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サーシャ「第一の解答ですが、私は既に上条当麻と付き合っています」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 01:01:58.33 ID:C/LkRa5B0
 まだ、少しだけ夏の暖かさが残った秋の歩道。開校記念日だか臨時休業だか何だか知らないが平日の朝から自由時間をえた上条当麻は常時食欲全開シスターの食料の買い出しへ出ていた。
「激安卵パック。おひとり様二つまでか……ふ、不幸だ」
 上条当麻が眺めるのは近所のスーパーの特売のチラシである。
 どれもこれも価格破壊的な値段が付いており、もちろん一人幾つまでと個数制限つきだ。
 健全な高校生が平日に休みを手に入れたというのに朝からスーパーに買い出し。
 当然、友人知人がスーパーの買い出しなど付き合ってくれるはずもなく。
「インデックスがいれば、4パック。あれも、これも……」
 がっくりと肩を落とし、上条当麻は重い脚を進める。
 上条当麻の同居人であるシスターインテグラルは現在絶賛休暇中の上条当麻の担任小萌先生の元へ遊びに行っている。
「不幸だ……」

何度か書き手が変わるます
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 01:16:30.47 ID:C/LkRa5B0
 不幸な自分なことだから、列に並べば自分の前で品物が売り切れ、レジに並ぼうとすれば長蛇の列。そんな目にあうのではないかと考えたり考えなかったりしたのだが、思いのほか買物はスムーズに進行し、終わってみれば買い物袋大×2が上条当麻の手には握られていた。
「ふっふっふ。これだけあればインデックスも満足するだろ」
 ルンルン気分で帰路を急ぐ。
 上条当麻は不幸な少年だ。少年の不幸なところはたまに、ごくたまに幸せを感じると調子に乗ってしまうところにある。
「……そういや、腹が減ったなー」
 上条当麻はちらりと自分が買った買い物袋を見る。
「いやいやいや。この買い物袋はこのままインデックスに見せるべきだと上条さんは思うわけですよ」
 誰に、説明するでもなく上条当麻は独り言を垂れ流す。
「決して。決してインデックスがいないのをいいことにちょっと贅沢してみようとか思ってないですよー」
 財布の中身を確認しつつうんうんと自分でうなずいてみせる。
「別に一人で遊びに行ったインデックスに対するあてつけとかそういうのではないですからー」
 早い話が上条当麻は善人なのだ。自分を納得させないとおいしいものも食べられない。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 01:26:24.93 ID:C/LkRa5B0
『あっ、上条ちゃんですか?』
 電話先の相手。小萌先生はどこか嬉しそうな様子で電話に出た。
「あ、あのインデックスはどうしてます」
 小萌先生が答える前に、電話口からとうまーとうまなのー? と声が聞こえてくる。
『シスターちゃんはですね。今どってもご機嫌なのですよ』
『あ、とうまー。聞こえてるー』
 いまだに科学に対して壁があるインデックスは電話が少し苦手だ。
「はいはい。聞こえてますよっと。こっちは今お前の食糧を買い込んだところだ。なんと買い物袋二つ分だ」
『ホント!? じゃあさ、今日はいっぱい食べられるね』
「いやいや。上条さんは今日お腹がペコペコだから、昼飯に全部食べてしまうかもしれないですよ」
『だめなんだよ! 当麻はその食糧私が帰るまでたべちゃダメだからね!』
「はいはい。わかりました」
『嘘ついたら、敬虔なる神の――』
「きるぞー。インデックスー」

――計画通り。
 上条当麻は自分を納得させると帰路を急ぐ。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 01:37:23.30 ID:C/LkRa5B0
 自室に戻るとスフィンクスが出迎えてくれた。
「何だお前。インデックスと一緒じゃなかったのか?」
 スフィンクスはおいて行かれたんだもんねとでも言いたげにふにゃーとと鳴いて顔をかく。
 いつもなら所かまわずない胸元にスフィンクスを入れて動き回っているのに。よほど小萌先生の家に遊びに行くのが楽しみだったのか。小さいものと割と小さい者同士。命を救ったり救われたりした関係からかあの二人は妙に仲がいい。
「えーと。確かこの辺に猫缶か何かがあったとはず」
 買い物袋を床に置き戸棚を漁る。
 置かれた買い物袋をこれなに? くえんの? といった感じにスフィンクスが猫パンチを加えるが上条当麻は気にしない。
「ほーれ。これでも食って大きくなれよー」
 今から御飯を食べに行く上条当麻はご機嫌だ。
「ガスの元栓よーし。スフィンクスよーし。インデックスいなーい。完ぺきではないですか」
 上条当麻は不幸な少年であるがゆえに買い物袋を放置したままだということに気付いていない。



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 01:55:49.64 ID:C/LkRa5B0
「さーて。街に出たのはいいものの、いったい何をたべればいいんでせう?」
 ……ファミレス。
 いやいやいや。ファミレスなんぞに行ったら、不良に女の子が絡まれていましてですね、その女の子がレベル5とかいう学園都市に7人しかいない超能力者だったりしましてですね、
電撃から全速力で逃げるという自分はまったく面白くないアトラクションに強制参加させられた挙句
「何アンタ。この時間に一人でファミレス? アッハハハ~おっかしー。友達いないのー?」とか言われちゃったりするんですよ。
 実際には、おそらくそこまでひどいことは言われないと思うのだが……上条当麻の中でビリビリはそういった位置づけになっていた。 
……世界一高いホットドック。
 ふと顔を上げるといつぞや食べたホットドック屋の屋台が目にとまった。どうにもそれなりに繁盛しているようで数人の学生が並んでいた。そういえば、前食べた時は、味なんてよくわからなかったなぁ。
 ニセンエン。いやいやいや。いくらお金が浮いたと言っても二千円はない。上条当麻はお腹がすいている。ホットドックではおなかは膨れない。
 さてどうしましょうかねと、ふと近くのオープンカフェに目をやった。
 あん?
 まず赤いマントが目についた。赤いマントの下にインナーそのもののようなすけすけのスーツ。
 もうこれだけでもいろいろアウトなのにとどめを刺すかの如く黒いベルトで構成された拘束服。
 どこかのコスプレ会場から抜け出してきたような少女がオープンカフェでフレンチトーストを頬張っていた。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 02:16:03.34 ID:C/LkRa5B0
 上条当麻は不幸な少年だ。
 不幸であるがゆえに、周囲から奇異の目にさらされつつトーストを頬張る見た目いろいろアウトなこの少女を知っている。
 ミーシャ=クロイツェフ。ロシア協会のなんだか難しい名前の所属している少女だ。
 見た目アウトな上に、学園都市にいる。二重の意味でアウトなこの少女を上条当麻は見過ごせない。
「え、あ、ちょっとすいませんねっ」
 オープンカフェのイスをどかしつつ、道を作りつつ、奇異の目にさらされつつ、上条当麻はミーシャの元へ歩み寄る。

「えーと。ミーシャ?」
 ミーシャと呼ばれた少女は租借をやめ、口の中のものを飲み込んだ。
「第一の解答ですが私はミーシャではなくサーシャです。」
「ああ、悪ぃ」
 上条当麻は謝りつつサーシャの正面に座る。

「第一の質間ですがなぜあなたは私の正面の席に座るのですか?」
「第二の質間ですがなぜあなたは平日の昼下がりにこんなところにいるのですか?」
「第三の質問ですが……」
 サーシャは一旦言葉を切り
「追加のトーストはまだですか?」
 と上条当麻を認めサーシャの背後まで来ていた店員に振り返りもせず催促をするのだった。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 02:30:50.68 ID:C/LkRa5B0
「……」
「……」
 店員と上条当麻は思わず顔を見合わせた。
 店員は「お連れ様でしょうか?」と聞くタイミングを逃し、バツが悪そうにもごもごしている。
 誰だってこんな冗談みたいな服を着ている少女の接客などはしたくない。
 カフェの奥からは生暖かい目でじゃんけんに負けた店員を観察するほかの店員たちの目があった。
「第三の質問をもう一度。追加のトーストはまだですか?」
「しょ……少々おまちくださいませ」
 店員は当初の目的を果たさぬままカフェの奥へと逃げていく。
 上条当麻は自分以外にも不幸な者がいるという事実を受け止め、心の中で祈った。「頑張れ店員さんっ!」と。
「えーと。サーシャ……。何、してんの?」
「第一の解答ですが、貴方は人の質問には答えないドクサレ野郎ですか? 私は見ての通り食事を摂っています」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 02:49:23.34 ID:C/LkRa5B0
 あれれ。この娘はこんな子でしたっけ? 
 上条さんの記憶ではクサレ野郎なんて言葉は使ってなかったような気がしたりしなかったりするのですがー。
 あれは天使が憑いていたからなんですかー。
「えーと。正面に座ったのはサーシャと話したかったからで、平日の昼下がりにいるのは今日が学校が休みだったからさ。そんなことより何でこんなところにいるんだ?」
「第二の解答ですが、その質問自体が私の人格を侮辱していますね」
「え?」

「貴方は私がこのような拘束服を好き好んで着用し、周囲の目に晒されることで快感を得る変態だとでも思っているのですか?
 私がオープンカフェにいるのはそちらのカフェが混雑していたためで他意はありません」
「いや、どうして学園都市にいるのかを聞きたかったんだけど」
「ならば最初からそう言いなさい」
 当然ながら、ロシア成教のシスターが全員こんな格好をしている訳ではない。
 ロシア成教とはそんな変態の集まりではないが上条当麻の中ではロシア正教=サーシャなわけでてっきりこれがデフォルトの修道服なのかと思っていた。
 補足しておくとサーシャが特別変態嗜好があるわけでもない。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 03:03:37.59 ID:C/LkRa5B0
じゃあここは私も

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 03:12:00.13 ID:C/LkRa5B0
「けど、混んでるんだったら何もこの店で食べなくてもよかったんじゃないか?」
 上条当麻は窓ガラス越しに店内の様子を見た。なるほど確かに込んでいる。
 今も店員が忙しなく働いている。これではまだトーストは時間がかかりそうだが、まだ、オーダーをとってない客を待たせるのはいかがなものか。
 まぁ案内されず勝手に席に着いた自分も悪いのだが。

「第三の解答ですが、私はここのトーストが食べたかったのです。貴方がた日本人はもっと自国の特異性について理解するべきです」
 ふと、サーシャのイスを見ると白い太ももの横にガイドブックのようなものが見えた。
 なんだろう。シスターというものは万国共通で腹ぺこキャラなのか? と自然に笑みがこぼれる。
「第四の質問ですが、人の太ももをみて喜ぶとは貴方は本当に勤勉と言われる日本人ですか? ドクサレ野郎の間違いではないですか」
「いやいやいや。上条さんは子供の太ももをみて喜ぶ趣味はないですよ。ええ!!」
 本当は少し見ていただけに、妙に声が大きくなり周囲の注目は大きくなる。

「大変長らくお待たせしました。こちらフレンチトーストになります。お客様はご注文はお決まりでしょうか?」
 先ほどと同じ店員が上条当麻に水を向ける。
「えーと。コーヒーと彼女と同じものを」
「かしこまりました」
 店員は頭を下げ、店のほうへと戻っていく。必死で笑いをこらえている様子だったのはおそらく上条当麻の勘違いだ。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 03:26:17.76 ID:C/LkRa5B0
 サーシャがトーストに手をつけようとした時だ。上条当麻がいきなり自分の腹を叩いた。
「なんでもない! なんでもないぞ」
 必死で首をふり否定する。
「第五の質問ですが今のは空腹時の音をゴマかした音ですか?」
「いやー。はっはは。そんなわけないじゃないですか。大の男がそんな、ねぇ」
 事実としては、腹の虫がなったわけだが、さすがにそれは言いにくい。上条当麻とて年頃の男の子なのだから。
「第六の質問ですが先に食べますか?」
「え?」
 サーシャは自分の前に置いてあるトーストの皿を上条当麻のほうへ右手でスライドさせる。
「同じものを頼んだのですから。まだ手をつけてませんし」
「いいのか?」
「第四の解答ですが貴方は私を腹ぺこキャラか何かと勘違いしておりませんか? いいから黙って食え」
「おお……シスターだ。ここに神に仕える本物のシスターがいる」
 インデックスなら、きっと病気の時にでも聞けるか聞けないかの言葉を前に、上条当麻は感動する。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 03:51:56.32 ID:C/LkRa5B0
つい数分前。シスターは万国共通で腹ペこキャラなどと思ったことを軽く後悔しつつ、フレンチトーストにかぶりつく。
 甘すぎず柔らかすぎずもふもふとした触感が食欲をそそる。
 ところで、上条当麻は不幸な少年だ。
 不幸な少年がただただ美味しいものを頬張るだけで、物語が進むのなら昼ドラは30話とかもたないのだ。
 上条当麻が先に出されていたポットの冷水に手を伸ばした時だ。ガラス越しの店内に見知った顔を発見した。
「うおぅ」
 反射的に頭をさげ、もう一度中の様子をうかがってみる。
 吹寄制理。

 背中まで届く長い黒髪に制服の上からでもわかる出るとこ出ている体。
肢体もすらっと伸びていて美人といって差し支えないルックスの持ち主だが、なぜか上条には風当たりが強いような強くないような……
 クラスのまとめ役であり、よくよく見れば見知った顔がちらほらと。
 

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 04:05:24.75 ID:C/LkRa5B0
 そのちらほらの中にサーシャを知る土御門がいないあたりが上条当麻が不幸とされる所以ではなかろうか。
 そもそもよくよく思い出してみれば、昨日の昼休み吹寄制理がサーシャの持っている雑誌とよく似た雑誌を
見ながらトーストがどうだのなんだの言っていたような気がしないでもない。
 上条当麻は昨日、例によって不幸に見舞われていたためイマイチクラスの輪に入れていなかった。
「時間差不幸かよっ!!」
「第七の質問ですが何を言っているのですか」
「悪い。オレにもよくわからん……」
 いまだにサーシャが学園都市にいる理由も聞き出せていないというのに、フレンチトーストなどのんきに食べている場合ではないのだ。
上条当麻はトーストに手を伸ばしまたかぶり付く。
 魔術サイドの人間が今まで学園都市に侵入してきて、何事もなかったためしなどない。
おそらく何らかの魔術サイドがまた学園都市でとある魔術を発動させようとしている可能性がある。
 上条当麻は先ほど飲み損ねた冷水を注ぎ直しつつ吹寄制理を観察する。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 04:28:25.77 ID:C/LkRa5B0
吹寄制理はきょろきょろと辺りをうかがい、開いているテーブルを探している様子だ。
ちょうどその時、一組のグループが食べ終わり席が空いた。吹寄制理は駆け寄るとクラスの仲間のほうへ顔を向け何やら言っているようだ。
おそらく「この席でいいよね」とかそんなやり取りをしているのだろう。
「ふぅ」
上条当麻は一息つくと一気に冷水を飲み干した。サーシャが少し不思議そうな顔をしているが危機は回避した。
あとはうっかり吹寄制理に見つかるといった愚行を避けるためになるべき目立たぬようにしていればいい。
目の前の赤マント拘束具小学生をどう目立たなくするのか上条当麻にはわからなかったが。

この時上条当麻は気がついていなかった。
まだ昼間だというのに随分といろいろな学校の生徒が町にいることに。
例えば先ほどのホットドック屋にしてもそう。カフェ店内にしてもそう。

「おまたせいたしましたトーストとコーヒーでございます」
三度目となった店員が額に汗を流しつつ皿とカップをテーブルに並べていく。
「ごゆっくりどうぞ」
三度目ともなるとさすがになれたのか笑みはなかった。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 04:41:04.73 ID:C/LkRa5B0
「第八の質問ですがよくそんなものが飲めますね」
「ん? ああ。コーヒー?」
「肯定」
「なんだろうな。別にうまいって思って飲んでるわけじゃないっていうか……タバコとか酒なんかも飲み始めはそんなもんじゃねぇ?」
「私はシスターですから」
シスターだからその手の嗜好品は口にしたことがないということなのだろう。

「まぁ甘い物食ってる時は結構いいと思うんだけど……こっちも一個質問いいか」
「何でしょう」
「その質問三とか四とかずーっと続いたら質問百三十四とかになんのか?」
「第五の解答ですが初対面の人間にそこまで質問攻めすることもされることもありません。逆に親しい人間なら質問することなどありませんから」
 はむはむとサーシャは租借を再び開始する。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 04:56:01.81 ID:C/LkRa5B0
「で、さ。結局のところサーシャはなんで日本のしかも学園都市にいるんだ? まさかここのトーストを食いに来たってわけじゃないんだろ」
そう。これを言いたいがために、奇異の目にさらされつつ食事をご一緒したのだ。
吹寄制理という危機をとりあえず排除した以上次なる危機に挑まなくてはならない。
「第六の解答ですが質問は一つということでした」
だからもう答えませんとでも言うようにフレンチトーストをもぐもぐさせるサーシャ。
上条当麻も租借中に話しかけるほど野暮ではない。
「確かに、先ほどはそう言ったんでせうが上条さんとしてはですね、
租借が終わったら是非どのようなことで学園都市に来たのかをですね話してもらえると、力になれるのではないかなと」 

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 05:27:36.79 ID:C/LkRa5B0
「第九の質問ですが、なぜあなたは一般人なのに魔術に関わろうとするのですか?」
サーシャの声色が若干変化したように上条当麻は感じた。
今まで、幾度となくいろんな人間から同じような質問をされてきた。諭されてきた。
曰く、上条当麻は一般人であると。
曰く、上条当麻は背負い過ぎると。
曰く、上条当麻は無茶をし過ぎると。
曰く、曰く、曰く。

「うーん。あんまりマジにとられても困るんだけどさ」
 ポリポリとこめかみあたりを書きながら上条当麻は続ける。
「別に関わろうとして関わってきたわけじゃないんだよ。どういうわけか科学側と魔術側は争ってる。
化学側でそのこと知ってるのはそうはいない。そんなとき魔術側がなんかしてきたら何とかするのは当たり前だろ?」
上条当麻は博愛主義者でもなければお涙頂戴の美化された自殺願望の持ち主でもない。
ただ、目の前に困っている人がいたら助けねばならない。それをやるべきことに分類することができる人間なのだ。

ただ、その考え方を素直に理解できる人間は科学サイド、魔術サイド両方ともそうはいない。
何時だったか海原光貴が言っていた時以上に上条勢力は大きくなっていた。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 05:53:22.87 ID:C/LkRa5B0
例えば、二つの国が争っていたとしよう。
その中でも異質な人間の周りになぜか両国の人間が集まってくる。
方や、その国でも二十人しかいない実力者とその集団。
方や、その国でも七人しかいない実力者の第三位。
上げ出したら切りがないほどの錚々たる面々と面識を持っていながら自分はやるべきことをやっているだけだ。
こんな戯言が通るはずがない。
「第七の解答ですが……」
サーシャの無表情な顔全体がぷるぷると震える

「あなたが、そんな、ことだからっ! 私が、ここに、きたんで、しょうがっ」
言葉を区切るたびにガツンガツンとテーブルを叩くものだから、食器が音を鳴らす鳴らす。
一通り叩いて満足したのか今度は泣きそうな声になる。
「超機動少女カナミンのドレススーツを着て戦場を走りまわるか、この服を着て貴方の監視をするか……
第十の質問ですが私はどちらを選択するのが正解だったんでしょうね」
「ええっ! おれのせい? いや、すっごく申し訳ないけどその二択なのは多分アナタ様の上司に難があるのではないかと……」
心底恨めしそうな顔でそう言われ上条当麻としても申し訳なくはあるのだが訳のわからない二択なのはまぎれもなく彼女の上司がアレなのだ。
ロシア成教の特殊部隊『繊滅白書《Annihilatus》』に属する戦闘修道女であるサーシャ=クロイツェフにいったいどういった葛藤があり、
結果上条当麻の監視の任に就いたのかはわからない。わからないが、よほどドレススーツがいやだったに違いない。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 06:34:34.75 ID:C/LkRa5B0
「そうです。そもそもあのクソ上司ときましたら、職権乱用でこんなわけのわからない服を着せられて、
私に何をさせるつもりなのでしょうか。いっそgo to hell してくれたほうが――」
「ストーップ! サーシャ。オレが悪かったから帰ってきてくれ」
上条当麻の声に、フォースの暗黒面から脱出したのか、サーシャは最後の一切れを口に入れる。
「それで、ちゃんと学園の許可とかは取って入ってきてるのか? 上条さんちはすでにシスター属性は余っているのですよ」
「第八の解答ですがその辺は上司が都合をつけやがりまして……学校にも通っても――」
「へぇ。いい上司じゃねぇか」
「……」
上条当麻は知らない。サーシャの上司が「サーシャちゃぁん♪ ここのぉ学校の制服がぁとっても可愛いのぉ。
日頃からそんなヘビーな拘束服を装着しているサーシャちゃんには物足りないかもしれないけど、たまには制服もいいんじゃない?」
等々の理由で都合をつけたことを。
100%の善意などこの世に存在しないのである。
どこの世界でも、部下は上司に玩具にされるのだ。


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 06:38:22.02 ID:C/LkRa5B0





ぺーす。上がる太陽

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 07:05:02.13 ID:C/LkRa5B0
「おれの監視ってことは内の学校にくるのか?」
「正答。しかし、その限りではない。現在の段階は見。是即ち様子見」
「様子見ねぇ。じゃあ今日明日中にどうこうしなきゃならねーわけじゃないんだ」
なるほどと上条当麻は納得する。
ガイドブックを持っているあたり、建前では下見ということだが、実際は多少遊びたいという気持ちがあるわけだ。
そうでなくても学園都市は物珍しいものが多く、外部の人間にとっては魅力的な場所のはずだ。
外国人であるサーシャならばなおさらそうだろう。まるで、計ったかのように学校は休みで時間はある。
問題は……服だ。
幾らなんでも拘束具をきた小学生くらいの女の子と歩いていたらアンチスキルやジャッチメントに何を言われるかわからない。
というか、サーシャは今まで何も言われなかったのか?
「えーと。よかったら学園都市見て回るか? 地理関係は頭に入ってたほうがいいだろ」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 07:21:35.62 ID:C/LkRa5B0
朝まで付き合ってもらって悪いが
朝までには終わるだろうという安直な考えだったせいか
どうにも終わりそうにない。
親戚の集まりに参加せねばならんので落としましょう

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 17:50:00.63 ID:C/LkRa5B0


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 18:27:20.14 ID:C/LkRa5B0


123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 20:14:22.72 ID:C/LkRa5B0
orz
いや、もう申し訳ないから保守はしなくておk
まったりかくから思い出した時にでも更新してくれればいい

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 21:07:52.53 ID:C/LkRa5B0
せるふほしゅ

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 22:02:39.46 ID:C/LkRa5B0
セルフ保守

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 22:27:28.11 ID:C/LkRa5B0


139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 23:08:16.69 ID:C/LkRa5B0
「肯定。しかし……」
サーシャは自分の服装をみてふるふると首を振る。
上条当麻としては、オープンカフェに堂々と座れるのに移動には尻込みするサーシャの気持ちがいまいち理解できない。
乙女心ってのはよくわかんねぇなくらいにしか思わない。
サーシャが上条当麻を気遣っていることなど、鈍感、にぶちん、フラグクラッシャー等々の異名を取る少年にはわからないのだ。
「んー。まぁ確かに上条さんもその服と一緒に歩くのは多少遠慮したいので……服でも買いに行くか?」
「肯定。できるのであれば――」
サーシャはまるで倍速でビデオを再生するかのように椅子に置いていた雑誌をめくる。
最初見た時は気がつかなかったがページにはいくつか付箋がはってあるようだ。
「ここ。ここに行きたい」
サーシャは胸元で大きく雑誌を開いてみせる。
とある店の特集記事で店の外観の写真の上にごてごてしたゴシック体の景気のいい謳い文句が並んでいる。

「seventh mist」

ちょっと前にとある事件が起こった場所で上条当麻も事件に巻き込まれた。
写真を見る限りは事件があったことなど感じられないほど外観は修復されている。

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 23:17:45.37 ID:C/LkRa5B0
「そんじゃ、とりあえず店を出るか。ここの代金くらいなら出してやるよ」
「第九の解答ですがその必要はありません」
サーシャは太ももに付けたいたベルトを取り外し、ベルトの内側から革製の定期入れのようなものを取り出した。
中には御坂美琴でも持っていなさそうなキラキラしたキャッシュカードが入っていた。
「繊滅白書支払のカードです。あのクソ上司からは無駄遣いしないように言われましたが問題ありません」
「いや、そういうのってダメなんじゃないか……実際」
「補足ですが始末書ならニコライ=トルストイ司教様へ行くので問題ありません。」
始末書の届け先はそうなのかもしれないが、始末書を書くのはサーシャ自身なんじゃないのか?
そんな考えが上条当麻には浮かんだが、サーシャが伝票も持たずにレジへと向かうので、あわてて追いかける。
はたから見ると、手のかかる妹をおろおろと世話をする苦労症の兄のようでどことなく微笑ましい。

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/03(日) 23:41:18.08 ID:C/LkRa5B0
「seventh mist」はその名の通り第七学区にあるごく普通の洋服屋である。
普通といってもそこは学園都市。小さい子供から一般的な学生。常盤台のお嬢様まで。
幅広い層をカバーするために品揃えは豊富であり、ビル丸まる一つが洋服のためだけに使われている。
サーシャは普段の二割増しくらいのスピードで店内を闊歩し目移りのお手本のようにきょろきょろきょろきょろ。
当然ながら、サーシャのファッションはここでも目を引き、好奇の目にさらされるサーシャを適度に庇いつつ上条当麻も後をついて歩く。
その様は普段はわがままを言わない娘のわがままに困りつつもちょっと喜んでいる馬鹿親のよう。
「ちょっ……サーシャ。ストップ! ストッープ!」
何とか左手で右手を捕まえる。
「第一の質問ですが、何か?」
「うぉお。質問数がリセットされたな。それはあれか? 場所が変わるとリセットされるとかいう――」
「第一の質問をもう一度。何か?」
「カレーにスルーですねーっ!! 嬉しいのは何となくわかったから。とりあえず地図を見よう。なっ! 
 そっちは多分、男性は侵入してはいけないデルタ地帯な気がするのです」


165 名前: ◆OQ8MWHGnEc [] 投稿日:2010/01/03(日) 23:57:55.66 ID:C/LkRa5B0
「第二の質問ですが、デルタ地帯とは」
「いやーはっは。地図はどこでだろうなー」
デルタ地帯とは、とある着衣物の売り場の俗称であり「ホワイトデルタ」や「ブラックデルタっ!」として一部の男性の間でまるでロボットや必殺技のようなイントネーションで呼称される。
とくにブラックデルタは普段生活する上で見ることは難しいためホワイトデルタよりも声量がアップすることが普通である。
わかる人にだけわかってもらえればいい。それ以上の説明は不要な代物であり、上条当麻も誤魔化すのに必死である。
「おお、あっちにエスカレーターがあるじゃんか」
エスカレーター付近に店内地図があるのは大体どこの店でも同じである。
「ほぉーらいくぞ。サーシャ」
「第二の質問を……まったく」
サーシャは仕方なく質問をあきらめ上条当麻を追いかける。

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 00:27:41.73 ID:K1HROnId0
結局、上条当麻が行ったことのある店が集中している5階に行くことになった。
いつだったか事件に巻き込まれた日。ちょーどこの辺でビリビリこと御坂美琴がパジャマを試着していたことを思い出す。
思いのほか知らない学校の生徒が多いが今のところ常盤台中学の制服は見ていない。
この時間に、こんなに学生が多いということは、どうも学校が休みだったり早く学校が終わったところは上条当麻の学校だけではないらしい。
学校の中には休日の制服着用が義務なところも多く、それが定着しているところも多い。
普通ならそんな規則は、まるで法定速度を守るドライバーがいないように、守る学生などいないのだが、
学園都市は学生の街であるため、都市の外より自分の学校に誇りを持っている生徒が多い。そのため制服で活動する生徒も多いのだ。

そりゃーそうじゃなないと大覇星祭みたいな全学校が合同で行う超大規模な体育祭なんてできないよな。と上条当麻は結論付け、店探しを続行する。
店員数がレジ以外にも余裕があり、なおかつサーシャを見ても引かない…
いや、引いてもいいから服を選べるだけの余裕のありそうなそんな店を。

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/04(月) 00:35:57.74 ID:K1HROnId0
>>180
しまった
あーあーあー

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 00:37:23.29 ID:K1HROnId0
伝家の宝刀なかったこと作戦で行くか

187 名前:細かいことはのひとはスルーで 1/2[sage] 投稿日:2010/01/04(月) 00:47:23.81 ID:K1HROnId0
「肯定。しかし……」
サーシャは自分の服装をみてふるふると首を振る。
上条当麻としては、オープンカフェに堂々と座れるのに移動には尻込みするサーシャの気持ちがいまいち理解できない。
乙女心ってのはよくわかんねぇなくらいにしか思わない。
サーシャが上条当麻を気遣っていることなど、鈍感、にぶちん、フラグクラッシャー等々の異名を取る少年にはわからないのだ。
「んー。まぁ確かに上条さんもその服と一緒に歩くのは多少遠慮したいので……服でも買いに行くか?」
「肯定。できるのであれば――」
サーシャはまるで倍速でビデオを再生するかのように椅子に置いていた雑誌をめくる。
最初見た時は気がつかなかったがページにはいくつか付箋がはってあるようだ。
「ここ。ここに行きたい」
サーシャは胸元で大きく雑誌を開いてみせる。
とある店の特集記事で店の外観の写真の上にごてごてしたゴシック体の景気のいい謳い文句が並んでいる。
「seventh mist」
ちょっと前にとある事件が起こった場所で上条当麻には記憶にはないが彼自身も事件に巻き込まれている。
写真を見る限りは事件があったことなど感じられないほど外観は修復されている。
「そんじゃ、とりあえず店を出るか。ここの代金くらいなら出してやるよ」
「第九の解答ですがその必要はありません」
サーシャは太ももに付けたいたベルトを取り外し、ベルトの内側から革製の定期入れのようなものを取り出した。
中には御坂美琴でも持っていなさそうなキラキラしたキャッシュカードが入っていた。
「繊滅白書支払のカードです。あのクソ上司からは無駄遣いしないように言われましたが問題ありません」
「いや、そういうのってダメなんじゃないか……実際」
「補足ですが始末書ならニコライ=トルストイ司教様へ行くので問題ありません。」
始末書の届け先はそうなのかもしれないが、始末書を書くのはサーシャ自身なんじゃないのか?
そんな考えが上条当麻には浮かんだが、サーシャが伝票も持たずにレジへと向かうので、あわてて追いかける。
はたから見ると、手のかかる妹をおろおろと世話をする苦労症の兄のようでどことなく微笑ましい。




188 名前:細かいことはのひとはスルーで 2/2[sage] 投稿日:2010/01/04(月) 00:50:14.88 ID:K1HROnId0
「seventh mist」はその名の通り第七学区にあるごく普通の洋服屋である。
普通といってもそこは学園都市。小さい子供から一般的な学生。常盤台のお嬢様まで。
幅広い層をカバーするために品揃えは豊富であり、ビル丸まる一つのなかに大量のチェーン店が入っている。
サーシャは普段の二割増しくらいのスピードで店内を闊歩し目移りのお手本のようにきょろきょろきょろきょろ。
当然ながら、サーシャのファッションはここでも目を引き、好奇の目にさらされるサーシャを適度に庇いつつ上条当麻も後をついて歩く。
その様は普段はわがままを言わない娘のわがままに困りつつもちょっと喜んでいる馬鹿親のよう。
「ちょっ……サーシャ。ストップ! ストッープ!」何とか左手で右手を捕まえる。「第一の質問ですが、何か?」
「うぉお。質問数がリセットされたな。それはあれか? 場所が変わるとリセットされるとかいう――」
「第一の質問をもう一度。何か?」
「カレーにスルーですねーっ!! 嬉しいのは何となくわかったから。とりあえず地図を見よう。なっ! そっちは多分、男性は侵入してはいけないデルタ地帯な気がするのです」
「第二の質問ですが、デルタ地帯とは」
「いやーはっは。地図はどこでだろうなー」
デルタ地帯とは、とある着衣物の売り場の俗称であり「ホワイトデルタ」や「ブラックデルタっ!」として一部の男性の間でまるでロボットや必殺技のようなイントネーションで呼称される。
とくにブラックデルタは普段生活する上で見ることは難しいためホワイトデルタよりも声量がアップすることが普通である。
わかる人にだけわかってもらえればいい。それ以上の説明は不要な代物であり、上条当麻も誤魔化すのに必死である。
「おお、あっちにエスカレーターがあるじゃんか」
エスカレーター付近に店内地図があるのは大体どこの店でも同じである。
「ほぉーらいくぞ。サーシャ」
「第二の質問を……まったく」サーシャは仕方なく質問をあきらめ上条当麻を追いかける。
地図を見た結果、上条当麻でも知っているような有名店が集中している5階に行くことになった。
上条当麻の記憶にはないがビリビリこと御坂美琴がパジャマを試着していたのもこのフロアの店である。
思いのほか知らない学校の生徒が多いが今のところ常盤台中学の制服は見ていない。
この時間に、こんなに学生が多いということは、どうも学校が休みだったり早く学校が終わったところは上条当麻の学校だけではないらしい。
学校の中には休日の制服着用が義務なところも多く、それが定着しているところも多い。
普通ならそんな規則は、まるで法定速度を守るドライバーがいないように、守る学生などいないのだが、
学園都市は学生の街であるため、都市の外より自分の学校に誇りを持っている生徒が多い。そのため制服で活動する生徒も多いのだ。
そりゃーそうじゃなないと大覇星祭みたいな全学校が合同で行う超大規模な体育祭なんてできないよな。と上条当麻は結論付け、店探しを続行する。
店員数がレジ以外にも余裕があり、なおかつサーシャを見ても引かない……
いや、引いてもいいから服を選べるだけの余裕のありそうなそんな店を。


191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 00:59:11.43 ID:K1HROnId0
上条当麻の見つけた店の店員はまるで教育ママゴンのような顔をしていた。
絵にかいたような三角メガネ。ノリのきいたシャツをぴっちりと着こなし、棒ネクタイをこれでもかというほどきつく締めている。
どんな客でも対応しますというオーラが全身から湧き出ている。
「すいません」
「いらっしゃいませ。どういったものをお探し、あ、えー、お探しですか」
やっぱり引かれたー。
「えーと……この子を、とりあえず出歩いても犯罪じゃない程度に」
「かしこまりました」
上条当麻が見つけた如何にもやり手なおばちゃん店員はかしこまりましたの時点で完璧店員に戻っていた。
店員に連れられて行く間中、サーシャが「第三の質問ですが今のは私の人格を侮辱しているのですか上条当麻」
とかちょっと前に聞いた台詞をもごもごと言っていたが上条当麻は気にしない。驚異は去ったのだ。
金髪であるがゆえにまだ目立つかもしれないがそこはいつも腹ペこ外人シスターを連れまわしている上条当麻だ。
いまさら外人だの金髪だので道行く人に振り向かれようが何しようがどうということはないのだ。


193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 01:13:12.68 ID:K1HROnId0
今さらであるが上条当麻は不幸な少年だ。
例えば、いかにもやり手の店員さんが実はちょっとあれだったりしても
それはきっと店員さんが悪いのではなく上条当麻が悪いのだ。
試着室から出てきたサーシャを見て上条当麻は絶句した。
ワンピースだった。
ゴシックロリータの。
基本は黒をベースに袖とスカートのフリルが白。
頭には黒のカチューシャ。
いや、似合ってはいる。似合ってはいるのだが……見た目小学生にこの恰好をさせて隣を歩かせる。
犯罪じゃねぇか!!
思わずそう叫びたくなるが見た目デキル店員さんはどういった理由でこの服を選んだかについてこと細かく説明してくれていた。
上条当麻は校長の話を聞くとき以上にその話を聞き流すのだった。


200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 01:28:17.90 ID:K1HROnId0
「あの……上条当麻。第三の質問ですが、どうですか」
上条当麻は比較的鈍い少年である。しかし、女の子が着替えてきてどうですかと聞いているときに何を聞いているのかくらいはさすがにわかる。
「非常に、よく、お似合いだと」
「そうですか。ならば今日はこの服で過ごすことが正答と判断し、その解を実行する」
上条当麻にしてみれば、あの服もこの服も派手さ加減であるとか目立つ要素は同じなのだが、
おそらくサーシャにとって上司に無理やりああいった服を着せられるのが嫌で、案外派手な服が嫌いではないのかもしれない。
なんだかんだで、あの服で常に行動しているのだから。

サーシャが着ていた拘束具は支払いの際に、見た目できる店員によって紙袋に入れられた状態で手渡された。
当然、なんだかんだで女性に接する機会の多い上条当麻はナチュラルに荷物持ちに徹することができた。

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/04(月) 01:38:57.19 ID:K1HROnId0
現行スレほとんど踏んでた。あばばば。
オルソラスレとか五和スレとか立てばいいと思うの

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 01:44:55.06 ID:K1HROnId0
「さてこれからどうすっかなー」
当初の目的は曲がりなりにも達成できた。ガイドブックの付箋はまだ何箇所かに付いていたし、まだ二時を回ったくらいだ。
時間はまだまだある。
「さて、サーシャはどうする」
「ん……」
どうやらまだ、欲しい服でもあるのか、決めあぐねている様子だ。
「まぁ、こんだけ広いと目移りするよなー。まあゆっくり見て回りゃいいさ」
上条当麻は魔術サイドがこうやって日常に溶け込んでくれることがうれしい。
科学とか魔術とか関係なしに。博愛主義者とは違うのだが、少なくともこうしている間は戦争など起きはしないだろう。
「では、もう少し見て回ることにする」


209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 02:08:14.45 ID:K1HROnId0
それからのサーシャはすごかった。買うわ買うわ。よほど、カードを使って始末書を書きたいのか。
カードをパンクさせたいのか。ストレスをため込んでいたのか。
サーシャはロシア正教のせいか涼しい感じの服装が好きなようで主にワンピースだとか秋物よりは夏物よりの服を中心に購入していた。
浴衣にも多少興味があったようでしばらく悩んでいたが、一度着付けてもらって満足したのか、帯にうんざりしたのか諦めたようだった。
テンションが上がりすぎて荷物持ちの上条当麻を引き連れたまま下着売り場に入ろうとしたりして、上条当麻を困らせたりもしたりした。

とりあえず……サーシャが涼しいカッコが好きなのはわかった……
そういや、水着みたいな服をつねに来ていたわけだからな。いや、だったらゴスロリはどうなるんだ? 
あれって暑そうに見えるけど案外涼しいのか?

荷物持ちの最中様々な雑念が浮かんできたが五割増しのスピードで買い物を続けるサーシャを見る限りそこまで動きづらそうでもない。
上条当麻はサー社が買い物をしている間の中盤から後半にかけて、アメリカ映画のホームドラマに出てくるパパのようになっていた。
クリスマスに娘にひきつられ買い物に行きプレゼントを天井近くまで積み上げるような。
それで情けない声でまってくれよぉ~と言いながらコケて娘にあきれられるのだ。
さすがに上条当麻は天井まで荷物を積みはしなかったが両腕に紙袋の紐を通し、開いた両手を頭の上にもっていき何とかバランスを取っている状態だった。

「第四の質問ですが……大丈夫ですか?」
不意にサーシャが我にかえってくれたおかげで、ようやく上条当麻はベンチで休憩することができた。



211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 02:26:47.59 ID:K1HROnId0
「いや、なに、このくらい。常時不幸な上条さんは楽勝ですよー」
ひきつった笑いからは大丈夫な要素が感じられない。
「第五の質問ですが、貴方の目から見て私は不自然だったか」
「不自然?」
その質問自体は自然ではなかったが別段変ったところはなかっただろうと上条当麻は反芻する。
「補足一。私自身は今日の自分が自然ではなかったと感じている。捕捉二。私自身では解答を導くのが困難である。
結論。今日一緒にいた貴方に質問するのが最善」
矢継ぎ早にサーシャは言葉を告げた。
「そんなの、サーシャが楽しかったからに決まってるだろ」


214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 02:47:05.12 ID:K1HROnId0
何のことはない。一人の女の子が付箋をべたべた貼り付けたガイドブック片手に入りたい店に入って食べたい物を食べればそれはおいしいだろう。
ウキウキするだろう。楽しいだろう。
入ってみたい服屋で好きな服を選んで、着て、また好きな服を選べばそれは楽しいだろう。
上条当麻はサーシャの過去など知る由もないが、おそらくサーシャにはこういったことをした経験があまりないのではないだろうか。
まだ13歳くらいの女の子がだ。殲滅白書などといういかにも穏やかでない組織にいたのだ。
少なからず魔術の知識がある上条当麻にはそういった想像は難しくない。
もしも、今日みたいなことがはじめての体験だったのだとしたら、自分はその体験を共有するのにふさわしい人間だったのか。
結局、上条当麻にはわからないがそんなことはどーだっていいのだ。

「オレは楽しかったけどサーシャは楽しくなかったのか?」

この言葉一つで解決する。

周囲の人から奇異の目で見られて吹寄制理という危機を回避してサーシャの荷物持ち。
こう書くと普段の上条当麻なら不幸だ何だといったかもしれないが、楽しかったのだ。でなければわざわざ荷物持ちなどやったりしない。
無表情に見えてコロコロ感情が変わるサーシャは見ていて飽きないし、楽しい。
そういった感情がさっきの言葉には込められているのだ。


216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 03:03:53.08 ID:K1HROnId0
「私は……」
しばしの間沈黙が続く。
おそらく言葉を選んでいるのだろう。思案している様子がうかがえる。
「第十の解答ですが、私は多分楽しかったのだと思います。質問と解答が十までいったのはあなたが初めてだから」
そんなに質問と回答が続くわけがない。サーシャは上条当麻にそう言った手前からか、ほんのり顔を赤らめて俯いた。

「そうか。それならよかった」
上条当麻は満足そうに笑った。

「第六の質問ですが、今日のこれはいわゆるデートというやつなのでしょうか」
顔を赤らめ、俯いたままサーシャは質問する


219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 03:19:11.65 ID:K1HROnId0
「うあおえうああぃうあぁあ」
意識するとダメな少年。上条当麻は訳のわからないうめき声を上げる。
投げるボールはいつもまっすぐなくせに、ストレートにめっぽう弱い。
いつもはストレートをストレートと認識できないほどだ。

「あ、ええと、デートだったのではないでせうか」
言葉はしどろもどろ、まともに目も合わせられない。
サーシャがうつむいていてくれてよかったと上条当麻は居もしない誰かに感謝する。

「第七の質問ですが、まだ行きたいところがあるのです」
サーシャは付箋付きのガイドブックをギュッと握りしめてから
「もう少しだけ付き合ってもらえますか?」
と尋ねた。

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/04(月) 03:27:56.24 ID:K1HROnId0
「ああ、もちろん。まだまだ時間はあるんだからな」
時計はまだ三時を指したあたりだ。時間はまだたっぷりある。

おそらくサーシャが「私は既に上条当麻と付き合っています」と言える日はまだ先のことだろう。
それまでに二人は、いくつもの質問をしいくつもの解答を出すのであろう。

サーシャは再び胸元で大きく雑誌を開いてみせる。
「次はここに行きたい」
「よしじゃあ行くか!」

二人のデートはまだ始まったばかりである。





388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 00:11:42.45 ID:9DXDatT4P
       / : : : : : : : / |ヘ:: : : : : : : : \
     /..: : : : : : : :∧ :!,∧:.: : : : : : : : :\
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    ゝ;: : : : : : : :∧ ヾ! ||/ ∧r‐--、r.、 : : ノ
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       !三三三三ミ\ | /三| ゙[三]::::!三ミ!   まだなの
    /:: ̄:/  ̄ ̄ ̄ `'' ̄ ̄└‐‐<:`´:: ̄!
.    /: : : : /! i l /l ハ ハ ハ /l /'ヽ: : : :ヽ,
.  /: : : : /' l ハ. N l/ l/ l/ l/ !/l  ハ: : : : ヘ
  /: : : : /l 从ハl       '     ル'!イ  !: : : : :ヘ
. /: : : : / Y /, ヘ、    ‐‐    人  !  l: : : : : ::ヘ
/: : : : / i  ∨/r≦l>、.___,.イ≧ハ/  ∧: : : : : : ヘ
: : : : /  ',.  V4三o三Y゙rt Y三o三ラ゙  /' ハ : : : : : : ヘ
: : : /!  八  乂三三ニlイ ト、l三=/  / / ハ: : : : : : : ヘ
.: ::/入 k´:\  ヾ"=ム∀,ム=ツ  //  /::\i: : : : : : : ::ヘ
: :7 r':\ ヽ: λ  !: : : ::介:: :/ /:.::/  /: : : : :l: : : : : : : : :ヘ
:.:i  ハ : : ヽ ∨l. ノ.: ::/l lヽ:l/、: : / ,/: : : : : ::l:: : : : : : : : ::ヘ

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 01:12:38.02 ID:9DXDatT4P
サーシャ「第二の質問ですが、これからどうするのですか」

上条「そうだなぁ…サーシャも普通の服に着替えたしどこでもいいけどな」

サーシャ「補足説明しますと私はあなたと一緒ならどこにいてもいいです」

ぼそり、とサーシャが呟くがそれは上条さんの耳にはとどかない

上条さんはそうだなぁ、と腕を組むと

上条「買い物なら第七学区でもいいし…遊園地とかなら第六学区かなぁ…」

上条「でもミーシャの服も少し買っときたいし、今日は買い物に行こうか」



バヤリース飲み終わるまで書こう

400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 01:20:41.26 ID:9DXDatT4P
ミーシャとワシリーサが出てきてカナミンの服着せようとしたのって何巻だっけ

401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 01:34:41.83 ID:9DXDatT4P
解決した12巻だった

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 01:49:02.00 ID:9DXDatT4P
上条「じゃあ行くか」

上条が言うとサーシャはその後に続く

『テンメェェェェェェェェェェェッ!!!!!』

上条は初めて、サーシャには聞き慣れた声が聞こえた

壁から小さな人形が現れ上条の顔にドロップキックを仕掛けるが、空中でサーシャのバールに弾き落とされる

『さ、サーシャちゃん!?』

サーシャ「第一の質問ですが、覗き見ですか」

『違うもん!サーシャちゃんが服を着替えたって反応がぬぅぅぅおあ!!』

グチャリ、とサーシャは金槌で人形を叩き潰す

サーシャ「第二の質問ですが、衣服の脱着を監視する霊装などいつ仕掛けたのですかクソ野郎」

『それはひ・み・つーえへへあは―――それよりそこの猿は何者ぶち殺すぞコラ』

上条「えっと、何がなんだか…」


405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 02:00:23.04 ID:9DXDatT4P
上条さんは目の前で展開される光景にまったくついていけなくなっている

サーシャ「面倒なので解答ですが問題ありません上条当麻、さっさと行きましょう」

『ひ、ひどい!?サーシャちゃん事情の説明も無しなの!?でもそんなサーシャちゃんも可愛いなコンチキショー!』

サーシャ「第一の解答ですが、私は既に上条当麻と付き合っています」

『待ってサーシャちゃん!この際服とかどうでもいいわ!その野郎は誰なの!?ああでもワンピース姿のサーシャちゃんもラブリー!!』

サーシャ「補足説明しますと上条当麻に危害を加えた場合、生命の保証はしかねます」

『…………………………えっ!?事情が飲み込めないんだけどー!?』

407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 02:11:21.29 ID:9DXDatT4P
『付き合ってる!?どういうことお母さん許しませんよ!!』

『ちょっとーサーシャちゃん!?分かるように説明して欲しいんだけどー!?』

『サーシャちゃーん!聞いてサーシャちゃーん!!!』

上条「…なあ」

道中延々と語りかけてくる声にがだんだん悲痛になってくるのに耐え切れなくなった上条さんが口を開く

上条「返事しなくていいのか?」

『ほらほらサーシャちゃん、このクソ猿も言ってることだし事情を説明してー!』

サーシャ「第一の解答ですが、必要ありません」

上条「サルって…それにサーシャも、お母さんならキチンとこういうことは説明したほうが…」

『こ、こういうこと!?私のサーシャちゃんにナニしてくれてんだコラァ!?むしろナニしたのか!―――くっそぅ写真ください』

サーシャ「第二の解答ですが、これは私の母ではなく上司です」

サーシャ「補足説明しますと、これはワシリーサという明らかに偽名のクソ上司です」

ワシリーサ『んもう、サーシャちゃんったらー恥ずかしがらなくてもいいのにぃ』

上条「上司…?」

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 02:26:55.49 ID:9DXDatT4P
サーシャ「ロシア成教の特殊部隊『殲滅白書』の実質的まとめ役です」

上条「それって凄い偉い人じゃないのか…?」

特殊部隊の一番上の人、ということでビクビクしてしまう上条さん。上条さんの頭の中ではスーツに身を固めた三角眼鏡の老女が腕を組んでいた

ワシリーサ『サーシャちゃんどういうことなのぉー…好きな子がいるなら言いなさいってあれほど言ったのにぃ』

サーシャ「第三の解答ですが、偉い人です。が、この場面では特に気にする必要はありません」

ワシリーサ『あれ?私ハブられてる!?』

上条「いや、説明くらいはしておいたほうがいいんじゃないか?」

サーシャ「第四の解答ですが、説明しようがしまいがこいつはついてくるので無視してうちひがれるのを待つのが一番です」

ワシリーサ『何!?サーシャちゃんから放置プレイのお誘い!?』

上条「あー、ワシリーサさんでしたっけ」

ワシリーサ『何よ泥棒猫!』

上条「……えっと」

サーシャ「第五の解答ですが、これから上条当麻とデートです、邪魔しないでください」

ワシリーサ『なん…だと…』

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 02:37:12.78 ID:9DXDatT4P
ワシリーサ『どどどど、どういうこと!?』

サーシャは声のする方向に向き

サーシャ「第六の解答ですが、これから二人で買い物の後二人で一日を過ごす予定です」

ワシリーサ『…………い』

上条「い?」

ワシリーサ『一本足の家の人喰い婆さん、髑髏のランプをくださいな。不実な継母達を焼き殺す、炎を噴き出す髑髏のランプを』

ボバッ!!と炎が上条さんの姿を塗りつぶす

ワシリーサ『へっへーん』

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 02:49:31.37 ID:9DXDatT4P
サーシャ「……」

ワシリーサ『駄目よサーシャちゃん!異教の猿にまともな男はいないんだから!それに私より弱い人間にサーシャちゃんを渡す気なんてないんだから!』

サーシャ「第七の解答ですが、それならば合格ですね」

ワシリーサ『は?』

炎が晴れた後、そこには右腕を突き出した上条さんの姿が

上条「な、なんなんだ…」

ワシリーサ『こ、こんなの小手調べでしかないんだから!』

―ハイパーワシリーサタイム―

ワシリーサ『……なんで効かないの!?とっとと死ねよクソガキ!』

上条「もう帰っていいですか…」

サーシャ「第一の解答ですが、そろそろ諦めてください」

上条(あ、リセットされた)

ワシリーサ『サーシャちゃん…し、仕方ないわね…』

ワシリーサ『上条当麻!サーシャちゃんとエッチするときは連絡しなさい!』

ビシッ!と上条さんを指さす人形をサーシャはクレータが出来るくらい思い切りぶっ潰した

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 02:58:19.31 ID:9DXDatT4P
バヤリース飲み終わった

437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 13:35:44.09 ID:9DXDatT4P


445 名前:ID:VFMmY7p90は?[] 投稿日:2010/01/07(木) 16:14:37.83 ID:9DXDatT4P
上条「ちょっ!?サーシャどこ行くんだ?あのクソ上司を殴りに行く?ちょっと待った待った!服買いに行くんだろ!」

サーシャの両肩を掴む上条さん。幻想殺しで魔術を封じられている為にバタバタと両手を振ることしか出来ないサーシャ

サーシャが冷静になるまで羽交い絞めにしてしばらく待つ。しばらくして冷静になったのか「ワシリーサ殺す」と呟きながらも暴れるのをやめる

サーシャ「第二の解答ですが、もう冷静になりました。離してください」

上条「本当に?離した途端に走って壁越えたりしない?」

サーシャ「第三の解答ですが、しません」

上条「そ、そっか」

拘束を緩めた瞬間にバランスを崩したサーシャが転びそうになる

それを支えようとした上条さんは離しかけていた手を戻し、サーシャを支える

上条さんの手がサーシャの小さな胸をぎゅむーっとホールドしてしまった

サーシャ「―――――ッ!!」

上条「大丈夫か?………ん?」

ワンピースの布地は薄い。サーシャはいち早く現状を認識し逃れようとバタバタと暴れる

上条「やっぱり行くつもり満々じゃねえかッ!!!」

サーシャ「だだだだだ、第一の質問ですがあなたはこんな公道で何をするつもりですか!?」

447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/07(木) 16:31:56.20 ID:9DXDatT4P
ねえID:VFMmY7p90は?



上条「何ってお前を止めてんだろうが!」

サーシャ「だ、第二の質問ですが揉みしだくとは止める部類に入るのですか!?」

実際には上条さんは手を動かしていない。サーシャが暴れるので揉む、というより撫でる?状況になっているのだが

上条さんは逃がしてはならないと必死で。サーシャは離れようと必死で気づいていない

上条「さっき冷静になったとか言ってたじゃねえか!」

サーシャ「第四の解答ですが現在混乱しているのはあなたのせいです!!!」

上条さんはその発言に「ん?」と疑問の表情を作ると拘束が僅かに緩む

その隙にサーシャは上条さんの腕から脱出する

上条「あ!?」

サーシャは壁に背中をつけて両腕で胸を隠し、ワシリーサが見たら悶絶するような表情をして上条さんを睨む

上条「な、なんだよ」

サーシャ「第三の質問ですが、よくそれだけ鈍いままでいられますね」

538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 08:36:49.11 ID:+pRj+rsjP
第一の質問ですが、何故残っているのですか…

543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 09:56:50.24 ID:+pRj+rsjP
じゃあ今から三ツ矢サイダー買ってくる

547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 10:56:24.49 ID:+pRj+rsjP
三ツ矢サイダーのんでる間だけ書く


上条「あのサーシャ様」

サーシャ「……」

上条「なんで怒ってるんでせうか……?」

サーシャ「第五の解答ですが、怒っていません」

全身からオーラのようなものを漂わせてついてくるサーシャにビビる上条さん

上条「何かわたくしがイケナイ事をしてしまったのなら謝りますが土下座で」

サーシャ「………」

上条「ひいぃぃっ!やっぱり怒ってるじゃねえか!」

ズザーッ!と土下座モードに移行する上条さんをサーシャは前髪の奥から見つめてため息をつく

サーシャ「第四の質問ですが、何が悪いか分かっていますか」

上条「いえまったく分かりませんですます」

サーシャ「第五の質問ですが、私と上条当麻の関係はなんでしょうか」



549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 11:07:17.41 ID:+pRj+rsjP
上条「……」

サーシャ「第六の解答ですが、恋人です」

サーシャ「第六の質問ですか、カップルは道を歩く時乳房を揉みしだくしょうか」

上条さんははっ!と両手を見つめると

上条「あの時この両手はサーシャの……!?上条さんの欲望は無意識のぐぼふぁっ!」

サーシャはどこからともなく金槌(ショックレスハンマー1520円)を取り出すと上条さんを殴り飛ばす

サーシャ「第七の質問ですが、恋人とは道を共に歩く時にどうするのでしょうか」

そう言うと倒れている上条さんに手を差し出す

上条「あー、」

上条さんは頭をぽりぽりかくと

上条「仕方ねえな……ほら」

ぎゅ、とサーシャの手を握り立ち上がる

そしてそのまま共に道を歩いた

サーシャ「第六の解答ですが、半分だけ正解です」

ぼそりとサーシャが呟いた

553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 11:17:06.48 ID:+pRj+rsjP
>>550
なにこれ

556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 11:35:16.62 ID:+pRj+rsjP
セブンスミスト

サーシャ「だ、第一の質問ですが、どうでしょうか」

白のブラウス、紺のプリーツスカート。若干常盤台の制服に見えなくも無い

上条「似合ってる似合ってる(お、リセットされた)」

サーシャ「……第二の質問ですが、真面目に見ていますか」

上条「見てる見てる」

上条さんが携帯から目を上げると目の前にサーシャの顔があった

上条「うわぁっ!」

サーシャ「第三の質問ですが、余所見しながら私の服装の評価はできるのでしょうか」

目の前でサーシャの前髪ごしに見つめられて詰め寄られる上条さん

上条「すいませんでした……」

557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 11:36:32.96 ID:+pRj+rsjP
三ツ矢サイダー飲み終わった

562 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 11:54:18.92 ID:+pRj+rsjP
サーシャはコツンと上条さんにおでこをぶつけると

サーシャ「では第四の質問ですが、どうでしょうか」

言って、その場でくるりとターンする

上条「可愛いですはい」

サーシャ「………」

上条「あれ!?なんでせう!?わたくしめ何か間違ったこと申しましたでせうか!?」

ぷくー、と頬を膨らませる。前髪で隠れて見えないが目尻には涙も溜まっている

そんなサーシャの様子にひたすら慌てる上条さん

上条「姫、なにゆえそのように怒っていらっしゃるのですか!?」

サーシャ「……………………………第五の質問ですが、どうしてそう恥ずかしがるのですか」

上条「恥ずかしがるとは!?上条さんは羞恥プレイもオッケーな子ですよ!?」

サーシャ「第一の解答ですが!『可愛いよサーシャ』くらいは言えないのでしょうか!」

腕をブンブン振って怒るサーシャ

上条「いえ上条さんはダディクールでは無いのでそんな歯の浮くようなセリフはとてもとても」

上条さんはサーシャにポカポカと殴られた。ちなみに店員さんはその光景をほんわかした表情で見つめている

563 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 12:04:04.46 ID:+pRj+rsjP
店員「お客様にはこのお洋服がお似合いになると思いますよ」

店員さんが持ってきた洋服は

上条「ゴシックロリータ……」

戦慄して上条さんは服とサーシャを交互に見つめる

サーシャ「第二の解答ですが、似合う似合わない以前にそんな服を着て街を歩きたくありません」

店員・上条「えー……」

サーシャ「第六の質問ですがどうして二人してそんなガッカリした顔をするんですか!!!」

店員「似合いそうなのに……」

上条「絶対可愛いのに……」

ワシリーサ『絶対可愛いわサーシャちゃぁん♪』

とりあえず人形だけ吹き飛ばしておいた

565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/09(土) 12:20:11.71 ID:+pRj+rsjP
サーシャ「…………ッ!!!」

俯いた顔は羞恥で紅く染まり、おなかの前で揃えられた拳は堅く握り締められていた

店員「お人形さんみたい……」

上条「………」

店員さんはうるうると涙をこぼしそうなくらいに感動して、上条さんはポカンと口を開けていた

サーシャ「第七の質問ですが、か、上条当麻、感想を!!」

上条「えっ!?すげえ可愛いけど……」

サーシャ「第八の質問ですが、けどなんですか!」

上条さんはふらふらとサーシャに近づくと、おもむろにお姫様抱っこした

サーシャ「!?」

上条「ほんとにお人形さんみたいだな」

サーシャ「第九の質問ですが何をしているのですか!?」

上条「あー、可愛いな」

サーシャ「――――ッ!!」

669 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 21:57:13.38 ID:idrzaMwY0
次にサーシャが希望したのは地下街である。
流石に大荷物を抱えたままデート――いやいや、サーシャが行きたいところに行くのもなんなので上条当麻はコインロッカーを探すことにした。
地下鉄乗り場付近ならばコインロッカーもあるだろう。
どのみち交通機関を使わねばならない。
これがどこかのお嬢様ならコインロッカーがわりにホテルを借りるという暴挙もできるのだろうが、そこは一般庶民の上条当麻。
辺りを見回し、地下に続く階段を探す。

階段を降りた先でコインロッカーを見つけ、荷物を詰め込むと、サーシャがカードを差し出してきた。
「これ」
「あーダメダメ。コインロッカーは小銭じゃないと。あと、切符もそう。専用のカードとかケータイとかじゃないと。一応聞くけど日本円持ってる?」
「否定」
「んじゃーここと、切符代はオレがだすよ」
今時、ID認証で支払い機能を持つ携帯電話など学園都市では珍しくもないが、サーシャが学園都市製のケータイを持っているはずもない。

670 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 22:04:11.06 ID:idrzaMwY0
ロッカーは思いのほかすんなり見つかったのだが、300円のコインロッカーでは惜しい感じに入りきらず、大人しく500円のコインロッカーにいれなおす。
「二個使うと600円ってのが味噌だよなぁ。おまけにノーリターン。学生に優しくねぇ……」
そんなことを呟きながら、上条当麻はロッカーの鍵を閉める。
コインが5枚落ちる音がしてからロッカー閉まっているのを確認し、ポケットに鍵をしまうがサーシャがもの欲しそうな顔で見上げていることに上条当麻は気がついた。

「……なんだ、欲しいの?」
ポケットからロッカーの鍵を取り出してぷらぷらと揺らすとサーシャはコクンとうなずいた。
「なくしちゃだめですよー」
サーシャの右手に鍵を握りこませ、地下鉄乗り場へ向かう。

673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 22:24:49.83 ID:idrzaMwY0
切符券売機に千円札を滑り込ませ、目的地の切符を買いサーシャに渡す。
「サーシャは地下鉄に乗ったことあるのか?」
「否定」
「ロシアって地下鉄あったよな」
いつ習ったかはわからないが上条当麻の記憶にロシア地下鉄の情報があった。
上条当麻は大別すれば勉強ができないタイプの少年であるためそれ以上の情報はないが。
「ロシアの地下鉄は核戦争を想定してシェルターになるように作られている。そのため地中深くに地下鉄が開通されている」
「へぇ」
冷戦とかいろいろあったもんなぁと思ってみたりもするが先に述べたとおり上条当麻は歴史に詳しくない。
そんなことよりも淡々と核だとか戦争だとか女の子に話してほしくないなと上条当麻は思う。
上条当麻は結局のところ一般人という属性から離れられないのだ。


675 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 22:39:20.91 ID:idrzaMwY0
ホームに降りたとき、ちょうど地下鉄の列車が発車する所だった。
電子音で作られたベルが鳴っている。
サーシャと二人急いで乗り込む。 
ほどなくしてゆっくりした動きで列車が走り始めた。
列車内は程よい込み具合だったので、その服じゃ立ってるのも大変だろうからと適当な理由をつけサーシャを座らせ、上条当麻はサーシャの前の吊皮につかまる。
サーシャの前に立つことで視線に対する壁になるつもりなのだ。
「……目的地までは、三駅ってトコか」
上条当麻はドア上の電光掲示板を見上げながら咳いた。
「そう言えば、サーシャって時計とか付けてないんだな。ケータイ持ってんの?」
「第一の解答ですが、魔術的に意味のない装飾品は戦闘の邪魔になりますので。補足一。基本ロシア成教の戦いは夜間に行われますので付けたとしても文字盤が見えないのです。
第二の質問ですが携帯電話は持っていません」

676 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 22:56:20.14 ID:idrzaMwY0
戦闘の邪魔になるか。
サーシャの装備品と言えば――あれはミーシャの装備なのか――のこぎり? とバール? 
だが、先ほど鍵を欲しがっていたしどことなく工具とかのメカメカしい道具が好きなのかもしれない。
上条当麻が出会ったことのある魔術師で腕時計を身につけている奴はあんまりいないことを考えると魔術的に関係がないものは基本的に身につけないのが普通なのだろう。
一人、思いっきり趣味嗜好でタバコを常備している奴がいるがあいつは例外だ。

インデックス曰く、時間も魔術的には重要な役割を持つらしいが、、むしろ星の位置だとか、太陽の沈み加減だとか、日にちだとか曜日が重要なのかもしれない。
まあインデックスに限って言えば正確な体内時計があるのだが。
そうこうしている内に、列車は一駅目に到着した。多少の入が乗り降りしていく。新しく乗り込んできた乗客は皆、サーシャの格好を見てギョッとしていた。
ドアが閉まり、再び列車は走り始める。
残りは二駅。

678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 23:09:39.06 ID:idrzaMwY0
その日、御坂美琴は学校が正午まであったことに憤慨していた。
学園都市にある多くの学校が休み、もしくは振替休日となっていたにも関わらず、御坂美琴の通う常盤台中学は昼過ぎまで授業があったからだ。
「名門常盤台中学は規定道理に授業を全うします」
確かえらそーにそんなことを言っていたが何のことはない。
一斉に学生が街にあふれ出ればいろいろと問題が生じるため、いわゆるデキる学校は午前中授業だったりするだけなのだと御坂美琴は推察する。
今日は学園都市の教職員の健康診断なのだ。
教職員がいなければ当然学校は休みになる。

682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 23:22:13.17 ID:idrzaMwY0
学園都市の住人の多くは学生である。
無論、医療器具は学生向け……というわけではない。よほど子供でもない限り医療器具に根本的な違いはない。
先ほどの御坂美琴の推察は半分正解だが半分間違いだ。
健康診断というのは表向きの理由で本当の目的は別にある。
超能力者でない者。つまりは学園都市にいる大人に対してのAIM拡散力場がもたらす影響の調査なのだ。

AIM拡散力場とは正式名称An_Invountary_Movement拡散力場。
能力者が無自覚に発してしまう微弱な力のフィールド全般を指す言葉である。
微弱であるがゆえに人体に影響力は無い……とされている。
されているだけであって本当のところはわからないのだ。
対象は常にAIM拡散力場に身をさらし続けている教職員。
特に念入りに検査することになっているのがレベル4~5を保有している学校の教師。
つまりは名門とされている学校の教師。
加えてアンチスキルとして活動している教師。
こちらは言い訳は簡単である。
アンチスキルをいっぺんに調べて警備が手薄になるわけにはいかないから、とでもいえばいい。

上条当麻が学校がなぜ休みなのかを知らなかったのは、彼が先生の話を聞いていなかったからではない。
教職員も、なぜ健康診断のために学校が休みになるのかを根っこの部分で納得していなかったからなのだ。


683 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 23:29:58.90 ID:idrzaMwY0
(あーもう……ゲコ太ゲコ太ゲコ太ゲコ太ゲコ太ゲコ太)
御坂美琴は食い入るようにケータイの時計を見る。
地下鉄が遅れている。もう30秒も。
このままではとあるお店の限定ゲコ太ケータイクリーナーが手に入らない。
普段の学園都市ならば秒単位で正確な運行をするのだが、どうやら今日は勝手が違うようだ。
休みだったら朝から行けたのにー
と思いはするが朝から学校をサボったりしないあたり。
御坂美琴は一応常識人なのだ。

686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/10(日) 23:43:35.58 ID:idrzaMwY0
地下街にでた上条当麻たちが最初に向かったのはアクセサリーショップである。
サーシャ曰く、術式に必要なものがあるらしい。
上条当麻としては女性と、しかもゴスロリで金髪という鬼に金棒というかなんというか状態のサーシャとアクセサリーショップに入るのは流石に勇気が必要だった。
何せ中にいる客層が上条当麻と同年代でカップルばかりなのだ。
右を見れば彼女の指に指輪をはめる少年が。
左を見ればこのアクセサリーかわいーと遠まわしに買え! 買って! と要求している少女が
店の雰囲気も全体的にピンクというかダークというか。どちらかと言えば清潔感のない店なのだ。
普段こういう店に来ない上条当麻は気後れしてしまう。

688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:09:28.42 ID:AHXIWdQm0
「第一の質問ですが、何をそんなにおびえているのです?」
「いや、怯えてるっていうか、あんまりこういう店こないからなぁ。物珍しいつーか」
「第二の質問ですが、貴方はあまりアクセサリーは身につけないのですか」
特に何もつけていない上条当麻を見てサーシャが尋ねる。
上条当麻は基本的に装飾品は身につけない。
学校にいる時はシャツの上に学生服だし、休日はズボンにTシャツだ。
そう言えば学校の校則はどうなんだろうとサーシャに指摘され考える。
青髪ピアスや、土御門のグラサンがまかり通っているのだ。
オールOKなのだろう。
記憶を失ってから、上条当麻は一応家の中をひっ繰り返してみたが装飾品など特になかった。
おそらく、記憶を失う前の上条当麻も外見にさほどこだわらない性格だったのだろう。

691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:32:23.48 ID:AHXIWdQm0
「第三の質問……というかお願いなのですが、安物でいいので指輪を一つ買ってくれませんか?」
「ん? ああ、もちろん」
今まで、極力身銭を切ろうとしていたサーシャなだけに上条当麻としては意外な申し出だった。
「魔術的に異性から指輪をはめて貰うのが重要なのです」
「あーなるほどなー」
「本来なら予定していなかった装備ですが、いい機会ですので」
上条当麻はシルバーリングの比較的地味なやつを三つほど選んだ。
地味といってもほかのシルバーリングが髑髏だったり竜の鱗のようだったりしたためだが。

697 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:41:43.36 ID:AHXIWdQm0
「サーシャはこの中でだったらどれがいい?」
「……真ん中のこれで」
サーシャが選んだのは三つの中で一番安いリングだった。
「えっと、サイズは大丈夫か?」
上条当麻の右手のひらに乗せられたリングをサーシャは中指と親指で摘むようにして持ち上げると、左手の人差し指に当てた。
「……」
「第四の質問ですがどうかしましたか?」
上条当麻の視線に、不思議そうな、どことなく不安そうな顔を浮かべるサーシャ。
「ああ、いや、なんでもない。なんでもない」
サーシャの指輪をつまみ上げるしぐさが、ミーシャにガムを上げたときの記憶と重なったのだ。
「じゃあ、それ買ってくるな」


700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:55:08.91 ID:AHXIWdQm0
指輪を買い終わると、ちょうどサーシャが別の品物を別のレジで支払っているところだった。
幸いなことに、カードが使えるらしい。
上条当麻はサーシャから見えるようにして店からでて、近くにあるベンチに座り、包装をとく。
……なんだか今日は緊張しっぱなしな気がするのですよ。

指輪を、女の子の、指に、はめる。
ただこれだけのことが上条当麻の心に重くのしかかる。
「『上条さんに任せなさい!』じゃねーだろ!」 と数分前の自分を罵りつつサーシャを待つ。
だって、ねぇ、否応にも、やめるときもーすこやかなときもーうんたらかんたらどうのこうのを思い浮かべるじゃないですか。

誰に弁解するでもなく心の中でしゃべり続ける上条当麻。

いやいやいや、サーシャは特に意識とかしてないんですよ。もちろん上条さんもそんな、ねぇ。
別にサーシャのゴスロリ服がウェディングドレスに見えてきたりとか全然ないんですよー。

703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 01:13:39.60 ID:AHXIWdQm0
「おまけのゲコ太ケータイクリーナーここまでのお客様までとさせていただきまーす。申し訳ございませーん」
アイスクリーム屋の店員の営業スマイル全開のお詫びに御坂美琴は地獄に叩き落とされた。
まるで謀ったかのように御坂美琴の並ぶ前の客まででゲコ太ケータイクリーナーは品切れとなったのだった。
「終ったわ……私の人生。はは……」
30°ほど前のめりになる御坂美琴。
別にみんながみんなゲコ太ケータイクリーナー目当てではなく、単に地下街に生徒の多くがあふれたためにどの飲食店もキャパシティをオーバーしてしまったという話なのだが。
そんなことは御坂美琴には関係ない。

後輩の白井黒子達との誘いを断ってまで来たというのに。
いまさら列を抜ける気にもならず、仕方なくやけ食いをする決意をする。

程無くして、御坂美琴の客の前まで列が進んだ。
せめて実物をこの目で拝もうとそう思い、御坂美琴は目立たない程度に身を乗り出す。


708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 01:43:13.36 ID:AHXIWdQm0
「あ、私このカエルいらなーい。ちょーきもいしー。チョコバニラ二つー」
そう言って前の客はチョコバニラを受け取るとテーブルに座ることなく地下街へ消えてゆく。
ゲコ太を馬鹿にされた怒りと喜びで、御坂美琴はわけのわからない感情に心躍った。
やけ食い用に何を食べるか忘れてしまったほどだ。
「次のお客様ー。ご注文をどうぞ」
「えっ! あっ、ゲコ太っ……じゃなかったチョコバニラを」
「申し訳ありません。チョコバニラは先ほどの――」
「すっストロベリーでいいですはい」
メニュー表の中からテキトーに選んで代金を支払う。
「では、こちらおまけのゲコ太ケータイクリーナー……です」
あまりにも嬉しそうな顔で受け取るので店員は若干引き気味だった。

709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 01:51:29.91 ID:AHXIWdQm0
御坂美琴は喜びの余りふらふらした足取りでテーブルに向かう。
あいにくテーブルはどこも誰かが確保していて座る席がない。
立ち食いでもまあ別にかまわないんだけどなどと考えていた時だ。
子供の泣き声が聞こえてきた。
「やーだぁーゲコ太ぁ。欲しぃ! ほーしーい!」
「わがまま言わないの。無いものは仕方ないでしょう」
おそらく高校生くらいの姉が、泣きじゃくる妹をあやしていた。
「……」
御坂美琴は右手でギュッとゲコ太を握りしめる。

「あのーよかったら、これ――」


713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 02:03:29.29 ID:AHXIWdQm0


御坂美琴がゲコ太で地獄に突き落とされているころ、サーシャは茶色い包装紙を右手に持ち店から出てくるところだった。
「お待たせしました。上条当麻」
「いや、いや全然待ってないのですよははは」
上条当麻は緊張のあまりテンションがおかしい。
「指輪。ありがとうございます」
髪が少し揺れるくらい、サーシャは頭を下げた。
「んで、どうすんだこれ。さっそく付けさせてもらってもいいのか?」
「第一の解答ですが太陽光の下で行うのが決まりですので。第五の質問ですが貴方は何か地下に用事がありますか」
「オレは無いけど。サーシャは?」
「第二の解答ですがありません」
「じゃあ、地下街から出るか。んーとどっから出るのが近いだー。えーと」

715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 02:15:25.38 ID:AHXIWdQm0
地下街から出ると、少し目がくらんだ。
秋とはいえまだ夏の日差しのように感じられる。
思わず手をかざした上条当麻を見てサーシャは尋ねる。
「第六の質問ですが眩しいのですか」
「ん。ああ。サーシャは平気なんだな」
「第三の解答ですが鍛えてますから」
「……なるほど」


上条当麻としてはなるべく人通りの少ないところでゆっくり座って事をなしたい。
一応儀式に分類されるのだろうから、パッとつけてハイ終わりというわけにもいかないだろう。
地下から上がって少し歩くと人通りも薄くなり、空いているベンチも多くなってきた。
「あそこでいいかな」
「了解」

716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 02:26:06.61 ID:AHXIWdQm0
「お姉ちゃんありがとー」
「ありがとうございました」
二人から手を振られ笑顔で別れた御坂美琴は軽い溜息をついた。
自分でも馬鹿だなとは思う。
ただ、子供が泣くのはよくない。
あれはわがままとは違うのだ。店側のミスである。……たぶん。
だから、ほしい子供には手に入れる権利があるのだ。

御坂美琴はケータイのストラップを見て笑顔を作る。
ラヴリーミトンのゲコ太ストラップが笑顔で御坂美琴を見つめている。
まあいいか。私にはこれがあるんだから。
そう自分を納得させ、御坂美琴はアイスクリーム屋を後にする。
少し早いが、たまには門限を守ってみようかな。
御坂美琴は地下街から出るための階段へと向かった。

720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/11(月) 02:34:03.76 ID:AHXIWdQm0

「えーそれではですね。僭越ながら私こと上条当麻がリングを付けさせてもらうのですよ」
上条当麻の手より、幾分小さいサーシャの左手を右手で優しくもつ。
サーシャの手はロシアにいるからなのかひんやりしていて気持ちよかった。
左手で指輪を持ち、そっとサーシャの人差し指に通して行く。
「あ……」
不意に、上条当麻が声を上げ、手が止まる。
「ゴメンサーシャ。だめだ」

723 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/11(月) 02:43:59.07 ID:AHXIWdQm0
「第七の質問ですがダメとはどういうことでしょう」
サーシャは不安そうに顔をあげた。
「右手で指輪に触っちまった。えーと知ってるかもしれないけどおれの右手で触れたものは一切の異能の力が殺されちまうんだだから……」
「第四の解答ですが、それなら問題ありません。補足一。貴方に指につけてもらって初めて儀式的に意味が生まれます。補足二。今さら繋いだ手を離すつもりですか? 」
「あ……」
サーシャの左手はまだ上条当麻の右手とつながっている。
急に気恥ずかしくなって、かといって釘を刺された手前離すわけにもいかず。
「なるべく、指から遠いところを持つから……」
持ち方を変えもう一度、ゆっくりとサーシャの人差し指に指輪を通していく。

725 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/11(月) 02:59:25.21 ID:AHXIWdQm0
「ええと。終わったということでよろしいのでしょうか?」
「肯定。無事儀式は完了した」
「ふぃ~」
上条当麻は体重をベンチにあずけ、溶けたアイスのようにぐにゃりとする。
「第八の質問ですが何をそんなにつかれているのですか」
「いやいやいや。男の子にしかわからない精神的葛藤があったんですよええ」
実際は勝手に上条当麻が盛り上がっただけなのだが。



地下街を出た御坂美琴はよからぬものを発見した。
カップルである。
しかも片方はよーく見知った相手だった。
片方は冗談みたいな身長、金髪、格好……なのにかわいいというよくわからない相手だった。
別段つけるつもりはなかった。たまたま偶然進行方向先のベンチに座られただけだ。
こちらが避けるのも癪だったし何やら真剣な様子だったので気付かないならそれもいいかなーなんて。
……
…………
……………………
「いいわけないでしょーーーがっ!!!!!!!!!」

729 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/11(月) 03:09:49.66 ID:AHXIWdQm0
「ビリビリっ!」
精神力を使い果たし溶けたアイス状態の上条当麻は反応が遅れる。
「アンタはいっつも違う女連れてるわねっ!!」
飛んでくる電撃を打ち崩したのは上条当麻の右腕ではなく。サーシャだった。
どこから取り出したのかわからないノコギリを一瞬で御坂美琴の喉元に突き付ける。
「第一の質問ですが、貴方は上条当麻の敵か?」
「――っ! 舐めんじゃないわよっ!」

異変を感じサーシャがノコギリから手を離す。
御坂美琴の二撃目を受け稲妻をまとったノコギリが地面に落ちる。
カランと落下音がする頃には二人は距離をとりサーシャはバールを御坂美琴はコインを握っていた。

733 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/11(月) 03:21:59.85 ID:AHXIWdQm0
「第一の質問をもう一度。貴方は上条当麻の敵か?」
「アンタこそ、そこのバカのなんなのよ?」

「ハイッ! バンザーイ」
緊迫した空気を破ったのは上条当麻だった。
御坂美琴の両腕を右手で捕まえ左手でわしゃわしゃと頭をこねくり回す。
「ちょっ、バカやめ……」
「サーシャもストップな。あれだこいつのはスキンシップなんだよ。なっ御坂」
言いながらも上条当麻は御坂美琴の頭をこねくり回すのをやめない。
「ちがっ、やめな……やめなさいよぅ」
抵抗している割に頬を赤らめ、弛緩した表情を認めサーシャもバールを納める。

735 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/11(月) 03:33:39.63 ID:AHXIWdQm0
「ビリビリ。いくらなんでも無関係の人に電撃を浴びせるのはどうかと思うぞ」
「無関係の人がノコギリ喉元に突き付けるかっ!! 何なのよその子はっ!!」
「第一の解答ですが、私は既に上条当麻と付き合っています」

瞬間、場が凍った。

「第二の解答ですが、よいリアクションをありがとうございます」

「嘘なのっ!?」
「ちょっ。サーシャ!?」

「第三の解答ですがお二人はどちらがよかったのでしょうか?」

738 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/01/11(月) 03:48:13.55 ID:AHXIWdQm0
鈍感な上条当麻のセンサーが告げている。
あれ、これはインデックスに噛みつかれる前に似てるんじゃない? と。

「あのう。サーシャさん。私めの勘違いだったらいいんでせうが……もしかして何か怒ってらっしゃいます?」
「第二の質問ですがスキンシップとは知らず刃を振り上げた挙句、霊装を一つオシャカにされた私の気持ちは誰にぶつければいいんでしょうね? 上条当麻」

「ええーっ。オレのせい? なんかこれ言うの二回目な気がするけど……たぶんオレのせいじゃないんじゃないでせうか」
上条当麻はちらりと御坂美琴のほうを見る。
「バッバカ、アンタがふ抜けてるからいけないんでしょっ!!」
「いやいやいや御坂さん。今回はあなたが悪いんじゃないでせうか。ここはちゃんとサーシャにごめんなさいをして許してもらえ。な」

コメント

No title

って未完作品か

No title

続きを所望するんだよ!!

No title

最初の人の書き方の方が好きだな。

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