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初春「グレてやる」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 00:34:09.08 ID:M2I/jyq+0 [1/56]
御坂黒子佐天「は?」

初春「私決めました。グレます」プンスカ

御坂「えっ」

黒子「えっ」

佐天「何それこわい」

初春「本気ですよ!本気でグレますから!」

御坂「………………」

黒子「………………」

佐天「………………」

御坂黒子佐天「あーっはっはっははっはwwwwwwwwww」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 00:37:07.80 ID:M2I/jyq+0
いつものファミレスで食事をするいつもの4人―。
突然の初春の宣言に、御坂と黒子と佐天は耐え切れなかった。

初春「な、何ですか!何で笑うんですか!?私本気ですよ!!」

佐天「グ…ぐれるって…初春が?プクククwww」

黒子「突然何を言い出すかと思えばwwwww」

御坂「…プククwwま、まあ二人とも笑うのは失礼よ…ククwww」

初春「バ、バカにしてますね…」

佐天「ごめんごめん…クク…で、どうしたの?何でそんないきなり?w」

初春「いきなりじゃないですよ!」バンッ

御坂黒子佐天「?」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 00:42:22.26 ID:M2I/jyq+0
~~~~初春の回想~~~~

ジャッジメント第177支部―。

黒子「ふう、一仕事終わりましたの」

固法「お疲れ様。今流行りの紅茶よ。はい」

黒子「なんと!まさかあの店の紅茶を飲めるなんて…黒子は幸せものですわ」

固法「ふふ同感ね」

prrrrrrr...

固法「はいもしもし」
固法「え?」
固法「分かりました」ガチャン

黒子「どうかしたんですの?」

固法「何だかすぐ近くまでジャッジメントの本部長が来てるらしいわ」

黒子「本当ですの?」

固法「ええ。だからうちからも代表で何名か行ったほうがいいらしいわ」

黒子「そうですの……では初春に留守番を任せて私たちで行くしかありませんわね」

固法「そうね」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 00:47:22.32 ID:M2I/jyq+0
黒子「あ、でもこの紅茶……せっかく淹れたのに冷めてしまいますわ」

固法「……それもそうね。なかなか手に入れないものなのに」

黒子「あ!閃きましたの!」テーレッテテー
黒子「う~い~は~る~」ニヤニヤ

初春「何ですか?モグモグ」

黒子「おかきを食べてる場合じゃありませんの。ちょっと来なさい」チョイチョイ

初春「?」
初春「何でしょう?」

黒子「ちょっと私たち、用事でそこまで行かなければなりませんの。だから留守番頼まれます?」

初春「…別にそれぐらいなら構いませんけど…」

黒子「あと、こちらの紅茶を2つ持っててほしいんですの」

初春「………え?」

黒子「貴女、確か、保温能力を有していましたよね?だから、私たちが戻るまでの数十分間、保温しておいてほしいんですのよ」

初春「え?え?」

黒子「ちなみにこの紅茶、なかなか手に入らないんですの。冷めたら台無しですの」
黒子「だから、よろしくお願いしますわ☆」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 00:52:13.97 ID:M2I/jyq+0
初春「え…でも…そんな…」

固法「ごめんなさいね。じゃあ宜しく頼むわね」

黒子と固法は支部を出て行く。

初春「……………私の分は?」

~~~~初春の回想終わり~~~~

黒子「あ、あれは…別に悪気があったわけでは…」

初春「それだけじゃありません」

~~~~初春の回想~~~~

コンビニ―。

店員「あっあとござっしゃーwwwww」

初春「まさか御坂さんもコンビニ弁当を利用するなんて驚きました」

御坂「贅沢なもんばっか食ってても味がおかしくなるしね。それにコンビニ弁当も意外とおいしいのよこれが」

初春「ふぇーそうなんですかー」

御坂「あ」

初春「どうしました?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 00:57:09.91 ID:M2I/jyq+0
御坂「あーーーー!!!雑誌、新しい号出てるじゃん!」

初春「え?」

御坂「そっか、今日発売だったっけー。立ち読みしちゃおっと」

初春「え?え?」

御坂「あ、ごめん初春さん。ちょっと雑誌中身確認するだけだから、私の分の弁当保温しといてくれる?」

初春「え、あ……」

御坂「うっは!すごい!連載再開してるじゃん!」ペラペラ

初春「あのー御坂…さん?」

御坂「うわ!何この超展開!?」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:01:46.73 ID:M2I/jyq+0
15分後―。

初春「あの…まだですか?」

御坂「あ、あと5分で終わるから」

初春「………そうですか(お弁当、重いし熱い…)」

30分後―。

初春「御坂さん……お弁当…」

御坂「うわぁ、少年誌でこの展開はないわぁ」

初春「おべん……べんと……」

御坂「え?マジ??このキャラここで死んじゃうの!?」

初春「オベントウ……」ボソッ

1時間後―。

御坂「あー面白かった!あ、ごめんごめんちょっと長引いちゃった」

初春「イエ、ベツニダイジョウブデスヨ…」

御坂「わぁすごい!ホントにお弁当、温かいままね!」
御坂「よしじゃあ今から食べに行こう!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:06:56.67 ID:M2I/jyq+0
店員「ああとごじゃーたーーーーwwwwww」

初春「あ、私の分のお弁当、保温するの忘れてた………」
初春「………冷たくなってる…」

~~~~初春の回想終わり~~~~

御坂「あ、あれね……う、うん、そうだったんだ。てっきり私、初春さんも自分の分保温してると思っててさ…」

佐天「あっはっはっは、いやいや御坂さん、初春はそれに加えて1時間も待たされたことに怒ってるんじゃないですか?」

御坂「あ、なるほどねー」

初春「…………」ピキピキ
初春「佐天さんも人のこと言えないでしょう!?」

佐天「え?私、何かしたっけ?」

初春「しましたよ!」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:11:58.58 ID:M2I/jyq+0
~~~~初春の回想~~~~

佐天「あ、初春ぅ、ただいまぁ」

初春「遅いですよ佐天さん。2時間も出たっきりどこ行ってたんですか?」スリスリスリ
初春「しかも、留守の間、手をずっとこすっといて、ってどういう意味だったんですか結局?」

佐天「ん?ああ、それね。じゃ、横になるからちょっと腰もんでくれる?」

初春「はぁ?」

佐天「最近、腰痛くてさー。ちょっとマッサージしてもらおうって思ったんだ」

初春「え………」


佐天「あーそこそこ。やっぱりマッサージは暖めながらに限るよね。お、効く~~」

初春「……………」モミモミ…

~~~~初春の回想終わり~~~~

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:16:16.34 ID:M2I/jyq+0
佐天「あ、いやーそのー、ちょっと初春の能力開発を手伝ってあげようって思ってさ…あははww」

御坂「それはさすがに酷いんじゃない佐天さん?www」

黒子「ですが初春がレベル5になれば、マッサージ店を経営出来るかもしれませんわねwww」

佐天「そうそう!まさにそれ!私が言いたかったことはそれなんです!!」ビシッ

御坂黒子佐天「あはははははははははははははwwwwwwwww」

初春「………………」ピキピキピキ
初春「ふざけないでくださいよ……」

佐天「ごめんごめん。もうしないからさーw」

初春「……それだけじゃないですよ…」

佐天「え?」

御坂「他に何かしたっけ?」

黒子「さあ?」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:21:32.84 ID:M2I/jyq+0
~~~~初春の回想~~~~

御坂「ルン♪みんなでピクニックっていいわねー」

黒子「学園都市にもピクニックにおあつらえ向きな公園がたくさんありますの」

佐天「しかし初春まだですかねー。今日は初春がいないと、色々不便ですからね」

初春「遅れてごめんなさい!」

佐天「お、来た来たー」

御坂「これで皆揃ったわね。じゃあ早速行きましょうか」

黒子「目的地までは1時間ちょっとで着きますの」

初春「楽しみですね!」

佐天「あ、待って初春ぅ、これ持ってくれる?」

初春「え?」

佐天は初春に、ペットボトルのお茶を渡す。

初春「な、何ですかこれ…?」

佐天「いやぁ、うちに魔法瓶なくてさ。だから自販機で買ったんだよ。でも1時間もしたら冷めちゃうでしょ?だから初春、ずっと持って温めておいてよ」

初春「…………は?」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:26:51.68 ID:M2I/jyq+0
御坂「あ、いいわねそれ。実はうちの寮も魔法瓶無くて。私も自販機で温かいお茶買ったのよ。だから初春さん、目的地に着くまで持っててくれる?」

初春「…え…ちょっと・・・…」

黒子「持つべきものは友達ですね。では私のペットボトルも宜しくお願いしますわ」

初春「………あ、いや…その…」

御坂「じゃ、しゅっぱーーーーーつ!!」

初春「あああの……いくら何でもこんなには……」

佐天「あ、初春、追加一つ。私のお弁当も持ってて♪」

初春「ええええええええええええ」

佐天「よしじゃあ改めて行こう!」

黒子「ワクワクしますわね」

御坂「楽しい一日にしようねみんな!」

黒子佐天「はーーーーーい」

初春「………………」

~~~~初春の回想終わり~~~~

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:31:52.49 ID:M2I/jyq+0
初春「何なんですか?私、何か悪いことしました?もしかして、いじめられてます?」

佐天「そ、そんなことないよ!初春を苛めるだなんて!絶対ない!」

黒子「そ、そうですわよ!それに初春は何も悪いことしてませんわよ」

御坂「う、うん。私も、悪気なんて無かったわよ?でも初春さん、手持ち無沙汰にしてたし、それに能力開発になって一石二鳥になるかなーって考えただけよ?」
御坂「………って、え?」

初春「グスッ……私……みんなに……嫌われてるって……いいように……ヒグッ…利用されてる…って、ずっと悩んでたんです……グスッ」

佐天「ういはる…」

初春「グスッ……だけど……みんなの態度見て……改めて……分かりました……。ヒグッ……いじめられてなくても………私は結局……『魔法瓶』でしかないんだって……グスッ」

御坂「(気まずい……)」

初春「……そりゃ私は…レベル1ですよ?……だから、保温ぐらいしか能力の使い道……グスッ…ありませんけど……これはあんまりです……」

黒子「(さ、さてんさん!)」チラッ

佐天「(え?ええ?私がフォローすんの?)」チラッ

初春「だからグレます!!」
初春「今日から私、初春飾利は不良になりますから!!!」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:36:18.50 ID:M2I/jyq+0
佐天「初春……ダメだよそんなの…。もう一回謝るからさ…」

御坂「そうよ。初春さんに不良なんて……。似合わないわよ」

初春「そんなことありません。私、もう決めましたから。徹底して悪の道を行きますから」
初春「ジャッジメントなんてかったるいことも、やってられません」

黒子「……」ピクッ

佐天「ういはる…」

黒子「ちょっと待ちなさい初春」

初春「何です白井さん?あ…違った。不良だから口調も変えなきゃ…」
初春「何じゃワレ、白井さん!!」

黒子「……確かに、私たちに全面的に非があるのは認めますし、謝罪もしますわ」
黒子「ですが、ジャッジメントを『かったるいこと』と言ったことについては見過ごせませんの」

初春「それがどうしたんですか?私は不良になったんですよ……じゃなかった」
初春「それがどうしたんじゃスカポンタン!私は不良になったんですだよ!!」

黒子「……現役のジャッジメントにあるまじき言葉、取り消しなさい」

初春「嫌です!不良はジャッジメントなんてしませんもん!」プンスカ

パーーーーン!!!!!

初春「!!??」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:41:11.28 ID:M2I/jyq+0
佐天「あっ!」
御坂「黒子!!」

黒子「ジャッジメントとしての誇りを忘れるなんて、見損ないましたの初春!」

初春「………うっ…」

涙を溜め、赤くなった頬に左手を添える初春。

初春「うわあああああああん!!!みんなのバカァァァァァァ!!!!!」

佐天「初春!待って!」

御坂「黒子、あんた、初春さんに何てこと」

黒子「それを言うなら、私たちだって同じことですの」

御坂「うっ…まあそうだけど」

佐天「……………」

黒子「ですが、さすがにさっきの言葉にはカチンと来ましたの」

御坂「どうすんのよ。初春さん、本当にグレたりしたら?」

黒子「あの子に限ってそれは有り得ませんの。どうせすぐ飽きますわ」

御坂「だけど……」
佐天「初春……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:46:14.17 ID:M2I/jyq+0
100円屋―。

初春「…………まずは不良に必要な道具をここで集めよう」
初春「よーし、私は今から不良だ!今から不良!不良不良不良…」ブツブツ

ブツブツと呟きながら店内を歩く初春。

初春「無いなぁ…」
初春「すいませんー」

店員「はい、何でしょうか?」

初春「サングラスってありますか?」

店員「ああ、ありますよ。こちらです」

初春「わぁ!たくさんある!」パァァ

店員「どちらの品をご所望で?」

初春「一番、悪そうに見えるのください」

店員「じゃあ、こちらなんてどうでしょう?(悪そう?)」

初春「あ、これとてもいいです!探してたイメージとピッタリです!」
初春「ありがとうございます!これ買います!」

店員「かしこまりました(元気でいい子だなぁ…)」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:51:18.49 ID:M2I/jyq+0
街に出る初春。彼女は今、お世辞にも似合うとも言えないサングラスをし、100円屋で買ったハイチュウをガムを噛むように咀嚼していた。

初春「これで私も一人前の不良ですね」モグモグ
初春「みんな、私に恐れをなして逃げていくはず…」

歩き始める初春。

初春「……………」
初春「……何だろ?誰も逃げないな……むしろ笑われてる?」

学生「プッwあの子何やってんの?不良のまね?」
学生「なんだか可愛くない?」
学生「コスプレじゃないの?」

初春「………全然誰も逃げてくれませんね…」
初春「ん?あそこに杖をついたおじいさんが…!!」
初春「……これは私が不良になったことを証明するにはいい機会!」

~~~~~初春のシミュレーション~~~~~

初春「おい、じいさん!」
爺さん「ヒッ、ふ、不良!?」
初春「ちょっと金持ってんだろ?100円ほどよこしな」
爺さん「そ、そんな大金!!」
初春「言うこと聞かねーと、杖を奪っちゃうからな!」
爺さん「ひ、ひーーーーお助けをーーーー」
初春「じゃあ、さっさと100円よこしな!」

~~~~~初春のシミュレーションおわり~~~~~

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:56:14.42 ID:M2I/jyq+0
初春「完璧」
初春「お爺さんを脅してカツアゲするという、極悪非道なことも出来るし、不良になった私の恐ろしさを学園都市に知らしめることも出来る!」

ガッツポーズをし、初春はお爺さんに近付いていく。

初春「あのー、お爺さん!」
初春「…ってあれ?」

初春が見ると、お爺さんは横断歩道を渡ろうとしていた。
しかし、歩行速度が遅いため、このままだと時間内に渡り切れなくなる。

初春「お爺さん、大丈夫ですか?」

お爺さん「んん?」

初春「手伝いましょうか?」

一瞬、お爺さんはサングラス姿の初春を見てキョトンとしたが、その下に覗かせる笑顔を見るとお爺さんもまた笑顔で返した。

お爺さん「おー…まことに申し訳ありませんのう…」

初春「いえいえ。これぐらい、お安い御用です!」ニコッ

ヨロヨロと歩くお爺さんを支えるようにして横を歩く初春。初春の手伝いもあって、お爺さんは赤信号に変わる前に横断歩道を渡り終えた。

お爺さん「お嬢ちゃん、ありがとう……」

初春「どういたしまして」ニコッ

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 01:59:12.73 ID:M2I/jyq+0
お爺さん「若者だらけの街ですが、お嬢さんのような学生もいると、わしのような老いぼれは安心できますわ…」

初春「とんでもないです…。私は、出来ることをやったまでですから…」

お爺さん「ほんにいい子じゃ…。代わりと言ってはなんじゃが、こちらをあげよう…」

初春「え?何ですこれ?」

お爺さん「映画の割引券じゃ…。ワシが持ってても仕方ないでのう。お友達か好きな子とでも行きなさい」

初春「でも…私そんな、大したこと……」

お爺さん「では、頑張って勉学に励んでくださいな…」

そういうと、お爺さんは踵を返し去って行った。

初春「あ…行っちゃった…」
初春「…どうしよう…もらっちゃった…」
初春「あ、でもこれ前から行きたかった映画のだ…」
初春「……………」
初春「って、何親切してるの私!?今日から不良になるって決めたんでしょ!!」
初春「……………ま、まあ、100円の代わりに映画の券ももらったし、次から頑張るか…」

初春は不良の道を極めるべく、更に歩く。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:04:59.62 ID:M2I/jyq+0
とある公園―。
子供「うわああああああん」

初春「ん?……何だろ?男の子が泣いてる…」

駆け寄る初春。そこにはわんわん泣く男の子とそれを慰める女の子がいた。

初春「ねぇねぇ、どうしたの?」

中腰になり、初春は事情を聞こうとする。しかし…

女の子「ヒッ…恐い…」

初春「えっ!?あ…しまった…サングラスしたままだった。……ど、どうしたのかな?」

サングラスを外し、満面の笑みで語りかける初春。それを見て安心したのか、女の子は事情を話し始めた。

女の子「んとね、あのね、この子の風船が引っかかっちゃったの…」

初春「風船?」

女の子が指差した方を見ると、確かに木の枝に風船が引っかかっていた。

初春「あらら…」

男の子「僕の…グスッ…風船が…うううう」

初春「……………」

ここで初春は考える。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:10:10.00 ID:M2I/jyq+0
~~~~~初春のシミュレーション~~~~~

初春「ほーら、風船とれたよー」
男の子「わーいありがとう!」
女の子「やったね!」
パンッ
男の子女の子「えっ?」
初春「ヒヒヒヒ、どうだ見たか。お前の風船なんてもう消えて無くなっちゃったぞ~」
男の子女の子「うえええええええん」

~~~~~初春のシミュレーションおわり~~~~~

初春「完璧」

男の子「うえええええん」

初春「あ、じゃあお姉ちゃんがとってきてあげよっか?」

男の子「えっ?」

女の子「本当?」

初春「うん任せて!これでもお姉ちゃん、木登り得意だから(本当は一度もしたことないけど…)」

木を見る初春。木はそんなに高くない。枝も何本か生えており、初春の体重ぐらいなら十分に支えられそうだった。

初春「よーし」

腕まくりをする初春。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:15:05.49 ID:M2I/jyq+0
初春「よいしょ」

一つ一つ、枝に手と足をかけながら、初春は慣れないながらも木を登っていく。

初春「うんしょ」

ズルッ

初春「きゃっ!!」

滑り落ちそうになるも、何とか留まる。

初春「…あ、危ない危ない…」

女の子「お姉ちゃん、大丈夫ー?」

初春「だ、大丈夫大丈夫!」

何とか初春はガッツポーズをして余裕のあることろを見せてみる。

初春「よっと…」

何とか風船が引っかかっている枝にまで辿り着けたが…

初春「やば…手が届かない…」

初春の手では届きそうになかった。

初春「ううう…佐天さんみたいにリーチが長かったら…」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:20:40.79 ID:M2I/jyq+0
何度も手を伸ばすが、届きそうに無かった。

初春「風船を取るには、この枝を辿っていくしかないけど…大丈夫かな?」

ユラユラと枝が揺れる。いくら体重が軽い初春とは言え、今にも折れそうな雰囲気があった。

初春「地面まで3メートル…いや、そこまではないか…でも…恐い……」

しかし…。初春は下で待つ男の子と女の子の方を向く。二人とも、目に涙を溜めて心配そうに見ている。

初春「ダメダメ、弱気になっちゃ…。頑張らないと。私はジャッジメントなんだよ…」

おそるおそる、初春は枝を辿っていく。

初春「後もう少し…」

まだ届かない。

初春「届け…」
初春「えいっ!」はしっ

勢いをつけ手を伸ばす。初春はようやく風船を取ることに成功した。

初春「やった!!」パァァ

男の子女の子「取れたーーー!!!」

ボキッ

初春「えっ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:25:19.16 ID:M2I/jyq+0
背後で嫌な音が響く。振り返る間もなく、初春は地面に落下した。

ドスン!!

女の子「お姉ちゃん!!」

男の子「大丈夫!?」

駆け寄る二人。

初春「いたた……」

うつ伏せに倒れていた初春がムクリと上体を起こす。

女の子「お姉ちゃん…」

初春が顔を向けると、二人は心配そうな顔で覗き込んでいた。

初春「ごめんね、心配かけちゃって…」
初春「でも、ほら…風船、とれたよ」ニコッ

地面に落下したものの、初春は風船の紐をしっかり握っていたのだった。
満面の笑みを浮かべて風船を差し出す初春を見て、男の子と女の子も笑った。

男の子「お姉ちゃんありがとーーー!!!」

女の子「ありがとーーー!!!」

初春「ふふ、どういたしまして」ニコッ

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:30:18.51 ID:M2I/jyq+0
男の子「んとね、あのね」

初春「ん?」

男の子がポケットに手を突っ込み、何かを探す。

男の子「これあげる!」

男の子が出したのは、金色のカードだった。

初春「…何これ?」

男の子「めったに手に入らない貴重なレアカードなんだ!これで景品と交換できるんだよ!」

初春にはよく分からなかったが、男の子の話し振りから見るに、すごいものであることは理解できた。

初春「…でも、大切なものじゃないの?」

男の子「うん、だけど、お姉ちゃん風船とってくれたから、あげる!!」

初春は男の子からカードを受け取る。

初春「………………」

男の子と女の子は嬉しそうな顔を浮かべている。

初春「ありがとう!」ニコッ

男の子と女の子に手を振り、初春は公園を後にした。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:35:35.92 ID:M2I/jyq+0
初春「ちょっと痛かったけど…あの子たちが喜んでくれたからいいや…」
初春「何だかよく分からないカードも貰ったし………」
初春「…………………」
初春「あーーーーーー!!!!!!」
初春「また、不良行為するの忘れてた……」
初春「どうしよう、また助けちゃった……。不良になるって決めたのに…」

初春は急いでサングラスを取り出す。

初春「あ、歪んでる……そっか、さっき落ちたときに壊れちゃったんだ…」
初春「(´・ω・`)」ショボーン
初春「まあ、100円で買ったから仕方ないか…」

重い足取りで初春は再び歩き出した。

初春「………何でこう上手くいかないんだろう…」
初春「あ、そっか!分かった!」
初春「相手がお爺さんだったり、子供だったりするからこっちも無意識に優しくなっちゃうんだ!」
初春「…厳つい人や、恐そうな人の前だったら、私も不良になれる気がする!」

元気を取り戻した初春はガッツポーズをする。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:40:09.23 ID:M2I/jyq+0
そして、とある大通り―。

初春「でも本当の不良さんに絡むと、後が恐いから、ちょっと一人でフラフラしてるような、見た目不良の人にしよう…」

キョロキョロと初春は辺りを見回す。

初春「あっ!」
初春「あの人…、不良っぽい脱色に、不良っぽい服装、不良っぽい歩き方…そして何より、あの不良っぽい顔つき!仲間もいなさそうだし、あの人に決定!!」

初春はあくまで自然に見えるように、向こうから来る"不良っぽい人"に近付いていった。

初春「(よし!)」

二人はぶつかりそうになる。向こうが初春を避けて行こうとすると、初春はそれを遮った。
「チッ」と呟いた不良が反対から避けて行こうとすると、初春もそれに従い妨害する。
明らかに初春の行動は、意図のあるものだった。

初春「(ここで、不良化する!)」
初春「おい、兄ちゃん、お前、なめてるんですか!?」

どや顔になる初春。しかし…


「あァ!?お前、俺に喧嘩でも売ってンのかァ!?」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:45:34.49 ID:M2I/jyq+0
初春「ひっ!!」

「何なんですかァ??意図的に邪魔して?ぶち殺されたいンですかァ??俺の一方通行を通行止めしないでくれますかァ??」

余りのド迫力の不良の顔と雰囲気に、初春は言葉を無くしてしまった。

初春「ごごごごごごめんなさい!!!」

「今、機嫌が悪いンだ。これ以上、舐めた真似すっと、ただじゃおかねェからなァ…」

初春「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな」

何度も頭を下げる初春。

初春「ごめんなさ…ってあれ?」

見ると、不良は既に初春の元から去っていった。

初春「ふー…」
初春「怖かったぁ……」
初春「殺されるかと思った……」
初春「……まさかいきなりヤクザに当たるなんて思わなかったよ……」

茫然と初春は立ち尽くす。

初春「……………」

彼女は再び歩き出した。

45 名前:原作では二人会ってるんだっけか。ごめんなさい脳内補完してくだしあ><[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:50:34.76 ID:M2I/jyq+0
数十分後―。

初春「はうー…全然ダメだな…もしかして私って不良に向いていないのかな?」
初春「ん?」

「こういう目が釣りあがった白髪の人見なかった?って、ミサカはミサカは訊ねてみる」

「さー?つーか誰だよお前?」

「ねーもういいじゃん。こんな子ほっといてデート行こうよー」

「おう行こう行こう」

「ブー…ってミサカはミサカは学園都市の学生の冷たさに静かな怒りを湧いてみる」
「……あの人、迷子になってからもう1時間近く…とても心配」

初春「ねぇ」

打ち止め「わっ!びっくりしたってミサカはミサカは突然現れた頭お花畑のお姉さんに驚いてみる」

初春「あはは、ごめんごめん…(お花畑って…)」
初春「もしかして迷子かな?」

打ち止め「? そうだよ。ミサカが知らない間にあの人ったら迷子になっちゃったんだよ」

初春「それは…貴女のほうが迷子なんじゃないかな?(ミサカ?…外見も御坂さんに似てる…気のせいかな?)」

打ち止め「それはないない、ってミサカはミサカは偉ぶってみる」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:55:37.12 ID:M2I/jyq+0
初春「…はは。何だったら一緒にその…迷子になった人探してあげよっか?お姉ちゃん、ジャッジメントだし」

打ち止め「えっ…本当!?ってミサカはミサカは突然の助っ人に感謝してみる」

初春「うん!」ニコッ

打ち止め「ありがとー」

初春「(…ふふ、上手く騙されてる騙されてる)」

~~~~~初春のシミュレーション~~~~~

打ち止め「全然見つからないね、ってミサカはミサカはブーたれてみる…ってお姉さんどうしたの?」
初春「ふふふふふ。実は私は学園都市史上最悪の誘拐犯なんだぜですよ!!」
打ち止め「ええええええ!!??ってミサカはミサカは絶望的状況に陥った自分を後悔してみる」
初春「今日一日中、学園都市中を連れ回しておもいっきり疲れさせてやるから覚悟するんだな!」
打ち止め「きゃあああああ、こわいいいいってミサカはミサカは猛烈に怯えてみる!!」

~~~~~初春のシミュレーションおわり~~~~~

初春「(うふふ…)」

打ち止め「ねぇねぇお姉さん、どうしたの一人で笑ったりして?」

初春「え?ん?ううん、何でもない何でもない」
初春「そ、それで、その迷子になった人の特徴は?言えるかな?」

打ち止め「特徴?」

初春「うん」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 02:58:59.94 ID:M2I/jyq+0
打ち止め「うっとねー…目が釣りあがってて、モヤシみたいにヒョロヒョロしてて、怖そうな顔してるけど、本当はとっても優しいんだよー」

初春「う…うーん…ちょっと分かりにくいかも…」
初春「でも、きっと探してたら見つかるかもしれないから、一緒にさがそっか」

打ち止め「うん!」

初春は打ち止めと一緒に迷子探しを始める。しばらくして…

打ち止め「全然見つからない…ってミサカはミサカは顔を暗くしてみる」

初春「本当にこの辺りでいなくなったの?」

初春は打ち止めの手を引きながら、辺りを見回す。

打ち止め「そうなんだけど…もう1時間以上も前だから、移動してるかも……」

初春「多分、そう遠くまで行ってないと思うけど…」

打ち止め「……………」ショボーン

初春「……そ、そんなに落ち込まないで」

打ち止め「……………」

初春「大丈夫大丈夫。もっと探そう。ね?」

打ち止め「………うん」

更に二人は迷子探しを続ける。しかし、いつまで経っても見つかりそうになかった。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:03:09.99 ID:M2I/jyq+0
初春「(……ここは一端、この子をジャッジメントの支部で保護しておいたほうがいいかも…)」

チラッと初春は打ち止めを見る。

打ち止め「うっ……」

初春「えっ?」

打ち止め「ううう……グスッ……ヒグッ…いやだ…」

初春「ど、どうしたの?」

打ち止め「…会いたいよぅ……あの人に……グスッ…会いたい…一方通行に……ヒグッ」

べそをかき始める打ち止め。

初春「(一方通行?この子の保護者の名前かな?)」

打ち止め「……あの人に…会えなくなったら……ミサカ…グスッ…どうやって…生きてけば…」
打ち止め「わああああああああああん」

とうとう、打ち止めの涙腺が崩壊した。

初春「わっ、わっ、わっ」

周りの学生たちが注目の視線を寄越してくる。

打ち止め「あくせられぇたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!わあああああああああん」

初春「…(まずいかも…)」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:08:15.39 ID:M2I/jyq+0
打ち止め「わああああああああん」

初春「……………」

泣く打ち止めを見て、初春は姿勢を低くした。

打ち止め「!!」

打ち止めを抱き締める初春。

打ち止め「グスッ……お姉さん?」

初春「大丈夫……大丈夫だから……泣かないで、ね?」

打ち止め「……グスッ……」

初春はそのまま打ち止めの頭を撫でる。

打ち止め「……グスッ……ヒグッ…」

初春「よしよし」
初春「……あくせられぇたさんは、お姉ちゃんが、絶対見つけてあげるから……大丈夫だよ」ナデナデ

打ち止め「………うん……ありがとう…」

打ち止めの身体から離れると、初春はポケットからハンカチを取り出した。

初春「だから、いつまでも泣いてちゃダメ…」

ハンカチを使って打ち止めの涙を拭う。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:13:13.36 ID:M2I/jyq+0
打ち止め「……うん…」

初春「…いい子」

打ち止め「えへへへ……」

打ち止めは泣き止み、笑顔を見せた。

初春「そうそう。笑っていたほうが美人さんなんだから。あくせられぇたさんを見つけたとき、泣き顔見られたら恥ずかしいでしょ?」

打ち止め「……うん」ニコッ

初春「落ち着いたかな?……じゃ、また一緒にあくせられぇたさん、探そっか」

打ち止め「うん!」パァァ
再び二人は手を繋ぎ、歩き始めた。

打ち止め「あっ!」

初春「どうしたの?見つかった??」

打ち止め「違うけど、ここ、あの人との待ち合わせ場所なの!ってミサカはミサカは身体全体で喜びを表現してみる!」

初春「待ち合わせ場所?」

打ち止め「うん!はぐれたり何かあった時はここで待つ、って決めてるんだ!」

初春「そうなんだ」

打ち止め「だからありがとう!ここにいたら、きっと一方通行もすぐ来ると思うから。だから、お姉さん、ミサカはもう一人で大丈夫だよ!」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:18:09.98 ID:M2I/jyq+0
初春「本当に?あくせられぇたさんが来るまで一緒にいなくていいの?」

打ち止め「大丈夫!」

初春「そっか…。じゃあ、お姉ちゃん、もう行くよ?」

打ち止め「うん」

初春「もし、あくせられぇたさんが最終下刻時間まで来なかったら、最寄のジャッジメント支部に行ってみてね。ちゃんと保護してくれると思うから」

打ち止め「分かった。何から何までありがとう!ってミサカは感謝を述べてみる!!」

初春「ふふ、じゃあまたね…」

打ち止め「あ、待って!」

初春「ん?」

打ち止め「一緒に探してくれたお礼にこれあげる……」

ポケットから何かを取り出す打ち止め。

初春「これは?」

打ち止め「ゲコ太のピンバッジだよ?ってミサカはミサカはプレゼントしてみる!」

初春「へぇ…」

打ち止め「あの人が前、連れて行ってくれた縁日の射撃でとってくれたの!」
打ち止め「ミサカの宝物なの!」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:23:04.29 ID:M2I/jyq+0
初春「そうなんだ…でも、いいのかな、そんな大事なもの?」

打ち止め「いいのいいの!お姉ちゃんにはとっても感謝してるし!」

初春「分かった。ありがとう」

打ち止め「こちらこそ!」

初春「じゃ、バイバイ」

打ち止め「バイバイー、ってミサカはミサカは一日世話になった大恩人にさよならしてみる!!」

打ち止めに手を振り、初春はその場から去っていった。

打ち止め「……頭からお花咲いてたけど、とってもいい人だったなー、ってミサカはミサカは人の優しさにホロッとしてみたり…」ホロッ

「何がホロッだってェ?」

打ち止め「!?」

振り返る打ち止め。

一方通行「お前、こンなところにいやがったのか」

打ち止め「一方通行!!」パァァ

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:28:20.48 ID:M2I/jyq+0
一方通行「ざけンな!勝手にはぐれやがってェ…。どンだけ探したと思ってンだ馬鹿野郎」

打ち止め「あれ?迷子になったのは一方通行じゃないのかな?ってミサカはミサカはとぼけてみたり」

一方通行「あァ!?迷子になったのはお前だろうがァ!!」

打ち止め「小さいことは気にしないの!」

一方通行「はァ…もういい帰ンぞ」

打ち止め「はぁい!!」

一方通行「今までお前、どこほっつき歩いてやがったンだ?」

打ち止め「ジャッジメントのお姉ちゃんが一緒に探してくれてたの!」

一方通行「チッ、人様に迷惑かけやがって…面倒くせェ野郎だ」

打ち止め「ふふ」

一方通行「なンだよ?」

打ち止め「一方通行も優しいけど、あのお姉ちゃんもとても優しかったよ、ってミサカはミサカは笑顔になってみたり!」

一方通行「くっだらねェ」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:33:21.35 ID:M2I/jyq+0
打ち止め「ねェ、一方通行」

一方通行「あンだよ?」

打ち止め「ミサカに会えて嬉しかった?」

一方通行「ンなわけねーだろ、クソ生意気なガキが…」

打ち止め「クスッ、相変わらず素直じゃないのね♪」

一方通行「ああァ??」

打ち止め「なんでもなーい!!」

走り出す打ち止め。

一方通行「また迷子になンなよ」

打ち止め「貴方とせっかく会えたのに、そんな馬鹿な真似はしないよーってミサカはミサカはブーン!!」

一方通行「ふン」

落ちていく夕日を浴び、二人は帰っていった。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:38:16.39 ID:M2I/jyq+0
初春「……………」ズーン

一人、落ち込みながら通りを歩く初春。

初春「何で……何で……みんな私に感謝するの?」
初春「いえ…って言うか、どうして私は悪に徹しきれないの!?」
初春「………人を困らせようとしてるのに、いつの間にか助けちゃってるし……」
初春「向いてないのかな、不良………」

トボトボと初春は歩く。

初春「ん?」

ふと、路地裏を見る。一人の女が壁を背にし、煙草を吸っていた。

初春「………………」


女「フー……」

初春「おい、そこのタバコ女!!」

女「ああ?」

タバコを吸っていた女は、突如現れた初春を見てキョトンとする。

女「んだおめぇ?」

初春「不良です!!」ドーン!!

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:43:17.63 ID:M2I/jyq+0
~~~~~初春のシミュレーション~~~~~

女「ふ、不良だって!?」

初春「私が来たからにはもう絶体絶命だぜですよ!!」

女「た、助けて…!!命だけは…!!」

初春「うっせぇ!!さっさと、そのタバコよこしやがれ!!」

女「ひぃぃ」

初春「こんなタバコなんかこうしてやる!!」グシャッ

女「わああああああ!!!!」

~~~~~初春のシミュレーションおわり~~~~~

初春「完璧」

女「何が完璧なんだよ?」

初春「さあ、私が来たからにはもう絶対絶命だぜですよ!!」

女「プッ…」

初春「え?」

女「ぎゃはははははははははは!!!!」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:48:09.68 ID:M2I/jyq+0
女「何?お前?絶体絶命??不良だって言うのあんた??」

初春「そ、そうですよ!!」キッ

女「マジ受けるんですけどー!!!あっはっはっは!!!こんな不良が世界のどこを探したらいるってんだよ!!!頭おかしいんじゃねぇの?…って、あ、マジで頭に花畑咲いてやがる!!」

初春「ううう///////」カァァァ

女「こんな、不良から最もかけ離れたようなかわいこちゃんがあたしにカツアゲでもするっての??あははははは」

初春「……………」シュン

女「帰んなよ子猫ちゃん。あたしの自由時間邪魔したら殺すよ?」

初春「!」ビクッ

女「クッwwマジ受けるww」

初春「………馬鹿にしないでください」

女「あ?」

初春「私だって一人前の不良になれるんです!!」

女「!!」
初春は女の手に握られているタバコを取ろうとする。

女「こんのガキ!!何しやがる!!」

初春「御坂さんも白井さんも佐天さんも……みんなして私を馬鹿にして……私だって怒るときは怒るんです!!」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:53:06.59 ID:M2I/jyq+0
「だぁれが怒るって?」

初春「え?」

振り返る初春。

「あんだこのガキ?」

そこには5人のいかつい男たちが立っていた。

女「あ、おそいー」

男A「わりぃわりぃ。ちょっとションベンに時間かかっちまってよ」

女が中央の男に近付き、腕を組む。

男A「で、誰こいつ?」

女「さぁ?なんか不良らしいよ?」

男A「不良??こいつがか??」
男たち「ぎゃははははははは」

初春「…………っ……」

顔面蒼白になり、固まる初春。

初春「(…ほ、本物の不良だ………)」

女「このガキ、あたしに失礼なことしやがったんだよー」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 03:58:13.01 ID:M2I/jyq+0
男A「なにぃ?俺の女にか?」ギロッ

初春「ひっ!!」

女「ちょっと、この世間知らずな子猫ちゃんにおしおきしちゃってよ」

男A「そうだな…」

初春「…や…やだ…」

男たちが初春を囲み、壁際に追い込む。初春は狼たちに追われた羊のように動けなくなった。

初春「……こ、来ないで……」

目に涙を溜める初春。

男B「どうしたの?怖がらなくていいんだよーえへへへへ」

男C「ほんのちょっとおしおきしちゃうだけだからさー」

男D「俺たちと一緒に楽しいことしましょうねー」

男E「げへへへへ」

初春「(…な…何でこんな目に……。私……どうされちゃうの…?)」
初春「いや……やだ……」

男B「ウラァ!!」ドンッ

初春「きゃっ!!」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:03:27.84 ID:M2I/jyq+0
壁に叩きつけられる初春。

初春「だ、誰かたす…」モゴッ

男C「黙ろうぜー」

が、しかし口をふさがれてしまう。

初春「むー…んー…んー…!!!」

必死に初春は表の通りを歩く学生たちに助けを求める。しかし、誰も関わりたくないのか見て見ぬ振りをしそのまま通り過ぎていった。

男D「えへへへへへ」ビリビリビリッ

初春「!!!!」

抵抗の術もなく、初春はスカートをほんの少しだが破られてしまう。

男E「いいねぇ。そうやって徐々に破っていけよ。そそるからさ」

恐怖からか初春の目からは大量の涙が零れていた。

初春「んー…むー……(神様…助けて…)」

「っとっと…失礼しまーす…」

男A「あ?」
女「なにあんた?」

「お、ごめん待ったー?悪いな、ちょっと補習があってさー」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:08:08.43 ID:M2I/jyq+0
初春「??」

「許してちょんまげ、なんつってな!あははは」

突如その場に現れた一人の少年。不良たちは何が起こったのか分からず茫然とその少年を見つめている。全員が少年に意識をとられていた。

「(今だ!)」

少年は、不良たちの一瞬の隙をつき、初春の手を掴んだ。

初春「えっ!?」

油断していた不良たちは、突然の少年の動きに反応できず、初春をあっさりと離してしまった。

女「あ…」

「こっちだ!走れ!!」

初春「えっ??えっ??」

訳も分からず、初春は少年に手を引っ張られ走り出した。

男A「お前ら追え!!」
男たち「お、おう!!」
不良たちも二人を捕まえるべく走り出した。

「やっべー…追いかけてきやがった!!」

初春「……………」
成り行きに身を任せたまま、初春は走る。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:13:21.64 ID:M2I/jyq+0
初春「………」チラッ

後ろを見ると、不良たちは必死の形相で追いかけてくる。

初春「あ……あの…」

「いいから今は逃げるんだよ!」

初春「は、はい!!」

手を引っ張られたまま、初春は学園都市の通りを駆け抜ける。そして、どれくらい走ったのか分からなくなった頃…。

初春「ハァハァ…あの…」

「とにかく走れ!捕まりたくないだろ!!」

初春は後ろを見る。が、そこにはもう不良の姿はなかった。

初春「もう、追ってきてないですよ…ハァハァ…」

「なに!?」

少年はようやく立ち止まった。

初春「ほら…」

「あれ…本当だ」
「よかったーーーーー。死ぬかと思ったぜ」フウ

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:18:10.21 ID:M2I/jyq+0
公園―。
初春「……………」ゴクリ

ベンチに腰かけ、ジュースを飲みながら初春は隣に座る男を見る。詳しいことは分からないが、その少年が初春を助けたのは事実だった。

初春「……あの…」

上条「ん?俺?世界一不幸な高校生、上条当麻とは俺のことです。君は?」

初春「……え…あの…初春飾利です……」

上条「そっか。危なかったなさっきは」

初春「…た、助けてくれてありがとうございます…」

上条「いいんだ。気にすんな。お礼言われるようなことじゃねぇよ」ゴクゴク

初春「でも……」

上条「それより、何で連中に絡まれてたんだよ?」

初春「あ…それは…」

上条「ん?」

初春「……笑ったり、しませんか?」

上条「え?笑うようなことなのか?別に笑ったりしねぇよ」

初春「実は……」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:22:09.08 ID:M2I/jyq+0
上条「あっはっはっはっは!!!」

初春「も、もう!!笑わないって言ったじゃないですか!!////」プンスカ

上条「ごめんごめん!ちょっと理由がおかしかったからさ」

初春「こ、こっちは真剣なんですよ!///」

上条「わあった…笑ってごめん。…そうか、友達が君の能力をいいように使って、それに切れたと」

初春「…そうです」

上条「まあ、それは友達が悪いな。で、我慢の限界が来て、不良の真似事をしようと?」

初春「……私が本気だって…私でも怒ることがあるって…知ってほしかったんです……」

上条「でもやり方が悪いな」

初春「……分かってます。でも、私にはこれぐらいしか思いつくことがなくて……」

上条「で、成果はどうだった?」

初春「……………」

上条「ん?」

初春「…………まるっきりダメでした……悪さをしようとしても、どうしても反対に助けてしまって…感謝されて…」

初春はギュッとスカートを掴む。
初春「挙げ句には、お礼までもらって…」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:27:10.67 ID:M2I/jyq+0
初春「ほら、見てください…今日助けた人たちからもらったお礼の品です」

そう言って初春は、ポケットから取り出した。

上条「映画のチケットに、ゴールデンカードに……何だこれ?ピンバッジ?」

初春「……どうしても、悪さが出来ないんです…」

上条「ふーん……つーか、そこまで感謝されるなんて、逆に羨ましいと俺は思うけどなー」

初春「私は本気なんです。本気でグレてやる、って心に決めたんです…。なのに全然上手くいかなくて…」シュン

上条「それが君のいいところなんだと思うけどな」

初春「え?」

上条「君はきっと、人に殺意だとか悪意だとか持てない人間なんじゃないか?だから、いくら悪いことしても逆に人を助けてしまう」
上条「きっと君の一番、誇るべき長所なんだよそれは」

初春「…長所?」

上条「そ。どんな人間であっても、生まれ持った優しさで接してしまう。大袈裟かもしれないけど、菩薩のような存在かもな」

初春「ほ、菩薩って……買い被りですよ…」
初春「私が菩薩とか仏様なら、友達がしたことも許しちゃってるはずですし…」

上条「まあ…どっちにしろ、君は悪さをするには向いてないんだと思うぜ」

初春「………やっぱりですか…」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:32:12.56 ID:M2I/jyq+0
上条「だけどそれは別に卑下することじゃねぇよ。さっきも言ったようにそれは寧ろ誇るべきなんだよ」

初春「……でも……」

上条「………納得しないか…」
上条「分かった。だったら、俺が訓練つけてやるよ」

初春「えっ」

上条「こう見えても上条さん、不良に絡まれた回数だけはレベル5だと思うんですよねー」

初春「そ、それ…自慢になってないような気がするんですけど……」

上条「ははっ…まあなー。とにかく、そんな俺だからこそ不良についての知識は半端じゃないぜ?」

初春「つまり、どういうことですか?」

上条「俺が君を一人前の不良になるよう訓練つけてやるよ」

初春「ほ、本当ですか!?」

上条「ああ、もちろん。ただし、容赦はしないぜ?」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:37:13.74 ID:M2I/jyq+0
初春「構いません!それで立派な不良になれるなら、どんな厳しい訓練も受けてみます!!」

ガシッと初春は上条の手を握る。

上条「お…おう…(小さい手だな…可愛いけど)」

初春「ふふ。良かったー。これで佐天さんたちを見返せる♪」ニコッ

上条「…………あー…」
上条「やっぱり君には笑顔のほうが似合うんだな」

初春「えっ?」

上条「飾利ちゃんだっけ?君、笑うととても可愛いね。性格は笑顔に出るのかな…」

初春「えっえっえーーー///////」ドキドキ

上条「まあ、今は不良になるのが第一目標だ。君、一途で素直だからな。すぐにでも不良になれるさ」ナデナデ

初春「ふゆぅ…(あわわわわわ……///////)」

こうして、次の日から初春の不良になるための訓練が始まった!

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:42:11.81 ID:M2I/jyq+0
翌日・とある公園―。

上条「で、不良ってのは、絡む相手になめられちゃいけないわけだ。これは分かるな?」
上条「どんな相手であっても、ジャッジメントだろうがアンチスキルだろうが、最後まで自分を保つことが大事だ」

初春「////////////」ポーッ

上条「これは不良として、重要な鉄則だ。これを忘れると、逆にこっちが舐められちまう」

初春「………………」ポーッ

上条「って、聞いてる?」

初春「え?あ、はい、聞いてます!!!」

上条「よし。いいぞ。それで次にだが……」

翌日―。
上条「ほら、こうやって、肩をきって歩いてごらん」

初春「はい//////」
初春「こ…こうですか?」

見よう見まねで肩を切って歩く動作をする初春。しかし、彼女の場合はゴリラが歩いているようだった。

上条「んー…なんかちげーな。こうだよこう」

初春「!!!」

上条「こうして、微妙に揺らすように…」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 04:47:09.30 ID:M2I/jyq+0
背後から、上条は初春に密着し肩を揺らすように手を貸す。

初春「(上条さんと…こんなに密着して…////////)」ドキドキドキ
初春「(はううう…恥ずかしい/////)」ドキドキドキ

さらに翌日―。

上条「さあ、俺の胸倉を掴んでみろ」

初春「はい。………てめぇ、オレのこと眼つけてんじゃねぇぞ!」

ガシッと初春は上条の胸倉を掴む。

上条「あー……あの…初春さん?」

初春「な、何でしょう?」

上条「顔が近いんですが…」

初春「はうっ!//////」

急いで初春は上条から離れる。

初春「ごごごごごごごめんなさい/////」

上条「いや、別にいいけど……」

胸に腕を置き、上条から顔を逸らす初春。

初春「(もう…無意識に顔近付けちゃったよ…/////)」ドキドキ

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:03:24.26 ID:M2I/jyq+0
そして…。
上条「これで最後だ。あとは実戦あるのみ」

初春「はい」

上条「街へ出て、実際に不良に因縁つけてみよう」

初春「……できるかな……」ショボン

上条「あああ、ダメダメ。そんなんじゃ上手くいかないぞ?もっと堂々と不良らしくするんだ」
上条「お前なら出来る」ナデナデ

初春「ひゃっ/////」

上条「頑張れよ?」

初春「はい……////」

とある大通り―。

目にサングラスをかけ、ガムをクチャクチャと噛み、肩を切って歩く、しかし何故か頭に花飾りをつけた不良が道を跋扈する。が、どこかぎこちないのは気のせいではなかった。

初春「(ふふふ…見てる見てる…みんな私に恐れをなして……)」プクク

学生「なんだあいつ…」ヒソヒソ
学生「変人?」ヒソヒソ
学生「コスプレか?」ヒソヒソ

初春「(上条さん直伝の教えで、私も今日から一人前の不良!!)」
初春「ふふ、逃げるなら今のうちですよー♪」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:08:14.49 ID:M2I/jyq+0
学生「わっ!なんか言ってるぞあいつ」ヒソヒソ
学生「よせ、目を合わせるな」ヒソヒソ
学生「キモイな…」ヒソヒソ

そんな風に思われているのも露知らず、上条は初春の少し離れたところから彼女の様子を観察していた。

上条「(いいぞ、飾利ちゃん。その風貌、姿、身のこなし。全てが不良と化している。周りの奴らも恐れをなして顔を背けている。そのまま、誰かに絡んでしまえ!)」

そんな上条の数メートル後ろには、彼の姿を尾行する一つの影があった。

御坂「何!?何やってんのあいつ?初春さんのストーカー??」
御坂「って言うか、初春さんはどうしてあんなコスプレしてんの??」

初春「(お?あそこに一人だけでいる人発見!さっそく絡んじゃえ☆)」

背中を見せ、一人で歩く男を見つけ、初春は後ろから近付いていく。
初春が歩くたび、上条がコソコソと距離をとりながら彼女の跡を追い、上条が動くと、御坂もまた距離をとりながら彼の跡をコソコソとつけていった。

初春「おいゴラァ!そこどきやがれしばくぞ!!」

初春がついに因縁をつけた。口調は以前より改善されていたが、迫力が全くないのは相変わらずだった。
男が振り返る。


一方通行「あァ???なンか俺に文句でもあるンですかァァァ????」ギロリ!!

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:13:17.69 ID:M2I/jyq+0
初春「(ぎゃああああああああああああああああ!!!!!!)」

上条御坂「(一方通行ーーーーーーーーーーーっ!!!!!!)」

一方通行「あ、お前は…」

初春「ごめんなさぁぁぁぁい!!!!!!」

初春はそのまま、走っていった。

上条「ちょっ…待て待て待て!!!」

上条もその後を追いかける。

一方通行「あン?三下じゃねェか」

御坂「お、置いてかないでよー!!!」

御坂もその後を追いかける。

一方通行「超電磁砲まで…」

一方通行は駆けていく3人の後姿を茫然と見送った。

一方通行「……みンなして無視すンなよ……」
一方通行「……………寂しいじゃねェか…」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:19:43.39 ID:hrRHR5Hy0 [1/3]
初春「ハァ……ハァ…怖かったー…」
初春「まさか、またあのヤクザに会うとは思わなかった……」フー

壁に手をつき、初春は息を切らす。

初春「ヤクザはカウント外だから。さ、次の獲物を探しましょう♪」

再び初春は歩き出す。それを遠目で見つめる上条。

上条「ま、あんな凶暴な奴は相手しなくていいからな。もっと弱そうなのから狙っていけ」

そんな上条を遠目で見つめる御坂。

御坂「一体、何をしてるのかしら?二人して…」

しかし、その後も初春の成果は変わらず……。

不良「んだてめぇ??ふざけてんのか!!??」

初春「きゃああああ!!!!ふざけてませえぇぇぇぇん!!!」


不良「その花畑、ひっこ抜いてやろうか???」

初春「ダメですダメです!!!これだけは絶対ダメです!!!」


不良「死にたい?」

初春「いえ、生きたいです。さ、さよならっ!!」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:24:12.71 ID:hrRHR5Hy0 [2/3]
不良だけでなく、普通の学生や子供も狙ってみるが…

学生「ありがとう!!助かったよ!!」

初春「いえ、どういたしまして!」ニコッ


子供「お姉ちゃんありがとー」

初春「うん、今度からは気をつけるんだよ?」ニコッ


研究者「おおおお、見つかってよかった!!これがないとクビにされるところだった!!ありがとう嬢ちゃん!!」

初春「いえいえ、お仕事頑張って下さいね」ニコッ


初春「危ない危ない。可哀相に捨てられたのかな?」

猫「ニャー」

初春「よしよし、怖かったね。川に入ってスカート濡れちゃったけど、おまえが助かってよかったよ」ニコッ

猫「ニャー♪」


当初の目標も果たせないまま、一日は過ぎていった。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:29:10.62 ID:hrRHR5Hy0 [3/3]
とある公園―。
初春「ヒッグヒッグ……グスッ……ヒグッ…グズズ…」

上条「泣くなよ。君はよくやったさ」ヨシヨシ

初春「…だって…だってだって…ヒグッ…グスッ」

ベンチに座り、子供のように泣きじゃくる初春。

初春「ここまで……自分が何もできないなんて…ヒグヒグッ…思わながっだがら…グスッ」

上条「……………(うーん、困ったな…)」

御坂「なに、ひとの友達泣かせてんのよあんたは?」パリパチッ

上条「…いやだって………って、ビリビリ!!??」

御坂「なに?あたしがいたら邪魔なわけ?」チラッ

御坂は泣きじゃくる初春に視線を寄越す。

初春「み、御坂さん!?」

上条「えっ知り合いなの!?」

初春「私の…グスッ…友達です…」

上条「ええええええええええええええ」

御坂「で、どうしてあんたは私の友達を泣かせてるわけ?」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:35:15.30 ID:znVWnVzf0 [1/10]
上条「はっ!…いやいやいや、俺が泣かせたわけじゃねぇよ!!」
上条「つーか待て、もとはと言えばお前らが元凶だろうが!」

御坂「そうね……一日中、あんたたちのこと、見させてもらったけど…」

上条「見てたの!?」

御坂「…要するに、初春さんは、もう誰にも舐められないように、不良になろうとしてた、ってことでしょ?」

上条「分かってんじゃねぇか!飾利ちゃんがどんな決意で不良になったと思うんだよ!」

御坂「(飾利ちゃんって……私にも名前で呼んでくれないくせに…)」プンスカ
御坂「…確かに……それは私たちが悪かったわ…」

初春「……グスッ……グスッ…」

御坂「…初春さん、本当にごめんなさい。まさか、ここまでするとは思わなかったから…」
御坂「調子いいかもしれないけど、とても、反省しているわ…」

初春「……グスッ…御坂さん…」

御坂「でも……やっぱり、貴女には、不良なんて似合ってないと思うの……」

初春「………グスッ…」

上条「………………」

御坂「あんたも、薄々そう思ってたんじゃないの?」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:40:11.76 ID:znVWnVzf0 [2/10]
上条「………確かに…言われてみれば…そうだと思ったけど…」

初春「どういう…意味ですか?」

上条「前も言ったろ?君は殺意や悪意を持つような人間じゃないって。生まれ持ったその優しさで誰にでも笑顔を振りまくことができるんだって」

御坂「そう…それが初春さんの良いところなのよ……」
御坂「友達として、それを活かしていくべきだったのに、私はあろうことか、初春さんの能力をいいように利用して…いつの間にか傷つけて…。本当にごめんなさい…」

御坂は頭を垂れる。

初春「…………グスッ……頭を上げてください、御坂さん…」

御坂「でも…」

初春「……確かに、最初は怒りで頭がいっぱいになりました…。でも、御坂さんはちゃんとこうして謝ってくれました。御坂さんは、とても優しい人だから…いつか謝ってくれるって分かってました…」

御坂「……………」

初春「……だから、別に私は御坂さんのことを恨んだり、憎んだりしてません。それは白井さんや佐天さんだって同じことです…」

上条「飾利ちゃん…」

初春「それに、みんな私の大事な友達ですから。だから、そんな友達が頭を下げる姿なんて見たくないんです…」
初春「だから、顔を上げてください御坂さん…」

御坂「…………ごめんなさい!!初春さん!!」

初春「わっ!」
ガバッと御坂は初春に抱きつく。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:45:15.35 ID:znVWnVzf0 [3/10]
御坂「ごめんね初春さん。私が悪かったから…。こんなに良い子をここまで悩ませてたなんて、ホント私の馬鹿だわ!!」

初春「大丈夫ですよ御坂さん。もう私、全然怒ってないですもん」

顔を上げ、御坂は初春と視線を交わす。

御坂「グスッ……もう!本当にあんたは良い子なんだから!」

初春「えへへへ…そう言ってもらえると嬉しいです」

上条「飾利ちゃん、さっきも言ったように、他人にそこまで優しく出来るのは君の一番の長所だよ」
上条「ポケット、入ってるか?」

初春「え?」

上条「今まで助けた人からもらったもの」

初春「あ…」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:50:24.76 ID:znVWnVzf0 [4/10]
ガサゴソと初春はポケットを探る。中から出てきたのは、初めて不良の真似をしたときに貰った映画の割引券、カード、ゲコ太のピンバッジ、そして、今日助けた人から貰ったたくさんのお礼の品だった。

御坂「(あ、ゲコ太のピンバッジ!)」キラッ

上条「それら全部、君の優しさがもたらしたものだ。ちょっと手を貸すだけでも、助けてもらった人からしてみれば、とても嬉しいもんだよ」
上条「だからさ、その気持ちを大事にこれからも、頑張っていきな」

初春「…………はい」

照れくさそうに、初春は笑った。

御坂「そうそう、その笑顔」

初春「え?」

御坂「初春さんにはその笑顔が似合うわ」

初春「あ……てへへ/////」

こうして、グレた初春の生活は終わりを迎えた―。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 05:56:10.22 ID:znVWnVzf0 [5/10]
後日・とある喫茶店―。
初春「いったいどうしたんですか?急に呼び出したりして」

佐天「ん。ちょっとまあ…何と言うか」

白井「…この間は、本当に初春に迷惑を掛けましたからね」

佐天「本当にごめんね初春!!」

白井「ごめんなさいですの」

初春「もうー…だからそれについては、もう謝らなくていい、って言ったじゃないですか」

佐天「でもさ…悪いことをしたのは事実だし」

白井「そういうわけで、今日は初春の好きなもの、何でも私たちが奢りますわ」

初春「ほ、本当ですか!?」

御坂「もちろんよ初春さん。それにこのゲコ太のピンバッジも貰えたしね♪そのお礼でもあるわ」

初春「みなさん……」ウルッ

4人は、いつものように楽しい一時を過ごす。

佐天「あ、そうだったそうだった」

初春「どうしたんですか?」

佐天「はい、白井さん、こっち持って」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 06:01:14.79 ID:znVWnVzf0 [6/10]
白井「はいはい分かりましたの」

佐天「御坂さんはこっち」

御坂「OK」

初春「な、何ですかその…横断幕?みたいなもの」

佐天「実はさ、初春の能力名と、将来、レベル5の超能力者になったときの通り名を考えてきてあげたんだ」

初春「ええええええ????」
初春「そ、そんなわざわざ…。って言うか、レベル5なんてなれるか分かりませんよ」

佐天「いいのいいの。じゃ、早速見せよっか」

佐天は御坂と白井に目で合図を送る。

佐天御坂白井「じゃじゃーん♪」

横断幕を広げる3人。そこには…


『能力名 : 温度保存(サーモス)』
『レベル5になった時の通り名 : 変温使い(レプティリアン)」



と書かれていた。

初春「うっわー!!すごぉーーーい!!!」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 06:08:09.82 ID:znVWnVzf0 [7/10]
手を合わせ、感嘆の声を上げる初春。

初春「カタカナのほうの意味はあまり分からないけど、とても格好良さそうです!!」

御坂「でしょー?」

白井「これでも3人で3日3晩考え通したんですのよ」

佐天「いいネーミングセンスしてると思わない?」

初春「ありがとうございます!!みなさん、私…とっても嬉しいです!」

御坂「これからも宜しくね初春さん」

白井「ジャッジメントの相棒として、頼りにしてますわよ」

佐天「いつまでも親友だからね!」

初春「はい!!」ニコッ

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 06:13:09.63 ID:znVWnVzf0 [8/10]
後日・映画館―。

初春「あ…あの…わざわざ折角の休日を潰しちゃってすみません…」

上条「いいっていいって。ま、これも何かの縁だしさ。それに、その映画の割引券、使わないともったいないし」

初春「はい♪」

上条「にしても俺でよかったのか?別に仲直りしたんなら、ビリビリか友達の誰かと行きゃよかったんじゃ?」

初春「あ…!あの…それは…何と言うか…その…//////」モジモジ

上条「ま、俺は飾利ちゃんと行けてよかったけどな!」

初春「え…あ、ありがとうございます…//////」ドキドキ


こうして、初春は佐天たちと仲直りし、ジャッジメントの仕事も復帰したのである。
結局、彼女は目標の不良になることは叶わなかったが。

映画『私…あなたのことがずっと好きでした……』

上条「…………zzzzzzz」

映画『実は俺も、君のことが……』

スクリーンに見入る初春。彼女の顔は、一週間前と比べてどこか明るい。

初春「…………………」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 06:18:12.45 ID:znVWnVzf0 [9/10]
その頃、いつものファミレス―。

御坂「どうしたの佐天さん、改まって?」

白井「妙に、真剣な顔をしていますわね」

佐天「私…思ったんです…今回の初春を見て…」

白井「はい?」

佐天「言いたいことは言わないと、本当の友達じゃないって…」

御坂「…??」

佐天「だから言わせてもらいます」キリッ




佐天「グレてやる」





おしまい

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 06:24:22.81 ID:znVWnVzf0 [10/10]
疲れた…
最近、理不尽な理由で中途半端に終わっちゃうスレが多くて残念。
そういうこともあって一気に全部投下しました。
まさか6時間も掛かるとは思わんかったわ…
支援してくれた人も読んでくれた人も、ありがとうございます。

コメント

No title

とりあえず初春の顔殴った黒子が凄い腹立つSSだった・・・

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