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キョン「俺が守るから」-3

キョン「俺が守るから」-2
続きです

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 00:08:14.92 ID:WL6GouD30 [5/10]
キョン「ここは....?」

見たところ病院のベッドのようだ。

キョン「あの時神裂が俺を殴って...、そのまま眠らされてたってわけか...」

キョン「そうだ、ハルヒが.....!!」

起き上がろうとする俺を、隣にいた人物が止めに入る...

長門「無理は禁物...彼女は自分に任せろと言っていた.....」

キョン「任せ、られっかよ...!」

キョン「この世界を引っ掻きまわしたのはハルヒだ...! アイツは俺達の仲間だ...!!」

長門「やはり、虚数学区と呼ばれる場所に向かうつもりなの?」

キョン「当り前だ...!」

長門「わたしもあなたと同じ考え...、同行させて」

キョン「あぁ、お前が来てくれるなら頼もしい」

長門「では、まず虚数学区への侵入方法を探る必要がある...、そこへはおそらく特殊な手段を用いなければ入る事ができない」

キョン「土御門とかいう男は、赤い札を転送に使っていた...だが、俺達はどうすればそこへ行ける...!?」

長門「わたしがこれから調査に入る...、あなたはせめて一日ここで休んでいて欲しい...」

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 00:09:55.23 ID:WL6GouD30 [6/10]
キョン「ハルヒがどんな目にあってるかわかんねーのに..俺だけ、こんなとこで寝てられっかよ...!」

長門「涼宮ハルヒは彼女がなんとかすると言っていた、それを信じるべき...」

キョン「土御門ってヤツも、悪いようにはしないとは言ってくれてはいたが...、信用できねぇ...!」

長門「土御門という人物についてはわたしは知らないけれど、おそらく神裂と名乗る彼女と同じ考え...信じるべき...」

長門「それに、今のあなたは動くのがやっと、一日だけでも体を休めて...」

キョン「しかしだな...!」

長門「お願い」

キョン「......」

長門「明日までに、できる限りの情報を集めてみる。 だから....!」

キョン「.....分かった」

長門「.......」

長門「...では、わたしは行くから...」 スタスタ...

キョン「あぁ...」


 ガチャ...

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 00:11:54.93 ID:WL6GouD30 [7/10]
長門「 !! 」

ドアを開けたところで、長門が突然立ち止まる...

キョン「どうしたんだ?」


美琴「あ.....」


キョン「御坂...!?」

美琴「どういう事なの.....?」

キョン「お前...まさか?」

美琴「盗み聞きするつもりじゃ、なかったけど...聞いちゃった....」

美琴「あんたが目を覚ましたあたりから...全部」


遅かれ早かれ、話すときが来るんだ...

できる事なら、自分から話をしたかったが...もう、それは手遅れ...


ありのまま全てを話そう.....

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 00:13:41.35 ID:WL6GouD30 [8/10]
立ち止まったままの長門を行かせ、御坂を病室に招き入れた

動揺を隠せない様子の御坂の肩に手を置いて、一つ呼吸を置く...


キョン「今まで騙していた事を先に謝らせてくれ...。 すまなかった」


ただこちらを無言のまま、御坂はじっと見つめている


俺はそのまま話を続けた


自分がこの世界の人間ではないこと。
世界に改変が起き俺と長門、それ以外の全ての人間に記憶の改竄が行われたこと。

今まで多くの嘘を重ねていことも

もちろん。


記憶喪失なんて嘘で、元から御坂の記憶なんて無かったことも含めて。



ありのままの真実を話した.....


242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 00:14:43.75 ID:WL6GouD30 [9/10]
話し終わっても、御坂は無言でうつむいたまま。
どんな表情を浮かべているかは確認できない...

こいつは今。 どんな事を思っているんだろうか。
おそらく、こんなバカげた位にでかいレベルの話をいきなりされても信じる事なんてできないだろう。
だから、黙ったまま下を向いてるのだろうか...。

それとも。

俺が今まで嘘をついていた事に対して、怒っているんだろうか.....。


沈黙が支配する空間で.....俺が口を開こうとするが、

その前に、御坂が微妙な表情のまま顔を上げる.....


美琴「.....バカ」


そう言った後に、顔はこちらに向けたまま御坂は再び視線を落とした。

その様々な意味が込められた気がしてならない、その二文字のセリフの真意を。
俺は精一杯、考え、汲み取ろうとする。

そんな折。

突然御坂が椅子から立ち上がる...。
そしてこう言った。

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 00:15:31.24 ID:WL6GouD30 [10/10]
美琴「要は、その涼宮さんって人を助け出して、アンタが元の世界に帰れるようにすればいいんでしょ!?」


違和感満載の笑顔で、そう言った。


―――私に任せて


そう告げた後、御坂は病室の出口へと足を進める。


キョン「御坂.....」


一瞬。

その言葉に御坂の足が止まるが、また無言のまま歩き出し...

『バタン』 と.....ドアが冷たい音を立てた。


265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:09:41.50 ID:cD/3Ge2t0 [2/46]
美琴「いつからだろう.....」 スタスタ


わたしがアイツの事を変に意識するようになったのは...

ずっと前からアイツとはずっと一緒にい記憶があるけど、今まで何も思わなかった...

別にアイツが他の女のコと仲良くしてても、なんともなかった。

わたしは自分の気持ちを辿ってみる。


わたしは気付く。


美琴「あの日からだ.....」


あいつがこの世界に来たって言った日から。

わたしはアイツに惹かれ始めた...。


もしこの気持ちが「改変」による物で.....偽られた感情ならば。

簡単に切り替えができたと思う。

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:13:01.09 ID:cD/3Ge2t0 [3/46]
美琴「.....でも」


これはアイツに生まれた、純粋な気持ち。


元の世界に戻ると、離れ離れになると考えただけで、胸が引き裂かれるみたいだ...。


でも仕方ない。

戻る事をアイツは望んでいる、アイツは願っている...。


しっかりしなさい美琴。


アイツのために、なんとしてでも彼女を取り戻し。
元の世界へ戻れるようにしてやるの.....


自分の我儘な感情なんて押し殺して.....

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:15:59.57 ID:cD/3Ge2t0 [4/46]
土御門「戻ったぜ、アレイスター」 ドサッ...


アレイスター「これが例の彼女か...」

土御門「そうだ。 目が覚めて暴れられても敵わんから、術式をかけ眠らせてある...」

アレイスター「土御門、御苦労だったな...」

土御門「アレイスター話しがある...、お前は本当にこの女を殺す気なのか?」

アレイスター「まさか...そんな馬鹿げた事をする気はない...」

土御門「話が違うぞ...! まさか無事に帰す...そんな気でもないだろう?」

アレイスター「勿論...。 私は彼女にこの世界の発展の礎になってもらうつもりだ...」

土御門「どういう意味だ?」

アレイスター「これ程の能力を持った人間はおそらく金輪際現れんだろう...」

アレイスター「私の手で保管し、あらゆる実験の元に能力を抽出する」

アレイスター「手に入りさえすれば、より良い世界が築ける...、無益な争いなど存在しない、統治された恒久の平和な世界が」

土御門「........ (思惑は最初からそれだったみてーだな) 」

土御門「アレイスター、そんな事は俺が許さんぞ、話しが違うだろう...!」

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:24:19.09 ID:cD/3Ge2t0 [5/46]
268 多分出ません

アレイスター「私に歯向かうというのか...いくらキミでも遠慮なく消すぞ? 訂正する事をお勧めしよう...!」

土御門「脅してるつもりか...!? だが生憎、俺は馬鹿でなぁ...信念ってモンは曲げられねぇのよ...!」

土御門「この女にはいい仲間がいる、世界に災厄なんぞもたらす存在になどならん...、だから眠らせたまま元の世界に帰してやれ...!!」

アレイスター「仮にそうだとしよう...、だが私は今、彼女のチカラを欲している...」

アレイスター「 『絶対願望』 まさに神と同等、いや、神と呼んでも差し支えあるまい」

アレイスター「それ程のチカラが手に入る機会なんぞ、この機を逃せば他にない...」

アレイスター「土御門、よく考えろ」

アレイスター「存在する事が分かった別世界とこの世界を守り、そして同時に、恒久の平和をもたらすチカラが手に入るのだ」

アレイスター「一人の少女の命が失われる事など、極めて小さな犠牲だと思わないか?」

土御門「......ハッ」


土御門「笑わせるな.....俺は信念は曲げんと言っただろう?」

土御門「そんな大言壮語を吐いたってなぁ、結局は人のチカラを奪い、それを利用するって事だろうが...」

土御門「貴様の私利私欲の為に、悪意のない一人の女を犠牲にするなんざ俺は見過ごせねぇな」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:29:21.48 ID:cD/3Ge2t0 [6/46]
アレイスター「そうか...、ではキミは死を望んでいる」

アレイスター「そう解釈していいか?」


土御門「なんの策も持たずに、俺がこの交渉の席に立っているとでも思ったか?」


アレイスター「喰えん男だな、キミは.....! 策とはなんだ、言ってみろ?」


土御門「単純な事だ...俺をこの場で殺せば、この女も死ぬぞ」


アレイスター「    」  スッ...


土御門「――やめておけ」


土御門「お前が俺に何らかの魔術を使用した時点で、俺のかけた術は発動する...」

アレイスター「ッ....!!」

土御門「今回は俺の言う通りに動いてもらうぞ、アレイスター」

アレイスター「.....少し頭にきたよ、こんな感情はいつ以来だ...」

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:35:52.99 ID:cD/3Ge2t0 [7/46]
土御門「そんなに俺に出し抜かれた事がイラついたか...?」

アレイスター「勘違いするな。 私はここまで自分が過小評価されているという事が頭にきたと言っているのだよ...」

土御門「どういう意味だ!?」


アレイスター「キミに使用できる魔術の逆算など.....私には容易い」


土御門「貴様.....!!!」


アレイスター「言っておくが、彼女にかけていた術式は既に解いてある.....逃げた方がいいんじゃないのか?」

土御門「なんだと...!!?」

アレイスター「今、キミとの日々を思い出し、感傷に浸っている所だが...やはり私は裏切られたという事実に落胆している...肉塊すら残らん程の天罰を与えてしまいそうな程にな.....」

アレイスター「さぁ、不様に逃げ惑え.....醜態をさらした所を、跡形もなく滅してやろう...」


土御門「笑わせるな...、俺が貴様から逃げきれるワケがないだろう...それにな...どうせ、殺されるなら.....」

土御門「不様に逃げ回るんじゃなく...不様に足掻いて死にたいもんだ...!」

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:38:25.13 ID:cD/3Ge2t0 [8/46]
「貴方だけ逝くなんて、許しませんよ土御門...!!!」



土御門「!? ねーちん!」

神裂「土御門の言う少年の意志を届けにきました...!」

アレイスター「神裂火織...!」

神裂「あの少年に全てを委ねなさいアレイスター、人の屍の先にある平和など反吐がでます...!」

神裂「あなたは先程こう言いましたね...、統治された恒久の平和の世界を築くと...」

神裂「それは、能力により支配弾圧された世界とどう違うのか...答えなさい、アレイスター」


アレイスター「変わらんよ、どちらも...万物の頂点に立つ私にとってはね...」


神裂「万物の頂点だと? ふざけるのも大概にしなさい...!」


土御門「やめろねーちん! 相手が悪すぎる、剣を引け!」

神裂「あら? 貴方がしようとしていた事とどう違うんでしょうか...!?」


アレイスター「世界でも十人といない、『聖人』、神裂火織...!」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:44:33.00 ID:cD/3Ge2t0 [9/46]
アレイスター「だが所詮はまがい物の天使のチカラ...、神に等しき私に敵うはずがなかろう.....」


神裂「 (禍々しいオーラ...、皮膚が焼けるよう...!) 」

神裂「土御門...! 彼女を連れてここから逃げて下さい...!」

土御門「ねーちん、お前まさか....死ぬ気じゃねーだろな?」

神裂「あの少年は私に向かってこう言いました... 『死ぬ気はないが、死んでも守る』 と...」


神裂「私も思い描く平和を死ぬ気で守ります!!!」


土御門「いいか? 命を懸けるのは構わんが、絶対に死ぬな!! 約束しろ!!!」

神裂「えぇ.....。 まだ天草式の皆にまだ伝えたい事が山ほどあります...こんな所で私は死ぬ気はありません...!!」

土御門「...分かった、あの女は任せろ...!」

土御門「それとだ...、お前も、俺がコイツを連れて出たら、すぐにここを出ろ!! いいな!!?」

神裂「えぇ.....、分かりました」


アレイスター「そうキミ達の考え通りに上手く事が進むと思うか?」 ゴォッ...!!

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 15:47:13.48 ID:cD/3Ge2t0 [10/46]
土御門「ねーちん!!」

神裂「ここはもう危険です、早く行きなさい!!」 ザンッ...!!

アレイスター「 ほう...。 アレを両断するとは...」 

土御門「 くそっ...!  」 ダッ...!!

土御門「 (死んだら許さねぇからな...!!!) 」


「あら? 涼宮さんを抱えてどこへ行くのかしら?」


土御門「朝倉涼子!!」

朝倉「あなたまで裏切るつもりじゃないわよね?」

土御門「くらえ!!」

朝倉「遅い...!」 ガッ!

土御門「ッ――!?」 

朝倉「ひょっとして私が片腕だから、勝てるとでも思ったの? ん?」

土御門「 (俺には肉体再生がある...! なんとしてでもここから、この女を...!! 異世界のアイツと約束しちまったんだ) 」

土御門「 (そしてソイツを信じ、ねーちんは己を懸けた.....ここでへタれりゃ男が廃るぜ.....!!!) 」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:00:05.13 ID:cD/3Ge2t0 [11/46]
美琴「ここまで情報がないなんて...!」

美琴「黒子に聞いても、虚数学区は都市伝説の噂だって事しか知らなかったし」

美琴「学園都市の中枢施設と呼ばれるココなら、何か情報があると思って来てはみたけど...」 スタスタ


美琴「あなた、何か知ってる事はない?」


管理者「わ、私は虚数学区など何もしらん...」

美琴「ふ~~、外れか...」

美琴「大暴れしちゃったから、ひとまず逃げないとなぁ...」


278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:01:35.86 ID:cD/3Ge2t0 [12/46]
被害者の女性「今日はご一緒できて、本当に楽しかったですっ!!」///

古泉「僕も楽しませてもらいました。 では、また...」

被害者の女性「はいっ!!」


古泉「.....」


古泉「久しぶりの休息...思い返せば三年前からずっと、今まで...彼女の精神状態に振り回されて、自分の時間を楽しむ余裕なんてなかった...」

古泉「普通の世界ではありませんが、自由気ままな学生生活が満喫できて最高でした...」

古泉「ですが。 休息はずっと続かないから休息と言うんでしょうね...」


古泉「楽しかった異世界旅行も、そろそろ帰り支度をする時が来たようだ...、さてと...」


古泉「行きますか」


279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:09:30.67 ID:cD/3Ge2t0 [13/46]
長門「申し訳ない...有益な情報を得る事ができなかった...」

キョン「そんな申し訳なさそうな顔をするなよ長門」

長門「だけど.....」

キョン「よっこいしょっと...!」 バサッ...

長門「ケガ...もういいの?」

キョン「一日寝りゃあ完全回復だ、心配ねぇ.....」

キョン「とっとと虚数学区って場所を捜し出して、ハルヒを助けに行くぞ!」


心配そうな眼差しを向ける長門を横目で見ながら、俺はベッドから降り三回とび跳ねる。

全身に痛みが走るが、長門から送られる心配を払拭するために、無駄に元気だとアピールしてみる。


キョン「なにぼさっとしてんだ長門...行くぞ?」

長門「.....そう」

キョン「もうすぐ医師の回診の時間なんだ、まだ入院してろなんて言われちゃ堪らんからな」


しかし。 病室から逃げるように立ち去ろうとする、その時、ゆっくりと病室のドアが開いた...!

そこに現れた人物は昨日ハルヒを連れ去った張本人.....たしか名は土御門.....!

280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:12:24.74 ID:cD/3Ge2t0 [14/46]
キョン「.....お前っ!!」

土御門「...........すまん」

土御門「彼女は奪われ、共に戦ってくれた仲間も置いて、不様に自分だけ逃げてきた.....悪いようにはしないとお前と約束したが、結果.....このザマだ」

土御門「......すまなかった。 この通りだ.....許してくれ」


ハルヒを連れ去ったコイツの顔を見た瞬間、正直俺は殴り倒そうと思った.....顔面を執拗に、命尽きるまで...!
だけど、できなかった.....。

いつ倒れてもおかしくない程の大怪我を負い、頭を下げるコイツを見ると...
例えハルヒをさらった仇でも.....できなかった。


キョン「なぜ俺の所へ来た? まさか、謝罪の為じゃあないよな?」

土御門「謝罪、勿論それもあるが。 本題へ...入らせてもらってもいいか?」

キョン「...! あぁ...」


土御門は言った...。

アレイスターとかいうヤツがハルヒのチカラを使い、俺達の異世界とこの世界に対し、支配同然の統治を敷こうとしていると...。

それを止めようとした、土御門、神裂の二人が反論を投げかけ結果、戦闘となり現在、神裂の安否は不明だと...。

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:21:45.01 ID:cD/3Ge2t0 [15/46]
事の経緯を話し終えた土御門は最後にこう告げた...。

世界を守る為に...神裂と涼宮ハルヒを助ける為に.....お前達の力を貸してくれ、と.....。

黙ったままの俺達に、土御門は再び確認の言葉を投げかけようとするが、俺はそれを遮り.....無論、こう返答した.....


――行くぞ、土御門


土御門は言った、ありがとうと。
礼なんていらん、何も言われなくったって、どっち道同じ事をするんだから。

キョン「虚数学区...そこへ行く方法をお前は知ってるよな?」

土御門「あぁ.....、俺がお前達を連れていく...!」

キョン「よし...! ハルヒと神裂が危ない...土御門、急ごう...!」

土御門「おぉ、わかった。 しかし、俺にはもう戦えるだけの力は残っちゃいない...虚数学区への道を開く事しかできそうにない...」

キョン「構わん、それで十分すぎる位だ。 俺よりボロボロのお前に戦ってくれなんて言わねーよ」

土御門「すまんな...。 ところで、一つ聞いてみるが...」

土御門「お前は俺を信用するのか? これが罠ならどうする気だ?」


キョン「今さら何言ってやがる、お前に対して疑心なんてもうねーよ...俺はもうお前を仲間だって、そう思ってる.....」

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:32:33.35 ID:cD/3Ge2t0 [16/46]
歯を見せながら土御門は笑う、俺もそれに笑って返答した。

ドアを開け、階段を降りる途中。 ふとアイツの事が頭をよぎった
別れ際にもう一度、話しておきたかったな
そんな事を考えながら、受付を通り抜け
病院の出口の扉を開ける

扉が閉まり、ふと意味もなく空を見上げる
ただよう雲を見ながら、最後にあいつの声が聞きたい、もう一度あいつの顔が見たい...そんな思い

願いが通じたのか...。

アイツの声が聞こえた

美琴「アンタ、わたしを置いてどこへ行くつもりなの?」

キョン「御坂...」

美琴「虚数学区への侵入方法を見つけた、そして今から乗り込む...これで間違いないわね?」

キョン「...あぁ、その通りだ」

美琴「わたしも行く」

キョン「ダメだ。 生きて帰れるかすら分からん所へオマエを連れていけるか」

美琴「わたしは何て言われようとついて行く...これ以上ボロボロになったアンタなんて見たくない! だからわたしも行かせて...」


美琴「アンタはわたしが守るから...!!」

286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:43:05.77 ID:cD/3Ge2t0 [17/46]
キョン「御坂...」


美琴「それに、元の世界に帰るかもしれないんでしょ? これでもう、逢う事もないかもしれないんでしょ!?」

美琴「別れの挨拶位はさせてよ...、何も言わず、はいサヨナラなんて.....しないでよ.....」

美琴「お願いだから....一緒に連れてってよ.....」


美琴「 (わたしをこの世界に一人で置いていかないで...、一緒に連れていってなんて.....) 」

美琴「 (そんな事まで望まないから.....) 」


美琴「 (我慢するから.....!) 」


美琴「だからっ...!!!」 グスッ..


キョン「頼りにしてるぞ、御坂」 ガシガシ.....


美琴「ガシガシしないでよ.....セットが乱れるじゃない.....」

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:53:00.55 ID:cD/3Ge2t0 [18/46]
うつむきながら、なぜか少し大きな瞳に涙を浮かべ...

俺をじっとみつめる御坂を見ていると.....

人生で初めて、女に対してこう思った.....


御坂に対してこう思った.....。


抱きしめたいって。


.....そう思った。



だけどさっきまで、少し御坂に逢いたくないとも考えてた.....

別れが辛くなる...そんな気がした。


「無理矢理にでも連れて帰ろう」.....


そんな衝動に駆られる気がしたから。

288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:57:04.60 ID:cD/3Ge2t0 [19/46]
土御門「おいおい、気持ちは分かるが、これからって時にいちゃつかんでくれるか?」

キョン「あっ! あぁ! すまんすまん!」

美琴「 (え?.....いちゃついてたって言われたのを....認めた?) 」


キョン「さぁ...、最後の大仕事だ...」


キョン「行くぞ!!!」


土御門「 (ったく...さっきまでラブシーンでもおっぱじめんのかって雰囲気だったヤツが、そんな事言っても締まらんぜ...) 」




アレイスター「神裂火織はまだ生きているのか?」

朝倉「えぇ...さっきちょっとやられた腹いせに切り刻んじゃったけど、まだ息はあるわ」

アレイスター「あれだけ私の攻撃を喰らいながらまだ息があるか.....流石は聖人、しぶといな」

朝倉「そんな事より、涼宮さんの能力抽出の実験の進捗はどうなの?」

アレイスター「今はまだ三割といった所だが、完遂する目途はついてある.....確実に、成功はするだろう」

朝倉「そう.....それは良かったわ」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 16:57:53.18 ID:cD/3Ge2t0 [20/46]
アレイスター「しかし、復讐とやらはもういいのか?」

朝倉「涼宮さんに対しては、これだけ酷い実験の犠牲になってるんだし、もう満足したわ」

朝倉「彼等に対しての復讐はまだだけどね...!」

アレイスター「噂をすれば...」

朝倉「侵入者...! おそらく彼等ね...、おかげで探す手間が省けたわ...!」

朝倉「じゃ、私は復讐を終わらせてくるわ...」


朝倉「 ( ここまでは計画通り...!) 」


朝倉「 ( 後は彼等を殺し、能力抽出が終わった段階で、それを奪う! ) 」

朝倉「 ( 完璧ね...、これで私も表舞台に立てる... ) 」

朝倉「 (長門さんのバックアップではなく、情報統合思念体のインターフェイスとしてでもなく... ) 」


朝倉「 (新世界の神として...!!!) 」


290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:00:53.61 ID:cD/3Ge2t0 [21/46]
土御門「この先がそうだ...そこで全てが決する」

キョン「そこにハルヒと神裂がいるんだな...」

土御門「あぁ」


空間がひどく歪み、存在する事が嘘の様な一本道を俺達は進む。

一歩一歩、確かに。

決意を固めながら.....


俺としては気を張らしてはいたつもりだが...

突如、何の前触れもなく。

長門と御坂が臨戦の態勢をとる!


長門がハードカバーを開き、一文をなで、すぐにそのページに折り目をつける。

素早い所作のもと、数ページ捲り、再び文をなでる。

また折り目をつけたページをめくり、そこの別の文章をか細い指で逆からなでる!


一瞬で俺達の前に巨大な氷の盾を作り上げる!

291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:08:18.40 ID:cD/3Ge2t0 [22/46]
二秒遅れて、脅威とも呼べる暴風が吹き荒れ、あたりを斬り刻む!!


それに対して、完全な防御効力を発揮したソレにより、俺達は難を逃れる。

暴風の脅威が終わり、遠くから、カツカツと何者かが歩いてくる...!


「情報連結が無くとも、流石は長門さん.....一筋縄ではいかないか」


声の主が姿を現し...長門が一歩前へ出る...


長門「朝倉涼子...!」


朝倉「久しぶりに長門さんに逢えて嬉しいわ....、でも....」

朝倉「さっきので死んでて欲しかったな...」


長門「今は時間が惜しい、あなた達は先に行って欲しい...」

長門「彼女はわたしが殲滅する...!」


静かに、力強く。 長門は告げた。



292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:17:43.36 ID:cD/3Ge2t0 [23/46]
この場を預け、俺達は通路脇を走り抜ける...
だが、朝倉が許すはずもなく風刃を放つ!

長門が瞬時に防壁を構築する!

キョン「長門! 頼んだぞ!」

長門「振り返ららないで...ただ前だけを見て駆け抜けて...!」


朝倉「長門さん? この先には彼がいる...! 着いた先には想像なんて凌駕する程の絶望が待っているだけよ?」

朝倉「勝算なんてない...ただあなた達はここで無駄死にするだけなの」

長門「わたしが断言する、彼は負けない...!」

長門「どんな絶望もうち砕いてくれるはず...!!」


長い通路を全力で駆け抜けた俺達は、その突き当りにある重い扉に手をかける...


ここで全てが決する...

俺達の生死も...

世界の行く末も...


最期の扉を開く.....!

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:26:15.72 ID:cD/3Ge2t0 [24/46]
アレイスター「.........ようこそ、異世界の侵略者よ」


キョン「.....アレイスタ―、お前がやろうとしている事は土御門から聞いた」

キョン「ハルヒを利用して世界をテメ―の都合いいように統治しようなんざ、全くイカレて狂った脳味噌してやがる」

キョン「いいか? 黙って答えろ」

キョン「ハルヒと神裂は無事なんだろうな...!?」

アレイスター「ハルヒ...? あぁ、あの女の事か...。 神裂も同じく生かしてある、安心しろ」

アレイスター「ただ...神裂の方は派手に暴れてくれたから、少し仕置きをしてはあるがな...」

アレイスター「奥を見てみるといい.....二人ともそこへ安置してある」


アレイスターが目線をやる方向へ俺達は向かう...

そこには、全身に明らかな重症を負わされ血塗れの神裂と...

衣服を全て脱がされ、変わりに、全身に大小様々な器具を着けられたハルヒがいた.....



――頭の血管が全て切れた様な音が響く

296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:34:39.62 ID:cD/3Ge2t0 [25/46]
キョン「俺はな、世界を守るだなんて大義名分を掲げる気はない...ただハルヒと神裂を奪還できればそれで良い...しかし、お前はもう二人を傷つけちまった...!」


キョン「 覚悟しろ....!!! 」


アレイスター「いきなり喧嘩腰か...血の気が多い侵略者だ...私の築こうとする世界に賛同してもらおうと思っていた所だったが...予定変更としよう」


アレイスター「少しばかり派手にもてなすとするか...!」


物静かだったアレイスターの表情が僅かに歪む...
同時に空間の空気が重く、淀み、呼吸を忘れる程の悪感が急襲する!
無意識に足が止まった俺をアレイスターが一瞥した後、素早く手で宙に何かを描く!


アレイスター「すぐに死んでくれるなよ...?」


キョン「魔術!?」

土御門「いかん! 離れろ!!」

美琴「させるかっ!!」 バチバチッ!

巨大な電撃の槍がアレイスターに迫る
まるで落雷でも落ちたかと思う程の轟音を響かせ、直撃する!

俺の目には直撃したと、そう見えた。

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:43:32.05 ID:cD/3Ge2t0 [26/46]
キョン「消えた!?」

美琴「テレポート!?」

アレイスター「座標移動など、私にとっては呼吸する事より単純な術式だ」

アレイスターの声が背後から聞こえたかと思うと、背骨が折れ曲がるかと思う程の衝撃が直撃し...

体ごと空に浮き...壁面に衝突する!

意識が飛びそうになる程の一撃。
御坂が俺の肩に手を置いて、何か叫び続けているがしっかりと聞きとる事ができない。
たぶんだが、大丈夫か? と何度も確認している様だ。
問題ないと声を絞り出し。
なんとか起き上がるが激痛の為か平衡感覚がうまく機能せず、直立しているつもりが景色が揺れる。
揺れる景色の中に、アレイスターの姿が映ってはいるが攻撃に転じる余裕がない...。

その景色の中に御坂の後ろ姿が映る。

こちらに背を向けたまま、俺にこう言う。

美琴「後はわたしがやるから...アンタはそこで見てて」

御坂に手を伸ばすが、僅かに届かず、その背中が遠くなる...そして近づく...アレイスターの方へと...!

アレイスター「十分に加減したつもりの一撃で、立つのがやっととはな.....脆すぎる」

アレイスター「こんな男に良く着いてくる気になったものだ.....。 なぁ? レベル5、御坂美琴よ?」

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:51:45.17 ID:cD/3Ge2t0 [27/46]
美琴「アイツはね.....放っとくと、猪みたいにつっこんで自滅しちゃう...」 バチバチッ!


御坂が空間に無数の磁場を形成する。


美琴「誰かのために自分の命なんて省みずに突っ走って、目的を果たすまで止まらないの...」 バチッバチバチッ!!


その磁場が電力の球体を無数に作りだす。


美琴「だから...」


その球体が激しく音を上げ、濃密さを増していく。


美琴「だから誰かが守ってあげないといけないの.....」


三十を雄に超える青い球体がアレイスターに迫り...


美琴「だからわたしがアイツを守るのっ!!!」


激しい衝撃音を響かせ直撃する!!!

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:53:28.79 ID:cD/3Ge2t0 [28/46]
直撃を受けたアレイスターは目を閉じたまま、立ち尽くし....動く事ができない...その姿を見て、確信する...。

キョン「終わった.....!」

美琴「やったわ...。 でも、今ので放出可能な電力の半分は使っちゃった...ってかアンタ背中大丈夫なの? かなりヤバ目に曲がって吹っ飛ばされてたけど...」

キョン「ハハ、なんとかな...。 だいぶ痛みは引いてきた。 ってか、お前がいないと俺は確実に殺されてたかもな...」

美琴「女だからってレベル5の超能力者を甘くみないことね!」


キョン「.........!?」


ふと、何かイヤな視線を感じ...振り返る。
その予感は的中し...アレイスターが目を見開いたまま、こちらを見据えていた.....。

アレイスター「全く、その通りだよ御坂美琴...」

キョン「っ!!?」

美琴「そんな....!」

アレイスター「それ程の能力を自在に解放できれば第三位に甘んじる事など無かっただろうな...」

キョン「化物.....!!」

美琴「効いてない...!?」

300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:55:53.76 ID:cD/3Ge2t0 [29/46]
アレイスター「流石はレベル5と言ったところだが、アレが効くのならば私は既に神裂火織に敗れている.....」

アレイスターが、腕を天に付きたてる!

キョン「っ!?」

アレイスター「私の力の辺凛を見せてやろる...我に刃向かう者を滅す、断罪の赤き裁きをもたらせ...!」

付きたてたその腕から、天に向かい...赤く、果てしなく巨大な刃が伸びる!

美琴「 (やばい! でも今すぐに出せる電撃じゃアイツに効かない...どうすれば.....!?) 」

美琴「 (........っ!...そうだ!!) 」


美琴「 (アイツはあの日より前の記憶なんてないって言ってた...!) 」

美琴「 (なら、アイツは知らない!? 自分に宿ったあの能力の事も!?) 」


アレイスター「 くらえ 」 


その言葉の直後、腕が垂直に振り下ろされる! 次元までも斬り裂きながら、赤刃が俺達に向かって迫る!

こんなもん回避できるはずがない...!

このまま.....終わるのか.....!?

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 17:56:58.52 ID:cD/3Ge2t0 [30/46]
あまりに絶望的な力の前に立ち尽くしたままの俺に、御坂が叫ぶ――


右の拳を赤刃に突き出せと――!


ただ赤子の様にその言葉を信じ、その言葉通り肉薄する赤刃に右の拳を掲げる...


突如


不可思議な音と共に消滅する、眼前の脅威...!!!


キョン「......!!」


アレイスター「上条当麻から失われたはずの『幻想殺し』...改変により貴様に転位していたのか...!」

キョン「上条さんとやら...少しの間でいい.....コイツを借してくれ...!」

戦える! アレイスターが『幻想殺し』と呼んだコイツがあれば...渡りあえる!


――ハルヒと神裂を取り返せる!!!


303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:03:31.77 ID:cD/3Ge2t0 [31/46]
アレイスター「いい眼だ...いい表情だ...! まるで、世界に希望を見ていた以前の私を見ている様で懐かしく、嬉しい気持ちになる...、しかし同時に、こうも思う」

アレイスターの右手が御坂に向けられる!

アレイスター「昔、私は愛した女を目の前で魔術師に殺された...たとえばキミが同じ苦しみ出会い、絶望の色で塗りつぶされたとしたら...キミは今の瞳のまま、世界に希望を見る事ができるのかと....!」


その掌から黒い砲撃が、御坂に向け放出される!

キョン「させるかよ...」

その延長線上に俺は立つ!


後ろにいた御坂が俺の背中をそっと掴む...。

キョン「大丈夫、心配すんな.....」

接近する狂気に右手を掲げる!

キョン「―――俺がお前を守る!!!」



砲撃が俺の右手と衝突し、気圧されそうになるが...! 得体の知れないこの力が、断続的に放出されるソレを飲み込み続ける!

やがて黒一色だった視界が終わり、その先に再びアレイスターが映る!

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:05:52.19 ID:cD/3Ge2t0 [32/46]
キョン「お前にも愛した人がいたんだな.....、お前を愛してくれる人がいたんだな.....だが、今のお前をその人が愛してくれるとは思えねぇ。 たとえお前が描いてる、力の統治で争いの無い世界を創ったとしたって...!」

キョン「心に生きるその人は笑っちゃくれねーぞ!!!」

アレイスター「私は十数世紀をこの目で見てきた...国の終わりも始まりも...その全てに絡むのが争いというものだ...知った様な口を聞くなよ糞餓鬼が...! 私の中の彼女は今でもほほ笑みながら私を見てくれている...!」


キョン「お前の人生がどんなに苦しみに満ちた物であったとしても、それで歪んだお前が弱かったってだけだ。 そしてお前が俺の大切な人.....御坂を傷つようというのなら...!」 


キョン「俺はどんな絶望もはじく盾になってやる...!!!」


アレイスター「ククッ。 その言葉を忘れるな。 これからお前に地獄を見せてやる.....!」


穏やかだったアレイスターの表情が徐々に崩れていく...
青白くさえあった皮膚が褐色に変わっていき、皮膚に亀裂が走る...!
その血管が波打ち、異常な速さの心臓の鼓動が空間に響き出す...!
両の肩を破り二本の巨大な腕が姿を現す...!

アレイスターが目を閉じ......再び見開く!!!

突如、眼球が三倍程に膨れ上がり、その目から紫の血が滴る!!!

その目が俺と御坂を見つめる.....!!!!!

アレイスター「 この世で存在する最高の絶望を味あわせてやろう 」

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:10:50.79 ID:cD/3Ge2t0 [33/46]
キョン「まるで化物じゃねぇか.....!!!」


ゆっくりとこちらに近づいてくる、その姿を見て、全身に悪寒が走り、血の気が引いていく.....! 足が地に張り付いた様に動かない...!

アレイスター「どうした...? この姿がそんなに恐ろしいか?...禁術を使い転生を果たしたこの姿が...!」

美琴「......ふん! み、見かけだおしじゃないでしょうね!?」 バチバチッ...!

キョン「.....御坂!?」

美琴「さっきより出力を上げた電撃なら...!」 ビリビリッ!

  「待って」

キョン「っ!? 長門!!」

長門「私が対象の動きを止める...だから絶対に直撃させて」

長門「ちなみに、朝倉涼子は殲滅完了、安心して」

そう言いながら長門がハードカバーを開き、一文をなでる...!

アレイスターを冷気の嵐が襲い、その体表を凍りつかせるが、何事もないかの様に覆った氷を即座に砕いた後、再びこちらにゆっくりと歩き出す...!

長門「........!!」

アレイスター「 もうこの姿になった以上、何をしようと無駄だ...! おとなしく運命を受け入れろ...! 」

306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:12:51.22 ID:cD/3Ge2t0 [34/46]
肩から出現したその第三の腕がこちらに向かって伸びる!

長門が瞬く間に氷の槍をあつらえ、それを伸び続ける腕に貫通させる!


しかし、ソレは止まらない!!!


キョン「...俺に任せろ!! この右手でかき消す!!!」

アレイスター「 『幻想殺し』と言えどこの一撃は止められんぞ...! 」

キョン「やってみねーと分かんねーだろーが!!!」

そう叫び、迫る腕に拳をぶち当てる!!!

キョン「......っ!!? (防げないっ...!!!) 」

腕の骨が軋み、イヤな音を立てる! 骨ごと砕かれ、吹き飛ばされる.....! そう予感した直後.....!!!

紅の球体が直撃し、起爆音と共にその腕を地にねじ伏せる!!!

後方から足音が聞こえる...振り返った先にいたのは、見慣れたムカつく面構えのあの男...!

古泉「すみません...貴方を探して街中走り回っていました。 まさか、もうこちらにいらしているとは...」

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:16:23.60 ID:cD/3Ge2t0 [35/46]
キョン「お前...! どうやってここへ!?」

古泉「先日、変な輩が襲いに来ましてね...その彼がこれを持っていたんですよ」


笑いながら古泉が見せてきたのは、虚数学区、転送用の札...


古泉「それにしても、あんな人間の進化から大きく脱線したようなのを相手に良く存命されてましたね...関心します」

キョン「お前が来てなけりゃ確実に俺は死んでたかも知れんがな...」

古泉「フフフっ、じゃあそれで許して下さいね...」

キョン「何をだ...?」

古泉「遅れた事も含めて色々です。 彼女がさらわれた時も僕はその場に駆けつけるのが遅れてしまった...」

キョン「なんかひっかかるな...、おい、正直に答えろよ? お前は記憶を改変されてなんか......」

古泉「フフフっ、僕はあなたと逢うのは二回目ですよ?」


そう古泉はイヤな笑みを浮かべながらとぼけたセリフを吐いた。


308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:18:38.74 ID:cD/3Ge2t0 [36/46]
古泉「何はともあれ、これで役者は揃った―――」

古泉が紅の衣を纏う!

長門「全てを以って殲滅する―――」

長門がハードカバーを強く握りしめる!

美琴「今まで人を殺すレベルの電撃は控えていたけど...アンタ相手なら遠慮なしでぶっ放せる―――」

御坂が全身に雷をみなぎらせる!


俺は、一人でテメ―みたいな化物と闘う力なんて持ち合わせていねーが、お互いを信じ、支えあえる仲間がいる」


一人一人の力ならお前の足元にも及ばないとしても.....


キョン「想いを束ねれば希望の光だって掴みとれる!!!」

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:23:03.56 ID:cD/3Ge2t0 [37/46]
長門が先陣を切る――!

ハードカバーの最後のページにある、最後の一文を、確かめる様に.....ゆっくりとなぞる! 冷気が長門の正面に集結し、何かが形成されていく...!

長門「貴方の源を断つ.....!」

巨大な三日月の形をした氷の刃がアレイスターを急襲する!!!

迫るソレをアレイスターが第三の腕で薙ぎ払おうとするが.....紫の血しぶきが噴き出し、第三の腕が宙を舞う!!!!!

古泉がそれに続く―――!

古泉「これならいくら貴方でも.....」

己の身丈の五倍はある、紅玉を頭上に創りだす!

古泉「ちょっとばかり堪えるかも.....しれませんね!!!」

両の腕でそれを握り、背中を後ろへ反らす...勢いをつけたオーバースローで投げられた紅玉がアレイスターの第四の腕と衝突し...大規模な起爆を起こし、第四の腕が肉片へと成り果てる!!!!!


御坂がコインを強く握りしめ呟く―――!

美琴「この一撃にわたしの全てを込める...」

全身に青い電撃を漲らせ、コインを空に垂直にはじく.....!

美琴「これがわたしの最大出力の超電磁砲!!!!!」

重力に引き寄せられたコインを中の指で力強くはじき...放撃する!!! 青く、巨大な閃光が轟き、激しい落雷にも似た音とともに貫通、アレイスターの腹部に大きな風穴を開ける!!!!!

311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:27:58.57 ID:cD/3Ge2t0 [38/46]
アレイスター「 ――――――――――― 」

アレイスターが紫の血溜まりの中心で奇声をあげる―――そして聞きとれない程の速度で『何か』を詠唱する!!! 空間が急に振動し、次元に無数の亀裂が走る!!!

アレイスターの体が更に人からかけ離れ、左腕が膨れ上がる!!!

その異形となった左腕が漆黒に輝く!!!!!

キョン「あれは一体....!?」

古泉「怒りで何も思考する事ができなくなってる様ですね.....おそらくこの空間ごと消滅させる気でしょう...」

古泉「ですが僕はまだ足掻くのをやめる気はありませんよ.....!?」

長門「私も諦めない....!」

美琴「そうよ! ここまでやったんだから、もう最後まで突っ走る!」

美琴「 (本音ではアンタに元の世界に帰って欲しくない...。 でもアンタが戻る事を望むのならわたしもそう願ってあげたい 迷うな...もう決めたんだ) 」

美琴「アンタを元の世界に戻してやるって決めたんだ!!!」

俺の右手が白く輝く...直感で分かった...幻想殺しは異能を打ち消すだけのモノじゃない。
現実に今、三人の想いに共鳴している...

キョン「 (仲間の想いをコイツが束ねてくれる) 」

右手がまばゆい程の輝きを放ち出す!!!!!

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:34:51.33 ID:cD/3Ge2t0 [39/46]
アレイスターの漆黒の拳が眼前に肉薄する――全力で振りかぶった右のストレートがソレに衝突する!

キョン「俺達がその腐った幻想をぶち殺す!!!!!」


白い光が空間を支配する―――――――――








ヒビだらけの空間で、五体の殆どを無くしたアレイスターが転がる。 ハルヒと神裂を捕えていた円柱状の機械をぶち壊し、二人を中から救い出す。

キョン「終わったな」

長門「そう。 終わった」

古泉「やっとこれで元の世界へ帰れますね」

美琴「........」

キョン「おいおい、どうやって帰るってんだ、方法があるのか?」

美琴「........」

古泉「えっ!? ないんですか!?」

315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 18:38:01.31 ID:cD/3Ge2t0 [40/46]
土御門「それなら俺に任せろ、最後位は俺に出番をくれ.....この女の意識に干渉すれば、「改変」前の世界に戻した上で、帰還させる事が可能だ」

キョン「お前! そんな事ができるのなら最初からそうすりゃ良かっただろうが!」

土御門「すまん、忘れてたんだニャ......」

キョン「ったく...! とにかくハルヒが目を覚ませば話しがややこしくなる...! 早くソイツをやってくれ」

土御門「術式を構成するのに、少々時間がかかるがいいな?」

キョン「あぁ」

という事はここでサヨナラか.....異世界での時間を共に過ごした御坂とも.....

キョン「........」

立ち尽くしたままの御坂の傍による

御坂「.......」

御坂は黙って下を向いたまま。 同じく俺も口を開かぬまま。 一分程の時間が流れた...

御坂「..........」

御坂「 (.....言えない) 」

最後はコイツに笑いながら別れを言うって決めてたのに。 そんなことできない。 笑いながらバイバイなんて言えない。 それに.....今、顔を上げたら全部バレバレ。

我慢して、最期くらいは、色々ありがとうって言わなきゃ。 ちゃんと分ってるのに、自分に言い聞かせてるのに....溢れようとする涙が止められない。

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 19:00:01.07 ID:cD/3Ge2t0 [41/46]
足元に一粒の涙をこぼしてしまった...

キョン「御坂っ....!」 

そう言ってアイツがわたしの肩を抱いた.....。 もう止める事なんてできない、伝えたい...全部伝えたい.....!

美琴「いやだ......!」

キョン「俺もお前と離れたくはないが、これっばかりは仕方ないだろ、俺は別世界の人間なんだ」

美琴「じゃあ私もいくっ! あんたと....離れたくないっ!」

キョン「そんなに泣くなよ......俺が安心して行けねーじゃねーか」

美琴「泣いてないっ!」  

キョン「......」

美琴「......」 グスッ

キョン「泣いてんじゃねーか」

美琴「だって....!!!」

キョン「そうだ....これをお前にやる」

美琴「ネックレス?」

このネックレスは、俺がいっつもしている宝物。 それのチェーン、扉、鍵の三つに...俺らしくもないクサイ意味を込めてコイツに渡すなんて...恥ずかしくてとても言えない


317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 19:00:43.81 ID:cD/3Ge2t0 [42/46]
キョン「俺が中学の頃に背伸びしてセレクトショップで買ったんだ。 俺の一番の宝物だから大切にしてくれよ...美琴 」

美琴「.........!」

キョン「じゃあ....俺は元の世界にかえ....」

美琴「いやだ!!!」

美琴「こんなのいらないっ! 美琴って呼んでくれなくてもいい!」

美琴「だからわたしもいっしょに行く!!!」

美琴「わたしをこんな気持ちにさせたんだから、責任とってよ!?」


キョン「土御門.......頼む」

土御門「術式の準備はできたが.....いいのか?」

キョン「あぁ」

土御門「お前ははそれで大丈夫なのか?」

キョン「......あぁ」


土御門「.......そうか」


土御門「では、術式を展開する」

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 19:01:38.64 ID:cD/3Ge2t0 [43/46]
美琴「お願いだから! わたしにできることならなんでもするからっ! 料理も洗濯も、掃除でもなんでもっ! あんたが望むことならなんでもっ......!」

美琴「お願いだからあんたのそばにいさせてよ!!!」

キョン「お前に...ぇて」 

突如、頭を激しい揺れが襲いが襲い言葉が詰まる、体の感覚が消えていく...元の世界への転送が始まったのか

キョン「この世界でお前に逢えて良かったよ.....」

美琴「そんなの聞きたくない! わたし...あの日からずっとアンタのこと...!」

キョン「 (今頃になって自分の気持ちにきづいたよ) 」 

こんな時に、言葉がうまく出せないなんて.....

あと数秒で、自分がこの世界から消えるのが感覚でわかる...

美琴「ねぇ!? 置いてかないでよ!! あんたと絶対離れたくないのっ! だって、わたしあんたのことが―――

美琴「あんたのことが大好きなのっ!!!」

頭の揺れがひどくなり...体の感覚がなくなる

元の世界への転送が終わった―――――



319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 19:02:24.34 ID:cD/3Ge2t0 [44/46]
キョン「........」 ポリポリ

キョン「...見慣れた河川敷。って事は戻ってきたってことか。 いや、これは俺の見ていた夢だったって可能性もある」

キョン「もし夢なら....」 チラ

首元を確認するが、あるはずのソレがない

キョン「あいつが.....」

キョン「あいつが最後に言ったセリフ...」

キョン「 『あんたのことが.......』 」

キョン「そこら辺で完全に意識が無くなっちまった...」

聞けないまま戻ってきちまった、できれば続きの言葉が聞きたかった、できれば伝えたかった。 最後の最後で気がついた、ありったけの気持ちのを全部。

でも、なぜだろう? いつかまた、逢える気がする。そんな気がする.....。

こんな妄想話をアイツにしたらなんて言うだろうか? やっぱ...「いい病院紹介するわ」 なんて言われるだろうか。 子供に言ってもバカにされるような...そんな願望

「この世界のどっかに不思議な扉があって」 「それを鍵で開けたら」 「別の世界へ繋がってる」

ハハ.....やっぱお前もバカにするよな?

なぁ―――

美琴――――――


321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 19:07:31.29 ID:cD/3Ge2t0 [45/46]
黒子「お姉さま、一つ聞いてもいいでしょうか?」

美琴「なによ突然?」

黒子「その首にいっつも大切に着けてらっしゃるネックレス...まさか殿方に貰ったプレゼントじゃありませんわよね?」


美琴「いきなり何言ってんのよ!? 違うわよ! これはね!.....」


美琴「あれ?.....言われて思ったけど、どうしたんだろこれ?」


黒子「怪しいですわ! やっぱり殿方にっっ!!?」


美琴「違うって言ってんでしょうが!!!」



美琴「 (ん~~、でも、どうして持ってるのか思い出そうとしても思い出せない!) 」


美琴「 (親に買ってもらった記憶もないし、友達に貰った物でもないし...自分で買ったわけでもない.....) 」

美琴「 (それでもわたしの宝物なのはたしかなのよね.....) 」

美琴「 (なんでか分かんないけど、ず~~っとこのネックレスは大切にしたい!) 」


322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/29(月) 19:08:20.35 ID:cD/3Ge2t0 [46/46]
黒子「 (あの言い方は本当に殿方のプレゼントじゃ無い様子ですわね...) 」

黒子「 (黒子は安心しました...!) 」

黒子「あっ! そうそう、ところでお姉さま、こんな都市伝説を聞いた事がありますか?」

美琴「都市伝説? わたしそーいうの興味ないの」

黒子「まぁまぁそう言わずに聞いてくださいまし」

美琴「はいはい、聞いたげるわ。 どうぞ」

黒子「この世界とは別に、もう一つの世界があるって噂...聞いた事ありませんか?」

美琴「別世界っ!?...今まで都市伝説なんて関心なかったけど.....なんかすっごい興味が湧くわ!!!」

黒子「フフっ...噂ではあるそうですの.....この学園都市のどこかに、その別世界へ繋がる扉が...!」


美琴「面白そうじゃないの黒子っ! さっそくソレを探しに行くわよ!」 ダダっ!


黒子「あーーーもうっ! 待って下さいですのっ! おねぇさまっ!!」


美琴「 (別世界っ! なんかめちゃくちゃワクワクするわ!!!) 」 


―――終わり

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一言で表すならディケイド(主に悪い意味で

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