スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ショタ魔王「女勇者さん、僕の妻になってください!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:23:09.20 ID:UvA8vkJz0
女勇者「はー? 何言っちゃってんの、私に年下趣味は無いよ」
ショタ魔王「貴方の何十倍も年上です!」
女勇者「そんな背格好で口説かれてもねえ……せめてあと十年経っていってから言ってよ」
ショタ魔王「成長が止まっちゃったんですよ! くっ、魔力ばっかりに栄養が行っちゃって」
女勇者「老化もしないなんて、そりゃ羨ましいなぁ」なでなで
ショタ魔王「ちゃ、ちゃんと聞いてください!」
女勇者「はー? 何言っちゃってんの、私に年下趣味は無いよ」
ショタ魔王「貴方の何十倍も年上です!」
女勇者「そんな背格好で口説かれてもねえ……せめてあと十年経っていってから言ってよ」
ショタ魔王「成長が止まっちゃったんですよ! くっ、魔力ばっかりに栄養が行っちゃって」
女勇者「老化もしないなんて、そりゃ羨ましいなぁ」なでなで
ショタ魔王「ちゃ、ちゃんと聞いてください!」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:31:59.10 ID:UvA8vkJz0
女勇者「大体負けた相手にそんなこと言う? 何? その年でマゾ?」
ショタ魔王「だからあなたより年上だって……じゃなくて! マゾでもありません! っていうかこんな話させないでくださいよ!」
女勇者「んじゃ聞かせてもらおうじゃない? 眠いまぶたをこすりながら考えた口説き文句ってやつをさ」
ショタ魔王「……僕はいつだって一人だった。どんな魔物だって、僕に視線を合わせてくれなかった。挙句の果ては魔物からも恐れられた!」
ショタ魔王「だけど、女勇者さんだけは……僕を見てくれた。それだけです!」
女勇者「あー、お前の髪の毛は気持ちいいなぁ」なでなで
ショタ魔王「聞いてよー!!」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:37:45.77 ID:UvA8vkJz0
女勇者「最強の私に惚れるのも無理ないけどさ、>>1で言ったとおり年下趣味は無いわけよ」
ショタ魔王「う、うぐぐ……じゃ、じゃあ!」
女勇者「?」
ショタ魔王「貴方を惚れさせて見せます! 僕に!」
女勇者「……は?」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:44:21.18 ID:UvA8vkJz0
森の道
ショタ魔王「すごいなぁ……森、川……初めて見ました」
女勇者「……」
ショタ魔王「城の外に出たのも、初めて……」
女勇者「……」
ショタ魔王「何でそんな仏頂面なんですか」
女勇者「どうやら成長に必要な栄養は頭にも回らなかったらしいね」
ショタ魔王「なんですかそれー!」
女勇者「ったく、こんなやつ連れて歩いてるところ見つかったらどうなるか……」
女戦士「あっれー? 勇者ちゃん、どうしたのその子」
女勇者「うげ」
ショタ魔王「?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:51:17.45 ID:UvA8vkJz0
女戦士「かっわいい! 弟くんかしら」
女勇者「そんなわけないでしょ。魔族ってのは見れば分か」
ショタ魔王「そうですよ、僕は弟じゃなくておっt」
ドゴ
ショタ魔王「はぐうぅ!」
女戦士「うわ、ひっど」
女勇者「こう見えて丈夫だから大丈夫よ」
女戦士「シャレのつもり?」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:55:36.79 ID:UvA8vkJz0
女戦士「で? そういえば魔王狩りに行ってたそうじゃない」
ショタ魔王「!」
女戦士「今回の魔王はどうだった?」
ショタ魔王「……今回の?」
女戦士「あらキミは知らないのかしら?」
女勇者「あぁ、まぁね。こいつは魔王に幽閉されてたらしい」
ショタ魔王「(ちょ、ちょっと女勇者さん)」
女勇者「(そういうことにしといて。あとが面倒)」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:02:13.22 ID:UvA8vkJz0
女戦士「あらま、幽閉……若い身空で大変なのねえ」
ショタ魔王「僕はそんなに子供じゃありません。」
女戦士「うふふ、じゃあそういうことにしておいてあげる」
女戦士「昔は魔王ってのは一人だけで、勇者ってのも一人いればよかったんだけどね」
女戦士「ところがどっこい、力のある魔物が勝手気ままに魔王を名乗る始末」
女戦士「で、うじゃうじゃいる魔王を専門に狩るハンターを勇者って呼ぶようになってるの」
ショタ魔王「……そんなことになってたんだ」
女戦士「幽閉されていたから、外のことを何も知らなかったのね。でももう大丈夫よ。勇者ちゃんが魔王をボッコボコにしてあげたんでしょ?」
女勇者「ああ、そりゃもうボッコボコにね」ニヤニヤなでなで
ショタ魔王「ぐぐぐ……」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:11:56.49 ID:UvA8vkJz0
城下町
ショタ魔王「こ、こんな近くに人間の住む街が……」
女勇者「そりゃそうよ。魔王なんてうじゃうじゃいるからさ。一々気にしてたら住むところなんてなくなる」
ショタ魔王「で、でも魔物たちはあんなに怖がって……」
女戦士「その魔物たちっていうのは、いつも同じ魔物じゃなかった?」
ショタ魔王「……あっ」
女戦士「そういうことよ。狭い世界の中で、王様を気取ってた魔王なのね~」
女勇者「井の中の蛙大海をしらずってやつさ」ニヤニヤなでなで
ショタ魔王「……」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:22:27.51 ID:UvA8vkJz0
女戦士「じゃあ私は用事があるからまたね~」
女勇者「……これで分かったろ。お前の感じてた孤独やら恐怖、
抱かれていた畏れなんてのは掃いて捨てるくらい転がってんのさ」
ショタ魔王「……女勇者さん」
女勇者「ま、新しい人生を頑張ってみな。そこの森に戻るのもいいし、
ここからは汽車も出てるから無賃乗車で旅に出るのもいいんじゃないの」
ショタ魔王「女勇者さん、僕は」
女勇者「じゃあね。……お前に勘違いさせて悪かった」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:29:04.14 ID:UvA8vkJz0
数日後、酒場。
ショタ魔王「い、いらっしゃいましぇ!」
女勇者「……」
ショタ魔王「せ、席に案内しましゅ!」
女勇者「おい」
ショタ魔王「(今は仕事中です!)」
店員「おーい、新入り! こっち頼む!」
ショタ魔王「た、ただいま~!」パタパタ
女勇者「……ちょっと、店長」
店長「ああ? あの子のことか、可愛いだろ? 仕事も三日でそこそこ出来るようになったんだから」
女勇者「そりゃいいんだよ! なんでメイド服を着せてんの!?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:33:25.74 ID:UvA8vkJz0
店長「え、女の子じゃないの!?」
女勇者「分かって言ってるだろ!?」
店長「ちぇっ、ばれたか」
女勇者「斬る」
店長「待て待て待て、ロマンってものを理解しろ」
女勇者「したくもない」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:39:57.66 ID:UvA8vkJz0
ショタ魔王「て、店内での大声はご遠慮ねがいましゅ!」
女勇者「……チッ」
店長「いやぁいい子だねショタくんは!」
ショタ魔王「も、もったいないお言葉でございましゅ! では!」
女勇者「……おい、話戻すぞ」
店長「ん、まぁな。いきなりあんな小さい子が『雇ってくれ』なんていってきた時にゃ流石に吹いたわ。
VIPにスレ立てようかと思ったくらいだぜ」
女勇者「(魔族ってのには気付いてないな……まぁ耳隠せば人間にしか見えないし)」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:50:51.31 ID:UvA8vkJz0
女勇者「……まぁきちんと働いてるんならいいさ。それでよ、店長」
ショタ魔王「(ピクリ……)」
店長「おう仕事の話かい? いい話が転がってるぜぇ~、北の山とか南の沼とか」
女勇者「はん、城も無い雑魚どもじゃない。私は小遣い稼ぎたいわけじゃないよ」
店長「んー、じゃあこいつはどうだ? 東の迷宮洞窟」
女勇者「店長よ、そりゃ私をバカにしすぎだ。そこはつい最近女戦士が魔王を狩ってきたばかりじゃないか。
今行ったところで、残党のモンスターがいるだけだろうが」
店長「逆だ。アリ一匹すらいなくなってるんだよ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:58:36.13 ID:UvA8vkJz0
女勇者「なんだって?」
店長「あぁ、何でもそこに魔王を名乗るドラゴンが一匹居ついたんだとよ。
おかげでモンスターが近隣の街に逃げ出して大騒ぎだとさ」
ショタ魔王「(ぴくぴく)」
女勇者「ドラゴンだと。そりゃ穏やかじゃないな」
店長「しかも得体の知れない武器を使うそうだぜ。懸賞金はいきなり上級レベル」
女勇者「へえ……こいつはいいや。乗った」
店長「オッケーイ、きちんと伝えておくぜー」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:08:52.74 ID:UvA8vkJz0
翌日
女勇者「さぁてと、一仕事こなしてきますかね……」
女勇者「……それでさっきからコソコソ付いてきてる魔王様はどこの誰だ?」
ショタ魔王「完全に分かってるんじゃないですか! ……僕も行きますよ」
女勇者「はっきり言うよ、オジャマ」
ショタ魔王「僕の魔法の威力と回復量は女勇者さんだって知ってるでしょ! 絶対邪魔はしません!」
女勇者「確かにベホマ使う点はどんな魔王よりも鬼畜だったな。HP自体は少なくて助かったけど」
ショタ魔王「?」
女勇者「子供は知らなくていい」
ショタ魔王「子供じゃありません!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:10:30.12 ID:UvA8vkJz0
メシ食ってきます
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:30:20.49 ID:UvA8vkJz0
女勇者「さてダンジョン最深部についたわけだが」
ショタ魔王「中間省きすぎじゃないですか?」
女勇者「だってモンスターもいないし、女戦士が攻略してるからトラップもないし」
ショタ魔王「主が居なくなると、こうも閑散としてしまうんですね……僕のお城もこうなっちゃったのかな」
女勇者「感傷に浸る暇はここからは無いさ。じゃあ開けるよ」
ギィィィ……
ドラゴン「よくぞここまで参られ……魔王様!」
ショタ魔王「ドラさん!」
女勇者「?」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:46:12.88 ID:UvA8vkJz0
女勇者「なんだなんだ、知り合いか?」
ショタ魔王「はい、僕の父の臣下でした。僕ともよく遊んでくれて……ドラさん、どうしてこんな所に?」
ドラゴン「おお、よくぞご無事で……魔王様がハンターに倒れたと聞き、いてもたっても居られずに参りました」
ドラゴン「しかし城はもぬけの殻……死んだと諦めることも出来ない私は、地の果てまでも探し出す所存でございましたが、この老いた身ではとても為すことなど出来ませぬ」
ドラゴン「そこで私は考えました。こうして魔王を名乗り勇者どもを返り討ちにすれば、私の名が魔王様に届くのでないかと」
ドラゴン「ご無事でなによりです、魔王様。そして魔王様の名を騙ったご無礼を、どうぞお許し願いたい」
ショタ魔王「そんなこと気にしてません! 僕も五体満足ですから」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:55:13.94 ID:UvA8vkJz0
女勇者「イイハナシダナーの最中で悪いんだけど、ちょっといい?」
ドラゴン「その身なりは勇者か。ここまで魔王様を連れてきた礼に命だけは奪わないでおいてやる。どことなりへと失せろ」
女勇者「言ってくれるじゃん、おじいさん?」
ショタ魔王「ま、待ってください! ドラさん、この人は……」
ドラゴン「……魔王様に免じてもう一度言ってやる。失せろ……」
女勇者「あぁそうそう。この子ボコったの私」
ドラゴン「……!! そうか、そんなに死にたいか……!!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:04:44.91 ID:UvA8vkJz0
ショタ魔王「お、女勇者さん! どうして……!」
女勇者「ここまで来てさようならってワケにも行かないさ。仕事の信用ってものもある。
失望してくれた? だったらむしろありがたいけどね」
ショタ魔王「う、うう……」
ドラゴン「離れていてくだされ魔王様……すぐに片付けますゆえ」
女勇者「はいはい離れた離れた」ぺしっ
ショタ魔王「あうんっ」すってんころり
ドラゴン「!!! 魔王様に手を上げるとは……もの言わぬ肉塊と化すがいい、女ぁ!!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:15:25.66 ID:UvA8vkJz0
ゴォォォ!!
女勇者「(弱っ、それに遅っ。竜でも年齢には勝てないって所?)」
ひょいひょいひょい
ドラゴン「……っく! はぁはぁ……」
女勇者「あらら、もう息切れ? ちょっと早すぎない?」
ドラゴン「黙れ……黙れ女……!」
ショタ魔王「女勇者さん、ドラさんはあんなにヘトヘトなんですよ! まだ戦う気ですか!」
女勇者「私と戦ったアンタ自身に聞くけど、私に慈悲が有るように見えた?」
ショタ魔王「……ッ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:20:54.63 ID:UvA8vkJz0
>>36
勢いで立てた。書き溜めゼロ。反省はしてる。
女勇者「まぁ死なないかもしれない程度にボコったら終わりにするよ」
タンッタンッタン
ショタ魔王「やめ……!」
ドラゴン「……バカめ!」
……ガチャ!!
女勇者「ん?」
ドガガガガガガ!!!
女勇者「うわたたた!?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:29:55.65 ID:UvA8vkJz0
ショタ魔王「な……!? 魔力も無しで……」
女勇者「危ない危ない……大砲、か? しかも連射が利くと来た。おいおい、とんだ隠し玉じゃないの」
ドラゴン「クク……棺桶に片足突っ込んだオイボレが何故ここにいるモンスター共を一掃出来たのか、
考えもしなかったのか?」
女勇者「私は考えるより先に身体が動くんでね」
ドラゴン「ならば反射すらも出来ぬ刹那の間に、肉片へと変えてやろうぞ!!」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:41:05.44 ID:UvA8vkJz0
>>42
ベホマ連発する魔王です
ガガガガガッ!!
女勇者「(得体の知れない武器か、言いえて妙だ……!
連射が出来ないからこそ大砲相手でも剣は勝てるってのに、その弱点が消えただと!)」
ショタ魔王「女勇者さん、危ない!!」
ドド!!
女勇者「!! チッ……!」
ドラゴン「ククク、剣がやられたか……丸腰だがどうする? 黒こげか? 肉片か?」
ショタ魔王「もうやめてください!!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:44:08.09 ID:UvA8vkJz0
ドラゴン「! 魔王様……」
ショタ魔王「女勇者さんはもう戦えません。ドラさんだって、もう目が霞んでいるんでしょう!? だからもう終わりです!」
女勇者「おい何勝手なこと……」
ドラゴン「……魔王様がそう言うのであれb」
ドグン
ドラゴン「……!?」
ショタ魔王「え」
女勇者「ッ!! 危ない!!」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:59:31.76 ID:UvA8vkJz0
ドン
ショタ魔王「わっ!」
ドガガガガガッ!!
女勇者「おい、大丈夫か」
ショタ魔王「……え? お、女勇者さ……う、腕が!」
女勇者「やかましい、とっとと回復させろ」
ショタ魔王「は、はい……!」
ドラゴン「ス、スベテを、蜂の巣ニ……シテや、ロう……」
女勇者「今、お前に向けて撃ってきたぞ。いきなり気がふれたのか」
ショタ魔王「ど、どうしちゃったんですかドラさん!」
ドラゴン「全てを廃に、灰に……ギ、カカ……!!」
女勇者「おいおい、HIGHになりすぎでしょ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:09:39.76 ID:zlJbMKhs0
ジジジジ……プシュー……
女勇者「あの大砲本体か。煙吹いてる。魔力神経と連結させて連射を可能にしてたんだな」
ショタ魔王「そ、そんなことしたら!」
女勇者「あぁ、大砲の機関部が耐えられるワケがない。ブチ壊れるのも当然だ。……連結した神経もな」
ショタ魔王「……!」
女勇者「剣も折れちまったし、こりゃあ終ったかな」
ショタ魔王「……終ってません!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:15:07.05 ID:zlJbMKhs0
女勇者「おいおい、生き汚いぞ」
ショタ魔王「神経で繋いでいるのであれば、その神経を断てば良いんですよね?」
女勇者「簡単に言ってくれるじゃないか、どこで繋がってるのか分かるのかよ」
ショタ魔王「3秒で見つけます」
女勇者「……剣はどうする」
ボウン
ショタ魔王「作りました」
女勇者「……こいつは参ったね、流石に魔王ってだけはある」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:21:21.42 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「3秒でいいです。時間を、稼いで」
女勇者「この私を誰だと思ってるのかな?」
ショタ魔王「……来ます!!」
ドラゴン「ギャウォォオォォォアアアアアアアッ!!!!」
ドギャギャギャギャギャギャ!!!!
女勇者「うおらぁぁぁぁぁ!!!」
ドドドドドド!!!
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:29:13.19 ID:zlJbMKhs0
ヂギィ!
ショタ魔王「うぐっ!」
女勇者「!! おい魔王!!」
ショタ魔王「――見つけた!! 左肩の首筋の下!!」
女勇者「――任せな!!」
タンッタッタッタ!!
女勇者「しばらく……寝てろ!!」
ザンッ!!
ドラゴン「ギギィィ!!」
ドサァ……!!
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:37:25.52 ID:zlJbMKhs0
女勇者「ハァ……ハァ……! あっぶねえ……」
ショタ魔王「女勇者さん! ケガは!」
女勇者「お前は肩に一発もらってんでしょ! 他人の心配してる暇があるなら」
ショタ魔王「僕は丈夫ですから! 拳骨貰っても大丈夫なくらいに」
女勇者「……チッ」
ドラゴン「……ぐ、う……」
ショタ魔王「……! ドラさん!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:46:01.37 ID:zlJbMKhs0
ドラゴン「わ、私は……何を、ぐっ」
ショタ魔王「大丈夫です、すぐに治しますから……いててっ」
ドラゴン「! その、お怪我は……勇者よ」
女勇者「ん」
ドラゴン「今すぐに私の首を持っていくがいい。老いたと言えど、竜の首にはそれなりの価値はある」
ショタ魔王「!!」
ドラゴン「魔王様に傷を負わせて生きていけるほど私は図太くもない。そろそろ棺桶に身を収める理由が欲しいとも思っていた」
女勇者「結構な服従心だことで。確かにそりゃいい考えだ」
ショタ魔王「女勇者さん……!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:50:50.60 ID:zlJbMKhs0
バッ
ショタ魔王「やめてください」
ドラゴン「魔王様……」
女勇者「退きな」
ショタ魔王「退きません、絶対に」
女勇者「へえ、じゃあ私がお前のものになるとしたらどうする」
ショタ魔王「退きません。そんなことをする女勇者さんを妻にしたいと思ったんじゃない」
女勇者「……」
ズバァッ
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:57:44.88 ID:zlJbMKhs0
女勇者「こいつは高く売れそうだ」
ショタ魔王「……」
女勇者「今日はいい仕事になったよ」
ショタ魔王「あの」
女勇者「今の私は機嫌がいいんだ。こんな戦利品を得られたとなればさ」
ドラゴン「……そんな鉄クズを持っていって何の金になる?」
女勇者「売れるに決まってんでしょ、『ドラゴンも使う大砲』ってね」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:10:11.98 ID:zlJbMKhs0
女勇者「それにそんな老体じゃあ、この機械が無きゃ悪事なんて出来やしないだろ?
怪物を無力化するのが仕事なんでね。もうモンスターもいないし、ここで静かに後生を過ごしな」
ショタ魔王「女勇者さん……」
女勇者「じゃあね」
スタスタスタ……
ショタ魔王「……ドラさん、僕も行こうと思います」
ドラゴン「……魔王様を狩りに来た相手に、魔王様はついていこうというのですか?」
ショタ魔王「はい。……あの人が惚れてくれるような男に、なりたいんです」
ドラゴン「……ふ、ふふ。大きくなりましたなぁ、魔王様。自分を傷つけた相手とでも和解することが出来る。
私は、私は……そのお姿を見れて、幸せです……」
ショタ魔王「――ドラさん」
ドラゴン「……もう回復魔法を掛けるのにも、疲れたでしょう……おや、すみに……」
ショタ魔王「……ドラさん」
ドラゴン「……」
ショタ魔王「……」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:23:51.03 ID:zlJbMKhs0
ズズリ、ズズリ……
女勇者「あぁ、重たい重たい……バッカみたいだ私」
ショタ魔王「ま、待ってくださいよぉ!」
女勇者「なんだお前、また着いて来たの」
ショタ魔王「僕は貴方に認められるまでどこまでも着いていきますよ!」
女勇者「なにそのストーカー宣言。……あのドラゴンには着いていてやんなくていいのか。老人ってのは寂しがりだよ」
ショタ魔王「……寝ちゃい、ましたから。うるさくするほうが、よっぽどオジャマですよ」
女勇者「……そうかい」
ピタ。
女勇者「……ああ、そうそう」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:24:48.34 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「?」
女勇者「愛用の剣がブチ折れちまってなぁ、代わりの剣がいるんだよ」
ショタ魔王「??」
女勇者「そしてどうにも、この魔力で作った剣ってのが実に馴染む! 馴染むぞッ!」
ショタ魔王「――!」
女勇者「そこでだ。魔法タイプを一人、欲しがっているソロ狩りの女がいる。どっかに都合の良い魔法使いはいねーかなー?」
ショタ魔王「式はいつがいいですか!? どこでぎゃうん!!」ゴチン!!
女勇者「どっかにいねーかなー、魔法使いー」
ショタ魔王「ま、待ってぇ~……」
おしまい
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:26:49.52 ID:zlJbMKhs0
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
というわけでおしまい……と言いたいところだが皆さんには保守してもらう。
書き溜めゼロゆえ、後半は完全に女戦士のことを忘れていた。
もし明日まで残っていれば書かせていただく。
さぁ寝るが良い。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:52:09.79 ID:zlJbMKhs0
>>89
それを言っちゃあおしまいよ……
というわけで保守サンクスでした! 投下いきまっす!
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:52:54.46 ID:zlJbMKhs0
数日後、酒場
ショタ魔王「お、お持ちいたしましゅた!」
名無し男「おーいこっちにも酒酒~!」
名無し女「ショタくーん、こっちにもちょーだーい!」
ショタ魔王「た、ただいま~!」
女勇者「……おい店長」
店長「いやぁショタくんが看板として働いてくれるお陰でウハウハだぜ、わはははは」
女勇者「人の店の営業方針に口を出すのはどうかと思うがな! なんでエプロンドレス着せてるんだよ!?」
店長「メイド服もダメだとしたら他に何を着せればいいの!?」
女勇者「男物を着せてやるって発想はお前の脳内にはないのか!」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:53:45.02 ID:zlJbMKhs0
店長「そうは言われてもだな、この大繁盛振りは9割がたショタくんの格好の功績なわけで」
女勇者「そうか、なら店主が五体バラされて川原に晒されてもこの店は問題なしだな」
店長「待て待て待て待て待て」
女戦士「ちょっとちょっと勇者ちゃーん、また店長さん困らせてるの~?」
女勇者「げ」
店長「おぉお客さん! 助かりました!」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:54:33.17 ID:zlJbMKhs0
女戦士「もう本当にすみませんねえ、私の心の共が」
女勇者「誰が心の共だ誰が」
女戦士「ひどい! 心通った嬉しさに抱き合った日のことを忘れたの!?」
女勇者「いつ私達が合唱コンクールに出た!?」
ショタ魔王「て、店内ではお静かにお願いしましゅ!」
名無し男「おぉ! あの二人に向けて啖呵を切ったぞ!」
名無し女「勇気あるのね~」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:55:19.92 ID:zlJbMKhs0
女勇者「……クソ、完全に悪役じゃんか」
女戦士「うふふ、勇者って職業はいきなり魔王をやっつけに行って金品をぶん捕ってくる強盗じゃない」
女勇者「やかましい」
女戦士「機嫌直してよぉ~、仕事の話持ってきたから~」
女勇者「その話はこんな人だらけのところで話せるような内容か?」
女戦士「んー、ちょっと無理かなー」
女勇者「店長、御代だ」
店長「へい毎度!」
ショタ魔王「……あっ」
店員「おいショタこっちこっち!」
ショタ魔王「は、はい~!」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:56:54.16 ID:zlJbMKhs0
女戦士「それにしてもあの子かっわいいわねぇ! ほんのちょっと前まで幽閉されてたのに、魔族ってのも隠して人の場で働いてるなんて」
女勇者「そんなでかい声で言ってやるな。誰かが聞いてたらどうする」
女戦士「こんな裏路地に人なんて来ないわよぉ。……さてと、本題に入りましょうか。最近、魔法と連動した機械兵器が魔王共に出
回ってるのを知ってるわよね?」
女勇者「あぁ知ってる。この前に連射カスタムの大砲を持ったドラゴンとやりあったよ」
女戦士「そりゃ良かった。兵器の威力を説明しなくて済むわ。……で、その機械を作っている工場が見つかったのよ」
女勇者「ほぉ」
女戦士「場所は北の山の、使われなくなった大坑道。表立った仕事じゃないから保険はゼロだけど、その分報酬は高いわ」
女勇者「もとより小遣い稼ぎでこの仕事やってるわけじゃないんでね。返事なんて決まってるよ。あともう一人連れがいるから」
女戦士「話が早くて助かるわ~。連れ? いいわよ~」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:58:46.72 ID:zlJbMKhs0
翌朝
女勇者「起きろ」ユサユサ
ショタ魔王「ん……ぷえ!? お、女勇者さん!? よ、夜這いならもっと夜中にぎゃぶ!!」ドゴ
女勇者「今日は私の仕事だ。手伝いに来てもらうよ」
ショタ魔王「は、はひ」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:59:44.36 ID:zlJbMKhs0
女戦士「遅かったわね……って、あら?」
ショタ魔王「こ、こんにちは~」
女勇者「こいつが昨日言ってた連れだ」
女戦士「なぁんだ、勇者ちゃんもやっぱり年下好きだったのね! 杯を交わそうじゃ危なっ!!」ズバァッ
女勇者「避けるなタコ。あいにく私に年下趣味は無い。こいつは魔法剣の魔力の元なんでな、
置いていくわけにもいかないんだよ。回復魔法は一級品だから邪魔にはならん」
女戦士「なんだツンデレって奴うわわっ!!」ズバンッ
ショタ魔王「ですよねですよねツンデぎゃん!!」ドゴッ
女勇者「行くぞさっさと」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:00:35.52 ID:zlJbMKhs0
女勇者「さて北の山に入って大坑道も潜って工場の前にまで着いたワケだが」
ショタ魔王「だから中間早すぎますよ」
女戦士「うふふ、魔物は強い相手を簡単には襲わないからね~。私達二人が居れば自動的に無制限ゴールドスプレー発動よ」
女勇者「……開けるぞ」
ギィィィ
ゴォン、オォン……
女勇者「……なんだぁこりゃあ」
女戦士「……人っ子一人いないわね」
ショタ魔王「それどころか魔物すらもいませんよ。完全に機械だけの工場だ……」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:01:42.41 ID:zlJbMKhs0
女勇者「この場で適当に暴れまわればいいんだな?」
ショタ魔王「そんな無茶はやめてくださいってば! ここは地下なんですよ、下手に暴れたら岩盤が崩れちゃいますよ」
女戦士「……いえ、どうやらそうもいかないみたい」
ショタ魔王「え?」
ガゥン、ゴゥン……
機械竜「コォォォォォ……」
女勇者「いきなりラスボス様のご登場か。こりゃ暴れないワケにゃいかんな。速い展開は大好きだよ」
ショタ魔王「く、崩れないように戦ってくださいよ!!」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:05:14.36 ID:zlJbMKhs0
機械竜「ギャオオォォオォォォ!!!」
ガシャガシャガシャ!!
女勇者「チッ、いきなり最高にHIGHな状態かよ。戦士!! 私がこいつを引きつけるから、その隙に近づいてデカいのをブチ込め!!」
女戦士「オーケー。ってかあれ全部が連射カスタムの大砲? 厄介ね~」
ショタ魔王「ちょ、ちょっと女勇者さん! あの人素手ですよ!? 役割逆じゃ……」
女勇者「あいつは大砲を二つ持ってるんだぜ」
ショタ魔王「?」
女勇者「……来るぞ!! つかまってな!」だき
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:06:48.81 ID:zlJbMKhs0
ドガガガガガガッ!!!
ショタ魔王「わわわッ! ちょ女勇者さん胸」
女勇者「ほらほらこっちだこっちだ!!」
ひょいひょいひょい
機械竜「ギャウウウウォオォァァァアアア!!!」
ガガガガガガッ!!!
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:08:43.01 ID:zlJbMKhs0
女戦士「んー、びっくり。本当に連射可能なのねえ。あんな兵器、誰が作ったのかしら?」
女戦士「まあいいわ。こうして肩にもよじ登れたし」
女戦士「はーい竜さん、ご気分はどう?」
機械竜「ギャ?」
女戦士「拳骨一つ、いかがかしら? えい」
ドギュアァァッ!!!
機械竜「ギャギィィィイイイイイイイ!!?」
ドザザッ、ザザザァッ!!
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:09:37.81 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「えぇー!? す、素手で吹っ飛ばし……!」
女勇者「あいつ、腕力だけなら魔物より有るぜ」
ショタ「に、人間……ですか?」
機械竜「ギャ、ガ、ギィィ……!!」よろよろ
女戦士「あら、ふらふらなのにまだ立てるの! 結構頑丈なのね。んー、確かに右手がちょっとジンジンするわ」
ショタ魔王「鋼鉄の塊を素手で殴ったら当然ですよ! すぐに治しますから」
女戦士「あらお早い治療ありがとう」
女勇者「……ったく」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:11:01.97 ID:zlJbMKhs0
機械竜「……ニヤァ」
ガコン
女戦士「……あらら?」
ショタ魔王「……床g」
ピュ~……
女戦士「あらららら~!」
ショタ魔王「ふにゃああああ!!」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:12:44.75 ID:zlJbMKhs0
女勇者「なっ、オイ!!」
機械竜「ギギギィ!!」
バサバサすたこらさっさ
女勇者「……チィ!! クソッ!!」
ダダダッ
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:14:32.41 ID:zlJbMKhs0
ふわふわふわ……
女戦士「ふぅ、危なかった。凄いのねえ、まさか飛べるなんて」
ショタ魔王「落下を遅くしただけですよ。飛べるのなんて鳥だけです」
女戦士「あら、意外と不便なところもあるのね」
ショタ魔王「魔法が何でも出来るなんて大間違いですよ。……右手見せてください、治しますから」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:15:41.65 ID:zlJbMKhs0
ポワン……
女戦士「こういうの見ると、やっぱり何でも出来ちゃうように思えちゃうわね」
ショタ魔王「あくまで自己治癒の力を高めてあげているだけですから。それは人間の薬や治療も同じでしょう?」
女戦士「そういうものなのかしら」
ショタ魔王「……魔法って言ったって、自分の回復力が低い老いた人を助けてあげることも出来ません」
女戦士「……そう」
ショタ魔王「……」
女戦士「……ねえ、あなた、勇者ちゃんのことが好きなんでしょ?」
ショタ魔王「そうです、大好きです。今は見向きもされないですけど、強い男になって惚れてもらうんです」
女戦士「それは幽閉の寂しさや、助け出してくれた人の憧れではなくて?」
ショタ魔王「僕だって長生きしてるんですよ? その区別くらいは出来ます」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:17:54.75 ID:zlJbMKhs0
女戦士「……ねえショタ君」
ショタ魔王「はい」
女戦士「私には、弟が居たの」
ショタ魔王「……?」
女戦士「可愛い可愛い弟だったわ。私は小さいころからこんな怪物じみた力持ちだったから、ロクな人間扱いされなかったけど、
弟はこんな私を、かっこいいって言ってくれたの」
ショタ魔王「……」
女戦士「だから強くなろうと思った。この子を守るために、どんな人よりも、どんな魔物よりも。……でもね」
女戦士「あっさり食べられちゃったわ。弟は。『魔王』に」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:20:44.39 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「……!」
女戦士「今からすれば魔王を名乗るにはとても足りない屑中の屑も良い所なんだけど、私は弱かった。全然歯が立たなかった」
女戦士「今でもよぉく、覚えているわ。魔物の口から覗く、弟の顔を。その口が、助けて、と動いたこともね」
ショタ魔王「……女戦士さ」
女戦士「ねえショタくん? 貴方は本当に、魔族? 他人? ひょっとしたら、墓地から蘇ってきた、私の弟なんじゃないかしら?
それともあのときの魔王が弟の姿を借りて、改めて私を食べに来たのかしら?」
ショタ魔王「な、にを、言って」
女戦士「見れば見るほど、そっくりよ……弟にも、魔王にも……う、ふふ」
ショタ魔王「――やめてください。やめてっ……!」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:21:58.07 ID:zlJbMKhs0
女勇者「戦士、ショタ!! 無事か!!」
女戦士「あら」
ショタ魔王「女勇者さ……ん」
女勇者「かなり高さがあったからな、死んだかとも思ったが……無駄に心配させんじゃねえよ」
女戦士「ええ、全くもって大丈夫だったわ。ショタくんが私を優しく抱っこしてくれたからねぇ」
ショタ魔王「女戦士さん、誤解させるようなこと言わないで下さいよ!?」
女勇者「そんなことほざいといて、勘違いしてほしかったんだろ? 100年早いんだよ」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:23:07.81 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「だから僕は子供じゃないで……あう」
女勇者「……無事でよかった」なでなで
ショタ魔王「う、う……」
女戦士「はーい、感動の再会の途中で悪いんだけど、まーた来たわよ~」
機械竜「ギガァァァァ!!!!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:26:11.18 ID:zlJbMKhs0
ガシャコンガシャコン、ガチャガチャ
ショタ魔王「そうか、あの機械竜……僕たちこの狭いところに追い込むために、あの落とし穴を」
女勇者「だからってありゃねーだろ。あれこれ大砲付けすぎて、黒歴史の自由工作みたいになってるぞ」
女戦士「どうやらこの工場にある兵器を装着できうるかぎり装着したのかしら~? 火力の大幅な増強のためにダサい格好を代償にしたみたいねぇ」
女勇者「じゃああいつを倒せば、この工場自体をあらかたブチ壊したことになるんだな?」
女戦士「でしょうね~? 見たところ、製造に必要な部品まで自分に装着してるし」
ショタ魔王「撃ってきますよー!?」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:27:20.30 ID:zlJbMKhs0
機械竜「ギャゴォォォォォ!!!」
ギャギャギャギャギャギャッ!!!!
女勇者「おおっとぉ!」
ショタ魔王「うわわわー!!」
女戦士「あっららら~」
ひょいひょいひょい
女勇者「あんだけ砲口があると、流石に方向の届かない死角がないなー。さっきまでの戦法が使えないよ」
女戦士「んー、懐にもぐりこめないとちょっと無理ね~」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:29:05.40 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「……女勇者さん、女戦士さん、僕に考えがあります!」
女勇者「ん?」
女戦車「あら?」
ショタ魔王「女勇者さんは前方、右、左の三方向に斬撃を放ってください。僕がそれに乗せて魔力の刃を飛ばします」
女勇者「お前な、攻撃魔法の弱さは自覚してるんだろ?」
ショタ魔王「これはあくまで目潰しです。機械竜も迎撃に大砲を幾つか使わざるを得ないはず。
その三つに注意をひきつけている間に、女戦士さんが飛び込んでください」
女戦士「んー、けどあの大砲の数じゃ、あまる大砲も十分あるわよ?」
ショタ魔王「僕が魔法の盾を作ります。懐に飛び込むまでなら、防ぎきれる」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:32:30.54 ID:zlJbMKhs0
女戦士「……あなた、それにどれだけ魔力が必要なのか分かって」
ショタ魔王「出来ます!」
女勇者「……こいつの魔力の絶対量は大したもんだぜ、戦士。それは私が保証する」
ショタ魔王「女戦士さん!」
女戦士「……いいわ、やってみようじゃない」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:34:50.15 ID:zlJbMKhs0
女勇者「それじゃ行くよぉ!! だりゃッ、だりゃッ、うおらぁ!!!」
ショタ魔王「行けえ!!」
ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウウゥゥゥ!!!
機械竜「ギャギィ!!」
ダガガガガガッ!!
ショタ魔王「戦士さん!!」
女戦士「とっつげき~!!」
ダダダッ!!
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:37:06.24 ID:zlJbMKhs0
機械竜「ギャウォォォォォォォ!!!」
ショタ魔王「はっ!!」
バチッバチバチッバババババ!!
ショタ魔王「ぐ、ぐぅ、向こうの威力が強すぎて、盾が……」
女勇者「おい機械竜が斬撃を処理しきちまったぞ!! 大砲が全部、女戦士に!!」
機械竜「ギャウガァァァァォォォォアアアアアア!!!」
ズドォォォォォン!!!
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:39:28.62 ID:zlJbMKhs0
女戦士「――危ない危ない。何とかもぐりこめたわ」
機械竜「ギィ!?」
女戦士「そうそう言い忘れてたわ機械さん」
女戦士「私、左利きなの」
ドゴォォォォォン!!!!
機械竜「ギャグギッ!! ―――ギャバッ、ガッ、――ッ! ――ッ ……ッ ……」
ドガシャッ、ザザッ、バラ、バラ……プスン、プスン……ガシャァッ。
ショタ魔王「な、なんてストレート……」
女勇者「一撃であの巨体がスクラップか。全く味方で良かったよ……」
女戦士「うふふ、ゴメンナサイね♪」
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:41:26.83 ID:zlJbMKhs0
数日後、裏路地。
女戦士「はーい、今回の報酬ですよ」ジャラジャラ
女勇者「確かに受け取った」
女戦士「ショタ君にもちゃんと渡してあげてよ? あの子が今回一番活躍したんだから」
女勇者「分かってるよ。そこまでがめつくない」
女戦士「うふふ」
女勇者「……あぁ、そうだ」
女戦士「?」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:47:08.58 ID:zlJbMKhs0
女勇者「……お前、分かってんだろ? あいつが」
女戦士「さぁ? 私が知ってるのは、あの子が魔族であることだけよ?」
女勇者「――」
女戦士「でも不思議なのよねえ。最悪の絶望を味あわせてバラバラにしてあげたい気持ちと、
あの子をあらゆることから守ってあげたい気持ちが混じってるの」
女勇者「……そうか」
女戦士「守りたいにしろ、バラしたいにしろ、誰かに殺されちゃあおしまい」
女戦士「だから守ってあげて頂戴よ? パートナーさん?」
女勇者「……へいへい」
店員「ショタァー! こっち頼む!!」
ショタ魔王「はいはいはーい~!!」
おしまい
149 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:11:41.38 ID:Okqlr1yu0
酒場
ショタ魔王「ぷわーっ! 美味しいですこのミルク」
店長「がっはっは、今日はお前さんは非番だからな。たまには客として持て成してもやらんと」
ショタ魔王「ありがとうございます、店長さん」
店長「けどショタくんが非番だと客が来ねえ……とほほ……」
ショタ魔王「あ、あはは……」
店長「しかしショタ君はいっつもあの女勇者にひっついてやがるがよぉ、何だってそんなこと?」
ショタ魔王「えへへ、僕あの人のこと好きですから」
150 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:12:40.45 ID:Okqlr1yu0
店長「っかー、ストレートだな。ますますあの仏頂面にはもったいねえ」
女勇者「誰が仏頂面だって? 誰が」
店長「……げぇっ! 女勇者!」
女勇者「男に女物の服を着せる野郎よりはマシだろうよ」
ショタ魔王「しょうがないですよ、あれが制服なんですから。それにあれ結構気にいってますし」
店長「そうか! なら他にもたくさんあr」
女勇者「斬るぞ」
152 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:24:09.12 ID:Okqlr1yu0
店長「OKOK分かった分かった」
ショタ魔王「でも女勇者さんだって笑えば可愛いんですから、そんなむすっとしてなくてもいいじゃないですか」
女勇者「そうか、こんな感じか」にやにやにや
ショタ魔王「バカにした笑いは余計に性質が悪いです!!」
カラン、カラン
男剣士「邪魔するよ」
153 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:26:28.05 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「いらっしゃいましぇ! ……ハッ」
女勇者「お前今は客だろう」
店長「らっしゃい!」
男剣士「いや悪い、少し人を探していて。ここによく来る女の剣士のことを聞いたんだが」
女勇者「そりゃ私のこと……あ?」
店長「ん? どうした女勇者」
ショタ魔王「え? 知り合い……ですか?」
155 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:36:38.46 ID:Okqlr1yu0
女勇者「……お前、ひょっとして、男?」
男剣士「そういうお前は、女、だよな?」
女勇者「……よう、久しぶりじゃないか」ニコッ
男剣士「そういうお前こそ、よく生きてたな」ニコッ
ショタ魔王&店長「「!?」」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 22:42:29.00 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「えーと、つまり男剣士さんは」
男剣士「あー、男でいい。ま、こいつの兄貴分ってところだ。確か二つ上だったっけか」ぽんぽん
女勇者「三つだよ。ちゃんと覚えてろ」
店長「(女が叩かれるままになっている……だと……? たいしたやつだ……)」
ショタ魔王「へ、へぇ~、お兄さん、かぁ……」
女勇者「顔がひきつってんぞオイ」
男剣士「はは、悪い悪い。こんな傷だらけの顔じゃあ怖がるよな」
ショタ魔王「僕は怖がったりなんかしませんっ」
男剣士「おー、元気だな!」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 22:50:54.35 ID:Okqlr1yu0
店長「そんなに傷を持ってるってこたぁ、お前さんはやっぱり魔王狩りの勇者さんってことかい?」
女勇者「そんじょそこらの勇者じゃねえよ、こいつは。初代勇者の末裔だからな」
……
ショタ魔王&店長「「ΩΩ<な、何だってー!?」」
男剣士「お、おいおい女」
女勇者「いいじゃねえか。まだ魔王ってのが一人だけの頃にお前の家系から勇者ってのが選出されてたワケだろ? 大したもんだよな」
ショタ魔王「……す、すごいです」
男剣士「いや、すごいのは爺さん達だけだよ。俺はただの剣士、大したことないさ」
女勇者「謙遜しちゃってよぉ全く」ケラケラ
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:07:50.16 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「……」むすーっ
女勇者「……あん? どうした?」
ショタ魔王「そうですよねっ、懐かしい人と会ったら僕はオジャマですよねっ。外行ってきます!」
カランカラン!
女勇者「……んだよ全く」
男剣士「あらら、怒らせちゃったかな」
店長「……女勇者よォ、お前も罪作りな女だぜ」
女勇者「?」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:13:50.32 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「……ッ、……ッ」プンプン
ショタ魔王「…………」とぼとぼ
ショタ魔王「……はぁ」しょんぼり
女戦士「あら、ショタ君じゃないの~。どうしたのため息なんかついちゃって」
ショタ魔王「あ、女戦士さん……実は……」
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:20:15.68 ID:Okqlr1yu0
かくかくしかじか
女戦士「へぇ、あの勇者ちゃんの幼馴染さんねえ」
ショタ魔王「あんなにニコニコしてる勇者さん初めて見ました。僕の前ではニヤニヤ笑いしかしてくれないのにっ」
女戦士「よっぽど自慢の幼馴染なんでしょう。それにしてもデリカシーのない子ねぇ、ショタ君の目の前でそうもまぁ」
ショタ魔王「僕だって何度も告白したりしてるのに……本当に、相手にしてくれないんだなぁ……」しょぼーん
女戦士「……ショタ君!」
ショタ魔王「ふえ?」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:25:43.09 ID:Okqlr1yu0
女戦士「実はね、もうすぐ勇者ちゃんの誕生日なの」
ショタ魔王「た、誕生日?」
女戦士「そうよ! だからプレゼントを渡してあげなさい」
ショタ魔王「で、でもお金……」
女戦士「そんな心配は必要ないわっ。この私に任せておきなさい!」どん!
ショタ魔王「は、はひ!」
女戦士「……それにしても、勇者の末裔、ね」ボソッ
ショタ魔王「?」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:34:31.38 ID:Okqlr1yu0
数週間後
ショタ魔王「今日が女勇者さんの誕生日かぁ……はやいなぁ。えっとこういうの何だっけ、キンクリって言ったような」
ショタ魔王「えへへ、今夜は酒場を借りきってみんなでパーティも開けるし」
ショタ魔王「女戦士さんがプレゼントのお金も出してくれたけど、ちゃんと返さなくちゃ」
ショタ魔王「この剣……喜んでくれるかな」
女勇者「何一人でニヤニヤしてるんだよ魔王」
ショタ魔王「お、女勇者さん!? みみみ見ました!?」
女勇者「ん、何をだ?」
ショタ魔王「あ、あはははは!! ななななナンデモナイデスヨ!?」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:49:54.05 ID:Okqlr1yu0
女勇者「そうかい、ならいいんだけどな。あぁ、私はちょっと出てくるよ」
ショタ魔王「はーい、いってらっしゃい……」
スタスタスタ……
ショタ魔王「珍しいな、いっつもゴロゴロしてるのに。何しに行くんだろう」
店員「おーい、ショタ」
ショタ魔王「あ、店員さん」
店員「非番の日に悪い! ちょっと届け物が出ちまってな。どうしても手ぇ離せなくて……行ってくれないか?」
ショタ魔王「はい、お安い御用です!」
店員「そうか、助かるぜ」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:01:51.07 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「はぁ、ちょっと遅くなっちゃった。意外と遠かったなぁ」
ショタ魔王「急いで帰らないと……ん?」
ショタ魔王「(――あれ、女勇者さんと男剣士さんじゃ)」
女勇者「半日も連れまわしやがって、こういう服は中々慣れねえよ」
男剣士「はは、よく似合ってるよ、女」
女勇者「……うるせえ、男」
ショタ魔王「――」
……ヒュゥゥ……
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:10:17.77 ID:+xptvFJ60
女勇者「そろそろ御暇させてもらうぞ。今日はショタの奴に酒場に呼ばれててな」
男剣士「おいおい、子供に酒盛りさせる気かい?」
女勇者「ちげえよバカ」
ショタ魔王「――」
……ヒュゥゥ……
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:12:56.81 ID:+xptvFJ60
女勇者「じゃあな、いい加減行かないと遅れる」
男剣士「あぁ待ってくれ。最後に」
女勇者「なんだよまった、く……――」
ショタ魔王「――」
……ヒュゥゥ……
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:17:48.39 ID:+xptvFJ60
女勇者「……こいつは、剣か?」
男剣士「折れたと聞いたからね。今日が自分の誕生日だって、忘れてたんじゃないのかい?」
女勇者「……」
男剣士「今はあの男の子の魔力で剣を借りているらしいけれど、『あの子に負担をかけ続けるわけにもいかないだろう』?」
女勇者「……そう、かもな」
ショタ魔王「――」
――ガシャ……
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:22:32.83 ID:+xptvFJ60
女勇者「!」バッ
男剣士「……! ショタ君?」
女勇者「お前、何やっ――それ、剣……?」
ショタ魔王「……嫌いだ」
女勇者「お、い?」
ショタ魔王「女勇者さんなんて、大っ嫌いだぁッ!!!」
ダダダダッ!!!
女勇者「お、おい!! ショタ!!」
男剣士「……女、早く追いかけろ!」
女勇者「ッ、済まねえ!!」
ダダダッ……
男剣士「……」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:23:59.33 ID:+xptvFJ60
タッタッタ……
ショタ魔王「はぁっはぁっ、えぐ、ぐすっ、うぐ……!!」
ショタ魔王「(僕は女勇者さんの役に立ててると思ってた!!)」
ショタ魔王「(違ったんだ!! あの人にとって僕はむしろ足かせだったんだ!!)」
ショタ魔王「ひぐ、うぐ、あぐぅぅ……!!」ぐしゅぐしゅ
ショタ魔王「(何が、何が妻だよ……!! 僕が、僕がもっと強かったなら!!
本物の魔王みたいに、もっともっと強かったなら!! 『負担になる』なんてこと、思わせずに済んだのに!! それに……!!)」
ドサ……
ショタ魔王「……ぎらい、なんで。言っぢゃ、った」
ショタ魔王「……あう、うわ、うわぁぁぁぁぁ……!!」ボロボロボロ……
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:29:57.71 ID:+xptvFJ60
ヒュゥゥゥ……ザザ、ザザ……ヒュゥゥゥ
ショタ魔王「……?」ぐしぐし
ショタ魔王「(……なんだろう。今、風に乗せて、何か聞こえたような……)」
???『あぁ、少し予想外のことはあったが……なんら支障は無い』
???『まもなく、この城下町への攻撃を開始しろ』
ショタ魔王「……あれ、って」
男剣士『魔王の名のもとに』
ショタ魔王「……おとこ、さん?」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:36:18.97 ID:+xptvFJ60
男剣士「……! やぁ、ショタくん。さっきは済まなかった。女が君を探しているよ」ニコニコ
ショタ魔王「あの、攻撃、って」
男剣士「ああ、聞こえちゃったか、怖がらせてごめんよ。やだなぁ、冗談に決まっているだろう?」ニコニコ
ショタ魔王「『魔王の名のもとに』」
男剣士「……」……
ショタ魔王「冗談でも、勇者の末裔の人が、使う言葉じゃないですよね」
男剣士「……参ったなぁ」ニコ
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:42:27.59 ID:+xptvFJ60
バッ!!
機械人形「ギキィ!!」
ショタ魔王「!? うわっ!」
ドシャ!!
ショタ魔王「な、何を……! あっ」
ぐい
男剣士「その耳、やっぱり魔族だったんだね。これから俺は、君たちの御仲間になる。仲良くしようじゃないか。少し、大人しくしていてくれ」
ショタ魔王「どういうことなんです!?」
男剣士「それを今から話すよ。どうせこの街は、今夜で消え去る。森からの砲撃が、もうすぐ始まるよ」
ショタ魔王「!!」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:49:48.94 ID:+xptvFJ60
男剣士「どこから話そうか……やっぱり最初から話させてもらおう」
男剣士「俺のじいさんは、最後の勇者だった」
男剣士「親父とおふくろが早くに死んじまって、全ての血のつながりが絶えた俺を引き取って育ててくれたんだ」
男剣士「いい人だったよ。本当に。何せ自分が倒した最後の魔王に、自分の孫を抱かせられるくらい和解できたんだから」
男剣士「二人は事あるごとに今の世界を憂いていたよ。世の中には魔王を名乗る二流三流があふれ、
そしてそれを狩り矮小な誇りを満たすばかりの勇者たちがいることをね」
男剣士「最後は二人とも、勇者を名乗る二流どもと、魔王を名乗る二流どもに、殺されたよ」
男剣士「どうやらその時に、俺は頭がいかれちまったらしい」
男剣士「絶対的な悪である魔王と、絶対的な正義である勇者が一人ずつなら、この混沌を正せるとね」
ショタ魔王「その勇者に、あなたはなる気なんですか」
男剣士「違うよ。君たちの御仲間になるのさ、俺は」
男剣士「――俺が魔王になる」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:11:33.66 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「!!?」
男剣士「こんな悪党が勇者? ありえないだろう常識的に考えて。
悪意の限りを尽くした揚句、ブチ殺されて河原にさらされる役目がお似合いなんだよ」
ショタ魔王「じゃあ、勇者は」
男剣士「女、さ」
ショタ魔王「……!! 女勇者、さん……?」
男剣士「彼女の強さは本物だ。そこらにうじゃうじゃといるメッキの勇者共とは、格が違う。それは俺が一番よく知っている」
男剣士「自分の住んでいる街を消されたとなれば、女も俺を本気で憎み、憎悪し、殺しに来る」
男剣士「それが魔王と勇者の……世界の正しい姿だと、思わないかい?」ニコニコ
ショタ魔王「(この人……! もうまともな人間じゃない!! 狂ってる!! 魔族よりも……!!)」
ショタ魔王「(……だけど!!)」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:16:50.09 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「……ふざけ、るな……!!」
ググ……!
機械人形「ギッ」
男剣士「……!」
ショタ魔王「女、勇者さんを……そんなことに、使わせてたまるもんかっ!!!」
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:23:26.22 ID:+xptvFJ60
機械人形「ギッ!」
グイッ!
ショタ魔王「ぐっ……!」
男剣士「無理だよ、君じゃそいつを押しのけるなんて、不可能だ」
ショタ魔王「やってみなくちゃ、分からないだろっ!! それにっ……!!」
男剣士「?」
ショタ魔王「男さんを魔王になんてさせてたまるもんかぁっ!!!」
男剣士「!!」
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:32:54.05 ID:+xptvFJ60
男剣士「……どういう意味だ」
ショタ魔王「……あなたは、人間だ。魔族じゃない……!! 僕ら魔物と人間とじゃ、どんなに頑張ったって、生きる時間も何もかもが違う!」
ショタ魔王「僕は女勇者さんが大好きだ!! だけれど!! 遠い未来にどうやったって僕は置いてかれる!!」
ショタ魔王「でも、あなたは……あなたは違う!! 同じ時間を、歩いて行ける!!」
男剣士「……!!」
ショタ魔王「女勇者さんの笑顔は、本物だった!! それはあなたが……一番良く分かってるんでしょう!!」
機械人形「ギィィィ!!」
ショタ魔王「うぐっ!!」
男剣士「……流石に魔族というだけあって、そんな背格好でも年月を重ねているようだね。
どうやら君は、この場で殺しておかなければならないようだ」
ショタ魔王「う、うぅ……」
男剣士「……さようなら」
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:36:59.45 ID:+xptvFJ60
「ショタァァァァァ!!!」
ズバァッ!!!
機械人形「ギャギィ!?」
バラバラ……
男剣士「……な?」
ショタ魔王「……魔力の、刃?」
女勇者「おい……こいつはいったい、どういうことだ!! ショタに何してやがる!? いくらお前でもタダじゃ済まさねえぞ!!」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:43:45.26 ID:+xptvFJ60
>>189
SSB(スーパーシリアスブレイク)
ショタ魔王「……女勇者、さん……」
男剣士「……それが魔力で編んだ剣か。でも俺達を攻撃するなら、俺の渡した剣を使った方が壊しやすいよ」ニコニコ
女勇者「茶化してるんじゃねえよ。とっとと質問に」
――ッドォン!!
パラパラ……
女勇者「答え……!?」
男剣士「始まったか」
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:45:51.97 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「お、女勇者さん! 落ち着いて聞いてください! 今、外からこの街は砲撃を受けてます!!」
女勇者「……んだとぉ!? クソッ、外だな!!」
男剣士「もう遅い。この砲撃が皮切りだ、弾丸の雨が降り注……」
――シン……
男剣士「……がない?」
「うふふ~。不思議かしら~」
カッ! カッ! カッ!
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:47:52.91 ID:+xptvFJ60
男剣士「!?」
ショタ魔王「うわっ、まぶしっ!!」
女勇者「なんだ、ライト……!?」
店長『男剣士ぃ!! お前は今完全に包囲されている!! 大人しく武器を捨てて投降しろ!!』
店員『外にいた奴等は全員ぶっ潰したぞ!!』
名無し男『一匹倒し損ねたようだが、追撃が来ないところを見ると倒しきれたみたいだな!!』
名無し女『この街の賞金稼ぎ全員が集まってるわよ!! 覚悟することねー!!』
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:54:37.46 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「て、店長さん!? 店員さんに、お客さんたちも……!」
男剣士「……なんだこれは?」
女戦士「それは私が説明してあげましょ~。勇者の末裔、魔王、そして機械兵器という悪意をバラまいた張本人さん♪」
女勇者「……おい、意味が分からないんだが」
女戦士「あの男はね~、連射カスタムの大砲、工場の一件に両方とも絡んでいるのよ~。
潰し合わせとデータ収集を兼ねて、機械兵器を魔物たちにバラまいた。自分がただ一人の『魔王』となるために」
女戦士「今回のこれだけ大規模な攻撃を水面下で準備してたのは評価に値するわ~。まぁ私にばれちゃったけど。
みんなにもばらしてあげたらホラこの通り。うふふ、街思いの人たちよね~」
女勇者「なるほど、分からん。……けど分かったこともある」
女戦士「ショタ君をいじめて、大砲を街にぶち込んだ犯人さんってこと、ね」
女勇者「あぁ……! おい男ォ!! 何考えてるのか知らないが、この落し前はつけさせてもらうぞ!!」
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:59:47.91 ID:+xptvFJ60
男剣士「く、くく……ははははは!!」
女勇者「何がおかしい!!」
男剣士「女は、今、俺に勝つ気なのかい? 周りの連中も、俺に勝つ気なのかい? そう考えると、笑いが止まらない!! はははは!!」
店長『何だこの中二野郎!! 構わねえ!! 袋叩きだ!!』
一同『おぉッ!!』
ショタ魔王「ま、待ってくださ……!!」
バババババッ!!
機械人形「「「「ギギギギギィ!!!」」」」
男剣士「俺のもたらす最初の災厄が、街一つ消えることから、実力者が皆殺しにされることに変わっただけだよ」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:08:55.70 ID:+xptvFJ60
店員『な、なんだコイツら!! どこから!?』
名無し男『ひるむなぁっ!!』
名無し女『行くわよ!!』
ドカガッ! バキッ、ズドォ!!
男剣士「さて、雑魚どもはコイツラに任せてと……女、邪魔の入らないところで勝負しようじゃないか」
女勇者「おもしれえ……!!」
ババッ!
ショタ魔王「女勇者さ……!!」
女戦士「はいショタ君はこっち!!」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:17:04.67 ID:+xptvFJ60
タン……
トン……
男剣士「この城は無人のようだ。誰からの邪魔も入らない」
女勇者「あぁそうさ。この城の魔王は私が倒したからよ」
男剣士「それは素晴らしいことだね。魔王という存在は、必ず勇者に倒されなくてはいけないんだから。俺もいつかは女に倒されるんだろう」
女勇者「いつかじゃねえ。今だ」
男剣士「倒される覚悟はあるが、少なくとも今では無いよ」
機械人形「ギィィィィ!!」
店長「クソッ! キリがねえ!! 一匹も人通りのあるところに出すんじゃねえぞ!!」ドギャ!!
名無し女「どっから湧いてるのよコイツらぁ!!」バギィ!!
女戦士「茂みや木の洞から飛び出してきてるけど、いくらなんでも多すぎるわね~」ドゴォ!!
ショタ魔王「(元を! 元を叩かなきゃ……!! でも、何処に!?)」
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:31:57.50 ID:+xptvFJ60
ギィン! ガァン!!
女勇者「……チッ!」
男剣士「その魔法剣を使うのはよしたら? 魔力の主と離れすぎて、能力が半減しているよ」
女勇者「……ゴチャゴチャとうるせえ」
男剣士「それに俺を殺すつもりなら、さっきも言ったけれど、俺が渡した剣を使った方がいい。ずっと俺を殺しやすい」
女勇者「うるせえんだよ」
男剣士「それは将来、女が俺と本気で戦う時のために、渡したものだ。今使われても、全然かまわないよ。ちょうどよいハンデになる」
女勇者「誰が使うかこんな胸糞悪いもの!!」
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:33:22.28 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「(神経を、限界まで集中させろ……!)……!!」
女戦士「ショタ君?」
ショタ魔王「……見つけ、ました! 地面の下です!」
店員「地面の下ぁ!?」
名無し男「どうしろってんだよ!? 掘削機なんかねーぞ!!」
女戦士「みなさーん。じわれにご注意くださーい。いちげきひっさつがタワークオリティで当たっちゃいますよぉ」グググ……!!
一同「へ?」「ギ?」
ドゴォォォォ!!!
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:35:00.31 ID:+xptvFJ60
ザシュ!!
女勇者「がっ!!」
男剣士「やれやれ、だから言ったろう? もう立てまい。決着は、俺がただ一人の魔王になり、女がただ一人の勇者になった後だ」
女勇者「……へ、へ……生憎私は、せっかちなんだよ。頭より先に、体が動くくらいに」
男剣士「……なんで、立てる?」
女勇者「主人公補正……と言いたいところだが言わせてもらう。ここにいた魔王はなぁ、弱っちくて弱っちくて、あくびが出そうだった」
女勇者「けどなぁ、何度でも、何度でも!! 立ち上がってきた!!」
女勇者「その魔王を倒した私に同じことができなくて、どうするってんだ!!」
男剣士「……いいだろう、なら、今度こそ立てないようにしてやる!!」
両者「「おおおおおおぉぉぉぉ!!!」」
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:35:53.14 ID:+xptvFJ60
>>205
今全部書き終わった。
機械人形「ギャギィィィィィ!!」
ズゴゴゴ、ガラガラガラ……!!
店員「うおわぁぁぁ!!」
店長「店員掴まれえ!!」
名無し女「な、なんて無茶苦茶すんのよ……!!」
名無し男「全くだぜ……!! だけどよぉ、これで!!」
女戦士「うふふ、頼んだわよ~」
ヒュゥゥゥゥゥ……!!
ショタ魔王「(見えた……!! あれが中枢!!)」
ピピ、ビビビ、ピ……
ショタ魔王「(精密な機関である以上、たったの一太刀でも入れられれば致命傷の筈!!)」
ショタ魔王「(魔力の刃……!!)」
ショタ魔王「行っけえええええぇぇぇぇ――ッ!!!」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:38:11.06 ID:+xptvFJ60
ズバァッ……!!
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:38:52.09 ID:+xptvFJ60
>>208
悪い、無いわ。
男剣士「……」
女勇者「……」
男剣士「……そう、か」
女勇者「……」
男剣士「君にはもうひとつ、プレゼントが、送られていたんだね……」
ドサァ
女勇者「……男」
男剣士「ああ酷い。OPで終わるなんて、訴訟すれば勝てるね……」
女勇者「……」
男剣士「……負けちゃった、ナァ」
女勇者「……」
男剣士「……」
女勇者「――にい、さん」
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:40:32.94 ID:+xptvFJ60
ドザッ!!
ショタ魔王「あいったぁ……ギリギリで落下速度遅くできて、助かった……」
ショタ魔王「ちゅ、中枢は……!?」
ガシュ、プス、プスン……
ショタ魔王「……止まった?」
機械人形「「「――――」」」
ガシャン、ガシャ、ガシャ……
名無し男「おい、人形が……」
店員「壊れたぞ」
名無し女「や……やったのねあの子ぉ!!」
店長「おい!! ショタがやりやがったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一同『うおおおおおおぉぉぉぉお!!!』
女戦士「うふふ、すっごいわねえ、あの子」
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:00:27.69 ID:+xptvFJ60
さるくらってますた
>>213
へたくそでごめんねごめんね
数日後
ササササァッ……サァッ……
女勇者「……」ぽけーっ
女戦士「まーたこんなところでボーッとしてて。んーっ、でもここ風通しが良くていいわねえ……」
女勇者「……あぁ、女戦士か」
女戦士「気付くのも鈍くなってるわね~」
女勇者「……まぁ、な。幼馴染を、斬ったとなればよ。ナーバスになるだろ」
女戦士「……」
女勇者「やぁっと最近、理解が追い付いてきた。男のやろうとしたこと、やってきたこと……でも、あいつはなんで私なんかを」
女戦士「……止めてほしかったのよ」
女勇者「……」
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:03:47.66 ID:+xptvFJ60
女戦士「彼はそれなりに狂っていることを自覚していたわ。もう自分ではその狂気を止められないことにも」
女戦士「だからこそ、一番強いあなたに……止めてほしかったんでしょう」
女勇者「……死ぬために戦うなって、口酸っぱくして言ってたのになぁ……ばか、だよ。にいさん、は……」
女戦士「……」
店員「うぉおおおお!! 見つけたぁあああ!!」
女勇者&女戦士「?」
217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:04:44.61 ID:+xptvFJ60
駅
『まもなく発車いたします……駆け込み乗車はおやめください……』
ショタ魔王「今まで、本当にお世話になりました」ぺこり
店長「いいってことよ。うちの店は大繁盛になったんだからな! わっはっは!」
名無し男「ううう……もう見れないのか、ショタ君の制服姿は……」
名無し女「もうあの店に価値は無いわね……」
店長「おめええらあああ!! 大体どうしてこいつの予定知ってるんだよ!?」
名無し男「ファンとして知っておかなければ」
名無し女「そうそう」
ショタ魔王「あははは……」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:06:07.31 ID:+xptvFJ60
店長「……けどよ、どうしたってこんないきなり? 別にいくらでもウチで働いてくれてもよかったんだぜ」
ショタ魔王「……僕は、女勇者さんに認められたくて、この街に来ました」
ショタ魔王「でも、このままじゃ、女勇者さんには認められないんです。……女勇者さんにとっての一番は、ずっとあの人だから」
ショタ魔王「だから女勇者さんに認められるには、あの人も知らない世界を、見て回るしかないと思ったんです」
店長「……そうか」
ショタ魔王「えへへ、だから女勇者さんには何も言わずに来たんですけど……やっぱり、寂し……え?」
220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:14:24.78 ID:+xptvFJ60
女勇者「おぃぃぃぃぃ!!」
店員「もう列車出ちまいますよぉぉぉぉぉ!!」
女戦士「たいへんたいへーん~」
店長「遅い!」
名無し男「やっと来たのか!」
名無し女「来た! あいつら来た!」
一同「「「これで会うる!!」」」
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:15:42.44 ID:+xptvFJ60
ショタ店長「あ、あの……?」
店長「俺らはお節介なのさ」
名無し男「にひひ」
名無し女「ふふふ」
女勇者「あいつ、なんで一言も……!!」
女戦士「うーん、ショタ君は止めてほしくなかったんでしょーね~」
店員「しゃべくってる暇ないすよ!! もう列車が……!!」
女戦士「じゃあ最後の手段と行きましょうか~」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:17:36.70 ID:+xptvFJ60
ぎゅう。
女勇者「うえ?」
女戦士「広い世界でも、がんばってね~!!」
ぶぉぉん!!
女勇者「うおぁあああああ!? 投げんなぁぁぁぁ!!」
ショタ魔王「……え、飛んdぎゃっぶう!!」
どさぁ!! ゴロゴロ……
プシュー!! ガタン、ガタン……!
ショタ魔王「い、いててて……あ、列車がもう出て……」
女勇者「……おい魔王……」
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:18:48.21 ID:+xptvFJ60
女勇者「人をシカトして出て行こうなんざ、随分といい度胸だなぁ?」
ショタ魔王「……ッ、僕はあなたを妻にすることを諦めたわけじゃありませんよ! もっともっと広い世界を見てすごい男に」
女勇者「お前な、私の剣の魔力をどうする気だったんだよ」
ショタ魔王「……だから僕は、一本、剣を」
女勇者「……最近二刀流の良さに目覚めちまってなぁ、どうにも一本だと締まりが悪いのさ」ポン、なでなで
ショタ魔王「……!」
女勇者「だからよ、よろしく頼むぜ。あいぼ……」
ショタ魔王「この列車、東行きですから!! そうですね、式って東洋式でもぷぎゅっ!!」
ドゴ
おしまい
226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:21:12.14 ID:+xptvFJ60
二度あることは三度ある……と言いたいところだが三度目の正直だ。
これにて完結です。まさか即興で立てたスレが200以上まで伸びるとは思いもしませんでした。
こんなSSをお読みいただいて、本当にありがとうございました。
女勇者「大体負けた相手にそんなこと言う? 何? その年でマゾ?」
ショタ魔王「だからあなたより年上だって……じゃなくて! マゾでもありません! っていうかこんな話させないでくださいよ!」
女勇者「んじゃ聞かせてもらおうじゃない? 眠いまぶたをこすりながら考えた口説き文句ってやつをさ」
ショタ魔王「……僕はいつだって一人だった。どんな魔物だって、僕に視線を合わせてくれなかった。挙句の果ては魔物からも恐れられた!」
ショタ魔王「だけど、女勇者さんだけは……僕を見てくれた。それだけです!」
女勇者「あー、お前の髪の毛は気持ちいいなぁ」なでなで
ショタ魔王「聞いてよー!!」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:37:45.77 ID:UvA8vkJz0
女勇者「最強の私に惚れるのも無理ないけどさ、>>1で言ったとおり年下趣味は無いわけよ」
ショタ魔王「う、うぐぐ……じゃ、じゃあ!」
女勇者「?」
ショタ魔王「貴方を惚れさせて見せます! 僕に!」
女勇者「……は?」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:44:21.18 ID:UvA8vkJz0
森の道
ショタ魔王「すごいなぁ……森、川……初めて見ました」
女勇者「……」
ショタ魔王「城の外に出たのも、初めて……」
女勇者「……」
ショタ魔王「何でそんな仏頂面なんですか」
女勇者「どうやら成長に必要な栄養は頭にも回らなかったらしいね」
ショタ魔王「なんですかそれー!」
女勇者「ったく、こんなやつ連れて歩いてるところ見つかったらどうなるか……」
女戦士「あっれー? 勇者ちゃん、どうしたのその子」
女勇者「うげ」
ショタ魔王「?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:51:17.45 ID:UvA8vkJz0
女戦士「かっわいい! 弟くんかしら」
女勇者「そんなわけないでしょ。魔族ってのは見れば分か」
ショタ魔王「そうですよ、僕は弟じゃなくておっt」
ドゴ
ショタ魔王「はぐうぅ!」
女戦士「うわ、ひっど」
女勇者「こう見えて丈夫だから大丈夫よ」
女戦士「シャレのつもり?」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:55:36.79 ID:UvA8vkJz0
女戦士「で? そういえば魔王狩りに行ってたそうじゃない」
ショタ魔王「!」
女戦士「今回の魔王はどうだった?」
ショタ魔王「……今回の?」
女戦士「あらキミは知らないのかしら?」
女勇者「あぁ、まぁね。こいつは魔王に幽閉されてたらしい」
ショタ魔王「(ちょ、ちょっと女勇者さん)」
女勇者「(そういうことにしといて。あとが面倒)」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:02:13.22 ID:UvA8vkJz0
女戦士「あらま、幽閉……若い身空で大変なのねえ」
ショタ魔王「僕はそんなに子供じゃありません。」
女戦士「うふふ、じゃあそういうことにしておいてあげる」
女戦士「昔は魔王ってのは一人だけで、勇者ってのも一人いればよかったんだけどね」
女戦士「ところがどっこい、力のある魔物が勝手気ままに魔王を名乗る始末」
女戦士「で、うじゃうじゃいる魔王を専門に狩るハンターを勇者って呼ぶようになってるの」
ショタ魔王「……そんなことになってたんだ」
女戦士「幽閉されていたから、外のことを何も知らなかったのね。でももう大丈夫よ。勇者ちゃんが魔王をボッコボコにしてあげたんでしょ?」
女勇者「ああ、そりゃもうボッコボコにね」ニヤニヤなでなで
ショタ魔王「ぐぐぐ……」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:11:56.49 ID:UvA8vkJz0
城下町
ショタ魔王「こ、こんな近くに人間の住む街が……」
女勇者「そりゃそうよ。魔王なんてうじゃうじゃいるからさ。一々気にしてたら住むところなんてなくなる」
ショタ魔王「で、でも魔物たちはあんなに怖がって……」
女戦士「その魔物たちっていうのは、いつも同じ魔物じゃなかった?」
ショタ魔王「……あっ」
女戦士「そういうことよ。狭い世界の中で、王様を気取ってた魔王なのね~」
女勇者「井の中の蛙大海をしらずってやつさ」ニヤニヤなでなで
ショタ魔王「……」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:22:27.51 ID:UvA8vkJz0
女戦士「じゃあ私は用事があるからまたね~」
女勇者「……これで分かったろ。お前の感じてた孤独やら恐怖、
抱かれていた畏れなんてのは掃いて捨てるくらい転がってんのさ」
ショタ魔王「……女勇者さん」
女勇者「ま、新しい人生を頑張ってみな。そこの森に戻るのもいいし、
ここからは汽車も出てるから無賃乗車で旅に出るのもいいんじゃないの」
ショタ魔王「女勇者さん、僕は」
女勇者「じゃあね。……お前に勘違いさせて悪かった」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:29:04.14 ID:UvA8vkJz0
数日後、酒場。
ショタ魔王「い、いらっしゃいましぇ!」
女勇者「……」
ショタ魔王「せ、席に案内しましゅ!」
女勇者「おい」
ショタ魔王「(今は仕事中です!)」
店員「おーい、新入り! こっち頼む!」
ショタ魔王「た、ただいま~!」パタパタ
女勇者「……ちょっと、店長」
店長「ああ? あの子のことか、可愛いだろ? 仕事も三日でそこそこ出来るようになったんだから」
女勇者「そりゃいいんだよ! なんでメイド服を着せてんの!?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:33:25.74 ID:UvA8vkJz0
店長「え、女の子じゃないの!?」
女勇者「分かって言ってるだろ!?」
店長「ちぇっ、ばれたか」
女勇者「斬る」
店長「待て待て待て、ロマンってものを理解しろ」
女勇者「したくもない」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:39:57.66 ID:UvA8vkJz0
ショタ魔王「て、店内での大声はご遠慮ねがいましゅ!」
女勇者「……チッ」
店長「いやぁいい子だねショタくんは!」
ショタ魔王「も、もったいないお言葉でございましゅ! では!」
女勇者「……おい、話戻すぞ」
店長「ん、まぁな。いきなりあんな小さい子が『雇ってくれ』なんていってきた時にゃ流石に吹いたわ。
VIPにスレ立てようかと思ったくらいだぜ」
女勇者「(魔族ってのには気付いてないな……まぁ耳隠せば人間にしか見えないし)」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:50:51.31 ID:UvA8vkJz0
女勇者「……まぁきちんと働いてるんならいいさ。それでよ、店長」
ショタ魔王「(ピクリ……)」
店長「おう仕事の話かい? いい話が転がってるぜぇ~、北の山とか南の沼とか」
女勇者「はん、城も無い雑魚どもじゃない。私は小遣い稼ぎたいわけじゃないよ」
店長「んー、じゃあこいつはどうだ? 東の迷宮洞窟」
女勇者「店長よ、そりゃ私をバカにしすぎだ。そこはつい最近女戦士が魔王を狩ってきたばかりじゃないか。
今行ったところで、残党のモンスターがいるだけだろうが」
店長「逆だ。アリ一匹すらいなくなってるんだよ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:58:36.13 ID:UvA8vkJz0
女勇者「なんだって?」
店長「あぁ、何でもそこに魔王を名乗るドラゴンが一匹居ついたんだとよ。
おかげでモンスターが近隣の街に逃げ出して大騒ぎだとさ」
ショタ魔王「(ぴくぴく)」
女勇者「ドラゴンだと。そりゃ穏やかじゃないな」
店長「しかも得体の知れない武器を使うそうだぜ。懸賞金はいきなり上級レベル」
女勇者「へえ……こいつはいいや。乗った」
店長「オッケーイ、きちんと伝えておくぜー」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:08:52.74 ID:UvA8vkJz0
翌日
女勇者「さぁてと、一仕事こなしてきますかね……」
女勇者「……それでさっきからコソコソ付いてきてる魔王様はどこの誰だ?」
ショタ魔王「完全に分かってるんじゃないですか! ……僕も行きますよ」
女勇者「はっきり言うよ、オジャマ」
ショタ魔王「僕の魔法の威力と回復量は女勇者さんだって知ってるでしょ! 絶対邪魔はしません!」
女勇者「確かにベホマ使う点はどんな魔王よりも鬼畜だったな。HP自体は少なくて助かったけど」
ショタ魔王「?」
女勇者「子供は知らなくていい」
ショタ魔王「子供じゃありません!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:10:30.12 ID:UvA8vkJz0
メシ食ってきます
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:30:20.49 ID:UvA8vkJz0
女勇者「さてダンジョン最深部についたわけだが」
ショタ魔王「中間省きすぎじゃないですか?」
女勇者「だってモンスターもいないし、女戦士が攻略してるからトラップもないし」
ショタ魔王「主が居なくなると、こうも閑散としてしまうんですね……僕のお城もこうなっちゃったのかな」
女勇者「感傷に浸る暇はここからは無いさ。じゃあ開けるよ」
ギィィィ……
ドラゴン「よくぞここまで参られ……魔王様!」
ショタ魔王「ドラさん!」
女勇者「?」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:46:12.88 ID:UvA8vkJz0
女勇者「なんだなんだ、知り合いか?」
ショタ魔王「はい、僕の父の臣下でした。僕ともよく遊んでくれて……ドラさん、どうしてこんな所に?」
ドラゴン「おお、よくぞご無事で……魔王様がハンターに倒れたと聞き、いてもたっても居られずに参りました」
ドラゴン「しかし城はもぬけの殻……死んだと諦めることも出来ない私は、地の果てまでも探し出す所存でございましたが、この老いた身ではとても為すことなど出来ませぬ」
ドラゴン「そこで私は考えました。こうして魔王を名乗り勇者どもを返り討ちにすれば、私の名が魔王様に届くのでないかと」
ドラゴン「ご無事でなによりです、魔王様。そして魔王様の名を騙ったご無礼を、どうぞお許し願いたい」
ショタ魔王「そんなこと気にしてません! 僕も五体満足ですから」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:55:13.94 ID:UvA8vkJz0
女勇者「イイハナシダナーの最中で悪いんだけど、ちょっといい?」
ドラゴン「その身なりは勇者か。ここまで魔王様を連れてきた礼に命だけは奪わないでおいてやる。どことなりへと失せろ」
女勇者「言ってくれるじゃん、おじいさん?」
ショタ魔王「ま、待ってください! ドラさん、この人は……」
ドラゴン「……魔王様に免じてもう一度言ってやる。失せろ……」
女勇者「あぁそうそう。この子ボコったの私」
ドラゴン「……!! そうか、そんなに死にたいか……!!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:04:44.91 ID:UvA8vkJz0
ショタ魔王「お、女勇者さん! どうして……!」
女勇者「ここまで来てさようならってワケにも行かないさ。仕事の信用ってものもある。
失望してくれた? だったらむしろありがたいけどね」
ショタ魔王「う、うう……」
ドラゴン「離れていてくだされ魔王様……すぐに片付けますゆえ」
女勇者「はいはい離れた離れた」ぺしっ
ショタ魔王「あうんっ」すってんころり
ドラゴン「!!! 魔王様に手を上げるとは……もの言わぬ肉塊と化すがいい、女ぁ!!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:15:25.66 ID:UvA8vkJz0
ゴォォォ!!
女勇者「(弱っ、それに遅っ。竜でも年齢には勝てないって所?)」
ひょいひょいひょい
ドラゴン「……っく! はぁはぁ……」
女勇者「あらら、もう息切れ? ちょっと早すぎない?」
ドラゴン「黙れ……黙れ女……!」
ショタ魔王「女勇者さん、ドラさんはあんなにヘトヘトなんですよ! まだ戦う気ですか!」
女勇者「私と戦ったアンタ自身に聞くけど、私に慈悲が有るように見えた?」
ショタ魔王「……ッ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:20:54.63 ID:UvA8vkJz0
>>36
勢いで立てた。書き溜めゼロ。反省はしてる。
女勇者「まぁ死なないかもしれない程度にボコったら終わりにするよ」
タンッタンッタン
ショタ魔王「やめ……!」
ドラゴン「……バカめ!」
……ガチャ!!
女勇者「ん?」
ドガガガガガガ!!!
女勇者「うわたたた!?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:29:55.65 ID:UvA8vkJz0
ショタ魔王「な……!? 魔力も無しで……」
女勇者「危ない危ない……大砲、か? しかも連射が利くと来た。おいおい、とんだ隠し玉じゃないの」
ドラゴン「クク……棺桶に片足突っ込んだオイボレが何故ここにいるモンスター共を一掃出来たのか、
考えもしなかったのか?」
女勇者「私は考えるより先に身体が動くんでね」
ドラゴン「ならば反射すらも出来ぬ刹那の間に、肉片へと変えてやろうぞ!!」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:41:05.44 ID:UvA8vkJz0
>>42
ベホマ連発する魔王です
ガガガガガッ!!
女勇者「(得体の知れない武器か、言いえて妙だ……!
連射が出来ないからこそ大砲相手でも剣は勝てるってのに、その弱点が消えただと!)」
ショタ魔王「女勇者さん、危ない!!」
ドド!!
女勇者「!! チッ……!」
ドラゴン「ククク、剣がやられたか……丸腰だがどうする? 黒こげか? 肉片か?」
ショタ魔王「もうやめてください!!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:44:08.09 ID:UvA8vkJz0
ドラゴン「! 魔王様……」
ショタ魔王「女勇者さんはもう戦えません。ドラさんだって、もう目が霞んでいるんでしょう!? だからもう終わりです!」
女勇者「おい何勝手なこと……」
ドラゴン「……魔王様がそう言うのであれb」
ドグン
ドラゴン「……!?」
ショタ魔王「え」
女勇者「ッ!! 危ない!!」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:59:31.76 ID:UvA8vkJz0
ドン
ショタ魔王「わっ!」
ドガガガガガッ!!
女勇者「おい、大丈夫か」
ショタ魔王「……え? お、女勇者さ……う、腕が!」
女勇者「やかましい、とっとと回復させろ」
ショタ魔王「は、はい……!」
ドラゴン「ス、スベテを、蜂の巣ニ……シテや、ロう……」
女勇者「今、お前に向けて撃ってきたぞ。いきなり気がふれたのか」
ショタ魔王「ど、どうしちゃったんですかドラさん!」
ドラゴン「全てを廃に、灰に……ギ、カカ……!!」
女勇者「おいおい、HIGHになりすぎでしょ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:09:39.76 ID:zlJbMKhs0
ジジジジ……プシュー……
女勇者「あの大砲本体か。煙吹いてる。魔力神経と連結させて連射を可能にしてたんだな」
ショタ魔王「そ、そんなことしたら!」
女勇者「あぁ、大砲の機関部が耐えられるワケがない。ブチ壊れるのも当然だ。……連結した神経もな」
ショタ魔王「……!」
女勇者「剣も折れちまったし、こりゃあ終ったかな」
ショタ魔王「……終ってません!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:15:07.05 ID:zlJbMKhs0
女勇者「おいおい、生き汚いぞ」
ショタ魔王「神経で繋いでいるのであれば、その神経を断てば良いんですよね?」
女勇者「簡単に言ってくれるじゃないか、どこで繋がってるのか分かるのかよ」
ショタ魔王「3秒で見つけます」
女勇者「……剣はどうする」
ボウン
ショタ魔王「作りました」
女勇者「……こいつは参ったね、流石に魔王ってだけはある」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:21:21.42 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「3秒でいいです。時間を、稼いで」
女勇者「この私を誰だと思ってるのかな?」
ショタ魔王「……来ます!!」
ドラゴン「ギャウォォオォォォアアアアアアアッ!!!!」
ドギャギャギャギャギャギャ!!!!
女勇者「うおらぁぁぁぁぁ!!!」
ドドドドドド!!!
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:29:13.19 ID:zlJbMKhs0
ヂギィ!
ショタ魔王「うぐっ!」
女勇者「!! おい魔王!!」
ショタ魔王「――見つけた!! 左肩の首筋の下!!」
女勇者「――任せな!!」
タンッタッタッタ!!
女勇者「しばらく……寝てろ!!」
ザンッ!!
ドラゴン「ギギィィ!!」
ドサァ……!!
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:37:25.52 ID:zlJbMKhs0
女勇者「ハァ……ハァ……! あっぶねえ……」
ショタ魔王「女勇者さん! ケガは!」
女勇者「お前は肩に一発もらってんでしょ! 他人の心配してる暇があるなら」
ショタ魔王「僕は丈夫ですから! 拳骨貰っても大丈夫なくらいに」
女勇者「……チッ」
ドラゴン「……ぐ、う……」
ショタ魔王「……! ドラさん!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:46:01.37 ID:zlJbMKhs0
ドラゴン「わ、私は……何を、ぐっ」
ショタ魔王「大丈夫です、すぐに治しますから……いててっ」
ドラゴン「! その、お怪我は……勇者よ」
女勇者「ん」
ドラゴン「今すぐに私の首を持っていくがいい。老いたと言えど、竜の首にはそれなりの価値はある」
ショタ魔王「!!」
ドラゴン「魔王様に傷を負わせて生きていけるほど私は図太くもない。そろそろ棺桶に身を収める理由が欲しいとも思っていた」
女勇者「結構な服従心だことで。確かにそりゃいい考えだ」
ショタ魔王「女勇者さん……!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:50:50.60 ID:zlJbMKhs0
バッ
ショタ魔王「やめてください」
ドラゴン「魔王様……」
女勇者「退きな」
ショタ魔王「退きません、絶対に」
女勇者「へえ、じゃあ私がお前のものになるとしたらどうする」
ショタ魔王「退きません。そんなことをする女勇者さんを妻にしたいと思ったんじゃない」
女勇者「……」
ズバァッ
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 00:57:44.88 ID:zlJbMKhs0
女勇者「こいつは高く売れそうだ」
ショタ魔王「……」
女勇者「今日はいい仕事になったよ」
ショタ魔王「あの」
女勇者「今の私は機嫌がいいんだ。こんな戦利品を得られたとなればさ」
ドラゴン「……そんな鉄クズを持っていって何の金になる?」
女勇者「売れるに決まってんでしょ、『ドラゴンも使う大砲』ってね」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:10:11.98 ID:zlJbMKhs0
女勇者「それにそんな老体じゃあ、この機械が無きゃ悪事なんて出来やしないだろ?
怪物を無力化するのが仕事なんでね。もうモンスターもいないし、ここで静かに後生を過ごしな」
ショタ魔王「女勇者さん……」
女勇者「じゃあね」
スタスタスタ……
ショタ魔王「……ドラさん、僕も行こうと思います」
ドラゴン「……魔王様を狩りに来た相手に、魔王様はついていこうというのですか?」
ショタ魔王「はい。……あの人が惚れてくれるような男に、なりたいんです」
ドラゴン「……ふ、ふふ。大きくなりましたなぁ、魔王様。自分を傷つけた相手とでも和解することが出来る。
私は、私は……そのお姿を見れて、幸せです……」
ショタ魔王「――ドラさん」
ドラゴン「……もう回復魔法を掛けるのにも、疲れたでしょう……おや、すみに……」
ショタ魔王「……ドラさん」
ドラゴン「……」
ショタ魔王「……」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:23:51.03 ID:zlJbMKhs0
ズズリ、ズズリ……
女勇者「あぁ、重たい重たい……バッカみたいだ私」
ショタ魔王「ま、待ってくださいよぉ!」
女勇者「なんだお前、また着いて来たの」
ショタ魔王「僕は貴方に認められるまでどこまでも着いていきますよ!」
女勇者「なにそのストーカー宣言。……あのドラゴンには着いていてやんなくていいのか。老人ってのは寂しがりだよ」
ショタ魔王「……寝ちゃい、ましたから。うるさくするほうが、よっぽどオジャマですよ」
女勇者「……そうかい」
ピタ。
女勇者「……ああ、そうそう」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:24:48.34 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「?」
女勇者「愛用の剣がブチ折れちまってなぁ、代わりの剣がいるんだよ」
ショタ魔王「??」
女勇者「そしてどうにも、この魔力で作った剣ってのが実に馴染む! 馴染むぞッ!」
ショタ魔王「――!」
女勇者「そこでだ。魔法タイプを一人、欲しがっているソロ狩りの女がいる。どっかに都合の良い魔法使いはいねーかなー?」
ショタ魔王「式はいつがいいですか!? どこでぎゃうん!!」ゴチン!!
女勇者「どっかにいねーかなー、魔法使いー」
ショタ魔王「ま、待ってぇ~……」
おしまい
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 01:26:49.52 ID:zlJbMKhs0
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
というわけでおしまい……と言いたいところだが皆さんには保守してもらう。
書き溜めゼロゆえ、後半は完全に女戦士のことを忘れていた。
もし明日まで残っていれば書かせていただく。
さぁ寝るが良い。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:52:09.79 ID:zlJbMKhs0
>>89
それを言っちゃあおしまいよ……
というわけで保守サンクスでした! 投下いきまっす!
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:52:54.46 ID:zlJbMKhs0
数日後、酒場
ショタ魔王「お、お持ちいたしましゅた!」
名無し男「おーいこっちにも酒酒~!」
名無し女「ショタくーん、こっちにもちょーだーい!」
ショタ魔王「た、ただいま~!」
女勇者「……おい店長」
店長「いやぁショタくんが看板として働いてくれるお陰でウハウハだぜ、わはははは」
女勇者「人の店の営業方針に口を出すのはどうかと思うがな! なんでエプロンドレス着せてるんだよ!?」
店長「メイド服もダメだとしたら他に何を着せればいいの!?」
女勇者「男物を着せてやるって発想はお前の脳内にはないのか!」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:53:45.02 ID:zlJbMKhs0
店長「そうは言われてもだな、この大繁盛振りは9割がたショタくんの格好の功績なわけで」
女勇者「そうか、なら店主が五体バラされて川原に晒されてもこの店は問題なしだな」
店長「待て待て待て待て待て」
女戦士「ちょっとちょっと勇者ちゃーん、また店長さん困らせてるの~?」
女勇者「げ」
店長「おぉお客さん! 助かりました!」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:54:33.17 ID:zlJbMKhs0
女戦士「もう本当にすみませんねえ、私の心の共が」
女勇者「誰が心の共だ誰が」
女戦士「ひどい! 心通った嬉しさに抱き合った日のことを忘れたの!?」
女勇者「いつ私達が合唱コンクールに出た!?」
ショタ魔王「て、店内ではお静かにお願いしましゅ!」
名無し男「おぉ! あの二人に向けて啖呵を切ったぞ!」
名無し女「勇気あるのね~」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:55:19.92 ID:zlJbMKhs0
女勇者「……クソ、完全に悪役じゃんか」
女戦士「うふふ、勇者って職業はいきなり魔王をやっつけに行って金品をぶん捕ってくる強盗じゃない」
女勇者「やかましい」
女戦士「機嫌直してよぉ~、仕事の話持ってきたから~」
女勇者「その話はこんな人だらけのところで話せるような内容か?」
女戦士「んー、ちょっと無理かなー」
女勇者「店長、御代だ」
店長「へい毎度!」
ショタ魔王「……あっ」
店員「おいショタこっちこっち!」
ショタ魔王「は、はい~!」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:56:54.16 ID:zlJbMKhs0
女戦士「それにしてもあの子かっわいいわねぇ! ほんのちょっと前まで幽閉されてたのに、魔族ってのも隠して人の場で働いてるなんて」
女勇者「そんなでかい声で言ってやるな。誰かが聞いてたらどうする」
女戦士「こんな裏路地に人なんて来ないわよぉ。……さてと、本題に入りましょうか。最近、魔法と連動した機械兵器が魔王共に出
回ってるのを知ってるわよね?」
女勇者「あぁ知ってる。この前に連射カスタムの大砲を持ったドラゴンとやりあったよ」
女戦士「そりゃ良かった。兵器の威力を説明しなくて済むわ。……で、その機械を作っている工場が見つかったのよ」
女勇者「ほぉ」
女戦士「場所は北の山の、使われなくなった大坑道。表立った仕事じゃないから保険はゼロだけど、その分報酬は高いわ」
女勇者「もとより小遣い稼ぎでこの仕事やってるわけじゃないんでね。返事なんて決まってるよ。あともう一人連れがいるから」
女戦士「話が早くて助かるわ~。連れ? いいわよ~」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:58:46.72 ID:zlJbMKhs0
翌朝
女勇者「起きろ」ユサユサ
ショタ魔王「ん……ぷえ!? お、女勇者さん!? よ、夜這いならもっと夜中にぎゃぶ!!」ドゴ
女勇者「今日は私の仕事だ。手伝いに来てもらうよ」
ショタ魔王「は、はひ」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:59:44.36 ID:zlJbMKhs0
女戦士「遅かったわね……って、あら?」
ショタ魔王「こ、こんにちは~」
女勇者「こいつが昨日言ってた連れだ」
女戦士「なぁんだ、勇者ちゃんもやっぱり年下好きだったのね! 杯を交わそうじゃ危なっ!!」ズバァッ
女勇者「避けるなタコ。あいにく私に年下趣味は無い。こいつは魔法剣の魔力の元なんでな、
置いていくわけにもいかないんだよ。回復魔法は一級品だから邪魔にはならん」
女戦士「なんだツンデレって奴うわわっ!!」ズバンッ
ショタ魔王「ですよねですよねツンデぎゃん!!」ドゴッ
女勇者「行くぞさっさと」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:00:35.52 ID:zlJbMKhs0
女勇者「さて北の山に入って大坑道も潜って工場の前にまで着いたワケだが」
ショタ魔王「だから中間早すぎますよ」
女戦士「うふふ、魔物は強い相手を簡単には襲わないからね~。私達二人が居れば自動的に無制限ゴールドスプレー発動よ」
女勇者「……開けるぞ」
ギィィィ
ゴォン、オォン……
女勇者「……なんだぁこりゃあ」
女戦士「……人っ子一人いないわね」
ショタ魔王「それどころか魔物すらもいませんよ。完全に機械だけの工場だ……」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:01:42.41 ID:zlJbMKhs0
女勇者「この場で適当に暴れまわればいいんだな?」
ショタ魔王「そんな無茶はやめてくださいってば! ここは地下なんですよ、下手に暴れたら岩盤が崩れちゃいますよ」
女戦士「……いえ、どうやらそうもいかないみたい」
ショタ魔王「え?」
ガゥン、ゴゥン……
機械竜「コォォォォォ……」
女勇者「いきなりラスボス様のご登場か。こりゃ暴れないワケにゃいかんな。速い展開は大好きだよ」
ショタ魔王「く、崩れないように戦ってくださいよ!!」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:05:14.36 ID:zlJbMKhs0
機械竜「ギャオオォォオォォォ!!!」
ガシャガシャガシャ!!
女勇者「チッ、いきなり最高にHIGHな状態かよ。戦士!! 私がこいつを引きつけるから、その隙に近づいてデカいのをブチ込め!!」
女戦士「オーケー。ってかあれ全部が連射カスタムの大砲? 厄介ね~」
ショタ魔王「ちょ、ちょっと女勇者さん! あの人素手ですよ!? 役割逆じゃ……」
女勇者「あいつは大砲を二つ持ってるんだぜ」
ショタ魔王「?」
女勇者「……来るぞ!! つかまってな!」だき
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:06:48.81 ID:zlJbMKhs0
ドガガガガガガッ!!!
ショタ魔王「わわわッ! ちょ女勇者さん胸」
女勇者「ほらほらこっちだこっちだ!!」
ひょいひょいひょい
機械竜「ギャウウウウォオォァァァアアア!!!」
ガガガガガガッ!!!
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:08:43.01 ID:zlJbMKhs0
女戦士「んー、びっくり。本当に連射可能なのねえ。あんな兵器、誰が作ったのかしら?」
女戦士「まあいいわ。こうして肩にもよじ登れたし」
女戦士「はーい竜さん、ご気分はどう?」
機械竜「ギャ?」
女戦士「拳骨一つ、いかがかしら? えい」
ドギュアァァッ!!!
機械竜「ギャギィィィイイイイイイイ!!?」
ドザザッ、ザザザァッ!!
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:09:37.81 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「えぇー!? す、素手で吹っ飛ばし……!」
女勇者「あいつ、腕力だけなら魔物より有るぜ」
ショタ「に、人間……ですか?」
機械竜「ギャ、ガ、ギィィ……!!」よろよろ
女戦士「あら、ふらふらなのにまだ立てるの! 結構頑丈なのね。んー、確かに右手がちょっとジンジンするわ」
ショタ魔王「鋼鉄の塊を素手で殴ったら当然ですよ! すぐに治しますから」
女戦士「あらお早い治療ありがとう」
女勇者「……ったく」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:11:01.97 ID:zlJbMKhs0
機械竜「……ニヤァ」
ガコン
女戦士「……あらら?」
ショタ魔王「……床g」
ピュ~……
女戦士「あらららら~!」
ショタ魔王「ふにゃああああ!!」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:12:44.75 ID:zlJbMKhs0
女勇者「なっ、オイ!!」
機械竜「ギギギィ!!」
バサバサすたこらさっさ
女勇者「……チィ!! クソッ!!」
ダダダッ
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:14:32.41 ID:zlJbMKhs0
ふわふわふわ……
女戦士「ふぅ、危なかった。凄いのねえ、まさか飛べるなんて」
ショタ魔王「落下を遅くしただけですよ。飛べるのなんて鳥だけです」
女戦士「あら、意外と不便なところもあるのね」
ショタ魔王「魔法が何でも出来るなんて大間違いですよ。……右手見せてください、治しますから」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:15:41.65 ID:zlJbMKhs0
ポワン……
女戦士「こういうの見ると、やっぱり何でも出来ちゃうように思えちゃうわね」
ショタ魔王「あくまで自己治癒の力を高めてあげているだけですから。それは人間の薬や治療も同じでしょう?」
女戦士「そういうものなのかしら」
ショタ魔王「……魔法って言ったって、自分の回復力が低い老いた人を助けてあげることも出来ません」
女戦士「……そう」
ショタ魔王「……」
女戦士「……ねえ、あなた、勇者ちゃんのことが好きなんでしょ?」
ショタ魔王「そうです、大好きです。今は見向きもされないですけど、強い男になって惚れてもらうんです」
女戦士「それは幽閉の寂しさや、助け出してくれた人の憧れではなくて?」
ショタ魔王「僕だって長生きしてるんですよ? その区別くらいは出来ます」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:17:54.75 ID:zlJbMKhs0
女戦士「……ねえショタ君」
ショタ魔王「はい」
女戦士「私には、弟が居たの」
ショタ魔王「……?」
女戦士「可愛い可愛い弟だったわ。私は小さいころからこんな怪物じみた力持ちだったから、ロクな人間扱いされなかったけど、
弟はこんな私を、かっこいいって言ってくれたの」
ショタ魔王「……」
女戦士「だから強くなろうと思った。この子を守るために、どんな人よりも、どんな魔物よりも。……でもね」
女戦士「あっさり食べられちゃったわ。弟は。『魔王』に」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:20:44.39 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「……!」
女戦士「今からすれば魔王を名乗るにはとても足りない屑中の屑も良い所なんだけど、私は弱かった。全然歯が立たなかった」
女戦士「今でもよぉく、覚えているわ。魔物の口から覗く、弟の顔を。その口が、助けて、と動いたこともね」
ショタ魔王「……女戦士さ」
女戦士「ねえショタくん? 貴方は本当に、魔族? 他人? ひょっとしたら、墓地から蘇ってきた、私の弟なんじゃないかしら?
それともあのときの魔王が弟の姿を借りて、改めて私を食べに来たのかしら?」
ショタ魔王「な、にを、言って」
女戦士「見れば見るほど、そっくりよ……弟にも、魔王にも……う、ふふ」
ショタ魔王「――やめてください。やめてっ……!」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:21:58.07 ID:zlJbMKhs0
女勇者「戦士、ショタ!! 無事か!!」
女戦士「あら」
ショタ魔王「女勇者さ……ん」
女勇者「かなり高さがあったからな、死んだかとも思ったが……無駄に心配させんじゃねえよ」
女戦士「ええ、全くもって大丈夫だったわ。ショタくんが私を優しく抱っこしてくれたからねぇ」
ショタ魔王「女戦士さん、誤解させるようなこと言わないで下さいよ!?」
女勇者「そんなことほざいといて、勘違いしてほしかったんだろ? 100年早いんだよ」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:23:07.81 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「だから僕は子供じゃないで……あう」
女勇者「……無事でよかった」なでなで
ショタ魔王「う、う……」
女戦士「はーい、感動の再会の途中で悪いんだけど、まーた来たわよ~」
機械竜「ギガァァァァ!!!!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:26:11.18 ID:zlJbMKhs0
ガシャコンガシャコン、ガチャガチャ
ショタ魔王「そうか、あの機械竜……僕たちこの狭いところに追い込むために、あの落とし穴を」
女勇者「だからってありゃねーだろ。あれこれ大砲付けすぎて、黒歴史の自由工作みたいになってるぞ」
女戦士「どうやらこの工場にある兵器を装着できうるかぎり装着したのかしら~? 火力の大幅な増強のためにダサい格好を代償にしたみたいねぇ」
女勇者「じゃああいつを倒せば、この工場自体をあらかたブチ壊したことになるんだな?」
女戦士「でしょうね~? 見たところ、製造に必要な部品まで自分に装着してるし」
ショタ魔王「撃ってきますよー!?」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:27:20.30 ID:zlJbMKhs0
機械竜「ギャゴォォォォォ!!!」
ギャギャギャギャギャギャッ!!!!
女勇者「おおっとぉ!」
ショタ魔王「うわわわー!!」
女戦士「あっららら~」
ひょいひょいひょい
女勇者「あんだけ砲口があると、流石に方向の届かない死角がないなー。さっきまでの戦法が使えないよ」
女戦士「んー、懐にもぐりこめないとちょっと無理ね~」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:29:05.40 ID:zlJbMKhs0
ショタ魔王「……女勇者さん、女戦士さん、僕に考えがあります!」
女勇者「ん?」
女戦車「あら?」
ショタ魔王「女勇者さんは前方、右、左の三方向に斬撃を放ってください。僕がそれに乗せて魔力の刃を飛ばします」
女勇者「お前な、攻撃魔法の弱さは自覚してるんだろ?」
ショタ魔王「これはあくまで目潰しです。機械竜も迎撃に大砲を幾つか使わざるを得ないはず。
その三つに注意をひきつけている間に、女戦士さんが飛び込んでください」
女戦士「んー、けどあの大砲の数じゃ、あまる大砲も十分あるわよ?」
ショタ魔王「僕が魔法の盾を作ります。懐に飛び込むまでなら、防ぎきれる」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:32:30.54 ID:zlJbMKhs0
女戦士「……あなた、それにどれだけ魔力が必要なのか分かって」
ショタ魔王「出来ます!」
女勇者「……こいつの魔力の絶対量は大したもんだぜ、戦士。それは私が保証する」
ショタ魔王「女戦士さん!」
女戦士「……いいわ、やってみようじゃない」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:34:50.15 ID:zlJbMKhs0
女勇者「それじゃ行くよぉ!! だりゃッ、だりゃッ、うおらぁ!!!」
ショタ魔王「行けえ!!」
ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウウゥゥゥ!!!
機械竜「ギャギィ!!」
ダガガガガガッ!!
ショタ魔王「戦士さん!!」
女戦士「とっつげき~!!」
ダダダッ!!
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:37:06.24 ID:zlJbMKhs0
機械竜「ギャウォォォォォォォ!!!」
ショタ魔王「はっ!!」
バチッバチバチッバババババ!!
ショタ魔王「ぐ、ぐぅ、向こうの威力が強すぎて、盾が……」
女勇者「おい機械竜が斬撃を処理しきちまったぞ!! 大砲が全部、女戦士に!!」
機械竜「ギャウガァァァァォォォォアアアアアア!!!」
ズドォォォォォン!!!
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:39:28.62 ID:zlJbMKhs0
女戦士「――危ない危ない。何とかもぐりこめたわ」
機械竜「ギィ!?」
女戦士「そうそう言い忘れてたわ機械さん」
女戦士「私、左利きなの」
ドゴォォォォォン!!!!
機械竜「ギャグギッ!! ―――ギャバッ、ガッ、――ッ! ――ッ ……ッ ……」
ドガシャッ、ザザッ、バラ、バラ……プスン、プスン……ガシャァッ。
ショタ魔王「な、なんてストレート……」
女勇者「一撃であの巨体がスクラップか。全く味方で良かったよ……」
女戦士「うふふ、ゴメンナサイね♪」
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:41:26.83 ID:zlJbMKhs0
数日後、裏路地。
女戦士「はーい、今回の報酬ですよ」ジャラジャラ
女勇者「確かに受け取った」
女戦士「ショタ君にもちゃんと渡してあげてよ? あの子が今回一番活躍したんだから」
女勇者「分かってるよ。そこまでがめつくない」
女戦士「うふふ」
女勇者「……あぁ、そうだ」
女戦士「?」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:47:08.58 ID:zlJbMKhs0
女勇者「……お前、分かってんだろ? あいつが」
女戦士「さぁ? 私が知ってるのは、あの子が魔族であることだけよ?」
女勇者「――」
女戦士「でも不思議なのよねえ。最悪の絶望を味あわせてバラバラにしてあげたい気持ちと、
あの子をあらゆることから守ってあげたい気持ちが混じってるの」
女勇者「……そうか」
女戦士「守りたいにしろ、バラしたいにしろ、誰かに殺されちゃあおしまい」
女戦士「だから守ってあげて頂戴よ? パートナーさん?」
女勇者「……へいへい」
店員「ショタァー! こっち頼む!!」
ショタ魔王「はいはいはーい~!!」
おしまい
149 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:11:41.38 ID:Okqlr1yu0
酒場
ショタ魔王「ぷわーっ! 美味しいですこのミルク」
店長「がっはっは、今日はお前さんは非番だからな。たまには客として持て成してもやらんと」
ショタ魔王「ありがとうございます、店長さん」
店長「けどショタくんが非番だと客が来ねえ……とほほ……」
ショタ魔王「あ、あはは……」
店長「しかしショタ君はいっつもあの女勇者にひっついてやがるがよぉ、何だってそんなこと?」
ショタ魔王「えへへ、僕あの人のこと好きですから」
150 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:12:40.45 ID:Okqlr1yu0
店長「っかー、ストレートだな。ますますあの仏頂面にはもったいねえ」
女勇者「誰が仏頂面だって? 誰が」
店長「……げぇっ! 女勇者!」
女勇者「男に女物の服を着せる野郎よりはマシだろうよ」
ショタ魔王「しょうがないですよ、あれが制服なんですから。それにあれ結構気にいってますし」
店長「そうか! なら他にもたくさんあr」
女勇者「斬るぞ」
152 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:24:09.12 ID:Okqlr1yu0
店長「OKOK分かった分かった」
ショタ魔王「でも女勇者さんだって笑えば可愛いんですから、そんなむすっとしてなくてもいいじゃないですか」
女勇者「そうか、こんな感じか」にやにやにや
ショタ魔王「バカにした笑いは余計に性質が悪いです!!」
カラン、カラン
男剣士「邪魔するよ」
153 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:26:28.05 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「いらっしゃいましぇ! ……ハッ」
女勇者「お前今は客だろう」
店長「らっしゃい!」
男剣士「いや悪い、少し人を探していて。ここによく来る女の剣士のことを聞いたんだが」
女勇者「そりゃ私のこと……あ?」
店長「ん? どうした女勇者」
ショタ魔王「え? 知り合い……ですか?」
155 名前: ◆YTNdSCypUo [] 投稿日:2010/03/12(金) 22:36:38.46 ID:Okqlr1yu0
女勇者「……お前、ひょっとして、男?」
男剣士「そういうお前は、女、だよな?」
女勇者「……よう、久しぶりじゃないか」ニコッ
男剣士「そういうお前こそ、よく生きてたな」ニコッ
ショタ魔王&店長「「!?」」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 22:42:29.00 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「えーと、つまり男剣士さんは」
男剣士「あー、男でいい。ま、こいつの兄貴分ってところだ。確か二つ上だったっけか」ぽんぽん
女勇者「三つだよ。ちゃんと覚えてろ」
店長「(女が叩かれるままになっている……だと……? たいしたやつだ……)」
ショタ魔王「へ、へぇ~、お兄さん、かぁ……」
女勇者「顔がひきつってんぞオイ」
男剣士「はは、悪い悪い。こんな傷だらけの顔じゃあ怖がるよな」
ショタ魔王「僕は怖がったりなんかしませんっ」
男剣士「おー、元気だな!」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 22:50:54.35 ID:Okqlr1yu0
店長「そんなに傷を持ってるってこたぁ、お前さんはやっぱり魔王狩りの勇者さんってことかい?」
女勇者「そんじょそこらの勇者じゃねえよ、こいつは。初代勇者の末裔だからな」
……
ショタ魔王&店長「「ΩΩ<な、何だってー!?」」
男剣士「お、おいおい女」
女勇者「いいじゃねえか。まだ魔王ってのが一人だけの頃にお前の家系から勇者ってのが選出されてたワケだろ? 大したもんだよな」
ショタ魔王「……す、すごいです」
男剣士「いや、すごいのは爺さん達だけだよ。俺はただの剣士、大したことないさ」
女勇者「謙遜しちゃってよぉ全く」ケラケラ
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:07:50.16 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「……」むすーっ
女勇者「……あん? どうした?」
ショタ魔王「そうですよねっ、懐かしい人と会ったら僕はオジャマですよねっ。外行ってきます!」
カランカラン!
女勇者「……んだよ全く」
男剣士「あらら、怒らせちゃったかな」
店長「……女勇者よォ、お前も罪作りな女だぜ」
女勇者「?」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:13:50.32 ID:Okqlr1yu0
ショタ魔王「……ッ、……ッ」プンプン
ショタ魔王「…………」とぼとぼ
ショタ魔王「……はぁ」しょんぼり
女戦士「あら、ショタ君じゃないの~。どうしたのため息なんかついちゃって」
ショタ魔王「あ、女戦士さん……実は……」
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:20:15.68 ID:Okqlr1yu0
かくかくしかじか
女戦士「へぇ、あの勇者ちゃんの幼馴染さんねえ」
ショタ魔王「あんなにニコニコしてる勇者さん初めて見ました。僕の前ではニヤニヤ笑いしかしてくれないのにっ」
女戦士「よっぽど自慢の幼馴染なんでしょう。それにしてもデリカシーのない子ねぇ、ショタ君の目の前でそうもまぁ」
ショタ魔王「僕だって何度も告白したりしてるのに……本当に、相手にしてくれないんだなぁ……」しょぼーん
女戦士「……ショタ君!」
ショタ魔王「ふえ?」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:25:43.09 ID:Okqlr1yu0
女戦士「実はね、もうすぐ勇者ちゃんの誕生日なの」
ショタ魔王「た、誕生日?」
女戦士「そうよ! だからプレゼントを渡してあげなさい」
ショタ魔王「で、でもお金……」
女戦士「そんな心配は必要ないわっ。この私に任せておきなさい!」どん!
ショタ魔王「は、はひ!」
女戦士「……それにしても、勇者の末裔、ね」ボソッ
ショタ魔王「?」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:34:31.38 ID:Okqlr1yu0
数週間後
ショタ魔王「今日が女勇者さんの誕生日かぁ……はやいなぁ。えっとこういうの何だっけ、キンクリって言ったような」
ショタ魔王「えへへ、今夜は酒場を借りきってみんなでパーティも開けるし」
ショタ魔王「女戦士さんがプレゼントのお金も出してくれたけど、ちゃんと返さなくちゃ」
ショタ魔王「この剣……喜んでくれるかな」
女勇者「何一人でニヤニヤしてるんだよ魔王」
ショタ魔王「お、女勇者さん!? みみみ見ました!?」
女勇者「ん、何をだ?」
ショタ魔王「あ、あはははは!! ななななナンデモナイデスヨ!?」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 23:49:54.05 ID:Okqlr1yu0
女勇者「そうかい、ならいいんだけどな。あぁ、私はちょっと出てくるよ」
ショタ魔王「はーい、いってらっしゃい……」
スタスタスタ……
ショタ魔王「珍しいな、いっつもゴロゴロしてるのに。何しに行くんだろう」
店員「おーい、ショタ」
ショタ魔王「あ、店員さん」
店員「非番の日に悪い! ちょっと届け物が出ちまってな。どうしても手ぇ離せなくて……行ってくれないか?」
ショタ魔王「はい、お安い御用です!」
店員「そうか、助かるぜ」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:01:51.07 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「はぁ、ちょっと遅くなっちゃった。意外と遠かったなぁ」
ショタ魔王「急いで帰らないと……ん?」
ショタ魔王「(――あれ、女勇者さんと男剣士さんじゃ)」
女勇者「半日も連れまわしやがって、こういう服は中々慣れねえよ」
男剣士「はは、よく似合ってるよ、女」
女勇者「……うるせえ、男」
ショタ魔王「――」
……ヒュゥゥ……
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:10:17.77 ID:+xptvFJ60
女勇者「そろそろ御暇させてもらうぞ。今日はショタの奴に酒場に呼ばれててな」
男剣士「おいおい、子供に酒盛りさせる気かい?」
女勇者「ちげえよバカ」
ショタ魔王「――」
……ヒュゥゥ……
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:12:56.81 ID:+xptvFJ60
女勇者「じゃあな、いい加減行かないと遅れる」
男剣士「あぁ待ってくれ。最後に」
女勇者「なんだよまった、く……――」
ショタ魔王「――」
……ヒュゥゥ……
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:17:48.39 ID:+xptvFJ60
女勇者「……こいつは、剣か?」
男剣士「折れたと聞いたからね。今日が自分の誕生日だって、忘れてたんじゃないのかい?」
女勇者「……」
男剣士「今はあの男の子の魔力で剣を借りているらしいけれど、『あの子に負担をかけ続けるわけにもいかないだろう』?」
女勇者「……そう、かもな」
ショタ魔王「――」
――ガシャ……
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:22:32.83 ID:+xptvFJ60
女勇者「!」バッ
男剣士「……! ショタ君?」
女勇者「お前、何やっ――それ、剣……?」
ショタ魔王「……嫌いだ」
女勇者「お、い?」
ショタ魔王「女勇者さんなんて、大っ嫌いだぁッ!!!」
ダダダダッ!!!
女勇者「お、おい!! ショタ!!」
男剣士「……女、早く追いかけろ!」
女勇者「ッ、済まねえ!!」
ダダダッ……
男剣士「……」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:23:59.33 ID:+xptvFJ60
タッタッタ……
ショタ魔王「はぁっはぁっ、えぐ、ぐすっ、うぐ……!!」
ショタ魔王「(僕は女勇者さんの役に立ててると思ってた!!)」
ショタ魔王「(違ったんだ!! あの人にとって僕はむしろ足かせだったんだ!!)」
ショタ魔王「ひぐ、うぐ、あぐぅぅ……!!」ぐしゅぐしゅ
ショタ魔王「(何が、何が妻だよ……!! 僕が、僕がもっと強かったなら!!
本物の魔王みたいに、もっともっと強かったなら!! 『負担になる』なんてこと、思わせずに済んだのに!! それに……!!)」
ドサ……
ショタ魔王「……ぎらい、なんで。言っぢゃ、った」
ショタ魔王「……あう、うわ、うわぁぁぁぁぁ……!!」ボロボロボロ……
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:29:57.71 ID:+xptvFJ60
ヒュゥゥゥ……ザザ、ザザ……ヒュゥゥゥ
ショタ魔王「……?」ぐしぐし
ショタ魔王「(……なんだろう。今、風に乗せて、何か聞こえたような……)」
???『あぁ、少し予想外のことはあったが……なんら支障は無い』
???『まもなく、この城下町への攻撃を開始しろ』
ショタ魔王「……あれ、って」
男剣士『魔王の名のもとに』
ショタ魔王「……おとこ、さん?」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:36:18.97 ID:+xptvFJ60
男剣士「……! やぁ、ショタくん。さっきは済まなかった。女が君を探しているよ」ニコニコ
ショタ魔王「あの、攻撃、って」
男剣士「ああ、聞こえちゃったか、怖がらせてごめんよ。やだなぁ、冗談に決まっているだろう?」ニコニコ
ショタ魔王「『魔王の名のもとに』」
男剣士「……」……
ショタ魔王「冗談でも、勇者の末裔の人が、使う言葉じゃないですよね」
男剣士「……参ったなぁ」ニコ
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:42:27.59 ID:+xptvFJ60
バッ!!
機械人形「ギキィ!!」
ショタ魔王「!? うわっ!」
ドシャ!!
ショタ魔王「な、何を……! あっ」
ぐい
男剣士「その耳、やっぱり魔族だったんだね。これから俺は、君たちの御仲間になる。仲良くしようじゃないか。少し、大人しくしていてくれ」
ショタ魔王「どういうことなんです!?」
男剣士「それを今から話すよ。どうせこの街は、今夜で消え去る。森からの砲撃が、もうすぐ始まるよ」
ショタ魔王「!!」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 00:49:48.94 ID:+xptvFJ60
男剣士「どこから話そうか……やっぱり最初から話させてもらおう」
男剣士「俺のじいさんは、最後の勇者だった」
男剣士「親父とおふくろが早くに死んじまって、全ての血のつながりが絶えた俺を引き取って育ててくれたんだ」
男剣士「いい人だったよ。本当に。何せ自分が倒した最後の魔王に、自分の孫を抱かせられるくらい和解できたんだから」
男剣士「二人は事あるごとに今の世界を憂いていたよ。世の中には魔王を名乗る二流三流があふれ、
そしてそれを狩り矮小な誇りを満たすばかりの勇者たちがいることをね」
男剣士「最後は二人とも、勇者を名乗る二流どもと、魔王を名乗る二流どもに、殺されたよ」
男剣士「どうやらその時に、俺は頭がいかれちまったらしい」
男剣士「絶対的な悪である魔王と、絶対的な正義である勇者が一人ずつなら、この混沌を正せるとね」
ショタ魔王「その勇者に、あなたはなる気なんですか」
男剣士「違うよ。君たちの御仲間になるのさ、俺は」
男剣士「――俺が魔王になる」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:11:33.66 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「!!?」
男剣士「こんな悪党が勇者? ありえないだろう常識的に考えて。
悪意の限りを尽くした揚句、ブチ殺されて河原にさらされる役目がお似合いなんだよ」
ショタ魔王「じゃあ、勇者は」
男剣士「女、さ」
ショタ魔王「……!! 女勇者、さん……?」
男剣士「彼女の強さは本物だ。そこらにうじゃうじゃといるメッキの勇者共とは、格が違う。それは俺が一番よく知っている」
男剣士「自分の住んでいる街を消されたとなれば、女も俺を本気で憎み、憎悪し、殺しに来る」
男剣士「それが魔王と勇者の……世界の正しい姿だと、思わないかい?」ニコニコ
ショタ魔王「(この人……! もうまともな人間じゃない!! 狂ってる!! 魔族よりも……!!)」
ショタ魔王「(……だけど!!)」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:16:50.09 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「……ふざけ、るな……!!」
ググ……!
機械人形「ギッ」
男剣士「……!」
ショタ魔王「女、勇者さんを……そんなことに、使わせてたまるもんかっ!!!」
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:23:26.22 ID:+xptvFJ60
機械人形「ギッ!」
グイッ!
ショタ魔王「ぐっ……!」
男剣士「無理だよ、君じゃそいつを押しのけるなんて、不可能だ」
ショタ魔王「やってみなくちゃ、分からないだろっ!! それにっ……!!」
男剣士「?」
ショタ魔王「男さんを魔王になんてさせてたまるもんかぁっ!!!」
男剣士「!!」
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:32:54.05 ID:+xptvFJ60
男剣士「……どういう意味だ」
ショタ魔王「……あなたは、人間だ。魔族じゃない……!! 僕ら魔物と人間とじゃ、どんなに頑張ったって、生きる時間も何もかもが違う!」
ショタ魔王「僕は女勇者さんが大好きだ!! だけれど!! 遠い未来にどうやったって僕は置いてかれる!!」
ショタ魔王「でも、あなたは……あなたは違う!! 同じ時間を、歩いて行ける!!」
男剣士「……!!」
ショタ魔王「女勇者さんの笑顔は、本物だった!! それはあなたが……一番良く分かってるんでしょう!!」
機械人形「ギィィィ!!」
ショタ魔王「うぐっ!!」
男剣士「……流石に魔族というだけあって、そんな背格好でも年月を重ねているようだね。
どうやら君は、この場で殺しておかなければならないようだ」
ショタ魔王「う、うぅ……」
男剣士「……さようなら」
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:36:59.45 ID:+xptvFJ60
「ショタァァァァァ!!!」
ズバァッ!!!
機械人形「ギャギィ!?」
バラバラ……
男剣士「……な?」
ショタ魔王「……魔力の、刃?」
女勇者「おい……こいつはいったい、どういうことだ!! ショタに何してやがる!? いくらお前でもタダじゃ済まさねえぞ!!」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:43:45.26 ID:+xptvFJ60
>>189
SSB(スーパーシリアスブレイク)
ショタ魔王「……女勇者、さん……」
男剣士「……それが魔力で編んだ剣か。でも俺達を攻撃するなら、俺の渡した剣を使った方が壊しやすいよ」ニコニコ
女勇者「茶化してるんじゃねえよ。とっとと質問に」
――ッドォン!!
パラパラ……
女勇者「答え……!?」
男剣士「始まったか」
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:45:51.97 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「お、女勇者さん! 落ち着いて聞いてください! 今、外からこの街は砲撃を受けてます!!」
女勇者「……んだとぉ!? クソッ、外だな!!」
男剣士「もう遅い。この砲撃が皮切りだ、弾丸の雨が降り注……」
――シン……
男剣士「……がない?」
「うふふ~。不思議かしら~」
カッ! カッ! カッ!
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:47:52.91 ID:+xptvFJ60
男剣士「!?」
ショタ魔王「うわっ、まぶしっ!!」
女勇者「なんだ、ライト……!?」
店長『男剣士ぃ!! お前は今完全に包囲されている!! 大人しく武器を捨てて投降しろ!!』
店員『外にいた奴等は全員ぶっ潰したぞ!!』
名無し男『一匹倒し損ねたようだが、追撃が来ないところを見ると倒しきれたみたいだな!!』
名無し女『この街の賞金稼ぎ全員が集まってるわよ!! 覚悟することねー!!』
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:54:37.46 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「て、店長さん!? 店員さんに、お客さんたちも……!」
男剣士「……なんだこれは?」
女戦士「それは私が説明してあげましょ~。勇者の末裔、魔王、そして機械兵器という悪意をバラまいた張本人さん♪」
女勇者「……おい、意味が分からないんだが」
女戦士「あの男はね~、連射カスタムの大砲、工場の一件に両方とも絡んでいるのよ~。
潰し合わせとデータ収集を兼ねて、機械兵器を魔物たちにバラまいた。自分がただ一人の『魔王』となるために」
女戦士「今回のこれだけ大規模な攻撃を水面下で準備してたのは評価に値するわ~。まぁ私にばれちゃったけど。
みんなにもばらしてあげたらホラこの通り。うふふ、街思いの人たちよね~」
女勇者「なるほど、分からん。……けど分かったこともある」
女戦士「ショタ君をいじめて、大砲を街にぶち込んだ犯人さんってこと、ね」
女勇者「あぁ……! おい男ォ!! 何考えてるのか知らないが、この落し前はつけさせてもらうぞ!!」
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 01:59:47.91 ID:+xptvFJ60
男剣士「く、くく……ははははは!!」
女勇者「何がおかしい!!」
男剣士「女は、今、俺に勝つ気なのかい? 周りの連中も、俺に勝つ気なのかい? そう考えると、笑いが止まらない!! はははは!!」
店長『何だこの中二野郎!! 構わねえ!! 袋叩きだ!!』
一同『おぉッ!!』
ショタ魔王「ま、待ってくださ……!!」
バババババッ!!
機械人形「「「「ギギギギギィ!!!」」」」
男剣士「俺のもたらす最初の災厄が、街一つ消えることから、実力者が皆殺しにされることに変わっただけだよ」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:08:55.70 ID:+xptvFJ60
店員『な、なんだコイツら!! どこから!?』
名無し男『ひるむなぁっ!!』
名無し女『行くわよ!!』
ドカガッ! バキッ、ズドォ!!
男剣士「さて、雑魚どもはコイツラに任せてと……女、邪魔の入らないところで勝負しようじゃないか」
女勇者「おもしれえ……!!」
ババッ!
ショタ魔王「女勇者さ……!!」
女戦士「はいショタ君はこっち!!」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:17:04.67 ID:+xptvFJ60
タン……
トン……
男剣士「この城は無人のようだ。誰からの邪魔も入らない」
女勇者「あぁそうさ。この城の魔王は私が倒したからよ」
男剣士「それは素晴らしいことだね。魔王という存在は、必ず勇者に倒されなくてはいけないんだから。俺もいつかは女に倒されるんだろう」
女勇者「いつかじゃねえ。今だ」
男剣士「倒される覚悟はあるが、少なくとも今では無いよ」
機械人形「ギィィィィ!!」
店長「クソッ! キリがねえ!! 一匹も人通りのあるところに出すんじゃねえぞ!!」ドギャ!!
名無し女「どっから湧いてるのよコイツらぁ!!」バギィ!!
女戦士「茂みや木の洞から飛び出してきてるけど、いくらなんでも多すぎるわね~」ドゴォ!!
ショタ魔王「(元を! 元を叩かなきゃ……!! でも、何処に!?)」
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:31:57.50 ID:+xptvFJ60
ギィン! ガァン!!
女勇者「……チッ!」
男剣士「その魔法剣を使うのはよしたら? 魔力の主と離れすぎて、能力が半減しているよ」
女勇者「……ゴチャゴチャとうるせえ」
男剣士「それに俺を殺すつもりなら、さっきも言ったけれど、俺が渡した剣を使った方がいい。ずっと俺を殺しやすい」
女勇者「うるせえんだよ」
男剣士「それは将来、女が俺と本気で戦う時のために、渡したものだ。今使われても、全然かまわないよ。ちょうどよいハンデになる」
女勇者「誰が使うかこんな胸糞悪いもの!!」
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:33:22.28 ID:+xptvFJ60
ショタ魔王「(神経を、限界まで集中させろ……!)……!!」
女戦士「ショタ君?」
ショタ魔王「……見つけ、ました! 地面の下です!」
店員「地面の下ぁ!?」
名無し男「どうしろってんだよ!? 掘削機なんかねーぞ!!」
女戦士「みなさーん。じわれにご注意くださーい。いちげきひっさつがタワークオリティで当たっちゃいますよぉ」グググ……!!
一同「へ?」「ギ?」
ドゴォォォォ!!!
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:35:00.31 ID:+xptvFJ60
ザシュ!!
女勇者「がっ!!」
男剣士「やれやれ、だから言ったろう? もう立てまい。決着は、俺がただ一人の魔王になり、女がただ一人の勇者になった後だ」
女勇者「……へ、へ……生憎私は、せっかちなんだよ。頭より先に、体が動くくらいに」
男剣士「……なんで、立てる?」
女勇者「主人公補正……と言いたいところだが言わせてもらう。ここにいた魔王はなぁ、弱っちくて弱っちくて、あくびが出そうだった」
女勇者「けどなぁ、何度でも、何度でも!! 立ち上がってきた!!」
女勇者「その魔王を倒した私に同じことができなくて、どうするってんだ!!」
男剣士「……いいだろう、なら、今度こそ立てないようにしてやる!!」
両者「「おおおおおおぉぉぉぉ!!!」」
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:35:53.14 ID:+xptvFJ60
>>205
今全部書き終わった。
機械人形「ギャギィィィィィ!!」
ズゴゴゴ、ガラガラガラ……!!
店員「うおわぁぁぁ!!」
店長「店員掴まれえ!!」
名無し女「な、なんて無茶苦茶すんのよ……!!」
名無し男「全くだぜ……!! だけどよぉ、これで!!」
女戦士「うふふ、頼んだわよ~」
ヒュゥゥゥゥゥ……!!
ショタ魔王「(見えた……!! あれが中枢!!)」
ピピ、ビビビ、ピ……
ショタ魔王「(精密な機関である以上、たったの一太刀でも入れられれば致命傷の筈!!)」
ショタ魔王「(魔力の刃……!!)」
ショタ魔王「行っけえええええぇぇぇぇ――ッ!!!」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:38:11.06 ID:+xptvFJ60
ズバァッ……!!
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:38:52.09 ID:+xptvFJ60
>>208
悪い、無いわ。
男剣士「……」
女勇者「……」
男剣士「……そう、か」
女勇者「……」
男剣士「君にはもうひとつ、プレゼントが、送られていたんだね……」
ドサァ
女勇者「……男」
男剣士「ああ酷い。OPで終わるなんて、訴訟すれば勝てるね……」
女勇者「……」
男剣士「……負けちゃった、ナァ」
女勇者「……」
男剣士「……」
女勇者「――にい、さん」
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 02:40:32.94 ID:+xptvFJ60
ドザッ!!
ショタ魔王「あいったぁ……ギリギリで落下速度遅くできて、助かった……」
ショタ魔王「ちゅ、中枢は……!?」
ガシュ、プス、プスン……
ショタ魔王「……止まった?」
機械人形「「「――――」」」
ガシャン、ガシャ、ガシャ……
名無し男「おい、人形が……」
店員「壊れたぞ」
名無し女「や……やったのねあの子ぉ!!」
店長「おい!! ショタがやりやがったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一同『うおおおおおおぉぉぉぉお!!!』
女戦士「うふふ、すっごいわねえ、あの子」
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:00:27.69 ID:+xptvFJ60
さるくらってますた
>>213
へたくそでごめんねごめんね
数日後
ササササァッ……サァッ……
女勇者「……」ぽけーっ
女戦士「まーたこんなところでボーッとしてて。んーっ、でもここ風通しが良くていいわねえ……」
女勇者「……あぁ、女戦士か」
女戦士「気付くのも鈍くなってるわね~」
女勇者「……まぁ、な。幼馴染を、斬ったとなればよ。ナーバスになるだろ」
女戦士「……」
女勇者「やぁっと最近、理解が追い付いてきた。男のやろうとしたこと、やってきたこと……でも、あいつはなんで私なんかを」
女戦士「……止めてほしかったのよ」
女勇者「……」
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:03:47.66 ID:+xptvFJ60
女戦士「彼はそれなりに狂っていることを自覚していたわ。もう自分ではその狂気を止められないことにも」
女戦士「だからこそ、一番強いあなたに……止めてほしかったんでしょう」
女勇者「……死ぬために戦うなって、口酸っぱくして言ってたのになぁ……ばか、だよ。にいさん、は……」
女戦士「……」
店員「うぉおおおお!! 見つけたぁあああ!!」
女勇者&女戦士「?」
217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:04:44.61 ID:+xptvFJ60
駅
『まもなく発車いたします……駆け込み乗車はおやめください……』
ショタ魔王「今まで、本当にお世話になりました」ぺこり
店長「いいってことよ。うちの店は大繁盛になったんだからな! わっはっは!」
名無し男「ううう……もう見れないのか、ショタ君の制服姿は……」
名無し女「もうあの店に価値は無いわね……」
店長「おめええらあああ!! 大体どうしてこいつの予定知ってるんだよ!?」
名無し男「ファンとして知っておかなければ」
名無し女「そうそう」
ショタ魔王「あははは……」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:06:07.31 ID:+xptvFJ60
店長「……けどよ、どうしたってこんないきなり? 別にいくらでもウチで働いてくれてもよかったんだぜ」
ショタ魔王「……僕は、女勇者さんに認められたくて、この街に来ました」
ショタ魔王「でも、このままじゃ、女勇者さんには認められないんです。……女勇者さんにとっての一番は、ずっとあの人だから」
ショタ魔王「だから女勇者さんに認められるには、あの人も知らない世界を、見て回るしかないと思ったんです」
店長「……そうか」
ショタ魔王「えへへ、だから女勇者さんには何も言わずに来たんですけど……やっぱり、寂し……え?」
220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:14:24.78 ID:+xptvFJ60
女勇者「おぃぃぃぃぃ!!」
店員「もう列車出ちまいますよぉぉぉぉぉ!!」
女戦士「たいへんたいへーん~」
店長「遅い!」
名無し男「やっと来たのか!」
名無し女「来た! あいつら来た!」
一同「「「これで会うる!!」」」
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:15:42.44 ID:+xptvFJ60
ショタ店長「あ、あの……?」
店長「俺らはお節介なのさ」
名無し男「にひひ」
名無し女「ふふふ」
女勇者「あいつ、なんで一言も……!!」
女戦士「うーん、ショタ君は止めてほしくなかったんでしょーね~」
店員「しゃべくってる暇ないすよ!! もう列車が……!!」
女戦士「じゃあ最後の手段と行きましょうか~」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:17:36.70 ID:+xptvFJ60
ぎゅう。
女勇者「うえ?」
女戦士「広い世界でも、がんばってね~!!」
ぶぉぉん!!
女勇者「うおぁあああああ!? 投げんなぁぁぁぁ!!」
ショタ魔王「……え、飛んdぎゃっぶう!!」
どさぁ!! ゴロゴロ……
プシュー!! ガタン、ガタン……!
ショタ魔王「い、いててて……あ、列車がもう出て……」
女勇者「……おい魔王……」
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:18:48.21 ID:+xptvFJ60
女勇者「人をシカトして出て行こうなんざ、随分といい度胸だなぁ?」
ショタ魔王「……ッ、僕はあなたを妻にすることを諦めたわけじゃありませんよ! もっともっと広い世界を見てすごい男に」
女勇者「お前な、私の剣の魔力をどうする気だったんだよ」
ショタ魔王「……だから僕は、一本、剣を」
女勇者「……最近二刀流の良さに目覚めちまってなぁ、どうにも一本だと締まりが悪いのさ」ポン、なでなで
ショタ魔王「……!」
女勇者「だからよ、よろしく頼むぜ。あいぼ……」
ショタ魔王「この列車、東行きですから!! そうですね、式って東洋式でもぷぎゅっ!!」
ドゴ
おしまい
226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/13(土) 03:21:12.14 ID:+xptvFJ60
二度あることは三度ある……と言いたいところだが三度目の正直だ。
これにて完結です。まさか即興で立てたスレが200以上まで伸びるとは思いもしませんでした。
こんなSSをお読みいただいて、本当にありがとうございました。
<<キョン「なぁ長門」 長門「どうしたの?」 | ホーム | 上条「俺にも彼女が出来たんだ」美琴「え・・?」 2>>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |