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上条「夏休み…か」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:34:06.35 ID:nskZs8hlO [1/23]
ピンポーン
上条「はーい」
ガチャ
「上条当麻さん、お届け物です」
上条「はいはい、サインはここ?」
「はい…では確かに。ありがとうごさいましたー」
上条「宛名は…父さん達からだ」
未完ですの
ピンポーン
上条「はーい」
ガチャ
「上条当麻さん、お届け物です」
上条「はいはい、サインはここ?」
「はい…では確かに。ありがとうごさいましたー」
上条「宛名は…父さん達からだ」
未完ですの
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:38:34.96 ID:nskZs8hlO [2/23]
上条「お、野菜に米、ありがたいなあ」
上条「ん? 手紙だ」
『当麻、元気でやってるか?
父さん達は元気でやってるぞ。
不幸体質は治ったか?
また御利益グッズを送ってやるから肌身離さず持ち歩くんだぞ。』
上条「…父さんは相変わらずだなぁ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:45:14.44 ID:nskZs8hlO
『そうそう、父さん達、今度引っ越すことにしたんだ。
いい新築の家があってな。まだ先の話だが、9月には移ろうと思う。
お前ももうすぐ夏休みだろ、慣れ親しんだ家にお別れしに来たらどうだ?
たまには連絡くれよ。』
上条「え!? 急すぎるだろ!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:52:17.29 ID:nskZs8hlO
…
小萌「相談…ですか?」
上条「はい」
小萌「テストの点数を上げる相談なら聞けませんよ?」
上条「いえ、補習の件なんですけど…」
~
小萌「そういうことですかー」
上条「課題って形でも全然オッケーなんで、どうかひとつ…」
小萌「……しょうがないですねー」
上条「じゃあ!」
小萌「終業式までに用意するので、式が終わったら取りに来て下さいね」
上条「ありがとうございます!」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:58:47.75 ID:nskZs8hlO
……
上条「失礼しましたー」ガラガラ
上条「さて、課題ももらったし、帰るか」
ミーンミンミンミン
上条「あつっ」
上条「夏休み…か」
高校に入って初めての夏休み
クラスの友人達は海水浴やらバーベキュー
それに、甘酸っぱい一夏の思い出作りの計画に大忙しだ
上条「初日から帰省するのなんか俺ぐらいだろうなぁ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:07:53.28 ID:nskZs8hlO
…
カチャン
上条「戸締まりよし…行くか」
親元を離れ、初めての帰省
始めの内は遠いし面倒だしで気乗りしなかったのに、いざ帰るとなるとワクワクしてくるから不思議だ
ただ実家に帰るだけなのに、自然と足取りが軽くなる
上条「帰省本能…ってやつかな」
だったら、新しい家に家族が引っ越してたら、どうだろう?
上条「どんな気持ちで帰ってたんだろうな…」
美琴「あ」
上条「お、よう」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:10:28.36 ID:nskZs8hlO
美琴「どうしたの? その旅行カバン」
上条「ああ、ちょっと実家に」
美琴「帰省? 夏休みは明日からよ」
上条「自分でも早いと思うよ」クスッ
美琴「何? ホームシック?」
上条「かもな」クスクス
上条「じゃあなービリビリ」
美琴「…変なの」ヒラヒラ
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:19:05.02 ID:nskZs8hlO
…
ガタンゴトン…
上条「誰も乗ってねーな」
1日4本しか走ってないローカル線に揺られはや1時間
同じ車両には誰一人として客がいない
窓がら見える景色もビル群から疎らな住宅地、農村、山へと移りゆく
上条「あと1時間半か…」
俺はCDを入れ替え、携帯のアラームをセットし、瞼を閉じた
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:21:53.24 ID:nskZs8hlO
……
…
「お客さん」
…
「終点だよ、お客さん」
上条「ん…」
上条「……あ、寝過ごした」
「もう電車ないけど大丈夫かい?」
上条「あ、大丈夫です」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:27:21.58 ID:nskZs8hlO
アラームに気付かず熟睡してしまった俺は、終点である隣駅で夜空を見上げてた
上条「大丈夫って言ったものの、面倒だなぁ」
一駅前なら家の近所なのだが、終点まで来ると郊外に出る
上条「こっちってバスの終わりも早いんだよなぁ」
歩いて帰れる距離だが、また1時間ぐらい歩くことになる
上条「しょうがない、父さんに迎えに来てもらうか…」
「おおーい!」
上条「なんだ?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:31:32.49 ID:nskZs8hlO
乙姫「おにーちゃーん!」キコキコ
上条「乙姫!」
キキッ
乙姫「お帰り!お兄ちゃん!」
上条「ただいま、どうしてここが?」
乙姫「メールも電話も応答ナシだったから、多分寝過ごしたんじゃないなかって」
上条「すげぇ、ドンピシャだ」
乙姫「やっぱり」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:36:10.74 ID:nskZs8hlO
乙姫「お兄ちゃんよく終点まで行ってたもんね」クスッ
上条「そんな頻繁でもないだろ?」
乙姫「元の回数が少ないからでしょ? 電車で隣街とか行くと必ず寝過ごすもん」
上条「そうだったかな?」
乙姫「そうだよ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:38:42.16 ID:nskZs8hlO
上条「それにしても、どうして乙姫が?」
乙姫「お兄ちゃんが今日帰ってくるって、おじちゃん達に聞いたんだよ」
上条「それでわざわざ…ありがとな」ナデナデ
乙姫「ん…えへへ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:45:20.36 ID:nskZs8hlO
…
詩菜「…はい、気をつけてね」
ピッ
詩菜「乙姫ちゃん、当麻さんと合流できたみたい」
刀夜「それは良かった。昼過ぎから待っていた上、すれ違いになったら可哀想だからな」
詩菜「乙女の勘は当たるんですよ」
刀夜「単に当麻の動向がわかりやすいだけかもしれんがな」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:49:57.29 ID:nskZs8hlO
…
上条「乙姫、ちょっと背伸びたか?」
乙姫「あ、分かる?」
上条「なんか頭撫でた時の感じが違ったから」
乙姫「でも、お兄ちゃんも伸びてるよね?」
上条「あ、そうだな。なんとなくなのかな」
乙姫「長い付き合いの成せる技だね」
上条「はは…かもな」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:55:21.76 ID:nskZs8hlO
…
テクテク カラカラ
上条「こっちは落ち着くなー」
乙姫「やっぱり学園都市って都会?」
上条「都会っていうか、もう外国だよあそこは」
乙姫「ふーん」
上条「夜でも明るいからこんなに星空が綺麗に見えないしな」
乙姫「そう言われると、自分がすごく贅沢してるみたいに思えてくるなー」
上条「贅沢も贅沢さ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:00:36.70 ID:nskZs8hlO
上条「乙姫が来るまで見上げてて思ったたんだけど、不便なままでいいこともあるんだな」
乙姫「どういうこと?」
上条「街の灯りで見えなくなる星空みたいに、便利すぎて失うものもあるんだなーって」
乙姫「便利すぎて不便ってこと?」
上条「そうそう、正解」
乙姫「やった! 撫でて」
上条「エライエライ」ナデナデ
乙姫「んふー」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:14:36.18 ID:nskZs8hlO
上条「でも、今でこそ星空見上げて穏やかな気持ちになれてるけど、これで徒歩で帰ることになってたかも思うと…」
乙姫「ちょっと退屈かもね」
上条「ああ、乙姫が来てくれて良かったよ」
乙姫「えへへ」
上条「歩いて帰るのも悪くないな」
乙姫「遠回りする?」
上条「いや、それはいいや」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:31:03.75 ID:nskZs8hlO
上条「どうだ? 新しいクラスは楽しいか?」
乙姫「楽しいよ、まぁそんなに人数いないから席替えぐらいにしか思ってないし」
上条「そっか、そうだよな」
乙姫「それよりも、休みにお兄ちゃんがいなくてつまんないよー」
上条「仕方ないだろ、帰るにも結構遠いし、呼ぶにも手続き面倒だし」
乙姫「愛がないよ、お兄ちゃん」
上条「俺以外の…クラスの友人と遊びなさい」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:36:16.89 ID:nskZs8hlO
乙姫「そりゃあ遊ぶけど、土曜の夜とか気軽に遊びに行って、そのまま泊まれる場所がなくなっちゃってつまんないよぅ」
乙姫「去年なんか受験だ何だであんまり遊べなかったから楽しみにしてたのに…」
上条「あー…、俺も学園都市に行くとは思ってなかったからな」
乙姫「うーっ」
上条「むぅ…」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:38:48.81 ID:nskZs8hlO
上条「わ、分かった分かった。夏休みはできるだけ乙姫優先にするから」
乙姫「本当!」
上条「できるだけ」
乙姫「やったー! 31日まで予定詰めなきゃ!」
上条「え、ちょ、おい」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:47:32.18 ID:nskZs8hlO
…
乙姫「ただいまー!」
上条「ただいま」
刀夜「おお! 待ちくたびれたぞ」
詩菜「二人ともお帰りなさい。すぐご飯準備しますね」
乙姫「みんなお兄ちゃんを待ってたから食べてないんだよ」
上条「そんな、食ってて良かったのに」
刀夜「当麻、それは違うぞ」
詩菜「みんなで食べる為に作った料理なんだから、みんなで食べなきゃ美味しくないでしょ?」
上条「いや、母さんの料理はいつだって美味いし」
詩菜「あらあら、当麻さんたら」
刀夜「こりゃ一本とられたな!」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:54:52.32 ID:nskZs8hlO [23/23]
乙姫「お兄ちゃん、ご飯準備出来てるよ!」
詩菜「あら、すっかり話込んでしまったわ」
刀夜「さぁ、いつまでも玄関なんかに居ないで上がった上がった」
上条「好きでいたんじゃないんだけどな」
乙姫「おにいちゃーん!」
上条「ああ!はいはい!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:03:26.99 ID:YfJDfMWCO [1/16]
…
乙姫「お兄ちゃん、これ私が作ったんだよ」
上条「ん、どれどれ」
乙姫「これだよ、はい」ヒョイ
上条「あむ」パク
乙姫「どう?」
上条「ん、なかなか」モグモグ
詩菜「あらあら、ご馳走様」
刀夜「見せつけてくれるなぁ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:07:34.10 ID:YfJDfMWCO [2/16]
上条「何を今更」
刀夜「いや、久しぶりに見たからつい、な」
上条「だいたい父さん達がいつもやってるから」
乙姫「あーん」スッ
上条「あぐ…乙姫が真似を始めたんだろ」モグモグ
詩菜「当麻さん、喋るのは食べ終わってからよ」スッ
刀夜「まぐ…そうだぞ」モグモグ
乙姫「おじちゃん、みっともない」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:15:49.64 ID:YfJDfMWCO [3/16]
…
ドサッ
上条「ああ…食い過ぎた」
上条「母さんの料理、うまかったなぁ」
久しぶりの自室のベッドに体を投げ出す
今日の日中に母さんが干してくれたのだろう、いい匂いがする
上条「ああ…気持ちいい」ゴロン
今日はこのまま寝てしまおうか…
乙姫「てやっ」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:30:28.71 ID:YfJDfMWCO [4/16]
ボスンッ
上条「ぐはっ!?」
乙姫「おにーいちゃーんっ」ギュッ
上条「乙姫…しばらく見ない間に大きくなったな…」
乙姫「わかるの!?」
上条「ボディプレスの威力が上がってたら分かるわっ!!」
乙姫「ちぇー、プロポーションの話かと思ったのに」
上条「安心しろ、ありえんから」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:41:49.47 ID:YfJDfMWCO [5/16]
上条「それより、何の用だ?」
乙姫「?」
上条「用があるから起こしたんだろ?」
乙姫「…ううん?」
上条「じゃあ、やっぱりなんとなく起こしたと」
乙姫「あ、なんとなくじゃなく、一緒に遊びたくて」
上条「つまりいつもの事か」
乙姫「いつもじゃないよ、一年ぶりだよ」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:46:25.38 ID:YfJDfMWCO [6/16]
上条「分かった、分かったけどもう少しソフトにしてくれ」
乙姫「えー」
上条「下手すりゃ入院しちまうから」
乙姫「…わかった」
上条「よろしい、じゃあ何する?」
乙姫「! じゃあねじゃあね、ボンバーマン!」
上条「また古いな!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:50:23.88 ID:YfJDfMWCO [7/16]
…
上条「しまった!」
ドーン
上条「うわぁ…」
カンカンカーン
乙姫「えへへー、大勝利」
上条「クソ…何で俺の周りにはアイテムが無いんだ」
「当麻さーん、乙姫ちゃーん、お風呂よー」
上条「はーい」
乙姫「入ってきなよ」
上条「ああ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:55:43.84 ID:YfJDfMWCO [8/16]
…
カポーン
上条「はー、極楽極楽…」
上条「やっぱり足をのばせるのはいいなぁ」
上条「…いーいゆーだーな」
「ハハハン」
上条「!?」
刀夜「ババンババンバンバン♪」
上条「…不幸だ」ブクブク
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:57:30.98 ID:YfJDfMWCO [9/16]
…
ガチャ
上条「ふいー」
乙姫「お帰り、いいお湯だった?」
上条「…ハァ」
乙姫「え!? 駄目だったの?」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:59:05.94 ID:YfJDfMWCO [10/16]
……
ガチャ
乙姫「上がったよー」
上条「くかー」
乙姫「あら、寝てる」
モゾ
乙姫「おやすみなさい」
カチッ
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:02:39.79 ID:YfJDfMWCO [11/16]
…
チュンチュン
上条「ん…」
上条「久しぶりによく寝たんーっなっと」グイッ
上条「今…7時30分か、習慣ってのはバカにできないな」
乙姫「すぴ」
上条「oh…」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:06:39.61 ID:YfJDfMWCO [12/16]
上条「なんだか久しくなかった展開だからちょっとドキッとしちまったよ…」
乙姫「むにゃ」
上条「はは…よく寝てら」ナデ
詩菜「当麻さん、朝d」ガチャ
詩菜「」バタン
上条「いやいやいやいやいや」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:10:08.30 ID:YfJDfMWCO [13/16]
…
上条「母さんは何だと思ったんだかねっ」パクパク
詩菜「久しぶりに見たからちょっとドキッとしちゃったのよー」
上条「乙姫も、別の部屋に布団用意してあったじゃないか」
乙姫「すーすー」
上条「ここで二度寝するな」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:17:00.89 ID:YfJDfMWCO [14/16]
…
乙姫「いや、布団があったからつい」
上条「つい、ジャネーヨ」
乙姫「習慣ってバカにできないね!」
上条「そんな頻繁に一緒に寝てねーよ!」
詩菜「あら、休みの日なんて朝見れば一緒に寝てましたよ?」
乙姫「お兄ちゃんが起きる前に起きてたからね」
上条「え」
乙姫「冬でも暖かかったでしょ?」
上条「uh…」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 22:10:13.43 ID:YfJDfMWCO [2/19]
…
上条「ふー、食った」
上条「しかし、まだ10時半か…」
夏休み初日にしては随時と健康的な朝を迎えてしまったもんだ
地元の友達誘って遊ぶ手もあるが、いきなり今からで乗ってくれるかは微妙だ
誘うのは明日以降にして、今日はのんびり寝直すのもアリかな
乙姫「ナシだよ!」
上条「人の思考を読むな」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:18:38.08 ID:YfJDfMWCO [3/19]
乙姫「そんな大きな欠伸しても二度寝なんて非生産的な事させないよ!」
上条「さっき飯食いながらしてた奴の台詞じゃねーな」
乙姫「手始めに街へ出掛けましょー。若者気分を満喫しようよ」
上条「断る。ドリンクバーで粘る姿が容易に想像できるからな」
乙姫「約束…」ボソ
上条「ん?」
乙姫「私優先でって言ってくれたのに」
上条「ぐ…、いいだろう」
乙姫「わーい! 水族館!」
上条「目的あるなら先に言え!」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:25:16.98 ID:YfJDfMWCO [4/19]
…
乙姫「だって、水族館行きたいって言ったら断られそうで」
上条「ゲーセン行って、金無いのにデパートプラプラして、ファミレスに籠もるより全然いいよ」
乙姫「むー、私とそんなお出掛けした?」
上条「お前に任せるといっつもそんな感じだ」
乙姫「ふーん、今回はちゃんとリサーチ済みだもん」パサ
上条「どれ…、新しく水族館出来たのか。へー」
乙姫「いいでしょ、行きたいけど一人じゃつまんないし」
上条「ああ、俺も興味あるし行こうか」
乙姫「やったー!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:28:25.43 ID:YfJDfMWCO [5/19]
上条「母さーん、ちょっと乙姫と出掛けてくる」
詩菜「あら、どこに行ってくるのかしら?」
上条「新しく出来たっていう水族館」
詩菜「あらあら、終電に気をつけてね」
上条「ああ?」
上条「って、県北まで行かなきゃ駄目なんじゃん!」
乙姫「え、今頃?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:31:32.48 ID:YfJDfMWCO [6/19]
上条「待て待て、確か街に行くって話をしてたんだよな」
乙姫「街に来たね」
上条「で、こっから乗り継いで遥か県北に行きたいと」
乙姫「行きたーい」
上条「却下」
乙姫「えええええええええええ」
上条「だぁぁ!大声出すなっ」
乙姫「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
上条「小声で伸ばすな!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:41:07.00 ID:YfJDfMWCO [7/19]
上条「ちゃんと場所見なかった俺が悪かった。今日は止めて今度にしよう、な?」
乙姫「お兄ちゃーん、はやくー」ブンブン
上条「なあっ!? いつの間に乗り込んだんだ! ちっ」ピッ
バタン 上条「ぐはっ!?」
「Suicaには対応しておりません」ピンポーン
乙姫「何してるのー?」
上条「…いや、都会に甘やかされてたな、と」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:46:45.11 ID:YfJDfMWCO [8/19]
…
ガタンゴトン…
昼のローカル線に揺られる乙姫と俺
乙姫「あー、あむっ」サクッ
乙姫はさっき買ったコアラのマーチを食べつつ行楽気分を満喫している
乙姫「お兄ちゃん、あーん」
上条「あむ」サクッ
乗客は乙姫と俺、それに婆さんが何人かいるだけ
街を離れ、緑が増えてきた景色の中をワンマンは走り抜ける
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:52:51.30 ID:YfJDfMWCO [9/19]
ガタンゴトン…
乙姫「ふんふふーん」
乙姫は飽きもせず景色を眺めてる
上条「楽しいか?」
乙姫「うん!」
ひまわりみたいな笑顔が返ってきた
乙姫「ほら、あそこ見て」
乙姫の指の先を見る
あちらこちらに枯れ草の山があり、中には燃えているものもある
乙姫「あれ、狼煙かな」
上条「多分違うぞ」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:00:08.00 ID:YfJDfMWCO [10/19]
上条「草刈りしたのを燃やしてんだろ」
乙姫「いやーわかんないよ?」
上条「なんでさ」
乙姫「だって、近くにいる人達みんな変な帽子だし、先住民かもよ」
乙姫、あれは笠だよ…。麦わら帽子とそう変わらないのに、想像力逞しいことだ
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:05:08.02 ID:YfJDfMWCO [11/19]
乙姫「私、最初蟻塚だと思ったんだ」
上条「蟻塚?」
乙姫「それでね、嬉しくて思わず電車を降りたの」
上条「おいおい、はしゃぎすぎだろ」
乙姫「そしたら草の塊でね、すごくがっかりしたよ」
上条「蟻塚に何でそこまで入れ込むかな」
乙姫「せっかく崩せると思って楽しみにしてたのに…」
上条「これまた随分凶悪だことっ」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:08:28.89 ID:YfJDfMWCO [12/19]
乙姫「それに、近くの人に枯れ草の事訊いたら何喋ってるか解らなかったし」
乙姫「やっぱり先住民だよね!」
乙姫、それ訛りや
県北に行く程色が強くなるウチの県の方言や
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:13:48.87 ID:YfJDfMWCO [13/19]
上条「乙姫、思いつきで喋るのは悪い癖だぞ。ちゃんと調べ物をして…」
乙姫「あ!」
ガラッ
上条「…今度は何だよ」
乙姫「おっきな川だ…」
乙姫の瞳には煌めく川の様子が映っていた
乙姫「きれー…」
上条「……だな」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:26:35.41 ID:YfJDfMWCO [14/19]
…
乙姫「到着ー」
上条「ホント、乙姫と一緒だと退屈しないよ」
乙姫「え、褒められた?」
上条「半分は皮肉だからな」
乙姫「じゃあもう半分は褒めてるってことだよね!」
上条「………まあ」
乙姫「いひひー」ニヤニヤ
くっ このテンションにはついて行けない
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:42:16.33 ID:YfJDfMWCO [15/19]
…
上条「ここがその水族館か」
乙姫「想像以上に立派だねー」
上条「こんな立派なの建てても、交通の便が悪くちゃあなぁ」
乙姫「そのお陰でゆっくり楽しめるんだから、地方様々だよ」
上条「まぁなぁ」
乙姫「ほら、はやくはやく!」タタッ
上条「ああっ ゆっくり楽しむんじゃねーのかよ!」
上条「ったく」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:49:20.47 ID:YfJDfMWCO [16/19]
乙姫「まずは珍しい魚のコーナーに行こうよ」
上条「乙姫、昼飯も食ってないのに元気だな」
乙姫「時間がないよお兄ちゃん。逆算するとあと4時間ないんだからね」
上条「そっか、ゴハン食べてる場合じゃありませんね」
乙姫「目指せ、全魚制覇!」
上条「わー」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:52:25.10 ID:YfJDfMWCO [17/19]
…
乙姫「ふふ…ヨツメウオだって」
上条「水面にいる時はいいけど、潜ったら意味ねーよな」
乙姫「潜る気あるのかな?」
上条「この顔はないな」
乙姫「ねえねえ、潜ってみせてよ」
ヨツメ「……」
乙姫「駄目かー」
上条「はい次ー」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:55:45.85 ID:YfJDfMWCO [18/19]
…
乙姫「カニのコーナーだって」
上条「お、沢蟹かー」
乙姫「砂から口に運んでパクパクしてるのかわいいー」
上条「あっちのデカい水槽は海の蟹だな」
乙姫「タラバ…」ゴクリ
上条「腹減ってるなら無理すんな」
26 名前:間違って上げてた[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:58:31.76 ID:YfJDfMWCO [19/19]
…
乙姫「マンタ…?」
上条「エイ」
乙姫「…」
上条「…」
乙姫「今のがエイ?」
上条「マンタ」
乙姫「合ってるの?」
上条「わからん」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:03:44.84 ID:NMAaHA+7O [1/16]
上条「案外人いるな」
乙姫「空きすぎず混みすぎずだね」
上条「県内でもなかなか有数の娯楽施設だろ、ここ」
乙姫「カップルも多いねー」
カップル…ねぇ
上条「…」チラッ
上条「はぁ…」
乙姫「?」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:07:09.46 ID:NMAaHA+7O [2/16]
……
乙姫「ねえねえ!お兄ちゃん!見てる!?」
上条「見てるよ」
乙姫「ペンギン!かわいい!」
上条「かわいいな」
乙姫「きゃーっ!転んだ!かわいい!」
上条「転んだな」
乙姫「ぎゅーって抱きだい!抱き締めたい!」
上条「俺に抱き付くな」ギューッ
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:11:34.20 ID:NMAaHA+7O [3/16]
………
乙姫「あむっ」パクッ
上条「ふー、生き返るー」
乙姫「お腹減ってたから美味しいね!」
上条「全部回っても余裕だったじゃん」
乙姫「あはははは、ごめんなさーい」
上条「やれやれ」
乙姫「一口あげるから許してー」
上条「仕方ないなぁ」
パクッ
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:19:25.10 ID:NMAaHA+7O [4/16]
…
乙姫「あっ!」
上条「ングッ!?」
乙姫「ああ、ごめんね」
上条「ゲホゲホッ …あー、どうした?」
乙姫「ここ、回ってないよ」
上条「どれ…海中トンネルか」
乙姫「通路みたいになってるから気付かなかったよ」
上条「んじゃ、最後そこに行くか」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:29:40.95 ID:NMAaHA+7O [5/16]
…
上条「おおっ なかなか絶景だな!」
乙姫「…」
上条「ん? どうした?」
乙姫「…」
上条「もしもーし? 乙姫s」
乙姫「…すてき」ウットリ
上条「あ…」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:41:12.41 ID:NMAaHA+7O [6/16]
乙姫「見て、海の中にいるみたーい」
乙姫は屈託のない笑顔を浮かべ、俺の目の前でくるりと回った
水槽を透過した光と、魚の鱗の光、たくさんの光に照らされて乙姫の笑顔はより一層輝いて見えた
もし、俺がカメラを持っていたなら、シャッターを切るなら今しかなかっただろう
乙姫「お兄ちゃん?」
上条「あ、悪い…」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:44:24.48 ID:NMAaHA+7O [7/16]
惚けていた俺の目の前に乙姫の顔が現れ、思わず後ずさる
乙姫「ほら、行こうよ」
上条「ああ…」
俺の前を楽しそうに歩く乙姫
水族館を出るまで、俺は魚より乙姫を見ていた
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:46:54.86 ID:NMAaHA+7O [8/16]
乙姫「んーっ 楽しかったー!」
上条「案外良かったな」
乙姫「うん、今日は大成功だね」
上条「ああ」
上条「また来たいな」
乙姫「ホント!?」
上条「あ……まぁな」
乙姫「えへへ…じゃあまた二人で来ようね」
上条「…そうだな」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:54:38.49 ID:NMAaHA+7O [9/16]
…
ガタンゴトン…
乙姫「くー」
上条「やれやれ…」
はしゃぎ疲れて早々に寝てしまった乙姫を肩で支えながら、俺はローカル線に揺られていた
こんな調子で俺は後1ヶ月以上も過ごすのだろうか
従姉妹に振り回されながら暮らす夏休み…
あまり穏やかじゃないな
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 01:02:54.58 ID:NMAaHA+7O [10/16]
上条「そろそろ兄離れしてもいいころじゃないか?」
乙姫の家、竜神家は俺の家から歩いていける距離にある
おまけに乙姫が俺を慕ってくれてるので、一年の約300日以上ウチにいる年もあった
それでも今回の帰省みたいに四六時中ベッタリって程ではなく、上条家に溶け込んでるって方が表現的に正しい
上条「…そのうち飽きるよな」
言ってて寂しいものがある台詞を吐き、俺は乗客のいないローカル線に身を委ねた
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 01:06:35.12 ID:NMAaHA+7O [11/16]
…
「…ちゃん」
「…きて…お…ちゃん」
上条「ん…」
乙姫「お兄ちゃん、運転手さんが待ってるから起きて、降りようよ」
上条「…あ、すみません」
乙姫「やっぱり寝過ごした」
上条「面目ない」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 01:10:31.10 ID:NMAaHA+7O [12/16]
乙姫「にしても、良い夢でも見れたの?」
上条「何で?」
乙姫「お兄ちゃん、すごく穏やかな寝顔だったよ」
上条「そっかぁ?」
乙姫「うん、あ、もしかして私の肩が寝心地良かったとか」
上条「そうかもな」
乙姫「ホント!?」
上条「おう、撫でちゃる」
乙姫「えへへっ」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 01:26:46.47 ID:NMAaHA+7O [13/16]
…
乙姫「たっだいまー」ガチャッ
上条「ただいま」
詩菜「お帰りなさい。乙姫ちゃん、どうでした? 当麻さんとのデートは」
上条「で」
乙姫「とっても楽しかったよ! お兄ちゃんもまた行きたいって!」
刀夜「ハッハッハッ、微笑ましいな」
上条「あのな…父さん、母さん」
詩菜「晩御飯が出来てますよ、ささ、中へ」
乙姫「はーい」
上条「あ、ちょっ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 01:30:58.19 ID:NMAaHA+7O [14/16]
…
乙姫「でね、お兄ちゃんもエイとマンタの違いはわからないんだって」
詩菜「あらあら、当麻さん的にはどちらも大差ないのかしら」
上条「あむ、はぐ」パクパク
刀夜「で、当麻、どうだった?」
上条「何が?」モグモグ
刀夜「乙姫ちゃんとのデートだよ!」
上条「だから、あれはだな…」
刀夜「もうキスしたのか?」
上条「ぶはっ」
50 名前:>>47thx[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 01:35:03.46 ID:NMAaHA+7O [15/16]
上条「ゲホッゲホッ」
刀夜「何だ? その面白みにかける反応は」
上条「父さんが変な事言うからだろ!」
刀夜「父さんが変な事言うのは昔からだろ」
上条「」
刀夜「状態を真に受けるとは…」
上条「あの…父さん?」
刀夜「…なるほどナ」ニヤリ
嫌な予感しかしない
ここでスレスト。再立ては無いそうです
上条「お、野菜に米、ありがたいなあ」
上条「ん? 手紙だ」
『当麻、元気でやってるか?
父さん達は元気でやってるぞ。
不幸体質は治ったか?
また御利益グッズを送ってやるから肌身離さず持ち歩くんだぞ。』
上条「…父さんは相変わらずだなぁ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:45:14.44 ID:nskZs8hlO
『そうそう、父さん達、今度引っ越すことにしたんだ。
いい新築の家があってな。まだ先の話だが、9月には移ろうと思う。
お前ももうすぐ夏休みだろ、慣れ親しんだ家にお別れしに来たらどうだ?
たまには連絡くれよ。』
上条「え!? 急すぎるだろ!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:52:17.29 ID:nskZs8hlO
…
小萌「相談…ですか?」
上条「はい」
小萌「テストの点数を上げる相談なら聞けませんよ?」
上条「いえ、補習の件なんですけど…」
~
小萌「そういうことですかー」
上条「課題って形でも全然オッケーなんで、どうかひとつ…」
小萌「……しょうがないですねー」
上条「じゃあ!」
小萌「終業式までに用意するので、式が終わったら取りに来て下さいね」
上条「ありがとうございます!」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 21:58:47.75 ID:nskZs8hlO
……
上条「失礼しましたー」ガラガラ
上条「さて、課題ももらったし、帰るか」
ミーンミンミンミン
上条「あつっ」
上条「夏休み…か」
高校に入って初めての夏休み
クラスの友人達は海水浴やらバーベキュー
それに、甘酸っぱい一夏の思い出作りの計画に大忙しだ
上条「初日から帰省するのなんか俺ぐらいだろうなぁ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:07:53.28 ID:nskZs8hlO
…
カチャン
上条「戸締まりよし…行くか」
親元を離れ、初めての帰省
始めの内は遠いし面倒だしで気乗りしなかったのに、いざ帰るとなるとワクワクしてくるから不思議だ
ただ実家に帰るだけなのに、自然と足取りが軽くなる
上条「帰省本能…ってやつかな」
だったら、新しい家に家族が引っ越してたら、どうだろう?
上条「どんな気持ちで帰ってたんだろうな…」
美琴「あ」
上条「お、よう」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:10:28.36 ID:nskZs8hlO
美琴「どうしたの? その旅行カバン」
上条「ああ、ちょっと実家に」
美琴「帰省? 夏休みは明日からよ」
上条「自分でも早いと思うよ」クスッ
美琴「何? ホームシック?」
上条「かもな」クスクス
上条「じゃあなービリビリ」
美琴「…変なの」ヒラヒラ
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:19:05.02 ID:nskZs8hlO
…
ガタンゴトン…
上条「誰も乗ってねーな」
1日4本しか走ってないローカル線に揺られはや1時間
同じ車両には誰一人として客がいない
窓がら見える景色もビル群から疎らな住宅地、農村、山へと移りゆく
上条「あと1時間半か…」
俺はCDを入れ替え、携帯のアラームをセットし、瞼を閉じた
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:21:53.24 ID:nskZs8hlO
……
…
「お客さん」
…
「終点だよ、お客さん」
上条「ん…」
上条「……あ、寝過ごした」
「もう電車ないけど大丈夫かい?」
上条「あ、大丈夫です」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:27:21.58 ID:nskZs8hlO
アラームに気付かず熟睡してしまった俺は、終点である隣駅で夜空を見上げてた
上条「大丈夫って言ったものの、面倒だなぁ」
一駅前なら家の近所なのだが、終点まで来ると郊外に出る
上条「こっちってバスの終わりも早いんだよなぁ」
歩いて帰れる距離だが、また1時間ぐらい歩くことになる
上条「しょうがない、父さんに迎えに来てもらうか…」
「おおーい!」
上条「なんだ?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:31:32.49 ID:nskZs8hlO
乙姫「おにーちゃーん!」キコキコ
上条「乙姫!」
キキッ
乙姫「お帰り!お兄ちゃん!」
上条「ただいま、どうしてここが?」
乙姫「メールも電話も応答ナシだったから、多分寝過ごしたんじゃないなかって」
上条「すげぇ、ドンピシャだ」
乙姫「やっぱり」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:36:10.74 ID:nskZs8hlO
乙姫「お兄ちゃんよく終点まで行ってたもんね」クスッ
上条「そんな頻繁でもないだろ?」
乙姫「元の回数が少ないからでしょ? 電車で隣街とか行くと必ず寝過ごすもん」
上条「そうだったかな?」
乙姫「そうだよ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:38:42.16 ID:nskZs8hlO
上条「それにしても、どうして乙姫が?」
乙姫「お兄ちゃんが今日帰ってくるって、おじちゃん達に聞いたんだよ」
上条「それでわざわざ…ありがとな」ナデナデ
乙姫「ん…えへへ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:45:20.36 ID:nskZs8hlO
…
詩菜「…はい、気をつけてね」
ピッ
詩菜「乙姫ちゃん、当麻さんと合流できたみたい」
刀夜「それは良かった。昼過ぎから待っていた上、すれ違いになったら可哀想だからな」
詩菜「乙女の勘は当たるんですよ」
刀夜「単に当麻の動向がわかりやすいだけかもしれんがな」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:49:57.29 ID:nskZs8hlO
…
上条「乙姫、ちょっと背伸びたか?」
乙姫「あ、分かる?」
上条「なんか頭撫でた時の感じが違ったから」
乙姫「でも、お兄ちゃんも伸びてるよね?」
上条「あ、そうだな。なんとなくなのかな」
乙姫「長い付き合いの成せる技だね」
上条「はは…かもな」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 22:55:21.76 ID:nskZs8hlO
…
テクテク カラカラ
上条「こっちは落ち着くなー」
乙姫「やっぱり学園都市って都会?」
上条「都会っていうか、もう外国だよあそこは」
乙姫「ふーん」
上条「夜でも明るいからこんなに星空が綺麗に見えないしな」
乙姫「そう言われると、自分がすごく贅沢してるみたいに思えてくるなー」
上条「贅沢も贅沢さ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:00:36.70 ID:nskZs8hlO
上条「乙姫が来るまで見上げてて思ったたんだけど、不便なままでいいこともあるんだな」
乙姫「どういうこと?」
上条「街の灯りで見えなくなる星空みたいに、便利すぎて失うものもあるんだなーって」
乙姫「便利すぎて不便ってこと?」
上条「そうそう、正解」
乙姫「やった! 撫でて」
上条「エライエライ」ナデナデ
乙姫「んふー」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:14:36.18 ID:nskZs8hlO
上条「でも、今でこそ星空見上げて穏やかな気持ちになれてるけど、これで徒歩で帰ることになってたかも思うと…」
乙姫「ちょっと退屈かもね」
上条「ああ、乙姫が来てくれて良かったよ」
乙姫「えへへ」
上条「歩いて帰るのも悪くないな」
乙姫「遠回りする?」
上条「いや、それはいいや」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:31:03.75 ID:nskZs8hlO
上条「どうだ? 新しいクラスは楽しいか?」
乙姫「楽しいよ、まぁそんなに人数いないから席替えぐらいにしか思ってないし」
上条「そっか、そうだよな」
乙姫「それよりも、休みにお兄ちゃんがいなくてつまんないよー」
上条「仕方ないだろ、帰るにも結構遠いし、呼ぶにも手続き面倒だし」
乙姫「愛がないよ、お兄ちゃん」
上条「俺以外の…クラスの友人と遊びなさい」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:36:16.89 ID:nskZs8hlO
乙姫「そりゃあ遊ぶけど、土曜の夜とか気軽に遊びに行って、そのまま泊まれる場所がなくなっちゃってつまんないよぅ」
乙姫「去年なんか受験だ何だであんまり遊べなかったから楽しみにしてたのに…」
上条「あー…、俺も学園都市に行くとは思ってなかったからな」
乙姫「うーっ」
上条「むぅ…」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:38:48.81 ID:nskZs8hlO
上条「わ、分かった分かった。夏休みはできるだけ乙姫優先にするから」
乙姫「本当!」
上条「できるだけ」
乙姫「やったー! 31日まで予定詰めなきゃ!」
上条「え、ちょ、おい」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:47:32.18 ID:nskZs8hlO
…
乙姫「ただいまー!」
上条「ただいま」
刀夜「おお! 待ちくたびれたぞ」
詩菜「二人ともお帰りなさい。すぐご飯準備しますね」
乙姫「みんなお兄ちゃんを待ってたから食べてないんだよ」
上条「そんな、食ってて良かったのに」
刀夜「当麻、それは違うぞ」
詩菜「みんなで食べる為に作った料理なんだから、みんなで食べなきゃ美味しくないでしょ?」
上条「いや、母さんの料理はいつだって美味いし」
詩菜「あらあら、当麻さんたら」
刀夜「こりゃ一本とられたな!」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/19(月) 23:54:52.32 ID:nskZs8hlO [23/23]
乙姫「お兄ちゃん、ご飯準備出来てるよ!」
詩菜「あら、すっかり話込んでしまったわ」
刀夜「さぁ、いつまでも玄関なんかに居ないで上がった上がった」
上条「好きでいたんじゃないんだけどな」
乙姫「おにいちゃーん!」
上条「ああ!はいはい!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:03:26.99 ID:YfJDfMWCO [1/16]
…
乙姫「お兄ちゃん、これ私が作ったんだよ」
上条「ん、どれどれ」
乙姫「これだよ、はい」ヒョイ
上条「あむ」パク
乙姫「どう?」
上条「ん、なかなか」モグモグ
詩菜「あらあら、ご馳走様」
刀夜「見せつけてくれるなぁ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:07:34.10 ID:YfJDfMWCO [2/16]
上条「何を今更」
刀夜「いや、久しぶりに見たからつい、な」
上条「だいたい父さん達がいつもやってるから」
乙姫「あーん」スッ
上条「あぐ…乙姫が真似を始めたんだろ」モグモグ
詩菜「当麻さん、喋るのは食べ終わってからよ」スッ
刀夜「まぐ…そうだぞ」モグモグ
乙姫「おじちゃん、みっともない」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:15:49.64 ID:YfJDfMWCO [3/16]
…
ドサッ
上条「ああ…食い過ぎた」
上条「母さんの料理、うまかったなぁ」
久しぶりの自室のベッドに体を投げ出す
今日の日中に母さんが干してくれたのだろう、いい匂いがする
上条「ああ…気持ちいい」ゴロン
今日はこのまま寝てしまおうか…
乙姫「てやっ」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:30:28.71 ID:YfJDfMWCO [4/16]
ボスンッ
上条「ぐはっ!?」
乙姫「おにーいちゃーんっ」ギュッ
上条「乙姫…しばらく見ない間に大きくなったな…」
乙姫「わかるの!?」
上条「ボディプレスの威力が上がってたら分かるわっ!!」
乙姫「ちぇー、プロポーションの話かと思ったのに」
上条「安心しろ、ありえんから」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:41:49.47 ID:YfJDfMWCO [5/16]
上条「それより、何の用だ?」
乙姫「?」
上条「用があるから起こしたんだろ?」
乙姫「…ううん?」
上条「じゃあ、やっぱりなんとなく起こしたと」
乙姫「あ、なんとなくじゃなく、一緒に遊びたくて」
上条「つまりいつもの事か」
乙姫「いつもじゃないよ、一年ぶりだよ」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:46:25.38 ID:YfJDfMWCO [6/16]
上条「分かった、分かったけどもう少しソフトにしてくれ」
乙姫「えー」
上条「下手すりゃ入院しちまうから」
乙姫「…わかった」
上条「よろしい、じゃあ何する?」
乙姫「! じゃあねじゃあね、ボンバーマン!」
上条「また古いな!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:50:23.88 ID:YfJDfMWCO [7/16]
…
上条「しまった!」
ドーン
上条「うわぁ…」
カンカンカーン
乙姫「えへへー、大勝利」
上条「クソ…何で俺の周りにはアイテムが無いんだ」
「当麻さーん、乙姫ちゃーん、お風呂よー」
上条「はーい」
乙姫「入ってきなよ」
上条「ああ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:55:43.84 ID:YfJDfMWCO [8/16]
…
カポーン
上条「はー、極楽極楽…」
上条「やっぱり足をのばせるのはいいなぁ」
上条「…いーいゆーだーな」
「ハハハン」
上条「!?」
刀夜「ババンババンバンバン♪」
上条「…不幸だ」ブクブク
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:57:30.98 ID:YfJDfMWCO [9/16]
…
ガチャ
上条「ふいー」
乙姫「お帰り、いいお湯だった?」
上条「…ハァ」
乙姫「え!? 駄目だったの?」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 00:59:05.94 ID:YfJDfMWCO [10/16]
……
ガチャ
乙姫「上がったよー」
上条「くかー」
乙姫「あら、寝てる」
モゾ
乙姫「おやすみなさい」
カチッ
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:02:39.79 ID:YfJDfMWCO [11/16]
…
チュンチュン
上条「ん…」
上条「久しぶりによく寝たんーっなっと」グイッ
上条「今…7時30分か、習慣ってのはバカにできないな」
乙姫「すぴ」
上条「oh…」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:06:39.61 ID:YfJDfMWCO [12/16]
上条「なんだか久しくなかった展開だからちょっとドキッとしちまったよ…」
乙姫「むにゃ」
上条「はは…よく寝てら」ナデ
詩菜「当麻さん、朝d」ガチャ
詩菜「」バタン
上条「いやいやいやいやいや」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:10:08.30 ID:YfJDfMWCO [13/16]
…
上条「母さんは何だと思ったんだかねっ」パクパク
詩菜「久しぶりに見たからちょっとドキッとしちゃったのよー」
上条「乙姫も、別の部屋に布団用意してあったじゃないか」
乙姫「すーすー」
上条「ここで二度寝するな」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 01:17:00.89 ID:YfJDfMWCO [14/16]
…
乙姫「いや、布団があったからつい」
上条「つい、ジャネーヨ」
乙姫「習慣ってバカにできないね!」
上条「そんな頻繁に一緒に寝てねーよ!」
詩菜「あら、休みの日なんて朝見れば一緒に寝てましたよ?」
乙姫「お兄ちゃんが起きる前に起きてたからね」
上条「え」
乙姫「冬でも暖かかったでしょ?」
上条「uh…」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 22:10:13.43 ID:YfJDfMWCO [2/19]
…
上条「ふー、食った」
上条「しかし、まだ10時半か…」
夏休み初日にしては随時と健康的な朝を迎えてしまったもんだ
地元の友達誘って遊ぶ手もあるが、いきなり今からで乗ってくれるかは微妙だ
誘うのは明日以降にして、今日はのんびり寝直すのもアリかな
乙姫「ナシだよ!」
上条「人の思考を読むな」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:18:38.08 ID:YfJDfMWCO [3/19]
乙姫「そんな大きな欠伸しても二度寝なんて非生産的な事させないよ!」
上条「さっき飯食いながらしてた奴の台詞じゃねーな」
乙姫「手始めに街へ出掛けましょー。若者気分を満喫しようよ」
上条「断る。ドリンクバーで粘る姿が容易に想像できるからな」
乙姫「約束…」ボソ
上条「ん?」
乙姫「私優先でって言ってくれたのに」
上条「ぐ…、いいだろう」
乙姫「わーい! 水族館!」
上条「目的あるなら先に言え!」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:25:16.98 ID:YfJDfMWCO [4/19]
…
乙姫「だって、水族館行きたいって言ったら断られそうで」
上条「ゲーセン行って、金無いのにデパートプラプラして、ファミレスに籠もるより全然いいよ」
乙姫「むー、私とそんなお出掛けした?」
上条「お前に任せるといっつもそんな感じだ」
乙姫「ふーん、今回はちゃんとリサーチ済みだもん」パサ
上条「どれ…、新しく水族館出来たのか。へー」
乙姫「いいでしょ、行きたいけど一人じゃつまんないし」
上条「ああ、俺も興味あるし行こうか」
乙姫「やったー!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:28:25.43 ID:YfJDfMWCO [5/19]
上条「母さーん、ちょっと乙姫と出掛けてくる」
詩菜「あら、どこに行ってくるのかしら?」
上条「新しく出来たっていう水族館」
詩菜「あらあら、終電に気をつけてね」
上条「ああ?」
上条「って、県北まで行かなきゃ駄目なんじゃん!」
乙姫「え、今頃?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:31:32.48 ID:YfJDfMWCO [6/19]
上条「待て待て、確か街に行くって話をしてたんだよな」
乙姫「街に来たね」
上条「で、こっから乗り継いで遥か県北に行きたいと」
乙姫「行きたーい」
上条「却下」
乙姫「えええええええええええ」
上条「だぁぁ!大声出すなっ」
乙姫「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
上条「小声で伸ばすな!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:41:07.00 ID:YfJDfMWCO [7/19]
上条「ちゃんと場所見なかった俺が悪かった。今日は止めて今度にしよう、な?」
乙姫「お兄ちゃーん、はやくー」ブンブン
上条「なあっ!? いつの間に乗り込んだんだ! ちっ」ピッ
バタン 上条「ぐはっ!?」
「Suicaには対応しておりません」ピンポーン
乙姫「何してるのー?」
上条「…いや、都会に甘やかされてたな、と」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:46:45.11 ID:YfJDfMWCO [8/19]
…
ガタンゴトン…
昼のローカル線に揺られる乙姫と俺
乙姫「あー、あむっ」サクッ
乙姫はさっき買ったコアラのマーチを食べつつ行楽気分を満喫している
乙姫「お兄ちゃん、あーん」
上条「あむ」サクッ
乗客は乙姫と俺、それに婆さんが何人かいるだけ
街を離れ、緑が増えてきた景色の中をワンマンは走り抜ける
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 22:52:51.30 ID:YfJDfMWCO [9/19]
ガタンゴトン…
乙姫「ふんふふーん」
乙姫は飽きもせず景色を眺めてる
上条「楽しいか?」
乙姫「うん!」
ひまわりみたいな笑顔が返ってきた
乙姫「ほら、あそこ見て」
乙姫の指の先を見る
あちらこちらに枯れ草の山があり、中には燃えているものもある
乙姫「あれ、狼煙かな」
上条「多分違うぞ」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:00:08.00 ID:YfJDfMWCO [10/19]
上条「草刈りしたのを燃やしてんだろ」
乙姫「いやーわかんないよ?」
上条「なんでさ」
乙姫「だって、近くにいる人達みんな変な帽子だし、先住民かもよ」
乙姫、あれは笠だよ…。麦わら帽子とそう変わらないのに、想像力逞しいことだ
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:05:08.02 ID:YfJDfMWCO [11/19]
乙姫「私、最初蟻塚だと思ったんだ」
上条「蟻塚?」
乙姫「それでね、嬉しくて思わず電車を降りたの」
上条「おいおい、はしゃぎすぎだろ」
乙姫「そしたら草の塊でね、すごくがっかりしたよ」
上条「蟻塚に何でそこまで入れ込むかな」
乙姫「せっかく崩せると思って楽しみにしてたのに…」
上条「これまた随分凶悪だことっ」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:08:28.89 ID:YfJDfMWCO [12/19]
乙姫「それに、近くの人に枯れ草の事訊いたら何喋ってるか解らなかったし」
乙姫「やっぱり先住民だよね!」
乙姫、それ訛りや
県北に行く程色が強くなるウチの県の方言や
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:13:48.87 ID:YfJDfMWCO [13/19]
上条「乙姫、思いつきで喋るのは悪い癖だぞ。ちゃんと調べ物をして…」
乙姫「あ!」
ガラッ
上条「…今度は何だよ」
乙姫「おっきな川だ…」
乙姫の瞳には煌めく川の様子が映っていた
乙姫「きれー…」
上条「……だな」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:26:35.41 ID:YfJDfMWCO [14/19]
…
乙姫「到着ー」
上条「ホント、乙姫と一緒だと退屈しないよ」
乙姫「え、褒められた?」
上条「半分は皮肉だからな」
乙姫「じゃあもう半分は褒めてるってことだよね!」
上条「………まあ」
乙姫「いひひー」ニヤニヤ
くっ このテンションにはついて行けない
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:42:16.33 ID:YfJDfMWCO [15/19]
…
上条「ここがその水族館か」
乙姫「想像以上に立派だねー」
上条「こんな立派なの建てても、交通の便が悪くちゃあなぁ」
乙姫「そのお陰でゆっくり楽しめるんだから、地方様々だよ」
上条「まぁなぁ」
乙姫「ほら、はやくはやく!」タタッ
上条「ああっ ゆっくり楽しむんじゃねーのかよ!」
上条「ったく」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:49:20.47 ID:YfJDfMWCO [16/19]
乙姫「まずは珍しい魚のコーナーに行こうよ」
上条「乙姫、昼飯も食ってないのに元気だな」
乙姫「時間がないよお兄ちゃん。逆算するとあと4時間ないんだからね」
上条「そっか、ゴハン食べてる場合じゃありませんね」
乙姫「目指せ、全魚制覇!」
上条「わー」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:52:25.10 ID:YfJDfMWCO [17/19]
…
乙姫「ふふ…ヨツメウオだって」
上条「水面にいる時はいいけど、潜ったら意味ねーよな」
乙姫「潜る気あるのかな?」
上条「この顔はないな」
乙姫「ねえねえ、潜ってみせてよ」
ヨツメ「……」
乙姫「駄目かー」
上条「はい次ー」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/20(火) 23:55:45.85 ID:YfJDfMWCO [18/19]
…
乙姫「カニのコーナーだって」
上条「お、沢蟹かー」
乙姫「砂から口に運んでパクパクしてるのかわいいー」
上条「あっちのデカい水槽は海の蟹だな」
乙姫「タラバ…」ゴクリ
上条「腹減ってるなら無理すんな」
26 名前:間違って上げてた[sage] 投稿日:2010/04/20(火) 23:58:31.76 ID:YfJDfMWCO [19/19]
…
乙姫「マンタ…?」
上条「エイ」
乙姫「…」
上条「…」
乙姫「今のがエイ?」
上条「マンタ」
乙姫「合ってるの?」
上条「わからん」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:03:44.84 ID:NMAaHA+7O [1/16]
上条「案外人いるな」
乙姫「空きすぎず混みすぎずだね」
上条「県内でもなかなか有数の娯楽施設だろ、ここ」
乙姫「カップルも多いねー」
カップル…ねぇ
上条「…」チラッ
上条「はぁ…」
乙姫「?」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:07:09.46 ID:NMAaHA+7O [2/16]
……
乙姫「ねえねえ!お兄ちゃん!見てる!?」
上条「見てるよ」
乙姫「ペンギン!かわいい!」
上条「かわいいな」
乙姫「きゃーっ!転んだ!かわいい!」
上条「転んだな」
乙姫「ぎゅーって抱きだい!抱き締めたい!」
上条「俺に抱き付くな」ギューッ
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:11:34.20 ID:NMAaHA+7O [3/16]
………
乙姫「あむっ」パクッ
上条「ふー、生き返るー」
乙姫「お腹減ってたから美味しいね!」
上条「全部回っても余裕だったじゃん」
乙姫「あはははは、ごめんなさーい」
上条「やれやれ」
乙姫「一口あげるから許してー」
上条「仕方ないなぁ」
パクッ
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:19:25.10 ID:NMAaHA+7O [4/16]
…
乙姫「あっ!」
上条「ングッ!?」
乙姫「ああ、ごめんね」
上条「ゲホゲホッ …あー、どうした?」
乙姫「ここ、回ってないよ」
上条「どれ…海中トンネルか」
乙姫「通路みたいになってるから気付かなかったよ」
上条「んじゃ、最後そこに行くか」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 00:29:40.95 ID:NMAaHA+7O [5/16]
…
上条「おおっ なかなか絶景だな!」
乙姫「…」
上条「ん? どうした?」
乙姫「…」
上条「もしもーし? 乙姫s」
乙姫「…すてき」ウットリ
上条「あ…」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:41:12.41 ID:NMAaHA+7O [6/16]
乙姫「見て、海の中にいるみたーい」
乙姫は屈託のない笑顔を浮かべ、俺の目の前でくるりと回った
水槽を透過した光と、魚の鱗の光、たくさんの光に照らされて乙姫の笑顔はより一層輝いて見えた
もし、俺がカメラを持っていたなら、シャッターを切るなら今しかなかっただろう
乙姫「お兄ちゃん?」
上条「あ、悪い…」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:44:24.48 ID:NMAaHA+7O [7/16]
惚けていた俺の目の前に乙姫の顔が現れ、思わず後ずさる
乙姫「ほら、行こうよ」
上条「ああ…」
俺の前を楽しそうに歩く乙姫
水族館を出るまで、俺は魚より乙姫を見ていた
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:46:54.86 ID:NMAaHA+7O [8/16]
乙姫「んーっ 楽しかったー!」
上条「案外良かったな」
乙姫「うん、今日は大成功だね」
上条「ああ」
上条「また来たいな」
乙姫「ホント!?」
上条「あ……まぁな」
乙姫「えへへ…じゃあまた二人で来ようね」
上条「…そうだな」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 00:54:38.49 ID:NMAaHA+7O [9/16]
…
ガタンゴトン…
乙姫「くー」
上条「やれやれ…」
はしゃぎ疲れて早々に寝てしまった乙姫を肩で支えながら、俺はローカル線に揺られていた
こんな調子で俺は後1ヶ月以上も過ごすのだろうか
従姉妹に振り回されながら暮らす夏休み…
あまり穏やかじゃないな
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 01:02:54.58 ID:NMAaHA+7O [10/16]
上条「そろそろ兄離れしてもいいころじゃないか?」
乙姫の家、竜神家は俺の家から歩いていける距離にある
おまけに乙姫が俺を慕ってくれてるので、一年の約300日以上ウチにいる年もあった
それでも今回の帰省みたいに四六時中ベッタリって程ではなく、上条家に溶け込んでるって方が表現的に正しい
上条「…そのうち飽きるよな」
言ってて寂しいものがある台詞を吐き、俺は乗客のいないローカル線に身を委ねた
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 01:06:35.12 ID:NMAaHA+7O [11/16]
…
「…ちゃん」
「…きて…お…ちゃん」
上条「ん…」
乙姫「お兄ちゃん、運転手さんが待ってるから起きて、降りようよ」
上条「…あ、すみません」
乙姫「やっぱり寝過ごした」
上条「面目ない」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/21(水) 01:10:31.10 ID:NMAaHA+7O [12/16]
乙姫「にしても、良い夢でも見れたの?」
上条「何で?」
乙姫「お兄ちゃん、すごく穏やかな寝顔だったよ」
上条「そっかぁ?」
乙姫「うん、あ、もしかして私の肩が寝心地良かったとか」
上条「そうかもな」
乙姫「ホント!?」
上条「おう、撫でちゃる」
乙姫「えへへっ」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 01:26:46.47 ID:NMAaHA+7O [13/16]
…
乙姫「たっだいまー」ガチャッ
上条「ただいま」
詩菜「お帰りなさい。乙姫ちゃん、どうでした? 当麻さんとのデートは」
上条「で」
乙姫「とっても楽しかったよ! お兄ちゃんもまた行きたいって!」
刀夜「ハッハッハッ、微笑ましいな」
上条「あのな…父さん、母さん」
詩菜「晩御飯が出来てますよ、ささ、中へ」
乙姫「はーい」
上条「あ、ちょっ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 01:30:58.19 ID:NMAaHA+7O [14/16]
…
乙姫「でね、お兄ちゃんもエイとマンタの違いはわからないんだって」
詩菜「あらあら、当麻さん的にはどちらも大差ないのかしら」
上条「あむ、はぐ」パクパク
刀夜「で、当麻、どうだった?」
上条「何が?」モグモグ
刀夜「乙姫ちゃんとのデートだよ!」
上条「だから、あれはだな…」
刀夜「もうキスしたのか?」
上条「ぶはっ」
50 名前:>>47thx[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 01:35:03.46 ID:NMAaHA+7O [15/16]
上条「ゲホッゲホッ」
刀夜「何だ? その面白みにかける反応は」
上条「父さんが変な事言うからだろ!」
刀夜「父さんが変な事言うのは昔からだろ」
上条「」
刀夜「状態を真に受けるとは…」
上条「あの…父さん?」
刀夜「…なるほどナ」ニヤリ
嫌な予感しかしない
ここでスレスト。再立ては無いそうです
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