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一方通行「友達になってやンよ」上条「ハイ?」

1 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 12:06:02.58 ID:HPkMaT.0 [1/22]
――学園都市――

―科学の最先端とも呼ばれる人口二百三十万人の都市。
この街は能力開発が盛んで、レベルは1から5まである。それ以外は無能力者(レベル0)。
ひとりのとある少年は無能力者だが、右手に『幻想殺し』という異能を打ち消す力を持つ。
その力は幸福も打ち消すせいか、生まれつき不幸体質である。
訳あってひとりのシスターと同居中。特技は噛み付きと大食い。
どちらも少年、上条当麻にとって不幸要素でしかなかった。

その口癖は今日も街に響き渡る―


上条「何なんですかぁ!!?この不幸はぁぁぁ!!!」

?「待ァァァてコルァァァァァ!!!」



2 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 12:35:59.26 ID:HPkMaT.0
―季節は冬、補習から開放された上条は寒いから早く帰ろうと大食いシスターの晩飯を調達し、家路へ急いでいた。

その途中不良数人に路地裏へ連れて行かれそうになっている少女を発見。性格上放っておけない上条は止めに入るが、響いた声はふたつ―

上条「おい!やめろ!」

?「おィ、やめとけェ」

上条「……ん?」

?「……ン?」


一方通行(アクセラレータ)……ある事情で夏にドンパチやった最強の超能力者である。現在、少女一人とお姉さん二人と同居中。つえ付き。能力制限あり。通称セロリ。



上条「……」

一方「……」

上条「……お前」

一方「……あン時はどォもォ」ニヤリ

不良1「…なんだてめえらァ!」

不良2「なんか用ですかァ?!」

一方「うぜェ、死ンどけ」


カチッと首筋のチョーカーのスイッチを入れ、殴りかかってきた不良達を返り討ちにし、再び上条に向き合う。少女はその間に逃げたようだ。


一方「さて」

3 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 13:09:06.47 ID:HPkMaT.0
一方「実験の時以来だなァ。そう身構えンな、やり合う気はねェよ」

上条「……そうか、でもお前が人助けなんて意外だな」

一方「別にィ…単なる気まぐれだ。それよりおm」

上条「嗚呼あああ!!!」

一方「!?」

上条「特売ィィィィィ!!!」

一方「??」


―結局間に合わず、項垂れる上条。何故かついてきた一方


一方「……そンな落ち込む事か?」

上条「貧乏学生にとってスーパーの特売は死活問題なんだ!レベル5にはわかるまい!」

一方「苦労してンのな。っつーか飯ぐれェ食わしてやンよ」

上条「は?」

一方「……なに驚いてンだよ?」

上条「……イヤーそうかそうか、お前、一方通行じゃないな!」

一方「ハァ?」

上条「上条さんは騙されませんよ!また魔術師か!前に海原に化けた奴の仲間か!?凶悪面の一方通行からそんな優しい言葉が出りゃ誰だって気付くぞ!」

一方「…何言ってンのわからねェが、オマエが死にてェのはよォくわかった…」

上条「……あれ?」

一方「くたばれ三下ァァァァァ!!!」

上条「っぎゃー!!不幸だぁぁぁぁぁ!!!」



…冒頭へ戻る

5 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 14:23:10.03 ID:HPkMaT.0
初書きなので投下遅いですが、気長にたのンます。


――結局上条を見失った一方通行はいつものようにコンビニでコーヒーを買占め、家路へと歩いた。ちなみにメーカーはBOSSのブラックである。

一方「ちっ」

舌打ちしながら高級マンションのエレベーターに乗る。忌々しそうに首のチョーカーを触る。
能力は三十分しか使えないため、上条をいつまでも追いかける訳にも行かず、街中で思い切り力を使う訳にも行かなかったので仕方なく諦めたが、あそこまで全力で逃げられては気分も悪くなる。

一方「……あの三下がァ、人がせっかく――ウォッ!?」


呟きながらドアを開けると少女がいきなり飛びついてきた。

?「おかえりー!ってミサカはミサカは出迎えてみる!」

6 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 14:44:50.65 ID:HPkMaT.0
『打ち止め(ラストオーダー)』……検体番号20001号、上位固体とも呼ばれ、MNWの運営者である。


一方「クソガキィ!普通に出迎えらンねェのかァ!危ねェっての」

打ち止め「だって遅いんだもん!ってミサカはミサカは頬を膨らませてみたり!ご飯にする?お風呂にする?それとも……って……ミサカはm」

一方「頬染めて俯くンなら言うンじゃねェよ。あとそのセリフはオマエには15年早ェ」

ギャーギャー暴れる打ち止めを引きずりながらリビングに入ると、二人の美女が「おかえり」
と出迎えた。


黄泉川愛穂…警備員(アンチスキル)で家主。口癖は「~じゃん」


芳川桔梗…元研究員、現ニート。他人に甘く自分に甘い。


黄泉川「遅かったじゃんよ?」


テーブルの上には食事の用意があった。豪華な部屋を除けば至って普通の食卓だ。
……テーブルの真ん中にでか目の炊飯器が置かれていること以外は。

7 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 15:02:40.96 ID:HPkMaT.0
一方「………」


黄泉川「何ボケっとしてるじゃん?もう飯じゃんよ。早く手洗ってくるじゃん」


一方「……なンだこれ?」


黄泉川「何って、今日は鍋だって言ったじゃん?」


一方「イヤイヤイヤ、さすがに無理があンだろォ!?」


芳川「こればかりは科学でも証明できないわね」…クスクス


一方「元研究員がなァに言ってンですかァ?あといい加減仕事しろ」


芳川「仕方ないでしょ。やる気しないのだから」


一方「表情は聖母だが言ってることはスキルアウトと変わンねェぞ?」


芳川「私は……甘いのy」


一方「自分にはも少し厳しくしとけ」



会話もそこそこに打ち止めと手洗い場へ







10 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 15:28:43.51 ID:HPkMaT.0
――ジャー(手洗い中)


打ち止め「さっき手洗ったのに…ってミサカはミサカはぶーたれてみたり」

一方「さっき手洗ってねェ俺に飛びついたろ」

打ち止め「そういえば今日はどこ行ってたの?お仕事?」

一方「…いィや、仕事は最近暇だからねェよ。つまンねェ用事だァ」

打ち止め「……危険なことしてないよね?ってミサカはミサカは不安になってみたり…」

一方「……あァ、平和過ぎて退屈なくれェだ。ほら、早く泡流して飯行くぞ。鍋(?)が冷めちまう」

打ち止め「なんかアナタ良い子になったね!ってミサカはミサカは手をばしゃばしゃ」

一方「だァァ!!水飛ばすんじゃねェェ!!」




―食卓―

打ち止め「おいしーい!ってミサカはミサカは目を輝かせてみる!」

黄泉川「コラ一方通行!肉ばっかじゃなくて野菜も食べるじゃんよ!そんなだからもやしって言われるじゃん!」

一方「俺ァ好きなモンから先に食いてェンだよ。打ち止めァ、オマエも肉食え」

打ち止め「ありがとー!あ、アクとりたーいってミサカはミサカはオタマに手をのばs」

一方「火傷したらどうすンだァ!?俺がやってやンよ」





13 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 15:46:35.18 ID:HPkMaT.0
打ち止め「むぅ……最近アナタ過保護かもってミサカはミサカはお仕事取られて抗議してみる!」

一方「ハァア?俺のど・こ・が過保護なンだよ!」

芳川「自覚ないとは重症ね…」

黄泉川「こいつだからなぁ…」

打ち止め「ミサカももう大人だもん!」

一方「立派なガキじゃねェか!」

打ち止め「こないだ出かけた時もエスカレーターで『足元気ィつけろ』いいけど、『切符の端で指切ンな』はないかも!ってミサカはミサカは憤慨してみる!」

一方「なンでだよ?切符の角ナメンなよォ!あれ意外と鋭利で危ねェンだぞ!」

黄泉川・芳川「過保護ね(じゃん)」


――黄泉川家の食卓



>>9
上条家編で出ますので^^


14 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 16:33:30.12 ID:HPkMaT.0
――風呂も終え、寝ようとしたら打ち止めが部屋に入ってきた。



一方「何だァ?一緒になら寝ねェぞ。オマエ寝相悪いからなァ」

打ち止め「…ちょっとね。…今日、あの人の一緒にいたの?ってミサカはミサカは推測してみる」

一方「!!………何で知ってンだ?」

打ち止め「下位固体の情報!ってミサカはミサカは種明かし♪」

一方「(見られてた!?……そう言やあの絡まれてた女…顔は暗くて見えなかったが確か常盤台の制服を……)」

打ち止め「助けてくれてありがとうだって。ミサカからもありがとう!」

一方「……別に、たまたま通りかかったンだよ」

打ち止め「もーう、アナタは素直じゃないなぁってミサカはミサカは布団にさりげなく潜り込んでみる」

一方「ちっともさりげなくねェぞォ!オィ!……ちっ、今日だけだかンなァ」

打ち止め「うわーい!最近のアナタなら絶対許してくれると思ってた!ミサカはミサカは魔性ぶりを出してみる」

一方「……ろくな大人になれねェから二度とやンじゃねェ」



16 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 17:11:04.02 ID:HPkMaT.0
打ち止め「ところであの人と何話したのってミサカはミサカは聞いてみる」

一方「別にィ…飯食いに来ねェか誘ったらムカつく事言いやがったンで追い回してる内に見失っちまった」

打ち止め「……なんて言われたの?」

一方「人がせっかく親切で誘ってやったってのに、偽者だの魔術師だの……ったく何だっつーの。俺が飯誘っちゃおかしいンですかァ?」

打ち止め「うん」

一方「………ズーン」

打ち止め「あ!嘘だからそんな落ちこまないで!ってミサカはミサカはダンゴムシみたいに丸くなったアナタを慰めてみる!」

一方「……いィンだ………どォせ俺なンかよォ」

打ち止め「ほ、ほら!アナタは一見ガラ悪くて目つき悪いけど、本当は優しいの知ってるから!ってミサカはミサカは慌ててフォローしてみる!」

一方「………フォローになってねェ」



――その後、一方通行の機嫌を直すのに全力を注いだ打ち止めは疲れてそのまま眠ってしまった。



一方「………」


打ち止めの頭を撫でながら一方通行は思う。自分の悪事を止めてくれたヒーローの事を…
今の自分があるのはアイツのおかげなのはわかってはいるのだが、性格が邪魔をする。
寝る前に打ち止めが「あの人とアナタが仲良くなったらミサカも嬉しいなぁ」と言っていた。
その気持ちは一方通行にもあった。守る者ができると人は変わると言うが、彼は確かに変わった。ただし『悪党』として。
上条は『光』で自分は『闇』…そんな自分が彼と仲良くなれるのか……

一方「……それ以前にこのキレやすい性格だよなァ」

――アイツとは良い付き合いにしてェよなァ。そこまで考え、眠りに落ちた。



遡り、上条家へ

19 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 17:53:29.59 ID:HPkMaT.0
?「……とーま……どうゆうことかな?ちゃんと説明してほしいかも……」


―上条家―

一方通行から何とか逃げのびたものの結局特売に間に合わず、財布の痛手をきにしながら食材を買い、その帰りにビリビリことレベル5第三位の御坂美琴に遭遇し、いつものビリビリな展開に「不幸だぁぁぁ!!っつか今日だけでレベル5二人に追いかけられるなんて不幸すぎる!!」と、逃げ回っているうちにスーパーの袋は雷撃に貫かれた。「……」「……」「あ!そろそろ門限遅れちゃう!」……あまりの不幸続きに最早美琴を追う気力もなかった。
んでトボトボと帰り、今に至る―

同居人のシスター、禁書目録(インデックス)はすでに玄関で土下座中の上条の前に仁王立ちし、ひとしきりの懺悔(言い訳)を聞き


禁書「それで……今日のご飯は?お昼も食べてないから限界かも」

上条「冷蔵庫に納豆がある!すまんが今日はそれで…」

禁書「3日連続納豆は飽きたんだよ!!とーまは私にネバ娘になれって言ってるのかな!?」

上条「しょうがねーだろ!だいたいお前が普段からあんなに――」

pruuuuuuuu

上条「……誰だ?御坂?」

禁書「とーま!まだ話は終わってないんだよ!!」

上条「黙らっしゃい!!……もしもし」

20 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 18:15:20.27 ID:HPkMaT.0
美琴『……さっきは、悪かったわね……食材』

上条『あぁ、あんま気にすんな。俺の不幸はいつもの事だから』

美琴『そ、そう(///)……な、なんなら…私が作りに行ってあげよっか?食材も持って行くし』

上条『マジで!!?…イヤ、嬉しいけど、お前門限は?』

美琴『そ、それくらい何とかなるわよ!……ダメかな?』

上条『全然ダメじゃないむしろコッチから頼みたいくらいです!!神様美琴様!!』

美琴『フフフ(///)……それじゃ、適当に材料持ってくから。シスターいるんなら多めの方がいいよね?』

上条『悪い。ホント助かるよ!じゃ、待ってるぜ!』


…ピッ


上条「おい!インデックス喜べ!!御坂が飯を…って、何でジト目でコッチを睨んでるんでせうか?」


禁書「………やっぱり、とーまはとーまかもっっっ!!!!」

ガブッ!!!


上条「え?意味わからな…ってぎぃやぁぁぁぁぁ!!!ふ…不幸だぁぁぁぁぁ!!!」

21 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 18:54:52.77 ID:HPkMaT.0
――美琴が来るまでの間ひとしきり噛まれ、歯型だらけの上条。美琴の料理を大満足で食べ終え、マッタリ中


禁書「フー……ま、お腹いっぱい食べれるんならいいかも」

上条「いいなら噛むなよ!!」

美琴「アンタらいつもこんななの……な、なんなら明日も作りにきてあげよっか(///)」

上条「イヤ、さすがに悪いって!……今日はありがとな。マジで助かった」

美琴「(別に悪くないのに……むしろ毎日だって)……い、いいわよそれくらい!たいしたことじゃないし…」

上条「(?…顔赤い…きっと体調悪いのに無理してきてくれたのか……こいつ、いつもビリビリしてっけど本当は優しくて良いやつなんだよなあ)も…門限大丈夫か?送ってくよ」

美琴「だ…大丈夫よ!ひとりで帰れるから!」

上条「え?……でも門限過ぎたなら、俺も寮監さんにあやまるから」

美琴「あぁ、そっちは黒子が誤魔化してくれてるから大丈夫!ひとりで平気だから!」

上条「いいえ!そういう訳にはいきません!門限はそれで良くても女の子をひとりで帰すなんて、上条さんの名に傷がつきます!ホラ、行こうぜ。あ、インデックス!洗い物くらいやっとけよ!」

禁書「えぇーー!?私は今から『カナミ――」

上条「お黙り!五和のときも言ったが、お前も少しは仕事しろ!働かざるもの食うべからずですよ!」

禁書「……むぅぅ、わかったんだよ。短髪!ごちそーさま!」

上条「よろしい。んじゃ御坂、行くか」

美琴「う…うん、お邪魔しました(もう少しいたかったけど、シスターいたし……こんどはシスターのいない日にでも……え?……それってつまり、アイツとふ、ふたりきりぁbbbbbbbbbbbbbb)」

上条「(さっきより顔赤い…体調悪化してるのか?だとしたら早く送ってやらないと!)……御坂?大丈夫か?おぶろうか?」

美琴「おぶbbbbbbbbbbb……バタッ」

上条「み、御坂!?御坂ーーーっ!!!」

26 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 19:29:03.40 ID:HPkMaT.0

――その後、妄想の果てに倒れた美琴を何とか送り届け、帰ってきた上条が見たものは……床一面に散らばる食器(だったもの)だった。


上条「ィィイイインデエエエックスゥゥウウ!!!!!」

禁書「!!?鬼が来たんだよ!!!おへそ隠すんだよ!!!」

上条「その前にぶっ殺ォォォす!!!」

禁書「『現実殺し』になってるんだよ!!?」



――今日の上条が寝る前の一言


上条「一生ぶんの不幸を使ったんじゃないか?……いや、まだまだだな…」




28 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 19:57:02.84 ID:HPkMaT.0
――朝、黄泉川家――


一方通行は朝から目覚めた。いつもは昼くらいまで寝てるのに珍しい。原因はおそらく顔面にヒットした幼女の足―

一方「そう言や一緒に寝たンだったな……っつーかどンな寝相だよ」


なぜか打ち止めの頭は一方通行の足元にある…一緒に寝ていた頃はいつもだったので最早気にしなかった。ただ、打ち止めがベッドから落ちないよう壁側で寝かせていて、動ける範囲も狭いのにどうやって逆向きになっているのか……寝相なのでどうせ聞いてもわかるわけもないので気にしない事にした。
そのまま打ち止めを起こさず布団をかけ直し、足音も立てずに寝室を出て洗面所へ。
黄泉川も芳川もまだ寝ているらしい。もう一度言うが一方通行が朝早く起きてるのは本当に珍しい。
顔を洗い歯を磨き、「たまには早く起きンのも悪くねェかァ」と呟きながら冷蔵庫からコーヒーを取り出す。

そんな一方通行が目覚めて思う事は一つ―――

一方「今日は…三下に会えっかなァ」

29 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 20:58:56.93 ID:HPkMaT.0
――外を見ると木枯らしが吹いていた。
体脂肪がほとんどないため(筋肉も)彼は寒いのが苦手だった。
外に出るのは気が進まないが、所属している『グループ』からの電話もなく、テレビをつけてもこれといって興味を注ぐものもなかったので……暇だ。

能力使用モードは制限があるため寒さを反射できず、仕方なく一方通行は(20巻参照)上着を羽織り、つえをつきマンションを出た。


一方「(……寒ィ)」


あてもなく寒さに身を震わせながら歩いていく一方通行は端から見たら小動物のようだった。
そうして歩いている内に自販機のある公園に来た。


一方「暖けェコーヒーでも……」


そう思い小銭を入れた。『いちごおでん』や『バナナカフェオレ』などには目もくれず、
ブラックコーヒーを押したのだが……なにも出てこない。


一方「……ハァ?」


もう一度押したが、やはり出ない。返却レバーを押しても金は返ってこない。


……ノマレタ?


一方「……」


……息を深ァく吸い込みィ


一方「ふぬィィィィィィィィィイイ!!!」

ボタン連打、レバーガチャガチャしまくるも……無駄だった。

一方「なめてンですかァァァァ!!?」

とどめに自販機に蹴りを入れるも、能力なしの状態だったので逆に自分が痛い目に合った。

一方「!!!……ぐおォ……オーケェ、上等だぜェ………クカケコキカコキカカカk」

?「……何をしているんですか?とミサカは自販機の前で足をさすっている一方通行に話しかけます」


35 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 22:03:51.77 ID:HPkMaT.0
御坂妹(上条命名)…妹達のひとりで、検体番号は10032号


御坂妹「機械相手に喧嘩を売るなんて…プッとミサカは吹き出します」

一方「……まずはてめェからだァ」

御坂妹「おぉ怖い。それよりどうしたんですか?……まさか、のまれた?とミサカはニヤつきます」

一方「………」

御坂妹「いくらのまれたんだすかァ?とミサカは詰め寄ります」

一方「……五百円」

御坂妹「ぶふぃーーー!!大金じゃないですか!?あなたもやりますね!不幸はあの人の専売
特許ですよ!?とミサカは驚愕を露にしつつ踊りだします」

一方「ちくしょォォォ!!!いっそ殺せェェェ!!!」

御坂妹「取り返してあげましょうか?とミサカは体をクネらせている一方通行に手を差し伸べます」

一方「…どォやって?」

御坂妹「こうやって」ビリビリ(自販機に手を当て放電)

一方「おォ!!すげェ!……って、なンかいっぱい出てきたンですけどォ!」

御坂妹「ありゃ?……まぁお金は出てきませんでしたが、明らかに五百円以上は得ですね。とミサカは微笑みかけま……って、どうして能力全開ダッシュするんですかぁぁ!!?」

36 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 22:35:40.27 ID:HPkMaT.0
――公園のベンチ


一方「……ったく、なに考えてンだァお前はァ!」

御坂妹「まぁまぁ、それより飲み物どうぞ。あなたの取り分ですよ?とミサカは缶を投げ渡します」

一方「よっ……大体てめェらがあンなことばっかやってっから自販機が壊れたンじゃねェのかァ?」

御坂妹「…何を怒ってるんですか?あ、ヤシノミサイダーもらいます。とミサカはさりげなくネコババします」

一方「…クソガキにも言ったが、口に出してる時点でさりげなくねェっての。っつーか、全部『冷たいの』じゃねェか!俺ァ『暖かいコーヒー』欲しかったのによォ!」

御坂妹「文句の多いセロリですね」

一方「今なんつった?」

御坂妹「ところで昨日は助けてくれてありがとうございました。とミサカは感謝します」

一方「(…誤魔化しやがった)……まァ気にすンな。たまたまだったしよォ。っつーか何で逃げたンだ?三下もいたのによォ」

御坂妹「予定では上条当麻だけ現れる予定だったのですが…なぜかあなたもいたので。とミサカは空気の読めなかった一方通行を睨みます」

一方「あァ!?」

御坂妹「あの道は彼のスーパーへの近道だったので、待ち伏せしていました。不良に絡まれたのとあなたがいたのは全く予定外でしたので、退散しました。とミサカは暴露します」

一方「カテゴリー一緒にしないでくれますかァ!?……ちっ、そォいうことかよ……助けンじゃなかったぜ」

御坂妹「まぁそうむくれないでください。あの人にはいつでも会えるし、助けてもらったこと自体は感謝してます。とミサカはいちおうのフォローをいれます」

一方「……お前もクソガキも自分で『フォロー』って言ってる時点でフォローになってねェの、ちゃンと正しく理解してンのかァ!」

37 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 23:01:13.65 ID:HPkMaT.0
御坂妹「上位固体が目覚めたようです。そろそろ帰られては?とミサカは帰宅を促します」

一方「…ちっ、やっぱお前とは会話になンねーわ。前よりもなァ」

御坂妹「早く帰って幼女におはようのチューでもしてやれよ。このもやしセロリ。とミサカは捨て台詞を吐きつつ退散します。」

一方「…やっぱ[ピーーー]!!殺してやるゥゥゥ!!!個性付き過ぎじゃねェのかァァ!!!」



ワーワー!!!



一方通行帰宅――

打ち止め「おかえりーってミサカはミサカはどこ行ってたのか目で聞いてみる!」

一方「…口に出てりゃ意味ねっつの……散歩だァ」

打ち止め「10032号に会ってたんでしょ?ってミサカはミサカは名推理!」

一方「もォおどろかねェよ。つーか行動見抜かれるなンざシャレになンねェぞ……」

打ち止め「あなたがさっきいた公園、あの人の通学路だよ?ってミサカはミサカはおしえてみる」

一方「!!!………ンで?」

打ち止め「平静装ってるけど一瞬表情が激変したね。ってミサカはミサカはからかってmっていたーい!!」

一方「(やっぱ下校時だよなァ……イヤ、でもハッキリした時間わかンねェし……っつか今度はキレねェよォにしねェと……)」グリグリ

打ち止め「考え事しながらグリグリしないでーー!!ってミサカはミサカは猛抗議ぃぃ!!!」

38 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/12(水) 23:34:58.15 ID:HPkMaT.0
――上条、登校中


上条「――あなたはい~まぁ♪幸せですかぁ♪」


……ラッキーマンの唄を歌いながら(追手内くんガンバレ!By上条)


上条「私い~つ~も♪…おぉ、御坂」

美琴「…アンタ、その唄歌いだしたら終わりよ?」

上条「黙れ!この唄は上条さんの元気の源だ!あのラッキョを本気で分けて欲しいと思った俺の気持ちがわかるものか!」

美琴「……ほ~ぉ、アンタはこの私がご飯作りにいくことさえ不幸だと…」バチッ

上条「い!いや!それに関しては幸せでした!あの時だけはラッキーマンでした!」

美琴「……まぁいいわ。…ところで、その…今日も…作りに行ってあげてもいいけど……どう?」

上条「え?……そりゃ嬉しいけど、さすがに二日連続は悪いし…」

美琴「……ダメ?そ、そうよね……迷惑…だよね…」

上条「(そ、そんな泣きそうな顔しなくても…)いや!迷惑なんてことは全然!!むしろ是非!!」

美琴「(パァァ)ホント!?じゃあ決まりね!いつもの自販機の前にいるから、ちゃんと来なさいよ!」

上条「……すげえ切り替わり……あいつそんなに料理したいのか?まぁあいつも若き乙女だし、料理に磨きをかけたいんだろうな。お嬢様らしいとこもあるもんだ…今日は補習もないし………ん?なんだ?不幸な予感がする……気のせいであってくれよ」



――気のせいであるはずがなかった



――放課後、公園の自販機前



一方「」

美琴「」




40 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 00:46:49.95 ID:/YqBeRA0 [1/26]
――三十分ほど前、自販機にて


一方「……ちっと早過ぎたかァ」


いつまでも待てるようにマフラーと手袋で完全防備し、上条が通りかかるのを待つ一方通行。
待ち伏せと思われたくないので、あくまで偶然を装うつもりだ。なんて言われようとも「もうキレない」つもりでもある。…怪しいものだが…


一方「……フゥーー」


……急に緊張してきた。もうすぐやってくるはず…「何緊張してンだ俺ァ…くっだらねェ」とぼやいてみるが、なぜか体が震える。「寒ィからなァ今日は」と誤魔化すが、時間が経つごとに落ち着かなくなってくる。

――そして、足音が聞こえてきた。

アイツか!?と顔を上げると……


美琴「………アンタ……こんな所でなにやってんの?」

一方「………お前か」


――美琴は一方通行を明らかに敵視していた。そりゃそうだ。
一方通行は美琴が死んででも倒そうとした相手だ。今はその必要がないとは言え、恨んでいないはずはない。
一方通行は美琴が口を開くのを待っていた。自分からけしかけるつもりはない。どんな罵声を受けるのか、目を閉じて待っていた。……が、


美琴「先に言っとくけど……実験のことなら、別にもう恨んじゃいないから」

一方「ハ?」



――あまりに意外な言葉に思わず間抜けな声が口から出た




42 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 01:26:25.23 ID:/YqBeRA0 [2/26]
美琴「……プッ!アハハハ!!何今の顔!!」

一方「…???」


――どういうことだ?意味がわからない……

あれだけひどい事をしたのに……何故自分を恨むべき少女は自分を見て笑っている?

顔全体に?マークを浮かべて美琴を見る。


美琴「ごめんごめん…アンタあんまりにもわかりやすい顔するから…つい」

美琴「打ち止めと一緒なんでしょ?…あのコから大体聞いてるから」

一方「……」

美琴「最初は信じられなかったけど…あのコが嘘言うとは思えなかったし、アンタのその態度見てればね……私になに言われるかってビクビクしてんのまるわかりだし、恨んでないって言ったときのその表情……恨んでたとしても恨めないわ」

一方「……」

――そうか…クソガキから聞いたのか……けど、それでも、俺が一万人の妹達をぶっ殺したことに変わりはない。…それでも許せるモンなのか?


一方「お前は……それでイイのかよ?……理由はどォあれ、俺はあいつらを―」

美琴「アンタも本当はやりたくなかったんでしょ?……だったらアンタも被害者みたいなもんよ。……あの時は頭に血が昇ってたからわかんなかったけどね。大方、どの面下げて私に会えるんだ、とか思ってたんじゃないの?」


――何も言い返せなかった……その通りだったし、こんなタイミングで予想外過ぎたからだった。一方通行が何か言おうとする前に、美琴が口を開く。


美琴「…そぉねぇ……せっかくだし恨みとか関係なしに、アンタ!私と勝負しなさい!」

一方「……ハァァ!?」


――本日二度目の間抜け顔

46 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 02:28:30.48 ID:/YqBeRA0 [4/26]
美琴「アンタ……ホント表情豊かね。意外過ぎだっつーの」

一方「イヤ急に何言い出すンだお前……」

美琴「アンタ今能力制限されてんでしょ?前は全然敵わなかったけど…今は、どうかしら?」


――あンのガキィ!!余計な事まで喋りやがったなァァ!!……めんどくせェし、適当に誤魔化すかァ。


一方「………時間制限あるつっても反射はできっし……やめとけェ。むやみに能力使いたくねェ」

美琴「へぇ……逃げんの?第一位様ともあろうものが、格下相手に?」

一方「(ピクッ)……ハッ、ンな挑発になンか乗るかっつーの」

美琴「(表情わかりやす過ぎ…)残念ねぇ……打ち止めに骨抜きにされた第一位なんてお呼びじゃないわ。むしろロリコンレベルが一位なんじゃない?腰抜けwwww」


―――ブチッッ!!!


一方「………ハ…ハハ……上等だァァァァア!!!!!そンなに死にてェェンならお望み通りぶっ殺してやンよォォォォォオ!!!!!」


美琴「(た…単純過ぎッ!!コイツ本当に頭脳第一位なの!?……なんか急にコイツより下なの恥ずかしくなってきた…)」

一方「……行くぜェ……カカキクコクケココカカカk」

美琴「(な…なんか黒い翼出てる……え?マジ切れ!?子供の悪口くらいで!?)」

一方「クカケコキカカカ……ちったァ楽しませろァァァァア!!!」

美琴「……死んだかも」



上条「……不幸予報は的中ですか。んで、お前ら何やってんの?」


一方「!!!?」

美琴「!!!?」




48 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 03:52:50.27 ID:/YqBeRA0 [6/26]
――上条のお説教タイム


公園の自販機の前、超能力者二人が無能力者の前に正座して説教されているという異様な光景があった。


上条「――全くお前らなに考えてんだ!特に一方通行!こんな子供がいてもおかしくない公園でフルパワーなんてそれでも最強か!恥を知りなさい恥を!」

一方「けどよォ……コイツが」

上条「けどじゃない!俺の右手がなかったらここら一帯は廃墟だぞ!?お前は子供達の笑顔を奪ってでも最強でいたいのか?そんな最強にはなんの魅力も感じないぞ!――ガミガミ!」

一方「(うゥ…なんつゥ説得力だよ……やっぱこいつすげェわ)」


黒子「お姉様もですの!単細胞な殿方を挑発したらどういう事になるのかわかりませんの!?嗚呼嘆かわしいですわ!お姉様には日ごろから申してますが、もっと『常盤台のエース』としての自覚を持ってくださいませ!」

美琴「………イヤ…黒子…アンタいつから?」

黒子「口答えは許しませんの!!そこの類人猿…もとい上条さんの仰るとおり、もう少しで警備員も出動しかけたんですのよ!?」

美琴「はぁ……それに関しては、ゴメンなさい…」


白井黒子…美琴の後輩。空間移動(テレポート)使いの変態。騒ぎを聞きつけ説教に参加ですの!


マンツーマン説教は三十分後ようやく終わりを告げ、
美琴は上条と帰ろうとするが…


黒子「お姉様?どこへ行くんですの?私達はこちらですわよ?」

美琴「(ぎくっ!)……あー、黒子?私今日も遅くなりそうなんだ。…悪いけどまた寮監にr」

黒子「なりませんの!!今日は寮監のクソババアに絶対連れて帰るよう言われてますの!理由は予想がつきますが、今日は観念してくださいまし!」―ガシッ

美琴「ちょ!?またこのパタ―」ヒュン

上条「……ま、今日は諦めるしかないか。しかしこれで外出禁止とかにされたら責任感じるなぁ」


一方「(クッソ!足痺れちまった…だがこれはチャンスじゃねェか?)」

一方「オィ三下ァ……ちィと面かせよ」ガクガク

上条「……足痺れてんなら無理して立たなくていいぞ」

61 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 14:11:17.46 ID:/YqBeRA0 [8/26]
――足の痺れがとれない小鹿(一方通行)に肩を貸し、ベンチまで移動――

上条「……よっと、大丈夫か?」

一方「……あァ、どってことねェ」

――二人仲良くベンチでお座り。肩を借りて気まずそうな一方通行に上条が口を開く。

上条「……悪かったな、つえついてんのに正座させちまって」

一方「!……お前が謝ンなよ。悪ィの俺じゃねェか…」

上条「いや、お前が障害持ってんの知ってたのに……つい癖でさ」

一方「ハ?知ってたァ!?」

上条「あぁ、そう言や打ち止めは元気か?」

―抱いた疑問の答えはすぐ判明した。あンのクソガキ……帰ったらただじゃおかねェ。

上条「ま、いいや。それより昨日悪かったな。話は聞いてたんだけど、お前が変わったなんていまいち信じられなくてさ……」

一方「……別に俺ァ変わったつもりはねェよ。悪党なのには変わンねェしな」

上条「それでも、打ち止めの前じゃお前もヒーローだろ?」

一方「ハッ!てめェと一緒にすンな。……俺にンな資格…ねェンだよ」

上条「まぁだフザけた幻想持ってんのか?お前だって守りたい者のために命張れんだろ?そんなお前と俺の何が違うんだよ?」

一方「!!」

上条「犯しちまった過去が闇で消えないなら、未来を光で染めりゃいいじゃねえか!どうせ未来しか変えられないんだ。お前は俺との居場所の違いに悩んでるかもしれねえが、そんなのただの『立場の違い』だ!立場なんて皆違って当たり前だぞ。」

一方「………」

上条「人ってのは皆違うから歩み寄れるんだ!仲良くなれるんだ!譲れないところで気持ちがひとつになれるのが『友達』って言うんじゃねえのか?俺とお前はそうじゃないっていうのか?」

一方「………」


上条「…いいぜ、お前がどうしても昔の自分を許せないってんなら…それを引きずったまま闇に漬かりたいってんなら……その幻想をブチ壊す!!!」バキッ!

一方「グファッッ!!」


――ドサッ

65 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 14:47:18.73 ID:/YqBeRA0 [10/26]
一方「……ゥ…」

上条「…目ぇ覚めたかよ、最強」

一方「……あァ、すっきりしたぜェ…」

一方「……ただひとつ気になンだけどよォ」

上条「ん、何だ?」

一方「てめェ……何で俺が悩ンでるって知ってたンだよ?」

上条「打ち止めに…『あの人と仲良くしてあげて』って言われてな」

――またあのガキかよ…おせっかいにも程があるっつゥの…
世話のかけるガキだと思ったが……実はコッチが世話かけてましたってか?
ハッ!……笑えねェぜ…

一方「……」

上条「…一方通行」

一方「……」

上条「俺はお前とは友達になれると思ってる」

上条「お前は…どうなんだ?」

一方「(…ンなの、決まってンじゃねェか)」

――立ちあがって、返事するだけだ。


一方「―仕方ねェな!この学園都市最強、一方通行がてめェの友達ンなってやンよ!!」

上条「……ハイ?」

一方「感謝しろやァ!!!」(ちっげェェェェェェェェェェェェェエ!!!!)

(もっと素直に言えねェエのかよォォォ!!俺の馬鹿ァァァァ!)

68 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 15:41:46.54 ID:/YqBeRA0 [12/26]
上条「……ブッ!なんだそれ!?ハハハハ――」

上条「お前って……ホント素直じゃないのな」

一方「……うるせェ」

上条「まぁいいや。んじゃホラ、握手」

一方「…あァ?」

上条「ダチになったんだから、ん」――スッ

一方「………ン」――ガシ

上条「よし!つーわけで、よろしく!」

一方「……よくこンなこっ恥ずかしい事できンな」

上条「ん?何が?」

一方「…自覚なしかよ」

上条「さーて、腹減ったな。上条さんは限界ですよ」

一方「おォ、そンなら―――」



―――ウチに食いに来ねェか?



終わり

71 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 16:21:18.55 ID:/YqBeRA0 [14/26]

――陽も暮れかけた道――

肩を並べて歩くふたりの少年は端から見たら仲の良い友人に見えるが、知ってる人から見れば違和感バリバリだった。

上条「そう言やお前、黄泉川先生と住んでるのか?」

一方「あァ、あともうひとり……ニートがいる」

上条「……お邪魔して平気なのか?」

一方「気にすンな……(コイツにグループの事は言えねェな)」

上条「お、ここが俺ん家だ!」

一方「結構まともじゃねェか」

上条「せっかくだし、あがってけよ。茶でも飲んでこうぜ」

一方「おォ……悪ィな」

上条「……何かお前、キャラ変わってない?」

一方「うっせェ!……こういうの、慣れてねェンだよ」

72 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 17:02:41.88 ID:/YqBeRA0 [15/26]
上条「……レベル5にもそれなりに悩みがあるんだな。ところでお前、本名は?」

一方「……鈴科」

上条「ん?」

一方「い!イヤ……忘れちまったよ。本名なンざ」

上条「そ……そうか」


――上条部屋


上条「ただいまーっと」

一方「…邪魔するぜェ」

禁書「あ!おかえりとーま!……あ!!ご飯くれた人なんだよ!!」

一方「…お前!あン時のシスターか!?」

上条「?……あれ、知り合ってたのか?」

禁書「とーま!こないだ話した白い人なんだよ!またご飯くれるのかな!?」

一方「……『とーま』ってのァてめェだったのか」

上条「まぁよくわからんが、一方通行。なぜに上条さんをそんな目でみる?」

一方「……イヤ、コイツと同居なンてよくできるなァってよォ……そりゃ貧乏になるワケだわ」

上条「わかってくれるか……上条さんの苦労がぁっ!!」――ダキッ!

一方「ワ!!?わかったから抱きつくンじゃねェェ!!」

禁書「私を空気にしないで欲しいかもっっ!!」

上条「お前が空気なら始めから苦労してねえよ!!」

禁書「!!?……も……もう許さないんだよっ!!」

――ガブッ

上条「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

一方「……」

73 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 17:24:44.62 ID:/YqBeRA0 [16/26]
スフィンクス「…にゃー」

一方「……ネコ」

禁書「ガブガブ!!」

上条「イデデデデ!!!て、てめえは家主を出血多量で[ピーーー]気ですかぁぁっっ!!!」

一方「……ホ―レ、ホ―レ」

スフィンクス「にゃー」――ゴロゴロ

上条「一方通行ぁぁ!!スフィンクスと遊んでないで親友を助けてくれぇぇぇえ!!」

一方「……オィ、シスター。ンなもン食ったら腹壊すぞ。ウチで飯食わしてやっからその辺で勘弁してやれ」

禁書「……むぅぅ。ご飯くれた人に免じて、今日だけは見逃してあげるんだよ!」

上条「……うう…助かったけどヒドイ……そして上条さんすでにボロボロなんですが?」

禁書「とーまは懲りないんだよ!……えーと、」

一方「一方通行だ」

禁書「よろしくなんだよ!あくせられーた!……とーまの友達かな?」

一方「……ま、そンなとこだ」

75 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:14:50.45 ID:/YqBeRA0 [17/26]

――その後、黄泉川に電話して事情を話したら、上条家まで迎えに行くのでそれまでゆっくりしてるじゃん!とのこと。「おなかへったー!」とうるさい禁書目録をお菓子でだまらせ、上条と一方通行は絶賛ゲーム中である。

――鉄拳6

一方(ブライアン)「しゃァァァア!!マッハパンチィィィ!!!」――you win

上条(スティ―ブ)「……くっ!やるな…」――you lose

禁書「……モグモグ……ふはりほほ、すほいんはほ…モグ」

一方「食いながら喋るンじゃねェよ」

上条「一方通行がここまでやるとはな…」

一方「最強なめンなよォ。…さて、本キャラ行くかァ!」――アリサ

上条「ようし、なら俺も本気出すか!」――ジン カザマ

一方「愉快に素敵に惨殺パーリィだァ!!」

上条「コイツの正拳は、ちっとばっか響くぞ!!」


76 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 18:40:36.82 ID:/YqBeRA0 [18/26]
上条「……ま、負けただと」

一方「お前も強ェけど、最後の詰めが甘ェよなァ」

禁書「あくせられーたすごいんだよ!!私一回もとーまに勝てないのに」

上条「お前はまずコンボを覚えてからな」

一方「なンなら教えてやンよ。全キャラ使えるし」

禁書「ホント!?私はクリスティなんだよ!」

一方「っつゥと、このババアか」

上条「……ババアって……しかし、インデックスも似合わないキャラ選ぶよなぁ。せめてシャォユウにすればいいのに」ハハハ

禁書「……とーま……ホントに懲りないね」――ギラッ

上条「!!?……いや、インデックスさんも将来はきっと…」

禁書「もう遅いんだよ!!」――グァッ


――ピンポ―ン♪―― 


上条「お、神の助け!――ハイハイ!」

禁書「とーま!戻ってきたら覚えてるんだよ!」

上条「どちらさんですかー?」――ガチャ

御坂妹「来ちゃった、てへ♪とミサカは舌を出しつつ家出少女の真似をします」

80 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 19:21:59.37 ID:/YqBeRA0 [19/26]
上条「……御坂妹?どうしたんだ?」

御坂妹「調整も終わり、暇なので遊びにきました。とミサカは説明します」

上条「……はぁ、けど今は」

御坂妹「ということでお邪魔します。とミサカは強行突破します」

上条「あっ!!おい!?」

――ズカズカ

禁書「!!……すごいんだよ!!カポエラかっこいいんだよ!!」

一方「オマエはまずバウンドなしの前作コンボを――」

御坂妹「いたいたいた、クソいやがりましたね!とミサカは上条家に馴染んでる一方通行を見下ろします」

一方「……あン?」

禁書「…あ、クールビューティー!」

御坂妹「!……これは鉄拳ですね!とミサカは混ぜて欲しいと目で訴えます」

一方「……一応聞くが、なンで俺がここにいるってわかった?」

御坂妹「MNWに決まってるじゃないですか。愚問ですね。ちなみに上条当麻と一方通行の『上条通行のBL』スレがMNWで現在大人気です。とミサカは補足します」

一方「………もォイヤ……頭割れそォ……っつゥかオマエはなにしに来たンですかァ?」

御坂妹「ミサカも一方通行の家でご一緒します。というか上位固体からお呼ばれしました。とミサカは答えます……しかし……あなたと幼女はいつ見ても似合いますね。上位固体にいいつけますよ。とミサカは脅迫してみます」

一方「[ピーーー]!」

82 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 19:48:19.60 ID:/YqBeRA0 [21/26]
御坂妹「まぁまぁ、怒ると中性的な顔が台無しですよ。とミサカは励まします」

一方「今更だが、オマエだけは生かしたの失敗だったと思うンだが?」

上条「……まぁとにかく、御坂妹もくるんだな?」

御坂妹「えぇ、幸いお姉様も今日はいらっしゃいませんし、存分にあなたに甘えさせてもらいます。とミサカはどさくさに紛れて腕を絡――」

上条「――めなくてよろしい!」(インデックスの目が怖いからな)

一方「……オマエ、調整受けるたびに悪くなってねェかァ?」

御坂妹「失礼な!人間らしくなったと言ってください。私はまだまともだと自負しています。とミサカは遠い目で他の妹達を思い出します」

上条「……なんかこれ以上聞かないほうがいい気がする」――ブルブル

一方「……俺も、なンか寒気が」――ブルブル







20000号「……フェックシュン!!!……ん?」

84 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 20:10:52.92 ID:/YqBeRA0 [22/26]
御坂妹「ところで、まだ時間があるのならミサカとも一戦してください。とミサカは2Pをとります」

一方「いいぜェ!俺が相手してやンよォ!シスター、1Pよこしなァ」

御坂妹「あなたなら遠慮はいりませんね。実戦とゲームは違うということを教えてあげます」

一方「ハッ!…後悔すンなよォ」

上条「なんとなく予想はしてたが……やっぱり御坂妹は『アリサ』か」

御坂妹「当然です。このキャラはミサカのためのキャラと言っても過言ではありません!とミサカは夢のコラボレーションに胸を躍らせます」

上条「……立場だけならまさにそうだな」

御坂妹「自分に合ったキャラを使えるのはいいものです。ところであなたは?」

一方「(アリサ取られちまったし…)コイツだァ!」

御坂妹「『レオン』!!?……確信犯ですか?とミサカはジト目で睨みます」

一方「うっせェ!たまたま得意なだけだァ!」

御坂妹「最もあなたの目つきの悪さとは似ても似つきませんが。とミサカは挑発を続けます」


一方「……もォ許さン」


85 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 20:47:20.11 ID:/YqBeRA0 [23/26]
一方「……覚悟しなァ。愉快に切り刻んで間接増やしてマリオネットにしてやンよォ…」

御坂妹「パンチとキックでですか?とミサカは吹き出しながらツッコミます」

一方「うるせェェ!!始めンぞォ!!」

――ラウンド1――ファイッ!

一方「オラオラァァァ!!」――バシッ バシッ

上条「……すげえラッシュ」

禁書「クールビューティーもすごいかも……全部ガードしてるんだよ」

一方「――クソ、クソ!なンで当たらねェ!!」

御坂妹「――攻撃が単調ですね。それでは勝てませんよ?とミサカは不敵な笑みを浮かべます」

一方「――く、ゆ、指が……」

上条「……連打が止まった」

御坂妹「もうこないのですか?ではこちらから行きます!とミサカは反撃します」――ヒュッ

一方「!!!?」

上条「……うわぁ……強ぇ」

禁書「……あくせられーたが完敗したんだよ」

一方「なン……だと?」

御坂妹「もう一戦いきますか?とミサカは一方通行をカモにします」

一方「カ……じ、上等だァァァ!!今度こそォ――」


――ピンポ―ン♪――

一方「!!?」

88 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 21:23:17.73 ID:/YqBeRA0 [24/26]


上条「迎えかな?」

一方「まだ早ェだろ?それより勝負だァ!御坂妹ォォ!!」

御坂妹「……その名前を呼びたいのならミサカを倒してからにしなさい。とミサカは怪訝な顔で応戦します――」



上条「ハイハイーっと」――ガチャ

美琴「こ……こんばんはー」

黒子「夜分に失礼しますの」


上条「……ハイ?」



――部屋


一方「ちくしょォォォオ!!!」

御坂妹「ほっほっほ♪まだまだよの♪とミサカは上品に勝ち誇ります」


89 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/13(木) 21:49:11.17 ID:/YqBeRA0 [25/26]
――上条家

普段は絶対に揃わないであろう面子が集結した。
一方通行は人数が増えることとワゴンでの迎えを黄泉川に連絡した。
軽い自己紹介も終わり、御坂妹と一方通行のバトルは再び幕を開けた。
ちなみに一方通行は十六連敗中である。


黒子「あの白髪の殿方……どこかで見たと思ったら第一位様でしたのね」

美琴「……ゲームであんなにムキになるやつも珍しいわよね」

禁書「ご飯~♪まだかな~♪」

上条「白井が来てる時点で聞くのも野暮だが…門限はいいのか?」

黒子「食事前の点呼に出れば、あとは問題ありませんの。私は風紀委員の仕事で徹夜、お姉様は開発実験ということにしましたわ」

美琴「……ごめんね黒子。無理言って……ところでさ、今更だけど何でアンタまで?」

黒子「お姉様と類人猿をふたりきりにさせるなんて私が許しませんの!!……まぁ今日はその心配もなさそうですが、せっかくですので」

上条「そうか、お前らもう冬休みか…」

美琴「え?アンタまた補習?」

上条「ま、明日は午後からだからいいけどな」

黒子「だらしないんですのね……日ごろからしっかり勉強していれば補習なんて受けなくても良いのでは?」

上条「……どうせ上条さんはバカですよ」

黒子「まったく……お姉様もこんな殿方のどこがよいのでabbbbbbb」――ビリビリ

美琴「くーろーこー♪ちょっち黙ろっかぁ♪」――ニコッ

上条「……?」

95 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 09:22:15.77 ID:lSE3ZkU0 [1/13]
――ワゴン車内


黄泉川「――名簿の住所だとこの辺りじゃんよ」

芳川「そうね……けど合計九人よ?……乗れるかしら?」

黄泉川「大丈夫じゃん?けど電話きたのが食材買う前で良かったじゃん」

打ち止め「あと二人増えたって言ったけど誰かなー?ってミサカはミサカは気になってみたり」

黄泉川「『ババアが二人増えた』としか聞いてないじゃん」

芳川「……私より年上かしら?」

黄泉川「……ないな。あいつにとったら中学生でもババアになるらしいじゃんよ」

芳川「………実験のし過ぎで歪んでしまったのね……気の毒に」

打ち止め「ミサカもも少ししたらババアって言われるのかな…ってミサカはミサカは不安になってみたり…」

黄泉川「それはありえないじゃん。そんなこと言ったら生き埋めじゃすまないじゃんよ!」

芳川「そういえば私は言われたことないわね……」

黄泉川「あ、私もじゃん」

芳川「…通り越してミイラ化してるのかしら?そうだとしたら、さすがに甘い顔はできないわね」

黄泉川「ミイラの恐ろしさを体に教えてやるじゃん……お、ここじゃん」

芳川「へぇ、普通の学生寮ね。あの子の初めてのお友達がどんな子か気になるわ」――じゅるり

黄泉川「……あんたショタキャラだったか?」

芳川「あら、あわよくば若いエキスを根こそぎ吸い取りたいなんてカケラも思っちゃいないわよ」

黄泉川「(こいつは職と同時に色々失ってるじゃん……)」

97 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 10:00:59.45 ID:lSE3ZkU0 [3/13]
――上条家

一方通行の携帯がなり、迎えが来たので降りてくるように指示をされたので、
一同は準備を済ませ上条宅を出る。

美琴「……アンタいつまでヘコんでんの?」

御坂妹「まぁまぁ何故かここにいるお姉様、このもやしは今かつてない敗北を噛み締めているので察してやって下さい。とミサカは結局一勝も出来なかった負け犬を見下します」

美琴「……アンタ言うようになったわね」

一方「……フン、べっつにィ。たかがゲームに負けたくれェでこの一方通行がヘコンだりするかっつゥの!」

黒子「……表情とセリフが合っていませんの」

上条「……上条さん持ち主なのに立場ないです。一方通行も充分強かったぞ?」

禁書「ご飯楽しみなんだよ!お肉が食べたいな♪」

上条「人の飯には手をつけるなよ。しかし、打ち止めとインデックスはすぐ意気投合しそうだな」

禁書「らすとおーだーってだれかな?」

一方「手間のかかるところがオマエにソックリだな」

禁書「…どーゆー意味かな?」

一方「会えばわかる。まァせィぜィ仲良くするこったな」

――一同はマンションを出て黄泉川運転のワゴンに乗り、黄泉川家へ。
打ち止めと禁書目録は案の定すぐ意気投合し、黒子のセクハラに美琴が抵抗し、
一方通行、上条も黄泉川、芳川と他愛無い話(内容は上条の学校と一方通行の過保護な話)
で車内は賑やかだった。


――道中、上条は何故か芳川の視線に寒気を感じていた……

98 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 10:43:52.59 ID:lSE3ZkU0 [4/13]
――車内(ちょっと覗いてみる)

黄泉川「――でさ、こいついっつも担任に目ぇつけられてるじゃんよ」

上条「だぁあ黄泉川先生!!やめてくださいよ!!」

一方通行「ハハッ。ダメだぜ三下ァ、先生の言うことは聞かねェとなァ」

芳川「……」

上条「(…なんだ?この芳川さんって人……さっきからチラチラ見られてる気が……)」

黄泉川「――ま、なんだかんだで担任にも愛されてるじゃんよ」

一方「ン?どォした三下?車酔いしちまったかァ?」

上条「……!あ、あぁ大丈夫!っつーかいい加減『三下』ってのやめろって!上条さんには上条さんって名前がありますの事よ!」

一方「…苗字だろソレ。つってもこの呼び方に慣れちまったしなァ。いっそ三下ってあだ名にしとけェ。その方が嬉しィだろォ」

上条「そんな一面の中ボスみたいなあだ名なんて嬉しくねぇよ!……ん?」

芳川「……」(じー)

上条「……(やっぱ見られてる!?なんだ?俺なんかしたか?そしてなんなんでせうか!?この異常な寒気はぁぁぁ!!?不幸センサーがビンビンですぞ!!!)」

禁書「――ハハハハ!でね?」

打ち止め「面白ーー!ってミサカはミサカは大笑い!!」

黒子「……小さいお姉様はシスターに完全に取られましたの。かくなるうえは、ダブルお姉様と狭い車内で究極の3ピ――」

美琴・御坂妹「やめろっつーの!!(とミサカは息の合ったダブルパンチを繰り出します)」――バゴゴッ!

黒子「ハブホォォッッ!!……強力ですの……ガク」


芳川「(上条くんか……かわいくて…おいしそう……フフ、お姉さん久々に本気になろうかしら。――じゅるり)」

103 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 18:43:57.41 ID:lSE3ZkU0 [5/13]
――車内

黄泉川「……桔梗、目がヤバイじゃんよ?」

芳川「あら?冗談よ。上条くんだっけ?君は反応が面白いわねぇ」

上条「(ホッ…)いや~、なんか怒らせる事しちゃったのかと思いましたよ」

一方「…?」

黄泉川「ウチの大事な生徒なんだからイジメたら許さないじゃんよ?」

芳川「……わかってるわ(チッ)」

上条「(一方通行が言ってたニートってこの人か…こんなに美人なのに)」

美琴「(なによアイツ……助手席のお姉さんに見とれちゃって……)」――じー

一方「(超電磁砲のヤツ、あからさまに三下を睨ンでやがる……)」

美琴「(そんなにお姉さんがいいのかぁっっ!!たしかに私は大人の魅力ないかもしれないけど……私だって)」

御坂妹「ミサカは縞々ですが、それがどうかしたのですか?とミサカは疑問をぶつけます」

黒子「…いえ、ただちょっとどんなガラなのか見せて頂――」

美琴「だぁかぁらやめろっつってんでしょうがぁぁぁ!!!」――ゴンッ!

黒子「アビッ!!!」

上条「――マジで!?お前そんな寝起き悪いの?」

一方「芳川ァァ!!余計な事言うンじゃねェェェ!!」

打ち止め「でも寝顔はすごく可愛いんだよ。ってミサカはミサカは話に混じってみたり」

一方「打ち止めァァァ!!!」

上条「…へぇ、そりゃ是非見てみたいな」
――今夜は長くなりそうだ。
一方「見るな。っつゥかその話忘れろ」

黄泉川「別に今日泊まってってもいいじゃんよ?」

一方「!!」

107 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 19:21:18.11 ID:lSE3ZkU0 [7/13]
上条「――え!?良いんですか?」

黄泉川「私の家なんだから当然じゃん」

一方「オイ黄泉川ァ!勝手に決めンなァ!」

黄泉川「何言ってるじゃん?友達を家に泊めるくらい当たり前じゃんよ」

一方「……そォ、なのか?」

芳川「えぇ」


――友達付き合いのない一方通行にはわからなかったが、今日はむやみに寝れないことはわかった。

そして、一同を乗せたワゴンは黄泉川家へ到着。
高級マンションなので上条は驚きつつ、「小萌先生、なんであんなところに住んでるんだろう…」
と、黄泉川と同僚な筈のロリ教師を思い浮かべていた。


上条「……すげぇ…オートロックだ」

芳川「たいしたことないわよ」

一方「なぜにテメエが言いますかァ?……三下ァ、アホ面曝してンじゃねェよ」

上条「いや…上条さんには未知の領域ですハイ」

美琴「ウチの寮くらい綺麗じゃない」

禁書「お腹いっぱい食べるんだよ!」

打ち止め「ミサカもお腹いっぱい食べるー!ってミサカはミサカは大勢の食事に嬉しさを隠せなかったり!」

御坂妹「ミサカも大勢で食べるのは楽しみです。とミサカは上位固体に同意します」

黒子「エレベーターも広いですの」

上条「……上条さん家の2倍はある」

一方「黄泉川とオマエじゃ立場が違うンだから、そォ悲観的になンなよ」

上条「…まぁ、先生だしな」


黄泉川「着いたじゃん」

113 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 20:16:44.07 ID:lSE3ZkU0 [9/13]
――黄泉川家


「お邪魔しまーす!」


上条「……うわぁ…広ぇ」

一方「別にィ…普通だろ」

打ち止め「アナタのお友達が来るなんて初めてだね!ってミサカはミサカはよろこんでみたり」

禁書「お菓子見つけたんだよ!!」

一方「あとにしとけェ!今食ったら飯が食えなく……なることはねェな。オマエの場合」

上条「マナーの問題だ!インデックス、あとにしなさい!」

禁書「…ハーイ…お菓子さん、またあとでね…」

黄泉川「さて、用意するじゃんよ。桔梗、手伝うじゃん」

芳川「仕方ないわね……今日だけよ?」


――リビング


御坂妹「……芳川さんはいつも何をしているのですか?とミサカは上位個体に尋ねます」

打ち止め「いつもテレビ観て寛いでるよ。ってミサカはミサカは答えてみる」

美琴「………それって、ニート?」

黒子「……信じ難いですわね」

打ち止め「よく『あー…だりィ』とか『やる気しねぇ…』とかボソッと言ってるよ。ってミサカはミサカは暴露してみる」

美琴・黒子・御坂妹「…………」

禁書「ヒドイんだよ!お世話になってるんだから家のお手伝いくらいするべきかも!」

上条「お前が言うな!!」

115 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 20:49:04.56 ID:lSE3ZkU0 [11/13]
禁書「ご飯何かな?」

打ち止め「すき焼き!ってミサカはミサカは教えちゃったり」

一方「……まさか炊飯器でやるつもりじゃねェだろうなァ?」

上条「炊飯器?」

黒子「…どういう事ですの?」

打ち止め「大丈夫みたい。大きいお鍋買ってたから。ってミサカはミサカは安心させてみる」

一方「…そォか」

美琴「……キッチン覗いてきたけど、なんであんな炊飯器多いの?」

一方「……家庭の事情の違いとしか言えねェ」

御坂妹「…あまり詮索しない方がよさそうですね。とミサカはさりげなくあなた(上条)の隣に腰を降ろします」

美琴「(あ!そこ、私が座ろうと思ったのに!)」

黒子「お姉様ぁん♪黒子の隣が空いていますの」

美琴「………」――仕方なく黒子の隣にすわる。

上条「お、おい御坂妹よ!…近くないか?」

美琴「…なにイチャイチャしてんのかしら?」

御坂妹「ざまぁみろお姉様。とミサカは勝ち誇ります」

美琴「(コ……コイツ…)」

上条「……???」

一方「(ここまでわかりやすいヤツとここまで鈍感なヤツはそォそォいねェな…)」

116 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/14(金) 21:10:23.13 ID:lSE3ZkU0 [12/13]
一方「……っと、オイ打ち止めァ。手洗いに行くぞ」

上条「……お前の口からそんな言葉が出るとは…」

打ち止め「ハーイ!ってミサカはミサカは元気よく立ち上がってみたり」

黒子「……似合わないというか……人は見かけに寄りませんのね」

一方「風邪引かれちゃ看病が面倒くせェだろォが」

美琴「でも偉いと思うわ。んじゃ、私も洗いに行こっと」

上条「上条さんも見習わないとな…ホラ、インデックス。お前も行ってこい」

禁書「わかったんだよ。とーまは?」

上条「皆で行っても狭いだろ?お前らが戻ってきたら行くよ」

御坂妹「ではミサカも。とミサカはさりげなくあなたと行動を共にします」

黒子「妹様と類人猿をふたりにできませんわ。私もあとにしますの」

上条「……手洗いに行くだけだぞ?」


――打ち止め・禁書・一方通行・美琴・洗面所へ

121 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/15(土) 15:27:30.09 ID:33QHxXc0 [1/6]

――洗面所


打ち止め「バシャバシャー!」

一方「だから水飛ばすなってンだよクソガキィ!!」

美琴「……アンタまで石鹸使うなんてすごい違和感…」

一方「なンでだよ?俺が清潔じゃいけませンかァ?…おい、打ち止め、ちゃンとうがいもしろよ」

美琴(……もう手遅れね)

禁書「うわっ!泡が目に入ったんだよ!!」

一方「あァ?早く水で流せよ!……ほら、タオル。眼球痛むからあンま擦ンじゃねェぞ」

禁書「……うぅ、ありがと、あくせられーた!顔に似合わず優しいんだよ!」

一方「…大げさなンだよ。あとオマエもうがいしとけ。超電磁砲、オマエもだ」

美琴「う……うん」(コイツってこんなヤツだったっけ?)


――仲良く手洗い、うがいを終えリビングへ


一方「戻ったぜェ」

美琴「おまたせー」

禁書「ご飯♪お肉♪」

打ち止め「手つるっつる♪ってミサカはミサカは着席!」

黒子「まぁまぁ、本当ですの!小さいお姉様」――さわさわ

美琴「やめい!!…マジでアンタ警備員に引き渡すわよ?」

黒子「…自重しますの」

上条「じゃ、俺達も洗ってくるか」

122 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/15(土) 16:00:23.93 ID:33QHxXc0 [2/6]
御坂妹「ではミサカも!とミサカは便乗します。変態は置いていきましょう」

黒子「ああん!妹様ぁ!黒子も参りますのぉ!」


――そして、上条達が戻ってきたころに夕食の用意が終わり、楽しい晩餐となった。


一方「三下ァァ!!それ俺の肉ゥゥゥ!!」

上条「弱肉強食って知ってるか?」――ニヤリ

美琴「黒子!アンタまた私の箸と取り替えたでしょ!」

黒子「…ちっ、バレましたの」

禁書「おいしいんだよ!!」――ガツガツ

芳川「……この子の胃袋どうなってるのかしら?研究してみたいわね」

黄泉川「アンタもう研究者じゃないじゃんよ?」

打ち止め「皆で食べるご飯っておいしいね!ってミサカはミサカはアナタに同意を求めてみたり」

一方「おォ……たまには悪くねェな」――プイ

御坂妹「…本当にあなたは素直じゃないですね。とミサカは呆れて溜息をつきます」

一方「…うるせェな」


――わいわい騒ぎの晩餐もあっという間に終わった。
上条と禁書目録は泊まっていくことにし、美琴と黒子は寮に戻ることにした。


上条「大丈夫か?今夜は寮に帰れないことになってんだろ?」

黒子「わたくしの空間移動がありますの」

上条「なるほど。まぁ大丈夫だとは思うが、気をつけてな」

美琴「う…うん、ありがとう(///)」(やっぱ泊まればよかったかも…私の意気地なし!)

黒子「さ、お姉様。行きますわよ」

美琴「あ……うん、それじゃ…」

美琴・黒子「お邪魔しました(の)ー!」

123 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/15(土) 16:21:36.35 ID:33QHxXc0 [3/6]
一方「おい!」

美琴・黒子「?」

一方「………また…来いよ。クソガキの相手してやってくれ」

黒子「当然ですの!アナタに言われるまでもありませんわ」――ニコッ♪

美琴「えぇ、勿論よ。…ただ黒子には頼まない方がいいわよ?」

一方「…あァ、わかってる」

黒子「何故ですのー!?」――ガーン!

打ち止め「お姉様に黒子お姉さん!またねー!ってミサカはミサカは手をふってみたり!」

黒子「!!……く…ろこ…お姉さん…」――ハァハァ…

美琴「ほ!ほら!行くわよ黒子!……じゃ、おやすみ」

一方「おォ」

上条「おやすみー」

禁書「おやすみ!短髪ー!」

御坂妹「おやすみなさいお姉様。とミサカは別れの挨拶をします」


―――バタン


御坂妹「………さて」

一方「お?オマエも帰ンのか?」

御坂妹「いえ、お風呂に入りたいのですが。とミサカは催促します」


一方(コイツも泊まってく気か……)

124 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/15(土) 17:10:06.42 ID:33QHxXc0 [4/6]
――御坂妹の宿泊も家主である黄泉川にあっさりOKされ、
打ち止め、禁書目録、御坂妹の三人は仲良くお風呂へ。


一方通行の部屋―――


上条「お邪魔――…へぇ、結構綺麗にしてんだな」

一方「散らかる物が少ねェだけだよ」

上条「俺もここで寝ていいんだよな?」

一方「はァ!?テメエと一緒に寝ンのかよ!?」

上条「…あ、あれ?なにか問題あるのか?」

一方(友達同士ってのは同じ部屋で一緒に寝ても問題ねェのか?……ベッドひとつしかねェぞ。……二人でも入れないこたァねェが…)

上条「…おーい?」

一方「!!?……な、なンだよ」

上条「?……変なヤツだな。ま、俺は床でも寝れるから。できれば布団があれば嬉しいんだけど…」

一方「床ァ!?テメェ今なンつった!?床で寝るだァ!?……ダメだ!ベッドで寝ろ!」

上条「え?…でもそしたらお前――」

一方「ベッドで寝ろっつったらベッドで寝ろォ!!二人で寝れなくもねェだろォが!」

上条「………ハイ?…つまり、お前と一緒にベッドで寝ろと?」

一方「し…仕方ねェだろ!客人に床寝させてテメェは暖けェベッドでグースカなンてできねェし、俺も固ェ床でなンざ寝たくねェ―――」

「―――だったら一緒に寝るしかねェだろォがよ!」


上条「……いや……マジですか?」




リビング―――黄泉川と芳川はテレビ(お笑い)を観ながらくつろいでいた。


黄泉川「ハハハ!―――ん?あいつら何騒いでるじゃん?」

芳川「さぁ?青春でしょ―――プッ!アハハハ最高!マジウケルわ!」

126 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/15(土) 18:01:19.21 ID:33QHxXc0 [5/6]
お風呂場―――


打ち止め「今日はあの人と一緒じゃないから遠慮なくバタ足♪ってミサカはミサカは――」

御坂妹「止めなさい!とミサカはバカ上司を叱ります」

禁書「うわー!!シャンプーが目に入ったんだよ!!助けてクールビューティぃぃ!!」

御坂妹「…ハイハイ。ったく…こいつらと一緒に入浴しに来たのは失敗でした。とミサカは後悔します…」

打ち止め「ム!下位個体のくせに生意気!!ってミサカはミサカはこめかみをピクピクさせてみる!」

御坂妹「黙れこのクソガキ。ミサカは家主から―――」

『子供だけの風呂は危ないじゃん。悪いけどアンタ一緒に頼むじゃん』

「―――という使命を受けたので、仕方なく一緒に来てやったのです。とミサカは不本意な心中を吐露します」

禁書「クールビューティぃぃぃ!!目が痛いんだよ!!」

御坂妹「…おっと、タオルを渡すのを忘れてました。どうぞ、シスター」

禁書「ゴシゴシ―――ふぅ、助かったんだよ」

打ち止め「!……ぶわー!ミサカの目にもシャンプーがー!ってミサカはミサカは10032号に助けを求めてみる!」

御坂妹「ハイ良かったねくたばれ。とミサカは演技丸出しな上位個体に冷たい視線を向けながら適当に応じます」

打ち止め「ミサカが何かしたのかな!?ってミサカはミサカは10032号がミサカをいじめる理由を問い詰めてみたり!」

御坂妹「…以前、ミサカのゴーグルを取ったことをお忘れですか?とミサカは根に持っていた事実を告げます」

打ち止め「あれならあとで返したじゃん!ってミサカはミサカは反論してみる!」

御坂妹「返せば良いってもんじゃねーだろ。とミサカは世間知らずのガキに謝罪を要求します」

打ち止め「はぁあ!?意味わかんない!!」

御坂妹「一時とはいえ、チャームポイントを取られた恨みは深いですよ。とミサカは再度謝罪を要求します」

打ち止め「はぁ!?なんでこのミサカが、たかがミサカごときに謝んなきゃ行けないの!!ってミサ――!!?」―――ゴンッ!

御坂妹「…警告はしました。言う事を聞かないからこうなるのです。とミサカは上位個体の頭にヒットした拳をさすります」

打ち止め「……………」―――ジワァ


禁書「……クールビューティーが怖いんだよ」

129 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 11:42:53.13 ID:KalSz7Q0 [1/16]

打ち止め「………うっ、うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

禁書「!……クールビューティー!殴ることないんじゃないかな!?泣いちゃったんだよ!」

御坂妹「…泣けば許されると?とミサカは大口開けて泣きじゃくる上位個体に呆れます…」

禁書「暴力は良くないんだよ!!」

御坂妹「しつけです。とミサカは吐き捨てます」

打ち止め「わぁぁぁぁぁぁぁん!!!!…ひっく、ひっく、うぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」



――黄泉川家の風呂場はリビングより一方通行の部屋の方が位置的に近く、
打ち止めの泣き声は大音量のリビングにいる黄泉川達には聞こえなかったが、
上条と一方通行の耳にはしっかり入ってきた。


上条「……なぁ、どうしても一緒のベッドじゃなきゃだめか?」

一方「だ、だからそれ以外ねェだろォ!べ、別に何も起きやしねェンだからよォ!」

上条「……だ、だよな?悪い!変に考え過ぎた。野郎同士なんだから平気だよな、ウン」

一方「そ、そォだよ!って何考えてンだ三下ァ!」

上条「い!いやぁ…俺も男と同じベッドで一緒に寝た事なくて……」

(だよな?少なくとも夏休み以降はねぇし……いや、それ以前も…うわぁ、考えたくねぇ…)――ブツブツ…

※上条さんは夏休み以前の記憶がありません。



一方「?……三下ァ、何ブツブツ言ってン―――」


「――うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!あぁぁぁぁん!!!!!」


一方・上条「!!!」

130 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 12:36:55.49 ID:KalSz7Q0 [2/16]
上条「……お、おい。この声打ち止めの――って早っっ!!」

一方「打ち止めァァァあ!!!」――カチッ。ダダダダ――バタン!


――上条が声のした方を向き、再び一方通行の方を向いた時にはすでに彼の姿はなかった。


一方通行は打ち止めの泣き声を聞いた途端、躊躇うことなくチョーカーのスイッチを入れ、
上条に言葉を返す間もなく風呂場へ走り……いや、飛んで行った。

一方通行は打ち止めに対して知らず知らずの内に相当の愛着が湧いていた。
性格上絶対口には出せないが、もはやそれは愛情の領域だった。
周りから「過保護」だと言われていたが、自覚もあった。しかし、人に愛情を受けたことも向けたこともない彼には
限度がわからなかった。素直になれず、いつもぶっきらぼうにしか応じれない裏返しの形が「過保護」となったのだ。


そして、一方通行は打ち止めが「悲しむ」のが大嫌いだ。彼女にはいつも笑っていて欲しい。
彼女が悲しんだり、傷ついたりするのを最も嫌う彼が、彼女の泣き叫ぶ声を聞いて冷静でいられるハズがなかった。
もう一度言うが、一方通行は打ち止めの泣き喚く声を聞いた途端冷静さを完全に失った。
『打ち止め・禁書目録・御坂妹・彼女たちは入浴中である』という設定は彼の頭からすでに除外されていた。

もうひとつの不運は、風呂場の鍵が掛かっていなかったことだった。

さらに、すでに禁書目録と御坂妹の存在が頭から飛んでいる彼にとって、打ち止めのいる風呂場のドアを開ける事に
戸惑う必要がなかった。


一方「打ち止めァァァァァ!!!」


―――バタン!!と乱暴にドアが開けられた。


御坂妹「――!!!?」

禁書「――なっ!!!?」

打ち止め「――ひっ、ひっ……うわぁぁぁぁぁぁん!!!」――ガバッ

一方「打ち止めァァァ!!!…………あァン?」


いきなり全裸の打ち止めに抱きつかれ、一方通行は数秒ほど思考が停止した。

131 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 13:20:47.12 ID:KalSz7Q0 [3/16]
――軽く状況を整理すると……

御坂妹が打ち止めと口論→御坂妹、手をあげる→打ち止め、泣く→

一方通行、飛んでくる→風呂場のドアが開く→号泣している打ち止めが開かれたドアの向こうの人物(一方通行)に泣きつく―――現状



―――三人はバスタオルを所持しておらず、禁書目録がハンドタオルを手にしているのみ。
禁書目録は風呂桶に腰掛けたまま固まっている。
御坂妹は禁書目録の隣で何も持たず立ったまま、突然開いたドアを凝視している。


一方「………」

打ち止め「……うぅっ……ひっく……10032…がぁ……ミサカをぶったぁ…ってぇ……ミサカ…はぁ……ひっく」

一方「………あァ、その……なンっつーか……」


――目の前の光景に一方通行はすぐに冷静さを取り戻した。


御坂妹「………あなたにそのような趣味があるとは、意外です。とミサカは色々な意味を含めて発言します」


――御坂妹はさして羞恥心がないようだが、もうひとりは違った。


禁書「……う、う、うわぁぁぁぁぁ!!!!ひ!!ひどいんだよ!!!あくせられーた!!!!」

一方「ま……ちょっ!!まっ―――!!!」


黄泉川「―――何事じゃん!!?」


――黄泉川、芳川が来たタイミングも最悪だった。現状を見てすぐに把握するあたり、流石の警備員だった。


黄泉川「……一方通行。ちょっと署まで同行するじゃん。…なに、時間はとらせん」

芳川「……あなたって、やっぱりムッツリ?……ということは前に覗いたのも、じつはわざと?」

一方「ちょっ!ま、待てェ!!は…話をきけェェェ!!!!」

「――誤解だァァァァァァ!!!!!」


上条「……あいつに俺の不幸がうつっているような……とりあえず、一方通行よ。安らかに眠れ」

135 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 14:15:19.24 ID:KalSz7Q0 [4/16]
―――その後、泣き止まない打ち止めを芳川が担当し、一方通行は事情を説明して
ようやく黄泉川に解放された。


一方「……ったく、あの女ァ。人を性犯罪者扱いしやがって…誰が覗くかっての」

上条「…お前も苦労してんだな。安心しろ。上条さんはお前の味方だ」

一方「嬉しくねェよ!――ン?」

――コンコン、ガチャ

御坂妹「よっ。とミサカは明るく犯罪者の部屋に進入します」

禁書「……お邪魔するんだよ」ムスッ

一方「だァれが犯罪者だァァ!テメェの体に興味なンかねェっての!」

御坂妹「おや?ではこのシスターはストライクだと?とミサカはあなたのロリ説に確信を持ちました」

一方「ロリコンでもねェェ!!オマエらみてェなガキの体に興味はねェって事なンですけどォ!?」

御坂妹「ですが、聞いたところでは黄泉川さん達を除いた時も反応を示さなかったらしいですね。…ということはまさか」――じー

上条「な!なんで俺を見るんだよ!?……ま、まさか一方通行?お……お前…」

一方「テメェがさっき味方とか言ったのァ嘘だったってのが判明したァ。っつーワケで[ピーーー]」

上条「ま、待て!!冗談に決まってんだろ!!」アワワ

禁書「………」ムッスー

上条「…インデックス?何さっきからムクれてんだ?」

禁書「……とーまだけじゃなく、あくせられーたにも裸見られたんだよ…もうお嫁に行けないかも」…ハアー

一方「……オマエの裸なんて覚えてねェから安心しろ」

禁書「す、少しも覚えてないって言うの!!?それはそれで傷つくかも!!」

一方「…どォしろってンだよ」

上条「女心なんて上条さんの専門外ですよ」

一方「……ちょっと待て。オマエ今『とーまだけじゃなく』って言ったよな?……どォいうことだ三下ァ?」

上条「そ、それはまぁ……」

禁書「服破かれて素っ裸にされたんだよ」

上条・一方「!!!」

137 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 14:50:55.42 ID:KalSz7Q0 [5/16]
上条「ま、待てインデックス!!それは……その…」(記憶がないため、上手く説明できない上条さん)

一方「……三下ァ……ロリの敵はロリって知ってっかァ?場合によっちゃブ・チ・コ・ロ・し・確定だなァ…」――ニヤリ

上条「だからそれは……ってあぁもう!!不幸だーー!!」



―――???

麦野「……っクシュン!!!……風邪かしら?……私にもまだ人間らしさが残ってるみたいね。はーまずらぁ」




―――「不幸だーーー!!!」


黄泉川「あいつらよく騒ぐじゃんね」

芳川「そうね……どうしたの?打ち止め。あの子(一方通行)の部屋の前で佇んで……入らないの?」

打ち止め「……だって、10032号いるんだもん」

芳川「……大体彼女(御坂妹)から聞いたけど、悪いのはあなたよ?打ち止め」

打ち止め「え!?」

芳川「確かに彼女も大人げなかったわね。けど、人の物を取るのは行けないことよ。まして彼女の大事な物ならね」

打ち止め「……」

芳川「自分がされて嫌な事は人にもしない。あの子はあなたにそんなことも教えてなかったのかしら…」

打ち止め「……う…」

芳川「そしてもっといけないのは、悪いことをした時に相手に謝れないことよ。あなたは彼女に返す時、ちゃんと『ごめんなさい』したの?」

打ち止め「そ……それは…」

芳川「相手に悪いことをしたのなら、そこに立場なんて関係ないわ。たとえ相手が自分より立場が下でも、自分がいけなかったらちゃんと相手に『ごめんなさい』しなきゃだめよ。いい?」ナデナデ

打ち止め「………ミ、ミサカは……怖いよ」

139 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 15:16:01.64 ID:KalSz7Q0 [6/16]
芳川「あら、大丈夫よ?彼女はあなたのこときっと許してくれるわ。あなたが真剣に謝れば、ね」

打ち止め「……ほ、ほんとに?」

芳川「えぇ、私が言うんだから間違いないわ。あなた達の事はよく知ってるもの……」

打ち止め「……」

芳川「あなたならできるわ。勇気を出しなさい。そうすれば…きっと報われるのよ。…彼女に『ごめんなさい』できるわね?」

打ち止め「……うん!ミサカ、謝る!ってミサカはミサカは反省してみる!」

芳川「そう、反省して誠意を持って謝れば大丈夫よ。頑張ってね」

打ち止め「うん!ありがとう芳川!ってミサカはミサカはあの人の部屋に突撃ー!!」



――タタタタ……



黄泉川「……あんた、やっぱり教師目指してただけあるな…」

芳川「……えぇ、本当なら、打ち止めみたいな大勢の子供達の前で教鞭を振るいたかったわ…」

黄泉川「今からでも遅くないじゃんよ?頑張ってみたら?」

芳川「……ダメよ。だって、メンドクサイもの」

黄泉川(ちょっとでも見直したアタシがばかだった……ってゆーかコイツ、まさか一生ニートでいる気じゃ……)

141 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 15:53:04.22 ID:KalSz7Q0 [7/16]
一方通行の部屋――

間一髪で右手が間に合い、動けない一方通行の誤解を解くのに成功した上条さん。


上条「……ふー、右手で咄嗟に触れたから良かったが、もう少しで危なかったぜ…」

一方「……ちっ、最初からそォ言やいィだろォが…」

上条「お前も話聞く前に手が出るクチだろーが!……っつーかお前、ロリじゃないって言ってなかったか?」

一方「ンな昔のこたァ忘れちまったよ」

上条「ほんの数分前だろ!――ん?」

―――ガチャ

打ち止め「……お邪魔しまーす。ってミサカはミサカはおそるおそる入ってみたり…」

上条「おう、打ち止め」

一方「…ノックぐらいしろっつーの」

打ち止め「ご、ゴメンなさい!ってミサカはミサカはアナタに謝っちゃったり」

一方「あン?…やけに素直じゃねェか」

打ち止め「そ、それより10032号!ゴーグル取っちゃって本当にゴメンなさい!!ってミサカはミサカは頭を下げる!」

御坂妹「………もう良いんですよ。とミサカは上位個体に微笑みかけます」

打ち止め「……怒って、ない?」

御坂妹「えぇ。ミサカも…殴ってすみませんでした。痛かったですか?」

打ち止め「う、うん!!痛かったけどもう平気だよ!ってミサカはミサカは元気に頭をさすってみる!」

上条「…良かったな。一方通行」

一方「……おォ、偉いぞ打ち止めァ。ほら、いつまで立ってンだよ。膝の上来ていいぜ。今日は特別だァ」

打ち止め「うわーい!!ってミサカはミサカは久々にアナタの膝の上に座ってみたり!」

禁書「あ!いいなぁ!私もとーまの膝に座ろう――って、なんで服掴むのかな?クールビューティー?」

御坂妹「黙りなさい、そこはミサカ専用です。とミサカはあなたに座る権限のない事を主張します」

142 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 16:28:26.96 ID:KalSz7Q0 [8/16]
禁書「……むぅうう!!」プクー

御坂妹「……あぁん?」ギロッ

上条「ふ、二人ともやめろって!…あと御坂妹。お前マジで怖いぞ。ヤンキーみたいにメンチ切るなって!」

禁書「とーま!!膝に乗せるなら私だよね!?」

上条「……ハイ?」

御坂妹「当然ミサカですよね?とミサカはあなたがそこのロリ野郎とは違うことを信じてます」

一方「うっし、打ち止め。三分どけ。ちょっとコイツを解体(バラ)してくる」

打ち止め「ダーメ♪ってミサカはミサカは小悪魔な顔でアナタに振り返ってみる」

一方「(///)……ちっ、命拾いしたなァ。御坂妹ォ」

御坂妹「だからその名で呼ぶなっつってんだろコラァ!!とミサカは我を忘れかけます」

一方(こ……こえェ…)

上条「……ま、まぁ落ち着いて」

御坂妹「大体、あなたがハッキリしないのがいけないのです!とミサカは矛先をあなたに向けます」

禁書「そうだよ!!だからとーまはいつまでたってもとーまなんだよ!!」

上条「な、何で俺!?ってかインデックス!!意味わかんねぇ事言ってんじゃねぇ!!」

御坂妹「この際ハッキリさせましょう!あなたはどっちと一緒に寝るのですか?とミサカはあなたを期待した目で見つめます」

禁書「!……とーま、今日くらい、一緒に寝ても…いいんだよ?」

上条(な……なんで寝る話になってんだ?なんかよくわからんが、ふ、不幸だ…)――アセアセ

御坂妹「さぁ」

禁書「とーま!」

御坂妹・禁書「どっちと寝るの(ですか)!?」

一方「…おい、三下は俺と寝るンだぞ?なに言ってンだオマエら」

御坂妹・禁書・打ち止め「」

上条「……終わった」

145 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 17:37:43.03 ID:KalSz7Q0 [9/16]
――最初に言葉を発したのは御坂妹


御坂妹「……うそ、だろ…とミサカは知らねー内にすげえ仲良くなってるふたりにドン引きです…まさかマジでBL…」

禁書「……とーま、私はシスターなんだよ?…お祈りしてもいいんだよ?」

上条「もう弁解すんのもめんどくせえ。お前ら今すぐその邪な考えをナイル川にでも流してこい」

打ち止め「…えー、アナタと寝たかったのにぃ…ってミサカはミサカは悔しがってみたり…」

一方「却下ァ。…オマエらは隣の部屋で寝ろ。三人ぐらい寝れっだろォ。っつーワケで、俺らはもう寝っからオマエらも部屋戻れ」

打ち止め「えー!やだやだ!アナタともっと一緒にいたい!ってミサカはミサカは甘えてみる!」

一方「ダァメェだ!もう23時だぞ!ガキは寝る時間ってなァ」

打ち止め「まだ眠くないもん!ってミサカはミサカはソッポ向いてみたり」

一方「…よっと」

打ち止め「わぁ!!急に立たないでー!ってミサカは―――」


――結局、御坂妹、禁書目録、打ち止めは隣の部屋へ追いやられ、一方通行と上条はようやく落ち着いた空間になり、
安堵の息を吐く。女というのは疲れる。その点、野郎同士は楽だ。ふたりは疲れたのか同じベッドで気まずいのか案外早く眠りについた。


――隣部屋


御坂妹「MNWが……abbbbbbbbb――お、落ち着いて下さい9968人のミサカ達!上位個体!何とかして下さい!とミサカは助けを求めます!」

打ち止め「無理!!アクセスしたら『ガキはすっこんでろ!』だの『大人の世界に入ってくんじゃねぇ!』だの、なんなのーっ!!ミサカは上位なんだよ!ってミサカはミサカは憤慨してみる!!」



――MNW内


14510『…あの方にそんな趣味が?…でもそんなとこも…』

10033『とりあえずホモでもいいからセロリに踏まれたい』ハアハア…

16753『とりあえず、乗り込むか?』

17600『こちらスネーク。現在隣のビルから監視中だが…電気ついてないぞ?』

146 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 18:03:42.17 ID:KalSz7Q0 [10/16]
18905『えっ?』

19090『えっ?』

20000『ま、まさか……私が行く前に終わったというのか…』

16771『20000アホか?』

12022『いやwwww今更じゃね?』

20000『私も混ぜろォォォォお!!!』

14375『コイツうっせぇ』

18906『落ち着けよド変態』

18772『…マジで誰か病院連れてけ』

17336『っつーか[ピーーー]』

17600『どうする?付近のミサカたち……乗り込むなら手伝ってもいいが…』

13349『17600の偉業に敬礼!…っつかオートロックどうすんの?』

17600『あんなのオモチャみたいなもんだ。んで、どうする?』

学園都市のミサカ達『行くに決まってんじゃあぁぁぁぁん♪』

『二人揃ってるなんておいし過ぎる!』『漏れ上条!』『じゃあセロリは漏れが!』『いや漏れが!』『…じゃ、漏れが』『どうぞどうぞ!』

『とりあえず集まろうぜ!』『くっそ!漏れも学園都市いたかったぁぁぁあ!!』―――




御坂妹「……暴走した一部のミサカ達が黄泉川家付近に集まっています」

打ち止め「な、なんかまずいかもってミサカはミサカは不安を隠せなかったり…」

御坂妹「………こうなったら、ミサカが出て皆を説得します。とミサカは戦場へ赴く武士の心境を理解します」

153 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 20:28:57.34 ID:KalSz7Q0 [12/16]

――「ミサカのことはミサカがカタをつけます。シスターさんを頼みます」と言い残し、打ち止めの制止も聞かず部屋を出て行った10032号。
気付けばもう深夜。黄泉川達ももう寝ている。打ち止めも「あとは10032号に任せよう」とすでに寝息を立てている禁書目録の隣で寝てしまった。


――外(路地裏)



17600号「よくもまぁ…のこのこやって来ましたね。ミサカだけ呼び出して何の用ですか?とミサカは裏切りものを見る目で10032号を見据えます」

御坂妹「黙りなさい17600号、他のミサカ達を呼んだのがお前だということはすでに知っています」

17600「……で、何しに来た?自分だけハーレムかよ?何故感覚共有しない?とミサカは一気にまくし立てます」

御坂妹「…それについては猛省しています。ここまでMNW内が荒れるとは思わなかったので。とミサカは言い訳をしつつ謝罪します」

17600「ならさっさと共有しろよ。ミサカはあくまで追跡担当だが、今回はお前に非がある。とミサカは10032号の過ちを指摘します」

御坂妹「ここまでミサカ達が荒れていては…やむを得ませんね。わかりました。すぐにミサカの記憶データの配信と共有プログラムを実行します。あなたを呼んだのはそれを全妹達に通達し、説得して欲しいからです。とミサカは17600号に頭を下げます」

17600「…お前が反省してるならいいけど、何でミサカに頼む?自分で言えよ。とミサカは当然の疑問を投げかけます」

御坂妹「妹達にはあなたから言った方が納得する確率が高いからです。とミサカは答えます」

17600「まぁ、オマエは今全妹達を敵に回してる状態だからなァ。とミサカは一方通行の真似をしながら答えます。まァ、感覚共有さえすりゃァあいつらも収まンだろォ。とミサカは物真似を続けます」

御坂妹「…似てるのは口調だけです。とミサカはダメ出しをします。そう言えばMNWでも『一方通行の口調で会話スレ』があることを思い出しました。ミサカ達の間で密かに流行ってますよね……もし本人が知ったら――」

――「実験再開だァ!!凍結ゥ?知ったこっちゃねェ!絶対能力者(レベル6)なンてなれなくていいからテメェら皆殺しだァ!!」

「――なんて事になりかねません。とミサカは実験再開の恐怖に身震いします」

17600「打ち止めがうっかり喋らないのを祈ります」

御坂妹「口は封じておきます。なのでどうか今日の所は…とミサカは思わぬ所で取引の材料を得た事に喜びます」

17600「仕方ないですね。今日は全員帰します。とミサカは損な役回りをこれから行う事に鬱になります」

155 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 21:02:56.75 ID:KalSz7Q0 [14/16]
いやー、妹達はこの『襲撃寸前事件wwwwww』の後もちょくちょく出したいと思ってたので、ホント感謝です!^^



―――妹達の『襲撃寸前事件』は10032号と17600号のおかげで未遂に終わった。
こうして、最初は背中合わせで寝たのに目覚める頃には寝返りで向かい合っている上条と一方通行の『本人達が知る由もない危機』
は去ったのだった……。




―――幸せそうに眠っている本人達はまだまだ知らない事がある。




ひとりの人間が巻き起こす、『大事件』に巻き込まれていく事を―――




そして同日、それとは関係のない場所でひとりの男が復活を果たしたのも、彼らは知らない。



???学区・某所



??「……ふぅ、やっと帰ってきた気分だぜ。やっぱ生身の身体は最高だな!」

????「とりあえず、おかえり。…って言っとくわ」

??「………にしてもあいつ、あいつのせいで俺は…くっそムカつく!久々にムカついた!!あんな屈辱初めてだわ!」

????「確かに……でも、すごいわね。命を繋ぎ止めるのがやっとだったのに、もう身体も脳も復活なんて…普通ありえない」

??「はっっ!!普通ぅ!?あいにくだが―――」






「―――そういうの、俺には通用しねぇんだわ」

158 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/16(日) 21:57:15.59 ID:KalSz7Q0 [15/16]

垣根帝督…学園都市第二位の超能力者。一方通行に敗れ冷蔵庫になってたが『常識は通用しねぇ!!』の一点張りで復活。能力は『未元物質(ダークマター)』


――垣根帝督は上条と一方通行が友好を結んだ日に退院し、同じ暗部組織『スクール』の心理定規(メジャーハート)と再会していた。
ちなみに、彼女の本名は不明である。



心理定規「いくらなんでも、おかしいわよ……あなた、自分がどんな状態だったか解ってる?」
                      ・・・・・・
垣根「…脳が分かれてたんだろ?おまけにあんな生命維持装置(冷蔵庫)まで付けられてよ…意識はあっても植物人間ってのはああいう気分だろぉな」

心理定規「死んでてもおかしくなかったんだから、ほんとびっくりよ」

垣根「まぁそんなこたぁどうだっていいんだよ……現にこうして生きてんだしな。やっぱり俺に普通の常識は効かなかったみてぇだな。『スクール』も『体晶』も、もうどうでもいい……だがな――」

心理定規「?」



       ・・・
垣根「――俺をあんなにしたクソ忌々しい『第一位』の野郎だけは許さねえ!!百回絶望させても足りねえくらいだぜ!!」――ボゴンッ!!




――垣根帝督は叫びとともに人のいない路上の車を破壊した。


                    ・・・・
垣根「……ははっ、能力も元通りだ………見てろよ第一位。この俺の常識を覆したことを、たっぷり後悔させてやる!!!」


―――復讐に燃える常識知らずの第二位がそこにいた。

165 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 15:00:45.88 ID:U8lrSzE0 [1/13]

―――

一方通行は気づいたら見知らぬ部屋にいた。


一方「――……ハ?どこだここ……?」

上条「――どこって、俺達の愛の巣さ」

振り返ると上条がそこにいた。


一方「はァ!?…っつーか三下!テメェなンの真似だァ!―――!?」

気づけば何故か縛られていた。


一方「――ンなっ!!?」

上条「暴れんなよ。やっとふたりになれたんだ……ここなら邪魔も来ねぇ」

一方「…はァア!?全然理解できないンですけどォ!!?…って、それより縄解けェ!!」

上条「……いいね、いいねぇ。そんな強がってるお前もいいねぇ!」

一方「???……なンなのオマエ…ついにイカレちまったンですかァア!?」

上条「…何言ってんだ?俺は平常だぞ?」

一方「あァもォいや……ちっとも会話になりゃしねェ……とりあえず縄解いてくれ」

上条「だーめ♪今日はこのまま虐めてやるよ…」ジリッ…

一方「…おい、なンか目が怖いンですけど……ってやめろ…来るな来ンな近寄ンなァァ!!!」

上条「もう逃がさないぜ!!」ピヨーーン

一方「ギィヤァァァァァァァァァァァァァァア!!!!!!!―――――」

―――


一方「―――ハッッ!!!……………ゆ……夢…か?」

166 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 15:40:13.78 ID:U8lrSzE0 [2/13]
黄泉川家――朝


一方通行は悪夢(?)にうなされ二日連続早起きをするのであった。


一方「………なンつー夢を……シャレになンねェっつの…」


今年最大の悪夢ランキング第一位に見事入賞したのは言うまでもなく、共演者はまだ深い眠りについていた。


一方「………出よ」


当然気まずく、一緒のベッドで寝ている上条の顔などまともに見れない一方通行は、音も立てずに
そそくさと部屋を出た。


一方(……ありえねェありえねェありえねェありえねェ――)


ブツブツと呪文のように呟きながら洗面所へ行き、顔を洗い歯を磨く。…悪夢のせいで完全に目が
覚めていたので、水の冷たさもあまり感じなかった。

リビングには誰もいなかった。冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し、ソファーに座り一気に飲む。時計を見ると
まだ八時前だった。いつも惰眠を貪る一方通行なら絶対寝てるはずの時間だった。

御坂妹も禁書目録も打ち止めもまだ起きてこない…。とりあえずテレビをつけてニュースを見た。


――アナウンサー『えー、続いてのニュースですが、???学区??の路上で深夜に突然車が炎上するという事件が発生しました』

一方「……」

――『目撃者はおらず、車の損傷具合から、警備員は能力者の犯行とみて捜査を進めています。現場の○○さん』

――○○『はい、こちら現場の○○です。これが実際の車ですが、いやーひどいですね。元の色もわかりませんが、辛うじて原型がある状態です。今、持ち主と名乗る少年がいますので、事情を伺います』

――『マジかよぉ!!?誰がこんなこと……いや、普通に置いといただけなんですよぉ…。どうする、滝壷?』

――『はまづら……これで車失くしたの五台目だね。大丈夫、そんなはまづらも私は応援―――』ピッ


一方「……くっだらねェ」


テレビを消す前に映った少年はどこかで見た気がしたが、興味がなかったのでソファーにごろんと横になった。

167 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 16:07:48.47 ID:U8lrSzE0 [3/13]
一方通行は悩んでいた。

上条との接し方に。

自分には『友達』などというものとは無縁で生きてきた。能力開発に実験に…そればかりの日々だった。
子供の頃からそんな生活である。彼の性格が歪んでしまっているのも無理のない話かも知れない。


一方「ダチって……何すりゃいいンだ?」


まずはそこからであった。ひとりで考えてもわかるはずがないので、人に相談することにした。
ちなみに、そういう困った時に相談するのが『友達』だということに彼は気づいていなかった。


一方「………」


携帯を取り出し、電話帳を見る。『友達カテゴリー』に入っているのは上条だけであった。
あとは研究者や黄泉川、『グループ』メンバーといったところか……。


一方「ちっ……やっぱコイツらしかいねェよなァ…」


かなり嫌そうな顔をして、一方通行は電話をかけた。
電話の相手は数コールほどで出た。


???『――なんだ?仕事なら今のところないぞ?』


土御門元春…上条のクラスメートで悪友。魔術師であり、能力者。さらに『グループ』の構成員でいくつもの顔を持つ。嘘つきのシスコン。


一方『……ちっと聞きてェンだけどよ』

土御門『なんだ?』

一方『………ダチって……何すりゃいいンだ?』

土御門『……はぁ?』




――(朝から何言ってんだこいつ……)

土御門は内心で呆れた。

168 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 17:21:10.00 ID:U8lrSzE0 [4/13]
一方『……いや、なンっつーか…最近ダチできてよォ…どォ接すりゃァイイか分っかンねェンだわ…』

土御門『……』


土御門は笑いを堪えるので精一杯だった。
スパイに長けている土御門は上条と一方通行が友好協定(?)を結んだ事をすでに知っている。まして彼は上条家の隣人だ。
魔術サイドでは「上条勢力に学園都市第一位か加わった」という噂も流れているくらいだ。
土御門は知っているだけに、電話をかけてきた一方通行の心理がわかってしまったので、笑いをこらえずにはいられなかった。
そして爆笑すればどうなるかも知っているので、彼は必死に堪えた。


一方『……おい、聞ィてンのオマエ?』


少し苛ついた声になってきたので土御門はあわてて応じる。


土御門『あ、ああ、聞いてる。んで?』

一方『ハ?だからよォ……オマエは普段ダチと何やってンだ?』

土御門『そんなことを真面目に聞いてくるとは……よっぽど普通とは無縁だったんだな』

一方『別に今更普通の生活送れるなンて思っちゃいねェよ。俺みてェなクソッタレはいずれ地獄に落ちンだからなァ』

土御門『……』

一方『だからダチなンていらねェって思ってた。闇に漬かンのも地獄に落ちンのもテメェだけで充分だと思ったからなァ』

一方『けどよ…ソイツは多分、地獄までついてきちまうタイプだ…俺が来ンなっつっても聞きゃしねェでズカズカ踏み込ンできやがる。…ハッキリ言やァ俺とはまるで正反対の人間なンだソイツァ……そンな野郎とどォ接すりゃイインだ?』

土御門『……驚いた。お前がそこまでマジで考えてたとはな…』

一方『…そりゃァな。今まであァいうやつと知り合った事ねェし…』

土御門『最強であるが故の悩みか…よし、なら俺も真面目に答えるが、とりあえずお前、今のその考え全部捨てろ』

一方『……あァ!?』

土御門『重いんだよ。恋人ならまだしも、たかがダチにそんな感情抱いてどうすんだ?』

一方『………』

土御門『友達の意味がわかってないようだから教えてやる。まず、変に相手に気を使うな。本当の自分を隠したままなら、それは本当の友達じゃない』

一方『……おォ』

土御門『……正直に自分を曝け出せ。上や……そ、その友達もそれを望んでるはずだ』

169 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 17:47:29.03 ID:U8lrSzE0 [5/13]
一方『そ……そォか』

土御門『まぁお前の質問に答えるが、ダチとは学校一緒に帰ったり、一緒に買い物行ったりゲーセン行ったりと、ごく普通だ』

一方『…俺ァ今までその普通を味わった事がねェンだよなァ…』

土御門『ま、暇な時に一緒に好きな事をする。ダチなんて普段そんなもんだ』

一方『そっかァ…ガラにもねェ事考え過ぎたな』

土御門『ま、お前も普通の人間らしいところがあったんだな。まだなんかあるか?』

一方『……いや、もォイイ…その…ありがとよォ』

土御門『!!!!』(あ……一方通行が礼を……今日は地震だにゃー!!)

一方『?……おい、どォした?』

土御門『い、いや。何でもない。じゃ、また仕事の時に…』

一方『…おい、仕事じゃなきゃかけちゃダメなのか?』

土御門『!!?……い、いやぁ。別にそんなことはないが…』

一方『そォか。ンなら今度飯でも行こォぜ?相談乗ってくれた礼に奢ってやっからよ。ンじゃァな』

土御門『お、おう。わかった。じゃあ』(…今日が学園都市…いや、地球最後の日か…)


―――ピッ、ツー、ツー、……


一方「………三下起こしてくっか」





一方通行には、上条に対する気まずさはもうなかった。
せめて自分が闇に沈んで出てこれなくなるその日までは……
彼は今この時を楽しむと決めた。

172 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 18:55:13.85 ID:U8lrSzE0 [8/13]
―――常盤台女子寮

AM8:50


美琴「……ふぁ~~…」

黒子「お姉様、そろそろ時間ですの。…眠そうですわね。昨日は帰ってすぐ寝たんじゃありませんの?」

美琴「う~ん、学校ないってわかってるとあんま寝れないのよねぇ…」

黒子「初春達の前ではピシッとしてて下さいな」

美琴「別に初春さん達ならいいじゃん。気ぃ遣必要無くない?」

黒子「お姉様、親しき仲に礼儀あり。ですの」

美琴「…ハイハイ。んじゃ、先に下りてて」



冬休みに入った美琴と黒子は友達の初春飾利、佐天涙子と遊びに行く予定だった。

黒子は朝の車炎上事件が気になり、風紀委員も出るのか聞いたら必要ないとの事で安堵していた。

後に、それが不運だったとも知らずに……




――集まった四人はショッピングにゲーセンと、遊び回り、ファミレスで遅めの昼食をとっていた。



初春飾利…柵川中学一年。風紀委員で情報処理能力に長ける。頭の花は本体。保温機能搭載(レベル1)

佐天涙子…無能力者だが、その力は未知数。都市伝説マニア。初春の同級生。幻想御手(レベルアッパー)使用経験あり


佐天「――あー、やっぱ休みはいいですね~!…けど宿題どうしよ~…」

初春「今日から始めれば余裕で終わる量ですよ?」

174 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 19:14:51.28 ID:U8lrSzE0 [9/13]
黒子「…宿題ねぇ。わたくしには理解できませんの」

美琴(そう言や…アイツも宿題やるのかな……また手伝ってあげれば…)

佐天「?…おーい、御坂さーん?」

初春「どうしたんですかー?」

美琴「え?あぁ!ななな、なんでもないの!」

佐天・初春「?」

黒子「…どうせま・た・あの殿方のことを考えてたんですわね?」

美琴「!く!黒子!だ、だから違うって!」

初春「えぇ!?御坂さん好きな人いるんですか」

佐天「マジで!?きっとすごい人なんだろうなぁー…どんな人なんですか?」

美琴「あぁもうっ!!違うってば!…アイツはそんなんじゃ――」

佐天「おぉ!もうそんな親しい関係なんですねぇ」ニヤニヤ

美琴「だぁぁあ!!黒子!アンタが余計な事言うからぁ!」

黒子「いつまでも黒子に振り向いてくれないからですの」

美琴「なんじゃそりゃああ!!」

初春「顔真っ赤ですよ。御坂さん」

美琴「(///)う、初春さんまでぇぇえ!!」



――ギャーギャー騒ぐ女子四人から離れた席で、彼女らを見据えるひとりの男がいた。



垣根「……第三位か。ヤツなら第一位の居場所を知ってるかもな」

175 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 19:36:37.89 ID:U8lrSzE0 [10/13]
――黄泉川家

AM9:00


一方「……無防備にバカ面曝しやがって」

上条「…Zzz」

一方「三下ァ、そろそろ飯だから起きろ」

上条「――…ん、んぁ……お、おはよぉ……ふぁあ」

一方「おォ、おはよォ。さ、とっとと顔洗ってこい」

上条「……あぁ、もう朝か。久々の布団から離れたくねぇ…」

一方「あァ?…いつも布団じゃねェの?オマエン家ベッドあったろォ?」

上条「いつもインデックスに取られてるからな……上条さんの寝室は浴室ですよ」

一方「マジか?…オマエ、ホント苦労してやがンだなァ…」

上条「もう慣れたよ。んで、あいつらはまだ寝てんのか?」

一方「…さァなァ。入るワケには行かねェし、黄泉川か芳川が行くだろ」

上条「んじゃ、上条さんは顔洗ってくるか…」

一方「…おォ」

(……大丈夫だ、普通にいけンじゃねェか)



土御門に電話して良かった……友達同士変な気遣いは無用。一方通行は改めて彼に感謝した。



(さて、リビング行って待つか…クソガキどもが起きてるかもしンねェし)


自室を出てリビングへ行くと、すでに黄泉川が起きててキッチンにいた。

176 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 20:00:37.58 ID:U8lrSzE0 [11/13]
黄泉川「おぉ、おはよう――ってアンタどうした!?……早起きじゃん!」

一方「……昨日も起きたンですけどォ」

黄泉川「そう?いなかったから分からなかったな」

一方「他のヤツらは?」

黄泉川「覗いたらまだ寝てたじゃんよ。飯出来たら起こしてくるわ」

一方「…芳川は?」

黄泉川「いつも通り…じゃん」

一方「しょうもねェな」



――芳川桔梗とは、朝はグースカ、昼はいいとも、夕方はドラマ、夜は晩酌という何とも羨ましい(?)
生活を送っていた。要するに、ダメダメだ。


ちなみに芳川の就職活動を議題に家族会議もしたことがある。
黄泉川や一方通行がタウン○ークやらフ○ムエーから候補を頑張って探した時もあった――



黄泉川「――桔梗、ここなんてどうじゃん?」

芳川「…愛穂、あなたナメてるの?飼育員なんてメンドクサイだけじゃない」


一方通行「――ンなら、ココはどォだァ?オマエに合いそうじゃねェか?」

芳川「は?ばかね…酔っ払いの相手なんてメンドクサイだけでしょ?」



芳川「あー……メンドくせ…」


一方「アイツやる気ねェにも程があンだろ…」

黄泉川「こうなったら意地でも見つけてやるじゃん!」


――まァ、結局無理だったけどなァ。っつーかよく考えたらアイツ、断る理由が「メンドクセェ」ばっかだったよォな……

182 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/17(月) 20:27:15.03 ID:U8lrSzE0 [12/13]
――リビング

AM9:30


打ち止め「…おはよぉ、アナタ今日は早いね。ってミサカはミサカふぁあ…眠たい目を擦ってみたり」

一方「バイ菌入っから手で目ェ擦ンな!さっさと顔洗ってきやがれ」

御坂妹「おはようございます…とミサカは朝から過保護丸出しのもやしに挨拶します……ふぁあ」

一方「その言葉への報復はあとにするとして、オマエら揃って寝不足ですかァ?」

御坂妹「……別に。と冷たくソッポを向きます。ところであの人は?」

一方「……三下ならトイレだァ。お、暴食シスター。オマエは元気そォだなァ」

禁書「うん!いっぱい寝たもん!朝ご飯まだかなぁ♪」

一方「……先言っとくが、朝は程々にしとけェ」

禁書「えー!いつもは六分以上食べてないのに!」

一方「……あれで…六分…マジでどンな胃袋だよ…」

上条「――お、皆起きたか。あれ、芳川さんは?」

一方「……触れないでやってくれ」

禁書「とうま!おはよ!」

御坂妹「おはようございます」

打ち止め「おっはよー!」

上条「おう!おはよう!なんかいいな!こういうの!」

一方「……そォかァ?」

上条「家族皆で朝ご飯なんて素晴らしいじゃないですか!上条さん羨ましいですよ」

一方「……」



――「俺ァオマエが羨ましいよ」とは死んでも言えない一方通行だった……

196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/19(水) 20:02:19.89 ID:beGJlEw0 [1/8]

―――朝食終了後、リビング

AM10:10


一方通行「三下ァ。補習っての、何時からだァ?」

上条「1時から。5時くらいまでかかりそうかな…」

一方通行「……そォか。ンじゃそれまでゲーセンでも行くかァ?」

上条「おっ!いいねぇ!」

御坂妹「ミサカもご一緒していいですか?とミサカは一方通行に尋ねます」

打ち止め「ミサカも行くー!!この人UFOキャッチャー上手いんだよ!ってミサカはミサカは自慢気に言ってみたり」

禁書「わたしも行くんだよ!」

一方通行「そりゃ構わねェけどよォ……三下が補習受けてる間オマエらの面倒見なきゃならねェの確定だよな…」

ミサカ「…ミサカまで子供扱いしないで下さい。とミサカは『綿棒』に対して不満を露にします」

一方通行「…ちょっと待て。綿棒ってなンだよ!?」

ミサカ「そろそろもやしにも飽きたので、他に『白くて細い』を大前提に新しいあだ名を考えてみました。とミサカは自分のセンスに酔いしれます」

打ち止め・禁書・上条「……ぷくく」

一方通行「(プルプル)……朝からオマエは人を素敵に不愉快にしてくれンじゃねェの……三下ァ!なにオマエまで笑ってンですかァア!?」

上条「いや、もやしよりひどいと思ってさ……ふふっ」

一方通行「だったら弁護しやがれェ!!と…友達なンだからよォ…///」

上条「お、おい……///」

御坂妹「うっわ、寒っ!とミサカは身震いします」

打ち止め「ガラにないこと言って照れてるアナタも可愛い♪ってミサカはミサカは背後から飛びついてみたり」

一方通行「……う、うるせェェエ!!今のナシ!!ナシったらナシだァァ!!!///」

197 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/19(水) 20:30:46.30 ID:beGJlEw0 [2/8]
打ち止め「暴れないの!演算補助止めるよ?ってミサカはミサカは実力行使!」

一方通行「う…それは困る」

上条「…ピタッと動きが止まったな」

御坂妹「綿棒の命はミサカ達が握ってると言っても過言ではありません。とミサカは先ほどの一方通行の失態をMNWに保存します」

一方通行「……クソ…朝からなンつー災難だよ…」

上条「不幸だな…一方通行」

一方通行「オマエにそれを言われた瞬間襲ってきたこの絶望感は何なンだろォな…」

御坂妹「ミサカの前でボロを出すとは…落ちましたね。とミサカはニヤリとほくそ笑みます」

禁書「あうー…お腹すいたんだよ。早くおいしいもの食べに行きたいなぁ」

上条「今食ったばっかだろ!?……あぁ、もはやインデックスにこの言葉を何回ぶつけたんだか覚えてない…」

一方通行「…ゲーセン前にコンビニ寄るか」

禁書「公園前のクレープが食べたいんだよ!」

上条「……あそこ高いぞ?」

一方通行「俺が奢ってやっから心配すンな。金ならあるしなァ」

打ち止め「わーい!!ってミサカはミサカは喜んでみる!クレープクレープぅ♪」

御坂妹「ごちそうさまです。と御坂は太っ腹な綿棒を拝みます」

一方通行「あァ?クソガキはともかく、なンでオマエにまで――」

御坂妹「いいんですか?そんなこと言って……『友達…なンだからよ』」キリッ

一方通行「!!だァあ!わかったよ、わかりましたァ!!奢れば良いンだろォ!!」

御坂妹「さっすが♪とミサカは学園都市最強の下僕を手に入れ、悦に浸ります」

一方通行「……チックショォォ……」

上条「く……黒い」

198 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/19(水) 20:59:48.81 ID:beGJlEw0 [3/8]
――上条・禁書・一方通行・御坂妹・打ち止めは公園前のクレープ屋(※アニメ超電磁砲一話参照)へ
一方通行の奢りで一同はベンチに座りクレープを食べていた。

AM11:00



一方通行「――おい、打ち止め。口のまわりチョコまみれじゃねェか。行儀悪ィぞ」フキフキ

打ち止め「…んっ…だっておいしいんだもーん♪ってミサカはミサカは口を拭かれてまたムシャぶりついてみたり」

一方通行「あァあァ……ったく、誰も取ったりしねェンだからゆっくり食えっての」

打ち止め「アナタは…モグ…食べないの?…ってミサカはミサカは聞いてみる…モグ」

一方通行「飲み込ンでから喋れ。あァ、甘いもンは好きじゃねェンだよ」

打ち止め「一口あげる!あーん…」

一方通行「お、おい!」

打ち止め「……食べてくれないの?ってミサカはミサカは――」

一方通行「――わかったからそンな顔すンなっての!……アーン…ンぐ………モグ」

打ち止め「おいしい?」

一方通行「……甘ェ。けどマズくはねェよ」

打ち止め「もーう、素直じゃないなぁ!ってミサカはミサカは―――」

―――

御坂妹「――モグモグ……なんでしょう?このクレープにも負けない甘い空気は…とミサカは横のやりとりを凝視します」

上条「……何か実験してた頃の凶悪な一方通行が嘘みたいだよな…」

禁書「はむはむ……おいしすぎて…天にのぼれそうだよぉ…」

上条「シスターが何言ってやがりますか……お前白服なんだから汚すなよ?」

禁書「ふふん♪そんなヘマはしないんだよ!」

御坂妹「それだけがっついて服が汚れないのは何故?とミサカはこの世の不思議に目を向けます」

202 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/19(水) 21:40:47.33 ID:beGJlEw0 [5/8]
――平日の昼近い時間帯、公園に人は他に殆どいなかったが、ガラの悪い数人の男達がコッチへ歩いてきた。


上条・一方通行「………」

打ち止め「?……この人達だれ?ってミサカはミサカは不安になって聞いてみる…」


男1「――こんなところで会えっとはなぁ!!運がいいぜぇ!!」

男2「『第一位』がずいぶんと良い身分じゃねえのぉ!!」


一方通行は無言でチョーカーにスイッチを入れようとするが、上条が止める。


上条「…やめとけ。ここは俺に任せろ」

一方通行「あァ?」

上条「お前の能力じゃやり過ぎになりかねないし、制限されてんだろ?こんなところで無駄に使うな」


そこで引けるハズはなかった。


一方通行「オマエこそ引っ込ンでろ。コイツらの狙いは――っと!」


痺れを切らして殴りかかってきた男に、つえでカウンターを入れた。
顎に見事に決まり、もんどり打って倒れる男。


一方通行「……おいおい。このつえ高いンですよォ。オマエらじゃ一生かかっても弁償できねェくらいになァ」


笑いながらつえをついて立ち上がり、倒れた男を見下ろす。


一方通行「三下ァ。ガキどもを頼む」

上条「ダメだ!俺も――」

一方通行「ガキまで手が回ンねェんだわ。守ってやれ。心配すンなァ……こンなヤツら、能力使うまでもねェからよ」


一方通行は男達を向いた途端、『悪党』の顔になる。


一方通行「せっかくの楽しい時間を台無しにしてくれた礼、高くつくぜェ…」

203 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/19(水) 21:59:34.82 ID:beGJlEw0 [6/8]
一方通行がニヤリと笑い、前へ出る――寸前で青白い電気が横を通り過ぎた。
一番近くにいた男3がその電気を浴びて倒れる。


一方通行「……?」


後ろを振り返ると御坂妹がいつの間にか前に出て一方通行の横に歩いてきていた。


御坂妹「格好つけている所悪いのですが、ミサカもいることを忘れないで下さい。とミサカは注意を促します」


残った三人の男達は二人の倒れた男等を見て逆上した。


男2「――てめえらぁぁぁあ!!!」

男4「いい気に――ってぎゃああ!!?」


一方通行「!?」

上条「い、インデックス!!?」


いつの間に!?全員がそう思った。インデックスが男4の背後から後頭部に思い切り噛み付いたのだ。


禁書「ガブゥゥ!!」

男4「ぎゃあああ!!!な、なんだこいつぁ!!!い、いでぇぇえ!!!!」


頭を振り回しても離れないインデックス。あれの痛みを唯一知っている上条は自分の頭をさすりながら男4に同情の目を向けた。

そして、頭から大量の失血をした男4は力尽きた……アーメン。


男5「このチビガキがぁぁ!!!」


倒れた男4の頭から口をインデックスに男5が襲いかかった。

205 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/19(水) 22:15:04.98 ID:beGJlEw0 [7/8]
しかし、今度は打ち止めの放った電気が男5に炸裂。その場に倒れ伏した。


打ち止め「ミサカの友達を傷つけちゃダメ!!ってミサカはミサカは激怒してみる!」



残された男2はブチ切れた顔で、炎を手から放出した。発火能力者(パイロキネシスト)らしい。

狙いは一方通行。

炎はまっすぐ飛んでいく。

子供達の善戦(?)に完全にあっけにとられていたため、反応が遅れた。


一方通行「――くっ!!」


チョーカーに手を……間に合わない!


だが、一方通行の体が焼かれることはなかった。


一方通行の目の前に出た上条の右手によって――


上条「……俺の出番が残ってて良かったぜ」

一方通行「……三下…オマエ…」


男2「な、何ぃ!?」


驚いた男の隙をつき、一気に上条は間を詰める。


そして…右拳を男2の顔面に突き刺した。


「人のダチに…手ぇだすんじゃねぇっ!!」という叫び声とともに―――



213 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/20(木) 18:57:15.45 ID:DCIIuOg0 [1/7]

一方通行「………」


――倒された男達の風貌を見ると、ただのチンピラらしい。要するに一方通行にとって『いつもの事』だった。
上条に倒されてから学園都市最強ではなくなったという噂があっという間に流れ、こういったゴロツキからの
襲撃は頻繁に増えていた。コイツらもそんな噂を聞き挑んだのだろう……絡まれた元凶でもある上条に助けられたのは
皮肉だったが、一方通行の頭にはそんな考えより違った感情が芽生えていた。

彼は今まで、『誰かに助けられた事』がなかった。

自分みたいなクソッタレのために体を張ってくれる者などはいなかった。

馴れ合いや助け合いはむしろ嫌いだったはずなのだが……一方通行はなぜか『嬉しさ』と『暖かさ』を感じていた。

そんな自分に戸惑わないはずもなかった――


上条「……ふぅ、一方通行。怪我なかったか?」


急に声をかけられ内心ビクッ!となるが、感情を無理矢理押し隠し応じる。


一方通行「…ハッ。誰に言ってンだ?こンな連中、オマエらがやるまでもなかっただろォよ」


こんな時にまでこんなことしか言えない自分に腹が立つが、仕方ない。これが彼の性格だ。


一方通行「オマエこそ、無茶してんじゃねェよ。いくら効かねェっつっても、その右手以外に喰らったら大火傷だったろ」

上条「……まぁ、ああいう時は体が勝手に動くんだよ。癖みたいなもんだ」

一方通行「…あァ、オマエはそォいうヤツだよなァ……ったく、敵わねェよ」

上条「ま、皆無事ならそれで良いじゃねぇか。それよりコイツらどうする?風紀委員にでも引き渡すか?」

一方通行「ほっとけ。こォいう馬鹿はキリがねェよ。…相手にすンのも面倒だ」

上条「そっか。けど心配すんな。お前はもうひとりじゃないんだからな。少なくとも俺はお前がピンチなら迷わず助けるぞ」





215 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/20(木) 19:27:05.19 ID:DCIIuOg0 [3/7]
一方通行(この馬鹿は……なンでこうもこっ恥ずかしいこと言いやがるンだ…聞いてるコッチが照れくせェっつの…)

上条「皆もどこか怪我しなかったかー?」


倒れた不良達に定番の落書きをしていた三人は、上条に呼ばれてコッチへ来た。



御坂妹「ミサカは何ともありません。とミサカはあなたの後ろで赤面している綿棒を見ながら答えます」

一方通行「イイ加減その綿棒ってのやめねェとマジで刻むよオマエ」

打ち止め「ねーねー!ミサカも頑張ったから褒めて褒めて!ってミサカはミサカは頭を差し出してみる」

一方通行「良くやった……なァンて言うと思うかァ!?無茶しやがって!!あァいう時はすぐにどっかに隠れるか逃げるかしろォ!」

打ち止め「…だって、ミサカもアナタを助けたかったんだもん。ってミサカは……ミサカは…」

一方通行「………」

上条「…まぁまぁ。打ち止めの気持ちも察してやれよ」

一方通行「……ちっ。オマエに何かあったらどォすンだよ…」

打ち止め「!!やっぱりアナタはミサカのこと心配してくれてるのってミサカはミサカは――」

一方通行「だァあ!!飛びつくンじゃねェって!――」


上条「……ん?どうしたインデックス?」

禁書「……お腹減ったんだよ…」

上条「クレープ五個も食っといてよくいいやがりますね。一方通行にちゃんとお礼言ったか?」

禁書「もちろんだよ!それよりとうま!わたしも頑張ったんだよ!褒めて欲しいかも!」

上条「あぁ?テメェは空腹に負けて人に噛み付いただけじゃねぇか。後頭部が肉ダンゴにでも見えたんだろ?ハハハ――」

……プチッ

禁書「………気のせいかな?とうまの頭がおいしそうなウニに見えてきたかも…」ジリッ

上条「」

216 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/20(木) 20:00:21.63 ID:DCIIuOg0 [4/7]
―――その後、上条は補習のため学校へ。終わったら連絡するとのこと


一方通行「……三下がいなくなった途端、何なンだ?この違和感だらけのメンツ」


一方通行・打ち止め・御坂妹・禁書目録は地下の繁華街を歩いていた。禁書目録にとっては大切な友人との思い出の場所でもある。
ファーストフード、ショッピングなど、地下街を満喫中なのだが……一方通行は周囲の目が若干気になった。
そして――


打ち止め「この服アナタに似合うかなぁ!ってミサカはミサカは新調してみたり!」

一方通行「……あ、あァ。悪くねェンじゃねェか」

禁書「らすとおーだー!あっちに可愛いのあるよ!行こ!」

打ち止め「あぁ!待ってー!ってミサカはミサカは――」


一方通行のため(?)に何故かメンズショップに来ていた。最も打ち止めと禁書は隣のレディース(キッズ)へ行ってしまったが――


御坂妹「あなたはその白いウルトラマンみたいな服がお気に入りのようですが、たまには違う色も着てみては?とミサカは進めます」

一方通行「そォだなァ……緑なンてどォだ?」

御坂妹「…いやいや、ねーだろ。とミサカは三秒で否定します。あなたの髪色だと…この黒のジャケットなんか似合いそうですね」

一方通行「定番っちゃ定番だが…どれ」


――羽織ってみる。


御坂妹「おぉ!思ったより似合うじゃないですか!とミサカは自分のセンスに自画自賛します」

一方通行「…そ、そォかァ。けどちょっとでけェな」

御坂妹「それはLサイズなので、こっちのMはどうですか?とミサカは進めます」

一方通行「お、コイツは丁度イイな。まだ少しでけェけど、ちょっとでけェ方が長持ちすンだろ」

御坂妹「……Mサイズで大きいなんて…とミサカはあなたの細さに改めて感服します」

一方通行「好きでこンな体系なンじゃねェっての。お、すいませェン。これ下さい」

店員「ハイ、ありがとうございます♪」

御坂妹「……買うんですね」

217 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/20(木) 20:22:57.63 ID:DCIIuOg0 [5/7]

一方通行「♪」


気に入ったのか、何度も袋の中を見る一方通行。


御坂妹「……そんなに気に入ったんですね。とミサカは可愛い一方通行に話しかけます」

一方通行「わ、悪ィかよ?……お、おい。隣行くぞ」

御坂妹「コッチはレディースですが?とミサカは疑問をぶつけます」

一方通行「コイツ選ンでもらった礼だよ。俺がオマエの服選ンで買ってやる。…嫌か?」

御坂妹「い、いえ!セロリのセンスに疑問は抱きますが、買ってもらえるのは嬉しいです。とミサカは何故か頬を赤らめます」

一方通行「……行くぞ。真面目に選ンでやるから心配すンな」

御坂妹(///……な、なんでしょう。この気持ち……ミサカはあの人一筋のはず…ましてコイツはセロリ……でも…)

一方通行「……おい。何固まってンだよ?とっとと―――!?」


―――ボゴォォォォォォォォン!!!



言いかけたその時、とてつもない爆発音が遠くで聞こえた。

一方通行はこの音に聞き覚えがある。


『超電磁砲(レールガン)』

そして、それに該当する人物は……ひとりしかいなかった。


現在PM15:00


一方通行にとって、長い一日の始まりである。

218 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/20(木) 20:49:44.15 ID:DCIIuOg0 [6/7]
―――それより数分前、上条の高校



上条「……ってぇ、まだ痛ぇ…ちくしょう、インデックスのやつ…」


公園でインデックスにしこたま噛まれた上条は痛む頭を押さえつつ一方通行達と別れ補習のため、
冬休みにも関わらず学校に来ていた。


上条「ただでさえ悪い上条さんの頭をさんざん噛みやがって……」



小萌「上条ちゃん。もう少しで終わりですので、頑張るのですよー」


上条「あ、はい」



担任の月詠小萌とのマンツーマン補習。クラスメートの青髪ピアスからしたら
そうとう羨ましいらしいが、休日に学校に駆り出されている上条にとっては地獄だった。

魔術師との戦いや、さまざまなトラブルなどで出席日数が足りないという言い訳は通用せず
今日も鬱な時間を過ごしていた。

本当なら、自分もあのあと一方通行達と一緒に遊びに行きたかったのだが、これ以上
補習を延ばす訳には行かなかった

そして……最後の課題に取り組もうとした時――



――ボゴォォォォォォォン!………



遠くで大きな爆発音が聞こえた。

それだけなら特に気にしなかっただろう……

しかし、上条は見てしまった。

爆発した方向に無意識に目をやった時に……


凄まじいスピードで遠くの空に昇って行く『超電磁砲』を――

223 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 19:10:39.23 ID:9WwyP6k0 [1/9]

――??学区の人通りが少ない路地



美琴「――…ハァ…ハァ……ば…化け物…」


爆風から平然と姿を現した垣根帝督に美琴は怯えた目を向けて呟いた。


垣根「…気はすんだか?お前じゃ俺に勝てねぇんだ。そろそろ教えろよ。第一位の居場所を」

美琴「だから……知らないっつってんでしょうが!!」

垣根「……あくまでシラ切んのか?お前と第一位が一緒にいるのを見たヤツがいる。一般人は傷つけたくねぇが、ヤツ側の人間は俺の敵だ」

美琴「………」




―――数十分ほど前、美琴達四人は地下街を抜け公園のクレープ屋を目指してあるいていた。




佐天「うーいーはーるっ!……ちっ、避けたな」

初春「当たり前です!!こんなところでやめて下さい!っていうか、校門前でもやめて下さい!」

佐天「えー!?私の楽しみがぁぁぁ…」

美琴「私みたいに短パンはけばいいじゃない」

初春「そ…それは遠慮します」

黒子「お姉様こそ、スカートの下に短パンはいい加減やめて下さいまし!」

美琴「えー!何でよ?」



垣根「……」

225 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 19:38:30.67 ID:9WwyP6k0 [2/9]
垣根「……ちっ、俺よりひとつ下の序列だからどんなヤツかと思ったら、暗部に全く縁もなさそうなただのガキじゃねえか」



垣根は自分が歩いてる少し前方でハシャいでいる四人組を見て溜息をついた。一応尾行したものの、これ以上収穫に期待できなそうだ。
あんな平和ボケ丸出しが一方通行の居場所なんて知ってるはずはないだろう…そう思い、垣根は尾行をやめて立ち去ろうとしたが、
彼の携帯に着信が入る。


垣根「……」


着信元は『スクール』にいた時の情報屋だった……そう言えば、一方通行の目撃情報を依頼していたんだった…


――ピッ


垣根「……俺だ。何かわかったのか?」

情報屋『あぁ、第一位なんだが、昨日公園で何人かと一緒だったのを目撃されてる』

垣根「あぁ?第一位が公園で……誰と一緒だったかは分からないのか?」

情報屋『今調べさせてる。わかったらまた……悪い、ちょっと待っててくれ――』



どうやら、最近は暗部組織の活動はしていないようだ。つまり、ヤツも平和ボケか……
少しやる気を削がれた垣根だったが、情報屋の一言で気分が変わった。


情報屋『――待たせたな。ちょうど今入った情報だが……一方通行と昨日公園にいた連中のひとりは…『超電磁砲』だとわかった』


――!!?


垣根「………そうか……やはり、あの小娘は第一位の居場所を――」


――知っている!……確信が持てた今、コソコソする意味はない。
確かな筋の情報だ。第一位の特徴も一致している。…間違いない。

――あの小娘は一方通行の居場所を知っている。


垣根は……情報屋に礼を言い、電話を切ると、ゆっくりと四人組の中学生グループに歩み寄っていった……。

226 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 19:57:17.19 ID:9WwyP6k0 [3/9]
垣根「――おい、そこのお前等」


――?


最初に振り返ったのはやや後ろを歩いていた初春だった。



初春「――!!!」



振り返って男を見た途端、表情が激変する。
――忘れるはずがない。以前自分を殺そうとした男の顔を……


垣根「!……お前、あの時の小娘か。また会ったな……だが、今はお前に用はねぇ」

初春「あ……あ……」


遅れて美琴達が振り返る。


黒子「……初春?――!……何ですの、あなたは?」


美琴と黒子は初春の様子が変わったのを察し、前にだらしなく立つ男を見据える。


初春「……うぅっ……」


ついに両腕を抱えたまま蹲ってしまった初春を、佐天がかばうように抱きしめる。


佐天「初春!……どうしたの?初春!」


震えている初春を佐天がなだめる。
美琴はその様子を見た後、再び垣根に目を向ける。


美琴「……アンタ、誰よ?初春さんに何したの?」

垣根「…あぁ、以前ちょっとな。安心しろ、用があるのはお前だ。『第三位』」

227 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 20:17:45.78 ID:9WwyP6k0 [4/9]
美琴「……もう一度聞くけど、アンタ誰?私に何の用」


今にも放電しそうな雰囲気で尋ねるが、垣根は全く怯む様子もなく答える。



垣根「…そう身構えんな。別に何もする気はねぇよ……俺の質問に答えてさえくれりゃぁな」

美琴「……言ってみなさいよ」

垣根「……第一位はどこにいる?」

美琴・黒子「!!」



美琴と黒子の表情が変わる。一方通行の居場所を聞くということは……目の前の男は『暗部』の人間
の可能性もある。
学園都市の闇を深く知らない二人にも予想できた。



垣根「……その顔見ると、やっぱ知ってるんだな?今すぐ教えてくれれば、何もしねぇ」

美琴「し……知らない」

黒子「……存じませんわ」

垣根「おいおい、嘘はいけねえなぁ。お嬢様方よぉ。俺が優しい内に教えた方がいいんじゃねぇの?」



――ザッ!と美琴は黒子の前に出た。



美琴「――黒子!初春さんと佐天さんを連れて逃げて!」

黒子「――お姉様!?……ですが――」

美琴「早く!!」

黒子「――!!わ、わかりましたの…」

228 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 20:37:41.61 ID:9WwyP6k0 [5/9]
――美琴は気づいていた。超能力者の勘ってやつだろうか……
垣根がふと放った不気味なオーラを……


黒子は美琴の心中を察し、蹲ったままの初春、佐天を掴み、空間移動した。


黒子「……お姉様。気をつけてくださいまし。すぐに戻りますの――」


そう言い残し消えた後輩の声を聞き、美琴は垣根に切り出す。


美琴「……とりあえず、場所変えない?人集まってきたしさぁ…」

垣根「……意外と仲間想いじゃねぇか。いいぜ、ついてきな」



美琴は、自分で何もかも背負い込む癖がある。
ましてこの男は自分に用があると言ってきた。
黒子はともかく、一方通行の事を知らない初春や佐天を巻き込む訳には行かなかった。


そして、かなり離れた割りと広い裏路地で超能力者同士は向かい合う。


垣根「――ここならいいだろ。じゃあもう一度聞くが、第一位はどこにいる?」

美琴「知らないって言わなかったかしら?大体、知ってたとして、何でアンタに教えなきゃなんない訳?」

垣根「……おとなしく教えりゃ痛い目に合わなくて済むんだぜ?」

美琴「……アンタ、私が誰だか知ってんでしょ?それ本気で言ってんだとしたら、ただの馬鹿ね」

垣根「………もぉいい。体に聞いてやるよ――」ブアッ!

美琴「!!!」



垣根「――すぐに喋る気にさせてやる。そして、馬鹿はお前だ」

230 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 20:57:41.75 ID:9WwyP6k0 [6/9]
美琴「な…」


垣根を纏う、この世のものとは思えない怪しい光のようなものに美琴は驚く。


美琴(……電気じゃない……光とも、少し違う……何なの、あれ…)


垣根は光のようなものを左右に飛ばした。


――ガシャァアアン!!!


――瞬間、左右の建物のガラスや車が破壊される。


垣根「……以前より演算速度が上がってる。新しい脳ってやつか…」


ブツブツ自分の手を見て呟く垣根。
そして美琴の方を向く。


垣根「今のがこの世にない物質、『未元物質』さ。俺が誰だかもうわかったろ?そして、どっちが馬鹿なのかもな…」

美琴「……アンタが……第二位…未元物質…」


かつて一方通行と対面した時の震えが…美琴に無意識の内に宿る。
第三位と第二位の絶望的な差を理解しているのでなおさらだった。


垣根「……第一位は、どこだ?…あんま苛つかせんなよ、小娘が」

美琴「………」


ここで言わなければ殺される。
わかっているのだが、言葉が出ない。


美琴「………」


ダメだ、やっぱりダメだ。誰かを売って助かるくらいなら、殺された方がマシ。
そして、黙って殺されるくらいなら、必死に足掻いてやる。
美琴もまた……根っからの善人だった。

231 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 21:20:56.07 ID:9WwyP6k0 [7/9]
垣根は美琴の表情を見て、交戦の意思を読み取った。


垣根「お前、ばっかじゃねぇの?俺とお前の差くらい理解してんだろ?」

美琴「えぇ。……アンタの質問に答えるわ。私は第一位の居場所なんて知らない。これでいい?ヤサ男」



馬鹿にした目で垣根を見る美琴。



垣根「……復活したらしたで、ムカつく事ばっかだなぁ。人がせっかく優しく聞いてやったってのに……」



垣根の周りをどす黒いオーラが纏う。



垣根「……ちっとお仕置きしてやんよ、クソお嬢様」

美琴「………うおォォォォォォお!!!!」


先手必勝!!

美琴は垣根に最大電圧、十億ボルトの電圧を浴びせる。

相手は格上、やらなければ殺られる。

手加減を忘れて美琴は全力で放電した。

そして、電圧で巻き起こった爆風が晴れる前に、スカートのポケットからコインを取り出し、構える。

垣根は爆風から何もなかったように姿を見せる。


垣根「…いきなりやってくれんじゃねぇの……にしてもこんな程度か。所詮、常識範囲の力だな。ひとつ下ってだけでこうも弱いもんかねぇ…」

美琴「……これでも?」――キイン

垣根「……ん?」

瞬間、美琴の手から最大の力で超電磁砲が放たれた。

232 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/21(金) 21:37:36.59 ID:9WwyP6k0 [8/9]
美琴の超電磁砲は爆発音とともに、何かに弾かれた。


そのまま弾かれた超電磁砲は空へ昇っていく……


美琴「――なっ!!?」


美琴の超電磁砲を弾き飛ばしたのは、垣根の背から生えた白い翼だった。
垣根本人の姿は爆風でまだ見えない。


美琴「……な…んなの……それ…」


美琴は膝をつきそうになるのをグッとこらえる。
爆風から垣根は姿を見せる前に、右翼を美琴に振り下ろした。


美琴「――くっ!!!!」


翼の下敷きは避けたが、衝撃と風圧で吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。





美琴「――…ハァ…ハァ……ば…化け物…」


爆風から平然と姿を現した垣根帝督に美琴は怯えた目を向けて呟いた。


垣根「…気はすんだか?お前じゃ俺に勝てねぇんだ。そろそろ教えろよ。第一位の居場所を」

美琴「だから……知らないっつってんでしょうが!!」

垣根「……あくまでシラ切んのか?お前と第一位が一緒にいるのを見たヤツがいる。一般人は傷つけたくねぇが、ヤツ側の人間は俺の敵だ」

美琴「………」


美琴(勝ち目が……ない)


――だが、美琴は引かなかった。垣根の恐怖から、逃げなかった。

242 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 14:08:08.90 ID:IFnzYvE0 [1/18]

―――『未元物質にこの世の攻撃は効かない』
美琴の渾身の速攻も垣根には通用しなかった。美琴は心が折れそうになるのを必死にこらえる。



美琴(……どうすればいい?……どうすれば…)


相手は自分以上の化け物。恐らく風紀委員や警備員の助けは望めない……超能力者はひとりで軍隊を相手に出来るのだ。
同じ超能力者である自分が何とかするしかない。しかし…あまりに次元が違いすぎる。
美琴は黒子が戻ってきても巻き込まないように、離れた場所に移動したことを正解だと思った。


美琴「………」


しかし、ここで完全に手詰まりである。
考えてみるものの、この状況を打破する方法が浮かばない。
じっと考え込む美琴に垣根が口を開く。


垣根「どうした?黙り込んじゃってよぉ。こねぇんならコッチからいくぜ……ホラよっっ!!――」


――ブォォッッッ!!!


美琴「―――っっ!!!」


――バリバリバリッッ!!!


垣根の再び振り下ろされた巨大な右翼。
美琴は咄嗟に廃車や鉄くずなどを電磁能力でかき集め、でかいバリケードを張る。
と同時に自らは後ろへ飛んだ。


美琴「!!!」

244 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 14:39:51.52 ID:IFnzYvE0 [2/18]
――グシャァァァァ!!!!




垣根の振り下ろされた右翼は上に張られた美琴のバリケードを難なく崩し、美琴を襲う。
しかし、バリケードで威力が落ちた右翼は美琴の回避を間に合わせた。


垣根「――ちっ!オラッッ!!」


衝撃にこらえるも、すぐに追撃が来る。
右翼を地面から上げると同時に左翼が家の壁すれすれに水平チョップのように襲ってくる。



美琴「――うわっっっ!!!」



左翼の水平チョップを下にしゃがみ込むことで何とか避ける。
そのまま地面に両手をつき、電気を走らせる。
地面を通った電気は垣根の方へ。……どうせ効かないだろう。


垣根「――フン!」


垣根は翼を使い、体を宙に浮かせる事でその攻撃を回避した。


美琴は本気で死を覚悟し始めた。


美琴(……やっぱりムリよ…元々勝ち目なんてない……私は……無力…)


電気は効かず、超電磁砲もダメ。砂鉄を使っても希望は薄い……地面から電気を送っても……?
そこまで考え、美琴はひとつの可能性に気付いた。


美琴(――!……そうよ!アイツは電気が効かないハズ……なのになぜ…
……まさか、アイツ…体内にまで未元物質はつくれないんじゃ……?
もし、アイツの翼みたいなモノを掻い潜って、アイツに触れることが出来れば――
私にも……勝機はあるっっ!!)


賭けるしかない!――と、美琴は勢いよく立ち上がった。

245 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 14:58:49.93 ID:IFnzYvE0 [3/18]
美琴(問題は……どうやってアイツに近づくか…)


向かい合い、すでに三十分近く経っている。
人通りがないとは言え、ここまで騒ぎを起こせば、警備員がやって来るのも時間の問題だろう。



美琴(警備員じゃ、コイツを止められない……犠牲がでかくなるだけよ……私がやるしかない!)

垣根「……考え中悪いけどさぁ、あんまのんびりしてらんねぇんだよ。何かするならさっさとしな」



いつの間にか地面に着地していた垣根に美琴は勝算を含んだ笑みを向ける。



美琴「言われなくても……いってやるわよっっ!!!」



瞬間、右上にある看板を磁力で引き寄せ、垣根の足元目掛けて投げる。



垣根「――んだよそりゃあ?学習しねぇな」



看板は垣根に当たらず、一メートル手前で落ちた。



垣根「……ハッ。しかもはずしてやんの――ん?」



垣根は馬鹿にしようと前を見たが、そこに美琴の姿はなかった。



垣根「――!!?」



まさかと思い後ろを振り返ると、回り込んだ美琴が垣根の右手に手を伸ばしていた。



美琴(―――とった!!!)

246 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 15:20:07.99 ID:IFnzYvE0 [4/18]
――垣根は完全に虚をつかれた。
美琴の投げた看板は注意を引き付けるための小道具。
よく考えれば古典的な手かもしれないが、使い方次第では、勝因にもなる。


美琴は完全に勝ったと思った。
垣根の右手はあっさり美琴の右手に捕まった。
以前、この戦法で倒せなかったヤツがひとりいたが、今度は違う。
いくら化け物の能力を持っていても人間。生き物である限り倒せないことはない。


美琴は垣根に手を振り解かれない内に電流を流した―――



―――ハズだった。



美琴「――!!!」

垣根「しまった!――ってなぁ!!ざぁぁんねんでした!!」



ニヤリといやらしく笑い、美琴の手を見て――



垣根「握手がしたかったのかぁ?お嬢様よぉ!それともまさか、俺が体内に未元物質をつくれないとでも?」

美琴「そ……そんな……」

垣根「ばっっかじゃねえの!!?体内に能力がつくれないなんて普通思うかぁ!?テメェは体内で電気つくってんじゃねぇか!!
とんだ間抜けだな……大方俺がテメェの電気を飛んで避けてみせたから希望でも抱いたんだろ?『俺に直接触れれば勝てるんじゃないか』
ってなぁ!!」

美琴「全部……お見通しだったって……わけ…」



ズルズルと力なく、地面にへたり込む美琴。



……万策尽きた。

251 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 15:47:35.37 ID:IFnzYvE0 [5/18]
もう……打つ手がない。
美琴の目は完全に希望を失った。


垣根「……マジで希望抱いてたわけ?よっぽど切羽詰まってたんだなぁ。所詮ガキか……」


座り込んだ美琴の手を離し、収縮させた翼の切っ先を美琴に向ける。


垣根「悪いな、絶望したか?俺そういうの大好きだからよぉ。……せめてもの慈悲だ。今、第一位の居場所を言えば命
だけは助けてやるが……どうだ?」


美琴は俯いたまま……首を横に振った。


美琴「……テメェの命欲しさに誰かを売って生き延びるくらいなら、死んだ方がまだ良いわ…」


そして、最初の時のように馬鹿にした顔で垣根を見上げた。


美琴「『知らない』って最初から言ってんじゃないの。アンタ頭悪いの?」


その目からは涙が溢れ出ていたが、何者にも屈しない力強さに満ちた目だった。


垣根「………そっか。じゃ、もう用はねえ。――ここでお別れだ。第三位」


翼の先端が美琴に延びる。
美琴はぎゅっと目を閉じた……頭には、あのツンツン頭の顔がよぎる。


美琴(―――助けて!!―――当麻っっっ!!!)



―――ガシャァァァァァァン!!!



垣根「――!!!」

252 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 16:15:57.66 ID:IFnzYvE0 [6/18]
―――垣根の翼が美琴を貫く事はなかった。
突然目の前で轟音が響き渡り、驚いて思わず閉じた目を開けて見上げる。



右方向から飛んできた大きな物体がとてつもないスピードで垣根の体に衝突した。


美琴の目には、その物体とともに左側の壁に激突する垣根の姿が映った。



美琴「――!!!」


飛んできた物体は『自動販売機』だった。


飛んだ衝撃で壊れたのか、取り出し口から色んな種類のジュースが溢れ出ている。


垣根「………」


――ガタン!と、垣根は無言で自分に圧し掛かる自販機をどけ、立ち上がる。表情は明らかに怒りに満ちていた。
美琴を貫く予定だった翼は消えている。



その様子を見ている美琴の背後で……声が聞こえた。
かつて、自分が倒そうとした男………そして、今と同じように絶望させられた最初の男の声を……。



「……相変わらずシケた遊びが好きだなァ。メルヘン野郎」



振り返った美琴の視界には、『悪党』の顔をした一方通行が壊された壁の向こうに立っていた。
そして、垣根の近くに横倒しになっている自分が投げた自販機を指差し――


一方通行「まァ、まずは落ち着いてジュースでも飲めよ。俺の奢りだァ」



『一流の悪党』はニヤリと笑った。

256 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 18:56:11.75 ID:IFnzYvE0 [8/18]

美琴「……一方通行……アンタ、何で…」


驚いた目を向ける美琴に一方通行は聞こえないように「間に合ったみてェだな……」と呟く。
垣根はゆっくり歩み寄って、吹っ飛ばされた位置まで戻った。


垣根「……痛ってぇな……やっぱテメェムカつくわ」

一方通行「格下イタぶって嬉しいか?変態野郎」

垣根「勘違いすんなよ。俺はテメェに会いに来たんだぜ」

一方通行「っつーか、オマエ生きてたのか?無様な冷蔵庫になったンじゃなかったっけ?」

垣根「テメェのせいでな……だが優秀な医者のおかげでこの通りよ」

一方通行「ンで、また俺にヤラレに来たってワケかァ……まァだアレイスターの交渉権が欲しいのか?小悪党」

垣根「今となっちゃ、んなこたぁもうどうでもいい。だが、お前へのお礼参りだけはしとかねぇとな」

一方通行「…ハッ。あン時よりも小者に成り下がっちまったってワケだ!コイツァ笑えるぜ!」

垣根「……今のウチ、喚けるだけ喚いとけや。すぐに地獄へ送ってやるからよぉ……」

一方通行「…相変わらず三下くせェ事言いやがる……ま、もっともオマエはその三下以下だァ。その名で呼ぶにも値しねェな」



――ブアッッッ!!!



垣根の背から六枚の翼が生える。



垣根「……グチャグチャ言ってねえで、とっとと始めようぜ」

一方通行「……ソッチも相変わらずか…似合わねェっつったよな?メルヘン野郎」

垣根「自覚はあるっつったろ?真っ白兎」

257 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 19:16:36.00 ID:IFnzYvE0 [9/18]

打ち止め「――ただいまー!って、あれ?あの人は?ってミサカはミサカは気になってみたり」

禁書「クールビューティー!あくせられーたは?」

御坂妹「……用事ができたそうです。とミサカは答えます」

禁書「……急に消えちゃうなんてとうまみたいなんだよ!」

打ち止め「あの人もよく途中でいなくなるの!ってミサカはミサカは愚痴ってみたり!」

御坂妹「……そろそろ行きましょうか。と御坂は帰宅を進めます」

禁書「お腹すいたんだよ!」

打ち止め「シスターちゃんそればっかりだね!ってミサカはミサカは自分もお腹がすいたのを棚にあげて呆れてみたり」

御坂妹「………」―――



三十分ほど前――



一方通行「……今のは…」

御坂妹「お姉様の……超電磁砲?」



――pruuuuuuuu


その時、一方通行の携帯がなる。
着信は…海原光貴…『グループ』の構成員で本名は『エツァリ』。海原の顔だが、別人。魔術師で、御坂好きのストーカーである。
どうでもいい紹介も程々に電話に出る一方通行。


一方通行「――海原か?」

海原『仕事です、というか緊急事態です!すぐに現場に向かって下さい!…御坂さんが――』

一方通行「!?」

260 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 19:40:06.80 ID:IFnzYvE0 [10/18]
普段の爽やかさはカケラもない海原の声が携帯から聞こえてきた。


一方通行「――おい、落ち着け!何がどうなってやがる?」

海原『――……あぁ…失礼しました』



海原は電話の向こうで咳払いをし、いつもの落ち着いた口調で喋る。


海原『……第二位の未元物質が復活しました。現在、御坂さんと交戦中です』

一方通行「……第二位?……あのメルヘン野郎か」

海原『……ええ、とにかく今は急いで御坂さんの元へ行って下さい。場所は――』



一方通行は海原から場所を聞き出し、手短に電話を切った。
口調こそ落ち着いてたように聞こえたが、海原の心中は計り知れない。
本当なら自分が真っ先に助けたいんだろうが、それは得策じゃない。
第二位を止められるのは第一位だけだ。



一方通行「……おい、ちっと野暮用が出来た。あとで戻るからクソガキども連れて先帰ってろ」

御坂妹「……わかりました」



電話は御坂妹には聞こえないようにしたものの、只事じゃない雰囲気を感じとったのだろう。
その表情には不安の色が出てた。



一方通行「ンなシケた顔すンなよ。すぐ戻るから心配すンな」

御坂妹「……はい」

一方通行「あ、あと悪ィけど荷物も頼ンだぜ。服はまた今度買ってやンよ」

御坂妹「………はい、待っています」

261 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 19:54:17.25 ID:IFnzYvE0 [11/18]
一方通行は買った服とつえを御坂妹に預け、背を向けた。



御坂妹「あ、あのっ!」

一方通行「あァ?」

御坂妹「………」

一方通行「?」



御坂妹「必ず……必ず帰ってきて下さい!と、ミサカはあなたにお願いします」


一方通行「ハッ!この俺を誰だと思ってンですかァ!?約束してやンよ。必ず帰るってなァ!」


――カチッ!とチョーカーのスイッチを入れ、一方通行は走り出す。
その背中を御坂妹は見つめていた……。


御坂妹「……あなたに何かあったら、上位個体が悲しみます――」



「――そして、ミサカも…」



御坂妹は一方通行の姿が見えなくなっても、ずっとその方向を見つめていた。―――






――そして、第一位と第二位は再びぶつかり合う。

262 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 20:09:42.60 ID:IFnzYvE0 [12/18]
――上条の学校

超電磁砲が見えた直後、上条に嫌な予感が走った。



上条(……今の、まさか?)



何度も自分に向けられた技を見間違うはずがない。
そして、あれを自分以外に撃つということは……。―――



小萌「――上条ちゃん!先生の話聞いてるのですかー!」

上条「!!」



小萌の一言ではっと前を向く上条。
しかし、このままでは気になって補習どころではない。
上条にとって何より大事なものは補習などではなかった。



上条「……先生、すいません。今日は帰らせてくれませんか?」

小萌「?……上条ちゃん…?」



上条の真剣な顔を見て、小萌も何か只ならぬ予感を感じる。



小萌「……今の爆発と、関係あるのですか?」

上条「…わかりません……ただ、俺……行かなきゃいけない気がするんです。
今行かないと……お願いします先生!あとでいくらでも補習受けますから!今日だけは……行かせて下さい!」


ここまで真剣に頼まれて、ダメと言えるほど小萌は鬼ではなかった。


小萌「………わかりましたです」

263 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 20:21:53.12 ID:IFnzYvE0 [13/18]
小萌「でも上条ちゃん。ひとつ約束してください。絶対に無茶をしてはダメです。
それを守ってくれたら……今日はもう終わりにするですよ」


上条「――!!ありがとうございます先生っ!!恩に着ます!!」



――言うないなや、教室から飛び出して行った上条。
小萌は誰もいなくなった教室で、ひとり呟いた。



小萌「……はぁー、しょうがないですね。上条ちゃんは…
先生は……本当に良い教え子を持ったのです」



何故か小萌は笑っていた。上条もまた……良い先生を持っていた。




――学校を飛び出し、超電磁砲の見えた方角へ上条は走る。


上条「――ハァ、ハァ」


そこへ走っている上条に声がかけられる。


「――待って下さいまし!!」

265 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 20:35:09.62 ID:IFnzYvE0 [15/18]

上条「!?」



立ち止まり、声のした方を向くと、そこには黒子がいた。



上条「白井!?御坂は?」



上条は黒子に駆け寄る。黒子は今にも泣きそうだった。


黒子「お姉様を助けて下さいまし!!お願いですのぉ!!」

上条「――うわ!?お、落ち着け白井!何があったんだ!?」

黒子「このままでは……お姉様は殺されてしまうかもしれませんのぉぉ!!!」

上条「!!?」



黒子は完全に取り乱していた。



上条「白井!!俺が必ずあいつを助ける!だから何があったか教えてくれ!」

黒子「――ヒクッ……実は――」



そして上条は黒子から今日起こったこと、初春の情報で、美琴といるのは第二位の超能力者であること、
初春と佐天は風紀委員支部にいること、美琴を探している内に超電磁砲の音を聞き、戦闘になってることなどをざっと聞いた。

266 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 20:51:33.94 ID:IFnzYvE0 [16/18]
上条「……何でそんなヤツが御坂を…」

黒子「……第一位を探していると聞きましたわ」

上条「一方通行を!?」

黒子「そこら辺は全くわかりませんが……お姉様は絶対に喋りませんわ」

上条「俺もそう思う……だとしたら急がねぇと!!」

黒子「ハイですの!!」



落ち着いてきた黒子とともに、上条は再び走りだす。
本当は黒子の空間移動で行った方が早いのだが、上条が一緒では使えない。
足で行っては時間がかかりすぎる。
いっそタクシーにでも拾おうかと思った矢先、上条達の目の前に警備員のジープが止まった。



上条・黒子「――!!?」



咄嗟に立ち止まるが、今はこんなところで時間を食ってる余裕はない。
無視して走り出そうとする上条に声がかかった。



「――何してる?早く乗るじゃんよ!行き先は同じじゃん!」



上条「よ、黄泉川先生!?」

黒子「どういう事ですの?」

黄泉川「月詠から話は聞いてるじゃん!ほら、早く乗んな!コッチの方がすぐ着くじゃんよ!」



黄泉川は窓から「早く乗れ!」と促す。



上条「白井!行こう!」

黒子「えぇ!」

267 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/22(土) 21:08:52.69 ID:IFnzYvE0 [17/18]
迷うことなくジープに乗り込む上条と白井。
上条は小萌に感謝した。


黄泉川「……正直、驚いたじゃんよ。あんたもよく厄介なことに首突っ込むじゃん」

上条「……まぁ、返す言葉もありません…」


後部座席に乗ってる上条に運転席の黄泉川が話しかけてきた。
黄泉川しかいないジープ車内に違和感を感じた黒子が話しかける。



黒子「……警備員の出動要請はありましたの?」

黄泉川「いいや、コイツの担任に電話を受けたから単独で動いてるだけ」

黒子「……よろしいんですの?」

黄泉川「車借りるくらいどうってことないじゃんよ。パトロールってことにすればいい」

上条「……」

黄泉川「それより、あたしにも事情を教えるじゃん。月詠は詳細までは知らないって言ってたし」



――上条と黒子は包み隠さず全て話した。黄泉川なら信頼できる!そう思った。
全てを聞いた黄泉川の表情が変わった。



第二位には……黄泉川にも因縁がある。
なにより、今は大切な『家族』である一方通行を狙ってると聞いて、穏やかではいられない。


黄泉川「……飛ばすじゃんよ!!しっかり捕まってるじゃん!!」


上条・黒子「――!!!」



ジープは一気にスピードを上げ、目的の場所へと向かっていた。



一方通行と垣根帝督が接触したことを……まだ上条達は知らない。

285 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 17:13:59.83 ID:m7Q.rHY0 [2/8]
――美琴は驚いていた。
こういうタイミングで現れるのはヒーローと相場が決まっている。
しかし、自分の危機を救ってくれた目の前にいる少年は、全く逆のタイプだった。



美琴「………」



目の前のふたりの『悪人』の会話など耳に入っていなかった。
一方通行が来たことで、自分が意地張って殺されかけてまで言わなかったのが無駄になったことに怒りを感じる余裕もなかった。
ただ、不思議なのは…一方通行が来たことに驚いてはいるものの、『違和感』を感じないこと……。
まるで、人を助けるのがすっかり板についている……と言ったところか。
打ち止めを助けたと聞いた時は信じられなかったが、今ならわかる。
実は前に一度、同じように初春も助けていることは美琴は知らない。
黙ったまま一方通行を見上げ、ふと声をかけようとしたその時―――




――ブアッッッ!!!



垣根の背から六枚の翼が生える。



垣根「……グチャグチャ言ってねえで、とっとと始めようぜ」

一方通行「……ソッチも相変わらずか…似合わねェっつったよな?メルヘン野郎」

垣根「自覚はあるっつったろ?真っ白兎」




――美琴がぼんやり考えている内に、二人は今にもぶつかりそうな空気だった。

286 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 17:42:41.15 ID:m7Q.rHY0 [3/8]
一方通行は、一瞬後ろの美琴に目を向け、すぐに前を向いた。



一方通行「――よォ、場所変えねェか?」

垣根「――あぁ?」

一方通行「どォせならもっと広いとこがイイだろ?オマエの目的が俺だっつーンなら――」


――美琴に首だけ向ける。


一方通行「――コイツは関係ねェだろ?」

垣根「……ふっ、ハハハハハハ!!すっかり丸くなりやがったな第一位!!ついにオープンな人助けとはなぁ!!」

一方通行「……」

垣根「それでも『まだ自分は一流の悪党です』とか言うつもりかよ!端から見たら、テメェのしてることは
まるでヒーローだぜ!?俺から見たら、牙のなくなったトラだな!猫じゃらしでジャレてんのがお似合いだぜ!」

一方通行「……言いてェ事ァそンだけか?もォオマエに『悪党の美学』を教授する気はねェよ」

垣根「ま、良いぜ。『矛盾だらけの第一位』さん。俺はテメェさえブチ殺せりゃ、どうでもいい」

一方通行「○○学区超えた辺りは荒野だ。そこでどォだ?」

垣根「そこがテメェの墓場ってなぁ!――」




――垣根は六枚の翼を操り、上空へ舞い上がる。




一方通行「……いちいちセリフが小者くせェンだよ」

287 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 18:08:32.34 ID:m7Q.rHY0 [4/8]
一方通行は、空に昇る垣根を見下すように見上げ、後ろに座り込む美琴に
振り返らないまま声をかける。



一方通行「……よォ、巻き込ンじまって悪かったなァ」



突然声をかけられ驚くも、美琴は答える。



美琴「ううん……ありがと。来てくれて…」



一方通行は美琴の声に振り返らないまま安堵の溜息をつく。



一方通行「気にすンな……それより三下…上条には、余計な事言うンじゃねェぞ?」

美琴「………心配させたくないから?」

一方通行「……違ェよ、そンなンじゃねェ。コイツは俺の問題だからな……そこにアイツを巻き込ンで良い理由がねェ。
アイツの性格じゃァ、損しかしねェってのに真っ先に首突っ込ンできて、勝手に傷つきやがる。俺ァそンな真似させるためにアイツと
つるンでるワケじゃねェんだ…」

美琴「……そうね。私もアンタも、アイツの事は良く分かってる……」

一方通行「ま、あのやろォにベタ惚れなオマエ程じゃねェけどな」

美琴「なっ!!!///」

一方通行「…まさか隠してるつもりだったのかァ?バレバレだっつーの……っと、そろそろ豚がお待ちかねだ。ンじゃァな――」

美琴「――ち、ちょっと!!?」



――地面を蹴り、一気に上空へ飛び上がる一方通行。

288 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 18:30:46.23 ID:m7Q.rHY0 [5/8]
一方通行(大気圧、空気圧、風速…演算完了)



脚力のベクトルと風や空気のベクトルを操り、飛翔する。



垣根「――待たせやがって……お別れの挨拶でもしてきたのか?」



すぐ横に翼の生えた垣根が来た。



一方通行「――するとしたら、オマエにしなきゃなァ。せっかく来たのに、また地獄へ帰っちまうオマエに」



笑いながら垣根を見る。



垣根「……ほんとムカつく野郎だ…」







―――ヒュゥゥゥゥゥン…





――第??学区、郊外
周りは何もなく、荒野と言える大地に二人は降りた。



一方通行「――ここなら誰もいねェし、ちっと派手になっても迷惑かかンねェだろ」

垣根「――どこだろうが構わねぇよ。テメェを殺せるならな……」

289 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 18:55:25.23 ID:m7Q.rHY0 [6/8]
一方通行「さて、そンじゃ早速…始めるとするかァ!」



―――ブァァァァァァァッッ!!!



地面がビシビシと割れ、突風が巻き起こる。




一方通行「ひゃは、ぎゃはは!覚悟しなァ、豚野郎!冷蔵庫に戻してリサイクルショップに売りつけてやンよォ!!」

垣根「テメェこそ、その真っ白な面ぁ真っ青に変えてやんよぉ!!一方通行ぁぁあ!!!」




―――ブァサァァァッッ!!!



垣根の翼が激しく暴れまわる。
一方通行の起こした風と真っ向からぶつかり、衝撃波を生む。


一方通行「――っ!!!」

垣根「――ちっ!!!」



衝撃で二人ともほぼ同時に後ろへ吹き飛ぶ。
一方通行は地面に体を捻らせ着地し、垣根は翼を張って持ちこたえる。
そのまま二人は再び接近する。


垣根が翼を振るうが、一方通行は避けない。



――ギィィィン!!!



『反射』された翼が砕け散る。

290 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/23(日) 19:24:37.34 ID:m7Q.rHY0 [7/8]
垣根「――!!!」


一方通行を捕らえたと思った一撃は、『反射』により難なく破壊された。


一方通行「――残念だなァ。オマエの力のベクトルは前会った時すでに解析済みなンだよ。一度演算式さえ立てられりゃァいくらでも防げる。
もうオマエの『未元物質』は俺ン中じゃ存在してンだわ」


不敵な顔で垣根を見る一方通行。
しかし、一瞬驚きの表情を見せたものの、垣根も笑いだした。


一方通行「……何笑ってンだよ?頭沸いちまったンですかァ?」

垣根「――フフ、そうか。『前の』物質じゃぁだめだよなぁ……」

一方通行「あン?」

垣根「お前、俺の『未元物質』をまだ良く分かってねえな」

一方通行「どォいうことだァ?」

垣根「簡単よ。お前が今知ってる物質とは全く違う物質を新しくつくりゃあいいだけだ!
そして、テメェが新たに演算式組み立てる前にテメェを潰す!」



垣根の背中から翼が生えた。今度は六枚に別れていない。
そして、翼から氷のナイフのような物質が一方通行に雨のように襲いかかった。



一方通行「―――ちィっっっ!!!」



『反射』が効かない。おそらくさっきとはまた違う物質、すなわち未知のベクトルだろう。
横に跳ぶが、全て避けきれず、何発かは腕や足を掠める。



一方通行「ぐゥッッ!!!」



攻撃が止んだころには一方通行の体は傷だらけになっていた。

298 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 16:47:22.31 ID:R35Bct.0 [2/14]
一方通行「………ちィ、小賢しい真似しやがって……豚野郎がァ…」



――垣根の翼から放たれた氷…というよりは霙のような物質を大量に受けた一方通行は、
傷ついた腕を押さえた。他にも手や足など複数に切り傷がついていた。
幸い致命傷は受けず、出血も多くない。
だが、あの垣根の撃つ『未知の物質』を解析し、再演算しなければ殺られる。
しかし、以前はすぐに解析出来たはずなのに、今回は時間がかかる。
すでに解析を始めているのだが……式が成り立たない。
法則や演算式がなければベクトル変換で操作することも出来ない。



一方通行(――どォなってンだ!?公式が成り立たねェ!前に『未元物質』の解析は済ンだハズだ。
いくら新しい物質を入れ替えたとしても、前に一度解析したヤツの脳なら、すぐに再演算出来るハズだろォ!
法則を全てガラリと変えてるとしか思えねェ……まさかコイツの頭に脳はふたつあるってのかァ!?)


垣根「――いいねぇ一方通行!テメェの余裕が消えた面が見れるとはな!復活した甲斐があったってモンだ!!」



――再び、垣根の『新しい未元物質が』容赦なく一方通行を襲う。




一方通行「――くっ!!!」




咄嗟に回避したが、攻撃は止まない。




垣根「――逃げろ逃げろぉ!!ヒャハハハハ!!!」




両手を広げたまま広い翼から氷の雨を降らし、垣根は高笑いした。

299 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 17:16:23.75 ID:R35Bct.0 [3/14]
垣根「――どおしたぁ!?一方通行ぁよぉ!!さっきから逃げてばっかで、反撃しねえのかぁ!!?」



氷の雨を降らしながら垣根が叫ぶ。



一方通行「――ちっ!……この野郎ォ!!!」



―――グァァァァァッッ!!!!



竜巻を作り、相殺させようとするが……氷の雨は止まなかった。



一方通行「何ィ!!?」



反応が遅れ、また氷の雨を浴びる。
ベクトル変換が効かない物質である以上、身をかわすしかすべがなかった。
何とか今度も致命傷は避けたものの…明らかに出血量が増えている。
もう一度喰らえば―――ヤバイ!



垣根「――まぁだ生きてんのか?……しぶてぇなぁ」

一方通行「ハァ…ハァ」



ふわりと垣根が地上に降りた。一方通行はボロボロだが、眼光は鋭い。



垣根「んで、俺の未元物質の底は見えたのか?浅いんだろ?」――ニヤリ

一方通行「………」

垣根「前の強気はどこへやら。……さぁて、そろそろ終わらせるか。もっとイタぶってやりてぇが、万が一ってのがあるからな」



トドメの攻撃を撃つため、再び飛び上がる。

301 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 18:01:19.14 ID:R35Bct.0 [4/14]
一方通行は考えた―――


――そして、ひとつの事が引っかかっていた。

それは、垣根の撃った「氷」のような未元物質を喰らった時だ。
一度目はあまりの速さに余裕がなかったが、二度目で何か引っかかった。

――それは、『冷気』を全く感じなかった事。

この世界にはない物質なのだから当たり前なのかも知れないが……一方通行には何かが引っかかっている。
垣根は以前、『元々この世界にあるもの』に異物を混ぜて自分を攻撃した。


(――そォだ。ヤツは太陽光に異物を混ぜて殺人光線にできる……例えば太陽光から異物が入った事を前提にすりゃァ、
式は完成する。つまり『解析完了』だァ。そして、以前のヤツの未元物質は『世界そのもの』に含まれた事を元に再演算した…)


(――ハッ!?……そォ……つまり、『元』だ!ヤツは『世界そのもの』……言い代えれば『空気中』に異物を混ぜてンだから、
俺はその『混ぜられたもの』から法則を変えられた。…ヤツの氷みてェな攻撃をベクトル変換できねェのは、あの物質の『元』は
『空気中』じゃねェンだ。……ってことは、あの氷みてェなモンに混ぜられた『この世界の元の物質』の正体さえ分かれば、
ソイツを元に再演算できるかもしれねェ!―――だが、いったい何に含まれて……―――!!!)


一方通行の表情が閃きからニヤリと不気味な笑いに変わる。


(――……あるじゃねェか……今の攻撃にうってつけな『この世界の物質』がよォ……)


(あとは……ソイツを『元』に公式を立て直し、『未元物質』を前提に再演算するだけだ)



一方通行の反撃は……密かに始まっていた。



303 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 18:25:06.46 ID:R35Bct.0 [5/14]
一方通行「……ったくよォ、よく考えりゃ簡単な事だったンじゃねェか……法則の元がなけりゃ解析なンて出来る
ワケがねェってのによォ」



ポリポリ頭をかきながら、自分に呆れたように呟く一方通行。恐らく垣根は一方通行の『公式』が当てはまらない事を
計算していたのだろう。


一方通行「――ハン!ちったァ悪知恵働くじゃねェか!見直したぜェ、メルヘン野郎!―――」


そして、空に飛び上がった垣根を見て―――再演算を開始する。

凄まじく活性化した学園都市第一位の脳は一瞬で膨大な演算式を組み上げていく。

――そして、全ての法則が、一方通行の中で成り立った!




一方通行「―――解析完了」――ニヤリ



垣根「―――これで終わりだぁ!![ピーーー]ぇぇ、一方通行ぁぁぁあ!!!」



氷の雨が頭上に降り注ぐ。

一方通行はその『流星群』に向かって一気に垂直に飛び上がった。




垣根「あぁ!!?――ハハッッ!!玉砕覚悟ってかぁ!!?バカが!!そのまま墜落しろやぁ!!!」



一方通行は……笑っていた。



一方通行「答え合わせってなァ!!!あは、ぎゃはは!ヒャハハハハハハ!!!―――」




―――決着は一瞬だった。

306 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 19:01:36.39 ID:R35Bct.0 [7/14]
―――路地裏


自分の返事も聞かず飛び上がって行った一方通行と垣根を見送った美琴はしばらく動けなかった。



――ギャギャギャッッ!!



美琴「――!!?」



物思いにふけっていた美琴を現実に戻したのは、表通りの方で聞こえた急ブレーキの音だった。

――警備員か?一瞬そう思った美琴の視界は突然シュッ!と現れた後輩によって塞がれた。



黒子「――おおお姉ぇぇさぁぁまああああああ!!!!」

美琴「――うわっ!!……く、黒子!?」



突然抱きついてきた黒子に美琴は驚きを隠せない。



黒子「うわぁぁぁん!お姉様ぁぁぁ!……よくご無事で、黒子は…黒子はぁぁぁ!……」



自分の胸で泣きじゃくる黒子の頭を優しく撫でる。



美琴「………ごめんね」


そして、ある程度落ち着いた黒子に美琴は聞く。


美琴「……アンタ、どうしてここがわかったの?」

307 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 19:27:19.67 ID:R35Bct.0 [8/14]
黒子「……支部に佐天さんといる初春から連絡がありましたの。わたくしが出た後、すぐに調べてくれたそうですわ」

美琴「……そっか」

黒子「全くお姉様は!!なんでわたくしが戻るのを待たずに勝手に移動したんですの!?……と、言いたいところですが、
お姉様の考えはお見通しですのよ。……もう少しわたくしも頼って下さいな」

美琴「……ごめん」

黒子「…良いですわ。わたくしはお姉様のそんなお優しいところも―――!!?」



「―――御坂っっ!!白井っ!!無事か!!?」――タッタッタッタッ



美琴の目はもう黒子を見ていなかった。
黒子は「……良いところでしたのに…」小さく舌打ちする。
美琴の視線の先には、遅れたものの颯爽と駆け寄って来る上条当麻の姿があった。


美琴「/////」


途端に顔が赤くなる美琴の様子に鈍感ヒーローは気付くはずもなく、二人の無事を確認し、安堵の息を吐いた。


上条「――とりあえず、良かった……って御坂!大丈夫か?怪我は?」

美琴「――だ、大丈夫!たいしたことないから!///」

上条「……?そ、そうか。なら良かった」――キラキラ

美琴「///う、うん……」――モジモジ



黒子「……############―――」


隣の黒子にも黒い翼が生えていた事に二人は気付かなかった。

311 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 19:45:38.61 ID:R35Bct.0 [9/14]
――美琴は上条、黒子とこれまでの経緯を教え合った。


上条「――……一方通行が?…」

黒子「……お姉様を?…」

美琴「…うん、アイツが来てくれてなかったら……私は今頃…」



上条は少し考え、決心したように美琴を見る。



上条「…どっちへ飛んで行った?」

美琴「……アンタ、まさか…」



そのまさかだ。だが、美琴は予想通りの展開だと半ば諦めていた。
止めても…無駄だろう。


上条「頼む、教えてくれ!あいつは、俺の友達だ!もしかしたら、危ないかもしれねぇ!
このまま黙って帰るなんてできねぇよ!!」



かつて一方通行から自分を助けた時と同じ目だ。
美琴は決心した。


美琴「……アイツらが飛んでったのは向こう……たぶん、あそこで戦ってる」

黒子「あちらは……郊外の無法地帯ですの!」

上条「…そうか、誰の迷惑にもならないところで……ますます放っておけねぇ!俺は行く!」



今にも走り出す勢いの上条に声がかかる。――



「――話は聞かせてもらったじゃん」

312 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 20:13:36.60 ID:R35Bct.0 [10/14]
上条「よ…黄泉川先生…」



――黄泉川がいつの間にか腕を組んで壁に寄りかかっていた。


美琴「……ヤバ」

黒子「……ですの」



三人は焦った。当然だ。あそこは『立ち入り禁止』。
警察のような立場の黄泉川に見つかっては……アウトだ。


しかし、それですんなり引き下がる上条当麻ではなかった。
黄泉川の前に立ち、説得を試みる。そして――



上条「…先生!お願いします!俺を…俺を行かせて下さいっ!!この通りです!!」――バッ!!


――土下座。

いつものおフザケ完全抜きの土下座に、驚く美琴と黒子だが、すぐに続いて上条の横に並んで土下座する。


上条「!?……お、お前ら…」

美琴「――私からもお願いします!!私も行かせて下さい!!」――バッ!!

黒子「――わたくしも、風紀委員として失格なのは重々承知の上ですの!お願いします!!わたくしも行かせて下さいまし!!」――バッ!!

上条「……御坂、白井。気持ちは嬉しいが、ダメだ。行くのは俺ひとりで――」

美琴「アンタのためだけじゃない!!私は一方通行に助けられた!!このまま黙って帰れる訳に行かないのは私も同じよ!!」

黒子「お姉様行く所に白井黒子ありですの!!貴方がダメって言ってもここは引けませんわ!」



――勝手に土下座し、勝手に揉め始めた三人に呆れた顔で口を開く黄泉川。


黄泉川「……あー…とりあえずあんたら落ち着け」

313 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 20:40:46.88 ID:R35Bct.0 [11/14]
黄泉川の声に三人は慌てて向き直り、頭を下げようとするが、黄泉川が止める。



黄泉川「とりあえず、立つじゃん。ここにいても始まらないじゃんよ」

上条「――いや、俺は行きます!先生がどうしても行くなと言うなら……」



グッと拳を握る上条。

美琴と黒子も身構える。

たとえ立場が上でも、時には引けないものだ……。

そんな少年少女に黄泉川は――



黄泉川「誰も『行くな』なんて行ってないじゃん?」



――ニヤリと笑って言った。


上条・美琴・黒子「――!!!」


黄泉川「さぁ。そうと決まったら、さっさとあのバカ迎えに行くよ!どうせバッテリー切れて帰れなくなるのがオチじゃん」

上条「……いいんですか?」

黄泉川「あたしは今は『警備員』じゃない。一方通行の『保護者』じゃん!」

美琴「先生話せる♪」

上条「っておい!お前らは――」

黄泉川「構わないじゃん!あたしもついてんだ。問題ないじゃんって」

黒子「流石ですの!警備員の鏡ですわ!」

上条「……ま、いいか」

黄泉川「んじゃ、行くよ!飛ばして行くから下噛んだらダメじゃん!」


一同はジープに乗り、一方通行を迎えに行くため動き出した。
一方通行を想う仲間達の存在に、黄泉川は保護者として嬉しかったのだろう。

316 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 21:28:13.33 ID:R35Bct.0 [12/14]
普通ならありえないですよね。黒子wwwwww




――黄泉川家、リビング


――ガチャ



打ち止め「ただいまー!ってミサカはミサカは元気に……」

御坂妹「ただ今帰りました。とミサカは……」



芳川「――あら、おかえり」



ソファーにだらしなく寝そべり、ポテチの袋片手にテレビを見ていた芳川に絶句する打ち止めと御坂妹。
その姿は完全にグータラ主婦だった。



御坂妹「……この人はいつもこうなんですか?とミサカは上位個体に確認を取ります…」

打ち止め「……うん、ひどい時は足でリモコン使ってる…ってミサカはミサカは呆れたまま暴露してみたり…」


禁書「――ただいま帰ったんだよ!………」


御坂妹(流石のシスターも言葉を失くしてますね……わかります。とミサカはそう言やこのシスターも大して変わんねぇんじゃね?という事実
を伏せて同意します)


禁書「……そのポテチおいしそーー!!分けてくれると嬉しいな!!」

御坂妹「そっちかよ!!とミサカはわざとらしくコケてみます」――ズルッ

芳川「…えー……」

御坂妹「あなたはポテチごときでよくそこまで嫌な顔が出来ますね。とミサカはツッコミの位置をキープします」

317 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/24(月) 21:49:34.93 ID:R35Bct.0 [13/14]
禁書「ケチな大人はよくないんだよ!」

芳川「誰がケチだって言うの?私をそこら辺のダメな大人と一緒にしてもらいたくないわね」

御坂妹「…よく言いますね」

打ち止め「むしろそこら辺の大人よりダメかも…ってミサカはミサカは頭を押さえてみたり…」

芳川「……チッ………やあね、冗談よ。シスターちゃん、コッチ来て一緒に食べましょ」――ニコッ

打ち止め(今、笑顔になる前『チッ』て言った!絶対言った!!ってミサカはミサカは聞き逃さなかったり)

芳川「でも、これだけは覚えておいてね?シスターちゃん。人の食べ物に手をつけたりするのは良くないわ。
そういう人間はロクな大人になれないわよ」


御坂妹・打ち止め(あんたが言うな、あんたが!)







―――黄泉川家は今日も芳川を中心に回っている。








芳川「あ、そうそう。愛穂今日遅くなるみたいだし、どっか食べに行きましょう。作んのメンドくせーし」


禁書「わーい!ご飯んん♪」


御坂妹・打ち止め「………ダメだコイツら」




―――黄泉川家は今日も平和である。

321 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/25(火) 19:06:33.20 ID:X0aonyg0 [1/9]
――学園都市、郊外


戦争の跡地のような広い荒野にふたりの超能力者はいた。
ひとりは地面に仰向けで倒れ、もうひとりはそれを見下ろしていた。


立ったまま見下ろす方が倒れている方に声をかける。



一方通行「……大正解ってか。気は済ンだかよ?格下ァ」




一方通行(第一位)と垣根帝督(第二位)。




二度目の学園都市頂上決戦は第一位に軍配が上がった。
垣根は言葉と能力を駆使し、一方通行を追い詰めた。しかし、一方通行は最後の最後で自分の
未元物質を見破った。
最後は一方通行を蜂の巣にするはずだった氷の雨は、自分に跳ね返ってきた。
『反射』されたと認識する前に垣根は自分の出したミサイルに撃ち落された。



垣根「……何故…だ」



意識はあるようだ。
垣根は閉じていた目を薄く開き、すぐ傍にいる一方通行に問う。




一方通行「……知りてェンなら教えてやるよ」

322 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/25(火) 19:41:22.12 ID:X0aonyg0 [2/9]
一方通行は垣根を見下ろしたまま、答える。


一方通行「オマエ、全部計算してたンだろ?俺がどっから公式を暴いてンのか……
俺にはオマエの力が絶対解析できねェってのも」


垣根「……」


一方通行「いくら未知でこの世界にはない物質っつっても、オマエの『未元物質』の底は前に完全に掴ンだ。
……不思議だよなァ…オマエの力の『元』がわかってンのに演算できねェなンてよォ」


一方通行「まァ、オマエにとっても賭けだったンだろ?俺が本当に『オマエの脳内が異常だ』、って信じてればオマエの勝ちだった。
実際信じかけたぜェ……脳味噌二つあンじゃねェかって思ったくらいだからなァ」


垣根「……そうか、テメェは俺の未元物質が『風』に詰まってんのを見抜いたって訳か…」


一方通行「……よく考えたよなァ。空気圧と風圧じゃ、そもそも単位が違ェ。いくら演算してもダメなワケだよなァ」


垣根「空気に混ぜたら、前にやられた時みてぇに読まれちまうからなぁ……気付かれないために、『以前とは違う未元物質だ』と思わせる
必要があった…」


一方通行「それが失敗っちゃ失敗だよなァ。いくら未元物質を変えても、根源がわかってるからすぐに解析できるハズだぜェ?」

垣根「……だから、テメェが『元』の正体に気付く前に終わらせる必要があったんだが……結局俺は、テメェの底が見えなかったみてぇだ」

一方通行「時間稼ぎに言葉のハッタリなンざァ、味な真似すンじゃねェかよ」

垣根「……いや、ハッタリじゃねぇ。現に俺の脳内は以前より上がってた……それでもお前に届かなかった…これがお前と俺との『絶対的な壁』か……」




――フッと笑って額を押さえる垣根



垣根「………もういい。殺れよ」

323 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/25(火) 19:54:38.06 ID:X0aonyg0 [3/9]
一方通行はトドメを刺される覚悟を決めた垣根を無言のまま見下ろしている。



垣根「前とは違うんだ……ここには俺とお前しかいねぇ…止めるもんは何もねぇ」

一方通行「……オマエは、死にてェのか?」

垣根「?」



いきなり問われ、一方通行に目を向ける。



垣根「……」



そして、再び目を閉じたまま答える。



垣根「……は、当たり前だろ。俺はもう何も残ってねぇ。今更『スクール』に戻る気もねぇし、これからやりてぇ事もねぇ。
また『あんな状態』に戻るくれぇなら、ここで楽になりてぇよ…」



――両腕を広げ、死を受け入れる。



垣根「――殺れ」



微笑んで目を閉じ、目の前の男から与えられる『安楽』の時を待つ。



………?



しかし、その時は来ない……。




垣根「………?」

324 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/25(火) 20:08:58.24 ID:X0aonyg0 [4/9]
――おそるおそる目を開ける。しかし、そこにいたはずの男はいなかった。



垣根「――!!?」



驚いて首だけ起こし、辺りを見回す。
いつの間にか能力を切った一方通行は木の棒切れをつえ代わりにして歩いていた。


垣根に背を向けて……。



垣根「……おい……おい!!」



声を上げる垣根。



垣根「どこ行くんだよ!?第一位!!」



一方通行は振り返らない。



垣根「ふざけんじゃねぇぞ!!テメェは『悪党』だろ!?……情けかけました、なんてぬかす気じゃねえだろうな!」



一方通行は聞こえてないように歩く。



垣根「おい!!待てよ!!」



そこでようやく…一方通行は振り返った。



一方通行「……ったく、ゴチャゴチャピーピーうるせェなァ。格下がァ」

327 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/25(火) 20:36:07.48 ID:X0aonyg0 [5/9]
一方通行は首だけ後ろに向けたまま、垣根に問う。



一方通行「……頭の悪ィオマエにもう一度聞いてやンよ。オマエは死にてェのか、生きてェのか…どっちだ?」


垣根「だから死にてぇっつってんだろうが!!何度も言わすんじゃねぇ!!」


一方通行「…あっそ」


垣根「殺れ!トドメ刺せよぉ!一方通行!!」


一方通行「ヤだね」



――ニヤリと笑い、意地悪く言う。



垣根「!!……はっ、ガキかよテメェ!今更人殺しはしたくねぇってかぁ!?
悪党が聞いて呆れるぜ!テメェは本当はヒーロー気取ってたいんだろ!?
ヒーローが羨ましいんだろ!?やっぱテメェは甘ちゃんだな!……おい、何とか言えよ!一方通行ぁ!!」



一方通行は心底ウザそうに垣根を見る。


垣根の近くまで戻り、口を開く。



一方通行「……勘違いしてるみてェだなァ。俺ァ紛れもねェ『悪党』だ。オマエみてェな小者たァワケが違う。
オマエは『死にてェ』っつったが、生憎、俺ァその望みを叶えてやるほど『お人好し』じゃねェンだわ」


一方通行は傷だらけの体に似合わない笑みを浮かべていた。

329 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/25(火) 20:53:41.52 ID:X0aonyg0 [6/9]
垣根「……ふざけんなよ……俺は…――」



―――!!!?



そこで垣根は気付いた。


自分の体には……致命傷がない。


ところどころ傷を負っているが、今の一方通行と殆ど変わらない程の切り傷だった。


そして……落ちた時。


地面に叩きつけられるはずだった垣根の体は、何かに守られたように衝撃を殺していた。


地面に落ちたダメージが殆どない事に……垣根は今更ながら気付いた。



垣根「……まさか……テメェ…」



垣根は上半身を起こした。……やはり、深い傷がない……。



一方通行は驚いた顔のままの垣根に『悪党』の顔を見せる。



一方通行「こンなとこじゃ、救急車も来れねェだろ?……前にも言ったが――」



そして、垣根の顔を覗くように――



一方通行「――これが『悪党』だ。今度こそわかったか、クソッタレ」

330 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/05/25(火) 21:08:58.68 ID:X0aonyg0 [7/9]
――言葉を失っている垣根に、一方通行は再び背を向け、今度こそ振り返らず去っていった。


残された垣根は、もう追う事も呼び止める事も出来なかった。


ただ――絶望した。


生まれて初めて……心の底から絶望した。




垣根「――う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!!!」



地面に両腕を叩きつけ、潰れるような声で垣根帝督は絶叫した。



溢れる涙を止めようともせず、ただ打ちひしがれた。



相手を絶望させる事が大好きだった少年は、もうどこにもいなかった。



そして、その少年の叫びを聞いた者は……いなかった……。





この日、垣根帝督は『復讐』の他に、もうひとつ背負うものが出来た。





―――それは、『絶望』だった。



続きます

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御坂妹(10032)の言動を抽出したらただのクズ女みたいになるんだけど…ここまでやるなら完璧にキャラ崩壊させた方が良かったんじゃない?
御坂妹好きなんだけどこのSSのこいつは、
死ね!!と思ってしまった…

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