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明久「美波とデート!?」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:01:26.75 ID:jqQkh02b0 [1/58]
明久「どうしたの美波?」
美波「アキ、ちょっと屋上に来て」
明久「え?何で」
美波「話があるのよ」
明久「話って、ここじゃ駄目なの?」
美波「……いいから来なさい。先行ってるから」スタスタ
明久「行っちゃった……」
明久「美波が屋上に呼び出しって、どう考えてもあれだよね……」
明久「どうしたの美波?」
美波「アキ、ちょっと屋上に来て」
明久「え?何で」
美波「話があるのよ」
明久「話って、ここじゃ駄目なの?」
美波「……いいから来なさい。先行ってるから」スタスタ
明久「行っちゃった……」
明久「美波が屋上に呼び出しって、どう考えてもあれだよね……」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:04:21.12 ID:jqQkh02b0 [2/58]
『島田が屋上で話?』
『吉井の奴、一体何やらかしたんだ?』
『くわばらくわばら』
秀吉「明久、お主また何かやらかしたのか」
明久「特に心当たりはないんだけどなあ」
雄二「じゃあな明久。お前とはここでお別れのようだ」
明久「そんな大げさな。美波だって手加減してくれると――」
雄二「今までの事を踏まえてもか?」
明久「うーん…………」
明久「…………駄目かもしれない……」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:06:45.34 ID:jqQkh02b0
ムッツリーニ「…………お前の事は忘れるまで忘れない」
明久「ムッツリーニ、それはすぐにでも忘れられるという事だよね?」
瑞希「美波ちゃん、一体何の用事でしょうか?屋上って事はここじゃ話せないみたいですけど」
明久「何だろうね?とりあえず行ってみるよ」スクッ
秀吉「明久、謝罪には誠意を見せるのじゃぞ」
雄二「安心しろ。お前の聖典(エロ本)は俺が責任を持って処理しておく」
ムッツリーニ「…………俺も手伝う」
明久「何で事後処理の話になってるのさ!?」
瑞希「あ、明久君!」
明久「何?姫路さん」
瑞希「そ、その時は、私も一緒に行きます!」
明久「やめて!行っても何も面白くないよ!?」
瑞希「いえ、確かに面白くはないかもしれませんが、そのままだと明久君が浮かばれません!」
明久「女の子に自分のエロ本見られる方が浮かばれないから!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:08:32.18 ID:jqQkh02b0
屋上
明久「お待たせ、美波」
美波「来たわね」
明久 スッ
美波「? 何してるのアキ?いきなり土下座なんて」
明久「どうか命だけは勘弁してください」
美波「どういう意味よ?」
明久「思い出せないけどきっと僕がまた胸が薄いとか言っちゃってええぇぇええ!!!」
美波「ウチの胸が何だって?」グググッ
明久「ああぁぁああ関節が!関節が増えるうう!!!」
>>5
つ原作3巻
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:13:10.61 ID:jqQkh02b0
美波「いい加減に学習しなさいよね!」
明久「しますします!今度からは気を付けますから勘弁してください!」
美波「全く。どうしてアキはそうデリカシーがないのかしら」パッ
明久「痛た……そうは言われても事実なんだから仕方なああぁぁ痛いいぃぃ!!!」
美波「また骨をきしませたいのかしら?」ミシミシ
明久「もうきしんでる!もうきしんでるからやめて!」ミシミシミシ
美波「はい」パッ
明久「……はぁ。危なかった、本当に命を持ってかれる所だった」
美波「大げさよアキ。ちゃんと手加減してるんだから」
明久(手加減してあれか……本気だったら確実に持ってかれるなあ。気を付けないと)
明久「ところで、僕に話って?」
>>8
君なら描けるよ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:18:49.71 ID:jqQkh02b0
美波「あ、そ…その事なんだけど……」
明久「?」
美波「あ…あのね…その――」モジモジ
明久(美波が急にしおらしくなった?)
美波「つ、付き合って欲しいの!」
明久「はい!?」
美春『はい!?』
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:23:19.00 ID:jqQkh02b0
明久「み、美波。それってもしかして……」
美波「あの…えっとね……実はもうすぐ葉月の誕生日で」
明久「ん?葉月ちゃん?」
美波「そう。あの娘の誕生日が近くって、それで何かプレゼントしたいなって思って」
明久「……えっとつまり……どういう事?」
美波「だから、買い物に付き合って欲しいなって……アキ、気のせいか落ち込んでいるように見えるのはどうして?」
明久「……何でもないよ。何でもないんだ……」
明久「要するに、僕に葉月ちゃんのプレゼント選びを手伝ってという事だね」
美波「まあ、そんなとこね」
明久「でも、それならわざわざここで言わなくてもいいと思うんだけど」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:28:36.25 ID:jqQkh02b0
美波「そ、それはあれよ!他の皆にまで気を遣わせる訳にはいかないし、アキが皆の中で葉月と一番仲が良いし」
明久「ああ。なるほどね」
美波「な、納得してくれた?」
明久「うん。でもそっか、誕生日かあ。この事葉月ちゃんに言ったの?」
美波「言ってないわよ。びっくりさせようと思って」
明久「……二人とも本当に仲が良いんだね」
美波「ええ。だって姉妹だもん。でも、アキのとこには負けるかも」クスッ
明久「ははは……。僕の所はちょっと一般家庭とは違うような……」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:34:34.86 ID:jqQkh02b0
美波「何でよ。玲さん普通の良いお姉さんじゃない」
明久「美波から見たらそうなんだろうけど、弟としてはもっと良識を持ってほしいというか何と言うか」
美波「そう?少しスキンシップが過剰なだけで、あとは弟想いの良いお姉さんだと思うんだけど」
明久「美波は普段の姉さんを知らないからそんな事を言えるんだよ。いきなりマウント取られて殴られたり、ビンタされたり」
美波「でも嫌いじゃないんでしょ。玲さんの事」
明久「美波、ここでその質問を投げかけないでほしい」
美波「嫌いじゃないんでしょ。殴られるの」
明久「嫌いだよ!痛いのが好きなわけないじゃないか!」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:38:47.37 ID:jqQkh02b0
美波「そうだったの?事あるごとに罰を受けてるからてっきりわざと受けてると思ってたわ」
明久「僕にそんな特殊な性癖はない!」
美波「坂本が好きなのに?」
翔子『……!』
優子『どうしたの代表?』
翔子『……嫌な感じ』
愛子『きっと、またFクラスで吉井君と坂本君が絡み合ってるんだよ?』
優子『!』
翔子『……ちょっと確認に行ってくる』ガタッ
愛子『ボクも行ってみよっと』ガタッ
優子『……わ、私も。ひ、秀吉が何かやらかしてないか心配だわ』ガタッ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:45:29.06 ID:jqQkh02b0
明久「雄二なんか嫌いだよ!」
美波「じゃあ、メイド服着たりしてるのは何で?」
明久「いつも着てる訳じゃないよ!」
美波「その言い方だとたまに着るみたいね……」
明久「着ないよ!誤解しないで!たまに姉さんが着せようとしてくるけど……」
美波「安心してアキ。案外アキのメイド服姿、似合ってるから」
明久「全然嬉しくない情報だ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:49:39.56 ID:jqQkh02b0
美波「私はアキが同性愛者でマゾヒストで女装癖持ちでも上手くやっていける気がするわ。……距離を置いて」
明久「それは遠回しに無理って事だよね!?」
美波「冗談よ。アキがそんな人間じゃないって分かってるわ。一割嘘が混じってるだけで――」
明久「違う!全部嘘!間違ってしかいないよその情報!」
美波「でもねアキ」
明久「な、何さ。まだ何か僕のおかしな話があるの?」
美波「――殴られるとかは関係なしに、玲さんの事、嫌いじゃないんでしょ」
明久「………」
明久「まあね」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:52:09.61 ID:jqQkh02b0
――――――――――
休日 午前
明久(美波との約束の日が来た。今まで姉さんには行く事を黙っていたけど、さてどういった言い訳で出ていこう)
玲「あら。アキ君お出かけですか?」
明久「ま、まあね」
玲「誰とですか」
明久「……待って姉さん。何で行き先を訊かないの?」
玲「何処へ行くにしても、誰と一緒かが重要だと思いませんか?」
明久「何か物凄く良い事言ったような気がする!?」
玲「ちなみに私はアキ君と一緒に新婚旅行に行きたいです」
明久「姉さんが何か言ったけど気のせいだよね。新婚旅行とか聞こえたけど気のせいだよね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:55:08.70 ID:jqQkh02b0
玲「やはりアキ君的には海外が良いのでしょうか?それとも国内?」
明久「姉さん……寝言は寝て言おう?」
玲「……まだ日が高いのですが、アキ君がそう言うなら仕方ありません」スクッ
明久「あれ?姉さん本当に寝るの?」
玲「アキ君が寝ようと言ったのではないですか」
明久「その言い方だと、僕が誘ったみたいに聞こえるんだけど……」
玲「何言ってるんですかアキ君。アキ君が誘ったのではないですか」
明久「誘ってないから!仮に寝るのだとしても兄弟では一緒に寝ないから!」
玲「ああ、シャワーが先と言う事ですね」
明久「姉さんが何を言ってるか全然分からない!」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:57:51.44 ID:jqQkh02b0
玲「良いんですよアキ君。姉さんに身も心も任せてくれれば」
明久「あー!あー!あー!」
玲「発声練習ですか?アキ君は別にあえ――」
明久「ストォォップ!!!あんた何言う気!?」
玲「所でアキ君。本当に誰と何処へ行くのでしょうか?」
明久「誰とが確定してるのはどうして!?」
玲「何故か服装に気合いが入っているように思えるからです」
明久「そんな事はないよ姉さん。いつも通りの格好じゃないか」
玲「んー。なんとなくですが、割と仲の良い異性の同級生に買い物に付き合ってと言われ『まあ、あいつだし
適当な格好でいいか……でも、あいつも一応女だしなあ……』と悩んで、結局少しおしゃれな格好で待ち合わせ
場所に行くことにした男子高校生のような格好ですよ」
明久「………………そんな事はないよ」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:01:43.11 ID:jqQkh02b0
玲「まあ、アキ君はこの後私と一緒に激……寝る訳ですから関係ありませんよね」
明久「今の言い直した部分は何!?――やっぱり言わないで!聞いちゃいけないような気がする!」
玲「それは後でのお楽しみです」
明久「後で何があるの!?」
玲「それで、誰と行くのでしょうか?」
明久「スルー!?……いや、別に誰とってわけじゃないよ。ちょっと買い物に行くだけだよ」
玲「アキ君。アキ君は嘘をつくとき右上を見る癖があるのを知っていましたか?」
明久「え!?……い、いやだなあ姉さん。僕は嘘なんかついてないよ」
玲「アキ君が隠すという事は、もしかするとデートでしょうか」
明久「い、嫌だなあ姉さん。ぼくは普通に出かけるだけで」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:04:40.13 ID:jqQkh02b0
玲「デートの相手は誰ですか?瑞希ちゃん?」
明久「だから、一人だって」
玲「瑞希ちゃん?」
明久「……ち、違うよ」
玲「では、美波ちゃん?」
明久「ち、違うよ」
玲「では、秀吉君?」
明久「ち、違うよ」
玲「では、雄二君?」
明久「それはない!絶対にない!」
玲「では、康太君?」
明久「何でムッツリーニまで!?」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:12:51.85 ID:jqQkh02b0
玲「分かりました。デートの相手は雄二君ですね」
明久「何で一番あり得ない選択をしてるの!?」
玲「雄二君なら、姉さんは何も言う事はありません。さあ、どうぞ出かけて来てください」
明久「止めなよ!仮に雄二とデートだとして、どうして姉さんは止めないの!?」
玲「言ったはずです。不純同性交遊は許可しますと」
明久「違うからね、本当は――」
明久(ここでまた問答を繰り返してると時間に間に合わなくなってしまう。折角許可が出たんだ。姉さん相手なら後でだって弁解できるはず)
玲「本当は?」
明久「な、何でもないよ!でも、帰ってきたらちゃんと説明するからね!」ダッ
バタン!
玲「……美波ちゃんですか。帰ってきたら本当にちゃんと説明してもらわないといけませんね」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:15:04.10 ID:jqQkh02b0
―――――――――
集合場所
明久「おーい、美波ー」
美波「あ」
明久「ごめん美波、姉さんから逃げるのに手間取って」
美波「何で玲さんから逃げなきゃいけない状況になってるのよ……」
明久「色々と事情があってね。それより待った?」
美波「ううん。今来たとこ」
明久「それじゃあ行こうか」
美波「うん」
明久 ゾクッ
>>28
明久と雄二の絡みを見に行く理由(建前)って事で。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:20:51.88 ID:jqQkh02b0
明久「?」
美波「どうしたのアキ?」
明久「いや、なんかいやな予感が」
美波「気のせいじゃない」
明久「……そうだね。そういえば、具体的に何を買うのか決めてるの?」
美波「ぬいぐるみとかそういう物を考えてるんだけど」
明久「ぬいぐるみか……となると、やっぱりあそこかな」
美波「?」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:26:01.80 ID:jqQkh02b0
――――――――――
店員『いらっしゃいませー』
美波「へ~、なかなかいい雰囲気じゃない。良くこんなお店知ってたわね」
明久「ちょっと機会があってね」
美波「でも、ちょっと男子には入りづらいとこよね」
明久「ちょっとどころじゃなく入り辛いけどね。でも、ここなら葉月ちゃんの好みの物もあると思うよ」
美波「そうね。それにしても、本当にすごいな~。ぬいぐるみがたくさん……」
明久(美波の目がきらきらしてる)
美波「見て見てアキ、これ物凄く可愛い」
明久「本当だ。……そういえば、予算とかってどれくらいなの?」
美波「1万ね。そんなに大きな物を買う予定はないし。こう、ぎゅっと抱きしめて眠れるようなサイズが良いわ」ギュッ
明久「成る程ね。それなら値段もお手ごろだろうし」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:28:04.48 ID:jqQkh02b0
美波「あっ!こっちも可愛い」
美波「ああっ!これも良いなあ」
明久(なんか美波が完全に女の子って感じになってる。普段もこれなら、僕も痛い思いをせずに済むのになあ)
明久「………」
明久「あ、これ如月ハイランドのマスコットだ。もう商品化してるなんて商売する気満々だなあ」
明久「フィーとノインのストラップ二つで700円か。特別高いって訳でもないし僕はこれを買おうかな」
美波「ねえアキ!これなんかどう?」
明久「ん、どれどれ」
美波「これこれ!サイズも丁度いいし、ふかふかだし」
明久「いい感じだね。値段は……7000円か」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:30:13.89 ID:jqQkh02b0
美波「丁度いいでしょ!決めた!これにする!」
明久(なんか自分の事のように嬉しそうだなあ)
明久「……なんか美波がプレゼント渡されるみたいだね」
美波「え、そ、そんな事ないわよ!ウチは葉月に合うと思って」カアァァ
明久「姉妹同士で貸し借りとかもできるしね」
美波「う、ウチはそんなにぬいぐるみ好きじゃ――」
明久「とにかく、決まったのなら会計済ましちゃおうか」
美波「ちょ、ちょっと待って」
明久「? どうかしたの?」
美波「も……もうちょっとだけ、見てっていい?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:36:33.02 ID:jqQkh02b0
―――――――――――
店員『ありがとうございました~』
グゥ~
明久「そろそろお昼か」
美波「ね、ねえアキ。お弁当作ってきたんだけど食べる?」
明久「食べる食べる!食べさせていただきます!」
美波「そんなに喜ぶほどの物じゃないわよ」
明久「そんな事ないって。近くに公園があるからそこで食べよっか」
美波「ほんとにこの辺詳しいのね」
明久「昔から住んでる町だからね」
美波「そういえば、あんたと瑞希って同じ小学校なんだっけ。家も近いって」
明久「うん。だから、姫路さんもこの辺の事はある程度詳しいんじゃないかな
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:41:17.89 ID:jqQkh02b0
美波「そうでしょうね。アキが覚えてられるんだもん、瑞希が分からない訳ないわ」
明久「美波。あんまり人をバカ扱いしないでほしいな」
美波「ごめんごめん。つい本音が」
明久「全く。美波もみんなもボクをバカにし過ぎだよ」
美波「だからごめんって。……ほら、早く公園に行きましょう?」タタタッ
明久「ちょっといきなり走り出さないでよ。荷物持ってると走り辛いんだから」タタタッ
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:47:41.88 ID:jqQkh02b0
公園
明久「さて、今日のおかずは何かな~」
美波「そんな大層なもんじゃないわよ」
明久「大層な物じゃなくてもいいんだよ。美波の手料理は美味しいし」
美波「っ!?……べ、別に褒めたって何も出ないわよ!」カアァァ
明久「え?お弁当出ないの?」
美波「そ、そういう意味じゃないわよ!バカ!」
明久「またバカって言ったな!いくら美波でも今度ばかりは許さないぞ」
美波「許されないとどうなるのかしら?」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:49:16.98 ID:jqQkh02b0
明久「校内『彼女にしたくない女子』ランキングの順位を上げる」
美波「それは元々あんたのせいで上がったんでしょうが!」バッ
明久「おおあああああギブギブギブ!!!」メキメキ
美波「許してくれる?というか許しなさい」
明久「はい!許します許します!許すから放して!」
美波「私はあんたを許さない」
明久「え!?」
美波「『え!?』じゃないわよ!あんたのせいで私がどれだけ変な噂流されてるか知ってんの!」
明久「で、でもここはギブアンドトークで許してくれるんじゃないの!?」
美波「与えて話すって、何の会合よ……」ユルッ
明久「!? 今のはわざとだからね!正しくはギブアンドメイクだからね。知ってるよそのくらい」
美波「何を与えて作るのかしら……?」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:52:21.58 ID:jqQkh02b0
明久「………………」
明久「……さ、さあ、今日のお昼はな~にかな~」
美波「はぁ……。はい、お弁当」
明久「ありがとう美波。でも、どうして僕の分を?」
美波「そ、それはあれよ。買い物に付き合ってくれたお礼よ。別に他意はないんだからね」
明久「ふーん。それなら遠慮なく――いただきまーす」カパッ
パクッ
美波「ど、どう?」
明久「うん。美味しい」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:54:54.32 ID:jqQkh02b0
美波「良かった~」
明久「そんなに気にしなくても。美波の料理の腕は確かなんだし」パクッ
美波「それでも気になるの。そうだ、あとね――」
明久「何?まだ何か気になるの?」パクッ
美波「――おかずの中に当たりを入れてみたの」
明久「バカァ!辛い!舌が焼けるように辛いぃぃ!!!」
美波「ハバネロと鷹の爪を入れてみたのよ。どう?」
明久「感想聞いてないで水を!水!水ぅぅぅ!」
美波「それもちゃんと用意してるわよ、はい」
明久 ゴクゴクゴクゴクゴク
明久「はあああああ。死ぬかと思った」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:57:09.70 ID:jqQkh02b0
美波「……大丈夫?」
明久「あのさ、それは陥れた人間が言う台詞じゃないと思うんだ」
美波「何か気が付いたら作ってたのよ」
明久「美波にまで殺人料理を作られたらもうどうしようもなくなっちゃうんだけど……」
美波「何の話よ?大体、普通に料理やって出来あがったもので人が死ぬわけないじゃない」
明久「……うん。そうだね、そうなんだけど……」
美波「?」
明久「何でもない、何でもないんだ。ところで美波。まだ、その『当たり』ってのは入ってるの?」
美波「え?もっと食べたかったの?」
明久「違うよ!もう食べたくないよ!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:58:29.79 ID:jqQkh02b0
美波「そう。アキの口には私の料理は合わなかったのね……」
明久「そういう意味じゃなくて!」
美波「実はもう一個だけ……」
明久「あるの!?何で二個も作ってんの!?」
美波「冗談よ。流石にもうないわ。鷹の爪が切れちゃってね」
明久「あったらまだ作る気だったの?」
美波「さあ?どうかしらね」
明久「とにかくないんだね。良かった、これで安心してお昼が食べられる」
美波「そんなに辛かった?」
明久「辛かった。舌が焼けるくらい」
美波「そう」
明久「何?まさかまた作るの?」
美波「ええ。今度は辛さを少し控えてみるわ」
明久「作るのを控えて!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:02:17.05 ID:jqQkh02b0
明久「ご馳走さまでした」
美波「お粗末様。所でアキ、この後時間ある?」
明久「特に予定はないけど……」
美波「良かった」
明久「良かったってまだ何かあるの?」
美波「せ、折角街に出てきたんだし、このまま遊んでいきたいな~って」
明久「そういう事。美波も案外遊び人だね」
美波「遊び人って……まあ、いいわ」
明久「でも、具体的に何するの?」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:03:37.18 ID:jqQkh02b0
美波「え、映画とかどうかしら?」
明久「映画かぁ~。最近は懐に余裕もあるし、問題ないかな」
美波「別に私が持っても良いわよ。さっきのお店で予算より安く買えたから」
明久「いや、そういう訳にはいかないよ」
明久(プライド的に)
美波「そう。でも、アキの所も大変だろうから、割り勘って事でいいわよね」
明久「そうだね。その方が気を遣わなくていいし」
美波「決まりね」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:10:02.39 ID:jqQkh02b0
――――――――――――
映画館
明久「美波はどんなジャンルの映画見たいの?」
美波「そうね……いざここまで来ると何を見るか迷うわね」
明久「美波はホラー駄目なんだっけ。だとすると、アクションとかそっち系かな」
美波「待ちなさいアキ。私は別にホラーでも大丈夫よ」
明久「あれ?美波、お化けとか苦手じゃなかったっけ?」
美波「大丈夫よ!作り物だって最初っから分かっていれば怖くもなんともないわ!」
明久「仮に作り物じゃない物が映ってたとしたら?」
美波「お、お化けなんている訳ないじゃない!アキのバカ!」
明久「いきなり罵倒された!?」
明久(美波め、こうなったらさっきの激辛料理のお礼も兼ねて、たっぷりと怖がってもらおう)
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:15:22.86 ID:jqQkh02b0
明久「……じゃあホラーでいいね。美波は大丈夫みたいだし」
美波「えっ」
明久「だって、大丈夫なんでしょ」
美波「え、ええ、大丈夫よ。たかが映画くらい何ともないわ」
明久「ジャンルはホラーで決定っと。それっぽいのは……」
美波「うぅ……」
明久「どうしたの美波。やっぱりやめる?ホラー映画」
美波「だ、大丈夫だって言ってるでしょ!」
明久「じゃあこれにしようか」ピッ
美波「うっ!?こ、これ?」
明久「丁度上映時間もすぐだし、これでいいよね。それともやっぱり怖いのかな?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:17:23.13 ID:jqQkh02b0
美波「大丈夫だって何回も言ってるでしょ!ほら、チケット買い行くわよ!」スタスタ
明久「はいはい」テクテク
美波「……す、すみません。この映画のチケット二枚」
店員「こちらですね。本日カップルデーですので、二枚で2000円になります」
美波「か!?」
明久「カップル!?」
店員「はい。えっと、違いましたか?そうなりますと通常料金の――」
明久「いいえ違わなくないです!はい2000円!」
美波「あ、アキ……!」
明久「いいから」
店員「2000円丁度お預かりします。……では、こちらチケットになります」スッ
明久「はいはい。……じゃあ行こうか美波」
美波「え、ええ」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:23:14.06 ID:jqQkh02b0
――――――――
明久「し、しかしラッキーだったね。店員さんがカップルと勘違いして割引してくれるなんて」
美波「っ!そ、そうね」
明久「………」
美波「………」
明久(何だろうこの空気。何でこんな気まずいような雰囲気になってるの?と、とにかく会話しないと)
明久「え、映画まだかな」
美波「そ、そうね」
明久「………」
美波「………」
明久(会話が続かない。一体どうすればこの雰囲気を変えられるのさ?……仕方ない。少し痛い思いをすることになるが今の空気よりましだ)
明久「美波の胸って小さいよね」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:29:22.58 ID:jqQkh02b0
美波「そ、そうね」
明久「………」
美波「………」
明久(何も起きない!?そんなバカな。いつもの美波なら確実に拾ってくるネタのはずなのに)
明久「美波。美波の胸って薄いよね」
美波「そ、そう――ってアキ、死ぬ覚悟はできてんのよねぇ!」ヒュン
明久「ごふっ!」
明久(右ストレート!?と、ともかくこれでいつもの雰囲気に……)
美波「そ、そんなに小さいかなぁ……」ペタペタ
明久(!? 触って確認しないでください!マズイ鼻血が……)ダラッ
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:33:32.65 ID:jqQkh02b0
バンッ!
美波「! は、始まったのかしら」
明久「い、いや、多分宣伝だと思うよ」
『…………………………』
美波「………」
明久「………」
美波「映画の上映前の宣伝って案外長いのよね」
明久「さっさと本編始めちゃえばいいのに」
フッ
美波「あ、照明が」
明久「いよいよだね」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:39:06.04 ID:jqQkh02b0
ドゴンッ!!!
『きゃああああああああ!!!』
美波「ひっ!」ギュッ
明久「み、美波。いきなり手を握ってくるなんて……」
美波「ち、ちがっ、これはびっくりしただけで――」バッ
明久「冒頭はこんなもんでしょ。大音量の物音と悲鳴で始めるなんて初歩的だと思うけど」
美波「ど、どうして、そんなに冷静でいられるのよ」
明久「美波の言葉を借りるなら『作り物って分かってるから』かな。結局どこまでいっても映画だし」
美波「そ、そうよね、作り物よ。作り物よこんなもの。作り物作り物作り物……」
明久「そんな暗示掛けるように言わなくても……」
美波「う、うるさいわね」
明久「プロローグに入ってすぐなんだし、本番はまだまだ先だよ」
美波「わ、分かってるわよそのくらい」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:44:29.65 ID:jqQkh02b0
明久(――という感じで見て、時間から考えると序盤は終了したみたいだけど)
美波「………」
明久(美波見入っちゃってるなあ。怖いもの見たさってこういう事言うんだろうか。それとも、映画の引き込み方が上手いのかな)
明久(しかし、美波もやっぱり女の子なんだよねぇ。ぬいぐるみが好きだったり、怖い物が苦手だったり)
明久「………」
美波「………」
ガタンッ!!!
美波「わっ!」ギュッ
明久「そんなに怖がらなくてもいいって」
美波「べ…別に怖がってるわけじゃ……」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:49:21.39 ID:jqQkh02b0
『アアアアァァアアア!!!』
美波「きゃあ!!!」ガシッ
明久「ぎゃあ!!!」バキッ
美波「ねえアキ今の何!?今の何!?」ギリギリ
明久「締めあげないで……苦しい……離し……」
ガシャン! グチャ!
『きゃああああああああああああああ!!!』
美波「きゃああああああああああああ!!!」ギリギリギリ
明久「あああぁぁぁぁぁ…………」プルプル
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:54:59.48 ID:jqQkh02b0
美波「アキの顔が真っ青に!?」
明久「ぬ、ぬりか…べ……」
美波「ぬりかべ!?何でぬりかべ!?」キリキリキリ
明久「ううぅぅぅぅぅぅ………………」サアァァァ
美波「いやぁ!アキがゾンビに!」ブンブンブン
明久「………………」ブクブクブクブク
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:59:01.72 ID:jqQkh02b0
――――――――
フッ
明久「……やっと終わった」
明久(危うく本当にゾンビか幽霊になる所だった)
明久「終わったよ、美波」
美波「うぅ…………お、終わった?」グスッ
明久(最後の方、殆ど目をつぶってたのは映画を見に来た人としてはどうかと思うけど)
美波「や、やっと終わったのね……」パチッ
明久「たかが映画な訳だし、あそこまで怖がらなくてもいいのに。他のお客さんびっくりしてたよ」
美波「え、映画だろうと怖いものは怖いの……」
明久(言ってる事が入場前と正反対だ……)
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:03:30.86 ID:jqQkh02b0
明久「とりあえず、外に出ようか」ガタッ
ギュッ
明久「?」
美波「………」
明久「美波さん?これはどういう……」
美波「手」
明久「……手?」
美波「手。繋いでて」ボソッ
明久「………」
明久「……うん」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:07:54.38 ID:jqQkh02b0
――――――――
映画館出口
明久「美波、もういいかな?」
美波「う、うん……」パッ
明久「………」
美波「………」
明久「えっと……」
美波「……アキ」
明久「ん?」
美波「今日はありがとね」
明久「ううん。そんなことないよ」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:10:51.03 ID:jqQkh02b0
美波「いいの。私が買い物に付き合ってって頼んだんだから」
明久(あれ?買い物?)
美波「それにこうやって映画を見にも来ちゃった訳だし」
明久(そういえば、行きに何か持っていたような?)
美波「だから――」
明久「あ!!!」
美波「な、何!?どうしたのアキ」
明久「ぬいぐるみ忘れてた!袋ごと」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:15:40.06 ID:jqQkh02b0
美波「え!?何処に?」
明久「多分、さっきのとこ」
美波「何やってんのよあんたは!」ダッ
明久「だって美波が怖がって飛びついてきたり首締めてきたりするから」ダッ
美波「うぅ……。と、とにかく早く取りに行くわよ!次のが始まったら面倒だわ!」
明久「そうだね。始まってたら怯えた美波に何をされるか……」
美波「アキ、あんた覚えておきなさいよ」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:20:17.76 ID:jqQkh02b0
―――――――
明久「いやあ、間に合ってよかったね」
美波「ええ。そもそもアキが忘れなければ、こんなことにはならなかったんだけどね」
明久「だからそれは美波が――」
美波「仕方ないでしょ怖かったんだから!」
明久「………」
美波「………」
明久「……そうだね。仕方ないね」
美波「そ、そうよ。不可抗力よ」
明久「なら、僕のも不可抗力って事で」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:25:07.72 ID:jqQkh02b0
美波「……そういう事にしといてあげるわ」
明久「随分と上からの物言いだね、美波」
美波「だって私がああなってなくても、アキは忘れそうだし」
明久「美波、それは僕が忘れっぽいって事?」
美波「だってアキだもん」
明久「答えになってないよ!」
美波「アキはバカの代名詞じゃない」
明久「そんなのいつ決まったの!?」
美波「今」
明久「勝手に決めないでよ!そんなこと思ってるのは美波だけ……じゃないような気がしてきた」
美波「なんなら、明日みんなに訊いてみる?」
明久「満場一致で負けそうな気がするからやめとくよ……」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:30:26.17 ID:jqQkh02b0
美波「賢明な判断ね。アキも少しは成長してるのかしら」
明久「美波、そろそろバカにするのやめて?心が折れそう……」
美波「そういう事を聞くと折りたくなるわね」
明久「鬼!悪魔!ぺったんこ!」
美波「アキ、腕を組みましょうか」ガシッ
明久「美波、関節を極める事は腕を組むとは言わ痛いいいいィィィ!!!」ミシミシ
美波「先に腕を折ってあげようかしら?」
明久「心も折るの決定済みなの!?」
美波「アキ次第ね」
明久「美波様後生ですからどうか許してください」
美波「ふふ。冗談よ」パッ
明久(冗談に聞こえなかったんだけど)
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:31:42.33 ID:jqQkh02b0
美波「……とにかく、今日は本当にありがとね」
明久「いいって。楽しかったし」
美波「本当に?」
明久「本当だよ」
美波「そう……」
明久「美波は楽しくなかったの?」
美波「ううん。すっごく楽しかったわ」
明久「それならいいんだけど」
美波「でも、もうホラー映画は見たくないわね……」
明久「ははは。次があったら違うジャンルだね」
美波「そうね。次は違うのが良いわ」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:34:55.03 ID:jqQkh02b0
美波「……じゃあ、私こっちの方が近いから」
明久「家までぬいぐるみ持ってかなくていいの?」
美波「いいわよ。あんまり持たせておくのも悪いし、こっちまで来るのも面倒でしょ」
明久「じゃあはいこれ、葉月ちゃんへのプレゼント」サッ
美波「袋に入ってると案外大きく感じるわね」
明久「でしょ。案外運ぶの大変だったんだから」
美波「お疲れ様」
明久「どういたしまして」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:39:40.36 ID:jqQkh02b0
美波「それじゃあね、アキ」
明久「うん。じゃあね美波、また学校で」
美波「……あ、そうだアキ」
明久「ん?」
美波「目を……瞑ってくれる?」
明久「? こう?」スウッ
美波「いいって言うまで開けちゃ駄目よ」
明久「うん」
明久(一体何をされるんだろう?)
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:43:50.30 ID:jqQkh02b0
チュッ
明久「!?」
美波「………」
明久「美波?これはどういう……?」
美波「バーカ」タタタッ
明久「バカって美波!ちょっと何処行くの?」
美波「じゃあねアキ!」タタタタッ
明久「美波…………」
明久「………………僕はいつまで目を瞑っていればいいの……?」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:49:38.68 ID:jqQkh02b0
――――――――――
明久「ただいまー」
玲「お帰りなさいアキ君」
明久「ただいま姉さん……って何で石畳を抱えてるの?」
玲「ああ、これですか。秘密です」ガコン
明久「……じゃあ、机の上の大工道具たちは?」
玲「秘密です」
明久「その脇のナース服メイド服チャイナドレスセーラー服その他諸々は何?」
玲「秘・密・で・す」
明久 サァァ
明久「そ、そういえば用事が……」クルッ
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:54:29.00 ID:jqQkh02b0
玲「何処へ行くんですか?アキ君?」ガシッ
明久「ゆ、雄二の所に」
玲「雄二君とは遊んできたんですよね?」
明久「実はまだ遊び足りなくて……」
玲「そうですか。まだ美波ちゃんと遊んでくるつもりなんですね」
明久「な、何を言ってるのかな姉さん。僕は雄二と――」
玲「言ったでしょう?あなたは嘘を吐くときに右上を見る癖があるんですよ」ギリギリ
明久 ダラッ
明久「―――いやああああああああああああああああああああ!!!!!!」
玲「さあ、じっくりゆっくりはっきりと、何をして何をやってきたか姉さんに洗いざらい話してくださいね。
アキ君がどうなるかは分かりませんが」
明久「助けてええええぇぇぇえええええええええええ!!!
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:59:26.46 ID:jqQkh02b0
美波「ただいま」
葉月「お帰りなさいですっ!その袋は一体なんですか?」
美波「これはね――はい」ゴソッ
葉月「ああっ!ぬいぐるみです!」
美波「もうすぐ誕生日でしょ。ちょっと早いけど、お誕生日プレゼント」
葉月「ありがとうですっ!お姉ちゃん!」
美波「それとね」ガサゴソ
葉月「?」
美波「これ」スッ
葉月「あっ!フィーとノインです!」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:03:36.60 ID:7DyPreUl0 [1/4]
美波「アキからよ」
葉月「バカなお兄ちゃんからですか?嬉しいですっ!」
美波「今度会ったらお礼を言うのよ」
葉月「はいですっ!」
美波「………」ニコッ
葉月 ビリビリ
葉月「お姉ちゃん!はいです!」スッ
美波「え?だってこれあんたの――」
葉月「二つですから、片っぽお姉ちゃんに上げるです」
美波「……ありがとう。葉月」
美波「と、ところで葉月、提案があるんだけど……」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:05:26.25 ID:7DyPreUl0 [2/4]
葉月「何ですか?」
美波「今日はお姉ちゃんと一緒に寝ましょう?」
葉月「……お姉ちゃん、怖い映画でも見てきたんですか?」
美波「た、たまには一緒に寝るのもいいかなと思ってね」
葉月「図星ですか……。むー、ずるいです!葉月も一緒に行きたかったです!」
美波「こ、今度連れてってあげるから、ね、お願い」
葉月「仕方ないです。その代わり」
美波「その代わり?」
葉月「今度行く時はバカなお兄ちゃんも一緒ですよ」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:06:36.74 ID:7DyPreUl0 [3/4]
美波「う、うん。分かったわ」
葉月「約束ですよ?」
美波「分かったってば」
葉月「それにしても、いつになったらお姉ちゃんの怖がりは治るんですかね」
美波「うぅ……」
お終い。
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:05:19.60 ID:Qs9VXIP9O [1/2]
こんなにかけるんなら
是非エロパロスレの方にも投下してくれ…
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:11:46.77 ID:7DyPreUl0 [4/4]
考えた話はここまでです。ここまで付き合ってくれた方、支援くれた方、
その他このスレを開いた方、本当にありがとうございました。
今日最終回だし書きたかったんだ。
あと、誤爆してしまった安価で魔法少女SSの方、本当に御免なさい。
おまけでバカテストを投下していきますんで、良かったら見ていってください。
>>97
今立ってる秀吉の奴?
済まんがエロは書けないんだ
『島田が屋上で話?』
『吉井の奴、一体何やらかしたんだ?』
『くわばらくわばら』
秀吉「明久、お主また何かやらかしたのか」
明久「特に心当たりはないんだけどなあ」
雄二「じゃあな明久。お前とはここでお別れのようだ」
明久「そんな大げさな。美波だって手加減してくれると――」
雄二「今までの事を踏まえてもか?」
明久「うーん…………」
明久「…………駄目かもしれない……」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:06:45.34 ID:jqQkh02b0
ムッツリーニ「…………お前の事は忘れるまで忘れない」
明久「ムッツリーニ、それはすぐにでも忘れられるという事だよね?」
瑞希「美波ちゃん、一体何の用事でしょうか?屋上って事はここじゃ話せないみたいですけど」
明久「何だろうね?とりあえず行ってみるよ」スクッ
秀吉「明久、謝罪には誠意を見せるのじゃぞ」
雄二「安心しろ。お前の聖典(エロ本)は俺が責任を持って処理しておく」
ムッツリーニ「…………俺も手伝う」
明久「何で事後処理の話になってるのさ!?」
瑞希「あ、明久君!」
明久「何?姫路さん」
瑞希「そ、その時は、私も一緒に行きます!」
明久「やめて!行っても何も面白くないよ!?」
瑞希「いえ、確かに面白くはないかもしれませんが、そのままだと明久君が浮かばれません!」
明久「女の子に自分のエロ本見られる方が浮かばれないから!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:08:32.18 ID:jqQkh02b0
屋上
明久「お待たせ、美波」
美波「来たわね」
明久 スッ
美波「? 何してるのアキ?いきなり土下座なんて」
明久「どうか命だけは勘弁してください」
美波「どういう意味よ?」
明久「思い出せないけどきっと僕がまた胸が薄いとか言っちゃってええぇぇええ!!!」
美波「ウチの胸が何だって?」グググッ
明久「ああぁぁああ関節が!関節が増えるうう!!!」
>>5
つ原作3巻
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:13:10.61 ID:jqQkh02b0
美波「いい加減に学習しなさいよね!」
明久「しますします!今度からは気を付けますから勘弁してください!」
美波「全く。どうしてアキはそうデリカシーがないのかしら」パッ
明久「痛た……そうは言われても事実なんだから仕方なああぁぁ痛いいぃぃ!!!」
美波「また骨をきしませたいのかしら?」ミシミシ
明久「もうきしんでる!もうきしんでるからやめて!」ミシミシミシ
美波「はい」パッ
明久「……はぁ。危なかった、本当に命を持ってかれる所だった」
美波「大げさよアキ。ちゃんと手加減してるんだから」
明久(手加減してあれか……本気だったら確実に持ってかれるなあ。気を付けないと)
明久「ところで、僕に話って?」
>>8
君なら描けるよ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:18:49.71 ID:jqQkh02b0
美波「あ、そ…その事なんだけど……」
明久「?」
美波「あ…あのね…その――」モジモジ
明久(美波が急にしおらしくなった?)
美波「つ、付き合って欲しいの!」
明久「はい!?」
美春『はい!?』
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:23:19.00 ID:jqQkh02b0
明久「み、美波。それってもしかして……」
美波「あの…えっとね……実はもうすぐ葉月の誕生日で」
明久「ん?葉月ちゃん?」
美波「そう。あの娘の誕生日が近くって、それで何かプレゼントしたいなって思って」
明久「……えっとつまり……どういう事?」
美波「だから、買い物に付き合って欲しいなって……アキ、気のせいか落ち込んでいるように見えるのはどうして?」
明久「……何でもないよ。何でもないんだ……」
明久「要するに、僕に葉月ちゃんのプレゼント選びを手伝ってという事だね」
美波「まあ、そんなとこね」
明久「でも、それならわざわざここで言わなくてもいいと思うんだけど」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:28:36.25 ID:jqQkh02b0
美波「そ、それはあれよ!他の皆にまで気を遣わせる訳にはいかないし、アキが皆の中で葉月と一番仲が良いし」
明久「ああ。なるほどね」
美波「な、納得してくれた?」
明久「うん。でもそっか、誕生日かあ。この事葉月ちゃんに言ったの?」
美波「言ってないわよ。びっくりさせようと思って」
明久「……二人とも本当に仲が良いんだね」
美波「ええ。だって姉妹だもん。でも、アキのとこには負けるかも」クスッ
明久「ははは……。僕の所はちょっと一般家庭とは違うような……」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:34:34.86 ID:jqQkh02b0
美波「何でよ。玲さん普通の良いお姉さんじゃない」
明久「美波から見たらそうなんだろうけど、弟としてはもっと良識を持ってほしいというか何と言うか」
美波「そう?少しスキンシップが過剰なだけで、あとは弟想いの良いお姉さんだと思うんだけど」
明久「美波は普段の姉さんを知らないからそんな事を言えるんだよ。いきなりマウント取られて殴られたり、ビンタされたり」
美波「でも嫌いじゃないんでしょ。玲さんの事」
明久「美波、ここでその質問を投げかけないでほしい」
美波「嫌いじゃないんでしょ。殴られるの」
明久「嫌いだよ!痛いのが好きなわけないじゃないか!」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:38:47.37 ID:jqQkh02b0
美波「そうだったの?事あるごとに罰を受けてるからてっきりわざと受けてると思ってたわ」
明久「僕にそんな特殊な性癖はない!」
美波「坂本が好きなのに?」
翔子『……!』
優子『どうしたの代表?』
翔子『……嫌な感じ』
愛子『きっと、またFクラスで吉井君と坂本君が絡み合ってるんだよ?』
優子『!』
翔子『……ちょっと確認に行ってくる』ガタッ
愛子『ボクも行ってみよっと』ガタッ
優子『……わ、私も。ひ、秀吉が何かやらかしてないか心配だわ』ガタッ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:45:29.06 ID:jqQkh02b0
明久「雄二なんか嫌いだよ!」
美波「じゃあ、メイド服着たりしてるのは何で?」
明久「いつも着てる訳じゃないよ!」
美波「その言い方だとたまに着るみたいね……」
明久「着ないよ!誤解しないで!たまに姉さんが着せようとしてくるけど……」
美波「安心してアキ。案外アキのメイド服姿、似合ってるから」
明久「全然嬉しくない情報だ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:49:39.56 ID:jqQkh02b0
美波「私はアキが同性愛者でマゾヒストで女装癖持ちでも上手くやっていける気がするわ。……距離を置いて」
明久「それは遠回しに無理って事だよね!?」
美波「冗談よ。アキがそんな人間じゃないって分かってるわ。一割嘘が混じってるだけで――」
明久「違う!全部嘘!間違ってしかいないよその情報!」
美波「でもねアキ」
明久「な、何さ。まだ何か僕のおかしな話があるの?」
美波「――殴られるとかは関係なしに、玲さんの事、嫌いじゃないんでしょ」
明久「………」
明久「まあね」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:52:09.61 ID:jqQkh02b0
――――――――――
休日 午前
明久(美波との約束の日が来た。今まで姉さんには行く事を黙っていたけど、さてどういった言い訳で出ていこう)
玲「あら。アキ君お出かけですか?」
明久「ま、まあね」
玲「誰とですか」
明久「……待って姉さん。何で行き先を訊かないの?」
玲「何処へ行くにしても、誰と一緒かが重要だと思いませんか?」
明久「何か物凄く良い事言ったような気がする!?」
玲「ちなみに私はアキ君と一緒に新婚旅行に行きたいです」
明久「姉さんが何か言ったけど気のせいだよね。新婚旅行とか聞こえたけど気のせいだよね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:55:08.70 ID:jqQkh02b0
玲「やはりアキ君的には海外が良いのでしょうか?それとも国内?」
明久「姉さん……寝言は寝て言おう?」
玲「……まだ日が高いのですが、アキ君がそう言うなら仕方ありません」スクッ
明久「あれ?姉さん本当に寝るの?」
玲「アキ君が寝ようと言ったのではないですか」
明久「その言い方だと、僕が誘ったみたいに聞こえるんだけど……」
玲「何言ってるんですかアキ君。アキ君が誘ったのではないですか」
明久「誘ってないから!仮に寝るのだとしても兄弟では一緒に寝ないから!」
玲「ああ、シャワーが先と言う事ですね」
明久「姉さんが何を言ってるか全然分からない!」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 20:57:51.44 ID:jqQkh02b0
玲「良いんですよアキ君。姉さんに身も心も任せてくれれば」
明久「あー!あー!あー!」
玲「発声練習ですか?アキ君は別にあえ――」
明久「ストォォップ!!!あんた何言う気!?」
玲「所でアキ君。本当に誰と何処へ行くのでしょうか?」
明久「誰とが確定してるのはどうして!?」
玲「何故か服装に気合いが入っているように思えるからです」
明久「そんな事はないよ姉さん。いつも通りの格好じゃないか」
玲「んー。なんとなくですが、割と仲の良い異性の同級生に買い物に付き合ってと言われ『まあ、あいつだし
適当な格好でいいか……でも、あいつも一応女だしなあ……』と悩んで、結局少しおしゃれな格好で待ち合わせ
場所に行くことにした男子高校生のような格好ですよ」
明久「………………そんな事はないよ」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:01:43.11 ID:jqQkh02b0
玲「まあ、アキ君はこの後私と一緒に激……寝る訳ですから関係ありませんよね」
明久「今の言い直した部分は何!?――やっぱり言わないで!聞いちゃいけないような気がする!」
玲「それは後でのお楽しみです」
明久「後で何があるの!?」
玲「それで、誰と行くのでしょうか?」
明久「スルー!?……いや、別に誰とってわけじゃないよ。ちょっと買い物に行くだけだよ」
玲「アキ君。アキ君は嘘をつくとき右上を見る癖があるのを知っていましたか?」
明久「え!?……い、いやだなあ姉さん。僕は嘘なんかついてないよ」
玲「アキ君が隠すという事は、もしかするとデートでしょうか」
明久「い、嫌だなあ姉さん。ぼくは普通に出かけるだけで」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:04:40.13 ID:jqQkh02b0
玲「デートの相手は誰ですか?瑞希ちゃん?」
明久「だから、一人だって」
玲「瑞希ちゃん?」
明久「……ち、違うよ」
玲「では、美波ちゃん?」
明久「ち、違うよ」
玲「では、秀吉君?」
明久「ち、違うよ」
玲「では、雄二君?」
明久「それはない!絶対にない!」
玲「では、康太君?」
明久「何でムッツリーニまで!?」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:12:51.85 ID:jqQkh02b0
玲「分かりました。デートの相手は雄二君ですね」
明久「何で一番あり得ない選択をしてるの!?」
玲「雄二君なら、姉さんは何も言う事はありません。さあ、どうぞ出かけて来てください」
明久「止めなよ!仮に雄二とデートだとして、どうして姉さんは止めないの!?」
玲「言ったはずです。不純同性交遊は許可しますと」
明久「違うからね、本当は――」
明久(ここでまた問答を繰り返してると時間に間に合わなくなってしまう。折角許可が出たんだ。姉さん相手なら後でだって弁解できるはず)
玲「本当は?」
明久「な、何でもないよ!でも、帰ってきたらちゃんと説明するからね!」ダッ
バタン!
玲「……美波ちゃんですか。帰ってきたら本当にちゃんと説明してもらわないといけませんね」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:15:04.10 ID:jqQkh02b0
―――――――――
集合場所
明久「おーい、美波ー」
美波「あ」
明久「ごめん美波、姉さんから逃げるのに手間取って」
美波「何で玲さんから逃げなきゃいけない状況になってるのよ……」
明久「色々と事情があってね。それより待った?」
美波「ううん。今来たとこ」
明久「それじゃあ行こうか」
美波「うん」
明久 ゾクッ
>>28
明久と雄二の絡みを見に行く理由(建前)って事で。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:20:51.88 ID:jqQkh02b0
明久「?」
美波「どうしたのアキ?」
明久「いや、なんかいやな予感が」
美波「気のせいじゃない」
明久「……そうだね。そういえば、具体的に何を買うのか決めてるの?」
美波「ぬいぐるみとかそういう物を考えてるんだけど」
明久「ぬいぐるみか……となると、やっぱりあそこかな」
美波「?」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:26:01.80 ID:jqQkh02b0
――――――――――
店員『いらっしゃいませー』
美波「へ~、なかなかいい雰囲気じゃない。良くこんなお店知ってたわね」
明久「ちょっと機会があってね」
美波「でも、ちょっと男子には入りづらいとこよね」
明久「ちょっとどころじゃなく入り辛いけどね。でも、ここなら葉月ちゃんの好みの物もあると思うよ」
美波「そうね。それにしても、本当にすごいな~。ぬいぐるみがたくさん……」
明久(美波の目がきらきらしてる)
美波「見て見てアキ、これ物凄く可愛い」
明久「本当だ。……そういえば、予算とかってどれくらいなの?」
美波「1万ね。そんなに大きな物を買う予定はないし。こう、ぎゅっと抱きしめて眠れるようなサイズが良いわ」ギュッ
明久「成る程ね。それなら値段もお手ごろだろうし」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:28:04.48 ID:jqQkh02b0
美波「あっ!こっちも可愛い」
美波「ああっ!これも良いなあ」
明久(なんか美波が完全に女の子って感じになってる。普段もこれなら、僕も痛い思いをせずに済むのになあ)
明久「………」
明久「あ、これ如月ハイランドのマスコットだ。もう商品化してるなんて商売する気満々だなあ」
明久「フィーとノインのストラップ二つで700円か。特別高いって訳でもないし僕はこれを買おうかな」
美波「ねえアキ!これなんかどう?」
明久「ん、どれどれ」
美波「これこれ!サイズも丁度いいし、ふかふかだし」
明久「いい感じだね。値段は……7000円か」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:30:13.89 ID:jqQkh02b0
美波「丁度いいでしょ!決めた!これにする!」
明久(なんか自分の事のように嬉しそうだなあ)
明久「……なんか美波がプレゼント渡されるみたいだね」
美波「え、そ、そんな事ないわよ!ウチは葉月に合うと思って」カアァァ
明久「姉妹同士で貸し借りとかもできるしね」
美波「う、ウチはそんなにぬいぐるみ好きじゃ――」
明久「とにかく、決まったのなら会計済ましちゃおうか」
美波「ちょ、ちょっと待って」
明久「? どうかしたの?」
美波「も……もうちょっとだけ、見てっていい?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:36:33.02 ID:jqQkh02b0
―――――――――――
店員『ありがとうございました~』
グゥ~
明久「そろそろお昼か」
美波「ね、ねえアキ。お弁当作ってきたんだけど食べる?」
明久「食べる食べる!食べさせていただきます!」
美波「そんなに喜ぶほどの物じゃないわよ」
明久「そんな事ないって。近くに公園があるからそこで食べよっか」
美波「ほんとにこの辺詳しいのね」
明久「昔から住んでる町だからね」
美波「そういえば、あんたと瑞希って同じ小学校なんだっけ。家も近いって」
明久「うん。だから、姫路さんもこの辺の事はある程度詳しいんじゃないかな
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:41:17.89 ID:jqQkh02b0
美波「そうでしょうね。アキが覚えてられるんだもん、瑞希が分からない訳ないわ」
明久「美波。あんまり人をバカ扱いしないでほしいな」
美波「ごめんごめん。つい本音が」
明久「全く。美波もみんなもボクをバカにし過ぎだよ」
美波「だからごめんって。……ほら、早く公園に行きましょう?」タタタッ
明久「ちょっといきなり走り出さないでよ。荷物持ってると走り辛いんだから」タタタッ
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:47:41.88 ID:jqQkh02b0
公園
明久「さて、今日のおかずは何かな~」
美波「そんな大層なもんじゃないわよ」
明久「大層な物じゃなくてもいいんだよ。美波の手料理は美味しいし」
美波「っ!?……べ、別に褒めたって何も出ないわよ!」カアァァ
明久「え?お弁当出ないの?」
美波「そ、そういう意味じゃないわよ!バカ!」
明久「またバカって言ったな!いくら美波でも今度ばかりは許さないぞ」
美波「許されないとどうなるのかしら?」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:49:16.98 ID:jqQkh02b0
明久「校内『彼女にしたくない女子』ランキングの順位を上げる」
美波「それは元々あんたのせいで上がったんでしょうが!」バッ
明久「おおあああああギブギブギブ!!!」メキメキ
美波「許してくれる?というか許しなさい」
明久「はい!許します許します!許すから放して!」
美波「私はあんたを許さない」
明久「え!?」
美波「『え!?』じゃないわよ!あんたのせいで私がどれだけ変な噂流されてるか知ってんの!」
明久「で、でもここはギブアンドトークで許してくれるんじゃないの!?」
美波「与えて話すって、何の会合よ……」ユルッ
明久「!? 今のはわざとだからね!正しくはギブアンドメイクだからね。知ってるよそのくらい」
美波「何を与えて作るのかしら……?」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:52:21.58 ID:jqQkh02b0
明久「………………」
明久「……さ、さあ、今日のお昼はな~にかな~」
美波「はぁ……。はい、お弁当」
明久「ありがとう美波。でも、どうして僕の分を?」
美波「そ、それはあれよ。買い物に付き合ってくれたお礼よ。別に他意はないんだからね」
明久「ふーん。それなら遠慮なく――いただきまーす」カパッ
パクッ
美波「ど、どう?」
明久「うん。美味しい」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:54:54.32 ID:jqQkh02b0
美波「良かった~」
明久「そんなに気にしなくても。美波の料理の腕は確かなんだし」パクッ
美波「それでも気になるの。そうだ、あとね――」
明久「何?まだ何か気になるの?」パクッ
美波「――おかずの中に当たりを入れてみたの」
明久「バカァ!辛い!舌が焼けるように辛いぃぃ!!!」
美波「ハバネロと鷹の爪を入れてみたのよ。どう?」
明久「感想聞いてないで水を!水!水ぅぅぅ!」
美波「それもちゃんと用意してるわよ、はい」
明久 ゴクゴクゴクゴクゴク
明久「はあああああ。死ぬかと思った」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:57:09.70 ID:jqQkh02b0
美波「……大丈夫?」
明久「あのさ、それは陥れた人間が言う台詞じゃないと思うんだ」
美波「何か気が付いたら作ってたのよ」
明久「美波にまで殺人料理を作られたらもうどうしようもなくなっちゃうんだけど……」
美波「何の話よ?大体、普通に料理やって出来あがったもので人が死ぬわけないじゃない」
明久「……うん。そうだね、そうなんだけど……」
美波「?」
明久「何でもない、何でもないんだ。ところで美波。まだ、その『当たり』ってのは入ってるの?」
美波「え?もっと食べたかったの?」
明久「違うよ!もう食べたくないよ!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 21:58:29.79 ID:jqQkh02b0
美波「そう。アキの口には私の料理は合わなかったのね……」
明久「そういう意味じゃなくて!」
美波「実はもう一個だけ……」
明久「あるの!?何で二個も作ってんの!?」
美波「冗談よ。流石にもうないわ。鷹の爪が切れちゃってね」
明久「あったらまだ作る気だったの?」
美波「さあ?どうかしらね」
明久「とにかくないんだね。良かった、これで安心してお昼が食べられる」
美波「そんなに辛かった?」
明久「辛かった。舌が焼けるくらい」
美波「そう」
明久「何?まさかまた作るの?」
美波「ええ。今度は辛さを少し控えてみるわ」
明久「作るのを控えて!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:02:17.05 ID:jqQkh02b0
明久「ご馳走さまでした」
美波「お粗末様。所でアキ、この後時間ある?」
明久「特に予定はないけど……」
美波「良かった」
明久「良かったってまだ何かあるの?」
美波「せ、折角街に出てきたんだし、このまま遊んでいきたいな~って」
明久「そういう事。美波も案外遊び人だね」
美波「遊び人って……まあ、いいわ」
明久「でも、具体的に何するの?」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:03:37.18 ID:jqQkh02b0
美波「え、映画とかどうかしら?」
明久「映画かぁ~。最近は懐に余裕もあるし、問題ないかな」
美波「別に私が持っても良いわよ。さっきのお店で予算より安く買えたから」
明久「いや、そういう訳にはいかないよ」
明久(プライド的に)
美波「そう。でも、アキの所も大変だろうから、割り勘って事でいいわよね」
明久「そうだね。その方が気を遣わなくていいし」
美波「決まりね」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:10:02.39 ID:jqQkh02b0
――――――――――――
映画館
明久「美波はどんなジャンルの映画見たいの?」
美波「そうね……いざここまで来ると何を見るか迷うわね」
明久「美波はホラー駄目なんだっけ。だとすると、アクションとかそっち系かな」
美波「待ちなさいアキ。私は別にホラーでも大丈夫よ」
明久「あれ?美波、お化けとか苦手じゃなかったっけ?」
美波「大丈夫よ!作り物だって最初っから分かっていれば怖くもなんともないわ!」
明久「仮に作り物じゃない物が映ってたとしたら?」
美波「お、お化けなんている訳ないじゃない!アキのバカ!」
明久「いきなり罵倒された!?」
明久(美波め、こうなったらさっきの激辛料理のお礼も兼ねて、たっぷりと怖がってもらおう)
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:15:22.86 ID:jqQkh02b0
明久「……じゃあホラーでいいね。美波は大丈夫みたいだし」
美波「えっ」
明久「だって、大丈夫なんでしょ」
美波「え、ええ、大丈夫よ。たかが映画くらい何ともないわ」
明久「ジャンルはホラーで決定っと。それっぽいのは……」
美波「うぅ……」
明久「どうしたの美波。やっぱりやめる?ホラー映画」
美波「だ、大丈夫だって言ってるでしょ!」
明久「じゃあこれにしようか」ピッ
美波「うっ!?こ、これ?」
明久「丁度上映時間もすぐだし、これでいいよね。それともやっぱり怖いのかな?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:17:23.13 ID:jqQkh02b0
美波「大丈夫だって何回も言ってるでしょ!ほら、チケット買い行くわよ!」スタスタ
明久「はいはい」テクテク
美波「……す、すみません。この映画のチケット二枚」
店員「こちらですね。本日カップルデーですので、二枚で2000円になります」
美波「か!?」
明久「カップル!?」
店員「はい。えっと、違いましたか?そうなりますと通常料金の――」
明久「いいえ違わなくないです!はい2000円!」
美波「あ、アキ……!」
明久「いいから」
店員「2000円丁度お預かりします。……では、こちらチケットになります」スッ
明久「はいはい。……じゃあ行こうか美波」
美波「え、ええ」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:23:14.06 ID:jqQkh02b0
――――――――
明久「し、しかしラッキーだったね。店員さんがカップルと勘違いして割引してくれるなんて」
美波「っ!そ、そうね」
明久「………」
美波「………」
明久(何だろうこの空気。何でこんな気まずいような雰囲気になってるの?と、とにかく会話しないと)
明久「え、映画まだかな」
美波「そ、そうね」
明久「………」
美波「………」
明久(会話が続かない。一体どうすればこの雰囲気を変えられるのさ?……仕方ない。少し痛い思いをすることになるが今の空気よりましだ)
明久「美波の胸って小さいよね」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:29:22.58 ID:jqQkh02b0
美波「そ、そうね」
明久「………」
美波「………」
明久(何も起きない!?そんなバカな。いつもの美波なら確実に拾ってくるネタのはずなのに)
明久「美波。美波の胸って薄いよね」
美波「そ、そう――ってアキ、死ぬ覚悟はできてんのよねぇ!」ヒュン
明久「ごふっ!」
明久(右ストレート!?と、ともかくこれでいつもの雰囲気に……)
美波「そ、そんなに小さいかなぁ……」ペタペタ
明久(!? 触って確認しないでください!マズイ鼻血が……)ダラッ
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:33:32.65 ID:jqQkh02b0
バンッ!
美波「! は、始まったのかしら」
明久「い、いや、多分宣伝だと思うよ」
『…………………………』
美波「………」
明久「………」
美波「映画の上映前の宣伝って案外長いのよね」
明久「さっさと本編始めちゃえばいいのに」
フッ
美波「あ、照明が」
明久「いよいよだね」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:39:06.04 ID:jqQkh02b0
ドゴンッ!!!
『きゃああああああああ!!!』
美波「ひっ!」ギュッ
明久「み、美波。いきなり手を握ってくるなんて……」
美波「ち、ちがっ、これはびっくりしただけで――」バッ
明久「冒頭はこんなもんでしょ。大音量の物音と悲鳴で始めるなんて初歩的だと思うけど」
美波「ど、どうして、そんなに冷静でいられるのよ」
明久「美波の言葉を借りるなら『作り物って分かってるから』かな。結局どこまでいっても映画だし」
美波「そ、そうよね、作り物よ。作り物よこんなもの。作り物作り物作り物……」
明久「そんな暗示掛けるように言わなくても……」
美波「う、うるさいわね」
明久「プロローグに入ってすぐなんだし、本番はまだまだ先だよ」
美波「わ、分かってるわよそのくらい」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:44:29.65 ID:jqQkh02b0
明久(――という感じで見て、時間から考えると序盤は終了したみたいだけど)
美波「………」
明久(美波見入っちゃってるなあ。怖いもの見たさってこういう事言うんだろうか。それとも、映画の引き込み方が上手いのかな)
明久(しかし、美波もやっぱり女の子なんだよねぇ。ぬいぐるみが好きだったり、怖い物が苦手だったり)
明久「………」
美波「………」
ガタンッ!!!
美波「わっ!」ギュッ
明久「そんなに怖がらなくてもいいって」
美波「べ…別に怖がってるわけじゃ……」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:49:21.39 ID:jqQkh02b0
『アアアアァァアアア!!!』
美波「きゃあ!!!」ガシッ
明久「ぎゃあ!!!」バキッ
美波「ねえアキ今の何!?今の何!?」ギリギリ
明久「締めあげないで……苦しい……離し……」
ガシャン! グチャ!
『きゃああああああああああああああ!!!』
美波「きゃああああああああああああ!!!」ギリギリギリ
明久「あああぁぁぁぁぁ…………」プルプル
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:54:59.48 ID:jqQkh02b0
美波「アキの顔が真っ青に!?」
明久「ぬ、ぬりか…べ……」
美波「ぬりかべ!?何でぬりかべ!?」キリキリキリ
明久「ううぅぅぅぅぅぅ………………」サアァァァ
美波「いやぁ!アキがゾンビに!」ブンブンブン
明久「………………」ブクブクブクブク
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 22:59:01.72 ID:jqQkh02b0
――――――――
フッ
明久「……やっと終わった」
明久(危うく本当にゾンビか幽霊になる所だった)
明久「終わったよ、美波」
美波「うぅ…………お、終わった?」グスッ
明久(最後の方、殆ど目をつぶってたのは映画を見に来た人としてはどうかと思うけど)
美波「や、やっと終わったのね……」パチッ
明久「たかが映画な訳だし、あそこまで怖がらなくてもいいのに。他のお客さんびっくりしてたよ」
美波「え、映画だろうと怖いものは怖いの……」
明久(言ってる事が入場前と正反対だ……)
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:03:30.86 ID:jqQkh02b0
明久「とりあえず、外に出ようか」ガタッ
ギュッ
明久「?」
美波「………」
明久「美波さん?これはどういう……」
美波「手」
明久「……手?」
美波「手。繋いでて」ボソッ
明久「………」
明久「……うん」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:07:54.38 ID:jqQkh02b0
――――――――
映画館出口
明久「美波、もういいかな?」
美波「う、うん……」パッ
明久「………」
美波「………」
明久「えっと……」
美波「……アキ」
明久「ん?」
美波「今日はありがとね」
明久「ううん。そんなことないよ」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:10:51.03 ID:jqQkh02b0
美波「いいの。私が買い物に付き合ってって頼んだんだから」
明久(あれ?買い物?)
美波「それにこうやって映画を見にも来ちゃった訳だし」
明久(そういえば、行きに何か持っていたような?)
美波「だから――」
明久「あ!!!」
美波「な、何!?どうしたのアキ」
明久「ぬいぐるみ忘れてた!袋ごと」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:15:40.06 ID:jqQkh02b0
美波「え!?何処に?」
明久「多分、さっきのとこ」
美波「何やってんのよあんたは!」ダッ
明久「だって美波が怖がって飛びついてきたり首締めてきたりするから」ダッ
美波「うぅ……。と、とにかく早く取りに行くわよ!次のが始まったら面倒だわ!」
明久「そうだね。始まってたら怯えた美波に何をされるか……」
美波「アキ、あんた覚えておきなさいよ」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:20:17.76 ID:jqQkh02b0
―――――――
明久「いやあ、間に合ってよかったね」
美波「ええ。そもそもアキが忘れなければ、こんなことにはならなかったんだけどね」
明久「だからそれは美波が――」
美波「仕方ないでしょ怖かったんだから!」
明久「………」
美波「………」
明久「……そうだね。仕方ないね」
美波「そ、そうよ。不可抗力よ」
明久「なら、僕のも不可抗力って事で」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:25:07.72 ID:jqQkh02b0
美波「……そういう事にしといてあげるわ」
明久「随分と上からの物言いだね、美波」
美波「だって私がああなってなくても、アキは忘れそうだし」
明久「美波、それは僕が忘れっぽいって事?」
美波「だってアキだもん」
明久「答えになってないよ!」
美波「アキはバカの代名詞じゃない」
明久「そんなのいつ決まったの!?」
美波「今」
明久「勝手に決めないでよ!そんなこと思ってるのは美波だけ……じゃないような気がしてきた」
美波「なんなら、明日みんなに訊いてみる?」
明久「満場一致で負けそうな気がするからやめとくよ……」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:30:26.17 ID:jqQkh02b0
美波「賢明な判断ね。アキも少しは成長してるのかしら」
明久「美波、そろそろバカにするのやめて?心が折れそう……」
美波「そういう事を聞くと折りたくなるわね」
明久「鬼!悪魔!ぺったんこ!」
美波「アキ、腕を組みましょうか」ガシッ
明久「美波、関節を極める事は腕を組むとは言わ痛いいいいィィィ!!!」ミシミシ
美波「先に腕を折ってあげようかしら?」
明久「心も折るの決定済みなの!?」
美波「アキ次第ね」
明久「美波様後生ですからどうか許してください」
美波「ふふ。冗談よ」パッ
明久(冗談に聞こえなかったんだけど)
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:31:42.33 ID:jqQkh02b0
美波「……とにかく、今日は本当にありがとね」
明久「いいって。楽しかったし」
美波「本当に?」
明久「本当だよ」
美波「そう……」
明久「美波は楽しくなかったの?」
美波「ううん。すっごく楽しかったわ」
明久「それならいいんだけど」
美波「でも、もうホラー映画は見たくないわね……」
明久「ははは。次があったら違うジャンルだね」
美波「そうね。次は違うのが良いわ」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:34:55.03 ID:jqQkh02b0
美波「……じゃあ、私こっちの方が近いから」
明久「家までぬいぐるみ持ってかなくていいの?」
美波「いいわよ。あんまり持たせておくのも悪いし、こっちまで来るのも面倒でしょ」
明久「じゃあはいこれ、葉月ちゃんへのプレゼント」サッ
美波「袋に入ってると案外大きく感じるわね」
明久「でしょ。案外運ぶの大変だったんだから」
美波「お疲れ様」
明久「どういたしまして」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:39:40.36 ID:jqQkh02b0
美波「それじゃあね、アキ」
明久「うん。じゃあね美波、また学校で」
美波「……あ、そうだアキ」
明久「ん?」
美波「目を……瞑ってくれる?」
明久「? こう?」スウッ
美波「いいって言うまで開けちゃ駄目よ」
明久「うん」
明久(一体何をされるんだろう?)
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:43:50.30 ID:jqQkh02b0
チュッ
明久「!?」
美波「………」
明久「美波?これはどういう……?」
美波「バーカ」タタタッ
明久「バカって美波!ちょっと何処行くの?」
美波「じゃあねアキ!」タタタタッ
明久「美波…………」
明久「………………僕はいつまで目を瞑っていればいいの……?」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:49:38.68 ID:jqQkh02b0
――――――――――
明久「ただいまー」
玲「お帰りなさいアキ君」
明久「ただいま姉さん……って何で石畳を抱えてるの?」
玲「ああ、これですか。秘密です」ガコン
明久「……じゃあ、机の上の大工道具たちは?」
玲「秘密です」
明久「その脇のナース服メイド服チャイナドレスセーラー服その他諸々は何?」
玲「秘・密・で・す」
明久 サァァ
明久「そ、そういえば用事が……」クルッ
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:54:29.00 ID:jqQkh02b0
玲「何処へ行くんですか?アキ君?」ガシッ
明久「ゆ、雄二の所に」
玲「雄二君とは遊んできたんですよね?」
明久「実はまだ遊び足りなくて……」
玲「そうですか。まだ美波ちゃんと遊んでくるつもりなんですね」
明久「な、何を言ってるのかな姉さん。僕は雄二と――」
玲「言ったでしょう?あなたは嘘を吐くときに右上を見る癖があるんですよ」ギリギリ
明久 ダラッ
明久「―――いやああああああああああああああああああああ!!!!!!」
玲「さあ、じっくりゆっくりはっきりと、何をして何をやってきたか姉さんに洗いざらい話してくださいね。
アキ君がどうなるかは分かりませんが」
明久「助けてええええぇぇぇえええええええええええ!!!
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/31(水) 23:59:26.46 ID:jqQkh02b0
美波「ただいま」
葉月「お帰りなさいですっ!その袋は一体なんですか?」
美波「これはね――はい」ゴソッ
葉月「ああっ!ぬいぐるみです!」
美波「もうすぐ誕生日でしょ。ちょっと早いけど、お誕生日プレゼント」
葉月「ありがとうですっ!お姉ちゃん!」
美波「それとね」ガサゴソ
葉月「?」
美波「これ」スッ
葉月「あっ!フィーとノインです!」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:03:36.60 ID:7DyPreUl0 [1/4]
美波「アキからよ」
葉月「バカなお兄ちゃんからですか?嬉しいですっ!」
美波「今度会ったらお礼を言うのよ」
葉月「はいですっ!」
美波「………」ニコッ
葉月 ビリビリ
葉月「お姉ちゃん!はいです!」スッ
美波「え?だってこれあんたの――」
葉月「二つですから、片っぽお姉ちゃんに上げるです」
美波「……ありがとう。葉月」
美波「と、ところで葉月、提案があるんだけど……」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:05:26.25 ID:7DyPreUl0 [2/4]
葉月「何ですか?」
美波「今日はお姉ちゃんと一緒に寝ましょう?」
葉月「……お姉ちゃん、怖い映画でも見てきたんですか?」
美波「た、たまには一緒に寝るのもいいかなと思ってね」
葉月「図星ですか……。むー、ずるいです!葉月も一緒に行きたかったです!」
美波「こ、今度連れてってあげるから、ね、お願い」
葉月「仕方ないです。その代わり」
美波「その代わり?」
葉月「今度行く時はバカなお兄ちゃんも一緒ですよ」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:06:36.74 ID:7DyPreUl0 [3/4]
美波「う、うん。分かったわ」
葉月「約束ですよ?」
美波「分かったってば」
葉月「それにしても、いつになったらお姉ちゃんの怖がりは治るんですかね」
美波「うぅ……」
お終い。
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:05:19.60 ID:Qs9VXIP9O [1/2]
こんなにかけるんなら
是非エロパロスレの方にも投下してくれ…
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/01(木) 00:11:46.77 ID:7DyPreUl0 [4/4]
考えた話はここまでです。ここまで付き合ってくれた方、支援くれた方、
その他このスレを開いた方、本当にありがとうございました。
今日最終回だし書きたかったんだ。
あと、誤爆してしまった安価で魔法少女SSの方、本当に御免なさい。
おまけでバカテストを投下していきますんで、良かったら見ていってください。
>>97
今立ってる秀吉の奴?
済まんがエロは書けないんだ
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