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女「最近、飛び降り自殺多いよね」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:47:14.19 ID:TWtt/ltn0 [1/14]
女「なんでだと思う?」
男「知らねえよ、人生に嫌気がさしてるからじゃねえの」
女「そんだけの理由かな~」
男「他になにがあるって言うんだ」
女「うーん、わたしバカだからわかんないや」
男「なんだよ、それ」
女「でもなあ、不思議なんだよねぇ」
男「これ以上、お前の馬鹿な話に付き合ってられん」
女「もう怒んないでよ~」
女「なんでだと思う?」
男「知らねえよ、人生に嫌気がさしてるからじゃねえの」
女「そんだけの理由かな~」
男「他になにがあるって言うんだ」
女「うーん、わたしバカだからわかんないや」
男「なんだよ、それ」
女「でもなあ、不思議なんだよねぇ」
男「これ以上、お前の馬鹿な話に付き合ってられん」
女「もう怒んないでよ~」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:54:15.73 ID:TWtt/ltn0
担任「今日はお前たちに悲しい話をしないといけない」
担任「昨日の夜、クラスの女が亡くなった」
男「えっ」
担任「飛び降り自殺だったそうだ。残念だ」
担任「今日の夜にお通夜があるから、行けるやつは行って欲しい」
担任「この際だから、みんなには言っておく」
担任「命を大切にして欲しい」
担任「たとえ、どんなに辛いことがあっても、諦めないで生きて欲しい」
担任「そう、願ってるよ」
男「…………」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:57:52.67 ID:TWtt/ltn0
友人「なあ、男」
男「……ん」
友人「お前、女と仲良かったよな」
男「まあな、少し話しするぐらいは」
友人「じゃあ、死んだ理由とかも分かるんじゃねぇか?」
男「いや、俺も分からん。それっぽい話はしてたけどな」
友人「そうかぁ……なんかびっくりだな」
男「ああ」
友人「急に知り合いが死ぬって、想像もつかねぇよ」
男「そう、だな」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:00:09.72 ID:TWtt/ltn0
友人「お前、今日の通夜いく?」
男「俺はやめとく」
友人「えっ、どうして?」
男「ちょっと気分が優れないんでな」
友人「まあ、お前がそう言うなら無理にとは言わないけど」
男「まだ実感が湧かないんだ」
友人「そうか、それなら仕方ない」
男「悪いな、俺の分も頼む」
友人「おう、分かった」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:04:03.87 ID:TWtt/ltn0
男(……何でアイツ死んだんだろ)
男(遺書も残してないって言うし、訳わかんねぇ)
男(自殺する理由か……)
男(そういえば、アイツ、意味深なこと言ってたよな)
男(他に理由があるかもしれない、みたいなこと)
男(理由ねぇ……死ぬ理由)
男「…………」
男「駄目だ、分からん。俺には考えつかないな」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:08:12.04 ID:TWtt/ltn0
男「……ん、あれ?」
猫「……ニャー……ニャー」
男「猫か。でも動かないな」
猫「……ニャー」
男「ああ、こりゃ車に轢かれたな。内臓が少し出てるわ」
猫「……ニャーニャー」
男「痛いんだろうなぁ。もう絶対死ぬもんなぁ」
男「どうしよう……とりあえず、持ってくか」
男「でも、近くに動物病院なんてなかったな」
男「んー」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:11:40.27 ID:TWtt/ltn0
男「うわぁ、手が血だらけだ」
猫「……ニャー」
男「もう少しだから、我慢しろよ」
男「後ちょっとで楽にしてやるから」
男「よし、着いた」
男「初めて登ったけど、結構、景色はいいもんだな」
猫「……ニャー」
男「よしよし、もう終わるから」
男「じゃあな、よく頑張ったよ」
ぱっ……。
ヒューーーーーグチャッ!
『きゃあああああああああっ!』
『うわっ、猫が上から落ちて来たぞっ!』
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:22:59.55 ID:TWtt/ltn0
男「昨日の通夜どうだった?」
友人「それが、親族の人たちが泣きじゃくって大変だったよ」
男「どんな感じで?」
友人「『うちの娘が自殺なんかするはずないっ』」
友人「『誰かに殺されたんだっ!』ってなこと叫んでた」
男「そうか……気の毒だな」
友人「気持ちは分かるよな。急に自分の子が死んだんだから」
男「俺もまだ実感湧かないからね。両親からしてみれば、それが普通だと思う」
友人「来なくて正解だったかもよ……あれ見たら辛いわ」
男「ああ、ちょっとトイレ行ってくる」
友人「おう」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:26:54.86 ID:TWtt/ltn0
男「ん?」
男子「……す、すみませんっ」
男子A「すみませんじゃねぇよっ、お前むかつくんだよっ」
男子「……うっ、うぅ……」
男子B「いつになったら次の金持ってくるんだ?」
男子「も、もう……出せるお金はなくて……」
男子A「お前の事情なんて俺たちの知ったことかっ」
男子C「次までに持ってこなかったら、仕舞にはぶっ殺すぞ?」
男子「わ、わかりました……次は、必ず……」
男子A「早くしろよっ? 明日には持ってくるんだからな?」
男子「……は、はいっ……」
男子C「ちっ、ほんとムカつく野郎だ」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:29:48.99 ID:TWtt/ltn0
男「なあ」
男子A「アン?」
男「取り込み中悪いけど、小便したいんだ」
男子B「……必ず、明日持ってこいよ?」
男子「は、はい……」
男(あからさまな虐めだな)
男子A「行くぞ」
男子B・C「ああ」
男「…………」
男子「……うぅ……」
男「何、泣いてるんだ?」
男子「……えっ?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:31:29.96 ID:TWtt/ltn0
男「腹が立たないのか? あれだけやられて」
男子「……で、でも……」
男「金、もう無いんだろ?」
男子「……は、はい……」
男「手助けしてやろうか。少しぐらいなら貸してやってもいいけど」
男子「えっ」
男子「ほ、ほんとですかっ?」
男「いや、勿論、嘘だけど」
男子「そ、そんな……」
男「なんだかなぁ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:34:29.58 ID:TWtt/ltn0
男「そんなにビクビクしてたら、アイツらのやりたい放題だぞ?」
男子「で、でも……仕方ないし……」
男「何か仕返ししてやりたいとか思わないのか?」
男子「仕返しって……」
男「ほら、キレて刃物でブッさすとか」
男子「そんなこと出来ませんっ!」
男「だけど、それだといつまでも終わんないぞ?」
男子「……うぅ……」
男「まあ、俺には関係ないからいいけどさ」
男「やるときにはやらないと、一生、負け犬のままだぞ?」
男子「…………」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:39:04.46 ID:TWtt/ltn0
担任「……今日はお前たちにまた残念な話だ」
担任「隣のクラスで、昨日、男子生徒が一人自殺した」
担任「遺書によれば、虐めがあったそうだ」
担任「このクラスでも一人自殺で既に亡くなってる」
担任「俺は信じてるが、うちでも虐めがあったわけじゃないよな?」
担任「……もし、何かあるんだったら、今のうちに教えてくれ」
担任「言い難いなら、別に今じゃなくていい」
担任「話があるやつは、帰りにでもいいし、職員室に来てくれ」
担任「話は以上だ。この後、体育館で校長の話を聞く」
担任「今日はそれで終わりだ。授業はない。質問はあるか」
男「先生、死因はなんですか?」
担任「……飛び降りだよ。飛び降り自殺だ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:41:41.33 ID:TWtt/ltn0
男「……先生」
担任「男、お前か」
男「話があって、来ました」
担任「はぁ……まさか、女の件か?」
男「はい」
担任「聞きたくないな。うちでも虐めがあったわけか」
男「そういうわけじゃないんですが」
担任「ん? どういうことだ?」
男「込み入った話になるんで、別の場所でもいいですか」
担任「それは構わんが……よし、少し外で待ってろ」
男「分かりました」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:47:40.84 ID:rkxM/wle0 [1/4]
担任「なに? 死ぬ前日に女はそんなこと言ってたのか?」
男「はい、ちょっと奇妙で」
担任「んー……確かにな」
男「死ぬことに興味を持ってた感じでした」
担任「そうか……アイツと仲良かったお前が言うんだからな」
男「すみません、話ってこんな些細なことで」
担任「いいや、構わん。それだと、虐めが原因というわけではないみたいだな」
男「恐らくそうだと思います」
担任「うん、ありがとう。担任として、少し安心した」
担任「あっ……今のは不謹慎だったな。聞かなかったことにしてくれ」
男「はい」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:55:39.48 ID:rkxM/wle0 [2/4]
──まもなく電車が到着します。
男「……ふぅー……なんか今日は疲れたな」
男「しかし、アイツ死んだんだな」
男「死ぬぐらいだったら、虐めてた奴ら殺せばいいのに」
男「俺にはよく分からん」
──白線の内側へ……
男「ん、電車が来たか」
男「……え」
バンッ……。
男「……あれ……」
男「ちょ、ちょっと待てよ……」
──……ご注意ください。
男「……う、嘘……」
男「……俺、死……」
──グチャ。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:58:02.28 ID:rkxM/wle0 [3/4]
女「なんでだと思う?」
男「知らねえよ、人生に嫌気がさしてるからじゃねえの」
女「そんだけの理由かな~」
男「他になにがあるって言うんだ」
女「うーん、わたしバカだからわかんないや」
男「なんだよ、それ」
女「でもなあ、不思議なんだよねぇ」
男「これ以上、お前の馬鹿な話に付き合ってられん」
女「もう怒んないでよ~自殺した同士じゃん」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[IDは変わったけど>>1です。] 投稿日:2010/10/10(日) 00:01:55.99 ID:jew8RJyo0 [1/4]
男「……は?」
女「だから、男も自殺したんでしょ? 馬鹿だねぇ」
男「ちょ、ちょっと待て。意味が分からん」
女「意味が分からないって、何とぼけてるの?」
男「お前、頭おかしくなったのか? 現に今、生きてんだろうが」
女「いや、だからあんたは死んだんでしょ?」
男「……付き合ってられん」
女「待ってよ。わたし、ふざけてるつもりなんてないけど」
男「そんな冗談笑えねぇぞ。俺とお前が自殺したなんて……」
女「だって、この会話記憶ないの?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:04:17.90 ID:jew8RJyo0 [2/4]
男「……会話?」
女「この前、死ぬ前だけど、男と同じ会話してたじゃん」
男「……いや、待って……」
女「私が飛び降り自殺多いねって」
男「……あ、あれ?」
女「ほら、私の言う通りでしょ?」
男「う、嘘だろ……」
女「それで、その次の日、私どうなった?」
男「…………」
男「……死んだ」
女「ね?」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:07:24.04 ID:rkxM/wle0 [4/4]
男「ま、待てよ……何でお前生きてるんだ?」
女「うーん、物わかり悪いね。だから、男も死んでるんだけど」
男「俺は生きてるっ!」
女「いや、死んだんだって」
男「嘘だっ! 俺が死ぬわけ……」
男(そういえば、ホームで何があった……)
男「…………」
女「やっぱり、思い当たる節があるんでしょ?」
男「……俺、死んだのか」
女「うん、確実にね」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:10:10.57 ID:jew8RJyo0 [3/4]
女「しかし、男が自殺するなんてねぇ。意外だぁ」
男「ち、違うっ。俺は自殺なんかしてないっ」
女「なら、どうやって死んだの?」
男「誰かに押されて線路に落ちて……多分、それで」
女「うーん……でもなあ」
男「なんだよ」
女「男は分かんないかもしれないけど、ここは自殺した人間が来る場所なんだ」
男「えっ?」
女「ほら、周り見て見てみなよ」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:12:46.31 ID:jew8RJyo0 [4/4]
男「……あれ、誰もいない……」
女「でしょ? 教室に二人だけ」
男「……そんな馬鹿な……」
女「死んだ後の世界だから、どんな風にでもなるよ」
女「で、ここが死後の世界」
男「死後の世界?」
女「もっと正確に言うとね、自殺した人間が来るとこ」
男「……どういうことだ?」
女「もう少ししたら、男も分かるよ。ああもう嫌だなぁ……」
男「……な、何なんだこれ……」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:26:03.93 ID:0ONPntyt0
女「わたしも興味本位で自殺なんかしなきゃ良かった」
男「なんだよ、お前」
女「大変なんだよ、頭おかしくなりそう」
男「どう言う意味だそれ」
女「繰り返すの」
男「えっ」
女「死ぬまでの数日を永遠に」
男「……それって」
女「また同じ場所で飛び降りて最初に戻る」
女「こんなことなら自殺なんかしなきゃ良かった」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:49:29.58 ID:0ONPntyt0
をわり
担任「今日はお前たちに悲しい話をしないといけない」
担任「昨日の夜、クラスの女が亡くなった」
男「えっ」
担任「飛び降り自殺だったそうだ。残念だ」
担任「今日の夜にお通夜があるから、行けるやつは行って欲しい」
担任「この際だから、みんなには言っておく」
担任「命を大切にして欲しい」
担任「たとえ、どんなに辛いことがあっても、諦めないで生きて欲しい」
担任「そう、願ってるよ」
男「…………」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 22:57:52.67 ID:TWtt/ltn0
友人「なあ、男」
男「……ん」
友人「お前、女と仲良かったよな」
男「まあな、少し話しするぐらいは」
友人「じゃあ、死んだ理由とかも分かるんじゃねぇか?」
男「いや、俺も分からん。それっぽい話はしてたけどな」
友人「そうかぁ……なんかびっくりだな」
男「ああ」
友人「急に知り合いが死ぬって、想像もつかねぇよ」
男「そう、だな」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:00:09.72 ID:TWtt/ltn0
友人「お前、今日の通夜いく?」
男「俺はやめとく」
友人「えっ、どうして?」
男「ちょっと気分が優れないんでな」
友人「まあ、お前がそう言うなら無理にとは言わないけど」
男「まだ実感が湧かないんだ」
友人「そうか、それなら仕方ない」
男「悪いな、俺の分も頼む」
友人「おう、分かった」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:04:03.87 ID:TWtt/ltn0
男(……何でアイツ死んだんだろ)
男(遺書も残してないって言うし、訳わかんねぇ)
男(自殺する理由か……)
男(そういえば、アイツ、意味深なこと言ってたよな)
男(他に理由があるかもしれない、みたいなこと)
男(理由ねぇ……死ぬ理由)
男「…………」
男「駄目だ、分からん。俺には考えつかないな」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:08:12.04 ID:TWtt/ltn0
男「……ん、あれ?」
猫「……ニャー……ニャー」
男「猫か。でも動かないな」
猫「……ニャー」
男「ああ、こりゃ車に轢かれたな。内臓が少し出てるわ」
猫「……ニャーニャー」
男「痛いんだろうなぁ。もう絶対死ぬもんなぁ」
男「どうしよう……とりあえず、持ってくか」
男「でも、近くに動物病院なんてなかったな」
男「んー」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:11:40.27 ID:TWtt/ltn0
男「うわぁ、手が血だらけだ」
猫「……ニャー」
男「もう少しだから、我慢しろよ」
男「後ちょっとで楽にしてやるから」
男「よし、着いた」
男「初めて登ったけど、結構、景色はいいもんだな」
猫「……ニャー」
男「よしよし、もう終わるから」
男「じゃあな、よく頑張ったよ」
ぱっ……。
ヒューーーーーグチャッ!
『きゃあああああああああっ!』
『うわっ、猫が上から落ちて来たぞっ!』
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:22:59.55 ID:TWtt/ltn0
男「昨日の通夜どうだった?」
友人「それが、親族の人たちが泣きじゃくって大変だったよ」
男「どんな感じで?」
友人「『うちの娘が自殺なんかするはずないっ』」
友人「『誰かに殺されたんだっ!』ってなこと叫んでた」
男「そうか……気の毒だな」
友人「気持ちは分かるよな。急に自分の子が死んだんだから」
男「俺もまだ実感湧かないからね。両親からしてみれば、それが普通だと思う」
友人「来なくて正解だったかもよ……あれ見たら辛いわ」
男「ああ、ちょっとトイレ行ってくる」
友人「おう」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:26:54.86 ID:TWtt/ltn0
男「ん?」
男子「……す、すみませんっ」
男子A「すみませんじゃねぇよっ、お前むかつくんだよっ」
男子「……うっ、うぅ……」
男子B「いつになったら次の金持ってくるんだ?」
男子「も、もう……出せるお金はなくて……」
男子A「お前の事情なんて俺たちの知ったことかっ」
男子C「次までに持ってこなかったら、仕舞にはぶっ殺すぞ?」
男子「わ、わかりました……次は、必ず……」
男子A「早くしろよっ? 明日には持ってくるんだからな?」
男子「……は、はいっ……」
男子C「ちっ、ほんとムカつく野郎だ」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:29:48.99 ID:TWtt/ltn0
男「なあ」
男子A「アン?」
男「取り込み中悪いけど、小便したいんだ」
男子B「……必ず、明日持ってこいよ?」
男子「は、はい……」
男(あからさまな虐めだな)
男子A「行くぞ」
男子B・C「ああ」
男「…………」
男子「……うぅ……」
男「何、泣いてるんだ?」
男子「……えっ?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:31:29.96 ID:TWtt/ltn0
男「腹が立たないのか? あれだけやられて」
男子「……で、でも……」
男「金、もう無いんだろ?」
男子「……は、はい……」
男「手助けしてやろうか。少しぐらいなら貸してやってもいいけど」
男子「えっ」
男子「ほ、ほんとですかっ?」
男「いや、勿論、嘘だけど」
男子「そ、そんな……」
男「なんだかなぁ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:34:29.58 ID:TWtt/ltn0
男「そんなにビクビクしてたら、アイツらのやりたい放題だぞ?」
男子「で、でも……仕方ないし……」
男「何か仕返ししてやりたいとか思わないのか?」
男子「仕返しって……」
男「ほら、キレて刃物でブッさすとか」
男子「そんなこと出来ませんっ!」
男「だけど、それだといつまでも終わんないぞ?」
男子「……うぅ……」
男「まあ、俺には関係ないからいいけどさ」
男「やるときにはやらないと、一生、負け犬のままだぞ?」
男子「…………」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:39:04.46 ID:TWtt/ltn0
担任「……今日はお前たちにまた残念な話だ」
担任「隣のクラスで、昨日、男子生徒が一人自殺した」
担任「遺書によれば、虐めがあったそうだ」
担任「このクラスでも一人自殺で既に亡くなってる」
担任「俺は信じてるが、うちでも虐めがあったわけじゃないよな?」
担任「……もし、何かあるんだったら、今のうちに教えてくれ」
担任「言い難いなら、別に今じゃなくていい」
担任「話があるやつは、帰りにでもいいし、職員室に来てくれ」
担任「話は以上だ。この後、体育館で校長の話を聞く」
担任「今日はそれで終わりだ。授業はない。質問はあるか」
男「先生、死因はなんですか?」
担任「……飛び降りだよ。飛び降り自殺だ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:41:41.33 ID:TWtt/ltn0
男「……先生」
担任「男、お前か」
男「話があって、来ました」
担任「はぁ……まさか、女の件か?」
男「はい」
担任「聞きたくないな。うちでも虐めがあったわけか」
男「そういうわけじゃないんですが」
担任「ん? どういうことだ?」
男「込み入った話になるんで、別の場所でもいいですか」
担任「それは構わんが……よし、少し外で待ってろ」
男「分かりました」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:47:40.84 ID:rkxM/wle0 [1/4]
担任「なに? 死ぬ前日に女はそんなこと言ってたのか?」
男「はい、ちょっと奇妙で」
担任「んー……確かにな」
男「死ぬことに興味を持ってた感じでした」
担任「そうか……アイツと仲良かったお前が言うんだからな」
男「すみません、話ってこんな些細なことで」
担任「いいや、構わん。それだと、虐めが原因というわけではないみたいだな」
男「恐らくそうだと思います」
担任「うん、ありがとう。担任として、少し安心した」
担任「あっ……今のは不謹慎だったな。聞かなかったことにしてくれ」
男「はい」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:55:39.48 ID:rkxM/wle0 [2/4]
──まもなく電車が到着します。
男「……ふぅー……なんか今日は疲れたな」
男「しかし、アイツ死んだんだな」
男「死ぬぐらいだったら、虐めてた奴ら殺せばいいのに」
男「俺にはよく分からん」
──白線の内側へ……
男「ん、電車が来たか」
男「……え」
バンッ……。
男「……あれ……」
男「ちょ、ちょっと待てよ……」
──……ご注意ください。
男「……う、嘘……」
男「……俺、死……」
──グチャ。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/09(土) 23:58:02.28 ID:rkxM/wle0 [3/4]
女「なんでだと思う?」
男「知らねえよ、人生に嫌気がさしてるからじゃねえの」
女「そんだけの理由かな~」
男「他になにがあるって言うんだ」
女「うーん、わたしバカだからわかんないや」
男「なんだよ、それ」
女「でもなあ、不思議なんだよねぇ」
男「これ以上、お前の馬鹿な話に付き合ってられん」
女「もう怒んないでよ~自殺した同士じゃん」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[IDは変わったけど>>1です。] 投稿日:2010/10/10(日) 00:01:55.99 ID:jew8RJyo0 [1/4]
男「……は?」
女「だから、男も自殺したんでしょ? 馬鹿だねぇ」
男「ちょ、ちょっと待て。意味が分からん」
女「意味が分からないって、何とぼけてるの?」
男「お前、頭おかしくなったのか? 現に今、生きてんだろうが」
女「いや、だからあんたは死んだんでしょ?」
男「……付き合ってられん」
女「待ってよ。わたし、ふざけてるつもりなんてないけど」
男「そんな冗談笑えねぇぞ。俺とお前が自殺したなんて……」
女「だって、この会話記憶ないの?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:04:17.90 ID:jew8RJyo0 [2/4]
男「……会話?」
女「この前、死ぬ前だけど、男と同じ会話してたじゃん」
男「……いや、待って……」
女「私が飛び降り自殺多いねって」
男「……あ、あれ?」
女「ほら、私の言う通りでしょ?」
男「う、嘘だろ……」
女「それで、その次の日、私どうなった?」
男「…………」
男「……死んだ」
女「ね?」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:07:24.04 ID:rkxM/wle0 [4/4]
男「ま、待てよ……何でお前生きてるんだ?」
女「うーん、物わかり悪いね。だから、男も死んでるんだけど」
男「俺は生きてるっ!」
女「いや、死んだんだって」
男「嘘だっ! 俺が死ぬわけ……」
男(そういえば、ホームで何があった……)
男「…………」
女「やっぱり、思い当たる節があるんでしょ?」
男「……俺、死んだのか」
女「うん、確実にね」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:10:10.57 ID:jew8RJyo0 [3/4]
女「しかし、男が自殺するなんてねぇ。意外だぁ」
男「ち、違うっ。俺は自殺なんかしてないっ」
女「なら、どうやって死んだの?」
男「誰かに押されて線路に落ちて……多分、それで」
女「うーん……でもなあ」
男「なんだよ」
女「男は分かんないかもしれないけど、ここは自殺した人間が来る場所なんだ」
男「えっ?」
女「ほら、周り見て見てみなよ」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 00:12:46.31 ID:jew8RJyo0 [4/4]
男「……あれ、誰もいない……」
女「でしょ? 教室に二人だけ」
男「……そんな馬鹿な……」
女「死んだ後の世界だから、どんな風にでもなるよ」
女「で、ここが死後の世界」
男「死後の世界?」
女「もっと正確に言うとね、自殺した人間が来るとこ」
男「……どういうことだ?」
女「もう少ししたら、男も分かるよ。ああもう嫌だなぁ……」
男「……な、何なんだこれ……」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:26:03.93 ID:0ONPntyt0
女「わたしも興味本位で自殺なんかしなきゃ良かった」
男「なんだよ、お前」
女「大変なんだよ、頭おかしくなりそう」
男「どう言う意味だそれ」
女「繰り返すの」
男「えっ」
女「死ぬまでの数日を永遠に」
男「……それって」
女「また同じ場所で飛び降りて最初に戻る」
女「こんなことなら自殺なんかしなきゃ良かった」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:49:29.58 ID:0ONPntyt0
をわり
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