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梓「終わりですよ」唯「そっか」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:58:33.51 ID:SIiG6H1l0 [1/26]
梓「すみません」
唯「ううん」
梓「それでは」
唯「うん。ここだよ」
梓「それじゃあ、また――」
梓「すみません」
唯「ううん」
梓「それでは」
唯「うん。ここだよ」
梓「それじゃあ、また――」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 20:59:15.38 ID:SIiG6H1l0 [2/26]
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唯「……グスン」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:03:53.47 ID:SIiG6H1l0 [3/26]
……6年前
――チュンチュン
梓「小鳥が鳴いていますね」
唯「鳴いてるね」
梓「平和ですね」
唯「うん」
梓「平和ですね」
唯「……うん」
梓「……唯先輩の体は、既にPです」
唯「そっか」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:05:26.32 ID:SIiG6H1l0
梓「怖くないんですか?」
唯「うすうす分かってたから」
梓「……すみません」
唯「気にしないで」
梓「私は唯先輩を……」
唯「分かってるよ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:06:28.14 ID:SIiG6H1l0
梓「私は唯先輩を――殺さなくてはいけません」
唯「だから、分かってるって」
梓「いいんですか?」
唯「うん。早くしてよ」
梓「ほんとにいいんですか?」
唯「しつこいよ」
梓「ほんとに、ほんとに――ほんとにそれでいいんですか!?」
唯「!?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:08:34.53 ID:SIiG6H1l0
梓「どうしてですか!! 医学は進歩したんじゃなかったんですか!! 私は、私は何のために医者になったんですか!?」
唯「医学が進歩すれば病気も進化する、それだけだよ」
梓「そんな言葉が聞きたいんじゃありません!」
唯「?」
梓「唯先輩が、死にたくないといってくれれば、私が更に医学を進歩させます」
唯「……駄目だよ、あずにゃん」
梓「……そう言うと思ってました」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:12:39.18 ID:SIiG6H1l0
梓「すみません」
唯「ううん」
梓「それでは」
唯「うん。じゃあこの縄で、お願い」
梓「……はい」
唯「それじゃあね」
――ギュウウウウウ
梓「……っ!!」 ダンッ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:18:04.45 ID:SIiG6H1l0
5年前
唯「仕切りなおし、だね」
梓「わかってますよ」
唯「どう? あれから医学は進歩した?」
梓「ええ。進歩しましたよ。Pの人も、救えるくらいに」
唯「そっか」
梓「はい。……でも、唯先輩の体は」
唯「うん」
梓「P2になってしまったんですね」
唯「そうみたいだね」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:20:23.42 ID:SIiG6H1l0
梓「今度会えるときは……」
梓「きっと、医学は、もっと進歩してて……」
梓「唯先輩が、どんな病でも、救える、」
梓「そんな、世界に、……ううっ」
唯「泣かないで」
唯「あずにゃんは悪くない」
梓「……帰ってきて下さいね」
唯「うん」
唯「それじゃあ」
唯「またね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:22:54.36 ID:SIiG6H1l0
4年前
唯「医学は……」
唯「これ以上、進歩しないんだね」
梓「そうみたいです」
唯「残念?」
梓「こんな世界、滅びてしまえばいいんです」
唯「そんなこと言っちゃ駄目だよ」
梓「10億人」
唯「?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:23:24.30 ID:SIiG6H1l0
梓「Pの数です」
唯「随分増えたね」
梓「隔離が間に合わなかった時点で、Pからこの星が逃れる術はなくなったんですよ」
唯「医学の進歩も、間に合わなかったんだ」
梓「追いつくはずがありません。動く人は、1人もいない」
梓「漫然と、願う人がいるだけです」
唯「……」
梓「いずれ私も、Pになります」
梓「そしたら、あの世で一緒になりましょう」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:26:43.05 ID:SIiG6H1l0
唯「あずにゃんは、動こうとしたよ。澪ちゃんや、りっちゃんや、ムギちゃんが死ぬのを見て、あずにゃんは――」
梓「でも、唯先輩に止められました。結局私は何もできませんでした」
唯「……」
梓「私はいつPになるんでしょうかね」
唯「もしかしたら、永遠にならないかも」
梓「冗談を」
唯「そしたら、世界を救えるのは」
唯「あずにゃんだけかも知れないよ?」
梓「私が救いたいのは、救いたかったのは、唯先輩です。律先輩です。澪先輩です。ムギ先輩です。放課後ティータイムです」
梓「世界じゃありません」
梓「それに、Pはもう止まりませんよ」
梓「既にP3にまで達してる人もいます」
梓「もう医学は、間に合いません」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:27:22.79 ID:SIiG6H1l0
唯「時間だ」
梓「そうみたいですね」
唯「それじゃあ」
唯「またね」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:31:27.64 ID:SIiG6H1l0
2年前
梓「2年ぶりですね」
唯「あずにゃん、ちょっとふけたね」
梓「失礼ですね」
唯「医学は?」
梓「そんなのに頼ってる人は、もう1人もいませんよ」
梓「誰も彼もが、Pになるのを逃れようと必死になってます」
梓「知ってますか? もうP殺しが公然と行われるようになってるんですよ」
梓「むしろ正義の行いになってます」
唯「早めにあずにゃんに殺してもらっておいてよかった」
梓「……」
唯「それで、あずにゃんは諦めたの?」
梓「当然ですよ」
梓「そろそろ私も、Pになるんじゃないかなって思うんです」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:33:55.19 ID:SIiG6H1l0
唯「それは、悲しいね」
梓「そうでもありません」
梓「Pになるのは、悲しくはありません」
梓「ねぇ」
梓「むしろPが、正しい姿なんじゃないですか?」
梓「人間はいつか死ぬじゃないですか」
梓「なら、Pの、何が悪いんでしょう」
梓「医学の名の下にPを殺した私達医者が!!」
梓「防衛の名の下にPを殺す人間が!!」
梓「本当の悪じゃないんですか?」
唯「そんなこと、ないよ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:35:37.57 ID:SIiG6H1l0
梓「Pは、終わりを告げませんよ」
梓「ねぇ」
梓「助けて下さいよ」
梓「唯先輩」
唯「私には、なんにもできないよ」
唯「でも、信じてるから」
梓「先輩はあの時、私を信じなかったじゃないですか」
唯「……あずにゃんがPになったら、終わりだと思って」
唯「Pの私が生きていたら、いずれあずにゃんもPになると思って」
梓「私は、そんなのは、どうでもよかった」
梓「ただ唯先輩に、あの時、信じて欲しかった」
唯「わからずや……」
梓「そうですね、私は、駄目な奴です」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:38:37.54 ID:SIiG6H1l0
――――そして
唯「久しぶりだね」
梓「2年ぶり、ですね」
唯「もう地球は、駄目だね」
梓「はい、終わりますよ」
梓「でも、見つかったんです」
梓「Pを根絶する方法が」
唯「え?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:39:18.11 ID:SIiG6H1l0
梓「私ですよ」
梓「私の体から、Pに対するワクチンが作れるらしいです」
梓「医者達が発見したんです」
梓「じき私のところに来ますよ」
唯「凄いよあずにゃん! やったじゃん!」
梓「いやだ」
梓「今更Pが根絶できたところで、私には何の意味もありません」
梓「Pの研究をしていれば唯先輩が期待してくれた。せめて、最後に残った唯先輩だけは守りたかった」
梓「それが、私がPを研究し続けた理由です」
梓「でも唯先輩はは私を信じてくれなかった」
梓「唯先輩は死んだ」
梓「先輩が真に生き返れたのは死後3年までです」
梓「もう、その形で私に会いにくることも難しくなりますよ」
梓「もう先輩は生返らない」
梓「もう医学は進歩しない」
梓「進歩させない」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:40:43.23 ID:SIiG6H1l0
梓「私は、死のうと思うんです」
梓「ワクチンを、作られる前に」
唯「それが、あずにゃんの決断?」
梓「そうです」
梓「もう地球は」
梓「終わりですよ」
唯「そっか」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:41:57.86 ID:SIiG6H1l0
梓「爆死すれば、ワクチンは作れないでしょう」
唯「そうだろうね」
梓「爆弾なら、あります」
唯「そっか」
梓「私が死んだら、唯先輩に、皆に会えると思いますか?」
唯「探すよ。見つけるよ。探しに行こうよ」
梓「そうですか」
梓「それならもう、残すことはありません」
梓「また会いましょうね」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:43:26.03 ID:SIiG6H1l0
梓「それじゃあそろそろ、死にますね」
梓「爆弾を探してくれませんか?」
唯「私が?」
梓「はい。もう、歩くのも億劫なんです」
唯「……分かったよ」
梓「すみません」
唯「ううん」
梓「それでは」
唯「うん。ここだよ」
梓「それじゃあ、また――」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:44:58.36 ID:SIiG6H1l0
あの時……
――梓「唯先輩が、死にたくないといってくれれば、私が更に医学を進歩させます」
唯「……駄目だよ、あずにゃん」
梓「……そう言うと思ってました」 ――
あの時……
私が彼女を信じてあげられれば
彼女も
世界も
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:45:47.90 ID:SIiG6H1l0
2年後
もう地球は駄目だ
増え続けるP
発達し続けるP
終わり行く人々
もう、地球は駄目だ
あずにゃんには、まだ会っていない
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:46:43.83 ID:SIiG6H1l0
8年前
唯「これは?」
梓「魂を呼び出して、しかも映像つきで、会話までできる機械です」
梓「これで先輩が死んでも、話すことができます。残念ながら、澪先輩達の魂はもう見つけられそうにありませんけど」
梓「まぁ、1回使うと次使えるのは相当後っていう、不便な機械なんですけどね」
梓「そして先輩の肉体も、ちゃんと保存しておきます」
梓「きっと3年は、持ちますよ」
梓「Pを治す方法が見つかったら、魂と肉体を結合させて、唯先輩を生返らせます」
唯「うん、待ってるね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:47:14.93 ID:SIiG6H1l0
そういえば、あの機械は、まだ……
駄目か
爆発の衝撃か
それとも医者どもの腹いせか
壊れてるや
でも、
もしかしたら――
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:48:06.90 ID:SIiG6H1l0 [26/26]
――
梓「久しぶりですね」
唯「2年ぶりだね」
梓「地球は、終わりましたね」
唯「そうだね」
梓「でも、こうして先輩にあえたから」
梓「それでいいかな」
梓「さぁ、探しに行きましょうよ。他の先輩達を」スッ
唯「……」
唯「……」
唯「そうだね。行こっか」
~fin~
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唯「……グスン」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:03:53.47 ID:SIiG6H1l0 [3/26]
……6年前
――チュンチュン
梓「小鳥が鳴いていますね」
唯「鳴いてるね」
梓「平和ですね」
唯「うん」
梓「平和ですね」
唯「……うん」
梓「……唯先輩の体は、既にPです」
唯「そっか」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:05:26.32 ID:SIiG6H1l0
梓「怖くないんですか?」
唯「うすうす分かってたから」
梓「……すみません」
唯「気にしないで」
梓「私は唯先輩を……」
唯「分かってるよ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:06:28.14 ID:SIiG6H1l0
梓「私は唯先輩を――殺さなくてはいけません」
唯「だから、分かってるって」
梓「いいんですか?」
唯「うん。早くしてよ」
梓「ほんとにいいんですか?」
唯「しつこいよ」
梓「ほんとに、ほんとに――ほんとにそれでいいんですか!?」
唯「!?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:08:34.53 ID:SIiG6H1l0
梓「どうしてですか!! 医学は進歩したんじゃなかったんですか!! 私は、私は何のために医者になったんですか!?」
唯「医学が進歩すれば病気も進化する、それだけだよ」
梓「そんな言葉が聞きたいんじゃありません!」
唯「?」
梓「唯先輩が、死にたくないといってくれれば、私が更に医学を進歩させます」
唯「……駄目だよ、あずにゃん」
梓「……そう言うと思ってました」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:12:39.18 ID:SIiG6H1l0
梓「すみません」
唯「ううん」
梓「それでは」
唯「うん。じゃあこの縄で、お願い」
梓「……はい」
唯「それじゃあね」
――ギュウウウウウ
梓「……っ!!」 ダンッ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:18:04.45 ID:SIiG6H1l0
5年前
唯「仕切りなおし、だね」
梓「わかってますよ」
唯「どう? あれから医学は進歩した?」
梓「ええ。進歩しましたよ。Pの人も、救えるくらいに」
唯「そっか」
梓「はい。……でも、唯先輩の体は」
唯「うん」
梓「P2になってしまったんですね」
唯「そうみたいだね」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:20:23.42 ID:SIiG6H1l0
梓「今度会えるときは……」
梓「きっと、医学は、もっと進歩してて……」
梓「唯先輩が、どんな病でも、救える、」
梓「そんな、世界に、……ううっ」
唯「泣かないで」
唯「あずにゃんは悪くない」
梓「……帰ってきて下さいね」
唯「うん」
唯「それじゃあ」
唯「またね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:22:54.36 ID:SIiG6H1l0
4年前
唯「医学は……」
唯「これ以上、進歩しないんだね」
梓「そうみたいです」
唯「残念?」
梓「こんな世界、滅びてしまえばいいんです」
唯「そんなこと言っちゃ駄目だよ」
梓「10億人」
唯「?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:23:24.30 ID:SIiG6H1l0
梓「Pの数です」
唯「随分増えたね」
梓「隔離が間に合わなかった時点で、Pからこの星が逃れる術はなくなったんですよ」
唯「医学の進歩も、間に合わなかったんだ」
梓「追いつくはずがありません。動く人は、1人もいない」
梓「漫然と、願う人がいるだけです」
唯「……」
梓「いずれ私も、Pになります」
梓「そしたら、あの世で一緒になりましょう」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:26:43.05 ID:SIiG6H1l0
唯「あずにゃんは、動こうとしたよ。澪ちゃんや、りっちゃんや、ムギちゃんが死ぬのを見て、あずにゃんは――」
梓「でも、唯先輩に止められました。結局私は何もできませんでした」
唯「……」
梓「私はいつPになるんでしょうかね」
唯「もしかしたら、永遠にならないかも」
梓「冗談を」
唯「そしたら、世界を救えるのは」
唯「あずにゃんだけかも知れないよ?」
梓「私が救いたいのは、救いたかったのは、唯先輩です。律先輩です。澪先輩です。ムギ先輩です。放課後ティータイムです」
梓「世界じゃありません」
梓「それに、Pはもう止まりませんよ」
梓「既にP3にまで達してる人もいます」
梓「もう医学は、間に合いません」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:27:22.79 ID:SIiG6H1l0
唯「時間だ」
梓「そうみたいですね」
唯「それじゃあ」
唯「またね」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:31:27.64 ID:SIiG6H1l0
2年前
梓「2年ぶりですね」
唯「あずにゃん、ちょっとふけたね」
梓「失礼ですね」
唯「医学は?」
梓「そんなのに頼ってる人は、もう1人もいませんよ」
梓「誰も彼もが、Pになるのを逃れようと必死になってます」
梓「知ってますか? もうP殺しが公然と行われるようになってるんですよ」
梓「むしろ正義の行いになってます」
唯「早めにあずにゃんに殺してもらっておいてよかった」
梓「……」
唯「それで、あずにゃんは諦めたの?」
梓「当然ですよ」
梓「そろそろ私も、Pになるんじゃないかなって思うんです」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:33:55.19 ID:SIiG6H1l0
唯「それは、悲しいね」
梓「そうでもありません」
梓「Pになるのは、悲しくはありません」
梓「ねぇ」
梓「むしろPが、正しい姿なんじゃないですか?」
梓「人間はいつか死ぬじゃないですか」
梓「なら、Pの、何が悪いんでしょう」
梓「医学の名の下にPを殺した私達医者が!!」
梓「防衛の名の下にPを殺す人間が!!」
梓「本当の悪じゃないんですか?」
唯「そんなこと、ないよ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:35:37.57 ID:SIiG6H1l0
梓「Pは、終わりを告げませんよ」
梓「ねぇ」
梓「助けて下さいよ」
梓「唯先輩」
唯「私には、なんにもできないよ」
唯「でも、信じてるから」
梓「先輩はあの時、私を信じなかったじゃないですか」
唯「……あずにゃんがPになったら、終わりだと思って」
唯「Pの私が生きていたら、いずれあずにゃんもPになると思って」
梓「私は、そんなのは、どうでもよかった」
梓「ただ唯先輩に、あの時、信じて欲しかった」
唯「わからずや……」
梓「そうですね、私は、駄目な奴です」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:38:37.54 ID:SIiG6H1l0
――――そして
唯「久しぶりだね」
梓「2年ぶり、ですね」
唯「もう地球は、駄目だね」
梓「はい、終わりますよ」
梓「でも、見つかったんです」
梓「Pを根絶する方法が」
唯「え?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:39:18.11 ID:SIiG6H1l0
梓「私ですよ」
梓「私の体から、Pに対するワクチンが作れるらしいです」
梓「医者達が発見したんです」
梓「じき私のところに来ますよ」
唯「凄いよあずにゃん! やったじゃん!」
梓「いやだ」
梓「今更Pが根絶できたところで、私には何の意味もありません」
梓「Pの研究をしていれば唯先輩が期待してくれた。せめて、最後に残った唯先輩だけは守りたかった」
梓「それが、私がPを研究し続けた理由です」
梓「でも唯先輩はは私を信じてくれなかった」
梓「唯先輩は死んだ」
梓「先輩が真に生き返れたのは死後3年までです」
梓「もう、その形で私に会いにくることも難しくなりますよ」
梓「もう先輩は生返らない」
梓「もう医学は進歩しない」
梓「進歩させない」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:40:43.23 ID:SIiG6H1l0
梓「私は、死のうと思うんです」
梓「ワクチンを、作られる前に」
唯「それが、あずにゃんの決断?」
梓「そうです」
梓「もう地球は」
梓「終わりですよ」
唯「そっか」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:41:57.86 ID:SIiG6H1l0
梓「爆死すれば、ワクチンは作れないでしょう」
唯「そうだろうね」
梓「爆弾なら、あります」
唯「そっか」
梓「私が死んだら、唯先輩に、皆に会えると思いますか?」
唯「探すよ。見つけるよ。探しに行こうよ」
梓「そうですか」
梓「それならもう、残すことはありません」
梓「また会いましょうね」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:43:26.03 ID:SIiG6H1l0
梓「それじゃあそろそろ、死にますね」
梓「爆弾を探してくれませんか?」
唯「私が?」
梓「はい。もう、歩くのも億劫なんです」
唯「……分かったよ」
梓「すみません」
唯「ううん」
梓「それでは」
唯「うん。ここだよ」
梓「それじゃあ、また――」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:44:58.36 ID:SIiG6H1l0
あの時……
――梓「唯先輩が、死にたくないといってくれれば、私が更に医学を進歩させます」
唯「……駄目だよ、あずにゃん」
梓「……そう言うと思ってました」 ――
あの時……
私が彼女を信じてあげられれば
彼女も
世界も
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:45:47.90 ID:SIiG6H1l0
2年後
もう地球は駄目だ
増え続けるP
発達し続けるP
終わり行く人々
もう、地球は駄目だ
あずにゃんには、まだ会っていない
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:46:43.83 ID:SIiG6H1l0
8年前
唯「これは?」
梓「魂を呼び出して、しかも映像つきで、会話までできる機械です」
梓「これで先輩が死んでも、話すことができます。残念ながら、澪先輩達の魂はもう見つけられそうにありませんけど」
梓「まぁ、1回使うと次使えるのは相当後っていう、不便な機械なんですけどね」
梓「そして先輩の肉体も、ちゃんと保存しておきます」
梓「きっと3年は、持ちますよ」
梓「Pを治す方法が見つかったら、魂と肉体を結合させて、唯先輩を生返らせます」
唯「うん、待ってるね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:47:14.93 ID:SIiG6H1l0
そういえば、あの機械は、まだ……
駄目か
爆発の衝撃か
それとも医者どもの腹いせか
壊れてるや
でも、
もしかしたら――
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/12(土) 21:48:06.90 ID:SIiG6H1l0 [26/26]
――
梓「久しぶりですね」
唯「2年ぶりだね」
梓「地球は、終わりましたね」
唯「そうだね」
梓「でも、こうして先輩にあえたから」
梓「それでいいかな」
梓「さぁ、探しに行きましょうよ。他の先輩達を」スッ
唯「……」
唯「……」
唯「そうだね。行こっか」
~fin~
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