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( ^ω^)達は罪を消すために戦いつづけるようです

1 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 22:54:27.47 ID:IGOFAWDm0
初投下です。よろしくお願いします

2 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 22:55:45.20 ID:IGOFAWDm0
それは何年に起きたことかわわかるが何日のことだったか詳しくはわからない。
それは100年前のできごと
とある人間が西の城に住まう者に聞いた




――あなたはなぜ人間をそんなに嫌うのですか?



3 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 22:56:46.09 ID:IGOFAWDm0
西の城に住まう者は人間に答えた。

『存在自体が罪だからだ。』

返ってきたのは至極単純なその答え

そう答えてその者は人間の首を刎ねた
そしてその数日後、その者により世界は戦火に包まれる。



戦争   戦争   戦争



人間、人外など種族の関係無くただ相手の潰し合い
剣が切り裂き、魔法が焼き尽くす

どれだけ血が流れ、どれだけ骨が砕け、どれだけ涙を流そうが止まらなかった戦争


4 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 22:58:06.18 ID:IGOFAWDm0


それからどのくらい戦っただろう。
年月を忘れるほど戦った


そして
西の城に住まう者との戦いが始まり、終わった





それが百年前の「罪流しの戦い」である


5 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:00:57.00 ID:IGOFAWDm0
お互いが傷つきながらも戦いどちらが残していった傷も大変大きなものだった

そして人間はその者を封印することに成功した
いくつもの命を賭して



Give sanction to a crime!   ―罪に制裁を与えよ―


それから百年、その者は動き出す

『醜き人間共よ!この世から消し去ってやろうではないか!』



『  さ ぁ 、 戦 争 だ  』



そう全国民に伝えられた日、
僕らの青い空は消えた



――( ^ω^)達は罪を消すために戦い続けるようです



6 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:02:50.83 ID:IGOFAWDm0

第一話 表 「決意」

朝とも昼ともわからない曖昧な時間に自分は知り合いの店を訪ねた。

(; ^ω^)「フサギコさん!?フサギコさんいますかお!?」
階段からバタバタと乱暴に駆け下りていく音がする。
ときどき木特有のギシギシと軋む音をおりまぜながら


ミ,,゜Д゜彡「お!ブーンじゃねぇか!どうしたんだ!」
目の前には茶色く長い髭を生やした中年の男性が店の奥の椅子に腰かけていた。彼がフサギコだ。
。彼は自分の兄のような存在の人だ。祖父が死んでからはこの人によくお世話になったものだった。


7 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:06:35.75 ID:IGOFAWDm0



その彼は今僕の名前を呼んで笑いかける。



彼が呼びかけるように自分の名前はブーン。ブーン=リードナーという名前だ。
単純な名だが気に入ってはいる。王族の様な長く凝った名前より父のつけてくれたこの名前のほうが立派だと思っているからだ。


それより今は話を戻そう。


(; ^ω^)「どうしたじゃないですお!魔王が復活したって本当ですかお!?」
まだ心臓がバクバクしている。この焦りを止めようとした。だがこんなに早くこの焦りを止めても良いわけはなかった。魔王の名が僕を焦らせる。魔王の名が思考を止めることをやめさせる

魔王だなんて馬鹿げてる?お話の中の存在?
事実、昔はいたのである


9 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:08:54.33 ID:IGOFAWDm0

ミ,,゜Д゜彡「・・・。」

彼の顔から笑顔は消えた。正確に言うと苦笑になったと言えば良いだろうか
嫌な予感がする



ミ,,゜Д゜彡「・・・お前新聞頼んで無いんだったな」

この人の言うとおり、自分の家には新聞は来ない。頼んでいない
さほど世間を知ることに興味はなかったからだ。

知ったところで何もこの生活に関わることはほとんど無い。
関わった物も法や金程度。そんなものなら他の人から聞くだけで十分だ


ミ,,゜Д゜彡「ほらよ」
そう言って僕に投げたのは所々にしわが寄り、乱雑に折りたたまれた今日の朝刊だった
どこかで感づいてしまった自分がいた





10 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:10:12.14 ID:IGOFAWDm0
>>8すいません。この後から訂正します

11 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:11:57.03 ID:IGOFAWDm0

(; ^ω^)「これは今朝の朝刊じゃないですか・・!?これは・・・!?」


――我、魔王なり。この日をもって100年の時より蘇る。
4日後、西の都市、ニューソクを攻撃する

罪には罰を与えよ



(; ^ω^)「100年前と同じことをするつもりかロマネスク!!」




――――――――――
―――――
―――





12 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:13:30.13 ID:IGOFAWDm0


『何やってるのですかロマネスク様?』


( ΦωΦ)「ふん、わかっているだろうに。我輩は今、来るべき戦いに備えて城中の宝玉≪ジェム≫を集めているのだ」

相変わらず怖いお方だ。肌が感じている空気がピリピリしいている

『宝玉ですか・・・。確かにこの城のは強力なものばかりですものね。』

( ΦωΦ)「ふん。こんな物なくても十分だがな。我輩なら遠隔魔法で簡単に潰せるレベルだ、封印が完全に解けていればの話だがな。それよりお前のほうは大丈夫なのか?」


『もちろんです。他の者の準備もし終えております。』

( ΦωΦ)「油断はするなよ?」

『ええ、もちろん。』



13 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:15:13.91 ID:IGOFAWDm0
そして彼はふと思い出したかのように言った

( ΦωΦ)「そういえば、お前の魔法解除≪キー≫はなんだったか?」

大体こういうの言う時って覚えてんだよな
そして彼に聞こえるようにハッキリ答えた。



『   罪には罰の制裁を   』



魔王の前で冷めるような笑いをしながら


――――――――
――――
――




17 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:21:10.81 ID:IGOFAWDm0






―『生きることが罪ならば、存在自体が罪ならば、私を罪と認めた者を裁けばいい。それが私がしたことだ。そして他の罪まで全て罪は私が背負った。いまだ許されてはいない。いや、それは死んでも許されない罪なのだ』







18 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:24:38.61 ID:IGOFAWDm0
(; ^ω^)「ロマネスク・・・またこの世界を・・・?」

ミ,,゚Д゚彡誰だそれ?」

うっかり自分が名前を出していることに気付いたのは彼に言われてからのことだった。


(; ^ω^)「えと・・・それは・・・」

安易に口にしていいものか少し悩んだ。
だけどこんな小さな村の酒場の亭主に言ったところで問題無いとも思った


( ^ω^)「魔王の名前ですお。」


21 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:27:14.97 ID:IGOFAWDm0
ミ;,゚Д゚彡んでお前が知って・・・あ」
あきらかに同様している。
魔王の名なんて知る者はほとんどいないからだ
言わないほうがよかったのだろうか?だとしてももう遅いからそのことについて考えることはやめた


そして彼はなんで自分がそんなこと知っているのか気づいてる
だからこそ口は止まらなかった 


そして彼も知っていることを口にした


( ^ω^)「僕の父と祖父は英雄だから」

―今にも泣きだしそうな笑顔で





22 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:29:15.45 ID:IGOFAWDm0
ミ;,゚Д゚彡んでお前が知って・・・あ」
あきらかに同様している。
魔王の名なんて知る者はほとんどいないからだ


言わないほうがよかったのだろうか?
だとしてももう遅いからそのことについて考えることはやめた


そして彼はなんで自分がそんなこと知っているのか気づいてる
だからこそ口は止まらなかった 


そして彼も知っていることを口にした


( ^ω^)「僕の父と祖父は英雄だから」

―今にも泣きだしそうな笑顔で





23 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:33:26.00 ID:IGOFAWDm0


ミ;,゚Д゚彡「もういいから!!」
彼は申しなさそうに言った。けどそれは自分のせいだ。
魔王の名前なんか軽々しく口にしたから


だがやめない。やめちゃいけない


僕がすべきことはこの記事を見た時に決まった、いや決まっていたその時が来ただけだ
だからその時のために僕を知っている人が一人でもいてほしかったから



(  ω )「・・・祖父と映像の中の父が教えてくれたんですお。」

自分に父はもういない。死んでからどのくらいたったのだろう


父が言った言葉がまだ心を縛り付ける






―最後に父を見たのは映像で見た父の最期だった―



24 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:34:32.49 ID:IGOFAWDm0




少年の時の自分は魔水晶に映った父を見た
半透明の映像は色が薄かったが血も傷で鮮明に映した



―――『 ブーン?見てるか?父さんだ。 』


( ;ω;)「見てるお!お父さん!」
ボロボロになった父は魔水晶を通して幼い僕を見た
肩の傷から血はとどめなく流れ、片目は潰れていた

幼い自分に父の最期の姿はあまりにも残酷としか言いようのなかった





26 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:35:40.11 ID:IGOFAWDm0





そして彼の遺言はあまりにも残酷で周りから見たら仕方ないとも言えるものだった







――『俺の代わりに魔王を倒してくれ』






30 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:42:13.46 ID:IGOFAWDm0
その父の声の暖かさが未だ心に残ってる
忘れられないからこそ心が揺らぐ

今思えばあの時自分はなぜ頷いてしまったのだろうと思う
そう思ったとしてもそれが今だったらと思うと何も言えない
今でも頷ける自信はある




その日から僕は祖父に血の滲むような特訓を強いられた




毎日木刀を持ち、木刀でなれれば剣を持ち、ときには荒野を足が動かなくなるまで走り回った。なによりきつかったのは防御の練習のため祖父の打撃に耐え続けるということだ。



31 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:45:00.54 ID:IGOFAWDm0


どんなに歳を取ろうが彼も英雄


痣だけでなく切り傷さえ体中にできた。
顔でも腹でもお構いなしに蹴られ、殴られ、投げつけられても立ち、構えなくてはいけない
それは幼い僕にとって地獄としか感じられないものであった。



逃げたくとも特訓後の祖父の優しい態度を見ると逃げようとする自分を止めた



34 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:53:21.31 ID:IGOFAWDm0



逃げようとする自分

その顔を思い出すだけで自分に苛たつ

( ^ω^)「馬鹿だお」


フサギコが少し吃驚した顔を見せた。沈黙していた時間が長かったのかもしれない
だけどそんなこと関係無しに自分は言った


( ^ω^)「フサギコさん。僕、旅に出るお」

その言葉は予想外にあっさり出た
ミ;,゚Д゚彡「お前何言って・・・」





( ^ω^)「それが父さんの遺言だから」






36 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/13(土) 23:56:47.24 ID:IGOFAWDm0


ミ;,,゚Д゚彡「だが・・・」

だが、でも、だって
それで逃げれたらどんなに素敵だろう。

だけど父の言葉が締め付ける

自分は弱いから・・・だから




( ^ω^)「明後日ここを出るお」

37 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:00:45.98 ID:Waa5VpY40
タメ口になっていることに気付いたのは声を発してからだ
そんなこと気付いたところでどうしようもなかったが


ミ;,,゚Д゚彡「また急な・・・。」


( ^ω^)「みんなには内緒にしてくださいお願いします」


早く出ないと未練が残りそうで怖かった

誰かに会うと心が揺れそうで怖かった


( ^ω^)「だから・・・」



「 さ よ な ら 」








38 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:02:26.24 ID:Waa5VpY40

(; ^ω^)「あ・・・。」

額から感じるは汗。それも冷めた汗


ミ;,,゚Д゚彡「あ・・・お前・・・。」


フサギコは意味をやっと理解したのか口をパクパクとさせている
自分の足は硬直し、動けないでいる
(; ^ω^)「あ、いや・・・その・・・。」

動け!動け!足!

動かなければ俺は・・・


少し足が浮く。
しめたとばかりに自分は走り出した




39 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:03:36.70 ID:Waa5VpY40
少しの遠く
フサギコのあっ、という声がした

なんで自分はあんなこと言ったのだろう
(; ^ω^)「なんであんなこと言ってしまったのだろう」


考えたことを声に出した。誰も答えはしない

沈黙  暗黙  暗黒


ただ虚しさだけが残る心


( ^ω:)「父ちゃん・・・僕どうしたらいいんだお・・・」


目から水が流れ始めたことに気付いたのは流れて少ししてからのことだった

ああ、自分泣いているのか

なぜ?

誰か教えてくれ


40 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:04:44.66 ID:Waa5VpY40




心のどこかで他人を見るように自分を見つめていた自分がいた気がした




僕はどこかで父ちゃんの言葉に、じいちゃんの姿に縛られているのかもしれない




( :ω:)「僕は・・・、僕は・・・!」



ただ心のどこかで英雄に、勇者に憧れていたのかもしれない




43 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:07:24.96 ID:Waa5VpY40
だからこそ、僕は


( ;ω;)「魔王を倒すんだお!」


それが僕が証明される唯一の方法だと思った


どこかで何かが泣いた音がした。

それが自分が泣いた音だと気付いたのはまだ後のことだった



―第一話 表 「決意」 了
 


44 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:08:28.23 ID:Waa5VpY40

第一話 裏 「目覚め」

( Φω+)「ここは・・・?」

荒い石の煉瓦が積まれた壁が見える。それは見覚えのある部屋だった
( ΦωΦ)「我輩の・・・城・・・か?」


喉に入る埃っぽさが息を詰まらせる。思わず咳まで出てしまうほどだ
( ΦωΦ)「・・・変わってないな。全く・・・。」


変わったのは埃だけと感じられるほどこの部屋は変わっていない。
どのくらいの日がたったのだろうか


扉の隙間から光が溢れている。ロマネスクは光に手を当て呪文かなにかを唱えながら目を瞑った。
だがそれは呪文ではなく光の精霊に時間を聞いていたのだった。
あまりいい態度を取られなかったようだが

魔王は何よりも自分が100年も封じられたことに驚いた

そしてその時の長さでも世界は何も変わっていないであろうことに苛立ちを覚えた


45 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:09:27.26 ID:Waa5VpY40
( ΦωΦ)「未だになぜ人間が生き残っているのだ。」

何も言わずとも感じられるこのまぬけな気配
これほどの馬鹿は人間しかいない


あの時、人間どもには修復不可能なほどの傷を残していった
そのままでは滅びる一方のはずだった

(♯ΦωΦ)「認めてはならぬ!我輩に傷を与えたうえに封印しおって。」


認めたら何かが終わる


察すれば何かが壊れる

そんなことなどわかりきっている
だからこそ怒りの炎を再び燃やし、憎しみの灯りに灯を燈すのだ




47 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:10:48.72 ID:Waa5VpY40
あぁ、やっとお目覚めになられたのですね、魔王様』


その声によって自分の怒りは一時的に急激に下がることになった
そしてその声の主がいるであろう向きに顔を向ける

この

( ΦωΦ)「お前は・・・」



从 ゚∀从「ハインです。地の精霊≪グノーメ≫のハインです。」


ハイン?自分が知るハインは一人しかいない。それは・・・


( ΦωΦ)「異端のノーム・・・四天王のハインか」



48 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:12:00.77 ID:Waa5VpY40
ノームという呼称は種族または男性の呼び名であり、女性の場合はグノーメ、ノーミーデス、ノーミドなどと言う。だか彼女の場合はノームでいいだろう。
ハインは女だ。だけど彼女の説明をする場合種族全体を示した方がいい。

なぜなら彼女は異常に背が大きい

          ・・
ノームとは地を操る小人である。


ノームの身長は平均15cm程度。だがハインの身長は160を少し超えている。
彼女は小人とはとてもじゃないが思えない体格をしている。普通の女と変わらないほどだ。

であるのに対し、彼女は人間に近いというわけでもなく、容易に地を操るほどの豊富な魔力とノームならではの知恵を持っている。ただしハインの場合、知恵は戦闘でしか発揮しなかったが・・・


ノームから見れば彼女は異常としか言いようがなかった。





49 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:13:10.00 ID:Waa5VpY40


从 ゚∀从「覚えていただけたなんて光栄です」

嬉しいのか悲しいのかすらわからないポーカーフェイスを保ちながら彼女は口元を笑いに歪めて答えた。目が笑っていない笑いほど気味の悪いものはない


( ΦωΦ)「そのお前が何の用だ。」

少々機嫌の悪い自分にとってこいつの出現など些細なことにすぎない。
むしろ気分を損ねる要素を持ち合わせていた。だがとりあえず話を聞こう。
それからだ





50 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:14:21.89 ID:Waa5VpY40
从 ゚∀从「魔王様がお目覚めになられたようなのでお迎えに行こうと思いまして。」



この答えに少し落胆した。
もう少し重要なことかと思っていたのだ。期待などではない。
ただの考えにすぎない

これはこちらから動かなければなるまい
そうかんがえると魔王ロマネスクがとるべき行動は決まっている


( ΦωΦ)「すぐにインクとペンと紙を用意しろ。話はそれからだ。」

そう、自ら事を始めるのだ

やることなど封印される前と変わらない



51 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:16:09.34 ID:Waa5VpY40

自身が存在する限りこれは人間が消滅するまで終わらない輪廻


そう言うとハインは指先で小さな陣を空中に描いた

光の線によって描かれてゆく陣を見て、手慣れている。そう思った。
そして小さな疑問があった



( ΦωΦ)「空間転移魔法か。そこまでせんでも歩けばいいだろうに。」

空間転移魔法は魔力を多く使う。
インクとペンと紙だけのためにつかうような簡単な技ではない。
へたしたらそこらの中級悪魔でも使えはしない技である




52 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:17:29.10 ID:Waa5VpY40
从 ゚∀从「ここから魔王様の書斎まで距離があります。
魔王様をお待たせすることなどできません。」

正直、歩いて行くのがめんどくさいだけだろうに
ハインはさっと書いた魔法陣からペン、インク、紙を取り出した

从 ゚∀从「魔王様、何を書くのですか?」

ロマネスクはこいつに興味は無いからどこかに行ってほしいとも思ったが、これから自分が書くことを人間、人外含め全ての生物に伝えるよう城の者に指示してほしいとも思った。だからあえて口には出さなかった



53 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:18:35.43 ID:Waa5VpY40
( ΦωΦ)「人間、人外全てへ向けての手紙だ。我輩は4日後、西の都市、ニューソクに向けて攻撃しようと思う」



从; ゚∀从「4日後ですか?」
ハインは正直焦った。

4日であの大都市ニューソクを破壊すると考えるとは思わなかったのだ。
そして布告するのはこちらを不利にしかけないからだ。
魔王が住んでいるのも西でありへたしたらこちらが攻撃する前に攻撃されかねない。
そうすれば一気にこちらが不利になるのはわかる




54 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:20:30.13 ID:Waa5VpY40


だがハインはそれを無理だとも思わなかった。


なぜなら相手は商業都市である。
武器はあるかもしれないが兵力は充分といえるほどには満ちていないようであったからだ。

そして何より西には周りに頼れるような大きな国が無いことだ。
西から出るルートは空と海しかないようなものだ。
陸には山脈があり歩いて登るには多少の犠牲を伴わなければいけないからだ。とてもじゃないが数も体力も減少した兵士と武器しか持たない力不足の兵を足しても勝てないだろう。
幸いこの国には魔術師も多くは無いようである。


55 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:21:33.69 ID:Waa5VpY40

勝ちの要素の方がこの国には多い。
これなら勝てるであろうとハインは思った


( ΦωΦ)「ハインよ。これを城の者に行って人間にも人外にも全て伝えるよう指示してくれ」

ハインが気がついた頃には魔王は手紙をサラリと書きおえてしまっていた

『――我、魔王はこの日をもって100年の時より蘇る。
4日後、西の都市、ニューソクを攻撃する

罪には罰を与えよ          』






56 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:22:33.72 ID:Waa5VpY40
手紙というより予言書だ。決して外れることの無い予言書である


从 ゚∀从「最後の一文。これは・・・あの時の・・・。」

これは100年前の戦争の合言葉だ。
ハインは感づいた。また魔王が100年前と同じことを始めようとしていることに



( ΦωΦ)「罪には罰を与えよ。それ以外に罪は裁くことができぬ、決してな」

それが魔王ロマネスクの考え方であり、それだけで充分だった。


57 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:23:47.52 ID:Waa5VpY40
最初の戦いまであと4日。
布告したのは西の都市に余裕を見せつけるなどといったわけではない。
世界に布告するためだった。なので最初の戦いは重要である。
いかに自分の戦いを見せつけるか。

最初は残酷に、盛大に。

それがロマネスクの考えだった



从 ゚∀从「何やってるのですかロマネスク様?」


ハインはあいかわらず自分を見張ろうとしてきた。

先ほどからなんだこいつは、鬱陶しい。そんなわかりきっている答えなど言いたくもない。しかし、言わねばこいつは話を自分に訊ねてくるだろう


58 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:24:37.09 ID:Waa5VpY40
( ΦωΦ)「ふん、わかっているだろうに。我輩は今、来るべき戦いに備えて城中の宝玉≪ジェム≫を集めているのだ」

宝玉とは魔水晶の上のランクの魔道具だ。
二つとも基本の作りは同じだ。

聖水に呪文を封じ込め、魔法で固める
それがこれらの作り方である。
宝玉と魔水晶の差は中に込める呪文の魔力の量であり、その差は魔水晶との値段の差を見ればよくわかるであろう。
同じ呪文でも魔水晶は500Gに対し、宝玉はそのうん十倍以上にも及ぶ




59 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:26:59.47 ID:Waa5VpY40
 ΦωΦ)「ふん。こんな物なくても十分だがな。
我輩なら遠隔魔法で簡単に潰せるレベルだ、封印が完全に解けていればの話だがな。
それよりお前のほうは大丈夫なのか?」

そうだ、自分はまだ完全に力は戻っていない。
それは、ロマネスクが先ほど光の精と話した時に気付いたことだった。

まだ自分は戦えない。そう確信してしまった。

戻った力はまだ70%ほど。
完全に戻るまでは、まだ・・・

時間が足りない



从 ゚∀从「もちろんです。他の者の準備もし終えております。」


( ΦωΦ)「油断はするなよ?」


从 ゚∀从「ええ、もちろん。」

魔王に返ってくるのは機械的な言葉
温かみも何も感じやしない悲しい言葉


虫の居所が悪い、魔王はそう思った


60 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:28:30.36 ID:Waa5VpY40
このままこういう話を続けてもこいつは何も変わった返事はしないだろう、そうとも思った。

ハインの性格は魔王が大の嫌いな性格である。
何にでも目を光らせタイミングをいつでもうかがっている、他人に本当の表情を見せやしない。
考えが謎なのだ。

しかしハインより嫌いな人物はまだいる。
目覚めた当日にこいつに揺れ動かされるのも癪にさわる
いっそ話をそらしてこいつをどこかにやってやろうかと思った


話をそらすには何がいいだろうか?
今の世界の状況?どうせそんなに変ってやしない
聞いたところで怒りと呆れで苛つくだけだ


61 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:33:27.61 ID:Waa5VpY40
城の兵の状況?兵には新参、古参。それだけだ、種族がなんであろうとも関係は無い
興味など無い。

他の四天王どもはどうしているのであろう
ハインが全く変わっていないのだから期待はできない
あぁ、あいつは変わっているのだろう、あの馬鹿は


そういえばこいつ先ほど陣を描いたときにキーを唱えるということはしなかった
キーを唱えずに空間転移とは能力だけは上がっているようだ





62 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:34:08.58 ID:Waa5VpY40
普通、魔力を多く消費する魔法には魔法解除というものをしなければならない
なぜなら魔力を持つ者は魔力に魔法を制限されるのだ。魔力とは力でありエネルギーであるのだ。だから魔力はそれの噴出を防ごうとするのだ。しかし、そうすれば多量の魔力を使用する魔法は魔力を制限されているので使えなくなる。

そのときのために魔法解除は必要なのだ。どちらかといえば魔力解除の方が正しいような気がするが、魔法自体の魔力も開放されるのでそれでもいいとも思いもしたが。


ハインは先ほどの空間移動魔法。魔力はなかなかの量を使う。下級悪魔がもし使えたとしてそれを使ったものならば、その下級悪魔の魔力は全て搾り取られるであろう



64 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:35:44.10 ID:Waa5VpY40

ハインの魔力はどれだけであろうか
魔王は恐怖は無いがハインに注意を向けた

もし、このような奴に不意打ちされたら、裏切られたら


100年の戦いにて信じるということが難しくなった魔王にとって
そう考えることは妥当であった。
信用より力、力より頭脳。
信じれば自分に裏切りの刃を向ける者が出てくる

信じるのはあいつだけ

裏切ったのもあいつだけ

信じ続けるのは――――…


魔王は名すら読みとれないその名前を小声でつぶやいた

そう考えるのは間違っている。考えなくてもわかっていることだった



65 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:38:54.70 ID:Waa5VpY40


从 ゚∀从「どうしました?」
ハインは魔王の顔をまじまじと見ながら冷笑で話しかけた




ハインを先ほどポーカーフェイスと言ったが、魔王はたった今気付いた。その中でも微妙に表情が変わる。普通の人間なら気付かないほど微かに、



( ΦωΦ)「いや、別になんでもない。」


今のハインは微かに笑っていた


( ΦωΦ)「そういえば、お前のキーはなんだったであるか?」



66 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:41:36.21 ID:Waa5VpY40
を変えようとするロマネスク
それすらも狂ったような小さな笑みで


从 ゚―从




『   罪には罰の制裁を   』


なぜ彼女があんなに冷めた笑いをしたのか魔王自身には理解できなかった。ハインが自分をなめているのかとすら感じられるような冷笑


彼女の言う罪とはなんであろうか。そのキーに含まれし意味とはなんであろうか
それはハインの氷の様な笑みに封じ込められたままであろう





67 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:46:12.71 ID:Waa5VpY40




( ΦωΦ)「あぁ・・・いい言葉だ」

魔王はただそう呟いた。
その言葉が嘘か本当かは謎であった。





―――――――
――――
――




68 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:47:38.92 ID:Waa5VpY40



―  一人の少年が決意し、一人に王が目覚めた



少年の願いは英雄、王の願いは謎のまま


そしてこの一人によって始められる生のための殺し合い


あぁ、なんと悲しき道であろうか

どちらの願いを叶えようにも力で穢れてゆくのだ




私は願おう。


『願いがかなわないことをここに願おう』



第一話 裏 「目覚め」了


70 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:49:32.52 ID:Waa5VpY40
これで一話は終わりです

質問や意見等あったらお願いします

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/14(日) 00:50:39.31 ID:iOeTtrsP0
改行減らしてくれw

72 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:51:58.95 ID:Waa5VpY40
>>71
初めて投下してみて私もそれは思いました
次からは気をつけます。すいません

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/14(日) 00:52:10.11 ID:mz0jfi9Z0
どうでもいいけど
「~~~~。」
「~~~~~」
統一したほうがいいかも?

74 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 00:53:58.83 ID:Waa5VpY40
>>73
指摘ありがとうございます
次から直していきたいと思います

76 名前: ◆BBLVb.6vXE [] 投稿日:2010/03/14(日) 01:02:26.60 ID:Waa5VpY40
次は遅れても来月には投下したいと思います

支援乙ありがとうございました

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