スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
紬「合宿をしま~す!」-3
紬「合宿をしま~す!」-2
続きです
続きです
286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:25:57.08 ID:EWY1ypn40
~合宿2日目・昼・紬の部屋~
和「それで、話って何?」
紬「和ちゃんはあの計画、まだ覚えてるかしら?」
和「計画って、紬が考えてた連続殺人事件を解決するって話?」
和「ええ、覚えてるけど…まさか今から実行する気?」
紬「そうだと言ったら?」
和「まあ、紬がどうしてもやりたいって言うなら協力しても良いけど」
和「でもあそこから先の話、それに律を説得する方法は考え付いたの?」
紬「ううん、それは何も考えてないわ」
和「それじゃ駄目でしょ…」
紬「でもね、1つだけ良い事を思い付いたの」
和「良い事ね…一応聞いてみるけど、何かしら?」
紬「和ちゃんと私の役、交換して実行してみない?」
和「…」
和「…ちょっと待って、意味が分からないわ」
287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:26:55.85 ID:EWY1ypn40
紬「つまりね、私が最初に姿を消すの」
紬「和ちゃんはみんなを上手く誘導して」
紬「梓ちゃんと澪ちゃん、憂ちゃんと唯ちゃんを2人きりにする」
和「私はその間に律を説得して外に連れ出す…」
和「でも、連れ出した後の計画は何も無いんでしょ」
和「アドリブでどうにかしなさいって事?」
和「無理よ、そんなの」
和「それに、私にだって律を説得する自信は無いわ」
紬「自信なんて必要無いわよ」
紬「和ちゃんは何も言わなくて良いから」
和「どういう意味?」
紬「つまりね、和ちゃんにも2人きりの時間」
紬「プレゼントしてあげたいなって思ったの」
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:28:18.51 ID:EWY1ypn40
和「駄目よそんなの!」
和「そんな事急に言われても、私にはどうして良いか分からないわ…」
和「それに、そんな事をしたらやっぱり律は怒ると思う」
和「その時には…その、仲良くなれる…かもしれないけど…」
和「でも、後で私達がやった事だって気が付いたら嫌われちゃうわよ!」
和「律には、嫌われたくない…」
紬「大丈夫よ、全部私が考えてやった事にすれば良いの」
紬「私が連続殺人事件の真似事をするいたずらをして…」
紬「でも途中で上手く行かなくなって失敗」
紬「そういう事にしちゃえば、和ちゃんが嫌われる心配なんて何も無いわ」
紬「非難されるのは私だけで済むわよ」
和「紬、そんな風に言われて、私が納得すると思う?」
紬「思わないわね」
289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:32:44.56 ID:EWY1ypn40
紬「でも、和ちゃんはさっき言ったわよ」
紬「私がどうしてもやりたいって言ったら協力してくれるって」
和「ええ、言ったけど…」
紬「和ちゃんが役の交換を嫌だって言うんだったら」
紬「最初の計画通り、和ちゃんには今夜消えて貰うわね」
紬「私が今夜、りっちゃんと一夜を一緒に過ごして」
紬「吊り橋効果を一杯利用して、仲良くなっちゃおうかしら」ウフフ
紬「和ちゃんは知ってるわよね?」
紬「私が女の子同士の恋愛に対して凄く積極的だって事」
紬「私だったら、りっちゃんの喜びそうな事、一杯言ってあげられる」
紬「朝までは長いから、その間に私の事を好きにさせる自信があるわ」
紬「少しでも好きにさせれば、その気持ちはどんどん膨らんでいって…」
紬「後でこの事がバレてもお釣が来る位、私の事を好きになってるの」
291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:33:35.65 ID:EWY1ypn40
紬「別にりっちゃんの事なんて好きでも何でも無いんだけど」
紬「お遊びで付き合ってみるのも良いかもしれないわね」
紬「ああ、夜が早く来ないかしら」
紬「りっちゃんと過ごせる一夜、楽しみで仕方が無いわ♪」
和「はぁ…分かったわよ、降参する」
和「悔しいけど、それが全部嘘だって分かってても」
和「私はそんな事絶対にさせたくないって思っちゃったし」
和「さっき紬が言ってくれた事、してみたいって思っちゃったわね」
紬「あら?私は嘘なんて言ってないわよ?」
紬「でも和ちゃんがそうしたいのなら…うふふっ、もちろん代わってあげる」
293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:35:08.30 ID:EWY1ypn40
和「ええ、代わって貰う事にするわ」
和「でもね、私はお礼なんて言わないわよ」
和「律の事、遊びで付き合っても良いだなんて」
和「そんな事を言う相手に、お礼なんて絶対に言わない」
紬「そう、じゃあ私はこれで」
紬「後は計画通りに」
和「待ちなさい」
紬「何かしら?」
和「さっき言った事、私に教えなさい」
紬「教える…何を?」
和「…」
和「律が何を言ったら喜ぶのか、教えなさい///」
紬「…」
紬「ええ、良いわよ」ウフフ
295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:37:10.48 ID:EWY1ypn40
本編以外は書かない予定だったのですが
確かにこの後でどういうオチが付いても
紬と和を貶めている事になりますね
酷い話を書いてしまいました…反省します
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:38:31.34 ID:EWY1ypn40
~夜・お風呂~
紬「このサウナには、中からしか開けられない非常口があるのよね」
紬「ぱっと見ただけでは分からない様に、昨日の内に壁紙を貼ってみたけど」
紬「バレちゃったらこの計画も台無し」
紬「それでも良いんだけど…今日1日だけは気が付かれないで欲しいわ」
紬「とりあえず鍵をかけてから」
ガチャッ
紬「さ、寒いわね…」
紬「早くみんなの携帯を回収しに行かないと」
紬「着信音だけで見付からなかったら…まあその時はその時ね」
298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:39:40.61 ID:EWY1ypn40
~深夜・2階の廊下~
和「静かね…」
律「ああ…静かだな」
和「律は怖くない?」
律「それは、正直怖いよ」
律「何が起こってるのかさっぱり分からないからな」
律「あたしだって、泣きたくなる位に怖いさ…」
和(ごめん紬、やっぱり私にはこれ以上隠す事、出来ないよ…)
和「律、あのね…」
律「でもな、和が一緒に居ると安心出来るよ」
和「え?」
律「迷惑をかけっぱなしのあたしが言うのも変だけど」
律「和には凄く感謝してる」
300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:40:30.16 ID:EWY1ypn40
律「何時も軽音部を見守ってくれてる事、分かってるから」
律「和が居てくれると、和に見守って貰えると…」
律「何時もみたいに、安心出来るんだよ」
和「律…」
律「唯の事が心配なんだよな?それは分かってるよ」
律「でも、軽音部の為に色々としてくれてる事」
律「それは凄く感謝してるって、言っておきたかったんだ」
律「こんな時じゃないと…は、恥ずかしくて言えないからな」アハハ
和「…」
律「う、嘘じゃないぞ?」
律「あたしは本当に…」
ギュッ
律「え?どうしたんだよ?和」
和「怖いの」
301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:41:19.92 ID:EWY1ypn40
律「え?怖い?」
和「怖いから、このままで居て?」
律「あ、ああ…別に良いけど」
律「何だよ、和も案外怖いのが苦手だったりするんだな」
和「ええ、凄く怖い…」
和(律の事が好きになり過ぎて…怖いの…)
和「ねえ、律」
律「何だ?」
和「さっき言った事、本当?」
和「澪と梓の事、これで良いって言ってたけど…」
律「…」
律「どうしてそんな事を和が聞くんだ?」
302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:42:08.78 ID:EWY1ypn40
和「え?そ、それは…」
律「朝まで時間はたっぷりあるんだ」
律「是非それを聞かせて貰おうじゃないか」
和「律、分かってて言ってるわね」
律「まあな…和よりはこういう事、慣れてるつもりだぞ?」
律「あたしは和の事はあまり知らない」
律「でも…今はそうだな、知りたいって思ってるよ」
律「だから聞かせてくれよ、和の事…」
和「うん…」
律「うん…だって、可愛いな!」
和「も、もう!そんな言い方しないでよ!///」
…
…
…
303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:43:05.03 ID:EWY1ypn40
~食堂~
紬「そう、そんな事があったの…良かったわね」
和「ええ…」
紬「それで、りっちゃんは今どうしてるの?」
和「寝ちゃったわ」
和「風邪を引かない様に布団はかけてあげたけど」
和「ちゃんと被ってるかどうか心配だから、これを飲んだらすぐに戻るわね」
紬「そんな事言わずに、もう1杯どうかしら」
紬「結構自信があるのよ?紅茶の淹れ方」
和「そうね、ほんとに美味しいわね…それに、体が温まるわ」
和「もう1杯、頂こうかしら」
紬「ええ、どうぞ」
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:44:06.52 ID:EWY1ypn40
和「昼間はあんな事言っちゃったけど、ごめんなさい」
和「やっぱりお礼を言わせて貰うわ、紬、ありがとう」
紬「うふふっ、どういたしまして」
紬「後は、全部私が悪かった事にしちゃえば良いって事ね」
和「紬…やっぱり私、律には全部正直に言いたいわ」
和「全部正直に言ってから…それから律の事、好きだって言いたい」
紬「りっちゃんが和ちゃんの気持ちを受け止めてくれたとしても」
紬「和ちゃんはこの状況があったから、吊り橋効果のおかげだって思っちゃうから?」
和「ええ…その…通り…よ…」
紬「そんな事は無いと思うんだけどな…」
紬「でも、確かに焦る必要は無いかもしれないわね」
紬「和ちゃんの恋は始まったばかりなんだから」
紬「ゆっくりと気持ちを確かめていくのも良いかも…」
紬「…」
紬「和ちゃん?」
305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:45:11.75 ID:EWY1ypn40
和「…」
紬「和ちゃん?」
和「…」
ユサユサッ…ユサユサッ…
和「…zzz」
紬「そう…やっと、寝てくれたのね…」
紬「ごめんなさい、和ちゃん」
紬「今実行しているシナリオ、最初に和ちゃんにも見せたわよね?」
紬「私と役を交換してしまうと…」
紬「1つ目のシナリオ、そのまま実行出来ちゃうのよ」
307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:46:29.97 ID:EWY1ypn40
~山小屋~
和「うっ…」
紬「気が付いたかしら?和ちゃん」
和「紬…その声は紬なの?」
紬「ええ、私よ」
和「此処は何処?真っ暗で何も見えないんだけど」
紬「和ちゃんには話したわよね、あの建物の奥にある山小屋の中よ」
和「山小屋の中…」
和「ちょっと待って、暗いのは夜だからって思ったけど」
和「私、目隠しされてるの?」
紬「そうみたいね」
和「それに何?どうして動けない訳?」
紬「だって和ちゃん、手も足も縛られているんだもの」
紬「動ける訳がないじゃない」
和(この展開…何処かで見た記憶が…)
309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:48:37.34 ID:EWY1ypn40
紬「でも和ちゃんは流石ね、こんな状況なのに冷静で居られるなんて」
紬「まるでこうなる事が分かってたみたい」
和(やっぱり…)
和「紬、あともう1つだけ聞くわ」
紬「何?」
和「私の状況は理解した…紬、あなたも私と同じ状況なの?」
紬「違うわね」
和「…」
和「そう…つまり私は…」
和「紬が見せてくれた1つ目のシナリオ、その最初の犠牲者って訳ね」
紬「その通りよ」
和(思い出して来た、あのシナリオ通りなら次の犠牲者は確か…)
和(律!律になる!)
和(でも、まだ紬の目的は分からない)
和(単に私だけを狙ってという事も考えられる)
311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:49:50.19 ID:EWY1ypn40
和(そうじゃ無かったとしても、私だけを狙う様に…)
和(私だけを恨む様に、紬を怒らせてみる?)
紬「他に聞きたい事は?」
和「今の所は別に、何も無いわね」
紬「あら?どうして私がこんな事をするのか、聞きたくないの?」
和「ええ、聞きたくないわ」
和「言いたかったら言う、言いたくなかったら言わない、それだけの事でしょ?」
和「何か言いたい事があるのなら、勝手に言ってれば良いんじゃないの」
紬「…」
紬「和ちゃん、そんな言い方って酷いと思うな」
紬「そんな風に言われたら…私、いじめたくなっちゃうじゃない」
和「良いわよ、やれば良いでしょ」
紬「ええ、たっぷりといじめてあげるわ…」
紬「和ちゃんの大好きな…大好きなりっちゃんをね」
和「!?」
312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:51:14.87 ID:EWY1ypn40
和「待って!紬!律は止めて!」
紬「和ちゃん、りっちゃんだけじゃないのよ?みんな一緒にいじめてあげる」
和「じゃあ紬は、あのシナリオを本気で…」
紬「ええ、実行する気よ?」
和「そんな…」
和(だとしたら…駄目、紬の事は誰も疑ってない)
和(みんなこのまま…捕まってしまう…)
紬「もう夜が明けて来たみたいね」
紬「今夜のお楽しみに備えて、私はもう寝る事にするわ」
紬「和ちゃん、ラストの瞬間まではちゃんと生かしておいてあげるから…」
紬「じゃ、おやすみなさい」
ガチャッ
和(隣の部屋に行ったの?)
和(でも、今ほんの少しだけど足音が…)
和(足音が2つ聞こえた気がするのは…気のせい?)
313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:54:02.04 ID:EWY1ypn40
紬「りっちゃんを説得して連れ出す自信は無いけど…でもね」
紬「連れ出すだけなら…お芝居じゃ無かったら、そんな回りくどい方法は必要無い」
紬「それは今夜にでもやらせて貰うわ」
紬「残った4人は…憂ちゃんの怪我は予想外だったけど、シナリオの修正は出来る」
紬「脱出を目指すなら、澪ちゃんと梓ちゃんだけね」
紬「もしそうなったら2人には途中で眠って貰う、町までは辿り着けない」
紬「歩いて行ける距離なんてたかが知れてるわ」
紬「眠っている所を連れ帰す事もそんなには難しくはないはず」
紬「唯ちゃんは憂ちゃんを置いては行けないから此処に残ると思う」
紬「警戒もしてるでしょうから、まずは2人を引き離した方がやり易いわね」
紬「唯ちゃんには憂ちゃんを犯人だと思い込ませれば、一緒には居られないはずよ」
紬「多分1人になりたいと思うから、そこを襲いましょ」
紬「もし1人にならなかったら、絶対に部屋を出たくなる罠を仕掛けておくの」
紬「憂ちゃんは動けないから、そのまま放っておいても構わないわ」
紬「それで全てが終わる…そう、全てが終わるのよ」
314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:55:19.09 ID:EWY1ypn40
~合宿3日目夜・食堂~
バチンッ
律「何だ?停電か!?」
律(落ち着け、落ち着くんだ…)
律(…)
律(確か、部屋の入り口の壁に懐中電灯があったよな?)
律(まずは壁を探して…よし、この壁伝いに行けば安全だな)
律(そろ~っと、そろ~っと…段々目も慣れて来たな)
律(ん?何だ?…誰か居る!)
ゴツンッ
律「痛っ!」
紬「りっちゃん、痛いじゃない…」
紬「ちゃんと前を向いて歩かないと駄目よ?」
律「え?」
律「む…」ムギュッ
315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:56:40.90 ID:EWY1ypn40
紬「りっちゃん、大声を出さないで?」
紬「今大声を出すと危険よ、分かった?」
律「…」コクコク
紬「じゃあ、手を離すわね」
律「ぷは~」
律「ムギ!無事だったのか!」
紬「し~っ、大声を出しちゃ駄目って言ったでしょ?」
律「あ、そうだったな」
紬「うふふっ、りっちゃんは素直だから…大好きよ」
律「は?何だよいきなり…て、照れるじゃないか///」
グサッ
ポタッ…ポタッ…ポタッ…
律「え?」
律「ちょっと待てよ、ムギ…」
律「な、何でだよ…」
318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:58:16.90 ID:EWY1ypn40
~合宿5日目・夕方・ペンション跡~
さわ子「この事件の犯人は、1人しか考えられません」
紬叔父「まさか、紬が犯人だと言うんじゃないでしょうね?」
さわ子「紬さんはこの合宿の発案者、条件としてはぴったりですね」
紬叔父「馬鹿な!紬がそんな事をする訳が無い!」
さわ子「…」
さわ子「ふふっ…ふふふっ…」
紬叔父「…何がおかしいんですか?」
さわ子「いえ、この事件の犯人の事を哀れんでいるんですよ」
さわ子「計画通りに行ったと思っているんでしょうけど」
さわ子「何て馬鹿なんだろうって」
さわ子「憂ちゃんを犯人に仕立て上げるなんて、本当にお馬鹿さん」
319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:59:35.30 ID:EWY1ypn40
さわ子「計画的?突発的?」
さわ子「そんなの、全く関係無いんです」
さわ子「憂ちゃんがみんなを殺そうとするだなんて…」
さわ子「そんな事、絶対にあり得ないんですよ」
さわ子「それに、唯ちゃんはそのまま死なせてあげてですって?」
さわ子「笑ってしまう位にあり得ない」
さわ子「もし本当に唯ちゃんが自殺しようとしたら」
さわ子「憂ちゃんなら例え可能性が0であっても唯ちゃんを助けて欲しい」
さわ子「探し出して欲しいって言うはずです」
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:01:36.78 ID:EWY1ypn40
さわ子「もっと笑ってしまうのは…その程度の事、私にだって分かるんです」
さわ子「みんなの事を何時も見守っている紬さんであれば」
さわ子「それが分からないなんて事、絶対にあり得ない」
さわ子「あの子達はとても深い絆で結び付いてる」
さわ子「それが犯人には全く理解出来ていなかった様ですね」
紬叔父「さっきから何を…いや、何が言いたいんですか?」
さわ子「簡単な事ですよ、紬さんを含めて此処に集まった7人に犯人なんて居ません」
さわ子「犯人はそれ以外で、この合宿の事を知っていた人物」
さわ子「もちろん私ではありません」
さわ子「私は合宿期間中には此処から遠く離れた学校に居ました」
さわ子「それは多数の方が証言してくれます」
さわ子「それに第一、私が犯人だったらこんなヘマはしませんから」
紬叔父「…」
さわ子「消去法で考えれば…誰が犯人なのか、お分かりになりますよね?」
さわ子「この事件の犯人は…」
326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:04:07.96 ID:EWY1ypn40
紬「犯人は叔父様!あなたよ!」ズビシッ
紬「…」
紬「き、決まったわ!」ジーン
さわ子「…」
さわ子「それ、普通に考えたら私の台詞でしょ…」
紬「ごめんなさい、さわ子先生」
紬「どうしても言ってみたかったんです」ウフフ
さわ子「そこの木の陰でずっとタイミングを見てたのはこれだったのね…」
紬「美味しい所だけ貰っちゃいました」
紬叔父「つ、紬…」
紬「どうして生きてるの?って顔をしてるわね」
329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:05:27.00 ID:EWY1ypn40
~合宿3日目・夜・食堂~
律「何でだよ…」
紬「りっちゃん…い、痛い…」
律「何でムギが…ムギが、刺されてるんだ…」
紬叔父「大声を出さないのは紬の言った事を守っているから…では無さそうだな」
紬叔父「人間、あまりにも予想外の出来事が起きた場合、意外と声は出ないものだ」
紬叔父「まあ叫んで貰っても構わないんだが…」
紬叔父「その場合は2人共、今すぐに死んで貰う事になるぞ」
紬「嘘…どうして…約束が…違…う…」ドサッ
律「ムギ…」
律「嘘…嘘だろ?」
紬叔父「嘘では無い、これは現実の出来事だ」
紬叔父「このままでは紬は失血死する」
紬叔父「死なせたくなければ大声を出すな、話を良く聞け」
律「あ、ああ…ど、どうすれば良いんだよ…」
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:07:02.21 ID:EWY1ypn40
紬叔父「紬は私が担いで行く、お前は私の後を付いて来い」
紬叔父「言っておくが、もし何か変な事を考えたら…紬の命は無いものと思え」
紬叔父「おっと、私がそれを言うのはおかしいな…言い方を変えよう」
紬叔父「真鍋和とかいう娘の命は無いものと思え」
律「和…和だって!?」
紬叔父「大声を出すなと言ったぞ?」
律「あ、ああ…わ、分かったよ…」
紬叔父「よし、では行くぞ」
331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:08:23.69 ID:EWY1ypn40
~山小屋~
律「和!」
和「その声は…律?」
律「生きて、生きてたんだな…」
紬叔父「感動のご対面だな」
…
…
…
律「縛った上に目隠しか、手も足も出ないとはこの事だな…」
紬叔父「口を開くのはそこまでだ」
紬叔父「次に口を開いたら、二度と閉じる事は出来なくなると思え」
律(…)
律(いっそ大声で叫ぶか?)
律(必死だったからどれ位歩いたのか分からないけど)
律(建物まで声が届けばあるいは…)
333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:09:18.26 ID:EWY1ypn40
紬叔父「言っておくが、今更大声を出しても無駄だぞ?」
紬叔父「あの建物まで声が届く程、此処は近くない」
紬叔父「雪がこのまま降り続ければ足跡を辿る事も出来なくなる」
紬叔父「此処を見付ける事もまず不可能だな」
律(随分と色々喋ってくれるんだな…)
律(まあ、今更何をしても無駄だって事だろうけどよ)
律(それよりムギは、ムギは無事なのか?)
紬叔父「紬の事が気になるか?」
紬叔父「止血はしておいたが、どうだろうな」
紬叔父「残りは4人、人数が少なくなればこちらとしてもやりやすくなる」
紬叔父「2~3日生きていてくれれば何の問題もない」
334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:10:38.62 ID:EWY1ypn40
律(くっ…)
律(何か言ってやりたいけど、今は何を言っても無駄だ)
律(状況を整理して考えるしかない)
律(犯人はこいつ1人なのか?)
律(だったら、何時かは此処から離れるはずだ)
律(そうすれば、和から色々と聞く事も出来る)
紬叔父「1つだけ言っておこう」
紬叔父「私は暫くの間、此処を動かないぞ?」
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:12:55.66 ID:EWY1ypn40
律(動かない?どうしてだ?)
律(此処から動かなかったら、建物の中に居る4人には何も出来ないぞ?)
紬叔父「4人が1つの部屋に集まってるな」
紬叔父「脱出の相談をしているが…ふふっ、無駄な事だ」
律(見てもいないのに、何でそんな事が分かる?)
律(いや、見てるのか?)
律(監視カメラだ!)
律(気付いてたんだ…あたしも、他のみんなも)
律(でもあれはムギの仕業だと思って、誰も何も言わなかった)
律(合宿を出来るのはムギのおかげだから、その位のいたずらは許してやろうって)
律(その内みんな忘れてしまって…)
律(まさかこんな事に利用されているとは…)
律(このままじゃ4人が危ない)
律(何か、何か手は無いのか?)
律(何か、手は…)
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:13:50.29 ID:EWY1ypn40
~合宿4日目・朝・山小屋~
律「…」
律「…ん」
律「…」
律「しまった!何時の間にか寝て…」
律「!」
律(やばい、もし奴が近くに居たら…)
律(…)
律(誰も…居ないのか?)
律「和…」
律「和、起きてるか?」
律「和、起きてたら返事をしてくれ!」
紬叔父「残念だな、寝てるよ」
律「!」
338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:15:30.27 ID:EWY1ypn40
紬叔父「誰も居ないと思ったか?居ない訳が無いだろう」
律(くっ…)
紬叔父「喋るなと言ったはずだが、まあ良い」
紬叔父「食事の時間だ、これを食べろ」
紬叔父「手を使わなくても食べられるはずだ」
律(何だこれ?ゼリー飲料か?)
律(何が入ってるか分からないのに、素直に食べるはずがないだろ…)
紬叔父「毒でも入ってるんじゃないかと思っている様だが」
紬叔父「殺そうと思えば何時でも殺せるんだぞ?」
紬叔父「食べないのなら別にそれでも構わん」
紬叔父「そのまま衰弱死するだけの事だ」
律(確かにそうだ)
律(食べなくても結果は同じ、だったら少しでも体力を落とさない様に…)
紬叔父「そうだ、人間素直なのが1番だぞ」
律(何を言ってやがる)
340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:17:02.80 ID:EWY1ypn40
紬叔父「さて、食べ終わった所で良い事を教えてやろう」
紬叔父「今食べた物の中には、丸一日は目を覚まさないであろう睡眠薬が入っている」
紬叔父「もっとも…次に眠った時が最後、二度と目を覚まさないだろうがな」ククク
律「何!どういう事だ?」
紬叔父「言ったままの意味だよ」
紬叔父「目隠しされていては隣りの状況も分からないだろうが」
紬叔父「もう1人のお友達は既に眠ってしまった様だな」
律「和…」
紬叔父「薬が効いてくるまでは約1時間」
紬叔父「私も暫くの間は退屈だ、話し相手になってやっても良いんだぞ?」
律「何でこんな事を…いや、そんな事を聞いても意味が無いな」
紬叔父「そうだな、全くの無意味だ」
律(何か…何でも良い、あたし達が助かる為の情報が欲しい)
律(こいつの計画に何か穴は無いのか?)
341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:18:20.80 ID:EWY1ypn40
律(例えば…雪崩はどうなんだ?)
律(あれが偶然かどうかで、みんなが脱出出来る可能性が違って来るぞ)
律「それにしても、運が良かったな」
紬叔父「何がだ?」
律「偶然雪崩が起きるだなんて」
律「もしあれが無かったら、最初に脱出した2人が警察に駆け込んで」
律「お前もその時点で逮捕されてただろ?」
紬叔父「ああ、あの雪崩の事か…確かに運が良かった」
紬叔父「偶然にも花火が打ち上がるタイミングで雪崩が起きた様だが」
紬叔父「誰かが爆薬でも仕掛けたのかな?」ククク
律(駄目だ、それも計画的だったんだ…)
紬叔父「何故そんな事を聞いたのか当ててやろうか?」
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:19:21.92 ID:EWY1ypn40
紬叔父「今朝になって3人脱出したみたいだが、1人は帰って来た」
律(帰って来た?憂ちゃんは動けないだろうから、それを心配した唯か?)
律(じゃあ、澪と梓が…)
紬叔父「残った2人に期待しているんだろう?無駄だよ」
紬叔父「あの雪崩は歩いて越えられない位の規模で発生している」
紬叔父「それに途中で力尽きる様に、手も打ってあるからな」
律(そんな…もう、何も希望は無いのか…)
紬叔父「ん?これは…建物の中でも面白い事が起こっているぞ」
律(何だ?意識が遠のいて、何を言ってるのか…)
紬叔父「特別サービスだ、お前にも聞かせてやろう」
律(…この声は…唯…と…憂ちゃん)
紬叔父「こういう形で罠に引っ掛かってくれるとは…」
紬叔父「手間が省けて助かるよ」
律(…)
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:20:21.73 ID:EWY1ypn40
紬叔父「建物を離れた2人もそう長くは動けないだろう」
紬叔父「残る1人は籠の鳥だ、部屋から1歩も動くまい」
紬叔父「電話にしかけた罠も無駄になるだろうが、まあ良い」
紬叔父「…」
紬叔父「もう眠ってしまった様だな」
紬叔父「よし、先に建物を離れた2人を追う事にしよう」
紬叔父「あまり遠くまで行かれてしまうと、回収する手間も大変だからな」
…
…
…
律(…)
律(ふふっ…ふふふっ…)
律(最後に1つだけ…たった1つだけ…可能性ってやつが…見えて来たじゃないか…)
392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:11:10.95 ID:EWY1ypn40
~建物の前~
紬叔父「こんなに近くに倒れているとは…私は運が良い」
紬叔父「まずはこの2人を運んで、次は山小屋の3人だな」
~山小屋~
紬叔父「ふぅ、流石に4人を運ぶのは疲れるな」
紬叔父「怪我は大した事が無かった様だが…結果的に死ぬのは同じ事だったな、紬」
紬「2日目の昼、スキーが上手く滑れなくて…私はこの近くまで来てしまった」
紬「中がどうなってるのか覗いたら…叔父様、あなたが居た」
紬「何故って思ったけど、最初から私を殺す事が目的だったのね…」
紬叔父「そうだ、だが普通に殺してしまったのでは」
紬叔父「私も疑われてしまうのは判り切った事」
紬叔父「お前が此処を借りたいと言って来た時に、これは利用出来ると思った」
紬「あの小説も貸して、これを参考にして練習書きしてみると良いと言ったのは…」
紬叔父「当然この為だな、途中での修正作業もご苦労だった」
紬叔父「書き上がったシナリオを喜んで見せに来た時には、流石に笑ってしまったよ」
349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:23:54.53 ID:EWY1ypn40
紬「叔父様、あなたの目的は全員を殺す事では無かったはずよ?」
紬「私は最初に書いたシナリオの通りに6人全員を殺そうとした…」
紬「絶望感を与えながら…生きたまま一箇所に集めて、最後にまとめて殺す」
紬「でも最後の段階で躊躇してしまって、罪の意識を感じて自殺してしまう」
紬「例え未遂であってもそれだけの事をすれば、お父様の名誉にも傷が付く」
紬「それで目的が達成されるはずじゃ無かったの?」
紬「そうすれば、建物に仕掛けた爆破装置を作動させないって」
紬「私以外の全員を生かして帰してくれるって約束だったのに…」
紬叔父「それを信じたのか?」
紬「…」
紬叔父「爆破装置は単なる脅しだったが、本当かどうかをすぐに調べる術は無い」
紬叔父「人質を1人手に入れるまでの時間稼ぎとしては、十分な効果があった」
紬叔父「私が此処に居た事で、全てが計画的だと思った時点で負けだったな」
紬叔父「お前の事だから、万が一を考えて従わざるを得なかっただろうよ」
351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:26:02.03 ID:EWY1ypn40
紬叔父「だが、約束を信じていなかった事は丸分かりだ」
紬叔父「途中から妙に協力的になったが、そんな事で私は油断しない」
紬叔父「だからこそ何かをされる前に退場して貰った」
紬叔父「それに、例え最後までやり遂げる事が出来たとしても」
紬叔父「残りの6人には何か気が付かれている可能性がある」
紬叔父「生かして帰す気は最初から無かった、全員に死んで貰う予定だったんだよ」
紬(やっぱり…そういう事だったのね…)
紬(だからこそ、私はシナリオを修正する時に矛盾を作った…)
紬(それに…気が付いた?)
紬叔父「シナリオ通りに進めるのであれば、お前は生き残るつもりだった事になる」
紬叔父「であれば、誰か別の犯人役を用意しておく必要がある訳だ」
紬叔父「それはお前の提案した通り、平沢憂という娘にしておく」
紬叔父「犯人役として適しているかどうかは私には分からん」
紬叔父「だが、この偽装は100%見破られる事が前提だから何も問題は無い」
紬叔父「お前が誰か別に犯人が居ると思わせたい、そう考えた様にする為だからな」
353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:28:34.09 ID:EWY1ypn40
紬(見破られても問題が無いだなんて…)
紬(ふふっ、別の意味で見破られる事には何も気が付いて無いわね…)
紬(これで少なくとも、私達7人の中に犯人が居なかった事は分かって貰えるはずよ)
紬(後は私達が生き残る為の、最後の希望には気が付かないで欲しい…)
紬叔父「この事件がどういう風に捜査されるのかは分からん」
紬叔父「このシナリオがある限り、偽装がすぐにバレる事は間違い無い」
紬叔父「そしてお前が大量殺人を企てたという推測が成り立つだろうが」
紬叔父「本当にお前にそれが出来るかどうかで、見解が分かれるかもしれない」
紬叔父「だが、どういう風に考えられても問題は無いんだよ」
紬叔父「睡眠薬で寝かせておいてそのまま焼死という事になれば」
紬叔父「死亡推定時刻は殆ど一緒、明らかに他殺と分かる死体は1つも無いのだから」
紬叔父「悪くとも、これを元にした遊びの延長上で起こった事故だと思われる」
紬叔父「事件・事故どちらであっても、お前が計画した事に変わりはない…完璧だよ」
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:29:44.49 ID:EWY1ypn40
紬叔父「さて、お前もそろそろ意識が無くなる頃だろうが…」
紬叔父「最後の1人をどうするか迷っている」
紬叔父「ここまで上手くいったんだ、下手に抵抗されたくはない」
紬叔父「参考までに意見を聞いておこう、どうすれば良い?紬」
紬「憂ちゃんは頭の良い子よ、下手に手出しをしたら…」
紬「やられる可能性、あるかもしれないわよ?」
紬叔父「その割には姉の話にショックを受けて、何も出来なくなってしまったな?」
紬(それは…唯ちゃんにあんな事を言われたら…当然よね…)
紬叔父「まあ良い、どうせこのまま動けずに焼け死ぬだけだ」
紬叔父「お前を処理した後は、そのまま此処を離れる事にしよう」
紬叔父「これ以上、此処に留まっているのは危険だからな」
紬(そうだわ…来る時には他の宿泊客に…紛れ込む事も出来た…)
紬(そのままこの山小屋に…隠れている事も出来たけど…)
紬(どうやって…此処から…脱出する…つもり…なの…)
355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:30:51.59 ID:EWY1ypn40
紬叔父「この山小屋の存在はお前も知っていた様だが」
紬叔父「更に奥に行けば、山の裏側へ抜けるルートがあるのは知らなかったかな?」
紬叔父「最短で抜けられる様に、目印も予め付けておいた」
紬叔父「多少命懸けにはなるが、装備は万全だ」
紬叔父「今朝脱出した2人の様にはならないだろうよ」
紬(…)
紬叔父「眠ってしまったか…では、最後の仕上げをするかな」
紬叔父「お前を運び込んで発火装置をセット、それで終わりだよ」
紬叔父「恐らく事故だと考えられる可能性の方が高いだろうが」
紬叔父「事件だと考えられたなら、最後は罪の意識を感じて自殺という事になるかな」
紬叔父「紬、私はちゃんと約束を守ってやったぞ?」
紬叔父「もっとも、6人は死んでしまうという些細な違いはあったがな」ククク
紬(…)
紬(何を言ってるのか…もう…分からない…)
紬(でも…最後の希望には…まだ気が付いてない…それだけは…分かったわ…)
356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:32:16.99 ID:EWY1ypn40
~合宿5日目・夕方・ペンション跡~
紬叔父「何故だ…」
紬叔父「紬!何故生きている!」
紬「私だけじゃないのよ?」
紬「7人全員生きているわ」
紬叔父「…何故だ…馬鹿な!あり得ない!」
紬叔父「全員を集めて発火装置をセットしたはずだ!」
紬「全員?嘘でしょ」
紬「叔父様は油断して、1人だけ例外を作ってしまった」
紬叔父「例外?あの罠が作動しなかったのか?」
紬叔父「いや、そもそも最後の1人は歩けない状態だったはずだ!」
紬叔父「罠にかかろうとかかるまいと同じ事」
紬叔父「そのまま焼け死んでいなければおかしい!」
紬「実はね、罠自体は作動したのよ」
紬「憂ちゃんが唯ちゃんを想う力は私にも計算外だったわ」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:33:31.69 ID:EWY1ypn40
紬叔父「では何故!」
紬「だから言ってるでしょ?例外が1人だけ居たって」
紬「罠自体は唯ちゃんを引っ掛ける為でもあったんだけど…」
紬「その唯ちゃんが自殺を考えたから」
紬「叔父様は油断してそれ以上は何もしなかった」
紬叔父「まさか…」
唯「そう、そのまさかだよ!」
唯「私はちゃんと生きてるからね」
紬叔父「お前は!妹が犯人だと思い込んで自殺したはずでは!」
唯「あ~、そう言えばそんな感じだったかな?」
唯「あれはもう、自分で自分を褒めてあげたい位の名演技だったね~」
唯「私だって、やる時にはやるんだよ?って感じかな」
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:36:22.24 ID:EWY1ypn40
~合宿4日目・夕方・山の中~
ピピ…ピピ…ピピ…(お姉ちゃん、朝だよ~)
唯「…」
ピピ…ピピ…ピピ…(お姉ちゃん、朝だよ~)
唯「…はっ!」
唯「危ない危ない、ほんとに寝ちゃう所だった」
唯「目覚まし時計、持ってて良かったよ~」
唯「周りには…誰も居ないね」
唯「どうしよう、憂の事も気になるし」
唯「澪ちゃんとあずにゃんもどうなったか分からない」
唯「すぐに戻った方が良いのか、もう暫く待った方が良いのか…」
唯「…あれ?」
唯「そう言えば、とにかく遠くへって考えて歩いてただけだから…」
唯「戻る時の事、考えて無かったよ!」ガーン
唯「うわ~ん、どうしよう~」アセアセ
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:37:32.84 ID:EWY1ypn40
~合宿5日目・夕方・ペンション跡~
唯「いや~、良く戻って来れたよね~」
紬「…危ない所だったのね」
紬「でも、良く修正したシナリオの矛盾に気が付いてくれたわ」
紬「流石は唯ちゃんね」
唯「憂のバッグにはそれとしか考えられない物が入ってた」
唯「でも、憂が犯人だなんてあり得ない」
唯「じゃあ誰が?って思ったんだけど…そこまでは私にも分からなかった」
唯「でもこれだけは分かったんだよ、犯人は私にそう思わせたいんだってね」
唯「それに、そんな風に思わせる位なんだから結果がどうなるのか気になるよね?」
唯「それを何処かで見てるんじゃないかなって思ったんだ」
唯「だから何とかして私が騙されてるフリをしたかった」
唯「普通に逃げ出しただけじゃ、誰かが見張ってたらアウトでしょ?」
唯「追いかけられない方法は何か無いかなって必死に考えたんだけど」
唯「上手くいったみたいだね~」
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:38:55.96 ID:EWY1ypn40
唯「その後も結構綱渡りだったけど」
唯「戻る途中で山小屋を見付けたのがラッキーだったよ」
唯「みんなを必死で起こして…まだ全然起き上がれる状態じゃ無かったけど」
唯「あの建物に居ると危ないってムギちゃんが教えてくれて…」
唯「私1人でみんなを頑張って運んだ」
唯「そのすぐ後で建物が燃え出したから、正に危機一髪だったね」
唯「やっぱり、私の日頃の行いが良かったからかな?みんなが助かったのは」
紬「…」
さわ子「…」
唯「…」
唯「嘘です、調子に乗りました…」
さわ子「そうね、唯ちゃん1人の日頃の行いじゃないと思う」
さわ子「みんなの仲の良さが最後に奇跡を起こした…そう思いたいわね」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:39:51.82 ID:EWY1ypn40
>>361
そうでした…orz
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:41:44.91 ID:EWY1ypn40
~その後・生徒会室~
和「怪我はもう大丈夫なの?」
紬「ええ、血は一杯出ちゃったけど急所じゃなかったから」
紬「むしろ、血を見た事にびっくりして倒れちゃったのね」
和「良くは無いんだけど…まあ、良かったわね」
紬「ええ、憂ちゃんの怪我もそれ程重く無くて良かったわ」
和「それで、紬の叔父さんがこんな事を起こした理由は分かったのかしら?」
紬「和ちゃんなら分かるんじゃないの?」
和「紬は一人っ子だから財産目当てとかそういうラインかしらね」
和「まあ他人が口出しする事じゃないか…」
和「ごめんなさいね、変な事を聞いちゃって」
紬「ううん、良いのよ」
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:43:03.91 ID:EWY1ypn40
和「そう言えば…私には1つだけ、この事件で分からない事があるんだけど」
和「紬の考えを聞いても良いかしら?」
紬「ええ、どんな事?」
和「憂は一時的にとは言え、唯に犯人扱いされたんでしょ?」
和「どうして唯に反論しなかったんだろうってね」
和「いや、もちろんしたんでしょうけど…でも、憂らしくないわ」
和「憂なら理詰めで唯の事、説得出来たんじゃないかしらってね」
和「もちろん、そうなってしまったら最悪の展開になってたんでしょうけど…」
和「でも、ちょっと納得がいかないかなって」
紬「憂ちゃんはね、どんなに理不尽な事を言われても」
紬「唯ちゃんに言われた事だったら、深層心理ではそれを正しいと思いたいの」
紬「だから、自分は犯人じゃないとは言えるけど」
紬「唯ちゃんの言った事は矛盾の塊なのに、それに対しては殆ど反論出来なかったわ」
368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:44:16.06 ID:EWY1ypn40
紬「1番の問題はね、憂ちゃんに7人以外の犯人を指摘される事だったの」
紬「でも、唯ちゃんが最初に7人以外誰も居ないって言ってくれたから」
紬「憂ちゃんは真犯人を指摘する事も出来なくなった」
紬「そういう事じゃないかしら?」
和「唯はそこまで計算してたと思う?」
紬「ええ、思うわ」
和「凄いわね…そんな事を一瞬で考え付く唯も凄いと思うけど」
和「それはあの2人だからって事である程度は納得出来る」
和「でも、それを理解してる紬は凄いわ」
和「私の方が付き合いは長いのに…ちょっと悔しいわね」
紬「和ちゃんも軽音部に入ってみるのはどうかしら?」
紬「唯ちゃんともっと仲良くなれるし、憂ちゃんとの接点も増えるわよ?」
紬「それに…」
和「良いのよ、紬」
和「私は今の立ち位置で十分満足してるから」
370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:50:30.66 ID:EWY1ypn40
和「紬はこの事件の事、みんなには謝ったの?」
紬「ええ、ごめんなさいって一言だけね」
和「それだけ?」
紬「それだけよ」
和「私も手伝ったとは言え、元はと言えば紬の発案で始まった事なのに…酷い話ね」
紬「ええ、酷い話ね」
和「でも、私もそれで良いって思うわ」
紬「和ちゃんは外から、私は中から軽音部の事を何時も見守ってる」
紬「だから分かるのよね、これ以上は謝っちゃいけないって」
和「そうね、その通りよ」
和「軽音部のみんなは…もちろん憂もだけど、誰も今回の事は恨んでない」
紬「でも外からだけじゃなくて、和ちゃんもたまには中から見守ってみない?」
紬「見学だけでも良いの、誰か1人…凄く喜んでくれる人が居るかもしれないわ」
和「…だ、誰の事かしら」
紬「それはもちろん…私よ」
371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:51:35.72 ID:EWY1ypn40
紬「実はね…私、和ちゃんの事がずっと前から…好きだったの」
和「…」
紬「あれ?ちょっとは焦ったりとかしなかった?」
和「ええ、全然」
和「冗談で言ってるって事位、すぐに分かるわよ」
和「今回の事で少しはそういう部分、鍛えられたから」
紬「つまらない…」
和「今日も部活があるんでしょ?さっさと行ったらどうなの」
紬「しかも冷たい…」
紬「折角和ちゃんにはとっておきのプレゼント、用意して来たのに」
和「プレゼントね」
和「どうせ何か企んでるんでしょうけど、一応何なのか聞いてあげるわよ」
紬「これよ」
372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:52:21.35 ID:EWY1ypn40
和「特賞ヨーロッパペア旅行…」
紬「商店街の福引で当たったの~」
和「いや、私パスポート持ってないんだけど…」
紬「そうなの?じゃあ、これならどうかしら?」
和「1等沖縄ペア旅行…」
紬「プレゼント♪プレゼント♪」
和(紬の場合、本当に当たった可能性があるって所が何とも…)
和「まあ良いわ、貰えるなら貰っておくわよ」
和「でも、どうして急に?」
紬「え~とね、今回の事でお詫びにって思って」
和「紬…あなたね、自分でそんな必要は無いって言った所でしょ?」
和「それとも何?私だけは何時までも恨んでると思ってる訳?」
紬「ううん、そんな事は無いんだけど…でも」
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:55:53.93 ID:EWY1ypn40
紬「和ちゃんには酷い事をして…酷い事を言っちゃったから…」
紬「それだけは、和ちゃんが良いって言ってくれても自分が許せない」
紬「だから…」
和「分かったわよ、何か理由があって言ったんだと思うんだけど」
和「それも聞かないでおくわよ」
紬「ありがとう、和ちゃん」
和(あれはきっと、傍に犯人が居たから仕方なく言ってたんでしょう…)
和(少しでも油断させようと思って、積極的に協力してるフリをして…)
和(心にも無い事を…)
紬「ところで、誰を誘うの?」
和「もちろん決まってるじゃない、紬よ」
紬「りっちゃんじゃないの?」
和「ええ…実はね、私は紬の事が好きになっちゃったの」
紬「嘘!?」
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:58:29.43 ID:EWY1ypn40
紬「こ、困ったわ…そ、そんな事、急に言われても…」アセアセ
和「ふふっ、冗談よ、冗談」
紬「え?」
和「紬、あなた他の人の恋愛は積極的に後押しするのに」
和「自分が好きって言われたらそんなに慌てちゃうのね」
紬「だって…」
和「紬には色々として貰ったから、少しは私にも何かさせなさい」
紬「ええ、その時が来たら…是非お願いするわね」
377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:59:54.48 ID:EWY1ypn40
~部室~
澪「誰も来ないな」
梓「そうですね」
澪「梓、ちょっと後ろを向いてくれないか?」
梓「え?はい、良いですけど…」
澪「出来れば立ち上がってくれ」
梓「こうですか?」
澪「そう、そのまま…動くなよ?」
梓「は、はい」
ギュッ
梓「あ…」
378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:00:52.41 ID:EWY1ypn40
澪「今でも信じられないな」
梓「何がですか?」
澪「憂ちゃんも私も、こんなに小さな梓に背負われてたなんてな」
梓「言ったじゃないですか」
梓「憂の時は、澪先輩が待っててくれるって思ったから…頑張れたんですよ」
澪「私の時は?」
梓「澪先輩の時は…ごめんなさい」
梓「頑張ったんですけど、結局最後まは…」グスッ
澪「どうして謝る?」
梓「だって…結局私は、澪先輩を助けられなかった訳ですし…」
澪「そんな事は無いだろ?」
澪「梓があそこまで運んでくれたから、凍死だけは避けられたんだ」
澪「あのまま放置されてたら、私は今此処に居ないんだぞ?」
澪「梓は私の命の恩人だよ…」
澪「こんなに小さな体で、良く頑張ってくれたよ…」ナデナデ
380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:01:48.19 ID:EWY1ypn40
~部室の外~
紬「どうしたの2人共?」
唯「し~っ、駄目だよムギちゃん」
紬「…」
紬「部室の中には此処に居ない2人が居て、入りにくい状況って所かしら?」
律「そういう事だ」
律「今は慌てて練習する時期でも無いだろうから」
律「今日はこのまま解散って事で良いだろ」
律「暫くしたら今日の部活は無しってメールしておくよ」
紬「ええ、そうしてあげましょ」
紬「でも、りっちゃんは帰る前に生徒会室に寄ってね?」
唯「お、何時の間にかお熱い関係になってる和ちゃんからのお誘いですかな?」
律「いや、別にお熱くは無いだろ」
紬「そうなの?じゃあ和ちゃんにはりっちゃんがそう言ってたって…」
律「言わなくて良い!言わなくて良いから!」
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:02:35.55 ID:EWY1ypn40
紬「りっちゃんは本当に分かりやすいわね」
唯「ね~」
律「…」
律「また何か企んでるんじゃないだろうな?」
紬「もちろん、企んでるわよ♪」
律「まあムギの事だからな…分かったよ、生徒会室に寄ってから帰る」
紬「うふふっ、りっちゃんは素直だから…大好きよ」
律「…」
律「それを言われると、あたしの方が未だにゾクッてするな…」
382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:03:34.39 ID:EWY1ypn40
~その後・平沢家~
憂「駄目だよお姉ちゃん、ちゃんと全部食べないと」
憂「ピーマンもニンジンも凄く栄養があるんだよ?」
唯「うん、それは分かってるんだけど…何時もみたいに残しちゃ駄目?」
憂「そっか、私の料理なんて食べられないって事なんだ…」
憂「お姉ちゃんは私を殺人犯だなんて言っちゃう位だものね…」
憂「私の事なんて、実は嫌いだったんだ…」
憂「そんな私の作った料理なんて、食べられないよね…」
唯「違う!違うよ憂!何回も説明したでしょ?あれは演技で言っただけだよ!」
憂「ほんとに?」
唯「ほんとほんと!」
憂「じゃあ…私の事、好き?」
唯「うん、大好きだよ~」
憂「お姉ちゃんは、大好きな人が作った料理を残しちゃう様な人じゃないよね?」
唯「うっ…」
383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:04:32.26 ID:EWY1ypn40
憂「お姉ちゃん、何時までソファーでゴロゴロしてるの?」
憂「今日は一杯宿題が出たって言ってたじゃない」
憂「ちゃんとやらないと駄目だよ?」
唯「うん、そうなんだけど」
唯「あの、憂が代わりにやってくれるとか…」
憂「お姉ちゃん、それじゃ自分の為にならないでしょ?」
唯「でも…」
憂「…」
憂「そっか、お姉ちゃんは大好きな人が心配してるのに…」
憂「それを無視しちゃう様な人だったんだね…」
唯「うっ…」
384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:05:25.34 ID:EWY1ypn40
~唯の部屋~
唯「う~ん、憂は最近どうしたんだろ?」
唯「優しい所は同じなんだけど、私がわがままを言うと厳しい…」
カチャ
唯「昨日撮った新しい待ち受け画面、憂は何時見ても可愛いな…」エヘヘ
唯「そうだよね、憂が言ってる事は全部正しいんだから、頑張らないと!」
唯「でも、宿題沢山あるなあ…もっと早くやっておけば良かった…」
…
コンコン…ガチャッ
憂「入るね、お姉ちゃん」
唯「あれ?憂、どうしたの?」
憂「ケーキと紅茶の差し入れだよ」
唯「え?ケーキ!?」
憂「私も宿題手伝ってあげる、それを食べたら一緒に頑張ろうね」
唯「ほんとに?憂、ありがと~」
385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:06:13.94 ID:EWY1ypn40
憂「それはね、私の意地だよ」
唯「意地?」
憂「紬さんに指摘されたんだけど、私はお姉ちゃんが言う事だと」
憂「どんな事でも正しいって思いたいんだって」
憂「うん、確かに今まではそうだったね」
憂「お姉ちゃんがどんなにわがままを言っても、笑って許しちゃってた」
唯「うっ…確かにそうなのかも…」
憂「それが結果的には良かったんだけど…」
憂「でもそれって、私達の事は紬さんも同じ位に良く知ってるって事でしょ?」
憂「そんなの…悔しいじゃない」
憂「お姉ちゃんの事、私の方がずっとずっと好きなんだから…」
憂「お姉ちゃんの事は、私の方がずっと知っていたい」
憂「紬さんには負けたくない」
386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:07:01.75 ID:EWY1ypn40
憂「だからね、私は例えお姉ちゃんが言う事でも、全部正しいなんて思わない」
憂「間違ってる事は間違ってるって、ちゃんと言うからね」
憂「紬さんの考えは間違ってたって思わせたい」
唯(それって、単に私をしっかりさせたい為のこじつけなんじゃ…)
憂「分かった?お姉ちゃん」
唯「う、うん…分かったよ」
唯(でも、そうだよね…)
唯(好きな人の気持ちは誰よりも知っておきたいっていう所は、私にも分かる)
唯(憂がどうしてこんな事をするのか分からないって思った時…)
唯(私もちょっとだけ悔しかった)
387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:08:02.50 ID:EWY1ypn40
唯「私も、ムギちゃんには負けたくないな…」
唯「憂の事は誰よりも知っておきたいよ」
唯「だからね、今日からは一緒に寝よう!」
唯「学校も一緒に行って、帰って来る時も一緒」
唯「家に居る時も一緒」
唯「ずっとずっと一緒に居れば…憂の事、もっと分かるんじゃないのかな?」
憂「それは良いかもしれないね」
憂「でも、流石にずっと一緒は無理だよ、お姉ちゃん」
唯「分かってるよ~、でもそれ位、憂とは一緒に居たいって事だよ!」
憂「うん、私もお姉ちゃんと一緒に居たい、それは同じだよ」
憂(私が悔しがってこういう風に言えば…)
憂(お姉ちゃんは私の事、もっと知りたいって思ってくれる…)
憂(もしかして、これも紬さんの思惑通りなの?)
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:09:15.47 ID:EWY1ypn40
憂(でも、お姉ちゃんと仲良くなれるんだったらそれでも良いやって思う)
憂(私達は結局、最後まで紬さんのシナリオ通りに動いてただけかもしれない)
憂(例えそうだったとしても、紬さんには感謝の言葉しかないんだけど…)
唯「どうしたの?憂」
憂「ううん、何でも無いよ」
憂「ただね、紬さんの考えてくれる合宿なら、また参加してみたいなって考えてた」
唯「合宿?そうだね、次も是非憂に、それに和ちゃんにも参加して欲しいな~」
唯「次は夏休みに合宿かな?でも、春休みに合宿しても良いんだよね」
唯「明日、ムギちゃんに言ってみるよ!」
憂「うん!楽しみにしてるね」
憂(その時までには紬さんにも良い人が見付かってると…嬉しいんだけどな)
おしまい
396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:24:41.89 ID:EWY1ypn40 [231/232]
SSかどうかも分からない代物ですが
最後まで読んで頂いた方はお疲れ様でした
色々な意見を書いて頂いた方、ありがとうございます
特に読んで貰った上での批判は非常に助かります
一般道をスキーで降りれるのか?とか
監視カメラが唐突過ぎるとか…全くその通りだと思います
ムギちゃんは天使に書きたかったのに
逆のイメージで捉えられてしまったのは完全な失敗です
修正点を指摘して頂いてありがとうございました
次に書く機会があったらこういう事は無い様にしたいと思います
それでは
418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 23:50:43.06 ID:EWY1ypn40 [232/232]
寝る前に少しだけ
突っ込み所が満載な位読んで貰ったのは感謝です
読み返しはしていたのですが
自身が投下中に違和感を感じている位では
まだまだ駄目という事なのでしょうね
今度長い話を書く時には読み返しを徹底して
プロットも考えてから書きたいと思います
403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/12(日) 22:37:20.83 ID:3DJwnUku0
えーと、雪山で倒れてる澪梓は紬の叔父が小屋まで運んだってことでおk?
徒歩では無理だろうし、車みたいな音の出る輸送機器で運ぶと、人気のない雪山では相当目立ってしまうが…
トリック面がいろいろ気になる
>>403
建物のすぐ前までは来ている(梓が見たのは幻覚では無い)ので
そこから建物に直接運んでそのまま焼き殺す手順です
憂が気が付いたとしても動けない(と思ってる)から問題無いと
413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 23:07:03.25 ID:ApnGvAGKQ
手紙と弁当書いた人かな
挨拶が似てるし唯憂、澪梓が同じだし
415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/12(日) 23:26:30.06 ID:T1Kjp3kq0
413
あのひとは律紬
>>413
>>415
ごめんなさい、同じなんです…orz
~合宿2日目・昼・紬の部屋~
和「それで、話って何?」
紬「和ちゃんはあの計画、まだ覚えてるかしら?」
和「計画って、紬が考えてた連続殺人事件を解決するって話?」
和「ええ、覚えてるけど…まさか今から実行する気?」
紬「そうだと言ったら?」
和「まあ、紬がどうしてもやりたいって言うなら協力しても良いけど」
和「でもあそこから先の話、それに律を説得する方法は考え付いたの?」
紬「ううん、それは何も考えてないわ」
和「それじゃ駄目でしょ…」
紬「でもね、1つだけ良い事を思い付いたの」
和「良い事ね…一応聞いてみるけど、何かしら?」
紬「和ちゃんと私の役、交換して実行してみない?」
和「…」
和「…ちょっと待って、意味が分からないわ」
287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:26:55.85 ID:EWY1ypn40
紬「つまりね、私が最初に姿を消すの」
紬「和ちゃんはみんなを上手く誘導して」
紬「梓ちゃんと澪ちゃん、憂ちゃんと唯ちゃんを2人きりにする」
和「私はその間に律を説得して外に連れ出す…」
和「でも、連れ出した後の計画は何も無いんでしょ」
和「アドリブでどうにかしなさいって事?」
和「無理よ、そんなの」
和「それに、私にだって律を説得する自信は無いわ」
紬「自信なんて必要無いわよ」
紬「和ちゃんは何も言わなくて良いから」
和「どういう意味?」
紬「つまりね、和ちゃんにも2人きりの時間」
紬「プレゼントしてあげたいなって思ったの」
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:28:18.51 ID:EWY1ypn40
和「駄目よそんなの!」
和「そんな事急に言われても、私にはどうして良いか分からないわ…」
和「それに、そんな事をしたらやっぱり律は怒ると思う」
和「その時には…その、仲良くなれる…かもしれないけど…」
和「でも、後で私達がやった事だって気が付いたら嫌われちゃうわよ!」
和「律には、嫌われたくない…」
紬「大丈夫よ、全部私が考えてやった事にすれば良いの」
紬「私が連続殺人事件の真似事をするいたずらをして…」
紬「でも途中で上手く行かなくなって失敗」
紬「そういう事にしちゃえば、和ちゃんが嫌われる心配なんて何も無いわ」
紬「非難されるのは私だけで済むわよ」
和「紬、そんな風に言われて、私が納得すると思う?」
紬「思わないわね」
289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:32:44.56 ID:EWY1ypn40
紬「でも、和ちゃんはさっき言ったわよ」
紬「私がどうしてもやりたいって言ったら協力してくれるって」
和「ええ、言ったけど…」
紬「和ちゃんが役の交換を嫌だって言うんだったら」
紬「最初の計画通り、和ちゃんには今夜消えて貰うわね」
紬「私が今夜、りっちゃんと一夜を一緒に過ごして」
紬「吊り橋効果を一杯利用して、仲良くなっちゃおうかしら」ウフフ
紬「和ちゃんは知ってるわよね?」
紬「私が女の子同士の恋愛に対して凄く積極的だって事」
紬「私だったら、りっちゃんの喜びそうな事、一杯言ってあげられる」
紬「朝までは長いから、その間に私の事を好きにさせる自信があるわ」
紬「少しでも好きにさせれば、その気持ちはどんどん膨らんでいって…」
紬「後でこの事がバレてもお釣が来る位、私の事を好きになってるの」
291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:33:35.65 ID:EWY1ypn40
紬「別にりっちゃんの事なんて好きでも何でも無いんだけど」
紬「お遊びで付き合ってみるのも良いかもしれないわね」
紬「ああ、夜が早く来ないかしら」
紬「りっちゃんと過ごせる一夜、楽しみで仕方が無いわ♪」
和「はぁ…分かったわよ、降参する」
和「悔しいけど、それが全部嘘だって分かってても」
和「私はそんな事絶対にさせたくないって思っちゃったし」
和「さっき紬が言ってくれた事、してみたいって思っちゃったわね」
紬「あら?私は嘘なんて言ってないわよ?」
紬「でも和ちゃんがそうしたいのなら…うふふっ、もちろん代わってあげる」
293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:35:08.30 ID:EWY1ypn40
和「ええ、代わって貰う事にするわ」
和「でもね、私はお礼なんて言わないわよ」
和「律の事、遊びで付き合っても良いだなんて」
和「そんな事を言う相手に、お礼なんて絶対に言わない」
紬「そう、じゃあ私はこれで」
紬「後は計画通りに」
和「待ちなさい」
紬「何かしら?」
和「さっき言った事、私に教えなさい」
紬「教える…何を?」
和「…」
和「律が何を言ったら喜ぶのか、教えなさい///」
紬「…」
紬「ええ、良いわよ」ウフフ
295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:37:10.48 ID:EWY1ypn40
本編以外は書かない予定だったのですが
確かにこの後でどういうオチが付いても
紬と和を貶めている事になりますね
酷い話を書いてしまいました…反省します
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:38:31.34 ID:EWY1ypn40
~夜・お風呂~
紬「このサウナには、中からしか開けられない非常口があるのよね」
紬「ぱっと見ただけでは分からない様に、昨日の内に壁紙を貼ってみたけど」
紬「バレちゃったらこの計画も台無し」
紬「それでも良いんだけど…今日1日だけは気が付かれないで欲しいわ」
紬「とりあえず鍵をかけてから」
ガチャッ
紬「さ、寒いわね…」
紬「早くみんなの携帯を回収しに行かないと」
紬「着信音だけで見付からなかったら…まあその時はその時ね」
298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:39:40.61 ID:EWY1ypn40
~深夜・2階の廊下~
和「静かね…」
律「ああ…静かだな」
和「律は怖くない?」
律「それは、正直怖いよ」
律「何が起こってるのかさっぱり分からないからな」
律「あたしだって、泣きたくなる位に怖いさ…」
和(ごめん紬、やっぱり私にはこれ以上隠す事、出来ないよ…)
和「律、あのね…」
律「でもな、和が一緒に居ると安心出来るよ」
和「え?」
律「迷惑をかけっぱなしのあたしが言うのも変だけど」
律「和には凄く感謝してる」
300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:40:30.16 ID:EWY1ypn40
律「何時も軽音部を見守ってくれてる事、分かってるから」
律「和が居てくれると、和に見守って貰えると…」
律「何時もみたいに、安心出来るんだよ」
和「律…」
律「唯の事が心配なんだよな?それは分かってるよ」
律「でも、軽音部の為に色々としてくれてる事」
律「それは凄く感謝してるって、言っておきたかったんだ」
律「こんな時じゃないと…は、恥ずかしくて言えないからな」アハハ
和「…」
律「う、嘘じゃないぞ?」
律「あたしは本当に…」
ギュッ
律「え?どうしたんだよ?和」
和「怖いの」
301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:41:19.92 ID:EWY1ypn40
律「え?怖い?」
和「怖いから、このままで居て?」
律「あ、ああ…別に良いけど」
律「何だよ、和も案外怖いのが苦手だったりするんだな」
和「ええ、凄く怖い…」
和(律の事が好きになり過ぎて…怖いの…)
和「ねえ、律」
律「何だ?」
和「さっき言った事、本当?」
和「澪と梓の事、これで良いって言ってたけど…」
律「…」
律「どうしてそんな事を和が聞くんだ?」
302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:42:08.78 ID:EWY1ypn40
和「え?そ、それは…」
律「朝まで時間はたっぷりあるんだ」
律「是非それを聞かせて貰おうじゃないか」
和「律、分かってて言ってるわね」
律「まあな…和よりはこういう事、慣れてるつもりだぞ?」
律「あたしは和の事はあまり知らない」
律「でも…今はそうだな、知りたいって思ってるよ」
律「だから聞かせてくれよ、和の事…」
和「うん…」
律「うん…だって、可愛いな!」
和「も、もう!そんな言い方しないでよ!///」
…
…
…
303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:43:05.03 ID:EWY1ypn40
~食堂~
紬「そう、そんな事があったの…良かったわね」
和「ええ…」
紬「それで、りっちゃんは今どうしてるの?」
和「寝ちゃったわ」
和「風邪を引かない様に布団はかけてあげたけど」
和「ちゃんと被ってるかどうか心配だから、これを飲んだらすぐに戻るわね」
紬「そんな事言わずに、もう1杯どうかしら」
紬「結構自信があるのよ?紅茶の淹れ方」
和「そうね、ほんとに美味しいわね…それに、体が温まるわ」
和「もう1杯、頂こうかしら」
紬「ええ、どうぞ」
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:44:06.52 ID:EWY1ypn40
和「昼間はあんな事言っちゃったけど、ごめんなさい」
和「やっぱりお礼を言わせて貰うわ、紬、ありがとう」
紬「うふふっ、どういたしまして」
紬「後は、全部私が悪かった事にしちゃえば良いって事ね」
和「紬…やっぱり私、律には全部正直に言いたいわ」
和「全部正直に言ってから…それから律の事、好きだって言いたい」
紬「りっちゃんが和ちゃんの気持ちを受け止めてくれたとしても」
紬「和ちゃんはこの状況があったから、吊り橋効果のおかげだって思っちゃうから?」
和「ええ…その…通り…よ…」
紬「そんな事は無いと思うんだけどな…」
紬「でも、確かに焦る必要は無いかもしれないわね」
紬「和ちゃんの恋は始まったばかりなんだから」
紬「ゆっくりと気持ちを確かめていくのも良いかも…」
紬「…」
紬「和ちゃん?」
305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:45:11.75 ID:EWY1ypn40
和「…」
紬「和ちゃん?」
和「…」
ユサユサッ…ユサユサッ…
和「…zzz」
紬「そう…やっと、寝てくれたのね…」
紬「ごめんなさい、和ちゃん」
紬「今実行しているシナリオ、最初に和ちゃんにも見せたわよね?」
紬「私と役を交換してしまうと…」
紬「1つ目のシナリオ、そのまま実行出来ちゃうのよ」
307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:46:29.97 ID:EWY1ypn40
~山小屋~
和「うっ…」
紬「気が付いたかしら?和ちゃん」
和「紬…その声は紬なの?」
紬「ええ、私よ」
和「此処は何処?真っ暗で何も見えないんだけど」
紬「和ちゃんには話したわよね、あの建物の奥にある山小屋の中よ」
和「山小屋の中…」
和「ちょっと待って、暗いのは夜だからって思ったけど」
和「私、目隠しされてるの?」
紬「そうみたいね」
和「それに何?どうして動けない訳?」
紬「だって和ちゃん、手も足も縛られているんだもの」
紬「動ける訳がないじゃない」
和(この展開…何処かで見た記憶が…)
309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:48:37.34 ID:EWY1ypn40
紬「でも和ちゃんは流石ね、こんな状況なのに冷静で居られるなんて」
紬「まるでこうなる事が分かってたみたい」
和(やっぱり…)
和「紬、あともう1つだけ聞くわ」
紬「何?」
和「私の状況は理解した…紬、あなたも私と同じ状況なの?」
紬「違うわね」
和「…」
和「そう…つまり私は…」
和「紬が見せてくれた1つ目のシナリオ、その最初の犠牲者って訳ね」
紬「その通りよ」
和(思い出して来た、あのシナリオ通りなら次の犠牲者は確か…)
和(律!律になる!)
和(でも、まだ紬の目的は分からない)
和(単に私だけを狙ってという事も考えられる)
311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:49:50.19 ID:EWY1ypn40
和(そうじゃ無かったとしても、私だけを狙う様に…)
和(私だけを恨む様に、紬を怒らせてみる?)
紬「他に聞きたい事は?」
和「今の所は別に、何も無いわね」
紬「あら?どうして私がこんな事をするのか、聞きたくないの?」
和「ええ、聞きたくないわ」
和「言いたかったら言う、言いたくなかったら言わない、それだけの事でしょ?」
和「何か言いたい事があるのなら、勝手に言ってれば良いんじゃないの」
紬「…」
紬「和ちゃん、そんな言い方って酷いと思うな」
紬「そんな風に言われたら…私、いじめたくなっちゃうじゃない」
和「良いわよ、やれば良いでしょ」
紬「ええ、たっぷりといじめてあげるわ…」
紬「和ちゃんの大好きな…大好きなりっちゃんをね」
和「!?」
312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:51:14.87 ID:EWY1ypn40
和「待って!紬!律は止めて!」
紬「和ちゃん、りっちゃんだけじゃないのよ?みんな一緒にいじめてあげる」
和「じゃあ紬は、あのシナリオを本気で…」
紬「ええ、実行する気よ?」
和「そんな…」
和(だとしたら…駄目、紬の事は誰も疑ってない)
和(みんなこのまま…捕まってしまう…)
紬「もう夜が明けて来たみたいね」
紬「今夜のお楽しみに備えて、私はもう寝る事にするわ」
紬「和ちゃん、ラストの瞬間まではちゃんと生かしておいてあげるから…」
紬「じゃ、おやすみなさい」
ガチャッ
和(隣の部屋に行ったの?)
和(でも、今ほんの少しだけど足音が…)
和(足音が2つ聞こえた気がするのは…気のせい?)
313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:54:02.04 ID:EWY1ypn40
紬「りっちゃんを説得して連れ出す自信は無いけど…でもね」
紬「連れ出すだけなら…お芝居じゃ無かったら、そんな回りくどい方法は必要無い」
紬「それは今夜にでもやらせて貰うわ」
紬「残った4人は…憂ちゃんの怪我は予想外だったけど、シナリオの修正は出来る」
紬「脱出を目指すなら、澪ちゃんと梓ちゃんだけね」
紬「もしそうなったら2人には途中で眠って貰う、町までは辿り着けない」
紬「歩いて行ける距離なんてたかが知れてるわ」
紬「眠っている所を連れ帰す事もそんなには難しくはないはず」
紬「唯ちゃんは憂ちゃんを置いては行けないから此処に残ると思う」
紬「警戒もしてるでしょうから、まずは2人を引き離した方がやり易いわね」
紬「唯ちゃんには憂ちゃんを犯人だと思い込ませれば、一緒には居られないはずよ」
紬「多分1人になりたいと思うから、そこを襲いましょ」
紬「もし1人にならなかったら、絶対に部屋を出たくなる罠を仕掛けておくの」
紬「憂ちゃんは動けないから、そのまま放っておいても構わないわ」
紬「それで全てが終わる…そう、全てが終わるのよ」
314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:55:19.09 ID:EWY1ypn40
~合宿3日目夜・食堂~
バチンッ
律「何だ?停電か!?」
律(落ち着け、落ち着くんだ…)
律(…)
律(確か、部屋の入り口の壁に懐中電灯があったよな?)
律(まずは壁を探して…よし、この壁伝いに行けば安全だな)
律(そろ~っと、そろ~っと…段々目も慣れて来たな)
律(ん?何だ?…誰か居る!)
ゴツンッ
律「痛っ!」
紬「りっちゃん、痛いじゃない…」
紬「ちゃんと前を向いて歩かないと駄目よ?」
律「え?」
律「む…」ムギュッ
315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:56:40.90 ID:EWY1ypn40
紬「りっちゃん、大声を出さないで?」
紬「今大声を出すと危険よ、分かった?」
律「…」コクコク
紬「じゃあ、手を離すわね」
律「ぷは~」
律「ムギ!無事だったのか!」
紬「し~っ、大声を出しちゃ駄目って言ったでしょ?」
律「あ、そうだったな」
紬「うふふっ、りっちゃんは素直だから…大好きよ」
律「は?何だよいきなり…て、照れるじゃないか///」
グサッ
ポタッ…ポタッ…ポタッ…
律「え?」
律「ちょっと待てよ、ムギ…」
律「な、何でだよ…」
318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:58:16.90 ID:EWY1ypn40
~合宿5日目・夕方・ペンション跡~
さわ子「この事件の犯人は、1人しか考えられません」
紬叔父「まさか、紬が犯人だと言うんじゃないでしょうね?」
さわ子「紬さんはこの合宿の発案者、条件としてはぴったりですね」
紬叔父「馬鹿な!紬がそんな事をする訳が無い!」
さわ子「…」
さわ子「ふふっ…ふふふっ…」
紬叔父「…何がおかしいんですか?」
さわ子「いえ、この事件の犯人の事を哀れんでいるんですよ」
さわ子「計画通りに行ったと思っているんでしょうけど」
さわ子「何て馬鹿なんだろうって」
さわ子「憂ちゃんを犯人に仕立て上げるなんて、本当にお馬鹿さん」
319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 20:59:35.30 ID:EWY1ypn40
さわ子「計画的?突発的?」
さわ子「そんなの、全く関係無いんです」
さわ子「憂ちゃんがみんなを殺そうとするだなんて…」
さわ子「そんな事、絶対にあり得ないんですよ」
さわ子「それに、唯ちゃんはそのまま死なせてあげてですって?」
さわ子「笑ってしまう位にあり得ない」
さわ子「もし本当に唯ちゃんが自殺しようとしたら」
さわ子「憂ちゃんなら例え可能性が0であっても唯ちゃんを助けて欲しい」
さわ子「探し出して欲しいって言うはずです」
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:01:36.78 ID:EWY1ypn40
さわ子「もっと笑ってしまうのは…その程度の事、私にだって分かるんです」
さわ子「みんなの事を何時も見守っている紬さんであれば」
さわ子「それが分からないなんて事、絶対にあり得ない」
さわ子「あの子達はとても深い絆で結び付いてる」
さわ子「それが犯人には全く理解出来ていなかった様ですね」
紬叔父「さっきから何を…いや、何が言いたいんですか?」
さわ子「簡単な事ですよ、紬さんを含めて此処に集まった7人に犯人なんて居ません」
さわ子「犯人はそれ以外で、この合宿の事を知っていた人物」
さわ子「もちろん私ではありません」
さわ子「私は合宿期間中には此処から遠く離れた学校に居ました」
さわ子「それは多数の方が証言してくれます」
さわ子「それに第一、私が犯人だったらこんなヘマはしませんから」
紬叔父「…」
さわ子「消去法で考えれば…誰が犯人なのか、お分かりになりますよね?」
さわ子「この事件の犯人は…」
326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:04:07.96 ID:EWY1ypn40
紬「犯人は叔父様!あなたよ!」ズビシッ
紬「…」
紬「き、決まったわ!」ジーン
さわ子「…」
さわ子「それ、普通に考えたら私の台詞でしょ…」
紬「ごめんなさい、さわ子先生」
紬「どうしても言ってみたかったんです」ウフフ
さわ子「そこの木の陰でずっとタイミングを見てたのはこれだったのね…」
紬「美味しい所だけ貰っちゃいました」
紬叔父「つ、紬…」
紬「どうして生きてるの?って顔をしてるわね」
329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:05:27.00 ID:EWY1ypn40
~合宿3日目・夜・食堂~
律「何でだよ…」
紬「りっちゃん…い、痛い…」
律「何でムギが…ムギが、刺されてるんだ…」
紬叔父「大声を出さないのは紬の言った事を守っているから…では無さそうだな」
紬叔父「人間、あまりにも予想外の出来事が起きた場合、意外と声は出ないものだ」
紬叔父「まあ叫んで貰っても構わないんだが…」
紬叔父「その場合は2人共、今すぐに死んで貰う事になるぞ」
紬「嘘…どうして…約束が…違…う…」ドサッ
律「ムギ…」
律「嘘…嘘だろ?」
紬叔父「嘘では無い、これは現実の出来事だ」
紬叔父「このままでは紬は失血死する」
紬叔父「死なせたくなければ大声を出すな、話を良く聞け」
律「あ、ああ…ど、どうすれば良いんだよ…」
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:07:02.21 ID:EWY1ypn40
紬叔父「紬は私が担いで行く、お前は私の後を付いて来い」
紬叔父「言っておくが、もし何か変な事を考えたら…紬の命は無いものと思え」
紬叔父「おっと、私がそれを言うのはおかしいな…言い方を変えよう」
紬叔父「真鍋和とかいう娘の命は無いものと思え」
律「和…和だって!?」
紬叔父「大声を出すなと言ったぞ?」
律「あ、ああ…わ、分かったよ…」
紬叔父「よし、では行くぞ」
331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:08:23.69 ID:EWY1ypn40
~山小屋~
律「和!」
和「その声は…律?」
律「生きて、生きてたんだな…」
紬叔父「感動のご対面だな」
…
…
…
律「縛った上に目隠しか、手も足も出ないとはこの事だな…」
紬叔父「口を開くのはそこまでだ」
紬叔父「次に口を開いたら、二度と閉じる事は出来なくなると思え」
律(…)
律(いっそ大声で叫ぶか?)
律(必死だったからどれ位歩いたのか分からないけど)
律(建物まで声が届けばあるいは…)
333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:09:18.26 ID:EWY1ypn40
紬叔父「言っておくが、今更大声を出しても無駄だぞ?」
紬叔父「あの建物まで声が届く程、此処は近くない」
紬叔父「雪がこのまま降り続ければ足跡を辿る事も出来なくなる」
紬叔父「此処を見付ける事もまず不可能だな」
律(随分と色々喋ってくれるんだな…)
律(まあ、今更何をしても無駄だって事だろうけどよ)
律(それよりムギは、ムギは無事なのか?)
紬叔父「紬の事が気になるか?」
紬叔父「止血はしておいたが、どうだろうな」
紬叔父「残りは4人、人数が少なくなればこちらとしてもやりやすくなる」
紬叔父「2~3日生きていてくれれば何の問題もない」
334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:10:38.62 ID:EWY1ypn40
律(くっ…)
律(何か言ってやりたいけど、今は何を言っても無駄だ)
律(状況を整理して考えるしかない)
律(犯人はこいつ1人なのか?)
律(だったら、何時かは此処から離れるはずだ)
律(そうすれば、和から色々と聞く事も出来る)
紬叔父「1つだけ言っておこう」
紬叔父「私は暫くの間、此処を動かないぞ?」
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:12:55.66 ID:EWY1ypn40
律(動かない?どうしてだ?)
律(此処から動かなかったら、建物の中に居る4人には何も出来ないぞ?)
紬叔父「4人が1つの部屋に集まってるな」
紬叔父「脱出の相談をしているが…ふふっ、無駄な事だ」
律(見てもいないのに、何でそんな事が分かる?)
律(いや、見てるのか?)
律(監視カメラだ!)
律(気付いてたんだ…あたしも、他のみんなも)
律(でもあれはムギの仕業だと思って、誰も何も言わなかった)
律(合宿を出来るのはムギのおかげだから、その位のいたずらは許してやろうって)
律(その内みんな忘れてしまって…)
律(まさかこんな事に利用されているとは…)
律(このままじゃ4人が危ない)
律(何か、何か手は無いのか?)
律(何か、手は…)
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:13:50.29 ID:EWY1ypn40
~合宿4日目・朝・山小屋~
律「…」
律「…ん」
律「…」
律「しまった!何時の間にか寝て…」
律「!」
律(やばい、もし奴が近くに居たら…)
律(…)
律(誰も…居ないのか?)
律「和…」
律「和、起きてるか?」
律「和、起きてたら返事をしてくれ!」
紬叔父「残念だな、寝てるよ」
律「!」
338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:15:30.27 ID:EWY1ypn40
紬叔父「誰も居ないと思ったか?居ない訳が無いだろう」
律(くっ…)
紬叔父「喋るなと言ったはずだが、まあ良い」
紬叔父「食事の時間だ、これを食べろ」
紬叔父「手を使わなくても食べられるはずだ」
律(何だこれ?ゼリー飲料か?)
律(何が入ってるか分からないのに、素直に食べるはずがないだろ…)
紬叔父「毒でも入ってるんじゃないかと思っている様だが」
紬叔父「殺そうと思えば何時でも殺せるんだぞ?」
紬叔父「食べないのなら別にそれでも構わん」
紬叔父「そのまま衰弱死するだけの事だ」
律(確かにそうだ)
律(食べなくても結果は同じ、だったら少しでも体力を落とさない様に…)
紬叔父「そうだ、人間素直なのが1番だぞ」
律(何を言ってやがる)
340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:17:02.80 ID:EWY1ypn40
紬叔父「さて、食べ終わった所で良い事を教えてやろう」
紬叔父「今食べた物の中には、丸一日は目を覚まさないであろう睡眠薬が入っている」
紬叔父「もっとも…次に眠った時が最後、二度と目を覚まさないだろうがな」ククク
律「何!どういう事だ?」
紬叔父「言ったままの意味だよ」
紬叔父「目隠しされていては隣りの状況も分からないだろうが」
紬叔父「もう1人のお友達は既に眠ってしまった様だな」
律「和…」
紬叔父「薬が効いてくるまでは約1時間」
紬叔父「私も暫くの間は退屈だ、話し相手になってやっても良いんだぞ?」
律「何でこんな事を…いや、そんな事を聞いても意味が無いな」
紬叔父「そうだな、全くの無意味だ」
律(何か…何でも良い、あたし達が助かる為の情報が欲しい)
律(こいつの計画に何か穴は無いのか?)
341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:18:20.80 ID:EWY1ypn40
律(例えば…雪崩はどうなんだ?)
律(あれが偶然かどうかで、みんなが脱出出来る可能性が違って来るぞ)
律「それにしても、運が良かったな」
紬叔父「何がだ?」
律「偶然雪崩が起きるだなんて」
律「もしあれが無かったら、最初に脱出した2人が警察に駆け込んで」
律「お前もその時点で逮捕されてただろ?」
紬叔父「ああ、あの雪崩の事か…確かに運が良かった」
紬叔父「偶然にも花火が打ち上がるタイミングで雪崩が起きた様だが」
紬叔父「誰かが爆薬でも仕掛けたのかな?」ククク
律(駄目だ、それも計画的だったんだ…)
紬叔父「何故そんな事を聞いたのか当ててやろうか?」
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:19:21.92 ID:EWY1ypn40
紬叔父「今朝になって3人脱出したみたいだが、1人は帰って来た」
律(帰って来た?憂ちゃんは動けないだろうから、それを心配した唯か?)
律(じゃあ、澪と梓が…)
紬叔父「残った2人に期待しているんだろう?無駄だよ」
紬叔父「あの雪崩は歩いて越えられない位の規模で発生している」
紬叔父「それに途中で力尽きる様に、手も打ってあるからな」
律(そんな…もう、何も希望は無いのか…)
紬叔父「ん?これは…建物の中でも面白い事が起こっているぞ」
律(何だ?意識が遠のいて、何を言ってるのか…)
紬叔父「特別サービスだ、お前にも聞かせてやろう」
律(…この声は…唯…と…憂ちゃん)
紬叔父「こういう形で罠に引っ掛かってくれるとは…」
紬叔父「手間が省けて助かるよ」
律(…)
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:20:21.73 ID:EWY1ypn40
紬叔父「建物を離れた2人もそう長くは動けないだろう」
紬叔父「残る1人は籠の鳥だ、部屋から1歩も動くまい」
紬叔父「電話にしかけた罠も無駄になるだろうが、まあ良い」
紬叔父「…」
紬叔父「もう眠ってしまった様だな」
紬叔父「よし、先に建物を離れた2人を追う事にしよう」
紬叔父「あまり遠くまで行かれてしまうと、回収する手間も大変だからな」
…
…
…
律(…)
律(ふふっ…ふふふっ…)
律(最後に1つだけ…たった1つだけ…可能性ってやつが…見えて来たじゃないか…)
392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:11:10.95 ID:EWY1ypn40
~建物の前~
紬叔父「こんなに近くに倒れているとは…私は運が良い」
紬叔父「まずはこの2人を運んで、次は山小屋の3人だな」
~山小屋~
紬叔父「ふぅ、流石に4人を運ぶのは疲れるな」
紬叔父「怪我は大した事が無かった様だが…結果的に死ぬのは同じ事だったな、紬」
紬「2日目の昼、スキーが上手く滑れなくて…私はこの近くまで来てしまった」
紬「中がどうなってるのか覗いたら…叔父様、あなたが居た」
紬「何故って思ったけど、最初から私を殺す事が目的だったのね…」
紬叔父「そうだ、だが普通に殺してしまったのでは」
紬叔父「私も疑われてしまうのは判り切った事」
紬叔父「お前が此処を借りたいと言って来た時に、これは利用出来ると思った」
紬「あの小説も貸して、これを参考にして練習書きしてみると良いと言ったのは…」
紬叔父「当然この為だな、途中での修正作業もご苦労だった」
紬叔父「書き上がったシナリオを喜んで見せに来た時には、流石に笑ってしまったよ」
349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:23:54.53 ID:EWY1ypn40
紬「叔父様、あなたの目的は全員を殺す事では無かったはずよ?」
紬「私は最初に書いたシナリオの通りに6人全員を殺そうとした…」
紬「絶望感を与えながら…生きたまま一箇所に集めて、最後にまとめて殺す」
紬「でも最後の段階で躊躇してしまって、罪の意識を感じて自殺してしまう」
紬「例え未遂であってもそれだけの事をすれば、お父様の名誉にも傷が付く」
紬「それで目的が達成されるはずじゃ無かったの?」
紬「そうすれば、建物に仕掛けた爆破装置を作動させないって」
紬「私以外の全員を生かして帰してくれるって約束だったのに…」
紬叔父「それを信じたのか?」
紬「…」
紬叔父「爆破装置は単なる脅しだったが、本当かどうかをすぐに調べる術は無い」
紬叔父「人質を1人手に入れるまでの時間稼ぎとしては、十分な効果があった」
紬叔父「私が此処に居た事で、全てが計画的だと思った時点で負けだったな」
紬叔父「お前の事だから、万が一を考えて従わざるを得なかっただろうよ」
351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:26:02.03 ID:EWY1ypn40
紬叔父「だが、約束を信じていなかった事は丸分かりだ」
紬叔父「途中から妙に協力的になったが、そんな事で私は油断しない」
紬叔父「だからこそ何かをされる前に退場して貰った」
紬叔父「それに、例え最後までやり遂げる事が出来たとしても」
紬叔父「残りの6人には何か気が付かれている可能性がある」
紬叔父「生かして帰す気は最初から無かった、全員に死んで貰う予定だったんだよ」
紬(やっぱり…そういう事だったのね…)
紬(だからこそ、私はシナリオを修正する時に矛盾を作った…)
紬(それに…気が付いた?)
紬叔父「シナリオ通りに進めるのであれば、お前は生き残るつもりだった事になる」
紬叔父「であれば、誰か別の犯人役を用意しておく必要がある訳だ」
紬叔父「それはお前の提案した通り、平沢憂という娘にしておく」
紬叔父「犯人役として適しているかどうかは私には分からん」
紬叔父「だが、この偽装は100%見破られる事が前提だから何も問題は無い」
紬叔父「お前が誰か別に犯人が居ると思わせたい、そう考えた様にする為だからな」
353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:28:34.09 ID:EWY1ypn40
紬(見破られても問題が無いだなんて…)
紬(ふふっ、別の意味で見破られる事には何も気が付いて無いわね…)
紬(これで少なくとも、私達7人の中に犯人が居なかった事は分かって貰えるはずよ)
紬(後は私達が生き残る為の、最後の希望には気が付かないで欲しい…)
紬叔父「この事件がどういう風に捜査されるのかは分からん」
紬叔父「このシナリオがある限り、偽装がすぐにバレる事は間違い無い」
紬叔父「そしてお前が大量殺人を企てたという推測が成り立つだろうが」
紬叔父「本当にお前にそれが出来るかどうかで、見解が分かれるかもしれない」
紬叔父「だが、どういう風に考えられても問題は無いんだよ」
紬叔父「睡眠薬で寝かせておいてそのまま焼死という事になれば」
紬叔父「死亡推定時刻は殆ど一緒、明らかに他殺と分かる死体は1つも無いのだから」
紬叔父「悪くとも、これを元にした遊びの延長上で起こった事故だと思われる」
紬叔父「事件・事故どちらであっても、お前が計画した事に変わりはない…完璧だよ」
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:29:44.49 ID:EWY1ypn40
紬叔父「さて、お前もそろそろ意識が無くなる頃だろうが…」
紬叔父「最後の1人をどうするか迷っている」
紬叔父「ここまで上手くいったんだ、下手に抵抗されたくはない」
紬叔父「参考までに意見を聞いておこう、どうすれば良い?紬」
紬「憂ちゃんは頭の良い子よ、下手に手出しをしたら…」
紬「やられる可能性、あるかもしれないわよ?」
紬叔父「その割には姉の話にショックを受けて、何も出来なくなってしまったな?」
紬(それは…唯ちゃんにあんな事を言われたら…当然よね…)
紬叔父「まあ良い、どうせこのまま動けずに焼け死ぬだけだ」
紬叔父「お前を処理した後は、そのまま此処を離れる事にしよう」
紬叔父「これ以上、此処に留まっているのは危険だからな」
紬(そうだわ…来る時には他の宿泊客に…紛れ込む事も出来た…)
紬(そのままこの山小屋に…隠れている事も出来たけど…)
紬(どうやって…此処から…脱出する…つもり…なの…)
355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:30:51.59 ID:EWY1ypn40
紬叔父「この山小屋の存在はお前も知っていた様だが」
紬叔父「更に奥に行けば、山の裏側へ抜けるルートがあるのは知らなかったかな?」
紬叔父「最短で抜けられる様に、目印も予め付けておいた」
紬叔父「多少命懸けにはなるが、装備は万全だ」
紬叔父「今朝脱出した2人の様にはならないだろうよ」
紬(…)
紬叔父「眠ってしまったか…では、最後の仕上げをするかな」
紬叔父「お前を運び込んで発火装置をセット、それで終わりだよ」
紬叔父「恐らく事故だと考えられる可能性の方が高いだろうが」
紬叔父「事件だと考えられたなら、最後は罪の意識を感じて自殺という事になるかな」
紬叔父「紬、私はちゃんと約束を守ってやったぞ?」
紬叔父「もっとも、6人は死んでしまうという些細な違いはあったがな」ククク
紬(…)
紬(何を言ってるのか…もう…分からない…)
紬(でも…最後の希望には…まだ気が付いてない…それだけは…分かったわ…)
356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:32:16.99 ID:EWY1ypn40
~合宿5日目・夕方・ペンション跡~
紬叔父「何故だ…」
紬叔父「紬!何故生きている!」
紬「私だけじゃないのよ?」
紬「7人全員生きているわ」
紬叔父「…何故だ…馬鹿な!あり得ない!」
紬叔父「全員を集めて発火装置をセットしたはずだ!」
紬「全員?嘘でしょ」
紬「叔父様は油断して、1人だけ例外を作ってしまった」
紬叔父「例外?あの罠が作動しなかったのか?」
紬叔父「いや、そもそも最後の1人は歩けない状態だったはずだ!」
紬叔父「罠にかかろうとかかるまいと同じ事」
紬叔父「そのまま焼け死んでいなければおかしい!」
紬「実はね、罠自体は作動したのよ」
紬「憂ちゃんが唯ちゃんを想う力は私にも計算外だったわ」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:33:31.69 ID:EWY1ypn40
紬叔父「では何故!」
紬「だから言ってるでしょ?例外が1人だけ居たって」
紬「罠自体は唯ちゃんを引っ掛ける為でもあったんだけど…」
紬「その唯ちゃんが自殺を考えたから」
紬「叔父様は油断してそれ以上は何もしなかった」
紬叔父「まさか…」
唯「そう、そのまさかだよ!」
唯「私はちゃんと生きてるからね」
紬叔父「お前は!妹が犯人だと思い込んで自殺したはずでは!」
唯「あ~、そう言えばそんな感じだったかな?」
唯「あれはもう、自分で自分を褒めてあげたい位の名演技だったね~」
唯「私だって、やる時にはやるんだよ?って感じかな」
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:36:22.24 ID:EWY1ypn40
~合宿4日目・夕方・山の中~
ピピ…ピピ…ピピ…(お姉ちゃん、朝だよ~)
唯「…」
ピピ…ピピ…ピピ…(お姉ちゃん、朝だよ~)
唯「…はっ!」
唯「危ない危ない、ほんとに寝ちゃう所だった」
唯「目覚まし時計、持ってて良かったよ~」
唯「周りには…誰も居ないね」
唯「どうしよう、憂の事も気になるし」
唯「澪ちゃんとあずにゃんもどうなったか分からない」
唯「すぐに戻った方が良いのか、もう暫く待った方が良いのか…」
唯「…あれ?」
唯「そう言えば、とにかく遠くへって考えて歩いてただけだから…」
唯「戻る時の事、考えて無かったよ!」ガーン
唯「うわ~ん、どうしよう~」アセアセ
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:37:32.84 ID:EWY1ypn40
~合宿5日目・夕方・ペンション跡~
唯「いや~、良く戻って来れたよね~」
紬「…危ない所だったのね」
紬「でも、良く修正したシナリオの矛盾に気が付いてくれたわ」
紬「流石は唯ちゃんね」
唯「憂のバッグにはそれとしか考えられない物が入ってた」
唯「でも、憂が犯人だなんてあり得ない」
唯「じゃあ誰が?って思ったんだけど…そこまでは私にも分からなかった」
唯「でもこれだけは分かったんだよ、犯人は私にそう思わせたいんだってね」
唯「それに、そんな風に思わせる位なんだから結果がどうなるのか気になるよね?」
唯「それを何処かで見てるんじゃないかなって思ったんだ」
唯「だから何とかして私が騙されてるフリをしたかった」
唯「普通に逃げ出しただけじゃ、誰かが見張ってたらアウトでしょ?」
唯「追いかけられない方法は何か無いかなって必死に考えたんだけど」
唯「上手くいったみたいだね~」
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:38:55.96 ID:EWY1ypn40
唯「その後も結構綱渡りだったけど」
唯「戻る途中で山小屋を見付けたのがラッキーだったよ」
唯「みんなを必死で起こして…まだ全然起き上がれる状態じゃ無かったけど」
唯「あの建物に居ると危ないってムギちゃんが教えてくれて…」
唯「私1人でみんなを頑張って運んだ」
唯「そのすぐ後で建物が燃え出したから、正に危機一髪だったね」
唯「やっぱり、私の日頃の行いが良かったからかな?みんなが助かったのは」
紬「…」
さわ子「…」
唯「…」
唯「嘘です、調子に乗りました…」
さわ子「そうね、唯ちゃん1人の日頃の行いじゃないと思う」
さわ子「みんなの仲の良さが最後に奇跡を起こした…そう思いたいわね」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:39:51.82 ID:EWY1ypn40
>>361
そうでした…orz
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:41:44.91 ID:EWY1ypn40
~その後・生徒会室~
和「怪我はもう大丈夫なの?」
紬「ええ、血は一杯出ちゃったけど急所じゃなかったから」
紬「むしろ、血を見た事にびっくりして倒れちゃったのね」
和「良くは無いんだけど…まあ、良かったわね」
紬「ええ、憂ちゃんの怪我もそれ程重く無くて良かったわ」
和「それで、紬の叔父さんがこんな事を起こした理由は分かったのかしら?」
紬「和ちゃんなら分かるんじゃないの?」
和「紬は一人っ子だから財産目当てとかそういうラインかしらね」
和「まあ他人が口出しする事じゃないか…」
和「ごめんなさいね、変な事を聞いちゃって」
紬「ううん、良いのよ」
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:43:03.91 ID:EWY1ypn40
和「そう言えば…私には1つだけ、この事件で分からない事があるんだけど」
和「紬の考えを聞いても良いかしら?」
紬「ええ、どんな事?」
和「憂は一時的にとは言え、唯に犯人扱いされたんでしょ?」
和「どうして唯に反論しなかったんだろうってね」
和「いや、もちろんしたんでしょうけど…でも、憂らしくないわ」
和「憂なら理詰めで唯の事、説得出来たんじゃないかしらってね」
和「もちろん、そうなってしまったら最悪の展開になってたんでしょうけど…」
和「でも、ちょっと納得がいかないかなって」
紬「憂ちゃんはね、どんなに理不尽な事を言われても」
紬「唯ちゃんに言われた事だったら、深層心理ではそれを正しいと思いたいの」
紬「だから、自分は犯人じゃないとは言えるけど」
紬「唯ちゃんの言った事は矛盾の塊なのに、それに対しては殆ど反論出来なかったわ」
368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:44:16.06 ID:EWY1ypn40
紬「1番の問題はね、憂ちゃんに7人以外の犯人を指摘される事だったの」
紬「でも、唯ちゃんが最初に7人以外誰も居ないって言ってくれたから」
紬「憂ちゃんは真犯人を指摘する事も出来なくなった」
紬「そういう事じゃないかしら?」
和「唯はそこまで計算してたと思う?」
紬「ええ、思うわ」
和「凄いわね…そんな事を一瞬で考え付く唯も凄いと思うけど」
和「それはあの2人だからって事である程度は納得出来る」
和「でも、それを理解してる紬は凄いわ」
和「私の方が付き合いは長いのに…ちょっと悔しいわね」
紬「和ちゃんも軽音部に入ってみるのはどうかしら?」
紬「唯ちゃんともっと仲良くなれるし、憂ちゃんとの接点も増えるわよ?」
紬「それに…」
和「良いのよ、紬」
和「私は今の立ち位置で十分満足してるから」
370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:50:30.66 ID:EWY1ypn40
和「紬はこの事件の事、みんなには謝ったの?」
紬「ええ、ごめんなさいって一言だけね」
和「それだけ?」
紬「それだけよ」
和「私も手伝ったとは言え、元はと言えば紬の発案で始まった事なのに…酷い話ね」
紬「ええ、酷い話ね」
和「でも、私もそれで良いって思うわ」
紬「和ちゃんは外から、私は中から軽音部の事を何時も見守ってる」
紬「だから分かるのよね、これ以上は謝っちゃいけないって」
和「そうね、その通りよ」
和「軽音部のみんなは…もちろん憂もだけど、誰も今回の事は恨んでない」
紬「でも外からだけじゃなくて、和ちゃんもたまには中から見守ってみない?」
紬「見学だけでも良いの、誰か1人…凄く喜んでくれる人が居るかもしれないわ」
和「…だ、誰の事かしら」
紬「それはもちろん…私よ」
371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:51:35.72 ID:EWY1ypn40
紬「実はね…私、和ちゃんの事がずっと前から…好きだったの」
和「…」
紬「あれ?ちょっとは焦ったりとかしなかった?」
和「ええ、全然」
和「冗談で言ってるって事位、すぐに分かるわよ」
和「今回の事で少しはそういう部分、鍛えられたから」
紬「つまらない…」
和「今日も部活があるんでしょ?さっさと行ったらどうなの」
紬「しかも冷たい…」
紬「折角和ちゃんにはとっておきのプレゼント、用意して来たのに」
和「プレゼントね」
和「どうせ何か企んでるんでしょうけど、一応何なのか聞いてあげるわよ」
紬「これよ」
372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:52:21.35 ID:EWY1ypn40
和「特賞ヨーロッパペア旅行…」
紬「商店街の福引で当たったの~」
和「いや、私パスポート持ってないんだけど…」
紬「そうなの?じゃあ、これならどうかしら?」
和「1等沖縄ペア旅行…」
紬「プレゼント♪プレゼント♪」
和(紬の場合、本当に当たった可能性があるって所が何とも…)
和「まあ良いわ、貰えるなら貰っておくわよ」
和「でも、どうして急に?」
紬「え~とね、今回の事でお詫びにって思って」
和「紬…あなたね、自分でそんな必要は無いって言った所でしょ?」
和「それとも何?私だけは何時までも恨んでると思ってる訳?」
紬「ううん、そんな事は無いんだけど…でも」
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:55:53.93 ID:EWY1ypn40
紬「和ちゃんには酷い事をして…酷い事を言っちゃったから…」
紬「それだけは、和ちゃんが良いって言ってくれても自分が許せない」
紬「だから…」
和「分かったわよ、何か理由があって言ったんだと思うんだけど」
和「それも聞かないでおくわよ」
紬「ありがとう、和ちゃん」
和(あれはきっと、傍に犯人が居たから仕方なく言ってたんでしょう…)
和(少しでも油断させようと思って、積極的に協力してるフリをして…)
和(心にも無い事を…)
紬「ところで、誰を誘うの?」
和「もちろん決まってるじゃない、紬よ」
紬「りっちゃんじゃないの?」
和「ええ…実はね、私は紬の事が好きになっちゃったの」
紬「嘘!?」
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:58:29.43 ID:EWY1ypn40
紬「こ、困ったわ…そ、そんな事、急に言われても…」アセアセ
和「ふふっ、冗談よ、冗談」
紬「え?」
和「紬、あなた他の人の恋愛は積極的に後押しするのに」
和「自分が好きって言われたらそんなに慌てちゃうのね」
紬「だって…」
和「紬には色々として貰ったから、少しは私にも何かさせなさい」
紬「ええ、その時が来たら…是非お願いするわね」
377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 21:59:54.48 ID:EWY1ypn40
~部室~
澪「誰も来ないな」
梓「そうですね」
澪「梓、ちょっと後ろを向いてくれないか?」
梓「え?はい、良いですけど…」
澪「出来れば立ち上がってくれ」
梓「こうですか?」
澪「そう、そのまま…動くなよ?」
梓「は、はい」
ギュッ
梓「あ…」
378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:00:52.41 ID:EWY1ypn40
澪「今でも信じられないな」
梓「何がですか?」
澪「憂ちゃんも私も、こんなに小さな梓に背負われてたなんてな」
梓「言ったじゃないですか」
梓「憂の時は、澪先輩が待っててくれるって思ったから…頑張れたんですよ」
澪「私の時は?」
梓「澪先輩の時は…ごめんなさい」
梓「頑張ったんですけど、結局最後まは…」グスッ
澪「どうして謝る?」
梓「だって…結局私は、澪先輩を助けられなかった訳ですし…」
澪「そんな事は無いだろ?」
澪「梓があそこまで運んでくれたから、凍死だけは避けられたんだ」
澪「あのまま放置されてたら、私は今此処に居ないんだぞ?」
澪「梓は私の命の恩人だよ…」
澪「こんなに小さな体で、良く頑張ってくれたよ…」ナデナデ
380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:01:48.19 ID:EWY1ypn40
~部室の外~
紬「どうしたの2人共?」
唯「し~っ、駄目だよムギちゃん」
紬「…」
紬「部室の中には此処に居ない2人が居て、入りにくい状況って所かしら?」
律「そういう事だ」
律「今は慌てて練習する時期でも無いだろうから」
律「今日はこのまま解散って事で良いだろ」
律「暫くしたら今日の部活は無しってメールしておくよ」
紬「ええ、そうしてあげましょ」
紬「でも、りっちゃんは帰る前に生徒会室に寄ってね?」
唯「お、何時の間にかお熱い関係になってる和ちゃんからのお誘いですかな?」
律「いや、別にお熱くは無いだろ」
紬「そうなの?じゃあ和ちゃんにはりっちゃんがそう言ってたって…」
律「言わなくて良い!言わなくて良いから!」
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:02:35.55 ID:EWY1ypn40
紬「りっちゃんは本当に分かりやすいわね」
唯「ね~」
律「…」
律「また何か企んでるんじゃないだろうな?」
紬「もちろん、企んでるわよ♪」
律「まあムギの事だからな…分かったよ、生徒会室に寄ってから帰る」
紬「うふふっ、りっちゃんは素直だから…大好きよ」
律「…」
律「それを言われると、あたしの方が未だにゾクッてするな…」
382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:03:34.39 ID:EWY1ypn40
~その後・平沢家~
憂「駄目だよお姉ちゃん、ちゃんと全部食べないと」
憂「ピーマンもニンジンも凄く栄養があるんだよ?」
唯「うん、それは分かってるんだけど…何時もみたいに残しちゃ駄目?」
憂「そっか、私の料理なんて食べられないって事なんだ…」
憂「お姉ちゃんは私を殺人犯だなんて言っちゃう位だものね…」
憂「私の事なんて、実は嫌いだったんだ…」
憂「そんな私の作った料理なんて、食べられないよね…」
唯「違う!違うよ憂!何回も説明したでしょ?あれは演技で言っただけだよ!」
憂「ほんとに?」
唯「ほんとほんと!」
憂「じゃあ…私の事、好き?」
唯「うん、大好きだよ~」
憂「お姉ちゃんは、大好きな人が作った料理を残しちゃう様な人じゃないよね?」
唯「うっ…」
383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:04:32.26 ID:EWY1ypn40
憂「お姉ちゃん、何時までソファーでゴロゴロしてるの?」
憂「今日は一杯宿題が出たって言ってたじゃない」
憂「ちゃんとやらないと駄目だよ?」
唯「うん、そうなんだけど」
唯「あの、憂が代わりにやってくれるとか…」
憂「お姉ちゃん、それじゃ自分の為にならないでしょ?」
唯「でも…」
憂「…」
憂「そっか、お姉ちゃんは大好きな人が心配してるのに…」
憂「それを無視しちゃう様な人だったんだね…」
唯「うっ…」
384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:05:25.34 ID:EWY1ypn40
~唯の部屋~
唯「う~ん、憂は最近どうしたんだろ?」
唯「優しい所は同じなんだけど、私がわがままを言うと厳しい…」
カチャ
唯「昨日撮った新しい待ち受け画面、憂は何時見ても可愛いな…」エヘヘ
唯「そうだよね、憂が言ってる事は全部正しいんだから、頑張らないと!」
唯「でも、宿題沢山あるなあ…もっと早くやっておけば良かった…」
…
コンコン…ガチャッ
憂「入るね、お姉ちゃん」
唯「あれ?憂、どうしたの?」
憂「ケーキと紅茶の差し入れだよ」
唯「え?ケーキ!?」
憂「私も宿題手伝ってあげる、それを食べたら一緒に頑張ろうね」
唯「ほんとに?憂、ありがと~」
385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:06:13.94 ID:EWY1ypn40
憂「それはね、私の意地だよ」
唯「意地?」
憂「紬さんに指摘されたんだけど、私はお姉ちゃんが言う事だと」
憂「どんな事でも正しいって思いたいんだって」
憂「うん、確かに今まではそうだったね」
憂「お姉ちゃんがどんなにわがままを言っても、笑って許しちゃってた」
唯「うっ…確かにそうなのかも…」
憂「それが結果的には良かったんだけど…」
憂「でもそれって、私達の事は紬さんも同じ位に良く知ってるって事でしょ?」
憂「そんなの…悔しいじゃない」
憂「お姉ちゃんの事、私の方がずっとずっと好きなんだから…」
憂「お姉ちゃんの事は、私の方がずっと知っていたい」
憂「紬さんには負けたくない」
386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:07:01.75 ID:EWY1ypn40
憂「だからね、私は例えお姉ちゃんが言う事でも、全部正しいなんて思わない」
憂「間違ってる事は間違ってるって、ちゃんと言うからね」
憂「紬さんの考えは間違ってたって思わせたい」
唯(それって、単に私をしっかりさせたい為のこじつけなんじゃ…)
憂「分かった?お姉ちゃん」
唯「う、うん…分かったよ」
唯(でも、そうだよね…)
唯(好きな人の気持ちは誰よりも知っておきたいっていう所は、私にも分かる)
唯(憂がどうしてこんな事をするのか分からないって思った時…)
唯(私もちょっとだけ悔しかった)
387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:08:02.50 ID:EWY1ypn40
唯「私も、ムギちゃんには負けたくないな…」
唯「憂の事は誰よりも知っておきたいよ」
唯「だからね、今日からは一緒に寝よう!」
唯「学校も一緒に行って、帰って来る時も一緒」
唯「家に居る時も一緒」
唯「ずっとずっと一緒に居れば…憂の事、もっと分かるんじゃないのかな?」
憂「それは良いかもしれないね」
憂「でも、流石にずっと一緒は無理だよ、お姉ちゃん」
唯「分かってるよ~、でもそれ位、憂とは一緒に居たいって事だよ!」
憂「うん、私もお姉ちゃんと一緒に居たい、それは同じだよ」
憂(私が悔しがってこういう風に言えば…)
憂(お姉ちゃんは私の事、もっと知りたいって思ってくれる…)
憂(もしかして、これも紬さんの思惑通りなの?)
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:09:15.47 ID:EWY1ypn40
憂(でも、お姉ちゃんと仲良くなれるんだったらそれでも良いやって思う)
憂(私達は結局、最後まで紬さんのシナリオ通りに動いてただけかもしれない)
憂(例えそうだったとしても、紬さんには感謝の言葉しかないんだけど…)
唯「どうしたの?憂」
憂「ううん、何でも無いよ」
憂「ただね、紬さんの考えてくれる合宿なら、また参加してみたいなって考えてた」
唯「合宿?そうだね、次も是非憂に、それに和ちゃんにも参加して欲しいな~」
唯「次は夏休みに合宿かな?でも、春休みに合宿しても良いんだよね」
唯「明日、ムギちゃんに言ってみるよ!」
憂「うん!楽しみにしてるね」
憂(その時までには紬さんにも良い人が見付かってると…嬉しいんだけどな)
おしまい
396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 22:24:41.89 ID:EWY1ypn40 [231/232]
SSかどうかも分からない代物ですが
最後まで読んで頂いた方はお疲れ様でした
色々な意見を書いて頂いた方、ありがとうございます
特に読んで貰った上での批判は非常に助かります
一般道をスキーで降りれるのか?とか
監視カメラが唐突過ぎるとか…全くその通りだと思います
ムギちゃんは天使に書きたかったのに
逆のイメージで捉えられてしまったのは完全な失敗です
修正点を指摘して頂いてありがとうございました
次に書く機会があったらこういう事は無い様にしたいと思います
それでは
418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 23:50:43.06 ID:EWY1ypn40 [232/232]
寝る前に少しだけ
突っ込み所が満載な位読んで貰ったのは感謝です
読み返しはしていたのですが
自身が投下中に違和感を感じている位では
まだまだ駄目という事なのでしょうね
今度長い話を書く時には読み返しを徹底して
プロットも考えてから書きたいと思います
403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/12(日) 22:37:20.83 ID:3DJwnUku0
えーと、雪山で倒れてる澪梓は紬の叔父が小屋まで運んだってことでおk?
徒歩では無理だろうし、車みたいな音の出る輸送機器で運ぶと、人気のない雪山では相当目立ってしまうが…
トリック面がいろいろ気になる
>>403
建物のすぐ前までは来ている(梓が見たのは幻覚では無い)ので
そこから建物に直接運んでそのまま焼き殺す手順です
憂が気が付いたとしても動けない(と思ってる)から問題無いと
413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 23:07:03.25 ID:ApnGvAGKQ
手紙と弁当書いた人かな
挨拶が似てるし唯憂、澪梓が同じだし
415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/12(日) 23:26:30.06 ID:T1Kjp3kq0
413
あのひとは律紬
>>413
>>415
ごめんなさい、同じなんです…orz
<<上条「上条さんの右手が!?」 | ホーム | 紬「合宿をしま~す!」-2>>
コメント
なかなかのサスペンス
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |