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澪「悪いな唯、この曲は3人用なんだ」 唯「たすけてウイえも~ん」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:35:31.55 ID:hVjrfv0NP [1/34]
~平沢家~
憂「今度やる曲はギターいらないから、3人で十分って?」
唯「澪ちゃんとりっちゃんがそう言うんだよ~」シクシク
憂「ギターがなくても……お姉ちゃんがボーカルをすれば、4人全員が参加できるんじゃない?」
唯「私の歌は下手クソだから、澪ちゃんが歌うべきって…そう言うんだよぉ」
唯「このままバンドができないなら、私はもう、生きている価値がないよ~」ウエーン
唯「憂~ 秘密道具で助けてぇ~」
~平沢家~
憂「今度やる曲はギターいらないから、3人で十分って?」
唯「澪ちゃんとりっちゃんがそう言うんだよ~」シクシク
憂「ギターがなくても……お姉ちゃんがボーカルをすれば、4人全員が参加できるんじゃない?」
唯「私の歌は下手クソだから、澪ちゃんが歌うべきって…そう言うんだよぉ」
唯「このままバンドができないなら、私はもう、生きている価値がないよ~」ウエーン
唯「憂~ 秘密道具で助けてぇ~」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:41:48.75 ID:hVjrfv0NP [2/34]
憂「うーん、お姉ちゃんが澪さんよりもいい歌を歌えれば
お姉ちゃんがボーカルしても誰も文句言わないよね?」
ゴソゴソ
憂「ジーンマイク~」テレレレッレレー
憂はポケットからマイクのような物を出した。
憂「これを使うといいよ!」
唯「なーにそれ? 歌がうまくなる道具?」
憂「このマイクを通してしゃべると、感動周波音波っていうのが出て、聞く人をジーンとさせるの」
憂「このマイクを使って歌えば、誰よりも感動的な歌が歌えるのよ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:46:32.66 ID:hVjrfv0NP [3/34]
唯「すごいすごい! ちょっと使わせて!」
唯「えーっと…」
唯(なんて言おうかな?)
憂「ッ……!!」じーん
憂「お、お姉ちゃん! 今なんて言った!?」
唯「え?今? えーっとって…」
憂「な、なんて感動的な言葉! 私、ジーンとしちゃった」ホロホロ
唯「すごい効き目…!」
唯「よーし、部室に行ってくるよ!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:52:20.53 ID:hVjrfv0NP
~ぶしつ~
澪「なに? 歌で私たちを感動させるって? 唯が?
アハハ、そりゃ傑作だ!」
律「もう、澪がボーカルで決まったんだ。 今さら唯の歌なんて、きいてもしょうがないっての」
唯「おねがいだよぉ、一度だけで良いから……」
律「お前の下手クソな歌は聞き飽きたんだよ! 帰れ帰れ」
唯「そんなぁ~」
紬「まぁまぁ、こんなに頼んでいるんだし……聞いてあげましょうよ。私からもお願いするわ」
律「まぁ、ムギがいうなら……」
唯「やったぁ! やっぱりムギちゃんは優しいなあ」
澪「いいか、一回だけだぞ?」
律「もし下手クソな歌だったら、ぶっとばすからな!!」
唯「大丈夫大丈夫! 期待しちゃっていいよー」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:58:26.21 ID:hVjrfv0NP
唯(このジーンマイクを使えば、私だって……)
紬「あら? 唯ちゃん、マイマイクなんて持っていたの?」
唯「ま、まあね!」
澪「ふん、下手クソが一丁前に、マイマイクなんて持っちゃって」
律「始めるぞー。ワン、ツー、ワン ツー スリー フォー」
♪ ♪~ イントロ中
唯(でも、…本当にこれで大丈夫なのかな? ちょっと不安になってきた…)
唯(そろそろだ…… もう、やるしかない…!)
唯は大きく息を吸い込こんだ。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:02:19.43 ID:hVjrfv0NP
唯「げぷーっ!!」
突然、唯の大きなゲップの音が部室に響いた。
澪律紬「!?」
唯「うげ……けほっ けほっ」
気負って息を吸い込みすぎた唯は、咽せてしまったのだった。
律「唯……お前…」
唯「ひっ」タジ
唯(あわわわわ こ、殺される)
律「なんて感動的なゲップなんだ!!」
唯「…ほえ?」
紬「私、感動して涙がでちゃったわ」
澪「すごいな唯!」
律「みんなで唯を胴上げしようぜ!!」
唯「えええええええええええええええええええ」
第一話 おしまい。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:37:26.24 ID:hVjrfv0NP
第二話!
~平沢家~
唯「うー… 寒いよ寒いよ」
唯「冬は寒いから嫌い。早く夏にならないかなー」
憂「お姉ちゃんったら。夏のときは、早く冬になって欲しいって言っていたじゃない。
夏は暑いから嫌いだって」
唯「そんなこと言ったっけかなぁ?」
憂「いってたよー」
憂「お風呂にでも入ったらどう? あったまるよ!」
唯「入りたいけど…コタツから動けない~」
憂「もう、お姉ちゃんったら」
今日はとても寒い日だった。
律『おーい、唯ー、遊びに行こうぜ! いつもの空き地で!』
家の外から、律が遊びに誘う声が聞こえてきた。
唯「うえ~? こんなに寒いのに…?」
唯(ん、あれは…?)
唯「……そうだ!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:41:51.24 ID:hVjrfv0NP
~平沢家・玄関口~
唯「おまたせ~」
玄関を出ると、外には律と澪と紬が立っていたのが見えた。
唯「いやぁ、またせてごめんねぇ」
律「唯!? いったい、なんて格好してるのよ?」
律が、すかさず唯の格好に突っ込みを入れてきた。
唯「えへへ、だって、外は寒いしぃ?」
唯はスキーウェアを着込んでいた。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:47:55.20 ID:hVjrfv0NP
澪「そんな格好じゃあ不審者だろ」
紬「唯ちゃんって寒がりなのね」
律「私なんて、この服の下はシャツ一枚だけだぜ?」
体育用のジャージを着た律が、揚々と言った。
澪「私なんか、シャツも着てないぞ」
律「澪は脂肪をたっぷり着込んでいるからな」ボソ
澪「なんか言ったか?」
律「な、なにも言ってないよ!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:52:30.72 ID:hVjrfv0NP
~平沢家~
唯「憂~ 服着なくても寒くならない道具だして~」
憂「どうしたのお姉ちゃん!? スキーウェアなんて着て」
・
・
・
憂「ふんふん、そういうことね」
憂「よーし、それなら……」
ゴソゴソ
憂「あべこべクリーム~」テレレレッレレー
憂はポケットから、小ビンを取り出した。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:56:35.05 ID:hVjrfv0NP
憂「このクリームを体にぬってみて」
言われたとおりにクリームを体にぬってみた。
唯「あれえっ、なんだか暖かくなってきた」
憂「ふふふ、コタツに入ってみて」
唯「!? 冷たい! コタツがまるで、冷蔵庫みたい」
憂「このクリームをぬると、熱い物にさわると冷たく感じるの。そして、寒いときは暖かく感じるのよ」
唯「すごいや!」
唯「よーし、これでみんなをあっと言わせよう!!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:00:20.68 ID:hVjrfv0NP
~外~
唯「通行人の視線が痛いよぉ」
憂「心配しないで。お姉ちゃん、とってもかわいいから大丈夫だよ!」
唯「えへへ、そうかな?」
憂「うんうん」
唯は水着一丁の格好で町を歩いていた。
あべこべクリームのおかげで全く寒くはないが、冷たい北風が吹き渡るこの季節には、何とも場違いな格好だった。
通行人の視線を感じる。
そうこうしているうちに、空き地に着いた。
奥にある三本の土管以外は何もない、ただの空き地。
そこで、律と澪と紬が元気に駆け回っていた。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:12:52.66 ID:hVjrfv0NP
唯「やあやあみんな、こんな暑いのに、よくそんな厚着でいられるなあ」
律澪紬「!?」
水着一丁の唯をみて、三人とも驚きの声を上げた。
紬「ほんとうに寒くないの?」
律「や、やせがまんだろ?」
澪「おかしくなったんだ!」
唯「この程度、全然へっちゃらだよ」
唯「君たちは寒がりなんだねえ」
律「なにぃ!? 私たちも脱ぐぞ!」ぬぎぬぎ
紬「りょうかい♪」ぬぎぬぎ
澪「あ、私はシャツ着てないしパスで……」
律「いいから脱ぎなさい」
澪「ちょ、やめ…うわあぁぁっ!!」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:16:53.17 ID:hVjrfv0NP
3人とも下着姿になった。
紬「さ、寒い!」
律「唯が我慢出来てるんだ。私だって……!」
澪「律ー、服を返してくれー」
憂「3人とも、無理したら風邪ひいちゃいますよ?」
・
・
・
結局、3人とも元通り服を着込んだ。
律「くそー、唯が出来て私が出来ないなんて……」
澪「もうお嫁いけない…」シクシク
紬「唯ちゃんは、どうして平気なの?」
唯「それはだね…普段から体を鍛えて、食べ物も好き嫌いなく……」ペラペラ
憂「もう、お姉ちゃんったら」クスクス
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:22:52.87 ID:hVjrfv0NP
パラリ……ハラリ……
紬「あら、雪だわ」
唯「ほんとだ。きれい」
雪が降り出していた。ぼたん雪だ。
もう初雪か。そろそろ今年も終わりなんだな。
唯はしんみりとそんなことを思いながら、目の前の大粒の雪を、そっと手のひらで受け止めた。
ジュウ!
唯「ジュウ?」
唯「ッ!! 熱い! 雪が熱い!」
あべこべクリームのせいで、大粒の雪は焼けた鉄の様に熱かった。
それが、水着姿の唯の全身に降り注ぐ。
唯「あちっ あちっ やけどするう!!」バタバタ
憂「お姉ちゃんがたいへんだ! どうしようどうしよう」オロオロ
律澪紬「???」
状況がわからず、困惑する3人だった。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:27:28.75 ID:hVjrfv0NP
紬「いったいどうしたのかしら?」
澪「さあ?」
律「熱がっているから、水で冷やそうぜ」
律「それっ!」バッシャー!!
律はバケツ一杯の水を唯にぶっかけた。
唯「ぎゃあああああああああああああああ」
唯「熱い!! 死んじゃう!!」
憂「やめて!! お姉ちゃんがゆでだこになっちゃう!!」
律「?? 氷の様に冷たい水なのに…」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:34:43.28 ID:hVjrfv0NP
唯「熱いよー熱いよー」
憂「あべこべクリームを塗っているから、体を冷やすには暖かいお湯につからなきゃ」
~平沢家~
憂「お風呂に入って体を冷やそう」
唯「たすかったー」
憂「あ、しまった! お風呂、沸かしっぱなしにしちゃった」
風呂の中の湯は、鍋のようにグツグツと煮だっていた。
憂「うすめなきゃ…」
唯「熱いほういい!!」バシャーン!
唯「ッ!?」
カチーン
憂「お、お姉ちゃん!!」
憂「お姉ちゃんが…こおっちゃった!!」
第二話 おしまい。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:26:28.28 ID:hVjrfv0NP
第一話(>>19)の続きです。
歌が下手なせいで、軽音部からハブられた平沢唯。
憂から貰った秘密道具『ジーンマイク』を手に、意気揚々と部室へと向かったが……
~平沢家~
憂「あら、お姉ちゃん。早かったわね。どう、うまくいった?」
唯「…ぐす 憂いいいいいい!!!」ウワーン
憂「お姉ちゃん!? なにがあったの!?」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:31:10.27 ID:hVjrfv0NP
たしかに、ジーンマイクの効果は素晴らしかった。
唯が一言声を出すたびに、皆感涙し、胴上げされるほどだった。
しかし、一つ問題があった。
律『もう、歌うな』
胴上げの最中に、突然言われた。
唯『へ?』
律『たしかに、歌はいいけど……唯が歌い出すたびに演奏が止まってしまっているじゃないか
これじゃ、バンドにならないぜ』
十回目の胴上げのときだった。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:37:58.92 ID:hVjrfv0NP
※
憂「うーん……ジーンマイクは極端だからねぇ」
唯「憂~ なんとかしてよぉ~」
憂「うーん……あ、もしかして…あれを使えば……」ゴソゴソ
唯「ひょっとして、何回でも胴上げしてもらえる道具とか?」ワクワク
憂「そっち!? ……胴上げはされないけど、上手に歌が歌える道具よ♪」
唯「そんなすごい道具があったの? 出して出して!」
憂「ちょっと待ってて。したくしてくるから」
憂は部屋の外へ出て行った。
唯(はじめっからそっちを出してほしかったなぁ)
唯「……」
唯「まだー?」
憂『もうちょっとー』
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:44:22.53 ID:hVjrfv0NP
憂「おまたせー」
唯「おそかったね」
憂「ふふ、では、いきまーす」
憂「あんなこっといいな♪ できたらいいな♪」
聞こえてくる歌声は、いつもの憂の声とは全く違った。
まるでそよ風のようにさわやかな歌声を、唯は夢中で聞き入った。
唯「う、うまい! まるで、そよ風みたいにさわやかな声だね!」
憂「実はね、この道具を使ったの」
憂「音楽いも~」テレレレッレレー
唯「わあ! おいしそう!」
憂が取り出した『音楽いも』は、近所のスーパーに売っていても違和感のないくらいの、ごく普通の焼き芋に見えた。
憂「ただの芋じゃないのよ。この音楽いもを食べると、10分たつとガスがたまって……」
唯「ちょ、ちょっと待って……じゃあ、さっきの歌はおなら……」
憂「まあ、お姉ちゃんったら下品。メロディーガスって言ってよー」
唯「みんなの前でおならをするなんて……そんな恥ずかしいことできないよお」///
憂「そんなこと言っても……他に方法はないよ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:51:23.55 ID:hVjrfv0NP
結局、みんなの前でメロディーガスを披露する事にした。
~ぶしつ~
澪「なんだよ、唯。またジャマしに来たのか?」
唯「歌いに来たんだよお。もう一回、私に歌わせてよ!」
澪「もうさっき歌っただろ」
唯「さっきとはちがうの。今の私は、そよかぜのようにさわやかなうたごえで……」
澪「なにを言っているんだ…?」
律「つーか、もう今日の練習は終わりだぞ。みんな、片付けた後だし」
軽音部のみんなは、机に座ってお茶を飲んでいた。
唯「そんなぁ~」
紬「唯ちゃんも一緒にお茶しようよ」
唯「気持ちはありがたいけど……それよりも歌を……」
紬「今日のお菓子はモンブランよ♪」
唯「もらいます!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:57:34.58 ID:hVjrfv0NP
・
・
・
律「そろそろ帰ろうぜー」
澪「もうこんな時間か」
唯「やっぱり、ムギちゃんのお茶は最高だよ!」
紬「喜んでもらってなによりよ♪」
みんなと一緒に部室から出ようとするが……
唯(あれ、私が部室にきた理由って……)
唯「待って待って! ちょっと待って!」
律「どしたんだ? いきなりデカイ声でして」
唯「まだ歌っていないよ! ここには歌を聞いてもらいにきたのに」
澪「まだ言ってるのか……いいかげんにしろよ」
唯「今回は、ぜったいに上手くいくから! 首を賭けてもいい!」
律「ほう、おもしろい。やってもらおうじゃないか。もしへぼい歌だったりしたら、本当に首をもらうからな!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:07:12.02 ID:hVjrfv0NP
紬「唯ちゃん、あんなこと言っちゃって本当に大丈夫なの?」ヒソヒソ
澪と律がせっせと演奏準備を進めている中、紬が浮かない顔で話しかけてきた。
紬「首を賭けるなんて……だいじょうぶなの?」
いつもニコニコしている紬だが、今目の前にいる彼女の顔に、笑みはなかった。
唯「うーん…ちょっと言いすぎだったかな」
さっきはつい勢いで、首を賭けるなんて言ってしまった。
さすがに言い過ぎだと思うが、今さら後悔してももう遅い。
唯「でもまぁ、なるようになるって! アハハ」
紬「…唯ちゃんが死んじゃったら…私…私…」
唯(もしかして…ムギちゃんは首を賭けるって言葉を本気にして……)
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:15:52.61 ID:hVjrfv0NP
唯「やだなぁ。首を賭けるなんて言っちゃったけど、さすがに本当に死ぬ気はないよ!
それに、いくらりっちゃんでも、本当に首を取ったりするわけないじゃない」
紬「そ、そうよね。本当に死ぬわけないよね」
紬「変なこと言ってごめんね。唯ちゃんが死ぬなんて思ったら、気が動転しちゃって、それで……」
唯「大丈夫だよ。実はね、秘策があるんだ! 絶対うまくいくよ」
実際は、うまくいくかは不安だったが、自信たっぷりに言い放った。
唯「だから…ムギちゃんは何も心配することないよ!」
紬「ありがとね」
紬「…唯ちゃんは優しいね」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:24:09.51 ID:hVjrfv0NP
唯「えへへ、そうかな? でも、ムギちゃんもとっても優しいよ!」
紬「ふふふ、そうかしら?」
紬は軽く笑うと、こちらに一歩近づいた。
紬「あのね、唯ちゃん」
唯「は、はい!?」
唯(顔がちかいよ!!)
紬「あのね…ずっと言おうと思っていたんだけど……私ね……」
唯「な、なんでしょうか!?」
しどろもどろに話す紬の顔は、真っ赤に染まっていた。
こんな様子の紬を見たのは初めてだった。
紬「唯ちゃんのことが……えーっと……」
唯「ム、ムギちゃん?」
紬「ご、ごめんね。つまり……私は……えっと…」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:32:08.28 ID:hVjrfv0NP
ボーーーン!!
とうとつに、部室中に低音がひびいた。
唯紬「!?」
唯と紬は、突然のことにビクっと飛び上がった。
律「なんか、チューニングずれてねーか?」
澪「みたいだなー…一度ケースにしまったからペグがずれたか?」
そういい、澪はベースのチューニングを合わせ始めた。
澪たちは、こちらの様子には気づいていないようだ。
紬「あっ、いけない。私もキーボードの用意しなきゃ」
唯も、まだ『音楽いも』を食べていないことに気づいた。
唯「私も、支度しなくちゃいけないんだった!」
紬「続きは終わったあとに言うから……今度は、ちゃんと最後まで言えるようにガンバルわ!」
しかし、その機会が訪れることは二度となかった。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:38:05.65 ID:hVjrfv0NP
~部室の外・廊下~
目の前にある『音楽いも』を目にした唯の感想は、「おいしそう」だった。
唯「でも、2、3口しか食べちゃダメなんだよねぇ」
* * *
憂『2、3口食べれば十分だからね。…食べ過ぎちゃダメよ?』
唯『はーい』
* * *
唯「でも…2、3口って、2口なのかな? 3口なのかな? どっちなんだろ?」
唯「まあ、3口でいいよね! うん!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:42:49.10 ID:hVjrfv0NP
唯「一口目~」
口を限界まで大きく開け、芋にかぶりつく。
唯「んぐぐう!(おいしい!)」
口いっぱいにほおばりながら、手に持った『音楽いも』を見てみる。
大きさが先ほどの三分の二になっていた。一口で三分の一を食べたことになる。
唯(あれ、もしかして……)
二口目で三分の一になった。
そして三口目。『音楽いも』はきれいさっぱりなくなった。
唯(全部食べれた! 私って天才かも…!)モグモグ
憂「お、お姉ちゃん!? まさか全部食べたの!?」
唯「んぐ!? …ゴクン……びっくりしたあ。なんで、憂がここにいるの?」
憂「遅いから、様子を見に来たのよ」
憂「それより…2、3口食べれば十分って、いったじゃない。全部食べるなんて……」
唯「失敬な。私は、たったの3口しか食べてないのだぞ?」
憂「そういう問題じゃないのよ… そんなにいっぱい食べたら、メロディーどころか……
ガス爆発を起こしちゃうよ!」
唯「ええええええええ~~~~~っ!?」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:49:11.60 ID:hVjrfv0NP
憂「とにかく、お家に帰ろう」
そそくさと退散する唯と憂。
澪「唯が逃げようとしているぞ!」
律「いつの間にかいなくなったと思ったら……
ここまできて、怖じ気づいて逃げるなんてなしだぜ?」
唯「今はまずいんだよお。かんべんしてよお」
唯の必死の訴えもむなしく、律はむりやり、唯を部室に引きずりこんだ。
唯「ああ、そろそろガスが……」ブスッ ブスッ
律「始めるぞー」
♪ ♪~ イントロ中
憂「しかたないから……できるだけ我慢して、ガスを小出しにするしかないわ」
憂がそっとささやいてきた。
たしかに、もうそれしかない。
紬「唯ちゃん? どうしてお尻にマイクをあてているの?」
唯「いやぁ……ちょっとね」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:57:41.02 ID:hVjrfv0NP
唯「こんなこっといいな♪ できたらいいな♪」
紬「きれいな歌声…」
唯「みんなみんな…ブボッ かなえて…ビビッ ビビッ」
澪「なんか雑音がはいるな」
憂「ダメよ! もっとボリュームをしぼって!」
律「なんか、におわないか?」
唯「そらをじゆうに…ブブッブボボボ!!!」
憂「元栓しめて!」
唯「もうダメ限界!!」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 22:01:51.98 ID:hVjrfv0NP
唯は慌てて部室の出口へと駆けるが……
澪「あっ、また逃げるぞ」
律「待たんかい!」
逃げる唯を取り押さえようと、律は飛びかかってきた。
唯「ッ!?」
バボン!!!!
唯「わああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ………」ブボボボボボボボボボ………
窓を突き破り、尻からガスを吹き出しなからどこまでも飛んでいった唯は
そのまま夜空のお星様になりました。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 22:05:55.78 ID:hVjrfv0NP [33/34]
………………………………
……………………
…………
…
梓「どうしました? さっきから空を見上げて」
紬「星を見ているの。今夜は星がきれいだと思って」
夜空を見上げたまま、紬が言った。
梓も空を見上げてみる。雲一つない夜空には満天の星が浮かんでいた。
その中に、とびきり強く輝く星があった。
おしまい。
79 名前: ◆HIGMAmeNBU [] 投稿日:2010/12/11(土) 22:26:33.01 ID:hVjrfv0NP [34/34]
以上でお終いです。
てか、よく見たら>>74の下から3行目
満点の星→満天の星
憂「うーん、お姉ちゃんが澪さんよりもいい歌を歌えれば
お姉ちゃんがボーカルしても誰も文句言わないよね?」
ゴソゴソ
憂「ジーンマイク~」テレレレッレレー
憂はポケットからマイクのような物を出した。
憂「これを使うといいよ!」
唯「なーにそれ? 歌がうまくなる道具?」
憂「このマイクを通してしゃべると、感動周波音波っていうのが出て、聞く人をジーンとさせるの」
憂「このマイクを使って歌えば、誰よりも感動的な歌が歌えるのよ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:46:32.66 ID:hVjrfv0NP [3/34]
唯「すごいすごい! ちょっと使わせて!」
唯「えーっと…」
唯(なんて言おうかな?)
憂「ッ……!!」じーん
憂「お、お姉ちゃん! 今なんて言った!?」
唯「え?今? えーっとって…」
憂「な、なんて感動的な言葉! 私、ジーンとしちゃった」ホロホロ
唯「すごい効き目…!」
唯「よーし、部室に行ってくるよ!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:52:20.53 ID:hVjrfv0NP
~ぶしつ~
澪「なに? 歌で私たちを感動させるって? 唯が?
アハハ、そりゃ傑作だ!」
律「もう、澪がボーカルで決まったんだ。 今さら唯の歌なんて、きいてもしょうがないっての」
唯「おねがいだよぉ、一度だけで良いから……」
律「お前の下手クソな歌は聞き飽きたんだよ! 帰れ帰れ」
唯「そんなぁ~」
紬「まぁまぁ、こんなに頼んでいるんだし……聞いてあげましょうよ。私からもお願いするわ」
律「まぁ、ムギがいうなら……」
唯「やったぁ! やっぱりムギちゃんは優しいなあ」
澪「いいか、一回だけだぞ?」
律「もし下手クソな歌だったら、ぶっとばすからな!!」
唯「大丈夫大丈夫! 期待しちゃっていいよー」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 17:58:26.21 ID:hVjrfv0NP
唯(このジーンマイクを使えば、私だって……)
紬「あら? 唯ちゃん、マイマイクなんて持っていたの?」
唯「ま、まあね!」
澪「ふん、下手クソが一丁前に、マイマイクなんて持っちゃって」
律「始めるぞー。ワン、ツー、ワン ツー スリー フォー」
♪ ♪~ イントロ中
唯(でも、…本当にこれで大丈夫なのかな? ちょっと不安になってきた…)
唯(そろそろだ…… もう、やるしかない…!)
唯は大きく息を吸い込こんだ。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:02:19.43 ID:hVjrfv0NP
唯「げぷーっ!!」
突然、唯の大きなゲップの音が部室に響いた。
澪律紬「!?」
唯「うげ……けほっ けほっ」
気負って息を吸い込みすぎた唯は、咽せてしまったのだった。
律「唯……お前…」
唯「ひっ」タジ
唯(あわわわわ こ、殺される)
律「なんて感動的なゲップなんだ!!」
唯「…ほえ?」
紬「私、感動して涙がでちゃったわ」
澪「すごいな唯!」
律「みんなで唯を胴上げしようぜ!!」
唯「えええええええええええええええええええ」
第一話 おしまい。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:37:26.24 ID:hVjrfv0NP
第二話!
~平沢家~
唯「うー… 寒いよ寒いよ」
唯「冬は寒いから嫌い。早く夏にならないかなー」
憂「お姉ちゃんったら。夏のときは、早く冬になって欲しいって言っていたじゃない。
夏は暑いから嫌いだって」
唯「そんなこと言ったっけかなぁ?」
憂「いってたよー」
憂「お風呂にでも入ったらどう? あったまるよ!」
唯「入りたいけど…コタツから動けない~」
憂「もう、お姉ちゃんったら」
今日はとても寒い日だった。
律『おーい、唯ー、遊びに行こうぜ! いつもの空き地で!』
家の外から、律が遊びに誘う声が聞こえてきた。
唯「うえ~? こんなに寒いのに…?」
唯(ん、あれは…?)
唯「……そうだ!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:41:51.24 ID:hVjrfv0NP
~平沢家・玄関口~
唯「おまたせ~」
玄関を出ると、外には律と澪と紬が立っていたのが見えた。
唯「いやぁ、またせてごめんねぇ」
律「唯!? いったい、なんて格好してるのよ?」
律が、すかさず唯の格好に突っ込みを入れてきた。
唯「えへへ、だって、外は寒いしぃ?」
唯はスキーウェアを着込んでいた。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:47:55.20 ID:hVjrfv0NP
澪「そんな格好じゃあ不審者だろ」
紬「唯ちゃんって寒がりなのね」
律「私なんて、この服の下はシャツ一枚だけだぜ?」
体育用のジャージを着た律が、揚々と言った。
澪「私なんか、シャツも着てないぞ」
律「澪は脂肪をたっぷり着込んでいるからな」ボソ
澪「なんか言ったか?」
律「な、なにも言ってないよ!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:52:30.72 ID:hVjrfv0NP
~平沢家~
唯「憂~ 服着なくても寒くならない道具だして~」
憂「どうしたのお姉ちゃん!? スキーウェアなんて着て」
・
・
・
憂「ふんふん、そういうことね」
憂「よーし、それなら……」
ゴソゴソ
憂「あべこべクリーム~」テレレレッレレー
憂はポケットから、小ビンを取り出した。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18:56:35.05 ID:hVjrfv0NP
憂「このクリームを体にぬってみて」
言われたとおりにクリームを体にぬってみた。
唯「あれえっ、なんだか暖かくなってきた」
憂「ふふふ、コタツに入ってみて」
唯「!? 冷たい! コタツがまるで、冷蔵庫みたい」
憂「このクリームをぬると、熱い物にさわると冷たく感じるの。そして、寒いときは暖かく感じるのよ」
唯「すごいや!」
唯「よーし、これでみんなをあっと言わせよう!!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:00:20.68 ID:hVjrfv0NP
~外~
唯「通行人の視線が痛いよぉ」
憂「心配しないで。お姉ちゃん、とってもかわいいから大丈夫だよ!」
唯「えへへ、そうかな?」
憂「うんうん」
唯は水着一丁の格好で町を歩いていた。
あべこべクリームのおかげで全く寒くはないが、冷たい北風が吹き渡るこの季節には、何とも場違いな格好だった。
通行人の視線を感じる。
そうこうしているうちに、空き地に着いた。
奥にある三本の土管以外は何もない、ただの空き地。
そこで、律と澪と紬が元気に駆け回っていた。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:12:52.66 ID:hVjrfv0NP
唯「やあやあみんな、こんな暑いのに、よくそんな厚着でいられるなあ」
律澪紬「!?」
水着一丁の唯をみて、三人とも驚きの声を上げた。
紬「ほんとうに寒くないの?」
律「や、やせがまんだろ?」
澪「おかしくなったんだ!」
唯「この程度、全然へっちゃらだよ」
唯「君たちは寒がりなんだねえ」
律「なにぃ!? 私たちも脱ぐぞ!」ぬぎぬぎ
紬「りょうかい♪」ぬぎぬぎ
澪「あ、私はシャツ着てないしパスで……」
律「いいから脱ぎなさい」
澪「ちょ、やめ…うわあぁぁっ!!」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:16:53.17 ID:hVjrfv0NP
3人とも下着姿になった。
紬「さ、寒い!」
律「唯が我慢出来てるんだ。私だって……!」
澪「律ー、服を返してくれー」
憂「3人とも、無理したら風邪ひいちゃいますよ?」
・
・
・
結局、3人とも元通り服を着込んだ。
律「くそー、唯が出来て私が出来ないなんて……」
澪「もうお嫁いけない…」シクシク
紬「唯ちゃんは、どうして平気なの?」
唯「それはだね…普段から体を鍛えて、食べ物も好き嫌いなく……」ペラペラ
憂「もう、お姉ちゃんったら」クスクス
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:22:52.87 ID:hVjrfv0NP
パラリ……ハラリ……
紬「あら、雪だわ」
唯「ほんとだ。きれい」
雪が降り出していた。ぼたん雪だ。
もう初雪か。そろそろ今年も終わりなんだな。
唯はしんみりとそんなことを思いながら、目の前の大粒の雪を、そっと手のひらで受け止めた。
ジュウ!
唯「ジュウ?」
唯「ッ!! 熱い! 雪が熱い!」
あべこべクリームのせいで、大粒の雪は焼けた鉄の様に熱かった。
それが、水着姿の唯の全身に降り注ぐ。
唯「あちっ あちっ やけどするう!!」バタバタ
憂「お姉ちゃんがたいへんだ! どうしようどうしよう」オロオロ
律澪紬「???」
状況がわからず、困惑する3人だった。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:27:28.75 ID:hVjrfv0NP
紬「いったいどうしたのかしら?」
澪「さあ?」
律「熱がっているから、水で冷やそうぜ」
律「それっ!」バッシャー!!
律はバケツ一杯の水を唯にぶっかけた。
唯「ぎゃあああああああああああああああ」
唯「熱い!! 死んじゃう!!」
憂「やめて!! お姉ちゃんがゆでだこになっちゃう!!」
律「?? 氷の様に冷たい水なのに…」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19:34:43.28 ID:hVjrfv0NP
唯「熱いよー熱いよー」
憂「あべこべクリームを塗っているから、体を冷やすには暖かいお湯につからなきゃ」
~平沢家~
憂「お風呂に入って体を冷やそう」
唯「たすかったー」
憂「あ、しまった! お風呂、沸かしっぱなしにしちゃった」
風呂の中の湯は、鍋のようにグツグツと煮だっていた。
憂「うすめなきゃ…」
唯「熱いほういい!!」バシャーン!
唯「ッ!?」
カチーン
憂「お、お姉ちゃん!!」
憂「お姉ちゃんが…こおっちゃった!!」
第二話 おしまい。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:26:28.28 ID:hVjrfv0NP
第一話(>>19)の続きです。
歌が下手なせいで、軽音部からハブられた平沢唯。
憂から貰った秘密道具『ジーンマイク』を手に、意気揚々と部室へと向かったが……
~平沢家~
憂「あら、お姉ちゃん。早かったわね。どう、うまくいった?」
唯「…ぐす 憂いいいいいい!!!」ウワーン
憂「お姉ちゃん!? なにがあったの!?」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:31:10.27 ID:hVjrfv0NP
たしかに、ジーンマイクの効果は素晴らしかった。
唯が一言声を出すたびに、皆感涙し、胴上げされるほどだった。
しかし、一つ問題があった。
律『もう、歌うな』
胴上げの最中に、突然言われた。
唯『へ?』
律『たしかに、歌はいいけど……唯が歌い出すたびに演奏が止まってしまっているじゃないか
これじゃ、バンドにならないぜ』
十回目の胴上げのときだった。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:37:58.92 ID:hVjrfv0NP
※
憂「うーん……ジーンマイクは極端だからねぇ」
唯「憂~ なんとかしてよぉ~」
憂「うーん……あ、もしかして…あれを使えば……」ゴソゴソ
唯「ひょっとして、何回でも胴上げしてもらえる道具とか?」ワクワク
憂「そっち!? ……胴上げはされないけど、上手に歌が歌える道具よ♪」
唯「そんなすごい道具があったの? 出して出して!」
憂「ちょっと待ってて。したくしてくるから」
憂は部屋の外へ出て行った。
唯(はじめっからそっちを出してほしかったなぁ)
唯「……」
唯「まだー?」
憂『もうちょっとー』
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:44:22.53 ID:hVjrfv0NP
憂「おまたせー」
唯「おそかったね」
憂「ふふ、では、いきまーす」
憂「あんなこっといいな♪ できたらいいな♪」
聞こえてくる歌声は、いつもの憂の声とは全く違った。
まるでそよ風のようにさわやかな歌声を、唯は夢中で聞き入った。
唯「う、うまい! まるで、そよ風みたいにさわやかな声だね!」
憂「実はね、この道具を使ったの」
憂「音楽いも~」テレレレッレレー
唯「わあ! おいしそう!」
憂が取り出した『音楽いも』は、近所のスーパーに売っていても違和感のないくらいの、ごく普通の焼き芋に見えた。
憂「ただの芋じゃないのよ。この音楽いもを食べると、10分たつとガスがたまって……」
唯「ちょ、ちょっと待って……じゃあ、さっきの歌はおなら……」
憂「まあ、お姉ちゃんったら下品。メロディーガスって言ってよー」
唯「みんなの前でおならをするなんて……そんな恥ずかしいことできないよお」///
憂「そんなこと言っても……他に方法はないよ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:51:23.55 ID:hVjrfv0NP
結局、みんなの前でメロディーガスを披露する事にした。
~ぶしつ~
澪「なんだよ、唯。またジャマしに来たのか?」
唯「歌いに来たんだよお。もう一回、私に歌わせてよ!」
澪「もうさっき歌っただろ」
唯「さっきとはちがうの。今の私は、そよかぜのようにさわやかなうたごえで……」
澪「なにを言っているんだ…?」
律「つーか、もう今日の練習は終わりだぞ。みんな、片付けた後だし」
軽音部のみんなは、机に座ってお茶を飲んでいた。
唯「そんなぁ~」
紬「唯ちゃんも一緒にお茶しようよ」
唯「気持ちはありがたいけど……それよりも歌を……」
紬「今日のお菓子はモンブランよ♪」
唯「もらいます!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20:57:34.58 ID:hVjrfv0NP
・
・
・
律「そろそろ帰ろうぜー」
澪「もうこんな時間か」
唯「やっぱり、ムギちゃんのお茶は最高だよ!」
紬「喜んでもらってなによりよ♪」
みんなと一緒に部室から出ようとするが……
唯(あれ、私が部室にきた理由って……)
唯「待って待って! ちょっと待って!」
律「どしたんだ? いきなりデカイ声でして」
唯「まだ歌っていないよ! ここには歌を聞いてもらいにきたのに」
澪「まだ言ってるのか……いいかげんにしろよ」
唯「今回は、ぜったいに上手くいくから! 首を賭けてもいい!」
律「ほう、おもしろい。やってもらおうじゃないか。もしへぼい歌だったりしたら、本当に首をもらうからな!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:07:12.02 ID:hVjrfv0NP
紬「唯ちゃん、あんなこと言っちゃって本当に大丈夫なの?」ヒソヒソ
澪と律がせっせと演奏準備を進めている中、紬が浮かない顔で話しかけてきた。
紬「首を賭けるなんて……だいじょうぶなの?」
いつもニコニコしている紬だが、今目の前にいる彼女の顔に、笑みはなかった。
唯「うーん…ちょっと言いすぎだったかな」
さっきはつい勢いで、首を賭けるなんて言ってしまった。
さすがに言い過ぎだと思うが、今さら後悔してももう遅い。
唯「でもまぁ、なるようになるって! アハハ」
紬「…唯ちゃんが死んじゃったら…私…私…」
唯(もしかして…ムギちゃんは首を賭けるって言葉を本気にして……)
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:15:52.61 ID:hVjrfv0NP
唯「やだなぁ。首を賭けるなんて言っちゃったけど、さすがに本当に死ぬ気はないよ!
それに、いくらりっちゃんでも、本当に首を取ったりするわけないじゃない」
紬「そ、そうよね。本当に死ぬわけないよね」
紬「変なこと言ってごめんね。唯ちゃんが死ぬなんて思ったら、気が動転しちゃって、それで……」
唯「大丈夫だよ。実はね、秘策があるんだ! 絶対うまくいくよ」
実際は、うまくいくかは不安だったが、自信たっぷりに言い放った。
唯「だから…ムギちゃんは何も心配することないよ!」
紬「ありがとね」
紬「…唯ちゃんは優しいね」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:24:09.51 ID:hVjrfv0NP
唯「えへへ、そうかな? でも、ムギちゃんもとっても優しいよ!」
紬「ふふふ、そうかしら?」
紬は軽く笑うと、こちらに一歩近づいた。
紬「あのね、唯ちゃん」
唯「は、はい!?」
唯(顔がちかいよ!!)
紬「あのね…ずっと言おうと思っていたんだけど……私ね……」
唯「な、なんでしょうか!?」
しどろもどろに話す紬の顔は、真っ赤に染まっていた。
こんな様子の紬を見たのは初めてだった。
紬「唯ちゃんのことが……えーっと……」
唯「ム、ムギちゃん?」
紬「ご、ごめんね。つまり……私は……えっと…」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:32:08.28 ID:hVjrfv0NP
ボーーーン!!
とうとつに、部室中に低音がひびいた。
唯紬「!?」
唯と紬は、突然のことにビクっと飛び上がった。
律「なんか、チューニングずれてねーか?」
澪「みたいだなー…一度ケースにしまったからペグがずれたか?」
そういい、澪はベースのチューニングを合わせ始めた。
澪たちは、こちらの様子には気づいていないようだ。
紬「あっ、いけない。私もキーボードの用意しなきゃ」
唯も、まだ『音楽いも』を食べていないことに気づいた。
唯「私も、支度しなくちゃいけないんだった!」
紬「続きは終わったあとに言うから……今度は、ちゃんと最後まで言えるようにガンバルわ!」
しかし、その機会が訪れることは二度となかった。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:38:05.65 ID:hVjrfv0NP
~部室の外・廊下~
目の前にある『音楽いも』を目にした唯の感想は、「おいしそう」だった。
唯「でも、2、3口しか食べちゃダメなんだよねぇ」
* * *
憂『2、3口食べれば十分だからね。…食べ過ぎちゃダメよ?』
唯『はーい』
* * *
唯「でも…2、3口って、2口なのかな? 3口なのかな? どっちなんだろ?」
唯「まあ、3口でいいよね! うん!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:42:49.10 ID:hVjrfv0NP
唯「一口目~」
口を限界まで大きく開け、芋にかぶりつく。
唯「んぐぐう!(おいしい!)」
口いっぱいにほおばりながら、手に持った『音楽いも』を見てみる。
大きさが先ほどの三分の二になっていた。一口で三分の一を食べたことになる。
唯(あれ、もしかして……)
二口目で三分の一になった。
そして三口目。『音楽いも』はきれいさっぱりなくなった。
唯(全部食べれた! 私って天才かも…!)モグモグ
憂「お、お姉ちゃん!? まさか全部食べたの!?」
唯「んぐ!? …ゴクン……びっくりしたあ。なんで、憂がここにいるの?」
憂「遅いから、様子を見に来たのよ」
憂「それより…2、3口食べれば十分って、いったじゃない。全部食べるなんて……」
唯「失敬な。私は、たったの3口しか食べてないのだぞ?」
憂「そういう問題じゃないのよ… そんなにいっぱい食べたら、メロディーどころか……
ガス爆発を起こしちゃうよ!」
唯「ええええええええ~~~~~っ!?」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:49:11.60 ID:hVjrfv0NP
憂「とにかく、お家に帰ろう」
そそくさと退散する唯と憂。
澪「唯が逃げようとしているぞ!」
律「いつの間にかいなくなったと思ったら……
ここまできて、怖じ気づいて逃げるなんてなしだぜ?」
唯「今はまずいんだよお。かんべんしてよお」
唯の必死の訴えもむなしく、律はむりやり、唯を部室に引きずりこんだ。
唯「ああ、そろそろガスが……」ブスッ ブスッ
律「始めるぞー」
♪ ♪~ イントロ中
憂「しかたないから……できるだけ我慢して、ガスを小出しにするしかないわ」
憂がそっとささやいてきた。
たしかに、もうそれしかない。
紬「唯ちゃん? どうしてお尻にマイクをあてているの?」
唯「いやぁ……ちょっとね」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 21:57:41.02 ID:hVjrfv0NP
唯「こんなこっといいな♪ できたらいいな♪」
紬「きれいな歌声…」
唯「みんなみんな…ブボッ かなえて…ビビッ ビビッ」
澪「なんか雑音がはいるな」
憂「ダメよ! もっとボリュームをしぼって!」
律「なんか、におわないか?」
唯「そらをじゆうに…ブブッブボボボ!!!」
憂「元栓しめて!」
唯「もうダメ限界!!」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 22:01:51.98 ID:hVjrfv0NP
唯は慌てて部室の出口へと駆けるが……
澪「あっ、また逃げるぞ」
律「待たんかい!」
逃げる唯を取り押さえようと、律は飛びかかってきた。
唯「ッ!?」
バボン!!!!
唯「わああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ………」ブボボボボボボボボボ………
窓を突き破り、尻からガスを吹き出しなからどこまでも飛んでいった唯は
そのまま夜空のお星様になりました。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 22:05:55.78 ID:hVjrfv0NP [33/34]
………………………………
……………………
…………
…
梓「どうしました? さっきから空を見上げて」
紬「星を見ているの。今夜は星がきれいだと思って」
夜空を見上げたまま、紬が言った。
梓も空を見上げてみる。雲一つない夜空には満天の星が浮かんでいた。
その中に、とびきり強く輝く星があった。
おしまい。
79 名前: ◆HIGMAmeNBU [] 投稿日:2010/12/11(土) 22:26:33.01 ID:hVjrfv0NP [34/34]
以上でお終いです。
てか、よく見たら>>74の下から3行目
満点の星→満天の星
<<梓「新入生の田井中……聡美?」 | ホーム | 川嶋亜美「……ずるいよ、高須くん」>>
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