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心理「私の、大切なお友達」-1

関連
垣根「友達が欲しいんだが」

垣根「友達が欲しいんだが」-2

垣根「友達が欲しいんだが」

490 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:24:21.40 ID:JBsSlO20 [3/17]
少女「彼らは今のところは大きな動きを見せておらず、第四位を実行部隊の頂点としていた組織『アイテム』も解体に近い状況です。主要な人員が同じファミリーレストランで時折談合をしている姿が確認できるに過ぎません」

少女「スクールに至ってはそもそも活動している痕跡が残っていません。最も、もみ消されているとしたらそれは完璧な物ですのでそもそも我らでは察知できないかと」

少女「時折全員、又は数人で遠出する事もありますが歓楽街が殆どで、ロストした事も目標に対して距離を詰めて調査しようとした時一度だけでした」

少女「尚、踏み込んで調査を行おうとしたグループに関しては、皆揃って現在病院のベッドの上で魘されています。全員命がある事が奇跡と言わざるをえませんが」

?「回りくどいですわね。もう少し具体的且つ率直に」

少女「……つまり、彼らから集団で何か事を起こそうとしているという予兆は見られませんでした。」

?「…………報告書を」

少女「こちらです。現在の所、私共の側からは指示通りに監視を付けていません」

?「予め言った通り、必要最小限の情報以外末端には与えていませんわね?」

少女「勿論です。抜かりはありませんが」

?「…………嘘は言っていないようですわね、ご苦労様。『忘れてしまっても構わなくてよ』」キィィン

少女「――――――――」

491 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:30:06.96 ID:JBsSlO20 [4/17]
少女「――――あ、あれ、私は……あれ?」

?「ありがとう、もう良いわ。お下がりなさい」

少女「め、心理掌握(メンタルアウト)様!? し、失礼しました!」ダッ

心理「…………、ふぅ」キィ





心理(統括理事も、無茶な依頼をなさってきますこと……)

心理(レベル5、三人とその下部組織の動向を調査及び監視、何かの動向が見られた場合に備えての接触、ね)パラッ

心理(いくら彼らに対して顔が割れていない精神系能力者が少なかったとはいえ、ここにお鉢が回ってくるなんて……)

心理(出来うる限り顔を出すことをせずに動いていたのが逆に仇となりました、か)

心理(断りたいものですが……依頼してきた理事は偶々とは言えど数少ないこの心理掌握の顔を知っている方。ああ、面倒この上ない……)

心理(結局相手取らねばならないのは、最悪のパターンですと最高位を含めた超能力者三人に大能力者を擁する組織が二つ)

心理(外部からの調査に限界がある以上――――)

心理「私(わたくし)が動く他ありませんわね……」


492 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:35:53.62 ID:JBsSlO20 [5/17]



学園都市。総人口およそ二百三十万を誇るこの都市の名を借りた巨大建造地区は、都会と言うべき発展と活気、そして喧騒で溢れていた
道行く人は様々で、老若男女それぞれがそれぞれの表情を浮かべながら歩みを進めている様子は普通の都市とまるで変わりが無い。
この都市が普通で無い点を挙げるとするならば、八割にも上る住人が『能力者』と呼ばれる異能を持った人間であることだろう。

その『能力者』の最も高い強度、レベル5の『超能力者』の一角たる少女は辺りを気にするような素振りも無く背筋を伸ばし颯爽と歩いていた。
彼女の通り名は、心理掌握。精神系能力と分類される側面において、学園都市二百三十万の頂点に位置する能力者。しかし、彼女の素顔を知る人間は驚くほど少ない。

レベル5と称されている他の六人と彼女、心理掌握の最大の差異は単独での自衛能力を持っているか否かと言っても過言ではない。
精神系能力者の宿命とも言える課題だった。彼らは精神に対して干渉するという通常兵器では困難な異能を持つが、物理的にはまるで一般人に等しいのだ。いかに自身の身を守るか、彼らはそこをまず第一に必要とする。

そこで心理掌握が取っている手法は、『心理掌握』としての彼女を可能な限り隠すというものだった。
それは仕事や依頼等の都合上で対面した相手の『心理掌握』に対する記憶を消去したり、必要の無い時はあまり外に出る事を控えるといった存外に地味なものだ。
しかしこれが大きな効果を発揮している。事実学園都市内で彼女の容姿と通り名が一致している者は殆どいない。
それは常盤台中学内でも同様で、派閥内ですらも極々一部の人間しか彼女に直接会う事が出来ない。
会っている者も、いつそれを忘れるか判らない。最も、これには自衛以外にも大きな理由があるのだが。(心理掌握を知っている、としての拷問を受けさせないようにする為である)

従って逆にコソコソと人目を気にする事が意味を持たない為に、心理掌握は堂々と歩を進めている。
そんな彼女は堂々と外を出歩くのも久しく、凛々しい雰囲気とは裏腹に外の空気を楽しんでいるようだった。
多少つりあがった目尻に日本人にしては彫りの深い顔立ちが人目を引き、既成の制服の首下にあしらわれたの臙脂色で細めのリボンタイが瀟洒な印象を与えるものだ。
陽光を反射して輝く金色の髪には、僅かな癖も枝毛も見当たらない。

能力者という下地を知られていなくとも、彼女は十分に周囲の視線を受けていた。その上で彼女が堂々と歩くのは、その方が逆に余計な者共に声をかけられない事が多い、という事実に基づいた経験則によるものだった。

493 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:43:34.45 ID:JBsSlO20 [6/17]
ふと風に靡いていた髪が重力に負けて垂れ下がる。歩みを止めた心理掌握の視線の先には、なんの変哲も無い一軒のファミリーレストランが建っていた。
三時過ぎという時間から見ても、店内は客でにぎわっていることだろう。そして恐らくは彼女の目的の人物達も、そこにいることは間違いない。
学園都市第一位一方通行、第二位未元物質、第四位麦野沈利。彼女がどうにかして接触を取るべき相手は事前の調査通りならばこの時間帯いつもの窓際の席を占拠している筈だった。
見上げる視線の先に、緩くカールした茶髪の女性。間違いなく第四位である事を確認した彼女は視線を水平に戻すと長い睫を伏せて、一つ大きく息を吸って吐いた。

偶然を装うにしろ、何か一芝居打つにしろ、心理掌握には慎重に事を進める必要がある。
彼女の通り名であり固有能力、『心理掌握』は十徳ナイフと称される程に汎用性に長けた能力であるのだが、万能ではあれど決して全能ではない。
表層感情の大まかな読心や念話等は一定の距離があっても行使できるが、心に鍵をかけているとでも言える気構えのある人間に対してや深度の深い記憶の読心、相手の価値観を捻じ曲げるような行使には身体的接触がある状況が望ましい。
そうでなくては、本人にかかる負担が大きすぎて彼女自身が倒れる様を晒してしまう。

また、被能力者が能力者に対して心を開いていない場合あがらうとまではいかずとも、深く能力を行使した場合に被能力者自身が能力の行使を受けていると察知してしまう事もある。
このケースは被能力者側の能力強度が高ければ高い程発生しやすくなるという実験結果が得られてもいた。
つまり、すぐさま能力行使に入れば標的は全員レベル5だ。即座に警戒態勢に入られる可能性が高い。それだけですまず、特定されれば先のグループの様に病院送りで済ましてくれる保証もない。
そもそもが標的の一人、一方通行に対して精神能力が通用したという実例が存在しないのだ。これは実験結果が公表されていないだけで通用自体はするのかもしれないがあくまで仮定だ。自分の安全をBETするには些か短慮が過ぎる。

494 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:44:59.88 ID:JBsSlO20 [7/17]
が、勿論無策というものでもなく、護衛も付けずに一人で心理掌握が来たのには訳がある。
彼女自身に標的の彼らに対する敵意は無い上、事前の情報では彼女の面は彼らに割れていない筈だった。

一度自身の目で標的を確認した上で、与し易いであろう『アイテム』という組織の人物達の比較的第四位に近い人間に接触記憶改変でも行い知り合いとして標的に接触するもよし。
まあどちらにしろそもそも心理掌握の顔が割れていては話にならないので、その確認がてらに彼らと一定内の距離に入る。それが今回の彼女の目的で。
今回受けている依頼はリスクが高い為、裏がある程度取れたら即離脱しよう。彼女の最終的な結論がこれだった。



自身の内に埋没し、目的を整理するために行った深呼吸。その呼気を吐ききった刹那、目を開いた彼女は目的地、ファミリーレストランの入り口に向かって歩き出す。
金糸を翻した彼女の表情は、珍しくも緊張で硬くなっているようにも見受けられた。


ファミリーレストランの入り口の扉、その二枚目に心理掌握は手をかける。店内の声が耳に届く。
一人の超能力者が、三人の超能力者と接触する。そんな稀有な出来事からこの物語は始まる――――

495 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:49:10.40 ID:JBsSlO20 [8/17]


心理(今回の目的は、あくまで確認のようなもの……。ですが、隣とまでは行かなくとも標的が視界に入る席は確保したい所ですわね……)

店員「いらっしゃいませー、お一人様でしょうかー」

心理「ええ」キョロキョロ

心理(あちらのテーブル席なら座った正面が標的達のテーブルですし、丁度良いかもしれませんわね。第一位が見当らないのは……おトイレかしら?)

心理「席もまばらに空いているようですし、好きな場所に座ってもよろしいかしら?」

店員「わかりました、お好きなお席へどうぞー」

心理「ありがとう」

心理(今の所は順調、と。……さて、まずは)



ドンッ!

496 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:49:58.99 ID:JBsSlO20 [9/17]
心理「きゃっ……、失礼しましたわ」スタスタ

男A「――――あ? おいちょっと待てよ」グイッ

心理「(ピクッ)…………なんでしょうか」

男A「人んとこぶつかっといてそんだけかよ?」

心理「謝罪は既に申し上げましたけれど」

男B「お、よく見たらこの娘カワイイじゃん?」

男C「いやよくよく見なくてもカワイイだろwww ぶつかっちゃったのも何かの縁だべ、俺らこれから遊び行くから一緒に行こうぜ?」

心理「私、今ここに入ったばかりですので」

男B「いいじゃんいいじゃん。一人でしょ? 一緒にいた方が楽しいって、カラオケかどっか行こうよ」ニヤニヤ

心理(……馴れ馴れしくも低俗。下心を隠そうともしない下劣。反吐が出るってこのことかしら)

497 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:57:55.78 ID:JBsSlO20 [10/17]
男A「良いから来いってんだよ。そしたらいきなりぶつかった事勘弁してやるから」グイッ

心理「――触らないで頂けますか?」パシッ

男B「おいおい、振られてやがんのwwww」

男A「(イラッ)……てめぇ女ぁ、調子乗ってっとマワしちまうぞ?」ガシッ


心理(こういう下種に絡まれてしまうのは顔の割れていない弊害ですわね……)

心理(こんな事ごときの為に……、力を振るわねばならないなんて)

心理(こんなことだから――――)スッ キィン


心理「外出しても碌な事「おーゥおゥおゥ僕ちゃン達、人様の邪魔になるような場所で立ち止まってちゃいけないって学校で習いませンでしたかァ?」――――?」


心理(後ろから……声……?)

男A「んだてめぇ横から口出してくんじゃねえよ引っ込んでろ」

一方「女に腕出してるテメェが言えた事か。きえろォ、ぶっとばされンうちにな」凸

心理(――――一方通行!?)



テメェラノエンザンリョクジャオレガアクセラレーターダトケイサンデキナカッタロウ!!
ウギャアキンニクマーン!!

498 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:58:55.88 ID:JBsSlO20 [11/17]
一方「ハッ、まァたつまらン奴をのしちまったァ……。おーい店長ォ」

心理(一瞬で三人を……、まるで見えませんでしたわ、これが第一位の実力なのかしら……)

店長「いらっしゃいませ……、申し訳ありませんでした」

一方「謝るこたァねェよ。それよりコイツらの後片付け頼むぞ」スタスタ


垣根「ん、一方遅かったな。今なんか入り口で騒いでたのお前だったのかよ」

麦野「なに、また店長さんに迷惑かけてたの? いい加減出禁食らうわよ」

一方「違ェよ、変なのが騒いでたからどかしたンだよ。……ダーツ・マスターは?」

麦野「フレンダならさっき帰ったわよ。見たいテレビあるとかで」

一方「げェー! ……一足遅かったか」ガタッ

499 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 03:59:35.79 ID:JBsSlO20 [12/17]

心理「…………」ポカーン

心理(――――――!)タタッ

心理「お待ち頂けますか?」

一方「…………ァあ?」クルッ

心理(この目つきだけ見るとさっきのとどちらがチンピラかわかったものではありませんわね……)

500 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 04:03:33.54 ID:JBsSlO20 [13/17]
心理「礼も聞かずに立ち去ろうとするなんて、逆に失礼じゃありませんこと?」

一方「ンなの知った事か。俺ァ邪魔な木人形をどかしただけだ」

垣根「なんだこの子。お前の知り合いかよ一方?」

一方「知らねェな。とっとと失せろ」

心理「――ッ、そんな言い方は無いのではなくって?」ピクッ


麦野「……え、何これ。リアル修羅場ってやつ?」

垣根「少なくとも俺は女の子の方は知らねえぞ。一方通行は知ってるがな」

麦野「当たり前でしょ馬鹿じゃないの」

垣根「ちょっとボケただけじゃねえか……」

501 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 04:04:14.06 ID:JBsSlO20 [14/17]
麦野(そんなことより、一方に誰かが絡んでるなんてこんな面白そうなシチュエーションをみすみす逃がす筈がなかろうなのだー)

麦野「あー、ちょっとちょっとそこの子ストップ。一人で来てるの? それとも誰かと一緒?」

心理「わ、私ですか? ……一人で来ていますが」

麦野(……聞いといてあれだけど寂しい子なのかしらひょっとして)

垣根「おい麦野、不躾すぎんぞ」ボソボソ

麦野「わ、わかってるわよ」ボソボソ

心理(……ファミリーレストランに一人で来る、ってよく考えたら凄く虚しい事なのかしら)

一方「ケッ」

502 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 04:05:34.63 ID:JBsSlO20 [15/17]
麦野「一方が迷惑かけたわけ? ああ一方ってのはコイツの事だけど、どっちにしろちょっと話聞きたいからさ。相席しない?」

垣根「お、良いね。可愛い子が来てくれるのは大歓迎だ」

一方「おィてめェら勝手に話進めてンじゃねェぞ」

麦野「良いじゃん、どうせ席も空いてるんだからさ。私の隣おいでよ、ほらほら」ススッ

心理「そ、それでは失礼しますわ」ガタッ

垣根「でだけどよ。コイツが何かしでかしたのか?」

一方「なンもしてねェっつっただろォが!」

心理「したではありませんか! しらばっくれないで欲しいですわ!」

麦野「――え? 一方アンタまさか」

垣根「ええ、彼は普段から奇行が目立っていました。いつ何かをしでかすかとは思っていましたが……」

一方「そういうボケいらねェから! ガキ、テメェもややこしい言い方してンじゃねェぞ!」

503 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/07/31(土) 04:07:47.40 ID:JBsSlO20 [16/17]

かくかくしかじか



麦野「なぁんだ一方、犯罪者になったんじゃなかったのね」

一方「貴公・・・。真面目にそれ言ってンなら麦野さンとの付き合い方考えるレベルだわ」

垣根「っつーか良い事しただけじゃねえか。妙に隠そうとすんのは紛らわしいぞ」

心理「そういう訳ですから……、その、私はお礼を言おうとしていたのですがつい熱くなってしまいまして……。失礼致しました。それと助けていただいて、ありがとうございました」

一方「礼を言われる為にしたことでもねェのに律儀なこったな」

麦野「そうよ謝る事も礼を言う事も無いわよ、コイツ目付き悪いし挙動不審だし中二病だしね」

一方「おい、なンの言われも無い麦野さンになンでディスられてンだ俺は。しかも何も今の話と関係ねェじゃねェか」

垣根「なあ麦野、一方なんでかこの子にちょっと素っ気無くね? 惚れてんのか?」

麦野「逆じゃない? 助けちゃったけどお礼とか言われんの恥ずかしくて照れてんのよ」

垣根「あー、あー、納得した」

一方「そういう話は本人に聞こえない場所でしてもらいてェもンだが。なァ?」

心理「――――え? そ、そうですわね」

心理(……随分と気軽な方々ですが)

心理(もう既に私の正体を看破されているとか……マフィアは殺す相手を恐ろしいほどまでもてなすと言いますがまさか……)

心理(いえ、まさか、ですわね)

558 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 02:38:37.22 ID:akZSnBc0 [2/14]
559 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 02:44:07.43 ID:akZSnBc0 [3/14]
麦野「大丈夫、別に取って食われはしないって。こいつら童貞だし」

一方「テメェ声高に何語ってンですかァ!」

垣根「どどどどどどど童貞ちゃうわ」

心理「ど、どっ――――?」

麦野「あ、ごめん、下ネタとか駄目な人?」

心理「あ、あまりこの様な場でその様な事を耳にする機会が無いだけですわ」

麦野「他にどんな場所で聞くのよ、かわいいわね。あーこういうの悪くないなー」

垣根「おい麦野、テメェとこの子一緒にすんじゃねえぞ」

一方「麦野さンの口の汚さはビッチ級。どォしてこうなった」

垣根「生まれつきか育ちか両方かだろ?」

一方「野に咲く一輪の花を見つけて微笑むお嬢様麦野さン想像してみ」

垣根「あ、ダメだ。いま花引きちぎって口元歪ませた」

麦野「テメェら死にたいならもっと直接話法で言ってくんないかな」ビキビキ

心理「あ、あの落ち着いて下さいな」アセ

560 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 02:47:28.99 ID:akZSnBc0 [4/14]
ヤイノヤイノ


麦野「今更かもしんないけど、自己紹介しとくわ。私は麦野沈利、大好物は鮭ね」

垣根「俺は垣根帝督な。帝国の帝に都督の督って書くんだが、よく間違われるんだよなー船とかの提督と。好物って言うかは知らんが甘いものを良く食うぜ」

一方「ややこしい名前してやがンもンな。……俺ァ一方通行だ、名前位は聞いた事あンだろォが別に構えなくても良い。……コーヒーを良く飲むな」


心理(改めてこうやって並べていただくと壮観ですね。超能力者が四人揃うなんて、研究者が見たら発狂するんじゃないかしら)

心理「私は、手之家心(しゅのやこころ)。好きな物は……ええと……、緑茶、でしょうか?」

麦野「へえ、珍しい苗字してるわね。あと無理に合わせて言ってくれなくても良かったのにw」

垣根「何の脈絡も無く好物晒した麦野が言うなよ。……心ちゃんね、良い名前じゃねえか。悪くねえ」

麦野「垣根ぇ、アンタが合わせたから流れができちゃったんでしょ。……後前も同じこと私に言ってたわね、ボキャ貧?」


一方「俺ァ本名ってのが無いしな、好きに呼んでくれて構わねェぞ」

心理「――そう、なのですか。私の事もお好きにお呼び下さいな。助けても頂いた事ですし、ね?」

一方「引っ張ンなァ……。そォいうの意識してた訳じゃねェし、もォ勘弁しろ」

心理「ふふっ、私が思っていたよりも可愛らしい方なのかもしれませんわね、一方通行さんは」

一方「ちっとも嬉しくねェぞ」

心理(私も偽名、みたいなものですけれどね。データベースにも事前に登録してあるので検索されたとしても足は付きませんし)


麦野(んん? 一方に脈あり、なのこれ?)

垣根(ぱっと見の目つきとかも鋭い感じだったが笑うとそうでもないな)

561 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 02:55:34.72 ID:akZSnBc0 [5/14]
麦野「しゅのやってちょっと呼びにくいし、心って呼んじゃうよ。良い?」

心理「ええ。麦野さん、でよろしいですか?」

麦野「ま、駄目っていっても呼んでたんだけどさ。礼儀正しいわねー、そういうの好きよ」

垣根「はいはい麦野麦野」

一方「そういや関係ねェけど、渾名付けやすい名前と付けにくい名前ってあンだろ?」

麦野「あるわねそういうの。譲二とか名前呼ぶだけで既に外人臭くて渾名みたいだしね。ヘイジョージ!」

心理「その側面ですと、垣根さんも個性的なお名前ですから渾名は付きにくい部類に入るのでしょうか」

一方「帝督ンでいいだろていとくンで。くン付けっぽく尚且つ渾名として成り立つ一粒で二度おいしいですってかァ?」

垣根「お前はそもそも能力略するか全然関係ない名前付けるしかねえじゃねえか。一通、一行、方向とかどうだよ」

麦野「あっは、方向と一通とか面白いかも」プププッ

垣根「渾名が一通とかいかにもマージャン強そうじゃねえの? 一通のほにゃらら、みてえなな」

一方「俺のスタイルは鳴き虫だから狙えなくもねェがマジでどォでもいいな」

562 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 03:07:07.61 ID:akZSnBc0 [6/14]
一方「他に何か新しいのは……、シンプルに帝督でてっちゃんとかよォ」

垣根「そんな鉄道マニアみたいな名前はよせ。しかも俺実は電車に乗ったことほとんど無いんだよな」

麦野「そうなの? あー、でも垣根遠出するときも飛べるもんね。こう、ぶわーって」

心理「飛ぶ、と言いますと空をですか?」

一方「ああ、そりゃ驚くよなァ。コイツ背中から羽生えンだよ」

心理「???」

垣根「能力で勝手に出ちまうんだよ。一方も飛ぼうと思えば飛べんだろ? ベクトル変換とかなんだとかでな」

一方「飛ぶっつゥか空に向かって落ちる感じだけどな」

麦野「私も理論上は一応飛べなくもないらしいけど。飛行機雲みたく軌跡に電子撒き散らしながら」

垣根「むぎのんマジ原子……」

563 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 03:13:37.09 ID:akZSnBc0 [7/14]
垣根「しかし、名前のケツにンを付けるのは手法としては理にかなってる。悪くねえ」

一方「むぎのン、しずりン、かきねン、ていとくン、しゅのやン、こころン……ほンとだ、それっぽくなってンな」

麦野「かきねんは無いでしょかきねんは、ちんねんかってのよ。どう聞いてもお坊さんじゃん」

心理「一方通行さんは……アクセランかレータンになるのでしょうか」

垣根「アクセランは完全に特撮ヒーローだな。一方戦士、アクセラン! ……ぜってぇいるだろコイツ。主にデパートの屋上とかに」

麦野「レーたんは逆に可愛すぎるしやっぱりアクセランかなー……。なにちょっとアクセランありかもみたいな顔してんのよwwww」

一方「え、いや、なンかちょっとカッコ良くねェか?」

心理「わ、私に聞かないで下さいな!」

垣根「ほら一方ン、心ちゃんに絡んでんじゃねえぞ」

麦野「うわ、一方のほっこり顔気持ち悪いわ」

心理「――――くすっ」

垣根「ほらほら、心ちゃんも笑ってんだろ」

心理「あ、いえ私は」

一方「別に良いだろォ人がどんな趣味してよォが!」

麦野「一方今度服買いに行きましょ服。趣味で思い出したけどアンタのその服いっつもは無いわ。同じかと思わせといて少しずつ違うけど全部似たようなデザインだし」

垣根「ほれ見ろ、前の俺の発言の焼き直しだ。テメェはココじゃマイノリティなんだよ」

一方「ぐっ……、おい、テメェからもなンか言ってくれよ。このシャツだって別にアリだよなァ?」

心理「え、え? いつもこのようなデザインを? ――――とても個性的、ですわね(苦笑)」


一方「」

一方「俺ァ……孤独で一人ぼっちだァ……」ズゥーン

564 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 03:30:11.00 ID:akZSnBc0 [8/14]
一方「良いンだ良いンだ、いつか判ってくれる奴が現れンだ」

垣根「いつかとか言ってる奴に永遠にいつかは来ねぇよw それより心ちゃん、折角入ってきたんだし何か頼まねえのか? 水しか出てきてねえぞ」

麦野「あー、私もなんか頼むわ。……なにこのオクラのオーブンきってやつ、パッと見明らかにほうれん草みたいね」

一方「麦野さンオクラ食えンのか?」

麦野「別に駄目じゃないけど、なんで?」

垣根「ねばねばが駄目とかぶつぶつが駄目とか、そういう意見も一般的に多いからな。俺も食えるけど」

心理「私はあまり……」

麦野「好き嫌いしてたらあんまり育たないわよ。――――って育ってんのかしら」プニ

心理「ひゃぁん!」ビクッ


垣根「おい麦野、その辺にしとけ」

一方「おい垣根くン、顔にやけてンぞ」

麦野「アンタもね、一方」

心理「もう…………」フゥ


心理(…………現状、こうやって会話を交わす心理的距離ならば、感情の割合比程度の読心であれば気取られる事は無いでしょう)

心理(私という存在がここにいる事に対して、彼らがどのような感情を抱いているのか……)

心理(貴方がたの心を、掌握させて頂きますわよ)

565 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 03:42:06.64 ID:akZSnBc0 [9/14]
心理「――――――」キィィン

垣根「ま、つまむもんなんか頼もうぜ、ちょっと小腹がな」

麦野「私ポテトでいいや。無難極まりないけど」

一方「蒸し鶏のヘルシー和風サラダってのいってみっか」

心理(第二位と第四位は、警戒は二割以下殆どなし。第一位は……警戒が三割、少し用心深い方ならこの位ですわね)

麦野「あれ、一方がサラダとかどうしちゃったの。サラダが似合わない男選手権優勝候補だったのに」

垣根「今流行の草食男子? の真逆いってるよなコイツ。将来絶対やべえ病気併発して死ぬぜ」

一方「いいンですゥ、反射で体に悪いもンは取り込まないンですゥ」

麦野「うっわ、なにこの近年稀に見る最低野郎」

垣根「それはそうと心ちゃん何か頼む? 腹減ったりとかしてない?」

心理(過剰な警戒が無いとはいえ、深く踏み込むにはまだ――――)


心理「――――あ、私ですか? そ、そうですね、ええと…………BLTサンドにしますわ」

垣根「よしとりあえず頼んじまうぞ」ピッ ピンポーン

566 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 03:50:32.36 ID:akZSnBc0 [10/14]
心理(先程の反応という事は、私が『心理掌握』であるという事はまだ判っていないようですわね。もし判っていたならば、疑問や猜疑の感情が強く出る筈ですもの)

心理(偶発的な出来事でしたが……、偶発故に足が付くこともなく。私に接触した切欠が第一位である以上このことから私が疑われる事はありえません)

心理(結果としてこれ以上無い状況なのではないかしら……、これならばある程度の接触を重ねた後に彼らに後ろ暗い事が無いか調べる事も容易である可能性が高いようですし)

心理(面倒にも程度がある調査でしけれど、存外早く片付きそうかもしれませんね)


店員「ご注文をどうぞ」

垣根「蒸し鶏のヘルシー和風サラダ一つと、ポテト一つ、BLTサンド一つで。あ、あとドリンクバー二つ」

店員「かしこまりました、グラスはあちらに(以下略」スタスタ

垣根「……そういえば心ちゃんは学校帰り?」

心理「え、ええ。そうですが、それが何か?」

567 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 04:18:16.85 ID:akZSnBc0 [11/14]
垣根「いやさ、あんま勉強して無いんじゃないのかってさ」

心理「(……!)どうしてそうお思いに?」

一方「どういうことなンだ、垣根!」

垣根「学生なのにカバンが軽そうということは、置き勉かやる気無し勢! つまり、家では勉強してねえという事だろ!」

麦野「はいはいなんだってなんだって。私も昔そうだったけど、カバンあっても正直勉強道具なんか入ってなかったわよ。それでもなんでかいっぱいになってたけど」

一方「俺正直学校行ってねェからなァ。そのへンよくわからンねェ」

心理「……何故お行きにならないのですか?」

垣根「勉強嫌いだからだって」

一方「違ェよ! 今更学校行っても習うような事もねェ、教師共も逆に対応に困るだけだろォしな」

568 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 04:18:50.43 ID:akZSnBc0 [12/14]
垣根「ま、俺も似たようなもんだがな」

麦野「でも勉強嫌いなんでしょ?」

垣根「判り切ったこと聞いてんじゃねえぞ」

麦野「あ、やっぱり? 私もだけど」

心理(彼らにも、持つ者の悩みや葛藤はあるのですね……)

心理(あと)

心理(勉強が好きでないというのもほぼ万国万人共通の価値観なのかもしれませんね……)


心理「実は私も、余り好きではありませんの」

垣根「ですよねー」

一方「ですよねー」

569 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/23(月) 04:19:22.84 ID:akZSnBc0 [13/14]
一方「よし、コーヒーでも取りいくかァ」ガタッ

麦野「私待ってるから垣根お願い。ダージリンね」ヒラヒラ

垣根「ティーメーカーにこんもり盛ってきてやるよ」ガタッ

麦野「めっちゃ濃そうwww」

一方「手之家っつったな、テメェも行くか」

心理「ええ、そうします」ガタッ

597 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:35:37.06 ID:O/kxFw.0 [3/16]
心理(よく考えれば私、このお店に来るのは初めての事でしたわ)

垣根「今日はメロンソーダにすっかな」カラン

心理(緑茶が飲みたいのですが……、これはいったいどのようなシステムになっているのでしょうか)

一方「氷は二つだったか。……それにしても抹茶ラテにしろそれにしろ緑色好きだなァ垣根くン」

心理(ティーパックは無いようですし…………。このケースの中の茶葉を使うとして一体どこに――――まさか直接?)

垣根「そういうテメェはまたコーヒーだろ。何かここ豆いちいち変わるんだよな、やっぱ味とか違うのか」

心理(――あ、この専用カップに入れるのね。茶葉をとるスプーンはこれかしら)カチャ

一方「ちげェよ。違いがわからない垣根くンはコーヒー牛乳でも飲んでなさいってこった」フフン

心理(どのお茶にしましょうか……。うん、最初は煎茶にしましょう)カパ

垣根「炭酸の入ったやつ入れる時、いっぱいにしようとすると二回に分けて入れなきゃいけねえのが面倒くせえな」

心理(…………中に木のスプーンが入っていましたわ)

600 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:40:50.81 ID:O/kxFw.0 [4/16]
一方「炭酸ほとんど飲まねェからわかンねェけどな」

心理(気を取り直しましょう。流石にお湯の出し方はわかります、こうやって上に持ち上げれば……ほら出た)トポポポ

垣根「こないだ炭酸水足りてなかったのかメロンソーダの原液ほぼそのままでよ。むせて鼻から漏れそうになったぜ」

一方「未元物質が?」

心理(この位でしょうか。少しおしゃれですわね、コレ。今度探してみましょうか)トポ

垣根「うっせえ。麦野はダージリンだったな、確か」カパ、サッサッ

心理(手馴れていますわね……)

垣根「おゆゆゆゆ~」トポポポポ

心理(――――――!!)

心理(ツマミを下に押しても出るのですか)

心理(――――うん、無知は恥ではありませんわ。無知であり続けることが恥なのです)ブツブツ

一方「おい、突っ立ってねェで戻ンぞ」

心理「はい」シュン

一方「?」

601 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:45:02.06 ID:O/kxFw.0 [5/16]
心理「一方通行さん、先ほども仰ってましたけど本当にコーヒーお好きなのですね」

一方「コーヒー飲まねェと手が震えンだよ」

垣根「くッ……静まれェ俺ン右手よ……!」プルプル

麦野「雰囲気出てるわwwwwwwwwすっごい身内ネタだけどwwwww」ゲラゲラ

一方「おい、そりゃ俺ン事かよ垣根くゥン」ビキビキ

垣根「腕を翼に置き換えると俺の事になるんだぜこれ」

心理(煎茶おいしいですわ)ゴク

602 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:48:37.01 ID:O/kxFw.0 [6/16]
一方「そういやなンだが、手之家のその制服常盤台のだろ。通ってンのか?」

麦野「超エリートってやつじゃない? しかもお嬢様」

垣根「どおりで麦野とはそもそも喋りが違うんだな。ますわ、とかもし麦野が言ってたら鳥肌もんだろ」

麦野「ブチコロシ確定ますわ」ニヤァ

一方「そこでニコォって笑えねェ辺りが麦野さンの限界だな――――あ、ゴメンイテェ電子飛ばすのやめて」

麦野「」チリチリチリ

心理「え、ええ、一応は籍を置かせて頂いていますわ」

垣根「お嬢様ねぇ。俺が知ってるパチもんと違ってやっぱモノホンはオーラが違ぇな」

麦野「能力はどんなの使えんの? 確かあそこって最低レベルみたいのあったわよね」

一方「確かレベル3の筈だな」

垣根「なんで即答できるんだテメェは。――――――もしや」

麦野「うわ……常盤台マニアとかドン引きなんだけど……」

垣根「オマエ俺に散々年増好きとか罵倒しといて自分は中学生好きかよ。マジで救えねえ……心ちゃんも下心あって助けたんじゃねえだろうな」

一方「垣根くン今すぐ死ねますわ」

麦野「気に入ったの? それ」

一方「ちょっとだけ」

垣根「一方のキモさが半端じゃないますわ」

麦野「アンタらwwwww」

心理(内容が無さ過ぎてよくわからない事になってまs……なってるわ)

603 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:54:25.35 ID:O/kxFw.0 [7/16]
垣根「だがエリートで言ったら俺たちも負けちゃいねえだろ。なんつっても学園都市が誇る超能力者が面ぁ並べてんだぜ」

一方「エリートねェ……、そこらの学園の大能力者の方がよっぽどエリートらしいと思うンだがな。俺ら結構好き勝手してンだろ」

麦野「まあそいつらは上目指して頑張るぞーみたいな健全な動機で頑張ってるからね、たまに変なのも多いけど」

垣根「多いのか少ないのかわかんねぇよw まぁ俺達は実験付き合ってりゃ金も貰えるしそこそこは好きに動けるし、な。特別心の底から欲しいものがあって、それが上を目指すことでしか手に入らないってんなら……また別だろうが」

麦野「ま、ある程度上にいるからこそ言える台詞なんだろうけどさ。それでも間違っちゃいないと思うよ。ってことは、垣根は今満足してるわけ?」

垣根「別に不満はねえよ。態々張り切ってまで、んで今あるモン捨ててまで、上目指す理由が少なくとも俺には存在しねえ」

一方「俺に散々絡ンでくれたどの口でそォいう事言うかねェ未元物質くンは。下克上の精神はどォこ行ったんだか」

心理「えっ、猫駆除?」

垣根「馬鹿そりゃぁ…………、別に良いんだよ」ハンッ

麦野「あぁらあらあら、垣根ちゃんは素直になれないお年頃かな?」ウフフ

一方「気持ちわりィ煽り方してンじゃねェぞ……」

心理「」

心理(え……? この二人、ひょっとして……、え、でもまさか――――え? BL(ベーコンレタス)?)

604 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 02:56:38.26 ID:O/kxFw.0 [8/16]
垣根「おーい心ちゃーん、今のはこのおばさんの冗談だからねー、真に受けないでねー」

麦野「あ、あはは、かきねぇ、今のも冗談だよねぇ勿論」

垣根「え? そう聞こえっか?」

麦野「殺すますの」ピカー



一方「手之家は緑茶派なのか? 言っちゃ悪ィがパッと見の印象だとそれっぽくねェンだよ。優雅に紅茶っつゥか」

心理「え、ええ。落ち着いた色合いや味が好きなので」

心理(…………深い心理状況を読み取れるようになったら、この二人の関係もついでに読み取ってしまいましょうか。第一位と第二位の関係……需要あるかしらね)

605 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 03:00:13.44 ID:O/kxFw.0 [9/16]
少し休憩、飲み物取ってくる

608 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 03:04:59.56 ID:O/kxFw.0 [10/16]
TDIM こんな時間なのに読んでくれてありがとなw
続きいくよー

609 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 03:09:57.28 ID:O/kxFw.0 [11/16]
垣根「まあレベル5が三人っつっても別に気後れする事は無いからな、実際。同じ人間だしよ」

心理「(本当は四人なのですけれど、わかるはずも――――)」


麦野「――――いや、四人よね」

心理「――――っ!!!!!」ビクンッ

一本「四人?」

垣根「つまり……どういうことだってばよ……?」

心理(わ、わたくしの正体が看破されている!? そ、そんな、確かにあの時の比率で私が警戒されているということは無かった筈……!)

心理(それとも――――警戒されるまでもなく見通されていたというの、この私が!?)


麦野「あれどうしたのよ心、顔色悪いけど」ニタァ(心理主観

心理(み、見透かされて……)

心理「う、ぁ……。な、なんでもないで――――」ガタンガチャ、ベシャーー

心理「きゃあっ!」

垣根「うおおう! こぼれてるこぼれてる!」オタオタ

一方「垣根くン防水物質防水物質!」ワタワタ

垣根「うなれ、俺の防水物質!」ペカー

麦野「一方アンタもベクトルで水弾かせたりでもしなさいよ! わ、私もなんかした方がいい?」アタフタ

一方「原子崩すんじゃねェぞ! 机が燃えて消えて無くなンぞ!」

611 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 03:22:31.45 ID:O/kxFw.0 [12/16]
店長「どうぞ」スッ

垣根「おお、布巾どーも。……よし、シミになってはねぇな。良い仕事したぜ」ゴシゴシ

一方「あァビビった」

麦野「まあ服にかからなくてよかったって事にしときましょうか」

垣根「あー、一方の激流葬思い出した」

一方「バーストストリーム?」

垣根「それじゃ俺に直撃してんだろ。そしたらテメェ今息してねえぞ。俺がさせてねえ」

心理「と、とんだ失礼を……」シュン

麦野「良いわよ良いわよ。私は何も被害受けてないし……どこまで話したっけ?」

一方「レベル5が四人だな」

垣根「後のレベル5っつったら、三五六七だろ?」

心理「…………」

麦野「ああそれか。いやフレンダが言ってたんだけど、あの超電磁砲もたまーにだけどここのファミレス来てるらしいよ。同年代の友達連れで。だから、正確にはたまーに四人になる、ね」

一方「ダーツマスターが言ってたのか。……俺もよく来るが見たことねェな、時間帯ずれてンのかね」

心理「(……私では、なかったのですか)超電磁砲――――第三位がですか?」ホッ

麦野「そうね。……ああ、心と同じ常盤台だもんね。なんていうか人気あるでしょあの子、出自とか色々あるし」

心理「そう――――――です、わね……。あの方は……」

心理(そう……、私とは、違って)

垣根「弔電時報『アンダーテイカー』……一体何者なんだ……」ゴクリ

一方「いや本当に誰だし」

心理「――――――――」

心理(この方達と話していると気が抜けてしまいますわねえ)ハァァ

612 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 03:30:57.49 ID:O/kxFw.0 [13/16]
麦野「今度会ったら挨拶でもしとく?」

垣根「麦野『ほんの挨拶代わりにこれでも喰らいな!!』 こうか?」

一方「おィ麦野さンレベル5としての品格がたンねェな」

麦野「……原子崩しで電子をパイ状にできないかしら。顔面にこうバボンと張り付いてさ」

垣根「そして辺りに立ち込める肉の焦げる匂い」

一方「ミートパイってレベルじゃねェぞ…………」

麦野「……こーこーろーん、コイツらマジで調子乗ってんだけどー」

垣根「わりぃわりぃ。んで話また戻す兼質問させてもらいましょうか。ずばり心ちゃんって何の能力者よ」

麦野「あ、私も気になってたのよね。常盤台なんでしょ? 使える能力だったりするんじゃない?」

心理「ええと、そんなに大した能力ではないのですが……。レベル3の『間接接触(ウィスパーヴォイス)』ですわ」

心理(偽造認証にそう記載されているだけなのですけれどね)

麦野「『間接接触』? まあ名前だけじゃちょっとわかんないかな」

一方「しっかし能力名だけ見てくとなかなか面白ェ名前も多いンだよなァ」

613 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/08/28(土) 03:38:50.23 ID:O/kxFw.0 [14/16]
垣根「例えば?」

一方「木原くン経由で聞いたンだが、『全身爆発(エクスドエンド)』とか『自然現象(ネイチャーメイド)』とか」

麦野「全wwwww身wwww爆www発wwwwwwwなんにつかうのよそれwwwwwwwww」

心理「……どのような能力ですの?」

一方「発火能力者の亜流らしいンだが自分の体ン中でしか能力発現できねェから……使った途端に体がパーン、と予測されたとよ。能力使用を厳重に禁じたっつってた」

麦野「絶対に押すなよ! って書かれたスイッチが常に目の前にぶら下がってるようなもんじゃん……。私なら三日も持たないわ」

垣根「科学の犠牲になったのだ……、もう一つの体に良さそうな名前のは?」

一方「お湯を水にしたりとか……、ま、要は温度操作だな」

心理「便利そうな能力ではないですか?」

一方「放置した時に比べて、沸騰した水が常温になるのが17秒早いらしい」

麦野「oh...自然現象...」

一方「常温の水を沸騰させる、いわゆる加熱は可能かって実験もしたらしいんだが……一瞬でも気ィ抜くと温度が一気に下がるらしくて実験ぶっ続け。周りは周りで感情移入始めたのか頑張れよ! もっと熱くなれよ! のシュプレヒコール」

心理「熱くなれよと言われている方が水を熱く……っく、いえ、笑ってなどいませんわ……」ププッ

麦野「口ゆがんでにやけてるの我慢できてないわよwwww で、結局熱くなったわけ?」

一方「かかった時間は十三時間半。本人は沸騰を見届けた直後に笑顔のまま過労で倒れて病院に運ばれた」

垣根「俺のヘソが茶を沸かす方がはええだろそりゃwwwwwwwww」

心理「不憫な方……」

662 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 00:08:05.06 ID:NNE/2Hk0 [2/13]
垣根「話逸れ出すと止まらねえな……、『間接接触』だったか」

心理「ええ。要するに、離れた場所にいる方へメッセージを送る……実も蓋も無い言い方をしてしまえば念話ですわね」

一方「まあ、ある意味使いやすい能力で良いな。俺は触ンねェと意思疎通できねェし」

垣根「耳元にだけ声を届けるみたいな事ならできなくもねえな」

麦野「え、え? 私? あー、えーと…………文字の形にビームを撃てる、かな?」

一方「ナイアガラかなんかかよそりゃ」

心理「双方向でないのと、能力射程に限界があるのでレベル3となっているらしいのですけれどね」

麦野「……どうせ私はぶっ壊し専門よ。ブレイク工業が天職なのよ」

垣根「電子の扱いをマスターしたらマイナスイオン放出できるじゃねえか。体に良いぞ」

一方「ま、どちらにしろ精神系の能力については俺達全員揃って門外漢だろォ?」

垣根「門前の小僧っても、知識だけじゃ如何ともし難いしなぁ」

麦野「精神系のトップは第五位だよね。会ったことある?」

垣根「ねえよ」

一方「ねェな、そもそも顔も知らねェよ」

心理「私も直接は…………」

心理(鏡越しでしか見たことありませんものね)

麦野「私も無いのよね。同じ学校の心が見て無いとするとさ、女王サマとか言われてるっぽいけど、もしかするとそもそも外に出てきてない説が浮上してきたわ」

663 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 00:10:52.74 ID:NNE/2Hk0 [3/13]
垣根「んだよ、引きこもりか。寂しい奴だな」

心理「……い、いえそれはどうでしょうか」

麦野「根暗なんじゃない? でかい派閥の天辺って聞いたけど持ち上げられるだけ持ち上げられて引っ込みつかないとかさ」

心理「き、きっと色々と事情がおありになるのですよ。超能力者だからこその事情だとか……」

垣根「そうかぁ? 俺らも超能力者だけど最近はこんな感じじゃねえか。加えてここにたまに来てるという超電磁砲も友達連れだ、そいつの性格の問題な気はするぜ」

心理「ですがその――――そう、精神系能力者のレベル5は心理掌握一人ですし思うところがあるのでは……」

麦野「心、やけに庇うじゃない。同じ精神系のよしみってやつ?」

心理(私は引きこもりでも根暗でもありませんわ! ……ああでもそうとは言えないもどかしさ)

一方「ハイハイそこらでやめとけ。そもそも外に一歩も出てない説自体が仮説だろォ」

心理「――――!!」

垣根「そりゃそうか。どんな奴だろうな心理掌握」

麦野「精神能力者は有無も言わさず直接ハジかれたら終わりだしねえ……、それで隠れてるんだろうけど」

心理「一方通行さん…………」ウルウルウル

一方「まあでも女王サマとか言われてンだろ? どっちにしろマトモな人格者とは思えねェけどな」

垣根「女王サマとかドSだろ完全に、人踏んで高笑いしてる感じかよ」チラッ

麦野「おいコラ、なんで今私を見た」ビキ

心理「」

一方「……どうしたンだよ手之家」

心理「なんでもありませんわ!」プイッ

一方「?」

心理(引きこもりじゃないもの。そう、引きこもりなんかじゃないもの)

664 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 00:14:19.72 ID:NNE/2Hk0 [4/13]
店長「お待たせいたしました、蒸し鶏のヘルシー和風サラダのお客様」

一方「ン」

店長「フライドポテトのお客様」

麦野「はーい」

店長「BLTサンドのお客様」

心理「私です」

店長「以上でご注文おそろいでしょうか?」

垣根「ああ、大丈夫す」

店長「かしこまりました、それと先程は妙な連中の処理をお任せしてしまい申し訳ありませんでした。加えて感謝します」

垣根「さっきの……? ああ、一方と心ちゃんのか」

店長「お礼と言ってはおかしいですが、こちらサービスとさせて頂きます」スッ

麦野「あ、ピザにイカだ。良いの?」

店長「この位しかできませんが。今後も当店をご贔屓にお願いしますね。ではごゆっくりどうぞ」スタスタ

一方「別に良いのによォ……、しかも律儀な上にしっかり宣伝していきやがった」

麦野「抜け目無いわよねあの店長。何者かしらねえ」

垣根「店長は店長だろ? それよりこのピザ……テリマヨピザってやつか。イカはイカだな」

一方「毎回頼んでるからな、イカ。マヨネーズまで最初っから付いてるし覚えられてンじゃねェの?」ハハッ

麦野「こういうサンドイッチ系の切り方とか作り方で、キッチンの忙しさとか適当さとかわかるのよね」ツンツン

垣根「この店は基本丁寧じゃねぇの? 当たりってこったな」

心理「よく見たらBLTサンドとフライドポテトでポテトが被ってしまいましたわ……」

一方「被ってしまいましたわ! やっぱ言うよなァソレ! 礼儀っつゥか様式美っつゥか!」

心理「え? な、なんのことですの?」

一方「…………素かよ」ハァ

垣根「一方がマジョリティな所見たことねえわ」

麦野「中二病なんでしょ? マイノリティ(笑)」

一方「しつけェますのクソッタレますの」

666 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 00:27:52.39 ID:NNE/2Hk0 [5/13]
麦野「あ、思い出した。心来てて聞きそびれたけど、一方アンタ絹旗とはどうだった?」

一方「ン? あァ、前よりは進歩してンじゃねェか。相変わらず長さは小指程度だが、今に親指よりはマシになるかもな」

心理「どちらさまですか? その絹旗という方は」

垣根「ああ、麦野の知り合いだ。それがたまたま一方に縁あったらしくてよ、ちょいちょい麦野経由で会ってたんだが能力の訓練に付き合う話になった……んだよな?」

一方「大体はな、負い目も無い訳じゃねェし丁度良いっちゃ丁度良かった」

麦野「一方も難儀な奴よね、アンタが何かしたわけでもないのに」

一方「そっちから頼ンどいてその発言おかしくありませンかァ!? ……まァこっちの話だ、気にすンな」

心理「そう、ですか。それなら……」

垣根「アイテムの方はどうなってる?」

心理「アイテム?」

一方「麦野さンファミリーな。一種の派閥みたいなもンだろ?」

垣根「まあ間違っちゃいねえな」

麦野「今んとこ特に危ない橋渡る理由も無くなったし、八割がた閉店休業。つっても危なくなさそうなのをちょくちょく受けてるけどね。……ただ規模変えたせいでバックアップもガクンと減っちゃったから雑用とか色々面倒くせーんだよねぇ」

一方「雑用っつゥと?」

麦野「車の運転とかフレンダとか私がが使う道具の用意とか情報収集とか色々? 自前でできなくもないけど全部やるっつーと色々しんどいんだわ」

心理「誰かを雇ってみてはいかがでしょうか?」

麦野「ま、垣根とか一方使っても良いんだけど。今度アンタら手伝いなさいよ」

垣根「えー……面倒くせぇんだけど。そもそも俺車の運転できねぇし」

一方「道具っつゥとあの物騒な着火テープかよ。ホームセンターに売ってるようには見えねェな」

麦野「ま、ほんとに困ったらお願いするからそん時は、ね」

垣根「おーう」

一方「ン」

669 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 00:49:31.08 ID:NNE/2Hk0 [6/13]
垣根「最近は何の仕事してんだ?」

麦野「輸送付き添いとかの護衛ばっかかな? ATMの現金輸送手伝った時は楽しかったけど」

一方「まァ麦野さンが勝てない奴なンざ、ざらにはいねェだろうし平気っちゃ平気だろォが」

心理「現金輸送はわかりますけど、他にも何を輸送しているのでしょうね。何かの研究とか……」

麦野「あ、思い出した! こないださぁ、なんかどっかの研究所経由で依頼が来て輸送手伝ったんだけど。聞いた話だと中身がなんと『ピンセット』だったんだけどwwwww」

垣根「……えー、あの物を掴むこういう?」クイクイ

麦野「それそれ」クイクイ

心理「何故そんな物を態々護衛までつけて……」

一方「なんか超色々機能ついてンだろ? 百倍の力で物をつかめるとか」

麦野「何掴む気よそれ。全部押し花みたいにペッタンコじゃんw」

垣根「アレだな、超磁力で触らずに物が掴めるとか面白そうだろ」

一方「天狗じゃ! 天狗の仕業じゃ!」

心理「でも何か凄いものだったんでしょうねぇ……護衛が付くピンセット」

671 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 00:55:54.10 ID:NNE/2Hk0 [7/13]
一方「で、麦野さンは車ン運転できンのか?」

麦野「多少操作ミスしたり多少事故ったりするのに目を瞑ればできるよ」

心理「それ以外にどこに目を瞑るのですか!?」

垣根「っつっても、運転手雇って事故りでもしたらそいつの命が事故んだろ」

麦野「あったりまえじゃん垣根ぇ、世の中にたぁぁくさんある死ぬより恐ろしい事を順繰りに楽しませてあげるつもり」

垣根「おお怖え、あんま麦野怒らせてっと後がやばそうだな」

心理「学園都市第二位にも怖い物はあるのですか?」

垣根「そりゃあるだろ、人間が恐怖を感じるのは生命の危機だけじゃねえんだからな。今は抹茶ラテが一杯怖い」

一方「自分で取り行けカス。……まァ俺もそォいう意味だと木原くンとかこえェな」

心理「そういえば先程も木原さん、という方出てこられましたわよね。どなたですの?」

麦野「一方の保護者。一言で表すなら、パッと見がチンピラなのよね。……いや、チンピラ束ねてる大ボスって感じかしら」

垣根「一方の育て親だからな、まあ一方に似てたな色々とよ。いや似てんのは一方か」

一方「そォかねェ……、あそこまでとは言わなくてもガタイの良さには憧れンな」

垣根「テメェはもっと運動しろモヤシ(地声」

心理「……一方通行さんの肌、本当に真っ白で綺麗ですわね。女としては複雑ですがうらやましいですわ」

麦野「うっわ、ちょっと一方腕貸してみ」グイッ

一方「な、なンだよ」

麦野「心もごめんねー」グイッ

心理「な、なんですの?」


麦野「………………」シゲシゲ

麦野「太さ一緒なんだけど……」



一方「」
垣根「なん……だと……?」
心理「――――えっ?」

673 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 01:05:59.96 ID:NNE/2Hk0 [8/13]
麦野「精神系能力者の女の子と腕の太さが同じの第一位って(笑)」

垣根「明確な比較対象が現れて尚更際立つ一方のモヤシ具合であった」

心理「あ、あの、能力が能力なので仕方が無いのでは……」

一方「そォ、そォだよなァ! うン、好きで肌白い訳でもねェしなァ」フフン

垣根「能力で言やあ俺もお前に出来ることは大よそだが出来るぞ。しかし刮目しろ、この上腕二頭筋」ムキッ

麦野「言うほど凄いわけでもないけど、一方と比べるとマッチョに見えるわ」

垣根「俺はたまに筋トレするからなあ。どっかの第一位とは違って」

麦野「かいわれ(裏声)」

一方「」

一方「死ぬ」

心理「い、一方通行さん落ち着いて」アセアセ

674 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 01:13:23.54 ID:NNE/2Hk0 [9/13]
ワイワイガヤガヤ


麦野「――――――あれ、もうこんな時間じゃない」

垣根「今日はこんくらいにしとくか? 晩飯時だが、ちょっと俺見たいテレビあるしな」

一方「ン……そォだな、今日は帰って木原くンと飯食うかァ」

麦野「そう? うーん……私はどうしようかな、心はこの後何か予定ある?」

心理「申し訳ないのですけれど、門限がありますの」

麦野「あ、そっか鬼ババァがいるんだっけ。そりゃ無理して誘えないわね」

垣根「んじゃ出っか。心ちゃんごめんな、今日はこれにてお疲れ様ってやつだ」

心理「いえ、とても楽しい時間が過ごせました……。こちらから感謝したいくらいですわ」

心理(――――そう、こんなの久しぶり……。……ううん、初めて? でも……これも本物では、無いのですわね)

675 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 01:25:08.56 ID:NNE/2Hk0 [10/13]
アリガトウゴザイマシターマタオコシクダサイマセー


麦野「うーん、外はむしあっついなーこの季節」ハァ

垣根「冷房物質でヒンヤリ」ヒヤー

一方「熱ベクトル操作で快適」ヒヤー

心理「不平等ですわね、世の中って」ムシー

麦野「…………電子冷却ってどういうシステムだったかしら」バチバチバチ

一方「手之家は家どこだよ、送ってってやろォか?」

心理「いえ、寄るところもありますし……、ここで結構ですわ。皆様、今日はお邪魔してしまい申し訳ありませんでした」

垣根「そうか? なら気をつけて帰れよ」

麦野「邪魔なんてとんでもなかったわよ。私達あの位の時間あの席のとこによくいるから、外から見えたりしたらまたおいでよ」

垣根「お、麦野良いね。どうせ下らないこと話すばっかで大した事もしてないから良かったらまた、な」

心理「…………よろしい、のですか?」

麦野「よろしいもなにも大歓迎よ。今日は三人だったけど、もっと多い事もあるんだ。私の友達連中にもこころん紹介したいしさ」

垣根「そうそう、遠慮する事なんかねえよ。なあ一方?」

一方「……ま、アレだ。人が多い方がにぎやかでいいしなァ」

心理「…………」

心理「ありがとう……ございます。では、またお会いしましょうね」


垣根「おう、じゃあな」スタスタ
一方「ン、またな」スタスタ
麦野「またねー」スタスタ

676 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/03(金) 01:25:54.77 ID:NNE/2Hk0 [11/13]
アクセラアイスオゴッテヨー
ナァンデオレガオゴンナキャイケナインデスカァ
アーイースターベーターイー
カキネクンテメェハキモイカラ
ワタシハカワイイッテ?
イッテネェシ




心理(……にぎやかな方たちでしたこと)スタスタ

心理(今日接触した限りでは何か不穏な空気はありませんでしたが……、一度の接触で尻尾を見せるほど与し易い方々でもないでしょうし)スタスタ

心理(今後何度か今日のような接触を繰り返す内に、探ることが出来れば重畳でしょうね)スタスタ

心理(原子崩しもいつでも来ていい、とは仰っていましたが多少は社交辞令も含まれているでしょうし。いきなり明日行くのも警戒されるかもしれませんね……)スタスタ

心理(明後日……いえ明々後日にでも行ってみることにしましょう)スタスタ

心理(それまでは出来うる限り察知されない程度の情報収集だけで十分ですわね)スタスタ   クルッ

心理(…………尾行の気配は、無し。ひとまず疑われてはいないと見て良いでしょうね)

心理(…………)スタスタ

心理(ホッとしているのかしら、わたくし)

697 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 01:40:50.88 ID:tteao7Q0 [3/82]
~~~


能力区分レベル5、そして心理掌握という名称は誰でも無い自分自身という個人に与えられた識別だった。

そしてその能力を手に入れた瞬間から、彼女はひたすら孤独と戦い続けてきたのだ。

精神を捻じ曲げられるとは、自己の意思を王として崇めている『人間』にとって、ある意味死よりも恐ろしい事である。

これまで『己』として認識してきた自我の崩壊の引き金にも成りかねない、そう目されている彼女の能力は、人が人たる所以を犯すが故に単純な殲滅に長けた能力よりも恐れられる側面を持っていた。


だから、彼女はいつも一人だった。

精神に異常をきたさなかったのは奇跡とも呼ぶべき僥倖だったろう。

しかし、だからといってその事実は彼女を癒してくれた訳でもない。

699 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 01:42:53.16 ID:tteao7Q0 [4/82]
昔、まだ心理掌握が幼かった頃。己で生きる術を持っていなかった頃、彼女はそれほど珍しくも無いタイプの精神系能力者だと目されていた。

しかしそもそもの方向性として、精神系能力者はその希少性から宿命的に重度の開発を施される。それでも尚もって、彼女の能力は実用に耐えるものではなかった。

否、正確には少し異なってはいる。彼女は能力が酷く安定していない精神系能力者だったのだ。

読心、感応、操作等、あらゆる分野に対して少しずつ能力を発揮し、それが殆ど役に立たないレベルの内にある、不安定な存在だ。

研究所も持て余し気味だった少女、心理掌握は幼心に自分が周囲の大人にあまり良い目で見られていないという事がわかっていたのだろう。

開発や研究の合間に他の開発対象と一緒くたに纏められていた一室にて、彼女はいつも部屋の片隅で一人膝を抱えて縮こまっていた。

能力さえあれば、自分は幸せになれるのだろうか。そんな彼女の無意識下での仮定は、片方のみが現実のものとなる。



彼女は、能力(ちから)を手に入れたのだ。


~~~




700 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 01:45:02.55 ID:tteao7Q0 [5/82]
心理(――――ふぅ)

心理(あの時、あの方々と別れてから今日で三日目)

心理(その間の報告によれば直接的な動きは殆ど無し……、集まってしていることといえばただただ遊んでいるだけ)

心理(本当にただの学生達のような行動ばかりしていますが……、まだ油断する訳にもいきませんわ)

心理(以前考えた通り、今日は私が向かう日ですから監視は要りませんわね)

心理(…………)

心理(さあ、向かうといたしましょう)

701 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 01:45:49.48 ID:tteao7Q0 [6/82]
心理(………………)テクテク

心理(……あついですわ)テクテク

心理(私も冷房物質の一つや二つ使えれば良かったのに……)テクテク

心理(そうですわ。こんな――――このような能力等ではなく……)テクテク

心理(仮定の話をしても詮無きこと)テクテク

心理(だとしてもあついですわ……自然現象の方が頑張っていらっしゃるのかしら……)グデー




心理(ようやくファミリーレストランに到着、あの方々は……いつもあの窓際の席に座っているならここから見えるかしら)ジーッ

心理(…………あの室内灯を反射する白金の髪は一方通行で間違いないでしょうね)

心理(とりあえず参りましょう。三日越しの再会へ)スタスタ



男A(――――――っ!)

男A(あのガキはこないだの……)

男A(…………)ピッピッ プルルルルル

男A「――――ああ、俺だよ。……いや、ちょっと頼みと良い話があんだけどよ」

702 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 01:51:26.98 ID:tteao7Q0 [7/82]
店員「いらっしゃいませ、一名様でよろしいでしょうか?」スタスタ

心理「ええ、でも知人がいますの」

店員「かしこまりましたごゆっくりどうぞー」

心理「……」スタスタ


心理(一方通行だけが座っていますわね、ケータイでメールでも打っているのかしら。未元物質と原子崩しはどちらに……)

心理「相席、よろしいでしょうか」

一方「ン……、テメェか。構わねェぞ」カチカチ

心理「ふふっ、では失礼しますわ。……垣根さんと麦野さんは今日はいませんのね」

一方「垣根くンは道歩いてたら隕石に当たって麦野さンは大地震に巻き込まれ地割れに落ちちまったァ」

心理「???」

一方「……何でもねェ。ま、今日はアイツらは来ねェよ。さっきまでダーツ・マスターがいたンだが買い物行くとかでどっか行った」カチカチ パタン

心理「ダーツマスター? 未元物質(ダークマター)とは違いますの?」

一方「違うますの。ダーツ神な、ダーツ神」

心理「ダーツ神……と、言うことはダーツがお上手な方なんでしょうね」

一方「ヤバかった。両手投げとか三本投げとかなんつゥか精度とか雰囲気が違った。殺し屋の投げナイフとかのが近ェ」

心理「……私の脳内で随分と物騒な人物像が出来上がってきているのですけれど。太い眉毛とか角刈りの頭とか」

一方「それ、間違いなく後ろに立ったらぶン殴られンだろうな」

703 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 01:55:29.13 ID:tteao7Q0 [8/82]
フレンダ「ハーックション!!」

フレンダ「――――うぅぅ、ここってばクーラー効きすぎじゃない?」ズズッ

フレンダ「それとも誰かに噂話でもされてるのかしら」

フレンダ「…………」

フレンダ「全然関係ないけど、私ってばダーツが上手い訳じゃなくて投擲が上手い訳よ」

フレンダ「能力メインで戦えないけど戦闘要員とか遊撃担当だった以上、投げナイフとか遠距離着火とかする必要に迫られてって感じなのよね」

フレンダ「…………」

フレンダ「とかいきなり説明染みた事を口走ってみちゃったりなんだったり……」



マダムA「あらちょっと見てよ奥様、あそこの女の子さっきから一人でぶつくさ言ってますわよぉ」ヒソォ!

マダムB「あらやだ気味が悪いわぁ、頭の可哀想な子かしらぁ」ヒソヒソォォ!

704 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:05:15.83 ID:tteao7Q0 [9/82]
一方「まァ残念だったな」

心理「何がですか?」

一方「折角来たのに俺しかいなくて残念でしたァ」

心理「まあ前もって示し合わせた訳でもないのですから。仕方がありませんわ」

一方「どォすンだ? 俺ァまだ暫くここで時間潰す予定だが」

心理「折角来たんですもの、私も暫くご一緒させて頂いても?」

一方「りょォかい、なンか頼むか?」

心理「……今は飲み物だけで大丈夫ですわ」

一方「ン……」ピッ

心理(一人相手の方が、一つの話題に突っ込みやすいというのもありますもの、ね)

705 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:06:53.13 ID:tteao7Q0 [10/82]
店員「かしこまりましたー、グラスはあちらにございますのでご自由にどうぞ」スタスタ

一方「うし、俺もコーヒー切れたとこだァ。汲み行こォぜ」ガタッ

心理「……ええ、そうしましょうか」ガタッ




一方「アイマシンカートゥートゥートゥートゥトゥー」カチッ ゴリゴリゴリ

心理「この間も仰っていましたけれど、コーヒーがお好きなのですか?」

一方「ン? おゥ、大好きだァ。好物らしい好物でコレってのはねェけどコーヒーだけは別格だァな」

心理「何度かは飲んだ事もありますが、あの苦さがどうにも……。正直なところ何が美味しいのか理解しかねますわ」

一方「ンー、そォだなァ。やっぱ味の好みとかは人それぞれだしな、苦いのがいやならミルクと砂糖を山盛れば随分と良くなるだろ」

心理「そこまでしてしまっては、もう別の飲み物ではありませんこと?」トポポポポ

一方「いや、それは違ェ。コーヒー牛乳とカフェオレは同じ比率で作ってたとしても飲む側がそォ思えばそりゃどっちかなンだよ。他人がどォこォ口出そうとな」

心理「……自分だけの現実の原点ですわね」

一方「うし、戻ンぞ」スタスタ

心理「ええ」スタスタ

706 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:11:41.15 ID:tteao7Q0 [11/82]
一方「コーヒーうめェなァ……」ズズッ

心理「玄米茶は、このなんというか香ばしさが気に入ってますの」ズズッ

一方「香ばしさは大切だろ、コーヒーも香ばしさありきだしよォ」

心理「先日もコーヒーでしたものね」

一方「飲まいでか。しっかし垣根くンなんかコーヒーなんか全部同じとかふざけた事抜かしやがってよォ」

心理「垣根さんは甘党、でしたわよね」

一方「抹茶ラテマンな。あンまり言うからアメリカンコーヒーとブレンドコーヒー飲み比べさせたンだ」

心理「なんと仰ってました?」

一方「『どっちもにげえ』、ンなの当たり前だろォが。ただ薄いだけがアメリカンじゃねェンだからな」

心理「私も造詣が深い訳でもありませんからコメントし難いですわね」フフッ

一方「おィおィ……。ま、いいけどよ。手之家のダチにコーヒー好きとかいねェのか?」

心理「え、ええ。私の知人にはそういう方は……」

一方「ま、常盤台のお嬢様学校だもンな。コーヒー好きなんてシブいのそうそういねェか」ズズッ

心理(そもそも――――仲の良い友人がいませんものね、私には)

708 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:17:47.91 ID:tteao7Q0 [12/82]
一方「…………」ズズッ

心理「…………」ズズッ

心理(監視対象や標的という見方をしていたから意識していませんでしたが……)

心理(良く考えれば殿方と二人きりでファミリーレストラン、というのは……)

一方「おィ」

心理「」ビクッ

心理「どど、どうか致しましたか?」

一方「いやどォか致したのはテメェの方だろ、一人で百面相しやがって」

心理「ひゃ、百面相……?」カァァ

一方(やっぱ百面相だなァ)

709 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:21:18.76 ID:tteao7Q0 [13/82]
心理「そういえば……」

一方「ン?」ズズッ

心理「一方通行さんは、以前からこんな風にファミリーレストランにお一人で?」

一方「そォだなァ……、どっちかっつゥと俺ァ暇な方だからな。コーヒー空き缶で一回部屋埋めてから木原くンに怒られてよォ」

一方「そっから喫茶店に行ったり色々……、まあファミレスはここに良く来てた」

心理「最近はもっぱらこちらですの?」

一方「垣根くンとか麦野さンとかダーツマスターとか絹旗とか……、まァ騒げるかンな」

心理「そうなのですか……、私は普段あまりこのようなタイプの店には来ないのですが、様々な種類等あったりするのですか?」

一方「前垣根くンに連れてかれたスタバで見たが基地外じみた種類だったぞォ……、注文が既に記号化されてて意味わからンわありゃ」

心理「あら……、一方通行さんは何をお頼みに?」

一方「圧倒されてたからなァ。垣根くンに任せたらコーヒーフロートの親分みてェのが来た。垣根くンはなんちゃらフラペチーノのとかだったな。なンだよフラペチーノって、アルパチーノかよ」

心理「あら、アルパチーノご存知なのですか? 実は私、あの方嫌いじゃありませんの。とはいっても、映画のイメージしかありませんけれど」

一方「お、ゴッドファーザー見たことあンのか。味方と決めた奴は死んでも守り、敵と決めれば死ぬまで殺す。まあ偶像的なダークヒーローの一種だろォがそういうもンとして見りゃカッコイイな」

心理「一般人の方からみれば、何か芯の通った悪党というものは潔いものに見えるのでしょう。命のやり取りから離れた世界では、命の重さも測れないでしょうし」

一方「おィおィ、手之家は一般人じゃねェとでも言いたげだなァ。……あー、常盤台の派閥っつっても下っ端同士はそンなでもねェんだろ?」

心理「え? え、ええまあそうですわね」

心理(身内の内心が判るが故に、信じきることができない……。そんな思いをせずにただ相手を信じる事ができるのは幸せなのでしょうか……)

711 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:26:56.88 ID:tteao7Q0 [14/82]
心理「フラペチーノの話でしたわね。実は私それも飲んだことありませんわ、聞いた事だけならありましたけれどね。おいしかったのですか?」

一方「ありゃ飲みもンじゃねェな、デザートだった」

心理「デザート?」

一方「クリームでゴテゴテだった、砂糖舐めてるみてェだった、コーヒーの味なンざしたもんじゃねェ。……普通であれなら甘めの奴とか考えるのも恐ろしィ」

心理「ふぅん……、そうやってお話を聞いているとやっぱり興味が沸いてきますわ」

一方「しっかし手之家も大層な箱入りっぽいなァ、あンま夜遊びとか出歩きとかしない口だろ」

心理「機会が無いとそのようなことはあまり……、一方通行さん達が羨ましいです」ズズッ

一方「……じゃあ今度行くか?」

心理「――――えっ?」

712 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:28:46.32 ID:tteao7Q0 [15/82]
一方「垣根くンも喜ぶだろ。そういや絹旗とかも甘いもン好きだっつってたから連れてってもらや良い」

心理「え、そ、そうですわよね!」

一方「ァ?」キョトン

心理(夜遊びな訳ないじゃない……わたくし疲れてるのかしら)

心理「でもあの、良いのですか?」

一方「今更だろ。そもそもテメェ呼んだのは麦野さンや垣根くンだ、会っといてこのままさよならじゃ俺がぶン殴られる」ヒラヒラ

心理「…………」

一方「あ、いや、駄目なら別に良いンだが」

心理「…………貴方は」

一方「ンン?」

心理「一方通行さんはいらっしゃらないのですか?」

一方「さっきも言っただろォが、俺は甘いもン苦手なンだって……」

心理「なら甘くない物を頼めばよろしいですわ。それに、あと一つ」

心理「直接誘って下さった方がいらっしゃらないなんて、私とても悲しいですもの」

一方「そォか?」

心理「そォです。だから来て下さいな」

一方「…………にてねェ」

心理「ふふっ、残念」

714 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:34:39.51 ID:tteao7Q0 [16/82]
一方「そォだ。ケータイのアドレスとかまだ教えてねェし教えて貰ってねェだろ。麦野さンがこないだ騒いでてなァ」

心理「あら、そういえばそうですわね」

一方「やっぱ麦野さンも女だからかメール早いわ多いわ疲れンだよな……」

心理「も、なんて言っているのを聞かれたら怒髪天を衝くのではありませんこと?」

一方「たーしかに。も、ついでに言っとくと垣根くンもメール長ェんだよ。オシャレ系気取ってっとなのかなンなのか知らねェけどなァ……、ああ今のオフレコな」

心理「麦野さんも垣根さんもきっと一方通行の事がお好きなのでは?」

一方「悪ィ気はしねェけどメールって面倒くさくねェか……?」

心理(さりげなく混ぜた『垣根さんからの好意』という単語をさらりと流すなんて……もしかして本当にひょっとすると……)もんもんもん

一方「おォい」

心理「――――――はっ」ビクッ

心理「と、とりあえず黙っておく事は貸しひとつですわよ?」

一方「ケッ。あ、こっちから麦野さンと垣根くンのも送信しちまうぞ。アイテムの分は麦野さンに貰ってくれ」カチカチ

心理「え、ええ。こうです、わよね」カチカチカチ

一方「……ゥし、俺のいったか?」

心理「ええと……大丈夫ですわ」カチカチ

一方「なら続けていくぞォ」カチカチカチ

715 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:35:49.00 ID:tteao7Q0 [17/82]
一方「よし、これで良いなァ。もし会おうと思う時とか何かあった時やらにメールか電話くれりゃ良い。大抵暇してンからな、俺に限らず」

心理「ええ、では早速麦野さんと垣根さんにメールでも……」カチカチ

心理(ダミーの友人のアドレスではない、初めての知人のアドレス……。垣根さん、麦野さん、それに一方さん。このような人との繋がりも悪くは無いわ)

心理(なんだか少し気分がふわふわしますわね。何故かしら……)


一方「――――――ハッ」

心理「どうかなさいました?」

一方「……さっきも言ったがどォかなさってンのはテメェだよ。今度はいきなりやけに良い笑顔じゃねェの」

心理「わ、わたくしがですか?」

一方「そォだよ。あァ、コーヒー取ってくる」ガタッ

心理「…………」

心理「…………笑顔?」

716 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:40:51.26 ID:tteao7Q0 [18/82]



ワイワイガヤガヤ




一方「いやこないだ言いそこねてたが絶対ありゃおンなじ物だって。あのバンバンジー的な鳥肉は完全におンなじだった」

心理「なら今度私も食べさせて頂こうかしら……ヘルシー和風サラダの鶏肉とやらを」

一方「味自体もおいしかったしなァ。ありゃ俺的にはアタリって奴だ。……ン、もォこンな時間かよ」

心理「あら……、随分あっと言う間に日も沈みそう。秋でも無いのに釣瓶落としなんて」

一方「今日は何も言ってねェから木原くンも飯作ってンだろうしな。お開きにすっか」グイッ ズズッ

心理「そう致しましょうか。私も門限がありますし」

一方「なンか飲み物って最後に飲みきりたくならねェか?」

心理「不思議とそんな感じはしますわね」

一方「あ、やっぱりィ? 俺も」

717 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:42:02.91 ID:tteao7Q0 [19/82]



アリガトウゴザイマシターマタオコシクダサイマセー



心理「今日は垣根さん達には会えませんでしたが、とても楽しかったですわ。少し名残惜しいくらい」

一方「送ってくか?」

心理「そんなに気を使わなくてもよろしいのに」

一方「ま、一応な。社交辞令って奴だろ、木原くンが言ってたし」

心理「随分と紳士な方ですのね、木原さん。一度お会いしてみたいものです」

一方「紳士ィ? 木原くンがァ!? そりゃねェな」

心理「ふふっ。ではここで失礼しますわね、ごきげんよう」

一方「ン、ごきげンよう。またな」ヒラヒラ

718 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:43:54.29 ID:tteao7Q0 [20/82]


心理(本当にあっという間でしたわね……、今日の進展は一方通行さんにお近づきになれた事だけでしょうね)スタスタ

心理(それでも悪くは無い気分ですけれど。なんだかとても良い気分)スタスタ

心理「………………」ピタッ

心理(………………ふぅ)

心理(続かないものですわね――――良いことって)ピタッ



心理「…………何の用でしょうか、先日の非礼を謝罪しに来たのかしら?」

男A「――――っ!」

男A(気付かれてたのか……? まあ良い、こいつがただの念話能力者だっていう裏は取れてるんだ……路地裏にさえ連れ込めれば何とでもなる)

男A「あぁ、そうなんだよ。だから悪いけどちょっとこっちきてくんねえかな、ここ人多くて恥ずくてな」

心理「――――――――」キィィン

心理「……ええ、そうですか。私この後用事がありますので、できれば手早くお願いしたいのですけれど」

男A「ああ、早く来てくれれば早く終わるよ。あの時一緒にいた奴らもいるから」

心理「あらあら、殿方大勢に小娘一人では何をされるかたまったものではなさそうですわね」
男A「そんな事しねえよ、とりあえずこっちな」スタスタ

心理「――――――はぁ」スタスタ

男A(何を考えてるのか知らねえが無理やり連れ込む手間が省けたな。……常盤台はお嬢ばっからしいが頭もユルいもんかねぇ)ニヤリ

719 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:46:47.09 ID:tteao7Q0 [21/82]



心理「で、いつまでこんな路地裏を歩かせますの? 私は急いでいると言った筈ですが」

男A「おいてめぇら、連れてきたぞ」


ゾロゾロ


男B「え? マジ? ほんとに来たの?」

心理「下婢た笑い顔を見るに、謝って頂けるという予想は誤りだったのかしら」

男A「こないだはテメェにぶつかられた性でフルボッコボコだよ。クソメスガキが、一人で歩いてたのが運の尽きだ」

男B「いやごめんねー、あんだけ恥かかされてイラついてる所に見つけちゃうんだし、こんなとこまでホイホイ付いて来ちゃった君が悪いからしょうがないよねww」

男E「コイツ? なんや、エエ感じの子やな。ヤッてええん? こんなん」

男B「いいのいいの、その為に俺ら呼ばれたわけだし?wwww」

心理「折角の余韻が――――――台無しですわ。貴方がたのような下種のせいで」ギリッ

男A「ア? 今なんつった? まわり見てもの言えよクソアマァ……、調子こいてっとどうなるか判らせてやろうか?」ビキビキ

720 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:47:56.46 ID:tteao7Q0 [22/82]
男C「調子こいてなくても判らせる癖に何言ってんだよw」

男D「こんな上玉前にいつまでお預けさせる気だ、はやいとこやっちまおうぜ」

心理「――――お黙りなさいな」

男E「やけに威勢良い嬢ちゃんやな。好みやわぁ」

男A「頭よええのかこいつ」

心理「あなた達こそ少しは反吐以上のものを口から吐いて頂けます? 正面から相対しているのも煩わしい」

心理「これ以上臭い息を帯びた声を浴びていたくないのではっきりと言いましょう」

心理「私が折り紙を付けて差し上げますわ、この下種共。今すぐ消えなさい」


男達「」ビキビキビキビキ

721 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:50:18.42 ID:tteao7Q0 [23/82]
男E「……もう泣き言いうても遅いで。俺実はレベル3の発電能力者やねん」バチバチッ

男B「男Eさん殺さないで下さいよwww死体とヤんのはちょっとwww」

男A「はっ、その偉そうな上の口を今すぐ塞いでやるよ」ザッ

男C「おい何発か殴っとけよw 抵抗されて千切られたら洒落になんねえってww」

男E「ちぃっとシビれさせりゃ大人しゅうなるやろ」ザッ

心理「あなた達に配慮は必要ないわね」ハァ

男D「はい動かないでねぇ、当たり所悪いと死んじゃうかもしれないからね」ボキボキ

心理「……低俗。あなた達こそ『動かないで』」キィィン

722 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:52:15.23 ID:tteao7Q0 [24/82]
男A「―――――あれ?」グッ グッ

男D「う、動かねえ」

男B「ちょwww能力者とか聞いてねえぞwwww」

男E「あ、あの能力はまさか!」

男C「知っているのか男E!?」

男E「いや、知らへん」

男C「さいで」


心理「……人の体は、意思で動く」

心理「精神の意思も肉体の意思も、そのどちらをも掌握する術があれば人の動きを止める事など容易い事」

723 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:53:35.12 ID:tteao7Q0 [25/82]
心理「実は私、お礼参りに来ましたの。貴方達のお陰であの方々にお近づきになれた、感謝していますわ」ニコッ

男D「ふざけてんのかァ! 何しやがったテメェ!」

心理「一度目は終わりですけれど、それともう一度お礼参りをしなければなりませんわね。今一度申しますと、あの方とのおはなしの心地よい余韻が貴方達のせいでまるで台無し」

男E「体が動かんでもなぁ……、電気は飛ばせるんやぞクソアマァ!」バチッバチバチバチ

心理「そう、なら『どうぞお好きなように』」キィィン

男B「ちょwwwwwなんで俺の方あばばばばばばばばばばばば」ビリビリ

男C「うあああばばばばばばばばば」ビリビリ

男D「テメェなにしやがあばばばばばばばばば」ビリビリ


男A「な、な、な、な…………」

男E「な、何しおった! 俺の手がかか勝手に……」

心理「私、精神能力者ですもの。あなたの手は勝手に動いたのではなく、動いてもらったのですわ。私の命令で」

男E「そんなレベルの精神能力者なんてそういてへん筈やぞ! それにオマエは念話能力者の筈……、何もんや!」

心理「ええ『それ』もできますわね。……ああ、あなたも『休んでしまってもよろしくてよ』」キィィン

男E「あばばばばばばばばばばばばば」ビリビリ

724 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:57:04.61 ID:tteao7Q0 [26/82]



シュゥゥゥゥゥゥゥゥ


心理「能力の強度も精神力も弱い……、こんなに簡単に掌握できるなんて異能力か低能力級ではありませんこと? 低能に加えて低脳だなんて……なんて救いようの無い」

男A「ぅ、ぅぅぅぅぅぅ…………」

心理「さあ、二人きりですわね。謝ってでもいただけるのかしら?」

男A「!」

男A(し、死にたくねえ! 何とかここで逃げられれば後は人数でも集めてこいつをぶっ殺せる! 所詮精神能力者だ、認識外の攻撃に弱いはずだ!)

男A「あ、ああ! 悪かった、もうしねえ! 仲間達にも無駄に暴れんなって言っとくよ! だから見逃してくれ!」

心理「あらあら、いきなり態度を変えてしまわれて……、改心というやつかしら」

男A「そうだ改心したよ! だから許してくれ、なあいまさら俺をいたぶってもしょうがないだろ?」

心理「もし私がここで大変な目に合わされていた時にそう言えば許してくれましたの?」

男A「ゆ、許した! 許したよ当たり前だろ! だだ、だから許してくれよ!」

心理「………………」

男A(いけた……か……?)

心理「…………あなたの心は、そうは言っていないみたいですけれど、ね。ふふっ、自分さえも騙しきれないような嘘なんて馬鹿らしいとお思いになりませんか?」キィン

男A「」



心理『――――――嘘つき』キィィン

男A「――――――――ぁ」ドサリ

725 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:57:57.81 ID:tteao7Q0 [27/82]



心理「…………」

心理「……殺してなどいませんわ。次に目が覚めたら、私の事を覚えていないだけですべて元通り」

心理「ただ、暫くの間女性に興味が持てなくなっているかもしれませんけれど」スタスタ

男達「」死ーん

心理「ま、当然の報いですわね。ではごきげんよう、救いようの無い下種の皆様方」スタスタ

男達「」死ーん

726 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 02:58:56.74 ID:tteao7Q0 [28/82]
心理(…………)スタスタ

心理(……これが、私)

心理(人の精神を喰らう化け物、『心理掌握』)

心理(――――――知られたく、ない。あの方々にだけは今も向けられた悪意と恐怖の篭った視線を、向けられたくない)

心理(……いえまだ、まだ大丈夫)

心理(情報も漏れていない、あの方々にも疑われていない、依頼も順調に順を追ってこなしている)

心理(そうよ、今はまだ大丈夫。今はまだ――――――)

727 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 03:03:40.79 ID:tteao7Q0 [29/82]
?「ろ、路地裏に誰か倒れてる!」

?「大丈夫かおいお前ら、しっかりしろ!」

男B「……うーん」ムクリ

?「男ばっかりだな……能力者にでもやられたのか?」



男C「ぐ……あれ、何で俺こんなとこに……」

男E「ああ、頭もだいぶしっかりしてきおった。兄ちゃん、おおきにな」

?「ああ、俺は何もしてないしな。じゃあこれで……」スタコラサッサダゼィ

男E「待ちや兄ちゃん」ガシッ

?「えっ?」

男E「礼もまだしてへんがな……、よく見たら結構いい男やないかい」ジュル

?「えっ?         えっ?」

男A「それじゃあもう少し奥へ行こうぜ」ガシッ

男B「くんずwwほぐれつwwwwお礼してやんよwwww」ガシッ

?「」

728 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2010/09/04(土) 03:05:51.01 ID:tteao7Q0 [30/82]
?「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ」

?「不幸だァああああああああああああああああだれかたすけてくれええええええええええええええええ」

男E「あかんわ兄ちゃん、たまたまかなんでか知らへんけどここは外に声が届きにくい場所やからなー」ンッフ

?「ま、待てよてめぇら!」

?「てめぇら本当にそれでいいのかよ!そんなんでいいのかよ!男同士が絡み合い肉がぶつかり合い汗が飛び散る、そんな光景を目指してお前らは今まで生きてきたのかよ!
  違うだろ!?ツンデレ気味の幼馴染やちょこっと抜けたお姉さん、突然飛び込んできた不思議ちゃんがそれまでの関係を掻き乱す、そんな怖くも楽しい甘酸っぱい思い出を目指して!
  これまでやってきたんだろ!違うか!ちなみに作者は年季の入ったOL以上か世話を焼いてくれるあねさんそれも少し陰のある感じが大好物だ!それをこんな、暗く寂しい路地裏で男同士だと!?
  非生産的にも程がある!わかっちゃいない!お前らは何もわかっちゃいない!何がわかっちゃいないかっていうと俺のこの追い詰められっぷりがだ!くんずほぐれつじゃねぇんだ!
  腐った人たちでも喜ぶもんでもない、いいかげん目覚めろよゴロツキ共!目覚めついでにまず俺を見逃してください!」

男達「だが断る」



アッーーーーーーーーーーー!!!!!



その日、学園都市中のあらゆる生き物が断末魔の如き叫びを耳にしたという。

それをある者は大切なものを失った者の慟哭だとし、またある者は己の不遇を嘆く雄叫びだと表した。


時をほぼ同じくして、とあるツンツン頭の少年が虚ろな目をして町を歩いていた所を目撃されている。

彼がどのような事件に巻き込まれ一体何を失ったのか。敢えて筆をおいておくので推して知るべし。

唯一つはっきりしているのは、彼が紛う事無く不幸だという事実である。


心理「私の、大切なお友達」-2
続きます

コメント

No title

どうでもいいけど一方さンが古王になっとるwww

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