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とある船上の首無事件<クビキリサイクル> 幻想殺しと銀色ライブラリー
161 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 15:59:45.01 ID:1IWYsnoo [3/18]
何レスかお借りします
殺人事件により既存のキャラの死亡表現及びグロ注意。
前篇です。
何レスかお借りします
殺人事件により既存のキャラの死亡表現及びグロ注意。
前篇です。
162 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:00:26.95 ID:1IWYsnoo [4/18]
やぁ。
先に言っておく。
これは単なる戯言だ。そして全部が嘘、なんだ。
偽善者「みーくん」と、限りなく青色のサヴァンにも似た「いーちゃん」のお話。
この物語に、髪の毛から服まで真っ赤の、人類最終とも言われる、俺の同類「まーちゃん」は出てこない。
これは小さな小さな学園都市の人間どもの騙し合いのお話なんだ。
さて、そろそろ始めようか。
これは昔々、俺上条当麻ことみーくんと、いーちゃんことインデックスが巻き込まれた、とある殺人事件の話だ。
そう、あれは確か超能力者の御坂美琴とその妹とさらに妹が、「戯れ事」で豪華客船を一隻まるまる借りて行ったんだよな――
とある船上の首無事件<クビキリサイクル> 幻想殺しと銀色ライブラリー
163 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:01:15.11 ID:1IWYsnoo [5/18]
その日、俺とインデックスは御坂に誘われて(というか一方的に「ああああんた、き、来なさいよね!」とか言われたんだが)
そのパーティに参加する事になった。
メンバーは俺ら以外にももちろん(というか俺らはサブに決まってる、)いて、
超能力者全員(ただし第五位と第六位は都合がつかなかったらしい)と、常盤台のおえらいさんの孫と、御坂自身の近しい人々、だ。
俺は超能力者ではないしおえらいさんの孫ではない。となると消去法で「御坂自身の近しい人々」として迎えられた訳だ。
ちなみにインデックスは例外中の例外で、俺的に一人にするのはアレだったから連れてきた。
妹という事で通したが、「あんたにこんな銀髪の妹なんていたっけ……?」と御坂にかなーり怪しまれた。いかん、危ない危ない……。
で、本来ならば楽しい楽しいパーリィの始まりのはずだった。
実際そういう娯楽目的で俺らは来た訳だし。
……御坂美琴の妹が、首無し死体で倉庫から見つかるまでは。
「まったく、これは不幸というか不運というか。 誰か嘘だと言ってくれよな……」
俺達は今回の依頼人……もとい今回の船上パーティ主催者、御坂美琴に頼まれて動いていた。
被害者は美琴の妹で、打ち止めの姉。
俺は名前を知らないから、以降は御坂妹と呼ばせてもらう事にする。
……そもそも、俺はその御坂妹の顔も知らない訳ですが。
今回初めて会う訳だったのに、まさか首無しでご対面とは……さすがです。
……そんな冗談を言ってないとやってられないぐらいひどかったって事ですよ?
ちなみに当時の状況を言っておくと。
船はすでに出港していて、入ろうにもけっこうすごい警備があるから、新規の潜入はそれこそ魔法使いじゃないと無理で。
俺達ゲストが船内で一番でかそうな大広間で豪勢にパーティをしていて。
御坂と妹の妹、打ち止めは俺と一方通行にそれぞれつっかかって(?)いて。
御坂妹はパーティに出るためのお色直しを、船内にある自分の部屋でしていて。
あんまりにも妹が来るのが遅いから、御坂が迎えに行くと言いだして。
世間話していた俺とインデックスも、ついでに行く事になって。
部屋の前まで来て、鍵のかかったドアをノックしても返事がなくて。
何かあったのかと気になったので、そこら辺をナンパでうろついてた第二位を捕まえて。
第二位と俺と二人掛かりでドアを体当たりで開けて。
そして俺達の目の前に広がっていた光景は。
首が無残にも奪われた、御坂妹の服を着た死体だった。
164 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:02:29.64 ID:1IWYsnoo [6/18]
血が首から噴き出したと思われるような、壁や床の汚れ。
ぐったりと、壁にもたれかかるようにして肉塊となっている『それ』。
御坂は思わずそこで吐いていた。そりゃそうだ、身内の惨殺死体なんて見たくねぇし。
で、今。
人が死んだ……いや、殺されたという話は一瞬にして広まり、今この船はちょっとしたパニック状態。
ちなみに、容疑者と思われる(というか人を殺せる程度の能力を持った人間)は船内に何人かいる。
一応船の中だから並の人間は逃げ出せない……。ので、とりあえず大広間に固まってもらってる。
俺は、一通り現場を見た所で、その情報を整理する為に、
前部へと歩きながら『有用な探偵助手』のインデックスと話していた。
「……インデックス、じゃなかった。 いーちゃん。」
「何? とう……じゃなくて、みーくん。」
俺とインデックスは現在、とある「戯れ事」として、二人きり……いや三人きりの時はあだ名で呼び合う事にしている。よく忘れるけど。
インデックスはいーちゃん。 俺はみーくん。 もう一人のあいつがまーちゃん。
ちなみにいーちゃんというのは『戯言シリーズ』とやらの主人公の名前でもあるらしい。
後でインデックスにそこから取ったのか?と聞いてみたけど、『もし私が短髪だったらみーちゃんだよ?』と言っていた。なるほど、偶然のようだ。
・・・・・・・・・・・
……ちなみに、残りの三分の二のあだ名が嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんと同じのは、偶然ではない。
まぁ、それはいつか話すとして。
165 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:03:19.80 ID:1IWYsnoo [7/18]
……ま、そもそものこれの発端は。
あの、正真正銘俺にとっての人類最悪の遊び人『嘘つきみーくん』が大量のライトノベルを俺の家に持ってきた事なのだが。
ちなみにその『嘘つきみーくん』の方は正真正銘の義妹の、ある意味嗜好が『壊れたまーちゃん』に肩もみしてもらったり(自主規制)したりしてるらしい。
……いや、嘘ですよ?嘘ですからね? いくらあのみーくんことシスコン軍曹でもそこまで落ちてないし手を出してないと信じてるよ上条さんもッ!!
これが例え幻想だったとしてもぶち殺さないでね!俺の右手は光って唸らないからね!
「これが終わったら、どっかいきたい所あるか?」
「!? い、イタリアでオルソラの料理を食べたいかも!」
ガバッ!と思い切り首を回転させて向き直るインデックス。
喰いつきはええよ。 後オルソラはもうロンドンへ引っ越してるよ。
何となく元気を出させるためについた戯言(冗談)なんだぞ。 行かないからね!?
「……それはさておき、どうしたものか。」
迷宮入りしそうな思考の途中、突如目の前が開けた。外に出たようだ。
船内の陰惨な事件とは正反対に、空は気持ちいいほど晴れていた。
166 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:04:53.59 ID:1IWYsnoo [8/18]
外へ出ると爽やかな向かい風が吹いてきた。うーん、気分がいい。
そう思いながらさらに甲板へ出ると、舳先の方から声がかけられる。
「やぁ。名探偵さん。」
そう言いながら突然俺に話しかけてきた好青年。茶髪で笑顔がまぶしい爽やかな野郎だ。
「……誰だっけ?」
「やだなぁ上条さん。 もう忘れたんですか? さっき会いましたよね?」
「……すまん、本気で覚えてないッ!」
失礼極まりない事をしてんじゃねぇよ、俺。
こればかりは殴られても仕方ない。 俺は覚悟して五体投地した。
「……とうま、この人パーティで紹介されてた人だよ。 確か偉い人の孫だって」
何でも覚えているインデックスが助け舟を出してくれた。
「そうです。 僕は海原光貴と言います。 以後お見知りおきを……」
何とも物腰が丁寧な人間だ。しかも終始さわやかな笑顔ときてる。惚れちゃいそうだぜェ海原光貴ィイイイ!!
そんな冗談はともかく。
「……何で俺が名探偵って知ってる訳?」
「だって、事件について調べてるじゃないですか。 それに助手がついています。 これは探偵でしょう?」
「いやそうだけどさ……」
ホームズだが何だかの見過ぎじゃねーのか。 というか俺が調べてるのを知っているってお前……。
「そんなあなたに飛びきりおもしろいニュースを教えてあげますよ。」
「おもしろいニュース……?」
「えぇ。 これは捜査に役立つと思います。」
海原はそう言って、それを告げる。
「連続殺人鬼――火野神作がこの船に侵入してるようです。」
167 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:05:41.81 ID:1IWYsnoo [9/18]
「……ひの、じんさくって……あの、28人殺しの?」
連続殺人鬼。 火野神作。 侵入。 首無しの御坂妹の死体。 犯人は。
まさか。
「……どうです? 素晴らしく推理に使えそうな情報でしょう?」
にやにやと。自分が全てを知ってるかのような笑顔。
……はぁ。
何だかこいつの笑顔に裏がありそうな気がしてきたぞ。
「……情報提供ありがとうゥ! と言いたい所だが、何で知ってる訳?」
「いやぁ、僕の立場を使って、です。 緊急事態ですし、ね。」
本当はこうやって権力を振りかざすのは嫌いなんですけど、と付け加えて。
何のフォローにもなってねぇのは気のせいか。
「まぁ、がんばりましょう。 お互い、ね」
そう言ってその爽やか野郎は爽やかな海と空と爽やかな風の中、爽やかスマイルを浮かべて爽やかに手を振って爽やかに分かれを告げた。
……って俺何爽やかを連呼してるんだ。
隣のインデックスに「とうま、爽やか6回ぐらい言った?」と聞かれた。口に出てたみたいだ。恥ずかしい。
とりあえず甲板を後にする。どうせ誰もいないし、気分転換は終了だ。推理推理。
行く所もないし、パーティ会場だった大広間へ向かう。
「やっぱり上条さん的にはその火野神作ってのがやったのかなぁと思うんですが、インデックスさん的にはどうですか?」
「んー。私としてはやっぱりその線は薄いと思うよ。 何よりそんな人が侵入するって事はけっこう騒ぎになると思うし。」
「あー…… そりゃそうだよなー。」
この船の警備はけっこうすごい。
何てったって世界最強のセコム(そう、例えるなら大天使ウリエル)レベルだ。 敵意を持つと天罰術式でバッタバタ倒れるよ!(ヴェント的な意味で)
……ってのは冗談だが、とにかくすごい。 それでその火野がひっかかったって事はまぁありえるとして……。
168 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:06:52.14 ID:1IWYsnoo [10/18]
「何で海原は知ってんのに、他の奴らは知らないんだ? というか公表しないんだ?」
俺としては、やはり船内に犯人が元々潜入していた説を推したい所なんだが。
「……惑わすための嘘、なのかも?」
なるほどー。つまり俺らは見事に海原の術中に嵌まってる訳だ。
……でもそんな事する理由はあるんだろうか?
「でもさ、何の為だよ? あいつが犯人な訳?」
「んー…… どうだろ? だって短髪の妹が部屋にこもってる時に殺されたとしてもさ、その時みつきはいたんだよ?」
大広間で、レベル5と同様に客として、そこにいた。
「アリバイはある、って訳か。」
何これマジ迷宮入り。いや、あんな爽やか野郎は犯人だと言いたい訳じゃないけどさ。
やはり容疑者のレベル5勢が……? いや、決めるのはまだ早い。
「……はぁ、それにしても。」
「? どうしたのみーくん。」
「いや、別に……何というか、泣きたくなってきただけですよ上条さんも……あんな友達を持ってると苦労しますぞ」
「泣いても、いいんだよ? 私の胸を貸してあげるよ?」
「うわー、本当に泣いちゃうぞ? そんな風に胸を張られると、本当に飛び込むぞ? 黒子並にスリスリしちゃいますぞ?」
「……、前言撤回するんだよ」
ちょっぴりひかれたようだ。そりゃそうだ。
でも本当に「胸を貸してくれ」って言ったら貸してくれるんだろうな。
インデックスは何だかんだ俺に噛みついていても結局本質は「人を救いたい」というのがある訳だし。
……という事は、あわよくば胸にすりすり出来るのか?インデックスの、つつましそうな胸に……
……ってそんな変態な事を考えてる場合ではない。とにかく、とにかくだ。
「御坂の妹……つっても今は死体か……。 あれに何かヒントは残ってたか?」
事件だ事件。事件解決を上位に、性欲を下位に。
「ヒントというか、気になった事はあるんだけど。」
そう言って、一旦言葉を区切る。
169 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:08:19.61 ID:1IWYsnoo [11/18]
「……まるで、『死後何日かたっていた』みたい」
「……何だそりゃ?」
思わず首をひねる。おかしい。だって御坂の妹が殺されたのは今日のはず。
……初対面だから、生きている姿は、見た事はないけど。
「……もしかして、あれ御坂妹の死体じゃないとか?」
俺の単なる思い付きの提案に、インデックスは割と真面目に考えてから返す。
「……その可能性もなきにあらず、って所だね。 首が無いから、パッと見じゃあわからない」
DNA鑑定できる奴なんてそうそういないだろうし、あれが御坂妹の死体とは限らない……という訳か。
死体なんてあんまり見たがらないだろうし、服さえあってればとりあえずごまかせるし。
そういえば、ここは今絶海の孤島状態だったけ。
それに、世の中には肉体変化やら魔術で変化する奴がいるらしいし。
「それなら、さっきの説明がつくけどさ、いーちゃん。」
「うん……やっぱりおかしいよね。 みーくん」
「「……本物の御坂妹はいずこへ?」」
あれが別人の死体でした。御坂妹は生きています。
だからといって、御坂妹が行方不明なのはそれはそれで困る。
……というかそもそも、萌え燃え殺人鬼火野たん☆(今即興で名づけた)は連続殺人鬼だ。
これ以上犠牲者が増えない、という保障はない。
170 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:11:23.82 ID:1IWYsnoo [12/18]
「おい」
歩いていると突然声をかけられた。
「あ、お前は……、えっと、第七位……だったけ?」
「よく覚えてたな。 よっ。」
廊下の壁にもたれるように、白い学ランに旭日旗のTシャツに、鋭い目つきの少年がいた。
彼とは少しばかり、公園の自販機を巡るめく因縁が(中略)あったのだ。 いや、それは嘘です。
単にどっかの路地裏で吹っ飛ばしているのを見かけただけですって。
こうして船であうのは初めてだけど、あんまりにも見た目が色々とアレというか不良と言うか、とにかく強烈だったのでさすがの俺も覚えていた。
「お前も大変だな。」
「あぁ、迷宮入りしそうだよこっちは。」
「まぁ、根性出して頑張れよ。」
「おうー」
何となく笑ってそのまま通り過ぎた。
……どうやら俺が探偵として活動してるという事は割と知られているらしい。
なるほど、だから海原も………。 恥ずかしい。不幸だ。
次に、メルヘンウィングこと、垣根帝督に出会った。
そんな事を本人に言うとメルヘンチョップが飛んできたが。本人曰く、気にしてはいるらしい。
「どうだ? 犯人捕まりそうか?」
「いやー、それが迷宮入りしそうで……」
「おいおいそれは困るんだよ。 俺そのせいで動けねーんだよ」
「? ていとく、今動き回ってるよ?」
「あー、これぐらいは自由許されてるの。 甲板とかそういう脱出できそうな場所に行くのはダメ」
大変だなぁ、容疑者。 でも正直レベル5ならここにいながらも能力で脱出できそうだけど。
「ちなみに、お前が解決するまでこの船は陸に戻らねぇらしいぜ」
………えっ?
171 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:13:01.88 ID:1IWYsnoo [13/18]
「……うぉおおええぇえ!? 初耳だぞそれ!? 俺はあくまで海上にいる間の繋ぎだって……!」
「そそそうだよ!? 外部のすごーい根性で解決しちゃうすごい人呼ぶっ、て言われたんだよ!?」
「ははは。てめぇら騙されたんだな、あの嬢ちゃんに。」
そんな俺らの必死の言葉を笑い飛ばす第二位。
ぐぅの音も出ない。 くやしいのうくやしいのう……。
「ま、精々俺らの為にも自分の為にもがんばれよ、上条♪」
そう言いながらメルヘンダッシュ(後で股間蹴られた)でどっか行く垣根。
……何か大分疲れた。寄り道せずに大広間に戻ろう。そうしよう。
船はかなり広いため移動にかなり時間がかかる。
どうやら人が死んだという事で、周りはちょっとした……いや、かなりの騒ぎだった。
……俺はもう人がそうやって不幸になるのは慣れてるけど、他人は慣れてないんだよな……。
大広間につくと、美琴がいきなり抱きついてきた。……いや、そういうハグ的な意味じゃないですよ?
あんまりにも異常事態だったので、何が会ったのかと顔を覗きこんでみると、恐怖によって顔が思い切り歪んでいた。
普段ならこういうラッキースケベ(命名土御門)があると噛みついてくるインデックスも、今はそうすべき事態ではないと分かっているようだ。
御坂の後ろ……大広間の中に視線を移すと、くやしそうな顔をした垣根や、泣きじゃくる打ち止めをあやす一方通行など、異常事態という事をそれとなく伝えてくる光景が広がっている。
犠牲者が増えたのかもしれない。……それは俺としては最悪の状況な訳で。
とりあえず御坂を落ちつかせて、近くの椅子に座らせて事情を聞いてみる事にする。
嗚咽で聞き取りづらかったが、やはりというか何と言うか。「人がまた死んだ」、という事だった。
「……30人目の犠牲者か。」
「……殺人鬼が、船にいるって本当なのかもね……」
犯人の心当たり……とは違うが、火野神作とかいう連続殺人鬼ならこう短時間で人を殺せるような気もする。
「な、何よ……? 犯人、み、みつかった、わ、け……?」
ヒック、と時折身体を震わせながら、俺を見上げる御坂。
顔には涙はつたってない。 見上げる前に急いで顔を拭いたのだろう。
「……いや、まだ確定じゃないし、そいつが犯人だと俺的に捕まえるのめんどくさいなーって。」
172 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:15:49.11 ID:1IWYsnoo [14/18]
「……ところで短髪、その、二人目の犠牲者って誰なの?」
インデックスが視線を会わせるために膝を曲げる。
「……だ、だ」
御坂は、そう言いながらとある方向へ指をさす。
「……だ、第七号室でが…… ひ、ひとが、死んでたの……」
「……えっ?」
ドタドタと、急いでその削板の部屋へ駆ける。
ドアを思い切り開くと、そこには。
先程まで、俺達と会話をしていたはずの少年の、首無しの死体があった。
その少年の首から上はもぎとられたような断面で、
その少年の服はまるで一昔の日本を彷彿させるような旭日旗で、
その少年の白かったであろう学ランは首からの血で真っ赤に染め上げられていて、
その少年も壁にもたれるように死んでいた。
その少年の名前は。
「そ、削板……!?」
173 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:16:25.81 ID:1IWYsnoo [15/18]
「……とうま、これ、どういう事なんだろう……」
口火を切ったのはインデックスだった。
「…俺にも分からん。 というか、さっきまで、ちゃんと生きてた……よな?」
「な、なんで、さ、こ、みんな、し、じゃう、わ……」
先程から嗚咽が止まらないのか、言葉を詰まらせ、下を向いて顔を覆う御坂。
俺には理解できないが、今日妹を失い、そして今、自分が招待した客まで殺されたのだ。
「……短髪、さ、戻っていいよ。 こっから先は私たちがやるから、ね?」
まるで保母さんのように(修道女だからか)同年代の御坂をあやすインデックス。
そう、インデックスはそういう奴なのだ。普段は俺に噛みついたりするけど。
「……お願い、犯人を捕まえて、ね?」
涙を拭きとったのか、それともインデックスのその態度に安堵したのか。
御坂は取り繕ったような、偽物の笑顔をして、その場を後にした。
「……さてと、インデックス、この船の全員の為に、犯人を見つけるぞ。」
「うん。」
幻想殺しでも、戯言遣いでも、今はどちらでもいい。
むしろ、誰かがこれは嘘だといってくれた方がいい。
そうしたら、俺はこれは戯言だ、ただの幻想だと言えるのに。
前半戦 終了。
174 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:19:35.91 ID:1IWYsnoo [16/18]
主な登場人物
上条当麻 幻想殺し
インデックス 禁書目録の少女
御坂美琴 主催者
御坂(妹) 妹
打ち止め 妹
一方通行 ≪超能力者≫序列第一位
垣根帝督 ≪超能力者≫序列第二位
麦野沈利 ≪超能力者≫序列第四位
削板軍覇 ≪超能力者≫序列第七位
海原光貴 理事長の孫
火野神作 殺人鬼
175 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:20:41.87 ID:1IWYsnoo [17/18]
という訳で 前半戦 終了です。
タイトルでバレてるかもしれませんが、出来たらそこは触れないでほしいな……。
続きは今夜~来週までには投下したいと思ってます。
やぁ。
先に言っておく。
これは単なる戯言だ。そして全部が嘘、なんだ。
偽善者「みーくん」と、限りなく青色のサヴァンにも似た「いーちゃん」のお話。
この物語に、髪の毛から服まで真っ赤の、人類最終とも言われる、俺の同類「まーちゃん」は出てこない。
これは小さな小さな学園都市の人間どもの騙し合いのお話なんだ。
さて、そろそろ始めようか。
これは昔々、俺上条当麻ことみーくんと、いーちゃんことインデックスが巻き込まれた、とある殺人事件の話だ。
そう、あれは確か超能力者の御坂美琴とその妹とさらに妹が、「戯れ事」で豪華客船を一隻まるまる借りて行ったんだよな――
とある船上の首無事件<クビキリサイクル> 幻想殺しと銀色ライブラリー
163 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:01:15.11 ID:1IWYsnoo [5/18]
その日、俺とインデックスは御坂に誘われて(というか一方的に「ああああんた、き、来なさいよね!」とか言われたんだが)
そのパーティに参加する事になった。
メンバーは俺ら以外にももちろん(というか俺らはサブに決まってる、)いて、
超能力者全員(ただし第五位と第六位は都合がつかなかったらしい)と、常盤台のおえらいさんの孫と、御坂自身の近しい人々、だ。
俺は超能力者ではないしおえらいさんの孫ではない。となると消去法で「御坂自身の近しい人々」として迎えられた訳だ。
ちなみにインデックスは例外中の例外で、俺的に一人にするのはアレだったから連れてきた。
妹という事で通したが、「あんたにこんな銀髪の妹なんていたっけ……?」と御坂にかなーり怪しまれた。いかん、危ない危ない……。
で、本来ならば楽しい楽しいパーリィの始まりのはずだった。
実際そういう娯楽目的で俺らは来た訳だし。
……御坂美琴の妹が、首無し死体で倉庫から見つかるまでは。
「まったく、これは不幸というか不運というか。 誰か嘘だと言ってくれよな……」
俺達は今回の依頼人……もとい今回の船上パーティ主催者、御坂美琴に頼まれて動いていた。
被害者は美琴の妹で、打ち止めの姉。
俺は名前を知らないから、以降は御坂妹と呼ばせてもらう事にする。
……そもそも、俺はその御坂妹の顔も知らない訳ですが。
今回初めて会う訳だったのに、まさか首無しでご対面とは……さすがです。
……そんな冗談を言ってないとやってられないぐらいひどかったって事ですよ?
ちなみに当時の状況を言っておくと。
船はすでに出港していて、入ろうにもけっこうすごい警備があるから、新規の潜入はそれこそ魔法使いじゃないと無理で。
俺達ゲストが船内で一番でかそうな大広間で豪勢にパーティをしていて。
御坂と妹の妹、打ち止めは俺と一方通行にそれぞれつっかかって(?)いて。
御坂妹はパーティに出るためのお色直しを、船内にある自分の部屋でしていて。
あんまりにも妹が来るのが遅いから、御坂が迎えに行くと言いだして。
世間話していた俺とインデックスも、ついでに行く事になって。
部屋の前まで来て、鍵のかかったドアをノックしても返事がなくて。
何かあったのかと気になったので、そこら辺をナンパでうろついてた第二位を捕まえて。
第二位と俺と二人掛かりでドアを体当たりで開けて。
そして俺達の目の前に広がっていた光景は。
首が無残にも奪われた、御坂妹の服を着た死体だった。
164 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:02:29.64 ID:1IWYsnoo [6/18]
血が首から噴き出したと思われるような、壁や床の汚れ。
ぐったりと、壁にもたれかかるようにして肉塊となっている『それ』。
御坂は思わずそこで吐いていた。そりゃそうだ、身内の惨殺死体なんて見たくねぇし。
で、今。
人が死んだ……いや、殺されたという話は一瞬にして広まり、今この船はちょっとしたパニック状態。
ちなみに、容疑者と思われる(というか人を殺せる程度の能力を持った人間)は船内に何人かいる。
一応船の中だから並の人間は逃げ出せない……。ので、とりあえず大広間に固まってもらってる。
俺は、一通り現場を見た所で、その情報を整理する為に、
前部へと歩きながら『有用な探偵助手』のインデックスと話していた。
「……インデックス、じゃなかった。 いーちゃん。」
「何? とう……じゃなくて、みーくん。」
俺とインデックスは現在、とある「戯れ事」として、二人きり……いや三人きりの時はあだ名で呼び合う事にしている。よく忘れるけど。
インデックスはいーちゃん。 俺はみーくん。 もう一人のあいつがまーちゃん。
ちなみにいーちゃんというのは『戯言シリーズ』とやらの主人公の名前でもあるらしい。
後でインデックスにそこから取ったのか?と聞いてみたけど、『もし私が短髪だったらみーちゃんだよ?』と言っていた。なるほど、偶然のようだ。
・・・・・・・・・・・
……ちなみに、残りの三分の二のあだ名が嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんと同じのは、偶然ではない。
まぁ、それはいつか話すとして。
165 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:03:19.80 ID:1IWYsnoo [7/18]
……ま、そもそものこれの発端は。
あの、正真正銘俺にとっての人類最悪の遊び人『嘘つきみーくん』が大量のライトノベルを俺の家に持ってきた事なのだが。
ちなみにその『嘘つきみーくん』の方は正真正銘の義妹の、ある意味嗜好が『壊れたまーちゃん』に肩もみしてもらったり(自主規制)したりしてるらしい。
……いや、嘘ですよ?嘘ですからね? いくらあのみーくんことシスコン軍曹でもそこまで落ちてないし手を出してないと信じてるよ上条さんもッ!!
これが例え幻想だったとしてもぶち殺さないでね!俺の右手は光って唸らないからね!
「これが終わったら、どっかいきたい所あるか?」
「!? い、イタリアでオルソラの料理を食べたいかも!」
ガバッ!と思い切り首を回転させて向き直るインデックス。
喰いつきはええよ。 後オルソラはもうロンドンへ引っ越してるよ。
何となく元気を出させるためについた戯言(冗談)なんだぞ。 行かないからね!?
「……それはさておき、どうしたものか。」
迷宮入りしそうな思考の途中、突如目の前が開けた。外に出たようだ。
船内の陰惨な事件とは正反対に、空は気持ちいいほど晴れていた。
166 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:04:53.59 ID:1IWYsnoo [8/18]
外へ出ると爽やかな向かい風が吹いてきた。うーん、気分がいい。
そう思いながらさらに甲板へ出ると、舳先の方から声がかけられる。
「やぁ。名探偵さん。」
そう言いながら突然俺に話しかけてきた好青年。茶髪で笑顔がまぶしい爽やかな野郎だ。
「……誰だっけ?」
「やだなぁ上条さん。 もう忘れたんですか? さっき会いましたよね?」
「……すまん、本気で覚えてないッ!」
失礼極まりない事をしてんじゃねぇよ、俺。
こればかりは殴られても仕方ない。 俺は覚悟して五体投地した。
「……とうま、この人パーティで紹介されてた人だよ。 確か偉い人の孫だって」
何でも覚えているインデックスが助け舟を出してくれた。
「そうです。 僕は海原光貴と言います。 以後お見知りおきを……」
何とも物腰が丁寧な人間だ。しかも終始さわやかな笑顔ときてる。惚れちゃいそうだぜェ海原光貴ィイイイ!!
そんな冗談はともかく。
「……何で俺が名探偵って知ってる訳?」
「だって、事件について調べてるじゃないですか。 それに助手がついています。 これは探偵でしょう?」
「いやそうだけどさ……」
ホームズだが何だかの見過ぎじゃねーのか。 というか俺が調べてるのを知っているってお前……。
「そんなあなたに飛びきりおもしろいニュースを教えてあげますよ。」
「おもしろいニュース……?」
「えぇ。 これは捜査に役立つと思います。」
海原はそう言って、それを告げる。
「連続殺人鬼――火野神作がこの船に侵入してるようです。」
167 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:05:41.81 ID:1IWYsnoo [9/18]
「……ひの、じんさくって……あの、28人殺しの?」
連続殺人鬼。 火野神作。 侵入。 首無しの御坂妹の死体。 犯人は。
まさか。
「……どうです? 素晴らしく推理に使えそうな情報でしょう?」
にやにやと。自分が全てを知ってるかのような笑顔。
……はぁ。
何だかこいつの笑顔に裏がありそうな気がしてきたぞ。
「……情報提供ありがとうゥ! と言いたい所だが、何で知ってる訳?」
「いやぁ、僕の立場を使って、です。 緊急事態ですし、ね。」
本当はこうやって権力を振りかざすのは嫌いなんですけど、と付け加えて。
何のフォローにもなってねぇのは気のせいか。
「まぁ、がんばりましょう。 お互い、ね」
そう言ってその爽やか野郎は爽やかな海と空と爽やかな風の中、爽やかスマイルを浮かべて爽やかに手を振って爽やかに分かれを告げた。
……って俺何爽やかを連呼してるんだ。
隣のインデックスに「とうま、爽やか6回ぐらい言った?」と聞かれた。口に出てたみたいだ。恥ずかしい。
とりあえず甲板を後にする。どうせ誰もいないし、気分転換は終了だ。推理推理。
行く所もないし、パーティ会場だった大広間へ向かう。
「やっぱり上条さん的にはその火野神作ってのがやったのかなぁと思うんですが、インデックスさん的にはどうですか?」
「んー。私としてはやっぱりその線は薄いと思うよ。 何よりそんな人が侵入するって事はけっこう騒ぎになると思うし。」
「あー…… そりゃそうだよなー。」
この船の警備はけっこうすごい。
何てったって世界最強のセコム(そう、例えるなら大天使ウリエル)レベルだ。 敵意を持つと天罰術式でバッタバタ倒れるよ!(ヴェント的な意味で)
……ってのは冗談だが、とにかくすごい。 それでその火野がひっかかったって事はまぁありえるとして……。
168 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:06:52.14 ID:1IWYsnoo [10/18]
「何で海原は知ってんのに、他の奴らは知らないんだ? というか公表しないんだ?」
俺としては、やはり船内に犯人が元々潜入していた説を推したい所なんだが。
「……惑わすための嘘、なのかも?」
なるほどー。つまり俺らは見事に海原の術中に嵌まってる訳だ。
……でもそんな事する理由はあるんだろうか?
「でもさ、何の為だよ? あいつが犯人な訳?」
「んー…… どうだろ? だって短髪の妹が部屋にこもってる時に殺されたとしてもさ、その時みつきはいたんだよ?」
大広間で、レベル5と同様に客として、そこにいた。
「アリバイはある、って訳か。」
何これマジ迷宮入り。いや、あんな爽やか野郎は犯人だと言いたい訳じゃないけどさ。
やはり容疑者のレベル5勢が……? いや、決めるのはまだ早い。
「……はぁ、それにしても。」
「? どうしたのみーくん。」
「いや、別に……何というか、泣きたくなってきただけですよ上条さんも……あんな友達を持ってると苦労しますぞ」
「泣いても、いいんだよ? 私の胸を貸してあげるよ?」
「うわー、本当に泣いちゃうぞ? そんな風に胸を張られると、本当に飛び込むぞ? 黒子並にスリスリしちゃいますぞ?」
「……、前言撤回するんだよ」
ちょっぴりひかれたようだ。そりゃそうだ。
でも本当に「胸を貸してくれ」って言ったら貸してくれるんだろうな。
インデックスは何だかんだ俺に噛みついていても結局本質は「人を救いたい」というのがある訳だし。
……という事は、あわよくば胸にすりすり出来るのか?インデックスの、つつましそうな胸に……
……ってそんな変態な事を考えてる場合ではない。とにかく、とにかくだ。
「御坂の妹……つっても今は死体か……。 あれに何かヒントは残ってたか?」
事件だ事件。事件解決を上位に、性欲を下位に。
「ヒントというか、気になった事はあるんだけど。」
そう言って、一旦言葉を区切る。
169 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:08:19.61 ID:1IWYsnoo [11/18]
「……まるで、『死後何日かたっていた』みたい」
「……何だそりゃ?」
思わず首をひねる。おかしい。だって御坂の妹が殺されたのは今日のはず。
……初対面だから、生きている姿は、見た事はないけど。
「……もしかして、あれ御坂妹の死体じゃないとか?」
俺の単なる思い付きの提案に、インデックスは割と真面目に考えてから返す。
「……その可能性もなきにあらず、って所だね。 首が無いから、パッと見じゃあわからない」
DNA鑑定できる奴なんてそうそういないだろうし、あれが御坂妹の死体とは限らない……という訳か。
死体なんてあんまり見たがらないだろうし、服さえあってればとりあえずごまかせるし。
そういえば、ここは今絶海の孤島状態だったけ。
それに、世の中には肉体変化やら魔術で変化する奴がいるらしいし。
「それなら、さっきの説明がつくけどさ、いーちゃん。」
「うん……やっぱりおかしいよね。 みーくん」
「「……本物の御坂妹はいずこへ?」」
あれが別人の死体でした。御坂妹は生きています。
だからといって、御坂妹が行方不明なのはそれはそれで困る。
……というかそもそも、萌え燃え殺人鬼火野たん☆(今即興で名づけた)は連続殺人鬼だ。
これ以上犠牲者が増えない、という保障はない。
170 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:11:23.82 ID:1IWYsnoo [12/18]
「おい」
歩いていると突然声をかけられた。
「あ、お前は……、えっと、第七位……だったけ?」
「よく覚えてたな。 よっ。」
廊下の壁にもたれるように、白い学ランに旭日旗のTシャツに、鋭い目つきの少年がいた。
彼とは少しばかり、公園の自販機を巡るめく因縁が(中略)あったのだ。 いや、それは嘘です。
単にどっかの路地裏で吹っ飛ばしているのを見かけただけですって。
こうして船であうのは初めてだけど、あんまりにも見た目が色々とアレというか不良と言うか、とにかく強烈だったのでさすがの俺も覚えていた。
「お前も大変だな。」
「あぁ、迷宮入りしそうだよこっちは。」
「まぁ、根性出して頑張れよ。」
「おうー」
何となく笑ってそのまま通り過ぎた。
……どうやら俺が探偵として活動してるという事は割と知られているらしい。
なるほど、だから海原も………。 恥ずかしい。不幸だ。
次に、メルヘンウィングこと、垣根帝督に出会った。
そんな事を本人に言うとメルヘンチョップが飛んできたが。本人曰く、気にしてはいるらしい。
「どうだ? 犯人捕まりそうか?」
「いやー、それが迷宮入りしそうで……」
「おいおいそれは困るんだよ。 俺そのせいで動けねーんだよ」
「? ていとく、今動き回ってるよ?」
「あー、これぐらいは自由許されてるの。 甲板とかそういう脱出できそうな場所に行くのはダメ」
大変だなぁ、容疑者。 でも正直レベル5ならここにいながらも能力で脱出できそうだけど。
「ちなみに、お前が解決するまでこの船は陸に戻らねぇらしいぜ」
………えっ?
171 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:13:01.88 ID:1IWYsnoo [13/18]
「……うぉおおええぇえ!? 初耳だぞそれ!? 俺はあくまで海上にいる間の繋ぎだって……!」
「そそそうだよ!? 外部のすごーい根性で解決しちゃうすごい人呼ぶっ、て言われたんだよ!?」
「ははは。てめぇら騙されたんだな、あの嬢ちゃんに。」
そんな俺らの必死の言葉を笑い飛ばす第二位。
ぐぅの音も出ない。 くやしいのうくやしいのう……。
「ま、精々俺らの為にも自分の為にもがんばれよ、上条♪」
そう言いながらメルヘンダッシュ(後で股間蹴られた)でどっか行く垣根。
……何か大分疲れた。寄り道せずに大広間に戻ろう。そうしよう。
船はかなり広いため移動にかなり時間がかかる。
どうやら人が死んだという事で、周りはちょっとした……いや、かなりの騒ぎだった。
……俺はもう人がそうやって不幸になるのは慣れてるけど、他人は慣れてないんだよな……。
大広間につくと、美琴がいきなり抱きついてきた。……いや、そういうハグ的な意味じゃないですよ?
あんまりにも異常事態だったので、何が会ったのかと顔を覗きこんでみると、恐怖によって顔が思い切り歪んでいた。
普段ならこういうラッキースケベ(命名土御門)があると噛みついてくるインデックスも、今はそうすべき事態ではないと分かっているようだ。
御坂の後ろ……大広間の中に視線を移すと、くやしそうな顔をした垣根や、泣きじゃくる打ち止めをあやす一方通行など、異常事態という事をそれとなく伝えてくる光景が広がっている。
犠牲者が増えたのかもしれない。……それは俺としては最悪の状況な訳で。
とりあえず御坂を落ちつかせて、近くの椅子に座らせて事情を聞いてみる事にする。
嗚咽で聞き取りづらかったが、やはりというか何と言うか。「人がまた死んだ」、という事だった。
「……30人目の犠牲者か。」
「……殺人鬼が、船にいるって本当なのかもね……」
犯人の心当たり……とは違うが、火野神作とかいう連続殺人鬼ならこう短時間で人を殺せるような気もする。
「な、何よ……? 犯人、み、みつかった、わ、け……?」
ヒック、と時折身体を震わせながら、俺を見上げる御坂。
顔には涙はつたってない。 見上げる前に急いで顔を拭いたのだろう。
「……いや、まだ確定じゃないし、そいつが犯人だと俺的に捕まえるのめんどくさいなーって。」
172 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:15:49.11 ID:1IWYsnoo [14/18]
「……ところで短髪、その、二人目の犠牲者って誰なの?」
インデックスが視線を会わせるために膝を曲げる。
「……だ、だ」
御坂は、そう言いながらとある方向へ指をさす。
「……だ、第七号室でが…… ひ、ひとが、死んでたの……」
「……えっ?」
ドタドタと、急いでその削板の部屋へ駆ける。
ドアを思い切り開くと、そこには。
先程まで、俺達と会話をしていたはずの少年の、首無しの死体があった。
その少年の首から上はもぎとられたような断面で、
その少年の服はまるで一昔の日本を彷彿させるような旭日旗で、
その少年の白かったであろう学ランは首からの血で真っ赤に染め上げられていて、
その少年も壁にもたれるように死んでいた。
その少年の名前は。
「そ、削板……!?」
173 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:16:25.81 ID:1IWYsnoo [15/18]
「……とうま、これ、どういう事なんだろう……」
口火を切ったのはインデックスだった。
「…俺にも分からん。 というか、さっきまで、ちゃんと生きてた……よな?」
「な、なんで、さ、こ、みんな、し、じゃう、わ……」
先程から嗚咽が止まらないのか、言葉を詰まらせ、下を向いて顔を覆う御坂。
俺には理解できないが、今日妹を失い、そして今、自分が招待した客まで殺されたのだ。
「……短髪、さ、戻っていいよ。 こっから先は私たちがやるから、ね?」
まるで保母さんのように(修道女だからか)同年代の御坂をあやすインデックス。
そう、インデックスはそういう奴なのだ。普段は俺に噛みついたりするけど。
「……お願い、犯人を捕まえて、ね?」
涙を拭きとったのか、それともインデックスのその態度に安堵したのか。
御坂は取り繕ったような、偽物の笑顔をして、その場を後にした。
「……さてと、インデックス、この船の全員の為に、犯人を見つけるぞ。」
「うん。」
幻想殺しでも、戯言遣いでも、今はどちらでもいい。
むしろ、誰かがこれは嘘だといってくれた方がいい。
そうしたら、俺はこれは戯言だ、ただの幻想だと言えるのに。
前半戦 終了。
174 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:19:35.91 ID:1IWYsnoo [16/18]
主な登場人物
上条当麻 幻想殺し
インデックス 禁書目録の少女
御坂美琴 主催者
御坂(妹) 妹
打ち止め 妹
一方通行 ≪超能力者≫序列第一位
垣根帝督 ≪超能力者≫序列第二位
麦野沈利 ≪超能力者≫序列第四位
削板軍覇 ≪超能力者≫序列第七位
海原光貴 理事長の孫
火野神作 殺人鬼
175 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/19(月) 16:20:41.87 ID:1IWYsnoo [17/18]
という訳で 前半戦 終了です。
タイトルでバレてるかもしれませんが、出来たらそこは触れないでほしいな……。
続きは今夜~来週までには投下したいと思ってます。
Tag : とあるSS総合スレ
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み、みんなの削板さんが…!
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