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一方×美琴
電磁通行な超短いものですけど
少し、場所お借りします。
変態さんの後とかガタブルだけどね……
テーブルにたくさん並べられていた美味しそうな料理は、米粒1つ残さずに全て一方通行の胃の中へと収まった。
「……ごっそさン」
空にお椀の上に箸を置くと、一方通行は小さな声で食後の挨拶を伝えた。
いちいち飯の度に「いただきます」「ごちそうさま」と言うのは面倒くさいのだが、
ソレをサボると「黙って食うなっ!」とマナーに煩い女が騒ぎ出す。
一度女の機嫌を損ねると、過去のことまで持ち出して愚痴愚痴と自分への文句を永遠に紡ぎ続けること間違いなし。
どう転んでも口では勝てないのは目に見えているため、一方通行は仕方なく「ごちそうさま」と口にする。
「はい、お粗末さまでした」
ソファーで寝転がっていた美琴は一方通行が箸を置いたのを確認すると、
流し読みしていたファッション誌をソファー脇にあるマガジンラックに戻した。
身体を伸ばす様に背伸びをした後、美琴はトテトテと一方通行の元へと歩み寄った。
「ちゃんと全部食べたんだー。えらい、えらい」
美琴は一方通行の隣に座った。
自ら腕を振って作った手料理が全てきれいに空になっている。
作った甲斐があったと、美琴は満足そうに一方通行の頭を撫でた。
「撫でンな、鬱陶しい」
「スキンシップよ、スキンシップ」
家の外でも、家の中でも。
一方通行は美琴とこうやって触れ合うことを極端に嫌がることが多い。
けれど、美琴はそんなのお構いに無しに頭を撫で続ける。
「そんなこと言っちゃって。文句言いつつ、成すがままになってるのは何処の誰よ?」
「……オマエ、マジでウゼェな」
「こんな可愛い美琴さんに尽くされて、アンタは学園都市一の幸せ者じゃない」
自信満々にそう言いのけた美琴を横目で見て、一方通行はため息をついた。
少し乱雑に撫でられる頭の感触がくすぐったくて思わず目を細める。
ブスっと不機嫌そうにしつつ、かすかに耳元が赤い一方通行をニヤニヤと美琴は楽しそうに見つめていた。
561 名前:一方×美琴 2/4[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 12:06:12.93 ID:4FZlVoE0 [3/6]
「つーかさァ、あンだけ飯があって、肉料理が一品ってどォよ」
「おいしかった」とか「ありがとう」と言う前にそれかよ、と美琴は呆れた。
美琴が一方通行のために作った丹精込めて作った料理の感想は、
肉料理が少ない。それだけだった。
「ちょっとぉ、作ってもらっておいて姑みたいな小言、普通言う?」
「俺は言う」
不満そうな顔をして一方通行を上目づかいで睨む美琴に、一方通行はピチャリと言い放った。
「……うわぁ、アンタって本当に俺様気質だよね」
どうして、自分の惚れた男はこんな奴なのか、と美琴は頭を抱える。
「そりゃァ、どォも」
「褒めてないから」
ガクッと力が抜けたように頭を垂れた美琴を一方通行は「カカカッ」と小さな声で笑い飛ばす。
美琴の想いを知っていてそんな態度を取るこの男は、本当に太刀が悪い。
「……」
「あン?」
「……ああ、もう。 全部アンタのためなんだか、文句言うな!」
美琴はうがーッといきり立てながら、顔を真っ赤にして早口で喋り始める。
「缶コーヒーばっか呑むし、食事は外食ばっかだし、しかも肉料理しか食べないし!!
『野菜とか魚なンか食えるか、あんなの食べ物じゃねェ』とぬかすし!!
そんな食生活が身体にいいわけないから、アンタのためにバランスのいい食事を作りに来てるんでしょ!?」
一方通行を心配して、美琴はこうやって足繁く一方通行の家に通っているというのに。
美琴は別に有難く感謝しろなんて思っていない。
自分が一方通行のために何かしたいから、しているだけだ。
けれど、慎ましやかなそんな努力を笑い飛ばされることは、美琴にはとても悲しいことなのだ。
「偏った食生活してるから、アンタはいつまでたっても体重が増えないのよ、このモヤシ!!」
なんだか腹だ出しくなってきた美琴は、声を荒げた。
562 名前:一方×美琴 3/4[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 12:10:21.08 ID:4FZlVoE0 [4/6]
「ア"ァ? 誰かモヤシだってェ!?」
心の中でもの凄く気にしている身体の欠点をズビシと言われて、ついつい一方通行をヒートアップしてしまう。
「アンタに決まってんでしょ! ひょっろい身体してさ、アタシより体力ないんじゃないの!?」
「ハァ!? 人のコトいえるたまかよ、オマエ」
「何よッ!!?」
「俺より身長低いくせに体重は俺とたいしてかわんねェだろ、人のコト言う前に痩せる努力したらどォですかァ?」
「なっ! 私はこのくらいで良いの。アンタが軽すぎなだけじゃない!」
「いやいや、この腹はヤべェだろ」
一方通行は服の上から美琴のお腹の肉を摘み、意地悪そうに笑った。
「……ってオィ。オマエ、マジで太ったンじゃねェの?」
最後にこの少女に触れたのは、そんなに前じゃないはずだが、その時と触れた感触というか触り心地が少し違う。
なんというか、少し柔らかくなったか? と一方通行はさらに余計な追い打ちをかける。
「――ッ!!」
一方通行の言葉に、ギャンギャンと子犬のように騒いでいた美琴が石化した。
そもそも、美琴は他の同年代の子より体重は軽い。
そんな美琴と体重がさして変わらない一方通行の方が問題なのだ。
しかし、今の美琴にはそんなこと頭からすっぱ抜けていた。
昨日、黒子たちと行ったケーキバイキングでついつい食べ過ぎて、1日で体重がかなり増えてしまった美琴。
一方通行の言葉はどんな刃物よりも鋭利に美琴の心をズサッと切り捨てた。
563 名前:一方×美琴 4/4[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 12:11:46.67 ID:4FZlVoE0 [5/6]
高ぶった感情が追い風となって、美琴の涙腺を刺激する。
「ふぇっ…ッ!」
「あのなァ、ンでこれくらいのコトで泣くンだよ……」
ぽろぽろと流れる涙をエプロンの裾で擦ると、美琴はそのまま顔を埋めてしまった。
布越しから漏れる美琴の泣き声が、一方通行の耳元まで届く。
一方通行は何処か居心地の悪そうな顔で、頭をガシガシと掻いて気まずそうにしている。
「ア、アンタが、…っく、悪いのよぉ……ッ!!」
「へーへー、私めが悪ゥございましたァ」
「ひっく、気持ち…が、籠ってな、いぃ~」
泣きながらも一方通行への文句を言い続けるあたりが、なんとも気の強い美琴らしいところ。
女がピーピー泣きだすと、男がどうしようもなくなってお手上げするしかない。
一方通行も例にもれず、どうにも美琴の悲しむ顔を見るのは苦手なのだ。
「ったく」
女ってのはズリィよなァ、と一方通行は面倒くさそうに漏らした。
とりあえず、耳元にガンガン突き刺してくるこの声を一方通行はかき消したかった。
ぐいっと美琴の顔を無理やりあげると、有無を言わさずにそのまま美琴の唇に自分のそれを押し付ける。
「……んっ」
美琴があげた苦しげな小さな声が、部屋に響いた。
564 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 12:14:32.16 ID:4FZlVoE0 [6/6]
終り。
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