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幼女「とうもろこし、いる?」3
幼女「とうもろこし、いる?」2
の続き
の続き
663 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:28:07.47 ID:itsA5ADt0 [31/93]
チクタク
チクタク
男「なあ」
犯人B「……なんだ?」
男「今からでも自首しないか?」
犯人A「ばっ! 何言ってんだてめぇ!」
男「これ以上罪を重くする事はない、今ならまだ。やり直せる」
664 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:30:24.78 ID:itsA5ADt0 [32/93]
チクタク
チクタク
先生「はい、これ食べて元気だしてくださいね」
畑の兄さん「まだまだあるっすよー」
665 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:31:49.70 ID:itsA5ADt0
チクタク
チクタク
警部「中の合図でいつでも突入できるようにしておけ」
「はっ」
666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:32:42.03 ID:itsA5ADt0 [34/93]
チクタク
チクタク
幼女「おじさん……」
女の子「おかあさん……」
667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:36:43.55 ID:itsA5ADt0 [35/93]
チクタク
チクタク
男「どうなんだ」
犯人B「……」
男「なあ?」
犯人B「そうだな……、もう疲れた……か……」
犯人A「ちょ、待てよ。お前! それでいいのかよ!」
犯人B「……」
男「お前はどうするんだ?」
犯人A「決まってるだろ! お前らがそのつもりならこの銃で……」
669 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:40:08.85 ID:itsA5ADt0 [36/93]
チクタク
チクタク
犯人A「あれ? 銃が無い、どこに──」
保護者「お探しのものはこれですの?」
犯人A「なっ」
保護者「形勢逆転ですの!」
犯人B「……俺達の負けだ、もう……ここまで、だ」
犯人A「ばか……な」
保護者「大人しくしてもらいますのよ!」
男「さあ、外に電話をかけてもらおうか」
「突入! 突入だ!」
670 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:44:01.74 ID:itsA5ADt0 [37/93]
「ほら、暴れるな」
「大人しくしろ!」
犯人A「いってぇ! いてえよ! 暴れねえから押さえつけるの辞めろって!」
「静かにしろ!」
「ほら、さっさと歩け!」
犯人B「……ありがとう」
男「はい?」
犯人B「俺たちは、本当は……誰かに引導を渡して欲しかっただけなのかもしれない」
男「まだやり直せますよ、きっと」
犯人B「そうだろうか」
男「諦めちゃだめです」
671 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:46:49.34 ID:itsA5ADt0 [38/93]
男「保護者さん! すごいじゃないですか、一体いつの間に奪っていたんですか?」
保護者「ふふ、敵を欺くにはまず味方からですの」
男「いやぁ、もうダメかと思いましたよ」
保護者「これで一件落着、ですのよ」
男「ですね」
保護者「帰りますの、わたしく、少し疲れてしまいましたの」
フラッ
男「あ、」
ガシ
保護者「かたじけませんの」
男「いえ」
672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:00:19.14 ID:itsA5ADt0 [39/93]
保護者「これで、生きて帰れますのね」
男「そうですね」
保護者「……今回はあなたに助けられましたの、だから借り一つという事にしておきますの」
男「は?」
保護者「あたくし、借りたものはキチンと返す主義ですのよ」
男「はは、そうですか」
保護者「ま、まぁ。これから特別に仲良くして差し上げてもよろしくってですの」
男「はい。これからもあの子共々、よろしくおねがいしますよ」
673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:05:34.47 ID:itsA5ADt0 [40/93]
畑の兄さん「いやー、良かった。良かったっすねぇ」
先生「無事に解決してくれて、本当に……」
畑の兄さん「あっしはもう、ハラハラドキドキで……」
先生「私も……」
畑の兄さん「ところで犯人ってどんな人なんっすかね」
先生「さ、さあ?」
畑の兄さん「ちょっと見にいくっすよ」
先生「あ、ちょ」
674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:06:19.84 ID:itsA5ADt0 [41/93]
犯人A「──お前っ」
畑の兄さん「……」
犯人A「……」
畑の兄さん「……久しぶりっすね」
犯人A「……」
畑の兄さん「面会! 絶対いきやすよ!」
犯人A「……」
畑の兄さん「元気してるっすよ!」
犯人A「……っち」
畑の兄さん「わかってるんすか!」
犯人A「ったく、いつまで経ってもとんだお人好し野郎だぜ……」
「さあ、歩け」
犯人A「あーもう、わかった。わかったってば」
677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:08:41.11 ID:itsA5ADt0 [42/93]
先生「……あのひと」
犯人B「……」
先生「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」
犯人B「なんだ?」
先生「あ……あのっ」
犯人B「……」
先生「……」
「ほら、行くぞ。とっとと歩け」
犯人B「……あぁ」
先生「……」
バタン
犯人B「……そうか……、知らない間に……大きくなったんだな……」
678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:14:36.09 ID:itsA5ADt0 [43/93]
幼女「おじさん! おじさん!」
男「ただいま」
幼女「おかえり!」
男「すまないな、随分待たせた」
幼女「あのね、あのね!」ギュ
男「うん?」
幼女「あたし、ずっと。信じて待ってたよ! ずっと! おじさんなら大丈夫って!」
男「あぁ……」
幼女「おじさん! おじさん! おじさんが……ぶじ……ぶ……ふえぇぇぇぇぇ~~ん」
679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:20:35.85 ID:itsA5ADt0 [44/93]
男「よしよし、怖かったかい?」
幼女「ごわ”ぐな”い”……」
男「ほら、私は大丈夫」
幼女「おじさん……おじさん、ずっと、ずっとあたしのそばに居て……」
男「……」
幼女「ずっと……離れないで……」
先生「ずっと泣かなかったんですよ、この子」
男「先生」
先生「おじさんを待つんだって、ずっと。むしろ女の子を気遣ってさえいました」
男「……そうですか」
先生「でも、安心して溢れてきちゃったみたいですね」
680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:21:55.23 ID:itsA5ADt0 [45/93]
先生「私も……ずっと不安だったんですよ」
男「先生」
先生「怪我はないですか?」
男「えぇ、おかげさまで」
先生「痛いところは?」
男「ずっと座っていたからお尻が少し痛むくらいですね、ははは」
先生「もう!」
男「すみません、ご心配をおかけしました」
先生「心配くらいさせてください」
男「……はい」
682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:27:13.61 ID:itsA5ADt0 [46/93]
女の子「おかあさん!」
保護者「あら」
女の子「おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん!!」
保護者「はいはい、おかあさんですのよ」
女の子「うぅぅぅぅうううう~~~~~~」
保護者「不安にさせてごめんなさいですの」
女の子「おかあさん……」
保護者「わたくし、あなたに謝らないといけない事がありますの」
女の子「え?」
685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:36:12.79 ID:itsA5ADt0 [47/93]
保護者「振り返るとわたくしの自分勝手であなたに随分辛く当たってしまった事が沢山ありますの」
女の子「そんな……良いよ、そんな事」
保護者「いいえ、わたくし、間違ってましたの。今回の事で色々気づかされましたの」
女の子「おかあさん」
保護者「あの人を見習って、わたくしも今日からがんばりますの……だから、ついてきてくれますの?」
女の子「そんなの……」
保護者「?」
女の子「そんなの、当たり前だよっ! わたしのおかあさんはおかあさんだけなんだからっ!」
686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:38:02.83 ID:itsA5ADt0 [48/93]
「お前……」
保護者「あなた……どうして……」
「よかった……無事で……、心配したんだぞ……」
保護者「仕事で東京だったのでは……」
「お前の命より大切なものが他にあるか!」
保護者「ふふ……、うれしい事を言ってくれますの」
「すまない、今までつまらない意地ばかり張ってしまって……」
保護者「わたくし達、今まですれ違ってばかりで……もっと話し合うべきでしたのね」
688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:00:27.11 ID:itsA5ADt0 [49/93]
警部「それでは後日、色々とお話をお伺い致しますので──」
男「ええ、わかりました」
警部「あの」
男「?」
警部「新人の頃、あなたの姉上には色々とお世話になっておりました」
男「あぁ、そうですか」
警部「今は、お元気で?」
男「……えぇ、まぁ。向こうで元気にしてますよ」
警部「そうですか、それは良かった。よろしくお伝えください」
男「わかりました」
警部「それでは、失礼致します」
男「お疲れ様でした、警部さん」
693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:14:03.92 ID:itsA5ADt0 [50/93]
二箇所間違ってました。
申し訳ない、どうやら疲れてるのは自分の方みたいです。
>>638
×保護者「わたしくのと交換しますの?」
○保護者「わたくしのと交換しますの?」
>>671
×保護者「帰りますの、わたしく、少し疲れてしまいましたの」
○保護者「帰りますの、わたくし、少し疲れてしまいましたの」
694 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:24:46.19 ID:itsA5ADt0 [51/93]
保護者「大団円ですのよ」
男「さ、我々も帰りましょう」
保護者「ですのね」
幼女「かえろっ、おじさん」
保護者「かえりますのよ、二人とも」
「あの~……、お取り込み中すみません。ちょっといいですか?」
695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:26:09.73 ID:itsA5ADt0 [52/93]
保護者「ん? 誰ですのあなた?」
「えぇ、すみません奥さん。あの男性をちょっと脅かす仕事を請け負ってたんですが……」
保護者「……」
「ちょっと寝坊しちゃいまして、へへっ」
保護者「……ナンノ事デスノ? 誰デスノ、アナタ」
「えぇっ、そりゃないですよ」
警部「む。あやしい人物だな」
「ちょ……やべっ、にげろっ」
警部「あいつを追えっ!」
「ひえぇぇえぇええ~~~~!!!!」
696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:28:31.52 ID:itsA5ADt0 [53/93]
とりあえずここまでで、
また晩御飯たべたらもどってきます。
710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:02:58.86 ID:itsA5ADt0 [54/93]
保守ありがとうございます。
パン粉を買いにいったら自転車がパンクして大変でした。
ゆっくり投下していきます。
712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:10:59.12 ID:itsA5ADt0 [55/93]
先生「由々しき事態だわ」
先生「12月、世間じゃクリスマスムード一色じゃないですか」
先生「恋人の居ないクリスマスを今年も送るなんて……あぁ」
先生「あの約束も……なんだかんだで延び延びになってるし」
先生「うぅ~~~~」
先生「がんばれ、私!」グッ
先生「う~~~~~」
713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:13:23.06 ID:itsA5ADt0 [56/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「はい?」
『あ~、ひさしぶりぃ?』
先生「久しぶりじゃない、学生時代以来?」
『そうね~、あのさ』
先生「どうしたの?」
『あたし彼氏できたよ』
ピ
714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:16:02.52 ID:itsA5ADt0 [57/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「なに?」
『ちょっとちょっと、いきなり切る事ないんじゃない? ひどくない?』
先生「どうせ自慢されるってわかってるんだもん」
『まぁねぇ』
先生「う~~~」
『それでクリスマスはオシャレなレストランでお食事なわけよ』
ピ
715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:20:33.28 ID:itsA5ADt0 [58/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「それで?」
『あんた可愛いんだし彼氏が出来ないのが不思議でならなかったわけよ』
先生「あ~あ~、もうききたくないいやみはききたくない」
『ちゃんと好きな人にはアプローチしなさいよ? 良い人が居たなって思っててもそのうち他の女に取られちゃうんだからね』
先生「わ……わかってるよ、そんなの」
『ほんとにぃ?』
先生「わかってるよ!」
『その声は好きな人が居る声ですねぇ~? 誰? 誰なの?』
先生「なっ、関係ないでしょもうっ」カァアア
『かっかっか』
先生「もう、切るよ」
『へいへい、またかけるねぇ~デートの報告をしてあげよう』
先生「いらないっ」
ピ
716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:21:56.37 ID:itsA5ADt0 [59/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「もう! 何よっ!」
男『あ……すみません……』
717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:26:36.34 ID:itsA5ADt0 [60/93]
先生「あっ」
男『お取り込み中でしたか?』
先生「あのっ、これは、そのっ」
男『すみません、でしたらまた掛けなおしますね』
ピ
先生「あぁぁぁあ、私ったらなにやってるの!」
先生「ばかっ、ばかっ」
先生「うぅぅぅ~~~~」
719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:29:39.63 ID:itsA5ADt0 [61/93]
「せんせー?」
先生「ん? どうしたの?」
「おべんとう、たべないのー?」
先生「あ、うん。すぐ食べるねっ」
「残さず食べないとだめだよー?」
先生「うん、そうだね」
720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:32:18.53 ID:itsA5ADt0 [62/93]
「先生の様子が変でやんす、事件の匂いでやんす」
「事件……?」
「コナソくんメガネがキラリと光ってるでやんす」
「…………これはっ」
「どうしたでやんす?」
「このリンゴはっ……」
「まさか毒リンゴ……」
「おいしい」
「とっとと帰るでやんすよコナソくん」
722 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:34:47.62 ID:itsA5ADt0 [63/93]
幼女「あのねあのね」
男の子「ん?」
幼女「やっぱりとうもろこしが一番だと思うの」
男の子「そうか~?」
幼女「うんっ」
男の子「俺はスイカの方が好きだぜ」
幼女「スイカはデザートだよ?」
男の子「とうもろこしだって野菜かどうか怪しいぜ?」
幼女「野菜だよ」
男の子「野菜っていうショーコあんのかよ?」
幼女「う~~~~~、いじわる~~~~」
男の子「へへっ」
724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:00:03.39 ID:itsA5ADt0 [64/93]
幼女「先生に聞いてみようよ」
男の子「だなっ」
女の子「せんせー?」
先生「……」ポー
幼女「ねぇ、今日なんだか先生ヘンじゃない?」
女の子「そうよね。いつもおっとりしてるけど、今日はそれが一段と増してる気が……」
幼女「せんせー?」
726 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:01:57.88 ID:itsA5ADt0 [65/93]
先生「……」ポー
男の子「わかった! 先生は……」
幼女「先生は?」
男の子「先生はっ、地球を侵略しにきた宇宙人に操られてしまったんだっ」
女の子「えーーーー! ……って、そんなわけあるかっ」
幼女「えーーーーーーー! そうなのっ?!」
女の子「ほら、一人信じちゃったじゃないの」
男の子「へへっ」
728 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:04:25.14 ID:itsA5ADt0 [66/93]
女の子「ったく、発想が子供なんだから」
男の子「お前も子供だろうよ」
女の子「あんたは特に、よ」
男の子「じゃーお前はなんで先生がポーっとしてるのかわかるのかよ」
女の子「わかるわよ」
男の子「なんだよ?」
女の子「それは……」
幼女「それは……?」
女の子「ずばり、恋よ」
男の子「ねーよ」
729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:17:39.54 ID:itsA5ADt0 [67/93]
女の子「はぁ?!」
男の子「ないない、それはない」
女の子「なんでよっ」
男の子「あの先生が?」
女の子「そうよ」
男の子「ないない、先生にかぎってそれはない」
731 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:21:29.44 ID:itsA5ADt0 [68/93]
幼女「こい?」
女の子「そうよ、恋よ」
男の子「だからないってば」
女の子「なんでそんな頑なに否定すんのよ」
男の子「だったら相手はだれなんだよ」
女の子「そんなの決まってるじゃない」
男の子「だれだよ」
女の子「だれって、そりゃ……」
幼女「だーれ?」
女の子「はぁ……、子供ばっかりだわ」
733 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:28:23.41 ID:itsA5ADt0 [69/93]
ワイワイ
ガヤガヤ
「せんせー、さようならー! みなさん、さようならー!」
幼女「あ、お兄さんだ!」
畑の兄さん「おーっす、お嬢ちゃん。元気してるっすか?」
幼女「うんっ」
畑の兄さん「先生はどこっすか?」
幼女「んっと、こっち!」
畑の兄さん「ありがとうっす」
幼女「いいよー」
734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:32:06.78 ID:itsA5ADt0 [70/93]
幼女「ねえお兄さん」
畑の兄さん「ん? どうしたんすか?」
幼女「あのねー、しつもんがあるの」
畑の兄さん「あっしでわかる事なら協力しやすぜ」
幼女「メロンは野菜なの?」
畑の兄さん「難しい質問っすねぇ」
幼女「むつかしいの?」
畑の兄さん「実は畑で取れるものはみんな野菜なんっすよ」
736 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:36:17.57 ID:itsA5ADt0 [71/93]
幼女「スイカも?」
畑の兄さん「そうそう、だからスイカもメロンもイチゴもみんな野菜って事になってやす」
幼女「けど?」
畑の兄さん「果物って言っても問題はないっす、人によっちゃ木から取れたら果物だって言う人もいるっすよ」
幼女「へー!」
畑の兄さん「野菜であり、果物でもある。そんなトコっすかねぇ」
幼女「ありがとお兄さん」
畑の兄さん「お役に立てたっすか?」
幼女「うんっ」
畑の兄さん「そいつは良かった」
738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:39:01.46 ID:itsA5ADt0 [72/93]
申し訳ない。
>>736
×畑の兄さん「そうそう、だからスイカもメロンもイチゴもみんな野菜って事になってやす」
○畑の兄さん「そうそう、だからスイカもメロンもイチゴもみんな野菜って事になってやす……けど」
739 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:44:19.02 ID:itsA5ADt0 [73/93]
畑の兄さん「で、先生はどこでやしたっけ」
幼女「あっちあっち」
畑の兄さん「あ、ちょっと待っておくれやす」
幼女「お兄さんはやくー」
畑の兄さん「今いきやすよー」
先生「……」ポー
幼女「先生っ!」
先生「ひゃいっ?!」
幼女「先生~、お兄さんが先生にようじだって」
畑の兄さん「どもども」
先生「あ、こんにちは」
畑の兄さん「聞くところによると先生、夜はインスタントばかりだとか」
先生「だ、誰からそんな事を……」
幼女「し、し~らないっと」
740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:01:10.42 ID:itsA5ADt0 [74/93]
畑の兄さん「そこで、取れたての野菜をプレゼントさせてください」
先生「えぇ、いいんですか?」
畑の兄さん「園長先生もうちのリピーターなんすよ、味は折り紙付きでやす」
先生「そんな……悪いですよ」
畑の兄さん「いいですいいです、あっしも昔はここで育ちましたし、せめてもの恩返しっすよ」
先生「じゃあ、ありがたく頂きますね」
畑の兄さん「はい、気に入ったらまた言ってくださいね。すぐ持ってきやすから、なんせお隣ですからね」
先生「はい、ぜひ」
男の子「……畑の兄さんか」
女の子「へ?」
男の子「先生の好きな人って、畑の兄さんだったのか!」
幼女「えぇっ?!」
742 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:02:55.64 ID:itsA5ADt0 [75/93]
保護者「なんの騒ぎですの?」
男の子「あのね、実は……カクカクシカシカ」
保護者「そうでしたのっ?! ……いままで全く気がつかなかったですの」
女の子「えぇっ? えぇぇ?」
保護者「そうと決まれば早速二人をくっつけますの、善は急げですの。わたくし達が恋のキューピットですのよ」
男の子「おー!」
幼女「おー!」
女の子「えぇぇぇぇぇぇっ?!」
保護者「そうと決まれば早速行動ですの、みんな聞いて欲しいですの……カクカクシカシカ」
743 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:04:29.34 ID:itsA5ADt0 [76/93]
男「ホームパーティー?」
幼女「うんっ、みんなで集まってやろうって」
男「私も行っていいのかい?」
幼女「うんっ、保護者さんがね。おじさんにはぜひ来て欲しいって」
男「はは、そいつは行かないと後が怖いなあ」
幼女「こんどの日曜日だって!」
男「日曜? 日曜か……」
幼女「どうしたの?」
男「たしか先生も参加するんだったな?」
幼女「そうだよー?」
男「なら、いいか。よし、私も行くよ」
744 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:10:33.95 ID:itsA5ADt0 [77/93]
先生「肉と野菜、どっちが好きかって?」
男の子「俺は断然肉派なんだけど、先生はどっちかなーって」
先生「そうねぇ……お肉も美味しいけれど、お野菜も美味しいから」
男の子「畑の兄さんの野菜、うめーよな!」
先生「そうだね、美味しいね」
男の子「それじゃ俺、サッカーしてくる!」
先生「は~い、気をつけてケガしないでね」
男の子「やっぱりだ、野菜が好きだってよ。間違いねぇ、畑の兄さんにベタ惚れだぜありゃ」
幼女「わぁ~」
女の子「……」
男の子「なんだよさっきから黙りこくって、ノリ悪いなー」
女の子「そんな……ばかな……」
745 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:16:41.14 ID:itsA5ADt0 [78/93]
保護者「コホン。え~、本日はお日柄もよくみなさんお集まりいただきありがとうございますの」
保護者「料理もたくさん用意しましたの、冷めない内にいただいてくださいまし」
男の子「おー! すっげー!」
幼女「おいしそう……」
男「おぉ、これはすごい」
保護者「それでは皆さん、かんぱーい」
「かんぱーい!」
746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:22:23.99 ID:itsA5ADt0 [79/93]
幼女「おじさん、これ、これ食べたい!」
男「よし、今取ってあげるよ」
幼女「はやくはやく! なくなっちゃう!」
男「たくさんあるから大丈夫だよ」
畑の兄さん「う~ん、お嬢ちゃんはいつも元気っすね」
男「はは、全くです」
畑の兄さん「それにしても保護者でもないあっしがなんで呼ばれたのか……」
男「お隣のよしみでしょ? 気兼ねせず楽しみましょうよ」
畑の兄さん「はぁ……実はあっし……こういう場がちょっと苦手でして」
男「私もですよ」
畑の兄さん「そうなんで?」
男「こう、女性が多いと特にね」
畑の兄さん「はは、たしかに。右を見ても左を見ても母親の方ばっかりですもんね」
747 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:26:35.87 ID:itsA5ADt0 [80/93]
幼女「おうち、おっきいね!」
女の子「こんなに人が入ったのは初めてかも」
幼女「たのしい?」
女の子「うん」
幼女「そっかぁ」
女の子「とっても、……たのしいっ」
幼女「よかったね」
女の子「あのね」
幼女「うん?」
女の子「おかあさん、前よりとっても笑うようになったの」
幼女「そうなんだ」
女の子「わたし、今とっても楽しいよ!」
幼女「うんっ」
748 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:29:30.34 ID:itsA5ADt0 [81/93]
先生「あう……畑の兄さんとずっと二人で話してるなぁ……」
先生「うぅ~~~~、何話してるんだろう……」
先生「私も混ざりたいなぁ……」
先生「うぅ~~~~」
先生「勇気がっ、勇気がでないっ……」
先生「がんばれ! 私っ!」
保護者「……」
保護者「あつい」
保護者「あつい視線ですの……っ」
保護者「畑の兄さんの方をじいと見つめるあの視線……間違いないですのっ」
男の子「だろー? 俺が言うんだから間違いないって」
保護者「なんとかして二人を近づけますの、ミッションですのよ」
男の子「おー!」
750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:34:18.35 ID:itsA5ADt0 [82/93]
保護者「!」
男の子「早速行くぞー!」
保護者「ちょっと待ちますの、ターゲットが動きましたの」
男の子「お? おぉ」
先生「はぁ……とりあえずおなかすいたし、何か食べよう。これ美味しそうだなぁ、なんの野菜使ってるんだろう」
畑の兄さん「あっと、すいやせん。これ食べます?」
先生「あ、お先にどうぞ」
畑の兄さん「いえいえ、あっしが盛りますよ。レディーファーストっす」
先生「あ、ありがとうございます」
畑の兄さん「いやしかし、楽しいパーティーっすね。みんなが笑顔だ」
先生「そうですねぇ」
畑の兄さん「良い仕事されてるっすね、先生」
先生「そんな……私は何も、ただあの子達の成長のお手伝いをしてるだけですよ」
751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:37:47.90 ID:itsA5ADt0 [83/93]
畑の兄さん「成長のお手伝い、いいじゃないですか。畑も同じですよ」
先生「はは、そうですね。まだ言葉が通じるだけ子供達のほうがわかりやすいですけれど」
畑の兄さん「雨にも負けず、風にも負けずってやつでさぁ」
先生「文字通り、ですね」
男の子「……おぉ」
保護者「良いっ、良いムードですのっ」
男の子「……おぉ」
保護者「押せっ、押し倒せですのっ。既成事実ですのよっ」
男の子「鼻血でそう」
756 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:00:42.69 ID:itsA5ADt0 [84/93]
畑の兄さん「それじゃ、あっしはあっちの料理を食べてきやす」
先生「あ、はい」
男の子「あ、どっか行っちゃった」
保護者「あら……残念ですの」
男の子「でも間違いないよね」
保護者「えぇ、間違いないですの」
女の子「既に間違いだらけだと思うけど……」
幼女「これおいしいよー」
女の子「そうね、わたしたちはお料理たべてましょ」
幼女「これもおいしいよー」
757 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:07:08.28 ID:itsA5ADt0 [85/93]
先生「あれ? あの人は……? どこいったんだろう?」
男「……」カキカキ
男「なんだろう、あの日を境に少しづつ書けるようになってきかのかもしれないな」
男「だけど……まだ足りないな……」
先生「こんな所に居たんですか」
男「あ、先生」
先生「何をやっているんですか?」
男「えぇ、ちょっとメモを」
先生「メモ?」
男「思い浮かんだ言葉を忘れないうちにしたためておくんです」
先生「さすが作家さんですね」
男「すみません、クセで。最近はやってなかったんですけどね」
758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:10:55.34 ID:itsA5ADt0 [86/93]
先生「どんな言葉を書いてたんです?」
男「いやお恥ずかしい、人様に見せられるようなものではないですよ」
先生「そ、そうですか……」
男「あー、コホン。まぁ、すこしなら……」
先生「本当ですかっ」
男「えぇでも、その……」
先生「?」
男「私、字が下手糞で……」
先生「大丈夫! 読めますっ、暗号の解読とか得意なんですっ」
男「あ、暗号ってそんな」
先生「す、すみませんっ」
男「はは、面白い人ですね? 先生」
先生「す……すみません……」
759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:13:41.27 ID:itsA5ADt0 [87/93]
先生「ええっと。とうもろこし……? たこさんういんなー……?」
男「あ!」
先生「これは?」
男「すみません、そっちは晩御飯のレシピでした」
先生「……」
男「お恥ずかしい」
先生「ひょっとして、……結構おっちょこちょいです?」
男「いえ、……実はかなり」
761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:23:53.30 ID:itsA5ADt0 [88/93]
先生「意外な一面、発見です」
男「あの子が来てからしっかりしようと、色々頑張ってはいるんですけどね。……日々精進です」
先生「料理もされて、育児も仕事も……尊敬しちゃいます」
男「いや、あの子が居たから。私は変われたのかもしれません。今の私があるのはあの子のおかげですよ」
先生「そうなんですか?」
男「実は私、ついこの間まで全く文章が書けなくなってしまっていたんです」
先生「え?」
男「情けない話ですが……私はわりと根を詰めるタイプらしくて、一度悩み始めるともうどんどん落ちていってしまって……」
先生「なんとなくわかります、それ」
男「それで、ちょっと荒れていた時期がありましてね。あの子が来るちょっと前の話です」
先生「あまり……そんな姿を想像できないんですが……」
男「はは、そうですか?」
763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:27:41.22 ID:itsA5ADt0 [89/93]
男「まぁとにかく、そんな私もあの子の力を借りて少しずつですが立ち直っていきました。あの子に感謝ですよ、本当に」
先生「たしかに……あの子はなんだか不思議な力を持っている気がしますね」
男「私も時々、そんな気がしますよ」
先生「あのっ」
男「はい?」
先生「つ、つかぬ事をお伺いしますが……」
男「なんですか? 私でよければ何でもお答えしますよ」
先生「あ……あの、ご、ご結婚はされてらっしゃらないんですよね……?」
764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:28:24.58 ID:itsA5ADt0 [90/93]
畑の兄さん「結婚? あっしはもう結婚してますぜ?」
保護者「……」
男の子「……」
女の子「ほーら、だから言ったじゃない」
「え、……えぇぇぇえええええっ?!」
畑の兄さん「えぇ?! あっしが先生の事をっ?!」
保護者「お恥ずかしい……早とちりでしたの……」
幼女「このパイおいしいね~」
男の子「……やべっ」
女の子「ちょっと! どこ行くのよあんた!」
男の子「ギクッ」
765 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:34:36.69 ID:itsA5ADt0 [91/93]
男「えぇ、恥ずかしながらまだ独身を貫いておりますよ」
先生「あの……私っ」
男「先生?」
先生「私っ、あのっ……!」
幼女「おじさーん? せんせー?」
先生「!」ビクッ
男「ん? どうしたんだい?」
幼女「もうみんな帰るって~」
男「そうか、わかった。すぐ行くよ」
幼女「せんせーもかえる?」
先生「……あぁ、えぇ、あの。そうね……」
767 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:41:31.41 ID:itsA5ADt0 [92/93]
幼女「せんせー、さよーなら~!」
先生「……は~い……さよ~なら~~」
先生「……」
先生「~~~~~!!」
先生「……っ」
先生「~~~~~~っ!!」
先生「やだ……」
先生「私ったら……」
先生「人生最初の告白のチャンスだったのにっ!」
先生「あ……う……だめだ……もう、一生分の勇気使い切った……」
先生「寝よう……」
769 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:46:54.75 ID:itsA5ADt0 [93/93]
幼女「おじさん、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ。私はもうすこししたら寝るよ」
幼女「うんっ」
パタン
男「……」
男「……いや」
男「……いやいや、おかしい」
男「私?」
男「……いやいや、有り得ない」
男「……でも」
男「いや……」
男「……いや、でも……」
771 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:00:42.57 ID:rO8WwGaz0 [1/74]
幼女「どうしたのおじさん? すごいクマだよ?」
男「結局一睡もできなかった……」
幼女「運転大丈夫?」
男「すまない……今日はタクシーにしてくれないか?」
幼女「うん、いいよ?」
男の子「どうしたんだよせんせー? すごいクマだぜ?」
先生「結局一睡もできなかった……」
男の子「一日大丈夫かよー!」
先生「ごめんみんな、今日一日自習で」
男の子「じしゅうってなんだよ、早く歌うたおうぜー!」
772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:01:58.89 ID:rO8WwGaz0
後日
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「はい?」
男『あの~……私ですが』
先生「あっ、はいっ、はいっ、私です!」
男『ど、どうですか。今週の日曜日、よろしければお食事でも』
先生「へあっ?!」
男『だ、だめでしょうか』
先生「い、いきますいきます! すぐいきます!」
776 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:20:18.74 ID:rO8WwGaz0
簡単にまとめてみた。
>>1->>48
幼女とおじさん
>>49->>220
幼女とライバル's
>>247->>260
谷亮子(ry
>>267->>363
幼女と便利屋
>>369->>410
幼女のおかあさん
>>450->>489
幼女とワンちゃん
>>506->>695
銀行強盗 ~保護者とおじさんと、時々、幼女~
>>712->>772
先生とおじさん
777 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:23:16.42 ID:rO8WwGaz0
というわけで今日はここまでです。
また明日午後から書きます。
今夜は冷えるみたいです、暖かくして寝ましょうね。
817 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:25:03.65 ID:rO8WwGaz0 [5/74]
ただいま、保守ありがとうございます。
ゆっくり投下していきますね。
820 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:29:32.02 ID:rO8WwGaz0 [6/74]
────────
────
──
姉『よ』
男『……』
姉『……』
男『アメリカから、帰ってきたんだ、姉さん』
姉『えー……』
男『……』
姉『……』
男『……』
姉『と、いうことで。この子の事! よろしく!』
男『……』
姉『よろしくっ』
男『はぁっ?!』
821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:30:35.76 ID:rO8WwGaz0 [7/74]
姉『一生のお願いっ! こんな事あんたしか頼れないのよ!』
男『ちょ、ちょっと待てよ! よろしくって何だ! だいたい何かおかしいと思ったんだよ昨日知らない荷物が大量に家に届いたからっ!』
姉『あははー、もう届いてたの? 最近の引越し業者って手際いいのね』
男『姉ちゃん』
姉『う?』
男『お断りだ、荷物は送り返す。その子もちゃんと姉ちゃんが育てるんだ』
姉『……』
男『自分の子だろ? 自分で育てるのが筋ってもんじゃないのか?』
姉『それが出来ないから頼んでるんじゃない!』
男『あんたこの子の何だ! 母親じゃないのか!』
822 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:32:26.71 ID:rO8WwGaz0 [8/74]
男『いや、そりゃ旦那さんの事……知ってるけどさ、事件に巻き込まれたってのも聞いてる』
姉『居ても立ってもいられないの! どうしてもあの人の無実を証明しなきゃ……いけないの……』
男『でも、有罪判決が……』
姉『銀行強盗で人質を買って出ただけでグル扱いされただけよ、証拠さえ出てくればちゃんと無罪が……』
男『姉ちゃん』
姉『?』
男『……、だったら。この子も一緒に連れて行ってあげなよ、家族だ、一緒に居るのが道理だ』
姉『ダメ、だめよ』
男『なんで』
姉『絶対あたし、捜査ばっかりで子育てなんかしなくなる』
男『両立はどうしたのさ、姉ちゃんの持論だったろ?』
姉『時と場合によるのよ』
男『今は子育てを捨ててもいいと?』
姉『ちがっ……だからあんたにこうやって頼んでっ!』
824 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:34:02.89 ID:rO8WwGaz0 [9/74]
男『……こっちだって暇じゃない』
姉『おねがいっ』
男『締め切りだって迫ってるんだ』
姉『そこをなんとかっ』
男『書きたい事だっていっぱいあるし、他の事に時間を取られたくない』
姉『……おねがい……っ、どうしても、あたしはやらなきゃいけないのよ……っ』
男『……』
姉『……』
男『……』
姉『……』
男『顔、あげてくれよ……』
825 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:35:07.68 ID:rO8WwGaz0 [10/74]
◇ ◇ ◇ ◇
幼女『あ~~~~~~~』
バタバタ
幼女『う~~~~~~~』
バタバタ
男『やれやれ、部屋がちらかってしょうがないな……』
幼女『あ~~~~~~』
ビリビリ
男『こ、こらこら。本を破るんじゃない!』
幼女『うええええええ~~~~~ん』
男『なっ、泣くな、泣くなったら』
827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:37:20.92 ID:rO8WwGaz0
幼女『おじちゃん』
男『なんだ?』
幼女『あのね』
男『?』
幼女『とうもろこし、いる?』
男『いらん』
幼女『ねえ』
男『なんだ』
幼女『とうもろこし、食べる?』
男『いらねぇ』
幼女『う~~~~~』
男『どうした?』
幼女『とうもころし、たべる?』
男『とうもろこしだろ?』
幼女『う~~~~~!』
828 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:39:13.75 ID:rO8WwGaz0 [12/74]
男『す、すまん、私が悪かった、だから泣くな。ほら、食べるから』
幼女『う~~~~~!』
男『ほら、ほら。おいしいぞ?』モグモグ
幼女『おじちゃんおいしい?』
男『あぁ、うまい、うまいぞ』
幼女『よかったあ!』
男『ほっ……どうやら機嫌が良くなったみたいだな』
幼女『……う……ぅ”っ』
男『……今度は何だ……』
幼女『……おじっご……』
ポタポタ
男『なん……だと……』
829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:41:37.00 ID:rO8WwGaz0 [13/74]
幼女『おじちゃん』
男『ん?』
幼女『本たくさん?』
男『ああ、これは私が書いた本だよ』
幼女『へー!』
ペラペラ
幼女『う~~~?』
男『ちょっと難しいかな?』
ペラペラ
幼女『かんじがたくさん』
男『はは、そりゃそうだ』
830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:00:39.65 ID:rO8WwGaz0
幼女『……』トテトテ
幼女『……』トテトテ
幼女『……』トテトテ
男『……?』
幼女『……』トテトテ
男『何やってるんだ?』
幼女『あ、おじちゃん』
男『うん?』
幼女『あのねあのね』
男『うん』
幼女『おはなでしおり作ったよ~~』
男『ほう』
幼女『おじちゃん本たくさん、つかって』
男『ありがとうな、大事に使うよ』
幼女『えへへ~』
831 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:05:48.35 ID:rO8WwGaz0 [15/74]
◇ ◇ ◇ ◇
男『とうとう今日から幼稚園だなっ』
幼女『わーい!』
男『その制服、似合ってるぞ』
幼女『ちょっとぶかぶか』
男『すまん……すぐ大きくなると思ってワンサイズ上のを頼んだんだが……』
幼女『うんっ、だいじょうぶだよっ』
男『よかった』
幼女『いこっ』
男『よーし、行くか』
幼女『ようちえんっ、ようちえんっ♪ とーもだっちひゃっくにんでっきるっかなー♪』
832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:09:58.08 ID:rO8WwGaz0
男『……』
幼女『……だいじょうぶ?』
男『……できたっ、できたぞ!』
幼女『おー!』
男『苦節2時間……ついにお弁当の完成だっ』
幼女『おじさんおじさん!』
男『ん? なんだ?』
幼女『じかんじかん!』
男『やばっ……』
幼女『はやくはやく』
男『急ぐぞっ』
幼女『おじさん』
男『なんだー?!』
幼女『おべんとう忘れてるー』
男『なん……だと……』
833 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:18:48.03 ID:rO8WwGaz0 [17/74]
男『あの~……すみません』
先生『はい?』
男『これ、お弁当なんですが。朝忘れちゃいまして、届けてもらってもいいですか?』
先生『いいですよー』
男『ありがとうございます、ええっと。年少の2組の──』
先生『ちょうどよかった』
男『?』
先生『2組の担任、私なんですよ』
男『そいつは良かった、よろしくお願いします』
先生『それにしてもこんな時間に、お仕事は大丈夫なんですか?』
男『ええ、私こうみえて作家でして。時間は自由がきくんですよ』
先生『そうなんですかぁ、仕事と子育て両立されて偉いですね』
男『いえ、あの子は姉の子なんです。実は私が今預かっているだけでして……』
835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:28:44.47 ID:rO8WwGaz0 [18/74]
カパ
男『さて、食器あらって風呂にでも入るか』
男『……』
男『ウインナーは嫌い……だったか……?』
男『いや、この本には子供はウインナーが好きと書いてある……』
男『私の味付けが不味かったか……?』
男『明日、訳を聞いてみるか……』
男『なんだか怒ってばっかりだな……いかんいかん、子供は褒めて育てると書いてあるのに』
836 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:32:40.56 ID:rO8WwGaz0 [19/74]
男『正直に言いなさい』
幼女『う~~~~』
男『顔を見なさい』
幼女『う~~~』
男『どうしてお弁当を残したんだい?』
幼女『たこさんういんなー、かわいかったから』
男『そうか』
幼女『ごめんなさい……』
男『私じゃなくてタコさんウインナーにごめんなさいだ』
幼女『うん、たこさんごめんなさい』
男『次はちゃんと食べるんだぞ?』
幼女『うん!』
男『そういう考えなのか……、まだまだ子供はわからないな……』
837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:35:23.89 ID:rO8WwGaz0 [20/74]
男『迎えにきたぞー』
幼女『おじさん!』
男『元気だったか?』
幼女『うんっ!』
『かえるわよー!』
男の子『わー! かーちゃんだ!』
『かえりますのよー』
女の子『おかあさん、まってよ~』
幼女『……』
男『さ、私たちも帰ろうか』
幼女『うん……』
838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:44:19.03 ID:rO8WwGaz0 [21/74]
幼女『おじさん』
男『ん? どうした? 寝付けないのか?』
幼女『おかーさん、どこ?』
男『……それは……』
幼女『おとうさんは?』
幼女『……めがさめると、だれもいないの』
幼女『おかあさんも、おとうさんも、いないの』
幼女『あたしだけ、あたしだけなの』
幼女『おじさん』
幼女『あたし、いらない子なのかな』
幼女『ねぇ、おじさん』
840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:46:30.97 ID:rO8WwGaz0
幼女「おじさん!」
幼女「おじさん! どうしたの?!」
男「…………、うぅ……」
幼女「おじさん!」
男「……夢……、か……?」
幼女「なんだかとっても苦しそうだったから……」
男「あ……あぁ、すまない」
幼女「だいじょうぶ?」
男「……夢じゃない、よな」ギュ
幼女「わ、わ。おじさん、くるしいよ」
男「すまん、今だけ、こうさせてくれ……」
幼女「……うん」
男「私達は……家族だ……、家族なんだぞ……?」
幼女「うん、そうだよ? あたりまえなんだよ?」
843 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:57:07.87 ID:rO8WwGaz0 [23/74]
男「当たり前……あたりまえ、か」
幼女「うんっ」
男「そうか、そうだな……」
幼女「? ヘンなおじさん」
男「もうこんな時間か、朝ごはんを作らないとな」
幼女「今日はおでかけするのー?」
男「そうだな、お休みだし今日はどこにいこうか?」
幼女「おじさんと一緒だったらどこでも!」
845 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:03:26.48 ID:rO8WwGaz0
申し訳ない、ちょっと早いけどキリが良いのでここでいったんおわりで
またもうちょっとしたら戻ってきます。
>>823
なるべく善処しますが無理な場合柔軟に対応します。
852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:07:57.82 ID:rO8WwGaz0 [25/74]
ただいま。
いつもいつも保守すみません
853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:14:30.44 ID:rO8WwGaz0 [26/74]
幼女「わくわく♪」
男「ん~?」
幼女「わくわく♪」
男「どうした?」
幼女「あのねあのね」
男「うん?」
幼女「おうち……えんとつないけどさんたさん大丈夫かなあ」
男「あぁ……、そういえば……もうそろそろか」
855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:16:34.78 ID:rO8WwGaz0 [27/74]
男「なんかサンタさんにお願いしておくこと無いか?」
幼女「もんぶらんっ」
男「そうかそうか」
幼女「あのねあのね」
男「ん?」
幼女「ずっとずっと楽しみにしてたのっ」
男「ほう」
幼女「どこからくるのかなぁ、えんとつないから。屋根かな? 窓かな?」
男「出現方法に興味深々か……」
856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:20:03.47 ID:rO8WwGaz0 [28/74]
ブロロロロロロ……
男「……それにしても、寒いな」
幼女「さむいねぇ」
男「もうすこしカーエアコン強くするか」
幼女「うんっ」
男「……」
幼女「……わあ」
男「……寒いわけだ」
幼女「ゆき! ゆきだよ! おじさんっ!」
男「そうだな、雪だ」
幼女「わー! すごーい!」
男「って、こらこら。窓から手を出すんじゃない」
857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:26:21.44 ID:rO8WwGaz0
幼女「さぁあなたからメリークリスマス♪」
男「私からメリークリスマス♪」
幼女「サンタクロースイズカミングトゥータウン♪」
男「そんな楽しみか?」
幼女「うんっ!」
男「うん、力いっぱいの良い返事だ」
幼女「ねぇ聞こえてくるでしょ鈴の音がすぐそこに♪」
サンタクロース イズ カミング トゥー タウン
858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:30:35.37 ID:rO8WwGaz0 [30/74]
Prrrrrrrrrrrrrrrrr.....
男「先生ですか?」
『あ。あの、今から伺っても大丈夫ですか?』
男「えぇ、さっき買い出しに出かけて、もうだいたい準備はできてますので」
『それじゃあ……今から行きますね』
男「はい」
859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:33:51.66 ID:rO8WwGaz0 [31/74]
幼女「せんせいくるのー?」
男「あぁ、もうすぐ着くってさ」
幼女「うふふ、たのしみ♪」
男「うまいもん沢山つくったからな」
幼女「わあい!」
男「なあ」
幼女「うん?」
男「お前はどうしたい?」
幼女「なにが?」
男「いや……なんでもない、忘れてくれ」
幼女「ヘンなおじさん?」
860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:36:00.96 ID:rO8WwGaz0 [32/74]
男(なんとかして……逃げ腰なサンタさんを捕まえないとな)
男(私もそろそろ覚悟を決めないと……)
────────
────
──
Prrrrrrrrrrrrrrrrr.....
男『はい?』
『私です』
男『警部さん、その節はどうも──』
861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:38:05.44 ID:rO8WwGaz0 [33/74]
警部『やあ、すみませんね。署まで来てもらって』
男『いえ、丁度暇でしたから』
警部『実は先日逮捕した二人から大変興味深い供述が出てきまして』
男『というと?』
警部『3年前のインディアナポリス銀行強盗事件、覚えてますね?』
862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:45:14.01 ID:rO8WwGaz0 [34/74]
男『……えぇ、姉が今その山を追ってるはずです。たしか’パークマンサー’……』
警部『そうですね、日本でも度々彼らの構成員が強盗などの犯罪を企てております』
男『それと今回の事と何か関係が?』
警部『それが、今回の事件。あの二人の供述から世界的犯罪組織’パークマンサー’が背後に見え隠れしているんですよ』
男『まさか、そんな』
警部『えぇ……。それで、これからするお話はあなたの姉上が追っている事件とも関連してくる話なのですが……』
男『一体、どういう?』
警部『3年前の事件の日の犯行計画書なるものが犯人うちの一人の家から押収されましてね』
男『……』
警部『これが妄想の類ならば我々も無視できるのですが、あまりに酷似しているんですよ。その事件の報告書と』
男『まさか……』
警部『あの事件の構図を描いた人物がいるという事です。あの男の身辺を洗えば確実にね、もしくは、あの男自身が……』
男『それじゃあ!』
警部『ええ、あの事件の実行犯と繋がっている可能性は大きいでしょう。その方面から、姉上の旦那様の無実を証明する事も……』
男『警部さん!』
863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:03:31.68 ID:rO8WwGaz0 [35/74]
警部『いや、お手柄はあなたですよ』
男『いや、私はそんな、何もしていませんよ』
警部『あなたが居たからこそ、我々は犯人を逮捕することができた。あたながあの場で行った様々な処置によってね』
男『……実は、私もあの事件を調べていたんです』
警部『ほう?』
男『あの事件は私も納得のいかない点が多々ありましたから』
警部『……』
男『だから、友人のつてを使ったりして、色々と情報を仕入れていました』
警部『それが今回、計らずも役に立ったと』
男『因果応報、ですかね』
警部『さあ』
男『ありがとうございます警部さん、姉にも伝えてみます』
警部『いえ、これくらい後輩として当然です』
男『姉も立派な部下を持てて幸せだと思います』
864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:04:51.92 ID:rO8WwGaz0 [36/74]
先生「私っ! 幸せですっ!」
幼女「うんっ」
先生「こんな美味しいケーキが食べられるなんて……、私っ、幸せですっ!」
男「はは……そんな大げさな」
先生「いいえ! このクリームとイチゴのミックスがなんとも言えない具合に絡まって……口の中で甘美なワルツを踊るんです……」
男「な、なるほど……」
幼女「せんせー、おいしいねー」
先生「そうね、毎日こんなお料理が食べられるなんて羨ましい……」
865 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:08:17.02 ID:rO8WwGaz0 [37/74]
男「よ……よければまた今度、お料理をお教えいたしますよ」
先生「え?」
男「肉じゃがとか、ビーフシチューとか……を、作ってみたいって仰ってましたよね」
先生「い……ぃいんですか?」
男「え、えぇもちろん。私でよければ、ですが……」
先生「……」
男「あの、先生?」
先生「ぃ」
男「い?」
先生「ぃやったーーーー!!」
幼女「せんせいが跳んではねてるっ」
先生「全身で嬉しさを表現してみましたっ」
男「はは、本当に面白い人ですね」
867 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:20:34.01 ID:rO8WwGaz0 [38/74]
幼女「ねえねえ」
男「うん?」
先生「どうしたの?」
幼女「ふたりはけっこんするのー?」
男「ぶっ」カァアア
先生「なっ」カアアァァ
幼女「しないの~?」
男「な……なぜそんな事を……」
先生「そ、そうですよ……
幼女「だってらぶらぶだもん♪」
男「こ、こら。大人をからかうんじゃありませんっ」
幼女「おじさん顔真っ赤~♪」
868 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:26:30.64 ID:rO8WwGaz0 [39/74]
>>867
う~、度々すみません。
×先生「そ、そうですよ……
○先生「そ、そうですよ……」
871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:31:55.55 ID:rO8WwGaz0 [40/74]
幼女「二人は家族になるんだよね?」
先生「こ、こら」
幼女「ねっ?」
先生「も~~~~~」
幼女「……いいなぁ、家族」
男「……」
幼女「あ、これおいしいっ」
872 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:33:28.07 ID:rO8WwGaz0 [41/74]
幼女「おいしいっ、これもこれも♪」
男「先生、私ね」
先生「はい?」
男「あの話、受──」
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr.....
男「──っと。すみません、ちょっと電話でてきます」
先生「はい、お構いなく」
873 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:39:43.16 ID:rO8WwGaz0 [42/74]
『ねえ』
男「ん?」
『あたし今、どんな気分だと思う?』
男「最高にハイ! ってやつ?」
『……まぁ、そうね』
男「なんだよ、調子狂うなあ」
『あたしが、どれだけ手を尽くしても八方塞だったものを。あんたは易々と手に入れるのね』
男「偶然さ」
『……そう』
男「それより姉さん」
『なによ』
男「知ってるぞ、いま日本に来てるんだろ?」
『誰から……』
男「警部さんに全部教えてもらった」
『あのクソ真面目な後輩め……』
874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:41:04.66 ID:rO8WwGaz0 [43/74]
男「今時珍しい義理堅い人じゃないか、姉さんの部下とは思えないくらいに」
『……たしかに』
男「さて」
『……なによ』
男「姉さん」
『……』
男「俺の言いたいこと、わかるよな?」
『……』
男「コホン。’まず心を開かないとね、人間関係も一緒なのよ?’」
『……それ』
男「ご明察、姉さんが俺にくれた言葉だよ」
『う……』
男「あの子は強い」
『……』
男「姉さん、いつまで逃げているんだ……最初の一回を踏み出す勇気さえあれば、あとはなんとかなる」
875 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:41:35.36 ID:rO8WwGaz0 [44/74]
『14 01 18 09 20 01 19 01 14 10 09』
男「は?」
『あんたに挑戦状よ、……そこで待ってるわ』
プツン
男「お、おい?!」
877 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:07:03.49 ID:rO8WwGaz0 [45/74]
14 01 18 09 20 01 19 01 14 10 09
男「なんだこの数字の羅列……さっぱりわからん……」
先生「どうしたんですか?」
男「あ、えっと」
先生「……!」キラーン
男「どうしました?」
先生「これ、暗号です」
男「な、なんて書いてあるんですか?」
先生「えぇ……っと」
男「……」
先生「な り た さ ん じ」
男「い、今何時ですかっ?!」
878 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:18:37.48 ID:rO8WwGaz0 [46/74]
それから。
おじさんと先生はあたしを車に乗せて
あっちの道が近いだとか、こっちの道が近いだとか言いながら運転していたのはぼんやりと覚えている。
二人で歌ったあのメロディー
サンタクロース イズ カミング トゥー タウン
ねえ、おじさん。
本当は、サンタさんはずっと近くに居てくれたんだよね。
窓越しに過ぎ去っていく町並みがどれもこれも懐かしい映像で再生される。
おじさんと過ごした時間はとてもとても暖かいもので、でも。
あたしはまだ子供だったから、おじさんの葛藤とか全然理解できなくて。
おじさんにたくさん、たくさん迷惑をかけた気がする。
ごめんねって言ったら、おじさんはきっと
「そんな事気にするな」
って笑うんだろうね。
ねえ、おじさん。
882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:56:24.39 ID:rO8WwGaz0 [47/74]
ピンポンパンポン
ただいま7番ゲートにノースウェスト航空……ミネアポリス……国際空港……
姉「……久しぶりに会って見たら随分男の顔になってるじゃない」
男「だれかさんのおかげでね」
男「警部さんから話は聞いてるけれど」
姉「……」
男「旦那さんの件。とりあえず、一歩前進?」
姉「あんたのおかげね。……どれだけ御礼を言ったらいいか……」
男「やめてくれよ、姉弟だろ、それより──」
883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:57:55.59 ID:rO8WwGaz0 [48/74]
幼女「……」
男「ほら、お母さんだぞ?」
幼女「……」ギュ
姉「……」
幼女「……」
男「どうした?」
幼女「おかあさん?」
男「そうだぞ、お前のお母さんだ」
884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:01:26.88 ID:rO8WwGaz0 [49/74]
幼女「おかあ……さん?」
姉「そうよ」
幼女「お、かあ、さん?」
姉「そう、そうよ……あたしがあなたのお母さんよ」
幼女「……」ギュ
男「ほら、いつまで私の足にしがみついているんだ? あれだけ会いたがっていただろう?」
幼女「……あ、あう……」
男「ほら、おかあさんも待ってる」
幼女「……う~~~~」
男「行ってあげなさい、ほら」
幼女「おかあさああああああん!!」
姉「ごめん、ごめんねっ。一人にして……ごめんねっ」
幼女「わあああぁぁぁぁあん~~~!!」
885 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:02:18.63 ID:rO8WwGaz0 [50/74]
姉「つらかった?」
幼女「う……ぐ……、ぜん”ぜん”……」
姉「あたしは……毎日つらかった……」ギュ
幼女「あ”のっ……あのね……」
姉「うん?」
幼女「おかあさんの、かお、おもいだせなぐて……」
姉「そう……」
幼女「誰が、あたしのおがあさんが……わからなぐて……」
姉「……うん」
幼女「わーるどかっぷ、ぐひっ、みつけて……」
姉「わかった……うん、わかった……」
886 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:06:36.34 ID:rO8WwGaz0 [51/74]
その後わたしは顔がくちゃくちゃになるくらい泣いた。
あのときお母さんの顔が思い出せなかったけれど、お母さんの胸の中で抱かれると
なんだか懐かしい気持ちがしたんだ。
それで
「ああ、この人がわたしのお母さんだ」
ってわかったの。
おじさんが嬉しい様な困ったような顔であたしを見ていたの、今でも覚えているよ。
ずっと。
ずっと、見ていてくれたんだもんね。
888 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:10:13.42 ID:rO8WwGaz0 [52/74]
姉「そうだ、これ、これ渡さなきゃ」
幼女「こ……れ。な、あに?」
姉「モンブランよ、とっても甘くて、おいしいんだから」
幼女「あ、……さんたさん?」
姉「さっきサンタさんから貰ってきたの、娘にあげなさいって」
男「……ん」
幼女「たべていい?」
姉「えぇ、ゆっくり味わって食べてね」
幼女「うんっ!」
姉「ふふ」
幼女「……」
姉「どう?」
幼女「しょっぱい!」
890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:12:14.82 ID:rO8WwGaz0 [53/74]
初めてのモンブランの味は塩味だったよ。
とっても
とっても優しい味だったよ。
優しい優しいサンタさんがくれた、とっても優しい味だったよ。
ありがとうね、おじさん。
あ、おじさんに御礼を言っちゃいけないか。
ありがとう、サンタさん。
うん。
ありがとう。
891 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:14:13.78 ID:rO8WwGaz0 [54/74]
男「これからは、本当の家族の元で暮らすんだよ」
幼女「おじさんは?」
男「私は日本に残るよ」
幼女「……」
男「いままでありがとう」
幼女「あのね」
男「うん?」
幼女「お兄さんが言ってたの」
男「うん」
幼女「畑で取れたものはみんな野菜っていうんだって、スイカもメロンのイチゴも……だから」
男「……」
幼女「だから、おじさんもあたしの家族なんだよ!」
男「……そうだな」
幼女「家族は、離れていてもかぞくなんだよ!」
男「そう、……そうだな」
892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:20:19.25 ID:rO8WwGaz0 [55/74]
離れていても家族だって
どこに居ても家族だって
ずっと、きっと。
距離が遠くても
すぐに会えなくても
心が、繋がってるよね?
あたしにそう教えてくれたのは
おじさんなんだよ?
893 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:26:51.65 ID:rO8WwGaz0 [56/74]
幼女「いつか、遊びにきていい?」
男「いつでも来なさい」
幼女「うんっ」
先生「またねっ」
姉「それじゃあ……時間だから」
男「うん、仕事がひと段落したら一度そっちに行くよ」
姉「待ってる」
男「元気でな」
姉「そっちもね。ふふ、お幸せに」
先生「へっ?! いや、あの、その、私はっ」
姉「こんな不出来な弟ですが、よろしくおねがいします」
先生「いやそんなこちらこそ……」
男「あー、ゴホゴホ……んん……ゴホゴホ」
894 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:29:01.18 ID:rO8WwGaz0 [57/74]
男の子「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい」
女の子「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい」
幼女「みんな!」
男「ど、どうして?」
保護者「もう、水くさいですのよ。お見送りくらいさせてくださいまし」
先生「えへ、私が連絡しちゃいました」
畑の兄さん「ゼェ……ゼェ……、あんなに飛ばしたの初めてですぜ……。三途の川が見えるかと思いやした」
895 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:30:13.35 ID:rO8WwGaz0 [58/74]
男の子「まさかお前が先に外国いっちまうなんてな!」
幼女「うん」
男の子「俺もサッカーうまくなってすぐに外国いくからな!」
幼女「うんっ、待ってるっ」
女の子「行っちゃうんだ……」
幼女「そうだよ」
女の子「わたしたち、ライバルだからねっ」
幼女「うんっ、ライバルっ」
902 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:00:25.55 ID:rO8WwGaz0 [59/74]
保護者「これから寂しくなりますのね」
幼女「うん……」
保護者「いつでも戻ってきますの、わたくしいつでも歓迎いたしますのよ!」
幼女「うんっ」
畑の兄さん「あっし、とうもろこし送りやすぜ!」
幼女「お兄さんの野菜、好き! いっぱい送ってね!」
畑の兄さん「合点承知ですぜ!」
幼女「うんっ」
903 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:01:55.06 ID:rO8WwGaz0 [60/74]
飛行機の中で、お母さんとたくさんたくさんおじさんの話をしたよ。
どれもこれもが宝石みたいにきらきらで。
もらった貝のネックレスと一緒くらいきらきらしてたよ。
話せば話すほど、磨けば磨くほどキラキラが増していって、
とても、とても大切な思い出になっていく気がするの。
あたし、おじさんの事、とっても大好きだよ!
ほんとにほんとに、ありがとう!
905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:03:46.36 ID:rO8WwGaz0 [61/74]
先生「行っちゃいましたね」
男「ええ、そうですね」
男「先生、私ね」
先生「なんですか?」
男「この間、先生からいただいていた絵本の話、受けてみようと思うんですよ」
先生「まぁ」
男「実はもうタイトルは決まってるんです」
先生「聞かせていただいても?」
男「’とうもろこしと、たこさんういんなー’」
906 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:05:41.75 ID:rO8WwGaz0 [62/74]
何年か後。
「あれ? あなたー」
「うん? どうした?」
「あの子から手紙、届いてますよっ。それと、ほら、こんなにっ」
P.S.
こっちで取れたとうもろこしです。
とってもとっても、おいしいよ。
おしまいおしまい。
418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/28(火) 02:18:02.86 ID:dEbzPf3N0 [1/2]
こっち夏で向こう雪、オーストラリア付近かと思ったらアメリカ…?
こまけー事はいいかw
923 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:17:45.28 ID:rO8WwGaz0 [63/74]
ちなみに
>>418
「オーストラリア付近かと思ったらアメリカ…?」
っていう鋭い質問がありましたが
とうもろこしを英語はインディアコーンというらしいです。
それにかけてアメリカ・インディアナ州、さらに姉の職業警察官とかけてインディアナポリスにしてみました。
その時そこまで深く考えてませんでしたけど……
チクタク
チクタク
男「なあ」
犯人B「……なんだ?」
男「今からでも自首しないか?」
犯人A「ばっ! 何言ってんだてめぇ!」
男「これ以上罪を重くする事はない、今ならまだ。やり直せる」
664 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:30:24.78 ID:itsA5ADt0 [32/93]
チクタク
チクタク
先生「はい、これ食べて元気だしてくださいね」
畑の兄さん「まだまだあるっすよー」
665 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:31:49.70 ID:itsA5ADt0
チクタク
チクタク
警部「中の合図でいつでも突入できるようにしておけ」
「はっ」
666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:32:42.03 ID:itsA5ADt0 [34/93]
チクタク
チクタク
幼女「おじさん……」
女の子「おかあさん……」
667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:36:43.55 ID:itsA5ADt0 [35/93]
チクタク
チクタク
男「どうなんだ」
犯人B「……」
男「なあ?」
犯人B「そうだな……、もう疲れた……か……」
犯人A「ちょ、待てよ。お前! それでいいのかよ!」
犯人B「……」
男「お前はどうするんだ?」
犯人A「決まってるだろ! お前らがそのつもりならこの銃で……」
669 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:40:08.85 ID:itsA5ADt0 [36/93]
チクタク
チクタク
犯人A「あれ? 銃が無い、どこに──」
保護者「お探しのものはこれですの?」
犯人A「なっ」
保護者「形勢逆転ですの!」
犯人B「……俺達の負けだ、もう……ここまで、だ」
犯人A「ばか……な」
保護者「大人しくしてもらいますのよ!」
男「さあ、外に電話をかけてもらおうか」
「突入! 突入だ!」
670 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:44:01.74 ID:itsA5ADt0 [37/93]
「ほら、暴れるな」
「大人しくしろ!」
犯人A「いってぇ! いてえよ! 暴れねえから押さえつけるの辞めろって!」
「静かにしろ!」
「ほら、さっさと歩け!」
犯人B「……ありがとう」
男「はい?」
犯人B「俺たちは、本当は……誰かに引導を渡して欲しかっただけなのかもしれない」
男「まだやり直せますよ、きっと」
犯人B「そうだろうか」
男「諦めちゃだめです」
671 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:46:49.34 ID:itsA5ADt0 [38/93]
男「保護者さん! すごいじゃないですか、一体いつの間に奪っていたんですか?」
保護者「ふふ、敵を欺くにはまず味方からですの」
男「いやぁ、もうダメかと思いましたよ」
保護者「これで一件落着、ですのよ」
男「ですね」
保護者「帰りますの、わたしく、少し疲れてしまいましたの」
フラッ
男「あ、」
ガシ
保護者「かたじけませんの」
男「いえ」
672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:00:19.14 ID:itsA5ADt0 [39/93]
保護者「これで、生きて帰れますのね」
男「そうですね」
保護者「……今回はあなたに助けられましたの、だから借り一つという事にしておきますの」
男「は?」
保護者「あたくし、借りたものはキチンと返す主義ですのよ」
男「はは、そうですか」
保護者「ま、まぁ。これから特別に仲良くして差し上げてもよろしくってですの」
男「はい。これからもあの子共々、よろしくおねがいしますよ」
673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:05:34.47 ID:itsA5ADt0 [40/93]
畑の兄さん「いやー、良かった。良かったっすねぇ」
先生「無事に解決してくれて、本当に……」
畑の兄さん「あっしはもう、ハラハラドキドキで……」
先生「私も……」
畑の兄さん「ところで犯人ってどんな人なんっすかね」
先生「さ、さあ?」
畑の兄さん「ちょっと見にいくっすよ」
先生「あ、ちょ」
674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:06:19.84 ID:itsA5ADt0 [41/93]
犯人A「──お前っ」
畑の兄さん「……」
犯人A「……」
畑の兄さん「……久しぶりっすね」
犯人A「……」
畑の兄さん「面会! 絶対いきやすよ!」
犯人A「……」
畑の兄さん「元気してるっすよ!」
犯人A「……っち」
畑の兄さん「わかってるんすか!」
犯人A「ったく、いつまで経ってもとんだお人好し野郎だぜ……」
「さあ、歩け」
犯人A「あーもう、わかった。わかったってば」
677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:08:41.11 ID:itsA5ADt0 [42/93]
先生「……あのひと」
犯人B「……」
先生「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」
犯人B「なんだ?」
先生「あ……あのっ」
犯人B「……」
先生「……」
「ほら、行くぞ。とっとと歩け」
犯人B「……あぁ」
先生「……」
バタン
犯人B「……そうか……、知らない間に……大きくなったんだな……」
678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:14:36.09 ID:itsA5ADt0 [43/93]
幼女「おじさん! おじさん!」
男「ただいま」
幼女「おかえり!」
男「すまないな、随分待たせた」
幼女「あのね、あのね!」ギュ
男「うん?」
幼女「あたし、ずっと。信じて待ってたよ! ずっと! おじさんなら大丈夫って!」
男「あぁ……」
幼女「おじさん! おじさん! おじさんが……ぶじ……ぶ……ふえぇぇぇぇぇ~~ん」
679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:20:35.85 ID:itsA5ADt0 [44/93]
男「よしよし、怖かったかい?」
幼女「ごわ”ぐな”い”……」
男「ほら、私は大丈夫」
幼女「おじさん……おじさん、ずっと、ずっとあたしのそばに居て……」
男「……」
幼女「ずっと……離れないで……」
先生「ずっと泣かなかったんですよ、この子」
男「先生」
先生「おじさんを待つんだって、ずっと。むしろ女の子を気遣ってさえいました」
男「……そうですか」
先生「でも、安心して溢れてきちゃったみたいですね」
680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:21:55.23 ID:itsA5ADt0 [45/93]
先生「私も……ずっと不安だったんですよ」
男「先生」
先生「怪我はないですか?」
男「えぇ、おかげさまで」
先生「痛いところは?」
男「ずっと座っていたからお尻が少し痛むくらいですね、ははは」
先生「もう!」
男「すみません、ご心配をおかけしました」
先生「心配くらいさせてください」
男「……はい」
682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:27:13.61 ID:itsA5ADt0 [46/93]
女の子「おかあさん!」
保護者「あら」
女の子「おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん!!」
保護者「はいはい、おかあさんですのよ」
女の子「うぅぅぅぅうううう~~~~~~」
保護者「不安にさせてごめんなさいですの」
女の子「おかあさん……」
保護者「わたくし、あなたに謝らないといけない事がありますの」
女の子「え?」
685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:36:12.79 ID:itsA5ADt0 [47/93]
保護者「振り返るとわたくしの自分勝手であなたに随分辛く当たってしまった事が沢山ありますの」
女の子「そんな……良いよ、そんな事」
保護者「いいえ、わたくし、間違ってましたの。今回の事で色々気づかされましたの」
女の子「おかあさん」
保護者「あの人を見習って、わたくしも今日からがんばりますの……だから、ついてきてくれますの?」
女の子「そんなの……」
保護者「?」
女の子「そんなの、当たり前だよっ! わたしのおかあさんはおかあさんだけなんだからっ!」
686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:38:02.83 ID:itsA5ADt0 [48/93]
「お前……」
保護者「あなた……どうして……」
「よかった……無事で……、心配したんだぞ……」
保護者「仕事で東京だったのでは……」
「お前の命より大切なものが他にあるか!」
保護者「ふふ……、うれしい事を言ってくれますの」
「すまない、今までつまらない意地ばかり張ってしまって……」
保護者「わたくし達、今まですれ違ってばかりで……もっと話し合うべきでしたのね」
688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:00:27.11 ID:itsA5ADt0 [49/93]
警部「それでは後日、色々とお話をお伺い致しますので──」
男「ええ、わかりました」
警部「あの」
男「?」
警部「新人の頃、あなたの姉上には色々とお世話になっておりました」
男「あぁ、そうですか」
警部「今は、お元気で?」
男「……えぇ、まぁ。向こうで元気にしてますよ」
警部「そうですか、それは良かった。よろしくお伝えください」
男「わかりました」
警部「それでは、失礼致します」
男「お疲れ様でした、警部さん」
693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:14:03.92 ID:itsA5ADt0 [50/93]
二箇所間違ってました。
申し訳ない、どうやら疲れてるのは自分の方みたいです。
>>638
×保護者「わたしくのと交換しますの?」
○保護者「わたくしのと交換しますの?」
>>671
×保護者「帰りますの、わたしく、少し疲れてしまいましたの」
○保護者「帰りますの、わたくし、少し疲れてしまいましたの」
694 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:24:46.19 ID:itsA5ADt0 [51/93]
保護者「大団円ですのよ」
男「さ、我々も帰りましょう」
保護者「ですのね」
幼女「かえろっ、おじさん」
保護者「かえりますのよ、二人とも」
「あの~……、お取り込み中すみません。ちょっといいですか?」
695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:26:09.73 ID:itsA5ADt0 [52/93]
保護者「ん? 誰ですのあなた?」
「えぇ、すみません奥さん。あの男性をちょっと脅かす仕事を請け負ってたんですが……」
保護者「……」
「ちょっと寝坊しちゃいまして、へへっ」
保護者「……ナンノ事デスノ? 誰デスノ、アナタ」
「えぇっ、そりゃないですよ」
警部「む。あやしい人物だな」
「ちょ……やべっ、にげろっ」
警部「あいつを追えっ!」
「ひえぇぇえぇええ~~~~!!!!」
696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:28:31.52 ID:itsA5ADt0 [53/93]
とりあえずここまでで、
また晩御飯たべたらもどってきます。
710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:02:58.86 ID:itsA5ADt0 [54/93]
保守ありがとうございます。
パン粉を買いにいったら自転車がパンクして大変でした。
ゆっくり投下していきます。
712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:10:59.12 ID:itsA5ADt0 [55/93]
先生「由々しき事態だわ」
先生「12月、世間じゃクリスマスムード一色じゃないですか」
先生「恋人の居ないクリスマスを今年も送るなんて……あぁ」
先生「あの約束も……なんだかんだで延び延びになってるし」
先生「うぅ~~~~」
先生「がんばれ、私!」グッ
先生「う~~~~~」
713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:13:23.06 ID:itsA5ADt0 [56/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「はい?」
『あ~、ひさしぶりぃ?』
先生「久しぶりじゃない、学生時代以来?」
『そうね~、あのさ』
先生「どうしたの?」
『あたし彼氏できたよ』
ピ
714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:16:02.52 ID:itsA5ADt0 [57/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「なに?」
『ちょっとちょっと、いきなり切る事ないんじゃない? ひどくない?』
先生「どうせ自慢されるってわかってるんだもん」
『まぁねぇ』
先生「う~~~」
『それでクリスマスはオシャレなレストランでお食事なわけよ』
ピ
715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:20:33.28 ID:itsA5ADt0 [58/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「それで?」
『あんた可愛いんだし彼氏が出来ないのが不思議でならなかったわけよ』
先生「あ~あ~、もうききたくないいやみはききたくない」
『ちゃんと好きな人にはアプローチしなさいよ? 良い人が居たなって思っててもそのうち他の女に取られちゃうんだからね』
先生「わ……わかってるよ、そんなの」
『ほんとにぃ?』
先生「わかってるよ!」
『その声は好きな人が居る声ですねぇ~? 誰? 誰なの?』
先生「なっ、関係ないでしょもうっ」カァアア
『かっかっか』
先生「もう、切るよ」
『へいへい、またかけるねぇ~デートの報告をしてあげよう』
先生「いらないっ」
ピ
716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:21:56.37 ID:itsA5ADt0 [59/93]
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「もう! 何よっ!」
男『あ……すみません……』
717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:26:36.34 ID:itsA5ADt0 [60/93]
先生「あっ」
男『お取り込み中でしたか?』
先生「あのっ、これは、そのっ」
男『すみません、でしたらまた掛けなおしますね』
ピ
先生「あぁぁぁあ、私ったらなにやってるの!」
先生「ばかっ、ばかっ」
先生「うぅぅぅ~~~~」
719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:29:39.63 ID:itsA5ADt0 [61/93]
「せんせー?」
先生「ん? どうしたの?」
「おべんとう、たべないのー?」
先生「あ、うん。すぐ食べるねっ」
「残さず食べないとだめだよー?」
先生「うん、そうだね」
720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:32:18.53 ID:itsA5ADt0 [62/93]
「先生の様子が変でやんす、事件の匂いでやんす」
「事件……?」
「コナソくんメガネがキラリと光ってるでやんす」
「…………これはっ」
「どうしたでやんす?」
「このリンゴはっ……」
「まさか毒リンゴ……」
「おいしい」
「とっとと帰るでやんすよコナソくん」
722 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 20:34:47.62 ID:itsA5ADt0 [63/93]
幼女「あのねあのね」
男の子「ん?」
幼女「やっぱりとうもろこしが一番だと思うの」
男の子「そうか~?」
幼女「うんっ」
男の子「俺はスイカの方が好きだぜ」
幼女「スイカはデザートだよ?」
男の子「とうもろこしだって野菜かどうか怪しいぜ?」
幼女「野菜だよ」
男の子「野菜っていうショーコあんのかよ?」
幼女「う~~~~~、いじわる~~~~」
男の子「へへっ」
724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:00:03.39 ID:itsA5ADt0 [64/93]
幼女「先生に聞いてみようよ」
男の子「だなっ」
女の子「せんせー?」
先生「……」ポー
幼女「ねぇ、今日なんだか先生ヘンじゃない?」
女の子「そうよね。いつもおっとりしてるけど、今日はそれが一段と増してる気が……」
幼女「せんせー?」
726 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:01:57.88 ID:itsA5ADt0 [65/93]
先生「……」ポー
男の子「わかった! 先生は……」
幼女「先生は?」
男の子「先生はっ、地球を侵略しにきた宇宙人に操られてしまったんだっ」
女の子「えーーーー! ……って、そんなわけあるかっ」
幼女「えーーーーーーー! そうなのっ?!」
女の子「ほら、一人信じちゃったじゃないの」
男の子「へへっ」
728 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:04:25.14 ID:itsA5ADt0 [66/93]
女の子「ったく、発想が子供なんだから」
男の子「お前も子供だろうよ」
女の子「あんたは特に、よ」
男の子「じゃーお前はなんで先生がポーっとしてるのかわかるのかよ」
女の子「わかるわよ」
男の子「なんだよ?」
女の子「それは……」
幼女「それは……?」
女の子「ずばり、恋よ」
男の子「ねーよ」
729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:17:39.54 ID:itsA5ADt0 [67/93]
女の子「はぁ?!」
男の子「ないない、それはない」
女の子「なんでよっ」
男の子「あの先生が?」
女の子「そうよ」
男の子「ないない、先生にかぎってそれはない」
731 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:21:29.44 ID:itsA5ADt0 [68/93]
幼女「こい?」
女の子「そうよ、恋よ」
男の子「だからないってば」
女の子「なんでそんな頑なに否定すんのよ」
男の子「だったら相手はだれなんだよ」
女の子「そんなの決まってるじゃない」
男の子「だれだよ」
女の子「だれって、そりゃ……」
幼女「だーれ?」
女の子「はぁ……、子供ばっかりだわ」
733 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:28:23.41 ID:itsA5ADt0 [69/93]
ワイワイ
ガヤガヤ
「せんせー、さようならー! みなさん、さようならー!」
幼女「あ、お兄さんだ!」
畑の兄さん「おーっす、お嬢ちゃん。元気してるっすか?」
幼女「うんっ」
畑の兄さん「先生はどこっすか?」
幼女「んっと、こっち!」
畑の兄さん「ありがとうっす」
幼女「いいよー」
734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:32:06.78 ID:itsA5ADt0 [70/93]
幼女「ねえお兄さん」
畑の兄さん「ん? どうしたんすか?」
幼女「あのねー、しつもんがあるの」
畑の兄さん「あっしでわかる事なら協力しやすぜ」
幼女「メロンは野菜なの?」
畑の兄さん「難しい質問っすねぇ」
幼女「むつかしいの?」
畑の兄さん「実は畑で取れるものはみんな野菜なんっすよ」
736 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:36:17.57 ID:itsA5ADt0 [71/93]
幼女「スイカも?」
畑の兄さん「そうそう、だからスイカもメロンもイチゴもみんな野菜って事になってやす」
幼女「けど?」
畑の兄さん「果物って言っても問題はないっす、人によっちゃ木から取れたら果物だって言う人もいるっすよ」
幼女「へー!」
畑の兄さん「野菜であり、果物でもある。そんなトコっすかねぇ」
幼女「ありがとお兄さん」
畑の兄さん「お役に立てたっすか?」
幼女「うんっ」
畑の兄さん「そいつは良かった」
738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:39:01.46 ID:itsA5ADt0 [72/93]
申し訳ない。
>>736
×畑の兄さん「そうそう、だからスイカもメロンもイチゴもみんな野菜って事になってやす」
○畑の兄さん「そうそう、だからスイカもメロンもイチゴもみんな野菜って事になってやす……けど」
739 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 21:44:19.02 ID:itsA5ADt0 [73/93]
畑の兄さん「で、先生はどこでやしたっけ」
幼女「あっちあっち」
畑の兄さん「あ、ちょっと待っておくれやす」
幼女「お兄さんはやくー」
畑の兄さん「今いきやすよー」
先生「……」ポー
幼女「先生っ!」
先生「ひゃいっ?!」
幼女「先生~、お兄さんが先生にようじだって」
畑の兄さん「どもども」
先生「あ、こんにちは」
畑の兄さん「聞くところによると先生、夜はインスタントばかりだとか」
先生「だ、誰からそんな事を……」
幼女「し、し~らないっと」
740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:01:10.42 ID:itsA5ADt0 [74/93]
畑の兄さん「そこで、取れたての野菜をプレゼントさせてください」
先生「えぇ、いいんですか?」
畑の兄さん「園長先生もうちのリピーターなんすよ、味は折り紙付きでやす」
先生「そんな……悪いですよ」
畑の兄さん「いいですいいです、あっしも昔はここで育ちましたし、せめてもの恩返しっすよ」
先生「じゃあ、ありがたく頂きますね」
畑の兄さん「はい、気に入ったらまた言ってくださいね。すぐ持ってきやすから、なんせお隣ですからね」
先生「はい、ぜひ」
男の子「……畑の兄さんか」
女の子「へ?」
男の子「先生の好きな人って、畑の兄さんだったのか!」
幼女「えぇっ?!」
742 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:02:55.64 ID:itsA5ADt0 [75/93]
保護者「なんの騒ぎですの?」
男の子「あのね、実は……カクカクシカシカ」
保護者「そうでしたのっ?! ……いままで全く気がつかなかったですの」
女の子「えぇっ? えぇぇ?」
保護者「そうと決まれば早速二人をくっつけますの、善は急げですの。わたくし達が恋のキューピットですのよ」
男の子「おー!」
幼女「おー!」
女の子「えぇぇぇぇぇぇっ?!」
保護者「そうと決まれば早速行動ですの、みんな聞いて欲しいですの……カクカクシカシカ」
743 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:04:29.34 ID:itsA5ADt0 [76/93]
男「ホームパーティー?」
幼女「うんっ、みんなで集まってやろうって」
男「私も行っていいのかい?」
幼女「うんっ、保護者さんがね。おじさんにはぜひ来て欲しいって」
男「はは、そいつは行かないと後が怖いなあ」
幼女「こんどの日曜日だって!」
男「日曜? 日曜か……」
幼女「どうしたの?」
男「たしか先生も参加するんだったな?」
幼女「そうだよー?」
男「なら、いいか。よし、私も行くよ」
744 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:10:33.95 ID:itsA5ADt0 [77/93]
先生「肉と野菜、どっちが好きかって?」
男の子「俺は断然肉派なんだけど、先生はどっちかなーって」
先生「そうねぇ……お肉も美味しいけれど、お野菜も美味しいから」
男の子「畑の兄さんの野菜、うめーよな!」
先生「そうだね、美味しいね」
男の子「それじゃ俺、サッカーしてくる!」
先生「は~い、気をつけてケガしないでね」
男の子「やっぱりだ、野菜が好きだってよ。間違いねぇ、畑の兄さんにベタ惚れだぜありゃ」
幼女「わぁ~」
女の子「……」
男の子「なんだよさっきから黙りこくって、ノリ悪いなー」
女の子「そんな……ばかな……」
745 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:16:41.14 ID:itsA5ADt0 [78/93]
保護者「コホン。え~、本日はお日柄もよくみなさんお集まりいただきありがとうございますの」
保護者「料理もたくさん用意しましたの、冷めない内にいただいてくださいまし」
男の子「おー! すっげー!」
幼女「おいしそう……」
男「おぉ、これはすごい」
保護者「それでは皆さん、かんぱーい」
「かんぱーい!」
746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:22:23.99 ID:itsA5ADt0 [79/93]
幼女「おじさん、これ、これ食べたい!」
男「よし、今取ってあげるよ」
幼女「はやくはやく! なくなっちゃう!」
男「たくさんあるから大丈夫だよ」
畑の兄さん「う~ん、お嬢ちゃんはいつも元気っすね」
男「はは、全くです」
畑の兄さん「それにしても保護者でもないあっしがなんで呼ばれたのか……」
男「お隣のよしみでしょ? 気兼ねせず楽しみましょうよ」
畑の兄さん「はぁ……実はあっし……こういう場がちょっと苦手でして」
男「私もですよ」
畑の兄さん「そうなんで?」
男「こう、女性が多いと特にね」
畑の兄さん「はは、たしかに。右を見ても左を見ても母親の方ばっかりですもんね」
747 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:26:35.87 ID:itsA5ADt0 [80/93]
幼女「おうち、おっきいね!」
女の子「こんなに人が入ったのは初めてかも」
幼女「たのしい?」
女の子「うん」
幼女「そっかぁ」
女の子「とっても、……たのしいっ」
幼女「よかったね」
女の子「あのね」
幼女「うん?」
女の子「おかあさん、前よりとっても笑うようになったの」
幼女「そうなんだ」
女の子「わたし、今とっても楽しいよ!」
幼女「うんっ」
748 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:29:30.34 ID:itsA5ADt0 [81/93]
先生「あう……畑の兄さんとずっと二人で話してるなぁ……」
先生「うぅ~~~~、何話してるんだろう……」
先生「私も混ざりたいなぁ……」
先生「うぅ~~~~」
先生「勇気がっ、勇気がでないっ……」
先生「がんばれ! 私っ!」
保護者「……」
保護者「あつい」
保護者「あつい視線ですの……っ」
保護者「畑の兄さんの方をじいと見つめるあの視線……間違いないですのっ」
男の子「だろー? 俺が言うんだから間違いないって」
保護者「なんとかして二人を近づけますの、ミッションですのよ」
男の子「おー!」
750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:34:18.35 ID:itsA5ADt0 [82/93]
保護者「!」
男の子「早速行くぞー!」
保護者「ちょっと待ちますの、ターゲットが動きましたの」
男の子「お? おぉ」
先生「はぁ……とりあえずおなかすいたし、何か食べよう。これ美味しそうだなぁ、なんの野菜使ってるんだろう」
畑の兄さん「あっと、すいやせん。これ食べます?」
先生「あ、お先にどうぞ」
畑の兄さん「いえいえ、あっしが盛りますよ。レディーファーストっす」
先生「あ、ありがとうございます」
畑の兄さん「いやしかし、楽しいパーティーっすね。みんなが笑顔だ」
先生「そうですねぇ」
畑の兄さん「良い仕事されてるっすね、先生」
先生「そんな……私は何も、ただあの子達の成長のお手伝いをしてるだけですよ」
751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 22:37:47.90 ID:itsA5ADt0 [83/93]
畑の兄さん「成長のお手伝い、いいじゃないですか。畑も同じですよ」
先生「はは、そうですね。まだ言葉が通じるだけ子供達のほうがわかりやすいですけれど」
畑の兄さん「雨にも負けず、風にも負けずってやつでさぁ」
先生「文字通り、ですね」
男の子「……おぉ」
保護者「良いっ、良いムードですのっ」
男の子「……おぉ」
保護者「押せっ、押し倒せですのっ。既成事実ですのよっ」
男の子「鼻血でそう」
756 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:00:42.69 ID:itsA5ADt0 [84/93]
畑の兄さん「それじゃ、あっしはあっちの料理を食べてきやす」
先生「あ、はい」
男の子「あ、どっか行っちゃった」
保護者「あら……残念ですの」
男の子「でも間違いないよね」
保護者「えぇ、間違いないですの」
女の子「既に間違いだらけだと思うけど……」
幼女「これおいしいよー」
女の子「そうね、わたしたちはお料理たべてましょ」
幼女「これもおいしいよー」
757 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:07:08.28 ID:itsA5ADt0 [85/93]
先生「あれ? あの人は……? どこいったんだろう?」
男「……」カキカキ
男「なんだろう、あの日を境に少しづつ書けるようになってきかのかもしれないな」
男「だけど……まだ足りないな……」
先生「こんな所に居たんですか」
男「あ、先生」
先生「何をやっているんですか?」
男「えぇ、ちょっとメモを」
先生「メモ?」
男「思い浮かんだ言葉を忘れないうちにしたためておくんです」
先生「さすが作家さんですね」
男「すみません、クセで。最近はやってなかったんですけどね」
758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:10:55.34 ID:itsA5ADt0 [86/93]
先生「どんな言葉を書いてたんです?」
男「いやお恥ずかしい、人様に見せられるようなものではないですよ」
先生「そ、そうですか……」
男「あー、コホン。まぁ、すこしなら……」
先生「本当ですかっ」
男「えぇでも、その……」
先生「?」
男「私、字が下手糞で……」
先生「大丈夫! 読めますっ、暗号の解読とか得意なんですっ」
男「あ、暗号ってそんな」
先生「す、すみませんっ」
男「はは、面白い人ですね? 先生」
先生「す……すみません……」
759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:13:41.27 ID:itsA5ADt0 [87/93]
先生「ええっと。とうもろこし……? たこさんういんなー……?」
男「あ!」
先生「これは?」
男「すみません、そっちは晩御飯のレシピでした」
先生「……」
男「お恥ずかしい」
先生「ひょっとして、……結構おっちょこちょいです?」
男「いえ、……実はかなり」
761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:23:53.30 ID:itsA5ADt0 [88/93]
先生「意外な一面、発見です」
男「あの子が来てからしっかりしようと、色々頑張ってはいるんですけどね。……日々精進です」
先生「料理もされて、育児も仕事も……尊敬しちゃいます」
男「いや、あの子が居たから。私は変われたのかもしれません。今の私があるのはあの子のおかげですよ」
先生「そうなんですか?」
男「実は私、ついこの間まで全く文章が書けなくなってしまっていたんです」
先生「え?」
男「情けない話ですが……私はわりと根を詰めるタイプらしくて、一度悩み始めるともうどんどん落ちていってしまって……」
先生「なんとなくわかります、それ」
男「それで、ちょっと荒れていた時期がありましてね。あの子が来るちょっと前の話です」
先生「あまり……そんな姿を想像できないんですが……」
男「はは、そうですか?」
763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:27:41.22 ID:itsA5ADt0 [89/93]
男「まぁとにかく、そんな私もあの子の力を借りて少しずつですが立ち直っていきました。あの子に感謝ですよ、本当に」
先生「たしかに……あの子はなんだか不思議な力を持っている気がしますね」
男「私も時々、そんな気がしますよ」
先生「あのっ」
男「はい?」
先生「つ、つかぬ事をお伺いしますが……」
男「なんですか? 私でよければ何でもお答えしますよ」
先生「あ……あの、ご、ご結婚はされてらっしゃらないんですよね……?」
764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:28:24.58 ID:itsA5ADt0 [90/93]
畑の兄さん「結婚? あっしはもう結婚してますぜ?」
保護者「……」
男の子「……」
女の子「ほーら、だから言ったじゃない」
「え、……えぇぇぇえええええっ?!」
畑の兄さん「えぇ?! あっしが先生の事をっ?!」
保護者「お恥ずかしい……早とちりでしたの……」
幼女「このパイおいしいね~」
男の子「……やべっ」
女の子「ちょっと! どこ行くのよあんた!」
男の子「ギクッ」
765 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:34:36.69 ID:itsA5ADt0 [91/93]
男「えぇ、恥ずかしながらまだ独身を貫いておりますよ」
先生「あの……私っ」
男「先生?」
先生「私っ、あのっ……!」
幼女「おじさーん? せんせー?」
先生「!」ビクッ
男「ん? どうしたんだい?」
幼女「もうみんな帰るって~」
男「そうか、わかった。すぐ行くよ」
幼女「せんせーもかえる?」
先生「……あぁ、えぇ、あの。そうね……」
767 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:41:31.41 ID:itsA5ADt0 [92/93]
幼女「せんせー、さよーなら~!」
先生「……は~い……さよ~なら~~」
先生「……」
先生「~~~~~!!」
先生「……っ」
先生「~~~~~~っ!!」
先生「やだ……」
先生「私ったら……」
先生「人生最初の告白のチャンスだったのにっ!」
先生「あ……う……だめだ……もう、一生分の勇気使い切った……」
先生「寝よう……」
769 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 23:46:54.75 ID:itsA5ADt0 [93/93]
幼女「おじさん、おやすみなさい」
男「あぁ、おやすみ。私はもうすこししたら寝るよ」
幼女「うんっ」
パタン
男「……」
男「……いや」
男「……いやいや、おかしい」
男「私?」
男「……いやいや、有り得ない」
男「……でも」
男「いや……」
男「……いや、でも……」
771 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:00:42.57 ID:rO8WwGaz0 [1/74]
幼女「どうしたのおじさん? すごいクマだよ?」
男「結局一睡もできなかった……」
幼女「運転大丈夫?」
男「すまない……今日はタクシーにしてくれないか?」
幼女「うん、いいよ?」
男の子「どうしたんだよせんせー? すごいクマだぜ?」
先生「結局一睡もできなかった……」
男の子「一日大丈夫かよー!」
先生「ごめんみんな、今日一日自習で」
男の子「じしゅうってなんだよ、早く歌うたおうぜー!」
772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:01:58.89 ID:rO8WwGaz0
後日
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr....
先生「はい?」
男『あの~……私ですが』
先生「あっ、はいっ、はいっ、私です!」
男『ど、どうですか。今週の日曜日、よろしければお食事でも』
先生「へあっ?!」
男『だ、だめでしょうか』
先生「い、いきますいきます! すぐいきます!」
776 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:20:18.74 ID:rO8WwGaz0
簡単にまとめてみた。
>>1->>48
幼女とおじさん
>>49->>220
幼女とライバル's
>>247->>260
谷亮子(ry
>>267->>363
幼女と便利屋
>>369->>410
幼女のおかあさん
>>450->>489
幼女とワンちゃん
>>506->>695
銀行強盗 ~保護者とおじさんと、時々、幼女~
>>712->>772
先生とおじさん
777 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 00:23:16.42 ID:rO8WwGaz0
というわけで今日はここまでです。
また明日午後から書きます。
今夜は冷えるみたいです、暖かくして寝ましょうね。
817 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:25:03.65 ID:rO8WwGaz0 [5/74]
ただいま、保守ありがとうございます。
ゆっくり投下していきますね。
820 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:29:32.02 ID:rO8WwGaz0 [6/74]
────────
────
──
姉『よ』
男『……』
姉『……』
男『アメリカから、帰ってきたんだ、姉さん』
姉『えー……』
男『……』
姉『……』
男『……』
姉『と、いうことで。この子の事! よろしく!』
男『……』
姉『よろしくっ』
男『はぁっ?!』
821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:30:35.76 ID:rO8WwGaz0 [7/74]
姉『一生のお願いっ! こんな事あんたしか頼れないのよ!』
男『ちょ、ちょっと待てよ! よろしくって何だ! だいたい何かおかしいと思ったんだよ昨日知らない荷物が大量に家に届いたからっ!』
姉『あははー、もう届いてたの? 最近の引越し業者って手際いいのね』
男『姉ちゃん』
姉『う?』
男『お断りだ、荷物は送り返す。その子もちゃんと姉ちゃんが育てるんだ』
姉『……』
男『自分の子だろ? 自分で育てるのが筋ってもんじゃないのか?』
姉『それが出来ないから頼んでるんじゃない!』
男『あんたこの子の何だ! 母親じゃないのか!』
822 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:32:26.71 ID:rO8WwGaz0 [8/74]
男『いや、そりゃ旦那さんの事……知ってるけどさ、事件に巻き込まれたってのも聞いてる』
姉『居ても立ってもいられないの! どうしてもあの人の無実を証明しなきゃ……いけないの……』
男『でも、有罪判決が……』
姉『銀行強盗で人質を買って出ただけでグル扱いされただけよ、証拠さえ出てくればちゃんと無罪が……』
男『姉ちゃん』
姉『?』
男『……、だったら。この子も一緒に連れて行ってあげなよ、家族だ、一緒に居るのが道理だ』
姉『ダメ、だめよ』
男『なんで』
姉『絶対あたし、捜査ばっかりで子育てなんかしなくなる』
男『両立はどうしたのさ、姉ちゃんの持論だったろ?』
姉『時と場合によるのよ』
男『今は子育てを捨ててもいいと?』
姉『ちがっ……だからあんたにこうやって頼んでっ!』
824 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:34:02.89 ID:rO8WwGaz0 [9/74]
男『……こっちだって暇じゃない』
姉『おねがいっ』
男『締め切りだって迫ってるんだ』
姉『そこをなんとかっ』
男『書きたい事だっていっぱいあるし、他の事に時間を取られたくない』
姉『……おねがい……っ、どうしても、あたしはやらなきゃいけないのよ……っ』
男『……』
姉『……』
男『……』
姉『……』
男『顔、あげてくれよ……』
825 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:35:07.68 ID:rO8WwGaz0 [10/74]
◇ ◇ ◇ ◇
幼女『あ~~~~~~~』
バタバタ
幼女『う~~~~~~~』
バタバタ
男『やれやれ、部屋がちらかってしょうがないな……』
幼女『あ~~~~~~』
ビリビリ
男『こ、こらこら。本を破るんじゃない!』
幼女『うええええええ~~~~~ん』
男『なっ、泣くな、泣くなったら』
827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:37:20.92 ID:rO8WwGaz0
幼女『おじちゃん』
男『なんだ?』
幼女『あのね』
男『?』
幼女『とうもろこし、いる?』
男『いらん』
幼女『ねえ』
男『なんだ』
幼女『とうもろこし、食べる?』
男『いらねぇ』
幼女『う~~~~~』
男『どうした?』
幼女『とうもころし、たべる?』
男『とうもろこしだろ?』
幼女『う~~~~~!』
828 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:39:13.75 ID:rO8WwGaz0 [12/74]
男『す、すまん、私が悪かった、だから泣くな。ほら、食べるから』
幼女『う~~~~~!』
男『ほら、ほら。おいしいぞ?』モグモグ
幼女『おじちゃんおいしい?』
男『あぁ、うまい、うまいぞ』
幼女『よかったあ!』
男『ほっ……どうやら機嫌が良くなったみたいだな』
幼女『……う……ぅ”っ』
男『……今度は何だ……』
幼女『……おじっご……』
ポタポタ
男『なん……だと……』
829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 13:41:37.00 ID:rO8WwGaz0 [13/74]
幼女『おじちゃん』
男『ん?』
幼女『本たくさん?』
男『ああ、これは私が書いた本だよ』
幼女『へー!』
ペラペラ
幼女『う~~~?』
男『ちょっと難しいかな?』
ペラペラ
幼女『かんじがたくさん』
男『はは、そりゃそうだ』
830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:00:39.65 ID:rO8WwGaz0
幼女『……』トテトテ
幼女『……』トテトテ
幼女『……』トテトテ
男『……?』
幼女『……』トテトテ
男『何やってるんだ?』
幼女『あ、おじちゃん』
男『うん?』
幼女『あのねあのね』
男『うん』
幼女『おはなでしおり作ったよ~~』
男『ほう』
幼女『おじちゃん本たくさん、つかって』
男『ありがとうな、大事に使うよ』
幼女『えへへ~』
831 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:05:48.35 ID:rO8WwGaz0 [15/74]
◇ ◇ ◇ ◇
男『とうとう今日から幼稚園だなっ』
幼女『わーい!』
男『その制服、似合ってるぞ』
幼女『ちょっとぶかぶか』
男『すまん……すぐ大きくなると思ってワンサイズ上のを頼んだんだが……』
幼女『うんっ、だいじょうぶだよっ』
男『よかった』
幼女『いこっ』
男『よーし、行くか』
幼女『ようちえんっ、ようちえんっ♪ とーもだっちひゃっくにんでっきるっかなー♪』
832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:09:58.08 ID:rO8WwGaz0
男『……』
幼女『……だいじょうぶ?』
男『……できたっ、できたぞ!』
幼女『おー!』
男『苦節2時間……ついにお弁当の完成だっ』
幼女『おじさんおじさん!』
男『ん? なんだ?』
幼女『じかんじかん!』
男『やばっ……』
幼女『はやくはやく』
男『急ぐぞっ』
幼女『おじさん』
男『なんだー?!』
幼女『おべんとう忘れてるー』
男『なん……だと……』
833 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:18:48.03 ID:rO8WwGaz0 [17/74]
男『あの~……すみません』
先生『はい?』
男『これ、お弁当なんですが。朝忘れちゃいまして、届けてもらってもいいですか?』
先生『いいですよー』
男『ありがとうございます、ええっと。年少の2組の──』
先生『ちょうどよかった』
男『?』
先生『2組の担任、私なんですよ』
男『そいつは良かった、よろしくお願いします』
先生『それにしてもこんな時間に、お仕事は大丈夫なんですか?』
男『ええ、私こうみえて作家でして。時間は自由がきくんですよ』
先生『そうなんですかぁ、仕事と子育て両立されて偉いですね』
男『いえ、あの子は姉の子なんです。実は私が今預かっているだけでして……』
835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:28:44.47 ID:rO8WwGaz0 [18/74]
カパ
男『さて、食器あらって風呂にでも入るか』
男『……』
男『ウインナーは嫌い……だったか……?』
男『いや、この本には子供はウインナーが好きと書いてある……』
男『私の味付けが不味かったか……?』
男『明日、訳を聞いてみるか……』
男『なんだか怒ってばっかりだな……いかんいかん、子供は褒めて育てると書いてあるのに』
836 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:32:40.56 ID:rO8WwGaz0 [19/74]
男『正直に言いなさい』
幼女『う~~~~』
男『顔を見なさい』
幼女『う~~~』
男『どうしてお弁当を残したんだい?』
幼女『たこさんういんなー、かわいかったから』
男『そうか』
幼女『ごめんなさい……』
男『私じゃなくてタコさんウインナーにごめんなさいだ』
幼女『うん、たこさんごめんなさい』
男『次はちゃんと食べるんだぞ?』
幼女『うん!』
男『そういう考えなのか……、まだまだ子供はわからないな……』
837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:35:23.89 ID:rO8WwGaz0 [20/74]
男『迎えにきたぞー』
幼女『おじさん!』
男『元気だったか?』
幼女『うんっ!』
『かえるわよー!』
男の子『わー! かーちゃんだ!』
『かえりますのよー』
女の子『おかあさん、まってよ~』
幼女『……』
男『さ、私たちも帰ろうか』
幼女『うん……』
838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:44:19.03 ID:rO8WwGaz0 [21/74]
幼女『おじさん』
男『ん? どうした? 寝付けないのか?』
幼女『おかーさん、どこ?』
男『……それは……』
幼女『おとうさんは?』
幼女『……めがさめると、だれもいないの』
幼女『おかあさんも、おとうさんも、いないの』
幼女『あたしだけ、あたしだけなの』
幼女『おじさん』
幼女『あたし、いらない子なのかな』
幼女『ねぇ、おじさん』
840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:46:30.97 ID:rO8WwGaz0
幼女「おじさん!」
幼女「おじさん! どうしたの?!」
男「…………、うぅ……」
幼女「おじさん!」
男「……夢……、か……?」
幼女「なんだかとっても苦しそうだったから……」
男「あ……あぁ、すまない」
幼女「だいじょうぶ?」
男「……夢じゃない、よな」ギュ
幼女「わ、わ。おじさん、くるしいよ」
男「すまん、今だけ、こうさせてくれ……」
幼女「……うん」
男「私達は……家族だ……、家族なんだぞ……?」
幼女「うん、そうだよ? あたりまえなんだよ?」
843 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 14:57:07.87 ID:rO8WwGaz0 [23/74]
男「当たり前……あたりまえ、か」
幼女「うんっ」
男「そうか、そうだな……」
幼女「? ヘンなおじさん」
男「もうこんな時間か、朝ごはんを作らないとな」
幼女「今日はおでかけするのー?」
男「そうだな、お休みだし今日はどこにいこうか?」
幼女「おじさんと一緒だったらどこでも!」
845 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 15:03:26.48 ID:rO8WwGaz0
申し訳ない、ちょっと早いけどキリが良いのでここでいったんおわりで
またもうちょっとしたら戻ってきます。
>>823
なるべく善処しますが無理な場合柔軟に対応します。
852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:07:57.82 ID:rO8WwGaz0 [25/74]
ただいま。
いつもいつも保守すみません
853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:14:30.44 ID:rO8WwGaz0 [26/74]
幼女「わくわく♪」
男「ん~?」
幼女「わくわく♪」
男「どうした?」
幼女「あのねあのね」
男「うん?」
幼女「おうち……えんとつないけどさんたさん大丈夫かなあ」
男「あぁ……、そういえば……もうそろそろか」
855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:16:34.78 ID:rO8WwGaz0 [27/74]
男「なんかサンタさんにお願いしておくこと無いか?」
幼女「もんぶらんっ」
男「そうかそうか」
幼女「あのねあのね」
男「ん?」
幼女「ずっとずっと楽しみにしてたのっ」
男「ほう」
幼女「どこからくるのかなぁ、えんとつないから。屋根かな? 窓かな?」
男「出現方法に興味深々か……」
856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:20:03.47 ID:rO8WwGaz0 [28/74]
ブロロロロロロ……
男「……それにしても、寒いな」
幼女「さむいねぇ」
男「もうすこしカーエアコン強くするか」
幼女「うんっ」
男「……」
幼女「……わあ」
男「……寒いわけだ」
幼女「ゆき! ゆきだよ! おじさんっ!」
男「そうだな、雪だ」
幼女「わー! すごーい!」
男「って、こらこら。窓から手を出すんじゃない」
857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:26:21.44 ID:rO8WwGaz0
幼女「さぁあなたからメリークリスマス♪」
男「私からメリークリスマス♪」
幼女「サンタクロースイズカミングトゥータウン♪」
男「そんな楽しみか?」
幼女「うんっ!」
男「うん、力いっぱいの良い返事だ」
幼女「ねぇ聞こえてくるでしょ鈴の音がすぐそこに♪」
サンタクロース イズ カミング トゥー タウン
858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:30:35.37 ID:rO8WwGaz0 [30/74]
Prrrrrrrrrrrrrrrrr.....
男「先生ですか?」
『あ。あの、今から伺っても大丈夫ですか?』
男「えぇ、さっき買い出しに出かけて、もうだいたい準備はできてますので」
『それじゃあ……今から行きますね』
男「はい」
859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:33:51.66 ID:rO8WwGaz0 [31/74]
幼女「せんせいくるのー?」
男「あぁ、もうすぐ着くってさ」
幼女「うふふ、たのしみ♪」
男「うまいもん沢山つくったからな」
幼女「わあい!」
男「なあ」
幼女「うん?」
男「お前はどうしたい?」
幼女「なにが?」
男「いや……なんでもない、忘れてくれ」
幼女「ヘンなおじさん?」
860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:36:00.96 ID:rO8WwGaz0 [32/74]
男(なんとかして……逃げ腰なサンタさんを捕まえないとな)
男(私もそろそろ覚悟を決めないと……)
────────
────
──
Prrrrrrrrrrrrrrrrr.....
男『はい?』
『私です』
男『警部さん、その節はどうも──』
861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:38:05.44 ID:rO8WwGaz0 [33/74]
警部『やあ、すみませんね。署まで来てもらって』
男『いえ、丁度暇でしたから』
警部『実は先日逮捕した二人から大変興味深い供述が出てきまして』
男『というと?』
警部『3年前のインディアナポリス銀行強盗事件、覚えてますね?』
862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 17:45:14.01 ID:rO8WwGaz0 [34/74]
男『……えぇ、姉が今その山を追ってるはずです。たしか’パークマンサー’……』
警部『そうですね、日本でも度々彼らの構成員が強盗などの犯罪を企てております』
男『それと今回の事と何か関係が?』
警部『それが、今回の事件。あの二人の供述から世界的犯罪組織’パークマンサー’が背後に見え隠れしているんですよ』
男『まさか、そんな』
警部『えぇ……。それで、これからするお話はあなたの姉上が追っている事件とも関連してくる話なのですが……』
男『一体、どういう?』
警部『3年前の事件の日の犯行計画書なるものが犯人うちの一人の家から押収されましてね』
男『……』
警部『これが妄想の類ならば我々も無視できるのですが、あまりに酷似しているんですよ。その事件の報告書と』
男『まさか……』
警部『あの事件の構図を描いた人物がいるという事です。あの男の身辺を洗えば確実にね、もしくは、あの男自身が……』
男『それじゃあ!』
警部『ええ、あの事件の実行犯と繋がっている可能性は大きいでしょう。その方面から、姉上の旦那様の無実を証明する事も……』
男『警部さん!』
863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:03:31.68 ID:rO8WwGaz0 [35/74]
警部『いや、お手柄はあなたですよ』
男『いや、私はそんな、何もしていませんよ』
警部『あなたが居たからこそ、我々は犯人を逮捕することができた。あたながあの場で行った様々な処置によってね』
男『……実は、私もあの事件を調べていたんです』
警部『ほう?』
男『あの事件は私も納得のいかない点が多々ありましたから』
警部『……』
男『だから、友人のつてを使ったりして、色々と情報を仕入れていました』
警部『それが今回、計らずも役に立ったと』
男『因果応報、ですかね』
警部『さあ』
男『ありがとうございます警部さん、姉にも伝えてみます』
警部『いえ、これくらい後輩として当然です』
男『姉も立派な部下を持てて幸せだと思います』
864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:04:51.92 ID:rO8WwGaz0 [36/74]
先生「私っ! 幸せですっ!」
幼女「うんっ」
先生「こんな美味しいケーキが食べられるなんて……、私っ、幸せですっ!」
男「はは……そんな大げさな」
先生「いいえ! このクリームとイチゴのミックスがなんとも言えない具合に絡まって……口の中で甘美なワルツを踊るんです……」
男「な、なるほど……」
幼女「せんせー、おいしいねー」
先生「そうね、毎日こんなお料理が食べられるなんて羨ましい……」
865 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:08:17.02 ID:rO8WwGaz0 [37/74]
男「よ……よければまた今度、お料理をお教えいたしますよ」
先生「え?」
男「肉じゃがとか、ビーフシチューとか……を、作ってみたいって仰ってましたよね」
先生「い……ぃいんですか?」
男「え、えぇもちろん。私でよければ、ですが……」
先生「……」
男「あの、先生?」
先生「ぃ」
男「い?」
先生「ぃやったーーーー!!」
幼女「せんせいが跳んではねてるっ」
先生「全身で嬉しさを表現してみましたっ」
男「はは、本当に面白い人ですね」
867 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:20:34.01 ID:rO8WwGaz0 [38/74]
幼女「ねえねえ」
男「うん?」
先生「どうしたの?」
幼女「ふたりはけっこんするのー?」
男「ぶっ」カァアア
先生「なっ」カアアァァ
幼女「しないの~?」
男「な……なぜそんな事を……」
先生「そ、そうですよ……
幼女「だってらぶらぶだもん♪」
男「こ、こら。大人をからかうんじゃありませんっ」
幼女「おじさん顔真っ赤~♪」
868 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:26:30.64 ID:rO8WwGaz0 [39/74]
>>867
う~、度々すみません。
×先生「そ、そうですよ……
○先生「そ、そうですよ……」
871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:31:55.55 ID:rO8WwGaz0 [40/74]
幼女「二人は家族になるんだよね?」
先生「こ、こら」
幼女「ねっ?」
先生「も~~~~~」
幼女「……いいなぁ、家族」
男「……」
幼女「あ、これおいしいっ」
872 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:33:28.07 ID:rO8WwGaz0 [41/74]
幼女「おいしいっ、これもこれも♪」
男「先生、私ね」
先生「はい?」
男「あの話、受──」
Prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr.....
男「──っと。すみません、ちょっと電話でてきます」
先生「はい、お構いなく」
873 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:39:43.16 ID:rO8WwGaz0 [42/74]
『ねえ』
男「ん?」
『あたし今、どんな気分だと思う?』
男「最高にハイ! ってやつ?」
『……まぁ、そうね』
男「なんだよ、調子狂うなあ」
『あたしが、どれだけ手を尽くしても八方塞だったものを。あんたは易々と手に入れるのね』
男「偶然さ」
『……そう』
男「それより姉さん」
『なによ』
男「知ってるぞ、いま日本に来てるんだろ?」
『誰から……』
男「警部さんに全部教えてもらった」
『あのクソ真面目な後輩め……』
874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:41:04.66 ID:rO8WwGaz0 [43/74]
男「今時珍しい義理堅い人じゃないか、姉さんの部下とは思えないくらいに」
『……たしかに』
男「さて」
『……なによ』
男「姉さん」
『……』
男「俺の言いたいこと、わかるよな?」
『……』
男「コホン。’まず心を開かないとね、人間関係も一緒なのよ?’」
『……それ』
男「ご明察、姉さんが俺にくれた言葉だよ」
『う……』
男「あの子は強い」
『……』
男「姉さん、いつまで逃げているんだ……最初の一回を踏み出す勇気さえあれば、あとはなんとかなる」
875 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 18:41:35.36 ID:rO8WwGaz0 [44/74]
『14 01 18 09 20 01 19 01 14 10 09』
男「は?」
『あんたに挑戦状よ、……そこで待ってるわ』
プツン
男「お、おい?!」
877 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:07:03.49 ID:rO8WwGaz0 [45/74]
14 01 18 09 20 01 19 01 14 10 09
男「なんだこの数字の羅列……さっぱりわからん……」
先生「どうしたんですか?」
男「あ、えっと」
先生「……!」キラーン
男「どうしました?」
先生「これ、暗号です」
男「な、なんて書いてあるんですか?」
先生「えぇ……っと」
男「……」
先生「な り た さ ん じ」
男「い、今何時ですかっ?!」
878 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:18:37.48 ID:rO8WwGaz0 [46/74]
それから。
おじさんと先生はあたしを車に乗せて
あっちの道が近いだとか、こっちの道が近いだとか言いながら運転していたのはぼんやりと覚えている。
二人で歌ったあのメロディー
サンタクロース イズ カミング トゥー タウン
ねえ、おじさん。
本当は、サンタさんはずっと近くに居てくれたんだよね。
窓越しに過ぎ去っていく町並みがどれもこれも懐かしい映像で再生される。
おじさんと過ごした時間はとてもとても暖かいもので、でも。
あたしはまだ子供だったから、おじさんの葛藤とか全然理解できなくて。
おじさんにたくさん、たくさん迷惑をかけた気がする。
ごめんねって言ったら、おじさんはきっと
「そんな事気にするな」
って笑うんだろうね。
ねえ、おじさん。
882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:56:24.39 ID:rO8WwGaz0 [47/74]
ピンポンパンポン
ただいま7番ゲートにノースウェスト航空……ミネアポリス……国際空港……
姉「……久しぶりに会って見たら随分男の顔になってるじゃない」
男「だれかさんのおかげでね」
男「警部さんから話は聞いてるけれど」
姉「……」
男「旦那さんの件。とりあえず、一歩前進?」
姉「あんたのおかげね。……どれだけ御礼を言ったらいいか……」
男「やめてくれよ、姉弟だろ、それより──」
883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 19:57:55.59 ID:rO8WwGaz0 [48/74]
幼女「……」
男「ほら、お母さんだぞ?」
幼女「……」ギュ
姉「……」
幼女「……」
男「どうした?」
幼女「おかあさん?」
男「そうだぞ、お前のお母さんだ」
884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:01:26.88 ID:rO8WwGaz0 [49/74]
幼女「おかあ……さん?」
姉「そうよ」
幼女「お、かあ、さん?」
姉「そう、そうよ……あたしがあなたのお母さんよ」
幼女「……」ギュ
男「ほら、いつまで私の足にしがみついているんだ? あれだけ会いたがっていただろう?」
幼女「……あ、あう……」
男「ほら、おかあさんも待ってる」
幼女「……う~~~~」
男「行ってあげなさい、ほら」
幼女「おかあさああああああん!!」
姉「ごめん、ごめんねっ。一人にして……ごめんねっ」
幼女「わあああぁぁぁぁあん~~~!!」
885 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:02:18.63 ID:rO8WwGaz0 [50/74]
姉「つらかった?」
幼女「う……ぐ……、ぜん”ぜん”……」
姉「あたしは……毎日つらかった……」ギュ
幼女「あ”のっ……あのね……」
姉「うん?」
幼女「おかあさんの、かお、おもいだせなぐて……」
姉「そう……」
幼女「誰が、あたしのおがあさんが……わからなぐて……」
姉「……うん」
幼女「わーるどかっぷ、ぐひっ、みつけて……」
姉「わかった……うん、わかった……」
886 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:06:36.34 ID:rO8WwGaz0 [51/74]
その後わたしは顔がくちゃくちゃになるくらい泣いた。
あのときお母さんの顔が思い出せなかったけれど、お母さんの胸の中で抱かれると
なんだか懐かしい気持ちがしたんだ。
それで
「ああ、この人がわたしのお母さんだ」
ってわかったの。
おじさんが嬉しい様な困ったような顔であたしを見ていたの、今でも覚えているよ。
ずっと。
ずっと、見ていてくれたんだもんね。
888 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:10:13.42 ID:rO8WwGaz0 [52/74]
姉「そうだ、これ、これ渡さなきゃ」
幼女「こ……れ。な、あに?」
姉「モンブランよ、とっても甘くて、おいしいんだから」
幼女「あ、……さんたさん?」
姉「さっきサンタさんから貰ってきたの、娘にあげなさいって」
男「……ん」
幼女「たべていい?」
姉「えぇ、ゆっくり味わって食べてね」
幼女「うんっ!」
姉「ふふ」
幼女「……」
姉「どう?」
幼女「しょっぱい!」
890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:12:14.82 ID:rO8WwGaz0 [53/74]
初めてのモンブランの味は塩味だったよ。
とっても
とっても優しい味だったよ。
優しい優しいサンタさんがくれた、とっても優しい味だったよ。
ありがとうね、おじさん。
あ、おじさんに御礼を言っちゃいけないか。
ありがとう、サンタさん。
うん。
ありがとう。
891 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:14:13.78 ID:rO8WwGaz0 [54/74]
男「これからは、本当の家族の元で暮らすんだよ」
幼女「おじさんは?」
男「私は日本に残るよ」
幼女「……」
男「いままでありがとう」
幼女「あのね」
男「うん?」
幼女「お兄さんが言ってたの」
男「うん」
幼女「畑で取れたものはみんな野菜っていうんだって、スイカもメロンのイチゴも……だから」
男「……」
幼女「だから、おじさんもあたしの家族なんだよ!」
男「……そうだな」
幼女「家族は、離れていてもかぞくなんだよ!」
男「そう、……そうだな」
892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:20:19.25 ID:rO8WwGaz0 [55/74]
離れていても家族だって
どこに居ても家族だって
ずっと、きっと。
距離が遠くても
すぐに会えなくても
心が、繋がってるよね?
あたしにそう教えてくれたのは
おじさんなんだよ?
893 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:26:51.65 ID:rO8WwGaz0 [56/74]
幼女「いつか、遊びにきていい?」
男「いつでも来なさい」
幼女「うんっ」
先生「またねっ」
姉「それじゃあ……時間だから」
男「うん、仕事がひと段落したら一度そっちに行くよ」
姉「待ってる」
男「元気でな」
姉「そっちもね。ふふ、お幸せに」
先生「へっ?! いや、あの、その、私はっ」
姉「こんな不出来な弟ですが、よろしくおねがいします」
先生「いやそんなこちらこそ……」
男「あー、ゴホゴホ……んん……ゴホゴホ」
894 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:29:01.18 ID:rO8WwGaz0 [57/74]
男の子「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい」
女の子「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい」
幼女「みんな!」
男「ど、どうして?」
保護者「もう、水くさいですのよ。お見送りくらいさせてくださいまし」
先生「えへ、私が連絡しちゃいました」
畑の兄さん「ゼェ……ゼェ……、あんなに飛ばしたの初めてですぜ……。三途の川が見えるかと思いやした」
895 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 20:30:13.35 ID:rO8WwGaz0 [58/74]
男の子「まさかお前が先に外国いっちまうなんてな!」
幼女「うん」
男の子「俺もサッカーうまくなってすぐに外国いくからな!」
幼女「うんっ、待ってるっ」
女の子「行っちゃうんだ……」
幼女「そうだよ」
女の子「わたしたち、ライバルだからねっ」
幼女「うんっ、ライバルっ」
902 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:00:25.55 ID:rO8WwGaz0 [59/74]
保護者「これから寂しくなりますのね」
幼女「うん……」
保護者「いつでも戻ってきますの、わたくしいつでも歓迎いたしますのよ!」
幼女「うんっ」
畑の兄さん「あっし、とうもろこし送りやすぜ!」
幼女「お兄さんの野菜、好き! いっぱい送ってね!」
畑の兄さん「合点承知ですぜ!」
幼女「うんっ」
903 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:01:55.06 ID:rO8WwGaz0 [60/74]
飛行機の中で、お母さんとたくさんたくさんおじさんの話をしたよ。
どれもこれもが宝石みたいにきらきらで。
もらった貝のネックレスと一緒くらいきらきらしてたよ。
話せば話すほど、磨けば磨くほどキラキラが増していって、
とても、とても大切な思い出になっていく気がするの。
あたし、おじさんの事、とっても大好きだよ!
ほんとにほんとに、ありがとう!
905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:03:46.36 ID:rO8WwGaz0 [61/74]
先生「行っちゃいましたね」
男「ええ、そうですね」
男「先生、私ね」
先生「なんですか?」
男「この間、先生からいただいていた絵本の話、受けてみようと思うんですよ」
先生「まぁ」
男「実はもうタイトルは決まってるんです」
先生「聞かせていただいても?」
男「’とうもろこしと、たこさんういんなー’」
906 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:05:41.75 ID:rO8WwGaz0 [62/74]
何年か後。
「あれ? あなたー」
「うん? どうした?」
「あの子から手紙、届いてますよっ。それと、ほら、こんなにっ」
P.S.
こっちで取れたとうもろこしです。
とってもとっても、おいしいよ。
おしまいおしまい。
418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/28(火) 02:18:02.86 ID:dEbzPf3N0 [1/2]
こっち夏で向こう雪、オーストラリア付近かと思ったらアメリカ…?
こまけー事はいいかw
923 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 21:17:45.28 ID:rO8WwGaz0 [63/74]
ちなみに
>>418
「オーストラリア付近かと思ったらアメリカ…?」
っていう鋭い質問がありましたが
とうもろこしを英語はインディアコーンというらしいです。
それにかけてアメリカ・インディアナ州、さらに姉の職業警察官とかけてインディアナポリスにしてみました。
その時そこまで深く考えてませんでしたけど……
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コメント
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良い話だなー
久しぶりにジーンときた。
エピソードの完成度も高いし、ドラマ化とかしてもよさそうだ。
久しぶりにジーンときた。
エピソードの完成度も高いし、ドラマ化とかしてもよさそうだ。
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とってもいい作品でした