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秀吉「小ネタ!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:47:57.96 ID:OmVewP0JO [1/43]
いまさらだけど新刊購入記念
秀吉or美波重視
いまさらだけど新刊購入記念
秀吉or美波重視
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:49:42.15 ID:OmVewP0JO [2/43]
きょうしつ!
雄二「ちょっと待て、なんだこの始まり方は」
明久「なんか電波ソングを18時間聴き続けて書き手のただでさえ汚い頭の中がドブ色になっちゃったらしいよ」
康太「……流行は過ぎた。映画化は飽くまで悪あがき」
明久「僕らもアニメが終わってからはもう下火も下火、原作は続いてるけどさ」
秀吉「なにを言うておるのじゃ。ワシらもまだまだピチピチの現役ではないか」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:50:38.87 ID:OmVewP0JO
ガラッ
美波「……あれ?」
3人「………ハァ(溜息)」
美波「…なに? 朝からしんみりジメジメとして」
明久「こうやって教室のキノコに適度な水分を与えてるんだよ…」ハァ…
秀吉「溜息でシメジを育てるとは、これまた斬新じゃのう」
康太「……松茸なら腐るほどに」
秀吉「おぬしが言うと卑らしく聞こえる……というか、言ったの? そういう意味で言ったんじゃの?」
康太「………ポッ///」
秀吉「頬を染めるでない! ツっこんだワシのほうが恥ずかしいではないか!」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:51:55.40 ID:OmVewP0JO
康太「突っ込むだなんて……///」
秀吉「じゃから何故おぬしは毎度そっちの方へ向かうのじゃ!? ワシが突っ込んだのは松茸であって、いや、松茸に関する突っ込みであって、………ああダメじゃ! 松茸と突っ込みを並べるだけで下卑た響きになってしまうではないか!」
明久「ダメだよ秀吉! 嫁入り前の子がそんな下品なこと言っちゃ! それに秀吉は松茸なんて汚らわしいもの持ってないでしょ!」
秀吉「残念じゃが、ワシとて人並みはずれた松茸の所有者じゃ!」
明久「ダメ! 聞こえない! アーアー」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:53:22.73 ID:OmVewP0JO
康太「……しっかり録音させて貰った」カチッ
秀吉「これを録音してどうするのじゃ!? これだけで興奮するというのはかなりハイレベルな変態だと思うのじゃが!?」
康太「……その罵り言葉も頂いた」カチッ
秀吉「もう……何も言わん……」
美波「あんたら……、女子の目の前でよくそんな話が出来るわね?」
明久「えっ? ああごめんね秀吉、こんな下品な話を聞かせちゃってぇぇぇえええええ脊椎に強烈な痛みがああああぁぁぁ!?」メキメキ
美波「知ってる? 縦に綺麗に裂けるキノコは毒キノコなんだって~。アキはどう裂けるかしら~」
明久「じゃあ僕は裂けないから毒は持ってないんだね!」
美波「そうね食用ね。食べやすいように細切れにしておかなくちゃ」
明久「やめて! 僕のライフはとっくにゼロよ!?」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:54:56.49 ID:OmVewP0JO
01:瑞希×秀吉
~教室~
ガラッ
瑞希「おはようございます」
秀吉「おお、姫路、おはよう」
瑞希「あら、まだ木下くんだけなんですね」
秀吉「まだかなり早い時間じゃからの、なにか用事でもあったのか?」
瑞希「はい、少し準備しなきゃいけないことがあるんで…、木下くんはいつもこんなに早いんですか?」
秀吉「いや、今日は朝練が休みだったのを忘れておっての、早く来てしもうたのじゃ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:56:06.77 ID:OmVewP0JO
瑞希「そうなんですか、……あの、ちょっとお願いしたいことがあるんですが…」
秀吉「なんじゃ? 時間はあるし、なんでも協力するぞ?」
瑞希「その…、またお弁当を作ってきたんですが…」
秀吉「やっぱり今日も朝練はあったようじゃ、今から合流して――」
瑞希「協力するって…、言ったじゃないですか…」ニコッ
ガシッ
秀吉「ひひ姫路? 目が笑っておらぬぞ……?」ガクブル
瑞希「失敗しちゃったんです…、でも見た目にはわからないんで、誰かに味見してもらいたくて」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:57:00.19 ID:OmVewP0JO
秀吉「自分では毒味……、いや、味見はしたのかの?」
瑞希「しませんよ、太っちゃうじゃないですか」
秀吉「………選択の余地は?」
瑞希「多分、ないです」
秀吉「…」
瑞希「…」
秀吉「……わかった、味見しよう」
瑞希「わぁ、ありがとうございます、木下くん!」
秀吉「明日は、晴れるかのう……」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:59:14.62 ID:OmVewP0JO
瑞希「これなんですけど……」
パカッ
秀吉「……(確かに見た目は普通、むしろ美味そうな気配すら漂わせておる)」
秀吉(しかしワシらは知っておる、これが第一種危険物に相当する破壊力を持っていることを……)
瑞希「メインの肉じゃがを……」
秀吉「…」
瑞希「…」
秀吉「……ワシも男じゃ! 腹をくくろう!」
ハムッ
秀吉「……」モグモグ
瑞希「……」ジーッ
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:00:53.58 ID:OmVewP0JO
秀吉「……?」ムグムグ
瑞希「……どう……ですか?」
秀吉「……うまい……のじゃ」ゴクン
瑞希「ホントですか!? よかったぁ!」
秀吉「あの、姫路よ、失敗というのは具体的にどんな…?」
瑞希「えっと、いつも入れてる隠し味を入れ忘れちゃって。後から入れても意味ないですし、時間もなかったのでそのまま持ってきたんです」エヘッ
秀吉(セーフ!! セーフじゃ!!)
瑞希「これなら吉井くんに食べてもらっても大丈夫ですね」エヘヘ
秀吉「……(笑うとまさに天使のような笑顔なんじゃがのう)」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:02:08.18 ID:OmVewP0JO
瑞希「…、あ……えっと……」
秀吉「いや、心配するでない、前から知っておるでな」
瑞希「え!? い、いつ気付いたんですかぁ!?」
秀吉「気づくもなにも、普段のおぬしの明久に対する態度を見てれば誰でもわかるぞい。気付いてないのは本人くらいじゃろうて」
瑞希「そんなぁ……」
秀吉「明久は手強いぞ。真正面から告白したとしても、好意として受け取られる可能性はゼロに近い驚異のの鈍感力を持っておるからの」
瑞希「それは私も嫌というほど体感しましたから……」
秀吉「まあ、なんじゃ、姫路の可愛さと今日のような料理があれば明久もいずれ落とせるんじゃないかの」
瑞希「可愛さって……そんな……」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:03:14.70 ID:OmVewP0JO
秀吉「ワシは可愛いと思うがのう……、特に先程の笑顔などは格別にじゃ」
瑞希「き、木下くん?///」
秀吉「明久とて姫路への好意は隠し切れてないでな、この調子で頑張るのじゃ」
瑞希「………はい! 頑張ります!」ニコッ
秀吉「そう、それじゃ。女子はやはり笑顔が一番じゃ」ニコッ
瑞希「……はい///」
瑞希(木下くんだって笑顔の眩しさは女の子以上です…//)
瑞(それにたまにどの男の子よりもかっこいいことを、さらりと言ってしまうあたり確かに魅力的です…)
瑞希(悔しいですが、学園の男子達を虜にしてるのも納得です……)ポワポワ
秀吉「……?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:04:44.77 ID:OmVewP0JO
そして昼休み、例外なく明久は保健室に運ばれた。
雄二「…味見したんじゃなかったのか?」
秀吉「そういえばワシが食ったのは肉じゃがだけじゃった。すまぬのう、明久(合掌)」
瑞希「……あれ?」
瑞希×秀吉
完
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:06:36.24 ID:OmVewP0JO
02:雄二×美波
~女子更衣室~
今、ヤバイ。ひたすらヤバイ。
少しでも気配を消せるよう、薄暗いロッカーの中、じっと息を潜める。
美春「どこですかぁ、お姉様ぁ……」
清水美春は放課後になってすぐFクラスに現れた。
………銭湯の割引券(2人分)を持って。
銭湯は嫌いではないが、同伴するのが美春では自分の貞操はこの上ない危機に曝されてしまうだろう。
美春「かくれんぼですか、お姉様ぁ?」
バタンバタン
さらにまずいことに美春はロッカーを片っ端から開けはじめた。
こうなるともう見つかるのは時間の問題。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:08:36.00 ID:OmVewP0JO
美春「これで最後です……!」
美春が自分の隠れるロッカーの取っ手に手をかけた。
もう駄目か、と目を閉じたその時。
「もう下校時間は過ぎてますよ、清水さん」
現れたのは学年主任の高橋先生。
「もう外も暗いですし、早く帰りなさい。校門ももう閉めますよ」
美春「え、でも……」
「Fクラスじゃないんですから、不良しちゃダメです」
結局、美春は高橋先生に連れられて更衣室を出ていった。
高橋先生GJ! 息苦しいロッカーを飛び出て、思い切り深呼吸。
美波「………て、あれ? 下校時間? 校門?」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:09:59.20 ID:OmVewP0JO
―――しまった。 いや、校門がではなく今の状況が。
早く帰らなければ。 しかし、もしかしたら更衣室の外で美春が待ち伏せしているかもしれない。
どうする。
そう考えていた時―――
バン!
雄二「ぬぉぉぉおおあああ!!!」
――――下着姿で女子更衣室に飛び込んできた坂本雄二と目が合った。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:12:15.11 ID:OmVewP0JO
~~~~~~~~
美波「ああ、霧島さんから逃げてたと」
雄二「ハィ……」
一方は更衣室の隅に正座し、もう一方は更衣室のパイプ椅子に腰掛け、鬼の形相で女子更衣室に飛び込んできた屑を見下ろす。
美波「さすがに女子更衣室に逃げ込むとは思わないだろう、それにもうみんな下校したはずだから誰もいないだろうと考えたわけね」
雄二「ハィ……」
美波「ちゃんと説明すれば匿わないこともなかったのに」
雄二「そういうことはマウントからのラッシュをキメる前に言って欲しかったデス……」
美波「えっ?」
雄二「ナンデモナイデス……ハィ……」
あのあと何もなかったわけもなく、条件反射のように繰り出された拳をまともに食らった雄二は抵抗する間もなく美波のサンドバッグと化した。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:13:26.37 ID:OmVewP0JO
その後、落ち着いた美波は気絶した雄二を女子更衣室に放っておくわけにもいかず、目が醒めるまでそのまま待つことにした。
そして、今に至る。
美波「それにもう少しタイミングが早ければアンタ、間違いなく学園一の変態として社会的に抹殺されてたわよ」
雄二「ゴモットモデス……ハィ……」
俯きながら正座をして同期の女子に灸を据えられる雄二に、Fクラス代表としての威厳はまったく見られない。
その時―――
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:14:35.67 ID:OmVewP0JO
カツン……カツン……
雄二「足音…?」
まさか………美春(翔子)!?
美波「やばい! 明かりを消して!」
雄二「承知!」
パチッ
見つからないよう、照明を消して気配を殺す。
足音は次第に近づき―――
カツン…カツン…
―――2人が隠れる女子更衣室の前で止まった。
美波「……」
雄二「……」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:15:49.40 ID:OmVewP0JO
ガチャン…
「……」
ドアを少し開いて、顔を覗かせたのは先程の高橋先生。
どうやら校門を閉める前にもう一度見回りに来たようだ。
よかった…。
美波「せんせ―――」
「誰もいませんね」
ガチャ
美波「あ、ちょっと……」
美波が声をかける前に、先生は扉を閉めてしまった。
そして…
カチンッ
雄二「…今なにかとてつもなく嫌な音が聞こえたような気がしたんだが」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:17:19.17 ID:OmVewP0JO
美波「…」サーッ
美波の顔から血の気が引いていく。
美波「鍵…閉められちゃった……」
雄二「は? 鍵? 外側からか?」
美波「誰とは言わないけど、前に盗撮目的で忍び込んだやつがいたのよ。それ以来、使わない時は外側にも鍵を付けるようになったの」
雄二「それかなりやばいじゃねえか! おおい!」
閉じ込められては堪らないと、雄二はまだ近くにいるであろう高橋先生を呼ぶ。
しかし……。
美波「無駄よ、誰とはいわないけど、前に更衣室の外で中の様子を盗聴してた奴がいたから、それ以来この部屋は防音仕様になったの」
さらにセットで窓にも鉄格子がはめられた。
――――誰とは言わないが、人をこれほど恨めしく思ったのは初めてだ。
雄二「おいおい……朝までここにいろってか……?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:18:55.15 ID:OmVewP0JO
~~~~~~~
美波「しっかしアンタも大変ね、毎日毎日逃げ回って」
雄二「今日は逃げ切れただけマシだ。島田にボコられても、精神的なダメージは伴わないしな」
美波「あ、ごめんごめん、つい手加減無しでやっちゃった」
結局、騒いでも無駄ということで適当に会話をして落ち着くことにした。
しかしトランクスとアンダーシャツのみという格好で女子更衣室に居座る姿は、まさに変態そのものである。
考えてみれば外側に付けた鍵も、窓にはめた鉄格子も、こういった男を中に入れないための物ではなかったか。
今の状況を見る限り、まったくもって無意味だったようだ。
しかも誰とは言わないが、それらを付けるきっかけとなった人物は次の日から天井裏に忍び込むようになった。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:20:26.38 ID:OmVewP0JO
美波「……でも、霧島さんの坂本への想いは決して暴力的なものじゃないはずよ? 同じ女子だからわかるけど」
雄二「わかってる……わかってるんだがそれを認めてしまうと、いろいろと失ってしまいそうで怖いんだ」
まあ実際失うだろうけど。
本人に聞こえないよう、心の中で呟く。
美波「でも、そんなに自分を好きになってくれる人がいるのって凄く幸せなことだと思うけど」
雄二「島田だって清水がいるだろ」
美波「美春は女よ、ウチも女」
雄二「でも想いは本物だと思うが」
……まあ、確かに。
すべてを犠牲にしてまで自分について来てくる女の子。
そう考えると、少し嬉しく感じる。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:22:23.95 ID:OmVewP0JO
美波「坂本のくせに、クサイこと言わないでよ」
雄二「似合わないと」
美波「似合わない」
そうか、その想いを受け止められるかどうかは別としても、自分を慕ってくれる人がいるという事実は幸せとしてちゃんと受け止めるべきなのかもしれない。
自分も、明久に―――
Prrrrr……
鳴ったのは、雄二の携帯。
雄二は画面を確認せずに電話をとる。
雄二「もしもし……………翔子!?」
相手の声を聞いたとたん、雄二は号令をかけられたように起立する。
翔子『……どうしてまだ帰ってこないの?』
雄二「いや、閉じ込められて…、いや、帰ってってお前いまどこにいるんだ!?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:25:00.55 ID:OmVewP0JO
翔子『……雄二の家の前。閉じ込められたって、学校……?』
雄二「そうだが…、いや、違う! 決して学校ではない!」
プツッ
ツーツー………
美波「あちゃー……」
電話の内容は全部聞こえたわけではないが、おそらく霧島はこれから学校に、……この部屋に来るつもりなのだろう。
忘れているかもしれないが、ここは“女子更衣室”である。
しかも下着姿で自分と2人きり…。
死なない、たぶん死なない程度の仕置きをされるのは間違いないだろう。 多少自分もとばっちりを食らうかもしれないが。
雄二「」
坂本がそれに気付いていないはずもなく、直立したまま硬直している。
美波「……ともあれ、これで出られそうね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:27:24.15 ID:OmVewP0JO
10分後、鍵がかかっているはずの扉が轟音とともに吹き飛んだ。
翔子「雄二………」
砂埃を纏った霧島が姿を現す。
……目が赤く光っているように見えるのは気のせいだろうか、……気のせいだと思いたい。
翔子「まさか……島田と……!」ギリッ
雄二「ちがう! 神に誓って違う! 島田、説明してくれ!」
美波「放課後の女子更衣室に、下着姿で飛び込んできました」
雄二「そのあと!」
美波「ウチに対してクサイ台詞を吐いてました」
雄二「ちくしょう神も仏もねえ!」
―――ついさっき神に誓ってたのに。
翔子「雄二は浄土宗?」
雄二「そうだなこの際、あの世に救いを求めるか」
一閃、断末魔。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:29:04.80 ID:OmVewP0JO
~~~~~~~
あのあと、とばっちりを受けることもなく更衣室を脱出し、すっかり暗くなった校門までの道を歩く。
美波「遅くまで家の前で待ってて、電話の後はすぐに学校へ………、か」
やはり羨ましい。
しかし自分も自分を慕ってくれる人物を持っている。
今までは逃げてばかりだったけど、もっと大事にすべきなんだと気づくことが出来た。
美春「お姉様!」
校門を出たところで美春が待ち構えていた。
あれからずっと待っていたのだろうか。
残暑の目立つ季節とはいえ、夜になると肌寒く感じるほど気温は下がる。
……心なしか美春の肩も震えているように見える。
美波「……美春、銭湯行くわよ」ニッ
美春「…………お姉様ぁ!!」
ウチにだっているもんね、自分を大事に思ってくれる人。
雄二×美波
完
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:32:21.00 ID:OmVewP0JO
03:愛子+康太×秀吉
~教室~
愛子「もうちょっと腰をあげて……」
秀吉「こ、こうかの?」クネ
愛子「あ、いい感じ! それでもうちょい目に色気を込めて!」
康太「裾という名の兵士がいま絶対境界線を越えていく……!」プシュシュ
自称“男の中の男”もとい木下優子の片割れ、木下秀吉の今の服装は以前にも着ていたチャイナドレス。
愛子「もうちょいスリット入れてもよかったかな」
の、改良版である。
秀吉「これ以上切ったら尻が見えるではないか…」
愛子「んー、もう見えてるけどね」
秀吉「なっ!?///」バッ
康太「……」ドクドク
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:34:15.98 ID:OmVewP0JO
秀吉が抵抗もなくサービス(本人は大真面目であるが)しているのは、これが演劇部としての活動の一環であるから。
次の舞台のポスターの作成。
部にとって重要な舞台であるため、ポスターのモデルは演劇部きっての美少女、木下秀吉嬢にやってもらうことにしたのだ。
そしてその写真の撮影は土屋康太に任された。
愛子「今の撮った!? 恥ずかしげな表情が最高だったよ!」
康太「……この俺を甘く見るな、バッチリ撮ってある」グッ
愛子「さすがエロの帝王ムッツリーニくん」
康太「…」ブンブン
秀吉「おぬしら……」
実を言うと、ポスターに使う写真は既に撮り終えている。
しかし秀吉の艶姿を遠慮なく撮影できるというチャンスを土屋康太が見逃すはずもなく。
撮り終えたことは秀吉には言わず、着せ替えを楽しんでいる。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:36:38.71 ID:OmVewP0JO
愛子「やっぱチャイナドレスは演目と関係ないし、別のにするべきだね」
康太「……次はゴスロリメイド服を」
秀吉「はて、次の舞台にゴスロリメイドが出ておったかのう」
愛子「出てるよ、それはもう観客全員がゴスロリに目覚めて発狂するくらいに」
秀吉「なにを目的とした演目なんじゃ……。まあいい、これに着替えればいいのじゃな」
差し出されたのはメイドというよりはパンクといったほうが近いであろう、金具のたくさん付いたゴスロリ服。
例のごとく一瞬で着替えるかと思いきや……。
秀吉「むう、金具が多くてどう着ればいいのやら……」カチャカチャ
どうやらパンク服の金具の多さに手間取っているようだ。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:39:23.33 ID:OmVewP0JO
愛子「秀吉くん、手 伝 っ て あ げ よ う か ?」ワキワキ
秀吉「い、いや、一人で着替え……」
愛子「遠慮しないで、ね♪」
ガシッ
秀吉「待て、そもそもおぬしは女じゃろう! 男のワシの着替えを手伝うのはその、いろいろと問題が!」
愛子「…あるかな?」
康太「…まったくない、これ以上ないほど健全」グッ
愛子「だよねー、一度秀吉くんを好き放題こねくりまわしてみたかったんだー♪」
秀吉「は、離すのじゃ! それ以上は……!」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:41:53.10 ID:OmVewP0JO
愛子「わぁ、ホントに肌きれい……。 優子とは違った健康的ですべすべした肉付きも……ハァハァ」
ペロペロモミモミ
秀吉「ひゃあ!? な、舐めるでない尻を揉むでない服を脱がすでなーい!!」バタバタ
愛子「木下くん少し胸あるんじゃない? AAくらいは……」ハァハァ
モミモミ
秀吉「あぅっ……だ、だめじゃあ……アッ-!」
康太「涅槃が……いま目の前に……!」プシャアア
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:43:12.73 ID:OmVewP0JO
愛子「ふぅ……、あれ?」
秀吉「」グッタリ
康太「」ピクピク
愛子「ありゃー、少しやり過ぎたかな?」
数十分に及ぶ死闘の末、秀吉は愛子にいろいろと吸い取られ、康太は自らの血の海に沈んだ。
秀吉「うぅ……もうお婿に行けないのじゃ…」
愛子「大丈夫、お嫁に行くぶんには何も問題ないよ! ナニもね!」
秀吉「もう……ツッコミを入れる気力さえない…」
康太「涅槃……ニルバーナ………はっ!?」
ガバッ
突然、涅槃郷へと旅立っていた康太が意識を取り戻す。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:45:13.03 ID:OmVewP0JO
愛子「どうしたの? ……あー!」
康太「カメラが………」
ムッツリーニこと康太の手の上には、血塗れのカメラ。
愛子「……フィルムは?」
康太「……駄目だ、全部血塗れに」
秀吉「聞こえぬ、ワシには何も聞こえぬのじゃ」
状況を察知した秀吉は両手で耳を塞ぎ、現実逃避を試みる。
しかし―――
愛子「じゃ、もっかい撮り直そっか♪」
秀吉「」
康太「…カメラはもうひとつある」スチャ
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:46:50.18 ID:OmVewP0JO
秀吉「誰か……」
「やっぱこれでしょ、ギリギリな感じ」
「露出が多ければエロいと思うのは素人」プシッ
「じゃあ普通の舞台衣装?」
「断じて許さん…!」
「あ、これ一枚ってのもよくない?」
「裸にコート……だと?」プシュシュ
秀吉「誰か助けてくれ………」
愛子+康太×秀吉
完
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:48:40.52 ID:OmVewP0JO
04:瑞希+美波+秀吉
~教室~
ザー-……
美波「雨ねー…」
瑞希「雨ですねー…」
授業が早めに終わった日の放課後、久しぶりにFクラスの6人で街に遊びに行こうということになったのだが……。
美波「男子が全員補習に連れてかれるなんてねー…」
結局いつものメンツのうち男子全員が鉄人の補習を受けることとなり、補習室に連れて行かれた。
しかし補習とはいえ、30分程度で終わるらしいので、女子3人は教室で待つことにした。
秀吉「先程から島田もナレーションも男子全員やら女子3人とか言っておるようじゃが」
美波「ん? それがどうかした?」
秀吉「Fクラスに女子は2人しかおらんのじゃ」
美波・瑞希「!!」ガタッ
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:50:33.54 ID:OmVewP0JO
秀吉の言葉に美波と瑞希は突然立ち上がり、臨戦体制をとる。
秀吉「ど、どうしたのじゃ?」
美波「木下、あんたFクラスに女子は2人しか必要ないって……!?」
瑞希「私達2人のうち、どちらか1人を蹴落とそうと言うんですね!?」
秀吉「だからどうしてそうなるんじゃ!? ワシは肉体的にも精神的にも男だと言うておろうが!」
美波「ごまかしても無駄よ、やられる前に…!」
瑞希「…やる!」
秀吉「2人とも待つのじゃ! まーつーのーじゃ!」
美波「もう騙されないわよ! だいたいなんでアンタ男子の制服着てるのよ!」
瑞希「男装っ娘属性なんて……卑怯です!」
秀吉「この制服はワシの性別に合わせて買ったものじゃ! 確かにサイズ的には女物かもしれんが…」
※あれって絶対、特注サイズだよね。男用のサイズじゃないよね。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:52:26.00 ID:OmVewP0JO
美波「Q、男のサイズじゃない、つまり?」
瑞希「A、女物である」
秀吉「結局どっちにしてもワシにとって都合の悪いようにしかならんではないか!」
瑞希「どっちにしても学園の男子達の心を弄んでいることに間違いはないんです!」
美波「そうよ! ………て、あれ? 木下?」
ここにきて、美波は秀吉の異変に気付く。
少し俯いて、体を小さく丸めて……。
秀吉「うぅ……グスッ……」ポタポタ
美波(あ、あれ? 泣いてる?)
瑞希「あ、あの……」オロオロ
少し言い過ぎてしまったか。
秀吉はその大きめの瞳に涙を溜め、また、それを見せぬよう体を丸めている。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:56:49.15 ID:OmVewP0JO
美波「あの…、木下?」
勢いに任せて酷いことを言ってしまったのかもしれない。 美波はとりあえず落ち着くように秀吉の背中をさする。
秀吉「うぅ…どうして皆……ワシを男と扱ってくれないのじゃ……」
美波「えっと……」
見た目も中身もとても男には見えないから、と正直に答えてしまうとトドメを刺すことになってしまうだろうか。
秀吉「グスッ……」
しかしなんと言おうか…、可愛い。
瑞希「…」
おそらく瑞希も同じことを考えているのだろう。 小さく丸まって肩を震わせ泣く姿はさながら小動物のようで、乙女心を刺激する。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:58:03.32 ID:OmVewP0JO
秀吉「もう……姉上くらいしか……」グスグス
美波「…」ナデナデ
秀吉「……む?」
美波「よしよし」ナデナデ
秀吉「……島田?」
瑞希「大丈夫ですよ、私達はちゃんと木下くんの性別を認識してますから」ナデナデ
秀吉「姫路まで……なんなのじゃ……」
2人は幼児をあやすように視線の高さを低くして秀吉を撫でる。
少し混乱したせいか秀吉の涙は止まり、代わりに2人の突然の行動に不審感を抱く。
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:59:33.41 ID:OmVewP0JO
秀吉「も…もう落ち着いたのじゃ、落ち着いたから…」
美波「撫でられるの、嫌い?」
秀吉「いや、嫌いではないが……」
美波「じゃあおとなしく撫でられてなさい」
秀吉「むぅ………」
瑞希「…」ナデナデ
撫でられるのが嫌いかそうでないかの問題でないような気がする…、と言うのは面倒なので大人しく撫でられることにする。
美波「ごめんね、ちょっと言い過ぎたわね」
秀吉「いや、おぬしらのせいではない。 男らしくない自分が情けなくなっただけじゃ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 18:01:45.55 ID:OmVewP0JO
瑞希「いっそ女の子になって私達と女友達になれば…」ポワポワ
秀吉「そうすると姉上に酷い目に合わされそうじゃ…」
そのまま時間は過ぎていき……。
ガラッ
明久「いやー30分とはいえやっぱり鉄人の補習は最悪だね」
雄二「まったくだ、しかし俺は最近成績を上げてたはずなのになんで補習受けないといけないんだ?」
康太「……普段の行い」
雄二「お前が言うな」
補習に行っていた3人がぞろぞろと教室に戻ってきた。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 18:03:17.90 ID:OmVewP0JO
明久「……えーと、2人ともなにしてんの?」
康太「…」パシャ
美波「いや、なんか木下が可愛かったから」ナデナデ
瑞希「撫で心地もいいですし」ナデナデ
秀吉「むぅ……」
明久「どれどれ、僕にもその撫で心地の良さを…」
美波「あんたはダメ」
瑞希「です」
明久「なして!?」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:05:04.44 ID:OmVewP0JO
美波「あ、頬っぺたもすべすべモチモチ」
秀吉「うにゅ」
瑞希「程よい弾力です…」
秀吉「うにゅにゅ」
明久「な…なんて羨ましい……! なんて素晴らしい光景! お願い僕も混ぜて!」
美波「だーめ」
瑞希「女の子同士の特権です」
秀吉「うにゅ」
それからしばらく、秀吉は2人のぬいぐるみとなった。
瑞希+美波+秀吉
完
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:07:50.89 ID:OmVewP0JO
05:康太+美波
人気のない廊下に佇む2つの人影。
ここ文月学園では毎日のように行われる闇取引。
その中心人物は―――
康太「……今回は品薄。 希少価値も高まる」
ムッツリーニこと土屋康太。
そして―――
美波「ウチしか持ってない写真、いいじゃない…。 物は?」
Fクラス島田美波。
島田に限らず主な取引はFクラス内で行われる。 もちろん、Fクラス外での取引もあるが、割合としては少なめだ。
康太「……アキちゃん生写真セット、10枚5千円」
美波「くっ……足元見てるわね…」
康太「…撮影機材増強のためにも、定価以下での販売は行わない」
美波「わかったわ、5千円」
康太「…毎度あり」
ここにまた闇の取引が成立する。
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:10:03.24 ID:OmVewP0JO
美波「しっかしあんた、よくこんな写真撮れるわね」
康太「売上は惜しみ無く機材増強に注ぎ込んでいる」
美波「いや機材もだけど、この写真なんかどう考えても天井から…」
康太「撮っている」
美波「さすがね…」
どの写真も絶妙なアングルから撮られたもので、なかなかツボを抑えてある。
一枚5百円という値段も頷ける。
美波「なんかオマケつけてくんないの?」
康太「明久の写真を購入したので、別の人物の写真ならオマケで付けなくもない。 男子ならば坂本雄二がある」
美波「ちょっと違うわね」
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:12:15.04 ID:OmVewP0JO
康太「女子ならばいま霧島翔子、姫路瑞希、工藤愛子、清水美春、吉井玲、木下姉妹がある」
美波「うーん…、この前の木下(妹)は可愛いと思ったけど」
康太「ムッツリ商会で制作した2.5等身の秀吉ぬいぐるみ、召喚獣スタイル」
机の上に置かれたのは秀吉の召喚獣ぬいぐるみ。
なかなか凝った作りをしている。
美波「なかなかいいじゃない」
康太「お得意様への感謝として、木下姉妹セットで付ける」
美波「あ、優子さんね。 そのぬいぐるみってもちろんアキのもあるのよね?」
康太「ノーマル召喚獣バージョン、オカルト召喚獣バージョンの2種。 これは他の人物も共通。 姫路と坂本と俺、そして秀吉に限り暴走召喚獣バージョンも用意している」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:14:04.34 ID:OmVewP0JO
美波「定価は?」
康太「ひとつ2000円」
美波「なかなか高いのね……」
康太「手抜きはしない、それがムッツリ商会」
美波「まぁいいわ、それ、予約しとくから」
康太「了解した」
これで一通りの取引が終わった。
ここからは級友としての会話になる。
美波「そういえば、工藤さんがアンタの写真持ってたけど」
康太「…それがなにか」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:16:28.97 ID:OmVewP0JO
美波「あれ、自分で撮ってんの?」
康太「…」
美波「…」
康太「……ポッ」
美波(あ、ちょっと可愛いかも)
康太「…売るためなら恥も外聞も捨てる、それがムッツリ商会」ビシッ
美波(かっこいいこと言ってるつもりなのかしら)
康太「……ちなみにけっこう恥ずかしい」
美波「でしょうね」
康太「…しかし木下姉妹のぬいぐるみを受け取る点、島田は少し変わった気がする」
美波「可愛いものを愛でるのは女子の本能よ。恋とは別物」
康太「……写真もぬいぐるみも、本物の代わりにはなり得ない」
美波「わかってるわよ、慰みでしかないってことは」
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:18:03.44 ID:OmVewP0JO
ハァ……
自分に言い聞かせたあと、大きくため息をつく。
そりゃあ、アキと一緒にいられるならどんなことだってするけども。
さすがのムッツリ商会も恋愛だけは売っていない。
康太「…お得意様に耳寄りな情報がある」
美波「…なに?」
康太「お得意様特価で500円」
美波「……持ってきなさい」
チャリン
憂鬱な気分になっていた美波は投げやりに返事をする。
くだらない情報でも暇つぶしにはなるだろう。
康太「ムッツリ商会にて、明久はたまにツケで買い物をする」
美波「それがどうしたのよ」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:20:05.70 ID:OmVewP0JO
康太「先日、そのツケの期限がきた。 しかし明久に返済能力はなかった」
美波「当たり前でしょ、お金がないからツケるんだから」
康太「よって、明久にはムッツリ商会御用達の喫茶店にてバイトをしてもらうことになった。 …アキちゃんとして」
美波「その写真も予約しとくわよ」
康太「そしてその店ではもう一人、バイトを募集している」
美波「!!」
康太「日頃から懇意にしているムッツリ商会の仲介があれば即決。 アキちゃんと同じ職場で働くことができる」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:22:06.43 ID:OmVewP0JO
美波「…その話はもう誰かに?」
康太「…島田が初めて」
願ってもない情報。 これは他のライバルとの差を縮めるには絶好の機会かもしれない。
なによりアキと一緒にいられるならば……。
美波「仲介、お願いします」
康太「仲介料は……サービスにしておく」
文月学園ムッツリ商会。
愛や恋は扱わないが、そのチャンスは人を選んで売っている。
今日も誰かに……。
康太+美波
完
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:24:05.73 ID:OmVewP0JO
06:優子×秀吉
~木下宅~
木下秀吉の朝は早い。
………はずだった。
優子「9時……」
秀吉の双子の姉、木下優子は壁にかけられた時計を眺める。
―――おかしい。
…まだ、秀吉が起きてこない。
今日は土曜日なので遅刻をする心配はないが、アイツは平日だろうが土日だろうが爺くさく思えるほど規則正しい生活を送っている。
優子「うーん……」
いつもお手本のような朝を過ごしている弟だけに、少し心配になる。
前にも寝過ごしたことがあったが、その時は風邪をひいていて起きることが出来なかったからで。
……ん? 風邪?
そういえば昨日、演劇部の半数以上が風邪で休んだからと早めに下校してきた。
写されている可能性は――
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:26:58.12 ID:OmVewP0JO
愚弟とはいえ仮にも弟、放っとくわけにはいかない。
秀吉の部屋の前に着き、2・3回ノックする。
……返事は、ない。
優子「秀吉ー、入るわよー」
ガチャ…
秀吉「あ……姉上…」
案の定、弟は怠そうにベッドに身を任せていた。
…見るからに顔色が悪い。
優子「…やっぱりね。 体温計はここに置いとくから。あと、水分は摂っときなさい」
持って来た体温計を机に置き、ベッドの傍らに座ってスポーツドリンクの入ったコップを差し出す。
秀吉「ありがとう……なのじゃ…」
喉が悪いのか声を出すのが辛いようで、思っていたより熱も高そうだ。
後でトローチ(※喉の炎症を和らげる効果のある舐め薬)と解熱剤を持ってきたほうがいいかもしれない。
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:28:59.91 ID:OmVewP0JO
考えている間に弟はスポーツドリンクを飲み干していた。
コップを受け取り、代わりに体温計を差し出す。
優子「ん、体温計。 高かったら解熱剤も持って来るから。 症状は?」
秀吉「体全体が酷く怠くて寒気がするのじゃ……あと…喉が…」
優子「わかった、薬持って来るからちょっと待ってなさい」
動くのも辛そうだし、スポーツドリンクはピッチャーかなにかに入れてベッドの横に置いておいたほうがいいかも。
喉が悪いみたいだからエアコンは点けないほうがいいだろうし、毛布を持っていこう。
汗を拭くためのタオルとかも用意しないと。
いろいろと必要なものを集め、もう一度弟の部屋へ。
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:30:39.55 ID:OmVewP0JO
優子「熱は? 何度だった?」
秀吉「む……」
計っていたのを忘れていたのか、思い出したように体温計を取り出してこちらに差し出す。
優子「38.4℃……かなり高いわね。様子見て良くならないようだったら、病院行きね」
秀吉「むぅ……演劇の妨げにならないよう、健康には人一倍気を使っていたはずなんじゃが…」
優子「そうね、馬鹿は風邪引かないはずなのにね」
秀吉「じゃあワシは馬鹿ではないのじゃな…よかったよかった…」
優子「もしかしたらインフルエンザかもね」
秀吉「ならばやはり馬鹿ということになるんじゃろうか…」ケホケホ
優子「ほら、馬鹿が馬鹿なこと言ってないでさっさと薬飲みなさい」
喉が痛いなら無理してしゃべることもないだろうに。
しかし、もしインフルエンザだとしたら自分ももう手遅れか。 一応マスクくらいはしておこう。気休めにしかならないが。
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:32:05.36 ID:OmVewP0JO
秀吉「…この解熱剤、もっと甘い味を着けてくれればよかったのじゃが」
優子「この歳になってそんなこと言わないの」
言葉遣いは爺くさいくせに、変なところはまだ子供なんだから。
秀吉「今日の姉上は…なんだか優しいのじゃ…」
優子「いくらなんでも病人に鞭打つような真似はしないわよ」
秀吉「姉上ならやりs……いやなんでも……」
優子「治ったら覚えときなさいよ」
この解熱剤には副作用として若干の催眠効果がある。
しばらくすると弟の口から寝息が漏れ始めた。
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:34:08.70 ID:OmVewP0JO
優子「おとなしくしてれば可愛い弟なんだけどなぁ……」
眠る弟の前髪を掻き分けながら、改めて弟を見る。
少しはだけた寝巻きからは熱で少し色着いた鎖骨が見えた。
優子「まったく…、羨ましいくらい綺麗な肌よね」
自分と同じ日、同じ顔を持って産まれてきた弟。
性別と性格だけは真反対だったが。
勉強はからっきしだが、自分と同じ頭脳を持っているなら勉強すれば成績は上がるのだろう。
まあ演劇にうちこんでる限りそれはないだろうが。
それにその演劇でも非凡な才能を発揮しているようだし。
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:36:08.49 ID:OmVewP0JO
それより最近心配なのは―――
秀吉「…ん……明久ぁ……」ムニャムニャ
―――男に恋しているかもしれないこと。
この際だから言ってしまおう。
自分は腐女子である。 男と男があれやこれやどれやそれやで絡み合っているのを妄想して性的興奮を感じる腐女子である。
正直なとこ、Fクラスの男子陣で妄想することもしばしば……いやその。
しかしそれは飽くまで妄想上である。
自分は知っている。
現実での同性愛というものがどれだけ悲惨なものかを。
ましてや自分の弟がそうなるなんて。
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:38:20.18 ID:OmVewP0JO
ただ、ただ秀吉ならば。
ごく自然に男とくっついてしまいそうで。
なぜだか女として許せなくて。
自分でも弟はいい性格をしていると思う。 それがまた羨ましかったりもする。
自分の女としてのプライドがそれを許せない。
それにやっぱり腐女子として、弟を腐った方向に行かせたくもない。
まあ秀吉ならば男とでも幸せにやっていくだろうが…。
でも、それでも、世間がなんと言おうが秀吉は男なのだ。
姉として普通の恋を応援してやりたい。
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:40:03.50 ID:OmVewP0JO
秀吉ならばおそらく女を落とすのも訳無いだろう。 母性本能をくすぐる見た目と性格で。
なんとかして女に恋して貰えないだろうか。
優子「結局、どれが一番幸せなのかしらね……」
~~~~~~
秀吉「……む、もう12時か…」
ようやく目を覚ました秀吉が辺りを見渡すと、ちょうど優子が小振りの鍋を持って部屋に入ってくるところだった。
優子「昼ご飯、食べる?」
秀吉「む…」
……食欲がないのはわかっている。
だが栄養は摂っておかなければ治るものも治らない。
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:42:08.84 ID:OmVewP0JO
優子「少しでも食べときなさい」
秀吉「うむ……ふふ…」
優子「……なに笑ってんのよ、熱で頭までおかしくなった?」
秀吉「姉上は……やっぱり優しいのじゃ…」
優子「…そ、そうよ当たり前じゃない。 優子の優の字はダテじゃないわ」
突然の発言に多少顔を赤くしてしまったが、それはつまり、普段は優しくはないと。
まあ優しくはないだろう、弟に対しては。
秀吉「このようなイイ女を独り身にさせておくAクラスの男子達の気がしれんのじゃ…」
優子「……んなっ!?///」
秀吉「芯は強く弱きに優しい…、日本女子としての理想像じゃ」
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:44:09.54 ID:OmVewP0JO
優子「じ……実の姉をおだてどうすんのよ、口説いてんの?」
秀吉「そうじゃのう、もしワシがAクラスの男子達の立場であったら、姉上に恋していたかもしれんのう」
優子「ふ……ふん、言うじゃない。 感謝しなさいよ、そんなイイ女に看病してもらってんだから」
秀吉「うむ、感謝感激じゃ」
………まあ、いっか。
秀吉もそこまで馬鹿じゃない。
自分の幸せは自分でつかみ取るはず。
今は成長した弟をしっかり見守っていよう……。
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:46:25.34 ID:OmVewP0JO
翌朝
秀吉「うむ、熱も下がって体もすっきりじゃ」
一日中安静にしていたおかげか、昨日の怠さが嘘のように全快した。
秀吉「喉はまだ…よくないのう、発声練習は控えておくかの」
壁にかかった時計を眺める。
―――おかしい。
秀吉「姉上はまだ起きんのかのう…」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:47:49.97 ID:OmVewP0JO
耳を澄ませると、姉の部屋から聞こえる咳の音。
秀吉「……馬鹿は風邪をひかぬはずではなかったかのう」
今日は日曜日。
遅刻をする心配はない。
秀吉「受けた恩は倍にして返すのがワシの流儀じゃ」
誰に言うわけでもなくそう呟くと、秀吉は体温計とスポーツドリンクの入ったコップを持って姉の部屋へ向かった。
これも、木下家の日常。
優子×秀吉
完
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:51:11.11 ID:OmVewP0JO
07:愛子+美波
~美波の部屋~
愛子「ねえ、あれ、優子と秀吉くんだよね?」
部屋に飾ってあるぬいぐるみを指差し、愛子が尋ねる。
美波「うん、セットで貰ったの」
愛子「え~! いーなー、可愛いーなー」
美波「あげないわよ?」
愛子「いいもん、僕はもうノーマルバージョン以外はコンプリートしたから」
美波「えっホント?」
愛子「あげないよー?」
美波「う、いいもん、ウチはとりあえずアキのさえあればいいんだし」
愛子「じゃあ木下姉妹ちょうだい♪」
美波「あれはあれで可愛いからダーメ♪」
工藤愛子と島田美波。
珍しい組み合わせだが、なぜこの2人が一緒に居るかというと……。
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:53:48.23 ID:OmVewP0JO
~某日、某喫茶店にて~
美波『今日からこちらで働くことになりました、島田美波です。 よろしくお願いします』
明久『みみみみみみみ美波! なんでこんなとこに!?』
美波『あ、“アキちゃん”やっほー』
明久『やめてぇ! 現在進行系で傷ついてる僕の心をえぐらないでぇ!』
愛子『あれー? 島田さん? やっほー』
美波『あ…あれ? 工藤…さん?』
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:57:00.81 ID:OmVewP0JO
愛子「いやー罪な男だねー吉井くん」
美波「え…じゃあもしかしてウチとアキの会話も…」
愛子「あ…うん…」
美波「んにゃあああああ!!」ガタッ
タタタ……
愛子「…まあ別に恥ずかしがることもないよー、って言う前に行っちゃった」
愛子「んーやっぱりこのぬいぐるみ可愛いなぁ」
結局、明久も美波もバイトが長続きするわけもなく、1週間でクビになった。
康太「ムッツリ商会の信用が……」
康太「…まぁ商品の補充は出来たし良しとする」
愛子+美波
完
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 19:01:17.16 ID:OmVewP0JO
はい終わり
きょうしつ!
雄二「ちょっと待て、なんだこの始まり方は」
明久「なんか電波ソングを18時間聴き続けて書き手のただでさえ汚い頭の中がドブ色になっちゃったらしいよ」
康太「……流行は過ぎた。映画化は飽くまで悪あがき」
明久「僕らもアニメが終わってからはもう下火も下火、原作は続いてるけどさ」
秀吉「なにを言うておるのじゃ。ワシらもまだまだピチピチの現役ではないか」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:50:38.87 ID:OmVewP0JO
ガラッ
美波「……あれ?」
3人「………ハァ(溜息)」
美波「…なに? 朝からしんみりジメジメとして」
明久「こうやって教室のキノコに適度な水分を与えてるんだよ…」ハァ…
秀吉「溜息でシメジを育てるとは、これまた斬新じゃのう」
康太「……松茸なら腐るほどに」
秀吉「おぬしが言うと卑らしく聞こえる……というか、言ったの? そういう意味で言ったんじゃの?」
康太「………ポッ///」
秀吉「頬を染めるでない! ツっこんだワシのほうが恥ずかしいではないか!」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:51:55.40 ID:OmVewP0JO
康太「突っ込むだなんて……///」
秀吉「じゃから何故おぬしは毎度そっちの方へ向かうのじゃ!? ワシが突っ込んだのは松茸であって、いや、松茸に関する突っ込みであって、………ああダメじゃ! 松茸と突っ込みを並べるだけで下卑た響きになってしまうではないか!」
明久「ダメだよ秀吉! 嫁入り前の子がそんな下品なこと言っちゃ! それに秀吉は松茸なんて汚らわしいもの持ってないでしょ!」
秀吉「残念じゃが、ワシとて人並みはずれた松茸の所有者じゃ!」
明久「ダメ! 聞こえない! アーアー」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:53:22.73 ID:OmVewP0JO
康太「……しっかり録音させて貰った」カチッ
秀吉「これを録音してどうするのじゃ!? これだけで興奮するというのはかなりハイレベルな変態だと思うのじゃが!?」
康太「……その罵り言葉も頂いた」カチッ
秀吉「もう……何も言わん……」
美波「あんたら……、女子の目の前でよくそんな話が出来るわね?」
明久「えっ? ああごめんね秀吉、こんな下品な話を聞かせちゃってぇぇぇえええええ脊椎に強烈な痛みがああああぁぁぁ!?」メキメキ
美波「知ってる? 縦に綺麗に裂けるキノコは毒キノコなんだって~。アキはどう裂けるかしら~」
明久「じゃあ僕は裂けないから毒は持ってないんだね!」
美波「そうね食用ね。食べやすいように細切れにしておかなくちゃ」
明久「やめて! 僕のライフはとっくにゼロよ!?」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:54:56.49 ID:OmVewP0JO
01:瑞希×秀吉
~教室~
ガラッ
瑞希「おはようございます」
秀吉「おお、姫路、おはよう」
瑞希「あら、まだ木下くんだけなんですね」
秀吉「まだかなり早い時間じゃからの、なにか用事でもあったのか?」
瑞希「はい、少し準備しなきゃいけないことがあるんで…、木下くんはいつもこんなに早いんですか?」
秀吉「いや、今日は朝練が休みだったのを忘れておっての、早く来てしもうたのじゃ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:56:06.77 ID:OmVewP0JO
瑞希「そうなんですか、……あの、ちょっとお願いしたいことがあるんですが…」
秀吉「なんじゃ? 時間はあるし、なんでも協力するぞ?」
瑞希「その…、またお弁当を作ってきたんですが…」
秀吉「やっぱり今日も朝練はあったようじゃ、今から合流して――」
瑞希「協力するって…、言ったじゃないですか…」ニコッ
ガシッ
秀吉「ひひ姫路? 目が笑っておらぬぞ……?」ガクブル
瑞希「失敗しちゃったんです…、でも見た目にはわからないんで、誰かに味見してもらいたくて」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:57:00.19 ID:OmVewP0JO
秀吉「自分では毒味……、いや、味見はしたのかの?」
瑞希「しませんよ、太っちゃうじゃないですか」
秀吉「………選択の余地は?」
瑞希「多分、ないです」
秀吉「…」
瑞希「…」
秀吉「……わかった、味見しよう」
瑞希「わぁ、ありがとうございます、木下くん!」
秀吉「明日は、晴れるかのう……」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:59:14.62 ID:OmVewP0JO
瑞希「これなんですけど……」
パカッ
秀吉「……(確かに見た目は普通、むしろ美味そうな気配すら漂わせておる)」
秀吉(しかしワシらは知っておる、これが第一種危険物に相当する破壊力を持っていることを……)
瑞希「メインの肉じゃがを……」
秀吉「…」
瑞希「…」
秀吉「……ワシも男じゃ! 腹をくくろう!」
ハムッ
秀吉「……」モグモグ
瑞希「……」ジーッ
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:00:53.58 ID:OmVewP0JO
秀吉「……?」ムグムグ
瑞希「……どう……ですか?」
秀吉「……うまい……のじゃ」ゴクン
瑞希「ホントですか!? よかったぁ!」
秀吉「あの、姫路よ、失敗というのは具体的にどんな…?」
瑞希「えっと、いつも入れてる隠し味を入れ忘れちゃって。後から入れても意味ないですし、時間もなかったのでそのまま持ってきたんです」エヘッ
秀吉(セーフ!! セーフじゃ!!)
瑞希「これなら吉井くんに食べてもらっても大丈夫ですね」エヘヘ
秀吉「……(笑うとまさに天使のような笑顔なんじゃがのう)」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:02:08.18 ID:OmVewP0JO
瑞希「…、あ……えっと……」
秀吉「いや、心配するでない、前から知っておるでな」
瑞希「え!? い、いつ気付いたんですかぁ!?」
秀吉「気づくもなにも、普段のおぬしの明久に対する態度を見てれば誰でもわかるぞい。気付いてないのは本人くらいじゃろうて」
瑞希「そんなぁ……」
秀吉「明久は手強いぞ。真正面から告白したとしても、好意として受け取られる可能性はゼロに近い驚異のの鈍感力を持っておるからの」
瑞希「それは私も嫌というほど体感しましたから……」
秀吉「まあ、なんじゃ、姫路の可愛さと今日のような料理があれば明久もいずれ落とせるんじゃないかの」
瑞希「可愛さって……そんな……」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:03:14.70 ID:OmVewP0JO
秀吉「ワシは可愛いと思うがのう……、特に先程の笑顔などは格別にじゃ」
瑞希「き、木下くん?///」
秀吉「明久とて姫路への好意は隠し切れてないでな、この調子で頑張るのじゃ」
瑞希「………はい! 頑張ります!」ニコッ
秀吉「そう、それじゃ。女子はやはり笑顔が一番じゃ」ニコッ
瑞希「……はい///」
瑞希(木下くんだって笑顔の眩しさは女の子以上です…//)
瑞(それにたまにどの男の子よりもかっこいいことを、さらりと言ってしまうあたり確かに魅力的です…)
瑞希(悔しいですが、学園の男子達を虜にしてるのも納得です……)ポワポワ
秀吉「……?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:04:44.77 ID:OmVewP0JO
そして昼休み、例外なく明久は保健室に運ばれた。
雄二「…味見したんじゃなかったのか?」
秀吉「そういえばワシが食ったのは肉じゃがだけじゃった。すまぬのう、明久(合掌)」
瑞希「……あれ?」
瑞希×秀吉
完
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:06:36.24 ID:OmVewP0JO
02:雄二×美波
~女子更衣室~
今、ヤバイ。ひたすらヤバイ。
少しでも気配を消せるよう、薄暗いロッカーの中、じっと息を潜める。
美春「どこですかぁ、お姉様ぁ……」
清水美春は放課後になってすぐFクラスに現れた。
………銭湯の割引券(2人分)を持って。
銭湯は嫌いではないが、同伴するのが美春では自分の貞操はこの上ない危機に曝されてしまうだろう。
美春「かくれんぼですか、お姉様ぁ?」
バタンバタン
さらにまずいことに美春はロッカーを片っ端から開けはじめた。
こうなるともう見つかるのは時間の問題。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:08:36.00 ID:OmVewP0JO
美春「これで最後です……!」
美春が自分の隠れるロッカーの取っ手に手をかけた。
もう駄目か、と目を閉じたその時。
「もう下校時間は過ぎてますよ、清水さん」
現れたのは学年主任の高橋先生。
「もう外も暗いですし、早く帰りなさい。校門ももう閉めますよ」
美春「え、でも……」
「Fクラスじゃないんですから、不良しちゃダメです」
結局、美春は高橋先生に連れられて更衣室を出ていった。
高橋先生GJ! 息苦しいロッカーを飛び出て、思い切り深呼吸。
美波「………て、あれ? 下校時間? 校門?」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:09:59.20 ID:OmVewP0JO
―――しまった。 いや、校門がではなく今の状況が。
早く帰らなければ。 しかし、もしかしたら更衣室の外で美春が待ち伏せしているかもしれない。
どうする。
そう考えていた時―――
バン!
雄二「ぬぉぉぉおおあああ!!!」
――――下着姿で女子更衣室に飛び込んできた坂本雄二と目が合った。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:12:15.11 ID:OmVewP0JO
~~~~~~~~
美波「ああ、霧島さんから逃げてたと」
雄二「ハィ……」
一方は更衣室の隅に正座し、もう一方は更衣室のパイプ椅子に腰掛け、鬼の形相で女子更衣室に飛び込んできた屑を見下ろす。
美波「さすがに女子更衣室に逃げ込むとは思わないだろう、それにもうみんな下校したはずだから誰もいないだろうと考えたわけね」
雄二「ハィ……」
美波「ちゃんと説明すれば匿わないこともなかったのに」
雄二「そういうことはマウントからのラッシュをキメる前に言って欲しかったデス……」
美波「えっ?」
雄二「ナンデモナイデス……ハィ……」
あのあと何もなかったわけもなく、条件反射のように繰り出された拳をまともに食らった雄二は抵抗する間もなく美波のサンドバッグと化した。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:13:26.37 ID:OmVewP0JO
その後、落ち着いた美波は気絶した雄二を女子更衣室に放っておくわけにもいかず、目が醒めるまでそのまま待つことにした。
そして、今に至る。
美波「それにもう少しタイミングが早ければアンタ、間違いなく学園一の変態として社会的に抹殺されてたわよ」
雄二「ゴモットモデス……ハィ……」
俯きながら正座をして同期の女子に灸を据えられる雄二に、Fクラス代表としての威厳はまったく見られない。
その時―――
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:14:35.67 ID:OmVewP0JO
カツン……カツン……
雄二「足音…?」
まさか………美春(翔子)!?
美波「やばい! 明かりを消して!」
雄二「承知!」
パチッ
見つからないよう、照明を消して気配を殺す。
足音は次第に近づき―――
カツン…カツン…
―――2人が隠れる女子更衣室の前で止まった。
美波「……」
雄二「……」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:15:49.40 ID:OmVewP0JO
ガチャン…
「……」
ドアを少し開いて、顔を覗かせたのは先程の高橋先生。
どうやら校門を閉める前にもう一度見回りに来たようだ。
よかった…。
美波「せんせ―――」
「誰もいませんね」
ガチャ
美波「あ、ちょっと……」
美波が声をかける前に、先生は扉を閉めてしまった。
そして…
カチンッ
雄二「…今なにかとてつもなく嫌な音が聞こえたような気がしたんだが」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:17:19.17 ID:OmVewP0JO
美波「…」サーッ
美波の顔から血の気が引いていく。
美波「鍵…閉められちゃった……」
雄二「は? 鍵? 外側からか?」
美波「誰とは言わないけど、前に盗撮目的で忍び込んだやつがいたのよ。それ以来、使わない時は外側にも鍵を付けるようになったの」
雄二「それかなりやばいじゃねえか! おおい!」
閉じ込められては堪らないと、雄二はまだ近くにいるであろう高橋先生を呼ぶ。
しかし……。
美波「無駄よ、誰とはいわないけど、前に更衣室の外で中の様子を盗聴してた奴がいたから、それ以来この部屋は防音仕様になったの」
さらにセットで窓にも鉄格子がはめられた。
――――誰とは言わないが、人をこれほど恨めしく思ったのは初めてだ。
雄二「おいおい……朝までここにいろってか……?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:18:55.15 ID:OmVewP0JO
~~~~~~~
美波「しっかしアンタも大変ね、毎日毎日逃げ回って」
雄二「今日は逃げ切れただけマシだ。島田にボコられても、精神的なダメージは伴わないしな」
美波「あ、ごめんごめん、つい手加減無しでやっちゃった」
結局、騒いでも無駄ということで適当に会話をして落ち着くことにした。
しかしトランクスとアンダーシャツのみという格好で女子更衣室に居座る姿は、まさに変態そのものである。
考えてみれば外側に付けた鍵も、窓にはめた鉄格子も、こういった男を中に入れないための物ではなかったか。
今の状況を見る限り、まったくもって無意味だったようだ。
しかも誰とは言わないが、それらを付けるきっかけとなった人物は次の日から天井裏に忍び込むようになった。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:20:26.38 ID:OmVewP0JO
美波「……でも、霧島さんの坂本への想いは決して暴力的なものじゃないはずよ? 同じ女子だからわかるけど」
雄二「わかってる……わかってるんだがそれを認めてしまうと、いろいろと失ってしまいそうで怖いんだ」
まあ実際失うだろうけど。
本人に聞こえないよう、心の中で呟く。
美波「でも、そんなに自分を好きになってくれる人がいるのって凄く幸せなことだと思うけど」
雄二「島田だって清水がいるだろ」
美波「美春は女よ、ウチも女」
雄二「でも想いは本物だと思うが」
……まあ、確かに。
すべてを犠牲にしてまで自分について来てくる女の子。
そう考えると、少し嬉しく感じる。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:22:23.95 ID:OmVewP0JO
美波「坂本のくせに、クサイこと言わないでよ」
雄二「似合わないと」
美波「似合わない」
そうか、その想いを受け止められるかどうかは別としても、自分を慕ってくれる人がいるという事実は幸せとしてちゃんと受け止めるべきなのかもしれない。
自分も、明久に―――
Prrrrr……
鳴ったのは、雄二の携帯。
雄二は画面を確認せずに電話をとる。
雄二「もしもし……………翔子!?」
相手の声を聞いたとたん、雄二は号令をかけられたように起立する。
翔子『……どうしてまだ帰ってこないの?』
雄二「いや、閉じ込められて…、いや、帰ってってお前いまどこにいるんだ!?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:25:00.55 ID:OmVewP0JO
翔子『……雄二の家の前。閉じ込められたって、学校……?』
雄二「そうだが…、いや、違う! 決して学校ではない!」
プツッ
ツーツー………
美波「あちゃー……」
電話の内容は全部聞こえたわけではないが、おそらく霧島はこれから学校に、……この部屋に来るつもりなのだろう。
忘れているかもしれないが、ここは“女子更衣室”である。
しかも下着姿で自分と2人きり…。
死なない、たぶん死なない程度の仕置きをされるのは間違いないだろう。 多少自分もとばっちりを食らうかもしれないが。
雄二「」
坂本がそれに気付いていないはずもなく、直立したまま硬直している。
美波「……ともあれ、これで出られそうね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:27:24.15 ID:OmVewP0JO
10分後、鍵がかかっているはずの扉が轟音とともに吹き飛んだ。
翔子「雄二………」
砂埃を纏った霧島が姿を現す。
……目が赤く光っているように見えるのは気のせいだろうか、……気のせいだと思いたい。
翔子「まさか……島田と……!」ギリッ
雄二「ちがう! 神に誓って違う! 島田、説明してくれ!」
美波「放課後の女子更衣室に、下着姿で飛び込んできました」
雄二「そのあと!」
美波「ウチに対してクサイ台詞を吐いてました」
雄二「ちくしょう神も仏もねえ!」
―――ついさっき神に誓ってたのに。
翔子「雄二は浄土宗?」
雄二「そうだなこの際、あの世に救いを求めるか」
一閃、断末魔。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:29:04.80 ID:OmVewP0JO
~~~~~~~
あのあと、とばっちりを受けることもなく更衣室を脱出し、すっかり暗くなった校門までの道を歩く。
美波「遅くまで家の前で待ってて、電話の後はすぐに学校へ………、か」
やはり羨ましい。
しかし自分も自分を慕ってくれる人物を持っている。
今までは逃げてばかりだったけど、もっと大事にすべきなんだと気づくことが出来た。
美春「お姉様!」
校門を出たところで美春が待ち構えていた。
あれからずっと待っていたのだろうか。
残暑の目立つ季節とはいえ、夜になると肌寒く感じるほど気温は下がる。
……心なしか美春の肩も震えているように見える。
美波「……美春、銭湯行くわよ」ニッ
美春「…………お姉様ぁ!!」
ウチにだっているもんね、自分を大事に思ってくれる人。
雄二×美波
完
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:32:21.00 ID:OmVewP0JO
03:愛子+康太×秀吉
~教室~
愛子「もうちょっと腰をあげて……」
秀吉「こ、こうかの?」クネ
愛子「あ、いい感じ! それでもうちょい目に色気を込めて!」
康太「裾という名の兵士がいま絶対境界線を越えていく……!」プシュシュ
自称“男の中の男”もとい木下優子の片割れ、木下秀吉の今の服装は以前にも着ていたチャイナドレス。
愛子「もうちょいスリット入れてもよかったかな」
の、改良版である。
秀吉「これ以上切ったら尻が見えるではないか…」
愛子「んー、もう見えてるけどね」
秀吉「なっ!?///」バッ
康太「……」ドクドク
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:34:15.98 ID:OmVewP0JO
秀吉が抵抗もなくサービス(本人は大真面目であるが)しているのは、これが演劇部としての活動の一環であるから。
次の舞台のポスターの作成。
部にとって重要な舞台であるため、ポスターのモデルは演劇部きっての美少女、木下秀吉嬢にやってもらうことにしたのだ。
そしてその写真の撮影は土屋康太に任された。
愛子「今の撮った!? 恥ずかしげな表情が最高だったよ!」
康太「……この俺を甘く見るな、バッチリ撮ってある」グッ
愛子「さすがエロの帝王ムッツリーニくん」
康太「…」ブンブン
秀吉「おぬしら……」
実を言うと、ポスターに使う写真は既に撮り終えている。
しかし秀吉の艶姿を遠慮なく撮影できるというチャンスを土屋康太が見逃すはずもなく。
撮り終えたことは秀吉には言わず、着せ替えを楽しんでいる。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:36:38.71 ID:OmVewP0JO
愛子「やっぱチャイナドレスは演目と関係ないし、別のにするべきだね」
康太「……次はゴスロリメイド服を」
秀吉「はて、次の舞台にゴスロリメイドが出ておったかのう」
愛子「出てるよ、それはもう観客全員がゴスロリに目覚めて発狂するくらいに」
秀吉「なにを目的とした演目なんじゃ……。まあいい、これに着替えればいいのじゃな」
差し出されたのはメイドというよりはパンクといったほうが近いであろう、金具のたくさん付いたゴスロリ服。
例のごとく一瞬で着替えるかと思いきや……。
秀吉「むう、金具が多くてどう着ればいいのやら……」カチャカチャ
どうやらパンク服の金具の多さに手間取っているようだ。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:39:23.33 ID:OmVewP0JO
愛子「秀吉くん、手 伝 っ て あ げ よ う か ?」ワキワキ
秀吉「い、いや、一人で着替え……」
愛子「遠慮しないで、ね♪」
ガシッ
秀吉「待て、そもそもおぬしは女じゃろう! 男のワシの着替えを手伝うのはその、いろいろと問題が!」
愛子「…あるかな?」
康太「…まったくない、これ以上ないほど健全」グッ
愛子「だよねー、一度秀吉くんを好き放題こねくりまわしてみたかったんだー♪」
秀吉「は、離すのじゃ! それ以上は……!」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:41:53.10 ID:OmVewP0JO
愛子「わぁ、ホントに肌きれい……。 優子とは違った健康的ですべすべした肉付きも……ハァハァ」
ペロペロモミモミ
秀吉「ひゃあ!? な、舐めるでない尻を揉むでない服を脱がすでなーい!!」バタバタ
愛子「木下くん少し胸あるんじゃない? AAくらいは……」ハァハァ
モミモミ
秀吉「あぅっ……だ、だめじゃあ……アッ-!」
康太「涅槃が……いま目の前に……!」プシャアア
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:43:12.73 ID:OmVewP0JO
愛子「ふぅ……、あれ?」
秀吉「」グッタリ
康太「」ピクピク
愛子「ありゃー、少しやり過ぎたかな?」
数十分に及ぶ死闘の末、秀吉は愛子にいろいろと吸い取られ、康太は自らの血の海に沈んだ。
秀吉「うぅ……もうお婿に行けないのじゃ…」
愛子「大丈夫、お嫁に行くぶんには何も問題ないよ! ナニもね!」
秀吉「もう……ツッコミを入れる気力さえない…」
康太「涅槃……ニルバーナ………はっ!?」
ガバッ
突然、涅槃郷へと旅立っていた康太が意識を取り戻す。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:45:13.03 ID:OmVewP0JO
愛子「どうしたの? ……あー!」
康太「カメラが………」
ムッツリーニこと康太の手の上には、血塗れのカメラ。
愛子「……フィルムは?」
康太「……駄目だ、全部血塗れに」
秀吉「聞こえぬ、ワシには何も聞こえぬのじゃ」
状況を察知した秀吉は両手で耳を塞ぎ、現実逃避を試みる。
しかし―――
愛子「じゃ、もっかい撮り直そっか♪」
秀吉「」
康太「…カメラはもうひとつある」スチャ
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:46:50.18 ID:OmVewP0JO
秀吉「誰か……」
「やっぱこれでしょ、ギリギリな感じ」
「露出が多ければエロいと思うのは素人」プシッ
「じゃあ普通の舞台衣装?」
「断じて許さん…!」
「あ、これ一枚ってのもよくない?」
「裸にコート……だと?」プシュシュ
秀吉「誰か助けてくれ………」
愛子+康太×秀吉
完
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:48:40.52 ID:OmVewP0JO
04:瑞希+美波+秀吉
~教室~
ザー-……
美波「雨ねー…」
瑞希「雨ですねー…」
授業が早めに終わった日の放課後、久しぶりにFクラスの6人で街に遊びに行こうということになったのだが……。
美波「男子が全員補習に連れてかれるなんてねー…」
結局いつものメンツのうち男子全員が鉄人の補習を受けることとなり、補習室に連れて行かれた。
しかし補習とはいえ、30分程度で終わるらしいので、女子3人は教室で待つことにした。
秀吉「先程から島田もナレーションも男子全員やら女子3人とか言っておるようじゃが」
美波「ん? それがどうかした?」
秀吉「Fクラスに女子は2人しかおらんのじゃ」
美波・瑞希「!!」ガタッ
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:50:33.54 ID:OmVewP0JO
秀吉の言葉に美波と瑞希は突然立ち上がり、臨戦体制をとる。
秀吉「ど、どうしたのじゃ?」
美波「木下、あんたFクラスに女子は2人しか必要ないって……!?」
瑞希「私達2人のうち、どちらか1人を蹴落とそうと言うんですね!?」
秀吉「だからどうしてそうなるんじゃ!? ワシは肉体的にも精神的にも男だと言うておろうが!」
美波「ごまかしても無駄よ、やられる前に…!」
瑞希「…やる!」
秀吉「2人とも待つのじゃ! まーつーのーじゃ!」
美波「もう騙されないわよ! だいたいなんでアンタ男子の制服着てるのよ!」
瑞希「男装っ娘属性なんて……卑怯です!」
秀吉「この制服はワシの性別に合わせて買ったものじゃ! 確かにサイズ的には女物かもしれんが…」
※あれって絶対、特注サイズだよね。男用のサイズじゃないよね。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:52:26.00 ID:OmVewP0JO
美波「Q、男のサイズじゃない、つまり?」
瑞希「A、女物である」
秀吉「結局どっちにしてもワシにとって都合の悪いようにしかならんではないか!」
瑞希「どっちにしても学園の男子達の心を弄んでいることに間違いはないんです!」
美波「そうよ! ………て、あれ? 木下?」
ここにきて、美波は秀吉の異変に気付く。
少し俯いて、体を小さく丸めて……。
秀吉「うぅ……グスッ……」ポタポタ
美波(あ、あれ? 泣いてる?)
瑞希「あ、あの……」オロオロ
少し言い過ぎてしまったか。
秀吉はその大きめの瞳に涙を溜め、また、それを見せぬよう体を丸めている。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:56:49.15 ID:OmVewP0JO
美波「あの…、木下?」
勢いに任せて酷いことを言ってしまったのかもしれない。 美波はとりあえず落ち着くように秀吉の背中をさする。
秀吉「うぅ…どうして皆……ワシを男と扱ってくれないのじゃ……」
美波「えっと……」
見た目も中身もとても男には見えないから、と正直に答えてしまうとトドメを刺すことになってしまうだろうか。
秀吉「グスッ……」
しかしなんと言おうか…、可愛い。
瑞希「…」
おそらく瑞希も同じことを考えているのだろう。 小さく丸まって肩を震わせ泣く姿はさながら小動物のようで、乙女心を刺激する。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:58:03.32 ID:OmVewP0JO
秀吉「もう……姉上くらいしか……」グスグス
美波「…」ナデナデ
秀吉「……む?」
美波「よしよし」ナデナデ
秀吉「……島田?」
瑞希「大丈夫ですよ、私達はちゃんと木下くんの性別を認識してますから」ナデナデ
秀吉「姫路まで……なんなのじゃ……」
2人は幼児をあやすように視線の高さを低くして秀吉を撫でる。
少し混乱したせいか秀吉の涙は止まり、代わりに2人の突然の行動に不審感を抱く。
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 17:59:33.41 ID:OmVewP0JO
秀吉「も…もう落ち着いたのじゃ、落ち着いたから…」
美波「撫でられるの、嫌い?」
秀吉「いや、嫌いではないが……」
美波「じゃあおとなしく撫でられてなさい」
秀吉「むぅ………」
瑞希「…」ナデナデ
撫でられるのが嫌いかそうでないかの問題でないような気がする…、と言うのは面倒なので大人しく撫でられることにする。
美波「ごめんね、ちょっと言い過ぎたわね」
秀吉「いや、おぬしらのせいではない。 男らしくない自分が情けなくなっただけじゃ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 18:01:45.55 ID:OmVewP0JO
瑞希「いっそ女の子になって私達と女友達になれば…」ポワポワ
秀吉「そうすると姉上に酷い目に合わされそうじゃ…」
そのまま時間は過ぎていき……。
ガラッ
明久「いやー30分とはいえやっぱり鉄人の補習は最悪だね」
雄二「まったくだ、しかし俺は最近成績を上げてたはずなのになんで補習受けないといけないんだ?」
康太「……普段の行い」
雄二「お前が言うな」
補習に行っていた3人がぞろぞろと教室に戻ってきた。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 18:03:17.90 ID:OmVewP0JO
明久「……えーと、2人ともなにしてんの?」
康太「…」パシャ
美波「いや、なんか木下が可愛かったから」ナデナデ
瑞希「撫で心地もいいですし」ナデナデ
秀吉「むぅ……」
明久「どれどれ、僕にもその撫で心地の良さを…」
美波「あんたはダメ」
瑞希「です」
明久「なして!?」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:05:04.44 ID:OmVewP0JO
美波「あ、頬っぺたもすべすべモチモチ」
秀吉「うにゅ」
瑞希「程よい弾力です…」
秀吉「うにゅにゅ」
明久「な…なんて羨ましい……! なんて素晴らしい光景! お願い僕も混ぜて!」
美波「だーめ」
瑞希「女の子同士の特権です」
秀吉「うにゅ」
それからしばらく、秀吉は2人のぬいぐるみとなった。
瑞希+美波+秀吉
完
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:07:50.89 ID:OmVewP0JO
05:康太+美波
人気のない廊下に佇む2つの人影。
ここ文月学園では毎日のように行われる闇取引。
その中心人物は―――
康太「……今回は品薄。 希少価値も高まる」
ムッツリーニこと土屋康太。
そして―――
美波「ウチしか持ってない写真、いいじゃない…。 物は?」
Fクラス島田美波。
島田に限らず主な取引はFクラス内で行われる。 もちろん、Fクラス外での取引もあるが、割合としては少なめだ。
康太「……アキちゃん生写真セット、10枚5千円」
美波「くっ……足元見てるわね…」
康太「…撮影機材増強のためにも、定価以下での販売は行わない」
美波「わかったわ、5千円」
康太「…毎度あり」
ここにまた闇の取引が成立する。
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:10:03.24 ID:OmVewP0JO
美波「しっかしあんた、よくこんな写真撮れるわね」
康太「売上は惜しみ無く機材増強に注ぎ込んでいる」
美波「いや機材もだけど、この写真なんかどう考えても天井から…」
康太「撮っている」
美波「さすがね…」
どの写真も絶妙なアングルから撮られたもので、なかなかツボを抑えてある。
一枚5百円という値段も頷ける。
美波「なんかオマケつけてくんないの?」
康太「明久の写真を購入したので、別の人物の写真ならオマケで付けなくもない。 男子ならば坂本雄二がある」
美波「ちょっと違うわね」
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:12:15.04 ID:OmVewP0JO
康太「女子ならばいま霧島翔子、姫路瑞希、工藤愛子、清水美春、吉井玲、木下姉妹がある」
美波「うーん…、この前の木下(妹)は可愛いと思ったけど」
康太「ムッツリ商会で制作した2.5等身の秀吉ぬいぐるみ、召喚獣スタイル」
机の上に置かれたのは秀吉の召喚獣ぬいぐるみ。
なかなか凝った作りをしている。
美波「なかなかいいじゃない」
康太「お得意様への感謝として、木下姉妹セットで付ける」
美波「あ、優子さんね。 そのぬいぐるみってもちろんアキのもあるのよね?」
康太「ノーマル召喚獣バージョン、オカルト召喚獣バージョンの2種。 これは他の人物も共通。 姫路と坂本と俺、そして秀吉に限り暴走召喚獣バージョンも用意している」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:14:04.34 ID:OmVewP0JO
美波「定価は?」
康太「ひとつ2000円」
美波「なかなか高いのね……」
康太「手抜きはしない、それがムッツリ商会」
美波「まぁいいわ、それ、予約しとくから」
康太「了解した」
これで一通りの取引が終わった。
ここからは級友としての会話になる。
美波「そういえば、工藤さんがアンタの写真持ってたけど」
康太「…それがなにか」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:16:28.97 ID:OmVewP0JO
美波「あれ、自分で撮ってんの?」
康太「…」
美波「…」
康太「……ポッ」
美波(あ、ちょっと可愛いかも)
康太「…売るためなら恥も外聞も捨てる、それがムッツリ商会」ビシッ
美波(かっこいいこと言ってるつもりなのかしら)
康太「……ちなみにけっこう恥ずかしい」
美波「でしょうね」
康太「…しかし木下姉妹のぬいぐるみを受け取る点、島田は少し変わった気がする」
美波「可愛いものを愛でるのは女子の本能よ。恋とは別物」
康太「……写真もぬいぐるみも、本物の代わりにはなり得ない」
美波「わかってるわよ、慰みでしかないってことは」
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:18:03.44 ID:OmVewP0JO
ハァ……
自分に言い聞かせたあと、大きくため息をつく。
そりゃあ、アキと一緒にいられるならどんなことだってするけども。
さすがのムッツリ商会も恋愛だけは売っていない。
康太「…お得意様に耳寄りな情報がある」
美波「…なに?」
康太「お得意様特価で500円」
美波「……持ってきなさい」
チャリン
憂鬱な気分になっていた美波は投げやりに返事をする。
くだらない情報でも暇つぶしにはなるだろう。
康太「ムッツリ商会にて、明久はたまにツケで買い物をする」
美波「それがどうしたのよ」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:20:05.70 ID:OmVewP0JO
康太「先日、そのツケの期限がきた。 しかし明久に返済能力はなかった」
美波「当たり前でしょ、お金がないからツケるんだから」
康太「よって、明久にはムッツリ商会御用達の喫茶店にてバイトをしてもらうことになった。 …アキちゃんとして」
美波「その写真も予約しとくわよ」
康太「そしてその店ではもう一人、バイトを募集している」
美波「!!」
康太「日頃から懇意にしているムッツリ商会の仲介があれば即決。 アキちゃんと同じ職場で働くことができる」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:22:06.43 ID:OmVewP0JO
美波「…その話はもう誰かに?」
康太「…島田が初めて」
願ってもない情報。 これは他のライバルとの差を縮めるには絶好の機会かもしれない。
なによりアキと一緒にいられるならば……。
美波「仲介、お願いします」
康太「仲介料は……サービスにしておく」
文月学園ムッツリ商会。
愛や恋は扱わないが、そのチャンスは人を選んで売っている。
今日も誰かに……。
康太+美波
完
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:24:05.73 ID:OmVewP0JO
06:優子×秀吉
~木下宅~
木下秀吉の朝は早い。
………はずだった。
優子「9時……」
秀吉の双子の姉、木下優子は壁にかけられた時計を眺める。
―――おかしい。
…まだ、秀吉が起きてこない。
今日は土曜日なので遅刻をする心配はないが、アイツは平日だろうが土日だろうが爺くさく思えるほど規則正しい生活を送っている。
優子「うーん……」
いつもお手本のような朝を過ごしている弟だけに、少し心配になる。
前にも寝過ごしたことがあったが、その時は風邪をひいていて起きることが出来なかったからで。
……ん? 風邪?
そういえば昨日、演劇部の半数以上が風邪で休んだからと早めに下校してきた。
写されている可能性は――
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:26:58.12 ID:OmVewP0JO
愚弟とはいえ仮にも弟、放っとくわけにはいかない。
秀吉の部屋の前に着き、2・3回ノックする。
……返事は、ない。
優子「秀吉ー、入るわよー」
ガチャ…
秀吉「あ……姉上…」
案の定、弟は怠そうにベッドに身を任せていた。
…見るからに顔色が悪い。
優子「…やっぱりね。 体温計はここに置いとくから。あと、水分は摂っときなさい」
持って来た体温計を机に置き、ベッドの傍らに座ってスポーツドリンクの入ったコップを差し出す。
秀吉「ありがとう……なのじゃ…」
喉が悪いのか声を出すのが辛いようで、思っていたより熱も高そうだ。
後でトローチ(※喉の炎症を和らげる効果のある舐め薬)と解熱剤を持ってきたほうがいいかもしれない。
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:28:59.91 ID:OmVewP0JO
考えている間に弟はスポーツドリンクを飲み干していた。
コップを受け取り、代わりに体温計を差し出す。
優子「ん、体温計。 高かったら解熱剤も持って来るから。 症状は?」
秀吉「体全体が酷く怠くて寒気がするのじゃ……あと…喉が…」
優子「わかった、薬持って来るからちょっと待ってなさい」
動くのも辛そうだし、スポーツドリンクはピッチャーかなにかに入れてベッドの横に置いておいたほうがいいかも。
喉が悪いみたいだからエアコンは点けないほうがいいだろうし、毛布を持っていこう。
汗を拭くためのタオルとかも用意しないと。
いろいろと必要なものを集め、もう一度弟の部屋へ。
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:30:39.55 ID:OmVewP0JO
優子「熱は? 何度だった?」
秀吉「む……」
計っていたのを忘れていたのか、思い出したように体温計を取り出してこちらに差し出す。
優子「38.4℃……かなり高いわね。様子見て良くならないようだったら、病院行きね」
秀吉「むぅ……演劇の妨げにならないよう、健康には人一倍気を使っていたはずなんじゃが…」
優子「そうね、馬鹿は風邪引かないはずなのにね」
秀吉「じゃあワシは馬鹿ではないのじゃな…よかったよかった…」
優子「もしかしたらインフルエンザかもね」
秀吉「ならばやはり馬鹿ということになるんじゃろうか…」ケホケホ
優子「ほら、馬鹿が馬鹿なこと言ってないでさっさと薬飲みなさい」
喉が痛いなら無理してしゃべることもないだろうに。
しかし、もしインフルエンザだとしたら自分ももう手遅れか。 一応マスクくらいはしておこう。気休めにしかならないが。
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:32:05.36 ID:OmVewP0JO
秀吉「…この解熱剤、もっと甘い味を着けてくれればよかったのじゃが」
優子「この歳になってそんなこと言わないの」
言葉遣いは爺くさいくせに、変なところはまだ子供なんだから。
秀吉「今日の姉上は…なんだか優しいのじゃ…」
優子「いくらなんでも病人に鞭打つような真似はしないわよ」
秀吉「姉上ならやりs……いやなんでも……」
優子「治ったら覚えときなさいよ」
この解熱剤には副作用として若干の催眠効果がある。
しばらくすると弟の口から寝息が漏れ始めた。
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:34:08.70 ID:OmVewP0JO
優子「おとなしくしてれば可愛い弟なんだけどなぁ……」
眠る弟の前髪を掻き分けながら、改めて弟を見る。
少しはだけた寝巻きからは熱で少し色着いた鎖骨が見えた。
優子「まったく…、羨ましいくらい綺麗な肌よね」
自分と同じ日、同じ顔を持って産まれてきた弟。
性別と性格だけは真反対だったが。
勉強はからっきしだが、自分と同じ頭脳を持っているなら勉強すれば成績は上がるのだろう。
まあ演劇にうちこんでる限りそれはないだろうが。
それにその演劇でも非凡な才能を発揮しているようだし。
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:36:08.49 ID:OmVewP0JO
それより最近心配なのは―――
秀吉「…ん……明久ぁ……」ムニャムニャ
―――男に恋しているかもしれないこと。
この際だから言ってしまおう。
自分は腐女子である。 男と男があれやこれやどれやそれやで絡み合っているのを妄想して性的興奮を感じる腐女子である。
正直なとこ、Fクラスの男子陣で妄想することもしばしば……いやその。
しかしそれは飽くまで妄想上である。
自分は知っている。
現実での同性愛というものがどれだけ悲惨なものかを。
ましてや自分の弟がそうなるなんて。
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:38:20.18 ID:OmVewP0JO
ただ、ただ秀吉ならば。
ごく自然に男とくっついてしまいそうで。
なぜだか女として許せなくて。
自分でも弟はいい性格をしていると思う。 それがまた羨ましかったりもする。
自分の女としてのプライドがそれを許せない。
それにやっぱり腐女子として、弟を腐った方向に行かせたくもない。
まあ秀吉ならば男とでも幸せにやっていくだろうが…。
でも、それでも、世間がなんと言おうが秀吉は男なのだ。
姉として普通の恋を応援してやりたい。
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:40:03.50 ID:OmVewP0JO
秀吉ならばおそらく女を落とすのも訳無いだろう。 母性本能をくすぐる見た目と性格で。
なんとかして女に恋して貰えないだろうか。
優子「結局、どれが一番幸せなのかしらね……」
~~~~~~
秀吉「……む、もう12時か…」
ようやく目を覚ました秀吉が辺りを見渡すと、ちょうど優子が小振りの鍋を持って部屋に入ってくるところだった。
優子「昼ご飯、食べる?」
秀吉「む…」
……食欲がないのはわかっている。
だが栄養は摂っておかなければ治るものも治らない。
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:42:08.84 ID:OmVewP0JO
優子「少しでも食べときなさい」
秀吉「うむ……ふふ…」
優子「……なに笑ってんのよ、熱で頭までおかしくなった?」
秀吉「姉上は……やっぱり優しいのじゃ…」
優子「…そ、そうよ当たり前じゃない。 優子の優の字はダテじゃないわ」
突然の発言に多少顔を赤くしてしまったが、それはつまり、普段は優しくはないと。
まあ優しくはないだろう、弟に対しては。
秀吉「このようなイイ女を独り身にさせておくAクラスの男子達の気がしれんのじゃ…」
優子「……んなっ!?///」
秀吉「芯は強く弱きに優しい…、日本女子としての理想像じゃ」
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:44:09.54 ID:OmVewP0JO
優子「じ……実の姉をおだてどうすんのよ、口説いてんの?」
秀吉「そうじゃのう、もしワシがAクラスの男子達の立場であったら、姉上に恋していたかもしれんのう」
優子「ふ……ふん、言うじゃない。 感謝しなさいよ、そんなイイ女に看病してもらってんだから」
秀吉「うむ、感謝感激じゃ」
………まあ、いっか。
秀吉もそこまで馬鹿じゃない。
自分の幸せは自分でつかみ取るはず。
今は成長した弟をしっかり見守っていよう……。
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:46:25.34 ID:OmVewP0JO
翌朝
秀吉「うむ、熱も下がって体もすっきりじゃ」
一日中安静にしていたおかげか、昨日の怠さが嘘のように全快した。
秀吉「喉はまだ…よくないのう、発声練習は控えておくかの」
壁にかかった時計を眺める。
―――おかしい。
秀吉「姉上はまだ起きんのかのう…」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:47:49.97 ID:OmVewP0JO
耳を澄ませると、姉の部屋から聞こえる咳の音。
秀吉「……馬鹿は風邪をひかぬはずではなかったかのう」
今日は日曜日。
遅刻をする心配はない。
秀吉「受けた恩は倍にして返すのがワシの流儀じゃ」
誰に言うわけでもなくそう呟くと、秀吉は体温計とスポーツドリンクの入ったコップを持って姉の部屋へ向かった。
これも、木下家の日常。
優子×秀吉
完
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:51:11.11 ID:OmVewP0JO
07:愛子+美波
~美波の部屋~
愛子「ねえ、あれ、優子と秀吉くんだよね?」
部屋に飾ってあるぬいぐるみを指差し、愛子が尋ねる。
美波「うん、セットで貰ったの」
愛子「え~! いーなー、可愛いーなー」
美波「あげないわよ?」
愛子「いいもん、僕はもうノーマルバージョン以外はコンプリートしたから」
美波「えっホント?」
愛子「あげないよー?」
美波「う、いいもん、ウチはとりあえずアキのさえあればいいんだし」
愛子「じゃあ木下姉妹ちょうだい♪」
美波「あれはあれで可愛いからダーメ♪」
工藤愛子と島田美波。
珍しい組み合わせだが、なぜこの2人が一緒に居るかというと……。
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:53:48.23 ID:OmVewP0JO
~某日、某喫茶店にて~
美波『今日からこちらで働くことになりました、島田美波です。 よろしくお願いします』
明久『みみみみみみみ美波! なんでこんなとこに!?』
美波『あ、“アキちゃん”やっほー』
明久『やめてぇ! 現在進行系で傷ついてる僕の心をえぐらないでぇ!』
愛子『あれー? 島田さん? やっほー』
美波『あ…あれ? 工藤…さん?』
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 18:57:00.81 ID:OmVewP0JO
愛子「いやー罪な男だねー吉井くん」
美波「え…じゃあもしかしてウチとアキの会話も…」
愛子「あ…うん…」
美波「んにゃあああああ!!」ガタッ
タタタ……
愛子「…まあ別に恥ずかしがることもないよー、って言う前に行っちゃった」
愛子「んーやっぱりこのぬいぐるみ可愛いなぁ」
結局、明久も美波もバイトが長続きするわけもなく、1週間でクビになった。
康太「ムッツリ商会の信用が……」
康太「…まぁ商品の補充は出来たし良しとする」
愛子+美波
完
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 19:01:17.16 ID:OmVewP0JO
はい終わり
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