スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
梓「右手が……疼きますっ……!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:13:37.84 ID:bQE+nCd00
律「へ?」
唯「あずにゃんどーしたの?」
澪「!」
紬「右手が疼く?」
梓「はいっ……! なんだかビリビリと……」
唯「たいへんだあ」
澪「…………」
律「へ?」
唯「あずにゃんどーしたの?」
澪「!」
紬「右手が疼く?」
梓「はいっ……! なんだかビリビリと……」
唯「たいへんだあ」
澪「…………」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:15:58.89 ID:3hqz/lFNO [1/105]
律「ムギ! 救急箱だ!」
紬「はい!」
唯「先生っ! あずにゃんは、あずにゃんはどうなってしまうのですかぁ!」
律「心配しないでください、お母さん。梓さんは私が助けてみせます! 命に代えても……!」
唯「先生っ!」
梓「先……輩っ、遊んでないで……」
唯「あわわわわわ」
紬「りっちゃん、救急箱よ!」パカッ
律「うー、それはそうとして、いったいどんな処置をすれば……」
梓「っ……」
唯「せっ、先生!」
紬「りっちゃん!」
律「ううう……」
澪「……包帯を巻け」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:19:32.21 ID:3hqz/lFNO
律「へ? なんだって?」
澪「いいから早く!」
唯「!」ビクッ
律「あ、ああ!」
―――――――――――――
律「梓……、どうだ?」
唯「あずにゃん……」
梓「……ん、だいぶ良くなりました」
紬「本当!?」
梓「はい! さっきまでの痛みが嘘のようです!」
澪「これでいいだろ、梓」
梓「? は、はい……」
唯「よかったあ」
紬「でも、今のはなんだったのかしら?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:24:12.20 ID:3hqz/lFNO
梓「私にも、よく分かりません……。いきなり痛み出したんです」
唯「どこかにぶつけたりしたの?」
梓「いえ……」
紬「早いうちに病院に行った方がいいかもしれないわ」
律「…………」ジーッ
澪「……なんだ、律?」
律「なんでなんだ?」
唯「へ?」
澪「…………」
律「どうしてそんなに冷静でいられたんだ?」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:27:47.94 ID:3hqz/lFNO
澪「……別に」
唯「澪ちゃん」
律「なんでだ」
澪「…………」
紬「りっちゃん……」
律「なんか言えよ! 梓の痛みの原因知ってるんだろ!?」
澪「……言えない」
律「言えよ! 後輩の怪我だぞ!」
梓「やめてください!」
唯「!」ビクッ
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:33:47.17 ID:3hqz/lFNO
さわ子「ちなみにあずにゃんは本当に痛みを感じています☆」
~~~~~~~~~~~~~
律「梓……」
梓「痛みの原因……、気になりますけど、澪先輩が『言えない』って言うのなら知らなくていいです!」
唯「あずにゃん」
梓「だから、喧嘩しないでください……! 私はもう大丈夫ですから……」
律「……分かった、ごめん」
澪「……ごめん」
梓「…………」
紬「…………」
唯「ん」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:38:37.52 ID:3hqz/lFNO
紬「……そっ、そうだ! お茶にしない?」
唯「おっ、いいねえ」
律「ごめん、私今日は帰るわ」
梓「えっ」
紬「あ……そう」
唯「えー、りっちゃん帰るの」
澪「……なぁ、今日はもう解散でいいだろ。梓の腕の痛みも心配だし」
梓「わ、私は!
紬「そうね」
紬「今日はみんな帰りましょ……」
梓「先輩……」
唯「ん」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:43:31.18 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―帰り道―
唯「りっちゃん、先に行っちゃった」
紬「……明日になればいつものりっちゃんに戻ってるはずだわ」
澪「…………」
梓「……すみません」
唯「? なんであずにゃんが謝るの?」
梓「え? いや……」
唯「あずにゃんは悪くないよ。だーれも悪くないよ」
梓「でも……」
澪「…………」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:45:59.86 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
紬「じゃあ、私はこの辺で……」
澪「あ、ああ」
梓「さようなら、ムギ先輩」
唯「ばいばい、ムギちゃん」
紬「うん」スタスタ
梓「あ、私はこっちに行くんで……」
唯「え? あずにゃんの家って」
梓「一応病院に行ってみようと思って……」
澪「…………」
唯「えっ、あずにゃんどっか痛いの?」
梓「え? あの、さっきの右手が……」
唯「あ、そっか」
梓「それじゃあ、さようなら、唯先輩、澪先輩」
澪「なぁ、梓」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:50:01.30 ID:3hqz/lFNO
梓「は、はいっ!」
澪「私も行くよ」
唯「えっ、澪ちゃんずるーい。私も行く」
梓「大丈夫です! 先輩方に迷惑はかけられません!」
澪「梓、私のことは気にしないでいいから」
唯「あ、私もぉ」
澪「唯は帰れ」
梓「!」
唯「え、なんで」
澪「あまり大勢で行っても邪魔になるだろ」
唯「ん、仕方ないなぁ。じゃ、あずにゃんは澪ちゃんに任せた!」
澪「ああ、任せてくれ」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:55:18.82 ID:3hqz/lFNO
唯「澪ちゃん、あずにゃん、ばいばーい」
澪「うん、また明日」
梓「……さようなら」
―――――――――――――
澪「…………」
梓「…………」
澪「……なぁ」
梓「!」
澪「いつからだ?」
梓「なにが……?」
澪「ほら……、その、右手の……」
梓「…………」
梓「……知ってるんですか?」
澪「……ああ」
梓「!」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:59:34.48 ID:3hqz/lFNO
梓「……教えてください」
澪「?」
梓「この右手の痛みの原因! 知ってるなら教えてください!」
澪「へ?」
梓「へ?、じゃないです! 澪先輩が知ってるなら教えてくれたっていいじゃないですか!」
澪「……そうか」
梓「な、なんです」
澪「そういうアレね……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:03:29.50 ID:3hqz/lFNO
梓「……言ってる意味がよく分かりません」
澪「悪かったよ。そういうタイプだって知らなかったから」
梓「ちゃんと分かるように教えてください!」
澪「そう怒るなよ、説明する」
梓「!」
澪「実は……、私も梓と同じ症状になったことがある」
梓「澪先輩の……右手も……!」
澪「そうだ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:08:40.97 ID:3hqz/lFNO
澪「私の場合、中二のときに発症した」
梓「そんなに前から……」
澪「あ、でも今はそんなの全然ないから」
梓「確かに、私は澪先輩の右手が痛む所は見たことないです」
澪「まぁ、この年で発症するとキツいからな」
梓「そうなんですか!?」
澪「うん、周りの目がね」
梓「?」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:12:23.13 ID:3hqz/lFNO
梓「周りの目、って……。そんなのどうしようもないじゃないですか」
澪「え? ……ああ、そういうタイプだったな」
梓「? そのタイプってなんなんですか?」
澪「いや、ほら、あれだろ?」
梓「?」
澪「梓は、ほら、力に目覚めてはいるのにまだ自覚してない、って設定なんだろ?」
梓「は?」
澪「そこまで徹底するなんてすごいよ」
梓「……混乱してきました」
澪「梓。悪いことは言わない。すぐにそれをやめろ」
梓「澪……先輩?」
澪「それは中二病っていう病気だ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:16:52.05 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―中野家―
梓(あの後、結局病院に行かずに帰ってきちゃった……)
梓(澪先輩が行く必要はない、って言ってたけど)
梓(不安だなぁ)
梓「はぁ……」
梓(そうだ! 今日はあまり練習出来なかったし、うちで練習して明日……)
梓「明日……」
梓(律先輩……)
梓「…………」
梓「……練習しよっ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:21:00.40 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
梓(ふんふんふふ~ん♪)
梓(ふふふ~んふふ~ん♪)
梓(ん、調子いいかも……)
梓(――――)
梓(――――!!)ズキッ
梓「痛っ!」
梓(まただ……! これが中二病……?)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:25:43.10 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―翌日の教室―
憂「それで、大丈夫だったの?」
梓「うん。痛んでも少し黙ってたら良くなるから」
憂「それにしても、中二病かぁ……。初めて聞いたなぁ」
梓「私も。でも澪先輩が前にかかってて良かったよー。いろいろ聞けるし」
憂「梓ちゃん、不謹慎だよ!」
梓「あ、ごめんごめん」
純「二人とも、おはよー」
憂「あ、純ちゃん!」
純「おーおー、朝から何の話で盛り上がってんのよー」
憂「それがね、梓ちゃん、中二病にかかったんだってー」
純「なん…だと…」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:29:44.91 ID:3hqz/lFNO
憂「えっ、もしかして純ちゃん、中二病のこと知ってるの!?」
純「うん、まぁ……」
梓「本当、困ってるんだよねー。いきなり右手が疼くんだもん」
純「えっ? あれ?」
梓「どうしたの?」
純「……ああ、そういうタイプなのね」
憂「?」
梓「あ、それ澪先輩にも言われた」
憂「純ちゃんすごーい! 梓ちゃんに中二病のこと教えてあげてよ!」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:34:35.89 ID:3hqz/lFNO
純「教える、って……、ねぇ」
梓「お願いっ」
純「うーん……、主な症状としては、右手が疼き出すとか?」
憂「! 梓ちゃんと同じ!」
梓「やっぱり……」
純「あとは……、何もない空間に話しかけたり、勝手にフィギュアが動き出したり?」
憂「げ、幻覚まで見るようになるの……?」
梓「…………」
純「あと、私から言えるのは……」
憂梓「?」
純「本当に中二病なんだったら、今すぐにでも目を覚ました方がいいと思う」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:38:45.14 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―授業中―
梓(やめた方がいい……?)
梓(中二病って、やめようと思ってやめられるの?)
梓(……もー、分かんない)
憂(梓ちゃん、可哀相……。でもちょっとクールでかっこいいかも)
憂(お姉ちゃんは知ってるのかな……?)
純(今度から梓ちゃんにはあまり関わらないようにしよう)
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:43:16.58 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―放課後―
ガチャッ
梓「こんにちはー……」
律「よっ、梓!」
梓「あ、どうも、律先輩」
梓(良かった……、いつもの律先輩だ)
梓「律先輩一人ですか?」
律「ん、ああ。唯もムギもまだみたいだ」
梓(澪先輩の名前は出さない……。やっぱり気にしてる)
ガチャッ
梓律「!」
紬「こんにちはー」
澪「…………」スッ
律「!」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:47:40.74 ID:3hqz/lFNO
梓「こんにちは、ムギ先輩に……澪先輩」
澪「あ、ああ」
紬「うふふ」
律「お、遅かったなぁ」
紬「そうかしら? ……いつもどおりよ」
律「そっか……」
梓「そっ、そうです。いつもどおりです!」
澪「…………」
律「…………」
梓(私の右手のことを誰も話さない……。)
紬「……唯ちゃんはまだだけど、お茶にする?」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:51:53.61 ID:3hqz/lFNO
律「そっ、そうだな! そうしよう! いいよな? ……澪?」
澪「えっ!? ……う、うん」
律「あの……、澪。昨日のことなんだけどさ……」
澪「……うん」
律「あと梓も……」
梓「はっ、はい!」
律「私さ……
ガチャッ
唯「おいっす~!」
律「!」
唯「ごめ~ん、遅くなっちゃった」
梓「ゆ、唯先輩!?」
唯「あ、あずにゃんだ! 昨日は大丈夫だった? ちゃんと病院行った?」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:56:17.50 ID:3hqz/lFNO
梓「実は、昨日は病院行かなかったんですよ」
澪「!」
唯「えぇ! 澪ちゃん、ちゃんと任せたじゃん! なんで澪ちゃんもいたのに病院行かなかったの!?」
律「……え?」
梓「あの……それは」
律「梓、病院行かなかったのか?」
梓「あ、いや、行こうとは思ったんですけど……、澪先輩が別にいいって」
唯「澪ちゃんひどーい」
律「……どういうことだよ、澪」
澪「ちっ、違う! 梓は病院に行く必要がないから……」
律「梓、そうなのか?」
梓「え……、分かりません」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:01:34.13 ID:3hqz/lFNO
律「なぁ、梓は自分の右手の痛みの原因を知ってるのか?」
梓「あ、それなら……私、
澪「梓!」
梓唯「!」ビクッ
澪「そのことは言うな……」
梓「え? どうして……」
律「澪、どうしたんだよ?」
澪「…………」
律「梓はなんかの病気なのか?」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:06:01.00 ID:3hqz/lFNO
澪「……そうだ」
紬「!」
唯「あずにゃん病気なの?」
梓「え……」
律「ならなんでそれを隠す?」
澪「……言えない」
律「なんでだよ! 私たちは今まで五人でやってきただろ! 誰かの問題はみんなの問題だろ!」
紬「りっちゃん、落ち着いて!」
律「澪!」
澪「…………」
梓「…………」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:11:46.68 ID:3hqz/lFNO
律「……もういいよ!」
唯「りっちゃん」
律「ばか澪! お前なんか……
梓「中二病なんです!!」
澪「!」
律「へ?」
紬「梓……ちゃん?」
梓「私、中二病っていう病気なんです! 自覚はないんですけどかかってて、病院に行って治る病気じゃなくて、それで……」
澪「梓! もういい!」だきっ
梓「それで、うっ……、ぐすっ……」
澪「もう、いいんだ……」ギュッ
律「へ? どゆこと?」
唯「ん」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:17:09.22 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―数分後―
唯「へー、あずにゃん中二病なんだぁ」
紬「唯ちゃん、中二病がなんだか知ってるの?」
唯「ううん、知らない」
澪「それで、普通なら中二病だっていうことはすごく恥ずかしいことで……」
梓「だから澪先輩は私が中二病だってこと言わなかったんですね!」
澪「ああ……」
律「……そうか」
澪「律……」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:23:14.50 ID:3hqz/lFNO
律「澪は梓のことを思って黙ってたんだな」
澪「うん……、まぁ」
唯「澪ちゃん優しーい」
律「……ごめん! 私、勘違いしてて」
澪「……私も、ごめん。……分かってくれたなら、あとはいいんだ」
唯「仲直りだぁ」
紬「…………グスッ」
梓「……すみませんでした! 私のせいでこんな……」
律「いいっていいって! それより、梓の中二病を早く治せるように頑張ろうぜ!」
梓「はい! 中二病の克服目指して頑張ります!」
澪「え?」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:27:26.40 ID:3hqz/lFNO
梓「? どうかしましたか、澪先輩?」
澪「いや、克服っていうか……、やめればいいんじゃないのか?」
梓「?」
律「へ?」
紬「どういうこと?」
唯「澪ちゃん、病気はやめようと思ってやめられるものじゃないんだよ」
澪「あれ?」
梓「だから頑張って克服しようと……」
澪「こいつは重症だな……」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:32:39.21 ID:3hqz/lFNO
律「重症?」
紬「もしかして澪ちゃん、中二病の治し方を知ってるの?」
澪「まぁ、治し方を知ってるというか、梓がどうすべきかは知ってる」
梓「本当ですか!? 私はどうすれば!」
澪「梓、もっかい確認するけど、中二病をやめたいか?」
梓「だから、やめられるものならやめたいです!」
律「それで? どうすんだ?」
澪「こうなったら、……黙って梓が自覚するのを待つ!」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:38:37.32 ID:3hqz/lFNO
梓「へっ?」
紬「それだけでいいの?」
澪「それだけ、っていうか……、それしかないかな……?」
律「なんだ。じゃあ入院とか手術とかはないんだな!」
唯「あずにゃん」
紬「良かったわー」
梓「良かったです!」
澪「でも一番大切なのは梓が目を覚ますことで……
律「よーしっ、そうと決まればー!」
梓「練習を……
律「ムギ! ケーキだ!」
梓「先輩!」ぶー
一同「ははははは!」
第一部 完
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:41:54.89 ID:3hqz/lFNO
第一部終了です
ちなみに確認しておくと
あずにゃんは本当に右手の調子が悪いのに中二病だと勘違いされているのです
ちょっと休んでから再開します
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:58:31.91 ID:3hqz/lFNO
>>87ギクッ
第二部はじめます
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:59:38.68 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
憂(家に帰ってきたお姉ちゃんは、梓ちゃんの話ばかりをしています)
唯「そんでねぇ、あずにゃんは中二病って病気にかかっててねぇ」
憂「うん、うん」
憂(やっぱり梓ちゃん中二病なんだぁ。幻覚見てないかなぁ)
唯「そんでねぇ、右手が痛くってねぇ」
憂(本当に梓ちゃんの話ばっかりです。お姉ちゃん、梓ちゃんのこと好きなんだなぁ)
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:04:13.61 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―翌日の学校―
憂「あ、梓ちゃーん」
梓「ん? 何?」
憂「中二病はどうだったの?」
梓「実はさ、あれっきり中二病は発症してないんだよね」
憂「え、そうなの?」
梓「うん、案外もう治ってるもんだったりして」
キーンコーンカーンコーン
梓「あ、放課後」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:08:29.85 ID:3hqz/lFNO
―部室―
ガチャッ
梓「こんにちはー。あ、もう皆さんお揃いですね」
律「おー、梓!」
澪「珍しく遅かったな」
梓「ええ、ちょっと」
紬「今お茶淹れるわね」
唯「あずにゃん」
梓「? なんですか、唯先輩?」
唯「中二病は?」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:13:21.53 ID:3hqz/lFNO
梓「それなら最近は全然発症してませんよ」
唯「! 澪ちゃん」
澪「うん、だいぶよくなったのかもな」
唯「うへへ、あずにゃん」
律「本当か! なら完治の前祝いで今日は練習なーしっ!」
梓「それはだめです!」
律「だってー」
梓「だってじゃないです! 最近ずっと練習してないじゃないですか!」
澪「そうだぞ、律。今日こそは練習だ」
律「へいへーい」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:18:05.77 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
律「それではっ、可愛い後輩の意見を尊重して、練習するぞー!」
唯「おー」
梓「れっ、練習するのが普通です!」
紬「あらあら、うふふ」
澪「…………」
律「ん? どうしたー、澪?」
澪「えっ! あ、いや、大丈夫。練習だ、練習!」
澪(梓……、やっぱりやめたのかな。それならいいんだけど……)
梓「?」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:23:22.40 ID:3hqz/lFNO
律「んじゃー、まず一回合わせてみるか!」
唯「ほーい」
梓(久し振りの練習、不安です……)
律「1、2、3!」
――――――♪
――――――♪♪
梓「!!」ズキッ
澪(……あれ? 意外と……)
紬(上手くまとまってる……)
唯「ほー」
律「…………おい!」
唯「!」ビクッ
律「おい! 梓!」
澪「!」
梓「うっ……右手が、痛い……!」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:28:22.33 ID:3hqz/lFNO
律「ストップ! 中断しろ!」
梓「痛っ……」
律「梓! 大丈夫か!?」
唯「あずにゃん」
澪「…………」
梓「すみません、ちょっと休ませてください……」
律「当たり前だ。……救急車呼ぶか?」
澪「律! ……それはいい」
律「! なんで澪が決めるんだよ! それは梓が……
梓「だっ、大丈夫です! ……痛みもひいてきました!」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:33:19.08 ID:3hqz/lFNO
律「ん、そうか……」
唯「あずにゃん」
梓「大丈夫ですよ、唯先輩」
唯「ん」
紬「でも、本当に大丈夫なの?」
梓「はい。もう全然痛くないです! あ、でも今日の練習は控えてもいいですか……?」
律「ああ、休んでていいぞ」
澪「梓……、本気で言ってるのか?」
梓「え?」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:38:30.66 ID:3hqz/lFNO
澪「本気で、練習しないつもりか?」
梓「え、はい……」
澪「……どういうことだよ」
梓「えっ……」
澪「こんなことは言いたくないんだけど、梓は……、中二病を理由に練習をサボってるんじゃないのか?」
梓「…………わっ、私は」
律「おい待てよ! そんなわけないだろ! さっきまで梓は練習したがってたじゃんか!」
澪「まぁ、そうだけど」
梓「ち、違います、私は……、本当に右手が、痛くてぇ……」ポロッ
唯「あずにゃん」
紬「梓ちゃん、大丈夫。そんなこと思ってないわ」
律「そうだぞ、梓」
俺「泣かないで」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:43:25.11 ID:3hqz/lFNO
澪「……悪かった、梓」
梓「いえ……、いいんです」
律「梓の右手は中二病のせいなんだろ? 澪は、梓が練習をサボるために中二病にかかったふりをしてるとでも言いたいのかよ!」
澪「そういうわけじゃ……」
律「それならちゃんと説明しろ!」
紬「りっちゃん……」
澪「そうだな……、この際だからみんなには中二病のことを説明するよ」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:48:34.76 ID:3hqz/lFNO
梓「!」
律紬「……ゴクリ」
唯「ん」
澪「中二病ってのはな、正式には病気とみなされないんだ」
梓「え……!」
澪「そういう症状を持った人を蔑視して中二病患者と呼んでるだけにすぎなくてさ」
紬「蔑視……」
律「その症状ってのは!?」
澪「例えば……、漫画やアニメの世界に憧れを抱くあまり、まるで自分にも何かの能力が備わっているかのように振る舞ったり……」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:53:25.09 ID:3hqz/lFNO
律「中二病患者は自分でも分かってて、そういう行動をとってるのか?」
紬「じゃあ、梓ちゃんが、右手が疼くって言ってたのは……」
梓「ちっ、違います! 私は、本当に痛くて!」
律「ん? 澪、梓は本当に痛いみたいだぞ?」
澪「うーん、そこがややこしくてさ」
律「?」
澪「なんて言うか……、梓は中二病にドップリ漬かってるせいか、自分が中二病だってことを頑なに認めないんだ」
梓「なにを……!」
律「はっはーん、なるほどぉ。中二病ってこと自体をとぼけてるのか」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:58:13.45 ID:3hqz/lFNO
梓「そんなんじゃ……ないです……」
律「確かに、それなら病院に行く必要はないなー」
紬「梓ちゃん……、そうだったの……」
澪「分かってくれたか」
梓「ちがっ……い、ますっ……、グスッ」
律「あー、泣くな泣くな!」
紬「別に攻めてるわけじゃないの。ただ、嘘をついてたならやめて欲しいな、って……」
梓「…………う、うっ」ポロッ
唯「あずにゃん、泣かないで」
梓「……唯先輩」グスッ
俺「唯ちゃん……」
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:03:23.36 ID:3hqz/lFNO
唯「みんなヒドいよ。あずにゃんだって本当に痛いかもしれないじゃん」
律「あのな、唯」
紬「梓ちゃんは中二病って言ってね……
唯「あずにゃん、痛がってた」
律紬「う……」
梓「私……、中二病かもしれないですけど、右手が痛くなったのは本当ですし、練習もしたいです……」
律「澪ー……、やっぱり梓は……」
澪「違う! 梓は本当は痛くなんかない!」
梓「!」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:08:45.71 ID:3hqz/lFNO
澪「目を覚ませ、梓! いい加減、私たちに迷惑かけるのはやめろ!」
律「澪……」
梓「…………」
紬「澪ちゃん……」
唯「違うよ、澪ちゃん
澪「違くなんかない!」
唯「!」ビクッ
澪「みんなもうんざりだろ!? 練習しようとする度、右手が痛いとか言って中断させられるのは!」
律「そ、そんなこと……
澪「私はうんざりだ! 私は
梓「もういいです!」
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:13:41.79 ID:3hqz/lFNO
梓「澪先輩がそこまで言うのなら、もういいです!」
律「梓……」
梓「右手が疼くのなんて嘘です! 練習したくないから……、したくないから嘘ついてました……!」ポロッ
唯「あずにゃん」
澪「……やっと認めたか」
律「! 澪!」
澪「さっきから言ってるだろ、中二病ってのは自分からおかしな行動をとるんだ」
律「梓は、本当は!」
梓「……私、もうやめます」
澪「そうだ、中二病なんてやめて、ちゃんと練習を……
梓「私、この部活をやめます!」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:18:14.03 ID:3hqz/lFNO
律唯紬「!」
澪「お、おい、何もそこまで……」
梓「こんな疑いをかけられてまで、楽しく演奏なんて出来ません……!」
律「梓、私たちは疑ってなんか……」
梓「第一! さっきの練習の時、私は右手のせいでほとんど弾けなかったのに、演奏はまとまってたじゃないですか!」
紬「!」
律「う……」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:23:13.60 ID:3hqz/lFNO
梓「演技だと思われてるのかもしれないですけど、まともにギターを弾けない私がここにいても邪魔なだけです」
唯「あずにゃん」
梓「ごめんなさい、唯先輩……。ずっと、庇ってくださったのに……」
律「待てよ! 演奏しなくたって出来ることは……
梓「もう決めたことです! それに、ここまで言ったらもう戻れないですって……」
律「梓……」
梓「……短い間でしたけど、お世話になりました……」
唯「あずにゃん……」
澪「…………」
梓「……さようなら!」
ガチャッ、バタン!
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:28:28.50 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
唯「あずにゃん……グスッ」ポロッ
紬「唯ちゃん、大丈夫よ。梓ちゃんは戻って来るわ」
唯「でもぉ……」
律「…………」
澪「…………」
律「……澪のせいだ」
澪「…………」
律「どうするつもりだ?」
澪「私は……」
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:33:27.48 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―中野家―
梓「…………」
律『梓の右手は中二病のせいなんだろ?』
梓「…………んっ」
紬『大丈夫、そんなこと思ってないわ』
梓「……ううっ」ポロッ
唯『あずにゃん、痛がってた』
梓「あ……、ああっ……」ボロボロ
梓(私はっ……、私はなんてことを……!)
梓(あんなに先輩たちのことが好きだったのに!)
梓(あんなに楽しかったのに!)
梓(あんなに……! あんなに私のことを心配してくれてたのに!)
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:38:18.86 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―部室―
澪「私は、梓に酷いことを……」
律「…………」
澪「ろくに梓の気持ちも考えず……!」ポロッ
律「うん」
澪「……謝らなきゃ」
唯「澪ちゃん」
澪「……梓は放課後ティータイムの一員だ。 たとえ梓が嘘をついてたとしても、中二病だったとしても、それを受け入れられずに何が先輩だ!」
紬「……澪ちゃん」
澪「みんな、ごめん……。私のせいでこんなことになっちゃって……」
律「いいってことよ。でも、それを言うなら……」
唯「あずにゃんにだよぉ」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:43:09.83 ID:3hqz/lFNO
律「と、いうわけでー! 今からみんなで梓の家に謝りに行きまーす!」
唯「おー」
澪「えっ、でも……」
律「梓だって、本当は軽音部をやめたくないはずだ」
紬「今ならまだ大丈夫よ」
唯「澪ちゃん」
澪「そうかな……」
唯「うんっ」
澪「……分かった、行こう!」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:48:31.44 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―中野家―
梓(……だいぶ落ち着いた)
梓(辞める、なんて言っちゃった……)
梓(辞めたくないけど、澪先輩から誤解されたままじゃ戻れないよ……)
梓(どうしよう……)
梓(……先輩)
梓(……そうだ。先輩たちが驚くくらいギターが上手くなってたら)
梓(そうすればちゃんと練習してた、って分かってもらえて疑いも晴れるかも!)
梓「……よーしっ」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:53:25.06 ID:3hqz/lFNO
梓「さっそく練習しよっ」
梓(せーのっ)
梓(――――!)ズキッ
梓「つっ……!」
梓(まただ……! ……でも、これは中二病! 痛くなんかないっ!)
梓(――――!)ズキッ
梓(……戻るためには上手くならなきゃ!)
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:58:23.99 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
律「ここかー、梓んち」
紬「そういえば、みんなで梓ちゃんちに来るのってなかったわね」
律「そうだっけ?」
澪「…………ゴクリ」
唯「澪ちゃん」
澪「大丈夫だよ、唯。ちゃんと私が悪いって謝る」
唯「ん」
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:03:35.00 ID:3hqz/lFNO
律「えいっ」ピンポーン
家「…………」
律「あり?」
唯「もっかい」ピンポーン
家「…………」
紬「いないのかしら……」
律「たのもー!」
ガチャッ
澪「り、律!」
律「い、いやっ、私だってまさか開くとは!」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:08:15.41 ID:3hqz/lFNO
紬「でも、鍵があいてるなんて……」
律「やっぱり中にいるんじゃないのかー?」
唯「あずにゃーん」
廊下「…………」
律「……中入るか」
澪「ちょ、ちょっと!」
紬「待って!」
紬「……なにか聞こえる」
唯「?」
「……せん……ぱい」
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:13:15.69 ID:3hqz/lFNO
唯「あずにゃん!」
律「え?」
唯「どこ!」ダッ
澪「あっ」
律「待てよ、唯!」ダッ
唯「あずにゃん!」
ガチャッ
唯「!」
律「待てって……!」
梓「はぁ……、右手が……っ!」
唯「あずにゃん! あずにゃん!」
律「梓! しっかりしろ!」
紬「!」
澪「梓……!」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:18:40.17 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病院―
医者「ふむ……」
唯律澪紬「…………」
医者「右手が異常に腫れ上がっています。恐らくは内部で炎症が起きているのでしょう」
律「それって……、ヤバいんですか?」
医者「中野さんはギターをやっていると言いましたね? ただの炎症なら安静にして、それなりの治療をしていれば良くなると思いますが……」
澪「…………」
医者「無理な練習をしていたんでしょう。中野さんの場合、通常よりも遥かに酷く……」
唯「…………」
医者「恐らく、もう一度ギターを弾けるようになるのは難しいでしょう」
第二部 完
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:26:11.84 ID:3hqz/lFNO
第二部おわり
次の第三部で完結です
諸事情により投下できなくなるので
6時くらいにスレが残ってたら再開したいと思います
唯「結末が知りたかったら保守してねっ☆」
242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 17:59:43.32 ID:3hqz/lFNO
保守ありがとうございました
それじゃ投下していきます
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:01:50.58 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
憂(その日は、お姉ちゃんが帰って来るといきなり泣き出しました)
唯「憂……、あずにゃんがぁ……」ボロボロ
憂「だっ、大丈夫? お姉ちゃん?」
憂(こんなお姉ちゃんを見るのは初めてで驚いたけど、梓ちゃんのことを聞いたら、お姉ちゃんの様子にも納得がいきました)
唯「あずにゃん……、うう」ボロボロ
憂「……お姉ちゃん」
憂「……梓ちゃんなら、きっと大丈夫だよ!」
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:06:09.79 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―部室―
律「…………」
唯「…………」
澪「…………」
紬「…………」
紬「……そうだ、お茶にする?」
律「ん……、ああ……」
澪「……そうだな」
紬「きょっ、今日は唯ちゃんの大好きなアイスクリームのお菓子よ!」
唯「……あずにゃん」
248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:11:14.05 ID:3hqz/lFNO
紬「唯ちゃん……」
澪「…………」
律「……っだーー!!」
紬唯澪「!」ビクッ
澪「どっ、どうしたんだよ、いきなり!」
律「これでいいのかよ!」
紬「!」
律「私たちはこんなんでいいのかよ!」
澪「……分かってるけど」
律「私たちがこんなで、梓が退院して戻って来た時どう思う!」
唯「あずにゃん」
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:16:12.19 ID:3hqz/lFNO
律「梓は今、負い目を感じてると思う」
紬「負い目?」
律「『私が怪我したせいで先輩たちに迷惑かけてしまったー』とかな」
澪「……悪いのは私だ」
律「なに言ってるんだよ」
澪「え……?」
律「澪は謝ろうとしただろ? ……ちょっとタイミングを逃しちゃったけど」
澪「でも……、梓は……
紬「大丈夫よ。梓ちゃんだって、澪ちゃんのことを許してくれるから」
澪「……そうかな」
唯「そうだよ」
紬「うふふ」
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:21:25.46 ID:3hqz/lFNO
澪「でもさ……」
律「?」
澪「もう一つちゃんと梓に謝らなきゃいけないことが……」
紬「なに?」
澪「ほら、梓は中二病なんかじゃなかったのに、私は……」
律「なんだそれか」
澪「なっ! なんだとはなんだよ!」
律「そんなん大した問題じゃないだろ」
澪「え?」
紬「むしろ誤解がとけてホッとするんじゃない? 梓ちゃん」
澪「……ん」
唯「ねぇねぇ、あずにゃんのお見舞いに行こうよ」
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:26:37.09 ID:3hqz/lFNO
律「おっ、それは名案だぞ、唯!」
唯「でしょでしょぉ」
紬「いいわねー。ねっ、澪ちゃん?」
澪「うん、……いいと思う」
唯「やったぁ」
律「うしっ! 梓に元気な私たちの姿を見せてやろうぜー」
紬「それが一番梓ちゃんを元気づけられるはずだわ」
澪「改めて梓に謝るよ。……ちょっと緊張するけど」
唯「だいじょうぶだよ」
律「それじゃ早速、しゅっぱぁーつっ!」
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:31:08.01 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病室―
梓「…………ん」
梓(……あ、私入院してるんだった)
梓(先輩たちどうしてるかな……。私のせいで空気悪くなっちゃってるだろうな……)
梓(澪先輩も……。あんな形のまま暫く話せてない)
梓(……先輩たちに謝りたいな)
ガラッ
梓「!」
律「フォッフォッフォ、調子はどうかね、中野くん」
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:36:10.17 ID:3hqz/lFNO
梓「律先輩!?」
律「げっ、ばれた!」
澪「当たり前だ!」
梓「澪先輩も……、どうして」
紬「お見舞いに来たに決まってるじゃない」
唯「あずにゃん、具合どう」
梓「……先輩たち」
律「?」
梓(良かった……、いつもどおりの先輩たちだ……)
梓「あの……」
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:41:17.66 ID:3hqz/lFNO
梓「あの……、ごめんなさいっ! 部活やめるとか勝手言ったり、入院までして迷惑かけて……」
律「まぁまぁ。それについてはこいつから」スススッ
澪「りっ、律! あ……、梓?」
梓「はっ、はい!」
澪「本当にごめん」
梓「え……?」
澪「梓は中二病なんかじゃなくて、本当に腕が悪かったんだよな……。私、それも知らずに梓に酷いこと言って……」
梓「澪先輩……」
澪「私が悪かった。こんなことになっちゃったけど、許してほしい……」
梓「やっ、やめてください!」
澪「えっ……」
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:46:28.38 ID:3hqz/lFNO
梓「私だってすぐ熱くなっちゃって悪かったです……」
澪「……」
梓「それに、私の誤解がとけただけで十分ですから」
紬「ふふっ」
梓「先輩がそんなに謝らないでください!」
澪「梓……」
唯「あずにゃん」
俺「あずにゃんいい子」
律「うんうん。これにて一件落着ー!」
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:51:10.19 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―――数十分後
律「それで澪はこういったんだよ」
紬「なんて?」
律「『君のママの作ったオートミールを食べるくらいならバッファローの角をかじっている方がましさ』ってね」
澪「いいかげんなことを言うなっ」ポカッ
律「いたいっ」
唯「りっちゃんおもしろーい」
梓「あははははっ」
梓(なんか、良かったなぁ。やっと元の私たちに戻ったような……)
梓(あっ、だめだめ! 早く私の腕も治して練習出来るようにならないと、元の放課後ティータイムじゃない!)
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:56:10.69 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
澪「お、もうこんな時間か」
梓「あ、本当ですね」
律「じゃー、あまり長居するのも悪いし私たちはそろそろ帰るよ」
紬「またね、梓ちゃん」
唯「また来るよぉ」
梓「はい! 先輩たちは私に構わず練習頑張ってください! 私も、一刻も早く復帰できるように頑張りますっ!」
唯「へっ? でもあずにゃん……
澪「そっ、それじゃ早く出ようか! 梓の迷惑にならないうちに!」
唯「?」
梓「?」
ガチャッ、バタン
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:01:08.49 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
澪「おい唯!」
唯「ねぇ、あずにゃんは」
律「唯、梓は自分が再起不能かもしれないってことをまだ知らないんだよ」
澪「梓の前では絶対に言っちゃ駄目だって教えただろ」
唯「……ごめん」
紬「……梓ちゃんがそのことを知ったら」
律「本当に部活を辞めかねないな……」
唯「それはだめだよぉ」
澪「じゃあ、梓の前でそれは禁句な」
唯「うん……」
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:06:42.28 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病室―
梓(早く復帰したいとは言ったけど、いつになったら治るのかなぁ)
梓(先生も詳しく教えてくれないし……)
梓「はぁ……」
ガラッ
看護士「中野さーん、診察室に来てくださーい」
梓「あ、はーい」
梓(あれ? 今日の検査は終わったのに……。……なんだろう)
─────────────
梓「あの……、今日の検査は終わりましたよね……?」
医者「ああ、そうなんだけどね、実は話しておくことが……」
283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:11:54.31 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
唯「そいでねぇ、澪ちゃんとあずにゃんが仲直りしたからねぇ」
憂「へぇ、良かったね!」
唯「うん! あ、あと……、あずにゃんには秘密なんだけど、もしかしたらあずにゃん、さいきふのうかもしれないんだって……」
憂「ええっ! 梓ちゃんギター弾けなくなっちゃったの?」
唯「もしかしたら、だから大丈夫だよぉ」
憂(そんな……、梓ちゃん)
憂「私も、お見舞いに行きたいな……」
285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:16:31.79 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―教室―
律「うん、いいんじゃないか?」
唯「だよねぇ!」
紬「なんの話しかしら?」
唯「あ、ムギちゃん。なんか憂もあずにゃんのお見舞いに行きたいんだってぇ」
澪「へー、それはいいかもしれないな。梓もうるさいばっかじゃ大変だろうし」
律「おい」
唯「じゃあ今日もあずにゃんのとこ行こうよ!」
澪「いいけど……、梓には例のこと、ばらすなよ?」
唯「おっけー」
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:21:14.70 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病院―
紬「二日連続は迷惑じゃないかしら……」
澪「昨日の様子を見るに、迷惑そうではなかったよ」
紬「そうかしら」
唯「憂、あのことは言っちゃだめだよ」
憂「私は大丈夫だよぉ。お姉ちゃんも気をつけてよ?」
唯「はいはーい」
律「おー、着いた着いた梓の病室!」
ガラッ
律「フォッフォッフォ、調子はどうかね、中野くん」
澪「またそれかい!」
290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:26:09.87 ID:3hqz/lFNO
梓「…………」
律「……あり?」
唯「……あずにゃん?」
梓「えっ! あっ、先輩っ!」
律「どうしたんだよ、ぼーっとして」
梓「いえっ、なんでもありません!」
紬「ふふっ、変な梓ちゃん」
澪(……まさか、梓)
梓「あ、憂もきたんだ」
憂「梓ちゃん、大丈夫?」
291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:31:04.68 ID:3hqz/lFNO
梓「だ、大丈夫大丈夫! こんなの何でも……ないから……」
澪(……梓、やっぱり)
律「そうなのか?」
紬「なんか無理してるような……」
憂(……梓ちゃんもしかして)
梓「実は……」
澪「!」
梓「医者の先生が手術するって言うんです……」
唯「えぇ!」
梓「し、心配しないでください! 大した手術じゃありませんから!」
292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:36:06.51 ID:3hqz/lFNO
唯「そうなんだぁ」
澪(自分が音楽を続けられるかに関わる手術なのに……。私たちに心配かけたくないからって……)
律「そっかー、じゃあ気楽にやれよ!」
紬「手術はいつなの?」
梓「あ、それは―――」
憂「…………」
憂(梓ちゃん、分かってるんだ。自分の腕のこと……。それなのに……)
294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:41:21.70 ID:3hqz/lFNO
梓「……とにかく心配しないでくださいね!」
唯「うん。私たちあずにゃんがいなくても練習がんばるから、早く戻って来てね」
梓「……!」ポロッ
律「えっ! あ、梓?」
梓「はいっ……、はい! 絶対です……!」
律「どうしたんだよ、梓?」
澪「律!」
律「へっ?」
ガラッ
看護士「中野さーん、検査の時間でーす」
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:46:08.88 ID:3hqz/lFNO
梓「あっ、じゃあ行ってくるんで……」
律「お、おう」
ガラッ
律「……どうしたんだ、梓のやつ」
澪「ばか律」
律「え?」
憂「梓ちゃん、たぶん全部聞いたんですよ……」
紬「全部って……」
律「全部か!?」
澪「あの様子じゃほぼ間違ないな」
唯「?」
300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:51:08.25 ID:3hqz/lFNO
律「だから唯が『戻って来てね』って言ったときに……」
澪「……梓」
唯「手術って大変なの?」
澪「たぶん、梓の音楽生命のかかった手術になるだろうな……」
紬「そんな……」
唯「あずにゃん」
澪「なにか、できないかな」
律「え?」
澪「梓の手術を成功させるためにさ」
紬「私たちに出来ることなら、なんでもやりたい!」
唯「うんっ」
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:56:06.99 ID:3hqz/lFNO
律「そうだな、私も賛成だ!」
紬「でも何を……」
澪「んー……」
憂「やっぱり、梓ちゃんは軽音部が好きなんですよ」
律「え?」
憂「自分が辛い状況にいても、軽音部の皆さんには心配させないように気を使って……」
澪「…………」
憂「表には出さないけど、梓ちゃんは不安でいっぱいなんだと思います」
紬「梓ちゃん……」
唯「……そうだ!」
306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:01:07.66 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―――数日後
―病室―
梓「…………」
梓(今日は手術の日か……)
梓(この前先輩たちには心配しないで、って言ったけど……)
梓(怖いよぉ……)
梓(もっと放課後ティータイムで音楽してたいよぉ……)
梓(先輩……)
ガラッ
律「ファッファッファ、調子はどうかね、中野くん」
310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:06:10.25 ID:3hqz/lFNO
澪「いいかげん違うパターンで入ったらどうだ?」
律「笑い方が違いますぅ」ブーブー
紬「うふふ、元気そうね」
唯「また来たよぉ」
梓「先輩たち……」
澪「今日は梓の手術だからさ、みんなで励ましに来たんだ」
梓「…………」
紬「梓ちゃんなら大丈夫よ!」
律「ま、手術って言っても大したことないんだろ?」
梓「…………私」
唯「あずにゃ~ん」ギュッ
梓「先輩……、私……」ポロッ
312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:11:08.11 ID:3hqz/lFNO
梓「私っ……、強がってたけど本当はすごく怖くって……」
唯「うん」
梓「ごめんなさい……、大した手術なんかじゃないんですけどっ」
律「…………」
梓「私、頑張ります……!」
澪「……ああ」
梓「……頑張りますから、待っててください」
紬「ええ、もちろん」
唯「あずにゃん、プレゼントだよ」トン
梓「これは……、テープレコーダー?」
314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:16:10.38 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
梓(先輩たち、帰っちゃった……)
律『頑張れよ梓ー』
澪『……絶対戻って来るんだぞ』
紬『美味しいケーキ用意して待ってるからね』
唯『これは私たちが帰ってから聴くんだよ!』
梓「……聴いてみるか」
カシャッ
『ジジジジジジジジ』
『ほい、押したよぉ』
『よし、いいぞ唯』
『コホン。あずにゃん、聞こえる?』
梓(唯先輩の声……?)
315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:21:13.84 ID:3hqz/lFNO
『入院中のあずにゃんに私たちの演奏をプレゼントします』
『本当は病院で演奏したかったんだけど、楽器は持って行けないからさ』
『それじゃあ、梓ちゃんの手術成功を願って!』
『1、2、3!』
――――♪
――――♪♪
梓「!」
316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:26:13.96 ID:3hqz/lFNO
梓「……先輩」
――――♪♪
――――♪♪
梓(……私だって)
――――♪♪
――――♪
梓(……終わった)
『ふぅ……』
『唯ー、止めてくれ』
『うんー』タッタッタッ
『……これかな、えいっ』カシャ
『……あー! なんとか録り終わったな!』
梓(あれ? 止まってない……)
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:31:07.73 ID:3hqz/lFNO
『ねぇねぇ、あずにゃん喜んでくれるかなぁ?』
『当たり前だろ? こんな感動的なプレゼント、他にないって!』
『自分で言うな』
『……でもやっぱり』
梓「?」
『梓がいないと物足りないよな』
梓「!」
『ええ。演奏的にも、雰囲気的にも……』
『あずにゃん、手術うまくいくといいなぁ』
328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:36:03.87 ID:3hqz/lFNO
『……もし、手術が上手くいかなかったら』
『梓は軽音部を辞めるだろうな……』
『ギター弾けないんじゃいる意味がないって言ってたしな……』
『…………』
梓(先輩たち、全部知ってて……!)
『ってー、なに辛気臭くなってんだよ!』
『あずにゃんも戻ってきたいと思ってるはずだよ』
『唯ちゃん……』
『だから絶対大丈夫!』
『……そうだな』
『……それじゃ、今から梓んとこ行って
ガチャッ
梓(あっ……、切れた)
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:41:29.30 ID:3hqz/lFNO
梓(先輩たち、なにも知らないふりして……)
梓(気使ってるのは先輩たちの方だったんだ……)
梓(……私は、あの部室に戻りたい)
梓(放課後ティータイムの一員として、あそこで先輩たちと一緒に演奏がしたい)
ガラッ
看護士「中野さーん、そろそろ時間でーす」
梓「……はい!」
梓(待っててくれてる先輩のためにも……!)
梓(……手術を成功させる!)
俺「がんばって」
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:47:24.79 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
憂(その日も、お姉ちゃんは泣きながら帰って来ました)
唯「憂……、あずにゃんがぁ……!」ボロボロ
憂「どうしたのっ!? お姉ちゃん?」
唯「あずっ、あずにゃんがぁ……、ギター弾けるってぇ……」ヒック
憂「ほっ、本当に!?」
唯「う゛ん……! 少し、休めばっ……、いいってぇ」ボロボロ
憂「……そう、良かったね、お姉ちゃん」ギュッ
338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:51:10.04 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―数週間後―
紬「今日はいつもよりお菓子を豪華にしてみたの」
律「おお!」
澪「さすがだな」
唯「ケーキだぁ」
律「なぁなぁ、私お腹空いちゃったんだけどさぁ」
澪「だめだ。全員そろうまで待ってないと……」
唯「バナナは残しておいてね。きっと……
ガチャッ
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:56:06.89 ID:3hqz/lFNO
唯「!」パァァァ
梓「遅れてすみませんっ!」
律「やっと帰ってきたがったか……」
梓「先輩……、ただいま戻りました!」
紬「うふふっ、おかえりなさい」
澪「おかえり」
唯「あずにゃん、おかえりっ!」ギュッ
梓「わっ……」
唯「あずにゃ~ん」
律澪紬「ふふふっ」
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:01:16.81 ID:3hqz/lFNO
律「よーし、梓が復帰したことを祝って、ムギのお菓子だーっ!」
梓「待ってください!」
律「ギクッ。……な、なんでしょう?」
梓「あ、いや、お菓子は構わないんですけど……、うわっ!」
紬「?」
梓「こら、勝手に出て来るなって言ったでしょ!?」
澪「へ?」
梓「あ、すみませんっ! ……実は最近、私の人形が勝手に動き出すんで困ってるんですよ」
唯「…………あれ?」
おわり
352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:03:36.35 ID:3hqz/lFNO
おわりです
読んでくれた方、保守してくれた方ありがとうございましたー
オチとか思い付かねえよ
まさかこんなに重い話になるとは……
367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:11:17.42 ID:3hqz/lFNO [104/105]
やっぱ最後わかりづらいかー
一応>>57が伏線ってことで…
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:27:13.30 ID:KO6yO+1PO [3/3]
小津
能力者だった頃のサンジュ補完キボン
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/17(土) 22:08:39.57 ID:3hqz/lFNO [105/105]
最後に…
>>375
たぶんそのうち書くつもり
あとこのまま落としてください
律「ムギ! 救急箱だ!」
紬「はい!」
唯「先生っ! あずにゃんは、あずにゃんはどうなってしまうのですかぁ!」
律「心配しないでください、お母さん。梓さんは私が助けてみせます! 命に代えても……!」
唯「先生っ!」
梓「先……輩っ、遊んでないで……」
唯「あわわわわわ」
紬「りっちゃん、救急箱よ!」パカッ
律「うー、それはそうとして、いったいどんな処置をすれば……」
梓「っ……」
唯「せっ、先生!」
紬「りっちゃん!」
律「ううう……」
澪「……包帯を巻け」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:19:32.21 ID:3hqz/lFNO
律「へ? なんだって?」
澪「いいから早く!」
唯「!」ビクッ
律「あ、ああ!」
―――――――――――――
律「梓……、どうだ?」
唯「あずにゃん……」
梓「……ん、だいぶ良くなりました」
紬「本当!?」
梓「はい! さっきまでの痛みが嘘のようです!」
澪「これでいいだろ、梓」
梓「? は、はい……」
唯「よかったあ」
紬「でも、今のはなんだったのかしら?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:24:12.20 ID:3hqz/lFNO
梓「私にも、よく分かりません……。いきなり痛み出したんです」
唯「どこかにぶつけたりしたの?」
梓「いえ……」
紬「早いうちに病院に行った方がいいかもしれないわ」
律「…………」ジーッ
澪「……なんだ、律?」
律「なんでなんだ?」
唯「へ?」
澪「…………」
律「どうしてそんなに冷静でいられたんだ?」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:27:47.94 ID:3hqz/lFNO
澪「……別に」
唯「澪ちゃん」
律「なんでだ」
澪「…………」
紬「りっちゃん……」
律「なんか言えよ! 梓の痛みの原因知ってるんだろ!?」
澪「……言えない」
律「言えよ! 後輩の怪我だぞ!」
梓「やめてください!」
唯「!」ビクッ
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:33:47.17 ID:3hqz/lFNO
さわ子「ちなみにあずにゃんは本当に痛みを感じています☆」
~~~~~~~~~~~~~
律「梓……」
梓「痛みの原因……、気になりますけど、澪先輩が『言えない』って言うのなら知らなくていいです!」
唯「あずにゃん」
梓「だから、喧嘩しないでください……! 私はもう大丈夫ですから……」
律「……分かった、ごめん」
澪「……ごめん」
梓「…………」
紬「…………」
唯「ん」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:38:37.52 ID:3hqz/lFNO
紬「……そっ、そうだ! お茶にしない?」
唯「おっ、いいねえ」
律「ごめん、私今日は帰るわ」
梓「えっ」
紬「あ……そう」
唯「えー、りっちゃん帰るの」
澪「……なぁ、今日はもう解散でいいだろ。梓の腕の痛みも心配だし」
梓「わ、私は!
紬「そうね」
紬「今日はみんな帰りましょ……」
梓「先輩……」
唯「ん」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:43:31.18 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―帰り道―
唯「りっちゃん、先に行っちゃった」
紬「……明日になればいつものりっちゃんに戻ってるはずだわ」
澪「…………」
梓「……すみません」
唯「? なんであずにゃんが謝るの?」
梓「え? いや……」
唯「あずにゃんは悪くないよ。だーれも悪くないよ」
梓「でも……」
澪「…………」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:45:59.86 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
紬「じゃあ、私はこの辺で……」
澪「あ、ああ」
梓「さようなら、ムギ先輩」
唯「ばいばい、ムギちゃん」
紬「うん」スタスタ
梓「あ、私はこっちに行くんで……」
唯「え? あずにゃんの家って」
梓「一応病院に行ってみようと思って……」
澪「…………」
唯「えっ、あずにゃんどっか痛いの?」
梓「え? あの、さっきの右手が……」
唯「あ、そっか」
梓「それじゃあ、さようなら、唯先輩、澪先輩」
澪「なぁ、梓」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:50:01.30 ID:3hqz/lFNO
梓「は、はいっ!」
澪「私も行くよ」
唯「えっ、澪ちゃんずるーい。私も行く」
梓「大丈夫です! 先輩方に迷惑はかけられません!」
澪「梓、私のことは気にしないでいいから」
唯「あ、私もぉ」
澪「唯は帰れ」
梓「!」
唯「え、なんで」
澪「あまり大勢で行っても邪魔になるだろ」
唯「ん、仕方ないなぁ。じゃ、あずにゃんは澪ちゃんに任せた!」
澪「ああ、任せてくれ」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:55:18.82 ID:3hqz/lFNO
唯「澪ちゃん、あずにゃん、ばいばーい」
澪「うん、また明日」
梓「……さようなら」
―――――――――――――
澪「…………」
梓「…………」
澪「……なぁ」
梓「!」
澪「いつからだ?」
梓「なにが……?」
澪「ほら……、その、右手の……」
梓「…………」
梓「……知ってるんですか?」
澪「……ああ」
梓「!」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 10:59:34.48 ID:3hqz/lFNO
梓「……教えてください」
澪「?」
梓「この右手の痛みの原因! 知ってるなら教えてください!」
澪「へ?」
梓「へ?、じゃないです! 澪先輩が知ってるなら教えてくれたっていいじゃないですか!」
澪「……そうか」
梓「な、なんです」
澪「そういうアレね……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:03:29.50 ID:3hqz/lFNO
梓「……言ってる意味がよく分かりません」
澪「悪かったよ。そういうタイプだって知らなかったから」
梓「ちゃんと分かるように教えてください!」
澪「そう怒るなよ、説明する」
梓「!」
澪「実は……、私も梓と同じ症状になったことがある」
梓「澪先輩の……右手も……!」
澪「そうだ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:08:40.97 ID:3hqz/lFNO
澪「私の場合、中二のときに発症した」
梓「そんなに前から……」
澪「あ、でも今はそんなの全然ないから」
梓「確かに、私は澪先輩の右手が痛む所は見たことないです」
澪「まぁ、この年で発症するとキツいからな」
梓「そうなんですか!?」
澪「うん、周りの目がね」
梓「?」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:12:23.13 ID:3hqz/lFNO
梓「周りの目、って……。そんなのどうしようもないじゃないですか」
澪「え? ……ああ、そういうタイプだったな」
梓「? そのタイプってなんなんですか?」
澪「いや、ほら、あれだろ?」
梓「?」
澪「梓は、ほら、力に目覚めてはいるのにまだ自覚してない、って設定なんだろ?」
梓「は?」
澪「そこまで徹底するなんてすごいよ」
梓「……混乱してきました」
澪「梓。悪いことは言わない。すぐにそれをやめろ」
梓「澪……先輩?」
澪「それは中二病っていう病気だ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:16:52.05 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―中野家―
梓(あの後、結局病院に行かずに帰ってきちゃった……)
梓(澪先輩が行く必要はない、って言ってたけど)
梓(不安だなぁ)
梓「はぁ……」
梓(そうだ! 今日はあまり練習出来なかったし、うちで練習して明日……)
梓「明日……」
梓(律先輩……)
梓「…………」
梓「……練習しよっ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:21:00.40 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
梓(ふんふんふふ~ん♪)
梓(ふふふ~んふふ~ん♪)
梓(ん、調子いいかも……)
梓(――――)
梓(――――!!)ズキッ
梓「痛っ!」
梓(まただ……! これが中二病……?)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:25:43.10 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―翌日の教室―
憂「それで、大丈夫だったの?」
梓「うん。痛んでも少し黙ってたら良くなるから」
憂「それにしても、中二病かぁ……。初めて聞いたなぁ」
梓「私も。でも澪先輩が前にかかってて良かったよー。いろいろ聞けるし」
憂「梓ちゃん、不謹慎だよ!」
梓「あ、ごめんごめん」
純「二人とも、おはよー」
憂「あ、純ちゃん!」
純「おーおー、朝から何の話で盛り上がってんのよー」
憂「それがね、梓ちゃん、中二病にかかったんだってー」
純「なん…だと…」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:29:44.91 ID:3hqz/lFNO
憂「えっ、もしかして純ちゃん、中二病のこと知ってるの!?」
純「うん、まぁ……」
梓「本当、困ってるんだよねー。いきなり右手が疼くんだもん」
純「えっ? あれ?」
梓「どうしたの?」
純「……ああ、そういうタイプなのね」
憂「?」
梓「あ、それ澪先輩にも言われた」
憂「純ちゃんすごーい! 梓ちゃんに中二病のこと教えてあげてよ!」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:34:35.89 ID:3hqz/lFNO
純「教える、って……、ねぇ」
梓「お願いっ」
純「うーん……、主な症状としては、右手が疼き出すとか?」
憂「! 梓ちゃんと同じ!」
梓「やっぱり……」
純「あとは……、何もない空間に話しかけたり、勝手にフィギュアが動き出したり?」
憂「げ、幻覚まで見るようになるの……?」
梓「…………」
純「あと、私から言えるのは……」
憂梓「?」
純「本当に中二病なんだったら、今すぐにでも目を覚ました方がいいと思う」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:38:45.14 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―授業中―
梓(やめた方がいい……?)
梓(中二病って、やめようと思ってやめられるの?)
梓(……もー、分かんない)
憂(梓ちゃん、可哀相……。でもちょっとクールでかっこいいかも)
憂(お姉ちゃんは知ってるのかな……?)
純(今度から梓ちゃんにはあまり関わらないようにしよう)
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:43:16.58 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―放課後―
ガチャッ
梓「こんにちはー……」
律「よっ、梓!」
梓「あ、どうも、律先輩」
梓(良かった……、いつもの律先輩だ)
梓「律先輩一人ですか?」
律「ん、ああ。唯もムギもまだみたいだ」
梓(澪先輩の名前は出さない……。やっぱり気にしてる)
ガチャッ
梓律「!」
紬「こんにちはー」
澪「…………」スッ
律「!」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:47:40.74 ID:3hqz/lFNO
梓「こんにちは、ムギ先輩に……澪先輩」
澪「あ、ああ」
紬「うふふ」
律「お、遅かったなぁ」
紬「そうかしら? ……いつもどおりよ」
律「そっか……」
梓「そっ、そうです。いつもどおりです!」
澪「…………」
律「…………」
梓(私の右手のことを誰も話さない……。)
紬「……唯ちゃんはまだだけど、お茶にする?」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:51:53.61 ID:3hqz/lFNO
律「そっ、そうだな! そうしよう! いいよな? ……澪?」
澪「えっ!? ……う、うん」
律「あの……、澪。昨日のことなんだけどさ……」
澪「……うん」
律「あと梓も……」
梓「はっ、はい!」
律「私さ……
ガチャッ
唯「おいっす~!」
律「!」
唯「ごめ~ん、遅くなっちゃった」
梓「ゆ、唯先輩!?」
唯「あ、あずにゃんだ! 昨日は大丈夫だった? ちゃんと病院行った?」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 11:56:17.50 ID:3hqz/lFNO
梓「実は、昨日は病院行かなかったんですよ」
澪「!」
唯「えぇ! 澪ちゃん、ちゃんと任せたじゃん! なんで澪ちゃんもいたのに病院行かなかったの!?」
律「……え?」
梓「あの……それは」
律「梓、病院行かなかったのか?」
梓「あ、いや、行こうとは思ったんですけど……、澪先輩が別にいいって」
唯「澪ちゃんひどーい」
律「……どういうことだよ、澪」
澪「ちっ、違う! 梓は病院に行く必要がないから……」
律「梓、そうなのか?」
梓「え……、分かりません」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:01:34.13 ID:3hqz/lFNO
律「なぁ、梓は自分の右手の痛みの原因を知ってるのか?」
梓「あ、それなら……私、
澪「梓!」
梓唯「!」ビクッ
澪「そのことは言うな……」
梓「え? どうして……」
律「澪、どうしたんだよ?」
澪「…………」
律「梓はなんかの病気なのか?」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:06:01.00 ID:3hqz/lFNO
澪「……そうだ」
紬「!」
唯「あずにゃん病気なの?」
梓「え……」
律「ならなんでそれを隠す?」
澪「……言えない」
律「なんでだよ! 私たちは今まで五人でやってきただろ! 誰かの問題はみんなの問題だろ!」
紬「りっちゃん、落ち着いて!」
律「澪!」
澪「…………」
梓「…………」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:11:46.68 ID:3hqz/lFNO
律「……もういいよ!」
唯「りっちゃん」
律「ばか澪! お前なんか……
梓「中二病なんです!!」
澪「!」
律「へ?」
紬「梓……ちゃん?」
梓「私、中二病っていう病気なんです! 自覚はないんですけどかかってて、病院に行って治る病気じゃなくて、それで……」
澪「梓! もういい!」だきっ
梓「それで、うっ……、ぐすっ……」
澪「もう、いいんだ……」ギュッ
律「へ? どゆこと?」
唯「ん」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:17:09.22 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―数分後―
唯「へー、あずにゃん中二病なんだぁ」
紬「唯ちゃん、中二病がなんだか知ってるの?」
唯「ううん、知らない」
澪「それで、普通なら中二病だっていうことはすごく恥ずかしいことで……」
梓「だから澪先輩は私が中二病だってこと言わなかったんですね!」
澪「ああ……」
律「……そうか」
澪「律……」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:23:14.50 ID:3hqz/lFNO
律「澪は梓のことを思って黙ってたんだな」
澪「うん……、まぁ」
唯「澪ちゃん優しーい」
律「……ごめん! 私、勘違いしてて」
澪「……私も、ごめん。……分かってくれたなら、あとはいいんだ」
唯「仲直りだぁ」
紬「…………グスッ」
梓「……すみませんでした! 私のせいでこんな……」
律「いいっていいって! それより、梓の中二病を早く治せるように頑張ろうぜ!」
梓「はい! 中二病の克服目指して頑張ります!」
澪「え?」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:27:26.40 ID:3hqz/lFNO
梓「? どうかしましたか、澪先輩?」
澪「いや、克服っていうか……、やめればいいんじゃないのか?」
梓「?」
律「へ?」
紬「どういうこと?」
唯「澪ちゃん、病気はやめようと思ってやめられるものじゃないんだよ」
澪「あれ?」
梓「だから頑張って克服しようと……」
澪「こいつは重症だな……」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:32:39.21 ID:3hqz/lFNO
律「重症?」
紬「もしかして澪ちゃん、中二病の治し方を知ってるの?」
澪「まぁ、治し方を知ってるというか、梓がどうすべきかは知ってる」
梓「本当ですか!? 私はどうすれば!」
澪「梓、もっかい確認するけど、中二病をやめたいか?」
梓「だから、やめられるものならやめたいです!」
律「それで? どうすんだ?」
澪「こうなったら、……黙って梓が自覚するのを待つ!」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:38:37.32 ID:3hqz/lFNO
梓「へっ?」
紬「それだけでいいの?」
澪「それだけ、っていうか……、それしかないかな……?」
律「なんだ。じゃあ入院とか手術とかはないんだな!」
唯「あずにゃん」
紬「良かったわー」
梓「良かったです!」
澪「でも一番大切なのは梓が目を覚ますことで……
律「よーしっ、そうと決まればー!」
梓「練習を……
律「ムギ! ケーキだ!」
梓「先輩!」ぶー
一同「ははははは!」
第一部 完
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:41:54.89 ID:3hqz/lFNO
第一部終了です
ちなみに確認しておくと
あずにゃんは本当に右手の調子が悪いのに中二病だと勘違いされているのです
ちょっと休んでから再開します
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:58:31.91 ID:3hqz/lFNO
>>87ギクッ
第二部はじめます
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 12:59:38.68 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
憂(家に帰ってきたお姉ちゃんは、梓ちゃんの話ばかりをしています)
唯「そんでねぇ、あずにゃんは中二病って病気にかかっててねぇ」
憂「うん、うん」
憂(やっぱり梓ちゃん中二病なんだぁ。幻覚見てないかなぁ)
唯「そんでねぇ、右手が痛くってねぇ」
憂(本当に梓ちゃんの話ばっかりです。お姉ちゃん、梓ちゃんのこと好きなんだなぁ)
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:04:13.61 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―翌日の学校―
憂「あ、梓ちゃーん」
梓「ん? 何?」
憂「中二病はどうだったの?」
梓「実はさ、あれっきり中二病は発症してないんだよね」
憂「え、そうなの?」
梓「うん、案外もう治ってるもんだったりして」
キーンコーンカーンコーン
梓「あ、放課後」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:08:29.85 ID:3hqz/lFNO
―部室―
ガチャッ
梓「こんにちはー。あ、もう皆さんお揃いですね」
律「おー、梓!」
澪「珍しく遅かったな」
梓「ええ、ちょっと」
紬「今お茶淹れるわね」
唯「あずにゃん」
梓「? なんですか、唯先輩?」
唯「中二病は?」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:13:21.53 ID:3hqz/lFNO
梓「それなら最近は全然発症してませんよ」
唯「! 澪ちゃん」
澪「うん、だいぶよくなったのかもな」
唯「うへへ、あずにゃん」
律「本当か! なら完治の前祝いで今日は練習なーしっ!」
梓「それはだめです!」
律「だってー」
梓「だってじゃないです! 最近ずっと練習してないじゃないですか!」
澪「そうだぞ、律。今日こそは練習だ」
律「へいへーい」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:18:05.77 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
律「それではっ、可愛い後輩の意見を尊重して、練習するぞー!」
唯「おー」
梓「れっ、練習するのが普通です!」
紬「あらあら、うふふ」
澪「…………」
律「ん? どうしたー、澪?」
澪「えっ! あ、いや、大丈夫。練習だ、練習!」
澪(梓……、やっぱりやめたのかな。それならいいんだけど……)
梓「?」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:23:22.40 ID:3hqz/lFNO
律「んじゃー、まず一回合わせてみるか!」
唯「ほーい」
梓(久し振りの練習、不安です……)
律「1、2、3!」
――――――♪
――――――♪♪
梓「!!」ズキッ
澪(……あれ? 意外と……)
紬(上手くまとまってる……)
唯「ほー」
律「…………おい!」
唯「!」ビクッ
律「おい! 梓!」
澪「!」
梓「うっ……右手が、痛い……!」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:28:22.33 ID:3hqz/lFNO
律「ストップ! 中断しろ!」
梓「痛っ……」
律「梓! 大丈夫か!?」
唯「あずにゃん」
澪「…………」
梓「すみません、ちょっと休ませてください……」
律「当たり前だ。……救急車呼ぶか?」
澪「律! ……それはいい」
律「! なんで澪が決めるんだよ! それは梓が……
梓「だっ、大丈夫です! ……痛みもひいてきました!」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:33:19.08 ID:3hqz/lFNO
律「ん、そうか……」
唯「あずにゃん」
梓「大丈夫ですよ、唯先輩」
唯「ん」
紬「でも、本当に大丈夫なの?」
梓「はい。もう全然痛くないです! あ、でも今日の練習は控えてもいいですか……?」
律「ああ、休んでていいぞ」
澪「梓……、本気で言ってるのか?」
梓「え?」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:38:30.66 ID:3hqz/lFNO
澪「本気で、練習しないつもりか?」
梓「え、はい……」
澪「……どういうことだよ」
梓「えっ……」
澪「こんなことは言いたくないんだけど、梓は……、中二病を理由に練習をサボってるんじゃないのか?」
梓「…………わっ、私は」
律「おい待てよ! そんなわけないだろ! さっきまで梓は練習したがってたじゃんか!」
澪「まぁ、そうだけど」
梓「ち、違います、私は……、本当に右手が、痛くてぇ……」ポロッ
唯「あずにゃん」
紬「梓ちゃん、大丈夫。そんなこと思ってないわ」
律「そうだぞ、梓」
俺「泣かないで」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:43:25.11 ID:3hqz/lFNO
澪「……悪かった、梓」
梓「いえ……、いいんです」
律「梓の右手は中二病のせいなんだろ? 澪は、梓が練習をサボるために中二病にかかったふりをしてるとでも言いたいのかよ!」
澪「そういうわけじゃ……」
律「それならちゃんと説明しろ!」
紬「りっちゃん……」
澪「そうだな……、この際だからみんなには中二病のことを説明するよ」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:48:34.76 ID:3hqz/lFNO
梓「!」
律紬「……ゴクリ」
唯「ん」
澪「中二病ってのはな、正式には病気とみなされないんだ」
梓「え……!」
澪「そういう症状を持った人を蔑視して中二病患者と呼んでるだけにすぎなくてさ」
紬「蔑視……」
律「その症状ってのは!?」
澪「例えば……、漫画やアニメの世界に憧れを抱くあまり、まるで自分にも何かの能力が備わっているかのように振る舞ったり……」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:53:25.09 ID:3hqz/lFNO
律「中二病患者は自分でも分かってて、そういう行動をとってるのか?」
紬「じゃあ、梓ちゃんが、右手が疼くって言ってたのは……」
梓「ちっ、違います! 私は、本当に痛くて!」
律「ん? 澪、梓は本当に痛いみたいだぞ?」
澪「うーん、そこがややこしくてさ」
律「?」
澪「なんて言うか……、梓は中二病にドップリ漬かってるせいか、自分が中二病だってことを頑なに認めないんだ」
梓「なにを……!」
律「はっはーん、なるほどぉ。中二病ってこと自体をとぼけてるのか」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 13:58:13.45 ID:3hqz/lFNO
梓「そんなんじゃ……ないです……」
律「確かに、それなら病院に行く必要はないなー」
紬「梓ちゃん……、そうだったの……」
澪「分かってくれたか」
梓「ちがっ……い、ますっ……、グスッ」
律「あー、泣くな泣くな!」
紬「別に攻めてるわけじゃないの。ただ、嘘をついてたならやめて欲しいな、って……」
梓「…………う、うっ」ポロッ
唯「あずにゃん、泣かないで」
梓「……唯先輩」グスッ
俺「唯ちゃん……」
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:03:23.36 ID:3hqz/lFNO
唯「みんなヒドいよ。あずにゃんだって本当に痛いかもしれないじゃん」
律「あのな、唯」
紬「梓ちゃんは中二病って言ってね……
唯「あずにゃん、痛がってた」
律紬「う……」
梓「私……、中二病かもしれないですけど、右手が痛くなったのは本当ですし、練習もしたいです……」
律「澪ー……、やっぱり梓は……」
澪「違う! 梓は本当は痛くなんかない!」
梓「!」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:08:45.71 ID:3hqz/lFNO
澪「目を覚ませ、梓! いい加減、私たちに迷惑かけるのはやめろ!」
律「澪……」
梓「…………」
紬「澪ちゃん……」
唯「違うよ、澪ちゃん
澪「違くなんかない!」
唯「!」ビクッ
澪「みんなもうんざりだろ!? 練習しようとする度、右手が痛いとか言って中断させられるのは!」
律「そ、そんなこと……
澪「私はうんざりだ! 私は
梓「もういいです!」
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:13:41.79 ID:3hqz/lFNO
梓「澪先輩がそこまで言うのなら、もういいです!」
律「梓……」
梓「右手が疼くのなんて嘘です! 練習したくないから……、したくないから嘘ついてました……!」ポロッ
唯「あずにゃん」
澪「……やっと認めたか」
律「! 澪!」
澪「さっきから言ってるだろ、中二病ってのは自分からおかしな行動をとるんだ」
律「梓は、本当は!」
梓「……私、もうやめます」
澪「そうだ、中二病なんてやめて、ちゃんと練習を……
梓「私、この部活をやめます!」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:18:14.03 ID:3hqz/lFNO
律唯紬「!」
澪「お、おい、何もそこまで……」
梓「こんな疑いをかけられてまで、楽しく演奏なんて出来ません……!」
律「梓、私たちは疑ってなんか……」
梓「第一! さっきの練習の時、私は右手のせいでほとんど弾けなかったのに、演奏はまとまってたじゃないですか!」
紬「!」
律「う……」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:23:13.60 ID:3hqz/lFNO
梓「演技だと思われてるのかもしれないですけど、まともにギターを弾けない私がここにいても邪魔なだけです」
唯「あずにゃん」
梓「ごめんなさい、唯先輩……。ずっと、庇ってくださったのに……」
律「待てよ! 演奏しなくたって出来ることは……
梓「もう決めたことです! それに、ここまで言ったらもう戻れないですって……」
律「梓……」
梓「……短い間でしたけど、お世話になりました……」
唯「あずにゃん……」
澪「…………」
梓「……さようなら!」
ガチャッ、バタン!
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:28:28.50 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
唯「あずにゃん……グスッ」ポロッ
紬「唯ちゃん、大丈夫よ。梓ちゃんは戻って来るわ」
唯「でもぉ……」
律「…………」
澪「…………」
律「……澪のせいだ」
澪「…………」
律「どうするつもりだ?」
澪「私は……」
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:33:27.48 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―中野家―
梓「…………」
律『梓の右手は中二病のせいなんだろ?』
梓「…………んっ」
紬『大丈夫、そんなこと思ってないわ』
梓「……ううっ」ポロッ
唯『あずにゃん、痛がってた』
梓「あ……、ああっ……」ボロボロ
梓(私はっ……、私はなんてことを……!)
梓(あんなに先輩たちのことが好きだったのに!)
梓(あんなに楽しかったのに!)
梓(あんなに……! あんなに私のことを心配してくれてたのに!)
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:38:18.86 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―部室―
澪「私は、梓に酷いことを……」
律「…………」
澪「ろくに梓の気持ちも考えず……!」ポロッ
律「うん」
澪「……謝らなきゃ」
唯「澪ちゃん」
澪「……梓は放課後ティータイムの一員だ。 たとえ梓が嘘をついてたとしても、中二病だったとしても、それを受け入れられずに何が先輩だ!」
紬「……澪ちゃん」
澪「みんな、ごめん……。私のせいでこんなことになっちゃって……」
律「いいってことよ。でも、それを言うなら……」
唯「あずにゃんにだよぉ」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:43:09.83 ID:3hqz/lFNO
律「と、いうわけでー! 今からみんなで梓の家に謝りに行きまーす!」
唯「おー」
澪「えっ、でも……」
律「梓だって、本当は軽音部をやめたくないはずだ」
紬「今ならまだ大丈夫よ」
唯「澪ちゃん」
澪「そうかな……」
唯「うんっ」
澪「……分かった、行こう!」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:48:31.44 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―中野家―
梓(……だいぶ落ち着いた)
梓(辞める、なんて言っちゃった……)
梓(辞めたくないけど、澪先輩から誤解されたままじゃ戻れないよ……)
梓(どうしよう……)
梓(……先輩)
梓(……そうだ。先輩たちが驚くくらいギターが上手くなってたら)
梓(そうすればちゃんと練習してた、って分かってもらえて疑いも晴れるかも!)
梓「……よーしっ」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:53:25.06 ID:3hqz/lFNO
梓「さっそく練習しよっ」
梓(せーのっ)
梓(――――!)ズキッ
梓「つっ……!」
梓(まただ……! ……でも、これは中二病! 痛くなんかないっ!)
梓(――――!)ズキッ
梓(……戻るためには上手くならなきゃ!)
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 14:58:23.99 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
律「ここかー、梓んち」
紬「そういえば、みんなで梓ちゃんちに来るのってなかったわね」
律「そうだっけ?」
澪「…………ゴクリ」
唯「澪ちゃん」
澪「大丈夫だよ、唯。ちゃんと私が悪いって謝る」
唯「ん」
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:03:35.00 ID:3hqz/lFNO
律「えいっ」ピンポーン
家「…………」
律「あり?」
唯「もっかい」ピンポーン
家「…………」
紬「いないのかしら……」
律「たのもー!」
ガチャッ
澪「り、律!」
律「い、いやっ、私だってまさか開くとは!」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:08:15.41 ID:3hqz/lFNO
紬「でも、鍵があいてるなんて……」
律「やっぱり中にいるんじゃないのかー?」
唯「あずにゃーん」
廊下「…………」
律「……中入るか」
澪「ちょ、ちょっと!」
紬「待って!」
紬「……なにか聞こえる」
唯「?」
「……せん……ぱい」
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:13:15.69 ID:3hqz/lFNO
唯「あずにゃん!」
律「え?」
唯「どこ!」ダッ
澪「あっ」
律「待てよ、唯!」ダッ
唯「あずにゃん!」
ガチャッ
唯「!」
律「待てって……!」
梓「はぁ……、右手が……っ!」
唯「あずにゃん! あずにゃん!」
律「梓! しっかりしろ!」
紬「!」
澪「梓……!」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:18:40.17 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病院―
医者「ふむ……」
唯律澪紬「…………」
医者「右手が異常に腫れ上がっています。恐らくは内部で炎症が起きているのでしょう」
律「それって……、ヤバいんですか?」
医者「中野さんはギターをやっていると言いましたね? ただの炎症なら安静にして、それなりの治療をしていれば良くなると思いますが……」
澪「…………」
医者「無理な練習をしていたんでしょう。中野さんの場合、通常よりも遥かに酷く……」
唯「…………」
医者「恐らく、もう一度ギターを弾けるようになるのは難しいでしょう」
第二部 完
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 15:26:11.84 ID:3hqz/lFNO
第二部おわり
次の第三部で完結です
諸事情により投下できなくなるので
6時くらいにスレが残ってたら再開したいと思います
唯「結末が知りたかったら保守してねっ☆」
242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 17:59:43.32 ID:3hqz/lFNO
保守ありがとうございました
それじゃ投下していきます
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:01:50.58 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
憂(その日は、お姉ちゃんが帰って来るといきなり泣き出しました)
唯「憂……、あずにゃんがぁ……」ボロボロ
憂「だっ、大丈夫? お姉ちゃん?」
憂(こんなお姉ちゃんを見るのは初めてで驚いたけど、梓ちゃんのことを聞いたら、お姉ちゃんの様子にも納得がいきました)
唯「あずにゃん……、うう」ボロボロ
憂「……お姉ちゃん」
憂「……梓ちゃんなら、きっと大丈夫だよ!」
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:06:09.79 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―部室―
律「…………」
唯「…………」
澪「…………」
紬「…………」
紬「……そうだ、お茶にする?」
律「ん……、ああ……」
澪「……そうだな」
紬「きょっ、今日は唯ちゃんの大好きなアイスクリームのお菓子よ!」
唯「……あずにゃん」
248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:11:14.05 ID:3hqz/lFNO
紬「唯ちゃん……」
澪「…………」
律「……っだーー!!」
紬唯澪「!」ビクッ
澪「どっ、どうしたんだよ、いきなり!」
律「これでいいのかよ!」
紬「!」
律「私たちはこんなんでいいのかよ!」
澪「……分かってるけど」
律「私たちがこんなで、梓が退院して戻って来た時どう思う!」
唯「あずにゃん」
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:16:12.19 ID:3hqz/lFNO
律「梓は今、負い目を感じてると思う」
紬「負い目?」
律「『私が怪我したせいで先輩たちに迷惑かけてしまったー』とかな」
澪「……悪いのは私だ」
律「なに言ってるんだよ」
澪「え……?」
律「澪は謝ろうとしただろ? ……ちょっとタイミングを逃しちゃったけど」
澪「でも……、梓は……
紬「大丈夫よ。梓ちゃんだって、澪ちゃんのことを許してくれるから」
澪「……そうかな」
唯「そうだよ」
紬「うふふ」
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:21:25.46 ID:3hqz/lFNO
澪「でもさ……」
律「?」
澪「もう一つちゃんと梓に謝らなきゃいけないことが……」
紬「なに?」
澪「ほら、梓は中二病なんかじゃなかったのに、私は……」
律「なんだそれか」
澪「なっ! なんだとはなんだよ!」
律「そんなん大した問題じゃないだろ」
澪「え?」
紬「むしろ誤解がとけてホッとするんじゃない? 梓ちゃん」
澪「……ん」
唯「ねぇねぇ、あずにゃんのお見舞いに行こうよ」
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:26:37.09 ID:3hqz/lFNO
律「おっ、それは名案だぞ、唯!」
唯「でしょでしょぉ」
紬「いいわねー。ねっ、澪ちゃん?」
澪「うん、……いいと思う」
唯「やったぁ」
律「うしっ! 梓に元気な私たちの姿を見せてやろうぜー」
紬「それが一番梓ちゃんを元気づけられるはずだわ」
澪「改めて梓に謝るよ。……ちょっと緊張するけど」
唯「だいじょうぶだよ」
律「それじゃ早速、しゅっぱぁーつっ!」
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:31:08.01 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病室―
梓「…………ん」
梓(……あ、私入院してるんだった)
梓(先輩たちどうしてるかな……。私のせいで空気悪くなっちゃってるだろうな……)
梓(澪先輩も……。あんな形のまま暫く話せてない)
梓(……先輩たちに謝りたいな)
ガラッ
梓「!」
律「フォッフォッフォ、調子はどうかね、中野くん」
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:36:10.17 ID:3hqz/lFNO
梓「律先輩!?」
律「げっ、ばれた!」
澪「当たり前だ!」
梓「澪先輩も……、どうして」
紬「お見舞いに来たに決まってるじゃない」
唯「あずにゃん、具合どう」
梓「……先輩たち」
律「?」
梓(良かった……、いつもどおりの先輩たちだ……)
梓「あの……」
262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:41:17.66 ID:3hqz/lFNO
梓「あの……、ごめんなさいっ! 部活やめるとか勝手言ったり、入院までして迷惑かけて……」
律「まぁまぁ。それについてはこいつから」スススッ
澪「りっ、律! あ……、梓?」
梓「はっ、はい!」
澪「本当にごめん」
梓「え……?」
澪「梓は中二病なんかじゃなくて、本当に腕が悪かったんだよな……。私、それも知らずに梓に酷いこと言って……」
梓「澪先輩……」
澪「私が悪かった。こんなことになっちゃったけど、許してほしい……」
梓「やっ、やめてください!」
澪「えっ……」
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:46:28.38 ID:3hqz/lFNO
梓「私だってすぐ熱くなっちゃって悪かったです……」
澪「……」
梓「それに、私の誤解がとけただけで十分ですから」
紬「ふふっ」
梓「先輩がそんなに謝らないでください!」
澪「梓……」
唯「あずにゃん」
俺「あずにゃんいい子」
律「うんうん。これにて一件落着ー!」
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:51:10.19 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―――数十分後
律「それで澪はこういったんだよ」
紬「なんて?」
律「『君のママの作ったオートミールを食べるくらいならバッファローの角をかじっている方がましさ』ってね」
澪「いいかげんなことを言うなっ」ポカッ
律「いたいっ」
唯「りっちゃんおもしろーい」
梓「あははははっ」
梓(なんか、良かったなぁ。やっと元の私たちに戻ったような……)
梓(あっ、だめだめ! 早く私の腕も治して練習出来るようにならないと、元の放課後ティータイムじゃない!)
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 18:56:10.69 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
澪「お、もうこんな時間か」
梓「あ、本当ですね」
律「じゃー、あまり長居するのも悪いし私たちはそろそろ帰るよ」
紬「またね、梓ちゃん」
唯「また来るよぉ」
梓「はい! 先輩たちは私に構わず練習頑張ってください! 私も、一刻も早く復帰できるように頑張りますっ!」
唯「へっ? でもあずにゃん……
澪「そっ、それじゃ早く出ようか! 梓の迷惑にならないうちに!」
唯「?」
梓「?」
ガチャッ、バタン
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:01:08.49 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
澪「おい唯!」
唯「ねぇ、あずにゃんは」
律「唯、梓は自分が再起不能かもしれないってことをまだ知らないんだよ」
澪「梓の前では絶対に言っちゃ駄目だって教えただろ」
唯「……ごめん」
紬「……梓ちゃんがそのことを知ったら」
律「本当に部活を辞めかねないな……」
唯「それはだめだよぉ」
澪「じゃあ、梓の前でそれは禁句な」
唯「うん……」
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:06:42.28 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病室―
梓(早く復帰したいとは言ったけど、いつになったら治るのかなぁ)
梓(先生も詳しく教えてくれないし……)
梓「はぁ……」
ガラッ
看護士「中野さーん、診察室に来てくださーい」
梓「あ、はーい」
梓(あれ? 今日の検査は終わったのに……。……なんだろう)
─────────────
梓「あの……、今日の検査は終わりましたよね……?」
医者「ああ、そうなんだけどね、実は話しておくことが……」
283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:11:54.31 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
唯「そいでねぇ、澪ちゃんとあずにゃんが仲直りしたからねぇ」
憂「へぇ、良かったね!」
唯「うん! あ、あと……、あずにゃんには秘密なんだけど、もしかしたらあずにゃん、さいきふのうかもしれないんだって……」
憂「ええっ! 梓ちゃんギター弾けなくなっちゃったの?」
唯「もしかしたら、だから大丈夫だよぉ」
憂(そんな……、梓ちゃん)
憂「私も、お見舞いに行きたいな……」
285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:16:31.79 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―教室―
律「うん、いいんじゃないか?」
唯「だよねぇ!」
紬「なんの話しかしら?」
唯「あ、ムギちゃん。なんか憂もあずにゃんのお見舞いに行きたいんだってぇ」
澪「へー、それはいいかもしれないな。梓もうるさいばっかじゃ大変だろうし」
律「おい」
唯「じゃあ今日もあずにゃんのとこ行こうよ!」
澪「いいけど……、梓には例のこと、ばらすなよ?」
唯「おっけー」
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:21:14.70 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―病院―
紬「二日連続は迷惑じゃないかしら……」
澪「昨日の様子を見るに、迷惑そうではなかったよ」
紬「そうかしら」
唯「憂、あのことは言っちゃだめだよ」
憂「私は大丈夫だよぉ。お姉ちゃんも気をつけてよ?」
唯「はいはーい」
律「おー、着いた着いた梓の病室!」
ガラッ
律「フォッフォッフォ、調子はどうかね、中野くん」
澪「またそれかい!」
290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:26:09.87 ID:3hqz/lFNO
梓「…………」
律「……あり?」
唯「……あずにゃん?」
梓「えっ! あっ、先輩っ!」
律「どうしたんだよ、ぼーっとして」
梓「いえっ、なんでもありません!」
紬「ふふっ、変な梓ちゃん」
澪(……まさか、梓)
梓「あ、憂もきたんだ」
憂「梓ちゃん、大丈夫?」
291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:31:04.68 ID:3hqz/lFNO
梓「だ、大丈夫大丈夫! こんなの何でも……ないから……」
澪(……梓、やっぱり)
律「そうなのか?」
紬「なんか無理してるような……」
憂(……梓ちゃんもしかして)
梓「実は……」
澪「!」
梓「医者の先生が手術するって言うんです……」
唯「えぇ!」
梓「し、心配しないでください! 大した手術じゃありませんから!」
292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:36:06.51 ID:3hqz/lFNO
唯「そうなんだぁ」
澪(自分が音楽を続けられるかに関わる手術なのに……。私たちに心配かけたくないからって……)
律「そっかー、じゃあ気楽にやれよ!」
紬「手術はいつなの?」
梓「あ、それは―――」
憂「…………」
憂(梓ちゃん、分かってるんだ。自分の腕のこと……。それなのに……)
294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:41:21.70 ID:3hqz/lFNO
梓「……とにかく心配しないでくださいね!」
唯「うん。私たちあずにゃんがいなくても練習がんばるから、早く戻って来てね」
梓「……!」ポロッ
律「えっ! あ、梓?」
梓「はいっ……、はい! 絶対です……!」
律「どうしたんだよ、梓?」
澪「律!」
律「へっ?」
ガラッ
看護士「中野さーん、検査の時間でーす」
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:46:08.88 ID:3hqz/lFNO
梓「あっ、じゃあ行ってくるんで……」
律「お、おう」
ガラッ
律「……どうしたんだ、梓のやつ」
澪「ばか律」
律「え?」
憂「梓ちゃん、たぶん全部聞いたんですよ……」
紬「全部って……」
律「全部か!?」
澪「あの様子じゃほぼ間違ないな」
唯「?」
300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:51:08.25 ID:3hqz/lFNO
律「だから唯が『戻って来てね』って言ったときに……」
澪「……梓」
唯「手術って大変なの?」
澪「たぶん、梓の音楽生命のかかった手術になるだろうな……」
紬「そんな……」
唯「あずにゃん」
澪「なにか、できないかな」
律「え?」
澪「梓の手術を成功させるためにさ」
紬「私たちに出来ることなら、なんでもやりたい!」
唯「うんっ」
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 19:56:06.99 ID:3hqz/lFNO
律「そうだな、私も賛成だ!」
紬「でも何を……」
澪「んー……」
憂「やっぱり、梓ちゃんは軽音部が好きなんですよ」
律「え?」
憂「自分が辛い状況にいても、軽音部の皆さんには心配させないように気を使って……」
澪「…………」
憂「表には出さないけど、梓ちゃんは不安でいっぱいなんだと思います」
紬「梓ちゃん……」
唯「……そうだ!」
306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:01:07.66 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―――数日後
―病室―
梓「…………」
梓(今日は手術の日か……)
梓(この前先輩たちには心配しないで、って言ったけど……)
梓(怖いよぉ……)
梓(もっと放課後ティータイムで音楽してたいよぉ……)
梓(先輩……)
ガラッ
律「ファッファッファ、調子はどうかね、中野くん」
310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:06:10.25 ID:3hqz/lFNO
澪「いいかげん違うパターンで入ったらどうだ?」
律「笑い方が違いますぅ」ブーブー
紬「うふふ、元気そうね」
唯「また来たよぉ」
梓「先輩たち……」
澪「今日は梓の手術だからさ、みんなで励ましに来たんだ」
梓「…………」
紬「梓ちゃんなら大丈夫よ!」
律「ま、手術って言っても大したことないんだろ?」
梓「…………私」
唯「あずにゃ~ん」ギュッ
梓「先輩……、私……」ポロッ
312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:11:08.11 ID:3hqz/lFNO
梓「私っ……、強がってたけど本当はすごく怖くって……」
唯「うん」
梓「ごめんなさい……、大した手術なんかじゃないんですけどっ」
律「…………」
梓「私、頑張ります……!」
澪「……ああ」
梓「……頑張りますから、待っててください」
紬「ええ、もちろん」
唯「あずにゃん、プレゼントだよ」トン
梓「これは……、テープレコーダー?」
314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:16:10.38 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
梓(先輩たち、帰っちゃった……)
律『頑張れよ梓ー』
澪『……絶対戻って来るんだぞ』
紬『美味しいケーキ用意して待ってるからね』
唯『これは私たちが帰ってから聴くんだよ!』
梓「……聴いてみるか」
カシャッ
『ジジジジジジジジ』
『ほい、押したよぉ』
『よし、いいぞ唯』
『コホン。あずにゃん、聞こえる?』
梓(唯先輩の声……?)
315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:21:13.84 ID:3hqz/lFNO
『入院中のあずにゃんに私たちの演奏をプレゼントします』
『本当は病院で演奏したかったんだけど、楽器は持って行けないからさ』
『それじゃあ、梓ちゃんの手術成功を願って!』
『1、2、3!』
――――♪
――――♪♪
梓「!」
316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:26:13.96 ID:3hqz/lFNO
梓「……先輩」
――――♪♪
――――♪♪
梓(……私だって)
――――♪♪
――――♪
梓(……終わった)
『ふぅ……』
『唯ー、止めてくれ』
『うんー』タッタッタッ
『……これかな、えいっ』カシャ
『……あー! なんとか録り終わったな!』
梓(あれ? 止まってない……)
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:31:07.73 ID:3hqz/lFNO
『ねぇねぇ、あずにゃん喜んでくれるかなぁ?』
『当たり前だろ? こんな感動的なプレゼント、他にないって!』
『自分で言うな』
『……でもやっぱり』
梓「?」
『梓がいないと物足りないよな』
梓「!」
『ええ。演奏的にも、雰囲気的にも……』
『あずにゃん、手術うまくいくといいなぁ』
328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:36:03.87 ID:3hqz/lFNO
『……もし、手術が上手くいかなかったら』
『梓は軽音部を辞めるだろうな……』
『ギター弾けないんじゃいる意味がないって言ってたしな……』
『…………』
梓(先輩たち、全部知ってて……!)
『ってー、なに辛気臭くなってんだよ!』
『あずにゃんも戻ってきたいと思ってるはずだよ』
『唯ちゃん……』
『だから絶対大丈夫!』
『……そうだな』
『……それじゃ、今から梓んとこ行って
ガチャッ
梓(あっ……、切れた)
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:41:29.30 ID:3hqz/lFNO
梓(先輩たち、なにも知らないふりして……)
梓(気使ってるのは先輩たちの方だったんだ……)
梓(……私は、あの部室に戻りたい)
梓(放課後ティータイムの一員として、あそこで先輩たちと一緒に演奏がしたい)
ガラッ
看護士「中野さーん、そろそろ時間でーす」
梓「……はい!」
梓(待っててくれてる先輩のためにも……!)
梓(……手術を成功させる!)
俺「がんばって」
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:47:24.79 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―平沢家―
憂(その日も、お姉ちゃんは泣きながら帰って来ました)
唯「憂……、あずにゃんがぁ……!」ボロボロ
憂「どうしたのっ!? お姉ちゃん?」
唯「あずっ、あずにゃんがぁ……、ギター弾けるってぇ……」ヒック
憂「ほっ、本当に!?」
唯「う゛ん……! 少し、休めばっ……、いいってぇ」ボロボロ
憂「……そう、良かったね、お姉ちゃん」ギュッ
338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:51:10.04 ID:3hqz/lFNO
―――――――――――――
―数週間後―
紬「今日はいつもよりお菓子を豪華にしてみたの」
律「おお!」
澪「さすがだな」
唯「ケーキだぁ」
律「なぁなぁ、私お腹空いちゃったんだけどさぁ」
澪「だめだ。全員そろうまで待ってないと……」
唯「バナナは残しておいてね。きっと……
ガチャッ
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 20:56:06.89 ID:3hqz/lFNO
唯「!」パァァァ
梓「遅れてすみませんっ!」
律「やっと帰ってきたがったか……」
梓「先輩……、ただいま戻りました!」
紬「うふふっ、おかえりなさい」
澪「おかえり」
唯「あずにゃん、おかえりっ!」ギュッ
梓「わっ……」
唯「あずにゃ~ん」
律澪紬「ふふふっ」
344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:01:16.81 ID:3hqz/lFNO
律「よーし、梓が復帰したことを祝って、ムギのお菓子だーっ!」
梓「待ってください!」
律「ギクッ。……な、なんでしょう?」
梓「あ、いや、お菓子は構わないんですけど……、うわっ!」
紬「?」
梓「こら、勝手に出て来るなって言ったでしょ!?」
澪「へ?」
梓「あ、すみませんっ! ……実は最近、私の人形が勝手に動き出すんで困ってるんですよ」
唯「…………あれ?」
おわり
352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:03:36.35 ID:3hqz/lFNO
おわりです
読んでくれた方、保守してくれた方ありがとうございましたー
オチとか思い付かねえよ
まさかこんなに重い話になるとは……
367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:11:17.42 ID:3hqz/lFNO [104/105]
やっぱ最後わかりづらいかー
一応>>57が伏線ってことで…
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/17(土) 21:27:13.30 ID:KO6yO+1PO [3/3]
小津
能力者だった頃のサンジュ補完キボン
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/17(土) 22:08:39.57 ID:3hqz/lFNO [105/105]
最後に…
>>375
たぶんそのうち書くつもり
あとこのまま落としてください
<<唯「なんでもない」 | ホーム | 律「ショートカット澪ちゃん」>>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |