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唯「ほかほかごはんにたくあんのせて」-2

唯「ほかほかごはんにたくあんのせて」
続きです

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:25:11.86 ID:+lXCkZkA0 [13/88]
澪「や、やめっ!」ガバッ

澪「…あれ?」

澪「ここ…私の部屋…」

澪「あ…私、勉強しながら寝ちゃって…」

澪「…夢かよ///」

澪「な、なんていう夢を…私なんか溜まってるのかな…」

ヴィーン ヴィーン

澪「!」ビクン!

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:27:31.20 ID:+lXCkZkA0 [14/88]
澪「電話……。り、律から!?」

澪「…もしもし」

律『お~、澪~。何してたんだ?』

澪「別に…ずっと勉強だよ…」

律『私の方はさ~。ずっとムギと遊んでたんだよ』

澪「…な…ん…だ…と…?」

律『駄菓子屋とかゲーセンとか連れてってやったらさ~、すっごく喜んじゃってさ!』

律『楽しかったぜ~。ムギのやつ、唯より天然かもしれないぜ!』

澪「…」

律『…ん? 澪? ごめん、勉強の邪魔しちゃったか?』

澪「なん…で…」

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:30:29.37 ID:+lXCkZkA0 [15/88]
澪「なんで私も誘ってくれなかったんだよ!!」

澪「私もムギと! ムギと一緒に……!」

律『は? いやいや、朝誘ったじゃんか…』

澪「…あ」

律『おいおい…』

澪「…ごめん律…なんでもない…」

律『…………澪~』

澪「なに?」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:32:50.25 ID:+lXCkZkA0 [16/88]
律『おまえさ、ムギのことどう思う?』

澪「え…!?」

律『アイツさ…すごくいい娘だよな。今時いるのかってくらい素直で感動屋だし』

澪「な、何を言ってるんだ…律?」

律『澪もそう思わないか?』

澪「お、思うよ! 律よりもずっと! ずぅ~っと! 思ってる!!」

律『お、おお…そっかそっか…』

澪「なんだよっ…なんなんだよ急にっ!」

律『いや…私今日ムギに…』

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:35:11.70 ID:+lXCkZkA0 [17/88]
律『…ううん、悪い。なんでもない』

澪「なんだよ! はっきり言えよ!!」

律『さ、さっきから何怒ってるんだよぉ~…』

澪「…は! い、いや…ごめん……勉強しててカリカリしててさ…はは」

律『そっか、悪かったな。じゃあ取り合えず切るわ』

澪「ごめん…律…」

律『まあ気にすんな! じゃあな~』プチ

澪「うん…」

澪(…)

澪(もう…認めるしかないのかな)

澪(きっとムギと律はお互いを……)

……………………………
…………………
………

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:39:11.09 ID:+lXCkZkA0 [18/88]
ぶかつ後!

唯「ふう~。もお疲れたよぉ~…あいすぅ~~」

梓「今日は珍しく唯先輩頑張ってましたね!」

澪「そうだな…じゃあ、帰ろっか」

律「…」

紬「…」

スタスタスタ…

唯「あずにゃ~ん、お腹すいたよ~」ギュッ

梓「ひゃぁ! …だから抱きつかないでくださいよぉ~…」

… …

澪「…」チラリ

澪(なんだろう…律とムギ…急に大人しくなって)

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:41:51.94 ID:+lXCkZkA0 [19/88]
律「…」

紬「…」

律「う!」

律「あいたたた…お腹いたいな~…」

澪「! おい、大丈夫か…?」

律「わ、私ちょっとトイレ寄ってから帰るわ」

律「みんなは先帰ってて!」ダッ

澪「おいおい…」

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 01:44:03.37 ID:+lXCkZkA0 [20/88]
唯「りっちゃん、人がアイス食べようと思ってるのになんてお下品な!」

梓「別にいいじゃあないですか…カレーよりマシですよ…」

唯「! あずにゃん、今日の晩御飯カレーなんだ!」

梓「!! うぅ~…」

紬「…あ、あの~、私も実は…」

唯「ムギちゃん家もカレー!!?」

紬「そ、そうじゃあなくて、トイレ行ってくる! 先帰っててね!」ダッ

澪「あ…!」

唯「ムギちゃん家はカレーじゃあないけど、ムギちゃんもカレーなんだ…」

梓「ややこしい言い方しないでくださいよ…」

澪(な、なんだよ…アイツら……)

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:00:53.96 ID:+lXCkZkA0 [21/88]
澪(今思えばなんか2人ともウソ臭かったな…)

澪(ま、まさか今頃2人で!!)

澪「…!」

澪「わ、悪い! 私もカレー…じゃあなくて! トイレ!!」

梓「み、澪先輩まで!」ガーン

唯「あずにゃん…晩御飯ウチ来る…?」

梓「そうしようかな…」

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:03:11.21 ID:+lXCkZkA0 [22/88]
澪「くっ…はぁはぁ」ダッ

澪「…なんでもっと早く気付かなかったんだっ…!」

澪「どこだ! 2人ともどこに…」

澪「!!」

澪「部室の明かりがついてる…!」

澪「…」ソォ~

澪「いる…確かに部屋の中に2人とも…」

澪「声きこえる……。 何を話してるんだ…?」


>>198
>>166あたりから。わかりづらくてすいません

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:07:15.01 ID:+lXCkZkA0 [23/88]
律「メール見たよ…こないだ言ってたアレ…本気だったんだな…」

紬「うん…」

律「冗談か…違う意味かと思ってたよ…まさかムギが…」

紬「冗談なんかじゃあないの…本当に…好き…なの」

澪「!!」

澪(やっぱりか…そうなんだ…)

澪(わかってはいたつもりだけど…今、完全に現実を突きつけられた…)

澪「…」グスン

律「そうか…ムギの気持ちはわかったよ…」

紬「りっちゃん…私、どうしたらいいか本当にわからないの」

紬「もう…どんどんキモチが抑えられなくなって…」

澪(私の出る幕はもう無いな…これ以上聞いても仕方ない…帰ろう……)

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:12:05.38 ID:+lXCkZkA0 [24/88]
律「ごめんムギ…私にはどうしてやることも出来ないよ」

澪(…な!?)

紬「いいの…こっちこそごめん…ただ聞いて欲しかっただけなの…」

律「冷たいと思われるかもしれないけど、はっきり言うよ…」

律「ムギがどうするか…ムギ自身の問題だよ…」

紬「そう…よね…」

澪(り、律のヤツっ……! ムギとキスまで済ませといてっ、なんて無責任なことを!!)

ドア「バターン!」

律紬「!!」

澪「ふざけるなっ! 律!!」

律「澪…?」

紬「み、澪ちゃん!!?」

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:16:24.20 ID:+lXCkZkA0 [25/88]
澪「ムギはなぁ! 本気で悩んでたんだよ!! 本気でお前を…!」

澪「それをっ……! なんだよ弄ぶだけ弄んどいて! 他人事みたいにっ!!」

律「おいおい…澪? どうしたんだよ急に…」

紬「えっと…澪ちゃん…落ち着いて…」アセアセ

澪「何こんなヤツ庇ってるんだよムギ!」

澪「私なら…私なら絶対にムギに冷たくなんてしないっ…何よりも大切にするのに…!!」

紬「!!」

律「…」

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:19:41.11 ID:+lXCkZkA0 [26/88]
律「ふ…ふはは」

澪「何が可笑しいッ!!?」

律「ふふ…丁度良いじゃんムギ!」

紬「…!」

律「そんじゃ、私帰るわー。トイレにでも寄ってからな」クス

澪「ふ、ふざけるなッ!! 律!!!」ガシッ

律「…」

澪「勝手な真似ばっかり!! 何とか言えよ!!」

律「ナントカ」

澪「お前~~っ!!」

律「…アタマを冷やせ」

澪「…なっ!」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:23:26.54 ID:+lXCkZkA0 [27/88]
律「さっき言った言葉を忘れるな」

澪「何を偉そうに!」

律「ムギの言葉をしっかりと聞けよ…」

紬「…りっちゃん」

律「じゃあな、ムギ。あとはお前自身の問題だ…」

澪「またッ!! お前は……!!」

紬「澪ちゃん!!!」

澪「!!」ビク!


紬「すぅ~~~……」

紬「…………ふぅ…」

澪「…?」

紬「……ありがとう、りっちゃん。やっぱりりっちゃんに話して正解だったわ」ニコッ

律「はは…私は何もしてないって」スタスタ

ドア「ガチャン」

澪「………! くっ…」

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:28:34.72 ID:+lXCkZkA0 [28/88]
澪「ムギ…」

紬「澪ちゃん……」

紬「聞いて? 澪ちゃんに告白したいことがあるの」

澪「いいよ…今更私が聞いたって…」

紬「…お願い……」

澪「そっか…いつだか言ってたな……秘密は私にも話さなければ気が済まないのか?」

澪「……ムギは誰にでも平等で優しいから」

紬「平等…」

紬「そうね…私…出来る限りみんなと仲良くしたいから…出来る限り平等に接してきたわ…」

澪「わかってるよ…」

紬「でも、好きな人にはどうしても…他の娘たちと同じになんて…出来なかった」

澪「…律のことか」

紬「??……違うわ」

澪「!? え!!」

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:31:14.06 ID:+lXCkZkA0 [29/88]
紬「大好きな人には、どうしてもイチゴの大きいケーキをあげちゃう…」

紬「大好きな人には、少しでも多く、私の淹れたお茶を飲んで欲しい…」

紬「大好きな人が、大好物のガトーショコラを食べてる…その顔を見るのが何よりの幸せ…」

澪「む、ムギ…?」

紬「ふふ…みんなに内緒にしてたつもりだったけど、随分前に唯ちゃんだけにはバレてたね…」


紬「私…ずっと澪ちゃんを見てた」

紬「出会ったときから澪ちゃんが好き」

澪「…え」

澪「そんな…」ジワッ

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:34:35.79 ID:+lXCkZkA0 [30/88]
澪(ムギも私と同じキモチだったなんて…)

澪(でも…だったら…なんで)

澪「…律を気にしてたのは…何なんだよ…」

澪「私が覆いかぶさったとき…律に見られて慌ててた」

澪「律ばっかり見てたり、ポッキーゲームのあと律にあやまってた」

紬「…だって、澪ちゃんの好きな人はりっちゃんでしょ?」

澪「…へ? な、なんだって!?」

澪(そんなわけないだろ! 私だってムギが…)

紬「だから…私…りっちゃんの前で…誤解されちゃうようなことばかりしてたから…」

紬「申し訳ないなぁ、って…」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:38:02.90 ID:+lXCkZkA0 [31/88]
―――「ち、違うの!!、違うのよりっちゃん! 本当に違うの!」

―――「りっちゃん、いないわよね?」

―――「ごめんなさい…りっちゃん」

澪「………。あれは…全部、私と律に気を使ってたのか…」

澪(ムギ…自分のことよりも私たちのことを…)

澪「あ! …でも、律と2人だけで出かけたり、今日だって律と2人きりで…!」

紬「うん…きっと澪ちゃんとりっちゃんは好き合ってると思ったから…まずはりっちゃんに私の気持ちを打ち明けてみたの」

紬「澪ちゃんのこと…相談に乗ってもらってたの…」

澪「そうなんだ……」

澪(私はバカだ…ただ嫉妬したり、自分の事しか考えてないし…ムギはこんなにも優しいのに)


澪(でも…腑に落ちない)

澪(ムギは、私が律のことを好きだって思い込んでる?)

澪(それなら、何故このタイミングで告白を?)

澪(なんか…焦ってるみたいだ)

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 02:41:37.62 ID:+lXCkZkA0 [32/88]
紬「話ズレてきちゃったけど…」

紬「もう全部スッキリさせたいから、続けるね?」

澪「な、何を…」

紬「あと二つ。澪ちゃんに大きな隠し事があるの」

澪「!!」

澪「キ、キスのことだな!」

澪「そうだよ! ムギはあのとき『好きな人の口にキスした』って言ったよな!?」

澪「誰なんだよ! 一体何がウソで何が本当なんだよっ…!」

紬「…ウソなんてついてないわ…」

澪「…え? だって、私はムギとなんてした覚えは…」

澪「…あ」

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:01:46.15 ID:+lXCkZkA0 [33/88]
紬「…ごめんなさ…本当にごめんなさい…」ブルブル

紬「私一度……部室で寝ていた澪ちゃんに……勝手に…」グスン

澪「…!!」

澪「そう…だったのか…」

紬「ごめ…なさ……ごめん…なさい…」ポロポロ

澪(なんだよ、そんなことで……私は未遂だけど…ほとんどおあいこだし///)

澪(ていうか、起きてるときにやってくれよ…勿体無い…)ガクリ


澪(いやいや! そうじゃあない!)

澪(寝ていた私に…キ、キス!?)

澪(いくらなんでも強引すぎる…ムギらしくない…?)

澪(まぁ、私が言うのもなんだけど///)


>>186ありがとうー

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:05:31.24 ID:+lXCkZkA0 [34/88]
澪「…ムギ」

紬「…許されるわけ…ないよね」グスングスン

澪「私は別に怒ってないよ、ムギ」

澪「ただ気になるんだ。どうしてムギがそんな強引な行動に…?」

澪「理由が知りたいだけ…」

紬「…」

紬「…初めては、どうしても澪ちゃんが良かったから……」

澪「!? ど、どういうこと…?」


紬「私が自分の欲望に忠実な人間ってことよ…」

澪「ウソだよ…私はムギがどんなに他人想いかを知ってるぞ!」

紬「私は澪ちゃんが思ってるほど立派な人間じゃあないよ?」

紬「貪欲で…我慢が足りなくて…心の奥では贔屓ばかり…」

澪「そんな…ムギはいい子だよ…そんなフウに自分を言うなよ…」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:09:14.93 ID:+lXCkZkA0 [35/88]
紬「じゃあ…私が…澪ちゃん見ながら、いつも何考えていたかわかる…?」

澪「…え?」

紬「…私は澪ちゃんの全てが欲しいの」

紬「その真っ黒でサラサラな髪も…ちょっとつり上がった目も…」

紬「スタイルの良いカラダも…白くてキレイな脚も…」

紬「誰よりも真面目で頑張り屋の性格も…怖がりで繊細な心も…」

紬「全部…全部…」

澪「ムギぃ…」グスン

澪(そんなの私だって…同じだ…ムギの全て…手に入れられたらって、ずっと…)

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:12:03.29 ID:+lXCkZkA0 [36/88]
澪「…なら、最後の秘密ってなんだよ……」

澪「全部それだろ!? キスも告白も! それが引き金なんだろ!?」

紬「…」

澪「話して」

紬「…」

澪「聞くから」

紬「…」

澪「ムギの全てを受け止めるから!」

紬「私…」

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:14:36.82 ID:+lXCkZkA0 [37/88]
紬「……ねぇ、澪ちゃん? 『みんなで同じ大学行こう』って言ってくれたよね」

澪「…あ、ああ?」

紬「嬉しかったよ。澪ちゃんなんて推薦蹴ってまで、私の志望校に合わせてくれた」

澪「それくらい大したことじゃあない…(それだって、正直下心半分だ……)」

紬「幸せだった…その日のうちに死んじゃおうかって、思った」

澪「死…!? ム、ムギ!!?」ドキリ

紬「ごめんね澪ちゃん、実は私…みんなと大学へは行けない」

澪「―――!」

紬「みんなと…澪ちゃんと、もうお別れなの」

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:18:10.96 ID:+lXCkZkA0 [38/88]
澪「な なにを―――」

澪(何を言ってるんだ? ワケがわからない)

紬「私ね、もうすぐ結婚することになったの」

澪(ケッコン?)

紬「最後の秘密――私には将来を誓い合った殿方がいるの」

澪(イイナズケってヤツか? ハハ、サスガおじょうサマ)

紬「まだ、直接顔も合わせたこと無いんだけどね…」クス…

澪(あったコトもないようなヤツと…?)

紬「本当は…大学卒業まで待ってもらう予定だったんだけど…」

紬「急にその人がね、来年から会社のロサンゼルス支社を任せられることになってね」

紬「だから、結婚を早めて、一緒に向こうで暮らすことになったの」

澪(ハハ…ロスどすか…。なんか急にハナシがブットビすぎてて…)

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:21:39.39 ID:+lXCkZkA0 [39/88]
澪(ていうか何の話だっけ?これ)

澪(ムギが好きな人は秋山澪さん、ムギは会ったこともない男と結婚して海外へ、律は…どうでもいいか)

澪(アタマがおかしくなりそうだ…最初はただムギと律がイチャつくのを止めにきただけなのに)

紬「ふぅ……これでお終い」

紬「じゃあね、澪ちゃん」

紬「…って、お別れを言うのはちょっぴり早いわね」クスッ

紬「…りっちゃんとお幸せにね」

澪「…!!」

紬「…実はりっちゃんにも聞いちゃったんだ。『澪ちゃんのこと好き?』って」

紬「りっちゃん…『澪はただの親友だ』って言ってたけど…うふふ」

紬「本当はまんざらでも無さそうだったよ?」

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:25:07.62 ID:+lXCkZkA0 [40/88]
澪(違う…! 私が好きなのはムギなのに……)

澪(て、ていうか、何でそれを言わないんだ私!?)

澪「む、むぎ…」

紬「なあに、澪ちゃん?」

澪(言え! 早く言ってしまえ!!)

澪「私も……私の好きな人も……」ゴニョゴニョ

紬「うん?」

澪「む…」

澪(いや!!)

澪(言ってどうなる…ムギの運命を変えられるのか? 私が?)

澪(相手の男はきっと会社ぐるみの付き合い…海外…支社長…)

澪(言ったら…ますます無念なだけだ……ムギをより悲しませるだけ…)

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:27:24.04 ID:+lXCkZkA0 [41/88]
澪「む…無理せず…頑張れよ…」

紬「………うん、ありがと」

澪「あ、あとさー、ムギは一つ誤解してるよ」

紬「え?」

澪「私にとっても律はただの親友だよ」

澪「れ、恋愛感情なんてあるわけないさ、ははは」

紬「…そう」

澪「うん、そう」

紬「…うらやましいな」

……………………………
…………………
………

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:31:59.27 ID:+lXCkZkA0 [42/88]
澪(それから…ムギはさらっとロスへ旅立つ日を告げた)

澪(それは丁度、私たちのN女子大の合格発表日の次の日)

澪(卒業すら待たせてくれない、ムギの家と相手の男を心底憎んだ)

澪(そして…ムギはみんなにもお別れの話しをし、みんなは想い想いの感情を露にした)

澪(唯は泣いてばっかりだし、梓は泣きながら怒ってた)

澪(律はこういうときは人一倍大人びていた)

澪(私も…出来る限り泣かないようにした)

澪(ムギを不安にさせたくないから…笑顔で見送りたいから)

澪(そんな私に…まず訪れたのは…この世で最も見たくなかったもの…)

澪(ムギの結婚式)

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:48:40.86 ID:+lXCkZkA0 [43/88]
澪(有り得ないほど盛大なパーティ)

澪(見たこともない程たくさんの人間と豪華な演出…全てがおぞましく見えた)

澪(そして…)

澪(皆の前で、ムギが相手の男とキスをした)

澪(私の心は例えようのないドス黒い気持ちでいっぱいだった)

澪(ムギは…これを恐れていたんだ…)

澪(これが怖くて怖くて…助けを求めるかのように…部室で寝ていた私にキスを…)

澪(幸せそうな会場が、私には地獄にしか見えなかった)

澪(でも当然、欠席するわけにも、途中で逃げるわけにもいかなかった)

澪(キスのあと、ムギが私を見た気がした)

澪(私は目を逸らした)


澪(ちなみに…)

澪(その後のブーケトスの場が…さわ子先生無双となったのは言うまでもない)

……………………………
…………………
………

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:50:25.78 ID:+lXCkZkA0 [44/88]
N女子大合格発表日!!

唯「うっわぁ~~い!!」

澪「う、受かってる…!」

律「私たち『全員』!!」

澪「…バ、律!!」

紬「…」

律「…あ」

紬「え、え? どうしたの? みんなおめでとう~~!」パチパチ

律「お、おお! サンキュームギ!!」

唯「ムギちゃん~! 勉強教えてくれてありがとう~~!!」ダキッ

紬「あらあら、うふふ」

澪「…」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:53:56.35 ID:+lXCkZkA0 [45/88]
澪「ごめんな…ムギ。明日旅立つっていうのに発表につき合わせちゃって…」

紬「いいのよ~。それに今日までは私だって軽音部の一員だよ? 仲間ハズレだけは絶対にイヤだもん!」

澪「…」

唯「…」

律「…」

紬「あ、あれ…? 今のは『合格してないから結局仲間ハズレじゃん』ていう冗談のつもりだったんだけど~…」テヘ

律「…笑えねーよ」

紬「あら///」

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 03:55:36.73 ID:+lXCkZkA0 [46/88]
斉藤「お嬢様…そろそろお時間の方が」

紬「あ…。じゃあね、私そろそろ行かなきゃ…」

澪「あ、ムギ…」

唯「ムギちゃん、明日は見送り行くからね!」

紬「いいのよ…無理しなくて」

律「まあ、空港までは難しいけど…家の前までは行くからさ?」

紬「ありがとう…。じゃあ、みんな、本当におめでとう」ニコッ

澪「あ…う……」

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 04:00:54.99 ID:+lXCkZkA0 [47/88]
唯「はぁ…明日でお別れかぁ~」グスン

澪「うん……」ボー

律「…」

律「いいのか? 澪」

澪「は?」

律「『は』じゃねーよ」ポカッ

澪「痛…」

澪「別にどうしようもないだろ」

律「…ま、そうだけどさ」

澪「…」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 08:50:41.40 ID:+lXCkZkA0 [50/88]
ぶしつ!!

唯「あ~ず~にゃぁ~~~ん!」ノシ

梓「あ! 先輩たち! おめでとうございます!!」

さわ子「みんな合格おめでどぉ~~~~」ウルウル

澪(? 泣くほど嬉しいのかこの人は…??)

律「いや~、まったくよく受かったよな~。はっはっは」

ワイワイ… ギャーギャー…

澪「――ん? なんだここに置いてある封筒は」

梓「あ、それムギ先輩が朝来て置いていったんですよ」

澪「え!?」

梓「みんなが揃ったら開けてみて、って」

澪「…!」ビリビリバリーン

278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 08:53:33.20 ID:+lXCkZkA0 [51/88]
澪「こ、これは…?」

梓「楽譜…ですね」

唯「あれ~? ここに手紙も入ってるよ!」スッ

律「ムギからか! 読んでくれ唯!」

唯「うん! なになに…えーと」

唯「『軽音部のみんな、さわ子先生、おはようございます。琴武器紬です』」

唯「『この手紙をみんなが読んでいるということは、既に私は日本にいないのでしょうね』」

澪「いや、まだいるし!」

梓「なぜここでミステリーチックに…」

律「っていうか、どっちにしても笑えねーってばよ…」

唯「『もう何ヶ月も前だけど、実は澪ちゃんから素敵な素敵な歌詞を頂いていて、みんなには内緒にしてたのです』」

澪「あ…(いつぞやのラブレター…じゃん…///)」

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 08:56:20.86 ID:+lXCkZkA0 [52/88]
唯「『時間が掛かってしまったけれど、やっとその歌詞に合う曲ができました』」

唯「『本当はもう少し早く作って、皆の前で披露して驚かせようと思ったんだけど…』」

唯「『とにかく私の想いが詰まった全力の曲です!』」

唯「『演奏してくれたら幸いです。でわ、みなさんごきげんよう』」

澪「ムギ…」

梓「ムギ先輩…」

唯「う、う~ん…ぴーえす…? 続きがあるよ!」

律「お、なんだなんだ~」

唯「『P.S. 澪ちゃん、遅くなって本当にごめんね』」

280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 08:59:34.73 ID:+lXCkZkA0 [53/88]
唯「『そして、もらった歌詞に曲名が無かったので、勝手につけちゃいました』」

唯「『タイトルは…』」

唯「『ほかほかごはんにたくあんのせて』」

唯「『じゃあね、澪ちゃん。愛してます』」

唯「…ええ!?」バッ

梓「!」バッ

澪「///」

律「…」フッ

……………………………
…………………
………

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:02:12.83 ID:+lXCkZkA0 [54/88]
つぎのひ!!

さわ子「さようなら…ムギちゃん…まさか教え子に先を越されるとは…」ガックリ

紬「お、お世話になりました~…さわ子先生もお幸せに…」

唯「ムギちゃ~~ん! 絶対に絶対に遊びに行くからね!」ウワーン

紬「ありがとう唯ちゃん…私も日本に来たときには絶対にみんなに会いにいくから…」

梓「また…一緒にギター練習してくださいね…」グスン

紬「うん! 次に会うときには梓ちゃんに負けないくらい弾けるようになるわ!」

律「ムギ…なんか上手なこと言えないけど…お前がいたから楽しい軽音部だったよ」

紬「ふふ…こっちのセリフよ…。りっちゃんが部長だから、私たちの軽音部があったのよ?」

澪「ムギ…」

紬「澪ちゃん…」

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:06:26.28 ID:+lXCkZkA0 [55/88]
澪(最期だってのに…なんで私は気の利いたこと言えないんだっ……)

澪(本当に不器用な自分に腹が立つ…)

紬「…」

澪「ム、ムギぃ……」

澪(だ、だからあ~! もう私なんてハゲてしまえ!!)

斉藤「お嬢様…そろそろ…」ガチャリ

紬「…! う、うん…」

紬「…」チラリ

澪「ム!」

澪「…むぎゅぅ……」

澪(あぁぁああ~~! もう私なんて死んでしまえ!!)グスン

紬「じゃあね…みんな。またね!!」

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:10:22.44 ID:+lXCkZkA0 [56/88]
ブロロロロロ…

梓「行っちゃいましたね…」

唯「うん…ムギちゃんのお茶おいしかったな~」

澪「…」ズーン…

律「…」

律「おい」ポカッ

澪「いたっ」

律「いいのかよ」

澪「だからっ! どうしようもないだろっ!!」ボカッ

律「いでっ!!

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:13:23.38 ID:+lXCkZkA0 [57/88]
律「こ、の、…ヘタレが!!」ボカッ

澪「ふげ!?…うるさいバカ律!」ゴチン!

律「~~~…!! この意気地無し野郎がっ!!」バチン!

梓「え……? ちょ」

さわ子「こ、こらこらどうしたの?」

澪「野郎じゃないだろ!!」ボカッ

律「そ、そこっ!?」

梓「や、やめてくださいよ先輩たち!」

澪「ふんむ~~~!」グイィィ

律「へも~~!」グイグイ

さわ子「ちょ、ちょっと離れなさい、あなたたち!」グイー

梓「あ~もう、どうしたんですか急に!? ゆ、唯先輩! 見てないで止めましょうよっ!」

唯「………ほぇ?」

梓「もうちょっと関心もってください!」ガビーン

286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:19:37.87 ID:+lXCkZkA0 [58/88]
律「悔しくないのかよっ! 澪!!」バシン!

澪「……~~~! 悔しいよ!!」ボカッ

澪「どうせヘタレだよっ!!」ドゴッ

澪「意気地なんてもの、私の何処にもないよ!!」ゲシッ

律「いた、た、ちょ、ちょっとタンマ!」

澪「私だってこんな自分大嫌いだ! 私なんて馬に蹴られて死んでしまえ!!」ゲシゲシッ!

律「いたいいたい、蹴られてるのは私だってば」

さわ子「み、澪ちゃんやりすぎよ!」ガシッ

澪「うぅ~~~…」

澪「ムギが好ぎだよ~~~! でぼ、どうじだらい゛い゛が~~~!」ウワーン

律「……やっと本音が出たか…」

288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:24:23.37 ID:+lXCkZkA0 [59/88]
律「どうしたらいいかなんて、もう決まってるだろ!」

澪「何がだよ~~!! ひっく、ひっく…」

律「今の本音を直接ムギに言ってやれ!」

澪「そんなこと…そんなこと出来るか!」

澪「ムギは…ムギは私のこと好きって言ってくれたんだ!」

澪「自分の運命を知ってたのに、どうしようもないのに…言ってくれたんだっ…」

澪「これ以上ムギを苦しめられるか!!」

律「だからだってば! ムギはそれでも、告白したんだろ!?」

律「どうしようも出来ないのは今のおまえも一緒だろ!? だったらせめて気持ちを伝えてやれよ!!」

律「ムギが…澪を好きだったってことを無意味にさせるな!!」

澪「……っ!」

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:28:40.80 ID:+lXCkZkA0 [60/88]
律「逆の立場だったらどうだよ…」

律「ムギが気を使って告白しなかったら、お前はなんて思うんだ!?」

澪「…」

律「どっちが…苦しいと思う…」

澪「…言ってほしい……」

澪「たとえ、どうしようもなくても……好きって言ってほしい」

律「はぁ~~~……やっとわかったか。まったくめんどくさかったぜ…」

澪「でも…私、どうすれば…」

律「ああ、もう!! どうすればいいとか、どうしようもないとか!」

律「考えてるヒマあったら! 行動あるのみだ!!」

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 09:32:12.51 ID:+lXCkZkA0 [61/88]
澪「で、でも…もう空港向かっちゃったし…」

律「知るか! さわちゃん!!」

さわ子「は、ハイ!?」

律「車を出せ!! 150km/hで行くぞ!!」

さわ子「何言ってるのよ…私の車見ればわかるでしょ? 無理に決まってるじゃない…」

律「いいから~…メガネをはずせ!!」パッ

さわ子「ちょ、あ…」

さわ子「…」

澪「せ、先生…?」

さわ子「ククク…てめぇら!乗りやがれ! 200km/hで飛ばすぜ!!」

澪「」

梓「そ、そんなキャラ設定だったっけ…?」

さわ子「イニシャルSと呼ばれたこの私をナメるんじゃあねぇ!!」

梓「ひぃぃ! メガネくらいかけて運転してくださいよ!」

ドギュゥゥゥン!!

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:30:09.69 ID:+lXCkZkA0 [63/88]

ブオォォォン!

澪「ムギ…頼む…間に合ってくれっ…」

梓「国際線は2時間前に空港に行くのが一般的なので…たぶん平気だと思います」

律「なんだ…」ホッ

梓「ただ…荷物預け入れが早く終わってしまって、手荷物検査に行ってしまってたら、そこはもう私たちは入れません…」

澪「!!」

律「マジかよ…さ、さわちゃん!」

さわ子「わかってるぜ! だけど…こう中途半端に道が混んでるとな…」

さわ子「ち、もうめんどくせぇ! おまえら掴まってろよぉ~~!!」

ギュイィィン! キキキ…! ギュワァァァン!

律「うおお…車と車の間を縫うように…!」

梓「危ないので、良い子は絶対に真似しちゃダメですぅ…」

308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:33:37.75 ID:+lXCkZkA0 [64/88]
唯「狭いよぉ…あずにゃ~ん」ギュゥギュゥ

梓「だからなんで私に抱きつくんですか…うう、しかたないですけど…」


律「…?」

澪「…」ブルブル

律「…どうしたんだ澪?」

澪「…なんか勢いで来ちゃったけど、やっぱり…何て言ったらいいかわからないよ…」

澪「私、口下手だし気の利いたセリフも言えないし…すぐ噛むし…」

律「また…おまえってやつはここまで来といて…」

澪「…うぅ…はわわわ…」

律「いいんだよ! 格好良いセリフなんてものは!」

律「今はどんな手段でもいいから、キモチを伝えることが最重要…だろ?」

澪「キモチを伝える…か」

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:36:56.52 ID:+lXCkZkA0 [65/88]
唯「あ! 空港だ~~!」

律「よっしゃ! 止めろ! さわちゃん!!」

キキキィーーー!

律「あとは私たちの出番だ! いっくぜ~~」バッ

唯「うん! たん!」バッ

梓「ここまできたら…やってやるです!」バッ

澪「先生…ありがとうございましたっ!」ペコリ

さわ子「ククク…礼には及ばねぇよ…派手に逝ってきな!」

澪「…はい」バタン

ダッダッダッダッ…

さわ子「ふぅ…」

ピーポーピーポー…

さわ子「んん!? …何の音か…」スチャ

さわ子「…聞こえない…わね……」

さわ子「…」

312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:40:42.72 ID:+lXCkZkA0 [66/88]
ザワザワ…ザワ…

唯「うわぁ~~、人だらけだよぉ…」

律「…くっ…どこだ!? ムギーーー!」

唯「ムギちゃ~~ん!」

梓「ムギせんぱぁ~~い!!」

澪「ムギ…ムギ……」

律「お、おい澪! やる気あるのかよ! もっと声出せよ!!」

澪「だ、だって……ハズカシィ……」

律「あああ! もう! 意気地なしヘタレ野郎がぁぁぁああ!!」

唯「ど、どこにもいないよぉ…」

梓「もう荷物検査の方に進んじゃったんですかね…」

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:43:10.44 ID:+lXCkZkA0 [67/88]
男「紬さん…結婚式後はゴタゴタしてあまり一緒にいられなかったけど、ロスに着いたらずっと一緒ですね」ニコリ

紬「は、はい…」

男「…不安、ですか?」

紬「い、いえ! ちょっと日本が名残惜しいだけです…」

男「名残惜しい…か。もしかして前の彼氏のことでも思い出しているのかな?」

紬「いえ…! そんな人…いません」

男「ははっ。冗談ですよ。あなたみたいな素朴で純情そうな人がまさか」

男「僕とするまでキスすら知らなかったでしょう、あなたは」ニヤリ

紬「…っ!」

男「…冗談ですってば。かえって怒らせてしまったかな? ハハ」

紬「…いえ……」

斉藤「………」

314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:48:25.31 ID:+lXCkZkA0 [68/88]
SP「…」ジー…

紬「…はぁ」

紬(なんか、息苦しい…)

紬(澪ちゃん…みんな…会いたいよ)

紬(あんなに居心地のいい場所…なかった…)

紬(ずっとみんなで楽しくいたかった…)

唯「うんたん♪ うんたん♪」

紬(そう…うんたん♪って…)

紬(って、えぇぇ!?)

紬「」バッ

紬(下のフロア…み、みんないる!!?)

315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:51:15.85 ID:+lXCkZkA0 [69/88]
澪「う、うん…たん……うんた…ん…」カン…カン…

唯「澪ちゃん! もっと楽しそうに大きな声で! うんたん♪ うんたん♪」パン!パン!

梓「な、何が始まったんですかね…」

律「さっぱりだ」

唯「ほら! もっと声出さないとムギちゃんに会えないよ!」

澪「う、うん、たん! うんっ…!たんっ……!」カン!カン!

梓「?? おまじない??? …何の根拠があって……」

律「信じる澪も澪だ…」

梓「いや、もう焦りと諦めの境地なのでは…」

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:54:19.99 ID:+lXCkZkA0 [70/88]
男「な、なんだあの下品な集団は…」

紬「…みんな……」

男「ん?」

紬「みんなぁああああーーーー!!」

男「つ、紬さん…?」ビク

唯澪律梓「!!?」バッ


唯「あ! ほらほら! ね、ね!?」

律「マジかよ、恐るべし…」

梓「上のフロアにいたんですね!」

澪「…」

澪「…ムギ」

澪「むぎぃぃぃいいいいいいーーーーー!!!」

317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:56:51.36 ID:+lXCkZkA0 [71/88]
紬「!」

澪「…いま、行くから!!」

律「よし! やれ澪!」

唯「うん、たん、だよ!!」

梓「澪先輩! 頑張ってください!」

澪「ありがとう…みんな!」

澪「…」クルッ

ダッダッダッ

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 12:59:24.70 ID:+lXCkZkA0 [72/88]
澪「………ッ」ダッダッ…

紬「みおちゃん…澪ちゃん…!」タタタッ…

澪「はぁっ…はぁっ……」

紬「……来て…くれたんだ…」

澪「っ……ムギ……!」ガシッ

紬「どうした…の…?///」ドキドキ

澪「…っ!!」グイ

…チュッ!

紬「…むぐ!? …………!!?」

斉藤「!!?」

男「!!?」

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 13:02:15.11 ID:+lXCkZkA0 [73/88]
男「な、な、何が起きてるんだ…?」

澪「………っ」チュクチュク

紬「………ん………ちゅ…」トロ~ン

男「お、おい! 何してるんだSP! あの女の子を離せ!!」

SP「は、は!!」

澪「んまっ…んむっ…」チュクチュク

紬「…んふ……んんっ……」チュルチュル

320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 13:04:13.85 ID:+lXCkZkA0 [74/88]
SP「お、おい! キミ!! 離れろ!!」グイイー

澪「…んぐ~~!!」チュッチュッ

紬「……ん…ん…」チュプチュプ

SP「離れなさい!!」バッ!

澪「…ぷはぁッ!!」ドタッ

紬「んはぁ!! …はぁ、…はぁ……///」

男「…な…なんなんだキミは!! 何のつもりなんだ!?」

紬「はぁ…はぁ…みおちゃん…///」

男「お、おい…紬さん…?」

澪「……~~~~!!!」ギロリ

322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 13:11:21.00 ID:+lXCkZkA0 [75/88]
澪「ムギが好き!!」

紬「!!」

澪「好き!!!」

男「早く…早くッ! この変態女をここから追い出せェェエエエッ!!」

SP「は、はい!!」

SP「ほら、キミぃ!!」ガシッ ズルズル

澪「ム、ムギは私のだ!!」ジタバタ

紬「みお…ちゃん……」ジワッ

澪「ずっとずっと見てたぁーーッ!!」

SP「…(なんなんだコイツ…)」ズルズル

澪「毎日! 毎日毎日! ムギのことばっかり考えてたぁーーッ!!」

紬「―――っ!」グスン

324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 13:14:33.30 ID:+lXCkZkA0 [76/88]
SP「……ふんっ」ズルズル

澪「好……だ…ッ………」

SP「ぬぉぉおお!」ズルズル

澪「………ァー…」

ズルズル……ズル……

………………


男「ふぅ…ったく! やっと消えたか」

…\スキダァーーーッ!/………

男「」ビク!

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 13:20:53.21 ID:+lXCkZkA0 [77/88]
男「くっ…オイそこの! 斉藤とかいったな! 二度とあの女を紬に近づけるな!!」

斉藤「は、はい…かしこまりました…」

紬「み…お…ちゃ゛……」ポロポロ


男「さ、さあ行こう、紬さん…ぼ、僕は何も気にしてないよ…はは…あはは…」

紬「…」

紬「……ありがとう、みんな」

紬「……さよなら、大好きな澪ちゃん…!」ニコッ


おしまい

364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:34:34.04 ID:+lXCkZkA0 [80/88]


澪(ムギと別れてから少し経ったころか)

澪(またしても意地を張っていた私は、またしても律に殴られて、ケータイに海外対応サービスを追加した)

澪(でも、もう遅かった)

澪(メールも電話も繋がらない)

澪(もう…ムギが世界の何処にいるのかもわからない)

澪(ムギの声を聞くことも、もうないかのもしれない)

澪(…どんどん時間だけが過ぎていった)

澪(私たちは大学へ入学した)

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:36:39.18 ID:+lXCkZkA0 [81/88]
唯「なんか大学って難しいよね~。たんいとか良くわからないよ~~」

律「確かになぁ。高校のときはただ黙って同じ教室に座ってるだけだったしな」

澪「律が黙って座ってたことなんてないだろ」

律「そういう意味じゃあないっつーの」

唯「うぅ…次の授業の教室どこだったっけ?? もう頭がいっぱいだよぉ…憂~~」

律「一人暮らし始めたとはいえ、唯は相変わらずだな…」

ピッピッピ プルルルル…

唯「もしもし憂? 今休み時間~~?? 次の授業どこだったっけ?」

澪「うぉおおい!!」ビシッ

憂『教養棟307号室だよ、お姉ちゃん』

律「うぉおおい!!」バシッ

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:39:24.27 ID:+lXCkZkA0 [82/88]
澪「私もなんだかんだで一人暮らしは不安だなぁ…寂しいし」

律「そうか~? 私は気楽で気に入ってるぜ。聡もいないし」

澪「…確かに律って生活力ありそうだしな」

唯「うふふ~これから毎日、憂が時間割をメールしてくれるって~~」

澪「いい加減にしろ!」ビシィッ!

律「よく今まで高校生活やってこれたな…ってレベルだな……」

澪(…)

澪(高校生活か…)

―――「うふふ、唯ちゃんらしいわね」

澪(なんか…変わらないな…私たちは…)

―――「それじゃあ、お茶にしましょ?」

澪(何も変わらない…な……)

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:42:31.66 ID:+lXCkZkA0 [83/88]
律「なーなー、もうすぐゴールデンウィークだけどさ、どうするー?」

唯「どっか行きたいね~」

澪(そっか…もうそんな時期か…)

澪(もう…2ヶ月もムギに会ってない…)

律「本当だったら、ムギのとこにでも遊びに行きたいんだけどな…」

唯「…うん、お金ないしね……」

律「つーか、そもそも住所聞いてないし連絡とれないし…」

澪(ムギのトコか…ムギに会いたいなぁ…)

律「おい! 澪! みーおー! おまえはどこ行きたいんだ?」

澪「え? あ、ああ…私は…」

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:46:35.07 ID:+lXCkZkA0 [84/88]
澪「私は実家に帰るよ。マ…お母さんとお父さんに会いたいし」

律「…いいのかよ」

澪「何が」

律「しらばっくれるなよ」

澪「…どうしようもないだろ」

律「またそれかよ~!」

律「…まぁ、実際今回ばっかしはお手上げだけどさ」

唯「! そうだ!! みんなでロサンゼルスの真ん中でうんたんすればいいんだよ!」

律「却下」

唯「ぶー…。空港のときはそれで見つかったのに…」

澪「空港と広さのレベルが違うぞ」

律「…私もおとなしく実家に帰るか。聡からかいたくなってきたし」

澪「うん、帰ろう…」

369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:50:13.27 ID:+lXCkZkA0 [85/88]
……………………………
…………………
………

澪「…ただいま」

澪「…この町は変わらないな……」

澪「…って、まだここ離れて1ヶ月だから、当たり前か///」

澪「駅のホーム…河原の道…」

澪「なんか、何処に行っても、みんなといた記憶しかないな…」

澪「ノスタルジィってやつを感じる…」フッ

澪「…って、だからまだここ離れて1ヶ月だっての」

澪「どうしようかな…取り合えず桜高でも行ってみようかな」

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:54:43.84 ID:+lXCkZkA0 [86/88]
澪「…うわぁ、学校なつかしいなぁ~」

澪「つい、この間まで制服着て、ここに通ってたんだよなぁ…」

澪「律と…唯と……ムギと…」

澪「…」

澪「…?」

澪「キレイなブロンド髪の女の人が、校庭に立ってる…」

澪「見覚えあるなんてレベルじゃあない…」

澪「あれはまるで…」

澪「ムギ………なのか…?」

ブロンド女性「…」チラッ

374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:57:12.51 ID:+lXCkZkA0 [87/88]
澪「!」

紬「澪ちゃん…」

澪「ああ、ムギだ…ムギが見える…」

紬「うふふ」

澪「良い夢だ……」

紬「夢じゃないよ?」

澪「…げん…じつ…?」

375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/21(日) 23:59:08.30 ID:+lXCkZkA0 [88/88]
紬「日本だと連休中だし、もしかしたらって思って」

澪「すごい…偶然だ…夢みたいだ」

紬「夢じゃないし…偶然じゃない…」

紬「運命だよ」

澪「運命…」

紬「澪ちゃん」クルリ

紬「ちょっと大人っぽくなったね?」

澪「そ、そうかな…」

澪「そういうムギの方こそ…ちょっと…」

澪「ちょっと……」

澪(ん? 太った?)

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:02:18.21 ID:ghYhLS8V0 [1/22]
紬「澪ちゃん…気付いちゃった?///」サッ

澪「え! い、いやいやいや、それはアメリカじゃあ食も違うしな! し、仕方ないよ!!」

澪「そ、それにどんな体形だって私はムギのことを…」

紬「え? 違うよ~…澪ちゃん…」

澪「え?」

紬「実は私、妊娠したの~~」

澪「ニンシン?」

紬「私もとうとうお母さんになるの~」

澪「ヘー、ソリャ、メデタイ」

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:04:26.95 ID:ghYhLS8V0 [2/22]
澪「けけけk結婚して、にににに二ヶ月だろ!!?」

澪「早すぎる!そんなバカな…!」

紬「だってあの人…毎晩元気なんだもの…」ポッ

澪「う、ウソだ…そんなぁ…そん…」ウルウル

紬「ウソじゃあないわ」

澪「夢だ夢だ夢だ…」ブンブン

紬「夢じゃないよ」ズン

澪「ひぃぃぃ~~!!」

紬「現実よ」ズン

澪「はわわわわ~~」ブルブル

紬「これが…私たちの運命よ」ズーン

澪「や、やめろぉぉぉおおおお!」


ID変わりましたが>>1です

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:07:13.09 ID:ghYhLS8V0 [3/22]
澪「ひえええ!」ガバッ

澪「はぁ…はぁ……あれ?」

澪「…って、やっぱり夢だよっ!」

澪ママ「澪ちゃ~ん、どうかした~~?」

澪「」ビク!

澪(あ、そっか…私今ゴールデンウィークで実家に帰ってるんだった…)

澪ママ「起きたの~~? ごはん用意しようか~?」

澪「あ、うん!お願いママ」

澪(はぁ…実家まで来てなんていう夢を…)

澪「っていうか、もう昼過ぎだ……」

382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:10:33.21 ID:ghYhLS8V0 [4/22]
澪「いってきま~す」

澪ママ「あら、どこ行くの?」

澪「うん、その辺ぷらぷらしてくる」

澪ママ「気をつけてね」

澪「うん」

澪(………)

澪(どこ、行こうかな?)

澪(河原通って、アーケード街いって…)

澪(そんで最後に桜高も行きたいな…色んな意味で…)

……………………………
…………………
………

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:15:30.63 ID:ghYhLS8V0 [5/22]
がっこう!!

澪「…うわぁ、学校なつかしいなぁ~」

澪「つい、この間まで制服着て、ここに通ってたんだよなぁ…」

澪「律と…唯と……ムギと…」

澪(ムギ…)キョロキョロ

澪(いるわけ…ないか…)


澪(…)トボトボ

澪(ムギ…もう会えないのかな、私たち)

澪(どうしてっ…どうしてだよ…)

澪(こんなに好きなのに……好きって言ってもらえたのに…)

澪「…会い…たいよ…」グスン

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:19:15.75 ID:ghYhLS8V0 [6/22]
―――「運命だよ」

澪「これが運命なのか…?」

澪「ムギに会えるならなんだってするぞっ…」

澪「ロスのど真ん中でうんたんだってするからっ…」

澪「神様お願い! 一度だけの奇跡をください…」

澪「本当に一度でいい…妊娠しててもいいから……」グスン

澪「…」

澪「…なんてな」

澪「もう……認めるしかないな」

澪(私は――もうムギには会えない)

391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:22:16.68 ID:ghYhLS8V0 [7/22]
澪「…」トボトボ

澪「あ、MAXバーガー…」

澪「ここで…よく皆と食べたなぁ…」

澪「…ムギが…バイトしてた……ここで…」

澪「…!」グゥゥ~

澪「お腹…減ったな///」

澪「入るか…」グスン

グイーン

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:26:15.55 ID:ghYhLS8V0 [8/22]
紬「いらっしゃいませ~」ペコリ

澪「」ズコーッ!

紬「あら、澪ちゃん」

澪「くぁw背drftgyつむぎlp;@:「」」

紬「み、澪ちゃん…だよね……??」


紬「あ、私今日は6時あがりだから、良かったら待っててくれない?」

澪「・ソ譁・ュ怜喧縺代→縺ッ縲∵悽譚・陦ィ遉コ縺輔l繧九∋縺肴枚蟄励」

紬「ありがと~、もうすぐだからね」

澪「ュフ佻 シtヌセクtヌXチ 」

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:29:09.05 ID:ghYhLS8V0 [9/22]
澪「ごめん…私混乱しすぎてよくわからないから…順を追って頼むぞ…?」

紬「わかったわ~。そうね…あのあと澪ちゃんたちと空港で別れてから…」

澪「うんうん」

紬「私、離婚したの」

澪「順を追ってぇぇえええーーーーッ!!??」

紬「これもいわゆる成田離婚ていうのかな?」

澪「え…あのあと本当に直ぐ……?」

紬「うん…一度は本当に諦めてロスに行こうとしたんだけど…」

紬「あの人、あまりに澪ちゃんとのことしつこく聞いてくるから」

紬「私、本当は男の人になんて興味は無いのよ、って言って、ついでに引っ叩いて来ちゃった」クス

澪「」

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:32:41.35 ID:ghYhLS8V0 [10/22]
紬「それで…あの人も向こうの家もカンカンで…」

紬「…それでお父様ともケンカして、勘当みたいにされちゃって…」

澪「え…?」

紬「家も追い出されて…お金もほとんどないまま…」

澪「ム、ムギ…」

紬「そしてアルバイトでなんとか生活してるの……ここ、店長も先輩も知り合いだから特別に入れてもらって」

澪「に、二ヶ月以上も……? 家は!? どこに住んでるの!?」

紬「公園と…3日に一回くらいマンガ喫茶に…」

澪「そ、そんな…」ウルウル

紬「私、一度マンガ喫茶で生活してみたかった…の~~……」

399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:35:37.26 ID:ghYhLS8V0 [11/22]
紬「でもね、駅前のマンガ喫茶って凄いのよ! 一晩で980円だし、シャワーもあるの!」

澪「い、いや、そんな情報はいいから…」

紬「価格破壊ってこういうことね」フムフム

澪「違うと思う…」

紬「…」

澪「あ、その、ムギ…ごめん…! ……私のせいで……」

紬「そうよ…」

澪「…え?」

紬「全部澪ちゃんのせいよ!!」

澪「うぅ…」ガーン

紬「私がこんなに辛い想いしてるのも全部…全部!」

紬「この年でバツイチ…家なき子……上野公園のハトの方が私よりご飯食べてる……」

澪「あ…ああ……」ガクブル

401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:38:37.16 ID:ghYhLS8V0 [12/22]
紬「おまけに最近ムダ毛処理も出来てないのも、水虫になっちゃったのも、澪ちゃんが悪いんだから!」

澪「ごめんムギ…ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」

紬「………みおちゃん」

澪「ひ、ひぃぃ…」ブルブル

紬「そこは…『そろそろ私関係ないだろ! ポカッ!』ってするところじゃないのぉ……」

澪「」

紬「澪ちゃんに叩かれるいいチャンスだと思ったんだけどなぁ…」ガッカリ

澪「? ……」

澪(ボケのつもりだったのか…。ていうか、まだ…そんな願望あったのか…)

402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:41:50.55 ID:ghYhLS8V0 [13/22]
澪「はぁ…でも、少しでも元気そうで良かったよ」

紬「ご、ごめんね…澪ちゃんがそこまで思いつめるなんて思わなかったから…調子に乗ってみました~」

澪「…ちょ、調子にのるなっ」ポカッ

紬「…いたっ」

澪「あ、ごめ、ちょっと強すぎた……かな?」

紬「……えへ、…」ジワッ

紬「うふふ……ふふ……ひっぐ……」グスングスン

澪「む、ムギぃ~…!?」オロオロ

紬「うわぁ~~ん! ひっく! ぇぐ……」ポロポロ

澪「ちょ、ちょっとムギ! ごめんてば……」アセアセ

405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:44:18.61 ID:ghYhLS8V0 [14/22]
紬「…違うの! 澪ちゃんに会えたの! 叩かれたの! 嬉しいの!! うぇ~~ん…」

澪「ムギ…」

紬「もう…私の人生何もないと思ってた…ひっく…でも、今日はいったい何の日なの~~…? こんなに急に幸せが訪れて~……」

紬「すごく…凄く、会いたかったの~……ひぐ…」

澪「なんだよ…それなら、この町にいたなら私たちに連絡してくれれば良かったのに…」

紬「それは…」

紬「…さすがに…みんなに顔向けできないっておもってたから……」

紬「さっき再会したときだって…、本当は不安で足…震えてた…」

紬「こんなにみすぼらしくなった私を見て…澪ちゃん目も合わせてくれないんじゃあないかって…」

澪「そんなわけないだろ…」

406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 00:48:05.54 ID:ghYhLS8V0 [15/22]
澪「く、空港で、わ私が言ったこと忘れたのかよ!!」

紬「!」

澪「家がなくても、お金がなくても、水虫でも…人の気持ちなんてそう簡単に変わるものじゃあないだろ!」

紬「澪ちゃん……」

澪「…ムギだって…そうだろ?」

紬「…」

澪「む、ムギ!?」

紬「…忘れちゃった~…」

澪「な、何が?」

紬「空港で、澪ちゃんが何て言ったか忘れちゃったの~!」

澪「」ガーン

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 01:02:17.05 ID:ghYhLS8V0 [16/22]
紬「だから…もう一回、言って?」

澪「あ! む、ムギおまえ!!」

紬「ぷりーず、りぴーとあげいん♪」

澪「も、もう! また叩くぞ!」

紬「叩いて、澪ちゃん」ニコッ

澪「…はぁ…ムギには敵わないよ…」

紬「うふふ」

澪「ふふ…」

410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 01:06:07.19 ID:ghYhLS8V0 [17/22]
澪「ムギ…これからどうするんだ?」

紬「うん…お金ためて、なんとか家見つけて…もう少しアルバイト増やして……」

澪「…その」

澪「……私さ、今N女子大のそばにアパート借りてるんだ」

紬「うん?」

澪「大家さん…凄いいい人でさ。きっと事情話せば…わかってくれるかも…」

紬「…え~と??」

澪「…だ、だからぁ……。よよ良かったら、そ、その…一緒に…どうかな」

紬「!!」

澪「8畳ワンルームだから…ちょっと2人では狭すぎるかもしれないけど…」

澪「そ、それに近くには唯も律も住んでるし……だから…その///」

紬「…いいの?」

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 01:12:33.85 ID:ghYhLS8V0 [18/22]
澪「! も、もちろん」

紬「…でも、悪いわ」

澪「~~っ!」

澪「わ、わかった! もうはっきり言うよ! お願いだ! 一緒に住んでくれ!」

澪「もう…ムギと離れたくないんだ!」

澪「…もうあんな想いはしたくないから……」

紬「…ありがとう」


紬「私いっぱい働いて澪ちゃんを養ってあげるね!」

澪「い、いやそこまではいいし…」

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 01:18:54.17 ID:ghYhLS8V0 [19/22]
紬「……ねぇ。澪ちゃん」

澪「ん?」

紬「空港で私たち、大勢の前で長い長いキスしたよね」

澪「なななな何だよっ、急に!」

紬「…思い返すと恥ずかしかった、よね///」

澪「うぅ…確かに……///」

紬「これからは人目を気にせず、好きなだけ出来るね」ニコッ

澪「…」

澪「…ママに電話しとかなきゃ」ボソッ

紬「うん?」

澪「…ううん、こっちの話」

澪「…それじゃあ早く帰ろっか。私のアパートに…」

416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 01:23:22.10 ID:ghYhLS8V0 [20/22]
……………………………
…………………
………

律「はぁ…ゴールデンウィーク終わっちまったなぁ…早くも鬱だ…」

唯「私…授業の課題…全部わすれてたよぉ~」

律「ハァ…」

唯「ハァ…」

澪「…」ニコニコ

律「…な~んか澪、機嫌よさそうだなあ…」

唯「澪ちゃ~ん…課題…写させて~……」

澪「ふふ、しょうがないな~唯は」

律「ぬ? 本当に怪しい…」

418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 01:26:51.19 ID:ghYhLS8V0 [21/22]
澪「そうだ、唯、律。今日授業終わったら、ウチに来てくれないか?」

唯「いいとも~」

律「おお、澪から誘うのって珍しいな。いつも私たちが押しかける形なのに」

澪「…みんなに会わせたい人がいるんだ」

律「む~、彼氏か? お母さんは許さないザマスよ!」

澪「何のキャラだよ…」

唯「ね、ね? 誰だれ~??」

澪「私の…私たちの最愛の人」


本当におしまい

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/22(月) 01:27:36.83 ID:ghYhLS8V0 [22/22]
お付き合いいただきありがとうございました
色々勉強になりました。精進します

コメント

ええ話や

ええはなしや。マジで

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