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唯「怪異?」-つむぎレディバード-
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:18:24.89 ID:sfYFjRFkO [9/35]
憂「ほらお姉ちゃん!起きないと遅刻だよ!」
唯「あと5分~」
憂「あと5分もしたら遅刻確定だってば!もう!」
唯「あう~」
憂「ほらお姉ちゃん!起きないと遅刻だよ!」
唯「あと5分~」
憂「あと5分もしたら遅刻確定だってば!もう!」
唯「あう~」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:24:44.82 ID:sfYFjRFkO [10/35]
澪「それにしても唯寝過ぎじゃないか」
律「ぷぷ…廊下にたたされる人なんて初めてみたな」
梓「それだけ先生も心配してたって事ですよ」
唯「う~腕がパンパンだよ~バケツまで持たされて」
律「ぷー!写メとっとけばよかったな」
唯「ひどいよ律っちゃん!」
澪「ははは、ん?どうしたムギ?ボーっとして」
紬「…え?あ、いやなんでもないわ?そうだ今日はシュークリームをもって来たの、みんなで食べましょう」
律唯「シュークリーム!シュークリーム!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:31:22.15 ID:sfYFjRFkO [11/35]
梓「唯先輩、ほっぺについてますよ」
唯「ほぇ?」
律「まったく、ちょっとは落ち着いて食えよな~」
梓「律先輩もついてますよ、おでこに」
律「うわ!??……なんでだ?」
澪「落ち着いて食べろよ律……あと梓も、ここ」
梓「!??」
唯「あずにゃんか~わいい~」
梓「は、離してください!自分で拭けます~」
紬「………」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:46:07.68 ID:sfYFjRFkO [12/35]
澪「………そういえば唯」
唯「ほぇ?」
澪「ま、またついてる…あの時、どうやって起きたんだ」
唯「憂が起こしてくれたんだ~裏技なんだって!」
律「裏技?なんだそれ」
唯「亀さんの事も、忍野さんって人の事も全部聞いた話だけどね…ようするに篭る甲羅がなければいい、何だって!」
梓「どういうことですか?」
唯「だから、ようするに服を脱がせて裸にすれば大丈夫なんだって!」
律「ぶふぉっ!!」
澪「うわ、律…汚いなあもう」
梓「…唯先輩の裸」
紬「………」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:52:14.21 ID:sfYFjRFkO [13/35]
唯「ムギちゃんさっきからどうしたの?顔も赤いし…もしかして風邪!?」
紬「え、いや…大丈夫、大丈夫」
澪「いや、大丈夫には見えないよ」
律「ムギ?調子悪いなら帰った方が」
紬「だ、ダメよみんな、私に、優しくしたら…あう」
梓「ムギ先輩!?」
紬「はあ、はあ」
澪「すごい熱だ、律!先生を呼んで」
律「わかった、唯!」
唯「うん!」
紬「ダメ…はあ、はあ…駄目よ」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:57:38.37 ID:sfYFjRFkO [14/35]
律「さわちゃん!早く早く!」
唯「ムギちゃんが!ムギちゃんが!」
さわ子「ど、どうしたのよ一体…」
律「澪!連れてきたぞ!」
唯「澪ちゃん?あれ?あずにゃんもいない…」
さわ子「あの、私帰っても…」
律「駄目だって、…あれー?ムギもいないし…どうなってんだ?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:02:26.49 ID:sfYFjRFkO [15/35]
律「鞄はここにあるし…帰った筈ないしなー」
唯「り、律っちゃん!外!窓の下!」
律「外?…あ!いた!って何やってんだよあいつら!」
唯「あ、あずにゃんが脱がされそう!風邪引いちゃうよ!」
律「いや…そんな場合じゃ…まあいい!行くぞ唯!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:07:03.68 ID:sfYFjRFkO [16/35]
紬「しゃらんらしゃらんら~」
唯「ムギちゃん!」
律「ムギ!梓から離れろ!あ、白…」
唯「ムギちゃん、二人を脱がせてどうするきなの?熱は?」
紬「…はっ…私、また…ああ!?梓ちゃん澪ちゃん!」
唯「?」
律「?」
さわ子「待ってっていったのに二人とも…ぜぇぜぇ……あれ?なんで梓ちゃん制服脱いでるの?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:18:22.22 ID:sfYFjRFkO [17/35]
これは唯ちゃんが目を覚ましてすぐのお話
私は、一匹のてんとう虫を庭で見つけたの
紬「まあ…ふふ、かわいい…あ」
しゃがみ込んで私が触ろうとすると、そのてんとう虫はとんで行ってしまいました
ただ、それだけのこと
この時の私はそう思っていました
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:24:09.95 ID:sfYFjRFkO [18/35]
部屋で本を読んでいると執事の斎藤が訪ねてきました
斎藤「紬お嬢様、お食事をお持ちしました」
紬「…お父様は?」
斎藤「御主人様はただ今、パリへ出張なさっています」
紬「………お母様は?」
斎藤「同じく出張で、ロンドンへ…紬お嬢様?」
紬「なんでもないの…斎藤?一緒にどうかしら?」
斎藤「ありがたいお言葉ですが…」
紬「そう…いいの、ありがとう斎藤」
ただ、それだけのこと
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:35:58.55 ID:sfYFjRFkO [19/35]
幼い頃からそうでした
忙しい両親は私に構う時間はほとんどなく
不自由な事はなにもない、言葉はすべて使用人を通して私に伝わり、両親にだって伝わる
そんなフィルターを通していたって
そこには確かな愛を感じる事ができるし、怒りや悲しみ、そういった感情だってきちんと感じる、伝わる
紬「……美味しく、ない」
--ただ、温もりだけが感じられない
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:41:32.74 ID:sfYFjRFkO [20/35]
枕に顔を埋めて、なんだかやり切れない物思いにふける
ノックが聞こえる、食器を下げにきたのだろう
紬「どうぞ…」
斎藤「失礼します…お嬢様、お腹の調子が優れないのですか?」
紬「ううん、お腹いっぱいなだけ…あら?」
一匹のてんとう虫
それは使用人の胸ポケットの辺りに止まっていて
そのあとの事は全部聞いた話で
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:45:14.09 ID:sfYFjRFkO [21/35]
紬「斎藤は私のベッドの上で下着一枚で気を失っていたの」
律唯澪梓「…へ?」
紬「斎藤は下着一枚で気絶していたの。脱がせたのは私らしいの…」
律「…」
唯「…」
澪「…うぷ」
梓「…あ、あぶなかったです…」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:52:36.65 ID:sfYFjRFkO [22/35]
メメ「なんともまあ、…聞きたくなかった話だね、今夜の夢に出てきそうだよ、半裸の初老執事」
紬「…真面目に聞いてください」
メメ「はは、ごめんごめんたくあんちゃん、で、何だっけその執事みたいな半裸、いや…もはや9割裸の怪異が」
紬「てんとう虫、です」
メメ「やだなあ冗談だよたくあんちゃん、そんな怖い顔して…まったく、何かいいことでもあったのかい?」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:01:54.45 ID:sfYFjRFkO [23/35]
メメ「『日照り虫』そのまま『天道虫』呼び方は様々だけど、まあどれも同じようなものだよ」
紬「やっぱり、怪異なんですね?」
メメ「大別すればね、僕に言わせてみればたいしたことない、その辺の蜂の方がよっぽど恐ろしいよ」
紬「私は…困ってますこのままじゃ…」
メメ「まあ、まずいよね、このまま放っておけば…確実に」
紬「…ゴクリ」
メメ「強制猥褻罪で確実に御用だよ」
紬「…」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:10:11.92 ID:sfYFjRFkO [24/35]
紬「忍野さん…」
メメ「いやいや誤解しないでおくれよ、だって優しくしちゃうと…さ」
紬「あ…そう、でした」
メメ「君にしかみえないそのてんとう虫は言わば的みたいなものだよ、模様は覚えてる?」
紬「確か、ハート…あれは、多分ハートです」
メメ「間違いないね『日照り虫』だよ。人を魅了する怪異さ、ま吸血鬼ほど強烈で凶悪ってわけじゃないけどね…はは、元気にしてるかな忍ちゃん」
紬「?」
メメ「いや、こっちの話さ…で、そうそう『日照り虫』はね」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:20:00.03 ID:sfYFjRFkO [25/35]
メメ「ぶっきらぼうに喋るけど、誤解しないでくれよ?君も僕の勝負下着を見たくはないだろうからね」
紬「はい!」
メメ「またはっきり言いきるんだね、まあいいや…さっきも言ったけど、君に見えてる『日照り虫』は的だよ。たくあんちゃんに対して優しく、つまり好意を持って接する人間にとまるんだ」
メメ「それを目にしたたくあんちゃんは、闘牛よろしく回りが見えなくなって」
紬「ふ、服を…」
メメ「そう、酷いもんだよねまったく…あ、いやだから、そんな泣きそうな顔はやめてくれよ?仕方がないんだから」
紬「…うう」
メメ「ちなみに今日の下着は破れて大きな穴が開いててね、できれば見せたくはないんだ」
紬「…うぷ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:28:06.22 ID:sfYFjRFkO [26/35]
メメ「君は…いいとこのお嬢様みたいだね」
紬「!…そんな……」
メメ「ああ、いいって隠さなくても…お金持ちにはお金持ちにしかわからない悩みがある、そのくらいわかるよ、誰でも」
紬「…」
メメ「こないだの姉妹二人をみて君は何かを思ったんだ、怪異は理由もなく現れたりはしないからね」
紬「私は…どうしたら…」
メメ「君は知らないだけさ、僕も知らない、でも他の皆はどうかな?」
紬「?」
メメ「今日はお客さんが多くて困るね、君で5人目だ」
紬「………み、皆」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:43:28.88 ID:sfYFjRFkO [27/35]
---暗闇の中で私は忘れていました
こんなにもあったかくて優しいものがすぐ近くにあった事を
てんとう虫みたいに、温もりを求めて太陽ばかりを見ていた私は気付かない
すぐ隣に、手を伸ばせば届くくらい近くに
唯「りっちゃん、もっとそっちよってよ!」
律「こら唯!おすな!」
梓「ちょ、唯先輩!どこ触ってるんですか!」
唯「わ、私じゃないよ~」
澪「くす、でもさ、泊めて貰っおいて言うのも何だけど流石に5人でベッド一つは狭かったな」
紬「そうね、でも……暖かいわ、とっても」
-手を伸ばせばほら
梓「あっまた!唯先輩!」
唯「ち、違うってばあずにゃん!」
-優しい光がすぐ隣に
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:54:18.79 ID:sfYFjRFkO [28/35]
メメ「もう皆にも言ったことだけど、『日照り虫』は温もりを嫌うんだ」
メメ「でも温もりを持った人間にとまる、そうまるでアレだよ…飛んで火にいる夏の虫、街灯なんかによく集まるじゃない」
メメ「だから君も思いだすんだ、簡単さ、今は忘れてても君も持っていたんだから」
メメ「ああもう泣かないでってば、ほらティッシュ……あっ」
メメ「い、嫌ちがうんだたくあんちゃん!そんなのさっき拾ったティッシュで、…そう!さっき僕それで鼻かんだんだよね!きたないよね!うわやめてくれたくあんちゃん、今日は寒いから!やめあーっ…」
紬「しゃらんらしゃらんら~♪」
つむぎレディバード おしまい
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 04:00:05.96 ID:sfYFjRFkO [29/35]
少し休憩します
ここまでお付き合いしてくれた人感謝です
次誰にしよう…
澪「それにしても唯寝過ぎじゃないか」
律「ぷぷ…廊下にたたされる人なんて初めてみたな」
梓「それだけ先生も心配してたって事ですよ」
唯「う~腕がパンパンだよ~バケツまで持たされて」
律「ぷー!写メとっとけばよかったな」
唯「ひどいよ律っちゃん!」
澪「ははは、ん?どうしたムギ?ボーっとして」
紬「…え?あ、いやなんでもないわ?そうだ今日はシュークリームをもって来たの、みんなで食べましょう」
律唯「シュークリーム!シュークリーム!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:31:22.15 ID:sfYFjRFkO [11/35]
梓「唯先輩、ほっぺについてますよ」
唯「ほぇ?」
律「まったく、ちょっとは落ち着いて食えよな~」
梓「律先輩もついてますよ、おでこに」
律「うわ!??……なんでだ?」
澪「落ち着いて食べろよ律……あと梓も、ここ」
梓「!??」
唯「あずにゃんか~わいい~」
梓「は、離してください!自分で拭けます~」
紬「………」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:46:07.68 ID:sfYFjRFkO [12/35]
澪「………そういえば唯」
唯「ほぇ?」
澪「ま、またついてる…あの時、どうやって起きたんだ」
唯「憂が起こしてくれたんだ~裏技なんだって!」
律「裏技?なんだそれ」
唯「亀さんの事も、忍野さんって人の事も全部聞いた話だけどね…ようするに篭る甲羅がなければいい、何だって!」
梓「どういうことですか?」
唯「だから、ようするに服を脱がせて裸にすれば大丈夫なんだって!」
律「ぶふぉっ!!」
澪「うわ、律…汚いなあもう」
梓「…唯先輩の裸」
紬「………」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:52:14.21 ID:sfYFjRFkO [13/35]
唯「ムギちゃんさっきからどうしたの?顔も赤いし…もしかして風邪!?」
紬「え、いや…大丈夫、大丈夫」
澪「いや、大丈夫には見えないよ」
律「ムギ?調子悪いなら帰った方が」
紬「だ、ダメよみんな、私に、優しくしたら…あう」
梓「ムギ先輩!?」
紬「はあ、はあ」
澪「すごい熱だ、律!先生を呼んで」
律「わかった、唯!」
唯「うん!」
紬「ダメ…はあ、はあ…駄目よ」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 01:57:38.37 ID:sfYFjRFkO [14/35]
律「さわちゃん!早く早く!」
唯「ムギちゃんが!ムギちゃんが!」
さわ子「ど、どうしたのよ一体…」
律「澪!連れてきたぞ!」
唯「澪ちゃん?あれ?あずにゃんもいない…」
さわ子「あの、私帰っても…」
律「駄目だって、…あれー?ムギもいないし…どうなってんだ?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:02:26.49 ID:sfYFjRFkO [15/35]
律「鞄はここにあるし…帰った筈ないしなー」
唯「り、律っちゃん!外!窓の下!」
律「外?…あ!いた!って何やってんだよあいつら!」
唯「あ、あずにゃんが脱がされそう!風邪引いちゃうよ!」
律「いや…そんな場合じゃ…まあいい!行くぞ唯!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:07:03.68 ID:sfYFjRFkO [16/35]
紬「しゃらんらしゃらんら~」
唯「ムギちゃん!」
律「ムギ!梓から離れろ!あ、白…」
唯「ムギちゃん、二人を脱がせてどうするきなの?熱は?」
紬「…はっ…私、また…ああ!?梓ちゃん澪ちゃん!」
唯「?」
律「?」
さわ子「待ってっていったのに二人とも…ぜぇぜぇ……あれ?なんで梓ちゃん制服脱いでるの?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:18:22.22 ID:sfYFjRFkO [17/35]
これは唯ちゃんが目を覚ましてすぐのお話
私は、一匹のてんとう虫を庭で見つけたの
紬「まあ…ふふ、かわいい…あ」
しゃがみ込んで私が触ろうとすると、そのてんとう虫はとんで行ってしまいました
ただ、それだけのこと
この時の私はそう思っていました
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:24:09.95 ID:sfYFjRFkO [18/35]
部屋で本を読んでいると執事の斎藤が訪ねてきました
斎藤「紬お嬢様、お食事をお持ちしました」
紬「…お父様は?」
斎藤「御主人様はただ今、パリへ出張なさっています」
紬「………お母様は?」
斎藤「同じく出張で、ロンドンへ…紬お嬢様?」
紬「なんでもないの…斎藤?一緒にどうかしら?」
斎藤「ありがたいお言葉ですが…」
紬「そう…いいの、ありがとう斎藤」
ただ、それだけのこと
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:35:58.55 ID:sfYFjRFkO [19/35]
幼い頃からそうでした
忙しい両親は私に構う時間はほとんどなく
不自由な事はなにもない、言葉はすべて使用人を通して私に伝わり、両親にだって伝わる
そんなフィルターを通していたって
そこには確かな愛を感じる事ができるし、怒りや悲しみ、そういった感情だってきちんと感じる、伝わる
紬「……美味しく、ない」
--ただ、温もりだけが感じられない
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:41:32.74 ID:sfYFjRFkO [20/35]
枕に顔を埋めて、なんだかやり切れない物思いにふける
ノックが聞こえる、食器を下げにきたのだろう
紬「どうぞ…」
斎藤「失礼します…お嬢様、お腹の調子が優れないのですか?」
紬「ううん、お腹いっぱいなだけ…あら?」
一匹のてんとう虫
それは使用人の胸ポケットの辺りに止まっていて
そのあとの事は全部聞いた話で
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:45:14.09 ID:sfYFjRFkO [21/35]
紬「斎藤は私のベッドの上で下着一枚で気を失っていたの」
律唯澪梓「…へ?」
紬「斎藤は下着一枚で気絶していたの。脱がせたのは私らしいの…」
律「…」
唯「…」
澪「…うぷ」
梓「…あ、あぶなかったです…」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 02:52:36.65 ID:sfYFjRFkO [22/35]
メメ「なんともまあ、…聞きたくなかった話だね、今夜の夢に出てきそうだよ、半裸の初老執事」
紬「…真面目に聞いてください」
メメ「はは、ごめんごめんたくあんちゃん、で、何だっけその執事みたいな半裸、いや…もはや9割裸の怪異が」
紬「てんとう虫、です」
メメ「やだなあ冗談だよたくあんちゃん、そんな怖い顔して…まったく、何かいいことでもあったのかい?」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:01:54.45 ID:sfYFjRFkO [23/35]
メメ「『日照り虫』そのまま『天道虫』呼び方は様々だけど、まあどれも同じようなものだよ」
紬「やっぱり、怪異なんですね?」
メメ「大別すればね、僕に言わせてみればたいしたことない、その辺の蜂の方がよっぽど恐ろしいよ」
紬「私は…困ってますこのままじゃ…」
メメ「まあ、まずいよね、このまま放っておけば…確実に」
紬「…ゴクリ」
メメ「強制猥褻罪で確実に御用だよ」
紬「…」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:10:11.92 ID:sfYFjRFkO [24/35]
紬「忍野さん…」
メメ「いやいや誤解しないでおくれよ、だって優しくしちゃうと…さ」
紬「あ…そう、でした」
メメ「君にしかみえないそのてんとう虫は言わば的みたいなものだよ、模様は覚えてる?」
紬「確か、ハート…あれは、多分ハートです」
メメ「間違いないね『日照り虫』だよ。人を魅了する怪異さ、ま吸血鬼ほど強烈で凶悪ってわけじゃないけどね…はは、元気にしてるかな忍ちゃん」
紬「?」
メメ「いや、こっちの話さ…で、そうそう『日照り虫』はね」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:20:00.03 ID:sfYFjRFkO [25/35]
メメ「ぶっきらぼうに喋るけど、誤解しないでくれよ?君も僕の勝負下着を見たくはないだろうからね」
紬「はい!」
メメ「またはっきり言いきるんだね、まあいいや…さっきも言ったけど、君に見えてる『日照り虫』は的だよ。たくあんちゃんに対して優しく、つまり好意を持って接する人間にとまるんだ」
メメ「それを目にしたたくあんちゃんは、闘牛よろしく回りが見えなくなって」
紬「ふ、服を…」
メメ「そう、酷いもんだよねまったく…あ、いやだから、そんな泣きそうな顔はやめてくれよ?仕方がないんだから」
紬「…うう」
メメ「ちなみに今日の下着は破れて大きな穴が開いててね、できれば見せたくはないんだ」
紬「…うぷ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:28:06.22 ID:sfYFjRFkO [26/35]
メメ「君は…いいとこのお嬢様みたいだね」
紬「!…そんな……」
メメ「ああ、いいって隠さなくても…お金持ちにはお金持ちにしかわからない悩みがある、そのくらいわかるよ、誰でも」
紬「…」
メメ「こないだの姉妹二人をみて君は何かを思ったんだ、怪異は理由もなく現れたりはしないからね」
紬「私は…どうしたら…」
メメ「君は知らないだけさ、僕も知らない、でも他の皆はどうかな?」
紬「?」
メメ「今日はお客さんが多くて困るね、君で5人目だ」
紬「………み、皆」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:43:28.88 ID:sfYFjRFkO [27/35]
---暗闇の中で私は忘れていました
こんなにもあったかくて優しいものがすぐ近くにあった事を
てんとう虫みたいに、温もりを求めて太陽ばかりを見ていた私は気付かない
すぐ隣に、手を伸ばせば届くくらい近くに
唯「りっちゃん、もっとそっちよってよ!」
律「こら唯!おすな!」
梓「ちょ、唯先輩!どこ触ってるんですか!」
唯「わ、私じゃないよ~」
澪「くす、でもさ、泊めて貰っおいて言うのも何だけど流石に5人でベッド一つは狭かったな」
紬「そうね、でも……暖かいわ、とっても」
-手を伸ばせばほら
梓「あっまた!唯先輩!」
唯「ち、違うってばあずにゃん!」
-優しい光がすぐ隣に
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 03:54:18.79 ID:sfYFjRFkO [28/35]
メメ「もう皆にも言ったことだけど、『日照り虫』は温もりを嫌うんだ」
メメ「でも温もりを持った人間にとまる、そうまるでアレだよ…飛んで火にいる夏の虫、街灯なんかによく集まるじゃない」
メメ「だから君も思いだすんだ、簡単さ、今は忘れてても君も持っていたんだから」
メメ「ああもう泣かないでってば、ほらティッシュ……あっ」
メメ「い、嫌ちがうんだたくあんちゃん!そんなのさっき拾ったティッシュで、…そう!さっき僕それで鼻かんだんだよね!きたないよね!うわやめてくれたくあんちゃん、今日は寒いから!やめあーっ…」
紬「しゃらんらしゃらんら~♪」
つむぎレディバード おしまい
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/04(火) 04:00:05.96 ID:sfYFjRFkO [29/35]
少し休憩します
ここまでお付き合いしてくれた人感謝です
次誰にしよう…
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