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早苗「イカちゃんと濃厚な触手プレイをしたい」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 00:23:34.81 ID:CiqCzjmP0 [1/41]
海の家れもん
早苗 「はぁ……」
栄子 「お、なんだ早苗、来てたのか。イカ娘なら今日は南風に行ってるぞ」
早苗 「うん、知ってる……」
栄子 「どうした? 元気無いな。悩み事か?」
早苗 「イカちゃんと触手プレイしたいなーって」
栄子 「い……いきなり何を言い出すんだ……」
早苗 「あーあ、私にも触手があればなぁ。イカちゃんと触手を絡ませ合って
あんなことやこんなことができるのに……(じゅるり)」
栄子 「妄想するのはお前の勝手だが、席に座ってる以上は何か注文しろよ」
早苗 「じゃあオレンジジュース」
栄子 「へいへい」
海の家れもん
早苗 「はぁ……」
栄子 「お、なんだ早苗、来てたのか。イカ娘なら今日は南風に行ってるぞ」
早苗 「うん、知ってる……」
栄子 「どうした? 元気無いな。悩み事か?」
早苗 「イカちゃんと触手プレイしたいなーって」
栄子 「い……いきなり何を言い出すんだ……」
早苗 「あーあ、私にも触手があればなぁ。イカちゃんと触手を絡ませ合って
あんなことやこんなことができるのに……(じゅるり)」
栄子 「妄想するのはお前の勝手だが、席に座ってる以上は何か注文しろよ」
早苗 「じゃあオレンジジュース」
栄子 「へいへい」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:25:52.92 ID:CiqCzjmP0 [2/41]
早苗 「はぁあ……」
クラーク「ハーイ、お嬢さん、何かお悩みデスカ?」
早苗 「え? あなたは確か、シンディーさんとこの……」
クラーク「クラークデス」
早苗 「……私に何の用ですか?」
クラーク「オー、そんなに警戒しないでくだサイ。今日はあなたにプレゼントを
持って来たのデス」
早苗 「え……プレゼント?(突然なによこの人……きもちわるい……)」
クラーク「コレデース」
そう言ってクラークが示したのは、研究所から押してきたと思われる台車でした。
台車の上には、精巧に作られたイカ帽子が載せられています。
早苗 「これって……イカちゃんの帽子?」
クラーク「しかも触手付きデス。よくできているデショウ?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:27:51.40 ID:CiqCzjmP0
早苗 「どうしてこんなものを……」
クラーク「ハイ。あなたのことはシンディーから聞いてイマス。
あなたにならこの帽子を気に入ってもらえると思いまして」
早苗 「別にいらないんだけど」
クラーク「えええ!? ど、どうしてデスカ!?」
早苗 「私が興味あるのは本物のイカちゃんだけよ。こんな帽子なんて……」
クラーク「オー、コレはただの帽子ではアリマセン。この触手は高密度人工筋肉で
作られており、脳波コントロールで自在に動かすことが可能なのデス。
ほら、帽子の裏側にたくさんの電極がついているデショウ? これで
脳波を検出して触手に伝えるのデス」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:31:24.98 ID:CiqCzjmP0
早苗 「つまり考えただけで触手を動かせるってこと?」
クラーク「まさにその通りデス。本物と同じ動きが可能デス」
早苗 (え、それって……凄いじゃない! これさえあれば……
イカちゃんと触手プレイができるわ!)
早苗 「……でも何か怪しいわね。何でこんな凄いものを私にくれるわけ?」
クラーク「別に他意があるわけじゃありマセンよ。実はコレ、もともとは我々が
イカ星人と触手コミュニケーションをとることを目的として開発したもの
なのデス。ところが、実際に作ってみると、これは我々には使えない
ことが分かったのデス」
早苗 「使えないって……考えるだけで動かせるんじゃないの?」
クラーク「理屈の上ではそうなのデス。ところが人間の脳というのは、もともと
触手をコントロールするようにはできてイマセン。ですから10本の
触手を自在に動かすのは極めて難しいのデス。我々が試したところ、
1、2本の触手をピクピクと動かすくらいが精一杯デシタ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:33:32.62 ID:CiqCzjmP0
早苗 「なんだ……それじゃあ私がもらっても役に立たないわ」
クラーク「イイエ、そうとも限りません。人間の脳は無限の可能性を秘めてイマス。
それにあなたはまだ若いデスから、脳細胞も柔軟デース。
繰り返し訓練を重ねることにより、触手をコントロールするための
シナプス回路が新たに形成される可能性がありマス」
早苗 「ほんと? それなら、ちょっと試してみてもいいかな……」
クラーク「それではさっそく頭にかぶってみてくだサイ」
クラークはそういうと、台車の上のイカ帽子をウンウンと言いながら持ち上げようとします。
早苗 「そんなに重たいの?」
クラーク「ハ、ハイ。この触手は高密度人工筋肉のカタマリですから……
帽子全体で約50キロありマス」
早苗 「50キロ!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:35:21.39 ID:CiqCzjmP0
栄子 「オレンジジュースお待ちー……ってあんたは3バカの……!」
クラーク「クラークデス」
栄子 「何であんたが早苗と……うわっ! なんだこりゃ!」
早苗 「この人たちがイカちゃんの帽子作ったんだって」
栄子 「どーするんだよ、これ」
クラーク「ハイ、このお嬢さんに差し上げようと思って持って来たのデス」
栄子 「なんでよりによって早苗に……」
早苗 「ねぇクラークさん、早く試させてよ」
クラーク「そのつもりなんですが、持ち上げられなくて……。
すみませんがそちらのお嬢さん、この帽子を一緒に持ってもらえマセンカ?」
栄子 「ハァ? 帽子くらい1人で持てばいいだろ。どれだけ非力なんだよ、まったく……
うわ重っ!! しかもヌメヌメしてて持ちにくいし! 何だこの無駄なリアリティ!?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:37:28.87 ID:CiqCzjmP0
クラーク「帽子の表面は新開発のイカ肌ポリマーでコーティングされていマスからね。
見た目も手触りも本物そっくりでショウ?
イカ星人にだって本物と区別できないハズですよ」
栄子 「また才能と技術力を無駄遣いしたのか……」
クラーク「持ち上げますよ? イッセーノ!」
栄子 「せっ!……くっ……お、おい、こんな重いもん頭に載せて大丈夫か?」
クラーク「だ、大丈夫デース。例えばアフリカの女性は、頭の上に20キロもの
水瓶を載せて平気で歩くことができるのデスよ?」
栄子 「いや、これ20キロ以上あると思うんだが……」
クラーク「50キロデス」
栄子 「50キロ!」
クラーク「い、いいですか? 頭に載せますよ?」
早苗 「うん」
クラーク「いきますよ! ソーレ!」
ドスン!
早苗 「あ、意外と大丈夫」
栄子 「マジかよ……」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:39:26.31 ID:CiqCzjmP0
クラーク「さあ、触手を動かしてみてくだサイ」
早苗 「そんなこと言われても……」
クラーク「深く考える必要はアリマセン。触手が動くところをイメージすればいいのデス」
早苗 「うーん……えいっ!」
ピクッ
栄子 「うわ、動いた!」
クラーク「素晴らしい! 訓練無しでいきなり動かすことができるとは! あなた素質がありますね」
早苗 「そ、そうかしら……」
栄子 「これ、本物みたいにウネウネ動かすことができるようになるのか?」
クラーク「ハイ。訓練次第で可能デス」
栄子 「すげーな」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:41:29.91 ID:CiqCzjmP0
クラーク「それだけではアリマセン。あなた、ちょっと触手を触ってみてクダサイ」
栄子 「え? こうか?」
栄子が触手をツンツンと突付くと、早苗がビクンと飛び上がりました。
早苗 「きゃぁ!」
栄子 「なんだ? どうした!?」
早苗 「な、何今の? 何か触られたような気がしたんだけど……」
クラーク「この触手の表面には、マイクロマシンで構成された無数の触覚センサが
埋め込まれてマス。センサが反応すると、帽子内部の電極アレイによる
磁気ビームフォーミングで脳内の特定箇所に強力な磁場を発生させ、
触覚を司る脳細胞を活性化します。これにより、触手の感触を脳で直に
感じることができるようになってマス」
栄子 「よくわからんが……すげぇ」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:43:12.24 ID:CiqCzjmP0
早苗 「ね、ねぇ栄子……この触手使えるようになったら……
イカちゃんともっと仲良くなれるかしら……?」
栄子 「ああ……なれると思うぜ」
早苗 「私……頑張るわ! ありがとうクラークさん!」
クラーク「いえ、こちらこそ。我々の発明が宇宙人とのコミュニケーションの
役に立つのでしたら、こんなに嬉しいことはありまセン」
早苗 「私、帰ってコレの練習するわ! じゃあね栄子」
栄子 「大丈夫か? 50キロも乗せて……」
早苗 「え? もう全然平気。帽子かぶってるのも忘れちゃうくらい」
栄子 「そ、そうか……気をつけて帰れよ」
早苗 「うん」
栄子 「あいつ……結局オレンジジュース飲まなかったな」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:44:28.11 ID:CiqCzjmP0
3日後
栄子 (あれから3日……早苗は家に閉じこもったままか……)
イカ娘「栄子、最近早苗を見ないでゲソが、何かあったのでゲソ?」
栄子 「ああ、家でやることがあるんだってさ」
イカ娘「そうでゲソか……良い傾向じゃなイカ。こうやって少しずつ私以外のことに
興味を持っていけば、そのうち私のことも諦めてくれるでゲソ」
栄子 (それはどうかな……)
千鶴 「アレックスの散歩にも来ないなんて、よっぽど何かに熱中してるのね」
栄子 「……実は少し心配してるんだ。電話にもメールにも出ないし……」
千鶴 「ちょっと様子を見てきてあげたら?」
栄子 「……ああ、ちょっと早苗んち行ってくる」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:45:37.33 ID:CiqCzjmP0
早苗宅
ピンポーン
インターホン「はーい」
栄子 「こんちわー。早苗の友達の相沢栄子です……早苗か?」
インターホン「あ、栄子? ちょっと待って」
ドアの向うでドタバタと音がしたあと、ドアがガチャリと開きました。
早苗 「どうしたの?」
栄子 「いや、お前が電話にも出ないから心配になってさ」
早苗 「あー、ごめんごめん。ほら、例の帽子に夢中になっちゃってて……」
栄子 「まあそうだろうとは思ってたけど」
早苗 「さあ、あがってあがって」
栄子 「ああ……おじゃましまーす」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:47:10.45 ID:CiqCzjmP0
早苗の部屋
栄子 「で、どうなんだ? 帽子の調子は」
早苗 「ふふふ……見て驚かないでよ」
早苗は床に置いてあったイカ帽子をヒョイと取って頭にかぶりました。
栄子 (50キロの帽子を軽々と……)
早苗 「えいっ!」
帽子をかぶった早苗が気合を入れると、10本の触手がワサワサと動き始めました。
栄子 「おおっ凄ぇ! ちゃんと動くぞ!」
早苗 「これだけじゃないのよ。うーん、それっ!」
早苗が眉間にシワを寄せて何かを念じると、1本の触手がぎこちなく動いて持ち上がり、
ソロソロと栄子の方までのびていきます。
栄子 「へぇ、もうだいぶ自由に動かせるようになってるじゃないか」
栄子はそう言いながら、伸びてきた触手の先っぽを何気なく掴みました。ところが――
早苗 「ひゃ?!」
触手を掴まれると、早苗は悲鳴を上げて身体をビクンと痙攣させ、床にへたりこんでしまいました。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:49:01.69 ID:CiqCzjmP0
栄子 「お、おい、大丈夫か?」
早苗 「う、うん……どうもこの触手の感覚に慣れなくて……ちょっと刺激が強すぎるみたい」
栄子 「そうか……しかしこれでお前もイカ娘の仲間だな」
早苗 「ううん。まだまだ。イカちゃんには遠くおよばないわ」
栄子 「これだけできれば充分だろ。さっそくイカ娘に見せに行こうぜ」
早苗 「何言ってるのよ栄子! イカちゃんと触手プレイするには、もっと思い通りに
動かせるようになってからじゃないと……!」
栄子 「お前、その帽子を何に使うつもりなんだ……」
早苗 「あと2日……あと2日で完璧にマスターしてみせるわ!」
栄子 「そうか……まあ勝手にしてくれ。私はこれで帰るぞ」
早苗 「うん。2日後を楽しみにしてて」
栄子 (心配して損したな……)
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:50:28.87 ID:CiqCzjmP0
2日後の朝 海の家れもん
栄子 (あれから2日経過……早苗のやつはどうなったかな……)
早苗 「栄子ー! おはよー!」
栄子 (おっ、来たな)
栄子 「おはよう早苗、触手の調子はどう……なっ……」
早苗の声がした方を振り向いて、栄子は声を失いました。
そこには10本の触手をウネウネと動かしながら、早苗が得意げに仁王立ちしていたのです。
栄子 「お、お前……随分と派手に触手を動かせるようになったんだな」
早苗 「ふふふ……派手なだけじゃなく繊細に動かすこともできるのよ」
早苗はそう言って触手をワキワキと動かします。
栄子(こいつ……触手を手足のように操れるようになってやがる。ついに人間をやめたか)
早苗 「ふふふふふ……栄子、どう? おどろいた?」
栄子 「あ、ああ、立派な触手さばきだぜ……」
早苗 「これでイカちゃんと念願の触手プレイができるわ」
栄子 「良かったな、夢が叶うぞ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:52:35.85 ID:CiqCzjmP0
千鶴 「あら早苗ちゃん、久しぶり」
早苗 「千鶴さんおはようございます」
千鶴 「まあ、素敵な帽子ね。イカ娘ちゃんとお揃い?」
早苗 「ええ、ペアルックなんです」
千鶴 「よく似合ってるわよ」
早苗 「あ、ありがとうございます!」
栄子 (少しは驚けよ、姉貴……)
早苗 「そうそう、肝心のイカちゃんは?」
栄子 「どっかそのへんにいるはずだが……おかしいな」
早苗 「ああーん! 早くイカちゃんと触手プレイしたい! 触手プレイしたいわ!」
栄子 「お、おちつけ……まわりのお客さんが引いてるだろ……」
早苗 「早くイカちゃんに会わせて!」
栄子 「分かった分かった」
栄子 (こいつ、5日もイカ娘に会って無いからおかしくなったんじゃないか?)
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:53:55.38 ID:CiqCzjmP0
栄子 「おーいイカ娘!! どこだ!? お前にお客さんだぞ」
イカ娘「私に……客?」
厨房の奥で準備をしていたイカ娘は、不審そうにヒョイと顔を覗かせました。
早苗 「イカちゃーーん!!! 触手プレイしよーー!!!!」
イカ娘「!!!!!!!!」
イカ娘は、早苗の姿を見るなり勢い良く駆け寄って、バッと抱きつきました。
早苗 「ああん! イカちゃん!! いきなり激し過ぎよー!!」
イカ娘「同胞ーーー!!! 会えて嬉しいでゲソーー!!!」
早苗 「え? あれ? イカちゃん??」
イカ娘「こんな狭くて薄汚い海の家によく来てくれたでゲソーー!!」
栄子 「おいコラ……狭くて薄汚いだと?」
早苗 「ちょ……栄子? どうなってるの?」
栄子 「あれ、お前知らなかったっけ? こいつ、イカ帽子をかぶってる相手は
無条件で仲間だと認識するみたいなんだ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:55:33.96 ID:CiqCzjmP0
早苗 「ええー!? じゃあ私だと気づいて無いってこと?」
栄子 「みたいだな」
早苗 「そ、そんな……イカちゃん! しっかりして! 私よ!」
イカ娘「ん? お主……私を知ってるのでゲソ?」
早苗 「知ってるも何も……私よ、さな……」
栄子 「おい!」
栄子は慌てて早苗の口を塞ぎました。
早苗 「むぐぐぐ……」
栄子 「いいのか、正体をバラしても。せっかくイカ娘が無警戒で抱きついてるんだぞ?」
早苗 「でも……」
栄子 「同胞のフリして仲良くなればいいだろ?」
早苗 「う、うん……」
イカ娘「何の話してるでゲソ? 正体って何でゲソ? 私に何か隠してるのでゲソ?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:57:45.55 ID:CiqCzjmP0
栄子 「ははは……何言ってんだ。私とこいつは今さっき会ったばかりだぞ?
隠し事も何もあるわけないだろ?」
イカ娘「そうでゲソ? それならいいでゲソ」
栄子 (ふう……この2人に関わってるとこっちまでヒヤヒヤするぜ。)
栄子 (ついでに一肌脱いでやるか……)
栄子 「イカ娘、今日は仕事休んでそいつと一緒に遊んできたらどうだ? なあ姉貴、良いだろ?」
千鶴 「ええ、別にいいわよ(おもしろそうだし)」
イカ娘「ど、どうしたでゲソ? 栄子……今日は随分優しいじゃなイカ」
栄子 「なんだよ、私が優しかったら悪いのか?」
イカ娘「そういうわけじゃないでゲソが……」
栄子 「同胞と会うのは久しぶりなんだろ? 今日だけ特別だよ」
イカ娘「……ありがとうでゲソ」
栄子 「じゃあな、うまくやれよ」
早苗 「栄子……」
早苗 「栄子、ありがとう」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:59:32.05 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「それじゃあ改めて自己紹介しようじゃなイカ。私はイカ娘でゲソ!
地上侵略と人類征服のために地上にやってきたのでゲソ!」
早苗 「私は……さな……さな……サナエンヌよ」
イカ娘「サナエンヌ? 変わった名前でゲソね。遠い海から来たのでゲソ?」
早苗 「そ、そうなのー。とっても遠くから」
イカ娘「そうでゲソか。まあこのあたりで同胞は私たち2人だけだから、仲良くしようじゃなイカ」
早苗 「うん」
イカ娘「ところでサナエンヌも人類征服のために地上に来たのでゲソ?」
早苗 「ううん。私は触手プr……そうね、大切な人に会うために、かな」
イカ娘「大切な人? 誰でゲソそれ?」
早苗 「うふふ……内緒」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:01:01.22 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「ふーん……。まあ、積もる話もあるでゲソね。もうちょっとゆっくり出来るところに
行って話そうじゃなイカ。
早苗 「そうね。私もイカちゃんとゆっくりお話ししたいな」
イカ娘「ここは人間が多すぎるでゲソ。こっちに良い場所があるでゲソよ」
イカ娘はそう言うと、早苗の手を取って歩き出しました。
早苗 (あっ……イカちゃんが私の手を……)
イカ娘「お主、この浜辺は初めてじゃなイカ? 途中ちょっとだけ案内してあげるでゲソ」
早苗 「うん、ありがとう」
早苗 (イカちゃん、同胞と会えて楽しそう……普段私といるときはこんな風に楽しんでくれないのに……)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:02:24.70 ID:CiqCzjmP0
イカ娘は早苗の手を引いて海水浴場を横切りながら一通り案内したあと、
人ごみを離れた岩場に早苗を連れて行きました。
イカ娘「ここでゲソ。ここならほとんど人間は来ないでゲソ」
早苗 「わぁ、素敵な岩場ね」
早苗 (れもんの近くにこんなところがあったなんて……)
イカ娘「ほら、ここなんて丁度いいでゲソよ」
イカ娘が指差した先では、岩の一部が上に張り出してちょうど屋根のようになっています。
イカ娘「ここは日差しも避けられるし、雨宿りもできるでゲソ」
イカ娘は岩の屋根の下に入ると、早苗を招き入れました。
そこは思った以上に広々としたスペースで、地面も砂浜になっているので座っても痛くないのです。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:03:47.26 ID:CiqCzjmP0
早苗 「すごーい! ここ、海水浴場からは全然見えないのね」
イカ娘「うむ。最近たまたま見つけた私の秘密の場所でゲソ。岩に遮られてるから
人間どものうるさい声もあんまり聞こえないでゲソよ」
イカ娘は得意そうに言うと、体育座りで地面に座りました。早苗もその隣に
寄り添うようにして腰掛けます。
早苗 (あれ……これってもしかして……イカちゃんと二人きり?)
早苗 (ど、どど、どうしよう……いきなりこんな展開になるなんて……)
早苗 (とにかく会話して間を持たせないと……)
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:05:04.37 ID:CiqCzjmP0
早苗 「普段もよくここに来るの?」
イカ娘は首を横に振って応えます。
イカ娘「普段はれもんで一日中働かされてるから、そんな暇無いでゲソ」
早苗 「そうなんだー。毎日忙しいのね」
イカ娘「うむ……侵略どころじゃないでゲソ」
早苗 「……イカちゃんは……侵略を諦めてないのね」
イカ娘「当たり前でゲソ。そのために地上に出て来たわけでゲソからね」
早苗 「そっか……」
イカ娘「サナエンヌは『大切な人』に会うために地上に来たんだったでゲソね。
その人にはもう会えたのでゲソ?」
早苗 「うん」
イカ娘「そうでゲソか。それなら良かったでゲソね」
早苗 「うん。私、今とっても幸せよ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:07:26.02 ID:CiqCzjmP0
そのころ
海の家 れもん
栄子「……」
千鶴「栄子ちゃん? どうしたの、ボーっとして」
栄子「姉貴……」
千鶴「イカ娘ちゃん達のことが気になる?」
栄子「……なあ、姉貴……私、間違ってたかな……?」
千鶴「あら、何が?」
栄子「だって……あれじゃイカ娘を騙して早苗とくっ付けたみたいじゃないか。
そんなことしたって、イカ娘も早苗も、お互いに傷つくだけじゃないのかな……」
千鶴「……そうかもしれないわね」
栄子「……」
千鶴「でも、今日は早苗ちゃんがイカ娘ちゃんのことを良く知るチャンスになると思うわ」
栄子「ああ……そうだといいな」
栄子(そういえば、イカ帽子を脱いだら死んだことになるって言うの忘れてたな……。
早苗の奴、イカ娘の前で帽子を脱いだりしなければ良いんだが……)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:09:37.28 ID:CiqCzjmP0
先ほどの岩場
イカ娘「サナエンヌは大切な人と一緒なんでゲソね……ちょっとうらやましいでゲソ」
早苗 「イカちゃんにだって大切な人、いるでしょ?」
イカ娘「大切な人は……みんな海の中に残してきたでゲソ」
早苗 「そ、そうなんだ……」
早苗 (どうしてそういうこと言うのイカちゃん……私がいるじゃない……)
イカ娘「うん。だからちょっと寂しいでゲソ」
早苗 「寂しい……? イカちゃんは……寂しいの?」
イカ娘「同胞たちから離れて暮らしてるでゲソからね。そりゃ寂しいでゲソよ」
早苗 「で、でも……」
イカ娘「あ、でも今日はサナエンヌに会えたから寂しくないでゲソ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:11:35.65 ID:CiqCzjmP0
早苗 「でも……イカちゃんのまわりにはたくさんのひと……えっと……
たくさんの人間がいるじゃない。それでも、寂しいの?」
イカ娘「そうでゲソね……栄子たちとは一緒に暮らしてるし、悟郎や渚、早苗だっているし……」
早苗 (そうよ、私がいるわ!)
イカ娘「みんながいるから楽しいでゲソ」
早苗 「じゃあどうして寂しいなんて……」
イカ娘「私は侵略者でゲソからね……」
イカ娘はそういって微笑みます。
早苗 「えっ?」
早苗 (どうして……どうしてそんなに寂しそうに笑うの? イカちゃん……)
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:13:43.48 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「今は仲良くしてても……私はいずれ人類を征服するでゲソ。
そうなったら、もうみんなとは一緒にいられないでゲソ」
早苗 「ど、どうして一緒にいられないの!?」
イカ娘「私は人類を懲らしめるために人類征服を目指してるんでゲソよ?
人類の敵でゲソ。一緒にいられるわけないじゃなイカ」
早苗 「そ、そんなの関係ないじゃない!
人類とか侵略者とか関係無いじゃない!!!!!!」
イカ娘「サナエンヌ……?」
早苗 「イカちゃんはみんなのこと好きじゃないの?
例え人類征服したって、みんなとは今まで通り仲良くしていけば
いいじゃない!!」
イカ娘「わたしだってみんなとずっと一緒にいたいでゲソよ」
早苗 「……イカちゃん……」
イカ娘「でも……私が侵略者になったら、きっとみんなの方が私の事を
嫌いになるでゲソ。私は人類の敵だから……」
早苗 「そんなことない! そんなことないわ!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:15:35.18 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「いいんでゲソよ、サナエンヌ。それくらいの覚悟はできてるでゲソ。
だから今だけは後悔しないようにみんなと楽しくやってるでゲソ」
早苗 「そんな……今だけなんて……」
イカ娘「……」
早苗 「……」
イカ娘「わ、悪かったでゲソね。会ったばかりなのに、こんな話して……。
もっと楽しい話をしようじゃなイカ」
早苗 「イカちゃん……私は……」
早苗 (私はイカちゃんがそんな風に考えてたなんて知らなかった。
私は今まで何一つイカちゃんの力になってなかったんだわ……)
イカ娘「サナエンヌ?」
早苗 「イカちゃん……」
早苗はイカ娘の肩に手をまわすと、グッと抱き寄せました。
イカ娘「あっ……」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:17:00.50 ID:CiqCzjmP0
早苗 「イカちゃん……そんな寂しいこと言わないで……イカちゃんは一人じゃないのよ」
イカ娘「あ、ありがとう……サナエンヌ。やっぱり本当に頼りになるのは同胞でゲソ」
早苗 (違うの、違うのよ、イカちゃん……同胞だからとか、そんなんじゃないの……)
イカ娘「サナエンヌ、今の間だけこうしていても良いでゲソ?」
イカ娘は甘えるように言うと、早苗の肩に身体をもたれかけます。
早苗 「うん」
早苗は頷くと、もう一度強くイカ娘の肩を抱き寄せました。
早苗 (今の私にはこれくらいしかできない……イカちゃん、ごめんね)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:19:37.11 ID:CiqCzjmP0
ところがそうやって2人肩を寄せ合っていると、早苗の触手が一本、本人の意思とは
関係無く動き出したのです。早苗の触手はあっというまにイカ娘の触手にシュルシュルと
絡みついていきます。
早苗 (え? なんで?)
イカ娘「?」
早苗 「ご、ごめんなさいイカちゃん! 触手が勝手に……」
イカ娘「ん……いいでゲソよ。こうやって触手同士で触れ合えるのも、同胞だけでゲソ」
イカ娘は少し照れたように言うと、自分の方からも触手を絡ませます。
早苗 「あっ……!」
触手同士が絡み合う独特の感触が脳に流れ込み、早苗は思わず声を上げてしまいました。
イカ娘「? どうしたでゲソ?」
早苗 「な、なんでもない……」
早苗 (やだ……ちょっと触れ合っただけでこんな……)
早苗 (は、はやく触手を止めないと……!)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:21:12.87 ID:CiqCzjmP0
そのころ、地球外生命体対策調査研究所
ハリス 「ところでクラークくん、あのイカ星人の帽子はどうしたんだい?」
クラーク「ああ、あれなら例の日本人の少女にプレゼントしまマシタよ」
ハリス 「ほう、それは良いことをしたね」
マーティン「え? あの設定のままでですか?」
クラーク「そうデスが……何か問題がありマシタか?」
マーティン「あれは脳波フィルタの帯域をもう少し狭くした方が良いと
思ってたんですが」
ハリス 「いや、あれでも狭すぎるくらいさ。あれより帯域が狭いと、触手の
コントロールに必要な脳波を検出できなくなってしまう」
マーティン「しかし……あまり帯域が広すぎると、無意識の脳波まで検出して
触手が暴走する可能性が……」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:23:35.37 ID:CiqCzjmP0
クラーク「それは大した問題ではアリマセンよ。無意識というのは
顕在意識の何倍も賢いのです。仮に触手が暴走したとしても、
無意識が触手で何か危険なことをするおそれはほとんど無いデショウ」
ハリス 「……とはいえ、無意識の領域に何か危険な願望があったりしたら、
触手が暴走したときに大変なことになるかもしれないね」
マーティン「私が心配しているのはそこですよ。触手で危険な願望……
例えば、触手レイプ願望なんかがあったらどうしますか」
クラーク「マーティン……君ならともかく、あの可憐な日本人の少女に限って
そのような願望を持ってる心配は皆無デスヨ」
ハリス 「そう、無用な心配というやつさ。マーティン君は日本のHENTAIゲームの
やりすぎじゃないかね?」
ハリス・クラーク・マーティン「HAHAHAHAHAHA!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:26:49.50 ID:CiqCzjmP0
先ほどの岩場
早苗は何とか触手を止めようとしましたが、触手は意思に反して
2本、3本と動き出し、次々とイカ娘の触手や身体に絡み付いていきます。
早苗 (今まで勝手に動くことなんて無かったのに……どうして?!
よりによってこんな時に!!)
早苗 (そうだ! 帽子を脱げば触手も止まるはず!)
早苗 (……だ、だめよ! イカちゃんは同胞に会えて喜んでいるんだもの……
今正体をバラしたらイカちゃんを傷つけてしまうわ!)
早苗 (ああああ、どうしたらいいの? このままじゃ……)
イカ娘「……サナエンヌの触手は優しいでゲソね……」
早苗 「え? 優しい?」
イカ娘「うん。私にはわかるでゲソよ。優しい触手でゲソ」
イカ娘は嬉しそうに言って、自分の触手を早苗の触手に絡ませていきます。
早苗 「あっ……!」
イカ娘「こうしてると、サナエンヌの気持ちが伝わってくるでゲソ」
早苗 (私にもイカちゃんの気持ちが伝わってくる……
イカちゃん、サナエンヌのことをこんなに信頼してるんだ……
初めて会ったばかりなのに……)
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:29:58.32 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「不思議でゲソ。サナエンヌとは初めて会った気がしないでゲソ」
早苗 「そう?」
イカ娘「何かいつもそばにいたような……そんな気がするでゲソ」
早苗 (そうよ。私はいつもイカちゃんのそばにいるわ)
イカ娘「……サナエンヌはいつまで地上にいるんでゲソ?」
早苗 「私? 私は……」
イカ娘「もし良かったら、ずっと地上にいてくれなイカ?」
早苗 「ずっと?」
イカ娘「同胞が近くにいてくれると、私も心強いでゲソ」
イカ娘は期待のこもった眼で早苗を見ます。
早苗 (それは……ダメよイカちゃん。サナエンヌなんて本当は存在しないんだもの)
イカ娘「……? どうしたでゲソ?」
早苗 「……ごめんなさい。私、もうイカちゃんと一緒にいられないの」
イカ娘「ええ? どうして……」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:31:37.88 ID:CiqCzjmP0
早苗 「私、そろそろ消えるね」
早苗はそう言ってスッと立ち上がりました。
触手の暴走はいつの間にかすっかり止まっています。
イカ娘「消えるって……もう帰ってしまうのでゲソ?
もうちょっとゆっくりしていけばいいじゃなイカ!」
早苗 「そういうわけにはいかないわ……さよなら、イカちゃん。
もう会うことも無いでしょう」
イカ娘「そんな……あ……あんまりじゃなイカ!!!
せっかく会えたのに!!!!!」
早苗 (泣かないで、イカちゃん……ああ、サナエンヌになんかならなければ良かった……)
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:32:55.66 ID:CiqCzjmP0
早苗 「私のことは忘れてちょうだい」
早苗はしゃがみ込んでイカ娘の頬に優しくキスをしました。
イカ娘「あっ」
早苗 「これでお別れよ」
イカ娘「い、嫌でゲソ! どうして……どうして? 行かないで欲しいでゲソ!!」
早苗は何か言いたそうに口を開きかけましたが、クルリとイカ娘に背を向け
てダッと駆けだしてしまいました。
イカ娘「サナエンヌーーーーーー!!!!」
早苗 (ごめん、ごめんねイカちゃん……)
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:34:08.60 ID:CiqCzjmP0
次の日の朝
海の家 れもん
イカ娘「…………はぁ」
栄子 (イカ娘のやつ元気無いな……昨日、早苗と何かあったのか?)
早苗 「栄子、おはよう」
栄子 「ああ、早苗……あれ? お前、あの帽子は?」
早苗 「あんなもの、もう必要無いわよ」
栄子 「……そうか」
早苗 「私が間違ってた。あんな帽子に頼るなんて……」
栄子 (やっぱ何かあったんだな)
早苗 「でも、おかげで分かったの。私が……私がイカちゃんの心の隙間を
埋めてあげないといけないんだって」
栄子 「はぁ?」
早苗 「これからは、決してイカちゃんに寂しい思いはさせない!
私がイカちゃんを幸せにしてみせるわ!」
栄子 「よくわからんが……どうやら心を入れ替えたみたいだな」
早苗 「そう。私は本当の使命に目覚めたのよ」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:36:03.47 ID:CiqCzjmP0
早苗 「それじゃあさっそく……イカちゃーん!!!! 会いに来たよーーー!!!」
イカ娘「え? 早苗!? う、うわああああ!!!! いきなり抱きつくなでゲソ!!」
栄子 「おい! やってることがいつもと変わらんぞ!」
早苗 「イカちゃん、私がいるからにはもう寂しい思いはさせないわ!!」スリスリスリスリ
イカ娘「や、やめなイカ!!」
ピコピコバシーン!!
早苗 「ぐはぁ! で、でも……イカちゃんの心の痛みに比べれば……
こんなのなんでもないわ!!」スリスリスリスリ
イカ娘「なんかいつもよりしつこいでゲソ!」
早苗 「私……もう離さない! 何があってもイカちゃんのそばにいる!」
ギュ!
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:37:26.09 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「ええい! うっとおしいでゲソ!!!」
そう言ってイカ娘は触手をシュルシュルと早苗の身体に巻きつけ、
ムリヤリ引き離しました。
早苗 「ああっ! ダメっ!! イカちゃんからはもうずっと離れないって
決めたんだから!!」
イカ娘「そんなこと勝手に決めるなでゲソ!! 店の外に放り出してやるでゲソ!」
イカ娘は、触手に力を込めて早苗を持ち上げます。ところが、早苗を放り投げようとした
イカ娘の触手の動きが、途中でピタリと止まりました。
イカ娘(あれ……早苗に触手を絡ませたこの感じ……どこかで……)
イカ娘(な、なぜでゲソ……?)
イカ娘(……)
イカ娘(早苗から凄く優しい気持ちが伝わってくるでゲソ……)
イカ娘「…………」
早苗 「……イカちゃん……?」
栄子 「お、おい……イカ娘……なんでお前泣いてんだよ……」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:38:42.63 ID:CiqCzjmP0 [41/41]
イカ娘「ば、バカ言うなでゲソ! 泣いてなんかいないでゲソ!」
栄子 「でもお前、涙が……」
イカ娘「泣いてないでゲソ!!!!」
イカ娘はゴシゴシと目を擦ると、早苗をそっと床に下ろしました。
早苗 「あっ……」
イカ娘「……」
早苗 「イカちゃん……」
イカ娘「……何でゲソ?」
早苗 「私……私ね、」
イカ娘「うん……」
早苗 「イカちゃんのことだーーーい好き!!!」ムギュウウウウ
イカ娘「うぎゃあああ!!!!!」
栄子 (何やってんだよこいつら……)
おわり
早苗 「はぁあ……」
クラーク「ハーイ、お嬢さん、何かお悩みデスカ?」
早苗 「え? あなたは確か、シンディーさんとこの……」
クラーク「クラークデス」
早苗 「……私に何の用ですか?」
クラーク「オー、そんなに警戒しないでくだサイ。今日はあなたにプレゼントを
持って来たのデス」
早苗 「え……プレゼント?(突然なによこの人……きもちわるい……)」
クラーク「コレデース」
そう言ってクラークが示したのは、研究所から押してきたと思われる台車でした。
台車の上には、精巧に作られたイカ帽子が載せられています。
早苗 「これって……イカちゃんの帽子?」
クラーク「しかも触手付きデス。よくできているデショウ?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:27:51.40 ID:CiqCzjmP0
早苗 「どうしてこんなものを……」
クラーク「ハイ。あなたのことはシンディーから聞いてイマス。
あなたにならこの帽子を気に入ってもらえると思いまして」
早苗 「別にいらないんだけど」
クラーク「えええ!? ど、どうしてデスカ!?」
早苗 「私が興味あるのは本物のイカちゃんだけよ。こんな帽子なんて……」
クラーク「オー、コレはただの帽子ではアリマセン。この触手は高密度人工筋肉で
作られており、脳波コントロールで自在に動かすことが可能なのデス。
ほら、帽子の裏側にたくさんの電極がついているデショウ? これで
脳波を検出して触手に伝えるのデス」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:31:24.98 ID:CiqCzjmP0
早苗 「つまり考えただけで触手を動かせるってこと?」
クラーク「まさにその通りデス。本物と同じ動きが可能デス」
早苗 (え、それって……凄いじゃない! これさえあれば……
イカちゃんと触手プレイができるわ!)
早苗 「……でも何か怪しいわね。何でこんな凄いものを私にくれるわけ?」
クラーク「別に他意があるわけじゃありマセンよ。実はコレ、もともとは我々が
イカ星人と触手コミュニケーションをとることを目的として開発したもの
なのデス。ところが、実際に作ってみると、これは我々には使えない
ことが分かったのデス」
早苗 「使えないって……考えるだけで動かせるんじゃないの?」
クラーク「理屈の上ではそうなのデス。ところが人間の脳というのは、もともと
触手をコントロールするようにはできてイマセン。ですから10本の
触手を自在に動かすのは極めて難しいのデス。我々が試したところ、
1、2本の触手をピクピクと動かすくらいが精一杯デシタ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:33:32.62 ID:CiqCzjmP0
早苗 「なんだ……それじゃあ私がもらっても役に立たないわ」
クラーク「イイエ、そうとも限りません。人間の脳は無限の可能性を秘めてイマス。
それにあなたはまだ若いデスから、脳細胞も柔軟デース。
繰り返し訓練を重ねることにより、触手をコントロールするための
シナプス回路が新たに形成される可能性がありマス」
早苗 「ほんと? それなら、ちょっと試してみてもいいかな……」
クラーク「それではさっそく頭にかぶってみてくだサイ」
クラークはそういうと、台車の上のイカ帽子をウンウンと言いながら持ち上げようとします。
早苗 「そんなに重たいの?」
クラーク「ハ、ハイ。この触手は高密度人工筋肉のカタマリですから……
帽子全体で約50キロありマス」
早苗 「50キロ!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:35:21.39 ID:CiqCzjmP0
栄子 「オレンジジュースお待ちー……ってあんたは3バカの……!」
クラーク「クラークデス」
栄子 「何であんたが早苗と……うわっ! なんだこりゃ!」
早苗 「この人たちがイカちゃんの帽子作ったんだって」
栄子 「どーするんだよ、これ」
クラーク「ハイ、このお嬢さんに差し上げようと思って持って来たのデス」
栄子 「なんでよりによって早苗に……」
早苗 「ねぇクラークさん、早く試させてよ」
クラーク「そのつもりなんですが、持ち上げられなくて……。
すみませんがそちらのお嬢さん、この帽子を一緒に持ってもらえマセンカ?」
栄子 「ハァ? 帽子くらい1人で持てばいいだろ。どれだけ非力なんだよ、まったく……
うわ重っ!! しかもヌメヌメしてて持ちにくいし! 何だこの無駄なリアリティ!?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:37:28.87 ID:CiqCzjmP0
クラーク「帽子の表面は新開発のイカ肌ポリマーでコーティングされていマスからね。
見た目も手触りも本物そっくりでショウ?
イカ星人にだって本物と区別できないハズですよ」
栄子 「また才能と技術力を無駄遣いしたのか……」
クラーク「持ち上げますよ? イッセーノ!」
栄子 「せっ!……くっ……お、おい、こんな重いもん頭に載せて大丈夫か?」
クラーク「だ、大丈夫デース。例えばアフリカの女性は、頭の上に20キロもの
水瓶を載せて平気で歩くことができるのデスよ?」
栄子 「いや、これ20キロ以上あると思うんだが……」
クラーク「50キロデス」
栄子 「50キロ!」
クラーク「い、いいですか? 頭に載せますよ?」
早苗 「うん」
クラーク「いきますよ! ソーレ!」
ドスン!
早苗 「あ、意外と大丈夫」
栄子 「マジかよ……」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:39:26.31 ID:CiqCzjmP0
クラーク「さあ、触手を動かしてみてくだサイ」
早苗 「そんなこと言われても……」
クラーク「深く考える必要はアリマセン。触手が動くところをイメージすればいいのデス」
早苗 「うーん……えいっ!」
ピクッ
栄子 「うわ、動いた!」
クラーク「素晴らしい! 訓練無しでいきなり動かすことができるとは! あなた素質がありますね」
早苗 「そ、そうかしら……」
栄子 「これ、本物みたいにウネウネ動かすことができるようになるのか?」
クラーク「ハイ。訓練次第で可能デス」
栄子 「すげーな」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:41:29.91 ID:CiqCzjmP0
クラーク「それだけではアリマセン。あなた、ちょっと触手を触ってみてクダサイ」
栄子 「え? こうか?」
栄子が触手をツンツンと突付くと、早苗がビクンと飛び上がりました。
早苗 「きゃぁ!」
栄子 「なんだ? どうした!?」
早苗 「な、何今の? 何か触られたような気がしたんだけど……」
クラーク「この触手の表面には、マイクロマシンで構成された無数の触覚センサが
埋め込まれてマス。センサが反応すると、帽子内部の電極アレイによる
磁気ビームフォーミングで脳内の特定箇所に強力な磁場を発生させ、
触覚を司る脳細胞を活性化します。これにより、触手の感触を脳で直に
感じることができるようになってマス」
栄子 「よくわからんが……すげぇ」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:43:12.24 ID:CiqCzjmP0
早苗 「ね、ねぇ栄子……この触手使えるようになったら……
イカちゃんともっと仲良くなれるかしら……?」
栄子 「ああ……なれると思うぜ」
早苗 「私……頑張るわ! ありがとうクラークさん!」
クラーク「いえ、こちらこそ。我々の発明が宇宙人とのコミュニケーションの
役に立つのでしたら、こんなに嬉しいことはありまセン」
早苗 「私、帰ってコレの練習するわ! じゃあね栄子」
栄子 「大丈夫か? 50キロも乗せて……」
早苗 「え? もう全然平気。帽子かぶってるのも忘れちゃうくらい」
栄子 「そ、そうか……気をつけて帰れよ」
早苗 「うん」
栄子 「あいつ……結局オレンジジュース飲まなかったな」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:44:28.11 ID:CiqCzjmP0
3日後
栄子 (あれから3日……早苗は家に閉じこもったままか……)
イカ娘「栄子、最近早苗を見ないでゲソが、何かあったのでゲソ?」
栄子 「ああ、家でやることがあるんだってさ」
イカ娘「そうでゲソか……良い傾向じゃなイカ。こうやって少しずつ私以外のことに
興味を持っていけば、そのうち私のことも諦めてくれるでゲソ」
栄子 (それはどうかな……)
千鶴 「アレックスの散歩にも来ないなんて、よっぽど何かに熱中してるのね」
栄子 「……実は少し心配してるんだ。電話にもメールにも出ないし……」
千鶴 「ちょっと様子を見てきてあげたら?」
栄子 「……ああ、ちょっと早苗んち行ってくる」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:45:37.33 ID:CiqCzjmP0
早苗宅
ピンポーン
インターホン「はーい」
栄子 「こんちわー。早苗の友達の相沢栄子です……早苗か?」
インターホン「あ、栄子? ちょっと待って」
ドアの向うでドタバタと音がしたあと、ドアがガチャリと開きました。
早苗 「どうしたの?」
栄子 「いや、お前が電話にも出ないから心配になってさ」
早苗 「あー、ごめんごめん。ほら、例の帽子に夢中になっちゃってて……」
栄子 「まあそうだろうとは思ってたけど」
早苗 「さあ、あがってあがって」
栄子 「ああ……おじゃましまーす」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:47:10.45 ID:CiqCzjmP0
早苗の部屋
栄子 「で、どうなんだ? 帽子の調子は」
早苗 「ふふふ……見て驚かないでよ」
早苗は床に置いてあったイカ帽子をヒョイと取って頭にかぶりました。
栄子 (50キロの帽子を軽々と……)
早苗 「えいっ!」
帽子をかぶった早苗が気合を入れると、10本の触手がワサワサと動き始めました。
栄子 「おおっ凄ぇ! ちゃんと動くぞ!」
早苗 「これだけじゃないのよ。うーん、それっ!」
早苗が眉間にシワを寄せて何かを念じると、1本の触手がぎこちなく動いて持ち上がり、
ソロソロと栄子の方までのびていきます。
栄子 「へぇ、もうだいぶ自由に動かせるようになってるじゃないか」
栄子はそう言いながら、伸びてきた触手の先っぽを何気なく掴みました。ところが――
早苗 「ひゃ?!」
触手を掴まれると、早苗は悲鳴を上げて身体をビクンと痙攣させ、床にへたりこんでしまいました。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:49:01.69 ID:CiqCzjmP0
栄子 「お、おい、大丈夫か?」
早苗 「う、うん……どうもこの触手の感覚に慣れなくて……ちょっと刺激が強すぎるみたい」
栄子 「そうか……しかしこれでお前もイカ娘の仲間だな」
早苗 「ううん。まだまだ。イカちゃんには遠くおよばないわ」
栄子 「これだけできれば充分だろ。さっそくイカ娘に見せに行こうぜ」
早苗 「何言ってるのよ栄子! イカちゃんと触手プレイするには、もっと思い通りに
動かせるようになってからじゃないと……!」
栄子 「お前、その帽子を何に使うつもりなんだ……」
早苗 「あと2日……あと2日で完璧にマスターしてみせるわ!」
栄子 「そうか……まあ勝手にしてくれ。私はこれで帰るぞ」
早苗 「うん。2日後を楽しみにしてて」
栄子 (心配して損したな……)
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:50:28.87 ID:CiqCzjmP0
2日後の朝 海の家れもん
栄子 (あれから2日経過……早苗のやつはどうなったかな……)
早苗 「栄子ー! おはよー!」
栄子 (おっ、来たな)
栄子 「おはよう早苗、触手の調子はどう……なっ……」
早苗の声がした方を振り向いて、栄子は声を失いました。
そこには10本の触手をウネウネと動かしながら、早苗が得意げに仁王立ちしていたのです。
栄子 「お、お前……随分と派手に触手を動かせるようになったんだな」
早苗 「ふふふ……派手なだけじゃなく繊細に動かすこともできるのよ」
早苗はそう言って触手をワキワキと動かします。
栄子(こいつ……触手を手足のように操れるようになってやがる。ついに人間をやめたか)
早苗 「ふふふふふ……栄子、どう? おどろいた?」
栄子 「あ、ああ、立派な触手さばきだぜ……」
早苗 「これでイカちゃんと念願の触手プレイができるわ」
栄子 「良かったな、夢が叶うぞ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:52:35.85 ID:CiqCzjmP0
千鶴 「あら早苗ちゃん、久しぶり」
早苗 「千鶴さんおはようございます」
千鶴 「まあ、素敵な帽子ね。イカ娘ちゃんとお揃い?」
早苗 「ええ、ペアルックなんです」
千鶴 「よく似合ってるわよ」
早苗 「あ、ありがとうございます!」
栄子 (少しは驚けよ、姉貴……)
早苗 「そうそう、肝心のイカちゃんは?」
栄子 「どっかそのへんにいるはずだが……おかしいな」
早苗 「ああーん! 早くイカちゃんと触手プレイしたい! 触手プレイしたいわ!」
栄子 「お、おちつけ……まわりのお客さんが引いてるだろ……」
早苗 「早くイカちゃんに会わせて!」
栄子 「分かった分かった」
栄子 (こいつ、5日もイカ娘に会って無いからおかしくなったんじゃないか?)
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:53:55.38 ID:CiqCzjmP0
栄子 「おーいイカ娘!! どこだ!? お前にお客さんだぞ」
イカ娘「私に……客?」
厨房の奥で準備をしていたイカ娘は、不審そうにヒョイと顔を覗かせました。
早苗 「イカちゃーーん!!! 触手プレイしよーー!!!!」
イカ娘「!!!!!!!!」
イカ娘は、早苗の姿を見るなり勢い良く駆け寄って、バッと抱きつきました。
早苗 「ああん! イカちゃん!! いきなり激し過ぎよー!!」
イカ娘「同胞ーーー!!! 会えて嬉しいでゲソーー!!!」
早苗 「え? あれ? イカちゃん??」
イカ娘「こんな狭くて薄汚い海の家によく来てくれたでゲソーー!!」
栄子 「おいコラ……狭くて薄汚いだと?」
早苗 「ちょ……栄子? どうなってるの?」
栄子 「あれ、お前知らなかったっけ? こいつ、イカ帽子をかぶってる相手は
無条件で仲間だと認識するみたいなんだ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:55:33.96 ID:CiqCzjmP0
早苗 「ええー!? じゃあ私だと気づいて無いってこと?」
栄子 「みたいだな」
早苗 「そ、そんな……イカちゃん! しっかりして! 私よ!」
イカ娘「ん? お主……私を知ってるのでゲソ?」
早苗 「知ってるも何も……私よ、さな……」
栄子 「おい!」
栄子は慌てて早苗の口を塞ぎました。
早苗 「むぐぐぐ……」
栄子 「いいのか、正体をバラしても。せっかくイカ娘が無警戒で抱きついてるんだぞ?」
早苗 「でも……」
栄子 「同胞のフリして仲良くなればいいだろ?」
早苗 「う、うん……」
イカ娘「何の話してるでゲソ? 正体って何でゲソ? 私に何か隠してるのでゲソ?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:57:45.55 ID:CiqCzjmP0
栄子 「ははは……何言ってんだ。私とこいつは今さっき会ったばかりだぞ?
隠し事も何もあるわけないだろ?」
イカ娘「そうでゲソ? それならいいでゲソ」
栄子 (ふう……この2人に関わってるとこっちまでヒヤヒヤするぜ。)
栄子 (ついでに一肌脱いでやるか……)
栄子 「イカ娘、今日は仕事休んでそいつと一緒に遊んできたらどうだ? なあ姉貴、良いだろ?」
千鶴 「ええ、別にいいわよ(おもしろそうだし)」
イカ娘「ど、どうしたでゲソ? 栄子……今日は随分優しいじゃなイカ」
栄子 「なんだよ、私が優しかったら悪いのか?」
イカ娘「そういうわけじゃないでゲソが……」
栄子 「同胞と会うのは久しぶりなんだろ? 今日だけ特別だよ」
イカ娘「……ありがとうでゲソ」
栄子 「じゃあな、うまくやれよ」
早苗 「栄子……」
早苗 「栄子、ありがとう」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 00:59:32.05 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「それじゃあ改めて自己紹介しようじゃなイカ。私はイカ娘でゲソ!
地上侵略と人類征服のために地上にやってきたのでゲソ!」
早苗 「私は……さな……さな……サナエンヌよ」
イカ娘「サナエンヌ? 変わった名前でゲソね。遠い海から来たのでゲソ?」
早苗 「そ、そうなのー。とっても遠くから」
イカ娘「そうでゲソか。まあこのあたりで同胞は私たち2人だけだから、仲良くしようじゃなイカ」
早苗 「うん」
イカ娘「ところでサナエンヌも人類征服のために地上に来たのでゲソ?」
早苗 「ううん。私は触手プr……そうね、大切な人に会うために、かな」
イカ娘「大切な人? 誰でゲソそれ?」
早苗 「うふふ……内緒」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:01:01.22 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「ふーん……。まあ、積もる話もあるでゲソね。もうちょっとゆっくり出来るところに
行って話そうじゃなイカ。
早苗 「そうね。私もイカちゃんとゆっくりお話ししたいな」
イカ娘「ここは人間が多すぎるでゲソ。こっちに良い場所があるでゲソよ」
イカ娘はそう言うと、早苗の手を取って歩き出しました。
早苗 (あっ……イカちゃんが私の手を……)
イカ娘「お主、この浜辺は初めてじゃなイカ? 途中ちょっとだけ案内してあげるでゲソ」
早苗 「うん、ありがとう」
早苗 (イカちゃん、同胞と会えて楽しそう……普段私といるときはこんな風に楽しんでくれないのに……)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:02:24.70 ID:CiqCzjmP0
イカ娘は早苗の手を引いて海水浴場を横切りながら一通り案内したあと、
人ごみを離れた岩場に早苗を連れて行きました。
イカ娘「ここでゲソ。ここならほとんど人間は来ないでゲソ」
早苗 「わぁ、素敵な岩場ね」
早苗 (れもんの近くにこんなところがあったなんて……)
イカ娘「ほら、ここなんて丁度いいでゲソよ」
イカ娘が指差した先では、岩の一部が上に張り出してちょうど屋根のようになっています。
イカ娘「ここは日差しも避けられるし、雨宿りもできるでゲソ」
イカ娘は岩の屋根の下に入ると、早苗を招き入れました。
そこは思った以上に広々としたスペースで、地面も砂浜になっているので座っても痛くないのです。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:03:47.26 ID:CiqCzjmP0
早苗 「すごーい! ここ、海水浴場からは全然見えないのね」
イカ娘「うむ。最近たまたま見つけた私の秘密の場所でゲソ。岩に遮られてるから
人間どものうるさい声もあんまり聞こえないでゲソよ」
イカ娘は得意そうに言うと、体育座りで地面に座りました。早苗もその隣に
寄り添うようにして腰掛けます。
早苗 (あれ……これってもしかして……イカちゃんと二人きり?)
早苗 (ど、どど、どうしよう……いきなりこんな展開になるなんて……)
早苗 (とにかく会話して間を持たせないと……)
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:05:04.37 ID:CiqCzjmP0
早苗 「普段もよくここに来るの?」
イカ娘は首を横に振って応えます。
イカ娘「普段はれもんで一日中働かされてるから、そんな暇無いでゲソ」
早苗 「そうなんだー。毎日忙しいのね」
イカ娘「うむ……侵略どころじゃないでゲソ」
早苗 「……イカちゃんは……侵略を諦めてないのね」
イカ娘「当たり前でゲソ。そのために地上に出て来たわけでゲソからね」
早苗 「そっか……」
イカ娘「サナエンヌは『大切な人』に会うために地上に来たんだったでゲソね。
その人にはもう会えたのでゲソ?」
早苗 「うん」
イカ娘「そうでゲソか。それなら良かったでゲソね」
早苗 「うん。私、今とっても幸せよ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:07:26.02 ID:CiqCzjmP0
そのころ
海の家 れもん
栄子「……」
千鶴「栄子ちゃん? どうしたの、ボーっとして」
栄子「姉貴……」
千鶴「イカ娘ちゃん達のことが気になる?」
栄子「……なあ、姉貴……私、間違ってたかな……?」
千鶴「あら、何が?」
栄子「だって……あれじゃイカ娘を騙して早苗とくっ付けたみたいじゃないか。
そんなことしたって、イカ娘も早苗も、お互いに傷つくだけじゃないのかな……」
千鶴「……そうかもしれないわね」
栄子「……」
千鶴「でも、今日は早苗ちゃんがイカ娘ちゃんのことを良く知るチャンスになると思うわ」
栄子「ああ……そうだといいな」
栄子(そういえば、イカ帽子を脱いだら死んだことになるって言うの忘れてたな……。
早苗の奴、イカ娘の前で帽子を脱いだりしなければ良いんだが……)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:09:37.28 ID:CiqCzjmP0
先ほどの岩場
イカ娘「サナエンヌは大切な人と一緒なんでゲソね……ちょっとうらやましいでゲソ」
早苗 「イカちゃんにだって大切な人、いるでしょ?」
イカ娘「大切な人は……みんな海の中に残してきたでゲソ」
早苗 「そ、そうなんだ……」
早苗 (どうしてそういうこと言うのイカちゃん……私がいるじゃない……)
イカ娘「うん。だからちょっと寂しいでゲソ」
早苗 「寂しい……? イカちゃんは……寂しいの?」
イカ娘「同胞たちから離れて暮らしてるでゲソからね。そりゃ寂しいでゲソよ」
早苗 「で、でも……」
イカ娘「あ、でも今日はサナエンヌに会えたから寂しくないでゲソ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:11:35.65 ID:CiqCzjmP0
早苗 「でも……イカちゃんのまわりにはたくさんのひと……えっと……
たくさんの人間がいるじゃない。それでも、寂しいの?」
イカ娘「そうでゲソね……栄子たちとは一緒に暮らしてるし、悟郎や渚、早苗だっているし……」
早苗 (そうよ、私がいるわ!)
イカ娘「みんながいるから楽しいでゲソ」
早苗 「じゃあどうして寂しいなんて……」
イカ娘「私は侵略者でゲソからね……」
イカ娘はそういって微笑みます。
早苗 「えっ?」
早苗 (どうして……どうしてそんなに寂しそうに笑うの? イカちゃん……)
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:13:43.48 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「今は仲良くしてても……私はいずれ人類を征服するでゲソ。
そうなったら、もうみんなとは一緒にいられないでゲソ」
早苗 「ど、どうして一緒にいられないの!?」
イカ娘「私は人類を懲らしめるために人類征服を目指してるんでゲソよ?
人類の敵でゲソ。一緒にいられるわけないじゃなイカ」
早苗 「そ、そんなの関係ないじゃない!
人類とか侵略者とか関係無いじゃない!!!!!!」
イカ娘「サナエンヌ……?」
早苗 「イカちゃんはみんなのこと好きじゃないの?
例え人類征服したって、みんなとは今まで通り仲良くしていけば
いいじゃない!!」
イカ娘「わたしだってみんなとずっと一緒にいたいでゲソよ」
早苗 「……イカちゃん……」
イカ娘「でも……私が侵略者になったら、きっとみんなの方が私の事を
嫌いになるでゲソ。私は人類の敵だから……」
早苗 「そんなことない! そんなことないわ!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:15:35.18 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「いいんでゲソよ、サナエンヌ。それくらいの覚悟はできてるでゲソ。
だから今だけは後悔しないようにみんなと楽しくやってるでゲソ」
早苗 「そんな……今だけなんて……」
イカ娘「……」
早苗 「……」
イカ娘「わ、悪かったでゲソね。会ったばかりなのに、こんな話して……。
もっと楽しい話をしようじゃなイカ」
早苗 「イカちゃん……私は……」
早苗 (私はイカちゃんがそんな風に考えてたなんて知らなかった。
私は今まで何一つイカちゃんの力になってなかったんだわ……)
イカ娘「サナエンヌ?」
早苗 「イカちゃん……」
早苗はイカ娘の肩に手をまわすと、グッと抱き寄せました。
イカ娘「あっ……」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:17:00.50 ID:CiqCzjmP0
早苗 「イカちゃん……そんな寂しいこと言わないで……イカちゃんは一人じゃないのよ」
イカ娘「あ、ありがとう……サナエンヌ。やっぱり本当に頼りになるのは同胞でゲソ」
早苗 (違うの、違うのよ、イカちゃん……同胞だからとか、そんなんじゃないの……)
イカ娘「サナエンヌ、今の間だけこうしていても良いでゲソ?」
イカ娘は甘えるように言うと、早苗の肩に身体をもたれかけます。
早苗 「うん」
早苗は頷くと、もう一度強くイカ娘の肩を抱き寄せました。
早苗 (今の私にはこれくらいしかできない……イカちゃん、ごめんね)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:19:37.11 ID:CiqCzjmP0
ところがそうやって2人肩を寄せ合っていると、早苗の触手が一本、本人の意思とは
関係無く動き出したのです。早苗の触手はあっというまにイカ娘の触手にシュルシュルと
絡みついていきます。
早苗 (え? なんで?)
イカ娘「?」
早苗 「ご、ごめんなさいイカちゃん! 触手が勝手に……」
イカ娘「ん……いいでゲソよ。こうやって触手同士で触れ合えるのも、同胞だけでゲソ」
イカ娘は少し照れたように言うと、自分の方からも触手を絡ませます。
早苗 「あっ……!」
触手同士が絡み合う独特の感触が脳に流れ込み、早苗は思わず声を上げてしまいました。
イカ娘「? どうしたでゲソ?」
早苗 「な、なんでもない……」
早苗 (やだ……ちょっと触れ合っただけでこんな……)
早苗 (は、はやく触手を止めないと……!)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:21:12.87 ID:CiqCzjmP0
そのころ、地球外生命体対策調査研究所
ハリス 「ところでクラークくん、あのイカ星人の帽子はどうしたんだい?」
クラーク「ああ、あれなら例の日本人の少女にプレゼントしまマシタよ」
ハリス 「ほう、それは良いことをしたね」
マーティン「え? あの設定のままでですか?」
クラーク「そうデスが……何か問題がありマシタか?」
マーティン「あれは脳波フィルタの帯域をもう少し狭くした方が良いと
思ってたんですが」
ハリス 「いや、あれでも狭すぎるくらいさ。あれより帯域が狭いと、触手の
コントロールに必要な脳波を検出できなくなってしまう」
マーティン「しかし……あまり帯域が広すぎると、無意識の脳波まで検出して
触手が暴走する可能性が……」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:23:35.37 ID:CiqCzjmP0
クラーク「それは大した問題ではアリマセンよ。無意識というのは
顕在意識の何倍も賢いのです。仮に触手が暴走したとしても、
無意識が触手で何か危険なことをするおそれはほとんど無いデショウ」
ハリス 「……とはいえ、無意識の領域に何か危険な願望があったりしたら、
触手が暴走したときに大変なことになるかもしれないね」
マーティン「私が心配しているのはそこですよ。触手で危険な願望……
例えば、触手レイプ願望なんかがあったらどうしますか」
クラーク「マーティン……君ならともかく、あの可憐な日本人の少女に限って
そのような願望を持ってる心配は皆無デスヨ」
ハリス 「そう、無用な心配というやつさ。マーティン君は日本のHENTAIゲームの
やりすぎじゃないかね?」
ハリス・クラーク・マーティン「HAHAHAHAHAHA!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:26:49.50 ID:CiqCzjmP0
先ほどの岩場
早苗は何とか触手を止めようとしましたが、触手は意思に反して
2本、3本と動き出し、次々とイカ娘の触手や身体に絡み付いていきます。
早苗 (今まで勝手に動くことなんて無かったのに……どうして?!
よりによってこんな時に!!)
早苗 (そうだ! 帽子を脱げば触手も止まるはず!)
早苗 (……だ、だめよ! イカちゃんは同胞に会えて喜んでいるんだもの……
今正体をバラしたらイカちゃんを傷つけてしまうわ!)
早苗 (ああああ、どうしたらいいの? このままじゃ……)
イカ娘「……サナエンヌの触手は優しいでゲソね……」
早苗 「え? 優しい?」
イカ娘「うん。私にはわかるでゲソよ。優しい触手でゲソ」
イカ娘は嬉しそうに言って、自分の触手を早苗の触手に絡ませていきます。
早苗 「あっ……!」
イカ娘「こうしてると、サナエンヌの気持ちが伝わってくるでゲソ」
早苗 (私にもイカちゃんの気持ちが伝わってくる……
イカちゃん、サナエンヌのことをこんなに信頼してるんだ……
初めて会ったばかりなのに……)
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:29:58.32 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「不思議でゲソ。サナエンヌとは初めて会った気がしないでゲソ」
早苗 「そう?」
イカ娘「何かいつもそばにいたような……そんな気がするでゲソ」
早苗 (そうよ。私はいつもイカちゃんのそばにいるわ)
イカ娘「……サナエンヌはいつまで地上にいるんでゲソ?」
早苗 「私? 私は……」
イカ娘「もし良かったら、ずっと地上にいてくれなイカ?」
早苗 「ずっと?」
イカ娘「同胞が近くにいてくれると、私も心強いでゲソ」
イカ娘は期待のこもった眼で早苗を見ます。
早苗 (それは……ダメよイカちゃん。サナエンヌなんて本当は存在しないんだもの)
イカ娘「……? どうしたでゲソ?」
早苗 「……ごめんなさい。私、もうイカちゃんと一緒にいられないの」
イカ娘「ええ? どうして……」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:31:37.88 ID:CiqCzjmP0
早苗 「私、そろそろ消えるね」
早苗はそう言ってスッと立ち上がりました。
触手の暴走はいつの間にかすっかり止まっています。
イカ娘「消えるって……もう帰ってしまうのでゲソ?
もうちょっとゆっくりしていけばいいじゃなイカ!」
早苗 「そういうわけにはいかないわ……さよなら、イカちゃん。
もう会うことも無いでしょう」
イカ娘「そんな……あ……あんまりじゃなイカ!!!
せっかく会えたのに!!!!!」
早苗 (泣かないで、イカちゃん……ああ、サナエンヌになんかならなければ良かった……)
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:32:55.66 ID:CiqCzjmP0
早苗 「私のことは忘れてちょうだい」
早苗はしゃがみ込んでイカ娘の頬に優しくキスをしました。
イカ娘「あっ」
早苗 「これでお別れよ」
イカ娘「い、嫌でゲソ! どうして……どうして? 行かないで欲しいでゲソ!!」
早苗は何か言いたそうに口を開きかけましたが、クルリとイカ娘に背を向け
てダッと駆けだしてしまいました。
イカ娘「サナエンヌーーーーーー!!!!」
早苗 (ごめん、ごめんねイカちゃん……)
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:34:08.60 ID:CiqCzjmP0
次の日の朝
海の家 れもん
イカ娘「…………はぁ」
栄子 (イカ娘のやつ元気無いな……昨日、早苗と何かあったのか?)
早苗 「栄子、おはよう」
栄子 「ああ、早苗……あれ? お前、あの帽子は?」
早苗 「あんなもの、もう必要無いわよ」
栄子 「……そうか」
早苗 「私が間違ってた。あんな帽子に頼るなんて……」
栄子 (やっぱ何かあったんだな)
早苗 「でも、おかげで分かったの。私が……私がイカちゃんの心の隙間を
埋めてあげないといけないんだって」
栄子 「はぁ?」
早苗 「これからは、決してイカちゃんに寂しい思いはさせない!
私がイカちゃんを幸せにしてみせるわ!」
栄子 「よくわからんが……どうやら心を入れ替えたみたいだな」
早苗 「そう。私は本当の使命に目覚めたのよ」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:36:03.47 ID:CiqCzjmP0
早苗 「それじゃあさっそく……イカちゃーん!!!! 会いに来たよーーー!!!」
イカ娘「え? 早苗!? う、うわああああ!!!! いきなり抱きつくなでゲソ!!」
栄子 「おい! やってることがいつもと変わらんぞ!」
早苗 「イカちゃん、私がいるからにはもう寂しい思いはさせないわ!!」スリスリスリスリ
イカ娘「や、やめなイカ!!」
ピコピコバシーン!!
早苗 「ぐはぁ! で、でも……イカちゃんの心の痛みに比べれば……
こんなのなんでもないわ!!」スリスリスリスリ
イカ娘「なんかいつもよりしつこいでゲソ!」
早苗 「私……もう離さない! 何があってもイカちゃんのそばにいる!」
ギュ!
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:37:26.09 ID:CiqCzjmP0
イカ娘「ええい! うっとおしいでゲソ!!!」
そう言ってイカ娘は触手をシュルシュルと早苗の身体に巻きつけ、
ムリヤリ引き離しました。
早苗 「ああっ! ダメっ!! イカちゃんからはもうずっと離れないって
決めたんだから!!」
イカ娘「そんなこと勝手に決めるなでゲソ!! 店の外に放り出してやるでゲソ!」
イカ娘は、触手に力を込めて早苗を持ち上げます。ところが、早苗を放り投げようとした
イカ娘の触手の動きが、途中でピタリと止まりました。
イカ娘(あれ……早苗に触手を絡ませたこの感じ……どこかで……)
イカ娘(な、なぜでゲソ……?)
イカ娘(……)
イカ娘(早苗から凄く優しい気持ちが伝わってくるでゲソ……)
イカ娘「…………」
早苗 「……イカちゃん……?」
栄子 「お、おい……イカ娘……なんでお前泣いてんだよ……」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 01:38:42.63 ID:CiqCzjmP0 [41/41]
イカ娘「ば、バカ言うなでゲソ! 泣いてなんかいないでゲソ!」
栄子 「でもお前、涙が……」
イカ娘「泣いてないでゲソ!!!!」
イカ娘はゴシゴシと目を擦ると、早苗をそっと床に下ろしました。
早苗 「あっ……」
イカ娘「……」
早苗 「イカちゃん……」
イカ娘「……何でゲソ?」
早苗 「私……私ね、」
イカ娘「うん……」
早苗 「イカちゃんのことだーーーい好き!!!」ムギュウウウウ
イカ娘「うぎゃあああ!!!!!」
栄子 (何やってんだよこいつら……)
おわり
<<唯「ウミガメのスープ?」 | ホーム | 五条「ククク・・・ここが軽音部ですか」>>
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イイ話じゃなイカ
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