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和「チェケラッチョイ!」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/19(金) 21:54:45.02 ID:shWr4o660 [1/6]
「こんにちは、お昼の生徒会放送です」
和の声が校内に響く、昼休みの学校。
唯は教室でお昼ご飯を食べながら、和の声に耳を傾けていた。
「やっぱり和ちゃんの声はいいね~はむっ」
「あ、唯ちゃん、口の周り付いてるわ...はい」
律と澪が苦笑する。
「ムギちゃんありがと~」
「あんまり甘やかすなよ」
唯は和のいつもクールで知的な声を、とても嬉しそうに聞いている。
『和ちゃん、今日もかっこいいな~!』
スピーカーからは和の声が流れ続けていた。
「繁華街は危険が一杯です。騒いだり、危ないところには近寄らないようにしましょう」

帰って来た和に唯が声をかける。
「和ちゃん~お疲れさま!はい卵焼き」
「ありがと」
唯の差し出した卵焼きを食べる和。
「和ちゃん今日一緒に帰ろ!」
「ごめんね唯、今日は寄るところがあるの」
「そっか~。生徒会のお仕事?」
「まあ、そんなところね」
済まなそうにする和に、唯は笑って言った。
「じゃ、また今度ね!」
「そうね...あ、もう授業始まるわよ」
「ホントだ...次なんだっけ?」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/19(金) 21:55:25.32 ID:shWr4o660 [2/6]
★☆★

夕方、下校時間になって、唯達は部室から教室に帰って来た。
「おっかしーな...」
「律、忘れ物見つかったか?」
「えーっと...あ、これだ」
「よかった~見つかって」
律の忘れ物を探しに戻って来ていた4人。部活で一緒だった梓もそこに加わっている。
「先輩方、忘れ物も見つかったことだし、そろそろ帰りましょうか」
「そだね~」
5人が出口へ向かいかけると、唯の隣の席の姫子が帰って来た。
「あ、姫ちゃん!おつかれ~」
「唯もお疲れ!あ、そうだ」
「何?」
訝しがる5人に、姫子は自分の机の中から一枚のパンフレットを出した。
「よかったら、これ皆で一緒に行かない?」
「クラブ?」
「そ。DJの流す音楽に合わせて、皆で踊るの」


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/19(金) 21:56:13.21 ID:shWr4o660
クラブの場所は、昔5人が年越しライブやデスデビルのライブで使った、あのライブハウスだった。
「行ってみない?なんか楽しそうだよ!」
乗り気な唯。律がつぶやく。
「確かに、バンド以外のライブハウスって見たこと無いよな...」
「でも危なくないかそういうとこって。昼の放送でも和が言ってたぞ」
不安がる澪。それに対して姫子が微笑む。
「大丈夫よ、私も付いてるから」
「行ってみようよ澪ちゃん」
「そうですね、クラブって少し興味があります」
「皆が言うなら...じゃあ行ってみよう」
紬と梓の後押しもあって、5人は姫子と共にライブハウスへ行くことになった。



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/19(金) 21:57:18.38 ID:shWr4o660
★☆★

ライブハウスへ着き、6人が扉を開けると、
バンドがやるときとは明らかに違う種類の熱気に包まれた。
「おー、すごい...」
「でしょ?」
律がつぶやき、姫子が微笑んだ。
激しく点滅し色を変える照明の下、ステージの上にはDJがいて、
テンポよくレコードをミキシングしている。
二十歳ぐらいの女性だろうか、黄緑色のキャップをかぶり、赤いサングラスをかけている。
「えと、立花さん...」
「あはは、姫子でいいよ」
「じゃ、じゃあ...姫子、これは何のジャンルの音楽?」
澪が尋ねる。
「これはね、トランスって言う音楽。クラブミュージックの一つよ」
「トランスか...へえ~」
「聞いてると、気持ちよくなってくでしょ」
「確かに...」
楽しそうに音を聴く澪。
「姫子はこういうところよく来るのか?」
「うん、時々ね」
紬や梓はもうノリノリで、他の聴衆と同じように体を揺らしている。


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/19(金) 21:57:58.78 ID:shWr4o660
「うまいね...」
姫子がつぶやいた。律が姫子に聞く。
「あの人上手いのか?」
「うん。あの人の曲は初めて聞くけど、私が今まで聞いた中で一番上手い」
「確かに、曲のセンスいいよな」
「ミキシングやイコイライザの技術もすごく高いし...」
感心する二人。DJは手拍子で客達を煽りながら、黙々と曲をミックスしていく。
ライブハウスのボルテージは最高潮に達していた。
ところが唯だけはどこか釈然としない顔で、ステージ上のDJを見つめていた。
「どうしたんですか、唯先輩?」
「私、どっかであの人にあった気がする...」
「先輩、DJの知り合いでもいるんですか?」
「いないんだけど...うーん」
考え込む唯。そんな中、音楽はクライマックスを迎えた。
今まで無言でミキシングして来たDJが、頭に付けていたヘッドホンを外して大声で叫ぶ。
「サンキュ!」
聴衆が歓声を上げる。姫子や律や澪、紬や梓も大きな拍手を送った。
しかし、DJのその声を聞いた唯はびっくりして、呆然としてしまった。
この声は。普段とは全然違うけど、小さい頃からずっと側で聞いて来た、この声は。
「和ちゃん!?」
周りが一斉に振り向く。その反応が見えたのか、DJが唯の方を向き、目を見開いた。
「唯!?みんな!?どうして!?」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/19(金) 21:58:40.94 ID:shWr4o660 [6/6]
★☆★
誰にも内緒でDJをしているのがバレた和は、
当然学校からきつく絞られ、学校外でのDJ活動を禁止された。
それから一ヶ月―

「Hi! お昼の放送をDJ NODOKAがお送りしています」
昼休みの学校に和の声が響く。
クラブDJを辞める代わりに、校内放送のラジオDJを始めたのだ。
「和ちゃん、楽しそうだね」
軽音部の部室。唯が仲間達に話しかける
「今までの和とは全然違うな」
「意外だな...」
「こんなノリノリだとは思わなかったわ」
「私もです...」
律、澪、紬、梓がそれぞれつぶやく。
「さて、今週のお便りです。今週は...」
『前のクールな和ちゃんもいいけど、今の優しくて、あったかい感じの声もすごくすてきだな~』
スピーカーから流れる和の声を聞きながら、唯はそんなことを思った。

「さて、今日最後の曲は、放課後ティータイムで『U&I』です
 お相手は、DJ NODOKAでした。また来週!」



~おわり~

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