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美琴「水族館デート!」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:27:38.84 ID:LVKUs8R70
前作:美琴「しっかり手、つないでてよね?」の続きのお話になります。
前作を読んでからだと、より一層お楽しみ頂ける内容となっております。


桜舞い散る日に晴れて恋人同士となった上条当麻と御坂美琴は、
8月に学園都市に新しくオープンした水族館に来ていた。

13時からのイルカショーを見るため、最前列近くの席を確保した二人は、
開始時間までのんびりと雑談をしていた。
ショーの会場は中央が巨大な円形型のプールになっており、
何匹ものイルカ達が悠々と泳いだり、気ままにジャンプしたりしている。

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:29:01.94 ID:LVKUs8R70
当麻「ふぃ~…なんとかいい席を確保できたな。これで大迫力でショーが見られるぜ!」

美琴「早くから席取りに向かってよかったね。当麻、このショー楽しみにしてたもんね?」

当麻「あぁ、なんたってイルカは可愛いしな!それだけじゃねぇ、
なんでもイルカってのは超音波で会話していて、しかも違う海域に住んでるイルカとの通訳係までいるらしい!
そんなこと、考えるだけで不思議でワクワクしてこないか?」

美琴「ふふったしかにそうかも。でも意外だわ、当麻にそんな可愛い趣味があったなんて。
これじゃ私のゲコ太に対して何にも言えないんじゃない?」

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:31:06.76 ID:LVKUs8R70
当麻「うっそれは…いや!生き物とキャラクターグッズを比べるのはそもそも反則じゃないか!?」

美琴「あはは~冗談よん♪当麻をちょっとからかってみたくなっちゃって、ごめんね?」

そういいながら美琴は隣に座っている当麻の腕に抱きつくようにして、身を預けてきた。
当麻としては嬉し恥ずかしな状態である。
美琴は今まで素直になれなかった反動からか、
最近では当麻に対してよくデレデレ状態になってしまうのだ。
いわゆる「美琴甘えんぼモード」なのだが、
こうなってしまった美琴を止めることは難しく、大抵の場合当麻はされるがままである。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:32:54.20 ID:LVKUs8R70
上条「(うぉぉっ…!美琴の髪から、甘い香りが…!)
ちょっ美琴!?このシュチュエーションはヒジョーに嬉しいんですが、他の視線が…」

美琴「ん~?…だって急に当麻に甘えたくなっちゃったんだもん。ちょっとだけでいいから……ダメ?」

そういってそのまま上目遣いで当麻を見つめる美琴。
本人はそうしている自覚がない分、当麻に与える破壊力はすさまじい。
甘えんぼモードの美琴は、当麻にとって魔術師よりも手に負えないのだ。

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:34:28.19 ID:LVKUs8R70
上条「(ダメじゃないです!)ダメじゃないです!…全く、ちょっとだけだぞ?」

美琴「ありがとー♪」

そういってぎゅっとしがみついてくる美琴。
真夏の陽気で暑いはずなのだが、伝わってくる体温は心地よい。
そして薄着なのでよりお互いに肌の感触が伝わってくる。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:36:05.18 ID:LVKUs8R70
上条(ぬぉぉ~!美琴の肌、やわらけぇ…くそっ平常心だ平常心!
ここで暴走するほど上条さんは狼ではありませんのことよ…!)

美琴(当麻の体、筋肉質で逞しいな…なんだかんだで、頼りになって…そこに惚れちゃったのよね)

二人から発せられる広がるピンク色の空間に、周囲の人達もタジタジである。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:38:39.70 ID:LVKUs8R70
(ちくしょう!イチャイチャしやがって…!…うらやましい)
(あれって第三位の超電磁砲じゃ……いや、さすがに人違いか?)
(リア充は滅びろ!滅びてしまえー!)
(はまづら、私たちもする?)
(ぶふぉっ!滝壺、いきなり!?)

様々な感情が入り乱れる中、上琴空間発生源に近付く2つの人影。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:41:13.02 ID:LVKUs8R70
「君は。人目を気にするということを知らないの?」
「貴様…こんなところでイチャイチャイチャイチャと…」

上条「うおっ姫神と吹寄!?お前らもここにきてたのか?」

美琴(うっ、また女の人…この二人は当麻とどういう関係なのかしら…)

現れたのは当麻の同級生の姫神と吹寄。
上条はとっさに美琴と離れようとするが、
美琴がさらに強く腕に抱きついてきたのでそれが出来ない。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:43:05.26 ID:LVKUs8R70
姫神「そう。女2人で寂しく水族館巡りをしているところを。君に見せつけられてしまった」

吹寄「寂しくって…まぁいいわ。時に貴様、人前であまりイチャつくのはどうかと思うんだけど?」

上条「あ~これはだな…まぁたしかにそうだ。おい美琴、ちょっと離れようぜ?」

美琴「…むぅ~…わかったわよ」

この人たちに当麻を取られてしまうのではないかという漠然とした不安があるのだが、
しぶしぶ了承し、当麻から離れる美琴。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:45:25.09 ID:LVKUs8R70
吹寄「で?この常盤台の子が貴様の彼女ってわけ?」

上条「あ~そうだよ。美琴、この二人は俺のクラスメートで吹寄と姫神。」

美琴「…こんにちは、初めまして。御坂美琴です」

吹寄「(御坂美琴って、あの超電磁砲!?)初めまして、吹寄制理よ」

姫神「姫神秋沙。上条君には色々お世話になってます」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:47:57.39 ID:LVKUs8R70
美琴としてはこんな美人2人が当麻のクラスメートであるということに
驚きと焦りを感じていた。悔しいが、顔もスタイルも負けている気がする。
いや、特にスタイルに関しては完敗ではないか?
今は自分が当麻の彼女というポジションだが、このままだと
当麻が自分を捨てて他の女の方にいってしまうんじゃないか、という
焦燥感が美琴を支配していく。
なんといっても、彼はモテるのだ。恋人同士になったとしても、決して安心出来ない。

そんな美琴の心情を察したのか、吹寄が口を開いた。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:50:03.10 ID:LVKUs8R70
吹寄「あ~大丈夫よ御坂さん。私たちは別に上条をどうこうするつもりはないから。
ただたまたま知り合いを見つけたんで声をかけただけ。ね、姫神さん?」

姫神「…私は。その…」

吹寄「…あ~とにかく!上条、せっかくそんな可愛い彼女がいるんだから、悲しませたりすんじゃないわよ?
じゃあ姫神さん、私たちも席を探しに行きましょ。ほら、向こうの方はまだ空いてるみたいだし」

姫神「あっ…。うん。…じゃあまたね。上条君、御坂さん。」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:54:52.33 ID:LVKUs8R70
当麻「おう、またな。人が多いからぶつかんなよー!」

美琴「はい…さようなら。」

当麻達に手を振った後、先に行ってしまった吹寄を追いかけていった姫神を見ながら美琴は思う。

美琴(吹寄さんはともかく、多分姫神さんは当麻のこと好き…よね、多分。
私も当麻のこと好きだからわかる。あの眼は、きっとそう)

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 00:58:42.02 ID:LVKUs8R70
それは女の勘、とでもいおうか。美琴自身が恋する乙女であったので、
同じ境遇の人というのがわかってしまうのだ。
特に、上条当麻に向けられる好意に対しては人一倍。

美琴(はぁ~本当に当麻ってば、モテるのよね。悔しいけど、私もその一人だし。
でも、このままじゃ本当に当麻を取られちゃうかも……あぁもう!考え出したら止まんなくなってきた…)


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:00:45.98 ID:LVKUs8R70
一方当麻は、2人が行ってから美琴の様子がおかしいことに気付き、
困惑していた。こういうことにはまだまだ鈍感なのである。

当麻「美琴、どうしたんだ?なんだか元気がないみたいだけど…具合でも悪いのか?」

美琴「いや…そういうわけじゃないけど…」
(当麻は私のこと、本当に好きなのかな?もしかしたらあの時だって、
泣いてた私を元気付けようとして、あんなこと言っただけなのかも…)

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:02:00.38 ID:LVKUs8R70
当麻「そ、そうか?ならいいんだが…」

美琴「うん…」
(もしそうだったら、私よりいい人が目の前に現れたら、私…捨てられる?
…嫌!そんなの嫌!せっかく恋人同士になれたのに…)

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:03:25.40 ID:LVKUs8R70
当麻「……」

美琴「……」
(当麻と別れたら、私…生きていけないかも…当麻を失ってまで、生きてる意味なんて…)

当麻「……(だぁぁあ!気まずい!一体全体どうしたってんだ!?
こんなときどう対応したらいいのか、全っ然わかんねぇ!)」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:05:57.67 ID:LVKUs8R70
美琴「……あの、さ」

当麻「!…ぅん?なんだ美琴?」

美琴「当麻は…本当に私のこと、好き…なの?」

当麻「おっおいおい、いきなり何を言い出すかと思えば…そんなことか?」

美琴「…!そんなことって、何よ…こっちは真剣なんだからっ!好きなの、嫌いなの!?」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:09:10.16 ID:LVKUs8R70
当麻「はぁ~…ったく、美琴…なんで嫌いな奴と一緒にデートなんか行くんだよ。
俺はそんなに人間出来てねーよ。お前こそ、好きでも無い奴とデートなんかするのか?」

美琴「っ…そりゃ、するわけないじゃない…それは、アンタだから一緒に…」

当麻「だろ?それに、付き合ったときにきっぱり言ったじゃねぇか。
俺は…美琴のことが、好きだってさ。
そんな簡単に気が変わるほど、軽い男じゃないんだぜ?」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:11:24.43 ID:LVKUs8R70
美琴「…っ!…そう、だけど…私、心配で…当麻、女友達多いし、人気あるし…
私のこと、実はそんなに好きじゃないのかもって思ったら、怖くなって…」

俯きながら小さい声で話す美琴。当麻はそんな美琴の頭を右手で撫でながら言う。

当麻「…美琴、心配すんなって。たしかに俺は困ってる奴がいたら体が勝手に動いちまうし、
それで知り合うのが女ってパターンが多いけど…でも、気持ちはそんなんで変わったりしねぇよ。」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:13:42.44 ID:LVKUs8R70
美琴「…」

当麻「…それに、だ。俺…記憶を失う前はどうだったかわからねぇけどさ、
人を好きになったの初めてで…それが、美琴…お前だった」

美琴「…えっ?」

当麻「最初は正直、急に絡んできて電撃浴びせてきて、なんなんだこいつはー!…って思った。
けど、そんなこと繰り返したり、大覇星祭や一端覧祭なんかでも一緒に行動するうちに、気になりだして…」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:16:11.57 ID:LVKUs8R70
美琴「……」

当麻「そんで、いつの間にか、好きになってた。」

美琴「……っ!」

当麻「人を好きになるってさ、ホントに突然なんだな。
しかも意識しだしたら急に今まで通り話せなくなっちまうし、こっちから連絡しようにも
どうにも照れくさくてさ…だからあの日、美琴から電話があったときは
いきなりで焦ったけど、嬉しかったんだぜ?」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:17:32.12 ID:LVKUs8R70
そういって美琴を見ながら微笑む当麻。
その笑顔に美琴の心臓が跳ね、顔が赤く染まっていく。
あぁ、本当に、この笑顔は反則だ。これだけで沈んだ気持ちはどこかへ吹っ飛び、
代わりに何とも言えない幸福感がやってくる。

当麻「んで、その後美琴に告白されて…正直、夢じゃないかって思った」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:20:16.89 ID:LVKUs8R70
当麻「いつもいつも不幸なことばっかだけど、そんなのどうでもよくなるくらい、幸せだって思った。
だからさ美琴、俺は感謝してるんだぜ?こんな俺に幸せを教えてくれてありがとう。ってさ」


かなわないな、本当に、かなわない。そんなことを言われたら、
嬉しくて顔が緩みきってしまうではないか。
当麻が自分に対して心のから好意を寄せてくれる。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:21:48.38 ID:LVKUs8R70
しかも、当麻も同じだった。
好きな人に対して素直になれなかったり、
うまく喋れなかったり…
それだけで、美琴は当麻との距離がより一層近付くのを感じた。

美琴「…本当に、私でいいの?」

当麻「そうだって言ってるじゃねーか。美琴センセー以外にこんな気持ちになんかならねぇよ」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:23:11.36 ID:LVKUs8R70
美琴「…私、嫉妬深いよ?束縛しちゃうし」

当麻「それほど俺のことを、その…好いてくれてるってこと、だろ?なら逆に嬉しいさ」

美琴「…女の子と話したりしてたら、超電磁砲撃っちゃうかも」

当麻「!?…そっそれは出来ればやめていただけると嬉しいのですが…主に上条さんの命的な意味で…」

美琴「…じゃあ、当麻が私だけを見てるってことの証拠として、ここで…」

当麻「ここで?」

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:25:04.27 ID:LVKUs8R70
美琴「………キス、して?」

そう言って美琴は眼を閉じ、顎をちょっと上げる。顔は耳まで真っ赤である。
いきなりそんなことをされた当麻の心臓は早鐘を打ち、軽い混乱状態に陥ってしまう。

当麻(えぇ~!?みっ美琴さん、それはちょっと大胆すぎやしませんか!?
しかもここは水族館で、周りには人が…!くっ、さすがに自重したほうがいいのでは…!)

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:26:43.66 ID:LVKUs8R70
先ほど吹寄達にもイチャイチャしすぎるなと言われた手前、
ここでしてしまっていいのかという自制心と、
美琴が可愛すぎて今にもしてしまいたいという野心のせめぎ合いが行われていたが、

美琴「…嫌、なの?」


この一言で、彼の自制心は木っ端みじんに砕け散ることとなった。

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:27:58.47 ID:LVKUs8R70
当麻「(…だぁぁもう!もう周りの目なんて知るか!美琴が待ってるなら、それに答えろ上条当麻!)
…じゃ、じゃあ…いくぞ?」


そういって、当麻は両手を美琴の肩に添え、優しくキスをした。
ちょっと長めのキスが終わった後、
二人の顔は真っ赤であった。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:28:58.21 ID:LVKUs8R70
当麻「…んっ、こっこれで伝わったか?お、俺の気持ちが…」

美琴「…んっ……つ、伝わった…すごく……」

美琴は幸福の絶頂だった。愛しい彼とのキスは
思わず漏電してしまうほどに甘美で、気を抜いたら気を失いかねないほどだった。
漏電しないのは、彼の右手が美琴の肩に触れているからで、
当麻は今までの経験からキスの際、漏電しないように自然と右手で美琴に触れているのだ。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:29:59.36 ID:LVKUs8R70
当麻「…美琴を捨ててどっかに行く、なんてこと絶対しないから。
例えどんなトラブルに巻き込まれたとしても、必ず美琴のもとに帰ってくるから。
だから、信じてくれないか?」

美琴「…うん、信じてる。だから、これからもずっと一緒にいてね?」

当麻「当たり前だろ。俺の方こそ、よろしく頼むぜ?」

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:30:51.22 ID:LVKUs8R70
美琴「うん。……ふふっ、とーまっ♪」

そういって当麻の腕に抱きつく美琴。
しかも先ほどよりも密着度が上昇している。

当麻「おわっ美琴!?いきなりどうしたんでせうか!?」

美琴「なんだか安心したらまた甘えたくなっちゃった。とーま、とーまぁ♪」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:32:40.18 ID:LVKUs8R70
もたれかかってくる美琴を支えながら、当麻もまた恥ずかしながらも
幸せであった。好きな人に甘えられるというのは、とてもいいものなのだ。

ちなみに、2人の周りの席からはいつの間にか誰もいなくなっていた。
全員が2人から発生するイチャラブオーラに堪え切れなくなったか、
あるいは空気を読んで席を移動したのである。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:34:29.45 ID:LVKUs8R70
もちろん、2人だけの世界に入ってしまっている彼らが気付くはずもない。

と、その時、場内にアナウンスが響き渡る。
『皆様お待たせいたしました。間もなくイルカショーが始まりますので、もうしばらくそのままでお待ち下さい。』

当麻「おっいよいよか。いつの間にかそんな時間が経ってたんだな。楽しみだ~!」

美琴「そうね。イルカショーなんて、小さい頃に一度見たきりだわ」



時刻は13時、壮大な音楽とともに、学園都市が誇る超大規模なイルカショーが始まった。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:35:50.02 ID:LVKUs8R70

**********



当麻「……不幸だ」

美琴「ぷっくく…いや~まさか当麻だけピンポイントで水をかぶるとはね~。隣にいた私はほとんど濡れてないのに」

当麻「ちくしょうあのイルカ…ぜってぇ最初から俺にかけるつもりだったんだ…」

イルカショーが終わり、2人は外のベンチに腰かけていた。
イルカが尾鰭ではじいた水が当麻を直撃し、びしょびしょになってしまったため
外で体を乾かしているのだ。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:39:46.92 ID:LVKUs8R70
美琴「まぁすごい楽しめたしいいじゃない。そうやって濡れるのも醍醐味の一つよ?」

当麻「たしかにな。長い間待ってたかいがあったってもんだ!
特に中盤の海豚式弐段跳(イルカダブルジャンプ)や、
終盤の海豚十字(イルカクロス)の迫力はすごかった!その他にも…」

美琴(ふふっ当麻ってこういう可愛いとこあんのよね。
自分の好きなことに対してはとことん素直っていうか…はぁ~なんだかこういうのって、幸せだな~)

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:41:00.17 ID:LVKUs8R70
美琴はこういった時間が当麻と共有出来ることが嬉しかった。
やっぱり私の居場所はここ(当麻の隣)だ。もうここ以外考えられないし、
誰かに渡すつもりもない。絶対に死守して見せる。
そう美琴は心の中で決意した。

美琴「ん~まだ乾くのに時間かかりそうだし、あっちで飲み物買ってくるね。当麻はサイダーでいい?」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:42:27.11 ID:LVKUs8R70
当麻「おっサンキュー美琴。それでいいから、よろしく頼む」

わかったといって最寄りの売店へ向かった美琴を見送ると、当麻は大きく伸びをした。

当麻「彼女と二人で水族館デート、か…不幸不幸と嘆いていた頃が嘘みたいだよなぁ」

もちろん今でも、先ほどのように一人だけ水を被るなどといった、彼の不幸が無くなったわけではない。
しかし、こうやって美琴と恋人同士になり
そういった些細な不幸などもはや大して気にもならなくなったのだ。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:43:19.52 ID:LVKUs8R70
当麻(こんだけ幸せだと、逆に反動がありそうで怖いが…まっそれを言ったらきりがないな)


強い日差しを全身に浴びながら、当麻がそんなことを思っていると、

「よォ、三下じゃねェか。こんなところで何してンだ?」
「こんにちはー!って、ミサカはミサカは元気よく挨拶してみたり!」

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:44:39.06 ID:LVKUs8R70
一方通行と打ち止めがそこにいた。今日は知り合いとよく会う日だな、などと思いつつ当麻は返事をする。

当麻「よぉ二人とも。お前たちもここに来てたのか。
俺はさっきのイルカショーでズブ濡れになっちまったから、ここで体を乾かしつつ休憩してるんだ」

一方通行「ハッ、相変わらず不幸な目にあってんなァ。今日は超電磁砲と一緒に来てるんじゃねェのか?」

当麻「美琴なら今飲み物買いに行ってくれてるよ。それにしちゃおせーけど」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:46:20.48 ID:LVKUs8R70
一方通行「全く、仲がよろしいこって。妬けちゃいますねェ?」

打ち止め「それなら私たちも負けてないよ!って、ミサカはミサカはあなたの手を握りながら対抗してみたり!」

一方通行「バッ…!てめェなにしやがンだ!こんなとこで恥ずかしいマネしてンじゃねェ!」

打ち止め「照れてる一方通行も可愛い♪ってミサカはミサカは手を離さないように頑張ってみる!」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:47:30.48 ID:LVKUs8R70
当麻「お~お~イチャついちゃって。一方通行も人のこといえないんじゃないか?」

一方通行「ふっふざけンなっ!誰がこんなガキなンかと…っ!」

当麻「その割にはまんざらでもなさそうだけどなー?お似合いだぜ、お二人さん」

打ち止め「キャッお似合いだって!ってミサカはミサカは頬を赤らめながら喜んでみたり!」

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:49:08.63 ID:LVKUs8R70
一方通行「三下ァ…あんま調子乗ってっと、もう相談とかにのってやらねェぞ?」

当麻「なら俺も一方通行のお悩み相談に乗れなくなっちまうな。あ~残念だなぁ~」

一方通行「グッ…!てめェ汚ねェなオイ!…ちくしょうわかったよォ…今回は大目に見てやんよ」

打ち止め「えっなになになんの話~?って、ミサカはミサカは二人の会話に興味しんしん!」

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:50:41.99 ID:LVKUs8R70
一方通行「あ~これは男だけの秘密ってやつだァ。ガキが首を突っ込んでいいもンじゃねェ」

打ち止め「え~知りたい知りたい!って、ミサカはミサカはおのれの探求心に素直になってみたり!」

当麻「ごめんな打ち止め。でも、秘密ってのは誰にでもあるもんだろ?
内容は大したことじゃねーけど、これは俺と一方通行だけの秘密にしといてくれないか?」

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:53:03.60 ID:LVKUs8R70
そういって当麻は打ち止めの頭を撫でる。打ち止めもそれが心地よかったらしく
一瞬ぽけ~っとしたあと、

打ち止め「うぅ~わかった。あなたがそういうなら…って、
ミサカはミサカは残念だけどこれ以上探求しないことにする」

と、笑顔で答えた。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:53:58.44 ID:LVKUs8R70
一方通行「…っと、そろそろ俺たちは行くかァ。そっちの邪魔しちゃ悪いしなァ」

打ち止め「お姉様によろしく!って、ミサカはミサカは名残惜しいけど元気よくバイバイしてみたり!」

当麻「おう、お前らも楽しめよ!それと一方通行、もうちょっと打ち止めには優しくしてやれ!じゃあなー!」

一方通行「一言多いンだよ!…チッ、じゃあなァ。また暇な時ゲーセンでもいこうぜェ」

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:56:21.53 ID:LVKUs8R70
*****


そう言って二人が人ごみに消えていくのと入れ替わりに、美琴が戻ってきた。

美琴「ごめーん!どうせなら食べ物もって思って並んでたら、思ったより時間がかかっちゃって。はいこれ当麻の分」

当麻「おっサンキュー。わざわざこんな美味しそうなものまで…上条さん感激ですよ。いくらだった?」

美琴「いいわよこれくらい。そんなことより早く食べましょ。」

当麻「悪いな。じゃあ今度俺が何かおごるからさ」

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:57:56.70 ID:LVKUs8R70
そう言いながらクラブサンドを頬張る二人。
水族館限定ということで、パン生地にイルカの焼印があって見た目的にも美味しい。

当麻「こりゃうまい!…そうそう、美琴が居ない間に一方通行と打ち止めに会ったんだよ」

美琴「あの二人に?へぇ~打ち止め達も来てるんだ…それにしても、アイツも丸くなったもんよね」

当麻「そうだなぁ。まっいいことじゃねーか。前はたしかに色々あったけど、
今がこうして平和でいられるってのは幸せなことだ」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 01:59:46.26 ID:LVKUs8R70
美琴「そうね…本当に今は平和だわ。ずっとこんな日が続けばいいのに…」

当麻「続くさ。それに、もしまたこの平和を脅かすような馬鹿野郎がいたら、
そんときは俺がそいつの幻想をぶち壊してやるから」

そういって当麻は自分の右手を突き出す。虚言ではなく
彼は本当に今まで数々の幻想を壊してきたのだ。
それと同時に救ってくれた。美琴や、多くの人達を。
そんな彼の言葉は、優しく美琴の心に響く。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:01:39.23 ID:LVKUs8R70
美琴「ふふ…頼りにしてるわ。でも、そのときは私も一緒に行くから」

当麻「…危険な目に遭うかもしんねーんだぞ?俺としては、美琴をそういう目に遭わせたくないんだが…」

美琴「私も同じ気持ち、っていえばわかるかしら?当麻が危ないときに何もしない、出来ないはもう嫌なの」

当麻「美琴…」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:02:27.45 ID:LVKUs8R70
美琴「それに、さっきずっと一緒に、って約束したでしょ?それとももう忘れちゃったの?」

当麻の肩に頭を預ける美琴。二人の両手が自然と触れ、繋がる。

当麻「そうだったな…わりぃ、また一人で先走って考えてた。……よし!そんじゃ、そん時は俺"たち"が…

美琴・当麻「「その幻想をぶち壊す!!」」

こうしてここに、最強の矛と盾を持つカップルが誕生した。
敵対する相手がいたとしたら同情するしかないが、それはまた別のお話。

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:05:58.79 ID:LVKUs8R70

**********



すっかりと日が沈み、当麻と美琴は帰路に着いていた。
当麻が右で、美琴が左。手を繋ぎながら同じ歩幅で歩く二人。
鈴虫がリンリンと鳴き、流れる風は蒸し暑くもなく、心地よい。

当麻「いや~今日は遊んだな。こんなにはしゃいだのは久しぶりだ」

美琴「ほんとねー。遊びすぎて疲れるなんて、しばらくぶりだわ」

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:08:08.45 ID:LVKUs8R70
当麻「また今度行こうな。…っと、そうだ。美琴…これ」

美琴「えっ、どうしたの?…っこれって…?」

当麻がおもむろに取り出したのは小さい小包。美琴が受け取ると、中に何か入っているのがわかった。

美琴「…開けてみていい?」

当麻「おぅ」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:09:58.75 ID:LVKUs8R70
小包を開けると、そこには金属製のイルカのストラップが2つ入っていた。
ペアになっており、互いのストラップをくっつけるとイルカがちょうどハートマークを
形作るようになっている。

美琴「可愛い…」

当麻「…その、今日は一緒にこれだけ楽しんだわけだし、何か記念になるものないかなって
お土産屋で探してたんだよ。俺こういうの選んだこと初めてだし、もしかしたら気に入らないかもしれないけど…
よかったら、二人で一緒に付けないか?」

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:10:59.05 ID:LVKUs8R70
嬉しい。単純に嬉しい。
あの鈍感大魔王だった当麻が、こんなサプライズを用意してくれているなんて。
美琴は耳まで顔を真っ赤にすると、

美琴「…ありがとう、本当に嬉しい。大事に…するね?」

そういって当麻の腕に抱きつく。当麻も恥ずかしいのか、美琴の顔を真っすぐ見れずにいた。

当麻「…おぅ、よ、喜んでくれたみたいでよかった」

そうして二人は自然と浮かんできた笑顔を隠そうともせず、笑い合った。



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:12:00.77 ID:LVKUs8R70
**********


当麻「…っと、もうこんなとこか。…じゃあ美琴、今日はホントにありがとな。またどっか遊びに行こうぜ」

美琴「……うん」

気がつくと二人はいつも帰りに別れる場所に来ていた。
寮の場所の関係上、ここから先は当麻と美琴は左右に分かれて帰路につくのが日課となっている。


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:13:15.34 ID:LVKUs8R70
そう、いつもはここでお別れ。そうして次の日がやってくる…
のだが、今日の美琴はここで当麻とバイバイをしたくなかった。

美琴(いやだ…もっと当麻と一緒にいたい。ここで別れるなんて寂しすぎるよ…
だって、こんなに今日楽しかったのに…)


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:14:22.96 ID:LVKUs8R70
日に日に美琴の中で当麻の存在が大きくなっていくなか、特に今日の一連の出来事はまさに衝撃的だった。
彼からの自分に対する明確な好意、初めてのプレゼント…
そのどれもが美琴にとって何事にも代えがたい物であり、一生の宝物だ。
だからこそ、今日という一日が終わってしまうことに、どうしようも無い虚無感を感じてしまう。


もっと、彼と一緒にいたい。もはや依存だとわかっていても、もうこの膨れ上がった気持ちは止められなかった。


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:15:47.59 ID:LVKUs8R70
当麻に抱きつく美琴。それは、二人が恋人同士になったときの光景によく似ていて。

当麻「……みこと?」

美琴「………まだ、帰りたくない。一緒に、いたいの」

跳ねあがる心臓。当麻は、美琴のそんな台詞を聞いて硬直状態に陥ってしまった。
男なら一度は憧れるシュチュエーションなだけに、動揺を隠せない。

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:17:25.92 ID:LVKUs8R70
当麻「あ、あの~…そ、それっていうのはつまり…上条さん家に行きたい、ということでよろしいのでせうか?」

顔を当麻の胸に埋めながら、コクッと頷く美琴。
そんな美琴の反応に、さらに当麻の心臓の鼓動は激しくなっていく。

当麻「(ぬぉぉぉ!なんだ、なんなんですかこの状況!落ちつけ沈まれ俺の精神!)
…ほっ本当に、いいのか?門限とか…」

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:18:46.51 ID:LVKUs8R70
美琴「……大丈夫、だから…ね?お願い…」

潤んだ瞳でお願いされて、一体誰が断れようか。
結局当麻の自制心は、美琴の積極性になすすべもなく陥落することになった。

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:19:55.22 ID:LVKUs8R70
当麻「…わっわかった…それなら、俺んち、こっちだから…いっ行くか、美琴」

美琴「…うん、ありがと……とうま」

そうやってやっぱり手を繋ぎながら目的地へ向かう二人。
上条当麻と御坂美琴のとある一日は、まだまだ終わらないようである。



おしまい

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:26:13.36 ID:LVKUs8R70
ここまで読んでくれた人と、支援してくれたみなさん、ありがとうございました。

この話は繋がりのある話なので、前作を見ていなかった人はすみません。

ブログ等でまとめていただいてるので、もし興味があったらそちらも読んでみて下さい。


実はおまけ話がありますので、これからそちらを投下しようかと思います。
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:27:45.39 ID:LVKUs8R70
おまけ

禁書目録のとある一日



禁書「ありがとうございました!またお越しくださいませなんだよ!」

ここは学園都市にある小さなカフェ。
そこでインデックスはウエイトレスのアルバイトをしていた。
服装はいつもの修道服ではなく、白と黒を基調とした制服を着ている。
先ほどの客を見送ったあと、一時的に人のいなくなった店内で、インデックスは軽く伸びをする。
そんな彼女に近づく初老の男性。このカフェのマスターと呼ばれている人物だ。

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:29:25.08 ID:LVKUs8R70
マスター「いつも御苦労さま。君が来てからというもの、お客さんの評判も上々。
常連の人も増えたし、感謝してもしきれないな」

禁書「それはこっちの台詞なんだよ。こういった仕事を一から教えてくれたのはマスターなんだから」

マスター「そう言ってもらえると嬉しいものだね、ありがとう。今は一時的にお客さんもいないし、休憩しておいで」

禁書「ありがとうなんだよ!じゃあ、お言葉に甘えちゃうかも」

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:30:44.57 ID:LVKUs8R70
そういって従業員控室へと入っていくインデックスを見て、マスターは自然と笑みが零れる。

マスター(本当に素直でいい子だ…最初は何一つうまく出来なくて落ち込んでいたときもあったが、
今ではあの子目当てで来るお客さんもいるくらい人気者になったんだからね。私の目に狂いは無かった)

そう、インデックスは上条から美琴と付き合うことになったということを聞いたあと、

「とーまと短髪の関係を、私が邪魔するわけにはいかないんだよ」

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:31:52.20 ID:LVKUs8R70
といって、自ら上条の元を去ることにしたのだ。
本当は涙が出るほど辛かった。寂しかった。大好きな当麻と一緒に暮らせなくなることが。
でも二人が、何より上条が幸せになるのに自分が邪魔になってしまうのなら
自分勝手な事を言うわけにはいかない。

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:32:59.63 ID:LVKUs8R70
月詠小萌のところにいって、一晩中泣いた。泣いて泣いて、決心した。
今までは上条に頼ってばかりだった。だから今度からは、自分なりに頑張って自立しよう。
そして、人間的に大きく成長して、また彼と一緒にご飯を食べるのだ。
その時は、丹精込めて作った手料理をご馳走してあげよう。
かつて彼が、毎日私にそうしてくれたように。

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:33:58.98 ID:LVKUs8R70
そのためにも、ここで挫けてなんていられらない。
次の日からは小萌の協力のもと、自分を雇ってもらえる仕事場を必死で探した。
そうしてたどり着いたのが、このカフェだった。
一度も働いたことのない私は失敗ばかりで何度も落ち込んだけれど、
マスターや他の仕事仲間のみんなが、優しく見守ってくれた。

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:34:54.72 ID:LVKUs8R70
そうして今では、自分に会いに来てくれる人達までいる。
私を支えてきてくれた人たちには、感謝してもしきれない。
だから今度は、私がその人たちに何かをしてあげる番だ。

賄い料理を自分で作って食べ終えると、インデックスはすぐに控室を出て、仕事場に戻る。
ちょうどそのとき、カランカランと来客を告げる音が鳴る。

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:35:51.16 ID:LVKUs8R70
「やぁ。今日もまた来てしまったよ。君は相変わらず頑張っているね」
「こんにちは、インデックス。張り切りすぎてケガをしないように気をつけて下さいね」

禁書「いらっしゃいませ、なんだよ!今日もゆっくりしていって欲しいかも!」

天気は晴れ。太陽に負けないくらい元気いっぱいの少女の一日は、まだ始まったばかりだ。

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/05/19(水) 02:39:28.39 ID:LVKUs8R70
今度こそ終了です。
もしこんな時間まで見てくれた人がいましたらありがとうございました。

また作品を投下するときはよろしくお願いしますね。



一瞬、喫茶サテンが始まるのかと思った

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