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女「ち、違います! 私、妹じゃありません!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 00:55:12.64 ID:rXdhWV6W0 [1/37]
男「はははは、なにを言うマイシスター」
女「いえあのだから、私は先輩の妹じゃなくて…」
男「こんなにかわいい娘が、俺の妹じゃないわけない!」
女「ふぁ!?」
男「俺を手紙で呼び出しながらも、時間を指定してなかったことを思い出し
昼休みから今までずっと体育館裏で待ち続け、北風にさらされて、ちょっと
凍えながら一人たたずみ、俺の姿を確認した途端、子犬のように走り寄って来る!」
女「え? ああ、その、だって…先輩をお待たせするわけにはいかないですし」
男「萌え!! こんなかわいい萌えキャラが俺の妹以外のなんだというんだ!!」
女「もっ…モエですか?」
男「はははは、なにを言うマイシスター」
女「いえあのだから、私は先輩の妹じゃなくて…」
男「こんなにかわいい娘が、俺の妹じゃないわけない!」
女「ふぁ!?」
男「俺を手紙で呼び出しながらも、時間を指定してなかったことを思い出し
昼休みから今までずっと体育館裏で待ち続け、北風にさらされて、ちょっと
凍えながら一人たたずみ、俺の姿を確認した途端、子犬のように走り寄って来る!」
女「え? ああ、その、だって…先輩をお待たせするわけにはいかないですし」
男「萌え!! こんなかわいい萌えキャラが俺の妹以外のなんだというんだ!!」
女「もっ…モエですか?」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 00:57:24.46 ID:rXdhWV6W0
男「さぁ、いつものように『お兄ちゃん』と呼んでごらん?」
女「あ、はい…お兄ちゃん?………ええと、いつもそんな風に呼んでないのですが?」
男「………なんだい、我が妹よ!」
女「いえあの、先輩が呼べと」
男「な、なんだって!! 特に理由もなく、俺のことを『お兄ちゃぁん』と甘い声で呼んだというのか!?」
女「はぁ…はい、まぁ、そうですけど」
男「『うふふ、呼んでみただけ』ってことか…? なにそれ、お前はお兄ちゃんを萌え殺したいのか!!」
女「そ、そんな滅相もありませんっ! 私はただ先輩に告白を……そ、そだ! せ、せんぱい、私、あの」
男「ノンノン! お・に・い・ちゃ・ん」
女「ふぁ?」
男「もしくは、『にぃにぃ』と囁いてくれてもいいぞ」
女「ええと、にぃにぃ?」
男「ふぁぁぁんたすてぃぃっく!!」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:03:01.58 ID:rXdhWV6W0
男「いかん…いかんぞ……体育館裏とはいえ、神聖な学び舎でそんな…」
女「にぃにぃ?」
男「だ、ダメだ…それは破壊力が強すぎる………俺の防御力では耐え切れん
できれば、予期しない状況で昔使ってた呼称がポロリと出てしまった的な
シチュエーションで呼んでくれ…そして、呼んだあとに『あ、やっちゃった』みたいな
感じで頬を赤く染めて欲しい」
女「は、はぃ、がんばります…」
男「うん、『にぃにぃ』は当面禁止だな…ここぞ、というときに使ってくれ」
女「はぁ…そ、それでその先輩」
男「お兄ちゃん」
女「お、お兄ちゃん」
男「ふむ…二人きりじゃないときは『兄さん』って呼ぶようなバランスがあると、なお良いかもしれない」
女「………あ、あの、話を進めてもいいですか?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:12:22.71 ID:rXdhWV6W0
男「なんだい? お兄ちゃんは、妹の頼みならなんだって聞いちゃうぞ? 現金? 土地? それとも株かい?」
女「い、いいえっ、そういうんじゃなくて! というか、お金とかいりませんからっ!」
男「なんだと……つまり、誕生日プレゼントにブランド物のなにかが欲しいと」
女「言ってませんっ!! ていうか、聞いてくださいっ!!」
男「む…そうか。よし、お兄ちゃんはお前の発言を逐一完全に聞いているぞ! さあ、何でも言いなさい!」
女「わ………わ、私と…その」
男「うんうん」
女「つ、つつつつつつ付きっ…付き合ってください!」
男「…ふむ」
女「………ぁの」
男「…残念だが」
女「…ぁ」
男「現代日本では、兄妹で結婚はできないんだ…お兄ちゃん、嬉しいけど、お前の気持ちには応えられないよ」
女「だ、だから、妹じゃないって言ってるじゃないですかぁぁぁぁぁっ!!!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:20:32.25 ID:rXdhWV6W0
女「はぁ…っ…はぁっ…」
男「女の子が、そんな大声を出すものじゃないぞ」
女「………だ、だれのせいで」
男「ふむ、しかしなんだな。妹にここまで慕われているというのも悪くない。 むしろグッドだ」
女「あ、あの、先輩? 私はですね、先輩とは知り合ったばかりの赤の他人…っていうか、
その、赤の他人じゃない関係になりたくはあるんですけど」
男「よし。 お兄ちゃん嬉しいから、帰りにクレープとかおごっちゃうぞ!」
女「え? やったぁ!」
男「うんうん。 イチゴでもバナナでも好きなトッピングを存分に頼むがいい!」
女「わぁい! うーん、なににしようかなぁ………じゃなくて、先輩!?」
男「おいおい、他人行儀な…二人きりのときは『お兄ちゃん』って呼んでもいいんだぞ?」
女「呼びませんよ!?」
男「そうかー素直じゃない妹にはクレープはおごれんなー」
女「お兄ちゃん! バナナチョコが食べたいです!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:31:00.73 ID:rXdhWV6W0
女「はむっ」
男「どうだ? うまいか?」
女「はい、おいしいです、お兄ちゃん――って、違うでしょ!」
男「なんだ? もしかして、お兄ちゃんのベリーベリーミックスの方が良かったか?
仕方ないなぁ、半分こしてやろう」
女「わぁい♪――って、違います!」
男「…そうか? 遠慮しなくてもいいぞ? 他に食べたかったら、ホクホクポテトバロンでもなんでも」
女「ほ、ホントですか!? じゃあ、ちょっと――って、ナチュラルに甘やかさないで下さい!」
男「なにを言う? お兄ちゃんは、お前をドロドロに甘やかすために存在してるんだぞ? ほら、口にチョコついてる」
女「あ、すいません、どうも……って、あの、そもそも私は妹じゃなくて」
男「お前が妹じゃなくてなんだと言うのか?」
女「だから……い、今はまだ同じ学校の後輩です」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:37:59.59 ID:rXdhWV6W0
男「そうだ…それも我が妹の一面、人間誰しもいろんな面を持って生きているものだ」
女「はぁ…そうなんですか」
男「例えば、そこの交番の彼だって、今は警察官だが、家に帰ればお父さんであったり、誰かの息子だったりするだろう?」
女「はい、そうですね」
男「そう、お前は学校では俺の後輩かもしれない………しかぁしっ! 家では俺の妹であることを否定できまい!!」
女「な、なるほど…?」
男「つまり、お前は、俺の妹なんだ」
女「そ、そっかぁ…私って、先輩の妹だったんですね――って、家が全然違うじゃないですか!」
男「そんなたかが数キロ…宇宙的に見れば誤差だ」
女「違うご町内ですよ! もっと視野をローカルに持ってください!」
男「兄とは、妹より常に視線を高くして、妹を危険から守ってるものだからな…」
女「…え、なにそれかっこいい……じゃなくて、先輩、私は」
男「さて、近ごろは日が暮れるのも遅くなったなぁ……そろそろ帰ろうか?」
女「あ、そうですね……って、一緒に帰るんですか!?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:46:20.50 ID:rXdhWV6W0
男「どうした?」
女「あ、いえ、あの、こんな時間に失礼するのは、ちょ、ちょっと、駅前まで行ってきます!!」
男「…はぁ? なんでまた?」
女「や、やっぱり、ご家族の方に迷惑じゃないかなとか? その、最初が肝心らしいですし、
菓子折りの一つでも持ってこなきゃダメですよね!? すいません全然気がつかなくて
今すぐ行ってきますので! あ、あのご家族の方は甘い物とか平気でしょうか?
もしも、なにかアレルギーとかがあれば教えていただけると助かります! というか、
こういうときって、お菓子とかじゃなくて、コンブとかアワビの干物とかだったりするんでしたっけ?
どうしよう…乾物屋さん開いてるかな…ええと、先輩近くに乾物屋さんってありますか?」
男「……そういうのいいよ。気にしなくていい。俺の家族は、妹一人…お前だけだよ」
女「ふぇ?」
男「さ、冷えてきたし。ウチに入ろう」
女「は、はぁ…?」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:55:03.50 ID:rXdhWV6W0
男「ただいまー。 さあ、マイシスター! そんなところでぷるぷるしてないで入りなさい!」
女「お、おじゃまします…」
男「はははは。 帰ったときは『ただいま』だろ?」
女「は、はぁ…た、ただいま帰りました…」
男「うん、おかえり」
妹「んだよ…クソ兄貴か。遅かったな」
女「ひゃぅっ」
男「うるさいぞ土人。いつ帰ってこようが俺の勝手だろう」
妹「あーはいはい………って、ハァ!? あんた、何連れて帰ってきてんだ!?
…抱きマクラとかそういうのじゃ、飽き足らず…誘拐だぞ!?このバカ兄貴……って、あれ、お前」
男「あーすまないなぁ…マイシスター…このガングロヤマンバ土人はウチに住み着いてる妖怪の一種で」
女「って、先輩、妹さんおられるんじゃないですかっ!!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:05:20.01 ID:rXdhWV6W0
妹「…いいんちょ?」
男「こら、土人。発音が悪いぞ。日本語をしゃべれ、日本語を」
女「え………あ、その、時代の最後尾を頑なに突っ切ってるヤマンバっぷりは…きょーちゃん?」
妹「…おい、クソ兄貴、なにてめ、ウチのクラスのいいんちょ拉致しちゃってるわけ? けーさつ呼ぶぞ?」
男「だから、『ちょ』じゃなくて『長』と発音しろ、この原住民。そんなことではジャパンでやっていけないぞ」
女「あ、あの、あのね、ラチとかそういうんじゃなくて…私がついて来ただけで」
妹「ハァ? あんたバカ? なにこの変態クソ兄貴について来てんの? 甘いもん食わされてデブるよ?」
男「…なんだ、我が妹と土人は知り合いだったのか?」
女「はい、きょーちゃんとは同じクラスの友達です………て、あれ、この場合、土人がきょーちゃんの方だよね?」
妹「…そうらしいな。で? なんでウチに来てんの?」
男「俺の妹だからな」
妹「クソ兄貴は黙れ」
男「ふぎゅぅ!? マイシスター! 土人が! 土人が、か弱い俺に暴力をふるうよ! なにも悪いことしてないか弱い俺に暴力をふるうよ!」
女「先輩は黙っててください」
男「ふぎゅぅ!?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:14:46.87 ID:rXdhWV6W0
妹「……告白しようとしたら、妹と誤認されて、連れてこられたと」
女「うん、そうなの」
妹「あの、一つ聞いていい? ウチのアレのどこが気に入ったわけ?」
女「え? えーと…ひとめぼれ?」
妹「…いいんちょ、って普通に乙女だよな」
女「そう? そうかな? えへへ、照れるなぁ」
妹「いや、褒めてないから」
女「…褒めてないんだ」
妹「はぁっ……ま、わかったっしょ? アレ、変態だって。やめといた方がいいよ、あんなバカ…って、言われなくても醒めてるか」
女「え?」
妹「いや、百年の恋も醒めるっしょ?……って、あたしに何言わせんだ、あんた」
女「………う、うーん?」
妹「……まぁ、どーでもいいけどさ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:23:49.11 ID:rXdhWV6W0
男「女同士の密談は終わったかい!? はははは。お兄ちゃんは妹の交友関係には寛容な方だからね!
土人とはいえ、女の子の会話をジャマしない度量に満ち溢れているのさ!」
女「え、あー…そうですか、どうもです」
妹「いいんちょ、メシまだだろ? 食ってく?」
女「え? いいんですか?」
妹「ああ、今日カレーだし」
男「まぁ、土人が作ったものだから味付けは保証しないけどね」
妹「ハァ? 文句があるなら食うなよ、クソ兄貴」
男「ははっ…文句があるなら出て行ってもいいんだぞ、土人?」
妹「………」
男「………」
女「え、ええと…わ、わーい! カレーうれしいなー! 私カレーダイスキー」
男「そうかそうか! ならば、この兄が大盛によそってあげようではないか!」
妹「………」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:32:10.69 ID:rXdhWV6W0
妹「いいんちょ? 辛くね? だいじょぶ?」
女「う、うん…か、からいけど……だいじょぶ……ごめ、おみず…」
男「無理をしなくていいんだぞ? 所詮、土人だから、カレーは辛ければ辛いほどいいと思ってるからな」
妹「…ハっ? どっかのクソ兄貴が、もっと繊細な舌持ってりゃ、こんな味付けにしてねーよ」
女「………それって、先輩が辛いの好きだからこんな味にしてるってこと?」
男「え………」
妹「ばっ……バカ? バカなの? いいんちょ、バカだな? バカだろ?」
女「………そ、そんなにバカバカ言わないでよぅ」
男「そ、そうだぞ! バカかもしれんが、たしかにバカかもしれんが、そんなにバカバカ言うことないだろ?」
女「…うぅ…せんぱいまで、バカバカ言うし……からいし…」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:40:30.76 ID:rXdhWV6W0
女「…うぅ…ごちそうさまでした…」
妹「…おそまつさん」
男「よく頑張ったな。さすが俺の妹だ。さあ、ここにおいで、お兄ちゃんが、甘いモノをあげよう」
妹「クソ兄貴は、皿洗いだろ。働けよ」
男「……すまない、マイシスター。皿をちゃっちゃと洗ったら、すぐにお前にカントリーマァムを食べさせてあげるからね」
女「いえ、あの、私もお手伝いします」
妹「いーんだよ。 あいつ皿洗いくらいしかできねーんだから」
男「そんなことないぞ! 風呂掃除だってできる! 換気扇だって掃除できる!」
妹「あー…わかったから。そういうのいいから、早く皿洗えよ」
男「く、くそう! 覚えてろよ!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:46:47.98 ID:rXdhWV6W0
女「…ええと、楽しいお兄さんだね?」
妹「ハァ? それマジで言ってんの?」
女「あー…ごめん」
妹「べつに。あたしもあいつのこと兄とか思ってないし」
女「あ、あー……そう?」
妹「んだ?てめ、いいんちょ、しばき倒すぞコラ?」
女「うわーこわいこわい」
妹「………ったく、少しは怖がれっつーの」
女「むりだよ。友達だもん」
妹「…あんた、入学したときからそうじゃん」
女「んー…ということは、入学したときから友達だったんだよ」
妹「ハァ? わけわかんね」
女「ははっ…わけわかんないねー」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:51:30.25 ID:rXdhWV6W0
女「そういえば、ご両親は? 遅いの?」
妹「いや、死んだ」
女「あ、そうなんだ………って、え……あ、ごめん」
妹「別にいいし。いちお、保護者は叔父ってことになってる」
女「その叔父さんは?」
妹「他のとこに女作って住んでんじゃね?」
女「…そなんだ」
妹「って、結構遅くなったけど、だいじょぶ? あんたこそ、親に連絡入れないでいいの?」
女「あ、うん。いいの。ウチは死んでないけど、居ないから」
妹「あ、そーなん?………えっと、ごめん?」
女「ううん。私も気にしてないから」
妹「…そっか」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:01:34.58 ID:rXdhWV6W0
妹「かなり暗いんだけど…いいんちょ、駅の向こう側だっけ?」
女「うん。大丈夫、一人で帰れるよ」
妹「いいって、クソ兄貴に送らせ――るのも危険か」
男「なにを危惧してるのかわからないけど、マイシスター、お風呂が沸いたよ! さ、暖かい内に入りなさい!」
女「え? で、でも、替えの下着とかパジャマとか持ってきてないですし」
妹「ハァ? 何バカ言ってんの? バカなの?」
男「はぁ…土人はこれだから困る。俺の妹が俺の家の俺が洗った風呂に入ってなにが悪いというんだ?」
妹「…まさか、泊めるつもりじゃ」
男「意味がわからない。兄妹は一つ屋根の下で暮らすものだろう! そこに愛はあるのかい!?」
妹「ハァ!? いやなにそれ、わけわかんないし……バカだバカだとは思ってたけど、そこまでバカか!?」
女「ええと、それじゃ…きょーちゃん、悪いんだけど下着とか借りてもいい?」
妹「いいけど――って、あんたも何考えてんの!?」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:10:05.55 ID:rXdhWV6W0
女「ええと、お泊りダメ?」
妹「だ、ダメ…っていうか、あんたいいの? このバカ、変態だよ? 妹のパンツを
手洗いするような変態クソ兄貴だよ? そんなやつの前に洗濯物出しちゃダメだって!」
男「仕方ないだろ。タグにそう書いてあるんだから」
女「大丈夫。ちゃんと洗濯物は袋とかに入れて見つからないようにしとくから」
男「あれ? お兄ちゃん意外と信用ない?」
妹「…あるわけねーだろ」
女「じゃ、すいません、先にお風呂いただきますね」
男「うむ」
妹「いや、『うむ』じゃねーよ、なについて行こうとしてんだよ?」
男「妹の背中を流すのも兄のつとめ…だからな!」
妹「わけわかんねーし。ていうか、なにそれ? なに握り締めてんの?」
男「スク水だが、なにか? 妹と風呂といえばスク水だろう」
妹「…ああそう、なるほどね――って、わかるかボケェっ!!!」
男「ひぎぃっ!!!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:17:16.47 ID:rXdhWV6W0
妹「ふぅー…いい湯だった」
女「………」
妹「いいんちょ? どうしたん?――ま、まさかクソ兄貴になにかっ」
女「…わかってはいたけど」
妹「ハァ? な、なにされた? あの変態…」
女「こんなにサイズが違うなんて…」
妹「…ああ、下着……そりゃそうだろ」
女「…なんとかなるかなーって思ったんだけどなぁ…」
妹「いや、ならねーよ…なると思ったときの心理状態を疑いてーよ…」
女「それに…メイク落としたら、きょーちゃん、普通に美人さんだし」
妹「は、ハァ? てめ、な何言ってんだこの?」
女「………なんか、れっとーかん…」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:21:55.24 ID:rXdhWV6W0
男「はははは。気にするなマイシスター!」
女「せ、せんぱい!?」
妹「なにナチュラルに人の部屋に入ってきてんだよこのクソ兄貴」
男「さ、これを使いなさい。今しがたコンビニで買ってきたよ」
女「…あ、これ…下着?」
男「サイズがわからなかったからね、とりあえず、一通り買ってきたよ」
女「………なんかこれ、柄が全部、水色と白のボーダー…」
男「しましまは男のロマンだから」
妹「てか、この柄、コンビニで売ってるっけ?」
男「……売っているとも!!」
女「そ、そんな豪語されても」
妹「…ま、いいけどさ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:32:12.07 ID:rXdhWV6W0
男「あとはパジャマだが」
女「あ、パジャマはきょーちゃんにジャージでも借りるので」
男「ノンノン! これを着てくれ!」
妹「!?」
女「………ワイシャツ?」
男「そう……俺の、お兄ちゃんのワイシャツだ…」
女「先輩のワイシャツですか? くんくん」
妹「においを嗅ぐなよ…」
男「それを着て、明日の朝俺を起こしてくれ。お兄ちゃん、妹がそれを着て
起こしてくれないと起きることができないから」
女「はぁ…そうなんですか。がんばります」
妹「納得すんなよ…」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:37:21.58 ID:rXdhWV6W0
女「ということは、普段はきょーちゃんが、これを着て起こしてるんですね」
妹「そ、そんなことあるわけないだろ!!」
男「そうだぞ。 土人がそんな格好してても全然嬉しくないし……な…って、土人、いつもの土着宗教メイクはどうした?」
妹「え? あ、そ、そりゃ、風呂に入ったらメイク落とすし?」
男「そ、そうか………なんか久しぶりだな」
女「かわいいですよねー。メイクしない方がいいのに。ていうか、髪も、肌も戻した方が似合うと思いませんか?」
妹「は、ハァ? な、なに言ってんの? つか、クソ兄貴の前でそういうこと言わないでくれる?」
女「それは…ええと『恥ずかしいからお兄ちゃんの前で褒めないでよ』ってこと?」
妹「言ったか? あたしが何時何分何秒地球が何回回ったときにそんなこと言った?」
女「えと、21時38分40秒くらい…地球がだいたい50億回くらい回ったときかなぁ」
妹「うぅっ…」
男「え、ええと、じゃ、じゃあ、そういうわけだから! 明日の朝は頼んだぞ! マイシスター!!」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:44:10.45 ID:rXdhWV6W0
女「ごめんねーベッド借りちゃって」
妹「いいけど…つか、ホントにそれ、寝巻にすんの?」
女「え? うん。洗濯してあるけど、なんか先輩のにおいがしていいかなって」
妹「うわぁ………マジでアレに惚れてんだ…」
女「うん、まじまじ」
妹「正直ひく」
女「そう? いい人だし、おもしろい人じゃない…ていうか、きょーちゃんこそ、それ、パジャマ?」
妹「……そうだけど?」
女「学校指定のジャージが?」
妹「…そうだけど?」
女「じゃあ、このベッドの隙間に落ちてた先輩ときょーちゃんの両方の匂いがするワイシャツは…」
妹「きゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:52:22.13 ID:rXdhWV6W0
女「お、落ち着いて、落ち着いて? 近所迷惑になっちゃうよ? 先輩、心配して見に来ちゃうよ?」
妹「え、あ……う…ち、ちが、違う……そう、違うのっ」
女「ええと、『たまたま着るのがなくて、クソ兄貴のクソワイシャツをクソ寝巻代わりにしてただけだから!』…みたいな?」
妹「そうそれ! つか、あたし、そんなにクソクソ言ってねぇっ!」
女「ええと…じゃあ、タンスに入ってるショーツの半分以上がボーダーなのは?」
妹「……あ、あたしの趣味」
女「へぇ、兄妹共通の趣味なんだね~」
妹「そ、そうだけど? 悪い?」
女「仲良いんだね、兄妹」
妹「べ、別に、仲良くなんかないし! つか、見ててわかったっしょ?」
女「…仲良いんだね、兄妹」
妹「……な、仲良くないしぃ」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:06:25.59 ID:rXdhWV6W0
女「……はぁ、先輩の過干渉がイヤになって誤った高校デビューをしてしまったと?」
妹「だ、だって、ウぜーってもんじゃないし、わかるだろ!?」
女「うーん?」
妹「なにそのわかるんだけど同意しかねるみたいな顔」
女「だって、私、甘やかされるの嬉しいし。私一人っ子だから、うらやましいなぁって思うけど」
妹「そーっすか。言っとくけど、あたし一時期体重80あったからな? アレに付き合ってると同じ目に会うぞ?
……あのクソ兄貴が毎日カントリーマァムを食わせたせいで…今の体重になるまでどれだけ…」
女「いやーそれは、お兄さんに甘えきってたきょーちゃんも悪いでしょ?
それに体重が増えたくらい、先輩はどうでもよさそう」
妹「『丸々と太った俺の妹も丸くてかわいい』とほざきやがった…」
女「それが、ちょっと方向性を間違ったメイクと改造をしただけで…『こんなの俺の妹じゃないっ!』と」
妹「……まるで見てきたようにモノを言うな」
女「時間おしてるしねぇ…」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:10:09.87 ID:rXdhWV6W0
妹「これくらいファッションじゃん? いいだろ?」
女「ええと、女性の視点から見ても人外かなーって思う」
妹「フォローなし!?」
女「あー…なるほど、『お兄ちゃんなら変わり果てた私でも受け入れてくれる』って信じてたんだね」
妹「……そ、そういう風にみえる?」
女「いやでも、これショック大きいよ? 茶髪と日焼けならともかく…あのメイクはねー」
妹「やっぱダメ?」
女「ていうか、あれ、自分でカワイイと思ってやってるの?」
妹「そんなわけないじゃん」
女「だよね」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:14:52.50 ID:rXdhWV6W0
女「よろしい! 私に任せて!」
妹「…なにを?」
女「きょーちゃんと先輩を仲直りさせてあげる!」
妹「………マジ?」
女「うん! まじまじ! 仲直りしたいんだよね?」
妹「あ、あたしは……まぁ…それなりに………でも、兄貴は」
女「ううん、先輩だって、仲直りしたいに決まってるよ。だって、
あそこまで“妹”を求めるのって、やっぱり、きょーちゃんのことが好きなんだよ」
妹「そ、そうかな?」
女「うん! 任せて、未来の義妹のためにがんばっちゃうよ!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:19:19.68 ID:rXdhWV6W0
妹「………義妹?」
女「うん?」
妹「え?…マジでアレと結婚とかしたいわけ?」
女「もち」
妹「えーっとさ、いいんちょ? やめときなって…身内が言うのもなんだけど、変態だし変態だし変態だよ?」
女「ふぅん」
妹「いや、『ふーん』って、あんたマジメに」
女「きょーちゃんが『あたしのお兄ちゃんを取らないで!』って言うなら考えてあげる」
妹「は、ハァ?」
女「言わない?」
妹「ハァ? い、言うわけないだろ? 何考えてんの? マジありえないし」
女「ふーん、そう。 じゃあ、頑張ろうね! 未来の義妹!」
妹「…あたしは、あんたが、なんでそこまであのクソ兄貴に惚れてるのか聞きたい」
女「うーん…話してもいいけど………時間が押してるからなぁ…」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:26:25.09 ID:rXdhWV6W0
男(むぅ…遅いっ……もう夜が明けて随分経つというのにマイシスターは何をしているのか…)
男(まさか…俺の部屋に来るまでの間に酔っ払いの運転するダンプカーにっ……心配だ…)
男(……ん?…足音が)
女「せんぱい? 起きてますか?」
男(来たな…マイシスター………ふふふ、お兄ちゃんたる者、そう簡単には起きんぞ…覚悟しておけ…)
女「失礼しますー…わ、まだ寝てる。寝てるよ」
男「ぐーぐー」
女「…なんていうか、ウソっぽい寝息だよね」
男「んぐっ…ぐーぐー」
女「さ、そろそろ、起こさなきゃ…ね?」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:32:45.52 ID:rXdhWV6W0
妹「お、お兄ちゃん…起きて」
男「ぐーぐー」
妹「お兄ちゃんっ……起きないと遅刻するからっ…」
男「うー…あと5ふんー…ぐーぐー」
妹「…きゃぅっ…お、お兄ちゃん? こっ…この手はなぁに?」
男「………そこに妹の尻があれば、さわってしまう……兄とは罪深いものだな…ぐーぐー」
妹「っ!!!………お、お兄ちゃん? 起きよ? なんか、あたし、右手がうずうずするっていうか…」
男「ふっふっふ…お兄ちゃんを起こしたければ、いつものように布団ダイブをしてくるがいいよ…ぐーぐー」
妹「……いいけど、あたし、体重減ったって言ってもそこそこあるよ?」
男「はっはっは…お兄ちゃんはお前の重さくらい受け止められ……って」
妹「じゃあ、行くよ! お兄ちゃん!」
男「え? な、なに、なんでおま………ぐぶふぉっ!!!!!」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:39:15.81 ID:rXdhWV6W0
女「完璧なエルボードロップだったね! 決まったね!」
妹「ありがと。 なんかもう、殴りたくて仕方なかった」
男「げほっ……おい土人…貴様、兄妹の朝のスキンシップを妨害するとはいい度胸…
……って、め、メイクはどうしたぁっ!?」
妹「なにそれ?」
男「なにそれって、あの、民俗学的に何らかの価値が見出せそうな土着信仰に基づく
謎のフェイスペインティングだよ!」
妹「やめた。飽きた」
男「飽きた…って、おま、い、一度やると決めたことは最後までやり通せって
お兄ちゃんいつも言ってるだろ!――って、あ、ちが」
妹「…うん、そうだったね、お兄ちゃん」
男「え」
妹「ね、お兄ちゃん…あたし……あたしさ、また、お兄ちゃんの、妹になってもいいかな?」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:46:53.17 ID:rXdhWV6W0
妹「…肌ももう焼かないし、髪も…とりあえず黒く染めようかなって思うんだけど」
男「お前…」
妹「あたし、戻れるかな? お兄ちゃんの妹に」
男「………バカ」
妹「あ…そ、そうだよね…今さら何言ってんだろ、あたし…」
男「お前が、俺の妹じゃなかったときなんてないよ」
妹「……おにいちゃん」
男「お前が土人の顔してても、お兄ちゃんに反抗的なことしても…ずっと、俺はお前のことを
妹だと思ってたさ」
妹「あ、あたしも、お兄ちゃんがパソコンの絵に話しかけてても、抱きマクラと食事とってても
お兄ちゃんのことお兄ちゃんだって、ずっと思ってた」
男「………おいで、マイシスター」
妹「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃぁんっ!」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:49:48.82 ID:rXdhWV6W0
女「はい、そんなとこで…ちょっと待ったーーー!」
男「え」
妹「…?」
女「『今、大事なとこなんだけど』っていうのは、わかります。もち、わかってます。
でも私も大事なお話があるんです、先輩」
男「俺?」
女「はい。先輩、好きです」
妹「なっ!?」
女「…私と、お付き合いしてくれませんか?」
男「………え」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:54:48.80 ID:rXdhWV6W0
女「ふぅ…やっと、言えたぁ…」
妹「あ、あんた…このタイミングで?」
女「うん、ようやく、妹は私じゃないって、先輩に認めてもらえたしね。 ですよね、先輩」
男「あ、ああ…ごめんな、その、いろいろと」
女「いえいえ。それで、先輩、私、告白したんですけど?」
男「あ、うん…そうだな……いや、俺さ、両親いないし…妹の面倒も見なきゃいけないからさ…悪いんだけど」
女「にぃにぃ♪」
男「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅっ!?」
女「にぃにぃ…私も、にぃにぃといっしょがいいです」
男「うぁ…うぁうぁ…」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 05:03:07.57 ID:rXdhWV6W0
妹「ちょっ…いいんちょ?」
女「ねぇ…にぃにぃ…いいですよね? 私ももう妹みたいなものですし。ね? にぃにぃ?」
男「い、いいかも」
妹「って、このクソ兄貴! なに言ってんの!!」
女「ふっふー悔しかったら、きょーちゃんも『にぃにぃ』って呼んだらいいじゃない?」
妹「え?……に、にぃ…って、言えるか! そんなん言えるか!」
男「うーん、きょうもいいあさだなぁ…マイシスターズ!」
妹「え、なに複数形にしてるの? 『お兄ちゃんの妹は一人だけ』じゃなかったの? ていうか、いいんちょ、それでいいの?」
女「今は、まぁ、いいかなぁ…ほら、どうせ兄妹は結婚できないし。最後に勝つのは私かなぁって」
妹「……結婚するしないは、お兄ちゃんの自由だけど?」
女「ふぅん…お兄ちゃんの幸せより自分のワガママをとるんだ。きょーちゃんって、やっぱりかわいいね」
男「こらこら、二人とも平和な朝に争うのはやめないか…ごらん、きょうもカラスが生ゴミを」
妹「お兄ちゃんは黙ってて!」
女「にぃにぃは黙っててください」
男「ふぎゅぅ!?」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 05:03:49.78 ID:rXdhWV6W0
おしまい
男「さぁ、いつものように『お兄ちゃん』と呼んでごらん?」
女「あ、はい…お兄ちゃん?………ええと、いつもそんな風に呼んでないのですが?」
男「………なんだい、我が妹よ!」
女「いえあの、先輩が呼べと」
男「な、なんだって!! 特に理由もなく、俺のことを『お兄ちゃぁん』と甘い声で呼んだというのか!?」
女「はぁ…はい、まぁ、そうですけど」
男「『うふふ、呼んでみただけ』ってことか…? なにそれ、お前はお兄ちゃんを萌え殺したいのか!!」
女「そ、そんな滅相もありませんっ! 私はただ先輩に告白を……そ、そだ! せ、せんぱい、私、あの」
男「ノンノン! お・に・い・ちゃ・ん」
女「ふぁ?」
男「もしくは、『にぃにぃ』と囁いてくれてもいいぞ」
女「ええと、にぃにぃ?」
男「ふぁぁぁんたすてぃぃっく!!」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:03:01.58 ID:rXdhWV6W0
男「いかん…いかんぞ……体育館裏とはいえ、神聖な学び舎でそんな…」
女「にぃにぃ?」
男「だ、ダメだ…それは破壊力が強すぎる………俺の防御力では耐え切れん
できれば、予期しない状況で昔使ってた呼称がポロリと出てしまった的な
シチュエーションで呼んでくれ…そして、呼んだあとに『あ、やっちゃった』みたいな
感じで頬を赤く染めて欲しい」
女「は、はぃ、がんばります…」
男「うん、『にぃにぃ』は当面禁止だな…ここぞ、というときに使ってくれ」
女「はぁ…そ、それでその先輩」
男「お兄ちゃん」
女「お、お兄ちゃん」
男「ふむ…二人きりじゃないときは『兄さん』って呼ぶようなバランスがあると、なお良いかもしれない」
女「………あ、あの、話を進めてもいいですか?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:12:22.71 ID:rXdhWV6W0
男「なんだい? お兄ちゃんは、妹の頼みならなんだって聞いちゃうぞ? 現金? 土地? それとも株かい?」
女「い、いいえっ、そういうんじゃなくて! というか、お金とかいりませんからっ!」
男「なんだと……つまり、誕生日プレゼントにブランド物のなにかが欲しいと」
女「言ってませんっ!! ていうか、聞いてくださいっ!!」
男「む…そうか。よし、お兄ちゃんはお前の発言を逐一完全に聞いているぞ! さあ、何でも言いなさい!」
女「わ………わ、私と…その」
男「うんうん」
女「つ、つつつつつつ付きっ…付き合ってください!」
男「…ふむ」
女「………ぁの」
男「…残念だが」
女「…ぁ」
男「現代日本では、兄妹で結婚はできないんだ…お兄ちゃん、嬉しいけど、お前の気持ちには応えられないよ」
女「だ、だから、妹じゃないって言ってるじゃないですかぁぁぁぁぁっ!!!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:20:32.25 ID:rXdhWV6W0
女「はぁ…っ…はぁっ…」
男「女の子が、そんな大声を出すものじゃないぞ」
女「………だ、だれのせいで」
男「ふむ、しかしなんだな。妹にここまで慕われているというのも悪くない。 むしろグッドだ」
女「あ、あの、先輩? 私はですね、先輩とは知り合ったばかりの赤の他人…っていうか、
その、赤の他人じゃない関係になりたくはあるんですけど」
男「よし。 お兄ちゃん嬉しいから、帰りにクレープとかおごっちゃうぞ!」
女「え? やったぁ!」
男「うんうん。 イチゴでもバナナでも好きなトッピングを存分に頼むがいい!」
女「わぁい! うーん、なににしようかなぁ………じゃなくて、先輩!?」
男「おいおい、他人行儀な…二人きりのときは『お兄ちゃん』って呼んでもいいんだぞ?」
女「呼びませんよ!?」
男「そうかー素直じゃない妹にはクレープはおごれんなー」
女「お兄ちゃん! バナナチョコが食べたいです!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:31:00.73 ID:rXdhWV6W0
女「はむっ」
男「どうだ? うまいか?」
女「はい、おいしいです、お兄ちゃん――って、違うでしょ!」
男「なんだ? もしかして、お兄ちゃんのベリーベリーミックスの方が良かったか?
仕方ないなぁ、半分こしてやろう」
女「わぁい♪――って、違います!」
男「…そうか? 遠慮しなくてもいいぞ? 他に食べたかったら、ホクホクポテトバロンでもなんでも」
女「ほ、ホントですか!? じゃあ、ちょっと――って、ナチュラルに甘やかさないで下さい!」
男「なにを言う? お兄ちゃんは、お前をドロドロに甘やかすために存在してるんだぞ? ほら、口にチョコついてる」
女「あ、すいません、どうも……って、あの、そもそも私は妹じゃなくて」
男「お前が妹じゃなくてなんだと言うのか?」
女「だから……い、今はまだ同じ学校の後輩です」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:37:59.59 ID:rXdhWV6W0
男「そうだ…それも我が妹の一面、人間誰しもいろんな面を持って生きているものだ」
女「はぁ…そうなんですか」
男「例えば、そこの交番の彼だって、今は警察官だが、家に帰ればお父さんであったり、誰かの息子だったりするだろう?」
女「はい、そうですね」
男「そう、お前は学校では俺の後輩かもしれない………しかぁしっ! 家では俺の妹であることを否定できまい!!」
女「な、なるほど…?」
男「つまり、お前は、俺の妹なんだ」
女「そ、そっかぁ…私って、先輩の妹だったんですね――って、家が全然違うじゃないですか!」
男「そんなたかが数キロ…宇宙的に見れば誤差だ」
女「違うご町内ですよ! もっと視野をローカルに持ってください!」
男「兄とは、妹より常に視線を高くして、妹を危険から守ってるものだからな…」
女「…え、なにそれかっこいい……じゃなくて、先輩、私は」
男「さて、近ごろは日が暮れるのも遅くなったなぁ……そろそろ帰ろうか?」
女「あ、そうですね……って、一緒に帰るんですか!?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:46:20.50 ID:rXdhWV6W0
男「どうした?」
女「あ、いえ、あの、こんな時間に失礼するのは、ちょ、ちょっと、駅前まで行ってきます!!」
男「…はぁ? なんでまた?」
女「や、やっぱり、ご家族の方に迷惑じゃないかなとか? その、最初が肝心らしいですし、
菓子折りの一つでも持ってこなきゃダメですよね!? すいません全然気がつかなくて
今すぐ行ってきますので! あ、あのご家族の方は甘い物とか平気でしょうか?
もしも、なにかアレルギーとかがあれば教えていただけると助かります! というか、
こういうときって、お菓子とかじゃなくて、コンブとかアワビの干物とかだったりするんでしたっけ?
どうしよう…乾物屋さん開いてるかな…ええと、先輩近くに乾物屋さんってありますか?」
男「……そういうのいいよ。気にしなくていい。俺の家族は、妹一人…お前だけだよ」
女「ふぇ?」
男「さ、冷えてきたし。ウチに入ろう」
女「は、はぁ…?」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 01:55:03.50 ID:rXdhWV6W0
男「ただいまー。 さあ、マイシスター! そんなところでぷるぷるしてないで入りなさい!」
女「お、おじゃまします…」
男「はははは。 帰ったときは『ただいま』だろ?」
女「は、はぁ…た、ただいま帰りました…」
男「うん、おかえり」
妹「んだよ…クソ兄貴か。遅かったな」
女「ひゃぅっ」
男「うるさいぞ土人。いつ帰ってこようが俺の勝手だろう」
妹「あーはいはい………って、ハァ!? あんた、何連れて帰ってきてんだ!?
…抱きマクラとかそういうのじゃ、飽き足らず…誘拐だぞ!?このバカ兄貴……って、あれ、お前」
男「あーすまないなぁ…マイシスター…このガングロヤマンバ土人はウチに住み着いてる妖怪の一種で」
女「って、先輩、妹さんおられるんじゃないですかっ!!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:05:20.01 ID:rXdhWV6W0
妹「…いいんちょ?」
男「こら、土人。発音が悪いぞ。日本語をしゃべれ、日本語を」
女「え………あ、その、時代の最後尾を頑なに突っ切ってるヤマンバっぷりは…きょーちゃん?」
妹「…おい、クソ兄貴、なにてめ、ウチのクラスのいいんちょ拉致しちゃってるわけ? けーさつ呼ぶぞ?」
男「だから、『ちょ』じゃなくて『長』と発音しろ、この原住民。そんなことではジャパンでやっていけないぞ」
女「あ、あの、あのね、ラチとかそういうんじゃなくて…私がついて来ただけで」
妹「ハァ? あんたバカ? なにこの変態クソ兄貴について来てんの? 甘いもん食わされてデブるよ?」
男「…なんだ、我が妹と土人は知り合いだったのか?」
女「はい、きょーちゃんとは同じクラスの友達です………て、あれ、この場合、土人がきょーちゃんの方だよね?」
妹「…そうらしいな。で? なんでウチに来てんの?」
男「俺の妹だからな」
妹「クソ兄貴は黙れ」
男「ふぎゅぅ!? マイシスター! 土人が! 土人が、か弱い俺に暴力をふるうよ! なにも悪いことしてないか弱い俺に暴力をふるうよ!」
女「先輩は黙っててください」
男「ふぎゅぅ!?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:14:46.87 ID:rXdhWV6W0
妹「……告白しようとしたら、妹と誤認されて、連れてこられたと」
女「うん、そうなの」
妹「あの、一つ聞いていい? ウチのアレのどこが気に入ったわけ?」
女「え? えーと…ひとめぼれ?」
妹「…いいんちょ、って普通に乙女だよな」
女「そう? そうかな? えへへ、照れるなぁ」
妹「いや、褒めてないから」
女「…褒めてないんだ」
妹「はぁっ……ま、わかったっしょ? アレ、変態だって。やめといた方がいいよ、あんなバカ…って、言われなくても醒めてるか」
女「え?」
妹「いや、百年の恋も醒めるっしょ?……って、あたしに何言わせんだ、あんた」
女「………う、うーん?」
妹「……まぁ、どーでもいいけどさ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:23:49.11 ID:rXdhWV6W0
男「女同士の密談は終わったかい!? はははは。お兄ちゃんは妹の交友関係には寛容な方だからね!
土人とはいえ、女の子の会話をジャマしない度量に満ち溢れているのさ!」
女「え、あー…そうですか、どうもです」
妹「いいんちょ、メシまだだろ? 食ってく?」
女「え? いいんですか?」
妹「ああ、今日カレーだし」
男「まぁ、土人が作ったものだから味付けは保証しないけどね」
妹「ハァ? 文句があるなら食うなよ、クソ兄貴」
男「ははっ…文句があるなら出て行ってもいいんだぞ、土人?」
妹「………」
男「………」
女「え、ええと…わ、わーい! カレーうれしいなー! 私カレーダイスキー」
男「そうかそうか! ならば、この兄が大盛によそってあげようではないか!」
妹「………」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:32:10.69 ID:rXdhWV6W0
妹「いいんちょ? 辛くね? だいじょぶ?」
女「う、うん…か、からいけど……だいじょぶ……ごめ、おみず…」
男「無理をしなくていいんだぞ? 所詮、土人だから、カレーは辛ければ辛いほどいいと思ってるからな」
妹「…ハっ? どっかのクソ兄貴が、もっと繊細な舌持ってりゃ、こんな味付けにしてねーよ」
女「………それって、先輩が辛いの好きだからこんな味にしてるってこと?」
男「え………」
妹「ばっ……バカ? バカなの? いいんちょ、バカだな? バカだろ?」
女「………そ、そんなにバカバカ言わないでよぅ」
男「そ、そうだぞ! バカかもしれんが、たしかにバカかもしれんが、そんなにバカバカ言うことないだろ?」
女「…うぅ…せんぱいまで、バカバカ言うし……からいし…」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:40:30.76 ID:rXdhWV6W0
女「…うぅ…ごちそうさまでした…」
妹「…おそまつさん」
男「よく頑張ったな。さすが俺の妹だ。さあ、ここにおいで、お兄ちゃんが、甘いモノをあげよう」
妹「クソ兄貴は、皿洗いだろ。働けよ」
男「……すまない、マイシスター。皿をちゃっちゃと洗ったら、すぐにお前にカントリーマァムを食べさせてあげるからね」
女「いえ、あの、私もお手伝いします」
妹「いーんだよ。 あいつ皿洗いくらいしかできねーんだから」
男「そんなことないぞ! 風呂掃除だってできる! 換気扇だって掃除できる!」
妹「あー…わかったから。そういうのいいから、早く皿洗えよ」
男「く、くそう! 覚えてろよ!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:46:47.98 ID:rXdhWV6W0
女「…ええと、楽しいお兄さんだね?」
妹「ハァ? それマジで言ってんの?」
女「あー…ごめん」
妹「べつに。あたしもあいつのこと兄とか思ってないし」
女「あ、あー……そう?」
妹「んだ?てめ、いいんちょ、しばき倒すぞコラ?」
女「うわーこわいこわい」
妹「………ったく、少しは怖がれっつーの」
女「むりだよ。友達だもん」
妹「…あんた、入学したときからそうじゃん」
女「んー…ということは、入学したときから友達だったんだよ」
妹「ハァ? わけわかんね」
女「ははっ…わけわかんないねー」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 02:51:30.25 ID:rXdhWV6W0
女「そういえば、ご両親は? 遅いの?」
妹「いや、死んだ」
女「あ、そうなんだ………って、え……あ、ごめん」
妹「別にいいし。いちお、保護者は叔父ってことになってる」
女「その叔父さんは?」
妹「他のとこに女作って住んでんじゃね?」
女「…そなんだ」
妹「って、結構遅くなったけど、だいじょぶ? あんたこそ、親に連絡入れないでいいの?」
女「あ、うん。いいの。ウチは死んでないけど、居ないから」
妹「あ、そーなん?………えっと、ごめん?」
女「ううん。私も気にしてないから」
妹「…そっか」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:01:34.58 ID:rXdhWV6W0
妹「かなり暗いんだけど…いいんちょ、駅の向こう側だっけ?」
女「うん。大丈夫、一人で帰れるよ」
妹「いいって、クソ兄貴に送らせ――るのも危険か」
男「なにを危惧してるのかわからないけど、マイシスター、お風呂が沸いたよ! さ、暖かい内に入りなさい!」
女「え? で、でも、替えの下着とかパジャマとか持ってきてないですし」
妹「ハァ? 何バカ言ってんの? バカなの?」
男「はぁ…土人はこれだから困る。俺の妹が俺の家の俺が洗った風呂に入ってなにが悪いというんだ?」
妹「…まさか、泊めるつもりじゃ」
男「意味がわからない。兄妹は一つ屋根の下で暮らすものだろう! そこに愛はあるのかい!?」
妹「ハァ!? いやなにそれ、わけわかんないし……バカだバカだとは思ってたけど、そこまでバカか!?」
女「ええと、それじゃ…きょーちゃん、悪いんだけど下着とか借りてもいい?」
妹「いいけど――って、あんたも何考えてんの!?」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:10:05.55 ID:rXdhWV6W0
女「ええと、お泊りダメ?」
妹「だ、ダメ…っていうか、あんたいいの? このバカ、変態だよ? 妹のパンツを
手洗いするような変態クソ兄貴だよ? そんなやつの前に洗濯物出しちゃダメだって!」
男「仕方ないだろ。タグにそう書いてあるんだから」
女「大丈夫。ちゃんと洗濯物は袋とかに入れて見つからないようにしとくから」
男「あれ? お兄ちゃん意外と信用ない?」
妹「…あるわけねーだろ」
女「じゃ、すいません、先にお風呂いただきますね」
男「うむ」
妹「いや、『うむ』じゃねーよ、なについて行こうとしてんだよ?」
男「妹の背中を流すのも兄のつとめ…だからな!」
妹「わけわかんねーし。ていうか、なにそれ? なに握り締めてんの?」
男「スク水だが、なにか? 妹と風呂といえばスク水だろう」
妹「…ああそう、なるほどね――って、わかるかボケェっ!!!」
男「ひぎぃっ!!!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:17:16.47 ID:rXdhWV6W0
妹「ふぅー…いい湯だった」
女「………」
妹「いいんちょ? どうしたん?――ま、まさかクソ兄貴になにかっ」
女「…わかってはいたけど」
妹「ハァ? な、なにされた? あの変態…」
女「こんなにサイズが違うなんて…」
妹「…ああ、下着……そりゃそうだろ」
女「…なんとかなるかなーって思ったんだけどなぁ…」
妹「いや、ならねーよ…なると思ったときの心理状態を疑いてーよ…」
女「それに…メイク落としたら、きょーちゃん、普通に美人さんだし」
妹「は、ハァ? てめ、な何言ってんだこの?」
女「………なんか、れっとーかん…」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:21:55.24 ID:rXdhWV6W0
男「はははは。気にするなマイシスター!」
女「せ、せんぱい!?」
妹「なにナチュラルに人の部屋に入ってきてんだよこのクソ兄貴」
男「さ、これを使いなさい。今しがたコンビニで買ってきたよ」
女「…あ、これ…下着?」
男「サイズがわからなかったからね、とりあえず、一通り買ってきたよ」
女「………なんかこれ、柄が全部、水色と白のボーダー…」
男「しましまは男のロマンだから」
妹「てか、この柄、コンビニで売ってるっけ?」
男「……売っているとも!!」
女「そ、そんな豪語されても」
妹「…ま、いいけどさ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:32:12.07 ID:rXdhWV6W0
男「あとはパジャマだが」
女「あ、パジャマはきょーちゃんにジャージでも借りるので」
男「ノンノン! これを着てくれ!」
妹「!?」
女「………ワイシャツ?」
男「そう……俺の、お兄ちゃんのワイシャツだ…」
女「先輩のワイシャツですか? くんくん」
妹「においを嗅ぐなよ…」
男「それを着て、明日の朝俺を起こしてくれ。お兄ちゃん、妹がそれを着て
起こしてくれないと起きることができないから」
女「はぁ…そうなんですか。がんばります」
妹「納得すんなよ…」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:37:21.58 ID:rXdhWV6W0
女「ということは、普段はきょーちゃんが、これを着て起こしてるんですね」
妹「そ、そんなことあるわけないだろ!!」
男「そうだぞ。 土人がそんな格好してても全然嬉しくないし……な…って、土人、いつもの土着宗教メイクはどうした?」
妹「え? あ、そ、そりゃ、風呂に入ったらメイク落とすし?」
男「そ、そうか………なんか久しぶりだな」
女「かわいいですよねー。メイクしない方がいいのに。ていうか、髪も、肌も戻した方が似合うと思いませんか?」
妹「は、ハァ? な、なに言ってんの? つか、クソ兄貴の前でそういうこと言わないでくれる?」
女「それは…ええと『恥ずかしいからお兄ちゃんの前で褒めないでよ』ってこと?」
妹「言ったか? あたしが何時何分何秒地球が何回回ったときにそんなこと言った?」
女「えと、21時38分40秒くらい…地球がだいたい50億回くらい回ったときかなぁ」
妹「うぅっ…」
男「え、ええと、じゃ、じゃあ、そういうわけだから! 明日の朝は頼んだぞ! マイシスター!!」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:44:10.45 ID:rXdhWV6W0
女「ごめんねーベッド借りちゃって」
妹「いいけど…つか、ホントにそれ、寝巻にすんの?」
女「え? うん。洗濯してあるけど、なんか先輩のにおいがしていいかなって」
妹「うわぁ………マジでアレに惚れてんだ…」
女「うん、まじまじ」
妹「正直ひく」
女「そう? いい人だし、おもしろい人じゃない…ていうか、きょーちゃんこそ、それ、パジャマ?」
妹「……そうだけど?」
女「学校指定のジャージが?」
妹「…そうだけど?」
女「じゃあ、このベッドの隙間に落ちてた先輩ときょーちゃんの両方の匂いがするワイシャツは…」
妹「きゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 03:52:22.13 ID:rXdhWV6W0
女「お、落ち着いて、落ち着いて? 近所迷惑になっちゃうよ? 先輩、心配して見に来ちゃうよ?」
妹「え、あ……う…ち、ちが、違う……そう、違うのっ」
女「ええと、『たまたま着るのがなくて、クソ兄貴のクソワイシャツをクソ寝巻代わりにしてただけだから!』…みたいな?」
妹「そうそれ! つか、あたし、そんなにクソクソ言ってねぇっ!」
女「ええと…じゃあ、タンスに入ってるショーツの半分以上がボーダーなのは?」
妹「……あ、あたしの趣味」
女「へぇ、兄妹共通の趣味なんだね~」
妹「そ、そうだけど? 悪い?」
女「仲良いんだね、兄妹」
妹「べ、別に、仲良くなんかないし! つか、見ててわかったっしょ?」
女「…仲良いんだね、兄妹」
妹「……な、仲良くないしぃ」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:06:25.59 ID:rXdhWV6W0
女「……はぁ、先輩の過干渉がイヤになって誤った高校デビューをしてしまったと?」
妹「だ、だって、ウぜーってもんじゃないし、わかるだろ!?」
女「うーん?」
妹「なにそのわかるんだけど同意しかねるみたいな顔」
女「だって、私、甘やかされるの嬉しいし。私一人っ子だから、うらやましいなぁって思うけど」
妹「そーっすか。言っとくけど、あたし一時期体重80あったからな? アレに付き合ってると同じ目に会うぞ?
……あのクソ兄貴が毎日カントリーマァムを食わせたせいで…今の体重になるまでどれだけ…」
女「いやーそれは、お兄さんに甘えきってたきょーちゃんも悪いでしょ?
それに体重が増えたくらい、先輩はどうでもよさそう」
妹「『丸々と太った俺の妹も丸くてかわいい』とほざきやがった…」
女「それが、ちょっと方向性を間違ったメイクと改造をしただけで…『こんなの俺の妹じゃないっ!』と」
妹「……まるで見てきたようにモノを言うな」
女「時間おしてるしねぇ…」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:10:09.87 ID:rXdhWV6W0
妹「これくらいファッションじゃん? いいだろ?」
女「ええと、女性の視点から見ても人外かなーって思う」
妹「フォローなし!?」
女「あー…なるほど、『お兄ちゃんなら変わり果てた私でも受け入れてくれる』って信じてたんだね」
妹「……そ、そういう風にみえる?」
女「いやでも、これショック大きいよ? 茶髪と日焼けならともかく…あのメイクはねー」
妹「やっぱダメ?」
女「ていうか、あれ、自分でカワイイと思ってやってるの?」
妹「そんなわけないじゃん」
女「だよね」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:14:52.50 ID:rXdhWV6W0
女「よろしい! 私に任せて!」
妹「…なにを?」
女「きょーちゃんと先輩を仲直りさせてあげる!」
妹「………マジ?」
女「うん! まじまじ! 仲直りしたいんだよね?」
妹「あ、あたしは……まぁ…それなりに………でも、兄貴は」
女「ううん、先輩だって、仲直りしたいに決まってるよ。だって、
あそこまで“妹”を求めるのって、やっぱり、きょーちゃんのことが好きなんだよ」
妹「そ、そうかな?」
女「うん! 任せて、未来の義妹のためにがんばっちゃうよ!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:19:19.68 ID:rXdhWV6W0
妹「………義妹?」
女「うん?」
妹「え?…マジでアレと結婚とかしたいわけ?」
女「もち」
妹「えーっとさ、いいんちょ? やめときなって…身内が言うのもなんだけど、変態だし変態だし変態だよ?」
女「ふぅん」
妹「いや、『ふーん』って、あんたマジメに」
女「きょーちゃんが『あたしのお兄ちゃんを取らないで!』って言うなら考えてあげる」
妹「は、ハァ?」
女「言わない?」
妹「ハァ? い、言うわけないだろ? 何考えてんの? マジありえないし」
女「ふーん、そう。 じゃあ、頑張ろうね! 未来の義妹!」
妹「…あたしは、あんたが、なんでそこまであのクソ兄貴に惚れてるのか聞きたい」
女「うーん…話してもいいけど………時間が押してるからなぁ…」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:26:25.09 ID:rXdhWV6W0
男(むぅ…遅いっ……もう夜が明けて随分経つというのにマイシスターは何をしているのか…)
男(まさか…俺の部屋に来るまでの間に酔っ払いの運転するダンプカーにっ……心配だ…)
男(……ん?…足音が)
女「せんぱい? 起きてますか?」
男(来たな…マイシスター………ふふふ、お兄ちゃんたる者、そう簡単には起きんぞ…覚悟しておけ…)
女「失礼しますー…わ、まだ寝てる。寝てるよ」
男「ぐーぐー」
女「…なんていうか、ウソっぽい寝息だよね」
男「んぐっ…ぐーぐー」
女「さ、そろそろ、起こさなきゃ…ね?」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:32:45.52 ID:rXdhWV6W0
妹「お、お兄ちゃん…起きて」
男「ぐーぐー」
妹「お兄ちゃんっ……起きないと遅刻するからっ…」
男「うー…あと5ふんー…ぐーぐー」
妹「…きゃぅっ…お、お兄ちゃん? こっ…この手はなぁに?」
男「………そこに妹の尻があれば、さわってしまう……兄とは罪深いものだな…ぐーぐー」
妹「っ!!!………お、お兄ちゃん? 起きよ? なんか、あたし、右手がうずうずするっていうか…」
男「ふっふっふ…お兄ちゃんを起こしたければ、いつものように布団ダイブをしてくるがいいよ…ぐーぐー」
妹「……いいけど、あたし、体重減ったって言ってもそこそこあるよ?」
男「はっはっは…お兄ちゃんはお前の重さくらい受け止められ……って」
妹「じゃあ、行くよ! お兄ちゃん!」
男「え? な、なに、なんでおま………ぐぶふぉっ!!!!!」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:39:15.81 ID:rXdhWV6W0
女「完璧なエルボードロップだったね! 決まったね!」
妹「ありがと。 なんかもう、殴りたくて仕方なかった」
男「げほっ……おい土人…貴様、兄妹の朝のスキンシップを妨害するとはいい度胸…
……って、め、メイクはどうしたぁっ!?」
妹「なにそれ?」
男「なにそれって、あの、民俗学的に何らかの価値が見出せそうな土着信仰に基づく
謎のフェイスペインティングだよ!」
妹「やめた。飽きた」
男「飽きた…って、おま、い、一度やると決めたことは最後までやり通せって
お兄ちゃんいつも言ってるだろ!――って、あ、ちが」
妹「…うん、そうだったね、お兄ちゃん」
男「え」
妹「ね、お兄ちゃん…あたし……あたしさ、また、お兄ちゃんの、妹になってもいいかな?」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:46:53.17 ID:rXdhWV6W0
妹「…肌ももう焼かないし、髪も…とりあえず黒く染めようかなって思うんだけど」
男「お前…」
妹「あたし、戻れるかな? お兄ちゃんの妹に」
男「………バカ」
妹「あ…そ、そうだよね…今さら何言ってんだろ、あたし…」
男「お前が、俺の妹じゃなかったときなんてないよ」
妹「……おにいちゃん」
男「お前が土人の顔してても、お兄ちゃんに反抗的なことしても…ずっと、俺はお前のことを
妹だと思ってたさ」
妹「あ、あたしも、お兄ちゃんがパソコンの絵に話しかけてても、抱きマクラと食事とってても
お兄ちゃんのことお兄ちゃんだって、ずっと思ってた」
男「………おいで、マイシスター」
妹「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃぁんっ!」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:49:48.82 ID:rXdhWV6W0
女「はい、そんなとこで…ちょっと待ったーーー!」
男「え」
妹「…?」
女「『今、大事なとこなんだけど』っていうのは、わかります。もち、わかってます。
でも私も大事なお話があるんです、先輩」
男「俺?」
女「はい。先輩、好きです」
妹「なっ!?」
女「…私と、お付き合いしてくれませんか?」
男「………え」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 04:54:48.80 ID:rXdhWV6W0
女「ふぅ…やっと、言えたぁ…」
妹「あ、あんた…このタイミングで?」
女「うん、ようやく、妹は私じゃないって、先輩に認めてもらえたしね。 ですよね、先輩」
男「あ、ああ…ごめんな、その、いろいろと」
女「いえいえ。それで、先輩、私、告白したんですけど?」
男「あ、うん…そうだな……いや、俺さ、両親いないし…妹の面倒も見なきゃいけないからさ…悪いんだけど」
女「にぃにぃ♪」
男「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅっ!?」
女「にぃにぃ…私も、にぃにぃといっしょがいいです」
男「うぁ…うぁうぁ…」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 05:03:07.57 ID:rXdhWV6W0
妹「ちょっ…いいんちょ?」
女「ねぇ…にぃにぃ…いいですよね? 私ももう妹みたいなものですし。ね? にぃにぃ?」
男「い、いいかも」
妹「って、このクソ兄貴! なに言ってんの!!」
女「ふっふー悔しかったら、きょーちゃんも『にぃにぃ』って呼んだらいいじゃない?」
妹「え?……に、にぃ…って、言えるか! そんなん言えるか!」
男「うーん、きょうもいいあさだなぁ…マイシスターズ!」
妹「え、なに複数形にしてるの? 『お兄ちゃんの妹は一人だけ』じゃなかったの? ていうか、いいんちょ、それでいいの?」
女「今は、まぁ、いいかなぁ…ほら、どうせ兄妹は結婚できないし。最後に勝つのは私かなぁって」
妹「……結婚するしないは、お兄ちゃんの自由だけど?」
女「ふぅん…お兄ちゃんの幸せより自分のワガママをとるんだ。きょーちゃんって、やっぱりかわいいね」
男「こらこら、二人とも平和な朝に争うのはやめないか…ごらん、きょうもカラスが生ゴミを」
妹「お兄ちゃんは黙ってて!」
女「にぃにぃは黙っててください」
男「ふぎゅぅ!?」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/27(月) 05:03:49.78 ID:rXdhWV6W0
おしまい
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