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律「夕空夕飯探索!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:09:40.24 ID:GLCMttnz0
学校からの帰り道、律は今日の夕飯のメニューを考えていた。
田井中家は、一週間ごとに家族の分も含め夕食を作る、夕食当番なるものが存在していて、(他にも、掃除当番や洗濯当番など分担して家事をしている)今週は律の番だった。
先週もサボる聡の代わりに夕食当番をやらされていたから、これで二週間連続。
流石に女子高生の律には母親のように沢山のレシピを持っているわけでもなく、そろそろ栄養が偏ってきている気がしていた。
しかし、今日で夕食当番はお役御免。
律「(今夜は好きなものでも作ろうかな)」
中々決まらずに、かれこれ数十分。家に帰ろうにもこのままじゃ何だか気持ち悪い。
律は真剣に考え込みながら、普段は曲がらない曲がり角を曲がった。
律「(遠回りしたら何か思いつくかもしんねーし……)
?「もしもしお嬢さん、何かお困りですかな?」
学校からの帰り道、律は今日の夕飯のメニューを考えていた。
田井中家は、一週間ごとに家族の分も含め夕食を作る、夕食当番なるものが存在していて、(他にも、掃除当番や洗濯当番など分担して家事をしている)今週は律の番だった。
先週もサボる聡の代わりに夕食当番をやらされていたから、これで二週間連続。
流石に女子高生の律には母親のように沢山のレシピを持っているわけでもなく、そろそろ栄養が偏ってきている気がしていた。
しかし、今日で夕食当番はお役御免。
律「(今夜は好きなものでも作ろうかな)」
中々決まらずに、かれこれ数十分。家に帰ろうにもこのままじゃ何だか気持ち悪い。
律は真剣に考え込みながら、普段は曲がらない曲がり角を曲がった。
律「(遠回りしたら何か思いつくかもしんねーし……)
?「もしもしお嬢さん、何かお困りですかな?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:15:38.02 ID:TfHPkpTx0 [2/16]
律「うわっ!?」
唯「やっほー、りっちゃん!」
律「吃驚したあ……なんだ、唯かよー……」ホッ
後ろを振り向くと、いつもの天然混じりな笑顔が見えて律は心底ほっとした。
声音を変えていたせいで、誰だかわからなかったから思わず変な声を出してしまった。
律がのろのろと歩いている間に、唯はもう帰宅していたらしい。制服ではなく、私服姿だった。
唯「えへへ、りっちゃんがこの角曲がった時からずっと後ろに着いて来てたんだー」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:18:58.74 ID:TfHPkpTx0 [3/16]
律「全く気付かなかった……」
唯「私が気配を消していたからねっ!」フンスッ
律「いや、違うから。考え事してたのー」
唯「え!?りっちゃんが考え事!?まさか恋煩い!?」
律「違う、断じて違う」
唯「もしかして好きでもない男とヤって妊娠……!」
律「人聞きの悪いこと言うなっ!つーか何でそんな考えに至るのか不思議だよ私は!」
唯「えー、じゃあ何ー?」
律「そんな期待のこもった目で見るな。夕飯何にしようか考えてただけだっつーの」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:22:51.08 ID:TfHPkpTx0 [4/16]
唯「えぇ、つまんなーい」
律「はいはい。で?唯はこんなとこで何してんだよ?」
唯「あっ!あのね、隣のおばあちゃんが家で採れた野菜をくれて」
律「へえ、いいな」
唯「でしょでしょっ?それでね、ご近所さんにお裾分けしようと思ったんだけど……」
律「何にも持ってないな、お前」
唯「うん……たまたま会った近所のワンちゃんの散歩に付き合ってこの近くの公園まで来たんだけど、
ワンちゃんが突然野菜の入ってた袋くわえて逃げちゃって」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:27:05.39 ID:TfHPkpTx0 [5/16]
律「それでそのワンちゃん探してたら私を見つけて……ってわけか?」
唯「そういうこと!りっちゃーん、どうしよう……このまま帰ったら憂に怒られちゃうよ」
助けを求めるように見てくる唯に、律は溜息を吐くと時計を見た。
現在四時過ぎ。日が暮れるにはまだ時間はある。
律「(ま、いっか……ちょっとくらい付き合ってやっても)」
律「よし、ならまだ明るいし探すの手伝ってやる」
唯「ほんと!?」
律「そりゃあね。私ら友達だろー?」
唯「おぉ……!さすがりっちゃん隊員……!」キラキラ
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:30:04.86 ID:TfHPkpTx0 [6/16]
律「唯隊員……」キリリーン
唯「さ、探しに行こっか、りっちゃん」
律「ノった私恥ずかしっ」
唯「へ?」
律「あー、もういいよ……。そんでどうすんだ?ひとまず公園に戻ってみるか?」
唯「あ、うん、そうだね、公園に戻ってみよう!」
♪
公園!
唯「うーん……やっぱいない……」
律「ワンちゃんならいっぱいいるけどな」
唯「え、そう?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:35:58.03 ID:TfHPkpTx0 [7/16]
律「ほら、夕方だし結構散歩してるじゃん。で、そのワンちゃんはどんな色なんだ?
小さいの?大きいの?」
唯「あ、ワンちゃんはね、小さくてすばしっこいんだー。だからあんな重い袋よく持てたよね」
律「それは知らん、見てないし」
唯「でね、白と黒のシマシマ」
律「シマウマみたいだな。つーかそんな珍しい色ならすぐに見付かりそうだけど」
唯「小さいからね。ワンちゃーん、出ておいでー!」
律「いや、そんな繁みの中にいないだろ」
唯「そうかなあ?」
律「(犬がそんなとこに隠れてるわけねーよ)」
律「よし、唯、別の場所探すぞ!」
唯「了解!」
?「りっちゃん、唯ちゃん?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:41:54.96 ID:TfHPkpTx0 [8/16]
部長らしい号令をかけた律と、ピシッと敬礼をした唯の後ろから、聞いた事のある声が
二人の名前を呼んだ。
振り向くと、紬がいた。紬は両腕に大きな荷物を抱えている。
唯「あ、ムギちゃーん!」
律「おぉ、ムギ。って、なんだ、その荷物?」
紬「えっとね、お料理のお勉強しようと思って!」
唯「へえ、凄いねえ!」
律「けど一体何作るんだ?そんな量買って来て……」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:46:38.23 ID:TfHPkpTx0 [9/16]
紬「えっとね、まだ決めてないの。とりあえずスーパーに行って買えるだけ材料を
買って来たんだけど……」
律・唯「(さすがお嬢様……)」
紬「ところで二人は何してるの?りっちゃんは制服のままだし……」
唯「ムギちゃんも制服のままだね!」
紬「私、制服のまま学校帰りにスーパー寄るのが夢だったの~」ホワア
唯「へ、へえ……」
律「夢が叶って何よりだな……私たちは、っていうか唯がワンちゃんを探してるんだ」
唯「あ、そうそう!お散歩途中にね、お裾分けしようとした野菜くわえてワンちゃんが
逃げちゃったんだよ!」
紬「大変!私も探すの手伝うわっ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:51:50.05 ID:TfHPkpTx0 [10/16]
唯「ほんと!?ムギちゃんありがとー!」
紬「でも唯ちゃんの家、ワンちゃんなんて飼ってたかしら?」
唯「ううん、家のじゃないよ。近所のワンちゃん!可愛いんだよ~」
律「近所のなら尚更探さなきゃまずいじゃん!」
唯「それにお裾分け用のおばあちゃんの美味しい野菜もなくなっちゃったし!」
紬「急いで探しましょう、ワンちゃん!」
律「あ、ちょい待てムギ!」
紬「どうしたの、りっちゃん?」
律「その荷物、重いだろ?一つ持つ!」
紬「別に大丈夫よ」
律「だめだって!キーボードは手や指が大切なんだろ?ドラマーは体力必要なんだから
一つ持たせてくれ!」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:55:25.97 ID:TfHPkpTx0 [11/16]
紬「ありがとう、りっちゃん。それじゃあ一つお願い」
律「おう!」
唯「私も持つよムギちゃん!」
紬「もう大丈夫よ唯ちゃん。それより早く探しに行きましょう!」
唯「う、うん。けどどこ探せばいいのかなあ……?」
辺りを見回す三人の目が、公園の北側の入口に止まった。
この公園に入ってきたのは南側の入口なので気付かなかったが、北側の入口に真っ赤に熟れた
トマトがぽつんと落ちてあった。
律「ワンちゃんはあっちから出ていったんだなっ!よし、とりあえずあっち側から探そうぜ!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:05:17.04 ID:TfHPkpTx0 [12/16]
公園を出ると、前と左右に一つずつ道がある。
前の道の遠くに目を凝らすと、緑色の物体が落ちているように見えた。
唯「あれはおばあちゃんのキュウリ!」
律「なぜわかる……」
紬「唯ちゃん目がいいのね~」
唯「えへへっ、ありがとー!ってことは真直ぐ進めばいいんだよね!」
律「でも動物だからな、突然違う道に入ることだってあるかもしんねーし……」
紬「とりあえず行くだけ行ってみましょう!」
律「そうだな!」
♪
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:09:26.23 ID:TfHPkpTx0 [13/16]
それからも、何メートルか離れた場所に、均等に(唯曰く)おばあちゃんの美味しい野菜が
落ちていた。
もったいないからと、それを拾いながら三人は進む。
律「(にしても、まるで測ったみたいな感じだな、これ……本当にワンちゃんが落としていったのか?)」
唯「いないねー、ワンちゃん」
紬「周りの人に聞き込みとかしたほうがいいのかも!」
律「……なんか随分やる気だな、ムギ」
紬「そんなことないよ?」ニコニコ
唯「あ、ちょうどいいや、あの前の人に聞いてみ……」
ポトリ
唯「よう……?」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:18:54.79 ID:TfHPkpTx0 [14/16]
少し前で歩いていた黒髪の女性が突然、タマネギをぽとりと落とした。
ちょうど今拾ったばかりのナスビから数メートル離れた場所で。
律「っていうか……」
紬「澪ちゃん!?」
澪「……え?」ボトボト
唯「あ、澪ちゃん、野菜落としてる落としてる!」
澪「うわあ、ほんとだっ!」
律「ったく、何してんだよ澪!」
慌てて三人は呆けていた澪に駆け寄ると、澪の落とした野菜を拾い集めようと
屈みこんだ。
律「(やっぱり変だと思ったぜ……何でこんなに綺麗に等間隔で落としてたのかは
わかんねーけど、なるほど、澪がボーっとして落としてたわけか)」
紬「あ、りっちゃん!」
律「え、何!?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:24:53.35 ID:TfHPkpTx0 [15/16]
ゴロゴロ……
丁度坂の頂上にいたらしい。
紬が取ろうとした大きなリンゴが、坂を転がっていった。
澪「あぁ、リンゴぉ!」
律「はやっ、リンゴ転がるのはやっ!」
紬「このリンゴを拾ってくれる人が運命の相手なのね……」ハウゥ
律「何そのベタな展開」
唯「りっちゃん、りっちゃん!早くリンゴを追いかけなきゃ!」
律「あぁ、そうだった」
立ち上がった律が走り出そうとしたとき、その横を唯が凄いスピードで通りぬけて
行った。
律「そ、そんな急がなくても!」
唯「ワンちゃん!」
律「え?」
唯「坂の下にワンちゃんがいるんだよお!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:42:18.44 ID:TfHPkpTx0 [16/16]
律「なにっ」
目を凝らしてみると、確かに何かがいるように見える。
全体的に、灰色に見える小さな生物。
律「(犬にしては小さくないか……?)」
唯「あぁ!やっぱり紙袋くわえたまま!」ダダダッ
勢いよく坂を駆け下りる唯に気が付いたのか、その生物は身を震わせると、
紙袋をくわえたまま家の石垣を身軽に飛び越えて走り去ってしまった。
リンゴより先に坂の下に下りた唯は、後から降りてきたリンゴを手に取ると、
へなへなとその場に座り込んだ。
唯「ま、また……逃げ、られた……」ハァハァ
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:37:47.67 ID:Zg7gR8xS0 [1/3]
律「ゆいーっ!」
紬「唯ちゃん大丈夫!?」
律が、そして呆けたままの澪の手を引っ張りながら紬が、
へたり込んでいる唯の傍に走り寄った。
律「えーっと、……なあ、唯?」
唯「なに、りっちゃん?」
律「ワンちゃんってまさか……」
澪「あぁ!」
律「!?」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:41:21.54 ID:Zg7gR8xS0 [2/3]
紬「どうしたの、澪ちゃん!?」
澪「せっかく浮かんでた歌詞があ……」
律「なんだ……澪がさっきから抜け殻だったのは歌詞考えてたからかよ……」
律「(歌詞考えてるときの澪は別世界にトリップしてるからな……。今考えてた歌詞は
ヘンゼルとグレーテルのイメージソングとか言うんじゃないだろうな……)」
澪「……あぁ、ていうかここどこ?何でみんながいるんだ?」
紬「澪ちゃん……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:44:26.08 ID:Zg7gR8xS0 [3/3]
唯「えっとね、澪ちゃん。私たち今ワンちゃんを探してて」
澪「ワンちゃん?」
唯「うん、小さくて白黒のシマシマなワンちゃん!」
律「私が見た限り灰色に少し見難い白い線が混ざった感じの色だったけど」
澪「唯って犬飼ってたっけ?」
唯「え?飼ってないよ?」
紬「あのね、唯ちゃんの近所のワンちゃんなんだって」
澪「へえ……でもそういうのって普通、飼い主が探すもんじゃないのか?」
律「そうだけど、唯の持ってた野菜の入った袋をとってっちゃったらしくて」
唯「三人ともちょっと待って!」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:49:03.23 ID:Zg7gR8xS0
紬「なあに、唯ちゃん?」
唯「ワンちゃんは誰にも飼われてないよ!」
律「え?」
唯「へ?」
紬「飼われてない……?」
澪「要するに野良?」
唯以外の三人が「もしかして」と顔を見合わせたとき、背後から何かが走り去る音が
聞こえた。
微かに紙が擦れるカサカサという音もする。
唯「ワンちゃんいたっ!」
律「とりあえず追いかけるぞ!」
紬「わかったわ!」
澪「へっ!?わ、わたしも……!」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:55:33.62 ID:Zg7gR8xS0
四人は一斉に灰色の動物を追いかけるべく走り始めた。
数々の家を通り過ぎ、お魚ではなく紙袋をくわえた何かを追いかける。
律「くそーっ、追いつけねえ」
唯「また、あのまま塀、に登られたら、捕まえ、られないよ……!」
紬「でも、何だか、楽しい……っ」
澪「このまま、じゃ……埒が、あかないぞ……っ!?」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:59:41.66 ID:Zg7gR8xS0
律「(何で夕飯のメニュー考えてたはずがワンちゃんとの追いかけっこになってんだ!
ていうかワンちゃんって……)」
全力疾走をしたものの、灰色の生物は行き止まりまで来ると綺麗に飛び上がり、
塀を越えていってしまった。
唯「あぁっ」
律「くそっ」
澪「唯、律!まだ諦めるな!二人は右側、私とムギは左側に曲がってこの家の向こう側で
落ち合う!それまでに見つけたら確実に確保!」
紬「了解です!」
唯「澪ちゃんかっこいい!」
律「よし、そんじゃあ行くぞ!」
♪
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:02:53.92 ID:Zg7gR8xS0
律「……」ハァハァ
唯「……」ゼイゼイ
紬「……」ケホケホ
澪「……」フゥ
澪「いない、な……」
紬「もう、走れない……」
律「私とムギは荷物持ったままで走ってたわけだし……」
唯「ごめんね、皆……」
息を切らせる三人に、同じく息を切らせた唯が申し訳なさそうに謝ったとき、
見慣れた姿が通りかかった。
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:05:27.92 ID:Zg7gR8xS0
梓「先輩方!こんなとこで何を……」
律「あ、梓……」
紬「梓ちゃん、その腕の中で……」
澪「抱いてるのって……まさか」チラッ
唯「ワンちゃん!」
律・紬・澪「(やっぱり!)」
梓「ワンちゃんって、唯先輩……この子、猫ですよ?」
唯「知ってるよー、あずにゃんっ、けどこの子はワンちゃんっていう名前なの!」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:18:07.59 ID:Zg7gR8xS0
♪
あまりにベタな話を公園に戻って梓にも話してやると、あっという間に辺りは真っ暗になっていた。
猫のワンちゃんがくわえていた紙袋の中身は、殆ど空っぽだった。
走っている途中に落としてしまったのだろう。
唯はもったいないと嘆きながらも、残っていた小さなトマトを幾つか、皆に分けてくれた。
律は走り疲れた身体を大きく伸ばすと、「帰るか」と公園のベンチから立ち上がった。
律「(やっと一件落着だな……なんか忘れてる気がするけど……)」
唯「そういえばりっちゃん」
律「ん?」
唯「今日の晩御飯、何にするか決まった?」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:32:40.20 ID:Zg7gR8xS0
♪
律は、唯たちに持たされた沢山の荷物を手にぶらさげながら、暗い道を歩いた。
しかし、その表情は決して暗くはなく明るかった。
手に持っている袋の中には、唯たちが「お裾分け」してくれた材料が入っている。
その中身を頭の中で思い浮かべながら、律は「そーだ」と呟いた。
律「(今日はハンバーグにしよ)」
律「(あいつらに前作った奴よりもっと上手いもんご馳走してやれるように)」
終わる。
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:33:27.37 ID:Zg7gR8xS0
最後のオチ意味わからなくてすいません。
代理でスレ立てしてくださった方、改めてありがとうございました。
律「うわっ!?」
唯「やっほー、りっちゃん!」
律「吃驚したあ……なんだ、唯かよー……」ホッ
後ろを振り向くと、いつもの天然混じりな笑顔が見えて律は心底ほっとした。
声音を変えていたせいで、誰だかわからなかったから思わず変な声を出してしまった。
律がのろのろと歩いている間に、唯はもう帰宅していたらしい。制服ではなく、私服姿だった。
唯「えへへ、りっちゃんがこの角曲がった時からずっと後ろに着いて来てたんだー」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:18:58.74 ID:TfHPkpTx0 [3/16]
律「全く気付かなかった……」
唯「私が気配を消していたからねっ!」フンスッ
律「いや、違うから。考え事してたのー」
唯「え!?りっちゃんが考え事!?まさか恋煩い!?」
律「違う、断じて違う」
唯「もしかして好きでもない男とヤって妊娠……!」
律「人聞きの悪いこと言うなっ!つーか何でそんな考えに至るのか不思議だよ私は!」
唯「えー、じゃあ何ー?」
律「そんな期待のこもった目で見るな。夕飯何にしようか考えてただけだっつーの」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:22:51.08 ID:TfHPkpTx0 [4/16]
唯「えぇ、つまんなーい」
律「はいはい。で?唯はこんなとこで何してんだよ?」
唯「あっ!あのね、隣のおばあちゃんが家で採れた野菜をくれて」
律「へえ、いいな」
唯「でしょでしょっ?それでね、ご近所さんにお裾分けしようと思ったんだけど……」
律「何にも持ってないな、お前」
唯「うん……たまたま会った近所のワンちゃんの散歩に付き合ってこの近くの公園まで来たんだけど、
ワンちゃんが突然野菜の入ってた袋くわえて逃げちゃって」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:27:05.39 ID:TfHPkpTx0 [5/16]
律「それでそのワンちゃん探してたら私を見つけて……ってわけか?」
唯「そういうこと!りっちゃーん、どうしよう……このまま帰ったら憂に怒られちゃうよ」
助けを求めるように見てくる唯に、律は溜息を吐くと時計を見た。
現在四時過ぎ。日が暮れるにはまだ時間はある。
律「(ま、いっか……ちょっとくらい付き合ってやっても)」
律「よし、ならまだ明るいし探すの手伝ってやる」
唯「ほんと!?」
律「そりゃあね。私ら友達だろー?」
唯「おぉ……!さすがりっちゃん隊員……!」キラキラ
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:30:04.86 ID:TfHPkpTx0 [6/16]
律「唯隊員……」キリリーン
唯「さ、探しに行こっか、りっちゃん」
律「ノった私恥ずかしっ」
唯「へ?」
律「あー、もういいよ……。そんでどうすんだ?ひとまず公園に戻ってみるか?」
唯「あ、うん、そうだね、公園に戻ってみよう!」
♪
公園!
唯「うーん……やっぱいない……」
律「ワンちゃんならいっぱいいるけどな」
唯「え、そう?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:35:58.03 ID:TfHPkpTx0 [7/16]
律「ほら、夕方だし結構散歩してるじゃん。で、そのワンちゃんはどんな色なんだ?
小さいの?大きいの?」
唯「あ、ワンちゃんはね、小さくてすばしっこいんだー。だからあんな重い袋よく持てたよね」
律「それは知らん、見てないし」
唯「でね、白と黒のシマシマ」
律「シマウマみたいだな。つーかそんな珍しい色ならすぐに見付かりそうだけど」
唯「小さいからね。ワンちゃーん、出ておいでー!」
律「いや、そんな繁みの中にいないだろ」
唯「そうかなあ?」
律「(犬がそんなとこに隠れてるわけねーよ)」
律「よし、唯、別の場所探すぞ!」
唯「了解!」
?「りっちゃん、唯ちゃん?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:41:54.96 ID:TfHPkpTx0 [8/16]
部長らしい号令をかけた律と、ピシッと敬礼をした唯の後ろから、聞いた事のある声が
二人の名前を呼んだ。
振り向くと、紬がいた。紬は両腕に大きな荷物を抱えている。
唯「あ、ムギちゃーん!」
律「おぉ、ムギ。って、なんだ、その荷物?」
紬「えっとね、お料理のお勉強しようと思って!」
唯「へえ、凄いねえ!」
律「けど一体何作るんだ?そんな量買って来て……」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:46:38.23 ID:TfHPkpTx0 [9/16]
紬「えっとね、まだ決めてないの。とりあえずスーパーに行って買えるだけ材料を
買って来たんだけど……」
律・唯「(さすがお嬢様……)」
紬「ところで二人は何してるの?りっちゃんは制服のままだし……」
唯「ムギちゃんも制服のままだね!」
紬「私、制服のまま学校帰りにスーパー寄るのが夢だったの~」ホワア
唯「へ、へえ……」
律「夢が叶って何よりだな……私たちは、っていうか唯がワンちゃんを探してるんだ」
唯「あ、そうそう!お散歩途中にね、お裾分けしようとした野菜くわえてワンちゃんが
逃げちゃったんだよ!」
紬「大変!私も探すの手伝うわっ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:51:50.05 ID:TfHPkpTx0 [10/16]
唯「ほんと!?ムギちゃんありがとー!」
紬「でも唯ちゃんの家、ワンちゃんなんて飼ってたかしら?」
唯「ううん、家のじゃないよ。近所のワンちゃん!可愛いんだよ~」
律「近所のなら尚更探さなきゃまずいじゃん!」
唯「それにお裾分け用のおばあちゃんの美味しい野菜もなくなっちゃったし!」
紬「急いで探しましょう、ワンちゃん!」
律「あ、ちょい待てムギ!」
紬「どうしたの、りっちゃん?」
律「その荷物、重いだろ?一つ持つ!」
紬「別に大丈夫よ」
律「だめだって!キーボードは手や指が大切なんだろ?ドラマーは体力必要なんだから
一つ持たせてくれ!」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 21:55:25.97 ID:TfHPkpTx0 [11/16]
紬「ありがとう、りっちゃん。それじゃあ一つお願い」
律「おう!」
唯「私も持つよムギちゃん!」
紬「もう大丈夫よ唯ちゃん。それより早く探しに行きましょう!」
唯「う、うん。けどどこ探せばいいのかなあ……?」
辺りを見回す三人の目が、公園の北側の入口に止まった。
この公園に入ってきたのは南側の入口なので気付かなかったが、北側の入口に真っ赤に熟れた
トマトがぽつんと落ちてあった。
律「ワンちゃんはあっちから出ていったんだなっ!よし、とりあえずあっち側から探そうぜ!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:05:17.04 ID:TfHPkpTx0 [12/16]
公園を出ると、前と左右に一つずつ道がある。
前の道の遠くに目を凝らすと、緑色の物体が落ちているように見えた。
唯「あれはおばあちゃんのキュウリ!」
律「なぜわかる……」
紬「唯ちゃん目がいいのね~」
唯「えへへっ、ありがとー!ってことは真直ぐ進めばいいんだよね!」
律「でも動物だからな、突然違う道に入ることだってあるかもしんねーし……」
紬「とりあえず行くだけ行ってみましょう!」
律「そうだな!」
♪
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:09:26.23 ID:TfHPkpTx0 [13/16]
それからも、何メートルか離れた場所に、均等に(唯曰く)おばあちゃんの美味しい野菜が
落ちていた。
もったいないからと、それを拾いながら三人は進む。
律「(にしても、まるで測ったみたいな感じだな、これ……本当にワンちゃんが落としていったのか?)」
唯「いないねー、ワンちゃん」
紬「周りの人に聞き込みとかしたほうがいいのかも!」
律「……なんか随分やる気だな、ムギ」
紬「そんなことないよ?」ニコニコ
唯「あ、ちょうどいいや、あの前の人に聞いてみ……」
ポトリ
唯「よう……?」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:18:54.79 ID:TfHPkpTx0 [14/16]
少し前で歩いていた黒髪の女性が突然、タマネギをぽとりと落とした。
ちょうど今拾ったばかりのナスビから数メートル離れた場所で。
律「っていうか……」
紬「澪ちゃん!?」
澪「……え?」ボトボト
唯「あ、澪ちゃん、野菜落としてる落としてる!」
澪「うわあ、ほんとだっ!」
律「ったく、何してんだよ澪!」
慌てて三人は呆けていた澪に駆け寄ると、澪の落とした野菜を拾い集めようと
屈みこんだ。
律「(やっぱり変だと思ったぜ……何でこんなに綺麗に等間隔で落としてたのかは
わかんねーけど、なるほど、澪がボーっとして落としてたわけか)」
紬「あ、りっちゃん!」
律「え、何!?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:24:53.35 ID:TfHPkpTx0 [15/16]
ゴロゴロ……
丁度坂の頂上にいたらしい。
紬が取ろうとした大きなリンゴが、坂を転がっていった。
澪「あぁ、リンゴぉ!」
律「はやっ、リンゴ転がるのはやっ!」
紬「このリンゴを拾ってくれる人が運命の相手なのね……」ハウゥ
律「何そのベタな展開」
唯「りっちゃん、りっちゃん!早くリンゴを追いかけなきゃ!」
律「あぁ、そうだった」
立ち上がった律が走り出そうとしたとき、その横を唯が凄いスピードで通りぬけて
行った。
律「そ、そんな急がなくても!」
唯「ワンちゃん!」
律「え?」
唯「坂の下にワンちゃんがいるんだよお!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 22:42:18.44 ID:TfHPkpTx0 [16/16]
律「なにっ」
目を凝らしてみると、確かに何かがいるように見える。
全体的に、灰色に見える小さな生物。
律「(犬にしては小さくないか……?)」
唯「あぁ!やっぱり紙袋くわえたまま!」ダダダッ
勢いよく坂を駆け下りる唯に気が付いたのか、その生物は身を震わせると、
紙袋をくわえたまま家の石垣を身軽に飛び越えて走り去ってしまった。
リンゴより先に坂の下に下りた唯は、後から降りてきたリンゴを手に取ると、
へなへなとその場に座り込んだ。
唯「ま、また……逃げ、られた……」ハァハァ
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:37:47.67 ID:Zg7gR8xS0 [1/3]
律「ゆいーっ!」
紬「唯ちゃん大丈夫!?」
律が、そして呆けたままの澪の手を引っ張りながら紬が、
へたり込んでいる唯の傍に走り寄った。
律「えーっと、……なあ、唯?」
唯「なに、りっちゃん?」
律「ワンちゃんってまさか……」
澪「あぁ!」
律「!?」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:41:21.54 ID:Zg7gR8xS0 [2/3]
紬「どうしたの、澪ちゃん!?」
澪「せっかく浮かんでた歌詞があ……」
律「なんだ……澪がさっきから抜け殻だったのは歌詞考えてたからかよ……」
律「(歌詞考えてるときの澪は別世界にトリップしてるからな……。今考えてた歌詞は
ヘンゼルとグレーテルのイメージソングとか言うんじゃないだろうな……)」
澪「……あぁ、ていうかここどこ?何でみんながいるんだ?」
紬「澪ちゃん……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/25(木) 00:44:26.08 ID:Zg7gR8xS0 [3/3]
唯「えっとね、澪ちゃん。私たち今ワンちゃんを探してて」
澪「ワンちゃん?」
唯「うん、小さくて白黒のシマシマなワンちゃん!」
律「私が見た限り灰色に少し見難い白い線が混ざった感じの色だったけど」
澪「唯って犬飼ってたっけ?」
唯「え?飼ってないよ?」
紬「あのね、唯ちゃんの近所のワンちゃんなんだって」
澪「へえ……でもそういうのって普通、飼い主が探すもんじゃないのか?」
律「そうだけど、唯の持ってた野菜の入った袋をとってっちゃったらしくて」
唯「三人ともちょっと待って!」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:49:03.23 ID:Zg7gR8xS0
紬「なあに、唯ちゃん?」
唯「ワンちゃんは誰にも飼われてないよ!」
律「え?」
唯「へ?」
紬「飼われてない……?」
澪「要するに野良?」
唯以外の三人が「もしかして」と顔を見合わせたとき、背後から何かが走り去る音が
聞こえた。
微かに紙が擦れるカサカサという音もする。
唯「ワンちゃんいたっ!」
律「とりあえず追いかけるぞ!」
紬「わかったわ!」
澪「へっ!?わ、わたしも……!」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:55:33.62 ID:Zg7gR8xS0
四人は一斉に灰色の動物を追いかけるべく走り始めた。
数々の家を通り過ぎ、お魚ではなく紙袋をくわえた何かを追いかける。
律「くそーっ、追いつけねえ」
唯「また、あのまま塀、に登られたら、捕まえ、られないよ……!」
紬「でも、何だか、楽しい……っ」
澪「このまま、じゃ……埒が、あかないぞ……っ!?」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:59:41.66 ID:Zg7gR8xS0
律「(何で夕飯のメニュー考えてたはずがワンちゃんとの追いかけっこになってんだ!
ていうかワンちゃんって……)」
全力疾走をしたものの、灰色の生物は行き止まりまで来ると綺麗に飛び上がり、
塀を越えていってしまった。
唯「あぁっ」
律「くそっ」
澪「唯、律!まだ諦めるな!二人は右側、私とムギは左側に曲がってこの家の向こう側で
落ち合う!それまでに見つけたら確実に確保!」
紬「了解です!」
唯「澪ちゃんかっこいい!」
律「よし、そんじゃあ行くぞ!」
♪
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:02:53.92 ID:Zg7gR8xS0
律「……」ハァハァ
唯「……」ゼイゼイ
紬「……」ケホケホ
澪「……」フゥ
澪「いない、な……」
紬「もう、走れない……」
律「私とムギは荷物持ったままで走ってたわけだし……」
唯「ごめんね、皆……」
息を切らせる三人に、同じく息を切らせた唯が申し訳なさそうに謝ったとき、
見慣れた姿が通りかかった。
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:05:27.92 ID:Zg7gR8xS0
梓「先輩方!こんなとこで何を……」
律「あ、梓……」
紬「梓ちゃん、その腕の中で……」
澪「抱いてるのって……まさか」チラッ
唯「ワンちゃん!」
律・紬・澪「(やっぱり!)」
梓「ワンちゃんって、唯先輩……この子、猫ですよ?」
唯「知ってるよー、あずにゃんっ、けどこの子はワンちゃんっていう名前なの!」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:18:07.59 ID:Zg7gR8xS0
♪
あまりにベタな話を公園に戻って梓にも話してやると、あっという間に辺りは真っ暗になっていた。
猫のワンちゃんがくわえていた紙袋の中身は、殆ど空っぽだった。
走っている途中に落としてしまったのだろう。
唯はもったいないと嘆きながらも、残っていた小さなトマトを幾つか、皆に分けてくれた。
律は走り疲れた身体を大きく伸ばすと、「帰るか」と公園のベンチから立ち上がった。
律「(やっと一件落着だな……なんか忘れてる気がするけど……)」
唯「そういえばりっちゃん」
律「ん?」
唯「今日の晩御飯、何にするか決まった?」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:32:40.20 ID:Zg7gR8xS0
♪
律は、唯たちに持たされた沢山の荷物を手にぶらさげながら、暗い道を歩いた。
しかし、その表情は決して暗くはなく明るかった。
手に持っている袋の中には、唯たちが「お裾分け」してくれた材料が入っている。
その中身を頭の中で思い浮かべながら、律は「そーだ」と呟いた。
律「(今日はハンバーグにしよ)」
律「(あいつらに前作った奴よりもっと上手いもんご馳走してやれるように)」
終わる。
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:33:27.37 ID:Zg7gR8xS0
最後のオチ意味わからなくてすいません。
代理でスレ立てしてくださった方、改めてありがとうございました。
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