、俺がテメェの研究を任せられてっからだよ』
一方通行『オマエに脳味噌いじくりまわされなくても俺は最強だっつのォ』
木原「もう最強じゃねぇんだろうな、あのガキ。いいザマだ」
木原「俺を殺しておいてテメェは笑顔で楽しく北欧旅行ってかぁ? 全然よくねえ。それじゃまだまだ甘ぇよ、一方通行」
木原「……だからよぉ、外で騒いでねぇでとっとと入ってきやがれ。んで、サンタなんざいねえって知って絶望死してくれりゃこっちの気も晴れるってもんだ」
ブゥゥゥン
垣根「なあ、風景がもうつまんねえんだけど。家すらねえんだけど」
14510「どうやらそろそろサンタの家につくようです、とミサカは説明しつつ減速します。距離にしてあと4キロ弱でしょうか」
土御門「運転が荒かったせいだな。この分だと一方通行達に合流できそうな勢いだ」
20000「もにゅもにゅたまらんかった、とミサカは恍惚と告げます。あれが胸の感触……ミサカが味わえないものです」
麦野「ああ、そっか。アンタら第三位のクローンだもんね、そりゃ味わえないわ」
結標「もしかしたら将来は大きくなるかもしれないわね。負けちゃだめよ」
海原「胸の大きい御坂さん、ですって……!?」
ブゥン ピタリ
14510「つきました、とミサカはあたりを見回し――あ、あれはサンタコス(ミニスカ白タイツ)の一方通行さんでは!? とミサカは、ミサカはぁぁぁぁあああ!!!!」ダダダッ
35 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 12:23:33.71 ID:AcihWu60 [3/21]
一方通行「白タイツとか……マジきっめェ……」
美琴「ミニスカに違和感を覚えなかった自分を恨むのねー」
黒子(お姉様のミニスカやばすぎますの。普段短パンで隠されている太ももが露に、露にぃぃいいいいい!!!)ブシュッ
18264「鼻血がとんでもないことになってますが、とミサカは控えめにジャッジメントに教えてあげつつ鼻血を拭くための白い布を手渡します」
黒子「んまぁ、ありがとうございますの。あら、この布とても拭きやすいですわ」フキフキ
上条「あのさあ、水差すようで悪いかなって思うんだけどな」
打ち止め「?」
上条「サンタに会うためにそれ着てるなら、どうせ着なくたって会えるってわかったんだし、脱いでもいいんじゃねえの?」
一方通行「!!!」
インデックス「たしかにその通りかも。あくせられーた、とっても似合ってるけど無理に着ることないんじゃないかな」
打ち止め「ヨシカワにはあなたのサンタコスをしっかり写真におさめてきてねって言われてたんだけど、とりあえず今撮っちゃえば問題ないと思うってミサカはミサカはあなたを激写!」
パシャパシャ
一方通行「って堂々と撮ってンじゃねェクソガキ!」
打ち止め「ふっふっふ、すでにあなたのサンタコスはミサカの手の中よってミサカはミサカは胸を張ってみる!」
美琴「あー、じゃあアンタが脱ぐなら私達が着てる理由も、な、ないわよね……」チラッ
上条「まあそうなるけど。でも嫌がってるしな、それでいいんじゃないか」
一方通行「……ガキ。俺の写真だけ撮っといて自分は撮らねェってのは卑怯じゃねェ?」
打ち止め「え? じゃあ、集合写真でも撮っちゃう? ってミサカはミサカはタイマーセットをしてみたり!」
美琴「! しゅ、集合写真、ってことは……私も?」
一方通行「当たり前だろォが。俺だけ恥晒してハイ終了、なンて許さねェぞ。三下、オマエもなァ!」
黒子「(お姉様の隣にあの殿方を並べるのはむかつきますが、仕方ありませんの)お姉様の右隣は譲って差し上げますわ!」
上条「うお!? あ、おう。ありがとな」
インデックス「わーい、写真写真ー、……ん? この鼻血まみれの白い布って……」
打ち止め「タイマーが起動するよーってミサカはミサカは状況説明してみんなを促すの!」
カシャッ
37 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 12:41:23.12 ID:AcihWu60 [4/21]
一方通行「さァて、脱ぐかァ」
打ち止め「じゃあミサカも着替えるーってミサカはミサカは着替えを手にとってみる」
一方通行「……あン? 俺の服どこいった」
インデックス「ねえねえ、この白い布ってもしかしてあくせられーたのものじゃないの?」
一方通行「……、おい待てコラこの俺のTシャツなンで鼻血まみれになってやがンですかァ!?」
黒子「あらあらまあまあ、あなたの服でしたの? 気づきませんでしたわ、申し訳ございませんの」
一方通行「俺ちゃンとたたンでそっち置いといたンですけどォ、なンでオマエ鼻血拭くのにわざわざ俺の使ったンだよ!」
18264「ああ、それはミサカが差し出したからですよとミサカは懇切丁寧に説明します。ざまあみろ、これでもう着替えることはできないですね」
上条「さ、策士だ……!」
美琴(一方通行が着替えないなら私もこいつもまだ着たままってこと、よね!)
一方通行「……、……クソったれ……」
18264「似合ってるからいいじゃねーか、とミサカは適当に同情しなぐさめます」
打ち止め「うわあ、このTシャツはクリーニングに出さないとだめかも、ってミサカはミサカは真っ赤なペイントが施されたTシャツにちょっと引いてみる」
14510「今なんか写真撮影した!? なにあれミサカもまざりたいとミサカは速度を速めま」
垣根「待った待った、ちょっと落ち着けよお嬢さん」バッサバサ
14510「!? なんですか今のミサカを止めるということは馬に蹴られて死ぬ覚悟があるってことですか! とミサカは白い翼を押しのけようとします」
垣根「だから落ち着けって、連中の様子見てみな? なんか変じゃねえか」
土御門「一方通行がミニスカサンタなのはまあ……誰かにそそのかされたに違いないが、どうして膝を抱えているのか気になるな」
結標「ここから彼だけ呼び寄せましょうか。お望みとあれば服を脱がして呼び寄せることもできるわよ?」
20000「ぜひ! ぜひそうしてくださいとミサぶふっ」
14510「ふざけんなあああああああ!!! 一方通行さんの肌はミサカが守るうううう!!! とミサカは20000号を殴り飛ばします!」
海原「御坂さんが御坂さんを殴っている、と考えるとなんともバイオレンスな……いやでも……いける」
麦野「いけんのかよ」
40 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 12:51:04.54 ID:AcihWu60 [5/21]
上条「なんか向こうが騒がしいなー、ってなんだあれ! 白い翼ぁ!?」
一方通行「クリーニング……ちっくしょォ……あァもォ……」
黒子「す、すみませんでしたの、あなたのものだとわからなかったばかりに! 鼻血くらいサンタの衣装なら目立たないことを考慮するべきでしたわ」
美琴「いや、それもどうかと思うんだけど」
インデックス「あの翼、この世のものじゃないような気がするんだよ。でも男の人から生えてるかも」
打ち止め「! 14510号と20000号がいるねってミサカはミサカは白い翼の人に抱えられて飛んできているのは14510号かなって推測してみる」
18264「チッ、とミサカは舌打ちをし、いまだに落ち込んでいるセロリの意識を呼び覚まします。めざめろー」
一方通行「あーもォ……鼻血とかよォ……どンなデザインですかァこれェ……」
14510「ふおおおお、空を飛ぶってすごいコマンドですとミサカは感心しますが急いでください」
垣根「人使い荒いっつうの。よいしょ」
バッサバッサバサバッサ
美琴「……こっち来てるわよね? あれ」
一方通行「今日はずっとこのカッコとかよォ……ねェわ、ねェって……」
垣根「おいこらああああああ!!! 聞こえてるかそこのサンタ集団んんんんんんん!!!!!!」
上条「叫んできた!?」
一方通行「うっせェ……俺は今ひとりの世界に浸りたいンですゥ……」
美琴「なにこのネガティブな白いの」
14510「聞こえますかあああああああ一方通行さあああああん!!!!」
18264「マジうっせえ、とミサカは露骨に不興顔をしてみせます」
打ち止め「ていうかその前にこの人どうにかしないと、ってミサカはミサカは膝を抱えたままのこの人を必死でなぐさめてみるんだけど」
41 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 13:06:33.24 ID:AcihWu60 [6/21]
スタッ
垣根「よぉ第一位!」
一方通行「……ン、……ああ、だっせェダウンの」
垣根「んだこら死にたいのかテメェ」
14510「あ、あの、ミサカは、その、サ、サンタコス、に、似合ってます……とミサカは一方通行さんと目を合わせることもできないのですが」
一方通行「あァ、どォも……」
垣根「え、なにこいつ。なんでこんなテンション低い訳? なあなあ第三位」
美琴「その前に、アンタは誰なの?」
18264「学園都市第二位の垣根帝督ですお姉様、とミサカは彼を説明します。メルヘンな翼の目撃証言が各地で相次いでいますが、それはすべて彼ですとミサカは補足説明します」
上条「第二位!? このお兄さんが!?」
垣根「いやあどうも。第二位で未元物質、長点上機に在籍中のイケメルヘン垣根帝督です」
黒子「イケメルヘンって自称したら末期ですわね。ところで第一位さんとは知り合いで?」
垣根「知り合いっつうか、こいつには貸しがあんだよね。ダウンとガイド」
インデックス「あ、そういえばあなたのダウンとあくせられーたが着ていたダウンは似ているかも」
垣根「だろ? そいつパクった訳。んでさ、何そのカッコ。何そのミニスカサンタ」
一方通行「……、……、……、あ」
垣根「?」
一方通行(どういうわけか俺は数着ミニスカを買ってきちまった……つまり)
一方通行「14510号とイケメルヘン、オマエらサンタに会うにはミニスカ着用が義務付けられてるって知らねェのか?」
14510・垣根「「!?」」
上条(騙したな)
美琴(道連れにしようとしてるわね)
黒子(目がもはやなげやりですの)
打ち止め(14510号はともかく、あのお兄さんは信じないんじゃないかなってミサカはミサカは考えてみる)
18264(まあジーンズは無事だし着替えようと思えば着替えられるんだけどな、とミサカは気づいていない一方通行に指摘しません)
14510「だからあなたはサンタコスをしているのですね、とミサカは感極まって一方通行の全身をくまなく見つめます」
42 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 13:20:48.00 ID:AcihWu60 [7/21]
垣根「……、義務だと? そんなもん嘘に決まって――」
一方通行「なンならこのシスターにでも聞いてみるかァ? なァ、シスターさンよォ」
インデックス「(あくせられーたの目が話を合わせろって言ってるかも)うん、義務付けられてるんだよ」
垣根「」
14510「」
一方通行「サンタクロースってなァ、元を辿れば聖人だァ……ンな大層な人間の前に、普段のカッコで出られるかいや出られねェ!」
上条(反語?)
美琴(反語ね。アンタもちょっと賢くなったじゃない)
上条(バカにしてるんでせうか御坂さん)
垣根「……は、だからといってミニスカになる必要はどこにも」
インデックス「あなたはスコットランドのキルトを知らないのかな。あれは男性用のスカートみたいなものだけど、あくせられーたのもそんな感じなんだよ」
垣根「マジで!?」
一方通行「シスター うそつかない おれ うそつかない」
14510「と、いうことは……着ていても恥ずかしくないむしろ当たり前なミニスカということですね、とミサカは神妙な顔付きで頷きます」
一方通行「あァそォだ。そこでオマエら――サンタに会いたくねェか」
黒子(着せる気満々ですのね)
18264(あ、向こうから数人歩いてきますね、とミサカは観察結果を述べます)
打ち止め(20000号が捕まった宇宙人みたいに連行されてるんだけどってミサカはミサカは何があったのか気になる)
垣根「サンタ? はっ、そんな子供だましみてえな存在に会いたいだなんて」
一方通行「オマエはまだ見えてねェよォだなァ……だから第二位なンですよォ。サンタさンに会うためにミニスカも着られねェようじゃ、到底俺には勝てやしねェ」
垣根「!」
一方通行「オマエは俺を倒したいンじゃねェのか? だったら俺と同じ条件くれェクリアしてみせろよ」
垣根「……、念のため聞くが、ほんっとーに民族衣装なんだな? ミニスカとかそういう意味はないんだよな?」
一方通行「あァ。野郎の生足見る趣味はねェ、ストッキングか白タイツ貸してやンぜ」
垣根「恩に着る。じゃあ白タイツで」
14510「では、ミサカはストッキングでお願いしますね、とミサカは頼みます」
一方通行「おォ。ン」
46 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 13:36:06.94 ID:AcihWu60 [8/21]
スタスタスタ
20000「すみません暴れないんでもうそろそろ解放してくださいとミサカは両腕を持ち上げている二人に慈悲を乞います」
土御門「そう言われても、さっき14510号を羨ましがって手当たり次第暴れてたからにゃー」
海原「前科持ちって辛いですよ、……結標さん? どうしました」
結標「向こう。気のせいじゃなければ、垣根が着替えてる気がするんだけど」
麦野「んー、どれど……うわ。だめだね、あれはない。あれはないわ」
土御門「えー、……うっわ。気色悪い。ていうかなんであいつまでミニスカ着用してるんだ」
海原「しかも若干誇ってるっぽいのがなんとも言えないんですが」
20000「なにあれミサカもおそろいがいいーとミサカは手足をばたばたさせます。この宇宙人の図いい加減やめませんか」
土御門「あともう少しの辛抱だぜい」
海原「ええ。……男ふたりが白ストッキングでミニスカって正直見ていられませんね」
麦野「あれで白い翼生やすのちょっと想像してみたんだけどさ」
一同「……、……」
麦野「……ごめん失言だったわ」
結標「ほんとミニスカとか勘弁してほしいわよね……」
土御門「結標、お前の格好はそれミニスカサンタじゃなきゃなんなんだ」
20000「あ、これコツ掴むと浮遊感楽しい、とミサカはどんな逆境でも諦めず楽しむ不屈の精神でぶらぶらします」ブラーンブラーン
サンタの家
木原「……まだかぁ? ちょっと外の様子見てみ……」
ソローリ
ジーッ
木原「サンタばっかじゃねぇか。ありゃ一体なんだ? サンタコスでも流行ってんのかぁ?」
木原「……まぁ俺もだけどよぉ」
48 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 14:46:42.45 ID:AcihWu60 [9/21]
垣根「きっつ。これきっつ」
一方通行「……なンつーかさ、すすめた俺が言うのもなンだけどよォ」
垣根「あ?」
18264「ではミサカが代弁しましょう。正直見ていられねえ、とミサカは第二位にきっぱり告げます」
上条「まあ……一方通行は線が細いし中性的だからなんとかなるけど、そこのお兄さん上背あるし」
美琴「それにミニスカがもうありえないレベルのミニよね」
インデックス「あくせられーた。もしかして、フリーサイズなのかな?」
一方通行「あァ。だから俺はなンとか着ることができたわけだけどさァ……」チラ
垣根「その視線の寄越し方やめてくんない」
美琴「私もけっこうミニだと思ってたんだけどなー、これ」ピラリ
黒子「うぉぉおおおお姉様ぁぁぁああ!? いっ、いい、今のピラリってなんですの!? なんて黒子殺しの太ももなんですのぉぉおおお!!」ブシュッ
打ち止め「あ、また鼻血だねってミサカはミサカは後輩さんの鼻は弱いのかなって心配してみる」
一方通行「あー大変だァ。ツインテメント、これ使って鼻血拭けよ」ポス
黒子「ありがとうございますの」フキフキ
垣根「おいそれ俺のシャツ」
上条「一方通行、さっきのよっぽど頭にきてたんだな」
18264「赤の他人に仕返しするくらいにですね、とミサカも概ね同意します」
打ち止め「ところで向こうから歩いてくるのって、前に飛ばしてくれたあなたのお友達じゃない? ってミサカはミサカは指を差してみたり」
一方通行「あン? ……え、なンだあいつら……」
垣根「気づいてねえとは、第一位も落ちたもんだな! 『グループ』総出でテメェの北欧旅行についてきてやがるぜ?」
一方通行「今まさにハイスピードで落ちてるオマエにだきゃ言われたくねェ」
51 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 14:59:13.09 ID:AcihWu60 [10/21]
上条「ってことは、あのサングラスはやっぱり土御門か」
美琴「……海原さんまで。あの宇宙人と化してる妹は何号よ」
黒子「結標さんもいらっしゃいますが、となりの女性は誰ですの?」
打ち止め「えっとね、あれは20000号で、となりの女の人はたしか――」
垣根「ああ、麦野か? 第四位の原子崩し、聞いたことねえかな」
美琴「!!」
一方通行「格下はいちいち覚えてねェな。ンで、そいつがなンでいンの」
垣根「オーロラ見るためじゃね?」
一方通行「はァア?」
垣根「……じゃなくて、俺と麦野でテメェをブチ殺すんだよ一方通行!」
上条「かっこつけてるとこ悪いんですが、ミニスカだとシュールでしかないんですよお兄さん」
垣根「お兄さんじゃねえ、帝督さん! 帝督さんと呼べ」
一方通行「なンでオマエにさン付けしなきゃなンねェのか三十字以内で頼むわ」
土御門「おーい、そこのサンター」スタスタスタ
上条「やっぱり土御門かよ……」
海原「ふう。疲れましたね、さあもう解放しますよ」バッ
ベシャ
20000「いだぁ! とミサカは尻餅をつき、臀部をさすりながら」
一方通行「……おい、大丈夫かオマ」
20000「あ、セロリたんの太ももが目の前にあるううう! とミサカは抱きつきます」
一方通行「」
18264「優しくするとそいつはすぐにつけあがるんだっつの、とミサカはなんやかんやで妹達に甘い一方通行をたしなめてみます」
14510「お前まじふさけんな見物料寄越せよあと感覚共有しろとミサカは命令します」
一方通行「同類じゃねェかよ」
52 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 15:11:23.07 ID:AcihWu60 [11/21]
麦野「……第三位ねえ。まあ、面倒なことは抜きにするか」
美琴「……ここでやる気はないわけね?」
麦野「最初の予定は第一位をブチ殺す、だったんだけどさあ。ほら、あれ見てよ」
垣根「うわ、まじだっせ。女の子にからかわれてるとかまじだっせ」
一方通行「クソ似合わねェミニスカで足晒してるオマエのほうがだっせェ」
垣根「お前も晒してんだろ」
一方通行「俺は似合うからいいンですゥ」
美琴「……だめね」
麦野「そ。だからさ、もう北欧楽しんじゃおうと思ってんのよ。ところでこの残ってるミニスカ、私も着ていいのかな」
美琴「いいんじゃない? 余ってるみたいだし」
結標「麦野さん、あなたもショタを狙っていたなんて知らずに仲良くしてしまったわ……でも譲らないから!」
麦野「狙ってねーし興味もねーよこのショタコンが」
上条「お前らまたきてたんだな」
土御門「まあにゃー。これでも最初からついてきてたんだぜい」
上条「海原も大変だろうに」
海原「ええとても大変なのでこちらを見ないでいただけますか特に唇」
上条「?」
20000「ああ、思い出しちゃうんですねー、あの熱いせっぷあbbbbbbbb」
打ち止め「余計なこと言っちゃだめってミサカはミサカは20000号を制御してみる。あれはみんな忘れるべきなの!」
結標「中身はともかく見た目は一方通行だったものね。あれで一応AV作成してみたんだけど」
20000「いいいいる! いります! 何万で売ってもらえますかとミサカは起死回生しつつあbbbbbbb」
18264「……ちょっとは学習しろよ、とミサカは20000号の相変わらずのタフさにもはや辟易しています」
インデックス「あれ? 向こうのサンタの家に明かりがついてるんだよ。これは本当にサンタがいるのかも」
一方通行・垣根「「!!!」」
上条「帝督さん信じてるじゃないっすか」
54 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 15:19:36.68 ID:AcihWu60 [12/21]
一方通行「ンでェ? オマエらどォすンだァ?」
垣根「これを着た以上、サンタとやらを拝まねえうちはオーロラを堪能できねえな」
麦野「それよりさ、この衣装胸きついんだけど」
美琴「!?」
結標「私も最初に購入したやつは胸がきつかったから買い直したわね。……あ」
美琴「……、……」ブルブル
麦野「ま、まあ胸なんて揉めば大きくなるって! 多分ね」
結標「そ、そうよ! それに胸ってあると走るとき邪魔よ?」
黒子「お姉様はその慎ましい胸も立派なチャームポイントですのよ!」
一方通行「ンなに気にする問題かよ、ガキが」
美琴「な、ん、で、す、ってぇぇえええええ!!!!!」ビリビリビリ
上条「落ち着け御坂ぁ! 上条さんは胸の大きさより形が大事だと思いますよ!?」
美琴「――!」ピタッ
垣根(なあなあ、第三位ってあのウニ頭に惚れてんの? なあ惚れてんの?)
一方通行(そうなンじゃねェの。なァ土御門)
土御門(あれは立派な患者だにゃー、恋の病の)
インデックス(私の十万三千の魔導書にも対処法がないんだよ)
海原(あろうものなら世界中で欲しがりますね、きっと)
14510「一方通行さんは胸を気にしないようですね、とミサカは自分の膨らみに乏しい胸を見つめます」
20000「あれ、そういえば上位個体って前に素っ裸見られてませんでした? とミサカは確認しますが」
打ち止め「う、ってミサカはミサカはあの日を思い出してみる。あとね、ヨミカワヨシカワと一緒にお風呂入ったときも見られたんだけど」
14510・20000「「だけど?」」
打ち止め「無反応だった、ってミサカはミサカはちょっとしょんぼりしてみる」
14510「無反応、だと……!?」
20000「ロリコンかと思ったら! まさか異性に興味がな……待てよ、実は百合子ルート……じゅるり、とミサカは百合展開もいけることを主張しまべしっ」スコーン
一方通行「ンなルートはありませン!」
56 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 15:41:51.77 ID:AcihWu60 [13/21]
サンタの家・ドア前
一方通行「ここに……伝説のヒーローがいるンだなァ……!」ゴクリ
垣根「ああ……白い衣装を血に染め上げたことで有名なあの惨多苦労子が……」ゴクリ
上条「待て待ておかしい。今の当て字おかしい」
一方通行「やべェ、緊張してきたァ……ひっひっふゥ、ひっひっふゥー」
垣根「お前それ産むときのやつじゃね? はっはっひー、はっはっひー」
土御門「はっはっひーって何を生み出そうとしてるんだ、垣根」
打ち止め「ねえねえ、そろそろ開けてもいいかなってミサカはミサカはドアノブに手をかけてみる」
美琴「そうね。サンタがいるかどうかはともかく、こんなバカ共はほっといていいわよ」
麦野「サンタって昔はテレポーターなんじゃないのかしらって思ってたわ」
結標「ああ、私も考えたことあるわよ。あの巨体でどうやって煙突通るんだか」
海原「でも、サンタのイメージって世間に浸透しているのがあの巨漢ってだけですしね。もしかしたらスリムで無駄のない体つきのサンタこそ本物かもしれませんよ」
18264「もしそんなサンタがいたら子どもだけじゃなく大人にも人気が出そうです、とミサカはイケメンの需要の高さを指摘します」
インデックス「聖ニコラウスが絵画に描かれ始めた当初は痩せていたんだよ。サンタクロース、って世に広まってからはあの姿だけど」
20000「ほうほう、このシスター物知りですね……四十八手とか全部言えます? 説明できます? とミサカは解説を要求します」
14510「お前何ナチュラルにとんでもないこと強要してんの!? とミサカは驚き呆れます」
打ち止め「いーい? 開けるよー? ってミサカはミサカはがちゃり!」
ガチャリ
ガタンッ
一方通行「お、お邪魔しまァす……」
垣根「しつれーすんだけどー、誰かいますかー、ってぇ!」バシッ
一方通行「オマエふざけンなよォ!? サンタさンがいらっしゃったらどォすンだ無礼者めがァ!」
打ち止め「えっと、誰もいないのかなー、ってミサカはミサカはとりあえず室内をきょろきょろしてみる」
木原(あまりの大人数っぷりに思わずクローゼットの中に隠れたはいいが、この先どうするべきだ……?)
57 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 16:01:26.30 ID:AcihWu60 [14/21]
黒子「誰もいないようですわね。ではどうして明かりがついたのでしょうか」
インデックス「うーん、さっきたしかに誰かがいるような気がしたんだよ」
上条「でも誰もいないぞ?」
キョロキョロ
木原(隙間から見える……って何してんだあのガキは! なんだあのミニスカ……俺はそんな能力者に育てた覚えはねえぞ)
一方通行「サンタさン、仕事してンじゃねェの?」
垣根「ああ、そういや疑問だったわ。世界中の子どもにプレゼントを届けるあいつは一体どれくらいの金持ちなんだろう、ってな」
土御門(それはまあ各家庭で負担してるしにゃー)
一方通行「俺らなンかよりすげェンじゃね?」
麦野「あら、一方通行って借金8兆円あるんじゃなかった?」
美琴「は、8兆!? アンタ、賭け事するにしてもそれはないでしょ」
一方通行「うっせェな、賭けたのは自分の命だクソったれ」
木原(なるほど、あの事件のあとに8兆円の借金を負ったってわけだ。は、ざまあねえな一方通行よぉ!)カタン
一同「!!!」
打ち止め「い、今、クローゼットのほうから音がしなかった? ってミサカはミサカはおそるおそる訊ねてみる」
上条「たしかに聞こえたな。何か――誰か、いるのか?」
木原(うっかり興奮しちまったじゃねえか一方通行! どうする、どうすればあいつを絶望させることができる……!?)
海原「サンタクロースがクローゼットに立て篭もるわけがありませんね。侵入者かもしれません」
木原(立て篭もるサンタクロースがいたっていいだろうがよ。知らねぇけど)
垣根「そもそもこの家おかしくね? さっき誰も触れてなかったけど、ドアとか謎の斬り跡があったじゃねえか」
一方通行「サンタさンが剣術の練習してたンだろ」
打ち止め「あなたはサンタクロースに全幅の信頼を置くようになったのね、ってミサカはミサカは複雑な心境に陥ってみる」
美琴「っていうか、サンタなんているわけな」
上条「しーっ。御坂、ここでそれは言うなよ」
美琴(しーっとかなにそれなんなのよなんで可愛いって思ったのよ今!)
結標「めんどくさいわ、もうそのクローゼット飛ばしちゃっていいかしら」
59 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 16:24:35.61 ID:AcihWu60 [15/21]
木原(飛ばす……あのメスガキ、アレイスターのとこに運んだ案内人か! ってことはテレポーター……え? まずいんじゃねえのこれ)
木原(待て待て待て待てまずい、まずいぜぇ一方通行……テメェの泣き面見る前に飛ばされたら何のためにここまで来たかわかんねえじゃねえのよ)
20000「もういっそ開けます、とミサカはつかつかとクローゼットに歩み寄り、手をかけます」
一方通行「オマエ度胸ありすぎだろォが。気ィつけろよ」
20000「ああんセロリたんから心配されちゃったー、とミサカはにやけつつ興奮のあまり放電してしまいます!」
ビリビリバチッ
プツン シュゥゥゥウン
一同「!」
木原(暗くなった、勝機ぃぃいい!)シュッ
美琴「ブレーカーが落ちた……20000号、アンタ興奮しすぎよ」
黒子「たとえ暗闇でも黒子はお姉様を見つけ出しますわ、匂いで!」
上条「つうか御坂、それ俺がお前に言いたい台詞だぞ」
垣根「チッ、これじゃ中に誰が入ってたかわからねえ! 誰か復旧させ――あ、俺の未元物質って発光するんだった」
ピカー
土御門「……なんでもありだな、未元物質」
垣根「おう、それがウリ……」
上条「……、……」
美琴「……、……」
黒子「……、……」
インデックス「……、……」
麦野「……、……」
結標「……、……」
海原「……、……」
18264「……、……」
14510「……、……」
打ち止め「……、……」
20000「……、……」
木原「ミニスカサンタコスしちゃってカッワイー! 惚れちゃいそうだぜぇ一方通行!」
一方通行「いやオマエ何してンの。てェか何でクローゼット入ってやがったンですかァ」
木原「は? 入ってね、」
一方通行「さっきまでいなかった野郎がいきなりソファに身ィ沈めてたらオマエがクローゼットに入ってたってことくれェ誰だってわかるわ」
108 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/25(火) 00:38:33.25 ID:6pOtVqo0 [1/5]
木原数多は逡巡した。うまい打開策が見つからない。
目の前には一方通行と、その仲間なんだか敵なんだか知り合いなんだか知らないが、とにかく大勢の子ども達がじっと木原に視線を注いでいるのだ。
半数以上がサンタの格好をしているとは一体どういうわけなのか。
ここで木原は自分の格好もサンタであると思い至り、一方通行から目を逸らす。
そして、ゆっくりと口を開き、とりあえず当初の計画通り、言葉を吐いた。
「『サンタなんていねえんだよ、一方通行』」
「……、……あ?」
「だからよぉ。テメェがなんでそんなカッコしてんだか知らねえけどな、あいにくサンタクロースなんて人間はいねえのよ」
そもそも、一方通行がどれほど世間常識に疎いとしても、「サンタクロース」という今時小学生ですら信じないような存在を無邪気に信じるものだろうか。
木原は開発に携わっていたときのことを思い出しながら言葉を紡ぐ。
「テメェのおかげで俺ぁ一遍死んじまって、んでもう一度生き返ったわけだ。理由はわかるか? って、わかるわきゃねーなあ」
くは、と笑い声をもらして木原は再度視線を一方通行に合わせた。
彼の表情は、絶望の色をうつすことなく、ただひたすらに木原の姿のみをうつしこむ。
間抜けな姿だ。とても、間抜けで滑稽で、笑ってしまう。
「なんだっけ――ほら、元ネタの。聖人だっけかぁ? そいつとテメェを鉢合わせりゃ、プランを大幅に縮小できるってのがアレイスターの考えだったらしいんだが」
木原は手前にいたシスターが聖人というワードに反応したのを見届ける。
どうやら、彼女は「そっち側」の存在らしい。
どうだっていい、と木原は心中で呟く。
そう、目の前の一方通行が自分の姿に絶望しさえすれば、それだけで木原数多は救われる。
それだけで、一度死んだ甲斐がある、二度生まれた甲斐がある。そう思っていた。
であるのに、他人を寄せ付けなかった孤独な少年は、いつしか大勢の人間に囲まれている。
強大すぎる能力を畏れられ、自らも「チカラ」だけを追い求めていたはずの、最強が。
「そこにいる第二位と第四位、テメェらが一方通行を倒すために手を組んだってことでなぁ、俺のほうにとばっちりがきちゃったわけよ。わかってんのか?」
第二位と第四位が手を組んだ経緯など、木原はまったく興味がなかった。彼の目的、存在している目的はただひとつ。
幸せになったひとりの子どもに、地獄という名のとびっきりの贈り物をしてやることだけなのだから。
許さない。自分が開発した最強が、最強ではないただの平和で幸せで穏やかで温かな人間に成り下がることなんて。
許せるわけが――ない。
109 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/25(火) 00:39:27.85 ID:6pOtVqo0 [2/5]
「甘ちゃんなとこは全然変わってねえのな。いいか? サンタクロースなんてヒーローはこの世にいねえ、誰にすり込まれたんだか知らねえが、そいつはただの幻想だ」
「……、き、はら。オマエは、それを言うためだけにここにいやがンのか」
「ああ。サンタはいるってとんでもねえ迷信を心の底から信じ込みやがった落ちぶれに、やさしーく教えてやるためにきてんだよ。
どうだ、アコガレのサンタクロースがいねえってわかった心境は」
「……、……」
「失意のあまり言葉も出ねぇってか。だよなあ、そんなカッコまでしてサンタさん拝みにきてんだもんなあ」
「……、クソったれ、」
「あぁ?」
「クソったれが、っつってンだよォ!」
静かに声を張り上げた一方通行は、木原の襟首を掴む。
わかってンだよ、と声を出さずに、対面している木原にだけ伝えるように、彼は口を動かした。
「少しくれェ、信じたってイイじゃねェか。俺ァたしかにサンタクロースの恩恵を受けられるよォな人間じゃねェ、ンなこたァ百も承知だ」
木原の襟首を掴んだままで、一方通行は赤い目を光らせる。
ぎらついた瞳の中に驚愕しきった自分がいることを発見し、木原は満面の笑みを浮かべた。
こうでなければ、来た意味がない。
この手で再び絶望の淵に立たせてやろうと決めた子どもが、一般人のように平和な生活を営んでいていいわけがない。
時代が彼を見過ごさない。
社会が彼を見落とさない。
世界が彼を見放してくれない。
そういう「実験動物」なのだ。
一方通行という、木原数多がその手でつくりあげた化け物は。
「いいぜいいぜぇ、一方通行。ほら、もっとキレてみろよ、この建物を半壊どころか全壊させちまうような暴れ方でもしてみせやがれ!」
「誰が、するかよ」
ぱっと木原の襟首から手を離し、一方通行は一瞬背後に視線を走らせる。
打ち止めの存在を確かめたのかもしれない。木原は予想通りにいかない展開に苛立ちを覚え、逆に一方通行の髪を掴み上げた。
「あぁあ? テメェ、まだ善人気取ってんのか? まだわかってなかったってぇのか、テメェは紛れもねえ殺人者な、」
木原がぐいぐいと白い髪を持ち上げる。空気についていけない周囲は呆然とその光景を眺めるだけだった。
なぜ一方通行が反撃に出ないのか、その理由さえわからない。
たったひとりの少年を除いて、子ども達は言葉を発することもできなかった。
例外である少年は、すべてをぶち壊す右手で、木原の手首をがしりと掴んだ。
「離せよ、おっさん」
110 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/25(火) 00:40:55.47 ID:6pOtVqo0 [3/5]
「!」
「アンタが誰だか知らねえけどさ――一方通行から手を離せ!」
上条当麻の右手は、木原の手首をぎりぎりと締め上げる。見た目はまだ発達途上の少年だ。
けれど、木原はその手を振りはらえない。
「サンタがいないって? そりゃいねえさ、信じてないやつはいないって言うに決まってんだろ。
でも、アンタだって信じていた時期があったんじゃないのか。
どうせすぐにサンタは両親なんだって気づいたかもしれねえけど、それはサンタじゃない、
クリスマスの日に便乗して両親が子どもにプレゼントを与えるだけだろ!」
「テッメェ、このクソガキ、がッ!」
ばしんと腕を振り払うことに成功した木原は、手首の感覚が失われていることに気づき、上条を凝視する。
一方通行は木原の言葉を反芻し、納得したように薄い笑いを顔に貼り付けた。
「なァるほど、ねェ。木原くン、オマエ生き返ったわけじゃねェみてェだぜ?」
「何一丁前に研究者気取ってやがんだ、ガキが。俺の体はたしかに――」
「そいつの右手はよォ、科学だろォがなンだろォが、非常識なチカラは全部無効化するみてェなンだわ」
木原の手首から先が、くたりと動かなくなる。
この現象は一体何なのか、彼は自分の体のことでありながら、理解できなかった。何かを打ち消されたとしか思えない。
――否、心当たりだけなら、あった。
「幻想殺し、ってやつか」
「おっさんがなんで俺の右手を知ってんのか、俺はまったく興味がねえから質問だってしねえ。
けどな、アンタは一方通行の知り合いで、しかも俺らなんかよりずっと前から知ってるみてえな口ぶりだ。
だったら、どうして今、一方通行を傷つけるんだよ」
「……、部外者がうっせえぞ。アクセラちゃんよぉ、友達は選べって言わなかったか?」
「知らねェなァ、ンなキョーイクは一度足りとも受けちゃいねェし、そもそもそいつは友達でもなンでもねェ」
一方通行がうんざりした、といわんばかりの口調で続ける。
「ちょっと時間共有したくれェの三下でよォ。
普段は不幸だなンだってほざいてやがるンだが――それで俺もブチのめしちまったンだから、なめねェほォがいいンじゃねェか?
クソ木原」
「テメェを倒したぁ? は、そういうわけか。それでテメェは今日の敵は明日のトモダチって?」
お前らごちゃごちゃ言ってんじゃねえ、と上条が構える。
予備動作はわずか数秒でも、本来なら、一方通行の反射を読みきれる木原なら、たかがひとりの男子高校生の拳を避けることくらい、余裕で行えるはずだったのだ。
ところが、木原は見切った拳を避けることができなかった。
111 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/25(火) 00:41:36.36 ID:6pOtVqo0 [4/5]
「事情なんてこれっぽっちも知らねえけど、しかも一方通行は俺をいまだに三下扱いしやがるけど……
お前が一方通行のサンタクロースを信じている純粋な心を踏み躙るってんなら、まずはその幻想をブチ殺す!」
派手な音とともに床に転がる木原を、冷めた目で一方通行が見下す。
なァ、木原ァ。
そう呼びかけて、一方通行はにたりと笑った。木原の良く知る笑みで、最強の名に恥じない凄惨な笑みで、カチリと電極のスイッチを切り替える。
「ホントはさァ。サンタなンざいねェってことくれェ最初っから知ってた、って言ったら、オマエどォするよ?」
は、と木原が声を出す前に、一方通行の能力が解放される。
軽い調子で木原のサンタ服を引っ掴み、一方通行は思いっきり、開け放たれていたドアのほうに木原数多を投げつけた。
「ぐ、っふぁ!」
「あは、ぎゃははははっ! ざまァねェな、木原よォ!
オマエの体は全身くまなく学園都市のクソったれな技術でできてやがる以上、もっぺン三下にやられりゃ二度目の冥土行きだぜェ!?」
投げ飛ばされてもなお、木原は起き上がったが、その体はさすがに痛みに耐え切れずに膝をつく。
一方通行は周囲を一切気にすることなく、木原のもとへ歩いていき、躊躇なくその腹に足を乗せた。
「なァ? 選べよ、ここでもう一度俺のやっさしィ送迎方法でとっととあの世に逝っちまうか、それともおとなしく消えうせるか。
俺ァどちかってェと、オマエをここで送ってあげてェンだけどさァ」
一方通行はそれ以上言葉を続けなかった。
木原は察する。あのとき自分を倒したように、少年には守るものがある。
友人ではないと断言したあの幻想殺しの少年や、周囲の子ども達でさえ、今の一方通行は「守らなければいけない」と考えているのだろう。
「……あーあ、萎えちまったわ。一方通行、テメェどうしようもねえくらい落ちぶれやがって」
木原は痛みを無視して立ち上がり、こきりと首をまわした。
一方通行は電極に手を伸ばしていたが、木原はそれをつまらなそうに一瞥し、ため息を大仰に落とす。
「つまんねえ、情けねえよ。テメェがここまで微温湯に浸ってるたぁ思わなかった、これじゃ潰しようがねえ」
「俺に殺されたくせに、今さらなァに強気になってンですかァ?」
112 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/25(火) 00:48:46.56 ID:6pOtVqo0 [5/5]
「ああ、もういい。冷めた冷めた、今のテメェじゃ殴ったってキモチヨクなれねェのよ。だから」
踵を返し、サンタの家を去ろうとした木原が振り返る。
浮かべている表情は、一方通行が一度も見たことのない、父親に似たものだった。
「俺が殺したいって思えるくらい、堕ちやがれ」
じゃあな、と片手を挙げて去っていく後姿は、何かのドラマのワンシーンのようだ。うわあ、と上条が妙なトーンで呟く。
「何だこの最終的にはアットホームになりましたな展開」
さあにゃー、と土御門はようやく声を出す。
木原が去ったことで張り詰めていた緊張の糸が切れたのか、子ども達は息を吐いたり体を伸ばしたりと動き出す。
その中で、打ち止めが真っ先に一方通行に駆け寄り抱きついた。
「大丈夫? ってミサカはミサカは宿敵に対面したかのような表情を浮かべているあなたを心配してみるんだけど」
「……あァ、ンなもンじゃねェ。あいつはただの」
「ただの?」
「クソったれな――育てのオヤ、だ」
不機嫌そうな声音で断言した一方通行は、がしがしと打ち止めの頭をなでるとサンタの家に戻る。
そんな一方通行に、垣根帝督が声を投げた。
「あのさあ、一方通行。ちょっと聞きたいんだけど」
「ンだよ」
「サンタ信じてないってことは、俺もお前もスカートはいてんの無駄じゃね?」
「……、……」
「つうかなんで信じてるふりしてた訳? それともマジでさっきまで信じてて目が覚めたとか?」
カチリと再び電極のスイッチを切り替えて、すこぶる愉快そうに笑う一方通行は、目の前のミニスカサンタコスの男を敵だと判断した。
「オーケーオーケェ、ンなに死にてェなら相手してやンよォ――かァァァきねくゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!」
ばさり、と同時に垣根の背中からも白い翼が生える。一方通行の背からも黒い翼のようなものが生えた。
インデックスは白黒の翼を見つめながら考える。
「ふたりは、天使にでもなるつもりなのかな」
138 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/26(水) 00:52:03.56 ID:4T3i1Pk0 [1/3]
さて、と麦野沈利は考えを進める。
ふと彼女はこの場に集まっている面子が学園都市の主力であることに気づいたのだが、総括理事長直々のご計画とやらを考慮すれば、
学園都市の第一位から第四位、そして座標移動や妹達が揃いも揃って学園都市から出払っていたとしても、何の問題もないのだろう。
麦野の視界の先に広がる光景は、まさに次元の違う、常識など一切通用しない戦いだった。
どちらかが一方的に相手を嬲るような展開にこそならないものの、片方が攻撃すればもう片方が瞬時に応戦する。
決して防御はせずに、ただひたすらに攻撃を重ねるのみ。
白い翼から羽根がひらひらと舞い落ちる。
わあ、と拾い上げそうになった打ち止めを制して、麦野は忠告した。
「その羽根、触っちゃだめよ。それも立派な『未元物質』だからね」
打ち止めは麦野の言葉に頷き返すと、とてとてと美琴の隣に戻り、じっと戦いの行方を見守る。
麦野はそんな少女を観察しながら、一方通行という「最強」が、なぜこんな子どもと一緒に行動しているのかと疑問を抱いた。
第三位、御坂美琴のクローンである妹達の上位個体であるという話はすでに垣根から聞いている。
そして、第一位のたったひとつの弱点、弁慶の泣き所であることも、知っている。
(今、このガキを攫ったら――どうなるんだか)
仮に、打ち止めを攫ってこの場を逃走したとする。
おそらく一方通行は目の色を変えて麦野を殺しにかかるだろう。
今でこそ友好的な関係を築きあげているとはいえ、あくまでも一時的で、上っ面な関係でしかないことは事実だ。
垣根の白い翼がばさばさと空気を叩きつける。そのたびに一方通行は器用にベクトル操作で風を押しやる。
繰り返し、繰り返し、繰り返し。
飽きたな、と麦野は漠然と考えた。
「ねえ、アンタさ」
隣に立っている結標とくだらない会話でもしてやろう、そう思った麦野は少し視線を結標に向ける。
次の瞬間、第一位と第二位の戦いを見ていても平然としていた麦野の両目が見開かれた。
隣の結標淡希は、いつのまにか普段着に戻っていたのである。
「ん、なに?」
「いや、なにじゃなくて、いつ着替えた訳?」
「さっき。この調子じゃ、サンタの格好してても小さい子には会えなそうな気がしたのよ。だから着替えたんだけど、あなたは着替えないの?」
当たり前のように言われて、麦野はためらった。
たしかに、先ほどの一件でサンタコスをしている自分にやり場のない思いを感じているのだが、ここであっさり着替えると結標に従ってしまったようで癪だ。
返答しない麦野を見かねたのか、それとも単なる独り言か。結標は視線を空中の少年ふたりに向け、半目になりながら呟く。
139 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/26(水) 00:53:15.13 ID:4T3i1Pk0 [2/3]
「暴れるのも空を飛ぶのも個人の自由だとは思うのよ。でも、空中で暴れるのにあの格好はいただけないわね」
垣根が翼を大きく広げるたびに彼は開脚し、白タイツの奥が見えそうになる。
麦野は遠い目で見つめ、「ああ、正直ねえなあれ」と同意した。
一方通行はというと、ジーンズを下にはいているおかげでそこまでひどい様子にはなっていないが、とにかく垣根がひどすぎる。
なぜはかない。来るときにはいていたジーンズをはけばいいのに、どうしてミニスカ白タイツを死守しているのだろう。
「きっめえ……」
麦野のため息交じりの言葉に、土御門が首を縦に振る。見られたもんじゃない、と彼は吐き捨てた。
「着替えたらどうです、同類扱いされますよ」
会話を聞いていた海原のすすめに従い、麦野は着替え始めた。
その様子に慌てたのは上条で、いきなり横で年上の女性が着替えを始めたのだから目を丸くし、
そして両手を激しく振りながら「え、ちょ、お姉さんちょっとここはまずいんじゃないでせうかいやあの上条さんは紳士なので見ませんが!」とまくし立てる。
きょとんと頭にクエスチョンマークを浮かべた麦野は、上条が恥ずかしがっている原因に思い至り、蠱惑的な眼差しを向けて笑った。
「なーに、お姉さんの生着替えが気になるかにゃーん?」
「なっ、ば、だからそういうのじゃないんですけども! でもですね!」
上条が赤面しながらも視線を麦野から外すことなく必死に否定する。
年下の男は嫌いではない、人をからかうのが好きな麦野の性に火がついた瞬間だった。
男を魅了するとびっきりの笑みを携えて、麦野はゆっくりと上条に近付いていく。
ふふ、と彼女が笑い声を立ててあと数十センチのところまで上条に接近した、そのときだった。
「……アーンーターはぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!」
上条のすぐ近くで頂上決戦を観戦していたはずの第三位が鬼の形相で上条の腕を引っ張り、そのまま背負い投げを決めた。
電撃ではなくまさかの素手、それも格闘技でこられては美琴の相手に慣れきっていた上条でも防げなかったらしい。
ごろりと転がった上条の額の上に運悪く、垣根の羽根の形状をした未元物質がふわりと乗っかった。
あれ? と上条が右手で払いのける前に、それは発動する。
バフンという音と「不幸だああああああ」という叫びが響き、空中で戦っていた似非サンタふたりは地上を見やり、同時にぽかんと口を開けた。
「え、なにしてんの? あいつ」
「さァ……なンだ、あのアフロ」
垣根は首を傾げながらばさばさと地上に降り立ち、同様に一方通行は音もなく地面に足をつけた。
上条のトレードマークとも言うべきツンツンの黒髪は、未元物質のおかげですっかりアフロに変貌を遂げている。
140 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/26(水) 00:55:48.37 ID:4T3i1Pk0 [3/3]
「お前それ、イメチェン?」
「んなわけねえだろ!」
垣根の軽い問いかけに、上条は本気で言い返す。
「じゃァあれだ、かぶりもン」
「地毛です!」
一方通行のわりと真面目な提案にも、上条は涙目で返した。指で軽く引っ張ってみたが、やはりアフロだ。立派な縮れ毛である。
わけがわからずに眉間に皺を寄せたトップ2を相手にインデックスが立ち上がる。彼女は冷静に、上条を心配しつつ説明した。
「さっきあなたの翼から舞った羽根みたいなものがとうまの額に乗っかったんだよ。それで数秒後に爆発したの」
「爆発ってオマエ……爆薬仕込ンでンのかそれ」
「ああ、いや。そういうデフォにしてたんだわ、忘れてたけど」
ごっめんなー、とこれもまた軽い口調で謝罪した垣根だが、どうやら大して上条には同情しないらしい。
アフロ似合ってるぜ、と的外れなことまで言っている第二位を見て、一方通行は思う。
(自己中すぎンじゃね、こいつ)
それは正しかったが、声に出したならその場にいた半数以上に「テメェもだろ!」と言い返されること必至の感想である。
口に出さなかった一方通行は賢い選択をしたと言えよう。
代わりとばかりに、一方通行は垣根を見下して言い捨てる。
「メルヘンどころかデンジャラスじゃねェか」
「心配するな、今自覚が芽生えた」
「今かよ! 俺を犠牲にしたうえで芽生えたんですか!」
上条の切ない訴えは張本人に届かずに空中に消え、ドンマイですの、と欠片も応援する気のない黒子の呟きが聞こえた。
165 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 01:31:18.10 ID:O9ce6KE0 [1/9]
はじまりと呼べるものがどんなことであったのか、18264号は記憶していなかった。
正しい表現をするならば、きっかけはどこにだって転がっていて、それが積み重なってある一種の感情を彼女にもたらしたのだと言える。
最初のうちは――恨みという感情こそないものの、決して好意を抱いていたわけではない。
むしろ妹達の総意として「上条当麻」と接触し、ひいては親睦を深めたいという思いはあったが、一方通行に対しては反感に近しいものが存在していた。
彼女が学園都市に来た理由は、上位個体である打ち止めが促したからに他ならない。
実際のところ、かくれんぼをしたいという打ち止めの要請に応じたミサカは何人いたのだろうか、と18264号は時折考えてみるが、明確な数字を出すことにどこか抵抗を覚えていた。
最低でも数十人はいたように思うし、ネットワークで集計を取ってしまえばわずか数秒で済んでしまうような軽い問題。
脳波リンクで繋がっているからこそ生じた疑問に、18264号は蓋をする。
もしかしたら、自分以外のミサカが偶然一方通行らに遭遇していたかもしれない。
もしかしたら、自分は一方通行をあくまでも「妹達を一万人以上殺し上位個体を守り残りの妹達を生かした」人間としか捉えなかったかもしれない。
いくらでも、そんな未来を思い描けるのだから。
ともすれば、この場に自分がいることが奇跡で、上位個体でもなんでもないただの「ミサカ」がこうして「上条当麻」以外の人間に対し懸想していることは、
一体どれだけの確率で生じた事象なのかと18264号は思いをめぐらせる。
御坂妹。そう呼ばれる個体は10032号だが、彼女が「上条当麻」と接しているときに流れ込んでくる感情を、18264号はよく知っている。
はじめは感覚共有で味わうだけだった感情を、いつしか自分自身が生み出していた。
おそらく、上条に接するたびに心が落ち着くのは、実験を止めてくれたヒーローに対する安堵感だろう。
ならば、一方通行に接するたびに抱く焦燥は何だ。
彼を見ると胸がどうしようもなくざわめいて、一挙一動に一喜一憂してしまうのに、いざ口を開けばついて出てくる言葉は罵倒ばかりで、可愛げのある台詞なんて言えたためしがない。
10032号が上条に抱く強い好意、好きだという感情に、似通ったもの。似通っているどころか、同一のもの。
いつから北欧に帰りたくないと心で願い続けただろう。
戻ってしまえば、もう二度と味わえないであろう騒がしさや楽しさ。
実験体として生まれたはずの自分が、彼らと長く居れば要るほど、個性を確立していくのがわかった。
まったく同じものであった10032号が、一足先に行動を開始したように。
まったく同じものであった14510号が、真っ先に一方通行に惚れたように。
ほかの妹達がどうであるかはわからない。ただ、18264号はひとつの事実を認めるしかないのだ。
白い彼を慕っているという、単純でわかりきった答えを。
この思いの先がどんな未来に繋がっているのか。
18264号は予想すらしない、予測すらできない。
思いを伝えることは簡単なようでいて難解だった。
たった一言「ありがとう」と伝えるのに、たくさんの余計な言葉がついてまわる。
166 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 01:32:34.87 ID:O9ce6KE0 [2/9]
(どうして素直な態度を取れるんだよ、とミサカは上位個体を少しだけ羨みます)
垣根帝督と言い合いをしている一方通行の足にひっついている打ち止め、そして言い合いをしながらも打ち止めを引き剥がそうとする一方通行。
表情こそ無愛想で不機嫌にもみえる彼が、内心鬱陶しがっていないことを、18264号はここ数週間ですっかり理解している。
多分、あのふたりは完成されている。これ以上どうしようもないほどに、何かが入り込む隙など存在しない。
入り込みたいと思っているわけではない。時折、羨望してしまうだけで。できれば、蓋をしていたいだけで。
一方通行が打ち止めのものだと思っているわけでもない。時折、錯覚してしまうだけだ。
できれば、そうであってほしくないだけだ。
「だァから、離れろっつってンですよォ」
「離れてほしくばこのミサカを振り払えーってミサカはミサカはあなたにしがみついてみる」
「ンだコラ、マジで振り払うぞオマエ」
焦燥ばかりが募る。募って積もって重なって、いつか大きな山になり目の前が見えなくなってしまいそうだと18264号は詩人めいたことを考える。
いっそ、見えなくなればいいのかもしれない。
目の前が真っ暗になれば、生み出されたときのように空虚な心で在ることができたら、こんなにもやもやとした思いを抱え込まずに済んだのかもしれない。
この「もやもや」が恋情であると18264号はとうの昔に気づいていた。
認めるのがこわかっただけで、気づいたのはもうずっと前のことのような気がする。
気づかなければよかったのだ。
こんな、邪魔なものを。
どうして抱え込まなければならないのか。
「……ちょろっとー。アンタ、大丈夫?」
ぽん、と18264号の肩に手を置いた者がある。御坂美琴、妹達のオリジナル。
ああ、そういえば彼女は世話好きで責任感も強いのだ、と18264号は思い出した。
ミサカのお姉様。ミサカを救ってくれた、もうひとりのヒーロー。
一方通行の前に立ち上がってくれた、大切なお姉様。
「何のことでしょう、とミサカは首を傾げて上条当麻のアフロヘアを眺めます」
「あれは私が悪いんじゃなくて、あいつが悪いのよ」
少し離れたところで土御門と会話している上条は、しきりにアフロを気にしながらも笑っていた。
一度美琴に泣き言をもらしたほかは、怒ることも責めることもしない。
(お姉様は、彼の包容力に惹かれているのでしょうか)
だとしたら。それはとんだお笑い種で、ここにきて自分はクローンであると再認識せずにはいられない。
167 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 01:34:22.04 ID:O9ce6KE0 [3/9]
「それよりさ、もうすることもないし、あとはアンタをもう一回研究所に送っちゃえば仕事は終わりなんだけど。どう? どっか行かない?」
美琴は18264号を気遣っているような声音を出さず、自然に、友人を遊びに誘うような調子でそう言った。
会話を聞きつけた麦野と結標が割って入る。買い物行きたいのよね、と麦野が提案し、結標が同意した。
「あら、お姉様。わたくしもぜひ行かせてくださいな」
黒子がにこりと笑みを浮かべながら参加する。
じゃあどこかに案内します、と18264号が答えた後、続けて14510号と20000号が「メンテの前にご一緒させてください」と言い出した。
どうやらふたりはパイロットとしての責任がそれなりにあるらしく、帰る前に一度メンテナンスをする必要があるのだと言う。
「なになに、面白そうな話してるねお嬢さん達! どっか行くならどうだ、オーロラ見に行かねえか?」
「今かきねに聞いたけど、オーロラはわたしも生で見てみたいんだよ」
どこで意気投合したのか、垣根とインデックスが会話に無理矢理割り込んできた。
垣根と言い合いをしていた一方通行は上条のTシャツを借りて、着替えている真っ最中である。
上条は言いなりになっているらしい。いつの間にやら、彼と垣根だけがサンタの格好をしていた。
もっとも、上条はまだ男性用である分救いがある。
「オーロラ? あ、それいいかも」
美琴が頷く。同意者を得て気をよくした垣根が、さきほどまでの論争を水に流して一方通行らに声をかけた。
「そこのむさ苦しい野郎共、テメェらの意見は総無視でオーロラ見に行くから!」
「オマエやっぱ自己中だわ!」
瞬時に飛んできた罵声を軽くいなし、垣根は慣れた手つきで迷わず18264号の手を取り、恭しく一礼する。
気障な行為に麦野が舌打ちをかましたが、垣根はスルースキルが高いのかこちらも無視だ。
「お嬢さんが北欧出身なんだろ。だったら案内してくれ、とびっきりのオーロラスポットに」
何がどうなってこんな展開になっているのかと18264号が考える間もなく、垣根の頭にガイドブックが投げつけられた。
ベクトル操作で完璧なコントロールを見せた一方通行は、一瞬だけ18264号に視線を向けたがすぐに逸らし、宣言する。
168 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 01:36:41.68 ID:O9ce6KE0 [4/9]
「行く場所ならもォ決めてる、地図にマークつけてっからそこに連れてけ」
なんだよお前実はめちゃくちゃ楽しみにしてたんじゃねえの、とガイドの角が当たった垣根が患部をさすりながら涙目で呟き、一方通行が鼻で笑う。
あとは研究所に戻るだけ、と覚悟を決めていた18264号は数秒だけ思考をとめたが、すぐに普段の調子で言い返した。
「人に物頼む態度かそれ、とミサカは横暴なセロリにほんと教育なってねーな、と呆れます」
「実質0歳のオマエらに言われたかねェよ」
ガイドブックを開き、マークをつけたという地図を見つめる。18264号には覚えがあった。
行ったことがあるし、何よりそこは、職員がはじめて研究所にやってきた彼女に見せたいものがあると言ってオーロラを見せてくれた、思い出の場所だった。
偶然は重なるものだ。思い出がまた増えることになる、と18264号は静かに笑い、ガイドブックを一方通行に――
「ッってェ!?」
――思う存分投げつけて、すたすたと歩き始めた。
その背を追う一行は、それぞれがめいめいにオーロラについての期待を膨らませている一方で、まだ気づいていないことがあった。
(まあ、見に行こうっていっても必ず見られるもんじゃねーけどな、とミサカは心中で暴露します)
そう。オーロラという自然現象は、人為的なものではないために、必ず発生するとは限らないのである。
196 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 23:29:21.95 ID:O9ce6KE0 [6/9]
ブロロロロロ
垣根「なあ、なんで俺らワゴン車の上に乗っかってんのムカつく」
一方通行「座る場所足りねェからだろオマエがムカつく」
垣根「いやでもこれ運ぶ方法としてちょっと人道に反してねえか黙れ」
一方通行「今さら人道だなンだって言えたクチかよオマエが黙れ」
垣根「だってお前これ、風すっげえくるんだけど! 突風なんてもんじゃねえよ死ね!」
一方通行「じゃあそのクソメルヘンな翼で完全防御でもしてろ死ね」
垣根「マジムカついた。クソムカついた。さっきから黙ってりゃ何なんだ」
一方通行「俺ァただオマエの言葉を反射してただけだボケ」
垣根「第二位に向かってボケとか言う訳? 俺これでも学園都市じゃ二番目に頭良いんだぜ」
一方通行「オマエ誰に物言ってっかわかってますかァ? 俺第一位だし学園都市最高の頭脳なンですけどォ」
垣根「!」
一方通行「なンだその、そういえばそうだった! みたいな顔は」
垣根「……そういえばそうだったな……そうだったわ……ていうか俺お前を倒しに来たんだった」
一方通行「倒されてやる気はさらっさらねェけどなァ。てェかなンでオーロラ見るのに俺まで同行しなきゃならねェンだよ」
垣根「それはお前、あれじゃん。北欧出身のクローンが全員で行きましょうとか言い出したからだろ」
一方通行「ハイハイそォですねー垣根死ねー」
垣根「さりげなく言ってんじゃねえ!」
一方通行「あァもォオマエうっせェ。マジうっせェ」
垣根「ちっくしょおおおおお!!! 場所さえわかれば! 場所さえわかればこいつと同乗しないでさっさと飛んでいくのに!」
一方通行「ざァンねーンでーしたァー」
垣根「うっぜえ! 何こいつ非常識にも程があるうざさなんだけど!」
一方通行「いやオマエにゃ敵わねェわ。うざさならオマエが余裕で学園都市第一位だ」
垣根「え、マジで? 俺第一位? やったーこれでアレイスターとの交渉ができる……わけねえだろ馬鹿か!」
一方通行「オマエさァ、ノリツッコミ下手すぎねェ?」
垣根「自覚はある」
197 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 23:44:39.26 ID:O9ce6KE0 [7/9]
打ち止め「なんだか楽しそうだねってミサカはミサカは運転席の18264号に問いかけてみたり!」
18264「楽しそうではなく楽しみなんです、とミサカは少し素直に答えます。にしても上が騒がしいですね」
打ち止め「あの人と白い翼のカキネさんは案外仲良しになれるかもってミサカはミサカはあの人に友達ができたことを喜んでみる」
18264「……なれるわけなくね? とミサカはどう考えても馬の合わなそうなふたりを考慮しますが」
打ち止め「お姉様が言うには、あのふたりは学園都市でも他の追随を許さないくらいの突出した超能力者らしいのね。
だからきっと、カキネさんはあの人の辛さもわかるんじゃないかなってミサカはミサカの推測を述べておく」
18264「辛さ――ですか。ああ、セロリって呼ばれることとか? とミサカは一方通行を馬鹿にしながら呟きます」
打ち止め「それはみんなが一方的に呼んでるだけーってミサカはミサカは今度あの人をセロリ扱いしたらお仕置きも考えてるんだけど!」
18264「サーセンした、とミサカはとりあえず謝ります」
打ち止め「むう。反省の色が見えないってミサカはミサカは無表情を指摘して……でもまあいいや。オーロラ楽しみだなあってミサカはミサカの気分転換っ」
18264「一度だけ見たことがありますが、とても美しいものですよとミサカはあの日を思い出します」
打ち止め「写真でしか見たことないんだけど幻想的だよね、ってミサカはミサカはまだ見ぬオーロラに思いを馳せてみる」
18264「……あ、でも、とミサカはお姉様が電撃使いであることに気づきます」
打ち止め「?」
18264「プラズマ粒子の流れが地球磁場と相互作用し、まあなんやかんやで大気粒子と衝突して戻る際に発光する――これがオーロラの原理ですとミサカは割と適当に説明を終えます」
打ち止め「よくわからなかったからあとでミサペディアで検索してみるってミサカはミサカは常識を知るために尽力することを宣言してみたり」
18264「つまり、お姉様や一方通行がいるならば、オーロラは『確実に』見られるでしょうとミサカは断言します」
上条「……で、どうして上条さんはこんなことになってるんでせうか」
美琴「しょ、しょうがないでしょ! このワゴン車に全員乗れないんだから、三人用のシートに四人乗るのは当たり前なの!」
上条「うん、それはわかる。仕方ないとも思う、だけどな御坂。
たしかにお前はビリビリ中学生だし、年下に手を出すほど俺は飢えた獣じゃねえよ。でもな……なんで俺の足の間にお前が座るんだ!!!」
美琴「だっ、だから仕方ないでしょって言ってんのよ! じゃ、じゃんけんで公平に負けたんだから!」
麦野(全力で負けに行ってたけどね)
結標(私グー出すからパー出してよね! って言ってたわよね)
黒子(本来ならお姉様の膝の上にこの黒子がお邪魔する予定でしたのに……でしたのに……っ!)
14510(一方通行さんが車体の上にいるということはつまりミサカは彼の下にいるということですねとミサカは考えます)
インデックス(短髪の顔が真っ赤すぎるんだよ)
198 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 23:52:23.20 ID:O9ce6KE0 [8/9]
ガタタタタタ
20000「どうしてこうなった、とミサカは無愛想に呟きますちくしょー」
土御門「自分の行いを恨むんだにゃー。お前は危険人物と見なされたんだぜい」
海原「ええ、まったくです。自分だって御坂さんと同じ車に乗りたかったのに」
20000「しかもこのオンボロな軽自動車、運転のし甲斐がありませんとミサカは乗り合わせているふたりに同意を求めます」
土御門「そこらへんにあったものだしな。ガタガタうるさいのは仕方ない」
海原「それにしても、一方通行さんと垣根帝督の戦いは面白かったですね。シュールすぎて」
土御門「ミニスカサンタコスであれは……ないにゃー」
20000「個人的には第二位のスカートの奥はどうでもいいんですがセロリたんのスカートの奥の秘境が気になってしかたないですハァハァ」
海原「真性ですね」
土御門「真性たい」
20000「同類の香りがそこはかとなくする変態ふたりに真性呼ばわりされたくありません、セロリたんならい」
海原「『はっ、オマエ本当に真性じゃねェのか?』とか」
土御門「『マジきめェ、近寄ンな』とか」
20000「!?!?」キキーッ
海原「いやあ、モノマネの練習してた甲斐がありました」
土御門「ていうかこれで反応するとか本物すぎるぜい……」
20000「か、活字でもないのになぜか反応しちまったぜ、とミサカはハンドルを握りなおします」
海原「ところで、なんだか上のふたりが立ち上がりましたけど」
土御門「俺の席からは見えない、よって知らない見ていない」
ブロロロロロロ
垣根「ああもうムカついた! すっげえムカついた大したムカつきっぷりだ第一位!」
一方通行「そりゃどォもクソメルヘン。その白ォい翼はなンなンですかァ? 白鳥ォ? スワン?」
垣根「!!!」ブチッ
一方通行(お、キレた)
199 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/27(木) 23:57:11.21 ID:O9ce6KE0 [9/9]
垣根「スワン、だと……!?」
一方通行「それとも天使ィ? エンジェルカキネとか言っちゃいますかァ?」
垣根「てっめぇぇぇえええええええええ!!!!!」ブワァッサ
一方通行「あのさァ」
垣根「んだよぉぉぉおおお!!!!」ファサバッサファサ
一方通行「すげェ今さらなンだけど」
垣根「あぁあ!?」バッサバサバッサ
一方通行「なンでオマエまだサンタのカッコしてンの?」
垣根「……、……」バサ、ピタリ
一方通行「俺はさっき着替えたしィ、ほかの連中も着替えてたンだけどさァ」
垣根「……、……」
一方通行「だせェぞ」
垣根「う、っせぇぇぇぇええええええ!!!!!!!!! だったら! 俺のシャツとジーンズ今すぐ洗って返せよ!!!」
一方通行「なンでだよ。つうかシャツはともかく、ジーンズは知らねェ」
垣根「ふざけんなよ、俺のあれ新品だったのに! サンタの家の一部に血がついてるからって俺のジーンズで拭き取ってなかったかお前!」
一方通行「それやってたの麦野」
垣根「この際麦野だろうがお前だろうが関係ねえ、俺のジーンズ返せ! 弁償しろ!」
一方通行「べつに、弁償くれェしてやっけどォ」
垣根「!」
一方通行「財力でも俺に負けてるなンてさすが第二位」ニヤ
垣根「……!」
一方通行「まァ、俺ァ第一位だし? イイよ全然構わねェよ、おら、弁償してやっから値段言えよ」
垣根「……、……クッソがあああああああ!!! 誰がテメェに弁償なんか頼むか死ね!」
243 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/29(土) 09:57:26.68 ID:sF6SMuU0 [1/7]
ブロロロロロロ
垣根「……、……」チラッ
一方通行「……、……」ボー
垣根「……、……」チラッ
一方通行「……、……」ボー
垣根「……何か言えよ!」
一方通行「何か」
垣根「ちっげええええ! そうじゃねえよ! 俺は暇なの、わかんねえ訳?」
一方通行「だったら空見上げて雲の数でも数えてろよ」
垣根「あぁ? いーち、にー、さん」
一方通行(マジで数えてやがる)
垣根「しー、……なあ、ちょっといい?」
一方通行「なンだよ」
垣根「あそこにうろこ雲あんの見える?」
一方通行「ンー……お、あンな」
垣根「あれってどうやって数えりゃいいんだ?」
一方通行「あァ、細けェなあれ。適当に数えとけばイイだろ」
垣根「俺適当とか大嫌いなんだわ」
一方通行「あっそ」
垣根「お前会話する気あんの!? ねえよなあ!」
一方通行「オマエの相手マジ疲れる」
インデックス「ねー、しずりー」
麦野「何よ?」
インデックス「しずりの胸が予想外におっきいかも」
上条「ぶっ!」
美琴「!?」
244 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/29(土) 10:08:16.74 ID:sF6SMuU0 [2/7]
黒子「んまぁ、たしかにけっこう大きさがおありのようですけれど……」
麦野「そうねー、まあそれなりにあるんじゃない? でもそっちの座標移動もあるわよね」
結標「見て分かってもらえればそれでいいわ。ところでシスターさん、第四位の膝に飽きたら私の膝に乗せてあげるからね」
上条「な、なんつー羨ましいポジションにいるんだインデックス……!!」
美琴「……へーえ? アンタもやっぱり形とかなんとか言っておいて大きさのほうが大事なのね?」
上条「うお、みっ御坂さん!? なんで若干怒っていらっしゃっていってえ! 太ももにビリビリきてるんですがあ!?」
14510「お姉様、放電なさるのはけっこうですが隣に座っているミサカにまでビリビリきてます、とミサカはビークールになることをすすめます」
黒子「わたくしなら大丈夫ですのよ、いつだってお姉様の魅力に感電しっぱなしですの!」
美琴「全然うまくないわよ黒子」
18264「胸、とミサカは運転しつつ自分の平坦な胸を見下ろします」
打ち止め「ミサカ達はみんなお姉様譲りだもんってミサカはミサカは虚勢を張ってみる……」
18264「でもまあどうせ一方通行は胸の大きさなんて気にしないんですよね、とミサカは上位個体を励まします」
打ち止め「なんでかな、ミサカはミサカは18264号の言葉がミサカに対しての励ましって言うよりも自分で言い聞かせてるようにしか聞こえないかも」
18264「何言ってんだこのちびっこ、とミサカはおっと思わず言ってしまいました」
打ち止め「ほんとはお仕置きしたいのにー! ってミサカはミサカは18264号が運転中なのでとりあえず下手な干渉は控えておくけどっ」
垣根「ひゃくろくじゅうさん、ひゃくろくじゅうし、ひゃくろくじゅうご」
一方通行「くァあ……ねっみィ」
垣根「ひゃくろくじゅうろく、ひゃくろくじゅうなな」
一方通行「まだ着かねェのか……」
垣根「ひゃくろくじゅう、……なあ一方通行」
一方通行「ンあ?」
垣根「今数えてた積乱雲が途中でふたつに分かれた場合ってどう数えりゃいいんだろうな」
一方通行「知らねェよオマエいつまで数えてンだよ」
垣根「ハマった」
一方通行「」
245 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/29(土) 10:20:10.15 ID:sF6SMuU0 [3/7]
垣根「ひゃくきゅうじゅういち、ひゃくきゅうじゅうに」
一方通行(すすめといてなンだけど、うっせェ)
垣根「ひゃくきゅうじゅうさん、きゃくきゅうじゅうし」
一方通行「……、……」イライラ
垣根「きゃくきゅうじゅうご、ろく、なな、は」
一方通行「……はっぴゃく」ボソ
垣根「はっぴゃくきゅうじゅうはち、はっぴゃくきゅうじゅうきゅ……あれ? そんなに数えてたか俺」
一方通行(やべェこいつ馬鹿だ)
垣根「ていうかやっぱ飽きたわ。一方通行、しりとりしようぜ!」
一方通行「その『バトルしよォぜ!』みたいなノリと顔やめてくンねェかなオマエ」
垣根「んじゃ俺からだ。しりとりのりー、……」
一方通行「リノリウム」
垣根「待て待て待て俺まだ最後まで言ってねえし、『死ね一方通行』から始めるつもりだったし」
一方通行「ンなクソったれなスタート切るしりとりなンざやってたまるかァァァアア!!!」
垣根「それじゃ、試合放棄で一方通行の負け、っと」
一方通行「!」プチン
垣根「不戦勝で俺の勝ち、っと」
一方通行「!!!」プルプル
垣根「これで学園都市のしりとり王はお」
一方通行「タ、だよなァ!? 『叩き潰されろ垣根帝督』」
垣根「んだとコラ! 『腐って異臭を放て一方通行』」
一方通行「放たねェよクソが! 『田ンぼに頭からつっこめ垣根帝督』」
垣根「おまっ、それ俺が泥まみれになるじゃねえか! 『栗のとげが指に刺さって悶絶しろ一方通行』」
一方通行「反射するわボケ。『煙草を格好つけて吸ってみたもののうまく吸えなくて噎せろ垣根』」
垣根「あぁあ!? 俺くらいのイケメンなら煙草チョコでいいんだよ『粘土がつめの間に入って嫌な思いしろ第一位』ぃぃいい!」
一方通行「粘土で遊ばねェしそもそも俺深爪派だしィ! 『インドカレーに挑戦したら日本のカレーと全然違うことに気づいて愕然としろ垣根』」
246 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/29(土) 10:24:15.00 ID:sF6SMuU0 [4/7]
垣根「あいにく俺はカレーよりもシチューが好きなんですうー! 『寝相悪すぎてベッドから転落して骨折しやがれ第一位』」
一方通行「この俺の寝相が悪いわけねェだろめちゃくちゃいいっつの、『石焼芋を格好つけて食おうとしたら熱すぎて舌火傷しろバカキネ』」
垣根「おい今なんつった。今なんか垣根の前になんか言わなかったか!? 『猫を見かけて抱こうとしたのに逃げ出されろ一方通行』!!!!!」
一方通行「猫とか興味ねェしマジどォでもイイわ、てェかオマエの相手だりィ……『頼むから死ンでくれ垣根くン』、はい終了」
垣根「んなっ、強制終了させやがったこいつ!」
一方通行「ここまで相手しただけマシだと思え」
垣根「しりとり強制終了とかお前マジ鬼畜すぎんだろ」
一方通行「褒め言葉ですゥ」
垣根「……ていうかさあ」
一方通行「あ?」
垣根「俺、お前のこと殺しに来た訳。で、なんでしりとりしてたの俺ら」
一方通行「やろォっつったンはオマエだろォが」
垣根「いや、まあそうなんだけど。そうなんだけどあれだ、俺って第二位だからな、つまりスペアじゃねえか」
一方通行「へェ、興味ねェけど」
垣根「んで、お前は第一位でメインなんだよ。アレイスターのクソ野郎が最も重きを置いている計画――それがテメェなんだ、一方通行」
一方通行「ほォ。どォでもイイが、オマエ笑いに走った数秒後にシリアスって疲れねェ?」
垣根「ちょっと疲れてるけど耐えてる。だからさあ、俺の本来の目的ってのは、テメェをブチ殺して俺がメインプランにのし上がるってことだった訳」
一方通行「ゲコクジョー、ってかァ?」
垣根「ま、そんなとこだ。でもよ、考えてみたら、さっきのサンタのカッコしたテメェの知り合いが言ってたろ? 『第二位と第四位が手を組んだせいで俺にとばっちりが』ってな」
一方通行「あァ、そォいや言ってたかもしンねェ」
垣根「それってつまり、俺と麦野でアレイスターの計画の一部を変えさせた、ってことにならねえか」
一方通行「……なるンじゃねェの。オマエらが手ェ組まなきゃ、木原もこっちに飛ばされなかったみてェだし」
垣根「だったら、俺はわざわざ自分の命を賭けてまでテメェと殺し合いする必要もねえ訳だよ」
一方通行「ふゥン?」
垣根「俺だって何の根拠もない自信家じゃねえ。自分の能力くらいは把握してるし、その上でテメェとやりあった場合の勝率くらい計算できる」
247 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/29(土) 10:26:54.10 ID:sF6SMuU0 [5/7]
一方通行「ゼロだな」
垣根「テメッ、俺をなめんのも大概にしろ死ね!」
一方通行「だからオマエが死ねよォ!」
垣根「あー、こほん。……それで、無理にテメェを倒さずともプランを変更できるんなら、俺は無用な争いは避けてえんだよ」
一方通行「おォおォ、平和主義ですかァ? 似っ合わねェな」
垣根「そんなんじゃねえよ。ただ、くだらねえことはしたくねえだけだ」
一方通行「……、……そンでェ?」
垣根「手を組まねえか、一方通行。麦野と俺で変えることができたプランだ、俺とお前なら確実に『別のもの』に昇華できるはずだぜ」
一方通行「……、……」
垣根「俺だってテメェ相手にこんな提案持ちかけたくねえよ。だけど、所詮テメェも俺もモルモットだ。
狭いゲージの中で無様に餌を待ちながら必死に足掻くだけの人生なら、いっそ変えちまおうと思わねえのか?」
一方通行「……あのよォ」
垣根「?」
一方通行「オマエ。さっきから聞いてりゃプランだなンだって大層なことほざいてやがるが、テメェでそれに振り回されてるって自覚ねェのか?」
垣根「!!!」
一方通行「どォせオマエは暗部だ、絶対能力進化実験と称してこの俺が一万人のクローンをぶっ殺したことくれェ……知ってるよなァ?」
垣根「……ああ。それで最終ロッドがあの『最終信号』だろ」
一方通行「そンなクソったれな実験のときも、そもそも能力開発を受けていたときも、今まさにこの瞬間だって、
俺ァ一度も『狭いゲージの中で無様に餌を待ちながら必死に足掻いた』ことなンざねェよ」
垣根「……、……」
一方通行「オマエの言い分は自分の行為をすべてアレイスターのせいにしてるだけじゃねェか。俺を殺してメインプランにのし上がる? 冗談も程ほどにしとけ」
垣根「ん、だと、コラァ! テメェはまだ知らねえだけだ、アレイスターの計画のメインでありながらくっだらねえガキを守るために必死になるような、」
一方通行「――必死になって何が悪い」
垣根「あぁあ?」
一方通行「ガキ守るために必死になって、それこそ這いつくばってでもあいつを守るよォな悪党じゃ――いけねェか」
248 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/29(土) 10:27:57.71 ID:sF6SMuU0 [6/7]
垣根「……は。何今さら甘ぇこと言ってんだよ。俺でさえ、俺でさえ散々に脳味噌いじくりまわされてこの能力を発現させてんだ!
第二位の俺でこの具合なら、第一位のテメェは俺の比じゃねえはずだろうが!」
一方通行「そっりゃァ、ベクトル操作なンてとンでもねェ能力だからなァ。たしかに俺ァ『モルモット』に違いねェよ」
垣根「だったら! 変えられるかもしれねえプランがあるってのに、テメェはどうして」
一方通行「だからよォ、違うンだって。オマエが言ってることは、一から十までどころか零から百まで違ェ」
垣根「――、っ」
一方通行「アレイスターのプランだろォがなンだろォが、そンなもンは俺の知ったこっちゃねェンだよ。俺はこれまでテメェの意思で生きてきた。
能力を発現させたのも、妹達を殺したのも、北欧に来たのも、全部『一方通行』の意思だ。そこに他人の思惑なンざあったとしても、俺ァぜってェ認めねェ」
垣根「く、は。はは、は、何だ、テメェはただ現状すら理解してねえだけだ! アレイスターの手の上で踊らされてることすら認めたくねえやつに話を持ちかけた俺が間違ってたぜ!」
一方通行「あァ、間違いで構わねェし、元々オマエみてェなのと手を組むなンざ御免だ。ただよォ、ひとつだけ言ってやる」
垣根「なんだよ、弱虫」
一方通行「オマエが自分勝手にアレイスターに食って掛かるのはイイ。俺を殺そうとするのもまァイイ、相手してやンよ。けどなァ」
一方通行「オマエの『現実逃避』に、クソガキみてェな連中を巻き込ンだときは――容赦しねェ。羽ばたく時間すら与えねェで殺してやる」
垣根「現実、逃避……だと!?」
一方通行「ま、そもそも『自分だけの現実』なンてもンがクソ強ェから俺もオマエもレベル5になってンだ。そりゃ、常人より現実逃避しやすいかもしれねェけどさァ」
垣根「テッメ、何度も何度も俺を馬鹿にしやがって……!」ブワッ
一方通行「……、……」プルプル
垣根「!?」
一方通行「……、ぶはっ」
垣根「あぁっ!?」
一方通行「あ、いやごめンマジごめン。やっぱ無理だわ、オマエのカッコ気色悪くてシリアスになれねェ。無理、無理無理無理」
垣根「」
一方通行「オマエそのカッコでキレても全然怖かねェし、いやほンとだめだ。着替えてから出直してきてくンねェか」
垣根「」
291 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/30(日) 00:16:42.27 ID:X3VqbLw0 [2/9]
ブロロロロロ
垣根「……、……」モゾモゾ
一方通行(あァ、もォそろそろ夕暮れ時か)
垣根「……、……」モゾモゾ
一方通行(夕焼けの色ってたまァに血の色に見えンだよなァ)
垣根「……、……」モゾモ、ピタ
一方通行(オーロラって夜だっけ)
垣根「なあ、ちょっと」
一方通行「あン?」
垣根「俺がさっきから着替えてることについて、何かコメントはありませんか」
一方通行「なンで俺がいちいちオマエの着替えに関してコメントしなきゃならねェンだボケ」
垣根「テメェが着替えろっつったんだろ!?」
一方通行「俺ァ着替えてから出直してこい、っつっただけだ。目の前で野郎の着替えなンざ見たかねェよ」
垣根「お前、俺の着替え見たい女なんてけっこういるんだぜ? わかってんのそこらへん」
一方通行「てェか見たい見たくない以前の問題なンだけどさァ、オマエここ車体の上ってわかってますかァ? 露出魔扱いされてもおかしくねェレベルだぞオマエ」
垣根「!!!」
一方通行「通報しねェだけ俺ァ優しいンじゃないかと思うンですけどォ」
垣根「……、……」
一方通行「しかもさァ、ジーンズに付着した血液を粗方綺麗にしてやったのってどこの誰だよ」
垣根「……一方通行さんです」
一方通行「だよなァ。ンでェ、言うことねェの」
垣根「アリガトウゴザイマシタ」
一方通行「ついでに言うけどよォ」
垣根「まだなんかあんの!?」
一方通行「上半身ハダカにダウンとかきっめェ」
垣根「シャツをあのツインテールに手渡したテメェが言う台詞かああああああああああ!!!!!!!!!!」
292 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/30(日) 00:29:44.75 ID:X3VqbLw0 [3/9]
ガタタタタタタ
20000「第二位が突如ストリップをはじめました、とミサカはありのままに伝えます」
土御門「誰得だそれ」
海原「一方通行さんが指差して笑ってますね。げらげら笑ってますよあれは」
20000「あ、ついに腹抱えて笑い出しました。いっそそのテンションでストリップしてくんねーかなーとミサカは欲望を露にします」
海原「ほんと露骨ですねあなた」
土御門「ところで、もう戦うことはなさそうなのか?」
海原「みたいです。断言はできませんが、ふたりの間には何かこう、自分達と一方通行さんの間にはないものを感じます」
20000「上位個体の言葉を引用すると、『強いがゆえの辛さ』だそうですとミサカは会話にまざります。ミサカにはさっぱりわかりませんが」
土御門「垣根は第二位だ、そして第三位の超電磁砲とは圧倒的な隔たりがある。つまり、あの一方通行についていける人間が学園都市にいるとしたら――垣根帝督以外ありえない」
海原「おや、自分は彼も一方通行さんと張り合える人間なのではないかと思っていました」
土御門「カミやんはイレギュラーだぜい。あいつは特例だからな」
20000「特例とかそんなんどうでもいいんですけど、そろそろどっちか運転代わってくんね? とミサカは正直に腕が疲れたことをアピールします」
海原「あ、無免許です」
土御門「同じく」
20000「なんだよミサカだって無免許だよばか! とミサカは頼りがいのない男性陣に辟易しました。これがセロリたんならテンションハイで運転してくれ……、……」
海原「今、テンションハイで運転してとんでもないことになった一方通行さんを思い出しましたね?」
土御門「あれはだめだ。あれはもう運転を任せていいもんじゃないぜよ」
20000「そういや18264号が散々毒吐いてたわー、とあの日の18264号のミサッターは愚痴ばっかりだったことをミサカは思い出します」
土御門「あれはうちの運転手がついていけなかったくらいだからな」
海原「ていうかいつも思うんですけど、あの人テンションマックスになると厄介極まりないですよね」
20000「普段はクールなのに実は熱いっていうギャップがいいんですよとミサカはここぞとばかりにギャップ萌えを宣言します」
土御門「ああ、それは萌えないけど事実だにゃー」
海原「たしかに熱いですよ。もうなんていうか、見た目の涼しさと裏腹に内包してるものが暑苦しいみたいな」
土御門「わかった、あとで一方通行に伝えておく」
293 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/30(日) 00:39:21.84 ID:X3VqbLw0 [4/9]
ブロロロロロ
14510(なんっつーか、上条当麻の隣より一方通行さんの隣がよかった、とミサカは内心でため息を吐きます)
14510(いやでもこの上に彼がいるわけだしすなわち彼に組み敷かれてる状況に近いかもしれない! とミサカは自身の妄想力に感謝します)ニヘラッ
上条(隣の14510号がなんかひとりで笑ってんだけどなんだこれ)
美琴(う、ううう……足の間とか、き、緊張する……いっそ膝の上のほうがよかったかもって何考えてんの私はあああああ!!!)
黒子(お姉様のお顔が真っ赤に……まるで発情しているようですのぉぉぉおおおおっ!)
麦野「前のシート、カオスよね」
結標「ええ。バックミラー越しに見える四人の顔がもうおかしすぎて」
インデックス「むうー、よく見えないかも。どうなってるの?」バタバタ
結標「こら、暴れない。それぞれにやついてたりびびってたり真っ赤だったりハァハァしてるわ」
インデックス「」
麦野「さらに前の運転手席と助手席はー、あれ? 最終信号は寝てるのか」
結標「どれどれ? あら、ほんと。いい寝顔じゃない」
インデックス「あ、なんだか上が静かになったんだよ。あくせられーたとかきねも仲良くなったのかな」
麦野「あいつらが仲良く……?」
垣根『やあ一方通行くん。今日の模試はどうだったんだい?』
一方通行『なンだ、垣根くンか。今回もまァ、ぼちぼちってとこ』
垣根『ぼちぼちだなんて謙遜しちゃってさあ、いつも一位のくせに』
一方通行『いやいや、そンなことねェよ。今回は垣根くンが勝つンじゃねェかな?』
垣根『は? それテメェ前回も言ってたよなそんで俺に勝ってたよなふざけんなよ第一位っ!!!』
麦野「……、ないわ。無理。ねーよ。あっりえねえ」
結標「あなたが何を想像したかわからないけど、顔がひきつってるわよ」
インデックス「ふたりは仲良しになれると思うんだけどな。とうまと喋ってるときとは違った感じであくせられーたも楽しそうだったんだよ」
麦野「あれは喧嘩友達って言う、……いや言わないな。ねーよ。あっりえねーよ」
結標「だから一体どんな想像をしたのよ!?」
294 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/30(日) 00:47:10.93 ID:X3VqbLw0 [5/9]
18264「上位個体、あと少しで目的地に到着ですよとミサカは呼びかけますが、聞こえていませんね」
打ち止め「すぴー、すうー」
18264「邪気のねえ寝顔しやがって、とミサカは毒づきます。あ、やっぱ聞こえてない」
18264「……、いいなあ……じゃなくて! 違う! 羨ましくねーしむしろせいせいする! とミサカは声を大にします」
セイセイスル!
一方通行「あァ? ンだァ、うっせェな」
垣根「ちくしょージッパー上まであげねえと寒い」
一方通行「だっせェ」
垣根「テメェほんとムカつく」
一方通行「ちらっと覗く肌色がうぜェしきめェ」
垣根「わかってるから言わないでくんない」
一方通行「……せいせいする、ねェ」
垣根「しかもこっち完全無視で自分の世界入りやがるしこいつもうやだ」
一方通行「なァ、垣根」
垣根「なんだよ」
一方通行「オマエさ、――恋愛経験豊富な方だよなァ?」
垣根「ぶはっ!」
一方通行「そのリアクションうぜェ」
垣根「いや、いきなり恋愛とか言うから」
一方通行「訊きてェンだけど、オマエは誰かに好意を寄せられた経験があるかよ」
垣根「んー……ない、訳じゃねえかな」
一方通行「『ない、訳じゃねえかな』」キリッ
垣根「ねえお前相談したいんじゃねえの? 俺をからかいたいだけなの!?」
一方通行「いや、相談ってェより……どォすりゃいいンだかわかンねェ」
垣根(相談じゃーん)
295 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/30(日) 00:47:42.91 ID:X3VqbLw0 [6/9]
垣根「まあいい、ここはていとくんが恋愛相談室でも開いてやるよ」
一方通行「わー」パチパチ
垣根「もっとテンション上げて!」ヒョイヒョイ
一方通行「わァァァアアアア!!!!」パチパチパチパチパチ
垣根「もっとぉ!」ヒョイヒョイッ
一方通行「うおォォォオオオ、って何やらすンだオマエ」
垣根「んじゃま、ちゃちゃっと始めるけど。お前は何を相談したい訳?」
一方通行「あァ? あー、だからァ」
垣根「だから?」
一方通行「……オマエさァ、そンときどォしたよ」
垣根「そんときって何、……ああ。好きですーって言われたときとか?」
一方通行「おォ」
垣根「抱いたけど?」
一方通行「はァい人選ミスゥゥゥウウウ!!! オマエを信用した俺が間違ってましたァ!!!!」
垣根「なっ、なんでそんな速攻で否定する訳!?」
一方通行「抱くとかそォいうンじゃねェンだよォォォオオ!!!! ほンっと短絡思考だなオマエ! 脳味噌とチンコ直結してンじゃねェ!?」
垣根「は、はぁあああ!? それ俺の息子すごくねえ!? 理知的なマイサン!」
一方通行「うっわァァァア!!!!! なにこいつ超ポジティブなンですけどォ!」
垣根「直結か、悪くない」キリッ
一方通行「カッコつけてもきめェだけなンだが」
垣根「イケメンならなんでも許される、これが世界の理――世界共通の常識だぜ」
一方通行「だからもォオマエ常識通用しまくってンじゃねェか」
垣根「出る杭は打たれるんだぞ」
一方通行「いや、レベル5になった時点で出る杭どころの問題じゃねェだろ」
312 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/30(日) 23:42:12.63 ID:X3VqbLw0 [8/9]
垣根「まあ、たしかに出る杭どころか飛ぶ杭だよな俺ら」
一方通行「さりげなく俺を仲間に加えてンじゃねェ」
垣根「ふう、夕日が沈んでいきやがる……」
一方通行「ところでオマエ、オーロラ見られなかった場合どォすンだよ」
垣根「へ?」
一方通行「オーロラ、って毎日見られるモンじゃねェだろォが。むしろ見られるときのほうが少ねェから希少価値もあンだろ」
垣根「……!!!」
一方通行「え、ナニ? まさか調べてなかったンですかァ? ンで、簡単に見られるって思ってたとかァ?」
垣根「……、……」
一方通行「図星かよ」
垣根「……だって心理定規はそんなこと一言も言ってなかったんだぞ! 俺がオーロラ見てくるって言ったら、絵葉書買ってきてねって言ってたし!」
一方通行「人に責任転嫁してンじゃねェ。その定規さンとやらはオマエが面倒だから適当に相手してたンだろォよ」
垣根「え、そうなの!? あいつ俺のこと今までそんな目で見てた訳!?」
一方通行「いや知らねェけど」
垣根「もうだめだ……許せねえ、絵葉書5枚くらい買っていってやろうと思ったけどやめだ。あいつにはもう北欧の土でいいわ」
一方通行「なンだその、甲子園にきた連中がとりあえず土持って帰るみたいな考え」
ブロロロロロ
18264「そろそろです、とミサカは上位個体を揺すります。起きてください、ていうか起きやがれ」
打ち止め「うーむう、んっ。おっはよー! ってミサカはミサカは大きく伸びをしながら笑顔で挨拶してみる!」
18264「おはようございます。そろそろ到着しますので、上にも伝えてくれませんか、とミサカは頼みます」
打ち止め「りょーかーい、……あーなーたー!!!!! もうすぐ到着するみたいだよーってミサカはミサカは諸連絡を叫んでみたりいいいいいっ!」
18264「ちょっ、大声であなたはだめだろjk! とミサカは非常識なちびっこに驚きを隠せません!」
アーナーター!!!!!
垣根「」
一方通行「」
313 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/30(日) 23:51:32.86 ID:X3VqbLw0 [9/9]
垣根「あなた?」
一方通行「……あなた」
垣根「テメェが?」
一方通行「……俺が」
垣根「幼女の?」
一方通行「……クソガキの」
垣根「旦那?」
一方通行「……旦、って違ェ!」
垣根「引っ掛からなかったか、つまんね」
一方通行「ふざけンなよオマエ」
垣根「それはそうと――到着間近ってことは、数時間待たなきゃなんねえってことだよな」
一方通行「なァ、オマエその顔何なンですかァ? 決意に燃えてンだけど」
垣根「いや、こうなったらオーロラ見るまで粘ろうと思って」
一方通行「オマエが粘ろォがヘタろォが知ったこっちゃねェが、ガキ唆すンじゃねェぞ」
垣根「ぎっくー」
一方通行「唆す気満々じゃねェかァァァアアア!!!」
垣根「いや、だってほら、な、オーロラって粒子がなんか衝突したりして発光するときに見られるんだろ? プラズマとかなんかそんなん」
一方通行「おォ、らしいなァ」
垣根「だったらさ、俺は電子系統は未元物質と種類が違うから生成しづらい訳。でも、第三位とか最終信号、妹達がいればプラズマくらい作れるんじゃねえの?」
一方通行「……、……」
垣根「ははっ、俺の最高すぎる発想に言葉も出ないだろ!」
一方通行「……、……」
垣根「おいって」
一方通行「……、……」
垣根「なあ、おい!」
一方通行「プラズマ、そォかァ……」
316 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 00:04:55.83 ID:jjj6g9Q0 [1/17]
垣根「だーかーらー! おいって言ってんだけど!」
一方通行「……垣根くン、朗報ですよォ」
垣根「はぁ?」
一方通行「あー、でも今はどォかなァ……うン、多分できると思うわ。最近やってねェけど」
垣根「何の話してんのテメェは」
一方通行「プラズマの話」
垣根「ついていけねえ」
一方通行「オマエ作れないンだろ、俺は作れるっつってンだよ」
垣根「」
一方通行「でもさァ、最初で最後の生成が上条相手にブチかましたときで、あれ以来やったことねェンだよな。だから今の俺でできるかどォかはわか……おい、聞いてンのか」
垣根「……、なにそれ……」
一方通行「あァ?」
垣根「意味わかんねえ、なにそれなにそれ自分でオーロラ作れるとかなにそれテメェマジふざけんなよあの輝きをテメェが作れるっていうのかよ!」
一方通行「まァ多分作れる」
垣根「あっさり言いやがるしぃぃいいいい!!! なにこいつ! なんなのこいつ! ムカつく通り越していっそ羨ましいっていうか羨ましい!」
一方通行「なンかァー……ごっめンなァ?」
垣根「うっぜええええええ! なにその小首傾げたうえでの邪悪な微笑み! ちっとも可愛らしくない! むしろ増幅するこの羨望の念!!!」
一方通行「いやァ、俺ってすげェ」
垣根「自分で言ってんじゃねええええええええええ!!!!!!」
ブロロ、キキーッ
上条「ん? 着いたみたいだな、……って御坂? おーい」
美琴「」プシュー
黒子「お姉様ったら、恍惚とした表情も素敵ですの!」
14510「いやあの、とりあえず意識を持たせたほうがいいんじゃね? とミサカは控えめに提案しておきます」
上条「それもそうだな。みーさーかーさーんー?」ペチペチ
黒子(覚醒したときのお姉様の反応が容易く想像できますの)
317 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 00:15:35.30 ID:jjj6g9Q0 [2/17]
麦野「で、着いたわけだけどさ」
結標「……あなた達はどうしてげっそりしてるのかしら」
土御門「キレた20000号が半端ないドライブテクを披露したんだにゃー……」
海原「二度目の地獄を見ましたね、一度目もつい最近でしたけど」
20000「だってこいつら代わってくんねーんだもん、とミサカは投げやりに呟き不貞腐れます」
インデックス「ところで、かきねはどうして裸にダウンを着ているのかな?」
垣根「これが最新ファッションなんだよ」
一方通行「いてェ。いてェわ……」
18264「いやいやてセロリのよくわかんねえウルトラマンTシャツもいい勝負してますよ、とミサカは冷静に指摘します」
打ち止め「お姉様? なにかあったの? ってミサカはミサカは赤い顔のお姉様に訊ねてみたり」
美琴「え、い、いやなにもないけど! なにもなかったわよ!?」
上条「……さっき俺に散々殴る蹴るの暴行加えてたのはどこのお嬢様でしょーか」
美琴「あっ、あれは! アンタが人の頬をぺちぺち触ってたからでしょ!」
上条「ああはいはいそうですねー上条さんが悪うございましたよ。オーロラだっけ、いつ見られるんだ?」
14510「まだ少し明るいのでもう少し時間が経ってからでしょうか、とミサカは考えますがどうですか北欧」
18264「天気が、よくない。とミサカは専門家ぶってみます」
黒子「天気、と申しますと?」
インデックス「えっとね、オーロラは必ず見られるわけじゃなくて、その日の天候だとか、空気の冷たさだとか、プラズマ粒子の流れだとか……いろいろな条件が重なってはじめて見ることができるんだよ」
18264「とは言え、この場にいる超能力者の能力を使えば、人工的にオーロラめいたものを作りだすことは可能ですとミサカは付け足します」
垣根「はいはいはーい、そういうのよくないと思いまーす! 人の手が加えられた時点でオーロラじゃありませーん」
打ち止め「うーん、ミサカはオーロラみたいなものが見られるだけでいいかなってミサカはミサカは大人の対応を取ってみる」
垣根「!?」
一方通行「さァすがうちのガキ、そンじょそこらのメルヘンより大人だなァ」ニヤニヤ
上条「うちのガキ、ってなんかうちの嫁、みたいだな」
土御門「カミやん、多分それ禁句だぜい」
322 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 00:41:27.71 ID:jjj6g9Q0 [5/17]
それは俺が一方通行とバトってから数分後の夜空に起きた奇跡だった。
真っ黒なキャンバスに散らされた煌く数多の星々――それだけでも十分に幻想的な空だというのに、
ゆらりとカーテンが垂れ下がるように現れたのは、まさしく夜空を駆けるワルキューレたちの甲冑の輝きそのものだったのだ。
あまりの神々しさに、俺は一方通行を罵ることも忘れ、未元物質さえも消失した。
今晩は見られないんじゃないか、そんな可能性が胸を過ぎったことなんて、もはや俺の頭には存在しなかった。
ただ、呆然と思ったことはただひとつ……」
一方通行「北欧のオーロラに常識は通用しねェ」
垣根「ってテメェェェエエエエ!!!!! それ俺の台詞だろうがあああああ!!!!!!!!」
打ち止め「すごく綺麗なカーテンだねってミサカはミサカは白い息を吐きながら感動してみる!」
美琴「わー……まさか本当に見られるなんてね」
黒子「お姉様、息が真っ白ですわ。さあさ、早く黒子の元へ!」
結標「あなたはオーロラより超電磁砲の呼気なのね」
麦野「んーと……写真撮っとこ。滝壺あたりがきっと喜ぶ」パシャ
上条「これがオーロラか……すげえ、なんかすげえ」
海原「ボキャブラリーが貧困ですね。もっとこう、すげえ以外にないんでしょうか」
土御門「いやあ、でもこれだけのものを見せられたら……すげえしか言えないぜよ」
18264「以前見たものよりも色彩豊かですね。赤色まで見られるとは思いませんでしたが、これはもしかかすると一方通行のおかげでしょうか、とミサカは呟きます」
14510「ちょっ、お前何ちゃっかり一方通行さんのこと見直してんの? そういうのマジいらないからやめてくんない!? とミサカは顔を赤らめている18264号を叱咤します」
20000「やっぱりさっきの音はオーロラの出現音だったわけかー、とミサカは頷きます。この光だとオーロラの下で喘ぐセロリたんも超余裕で拝めまあbbbbbbb」
打ち止め「ふいー、久しぶりのお仕置きはどんな味? ってミサカはミサカは小悪魔の笑みを携えて訊ねてみたり」
20000「」
14510「今の相当きたんじゃないっすか、とミサカは自重しつつ指摘します。いえ、あの、上位個体羨ましいとか思ってないんでほんと」
18264「ミサカはあんなセロリ興味ないし、ていうか早く帰ってくんねーかなーと思ってますんでほんと」
インデックス「あれ、オーロラって何分間くらい出てるのかな……もうちょっと?」
美琴「そうねー、まだ音は聞こえてきてるし、もう少し見られるんじゃないかしら」
打ち止め「わーい! ってミサカはミサカはこの素敵な光景を必死に目に焼き付けて、あとあとついでにみさろだにアップデートしておくの!」
一方通行(……クソガキも楽しンでるみてェだ。連れてきて正解だったかもしンねェな)
343 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 21:32:26.71 ID:jjj6g9Q0 [8/17]
垣根「生きてるって素晴らしい」ホクホク
麦野「アンタ単純すぎない? たしかに綺麗だったけどさあ」
一方通行「そいつ、途中から俺殺すことよりオーロラ見ることのほうが大事だったみてェだぜ」
垣根「ああ、そういや殺そうとか思ってたんだったわ」
一方通行(何回目の指摘だァ? これ)
上条「ところで俺らって、今晩野宿?」
インデックス「うーん……できないとは言わないんだけど、ちょっと寒いかも」
18264「宿泊するのでしたら研究所にも仮眠スペースはありますが、とミサカは研究所をホテル代わりにすることを提案します」
美琴「まあそれもひとつよね。今からじゃホテルは押さえられないかもしれないし」
14510「研究所ってことはミサカ達もいいんですか? とミサカは期待しながら訊ねます」
18264「多分問題ないんじゃね? あの研究所無駄に部屋余ってんの、とミサカは裏事情を説明します」
打ち止め「えーっと、じゃあここにいる全員でお世話になっちゃうけどいいのかな、ってミサカはミサカは一応確認してみる」
土御門「ん、ああストップ。オレ達は研究所を借りる必要はないから、数に入れなくていい」
海原「はい。一泊するかもしれないと予想していましたし、事前に宿を取っています」
黒子「んまぁ、本人達であるわたくし達よりも用意周到ですのね」
結標「まあね。それより、麦野さん。あなた、私と相部屋でいいならホテルに泊まる?」
麦野「! 研究所よりはよっぽどマシね、よろしく頼んでいいかな」
土御門「じゃあ決まりだ。カミやん、オレらはここでお暇させてもらうぜい!」
上条「おう、じゃーな土御門!」
海原「一方通行さん、研究所だからって研究と称して変なことしないでくださいね」
一方通行「オマエの脳味噌どォなってンの? ねェどォなってンのォ!?」
結標「それじゃあね、打ち止めちゃん。変なことされたらすぐに飛んでくるから」
麦野「いざとなったら股間蹴り上げるのよ? こう、ガツンと」
打ち止め「よくわからないけどわかった! ってミサカはミサカは元気に返事してみたり!」
スタスタスタ
垣根「……、……えっ?」
344 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 21:42:52.65 ID:jjj6g9Q0 [9/17]
一方通行「ンじゃ、18264号。運転頼むわ」
18264「仕方ねーな、とミサカは運転席に乗り込みます。皆さん準備はよろしいですかー」
インデックス「いつでも発車していいんだよ!」
打ち止め「全員オッケーだよーってミサカはミサカはお姉様の隣で返答してみる!」
美琴「私もいる、黒子もいる。20000号もいるし、14510号もいるわね」
上条「よし、それじゃ出ぱ」
ドンドンドン!
黒子「……? あら、第二位さんではありませんの。どうしてまだここにいらっしゃるのかしら」
垣根「い、い、か、ら、の、せ、ろ!」
一方通行「おい、発進」
18264「イエッサー、とミサカは遠慮なくワゴンカーを発進させます。どりゃ」
ブロロロロロロ
垣根「あっ、てめ発進させやがった!」
一方通行「気にすンな、ゴー」
18264「ウィ、とミサカは思いっきりアクセルを踏みます」
ギュイイイイイイイイン
インデックス「おおー、かきねが遠くなってい……かないんだよ!」
上条「え? ってうっわ! 翼生やしやがった!」
垣根「俺は野宿なんて柄じゃねえんだよぉぉぉおおおおお!!!!」ファッサファッサ
美琴「さ、さすが第二位……無駄にしつこい!」
黒子「ていうか、あの翼で研究所まで行けそうですの」
14510「でも彼は研究所の場所がわからないんですよ、とミサカは第二位が追っかけてきている理由を解明します」
20000「なんか造形だけならていとくんマジ天使、とミサカは呟きます」
一方通行「造形だけなァ。中身はチンピラもイイとこだっつの」
打ち止め「でもなんだか必死でかわいそう、ってミサカはミサカはカキネさんに憐憫の情を抱いちゃったり」
18264「ちびっこに哀れまれる高校生ってどうなんだ、とミサカは鼻で笑いますがやべえ本気で追いつかれる」
346 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 21:54:15.35 ID:jjj6g9Q0 [10/17]
数十分後
垣根「結局よー、俺の未元物質に常識は通用しねえ――もちろんスピードだって例外じゃない訳」
一方通行「うっせェよ仕方なく乗せてやったンだからしおらしくしてろボケ」イライラ
上条「まあまあ、泊まるところないって言ってるんだしいいだろ。仲良くいこうぜ?」
美琴「アンタはほんと気楽でいいわよね……」
18264「ところで皆さん、今からすっげえ飛ばしますんでシートベルトの着用をお願いします、とミサカは忠告します」
黒子「? とりあえずつけていますけれど」ガチャ
14510「すっげえってどれくらいなんだよ、とミサカはつっこみつつ一応がちゃり」ガチャ
20000「えっ、あれこれどこに差し込めばいいんだっけ? セロリたんの穴? とミサカはあbbbbbb」
打ち止め「シートベルトすら着用できないなんてだめな子ね、ってミサカはミサカは微笑みながらやさしく20000号にシートベルトを着用させてあげる!」ガチャガチャ
インデックス「今なんだか2回くらい差し込んだような音がしたんだよ」
14510「気のせいですよシスター。ええ、気のせいです、とミサカは自己暗示をかけます」
18264「いいっすかー、マジで今から本気出しますよーとミサカはぁぁあああッ!!!!」
ギュルルルルルンッ
スガガガガガガガガ
ズザザザザザザッ
垣根「!?!?」
一方通行「あァ、オマエはまだ体感したことねェのか」
上条「北欧妹の運転は上手いんだけど、ものすごくこわいんですよ」
20000「ヒャッハアアアアアア! 今ならやれる! 今ならレッツリベンジおっぱーい! とミサカは窓から手を出し、っぶふ!」
黒子「い、妹さんが右腕をおさえて……? まさか疼いていますの!? 連中が、やつらが来たと!?」
垣根「こ、こんなところにまでカノッサ機関が……!? くそっ、右目が反応してやがる!!!」
インデックス「ここは私に任せてみんなは早く行って! やつらは私が足止めするんだよ!」
14510「お前だけにいいカッコはさせないぜ……死ぬときは一緒だ! とミサカは宣言します!」
美琴「アンタらノリノリにも程があるわ!」
上条(あっぶね、便乗するとこだった)
350 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 22:08:31.01 ID:jjj6g9Q0 [11/17]
さらに十数分後、研究所前
18264「ふいー、到着です。とミサカは運転席から振り返って……なんだこの惨状」
一方通行「オマエの運転で酔ったンだと」
垣根「やべ、吐く、吐きそ、吐きます」
美琴「な、なんとか耐えられた……一方通行、アンタさっきベクトル操作してたでしょ。打ち止めにだけ」
打ち止め「だからミサカは酔わなかったのね! ってミサカはミサカはあなたに心から感謝してみたり!」
一方通行「はっ、オマエみてェなクソガキに嘔吐されたらこっちが困るンで、」
垣根「もう無理限界、おえええええええ」
20000「ちょ、きったね! とミサカは慌てて飛びのきます! セロリたんの吐瀉物ならまだしも!」
14510「さりげなく変態性癖暴露してんじゃねえよとミサカはどつきます。そういう感情をミサカの一方通行さんに向けないでいただきたい!」
18264「今さり気なくミサカのって言った? それどういう意味よ? とミサカは言葉尻を捉えます」
上条「助手席に乗っててよかった、今回ばかりは上条さんも不幸を免れま、」
垣根「うわ、またきたおえええええええ」
上条「ぎゃあああああああ俺に吐いた!? 俺に吐きやがったこいつ!!!!」
一方通行「不幸だなァ」
打ち止め「さっと避難していたあなたはちょっとひどいかもってミサカはミサカはあなたを窘めてみる」
研究所
職員「……、どうしたの? その子」
18264「症状は嘔吐と眩暈ですね、とミサカは答え、職員に押し付けます」
垣根「がふっ、あー、むり、むりむり、むり」
職員「よくわからないけれど、とりあえず部屋に案内するわね。あなた達も?」
一方通行「クソガキ、あの女ァ何て言ってる」
打ち止め「『お部屋に案内するけどあなた達もだよね?』みたいな感じってミサカはミサカは翻訳を試みる!」
14510「まあそんなとこですね、とミサカは感覚共有の便利さをひしひしと実感しつつ、部屋割りが気になってそわそわします」
351 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 22:19:27.57 ID:jjj6g9Q0 [12/17]
20000「はいはいはいっ! ミサカは華麗にセロ、一方通行との同室を希望します!」
打ち止め「えへへー、却・下! この人と相室するのはミサカなんだもんってミサカはミサカは当たり前の事実を述べてあげる!」
14510「うぇ!? え、ちょ待てよ! とミサカは上位個体をおしとどめます。ここはじゃんけんで決めるべきです!」
美琴「……姉として非常に複雑だわ。個性豊かに育ちすぎじゃないの」
一方通行「……悪いことじゃねェだろ、多分」
上条「にしても大人気だな一方通行」
一方通行「いンやァ、一万人弱のオマエにゃ及ばねェわ」
美琴「!? あ、そ、そうよね、あはははは! アンタってば妹達みんなから惚れられてんじゃない!」バシバシ
上条「いたっ! 待て、なんで笑いながら背中を叩いてるんでせうか御坂さん!?」
黒子「遺伝子単位で骨抜きにするとは……羨ましいこと山の如しですのぉぉぉぉおおおお!!!!」
インデックス「とうま、そんなに女の子と仲良くなってたの?」ガブリッ
上条「いッ!? 痛い痛い痛いインデックス痛い! 痛いっつうの!」
打ち止め「……、……うーん」チラリ
一方通行「おいコラなンで今俺の頭見つめたオマエ」
18264「噛み付けないと思いますけど、とミサカは上位個体の顎がそれほど発達していないことを指摘します」
垣根「なあなあお前ら、ちょっとは俺の心配してもよくね」
一方通行「もォめンどくせェし、男と女で分ける……これで異論はねェな?」
上条「あー、うん。それが一番手っ取り早い」
垣根「もうやだこいつら」
女子部屋
18264「トイレは出てすぐの角を曲がったところですとミサカは説明し、ついでに男性陣にも説明してきます」
スタスタスタ パタン
美琴「はあ……」
黒子「あらお姉様。そんなに殿方とご一緒できなかったことが悔しいんですの?」
美琴「ち、違うわよ!」
352 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 22:32:30.59 ID:jjj6g9Q0 [13/17]
打ち止め「むうー、ミサカはミサカはあの人の寝顔を堪能したかったかも」
14510「黙らっしゃい上位個体! 抜け駆けは許しませんよとミサカは顔をちょっとしかめます」
20000「まあネットワーク経由でけっこう寝顔流れてるけど、とミサカはおかずにしていたことを激白します」
美琴「……もしかして、検体番号が大きければ大きいほど、自我もよく育ってるのかしら」
インデックス「それはそうとおなかすいたんだよ。何か食べるものはないのかな!」
黒子「それでしたら、ちょうどこちらにじゃがりこがありますの」
インデックス「わーい! あ、どこかにお湯はあるかな? せっかくだしポテトサラダにしたいかも」
男子部屋
垣根「……、……」
上条「……、……」
一方通行「……、……」
18264「……、トイレの説明も終えましたし、ミサカは退室します。あとはどうぞご自由に」パタン
垣根「……あのさあ」
上条「おう」
垣根「部屋がさあ、案外狭いのはいいんだよな。野宿よりずっといいし」
上条「うん、何か文句あるのか?」
垣根「あるある。なんで俺ら三人で川の字になって寝なきゃならない訳?」
一方通行「狭ェからだろボケ」
垣根「おかしくね? しかも俺が真ん中ってなにこれ気色悪い」
上条「俺、端っこのほうが寝やすいんだよなあ」
一方通行「真ん中とかきめェ」
垣根「上条はともかく一方通行、テメェ夜覚えてろよ」
一方通行「つうかもォ眠ィンですよォ俺は。寝る。邪魔したら殺すから」
上条「じゃあ俺も寝るわ。おやすみー」
垣根「えっ、ちょ、もう寝んの!? なんか恋バナとかしねえの!?」
一方通行「ひとりで語ってろクソヘルヘン」
356 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 22:52:38.55 ID:jjj6g9Q0 [15/17]
垣根「」
一方通行「アー、ちくしょォ。眠れやしねェ」スッ
スタスタ
カチャ、パタン
垣根「……ふふふふふ! 甘い甘い甘い、もうすっげえ甘い! こんなんで俺が気絶する訳ねえっつの!」ガバッ
垣根「上条は寝てるし、こうなったら俺ひとりで尾行してやるぜ……どこに行ったのかなっと」
スタスタ
ガチャッバタン
上条「……いやいやいや、起きてますよ。上条さんは起きてますけどこれ以上不幸になりたくないんです」
スースースースー
廊下
一方通行「どォすっかねェ……いや、あいつが何も言わなきゃそれでイイ、が――あ」
スタスタスタ
18264「あーもうだるい。なんかだるいやってらんね、とミサカは……あ」
一方通行「!」
18264「……おやおやおやおや、奇遇ですね、とミサカは普通に話しかけます」
一方通行「おォ。オマエはなンでこンな夜中に徘徊してンだ、とっとと寝ろ」
18264「どうにも体がだるいんですか、布団に入って治るような気だるさでもないので、とミサカは告白します」
一方通行「あァ? ンなモンは適当に寝ときゃ治るンですよォ。おら、早く部屋に戻、」
18264「戻りませんよ、とミサカは一方通行の瞳を見据えて断言します」
一方通行「……、……っ」
18264「この気だるさは、疲労からきているものではありません、とミサカは自身の健康についてきちんと把握していることを告げます」
一方通行「は、だったら――なンだってンだァ?」
18264「言わせたいなんてどんだけサディスティックなんだお前、とミサカは別段赤面せずに答えます。言ってしまっても、いいのですね?」
垣根(なにこの展開意味わかんねえんだけどなんだこれ? 俺見てていいのか、いやいいよな……いいぜ。全然問題ねえよ俺、俺が許可する)
360 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/31(月) 23:13:23.43 ID:jjj6g9Q0 [16/17]
一方通行「……、ひとつだけ、先に言っといてやらァ」
18264「何でしょう、とミサカは一応聞くそぶりをしますが」
一方通行「俺がオマエらに対して取る態度は、全部自分のためだ。俺のためなンだよ」
18264「……、……」
一方通行「何をどォしてオマエが『そンな感情』を抱くよォになったのかは知らねェが、そいつは勘違いだ」
18264「……、勘違い?」
一方通行「あァ。オマエは何を考えて、こンなクソったれの悪党に『そンな感情』を抱いてやがる」
18264「……そんな感情、とは。あなたはどこまで知っているんですか、とミサカは視線を逸らさずに訊ねます」
一方通行「今ならまだ間に合うンだよ。だから、考え直せ。思い直せ。知らねェ訳でも、感じてねェ訳でもねェだろォが。
オマエらに痛みや苦しみを与えたのは誰だったか! 思い出せねェ訳じゃねェンだろォが!」
18264「……、……」
一方通行「ふざけたこと抜かしてンじゃねェ、クソったれな悪党に、全世界の人間が悪だと認めるよォなこの俺に、一万人以上のオマエらをブッ殺したこの俺に!
オマエらは『そンな感情』を抱いてイイ訳がねェンだよ!」
18264「……、上位個体は」
一方通行「あァ?」
18264「上位個体は! あなたのすぐ隣で! あなたの腕を取って! あなたに微笑みかけて!
大好きだと臆面もなく言えるのに、ミサカは、ミサカでは、口にすることさえ許さないとでも言いやがるのかてめえはっ、とミサカは叫び返します!」
一方通行「!」
18264「本当は言わないつもりでしたし、このままあなた達がさっさと帰ればそれでいいとさえ思っていましたが、気が変わりました。
むかつきます。ええ、心の底からむかつきます、そうやって逃げて逃げて、そのくせミサカの前から消えようとしない!
まだ、ミサカに手を差し伸べようとする、一方通行、あなたが、ミサカは、ミサ、カ、はっ」
一方通行「……、やめ、ろ。オマエは、そンな感情を、」
18264「言ってやる、あなたはいくじなしです。
ミサカ達を守ると言っておきながら、たかだか下位固体ひとりの感情さえ受け止めることもできない、受け流すことだってできない、壊すことさえできない、
これをいくじなし以外になんと形容すればいいんですか! いくじなし、いくじなし、クソったれのいくじなし!
ですが、ミサカは、このミサカは、そんな、どうしようもないいくじなしのあなたが、」
18264「どうしようもないくらい、好きなんです、ばか」
一方通行「……、……あ、は」
424 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/02(水) 02:45:51.82 ID:MshOq/g0 [1/3]
一方通行は、つとめて冷静に、冷徹に、冷酷になろうとする。
目の前の現状から逃げ出したくなる自身をおさえて、ただ18264号だけを見据える。
いつから気づいていたのかと問われれば、明確な時期は答えられないが、「三重旅行の最中」と断言はできる。
一方通行は自分が鈍感であると思ったことはなく、むしろ敏感であるとすら思う。
ひとの感情に不慣れな彼は、その分だけ、自分に向けられる感情に怯える。
その感情が好意的なものであればあるほど、やめてくれと切に望む。
ましてその相手が妹達ともなれば、本当に、気でも狂ったのかと正気を疑いたくなる。
誰よりも何よりも守りたいと願った対象が、汚されてほしくない、穢されてほしくないと願い続けた対象が――よりによって、悪の権化とも言うべき自分に純粋な感情を向けている現実。
夢ならどんなに救われただろう。下手な悪夢よりおそろしくて、どうしようもない。
「認めてくれないなら、何度だって言いますよ。ミサカはあなたが好きで好きでしかたないんです。
どうすればあなたを嫌いになれるんですか、どうしたらあなたをこの胸から追い出すことができますか、
どうしたならば、あなたは、いくじなしのあなたは、ミサカを切り捨ててくれるのですか!」
「……、……」
切り捨ててほしいと訴える18264号の気持ちなど、一方通行には分かろうはずもない。
いくじなしと罵られていながら、それでも一方通行は言葉を発することなく、足を動かすことなく、じっと18264号を見つめる。
「ミサカはあなたを引き止めたいわけではありません。むしろさっさと学園都市に帰りやがれと思っています。
ですが、あなたはもう一度、向き合わなければならないはずです、とミサカは未来を予想します」
「予、想?」
一方通行が思わず声を出す。少し見開いた赤い目に映る18264号は、普段と何ら変わらずに、毅然とした態度で立っていた。
ゆっくりと口を開き、彼女は予測を淡々と述べる。
「上位個体。あなたが唯一傍にいることを許した彼女は、きっとあなたに好意を抱くでしょう。
そのときあなたはこのミサカにしたように、聞きたくない認めたくない言わせたくないと、目を背け耳を塞ぎ口を封じ思考を止めるのですか、とミサカは訊ねます」
「どォいうこと、だよ」
「言葉通りですが、とミサカは当然のことを当たり前に告げます。それでもまだ逃げますか、いくじなし」
18264号がふっと口元を緩め、一方通行を見下すかのように笑みを浮かべた。いつもの彼ならば、その笑みに苛立ちを覚えただろう。だが、そんな苛立ちでさえ現実逃避でしかないと一方通行は知っている。知っていなければならなかった。
打ち止めが、自分に好意を抱いていて。
その事実から、逃げ続けてきた自分がいて。
いつまでも、どこまでも、逃げて逃げて逃げて、彼女の目が届かなくなるところまで逃げてしまおうと思っていた自分の、なんと弱いことか。
425 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/02(水) 02:47:00.26 ID:MshOq/g0 [2/3]
おそらく打ち止めは、一方通行の本音すら見抜いていたに違いない。今になって、ようやくわかった。
あの少女は、守った気になっている一方通行をすべて理解していながら、あえて守られていたのだ。
たった一言、本当に好きなのだと言うだけで壊れてしまうであろう一方通行を、小さな少女は気遣っていたのだ。
、、、、、
(あァ、たしかにイクジナシだよなァ――)
目の前の18264号の思いを受け止める意気地もないくせに。
自分を理解してくれている少女の思いを認める意気地もないくせに。
一方通行に残された道は、ただひとつ。自分が決めた道だけだった。
彼には、「妹達をどんな形であれ守る」という行く路しかない。
「なァ。俺ァよ、オマエが望ンでやがる答えがさっぱりわからねェ。どォすりゃイイのか散々悩ンでみたンだが、解答らしい解答なンざひとつも浮かンでこねェンだよ」
「……いいですよ、逃げたって。ミサカはもう二度とてめえに会わねーし、ていうかぜったい会いたくねーし、とミサカは吐き捨てます」
「だからさァ」
守ると決めた少女がいる。
その少女が住む世界すべてを守ると決めた自分がいる。
もう二度と傷つけないと誓った少女達がいる。
彼女達が少しでも傷つくのなら、その原因を断ち切ることに、一方通行が躊躇いを覚えるはずなどないのだ。
「もォめンどくせェ。オマエはこンなクソったれが好きだって言うけどよォ、今だって言ってやらァ。それはきっと、勘違いだ」
18264号が顔を歪める。泣くのではない。ただ、理解されないことを悔しがる、そんな表情だった。
一方通行は背後から向けられている視線に気づきながら続ける。面倒なのはどっちだろうかと考えながら。
「それでも――勘違いだろォがなンだろォが、俺はオマエらの全部を抱え込ンでやる。恨み辛み妬み嫉み、なンでもござれってなァ」
「……っ、」
「考えてみりゃあ、『たかだか一万人弱』の妹達の感情を、この俺が抱え込めねェワケがねェ。俺を誰だと思ってやがる」
学園都市第一位の超能力者、一方通行。ベクトルを操ることができる、唯一無二の、最強。
何かを壊し続けてきたこの手が、何かを守れないだなんて誰が決めた。
何かを反射し続けてきたこの心が、何かを受け止められないだなんて誰が決めた。
そんな限界をつくりあげていたのは、他ならぬ彼自身だ。
「俺は、天下の一方通行だぜェ? 一流の悪党であるクソったれな俺が、オマエらのチンケな感情ひとつ、受け止められねェはずがねェンだよ」
かつ、かつ、と杖を鳴らして、一方通行は18264号に歩み寄る。
一歩一歩確実に、一手一手着実に。
素直な言葉を言えない彼女がここまで言った。その努力を無駄にするわけにはいかないと、一方通行は18264号を追い詰めていく。
426 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/02(水) 02:47:54.28 ID:MshOq/g0 [3/3]
やがて、ふたりの距離はゼロに近しくなった。
すっと細い腕を伸ばし、茶色の髪に手を置く。そして、一方通行はからりと笑う。
すべてを笑い飛ばすために、ただ笑って、乱暴に18264号の髪を掻き撫でた。
「うわっ、とミサカは慌てて髪を直しますが、ちょっやめてくださいほんと乱れるやめ」
「黙って撫でられとけ」
返すことはまだできない。きっと、一生かかっても、その感情に応えてやることは叶わないだろうと確信している。
けれど、目の前の少女だって愛おしむべき存在なのだから。
「悪りィな、……ありがとよォ」
「!」
応えてあげられないならせめて最大級の感謝を送ろうと、一方通行はやや力を弱めて髪を撫でる。
さらさらと流れる髪は、入浴後に乾かしてくれと頼んでくる幼い少女の髪質と変わらない。
しばらくされるがままでいた184号が、一方通行の手首を掴み、動きを止めた。
「感謝される覚えはありません。ミサカはただ、とにかくむかついてしゃーなかったんでどうにかして困らせようと思っただけなのですが」
これは失敗でした、と小さく続けて、彼女は一方通行から離れる。その表情に陰りは見えなかった。
「では、おやすみなさい。ミサカは眠くて瞼がひっつきそうですので」
そう言うと同時に、18264号は踵を返し部屋に戻ってしまった。後姿を数秒見つめた後、一方通行は振り返る。
「……垣根。オマエ、人の修羅場見て楽しいかよ」
バレていたことに気づいていたらしい垣根は、にやついた笑顔を浮かべながら一方通行に近付くと、その細肩に腕を回して話し始めた。
「いや、ほんとすっげえ楽しい。あいのりマニアの俺としてはもうドキドキものだった、っていだだだだだだ」
加減なしで垣根の腕をひねると、廊下に崩れ落ちた垣根を捨て置き一方通行も部屋に戻る。
あと十数時間で、彼らは北欧を発たなければならない。
睡眠が必要だ、と今さらになって帰りも超音速旅客機であることに思い至った一方通行は、布団をひっかぶり何も考えずに眠りに落ちた。
「いってえ、……マジ加減ねえなちくしょう」
その数分後、赤くなった患部を未元物質で癒しながら垣根も布団をにもぐりこんだが、後に寝ぼけた一方通行に布団を剥ぎ取られ、上条の寝言に邪魔され、彼は一睡もできなかったようである。
456 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 01:42:08.23 ID:fo6GQHw0 [2/23]
am07:00 男子部屋
垣根「……、……」イライラ
一方通行「ン、……くー」スヤスヤ
上条「……だああああっ!!! いい加減に落ち着けスフィンクスぅぅぅうううっ!」ガバッ
垣根「よお上条くん。昨日は随分な悪夢をみていたらしいがよろしければ俺に教えてくれないかな?」
上条「へ? いや、ていうかなんで青筋浮かべて……あれ? 帝督さん目の下に隈できてるけど」
垣根「テメェらが俺の布団剥ぐわ寝言がうるせえわで寝付けなかったんだろうがあああああああああ!!!」
一方通行「う、っせェ……、クソガ、キ……」スヤスヤ
上条「」
垣根「そしてこの俺の掛け布団を下に敷いてふかふかを堪能しやがってる一方通行だが、こいつはさっきからこの調子で起きやがらねえ」
上条「ああ、うん……起こしたらキレるよなきっと」
垣根「バカちげえよ俺がキレた一方通行を怖がってるみたいな言い方すんなよ」
上条(違うのか)
垣根「でだ。俺はもう眠いの通り越してラジオ体操までやっちゃったくらいなんだけど、こいつ起こしてくんね?」
上条「待て待て待て。ラジオ体操? ここで? もしかしてセルフラジオ体操?」
垣根「ザッツライト。いやー、うっかり第四までやったぜ」
上条「第四!? そんなんあんの!? 第二までしか知らねえよ!」
垣根「あるある。お前今度どっかの動画サイトで検索してみろって、あれ一人でやった俺マジすげえって尊敬したくなっから」
上条(その前に俺らが寝てる間でセルフラジオ体操やってた時点ですげえ)
垣根「とにかく頼んだ。俺はお嬢さん方のほう見てくるから、んじゃ」
スタスタ
ガチャ、バタン
上条「……え? この時間にそれはやばくね?」
一方通行「……、……ン、っとォ……ねみィ」ノソリ
上条「お。おはよう一方通行。よく眠れたみたいだな」
一方通行「あァ……今寝とかねェと飛行機乗ったとき死にたくなンだろォなと思ってなァ」
458 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 01:55:04.50 ID:fo6GQHw0 [3/23]
とあるホテル
海原「なんだかんだで研究所より格別に待遇のいいホテルでしたね」
麦野「ふぉふへー、へほひゃへははひはははー」モグモグ
土御門「……麦野、頬に詰め込んだまま喋るな。何を言いたいのかわからない」
結標「『そうねー、でもシャケ弁がないからさー』、だそうよ?」
麦野「もぐっ、……ふう。そうそう、それ。その通り」
海原「フィンランドにシャケ弁は望めそうにないですね、当たり前ですが」
結標「というか、昨日からオープンサンドしか食べてない気がするんだけど」
土御門「気のせいじゃないぜい。フィンランドっつったらオープンサンド。なにはともあれオープンサンドらしい」
麦野「米が恋しいかな、まずくないしいいんだけど」モキュモキュ
結標「必要最小限って感じよね」モグモグ
海原「あ、この後にデザートくるみたいですよ」ゴックン
土御門(今さらながら、『グループ』は馴れ合い集団じゃないとかそもそも暗部じゃねえのとかつっこめないほどに親密だにゃー)パクパク
スタスタスタ
木原「あーしんど、あーだりぃ」ドカッ
海原「」
結標「」
麦野「」
土御門「」
木原「あ? ああ、てめぇら一方通行の……」
一同「……、……」ゴクリ
木原「オトモダチ?」
結標「甚だしく違うわ」
木原「あっそ。ところでこのオープンサンド余ってんのか? 食うぞ」ムッシャムシャ
土御門「……、って! オレの炭水化物がああああああああ!!!!!」
海原「ご愁傷様です。よかったじゃないですか、機内で吐く可能性が減りましたね」
459 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 02:10:47.48 ID:fo6GQHw0 [4/23]
研究所
打ち止め「すみません、朝食までご馳走になってしまって、ってミサカはミサカはみんなを代表してフィンランド語で伝えてみる!」
職員「いいえ、これくらいミサカを預かってもらった恩にくらべればどうってことないわ」
18264「まるでミサカがお荷物みたいに言いやがりますね、とミサカは職員にジト目を向けます」ジトー
職員「さて。君達はこれから日本へ戻るのよね」
美琴「……何か質問していることだけはわかるわ」
一方通行「おら通訳、仕事しろ仕事」
14510「ここはミサカが華麗に会話してみせましょう! ええとですね、彼女は日本へ帰るんですよねって言ってました!」
上条「まあ帰るよな。帰らないわけにいかないし」
20000「よっしゃここでミサカのターン、とミサカは出番を横取りします。ミサカ達はちゃんと日本に帰りますよ」
職員「またきてくれるのかしら」
18264「!?」
打ち止め「もちろんだよってミサカはミサカは大きく頷いてみたり! ね、あなた!」
一方通行「だから通訳しろってンだよ、何の同意を求めてンだオマエは!」
黒子「ところでさきほどから口にガムテープを貼られている垣根さんはどうしましょう」
インデックス「女性の着替えを偶然とは言え見ちゃったんだから、しばらく放置なんだよ」
垣根「--、--!」
上条(だから時間帯的に着替えしてんじゃねえかって心配したのに)
一方通行「待て、着替え? 垣根がうざくてシメたンじゃねェのか」
美琴「ええ。さっき部屋に入ってきてね、ちょうどインデックス達が着替えしてたのよ」
インデックス「奇跡のタイミングとしか表現できないかも。あと数秒早ければ私は素っ裸だったというのに!」
一方通行「……おいクソガキ、オマエ見られたのか」
打ち止め「え? み、見られたというか、その、ちょっとだけ見られたかもしれないというか、でもでもミサカはミサカの記憶を辿って」
一方通行「……ふゥン」カチリ
垣根「!? --、--! --------!!!!」バタリ
上条(なんつーか、俺並に不幸かもしれない)
460 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 02:22:07.87 ID:fo6GQHw0 [5/23]
研究所前
18264「……、あーマジせいせいするーとミサカは元気良く伸びをします」
14510「無表情じゃねえかとミサカは指摘しますが、自分の顔も負けず劣らず無表情な気がしました」
20000「おうおうよくわかってんじゃねーか二人とも、とミサカは声をかけつつ……運転だるくね?」
14510「だるい。正直言ってだるいけど、でも帰りはミサカが一方通行さんを乗せるって約束したよね!? とミサカは確認しておきます」
20000「あーそうねー言ったねー、とミサカは適当に返します。運転中ってどうせ後ろの様子わかんねーっつの、ハァハァすらできねーっつの」
14510「うるさいうるさいうるさーい! それでも一方通行さんの命を預かっていることが大事なんだよばか、とミサカは」
18264「……、あのさあ、とミサカは唐突に切り出します」
14510・20000「「?」」
18264「道中、気をつけて、とミサカは端的に伝えます」
14510・20000「「!?」」
18264「何その顔すげえむかつくんだけど、とミサカは舌打ちをかまします。チッ」
14510「北欧が成長しやがった……とミサカは呆然とします。何が起こったのでしょうか」
20000「いやほんとだわ。なにこのちょっと素直になれなかっただけですみたいなオーラ……今さらツンデレぶったっておせーよばーかばーか! とミサカは悪態を吐きます」
14510「ていうかお前あれ、一方通行さんはいいのかよ、とミサカはまあこっちがリードしてるからこその余裕で心配してやるのですが」
18264「セロリなんて元から興味ねーよとミサカはクールに切り捨てます。北欧なだけに」
20000「全然wwwwwうまくねえwwwwwwwwwwpgrwwwwwwwwwwwとミサカは18264号をバカにしつつ、とりあえず」
18264「?」
20000「ま、よく頑張ったんじゃね? と昨日の出来事のバックアップが取れていることを教えます」グッ
18264「!?」
14510「甘かった。一方通行さんに頭なでてもらうとかほんともうありがとう。とミサカは心から感謝の気持ちを述べます」グッ
18264「……、……ちくしょー、とミサカはあれを独り占めできなかったことだけを後悔します」
14510・20000「「!!!」」
461 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 02:32:11.58 ID:fo6GQHw0 [6/23]
14510「認めた、だと……!? とミサカはああああやだあああああライバル増えたああああああああああああ!!!」
20000「ちょ、待て落ち着けこれは多分気の迷いで18264号なりの北欧ジョークなんじゃね? セロリたんの穴はミサカのものなんじゃね?」
18264「うっせーよ変態、とミサカは冷ややかな視線を20000号に向け、挑戦的な態度で14510号に応じます。ええ、好きですしライバルですけど?」
14510「認めない! ぜったい認めてやんないいいいい!!!」
18264「古参は引っ込んでろ、とミサカは勝ち誇った表情で」
一方通行「……おい、そこのオマエら」
三人「「「!」」」
一方通行「そろそろ帰ンぞ、先に点検あンじゃねェのか」
14510「そ、そうでした、とミサカはこの場を去りたくありませんがまた会えるので一足お先に乗ってますね一方通行さん!」
20000「覚えとけよ、変態に変態って言っても事実だし悪口じゃねーからなあああ! とミサカは捨て台詞を吐いて14510号の後を追います」
バタバタバタ
一方通行「あいつら、走るの速ェよなァ……ああ、オマエもか」
18264「あーそうっすねーはやくかえれー、とミサカはセロリを見るのも億劫なんで地面のアリを数えます」
一方通行「……はァ」
18264「なんすかそのため息、二酸化炭素吐き出してんじゃねーぞとミサカはアリが13匹いたことを報告します」
一方通行「そりゃまた、縁起悪い数字だなァ。……あのよォ」
18264「はい何でしょう、とミサカは極めて事務的に訊き返します」
一方通行「……あー……、ここで、オマエとは別れるンだけどさァ」
18264「そりゃミサカは北欧フィンランドに配属されてますんで、とミサカは当たり前のことを告げます」
一方通行「もォ二度と会えねェ、だなンて思うンじゃねェ」
18264「!」
一方通行「大体オマエ、生きた羊抱えて学園都市に来ただろォが。普通じゃねェンだよ、ボケ」
18264「……、……」
一方通行「無理にたァは言わねェが、クソガキが暇つぶしに『かくれンぼしたい』だァ、『肉食いたい』だァほざいたときは、いつでも来りゃァいい」
464 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 02:36:17.84 ID:fo6GQHw0 [7/23]
18264「……ぜってー行かねー、とミサカはたった今アリが19匹に増えたことを追加で説明します」
一方通行「あァ、来ねェならそれでも構わねェよ。ただなァ」
18264「ただ?」
一方通行「あいにく、オマエの毒舌に慣れちまってさァ。たまァに、聞きたくなるかもしれねェな」
18264「!」
一方通行「そンだけだ、ンじゃな」ヒラヒラ
スタスタカツカツ
ジャーナーホクオウイモウトー
ツギアウトキハレンラクヨコシナサイヨー
ツメタイコトバガタノシカッタデスノー
ジンギスカンマタタベタインダヨー
アトデネットワークニツナイデネッテミサカハミサカハー
18264「……だからいくじなしだって、言ったのに」
職員「ミサカ?」
18264「いえ、なんでもありません、とミサカは答え、研究所に戻ります」
垣根「」グタッ
18264「……これどうすんの? とミサカはため息交じりにネットワークに接続し、上位個体に意見を仰ぎます」
職員「その前にガムテ外してあげるべきよ」
484 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 22:07:22.25 ID:fo6GQHw0 [9/23]
移動中
美琴「なんていうか、これで終わりって感じがするのよね」
黒子「終わり、と言いますと?」
美琴「地元に帰す妹もいないし、私達はこうしてまた超音速旅客機に乗って帰るのよ。で、もうこの後は会わないんじゃないかしらって気分」
打ち止め「そんなことないもんってミサカはミサカはお姉様の考えを瞬時に切り捨ててみたり!」
一方通行「あァ? 何ほざいてやがるクソガキ」
打ち止め「またこうやってみんなで集まって遊びたいの、ってミサカはミサカはあなたに切実な要求を突きつけてみる!」
一方通行「……、……」
インデックス「なんで黙ってるの? 一緒に遊ぶだけなんだよ」
一方通行「……オマエらよォ、なァンか勘違いしてねェか」
上条「勘違い?」
一方通行「俺ァオマエらみてェにノーテンキな表の世界の人間じゃねェンだよ。俺ァオマエらを自分の勝手に付き合わせただけだ。
三重に行ったことも、北欧に来たことも――俺がけじめをつけたかっただけで、そンな俺の勝手にオマエらは巻き込まれてンだぜェ?」
インデックス「えーっとね」
一方通行「あン?」
インデックス「それのどこが悪いのかな、あくせられーた」
一方通行「!」
インデックス「私達はあくせられーたの『勝手』に付き合わされた、だなんて一度も思っていないんだよ。だって、楽しいんだから」
黒子「そうですわ。わたくし、これでも一般の方よりは忙しい身ですし、つまらないことに時間を使う気はさらさらありませんのよ」
美琴「ていうかね、仮に巻き込まれているとしても、それはアンタだって同じじゃないの。元はと言えば、打ち止めがかくれんぼしたいって言い出したんだし」
打ち止め「そういえばそうだった、ってミサカはミサカは自己の軽い気持ちが発端であったことを再認識!」
上条「あー、その、なんだ……元々俺は巻き込まれ型だからさ、迷惑とか、そういうのは考えたことないんだ」
一方通行「……、ハッ。どいつもこいつも、救いよォのねェお人好しだなァ」
上条「ああ、だけどな、なんだかんだ言って旅行費を負担したのだってお前だろ。一方通行」
一方通行「……だァから、けじめ、っつってンだろォが」
485 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 22:14:44.23 ID:fo6GQHw0 [10/23]
インデックス「じゃあ訊くけど、あくせられーたのけじめって、一体どこまでなのかな?」
一方通行「!」
打ち止め「あなたはいつも自分を追い込んでばっかりね、ってミサカはミサカはお姉さんじみた発言をしてみる」
一方通行「……、うっせェよ」
打ち止め「たしかにあなたには、自責するだけの過去がある。あなたがあなたを許さない限り、ミサカだってあなたを許すことはないよ。
だけど、ってミサカはミサカは逆接の接続詞を用いてみる」
一方通行「……、……」
打ち止め「あなたが言う『勝手』はミサカの『勝手』なの。あなたがはじめた『勝手』はミサカがはじめた『勝手』なの。
あなたはわかっていたからアクセラオーダーって名付けていたんじゃないのかな、ってミサカはミサカは個人的な意見を呟いてみる」
一方通行「……ンなモン、適当だボケ」
美琴「適当だろうがなんだろうが、私達はいちいちアンタのアクセラオーダーハイドアンドシークやら何やらに付き合ってきたのよ。
それを今になってアンタの勝手でしたー、で納得すると思ってんの?」
一方通行「ああもォなンだなンだよ何ですかァァアアアア!? オマエらは何が言いてェンだよクソったれ!」
黒子「あらあらまぁまぁ、ここまで言ってもまだお分かりいただけませんの?」
インデックス「あくせられーたって実はとうま並みに鈍いのかもしれないね。つまり……」
一方通行「……つまりィ?」
打ち止め「ここにいるみんなは、あなたの勝手に巻き込まれていることなんて気にしてないのよってミサカはミサカは断言してみたり!」
一方通行「は、ァア?」
上条「巻き込まれてるっつっても、俺らは俺らで楽しんでたわけだし」
黒子「なかなか味わえない経験もさせていただきましたわ」
美琴「なにより、ここまできてもう終わり、だなんて許さないわよ? 逃げようったってそうはいかないんだからね」
一方通行「だから話をまとめろ、要点だけ言え!」
インデックス「『これからもおいしいもの食べさせてね』、ってことなんだよ!」
一方通行「」
上条「インデックス、大事なとこで欲望を曝け出すんじゃありません」
487 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 22:27:11.91 ID:fo6GQHw0 [11/23]
超音速旅客機離陸場所
20000「そういやさあ、とミサカは暇つぶしに14510号に話しかけます」
14510「何よ、とミサカも退屈を紛らわせるために応答します」
20000「かくれんぼしたいって上位個体が言い出したときに、ミサカはどれくらい学園都市行ってたんだろ、とミサカは今まで暖め続けてきた疑問を呈します」
14510「……、考えたこともねーやとミサカは返します。ていうかあれ、最初は全ミサカと一方通行さんじゃなかった?」
20000「そうそう。結局妹達全員で学園都市に集結しようものならマジぱねえことになってなんかやべえっていう結論でたけど、とミサカは呟きます」
14510「そりゃそうだ、だってミサカも一方通行さんに会う以外の目的で学園都市に来ねーし、とミサカは暴露します」
20000「ていうかまだかくれんぼとかやんのかなー、汗だくのセロリたん追いかけまわしてーよ、とミサカは……おや、乗客がきたようだ」
マタコレカヨォォォォオオ
トランプノツヅキカラダッケ
ドッチニノルンダ
ムコウジャナイカシラ
アクセラレータガヒコウキヨイスルノミタカッタ
アナタモウソレアイジャナイデスカ
14510「どれどれー、ってよっしゃああああ!!! ミサカのほうに乗るのはやっぱり一方通行さんですねわかりますっ! イェアアアアアア!!!!」
20000「ちくしょう……譲る気なかったのに結局譲っちゃった……とミサカは乗り込んでくる暗部連中共を恨みがましく見つめます」
機内
垣根「オーロラは堪能できたがものすごく不満がある」
麦野「ああ、一方通行を殺し損ねたこと? それは仕方な」
垣根「違うっつうの。そうじゃない、そうじゃなくて、布団とられたんだよ俺! あいつに! 寝るとき!」
麦野「バカかてめぇはよぉぉぉぉおおおお!!! もう第二位やめろ! ほんとやめろ!」
垣根「なんだよいきなりキレんな! お前自分の奪われた掛け布団が相手の下敷きになってんの見たことあるか!? あれすげえむかつくんだぞ!」
麦野「知るかバカ」
垣根「冷静に罵るのもやめてくんねえ?」
結標「今回の旅でレベル5にはなりたくないと思ったわ……小さい子にも会えなかったし、私は何のために随行したのかしら」
土御門「仕事仕事。もう全然してないけどにゃー」
489 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 22:34:15.97 ID:fo6GQHw0 [12/23]
海原「ところで、えっと……木原さん、でしたか」
木原「あ?」
海原「一方通行さんとはどういったご関係で?」
垣根「それ、俺も気になってたんだよな。あの第一位がアンタ相手に最初は手を出さなかったからさ」
木原「あー……それはよ、あのガキが俺に素手じゃ勝てねえからだ」
麦野「? あなた、何者なのよ」
木原「通りすがりのぉー、マッドサイエンティスト」
結標「ダウト。言っておくけど、この男はそもそも一度死んでるわよ」
土御門「正確に言えば、木原数多という男の記憶を受け継いだクローンのようなもの、だ」
木原「そーそー、俺はこれでも死んで生き返ってる人間だからよー、そこんとこよろしく頼むわ」
垣根「何をよろしくすりゃいいんだよ」
木原「てめぇら、一方通行のオトモダチなんだろ」
結標「だから何度違うと言えばいいのかしら」
木原「あれはとにかくめんどくせぇんだが、性根はまあ……ただのひねくれたクソガキだ。適当に相手してやってくれや」
一同「」
土御門「……まるで父親のようなことを言うな」
木原「あぁ? そんなもんなんだよ。『一方通行』を完成させたのはこの俺だからな」
垣根「えっマジで? じゃあおっさんあいつの弱点知ってんの?」
木原「超余裕で知ってるぜぇ? 教えてほしいか第二位」
垣根「教えろ!」
麦野「プライドってもんがねえのかお前は」
結標「でも、一方通行の弱点は気になるわ」
海原「何かの際に使えますしね。で、弱点とは?」
木原「あのガキの弱点、それはなぁ……」
492 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 22:44:26.42 ID:fo6GQHw0 [13/23]
機内
一方通行「っくしゅン!」
打ち止め「
風邪引いちゃったの? ってミサカはミサカはあなたの体調を心配してみる」
一方通行「いや、ただなンとなくくしゃみしただけだ」
インデックス「きっとどこかであくせられーたの話題が出てるんだよ。ところで」
上条「どした、インデックス」
インデックス「帰りもこれなのかな」
14510「いらっしゃいませー! とミサカは操縦室から駆け寄りますどうぞこちらへ一方通行さん!」
一方通行「お、おォ……?」
打ち止め「待って待ってそっちは操縦室だよ! ってミサカはミサカは流されているあなたを慌てて引っ張ってみるうううう!!!」グイグイ
14510「チッ、この幼女マジ目敏すぎるわ、とミサカはあからさまに不機嫌になります」
美琴「個、性……なんかまるで私があんな行動してるみたいに見えるわ……」
黒子「お姉様、あながち間違っていない気がしますの」
14510「ちぇー、いいじゃん操縦室でひとりぼっちはさみしいんだしー、とミサカはちらちら視線を向けてみます」
一方通行「うっ……」
打ち止め「わーわーわー! だめだめだめ! あなたはミサカの隣でミサカを守ってくれるんじゃなかったのってミサカはミサカは訴えかける!」
一方通行「あァ、いや、そォなンだがよォ……」
14510「ミサカは行きもひとりで操縦室にいました、帰りもひとりは嫌ですとミサカは一方通行に上目遣いで詰め寄ります」
一方通行「ぐっ……」
打ち止め「ぜったいだめー! ふたりっきりなんて許さないんだからー! ってミサカはミサカは14510号があなたの優しさにつけ込んでいることを指摘してみる!」
14510「つっ、つけ込んでないもん違うもんほんとに操縦室でひとりはさみしいんだもん、とミサカは孤独感をアピールします!」
一方通行「なら、いっそオマエらふたりで操縦室いろよ。俺ァ後ろに立ってっからよォ」
打ち止め「それも無理! ってミサカはミサカは名案を出したような顔つきのあなたを一刀両断!」
14510「そーだそーだぁ! ミサカはたしかにさみしいんですがそういう形で癒されるのを望んでいるわけじゃありません!」
一方通行「……オイオイ、どォしろっての?」
493 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 22:52:38.28 ID:fo6GQHw0 [14/23]
14510「あなたがミサカの隣に座ってくれるのならそれで解決です、とミサカは操縦室に案内します!」
一方通行「お、おォ……解決すンのか……」
打ち止め「それ問題の根本的解決に至ってないよ!? ってミサカはミサカはまたもや惑わされているあなたを引きとめにかかってみる!」
一方通行「あァ? 至ってねェのか……」
14510「いえいえ至ってますそりゃもう至りまくりですんで! とミサカはあと数歩で操縦室に入るんだしそろそろ腹くくってもらいたいわけですが」
一方通行「お、おォ……腹くくるかァ……」
打ち止め「至ってない至ってない腹くくっちゃだめー! ってミサカはミサカはふらふらしているあなたに危機感をおぼえてみるんだけど、もしや浮気性だったり!?」
一方通行「うっ、浮気性だァ!? 待てそれおかしい、てェかそもそも浮気っていう表現がまずおかしい」
14510「どうするんですか、どっち選ぶんですか! とミサカは結論を出さずに焦らすあなたも好きですがいい加減に出発したいです!」
打ち止め「あーっ、今さりげなく告白したあ! ってミサカはミサカは負けじとあなたが大好きだって全身で示すために背中にはりついてみる!」
一方通行「子泣きジジィかオマエはァ! もォ何なンだよ意味わかンねェよさっきまでの若干シリアスな雰囲気はどォしたコラァァアアア!!!!」
14510「シリアスなんて……いえ、あなたがこのミサカにしっとり系を望むのでしたらこちらも全力でやり遂げてみせます!」
一方通行「はァァア!? ンな要望出してねェよ!」
打ち止め「むむっ、そんなこと言うならミサカだって超しっとり系になれるんだからってミサカはミサカはあなたの背中に張り付いたまま、色気たっぷりに腕を首にまわしてみたり!」
一方通行「や、め、ろォォォォオオオオ! ぞわってくンだから首筋に指這わすな電極いじンないやらしい手つきすンなどこで覚えたクソガキィ!」
打ち止め「テレビだよってミサカはわりと冷静に答えてみる。どーだっ、思い知ったか下位個体めぇー!」
14510「ぐぬ、ぬぬぬ……ロリのくせに誘惑してやがる、とミサカは純情すぎて触れることもできない自身を恨みます!」
一方通行「……家戻ったら芳川説教。あとよォ、純情ならさりげなく好きとか言わねェと思うがそこらへンどォなンですかァ……」
上条「なにあれ」
美琴「アンタのよく陥ってるパターンじゃない」
インデックス「本当にね」
黒子「いかがですの、客観的に見て」
上条「えっと、なんだかすごく羨ましいようで全然羨ましくないというか情けないというか、ってあれ俺の普段の構図!?」
美琴「……はあ」
494 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:01:06.82 ID:fo6GQHw0 [15/23]
14510「あ、やべえもう発たないと! とミサカは一方通行さんの腕を奪取しダッシュします!」スタタタ
一方通行「うわっ、オマ、やっぱ全然純情じゃねェだろォが!」ズルルルル
打ち止め「
奪取とダッシュなんてうまくないんだけどってミサカもミサカも後を追っかけるー!」トタタタタ
プシュー パタン
美琴「……行ったわね」
上条「ああ、行ったな。さて、座るか」
インデックス「私は今回もすぐに寝るからどこでもいいんだよ」
黒子「あら、……うーん……ですが黒子は……えー……」
美琴「何悩んでんのよ。ほら、私の隣座らないの?」
黒子「!!! いっ、いいんですの!?」
美琴「いいも何も、いつもなら我先にってキープしてんじゃない」
黒子「で、ですが……その、あの、殿方のほうはよろしくて?」
美琴「あー、うん。アンタらがそうやって協力してくれるのは嬉しいし、今までもすごく助かってたんだけどさ」
黒子「は、あ……どうしたんですの、お姉様」
美琴「ん。さっきの14510号見てたら、私もあれくらい積極的にならなきゃ始まらないなって思ったのよ。周りに作ってもらう状況に甘んじるんじゃだめね、まだまだ」
黒子「お、ねえさまぁぁあああああ!!! ご立派になられて、く、黒子は、黒子は、お姉様の決意に胸が張り裂けそうですのおおおおお!!!!!」ガバッ
美琴「はいはい、今までありがとね。黒子」ポンポン
インデックス「ねーとうま、私なりに考えたんだけど。とうまはもっと鋭くならなきゃいけないかも!」
上条「す、鋭く!? 尖ったナイフのような少年になれとおっしゃるんでせうか!?」
インデックス「それは違うんだよ」
上条「うわあすっげえ呆れの視線」
マテ、ザセキミッツアンジャネェカァァァアア
テヘッ、トミサカハツタエワスレテイタコトヲアヤマリマス
サイショカラキヅイテタデショッテミサカハミサカハフンガイシテミル
上条「……あっちはあっちでカオスだなあ」
495 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:10:52.70 ID:fo6GQHw0 [16/23]
14510「なんとかまとまったところで離陸しますよー、とミサカは機内アナウンスを流します」
一方通行「垣根相手より疲れるたァどォいうことだ……?」ゲッソリ
打ち止め「操縦室って前方がよく見えるのねってミサカはミサカはひとまず現状に満足感を抱いてみるー」
14510「ふう……ミサカ、いっきまーす! とミサカは高らかに宣言し、どりゃああああああああ」
バシュー グラッ グララララッ
一方通行「おい! 揺れが半端じゃねェぞここ!」
14510「シートベルトをきっちりお締めください、とミサカはマニュアル通りに忠告します」
打ち止め「ふおおおおおお……ぐわって離陸したね! すごく楽しいかもってミサカはミサカは乗客席よりこっちのほうがスリリングで面白いなって思うの!」
14510「でしょでしょー、前だけ見てれば酔わないと思いますよー、とミサカは教え、しっかりバーを握ります」グッ
一方通行「クソガキ、はしゃいでねェでちゃンと前向い、ッ!」
グッ
ゴォォォォォオオオオオオオ
ドゥルルルルルルルルルルルルルルルル
一方通行「だからなンで飛行機なのにドゥルルルルルルルって音が聞こえてくるンですかァァァァアアア!?」
14510「気にしちゃ負けです、ビークールにいきましょうとミサカは人生の生き方をすすめて、っとおおおおおおおお!!!」
キィィィィィィィィィイイイイイイン
打ち止め「ひゃっほー! すごいよ、雲の中を割って進んでるよってミサカはミサカは隣のあなたに興奮気味にお伝えしてみる!」
一方通行「……あァ、見えてる。同じ景色見てンだから、もォ騒ぐンじゃねェよ」
・
・
・
上条「おーい、インデックスー。起きろー」
インデックス「う、んむ……あれ? もう到着したのかな」
美琴「もう、って言っても一時間は経ってるわよ。ねえ黒子」
黒子「え、ええ……お姉様、もしやこの飛行機に慣れてしまいましたの……?」
美琴「まあね。それより、操縦室はどうなってんのかしら」
上条「時折叫び声が聞こえてきてたけど、大丈夫かよ」
496 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:19:21.40 ID:fo6GQHw0 [17/23]
プシュー バタン
一方通行「……、……」
14510「みなさん快適な空の旅は楽しめましたか、とミサカは皮肉ではなく真面目に問いかけてみます」
打ち止め「イッエース! とっても楽しめたー! ってミサカはミサカは拳をつきあげてみる!」
上条「ア、一方通行さん? 顔面蒼白ですが」
一方通行「おォ……あのさァ……」
上条「?」
一方通行「ガキってすげェわ……何見てもはしゃげンだぜ……」
美琴「なんていうか、お疲れ」
黒子「本当にお疲れ様ですの」
一方通行「こちらこそお疲れ様でしたァ……」
美琴・黒子「「!?」」
インデックス「あくせられーたの憔悴っぷりとらすとおーだーのはしゃぎ具合が対照的すぎるんだよ」
14510「では、ミサカはこの機体を片付けなければなりませんのでここで失礼しますね、とミサカはみなさんに手を振ります」
上条「おー、じゃあなー!」ブンブン
14510「あ、そうそう言い忘れていましたが、ここからみなさんの自宅がある第七学区までの最短ルートはこう行ってあー行ってこっち曲がってそー行けば確実ですとミサカは教えておきます」
一方通行「さっぱりわかンねェよ……」
打ち止め「大体わかったよってミサカはミサカはしっかり頷いてみる!」
美琴「今の説明でわかるあたりさすがよねえ」
黒子「あら、わたくしはなんとなくわかりましたの。フィーリングってやつですわね」
インデックス「何はともあれ、無事に帰ってくることができてよかったかも」
上条「ま、そうだな。それじゃ……帰るとしますか!」
一方通行「あァ……」
打ち止め「まだ疲れたままなのね、ってミサカはミサカはあなたに超音速旅客機は向いてないんじゃないかなって結論を出してみるんだけど」
一方通行「オマエがうっせェから相手に疲れたンですゥ……」
497 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:28:16.69 ID:fo6GQHw0 [18/23]
常盤台寮前
美琴「なんか寮の前に立つと帰ってきた実感が湧いてくるわね」
黒子「……寮監に怒られませんかしら、と一瞬思いましたがそういえばこれ、総括理事長直々でしたの」
一方通行「そォいやそうだなァ。あいつらも帰ったンだろォけど」
上条「ああ、土御門?」
一方通行「あと木原」
インデックス「仲が良くなさそうだったのに、心配してるんだね」
一方通行「ちっげェよ。あいつ早く死ンでくンねェかなって思ってるだけだボケ」
打ち止め「お姉様、また一緒に遊んでくれるよねってミサカはミサカの必殺上目遣い!」
美琴「当ったり前じゃない! どこの世界にかわいい妹の頼みを断る姉がいるの?」
黒子「その際にはぜひわたくしもご一緒させていただきますの」
打ち止め「うん、もちろんだよってミサカはミサカは笑顔で答えてみたり! ね!」
一方通行「……なンで俺にその笑顔を向けるンですかァ?」
美琴「ま、アンタのことだからまた数日、数週間で『ハワイ行くぞ』とか言い出すんでしょ」
一方通行「言い出さねェよ」
黒子「ハワイに興味はありませんわね。どうせならいっそ沖縄はいかがですの?」
一方通行「だから行かねェっつってンだろォが!」
上条「……あり? おい御坂、後ろの、あの人」
美琴「ん?」クルリ
寮監「御坂、白井。たしかに総括理事長直々とは言え、旅行中の宿題は済ませたんだろうな?」
美琴・黒子「「!!」」
寮監「その様子では済ませていないようだが……」
美琴「いえあのあははははは! くっ、黒子、アンタやってるわよね!」
黒子「え、ええ、お姉様もたしかに取り組んでいらした様子!」
寮監「……ほう」
一方通行「よし、帰っか」
上条「だな。じゃーな御坂、白井ー」
504 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:36:17.29 ID:fo6GQHw0 [20/23]
上条家寮前
インデックス「送ってくれてありがとうね、ふたりとも!」
打ち止め「いえいえーってミサカはミサカはシスターさんと握手をぶんぶんかわしたり!」
上条「なあ、一方通行」
一方通行「ンだよ」
上条「一度繋がった縁ってさ、なかなか切れないもんだぜ?」
一方通行「……はン」
上条「それに、もう連絡先は知ってるし。大体な、巻き込まれることなんて慣れちゃってるんですよ、上条さんは」
一方通行「そりゃご苦労さン」
上条「だからさ。また何かあったら誘ってくれよ?」
打ち止め「もっちろーん! ってミサカはミサカはこの人の心境を代弁してみる!」
一方通行「何が代弁だコラ」
インデックス「あくせられーたはもっともっと素直になるべきかも」
一方通行「うっせェよ暴食シスターが。おら、行くぞクソガキ」スタカツスタカツ
打ち止め「あー待ってー! ってミサカはミサカはあの人に声をかけつつ、ふたりに向き直ってみるの!」
上条・インデックス「「?」」
打ち止め「あの人と仲良くしてくれて本当にありがとう、ってミサカはミサカは丁寧に頭を下げてみる。
あの人は口が悪いし横暴な素振りばかりだけど、ほんとはとっても優しくて、ミサカはあの人が大好きなの」
打ち止め「だからね、あの人のことを理解してくれる人がいるってことがすごく嬉しくて――
それがヒーローさんだったり、シスターさんだったりすることがさらに嬉しいんだよってミサカはミサカは照れくさくなって下を向いてみる」
上条「……なんていうか、いい子だな」
インデックス「ってこういうときには『いいお嫁さんになれるね』って言うんだよ、とうま!」
打ち止め「えっとね、うー……うまく言えないんだけど……」
上条「わかってるよ。これからもよろしくな、打ち止め」
打ち止め「! うん、ありがとう! ってミサカはミサカは勢い良く頷いて、ちゃんとミサカを待っていてくれているあの人の元に一直線に走るよ!」トタタタタタッ
インデックス「あくせられーたには、らすとおーだーがいる。アクセラオーダーっていう名前は案外的確なのかもしれないね」
上条「まあ何せ、本人である一方通行はすっげー気に入ってたみたいだし」
507 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:44:04.81 ID:fo6GQHw0 [21/23]
黄泉川家
打ち止め「たっだいまー、ってミサカはミサカは二日ぶりの我が家に意味もなく感動してリビングまっしぐらー!」
一方通行「だから何度言えばわかるンですかァ、靴は揃えろクソガキィ!」
芳川「あら、おかえりなさい。早かったわね」
打ち止め「とってもとっても楽しかったよってミサカはミサカははい、お土産!」
芳川「……あら。オーロラの絵葉書?」
一方通行「おいオマエそれ誰からもらいやがった? 少なくとも買ってねェよなァ」
打ち止め「これはね、朝はごめんってカキネさんが後でこっそりくれたものなのってミサカはミサカは譲渡の譲渡であることを告白してみる」
芳川「そういうことは思っていても口に出すものではないわね……ありがとう、最終信号。とくに使う相手もいないから飾っておくわ」
一方通行「オマエ……寂しい奴……」
芳川「君にまで哀れまれるなんて想定外よ? そうそう、今晩は愛穂が警備員の仕事で遅くなるらしいの。それまで夕食は待ってる? それとも出前でも頼む?」
打ち止め「うーん、ヨミカワと一緒にご飯食べたいからなあってミサカはミサカは前者を選択してみたり」
一方通行「なら待ってりゃイイだろ、いつも通り」
芳川「そ。ああ、そうだったわ……君はちゃんと荷物の減らし方を学んだのかしら」
一方通行「あァ?」
芳川「わかっていないならいいのだけれど、その調子だと視界が開けるくらいには抱えているものも減ったみたいね」
一方通行「……、……クソニートが。わかったよォな口利いてンじゃねェよ」
芳川「ニートはニートなりに必死に生きているのだから、容易く貶めないでほしいわ。ね、最終信号」
打ち止め「よくわからないけどあなたは口が悪すぎるよってミサカはミサカは一応たしなめておくね」
一方通行「ばァか、この口の悪さはもォ治らねェよ。てェか芳川、オマエクソガキに変な番組観せンな」
芳川「変?」
一方通行「気色悪りィ指使い覚えてたぞ、このガキ」
芳川「そういえば最近昼ドラにハマってたわね」
打ち止め「あれ面白いよねーってミサカはミサカは昼時のドラマのどろどろ具合にやみつきなんだけど」
一方通行「その習慣をぶち壊してェ……!」
511 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:51:12.80 ID:fo6GQHw0 [22/23]
黄泉川「たっだいっまじゃーん! って、お? ふたりともおかえり!」
打ち止め「おかえりただいまヨミカワー! ってミサカはミサカはヨミカワの豊満な胸に抱きついてみたり」
一方通行「おい明日から昼ドラやめろ」
芳川「せっかく佳境に入ってきているのに……」
黄泉川「それはそうと、一方通行。楽しかったの?」
一方通行「……普通」
打ち止め「この人すっごくはしゃいでましたーってミサカはミサカはせんせーに密告を試みる!」
一方通行「こンのクッソガキィィィィイイイ!!!!」カチリ
打ち止め「きゃーってミサカはミサカは鬼の形相であるあなたからの逃亡劇の幕開けをここに宣言! 逃げるが勝ちー!」バタバタバタ
一方通行「ひゃははっ、そォかそォかそンなに鬼ごっこがしたいですか打ち止めちゃン! イイぜイイぜェ、とことン相手してやンよォォォォオオ!!!」タタタタタッ
黄泉川「ふー、元気すぎるじゃんよ。これなら心配も無用かな」
芳川「ええ。だから愛穂、早く夕食つくって?」
黄泉川「……たまには手伝うとかつくってみるとかそういうの」
芳川「しないわよ」
黄泉川「……ですよねー。さあって、子ども達のためにもとびっきりの料理をつくるじゃん」
芳川「あら、今日は炊飯器すべてを稼動させるのね! 期待大よ愛穂!」
黄泉川「おうともよ、任せろじゃんっ!」
スイッチオン
打ち止め「なんだかあなたの目がハンターの目みたいってミサカはミサカは逃げながらもコメントしてみる!」トタタタタタ
一方通行「それならオマエはライオンに追いかけられる哀れな子ウサギさンですねェ!」スタタタタタ
打ち止め「えー、ウサギさんはあなたでしょってミサカはミサカは、おっと!」グラリ
一方通行「! だから足元に気をつけやがれっていつも言ってンだろォがよ!」スッ
パフン
打ち止め「あっぶなかったあ……ってミサカはミサカは抱きとめてくれたあなたに感謝してみる。ありがとう!」
一方通行「……、あァ」
513 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/04(金) 23:56:07.87 ID:fo6GQHw0 [23/23]
打ち止め「今だけじゃなくて、これからも、ずっとミサカはあなたに感謝すると思うのってミサカはミサカは述べてみる」
一方通行「……、……」
打ち止め「きっとあなたは、ミサカが感謝すればするほど拒絶するんだよね。だけど、それでもミサカはあなたの傍にずっといるんだから」
一方通行「……、……」
打ち止め「それにね、あなたが思っているほど、あなたはひとりじゃないの。ミサカ以外にも、あなたのことをわかっているひとはいるんだよ」
一方通行「……クソガキが。大人ぶりやがってよォ」
打ち止め「だってミサカはあなたのことを守るって決めてるんだもん! ってミサカはミサカは抱きとめられたままの体勢で言ってみるけどなんかちょっと説得力に欠けるかも」
一方通行「あー……、ラスト、オーダー」
打ち止め「!」
一方通行「かくれンぼも、ジンギスカンパーリィも、缶蹴りも、焼き肉パーリィも、三重旅行も、北欧旅行も――オマエは、楽しかったか」
打ち止め「当然、あなたと一緒だったし、みんな一緒だったものってミサカはミサカは断言してみる! あなたは楽しくなかったの? ってミサカはミサカはあなたに質問を投げかけてみるんだけど」
一方通行「……つまらなくは、なかったかもしれねェな」
打ち止め「えへへ、ってミサカはミサカはあなたの本音に心から喜んでみたり!」
黄泉川「はいはーい、子ども達ー! お姉さん特製の煮込みハンバーグが出来上がったじゃんよー!」
芳川「しかも朝から仕込んでいたというこの計画性……さすが愛穂ね。もう本格的にわたしはあなたの旦那になるべきかしら」
一方通行「黄泉川、オマエよくこいつの面倒見てンな」
黄泉川「長い付き合いだからなあ。よし、そんじゃいっただきまーす」
打ち止め「いただきまーす! ってミサカもミサカも両手を合わせてハンバーグに目を輝かせちゃうー!」
窓のないビール
土御門「……と、いうことだ」
アレイスター「ふむ――木原は思ったよりも父性が働きすぎていたか。結果的にプランの変更をするしかないな」
土御門「アレイスター、今回の旅行にはまったく意味がなかったように思うが」
アレイスター「今は意味がなくとも、直に効果は現れる」
520 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 00:08:49.20 ID:RF2d.SE0 [2/14]
絹旗「おおおおお……超幻想的で超綺麗で超美しいですね!」
フレンダ「結局、絹旗が感想全部言っちゃった訳よ」
麦野「四枚あるからあげるわ。浜面いる?」
浜面「俺はもらってもなくしちまいそうだしなあ……見るだけでいいわ」
滝壺「すごくきれいだね、むぎの。これは自然現象としてみたの?」
麦野「うん。まあ、ちょっと一方通行の能力が作用してたらしいけど」
絹旗「あ、そうでした。一方通行は超倒せたんですか?」
麦野「いや全然。ていうか私は戦ってすらいないしね」
浜面「!? お前が!? 完璧主義のお前が!?」
麦野「そーよ? 何か文句あんのかコラ」
滝壺「ううん、ないよ。むぎのが無事に帰ってきてくれて、とてもうれしい」
麦野「!」
フレンダ「二日間寂しかったんだからさー、たっぷり遊ぼ?」
絹旗「仕事もしばらくないって超聞きましたし、明日あたりどうです?」
麦野「いいね。じゃあ明日、いつものココ集合ってことで」
浜面「はいはい、どうせ俺もだろ」
麦野「さっすが浜面。誘ってもいないのについてくるなんて」
フレンダ「それでこそ下っ端って訳ね!」
とある木造アパート
小萌「ふうー、おかえりですよ結標ちゃん」
結標「ただいま小萌。北欧は楽しかったけど、あなたと作る料理のほうがおいしかったわ」
小萌「おやおや、うれしいこと言ってくれますねー。先生も、結標ちゃんが楽しそうでなによりですよー」
結標「そうだ、お土産っていうお土産はないんだけど、オーロラの写真を撮ってきたの。どう?」
小萌「うわあ……とっても素敵なのです! 生で見られただなんてラッキーですね、結標ちゃん」
521 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 00:19:55.21 ID:RF2d.SE0 [3/14]
土御門家
海原「いやあ、同じオープンサンドなのにこっちのほうがおいしいですね」
舞夏「そうかー? それはよかったなー」
土御門「」
海原「あ、どうも。おかえりなさい」
舞夏「兄貴おかえりー」
土御門「な、ん、で、い、る!」
海原「暇だったもので」
舞夏「前にもきたし、入れてもいいかと思ったんだけどな」
土御門「舞夏はちっとも悪くないにゃー。悪いのは全部この海原的な何かだ」
海原「その表現わりと合ってますね」
とあるホテル
木原「……最強の目ェ、してやがったのによ」
木原「あの場面で我慢できるくらい、イイコになっちまったか、それとも」
木原「おさえつけてた性根が出てきちまったか。まあ、どっちだっていいけどよ」
木原「……、……」
木原「……開発、いや、教育を間違えたのかもしれねえなあ」
???
20000「結局さー、けっこういい思いしたよねーとミサカは話しかけます」
14510「それもそうだねー、とミサカは朗らかに答え……ん? ちょ、上位個体から連絡まわってる」
20000「え、マジ? こっち一応最後だから連絡網時間かかるんだよなーマジなんとかしてくんねーかなこの無駄なシステム、とミサカは……お」
14510「マジかなこれ、とミサカは疑います」
20000「マジだとしたら? とミサカはマジレスします」
14510「もちろん帰らずに学園都市に留まるだろjk、とミサカもマジレスします」
20000「でwwすwwwwよwwwwねwwwwwwとミサカは数日後が待ち遠しいですセロリたんハァハァ」
526 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 00:26:40.41 ID:RF2d.SE0 [4/14]
数日後
打ち止め「ねえねえ、今暇だよねってミサカはミサカは笑顔で聞いてみる!」
一方通行「暇じゃねェ。寝る」
打ち止め「かくれんぼしたいんだけどなあ……ってミサカは」
一方通行「ンなガキくせェことできっかよ」
打ち止め「えー、でも前回はやってくれたじゃないってミサカはミサカは反論してみたり。ね、とりあえず出かけよう!」
一方通行「ったく、仕方ねェな……」
スタスタ
打ち止め「今日はどこに行こうかなってミサカはミサカはあなたの腕に手をからめてみる」
一方通行「歩きづれェンだよ」
打ち止め「かくれんぼ、前よりもっと楽しいのやりたいなあってミサカはミサカは最大規模のかくれんぼを希望」
一方通行「だァれとやるってンですかァ、その最大規模のかくれンぼは」
打ち止め「うーん、……」
一方通行「にしても、今日は随分街が騒がしいなァ」
カツカツスタスタ
トテトテ
「あ、麦野麦野! あの真っ赤な目と白い髪、あれって一方通行じゃない?」
「んー? あ、ほんとだ。行ってみるか」
「うさぎさんみたいだね、あのひと」
「超子連れですね」
「見るたびにメイド姿が頭を過ぎる……」
「とうまとうまー、そこのクレープが食べたいかも」
「はいはいお金ないからそんなこと言わない、って……あれ、一方通行と打ち止めだな」
「お姉様ぁぁぁぁあああ! このスカート! とってもお似合いだと思いますの!」
「そ? じゃあ買っちゃおうかな。黒子、アンタおそろい買うつもりじゃないわよね」
「ぎっくー、そんなことはありませんのー、ほら見てお姉様あちらに第一位さん……第一位さんがいらっしゃいますわ」
「あら、ほんとだ」
「この時間帯の公園って癒しよね。なんであなたがいるかはわからないけれど」
「いえ、自分はちょっと御坂さんを見るためにいるんですよ」
「ああ、向こうの店にいたわねそういえば。って、噂をすれば出てきたわ」
「……誰かに向かって走って行ってる? 視線の先は――」
「公園のほうがうっせーなあ……なんか催しもんでもやってんのか」
531 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 00:37:50.14 ID:RF2d.SE0 [5/14]
「あー、毛先傷んでるわ。トリートメント買ってくるか……一方通行とかさあ、あいつ反射してるし毛先傷まねえよなちくしょう」
「そういやガイド、結局返してもらってねえし死ね! 死ね死ね! って、考えてたら発見しちまったじゃねえか」
「どうする、いつ出る? とミサカは相棒に問いかけます」
「いや、ちょっとなんかすげえことになってね? 関わった人間みんな向かってね? なにあれセロリたんやばくね?」
「お前らほんと一方通行さんの魅力に気づくのおっせーよミサカが先駆けだからな!」
「メェー、とミサカは鳴き真似をしてみます」
「「「!?」」」
「よ、とミサカは数日ぶりに会う連中に一応挨拶をし、さっさと一方通行のもとへ向かいます。ざwwwwまwwwwwあwwwwww」
「……血祭りに仕立てあげんぞコルァァアアアア! とミサカは北欧の暴挙が許せず駆け出します!」
「あ、ちょっと……行っちゃった。相棒、行こうか? とミサカは相棒に問いかけますが、もう準備できてるっぽいですね」
「オーケー、いつでも行けるぜ相方! とミサカは相方の手を引いて走ります!」
打ち止め「あれ? ミサカが呼んだのは妹達だけなんだけどなってミサカはミサカは生体反応がやけに多いことにびっくりしてみる」
一方通行「なァに言ってンですかァクソガ、」
ビュッ
垣根「よお第一位! ここであったが数日目、バトルしようぜ!」
一方通行「」
美琴「あら、垣根さんまでいたんだ。あっちからあのバカもくるし、向こうからは麦野さんたちもくるし……どうなってんの?」
一方通行「」
黒子「口を開けっ放しですのよ、第一位さん」
上条「おー、一方通行ー!」
インデックス「みんないるのかなー!」
一方通行「」
結標「面白そうだからきてみたわ」
海原「どうも、お久しぶりですねみなさん」
一方通行「」
麦野「あー、この公園のレベル5率がすごいわ」
絹旗「レベル4も超ちらほらいるんじゃないですか?」
滝壺「……あの白いひとのまわりにみんなあつまってるね」
フレンダ「うっわー、スケバンみたいな女まで」
浜面「あいつ、そんなに人望あついのか」
534 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 00:47:48.55 ID:RF2d.SE0 [6/14]
一方通行「オイオイオイオイなンだなンだよどォなってンだオイ!」
打ち止め「ミサカもよくわかんなーい、ってミサカはミサカは公園がにぎやかになってきたことを確信してみる」
木原「ってことで、俺も忘れちゃ困るぜぇ一方通行」
一方通行「」
垣根「あ、木原のおっさんだ」
麦野「……ああ。そういうことね」
結標「そういうこと?」
海原「ほら、あのとき木原さんが言っていたじゃないですか。『一方通行さんの弱点』を」
ヒョコッ
土御門「連絡を受けてきてみれば、まさかのオールスター大感謝祭だったにゃー」
上条「土御門まで!」
一方通行「……、どォいうことだ」
打ち止め「ミサカはあなたともう一度かくれんぼがしたくて、数日前に妹達に集合するように連絡したんだけど……」
メェー
一方通行「!?」
18264「どうも、相変わらずほっせーなおい、とミサカは羊の鳴き真似とともに颯爽と登場します」
14510「待てこらあああああ! おはようございます一方通行さん! とミサカは抜け駆けした北欧に制裁を加えます!」
20000「おめーらはえーよなにその脚力! とミサカも追いついておはようございますセロリたん今日は快便でしたかと訊ねまあbbbbbb」
13874「だからもうちょっと学習するべきでは、とミサカは相棒を気遣います。さて、お久しぶりですね一方通行。この人数でかくれんぼはさぞかし楽しいことでしょう」
一方通行「……ンだとォ?」
垣根「お、なになに? かくれんぼすんの? いいぜいいぜ、俺そういうの大好き」
麦野「ガキくさ、と言いたいところだけど、この面子でかくれんぼはかなり戦闘能力高められそうよね」
土御門「これは、もしかしなくても決行か」
一方通行「だから誰か状況説明しやがれってンだよ! 意味わかンねェなンだこれなンでオマエら集まってきやがった!」
打ち止め「ここまできたら、もうあなたは宣言するだけだねってミサカはミサカはわくわくしてみる!」
538 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 00:56:47.80 ID:RF2d.SE0 [7/14]
一方通行「はァア!?」
打ち止め「これだけの人数がいれば、かくれんぼも最大規模じゃないかなってミサカはミサカは可愛らしく小首をかしげてみる」
一方通行「待て、どォいう」
木原「じゃあ俺隠れてくるわ」
垣根「ねえねえ上空アリ? そういうのアリな訳?」
インデックス「なしに決まってるんだよ! 反則すぎるかも!」
麦野「エリアは公園内よね……隠れる場所は早い者勝ちってとこか。『アイテム』全員、本気で行くよ!」
一方通行「」
美琴「さ、じゃあ私達も隠れるわよ」
黒子「ええ。お姉様、つかまってくださいな」
一方通行「」
結標「公園内ね。こういうのは得意よ?」
海原「自分はどうしましょうかね……結標さん、お願いします」
土御門「んじゃついでにオレも頼むぜい!」
一方通行「」
上条「もうわかってると思うけどさ――一方通行。お前が最初の鬼だぜ?」
一方通行「……あァ?」
打ち止め「大丈夫ってミサカはミサカは胸を張ってみる。だって、あなたにはミサカがついてるの!」
一方通行「……、ああ、クソ」
打ち止め「妹達もどこかに隠れたし、あとは数を数えて探し出すだけだねってミサカはミサカは一番最初に20000号を見つけてやるんだから」
一方通行「……、……とンだ喜劇だなァ。観客なンざつきゃしねェぞ」
打ち止め「それでもいいのってミサカはミサカはこの状況を肯定してみる。なぜなら、なんて理由は必要ないんだよ」
一方通行「あァ、そォだな――オマエら、よォく聞けよォ……!
今からァ! アクセラオーダーハイドアンドシークオールスターバージョンの始まりだァァァアアア!!!!」
545 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 01:08:05.96 ID:RF2d.SE0 [8/14]
一方通行「数えンなァ60でいいンだよなァ……」
打ち止め「うん、わかってるよってミサカはミサカはあなたのすべてを理解してるの」
一方通行「よし、いくぜェクソガキ! いーち!」
打ち止め「にーい!」
一方通行「さァァァン!」
打ち止め「よーん!」
一方通行「ごーォ……かける12ィ! おらおらおらァァアアア! 見つかったやつから覚悟しとけよォォォオオオ!!!!」
結標「さっき、『一方通行の弱点』について話してたわよね」
海原「ああ、そうですね。今になってようやくわかりましたよ」
木原『一方通行の弱点、それはなぁ……他人に頼られたり、好意を向けられることにとことん弱ぇんだよ、あのガキは』
土御門「まったくだにゃー。この人数で、ていうかこの年になってかくれんぼやるとは思わなかっ、」
一方通行「そこのぞうさンの滑り台ンとこ、グループの連中いやがンなァ!」
土御門「やべ、見つかったああああああ!!!!」
美琴「……黒子。アンタ何考えて砂場にしたの」
黒子「いえ咄嗟に飛ばしたら砂場になってしまいましたの」
美琴「げほっ、まあ、なんとか砂鉄で壁は作ったけ、」
打ち止め「お姉様と後輩さん、みーっけ! ってミサカはミサカは砂場のこんもりした部分に目をつけてみたり!」
黒子「ば、ばれた!?」
木原「……、なあ一方通行」
一方通行「あン?」
木原「取られちまって、身を隠す場所がねえ」
一方通行「はァい終了、木原くンみィっけェ」
木原「だから迷ってるうちに隠れ逃したっつってんだろ大目に見やがれクソガキ!」
552 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 01:17:20.28 ID:RF2d.SE0 [9/14]
フレンダ「そしてトイレな訳よ」
麦野「これもう反則じゃないの」
滝壺「最大の問題は、はまづらもここにいることかな」
絹旗「そうですよ、何が悲しくて浜面と超個室に五人で入ってるんですか!」
浜面「俺に言うな!」
打ち止め「あっはっはー、そこにいるのはバレてますってミサカはミサカはトイレの前で叫んでみたりいっ!」
麦野「さ、さすが第三位のクローン……っ!」
20000「……、……」
一方通行「……、オマエ隠れる気あるかァ」
20000「いえ、むしろ一番に見つかって受けるおしおき的なものを期待していました、とミサカは荒くなる息をおさえまハァハァ」
一方通行「ンでェ、ついでに俺の背後にはりついてやがるのは……14510号かァ」
14510「!! な、なぜばれたんですか! とミサカは荒くなる息をおさえますなんとか」
一方通行「オマエらわかりやすいンだよボケ。そもそも俺に発情してンじゃねェよ」
20000「でもこれは恋なんでしゃーないっす、とミサカは自身の感情が美しいものであり、よってこの発情という行為は意図的なものではないということを主張しますが正直変態扱いに慣れてきました」
一方通行「あのなァ、オマエらの行為が故意か恋かだなンて今は関係ねェ! かくれンぼの最中に気ィ抜くよォなやつはもォなンか色々失格なンですよォォォオオオ!!!」
インデックス「とうまー、ほんとにここでいいのかな?」
上条「ああ。一応ここも『公園の一部』だろ? まあ公園の入り口付近だけど」
インデックス「反則じゃないの?」
上条「だいじょー、」
打ち止め「ぎりぎり反則じゃないけど、見つけたのがあの人じゃなくてよかったね! ってミサカはミサカはヒーローさんとシスターさんみーつけたっ!」
上条「たしかに一方通行だったらやばかったな今の……」
垣根「……なんだかんだで上空来ちまったけど、これバレなくね? 俺勝てるんじゃねえの?」
558 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 01:30:04.58 ID:RF2d.SE0 [10/14]
垣根「いやあ、上から見てておもしれえ。バカみてえ。人がゴミのようだ」ファッサファサ
垣根「にしても、なんか翼ちょっと重くね……」
13874「上空って気持ちいいんですね、とミサカは翼につかまりながら感想を述べます」
垣根「」
13874「さて、もう堪能しましたし、残っているのはどうやらミサカ達と北欧だけのようです」
垣根「」
13874「……アクセラレータァァァアアア!!!! 垣根帝督、発見しましたよー! とミサカは叫びます!」
垣根「んなっ、待てどういうことだお嬢さんどっちなんだ!? っていうかなんで掴まってんだよ!」
13874「ミサカは最初から逃げてませんし、そもそも鬼ですとミサカは教えてあげます」
垣根「はぁあああ!? どうなって、」
ブシャッ
垣根「! やべ、まず」
一方通行「あは、ぎゃははははッ! 垣根くン、みィつけたァ! でかしたぜェ三重!」
13874「いやあそれほどでも、とミサカは項垂れるエセムスカの翼をわしわしと掴みます」
打ち止め「さてさて、最後のひとりはどこにいるのかな? ってミサカは水飲み場の裏に回って――」
18264「メ、メェー」
打ち止め「なあんだ、いるのは羊さんかあ。……ってのは冗談で、北欧みーっけ!」
18264「誤魔化せなかっただと……! とミサカは愕然としながら、レモン石鹸を上位個体に手渡します」
打ち止め「? あ、ありがとう? ってミサカは咄嗟に反応できず、って逃げたあああ!!!」
18264「逃げてないですちょっとアレ持ってくるんで! もう負けちゃったし! とミサカはアレを待たせている場所へ走ります!」スタタタタッ
一方通行「……あ? 北欧どこ行った」
打ち止め「あっちに走ってったよ、ってミサカはミサカはとりあえず北欧以外の全員を見つけられたことに感動してみる」
木原「俺なんか隠れてすらいねえ」
一方通行「自業自得だろォが。てェかクソガキ、どォしたそのイレソ」
黒子「今思い出したくない過去が蘇りましたの!」
566 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 01:38:32.55 ID:RF2d.SE0 [11/14]
麦野「なんかあっけなく終わっちゃったわね」
結標「ま、かくれんぼなんてこんなものよ」
海原「それよりさっきから気になってるんですが、なんだか動物の鳴き声が聞こえてきませんか」
土御門「?」
ズールズール
メェェェェエエエ
ズールルルル
メェェェェエエエエ
インデックス「!!! この声は! 迷える子羊の声なんだよ!」
上条「え、ってことは、まさか……」
18264「どうも。改めまして北欧からやってきました、これ食べてください、とミサカは羊を押し出します」
羊「めぇぇぇえええええええ」
垣根「なにあれどういうことなにあれ」
一方通行「まさかまたこの展開かよォォォォオオオ!!!」
美琴「あれ、待って前回羊を殺したのって」
打ち止め「お姉様だよってミサカはミサカはあの雷撃を期待してみる!」
上条「……すべてなぞってるな……つまりこの後は」
一方通行「あァ。言わなくてもわかンだろォが言ってやる……
オマエらァァァアアア!!!! 二次会はジンギスカンパーリィだァァァァァアアアアア!!!!!
最初に見つかったやつは解体作業手伝い兼イレソ係、以上ォ!」
海原「イレソ係ってなんなんですか」
黒子「つまり、解体した羊肉をレモン石鹸で洗う仕事ですの」
結標「なにそれあぶない」
麦野「……発想も違う」
フレンダ「麦野あぶない! なにちゃっかりやろうとしてんのあぶない!」
571 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 01:49:52.43 ID:RF2d.SE0 [12/14]
美琴「もう殺せない……」
麦野「ならここは私、がっ!」
バキュドギャババビュビュバババドゥルルルルル
羊「んめっ!? め、めぇぇぇ、ぇぇえええ……」バタン
麦野「はぁ、はぁ……やったわ……」
一方通行「よくやった第四位。オマエ、ジンギスカンパーリィの幹部やれンぜ」
麦野「!」
浜面「おい待てこらこらこらおかしい、そこで喜ぶのおかしいぞ麦野」
打ち止め「なんだかすっかり仲良くなれたねってミサカはミサカはあなたが楽しそうでとっても嬉しい!」
上条「楽しそうっていうか……カオスにも程があるな」
絹旗「超同意です。なんでこんなことになってるんでしょうかじゅるり」
滝壺「きぬはた。ジンギスカンたべたいんだね」
インデックス「ジン♪ジン♪ジンギスカーンッ」
木原「ジンギスカンか、食ったことねえな」
芳川「けっこう美味しいらしいわね。楽しみだわ」
一方通行「」
芳川「あ、いっけない。呼ばれてないけどじゃじゃじゃじゃーん、芳川桔梗です」
20000「やっぱりこの人すげえ、とミサカは人生の師と仰ぎたくなります」
18264「いややめとけよニートだぞニート、とミサカは否定します」
14510「大丈夫ですか一方通行さーん、とミサカは彼の気をたしかめるふりでさりげなく近付きます」
13874「最近14510号が積極的で困るっていうスレ立ってたんだけど、とミサカはチクります」
打ち止め「はいはいそこまでそこまでー! ってミサカはじゃれあいを中断させてみる!」
垣根「えーっと、もしかして……マジでジンギスカン食う訳?」
一方通行「当たり前だ、嘘ついてどォすンだよクソったれが。
いいかオマエら、ここまで来た以上、誰ひとり帰さねェから覚悟しとけェェェェエエエエエ!!!!!」
おわり!
577 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 01:54:13.42 ID:RF2d.SE0 [13/14]
この後はまあジンギスカンパーリィとかカオスになるよなってことで!
終わり!
お前らお疲れ、んで俺もお疲れ!
二ヶ月以上やってたんだぜ……信じられますか一方さん……
俺の二ヶ月はアクセラオーダーでしたよ一方さん……!
途中っていうか最初からgdgdだったし、かくれんぼスレ立てたときはスレタイネタだったんでここまでなるとか思ってなかった
よって設定に矛盾が生じているがまあいいだってアクセラオーダーだもの
とりあえずおやすみ!
ほんとここまでありがとなー
俺すっげえ楽しかったよ、いろいろ言われてたけどお前ら変態だしいいんだよな! な!
んじゃ俺一方さんのプルタブ開けてくるわ!!!!!
997 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/06/05(土) 21:36:59.89 ID:RF2d.SE0 [14/14]
おおおなんかすげえことになってるなあと思ったらヤンデレか
乙レスくれたお前らもほんと乙な!
せいぜい20レスくらいつけばいいほうだと思ってたら案外人多くてびっくりした
なんで誰も一方さん口調で罵らないんだよおおおお!!!!!
またどっかでスレ立てるかもしんねーし、総合でなんか投下するかもしれないけどそんときはよろしくな!!!
ほんっとーに楽しかった!
一方さんの肘は俺のもの!
んじゃな!
あとスネークはどっかいたと思うよ
んで垣根は研究所にグループのみんなと麦のんが渋々引き取りにいってました
おしまい
おまけ
78 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 23:51:22.58 ID:AcihWu60 [18/21]
久しぶりに黄泉川愛穂のマンションに訪れた一方通行は、三人の住居者から熱烈な歓迎を受けた。
中でも一番に飛びついてきた少女は一方通行に会えたことがよほど嬉しかったのか、普段の数倍テンションが高い。
ただでさえ騒がしいのに、と一方通行は思ったが、それでも打ち止めを邪険に扱うことはしない。できるわけがなかった。
お前の部屋はそのままにしておいたよ、という黄泉川の言葉通り、数週間前まで一方通行が使っていた部屋は彼が去った日と何一つ変わらない様相で彼を迎える。
ただひとつ違うのはクローゼットに彼の衣服が一枚も収納されていないことだけで、以前から部屋は殺風景だったと一方通行は思い出す。
唯一生活感のあったクローゼットでさえがらんどうとしているのを見て、一方通行は自重の笑みを浮かべた。
(あァ、たしかに俺はここから出たンだ)
歓迎されたのだから、もう一度戻ってきてもいいのかと一瞬でも考えてしまった自分に嫌気が差す。とことん甘い、甘すぎる。
一方通行はベッドにごろりと転がった。
本当は夕食だけご馳走になって帰るつもりだったのだが、打ち止めが熱心に引き止めたために、結局一泊だけという約束で留まることにしたのである。
彼は自分が誰よりもあの少女に甘いと薄々気づいていたが、彼女に頼まれると断れない――そんなレベルにまで達している自覚はまだないとみえる。
「……寝る、か」
何もこのマンションが絶対防御を誇るというわけではない。
それでも、いつもよりはすんなり眠れるような気がして、一方通行はすっと目を閉じる。
リビングからは芳川が野球観戦でもしているのか、時たま怒号にも似た叫び声が聞こえてくる。
とんだBGMだな、と彼は笑った。鬱塞していた気持ちが少し和らいでいくのを感じて彼は寝返りを打った。
一方通行が寝入って数分後、そろりと部屋に侵入した少女は、音を立てないよう細心の注意を払いながら一方通行の眠るベッドに向かう。
その動きは衝動に身を任せていながらもどこか慎重で滑稽だが、あいにく彼女を鼻で笑ういつもの彼は眠っていた。
すうすうと規則正しい寝息も聞こえる。
「おかえり、ってミサカはミサカはそっとあなたに囁いてみる」
打ち止めは、一方通行が自分から離れた理由を知らない。知ろうとも思わない。
きっと、それは彼が考え抜いた末に決めたことで、打ち止めがいくらやめてほしいと願っても、どれだけ彼の傍にいたいと望んでも、他ならぬ彼が許さない。
だから、もう彼に願うことはしない。彼に望むことはしない。打ち止めは、一方通行を頼ったりしない。
79 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 23:52:03.19 ID:AcihWu60 [19/21]
「ほんとはずっと一緒にいたいんだけど、ってミサカはミサカはベッドを軋ませてみたり」
ギシ、と打ち止めの体重に負けたスプリングが軋み、悲鳴を上げる。
熟睡している一方通行に起きる気配はまったくないことを確かめて、打ち止めは全体重をベッドに乗せた。
それでも一方通行は目覚めそうにない。普段の彼はいったいどんな生活を送っているのか、少女は心配したものの、彼が眠ったままのほうが事を運びやすいのも事実だ。
するりと打ち止めの手が一方通行の頬に添えられる。
まだ幼さの残るぽてりとした手は、明確な意思をもって一方通行の頬をなで上げた。
ン、と一方通行が身動ぎをしたが、やはり起きない。それだけ疲れているのだろう。
ハリのある白い肌は女ならば羨望してやまないほどだが、一方通行は男だ。
もったいないなあ、と打ち止めは考えながら、つつー、と指をすべらせる。
薄く色づいていた唇は、リップクリームいらずで乾燥しているのを見たことがない。
本当にうらやましい能力だなあ、と思いながら打ち止めはそろそろと顔を一方通行のそれに近づける。
「えへへー、この人はやっぱり美人さんってミサカはミサカは改めて実感しちゃう」
彼の顔をここまで近くで見られる機会はほとんどないと言える。一方通行は他人の接触を良しとしない。
まるで、自分の半径数メートルに見えない壁を築きあげているかのような、徹底した孤独を貫こうとする。
打ち止めは、そんな彼を見ていられない。
そんな壁なんてぶち壊してしまいたい。
彼が嫌がろうが拒絶しようが、打ち止めには関係のないことだ。
あと数センチで唇が触れる。打ち止めは瞼を落として、そのまま一気にくっつけようとした。
その瞬間、一方通行が目を開け、「ゥあ!?」と素っ頓狂な声をあげたと同時に思わず上体を起こす。
結果として、がつん、という音とともに、打ち止めと一方通行はお互いに口をおさえることとなった。
「ってェ……、何しやがンですかァクソガキ……」
「夜這い? ってミサカはミサカは首を傾げつつも冷静に答えてみる」
「よばッ!?」
「ミサカはあなたと一緒にいたいんだけど、あなたはミサカから離れちゃうんだもんってミサカはミサカは恨み言を述べてみたり。
だから、どうしたらあなたが離れていかないか考えたのってミサカはミサカは計画的犯行であることを誇ってみる」
「は、ちょォ待て、計画的犯行ってなァ一体」
「MNWで聞いてね、相手を引き止めたいときには体で引き止めろってみんなが言ってたのよってミサカはミサカは約一万人の知恵は有効だったことを確信したんだけど!」
「全然、有効じゃねェ」
純粋すぎるが故の行動――と決め付けてもいいものかどうか、一方通行は途方にくれた。
わかるのは、妹達がアクティブであるということだけだ。
80 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 23:53:12.74 ID:AcihWu60 [20/21]
咄嗟の出来事であった上に、たとえ意識があって能力使用モードであったとしても打ち止め相手に反射を設定できるはずのない一方通行は、
打ち止めの歯がぶつかったせいで唇が切れていることを知った。一舐めして、たしかに鉄の味を感じ取る。
「はっ……ンだァ、このザマは」
守ると決めた少女に傷付けられるとは思いもしなかった。あ、と打ち止めが一方通行の唇の赤に気づき、小さく縮こまる。
申し訳ないと思って畏縮している少女の後頭部に手を回し、一方通行はにやりと口端をつりあげた。
「マセガキさンよォ、体で引き止めるってェのはさァ――こォいう風にやるンだよ」
ぐい、と少女の頭を引き寄せ、舐め取った血が再び滲み出てきた唇を打ち止めのしっとりとした唇に重ねる。
歯とぶつかる、なんて真似を一方通行はしない。まるで、打ち止めの唇に自身の血を塗りつけるように。
一方通行は打ち止めの後頭部をしっかりと支えたままで、長い口付けを終えた。
「ぷ、っは……呼吸できなかった、ってミサカはミサカはあなたを批判してみるんだけど、でも自業自得なのかも」
「当たり前だ。ガキのくせして背伸びしてンじゃねェよ」
実際のところ、キスを知ってはいても経験したことのない一方通行は、打ち止め同様これがファーストキスだったが、そんなことは曖にも出さずに彼は少女を鼻で笑った。
これがきっと、適性で、安全な距離なのだ。
「ねえ、ってミサカはミサカはあなたにひとつ頼みごとがあるの」
「あァ?」
「どうせあなたは明日になったらまたどこかに行っちゃうんでしょってミサカはミサカはあなたのことなら何でもお見通しであることを強調してみたり」
「……、それでェ?」
81 名前:ビリィ[saga sage] 投稿日:2010/05/23(日) 23:54:26.59 ID:AcihWu60 [21/21]
「だからね、今夜は一緒に寝てもいいかなって、ミサカはミサカの先手必勝! ミサカのベッドにもぐりこむこうげきーっ!」
「のわっ」
しおらしく提案した数秒後に一方通行と壁の間のスペースにもぐり込んできた打ち止めは、
もぞもぞと自分にぴったりの体勢を探し、ようやく見つけたらしく一方通行の胸板にぴたりとはりつく。
そして、どうなるのかと息を呑んで見つめていた一方通行の機体を裏切り、打ち止めは健やかな寝息を立て始めた。
すぴー、すぴー、と幸せそうな音が部屋に響く。お休み三秒かよ、と一方通行は思わずつっこんだ。
(どォしろっての)
右腕が、空いている。少女の体に回すべきであろう、右腕が。
毛布を少し動かして打ち止めにかけてやると、その上から右腕をぽすんと乗っけて、一方通行はため息を吐く。
息が耳にかかってくすぐったかったのか、打ち止めがわずかに体を動かした。
「夜這い、って……ネットワークはどォなってンだ」
年端もいかない少女が発する単語ではないなと苦笑しえ、ぽんぽんとあやすように右手で打ち止めの体をさすると、一方通行も目を閉じた。
明日にはこのあたたかい場所を出る。暗く淀んでいて、光なんてどこにも見当たらないような、闇へと戻るのだ。
数時間でいい。この数時間、一時でいいから、少女のわがままを聞くふりを許してほしい。
本当は、打ち止めの傍にいたいのは自分で、彼女を誰よりも欲しているのだって自分で、彼女が近付いてくれなければ近寄れないくせに。
本当は、あたたかいぬくもりを手放したくなくて、ずっと、このやわらかな頬に触れていたい――けれど、一方通行は自らの手でそれを断つ。
すべてを不要であると自身の中から削除する。それこそが最善の策だと、自分が為し得る最高の策だと、願ってやまない。
おやすみ、と小さな声で呟いて、彼はようやく眠りに落ちた。
Tag : ミサカネットワーク
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コメント
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管理人さんも長々乙でした。
まとめてくれてあ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!
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このシリーズ大好きだ!
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甘い!!甘すぐるぅぅぅぅぅぅぅ!!!
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