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紬「合宿をしま~す!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 15:57:37.24 ID:EWY1ypn40 [1/232]
ムギちゃんメインじゃないです、半分位は百合です
もう半分はちょっとだけ怖い展開になるかもしれません
長くなりますので、長いのを読むのが嫌な方はリタイアして下さい
~合宿2日前・部室~
紬「合宿をしま~す!」
唯律澪梓「…」
紬「あら?みんなどうしたの?」
律「…すまんムギ、もう1度言ってくれないか?」
紬「合宿をしま~す!」
…
紬「どうしてみんな何も言ってくれないの?」グッスン
ムギちゃんメインじゃないです、半分位は百合です
もう半分はちょっとだけ怖い展開になるかもしれません
長くなりますので、長いのを読むのが嫌な方はリタイアして下さい
~合宿2日前・部室~
紬「合宿をしま~す!」
唯律澪梓「…」
紬「あら?みんなどうしたの?」
律「…すまんムギ、もう1度言ってくれないか?」
紬「合宿をしま~す!」
…
紬「どうしてみんな何も言ってくれないの?」グッスン
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 15:59:18.88 ID:EWY1ypn40 [2/232]
澪「いや、いきなりそんな事を言われてもな…」
梓「合宿って夏休みにやりましたよね?」
紬「ええ、やったわね」
唯「ムギちゃん、それを忘れてしまって…ま、まさか記憶喪失!?」
紬「唯ちゃん、もちろん夏休みに合宿をしたのは覚えてるわよ」
紬「でも、冬休みにも合宿したいって思わない?」
唯「へ?そう言われてみれば…うん、してみたいね!」
律「でも、年末年始はムギにも色々と予定があるんだろ?」
律「そういうのも考えて、去年は初詣だけ誘ったんだけど…良いのか?」
紬「もちろんよ!」
紬「部活の時間にこうしてお茶を飲んで、練習をして…」
紬「それだけでも毎日が凄く楽しいわ」
紬「でも、折角出会えたみんなと…」
紬「軽音部のみんなと、もっと色々してみたいって思うの」
紬「私の予定なんて気にしなくても良いのよ?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:00:55.60 ID:EWY1ypn40
律「そうか…いや、悪かったな」
律「そういう所に気を使うなんて、らしく無かったって思うよ」
紬「ううん、私の方こそごめんなさい」
紬「本当にそう思ってるなら、誘って貰えるのを待っているだけじゃなくて」
紬「もっと積極的に、私の方から誘う位にならなきゃ駄目だって気が付いたの」
紬「だから今日は合宿を提案してみたんだけど…駄目かしら?」
律「ムギがそう言ってくれるなら、あたしには反対する理由は何も無いな」
澪「私も賛成だ」
澪「但し練習はちゃんとする事、それが条件だぞ?」
梓「私も練習が思いっ切り出来るんでしたら賛成したいです」
唯「じゃあ、もう決まりだね?」
紬「決まりなの?良かったわ!」
律「後は…そうだな、さわちゃんも誘っておこう」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:02:42.96 ID:EWY1ypn40
~職員室~
さわ子「冬休みにも合宿ね…良いんじゃないの?」
唯「さわちゃん先生も一緒に行くよね?」
さわ子「ごめんなさい、私はちょっと行けそうにないと思うわ」
さわ子「学校が休みの間でもね、色々と仕事ってあるものなのよ?」
律「そっか…じゃあ、あたし達5人で行って来るか」
さわ子「合宿って何処でやるつもりなの?」
さわ子「交通費も少しだけなら部費から出してあげるけど」
律「え?そう言えば場所なんて聞いて無かったな」
律「ムギ、今回は何処の別荘でやるつもりなんだ?」
紬「え~とね、今回は別荘じゃなくて」
紬「○○県○○市の山奥にね、ペンションが1件あるんだけど」
紬「そこでやりたいなって思うの」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:04:02.70 ID:EWY1ypn40
澪「ペンションって事は、部屋を借りるって事か?」
唯「じゃあ、今回は泊まるのにもお金がかかるんだね…」
梓「○○県って結構遠いですよね?」
梓「私、今月はちょっとお小遣いピンチなんですけど…」
紬「大丈夫よ、交通費も宿泊費もかからないから」
律「それはムギの力で何とかなるってやつだろ?」
律「毎回そういうのに頼るのは、ちょっと悪い気もするんだよな…」
紬「ううん、そういう意味で言ったんじゃないの」
紬「私に任せて頂戴」
紬「みんなは自分の楽器と…後は寒くても大丈夫な服装だけお願いね?」
さわ子「決まりなのかしら?」
さわ子「まあみんなの事だから大丈夫だと思うけど、気を付けて行ってらっしゃい」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:05:52.80 ID:EWY1ypn40
~平沢家~
憂「お姉ちゃん、冬休みの予定はもう立てた?」
唯「冬休みは…合宿をします!」
憂「合宿?今日初めて聞いたけど、それって何時決まったの?」
唯「今日決まったんだよ~」
憂「へぇ~、そうなんだ」
憂「で、何時から行くの?」
唯「明後日から!」
唯「それでね、朝早い電車に乗るから6時に起きなきゃいけないんだよ」
唯「憂、悪いんだけど…もし寝てたら起こしてね?」
憂「…」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:07:22.39 ID:EWY1ypn40
唯「あれ?憂、聞いてる?」
憂「え?うん、聞いてるよ…」
憂「6時だね、分かった」
憂「ちゃんと起こしてあげるから安心して?」ニコッ
唯「うん、お願い!」
唯「合宿、楽しみだよ~」
~憂の部屋~
憂「折角貰ったのに…これ、どうしよう」
憂「捨てちゃうのも勿体無いし…」
ピピピピ…ピピピピ…
憂「電話?あ、和ちゃんだ」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:09:09.78 ID:EWY1ypn40
~合宿1日目・午後~
唯「雪、雪だよ!りっちゃん!」
律「雪だな!唯!」
唯律「うお~~~!!!」ドドドドドドド…
…
澪「あの2人は何処に行っても同じテンションだな」
梓「こんなに沢山の雪を見たのは、きっと初めてなんでしょう」
澪「まあ、そう言ってる私も初めてだからな…気持ちは分かるよ」
澪「しかしそれにしても、随分と山奥にあるんだな」
梓「そうですね、駅前の町から車で1時間以上かかりましたし…」
梓「それに周りには何も無いだなんて、凄い所ですね」
澪「建物は綺麗で良いと思うけど、こんな場所に泊まりに来る人は居るのか?」
紬「ええ、何時もは結構来るそうよ」
紬「こういう静かな場所でゆっくりしたい人って多いみたいなの」
澪「そうか…ん?何時もは?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:11:08.22 ID:EWY1ypn40
梓「あの、さっきから気になってたんですけど」
梓「曇って少し薄暗くなって来たのに、玄関も部屋の灯りも付いてないですよね…」
梓「もしかして、誰も居ないんじゃないんですか?」
紬「正解よ、梓ちゃん」
澪「誰も居ないって、どういう事だ?」
紬「それは後で説明するわ、まずは中に入りましょ?」
梓「そうですね、さっきまでは車の中だったから感じなかったんですけど」
梓「此処、凄く寒いです…」
澪「そうだな…あれ?律と唯は何処に行ったんだ?」
ガチャッ
紬「え!?」
律「軽音部の皆様」
唯「ようこそいらっしゃいました!」
澪「…何だその格好は?」
梓「メイド?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:12:54.12 ID:EWY1ypn40
律「いや~、建物の裏側まで回ってみたんだけど」
律「寒くて仕方が無かったから中に入らせて貰ったんだよ」
唯「そしたらね?中にこの服が5着用意してあってね」
唯「私達の名前が書いてあったから着ても良いんじゃないかなって思って」
紬「…」
唯「あれ?もしかして…駄目だったの?」
紬「ううん、そんな事は無いわ」
紬「それは私達の為に用意して貰った服だから良いんだけど…」
唯「う~、さ、寒いね~」
律「確かに、この格好じゃ外には出られないな…」
律「みんな、早く中に入れよ」
澪「そうだな、お邪魔しよう」
梓「ムギ先輩も早く」
紬「ええ…そうね」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:14:26.33 ID:EWY1ypn40
~食堂~
紬「もう一度確認したいんだけど、りっちゃんは何処から入ったの?」
律「何処って、普通に裏口からだけど?」
澪「どうしたムギ、何か気になる事でもあるのか?」
紬「ううん…多分、私の思い過ごしだと思うから…」
唯「でも、何で誰も居ないんだろうね?」
梓「そうですよ、まず最初にそれを聞きかったんです」
澪「確かにおかしいな、此処ってペンションだろ?」
澪「お客さんが居ない事はあるかもしれないけど」
澪「従業員が誰も居ないっていうのはおかしくないか?」
律「そうか、そう言われてみればそうだな…どうしてだ?ムギ」
紬「そうね、まずはそれを説明するわ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:15:55.90 ID:EWY1ypn40
紬「みんなにはね、此処で5日間だけ従業員として働いて欲しいの」
律「つまり…住み込みのアルバイトって事か?」
紬「りっちゃん、理解が早くて助かるわ」
紬「それが此処に無料で泊まらせて貰える為の条件」
紬「交通費もちゃんと事前に貰ってるから安心してね」
澪「それは助かるんだけど、いきなりバイトって言われてもな…」
澪「泊まる人の接客とかしないといけないんだろ?」
澪「しかも律と唯が着てる服で…」
澪「そ、そんなの恥ずかしくて出来ないぞ…」
紬「大丈夫よ澪ちゃん、泊まる人は誰も来ないから」
澪「え?どうしてだ?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:17:20.00 ID:EWY1ypn40
紬「このペンションはね、私の遠い親戚の方が夫婦で経営してるんだけど」
紬「今は2人で海外旅行に行ってるの」
紬「その間、建物が無人になっちゃうのは良くないからって」
唯「分かったよ!私達はその間、お留守番をしてれば良いんだね!」
紬「そう、お留守番ね」
紬「でもそれだけじゃ駄目なのよ?ちゃんとお仕事もしないと」
紬「お客さんは誰も来ないんだけど、丁度良い機会だからって」
紬「この食堂とお風呂、それに泊まるお部屋のお掃除をお願いされてるの」
律「掃除か…まあ嫌いじゃないんだけど」
律「あたし達みたいな素人がやって良いものなのか?」
紬「大丈夫よ、此処は高級ホテルじゃないんだから」
紬「何時もみんながやってるみたいに、普通にお掃除すれば良いの」
澪「でも、いい加減にやるとムギに迷惑がかかるんだろ?」
澪「だったら、手抜きはしないでしっかりとやろうな」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:18:53.93 ID:EWY1ypn40
梓「そうですね、特に約1名の先輩には気を付けて欲しいです」チラッ
唯「あずにゃん酷いよ~、私だってやる時にはやるんだからね!」
梓「分かってますって、冗談ですよ」
梓「唯先輩もこういう時にはサボったりしない人ですからね」
律「お、梓が唯を褒めるなんて珍しいんじゃないのか?」
澪「そうでも無いぞ、陰では結構褒めてたりするからな」
唯「あずにゃん…やっぱり、あずにゃんは私の事が…」
唯「でも、ごめんね?私にはもう心に決めた人が居るんだ…」
梓「それも分かってますから」
梓「そういう勘違いされそうな言い方、止めた方が良いと思いますよ」
梓「その人、唯先輩の事に関しては冗談が通じませんから」
唯「え?あずにゃんには誰の事か分かるの?」
梓「ええ、まあ…」
律澪(いや、バレバレだろ…)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:20:18.63 ID:EWY1ypn40
澪「ところで…どうして掃除するだけなのに、こんな服が用意されてるんだ?」
澪「いや、確かにメイドの仕事の中には掃除もあるんだろうけど…」
澪「でも、今回はこれを着てやる理由が無いと思うぞ?」
紬「駄目よ澪ちゃん、これもアルバイトの条件に入ってるんだから」
澪「そうなのか…じゃあ仕方が無いな、後で着替えるよ」
紬「そうね、是非そうして頂戴」ウフフ
律(澪、騙されてるぞ~)
律(…)
律(まあ唯とあたしは良いとして…)
律(梓はこういうノリは止めそうな気もするんだが…どうなんだ?)チラッ
梓(澪先輩のメイド服姿…見たい!是非見たい!)
律(…)
律(超ウットリしてるぞ…)
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:22:06.93 ID:EWY1ypn40
澪「1階にあるのはこの食堂とお風呂…」
澪「隣の部屋は乾燥室って書いてあったけど何の部屋だ?洗濯物でも乾かすのか?」
梓「澪先輩、それはスキーとかの道具を乾かしておく部屋ですよ」
澪「スキーは…いや、スノボーもやった事は無いんだけど」
澪「出来るんだったらやってみたいな…道具とかはレンタルさせてくれるのか?」
紬「ええ、スキーだけなら道具は一式揃ってるわよ」
紬「ゲレンデは裏に斜面が少しあるだけで、リフトも無いからちょっと大変だけど…」
紬「でも、私達の貸切状態だからきっと楽しいと思うわ♪」
梓「道具を貸して貰えるなら、私も久しぶりにやってみたいですね」
澪「梓は経験があるのか?」
梓「ええ、自分で言うのも何ですけど結構上手いんですよ?」
澪「そうか…じゃあ、私は梓に教えて貰おうかな」
梓「は、はい!是非教えてあげたいです!」
紬「部屋の中も見てみる?」
澪「そうだな、ちょっと見てみたいな」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:23:30.74 ID:EWY1ypn40
~乾燥室~
澪「へぇ~、結構本格的なんだな…」
梓「あの…ムギ先輩」
紬「何かしら?梓ちゃん」
梓「ウエアは他に無いんでしょうか?」
紬「ごめんなさい、此処にあるだけなの」
澪「梓のサイズに合いそうなのが無いのか?」
梓「いえ、1着だけあるんですけど…」
澪「だったら良いじゃないか、試しに着てみたらどうだ?」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:24:55.32 ID:EWY1ypn40
紬「サイズはピッタリみたいね?」
梓「そうですけど…でも、どうして尻尾とネコミミが付いてるんですか?」
紬「さあ、どうしてかしら?」
梓(さっきのメイド服もそうだけど)
梓(絶対にムギ先輩のオーダーメイドだよ…)
梓「これを着て滑るのは、ちょっと恥ずかしいですよ」
紬「そうかしら?可愛くて良いと思うんだけど…澪ちゃんはどう思う?」
澪「私は良いと思うな」
澪「梓の可愛い所が引き立つと言うか…ん?どうして後ろを向くんだ?」
梓「な、何でもありません!」
紬「梓ちゃん、もし気に入らなかったら無理に着なくても良いのよ?」
梓「いえ!私はこれを大変気に入りました!」
紬「そう?良かったわ」ウフフ
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:26:43.34 ID:EWY1ypn40
澪「隣にもう1つ部屋があったけどそこは?」
紬「オーナーさんの部屋よ」
澪「なるほど、後は2階に泊まる部屋が8つあったな」
澪「部屋はどうするんだ?好きに決めて良いのか?」
紬「ええ、でも部屋の作りは全部同じよ?」
澪「何処でも一緒なら、手前から5部屋にすれば良いか…」
澪「誰が居るのか分かった方が良いと思うから、紙に書いて貼っておこう」
紬「そうね、じゃあそれは澪ちゃんにお願いするわ」
紬「今日はみんな疲れてると思うから、お食事をしてお風呂に入って…」
紬「後は寝るだけで良いと思うんだけど、澪ちゃんはやっぱり練習したい?」
澪「いや、今日は流石に疲れたからそれで良いと思う」
梓「私もそれが良いと思います、唯先輩と律先輩は既に寝ちゃってますし」
紬「電車の中でも2人ではしゃいでたものね」
澪「仕方ないな、夕食は3人で作るか…材料はあるんだよな?」
紬「ええ、冷蔵庫の中は好きに使っても良い事になってるわ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:28:30.12 ID:EWY1ypn40
~合宿2日目・朝・食堂~
紬「朝御飯も終わった所で、ちょっとみんなにお知らせがあります」
律「お知らせ?何だ?」
紬「実はね、今日は1組だけお客さんが来る事になったの」
梓「え?誰も来ないんじゃなかったんですか?」
紬「ええ、ちょっと連絡が行き届かなくて…キャンセルも間に合わなかったみたい」
唯「そっか…じゃあ私達がお迎えしないといけないんだね」
澪「私達だけで出来るのか?」
律「確かに、1組だけって言ってもちょっと不安だな…」
紬「大丈夫よ、そのお客さんはね、私達も良く知ってる人達だから」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:29:55.45 ID:EWY1ypn40
紬「車の音…来たみたいね」
紬「じゃあみんな、お迎えの準備は出来たからしら?」
…
紬「…良いみたいね」
ガチャッ
唯律澪紬梓「ようこそ、いらっしゃいました!」
憂「え?お姉ちゃん!?」
和「唯…それに軽音部のみんなじゃないの…」
和「あなた達、此処で何をしてるの?」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:31:45.05 ID:EWY1ypn40
~食堂~
和「合宿を兼ねたアルバイトね…楽しそうで良いじゃない」
律「それよりも和と憂ちゃんはどうして此処に?」
唯「そうだよ、憂が此処に泊まりに来るなんて全然知らなかったよ?」
和「まあ細かい所は省略させて貰うけど…」
和「私が商店街の福引で此処へのペア旅行を当てたのよ」
和「最初は唯と憂に行って欲しくて、憂にプレゼントしたんだけど」
憂「お姉ちゃんを誘おうとしたら、合宿に行くって先に言われちゃったから…」
和「代わりに私が誘われたって訳」
唯「そうだったんだ…憂、ごめんね?」
憂「ううん、今はこうしてお姉ちゃんと一緒になれたから良いんだよ」
…
澪「なあ律、ちょっと話が出来過ぎてると思わないか?」
律「確かにな…でも、合宿がもっと楽しくなると思うから良いんじゃないのか?」
澪「まあ、そうなんだけど…」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:34:18.30 ID:EWY1ypn40
~夜~
律「ふぅ~、食った食った…」
律「憂ちゃんもそうだけど、和も料理が上手いんだな」
和「そ、そう?ありがとう」
澪「2人共悪いな、昼も夜も作って貰って」
憂「良いんですよ、私は料理するの大好きですから」
梓「でも、言ってくれれば私達も手伝うよ?」
唯「そうだよ~、私も…」
梓「唯先輩は手伝わなくても良いですから」
唯「あずにゃん、酷い…」
和「少しだけみんなでスキーをして遊んだけど」
和「それ以外の時間は5人で朝から頑張ってたものね」
和「これ位の事はさせて貰わないと居心地が悪いわよ」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:36:03.31 ID:EWY1ypn40
ドーン!
律「何だ?今の音は」
紬「花火じゃないかしら?」
梓「花火?この季節にですか?」
紬「ええ、珍しいでしょ」
紬「名前は忘れちゃったけど、確か町でお祭りがあったはずよ」
紬「花火も打ち上げるんじゃなかったかしら?」
唯「見て見て!こっちの窓から少しだけ見えるよ!」
憂「ほんとだ…綺麗だね、お姉ちゃん」
和「でも、さっきの音ってちょっと違う方向から聞こえなかった?」
澪「山で音が跳ね返るんじゃないのか?」
和「なるほど…そうかもしれないわね」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:37:20.94 ID:EWY1ypn40
~お風呂~
律「昨日は眠くて良く覚えてなかったけど、此処の風呂は広くて良いな~」
紬「言い忘れてたんだけど、温泉だから1日中好きな時間に入っても良いのよ?」
梓「だったら、私は明日の朝にも入りたいですね…」
梓「あの、澪先輩も一緒に…」
澪「そうだな、1人で入ってもつまらないか…じゃあ、私も付き合うよ」
梓「はい!」
…
憂「どうしたの?お姉ちゃん」
憂「さっきからじっと胸を見られてる気がするんだけど…」
唯「憂、どうして私を追いて行くの…」
律「唯、そういう時にはな…」ゴニョゴニョ
唯「なるほど!憂、ちょっと私の後ろに来て?」
憂「え?良いけど…何かするの?」
唯「うん、ちょっと手を出して?で、そのまま私の胸を…」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:38:24.16 ID:EWY1ypn40
律「和はメガネを外すと何も見えないのか?」
和「ええ、殆ど何も見えないわね」
和「でも、そういう状態にも慣れてるから」
律「そうか、何か見てて危なっかしいって思ったから」
律「付いててやろうかって思ったんだけど、大丈夫か」
和「…」
和「あの…律」
律「ん?何だ?」
和「家のお風呂だったら慣れてるんだけど…」
和「知らない所だと、やっぱりちょっと怖いかも」
律「そうか、じゃあずっと付いててやるよ」
和「え、ええ、そうして貰えると助かるわ」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:39:41.06 ID:EWY1ypn40
律「あれ?」
律「ムギ、今出て来た扉は何だ?」
紬「1人用のサウナよ?」
律「サウナか…あたしも入ってみようかな」
紬「あ、今は入らない方が良いと思うわ」
紬「ちょっと温度調節が故障しちゃったみたいだから」
紬「中は逆に寒い位じゃないかしら?」
律「寒い位って…良く見たら鳥肌立ってるじゃんかよ」
律「分かった、諦めるとするか」
和「…」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:40:46.64 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~
憂「今日は1日楽しかったな…」
憂「お姉ちゃんと一緒にスキーをして」
憂「和ちゃんと一緒にお料理をして」
憂「みんなでご飯を食べて、お風呂に入って…」
憂「和ちゃんを誘って本当に良かった」
憂「明日も凄く楽しみだよ…」
憂「さて、寝る前に純ちゃんにメールしておこうかな」
…
憂「あれ?おかしいな…携帯は確かテーブルの上に置いておいたのに…」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:42:06.56 ID:EWY1ypn40
~梓の部屋~
コンコン…ガチャッ
憂「梓ちゃん、お邪魔…」
憂「…」
憂「あの、見てないからね?」
梓「良いよ別に…どうせ憂には分かってると思うから」
憂(ぬいぐるみだけど…澪さんにそっくりだね)
憂「それ、毎日やってるの?」
梓「やってるよ、寝る前にぎゅ~って」
憂「言えば良いのに、きっと梓ちゃんなら大丈夫だと思うよ?」
梓「…憂は、よく言えたよね」
憂「…」
憂「そうだよね、私も言う時には凄く迷った」
憂「言いたくても言えない事って沢山あるよね…ごめんね、梓ちゃん」
梓「ううん、良いんだよ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:43:17.89 ID:EWY1ypn40
梓「それで、憂は私に何か用事?」
憂「そうだよ!すっかり忘れてた!」
憂「あのね、携帯を何処かに置き忘れちゃったみたいなの」
憂「梓ちゃんは純ちゃんにメールするよね?」
憂「私からもよろしくって事、伝えておいてくれないかな?」
梓「良いよ、私も寝る前にメールしようって思ってたから」
梓「でも置き忘れたって、どの辺に?」
憂「分からないんだけど、お風呂に入る前までは見てたから…」
憂「とにかく、この建物の中の何処かだと思う」
梓「じゃあ憂の携帯に電話すれば、着信音で何処にあるのか分かるよね」
…
梓「何でだろ…お風呂に入る前には此処にあったはずなのに…」
憂「…」
憂「梓ちゃん、私と一緒に来て?」
梓「え?何処に行くの?」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:44:15.29 ID:EWY1ypn40
~唯の部屋~
コンコン…ガチャッ
憂「お姉ちゃん」
唯「どしたの?憂、そんなに怖い顔して…」
憂「携帯、持って来てるよね?」
唯「うん、持って来てるよ~」
憂「ちょっと出してみて」
唯「え?あの…もしかして中を確認したりするの?」
唯「今ちょっと待ち受けの画面が恥ずかしい事になってるから…」
梓(唯先輩が恥ずかしいって、それはちょっと気になるな…)
憂「ううん、あるかどうかだけ確認して欲しいの」
唯「中は見ない?」
憂「うん、見ないから」
唯「じゃあ、ちょっと待ってね~」
唯「確かベッドの枕元に…あれ?無いよ?」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:46:05.32 ID:EWY1ypn40
~食堂~
律「正直に言ってくれ、誰がこんないたずらをしたんだ?」
澪「律、みんなを疑うのか?」
律「疑いたくはないけど…でも、此処にはあたし達しか居ないんだぞ?」
律「誰かがいたずらして隠したに決まってるだろ」
和「律、それは無いと思うわ」
律「どうしてだよ」
和「今、話を聞いてて分かったんだけど」
和「携帯が無くなったのは、みんなでお風呂に入ってる間の事よ」
和「私もね、はっきり覚えてる」
和「明日の天気が気になったから携帯で調べようと思ったんだけど」
和「出した所で律が呼びに来たから鞄の中にしまっておいた」
律「そう言えば…確かにあたしが呼びに来た時に、和は携帯を持ってたな」
和「お風呂から上がったら続きを調べようと思ったの」
和「でも…帰って来たら無くなってたわ」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:47:37.84 ID:EWY1ypn40
和「お風呂には此処に居る全員で入った」
和「誰が誰を誘って全員が揃ったのか…」
和「みんなの話をまとめていけば分かると思うけど、それは無意味ね」
和「私と律がお風呂に来た時にはみんな揃ってた」
律「そうか…誰も途中で風呂からは出てないから…」
律「和の携帯を隠す奴は居ないって事になるな」
和「もちろん、私と律がいたずらをする為に嘘を言ってる可能性もあるわ」
和「でもね、1番最後に来たって言ってもせいぜい1分位の違いよ?」
和「逆にお風呂から上がる時は全員揃って戻ったわよね」
和「みんな最初は自分の部屋に戻ったと思うから」
和「その間に全員の携帯を探し出して隠すなんて事、まず不可能よ」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:49:51.03 ID:EWY1ypn40
澪「待て、待ってくれ和」
澪「それ以上は言わないで欲しい」
澪「それ以上何か言われると…私、怖くて泣き出すかもしれない…」
梓「澪先輩…だ、大丈夫ですよ!みんな何か勘違いしてるだけですって!」
唯「う~ん、何だか良く分からないけど…」
唯「私達以外の誰かがこの建物の中に居て」
唯「その人が全員分の携帯を隠したって事?」
澪「ひっ…」
律「あちゃ~、言っちゃったか…」
和「まあ、常識的に考えればそうなるわね」
憂「でも、私達以外は誰も居ないんじゃなかったんですか?」
紬「…」
紬「そう、私達以外には誰も居ないわ」
紬「それなのに、こんな事が起きるなんて絶対におかしい」
紬「警察に連絡しましょ!」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:51:09.91 ID:EWY1ypn40
律「警察?それはちょっと大げさ過ぎないか?」
和「ううん、私は賛成よ」
和「梓が言ったみたいに、全員が勘違いをしている可能性も0じゃないと思う」
和「でも、それならそれで良いじゃない」
和「これ以上不安なままで過していたら澪が…ううん、正直に言っちゃうとね」
和「私も今すぐに泣き出したい位に怖いのよ」
和「唯、そこにある電話で110番して」
唯「うん、分かったよ」
唯「ぴ…ぽ…ぱっと」
唯「…」
唯「…あれ?」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:52:23.94 ID:EWY1ypn40
律「どうした?唯」
唯「つ、つながらないんだけど…」
梓「外線をかける場合には、最初に何かを押すんじゃないんですか?」
唯「ううん、そうじゃなくって」
唯「音が何にも聞こえないの、電話線が切れてるんじゃないのかな…」
憂「そんな…コードが抜けてるとかそういう事じゃないの?」
唯「う~ん、どうなんだろ?私には分かんないや…」
律「ぱっと見た限りでは、そうでも無さそうだな」
梓「故障だとしたら、素人が見ても分からないですよね…」
和「私達の泊まってる部屋には電話が無かったけど」
和「紬、他に電話は無いの?」
紬「あるとしたら、此処のオーナーさんの部屋かしら?」
紬「鍵も預かってるわ」
和「じゃあ、そこの電話を試してみましょう」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:53:58.06 ID:EWY1ypn40
~オーナーの部屋~
和「駄目だわ…つながらない」
梓「パソコンがあったので立ち上げてみましたけど」
梓「ネットも全く繋がらない状態ですね」
和「打つ手無しかしら…」
澪「そんな、和にそんな事を言われたら…」
律「何か良い手は無いのか?和なら何か思い付くだろ?」
和「私だって普通の女子高生よ?」
和「そんなに簡単に思い付く訳ないでしょ!」
唯「和ちゃん、そんな言い方をしなくても…」
和「あっ…ご、ごめんなさい…」
律「いや、あたしの方こそ…」
憂「あれ?」
唯「どしたの?憂」
憂「紬さんが居ない…何処に行ったんだろ?」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:56:06.76 ID:EWY1ypn40
律「トイレじゃないのか?見て来るよ」
和「待って律、1人では行かないで」
和「私も付いて行くから、みんなは此処に残ってて」
…
…
…
唯「どうだった?」
律「トイレには居なかったな…」
和「律、正直に言いましょう?」
律「え?でも…」
和「隠してもすぐにバレるわ」
和「みんな食堂に集まって、そこで話すから」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:58:00.91 ID:EWY1ypn40
~食堂~
和「私と律で、2階も含めて全部の部屋を見て」
和「念の為に建物の周りを1周してみたけど、紬は何処にも居なかったわ」
唯「見えない位に遠くまで行ったんじゃ…」
和「何の為に?外は今、マイナス何度の世界」
和「この建物以外には一切灯りが無いのに」
和「さっきの紬の格好で遠くまで出歩くなんて自殺行為よ」
憂「じゃあ紬さんは…」
和「考えたくは無いけど…」
澪「駄目だ和!言っちゃだめだ!」
和「…」
和「そうね、言わないでおくわ」
和「でも、紬が居なくなった事は事実よ?何も無かった事には出来ない」
唯「どうしたら良いんだろ…」
唯「電話が通じないんじゃ、誰かに来て貰う事も出来ないよね」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:59:35.56 ID:EWY1ypn40
和「私もそうだけど、みんなも家族や友達には何時帰るのか伝えてあると思う」
和「帰って来なければ心配して探しに来てくれると思うけど…」
律「駄目だな、時間がかかり過ぎる」
和「そうね、この状況で何日も待つ事は出来ないわ」
梓「じゃあ、どうするんですか?」
憂「梓ちゃん、それはさっき…」
梓「あ、ごめんなさい!」
梓「何でも和先輩に聞けば良いってものじゃないですよね…」
和「ううん、良いのよ」
和「それにね、私には1つだけ考えがあるの」
和「夜が明ければ…明るくなれば手はあるわ」
律「どうするんだ?」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:01:46.72 ID:EWY1ypn40
和「町から此処に来るまでの道は殆ど一本道だったでしょ?」
和「道なりに降りて行けば迷う事は無いと思う」
唯「町まで歩いて行くの?」
和「唯、車でも1時間以上かかるのよ」
和「歩いて行ってどの位かかると思う?」
唯「え~と、来た時の車は結構遅かったけど…でも20km位は出てたよね」
唯「歩くスピードは4km位だから、5時間以上…」
唯「え?5時間!?そんなに歩けるのかな…」
梓「雪の上をそんなに速く歩けるとは思えませんけど…」
和「そうね、私達はみんな雪の上を歩く事に慣れてないわ」
和「何時間かかるのか全く分からないんだから、そんなに無謀な事は出来ない」
律「じゃあ、どうするんだ?」
和「スキーで行くのよ」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:03:35.48 ID:EWY1ypn40
唯「え?でも私は上手く滑れないよ?」
澪「私もだ…スキーなんて今日初めてやったんだぞ?無理に決まってる」
和「私にも無理よ、でも」
和「今日みんなが滑ってる所を見てたけど、梓と憂は上手だと思ったわ」
梓「私は何度かやった事がありますから」
憂「私は初めてだったけど、何となく出来ちゃった感じで…」
和「何時もの事だけど、憂には関心するわね…」
梓「もしかして、私と憂の2人で行けって事ですか?」
和「ええ、全員で行けない以上はそうするしかないと思う」
和「どうかしら?」
憂「私は…1人だったら不安だけど」
憂「梓ちゃんも一緒だったら…大丈夫、行きます!」
梓「私も憂が一緒だったら安心出来ます」
和「じゃあ、2人にお願いするわね」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:05:42.15 ID:EWY1ypn40
和「憂と梓には今から寝て貰って、後の4人は交代で仮眠を取りましょ」
梓「寝るって、何処で寝るんですか?」
梓「部屋に1人で寝るのはちょっと嫌なんですけど…」
憂「私も、それはちょっと不安かな…」
和「此処で寝ればって思ったけど…そうね」
和「明日の事を考えたら、ちゃんとベッドで寝た方が良いと思う」
和「だから憂には唯が付いてあげなさい」
和「憂もそれなら安心でしょ?」
憂「お姉ちゃんと一緒だったら…うん、安心出来る」
唯「大丈夫だよ、憂」
唯「憂が寝るまで、お姉ちゃんが付いててあげるからね?」
憂「お姉ちゃん…ありがとう…」
和「決まりね」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:07:30.77 ID:EWY1ypn40
和「梓には…どうしましょうか」
梓「あの…私は澪先輩に付いていて欲しいです!」
澪「私が?」
和「そうね、梓がそうして欲しいなら澪が付いてあげなさい」
律「…」
律「あたしも、それが良いと思うな」
律「梓が1番安心出来る相手が澪だったら…」
律「澪が付いてあげるべきだ」
澪「律…」
澪「分かったよ、じゃあ梓には私が付いてる」
和「さっきは交代でって言ったけど、唯と澪もそのまま寝てしまって良いのよ?」
和「私と律が部屋の前で起きてるから」
律「そうだな、あたし達はずっと起きてるから安心しろ?」
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:08:50.17 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~
唯「憂は明日の為にも早く寝ようね?」
憂「お姉ちゃんも一緒に寝て欲しいな…」
唯「和ちゃんとりっちゃんには悪いけど…うん、そうするね」
…
…
…
唯「憂、眠れない?」
憂「お姉ちゃん…私、怖くて眠れないよ…」
唯「憂…」
唯「じゃあ、ずっと手を握っててあげるから」
唯「どうかな?」
憂「お姉ちゃん…まだ怖い…」
憂「手だけじゃ、お姉ちゃんが傍に居るって分からないよ…」
唯「じゃあ…」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:09:58.85 ID:EWY1ypn40
ギュッ
唯「えへへ~、目の前にお姉ちゃんが居るんだよ~」
唯「これなら大丈夫でしょ?」
憂「お姉ちゃん…まだ怖いよ…」
唯「もぅ~、憂は意外と甘えんぼさんなんだね~」
憂(だって、怖いって言ったら…お姉ちゃんが甘えさせてくれるから…)
唯「じゃあね、憂が寝るまでずっと頭をなでてあげるからね」ナデナデ
唯「ずっとずっと、こうしててあげるからね…」
憂「お姉ちゃん…ありがとう…」
唯「良いんだよ~、憂には何時も一杯お世話になってるからね~」
憂(怖かったのはね、本当なんだ…)
憂(でも今この瞬間だけは…忘れる事が出来るよ…お姉ちゃん…)
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:11:25.44 ID:EWY1ypn40
~梓の部屋~
梓「澪先輩…」
澪「梓、何も言わなくて良い」
澪「今は寝る事だけを考えるんだ」
澪「大丈夫だよ、私も隣で寝てあげるからな?」
梓「はい、あの…嬉しいです」
…
…
…
澪「眠れないか?」
梓「眠れないです…」
澪「そうか、そうだよな…」
澪「このまま寝ちゃっても良いって律と和は言ってくれたけど」
澪「私も怖くて眠れそうにないよ」
梓(それもあるんだけど…そうじゃなくて…ドキドキし過ぎて眠れないんだよ…)
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:13:15.15 ID:EWY1ypn40
澪「…」
澪「なあ、梓」
澪「どうして私なんだ?」
梓「え?何がですか?」
澪「まあ唯と憂に付いて貰うわけにはいかないし…」
澪「和の事はあまり知らないだろうから律か私なんだろうけど」
澪「こういう時は律の方が良い様な気もするんだけどな」
澪「私はその…強がっても仕方が無いから言ってしまうけど…」
澪「怖いのが凄く苦手だからな」
澪「一緒に居ると余計に梓を不安にさせちゃうんじゃないかって」
澪「それが心配なんだけど…」
梓「澪先輩…」グスッ
澪「ど、どうしたんだ!?や、やっぱり私が一緒じゃ不安か!?」
梓「違いますよぉ…澪先輩全然分かってくれない…」
梓「私は澪先輩だから一緒に居て欲しいって思ったのに…」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:14:44.80 ID:EWY1ypn40
澪「梓…」
梓「でもやっぱり、澪先輩は律先輩の事が…」
ギュッ
梓「え!?」
澪「梓、ごめんな」
澪「梓が律の事を気にして遠慮してるんだったら、安心させてやるよ」
澪「律は1番の親友だけど…友達だ」
澪「でも梓は違う、友達でもあるし後輩でもあるけど…それだけじゃない」
澪「私にとって梓は…」
梓「」ドキッ
澪「梓は妹の様な存在だな」
梓「…」
梓「あの、普通はそこに違う台詞が入るんじゃないでしょうか…」
澪「こういう時だから、梓が喜ぶ様な事を言ってあげたいんだけどな…」
澪「でも、嘘を言われたくはないだろ?」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:16:11.01 ID:EWY1ypn40
梓「確かにそうですけど…」
澪「今はまだそういう風にしか考えられない」
澪「でもな、律よりは身近に感じてるって事、言ってあげたかったんだ」
澪「律にはこんな事しないぞ?梓だから、妹みたいだと思ってるからやってるんだ」
澪「それにな梓、隣の部屋には誰が居る?」
梓「隣には憂と…唯先輩…」
澪「妹だって頑張れば、憂ちゃんみたいになれるかもしれないぞ?」
澪「唯が憂ちゃんを想う様に…私も梓の事、特別に感じる様になるかもしれない」
梓「分かりました…私、そうなれる様に頑張ってみます!」
澪「ああ、頑張れ」
澪「こんな事を言うって事は…梓の事、どう思ってるのか分かるだろ?」
梓「はい、全く可能性が無いって事じゃ無いんですよね…」
梓「それが分かっただけでも…嬉しいです…」
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:17:26.91 ID:EWY1ypn40
澪「泣かれてしまった時はどうしようかと思ったけど…」
澪「私も正直な気持ちが言えて良かったよ」
澪「どうだ?そろそろ眠れそうか?」
梓「そうですね…正直に言うとさっきまでは凄くドキドキしてたんですけど…」
梓「今は、安心出来る感じの方が大きいです…」
澪「そうか、それは良かった」
梓「おやすみなさい、澪…お姉ちゃん」
澪「ああ、おやすみ、梓」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:19:00.33 ID:EWY1ypn40
~部屋の前~
律和「…」
律「意外と聞こえるものだな…」
和「そうね、聞いてるこっちの方が恥ずかしくなる位よ」
和「でも、唯はちゃんとお姉ちゃんしてるのね…結構意外だったわ」
律「ああ、やっぱり唯には憂ちゃんに付いてて貰って良かったよ」
律「それに梓は…やっぱり澪の事が好きだったんだな」
和「律はどう思ってるの?澪の事」
律「澪か?澪は…1番の親友だな」
和「親友…ね」
律「まあ和が思ってる様な感情も、正直少しはあるよ」
律「でもな、梓だって軽音部の大事な大事な後輩だ」
律「梓の事だって考えてやりたいって思う」
律「澪がそれで良いって思うなら、梓の為にもこれで良いんだよ」
和「律…」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:19:56.25 ID:EWY1ypn40
…
…
…
律「…ん?朝か?」
律「…」
律「あっ、つい寝ちゃってたよ!」
律「ごめんな和、1人で起きてるのは退屈…」
律「…」
律「…嘘だろ?」
…
…
…
律「駄目だ、何処にも居ない…」
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:21:15.28 ID:EWY1ypn40
~合宿3日目・朝・食堂~
梓「和先輩、何処にも居ませんでしたね…」
律「すまん、あたしがつい寝ちゃったからこんな事に…」
澪「律、自分を責めるのはよせ?」
唯「そうだよ、りっちゃん」
唯「和ちゃんは何処か散歩に行っただけかもしれないよ?」
律「唯…そうだな、和は何処か散歩に行ったんだろう…」
憂(こんな時に1人で外に出て行くなんて考えられないけど…)
憂(今はお姉ちゃんの言ってる事、みんな信じたいよね…)
唯「でも廊下で寝ちゃうなんて…りっちゃんは風邪引かなかった?」
律「ああ、何時の間にか布団を被ってたからな…大丈夫だよ」
律(多分和が…かけてくれたんだろうな…)
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:22:39.07 ID:EWY1ypn40
梓「それで、これからどうしましょう?」
梓「和先輩の言ってた通り、スキーで町を目指した方が良いんでしょうか?」
律(そうだな…今は落ち込んでる場合じゃない)
律「梓が1番の経験者だから聞いておきたいんだけど」
律「少し雪が舞って来てるよな…この位なら滑れるのか?」
梓「大丈夫ですよ、夜なからともかく明るい内ならもっと天候が悪くても滑れます」
律「此処に残ってても状況は変わらないと思うからな…」
律「あたしは和の案を採用してみたいと思う、みんなはどうだ?」
唯「私は何も出来ないから…憂に任せるよ」
憂「梓ちゃんが大丈夫って言ってるんだから…大丈夫です、私は行きます」
澪「私も梓に任せるよ、どうなんだ?大丈夫そうか?」
梓「大丈夫です、任せて下さい!」
梓「距離は少しありますけどずっと下り坂ですから、町まではすぐに行けますよ」
律「そうか…よし、決まりだな」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:24:21.31 ID:EWY1ypn40
~食堂~
唯「憂とあずにゃんはもう町に着いたかな?」
律「まだだろ…30分位しか経ってないぞ?」
澪「こういう時は、時間が経つのが遅く感じるな…」
唯「そうだね…」
律「…」
澪「…」
唯「そう言えば、軽音部の合宿なのに1回も練習してないよね」
唯「りっちゃんは折角自分のドラムセットを持って来たのに」
唯「まだ一度も触ってないんじゃないかな?」
唯「折角此処まで来たんだから、3人でちょっと練習してみよ?」
律「唯…」
律「そうだな、少しは気がまぎれるかもしれないし…やろうか」
澪「ああ、こういう時は何かしていた方が気は楽だからな…やってみよう」
唯「窓から外の様子も見えるから、場所は此処で良いよね」
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:26:04.45 ID:EWY1ypn40
ジャ~ン♪
律「ふぅ…何か本当に久しぶりに演奏した気分だな」
澪「やっぱり…良いよな、時間も忘れてしまうよ」
唯「そうだね、部活で最後に演奏したのは」
唯「確かムギちゃんが合宿をしますって言った時かな?」
澪「ムギ…」
律「だ、大丈夫だよ!ムギは何処かで無事に居るって!」
唯「そうだよ澪ちゃん、大丈夫だよ」
唯「ムギちゃんも和ちゃんも、きっと何処かで無事に居るよ~」
律「ああ、そうだな…」
律(こういう時は、唯の明るさが救いだよ…)
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:27:23.02 ID:EWY1ypn40
律「しかし…流石に遅いな」
律「町まで行けば警察にだってすぐに連絡出来るだろうし」
律「車で迎えに来て貰う事も出来ると思うんだが…」
澪「もう3時だな…2人が出て行ってから6時間位か?」
唯「あれ?」
律「どうした?唯」
唯「あれは…あずにゃんと憂!」
ガチャッ…ダダダダダダダダ…
律「どうした!唯!」
澪「あれは…あれは梓じゃないのか?憂ちゃんを背負ってこっちに歩いて来るぞ!」
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:28:51.00 ID:EWY1ypn40
~建物の外~
梓「唯先輩…良かった、戻って来れたんですね…」
憂「お姉ちゃん…お姉ちゃんだ…」
唯「憂、どうしたの?歩けないの?」
憂「うん…私、ちょっと怪我をしちゃって…」
唯「待ってね憂、代わりに負んぶしてあげるから」
…
唯「あずにゃん、何があったの?どうして憂が怪我をしてるの?」
梓「駄目です…唯先輩…私…もう限界です…」
梓「後の事は…頼みます…」ドサッ
唯「え?あずにゃん!あずにゃん!どうしたの!」
律「唯!落ち着け!」
律「まずは2人を中に運ぶんだ」
澪「そうだ、話を聞くのはそれからでも良い」
唯「う、うん、分かった!」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:30:35.06 ID:EWY1ypn40
~食堂~
律「梓は部屋に寝かせて来たよ」
律「澪が傍に付いてる」
唯「大丈夫かな、あずにゃん…」
律「疲れてるだけだと思うけど、分からないな」
律「あたしも医者じゃないんだから…」
憂「梓ちゃん…私のせいで…」グスッ
唯「憂…」
律「…」
律「憂ちゃん、今は泣いてる場合じゃないんだ」
律「何があったのか話してくれないかな?」
唯「そんな!憂がこんななのに話を聞くなんて可哀想だよ!」
憂「お姉ちゃん、良いんだよ…」グスッ
憂「梓ちゃんの為にも…ちゃんと何があったのか話さないと…」グスッ
律「そうだな、梓の為にも話してくれ」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:32:24.52 ID:EWY1ypn40
憂「最初は…凄く順調でした」
憂「こんな事になっているのも忘れてしまって…」
憂「梓ちゃんと2人で気持ち良く滑り降りて行ったんです」
憂「でも、私はスキーを覚えたばっかりなのに…調子に乗ってしまって…」
憂「梓ちゃんはあんまりスピードを出すと危ないって言ってくれてたのに…」
唯「転んだの?」
憂「ううん、違うの」
憂「急カーブになってる所があって、先が見えなかったんだけど…」
憂「大丈夫だと思ってそのまま滑って行ったの」
憂「そうしたら急に壁になってて…」
律「壁?」
憂「雪崩が起きてたみたいなんです」
憂「ブレーキをかけたんですけど、間に合わなくて」
憂「そこにまともに突っ込んでしまって…」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:34:24.81 ID:EWY1ypn40
憂「気が付いたら、板も外れてしまってて」
憂「両足が痛くて歩けない状態になってたんです」
唯「あずにゃんは大丈夫だったの?」
憂「梓ちゃんもやっぱり止まれなかったんだけど」
憂「私と違って軽くぶつかっただけだから大丈夫だって」
律「それから…どうしたんだ?」
憂「梓ちゃんがどうなってるのか調べてみるって言って」
憂「スキーを外して先の方がどうなってるのかを調べに行ったんですけど」
憂「何処が道なのか分からない位、ずっと先の方まで雪で埋まってたみたいです」
憂「こんな状態でこれ以上先に進むのは危ないから引き返そうって」
憂「でも、私は歩けなかったから…」
律「それで、梓が背負って此処まで帰って来たのか」
憂「まずはみんなに知らせる方が先だって言ったんですけど」
憂「1人で此処に残して行くのは不安だからって…」
唯(あずにゃん…ありがとう…)
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:35:54.04 ID:EWY1ypn40
律「憂ちゃん、辛いだろうけどもう1つ教えてくれ」
律「その雪崩が起きてた場所って此処からどの位離れてる?」
憂「正確な距離は分からないんですけど…多分滑り始めて10分も経ってないです」
律「10分としても…近いな」
律「まあだからこそ帰って来る事も出来たんだけど…」
唯「そうだよ、もしもっと遠く離れてる所だったら今頃は…」
律「いや、むしろその方が良かったかもしれないってな」
唯「え!?」
唯「酷いよりっちゃん!」
唯「そんなに遠い所だったら、2人共帰って来れなかったかもしれないよ!」
律「落ち着け、唯」
律「もし町の近くまで降りて行けたんだったら」
律「少し無謀かもしれないけど」
律「そこからはスキーを外して町まで行けるんじゃないかって思ったんだよ」
律「でも、今の話を聞いた限りではそれも無理ぽっいな」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:37:11.54 ID:EWY1ypn40
唯「あ、そういう事か…」
唯「ごめんなさい、りっちゃん」
律「良いって、あたしも説明不足だったからな」
律「それより、憂ちゃんを部屋で休ませてあげよう」
唯「憂、何時の間にか寝ちゃってたんだね…」
律「唯が付き添ってやれよ」
唯「でも、りっちゃんが1人に…」
律「大丈夫だって」
律「何かあったら『きゃ~!』って叫ぶから」
唯「…」プッ
唯「うん、楽しみにしてるね」
律「ああ、期待してろ」
律「部屋までは一緒に運んでやるからな」
唯「ううん、私が負ぶっていくよ」
律「そうか…じゃあ、頼むな」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:38:40.24 ID:EWY1ypn40
律「雪崩か…それで電話線も切れてしまったとか?」
律「可能性としてはあり得るけど…でも、あまりにも偶然過ぎる」
律「みんなの携帯は無くなるし、ムギと和は未だに見付からない」
律「やっぱり、何か異常な事が起こってるのは間違い無いんだろうな…」
律「何だ?何が起こってるんだ?」
律「こんな時に、和が居てくれたらな…」
律「和…」
律「いや、駄目だ駄目だ」
律「和も少し怒ってたよな、私も普通の女子高生なんだからって」
律「頼ってるだけじゃ駄目だ、あたしは軽音部の部長なんだからしっかりしないと」
律「みんなをこれ以上不安にさせちゃいけない」
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:40:08.02 ID:EWY1ypn40
ガチャッ
律「澪…梓の所に居なくて良いのか?」
澪「ああ、ずっと付いててあげたい所なんだが」
澪「色々と考えなきゃいけないと思うから、状況だけでも聞いておきたくてな」
律「そうか、じゃあ手短に話すよ」
…
澪「なるほど、それは困った状況になったな」
律「澪はどう思う?」
澪「雪崩が偶然かどうかは分からないけど、何かが起こってるのは間違い無いな」
律「ああ、あたしもそう思うんだけど…澪は怖くないのか?」
律「何時もだったら途中で聞くのを止めてしまいそうな話だろ」
澪「正直少しは怖いさ…でも、何て言ったら良いんだろうな」
澪「昨日から守らなきゃいけない存在が出来たと言うか…」
澪「そういう感情が先に来てしまってるな」
澪「今の話を聞いてしまうと尚更だ」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:41:59.85 ID:EWY1ypn40
律「ほうほう、それはまた…」ウシシ
澪「律、冗談を言ってる場合じゃないぞ」
律「分かってるよ」
律「とりあえず、みんなでまたもう1度話し合うべきだろうな」
澪「私は梓の部屋に戻るけど、律はどうする?一緒に来るか?」
律「いや、止めておくよ」
澪「じゃあ、せめて廊下に…」
律「廊下に居るとな、それはそれは恥ずかしい会話内容が聞こえてくるんだよ」
澪「それは…すまん」
律「唯にも言ったけど、何かあったらすぐに知らせるよ」
律「大丈夫、この状況だったらあたしも油断はしない」
澪「分かった、梓が目を覚ましたら下に降りて来るからな」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:44:01.25 ID:EWY1ypn40
~夜・梓の部屋~
澪(梓…良く此処まで無事に戻って来てくれたよ…)
澪(憂ちゃんも無事で良かった、唯も凄く喜んでるだろうな…)
澪(状況が良くなった訳じゃない、むしろ悪化している様に思えるけど…)
澪(でも、怖がってる場合じゃないな…私が梓を守ってやらないと)
梓「…ん」
梓「此処は…」
澪「気が付いたか?」
梓「澪…先輩…」
梓「私…今何処に居るんですか…」
澪「今は梓が泊まってる部屋に居るよ」
梓「そっか…帰って来れたんですね…良かった…」
澪「ああ、憂ちゃんも無事だぞ?良く頑張ったな」
梓「えへへ…だって、澪先輩が…」
梓「澪先輩が待っていてくれるって思ったら…頑張れちゃいますよ…」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:45:20.68 ID:EWY1ypn40
澪「梓…」
梓「こんなに頑張ったんだから…何かご褒美…欲しいです」
澪「ご褒美か、どんな事をして欲しいんだ?」
梓「えっと、その…ずっと頭をなでて貰えるとか…」
澪「駄目だな」
澪「こんなに私を心配させておいて、ご褒美なんてあげられないぞ」
梓「そんな…」
澪「だから、罰としてお仕置きだ」
澪「今から酷い事をするからな?怖かったら目を瞑ってろ」
梓「わ、分かりました…」
チュッ
梓「…」
澪「どうした?お仕置きされたのに嬉しそうだな?」
梓「そんなの…そんなの嬉しいに決まってるじゃないですか///」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:46:33.19 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~
唯「目が覚めた?憂」
憂「うん…私、何時の間にか寝ちゃってたんだね…外が真っ暗」
唯「足は?足は大丈夫?」
憂「凄く痛いけど…でも、大丈夫だよ」
憂「歩けない事は無いと思うから、梓ちゃんに謝って来ないと…」
唯「だ、駄目だよ!どんな怪我なのか分からないのに無理しちゃ駄目!」
唯「それにね、今あずにゃんには澪ちゃんが付いてるから」
憂「そっか…そうだよね」
唯「うん、邪魔したら悪いよ」
憂「こんな時にこんな事を思っちゃいけないんだけど」
憂「私も、お姉ちゃんと一緒に居るのが1番安心出来るな…」
唯「憂…」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:47:39.06 ID:EWY1ypn40
バチンッ
唯憂「!」
唯「て、停電?」
憂「お姉ちゃん!何処?何処に居るの?」
唯「憂!私は此処だよ!」ギュッ
憂「お姉ちゃん…」
唯「憂…」
憂「ごめんねお姉ちゃん、すぐに抱き付きに行きたかったけど」
憂「足が、足が痛くて動けないんだよ…」
唯「憂、大丈夫、大丈夫だよ」
唯「お姉ちゃんがずっとこうしてあげるからね」
唯(ど、どうしよう…澪ちゃんとあずにゃんは一緒に居るから大丈夫だと思うけど)
唯(りっちゃんの事が心配だよ…でも、憂は置いて行けないし…)
唯(こんなに真っ暗な状態で憂を負ぶって歩いたら…)
唯(もし転んじゃったら…憂の怪我がもっと酷い事になっちゃうかもしれない)
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:49:01.14 ID:EWY1ypn40
唯(ど、どうしよう…どうすれば良いの?)
憂「お姉ちゃん、ごめんね」
憂「私はもう落ち着いたから、みんなの様子を見て来て?」
唯「駄目だよ!憂を1人にする事なんて出来ないよ!」
憂「でも、梓ちゃんと澪さんが一緒に居るって事は」
憂「律さんは今1人なんでしょ?心配だよ…」
唯「そうなんだけど…でも…」
唯(考えれば考える程、どうして良いのか分からなくなっていくよ…)
ガチャッ
唯「!」
憂「ま、眩しい!」
澪「2人共無事か?」
唯「澪ちゃん!」
澪「無事みたいだな…」
梓「よ、良かった…」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:50:36.01 ID:EWY1ypn40
憂「梓ちゃん!」
憂「ごめんね、梓ちゃん…私…」
梓「良いんだよ、気にしなくて」
梓「私が先に滑ってたら、多分憂と同じ事になってたと思う」
梓「もしそうなってたら、憂は私と同じ事をしてくれたかな?」
憂「もちろんだよ!」
梓「そう言ってくれたら十分だよ」
梓「それにね、憂のおかげでご褒美…じゃなかった」
梓「お仕置きして貰えたから///」
澪「あ、梓!こんな時に何を言ってるんだよ///」
唯「お、何か興味のあるお話ですな~」ムフフ
憂「お姉ちゃん、今はそんな事を言ってる場合じゃないよ!」
唯「はっ!そうだよ!りっちゃんが!」
澪「律はまだ下の食堂に居るのか?」
唯「多分そうだと思う…」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:51:39.73 ID:EWY1ypn40
唯「こんな事になるなら一緒に居れば、せめて隣の部屋に居てもらえば…」
澪「唯、今は後悔しても仕方が無い」
澪「憂ちゃんの怪我はどうだ?歩けそうか?」
憂「大丈夫です!私、歩けます!」
唯「駄目だよ憂、こういう時は正直に言わないと」
澪「そうだな、嘘を言われてその為に間違った判断をしてしまったら…」
澪「後悔するのは自分だぞ?憂ちゃん」
憂「ごめんなさい…私、全く歩けません」
澪「そうか、じゃあ唯は此処に居た方が良いな」
澪「梓、今私が照らしてる懐中電灯を取ってくれ」
梓「はい、取りました」
唯「懐中電灯?そっか、確か部屋の隅にあったよね…忘れてたよ」
澪「私達も暫く気が付かなくてな、ちょっとパニックになってたよ」
澪「とりあえず、これを持っておけば少しは安心出来るだろ」
澪「律の様子は私と梓で見に行くから、唯と憂ちゃんは此処に残っててくれ」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:52:49.99 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋→食堂~
梓「澪先輩、律先輩は無事ですよね?」
澪「ああ、律の事だから1人でもパニックになる事は無いだろ」
澪「それに、確かあの部屋にも非常用の懐中電灯があったはずだ」
梓「そうですね、確かにありましたね」
梓「…」
梓「でも…だったら…どうして…」
梓「律先輩は2階に上がって来なかったんでしょう…」
澪「…」
澪「梓、どうして立ち止まるんだ?」
梓「だって…」
澪「私だって怖いさ、でもこのまま2階に引き返してどうなる?」
澪「ほら、ずっと手を握っててやるから…行こう」
梓「離したら…嫌ですよ?」
澪「分かってるよ」
紬「合宿をしま~す!」-2
続きます
澪「いや、いきなりそんな事を言われてもな…」
梓「合宿って夏休みにやりましたよね?」
紬「ええ、やったわね」
唯「ムギちゃん、それを忘れてしまって…ま、まさか記憶喪失!?」
紬「唯ちゃん、もちろん夏休みに合宿をしたのは覚えてるわよ」
紬「でも、冬休みにも合宿したいって思わない?」
唯「へ?そう言われてみれば…うん、してみたいね!」
律「でも、年末年始はムギにも色々と予定があるんだろ?」
律「そういうのも考えて、去年は初詣だけ誘ったんだけど…良いのか?」
紬「もちろんよ!」
紬「部活の時間にこうしてお茶を飲んで、練習をして…」
紬「それだけでも毎日が凄く楽しいわ」
紬「でも、折角出会えたみんなと…」
紬「軽音部のみんなと、もっと色々してみたいって思うの」
紬「私の予定なんて気にしなくても良いのよ?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:00:55.60 ID:EWY1ypn40
律「そうか…いや、悪かったな」
律「そういう所に気を使うなんて、らしく無かったって思うよ」
紬「ううん、私の方こそごめんなさい」
紬「本当にそう思ってるなら、誘って貰えるのを待っているだけじゃなくて」
紬「もっと積極的に、私の方から誘う位にならなきゃ駄目だって気が付いたの」
紬「だから今日は合宿を提案してみたんだけど…駄目かしら?」
律「ムギがそう言ってくれるなら、あたしには反対する理由は何も無いな」
澪「私も賛成だ」
澪「但し練習はちゃんとする事、それが条件だぞ?」
梓「私も練習が思いっ切り出来るんでしたら賛成したいです」
唯「じゃあ、もう決まりだね?」
紬「決まりなの?良かったわ!」
律「後は…そうだな、さわちゃんも誘っておこう」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:02:42.96 ID:EWY1ypn40
~職員室~
さわ子「冬休みにも合宿ね…良いんじゃないの?」
唯「さわちゃん先生も一緒に行くよね?」
さわ子「ごめんなさい、私はちょっと行けそうにないと思うわ」
さわ子「学校が休みの間でもね、色々と仕事ってあるものなのよ?」
律「そっか…じゃあ、あたし達5人で行って来るか」
さわ子「合宿って何処でやるつもりなの?」
さわ子「交通費も少しだけなら部費から出してあげるけど」
律「え?そう言えば場所なんて聞いて無かったな」
律「ムギ、今回は何処の別荘でやるつもりなんだ?」
紬「え~とね、今回は別荘じゃなくて」
紬「○○県○○市の山奥にね、ペンションが1件あるんだけど」
紬「そこでやりたいなって思うの」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:04:02.70 ID:EWY1ypn40
澪「ペンションって事は、部屋を借りるって事か?」
唯「じゃあ、今回は泊まるのにもお金がかかるんだね…」
梓「○○県って結構遠いですよね?」
梓「私、今月はちょっとお小遣いピンチなんですけど…」
紬「大丈夫よ、交通費も宿泊費もかからないから」
律「それはムギの力で何とかなるってやつだろ?」
律「毎回そういうのに頼るのは、ちょっと悪い気もするんだよな…」
紬「ううん、そういう意味で言ったんじゃないの」
紬「私に任せて頂戴」
紬「みんなは自分の楽器と…後は寒くても大丈夫な服装だけお願いね?」
さわ子「決まりなのかしら?」
さわ子「まあみんなの事だから大丈夫だと思うけど、気を付けて行ってらっしゃい」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:05:52.80 ID:EWY1ypn40
~平沢家~
憂「お姉ちゃん、冬休みの予定はもう立てた?」
唯「冬休みは…合宿をします!」
憂「合宿?今日初めて聞いたけど、それって何時決まったの?」
唯「今日決まったんだよ~」
憂「へぇ~、そうなんだ」
憂「で、何時から行くの?」
唯「明後日から!」
唯「それでね、朝早い電車に乗るから6時に起きなきゃいけないんだよ」
唯「憂、悪いんだけど…もし寝てたら起こしてね?」
憂「…」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:07:22.39 ID:EWY1ypn40
唯「あれ?憂、聞いてる?」
憂「え?うん、聞いてるよ…」
憂「6時だね、分かった」
憂「ちゃんと起こしてあげるから安心して?」ニコッ
唯「うん、お願い!」
唯「合宿、楽しみだよ~」
~憂の部屋~
憂「折角貰ったのに…これ、どうしよう」
憂「捨てちゃうのも勿体無いし…」
ピピピピ…ピピピピ…
憂「電話?あ、和ちゃんだ」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:09:09.78 ID:EWY1ypn40
~合宿1日目・午後~
唯「雪、雪だよ!りっちゃん!」
律「雪だな!唯!」
唯律「うお~~~!!!」ドドドドドドド…
…
澪「あの2人は何処に行っても同じテンションだな」
梓「こんなに沢山の雪を見たのは、きっと初めてなんでしょう」
澪「まあ、そう言ってる私も初めてだからな…気持ちは分かるよ」
澪「しかしそれにしても、随分と山奥にあるんだな」
梓「そうですね、駅前の町から車で1時間以上かかりましたし…」
梓「それに周りには何も無いだなんて、凄い所ですね」
澪「建物は綺麗で良いと思うけど、こんな場所に泊まりに来る人は居るのか?」
紬「ええ、何時もは結構来るそうよ」
紬「こういう静かな場所でゆっくりしたい人って多いみたいなの」
澪「そうか…ん?何時もは?」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:11:08.22 ID:EWY1ypn40
梓「あの、さっきから気になってたんですけど」
梓「曇って少し薄暗くなって来たのに、玄関も部屋の灯りも付いてないですよね…」
梓「もしかして、誰も居ないんじゃないんですか?」
紬「正解よ、梓ちゃん」
澪「誰も居ないって、どういう事だ?」
紬「それは後で説明するわ、まずは中に入りましょ?」
梓「そうですね、さっきまでは車の中だったから感じなかったんですけど」
梓「此処、凄く寒いです…」
澪「そうだな…あれ?律と唯は何処に行ったんだ?」
ガチャッ
紬「え!?」
律「軽音部の皆様」
唯「ようこそいらっしゃいました!」
澪「…何だその格好は?」
梓「メイド?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:12:54.12 ID:EWY1ypn40
律「いや~、建物の裏側まで回ってみたんだけど」
律「寒くて仕方が無かったから中に入らせて貰ったんだよ」
唯「そしたらね?中にこの服が5着用意してあってね」
唯「私達の名前が書いてあったから着ても良いんじゃないかなって思って」
紬「…」
唯「あれ?もしかして…駄目だったの?」
紬「ううん、そんな事は無いわ」
紬「それは私達の為に用意して貰った服だから良いんだけど…」
唯「う~、さ、寒いね~」
律「確かに、この格好じゃ外には出られないな…」
律「みんな、早く中に入れよ」
澪「そうだな、お邪魔しよう」
梓「ムギ先輩も早く」
紬「ええ…そうね」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:14:26.33 ID:EWY1ypn40
~食堂~
紬「もう一度確認したいんだけど、りっちゃんは何処から入ったの?」
律「何処って、普通に裏口からだけど?」
澪「どうしたムギ、何か気になる事でもあるのか?」
紬「ううん…多分、私の思い過ごしだと思うから…」
唯「でも、何で誰も居ないんだろうね?」
梓「そうですよ、まず最初にそれを聞きかったんです」
澪「確かにおかしいな、此処ってペンションだろ?」
澪「お客さんが居ない事はあるかもしれないけど」
澪「従業員が誰も居ないっていうのはおかしくないか?」
律「そうか、そう言われてみればそうだな…どうしてだ?ムギ」
紬「そうね、まずはそれを説明するわ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:15:55.90 ID:EWY1ypn40
紬「みんなにはね、此処で5日間だけ従業員として働いて欲しいの」
律「つまり…住み込みのアルバイトって事か?」
紬「りっちゃん、理解が早くて助かるわ」
紬「それが此処に無料で泊まらせて貰える為の条件」
紬「交通費もちゃんと事前に貰ってるから安心してね」
澪「それは助かるんだけど、いきなりバイトって言われてもな…」
澪「泊まる人の接客とかしないといけないんだろ?」
澪「しかも律と唯が着てる服で…」
澪「そ、そんなの恥ずかしくて出来ないぞ…」
紬「大丈夫よ澪ちゃん、泊まる人は誰も来ないから」
澪「え?どうしてだ?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:17:20.00 ID:EWY1ypn40
紬「このペンションはね、私の遠い親戚の方が夫婦で経営してるんだけど」
紬「今は2人で海外旅行に行ってるの」
紬「その間、建物が無人になっちゃうのは良くないからって」
唯「分かったよ!私達はその間、お留守番をしてれば良いんだね!」
紬「そう、お留守番ね」
紬「でもそれだけじゃ駄目なのよ?ちゃんとお仕事もしないと」
紬「お客さんは誰も来ないんだけど、丁度良い機会だからって」
紬「この食堂とお風呂、それに泊まるお部屋のお掃除をお願いされてるの」
律「掃除か…まあ嫌いじゃないんだけど」
律「あたし達みたいな素人がやって良いものなのか?」
紬「大丈夫よ、此処は高級ホテルじゃないんだから」
紬「何時もみんながやってるみたいに、普通にお掃除すれば良いの」
澪「でも、いい加減にやるとムギに迷惑がかかるんだろ?」
澪「だったら、手抜きはしないでしっかりとやろうな」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:18:53.93 ID:EWY1ypn40
梓「そうですね、特に約1名の先輩には気を付けて欲しいです」チラッ
唯「あずにゃん酷いよ~、私だってやる時にはやるんだからね!」
梓「分かってますって、冗談ですよ」
梓「唯先輩もこういう時にはサボったりしない人ですからね」
律「お、梓が唯を褒めるなんて珍しいんじゃないのか?」
澪「そうでも無いぞ、陰では結構褒めてたりするからな」
唯「あずにゃん…やっぱり、あずにゃんは私の事が…」
唯「でも、ごめんね?私にはもう心に決めた人が居るんだ…」
梓「それも分かってますから」
梓「そういう勘違いされそうな言い方、止めた方が良いと思いますよ」
梓「その人、唯先輩の事に関しては冗談が通じませんから」
唯「え?あずにゃんには誰の事か分かるの?」
梓「ええ、まあ…」
律澪(いや、バレバレだろ…)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:20:18.63 ID:EWY1ypn40
澪「ところで…どうして掃除するだけなのに、こんな服が用意されてるんだ?」
澪「いや、確かにメイドの仕事の中には掃除もあるんだろうけど…」
澪「でも、今回はこれを着てやる理由が無いと思うぞ?」
紬「駄目よ澪ちゃん、これもアルバイトの条件に入ってるんだから」
澪「そうなのか…じゃあ仕方が無いな、後で着替えるよ」
紬「そうね、是非そうして頂戴」ウフフ
律(澪、騙されてるぞ~)
律(…)
律(まあ唯とあたしは良いとして…)
律(梓はこういうノリは止めそうな気もするんだが…どうなんだ?)チラッ
梓(澪先輩のメイド服姿…見たい!是非見たい!)
律(…)
律(超ウットリしてるぞ…)
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:22:06.93 ID:EWY1ypn40
澪「1階にあるのはこの食堂とお風呂…」
澪「隣の部屋は乾燥室って書いてあったけど何の部屋だ?洗濯物でも乾かすのか?」
梓「澪先輩、それはスキーとかの道具を乾かしておく部屋ですよ」
澪「スキーは…いや、スノボーもやった事は無いんだけど」
澪「出来るんだったらやってみたいな…道具とかはレンタルさせてくれるのか?」
紬「ええ、スキーだけなら道具は一式揃ってるわよ」
紬「ゲレンデは裏に斜面が少しあるだけで、リフトも無いからちょっと大変だけど…」
紬「でも、私達の貸切状態だからきっと楽しいと思うわ♪」
梓「道具を貸して貰えるなら、私も久しぶりにやってみたいですね」
澪「梓は経験があるのか?」
梓「ええ、自分で言うのも何ですけど結構上手いんですよ?」
澪「そうか…じゃあ、私は梓に教えて貰おうかな」
梓「は、はい!是非教えてあげたいです!」
紬「部屋の中も見てみる?」
澪「そうだな、ちょっと見てみたいな」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:23:30.74 ID:EWY1ypn40
~乾燥室~
澪「へぇ~、結構本格的なんだな…」
梓「あの…ムギ先輩」
紬「何かしら?梓ちゃん」
梓「ウエアは他に無いんでしょうか?」
紬「ごめんなさい、此処にあるだけなの」
澪「梓のサイズに合いそうなのが無いのか?」
梓「いえ、1着だけあるんですけど…」
澪「だったら良いじゃないか、試しに着てみたらどうだ?」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:24:55.32 ID:EWY1ypn40
紬「サイズはピッタリみたいね?」
梓「そうですけど…でも、どうして尻尾とネコミミが付いてるんですか?」
紬「さあ、どうしてかしら?」
梓(さっきのメイド服もそうだけど)
梓(絶対にムギ先輩のオーダーメイドだよ…)
梓「これを着て滑るのは、ちょっと恥ずかしいですよ」
紬「そうかしら?可愛くて良いと思うんだけど…澪ちゃんはどう思う?」
澪「私は良いと思うな」
澪「梓の可愛い所が引き立つと言うか…ん?どうして後ろを向くんだ?」
梓「な、何でもありません!」
紬「梓ちゃん、もし気に入らなかったら無理に着なくても良いのよ?」
梓「いえ!私はこれを大変気に入りました!」
紬「そう?良かったわ」ウフフ
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:26:43.34 ID:EWY1ypn40
澪「隣にもう1つ部屋があったけどそこは?」
紬「オーナーさんの部屋よ」
澪「なるほど、後は2階に泊まる部屋が8つあったな」
澪「部屋はどうするんだ?好きに決めて良いのか?」
紬「ええ、でも部屋の作りは全部同じよ?」
澪「何処でも一緒なら、手前から5部屋にすれば良いか…」
澪「誰が居るのか分かった方が良いと思うから、紙に書いて貼っておこう」
紬「そうね、じゃあそれは澪ちゃんにお願いするわ」
紬「今日はみんな疲れてると思うから、お食事をしてお風呂に入って…」
紬「後は寝るだけで良いと思うんだけど、澪ちゃんはやっぱり練習したい?」
澪「いや、今日は流石に疲れたからそれで良いと思う」
梓「私もそれが良いと思います、唯先輩と律先輩は既に寝ちゃってますし」
紬「電車の中でも2人ではしゃいでたものね」
澪「仕方ないな、夕食は3人で作るか…材料はあるんだよな?」
紬「ええ、冷蔵庫の中は好きに使っても良い事になってるわ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:28:30.12 ID:EWY1ypn40
~合宿2日目・朝・食堂~
紬「朝御飯も終わった所で、ちょっとみんなにお知らせがあります」
律「お知らせ?何だ?」
紬「実はね、今日は1組だけお客さんが来る事になったの」
梓「え?誰も来ないんじゃなかったんですか?」
紬「ええ、ちょっと連絡が行き届かなくて…キャンセルも間に合わなかったみたい」
唯「そっか…じゃあ私達がお迎えしないといけないんだね」
澪「私達だけで出来るのか?」
律「確かに、1組だけって言ってもちょっと不安だな…」
紬「大丈夫よ、そのお客さんはね、私達も良く知ってる人達だから」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:29:55.45 ID:EWY1ypn40
紬「車の音…来たみたいね」
紬「じゃあみんな、お迎えの準備は出来たからしら?」
…
紬「…良いみたいね」
ガチャッ
唯律澪紬梓「ようこそ、いらっしゃいました!」
憂「え?お姉ちゃん!?」
和「唯…それに軽音部のみんなじゃないの…」
和「あなた達、此処で何をしてるの?」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:31:45.05 ID:EWY1ypn40
~食堂~
和「合宿を兼ねたアルバイトね…楽しそうで良いじゃない」
律「それよりも和と憂ちゃんはどうして此処に?」
唯「そうだよ、憂が此処に泊まりに来るなんて全然知らなかったよ?」
和「まあ細かい所は省略させて貰うけど…」
和「私が商店街の福引で此処へのペア旅行を当てたのよ」
和「最初は唯と憂に行って欲しくて、憂にプレゼントしたんだけど」
憂「お姉ちゃんを誘おうとしたら、合宿に行くって先に言われちゃったから…」
和「代わりに私が誘われたって訳」
唯「そうだったんだ…憂、ごめんね?」
憂「ううん、今はこうしてお姉ちゃんと一緒になれたから良いんだよ」
…
澪「なあ律、ちょっと話が出来過ぎてると思わないか?」
律「確かにな…でも、合宿がもっと楽しくなると思うから良いんじゃないのか?」
澪「まあ、そうなんだけど…」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:34:18.30 ID:EWY1ypn40
~夜~
律「ふぅ~、食った食った…」
律「憂ちゃんもそうだけど、和も料理が上手いんだな」
和「そ、そう?ありがとう」
澪「2人共悪いな、昼も夜も作って貰って」
憂「良いんですよ、私は料理するの大好きですから」
梓「でも、言ってくれれば私達も手伝うよ?」
唯「そうだよ~、私も…」
梓「唯先輩は手伝わなくても良いですから」
唯「あずにゃん、酷い…」
和「少しだけみんなでスキーをして遊んだけど」
和「それ以外の時間は5人で朝から頑張ってたものね」
和「これ位の事はさせて貰わないと居心地が悪いわよ」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:36:03.31 ID:EWY1ypn40
ドーン!
律「何だ?今の音は」
紬「花火じゃないかしら?」
梓「花火?この季節にですか?」
紬「ええ、珍しいでしょ」
紬「名前は忘れちゃったけど、確か町でお祭りがあったはずよ」
紬「花火も打ち上げるんじゃなかったかしら?」
唯「見て見て!こっちの窓から少しだけ見えるよ!」
憂「ほんとだ…綺麗だね、お姉ちゃん」
和「でも、さっきの音ってちょっと違う方向から聞こえなかった?」
澪「山で音が跳ね返るんじゃないのか?」
和「なるほど…そうかもしれないわね」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:37:20.94 ID:EWY1ypn40
~お風呂~
律「昨日は眠くて良く覚えてなかったけど、此処の風呂は広くて良いな~」
紬「言い忘れてたんだけど、温泉だから1日中好きな時間に入っても良いのよ?」
梓「だったら、私は明日の朝にも入りたいですね…」
梓「あの、澪先輩も一緒に…」
澪「そうだな、1人で入ってもつまらないか…じゃあ、私も付き合うよ」
梓「はい!」
…
憂「どうしたの?お姉ちゃん」
憂「さっきからじっと胸を見られてる気がするんだけど…」
唯「憂、どうして私を追いて行くの…」
律「唯、そういう時にはな…」ゴニョゴニョ
唯「なるほど!憂、ちょっと私の後ろに来て?」
憂「え?良いけど…何かするの?」
唯「うん、ちょっと手を出して?で、そのまま私の胸を…」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:38:24.16 ID:EWY1ypn40
律「和はメガネを外すと何も見えないのか?」
和「ええ、殆ど何も見えないわね」
和「でも、そういう状態にも慣れてるから」
律「そうか、何か見てて危なっかしいって思ったから」
律「付いててやろうかって思ったんだけど、大丈夫か」
和「…」
和「あの…律」
律「ん?何だ?」
和「家のお風呂だったら慣れてるんだけど…」
和「知らない所だと、やっぱりちょっと怖いかも」
律「そうか、じゃあずっと付いててやるよ」
和「え、ええ、そうして貰えると助かるわ」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:39:41.06 ID:EWY1ypn40
律「あれ?」
律「ムギ、今出て来た扉は何だ?」
紬「1人用のサウナよ?」
律「サウナか…あたしも入ってみようかな」
紬「あ、今は入らない方が良いと思うわ」
紬「ちょっと温度調節が故障しちゃったみたいだから」
紬「中は逆に寒い位じゃないかしら?」
律「寒い位って…良く見たら鳥肌立ってるじゃんかよ」
律「分かった、諦めるとするか」
和「…」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:40:46.64 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~
憂「今日は1日楽しかったな…」
憂「お姉ちゃんと一緒にスキーをして」
憂「和ちゃんと一緒にお料理をして」
憂「みんなでご飯を食べて、お風呂に入って…」
憂「和ちゃんを誘って本当に良かった」
憂「明日も凄く楽しみだよ…」
憂「さて、寝る前に純ちゃんにメールしておこうかな」
…
憂「あれ?おかしいな…携帯は確かテーブルの上に置いておいたのに…」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:42:06.56 ID:EWY1ypn40
~梓の部屋~
コンコン…ガチャッ
憂「梓ちゃん、お邪魔…」
憂「…」
憂「あの、見てないからね?」
梓「良いよ別に…どうせ憂には分かってると思うから」
憂(ぬいぐるみだけど…澪さんにそっくりだね)
憂「それ、毎日やってるの?」
梓「やってるよ、寝る前にぎゅ~って」
憂「言えば良いのに、きっと梓ちゃんなら大丈夫だと思うよ?」
梓「…憂は、よく言えたよね」
憂「…」
憂「そうだよね、私も言う時には凄く迷った」
憂「言いたくても言えない事って沢山あるよね…ごめんね、梓ちゃん」
梓「ううん、良いんだよ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:43:17.89 ID:EWY1ypn40
梓「それで、憂は私に何か用事?」
憂「そうだよ!すっかり忘れてた!」
憂「あのね、携帯を何処かに置き忘れちゃったみたいなの」
憂「梓ちゃんは純ちゃんにメールするよね?」
憂「私からもよろしくって事、伝えておいてくれないかな?」
梓「良いよ、私も寝る前にメールしようって思ってたから」
梓「でも置き忘れたって、どの辺に?」
憂「分からないんだけど、お風呂に入る前までは見てたから…」
憂「とにかく、この建物の中の何処かだと思う」
梓「じゃあ憂の携帯に電話すれば、着信音で何処にあるのか分かるよね」
…
梓「何でだろ…お風呂に入る前には此処にあったはずなのに…」
憂「…」
憂「梓ちゃん、私と一緒に来て?」
梓「え?何処に行くの?」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:44:15.29 ID:EWY1ypn40
~唯の部屋~
コンコン…ガチャッ
憂「お姉ちゃん」
唯「どしたの?憂、そんなに怖い顔して…」
憂「携帯、持って来てるよね?」
唯「うん、持って来てるよ~」
憂「ちょっと出してみて」
唯「え?あの…もしかして中を確認したりするの?」
唯「今ちょっと待ち受けの画面が恥ずかしい事になってるから…」
梓(唯先輩が恥ずかしいって、それはちょっと気になるな…)
憂「ううん、あるかどうかだけ確認して欲しいの」
唯「中は見ない?」
憂「うん、見ないから」
唯「じゃあ、ちょっと待ってね~」
唯「確かベッドの枕元に…あれ?無いよ?」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:46:05.32 ID:EWY1ypn40
~食堂~
律「正直に言ってくれ、誰がこんないたずらをしたんだ?」
澪「律、みんなを疑うのか?」
律「疑いたくはないけど…でも、此処にはあたし達しか居ないんだぞ?」
律「誰かがいたずらして隠したに決まってるだろ」
和「律、それは無いと思うわ」
律「どうしてだよ」
和「今、話を聞いてて分かったんだけど」
和「携帯が無くなったのは、みんなでお風呂に入ってる間の事よ」
和「私もね、はっきり覚えてる」
和「明日の天気が気になったから携帯で調べようと思ったんだけど」
和「出した所で律が呼びに来たから鞄の中にしまっておいた」
律「そう言えば…確かにあたしが呼びに来た時に、和は携帯を持ってたな」
和「お風呂から上がったら続きを調べようと思ったの」
和「でも…帰って来たら無くなってたわ」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:47:37.84 ID:EWY1ypn40
和「お風呂には此処に居る全員で入った」
和「誰が誰を誘って全員が揃ったのか…」
和「みんなの話をまとめていけば分かると思うけど、それは無意味ね」
和「私と律がお風呂に来た時にはみんな揃ってた」
律「そうか…誰も途中で風呂からは出てないから…」
律「和の携帯を隠す奴は居ないって事になるな」
和「もちろん、私と律がいたずらをする為に嘘を言ってる可能性もあるわ」
和「でもね、1番最後に来たって言ってもせいぜい1分位の違いよ?」
和「逆にお風呂から上がる時は全員揃って戻ったわよね」
和「みんな最初は自分の部屋に戻ったと思うから」
和「その間に全員の携帯を探し出して隠すなんて事、まず不可能よ」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:49:51.03 ID:EWY1ypn40
澪「待て、待ってくれ和」
澪「それ以上は言わないで欲しい」
澪「それ以上何か言われると…私、怖くて泣き出すかもしれない…」
梓「澪先輩…だ、大丈夫ですよ!みんな何か勘違いしてるだけですって!」
唯「う~ん、何だか良く分からないけど…」
唯「私達以外の誰かがこの建物の中に居て」
唯「その人が全員分の携帯を隠したって事?」
澪「ひっ…」
律「あちゃ~、言っちゃったか…」
和「まあ、常識的に考えればそうなるわね」
憂「でも、私達以外は誰も居ないんじゃなかったんですか?」
紬「…」
紬「そう、私達以外には誰も居ないわ」
紬「それなのに、こんな事が起きるなんて絶対におかしい」
紬「警察に連絡しましょ!」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:51:09.91 ID:EWY1ypn40
律「警察?それはちょっと大げさ過ぎないか?」
和「ううん、私は賛成よ」
和「梓が言ったみたいに、全員が勘違いをしている可能性も0じゃないと思う」
和「でも、それならそれで良いじゃない」
和「これ以上不安なままで過していたら澪が…ううん、正直に言っちゃうとね」
和「私も今すぐに泣き出したい位に怖いのよ」
和「唯、そこにある電話で110番して」
唯「うん、分かったよ」
唯「ぴ…ぽ…ぱっと」
唯「…」
唯「…あれ?」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:52:23.94 ID:EWY1ypn40
律「どうした?唯」
唯「つ、つながらないんだけど…」
梓「外線をかける場合には、最初に何かを押すんじゃないんですか?」
唯「ううん、そうじゃなくって」
唯「音が何にも聞こえないの、電話線が切れてるんじゃないのかな…」
憂「そんな…コードが抜けてるとかそういう事じゃないの?」
唯「う~ん、どうなんだろ?私には分かんないや…」
律「ぱっと見た限りでは、そうでも無さそうだな」
梓「故障だとしたら、素人が見ても分からないですよね…」
和「私達の泊まってる部屋には電話が無かったけど」
和「紬、他に電話は無いの?」
紬「あるとしたら、此処のオーナーさんの部屋かしら?」
紬「鍵も預かってるわ」
和「じゃあ、そこの電話を試してみましょう」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:53:58.06 ID:EWY1ypn40
~オーナーの部屋~
和「駄目だわ…つながらない」
梓「パソコンがあったので立ち上げてみましたけど」
梓「ネットも全く繋がらない状態ですね」
和「打つ手無しかしら…」
澪「そんな、和にそんな事を言われたら…」
律「何か良い手は無いのか?和なら何か思い付くだろ?」
和「私だって普通の女子高生よ?」
和「そんなに簡単に思い付く訳ないでしょ!」
唯「和ちゃん、そんな言い方をしなくても…」
和「あっ…ご、ごめんなさい…」
律「いや、あたしの方こそ…」
憂「あれ?」
唯「どしたの?憂」
憂「紬さんが居ない…何処に行ったんだろ?」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:56:06.76 ID:EWY1ypn40
律「トイレじゃないのか?見て来るよ」
和「待って律、1人では行かないで」
和「私も付いて行くから、みんなは此処に残ってて」
…
…
…
唯「どうだった?」
律「トイレには居なかったな…」
和「律、正直に言いましょう?」
律「え?でも…」
和「隠してもすぐにバレるわ」
和「みんな食堂に集まって、そこで話すから」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:58:00.91 ID:EWY1ypn40
~食堂~
和「私と律で、2階も含めて全部の部屋を見て」
和「念の為に建物の周りを1周してみたけど、紬は何処にも居なかったわ」
唯「見えない位に遠くまで行ったんじゃ…」
和「何の為に?外は今、マイナス何度の世界」
和「この建物以外には一切灯りが無いのに」
和「さっきの紬の格好で遠くまで出歩くなんて自殺行為よ」
憂「じゃあ紬さんは…」
和「考えたくは無いけど…」
澪「駄目だ和!言っちゃだめだ!」
和「…」
和「そうね、言わないでおくわ」
和「でも、紬が居なくなった事は事実よ?何も無かった事には出来ない」
唯「どうしたら良いんだろ…」
唯「電話が通じないんじゃ、誰かに来て貰う事も出来ないよね」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 16:59:35.56 ID:EWY1ypn40
和「私もそうだけど、みんなも家族や友達には何時帰るのか伝えてあると思う」
和「帰って来なければ心配して探しに来てくれると思うけど…」
律「駄目だな、時間がかかり過ぎる」
和「そうね、この状況で何日も待つ事は出来ないわ」
梓「じゃあ、どうするんですか?」
憂「梓ちゃん、それはさっき…」
梓「あ、ごめんなさい!」
梓「何でも和先輩に聞けば良いってものじゃないですよね…」
和「ううん、良いのよ」
和「それにね、私には1つだけ考えがあるの」
和「夜が明ければ…明るくなれば手はあるわ」
律「どうするんだ?」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:01:46.72 ID:EWY1ypn40
和「町から此処に来るまでの道は殆ど一本道だったでしょ?」
和「道なりに降りて行けば迷う事は無いと思う」
唯「町まで歩いて行くの?」
和「唯、車でも1時間以上かかるのよ」
和「歩いて行ってどの位かかると思う?」
唯「え~と、来た時の車は結構遅かったけど…でも20km位は出てたよね」
唯「歩くスピードは4km位だから、5時間以上…」
唯「え?5時間!?そんなに歩けるのかな…」
梓「雪の上をそんなに速く歩けるとは思えませんけど…」
和「そうね、私達はみんな雪の上を歩く事に慣れてないわ」
和「何時間かかるのか全く分からないんだから、そんなに無謀な事は出来ない」
律「じゃあ、どうするんだ?」
和「スキーで行くのよ」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:03:35.48 ID:EWY1ypn40
唯「え?でも私は上手く滑れないよ?」
澪「私もだ…スキーなんて今日初めてやったんだぞ?無理に決まってる」
和「私にも無理よ、でも」
和「今日みんなが滑ってる所を見てたけど、梓と憂は上手だと思ったわ」
梓「私は何度かやった事がありますから」
憂「私は初めてだったけど、何となく出来ちゃった感じで…」
和「何時もの事だけど、憂には関心するわね…」
梓「もしかして、私と憂の2人で行けって事ですか?」
和「ええ、全員で行けない以上はそうするしかないと思う」
和「どうかしら?」
憂「私は…1人だったら不安だけど」
憂「梓ちゃんも一緒だったら…大丈夫、行きます!」
梓「私も憂が一緒だったら安心出来ます」
和「じゃあ、2人にお願いするわね」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:05:42.15 ID:EWY1ypn40
和「憂と梓には今から寝て貰って、後の4人は交代で仮眠を取りましょ」
梓「寝るって、何処で寝るんですか?」
梓「部屋に1人で寝るのはちょっと嫌なんですけど…」
憂「私も、それはちょっと不安かな…」
和「此処で寝ればって思ったけど…そうね」
和「明日の事を考えたら、ちゃんとベッドで寝た方が良いと思う」
和「だから憂には唯が付いてあげなさい」
和「憂もそれなら安心でしょ?」
憂「お姉ちゃんと一緒だったら…うん、安心出来る」
唯「大丈夫だよ、憂」
唯「憂が寝るまで、お姉ちゃんが付いててあげるからね?」
憂「お姉ちゃん…ありがとう…」
和「決まりね」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:07:30.77 ID:EWY1ypn40
和「梓には…どうしましょうか」
梓「あの…私は澪先輩に付いていて欲しいです!」
澪「私が?」
和「そうね、梓がそうして欲しいなら澪が付いてあげなさい」
律「…」
律「あたしも、それが良いと思うな」
律「梓が1番安心出来る相手が澪だったら…」
律「澪が付いてあげるべきだ」
澪「律…」
澪「分かったよ、じゃあ梓には私が付いてる」
和「さっきは交代でって言ったけど、唯と澪もそのまま寝てしまって良いのよ?」
和「私と律が部屋の前で起きてるから」
律「そうだな、あたし達はずっと起きてるから安心しろ?」
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:08:50.17 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~
唯「憂は明日の為にも早く寝ようね?」
憂「お姉ちゃんも一緒に寝て欲しいな…」
唯「和ちゃんとりっちゃんには悪いけど…うん、そうするね」
…
…
…
唯「憂、眠れない?」
憂「お姉ちゃん…私、怖くて眠れないよ…」
唯「憂…」
唯「じゃあ、ずっと手を握っててあげるから」
唯「どうかな?」
憂「お姉ちゃん…まだ怖い…」
憂「手だけじゃ、お姉ちゃんが傍に居るって分からないよ…」
唯「じゃあ…」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:09:58.85 ID:EWY1ypn40
ギュッ
唯「えへへ~、目の前にお姉ちゃんが居るんだよ~」
唯「これなら大丈夫でしょ?」
憂「お姉ちゃん…まだ怖いよ…」
唯「もぅ~、憂は意外と甘えんぼさんなんだね~」
憂(だって、怖いって言ったら…お姉ちゃんが甘えさせてくれるから…)
唯「じゃあね、憂が寝るまでずっと頭をなでてあげるからね」ナデナデ
唯「ずっとずっと、こうしててあげるからね…」
憂「お姉ちゃん…ありがとう…」
唯「良いんだよ~、憂には何時も一杯お世話になってるからね~」
憂(怖かったのはね、本当なんだ…)
憂(でも今この瞬間だけは…忘れる事が出来るよ…お姉ちゃん…)
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:11:25.44 ID:EWY1ypn40
~梓の部屋~
梓「澪先輩…」
澪「梓、何も言わなくて良い」
澪「今は寝る事だけを考えるんだ」
澪「大丈夫だよ、私も隣で寝てあげるからな?」
梓「はい、あの…嬉しいです」
…
…
…
澪「眠れないか?」
梓「眠れないです…」
澪「そうか、そうだよな…」
澪「このまま寝ちゃっても良いって律と和は言ってくれたけど」
澪「私も怖くて眠れそうにないよ」
梓(それもあるんだけど…そうじゃなくて…ドキドキし過ぎて眠れないんだよ…)
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:13:15.15 ID:EWY1ypn40
澪「…」
澪「なあ、梓」
澪「どうして私なんだ?」
梓「え?何がですか?」
澪「まあ唯と憂に付いて貰うわけにはいかないし…」
澪「和の事はあまり知らないだろうから律か私なんだろうけど」
澪「こういう時は律の方が良い様な気もするんだけどな」
澪「私はその…強がっても仕方が無いから言ってしまうけど…」
澪「怖いのが凄く苦手だからな」
澪「一緒に居ると余計に梓を不安にさせちゃうんじゃないかって」
澪「それが心配なんだけど…」
梓「澪先輩…」グスッ
澪「ど、どうしたんだ!?や、やっぱり私が一緒じゃ不安か!?」
梓「違いますよぉ…澪先輩全然分かってくれない…」
梓「私は澪先輩だから一緒に居て欲しいって思ったのに…」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:14:44.80 ID:EWY1ypn40
澪「梓…」
梓「でもやっぱり、澪先輩は律先輩の事が…」
ギュッ
梓「え!?」
澪「梓、ごめんな」
澪「梓が律の事を気にして遠慮してるんだったら、安心させてやるよ」
澪「律は1番の親友だけど…友達だ」
澪「でも梓は違う、友達でもあるし後輩でもあるけど…それだけじゃない」
澪「私にとって梓は…」
梓「」ドキッ
澪「梓は妹の様な存在だな」
梓「…」
梓「あの、普通はそこに違う台詞が入るんじゃないでしょうか…」
澪「こういう時だから、梓が喜ぶ様な事を言ってあげたいんだけどな…」
澪「でも、嘘を言われたくはないだろ?」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:16:11.01 ID:EWY1ypn40
梓「確かにそうですけど…」
澪「今はまだそういう風にしか考えられない」
澪「でもな、律よりは身近に感じてるって事、言ってあげたかったんだ」
澪「律にはこんな事しないぞ?梓だから、妹みたいだと思ってるからやってるんだ」
澪「それにな梓、隣の部屋には誰が居る?」
梓「隣には憂と…唯先輩…」
澪「妹だって頑張れば、憂ちゃんみたいになれるかもしれないぞ?」
澪「唯が憂ちゃんを想う様に…私も梓の事、特別に感じる様になるかもしれない」
梓「分かりました…私、そうなれる様に頑張ってみます!」
澪「ああ、頑張れ」
澪「こんな事を言うって事は…梓の事、どう思ってるのか分かるだろ?」
梓「はい、全く可能性が無いって事じゃ無いんですよね…」
梓「それが分かっただけでも…嬉しいです…」
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:17:26.91 ID:EWY1ypn40
澪「泣かれてしまった時はどうしようかと思ったけど…」
澪「私も正直な気持ちが言えて良かったよ」
澪「どうだ?そろそろ眠れそうか?」
梓「そうですね…正直に言うとさっきまでは凄くドキドキしてたんですけど…」
梓「今は、安心出来る感じの方が大きいです…」
澪「そうか、それは良かった」
梓「おやすみなさい、澪…お姉ちゃん」
澪「ああ、おやすみ、梓」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:19:00.33 ID:EWY1ypn40
~部屋の前~
律和「…」
律「意外と聞こえるものだな…」
和「そうね、聞いてるこっちの方が恥ずかしくなる位よ」
和「でも、唯はちゃんとお姉ちゃんしてるのね…結構意外だったわ」
律「ああ、やっぱり唯には憂ちゃんに付いてて貰って良かったよ」
律「それに梓は…やっぱり澪の事が好きだったんだな」
和「律はどう思ってるの?澪の事」
律「澪か?澪は…1番の親友だな」
和「親友…ね」
律「まあ和が思ってる様な感情も、正直少しはあるよ」
律「でもな、梓だって軽音部の大事な大事な後輩だ」
律「梓の事だって考えてやりたいって思う」
律「澪がそれで良いって思うなら、梓の為にもこれで良いんだよ」
和「律…」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:19:56.25 ID:EWY1ypn40
…
…
…
律「…ん?朝か?」
律「…」
律「あっ、つい寝ちゃってたよ!」
律「ごめんな和、1人で起きてるのは退屈…」
律「…」
律「…嘘だろ?」
…
…
…
律「駄目だ、何処にも居ない…」
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:21:15.28 ID:EWY1ypn40
~合宿3日目・朝・食堂~
梓「和先輩、何処にも居ませんでしたね…」
律「すまん、あたしがつい寝ちゃったからこんな事に…」
澪「律、自分を責めるのはよせ?」
唯「そうだよ、りっちゃん」
唯「和ちゃんは何処か散歩に行っただけかもしれないよ?」
律「唯…そうだな、和は何処か散歩に行ったんだろう…」
憂(こんな時に1人で外に出て行くなんて考えられないけど…)
憂(今はお姉ちゃんの言ってる事、みんな信じたいよね…)
唯「でも廊下で寝ちゃうなんて…りっちゃんは風邪引かなかった?」
律「ああ、何時の間にか布団を被ってたからな…大丈夫だよ」
律(多分和が…かけてくれたんだろうな…)
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:22:39.07 ID:EWY1ypn40
梓「それで、これからどうしましょう?」
梓「和先輩の言ってた通り、スキーで町を目指した方が良いんでしょうか?」
律(そうだな…今は落ち込んでる場合じゃない)
律「梓が1番の経験者だから聞いておきたいんだけど」
律「少し雪が舞って来てるよな…この位なら滑れるのか?」
梓「大丈夫ですよ、夜なからともかく明るい内ならもっと天候が悪くても滑れます」
律「此処に残ってても状況は変わらないと思うからな…」
律「あたしは和の案を採用してみたいと思う、みんなはどうだ?」
唯「私は何も出来ないから…憂に任せるよ」
憂「梓ちゃんが大丈夫って言ってるんだから…大丈夫です、私は行きます」
澪「私も梓に任せるよ、どうなんだ?大丈夫そうか?」
梓「大丈夫です、任せて下さい!」
梓「距離は少しありますけどずっと下り坂ですから、町まではすぐに行けますよ」
律「そうか…よし、決まりだな」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:24:21.31 ID:EWY1ypn40
~食堂~
唯「憂とあずにゃんはもう町に着いたかな?」
律「まだだろ…30分位しか経ってないぞ?」
澪「こういう時は、時間が経つのが遅く感じるな…」
唯「そうだね…」
律「…」
澪「…」
唯「そう言えば、軽音部の合宿なのに1回も練習してないよね」
唯「りっちゃんは折角自分のドラムセットを持って来たのに」
唯「まだ一度も触ってないんじゃないかな?」
唯「折角此処まで来たんだから、3人でちょっと練習してみよ?」
律「唯…」
律「そうだな、少しは気がまぎれるかもしれないし…やろうか」
澪「ああ、こういう時は何かしていた方が気は楽だからな…やってみよう」
唯「窓から外の様子も見えるから、場所は此処で良いよね」
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:26:04.45 ID:EWY1ypn40
ジャ~ン♪
律「ふぅ…何か本当に久しぶりに演奏した気分だな」
澪「やっぱり…良いよな、時間も忘れてしまうよ」
唯「そうだね、部活で最後に演奏したのは」
唯「確かムギちゃんが合宿をしますって言った時かな?」
澪「ムギ…」
律「だ、大丈夫だよ!ムギは何処かで無事に居るって!」
唯「そうだよ澪ちゃん、大丈夫だよ」
唯「ムギちゃんも和ちゃんも、きっと何処かで無事に居るよ~」
律「ああ、そうだな…」
律(こういう時は、唯の明るさが救いだよ…)
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:27:23.02 ID:EWY1ypn40
律「しかし…流石に遅いな」
律「町まで行けば警察にだってすぐに連絡出来るだろうし」
律「車で迎えに来て貰う事も出来ると思うんだが…」
澪「もう3時だな…2人が出て行ってから6時間位か?」
唯「あれ?」
律「どうした?唯」
唯「あれは…あずにゃんと憂!」
ガチャッ…ダダダダダダダダ…
律「どうした!唯!」
澪「あれは…あれは梓じゃないのか?憂ちゃんを背負ってこっちに歩いて来るぞ!」
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:28:51.00 ID:EWY1ypn40
~建物の外~
梓「唯先輩…良かった、戻って来れたんですね…」
憂「お姉ちゃん…お姉ちゃんだ…」
唯「憂、どうしたの?歩けないの?」
憂「うん…私、ちょっと怪我をしちゃって…」
唯「待ってね憂、代わりに負んぶしてあげるから」
…
唯「あずにゃん、何があったの?どうして憂が怪我をしてるの?」
梓「駄目です…唯先輩…私…もう限界です…」
梓「後の事は…頼みます…」ドサッ
唯「え?あずにゃん!あずにゃん!どうしたの!」
律「唯!落ち着け!」
律「まずは2人を中に運ぶんだ」
澪「そうだ、話を聞くのはそれからでも良い」
唯「う、うん、分かった!」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:30:35.06 ID:EWY1ypn40
~食堂~
律「梓は部屋に寝かせて来たよ」
律「澪が傍に付いてる」
唯「大丈夫かな、あずにゃん…」
律「疲れてるだけだと思うけど、分からないな」
律「あたしも医者じゃないんだから…」
憂「梓ちゃん…私のせいで…」グスッ
唯「憂…」
律「…」
律「憂ちゃん、今は泣いてる場合じゃないんだ」
律「何があったのか話してくれないかな?」
唯「そんな!憂がこんななのに話を聞くなんて可哀想だよ!」
憂「お姉ちゃん、良いんだよ…」グスッ
憂「梓ちゃんの為にも…ちゃんと何があったのか話さないと…」グスッ
律「そうだな、梓の為にも話してくれ」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:32:24.52 ID:EWY1ypn40
憂「最初は…凄く順調でした」
憂「こんな事になっているのも忘れてしまって…」
憂「梓ちゃんと2人で気持ち良く滑り降りて行ったんです」
憂「でも、私はスキーを覚えたばっかりなのに…調子に乗ってしまって…」
憂「梓ちゃんはあんまりスピードを出すと危ないって言ってくれてたのに…」
唯「転んだの?」
憂「ううん、違うの」
憂「急カーブになってる所があって、先が見えなかったんだけど…」
憂「大丈夫だと思ってそのまま滑って行ったの」
憂「そうしたら急に壁になってて…」
律「壁?」
憂「雪崩が起きてたみたいなんです」
憂「ブレーキをかけたんですけど、間に合わなくて」
憂「そこにまともに突っ込んでしまって…」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:34:24.81 ID:EWY1ypn40
憂「気が付いたら、板も外れてしまってて」
憂「両足が痛くて歩けない状態になってたんです」
唯「あずにゃんは大丈夫だったの?」
憂「梓ちゃんもやっぱり止まれなかったんだけど」
憂「私と違って軽くぶつかっただけだから大丈夫だって」
律「それから…どうしたんだ?」
憂「梓ちゃんがどうなってるのか調べてみるって言って」
憂「スキーを外して先の方がどうなってるのかを調べに行ったんですけど」
憂「何処が道なのか分からない位、ずっと先の方まで雪で埋まってたみたいです」
憂「こんな状態でこれ以上先に進むのは危ないから引き返そうって」
憂「でも、私は歩けなかったから…」
律「それで、梓が背負って此処まで帰って来たのか」
憂「まずはみんなに知らせる方が先だって言ったんですけど」
憂「1人で此処に残して行くのは不安だからって…」
唯(あずにゃん…ありがとう…)
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:35:54.04 ID:EWY1ypn40
律「憂ちゃん、辛いだろうけどもう1つ教えてくれ」
律「その雪崩が起きてた場所って此処からどの位離れてる?」
憂「正確な距離は分からないんですけど…多分滑り始めて10分も経ってないです」
律「10分としても…近いな」
律「まあだからこそ帰って来る事も出来たんだけど…」
唯「そうだよ、もしもっと遠く離れてる所だったら今頃は…」
律「いや、むしろその方が良かったかもしれないってな」
唯「え!?」
唯「酷いよりっちゃん!」
唯「そんなに遠い所だったら、2人共帰って来れなかったかもしれないよ!」
律「落ち着け、唯」
律「もし町の近くまで降りて行けたんだったら」
律「少し無謀かもしれないけど」
律「そこからはスキーを外して町まで行けるんじゃないかって思ったんだよ」
律「でも、今の話を聞いた限りではそれも無理ぽっいな」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:37:11.54 ID:EWY1ypn40
唯「あ、そういう事か…」
唯「ごめんなさい、りっちゃん」
律「良いって、あたしも説明不足だったからな」
律「それより、憂ちゃんを部屋で休ませてあげよう」
唯「憂、何時の間にか寝ちゃってたんだね…」
律「唯が付き添ってやれよ」
唯「でも、りっちゃんが1人に…」
律「大丈夫だって」
律「何かあったら『きゃ~!』って叫ぶから」
唯「…」プッ
唯「うん、楽しみにしてるね」
律「ああ、期待してろ」
律「部屋までは一緒に運んでやるからな」
唯「ううん、私が負ぶっていくよ」
律「そうか…じゃあ、頼むな」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:38:40.24 ID:EWY1ypn40
律「雪崩か…それで電話線も切れてしまったとか?」
律「可能性としてはあり得るけど…でも、あまりにも偶然過ぎる」
律「みんなの携帯は無くなるし、ムギと和は未だに見付からない」
律「やっぱり、何か異常な事が起こってるのは間違い無いんだろうな…」
律「何だ?何が起こってるんだ?」
律「こんな時に、和が居てくれたらな…」
律「和…」
律「いや、駄目だ駄目だ」
律「和も少し怒ってたよな、私も普通の女子高生なんだからって」
律「頼ってるだけじゃ駄目だ、あたしは軽音部の部長なんだからしっかりしないと」
律「みんなをこれ以上不安にさせちゃいけない」
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:40:08.02 ID:EWY1ypn40
ガチャッ
律「澪…梓の所に居なくて良いのか?」
澪「ああ、ずっと付いててあげたい所なんだが」
澪「色々と考えなきゃいけないと思うから、状況だけでも聞いておきたくてな」
律「そうか、じゃあ手短に話すよ」
…
澪「なるほど、それは困った状況になったな」
律「澪はどう思う?」
澪「雪崩が偶然かどうかは分からないけど、何かが起こってるのは間違い無いな」
律「ああ、あたしもそう思うんだけど…澪は怖くないのか?」
律「何時もだったら途中で聞くのを止めてしまいそうな話だろ」
澪「正直少しは怖いさ…でも、何て言ったら良いんだろうな」
澪「昨日から守らなきゃいけない存在が出来たと言うか…」
澪「そういう感情が先に来てしまってるな」
澪「今の話を聞いてしまうと尚更だ」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:41:59.85 ID:EWY1ypn40
律「ほうほう、それはまた…」ウシシ
澪「律、冗談を言ってる場合じゃないぞ」
律「分かってるよ」
律「とりあえず、みんなでまたもう1度話し合うべきだろうな」
澪「私は梓の部屋に戻るけど、律はどうする?一緒に来るか?」
律「いや、止めておくよ」
澪「じゃあ、せめて廊下に…」
律「廊下に居るとな、それはそれは恥ずかしい会話内容が聞こえてくるんだよ」
澪「それは…すまん」
律「唯にも言ったけど、何かあったらすぐに知らせるよ」
律「大丈夫、この状況だったらあたしも油断はしない」
澪「分かった、梓が目を覚ましたら下に降りて来るからな」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:44:01.25 ID:EWY1ypn40
~夜・梓の部屋~
澪(梓…良く此処まで無事に戻って来てくれたよ…)
澪(憂ちゃんも無事で良かった、唯も凄く喜んでるだろうな…)
澪(状況が良くなった訳じゃない、むしろ悪化している様に思えるけど…)
澪(でも、怖がってる場合じゃないな…私が梓を守ってやらないと)
梓「…ん」
梓「此処は…」
澪「気が付いたか?」
梓「澪…先輩…」
梓「私…今何処に居るんですか…」
澪「今は梓が泊まってる部屋に居るよ」
梓「そっか…帰って来れたんですね…良かった…」
澪「ああ、憂ちゃんも無事だぞ?良く頑張ったな」
梓「えへへ…だって、澪先輩が…」
梓「澪先輩が待っていてくれるって思ったら…頑張れちゃいますよ…」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:45:20.68 ID:EWY1ypn40
澪「梓…」
梓「こんなに頑張ったんだから…何かご褒美…欲しいです」
澪「ご褒美か、どんな事をして欲しいんだ?」
梓「えっと、その…ずっと頭をなでて貰えるとか…」
澪「駄目だな」
澪「こんなに私を心配させておいて、ご褒美なんてあげられないぞ」
梓「そんな…」
澪「だから、罰としてお仕置きだ」
澪「今から酷い事をするからな?怖かったら目を瞑ってろ」
梓「わ、分かりました…」
チュッ
梓「…」
澪「どうした?お仕置きされたのに嬉しそうだな?」
梓「そんなの…そんなの嬉しいに決まってるじゃないですか///」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:46:33.19 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋~
唯「目が覚めた?憂」
憂「うん…私、何時の間にか寝ちゃってたんだね…外が真っ暗」
唯「足は?足は大丈夫?」
憂「凄く痛いけど…でも、大丈夫だよ」
憂「歩けない事は無いと思うから、梓ちゃんに謝って来ないと…」
唯「だ、駄目だよ!どんな怪我なのか分からないのに無理しちゃ駄目!」
唯「それにね、今あずにゃんには澪ちゃんが付いてるから」
憂「そっか…そうだよね」
唯「うん、邪魔したら悪いよ」
憂「こんな時にこんな事を思っちゃいけないんだけど」
憂「私も、お姉ちゃんと一緒に居るのが1番安心出来るな…」
唯「憂…」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:47:39.06 ID:EWY1ypn40
バチンッ
唯憂「!」
唯「て、停電?」
憂「お姉ちゃん!何処?何処に居るの?」
唯「憂!私は此処だよ!」ギュッ
憂「お姉ちゃん…」
唯「憂…」
憂「ごめんねお姉ちゃん、すぐに抱き付きに行きたかったけど」
憂「足が、足が痛くて動けないんだよ…」
唯「憂、大丈夫、大丈夫だよ」
唯「お姉ちゃんがずっとこうしてあげるからね」
唯(ど、どうしよう…澪ちゃんとあずにゃんは一緒に居るから大丈夫だと思うけど)
唯(りっちゃんの事が心配だよ…でも、憂は置いて行けないし…)
唯(こんなに真っ暗な状態で憂を負ぶって歩いたら…)
唯(もし転んじゃったら…憂の怪我がもっと酷い事になっちゃうかもしれない)
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:49:01.14 ID:EWY1ypn40
唯(ど、どうしよう…どうすれば良いの?)
憂「お姉ちゃん、ごめんね」
憂「私はもう落ち着いたから、みんなの様子を見て来て?」
唯「駄目だよ!憂を1人にする事なんて出来ないよ!」
憂「でも、梓ちゃんと澪さんが一緒に居るって事は」
憂「律さんは今1人なんでしょ?心配だよ…」
唯「そうなんだけど…でも…」
唯(考えれば考える程、どうして良いのか分からなくなっていくよ…)
ガチャッ
唯「!」
憂「ま、眩しい!」
澪「2人共無事か?」
唯「澪ちゃん!」
澪「無事みたいだな…」
梓「よ、良かった…」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:50:36.01 ID:EWY1ypn40
憂「梓ちゃん!」
憂「ごめんね、梓ちゃん…私…」
梓「良いんだよ、気にしなくて」
梓「私が先に滑ってたら、多分憂と同じ事になってたと思う」
梓「もしそうなってたら、憂は私と同じ事をしてくれたかな?」
憂「もちろんだよ!」
梓「そう言ってくれたら十分だよ」
梓「それにね、憂のおかげでご褒美…じゃなかった」
梓「お仕置きして貰えたから///」
澪「あ、梓!こんな時に何を言ってるんだよ///」
唯「お、何か興味のあるお話ですな~」ムフフ
憂「お姉ちゃん、今はそんな事を言ってる場合じゃないよ!」
唯「はっ!そうだよ!りっちゃんが!」
澪「律はまだ下の食堂に居るのか?」
唯「多分そうだと思う…」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:51:39.73 ID:EWY1ypn40
唯「こんな事になるなら一緒に居れば、せめて隣の部屋に居てもらえば…」
澪「唯、今は後悔しても仕方が無い」
澪「憂ちゃんの怪我はどうだ?歩けそうか?」
憂「大丈夫です!私、歩けます!」
唯「駄目だよ憂、こういう時は正直に言わないと」
澪「そうだな、嘘を言われてその為に間違った判断をしてしまったら…」
澪「後悔するのは自分だぞ?憂ちゃん」
憂「ごめんなさい…私、全く歩けません」
澪「そうか、じゃあ唯は此処に居た方が良いな」
澪「梓、今私が照らしてる懐中電灯を取ってくれ」
梓「はい、取りました」
唯「懐中電灯?そっか、確か部屋の隅にあったよね…忘れてたよ」
澪「私達も暫く気が付かなくてな、ちょっとパニックになってたよ」
澪「とりあえず、これを持っておけば少しは安心出来るだろ」
澪「律の様子は私と梓で見に行くから、唯と憂ちゃんは此処に残っててくれ」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 17:52:49.99 ID:EWY1ypn40
~憂の部屋→食堂~
梓「澪先輩、律先輩は無事ですよね?」
澪「ああ、律の事だから1人でもパニックになる事は無いだろ」
澪「それに、確かあの部屋にも非常用の懐中電灯があったはずだ」
梓「そうですね、確かにありましたね」
梓「…」
梓「でも…だったら…どうして…」
梓「律先輩は2階に上がって来なかったんでしょう…」
澪「…」
澪「梓、どうして立ち止まるんだ?」
梓「だって…」
澪「私だって怖いさ、でもこのまま2階に引き返してどうなる?」
澪「ほら、ずっと手を握っててやるから…行こう」
梓「離したら…嫌ですよ?」
澪「分かってるよ」
紬「合宿をしま~す!」-2
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