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ニャース「今までありがとうニャ…」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 09:35:01.01 ID:07nYsAygO [2/29]
気がつくと空き地にたっていた

オレンジ色のぼんやりとした太陽が視界に入った

ニャース「……」

ロケット団に入って、十年以上が過ぎた

昔どこかで聞いたことだが、猫の寿命は十数年だそうだ

自分の身体のことは自分が1番分かるというが、本当だ

自分でも分かっていた

もう、長くないと…

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 09:38:23.19 ID:07nYsAygO [3/29]
ニャース「……ニャ」すっ

ニャースは自分の胸に手を寄せた

ニャース「……」

この十数年間、色々なことがあった

ニャースはふつふつと思い出を振り返っていった

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 09:42:35.41 ID:07nYsAygO [4/29]
・・・・・・・

本当に色々なことがあったものだ

気がついたら辺りは真っ暗だ

ずっとここで今までの思い出を振り返っていた

振り返ってみて思ったが、自分の人生は途中から始まっているのだなと感じた

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 09:48:24.54 ID:07nYsAygO
ムサシとコジロウに出会ったその日から、自分の人生は始まったのだ

ムサシ、コジロウ…

とても良い奴らだった

たまには喧嘩したりしていたが、やはりあの二人といると楽しかった

あの二人に出会えて、本当に良かったと心から思う

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 09:52:11.41 ID:07nYsAygO
ニャース「……」

リーンリーン…

遠くから弱々しい…しかし美しい音色が響いた

スズムシだろう…

ニャース「……」

最後ぐらい…そう思い、ニャースはギターを手にとった

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 09:56:52.44 ID:07nYsAygO
>>14
ニャース・・・

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 09:59:39.37 ID:07nYsAygO
じゃらあん♪

大丈夫だ

老いていても、弾ける

随分と弱々しい音だ

だが何故か清々しい気持ちになれた

じゃらあん♪じゃらあん♪

ニャースは続けて弾いた

そしてギターに合わせて、歌も口ずさんだ

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:06:58.45 ID:07nYsAygO
ニャース「青い青い静かな夜には~

オイラ一人で哲学するのニャ~

草むらで虫たちが~

ころころ ちりちり~

おいしそうに鳴いてるけど~

今夜は食べてあげないのニャ~

お月様があんにゃにまるいにゃんて~

あんにゃにまるい~にゃんて~

あ~んにゃに~…

世界のどんにゃまるよりまるいニャ~

世界のどんにゃまるよりまるいニャ~

今頃みんな何しているのかニャ?

今頃みんな何しているのかニャ?

誰かに電話したくなっちゃったニャ…」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:16:24.89 ID:07nYsAygO
じゃらあん♪

ニャース「……」

パチパチパチ

ニャース「!」

ムサシ「なに一人で黄昏れてんのよ」

コジロウ「その曲、ニャースが作ったのか?いい曲だな」

ニャース「ムサシ、コジロウ…」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:17:57.98 ID:07nYsAygO
>>19
不覚にも吹いたwww

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:21:52.83 ID:07nYsAygO
>>22
そうです

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:23:46.65 ID:07nYsAygO
どうしてだろう…この二人を見た瞬間、涙が出そうになった

だが、涙が出るのをグッとこらえた

最後なんだ、心配などさせたくはない

ニャース「……」

なにか言おうとはした……だが何も言葉が出なかった

ムサシ「言いたくはないけどさ…終わりなのね」

コジロウ「そうだな、お別れだ」

ニャース「……」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:24:50.80 ID:07nYsAygO
>>24
うおおおお!ありがとうございます!!

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:29:23.35 ID:07nYsAygO
コジロウ「でも、俺達は何があってもロケット団で、俺達は俺達だ」

ムサシ「…そうね」

ニャース「……」

二人は分かっていたようだった

まあ当たり前か…

何年も一緒に旅をしてきたんだ、互いのことなど語らなくとも全て分かる

ムサシコジロウニャース「……」

少しの間、沈黙が続いた

だがすぐに沈黙は絶たれた

沈黙を絶ったのはコジロウ

コジロウ「…ニャース、ちょっと来てくれないか?来てほしい所があるんだ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:35:17.68 ID:07nYsAygO
・・・・・・・・・・

着いたのは随分と昔に来たことのある気がする路地裏

コジロウ「ここだよ」

ムサシ「あんたのために用意したステージよ」

コジロウ「これが招待状だ」すっ

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:41:49.94 ID:07nYsAygO
手渡された一枚の紙切れ

そこには歪な文字で『ニャースのパーティ』と書かれていた

ニャース「パーティ…」

ニャースは路地裏を見渡した

路地裏にはなにもなく、本来あるべきの絨毯すらない…あるのは薄汚いテーブルが一つと輪投げなどの遊び道具がちらほら…

とてもパーティ会場とは言い難かった

しかし…

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 10:57:13.55 ID:07nYsAygO
ニャースはまた紙切れを見た

いびつな文字の周りにされた繊細で綺麗な彩色

多分、文字はムサシが書き、コジロウが彩色をしたんだろう

…二人の性格が出ている

この二人の性格は正反対だ

だが正反対だからこそ、二人が一緒になったらとても映えるのだ

自分はそんなこの二人が好きだった

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:07:23.94 ID:07nYsAygO
ニャースはまた路地裏を見渡した

この二人が作ったパーティ会場…

なにもないが、これ以上素晴らしいものはない

自分のために…こんな素敵なものを………

ニャースは涙が出そうになった

今度は抑えきれなかった

ニャース「ムサシ…コジロウ…」

ムサシ「なに泣いてんのよ、みっともないわね」

コジロウ「さあ、お前の歌を俺達に聞かせてくれ!」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:10:55.12 ID:07nYsAygO
ニャース「ニャ…」

ニャースは涙を拭い、ギターを手に持った

…じゃらあん♪

ニャース「……」

観客は二人…

『ニャースのパーティ』は始まった

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:18:41.37 ID:07nYsAygO
・・・・・・・・
ニャース「三日月がたの特別チケットに金色銀色クレヨンで~♪

『ニャースのパーティ』って書いたにゃら気球にのってばらまくのニャ

キンキンきらきら夕陽が沈めばそれがパーティ始まりの合図!

銀河の絨毯しきつめた夜空のパーティ会場~♪

だれがくるかニャ?だれもこないかニャ!?…ドキドキしながら待ってるニャ♪」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:26:30.17 ID:07nYsAygO
ムサシコジロウ「ニャ・ニャ・ニャースに招待されたよ♪」

ニャース「コーヒーカップも無重力~♪」

ムサシコジロウ「ニャ・ニャ・ニャースが嬉しそうだよ♪」

ニャース「土星のわっかで輪投げして~♪」

ムサシコジロウ「ニャ・ニャ・ニャースがなにか見つけた♪」

ニャース「ソフトクリームの星座だニャ♪」

ニャース「うまそうだニャ~…」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:31:36.15 ID:07nYsAygO
ムサシコジロウ「ニャ・ニャ・ニャースに招待されたよ♪」

ニャース「ケーキに星くずトッピング~♪」

ムサシコジロウ「ニャ・ニャ・ニャースが嬉しそうだよ♪」

ニャース「ニャースのカードで大逆転♪」

ムサシコジロウ「ニャ・ニャ・ニャースがなにか呟く♪」

ニャース「今夜はみんなありがとニャ…」

ドクン!!

ニャース「!?」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:35:54.77 ID:07nYsAygO
胸に今までにない強い痛みが走った

ニャース「ニャ…」

ムサシ「ニャース!聞いてやってるんだから、最後まで歌いなさいよ!?」

コジロウ「頑張れニャース!!」

ニャース「ニャ…」

急に痛みが和らいだ気がした…

二人の言葉を励みに、ニャースは力を振り絞った

ニャース「ハッピーニャースディ!」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:41:21.48 ID:07nYsAygO
ムサシコジロウ「ニャースのパーティーまだまだつづく♪」

ニャース「今夜はバトルはお休みニャ♪」

ムサシコジロウ「ニャースのパーティーくるくるまわる♪」

ニャース「ヒトもポケモンもおしゃれして♪」

ムサシコジロウ「ニャースのパーティー楽しい時間!!」

ニャース「もしも夢でもうれしいニャ…」

じゃらあん♪

…どたっ

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:44:53.94 ID:07nYsAygO
ニャースは力無くその場を倒れた

ムサシとコジロウがニャースに駆け寄る

ムサシとコジロウは泣いた

だがニャースは笑っていた

それを見て、ムサシとコジロウも泣きながらも笑った

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:48:51.35 ID:07nYsAygO [27/29]
・・・・・・・・・

ムサシ、コジロウ…ごめんニャ

ニャーは先に行くニャ

今ほど、人間でありたかったと思ったことはなかっただろうニャ…

ニャーは、オミャーらと一緒に年をとりたかったのニャ

でもニャーはポケモン、オミャーらは人間…

もうニャーは行ってしまうけど、また会えるって信じてるニャ

待ってるのニャ、ずっとずっと…

今までありがとうニャ…


おわり

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 11:50:28.39 ID:07nYsAygO [28/29]
終わりです
思いつきで書きましたが、まあ短くまとまってよかった
見てくださった人ありがとうございました

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 12:21:04.49 ID:07nYsAygO [29/29]
>>49
カビゴンもやろうとしたんだが…そうか、短いのか

コメント

No title

片や齢億年どころか創世期から存在する化物もいれば、片やそこらのネコと変わりない寿命しか持たない奴もいるのか
なんか寂しいわ

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