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勇者♀「死にたい」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:17:28.13 ID:o/Y2yUvy0 [1/39]
ルイーダ「開口一番になんてネガティブな」
勇者「だって、せっかく5年間じっと引き籠ってこの世の現実から目を逸らしてたのに」
勇者「いきなり見知らぬ兵士に自室の扉を蹴破られ、城まで強制連行させられた挙句」
勇者「王様に『おお、引き籠ってしまうとは情けない!!(プークスクスwwwwww)』なんて馬鹿にされれば」
勇者「そりゃ死にたくもなるよ……」
ルイーダ「たしかにね」
ルイーダ「開口一番になんてネガティブな」
勇者「だって、せっかく5年間じっと引き籠ってこの世の現実から目を逸らしてたのに」
勇者「いきなり見知らぬ兵士に自室の扉を蹴破られ、城まで強制連行させられた挙句」
勇者「王様に『おお、引き籠ってしまうとは情けない!!(プークスクスwwwwww)』なんて馬鹿にされれば」
勇者「そりゃ死にたくもなるよ……」
ルイーダ「たしかにね」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/09(金) 18:22:37.57 ID:o/Y2yUvy0
ルイーダ「まあそんなことはどうでもいいとして」
勇者「なんて冷たい言い草よ……」
ルイーダ「ここはルイーダの酒場。なんたらかんたら出会いと別れの酒場よ。貴女はどんな人をお望みかしら?」
勇者「ここまで来たら腹をくくるしかないのか……」
勇者「えーと、それじゃあオーソドックスに……」
勇者「武闘家、賢者、魔法使いを頼みます(キリッ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:29:07.36 ID:o/Y2yUvy0
ルイーダ「初っ端から賢者ってどこがオーソドックスよ。まあいいけど」
勇者(マジでいいのかよ……)
ルイーダ「性別の希望は?」
勇者「えーと、全員女性で……」
ルイーダ「ん、本当にそれでいいの? 男女の恋愛とか育まなくてもいいの?」
勇者「いや、私って贔屓目に見てもちょっとは、ていうかかなり可愛いですよね?」
勇者「だから冒険の途中にレイプでもされたらって思うと怖いな~って(笑)」
ルイーダ「うわあ、こりゃひどい」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:34:22.50 ID:o/Y2yUvy0
ルイーダ「待たせたわね。こんな感じでいかがかしら」
勇者「さあ、どんな頼もしくも麗しい仲間が……」
賢者♀「(^q^) おぎゃwwwwwwwwwぱしへろんだすwwwwwwww」
魔法使い♀「まあ、貴女があの勇者様ですの? ずいぶんと貧相な胸と顔ですこと!」プークスクス
勇者「……」
ルイーダ「……」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:41:49.21 ID:o/Y2yUvy0
勇者「もっとまともな人材はいないんですか?」
ルイーダ「男なら腐るほどいるんだけど、あいにく女の子は極端に人材不足なのよ」
ルイーダ「非公式の遊び人の女の子ならたくさんいるんだけどね、そこら辺に」
勇者「夜の魔王を退治します、ってか。ハハ、こやつめ」
ルイーダ(上手くない)
勇者「で、本当に大丈夫なんですか、この人たち?」
ルイーダ「一応、傭兵採用試験を通ってきた信頼に足りる人材よ」
勇者「あと魔法使いがちょっと……道中誤って殺しちゃうかも……」
ルイーダ「我慢してちょうだい」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:47:06.02 ID:o/Y2yUvy0
勇者「それとその、武闘家の姿が見えないんですが……」
ルイーダ「ああ、彼女なら今お仕事で来れないのよ」
勇者「お仕事?」
ルイーダ「副業の風俗よ」
勇者「」
ルイーダ「後でレーベの村で落ち合うようにって伝えておいたから」
ルイーダ「他の二人と親睦を深めつつゆっくりと向かうといいわ」
ルイーダ「どうか達者でね」
勇者(もうダメポ……)
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:55:17.14 ID:o/Y2yUvy0
アリアハン付近の草原
そんなこんなでわたしの魔王退治の旅は幕を開けたわけだが。
正直言ってもう帰りたい。いっそ死にたい。
なんたって5年間ずっと家に引き籠っていたのだから戦闘能力などあるわけもなく、
たよりの綱となるのは彼女たちの腕だけなのだから。
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwwwwメラなのれすwwwwwwwww」ボッ
おおがらす「ぎゃああああああああああす!!!!」ジュッ
幸いにも、一見して戦力にならなそうだった彼女たちの強さは相当なもので。
魔法使い「下劣な魔物が風情が! 高貴なるワタクシに触れないでくださいまし!!」ズバッ
スライム「ぴぎゃあああああああああああ!!!!」ジュル
しかしそのことが余計にわたしのコンプレックスを刺激する!
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:01:34.74 ID:o/Y2yUvy0
魔法使いはともかくたかが池沼に!!
あんな人とも思えないような奴にすら遅れをとるなんて!
そう思うと、今すぐにでも、この腰に携えたなまくら刀で自分の首ねっこを掻っ切りたい、
そんな暗く淀んだ欲望がわたしの胸中を埋め尽くすのだ!
勇者「はぁ……」
魔法使い「おーほほほ! 勇者様ったら、さっきから元気がありませんことよ?」
勇者「あんたには関係ないでしょ……」
魔法使い「あらあら、もしかして! 貴女、このワタクシの勇姿に惚れk」
勇者「あ、それは絶対にないです」
魔法使い「( ´・ω・)」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:09:20.54 ID:o/Y2yUvy0
レーベの村
賢者「(^q^) うーwwwwwwwwとうちゃくwwwwおぎゃwwwwwwww」
勇者「死ぬかと思った……」
魔法使い「それでは少し早いですが宿の予約を取りましょうか!」
道中、戦闘のほとんどで賢者と魔法使いの後ろに隠れて難を逃れていたわたしだったが
それでも精神的な疲労はたまるらしく、朦朧とした頭で宿の予約をとるはめになってしまった。
わたしは賢者と魔法使いに翌朝まで自由にしていいと告げ、重い足を引きずりながら部屋へと直行し、
そのまま倒れこむようにベッドに寝転んで、天を仰いだ。
わたしの心のように汚れきった天井がそこにあった。
あ、今わたし、なんかすごい。なんかすごいきてる。詩人の才能的な何かが!!
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:17:28.89 ID:o/Y2yUvy0
勇者「うう……お母さん……」
もう二度とアリアハンには戻れまい。
帰れるとすれば、それはわたしが物言わぬ亡骸となった後のことだ。
そうだ、こんなわたしが魔王なんかを倒せるはずがないのだ。
せっかく雇った彼女たちには悪いが、おそらくすぐにパーティーは解散してしまうのだろう。
ああ! なんという悲劇のヒロイン!!
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:24:10.57 ID:o/Y2yUvy0
勇者「……駄目だ、ネガティブすぎて眠れない!」
いくら疲れたとは言え、まだ日輪がようやく西へ傾き始めたばかり。
こうも日の光が部屋に差し込んでいては眠るに眠れない。
勇者「……外食でもしようかな」
そういえばこの5年間、ろくに外に出たことなどなかった。
……どうせ近いうちに死ぬのだ。今のうちに王様からもらったなけなしの金で贅沢するのも悪くない。
パーティーメンバーへの給与? 知ったことか!
どうせ池沼にタカビーに、まだ会ったことはないがビッチ。わたしと同じ社会的なクズどもなんだ。
クズなんかに他の真人間たちと同じ扱いを受ける権利なんてないんだよ! ヒャッハー!!
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:33:57.21 ID:o/Y2yUvy0
夕方
勇者「……」
クソッ、クソクソクソッ!!!!
なんだよ、どいつをこいつも蔑んだ目でわたしを見てッ!!!!
――長い間引き籠っていたわたしの髪は、誰の目からみても明らかなほど汚らしかった。
雑草のようにあちこち飛び出た無造作な長髪。そこにちらほらと伺える白濁色の大きなフケ。
稚虫の穴蔵と見まがえてしまいそうなくらい醜いじゃないか!
池の水面にちらりと横切ったわたし自身の姿に絶句したのは、宿を出てからほんの少し後のことだった。
ほんの少し? いや、十分遅すぎた。それまで気にならなかった雑音が鮮明に聞こえてくる。
「なにあいつキモーイwww」……リア充共の嘲り声という雑音がね、チクショウ!!
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:39:44.71 ID:o/Y2yUvy0
NO! どうして誰も指摘してくれなかったんだよ!?
いや、理由は明白だ。みんなわたしを蔑みたいからわざと何も言わなかったんだ……!!
元が可愛いからってみんな嫉妬しやがって!
これだから運命に導かれない一般市民は!
勇者「クソが……!」
そうして今、わたしは誰にも見られたくないがために適当な民家の物陰でじっと息を潜めて隠れていた。
当然外食どころじゃなかったので昼食は食べれず、腹は鳴りっぱなし。
早く夜にならないだろうか。誰にも見つからずに宿に行って風呂に入りたい。もうほんと最悪だ!!
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:49:07.23 ID:o/Y2yUvy0
勇者「……ん?」
そんな時である。
不意に「おぎゃwwwwww」という耳障りな音が近くから聞こえてきたのは。
おそるおそる物陰から顔を出してみると、池のほとりで多数の餓鬼共が、
一人の幼女を寄ってたかって蹴りつけているという凄惨な光景がそこにあった。
ピザ幼女A「ブヒヒwwwwwwwこりゃ楽しいでぶぅwwwwww」ゲシッゲシッ
賢者「(^q^) いたいのれす! いたいのれす!!」ポロポロ
ピザ幼女B「きめえんだよ障害者wwwwwwずっと施設で飼い殺されてろよwwwwww」ゲシッゲシッ
その輪の中心で、背中を丸め叫んでいたのは、ついさっきまで一緒にいた賢者だった。
先ほどまでと変わらない笑顔のまま、目尻から涙をこぼし悲痛な叫び声をあげている姿は滑稽以外の何者でもない。
勇者「ハッ! ざまぁみろ、障害者が!」
颯爽と駆けつけていじめをやめさせる? 馬鹿! こんな光景滅多に見られるもんじゃないわ!
池沼のくせに賢者に就職してる生意気な幼女の苦しむ様をぞんぶんに見学させてもらおうか!!
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:53:28.88 ID:o/Y2yUvy0
ピザ幼女A「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女B「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女C「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女D「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女E「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
賢者「(^q^) やめてほしいのれす! さもないと……」
勇者「ん?」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:56:20.82 ID:o/Y2yUvy0
_,-'' ) 。゚・ 。 。
, -' (.__,-'' , , , 。゜
, -( ^q^)こうなるのれす-'~ ,- ' / / i~i /, 。
/ )ヽ(w i .,-'~ ,-'~ // , /// ~ //,
.,/ / ヽヽヽ ,-/'~ ,ノ / ////@ @// '/
/ ^)' _ l ゝ _)-'~ ,-'~ //, ' ⌒/∨ ̄∨ ⌒ヽ
/ /' ヽ ^ ̄ ,-'~ / / ヽ ゚ ・
(iiiiリ∫ ヽ ./ (⌒`~~' /i ノ ノ\ ヽ
ヽ─|~' ノ/ ゙~~~~ | ./ `- '
|| ||l、_ / ,,, | / ゚ 。
|.| _|.|_,,,| | __-'',,-~ / /
.|.| ニ─、─''''| | =-''' / 、 ヽ ←ピザ幼女E
.|.| |.| .| | | l l
|.| |.| .| '、 _ _.| / ノ
.|.| ,,== ==.| l .|.| ,_,,-'',,,-| / | /
|.| ||_ノノ | | i、`''',,-'''' | / .| .|
.|.レ `-- ' | |  ̄ | .ノ | )
,- | | ..... | .| ||
`ヽ );;;::::::::''''' | | | .|
゙ - ''''''' ,- 、| | ,,,,,;;;;;;;;と__)''
\__);;;;;;;''''''
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:00:16.75 ID:o/Y2yUvy0
勇者「」
ピザ幼女A「」
ピザ幼女B「」
ピザ幼女C「」
ピザ幼女D「」
ピザ幼女E「」ピクピク
賢者「(^q^) 忠告したはずだ。やめろ、と」
賢者「(^q^) この本性を見た以上……」
賢者「(^q^) 誰一人として生きては返さん」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:04:15.35 ID:o/Y2yUvy0
. , . . ∧_∧
' .∴ ' ( )
` . ・,‘ r⌒> _/ /
, . ’ | y'⌒ ⌒i
,,- ''フ ' | / ノ |
,,/ ,/ , ー' /´ヾ_ノ ←ピザ幼女D
(^q^)/⌒) ,,/ ,/ / , ノ
(⌒__/ ノ_,/ ,/ / / /
`(__/ ,/ / / ,'
('' )' ,/´つ / /| |
| ノ / !、_// 〉
{ } / |_/
\_/
_( ^q^)
/ ) _ _
/ ,イ 、 ノ/ ∧ ∧―= ̄ `ヽ, _
/ / | ( 〈 ∵. ・( 〈__ > ゛ 、_―
| ! ヽ ー=- ̄ ̄=_、 (/ , ´ノ ←ピザ幼女C
| | `iー__=―_ ;, / / /
!、リ -=_二__ ̄_=;, / / ,'
/ / / /| |
/ / !、_/ / 〉
/ _/ |_/
ヽ、_ヽ
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:08:47.13 ID:o/Y2yUvy0
_ _ .' , .. ∧_∧
( ^q^)_ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( )
ヽ-'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ ,,-―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ\\ . | / ノ |
/ / \\ , ー' /´ヾ_ノ
レ ノ ヽ_つ / , ノ ←ピザ幼女B
/ / ./ / /
/ /| / / ,'
( ( 、 / /| |
| |、 \ !、_/ / 〉
. | / \ ⌒l |_/
| | ) /
ノ ) し'
(_/ -==≡≡≡===-
=―≡ ̄`:∵∧_∧´‘
_ _≡―=', ( ∴∵゛、゜¨←ピザ幼女A
, ≡ ) ( ^q^)r⌒) _/ / ̄ _
´∴‘≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ _ ( ≡―=‥、,、
″″ \/ _| />> | ^q^ )`=―≡―??
“ ( ^q^ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
,゛“=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
∴/´/ / | | ,'ゞ
゛〃/ / / \| | ヾ
/( | ( |
/ | | |\ \
/ / | | | ヽ/⌒〉
(_ 「 _) (_〈_/
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:19:47.93 ID:o/Y2yUvy0
ピザ幼女A「」ピクピク
ピザ幼女B「」ピクピク
ピザ幼女C「」ピクピク
ピザ幼女D「」ピクピク
ピザ幼女E「」ピクピク
賢者「(^q^) 唯一神 パシ=ヘロンダース様の意に背く邪悪な健常者共が」
勇者「」ダッ!!
一目散で逃げた。宿屋に逃げた。真の恐怖とはああいうものだとは。
もう二度と障害者を馬鹿にすることはないだろう……すれば命がいくつあっても足りない。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:45:38.87 ID:o/Y2yUvy0
夜中 宿屋にて
賢者「(^q^) おぎゃwwwwあーうーwwwww」
魔法使い「ああもう、じっとしていてくださいな! これじゃ髪をとかせませんわ!」
勇者「……」
結局あのあと何事もなく賢者は宿屋に戻ってきた。
先ほどまで血なまぐさい殺戮があったことなど微塵も感じさせない無邪気な笑顔で
すでに買い物を終えて帰ってきていた魔法使いに抱きついた賢者は、
そのまま彼女に連れられて風呂に入り、こうして仲良く髪をとかしたりしているわけだが。
賢者「(^q^) うーwwwwかみwwwとかすwwww」
魔法使い「そう、いい子ですわね。ヘアケアを怠っているとそこの薄汚いお姉ちゃんみたいになっちゃいますからね」
勇者「」ビキビキ
ちゃんと風呂には入ってフケ落としたからきれいだろうが!
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:52:14.95 ID:o/Y2yUvy0
勇者「……もう寝る。絶対朝まで起こさないでよ?」ドサッ
魔法使い「あーら気に障っちゃったかしら? ごめんあそばせぇ、おーほっほほ!!」
賢者「(^q^) おぎゃwwwww」
もう付き合ってられない。
さっさと寝よう。このやわらかい枕に顔をうずめて心の平穏を。
せめて夢の中くらいはいい思いをしますように……。
…………。
……。
…。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:59:27.22 ID:o/Y2yUvy0
真夜中
魔法使い「すぅ……すぅ……」
賢者「むにゃむにゃ……ククク、障害者を舐めるなよ……」
勇者「…………」
アーン! ソコハサワッチャダメェ!
勇者「……」
ンアッ! モウ、セッカチサンナンダカラァ…
勇者「……」ビキビキ
ハァン! モット! モットツヨクツイテェ!
勇者「隣の部屋マジでぶっ殺す……!」ビキビキ
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:07:39.87 ID:o/Y2yUvy0
翌朝
勇者「」ゲッソリ
魔法使い「あらあら、どうしたんですの? 昨日より数段みにく……あらやだ、失言でしたわね! ほっほっほ!」
賢者「(^q^) あーうwwwwみにくいwwwwww」
……結局、隣の情事が気になって一睡もできなかった。
それどころか一発やってしまった。
魔法使いのイヤミったらしい言葉に悪態を吐く余裕もないわたしは、
階下のカウンターへとただうつむいて歩を進めることしかできなかった。
勇者「もうやだ……死にたい……」
???「ねえそこの貴女。ちょっといいかしら?」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:16:39.94 ID:o/Y2yUvy0
勇者「え? あ、はい……わたしになにか……?」
???「聞きたいことがあるのだけれど、昨日アリアハンから旅立った女勇者って知らないかしら?」
勇者「え?」
???「レーベの村で落ち合う手筈だったんだけど、それらしい姿が見当たらなくてねえ」
勇者「あの、それ、わt」
???「フケ塗れの汚らしい姿って聞いてたんだけどねぇ、どうしたのかしら」
???「あんまりにも見つからないものだから昨晩もう一発だけお客さんと盛り上がっちゃったわぁ」
???「あ、ごめんなさいね脱線しちゃって。それで、何か知ってる?」
勇者「」ブチンッ
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:30:09.66 ID:o/Y2yUvy0
いざないの洞窟入り口
勇者「クソガッ……! どいつもこいつもなんで……!」ブツブツ
武闘家「もう、いつまで引きずってるのよ。ストレスはお肌の大敵よ?」
宿屋のカウンターを銅の剣で跡形もなく切り刻み、村の役所にお世話になったわたしたち勇者一行は
その日の午後、追われるようにレーベを後にし、ロマリアへと続く洞窟へと向かった。
途中、幾度となくおおありくいやさそりばちの襲撃に遭ったが、
賢者と魔法使いの豊富な呪文
そして新しく仲間に加わったビッチのおかげで難なく日が暮れる前に一先ずの目的地に到着できた。
……のだが。釈然としない。
どうしてこんな腐ったやつらがことごとくわたしの仲間なんかに……!
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:45:19.96 ID:o/Y2yUvy0
魔法使い「場所をわきまえずすぐに切れるなんて淑女の風上にもおけませんわねぇ」ニヤニヤ
勇者「死ね」
魔法使い「し、死ねですって!? ほんと、貴女って育ちも悪ければ顔も性格も矯正できないくらい歪んでますわね!
武闘家「うふふ、仲がいいわねぇ。……あら?」
魔法使いと仲がいいなんて妄言を吐いた武闘家がふと立ち止まった。
松明を掲げていたわたしはどうしたのかと、数歩分だけその明かりを前へと照らした。
勇者「……なによこれ? 行き止まり?」
するとそこには奇妙な文様の刻まれた石造りの壁が、
わたしたちを待ち構えていたかのごとく悠然と聳え立っていたのである。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:55:02.71 ID:o/Y2yUvy0
わけがわからない。
たしかこの先にはアリアハンとロマリアを繋ぐ旅の扉があるはずなのに……。
勇者「もう、どうなってんのよ……」
魔法使い「これは……封印の紋章のようですわね」
勇者「封印?」
魔法使い「そう。でもいったい誰がいつの間にこんなことを……」
武闘家「ともかく、このままじゃロマリアへは行けないってことでしょう? どうするの?」
魔法使い「どうすると言われても……そこらの魔法じゃ手も足も出ないでしょうし……」
賢者「(^q^) ……」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:02:04.69 ID:o/Y2yUvy0
賢者「(^q^) 黄昏よりも昏きもの」
勇者「へ?」
賢者「(^q^) 血の流れより紅きもの」
魔法使い「は?」
賢者「(^q^) 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において」
武闘家「あらあら」
賢者「(^q^) 我ここに 闇に誓わん」
勇者「あ、やばい、なんかやばい、圧倒的にやばい」
賢者「(^q^) 我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを!」カッ
勇者「逃げろぉぉぉぉぉぉッ!!!?」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:04:19.95 ID:o/Y2yUvy0
,,-' _,,-''" "''- ,,_  ̄"''-,,__ ''--,,__
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "-
て / ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ {
(" ./ i {;;;;;;;i| .|i;;;;;;) ,ノ ii
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-"
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
 ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_ __,,-''"
._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄ |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
,,-''::::二-''" .--i| .|i "- ;;:::`、
._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i
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`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
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 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
i| |i
.i| .|i
.i| ..|i
.i| |i
.i| ,,-、 、 |i ウギャアアアアアアアアア…
i| ノ::::i:::トiヽ、_.|i
_,, i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:12:17.66 ID:o/Y2yUvy0
アリアハン城
王様「おお勇者よ! 死んでしまうとは情けない!(プークスクスwwwwww)」
勇者「初全滅がこんな形になるなんて思ってもみませんでした」
王様「言っとくけどいくら全滅してもお前に対する支援は一切しないからの?」
勇者「わかってますよ国王陛下……!」ビキビキ
王様「わかってるならほら、さっさとまた旅に出かけんか! ほらほら!」シッシッ
勇者「言われなくても行きますよッ!!!!」
王様「おおっと! そこに転がってる棺おけも忘れずに持ってけよ?」
勇者「うぎいいいいいいいいいい!!!!」ビキビキ
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:25:15.65 ID:o/Y2yUvy0
いざないの洞窟
勇者「さて、多少抵抗はあったけど仲間を全員生き返らせてまた戻ってきたけど」
魔法使い「どういうことですの? いつの間にか封印の壁がなくなってますわ!?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwww」
魔法使いは死んだ前後の出来事をきれいさっぱり忘れてしまったみたいだ。
いや、そのほうがいいのかもしれない。これからの人生を幸せに過ごしたいなら。
武闘家「まあどうでもいいじゃない。それじゃあ気を取り直してロマリアへと向かいましょうか」
勇者(武闘家も忘れてるのか? ということは……)チラッ
賢者「(^q^) ……」
賢者「(^q^) 覚えてるなら他言無用だぞ、勇者よ」
勇者「」ガクガク
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:42:10.23 ID:o/Y2yUvy0
――それからの旅路は至極順調だった。
戦闘になると相変わらずわたしは彼女たちの後ろでびくびくと縮こまっていたものの、
そんなことお構いなしに……。
魔法使い「お逝きなさい、野蛮な獣ども!!」ズバッ
おばけありくい「ありくいぃぃぃぃぃいいいいい!!!!」バタ
魔法使いのひのきの棒が猛獣の額をえぐり。
賢者「(^q^) あうああうあーwwwwwwww」ボッ
キャタピラー「きゃたぴぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」ジュワァ
賢者のギラが稚虫の群れを焼き払い。
武闘家「消えなッ!!」バシュッ
バブルスライム「ばぶぅwwwwwwwwww」パァン
武闘家の拳が不定生物を四散させた。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:51:51.97 ID:o/Y2yUvy0
そんな旅路に目を見張るようなドラマなどあるわけもなく。
気がつけばわたしはロマリアの城下町のちっぽけな宿屋で、
仲間たちがこれからの旅に必要となる物資を調達してくるのを、
薄ら冷たいベッドの上で寝転がりながら、ただぼうっと待ち続けていた……。
勇者「……はぁ」
いざないの洞窟で旅の扉をようやく見つけたという感動も、
ロマリアの宿屋で旅の疲れを癒すという素朴な幸せも、
わたしだけは仲間たちと共有することが出来なかった。
勇者「……みじめだなぁ……」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:02:33.66 ID:o/Y2yUvy0
とは言え、5年間母親の脛をかじって引き籠っていたわたしに何ができるというのか。
強力な仲間たちが絶命しないためのお守りでしかないわたしに何が。
……。
勇者「クソッ! なんでわたしなんかが勇者に選ばれたのよ!?」
勇者「だいたい父さんも父さんよ! 一人で魔王退治になんか行くんじゃないわよ!!」
勇者「あんだけ強かったんだから仲間いれば余裕で魔王になんか勝てたでしょ!?」
勇者「あんたが調子にのって死んだから、わたしなんかが魔王退治の使命を……」
勇者「うっ……ううっ……!」ホロ…
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:18:16.29 ID:o/Y2yUvy0
バタン……。
魔法使い「おーっほほほ! ワタクシとしたことがお財布を忘……」
勇者「ッ!?」
魔法使い「……あ、あら? 貴女……泣いて……?」
勇者「な、なによ! 泣いてないわよ馬鹿!!」ゴシゴシ
魔法使い「い、いえ、でも明らかに……」
勇者「泣いてない! 死ね! あっちいけタカビー野郎!!」
魔法使い「ま、まあ!? ひ、人がせっかく心配してるのになんて言い草……!」
魔法使い「もういいですわ! 失礼しましたわね!」
バタン!
……最悪だ。いやなやつに泣き顔みられた。
なんでわたしはこんなについてないのだろう。死にたい。
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:32:45.27 ID:o/Y2yUvy0
翌日 ロマリア北西の関所
――無事に物資を補給したわたしたち勇者一行は、
ロマリア国王の王冠が盗賊カンダタに盗まれたという情報をかねてより入手していたので、
さっそく取り返しに……。
行くわけねーだろバーカwwwwwwww
こちとら慈善事業で勇者やってるわけじゃねーんだよwwwwwwww
というわけなのでその事件は完全に無視し、
船を格安で売ってるというポルトガに直行すべく
たった今その中間地点であるロマリアから北西の関所に着いたのだが。
勇者「門に鍵がかかってて通れないとは、なんたる不運」
賢者「(^q^) おぎゃ?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:43:31.54 ID:o/Y2yUvy0
魔法使い「残念ですこと。まあ、人々を救う気のない勇者様にいいことなんて起こるわけありませんわね」
勇者「……チッ」
魔法使い「……なんですのその舌打ち。何か文句でもおありかしら?」
勇者「いえいえ、なんにも。有能なお嬢さまに文句言う資格なんてわたしにはありませんから」
武闘家「もう、どうしたのよ二人とも? 昨日からギスギスしっぱなしじゃないの」
魔法使い「……」
勇者「……」
武闘家「やれやれねえ……うふふ」
賢者「(^q^) ……」
賢者「(^q^) アバカム」ボソ
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:51:01.41 ID:o/Y2yUvy0
ガチャン。
魔法使い「あら、今の音は?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwとびらwwwwwwひらいたのれすwwwww」
武闘家「あらら、本当ねえ。どうして気づいたの、賢者ちゃん?」
賢者「(^q^) おぎゃ?」
勇者「……そ、そんなことどうでもいいじゃない! ささ、さっさと先に進みましょう?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwww」
魔法使い「なんか釈然としませんわね……ん?」
魔法使い「……ふふふ、そうですわ」ニヤリ
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:05:32.51 ID:dEiBFbZ20 [1/14]
ポルトガ周辺の森
ドルイド「どるいどぉwwwwどるいどぉwwwww」
バリイドドッグ「ばりいどぉwwwwwばりいどぉwwwww」
勇者「ひっ!? ま、また魔物!?」
武闘家「いろいろ過程をすっとばしちゃったから敵が強いわねえ。下がってなさい、勇者ちゃん」
賢者「(^q^) やるのれすぅwwwwwwwww」
そう言って余裕の笑みを零しながら前へと進み出る武闘家。
だが守ってもらってるわたしがいうのも何だが、実をいうとかなりやばい状況だ。
さっきからこのクラスの魔物との連戦で、あの賢者ですらうっすらと額に汗が滲んでいるほどみんな消耗している。
こういうときに後ろでのんびりしているわたしの居心地の悪さと言ったら……。
勇者(ああ、肩身がせまい)
魔法使い「……」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:14:09.48 ID:dEiBFbZ20 [2/14]
バリイドドッグA「ばりいどぉwwwwww」ガッ
武闘家「あんッ! もう、ゾクゾクしちゃうじゃないのよ!!」ガッ
バリイドドッグA「ばりいどぎゃああああす!!!!」グシャッ
ドルイドA「どるいどバギぃwwww」ビュ
賢者「(^q^) マホカンタ」カキン
ドルイドA「どるいどウボァァァァ!!!?」ズパッ
勇者「まあこの様子ならまだ大丈夫か……」
バリイドドッグB「ばりいどぉwwwwww」ヒュン
魔法使い(ひひひ……今ですわ……)ニヤリ
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:18:58.33 ID:dEiBFbZ20 [3/14]
ドンッ!
バリイドドッグB「ばりいどぉwwwwww」ヒューン
勇者「はえっ!?」
魔法使い「ああっ、なんということー! 手元が狂って魔物の攻撃を勇者様に受け流してしまいましたわー」
ドグシャアッ!
勇者「う、うぎゃあああああああああ!!!?」ブシュー
ボトリッ……。
勇者「う、腕が! わたしの腕があああああああ!!!!」ドクドク
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:28:53.12 ID:dEiBFbZ20 [4/14]
魔法使い「いーーーっひゃひゃひゃッ!! さいっこうですわ! その苦悶の表情!!」ゲラゲラ
勇者「ご、ごああああ……! て、てめぇぇぇぇこのやろぉぉぉぉ……!!」ビキビキ
このビチグソが!! ただのタカビーかと油断してたらこんな本性隠してただとォォォォッ!!!?
い、いたい……いたいぞォォォォォォォォォォクッソォォッォォッォォォォ!!!!!!
勇者「うあああああああああああ!!!!」ドクドク
武闘家「あらあらあらあらあらあら、大変! 賢者ちゃん、お願い!」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwヴぇほまwwwwwww」カッ
シュワァン……。
勇者「はぁッ……ぐ、がぁ……! う、ううう、あはぁ……」ジュウ
魔法使い「あら残念、もう直ったんですの?」クスクス
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:38:27.87 ID:dEiBFbZ20 [5/14]
ドルイドB「どるいどぉwwwwどるいどぉwwwww」
武闘家「もう、なにやってるのよぉ。真面目にやりなさいったら」
賢者「(^q^) おぎゃwwwww」
魔法使い「申し訳ありませんわ……ほんと、うっかりしてしまって」クス
勇者「……」
勇者「そうか、うっかりなら仕方ないよな」ユラッ…
魔法使い「……?」
ドルイドB「バギwwwwwバギwwwwww」ヒュン
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:43:07.19 ID:dEiBFbZ20 [6/14]
ドンッ!
魔法使い「きゃわッ!?」
勇者「おおっと! うっかり足を滑らせて魔法使いをバギの軌道上に押し倒してしまったぞぉwwwwww」
スパパパパパパパ!!
魔法使い「うきゃあああああああああああ!!!?」ブシャブシャブシャア
ボトボトボトボトボト……。
武闘家「あらあらあらあら……無残ねえ」
賢者「(^q^) あうwwwww」
魔法使い「」ピクピク
勇者「wwwwwwwwwwwwwwwうぇwwwwwwwwwwwwうぇwwwwwwwwwwww」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:54:26.05 ID:dEiBFbZ20 [7/14]
ポルトガ 宿屋
勇者「お前のwwwwwwwあの『まさか!?』っていう表情といったらwwwwww」
魔法使い「あーら、腕の一本や二本切られたくらいで泣き叫んでた腑抜け様はどこのどいつでしたかしらねぇ!」
勇者「まんまと倍返しされて泣き叫びたくても出来なかったお前が言うなよwwwwwwwwwwww」
魔法使い「まぁ! 貴女ったらほんと冷酷で残忍な人ですこと!!」
勇者「だからお前がwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
武闘家「うふふ、にぎやかなのは構わないけどほどほどにしなさいよぉ? 食事中なんだから」
賢者「(^q^) うーwwwwwうるさいのれすwwwwwww」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 01:12:01.84 ID:dEiBFbZ20 [8/14]
多少のアクシデントはあったものの、なんとか無事にポルトガにたどり着いたわたしたちは
水平に巨大な満月を湛えた、雄大な海辺の景色を堪能するより先に、
宿へと向かい腹ごしらえすることに決めた。
ちなみにあの後、賢者のMPが膨大なのいいことに飽きるほど魔法使いと殺し合いを繰り広げてしまった。
たぶん、わたしは14回瀕死、4回死亡したと思う。
そんなに殺されるとさすがに空腹は抑えきれず、
いつもは少食なわたしがなんとキャタピラーの佃煮を一皿まるまる平らげてしまうという快挙を成した。
勇者「あー、食ったわ食ったわ……」
魔法使い「下品ですわねぇ。食後はもっと優雅な台詞を……ああ、貴女には一生かかっても出来ませんわね」
勇者「死ね」
武闘家「ほら、よく噛んで食べるのよ? ホイミスライムの触手は喉に絡みやすいから……」
賢者「(^q^) うーwwwww」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 01:26:57.03 ID:dEiBFbZ20 [9/14]
真夜中
ザザーン……
ザザーン……
武闘家「すぅ……すぅ……」
賢者「ふみゅ……むにゃむにゃ……」
勇者「……」
――久々に晴れ晴れとした気分だ。何故だろう?
パーティーに貢献したわけじゃない。
それどころか迷惑をかけてしまった。それなのに。
……不思議なこともあるものだ。
勇者「……ふぅ」
魔法使い「あら……センチな気分に浸ってるのかと思えば、今日は泣かないんですのね」
勇者「ッ……起きてたのかよ?」
魔法使い「起きてちゃまずいことでもあるんですの?」
勇者「……」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 01:46:14.37 ID:dEiBFbZ20 [10/14]
勇者「……なんであんなことしたんだよ?」
魔法使い「あんなことって?」
勇者「うっかりわたしを殺しまくったこと」
魔法使い「ああ……簡単なことですわ」
魔法使い「貴女のあの泣き顔に、ワタクシ……」
魔法使い「とても……ゾクゾクしてしまいましたもので……!」ゾクゾクッ
勇者「それでバリイドドックけしかけて泣かせるってお前……さすがのわたしも引くレベル」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:00:57.83 ID:dEiBFbZ20 [11/14]
魔法使い「……こんな性格、軽蔑しますわよね」
勇者「え、うん(なんでそこでしおらしくなるんだよ)」
魔法使い「わかってるんですの……貴女にしたことは許されないことだって」
勇者「あ、うん(めんどくさいなこいつ)」
魔法使い「だから、謝らせてくださいまし。こうやって貴女に冷静に向かえる今のうちに」
勇者「あ、うん(タカビーで変態でメンヘラって救いようが……)」
魔法使い「……ちょっと! 真面目に聞いてるんですの!?」
勇者「あ、うん」
魔法使い「むっきいいいいいいい! 人がせっかくシリアスになってるのになんてやつですの!?」
勇者「……ああもう!! そういうところマジ死ねよ! 恩着せがましいにもほどがあるわ!」
魔法使い「こっ、このッ……!!」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:12:24.02 ID:dEiBFbZ20 [12/14]
魔法使い「キモオタニート風情がァァァァ!!!!」ブォン
勇者「うわッ!? へ、部屋の中でひのきの棒振り回すな馬鹿!?」
魔法使い「ワタクシの目の前から消えてなくなりなさい! この下郎が!!」
勇者「(#^ω^)ビキビキ」
い、言わせておけば、このメンヘラがァァァァ!!!!
この時、目の前にいる女が……!
尻をぶっ叩いて挑発してるジュウシマツ住職のようにみえたわたしの頭に遠慮の二文字はなかった!!
魔法使い「逝きなさい! 冥土へと!!」ダッ
勇者「てめえが……」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:21:32.48 ID:dEiBFbZ20 [13/14]
ガッ!
魔法使い「はえ!?」
ひのきの棒を両手に構えて突進してくる魔法使いの腰周りを華麗にホールディングしたわたしは。
勇者「逝きやがれこの腐れメンヘラがぁぁぁぁ!!!!」
そのまま投げっぱなしジャーマンの要領で、窓の外に広がる静寂の海へと。
ガシャアアアアン!!!!
魔法使い「うきゃああああああああああああああ!!!!」ヒューン
勢いよく放り投げてしまった……。
――ドボーン……!
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:23:49.66 ID:dEiBFbZ20 [14/14]
ザザーン……
ザザーン……
武闘家「すぅ……すぅ……」
賢者「ふみゅ……むにゃむにゃ……」
勇者「……」
ヒュウゥゥゥゥゥ……
勇者「……さて、と」
勇者「寝るか」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:06:53.49 ID:PReuY7kp0 [1/49]
翌日 ポルトガの造船所
勇者「ええええ、船を造るのに1年はかかるの!?」
ピザ造船士「ぶひぃ。玩具とは違うぶひ。それくらい待ってもらわないと」
勇者「そんなに待ってられるか! なんとかできないんですか!?」
ピザ造船士「ぶひひ。そうでぶひねぇ……」
ピザ造船士「先日、2年前に船を注文していたとある富豪が急遽キャンセルを申し込んだんだぶひ」
ピザ造船士「条件によっちゃこいつをお前さんにくれてやってもいいぶひ」
勇者「マジですか!?」
ピザ造船士「通常価格の10倍の1000万G支払ってもらうぶひ」
勇者「」
ピザ造船士「無理でぶひか? それなら一晩身体を売ってくれればタダでくれてやっても」
勇者「……失礼しました(きめぇ……)」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:15:35.08 ID:PReuY7kp0 [2/49]
勇者「まったく、あの糞ピザ……足元見りゃつけあがりやがって……」
武闘家「でも困っちゃったわねぇ。船がなくちゃ魔王退治なんてできっこないわよ?」
賢者「(^q^) あうあうあーwwwwwww」
勇者「そんなことわたしに言われても……」
武闘家「ああ、そういえば魔法使いちゃんはどこにいっちゃったのかしら? 朝から姿が見えないけど」
勇者「え? あ、ああ、そうですね……ほんとどこ逝っちゃったんでしょうね」
ざわざわ……
町人A「おーい! なんかあっちの浜辺で水死体みつかったらしいぞ? しかもおにゃのこwwwwww」
町人B「マジかよ野次馬いってくるwwwwwww」
町人C「ちょwwwwwwおまwwwwwwwwグロ専かよwwwwwww」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:27:43.80 ID:PReuY7kp0 [3/49]
宿屋
勇者「なんという手詰まり感だ」
勇者特権をかざせばなんとかなるだろうと高をくくっていた。
タダなら1年の歳月。今すぐなら1000万G。
どちらにせよ対価は重すぎる。
勇者「まいったなぁ。いや、でもこれを理由にアリアハンに戻れ……」
勇者「るわけないか。あの糞王ならすぐ国から追い出すに違いない」
武闘家「……」
武闘家「ごめんなさいねぇ、勇者ちゃん。ちょっと出かけてくるわぁ」
勇者「え? あ、はい。でも何をしに……?」
武闘家「ちょっとしたお買い物よぉ。明日の朝までには戻ってくるから安心してちょうだいな」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:35:46.70 ID:PReuY7kp0 [4/49]
勇者「……行ってしまった」
賢者「(^q^) うーwwwwwww」
勇者「……」
賢者「(^q^) ……」
勇者「……」
賢者「(^q^) ……」
勇者「……あ、ああ! そうだ、す、水死体引取りにいかないと!」ガクガク
賢者「(^q^) ……」
勇者「そそそそそれじゃ、ちょっとわたしも行ってきます!!」ダッ
狭い空間に賢者と二人きりだと?
冗談じゃない! いつ失言かまして粛清されるかわかったもんじゃないわ!!
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:54:25.05 ID:PReuY7kp0 [5/49]
教会前
さて、重圧に耐え切れずに思わず逃げ出してしまったが。
ぶっちゃけ魔法使いを蘇生させるのが堪らなく嫌だ。引き取りたくない。
どうせ生き返ったら嫌味ったらしい小言を一晩にわたってネチネチわたしに言い聞かせるに違いないのだ。
それをわかっていながら生き返らせるってどんなマゾだよ。
勇者「はぁ……気が滅入る……」
そうこう考えてるうちにもう教会に着いてしまった。
仕方ない、あいつの暴言は我慢……。
ざわざわ……ウヒャヒャヒャ……
勇者「ん?」
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:05:54.20 ID:PReuY7kp0 [6/49]
魔法使い「」グッタリ
町人A「ウハwwwwwwwテラ水死体wwwwwwww」ベタベタ
町人B「この死んだ感が最高スなぁwwwwwwww」ベタベタ
町人C「犯りてえwwwwwww死姦してえwwwwwwww」ベタベタ
勇者「うひゃあ」
遺体置き場を覗いてみると、そこではさっき野次馬すると話していた町人たちが
粗末な茣蓙の上にぐったりと横たわっている魔法使いの身体をベタベタと触りまくっている最中だった。
勇者「き、キモすぎる……同じ人間とは思えない、品性を疑うわ」
いや、それ以上に……。
なんか、むかつく。異常にむかつく。
普段のわたしなら「はいはいキモスキモス」と言ってそのまま見なかったふりをするような場面なのに、なんか。
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:15:21.74 ID:PReuY7kp0 [7/49]
魔法使い「」グッタリ
町人C「死姦してえよwwwwwwww我慢できねえよwwwwwww」ベタベタ
町人A「じゃあ犯ろうぜwwwwwwww」ベタベタ
町人B「ちょwwwwwwwおまえもかよwwwwwwwwうぇwwwwwww」ベタベタ
町人C「Bは違うのかよwwwwwwwwwwww」ベタベタ
町人B「実を言うと俺もだwwwwwwwwwwwwww」ベタベタ
町人C「おまwwwwwwwじゃあみんなで犯ろうぜwwwwwww」ベタベタ
勇者「」ビキビキビキビキ
こ、こいつら……ぶっ殺す!
殺意の波動に目覚めた今のわたしに不可能はないような気がする!!
なんか出そう! 手からこう、なんかギラ的な何かが……!
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:17:34.64 ID:PReuY7kp0 [8/49]
、_人_从_人__/
_)
,..r;;: ( 人) ) ,;`ー、 | ヽ丶 _) 消 汚
ヾゞ、 ゞ'´ '`´ `ヾ、 ─|─ _) 毒 物
-‐':、ゞ'`` ,l / | ヽ _) だ は
ヾ、 ゞ;;. ,r-、 `ヾ、 ヽ、 _) l
, rヾ ,r!/r'ヽ '` \ _|_ _) っ
_,,,.,ノ、_ ヽ, `ゞ;; ;:、 /| `) !
,r‐'''" ,.r ,イ彡ミミヾ、 `` ´;;i V^V⌒W^Y⌒
__,.;;,ィ'´ ,:;;;;彳彡ミ;j`、 `i;:、 オ
;; ヾ、彡;;;ノリ;jjjjj;;;jr' i . ノ;;:'' `゙`、 ``ー、 ,ィ
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;レ ,t'´ ,.、ー、 ゝ ォ i|l;
;'イ;;;'ヾ``ヽ、ィ;;i ,ri'´ ヽ ヾノ ,ry' il'Y゙r ヽ、 ,j|l;;
j'´ '´ '´/ゞ';;::`´ヽ ``´ー ゙i ;;: ,r' ) ,r、 ,rヾlir'ミ,
/ ,;:' '´/ ー≡;i{、 /ヾr'´ ,. '`;;:、 〉ゝ r-ー-、_ ,{i=i= }i、
ーr-、j ,! ,;',;'ィ;;:イ''``ゞ、_,、-‐'´ヽ:;/ 、 ``ヽ ;:、 `' (´ `ゞ、;;;;'',,fi、,≡:;イ==、
,,:' ``ゞ、,;;ゞ、 "´イ ,... `'彡 ,/´ `ヾ、ヾ ' ー、 ii;j `i;;!'´ニil';;;;ゞr、_,r'ミ
' ー‐─ ,rー'゙ー─-、_j;:r'´ ヾ,ゞ 、 ゞ,ミ;:l;;l ,! ,!,i;;'´¨/
;. r-‐;;'"} ``ヾ、 ノ ,;;;: (i,;)))、,,:;!、__,:};!_,.、l
.... _,,,ィ、 i 'ヾ人 、}( / ノ ,r'i r'"ヾ-‐i‐-:;イ, / ヾ
*勇者♀、初めてのギラの図
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:24:39.30 ID:PReuY7kp0 [9/49]
町人A「うっぎゃああああああああああああああ!!!?」ジュワッ
町人B「うっぎゃああああああああああああああ!!!?」ジュワッ
町人C「うっぎゃああああああああああああああ!!!?」ジュワッ
勇者「はぁ……はぁ……はぁ……」
い、今のは、ギラ?
わ、わたしが魔法を使ったの?
わたしがこの汚物どもを焼き払ったの!?
勇者「ひ……」
勇者「ヒャァァァァァッハァァァァァァッ!!!! ついにやったわ! 世紀末美少女勇者の覚醒よォォォォ!!!!」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:31:14.94 ID:PReuY7kp0 [10/49]
なんかよくわかんないけどこれで魔法使いの前で大手を振って歩けるわよ!
ざまあみろ世の中の情弱キモオタニートども! これが運命に導かれし者の実力よ!
勇者「……興奮したらどうしたことか逆に冷静になってきた」
これがリアル賢者タイムか。
おっと、そうだ。こうしちゃいられない。
殺人を犯した人間がいつまでもここら辺をうろちょろしてたらやばい。
勇者「さっさと魔法使いの水死体を……」
魔法使い「」プスプス
勇者「もとい焼死体を回収しますか」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:58:56.47 ID:PReuY7kp0 [11/49]
翌日
勇者「うーん! 清清しい朝の目覚めね!!」
賢者「(^q^) おはようなのれすwwwwww」
魔法使い「……」グッタリ
勇者「おやおやどうしたの魔法使い? 顔が真っ青だよ?」
魔法使い「すごく嫌な夢を見ましたわ……」
勇者「へえ、どんな?」
魔法使い「貴女にスープレックスで海に放り投げられて溺死して死姦されそうになって、いつの間にか焼死体になってしまう夢ですわ」
勇者「カオスだな。そんなこと現実におこるわけないよ」
魔法使い「そ、そうですわね。所詮夢は夢ですわよね」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:09:53.05 ID:PReuY7kp0 [12/49]
バタン……。
武闘家「あらあら、みんなもう目が覚めてたのねぇ」
勇者「あ、武闘家さん。おはようございます」
賢者「(^q^) おあよーwwwwww」
魔法使い「ごきげんよう武闘家様」
武闘家「うふふ、おはよう。ああ、それはそうと貴方たちにいいお土産を持ってきたわよぉ」
勇者「お土産、ですか?」
武闘家「そうよぉ。でもちょーっと大きなお土産だから、悪いけど港にみんな来てもらえるかしら?」
勇者「……はあ?」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:30:01.05 ID:PReuY7kp0 [13/49]
港
武闘家「船、買っちゃいましたぁ♪」
勇者「……」
魔法使い「……」
賢者「(^q^) ……」
武闘家に言われるまま付いてきたわたしたちは、今やわたしたちの所有物だと軽く言い放たれた、
港に停船している船の中でも一際目立つ、真新しい装飾の施された小型船を見上げて絶句した。
いつもは底の見えない不気味な笑顔を浮かべてる賢者さえも、
今は心底驚いたというように目を見張っていた。
勇者「……こ、これ、どうやって……?」
武闘家「うふふ、あたしってけっこうお金持ちなのよぉ」
まさか! ありえない。
いくら金があるっていっても1000万Gだぞ!?
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:38:03.81 ID:PReuY7kp0 [14/49]
ピザ造船士「ぶひひwwwwお気に召していただけましたでしょうかwwwww」
武闘家「どう、みんな? 気に入ったかしらぁ?」
勇者「あ、はい……」
魔法使い「こ、高貴なるワタクシに相応しい絢爛さですわね!」
賢者「(^q^) あーうーwwwwww」
武闘家「ですって。あたしも気に入ったわぁ」
ピザ造船士「ぶひひwwwwwそれはよろしゅうございますwwww」
ピザ造船士「わたくしめも貴女様はお気に入りですよwwwwぜひまたのご利用をwwwww」
武闘家「ありがとうねぇ」
勇者「……うえぇ」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:51:20.14 ID:PReuY7kp0 [15/49]
ポルトガ南の海 貨物室
武闘家「どうしたのぉ勇者ちゃん? こんな所に呼び出したりしてぇ?」
勇者「あ、はい……えーと、その……」
船を入手するという劇的なイベントから半日。
雇った船乗り……まあこれも武闘家が調達した奴らなのだが、
そいつらに全権を任せて、わたしは人の出入りの少ない貨物室に彼女を呼び出した。
呼び出した理由は言わずもがな。
勇者「あー、武闘家さんって……副業、風俗ですよね? そのぉ……」
やばい、どうも武闘家の前では下手に出てしまう……。
もっとこう、ガツンと「ビッチ死ね!!!!」って言えよわたし……。
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:58:54.95 ID:PReuY7kp0 [16/49]
武闘家「……ああ、そういうことねぇ」
武闘家「つまり、あたしが身体で稼いでるのを軽蔑してるってことよねぇ?」
勇者「いいいいいいえいえ! そういうわけじゃなくて!(実際そうだけど)」
勇者「ただ、パーティーのためにって気持ちで嫌々あのピザどもとやってるっていうんなら……」
勇者「その、そういうのは出来ればやめてほしくて……」
勇者「それに武闘家さんの身体をもっと大事にしてほしいし……」
よし、これだ! こういう説得なら当たり障りないだろう。
武闘家「そう……」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:14:30.98 ID:PReuY7kp0 [17/49]
武闘家「……うふふ、勘違いも甚だしいわねぇ」
勇者「はい?」
武闘家「パーティーのために? そんなくだらない理由であんな豚どもとセックスするとでも?」
武闘家「冗談じゃないわ、わたし自身に少しの利益もないそんな行為。反吐がでるわぁ」
勇者「」
武闘家「この船はあたしのものよ? あんたらのものじゃないわ」
武闘家「旅が終わった暁には晴れてこの船はあたし一人の自由にできる」
武闘家「そういう計算があったからこそくっさい豚とセックスしたのよ」
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:22:57.71 ID:PReuY7kp0 [18/49]
勇者「で、でも……」
武闘家「ん?」
勇者「そ、それでいいんですか? 下手したら妊娠とか……」
武闘家「あらあら、ずいぶんとおつむが弱いのねぇ、勇者ちゃんは」
勇者「」ビキ
武闘家「妊娠したら? そんなの」
武闘家「堕ろすに決まってるじゃなぁい。ガキなんかを育てる時間に人生費やしたくないもの」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:31:45.84 ID:PReuY7kp0 [19/49]
勇者「」
武闘家「勇者ちゃん。よぉく覚えておきなさいな」
武闘家「女はね、男からなぁんでも買えるのよ?」
武闘家「富も、名誉も、時には命も」
武闘家「しかもまんこにちんぽ突っ込むだけでよぉ?」
武闘家「そこらに転がってる小石で黄金を買うようなものよ、笑っちゃうわよねぇ」
勇者「」
武闘家「勇者ちゃんも一度やってみなさい。……病み付きになっちゃうわよ?」
武闘家「うふ、うふふふふふ……」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:50:16.77 ID:PReuY7kp0 [20/49]
一週間後
勇者(武闘家さんの『うふふ』がすっかりトラウマになってしまった今日この頃です)ゲッソリ
賢者「(^q^) うふふwwwwwうーあwwwwww」
魔法使い「相変わらず元気ですわね賢者は……ワ、ワタクシはもう、船酔いが……」
魔法使い「うっ!?」ゴプッ
勇者「ばっ!? おまっ、ぜったい口開けるなよ!?」
魔法使い「ん~~~!」コクコク
勇者「け、賢者! 早く窓開けろ! 早く!」
賢者「(^q^) うー?」
賢者「(^q^) キャッwwwwwwキャッwwwwwww」
勇者「うわあああああなんでこういうときに限って言うことk」
魔法使い「けろけろけろけろ……」ごぱぁ
勇者「う、上嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああああ!!!?」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:55:43.95 ID:PReuY7kp0 [21/49]
バタン……。
武闘家「みんなぁ。もうそろそろでジパングに着……」
勇者「」ビッショリ
魔法使い「(´;ω;`)」
賢者「(^q^) キャッwwwwwwキャッwwwwwww」
武闘家「あらあら……」
武闘家「もう、スカトロパーティーならあたしも呼んでちょうだいな」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:12:00.39 ID:PReuY7kp0 [22/49]
ジパング
勇者「近づくなよスカトロ女」
魔法使い「(´;ω;`)」
武闘家「大丈夫よ魔法使いちゃん、スカトロはマイノリティだけどあたしは好きだから」
魔法使い「フォローになってませんわ……」
勇者「しかし話は変わるけど、この旅ももう佳境に入ってるんだな……」
武闘家「そうねえ。この国で物資を補給したら、そのまま魔王の待つネクロゴンドへ向かうものね」
勇者「ああ……」
魔法使い「おーほほほ! 貴女と顔を合わせるのもあと少しと思うと嬉しくてたまりませんわ!」
勇者「ゲロくせえからしゃべるな」
魔法使い「(´;ω;`)」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:23:48.27 ID:PReuY7kp0 [23/49]
はぁ、せっかくギラを使えるようになっても、
それを活かす機会もないままラスボス戦か。
なんというか、虚しいな……。
まあこんな糞みたいなパーティーとようやく別れられるっていうのは確かに嬉しいことには違いない。
それに加えて勇者っていう重圧から逃れられるっていうおまけつき。
もっとポジティブにいこうかポジティブに。
勇者「……そういえば気になってることがあるんだけど」
武闘家「んー? 気になってるって?」
勇者「……異国だからっていうのかはわかんないけど、どうもさっきから人の姿が見えなくて」
魔法使い「あら、そういえばそうですわね。こんな汚らしい村でも下賎な者の一人や二人いるはずなのに……」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:32:26.41 ID:PReuY7kp0 [24/49]
勇者「ていうかこんな寂れたとこで本当に物資の補給なんかできるの?」
武闘家「うーん。おかしいわねぇ」
武闘家「……とりあえずこの国の女王様には会いにいってみましょうか」
勇者「女王?」
武闘家「ええ。女王様。この国は女性が頂点に君臨しているのよ」
勇者「へえ……」
武闘家「どっちにしろ物資の補給は女王様の許可がないとできないし」
武闘家「そこでこの国の情勢を尋ねてみるのも悪くないわ。さ、行きましょう」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:41:27.67 ID:PReuY7kp0 [25/49]
卑弥呼邸
卑弥呼ガードA「帰れ」
勇者「は?」
卑弥呼ガードB「帰れ、と言ったのが聞こえなかったのか?」
聞こえてるっつうのこの髷野郎。
初対面の勇者様にずいぶんと失礼な態度とってくれますね。
卑弥呼ガードA「勇者? 知らんな」
卑弥呼ガードB「勇者などいなくても卑弥呼様がこの国を守ってくださる」
卑弥呼ガードA「わかったなら早急に国から出て行け」
勇者「」ビキビキ
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:19:19.53 ID:PReuY7kp0 [26/49]
武闘家「ちょっと待ってよぉ。話だけでも……」
卑弥呼ガードB「下がれッ!」ビュン
武闘家「ッ!?」ズバッ
勇者「ぶ、武闘家!?」
魔法使い「きいぃっ! なんて無礼な奴らですの!? ワタクシを怒らせたらどうなるか……!」
武闘家「……待ちなさい」ドクドク
魔法使い「はえ?」
武闘家「今ここで争うのは危険よ。ここは大人しく国から出ましょう」ドクドク
魔法使い「で、ですが!」
勇者「いや、武闘家の言うとおりだ……こんな糞国家に頭下げるなんてこっちから願いさげだね!」
魔法使い「貴女までそんな……仕方ありませんわね」
卑弥呼ガードA「帰れ帰れ!」
賢者「(^q^) しね」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:29:47.44 ID:PReuY7kp0 [27/49]
ジパング 広場
武闘家「……」
勇者「大丈夫? けっこう深くやられてたみたいだけど」
武闘家「ベホマで完治したから平気よぉ」
勇者「そっか。にしても、これじゃあんたの得意な色仕掛けも通用しそうにないですなぁ」
武闘家「……やろうと思えばあんなゴミども、すぐに」
勇者「それはどうかねえ? あいつら相当卑弥呼様ってやつに手懐けられてるみたいだけどぉ?」
武闘家「……」ギリッ
勇者(ビッチざまぁwwwwwwwwwwwwwwww)
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:37:15.10 ID:PReuY7kp0 [28/49]
武闘家「……ともかくこんな国とは早くおさらばしましょう。気分が悪いわぁ」
魔法使い「そうですわね。補給はダーマ神殿で行ったほうが良いですわ」
勇者「だな……ん?」
エロイムエッサーイム…
エロイムエッサーイム…
エロイムエッサーイム…
λ....λ....λ.......λ...λ....λ....λ.......λ...
勇者「なんだ、あの人だかり? 新手の祭りか?」
魔法使い「にしては異様な雰囲気ですけれど……」
賢者「(^q^) ……」
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:45:25.15 ID:PReuY7kp0 [29/49]
いかにも下衆な顔をした神官A「ファファファ……今宵は満月!」
いかにも下衆な顔をした神官B「我らが守り神!!」
いかにも下衆な顔をした神官C「やまたのおろち様への貢物を捧げる宵!!」
ヤマタノオロチサマヘノミツギモノ……
ヤマタノオロチサマヘノミツギモノ……
ヤマタノオロチサマヘノミツギモノ……
λ....λ....λ.......λ...λ....λ....λ.......λ...
いかにも下衆な顔をした神官A「さあ、前へ進み出たまえ!」
いかにも下衆な顔をした神官B「今宵、捧げられし!!」
いかにも下衆な顔をした神官C「生贄の娘よ!!」
身も心も美しい幼女「……」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:55:48.17 ID:PReuY7kp0 [30/49]
勇者「生贄!? ちょっと、どういうこと!?」
武闘家「そのままの意味でしょうねぇ」
魔法使い「やまたのおろちという化け物にあの娘が捧げられるということですわ」
勇者「ほんとにまんまじゃねーか!!!?」
賢者「(^q^) ……」
いかにも下衆な顔をした神官A「最期に何か言い残す言葉はあるかね?」
身も心も美しい幼女「……」フルフル
いかにも下衆な顔をした神官B「よろしい……おや、泣いておるのか?」
いかにも下衆な顔をした神官C「君は守り神様の一部となるのだ。もっと誇らしげな顔をしないか」
身も心も美しい幼女「……」コクッ
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:06:07.78 ID:PReuY7kp0 [31/49]
勇者「……マジかよ」
武闘家「珍しい光景を見れたわねぇ。それじゃ、行きましょうか」
勇者「……は? え?」
武闘家「何呆けた顔してるのよ。さっさとこんな気味の悪い国から出ましょうよ」
勇者「……いや、でも……さすがに生贄は見過ごせなくないか?」
魔法使い「可哀想だとは思いますが、これがこの国の習慣というのであればどうしようもありませんわ」
勇者「習慣? 習慣だったら許されるのか人殺しって!」
魔法使い「も、もう、どうしたんですの貴女? らしくありませんわよ?」
武闘家「そうねえ。いつもなら見なかったふりくらいしてもよさそうなのに」
勇者「あ、う……そ、そう、だな……」
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:17:55.29 ID:PReuY7kp0 [32/49]
何馬鹿なこと考えてるんだ、わたし。
どうせ他人事じゃないか。
レーベの村でだってガキ共のいじめを見て楽しんでたし。
ロマリアでは王冠を盗まれた間抜けな王様を鼻で笑ってやった。
今回だってそうだ。
たかが幼女一人を助けるために、やまたのおろちとやらと戦うってか?
冗談。なんでそんな一銭の価値もない人助けなんかしなくちゃならないのだ。
勇者「……それもそうだ。わたしどうかしてたわ」
武闘家「あらあら、珍しく素直ねぇ」
魔法使い「おーほほほ! 明日は空からツララが降ってくるんじゃないかしらね!」
勇者「お前、まだ口くせえぞ?」
魔法使い「(´;ω;`)」
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:24:11.48 ID:PReuY7kp0 [33/49]
やれやれ、自分らしくないことを危うくしでかすとこだった。
さて、と。この国とももうお別れだし、最後にあの幼女の不幸そうな顔でも拝んでメシウマ……。
勇者「……」チラッ
いかにも下衆な顔をした神官A「さあ、この神輿の中に入りなさい」
身も心も美しい幼女「……」コクッ
身も心も美しい幼女「……」
勇者「…………」
勇者「……う」
227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:31:04.98 ID:PReuY7kp0 [34/49]
勇者「やっぱ無理!! 後味が悪すぎる!!」ダッ
武闘家「ちょっ、勇者ちゃん!?」
魔法使い「どこにいくつもりなんですの!?」
勇者「ごめん、先に船に帰っててくれ!」
勇者「わたしはせめてあの幼女を逃がしてから戻ってくるから!!」タッタッタ
魔法使い「……行ってしまわれましたわ」
武闘家「馬鹿な娘ねぇ……たかが小娘の一人や二人のために」
魔法使い「ま、逃がすだけと言っておりましたし、ワタクシたちは先に戻ってディナーを堪能しましょう」
賢者「(^q^) ……」
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:44:10.52 ID:PReuY7kp0 [35/49]
神輿内部
勇者(まさかこれほど簡単に神輿に進入できるとは)
勇者(後ろ側で神輿担いでた男が前の男の尻に見とれてたおかげだな)
勇者(……こんなんでいいのかジパングの文化)
身も心も美しい幼女「うう、お母様……」
勇者「やあ、大丈夫かいお嬢ちゃん(妖艶微笑)」
身も心も美しい幼女「ひっ!? あ、貴女は……?」
勇者(『ひっ!?』って……けっこう傷つく……)
勇者「名乗るほどの者じゃないさ……まあ、強いて言うなら」
ディスティニー ヒーロー
勇者「……運命に導かれし英雄……って、ところかな(キラッ」
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:54:36.39 ID:PReuY7kp0 [36/49]
身も心も美しい幼女「( ゚д゚)」ポカーン
勇者(決まったな。一度でいいから勇者らしいことしてみたかったのもまた事実なんだよな)
身も心も美しい幼女「え、えっと、その……」
勇者「さあ、早くわたしの背に掴まれ! ここから脱出を!」
勇者(ああ! 今わたし輝いてる! 世界で一番光ってる!)ウットリ
身も心も美しい幼女「……」
身も心も美しい幼女「……すみません。それは無理です」
勇者「WHYッ!?」
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 21:51:20.65 ID:PReuY7kp0 [37/49]
身も心も美しい幼女「わたくしはこの国の守り神であるやまたのおろち様に捧げられる身」
身も心も美しい幼女「たとえどんなに母上が恋しくとも」
身も心も美しい幼女「このわが身が愛おしくとも」
身も心も美しい幼女「この国の栄華を守り抜くためなら、わたくしごとき矮小な者の想いなど捨て去りましょう」
身も心も美しい幼女「それに万が一ここから逃げおおせたとしても」
身も心も美しい幼女「わたくしの代わりとなる娘が贄に捧げられるだけ」
身も心も美しい幼女「わたくしの身勝手でその娘を不幸にさせr」
勇者「ああもう話が長いんだよ馬鹿幼女ッ!!!!」バキャン
身も心も美しい幼女「パオマァッ!!!?」ゴシャン
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 21:59:30.43 ID:PReuY7kp0 [38/49]
身も心も美しい幼女「」ピクピク
勇者「あ、やべ……勇者らしからぬことを」
まあいいや。なんかこいつの話を聞き終えたら、
「生きるのはなんたらかんたら!」とか、うざい上にめんどくさい説教をしなくちゃいけなくなりそうな気もするし。
勇者「よっしゃ。とにかくとっととこいつを背負って逃げ……」グイ
身も心も美しい幼女「」
勇者「ぬ……うぐううううううううう!!!!」グググ
身も心も美しい幼女「」
勇者「ぐううううう……はぁはぁ……!!」
勇者「背負えるだけの体力がないよぉ……」ボロ…
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:06:38.62 ID:PReuY7kp0 [39/49]
勇者「仕方ない、こうなったら引きずってでも……!」ズリズリ
身も心も美しい幼女「」ガツンゴツンガコン
勇者(これはたんこぶの一つや二つじゃ済まないな)
勇者「ふう、とりあえず出口までは来たか。あとは神輿を担いでいる奴らの目を掻い潜って……」ソロ…
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:09:31.85 ID:PReuY7kp0 [40/49]
ジパングの洞窟 生贄の祭壇
─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥ ─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥
─┘ ─┘ ─┘ ─┘ ─┘ ─┘ ─┘ ─┘ ─┘ ─┘
) 、 )ヽ (
) ( ( )ヽ ; ・ ) ; '
( ) ` ( ( ) ) ( ( )ヽ ( 、 )ヽ ;
; : , ) ) )ヽ( ( :( ) ヽ、) ) ( ( ) ); ( ( (、 :
; ・ )ヽ (丶 )ヽ ( ( ) ( ;; ;、: ; ;)__) ) (____) ) )) ;
)`、 ( ( .) )ノ | : ) _,,,-、__ ;; .、 (/(_)ヽ )ヽ ;;
( (__ノ `-' `-' :~~--~~--、_;; :: 、.、. ) ( ( )ヽ
ヽ_,) _,,;::- ‐' ~~ ~ __,_ `‐-、__ (_(_) ) ( (
;; ; ;,/~ _,,...- ~~、_ ; ; ヽ_) )
勇者「……」
勇者「目的地に到着すんの早すぎだろ……」
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:20:43.18 ID:PReuY7kp0 [41/49]
なんてこった、これが神輿の本気というやつか。
ともかく、冷静になれ。溶岩が目の前に流れていることを除けば普通の洞窟なんだ。
幸いにもやまたのおろちとかいう化け物の姿はまだ見えないし、
今のうちに幼女を引きずって洞窟を脱出……。
ズゥーン……
ズゥーン……
勇者「ッ!?」
???「おやおや、今宵はずいぶんと豪勢な食卓じゃのう……」
やまたのおろち「よもやもう一匹、人間を生贄に捧げてくれるとはな。ほっほっほ」
264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:37:35.39 ID:PReuY7kp0 [42/49]
勇者「で……でか……!?」
アリアハンの城壁をも優に越えると思われる巨体。
その巨体をよりいっそう嶮しく見せる三つの竜の首。禍々しく魅せる深緑の鱗。
一薙ぎすれば大地を根元から抉り取るであろう大蛇のごとき尾。
勇者「あ、あんたが……」
勇者「ジパングの守り神と呼ばれるやまたのおろちなの……?」
やまたのおろち「ん……?」
やまたのおろち「ほほほ。人間とはおろかじゃのう」
やまたのおろち「ひとたび、わらわが古来よりこの地を守ると云われるやまたのおろちを名乗っただけで」
やまたのおろち「畏れ、敬い、奉る。……滑稽よのう」
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:49:12.59 ID:PReuY7kp0 [43/49]
なんだよパチモンかよ。と、少し安堵したものの、危機的状況に変わりはない。
勇者(逃げれるか? 幼女を引きずって?)
勇者(いや、それは無理だな。そんな隙をこいつが作るわけがない)
勇者(いっそわざと負けてみるか? どうせアリアハンで生き返るし)
勇者(でもそれじゃパーティーメンバーじゃない幼女は普通に絶命してしまう)
勇者(……)
うん。わたしはよく頑張ったよ。幼女を逃がすために努力した。
それでいいじゃないか。
結果としてこんな形になってしまったけど、わたしには何の不利益もないんだし。
……いさぎよく死のう。それしかない。ごめん、幼女。
271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:01:03.28 ID:PReuY7kp0 [44/49]
勇者「……」
やまたのおろち「天国へ逝けるようにとお祈りは済んだか? それでは……」グバッ
やまたのおろち「いただくとしようか!!」ガッ
勇者「……死ぬよ。死ぬには死ぬが」
勇者「貴様の両目も道ずれにしてやんよぉぉぉぉ!!!!」カッ
やまたのおろち「っ!?」
まさか反撃がくるとは予想だにしていなかったのだろう。
わたしが迫り来るやまたのおろちの顔に向けて両手をかざした時、
ヤツの爬虫類のような瞳が驚愕のあまり極限まで細まったようにみえた。どうでもいいが。
勇者「ギラギラギラギラギラギラ、ギィィィィィラァァァァ!!!!」ボッボッボッボッ!!
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:08:54.11 ID:PReuY7kp0 [45/49]
やまたのおろち「ぎゃああああああああああ!!!!」ジュウワ
やまたのおろちの顔の一つが、狭い洞窟の中で地響きを立てながらのたうち回る。
それもそのはずだ。なんたって鱗に覆われていない無防備な目玉を直撃したのだ。
いくら下級呪文のギラとはいえ、それを連続で叩き込まれれば痛いに決まってる。
勇者「ハッ! ざまぁ!」
なんだなんだ? この調子ならもしかして、わたし一人の力でも――。
――ブォン!
ドグシャアァ!!
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:23:34.03 ID:PReuY7kp0 [46/49]
勇者「――ゲボッ!?」グシャッ
……一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
気がつくと、やまたのおろちのすぐ目の前にあったはずのわたしの身体は、
どうしてだろう……ヤツのずっと遠くまで吹き飛ばされていた。
気づいたら気づいたで地獄だった。
洞窟の岩盤に背中からめり込むわたしの身体。
肋骨やらなんやら数え切れないほどの骨が折れる音色が、
頭の芯で、まるで陳腐なオーケストラのように奏でられた。
激痛を感じる余裕はその時点ではなかった。
くらくらする思考の外で、
やまたのおろちA「落ち着け妹者。すぐに目玉くらい再生する」
やまたのおろちB「姉者の言うとおりじゃ。そのくらいで騒ぐでない」
やまたのおろちC「ううううううう」
と、実はわたしの攻撃なんてすぐ回復するようなちゃちなモノだったのだと思い知らされたその時。
絶望とともに痛覚が目を覚ましたのだった。
282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:37:32.39 ID:PReuY7kp0 [47/49]
勇者「ハッ――アッ、ガッ――」ボロボロ
痛いよ……なんでこんな苦しい思いしなくちゃなんないのよ……。
こういうときに限ってなんか声でないし。喉に骨でも刺さってるのだろうか?
ともかく冗談じゃなく痛い。痛すぎて返ってこういうふうに感覚が研ぎ澄まされてしまう。
身も心も美しい幼女「あぐ……うう、ここは……!?」
勇者「あっ――」
幼女? どうしてこんなとこに?
ああそうか、さっきわたしがなぎ払われた時に神輿と一緒に放り出されて……。
身も心も美しい幼女「あ、貴女は……ど、どうしてこんな! ひどい……!」
勇者「ギッ――ゲッ――」
今はあの怪物はわたししか眼中にない。だからさっさと逃げろ。
こういう台詞を言いたいのにぜんぜん喉から出て来ない。チクショウ。
286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:48:47.78 ID:PReuY7kp0 [48/49]
やまたのおろちC「ぐぐぐ……おのれ小娘! ギラを唱えられるとは魔法使いか!?」
やまたのおろちB「違うな妹者。こやつは腰に剣を携えておる」
やまたのおろちC「ということは、まさかこやつ!」
やまたのおろちA「ああ。今しがたジパングに訪れたという勇者じゃろう」
やまたのおろちC「ほほほほ! なんたる幸運! まさか思いがけず勇者を葬る機会を得られるとは」
やまたのおろちC「その肉、けして蘇生できぬよう骨まで食ろうてやるぞ!」ガバッ
勇者(マジかよ)
まずい! 魔物に食われた場合ってアリアハン復活保険利くのか!?
289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:57:49.42 ID:PReuY7kp0 [49/49]
やまたのおろちC「しねぇぇぇぇい!!!!」グワッ
ああ、やまたのおろちの真ん中の頭がどんどんわたしに近づいてくる。
お母さん、それに一応パーティーの奴ら。さようなら。もう二度と会うことはないでしょう。
勇者(アディオス人生!!)
???「……天光満つる所に我はあり」
293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:03:15.36 ID:ocWqb5Fs0 [1/21]
やまたのおろちC「っ……!? なんだ、今の声は!?」ピタッ
あ、馬鹿だこいつ!
せっかくわたしを殺すチャンスだったのにわざわざ棒に振りやがった! ざまぁwwwwwww
???「黄泉の門ひらく所に汝あり」
やまたのおろちC「ど、どこだ!?」
???「出でよ 神の雷」
やまたのおろちC「す、姿を見s」
賢者「(^q^) インディグネイション」カッ
297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:11:04.58 ID:ocWqb5Fs0 [2/21]
――ジグゴアァァァァァ!!!!
やまたのおろち「ぎいいいいいいいやああああああああ!!!!」ジジジジジジジ
強大な魔力のいかずちが、やまたのおろちのあの巨体をすっぽりと包み込んだ。
青白く舐めるように帯電する、もはや業火のごときそれは、
あっという間にやつの緑色の皮膚をどす黒く侵食していった。
賢者「(^q^) ベホマ」
勇者「う――おお!!」シュオウ
そうこう実況しているうちに賢者がわたしにベホマをかけ、
先に負ったやばい傷をみるみるうちに癒していった。
301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:22:08.54 ID:ocWqb5Fs0 [3/21]
賢者「(^q^) ……よくそんな戦闘力で耐えれたものだ」
賢者「(^q^) だがお前が彼奴を引き付けておいたおかげで」
賢者「(^q^) 私が魔力を充電する時間が稼げた」
賢者「(^q^) 礼を言おう」
勇者「……」
だめだ。涎を垂らしてる顔で何言われようとちっともありがたみがない。
勇者「ま、まあ助かったよ。ありがとうよ」
勇者「でもなんで賢者がここに? 船へは戻らなかったのか?」
賢者「(^q^) 私はある程度先の未来を予知できる。貴様の危機を予知したから助けに来たのだ」
勇者「よ、予知!?」
賢者「(^q^) 賢者は万能なのだ」
308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:30:37.83 ID:ocWqb5Fs0 [4/21]
勇者「あ! じゃあ他の二人も……」
賢者「(^q^) 奴らは来てない」
勇者「え?」
賢者「(^q^) 面倒ごとはお前らで勝手にやってくれ、だそうだ」
勇者「薄情すぐる……」
身も心も美しい幼女「あ、あのぉ……」
勇者「あ! そうだそうだ、お前のことをすっかり忘れてたよ」
身も心も美しい幼女「はあ……」
勇者「事の顛末はみただろ? あいつはもうたおしたんだ!」
身も心も美しい幼女「そ、それじゃあ……!」パァア
勇者「ああ! お前はもう自由――」
310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:33:09.73 ID:ocWqb5Fs0 [5/21]
――ブシャアッ!
325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:46:23.81 ID:ocWqb5Fs0 [6/21]
勇者「……だ?」
身も心も美しい幼女「……コフッ!」ブシャア
賢者「(;^q^) なん……だと……!?」
やまたのおろちC「ほほほ……些か距離が足りなんだ。掠っただけとは」
――わたしに太陽のみたいに眩しい笑顔を一瞬向けた幼女は。
その数瞬後、その顔を苦しそうに歪めて。
わたしの胸の中へ、とさりとその麗しい矮躯を倒した。
抱きとめたわたしのその腕は。
今まで一度も見た事のない、綺麗な紅に染まっていく。
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:55:43.48 ID:ocWqb5Fs0 [7/21]
やまたのおろちC「もう少し爪を伸ばしておけばよかったのう。ほほほ」
賢者「(;^q^) あ、あれだけの電撃を浴びて尚も平然としているだと!?」
やまたのおろちC「ほほほ! わらわの回復力はまさしく神の領域よ!」
やまたのおろちB「一撃で仕留めねばすぐに元通りじゃ」
やまたのおろちA「さあ、絶望するがいい!」
賢者「(;^q^) ならば今一度、神の雷を貴様に……」
勇者「ばかやろぉぉぉぉ、そんなやつの相手なんかどうでもいい!!!!」
賢者「(;^q^) っ!」
身も心も美しい幼女「ハッ……ああッ……!」ドクドク
勇者「さっさとこいつを回復しろって! 早く!」
334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:03:51.46 ID:ocWqb5Fs0 [8/21]
賢者「(;^q^) ……勇者。そいつはもう駄目だ」
勇者「はぁ!? なんでだよ、さっきみたいにベホマで!」
賢者「(;^q^) ……ベホマが誰にでも効いていたらこの世に墓など立つものか」
勇者「ッ!?」
賢者「(;^q^) 貴様が回復できるのは勇者の素質があるからだ」
賢者「(;^q^) 我々も生命力があるからこそ回復できる」
賢者「(;^q^) ……みなまで言わせるな」
勇者「」
やまたのおろちC「ほほほ! おしゃべりしてる暇などないぞ!! しねえ!!」ビュン
342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:12:03.96 ID:ocWqb5Fs0 [9/21]
一方 船
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「うーん! やっぱりマリンスライムの姿焼きは最高ねぇ!」バリボリ
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「こっちの極楽鳥のから揚げもまた格別ねぇ!」ムシャムシャ
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「……」
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「ねぇ。口に合わなかったぁ、マーマンの生けづくり?」
魔法使い「あ、いえ……そんなことはございませんことよ! ただ……」
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:22:44.20 ID:ocWqb5Fs0 [10/21]
武闘家「ただ?」
魔法使い「……やっぱり帰ってくるのが遅すぎますわ」
武闘家「あらあら、もしかして心配なのぉ? 勇者ちゃんのことが?」
魔法使い「なっ、ちち違いますわよ! ワタクシは賢者ちゃんのことを……」
武闘家「どちらでもいいんだけどねぇ……」
武闘家「……行きたいなら行けばいいんじゃない? あたしはぜったい行かないけど」
魔法使い「……この期に及んで自分の身がまだ可愛いんですのね、貴女は」
武闘家「悪いかしら? どっちつかずの中途半端なお嬢様かぶれよりはましだと思うけどぉ?」
魔法使い「……」
武闘家「……」
351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:35:57.06 ID:ocWqb5Fs0 [11/21]
魔法使い「……行ってきますわ」ガタン
武闘家「あらそう。気をつけていってらっしゃいねぇ」
魔法使い「……」カツカツ…
魔法使い「……ああ、そうそう。言い忘れてましたわ」クル
武闘家「……?」
魔法使い「ポルトガを出た辺りからずっと思ってたんですの」
魔法使い「貴女のそのしゃべり方、気持ち悪いですわよ」
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:39:38.12 ID:ocWqb5Fs0 [12/21]
バタン……。
武闘家「……」
武闘家「……どういう意味よ」
武闘家「……」
武闘家「……」
武闘家「……なんか、楽しくないわね」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:52:16.39 ID:ocWqb5Fs0 [13/21]
ジパングの洞窟
賢者「(^q^) 滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め 始源の炎蘇らん。 フレア」ボッ
賢者「(^q^) エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)」シュウン
賢者「(^q^) 超電磁砲(レールガン)」バリバリ
やまたのおろちC「効かぬわ、そのような腑抜けた呪文なぞ!!」ガッ
賢者「(^q^) くっ……やはり致命打にはならないか」ヒラリ
やまたのおろちA「なにをしておるのじゃ。さっさと止めを」
やまたのおろちC「ほほほ、もう少し楽しませてたもれ、姉者!」
やまたのおろちB「ほほほ、また妹者の悪いくせが出たか」
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:00:15.52 ID:ocWqb5Fs0 [14/21]
身も心も美しい幼女「はぁ……はぁ……」
勇者「幼女……」
身も心も美しい幼女「背中が……背中が、熱いのです……」
身も心も美しい幼女「わたくしは……どうなって……しま……」
勇者「は、はは、どうにもなりやしないさ。大したことないよ、、すぐ直る傷だ」
身も心も美しい幼女「ほん……とう……?」
勇者「本当さ。わたしの傷だってすぐ治っただろ? お前も大丈夫さ」
身も心も美しい幼女「……」
身も心も美しい幼女「よか……った……」ニコ
勇者「……ああ! そうだ……よかったな……!」
367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:06:28.29 ID:ocWqb5Fs0 [15/21]
やまたのおろちC「ほほほほほ! どうしたのじゃ? さっきまでの勢いは!」ガッ
バキャアア!!
賢者「(;^q^) ぐぼあああああああッ!!!?」ミシミシ
やまたのおろちC「ほほ。手ごたえあったかえ?」
賢者「(;^q^) ごふッ……べ、ベホマ……!」シュワア
やまたのおろちC「おやおやまた回復かえ。まあその方が楽しみ甲斐があるというものじゃ」
賢者「(;^q^) ぐっ……いくら私とはいえ魔力が無尽蔵にあるわけではない」
賢者「(;^q^) このままでは……せめて勇者が……!」
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:17:53.04 ID:ocWqb5Fs0 [16/21]
身も心も美しい幼女「……うれし……かった……」
勇者「ん?」
身も心も美しい幼女「ほんと……は……貴女が、わた……くしを……逃がして、くれると、きいたとき」
身も心も美しい幼女「あなたの……手をとって、逃げ……だし、たかった……」
勇者「おい、そんなことどうでもいいよ! 無理してしゃべ」
身も心も美しい幼女「おねがいッ……聞い、て……! コホッコホッ……!」
勇者「……」
身も心も美しい幼女「……あのときも、そう……」
身も心も美しい幼女「あなたは、こえを、だせずにいたけど……わたくしには、きこえました」
身も心も美しい幼女「わたくしだけでも、にげろと……」
身も心も美しい幼女「貴女は、あんなにきずついていたのに……それでも、わたくしの身を……」
勇者「う……っぐ……!」
374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:23:50.48 ID:ocWqb5Fs0 [17/21]
やまたのおろちC「ほほほ……まあまあ楽しませてもらったぞ、人間よ」
賢者「( q ) ぱ……ぱしへ、ろんだ……」
やまたのおろちC「逝ね」ガッ
賢者「( q ) スッ!」グシャア
賢者「( q ) 」
――ドサリ。
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:32:04.27 ID:ocWqb5Fs0 [18/21]
勇者「ちがうんだ……わたしは、諦めてたんだ……お前の思うような女じゃ……!」
身も心も美しい幼女「いわないでください……いや、なんです……」
勇者「え?」
380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:35:18.05 ID:ocWqb5Fs0 [19/21]
身も心も美しい幼女「わたくしは……」
身も心も美しい幼女「あなたを……最期まで、好きでいるまま……逝きたいのです……」ニコ
386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:43:27.25 ID:ocWqb5Fs0 [20/21]
勇者「」
身も心も美しい幼女「そういえば……なまえ、きいていませんでした……ね……」
身も心も美しい幼女「……教えて、いただけませんか?」
勇者「……」
勇者「ゆう……しゃ……」
身も心も美しい幼女「ゆうしゃ……ゆうしゃさま。さいごに、わたくしのわがままをどうか、きいてください」
勇者「」
身も心も美しい幼女「お顔を……お寄せに……なって……」
勇者「……こう?」スッ
390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:49:10.14 ID:ocWqb5Fs0 [21/21]
――ちゅ・・・
勇者「……」
身も心も美しい幼女「……ありがとう」
身も心も美しい幼女「……さよ……な……ら……」
441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:23:43.73 ID:Vu4xydJl0 [1/35]
――馬鹿な餓鬼だ。
見ず知らずの、しかも女のわたしなんかに告白して死んでしまった。
お前なら、近い未来にわたしなんかよりもっと良い男と出会って、普通の恋を育めたはずなのに。
身も心も美しい幼女「」
勇者「……クソが……どいつも……こいつも……!」
やまたのおろちC「ほほほ! 女同士の禁断の愛か、美しいのう!」
やまたのおろちB「まったく、やきもちしてしまいそうじゃな」
やまたのおろちA「だが淋しがる必要はないぞえ。すぐに貴様もそこの童と同じ処へ送ってやるわ」
444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:32:34.25 ID:Vu4xydJl0 [2/35]
好き勝手ほざきやがって、このクズが!!
ああああああああ絶対にぶち殺してやる!!!!
こいつの受けた苦しみを何倍にも返して貴様に味わわせてやるぞクソがァァァァァァァァ!!!!
勇者「ぎいいいいいいいいいいい!!!!」バチバチバチバチ
やまたのおろちC「ッ!?」
やまたのおろちB「な、なんじゃ! この凄まじい魔力は!?」
やまたのおろちA「嫌な予感がする! 妹者、早く止めを!!」
やまたのおろちC「い、言われなくとも!!」ブォン
445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:38:38.73 ID:Vu4xydJl0 [3/35]
勇者「ガァァァァァァァァァァァァ!!!!」バチバチバチバチ
やまたのおろちC「ひっ!?」ビクッ
勇者「デイィィィィィィィィィン!!!!」カッ
――ジゴオウァァァァァァ!!!!
450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:54:50.09 ID:Vu4xydJl0 [4/35]
やまたのおろち「ぎゃああああああああああ!!!?」ジジジジジジジジ
わたしの怒りがそのまま全て地獄の雷となってやまたのおろちの身体を貫いた。
賢者の放った神の雷を遥かに越える破壊力を内包した雷光は、
巨大な槍をもってした一閃と見紛うほどの鋭い衝撃をヤツに与えたのである。
先とは比べ物にならない速さでやまたのおろちの外皮を侵食……いや、削り取ってゆく電撃。
しかしそれでもヤツが倒れそうにない様子を見て、わたしの心は更にどす黒い憎しみに侵されていった。
勇者「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」バリバリ
勇者「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」バリバリ
勇者「もっともっと!! 苦痛にあえぎながら死んでしまええええええええええええ!!!!」バリバリバリバリ
やまたのおろち「ぐぎああああああああああ!!!?」ジジジジジジジジ
453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:02:15.65 ID:Vu4xydJl0 [5/35]
何度も何度も!
何度も何度も何度も何度も何度も何度も、雷撃をヤツの醜く汚らわしい身体に叩き込む!!!!
2発3発4発!! 5、6,7、8、9、10発!!!! まだまだ!!!!
やまたのおろち「あが、ががががががが」ジジジジジジジジ
勇者「ああ、もっと苦しめよ!? 魔物らしく! 気色悪い鳴き声あげろよぉぉぉぉ!!!!」バリバリバリバリ
いや駄目だ、こんなんじゃ足りない!!
あいつの味わった痛みはこんなもんじゃない!
あいつの奪われた幸せの重さに比べたら! 地獄の雷すらも生ぬるい!!!!
455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:08:07.11 ID:Vu4xydJl0 [6/35]
勇者「ひゃああああはははは!! どうだ、これd」
――バギャグシャ。
勇者「――ごふっ!?」ブシュ
やまたのおろちA「あまり……調子に乗るでないぞ、乳臭い小娘ごときが!!」ブォン
――グシャア!
459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:20:47.31 ID:Vu4xydJl0 [7/35]
勇者「カッ……ハッ……!」ドクドク
やまたのおろちC「がはぁあああ! か、回復が追いつかぬぞ姉者!?」
やまたのおろちB「落ち着け妹者。もう勝負は決した」
やまたのおろちA「些か手こずったが、所詮人間。打たれ弱いものよのう」
なんてこった……これでも無理なのか。
ああ、やばい。肋骨飛び出てるし、呼吸もひどい。
肺に折れた骨でもぶっ刺さってるに違いない。
ん、右手の感覚がないと思ったら道理で……肩からきれいさっぱりもげてしまってる。
なんか筋みたいな赤くて太い紐が断面から飛び出しているが、これはなんだろう。
勇者「……」
勇者(今度こそ終わったか)
461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:29:59.48 ID:Vu4xydJl0 [8/35]
怒りが急速におさまっていく。
死を目前にしてまたもや冷静になってしまったようだ。
勇者(情けない)
勇者(わたしにもっと体力とか根性があれば……)
勇者(……今更か)
勇者(とはいえ、もしわたしが引き籠りじゃなくて)
勇者(真面目に勇者やってて、いち早くジパングに訪れていたなら)
勇者(……こんなことにはならなかったのかな)
やまたのおろちA「さぁ、もうそろそろ終わりにしようではないか!」
やまたのおろちB「妹者!」
やまたのおろちC「うむ! 勇者よ、しねぇぇぇぇ!!!!」クワッ
464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:35:36.62 ID:Vu4xydJl0 [9/35]
勇者(ああ、幼女。わたしもすぐそっちに……)
???「――マヒャドですわ!!」カッ
やまたのおろちC「むっ!?」
コォォォォ――ガガガガガ!!!!
やまたのおろち「ぎょええええええええええええ!!!?」グサグサグサ
466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:49:58.41 ID:Vu4xydJl0 [10/35]
勇者(な、なんだ!?)
周囲の気温が一気に下降したかと思った次の瞬間、
上空に人の背丈ほどもあろう大きさの氷柱が無数に出現し、
やまたのおろち目掛けて降り注いでいった。
身を捩って回避しようとするおろちだったが、その巨体ゆえにかわすこと叶わず、
あえなくその無数の氷柱によってヤツはずたずたに切り裂かれていった。
魔法使い「ふう。間一髪でしたわね」スタッ
勇者(ま、魔法使い……どうしてここに)
魔法使い「あらあらそんなにぼろぼろになってお可哀想に!」
魔法使い「ほら、合計99個の薬草ですわ! ありがたく貪りなさいまし!」グイ
勇者「むごぉおおおおおお!!!?(無理やり口に詰め込むなよ!!!?)」
468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:03:47.87 ID:Vu4xydJl0 [11/35]
と、ともかくなんとか一命は取り留めたな。
さすが薬草。食べただけで右腕が再生する信頼と実績の回復アイテム!
勇者「うええええ、苦すぎて吐きそうだチクショウ」シュワア
魔法使い「吐けばいいのに」
勇者「死ね。……ていうかなんで来たんだよ。面倒事は嫌なんじゃなかったのか」
魔法使い「ええ、面倒事は嫌ですわよ」
魔法使い「けど貴女を追っていった賢者ちゃんが心配で心配でたまりませんでしたので」
魔法使い「それで仕方なく……べ、別に貴女が心配だったわけじゃないですわよ!!」
勇者(なんでそこでむきになるんだ……)
471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:13:22.58 ID:Vu4xydJl0 [12/35]
勇者「……でも、ありがとうね魔法使い」
魔法使い「え!? あ、貴女が素直にお礼を言うなんて!? も、もしかしてワタクシの勇姿に惚r」
勇者「……あんたのおかげで……」
やまたのおろちC「ぐううううあああああああ!!!!」
やまたのおろちB「お、おのれ……!!」
やまたのおろちA「小賢しいやつらめぇぇぇぇ!!!!」
勇者「このカスをぶち殺すチャンスがまたできたぜ」ビキビキ
魔法使い「……それはまたよかったですこと」
472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:19:00.91 ID:Vu4xydJl0 [13/35]
やまたのおろちC「貴様らにどれほど力があろうとも!!」
やまたのおろちB「所詮は二人!!」
やまたのおろちA「わらわたちの圧倒的な回復力を追い抜くことなど」
???「ならば、三人ならどうかな」
やまたのおろちA「!!!?」
賢者「(^q^) イオナズン」カッ
478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:26:45.52 ID:Vu4xydJl0 [14/35]
やまたのおろち「にぎいいいいいいいい!!!?」トズガガガガガ
賢者「(^q^) 私は死なん。何度でも蘇るさ」
魔法使い「賢者ちゃん! 無事だったんですわね!」
勇者「お、お前いつの間に生き返って」
賢者「(^q^) うー? ぱしへろんだすwwwwwwwww」
勇者「」ビキ
魔法使い「賢者ちゃんってイオナズンも使えたんですのね! えらい子えらい子ですわ!」
賢者「(^q^) あうあーwwwwwwwww」
勇者(こ、こいつ……)ビキビキ
481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:40:34.51 ID:Vu4xydJl0 [15/35]
と、とにかくこれで手札は揃った。
わたしとこいつら全員で総攻撃をしかければ、
さしものやまたのクズおろちもひとたまりもあるまい!!
そう、今こそリーダーシップを発揮するときなんだ!
勇者「……よっしゃ! それじゃ魔法つk」
魔法使い「貴女ごときがワタクシに命令しないでくださいまし!」
勇者「……け、けんjy」
賢者「(^q^) あうあーwwwwwwwww」
勇者「……」
勇者「なんというチームワークのなさ」
486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:47:54.64 ID:Vu4xydJl0 [16/35]
やまたのおろちC「……ほっほっほ! 笑わせてくれるのう!」
やまたのおろちB「一時はどうなることかと思いきや、やはり人間」
やまたのおろちA「連携すらできぬ貴様らに勝機など万に一つも」
勇者「ああもういいや。お前ら、好き勝手ぶち殺せ」
魔法使い「言われなくてもそのつもりですわ」
賢者「(^q^) あうwwwww」
やまたのおろちA「……は?」
魔法使い「マヒャド」カッ
賢者「(^q^) イオナズン」カッ
勇者「ライデイン」カッ
487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:52:39.02 ID:Vu4xydJl0 [17/35]
やまたのおろち「ぐぎやあああああああああああああ!!!?」バリグシャゴグガド
魔法使い「ベギラゴン」カッ
賢者「(^q^) バギクロス」カッ
勇者「イオラ」カッ
やまたのおろちC「ぐあ、ちょ、まっ……!?」バリグシャゴグガド
魔法使い「メラゾーマ」カッ
賢者「(^q^) ホーリー」カッ
勇者「ギガデイン」カッ
やまたのおろちB「そっ……ひきょ……!?」バリグシャゴグガド
495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 16:05:32.50 ID:Vu4xydJl0 [18/35]
元々呪文の得意な二人に加えて、
殺意の波動に目覚めたわたしのギガデインが猛威を振るえば!!
やまたのおろちの回復力など、ゴミ同然よ!!
賢者「(^q^) ……このくらいか」
魔法使い「案外あっけなかったですわね」
やまたのおろちA「あぐ……」ジジジジ
勇者「く、ふふふふふ……」
勇者「あーーーはははは!!!! どうしたのやまたのおろち様? さっきまでの威勢はどこに消えたの!?」ゲシッ
やまたのおろちC「ぐあっ……」
わたしは地に伏したやまたのおろちの頭を踏みつけ、
腹が痛くなるほど哄笑してヤツを罵倒してやる。
勇者「ほらほら、どうしたの神のごとき回復力とやらは!? とっとともう一度起き上がってみなさいよ!」
501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 16:18:50.88 ID:Vu4xydJl0 [19/35]
やまたのおろちC「……」
勇者「ハッ! 魔物風情がッ!!」ガッ
今まで柄にずっと仕舞いこんでいた鋼の剣を抜き取り、
わたしはピクリとも動かないおろちの眉間へその切っ先を叩き落した。
やまたのおろちC「……」
勇者「人間様の命を! 生意気に弄びやがって!!」ガッガッ
わたしの筋力が足りないためか、おろちの硬い鱗に覆われた眉間には傷一つ付かない。
やまたのおろちC「……」
勇者「お前らなんかみんな死ね! 滅べ! 人間の家畜にされろ!!!!」ガッガッガッガッ
だけど、手を休めることは絶対にしない。
勇者「うあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッ
531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 19:40:45.09 ID:Vu4xydJl0 [20/35]
ジパング 南の岬
勇者「南無阿弥陀仏、アーメン……」
魔法使い「安らかに眠ってくださいまし」
賢者「(^q^) ……」
あの激戦の後、わたしは幼女の亡骸をこの岬に埋めて供養した。
ジパングのやつらに幼女の亡骸を引き渡したほうがよかったのかも知れないが、
なにやら女王の卑弥呼が重体に陥ったということで村中がごちゃごちゃしていたので、
仕方なくわたしたちだけで彼女を弔ってやったのだ。
魔法使い「せめてあの娘の両親だけにも伝えてやってはどうですの?」
勇者「……自分の娘を化け物に捧げるようなやつにわざわざ教えなくてもいいだろ」
それに、守り神に食われたのだと信じたままでいたほうがそいつらに幸せだろう。
534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 19:50:09.31 ID:Vu4xydJl0 [21/35]
船
武闘家「おかえりなさぁい。無事に帰ってきてくれてなによりだわぁ」
勇者「……ああ」
武闘家「それじゃ、さっさと出航しましょうか。予定がこれ以上ずれたら困るものねぇ」
勇者「ああ。そうだな」
武闘家「あ、そういえば。ねぇねぇ、例の女の子は逃がすことができたのかしらぁ?」
勇者「……」
武闘家「あらあら、その様子だと結局死んじゃったのねぇ? うふふ」
魔法使い「ちょっと貴女! いくらなんでも不躾すぎ……!」
武闘家「そう怒らないでよぉ。あたしはただ勇者ちゃんを元気付けてあげようと思っただけよ」
勇者「……」
536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 19:59:52.34 ID:Vu4xydJl0 [22/35]
武闘家「そう落ち込まなくてもいいじゃなぁい」
武闘家「貴女とはまったく無関係の赤の他人……異国のガキよぉ?」
武闘家「しかも仮に助けられたとしても、報酬はせいぜい感謝の言葉くらい」
武闘家「そんなもののために命をかけるなんてナンセンスよぉ」
勇者「……」
武闘家「だから、ね? 元の貴女に戻りましょうよ」
武闘家「初めて会ったときの貴女の目」
武闘家「自分さえ良ければそれでいいっていう濁りきったあの目」
武闘家「あたし、すごく気に入ってたのよぉ?」
勇者「……」
538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:08:18.12 ID:Vu4xydJl0 [23/35]
勇者「……そうだな。そのとおりだよな」
魔法使い「勇者……」
賢者「(^q^) ……」
武闘家「うふふ、理解してくれたようで嬉しいわぁ」
勇者「ああ……自分さえ良ければそれでいいんだ……」
勇者「変な事に首を突っ込まなければ……」
勇者「あんな嫌な思い……しなくて済んだんだよな……」
勇者(……死にたい)
543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:21:34.33 ID:Vu4xydJl0 [24/35]
一週間後 ネクロゴンド近海
ジパングを後にし、ダーマでの補給も早々に済ませたわたしたちは、
最終決戦の地であるネクロゴンドを目指し長い航海を続けていた。
船酔いの悪さが顕著な魔法使いはしょっちゅう船内で吐瀉物を派手に撒き散らすわ。
賢者は船乗りの中に何人か混じっていた池沼を部屋に集めて妙な宗教をおっぱじめるわ。
武闘家はわたしの部屋のとなりで毎晩のようにセックル三昧だわ。
……わたしはわたしで未だにジパングでの一件を引きずってるわ。
もういろんなストレスで頭がおかしくなりそうだよ、まったく。
……ともあれ、そんな苦悩とももうすぐおさらばだ。
魔王さえ倒せば……魔王さえ……。
545 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:30:15.83 ID:Vu4xydJl0 [25/35]
勇者「うう……いざ魔王と戦うのかと思うと腹が……!」ズキズキ
頭がおかしくなるのが先か、胃にどでかい穴が空くのが先か、それが問題だ。
――コンコン。
勇者「?」
???「勇者よ。いるか?」
勇者「え? あ、はい」
だれだこんな真夜中に。どっかで聞いたことのある声だけど……。
――バタン。
賢者「(^q^) こんばんは。調子はどうだ?」
549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:44:53.70 ID:Vu4xydJl0 [26/35]
勇者「け、賢者!?」
賢者「(^q^) 夜分遅くにすまないな。ちょっと、付き合ってもらえるかな?」
意外! わたしを訪ねてきたのは誰であろうあの賢者だった!
……という、わたしの驚きをよそに、賢者はごく自然にわたしの腰掛けているソファに近づいてきて、
隣りの少しだけ空いてるスペースにちょこんと身を乗せてしまった。
勇者「あ、あの、賢者?」
賢者「(^q^) ……おっと。こんな姿では貴様に失礼だったな」ゴシゴシ
うっかりしてたいう風に、賢者はどこからかハンカチを取り出し
口元から垂れている涎をさっと一拭きして、わたしに改めて向き直った。
賢者「……これでいいかな?」
556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:56:54.35 ID:Vu4xydJl0 [27/35]
勇者「あ……」
……思わず見惚れてしまった。
普段の姿からはとても想像できない凛々しい微笑みを、
幼子特有の可愛らしい童顔にさりげなく浮かべる賢者。
ロリコンなら勃起するどころか逆に神聖すぎて萎えてしまうほどの威力はあるんじゃないだろうか。
賢者「どうした?」
勇者「あ、いや、なんでもない……」
賢者「うむ」
勇者「……」
賢者「……」
勇者「……」
賢者「……」
勇者「あ、あの……何しにきt」
賢者「まあ急くな。こういう意味深な間が後々重要な伏線となるのだから」
勇者(意味わかんねぇ……)
558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:03:59.94 ID:Vu4xydJl0 [28/35]
賢者「……勇者。貴様にだけは本当のことを話しておきたい」
勇者「は、はぁ……(もったいぶりうぜぇ……)」
賢者「……」
賢者「実は……私は……」
勇者(早くしろよ……腹痛いからトイレに行きたいのに……)
561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:07:09.48 ID:Vu4xydJl0 [29/35]
賢者「――池沼では……ないのだ……」
勇者(今更それをここで勿体つけて語るのかよウゼェェェェェェ!!!?)
565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:16:51.09 ID:Vu4xydJl0 [30/35]
賢者「いや、正確には池沼ではなくなった、というべきか」
勇者(自分語りがハジマタ……)
賢者「(^q^) わたしは8歳の頃まで、たしかにただの池沼だった」ダラーン
勇者(しかもリラックスしてきたのかまた涎が垂れてきた……)
賢者「(^q^) だが8歳の誕生日に、唯一神 パシ=ヘロンダース様の天啓が……」
勇者(うう、おなかが……は、早くトイレに……!)キリキリ
賢者「(^q^) ナンタラカンタラパシヘロンダスアウアウアー」
勇者(だめだ、おなかに神経が集中して重要な話がぜんぜん頭に入らん)キュルリュル
589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:10:33.36 ID:Vu4xydJl0 [31/35]
勇者(ス、スカトロは! 魔法使いの仲間になるのだけはイヤァァァァ!!!!)
賢者「(^q^) そういうわけで、私はさとりの塔の最上階で賢者へと覚醒し」
賢者「(^q^) 邪教徒 ケーン=ジョーシャーの抹殺を誓って……」
勇者「け、賢者! その話はまた今度に……!」
賢者「(^q^) 貴様、これからがいいところだというのに」
賢者「(^q^) ……まあいいだろう。もう真夜中だしな」
勇者(助かった……)
賢者「(^q^) だが、最後にもう一つだけ言わせてくれ」
勇者(いい加減にしろよクソが!!)
593 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:27:27.06 ID:Vu4xydJl0 [32/35]
賢者「(^q^) 勇者よ。貴様の心は実に不安定だ」
勇者「は?」
賢者「(^q^) 勇者である運命を恨むこともあれば、勇者であることを鼻にかけることもある」
賢者「(^q^) 誰かが傷付くのをあざ笑う一方で、人を助けたいと願う慈愛の精神も持ち合わせている」
賢者「(^q^) 人の心は複雑と言うが、貴様の場合は表と裏が極端に食い違っているのだよ」
勇者「……」
賢者「(^q^) そしてその傾向は貴様の口調にも表れているな」
賢者「(^q^) 男のようにがさつな口の利き方をしたかと思えば」
賢者「(^q^) 次の瞬間、同じ口から清楚な女言葉が飛び出してくることもある」
600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:42:13.96 ID:Vu4xydJl0 [33/35]
勇者「……そ、それがどうしたってのよ」
勇者「人の性格にとやかくケチつけるつもり? もっとまともな人間になれって?」
賢者「(^q^) いや、逆だ」
勇者「え?」
賢者「(^q^) 貴様はそのままでいい」
賢者「(^q^) 今、貴様は自分なりに己の価値に疑問を抱いているのだろうが」
賢者「(^q^) 貴様の人格は」
賢者「(^q^) 誤った善行と正しい悪行を見極められる、素晴らしいものなのだ」
勇者(まったく意味がわからない)
603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:52:53.39 ID:Vu4xydJl0 [34/35]
賢者「(^q^) もちろん、その人格が後に幸せを運ぶか不幸を呼び寄せるかは定かではないし」
賢者「(^q^) 今の自分に納得せず、己を見つめなおしたいと願うなら、私は止めやしない」
勇者(なんかすごいいいこと言ってるんだろうけど、それどころじゃ……)
賢者「(^q^) ともかく、後悔の残らない選択をすることだ」
賢者「(^q^) ……ふっ。説教じみてしまったな。すまない」
勇者(本当に申し訳なく思うなら土下座しろ池沼が!!)
賢者「(^q^) それでは、わたしはこれで失礼するよ。それじゃあ」
勇者「ああ! じゃあな!(早くいけええええ)」
キィ……。
賢者「(^q^) ……おっとそうだ。最後にこの言葉を覚えておくといい」クルッ
607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:56:57.38 ID:Vu4xydJl0 [35/35]
賢者「(^q^) Boys. be pasiheronndass.(少年よ、ぱしへろんだす)」
611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 00:00:36.62 ID:pZo+y7pk0
賢者「(^q^) ……ふっ……おやすみ」
――バタン。
勇者「……」
勇者「……クソして寝るか」
704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:21:23.85 ID:A+uwSwyr0 [1/27]
ネクロゴンド山脈
勇者「この嶮しい山の頂上に魔王の城が?」
武闘家「ええ、情報どおりならそのはずよ」
賢者とくだらない戯言を交わしたその3日後、
わたしたちはようやく件のネクロゴンド山脈にたどり着くことができた。
しかし……。
魔法使い「こんな絶壁、どうやって登っていけばいいんですの?」
賢者「(^q^) うーwwwwwww」
途方に暮れるパーティーメンバー。
それもそのはず。目の前には雲をも突き抜けるほどの岩肌の壁が行く手を塞ぎ、
上陸することはおろか、船を寄り付けることすら出来ずにいるのだ。
勇者「せっかくここまで来たっていうのに……」
706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:30:50.35 ID:A+uwSwyr0 [2/27]
武闘家「魔王の本拠地に乗り込むのも、一筋縄ではいかないないようねぇ」
勇者「……帰るか」
魔法使い「冗談おっしゃらないでくださいまし! ここまで来て引き下がるわけにはまいりませんわ!」
勇者(ゲロくせぇなぁ)
武闘家「うーん……いっそ空でも飛んでいけないかしらねぇ」
勇者「無理だろ。御伽噺やメルヘンじゃあるまいし」
賢者「(^q^) うーwwwwwww」
「(^q^) レビテト」カッ
712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:39:36.11 ID:A+uwSwyr0 [3/27]
――ごごごごごごご……。
魔法使い「な、なんですのこの揺れは!?」
船乗りA「ウハwwwwwwwwちょwwwwwww船がwwwwww」
船乗りB「空飛んでるwwwwwwwwうぇwwwwwww」
船乗りC「神の御力だwwwwwwwwww」
船乗りD「唯一神 パシ=ヘロンダース様のご加護であるぞwwwwwwww」
勇者「そんなアホなァァァァ!!!?」
武闘家「なんか知らないけど運がよかったわねぇ」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwww」
ごごごごごごご……。
716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:49:30.58 ID:A+uwSwyr0 [4/27]
BGM:ガッチャマンの歌
船乗りA「誰だwwwwww誰だwwwwwww誰だぁwwwwwwww」
船乗りB「空のwwwwwかなたにwwwwww踊る影wwwwwwうぇwwwwwww」
船乗りC「しwwwwwろwwwwwwいwwwwwww翼のwwwwwww」
船乗りD「ガwwwwwwッwwwwwチャwwwwwマwwwwwwンwwwwww」
勇者「やめろぉぉぉぉクソ船乗りども!! そこは『おおぞらをとぶ』だろうが!?」
魔法使い「雰囲気がぶち壊しですわ……」
船乗りA「おおぅwwwwwwガッチャマーンwwwwwwwww」
船乗りB「ガッチャマァァァァァァァン!!!!」
勇者「やめろぉぉぉぉ!!!!」
719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:00:12.83 ID:A+uwSwyr0 [5/27]
武闘家「ま、ともかくこれで魔王のところへは首尾よく到着できそうね」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwとうちゃくwwwwwww」
勇者「ったく、もうどうにでもなれよチクショウ……」
ごごごごごごご……。
魔法使い「……あら? あれは……」
勇者「ん、どうした魔法使い? また吐きたくなったのか?」
魔法使い「違いますわよ馬鹿!! 向こう側の空に黒い点のようなものが見えまして」
勇者「はぁ?」
魔法使い「ほら、あそこの辺りですわ!」
720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:08:39.34 ID:A+uwSwyr0 [6/27]
ドドドドドドドド……。
勇者「……あ、あれは!?」
ドドドドドドドド……。
スノードラゴン「誰だwwwwww誰だwwwwwww誰だwwwwwww」
スカイドラゴン「海のwwwww地獄にwwwwwwひそむ影wwwwww」
ガルーダ「つwwwwよwwwwwいwwwww勇気のwwwwwww」
ヘルコンドル「ガwwwwwwッwwwwwチャwwwwwマwwwwwwンwwwwww」
極楽鳥「嵐を裂いてwwwwwww雲切ればwwwwwwww」
キメラ「科学忍法wwwwwww火の鳥だwwwwwwwww」
メイジキメラ「飛べwwwwwwww飛べ飛べガッチャマンwwwwwwwww」
まじょ「行けwwwwwwwww行け行けガッチャマンwwwwwwwww」
まほうおばば「地球は一つwwwwwwww地球は一つwwwwwwwwww」
全員「おおwwwwwwガッチャマンwwwwwwガッチャマンwwwwww」
725 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:20:45.16 ID:A+uwSwyr0 [7/27]
魔法使い「うきゃああああああ!!!?」
勇者「なんだあいつらはァァァァ!!!?」
なんということだ! 空なら安全かと思ってたらそうでもなかったぜ!!
魔法使いの見つけた黒い点の集まりはなんと魔物の大群であった。
それもただの魔物じゃない。非常に攻撃の当て難い空を飛べる魔物だ。
武闘家「……ざっと見積もって、千匹? いえ、それ以上かもね……」
賢者「(^q^) ……」
千だと?
ただでさえ苦戦する類の魔物が千匹も!?
船乗りA「ちょwwwwww俺たちオワタwwwwwwwwww」
船乗りB「ガッチャマンの歌に呼び寄せられたのかwwwwwww」
船乗りC「ある意味すげぇwwwwwwww俺たちスゴスwwwwwwwwww」
727 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:34:57.08 ID:A+uwSwyr0 [8/27]
最初は小さな黒い点の集まりそれだったが、
すぐにわたしたちの肉眼でも魔物とはっきり確認できるほどの大きさになってゆく。
……間違いない。あいつらはこの船を狙って近づいてきてるんだ!
勇者「もうどうすんだよ!?」
魔法使い「最悪、ワタクシたちは死んでも復活できるとして……」
武闘家「この船と船乗りたちを失うのは痛すぎるわね……」
賢者「(^q^) あうあ……」
となると、ここはなんとしてでもあいつらの包囲網を突破せざるをえないってことだが。
……千だぞ?
いくらわたしがギガデインを使えるくらい成長したっていっても限度があるわ!
武闘家「それでも、やるしかないわよねぇ……」
魔法使い「やれるだけやりますわよ!」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwぶっころすのれすwwwwwww」
勇者「くそったれ! ほんともういい加減にしろクソ魔物ども!!」
737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:20:04.78 ID:A+uwSwyr0 [9/27]
スノードラゴンA「こおりのいきwwwwwwwww」ブワッ
スカイドラゴンA「かえんのいきwwwwwwwww」ブワッ
魔法使い「きましたわー!!」
賢者「「(^q^) うちおとすのれすwwwwwイオナズンwwwwww」カッ
ズゴアアアアアアアアアア!!!!
先陣を切っていた魔物の第一波がついに眼前まで迫ってきて遠距離攻撃を放ち始めた。
わたしたちには命中しないものの船のマストがあっという間に氷付けになったり、
船底に炎が燃え広がったりと被害は馬鹿にならない。
こちら側の魔術師勢も負けじといきなり強力な魔法で迎撃する。
スカイドラゴンA~H「ぐぎゃおおおおおおおお!!!?」ボシュン
魔法使い「こっちもイオナズンですわ!!!!」カッ
スノードラゴンA~I「しぎいいいいいいいいい!!!!」ボシュン
738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:29:07.94 ID:A+uwSwyr0 [10/27]
キメラA「もえさかるかえんwwwwwwww」ブワァ
メイジキメラA「もえさかるかえんwwwwwwww」ブワァ
ゴアアアアアアア!!!!
勇者「うおおおお!!!? クソッ、ライデイン!!!!」バチバチ
キメラA~D「きええええええええええ!!!!」グバ
メイジキメラA~G「ぐぼああああああああああ」ギギギギ
く……なんて数だ!
もう甲板が煤だらけだぞ!?
武闘家「あらあら、まるで数が減ってないわねぇ……」
勇者「第一波だけでも百匹はいるぞ……ていうか武闘家も何か貢献しろよ」
武闘家「そうねぇ……それじゃあ本気を出しちゃおうかしら」
武闘家「……波ァッ!!!!」ゴアァッ!
740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:36:36.57 ID:A+uwSwyr0 [11/27]
スノードラゴンJ~Z「うがげごッ!?」グシャ
スカイドラゴンI~Z「うわらばっ!?」グチャ
キメラE~Z「ハバネロッ!?」ギチュ
メイジキメラH~Z「ほあああああああ!!!!」グシュ
勇者「え……ええええええええええええ!!!?」
なんてこった! なんか武闘家が覇気みたいなの出したら周りの魔物全部爆発しちゃったよ!?
勇者「」
魔法使い「」
賢者「(^q^) ほう」
武闘家「ふぅ……寺生まれを舐めるからこうなるのよ」
武闘家「もっとも、これを使うとしばらく身体の自由が利かなくなるのが欠点だけどね」
746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:45:50.13 ID:A+uwSwyr0 [12/27]
今考えてみるとやばいなこのパーティー……チートじゃないか。
とはいえ、それを踏まえてもまだまだ劣勢には変わりないが。
まじょ「ふひょひょwwwwwwwww」
スカイドラゴン1A~1D「かえんのいきwwwwwwwww」ブハァ
魔法使い「ッ!? もう魔物の第二波が!?」
勇者「くっそ、ライデイン!!」バリバリ
賢者「(^q^) イオナズンwwwwwww」カッ
武闘家「ふぅ……あとは頼んだわよ貴女たちぃ……」フラフラ
ああ、わかってるさ。武闘家のおかげでほとんど無傷で第一波を迎撃できたんだ。
ここからはMPの続くかぎりわたしたちでなんとかしてやる!!
751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:55:06.54 ID:A+uwSwyr0 [13/27]
ゴガアアアアアア!!!!
勇者「ライデインライデインライデイィィィィン!!!!」バリバリバリバリ
スカイドラゴンの群れ「いちいちAとかBで表記するのはめんどくさいです」グシャア
魔法使い「ベギラゴンマヒャドイオナズン!!!!」カッカッカッ
まじょの群れ「やまたのおろち戦で尺使いすぎたわ」グシャア
賢者「(^q^) バギクロスザラキイオナズン」カッカッカッ
ガルーダの群れ「もうダメポ」グシャア
755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:07:04.34 ID:A+uwSwyr0 [14/27]
ヘルコンドル「wwwwwwwwwwww」
極楽鳥「wwwwwwwwwうぇwwwwwwww」
勇者「はぁ……はぁ……」グッタリ
魔法使い「もう……! 殺っても殺ってもきりがないですわ……!」グッタリ
賢者「(;^q^) おぎゃ……」グッタリ
戦闘が始まってからもう30分くらいか。
これだけ粘ってもまだ半数くらいしか倒せていないなんて……。
体力のないわたしはともかく、魔法使いや賢者までもが疲労の色を見せ始めるのはまずい。
勇者「船ももう持たないぞ、これ以上は……」
武闘家「うふふ、そうねぇ……」
758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:17:11.90 ID:A+uwSwyr0 [15/27]
……武闘家はもう勝利を見据えてはいないようだ。
こんな危機的状況に陥っても額に汗一つかいてない。
まあ最初の一撃以外は活躍していないというのもあるが、
それ以上に、わたしと一緒にいれば死んでもアリアハンで復活できるという余裕があるからだろう。
勇者「余裕ぶっこいてるけどいいのか? お前の船がなくなっちまうよ?」
武闘家「たしかに無くなるは勿体無いけど、船くらいまた買えばいいだけの話よ。もちろん船乗りもね」
……まったく、これだからビッチは!!
武闘家「さぁて、みんな頑張ってねぇ。わたしは痛くないような死に方の準備を……」
スカイドラゴン「ぐわおおおおおおwwwwww」ビュン
勇者「っ! おい武闘家――」
――ゴシャアアア!!
761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:29:15.06 ID:A+uwSwyr0 [16/27]
武闘家「がっ……!!」バキャッ
勇者「武闘家ッ!?」
魔法使い「武闘家様ッ!!」
賢者「(;^q^) ッ!?」
なんというステルススカイドラゴンだ。全然接近に気づかなかったぞ!?
いや、今までかえんのいきにしか注意を払っていなかったのが悪かったのか……。
ともかく船底の死角からいきなり姿を現したスカイドラゴンの尻尾が、
甲板ごと武闘家を盛大になぎ払ってしまった……!
武闘家「うあッ……やっ……!?」ヒューン
宙を旋回する武闘家のしなやかな身体は、
その勢いを弱めることなく、眼下に広がる奈落の底へとまっ逆さまに……。
768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:37:58.42 ID:A+uwSwyr0 [17/27]
――パシッ!
武闘家「……あ、うあ……!」ガクガク
勇者「うおおおおお! 絶対手を離すなよ!? 絶対だぞ!?」グググ…
落とさせるわけがないだろう常識的に考えて!
……だが間一髪のところだった。あと0.1秒でも手を伸ばすのが遅れていたら……。
魔法使い「勇者! 武闘家様はっ!?」
勇者「くうううう……こ、こっちは大丈夫だから! 早く周りの魔物を!!」グググ…
いやいや、やっぱり大丈夫ではないかも知れない。
崩れ落ちた甲板の凹凸にかろうじてつま先を引っ掛けて踏ん張っているが、
わたしの体力じゃ……!
770 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:50:19.15 ID:A+uwSwyr0 [18/27]
勇者「とはいえ魔法使いたちが手を休めたら魔物の猛撃が来るしなぁ……!」グググ…
武闘家「……ど、どうして……」
勇者「ん?」グググ…
武闘家「どうして……助けたのよぉ……」
勇者「いやいや!? だってここから落ちたら武闘家絶命しちゃうだろうが!?」グググ…
武闘家「うふふ……いいじゃない、それで……」
勇者「はぁ?(こいつ頭に蛆でも沸いたのか?)」
武闘家「貴女の気に入らない女が不運な事故で死のうとしてる」
武闘家「……こんなチャンス二度とこないかも知れないのに、貴女は棒に振るつもりなの……?」
勇者(めんどくせえなこのビッチはほんとにもう……)ビキビキ
772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:01:37.97 ID:A+uwSwyr0 [19/27]
勇者「気に入るとか気に入らないとかの話じゃなくて!」グググ…
勇者「こんな死に方されたらわたしの寝覚めが悪くなっちゃうでしょうが!!」グググ…
武闘家「なっ……そ、そんな理由……理解できないわ!!」
勇者「理解できるでしょうが!!」
武闘家「……はぁ?」
勇者「あんた言ったでしょ。自分さえ良ければそれでいい……そんなわたしが気に入ってるって」
勇者「だったらいちいち文句言わないでよ!! わたしは……」
勇者「自分のためにあんたを助けるのよ!! あんたが死ななければそれでいいのよ!!」
武闘家「……貴女……」
774 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:09:23.40 ID:A+uwSwyr0 [20/27]
武闘家「……馬鹿な女。……本当に……馬鹿な……」
勇者「うわああああ! もう駄目だ、つま先が死ぬぅぅぅぅ!!!!」グググ…
ゴシャアアアアアア……。
まほうおばばの群れ「しねえええええええwwwwwww」ギュワン
魔法使い「う……もうだめですわぁ……!」
ガルーダの群れ「きょおおおおおおwwwwww」ガンダルフッ
賢者「(;^q^) ……ここまでか」
???「……よく耐えぬいてくれたな。強く気高い乙女たちよ」カッ
779 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:15:18.35 ID:A+uwSwyr0 [21/27]
まほうおばばの群れ「ぎいいいいやああああ!!!?」ブロンダフッ
ガルーダの群れ「くぎゅううううううううううううううう!!!!」クギミヤッ
魔法使い「なっ!?」
賢者「(;^q^) なんだ、今の光は……!?」
勇者「魔物の群れを一撃で……!?」
武闘家「いったい……?」
???「お前たちが時間を稼いでくれたおかげで、我らの真の力を解放することが出来た」
???「ここからは俺たちに任せときな、じゃじゃ馬ハニーちゃんたち」
???「さぁ……!」
782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:17:46.06 ID:A+uwSwyr0 [22/27]
カーニバル
船乗りA~D「殺戮の宴の幕開けだ」
784 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:25:47.56 ID:A+uwSwyr0 [23/27]
船乗りA「」ヒュンッ
極楽鳥「なっ、消え……」
船乗りA「遅い」ガッ
極楽鳥「ぐばあああ」バン!
まほうおばば「な、なにを」
船乗りA「どこを見ている」ガッ
まほうおばば「ぐはあ!?」バン!
船乗りA「」ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン
勇者「な、なんて速さだぁぁぁぁ! 空中を飛び回りながら1秒に十匹のペースで!!」
勇者「しかも拳だけで!! 魔物の群れを蹂躙してやがるゥ~~~!!!?」
789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:37:32.99 ID:A+uwSwyr0 [24/27]
船乗りB「心の痛みを知らぬモノめ!」
船乗りB「奥義!! ボイドエクストリーム!!!!」ガッ
ガルーダの群れ「ぬわあああああああああ!!!?」パパスッ
船乗りB「冷厳なる氷剣の儀式!」
船乗りB「奥義! アイシクルディザスター!!!!」カッ
スカイドラゴン「あんま痛くないや」スカッ
勇者「船乗りBの剣技も船乗りAの拳に負けてはいないぞぉぉぉぉ~~~!!!!」
勇者「だけど何故か二発目の剣技だけはよええええええええええええ!!!?」
792 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:44:36.67 ID:A+uwSwyr0 [25/27]
船乗りC「ザラキ!」
スノードラゴンの群れ「ぎゃらんどおおおおおおお!!!!」ポロロッカ
船乗りC「ベギラゴン!」
キメラの群れ「ぬるぽっ!!!?」ガッ
船乗りC「バギクロス!」
メイジキメラの群れ「はあ」ガッ
船乗りC「イオナズン!」
まほうおばば「ふう」ガ
勇者「普通だァァァァァァァァァァァ!!!?」
793 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:46:44.67 ID:A+uwSwyr0 [26/27]
船乗りD「」ピクピク
スノードラゴン「うはwwwwwwwこいつテラよわすwwwwwwwww」ゲシゲシ
スカイドラゴン「やっちまえやっちまえwwwwwwwwwwwww」ゲシゲシ
勇者「よええええええええええええええええええええええ!!!?」
797 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:52:11.08 ID:A+uwSwyr0 [27/27]
勇者「……」
船乗りA「はぁはぁ……げぇほげっほげっほおえええええ!! はぁはぁ……つ、疲れた……もう死ぬ……」
船乗りB「お、俺ももうダメポ……」グッタリ
船乗りC「メラゾーマ!」
メイジキメラ「マホカンタwwwwwww」カキン
船乗りC「ぐぎゃああああああああああああ!!!!」ジュワ
船乗りD「」
勇者「……」
勇者「こいつら使えね」
802 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:04:13.44 ID:0kc2Ud+H0 [1/37]
勇者「クッソ! ほんといらない描写だぞ船乗りのくだりは!?」グググ…
船乗りA~D「フヒヒwwwwwwwwwサーセンwwwwwwwwww」
勇者「しかもわたしはまだ武闘家引き上げてないしね!! 馬鹿か!!!!」グググ…
武闘家「大声で突っ込んでる力をこっちにまわせばよかったのにぃ……」
魔法使い「ああもう! 結局わたしたちで処理しなきゃいけないんですの!?」
賢者「(^q^) ……そのひつようはないのれすwwwwww」
魔法使い「え?」
賢者「(^q^) かれらがむだに時間をかせいだおかげで、もう魔王城の目の前まできたのれすwwwww」
ごごごごごごご……。
803 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:10:47.36 ID:0kc2Ud+H0 [2/37]
スカイドラゴン「うわwwwwwwwやっべwwwwwwwww」
スノードラゴン「魔王城に近づけんなって命令されてたのにwwwwwwwwwww」
キメラ「うっかりうっかりwwwwwwwwwwwwwてへwwwwwwwwwwww」
ごごごごごごごごごご……。
勇者「よ、よし! こうなりゃゴリ押しだ!!」
武闘家「へ?」
魔法使い「ゴリ押しって?」
勇者「なんかもうグダグダだしこのまま魔王城に突っ込むぞ、船ごと!!!!」
魔法使い「えええええええええ!!!?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwみwwwwwなwwwwwぎwwwっwwwてwwwwきwwwwwたwwwww」
勇者「みんな! いくぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
807 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:19:34.59 ID:0kc2Ud+H0 [3/37]
一方 魔王城 ベランダ
バラモス「ううん、清清しい朝だなぁ」キラキラ
バラモス「こういう良い天気の日はベランダでゆっくりと読書するに限るね」
バラモス「おっと、それと熱くて苦いコーヒーも忘れちゃいけない」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「おや、小鳥さん? こんな所に迷い込むなんて珍しいね」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「ふふふ、可愛い小鳥さんだ」
バラモス「よし、決めたぞ。君は今日から僕のペットだ」
バラモス「名前はそうだな……トンヌラなんてどうだろう?」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「そうか気に入ったか。はははは」
814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:26:06.25 ID:0kc2Ud+H0 [4/37]
ごごごごごごごごご……。
バラモス「……おや? なんだろう、この音は……」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「空から……?」チラッ
勇者「どけェェェェェェェクソ野郎どもォォォオォォォ!!!!」ゴオオオオオオオオ
魔法使い「うきゃあああああああああああ!!!!」
賢者「(^q^) ぱしへろぉぉぉぉんだぁぁぁぁぁすwwwwwwwwwwwww」
武闘家「あわわわわわわわ!!!!」
船乗りA~D「バラモスさんおじゃましまーっすwwwwwwwwwwwwwww」
バラモス「う、うひゃああああああああああああああああああ!!!?」
815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:29:22.23 ID:0kc2Ud+H0 [5/37]
::::::::::::::::::::::::...... ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
γ ⌒ ⌒ `ヘ
イ "" ⌒ ヾ ヾ ウギャァァァァァァァァ.....
/ ( ⌒ ヽ )ヽ
( 、 , ヾ )
................... .......ゞ (. . ノ. .ノ .ノ........... ........
:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....| |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
_ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''! i;;;~-ヽ_ii_i=n_ [l h__
/==H=ロロ-.γ ,~ー'''l ! |'''ーヾ ヾ 「!=FH=ロロ
¶:::-幵-冂::( ( |l | ) )=HロΠ=_Π
Π=_Π「Ⅱヾ、 ⌒~"""''''''⌒~'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
Д日lTl,,..:''''" ""'''ー-┬ーr--~''"" :::Д日lT::::
FH=n.:::::' | | :::FL日l」:::::
ロΠ=:::::.:. ノ 从 ゝ .::田:/==Д::
口=Π田:::. .::::Γ| ‡∩:::::
Γ| ‡∩Π::.... ...:::Eヨ::日lTlロ::::
Д日lTlロ_Π::::....... ...::::::::田:凵Π_=H:::
=Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl
821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:38:52.60 ID:0kc2Ud+H0 [6/37]
ぱらぱら……。
勇者「いたた……! み、みんな無事か!?」
魔法使い「な、なんとか……」
賢者「(^q^) あうあーwwwwww」
武闘家「……はからずも命拾いしちゃったわね」
船乗りA~D「奇跡ktkrwwwwwwwwwwww」
スノードラゴン「おいwwwwwwwどうすんだよwwwwwwwwwあいつら魔王城にwwwwwwww」
スカイドラゴン「しらねwwwwww俺の責任じゃねーしwwwwwww」
ヘルコンドル「怒られんのいやだしさっさと逃げよーずwwwwwwwwwww」
まほうおばば「だなwwwwwwwwww」
823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:45:25.76 ID:0kc2Ud+H0 [7/37]
勇者「よっしゃ。それじゃ早速諸悪の根源をぶっ殺しに……」
ぐに。
勇者「……ん? なんか踏んだ……?」
バラモス「」
勇者「…………」
魔法使い「……」
賢者「(^q^) ……」
武闘家「……」
勇者「……え? いや、まさか、え? 魔王が、え? ……まさかそんなwwwww」
魔法使い「……」
勇者「……」
勇者「……激しい戦いの末……ようやく魔王を討ち取ったな」
827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:52:55.60 ID:0kc2Ud+H0 [8/37]
魔法使い「む、むなしすぎますわね……」
賢者「(^q^) おぎゃ……」
武闘家「…………」
勇者「世の中こういうものだよ……ドラマチックにはいかないものさ」
船乗りA~D「ですねwwwwwwwwwww」
何はともあれだ。
これでわたしの使命からようやく開放される。
これからは……普通の女として、誰にも邪魔されずニート生活を満喫できるんだ!
勇者「……長居は無用だな」
魔法使い「ええ……」
勇者「それじゃ……」
勇者「とっとと帰るとしm」ブシュッ
830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:56:29.58 ID:0kc2Ud+H0 [9/37]
勇者「……え?」ドクドク
???「それは叶わないわ……だって、貴女は」
武闘家「ここで、死ぬんですもの」
833 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:02:24.92 ID:0kc2Ud+H0 [10/37]
魔法使い「ゆ、勇者ァァァァ!!!?」
賢者「(;^q^) 馬鹿なッ!? 貴様、気でも違えたか!!!?」
武闘家「……」
な、なんだ? 何がどうなってる?
どうして武闘家の右手が、わたしのお腹に突き刺さって……!?
勇者「ごふっ……ぶ、武闘家……な、なんで……?」
武闘家「……」
小鳥「ククク・・・ご苦労だったな、武闘家よ」
838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:14:21.68 ID:0kc2Ud+H0 [11/37]
賢者「(;^q^) ッ!!!?」
魔法使い「ッ……こ、小鳥が喋って……!?」
小鳥「貴様に仕事を依頼して正解だったよ。良い働きをしてくれて嬉しいぞ」
武闘家「……ありがたきお言葉、感謝いたします。ゾーマ様」
勇者「ゾー……マ?」
誰だよ、そいつ。初めて聴く名前だぞ?
おい……なんとか言ってくれよ、武闘家。
小鳥「ククク・・・驚かせてすまないね、諸君・・・我の名はゾーマ・・・」ゴゴゴゴゴ
ゾーマ「全ての生けとし生きる者どもを統べる、真の魔王・・・大魔王よ・・・」
840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:29:49.82 ID:0kc2Ud+H0 [12/37]
賢者「(;^q^) だい……まおう……だと?」
ゾーマ「左様。そして貴様らが仲間だと信じていたそこの女は・・・我の忠実なる僕よ・・・」
魔法使い「そんな! あ、貴女……ずっとワタクシたちを騙していたんですの!?」
武闘家「……」
勇者「うそ……だよな、武闘家……? そんなわけ……」
武闘家「……嘘なんかじゃないわ。全て本当の話よ」
勇者「あ……」
武闘家「あたしの元にね。貴女と初めてレーベの村で出会う直前、ゾーマ様の幻影が赴いてくださったの」
武闘家「ゾーマ様はおっしゃったわ」
武闘家「もしあたしが、魔王城まで勇者を成長させないまま連れてこれたなら」
武闘家「なんでも思うがままの褒美を授けてくださると」
844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:39:40.71 ID:0kc2Ud+H0 [13/37]
武闘家「苦労したわ。なんといっても貴女、すごく弱いから」
勇者「……」
武闘家「ここまで辿りつけるギリギリの経験をつませなくちゃいけなかった」
武闘家「結果としてギガデインを覚えるくらい経験を与えてしまって、少し不安だったのだけど……」
ゾーマ「いや、上出来だ。これなら・・・確実に我の手でこやつの息の根を止めることができる・・・」
武闘家「それは良かったですわぁ……うふふ」
……武闘家。
気に入らないやつだったけど、わたし……そこそこ共感してたんだけどな。
自分の利益しか求めないその生き方は。
でも……結局これか。
846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:51:02.11 ID:0kc2Ud+H0 [14/37]
魔法使い「そんな戯言なんかどうでもいいですわ! その薄汚い手を……!」
武闘家「ん?」
魔法使い「勇者から離せええええええええええええ!!!!」カッ
魔法使いのひのきの棒から目映いばかりの閃光がほとばしり、小さな火の玉がこちら側に飛んでくる。
……メラミか。どうしてそんなちゃちな呪文を? わたしを傷つけまいと? でもそれじゃあ……。
武闘家「悪いけど……離すわけにはいかないわ」ヒラリ
武闘家に命中するわけがない。
魔法使い「クソッ! 貴女……!!」
――ブシャァ!
849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:09:33.11 ID:0kc2Ud+H0 [15/37]
魔法使い「――カ……ハッ……!?」ボタボタ
ゾーマ「・・・些か、騒ぎすぎだぞ・・・小娘・・・」
勇者「まほ……つかい……そ、そんな……いやぁ!!」
いつの間にか魔法使いの背後に回りこんでいたゾーマ。
やつはどういう手段を用いたのか、一瞬にして魔法使いの両手両足を切断し、
最後に左腕で彼女の胸を背中から一気に貫いてしまった。
魔法使い「こ、の……外道が……!」
ゾーマ「ほう・・・こんなになってもまだ生意気な口を利けるだけの余裕はあるか」
馬鹿な。そんな余裕、魔法使いには残ってない。
絶え間なく、肢体の至る箇所から飛び散る鮮血。
口からも、喘ぎ声を喉から搾り出す度に、ポンプのように血反吐が沸いて出る。
すぐ背後にいるゾーマに憎悪の視線を送りたくても送れないその目からは、
わたしと殺し合いした時にすら見せたことのない涙がとめどなく溢れていた。
こんなのを見て尚も余裕そうだと言ったゾーマ。狂ってやがる。
852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:22:54.36 ID:0kc2Ud+H0 [16/37]
船乗りA「おいこれ……やべえ、まじやべぇぞ?」
船乗りB「は、はやく逃げっ」
――ボシュン!
ゾーマ「おいおい・・・仲間がこんなに苦しんでるのに随分と薄情ではないか?」
ゾーマ「・・・と、説教した所でもう聞こえてないか。ククク・・・」
魔法使い「……ぞん……なっ……!」ドクドク
勇者「ひど……すぎる……!」
逃げようとした船乗りの4人へ、ゾーマは残っていた右手から極大の炎を放った。
刹那、青白い閃光で視界がさえぎられ、気づいた時には彼らの姿が跡形もなく消え去っていた。
858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:34:10.43 ID:0kc2Ud+H0 [17/37]
魔法使い「う……うう……!!」ポロポロ
ゾーマ「ククク・・・さて、貴様の処遇は如何にしようか・・・」
勇者「やめ……ろ……もうやめてくれ……!」
ゾーマ「おお、そうだ! 遺言! 仲間の一人に遺言を残すといい!」
魔法使い「ゆ……い、ごん……?」
ゾーマ「そうだとも・・・嗚呼、我はなんと心優しいのか! さあ、誰に言葉を残したい!?」
ゾーマ「そこで戦意を失ってへたりこんでる情けない障害者か!」
賢者「(;^q^)」
ゾーマ「それとも貴様らを我に売った卑しい性根の娼婦にか!」
武闘家「……」
ゾーマ「もしくは・・・・・・」
魔法使い「…………ゆ……しゃ……」
859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:39:32.23 ID:0kc2Ud+H0 [18/37]
ゾーマ「んん?」
魔法使い「ゆう……しゃ……! ゆうしゃ……に……!」
勇者「な、なに言ってんだ馬鹿……! そいつの言いなりになんて」
武闘家「貴女は黙ってなさい」ジュプ
勇者「ぐああああああ!!!?」
ゾーマ「ほほう? 勇者に残したいか。いいだろう、好きなだけ残すといい・・・さあ・・・!」
863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:50:24.55 ID:0kc2Ud+H0 [19/37]
勇者「ま、魔法使い……だいじょう、ぶ……なんとかなるから……遺言なんて、馬鹿なこと……!」
魔法使い「ゆうしゃ……ああ! ゆうしゃ、ゆうじゃゆヴじゃゆうしゃ!!」ゴボゴボ
勇者「ま、まほう……つか……」
魔法使い「ワタク、シ……! はじめて、貴女と……お会いした、ときから……!」
魔法使い「ずっと……っずっと貴女のことが……好きだった……!!」
勇者「ッ!」
魔法使い「ひとめ……ぼれ、でしたわ……女なのに……こんな……」
魔法使い「こんな想いが……じょうじゅ、するわけないと……ずっと、胸に秘めてきましたが……」
魔法使い「……今、言わなきゃ……もう二度と……伝えられ、ま、せん……から……だから……!」
868 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:01:37.33 ID:0kc2Ud+H0 [20/37]
ゾーマ「ははは! 死ぬ間際に愛の告白とは! 素晴らしいじゃないか!!」
魔法使い「……」
ゾーマ「ククク・・・どうだ? 今の我は機嫌がいい。特別に勇者と接吻させてやっても・・・」
魔法使い「ッ! さ、させてぐだざいまじ!! キス! キスを、どうか!!」
魔法使い……なんで、なんで、こんな形で告白なんかするんだよ……。
こんなの……いやだ……!
ゾーマ「ほら、このくらい近くならいいだろう」
魔法使い「ああ……勇者の、唇が……こんなに、近くに……」
勇者「魔法使い……やめろ……! こんなの、駄目だ……!」
血反吐を撒き散らしながら恍惚の表情でわたしを見つめる魔法使い。
いやだ……こわい……! こんな魔法使い、わたしは……!
872 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:13:47.90 ID:0kc2Ud+H0 [21/37]
魔法使い「……おねがいですわ……! ワタクシを、どうか受け入れてくださいまし……!」
勇者「魔法使い……でも、でもわたしは……!」
魔法使い「どうせ ……どうせこの状況は……覆せないんですの。……死ぬん……ですの……みんな」
勇者「あ……」
魔法使い「勇者も、もう、あきらめて……すなおに……なって……」スッ
勇者「魔法使い……」
魔法使い「……死んでもずっと、愛していますわ……勇者……」
ああ、近づいてくる。魔法使いの唇が。
綺麗だ、魔法使い。とっても綺麗。あともう少しで触れ――。
874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:15:55.43 ID:0kc2Ud+H0 [22/37]
ゾーマ「はいそこまで~」
――ボシュン!
879 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:24:34.06 ID:0kc2Ud+H0 [23/37]
勇者「……あ」
……あと少しだったのに。本当にあと数ミリ先だったのに。
彼女の唇とわたしの唇が重なる直前……彼女は青白い炎に呑まれて目の前からいなくなってしまった。
チリ一つすら残さず。
彼女がいたという証も残さず。
ゾーマ「ククク・・・これだよ。この表情だ」
ゾーマ「勇者・・・その絶望に歪んだ顔・・・」
ゾーマ「たまらなく・・・いいっ・・・最高だっ・・・!!」
ゾーマが何かほざいてるが、もう何も感じない。
麻痺した。なにもかもすべて。
882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:29:48.12 ID:0kc2Ud+H0 [24/37]
ゾーマ「ククク・・・さてさて、お次は貴様だが・・・」
賢者「(^q^)」
賢者「(^q^) あうあ?」
賢者「(^q^) どこなのれすかここはwwwwwwwwww」
賢者「(^q^) あうーwwwwwwおうちにかえりたいのれすwwwwwww」
賢者「(^q^) うあ? ゆうしゃwwwwwwwwおなかがへんなのれすwwwwwwww」
賢者「(^q^) いたいのやなのれすwwwwwwゆうしゃwwwwwwあうあうあwwwwww」
883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:35:10.94 ID:0kc2Ud+H0 [25/37]
ゾーマ「・・・絶望のあまり壊れたか」
賢者「(^q^) うあーwwwwwゆうしゃwwwwwwだいすきなのれすwwwwwww」
勇者「……賢者……ごめんな……ごめんな……」
ゾーマ「これではいたぶって楽しむこともできんな・・・簡単に処理するか」
賢者「(^q^) ゆうしゃwwwwママwwwwwずっといっしょなのr」
――ボシュン!
890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:44:13.14 ID:0kc2Ud+H0 [26/37]
賢者。ああ、なんて可哀想な賢者。
あんなに聡明な素顔を持っていたとはいえ、まだ破瓜の憂いも味わっていないような子供だったのに。
ああ、賢者。痛みなく逝けたのかな。心配だな。
えへへ……でも大好きだってさ。わたしのこと。
なんかこそばゆいなぁ。ママっだって。柄じゃないなぁ。
ママだったら魔法使いのほうが向いてるのに。ねえ魔法使い?
って、そうか。もう逝っちゃったんだよね魔法使いも。
ひどいなぁみんな。わたし一人だけ置いてっちゃって。
あ、でも武闘家はまだいたのか。
ねぇ武闘家、貴女もひどいと思わない?
ねぇ……。
893 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:53:47.00 ID:0kc2Ud+H0 [27/37]
勇者「」
ゾーマ「・・・つまらんな。精神を失った人間を弄っても面白くもなんともない」
武闘家「……」
ゾーマ「まあよい。さてと、悲願であった勇者殺し、今こそこの手で・・・」
武闘家「待ってください、ゾーマ様」
ゾーマ「・・・む? どうしたのだ、武闘家よ」
武闘家「この娘を殺す前に、あたしの欲しい報酬を先に聞いていただきたいのです」
ゾーマ「・・・・・・ククク、いいだろう。貴様とは身体も交えた仲だからな」
武闘家「ありがたき幸せでございます」
ゾーマ「それで・・・貴様の欲しい代物とはなんだ? 金か? 男か? 永遠の美貌か?」
武闘家「あたしの……」
武闘家「あたしの欲しいものは――」
897 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:03:53.47 ID:0kc2Ud+H0 [28/37]
――――。
勇者「……」
ここはどこだろう?
さっきまでわたしは、ゾーマとかいうやつに仲間を殺される様を見せられていたはずだ。
とすると、ここはあの世?
眼前には牢屋のような鉄格子。
床は人間のものとおぼしきしゃれこうべがぎっしりと敷き詰められ、
天井からは首のない妙な生き物の身体が無数に吊るされている。
ここがあの世だとすれば、地獄?
少なくとも天国にはとうてい見えない。
899 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:12:48.24 ID:0kc2Ud+H0 [29/37]
勇者「……う」
よく観察すると、わたしの身体には至る所に銅錆びた鎖が打ち付けられていた。
両手、両足……乳首に、陰茎。
ここでようやく、自分が一糸纏わぬ恥ずかしい姿をさらしていることに気づくが、
不思議と羞恥心はあまり沸いてこなかった。
それよりも自分がどういう状況に置かれているのか?
そのことに対する不安や恐怖のほうが大きく勝っていたのだ。
勇者「うあ……なによ、これぇ……!」
904 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:24:02.14 ID:0kc2Ud+H0 [30/37]
武闘家「あらあら……ようやく目を覚ましてくれたのねぇ」
勇者「ッ! ぶ、武闘家……!?」
静まりかえった牢獄に響き渡る、女郎の妖しい囁き声。
声のした方に目をやらなくてもはっきりと分かった……武闘家だと。
勇者「……あんた……よくも、よくもみんなを!! チクショウ、ぶっ殺して……!」
――ジャラ。
勇者「ひあっ!?」ビクン
武闘家「もう、そんなにカッカしないのぉ。大人しくしてなさぁい……」ジャラジャラ
全身に稲妻のように走る異常な快感。
身を悶え、涙目になりながらも武闘家を睨みつける。
どうやらわたしに打ち付けられてる鎖の先を、あの女が両手に束ねて握っているようだ。
905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:32:22.82 ID:0kc2Ud+H0 [31/37]
勇者「あ、あんた……わたしに何がしたいのよ……!?」ビクンビクン
武闘家「ん~? どういうことかしらぁ?」
勇者「あたしをッ! 殺すんでしょ! さっさと殺しなさいよ……殺してよ!!」
そうだ。いつまでも生きていたって仕方ない。
早くわたしはあの世に逝って、賢者や魔法使い、それに、幼女に……。
武闘家「残念だけど、それは無理な相談ねぇ」
勇者「どうしてッ! ゾーマってヤツはわたしを殺したがってたはずじゃ……」
武闘家「そのことなんだけど……」
武闘家「わたし、ゾーマにお願いしたのよ」
武闘家「報酬は勇者がいい。勇者が欲しい……ってね。うふふ……」
909 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:41:40.57 ID:0kc2Ud+H0 [32/37]
勇者「……はぁ?」
武闘家「船で貴女に助けてもらった時にね……あたし……」
武闘家「貴女のことが大好きになっちゃったの」
武闘家「どんな手段を使っても構わないから」
武闘家「貴女をあたしだけのものにしたいと、そう切望しちゃうほどにね」
……武闘家、お前は……何を……?
武闘家「ゾーマは最初、その申し出を断ろうとしてたけど」
武闘家「あたしが『万が一転生した場合のことを考えて、生かさず殺さず手の内に飼っていたほうがいい』」
武闘家「なーんてもっともらしいこと言ったら、あっさり承諾してくれたわ」
武闘家「大魔王といえども間抜けよねぇ……うふふふふ」
911 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:53:59.00 ID:0kc2Ud+H0 [33/37]
……病んでる。
武闘家。あんた、病みすぎだよ。
勇者「狂ってる……」
武闘家「あはは! あたしの人生は初めっから狂いっぱなしよぉ!!」ジャラ
勇者「あッ!!」ビクン
武闘家「勇者……ああ、勇者勇者勇者!!!!」ジャラジャラ
勇者「やっ……ふあああ!!!!」ビクビク
武闘家「貴女の存在は……そんな狂いっぱなしの人生の中で、ただ一つの僥倖だったわ……」
武闘家「もう絶対に手放さない……」
勇者「う……あ……」
武闘家「わたしはずっと貴女を愛し続けるから……だからそんな悲しそうな顔しないで……」
――ちゅ……。
912 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:01:35.18 ID:0kc2Ud+H0 [34/37]
勇者「……んぅ……ふぁ……!」
武闘家「はむ……ん……」
……なんていう口付けだろう。
あの時、死ぬ間際に彼女がしてくれた優しいキスとは全然違う。
沈んでしまうほど深くて、痛くなるほど暴力的で。
……そして、泣きたくなるほど悲しい味がする。
武闘家「んぁ……ゆ、うしゃ……」
勇者「は……う……ぶとう、か……」
武闘家「……大切に、するから……ずっと……」
勇者「あ……」
914 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:10:39.52 ID:0kc2Ud+H0 [35/37]
――どこでどう間違えてしまったのだろう。
わたしがニートじゃなければよかったのか。
ルイーダに素直に男の仲間を斡旋してもらってればよかったのか。
ポルトガで船を買えないとわかった時点ですぐ引き返せばよかったのか。
ジパングに寄らなければよかったのか。
そもそもわたしがいなければよかったのか。
いずれにせよ、これはどうなのだろう。
ハッピーエンド? バッドエンド?
どっちかと言えばバッドエンドだが、見方によってはハッピーエンドに見えなくもない。
物語的にはバッドエンドだが、百合的にはハッピーエンド?
いや百合的にもバッドエンドかもしれない。
ああ、ともかくこれからずっと武闘家に飼い殺されるのか。
どうだろう……武闘家は優しくしてくれそうだから大丈夫だと思うけど……。
あー、うん……でもなぁ、なんだかんだいっても、やっぱりわたし……。
915 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:12:47.44 ID:0kc2Ud+H0 [36/37]
――死にたい。
916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:14:56.34 ID:0kc2Ud+H0 [37/37]
―― THE END ――
ルイーダ「まあそんなことはどうでもいいとして」
勇者「なんて冷たい言い草よ……」
ルイーダ「ここはルイーダの酒場。なんたらかんたら出会いと別れの酒場よ。貴女はどんな人をお望みかしら?」
勇者「ここまで来たら腹をくくるしかないのか……」
勇者「えーと、それじゃあオーソドックスに……」
勇者「武闘家、賢者、魔法使いを頼みます(キリッ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:29:07.36 ID:o/Y2yUvy0
ルイーダ「初っ端から賢者ってどこがオーソドックスよ。まあいいけど」
勇者(マジでいいのかよ……)
ルイーダ「性別の希望は?」
勇者「えーと、全員女性で……」
ルイーダ「ん、本当にそれでいいの? 男女の恋愛とか育まなくてもいいの?」
勇者「いや、私って贔屓目に見てもちょっとは、ていうかかなり可愛いですよね?」
勇者「だから冒険の途中にレイプでもされたらって思うと怖いな~って(笑)」
ルイーダ「うわあ、こりゃひどい」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:34:22.50 ID:o/Y2yUvy0
ルイーダ「待たせたわね。こんな感じでいかがかしら」
勇者「さあ、どんな頼もしくも麗しい仲間が……」
賢者♀「(^q^) おぎゃwwwwwwwwwぱしへろんだすwwwwwwww」
魔法使い♀「まあ、貴女があの勇者様ですの? ずいぶんと貧相な胸と顔ですこと!」プークスクス
勇者「……」
ルイーダ「……」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:41:49.21 ID:o/Y2yUvy0
勇者「もっとまともな人材はいないんですか?」
ルイーダ「男なら腐るほどいるんだけど、あいにく女の子は極端に人材不足なのよ」
ルイーダ「非公式の遊び人の女の子ならたくさんいるんだけどね、そこら辺に」
勇者「夜の魔王を退治します、ってか。ハハ、こやつめ」
ルイーダ(上手くない)
勇者「で、本当に大丈夫なんですか、この人たち?」
ルイーダ「一応、傭兵採用試験を通ってきた信頼に足りる人材よ」
勇者「あと魔法使いがちょっと……道中誤って殺しちゃうかも……」
ルイーダ「我慢してちょうだい」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:47:06.02 ID:o/Y2yUvy0
勇者「それとその、武闘家の姿が見えないんですが……」
ルイーダ「ああ、彼女なら今お仕事で来れないのよ」
勇者「お仕事?」
ルイーダ「副業の風俗よ」
勇者「」
ルイーダ「後でレーベの村で落ち合うようにって伝えておいたから」
ルイーダ「他の二人と親睦を深めつつゆっくりと向かうといいわ」
ルイーダ「どうか達者でね」
勇者(もうダメポ……)
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 18:55:17.14 ID:o/Y2yUvy0
アリアハン付近の草原
そんなこんなでわたしの魔王退治の旅は幕を開けたわけだが。
正直言ってもう帰りたい。いっそ死にたい。
なんたって5年間ずっと家に引き籠っていたのだから戦闘能力などあるわけもなく、
たよりの綱となるのは彼女たちの腕だけなのだから。
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwwwwメラなのれすwwwwwwwww」ボッ
おおがらす「ぎゃああああああああああす!!!!」ジュッ
幸いにも、一見して戦力にならなそうだった彼女たちの強さは相当なもので。
魔法使い「下劣な魔物が風情が! 高貴なるワタクシに触れないでくださいまし!!」ズバッ
スライム「ぴぎゃあああああああああああ!!!!」ジュル
しかしそのことが余計にわたしのコンプレックスを刺激する!
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:01:34.74 ID:o/Y2yUvy0
魔法使いはともかくたかが池沼に!!
あんな人とも思えないような奴にすら遅れをとるなんて!
そう思うと、今すぐにでも、この腰に携えたなまくら刀で自分の首ねっこを掻っ切りたい、
そんな暗く淀んだ欲望がわたしの胸中を埋め尽くすのだ!
勇者「はぁ……」
魔法使い「おーほほほ! 勇者様ったら、さっきから元気がありませんことよ?」
勇者「あんたには関係ないでしょ……」
魔法使い「あらあら、もしかして! 貴女、このワタクシの勇姿に惚れk」
勇者「あ、それは絶対にないです」
魔法使い「( ´・ω・)」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:09:20.54 ID:o/Y2yUvy0
レーベの村
賢者「(^q^) うーwwwwwwwwとうちゃくwwwwおぎゃwwwwwwww」
勇者「死ぬかと思った……」
魔法使い「それでは少し早いですが宿の予約を取りましょうか!」
道中、戦闘のほとんどで賢者と魔法使いの後ろに隠れて難を逃れていたわたしだったが
それでも精神的な疲労はたまるらしく、朦朧とした頭で宿の予約をとるはめになってしまった。
わたしは賢者と魔法使いに翌朝まで自由にしていいと告げ、重い足を引きずりながら部屋へと直行し、
そのまま倒れこむようにベッドに寝転んで、天を仰いだ。
わたしの心のように汚れきった天井がそこにあった。
あ、今わたし、なんかすごい。なんかすごいきてる。詩人の才能的な何かが!!
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:17:28.89 ID:o/Y2yUvy0
勇者「うう……お母さん……」
もう二度とアリアハンには戻れまい。
帰れるとすれば、それはわたしが物言わぬ亡骸となった後のことだ。
そうだ、こんなわたしが魔王なんかを倒せるはずがないのだ。
せっかく雇った彼女たちには悪いが、おそらくすぐにパーティーは解散してしまうのだろう。
ああ! なんという悲劇のヒロイン!!
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:24:10.57 ID:o/Y2yUvy0
勇者「……駄目だ、ネガティブすぎて眠れない!」
いくら疲れたとは言え、まだ日輪がようやく西へ傾き始めたばかり。
こうも日の光が部屋に差し込んでいては眠るに眠れない。
勇者「……外食でもしようかな」
そういえばこの5年間、ろくに外に出たことなどなかった。
……どうせ近いうちに死ぬのだ。今のうちに王様からもらったなけなしの金で贅沢するのも悪くない。
パーティーメンバーへの給与? 知ったことか!
どうせ池沼にタカビーに、まだ会ったことはないがビッチ。わたしと同じ社会的なクズどもなんだ。
クズなんかに他の真人間たちと同じ扱いを受ける権利なんてないんだよ! ヒャッハー!!
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:33:57.21 ID:o/Y2yUvy0
夕方
勇者「……」
クソッ、クソクソクソッ!!!!
なんだよ、どいつをこいつも蔑んだ目でわたしを見てッ!!!!
――長い間引き籠っていたわたしの髪は、誰の目からみても明らかなほど汚らしかった。
雑草のようにあちこち飛び出た無造作な長髪。そこにちらほらと伺える白濁色の大きなフケ。
稚虫の穴蔵と見まがえてしまいそうなくらい醜いじゃないか!
池の水面にちらりと横切ったわたし自身の姿に絶句したのは、宿を出てからほんの少し後のことだった。
ほんの少し? いや、十分遅すぎた。それまで気にならなかった雑音が鮮明に聞こえてくる。
「なにあいつキモーイwww」……リア充共の嘲り声という雑音がね、チクショウ!!
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:39:44.71 ID:o/Y2yUvy0
NO! どうして誰も指摘してくれなかったんだよ!?
いや、理由は明白だ。みんなわたしを蔑みたいからわざと何も言わなかったんだ……!!
元が可愛いからってみんな嫉妬しやがって!
これだから運命に導かれない一般市民は!
勇者「クソが……!」
そうして今、わたしは誰にも見られたくないがために適当な民家の物陰でじっと息を潜めて隠れていた。
当然外食どころじゃなかったので昼食は食べれず、腹は鳴りっぱなし。
早く夜にならないだろうか。誰にも見つからずに宿に行って風呂に入りたい。もうほんと最悪だ!!
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:49:07.23 ID:o/Y2yUvy0
勇者「……ん?」
そんな時である。
不意に「おぎゃwwwwww」という耳障りな音が近くから聞こえてきたのは。
おそるおそる物陰から顔を出してみると、池のほとりで多数の餓鬼共が、
一人の幼女を寄ってたかって蹴りつけているという凄惨な光景がそこにあった。
ピザ幼女A「ブヒヒwwwwwwwこりゃ楽しいでぶぅwwwwww」ゲシッゲシッ
賢者「(^q^) いたいのれす! いたいのれす!!」ポロポロ
ピザ幼女B「きめえんだよ障害者wwwwwwずっと施設で飼い殺されてろよwwwwww」ゲシッゲシッ
その輪の中心で、背中を丸め叫んでいたのは、ついさっきまで一緒にいた賢者だった。
先ほどまでと変わらない笑顔のまま、目尻から涙をこぼし悲痛な叫び声をあげている姿は滑稽以外の何者でもない。
勇者「ハッ! ざまぁみろ、障害者が!」
颯爽と駆けつけていじめをやめさせる? 馬鹿! こんな光景滅多に見られるもんじゃないわ!
池沼のくせに賢者に就職してる生意気な幼女の苦しむ様をぞんぶんに見学させてもらおうか!!
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:53:28.88 ID:o/Y2yUvy0
ピザ幼女A「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女B「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女C「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女D「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
ピザ幼女E「ブヒヒwwwwwwwデュフデュフwwwwww」ゲシッゲシッ
賢者「(^q^) やめてほしいのれす! さもないと……」
勇者「ん?」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 19:56:20.82 ID:o/Y2yUvy0
_,-'' ) 。゚・ 。 。
, -' (.__,-'' , , , 。゜
, -( ^q^)こうなるのれす-'~ ,- ' / / i~i /, 。
/ )ヽ(w i .,-'~ ,-'~ // , /// ~ //,
.,/ / ヽヽヽ ,-/'~ ,ノ / ////@ @// '/
/ ^)' _ l ゝ _)-'~ ,-'~ //, ' ⌒/∨ ̄∨ ⌒ヽ
/ /' ヽ ^ ̄ ,-'~ / / ヽ ゚ ・
(iiiiリ∫ ヽ ./ (⌒`~~' /i ノ ノ\ ヽ
ヽ─|~' ノ/ ゙~~~~ | ./ `- '
|| ||l、_ / ,,, | / ゚ 。
|.| _|.|_,,,| | __-'',,-~ / /
.|.| ニ─、─''''| | =-''' / 、 ヽ ←ピザ幼女E
.|.| |.| .| | | l l
|.| |.| .| '、 _ _.| / ノ
.|.| ,,== ==.| l .|.| ,_,,-'',,,-| / | /
|.| ||_ノノ | | i、`''',,-'''' | / .| .|
.|.レ `-- ' | |  ̄ | .ノ | )
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`ヽ );;;::::::::''''' | | | .|
゙ - ''''''' ,- 、| | ,,,,,;;;;;;;;と__)''
\__);;;;;;;''''''
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:00:16.75 ID:o/Y2yUvy0
勇者「」
ピザ幼女A「」
ピザ幼女B「」
ピザ幼女C「」
ピザ幼女D「」
ピザ幼女E「」ピクピク
賢者「(^q^) 忠告したはずだ。やめろ、と」
賢者「(^q^) この本性を見た以上……」
賢者「(^q^) 誰一人として生きては返さん」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:04:15.35 ID:o/Y2yUvy0
. , . . ∧_∧
' .∴ ' ( )
` . ・,‘ r⌒> _/ /
, . ’ | y'⌒ ⌒i
,,- ''フ ' | / ノ |
,,/ ,/ , ー' /´ヾ_ノ ←ピザ幼女D
(^q^)/⌒) ,,/ ,/ / , ノ
(⌒__/ ノ_,/ ,/ / / /
`(__/ ,/ / / ,'
('' )' ,/´つ / /| |
| ノ / !、_// 〉
{ } / |_/
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_( ^q^)
/ ) _ _
/ ,イ 、 ノ/ ∧ ∧―= ̄ `ヽ, _
/ / | ( 〈 ∵. ・( 〈__ > ゛ 、_―
| ! ヽ ー=- ̄ ̄=_、 (/ , ´ノ ←ピザ幼女C
| | `iー__=―_ ;, / / /
!、リ -=_二__ ̄_=;, / / ,'
/ / / /| |
/ / !、_/ / 〉
/ _/ |_/
ヽ、_ヽ
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:08:47.13 ID:o/Y2yUvy0
_ _ .' , .. ∧_∧
( ^q^)_ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( )
ヽ-'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ ,,-―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ\\ . | / ノ |
/ / \\ , ー' /´ヾ_ノ
レ ノ ヽ_つ / , ノ ←ピザ幼女B
/ / ./ / /
/ /| / / ,'
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| |、 \ !、_/ / 〉
. | / \ ⌒l |_/
| | ) /
ノ ) し'
(_/ -==≡≡≡===-
=―≡ ̄`:∵∧_∧´‘
_ _≡―=', ( ∴∵゛、゜¨←ピザ幼女A
, ≡ ) ( ^q^)r⌒) _/ / ̄ _
´∴‘≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ _ ( ≡―=‥、,、
″″ \/ _| />> | ^q^ )`=―≡―??
“ ( ^q^ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
,゛“=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
∴/´/ / | | ,'ゞ
゛〃/ / / \| | ヾ
/( | ( |
/ | | |\ \
/ / | | | ヽ/⌒〉
(_ 「 _) (_〈_/
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:19:47.93 ID:o/Y2yUvy0
ピザ幼女A「」ピクピク
ピザ幼女B「」ピクピク
ピザ幼女C「」ピクピク
ピザ幼女D「」ピクピク
ピザ幼女E「」ピクピク
賢者「(^q^) 唯一神 パシ=ヘロンダース様の意に背く邪悪な健常者共が」
勇者「」ダッ!!
一目散で逃げた。宿屋に逃げた。真の恐怖とはああいうものだとは。
もう二度と障害者を馬鹿にすることはないだろう……すれば命がいくつあっても足りない。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:45:38.87 ID:o/Y2yUvy0
夜中 宿屋にて
賢者「(^q^) おぎゃwwwwあーうーwwwww」
魔法使い「ああもう、じっとしていてくださいな! これじゃ髪をとかせませんわ!」
勇者「……」
結局あのあと何事もなく賢者は宿屋に戻ってきた。
先ほどまで血なまぐさい殺戮があったことなど微塵も感じさせない無邪気な笑顔で
すでに買い物を終えて帰ってきていた魔法使いに抱きついた賢者は、
そのまま彼女に連れられて風呂に入り、こうして仲良く髪をとかしたりしているわけだが。
賢者「(^q^) うーwwwwかみwwwとかすwwww」
魔法使い「そう、いい子ですわね。ヘアケアを怠っているとそこの薄汚いお姉ちゃんみたいになっちゃいますからね」
勇者「」ビキビキ
ちゃんと風呂には入ってフケ落としたからきれいだろうが!
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:52:14.95 ID:o/Y2yUvy0
勇者「……もう寝る。絶対朝まで起こさないでよ?」ドサッ
魔法使い「あーら気に障っちゃったかしら? ごめんあそばせぇ、おーほっほほ!!」
賢者「(^q^) おぎゃwwwww」
もう付き合ってられない。
さっさと寝よう。このやわらかい枕に顔をうずめて心の平穏を。
せめて夢の中くらいはいい思いをしますように……。
…………。
……。
…。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 20:59:27.22 ID:o/Y2yUvy0
真夜中
魔法使い「すぅ……すぅ……」
賢者「むにゃむにゃ……ククク、障害者を舐めるなよ……」
勇者「…………」
アーン! ソコハサワッチャダメェ!
勇者「……」
ンアッ! モウ、セッカチサンナンダカラァ…
勇者「……」ビキビキ
ハァン! モット! モットツヨクツイテェ!
勇者「隣の部屋マジでぶっ殺す……!」ビキビキ
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:07:39.87 ID:o/Y2yUvy0
翌朝
勇者「」ゲッソリ
魔法使い「あらあら、どうしたんですの? 昨日より数段みにく……あらやだ、失言でしたわね! ほっほっほ!」
賢者「(^q^) あーうwwwwみにくいwwwwww」
……結局、隣の情事が気になって一睡もできなかった。
それどころか一発やってしまった。
魔法使いのイヤミったらしい言葉に悪態を吐く余裕もないわたしは、
階下のカウンターへとただうつむいて歩を進めることしかできなかった。
勇者「もうやだ……死にたい……」
???「ねえそこの貴女。ちょっといいかしら?」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:16:39.94 ID:o/Y2yUvy0
勇者「え? あ、はい……わたしになにか……?」
???「聞きたいことがあるのだけれど、昨日アリアハンから旅立った女勇者って知らないかしら?」
勇者「え?」
???「レーベの村で落ち合う手筈だったんだけど、それらしい姿が見当たらなくてねえ」
勇者「あの、それ、わt」
???「フケ塗れの汚らしい姿って聞いてたんだけどねぇ、どうしたのかしら」
???「あんまりにも見つからないものだから昨晩もう一発だけお客さんと盛り上がっちゃったわぁ」
???「あ、ごめんなさいね脱線しちゃって。それで、何か知ってる?」
勇者「」ブチンッ
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:30:09.66 ID:o/Y2yUvy0
いざないの洞窟入り口
勇者「クソガッ……! どいつもこいつもなんで……!」ブツブツ
武闘家「もう、いつまで引きずってるのよ。ストレスはお肌の大敵よ?」
宿屋のカウンターを銅の剣で跡形もなく切り刻み、村の役所にお世話になったわたしたち勇者一行は
その日の午後、追われるようにレーベを後にし、ロマリアへと続く洞窟へと向かった。
途中、幾度となくおおありくいやさそりばちの襲撃に遭ったが、
賢者と魔法使いの豊富な呪文
そして新しく仲間に加わったビッチのおかげで難なく日が暮れる前に一先ずの目的地に到着できた。
……のだが。釈然としない。
どうしてこんな腐ったやつらがことごとくわたしの仲間なんかに……!
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:45:19.96 ID:o/Y2yUvy0
魔法使い「場所をわきまえずすぐに切れるなんて淑女の風上にもおけませんわねぇ」ニヤニヤ
勇者「死ね」
魔法使い「し、死ねですって!? ほんと、貴女って育ちも悪ければ顔も性格も矯正できないくらい歪んでますわね!
武闘家「うふふ、仲がいいわねぇ。……あら?」
魔法使いと仲がいいなんて妄言を吐いた武闘家がふと立ち止まった。
松明を掲げていたわたしはどうしたのかと、数歩分だけその明かりを前へと照らした。
勇者「……なによこれ? 行き止まり?」
するとそこには奇妙な文様の刻まれた石造りの壁が、
わたしたちを待ち構えていたかのごとく悠然と聳え立っていたのである。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 21:55:02.71 ID:o/Y2yUvy0
わけがわからない。
たしかこの先にはアリアハンとロマリアを繋ぐ旅の扉があるはずなのに……。
勇者「もう、どうなってんのよ……」
魔法使い「これは……封印の紋章のようですわね」
勇者「封印?」
魔法使い「そう。でもいったい誰がいつの間にこんなことを……」
武闘家「ともかく、このままじゃロマリアへは行けないってことでしょう? どうするの?」
魔法使い「どうすると言われても……そこらの魔法じゃ手も足も出ないでしょうし……」
賢者「(^q^) ……」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:02:04.69 ID:o/Y2yUvy0
賢者「(^q^) 黄昏よりも昏きもの」
勇者「へ?」
賢者「(^q^) 血の流れより紅きもの」
魔法使い「は?」
賢者「(^q^) 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において」
武闘家「あらあら」
賢者「(^q^) 我ここに 闇に誓わん」
勇者「あ、やばい、なんかやばい、圧倒的にやばい」
賢者「(^q^) 我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを!」カッ
勇者「逃げろぉぉぉぉぉぉッ!!!?」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:04:19.95 ID:o/Y2yUvy0
,,-' _,,-''" "''- ,,_  ̄"''-,,__ ''--,,__
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "-
て / ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ {
(" ./ i {;;;;;;;i| .|i;;;;;;) ,ノ ii
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-"
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
 ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_ __,,-''"
._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄ |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
,,-''::::二-''" .--i| .|i "- ;;:::`、
._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i
.(:::::{:(i(____ i| .|i _,,-':/:::}
`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
"--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i| .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
i| |i
.i| .|i
.i| ..|i
.i| |i
.i| ,,-、 、 |i ウギャアアアアアアアアア…
i| ノ::::i:::トiヽ、_.|i
_,, i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:12:17.66 ID:o/Y2yUvy0
アリアハン城
王様「おお勇者よ! 死んでしまうとは情けない!(プークスクスwwwwww)」
勇者「初全滅がこんな形になるなんて思ってもみませんでした」
王様「言っとくけどいくら全滅してもお前に対する支援は一切しないからの?」
勇者「わかってますよ国王陛下……!」ビキビキ
王様「わかってるならほら、さっさとまた旅に出かけんか! ほらほら!」シッシッ
勇者「言われなくても行きますよッ!!!!」
王様「おおっと! そこに転がってる棺おけも忘れずに持ってけよ?」
勇者「うぎいいいいいいいいいい!!!!」ビキビキ
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:25:15.65 ID:o/Y2yUvy0
いざないの洞窟
勇者「さて、多少抵抗はあったけど仲間を全員生き返らせてまた戻ってきたけど」
魔法使い「どういうことですの? いつの間にか封印の壁がなくなってますわ!?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwww」
魔法使いは死んだ前後の出来事をきれいさっぱり忘れてしまったみたいだ。
いや、そのほうがいいのかもしれない。これからの人生を幸せに過ごしたいなら。
武闘家「まあどうでもいいじゃない。それじゃあ気を取り直してロマリアへと向かいましょうか」
勇者(武闘家も忘れてるのか? ということは……)チラッ
賢者「(^q^) ……」
賢者「(^q^) 覚えてるなら他言無用だぞ、勇者よ」
勇者「」ガクガク
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:42:10.23 ID:o/Y2yUvy0
――それからの旅路は至極順調だった。
戦闘になると相変わらずわたしは彼女たちの後ろでびくびくと縮こまっていたものの、
そんなことお構いなしに……。
魔法使い「お逝きなさい、野蛮な獣ども!!」ズバッ
おばけありくい「ありくいぃぃぃぃぃいいいいい!!!!」バタ
魔法使いのひのきの棒が猛獣の額をえぐり。
賢者「(^q^) あうああうあーwwwwwwww」ボッ
キャタピラー「きゃたぴぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」ジュワァ
賢者のギラが稚虫の群れを焼き払い。
武闘家「消えなッ!!」バシュッ
バブルスライム「ばぶぅwwwwwwwwww」パァン
武闘家の拳が不定生物を四散させた。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 22:51:51.97 ID:o/Y2yUvy0
そんな旅路に目を見張るようなドラマなどあるわけもなく。
気がつけばわたしはロマリアの城下町のちっぽけな宿屋で、
仲間たちがこれからの旅に必要となる物資を調達してくるのを、
薄ら冷たいベッドの上で寝転がりながら、ただぼうっと待ち続けていた……。
勇者「……はぁ」
いざないの洞窟で旅の扉をようやく見つけたという感動も、
ロマリアの宿屋で旅の疲れを癒すという素朴な幸せも、
わたしだけは仲間たちと共有することが出来なかった。
勇者「……みじめだなぁ……」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:02:33.66 ID:o/Y2yUvy0
とは言え、5年間母親の脛をかじって引き籠っていたわたしに何ができるというのか。
強力な仲間たちが絶命しないためのお守りでしかないわたしに何が。
……。
勇者「クソッ! なんでわたしなんかが勇者に選ばれたのよ!?」
勇者「だいたい父さんも父さんよ! 一人で魔王退治になんか行くんじゃないわよ!!」
勇者「あんだけ強かったんだから仲間いれば余裕で魔王になんか勝てたでしょ!?」
勇者「あんたが調子にのって死んだから、わたしなんかが魔王退治の使命を……」
勇者「うっ……ううっ……!」ホロ…
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:18:16.29 ID:o/Y2yUvy0
バタン……。
魔法使い「おーっほほほ! ワタクシとしたことがお財布を忘……」
勇者「ッ!?」
魔法使い「……あ、あら? 貴女……泣いて……?」
勇者「な、なによ! 泣いてないわよ馬鹿!!」ゴシゴシ
魔法使い「い、いえ、でも明らかに……」
勇者「泣いてない! 死ね! あっちいけタカビー野郎!!」
魔法使い「ま、まあ!? ひ、人がせっかく心配してるのになんて言い草……!」
魔法使い「もういいですわ! 失礼しましたわね!」
バタン!
……最悪だ。いやなやつに泣き顔みられた。
なんでわたしはこんなについてないのだろう。死にたい。
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:32:45.27 ID:o/Y2yUvy0
翌日 ロマリア北西の関所
――無事に物資を補給したわたしたち勇者一行は、
ロマリア国王の王冠が盗賊カンダタに盗まれたという情報をかねてより入手していたので、
さっそく取り返しに……。
行くわけねーだろバーカwwwwwwww
こちとら慈善事業で勇者やってるわけじゃねーんだよwwwwwwww
というわけなのでその事件は完全に無視し、
船を格安で売ってるというポルトガに直行すべく
たった今その中間地点であるロマリアから北西の関所に着いたのだが。
勇者「門に鍵がかかってて通れないとは、なんたる不運」
賢者「(^q^) おぎゃ?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:43:31.54 ID:o/Y2yUvy0
魔法使い「残念ですこと。まあ、人々を救う気のない勇者様にいいことなんて起こるわけありませんわね」
勇者「……チッ」
魔法使い「……なんですのその舌打ち。何か文句でもおありかしら?」
勇者「いえいえ、なんにも。有能なお嬢さまに文句言う資格なんてわたしにはありませんから」
武闘家「もう、どうしたのよ二人とも? 昨日からギスギスしっぱなしじゃないの」
魔法使い「……」
勇者「……」
武闘家「やれやれねえ……うふふ」
賢者「(^q^) ……」
賢者「(^q^) アバカム」ボソ
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/09(金) 23:51:01.41 ID:o/Y2yUvy0
ガチャン。
魔法使い「あら、今の音は?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwとびらwwwwwwひらいたのれすwwwww」
武闘家「あらら、本当ねえ。どうして気づいたの、賢者ちゃん?」
賢者「(^q^) おぎゃ?」
勇者「……そ、そんなことどうでもいいじゃない! ささ、さっさと先に進みましょう?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwww」
魔法使い「なんか釈然としませんわね……ん?」
魔法使い「……ふふふ、そうですわ」ニヤリ
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:05:32.51 ID:dEiBFbZ20 [1/14]
ポルトガ周辺の森
ドルイド「どるいどぉwwwwどるいどぉwwwww」
バリイドドッグ「ばりいどぉwwwwwばりいどぉwwwww」
勇者「ひっ!? ま、また魔物!?」
武闘家「いろいろ過程をすっとばしちゃったから敵が強いわねえ。下がってなさい、勇者ちゃん」
賢者「(^q^) やるのれすぅwwwwwwwww」
そう言って余裕の笑みを零しながら前へと進み出る武闘家。
だが守ってもらってるわたしがいうのも何だが、実をいうとかなりやばい状況だ。
さっきからこのクラスの魔物との連戦で、あの賢者ですらうっすらと額に汗が滲んでいるほどみんな消耗している。
こういうときに後ろでのんびりしているわたしの居心地の悪さと言ったら……。
勇者(ああ、肩身がせまい)
魔法使い「……」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:14:09.48 ID:dEiBFbZ20 [2/14]
バリイドドッグA「ばりいどぉwwwwww」ガッ
武闘家「あんッ! もう、ゾクゾクしちゃうじゃないのよ!!」ガッ
バリイドドッグA「ばりいどぎゃああああす!!!!」グシャッ
ドルイドA「どるいどバギぃwwww」ビュ
賢者「(^q^) マホカンタ」カキン
ドルイドA「どるいどウボァァァァ!!!?」ズパッ
勇者「まあこの様子ならまだ大丈夫か……」
バリイドドッグB「ばりいどぉwwwwww」ヒュン
魔法使い(ひひひ……今ですわ……)ニヤリ
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:18:58.33 ID:dEiBFbZ20 [3/14]
ドンッ!
バリイドドッグB「ばりいどぉwwwwww」ヒューン
勇者「はえっ!?」
魔法使い「ああっ、なんということー! 手元が狂って魔物の攻撃を勇者様に受け流してしまいましたわー」
ドグシャアッ!
勇者「う、うぎゃあああああああああ!!!?」ブシュー
ボトリッ……。
勇者「う、腕が! わたしの腕があああああああ!!!!」ドクドク
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:28:53.12 ID:dEiBFbZ20 [4/14]
魔法使い「いーーーっひゃひゃひゃッ!! さいっこうですわ! その苦悶の表情!!」ゲラゲラ
勇者「ご、ごああああ……! て、てめぇぇぇぇこのやろぉぉぉぉ……!!」ビキビキ
このビチグソが!! ただのタカビーかと油断してたらこんな本性隠してただとォォォォッ!!!?
い、いたい……いたいぞォォォォォォォォォォクッソォォッォォッォォォォ!!!!!!
勇者「うあああああああああああ!!!!」ドクドク
武闘家「あらあらあらあらあらあら、大変! 賢者ちゃん、お願い!」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwヴぇほまwwwwwww」カッ
シュワァン……。
勇者「はぁッ……ぐ、がぁ……! う、ううう、あはぁ……」ジュウ
魔法使い「あら残念、もう直ったんですの?」クスクス
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:38:27.87 ID:dEiBFbZ20 [5/14]
ドルイドB「どるいどぉwwwwどるいどぉwwwww」
武闘家「もう、なにやってるのよぉ。真面目にやりなさいったら」
賢者「(^q^) おぎゃwwwww」
魔法使い「申し訳ありませんわ……ほんと、うっかりしてしまって」クス
勇者「……」
勇者「そうか、うっかりなら仕方ないよな」ユラッ…
魔法使い「……?」
ドルイドB「バギwwwwwバギwwwwww」ヒュン
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:43:07.19 ID:dEiBFbZ20 [6/14]
ドンッ!
魔法使い「きゃわッ!?」
勇者「おおっと! うっかり足を滑らせて魔法使いをバギの軌道上に押し倒してしまったぞぉwwwwww」
スパパパパパパパ!!
魔法使い「うきゃあああああああああああ!!!?」ブシャブシャブシャア
ボトボトボトボトボト……。
武闘家「あらあらあらあら……無残ねえ」
賢者「(^q^) あうwwwww」
魔法使い「」ピクピク
勇者「wwwwwwwwwwwwwwwうぇwwwwwwwwwwwwうぇwwwwwwwwwwww」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 00:54:26.05 ID:dEiBFbZ20 [7/14]
ポルトガ 宿屋
勇者「お前のwwwwwwwあの『まさか!?』っていう表情といったらwwwwww」
魔法使い「あーら、腕の一本や二本切られたくらいで泣き叫んでた腑抜け様はどこのどいつでしたかしらねぇ!」
勇者「まんまと倍返しされて泣き叫びたくても出来なかったお前が言うなよwwwwwwwwwwww」
魔法使い「まぁ! 貴女ったらほんと冷酷で残忍な人ですこと!!」
勇者「だからお前がwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
武闘家「うふふ、にぎやかなのは構わないけどほどほどにしなさいよぉ? 食事中なんだから」
賢者「(^q^) うーwwwwwうるさいのれすwwwwwww」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 01:12:01.84 ID:dEiBFbZ20 [8/14]
多少のアクシデントはあったものの、なんとか無事にポルトガにたどり着いたわたしたちは
水平に巨大な満月を湛えた、雄大な海辺の景色を堪能するより先に、
宿へと向かい腹ごしらえすることに決めた。
ちなみにあの後、賢者のMPが膨大なのいいことに飽きるほど魔法使いと殺し合いを繰り広げてしまった。
たぶん、わたしは14回瀕死、4回死亡したと思う。
そんなに殺されるとさすがに空腹は抑えきれず、
いつもは少食なわたしがなんとキャタピラーの佃煮を一皿まるまる平らげてしまうという快挙を成した。
勇者「あー、食ったわ食ったわ……」
魔法使い「下品ですわねぇ。食後はもっと優雅な台詞を……ああ、貴女には一生かかっても出来ませんわね」
勇者「死ね」
武闘家「ほら、よく噛んで食べるのよ? ホイミスライムの触手は喉に絡みやすいから……」
賢者「(^q^) うーwwwww」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 01:26:57.03 ID:dEiBFbZ20 [9/14]
真夜中
ザザーン……
ザザーン……
武闘家「すぅ……すぅ……」
賢者「ふみゅ……むにゃむにゃ……」
勇者「……」
――久々に晴れ晴れとした気分だ。何故だろう?
パーティーに貢献したわけじゃない。
それどころか迷惑をかけてしまった。それなのに。
……不思議なこともあるものだ。
勇者「……ふぅ」
魔法使い「あら……センチな気分に浸ってるのかと思えば、今日は泣かないんですのね」
勇者「ッ……起きてたのかよ?」
魔法使い「起きてちゃまずいことでもあるんですの?」
勇者「……」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 01:46:14.37 ID:dEiBFbZ20 [10/14]
勇者「……なんであんなことしたんだよ?」
魔法使い「あんなことって?」
勇者「うっかりわたしを殺しまくったこと」
魔法使い「ああ……簡単なことですわ」
魔法使い「貴女のあの泣き顔に、ワタクシ……」
魔法使い「とても……ゾクゾクしてしまいましたもので……!」ゾクゾクッ
勇者「それでバリイドドックけしかけて泣かせるってお前……さすがのわたしも引くレベル」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:00:57.83 ID:dEiBFbZ20 [11/14]
魔法使い「……こんな性格、軽蔑しますわよね」
勇者「え、うん(なんでそこでしおらしくなるんだよ)」
魔法使い「わかってるんですの……貴女にしたことは許されないことだって」
勇者「あ、うん(めんどくさいなこいつ)」
魔法使い「だから、謝らせてくださいまし。こうやって貴女に冷静に向かえる今のうちに」
勇者「あ、うん(タカビーで変態でメンヘラって救いようが……)」
魔法使い「……ちょっと! 真面目に聞いてるんですの!?」
勇者「あ、うん」
魔法使い「むっきいいいいいいい! 人がせっかくシリアスになってるのになんてやつですの!?」
勇者「……ああもう!! そういうところマジ死ねよ! 恩着せがましいにもほどがあるわ!」
魔法使い「こっ、このッ……!!」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:12:24.02 ID:dEiBFbZ20 [12/14]
魔法使い「キモオタニート風情がァァァァ!!!!」ブォン
勇者「うわッ!? へ、部屋の中でひのきの棒振り回すな馬鹿!?」
魔法使い「ワタクシの目の前から消えてなくなりなさい! この下郎が!!」
勇者「(#^ω^)ビキビキ」
い、言わせておけば、このメンヘラがァァァァ!!!!
この時、目の前にいる女が……!
尻をぶっ叩いて挑発してるジュウシマツ住職のようにみえたわたしの頭に遠慮の二文字はなかった!!
魔法使い「逝きなさい! 冥土へと!!」ダッ
勇者「てめえが……」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:21:32.48 ID:dEiBFbZ20 [13/14]
ガッ!
魔法使い「はえ!?」
ひのきの棒を両手に構えて突進してくる魔法使いの腰周りを華麗にホールディングしたわたしは。
勇者「逝きやがれこの腐れメンヘラがぁぁぁぁ!!!!」
そのまま投げっぱなしジャーマンの要領で、窓の外に広がる静寂の海へと。
ガシャアアアアン!!!!
魔法使い「うきゃああああああああああああああ!!!!」ヒューン
勢いよく放り投げてしまった……。
――ドボーン……!
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 02:23:49.66 ID:dEiBFbZ20 [14/14]
ザザーン……
ザザーン……
武闘家「すぅ……すぅ……」
賢者「ふみゅ……むにゃむにゃ……」
勇者「……」
ヒュウゥゥゥゥゥ……
勇者「……さて、と」
勇者「寝るか」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:06:53.49 ID:PReuY7kp0 [1/49]
翌日 ポルトガの造船所
勇者「ええええ、船を造るのに1年はかかるの!?」
ピザ造船士「ぶひぃ。玩具とは違うぶひ。それくらい待ってもらわないと」
勇者「そんなに待ってられるか! なんとかできないんですか!?」
ピザ造船士「ぶひひ。そうでぶひねぇ……」
ピザ造船士「先日、2年前に船を注文していたとある富豪が急遽キャンセルを申し込んだんだぶひ」
ピザ造船士「条件によっちゃこいつをお前さんにくれてやってもいいぶひ」
勇者「マジですか!?」
ピザ造船士「通常価格の10倍の1000万G支払ってもらうぶひ」
勇者「」
ピザ造船士「無理でぶひか? それなら一晩身体を売ってくれればタダでくれてやっても」
勇者「……失礼しました(きめぇ……)」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:15:35.08 ID:PReuY7kp0 [2/49]
勇者「まったく、あの糞ピザ……足元見りゃつけあがりやがって……」
武闘家「でも困っちゃったわねぇ。船がなくちゃ魔王退治なんてできっこないわよ?」
賢者「(^q^) あうあうあーwwwwwww」
勇者「そんなことわたしに言われても……」
武闘家「ああ、そういえば魔法使いちゃんはどこにいっちゃったのかしら? 朝から姿が見えないけど」
勇者「え? あ、ああ、そうですね……ほんとどこ逝っちゃったんでしょうね」
ざわざわ……
町人A「おーい! なんかあっちの浜辺で水死体みつかったらしいぞ? しかもおにゃのこwwwwww」
町人B「マジかよ野次馬いってくるwwwwwww」
町人C「ちょwwwwwwおまwwwwwwwwグロ専かよwwwwwww」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:27:43.80 ID:PReuY7kp0 [3/49]
宿屋
勇者「なんという手詰まり感だ」
勇者特権をかざせばなんとかなるだろうと高をくくっていた。
タダなら1年の歳月。今すぐなら1000万G。
どちらにせよ対価は重すぎる。
勇者「まいったなぁ。いや、でもこれを理由にアリアハンに戻れ……」
勇者「るわけないか。あの糞王ならすぐ国から追い出すに違いない」
武闘家「……」
武闘家「ごめんなさいねぇ、勇者ちゃん。ちょっと出かけてくるわぁ」
勇者「え? あ、はい。でも何をしに……?」
武闘家「ちょっとしたお買い物よぉ。明日の朝までには戻ってくるから安心してちょうだいな」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:35:46.70 ID:PReuY7kp0 [4/49]
勇者「……行ってしまった」
賢者「(^q^) うーwwwwwww」
勇者「……」
賢者「(^q^) ……」
勇者「……」
賢者「(^q^) ……」
勇者「……あ、ああ! そうだ、す、水死体引取りにいかないと!」ガクガク
賢者「(^q^) ……」
勇者「そそそそそれじゃ、ちょっとわたしも行ってきます!!」ダッ
狭い空間に賢者と二人きりだと?
冗談じゃない! いつ失言かまして粛清されるかわかったもんじゃないわ!!
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 11:54:25.05 ID:PReuY7kp0 [5/49]
教会前
さて、重圧に耐え切れずに思わず逃げ出してしまったが。
ぶっちゃけ魔法使いを蘇生させるのが堪らなく嫌だ。引き取りたくない。
どうせ生き返ったら嫌味ったらしい小言を一晩にわたってネチネチわたしに言い聞かせるに違いないのだ。
それをわかっていながら生き返らせるってどんなマゾだよ。
勇者「はぁ……気が滅入る……」
そうこう考えてるうちにもう教会に着いてしまった。
仕方ない、あいつの暴言は我慢……。
ざわざわ……ウヒャヒャヒャ……
勇者「ん?」
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:05:54.20 ID:PReuY7kp0 [6/49]
魔法使い「」グッタリ
町人A「ウハwwwwwwwテラ水死体wwwwwwww」ベタベタ
町人B「この死んだ感が最高スなぁwwwwwwww」ベタベタ
町人C「犯りてえwwwwwww死姦してえwwwwwwww」ベタベタ
勇者「うひゃあ」
遺体置き場を覗いてみると、そこではさっき野次馬すると話していた町人たちが
粗末な茣蓙の上にぐったりと横たわっている魔法使いの身体をベタベタと触りまくっている最中だった。
勇者「き、キモすぎる……同じ人間とは思えない、品性を疑うわ」
いや、それ以上に……。
なんか、むかつく。異常にむかつく。
普段のわたしなら「はいはいキモスキモス」と言ってそのまま見なかったふりをするような場面なのに、なんか。
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:15:21.74 ID:PReuY7kp0 [7/49]
魔法使い「」グッタリ
町人C「死姦してえよwwwwwwww我慢できねえよwwwwwww」ベタベタ
町人A「じゃあ犯ろうぜwwwwwwww」ベタベタ
町人B「ちょwwwwwwwおまえもかよwwwwwwwwうぇwwwwwww」ベタベタ
町人C「Bは違うのかよwwwwwwwwwwww」ベタベタ
町人B「実を言うと俺もだwwwwwwwwwwwwww」ベタベタ
町人C「おまwwwwwwwじゃあみんなで犯ろうぜwwwwwww」ベタベタ
勇者「」ビキビキビキビキ
こ、こいつら……ぶっ殺す!
殺意の波動に目覚めた今のわたしに不可能はないような気がする!!
なんか出そう! 手からこう、なんかギラ的な何かが……!
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:17:34.64 ID:PReuY7kp0 [8/49]
、_人_从_人__/
_)
,..r;;: ( 人) ) ,;`ー、 | ヽ丶 _) 消 汚
ヾゞ、 ゞ'´ '`´ `ヾ、 ─|─ _) 毒 物
-‐':、ゞ'`` ,l / | ヽ _) だ は
ヾ、 ゞ;;. ,r-、 `ヾ、 ヽ、 _) l
, rヾ ,r!/r'ヽ '` \ _|_ _) っ
_,,,.,ノ、_ ヽ, `ゞ;; ;:、 /| `) !
,r‐'''" ,.r ,イ彡ミミヾ、 `` ´;;i V^V⌒W^Y⌒
__,.;;,ィ'´ ,:;;;;彳彡ミ;j`、 `i;:、 オ
;; ヾ、彡;;;ノリ;jjjjj;;;jr' i . ノ;;:'' `゙`、 ``ー、 ,ィ
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;レ ,t'´ ,.、ー、 ゝ ォ i|l;
;'イ;;;'ヾ``ヽ、ィ;;i ,ri'´ ヽ ヾノ ,ry' il'Y゙r ヽ、 ,j|l;;
j'´ '´ '´/ゞ';;::`´ヽ ``´ー ゙i ;;: ,r' ) ,r、 ,rヾlir'ミ,
/ ,;:' '´/ ー≡;i{、 /ヾr'´ ,. '`;;:、 〉ゝ r-ー-、_ ,{i=i= }i、
ーr-、j ,! ,;',;'ィ;;:イ''``ゞ、_,、-‐'´ヽ:;/ 、 ``ヽ ;:、 `' (´ `ゞ、;;;;'',,fi、,≡:;イ==、
,,:' ``ゞ、,;;ゞ、 "´イ ,... `'彡 ,/´ `ヾ、ヾ ' ー、 ii;j `i;;!'´ニil';;;;ゞr、_,r'ミ
' ー‐─ ,rー'゙ー─-、_j;:r'´ ヾ,ゞ 、 ゞ,ミ;:l;;l ,! ,!,i;;'´¨/
;. r-‐;;'"} ``ヾ、 ノ ,;;;: (i,;)))、,,:;!、__,:};!_,.、l
.... _,,,ィ、 i 'ヾ人 、}( / ノ ,r'i r'"ヾ-‐i‐-:;イ, / ヾ
*勇者♀、初めてのギラの図
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:24:39.30 ID:PReuY7kp0 [9/49]
町人A「うっぎゃああああああああああああああ!!!?」ジュワッ
町人B「うっぎゃああああああああああああああ!!!?」ジュワッ
町人C「うっぎゃああああああああああああああ!!!?」ジュワッ
勇者「はぁ……はぁ……はぁ……」
い、今のは、ギラ?
わ、わたしが魔法を使ったの?
わたしがこの汚物どもを焼き払ったの!?
勇者「ひ……」
勇者「ヒャァァァァァッハァァァァァァッ!!!! ついにやったわ! 世紀末美少女勇者の覚醒よォォォォ!!!!」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:31:14.94 ID:PReuY7kp0 [10/49]
なんかよくわかんないけどこれで魔法使いの前で大手を振って歩けるわよ!
ざまあみろ世の中の情弱キモオタニートども! これが運命に導かれし者の実力よ!
勇者「……興奮したらどうしたことか逆に冷静になってきた」
これがリアル賢者タイムか。
おっと、そうだ。こうしちゃいられない。
殺人を犯した人間がいつまでもここら辺をうろちょろしてたらやばい。
勇者「さっさと魔法使いの水死体を……」
魔法使い「」プスプス
勇者「もとい焼死体を回収しますか」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 12:58:56.47 ID:PReuY7kp0 [11/49]
翌日
勇者「うーん! 清清しい朝の目覚めね!!」
賢者「(^q^) おはようなのれすwwwwww」
魔法使い「……」グッタリ
勇者「おやおやどうしたの魔法使い? 顔が真っ青だよ?」
魔法使い「すごく嫌な夢を見ましたわ……」
勇者「へえ、どんな?」
魔法使い「貴女にスープレックスで海に放り投げられて溺死して死姦されそうになって、いつの間にか焼死体になってしまう夢ですわ」
勇者「カオスだな。そんなこと現実におこるわけないよ」
魔法使い「そ、そうですわね。所詮夢は夢ですわよね」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:09:53.05 ID:PReuY7kp0 [12/49]
バタン……。
武闘家「あらあら、みんなもう目が覚めてたのねぇ」
勇者「あ、武闘家さん。おはようございます」
賢者「(^q^) おあよーwwwwww」
魔法使い「ごきげんよう武闘家様」
武闘家「うふふ、おはよう。ああ、それはそうと貴方たちにいいお土産を持ってきたわよぉ」
勇者「お土産、ですか?」
武闘家「そうよぉ。でもちょーっと大きなお土産だから、悪いけど港にみんな来てもらえるかしら?」
勇者「……はあ?」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:30:01.05 ID:PReuY7kp0 [13/49]
港
武闘家「船、買っちゃいましたぁ♪」
勇者「……」
魔法使い「……」
賢者「(^q^) ……」
武闘家に言われるまま付いてきたわたしたちは、今やわたしたちの所有物だと軽く言い放たれた、
港に停船している船の中でも一際目立つ、真新しい装飾の施された小型船を見上げて絶句した。
いつもは底の見えない不気味な笑顔を浮かべてる賢者さえも、
今は心底驚いたというように目を見張っていた。
勇者「……こ、これ、どうやって……?」
武闘家「うふふ、あたしってけっこうお金持ちなのよぉ」
まさか! ありえない。
いくら金があるっていっても1000万Gだぞ!?
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:38:03.81 ID:PReuY7kp0 [14/49]
ピザ造船士「ぶひひwwwwお気に召していただけましたでしょうかwwwww」
武闘家「どう、みんな? 気に入ったかしらぁ?」
勇者「あ、はい……」
魔法使い「こ、高貴なるワタクシに相応しい絢爛さですわね!」
賢者「(^q^) あーうーwwwwww」
武闘家「ですって。あたしも気に入ったわぁ」
ピザ造船士「ぶひひwwwwwそれはよろしゅうございますwwww」
ピザ造船士「わたくしめも貴女様はお気に入りですよwwwwぜひまたのご利用をwwwww」
武闘家「ありがとうねぇ」
勇者「……うえぇ」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:51:20.14 ID:PReuY7kp0 [15/49]
ポルトガ南の海 貨物室
武闘家「どうしたのぉ勇者ちゃん? こんな所に呼び出したりしてぇ?」
勇者「あ、はい……えーと、その……」
船を入手するという劇的なイベントから半日。
雇った船乗り……まあこれも武闘家が調達した奴らなのだが、
そいつらに全権を任せて、わたしは人の出入りの少ない貨物室に彼女を呼び出した。
呼び出した理由は言わずもがな。
勇者「あー、武闘家さんって……副業、風俗ですよね? そのぉ……」
やばい、どうも武闘家の前では下手に出てしまう……。
もっとこう、ガツンと「ビッチ死ね!!!!」って言えよわたし……。
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 13:58:54.95 ID:PReuY7kp0 [16/49]
武闘家「……ああ、そういうことねぇ」
武闘家「つまり、あたしが身体で稼いでるのを軽蔑してるってことよねぇ?」
勇者「いいいいいいえいえ! そういうわけじゃなくて!(実際そうだけど)」
勇者「ただ、パーティーのためにって気持ちで嫌々あのピザどもとやってるっていうんなら……」
勇者「その、そういうのは出来ればやめてほしくて……」
勇者「それに武闘家さんの身体をもっと大事にしてほしいし……」
よし、これだ! こういう説得なら当たり障りないだろう。
武闘家「そう……」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:14:30.98 ID:PReuY7kp0 [17/49]
武闘家「……うふふ、勘違いも甚だしいわねぇ」
勇者「はい?」
武闘家「パーティーのために? そんなくだらない理由であんな豚どもとセックスするとでも?」
武闘家「冗談じゃないわ、わたし自身に少しの利益もないそんな行為。反吐がでるわぁ」
勇者「」
武闘家「この船はあたしのものよ? あんたらのものじゃないわ」
武闘家「旅が終わった暁には晴れてこの船はあたし一人の自由にできる」
武闘家「そういう計算があったからこそくっさい豚とセックスしたのよ」
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:22:57.71 ID:PReuY7kp0 [18/49]
勇者「で、でも……」
武闘家「ん?」
勇者「そ、それでいいんですか? 下手したら妊娠とか……」
武闘家「あらあら、ずいぶんとおつむが弱いのねぇ、勇者ちゃんは」
勇者「」ビキ
武闘家「妊娠したら? そんなの」
武闘家「堕ろすに決まってるじゃなぁい。ガキなんかを育てる時間に人生費やしたくないもの」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:31:45.84 ID:PReuY7kp0 [19/49]
勇者「」
武闘家「勇者ちゃん。よぉく覚えておきなさいな」
武闘家「女はね、男からなぁんでも買えるのよ?」
武闘家「富も、名誉も、時には命も」
武闘家「しかもまんこにちんぽ突っ込むだけでよぉ?」
武闘家「そこらに転がってる小石で黄金を買うようなものよ、笑っちゃうわよねぇ」
勇者「」
武闘家「勇者ちゃんも一度やってみなさい。……病み付きになっちゃうわよ?」
武闘家「うふ、うふふふふふ……」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:50:16.77 ID:PReuY7kp0 [20/49]
一週間後
勇者(武闘家さんの『うふふ』がすっかりトラウマになってしまった今日この頃です)ゲッソリ
賢者「(^q^) うふふwwwwwうーあwwwwww」
魔法使い「相変わらず元気ですわね賢者は……ワ、ワタクシはもう、船酔いが……」
魔法使い「うっ!?」ゴプッ
勇者「ばっ!? おまっ、ぜったい口開けるなよ!?」
魔法使い「ん~~~!」コクコク
勇者「け、賢者! 早く窓開けろ! 早く!」
賢者「(^q^) うー?」
賢者「(^q^) キャッwwwwwwキャッwwwwwww」
勇者「うわあああああなんでこういうときに限って言うことk」
魔法使い「けろけろけろけろ……」ごぱぁ
勇者「う、上嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああああ!!!?」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 14:55:43.95 ID:PReuY7kp0 [21/49]
バタン……。
武闘家「みんなぁ。もうそろそろでジパングに着……」
勇者「」ビッショリ
魔法使い「(´;ω;`)」
賢者「(^q^) キャッwwwwwwキャッwwwwwww」
武闘家「あらあら……」
武闘家「もう、スカトロパーティーならあたしも呼んでちょうだいな」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:12:00.39 ID:PReuY7kp0 [22/49]
ジパング
勇者「近づくなよスカトロ女」
魔法使い「(´;ω;`)」
武闘家「大丈夫よ魔法使いちゃん、スカトロはマイノリティだけどあたしは好きだから」
魔法使い「フォローになってませんわ……」
勇者「しかし話は変わるけど、この旅ももう佳境に入ってるんだな……」
武闘家「そうねえ。この国で物資を補給したら、そのまま魔王の待つネクロゴンドへ向かうものね」
勇者「ああ……」
魔法使い「おーほほほ! 貴女と顔を合わせるのもあと少しと思うと嬉しくてたまりませんわ!」
勇者「ゲロくせえからしゃべるな」
魔法使い「(´;ω;`)」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:23:48.27 ID:PReuY7kp0 [23/49]
はぁ、せっかくギラを使えるようになっても、
それを活かす機会もないままラスボス戦か。
なんというか、虚しいな……。
まあこんな糞みたいなパーティーとようやく別れられるっていうのは確かに嬉しいことには違いない。
それに加えて勇者っていう重圧から逃れられるっていうおまけつき。
もっとポジティブにいこうかポジティブに。
勇者「……そういえば気になってることがあるんだけど」
武闘家「んー? 気になってるって?」
勇者「……異国だからっていうのかはわかんないけど、どうもさっきから人の姿が見えなくて」
魔法使い「あら、そういえばそうですわね。こんな汚らしい村でも下賎な者の一人や二人いるはずなのに……」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:32:26.41 ID:PReuY7kp0 [24/49]
勇者「ていうかこんな寂れたとこで本当に物資の補給なんかできるの?」
武闘家「うーん。おかしいわねぇ」
武闘家「……とりあえずこの国の女王様には会いにいってみましょうか」
勇者「女王?」
武闘家「ええ。女王様。この国は女性が頂点に君臨しているのよ」
勇者「へえ……」
武闘家「どっちにしろ物資の補給は女王様の許可がないとできないし」
武闘家「そこでこの国の情勢を尋ねてみるのも悪くないわ。さ、行きましょう」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 15:41:27.67 ID:PReuY7kp0 [25/49]
卑弥呼邸
卑弥呼ガードA「帰れ」
勇者「は?」
卑弥呼ガードB「帰れ、と言ったのが聞こえなかったのか?」
聞こえてるっつうのこの髷野郎。
初対面の勇者様にずいぶんと失礼な態度とってくれますね。
卑弥呼ガードA「勇者? 知らんな」
卑弥呼ガードB「勇者などいなくても卑弥呼様がこの国を守ってくださる」
卑弥呼ガードA「わかったなら早急に国から出て行け」
勇者「」ビキビキ
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:19:19.53 ID:PReuY7kp0 [26/49]
武闘家「ちょっと待ってよぉ。話だけでも……」
卑弥呼ガードB「下がれッ!」ビュン
武闘家「ッ!?」ズバッ
勇者「ぶ、武闘家!?」
魔法使い「きいぃっ! なんて無礼な奴らですの!? ワタクシを怒らせたらどうなるか……!」
武闘家「……待ちなさい」ドクドク
魔法使い「はえ?」
武闘家「今ここで争うのは危険よ。ここは大人しく国から出ましょう」ドクドク
魔法使い「で、ですが!」
勇者「いや、武闘家の言うとおりだ……こんな糞国家に頭下げるなんてこっちから願いさげだね!」
魔法使い「貴女までそんな……仕方ありませんわね」
卑弥呼ガードA「帰れ帰れ!」
賢者「(^q^) しね」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:29:47.44 ID:PReuY7kp0 [27/49]
ジパング 広場
武闘家「……」
勇者「大丈夫? けっこう深くやられてたみたいだけど」
武闘家「ベホマで完治したから平気よぉ」
勇者「そっか。にしても、これじゃあんたの得意な色仕掛けも通用しそうにないですなぁ」
武闘家「……やろうと思えばあんなゴミども、すぐに」
勇者「それはどうかねえ? あいつら相当卑弥呼様ってやつに手懐けられてるみたいだけどぉ?」
武闘家「……」ギリッ
勇者(ビッチざまぁwwwwwwwwwwwwwwww)
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:37:15.10 ID:PReuY7kp0 [28/49]
武闘家「……ともかくこんな国とは早くおさらばしましょう。気分が悪いわぁ」
魔法使い「そうですわね。補給はダーマ神殿で行ったほうが良いですわ」
勇者「だな……ん?」
エロイムエッサーイム…
エロイムエッサーイム…
エロイムエッサーイム…
λ....λ....λ.......λ...λ....λ....λ.......λ...
勇者「なんだ、あの人だかり? 新手の祭りか?」
魔法使い「にしては異様な雰囲気ですけれど……」
賢者「(^q^) ……」
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:45:25.15 ID:PReuY7kp0 [29/49]
いかにも下衆な顔をした神官A「ファファファ……今宵は満月!」
いかにも下衆な顔をした神官B「我らが守り神!!」
いかにも下衆な顔をした神官C「やまたのおろち様への貢物を捧げる宵!!」
ヤマタノオロチサマヘノミツギモノ……
ヤマタノオロチサマヘノミツギモノ……
ヤマタノオロチサマヘノミツギモノ……
λ....λ....λ.......λ...λ....λ....λ.......λ...
いかにも下衆な顔をした神官A「さあ、前へ進み出たまえ!」
いかにも下衆な顔をした神官B「今宵、捧げられし!!」
いかにも下衆な顔をした神官C「生贄の娘よ!!」
身も心も美しい幼女「……」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 18:55:48.17 ID:PReuY7kp0 [30/49]
勇者「生贄!? ちょっと、どういうこと!?」
武闘家「そのままの意味でしょうねぇ」
魔法使い「やまたのおろちという化け物にあの娘が捧げられるということですわ」
勇者「ほんとにまんまじゃねーか!!!?」
賢者「(^q^) ……」
いかにも下衆な顔をした神官A「最期に何か言い残す言葉はあるかね?」
身も心も美しい幼女「……」フルフル
いかにも下衆な顔をした神官B「よろしい……おや、泣いておるのか?」
いかにも下衆な顔をした神官C「君は守り神様の一部となるのだ。もっと誇らしげな顔をしないか」
身も心も美しい幼女「……」コクッ
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:06:07.78 ID:PReuY7kp0 [31/49]
勇者「……マジかよ」
武闘家「珍しい光景を見れたわねぇ。それじゃ、行きましょうか」
勇者「……は? え?」
武闘家「何呆けた顔してるのよ。さっさとこんな気味の悪い国から出ましょうよ」
勇者「……いや、でも……さすがに生贄は見過ごせなくないか?」
魔法使い「可哀想だとは思いますが、これがこの国の習慣というのであればどうしようもありませんわ」
勇者「習慣? 習慣だったら許されるのか人殺しって!」
魔法使い「も、もう、どうしたんですの貴女? らしくありませんわよ?」
武闘家「そうねえ。いつもなら見なかったふりくらいしてもよさそうなのに」
勇者「あ、う……そ、そう、だな……」
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:17:55.29 ID:PReuY7kp0 [32/49]
何馬鹿なこと考えてるんだ、わたし。
どうせ他人事じゃないか。
レーベの村でだってガキ共のいじめを見て楽しんでたし。
ロマリアでは王冠を盗まれた間抜けな王様を鼻で笑ってやった。
今回だってそうだ。
たかが幼女一人を助けるために、やまたのおろちとやらと戦うってか?
冗談。なんでそんな一銭の価値もない人助けなんかしなくちゃならないのだ。
勇者「……それもそうだ。わたしどうかしてたわ」
武闘家「あらあら、珍しく素直ねぇ」
魔法使い「おーほほほ! 明日は空からツララが降ってくるんじゃないかしらね!」
勇者「お前、まだ口くせえぞ?」
魔法使い「(´;ω;`)」
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:24:11.48 ID:PReuY7kp0 [33/49]
やれやれ、自分らしくないことを危うくしでかすとこだった。
さて、と。この国とももうお別れだし、最後にあの幼女の不幸そうな顔でも拝んでメシウマ……。
勇者「……」チラッ
いかにも下衆な顔をした神官A「さあ、この神輿の中に入りなさい」
身も心も美しい幼女「……」コクッ
身も心も美しい幼女「……」
勇者「…………」
勇者「……う」
227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:31:04.98 ID:PReuY7kp0 [34/49]
勇者「やっぱ無理!! 後味が悪すぎる!!」ダッ
武闘家「ちょっ、勇者ちゃん!?」
魔法使い「どこにいくつもりなんですの!?」
勇者「ごめん、先に船に帰っててくれ!」
勇者「わたしはせめてあの幼女を逃がしてから戻ってくるから!!」タッタッタ
魔法使い「……行ってしまわれましたわ」
武闘家「馬鹿な娘ねぇ……たかが小娘の一人や二人のために」
魔法使い「ま、逃がすだけと言っておりましたし、ワタクシたちは先に戻ってディナーを堪能しましょう」
賢者「(^q^) ……」
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:44:10.52 ID:PReuY7kp0 [35/49]
神輿内部
勇者(まさかこれほど簡単に神輿に進入できるとは)
勇者(後ろ側で神輿担いでた男が前の男の尻に見とれてたおかげだな)
勇者(……こんなんでいいのかジパングの文化)
身も心も美しい幼女「うう、お母様……」
勇者「やあ、大丈夫かいお嬢ちゃん(妖艶微笑)」
身も心も美しい幼女「ひっ!? あ、貴女は……?」
勇者(『ひっ!?』って……けっこう傷つく……)
勇者「名乗るほどの者じゃないさ……まあ、強いて言うなら」
ディスティニー ヒーロー
勇者「……運命に導かれし英雄……って、ところかな(キラッ」
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 19:54:36.39 ID:PReuY7kp0 [36/49]
身も心も美しい幼女「( ゚д゚)」ポカーン
勇者(決まったな。一度でいいから勇者らしいことしてみたかったのもまた事実なんだよな)
身も心も美しい幼女「え、えっと、その……」
勇者「さあ、早くわたしの背に掴まれ! ここから脱出を!」
勇者(ああ! 今わたし輝いてる! 世界で一番光ってる!)ウットリ
身も心も美しい幼女「……」
身も心も美しい幼女「……すみません。それは無理です」
勇者「WHYッ!?」
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 21:51:20.65 ID:PReuY7kp0 [37/49]
身も心も美しい幼女「わたくしはこの国の守り神であるやまたのおろち様に捧げられる身」
身も心も美しい幼女「たとえどんなに母上が恋しくとも」
身も心も美しい幼女「このわが身が愛おしくとも」
身も心も美しい幼女「この国の栄華を守り抜くためなら、わたくしごとき矮小な者の想いなど捨て去りましょう」
身も心も美しい幼女「それに万が一ここから逃げおおせたとしても」
身も心も美しい幼女「わたくしの代わりとなる娘が贄に捧げられるだけ」
身も心も美しい幼女「わたくしの身勝手でその娘を不幸にさせr」
勇者「ああもう話が長いんだよ馬鹿幼女ッ!!!!」バキャン
身も心も美しい幼女「パオマァッ!!!?」ゴシャン
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 21:59:30.43 ID:PReuY7kp0 [38/49]
身も心も美しい幼女「」ピクピク
勇者「あ、やべ……勇者らしからぬことを」
まあいいや。なんかこいつの話を聞き終えたら、
「生きるのはなんたらかんたら!」とか、うざい上にめんどくさい説教をしなくちゃいけなくなりそうな気もするし。
勇者「よっしゃ。とにかくとっととこいつを背負って逃げ……」グイ
身も心も美しい幼女「」
勇者「ぬ……うぐううううううううう!!!!」グググ
身も心も美しい幼女「」
勇者「ぐううううう……はぁはぁ……!!」
勇者「背負えるだけの体力がないよぉ……」ボロ…
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:06:38.62 ID:PReuY7kp0 [39/49]
勇者「仕方ない、こうなったら引きずってでも……!」ズリズリ
身も心も美しい幼女「」ガツンゴツンガコン
勇者(これはたんこぶの一つや二つじゃ済まないな)
勇者「ふう、とりあえず出口までは来たか。あとは神輿を担いでいる奴らの目を掻い潜って……」ソロ…
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:09:31.85 ID:PReuY7kp0 [40/49]
ジパングの洞窟 生贄の祭壇
─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥ ─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥
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) 、 )ヽ (
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勇者「……」
勇者「目的地に到着すんの早すぎだろ……」
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:20:43.18 ID:PReuY7kp0 [41/49]
なんてこった、これが神輿の本気というやつか。
ともかく、冷静になれ。溶岩が目の前に流れていることを除けば普通の洞窟なんだ。
幸いにもやまたのおろちとかいう化け物の姿はまだ見えないし、
今のうちに幼女を引きずって洞窟を脱出……。
ズゥーン……
ズゥーン……
勇者「ッ!?」
???「おやおや、今宵はずいぶんと豪勢な食卓じゃのう……」
やまたのおろち「よもやもう一匹、人間を生贄に捧げてくれるとはな。ほっほっほ」
264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:37:35.39 ID:PReuY7kp0 [42/49]
勇者「で……でか……!?」
アリアハンの城壁をも優に越えると思われる巨体。
その巨体をよりいっそう嶮しく見せる三つの竜の首。禍々しく魅せる深緑の鱗。
一薙ぎすれば大地を根元から抉り取るであろう大蛇のごとき尾。
勇者「あ、あんたが……」
勇者「ジパングの守り神と呼ばれるやまたのおろちなの……?」
やまたのおろち「ん……?」
やまたのおろち「ほほほ。人間とはおろかじゃのう」
やまたのおろち「ひとたび、わらわが古来よりこの地を守ると云われるやまたのおろちを名乗っただけで」
やまたのおろち「畏れ、敬い、奉る。……滑稽よのう」
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 22:49:12.59 ID:PReuY7kp0 [43/49]
なんだよパチモンかよ。と、少し安堵したものの、危機的状況に変わりはない。
勇者(逃げれるか? 幼女を引きずって?)
勇者(いや、それは無理だな。そんな隙をこいつが作るわけがない)
勇者(いっそわざと負けてみるか? どうせアリアハンで生き返るし)
勇者(でもそれじゃパーティーメンバーじゃない幼女は普通に絶命してしまう)
勇者(……)
うん。わたしはよく頑張ったよ。幼女を逃がすために努力した。
それでいいじゃないか。
結果としてこんな形になってしまったけど、わたしには何の不利益もないんだし。
……いさぎよく死のう。それしかない。ごめん、幼女。
271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:01:03.28 ID:PReuY7kp0 [44/49]
勇者「……」
やまたのおろち「天国へ逝けるようにとお祈りは済んだか? それでは……」グバッ
やまたのおろち「いただくとしようか!!」ガッ
勇者「……死ぬよ。死ぬには死ぬが」
勇者「貴様の両目も道ずれにしてやんよぉぉぉぉ!!!!」カッ
やまたのおろち「っ!?」
まさか反撃がくるとは予想だにしていなかったのだろう。
わたしが迫り来るやまたのおろちの顔に向けて両手をかざした時、
ヤツの爬虫類のような瞳が驚愕のあまり極限まで細まったようにみえた。どうでもいいが。
勇者「ギラギラギラギラギラギラ、ギィィィィィラァァァァ!!!!」ボッボッボッボッ!!
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:08:54.11 ID:PReuY7kp0 [45/49]
やまたのおろち「ぎゃああああああああああ!!!!」ジュウワ
やまたのおろちの顔の一つが、狭い洞窟の中で地響きを立てながらのたうち回る。
それもそのはずだ。なんたって鱗に覆われていない無防備な目玉を直撃したのだ。
いくら下級呪文のギラとはいえ、それを連続で叩き込まれれば痛いに決まってる。
勇者「ハッ! ざまぁ!」
なんだなんだ? この調子ならもしかして、わたし一人の力でも――。
――ブォン!
ドグシャアァ!!
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:23:34.03 ID:PReuY7kp0 [46/49]
勇者「――ゲボッ!?」グシャッ
……一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
気がつくと、やまたのおろちのすぐ目の前にあったはずのわたしの身体は、
どうしてだろう……ヤツのずっと遠くまで吹き飛ばされていた。
気づいたら気づいたで地獄だった。
洞窟の岩盤に背中からめり込むわたしの身体。
肋骨やらなんやら数え切れないほどの骨が折れる音色が、
頭の芯で、まるで陳腐なオーケストラのように奏でられた。
激痛を感じる余裕はその時点ではなかった。
くらくらする思考の外で、
やまたのおろちA「落ち着け妹者。すぐに目玉くらい再生する」
やまたのおろちB「姉者の言うとおりじゃ。そのくらいで騒ぐでない」
やまたのおろちC「ううううううう」
と、実はわたしの攻撃なんてすぐ回復するようなちゃちなモノだったのだと思い知らされたその時。
絶望とともに痛覚が目を覚ましたのだった。
282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:37:32.39 ID:PReuY7kp0 [47/49]
勇者「ハッ――アッ、ガッ――」ボロボロ
痛いよ……なんでこんな苦しい思いしなくちゃなんないのよ……。
こういうときに限ってなんか声でないし。喉に骨でも刺さってるのだろうか?
ともかく冗談じゃなく痛い。痛すぎて返ってこういうふうに感覚が研ぎ澄まされてしまう。
身も心も美しい幼女「あぐ……うう、ここは……!?」
勇者「あっ――」
幼女? どうしてこんなとこに?
ああそうか、さっきわたしがなぎ払われた時に神輿と一緒に放り出されて……。
身も心も美しい幼女「あ、貴女は……ど、どうしてこんな! ひどい……!」
勇者「ギッ――ゲッ――」
今はあの怪物はわたししか眼中にない。だからさっさと逃げろ。
こういう台詞を言いたいのにぜんぜん喉から出て来ない。チクショウ。
286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:48:47.78 ID:PReuY7kp0 [48/49]
やまたのおろちC「ぐぐぐ……おのれ小娘! ギラを唱えられるとは魔法使いか!?」
やまたのおろちB「違うな妹者。こやつは腰に剣を携えておる」
やまたのおろちC「ということは、まさかこやつ!」
やまたのおろちA「ああ。今しがたジパングに訪れたという勇者じゃろう」
やまたのおろちC「ほほほほ! なんたる幸運! まさか思いがけず勇者を葬る機会を得られるとは」
やまたのおろちC「その肉、けして蘇生できぬよう骨まで食ろうてやるぞ!」ガバッ
勇者(マジかよ)
まずい! 魔物に食われた場合ってアリアハン復活保険利くのか!?
289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/10(土) 23:57:49.42 ID:PReuY7kp0 [49/49]
やまたのおろちC「しねぇぇぇぇい!!!!」グワッ
ああ、やまたのおろちの真ん中の頭がどんどんわたしに近づいてくる。
お母さん、それに一応パーティーの奴ら。さようなら。もう二度と会うことはないでしょう。
勇者(アディオス人生!!)
???「……天光満つる所に我はあり」
293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:03:15.36 ID:ocWqb5Fs0 [1/21]
やまたのおろちC「っ……!? なんだ、今の声は!?」ピタッ
あ、馬鹿だこいつ!
せっかくわたしを殺すチャンスだったのにわざわざ棒に振りやがった! ざまぁwwwwwww
???「黄泉の門ひらく所に汝あり」
やまたのおろちC「ど、どこだ!?」
???「出でよ 神の雷」
やまたのおろちC「す、姿を見s」
賢者「(^q^) インディグネイション」カッ
297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:11:04.58 ID:ocWqb5Fs0 [2/21]
――ジグゴアァァァァァ!!!!
やまたのおろち「ぎいいいいいいいやああああああああ!!!!」ジジジジジジジ
強大な魔力のいかずちが、やまたのおろちのあの巨体をすっぽりと包み込んだ。
青白く舐めるように帯電する、もはや業火のごときそれは、
あっという間にやつの緑色の皮膚をどす黒く侵食していった。
賢者「(^q^) ベホマ」
勇者「う――おお!!」シュオウ
そうこう実況しているうちに賢者がわたしにベホマをかけ、
先に負ったやばい傷をみるみるうちに癒していった。
301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:22:08.54 ID:ocWqb5Fs0 [3/21]
賢者「(^q^) ……よくそんな戦闘力で耐えれたものだ」
賢者「(^q^) だがお前が彼奴を引き付けておいたおかげで」
賢者「(^q^) 私が魔力を充電する時間が稼げた」
賢者「(^q^) 礼を言おう」
勇者「……」
だめだ。涎を垂らしてる顔で何言われようとちっともありがたみがない。
勇者「ま、まあ助かったよ。ありがとうよ」
勇者「でもなんで賢者がここに? 船へは戻らなかったのか?」
賢者「(^q^) 私はある程度先の未来を予知できる。貴様の危機を予知したから助けに来たのだ」
勇者「よ、予知!?」
賢者「(^q^) 賢者は万能なのだ」
308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:30:37.83 ID:ocWqb5Fs0 [4/21]
勇者「あ! じゃあ他の二人も……」
賢者「(^q^) 奴らは来てない」
勇者「え?」
賢者「(^q^) 面倒ごとはお前らで勝手にやってくれ、だそうだ」
勇者「薄情すぐる……」
身も心も美しい幼女「あ、あのぉ……」
勇者「あ! そうだそうだ、お前のことをすっかり忘れてたよ」
身も心も美しい幼女「はあ……」
勇者「事の顛末はみただろ? あいつはもうたおしたんだ!」
身も心も美しい幼女「そ、それじゃあ……!」パァア
勇者「ああ! お前はもう自由――」
310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:33:09.73 ID:ocWqb5Fs0 [5/21]
――ブシャアッ!
325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:46:23.81 ID:ocWqb5Fs0 [6/21]
勇者「……だ?」
身も心も美しい幼女「……コフッ!」ブシャア
賢者「(;^q^) なん……だと……!?」
やまたのおろちC「ほほほ……些か距離が足りなんだ。掠っただけとは」
――わたしに太陽のみたいに眩しい笑顔を一瞬向けた幼女は。
その数瞬後、その顔を苦しそうに歪めて。
わたしの胸の中へ、とさりとその麗しい矮躯を倒した。
抱きとめたわたしのその腕は。
今まで一度も見た事のない、綺麗な紅に染まっていく。
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 00:55:43.48 ID:ocWqb5Fs0 [7/21]
やまたのおろちC「もう少し爪を伸ばしておけばよかったのう。ほほほ」
賢者「(;^q^) あ、あれだけの電撃を浴びて尚も平然としているだと!?」
やまたのおろちC「ほほほ! わらわの回復力はまさしく神の領域よ!」
やまたのおろちB「一撃で仕留めねばすぐに元通りじゃ」
やまたのおろちA「さあ、絶望するがいい!」
賢者「(;^q^) ならば今一度、神の雷を貴様に……」
勇者「ばかやろぉぉぉぉ、そんなやつの相手なんかどうでもいい!!!!」
賢者「(;^q^) っ!」
身も心も美しい幼女「ハッ……ああッ……!」ドクドク
勇者「さっさとこいつを回復しろって! 早く!」
334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:03:51.46 ID:ocWqb5Fs0 [8/21]
賢者「(;^q^) ……勇者。そいつはもう駄目だ」
勇者「はぁ!? なんでだよ、さっきみたいにベホマで!」
賢者「(;^q^) ……ベホマが誰にでも効いていたらこの世に墓など立つものか」
勇者「ッ!?」
賢者「(;^q^) 貴様が回復できるのは勇者の素質があるからだ」
賢者「(;^q^) 我々も生命力があるからこそ回復できる」
賢者「(;^q^) ……みなまで言わせるな」
勇者「」
やまたのおろちC「ほほほ! おしゃべりしてる暇などないぞ!! しねえ!!」ビュン
342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:12:03.96 ID:ocWqb5Fs0 [9/21]
一方 船
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「うーん! やっぱりマリンスライムの姿焼きは最高ねぇ!」バリボリ
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「こっちの極楽鳥のから揚げもまた格別ねぇ!」ムシャムシャ
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「……」
魔法使い「……」モグモグ
武闘家「ねぇ。口に合わなかったぁ、マーマンの生けづくり?」
魔法使い「あ、いえ……そんなことはございませんことよ! ただ……」
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:22:44.20 ID:ocWqb5Fs0 [10/21]
武闘家「ただ?」
魔法使い「……やっぱり帰ってくるのが遅すぎますわ」
武闘家「あらあら、もしかして心配なのぉ? 勇者ちゃんのことが?」
魔法使い「なっ、ちち違いますわよ! ワタクシは賢者ちゃんのことを……」
武闘家「どちらでもいいんだけどねぇ……」
武闘家「……行きたいなら行けばいいんじゃない? あたしはぜったい行かないけど」
魔法使い「……この期に及んで自分の身がまだ可愛いんですのね、貴女は」
武闘家「悪いかしら? どっちつかずの中途半端なお嬢様かぶれよりはましだと思うけどぉ?」
魔法使い「……」
武闘家「……」
351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:35:57.06 ID:ocWqb5Fs0 [11/21]
魔法使い「……行ってきますわ」ガタン
武闘家「あらそう。気をつけていってらっしゃいねぇ」
魔法使い「……」カツカツ…
魔法使い「……ああ、そうそう。言い忘れてましたわ」クル
武闘家「……?」
魔法使い「ポルトガを出た辺りからずっと思ってたんですの」
魔法使い「貴女のそのしゃべり方、気持ち悪いですわよ」
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:39:38.12 ID:ocWqb5Fs0 [12/21]
バタン……。
武闘家「……」
武闘家「……どういう意味よ」
武闘家「……」
武闘家「……」
武闘家「……なんか、楽しくないわね」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 01:52:16.39 ID:ocWqb5Fs0 [13/21]
ジパングの洞窟
賢者「(^q^) 滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め 始源の炎蘇らん。 フレア」ボッ
賢者「(^q^) エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)」シュウン
賢者「(^q^) 超電磁砲(レールガン)」バリバリ
やまたのおろちC「効かぬわ、そのような腑抜けた呪文なぞ!!」ガッ
賢者「(^q^) くっ……やはり致命打にはならないか」ヒラリ
やまたのおろちA「なにをしておるのじゃ。さっさと止めを」
やまたのおろちC「ほほほ、もう少し楽しませてたもれ、姉者!」
やまたのおろちB「ほほほ、また妹者の悪いくせが出たか」
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:00:15.52 ID:ocWqb5Fs0 [14/21]
身も心も美しい幼女「はぁ……はぁ……」
勇者「幼女……」
身も心も美しい幼女「背中が……背中が、熱いのです……」
身も心も美しい幼女「わたくしは……どうなって……しま……」
勇者「は、はは、どうにもなりやしないさ。大したことないよ、、すぐ直る傷だ」
身も心も美しい幼女「ほん……とう……?」
勇者「本当さ。わたしの傷だってすぐ治っただろ? お前も大丈夫さ」
身も心も美しい幼女「……」
身も心も美しい幼女「よか……った……」ニコ
勇者「……ああ! そうだ……よかったな……!」
367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:06:28.29 ID:ocWqb5Fs0 [15/21]
やまたのおろちC「ほほほほほ! どうしたのじゃ? さっきまでの勢いは!」ガッ
バキャアア!!
賢者「(;^q^) ぐぼあああああああッ!!!?」ミシミシ
やまたのおろちC「ほほ。手ごたえあったかえ?」
賢者「(;^q^) ごふッ……べ、ベホマ……!」シュワア
やまたのおろちC「おやおやまた回復かえ。まあその方が楽しみ甲斐があるというものじゃ」
賢者「(;^q^) ぐっ……いくら私とはいえ魔力が無尽蔵にあるわけではない」
賢者「(;^q^) このままでは……せめて勇者が……!」
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:17:53.04 ID:ocWqb5Fs0 [16/21]
身も心も美しい幼女「……うれし……かった……」
勇者「ん?」
身も心も美しい幼女「ほんと……は……貴女が、わた……くしを……逃がして、くれると、きいたとき」
身も心も美しい幼女「あなたの……手をとって、逃げ……だし、たかった……」
勇者「おい、そんなことどうでもいいよ! 無理してしゃべ」
身も心も美しい幼女「おねがいッ……聞い、て……! コホッコホッ……!」
勇者「……」
身も心も美しい幼女「……あのときも、そう……」
身も心も美しい幼女「あなたは、こえを、だせずにいたけど……わたくしには、きこえました」
身も心も美しい幼女「わたくしだけでも、にげろと……」
身も心も美しい幼女「貴女は、あんなにきずついていたのに……それでも、わたくしの身を……」
勇者「う……っぐ……!」
374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:23:50.48 ID:ocWqb5Fs0 [17/21]
やまたのおろちC「ほほほ……まあまあ楽しませてもらったぞ、人間よ」
賢者「( q ) ぱ……ぱしへ、ろんだ……」
やまたのおろちC「逝ね」ガッ
賢者「( q ) スッ!」グシャア
賢者「( q ) 」
――ドサリ。
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:32:04.27 ID:ocWqb5Fs0 [18/21]
勇者「ちがうんだ……わたしは、諦めてたんだ……お前の思うような女じゃ……!」
身も心も美しい幼女「いわないでください……いや、なんです……」
勇者「え?」
380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:35:18.05 ID:ocWqb5Fs0 [19/21]
身も心も美しい幼女「わたくしは……」
身も心も美しい幼女「あなたを……最期まで、好きでいるまま……逝きたいのです……」ニコ
386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:43:27.25 ID:ocWqb5Fs0 [20/21]
勇者「」
身も心も美しい幼女「そういえば……なまえ、きいていませんでした……ね……」
身も心も美しい幼女「……教えて、いただけませんか?」
勇者「……」
勇者「ゆう……しゃ……」
身も心も美しい幼女「ゆうしゃ……ゆうしゃさま。さいごに、わたくしのわがままをどうか、きいてください」
勇者「」
身も心も美しい幼女「お顔を……お寄せに……なって……」
勇者「……こう?」スッ
390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 02:49:10.14 ID:ocWqb5Fs0 [21/21]
――ちゅ・・・
勇者「……」
身も心も美しい幼女「……ありがとう」
身も心も美しい幼女「……さよ……な……ら……」
441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:23:43.73 ID:Vu4xydJl0 [1/35]
――馬鹿な餓鬼だ。
見ず知らずの、しかも女のわたしなんかに告白して死んでしまった。
お前なら、近い未来にわたしなんかよりもっと良い男と出会って、普通の恋を育めたはずなのに。
身も心も美しい幼女「」
勇者「……クソが……どいつも……こいつも……!」
やまたのおろちC「ほほほ! 女同士の禁断の愛か、美しいのう!」
やまたのおろちB「まったく、やきもちしてしまいそうじゃな」
やまたのおろちA「だが淋しがる必要はないぞえ。すぐに貴様もそこの童と同じ処へ送ってやるわ」
444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:32:34.25 ID:Vu4xydJl0 [2/35]
好き勝手ほざきやがって、このクズが!!
ああああああああ絶対にぶち殺してやる!!!!
こいつの受けた苦しみを何倍にも返して貴様に味わわせてやるぞクソがァァァァァァァァ!!!!
勇者「ぎいいいいいいいいいいい!!!!」バチバチバチバチ
やまたのおろちC「ッ!?」
やまたのおろちB「な、なんじゃ! この凄まじい魔力は!?」
やまたのおろちA「嫌な予感がする! 妹者、早く止めを!!」
やまたのおろちC「い、言われなくとも!!」ブォン
445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:38:38.73 ID:Vu4xydJl0 [3/35]
勇者「ガァァァァァァァァァァァァ!!!!」バチバチバチバチ
やまたのおろちC「ひっ!?」ビクッ
勇者「デイィィィィィィィィィン!!!!」カッ
――ジゴオウァァァァァァ!!!!
450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 13:54:50.09 ID:Vu4xydJl0 [4/35]
やまたのおろち「ぎゃああああああああああ!!!?」ジジジジジジジジ
わたしの怒りがそのまま全て地獄の雷となってやまたのおろちの身体を貫いた。
賢者の放った神の雷を遥かに越える破壊力を内包した雷光は、
巨大な槍をもってした一閃と見紛うほどの鋭い衝撃をヤツに与えたのである。
先とは比べ物にならない速さでやまたのおろちの外皮を侵食……いや、削り取ってゆく電撃。
しかしそれでもヤツが倒れそうにない様子を見て、わたしの心は更にどす黒い憎しみに侵されていった。
勇者「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」バリバリ
勇者「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」バリバリ
勇者「もっともっと!! 苦痛にあえぎながら死んでしまええええええええええええ!!!!」バリバリバリバリ
やまたのおろち「ぐぎああああああああああ!!!?」ジジジジジジジジ
453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:02:15.65 ID:Vu4xydJl0 [5/35]
何度も何度も!
何度も何度も何度も何度も何度も何度も、雷撃をヤツの醜く汚らわしい身体に叩き込む!!!!
2発3発4発!! 5、6,7、8、9、10発!!!! まだまだ!!!!
やまたのおろち「あが、ががががががが」ジジジジジジジジ
勇者「ああ、もっと苦しめよ!? 魔物らしく! 気色悪い鳴き声あげろよぉぉぉぉ!!!!」バリバリバリバリ
いや駄目だ、こんなんじゃ足りない!!
あいつの味わった痛みはこんなもんじゃない!
あいつの奪われた幸せの重さに比べたら! 地獄の雷すらも生ぬるい!!!!
455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:08:07.11 ID:Vu4xydJl0 [6/35]
勇者「ひゃああああはははは!! どうだ、これd」
――バギャグシャ。
勇者「――ごふっ!?」ブシュ
やまたのおろちA「あまり……調子に乗るでないぞ、乳臭い小娘ごときが!!」ブォン
――グシャア!
459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:20:47.31 ID:Vu4xydJl0 [7/35]
勇者「カッ……ハッ……!」ドクドク
やまたのおろちC「がはぁあああ! か、回復が追いつかぬぞ姉者!?」
やまたのおろちB「落ち着け妹者。もう勝負は決した」
やまたのおろちA「些か手こずったが、所詮人間。打たれ弱いものよのう」
なんてこった……これでも無理なのか。
ああ、やばい。肋骨飛び出てるし、呼吸もひどい。
肺に折れた骨でもぶっ刺さってるに違いない。
ん、右手の感覚がないと思ったら道理で……肩からきれいさっぱりもげてしまってる。
なんか筋みたいな赤くて太い紐が断面から飛び出しているが、これはなんだろう。
勇者「……」
勇者(今度こそ終わったか)
461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:29:59.48 ID:Vu4xydJl0 [8/35]
怒りが急速におさまっていく。
死を目前にしてまたもや冷静になってしまったようだ。
勇者(情けない)
勇者(わたしにもっと体力とか根性があれば……)
勇者(……今更か)
勇者(とはいえ、もしわたしが引き籠りじゃなくて)
勇者(真面目に勇者やってて、いち早くジパングに訪れていたなら)
勇者(……こんなことにはならなかったのかな)
やまたのおろちA「さぁ、もうそろそろ終わりにしようではないか!」
やまたのおろちB「妹者!」
やまたのおろちC「うむ! 勇者よ、しねぇぇぇぇ!!!!」クワッ
464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:35:36.62 ID:Vu4xydJl0 [9/35]
勇者(ああ、幼女。わたしもすぐそっちに……)
???「――マヒャドですわ!!」カッ
やまたのおろちC「むっ!?」
コォォォォ――ガガガガガ!!!!
やまたのおろち「ぎょええええええええええええ!!!?」グサグサグサ
466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 14:49:58.41 ID:Vu4xydJl0 [10/35]
勇者(な、なんだ!?)
周囲の気温が一気に下降したかと思った次の瞬間、
上空に人の背丈ほどもあろう大きさの氷柱が無数に出現し、
やまたのおろち目掛けて降り注いでいった。
身を捩って回避しようとするおろちだったが、その巨体ゆえにかわすこと叶わず、
あえなくその無数の氷柱によってヤツはずたずたに切り裂かれていった。
魔法使い「ふう。間一髪でしたわね」スタッ
勇者(ま、魔法使い……どうしてここに)
魔法使い「あらあらそんなにぼろぼろになってお可哀想に!」
魔法使い「ほら、合計99個の薬草ですわ! ありがたく貪りなさいまし!」グイ
勇者「むごぉおおおおおお!!!?(無理やり口に詰め込むなよ!!!?)」
468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:03:47.87 ID:Vu4xydJl0 [11/35]
と、ともかくなんとか一命は取り留めたな。
さすが薬草。食べただけで右腕が再生する信頼と実績の回復アイテム!
勇者「うええええ、苦すぎて吐きそうだチクショウ」シュワア
魔法使い「吐けばいいのに」
勇者「死ね。……ていうかなんで来たんだよ。面倒事は嫌なんじゃなかったのか」
魔法使い「ええ、面倒事は嫌ですわよ」
魔法使い「けど貴女を追っていった賢者ちゃんが心配で心配でたまりませんでしたので」
魔法使い「それで仕方なく……べ、別に貴女が心配だったわけじゃないですわよ!!」
勇者(なんでそこでむきになるんだ……)
471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:13:22.58 ID:Vu4xydJl0 [12/35]
勇者「……でも、ありがとうね魔法使い」
魔法使い「え!? あ、貴女が素直にお礼を言うなんて!? も、もしかしてワタクシの勇姿に惚r」
勇者「……あんたのおかげで……」
やまたのおろちC「ぐううううあああああああ!!!!」
やまたのおろちB「お、おのれ……!!」
やまたのおろちA「小賢しいやつらめぇぇぇぇ!!!!」
勇者「このカスをぶち殺すチャンスがまたできたぜ」ビキビキ
魔法使い「……それはまたよかったですこと」
472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:19:00.91 ID:Vu4xydJl0 [13/35]
やまたのおろちC「貴様らにどれほど力があろうとも!!」
やまたのおろちB「所詮は二人!!」
やまたのおろちA「わらわたちの圧倒的な回復力を追い抜くことなど」
???「ならば、三人ならどうかな」
やまたのおろちA「!!!?」
賢者「(^q^) イオナズン」カッ
478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:26:45.52 ID:Vu4xydJl0 [14/35]
やまたのおろち「にぎいいいいいいいい!!!?」トズガガガガガ
賢者「(^q^) 私は死なん。何度でも蘇るさ」
魔法使い「賢者ちゃん! 無事だったんですわね!」
勇者「お、お前いつの間に生き返って」
賢者「(^q^) うー? ぱしへろんだすwwwwwwwww」
勇者「」ビキ
魔法使い「賢者ちゃんってイオナズンも使えたんですのね! えらい子えらい子ですわ!」
賢者「(^q^) あうあーwwwwwwwww」
勇者(こ、こいつ……)ビキビキ
481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:40:34.51 ID:Vu4xydJl0 [15/35]
と、とにかくこれで手札は揃った。
わたしとこいつら全員で総攻撃をしかければ、
さしものやまたのクズおろちもひとたまりもあるまい!!
そう、今こそリーダーシップを発揮するときなんだ!
勇者「……よっしゃ! それじゃ魔法つk」
魔法使い「貴女ごときがワタクシに命令しないでくださいまし!」
勇者「……け、けんjy」
賢者「(^q^) あうあーwwwwwwwww」
勇者「……」
勇者「なんというチームワークのなさ」
486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:47:54.64 ID:Vu4xydJl0 [16/35]
やまたのおろちC「……ほっほっほ! 笑わせてくれるのう!」
やまたのおろちB「一時はどうなることかと思いきや、やはり人間」
やまたのおろちA「連携すらできぬ貴様らに勝機など万に一つも」
勇者「ああもういいや。お前ら、好き勝手ぶち殺せ」
魔法使い「言われなくてもそのつもりですわ」
賢者「(^q^) あうwwwww」
やまたのおろちA「……は?」
魔法使い「マヒャド」カッ
賢者「(^q^) イオナズン」カッ
勇者「ライデイン」カッ
487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 15:52:39.02 ID:Vu4xydJl0 [17/35]
やまたのおろち「ぐぎやあああああああああああああ!!!?」バリグシャゴグガド
魔法使い「ベギラゴン」カッ
賢者「(^q^) バギクロス」カッ
勇者「イオラ」カッ
やまたのおろちC「ぐあ、ちょ、まっ……!?」バリグシャゴグガド
魔法使い「メラゾーマ」カッ
賢者「(^q^) ホーリー」カッ
勇者「ギガデイン」カッ
やまたのおろちB「そっ……ひきょ……!?」バリグシャゴグガド
495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 16:05:32.50 ID:Vu4xydJl0 [18/35]
元々呪文の得意な二人に加えて、
殺意の波動に目覚めたわたしのギガデインが猛威を振るえば!!
やまたのおろちの回復力など、ゴミ同然よ!!
賢者「(^q^) ……このくらいか」
魔法使い「案外あっけなかったですわね」
やまたのおろちA「あぐ……」ジジジジ
勇者「く、ふふふふふ……」
勇者「あーーーはははは!!!! どうしたのやまたのおろち様? さっきまでの威勢はどこに消えたの!?」ゲシッ
やまたのおろちC「ぐあっ……」
わたしは地に伏したやまたのおろちの頭を踏みつけ、
腹が痛くなるほど哄笑してヤツを罵倒してやる。
勇者「ほらほら、どうしたの神のごとき回復力とやらは!? とっとともう一度起き上がってみなさいよ!」
501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 16:18:50.88 ID:Vu4xydJl0 [19/35]
やまたのおろちC「……」
勇者「ハッ! 魔物風情がッ!!」ガッ
今まで柄にずっと仕舞いこんでいた鋼の剣を抜き取り、
わたしはピクリとも動かないおろちの眉間へその切っ先を叩き落した。
やまたのおろちC「……」
勇者「人間様の命を! 生意気に弄びやがって!!」ガッガッ
わたしの筋力が足りないためか、おろちの硬い鱗に覆われた眉間には傷一つ付かない。
やまたのおろちC「……」
勇者「お前らなんかみんな死ね! 滅べ! 人間の家畜にされろ!!!!」ガッガッガッガッ
だけど、手を休めることは絶対にしない。
勇者「うあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッ
531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 19:40:45.09 ID:Vu4xydJl0 [20/35]
ジパング 南の岬
勇者「南無阿弥陀仏、アーメン……」
魔法使い「安らかに眠ってくださいまし」
賢者「(^q^) ……」
あの激戦の後、わたしは幼女の亡骸をこの岬に埋めて供養した。
ジパングのやつらに幼女の亡骸を引き渡したほうがよかったのかも知れないが、
なにやら女王の卑弥呼が重体に陥ったということで村中がごちゃごちゃしていたので、
仕方なくわたしたちだけで彼女を弔ってやったのだ。
魔法使い「せめてあの娘の両親だけにも伝えてやってはどうですの?」
勇者「……自分の娘を化け物に捧げるようなやつにわざわざ教えなくてもいいだろ」
それに、守り神に食われたのだと信じたままでいたほうがそいつらに幸せだろう。
534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 19:50:09.31 ID:Vu4xydJl0 [21/35]
船
武闘家「おかえりなさぁい。無事に帰ってきてくれてなによりだわぁ」
勇者「……ああ」
武闘家「それじゃ、さっさと出航しましょうか。予定がこれ以上ずれたら困るものねぇ」
勇者「ああ。そうだな」
武闘家「あ、そういえば。ねぇねぇ、例の女の子は逃がすことができたのかしらぁ?」
勇者「……」
武闘家「あらあら、その様子だと結局死んじゃったのねぇ? うふふ」
魔法使い「ちょっと貴女! いくらなんでも不躾すぎ……!」
武闘家「そう怒らないでよぉ。あたしはただ勇者ちゃんを元気付けてあげようと思っただけよ」
勇者「……」
536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 19:59:52.34 ID:Vu4xydJl0 [22/35]
武闘家「そう落ち込まなくてもいいじゃなぁい」
武闘家「貴女とはまったく無関係の赤の他人……異国のガキよぉ?」
武闘家「しかも仮に助けられたとしても、報酬はせいぜい感謝の言葉くらい」
武闘家「そんなもののために命をかけるなんてナンセンスよぉ」
勇者「……」
武闘家「だから、ね? 元の貴女に戻りましょうよ」
武闘家「初めて会ったときの貴女の目」
武闘家「自分さえ良ければそれでいいっていう濁りきったあの目」
武闘家「あたし、すごく気に入ってたのよぉ?」
勇者「……」
538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:08:18.12 ID:Vu4xydJl0 [23/35]
勇者「……そうだな。そのとおりだよな」
魔法使い「勇者……」
賢者「(^q^) ……」
武闘家「うふふ、理解してくれたようで嬉しいわぁ」
勇者「ああ……自分さえ良ければそれでいいんだ……」
勇者「変な事に首を突っ込まなければ……」
勇者「あんな嫌な思い……しなくて済んだんだよな……」
勇者(……死にたい)
543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:21:34.33 ID:Vu4xydJl0 [24/35]
一週間後 ネクロゴンド近海
ジパングを後にし、ダーマでの補給も早々に済ませたわたしたちは、
最終決戦の地であるネクロゴンドを目指し長い航海を続けていた。
船酔いの悪さが顕著な魔法使いはしょっちゅう船内で吐瀉物を派手に撒き散らすわ。
賢者は船乗りの中に何人か混じっていた池沼を部屋に集めて妙な宗教をおっぱじめるわ。
武闘家はわたしの部屋のとなりで毎晩のようにセックル三昧だわ。
……わたしはわたしで未だにジパングでの一件を引きずってるわ。
もういろんなストレスで頭がおかしくなりそうだよ、まったく。
……ともあれ、そんな苦悩とももうすぐおさらばだ。
魔王さえ倒せば……魔王さえ……。
545 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:30:15.83 ID:Vu4xydJl0 [25/35]
勇者「うう……いざ魔王と戦うのかと思うと腹が……!」ズキズキ
頭がおかしくなるのが先か、胃にどでかい穴が空くのが先か、それが問題だ。
――コンコン。
勇者「?」
???「勇者よ。いるか?」
勇者「え? あ、はい」
だれだこんな真夜中に。どっかで聞いたことのある声だけど……。
――バタン。
賢者「(^q^) こんばんは。調子はどうだ?」
549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:44:53.70 ID:Vu4xydJl0 [26/35]
勇者「け、賢者!?」
賢者「(^q^) 夜分遅くにすまないな。ちょっと、付き合ってもらえるかな?」
意外! わたしを訪ねてきたのは誰であろうあの賢者だった!
……という、わたしの驚きをよそに、賢者はごく自然にわたしの腰掛けているソファに近づいてきて、
隣りの少しだけ空いてるスペースにちょこんと身を乗せてしまった。
勇者「あ、あの、賢者?」
賢者「(^q^) ……おっと。こんな姿では貴様に失礼だったな」ゴシゴシ
うっかりしてたいう風に、賢者はどこからかハンカチを取り出し
口元から垂れている涎をさっと一拭きして、わたしに改めて向き直った。
賢者「……これでいいかな?」
556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:56:54.35 ID:Vu4xydJl0 [27/35]
勇者「あ……」
……思わず見惚れてしまった。
普段の姿からはとても想像できない凛々しい微笑みを、
幼子特有の可愛らしい童顔にさりげなく浮かべる賢者。
ロリコンなら勃起するどころか逆に神聖すぎて萎えてしまうほどの威力はあるんじゃないだろうか。
賢者「どうした?」
勇者「あ、いや、なんでもない……」
賢者「うむ」
勇者「……」
賢者「……」
勇者「……」
賢者「……」
勇者「あ、あの……何しにきt」
賢者「まあ急くな。こういう意味深な間が後々重要な伏線となるのだから」
勇者(意味わかんねぇ……)
558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:03:59.94 ID:Vu4xydJl0 [28/35]
賢者「……勇者。貴様にだけは本当のことを話しておきたい」
勇者「は、はぁ……(もったいぶりうぜぇ……)」
賢者「……」
賢者「実は……私は……」
勇者(早くしろよ……腹痛いからトイレに行きたいのに……)
561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:07:09.48 ID:Vu4xydJl0 [29/35]
賢者「――池沼では……ないのだ……」
勇者(今更それをここで勿体つけて語るのかよウゼェェェェェェ!!!?)
565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:16:51.09 ID:Vu4xydJl0 [30/35]
賢者「いや、正確には池沼ではなくなった、というべきか」
勇者(自分語りがハジマタ……)
賢者「(^q^) わたしは8歳の頃まで、たしかにただの池沼だった」ダラーン
勇者(しかもリラックスしてきたのかまた涎が垂れてきた……)
賢者「(^q^) だが8歳の誕生日に、唯一神 パシ=ヘロンダース様の天啓が……」
勇者(うう、おなかが……は、早くトイレに……!)キリキリ
賢者「(^q^) ナンタラカンタラパシヘロンダスアウアウアー」
勇者(だめだ、おなかに神経が集中して重要な話がぜんぜん頭に入らん)キュルリュル
589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:10:33.36 ID:Vu4xydJl0 [31/35]
勇者(ス、スカトロは! 魔法使いの仲間になるのだけはイヤァァァァ!!!!)
賢者「(^q^) そういうわけで、私はさとりの塔の最上階で賢者へと覚醒し」
賢者「(^q^) 邪教徒 ケーン=ジョーシャーの抹殺を誓って……」
勇者「け、賢者! その話はまた今度に……!」
賢者「(^q^) 貴様、これからがいいところだというのに」
賢者「(^q^) ……まあいいだろう。もう真夜中だしな」
勇者(助かった……)
賢者「(^q^) だが、最後にもう一つだけ言わせてくれ」
勇者(いい加減にしろよクソが!!)
593 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:27:27.06 ID:Vu4xydJl0 [32/35]
賢者「(^q^) 勇者よ。貴様の心は実に不安定だ」
勇者「は?」
賢者「(^q^) 勇者である運命を恨むこともあれば、勇者であることを鼻にかけることもある」
賢者「(^q^) 誰かが傷付くのをあざ笑う一方で、人を助けたいと願う慈愛の精神も持ち合わせている」
賢者「(^q^) 人の心は複雑と言うが、貴様の場合は表と裏が極端に食い違っているのだよ」
勇者「……」
賢者「(^q^) そしてその傾向は貴様の口調にも表れているな」
賢者「(^q^) 男のようにがさつな口の利き方をしたかと思えば」
賢者「(^q^) 次の瞬間、同じ口から清楚な女言葉が飛び出してくることもある」
600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:42:13.96 ID:Vu4xydJl0 [33/35]
勇者「……そ、それがどうしたってのよ」
勇者「人の性格にとやかくケチつけるつもり? もっとまともな人間になれって?」
賢者「(^q^) いや、逆だ」
勇者「え?」
賢者「(^q^) 貴様はそのままでいい」
賢者「(^q^) 今、貴様は自分なりに己の価値に疑問を抱いているのだろうが」
賢者「(^q^) 貴様の人格は」
賢者「(^q^) 誤った善行と正しい悪行を見極められる、素晴らしいものなのだ」
勇者(まったく意味がわからない)
603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:52:53.39 ID:Vu4xydJl0 [34/35]
賢者「(^q^) もちろん、その人格が後に幸せを運ぶか不幸を呼び寄せるかは定かではないし」
賢者「(^q^) 今の自分に納得せず、己を見つめなおしたいと願うなら、私は止めやしない」
勇者(なんかすごいいいこと言ってるんだろうけど、それどころじゃ……)
賢者「(^q^) ともかく、後悔の残らない選択をすることだ」
賢者「(^q^) ……ふっ。説教じみてしまったな。すまない」
勇者(本当に申し訳なく思うなら土下座しろ池沼が!!)
賢者「(^q^) それでは、わたしはこれで失礼するよ。それじゃあ」
勇者「ああ! じゃあな!(早くいけええええ)」
キィ……。
賢者「(^q^) ……おっとそうだ。最後にこの言葉を覚えておくといい」クルッ
607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 23:56:57.38 ID:Vu4xydJl0 [35/35]
賢者「(^q^) Boys. be pasiheronndass.(少年よ、ぱしへろんだす)」
611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 00:00:36.62 ID:pZo+y7pk0
賢者「(^q^) ……ふっ……おやすみ」
――バタン。
勇者「……」
勇者「……クソして寝るか」
704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:21:23.85 ID:A+uwSwyr0 [1/27]
ネクロゴンド山脈
勇者「この嶮しい山の頂上に魔王の城が?」
武闘家「ええ、情報どおりならそのはずよ」
賢者とくだらない戯言を交わしたその3日後、
わたしたちはようやく件のネクロゴンド山脈にたどり着くことができた。
しかし……。
魔法使い「こんな絶壁、どうやって登っていけばいいんですの?」
賢者「(^q^) うーwwwwwww」
途方に暮れるパーティーメンバー。
それもそのはず。目の前には雲をも突き抜けるほどの岩肌の壁が行く手を塞ぎ、
上陸することはおろか、船を寄り付けることすら出来ずにいるのだ。
勇者「せっかくここまで来たっていうのに……」
706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:30:50.35 ID:A+uwSwyr0 [2/27]
武闘家「魔王の本拠地に乗り込むのも、一筋縄ではいかないないようねぇ」
勇者「……帰るか」
魔法使い「冗談おっしゃらないでくださいまし! ここまで来て引き下がるわけにはまいりませんわ!」
勇者(ゲロくせぇなぁ)
武闘家「うーん……いっそ空でも飛んでいけないかしらねぇ」
勇者「無理だろ。御伽噺やメルヘンじゃあるまいし」
賢者「(^q^) うーwwwwwww」
「(^q^) レビテト」カッ
712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:39:36.11 ID:A+uwSwyr0 [3/27]
――ごごごごごごご……。
魔法使い「な、なんですのこの揺れは!?」
船乗りA「ウハwwwwwwwwちょwwwwwww船がwwwwww」
船乗りB「空飛んでるwwwwwwwwうぇwwwwwww」
船乗りC「神の御力だwwwwwwwwww」
船乗りD「唯一神 パシ=ヘロンダース様のご加護であるぞwwwwwwww」
勇者「そんなアホなァァァァ!!!?」
武闘家「なんか知らないけど運がよかったわねぇ」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwww」
ごごごごごごご……。
716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 18:49:30.58 ID:A+uwSwyr0 [4/27]
BGM:ガッチャマンの歌
船乗りA「誰だwwwwww誰だwwwwwww誰だぁwwwwwwww」
船乗りB「空のwwwwwかなたにwwwwww踊る影wwwwwwうぇwwwwwww」
船乗りC「しwwwwwろwwwwwwいwwwwwww翼のwwwwwww」
船乗りD「ガwwwwwwッwwwwwチャwwwwwマwwwwwwンwwwwww」
勇者「やめろぉぉぉぉクソ船乗りども!! そこは『おおぞらをとぶ』だろうが!?」
魔法使い「雰囲気がぶち壊しですわ……」
船乗りA「おおぅwwwwwwガッチャマーンwwwwwwwww」
船乗りB「ガッチャマァァァァァァァン!!!!」
勇者「やめろぉぉぉぉ!!!!」
719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:00:12.83 ID:A+uwSwyr0 [5/27]
武闘家「ま、ともかくこれで魔王のところへは首尾よく到着できそうね」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwとうちゃくwwwwwww」
勇者「ったく、もうどうにでもなれよチクショウ……」
ごごごごごごご……。
魔法使い「……あら? あれは……」
勇者「ん、どうした魔法使い? また吐きたくなったのか?」
魔法使い「違いますわよ馬鹿!! 向こう側の空に黒い点のようなものが見えまして」
勇者「はぁ?」
魔法使い「ほら、あそこの辺りですわ!」
720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:08:39.34 ID:A+uwSwyr0 [6/27]
ドドドドドドドド……。
勇者「……あ、あれは!?」
ドドドドドドドド……。
スノードラゴン「誰だwwwwww誰だwwwwwww誰だwwwwwww」
スカイドラゴン「海のwwwww地獄にwwwwwwひそむ影wwwwww」
ガルーダ「つwwwwよwwwwwいwwwww勇気のwwwwwww」
ヘルコンドル「ガwwwwwwッwwwwwチャwwwwwマwwwwwwンwwwwww」
極楽鳥「嵐を裂いてwwwwwww雲切ればwwwwwwww」
キメラ「科学忍法wwwwwww火の鳥だwwwwwwwww」
メイジキメラ「飛べwwwwwwww飛べ飛べガッチャマンwwwwwwwww」
まじょ「行けwwwwwwwww行け行けガッチャマンwwwwwwwww」
まほうおばば「地球は一つwwwwwwww地球は一つwwwwwwwwww」
全員「おおwwwwwwガッチャマンwwwwwwガッチャマンwwwwww」
725 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:20:45.16 ID:A+uwSwyr0 [7/27]
魔法使い「うきゃああああああ!!!?」
勇者「なんだあいつらはァァァァ!!!?」
なんということだ! 空なら安全かと思ってたらそうでもなかったぜ!!
魔法使いの見つけた黒い点の集まりはなんと魔物の大群であった。
それもただの魔物じゃない。非常に攻撃の当て難い空を飛べる魔物だ。
武闘家「……ざっと見積もって、千匹? いえ、それ以上かもね……」
賢者「(^q^) ……」
千だと?
ただでさえ苦戦する類の魔物が千匹も!?
船乗りA「ちょwwwwww俺たちオワタwwwwwwwwww」
船乗りB「ガッチャマンの歌に呼び寄せられたのかwwwwwww」
船乗りC「ある意味すげぇwwwwwwww俺たちスゴスwwwwwwwwww」
727 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 19:34:57.08 ID:A+uwSwyr0 [8/27]
最初は小さな黒い点の集まりそれだったが、
すぐにわたしたちの肉眼でも魔物とはっきり確認できるほどの大きさになってゆく。
……間違いない。あいつらはこの船を狙って近づいてきてるんだ!
勇者「もうどうすんだよ!?」
魔法使い「最悪、ワタクシたちは死んでも復活できるとして……」
武闘家「この船と船乗りたちを失うのは痛すぎるわね……」
賢者「(^q^) あうあ……」
となると、ここはなんとしてでもあいつらの包囲網を突破せざるをえないってことだが。
……千だぞ?
いくらわたしがギガデインを使えるくらい成長したっていっても限度があるわ!
武闘家「それでも、やるしかないわよねぇ……」
魔法使い「やれるだけやりますわよ!」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwぶっころすのれすwwwwwww」
勇者「くそったれ! ほんともういい加減にしろクソ魔物ども!!」
737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:20:04.78 ID:A+uwSwyr0 [9/27]
スノードラゴンA「こおりのいきwwwwwwwww」ブワッ
スカイドラゴンA「かえんのいきwwwwwwwww」ブワッ
魔法使い「きましたわー!!」
賢者「「(^q^) うちおとすのれすwwwwwイオナズンwwwwww」カッ
ズゴアアアアアアアアアア!!!!
先陣を切っていた魔物の第一波がついに眼前まで迫ってきて遠距離攻撃を放ち始めた。
わたしたちには命中しないものの船のマストがあっという間に氷付けになったり、
船底に炎が燃え広がったりと被害は馬鹿にならない。
こちら側の魔術師勢も負けじといきなり強力な魔法で迎撃する。
スカイドラゴンA~H「ぐぎゃおおおおおおおお!!!?」ボシュン
魔法使い「こっちもイオナズンですわ!!!!」カッ
スノードラゴンA~I「しぎいいいいいいいいい!!!!」ボシュン
738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:29:07.94 ID:A+uwSwyr0 [10/27]
キメラA「もえさかるかえんwwwwwwww」ブワァ
メイジキメラA「もえさかるかえんwwwwwwww」ブワァ
ゴアアアアアアア!!!!
勇者「うおおおお!!!? クソッ、ライデイン!!!!」バチバチ
キメラA~D「きええええええええええ!!!!」グバ
メイジキメラA~G「ぐぼああああああああああ」ギギギギ
く……なんて数だ!
もう甲板が煤だらけだぞ!?
武闘家「あらあら、まるで数が減ってないわねぇ……」
勇者「第一波だけでも百匹はいるぞ……ていうか武闘家も何か貢献しろよ」
武闘家「そうねぇ……それじゃあ本気を出しちゃおうかしら」
武闘家「……波ァッ!!!!」ゴアァッ!
740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:36:36.57 ID:A+uwSwyr0 [11/27]
スノードラゴンJ~Z「うがげごッ!?」グシャ
スカイドラゴンI~Z「うわらばっ!?」グチャ
キメラE~Z「ハバネロッ!?」ギチュ
メイジキメラH~Z「ほあああああああ!!!!」グシュ
勇者「え……ええええええええええええ!!!?」
なんてこった! なんか武闘家が覇気みたいなの出したら周りの魔物全部爆発しちゃったよ!?
勇者「」
魔法使い「」
賢者「(^q^) ほう」
武闘家「ふぅ……寺生まれを舐めるからこうなるのよ」
武闘家「もっとも、これを使うとしばらく身体の自由が利かなくなるのが欠点だけどね」
746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:45:50.13 ID:A+uwSwyr0 [12/27]
今考えてみるとやばいなこのパーティー……チートじゃないか。
とはいえ、それを踏まえてもまだまだ劣勢には変わりないが。
まじょ「ふひょひょwwwwwwwww」
スカイドラゴン1A~1D「かえんのいきwwwwwwwww」ブハァ
魔法使い「ッ!? もう魔物の第二波が!?」
勇者「くっそ、ライデイン!!」バリバリ
賢者「(^q^) イオナズンwwwwwww」カッ
武闘家「ふぅ……あとは頼んだわよ貴女たちぃ……」フラフラ
ああ、わかってるさ。武闘家のおかげでほとんど無傷で第一波を迎撃できたんだ。
ここからはMPの続くかぎりわたしたちでなんとかしてやる!!
751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 21:55:06.54 ID:A+uwSwyr0 [13/27]
ゴガアアアアアア!!!!
勇者「ライデインライデインライデイィィィィン!!!!」バリバリバリバリ
スカイドラゴンの群れ「いちいちAとかBで表記するのはめんどくさいです」グシャア
魔法使い「ベギラゴンマヒャドイオナズン!!!!」カッカッカッ
まじょの群れ「やまたのおろち戦で尺使いすぎたわ」グシャア
賢者「(^q^) バギクロスザラキイオナズン」カッカッカッ
ガルーダの群れ「もうダメポ」グシャア
755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:07:04.34 ID:A+uwSwyr0 [14/27]
ヘルコンドル「wwwwwwwwwwww」
極楽鳥「wwwwwwwwwうぇwwwwwwww」
勇者「はぁ……はぁ……」グッタリ
魔法使い「もう……! 殺っても殺ってもきりがないですわ……!」グッタリ
賢者「(;^q^) おぎゃ……」グッタリ
戦闘が始まってからもう30分くらいか。
これだけ粘ってもまだ半数くらいしか倒せていないなんて……。
体力のないわたしはともかく、魔法使いや賢者までもが疲労の色を見せ始めるのはまずい。
勇者「船ももう持たないぞ、これ以上は……」
武闘家「うふふ、そうねぇ……」
758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:17:11.90 ID:A+uwSwyr0 [15/27]
……武闘家はもう勝利を見据えてはいないようだ。
こんな危機的状況に陥っても額に汗一つかいてない。
まあ最初の一撃以外は活躍していないというのもあるが、
それ以上に、わたしと一緒にいれば死んでもアリアハンで復活できるという余裕があるからだろう。
勇者「余裕ぶっこいてるけどいいのか? お前の船がなくなっちまうよ?」
武闘家「たしかに無くなるは勿体無いけど、船くらいまた買えばいいだけの話よ。もちろん船乗りもね」
……まったく、これだからビッチは!!
武闘家「さぁて、みんな頑張ってねぇ。わたしは痛くないような死に方の準備を……」
スカイドラゴン「ぐわおおおおおおwwwwww」ビュン
勇者「っ! おい武闘家――」
――ゴシャアアア!!
761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:29:15.06 ID:A+uwSwyr0 [16/27]
武闘家「がっ……!!」バキャッ
勇者「武闘家ッ!?」
魔法使い「武闘家様ッ!!」
賢者「(;^q^) ッ!?」
なんというステルススカイドラゴンだ。全然接近に気づかなかったぞ!?
いや、今までかえんのいきにしか注意を払っていなかったのが悪かったのか……。
ともかく船底の死角からいきなり姿を現したスカイドラゴンの尻尾が、
甲板ごと武闘家を盛大になぎ払ってしまった……!
武闘家「うあッ……やっ……!?」ヒューン
宙を旋回する武闘家のしなやかな身体は、
その勢いを弱めることなく、眼下に広がる奈落の底へとまっ逆さまに……。
768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:37:58.42 ID:A+uwSwyr0 [17/27]
――パシッ!
武闘家「……あ、うあ……!」ガクガク
勇者「うおおおおお! 絶対手を離すなよ!? 絶対だぞ!?」グググ…
落とさせるわけがないだろう常識的に考えて!
……だが間一髪のところだった。あと0.1秒でも手を伸ばすのが遅れていたら……。
魔法使い「勇者! 武闘家様はっ!?」
勇者「くうううう……こ、こっちは大丈夫だから! 早く周りの魔物を!!」グググ…
いやいや、やっぱり大丈夫ではないかも知れない。
崩れ落ちた甲板の凹凸にかろうじてつま先を引っ掛けて踏ん張っているが、
わたしの体力じゃ……!
770 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 22:50:19.15 ID:A+uwSwyr0 [18/27]
勇者「とはいえ魔法使いたちが手を休めたら魔物の猛撃が来るしなぁ……!」グググ…
武闘家「……ど、どうして……」
勇者「ん?」グググ…
武闘家「どうして……助けたのよぉ……」
勇者「いやいや!? だってここから落ちたら武闘家絶命しちゃうだろうが!?」グググ…
武闘家「うふふ……いいじゃない、それで……」
勇者「はぁ?(こいつ頭に蛆でも沸いたのか?)」
武闘家「貴女の気に入らない女が不運な事故で死のうとしてる」
武闘家「……こんなチャンス二度とこないかも知れないのに、貴女は棒に振るつもりなの……?」
勇者(めんどくせえなこのビッチはほんとにもう……)ビキビキ
772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:01:37.97 ID:A+uwSwyr0 [19/27]
勇者「気に入るとか気に入らないとかの話じゃなくて!」グググ…
勇者「こんな死に方されたらわたしの寝覚めが悪くなっちゃうでしょうが!!」グググ…
武闘家「なっ……そ、そんな理由……理解できないわ!!」
勇者「理解できるでしょうが!!」
武闘家「……はぁ?」
勇者「あんた言ったでしょ。自分さえ良ければそれでいい……そんなわたしが気に入ってるって」
勇者「だったらいちいち文句言わないでよ!! わたしは……」
勇者「自分のためにあんたを助けるのよ!! あんたが死ななければそれでいいのよ!!」
武闘家「……貴女……」
774 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:09:23.40 ID:A+uwSwyr0 [20/27]
武闘家「……馬鹿な女。……本当に……馬鹿な……」
勇者「うわああああ! もう駄目だ、つま先が死ぬぅぅぅぅ!!!!」グググ…
ゴシャアアアアアア……。
まほうおばばの群れ「しねえええええええwwwwwww」ギュワン
魔法使い「う……もうだめですわぁ……!」
ガルーダの群れ「きょおおおおおおwwwwww」ガンダルフッ
賢者「(;^q^) ……ここまでか」
???「……よく耐えぬいてくれたな。強く気高い乙女たちよ」カッ
779 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:15:18.35 ID:A+uwSwyr0 [21/27]
まほうおばばの群れ「ぎいいいいやああああ!!!?」ブロンダフッ
ガルーダの群れ「くぎゅううううううううううううううう!!!!」クギミヤッ
魔法使い「なっ!?」
賢者「(;^q^) なんだ、今の光は……!?」
勇者「魔物の群れを一撃で……!?」
武闘家「いったい……?」
???「お前たちが時間を稼いでくれたおかげで、我らの真の力を解放することが出来た」
???「ここからは俺たちに任せときな、じゃじゃ馬ハニーちゃんたち」
???「さぁ……!」
782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:17:46.06 ID:A+uwSwyr0 [22/27]
カーニバル
船乗りA~D「殺戮の宴の幕開けだ」
784 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:25:47.56 ID:A+uwSwyr0 [23/27]
船乗りA「」ヒュンッ
極楽鳥「なっ、消え……」
船乗りA「遅い」ガッ
極楽鳥「ぐばあああ」バン!
まほうおばば「な、なにを」
船乗りA「どこを見ている」ガッ
まほうおばば「ぐはあ!?」バン!
船乗りA「」ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン
勇者「な、なんて速さだぁぁぁぁ! 空中を飛び回りながら1秒に十匹のペースで!!」
勇者「しかも拳だけで!! 魔物の群れを蹂躙してやがるゥ~~~!!!?」
789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:37:32.99 ID:A+uwSwyr0 [24/27]
船乗りB「心の痛みを知らぬモノめ!」
船乗りB「奥義!! ボイドエクストリーム!!!!」ガッ
ガルーダの群れ「ぬわあああああああああ!!!?」パパスッ
船乗りB「冷厳なる氷剣の儀式!」
船乗りB「奥義! アイシクルディザスター!!!!」カッ
スカイドラゴン「あんま痛くないや」スカッ
勇者「船乗りBの剣技も船乗りAの拳に負けてはいないぞぉぉぉぉ~~~!!!!」
勇者「だけど何故か二発目の剣技だけはよええええええええええええ!!!?」
792 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:44:36.67 ID:A+uwSwyr0 [25/27]
船乗りC「ザラキ!」
スノードラゴンの群れ「ぎゃらんどおおおおおおお!!!!」ポロロッカ
船乗りC「ベギラゴン!」
キメラの群れ「ぬるぽっ!!!?」ガッ
船乗りC「バギクロス!」
メイジキメラの群れ「はあ」ガッ
船乗りC「イオナズン!」
まほうおばば「ふう」ガ
勇者「普通だァァァァァァァァァァァ!!!?」
793 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:46:44.67 ID:A+uwSwyr0 [26/27]
船乗りD「」ピクピク
スノードラゴン「うはwwwwwwwこいつテラよわすwwwwwwwww」ゲシゲシ
スカイドラゴン「やっちまえやっちまえwwwwwwwwwwwww」ゲシゲシ
勇者「よええええええええええええええええええええええ!!!?」
797 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/12(月) 23:52:11.08 ID:A+uwSwyr0 [27/27]
勇者「……」
船乗りA「はぁはぁ……げぇほげっほげっほおえええええ!! はぁはぁ……つ、疲れた……もう死ぬ……」
船乗りB「お、俺ももうダメポ……」グッタリ
船乗りC「メラゾーマ!」
メイジキメラ「マホカンタwwwwwww」カキン
船乗りC「ぐぎゃああああああああああああ!!!!」ジュワ
船乗りD「」
勇者「……」
勇者「こいつら使えね」
802 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:04:13.44 ID:0kc2Ud+H0 [1/37]
勇者「クッソ! ほんといらない描写だぞ船乗りのくだりは!?」グググ…
船乗りA~D「フヒヒwwwwwwwwwサーセンwwwwwwwwww」
勇者「しかもわたしはまだ武闘家引き上げてないしね!! 馬鹿か!!!!」グググ…
武闘家「大声で突っ込んでる力をこっちにまわせばよかったのにぃ……」
魔法使い「ああもう! 結局わたしたちで処理しなきゃいけないんですの!?」
賢者「(^q^) ……そのひつようはないのれすwwwwww」
魔法使い「え?」
賢者「(^q^) かれらがむだに時間をかせいだおかげで、もう魔王城の目の前まできたのれすwwwww」
ごごごごごごご……。
803 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:10:47.36 ID:0kc2Ud+H0 [2/37]
スカイドラゴン「うわwwwwwwwやっべwwwwwwwww」
スノードラゴン「魔王城に近づけんなって命令されてたのにwwwwwwwwwww」
キメラ「うっかりうっかりwwwwwwwwwwwwwてへwwwwwwwwwwww」
ごごごごごごごごごご……。
勇者「よ、よし! こうなりゃゴリ押しだ!!」
武闘家「へ?」
魔法使い「ゴリ押しって?」
勇者「なんかもうグダグダだしこのまま魔王城に突っ込むぞ、船ごと!!!!」
魔法使い「えええええええええ!!!?」
賢者「(^q^) おぎゃwwwwwwみwwwwwなwwwwwぎwwwっwwwてwwwwきwwwwwたwwwww」
勇者「みんな! いくぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
807 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:19:34.59 ID:0kc2Ud+H0 [3/37]
一方 魔王城 ベランダ
バラモス「ううん、清清しい朝だなぁ」キラキラ
バラモス「こういう良い天気の日はベランダでゆっくりと読書するに限るね」
バラモス「おっと、それと熱くて苦いコーヒーも忘れちゃいけない」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「おや、小鳥さん? こんな所に迷い込むなんて珍しいね」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「ふふふ、可愛い小鳥さんだ」
バラモス「よし、決めたぞ。君は今日から僕のペットだ」
バラモス「名前はそうだな……トンヌラなんてどうだろう?」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「そうか気に入ったか。はははは」
814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:26:06.25 ID:0kc2Ud+H0 [4/37]
ごごごごごごごごご……。
バラモス「……おや? なんだろう、この音は……」
小鳥「チュンチュン」
バラモス「空から……?」チラッ
勇者「どけェェェェェェェクソ野郎どもォォォオォォォ!!!!」ゴオオオオオオオオ
魔法使い「うきゃあああああああああああ!!!!」
賢者「(^q^) ぱしへろぉぉぉぉんだぁぁぁぁぁすwwwwwwwwwwwww」
武闘家「あわわわわわわわ!!!!」
船乗りA~D「バラモスさんおじゃましまーっすwwwwwwwwwwwwwww」
バラモス「う、うひゃああああああああああああああああああ!!!?」
815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:29:22.23 ID:0kc2Ud+H0 [5/37]
::::::::::::::::::::::::...... ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
γ ⌒ ⌒ `ヘ
イ "" ⌒ ヾ ヾ ウギャァァァァァァァァ.....
/ ( ⌒ ヽ )ヽ
( 、 , ヾ )
................... .......ゞ (. . ノ. .ノ .ノ........... ........
:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....| |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
_ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''! i;;;~-ヽ_ii_i=n_ [l h__
/==H=ロロ-.γ ,~ー'''l ! |'''ーヾ ヾ 「!=FH=ロロ
¶:::-幵-冂::( ( |l | ) )=HロΠ=_Π
Π=_Π「Ⅱヾ、 ⌒~"""''''''⌒~'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
Д日lTl,,..:''''" ""'''ー-┬ーr--~''"" :::Д日lT::::
FH=n.:::::' | | :::FL日l」:::::
ロΠ=:::::.:. ノ 从 ゝ .::田:/==Д::
口=Π田:::. .::::Γ| ‡∩:::::
Γ| ‡∩Π::.... ...:::Eヨ::日lTlロ::::
Д日lTlロ_Π::::....... ...::::::::田:凵Π_=H:::
=Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl
821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:38:52.60 ID:0kc2Ud+H0 [6/37]
ぱらぱら……。
勇者「いたた……! み、みんな無事か!?」
魔法使い「な、なんとか……」
賢者「(^q^) あうあーwwwwww」
武闘家「……はからずも命拾いしちゃったわね」
船乗りA~D「奇跡ktkrwwwwwwwwwwww」
スノードラゴン「おいwwwwwwwどうすんだよwwwwwwwwwあいつら魔王城にwwwwwwww」
スカイドラゴン「しらねwwwwww俺の責任じゃねーしwwwwwww」
ヘルコンドル「怒られんのいやだしさっさと逃げよーずwwwwwwwwwww」
まほうおばば「だなwwwwwwwwww」
823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:45:25.76 ID:0kc2Ud+H0 [7/37]
勇者「よっしゃ。それじゃ早速諸悪の根源をぶっ殺しに……」
ぐに。
勇者「……ん? なんか踏んだ……?」
バラモス「」
勇者「…………」
魔法使い「……」
賢者「(^q^) ……」
武闘家「……」
勇者「……え? いや、まさか、え? 魔王が、え? ……まさかそんなwwwww」
魔法使い「……」
勇者「……」
勇者「……激しい戦いの末……ようやく魔王を討ち取ったな」
827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:52:55.60 ID:0kc2Ud+H0 [8/37]
魔法使い「む、むなしすぎますわね……」
賢者「(^q^) おぎゃ……」
武闘家「…………」
勇者「世の中こういうものだよ……ドラマチックにはいかないものさ」
船乗りA~D「ですねwwwwwwwwwww」
何はともあれだ。
これでわたしの使命からようやく開放される。
これからは……普通の女として、誰にも邪魔されずニート生活を満喫できるんだ!
勇者「……長居は無用だな」
魔法使い「ええ……」
勇者「それじゃ……」
勇者「とっとと帰るとしm」ブシュッ
830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 00:56:29.58 ID:0kc2Ud+H0 [9/37]
勇者「……え?」ドクドク
???「それは叶わないわ……だって、貴女は」
武闘家「ここで、死ぬんですもの」
833 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:02:24.92 ID:0kc2Ud+H0 [10/37]
魔法使い「ゆ、勇者ァァァァ!!!?」
賢者「(;^q^) 馬鹿なッ!? 貴様、気でも違えたか!!!?」
武闘家「……」
な、なんだ? 何がどうなってる?
どうして武闘家の右手が、わたしのお腹に突き刺さって……!?
勇者「ごふっ……ぶ、武闘家……な、なんで……?」
武闘家「……」
小鳥「ククク・・・ご苦労だったな、武闘家よ」
838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:14:21.68 ID:0kc2Ud+H0 [11/37]
賢者「(;^q^) ッ!!!?」
魔法使い「ッ……こ、小鳥が喋って……!?」
小鳥「貴様に仕事を依頼して正解だったよ。良い働きをしてくれて嬉しいぞ」
武闘家「……ありがたきお言葉、感謝いたします。ゾーマ様」
勇者「ゾー……マ?」
誰だよ、そいつ。初めて聴く名前だぞ?
おい……なんとか言ってくれよ、武闘家。
小鳥「ククク・・・驚かせてすまないね、諸君・・・我の名はゾーマ・・・」ゴゴゴゴゴ
ゾーマ「全ての生けとし生きる者どもを統べる、真の魔王・・・大魔王よ・・・」
840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:29:49.82 ID:0kc2Ud+H0 [12/37]
賢者「(;^q^) だい……まおう……だと?」
ゾーマ「左様。そして貴様らが仲間だと信じていたそこの女は・・・我の忠実なる僕よ・・・」
魔法使い「そんな! あ、貴女……ずっとワタクシたちを騙していたんですの!?」
武闘家「……」
勇者「うそ……だよな、武闘家……? そんなわけ……」
武闘家「……嘘なんかじゃないわ。全て本当の話よ」
勇者「あ……」
武闘家「あたしの元にね。貴女と初めてレーベの村で出会う直前、ゾーマ様の幻影が赴いてくださったの」
武闘家「ゾーマ様はおっしゃったわ」
武闘家「もしあたしが、魔王城まで勇者を成長させないまま連れてこれたなら」
武闘家「なんでも思うがままの褒美を授けてくださると」
844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:39:40.71 ID:0kc2Ud+H0 [13/37]
武闘家「苦労したわ。なんといっても貴女、すごく弱いから」
勇者「……」
武闘家「ここまで辿りつけるギリギリの経験をつませなくちゃいけなかった」
武闘家「結果としてギガデインを覚えるくらい経験を与えてしまって、少し不安だったのだけど……」
ゾーマ「いや、上出来だ。これなら・・・確実に我の手でこやつの息の根を止めることができる・・・」
武闘家「それは良かったですわぁ……うふふ」
……武闘家。
気に入らないやつだったけど、わたし……そこそこ共感してたんだけどな。
自分の利益しか求めないその生き方は。
でも……結局これか。
846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 01:51:02.11 ID:0kc2Ud+H0 [14/37]
魔法使い「そんな戯言なんかどうでもいいですわ! その薄汚い手を……!」
武闘家「ん?」
魔法使い「勇者から離せええええええええええええ!!!!」カッ
魔法使いのひのきの棒から目映いばかりの閃光がほとばしり、小さな火の玉がこちら側に飛んでくる。
……メラミか。どうしてそんなちゃちな呪文を? わたしを傷つけまいと? でもそれじゃあ……。
武闘家「悪いけど……離すわけにはいかないわ」ヒラリ
武闘家に命中するわけがない。
魔法使い「クソッ! 貴女……!!」
――ブシャァ!
849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:09:33.11 ID:0kc2Ud+H0 [15/37]
魔法使い「――カ……ハッ……!?」ボタボタ
ゾーマ「・・・些か、騒ぎすぎだぞ・・・小娘・・・」
勇者「まほ……つかい……そ、そんな……いやぁ!!」
いつの間にか魔法使いの背後に回りこんでいたゾーマ。
やつはどういう手段を用いたのか、一瞬にして魔法使いの両手両足を切断し、
最後に左腕で彼女の胸を背中から一気に貫いてしまった。
魔法使い「こ、の……外道が……!」
ゾーマ「ほう・・・こんなになってもまだ生意気な口を利けるだけの余裕はあるか」
馬鹿な。そんな余裕、魔法使いには残ってない。
絶え間なく、肢体の至る箇所から飛び散る鮮血。
口からも、喘ぎ声を喉から搾り出す度に、ポンプのように血反吐が沸いて出る。
すぐ背後にいるゾーマに憎悪の視線を送りたくても送れないその目からは、
わたしと殺し合いした時にすら見せたことのない涙がとめどなく溢れていた。
こんなのを見て尚も余裕そうだと言ったゾーマ。狂ってやがる。
852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:22:54.36 ID:0kc2Ud+H0 [16/37]
船乗りA「おいこれ……やべえ、まじやべぇぞ?」
船乗りB「は、はやく逃げっ」
――ボシュン!
ゾーマ「おいおい・・・仲間がこんなに苦しんでるのに随分と薄情ではないか?」
ゾーマ「・・・と、説教した所でもう聞こえてないか。ククク・・・」
魔法使い「……ぞん……なっ……!」ドクドク
勇者「ひど……すぎる……!」
逃げようとした船乗りの4人へ、ゾーマは残っていた右手から極大の炎を放った。
刹那、青白い閃光で視界がさえぎられ、気づいた時には彼らの姿が跡形もなく消え去っていた。
858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:34:10.43 ID:0kc2Ud+H0 [17/37]
魔法使い「う……うう……!!」ポロポロ
ゾーマ「ククク・・・さて、貴様の処遇は如何にしようか・・・」
勇者「やめ……ろ……もうやめてくれ……!」
ゾーマ「おお、そうだ! 遺言! 仲間の一人に遺言を残すといい!」
魔法使い「ゆ……い、ごん……?」
ゾーマ「そうだとも・・・嗚呼、我はなんと心優しいのか! さあ、誰に言葉を残したい!?」
ゾーマ「そこで戦意を失ってへたりこんでる情けない障害者か!」
賢者「(;^q^)」
ゾーマ「それとも貴様らを我に売った卑しい性根の娼婦にか!」
武闘家「……」
ゾーマ「もしくは・・・・・・」
魔法使い「…………ゆ……しゃ……」
859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:39:32.23 ID:0kc2Ud+H0 [18/37]
ゾーマ「んん?」
魔法使い「ゆう……しゃ……! ゆうしゃ……に……!」
勇者「な、なに言ってんだ馬鹿……! そいつの言いなりになんて」
武闘家「貴女は黙ってなさい」ジュプ
勇者「ぐああああああ!!!?」
ゾーマ「ほほう? 勇者に残したいか。いいだろう、好きなだけ残すといい・・・さあ・・・!」
863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 02:50:24.55 ID:0kc2Ud+H0 [19/37]
勇者「ま、魔法使い……だいじょう、ぶ……なんとかなるから……遺言なんて、馬鹿なこと……!」
魔法使い「ゆうしゃ……ああ! ゆうしゃ、ゆうじゃゆヴじゃゆうしゃ!!」ゴボゴボ
勇者「ま、まほう……つか……」
魔法使い「ワタク、シ……! はじめて、貴女と……お会いした、ときから……!」
魔法使い「ずっと……っずっと貴女のことが……好きだった……!!」
勇者「ッ!」
魔法使い「ひとめ……ぼれ、でしたわ……女なのに……こんな……」
魔法使い「こんな想いが……じょうじゅ、するわけないと……ずっと、胸に秘めてきましたが……」
魔法使い「……今、言わなきゃ……もう二度と……伝えられ、ま、せん……から……だから……!」
868 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:01:37.33 ID:0kc2Ud+H0 [20/37]
ゾーマ「ははは! 死ぬ間際に愛の告白とは! 素晴らしいじゃないか!!」
魔法使い「……」
ゾーマ「ククク・・・どうだ? 今の我は機嫌がいい。特別に勇者と接吻させてやっても・・・」
魔法使い「ッ! さ、させてぐだざいまじ!! キス! キスを、どうか!!」
魔法使い……なんで、なんで、こんな形で告白なんかするんだよ……。
こんなの……いやだ……!
ゾーマ「ほら、このくらい近くならいいだろう」
魔法使い「ああ……勇者の、唇が……こんなに、近くに……」
勇者「魔法使い……やめろ……! こんなの、駄目だ……!」
血反吐を撒き散らしながら恍惚の表情でわたしを見つめる魔法使い。
いやだ……こわい……! こんな魔法使い、わたしは……!
872 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:13:47.90 ID:0kc2Ud+H0 [21/37]
魔法使い「……おねがいですわ……! ワタクシを、どうか受け入れてくださいまし……!」
勇者「魔法使い……でも、でもわたしは……!」
魔法使い「どうせ ……どうせこの状況は……覆せないんですの。……死ぬん……ですの……みんな」
勇者「あ……」
魔法使い「勇者も、もう、あきらめて……すなおに……なって……」スッ
勇者「魔法使い……」
魔法使い「……死んでもずっと、愛していますわ……勇者……」
ああ、近づいてくる。魔法使いの唇が。
綺麗だ、魔法使い。とっても綺麗。あともう少しで触れ――。
874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:15:55.43 ID:0kc2Ud+H0 [22/37]
ゾーマ「はいそこまで~」
――ボシュン!
879 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:24:34.06 ID:0kc2Ud+H0 [23/37]
勇者「……あ」
……あと少しだったのに。本当にあと数ミリ先だったのに。
彼女の唇とわたしの唇が重なる直前……彼女は青白い炎に呑まれて目の前からいなくなってしまった。
チリ一つすら残さず。
彼女がいたという証も残さず。
ゾーマ「ククク・・・これだよ。この表情だ」
ゾーマ「勇者・・・その絶望に歪んだ顔・・・」
ゾーマ「たまらなく・・・いいっ・・・最高だっ・・・!!」
ゾーマが何かほざいてるが、もう何も感じない。
麻痺した。なにもかもすべて。
882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:29:48.12 ID:0kc2Ud+H0 [24/37]
ゾーマ「ククク・・・さてさて、お次は貴様だが・・・」
賢者「(^q^)」
賢者「(^q^) あうあ?」
賢者「(^q^) どこなのれすかここはwwwwwwwwww」
賢者「(^q^) あうーwwwwwwおうちにかえりたいのれすwwwwwww」
賢者「(^q^) うあ? ゆうしゃwwwwwwwwおなかがへんなのれすwwwwwwww」
賢者「(^q^) いたいのやなのれすwwwwwwゆうしゃwwwwwwあうあうあwwwwww」
883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:35:10.94 ID:0kc2Ud+H0 [25/37]
ゾーマ「・・・絶望のあまり壊れたか」
賢者「(^q^) うあーwwwwwゆうしゃwwwwwwだいすきなのれすwwwwwww」
勇者「……賢者……ごめんな……ごめんな……」
ゾーマ「これではいたぶって楽しむこともできんな・・・簡単に処理するか」
賢者「(^q^) ゆうしゃwwwwママwwwwwずっといっしょなのr」
――ボシュン!
890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:44:13.14 ID:0kc2Ud+H0 [26/37]
賢者。ああ、なんて可哀想な賢者。
あんなに聡明な素顔を持っていたとはいえ、まだ破瓜の憂いも味わっていないような子供だったのに。
ああ、賢者。痛みなく逝けたのかな。心配だな。
えへへ……でも大好きだってさ。わたしのこと。
なんかこそばゆいなぁ。ママっだって。柄じゃないなぁ。
ママだったら魔法使いのほうが向いてるのに。ねえ魔法使い?
って、そうか。もう逝っちゃったんだよね魔法使いも。
ひどいなぁみんな。わたし一人だけ置いてっちゃって。
あ、でも武闘家はまだいたのか。
ねぇ武闘家、貴女もひどいと思わない?
ねぇ……。
893 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 03:53:47.00 ID:0kc2Ud+H0 [27/37]
勇者「」
ゾーマ「・・・つまらんな。精神を失った人間を弄っても面白くもなんともない」
武闘家「……」
ゾーマ「まあよい。さてと、悲願であった勇者殺し、今こそこの手で・・・」
武闘家「待ってください、ゾーマ様」
ゾーマ「・・・む? どうしたのだ、武闘家よ」
武闘家「この娘を殺す前に、あたしの欲しい報酬を先に聞いていただきたいのです」
ゾーマ「・・・・・・ククク、いいだろう。貴様とは身体も交えた仲だからな」
武闘家「ありがたき幸せでございます」
ゾーマ「それで・・・貴様の欲しい代物とはなんだ? 金か? 男か? 永遠の美貌か?」
武闘家「あたしの……」
武闘家「あたしの欲しいものは――」
897 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:03:53.47 ID:0kc2Ud+H0 [28/37]
――――。
勇者「……」
ここはどこだろう?
さっきまでわたしは、ゾーマとかいうやつに仲間を殺される様を見せられていたはずだ。
とすると、ここはあの世?
眼前には牢屋のような鉄格子。
床は人間のものとおぼしきしゃれこうべがぎっしりと敷き詰められ、
天井からは首のない妙な生き物の身体が無数に吊るされている。
ここがあの世だとすれば、地獄?
少なくとも天国にはとうてい見えない。
899 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:12:48.24 ID:0kc2Ud+H0 [29/37]
勇者「……う」
よく観察すると、わたしの身体には至る所に銅錆びた鎖が打ち付けられていた。
両手、両足……乳首に、陰茎。
ここでようやく、自分が一糸纏わぬ恥ずかしい姿をさらしていることに気づくが、
不思議と羞恥心はあまり沸いてこなかった。
それよりも自分がどういう状況に置かれているのか?
そのことに対する不安や恐怖のほうが大きく勝っていたのだ。
勇者「うあ……なによ、これぇ……!」
904 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:24:02.14 ID:0kc2Ud+H0 [30/37]
武闘家「あらあら……ようやく目を覚ましてくれたのねぇ」
勇者「ッ! ぶ、武闘家……!?」
静まりかえった牢獄に響き渡る、女郎の妖しい囁き声。
声のした方に目をやらなくてもはっきりと分かった……武闘家だと。
勇者「……あんた……よくも、よくもみんなを!! チクショウ、ぶっ殺して……!」
――ジャラ。
勇者「ひあっ!?」ビクン
武闘家「もう、そんなにカッカしないのぉ。大人しくしてなさぁい……」ジャラジャラ
全身に稲妻のように走る異常な快感。
身を悶え、涙目になりながらも武闘家を睨みつける。
どうやらわたしに打ち付けられてる鎖の先を、あの女が両手に束ねて握っているようだ。
905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:32:22.82 ID:0kc2Ud+H0 [31/37]
勇者「あ、あんた……わたしに何がしたいのよ……!?」ビクンビクン
武闘家「ん~? どういうことかしらぁ?」
勇者「あたしをッ! 殺すんでしょ! さっさと殺しなさいよ……殺してよ!!」
そうだ。いつまでも生きていたって仕方ない。
早くわたしはあの世に逝って、賢者や魔法使い、それに、幼女に……。
武闘家「残念だけど、それは無理な相談ねぇ」
勇者「どうしてッ! ゾーマってヤツはわたしを殺したがってたはずじゃ……」
武闘家「そのことなんだけど……」
武闘家「わたし、ゾーマにお願いしたのよ」
武闘家「報酬は勇者がいい。勇者が欲しい……ってね。うふふ……」
909 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:41:40.57 ID:0kc2Ud+H0 [32/37]
勇者「……はぁ?」
武闘家「船で貴女に助けてもらった時にね……あたし……」
武闘家「貴女のことが大好きになっちゃったの」
武闘家「どんな手段を使っても構わないから」
武闘家「貴女をあたしだけのものにしたいと、そう切望しちゃうほどにね」
……武闘家、お前は……何を……?
武闘家「ゾーマは最初、その申し出を断ろうとしてたけど」
武闘家「あたしが『万が一転生した場合のことを考えて、生かさず殺さず手の内に飼っていたほうがいい』」
武闘家「なーんてもっともらしいこと言ったら、あっさり承諾してくれたわ」
武闘家「大魔王といえども間抜けよねぇ……うふふふふ」
911 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 04:53:59.00 ID:0kc2Ud+H0 [33/37]
……病んでる。
武闘家。あんた、病みすぎだよ。
勇者「狂ってる……」
武闘家「あはは! あたしの人生は初めっから狂いっぱなしよぉ!!」ジャラ
勇者「あッ!!」ビクン
武闘家「勇者……ああ、勇者勇者勇者!!!!」ジャラジャラ
勇者「やっ……ふあああ!!!!」ビクビク
武闘家「貴女の存在は……そんな狂いっぱなしの人生の中で、ただ一つの僥倖だったわ……」
武闘家「もう絶対に手放さない……」
勇者「う……あ……」
武闘家「わたしはずっと貴女を愛し続けるから……だからそんな悲しそうな顔しないで……」
――ちゅ……。
912 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:01:35.18 ID:0kc2Ud+H0 [34/37]
勇者「……んぅ……ふぁ……!」
武闘家「はむ……ん……」
……なんていう口付けだろう。
あの時、死ぬ間際に彼女がしてくれた優しいキスとは全然違う。
沈んでしまうほど深くて、痛くなるほど暴力的で。
……そして、泣きたくなるほど悲しい味がする。
武闘家「んぁ……ゆ、うしゃ……」
勇者「は……う……ぶとう、か……」
武闘家「……大切に、するから……ずっと……」
勇者「あ……」
914 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:10:39.52 ID:0kc2Ud+H0 [35/37]
――どこでどう間違えてしまったのだろう。
わたしがニートじゃなければよかったのか。
ルイーダに素直に男の仲間を斡旋してもらってればよかったのか。
ポルトガで船を買えないとわかった時点ですぐ引き返せばよかったのか。
ジパングに寄らなければよかったのか。
そもそもわたしがいなければよかったのか。
いずれにせよ、これはどうなのだろう。
ハッピーエンド? バッドエンド?
どっちかと言えばバッドエンドだが、見方によってはハッピーエンドに見えなくもない。
物語的にはバッドエンドだが、百合的にはハッピーエンド?
いや百合的にもバッドエンドかもしれない。
ああ、ともかくこれからずっと武闘家に飼い殺されるのか。
どうだろう……武闘家は優しくしてくれそうだから大丈夫だと思うけど……。
あー、うん……でもなぁ、なんだかんだいっても、やっぱりわたし……。
915 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:12:47.44 ID:0kc2Ud+H0 [36/37]
――死にたい。
916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/13(火) 05:14:56.34 ID:0kc2Ud+H0 [37/37]
―― THE END ――
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