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憂「さくらんぼ」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/10(日) 19:23:29.10 ID:3l5RataE0 [1/42]
憂「……モグモグ……」
私の目の前には大量のさくらんぼ。
甘い甘い、美味しいさくらんぼ。
普段は滅多に食べることはない果実です。
でも、ただ食べてるだけではありません。
少しだけ、少しだけ試したくなっただけですから。
憂「……モグモグ……」
私の目の前には大量のさくらんぼ。
甘い甘い、美味しいさくらんぼ。
普段は滅多に食べることはない果実です。
でも、ただ食べてるだけではありません。
少しだけ、少しだけ試したくなっただけですから。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:29:36.11 ID:3l5RataE0 [2/42]
今日、クラスメイトの女の子がこんなことを言っていました。
『あんたの彼氏ってかっこいいよねー』
『かっこいいだけじゃなくて、優しくてキスも上手いんだー』
『へえ、いいなぁ。私の彼氏キス下手でさー。ちょっと痛いし』
『キスと言えば、さくらんぼのヘタを口の中で結べたら上手いらしいよ』
『それ聞いたことあるわ。今度やってもらおうかな。結べなかったりして』
『下手なら結べないんじゃない?』
『かもねー。練習させたろうか』
『それいいね。あはははははは』
――こんな会話だったかと思います。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:34:54.89 ID:3l5RataE0
女子高だって彼氏が居る人は居ます。
彼女達は周りの人より大人っぽかったから
彼氏が居ても不思議ではありません。
純ちゃん達と喋りながら
そんな彼女達の会話に聞き耳を立てていました。
――だって、少し興味があったから。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:39:15.60 ID:3l5RataE0
彼女達のその後の会話はどんどんエスカレートしていき
子どもな私には刺激が強すぎました。
いつか大人の階段を上るのかも知れませんが
まだ早いですよね。多分……。
彼女達の話を聞いてしまったためか
私の身体は熱くなり頬も紅潮していると思います。
少し伏せて熱が治まるのを待ちました。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:42:48.20 ID:3l5RataE0
純「憂、どうしたー?」
梓「お腹でも痛いの?」
憂「ううん。ちょっと熱いかな?」
純「窓開けますか」
憂「大丈夫だよ。もう平気。えへへ」
純「そっかぁ。無理しちゃダメだよ」
憂「うん。ありがとう」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:47:10.20 ID:3l5RataE0
いけないいけない、親友に心配をかけてしまいました。
この話はもう忘れようとしました。
この後も授業がありますからね。
余計なことを考えている場合ではありませんから。
そして今日の授業全て終わり
二人に別れの挨拶を済ませて家へと急ぎました。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:50:57.12 ID:3l5RataE0
憂「あ、今日お買い物行かなきゃ」
お姉ちゃんに美味しい物を食べてもらうために
新鮮な食材は欠かせません。
ほぼ毎日買い物をしてあったかご飯を作ります。
美味しいと言うお姉ちゃんの笑顔が私をそうさせますから。
弾む気持ちでスーパーへ向かいました。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:54:47.52 ID:3l5RataE0
憂「今日は何を作ろうかなぁ」
献立を考えるのも楽しい時間です。
食材を見てるとメニューの内容が浮かびます。
これも良いなあれも良いなと食材を選んでいると
頭の片隅に眠っていた、あの果物が目に飛び込んできました。
――さくらんぼ。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:58:50.72 ID:3l5RataE0
それを手に取ります。
瑞々しい鮮紅色のさくらんぼ。
見ているだけで甘くて美味しそうです。
お値段は――少し高いかもしれないけど
何とはなしにカゴに入れてしまいました。
あの時の話が気になっていたからでしょうかね。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:02:32.31 ID:3l5RataE0
そしてそのまま適当な食材をカゴに入れ
お会計を済ましました。
そして、家に帰り食材を冷蔵庫へ入れます。
後は洗濯物をしまい、軽く掃除をしてから
リビングで一息をいれました。
お夕飯を作るまでまだ時間があります。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:06:18.88 ID:3l5RataE0
――何か飲みたいなぁ
そう思ったので冷蔵庫を開け飲み物を探しました。
飲み物といえばお水や牛乳とオレンジジュースくらい……。
どれを飲もうか考えていると
買ってから手を付けていないさくらんぼが目に付きました。
しばらく見詰めます。
――ヘタを結べるとキスが上手いんだって。
あの言葉が再度頭に流れました。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:09:11.45 ID:3l5RataE0
そういえば昔、幼稚園くらいだったっけ
お姉ちゃんとキスしたことがあったなぁ。
その時はふざけててキスって分からなかったけど
唇を押し付けてたら痛がってたっけ。
今なら上手く出来るかな……?
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:10:48.43 ID:3l5RataE0
お夕飯作りまで暇だったので
練習がてらに挑戦してみることにしました。
袋を取るとさくらんぼの甘い匂いが漂ってきました。
普通に美味しそうです。
今度パフェでも作って
お姉ちゃんに食べさせてあげたいくらいです。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:15:50.69 ID:3l5RataE0
こたつテーブルに着き
さくらんぼをお皿に並べ準備は整いました。
一つ摘み口の中へ含みます。
瞬間的に甘味が口の中に広がります。
そして唾液が増えていくのが分かりました。
ついつい笑顔になってしまいます。
女の子なら誰だって甘い物が好きですから。
お姉ちゃんも好きだもんね?
でも味わってる場合ではないので
唾液を飲み込み、先に実だけを食べました。
あ、先に実を取ってからヘタを食べればよかったですね。
ちょっとおっちょこちょいでした。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:19:39.60 ID:3l5RataE0
種を取ったあと
ヘタだけになった口の中で、舌をもごもご動かしました。
こう、舌でヘタを押したり丸めようと必死に動かしますが
上手くいかないようです。
先ほどの実を食べた味が残っていて
唾液もそれなりに湧いてきます。
その状態で舌を動かすと、くちゅと云った音が耳に響き
何かと恥ずかしくなってきました。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:22:53.15 ID:3l5RataE0
憂「ふぅー」
上手くいきません。
掌に出したヘタは最初の状態から変わっておらず。
軽く弧を描いたままです。
結べないということは――キスが下手!?
憂「まだまだ……!」
落胆しつつも再度チャレンジです。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:27:04.78 ID:3l5RataE0
それから時間を忘れてヘタを結ぶ練習をしました。
でも、まったく思い通りにヘタが動いてくれません。
舌の上をつるつる滑っている感覚です。
――もー、どうして上手くいかないの?
苛立ちを隠せず溜め息が漏れました。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:31:08.44 ID:3l5RataE0
落ち着くために目の前のさくらんぼを食べます。
――甘い。
キスも甘いとか云いますけど
まだ私には解りません……。
でも、いつかはするのかもしれません。
どうせやるなら――
唯「憂?」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:33:40.39 ID:3l5RataE0
憂「っ……!」
ゴクンっと唾を飲み込みました。
あ、種まで飲んでしまいました。
振り返るとお姉ちゃんが不思議そうに
こちらを見ていました。
いつの間にか帰ってきたようです。
夢中で気付かなかったなぁ……。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:35:44.91 ID:3l5RataE0
唯「もー、居るなら居るって言ってよ」
唯「全然返事ないんだもん」
ふと大きな窓の外を見るとすっかり日が落ちていました。
夢中になりすぎてたようです。
ああご飯の準備も何もしていませんでした。
大失態です……。
憂「あ、ごめんねお姉ちゃん」
憂「すぐ準備するから――」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:38:23.51 ID:3l5RataE0
唯「ういー、これはー?」
お姉ちゃんがお皿を手に取って言いました。
憂「あ、えーと……」
唯「さくらんぼだねー。美味しそう」
憂「うん、仕舞っちゃうから貸して」
唯「一個もーっらい!」
憂「あっ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:41:36.20 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは一つさくらんぼを摘み、口の中へ入れました。
もごもごと口を動かすお姉ちゃんの顔は真剣です。
そのままさくらんぼを口に入れたままお姉ちゃんが喋ります。
唯「ういーしってるー?」
憂「な、何を?」
唯「むぐ、さくらんぼのヘタを口だけで結べるとキスが上手いんだってー」
うん、知ってるよ。返事代わりに頷きました。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:44:54.48 ID:3l5RataE0
暫くリビングには沈黙が流れ
私はお姉ちゃんを見詰めていました。
唯「んっぺ……」
お姉ちゃんが掌にヘタを吐き出します。
ヘタは結ばれて――はおらず
強く押しすぎたせいか少し折れている感じでした。
唯「うーん、やっぱり上手くいかないなぁ」
てへへと頭を撫でながら苦笑いのお姉ちゃん。
惜しいよ!お姉ちゃん!!
可愛いよ!お姉ちゃん!!
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:48:43.85 ID:3l5RataE0
唯「練習してたんだけどなぁ」
そう言ってお姉ちゃんは
また一つさくらんぼを手に取りました。
練習?お姉ちゃんも?どうして?
頭の中が少し混乱している間
お姉ちゃんはさくらんぼを見詰めながら言います。
唯「ういもさー、練習してたんだよね?」
唯「ヘタを口だけで結ぶのを」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:51:55.15 ID:3l5RataE0
ドキっと一瞬鼓動が早くなりました。
何て返事をすればいいのでしょう。
お姉ちゃんとのキスを上手くやりたいから――。
そんなことを言ったらどんな顔をされるか……。
憂「えっと……」
唯「ううん、隠さなくてもいいんだよー」
お姉ちゃんがニッコリ笑顔で言いました。
憂「う、うん。練習……してた」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:55:02.96 ID:3l5RataE0
唯「そっかーそっかー。」
お姉ちゃんは静かにほくそ笑みました。
そしてそのままゆっくり私の隣へ座り
身を乗り出す感じで顔を近づけてきました。
唯「じゃあさ、一緒に練習、してみる……?」
憂「練習……?」
唯「うん練習。ムギちゃんが教えてくれたやり方――」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:02:07.03 ID:3l5RataE0
どことなく緊張の面持ちのお姉ちゃん。
私も困惑の表情をしていると思います。
お姉ちゃんの頬が段々朱くなり
何となく意味が解った私は言います。
憂「お姉ちゃん……それって、キ――」
言い終わる前にお姉ちゃんの人差し指が
私の唇に押し付けられました。
しーっと小さな子どもをあやす様な仕草と
唇に残る指の肌触りが
私の気持ちを高ぶらせていきました。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:07:46.01 ID:3l5RataE0
唯「したいの?したくないの?」
ずるいよ……。
そんな言いかたされたら――。
憂「し……たい……」
喉の奥から搾り出したような声でした。
――ああ、今からどうなるんだろう。
少し手足は振るえ
甘いさくらんぼによって
湧き出た唾液をゴクリと一飲みします。
身体は凄く熱くなっていました
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:10:34.60 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは私の言葉に頷くと
さくらんぼに目をやりました。
無造作に一つ摘み口へ。
そして前歯に挟み込み
ニコっと満面の笑顔になります。
本当に眩しいくらいの笑顔です。
息をこらして胸の前で手を握ります。
私の鼓動がますます早くなり
自分では抑えきれないほどです。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:15:28.45 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは少し汗で
額に張り付いた私の髪の毛を掻き分けてくれました。
そして自分の額を私の額にくっつけます。
目の前はお姉ちゃんの顔だけです。
もうお姉ちゃんしか見えません。
お姉ちゃんの吐息が
私の唇にかかるくらいまで近づいています。
後少し――。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:19:01.99 ID:3l5RataE0
私は目を閉じました。
緊張や恐怖心から逃れるためではありません。
――お姉ちゃんを受け入れるために。
視界が失われると足元がおぼつかず
座っていても倒れそうな感覚です。
でも大丈夫。目の前にお姉ちゃんが居るから。
支えてくれるお姉ちゃんが居るから――。
そして、それを皮切りに
お姉ちゃんが私の頬に手を添え
お姉ちゃんと私の唇が一つに重なりました。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:23:34.54 ID:3l5RataE0
唇が触れ合った瞬間
私とお姉ちゃんは身体がビクっと痙攣しました。
子どもの時とは違う、初の体験と感触。
お姉ちゃんの身体も震えています。
私達は暫くそのまま口付けを交わしていました。
お姉ちゃんの鼻息が私の顔に触れます。
くすぐったいけど
どことなく心地いい――そんな感触です。
薄目を開けるとお姉ちゃんは頬を朱くして目は瞑っています。
真剣だけど――かわいいな、そう思える表情でした。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:29:32.15 ID:3l5RataE0
幼き日の遊びとは違い
正真正銘のファーストキス。
――とっても甘かった。
さくらんぼだから甘いのか。
お姉ちゃんの唇だから甘いのか。
私にとって、そんなのどちらでもいいのです。
世界で一番好きな人――愛している人とキスが出来た。
ただ、その事実が私を得も言わぬ幸福感に浸らしてくれます。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:36:16.19 ID:3l5RataE0
再び目を閉じた瞬間に唇をこじ開けられ
異物――さくらんぼが入ります。
そして後からお姉ちゃんの舌が入ってきました。
憂「んっ……」
お姉ちゃんの舌先と私のそれが触れ合います。
先ほどより、一層身体が震えますが
この行為は止まりません。
憂「はっ……おねえひゃ……」
くぐもった声を漏らしつつ私はお姉ちゃんを求めました。
さくらんぼを無視して
ただただお姉ちゃんと舌を絡めるだけになりました。
――練習ってなんだろうね。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:43:08.62 ID:3l5RataE0
暖かくなったさくらんぼが
私の口の中に取り残されています。
それを押し付ける感じでお姉ちゃんの口へ押し込みます。
唯「んっ……ひゃ」
口の隙間から艶かしい声色が漏れ
それがさらに私の情動を掻き立てました。
お姉ちゃんと唇と私の唇が橋となり
行ったり来たりするさくらんぼ。
唾液が、開いた唇の隙間から顎を伝い私達の服へ沁み込みます。
舌が触れ合う感触とさくらんぼの丸い感触が気持ちよくて……。
頭の中が真っ白になり、意識が飛びそうでした。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:47:13.30 ID:3l5RataE0
それから私の身体は弛緩し力が入らなくなりました。
後ろに倒れそうになりますが
頬に添えてたお姉ちゃんの左手が背中に回り支えてくれます。
右手は私の左手と絡み合い、力強く握ってくれました。
お姉ちゃんに支えられている
この心地よさが堪らなく好きです。
後はお姉ちゃんに身を任せ、されるがままになりました。
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:53:16.28 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんが私の舌の上でヘタを押さえつけています。
ああ、結ぼうとしているのかな。
私もヘタを押さえつけますが
――やっぱりダメだよ。実が付いたままだもん。
憂「おね……はっ……さくらんぼ」
唯「うい……ふぁ」
ぽろりと口から零れるさくらんぼ。
唯「はぁ……はぁ」
憂「お、ねえちゃ……」
お姉ちゃんは、私をそのままゆっくり床に仰向けに寝かせ
私を見詰めながら手探りでコタツ上のさくらんぼを掴みます。
焦る気持ちが先走ったのか、お皿がひっくり返った音がしました。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:59:44.04 ID:3l5RataE0
そして掴んださくらんぼをまた口へ含みました。
三つほど掴んでましたが、二つぽろりとまた床へ落ちます。
憂「あ……さ、んっ」
言葉を発する前にお姉ちゃんの唇で塞がれました。
お姉ちゃんはまた私の頬に手を添えひたすら舌を絡めます。
そんなお姉ちゃんが愛しく、背中に両手を回し強く抱きしめます。
お姉ちゃんがガリっと実を噛んだらしく
先ほどより甘い味が口の中へと広がりました。
唯「お、はぁ……。おいひい?」
憂「あふ……うん…………はぁ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:06:21.93 ID:3l5RataE0
あれからどれくらい時間が経ったのでしょうか。
口の中のさくらんぼはどちらが飲み込んだらしく
綺麗さっぱり無くなっていました。
それでもただひたすらに口付けをし
舌を絡めるだけになった私達。
リビングには
私達の淫靡とも呼べる音が響き渡るだけでした。
でも、流石に疲れたのか
ゆっくりとお姉ちゃんが顔を上げました。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:12:42.78 ID:3l5RataE0
艶っぽい表情を浮かべ、肩で息をするお姉ちゃん。
唇には私の唇へと通ずる糸が出来ていました。
それを畳む様にまたキスをしてきました。
私は全身が幸福感に包まれましたが
何とも言えない虚無感と脱力感にも包まれました。
実の姉にこんなにも濃厚な口付けをし
欲情とも言える感情までも抱いてしまったからでしょうか。
――でも、またやりたい。
この想いが暫く抜けることはないと思います。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:17:04.41 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは唇を離し、私の頭を優しく撫でてくれました。
そして、唇周辺の唾液を指で拭いてくれました。
ぷるっと唇が揺れた気がします。
憂「お姉ちゃん……」
唯「ういー。さくらんぼ無くなっちゃったね」
ニコニコと、笑顔のお姉ちゃん。
耳元へ顔を近づけ囁きました。
唯「明日も“練習”しようね」
憂「う……ん……」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:21:14.25 ID:3l5RataE0
練習――そう練習です。明日も。きっとその次の日も。
身体をゆっくり起こし、お姉ちゃんを見詰めました。
唯「さあ、ご飯作ろう。手伝うよー、お腹空いちゃった」
うん、お腹空いたね。お姉ちゃんの好きな物作るよ。
そして明日も“さくらんぼ”沢山買ってくるからね。
――本当に明日が楽しみだね、お姉ちゃん。
おしまい
今日、クラスメイトの女の子がこんなことを言っていました。
『あんたの彼氏ってかっこいいよねー』
『かっこいいだけじゃなくて、優しくてキスも上手いんだー』
『へえ、いいなぁ。私の彼氏キス下手でさー。ちょっと痛いし』
『キスと言えば、さくらんぼのヘタを口の中で結べたら上手いらしいよ』
『それ聞いたことあるわ。今度やってもらおうかな。結べなかったりして』
『下手なら結べないんじゃない?』
『かもねー。練習させたろうか』
『それいいね。あはははははは』
――こんな会話だったかと思います。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:34:54.89 ID:3l5RataE0
女子高だって彼氏が居る人は居ます。
彼女達は周りの人より大人っぽかったから
彼氏が居ても不思議ではありません。
純ちゃん達と喋りながら
そんな彼女達の会話に聞き耳を立てていました。
――だって、少し興味があったから。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:39:15.60 ID:3l5RataE0
彼女達のその後の会話はどんどんエスカレートしていき
子どもな私には刺激が強すぎました。
いつか大人の階段を上るのかも知れませんが
まだ早いですよね。多分……。
彼女達の話を聞いてしまったためか
私の身体は熱くなり頬も紅潮していると思います。
少し伏せて熱が治まるのを待ちました。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:42:48.20 ID:3l5RataE0
純「憂、どうしたー?」
梓「お腹でも痛いの?」
憂「ううん。ちょっと熱いかな?」
純「窓開けますか」
憂「大丈夫だよ。もう平気。えへへ」
純「そっかぁ。無理しちゃダメだよ」
憂「うん。ありがとう」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:47:10.20 ID:3l5RataE0
いけないいけない、親友に心配をかけてしまいました。
この話はもう忘れようとしました。
この後も授業がありますからね。
余計なことを考えている場合ではありませんから。
そして今日の授業全て終わり
二人に別れの挨拶を済ませて家へと急ぎました。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:50:57.12 ID:3l5RataE0
憂「あ、今日お買い物行かなきゃ」
お姉ちゃんに美味しい物を食べてもらうために
新鮮な食材は欠かせません。
ほぼ毎日買い物をしてあったかご飯を作ります。
美味しいと言うお姉ちゃんの笑顔が私をそうさせますから。
弾む気持ちでスーパーへ向かいました。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:54:47.52 ID:3l5RataE0
憂「今日は何を作ろうかなぁ」
献立を考えるのも楽しい時間です。
食材を見てるとメニューの内容が浮かびます。
これも良いなあれも良いなと食材を選んでいると
頭の片隅に眠っていた、あの果物が目に飛び込んできました。
――さくらんぼ。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 19:58:50.72 ID:3l5RataE0
それを手に取ります。
瑞々しい鮮紅色のさくらんぼ。
見ているだけで甘くて美味しそうです。
お値段は――少し高いかもしれないけど
何とはなしにカゴに入れてしまいました。
あの時の話が気になっていたからでしょうかね。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:02:32.31 ID:3l5RataE0
そしてそのまま適当な食材をカゴに入れ
お会計を済ましました。
そして、家に帰り食材を冷蔵庫へ入れます。
後は洗濯物をしまい、軽く掃除をしてから
リビングで一息をいれました。
お夕飯を作るまでまだ時間があります。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:06:18.88 ID:3l5RataE0
――何か飲みたいなぁ
そう思ったので冷蔵庫を開け飲み物を探しました。
飲み物といえばお水や牛乳とオレンジジュースくらい……。
どれを飲もうか考えていると
買ってから手を付けていないさくらんぼが目に付きました。
しばらく見詰めます。
――ヘタを結べるとキスが上手いんだって。
あの言葉が再度頭に流れました。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:09:11.45 ID:3l5RataE0
そういえば昔、幼稚園くらいだったっけ
お姉ちゃんとキスしたことがあったなぁ。
その時はふざけててキスって分からなかったけど
唇を押し付けてたら痛がってたっけ。
今なら上手く出来るかな……?
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:10:48.43 ID:3l5RataE0
お夕飯作りまで暇だったので
練習がてらに挑戦してみることにしました。
袋を取るとさくらんぼの甘い匂いが漂ってきました。
普通に美味しそうです。
今度パフェでも作って
お姉ちゃんに食べさせてあげたいくらいです。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:15:50.69 ID:3l5RataE0
こたつテーブルに着き
さくらんぼをお皿に並べ準備は整いました。
一つ摘み口の中へ含みます。
瞬間的に甘味が口の中に広がります。
そして唾液が増えていくのが分かりました。
ついつい笑顔になってしまいます。
女の子なら誰だって甘い物が好きですから。
お姉ちゃんも好きだもんね?
でも味わってる場合ではないので
唾液を飲み込み、先に実だけを食べました。
あ、先に実を取ってからヘタを食べればよかったですね。
ちょっとおっちょこちょいでした。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:19:39.60 ID:3l5RataE0
種を取ったあと
ヘタだけになった口の中で、舌をもごもご動かしました。
こう、舌でヘタを押したり丸めようと必死に動かしますが
上手くいかないようです。
先ほどの実を食べた味が残っていて
唾液もそれなりに湧いてきます。
その状態で舌を動かすと、くちゅと云った音が耳に響き
何かと恥ずかしくなってきました。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:22:53.15 ID:3l5RataE0
憂「ふぅー」
上手くいきません。
掌に出したヘタは最初の状態から変わっておらず。
軽く弧を描いたままです。
結べないということは――キスが下手!?
憂「まだまだ……!」
落胆しつつも再度チャレンジです。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:27:04.78 ID:3l5RataE0
それから時間を忘れてヘタを結ぶ練習をしました。
でも、まったく思い通りにヘタが動いてくれません。
舌の上をつるつる滑っている感覚です。
――もー、どうして上手くいかないの?
苛立ちを隠せず溜め息が漏れました。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:31:08.44 ID:3l5RataE0
落ち着くために目の前のさくらんぼを食べます。
――甘い。
キスも甘いとか云いますけど
まだ私には解りません……。
でも、いつかはするのかもしれません。
どうせやるなら――
唯「憂?」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:33:40.39 ID:3l5RataE0
憂「っ……!」
ゴクンっと唾を飲み込みました。
あ、種まで飲んでしまいました。
振り返るとお姉ちゃんが不思議そうに
こちらを見ていました。
いつの間にか帰ってきたようです。
夢中で気付かなかったなぁ……。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:35:44.91 ID:3l5RataE0
唯「もー、居るなら居るって言ってよ」
唯「全然返事ないんだもん」
ふと大きな窓の外を見るとすっかり日が落ちていました。
夢中になりすぎてたようです。
ああご飯の準備も何もしていませんでした。
大失態です……。
憂「あ、ごめんねお姉ちゃん」
憂「すぐ準備するから――」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:38:23.51 ID:3l5RataE0
唯「ういー、これはー?」
お姉ちゃんがお皿を手に取って言いました。
憂「あ、えーと……」
唯「さくらんぼだねー。美味しそう」
憂「うん、仕舞っちゃうから貸して」
唯「一個もーっらい!」
憂「あっ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:41:36.20 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは一つさくらんぼを摘み、口の中へ入れました。
もごもごと口を動かすお姉ちゃんの顔は真剣です。
そのままさくらんぼを口に入れたままお姉ちゃんが喋ります。
唯「ういーしってるー?」
憂「な、何を?」
唯「むぐ、さくらんぼのヘタを口だけで結べるとキスが上手いんだってー」
うん、知ってるよ。返事代わりに頷きました。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:44:54.48 ID:3l5RataE0
暫くリビングには沈黙が流れ
私はお姉ちゃんを見詰めていました。
唯「んっぺ……」
お姉ちゃんが掌にヘタを吐き出します。
ヘタは結ばれて――はおらず
強く押しすぎたせいか少し折れている感じでした。
唯「うーん、やっぱり上手くいかないなぁ」
てへへと頭を撫でながら苦笑いのお姉ちゃん。
惜しいよ!お姉ちゃん!!
可愛いよ!お姉ちゃん!!
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:48:43.85 ID:3l5RataE0
唯「練習してたんだけどなぁ」
そう言ってお姉ちゃんは
また一つさくらんぼを手に取りました。
練習?お姉ちゃんも?どうして?
頭の中が少し混乱している間
お姉ちゃんはさくらんぼを見詰めながら言います。
唯「ういもさー、練習してたんだよね?」
唯「ヘタを口だけで結ぶのを」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:51:55.15 ID:3l5RataE0
ドキっと一瞬鼓動が早くなりました。
何て返事をすればいいのでしょう。
お姉ちゃんとのキスを上手くやりたいから――。
そんなことを言ったらどんな顔をされるか……。
憂「えっと……」
唯「ううん、隠さなくてもいいんだよー」
お姉ちゃんがニッコリ笑顔で言いました。
憂「う、うん。練習……してた」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 20:55:02.96 ID:3l5RataE0
唯「そっかーそっかー。」
お姉ちゃんは静かにほくそ笑みました。
そしてそのままゆっくり私の隣へ座り
身を乗り出す感じで顔を近づけてきました。
唯「じゃあさ、一緒に練習、してみる……?」
憂「練習……?」
唯「うん練習。ムギちゃんが教えてくれたやり方――」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:02:07.03 ID:3l5RataE0
どことなく緊張の面持ちのお姉ちゃん。
私も困惑の表情をしていると思います。
お姉ちゃんの頬が段々朱くなり
何となく意味が解った私は言います。
憂「お姉ちゃん……それって、キ――」
言い終わる前にお姉ちゃんの人差し指が
私の唇に押し付けられました。
しーっと小さな子どもをあやす様な仕草と
唇に残る指の肌触りが
私の気持ちを高ぶらせていきました。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:07:46.01 ID:3l5RataE0
唯「したいの?したくないの?」
ずるいよ……。
そんな言いかたされたら――。
憂「し……たい……」
喉の奥から搾り出したような声でした。
――ああ、今からどうなるんだろう。
少し手足は振るえ
甘いさくらんぼによって
湧き出た唾液をゴクリと一飲みします。
身体は凄く熱くなっていました
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:10:34.60 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは私の言葉に頷くと
さくらんぼに目をやりました。
無造作に一つ摘み口へ。
そして前歯に挟み込み
ニコっと満面の笑顔になります。
本当に眩しいくらいの笑顔です。
息をこらして胸の前で手を握ります。
私の鼓動がますます早くなり
自分では抑えきれないほどです。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:15:28.45 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは少し汗で
額に張り付いた私の髪の毛を掻き分けてくれました。
そして自分の額を私の額にくっつけます。
目の前はお姉ちゃんの顔だけです。
もうお姉ちゃんしか見えません。
お姉ちゃんの吐息が
私の唇にかかるくらいまで近づいています。
後少し――。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:19:01.99 ID:3l5RataE0
私は目を閉じました。
緊張や恐怖心から逃れるためではありません。
――お姉ちゃんを受け入れるために。
視界が失われると足元がおぼつかず
座っていても倒れそうな感覚です。
でも大丈夫。目の前にお姉ちゃんが居るから。
支えてくれるお姉ちゃんが居るから――。
そして、それを皮切りに
お姉ちゃんが私の頬に手を添え
お姉ちゃんと私の唇が一つに重なりました。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:23:34.54 ID:3l5RataE0
唇が触れ合った瞬間
私とお姉ちゃんは身体がビクっと痙攣しました。
子どもの時とは違う、初の体験と感触。
お姉ちゃんの身体も震えています。
私達は暫くそのまま口付けを交わしていました。
お姉ちゃんの鼻息が私の顔に触れます。
くすぐったいけど
どことなく心地いい――そんな感触です。
薄目を開けるとお姉ちゃんは頬を朱くして目は瞑っています。
真剣だけど――かわいいな、そう思える表情でした。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:29:32.15 ID:3l5RataE0
幼き日の遊びとは違い
正真正銘のファーストキス。
――とっても甘かった。
さくらんぼだから甘いのか。
お姉ちゃんの唇だから甘いのか。
私にとって、そんなのどちらでもいいのです。
世界で一番好きな人――愛している人とキスが出来た。
ただ、その事実が私を得も言わぬ幸福感に浸らしてくれます。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:36:16.19 ID:3l5RataE0
再び目を閉じた瞬間に唇をこじ開けられ
異物――さくらんぼが入ります。
そして後からお姉ちゃんの舌が入ってきました。
憂「んっ……」
お姉ちゃんの舌先と私のそれが触れ合います。
先ほどより、一層身体が震えますが
この行為は止まりません。
憂「はっ……おねえひゃ……」
くぐもった声を漏らしつつ私はお姉ちゃんを求めました。
さくらんぼを無視して
ただただお姉ちゃんと舌を絡めるだけになりました。
――練習ってなんだろうね。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:43:08.62 ID:3l5RataE0
暖かくなったさくらんぼが
私の口の中に取り残されています。
それを押し付ける感じでお姉ちゃんの口へ押し込みます。
唯「んっ……ひゃ」
口の隙間から艶かしい声色が漏れ
それがさらに私の情動を掻き立てました。
お姉ちゃんと唇と私の唇が橋となり
行ったり来たりするさくらんぼ。
唾液が、開いた唇の隙間から顎を伝い私達の服へ沁み込みます。
舌が触れ合う感触とさくらんぼの丸い感触が気持ちよくて……。
頭の中が真っ白になり、意識が飛びそうでした。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:47:13.30 ID:3l5RataE0
それから私の身体は弛緩し力が入らなくなりました。
後ろに倒れそうになりますが
頬に添えてたお姉ちゃんの左手が背中に回り支えてくれます。
右手は私の左手と絡み合い、力強く握ってくれました。
お姉ちゃんに支えられている
この心地よさが堪らなく好きです。
後はお姉ちゃんに身を任せ、されるがままになりました。
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:53:16.28 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんが私の舌の上でヘタを押さえつけています。
ああ、結ぼうとしているのかな。
私もヘタを押さえつけますが
――やっぱりダメだよ。実が付いたままだもん。
憂「おね……はっ……さくらんぼ」
唯「うい……ふぁ」
ぽろりと口から零れるさくらんぼ。
唯「はぁ……はぁ」
憂「お、ねえちゃ……」
お姉ちゃんは、私をそのままゆっくり床に仰向けに寝かせ
私を見詰めながら手探りでコタツ上のさくらんぼを掴みます。
焦る気持ちが先走ったのか、お皿がひっくり返った音がしました。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 21:59:44.04 ID:3l5RataE0
そして掴んださくらんぼをまた口へ含みました。
三つほど掴んでましたが、二つぽろりとまた床へ落ちます。
憂「あ……さ、んっ」
言葉を発する前にお姉ちゃんの唇で塞がれました。
お姉ちゃんはまた私の頬に手を添えひたすら舌を絡めます。
そんなお姉ちゃんが愛しく、背中に両手を回し強く抱きしめます。
お姉ちゃんがガリっと実を噛んだらしく
先ほどより甘い味が口の中へと広がりました。
唯「お、はぁ……。おいひい?」
憂「あふ……うん…………はぁ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:06:21.93 ID:3l5RataE0
あれからどれくらい時間が経ったのでしょうか。
口の中のさくらんぼはどちらが飲み込んだらしく
綺麗さっぱり無くなっていました。
それでもただひたすらに口付けをし
舌を絡めるだけになった私達。
リビングには
私達の淫靡とも呼べる音が響き渡るだけでした。
でも、流石に疲れたのか
ゆっくりとお姉ちゃんが顔を上げました。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:12:42.78 ID:3l5RataE0
艶っぽい表情を浮かべ、肩で息をするお姉ちゃん。
唇には私の唇へと通ずる糸が出来ていました。
それを畳む様にまたキスをしてきました。
私は全身が幸福感に包まれましたが
何とも言えない虚無感と脱力感にも包まれました。
実の姉にこんなにも濃厚な口付けをし
欲情とも言える感情までも抱いてしまったからでしょうか。
――でも、またやりたい。
この想いが暫く抜けることはないと思います。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:17:04.41 ID:3l5RataE0
お姉ちゃんは唇を離し、私の頭を優しく撫でてくれました。
そして、唇周辺の唾液を指で拭いてくれました。
ぷるっと唇が揺れた気がします。
憂「お姉ちゃん……」
唯「ういー。さくらんぼ無くなっちゃったね」
ニコニコと、笑顔のお姉ちゃん。
耳元へ顔を近づけ囁きました。
唯「明日も“練習”しようね」
憂「う……ん……」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 22:21:14.25 ID:3l5RataE0
練習――そう練習です。明日も。きっとその次の日も。
身体をゆっくり起こし、お姉ちゃんを見詰めました。
唯「さあ、ご飯作ろう。手伝うよー、お腹空いちゃった」
うん、お腹空いたね。お姉ちゃんの好きな物作るよ。
そして明日も“さくらんぼ”沢山買ってくるからね。
――本当に明日が楽しみだね、お姉ちゃん。
おしまい
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