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ライバル
677 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:41:54.94 ID:1bnFRGk0 [1/6]
もしも上条さんが勉強が得意で
かつ美琴と同学年だったら
ある意味キャラ崩壊注意してください
もしも上条さんが勉強が得意で
かつ美琴と同学年だったら
ある意味キャラ崩壊注意してください
678 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:42:32.70 ID:1bnFRGk0 [2/6]
美琴「いよいよ、雪辱を果たす時が来たわね……」
放課後、帰ろうとした上条当麻の前に
クラスメートの御坂美琴が立ちふさがる
上条「何を唐突に言い出すんだよ、お前」
美琴「うるさいわね! 忘れたとは言わさないわよ!」
言いながら美琴が詰め寄ってくる
ふわっと微かに甘酸っぱい匂いが漂う
上条「上条さんに心当たりはありませんよ」
内心の動揺を悟られないように
つとめて冷静に返す
美琴「ふざけんな! 今のところアンタに2連敗中なのよ!」
上条「だから、何だよ」
美琴「だ・か・ら! 一回目は私の電撃を打ち消した事!」
上条「ああ」
そう言えば、そんな事もあったような気もする
入学式の前日
絡まれている女の子を助けようとしたら
チンピラごと電撃を浴びせられた
まさか、その女の子と
クラスメートになるとは思わなかった
679 名前:ライバル2/4[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:43:42.66 ID:1bnFRGk0 [3/6]
美琴「あの時の悔しさは忘れないわ……」
上条「お前って意外と根に持つタイプだよな」
美琴「うるさい! そして二回目! 中間テスト!」
上条「俺が学年トップだったな、お前が2位。でも理数系はお前のが上だったろ」
美琴「総合点で負けてちゃ意味無いの!」
上条「ま、そうだな」
実は上条も理数系で負けた事は、ちょっと悔しかったりする
なので、今回は理数系に力を入れた
不幸をばねに勉強とスポーツに打ち込んできたのは伊達ではない
美琴「ふふふ、首を洗ってまってなさいよ!」
上条「ふん、そう簡単に上条さんを倒せると思うなよ」
垣根「……仲いいな、お前ら」
学園都市第2位にして中間テスト第3位の
クラスメートが何か言っている
でも、今は美琴しか見えない
ラブとかではなく
……いや、ほんと
だから、ラブ的意味じゃないって
680 名前:ライバル3/4[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:44:09.90 ID:1bnFRGk0 [4/6]
美琴「期末テストに続いて、黒星が増えたわね……」
上条「お前は何でも勝負で考えんのか……」
包帯グルグル巻きの姿でベッドに横たわりながら
見舞いに来た美琴に突っ込む
美琴「そうでもないわよ」
上条「どーだか」
期末テスト後の夏休み
美琴のクローン『妹達』を巡る事件
美琴と『妹達』を守って上条は
学園都市最強の能力者に挑み、
ギリギリで勝利をもぎ取った
681 名前:ライバル4/4[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:44:37.03 ID:1bnFRGk0 [5/6]
美琴「……一度しか言わないわよ」
上条「ん、何だ」
上条から目を背け
ほんの少しだけ頬を赤く染めて
美琴「……あ、ありがとう」
消え入りそうな声で美琴が囁く
美琴「でも、二学期の中間テストでは手加減しないからね!」
顔を真っ赤にしたまま
大きな声で美琴が叫ぶ
看護婦「上条さん! 他の患者さんの迷惑です!」
上条「あ、すみません。……お前のせいで怒られたじゃないか」
美琴「う、うるさ……ごめん」
素直に美琴が頭を下げる
しょんぼりとしたその姿が
何故か可愛らしくみえてしまい
上条「ま、次のテストも俺がいただくけどな」
その自分の感情を誤魔化すように
美琴に対して宣言する
美琴「ふん、アンタの時代は終わりよ」
上条「ふん、返り打ちにしてやるぜ」
看護婦「仲良いわね、貴方達」
担当の看護婦さんが何か呟いていたが
気にしない事にする
今は美琴しか見えない
了
708 名前:ライバル②1/3[] 投稿日:2010/12/19(日) 14:56:53.75 ID:odv7rvE0 [2/13]
美琴「ごめんなさいね、昨日の恩を仇で返す事になっちゃいそうで」
上条「いや、それはないからな」
新学期初日
通学路でクラスメートの御坂美琴に
休み明けのテストの事で勝負を
吹っかけられる
美琴「くくく、今のうちにせいぜい調子に乗っておくといいわ」
半分くらい予想通りとは言え
昨日のちょっぴりいい雰囲気はなんだったのか
綺麗な顔に嫌らしい笑顔を浮かべる美琴を見て思う
上条「ふん、そのセリフはそっくりそのまま返してやるよ」
美琴「舐めた口をきけるのも今日までよ……ふふふふ」
上条「ふふふふ……ん、あれは」
少し前をクラスメートのホスト風男が
歩いているのを見つける
709 名前:ライバル②2/3[] 投稿日:2010/12/19(日) 14:57:35.53 ID:odv7rvE0 [3/13]
上条「おーす、垣根!」
垣根「ん、お、おお」
ちょっと間があってから
垣根が返事をする
少し様子がおかしい気もする
美琴「何よ、元気ないわね」
垣根「……おまえらみたいなバカップルといっしょにすんな」
上条「誰が! 上条さんを、こいつとセットにすんな!」
美琴「ちょ、ちょっと! こ、この御坂美琴さんが、何でこんなヤツと!」
つい、声をあげて反論してしまう
自分の頬が熱いのがわかる
絶対に昨日の出来事のせいだ
710 名前:ライバル②3/3[] 投稿日:2010/12/19(日) 14:58:26.66 ID:odv7rvE0 [4/13]
美琴「…何よ、私とカップル扱いに不満でもあるわけ」
自分も否定したくせに美琴が不満げに
睨みつけてくる。理不尽だ
上条「あ、当たり前だろ! お前みたいなすぐビリビリするヤツ」
美琴「何ですって! こっちこそアンタみたいなのはお断りよ!」
上条「なんだと!」
美琴「何よ!」
美琴が詰め寄ってくる。上条も距離を詰める
顔がかなり近いが、ここで目を逸らすと負けだ
垣根「……上条に、御坂か」
上条「ん、なんか言ったか」
美琴と言い争っている横で
垣根が何か小さな声で呟いた気がした
垣根「いや、仲いいなお前らと思ってよ」
上琴「「良くない!」」
ハモってしまった
でも、仲良くないから
ホントだから
了
753 名前:ライバル③1/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:16:52.60 ID:odv7rvE0 [7/13]
美琴「久しぶりね……一方通行」
一方通行「おゥ、オマエかァ」
美琴「ふん、あの実験の事は忘れたりしてないからね」
一方「……あァ」
美琴「絶対に仕返ししてやるんだから」
一方「……そうか」
美琴「まずは手始めに、明後日の模試でコテンパンにしてあげるわ!」
一方「はァ?」
一方通行を睨みつけながら
美琴が宣言する
美琴「くくく、覚悟して起きなさい……。あのバカもろとも叩きのめしてやるわ!」
上条「……何やってんだ、あいつ」
一方通行もわけのわからないという顔をしている
というか、さりげなく人の事をバカと言うな
垣根「お前もな」
上条の後ろの席の男が呆れた口調で言う
上条「は、何でだよ」
垣根「アイツらが話してるのを凄い顔で見てたぞ」
上条「……凄い顔?」
垣根「彼女が他の男と話すのを、睨みつける束縛男みたいな顔」
上条「そんな顔してねえよ!」
反論しようとするが
垣根は興味なさげにあくびをしやがる
そんな顔はしてないのに
……してないよな
754 名前:ライバル③2/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:17:30.73 ID:odv7rvE0 [8/13]
「こんにちは! ってミサカはミサカは挨拶しながら教室に入ってみたり!」
教室に元気な声が響く
声の主は中学生くらいの女の子
栗色の髪に綺麗な顔立ち
元気いっぱいなその子の顔を
どこかで見たような気が……
上条「御坂、お前の妹か?」
美琴「私の妹は……。って妹!」
『妹達』
美琴のクローンとして造られた少女たち
悪夢のような実験で消えていく運命だったが
上条と美琴の手によって救われた
上条「ちょっと年下な子もいるのか?」
美琴「知らないわよ。私も初対面だし」
上条たちが話していると
その少女が教室の中に入ってきて
一人の生徒の前でとまる
755 名前:ライバル③3/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:18:18.64 ID:odv7rvE0 [9/13]
打ち止め「はい、忘れものだよってミサカはミサカは紙袋を差し出してみたり!」
そう、一方通行の前で
一方「な、何しに来たンだ! オマエェ!」
打ち止め「ひどい、せっかく持ってきてあげたのに! ミサカはミサカは好意を怒声で返されてショックを受けてみたり!」
一方「いらないンだよ! その袋はァ! 俺は全部置き用具してっからァ!」
打ち止め「せっかく持ってきたのに……あっ」
少女がこちらに気づき
近寄ってくる
近くで見るとますます美琴にそっくりだ
打ち止め「はじめまして、お姉様! ミサカは検体番号20001『打ち止め』ですってミサカはミサカは自己紹介してみたり!」
美琴「あ、どうも御坂美琴です」
上条「上条当麻です」
打ち止め「ミサカ達を助けてくれた人だね! その節はどうも!」
上条「いえいえ、大した事は……」
美琴「ってそうじゃなくて! やっぱりあんたも『妹達』なわけ? なら、なんで中学生くらいなの!?」
上条「アイツの趣味だろ」
756 名前:ライバル③4/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:19:04.92 ID:odv7rvE0 [10/13]
一方通行に視線を送りながら
美琴の質問に口をはさむ
美琴「あ、なるほど……」
一方「納得すンなァ!」
こっちに駆け寄りながら一方通行が叫ぶ
白い顔を真っ赤にしながら
垣根「だってお前、同い年の女の子と話せないって顔してるしよ」
一方「してねェよ!つか、オマエだってアレじゃん」
垣根「アレってなんだよ」
一方「まえ見たぞォ、オマエが巫女さん侍らしたり、シスターと歩いたりをォ」
垣根「あ、あれは違うんだよ!」
第一位と第二位が互いの性癖を暴露し始める
仲いいなこいつら
打ち止め「あの人もクラスに溶け込んでるんだね、良かった」
打ち止めが優しげな笑顔で
一方通行を見詰めながら呟く
あの会話内容でいいのか
757 名前:ライバル③5/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:19:44.96 ID:odv7rvE0 [11/13]
美琴「しっかし、すごい子だったわね」
放課後、二人っきりの教室で
美琴が上条に洩らす
上条「遺伝的な問題じゃないのか」
美琴「どういう意味だコラ。ていうか、すごいってそういう意味じゃないわよ」
上条「じゃあ、何だよ」
美琴「一方通行と普通に話せる事。私には無理だもん」
上条「結構、普通に話してないか」
美琴「無理無理。話しかけるたびに『妹達』の事がよぎってケンカ腰になっちゃうもん」
上条「……お前は誰にでもケンカ腰だろ」
美琴「そんなこと無いわよ。何にも気にしてない相手にケンカ腰になったりはしないわよ」
手を仰ぎ軽く笑いながら美琴が言う
その様子につい口が滑る
758 名前:ライバル③6/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:21:04.79 ID:odv7rvE0 [12/13]
上条「でも、お前。いつも俺にはケンカ腰じゃないか」
余計な事を聞いてしまう
なんで、こんなことを聞いてしまったのか
自分でもわからない
美琴「そう?」
上条「そうだよ」
美琴「そうかなぁ」
上条「そうだって言ってるじゃねえか。俺は―――」
初めて出会った日、電撃を消されて驚いた顔
中間テストで上条が勝った時の悔しそうな顔
「お前の事が」
『妹達』を守るために決意した悲壮な横顔
上条に偽装デートを頼んだ時の照れた顔
そして、さっき一方通行と話していた横顔
それらが上条の脳裏を駆け廻り
口が勝手に言葉を紡ぐ
「好きなのにな」
ああ、確かにバカもしれない
自分の声を聞くまで
気付かなかった
この想いに……
了
837 名前:ライバル④1/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:04:45.85 ID:H3fbQdk0 [2/14]
美琴「あの、今時間良いかな」
中学時代の後輩経由の縁で知り合った友人に電話する
電話を前に悩んでいたせいで、少し遅めの時間になってしまった
佐天『はい、大丈夫です。どうしたんですか』
美琴「ええとね……ちょっと相談があるんだけど」
佐天『相談ですか?』
美琴「……うん」
今日の放課後の事を誰に相談するべきか
さんざん迷った挙句、最後に浮かんだのは
彼女の顔だった
クラスメートには、恥ずかしすぎて
常盤台時代の後輩は役に立ちそうもない
美琴「前に、クラスに気になってる人がいるって言ったでしょ」
佐天『ああ、言ってましたね。学年トップの人でしたっけ』
美琴「うん、私より成績が良い事はいつかぎゃふんって言わせるつもりだけど」
佐天『……ぎゃふんですか』
美琴「それは置いといて、今日の放課後、そいつに……」
佐天『はい、その人に』
美琴「あのね、そのね」
すぐには言葉が出てこない
音になる前にしぼんで消えてしまう
838 名前:ライバル④2/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:05:50.39 ID:H3fbQdk0 [3/14]
佐天『はい』
待たせてしまって、申し訳ないと思う
でも、思い出すだけで顔が熱くなる
口に出そうと思っているだけで
心臓が破裂しそうな気さえする
美琴「……す、好きって言われたの」
佐天「そうなんですか! おめでとうございます!」
華やいだ声が、携帯電話越しに聞こえる
でも、まだ本題では無かったりする
美琴「……で言われたんだけど」
佐天「だけど?」
美琴「い、言われただけなの」
佐天「そうなんですか。え!?」
美琴「う、うん」
佐天「好きってだけ!? 付き合ってとか、お前はどうだとか無かったんですか!?」
美琴「無かった」
と言うよりも、聞いた直後
驚きすぎて、その後の記憶が曖昧だ
気がつくと何故か自分の部屋にいた
839 名前:ライバル④3/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:06:44.27 ID:H3fbQdk0 [4/14]
佐天「ど、どんな流れで言われたんですか?」
美琴「ええと、……」
簡単に昨日の出来事を説明する
相手――上条当麻が美琴の事を
誰にでもケンカ腰と言いだして
それを否定していたら、
俺にはケンカ腰と言いだして……
佐天「そこで好きですか」
美琴「……もしかしたら、そういう好きじゃなかったのかも」
ケンカばかりだけど仲良くしよう
その程度の意味だった気がしてきた
佐天「そ、そんなこと無いですよ。絶対告白ですって」
美琴「そうかなぁ……。だったら、やっぱり付き合えとかも言うんじゃ」
口に出してみると、ますますそんな気がしてきた
アイツから告白してくるなんて……
佐天「大丈夫ですって」
美琴「……ほんと?」
佐天「はい。じゃあ、明日確認してみればいいじゃないですか」
美琴「……確認」
明日、アイツに確認する
言葉にすれば簡単そうなのに
明後日の模試よりも、ずっと難しそうに感じる
840 名前:ライバル④4/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:07:50.02 ID:H3fbQdk0 [5/14]
佐天「で、御坂さんはどうなんですか? その人の事!」
美琴「私?」
佐天「はい。気になってる人って言ってますけど、どうなんですか?」
御坂美琴が上条当麻をどう思っているのか
いつも口げんかばかりで
テストの事でも張り合って
美琴「どうって……」
でもあの時、美琴の為に立ちあがってくれて
偽装デートにもぶつくさ言いながらも合わせてくれて
佐天「好きなんですか」
レベル5の『超電磁砲』じゃなくて、いつも等身大の美琴を見てくれていて
美琴「……好き、うん、大好き」
きっかけは、たくさんあった
でも何よりも
アイツはアイツだから
佐天「よし! じゃ、頑張りましょう!」
美琴「……頑張る?」
佐天「はい! その人と、彼氏彼女になっちゃいましょう!」
元気いっぱいに励ましてくれる声
やっぱり相談して良かった
美琴「うん、頑張るね」
さぁ! 明日は決戦だ!
841 名前:ライバル④5/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:08:40.29 ID:H3fbQdk0 [6/14]
一方「おィ、夫婦喧嘩かァ?」
美琴「……唐突に何よ」
一時間目の授業の後
後ろの席のモヤシに失礼な事を言われる
どういうつもりだ
一方「今日一回も会話してないだろォ、オマエら」
美琴「なんでアンタが、そんな事確認してるわけ」
わざわざ、人が会話をチェックしているのか
暇なモヤシだ
一方「オマエら飽きもせずに、毎休憩ごとにでけェ声で言いあってンじゃねぇかァ」
美琴「……そうかしら」
一方「少なくとも、俺が転校してきてからは確実にそうだなァ」
美琴「そんなに目立ってた?」
一方「目立ってた。なンかあったのかァ、オマエら。お互いの事チラチラ見てるしよォ。……それはいつもの事かァ」
美琴「……そう?」
言われてみれば
授業中の上条が簡単に思い浮かぶ
無意識のうちに見ていたのか
好きと気付いたのは昨日なのに
842 名前:ライバル④6/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:09:25.84 ID:H3fbQdk0 [7/14]
一方「やっぱ、ケンカかァ? 早く仲直りしろよ」
美琴「違うわよ」
一方「でもよォ」
美琴「ええい、うるさいわね。……見てなさい」
呼吸を落ちつけて
静かに自分自身を整える
そして
「上条当麻ぁぁぁぁぁ!!!」
腹の底から声を出す
上条「お、おおおう」
上条が驚いた顔を浮かべている
でも、かまわずに
美琴「放課後にっ!!! 屋上に来なさいぃぃぃぃ!!!」
全力で続ける
上条「お、あ、何で」
美琴「良いから!! 来る!!」
上条「はい!」
一方「……やっぱケンカじゃねェか。ついにシメンのかァ」
白いのだけじゃなく
クラス中に注目されているが
もはや、気にしない
今は、放課後のことしか考えられない
843 名前:ライバル④7/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:10:08.47 ID:H3fbQdk0 [8/14]
美琴「……来たわね」
風が吹き抜ける屋上
秋とは思えないくらい
照りつけてくる太陽の下
上条「おう」
待ち人が現れる
いつも通りのツンツン頭
でも、今日はそんなに見てない
見られなかった
美琴「用件は分かってるわね」
上条「いや、さっぱり」
美琴「昨日の事よ!!」
上条「お、おう。あれか……」
上条当麻の頬が赤くなる
そして、美琴の顔も熱い
たぶん、同じような顔をしているのだろう
844 名前:ライバル④8/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:10:44.44 ID:H3fbQdk0 [9/14]
美琴「き、昨日のあれどういうつもりなの」
上条「あ、あれはな」
美琴「う、うん」
そこで上条が黙りこむ
美琴も、何を言っていいのかわからない
(何やってるんだろ、私)
いつもだったら、コイツとどうでもいい事で
言い争って
明日のテストの事でも張り合って
でも、最後には一緒に笑いあう
そんな時間なのに
そういうのがずっと続いて行くと思っていたのに
そうであってほしいと、心のどこかで願っていた
でも、
昨日もコイツの事の言葉を聞いて
もっと、奥底にあった願いに気づいてしまった
だから
845 名前:ライバル④9/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:11:22.14 ID:H3fbQdk0 [10/14]
美琴「アンタが、どういうつもりで言ったかわかんないけどさ」
その実現のために
「私は好きだよ、アンタの事。一人の男の子として……」
精一杯の言葉を伝える
美琴「昨日まで、自分でも気づいてなかったけどね」
結局のところ
そうすることくらいしかできない
少なくとも、今の美琴には
846 名前:ライバル④10/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:11:51.63 ID:H3fbQdk0 [11/14]
上条「俺もさ、自分で言うまで気付いてなかったけど」
真っ直ぐに美琴を見詰めてきながら
上条が言葉を紡ぎ始める
美琴の大好きなその瞳を逸らさずに
「お前の事、好きなんだ。一人の女の子として」
美琴が聞きたかった言葉を、囁いてくれる
自分でも気づかないくらい無意識な願いのなかの
美琴「……うん」
上条「だから、俺と」
「付き合ってください」
「うん」
昨日まで
ただのライバル、よくて友達だった
無意識にそう思い込もうとしていた
でも、今日からは
847 名前:ライバル④11/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:12:26.15 ID:H3fbQdk0 [12/14]
美琴「と、ところで明日の模試なんだけど……」
上条「あ、ああ」
美琴「しょ、勝負しない?」
上条「ん? いつもやってるだろ」
美琴「ば、罰ゲームつきの」
上条「罰ゲーム?」
美琴「そう、負けた方は勝った方の言う事を何でも聞くの」
上条「い、いいのか。付き合い始めた以上、上条さん手加減しないぞ罰ゲーム」
美琴「て、手加減しないって」
どんな要求をしてくるのだろうか
つい、上条の唇に目が惹き付けられてしまう
まさか、そういうことなのか
美琴「ふ、ふん。どーせ私が勝つからいいのよ!」
上条「言ったな。手加減しないぞ、罰ゲームも模試も」
美琴「ふ、ふん。望むところよ」
言いながら目が離せない
むしろ、美琴が勝ったときも……
848 名前:ライバル④12/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:13:02.84 ID:H3fbQdk0 [13/14]
上条「……て、手とか握るぞ。罰ゲーム」
上条が小さな声でなにか言っているが
もう頭に入ってこない
でも、上条の事しか考えられない
昨日までライバルとして
今日からは彼氏として
明日も、明後日も、その次も
これから先ずっと……
了
美琴「いよいよ、雪辱を果たす時が来たわね……」
放課後、帰ろうとした上条当麻の前に
クラスメートの御坂美琴が立ちふさがる
上条「何を唐突に言い出すんだよ、お前」
美琴「うるさいわね! 忘れたとは言わさないわよ!」
言いながら美琴が詰め寄ってくる
ふわっと微かに甘酸っぱい匂いが漂う
上条「上条さんに心当たりはありませんよ」
内心の動揺を悟られないように
つとめて冷静に返す
美琴「ふざけんな! 今のところアンタに2連敗中なのよ!」
上条「だから、何だよ」
美琴「だ・か・ら! 一回目は私の電撃を打ち消した事!」
上条「ああ」
そう言えば、そんな事もあったような気もする
入学式の前日
絡まれている女の子を助けようとしたら
チンピラごと電撃を浴びせられた
まさか、その女の子と
クラスメートになるとは思わなかった
679 名前:ライバル2/4[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:43:42.66 ID:1bnFRGk0 [3/6]
美琴「あの時の悔しさは忘れないわ……」
上条「お前って意外と根に持つタイプだよな」
美琴「うるさい! そして二回目! 中間テスト!」
上条「俺が学年トップだったな、お前が2位。でも理数系はお前のが上だったろ」
美琴「総合点で負けてちゃ意味無いの!」
上条「ま、そうだな」
実は上条も理数系で負けた事は、ちょっと悔しかったりする
なので、今回は理数系に力を入れた
不幸をばねに勉強とスポーツに打ち込んできたのは伊達ではない
美琴「ふふふ、首を洗ってまってなさいよ!」
上条「ふん、そう簡単に上条さんを倒せると思うなよ」
垣根「……仲いいな、お前ら」
学園都市第2位にして中間テスト第3位の
クラスメートが何か言っている
でも、今は美琴しか見えない
ラブとかではなく
……いや、ほんと
だから、ラブ的意味じゃないって
680 名前:ライバル3/4[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:44:09.90 ID:1bnFRGk0 [4/6]
美琴「期末テストに続いて、黒星が増えたわね……」
上条「お前は何でも勝負で考えんのか……」
包帯グルグル巻きの姿でベッドに横たわりながら
見舞いに来た美琴に突っ込む
美琴「そうでもないわよ」
上条「どーだか」
期末テスト後の夏休み
美琴のクローン『妹達』を巡る事件
美琴と『妹達』を守って上条は
学園都市最強の能力者に挑み、
ギリギリで勝利をもぎ取った
681 名前:ライバル4/4[] 投稿日:2010/12/18(土) 22:44:37.03 ID:1bnFRGk0 [5/6]
美琴「……一度しか言わないわよ」
上条「ん、何だ」
上条から目を背け
ほんの少しだけ頬を赤く染めて
美琴「……あ、ありがとう」
消え入りそうな声で美琴が囁く
美琴「でも、二学期の中間テストでは手加減しないからね!」
顔を真っ赤にしたまま
大きな声で美琴が叫ぶ
看護婦「上条さん! 他の患者さんの迷惑です!」
上条「あ、すみません。……お前のせいで怒られたじゃないか」
美琴「う、うるさ……ごめん」
素直に美琴が頭を下げる
しょんぼりとしたその姿が
何故か可愛らしくみえてしまい
上条「ま、次のテストも俺がいただくけどな」
その自分の感情を誤魔化すように
美琴に対して宣言する
美琴「ふん、アンタの時代は終わりよ」
上条「ふん、返り打ちにしてやるぜ」
看護婦「仲良いわね、貴方達」
担当の看護婦さんが何か呟いていたが
気にしない事にする
今は美琴しか見えない
了
708 名前:ライバル②1/3[] 投稿日:2010/12/19(日) 14:56:53.75 ID:odv7rvE0 [2/13]
美琴「ごめんなさいね、昨日の恩を仇で返す事になっちゃいそうで」
上条「いや、それはないからな」
新学期初日
通学路でクラスメートの御坂美琴に
休み明けのテストの事で勝負を
吹っかけられる
美琴「くくく、今のうちにせいぜい調子に乗っておくといいわ」
半分くらい予想通りとは言え
昨日のちょっぴりいい雰囲気はなんだったのか
綺麗な顔に嫌らしい笑顔を浮かべる美琴を見て思う
上条「ふん、そのセリフはそっくりそのまま返してやるよ」
美琴「舐めた口をきけるのも今日までよ……ふふふふ」
上条「ふふふふ……ん、あれは」
少し前をクラスメートのホスト風男が
歩いているのを見つける
709 名前:ライバル②2/3[] 投稿日:2010/12/19(日) 14:57:35.53 ID:odv7rvE0 [3/13]
上条「おーす、垣根!」
垣根「ん、お、おお」
ちょっと間があってから
垣根が返事をする
少し様子がおかしい気もする
美琴「何よ、元気ないわね」
垣根「……おまえらみたいなバカップルといっしょにすんな」
上条「誰が! 上条さんを、こいつとセットにすんな!」
美琴「ちょ、ちょっと! こ、この御坂美琴さんが、何でこんなヤツと!」
つい、声をあげて反論してしまう
自分の頬が熱いのがわかる
絶対に昨日の出来事のせいだ
710 名前:ライバル②3/3[] 投稿日:2010/12/19(日) 14:58:26.66 ID:odv7rvE0 [4/13]
美琴「…何よ、私とカップル扱いに不満でもあるわけ」
自分も否定したくせに美琴が不満げに
睨みつけてくる。理不尽だ
上条「あ、当たり前だろ! お前みたいなすぐビリビリするヤツ」
美琴「何ですって! こっちこそアンタみたいなのはお断りよ!」
上条「なんだと!」
美琴「何よ!」
美琴が詰め寄ってくる。上条も距離を詰める
顔がかなり近いが、ここで目を逸らすと負けだ
垣根「……上条に、御坂か」
上条「ん、なんか言ったか」
美琴と言い争っている横で
垣根が何か小さな声で呟いた気がした
垣根「いや、仲いいなお前らと思ってよ」
上琴「「良くない!」」
ハモってしまった
でも、仲良くないから
ホントだから
了
753 名前:ライバル③1/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:16:52.60 ID:odv7rvE0 [7/13]
美琴「久しぶりね……一方通行」
一方通行「おゥ、オマエかァ」
美琴「ふん、あの実験の事は忘れたりしてないからね」
一方「……あァ」
美琴「絶対に仕返ししてやるんだから」
一方「……そうか」
美琴「まずは手始めに、明後日の模試でコテンパンにしてあげるわ!」
一方「はァ?」
一方通行を睨みつけながら
美琴が宣言する
美琴「くくく、覚悟して起きなさい……。あのバカもろとも叩きのめしてやるわ!」
上条「……何やってんだ、あいつ」
一方通行もわけのわからないという顔をしている
というか、さりげなく人の事をバカと言うな
垣根「お前もな」
上条の後ろの席の男が呆れた口調で言う
上条「は、何でだよ」
垣根「アイツらが話してるのを凄い顔で見てたぞ」
上条「……凄い顔?」
垣根「彼女が他の男と話すのを、睨みつける束縛男みたいな顔」
上条「そんな顔してねえよ!」
反論しようとするが
垣根は興味なさげにあくびをしやがる
そんな顔はしてないのに
……してないよな
754 名前:ライバル③2/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:17:30.73 ID:odv7rvE0 [8/13]
「こんにちは! ってミサカはミサカは挨拶しながら教室に入ってみたり!」
教室に元気な声が響く
声の主は中学生くらいの女の子
栗色の髪に綺麗な顔立ち
元気いっぱいなその子の顔を
どこかで見たような気が……
上条「御坂、お前の妹か?」
美琴「私の妹は……。って妹!」
『妹達』
美琴のクローンとして造られた少女たち
悪夢のような実験で消えていく運命だったが
上条と美琴の手によって救われた
上条「ちょっと年下な子もいるのか?」
美琴「知らないわよ。私も初対面だし」
上条たちが話していると
その少女が教室の中に入ってきて
一人の生徒の前でとまる
755 名前:ライバル③3/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:18:18.64 ID:odv7rvE0 [9/13]
打ち止め「はい、忘れものだよってミサカはミサカは紙袋を差し出してみたり!」
そう、一方通行の前で
一方「な、何しに来たンだ! オマエェ!」
打ち止め「ひどい、せっかく持ってきてあげたのに! ミサカはミサカは好意を怒声で返されてショックを受けてみたり!」
一方「いらないンだよ! その袋はァ! 俺は全部置き用具してっからァ!」
打ち止め「せっかく持ってきたのに……あっ」
少女がこちらに気づき
近寄ってくる
近くで見るとますます美琴にそっくりだ
打ち止め「はじめまして、お姉様! ミサカは検体番号20001『打ち止め』ですってミサカはミサカは自己紹介してみたり!」
美琴「あ、どうも御坂美琴です」
上条「上条当麻です」
打ち止め「ミサカ達を助けてくれた人だね! その節はどうも!」
上条「いえいえ、大した事は……」
美琴「ってそうじゃなくて! やっぱりあんたも『妹達』なわけ? なら、なんで中学生くらいなの!?」
上条「アイツの趣味だろ」
756 名前:ライバル③4/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:19:04.92 ID:odv7rvE0 [10/13]
一方通行に視線を送りながら
美琴の質問に口をはさむ
美琴「あ、なるほど……」
一方「納得すンなァ!」
こっちに駆け寄りながら一方通行が叫ぶ
白い顔を真っ赤にしながら
垣根「だってお前、同い年の女の子と話せないって顔してるしよ」
一方「してねェよ!つか、オマエだってアレじゃん」
垣根「アレってなんだよ」
一方「まえ見たぞォ、オマエが巫女さん侍らしたり、シスターと歩いたりをォ」
垣根「あ、あれは違うんだよ!」
第一位と第二位が互いの性癖を暴露し始める
仲いいなこいつら
打ち止め「あの人もクラスに溶け込んでるんだね、良かった」
打ち止めが優しげな笑顔で
一方通行を見詰めながら呟く
あの会話内容でいいのか
757 名前:ライバル③5/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:19:44.96 ID:odv7rvE0 [11/13]
美琴「しっかし、すごい子だったわね」
放課後、二人っきりの教室で
美琴が上条に洩らす
上条「遺伝的な問題じゃないのか」
美琴「どういう意味だコラ。ていうか、すごいってそういう意味じゃないわよ」
上条「じゃあ、何だよ」
美琴「一方通行と普通に話せる事。私には無理だもん」
上条「結構、普通に話してないか」
美琴「無理無理。話しかけるたびに『妹達』の事がよぎってケンカ腰になっちゃうもん」
上条「……お前は誰にでもケンカ腰だろ」
美琴「そんなこと無いわよ。何にも気にしてない相手にケンカ腰になったりはしないわよ」
手を仰ぎ軽く笑いながら美琴が言う
その様子につい口が滑る
758 名前:ライバル③6/6[] 投稿日:2010/12/19(日) 21:21:04.79 ID:odv7rvE0 [12/13]
上条「でも、お前。いつも俺にはケンカ腰じゃないか」
余計な事を聞いてしまう
なんで、こんなことを聞いてしまったのか
自分でもわからない
美琴「そう?」
上条「そうだよ」
美琴「そうかなぁ」
上条「そうだって言ってるじゃねえか。俺は―――」
初めて出会った日、電撃を消されて驚いた顔
中間テストで上条が勝った時の悔しそうな顔
「お前の事が」
『妹達』を守るために決意した悲壮な横顔
上条に偽装デートを頼んだ時の照れた顔
そして、さっき一方通行と話していた横顔
それらが上条の脳裏を駆け廻り
口が勝手に言葉を紡ぐ
「好きなのにな」
ああ、確かにバカもしれない
自分の声を聞くまで
気付かなかった
この想いに……
了
837 名前:ライバル④1/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:04:45.85 ID:H3fbQdk0 [2/14]
美琴「あの、今時間良いかな」
中学時代の後輩経由の縁で知り合った友人に電話する
電話を前に悩んでいたせいで、少し遅めの時間になってしまった
佐天『はい、大丈夫です。どうしたんですか』
美琴「ええとね……ちょっと相談があるんだけど」
佐天『相談ですか?』
美琴「……うん」
今日の放課後の事を誰に相談するべきか
さんざん迷った挙句、最後に浮かんだのは
彼女の顔だった
クラスメートには、恥ずかしすぎて
常盤台時代の後輩は役に立ちそうもない
美琴「前に、クラスに気になってる人がいるって言ったでしょ」
佐天『ああ、言ってましたね。学年トップの人でしたっけ』
美琴「うん、私より成績が良い事はいつかぎゃふんって言わせるつもりだけど」
佐天『……ぎゃふんですか』
美琴「それは置いといて、今日の放課後、そいつに……」
佐天『はい、その人に』
美琴「あのね、そのね」
すぐには言葉が出てこない
音になる前にしぼんで消えてしまう
838 名前:ライバル④2/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:05:50.39 ID:H3fbQdk0 [3/14]
佐天『はい』
待たせてしまって、申し訳ないと思う
でも、思い出すだけで顔が熱くなる
口に出そうと思っているだけで
心臓が破裂しそうな気さえする
美琴「……す、好きって言われたの」
佐天「そうなんですか! おめでとうございます!」
華やいだ声が、携帯電話越しに聞こえる
でも、まだ本題では無かったりする
美琴「……で言われたんだけど」
佐天「だけど?」
美琴「い、言われただけなの」
佐天「そうなんですか。え!?」
美琴「う、うん」
佐天「好きってだけ!? 付き合ってとか、お前はどうだとか無かったんですか!?」
美琴「無かった」
と言うよりも、聞いた直後
驚きすぎて、その後の記憶が曖昧だ
気がつくと何故か自分の部屋にいた
839 名前:ライバル④3/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:06:44.27 ID:H3fbQdk0 [4/14]
佐天「ど、どんな流れで言われたんですか?」
美琴「ええと、……」
簡単に昨日の出来事を説明する
相手――上条当麻が美琴の事を
誰にでもケンカ腰と言いだして
それを否定していたら、
俺にはケンカ腰と言いだして……
佐天「そこで好きですか」
美琴「……もしかしたら、そういう好きじゃなかったのかも」
ケンカばかりだけど仲良くしよう
その程度の意味だった気がしてきた
佐天「そ、そんなこと無いですよ。絶対告白ですって」
美琴「そうかなぁ……。だったら、やっぱり付き合えとかも言うんじゃ」
口に出してみると、ますますそんな気がしてきた
アイツから告白してくるなんて……
佐天「大丈夫ですって」
美琴「……ほんと?」
佐天「はい。じゃあ、明日確認してみればいいじゃないですか」
美琴「……確認」
明日、アイツに確認する
言葉にすれば簡単そうなのに
明後日の模試よりも、ずっと難しそうに感じる
840 名前:ライバル④4/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:07:50.02 ID:H3fbQdk0 [5/14]
佐天「で、御坂さんはどうなんですか? その人の事!」
美琴「私?」
佐天「はい。気になってる人って言ってますけど、どうなんですか?」
御坂美琴が上条当麻をどう思っているのか
いつも口げんかばかりで
テストの事でも張り合って
美琴「どうって……」
でもあの時、美琴の為に立ちあがってくれて
偽装デートにもぶつくさ言いながらも合わせてくれて
佐天「好きなんですか」
レベル5の『超電磁砲』じゃなくて、いつも等身大の美琴を見てくれていて
美琴「……好き、うん、大好き」
きっかけは、たくさんあった
でも何よりも
アイツはアイツだから
佐天「よし! じゃ、頑張りましょう!」
美琴「……頑張る?」
佐天「はい! その人と、彼氏彼女になっちゃいましょう!」
元気いっぱいに励ましてくれる声
やっぱり相談して良かった
美琴「うん、頑張るね」
さぁ! 明日は決戦だ!
841 名前:ライバル④5/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:08:40.29 ID:H3fbQdk0 [6/14]
一方「おィ、夫婦喧嘩かァ?」
美琴「……唐突に何よ」
一時間目の授業の後
後ろの席のモヤシに失礼な事を言われる
どういうつもりだ
一方「今日一回も会話してないだろォ、オマエら」
美琴「なんでアンタが、そんな事確認してるわけ」
わざわざ、人が会話をチェックしているのか
暇なモヤシだ
一方「オマエら飽きもせずに、毎休憩ごとにでけェ声で言いあってンじゃねぇかァ」
美琴「……そうかしら」
一方「少なくとも、俺が転校してきてからは確実にそうだなァ」
美琴「そんなに目立ってた?」
一方「目立ってた。なンかあったのかァ、オマエら。お互いの事チラチラ見てるしよォ。……それはいつもの事かァ」
美琴「……そう?」
言われてみれば
授業中の上条が簡単に思い浮かぶ
無意識のうちに見ていたのか
好きと気付いたのは昨日なのに
842 名前:ライバル④6/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:09:25.84 ID:H3fbQdk0 [7/14]
一方「やっぱ、ケンカかァ? 早く仲直りしろよ」
美琴「違うわよ」
一方「でもよォ」
美琴「ええい、うるさいわね。……見てなさい」
呼吸を落ちつけて
静かに自分自身を整える
そして
「上条当麻ぁぁぁぁぁ!!!」
腹の底から声を出す
上条「お、おおおう」
上条が驚いた顔を浮かべている
でも、かまわずに
美琴「放課後にっ!!! 屋上に来なさいぃぃぃぃ!!!」
全力で続ける
上条「お、あ、何で」
美琴「良いから!! 来る!!」
上条「はい!」
一方「……やっぱケンカじゃねェか。ついにシメンのかァ」
白いのだけじゃなく
クラス中に注目されているが
もはや、気にしない
今は、放課後のことしか考えられない
843 名前:ライバル④7/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:10:08.47 ID:H3fbQdk0 [8/14]
美琴「……来たわね」
風が吹き抜ける屋上
秋とは思えないくらい
照りつけてくる太陽の下
上条「おう」
待ち人が現れる
いつも通りのツンツン頭
でも、今日はそんなに見てない
見られなかった
美琴「用件は分かってるわね」
上条「いや、さっぱり」
美琴「昨日の事よ!!」
上条「お、おう。あれか……」
上条当麻の頬が赤くなる
そして、美琴の顔も熱い
たぶん、同じような顔をしているのだろう
844 名前:ライバル④8/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:10:44.44 ID:H3fbQdk0 [9/14]
美琴「き、昨日のあれどういうつもりなの」
上条「あ、あれはな」
美琴「う、うん」
そこで上条が黙りこむ
美琴も、何を言っていいのかわからない
(何やってるんだろ、私)
いつもだったら、コイツとどうでもいい事で
言い争って
明日のテストの事でも張り合って
でも、最後には一緒に笑いあう
そんな時間なのに
そういうのがずっと続いて行くと思っていたのに
そうであってほしいと、心のどこかで願っていた
でも、
昨日もコイツの事の言葉を聞いて
もっと、奥底にあった願いに気づいてしまった
だから
845 名前:ライバル④9/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:11:22.14 ID:H3fbQdk0 [10/14]
美琴「アンタが、どういうつもりで言ったかわかんないけどさ」
その実現のために
「私は好きだよ、アンタの事。一人の男の子として……」
精一杯の言葉を伝える
美琴「昨日まで、自分でも気づいてなかったけどね」
結局のところ
そうすることくらいしかできない
少なくとも、今の美琴には
846 名前:ライバル④10/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:11:51.63 ID:H3fbQdk0 [11/14]
上条「俺もさ、自分で言うまで気付いてなかったけど」
真っ直ぐに美琴を見詰めてきながら
上条が言葉を紡ぎ始める
美琴の大好きなその瞳を逸らさずに
「お前の事、好きなんだ。一人の女の子として」
美琴が聞きたかった言葉を、囁いてくれる
自分でも気づかないくらい無意識な願いのなかの
美琴「……うん」
上条「だから、俺と」
「付き合ってください」
「うん」
昨日まで
ただのライバル、よくて友達だった
無意識にそう思い込もうとしていた
でも、今日からは
847 名前:ライバル④11/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:12:26.15 ID:H3fbQdk0 [12/14]
美琴「と、ところで明日の模試なんだけど……」
上条「あ、ああ」
美琴「しょ、勝負しない?」
上条「ん? いつもやってるだろ」
美琴「ば、罰ゲームつきの」
上条「罰ゲーム?」
美琴「そう、負けた方は勝った方の言う事を何でも聞くの」
上条「い、いいのか。付き合い始めた以上、上条さん手加減しないぞ罰ゲーム」
美琴「て、手加減しないって」
どんな要求をしてくるのだろうか
つい、上条の唇に目が惹き付けられてしまう
まさか、そういうことなのか
美琴「ふ、ふん。どーせ私が勝つからいいのよ!」
上条「言ったな。手加減しないぞ、罰ゲームも模試も」
美琴「ふ、ふん。望むところよ」
言いながら目が離せない
むしろ、美琴が勝ったときも……
848 名前:ライバル④12/12[] 投稿日:2010/12/20(月) 22:13:02.84 ID:H3fbQdk0 [13/14]
上条「……て、手とか握るぞ。罰ゲーム」
上条が小さな声でなにか言っているが
もう頭に入ってこない
でも、上条の事しか考えられない
昨日までライバルとして
今日からは彼氏として
明日も、明後日も、その次も
これから先ずっと……
了
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